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2005-03-29 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月二十九日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      喜納 昌吉君     藤末 健三君      荒木 清寛君     浜田 昌良君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 谷川 秀善君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君        外務大臣政務官  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        内閣官房内閣審        議官       樽井 澄夫君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       上原美都男君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        防衛庁人事教育        局長       西川 徹矢君        消防庁次長    東尾  正君        公安調査庁長官  大泉 隆史君        外務大臣官房長  塩尻孝二郎君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房審        議官       中富 道隆君        外務大臣官房参        事官       松富 重夫君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省領事局長  鹿取 克章君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        水産庁資源管理        部長       竹谷 廣之君        経済産業省貿易        経済協力局長   中嶋  誠君        国土交通大臣官        房審議官     大庭 靖雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○外交防衛等に関する調査  (平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱及び  中期防衛力整備計画に関する件) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査及び外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会内閣官房内閣審議官増田好平君、内閣官房内閣審議官大石利雄君、内閣官房内閣審議官樽井澄夫君、内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長上原美都男君、内閣男女共同参画局長名取はにわ君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁長官官房長北原巖男君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛庁人事教育局長西川徹矢君、消防庁次長東尾正君、公安調査庁長官大泉隆史君、外務大臣官房長塩尻孝二郎君、外務大臣官房審議官遠藤善久君、外務大臣官房審議官齋木昭隆君、外務大臣官房審議官中富道隆君、外務大臣官房参事官松富重夫君、外務大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、外務省北米局長河相周夫君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省領事局長鹿取克章君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君、経済産業省貿易経済協力局長中嶋誠君及び国土交通大臣官房審議官大庭靖雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 白眞勲

    白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、質問通告をしていませんけれども、今朝、早朝に起きましたスマトラ沖地震につきまして、通信社状況によりますと、千人から二千人ぐらいの人的被害が出ている模様というような話もあるんですけれども、現在外務省把握している状況についてお話しいただければと思うんですが。
  6. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まだ率直に言って詳細が必ずしも十分把握できているわけではございません。そういう前提で、取りあえず私どもが分かっている範囲でお答えを申し上げますが、三月二十九日の午前一時十分ごろ、日本時間でございますが、現地時間で言いますと二十八日の二十三時十分ごろ、インドネシアスマトラ島沖合約二百キロ、深さ約三十キロにおいてマグニチュード八・五の新しい大きな地震があったということでございます。被害の全容は、先ほど申し上げましたように必ずしもはっきりしておりませんが、どうも昨年十二月の大地震の際のような大規模な津波は発生していないという模様であるということであります。  いずれにしても、今後の被害状況被災国からの要請等によりましては、国際緊急援助隊派遣等の準備を既に始めたところでございます。いつでも対応できるようにしたいと、こう思っております。  邦人被害状況等であります。  これもまだ正確にはよく分かりませんけれども、インドネシアバンダアチェに今臨時事務所を開いているわけでありますけれども、アチェ州内には六十八名の邦人滞在というものを把握をいたしております。しかし、今のところ死傷者が出たという情報には接しておりませんで、今朝の七時現在で六十八名のうち五十名の無事を確認をしているところでございます。  なお、多数の死傷者が出たと報じられておりますスマトラ島西方にありますニアス島というところでありますけれども、ここでは相当数の千人あるいは二千人という死亡者が出たという報道がございますけれども、バンダアチェ臨時事務所に届出のあった邦人の中には、このニアス島への滞在者はいないということのようでございます。  そのほか、インドネシア、マレーシア、タイ、スリランカ等在外公館におきましては、現地日本人会等緊急連絡網あるいは大使館からの電子メール等を通じて邦人への注意喚起を行っておりますが、今のところ邦人被害者がいるという報道には接しておりません。  なお、気象庁から、地震発生から約一時間後に津波情報津波発生のおそれのあった関係国に速やかに伝達をしたところでございます。  取りあえず御報告できることは以上であります。
  7. 白眞勲

    白眞勲君 是非全力をもって、またこの復興状況等把握、そして場合によっては、いわゆる救援措置というものをまたこれからもしていただきたいというふうに思っております。  それでは、本日の議題でもあります在勤手当ですか、につきましてちょっとお聞きしたいんですけれども、今までも過去のいろいろな議事録等を見ますと何度もこの件については答弁もされているんですけれども、そもそも在勤手当というのは何なのかというところについて、大変恐縮でございますがもう一度御説明いただければと思うんですが。
  8. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) お答え申し上げます。  在勤手当でございますけれども、これは在外公館におきまして職務と責任を果たすと、それができるように手当てをするということでございまして、各在外公館の所在地の物価あるいは為替相場生活水準等を勘案して定めておるものでございます。
  9. 白眞勲

    白眞勲君 どんな手当から構成されているんでしょうか。
  10. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 在外基本手当ということで、これは先ほどお話ししましたように、在外勤務に必要な基本的経費ということから成っております。それから、それ以外の手当といたしましては、住居手当、これは在外職員在外勤務するのに必要な住宅費に充当するということでございます。それからあと配偶者手当ということで、在外勤務配偶者を伴う、その場合に必要になってくる追加的な経費に充当するということでございます。それから、在外勤務する職員子供一緒に連れていくというケースがございます。そういう子女教育手当という手当がございます。  大体、そういうような諸手当から成っております。
  11. 白眞勲

    白眞勲君 直接関係、この在勤手当とは関係ないかと思いますけれども、一つ、ちょっと一つ聞きたいのは、在外公館プール金の存在についてお聞きしたいんですけれども、プール金があるんではないかという絶え間ないうわさというものがあると。そういう中で、実際、今外務省としてはどういうふうにこの件について把握されているんでしょうか。また、調査というのは行われているんでしょうか。
  12. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 一時期、外務省をめぐりましてプール金の問題がございました。そのときにプール金の問題について処理をさせていただいたというふうに承知しております。
  13. 白眞勲

    白眞勲君 本省分については、多分調査というのは相当行われたということを聞いているんですけれども、在外公館プール金というのはないんでしょうか。
  14. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) ないというふうに承知しております。
  15. 白眞勲

    白眞勲君 続きまして、外交官、いわゆる外交官というのは一体合計で大体、一体幾らぐらいもらっているのかと。例えば、どうでしょうね、大体二十年間勤めた四十歳ちょっと超えたぐらいの方で公使とかいわゆる副領事と言われるような方々で、例えば奥さんと子供二人が一緒になって、在外公館で働いた場合の年収というのは大体幾らぐらいになるんでしょうか。
  16. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) これは地域によってまちまちでございます。今御質問いただいた入省十五年、二十年という在外公館勤務する者でございますけれども、例えばワシントン勤務している書記官、三十大体七歳の人間で年収が大体一千百万円ぐらいということでございます。
  17. 白眞勲

    白眞勲君 外務大臣、どうでしょうか、この金額というのは妥当であるとお考えでしょうか、あるいはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
  18. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) なかなかそれは何をもって妥当と言うか難しいところがあろうと思いますが、比較をするしかないんだろうなと、こう思います。  今手元の資料を拝見をしておりますと、総合商社等主要民間企業が例えばワシントンで同じような年齢、同じような配偶者子供が二人いるというような場合ですと、年収が一千六百万から一千万円台程度ということであります。そんなことで、主要五社のうち四社まではこの一等書記官を一六%から四二%商社方々の方が上回っているという実態があるようでございます。  それからあと外国外交官、これはなかなか厳密な比較が難しいところはあるようでございますけれども、外国外交官のやっぱり同じ年齢ぐらいで大体こう比べてみると、これはワシントンのみならずいろいろな国の比較をしてみると、日本外務省はむしろ一番低い方に属するのではないのかなという感じでございます。しかも、委員御承知のとおりに、この在勤手当というのはこのところ連続してカットされてきておりまして、過去五年間で大体平均で見ますと、大使で四割、一等書記官で三割の削減ということでございます。  私も外国に出張で参りまして、そういう現地大使あるいは職員皆さん方の、最近どうですかといろんな話をする中でこの在勤手当の話がたまに出るんでありますが、やはり随分少なくなったなという実感があるようでございまして、したがって、家で外国の人を呼んで例えばホームパーティーというか接遇をするというようなことも、かつては週に三回ぐらいやっていたのを週二回あるいは一回に減らさざるを得ないといったような感じで、何か活動自体が少々萎縮しているような印象すら受けるところがございます。  そんなこともあって、十七年度予算の中では、これ以上在外勤務手当を減らすのはいかがなものかということで、財務省と折衝して何とか基本的には横ばいになるようにというふうな努力をしたところでございます。
  19. 白眞勲

    白眞勲君 今大臣から、一般のいわゆる一流企業ですね、の同じ場所にいる駐在員に比べると大分安いぞというような御指摘があったんですけれども、一つ私はここで指摘しておきたいのは、それほど今おっしゃった一六%から四二%という数字というのは、これ手取り額じゃないんですね。つまり、税金が入っていないわけですよね、外交官の場合には。特に、その在勤手当というのは税金が入っていない部分があるという部分でいうと、所得税を抜いていると抜いていないのでは大分これは違う、私はそういうふうに思うわけなんですね。  つまり、単純にそれは、確かにお金をもらったとしたって手取り幾らかということで考えると、決してそんなに待遇がそれほど、大臣がお考えになっているほど悪くはないんじゃないのかなと。ただ、もちろん民間企業の中には一億ぐらい年間稼いでいる人もいらっしゃるだろうし、これはなかなか何をもってその基準にするかというのは極めて難しい部分があるとは思うんですけれども、その部分考えると、それほどまでに強調されることではないんじゃないのかなというふうに私は思っているわけでして、特に海外にいる駐在員方々に聞いてみると、いや、大使館人たちは結構いい生活をしているよというようなやはりイメージというものはやはり否定できないというような部分は私はあると思うんですね。  そういう中で、もう一つちょっとお聞きしたいのは休暇制度についてなんですけれども、休暇制度、一体どういうふうになっているんでしょうか。
  20. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 休暇制度にお答えする前に一つだけ申し上げておきたいのは、先ほど大臣の方から答弁のありました民間企業等との比較でございますけれども、これは先ほど大臣も言われたように比較の仕方というのが非常に難しいわけですけれども、基本的には課税のない同じベース比較させていただいたものでございます。  それで、休暇制度でございますけれども、在外職員のために休暇制度が設けられております。主なものとしては、休暇帰国制度、それから、これは勤務環境の厳しい在外公館勤務する職員に設けられておりますけれども、健康管理休暇制度というのがございます。  休暇帰国制度でございますけれども、これにつきましては基本的に在外公館に継続して勤務する期間が三年を超える者、こういった者に対して三年に一回三十日以内の休暇を認めております。  それから、もう一つ健康管理休暇制度でございますけれども、これは気候風土等自然環境あるいはマラリア等感染症、それから衛生環境あるいは治安等社会環境が非常に厳しいところで勤務する在外職員を対象にしておりまして、健康診断等を受けるという目的で基本的に三年に二回、年次有給休暇範囲内で最大三十日、近隣の先進都市に赴くという制度でございます。
  21. 白眞勲

    白眞勲君 今の、最初に官房長さんの方から税金の件についてお話があったんですけれども、ちょっと私の認識とちょっと違うのは、それはやはり企業で勤めている以上どこかで税金は引かれているわけでして、その税金を引かれたベースでそれだけの違いがあるというのはちょっと私は理解に苦しむんですね。つまり、手取りベースだということを官房長がおっしゃっているわけでしょうか。もう一回、ちょっとその辺聞きたいんですけれども。
  22. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) はい、手取りベースでということでございます。
  23. 白眞勲

    白眞勲君 それと今、帰国休暇ですか、についてもお話聞きますと、大体三年で三十日で、そのほかに健康診断で三十日というと、場合によってはまとめて取れば二か月、つまり三年間で二か月の休暇外務省は、在外公館にいる方々は取れることになるわけですよね。  これって、どうでしょうか。一般企業で三年間海外勤務して二か月の休暇をもらえるというのは、私はないと思うんですね。もしそんな休暇を取ったら、それこそ、おまえもう要らないよというふうに言われるのが普通でございます。その点についてはどうなんでしょうか。
  24. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、これは三年たてば認められるというのが休暇制度の仕組みでございます。  我々も商社等民間企業でどのような実態になっているのかということを調査しております。その調査に基づきまして我々もこういう制度を取っているわけでございますけれども、我々が調べている限りでは、世界的に展開している商社等民間民間企業でも同様の制度が種々認められているというふうに承知しています。むしろ、民間企業における休暇の方が高い頻度になっているという場合もあるというふうに承知しておりまして、在外の、在外公館勤務する在外職員休暇制度が特に恵まれ過ぎているということはないというふうに考えております。
  25. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとその辺の認識というのは私と違っておりまして、私の知っている在外勤務されている商社マンとか何かで、三年間で二か月も電話してもいないなんていう人はいませんでした、今まで一人も。ですから、それは制度的にあるかどうかは別にして、取っているかどうかというのは私は別問題じゃないのかなというふうに、私極めてそれは不可思議でしようがない部分であるなと思っているんですね。  ちなみに、その帰国休暇という名前が付いている以上、当然これは往復の航空運賃というのは払ってくれるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、まさかビジネスクラスということじゃないでしょうね。
  26. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 基本的にはエコノミークラスでやっております。
  27. 白眞勲

    白眞勲君 基本的にはエコノミークラスということは、エコノミークラス正規運賃を出しているということでしょうか。
  28. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 間々変更しなければいけないという事態もありますので、普通のエコノミークラスでやっております。
  29. 白眞勲

    白眞勲君 私の調べている範囲内では、結構ビジネスクラスで結構行っていると。なおかつ、その六十日間の帰国の中の三十日は日本にいなきゃいけないけれども、残りの三十日は世界一周して回っているというような人もいるというような話もあるわけですね。  ですから、そういう面についてはもう一回、つまり私が申し上げたいのは、その待遇面で、お金が三割から、一割から四割低いですよと言っても、そのほかやはり手厚い保護がやはりあるということを、やはりもう一度外務省皆さんは御認識していただきたいなというふうに私は思うわけなんですね。  ですから、それともう一つ、やっぱり民間企業人たちにとってみて一番怖いのは何かというと、今リストラなんですよ。少なくとも外務省人たちというのはつぶす、つぶれるということはないわけですから、そのやはり心の安心感というのは物すごくやっぱり強いという部分も、ある意味見えていない部分での一種の保護みたいな部分が私はあると思うんですね。  ですから、そういったことを考えて、是非、何というんでしょうね、もう一度その辺の民間企業とのバランスというものをよくよくこれ調査していただきたいなというふうに思うんです。別に、働けば、国民は一人の外交官に対して年収一億を出そうとそんなに反対はしないんじゃないかなと思うんです。それよりも、もう何ですか、それ以上の働きをしている外交官がいたら、それはいいよいいよと、一年休んだって構わぬというふうに思う人だっているわけなんですけれども。  少なくとも、やはりバランスというものを持ってやっていただくという部分においては、この辺についてもう一度より精査をする必要があると思うんですが、外務大臣、どうでしょうか。
  30. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) どうも委員は、多少偏った先入観をお持ちで公務員というものを見ておられるのではないか、あるいは在外公館勤務している者を見ておられるのではないかという思いがしてなりませんですね。  公務員自体のいろいろな民間との違いは、確かに御指摘のとおりこれは公務員一般にあるわけでございます。格段の何か不祥事でも起こさない限り、それはきちんとした身分が保障されていると、これは何も外交官のみならず一般公務員に通用される話であります。特に外交官だけが優遇をされていることではない。もしそれがおかしいと、現実に給与だって、本当は今まで公務員は下がったことはないんだけれども、昨今のこの状況ではさすがにそれは下がるようになってきたということはありますけれども、生首が切られるということはないと。  しかし、本当にそれでいいのかどうかというのは、これはもちろん議論の余地があると私は個人的には思っておりますけれども、それはそれとして、そういう意味での確かに民間企業リストラのようなことはそれは原則として公務員の場合にはないということは、まずそれは共通公務員共通にあるということでございます。  それから、在外勤務、何か公務員だけが非課税になっているという御認識かもしれませんが、これは所得税法でしっかりと、これは公務員だけではなくて民間企業の人も、在外勤務をした場合に受ける手当で政令で定めるものはこれは非課税であるということになっておりますから、これは別に公務員外交官だけが在勤手当非課税だということではなくて、民間人在勤手当非課税であるということは、是非、これは税法上そうなっているんですから、そう御認識をいただきたいと。  それから、民間方々は、それはまあ個人の趣味でいろいろ外国の方を家に呼んだりされることもそれはあると思いますけれども、別にそれはやらなくてもいい。他方、外交官の場合は、これは仕事としていろいろな形での交際を広めなければならない、それが情報収集にもつながるというようなこともあるわけでありまして、そういう意味で、全く在外勤務した際のいろいろな支出が純粋に家族のためあるいは個人のためだけというわけにはいかないのが外交官のこの手当であろうと、こう思うわけであります。  それから、先ほど来から六十日、六十日と盛んにおっしゃるが、三年を勤務した場合に三十日以内ということであって、六十日ではないんですね。  それから、発展途上国等、これはマラリアがあるとかいろいろ健康厳しいところについては三年に二回、近くの先進国の指定された都市に行けるという措置がある。これは、私は厳しい健康状態のところ、自然環境厳しいところでそういうことをやって、例えばキニーネを抜かなければならないとかいうようなことからして、これは健康上必要なことということでありまして、私は、格段に何か日本外交官がえらく優遇をされているんだという前提でもろもろ委員お話ありましたが、私は決してそんなことはない。しかし、もしそういう部分があるんなら、別に過度に優遇する必要は私はないと思いますから、それは常にいろいろな他の職種の方々との比較はそれはしなければならないという一般的な御指摘はそのとおりだと思いますが、現状が特に恵まれ過ぎているという認識は私は基本的に持っておりません。
  31. 白眞勲

    白眞勲君 今大臣は、偏った先入観を私は持っているんではないかというふうにおっしゃっていますけれども、一般の国民の認識というのは、私はそういう認識があるんじゃないのかなということで私は聞いているわけなんですね。
  32. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) なぜそうなんですか。
  33. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、その件につきましては、何というんでしょうね、熱くなるのはいいんですけれども、そうやって。私はだから、そういった先入観について誤解を解くための働きをする場面がこの国会の場であるということで私は聞いているということなんですね。その辺をよく御認識していただいて御答弁を願えればなというふうに思うわけなんですね。  今、幾つかのその点について、私はもう外務省人たち、いろいろな在外公館人たちも一生懸命働いている姿というのは目にしております、実際に私も韓国におったこともありますので。そういう部分はありますけれども、やはり今休みがどうなっているとか、別に私は三十日とか六十日という問題じゃなくて、やっぱりその三十日自体だって、やはりこれは一般企業の常識からしたら、やはりえっと言うわけなんですよね。その間、やっぱり在勤手当だって何だってみんなもらっているわけなんですね。ですから、そういう中で三十日の有給休暇をもらっているというのは、どうですか皆さん、そんなの余り聞いたことないでしょう、日本民間企業でそんなものを。  ですから、そういったものをやはりもう一度、いつでもやはりそれを民間企業との間で精査をしていくという作業が私は必要ではないかということを御指摘しているわけなんですね。その辺を御認識いただきたいというふうに思います。
  34. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 例えば、私の身内で商社勤務をしておる者がおります。大体三年、もうちょっと長いかな、四年ぐらいでしょうかね、だんだん変わっていくと、勤務地が変わると。いや、その間に三十日、四十日、五十日、日本に帰っている人はざらにおりますですよ。そんなに民間企業に、三十日戻ってこない、それが当たり前だという白さんの認識は、委員認識はちょっと私とは違いますですね。
  35. 白眞勲

    白眞勲君 ここで、それは外務大臣一緒に、今度一回一緒になってお話もさせていただきたいというふうには思いますけれども、恐らく外務大臣の御友人の方というのは一流企業だと思うんですよ、一流企業商社員とか何かと。民間企業というのは一流企業だけじゃないですよね。日本の九〇%以上はそれは中小企業じゃないですか。そういう人たちでも、海外に今どんどん出掛けていって仕事をしている方々が三十日もその方々が休みを取っているということ自体は考えられないことなんです。想像もできないことなんですね。それを御認識していただいて、もう一度、じゃ御答弁願いたいと思います。
  36. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) いや、何で私の友人が一流企業にだけ勤めているかと、そんなことは全くありませんよ、中小企業の人もたくさんおります。そういう方々もむしろ自由に、必要あらば適宜帰国をすると。まとめて三十日かどうかは別にして、いろんな仕事の関係等々を含めて日本に戻ってくると。逆に、なかなか、我が方外交官はよほどのことがないとなかなかそれ任地を離れることはできない、それは僕は別に当然だと、こう思っておりますけれども。もっともっと自由に日本と任地との間の行き来しております。それは大企業、中小企業を問わずであります。  そういう意味で、私は、余り外交官は優遇され過ぎているという、どうしてそういう御認識を持たれるのか私にはよく分かりませんが、そういう認識が世の中一般であるという間違った前提で今のような御質問をされると、私もいささかそれは違うんじゃないんでしょうかと申し上げたくなってしまうんであります。
  37. 白眞勲

    白眞勲君 これは一般論として、それは外務大臣との認識は違うかもしれませんけれども、やはり私が思うのは、恐らくこれが一つあるんじゃないかなと思うんですね。以前は、日本から海外に行く人たちというのは本当に限られた人しか行かなかったわけです。一ドル三百六十五円のころですね、三百六十円時代ですね。ところが、やはり今はもう年間一千万人、場合によっては国内旅行よりも海外旅行の方が安いような事例というのも増えてきているという中で、非常に、今まではどちらかというと見えなかった部分がやはり見えてきている部分も私はあるんじゃないかと思うんですね、やはり大使館持つ役割という観点からしまして。  そういう中で一体、何というんでしょうね、特に、海外旅行で特に在外公館のお世話になるという場合には、どちらかというと、パスポートをなくしたり、あるいは事故に巻き込まれる場合もあるでしょうし、いろいろな、があると思うんですけれども、いろいろな保護を求めてきた際に、今までとやはり、日本のほかの区役所とか、そういった市役所みたいな役所とはちょっと違った対応をされていることに対する不満というものが恐らく在外公館に出てきているのがこういった形になっているんじゃないか。  つまり、在外公館が一生懸命やっている、いわゆる国民の目からは見えない部分の、例えば家にいろいろな方々を呼んで情報をいろいろ取ったりとか、あるいはいろいろな交渉事に一生懸命やってみたり、そういったことについての部分ではない、表面的な一種のあらばっかりが目立つようになったところからの批判というのもあるんではないんだろうか。  そういう中で、そんなことで、我々に対してはそういう冷たい態度を取りながら、実は休みも取っている、給料もいいじゃないかというような観点から、そういういわゆる部分というのが、今外務大臣が私に向かって言ったいわゆる偏った先入観だという部分だと私は思っていますよ。ただやはり、偏った先入観にしても、そういうものがある以上、あるという前提に立てば、やはりあると思いますよ。ですから、あるという前提に立てば、それに対して、国民に対して理解をどんどんしていくという作業は必要ではないかというふうに私は思うわけなんですね。  例えば、私も韓国におりました。私の身の上話をここでするつもりはなかったんですけれども、ちょっとすれば、させていただければ、私も韓国にいたときに、私の妻は日本大使館の、働いている方の奥さんと良き友人でしたよ。友人であったけれども、大使館がやっている、主催しているパーティーなんか一度も呼ばれたことがない。話によると、毎日のように話、パーティーをやっていたというふうにも聞いていましたけれども、一度も呼ばれたことがありません。なおかつ、何ですか、私、例えば、何か話によると、こんなことはないと思います、だからそんな聞きもしませんけれども、ランク付けがあるんじゃないかと。在外公館にとって一番重要な人物は一流企業のそこの駐在員であって、その次は二流企業駐在員であって、民間の場合ですよ。それで、一番下の人間が、実は現地の人と結婚した日本人妻だとかあるいは留学生というのはどちらかというと下に見られているというふうにも言われていました、当時。で、実際、そういう話というのはちょくちょくあるわけなんですね。  で、私が思うには、例えば、例えばですよ、だんなさんが向こうの人だという場合には、恐らくこれは日本のファンなんですよ。情報をもし取るんだったらば、そういう人たちの交流というのは本当に私重要だと思うんですね。やっていないとは言えないけれども、本当にそういったものを今までやっていたのかなという部分においては、私自身の経験からして甚だ疑問なわけなんですね。  と同時に、もう一つ言わせていただくと、これは余り具体的な名前を言うといけませんけれども、私がヨーロッパ旅行をしたときです。私の後ろに政治家の奥様二人が乗っていた。で、私が日本人だと分からなかったかもしれませんけれども、相当何かきつい話をしていました、政治家の奥様二人が、飛行機の中で。で、あるヨーロッパの空港に着いたら、そこに大使館ナンバーの日本大使館の方とその運転手とか何人かが飛行機のタラップの下でお迎えに上がっていましたよ。八〇年代中盤ぐらいです。  それで、私初めて見たんですね、大使館の人というのを、海外で、そのときに。生まれて初めて見た。それで、何をやるんだろうなと思ったら、その人たちを、政治家の奥さんですよね、を連れてどっか連れていくんです、にこにこしながら連れていった。で、たまたまその日の夜ですよ、その国の、その都市の一番いいホテル、いい一流レストランのいい場所にその人たちがいたんですね、やっぱり。接待を受けていたんですね。やっぱり、そういうことを見たときに、えっ、我々の税金がこうやって使われているんだなというのを思ったんですね。何かうさん臭いことしてるのね、この人たちって本当に私正直言って思いましたよ、そのときに。まあ、もちろん、それは外務省の公館が悪いということではないかもしれない。政治家だって、政治家にだって多分頼んだからやったんだと思うんですよ。でも、実際そういったことがやはり海外で行われているというものが、今までは目にしなかったものが目に見えてきている部分が、私は最近のやはりいろいろな、外務省のいろいろな風当たりの強さにも私は影響しているのではないのかなというふうに思っているんですね。  ですから、私はここで、待遇がいいじゃないかということを私は、何ですか、外務省人たちに一生懸命私は言いたいんじゃないんですよ。もっともっとそれに対して、もっともっと国民の疑惑に対して、いわゆる疑惑の目に対してこたえる義務があるのではないか。それと同時に、もう一つは、外務省の内部の人たちに対しても、やっぱりもっともっと変えるような、例えば、何ですか、この在外公館のこれは外務省改革要綱で民間企業への研修で民間の視点を養うというようなことを書いているわけなんですね。  ですから、そういったことを考えますと、やはり民間人たちの視点というものをもっと、もっともっと重視する必要性があるんではないんだろうか。今言った八〇年代のことに比べると、大分今外務省は変わってきているとは思いますけれども、やはりそういう視点というのが、国民はそんなに年間ずうっと海外旅行しているわけじゃない。一回見ただけで外務省というのはこうなんだ、大使館というのはこうなんだという先入観を持っちゃうんですね。その辺をどういうふうに考えているか、もう一回、外務大臣のお答えいただきたいと思います。
  38. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、疑惑という言葉を使われましたが、委員、それはちょっといかがなものでしょうか。そういう印象を持たれているということは私もそれは、そういう方がいらっしゃるのは否定しませんが、印象があるということが即疑惑であるというのは、私は表現としていかがなものかとあえて申し上げる次第であります。  実は、私も一九七九年から八一年までニューヨークでジェトロというところで勤務をしておりました。民間の方あるいは政治家の方、いろんな方々がニューヨークにいらっしゃいました。そして、せっかくニューヨークに来たんだから有効に時間を使ってもらいたいということで、広い意味のそれは接待かもしれませんけれども、いろいろなところにアポイントを取ったり紹介をしたり、あるいはそれは、夜、せっかくニューヨークに来たんだからおいしい食事をしてもらおうと思っていいレストランを予約しておいてそこにお連れをすると、こういうようなことも二年間随分やったものであります。  そういう経験からすると、先ほど政治家の奥さんという話がありました。余りこういうことは言わない方がいいのかもしれませんが、それは、もし政治家からそういう話があり、それにもしこたえないでいた際のその政治家からの外務省に対する、あるいはジェトロに対するバッシングがいかばかりなものかということはみんなよく分かっているんですよ。大変なんです、これは、ええ。ジェトロの理事長なんかもうどなり上げられるんですよ、これは与党、野党関係なく。これはもうすざまじいものがありました。これは、私は本当に問題だと思っていましたよ。したがって、私は最近、外務省改革ということでそういう極端なケースがほとんどなくなったと、こう思っておりますけれども、それはいいことだと、こう思っております。  しかし、せっかく限られた時間でそれぞれの国に来られた方々が効率的に時間を使ってもらうためのそういった便宜供与、必要な便宜供与、これは私は海外勤務をやる者の務めとして、そこまでは私否定する必要はないんだろうなと、こう思っております。  しかし、最後に委員が言われた、常に民間の視点といいましょうか、率直に謙虚な思いで私ども自身の業務であるとか、あるいは給与体系であるとか働き方であるとか、いろいろなことについて率直ないつも見直しをしなければいけないという御指摘は、それは誠にそのとおりでありまして、我々、税金で仕事をしているわけですから、タックスペイヤーの目から見てなるほどと、こう言っていただけるような仕事に常に心掛けなければならない、これはもうもちろん大切なことでありますし、今後ともそういう意味でそういう皆さん方の率直な御意見をいただきながら我々仕事をしていくのは、これは当然のことであろうと、こう考えております。
  39. 白眞勲

