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2005-03-15 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 谷川 秀善君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君        外務大臣政務官  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      遠藤  啓君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁長官  山中 昭栄君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        外務大臣官房長  塩尻孝二郎君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房審        議官       西宮 伸一君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省国際法局        長        林  景一君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件)     ─────────────
  2. 林芳正

  3. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山本一太

    山本一太君 事前通告をしておりませんが、分かる範囲外務省の方にお答えいただければと思うんですけれども、昨日、日本時間の午後七時半ぐらいだと聞いておりますが、マラッカ海峡日本船籍のタグボートが海賊に襲われたと、そして日本人船長機関長フィリピン人乗組員だったと思うんですが、三人が拉致されたという事件が入ってまいりましたが、分かる範囲で結構ですが、この事件についての最新情報及び日本政府対応について、外務省としてつかんでいるものがあればお聞きをしたいと思うんですが。政府の方でも結構、大臣でなくても結構です。
  6. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答えいたします。  昨日、日本時間の夜七時半ぐらいでございますけれども日本船会社近藤海事という会社が保有しております船、これは名前が「韋駄天」という日本船籍でございますけれども、これがマラッカ海峡で近づいてきた小舟によって銃撃を受けまして、その小舟から日本のこの船「韋駄天」に乗り込んできた四、五人が日本人の二人、すなわち船長機関長、それからフィリピン人、これは三等機関士というふうに聞いておりますが、これを小舟に乗せて連れ去ったということでございまして、残念ながら三人の方々の行方についてはまだ判明しておりません。  政府に対する第一報が昨日夜八時半ごろ、日本時間の八時半ごろに近藤海事という会社から外務省への連絡によってもたらされたところでございます。この連絡を受けまして、総理官邸関係省庁対策室政府として設置いたしまして、お互いに密接な連絡を保って対応をしておるところでございますし、また、マレーシア、インドネシア、シンガポールのそれぞれの政府に対しましても、被害者安全確保等について協力を要請したところでございます。  いずれにしましても、政府としては安全かつ早期解放に向けて全力を尽くす所存でございます。  以上でございます。
  7. 山本一太

    山本一太君 もうマラッカ海峡といえば原油の、中東の原油の八割以上が通過する地点ということで、日本にとってはシーレーンとしても最も重要な地域であるというふうに思いますが、あの大津波の後でしばらく海賊もなりを潜めていたということなんですけれども、こういう事件も起こって、特に日本人の方の命が懸かっていることですので、是非ともこの全員の無事解放に向けて政府としても全力で取り組んでいただきたいと思いますし、改めて、もう既に日本政府もこの問題についてはきちんと対応をしているわけですが、この地域海賊取締り海賊行為取締りについてしっかりとした改めて対策の強化をしていくという点についても、是非とも全力で取り組んでいただきたいと思います。  では、今日の質問に入らせていただきたいと思うんですが、今日は北朝鮮問題に絞ってお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、この北朝鮮問題についていろいろと御質問をさせていただく前に、先般、先月の二月十九日だったと思いますが、ワシントンで行われた日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2について、この2プラス2の成果をどのようにとらえているのか、これを外務省の方から、これは大臣でなくて結構ですから簡単に、ほとんど中身についてはほとんど報道等でも分かっておりますし、大臣の会見も私、詳細に読みましたので、外務省の方からで結構ですから、簡単にこの2プラス2の成果についてまずお伺いしたいと思います。
  8. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答え申し上げます。  二月の十九日開かれました2プラス2で、一つの大きな今後の課題としては在日米軍兵力見直し作業等を行っていくということでございますけれども、それに先立ちまして、グローバルな日米間の緊密な協力関係ということの評価を行いました。また、御質問、今後出てまいります北朝鮮の核開発問題それから拉致の問題、それから中国中台関係等についても緊密な意見交換をしたわけでございます。  また、その際、併せまして日米外相会談を行いまして、そこでは北朝鮮についての日米外相共同声明というのを発出しておりまして、北朝鮮に対して無条件で六者会合早期に復帰するようにということを含め、信頼の置ける国際的な検証の下の核計画の完全な廃棄を行うコミットを求める、それから拉致問題の迅速かつ完全な解決というようなことを求めた次第でございます。
  9. 山本一太