    白眞勲君 正にその部分だと私は思うんですね。  今私が申し上げました外務省改革要綱で、何ですか、民間企業民間企業に大体どれぐらい今職員が行っているんでしょうか。
  40. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 外務省改革の中で、委員指摘のとおり、民間の視点をもっと入れなければいけないということで、民間企業、NGO等への派遣というものを積極的にやっております。まだ人数は非常に限られておりますけれども、毎年一名、若手の職員を二週間から一か月程度、企業に派遣しております。それから、NGOの関係団体に若手職員を二週間からこれも一か月程度派遣して、NGOの中で働いているということでございます。
  41. 白眞勲

    白眞勲君 是非、やはりこういった、特に私は、海外の例えば在留公館の人たちとかあるいは海外駐在員民間企業のそういう営業所とか事務所にもう行って、例えば営業を一緒にやってみるとか、在外公館、これからやっぱり民間企業一緒になって、どんどんそういった戦略というのをやっぱり私は立てていかなきゃいけないなというふうに思っているんで、是非これやっていただきたいなというふうに、私はこれ積極的にやっていただきたいと思うんですね。  例えば、もう一つは、国内でも例えば市役所に外務省職員が入って、実際に住民サービスを一緒になってやっていくとか、そういったこともやっぱりこれから必要になってくるんじゃないかなと思いまして、やはり大学への留学も必要だと思います、外交論勉強するのもいいんですけれども、やはり実地に、民間企業がどういった形で今営業をやっているのか、海外との企業との間でどういう仕事をしているのかというのを一緒にやっていくというのも私は必要ではないのかなというふうに思うわけでして、最後でございます、外務大臣、一言、じゃ、ちょっとお願いいたします。
  42. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 在外企業在外でのいろんな活動に対して大使館等が積極的な支援をするということで、そういう支援の窓口、日本企業支援窓口というのをすべての大使館、総領事館に、平成十一年以来、そういう窓口、担当者を決め、窓口を決めて日本企業に対する支援を積極的に進めるということを心掛けてやっているところであります。もっともっとこれやったらいいなと思います。  その基礎として、今委員おっしゃったような民間企業あるいはNGOでの研修をもっとやったらいいなと、私も更に数多くやれたらいいと思います。ただ、なかなかみんな忙しくて人繰りが付かないという問題が率直に言ってあります。したがって、可能な限り、人繰りが付く限り、そういった民間企業、NGO等で実際の体験をする、大変貴重なことだと、こう思っておりますので、できる限りそういう方向で努力をしてまいりたいと思っております。     ─────────────
  43. 林芳正

    委員長林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、喜納昌吉君が委員を辞任され、その補欠として藤末健三君が選任されました。     ─────────────
  44. 荒木清寛

    荒木清寛君 それでは、法案に入る前に、先ほどもスマトラ沖、昨日のスマトラ沖地震につきましての政府としての対応について御報告がございました。  今回の津波情報日本の気象庁の方から情報提供したということも聞いておりまして、私は、我が国のそうした進んだ技術を生かして、早くこの地域における津波警戒システムの構築に、構築ができますように日本としても協力をすべきだと考えます。この点についての考えをお聞きいたしますし、また、昨年末のスマトラ沖地震の折に、年が明けまして総理が迅速に五億ドルの無償資金供与をコミットして、国際的にも大変高い評価を得たわけでございます。今回の昨日の地震につきましては、この枠内で支援をしていくのか、さらにまた別枠を追加で考えるのか、この点も政府の対応をお尋ねいたします。
  45. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) インド洋における津波警報システムを今後どう構築していくのか。一月二十日前後に神戸で開かれました国連世界防災会議において、日本の方から、例のチリ津波、チリ地震津波の体験を踏まえながら、太平洋の方にはそれができてきたということを前提にしつつ、日本から積極的な提案もいたしました。そして、今、タイであるとか、あるいはシンガポール、インド、いろいろな国々が、そういうことでその後相次いで国際会議も開かれ、だんだんだんだん具体化が図られてきているところだと、こう承知をしております。  私どもとしては、そういうノウハウ、知見というものが相当あるわけでありまして、これを最大限提供をして、この構築に努力をしていこうということでございます。資金的な協力もやっていこうということで、今後、できるだけ早くこのシステムができるように、日本として可能な限りの協力をしてまいりたいと、こう思います。  昨日、昨夜の地震についてどういう支援をしていくのか、まだちょっと実態なり被害なりというものが必ずしも把握できていない段階で、既に提供することを決めた五億ドルの中からか、内数か外数かというお話をちょっとお答えするにはまだいかにも時期が早過ぎるのかなと、こう思います。もし必要あらば、新年度の予算の中からこういったものを捻出していくということかもしれませんし、もしそれが極めて大規模であれば、場合によったらそれは予備費ということもあるかもしれません。まだちょっとそこまでの検討には余りにも至っていないものですから、よく実情を見極め、先方政府ともよく今後相談をしながら、しっかりとした対応をしてまいりたいと考えているところであります。
  46. 荒木清寛

    荒木清寛君 それでは法案に入ります。  本改正案では、在ポルトアレグレ日本国総領事館、在アンカレジ総領事館が廃止をされまして、在デンパサールに新設をされるわけでございます。  そこで、在外公館の新設、廃止、移転はどういう基準で、どういうプロセスを経て決定をしているのか、お尋ねいたします。といいますのは、このポルトアレグレも相当日本企業行っておりますし、在留邦人もおりまして、その数だけを見ればデンパサールとそう大差はないわけでございまして、どういう基準に基づいてこの統廃合、統廃合といいますか、廃止又は新設を決定しているんでしょうか。
  47. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) お答えいたします。  在外公館の設置あるいは廃止を含めた見直しにつきましては、一般的な方針としまして、世界全域における我が国在外公館網の整備状況を踏まえまして、予算、それから定員の効率的な運用を図るという観点から、総合的に勘案した上で判断しております。  具体的には、幾つかの点を考慮いたしております。例えば、政治、経済、文化等の諸分野におけるその国あるいはその地域との関係の緊密度、あるいは、その国あるいはその地域の政治的、経済的な重要性、我が国にとっての重要性、それからその地域、国における在留邦人あるいは邦人の、邦人企業の数、それからその国、地域の要望等を総合的に勘案して決めております。  それで、御指摘のありましたポルトアレグレ、それからデンパサールでございますけれども、ポルトアレグレの総領事館につきましては、最近ほかの地域と比較しまして日系企業の進出あるいは在留邦人がそれほど増えていないと。で、相対的に総領事館を置く必要性が低下してきていること。それから、ブラジルの国内には大使館を含めて八公館が設置されていたということもありまして、同総領事館を廃止するということにしたものでございます。他方、日系の方もおられますし、そういう事務はあるということで、その事務を適切に処理するということで駐在官事務所を置くということにいたしております。  それから、デンパサールでございますけれども、デンパサールはバリ州の州都でございますけれども、年間三十万人以上の邦人観光客が訪れているということで、恒常的に多数の領事関係事務が行われているということでございます。  それから、平成十四年の十月に爆弾テロ事件というのが起きました。そのときに学んだことでございますけれども、情報収集あるいは邦人保護の観点から体制強化が必要だということで、これまではデンパサールには出張駐在官事務所がございましたけれども、総領事館に格上げするということでございます。
  48. 荒木清寛

    荒木清寛君 先ほども在勤手当が高いのか低いのか議論があったところでございます。平成十六年におきまして外務人事審議会におきましては、先ほども大臣からコメントがございましたが、在勤基本手当の額は過去五年間の間に在外職員の平均三割、公館長四割削減されており、その結果現在の手当が、手当額が必要な経費を反映していないことが懸念される、また手当額の急激な削減が在外職員の職務の遂行と生活に及ぼしている影響を無視することはできないという指摘がございます。  それは、生活が成り立たないような削減ではもちろんないとは思いますが、ただそうした三割、四割という削減が急激に行われました。これは、国民からの批判を真正面に受けてこたえるという意味で私は評価するわけでございますが、ただもう余りにもこれが急激な削減でございまして、そうしたことによって大使、公使あるいは書記官あるいは現地外務職員、そうした職員の士気に影響が出ているのではないか、こういう心配もするわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  49. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今委員が御指摘になりましたように、ここ数年間で急激に職員手当が削減されたということでございます。こういう中で、在外勤務している職員はいろいろ工夫あるいは節約をして外交活動に支障がないようにやっているということでございます。他方、委員も今御指摘になりましたように、士気に影響を与えないよう平成十七年度の在勤基本手当については昨年平成十六年度とほぼ同額に設定したということでございます。
  50. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう意味では削減も一定の底打ちになったということであろうかと思います。  次に、大使の登用についてお尋ねをいたします。  平成十四年八月に川口前外務大臣外務省改革のための行動計画、いわゆるアクションプランを発表いたしました。これはこの中で、人事の在り方としまして、いわゆるこの試験に受かったらもう自動的に大使になってしまう、なれるということじゃなくて、競争原理の中で切磋琢磨して、その中で登用されるということが必要であるという指摘でございます。  具体的には、大使につきまして、外部の有能な人材を、目安として三年以内におおむね二割を登用すると、あるいは専門職員からも二割程度の登用をする、こういう数値目標があるわけですね。三年以内ということでございまして、三年以内に民間から二割と、また専門職からも二割ということでございます。現在、本年三月現在では、専門職からの登用は一六・三%、二十名、外部からの登用は十八名で一四・六%ですから、それぞれまだ二割に達していないわけですね。  いよいよ、十四年八月から考えますと今年の夏で三年になるわけでございまして、この数値目標をどのようにして達成をされるのか、大臣の決意をお尋ねいたします。
  51. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この外務省改革、大変重要な指針であると私もそう受け止めております。川口前大臣から仕事の引継ぎを受けたとき、この改革の行動計画の中、詳細を私も前大臣から引継ぎを受けました。何とかこの専門職、Ⅲ種職員出身の大使、それから民間等の大使、これを増やしていきたいと、こういうことで、私も、特に外部の方につきましては、経団連の会長さんでありますとかいろいろな方々に、いい人を是非御紹介をいただきたいと、御推薦をいただきたいというお願いをしたりして、少しずつ候補者が挙がりつつあるかなと、こう思っております。  しかし、やはり適材適所ということもございますので、民間の方であればどなたでもというわけにもこれはなかなかまいらない部分もあろうかと思いますが、いずれにしても、積極的に取り組んでいきたい。ちょうど三年ということもあります。したがって、この夏に、国会が終わった辺りで一定の人事というものを考えるわけでございますけれども、その際に、この行動計画で示された指針をできるだけ実現するべく努力をして、積極的な登用というものを図っていきたいと、かように考えているところでございます。
  52. 荒木清寛

    荒木清寛君 この同じくアクションプランの中に、領事シニアボランティア制度を設けるということがございます。先ほども議論ありましたように、外務職員民間でいろいろ勉強していただくことも必要でしょうし、また民間活力を領事業務の中に用いていくということも大事でございまして、この領事シニアボランティアという制度は非常に私は意義が大きいものと思っております。  平成十五年の十二月に派遣が開始されまして、現在では九公館に各一名ということでございます。もう今年の予算は通っておりますから、まあこれを、この予算的な裏打ちも必要なんでございましょうけれども、もう少し、せっかくの提言でありますから、多くの領事館でこうしたシニアボランティアの登用をしてもらいたいと、またそうした人材は幾らでもいると思いますけれども、いかがでしょうか。
  53. 鹿取克章

    政府参考人鹿取克章君) シニアボランティアの件につきましてですけれども、ちょうど私ども約一年数か月の経験を積んでまいりまして、非常に有効に機能していると思っております。また、幾つかの提言も、貴重な提言もいただいているところでございます。  私どもとしては、今後このシニアボランティア制度にどうするかということでございますが、今この制度については十公館で開始して、開始したところでございます。まあ今まだ現在各ボランティアの方々が活動されておりますけれども、今後更に拡大するか、あるいは国を替えるか、いろいろ検討は進めてまいりたいと思います。その際には、これまでの実績であるとか在外公館のニーズ、こういうものを踏まえて考えていきたいと思っておりますが、いずれにしても、先ほど御指摘のあったように、民間の方の視点を踏まえて領事業務の一層の充実化を図ると、こういうこの制度の趣旨を踏まえまして、今後とも積極的に対応していきたいと考えているところです。
  54. 荒木清寛

    荒木清寛君 最後に、会計検査院の平成十五年度決算検査報告で、在外公館についての指摘事項として、ラオス大使館、カナダのエドモントン総領事館におきまして不正行為がある、あるいは二十一公館につきまして出納事務の執行につきましての是正改善要求措置というのがなされておりまして、会計規律の確立という意味ではまだまだ努力を、厳正に取り組んでいただきたい、このように思います。  特に、このうちのラオス大使館は、外務省改革の一環で特別集中監査というのが始まったわけですけれども、平成十三年の九月に行われているわけですね。その特別集中監査が行われて襟を正したはずのこのラオス大使館でまたその後こうした不正行為の指摘があったということは、大変遺憾に思うわけですね。そういう意味で、私は会計規律の確立という意味ではまだまだであるという印象が否めないわけでありまして、この点、大臣、どういうふうに指導していかれるのか、お尋ねしまして質疑を終わります。
  55. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員指摘をいただいたラオス大使館の件でございます。  特別集中査察が平成十三年九月にこのラオス大使館には行われて、この現地職員による現金の領得というのは平成十四年から行われたという意味では、その集中査察が終わった後からこういうことが始まってしまったということのようでございます。大変残念なことであり、極めて遺憾なことであり、あってはならないことだと、こう思っております。これはもう現地職員であろうと日本職員であろうとそれは関係なく、大使館という公の場に勤務する者としてこういった事件が起きないようにかなり指導を強めていたはずなんでありますが、残念ながらこういうことが起きてしまったということであります。  全在外公館に対して、こうした実際に起きてしまったことを重大な反省材料としながら、こうしたことに関する情報提供も全公館にしながら、それぞれの公館においてこうしたことが起きないように更に指導を強めていかなければいけないし、また必要な査察というものも本省からしっかりとやっていかなければいけないと、こう思っているところであります。  要は、一人一人の外交官が同じ気持ちで、これ税金でやっぱり仕事をしているんだという思いをしっかり持って、公のお金を預かっている、そういう意識を持って、二度とこういうことが起きないように襟を正して仕事をしていきたいと、また全員がそういうことで仕事をするように私としては指導を強めてまいりたいと考えているところであります。
  56. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 法案に関連して幾つか質問したいと思います。  総務省が今年の三月にこういう外交在外業務実施体制に関する行政評価報告書というものを公表しております。私は、現役の外務省職員の生の声を載せた画期的な報告だなと思いながら興味深く読みました。率直に言って、この報告書の中には耳を傾けることが幾つもあるなと、そういう感想なんですね。  その中には、政と官の在り方や職員の意識改革など、国民への説明責任について、国民への説明責任の徹底という面に関して十分なものとはなっていない、こういう指摘があるわけですね。この間の経過に照らして重要な指摘だと思うんですけれども、その点で大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  57. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 外務省の仕事ぶり、さらには一連の不祥事を受けた後の外務省の改革、こうしたことについてホームページ等を通じ、あるいはこういった国会のもとより審議を通じ、いろいろな機会に私どもとしては説明責任を果たすべく随分努力をしてきたつもりでございます。やはり、国民の皆様の御支持と御理解がなければ外交というものが展開できない、これはもう基礎基本であると、こう思っております。じゃ、十分それが説明責任を果たしているかと言われますと、もうこれはある意味では限りがない仕事なのかもしれませんけれども、更にもっともっとそういう面で努力をしていかなければいけないだろうと、こう思っております。  私も、大臣になってから二回ほど、ODAについて、それから国連改革についていわゆるタウンミーティングというんでしょうか、開いてみますと、たしか土曜日とか日曜日とか休日であるにもかかわらず非常に大勢の方々がお見えになりますし、また、その場で実際の質問をお受けすると、大変熱心な、また専門的な御意見、御質問、御注文もいただくわけでございまして、ああやっぱりそういう皆さん方の反応を見ながら、我々の説明がまだ足りない部分が相当あるんだなということもまた実は実感をしているところでございます。  今後とも、国民への十分な説明責任を果たすという観点から更に努力をしていかなければいけない、かように考えているところであります。
  58. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この報告書に、在外公館が一体となって外交業務に邁進する体制についてと、そういう項目がありまして、これによると、幹部が今まで館務目標を決めて館員に上意下達するとか、あるいはそれすらもしないとか、そういう実態があったけれども、新たに館員全員が参加して今何をすべきかという議論が行われ始めているという、そういうこともありまして、様々なアイデアも出され、実行されているという、そういう記述もあります。  つまり、やはり外交というのはチームワークがやはり大事だということにもなると思うんですね。その点をやはり大使を始め幹部が相当自覚して全館員の力とか英知を結集していく、そのことが大事だという指摘だと思うんですけれども、その点についての大臣の御所見を伺います。
  59. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 外務省職員の率直な意見、私もこの報告書の中で目を通しました。大変重要な指摘、参考になることもたくさん含まれているなと、こう受け止めております。  総じて言うと、しかし外務省改革についていうと、約七割の職員が評価をしているということですから、しかしまだ三割の方が評価をしていないということでございましょう。そういう意味では、かなり努力はしてきているけれども、まだ必ずしも十分かというと更に努力の余地があるということだろうと思います。  特に出先は、大使が言わばそのグループリーダーといいましょうか、中小企業に例えれば社長さんといったような立場で、少ない人数、多い公館もありますけれども、チームリーダーとしての責任、今の時代でありますから、昔のようにすべて上意下達で物事が進むとも思いません。やっぱり十分館内で議論をし、意見交換をし、その中から適切な仕事の配分なり仕事の在り方を決めていくというようなことというのはやっぱり必要なんだろうと、こう思います。  その辺が大使として十分職務を果たしているかどうか。これは査察の報告というのを私、別途見たのでありますが、かなりここは、すべての職員に、この大使は本当にそういう意味でリーダーとして職責を果たしているかいないかというかなり率直な意見まで聞いて、よくやっているとか、まだまだ不十分だとかそんな評価も出て、その評価結果はまた大使等にちゃんとフィードバックするようにしております。  そんな努力も更にこれからやっていく必要があるだろうと、かように思います。
  60. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 在外公館の出納事務について伺いたいと思うんですけれども、会計検査院の報告があります。これは国民に公表されたものですけれども、これを見ますと、今年度は二十一公館の検査があり、検査を受けた二十一公館について出納処理が適切でないとしてそれぞれの是正項目が掲載されております。しかも、一つ在外公館が多数の適正でない事態という指摘を受けるという、そういう事態が続いているわけですけれども、やはりこれは正常なことではない。それをなくすためにいろいろやられていると思うんですけれども、なぜこういう事態が続くんでしょうか。
  61. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 御指摘のとおり、検査院から経理手続の改善について指摘を受けているということで、このことについては厳粛に受け止めております。  それを受けまして、公金の支払の決裁過程を明確化すると、あるいは関係者への指導、研修をもっと徹底強化するということで改善策を講じております。今後とも更に一層こういった改善に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  62. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この報告書ではいろんなことが指摘されていますけれども、例えば出納簿上の残高と預金残高の不一致とか、小切手の振出帳が整理されていないとか、そういう指摘がありまして、これは民間企業でいうならばあり得ないことなわけですね。しかし、それが横行していると。そして、先ほど大臣が言われたように、そうしたことはあってはならないと指導をしているという話ですね。  しかし、同時に考えてみなきゃいけないと思うことは、本省から幾ら会計法令に遵守して当然の仕事をせよと言っても、どういう仕事の実態があるかという、その点も見ていくことが必要だと思うんですね。それは、結局、在外公館の会計担当者が一人という体制、これに起因しているんじゃないかと私は思うわけですね。  つまり、外務省説明によると、百八十九公館のうち七割以上の百三十八公館は会計担当者は一人しかいないと。会計担当者の一人のところというのは何が実態かというと、臨時代理大使や総領事と兼任していて外交の職務、一日じゅう仕事をしていて、そしてそれが終わった後、膨大なそういう会計処理をすると、しかも手書きだと。そして、そうなるとだんだん会計の仕事はおろそかになると、そういうことになってくると思うんですね。  そうすると、やはり会計の職務がきちっとできる環境を整備する、あるいはオンライン化を進めるとか、抜本的な形で。更に言えば、人が足りないわけですよね。幾らやれやれと訓令出したって、人が足りないものはできないということになる。  したがって、やはり何かこういうことを繰り返す中で抜本的な対策が必要だと思うんですけれども、その点について大臣にお伺いしたいと思います。
  63. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今御指摘になったように、七五%の公館が会計担当官は一名でやっているということで、我々としても是非人員を増やしたいということでございます。  ただ他方、もう待ったなしに仕事がいろいろあるという中で、チェック体制を強化する、あるいは先ほど委員が御指摘になったようなIT化、業務の見直し、そういったことで事務の効率化、事務の分担の見直しというのを積極的にやって、こういう不祥事がまた起こらないような体制にしたいというふうに思っております。
  64. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣にお伺いしますけれども、先ほどこういう不祥事、そういう事態を繰り返さないために、会計上の不祥事を繰り返さないために指導したいとおっしゃられましたけれども、言ってしまえば、一方で在外公館実態があるわけですよね。その実態を具体的に手のひらに乗せて解決方法を考えない限り、これはやっぱりなくならないと思うんですよね。  ですから、今官房長から御答弁いただきましたけれども、大臣としてこの点についてどう対処されるのか、伺っておきたいと思います。
  65. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに、七五%の公館が一人で会計担当、しかしそれも会計専任というわけではなくて、他の業務とまた兼ねてやっているというようなところが大部分なものですから、なかなか委員指摘のように十分なことができていない面というのは、人の制約というのは確かにあると思います。  そういう意味で、私どもも毎年定員要求をしているわけでありますが、政府全体で今スリムな小さな政府ということを志向している中で外務省だけがなかなか特別扱いにはそれはならないんですね。私どもとしては是非外務省は特別だということでお願いを今後もし続けたいとは思っておりますけれども、なかなか容易なことではないということでありますので、先ほど官房長が申し上げましたような、やっぱりIT化なんというのはうまくシステムができれば、これは相当手作業よりは早くかつ正確にできるようになるといったようなこともあるだろうと、こう思いますし、またやっぱり研修をやって、やっぱりきちんとみんながその定められたマニュアル等に従ってしっかりやれるようなことということも迂遠なようですけれども大切なことなんだろうと、こう思っております。  いずれにしても、一挙に定員をうんと増やすというわけにもなかなかまいらないものですから、限られた人の中で最大限の工夫と努力をして、この会計に関する検査院等の指摘をもう受けないような、そういう外務省づくりに向けて努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
  66. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 在外職員の語学研修について伺いたいと思うんですけれども、やはりこれは大変大事な課題で、例えばアラビア語、恐らく一番難しい言葉だと思いますけれども、挑戦する人は大勢いても、それをやり遂げる人が限られるという、そういう現状もあると思います。二、三十年前と比べれば大幅に改善されていると思うんですけれども、やはり国連の公用語の一つであり、そしてまた同時に今のイスラム諸国との付き合い等々を考えてみると、非常に大事な言葉になると思うんですね。  まだまだその点で少ないし、緊急時に対応するためにも、やはりそういう言葉、これは希少言語も含めてですけれども、大事だと思うんですけれども、その点でふだんの研修に予算面でも時間の面でも保障していくということが必要だと思いますけれども、その点をお伺いいたします。
  67. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今委員が御指摘になりましたように、語学研修の強化というのは外交力の強化にも直接つながるものだという認識で我々おります。  御指摘になりましたアラビア語あるいは希少言語でございますけれども、こういった特殊語学研修、これに特に近年力を入れております。ちなみに今年度、来年度予算からこの特殊語学研修手当というのを強化すると、上限を上げるということで更に強化、制度の強化を図りたいというふうに思っております。
  68. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後に、館員の子女教育について伺いたいと思うんですけれども、これは同時に在外邦人全体の強い要望だと思うんですが、日本人学校がないから授業料の高いインターナショナルスクールに入学せざるを得ないという事情があるとかそういうこと、あるいは外務省としても子女教育手当の改善に取り組んでいるようですけれども、同時に任地国によっては教育を受ける機会均等の保障、これが大幅に改善される必要があるという、そういう問題があると思います。  そういう、その実情と改善について伺いまして、質問を終わります。
  69. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今御指摘になりましたように、子女教育の問題というのが非常に大事だということで、これにつきましても我々としては意を用いているということでございます。平成十六年度予算ではこの支給額というのを改定いたしまして、増額した次第でございます。  それから、先ほどの特殊語学手当でございますけれども、これについては実費支給をする制度に変えたということで、それによって更に広くたくさんの職員が研修を受けられるというふうにしたいというふうに思っております。
  70. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  71. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。よろしくお願いいたします。  先ほどの同僚議員の質問と若干重複するかもしれませんが、外務省にお伺いいたします。  今回の在勤法の改正によってインドネシアのデンパサールに総領事館を新設することになった理由と同総領事館に配置される職員の数及びその員数の根拠について簡潔に御説明ください。
  72. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  御案内のように、デンパサールはインドネシアのバリ州の州都でございますが、年間三十万人以上の日本人の観光客の方々が今訪問しておりまして、今あります出張駐在官事務所、これは昭和五十五年に設置いたしまして、二名の体制でずっとやってきておりますけれども、なかなか非常に多数の領事関係業務、この二名の人員でずっとやりくりしながら恒常的に処理してきているわけでございます。  御案内のように、バリにおきましては平成十四年の十月に爆弾テロ事件が発生いたしまして、日本人の方二名を含む二百二名の方々が死亡するという大惨事がございました。その際に、情報収集あるいは日本人、邦人保護という観点から、この出張駐在官事務所の体制の強化をすることが喫緊の課題であるということを私どもとして認識したわけでございます。  また、近年、バリ島において開かれます国際会議への参加者の方々、あるいはバリを経由して東チモールの方に行かれる方々の数も非常に増加しておりまして、こういったことに伴います関連の支援業務も非常に増えてきておるわけでございます。  こういった業務の拡大にきちんと対応できるようにするために外交活動をまた更に充実していかなきゃいけないということで、今あります出張駐在官事務所を総領事館に格上げして、当面の人員体制五名ということで、総領事以下五名ということで、政務あるいは会計、領事、警備、こういった任務を担わせるというふうに考えております。
  73. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省では、二〇〇一年三月から二〇〇二年一月にかけて外務省改革に取り組んでこられました。そして、二〇〇二年八月にその改革の行動計画を定めて、二〇〇四年四月には外務省機構の新しい姿を発表されました。  このような中で、外務省の機構改革と併せて外務省職員、特に在外公館職員の意識改革についてはどのように取り組んでこられたのか、御説明ください。
  74. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) お答えいたします。  今委員から御指摘いただいたように、外務省改革ということでいろいろな分野で取り組んでまいりました。  競争原理を徹底する、公平性、透明性のある人事制度の再構築を図る、それから若手職員のNGO研修あるいは領事研修ということで国民の視点をより重視する等々、多岐にわたる改革措置を通じまして職員の意識改革に取り組んできております。こうした努力によって意識改革というものが相当進んでいるというふうに認識しております。  特に、国民へのサービスに直結する場面での職員の意識の向上というものを重視してまいりましたけれども、先ほども話題に上りました総理府が出しました行政評価・監視結果においても、在外公館における領事窓口での対応、調査を受けた在留邦人の八八%が丁寧になったという評価をされておられます。  他方、意識改革というのは常日ごろからやって、心しておかなければいけないということで、引き続き職員の意識改革を進めていきたいというふうに思っております。
  75. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る三月十日に公表された総務省行政評価局の外交在外公館業務に係る行政評価・監視結果によりますと、外務省がこの間取り組んでこられたという意識改革にもかかわらず、調査した在外公館職員四百四人のうち、意識は変わっていないとする者が百四十六人で全体の三六・一%を占めていることが明らかになりました。また、在外公館の在留邦人との交流について、調査した在留邦人五百四十人のうち、交流したことはないが百六十二人で三〇%を占め、密接になっていないが九十一人、一六・九%に上り、同行政評価局は、在外公館による在留邦人との交流や窓口サービスの改善等の必要性を指摘しています。  今大分改善されたという御報告でしたけれども、このような評価についてどのように認識されますか。
  76. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 総務省という言わば第三者の視点から今回こうした評価をして、言わば私どもが進めております改革推進を側面からバックアップしてもらうというのは大変有意義であると、こう考えております。  今回の報告書、百六十の事項がある行動計画のうち百五十七事項が措置済みというふうに評価をいただいていると。したがいまして、全体としては前向きな評価をいただいたのかなと、こう受け止めているところであります。  ただ、今委員指摘のようないろいろな面で、サービスも大分良くなったという評価が九割近くある反面、しかしまだまだ駄目ですよというような声がやっぱり一割以上あるということをやっぱり私どもは心して受け止めなければならない。あるいは、職員の意識も、まあ半分ぐらいは変わったというものの、四割近くは余り変わっていないという御指摘があるわけでありまして、やはり私どもとしては、こういう実態を踏まえながら、特に機構や何かを変えればすぐ目に見えるわけですが、まあ人間の意識というものはなかなかそう簡単にはやっぱり変わらないのかなと思ったりもいたしますが、しかし引き続きこの改革の努力というものを進めていくことが非常に重要であろうと、こう思っておりまして、今回の総務省の評価結果というものも真摯に受け止めて今後しっかりと改革努力を進めていきたいと、かように考えておるところでございます。
  77. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 インドネシア・デンパサール総領事館の新設に関連して、今問題になっているマラッカ海峡等での海賊対策について国土交通省にお伺いいたします。  インドネシア、シンガポール、マレーシア周辺あるいは東シナ海など、東南アジアにおける海賊の発生件数の推移について御説明ください。
  78. 大庭靖雄