    山本一太君 私はこの2プラス2はある意味で言うと、今までの日米安全保障委員会とは、日米安全保障協議委員会とはちょっと性質が異なっているんではないかというふうにとらえております。  特に、今おっしゃったこの2プラス2の中で議論された話は、特に物すごく目新しいものがあったというふうには思っておりませんが、しかしながら、この2プラス2の議論の結果を日米共通戦略目標ということで共同文書として書いたと、しかもそれを発表したというのは、これは初めてだと思います。  中身を見れば、まあ中国の話もあったり、あるいは東南アジアの話があったり、ロシアの話があったり、そういうこと自体は特に今までもいろいろと政府言及していたことであると思いますし、今の観点でいうと、特に地域の問題と世界の問題と分けて列挙をし、さらには日米双方で努力するべきものとか、日米安保体制の下でやるべきものとか、こうやってきちっと分類をして具体的に発表したというところに今までの2プラス2とは違う側面を感じているわけなんですが、これは日米関係がある意味でいうと新たな段階に入ったと、深化したと、こんなふうにとらえていいのかどうか、ちょっと外務省の見解を伺いたいと思います。
  10. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 御指摘のとおり、今回の2プラス2で共同戦略目標というのを整理したわけでございまして、また、その考え方として、大きく言えば世界の中の日米同盟というもの、その中でまた日米安保体制に基づく協力、それから各国各々やる協力ということを整理をし、その意見の一致を見、この下で今後いろんなことをやっていこう、またこの共同戦略目標については定期的に見直しもやっていこうということで、御指摘のとおり、日米関係というのが更に深化をした新しい段階にまた入ってきているということかと理解しております。
  11. 山本一太

    山本一太君 今まで前例のないこの2プラス2、しかも日米戦略目標というものを具体的にまとめて公表したというこの2プラス2で特に注目すべき点は、この日米安保観点で、日米関係の中で中国の問題に言及したということだと思うんですね。もちろん、中国の六か国協議における建設的な役割みたいなものについての期待感も表明していると同時に、いわゆる台湾問題の平和的解決あるいは中国軍事部門不透明性についての指摘、こういうものも日米両国それぞれいろいろと政府レベルでは公式のチャンネルでも言っていることなんですが、これはやはり日米安保体制のテーブルに載せて、そこのメニューとしてやっぱり発表したと、これは非常に注目すべき点だと思います。  中国も当然これについては、かなり抑えた対応だとは思いますが、内政干渉だということで反発をしたわけなんですが、特にこの日米安保安全保障協議委員会、この2プラス2の声明の中にあえてこの中国の問題、特に台湾海峡の問題を入れた意図、意味というのをどういうふうに外務省としてとらえているか、これをちょっと伺いたいと思います。
  12. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 御指摘のとおり、中国について地域における共通戦略目標の中で三点述べておるわけでございます。特になぜこの項目が入ってきているかという御質問でございますけれども、やはり日米双方として、各々としてこの地域の中長期的にわたったその安全保障分野での課題ということを考えたときに、やはり中国が建設的な役割を果たしてもらう、そのポジティブな役割を果たしてもらうということがやはり大きなそのファクターである、要因であるという認識の下で中国についての言及を行ったわけでございます。
  13. 山本一太