    政府参考人大庭靖雄君) 東南アジアにおける海賊の発生件数に関するお尋ねでございます。  国際商業会議所の国際海事局の報告によりますと、ミャンマー以東、インドネシア、マレーシア、マラッカ・シンガポール海峡、南シナ海、東シナ海に至ります東南アジア海域におけます最近の海賊及び武装強盗事件の発生件数の推移を見ますと、二〇〇〇年に年間二百六十二件とピークとなっておりまして、その後いったん二〇〇一年、二〇〇二年に百七十件に減少いたしましたが、二〇〇三年に百八十九件と再び増加し、二〇〇四年には百七十一件と若干減少していると、そういう状況になっております。このような数字は、世界の同種の事件のおおむね半数に相当するものでございます。
  79. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 続けて国土交通省にお願いいたします。  軍事評論家の説によりますと、二〇〇四年六月号に掲載の海賊行為の現状と題する論文の中ですが、マラッカ海峡の船舶襲撃事件がインドネシアや周辺国の、国々の反政府勢力によるものが増えていると指摘し、国際海事局の責任者も政治的動機による船舶襲撃について大いに懸念していることを紹介しています。  国土交通省としては、最近の海賊の犯行の特徴及び傾向についてどのように分析なさっておられますか。
  80. 大庭靖雄

    政府参考人大庭靖雄君) マラッカ海峡などにおける最近の海賊の犯行の特徴や傾向についての御質問でございますが、国際商業会議所の国際海事局の二〇〇四年の報告によりますと、インドネシア海域での襲撃件数が九十三件と最も多くなっております。その中で、特にタグボートやバージの乗っ取りあるいは乗組員を人質に取るというような事件が増加をいたしております。また、マラッカ海峡での襲撃がこれに次いで三十七件と多くなっておりまして、この攻撃の多くは凶悪で、船舶に対する発砲あるいは身代金目的の乗組員の誘拐というものであるというように報告をされております。  また、この国際海事局は、スマトラ島沖地震・インド洋津波の後、二か月ほど海賊被害は鎮静化いたしておりましたけれども、今年の二月二十八日にマラッカ海峡においてタグボートが襲撃され船長と一等航海士が誘拐された事件が発生し、それ以来、三月十二日にタンカーが、三月十四日には日本籍のタグボート韋駄天がと、連続して三件発生しているということを警告いたしております。
  81. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお伺いいたします。  小泉総理が二〇〇一年のASEANプラス3の首脳会議の際に提唱し、昨年十一月十一日に東京で開かれたASEAN加盟十か国と日本、中国、インドなどの十六か国の外交及び海事関係者合同会議で採択したアジア海賊対策地域協力協定について、我が国としても早期批准することになったと報じられていますが、いつ批准するおつもりでしょうか。また、東南アジアにおける船舶航行や同地域の邦人の安全の確保について、大臣の基本的なお考えをお聞かせください。
  82. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員指摘のアジア海賊対策地域協力協定でございますが、これは日本のイニシアチブによりまして作成をしたものでございます。中身については、今政府内、法制局等で検討をしているところでございまして、そう遠くないうちにまとまるものと、こう思っております。  ただ、なかなか、諸外国とも基本的な合意はできているんですけれども、このセンターというものがありまして、これをどこにつくるかということで、シンガポールにつくるということで合意ができたはずなのでありますけれども、インドネシア、マレーシア辺りが、ちょっと待ってくれと、これやっぱり我が国にというような話が水面下でいろいろ行われているようでありまして、必ずしも関係国できちんとまだコンセンサスができ上がっていないというようなこともありまして、この協定が全体として仕上がるという姿には今のところまだなってきていないのであります。  私も、一月七日の日にインドネシアのハッサン外務大臣と話をした中で、シンガポールにできることについてあなた御不満かもしらぬが、そんなこと言わずに是非早くこの協定、国内でオーケー出してくださいというかなり強いお願いもしたんでありますけれども、いろいろ理由を挙げて、いやいやそうは言ってもということを盛んに言っておられました。  そんなことで多少時間が掛かるのかもしれませんけれども、できるだけ早くこの協定を成立させて、私どもは利用者でありますが、インドネシア、シンガポール、マレーシア、正に当事国、沿岸国でございますので、是非ともこれらの国々の賛同を得て早くこれを仕上げていきたいと思っております。  この協定が一つの目玉でございますけれども、先ほど海上保安庁の方からもお話のあった海上保安機関間の協力強化ということも、これまたこの海賊対策としては大変重要なことであろうと、こう思っておりまして、いろいろな手段を尽くしてこの海賊対策を強化してまいりたいと考えております。
  83. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 在外公館に対して外務省は海賊対策について具体的にどういう指示をなさっておられるのか、また、去る三月十四日にマラッカ海峡で起きた韋駄天号事件以降、対策をどういうふうに強化なさったのか、伺いたいと思います。
  84. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  外務大臣からの御答弁にもございますように、マラッカ海峡、この安全確保、非常に重要でございまして、沿岸国と関係国とが緊密に協力をしていかなきゃいけないということでございますし、日本としても相手国の政府に対するいろいろな協力を在外公館を通じて申し入れてきております。  そういう申入れの例として二つばかり申し上げますと、先ほど話題、話題になっておりましたアジア海賊対策地域協力協定、この作成の過程におきましても協力の強化を申し入れるように訓令を出しておりますし、また各国、早期締結を是非ということで、ASEANの各国にございます日本大使館を通じましていろいろな申入れをしております。  それから、委員が今お話しになりました件に絡みましても、是非、マラッカ海峡の沿岸国を含めて各国の警備の強化、特に日本関係の船舶に対して警備強化をよろしくお願いしますということを私どもの関係公館を通じまして申入れをするような指示を出してきております。
  85. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  86. 林芳正

    委員長林芳正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  87. 林芳正

    委員長林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  89. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会厚生労働大臣官房審議官大槻勝啓君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  91. 林芳正

    委員長林芳正君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画につきまして質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。  三月二日に国連で北京プラス10、女性の人権関係の会議でございますが、世界閣僚会合がありました。そこで日本政府は、男女共同参画会議は政府の施策の実施状況を監視する機能や政府の施策が及ぼす影響の調査機能を持ち、我が国のジェンダー主流化のかなめを担っておりますという演説をしております。男女共同参画会議は我が国のジェンダー主流化のかなめを担っておる、デリバレート・オン・ザ・インパクト・オブ・ガバメント・ポリシーズ・オン・ザ・フォーメーション・オブ・ア・ジェンダーイコール・ソサエティー。ジェンダーイコール・ソサエティー、この意味はどういう意味でございましょうか。
  93. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) この西銘政府代表の演説につきましては私も承知をいたしておりますが、ジェンダーというのは、これジェンダーフリーというふうに使われておりますけれども、非常にこれ、人口に膾炙している言葉かどうかというのは私も非常にある意味では疑問に思っておるところでございますが、しかしながら、この世界会議におきまして、積極的に取り組んでいきたいという意欲を政務官が述べたものであろうというふうに、意欲と決意といいますか、そのように理解をいたしておりますが、今回のこの北京プラス10の会合におきましても、発展途上国のいわゆる男女平等をどう推進していくかということと、女性の能力をどう強化していくかということにつきましてイニシアチブを取っていきたいというふうに述べたものではないかなというふうに思いますし、我々としても、そういうことでありましたら大いに協力をする必要があるのかなというふうに思っております。
  94. 山谷えり子

    山谷えり子君 ジェンダーというのは社会的、文化的につくられた性というふうに訳されておりますが、しかし、定義をめぐりまして北京プラス5の会議でもいろんな、定義をめぐってイスラム圏やバチカン・カトリック圏もいろいろな意見を、異議申立てもいたしまして、ジェンダーという言葉を使うのは適当ではないのではないかというふうに考えております。ましてや、ジェンダーイコール・ソサエティーって、これはどういう意味なんでございましょうか。
  95. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  ジェンダーにつきましていろいろな御意見、御意見があってなかなかまとまっていないのではないかというようなことでございますが、一九九五年、平成七年、第四回世界女性会議、通称北京会議と言っておりますが、そこにおきまして採択されました北京宣言と行動綱領では、まず、行動綱領第一章の注において、ジェンダーという用語の共通に理解された意味については附属文書四を参照することとございます。附属文書四とは、北京宣言及び行動綱領等を含む北京会議報告書の附属文書を指すのですが、その中では、ジェンダーという用語は他のおびただしい数の国連のフォーラムや会議で通常の一般的に認められた用法として一般に使用され、理解されてきていると記述されております。  日本政府は、この通常の一般的に認められた用法の意味するところにつきまして、国際機関等の定義から、社会的、文化的に形成された性別を意味すると理解しておりまして、具体的には、国連開発機関、UNDP、国連人口機関、UNFPA、世界銀行、世界保健機関、国連ジェンダー問題特別顧問事務所などがジェンダーを社会的、文化的に形成された性別という意味として定義しております。  それから、先生が今、ジェンダーイコール・ソサエティー、これは何かというお話でございますが、これは、平成十一年に制定していただきました男女共同参画社会基本法につきまして私どもが英文仮訳を付けておりまして、そこにおきまして、男女共同参画社会をア・ジェンダーイコール・ソサエティーと訳しておりまして、男女共同参画社会基本法の第二条では、男女共同参画社会の形成を、男女が社会の対等な構成員として自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、ともに責任を担うべき社会を形成すると定めているところでございます。
  96. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当に今、今説明を聞いても恐らく分からない方がほとんどではないかというふうに思います。  北京会議の前のカイロ会議でも、この行動の実施は主権国家の権限であり、実施に当たって、普遍的人権と宗教、倫理観、文化の双方を尊重するようにということが明記されております。しかしながら、今、日本で行われているジェンダーに敏感な視点というようなことの中に、文化を否定していこうという動きがあるわけでございます。  それから、男女共同参画基本法をザ・ベーシック・ロー・フォー・ア・ジェンダーイコール・ソサエティーと日本では訳しておりますが、ジェンダーイコール・ソサエティーの法律というのがあるかどうかというのを私は調べました。  オーストラリアではイコール・オポチュニティー・フォー・ウイメン、それからフランスでもレガリテ・プロフェッショネール・アントル・レファム・エ・レゾームという感じで、男性と女性って並べているんですね。カナダ人権法はヒューマンライツ・アクトです。アメリカは男女共同参画社会の形態に関する包括的法律は存在しませんが、男女平等差別禁止法という形で個別法として制定されております。もちろんジェンダーの名前は使われておりません。イギリスではザ・セックス・ディスクリミネーション・アクト、スウェーデンでもイコール・オポチュニティー法という形になっておりまして、ジェンダーイコールというような社会的、文化的な性差すらもイコールにしようというような、文化破壊を含んだような名称をこういうような法律に付けている国はどこもないんですが、どうしてこういう訳になさったんでしょうか。
  97. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  ジェンダーイコール、イコーリティーということにつきまして、実はどこにもないわけではございませんで、ノルウェーの法律などはザ・ジェンダーイコーリティー・アクトというふうに使っておりまして、ジェンダーもこのように国連で非常に一般的に定義されている文言でございまして、そういうふうなことも参考にしながら私どもは訳したものでございます。  どうも失礼いたします。
  98. 山谷えり子

    山谷えり子君 ノルウェーがそうであるかなという感じはいたしますが、私、今ノルウェーの普通の人々に今聞いているところでございますので、それ以外の国はイコール・オポチュニティーとか性差別禁止法となっておりまして、社会的、文化的なものまで含んで否定していこうというような趣旨の法律というものはないわけでございます。  実際、マザー・テレサはこの北京会議にメッセージを寄せたんですね。  私には、なぜ男性と女性は全く同じだと主張し男女のすばらしい違いを否定しようとする人々があるのか理解できません。神様から授けられたものはすべて良きものでありながら、すべてが同じものであるとは限りません。女性特有の愛の力は母親になったときに最も顕著に現れます。母性は神から女性への贈物、私たちは男女を問わず世界じゅうにこれほどの喜びをもたらしているすばらしいこの神様の贈物にどれだけ感謝しなければならないことでしょうか。しかし、私たちが愛することや他者のために尽くすことよりも仕事や社会的地位の方を大切だと考えたり妊娠中絶をしたりすれば、この母性という神の贈物を破壊することにもなりかねません。仕事も夢も財産も自由も愛に替えることはできません。母性を破壊する者はすべて、神様から女性への最も大切な贈物、女性としてだれかを愛する力を破壊する者なのです。というようなむしろ母性を大切にするべきではないかというような意見というのは無視されているんですね。  そして、運営上も非常に問題があるのではないかという提起がなされております。例えば、今月三月十五日、アメリカの議会下院国際関係委員会の公聴会で、元国連大使二人が国連の人権関係委員会の根本的な改革案を提起いたしました。運営方法が非常にバイアスが掛かっているものである、あるいはまた特別報告者と言われる方たちが政治的目的を基に動いているのではないかというような提言を問題提起をしております。  最近、国連の女性関係の人権の委員会でどのような主張がなされているかといいますと、母の日なんというのはとんでもない、なくそう、お母さんとしての役割は女性の立場にとってマイナスだというような母親を否定するような文言、それから子育てのために家にいる女性を支えるという政策は誤りだというようなことが議論されているわけでございます。  世界人権宣言では、母性と幼児の特別の待遇と援助を得る権利を与えられるというような形で書かれているわけですが、この世界人権宣言にも反対するような女性の人権委員会での議論がなされているわけでございまして、女性差別撤廃条約というのは日本も批准してすばらしい法律だと言われておりますが、しかしそれも、社会的、文化的、倫理的、宗教的、いろんな国々の伝統や成熟状態がございまして、アメリカはもとより批准しておりません。それから、フランスや中国やインドやブラジルや韓国やイギリスやタイ等々、いろんな国々が留保条件出しているんですね。例えば、差別の定義が余りにもあいまいだとか、家族に関することにむやみに踏み込んでいるとか、中絶の権利を認めているのではないかとか、それぞれの特性が大事ではないかというようなことで様々な留保条件を出しているわけです。  けれども、日本は何の留保条件も出さずに批准してしまって、そして、それを受けて男女共同参画基本法が作られた。そして、その訳がジェンダーイコールというような国民のコンセンサスが得られないような概念の法律になっているわけでございますけれども、この辺について、だれの責任でこういう訳にしているのかということをお聞きしたいと思います。
  99. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 男女共同参画社会は、ひな祭りとかこいのぼりを否定するものではございませんし、母の日に反対するものでは決してございません。そして、今のジェンダーイコーリティー・ソサエティーということについての訳につきましては、それは文責は内閣府にございます。  どうも失礼いたしました。
  100. 山谷えり子

    山谷えり子君 これはやっぱりイコール・オポチュニティー法案というふうに英訳も変えた方がよろしいんじゃないですか。
  101. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 一応、男女共同参画社会基本法が平成十一年に全会一致で可決、成立していただいたんでございますが、そのときに、男女平等法にした方がいいというふうな御議論もあった中、やはり男女共同参画社会がいいのではないかというふうなことで定義を付けて、そして男女共同参画社会基本法とした経緯がございますので、その趣旨を踏まえましてジェンダーイコーリティーというのを使っております。  失礼いたしました。
  102. 山谷えり子

    山谷えり子君 その趣旨を踏まえたならばイコール・オポチュニティーであって、ジェンダーイコール・ソサエティーではないというふうに考えております。アメリカのシンクタンク、ヘリテージ財団も、女子差別撤廃条約とか子どもの権利条約とか人権関係の国連の条約が解釈が余りにも変えられていくという、この辺を問題にしているんですね。  それで、谷川大臣日本では余り問題にならなかった、国連っていいものだ、人権関係のものはいいものだというふうに思っていたわけですが、日本外務省ももう少し、きっと分析の蓄積はあると思うんですけれども、やっぱり国民のみんなに分かるように発表したらいかがでございましょうか。
  103. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 今、山谷委員がおっしゃったとおり、非常に分かりにくい部分が相当あると思うんですね。特にこのジェンダーにフリーを付けて合成語をつくるというのはいかがなものかなと私は思っていますよ。そういう意味では、やっぱりしっかりと日本語は日本語にするということでないといけないなという感想を持っております。
  104. 山谷えり子

    山谷えり子君 三月四日の、参議院の予算委員会で福島みずほ議員が、その北京プラス10の場で政治宣言が採択されました、リプロダクティブライツアンドヘルスなどを規定した北京行動綱領を再確認しましたというふうに言い切っているんですけれども、またリプロダクティブヘルス/ライツって訳の分からない言葉なんですが、これは女性の性と生殖の権利というふうに訳されております。しかしながら、この権利に胎児の人権を認めない、女性の中絶権のみを認めていくという形なものですから、実は国際的な合意が得られておりません。  実は、私はこの件に関して平成十四年七月二十二日の衆議院決算行政監視委員会で、リプロダクティブライツというのは世界的に合意されていない概念だと、日本政府はどう考えているのかと言ったことがございます。坂東政府参考人は、男女共同参画基本法が制定される前の男女共同参画審議会の答申におきましても、リプロダクティブヘルスについては、生涯を通じた女性の健康ということで、大事だという合意はされているけれども、ライツについてはいろいろな意見があるというふうな記述になっております、国際的な場でもリプロダクティブライツについてはいろいろ議論が行われていることは、今、私が、山谷が御指摘の、今指摘のとおりでございますと答弁なさいました。  これが北京会議の七年後なんですね。ですから、北京会議でリプロダクティブヘルス/ライツが世界的に合意されたというのは間違いであり、そして日本ではライツは認めてないと坂東政府参考人が言っているんですが、この辺はいかがでしょうか。
  105. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  リプロダクティブヘルス・ライツは、一九九四年の国際人口・開発会議におきまして、我が国を含めて採択されました行動計画において提唱された概念でありまして、その中心課題は、いつ、何人子供を産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠、出産、子供が健康に生まれ育つことなどが含まれております。一九九五年の第四回世界女性会議におきまして、我が国を含みます百八十九か国により採択された北京行動綱領におきましてもこの概念が明記されたところでございまして、本年開催されました北京プラス10におきましても同綱領が再確認されたところでございます。  なお、坂東前局長のことにつきましてですが、これにつきましては、(発言する者あり)はい、失礼いたしました。これにつきましては、リプロダクティブヘルス・ライツ、特に妊娠中絶についていろいろな議論があるということを述べたものでございまして、一九九四年の国際人口・開発会議以降の国際会議でリプロダクティブライツを含む成果文書を我が国も加わって採択してきたという事実を否定するものではございません。
  106. 山谷えり子

    山谷えり子君 北京会議では、カイロ会議もそうでしたけれども、リベラルな方たちと、カトリック圏、イスラム圏がそれぞれいろんなことを主張して、玉虫色の最後は文章になっているんですね。ですから、日本の場合は堕胎罪があるわけでございます、そしてまた母体保護法で女性の様々な悩みもそれなりに理解するというような法体系になっているわけですから、日本においていわゆるリプロダクティブライツが認められているというような言い方は誤解を招くんじゃないでしょうか。
  107. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 議員御指摘のとおり、妊娠中絶に関しましては、国際人口・開発会議の行動計画及び北京行動綱領において、妊娠中絶にかかわる施策の決定又はその変更は、国の法的手続に従い、国又は地方レベルでのみ行うことができることが明記されているところでございまして、我が国では人工妊娠中絶については刑法及び母体保護法において規定されていることでございますので、それらに反して胎児を中絶する自由を認めるものではございません。
  108. 山谷えり子

    山谷えり子君 ジェンダーとかリプロダクティブヘルス/ライツとか、概念が分かれているものを更に英語にして日本人に分かりにくくして行政の政策を進めることはやめていただきたいと思います。国民のコンセンサスが得られていない部分だというふうに思いますので、今後どのように行政をお進めなさるつもりですか。
  109. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 議員がおっしゃいましたのは、多分次期の基本計画につきまして、ジェンダーとかリプロダクティブヘルス・ライツという用語を用いることについてのお尋ねだと思いますが、現在この基本計画につきましては中間整理に向けまして専門調査会において御議論をいただいているところでございます。
  110. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は、言葉とともにそのような概念も使うべきではないと思っておりますが、中間報告は、細田官房長官が、さきの予算委員会で細田男女共同参画担当大臣が、中間報告をし、国民のヒアリングをするというふうに明言なさいましたけれども、いつごろ中間報告していただけるんでしょうか。
  111. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 今鋭意取りまとめておりますところでございますので、できましたら連休明けぐらいになろうかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  112. 山谷えり子

    山谷えり子君 今政府参考人は、男女共同参画社会づくりはひな祭りを否定するなどのものではないというふうにおっしゃいましたが、実はこの「未来を育てる基本のき」という文部科学省の委嘱事業でございます。実は、平成十四年に私はこれを国会で取り上げました。女の子らしさ、男の子らしさを押し付けていませんかという形で、女の子には、美咲ちゃんとか七海ちゃん、さくらちゃんなんてかわいい名前、そしてひな祭り、赤いランドセル、ずらっと書いてあるんですね。男の子には、大輝君とか、それからこいのぼりとか武者人形とか黒いランドセル、もう一覧表が書いてあるわけです。そして、こういうものを押し付けちゃいけないというような表現になっております。福田官房長官、前男女共同参画担当大臣は私の質問に対して、正直言って賛成しないとお答えになられたこの本でございます。  それが子育てのリーダーたちに配られるものなんですが、その本が、また同じ本が、平成十七年、今年また配られ始めているわけです。しかも、理事長の、何というか、ペーパーが入っておりまして、ひな祭りやこいのぼりを否定的にとらえるなど誤解を与える記述が盛り込まれており行き過ぎであるという御指摘や事例が不適切などという御意見も寄せられましたが、考え方の多様性を否定しているものではありません、特定の考え方を押し付ける趣旨で策定したものではありません、このことに御留意の上、御活用いただきますようお願いいたしますって、意味が分かりません、この。どういう意味ですか、これ。回収しなければいけないんじゃないんですか。
  113. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 今先生御指摘の「未来を育てる基本のき」につきましては、平成十三年度の文部科学省委嘱事業として作成されたパンフレットとして承知しております。したがいまして、これにつきまして、パンフレットの具体例については様々な御意見があると思いますが、読者がいろんな考えるきっかけとして活用するということを目的として作成されたというふうに聞き及んでおります。文部科学省から都道府県教育委員会や財団に指導がなされており、財団からもその旨の文書が出されているというふうに聞いております。  もちろん、男女共同参画社会は、先ほど申しましたように、男らしさ、女らしさや、ひな祭り、こいのぼりを否定するものではございません。しかしながら、特定の型にはめ込んで男女が本来持っている可能性を狭めることのないよう、一人一人の個性や能力を伸ばしていくことが重要であると考えております。
  114. 山谷えり子

    山谷えり子君 否定するものではありませんと言いながら、また同じものを作っているんですね。しかも、前大臣が正直言って賛成しないと言われたものを、また同じものを平成十七年、今年配っているわけです。しかも、子供たちはジェンダーフリーに育ってほしいものですとか、ジェンダーフリーな視点で育てましょうというようなジェンダーフリー、ジェンダーフリーのオンパレードですね。これでもこれは問題ないと、「未来を育てる基本のき」は問題ないとお考えですか。
  115. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) 御指摘の資料につきましては、文部科学省から全国の教育委員会に対し、地域の実情に応じて適切に対応するよう周知するとともに、文部科学省から財団を指導し、その財団から資料配付先に資料の趣旨を説明した文書を送付するなどの対応がなされていると承知しています。  内閣府といたしましては、今後とも文部科学省と連携を図りながら、様々な御意見を踏まえつつ、男女共同参画の普及啓発、指導等に努めてまいりたいと思います。
  116. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうしますと、内閣男女共同参画局はジェンダーフリーを認めているということなんですね、回収しないということは。
  117. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) ジェンダーフリーを認める認めないというよりは、このパンフレットそのものが文部科学省の委嘱事業であるというところでございますので、今後とも文部科学省と連携を図りながら、様々な御意見を踏まえつつ、男女共同参画の普及啓発、指導等に努めてまいりたいと考えております。
  118. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当によく分からない答弁だというふうな意見を申し上げたいと思います。  続きまして、竹島問題でございます。  小泉首相は、十七日、竹島問題について日韓両国が冷静に対応すべきだという考えを強調されておりまして、本当にそのとおりだというふうに思っております。冷静に国際法上の主張、そして歴史上の主張を行って、理をもって互いに自分たちの立場を説明していくという努力が必要だと思います。  ところで、現在韓国で使用されている中学校の教科書の竹島の記述、ちょっと長いんですけれども読みますね。これは韓国の文部科学省が日本語訳したものでございます。  独島、竹島のことですが、独島は鬱陵島に附属する島で、早くから我が国の領土として連綿として伝えられてきた。朝鮮初期に流民を防ぐために、鬱陵島島民の人々を本土に移住させて、一時的に政府の管理がなおざりになったことがあったが、我が国の漁民たちは漁をする拠点としてずっと活用してきた。特に、朝鮮の粛宗のときには、東莱に住んでいた安龍福がここに往来する日本の漁夫たちを追い払い、日本に渡っていって、独島が我が国韓国の領土であることを確認させたこともあった。その後も、日本の漁民たちがしばしば鬱陵島付近で不法に魚を取っていた。これに政府は鬱陵島に官庁を置いて住民の移住を奨励し、独島を管轄した。しかし日本は、日露戦争中に一方的に独島を彼らの領土に編入してしまった。一九〇五年二月、日本は独島を竹島と名付け、いわゆる島根県告示第四十号というものを通じ、一方的に日本に編入したと。随分非常に長い記述になっております。  日本の教科書を比べますと、日本の教科書で竹島が日本の領土だと書いてある教科書は一社でございますが、その一社も、日本海海上の竹島、韓国がその領土を主張し、一部を支配しているが、歴史的に見て我が国固有の領土であるというような書き方なんですね。ほかの教科書は、竹島をめぐる問題があるとか、韓国と竹島の帰属について対立しておりとか、何だかよく分からない他人事のような書き方がほかの教科書でございます。  日本の教科書は、経緯を記述している教科書はなくて、ほとんどが問題があるというような程度の記述になっているわけでございますが、韓国の教科書はここまでだあっと詳しく書いているわけでございますから、韓国の人々が自分の国の領土であるということを主張するというのも、それはこういう教育を受ければある意味仕方がないというふうにも考えるわけでございます。  しかし、韓国は民主主義の国家であり、そしてまた知る権利が保障されているわけですから、インターネットなどを通じて知る機会もあるというふうに思っております。  日本外務省のホームページを見ましたら、「竹島問題」と書いてありまして、日本語と英語でございます。それから、「我が国の一貫した立場」として、「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土である。」ということで、だあっとそれが、理由が説明してあります。そして最後の方に、括弧して注2となりまして、昭和二十九年、「我が国は本件問題につき国際司法裁判所に提訴することを提案したが、韓国側は右提案を拒否。」というようなことになっているんですね。  これはもっと上に持ってきたらどうですか。我が国の歴史的経緯に照らしても我が国固有の領土であると、そして私たちはそれを訴えるために国際司法裁判所に提訴することを提案しているが、韓国が乗ってきてくれないんだという、こういう構成にしたらどうでしょうかね。
  119. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答え申し上げます。  御指摘のように、外務省のホームページの竹島問題に関する記述のうち、今の該当の箇所は確かに、一九五四年、昭和二十九年の九月に、我が国は本件問題につき国際司法裁判所に提訴することを提案したが、韓国側は右提案を拒否したというくだりがございます。この書き方、また注書きでの書き方ということで、いかがなものかという御指摘でございます。  私どもも、一応今のこの書きぶりでこの問題についての経緯は明確に説明しておるというふうには考えてきておるわけでございますけれども、御指摘もございますので、今後、このホームページの中でこの竹島問題についての全体の記述ぶりを考える中で少し検討してまいりたいというふうに考えております。
  120. 山谷えり子

    山谷えり子君 是非、そしてハングル語でもホームページ開かれたらいいのではないかというふうに思っております。  三月十三日、韓国政府が日本のある特定の教科書の採択率に干渉するため、教育人的資源部次官を班長とする汎政府対策班を構成したというふうに報道されておりますが、これは事実でございましょうか。
  121. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) ただいま委員の方から御指摘のございました件につきましては、韓国政府は十四日、いわゆる教科書問題に関しまして、教育人的資源部、外交通商部等の関係者で構成をされる汎政府対策班を設置する旨発表し、その第一回の会合が去る十五日に開催されたということを承知をいたしております。
  122. 山谷えり子

    山谷えり子君 韓国政府がそのようなものを構成するというのはちょっと日本から見たら理解できないんですけれども。と申しますのは、日本は国定教科書ではなくて、七冊の、中学ですと歴史の教科書がある。検定にいずれも合格したものを各教育委員会が、教育委員が静かな環境の中で自分の信念に基づいてそれぞれの教科書を選択していくというシステムでございますので、これはちょっと問題ではないかなと思うんですが、何か外務省として意見交換なさいましたか。
  123. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) この韓国政府が汎政府対策班をつくったということは承知をいたして、会合もしたということを承知をいたしておりますが、まあこれは日本考えますと、日本の場合は、向こうは国定教科書のようでございます、こっちは検定教科書でございますので、その辺のところの取り違いがあるのかなと思いますが、いずれにしても、そういうことにつきましては日本制度そのものをしっかりと韓国政府に伝えたいというふうに思っております。
  124. 山谷えり子

    山谷えり子君 さらに、朝鮮日報の電子版でございますが、六月から八月にかけて教科書が採択されていく、そのときにアジア平和と歴史教育連帯なる団体が日本に入って、ある特定の教科書の不採択巡回キャンペーンを展開していくということが計画されているようで、政府もこれを支援というような朝鮮日報の報道があるわけですが、これも事実でございましょうか。
  125. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 現時点におきましては、汎政府対策班がそういうことをやるという情報には接しておりますが、これはとんでもないことではないかなと。日本でも、これは国定教科書ではございませんから、検定が通りますとその採択権は都道府県なり市町村にあるわけでございまして、文部省といえどもこれに介入はしないということに相なっておりますので、その辺のところは十分、何といいますか知ってもらいたいというふうに思っております。
  126. 山谷えり子

    山谷えり子君 これは本当に内政干渉ですし、教育主権の侵害だと思いますので、是非外務省としてしっかりした対応をお願いしたいというふうに思います。  続きまして、多様な脅威に関する、新防衛大綱に関してなんですけれども、例えば原子力発電所等々危険な場所に関してのテロや武力攻撃に対して、九・一一テロの後の具体的な取組をお聞かせいただきたいと思います。
  127. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 国際安全保障環境が大きく変わってきた、その中でテロ、ゲリラ・特殊部隊、島嶼防衛、こういうものが大変重要な問題として浮かび上がってきております。こういう新たな脅威から重要施設を守っていく、これも我々はきちっと対処していかなきゃいけない問題であります。  実は、昨年の大綱、中期防策定の検討に際しまして、与党安全保障に関するプロジェクトチームの場におきまして、例えば原子力発電所などを含め攻撃の対象となり得る重要施設の防御あるいは防護を防衛上、防衛力整備上考慮すべき事態の一つとして説明いたしております。その検討はいたし、防衛庁といたしましても検討いたしました。  しからば、どういうところが重要施設なのであろうか、それが何か所ぐらいあるんだろうか、こういうことまで明らかにしてしまいますと、テロ、ゲリラですね、ここは手薄なんだな、こういうことでねらいを定めてくる可能性がありますから、そこのところはちょっと答弁を差し控えさせていただきたいんでありますけれども、やはりこういう問題、重要な問題として意識し、かつ検討いたしております。
  128. 山谷えり子

    山谷えり子君 三月二十一日、福井県の原子力防災訓練が政府や京都府と連携して行われました。このときの想定は、福井県の最西端にある高浜原子力発電所で事故が発生して放射能が漏れたという事象でしたけれども、驚いたことに、この訓練の中で明確になったのが、原子力発電所で働く人や近所の住民などが放射能の大気に包まれた場合でもだれも救助に行けないという事実でございました。  県は、放射能が漏れた場合、地元の消防も自衛隊も放射能の中に助けに行ける者はいない、救助能力を持つ者が地元にいないと議会で質問に答えられたようでございますけれども、例えばSAT、特殊部隊なども非常に今能力を上げているというふうにも聞いておりますけれども、日本海側が武装工作船とか原子力発電所も立地たくさんありますから、何かその国立レスキュー隊のようなものをそこに置くという考えはいかがでございましょうか。
  129. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) あらゆる事象に対して、縄張という、官庁間のですね、縄張をなるべく取りながら共同訓練をやっていく、大変重要なことであると思います。しかし、お尋ねのケースは極めて特殊なケースでございまして、今後そういう問題をきっちりと省庁間の壁をのけて総合的に内閣全体として、政府全体として検討していかなきゃいけない、このように考えております。
  130. 山谷えり子

    山谷えり子君 原発警備について道府県警察と海上保安庁の共同訓練が実施されておりますけれども、治安出動に係る自衛隊との共同訓練、三十八回行われていますが、いずれも図上訓練ということで、もうそろそろ本当に実動でしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 先生御指摘のとおり、三十八都道府県で図上訓練、図上の共同訓練をやっております。ただ、実動訓練の実施につきましては、まだやっておりません。これはやはり実動訓練やるべきであると思っておりますし、やるべきだといつまでも言っておるわけにいきません。本年内には何とかまず第一をやりたい、このように思っております。
  132. 山谷えり子

    山谷えり子君 住民の不安、それから実態調査も含めてきちんとしながら実動訓練が実のあるものになるようにお願いしたいというふうに思います。  先日、村田国家公安委員長が緊急時、消防庁がサイレンを鳴らして情報提供をするというようなことをおっしゃったんですが、弾道ミサイルによる攻撃や原発立地地域の住民、これサイレン聞いてもどうしていいか分からないわけですよね。ですから、もう少し詰めて、有事のときの国民への情報提供の在り方をきちんとやっていただきたいんですが、その辺はどこまで整備されているんでしょう。
  133. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) ミサイル攻撃等武力攻撃事態になりました場合には、対策本部長たる内閣総理大臣が直ちに警報を発令しまして、避難の必要がある場合には避難措置の指示を行うということになっております。  この警報及び避難の指示は、都道府県から市町村を通じまして住民に伝達されるわけであります。あわせて、指定公共機関になっていただいております放送事業者に警報の内容、避難指示の内容を放送していただくと、こういう仕組みになっているところでございます。
  134. 山谷えり子

    山谷えり子君 イスラエルにちょっと行きましたときに、第四次中東戦争のときでしたか、もうガスマスクから薬から、生物化学兵器の場合、皆さんに配って、具体的にテレビでどういうインフォメーションをというふうなことをやっていたと。まあ、イスラエルは非常に厳しい状況の中での国ですから日本とは違いますでしょうけれども、それにいたしましてももう少し、多様な脅威が迫っている日本でございますので、具体的に国民が安心できるような指示の仕方というものを、あるいは作業がここまで進んでいるということをお教え願いたいというふうに思います。  二十五日、閣議決定されました国民の保護に関する基本方針でございますけれども、基本指針の第一章に基本的人権を尊重するというのが来ております。もちろん基本的人権は当然尊重されなければいけないんですけれども、有事でございますから自由が制限される場合もあるわけですよね。  例えば、ドイツでは緊急時における自由剥奪とか、スイスでは住民の義務として警報発令時すべての者は民間防衛組織の指示、命令に従うことなど、様々な義務付けがあるわけですけれども、これ日本の場合、協力しない人というのはどういうふうにしていこう、どういうふうな位置付けになるんでしょうか。
  135. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) お答えいたします。  住民の救援等を行うに際しまして、土地、家屋等が必要になります場合にはその所有者に対しまして使用をさせていただくような仕組み、それから、物資が必要な場合にその物資を収用する仕組みというものは国民保護法で規定をいたしたわけでございます。  それから、国民一般の協力でございますが、国民は国民保護措置の実施に当たりまして要請を受けて協力をするものとすると、このようになっているわけでございまして、こういう協力がいただけるように常日ごろから啓発、それから訓練への参加を通じまして国民の御理解をいただくと、得ていくと、こういうことに努力をしたいということでございます。
  136. 山谷えり子

    山谷えり子君 消火活動とか被災者救援などで協力する民間防衛の住民参加というのは私はもうとても大事だと思って、これがなければ肝心のこと機能しないんではないかと思っておりますが、この基本指針の中にはそれが入れられなかった。それはどういうふうにお考えですか。
  137. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) いわゆる民間防衛の仕組みというのは諸外国にもあるわけでございますが、事態対処法、一昨年成立しましたこの法律の審議の際に、民間防衛の仕組みを入れるべきかどうかという議論は当然ございました。しかしながら、事態対処法の中で国民には協力を求めると、国民が国民保護のための義務を負うという仕組みにはいたさなかったわけでございます。そういうこともございまして民間防衛組織というものは位置付けておりませんが、国、地方公共団体、指定公共機関がそれぞれ役割分担をこなす中で国民保護措置が円滑に行えるようにしていくというのが基本的な考え方でございます。  民間の協力につきましては、自主防災組織とかボランティアの方々の御協力が得られるように日ごろからのお願い、支援体制というものを作っていきたいというふうに考えております。
  138. 山谷えり子

    山谷えり子君 今は昼と夜では住民が違っていたり、あるいはもう阪神大震災のときも、どこの部屋でどのばあちゃんが寝ているなんていうことが結局救済につながったということで、民間のそのような防衛組織というのは本当に大事なことだというふうに思います。もしこれがなければ、食料の問題にしても輸送の問題にしても、実質的な救援活動というのができないのではないかと思っています。  そこで、自衛官のOBなどを中心として民間防衛組織を立ち上げるというような考えについてはどのようにお考えでございましょうか。
  139. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 我が国に対します武力攻撃などのそういう先生御指摘のような事態に際してOBをいかに活用するかということでございまして、まず一つは、先ほどボランティア的なものというのは、実はこれまだ全体の構想、国民保護云々とやっておりますので、その状況を見ながらこれは将来検討することにもなろうかと思いますが、ちょっとまだ具体的にこういうものをやるというところまで来ておりません。こういう個人のレベルでいろいろなことは考えられるとは思います、今のところはまだ組織的にどうのこうのというところまでは来ておりませんが。  ほかに、先ほど先生御指摘の原子力等、こういうことに関しましても、実は今、地方公共団体あるいは国の機関にOBの方を入れていろいろ使っていただいております。これは、各都道府県で災害の場合にやっていただく、危機管理関係のことをやっていただいている方たくさんおりますが、そのほかにも、国のレベルで原子力の防災専門官という形で今のところ現職で七名ほど使っていただいたりという格好で、持っている知識が生かせるような格好をやっております。  そのほかに、また予備役という、予備自衛官、それから即応予備自衛官という、そういう制度もこのOBの方をメーンに使っておりますが、こういう形での使い方もこれからあろうかと思います。  いずれにしましても、全体のバランスを見ながら、全体の動きを見て必要なことがあれば検討していきたいと、こういうふうに考えております。
  140. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当に助け合ってみんなの命が守られるようにしたいと思いますし、また、危機管理という面でやっぱり非常にプロフェッショナルないろいろな学習もしたいと思いまして、私、自衛隊に体験入隊を申し込もうと思いましたら、年齢制限があって駄目だって言われたんですが、これもっと、五十代でも六十代でもオーケーにしたらどうですか。
  141. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 今、山谷先生の御指摘、私ども真摯に受け止めておりまして、それで今年からの新しい施策といたしまして、女性につきまして、十八歳以上、年齢制限なしという一つのプロジェクトをスタートさしていただきました。  そうしましたら、やはり大変女性の方の関心が高うございまして、アンケート調査をいたしましたところ、それは実は一日日帰りで実施いたしました。そうすると、まず主婦の方々はやはり一日っていうことで非常に参加しやすいとか、それからまた年齢を外れて五十歳代とかいろいろ高い方もおられましたが、非常に女性の防衛問題に対する関心を上げる上で非常に良かった。それで、こういう施策なりプロジェクトがあるということを防衛庁は幅広くやはりPRすべきであるといったような御指摘、いただいておりますので、今先生いろいろ御指摘をいただいた点を踏まえましてこれからも努力してまいりたいと、そのように考えております。
  142. 山谷えり子

    山谷えり子君 いや本当、新しくプロジェクトが変わったというのを知りませんで、是非今度は体験したいというふうに、入隊したいと思います。本当に、どのような方が地元に戻られてどういうふうにまた意識が変わったかなんていうのも継続してインフォメーションしていただければ、皆様の危機管理のセンスというのも上がっていくだろうというふうに考えております。  最後にちょっと公安調査庁の方にお聞きしたいんですが、昭和五十四年、公安調査庁の職員、二千十九人でしたけれども、今千四百八十七人と非常に減っているわけです。で、これ、昭和五十八年の臨時行政調査会の答申で減らせというようなことが言われたというふうに聞いておりますけれども、今全く状況が違うわけでございますからむしろ増やさなければいけないと思うんですが、現状はどうなっているんでしょうか。
  143. 大泉隆史

    政府参考人大泉隆史君) 先生御指摘のとおり、現在の情勢の下でテロ組織の動向等に関する調査の推進ということは重要であることは申すまでもないところであると考えております。  今また数字で先生がお示しになりましたように、公安調査庁の人員は削減されてまいったところでございますけれども、今度の平成十七年度、今回御審議いただきました十七年度予算におきまして、国際テロ関連情報収集ということの機能強化のために三十六人の増員をいただきました。もちろん削減がございますけれども、平成十七年度におきましては、先生御指摘の千四百八十七人から、削減を除き、純増が十一人ということで、いただいたところでございまして、千四百九十八人となっております。当庁では、この時期にこの三十六人の増員をいただきましたので、それを最大限活用してテロ未然防止に向けた態勢の充実強化に取り組んでいきたいと考えております。
  144. 山谷えり子

    山谷えり子君 新防衛大綱でも、大規模災害、新たな脅威、多様な事態に対応というような方針が出て、私たち政治家もしっかりと頑張っていきたいと思いますので、関係省庁の皆様もしっかりと御努力、私どもも現実に即したサポートをしていきたいというふうに思っております。  もっとたくさん質問を用意していて、いらしてくださっている方もいらっしゃっていると思うんですが、本当に申し訳ございませんでございました。時間でございます。  ありがとうございました。
  145. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛計画大綱と中期防についてお尋ねさしていただきたいと思います。  最初に何点か、我が国を取り巻く周辺諸国の状況について何点かやり取りをさしていただいた上で、大綱、中期防について入らさしていただきたいというふうに思います。最初に、急遽政府参考人としてお呼びしましたので、このことについて冒頭触れさしていただいて、関係の省庁につきましては、このことが終わりましたら退席されて結構でございます。  今朝の新聞各紙に、昨日、国交正常化以降の中国からの帰国者ということで、私が持っておりますのは毎日新聞かも分かりませんが、見出しとして六割が生活保護受給、厚労省調査日本語も三割できずということで、昨日、一九七二年九月の日中国交正常化以降、〇三年三月までに中国から永住帰国した人を対象にした生活実態調査の概要を発表したということで、この調査は、帰国者の実態調査は過去も実施しているが、帰国後十年以内などに限定しており、すべての帰国者を対象にしたのは初めてと、こういう内容でございます。調査全文について受け止めながら質疑をしているわけでなく、この報道を中心に何点かやり取りさしていただきます。  大変、ある意味では、この生活困窮ということで六割が生活保護受給ということについて、大変厳しい生活環境だなということについての率直な感想がございます。加えて、日常のほとんどの会話に不便を感じない方が、日本語の理解度ですが、三八・四%、一番多かった。しかし、片言のあいさつ程度は二六・六%、全くできない六・九と、まあ見出しどおり、日本語も三割できずということになっていくわけでありますね。  さてさて、そうすると、少なくとも生活問題につきましてはいろんな方面から分析をしていかなければならないと思いますが、言葉がまずあって、いわゆる仕事とか雇用関係になっていくわけであって、厚生労働省お見えでいらっしゃると思いますが、まずこの調査の、一つは私、疑問として、発表の仕方もそうなんですが、少なくとも発表をすると、こういった、素朴に国民は疑問が出てくると思うんですね。その国民の疑問に対して、政府はこういうことを考えていますよと、政策としてということをやはり明らかにした上で調査というのは、私は結果というのは出すべきではないかというふうに思いますけれども、そういったことについてまずお尋ねさしていただきたいと思います。
  146. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 議員の御指摘調査結果についてでございますけれども、今御紹介いただきましたように、このたびの中国帰国者の調査結果におきましては、生活保護受給率が全体で五八・〇%ということで、そういう結果が表れているわけでございます。  この結果を踏まえてどのような対応を考えておるのかというお尋ねでございますけれども、その前に、この調査結果全体を通して見てまいりますと、帰国されました御本人につきましてはやはり高齢化などの理由によりまして自立が困難となっている面があるというふうに見受けられるわけでございます。  ただ、一方で帰国者の子供の世帯の方、これは帰国者御本人と一緒に同伴して帰国された方もいらっしゃいますし、また、その後何年かたって呼び寄せという形で見えている方も多いわけでございますけれども、こういった帰国者の子供の世帯の方々につきましてもある程度調査しておりまして、その結果を見てまいりますと、就労の面あるいは日本語の習得の面におきまして、帰国者本人と比べますとより自立をされているという傾向が出ているところでございますし、また、帰国者御本人をそういった子供世帯の方が生活面あるいは精神面で支えておられるという面がうかがえる結果となっているところでございます。  こういった方々に対する今後の支援をどう考えるかということでございますけれども、私ども、帰国援護、そしてまた帰国された後の自立支援ということでこれまで様々な諸施策を講じてきておるわけでございますけれども、このたびの調査によりまして把握されました本人の生活実態あるいは家族との関係、結び付き、就労状況日本語の習得状況と、そういったことを更に詳細に分析もしまして、帰国者の方々が地域社会で安定した生活ができますように、さらに従来の施策に加えてどのような支援が可能かというようなことを十分検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  十七年度におきましては、新しい予算にも盛り込まれておりますけれども、こういった高齢化の状況にあります帰国者の方々が医療とか介護を受けるといった場合に、どうしても日本語が習得されていないということで通訳が必要となってくるわけでございます。従来、そういった場合でも帰国後四年以内に限定しておりましたけれども、これを期間制限を外しまして、自立支援通訳を派遣できるようにするという措置を講じておりますし、また、来年度からは、こういった帰国された方々が中国における養父母、中国にお住まいの養父母を病気等の関係でお見舞いをされるといった場合の訪中につきまして、従来も、私ども直接ではございませんけれども、財団法人の中国残留孤児援護基金におきまして帰国孤児が養父母を見舞うための訪中援助につきまして一定の支援をしてきたわけでございますが、これはかなり制限的に一回限りということで原則運用しておりました。  この点につきましては、事業を拡充できないかということでお願いもいたしまして、このたび、この四月より事業を拡充いたしまして、二度目の訪中を行われる場合と、あるいは回数にかかわらず緊急を要する場合といったとき等につきましては、事業の利用回数にかかわらず援助するといったことに努めていきたいと考えておりますし、また、今回の調査でも出てまいりました日本語習得の面等につきましては、従来からこういった高齢化されている方々にふさわしい日本語教育というようなことについても充実に努めていきたいと考えているところでございます。
  147. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総合的にお答えいただいたと思うんですが、私は、先ほど言いましたように、調査結果すべて見ていませんので、この報道を中心にお話しさしていただいています。  今、いろいろこれから、一回しか帰国できないと、養父母の方に、というのは、それは前にも本委員会か別な委員会か、委員会に取り上げられて、それが実現したということは、一回以上ということは大変結構なことだと思うんですが、特に語学ですよね、日本語ですよね、ここはもう当然帰国する前から分かっている話なわけですね。それなりに確かに研修をしていると思うんですが、これはやっぱり相当期間きちっと語学研修をするということをしませんと、すべてに対応できないわけで、ほかの多分、私もこの調査結果見ましたら、近隣の方と会話ができないと。それは言葉が通じないから会話ができないということになると、どうサポートするかが、一々ふだんの生活の中に通訳なんというのは入れられないわけですから、これは少なくとも帰国前から分かっているんではないか。そして、この調査結果、調査中から分かっているんではないか。この調査結果出たときに、これからどうしようかということについて、語学について非常に、今の御答弁ですと非常に心もとない感じがいたします。  これ以上、厚生労働省さんとしてはこれからですから、そういう意味じゃ、もっと積極的に、概要発表のときにはこれこれこういうことを考えています、今施策をもう実施をしていますというふうに私は期待をしていたんですけれども、そこについては至らなかったということが非常に残念です。  さて、外務省ですけれども、是非、この残留孤児の方たちというのは厚生労働省を中心として、外務省としても日中関係やられて、外交関係でやられてきました。後ほど韓国・朝鮮人の方たちの問題も、朝鮮半島問題幾つか指摘させていただきますが、本人や家族たちに全く理由がないところで起きていることなんですね、このことすべて。そして今日まで、戦後いわゆる六十年たった今、今日ある大変な悲惨な状況であって、これ一厚生労働省とかいう省庁だけの問題じゃないわけであって、日本国民、日本全体の問題であるわけで、総体としてやっぱりとらえていくべきだというふうに思います。  限定的にで結構です。一言、今厚生労働省から今後のことについて対応いただきましたけれども、外務省としての所感がありましたらお尋ねさせていただきたいと思います。
  148. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) ただいま委員の方から帰国孤児の問題についていろいろ議論がございましたが、私もこの調査結果を見ますと、全くできない、片言のあいさつ程度というのがこれ半数近くあると。これはやっぱり日常生活をいたします場合に大変これはコミュニケーションが取れていないという状況が現実ではなかろうかというふうに思っております。そういう意味では、生活保護が六割というのもこの辺に大きな原因があるわけでございまして、日常生活するのにも不自由ですから、まして自立して仕事に就くということも非常に難しかったんではあろうというふうに思います。  そういう意味からいいまして、厚生労働省と十分打合せをしながら、今後こういう人たちに対してどういう、もう大分お年もいっておられますから、どういうことができるのかということをやっぱり外務省としても真剣に厚生労働省と相談をしながら、日本へ帰ってきてよかったなというようなことにしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  149. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございました。  厚労省、結構でございますので、ありがとうございました。引き続き、是非お願いいたします。  次に、朝鮮半島、竹島も含みます問題について質疑を何点かさせていただいた上で大綱に入らせていただきます。  盧武鉉大統領が、二期目以降ということで、過日、三月二十三日にいわゆるメッセージを国民向けに、韓国国民に向けて出しております。このことについて政府としてどう分析されているのか、まず冒頭お尋ねさせていただきたいと思います。
  150. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 御指摘の盧武鉉大統領のメッセージは、同大統領が韓国国民に対し手紙として発出したものであると考えております。この手紙は、基調としては三月の十七日の国家安全保障会議常任委員会声明の延長線上にあるものと思われますけれども、政府といたしましては、この声明の背後にあります韓国国民の過去の歴史をめぐる心情について重く受け止め、隣人としての信頼関係の構築に最大限努力したいというふうに思っておりますし、ただいま国交正常化四十周年という事業を行っておりまして、私もこの前、ソウルで開会式に出席をしたわけでございますが、この四十周年を機会といたしまして、これまでの友好の歴史の上に立ちながら、過去は過去、未来に向かって和解の精神に基づいて心のわだかまりを取り除きましょうということが大変重要であると考えております。  このため、できるだけ、朝鮮半島出身者の遺骨等の問題もいろいろ議論になりましたが、この返還に向けましてもできるだけ努力をしてまいりたいというふうに思っておりますし、この両国の感情的な対立をこれ以上激化させないようにしたいというふうに、大局的な考え方から考えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  151. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ほぼ、本当に私自身も同感でございます。確かに、日韓基本条約で解決済みという両政府間、基本的にあると思います。  しかし、戦後補償、特に個人補償について、まあ言ってみれば終わったということの紋切り型というんじゃなくて、非常にある意味では誠実にいろいろ両国間で対応していく様々なやっぱり性格があるんではないかという、そういった私はメッセージだと思います。  それで、今副大臣答弁の中にありましたように、遺骨収集も触れていただきましたが、特に朝鮮半島出身民間人の遺骨収集と返還についてですけれども、従軍慰安婦問題はもちろんございますが、この朝鮮半島出身の民間人の遺骨収集について、この返還については、私の知る限り政府の対応機関というのは決まっていないんじゃないかというふうに思っていますけれども、節目の六十年という度々数字も申し上げますが、具体的な数値目標とか期限とか、このことに関して、現状とか今後の計画について見通しも含めて、あれば伺います。
  152. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) この遺骨返還につきましては、この前、韓国の方で委員会ができまして委員長さんがお越しになりました。そのときに私もお目に掛かりまして、まだ全国的に見ますと、数字で挙がっている分は、今先生もおっしゃいましたようにある程度ありますけれども、それ以外に私はまだ相当あるのではないかと。特に、民間方々でこっちに来られて亡くなられたと。  私も、これ個人的なことでございますが、私の実家がお寺でございまして、それでその当時相当預かったんです、あの遺骨を。やっぱり千ぐらい預かりましたかね。それで、戦後、遺族等が来られてお返しをいたしましたが、まだ分からないという遺族も、遺骨も何柱かございますのでね。そういうことから踏まえますと、それぞれの宗教団体なりにお願いをすれば相当あるのではないかということも思っておりますので、是非これ、各宗教団体とも御協力をいただいて是非その遺骨を、もし分かれば御遺族なり、また分からなくても韓国にお返しができればなというふうに思っておりますので、具体的に内閣府とも相談をしておりますが、具体的な行動を進めたいというふうに思っておるところでございます。
  153. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。是非、そういった決意、姿勢について評価させていただきますので、具体的に政府内で取り組むべき、御相談いただきたいと思います。また、相当時間たっていますので早急な対応が必要だと思います。  そして、いわゆるサハリンの残留韓国人の永住帰国、次に。一時帰国の支援は当然行われている、それでしかるべきだと思うんですが、この支援の現状や今後の具体的な計画について、そして北朝鮮国籍だということでサハリンの残留者の対策は今どうなっているのか、現状分かればお尋ねしたいと思います。
  154. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 終戦前から何らかの理由によりましてサハリンに渡った朝鮮半島出身の方々は、戦後、ソ連による事実上の支配の下で出国が認められずに、大部分が引揚げの機会がないままサハリンに残留を余儀なくされておるわけであります。  政府といたしましては、このような在サハリン韓国人の問題の歴史的経緯を踏まえながら人道的な見地から様々な取組を行ってまいったところでございます。一九八八年度以降、日本赤十字社及び大韓赤十字社を構成員として設立をいたしました在サハリン韓国人支援共同事業体を通じまして、二〇〇四年三月までに、韓国への一時帰国支援につきましては延べ一万四千六百七十八名、韓国への永住帰国支援につきましては延べ千五百七十七名、永住帰国者のサハリン一時訪問支援につきましては延べ千二百五十八名について支援を行い、これを実現したところでございます。  その他の支援事業につきましても、政府といたしましては、これまで在サハリン韓国人の問題に関しまして約六十四億円に上る支援を行ったところでございます。本年の五月には韓国の安山市に開設される療養院を受皿といたしまして、五十名の永住帰国が実現する見込みであります。また、本年十二月には現地における支援事業の一環としてサハリン韓国文化センターが完成する見込みとなっております。今後も引き続きいろいろ支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
  155. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 その中に、今、北朝鮮国籍ということでいうと、今触れられていた、いましたでしょうか。そういうことは、今調査とか対応とかなんかについてはいかがなんでしょうか。北朝鮮国籍。  じゃ、続けて、もし、ないですね、そちらにないですね、今。
  156. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 今、手元に資料がちょっとございませんので、後ほど。
  157. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 引き続きそれらについての、私、今、事前に北朝鮮国籍のサハリン残留者の対策はということで伝えていたつもりだったんですけれども、なければ今ここで出せと言ったってないわけですから、また別途出していただくようにお願いしたいというふうに思います。
  158. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) それじゃ、後日提出をいたしたいというふうに思います。
  159. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 次に、在外韓国人・朝鮮人被爆者支援についてお尋ねいたします。  この在外韓国人・朝鮮人被爆者への支援につきまして、手当の支給を受けるために実は手続に日本に一度いらっしゃいと、来いというのは私は人道上問題ではないかなというふうに思っています。これも、この間、いろいろ質疑の中で同僚委員あるいは衆議院でもあったんではないかと思います。  被爆者は非常に今高齢化をしておりまして、これ病弱であるというのはもう言うまでもないと思うんですが、何で日本政府の役所の人が当該被爆者のところに出向いていって手続をしてやることができないんだろうかというふうに思うわけですけれども、手続問題について、このままですと継がないままになってしまうわけであって、一歩も二歩も前を向いたその人に対応するやはり手だてというのを必要だというふうに思いますけれども、いかがですか。
  160. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 今委員の御指摘のとおり、在外の被爆者に関しましては、いわゆる被爆者援護法によりますところの手帳ですね、手帳を受けるのに一度日本へ来なきゃいかぬ。これは法律では都道府県知事に申請をしろということになっておることで、日本へ一度お越しをいただかねばならないというふうになっておるように承知をいたしておりますが、なかなか、こういう方々がそのために日本へ来るというのは非常に費用も掛かることでございますし、大変なことだろうというふうに思っております。  そういう意味で、私といたしましては、できるだけ在外公館で何とかその手続が完了できるような形で、在外公館を通じて日本の都道府県に申請をするというようなことにならぬものかということで、早急にこれは厚労省とも打合せをしながら結論を出したいというふうに思っておるところでございます。
  161. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大変結構なことだと思うんですね。在外公館が、やはり日本へ来るということより在外公館と、いわゆる被爆者の方たちとやはりきちんと会って、行って、出向いていただいて、また在外公館にいらっしゃいという、行かれる、今度は至近ですから、国内ですから、行かれる場合もあるか分かりませんが、地方の場合もこれありますから、ソウルばかりに住んでいるとは限りませんし、是非その方に応じた、ある意味では人道的な支援でありますので、人道的な対応をお願いしたいというふうに思います。  ありがとうございます。御苦労さまです。  それから続けて、先ほど竹島問題でも他の議員が質疑ございましたが、竹島問題について、いわゆるこの周辺海域、過去、漁業について、韓国側が自国の領域だとして、領海だとして日本漁船の操業を妨害する、こういった事例があったというふうに私自身は記憶をしておりますが、どのぐらいあったんだろうか、何件ぐらいあったんだろうかということ、そのことについて、これはどちらかな。お願いいたします。
  162. 竹谷廣之