    山本一太君 中国についての言及が今度の2プラス2の共同声明の中では最も注目すべき点だと思いますが、当然この2プラス2の中でもこの北朝鮮の核問題について触れておりまして、特に六か国協議に対する北朝鮮無条件での復帰というものをこの共同声明の中で強く求めているわけなんですが。  そこで、北朝鮮の問題についてちょっとフォーカスを当てたいと思うんですが、この2プラス2、日米安全保障協議委員会と同時に日米外相会談が行われたということで、町村大臣が初めてライス国務長官と遭遇をしたという場面だったわけなんですが、そこで少し、これは是非大臣に伺いたいと思うんですけれども、これもちょっと通告してないので大臣の答えられる範囲で結構なんですが、ライス国務長官という方についてどういう印象を持ったのか。  いわゆる、日本政府として言うと、ずっと日本関係を仕切っていた、まあ特に外交問題については発言力を持っていたパウエル・アーミテージ・ラインは、どっちかというと日本のことをよく知っているし、日本に興味があるし、浪花節が通じるコンビではないかと言われていたと。これに対して、今度新しく日本が付き合わなければいけない、特に外交安全保障の問題では、これは向こうの窓口としてしっかりと対応していかなければいけないライス国務長官とゼーリックさんは、はっきり言って浪花節が通じないタイプではないかという見方もありますし、ライス国務長官が本当にアジアに対して関心を持っているのかと。もちろん持っているかと思いますが、その関心の度合いという意味で少し疑問を投げ掛ける方もおられるんですが、大臣が初めてライス長官と会って、どんなそこら辺印象を持たれたか。答えられる範囲で結構ですので、大臣の率直な御感想をいただきたいと思います。
  14. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私はライス長官にお目に掛かったのは二回目でございまして、昨年の十月にワシントンを訪問した折には、大統領補佐官としてのライスさんにはお目に掛かって小一時間話をした記憶がございます。そういう意味では、しかし国務長官としてお話ししたのはこの二月が最初ということでございました。  どういう方か、余りその個人的な印象を申し上げていいのかどうかよく分かりませんけれども、非常に論理的に物事を考え発言をされる方だなということで、非常に論旨明快な方という印象を強く持ちました。そういう意味で、浪花節的でないという逆の表現が当たるのかどうかは私にはちょっとよく分かりませんけれども、非常に御自分の主張がはっきりおありになる方だということ。  それから、アジアへの関心が余り、乏しいのではないかという御指摘委員からございましたが、これは今後どういう外交活動をなさるかということであろうと思いますが、国務長官になられて真っ先にヨーロッパに出発をされました。短期間のうちにかなり数多い国を回り、その後ブッシュ大統領も行かれたという、そういう意味じゃブッシュ大統領の前触れ的な役割も果たしておられたんだろうと思います。やはり、新、第二期政権にとって、米欧関係がかなりぎくしゃくしているというようなこともあったんだろうと思います。それをできるだけ早く回復をしたいというのが第一課題であったのかなと、そんなこともあり、あるいは今進展しつつある中東問題への取組も意欲的にやりたいということもあったんだろうと思います。  しかし、アジアへの関心が全くないかと、決してそんなことはないと私は思っております。この週末にかけて日本韓国中国を訪問されますし、その私どもの方に来る前にも、たしかインドパキスタン、二か国だったかな、インドパキスタンにも行かれるという予定も既に発表されているわけでございまして、そういったことなどから見ても、このアジア問題、大変関心がおありにむしろあるのではないだろうかと思っております。先般のライス長官との話でも、特に北朝鮮のことについてはかなり突っ込んだ議論もいたしましたし、また中国についても、大変影響力を増している大きな国に対してより建設的な役割を果たしてもらいたいという大変強い思いも述べておられました。  そのようなことから、私は、やはり世界全体をバランスよく見る立場にあるアメリカ国務長官としては、ヨーロッパだけではなくて、当然アジアその他、世界的な問題についていろいろな多面的な御関心をお持ちなのではないだろうかと、こう思っております。
  15. 山本一太