    政府参考人竹谷廣之君) お答えいたします。  日韓の現行の漁業協定上、日韓両国で排他的経済水域として協定上区分されている部分と、それから排他的経済水域が画定されていない部分につきましては暫定水域ということで、日韓の両国におきまして、それぞれ旗国主義でそれぞれの国の漁船を管理するという形を取っている部分がございます。  この暫定水域、北部暫定水域というところがございますが、その北部暫定水域におきまして、一件のケースにおきまして日本漁船が韓国の警備艇に停船を求められたケースがございます。具体的には、二〇〇二年の五月に、日本のベニズワイガニの、カニを取る漁船でございますけれども、この漁船が、一応漁場における操業は終わりまして、帰り、帰路に就いたわけですが、帰路に就いた際に、竹島周辺海域を通りました際に韓国側の警備艇から停船を求められたというケースが一件ございます。このケースにつきましては、事後に外交ルートを通じまして抗議し、また再発防止を申し入れていただいたという形でございます。  そのほか、この北部暫定水域におきましては、日本漁船がイカ釣り、ベニズワイガニで大体毎年三百隻ぐらい操業いたしておりまして、六千八百トンぐらいの漁獲を上げているという状況でございますけれども、韓国漁船の操業も多く漁具設置も多いので、なかなかその操業調整といいますか、十分には操業できないというような状況も続いているところでございます。  そういった点がございますので、私どもといたしましては、韓国側と、操業秩序の確立あるいは資源管理の問題につきまして、この地域も含めまして関係水域全般について資源問題についてよく話し合っていきたいということで働き掛けを行っているところでございます。
  163. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今答弁のありましたとおり、日韓両国の暫定共同管理海域というのかな、そういうことではないかと思うんですね。ですから、いわゆる操業できるわけですね、基本的には。  今、二〇〇二年五月の事例を話していただきまして、そして、現実的には日本側の漁船がこの漁業水域で操業する、大変な資源があるということで。しかし、一方でこの領土問題ありと。昨日の報道ですと、韓国の国民の人たちが観光で竹島に訪れて、そういうのがテレビに映っているわけでありまして、このことについて、先ほどの盧武鉉大統領のメッセージとかいろいろ伝わって、両国冷静にというふうになっていくんですが、事はやはり、現実的には日々生活している漁業関係者のこともあり、これはなかなか悩ましい問題だと思うんですが、やっぱり速やかに、やはりこれはもう両国で暫定共同管理水域、海域ということになっておりますので、やっぱり漁民の立場に立つ、双方そうだと思うんですが、外交交渉で基本的に解決をしていくということで、所管官庁を、やはり基本的に私はスタンスを取るべきだというふうに思っておりますので、是非、そういった点につきまして速やかに、そして外交交渉で行っていくということについて引き続き取っていただきたいと思います。  韓国問題、最後にもう一つだけ。  教科書問題、先ほどございました。問題は、歴史教科書問題でいうと、この韓国、四月上旬に、中学の歴史教科書、検定結果が四月上旬に出るというふうに言われておりますが、これ四年前の検定結果公表のときには、いわゆる扶桑社版の中学歴史教科書で大変韓国世論が沸騰した経過があります。確かに政府は、私たち自身の政府は、韓国がいわゆる国定教科書制度である、しかし日本は検定制度であると、制度が違うと。検定基準がクリアしていれば、国が出版社にそれ以上の内容変更、採用するのは地方自治体ということであると思います。このことがずっと一貫して答弁されていると思います。が、四年前のこの経験がこれ実際あると。非常に韓国は日本の歴史認識に非常に敏感であり、これは敏感かどうか、私たちは別に鈍感ではないと思うんですけれども、双方が歴史認識をやはりきちんとしていこうということで。  今回の検定結果の公表が私はこの四月上旬というのは、今竹島問題の話をしましたけれども、日韓関係に影響を及ぼすのではないかという、そんな予測もあるんですが、及ぼすと認識しているのかどうか。いかがですか、認識しているかどうか。
  164. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 歴史認識の問題でございますが、先生も御存じのように、平成十四年に日本と韓国の歴史学者が集まりまして、共同研究をしましょうということで研究を始めまして、今月の二十六日に一応その共同研究の成果がまとまったということで、私もその会合に出席をさせていただきました。しかしながら、その場合でも非常にお互いの、日韓の学者においても非常に、何といいますか、認識の違いがありまして、なかなかまとめるのに大変だったということを両方の、双方の学者が申しておりました。  今後も引き続きやりましょうということでございますが、だから、したがいましては、今度の検定教科書の発表にはいろいろとまたそういうアクシデントが起こるかも分かりませんが、私といたしましてはそう大局に影響するようなことにはならないのではないかなというふうに感じております。
  165. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の答弁の中にありましたけれども、四年前の反省に立って、いわゆる共同で研究委員会をつくって共同作業が始まりまして、双方の主張がそれぞれ列記されて、どうも言葉は悪いんですが、論文集になるんではないかというふうに、実は現状じゃないかなというふうに思いまして。  ただ、町村外務大臣が日韓外相会談で、この歴史共同研究について更なる延長も検討していきたいと、こういうやり取りがあったと私も記憶していまして、これで区切るということではなくて、論文集で区切るということではなくて、別枠で新たな共同研究というのができないかということではないかというふうに思いますから、この別枠な研究があるとすればどのような内容になっていくんだろうか、この辺は検討されていれば明らかにしていただきたいと思います。
  166. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 今現在検討していただいた先生方は、この際いったん、何といいますか、外れるというか、新しい先生方を選ぼうと、こういうことになっておるように私も承知をいたしておりますので、若い先生方を選ぶ方がいいんじゃないかというふうなこともございますので、その辺のところをどうなりますか推移を見たいというふうに思っておりまして、具体的には現在、どなたとどなた、どなたというところまではいっておりません。
  167. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛大綱に入っていくんですが、私、なぜこういったことをずっとお話しさせていただきますと、さっき言った盧武鉉大統領のメッセージ、それが非常に、それはいろいろ議論もあろうと思います、受け止め方で。しかし、帰結するところは、やっぱり双方が首脳同士冷静にやっていこうということではこれ一致していくわけですね。  しかし、戦後六十年たちましても様々に横たわる様々な課題がある。冒頭、残留孤児、帰国された方の中国の話をしましたけれども、それぞれ内面的にはたくさんなことがあり、これは私は、どうも日韓でいいますと、盧武鉉大統領という大統領は、国内でもいろんな異論があるからメッセージを国民にも出し、それを国民に出すということは日本の国民にもメッセージを出すと。我が国の総理大臣は、冷静ぐらいは聞こえてくるんですけれども、この歴史、トータルな意味でやはり韓国民や中国の人たちにメッセージというのは私は不足している、ないんじゃないかという気がして冒頭申し上げているんです。今ないと言っている、ないじゃないかと言って、いやあるんだよと言えばまた別ですけれども、そういうことを指摘せざるを得ないということを申し上げさせていただきます。  実はそういうことが必要なんだということで、個々、先ほど朝鮮半島出身の遺骨収集と返還、サハリンの残留韓国人・朝鮮人問題、被爆者の問題、いろいろお話をいたしました。これだけ半世紀ちょっとの間に様々に横たわる問題があるということの中で、今私たち自身は、外交あり、そして防衛大綱あり、中期防ありということではないかというふうに思っているわけです。  そこで、長々とある意味じゃ前置きのお話させていただきましたが、この防衛大綱を改定をしたわけですけれども、どうも日米軍事一体化ということがどうも強調されているとしか見えない。どうも平和国家という言葉は外交青書だとか防衛白書だとかいろいろ言うし、それぞれ首脳が言われますけれども、戦後六十年歩んできたこの平和国家たるものを引き続きということについて本当に具現化していこうという意味での一つの防衛大綱なんだろうか。ある意味では、日本の国是である専守防衛というのは、専守防衛と言いつつも、本当に専守防衛なんだろうかということを非常に疑念を持ちながら、実は持たざるを得ない私は大綱であるというふうに思いまして、九年ぶりの改定なんですけれども、日本の安全保障政策の大転換であるというふうに思いますが、防衛庁長官、大転換ではないかということについては、いや、大転換ではありませんと言うのか、長くなくて結構ですから、いかがでしょうか。
  168. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 大変、齋藤委員から基本的な御質疑でございます。我々十分この点は考えなきゃいけない。  言わば、この新しい国際安全保障環境の中で、いろいろな意味で環境に大きな変化が出てきている。それに対してどういうふうに対処していけばいいのか。これは、転換という言葉を使えば転換だと思います。しかしながら、ただいま御発言の中にもありましたとおり、専守防衛、こういう観点からどうだろうか。私は、専守防衛という日本の防衛を考える場合の基本的な理念、これはいささかも変わっていないし、これは堅持していくべき問題である。  そして、そういう考え方は新しい防衛大綱の中でも明確に書いてあります。ちょっと長くなりますけれども、読ませていただきますけれども、新しい防衛大綱の中で、我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本理念に従い、文民統制を確保するとともに、非核三原則を守り、節度ある防衛力を自主的に整備する、この基本原則、基本方針を引き続き堅持する、このように書いてございます。  国際安全保障環境は変わってくるけれども、我が国の基本的な理念である専守防衛、この考え方にはいささかも変わりはございません。
  169. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 多分そういうふうに言われるんだろうなと思うんですけれども、この間もずっといろんなことそうなんですよ。テロ特もそうだし、イラクへの派遣もそうなんですけれども、今回の米軍再編もそうですし、大綱もそうなんですが、憲法の枠内、日米安保条約の枠内、米軍再編にすれば極東条項もその範囲内、地位協定も今変えませんということで、まあまあ、ずっと変えません、変えません、変えませんということで来ているんですが。  こういうことを言われてるでしょう、見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断されると。小泉内閣は、昨年十二月の閣議でも中期防でもこれを、この決定した冒頭の一文は全部この繰り返し、そのことを繰り返し記述されているんですよ。  侵略の可能性がどんどん低下をしているということだと、防衛予算の削減と自衛隊の縮小が行われていくわけですが、どうもこの大綱、中期防というのは、自衛隊をコンパクト化はしていますけれども、質的強化が見いだされるんではないかというふうに思いまして、新規に購入する兵器で特徴的には、装甲車百四両、輸送ヘリコプター十一機、護衛艦五隻、新型哨戒機四機、地対空誘導弾パトリオットミサイル部隊二個群、新型輸送機八機、空中給油・輸送機一機などを挙げています、これね。  内閣は、侵略の可能性が低くなった時代に、我が自衛隊に新しい任務として、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散と国際テロ組織の活動、新たな脅威や多様な事態への対処、国際的な安全保障環境の改善、国際平和協力活動と、こうこう出てきますが、さらに国際テロ、これは確かに対応しようがないと思いますけれども、大量破壊兵器、弾道ミサイル、新たな脅威ということで、多機能弾力的防衛力、ここら辺まで来るとよく分からなくなってきて、本当に専守防衛なのかどうかという疑問。要約すると、アメリカの推進するこのMD、ミサイル防衛計画とか、アフガンとかイラクとかいうふうに、日米は既に、先ほど軍事一体化という話さしていただきましたけれども、この間の九・一一以降、九・一一以降、アメリカの先制攻撃戦略に一層協力していきましょう、一層一緒にやっていきましょうよと、これ九・一一以後、全く変わったんではないかというふうに私は思ってなりません。  そういう意味では、国土防衛のため、最小限、必要限の基盤的防衛力構想、基盤的防衛力構想というのは国土防衛との必要最小限というふうにずっとこれ一貫して内閣言ってきたわけですけれども、これを大きく見直すもんだということで、先ほど冒頭申しました大転換だというふうになっていくわけで、再度その点についてお尋ねしたいと思います。
  170. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 一つは、新しい安全保障環境の下で新しい体制、つまり戦車を減らして装輪装甲車を増やしていく、ヘリコプターなどを増やしていく、こういうふうに機動性のあるものにどんどん変えていく。これは新しい脅威に対して対応していく、こういう面であります。まず一番に、齋藤委員もおっしゃいましたけれども、多機能弾力的にやっていかなきゃ今の脅威からは守れない、こういう問題であろうかと思います。  それから第二の問題は、ミサイル防衛はこれはどういうふうに考えたらいいのか、こういうお尋ねもありました。ミサイル防衛自体も極めて専守防衛的なものであることは、もう齋藤委員御存じのとおりであります。飛んでくるミサイルを、日本の領域に飛んでくるミサイルを落とすわけでありまして、外国の領域を攻撃するものでは絶対にない、こういうものでありますから、これも専守防衛の思想に合致するものであります。極めて専守防衛的である。  そのほか、九・一一の話も出ましたが、これは正にそういう意味で、国際協力活動のお話もされましたけれども、九・一一というのは、新しい脅威、すなわちテロというのは、あのテロによってニューヨークの世界貿易センターの中にいました、いろんな国のたくさんの国籍を持つ人間が犠牲となりました。しかも、テロというのは国籍を持ちません。領域を持ちません。ですから、国際的にやはり協力しながらこの対応をしていかなきゃいけない。したがって、国際的な協力という面で非常に大事なポイントが出てきているわけでございます。  国際的な活動というものを今回の新しい防衛大綱で強調いたしておりますけど、これはやはり、そういう国際協力を通じて紛争を未然に防ぐ、そして、紛争を未然に防ぐことが日本が脅威から、脅威にさらされない道である。で、紛争が起こった、後はいち早く例えば人道復興支援等に協力していこう、こういう考え方でございまして、今までですと、この国際協力というのは、言わば日本が一方的に貢献すると、こういう考え方でありましたけど、これからはやはり国際安全保障環境を良くすることが日本の安全保障に役立っていくんだと、こういう考え方でございます。  ただ、その場合に役割分担はきちっとあるわけでありまして、国際的に活動する場合には、日本は武力行使をしてはならない、武力行使と一体となってはならないと、こういう大原則がありますから、私はこの従来の専守防衛という考え方にはいささかの変更もないと信じております。
  171. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、冷戦崩壊、そして九・一一、二つの大きな出来事がこの間あったと思うんですが、この防衛大綱については、九・一一というあの不幸な出来事がなければ防衛大綱の改定というのはしなかったんではないか。こういうやり取りは今まで非公式にもしたことがないんですが、そんな思いがあります。  ただ、その九・一一について、テロだからいろいろございますけれども、一つは、どうも直線的に日本の対応とかアメリカの対応というものが見えてきてしようがないですね。本当は赤十字とかUNHCRとかいろいろ、NGOとか、根源的になぜ起きたんだろうかということにつき、どう対応していかなきゃならないかということに、そこがベースとしてもう一つあるわけですね。ここは、何か外務省とお話しすると、いや、そういうのをやっていますというお話になるんですけれども、どうも私は日本政府とかアメリカ政府のこの両国関係を見てきて、イラクの問題もそうなんですが、今後、全部、防衛大綱もそうですが、どうも多分すべてそこに、今度のある意味では軍事的な側面が非常に質的に変化をしてきているということですね。そういうふうなところに何か目が向いているんではないか、それで具体的に対応しているんではないかというふうに、気がしてならない。気がしてならないと、そういうことではないかというふうに指摘せざるを得ません。一点、ちょっといいです、それは。  それで、米軍再編とある意味では今ちょうどスケジュール的に一緒なんでお話しさしていただきますけれども、ブッシュ政権が誕生していわゆる米国単独行動主義と、こういうことがありますけれども、言われていますが、京都議定書、CTBT、国際刑事裁判所、これは途上国支援などと、大国としての役割というのを果たして、私はアメリカというのは果たしているのか、後退しているんではないかと、ブッシュ政権になって以降。そういう対外政策、単独行動主義という認識日本政府としては持っているんだろうか、持っていないんだろうか。多分、小泉さんと話したって、あれだけ仲いいんですから、そんなこと、齋藤さん、思っていませんよと言うのは予算委員会でも何でもそうだと思うんですけど。  ここになると、やっぱり私は思うのは、国際的には、このブッシュ政権に対する総括的な、総体的なやはり指摘というのは、単独行動主義ということについて、これは大方の認識というのは私はあると思うんですね。このことに対して日本政府はどう立ち向かっていくということなんで、いわゆる九・一一以後、このことが問われてきたわけですね。  だんだんちょっと時間がなくなるんで自分自身のお話をさしていただきますが、一方で、国連の常任理事国入りということですね。防衛庁長官、こちらに町村大臣、今日はもう副大臣がいらっしゃいますんで、もう両大臣に話をしているつもりでございますけれども、一方で国連常任理事国入りを目指している。しかし、先ほど申しました朝鮮半島問題、そして中国問題、これあり。そして、この米国との関係、米軍再編、そしてこの大綱問題。日本というのはどういうこれから国になって向かっていくんだろうかということについて、国民に見えてこないですね。私は、見えてくれば、本当に度々言いますが、どうも五十一番目の州にしか、小泉さんの、小泉政権というのは見えてこない。こういう中での防衛大綱なんですよ。そういうふうにもう見えざるを得ません。これはまた御異論あるかも分かりませんので、一応そこら辺はそういうことにさしていただきます。専守防衛かどうかということについて、憲法の枠内、専守防衛の路線変わりませんとおっしゃりますから、あえてそういうことをお話しさしていただいているわけですね。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  で、ミサイル、これ迎撃なんですけれども、後ほど同僚議員からも同様な質問出るかも分かりませんが、これ、朝鮮民主主義人民共和国と、いわゆる北朝鮮、北朝鮮そして中国、これは、いわゆる北朝鮮の今の核問題については早くもう何としてもストップさせなきゃならないというふうに、核開発にならないと思うんですけれども、この中国、北朝鮮が発射したミサイルがアメリカに届くまでには相当時間掛かりますよね。日本には数分で届いてしまうと。  我が国の領土領海、公海も含めて迎撃をしていくということなんですけれども、ミサイル迎撃の技術が完成をしたとしても日本の防衛に本当に役立つかどうかというこれは素朴な疑問があるんですけれども、これを今、防衛大綱なり、防衛庁のこの予算でトータルで一兆円ですか、なんなんとしようとして、やろうとしているわけなんですけれども、対象とする、危惧をするのは北朝鮮であり、アメリカとの話合いでいえば、今後、中国もということも言葉として出てるんでしょう。そういうことを今やろうとしているんじゃないですか、準備をしているんだろうけれども、技術的な点と、そういうことを果たして、戦後六十年、我々ずっと歩んできたけれども、今やろうと、これからやろうとすることなんだろうかということについて、二つ疑問が、持ちますけれども、いかがですか。
  172. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、お尋ねは、技術的な問題点が一つあろうかと思います。これ、我が国が今考えておるミサイル防衛というのは大体射程千キロから千数百キロまでということでございます。したがいまして、この正に千数百キロといいますと、言わばノドン級ということでありまして、ノドン級でございますと日本全域をカバーすると、こういうことだろうと思います。  それから、一体どこから飛んでくるんだと、こういうお話もありました。我々はどこから飛んでくるという想定は全くいたしておりません。今、北朝鮮とそれから中国というお話がございました。我々は、北朝鮮というのは極めて、核を持っているらしい、それからミサイルも持っていると、こういうことで、極めて不安定要素、極東地域における不安定要素だと思っております。中国については脅威と思っておりません。  ただ問題は、最近の防衛力の増強、状況等でございます、詳しくは言いませんけれども。そういう中でミサイル防衛が極めて重要であり、このミサイル防衛をきちっとやらないと、飛んできて、これ落とさないと日本の財産、生命がすべて犠牲になってしまう、こういう問題でありますから、国民の生命、財産、国民の皆様の安心、国の安全のためにこのミサイル防衛をやっていく、こういうことでございます。  したがいまして、それがアメリカと一体化するかどうか、こういう問題にまで議論が発展してくるわけでありますけれども、これはすべてこの装置は日本で独自にはまだできません。しかし、それを運用するのは日本が運用するわけであります。そういう意味で、一体化論というのは全く当たらない、こういうことを申し上げたいと思います。
  173. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、大綱で北朝鮮と中国並べて警戒対象としてるんですよ。だから、それは防衛庁長官、事実と違うんですよ、それは。あなた方のお考えしているのは、そういうことをして対応しているんだから。ちょっと時間がないんで、そういうことをまた別途さしていただきます。  それから、具体的にこの大綱、米軍再編、抑止力は維持し、米軍基地を抱える自治体や住民の負担軽減に留意をして、これ今日来て、昨日も関係自治体の首長さんと長官も話合いされていらっしゃいます。  これは予算委員会でもさしていただきましたけれども、この普天間基地の問題、残り時間そのことにさしていただきますけれども、この普天間基地を自衛隊管理へと移行する、そして米軍と共同使用すると、これは事実でしょうか、これ新聞報道によりますと。事実とすると、本当にこれで沖縄の負担は軽減されるんだろうか。いかがでしょうか。
  174. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、今回のトランスフォーメーションの議論でございます。一段階目……
  175. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 普天間、普天間ね。普天間に限定してください。
  176. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) はい。普天間の問題につきましては、齋藤委員御存じのとおり、歴史の重みが背景にあります。それから、苦渋の選択である、このことも御存じのとおりでございます。その中で、普天間の問題がトランスフォーメーションの中でどう接点が出てくるのか、こういう問題はかつて国会でも議論をしたことがあります。我々は、基本的には普天間の問題は辺野古に移設する、これがこの沖縄の負担を軽減する大変大事な道ではないかと、こういうふうに申し上げております。  その中でああいう報道が出ました。私は、そういう一々のことにつきましてはまだ何にも決まってないし、それから今二段階目の議論として、一段階目は共通戦略目標でございますが、二段階目の議論としてはどういう切り口で議論していくか。例えばお互いの役割、任務をどう考えるか、それからお互いの能力をどう考えていくか、そして基地の共同使用ということをどういうふうに解決していくか。もちろん最終着地点の何をどうするということは念頭に置きながらやっていかなきゃいけない話ではありますけれども、基本的には今二段階の議論をやっている段階でございます。  報道がいろいろありますけれども、その中には全く、普天間ということに限らず、我々首をかしげる報道もありますし、個々のことについてはまだ一切何にも決まってない、こういうことを申し上げたいと思います。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕
  177. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、これ報道出るというのは、どこかから、どこかで発言するから報道出るわけで、これはずっと、国会のやり取りの中でずっと付きまとう話ですけれども、昨日の関係自治体の首長さんとの、知事さんとの会議もそうなんですが、やはり、あらゆるやはり情報というのを、確かに情報提供されれば苦労があるかも分かりませんが、やっぱり出して議論していくということでやらないと私は問題だと思いますね。  それから、総理大臣がもう既に、この辺野古沖については、断念とは言葉使ってなくても、断念とは使ってなくても、そうではない選択肢について相当ウエートを置いた発言を私とのやり取りの中でもしましたし、昨日は別な委員会でもしているわけですね。  共同使用というのは、この普天間だけではなくて、横田もそうですし、座間もそうですし、あらゆる全部、今度いろいろ考えられていると思うんですが、私は憲法、そして日米安保、それで日米安保条約というのは、国連の機能がきちんとこれ、前提付きですよね、安保条約、今御紹介をしませんけれども。少なくとも安保条約上で言う国連との関係からいっても、私は、地位協定、今度のこの共同使用なんということについてはどうして出てくるのかなと。これはもう本当に日米安保条約、日米安保でも改定しないと出てこない筋立てですよ、論理ですよ。これがすべてなし崩しというか、もう事実上私はある意味では、今憲法改正議論を国会でもいろいろしておりますし、私自身も参加をしていますが、事実上もう憲法が改正されて日米安保条約も改正されているみたいな状況が今、日本国内にあり、それを具体的に進行しつつあるというふうに言わざるを得ません。いやもう継ぎはぎだらけ継ぎはぎだらけでやってきて、どう答弁してても全くもう、パッチワーク以上ではないということであって、もうひどい、ひど過ぎるという言葉しか出てこない。  感想ばかり申し上げていくんですが、外務省、ひとつ最後に、予算委員会でも私さしていただいたんで、その後また、これもまたアメリカ発の情報で、日本政府にというふうにお尋ねさしていただきますが。  通常空母、いわゆる米空母の配備の問題ですけれども、横須賀基地を事実上の母港とする通常型空母キティーホークの後継艦、退役した後ということで、アメリカの方の海軍当局者が、ジョン・F・ケネディを現役を復帰さして後継艦に起用するという意向を固めたと、こういうことが明らかになっています。これは地元横須賀市、神奈川県知事も含めまして反対を表明して、この原子力型空母起用が半ば既成事実化していくことに反対をしているわけで、通常型ということについて、しかしながら、空母の隻数を減らすということで今日まで、しかしなかなか難しい問題であるというのは承知しつつも、大変な大きな問題になってきていると思います。  で、お尋ねいたします。  このジョン・F・ケネディの配備、通常空母ジョン・F・ケネディの配備ということを米海軍が意向を発表したと、明らかにしたということが報じられておりますが、このことについての事実関係についてお示しいただきたいと思います。
  178. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 御指摘報道につきましては、米国側に確認をいたしましたところ、キティーホークの後継につきましては、米政府としては引き続き何らかの決定を行っておらず、イングランド米海軍長官が産経新聞の取材に対しまして、ジョン・F・ケネディを空母キティーホークの後継として配備する計画を明言したとの事実は承知を、事実はないと承知をいたしております。
  179. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 引き続き、これは総理大臣からも非常に、ある意味では過日の予算委員会でこのことについて地元の意向というのを踏まえて答弁していただいておりますので、また外務大臣もそういったことを踏まえて米側の方に地元の意向として紹介していますので、是非、通常型ということについて、地元の意向ということになっておりますので、これについての外交努力をしていただきたいと思います。  残り時間がなくなりましたので、同僚議員にバトンタッチをしていきますが、また機会を見てやり取りをさせていただきますが、防衛大綱、そして中期防をめぐる我が今政府の取組に関しましては、過去の日本の、我が国の歩みを照らしてみてして、果たしてその歩みと照らし合わせてしてこういった方向というのが取るべき方向なんだろうかということについて、強い疑念を持ちながら指摘をさせていただきました。  是非日本が主体的な外交、やはり我が国の安全保障ということをしっかりとした私は主権国家としての歩みをしてもらいたいという意味で、アメリカの単独行動主義についての批判と指摘をさせていただきまして、そういった一体化なんということを私はあってはならないわけで、是非払拭していただきたいと思いますが、ただ、どうも今進行していますから、これは結びとしては、これは政権交代しないとこれは無理なのかなというふうに思いますが、与党の方々はそんなの無理でしょうとおっしゃるかも分かりませんけれども、そういうことを目指しながら努力をさせていただくということを結びとさせていただきまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  180. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  本日、私は、三十分間、この防衛大綱の中身について集中して質問をしたいというふうに思っておりますが、冒頭、先ほど齋藤委員の質問を聞いていて、根本的な話が気になりました。  長官は先ほど中国は脅威でないと明言されました。ところが、私、今回の防衛大綱の一つの大きな変換は、新防衛大綱の中で初めて中国、そして北朝鮮という言葉が具体的に明記されているんですね。かつて具体的な名前が出てきたことはなかった。九五年の防衛大綱で確かに冷戦下という枠組みの中で潜在的な脅威としてソ連という言葉が出てまいりましたが、時代が変わった現在において具体的に中国と北朝鮮という名前が、具体的な名前が出てきたというのは非常に私は意味合いは大きいと思っております。  その事実が今回のこの防衛大綱の根本的な柱であるにもかかわらず、長官は今中国は脅威でないとおっしゃった。その辺をもう一度きちっと説明してください。
  181. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 我が国はどの国も脅威とみなしているわけではありません。  中国については、今回初めてこの固有名詞、中国という名前が出てきております。我々はこの現実を直視して明快に感じていることを述べる、これが透明性であると思っています。  中国についてなぜじゃ記述をしたのか、これが問題であります。中国は、言わばこの原子力潜水艦の我が国領域への侵入がありました。それからまた、基本的にいいますと、防衛費が十七年間にわたって一〇%以上伸び続けている、しかも防衛費で賄われているものがどこまでかということも必ずしも明快じゃない。言わば、この防衛力というものが不透明であるわけであります。さらに、EEZの周辺で、もちろん中国側ですけれども、海洋活動を盛んにしている。このようなことは、やはり隣接国日本として注目をして見ていかなきゃいけないことではないか。  基本的にはやはり中国と仲良くしていかなきゃいけない。でも、中国としてはこういう今申し上げたような事象が出てきているわけであります。そうすると、中国というものの動向を注目していかなきゃいけない、注意していかなきゃいけない、こういう意味で記述をしているわけであります。  それから──いいですか。それじゃ、どうぞ。
  182. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今長官のおっしゃった潜水艦の問題、そして領海侵犯の問題、EEZの問題、そして防衛費の急増の問題であるとか様々な、現実的にミサイルが我が国を向けて設置をされている事実的な現状、こういうことを考えますと、無論各国と友好関係外交努力をするのは当然でありますが、明らかにこういった問題は中国が脅威とみなしているからこそ今回の防衛大綱に中国、北朝鮮という名前が出てきていると認識をするのは、私、国を守る立場として当然のことであって、それをやはり中国が脅威でないということをこの国防のトップである長官が明言されるというのは、いささか今大綱の趣旨とは合致をしないというようなことを冒頭私は指摘をしたいというふうに思います。  外交的に中国と仲良くしたいという長官の御意思は重々分かるつもりでございますが、この防衛大綱の一つの大きな核がこの北朝鮮、中国という問題が明記されているということだと私は認識をしておりますので、そのことを指摘をしておきたいというふうに思います。  本題に入ります。  私も、今回この問題で本会議で代表質問に立たせていただきました。その際、新防衛大綱とアメリカのトランスフォーメーションの関係について、この時期と範囲の問題について総理に質問をさせていただいたわけですが、やはりきちっと答えてくださいませんでした。政府は、その米軍再編の結果、自衛隊の役割がどう変わるかという問題につきまして、これ数か月先の話であるし、具体的に何にも決まっていないと、一向に政府は明らかにされていない。  他方、現実的な問題として、自衛隊の役割の見直しであるとか基地の管理権の変更等で、自衛隊の組織であるとか定員であるとか、この役割的なものも大きく変わってくる可能性が現実問題あると思うんですね。  この米軍再編で生じる兵力構成の見直しの結果、自衛隊が米軍の任務を肩代わりする可能性、こういったものなどが一連の変化があったとしても、それは新防衛大綱の範囲内であると政府は認識されているか、もう一度確認させてください。
  183. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 第一には、我が国の防衛に対する基本的な考え方から出発しなきゃいけないと思っています。それは、第一に、自分の国は自分で守る自衛の問題であります。第二に、同盟国と協力しながら守っていく、平和を守っていく、安全を守っていく、こういう問題であります。それから第三に、世界的な視野でこの平和を考えていく、こういうことであります。  まず、我が国独自で考えていく、これが言わば新しい防衛大綱の考え方であります。それから、同時に米軍のトランスフォーメーションがありますけれども、米軍のトランスフォーメーションと日本の防衛大綱に共通した点は、一つは安全保障環境の変化に応じてこういう新しい防衛大綱、そしてアメリカの方ではトランスフォーメーションということが出てきている、こういうことであります。ただ、中身については違いが、若干違いがありますけど、そこはもう入りません。  そういう中で、我が国としてはこの新しい脅威、そして科学技術の進歩によって出てくるミサイルの脅威、ミサイルからテロ、ゲリラ、島嶼防衛までと、こういう多機能弾力的という言葉をキーワードで使っておりますけど、そういうふうに守りについて考え直していかなきゃいけない、変化していかなきゃいけない、こういう要請があるわけで、これは日本独自の防衛の問題であります。  その中で、もちろん二番目の日米共同、日米安保条約の問題でありますが、これについては日本の基地、安保条約の第六条で日本は基地を提供する、アメリカは極東の平和と安全及び日本の安全を守る、こういうことで成り立っているわけであります。そして、そこでアメリカ側は全世界規模で七万人を減らしていこうと、こういう中で日本についてどうするか、こういうことでありますから、必ずしも防衛大綱とトランスフォーメーションというものはがちがちにかみ合っているものではありません。日米共同でどうやっていくか、こういうことであります。ですから、そういう問題を基本的に共通戦略目標、役割分担、そして基地の具体的なトランスフォーメーション、アメリカ軍の再配置ということで考え直している、こういうことであります。  したがって、今おっしゃったような問題点ですね、私はそういう基本的な考え方から必ずしも、必ずしもというよりも、トランスフォーメーションがあるから防衛大綱を見直さなきゃいけない、そういう問題ではない、このように思っております。
  184. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 少し私自身分かったような分からないような感じなんですが、がちがちにかみ合わないことは分かるんです。だからこそ、これが範囲内できちっと収まるのか、時期も含めましてね。その時期と範囲を聞いているんですが、質問の仕方変えますと、例えば、じゃ、この新防衛大綱の末尾にその他として、五年後又は情勢に重要な変化が生じた場合には必要な改正を行うとあるんですね。この米軍再編というものはこの見直しの原因にならないんですね。端的にお願いします。
  185. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 視野に入っていないというわけにはいきません。視野に入っているとは思います。しかし基本は、基本は、この時代の流れが急速であります。そういう時代の流れが急速な中で防衛、安全保障環境が変わっていく。そうすると見直していかなきゃいけない場合が、今までのように十年とかそんな単位じゃなくて、五年になるだろう、あるいはもっと早くなるかもしれない。そういうことで、五年目には必ず見直して、必要なら変えましょう、その前でもそういう事態が起きればという意味でございます。
  186. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、国際平和協力活動の本来任務化についてお尋ねしたいと思うんですが、この新防衛大綱において、自衛隊の任務における国際平和協力活動の位置付けを含めまして、所要の体制を整えるというふうにされているんですが、その具体化でありますこの自衛隊法の改正という問題が今国会に出てきていないと。まあ他方、その九・一一以降、テロ特措法であるとかイラク特措法を作る過程で必ず出ていたのがこの自衛隊の海外派遣に関する一般法という問題ですね、この必要性が度々議論にされておりました。私が当選したときは福田長官でございまして、大変積極的にこの話を福田官房長官されておったんですが、細田官房長官になって若干ニュアンスが変わったと私自身感じております。報道もそのようになっておりますが。  この国際平和協力の恒久法、いわゆる一般法ですね、この提出が遅れているように思うんですが、今日、内閣官房にも来ていると思うんですが、この理由は何なんでしょうか。イラクの派兵が、イラクに対する自衛隊派遣というものが何か関係しているんでしょうか。
  187. 樽井澄夫