    山本一太君 私は、今回、町村外務大臣ライス国務長官との外相会談の中でかなり率直な日本側意見長官にぶつけたということについては大変高く評価をさしていただきたいと思っていまして、特にこの時期、北朝鮮について日米両国がきちっと共同歩調を取るということをこの外相会談声明ではっきりと再確認をしたということは非常に大きな意味があるというふうに思っております。  この外相会談、ほとんど七、八割は北朝鮮問題に時間を費やしたというふうに伺っておりますが、その中で町村大臣が、改めて北朝鮮に対しては対話と圧力で臨むというお話をされたり、あるいは北朝鮮のこの問題を解決していくためには六か国協議というプロセスをこれは大事にしていかなきゃいけないということで、ライス長官ときっちり、改めてそのことを確認をしたりされているわけですけれども、私は最もこの外務大臣の御発言の中で注目をしているのは、そうはいっても、この問題が膠着をするようなことになると少し日本側としても圧力を考えざるを得ないということをおっしゃっていると。そして、さらには、六者会議の再開に向けて引き続き努力はしていくけれども、場合によってその事態が一向に進まないと、こういったときには、こういったときには安全保障理事会プロセスに戻るということもあり得るんじゃないかというお話ライス長官にされて、ライス長官の方も、イエスと言ったのかアブソリュートリーと言ったのかオフコースと言ったのか分かりませんけれども、これに同調したというふうに伺っています。  大臣に、これも外務省というか、これもやはり大臣にお答えいただかなきゃいけないと思うんですが、六者協議が大事なことは私ももちろんだと思っております。六か国協議というものが、これが北朝鮮の問題を解決するために最も重要なプロセスであるということも理解をしておりますが、しかしながら、この北朝鮮問題について日本外交的に達成しようと思っている戦略的な目標と、特にアメリカは、まあまだ温度差のない、少ない方ですけれども中国韓国といったこの六か国協議メジャープレーヤーの考えているその目標の間にこれだけの温度差があるということを踏まえたら、むしろ、六か国協議は六か国協議として大事ですけれども日本もこの安全保障理事会の今、非常任理事国としているわけですから、むしろ安保理も同時に開いて、六か国協議安保理の二者択一ではなくて、やはりその六か国協議安全保障理事会有機的結合みたいなものも考えると、そしてそういう枠組みをつくっていくことを日本のイニシアチブでやっていくということも一つ考え方ではないかというふうに思っているんですが、外務大臣に、この安保理に付託する可能性もあるという発言のこの意味も含めて、そこら辺のお考えをお聞きできたらと思います。
  16. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘をいただきましたように、北朝鮮問題についてはかなりの時間を使って議論をいたしました。あの共同声明にも特別の声明という形で出してあるので、今その一々の内容は触れませんけれども、いずれにいたしましても、これは国際的な核不拡散体制への挑戦であると同時に、日本を含む北東アジア地域の平和と安定に直接の脅威になるという共通認識をまずしっかり持ったということが私は重要であったと、こう思っております。その上で六者協議有用性ということも再確認をいたしました。  そして同時に、実は拉致の問題も私の方から話をいたしまして、この問題について日本側の大変厳しい国内世論があると、したがってこの問題についてもアメリカ理解と支持を得たいということについて、ライス長官日本立場を完全に支持するという発言があったわけであります。  今、委員指摘のその六か国協議安保理かというお話であります。  今、六か国協議を、五か国がすべてみんなこれでいこうという同じライン、同じ方向を向いて今取り組み始めている、北朝鮮への働き掛けをしているところでございますから、もう一挙にこれは余り役に立たないメカニズムだから安保理だということにはならないと思います。  ただ、頭に置いておいた方がいいだろうなと思ったものですから、私の方からあえて、もちろん六者協議で当分いくが、仮にこのプロセスというものが進まない場合には安保理という国連憲章に基づくそういうプロセスに戻ることもやっぱりどこか、頭のどこかに置いておいた方がいいですよねということを申し上げ、これに対してライス長官から、ちょっと英語で何と言われたか、私そこまでは覚えておりませんけれども、同感であるという趣旨の発言があったわけでありまして、今すぐ同時並行にとさっき、今委員言われましたが、そこはちょっと、私ども、そうではなくて、今はとにかく六者協議で進んでいくと。ただ、どこかの時点で振り返ってみて、一向に事態が進展しない場合には安保理というプロセスもあるんだということを私ども念頭に置く必要があると。現状はそういう認識日米も一致していると、こう考えております。
  17. 山本一太