    政府参考人樽井澄夫君) お答えいたします。  ただいま御指摘の点、イラクとの関係一般、いわゆる一般法の提出が遅れているのかという御質問でございますが、実際問題としてはそういうことはございません。  端的に申し上げまして、現在、内閣官房の中で事務レベルで極めて多方面にわたる検討、勉強を行っております。現在そういったものを中心に広く検討を行っておりますので、政府案と申しますか、現段階において具体的な内容についてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、基本的には非常に幅広く検討させていただいているというのが理由でございまして、イラクは関係ございません。
  188. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 模範的な答弁、ありがとうございます。  三月二十四日の自民党の部会、私は当然自民党じゃないんでこの部会出れなかったんですが、内閣官房が一般法について議論を整理したというふうに聞いております。また、この日の夕刊、読売でしたが、報道がありまして、国連安保理決議について内閣官房の正に樽井さんが、できるだけ広く参加できるようにしたいと樽井さん御自身がおっしゃっているんですが、この明確な国連決議がなくても自衛隊が多国籍軍などの活動に参加できる方針で検討するというようなことを、という考え樽井さん御自身が示されているわけでございますが、またその前段、二月三日には細田官房長官も、国連決議を要件としない形の派遣についても検討の対象になるというようなことも共同通信で記事になっているように、記者会見でも述べられているということなんですが。  ここで樽井さんにお伺いしたいんですけれども、この明確な国連決議がなくても自衛隊が参加し得る多国籍軍などの活動というのは一体どういうものがあるんでしょうか。PKOなら当然安保理決議が出ています。イラクの場合でも、我々は了としていませんが、一応決議があったというような解釈を、そういった決議を根拠としての特措法だったわけでございます。この明確な国連決議がなくても自衛隊が参加し得る多国籍軍などの活動というのは一体どういうものが考えられるんでしょうか。
  189. 樽井澄夫

    政府参考人樽井澄夫君) お答え申し上げます。  読売新聞の報道、御指摘の読売新聞の報道でございますが、自民党の小委員会での私の発言という形で引用して、いずれ、政府としての考え方を説明したというようなことで、可能としておりますけれども、事実関係は、この小委員会におきましては、政府案についてはできておりませんのでそもそも御説明することができないという前提で参加させていただきましたけれども、基本的にやりましたのは、これまで国際平和協力懇談会、俗称明石懇談会、それから安全保障と防衛力に関する懇談会等々、それから国会における先生方の問題提起、そういうものに示されました論点の概要について、これ実は客観的にそういう御議論がございますということを御説明しただけでございまして、その場で政府としてどうするこうするということを言ったことは一切ございません。したがいまして、報道ぶりの中にそういう記述があるとすれば、それは全く根拠のない報道でございます。  さらに、御参考までに、国連決議がない場合の多国籍軍ということにつきまして申し上げますと、私自身はそういう例を承知しておりません。  以上でございます。
  190. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 樽井さんとするとそういう例は承知をしていないということですね。──はい、ありがとうございます。  この一般法における国会の関与の在り方について若干私の考え方をこの際述べさせておきたいと思うんですが、やはりきちっと国会の事前承認というものが今後ポイントになってくると思います。シビリアンコントロールの観点からも、この自衛隊を動かす、これを最終的に決めるのはやはり国会であるべきだと私は思っておりまして、政府はこれまで特措法等の機動性、これを理由にされて事後承認にしてまいりました。  ただ、一般法の場合は、緊急性が問われる、緊急性が求められるものだけではないわけでございまして、やはりイラク復興支援のようにこれから準備していくという問題がたくさんあると思うんですね。時間的に猶予がある、このような場合にはやはりきちっと私は国会の事前承認というものを担保をすると、そのことが大事だと思いますので、一般法の今後の議論の過程の中で、検討過程の中で是非このことも忘れないで視野に入れていただきたいということを要望したいと思いますが、何か御発言がございましたら。
  191. 樽井澄夫

    政府参考人樽井澄夫君) ただいまの先生の御意見につきましては、当然私どもそういうことも念頭に置かせていただいて、広く検討させていただきたいと思います。最終的に、国会承認の問題につきましては国会に、国会の中で十分御議論いただきたいというふうに基本的には思っております。  以上でございます。
  192. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  次に、この問題について防衛庁長官にお伺いしたいんですが、この国際平和協力活動を本来任務とすると、まあ自衛隊の本来任務とするということなんですが、御承知のとおり、この本来任務には主たる任務と従たる任務というのがありまして、子供たちに若しくは国民に日本の自衛隊は何をするところですかと言った場合、やはり平和が一番だけれども、もし戦争になった場合、きちっと日本を守らなければならないからこの国を守る、国防ということをきちっと専守防衛でするところですよ、そして、昨年から頻発している災害、この災害をきちっと国民の皆さんから守り復旧するのも自衛隊の大きな役割ですよということだと思います。  そうすると、この国際平和協力活動というのが今後この自衛隊法改正によって、この二つに並んでこれから自衛隊というのは海外において平和をつくる活動をするんですよという、この主たる任務になってくるのかどうなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  193. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 大変基本的な問題でございまして、私は榛葉先生と考え方は全く変わっていないと思います。つまり、今おっしゃったように、日本の国を守るんだと、これが本来任務の中の主たる任務、そして災害救援とかそれから国際平和活動とか、こういう問題は本来任務の中の従たる任務と、こういう位置付けになろうかと思います。
  194. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 済みません。この国際協力活動が従たる任務になるんですか。もう一度お願いします。済みません。
  195. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 本来任務の中の主たる任務と従たる任務。で、本来任務は、本来任務の中の主たる任務はもう必ず国を守るんだということでありますし、それから言わば防衛出動の問題ですね。それから、従たる任務としては、例示的に申し上げますと、治安出動もあれば国民保護等の問題、そしていわゆる平和協力活動、こういう問題というふうに位置付けられると思います。
  196. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。  では、その自衛隊の中で、決してパイを決めるわけじゃないんですが、この国際平和協力活動という問題が全体の自衛隊のパイからするとどれくらいのウエートを占める任務になってくるんでしょうか。
  197. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) この問題、先生十分御存じのとおり、主たる任務に支障がない限り、こういうことで位置付けられると思います。
  198. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次の質問に移りたいと思います。  冒頭、北朝鮮と中国の具体的名前が今度の新防衛大綱に出てきたという話をさせていただきましたが、これ、やはり少し私は日本の防衛や全体の外交防衛の在り方という問題がアメリカ的になってきたのかなという、若干齋藤委員ともかぶるんですが、思っております。というのは、アメリカの悪の枢軸であるとか、圧制の前線であるとかという言葉がよくアメリカの政府から出てくるわけでございまして、分かりやすいんですが、他方、若干の違和感をも感じるのも事実でございまして、その同じような表現で不安定の弧という言葉が最近よく使われます。政府の正式文書にはまだ不安定の弧という問題は出ていませんが、部会等で話を聞いていますと、私、頻繁にこの不安定の弧という言葉が出てまいります。この不安定の弧という言葉は、私、極めて政治的かつ戦略的な言葉だと思っていまして、このメード・イン・USAの不安定の弧という極めて政略的、政治的な言葉を我が国が独自の個性を持った安全、外交外交防衛を考えていく場合、安易に同じように使うべきでないというふうに思っているんですが、この認識について防衛庁長官考えをお伺いしておきたいと思います。
  199. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 不安定の弧という言葉は今ほとんど使われていないと思いますし、極めて抽象的であり、よく分からない言葉と言っていいほどどっからどこまでという範囲もきちっとしないし、どういう問題かということもきちっとしない。これ、今先生メード・イン・USAとおっしゃいましたけれども、このアメリカでも最近は使われていないような感じがしますし、それから東南アジアではもとより、そういう言葉が余り使われていない。私はこういう言葉というのはもう少しきちっとした用語で使うべきだと思っております。
  200. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  次に、これも本会議で質問をさせていただいたんですが、釈然としなかったこのMDと宇宙の平和利用に関する国会決議の問題についてお伺いしたいと思います。  本会議でも申し上げましたが、昭和四十四年に衆議院でこの問題が決議をされまして、昭和六十年に平和というのは非軍事であるというような政府認識が示されました。以下の歴史については時間がないのでるる申し上げませんが、防衛庁長官に端的にイエス、ノーでお答えいただきたいんですが、このMDというのは非軍事なんでしょうか、それとも軍事なんでしょうか。
  201. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 大変用語の問題で難しい問題であります。この前回の当委員会でも私は御説明したという記憶がありますけれども、このMDというのはどういう仕分けにするんだろうかな、防衛出動なのか、それとも警察権なんだろうか。どちらかといえば警察権という分類にしたい。言わば治安維持のために発動をするものである、あっ、失礼しました、公共の秩序維持のために発動するものである。そして、その仕分けは警察権の発動と、こういう仕分けにする。こういう言葉から当然のごとく出てまいります帰結は防衛力とか自衛権とかそういう問題ではなくて、公共の秩序、つまり非軍事という仕分けで考えたいと思います。
  202. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ミサイル防衛は非軍事であると防衛庁長官が明言されました。これは新しい見解でございまして、私とすると大変結構な答弁をちょうだいしたなと思っているわけでございますが、確かに昭和五十八年にもこの決議と非軍事の関係が議論になっているんです。私、秘書と一緒にいろいろ資料を調べまして、昭和五十八年に防衛庁が通信衛星を利用しようとしたときに問題になっているんですね。つまり、宇宙空間を自衛隊が使うのはよくないというような議論だったわけでございます。そのとき政府は新見解を示されまして、その新見解というのが、通信衛星は民間などで一般化しているので利用してもいいのではないかというような議論でした。  つまり、この一般化という問題がキーワードになったわけでございますが、そして、今回のMDは性質上、民間が使うということは考えられないわけでございまして、長官のおっしゃるように、これ軍事でないというのは、長官の周辺の方は御理解されるかもしれませんが、広く一般国民的には到底軍事だと思っているわけでございまして、そのためにここへ、防衛庁の予算の中に来ているわけですから、そのことについてはまた今後きちっと議論をしたいというふうに思います。  総理は、私の答弁に、長官のようにきちっとこれは非軍事であるからいいんだとおっしゃってくれればそれで明快だったんですが、本会議ではその決議の趣旨や平和国家としての理念に反していないからという、こういう趣旨であるとか理念という言葉を持ち出したものですから、こういうことを言い出すと何でもできちゃうというふうに私感じまして、私がこの議論をしているのは決してMDがいい悪いという議論でこれをしているんじゃないんです。国会という立場で立法府が決議をした、この三権分立の立場から、これはきちっとこの問題に政府が示さなければいけないという立場からあえてこの質問をしているわけでございまして、民主党は基本的にMD計画には党内で賛成をしておりますから。ただ、この三権分立の立場からこの宇宙の平和利用に関する国会決議と、それからMDの関係をきちっと整理してほしいと。ただ今日、防衛庁長官がMDは非軍事であると明確におっしゃいましたので、これは新しい見解として私の中にとどめさせていただきたいと思います。  次に、本来この後F2の問題等についてお話をしたかったわけでございますが、私の持ち時間がなくなってまいりました。またMDについても更に質問したかったわけですが、この後、同僚の犬塚議員がこのMDについて更なる質問をするということですので、このMDの更なる議論、そしてF2の問題については後日に質問を回したいというふうに思います。  最後に一点だけお伺いしたいんですが、本日も津波で大きなニュース、済みません、インドネシアにおける地震で大きなニュースになりました。あの地域では韋駄天の話もありましたが、海賊対策が大変重要な問題になっております。これをアジアの枠組みでどのように対処していくかということなんですが、日本はこのアジア海賊対策地域協力協定ということで尽力されておりまして、この日本における締結作業の進捗状況、このことをお伺いしたいんですが、いつごろ国会にかかりまして、いつごろこの協定が発効する見込みか、この問題についてお伺いしたいと思います。
  203. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) アジア海賊対策地域協力協定は、委員御承知のとおり、昨年の十一月に採択をされ、十か国が締結をした後、発効するということになっております。  我が国といたしましては、アジアにおける海賊対策に対して引き続き積極的に貢献をするために可能な限り早期に本協定を締結することが重要であるとの認識の下に、現在必要な作業を行っているところでございますが、本協定の締結状況ですが、三月二十八日現在、本協定を締結をした国はいまだございません。関係各国に対しましては、これまで同協定の早期実施を通じて関係各国間の海賊協定協力の強化を図るべく早期締結を働き掛けておりますが、多くの関係諸国で必要な国内手続を進めているところであると承知をいたしております。  ただ、委員も御承知かも分かりませんが、インドネシア、マレーシア等においてこの情報センターをどうするかということでいろいろ議論があるようでございますので、この辺の調整をやらないとなかなかそれぞれの国が協定を締結にまでこぎ着けられないという事情もございますので、できるだけ精力的に各国の協力を取り付けたいということで、現状のところ国会提出の予定は今のところまだ立っておりません。
  204. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 谷川先生、私、この日米安全保障であるとか日米の外交は極めて重要だと思っております。しかし、他方、我が国の置かれている固有の条件、そして歴史的背景からしても、このアジアとの連携というものをどのように取っていくか、これがひいて、私はアメリカの安全保障にもつながっていく、世界の平和にもつながっていくというふうに信じておりまして、是非、この海賊対策を中心としたアジアにおいての安全保障の枠組みというものを是非防衛庁、そして外務省も主導して議論していただきたい。  そのような中におきましては、ライス長官が先日来日されまして、この日米戦略開発同盟の構想をされまして、平たく言いますと日本のODAをアメリカ外交の目標基準に活用していくというような解説もあったわけでございますが、私は、これからきちっとアメリカとの関係、無論大事、一番大事です。しかし、それと同様に、日本固有の持っている戦略、そしてこのODAの使い方という問題もきちっと議論をしていただきたい、大切にしていただきたい、そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  205. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚でございます。  今日は、防衛計画の大綱、この新大綱について質問をさせていただきますが、まず、安全保障と防衛力に関する懇談会、この答申の中に一つ気になる部分がありまして、一ページ目の一番初めに書いてあるんですが、「最後の海軍大将として知られる井上成美は、太平洋戦争開戦の年に大艦巨砲の建造を求める軍令部の膨大な予算要求に対し、「明治の頭を以て昭和の軍備を行わんとするもの」と断じ、」、これを批判したと、こう書いてあるんですね。で、このことが今回の懇談会の議論を進めるに当たって常にそのことが念頭にありましたと、こういうふうにここに書いてあるんですね。  私はすごく不思議だったんですけれども、MDというこの巨大な、正に宇宙規模の防衛計画を語るときに、正にこれこそがまあ巨艦大砲主義ではないかと、正に二十世紀の頭をもって二十一世紀の防衛を余りこればかりに特化するということはそういうことになるんじゃないかという素朴な感想を持ったんですけれども、まずその辺の御感想をお願いします。
  206. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 今回、防衛大綱の策定に当たりましては、言わば新しい脅威が出てきているというのが一つ。それはテロとかゲリラとか島嶼防衛、特殊部隊等であります。  それからもう一方において、やはり科学技術の進歩によってミサイルというのが相当発達してきている。しかも、例えば北朝鮮でノドン、テポドンというようなことが言われている。これ、本当にこの地域における不安定要素の大きな要因であります。したがいまして、国を守るということはどういうことなのか、これはやはりミサイルが飛んできてもきちっと守れる体制にして国民の皆様に安心してもらわなきゃいけない、こういう意味で、ミサイル防衛ということに取り組んでいるわけでございます。  政治の役割というのは、やっぱりこの国民の安心感、これをお届けすることであり、国の安全を守っていく、こういうことでありますから、私は、そういう意味で、ミサイル防衛というのは古い時代の考え方、今おっしゃっているのは、やはりこの時代にそぐわないことをやっているんだということをおっしゃっているわけでありますけれども、私は、新しい時代に備えてミサイル防衛というのが必要である、このように考えます。
  207. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私が申し上げたかったのは、古い、新しいというよりも、第二次世界大戦が終わった後の世界秩序と今回の冷戦が終わった後の世界秩序づくり、我々は今いるわけですけれども、根本的に違うんだぞと。日本の果たす役割が非常に今大きいんだぞということを申し上げたかったんですね。  そうした中で、ちょっと質問を具体的にしてまいりますが、二月二十四日の安保委員会で大野大臣が、自衛隊発動の要件が満たされていないミサイル迎撃、これは自衛権の発動ではなくて警察権として公共秩序の維持のために行うんだと、今、先ほども質問の答弁にありましたけど、それはそのとおりでよろしいんですね。
  208. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) もし仮に防衛出動が下令されている場合は、これは防衛力、自衛権の問題であります。防衛出動が下令されていない状況でミサイルが飛んでくる、これは公共の秩序の維持であり、警察権の発動という分類をすると、ということでございます。その考えには変わりありません。
  209. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ということは、警察権として国際的な公共秩序を維持していくと、そういうことになるわけですね。国内の問題ではありませんのでね、ミサイル防衛は。ということは、当然、国際刑事警察機構だとかあるいは国際刑事裁判所なんかとの連携を持ちながらやっていかなきゃいけないと、僕は大変結構な話だと、こう思うんですけれども、現実的に、現実的なところは今後の法整備がこれは必要だというふうに私は理解しているんですが、その辺はいかがでしょうか。
  210. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) この問題、日本の領域に飛来するミサイルを迎撃するわけであります。そういう意味で、国内における警察権の発動と、こういう意味で国際的な要素はこれはございません。したがって、そういう意味では、今委員がおっしゃったような問題は出てこないんじゃないか、このように思っています。
  211. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今長官が国内的なこれは問題だとおっしゃったんですけど、ちょっとお手元に配った資料を見ていただきたいんですが、これ上が、まず出典が総務省の消防庁の資料から持ってきたんですけど、北朝鮮を中心とする弾道ミサイルの射程なんですね。まず、この真ん中の赤いところ、これちょっと見にくいんですが、ノドンの射程千三百キロ、ほぼ日本全土が入っております。そして、この間試射をされた、日本を飛び越えて太平洋側に行ったというあのテポドンですね、あれは三千から六千、三千ということになるとグアムまで入る、六千ということになると南アジアもすべて射程に入ってくるということになる、そういった図でございます。  今ここで一つ素朴な疑問なんですけれども、今海外に一千万人から日本人が行きます。そして、海外に既に住んでいる日本人百万人からいるんですね。この射程の中に随分いると思うんですが、この防衛というのは一体、ミサイル防衛というのは、日本国に住んでいる人間だけを防衛するんでしょうか、それとも、角度からいって、高さからいって、ほかのところに行く、そこにはたくさんの日本人もおられるけど、この人たちは見殺しにするというものがミサイル防衛なんでしょうか。
  212. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 感覚論からいえば、日本人のみならず全人類を、もし我が国としてそういう飛来する、あるいは日本の上を越えて飛んでいくミサイルを見れば迎撃したい、これは感覚論としては私もそういう感覚を否定しません。  しかし、問題は、やはり日本国憲法の問題であります。集団的自衛権は持っていても、これは行使しない、できない、こういうことであります。したがいまして、我々は、もう明らかに専守防衛という、日本国を守るんだ、日本の領域を守るんだ、こういう徹底した考え方に立って、立脚しているわけでございますので、日本の領域に飛来してくるミサイル、これを撃墜、迎撃すると、こういう一点に絞られております。
  213. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、感覚論だとおっしゃいましたけれども、正に感覚論なんですよ。私は、身近な例でハワイを申し上げますけれども、百万人住んでいますけれども、三割は日系人ですよ。年間に多いときは二百万人日本人行きますよ。来ると分かっているものをもし日本が撃ち落とさないで、アメリカの迎撃が失敗してここで何万人の人が死んだら許しませんね、これは。正にこれは感覚論であります。  もう一つ、今専守防衛とおっしゃいましたけれども、この下の図を見ていただきたいんですね。この下の図で、これはアメリカのミサイル・ディフェンス・エージェンシーのホームページから持ってきたんですが、まず第一にやることは、この左上にあるスペースセンサーという、この白丸の一が付いていますけれども、このスペースセンサーで、あっ、ミサイルが立ったな、あるいは燃料が入れられたなというのは、これはまずスペースセンサーで見るんですよ。このスペースセンサーからの連絡をこの米本土にある二番、コマンド・コントロール・ネットワークというところが受け取って、そこの指示をもらって、この日本海にこれイージス艦が浮かんでいる絵がありますけれども、三番、ここでサーベイランス・アンド・トラックという作業が始まるわけですね。  防衛庁長官、こういう正に一体化している防衛構想、この中でまだ専守防衛ということが使えるんでしょうか。
  214. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) この問題、情報の共有の問題と、それから攻撃をするという問題とを私はやっぱり分けて考えるべきじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  今こちらにありますスペースセンサーというのはアメリカへ一遍渡ってまた戻ってくるということでございますけれども、日本のイージスあるいはパトリオット、PAC3が持っているこのレーダーによりましても大方捕捉できるわけでございますから、本当に、かといってこのローンチディテクションですか、スペースセンサーですか、これが要らないということを言っているわけじゃありません。それは、情報の共有というのは大変大事なことであります。そういう意味で、私はこれは情報一般情報を交換していく、こういう問題と切り離して考えていくべきではないか、このように思っています。
  215. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私、この防衛の問題というのは、このミサイル、MDという非常に国際化した、高度化した複雑な、世界的に統合しないとできないような防衛というものが出てきた段階で、一体防衛というのは何なんだと、自衛というのは何なんだということを考えなきゃいけない事態に我が国は立ち至ったんではないかと、そんな気がしてならないんであります。そこを無理やり、いや、角度が違うから、よそに行くのは撃たないから集団的自衛権ではないとか、あるいは専守防衛だって強弁するのは、非常に私は無理があるような今気がしておるんですね。  そこで質問なんですけれども、このミサイル防衛というのを一体日本外交防衛の中にどういうふうに位置付けていくのか、これは谷川大臣にお伺いしたいんですが、中国がどうしてこれを中国に対する脅威と受け止められているんでしょうか。
  216. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) このミサイル防衛につきましては、あくまでこれは専守防衛に徹するということでございますから、この点で中国を今、日本が、何といいますか、視野に入れるということは今のところ必要はないのではないかなというのが外務省の見解でございます。
  217. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃるとおりなんですね。専守防衛に徹しているのにもかかわらず中国が脅威を感じるということは、やはり日米同盟の枠内でこういうミサイル防衛を考えているから、当然ながらこの同盟関係から外の国にとってはこれは脅威と取られても、私は当然のような気がするんですね。  外交と防衛、これ切り離すことは難しいと思うんですが、それでは、中国が今、政冷経熱とか言われて、政治は冷たく、そして経済は非常に熱いというような中にあって、今ODAを、今度、北京オリンピックを機にこれ中止をしようという話になっておりますけれども、今後の中国との関係において、これから先の日中関係をもっと緊密化していくという方策は何かお考えなんでしょうか。
  218. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 今委員のおっしゃいましたように、政冷経熱ということになっておりますが、我々外務省としては、中国の外務大臣、また日本町村外務大臣としょっちゅう電話連絡を取り合いながら、お互いに情報の交換なり、そういうことを考えておりますから。  ただ、ODAにつきましては、これはオリンピック、北京オリンピックをめどにいわゆるハードの面についてはちょっと考えましょうと。ただ、いわゆる無償資金等については、ソフトの面については、まだ内陸等の問題もございますし、環境の問題等もございますから、その点はやっぱりしっかりやっていきましょうということで、ほぼ大体、まだ最終結論には至っておりませんが、ほぼ大体合意ができるのではないかなというふうに外務省としては考えておりまして、その線で進んでいきたいなというふうに思っておるところでございます。
  219. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この日本型のODA、円借款について、確かにインフラの整備を中心にして非常に高い評価を世界から受けていると。そのインフラの整備という意味では、中国はほぼ役割を果たしたんではないかという、そういう認識は私は共有しているつもりなんですね。  しかしながら、今後のそれでは基本的なインフラ部分の、言わば円を貸して金利と元金を取る円借款の役割は終わったとしても、これから本当の、特に人材の交流ですとか、あるいは奨学金ですとか、あるいは資格の相互認証ですとか、本当に人間の交流が始まるような方向に、このODAをやめてしまうというのではなくて、そちらの方向に私はかじを切るというのが日本外交防衛に物すごく大きな影響を与えると思うんですが、副大臣認識いかがでしょうか。
  220. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) まあおっしゃるとおりでございまして、まあ大体インフラの整備は中国独自でやれる力も付いておるでしょうし、それはそれでオリンピックをめどに一応いいんではないかなということで、お互いに合意ができるだろうというふうに思っておりますが、いわゆる無償資金ですね、無償資金につきましては、今委員がおっしゃったように、これから大いにやっていかなきゃいかぬという部分も相当あると思いますので、二〇〇四年では、一般無償資金協力は大体三十六億、草の根無償資金協力は四億七千万、また、これを合計をいたしますと四十一億でございまして、二〇〇三年度は五十一億五千万円で、ちょっと減っておりますけれども、この点については十分やっていきたいということと、対技術協力につきましては大体前年度並みで、大体約六十一億八千万円ぐらい技術協力をいたしておりますから、これは前年度並みで、これからも続けていきたいというふうに思っております。
  221. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 是非、特に日中間の人事交流に結び付くような方向でのかじ取りをお願いしたいと思います。  そこで、今スーダンのPKOについて要請が来ておりまして、日本から現地調査をするために視察団を送ったという報道がなされておるんですが、その後の経過というのはどういうふうになっておられるんでしょうか。これは通告してなかったですね。分かる範囲で結構なんですが。
  222. 遠藤善久

    政府参考人遠藤善久君) お答え申し上げます。  先日の衆議院の安保委員会で質問がございまして、スーダンのPKOにつきましては、先般、ニューヨークにおきまして設立の決議が採択されました。  外務省といたしましても、三月の前半に外務省調査団を現地に派遣いたしまして、いろいろ現地政府それから関係の国際機関と情報交換、意見交換を行いました。手元に調査団の概要持ち合わせておりませんが、ポイントとして申し上げますと、基本的には南北の和平合意は履行されていると、それから両当事者とも南北の和平合意を実施する強いコミットメントの意図を表明したというふうに調査団から報告を受けております。  以上でございます。
  223. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ありがとうございます。  新聞報道によりますと、このPKOが決まりますと、最大一万人の平和維持軍と七百十五名の警察官、そして日本は約二億ドルを負担することになるというふうにここに書いてあるんですけれども、そういう今までになく非常に複雑な、ただ単なる停戦監視団ではなく、いろいろな役割を負った言わば複合的なPKOになるとここにも書いてあるんですが。  それを行うに当たって、今、御存じかと思うんですが、欧州とアメリカの間でこのスーダンにおける刑事犯罪を一体どこに付託をしようかという議論がされているようなんですが、それについての一番最近の情報をいただけますか。
  224. 遠藤善久

    政府参考人遠藤善久君) お答え申し上げます。  御通告いただけなかったもので十分な資料等手元に持ち合わせておりませんが、今回ニューヨークで私が先ほど申し上げました採択されました決議、これはPKO設立に関する決議でございます。  一方、先生御指摘のとおり、犯罪の問題があるということで、これにつきましては引き続き安全保障理事会においてこのための決議を現在調整している状況にあると承知しております。
  225. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 こんなことを今申し上げておりますのは、治安維持という非常に幅の広いものについて一体どういう方向で考えたらいいのか。  ルワンダに最近大掛かりな調査団が行ってまいりまして、その結果がここに出ておりますので、最も治安維持に必要なものは何かというのが六項目出ております。それをちょっと今読み上げさせていただきますけど、安全、移動の自由、そして偏らない情報、貧困に対する問題、正義、そして教育と。言わば防衛をすればいい、あるいは戦争がなければいいということではなくて、非常に幅の広いPKOなりあるいは防衛なりがこれから考えられなくてはいけないという大変難しい時代になっているんだと思います。  そうした中で、小泉総理はあの人間の安全保障を高らかにうたった国連の昨年の演説をやったわけなんですけれども、私は、この防衛大綱の中身を読ませていただいて、どうしても、その人間の安全保障を本気で日本がやっているなというふうには受け止めることがどうしてもできないんですね。  例えば、ASEANは二〇二〇年までにEC並みの、AECというのを設立を合意しているんですけれども、最近のこのASEANプラス3、これの進捗状況というのは今どうなんでしょうか。
  226. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 今委員の御指摘のとおり、アジアは世界人口の約三分の一が居住をいたしておる、東アジアにおきましてはですね。今や大体世界のGDPの五分の一、世界の経済、準備高の約半分を占めておりますし、大変巨大な経済潜在力とダイナミズムの中心となっているのが東アジアでございます。したがいまして、この東アジア共同体というものをどう形成していくかということがこれからの世界平和にとりましては大変重要な問題になろうかというふうに認識をいたしております。  そういう意味で、我々といたしましては、アジアの諸国の地域が協力をいたしまして世界平和に貢献をしていこうということで、本年は初の東アジアサミットの開催も計画をされているところでございまして、少なくとも東アジア共同体の形成に向けて精力的に役割を果たしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  227. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は、この人間の安全保障というのとMD、ミサイル防衛というのは、一体どういうふうに考えたらいいのかな。つまり、ミサイル防衛を同盟関係の中で進めていった行き着く先は、結局軍事競争になってしまうんじゃないか。つまり、ミサイル防衛というのが本当に防衛、専守防衛のためだけの武器であるとすれば、これはやっぱり集団安全保障の機能の中に管理を持っていくべきではないかと、そういうふうにも、これはアイデアですけど思うんですが、防衛庁長官、いかがでしょう。
  228. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、ミサイル防衛をやることが他国に対して脅威となるのかどうか。これは全く、結論から言いますと、他国にとっては、ほかの国にとりましては脅威になりません。ミサイル防衛というのはあくまでも、飛来してくる、我が国に飛来してくるミサイルを撃墜するわけですから他国にとっては脅威でない。ただし、日本へ向けてミサイルを飛ばしてきたら、それは落としますよということでありますから、もう純粋に専守防衛的な考え方に基づいているわけでございます。  日本が脅威という認識を持てば、それは相手の国もやはり軍拡競争という流れが出てくる可能性は大いにあると思いますけれども、ミサイル防衛の性格上、私は、そのような傾向は、軍拡競争という流れは出てこない、このように思っております。
  229. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 正にそこのところをお聞きしているんですけど、完全に防衛のみに使うということであれば、それは全くおっしゃるとおりなんですよ。しかし、この防衛のみに使う武器を、同盟関係の諸国、同盟関係にある国だけを守ると。つまり、アメリカが言うところの同盟国と、友人とこう書いてあるんですけど、そういう国だけを守ると、それ以外の国は守らないよということですから、そこに入っていない国にとっては、外から見れば、防衛と言いながらミサイルの技術をどんどんどんどん付けていくと、あるいはその先に何を付けて、撃ち落とす技術というのは物すごい難しいですからね、それをちょっと変更して撃ち込んでくるということも当然心配するわけですね。私はそういう中国が非常に疑念を感じているというのは当然のことだと思うんです、同盟関係に入ってないんですから。  私がさっき申し上げた質問は、こういうものは、防衛のための武器であれば、同盟関係で管理をするんではなくて、やはり国連の集団保障、集団安全保障の中で将来的に管理をする方向が正しいんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  230. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、日本の導入しようとするミサイル防衛、これは日本を守る、日本のみを守るシステムであります。これは根本の問題であります。  それから次に、それではそういうことを、同盟関係を守るだけということでありますが、ミサイル防衛の役割としては、先ほども御説明申し上げましたとおり、攻撃的武器じゃなくて防衛的なものであります。したがって、そういう意味で軍拡競争は起こってこない。  第三番目の問題として、やはり集団安全保障という問題をどう考えたらいいのか、こういう問題当然出てくるわけでございますけれども、国連憲章というのは、国際の平和と安全を維持している、維持していくために国際協力をしていこうじゃないか、そのために集団安全保障体制をつくろうじゃないかと、こういうことであることはもうだれしも分かっていることなんでありますけれども、こういうふうな理想を目指して頑張ってきておるわけでございますけれども、この現状を見てみますと、やはり今でもこの正規の国連軍というのができてない、又、本来予定されているような形で機能してきたと言えない面が多々あるのではないか、こういうことで、国連憲章におきましても、他国の武力行使に対する集団的自衛権、個別的自衛権を認めて、その行使を認めているわけであります。  したがいまして、各国は自衛のための体制を自らがつくっていかなきゃいけない、これは当然のことでありまして、元へ戻りますが、我が国としては国民の生命、財産を守るために、もし仮に飛来してくるミサイルがあれば、これを言わば純粋に防御的な、他に代替手段がない、こういうシステムとしてこのBMDシステムを導入するということでございます。
  231. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 御答弁聞いておりまして、外から見ても、日本がその国力に見合った冷戦後の世界秩序をどうやってつくっていくかということについて、本当に自ら何かを提案していく、ここを目指していくという方向性が全く見えない、そういう方向を提示することができないんだなと。どうしても日米同盟の中に入ったというような発想に見られてしまうんだなということがよく分かりました。  この件についてはもっと質問をさせていただきます。ありがとうございました。     ─────────────
  232. 林芳正

    委員長林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として浜田昌良君が選任されました。     ─────────────
  233. 澤雄二

    ○澤雄二君 最初に、防衛庁長官にシビリアンコントロールについてお伺いをいたします。  言うまでもなく、自衛隊の存在の大前提がシビリアンコントロールでございます。この文民の最高責任者は総理大臣で、自衛隊の最高指揮者でもあります。また、防衛庁長官は具体的な運用面における自衛隊の最高意思決定者でございます。言ってみれば、シビリアンコントロールの象徴の一つでございます。  そういうお立場にある防衛庁長官に改めてお伺いしますが、シビリアンコントロールについてどういうお考え認識をお持ちなのか、お伺いをいたします。
  234. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、シビリアンコントロール、もう言うまでもありません、軍事に対する政治の優先、この一言で尽きると思います。軍事に対して民主主義的な政策統制を行っていく、これを意味するものであることは間違いありません。正に民主主義国家のこれ根本だと思っております。  じゃ、しからば具体的にどうなのかと、こういう問題は残ってくると思います。防衛庁としましても、自衛隊に対する政治の優先、政治の統制、文民統制に万全を期していきたい。それは、具体的にと申しましたのは、国会によるコントロール、コントロールも二つあって、一つは報告と承認、二つあると思います。それから内閣によるコントロール、それから、今、澤先生おっしゃった防衛庁長官としてのコントロール、こういうレベルの様々な問題であると思います。
  235. 澤雄二

    ○澤雄二君 シビリアンコントロールをしっかりと守っていただけるように、よろしくお願いを申し上げます。  本日、特に統合運用に絞ってお話をお伺いしたいというふうに思います。  防衛計画大綱、中期防、それから自衛隊、それから防衛庁設置法の改正、これから多分様々なことが議論になると思いますけれども、その中で、今国会で多分議論されるであろう重要なことについて、防衛庁の基本的なお考え方をまず国会の場で披瀝をしていただかないとこれからの議論というのは展開しないんじゃないかと、そういう趣旨で前回は緊急対処要領について集中して伺いました。今日は統合運用に絞ってお聞きをしたいというふうに思っています。  陸海空の三自衛隊を一体的、一元的にされた指揮の下で作戦行動を行おうとするのが統合運用でございます。これは、防衛庁設置法の改正によって新しく設けられる統合幕僚長によって一元的に指揮されるものでありますが、伺います。なぜ統合運用が必要なのか、その理由であります。
  236. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 各自衛隊それぞれの運用構想に基づいて個別に行動して、そして必要に応じ統合幕僚会議で統合調整をしていった、これが今までの在り方でありますが、この調整をするのではなくて、調整するということは時間が掛かる場合があるわけであります。これを、新設する統合幕僚監部の長である統合幕僚長がこの陸海空自衛隊を含めた統一的な運用構想を立案して、そこで部隊運用に関する軍事的見地から防衛庁長官を補佐していく、非常に効率的で一元的に実施できる、運用ですよ、運用だけの問題ですけれども、運用を実施できる体制ができると、こういうふうに思います。  そこで、そういうことをなぜ必要なのかという問題もお問いがございましたけれども、新たな脅威、多様な事態に実効的に対応するために多機能で弾力的な防衛力を構築しなきゃいけない、こういう時代の要請があると思います。この要請に対して効率的に運用していく、こういう問題だと思います。  正に、例えば一例で言いますと、スマトラ沖地震津波の場合にも統合調整という理念でやりましたけれども、陸海空の部隊が一体となって活動するニーズは増えているのではないか、こういう思いで今回一体的に運用、運用に限っておりますけれども、運用をしていこう、これはそういう意識で今回変えたわけでございます。
  237. 澤雄二

    ○澤雄二君 おっしゃるとおりだと思います。世界の主な国では、冷戦後九〇年代に入ってから統合運用への潮流といいますか流れが見られるようになりました。これは、冷戦が終結をして、つまり軍事の対決以外の新しい対決の形というか、まあテロとかゲリラもそうでございますが、見えてきた。それから、冷戦が終結したために軍事予算削減というのがあって、より効率的に運用しなければやっていけないというようなことがあって、その中で統合運用というのは世界の潮流になってきたわけでありますけれども、その世界の潮流から見るとちょっと自衛隊の統合運用は遅かったんじゃないのと、これはいかなる理由でありましょうか。
  238. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 澤先生おっしゃるとおり、進んでいる国から見れば後れているということは正しいわけでありますけれども、諸外国の軍の統合というのは欧米諸国を中心にして冷戦後に進展しております。各国の統合形態というのは国情、国の事情によって千差万別であり、その中には試行錯誤を繰り返している国もあろうかと存じます。例えば、統合が進展しておりますアメリカでございますが、各軍の体制を基本としつつ、平時から各軍を統合軍として保持しておりますし、またカナダについていいますと、もう一軍制だと、こういう状態であります。  そういう意味で、日本の場合、今回、安全保障環境が大いに変化した、これはやはり防衛力の果たすべき役割というのは多様化してきた、こういう状況でありまして、こういう状況に適切に対応するためには、やはり、度々申し上げて恐縮なんですが、多機能、弾力的、実効性のある防衛力、これを支えるのは一元化された運用である、こういうことで始めるわけでございます。
  239. 澤雄二

    ○澤雄二君 全くそのとおりであると思いますが、一面、心配はどこかにないのかなということでございます。  これまで三つの自衛隊の幕僚長がそれぞれ防衛庁長官に進言、助言をされていました。表現が的確かどうかよく分かりませんけれども、言ってみれば三人寄れば文殊の知恵体制で長官を補佐されていた。しかし、今度は防衛庁長官に助言するのも長官の命令を執行するのも統合幕僚長お一人でございます。言ってみれば、これも的確かどうか分かりませんが、唯我独尊型になると。一人の人間の判断に誤りはないのか、統合幕僚長に権限が集中することの弊害というのはありませんか。
  240. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 確かに、運用につきましては一元化してまいります。これは先ほど申し上げた多様な事態に対応する、そして効率的にやる、こういう意味でございます。しかしながら、統合幕僚長の権限としてはそういうことでございますが、その他の場合、陸海空幕僚長が運用以外、運用以外のそれぞれの所掌に関しましてやはり長官を補佐する、このことには変わりはございません。したがいまして、そういう意味で、運用については統合幕僚長、その他については陸幕長、海幕長、空幕長が直接長官を補佐する、この体制には変わりはございません。
  241. 澤雄二

    ○澤雄二君 アメリカの場合を申しますと、ベトナム戦争、それからイランの人質救出作戦、八三年のグレナダ侵攻作戦、これは全部アメリカが失敗した作戦でございますけれども、これらの作戦の失敗でアメリカは統合運用ということを考え出して、一九八六年にゴールドウォーター・ニコルス法というんで、今運用されています統合参謀本部議長、こういう制度に変わった、一元化をされたわけですね。  だけれども、このゴールドウォーター・ニコルス法の中には、議長以外の統合参謀本部のメンバーが統合参謀議長のアドバイス、大統領や国防長官に対するアドバイス、その内容について反対意見や補足を大統領若しくは国防長官に上申することができる。これは運用面も含めて上申ができるということになっています。  今度の自衛隊法の改正の中に、日本でもそういう制度を取り組もうかなというようなお考えはありませんか。
  242. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 御指摘のような、長官に各幕僚長、つまり陸海空の幕僚長が自衛隊の運用、運用に関して直接意見具申するような制度を創設する、今先生おっしゃったようなことを学んで創設したらどうかということでございますけれども、現時点ではそういうことは考えておりません。陸海空幕僚長は運用以外のそれぞれの所掌に関し長官を補佐する、こういう役割を果たしていくわけでありまして、その範囲内、運用以外の範囲内で最高の専門的助言者として直接長官を補佐していくという仕組みでございます。
  243. 澤雄二

    ○澤雄二君 三人寄れば文殊の知恵から唯我独尊型になりますので、その統合幕僚長というのは本当に有為なすばらしい人材がその任に当たられるように願うしかございませんが、先ほど長官もおっしゃいました、スマトラ島沖地震津波被害の救援に自衛隊が派遣をされました。陸上自衛隊の輸送ヘリと医療チーム、海上自衛隊の輸送艦、補給艦、護衛艦、それから航空自衛隊のC130の輸送機の出動、正にこれから自衛隊が始めようとしている統合運用の見本みたいなものでございました。  訓練とも言えるし、必然性の証明だったとも言えると思うんですが、しかし、一方でこの自衛隊のスマトラの派遣は、自主的判断ではなくてアメリカの求めに応じたものだという情報がございます。アメリカの救援部隊というのはすべて在日米軍からスマトラ沖に向かったと。ですから、これに呼応した自衛隊というのは防衛計画大綱の共通戦略目標の対応というのを実は今回のスマトラ沖の救援で先取りしたんじゃないかという批判が一部にございますが、これに対してはどういう見解ですか。
  244. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 振り返ってみますと、スマトラ沖地震津波で、まずタイから十二月二十七日に支援要請がありました。私は直ちに、翌日だったと思いますが出動命令を出しまして、幾ら考えても、そのときアメリカからどうのこうのなんという話はありませんでした。  自衛隊、ちょうど海上自衛隊艦隊が三隻、プーケット沖に、近くにおりましたので、シンガポール沖におりましたんで、直ちにプーケットに引き返して、そして救援活動に当たったわけでありますが、一月の三日だったと思いますが、タイの国防大臣から日本の迅速な行動に感謝すると、こういうような電話が、まだ役所が開く前でございましたので私の家に掛かってきたということでございますし、それからその後、インドネシアからの要請でございますけれども、一月三日に要請があって、四日には準備を命じ、そして直ちに出動命令を出したという経緯でございます。そのときも、特段我々はそういう意識もございませんでした。  ただ、この問題につきましては、やっぱりアメリカも一生懸命救援活動をしたわけでありまして、ベーカー大使から、アメリカの当時のベーカー大使から私のところに電話がありまして、やっぱり国際的な協力、日米で協力をしてこういう問題を支援していくことは大事なんだなと、こういう会話をしたことは覚えております。
  245. 澤雄二

    ○澤雄二君 このスマトラ沖の自衛隊の派遣では、統合部隊というのが今の法律では認められていますけれども、これはいまだかつて一度も編成されたことはないんですが、初めて統合連絡調整所というのが陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊によってつくられた。それぞれの幕僚監部が集まって、つまりどうやってコントロールするかということを話し合う調整所というのが初めて自衛隊の歴史の中でつくられた。だから、正にこれは統合運用の必然性みたいなものの証明であろうかと思うんですけれども、この結果はどういう成果が得られましたか。
  246. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 私は、やはり陸海空各自衛隊がお互いに協力しながら、連絡を密にしながら一つの使命に向かって立ち向かっていく、こういうことを学んでくれたと思っています。  その問題は、私はある程度落ち着いてから現場に行った、あれ今日か、今日ですね、今日その部隊が私のところへ報告に来てくれる予定になっていますけれども、そういう皆さんの意見を十分聞いて、自衛官諸君にも、いろいろ議論して反省すべきは反省して、新たな、新しい時代に大きな一歩を、第一歩を踏み出してもらいたいなと、こういうふうに思っております。  具体的には、ウタパオでリエゾンオフィサーの中心を置きまして、そして各地、例えばバンダアチェにまたリエゾンオフィサーを置いて、それぞれがこう情報を共有する、今やるべき使命を共有する、こういう格好でやりました。これは非常に大きな教訓、教えになったのではないかと、このように思っております。
  247. 澤雄二

    ○澤雄二君 これ通告していませんが、この統合連絡調整所はあれですか、リーダーとか指揮官みたいな方はいらっしゃったんですか。
  248. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 高田一佐という人がウタパオに……
  249. 澤雄二

    ○澤雄二君 どこの自衛隊の方ですか。
  250. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) これは航空、航空自衛隊の一佐でございます。
  251. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは続いて日米の安保体制、これは防衛計画大綱でも2プラス2でもますます緊密にしようという目的の下に今動き始めているわけでございますけれども、米軍への運用協力の観点からちょっと一つお伺いをいたします。  米軍のトランスフォーメーションで座間にやってくると言われています第一軍団司令部、またこの第一軍団司令部も、その部隊が別の組織になって名前も変わるかもしれないという報道は最近ございましたけれども、この第一軍団司令部だとすると、これは正に統合任務部隊でありますよね、ジョイントタスクフォース。それの司令部に指定をされている第一軍団だということですね。  米軍は、先ほど申しましたように、既に統合運用で一人の指揮官の下で四軍が同一作戦構想で動いていると。しかし、自衛隊は今のところ別々の指揮官の下で動いていると。統合部隊というのは法律上認められているけれども、編成されたことは一度もないと。だから、今までは全く別々で動いてきたと。  これから日米で協力で安全保障を守るということになってくると、その統合運用をしているアメリカと別々の日本では非常にまずいことが一杯起きてくるんではなかろうかと。それが今回の統合運用の目的の一つという認識でこれはよろしいですか。
  252. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) トランスフォーメーションとの関係でございます。  その中で、例えば座間へ司令部が来るという一つの仮定の下に、こういうふうに申し上げるのは、まだ何にも決まってないわけでありますからそういうふうにしか申し上げられないんでありますけれども、まず、そこでもう一つ仮定として申し上げなきゃいけないことは、仮に司令部がやってくるとしても、その司令部のマンデート、権限はどういう権限になるんだろうかと。これもまだ決まっておりません。したがって、そういう前提の下に、何も決まってない、もし仮に来るとすればと、こういう前提でお話をさせていただきたいと思います。  我々としては、あくまでも、多機能で弾力的な防衛力を構築して、これを効率的に運用する、これがもう基本であります。この時代の要請として、澤先生御指摘のように、一体となって、陸海空一体となって活動するニーズというのも増えてきている。こういう状況の下で、事態への対応の当初から、統合の視点で立案した運用構想に基づいて陸海空各自衛隊が有機的に連携していく、一体的に運用する、こういうことが可能となって、より迅速かつ効果的な任務を遂行することができるわけであります。  そこで、お尋ねの問題でありますけれども、自衛隊と統合軍である米軍との共同作戦を円滑に行うというような目的が一体あるのかどうか、こういうお尋ねでございますけれども、これは言わばそういう統合という意義は今申し上げたとおりでございますが、このような統合運用という、日本の自衛隊の統合運用という新たな体制への移行というものは、アメリカと共同作戦を円滑に行うことを直接の目的にはしておりません。直接の目的として実施するものではないわけであります。  とはいいつつも、やはり日米安全保障条約を円滑に行っていく、我が国としてはやはり自衛隊と米軍との連携は重要である、この意識は持っています。しかし、直接そういうことを目的としてやるんではありませんよ、この認識は重要な認識だと思います。そういうことで、統合運用が進められている米国との間において緊密な連絡は保持するけれども、共同作戦をという意識ではございません。
  253. 澤雄二

    ○澤雄二君 防衛庁長官の言われました、とはいいつつものその後段の部分が実は非常にこれから重要になってくるんだろうと思いますので、それがどのように発展をしていくのかということについてしっかりと注目をさせていただきたいというふうに思います。  続いて、情報通信関係についてお伺いいたしますけれども、御存じのように、現在の情報通信技術というのは物すごい進歩をしております。言ってみれば、情報通信技術で何でもできると言っても過言でないぐらい進歩していますから、こういう段階での戦争というのは、作戦というのは、これを左右してうまく使ったやつが勝つだろうというふうに思われます。  今回、この統合運用でいろんなお話を伺っていると、例えば三自衛隊の無線もいろんなところに使うんでいろんな周波数があるようですが、この周波数がばらばらで実は統合運用なんかとんでもないんだとか、そういうまあ原始的な話をされているところもあるわけでございます。そういう原始的な話はさておいて、統合運用を本当に効率的にやるんだったら、この情報通信というのは、言ってみれば、新しい統合運用の戦略を作って構築をしていかなければ多分本当の働きはできないだろうというふうに思うんですが、これは何かお考えありますか。
  254. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 全く澤先生御指摘のとおりだと思います。  組織的に言いますと、これは情報本部というのを防衛庁長官直轄の組織としてつくるということが一つあります。それで、情報をそこで一元化してきちっと情報共有をみんなでやっていこう、これが一つあります。それから、今冒頭におっしゃったいろいろな周波数が違う。これは今後十分検討してもらって、同じシステムにできるものはしていく、この努力は絶対にやっていかなきゃいけないと思います。  そこで、中期防におけるこういう情報能力の強化の問題でありますけれども、そういう意味じゃ、幾つか例示的に申し上げますと、例えば指揮系統を充実させていくという目的があります。それから、陸海空自衛隊間の相互の情報の共有、大事なことであります。それからもう一つは、アメリカ等との情報の共有、こういうような問題があります。  そういうことで、今後五か年間の具体的な事業計画を今後の情報通信政策アクションプログラムとしてまとめて実施、実行していく予定でございます。
  255. 澤雄二

    ○澤雄二君 今長官言われました最後の部分ですね、米軍との情報の共有化というのは一体どれぐらいのスピード、それからどのデータ、どの情報の共有というようなことを考えていらっしゃいますか。
  256. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 例えば、問題、概括的に、余り明快な答えにはならないかもしれませんけれども、最新のインターネット技術を用いた通信機器を整備することによりまして画像を共有する、電子メールによる情報共有をする、こういうような問題があろうかと思います。それから、目標の位置情報等について詳細なデータの把握としてデータリングを拡充していく、高速かつ詳細なデータの共有を推進していく、こういう問題でありますから、部隊行動の様々なレベルで必要とあればいろいろな情報をアメリカと共有することが大事ではないかな、こういう思いであります。  具体的に何だと、こういう御質問になりますと、ちょっとそこは答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  257. 澤雄二

    ○澤雄二君 いや、そこまで御答弁をいただけるとは思っておりませんけれども、今お話を伺っていると、相当なデータの共有化でございます。今御答弁いただきましたので、せっかく答弁いただいたので、次の機会にもうちょっとこれ、お話を伺いたいなというふうに思っております。  スマトラ島沖地震の救援部隊の派遣というのは、正に統合運用の必然性みたいなものであったわけですけれども、このほか、迅速に有機的に一元的に展開が必要だというような作戦は幾つかあると思うんですけれども、一体どういうことを想定されているのかということと、それから、もう時間が来ましたので、ミサイル防衛の統合運用については相当突っ込んでもうお考えになっていると思うので、併せて御答弁をいただきたいと思います。
  258. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 簡潔に、簡潔に具体的にお答えしたいと思います。  弾道ミサイル攻撃、これは空自、海と空であります。それから、ゲリラ・特殊部隊、これは陸自、海自が中心になると思います。島嶼部、これは陸海空統合ということになろうかと思います。周辺海域警戒監視、それから武装工作船、これは海自と空自が中心。特殊災害等、これはもう言うまでもなく三自衛隊統合でやっていこう、こういうふうなことを考えております。
  259. 澤雄二

    ○澤雄二君 もう一回詳しく、ミサイル防衛の点だけ具体的に御答弁いただけますか。空自と陸自で一体、その指揮権は一体どちらに持たせるんだと、どういうことを考えているんだと、統合運用で。
  260. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) ミサイル防衛の、ミサイル防衛でございますけれども、これは言わば海自と空自の連携の下で迅速な対応を行う必要があることは言うまでもありません。統合運用不可欠でございます。必要に応じまして統合任務部隊というものを立ち上げます、統合任務部隊であります。指揮官としましては、航空総隊司令官をこれに充てます。その隷下部隊としては、イージスBMDシステムを有する艦艇部隊、それからPAC3システムを有する高射部隊、それから地上レーダーを有する警戒管制部隊、こういうことであります。
  261. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございました。以上で終わります。
  262. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 新防衛大綱について、大野大臣にお伺いいたします。  新大綱は日本の安全保障の目標として、日本に脅威が及ばないようにすること、これが明記されております。脅威というだけでは大変あいまいで内容が分からないわけですけれども、具体的に何を指すのかお伺いいたします。
  263. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 新防衛大綱で特定の国を脅威ということは言っておりませんし、そういう考え方は一切いたしておりません。しかしながら、例えば国家間で紛争が起こって軍事行動が始まった、これは私はやっぱり脅威としてとらえるべきじゃないか、こういうふうには思います。  ただ、新しい国際安全保障環境の変化によりまして、国際テロ組織などの非国家主体、これが世界のあちこちで出てくる、これはやはり脅威として、人類共通の敵として戦っていかなきゃいけない、こういうふうに認識いたしておりますし、そのような大量破壊兵器、これもやはり大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織の活動等、こういうような新たな脅威、多様な事態への対応というのは、やはり今日の国際社会にとりましてきちっと対応していかなきゃいけない問題だと思います。  そういう意味で、先生も十分御存じのとおり、弾道ミサイル防衛とか、あるいはゲリラ・特殊部隊による攻撃あるいは島嶼部に対する問題、こういうことにきちっと対応していこうと、こういうことであります。
  264. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 答弁は簡潔にお願いしたいと思うんですけれども。  いずれにしろ、直接に攻撃を受けたり、あるいは侵略されたこととは違うことだと思うんですね、今述べられたことは、そうですよね。防衛大綱において脅威が及ばないようにすることを目標にしたのは、しかもこれまでつくられている前の比べてみても初めてのことだと思います。  同時に、国際平和協力活動に積極的に取り組む必要があるということが明記されているわけですけれども、自衛隊の海外での活動を広げようとするということだと思いますが、これは、今大綱の目標として質問しましたけれども、それに沿ったものにという考えからなんでしょうか。
  265. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 国際的な安全保障環境を改善していく、それによって脅威が出てくるのを、脅威が日本に出てくるのを防止する、あるいは紛争が終わった後も人道復興支援等をやって再びそういうようなものが出てくる、不安が出てくることを防ぐ、つまり世界の平和は日本の平和、世界の安全は日本の安全だと、こういう言わば仏教の言葉で言いますと自利利他みたいなことではなかろうかと思っています。
  266. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、脅威が及ばないようにすると言うけれども、どこで起こる脅威かということについては特定されていないわけですよね。何が日本にとって重大かということもここには書かれていないわけです。政府は今後、国際協力活動について所要の体制を整えると、もうそういうふうにここの中で述べられているわけですけれども、自衛隊の活動範囲については限定はないんでしょうか。
  267. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 地理的限定という意味でございましょうか。
  268. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい。
  269. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 地理的限定は設けておりません。
  270. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 世界の平和が日本の平和ということになるならば、世界で起こること、そこで起こり得る脅威、それに対して対応するということになる。そうすると、地理的限定がないということになると、仮に地球の裏側までその範囲に入るということになるんでしょうか。
  271. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) こういう国際平和協力活動というのは、武力行使をしない、武力行使と一体とならない、これが大原則であります。  それから、政策判断の問題があることは緒方委員、十分御存じのとおりだと思います。そういう意味も含めて政策判断が、あとが、まあ限定はないけれども言わば制限が付いている、きちっとした制約が付いている、そしてまたそこに政策判断の問題もあろうかと、こういうふうに思います。
  272. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、今の大臣の御答弁でも、制約について政策的にも幾つかのことが述べられましたけれども、しかし、仮に極端な話として、地球の裏側まで行くということについては、その点については否定されなかったと思うんですよね。  私は、政府の従来の政策や見解から見ても、脅威が及ばないようにするという考え方、それを自衛隊の活動の基本に仮に据えるとしたら、これは重大な変化だと思います。周辺事態法のときには、地域の限定がない、これが問題になりました。今度の大綱で言う脅威という言葉、これは周辺事態よりも、今大臣おっしゃられたように、はるかに広い概念なわけですよね。  自衛隊の活動の目的をこのように広げるということは、やはり従来の防衛政策から比べて大きな政策変更になるんじゃありませんか。
  273. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、自分の国を守る、このことが一つありまして、もう一つは、国際平和環境、安全保障環境を改善していく、これは変更があると思います。今までは、国際的な活動というのは一方的な国際貢献であったと。しかしながら、そうではなくて、そういう国際平和環境を良くする、改善するということは、やはり国際的に見て日本の安全保障につながってくるんだ、こういう意味で私は考え方が世界的な広がりが出てきたと。  しかしながら、繰り返して申し訳ありません、武器、武力行使とか、武力行使と一体になる、これはもう絶対駄目であると、このことは御了解いただきたいと思います。
  274. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大綱を九年ぶりに見直すということ自身、やはりそれはやはり政策の大きな変更があるということを示していると思いますし、今大臣おっしゃられたように、国際活動の分野ですね。そこで大きな変化があるということの御答弁だと思うんですね。  新大綱の目的と周辺事態法の目的、これは全く違うわけですよね。やはり私そう思いますよ。周辺事態法は、そのまま放置していれば我が国に対する直接の武力行使に至るおそれがある事態等を始めとして、その周辺の地域における云々という、そういう第一条があるわけです。それに対して、今回の事態はまるっきり違うわけですね。  そこでお伺いしますけれども、先ほど同僚議員の質問で、国際平和協力活動のため、新大綱で言う「自衛隊の任務における同活動の適切な位置付け」というその点を、いわゆる本来任務化と言われてきたことについて、大臣はそれについて本来任務化ではないという、しないという、そういう意味の答弁をしたように私は理解したんですが、その点ちょっと正確にお聞きしたいと思います。
  275. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) もう一度その点を繰り返させていただきます。  自衛隊の任務には、本来任務とそれから従たる付随的任務というのがございます。それで、自衛隊法三条では、いわゆる本来任務ということで、我が国を守るんだ、本来の自衛隊の行動を規定しているわけでございます。本来任務、本来任務の中に、主たる任務とそれから従たる任務、この二つがあるわけでございまして、この二つの中で、つまり、もう一遍繰り返しになりますが、本来任務の中の主たる任務、これは防衛であります、自衛であります。そのほかは従たる任務、本来任務であるけれども従たる任務。従たる任務は本来任務の中の主たる任務に差し支えない限りやっていこうと、こういうことでありますから、例えば公共の秩序を守る等々々でございます。そのことを申し上げたつもりでございます。
  276. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 分かりました。  そうすると、国際平和協力活動というのは、本来任務化ということになるんですか。
  277. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 本来任務の中の従たる任務と、こういうことになります。
  278. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 本来任務の中の従たる任務と。分かりました。  そうすると、大臣が、私新聞でたまたま読んで、会見で見たわけですけれども、この自衛隊の国際活動を本来任務化するというその点について全面的に肯定されているわけですね。これは十一日前の十八日の会見ですけれども、国際安全保障環境を良くするのだと、そのために自衛隊が働くのだという平和のメッセージを全世界に出していくんだと。したがって、そういう活動が今付随的任務に位置付けられているから、これを自衛隊任務の中でやはり本来任務化していくと、そう述べられているわけですけれども、その意味での本来任務化ですよね。
  279. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 本来任務、もう少し詳しく説明すれば、本来任務の中の従たる任務にすると、こういう趣旨でございます。
  280. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いずれにしても、これまでの扱いからすれば大きくそれを位置付けるという、この大綱にあるとおり、表現にあるとおりです、そういうことになっていくわけですよね。これはやはり大変大きな問題で、言ってしまえば、今大臣が言われた意味の本来任務化、これは自衛隊の活動を政府が自ら課してきた制約を広げていくということにならざるを得ないと、私はそういうふうに思うんですね。  つまり、どういう意味かというと、これまで自衛隊を自衛のための最小必要限の実力だと説明してきました。その従来の政府見解に照らしていけば、国際海外活動を本来任務にしていくというのはやはりこれはおかしいと私は思うんですよね。PKO、アフガンやイラクでの活動も必要最低限の超える活動だったと私は思います。  しかし、それを更に、先ほど言った、私の質問に答えられたように、更に範囲を大きく広げて進めていく、そういうことはやはりこの国際海外活動を大きく広げていくことになるわけであって、つまり、これまでPKOやアフガンでもイラクでも、本来任務ではない任務としてやってきたものをこれを大きく位置付けるということになるじゃありませんか。
  281. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 付随的任務を本来任務の従たる任務にすることがどういう意味を持つんだろうかと、このところはやはり考えていただきたいと思います。  本来任務、もう今から本来任務とだけ言わしていただきます。本来任務にするということは、言わば、本来任務にしたから武力行使をしていいとか、そういう問題でもありません。それから、PKO五原則は無視する、こんな問題ではありません。PKO五原則はきちっと遵守しなきゃいけない、当たり前のことであります。あとは、武器使用の原則をどうするんだと、これも従来どおりの武器使用の原則できちっとするわけであります。言わば、これまでやってきた付随的業務、付随的任務としてやってきたことを、これは自衛隊として二つの意味で本来任務にしていきたいと。  一つは、平和国家日本として、やはりこの本来任務の主たる任務に差し支えない限り、平和ということを重く考えてやっていこう、世界的な平和ということはやっぱり自分の安全にもかかわってくるんだと、平和のメッセージを出していこうと、こういうことが一つあろうかと思います。  それからもう一つは、やはり厳しい国際、生活環境の中で一生懸命頑張っている自衛官の諸君、こういう平和協力活動を厳しい生活環境の中でやっている自衛官の諸君にやはり自覚と誇りを持ってもらいたい、あなたがやっていることは国際平和のためにやっているんだと、こういう自覚を持ってもらいたい、こういう大きな意味が私はあると思っています。
  282. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これまでの政府見解というのは、自衛のための必要最小限の、限度の実力を保持することまで禁止する趣旨ではないと、そういうものでした。これを超える実力を保持することは禁止されているんだと。  しかし、今大臣が言われたように、新しく海外任務にそういう形で発展させていくとすると、それがどこに行き着くのか。やはり私は憲法に触れる問題になってくるし、そして、それを仮にいろいろ述べられても、結局は自衛あるいは国防が目的ではなくて、脅威が及ばないようにするという、そこに目的を置いて活動をする以上、私はこれまでの政府見解も超えるものにならざるを得ないし、そしてまた、これまで大綱でも言われてきた、これまでの大綱で繰り返されてきた専守防衛にも反するし、そしてまた同時に、他国に脅威を与える大国にならない、軍事大国にならないと言ってきた日本の立場とも違ってくる。このことを私は指摘しておきたいと思うんです。  次に、日米間の戦略問題について伺っておきたいんですけれども、アメリカは日本を含む同盟国との戦略を共有を進めようとしておるということですけれども、これにどういう態度を取るのかということが非常に大事だと思うんです。  報道によると、アメリカのファイス国防次官は三月十八日に、来年初めまでにまとめる四年に一度の国防戦略見直し、QDRの策定作業に同盟国の参加を求めるということを明らかにしております。現時点までに同盟国のQDR策定参加についてアメリカ側からどのような説明があるのか、アメリカから要請されれば日本も策定作業に参加することになるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  283. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 御質問に答える前に、憲法違反じゃないかという御指摘にだけお答えさせてください。  私は、我が国憲法上保持し得る自衛力というのは自衛のための必要最小限度のものである、これはそのとおりであります。しかしながら、国際平和協力活動を本来任務化する場合であっても、自衛隊が我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織である点を変えるものでは絶対ありません。それから、先ほど申し上げましたようなPKO五原則あるいは武器の使用の原則、これを変えるものでもありません。専守防衛という基本的な防衛の理念は変わっておりません。そういう意味で、憲法の九条に違反するものではない、このことをまず申し上げたいと思います。  それから、今お尋ねのありました点でございますが、そういう報道というのはもちろんあるわけでございますし、我が国として新たな安全保障環境とその下における共通の戦略目標、日米の役割分担、在日米軍の兵力構成を含む軍事態勢の安全保障全般に関する米国との戦略的対話、これは主体的に取り組んでいこう、こういうことを明らかに防衛大綱、新しい防衛大綱の中でも明らかにいたしております。この点は二月十九日の2プラス2においてもはっきりと言っているわけであります。  今後とも、同盟国である米国の国防政策の動向を引き続き注視していくことは当然でありますし、戦略的な対話を続けていく、これも当たり前でございますけれども、あのQDRの策定作業に一緒にやろうとか、そういう話は全く聞いておりませんし、それはそれで日本のオブザベーションというか観察、日本考え方、これを先方が取り入れる、対話の中から取り入れていくことはあり得ましょうけれども、それは、相手の国防政策を一緒につくるということは、これはあり得ない選択肢だと思っております。
  284. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 憲法違反の話は、これは長い話になりますので、時間がないので不同意だということだけ述べておきます。
  285. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 分かりました。
  286. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それで、今QDRに、策定には参加することは当面ないという、そういうふうに伺いましたけれども、私は、いずれにしても新大綱が、戦略目標に関する日米の共通の、認識共通性を高めるというふうに明記しているわけで、その点、今大臣が言われたように様々な形で協議していくということですよね。  いずれにしても、アメリカは世界でも唯一の超大国、超軍事大国としてあるわけですよね。そして、軍事オプションも大きく存在していると。実際にそれを行動することもある。しかし、それに対して日本はやはり憲法九条、前文もありますけれども、それを持っている国だと。それがどういうふうにして戦略を共有するのか、そこが非常に大きな問題点だと思うんです。  私は、そういうことはやはり本来、軍事大国と日本のような国との間でそういったことを行うことということ自身が大変無理があるということを申し上げたいと思うんです。そして、それは日本の憲法、憲法を持っている日本としてそぐわない、やってはならないことであると、そのように考えます。
  287. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、アメリカとの様々な意味での戦略対話でございます。  このことは、やはり役割分担、任務の分担があると思います。世界平和を望むのはアメリカも同じであるし、日本も世界平和を望む国であります。しかしながら、世界平和を望むために武力行使をしたり、武力行使と一体化してはいけない、これは日本のはっきりとした考え方でございます。だから、そこで役割分担が、国際的な戦略の場合には役割分担がありますねということは私、アメリカ側に度々言っていることであります。
  288. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり、よく小泉総理も言われるように、世界の中の日米同盟と言われます。これはやはり今、さっきからの議論でいえば、また答弁でいえば、新たな脅威への地球的規模での対応ということになるわけですよね。もうそれ自身が果てしなく日米軍事同盟を地球に広げていくということになっていくと思います。  それに加えて、さらにファイス国防次官は昨年の十一月にこういうことも述べているわけですよね。これから日本共通して持っている世界じゅうの安全保障上の懸念に対して日本とともに行動する、そして航空部隊も海上部隊も陸上部隊も利用できる施設、これを確保していくと。こういう形で戦術を発展させ、ともに訓練し、合同作戦を行っていく、こういうことを述べているわけですよね。その中にこの新大綱がすっぽり入ると私は思います。  したがいまして、自主的云々とおっしゃられましたけれども、正にそういう中に日本の国防政策が置かれ、より危険な方向に進んでいるということを指摘せざるを得ない、このことを述べて、質問を終わります。
  289. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛大綱について伺う前に、二、三、通告はしてございませんが、基本的なことをお伺いしたいと思います。  防衛庁、大野大臣は、現在の自衛隊の実力、そして装備から判断して、自衛隊は戦力とお考えですか、それとも戦力でないと判断なさいますか。
  290. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 戦力とか戦力でないというのは、言葉の問題、定義の問題になります。  私は、今の自衛隊の在り方というのは、これは日本の防衛にとりまして必要最小限度のものは持っている、必要最小限度の抑止力プラス多機能弾力的対処力を持っている。そして、それをバックアップしているのが日米安全保障条約であると、このように考えております。
  291. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほど同僚議員の御質問に対して長官は、普天間の問題と関連して辺野古へ基地を移すことが基地の削減につながるということをおっしゃいました。これは非常に理解に苦しむ点でございまして、どうも沖縄側が主張している基地の削減というのと、政府がおっしゃる基地の削減というのは違うのではないかと。  沖縄側は、基地の削減というよりか基地の全般的な撤去を求めているわけなんですね。二〇〇一年までに、沖縄には基地が四十一ありましたから、二〇〇一年までに十の基地を返してもらうと、二〇一〇年までに返しやすい場所から十四の基地を返してもらうと、そして最後の二〇一五年までには残りの十七の基地を全部返してもらって、二〇一五年には沖縄を基地のない平和な沖縄、平和な社会にしようというのが沖縄の基地削減ということの意味なんですね。これは単に行政が決めたんじゃなくて、県民投票を踏まえ、そして県内の主要な八十四の団体の意向を調査して、結論としてそういう計画を立てて、これは基地返還行動計画として、日米両政府に対してそれを日米両政府の政策として決めてくださいということをお願いしたわけなんですね。  そして、少女暴行事件が起こりましてSACOというのができて、十の基地を返してほしいといってお願いしましたら、普天間を最優先するという形で十一の基地を返すことになったわけです。  そのときに、沖縄県の方では、基地というものはグアムやハワイが歓迎すると言っているからグアムやハワイに移そうと、そういうことで削減につなぐ、撤去につなげるということでやったわけなんですが、どうも辺野古に基地を移すことが基地の削減につながるという考え方は、前にもお話ししましたように、滑走路の長さをSACOで千三百としているのを今二千メートル以上にするという形になって、基地の削減とは到底考えられないわけですよ。  ですから、その辺りの基本的な考え方がどうも根本的に食い違っているという感じがするわけですが、その点についてどうお考えでしょうか。
  292. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 沖縄の基地問題、本当に長くて重い歴史の背景があります。  少女暴行事件、一九九五年、そしてあの普天間についての橋本・モンデール会談、それから紆余曲折を経てようやく平成十一年に閣議決定があって、ようやく基本計画ができたのが平成十四年。  問題は、だれしも普天間は、これはあそこに残しておいてはいけないな、そして、それをどこかへ移さなきゃいけない、あるいはどうなのかと、こういうところでもう非常に苦渋の選択があったと私は理解しております。  そこで、今、大田委員のおっしゃいました、これは負担の軽減というのは何だ、こういう問題とつながってくると思います。負担の軽減というのは、私も沖縄へ参りましていろんな方にお目に掛かってお話を拝聴している中で、やはりこれは数字で表されるものではない。もちろん数字で表される問題もあります。しかし数字で表せない問題もあるんだなと。それは何かというと、危険、あるいは騒音、不安、こういうこともしっかりと考えていかなければならないなと。そういうふうな考え方からすれば、あの普天間というのは正にもう町の中に飛行場があるようなものですから、これを辺野古に移す。これは苦渋の選択であっても沖縄の負担の軽減、言わば危険とか不安とか、そういうものにつながっていく一つの道ではないかと、このことをずっと申し上げてきているわけであります。
  293. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 まだちょっと理解に苦しむわけですが、辺野古に移すということは、現在普天間の年間の維持費、これは三百万ドルくらいですが、辺野古に移したら二億ドル掛かるわけですね、維持費だけで。そして、沖縄は慢性的な水飢饉のところで、水飢饉で苦しんでおりますが、今の普天間のヘリコプターを辺野古に移したら、今二週間に一遍真水で洗浄しているのを一週間に一遍真水で洗浄しないといけないと。そうすると、百万トンの真水が必要だというけれども、どこからこの真水を持ってくるかとか、いろんな問題があるわけなんです。  ですから、そういうこと、問題があって、しかも米軍は、アメリカ政府へ行きますと、SACOの第一次、SACOを実現すれば沖縄の米軍基地の二〇%が減るから大いに削減になるんじゃないかというわけなんですが、実はそうじゃなくて、二〇%というのは、そのSACOの中身をごらんになっていただくとよくお分かりいただけると思いますが、実弾射撃演習するための沖縄本島北部の山林地帯を随分大幅に囲っておったわけです。そこで要らない場所を返すということで、その地域を返すということであって、県が望んでいる中部地区や南部地区の危険な基地を減らしてくれというのとは違うわけですよ。ですから、その二〇%返すことになるということは、地元から言えば削減という名には値しないというふうに見ているわけなんですね。ですから、その辺を是非御考慮をいただきたいと思います。  次に、長官は自分の国は自分で守るということが国防の基本だと繰り返し繰り返しおっしゃっております。そうおっしゃる、自分の国は自分で守るという場合は、今の日米安保体制を前提になさっておっしゃっているんですか。
  294. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) これは全体像の中で、先ほども私申し上げました、この全体の日本の安全保障をどういうふうにして構築していくか。この一番は、やはり自分の国を自分で守る自衛隊の問題をどういうふうに考えていくか。そして、その次には安全、同盟国との関係、日米安全保障条約をどう、どういうふうに構築していくか。それから、三番目というか、もう一つ考慮しなきゃいけないのは、世界全体、国連始め世界全体の問題をきちっと考えながらやっていかなきゃいけない。  これは、まず第一の問題は、これは自分で当然やるべき問題であって、よその国に日本を守ってくれというような話ではない。そのために、やっぱり必要最小限度の守りというものは必要であろう。これが私が申し上げている、まず自衛隊、それから日米安全保障、そして世界全体をきちっと視野に入れて日本の安全保障を考えていかなきゃいけない、こういう問題であり、そのことは防衛大綱の中にも明らかにされていると思っております。
  295. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 自分の国は自分で守ると。  現在、日米安保体制の下で国防が考えられているわけなんですが、自分の国は自分で守ることが国防の基本だとするならば、安保体制を前提にするのを含んでのことでございますが、どうして日本の他の都道府県、一部の都道府県は基地を負担しているんですが、他の都道府県は基地、基地を負担するのに対して文字どおり大反対しているんですか。その理由は何だとお考えですか。
  296. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 大変難しい問題であります。これは歴史というものをやはり考えてみなければいけない、そういうことになろうかと思います。  歴史の中で、この沖縄は特にその歴史の重みを、日米安保条約、今になってみれば日米安保条約、これの重みを随分と背負っておられるんだな、だからこそ、今回の我々が言っておりますトランスフォーメーションにおきましてもやはりこの沖縄を始めとする地元の過大な負担というのは軽減していこうではないかと、こういうようなことで取り組んでいるわけでございます。
  297. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今長官は沖縄に対して非常に御理解のある発言をなさったわけなんですが、我々が懸念しておりますのは、自衛隊の、現在沖縄にいる自衛隊の師団を、旅団に格上げして、もっと兵力、自衛隊の兵力を増やすということをお決めになったようですが、それは事実ですか。
  298. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 現中期防におきまして、第一混成団の旅団化を予定しております。ただし、時期及びその内容については今後検討することといたしております。
  299. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 自衛隊を増やすということは事実ですか。
  300. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 基本的に、内容まだこれからでございますが、混成団を旅団化するということでございますので編成は充実をさせるという方向でございます。
  301. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、さらでだに米軍の過重な基地を抱えて非常に苦しんでいる状況の中で、なおかつ自衛隊まで増やしていって、しかも普通科部隊を宮古、八重山に配置するという計画もあると聞いて大変懸念しているわけなんですが、そういうその政府の一方的な、自分、自らの安全を守るとかと言いながら一方的に犠牲を弱い立場の人々に掛ける形で安全保障を考えるという、その基本的な問題はいま一度真剣に考えていただきたいと思います。  防衛計画の大綱の問題に移らしていただきます。  今回の防衛計画の大綱の中で、見通し得る将来において我が国に対する本格的な侵略事態が起こる可能性は低下していると述べている一方で、我が国への新たな脅威の一つとして国際テロ組織の活動が取り上げられています。  具体的にどういう国際テロ組織のことを念頭に入れておられるのでしょうか。また、我が国がそのような国際テロ組織の攻撃対象になるおそれがあるとするならば、その根拠はどういう点でしょうか。
  302. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 新しい防衛大綱において、この問題、次のような認識でおります。  従来の国家間の軍事的対立という問題のみならず、やはり今委員おっしゃったような国際テロ組織など非国家的主体が重大な脅威になってくる、これはもうこのような認識でおるわけでございますが、具体的なテロ組織、何を考えているんだ、こういう問題でございます。これを明快にこれとこれとこれだと言うのは極めて困難なことでありますけれども、一例として挙げてみますならば、やはりアルカイダあるいは東南アジアにおけるジュマ・イスラミア、こういう組織がやはり念頭にあると、このことは申し上げられると思います。
  303. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 重ねていま一つお願いいたします。  多機能で弾力的な実効性のある防衛力とは一体どういう防衛力を指すのですか。特に、従来の基盤的防衛力という我が国の防衛の基本的な考え方、考え方とどこがどういうふうに違うのでしょうか。
  304. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 第一に、従来までは抑止力という面に重点を置いて考えておりました。  今回、重々御説明申し上げておりますけれども、やはり新しい脅威、いつどこでどこからそういう脅威が出てくるか分からないようなテロをお考えいただくと分かるんでありますが、テロとかゲリラとか島嶼の問題、島の問題、あるいは特殊部隊ですね、こういうことを考えると、テロというのは抑止力なんか全然考えずに出てくるわけであります。もちろん、従来型の抑止力は必要最小限必要でありますけれども、それに加えて、やはり所構わず抑止力なんか考えずに発生するテロ、こういう問題はきちっと対処していかなきゃいけない。この対処の仕方として、一つは国際協力の問題がありますし、もう一つ日本自体としてそういう脅威が出てきた場合はきちっと機能して対応していかなきゃいけない。ですから、脅威が、一つは脅威がミサイルからテロ、ゲリラに多機能、多様化している、それに対して多機能な防衛力が必要である。  それから、弾力的というのは機動力の問題を一例で考えていただくと分かると思いますけれども、例えば、従来であれば戦車を持っていれば、日本は戦車を何台持っていますよ、すごいですよということが言えたのかもしれませんけれども、戦車というよりも、やはり機動力のある、展開力のある、現場へすぐ行けるような、そういうような問題を考えなきゃいけない。そして、きちっと、存在するだけではなくて対応していかなきゃいけない。  そういう意味で、多機能、弾力的、対応力のあると、こういうキーワードを使っているわけでございます。
  305. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛局長にお願いいたします。  我が国を取り巻く新しい安全保障環境についての認識を簡潔に教えてください。
  306. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 基本的に冷戦構造崩壊後でございますが、ヨーロッパと違いましてまだ、ヨーロッパは伝統的脅威が存在しないという世界になっておりますが、我が国の場合、防衛大綱にございますように多様な、新たな脅威、多様な事態が想定をされるということでございます。また、地域には、大綱に書かれているようにいろいろな不安定要因も存在をしているということかと思います。
  307. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あと一つだけお願いいたします。  新中期防衛計画で示された六つの基本方針と主要事業の概略、概要についてごく簡単に教えてください。
  308. 林芳正

    委員長林芳正君) どなたが御答弁されますか。
  309. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 済みません。ちょっとお待ちください。
  310. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) まず、計画の方針、計画の方針でございますが、まず多機能で弾力的、実効性のある防衛力を効果的に整備するということ。  それから二番目に、新たな安全保障環境の下、新防衛大綱に定める新たな防衛力体制への、早期かつ効率的に移行する。  それから、多機能で弾力的な実効性ある防衛力を実現するため、科学技術の発展に的確に対応、人的資源の効果的な活用を図りながら、統合運用の強化、情報機能の強化を図る。  それから四番目に、防衛力の整備、維持運用に関しまして、関係機関、地域社会との協力の強化を図る等各種施策を推進する。  それから五番目、日米安保体制は我が国及び極東の平和にとって不可欠ということで、日米安全保障体制を基調とする日米両国の協力関係を国際的取組を効果的に進める上にも重要であるという認識の下、日米間の協議を推進する。  それから六番目として、格段に厳しさを増す財政事情を勘案して、防衛力の一層の効率化、合理化を図り、経費を抑制するというのが六つの方針でございます。
  311. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  312. 林芳正

    委員長林芳正君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  313. 林芳正

    委員長林芳正君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のうち、平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画等について参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会