    山本一太君 町村大臣がおっしゃったとおり、この問題はもちろん当面六か国協議議論をしていくべきだと思いますし、北朝鮮の出方というものをきちっと見極めた上で対応を考えていかないということはあると思うんですが、しかしながら、今大臣がおっしゃったように、六か国協議だけがプロセスではないと、北朝鮮対応によっては安保理もあるし、また別のアプローチもあるんだということをしっかりと念頭に置いて、是非とも外交戦略を展開していっていただきたいというふうに改めてお願いをしておきたいと思います。  もう一つ、この日米外相共同声明のこの仮訳を、訳を、今日ちょっと英文ともちろん訳と両方見てきたんですが、この外相共同声明の中で私が最も注目をしているのは最後二つ文章なんです。  一つはこういう文章です。「閣僚は、北朝鮮ミサイル計画懸念を表明し、いかなる状況に対しても準備を整えておくために、引き続き、情報を共有していくことを決定した。」と書いてあります。そして、さらに最後文章では、閣僚は、また、日米安全保障体制が引き続き力強さ及び活力を有することを再認識し、同体制地域の平和と安全に対する挑戦を阻止及び対処する能力を有することへの信頼を表明したと。この二つ文章に最も私は注目をしております。  これは大臣でなくて外務省でもいいんですが、この文章解釈の問題なんで。これ、「いかなる状況に対しても準備を整えておく」というこの「いかなる状況」にはどういうものが含まれるんだろうかと。これは北朝鮮による恐らく、理論的にはともかく、現実的にはほとんどないと思いますが、北朝鮮による日本へのミサイル攻撃軍事攻撃というものがやはりこの中に含まれるのか、あるいは北朝鮮による地下核実験、こういったものもこの「いかなる状況」に含まれるのか。これについてはどういうふうな解釈なのか、外務省の方からお聞きしたいと思います。
  18. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 今委員がお読みになりましたその日米外相共同声明該当部分でございますけれども文章を作る過程でアメリカ側とでいろいろと考え方のすり合わせを当然いたしました。当然、このミサイル計画に対する懸念の表明、それから同じ文章の中で、いかなる状況に対しても準備を整えておくということ、これはメーンテーニング・プリペアドネス・フォー・エニー・シチュエーションというのが英語でございます。  これは議員の正に御指摘のところと一致するわけでございますけれども北朝鮮が今、国際社会に対して大変に緊張をあおるような、あるいは国際的な核不拡散体制に対する挑戦をしておるような状況が続いている中で今後どのような挙に出てくるかということについては、我々は何としてでもこれを食い止めて、かつその核開発計画をやめさせるということが正に先ほど来発言が出ております六者協議の眼目でもございますけれども、そういうようなことを我々は努力をする一方で、万が一にも北朝鮮側がそういった国際社会の努力に対して引き続きこれに対して挑発するようなことをする場合には、これは黙ってこれを見ているわけにはいかないぞという、その決意をこういう文章の表現で表明したというふうに御理解いただければというふうに思っております。
  19. 山本一太

    山本一太君 今の話をかみ砕いて言うと、私はこの日米外相会談意味というものについては次のようにとらえています。  北朝鮮と今いろんな外交戦略日本は展開をしていると。対話と圧力のカード、正に外務大臣も日ごろからおっしゃっているように、対話と圧力という二つのアプローチを使ってこの北朝鮮の核の問題、拉致の問題というものを日本側解決しようとしていると。しかしながら、日本圧力を掛けた場合、自由民主党の経済制裁シミュレーションの事務局長としてシミュレーションの五段階のあのプランを作った私が言うのはちょっと変な感じもしますが、経済制裁をやる、圧力のカードを使うというときには、やはりそれに伴うリスクもきちっと計算をしていかなきゃいけない、国民に説明していかなきゃいけないということなんだと思うんです。  ほとんどこれは可能性がないというふうにも先ほども申し上げましたが、最悪のケースは、北朝鮮のいつものレトリックではありますけれども、例えば北朝鮮がある意味自暴自棄になって暴発して日本を攻撃してくるというケースだと思うんですが。今回の日米外相会談というのは、ある意味でいうと、これは当然のことでありますが、北朝鮮日本に軍事的な攻撃を仕掛けた場合には日米安全保障条約六条に従ってアメリカ軍がこれを撃退をする、反撃をするという仕組みになっているわけなんですが、しかしながらこの町村外務大臣ライスそれから国務長官の間のこの日米外相会談声明によって、最悪の場合はアメリカが、日米がきちっと対処する。すなわち、ある意味でいうと、当然機能するであろう日米安全保障体制について、北朝鮮問題については、これはアメリカもそういった事態に対しては日本と組んで断固として行動するんだと。ある意味でいうと、ちょっと表現は正しくないかもしれませんが、日米安保体制の再コミットメントをしたということに意味があるのではないかというふうにとらえているんですが、これについては、外務大臣、そのように解釈してよろしいんでしょうか。
  20. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そこまで私、ライス長官との間で個別具体のケースを挙げてここを議論したわけではございません。ございませんけれども委員指摘のとおり、「ミサイル計画懸念を表明し、いかなる状況に対しても準備を整えておくため」、あるいは今その一番最後のパラグラフで御指摘のあった日米安保体制が「引き続き力強さ及び活力を有することを再確認し、」といったような辺りは、当たり前のことを当たり前のこととして触れたということ以上に、やはり現下のこの情勢、特に二月十日に北朝鮮が核保有宣言というものをやったということを念頭に置きつつこういった文章がまとまっていったと、両国の認識が一致をしたということでございますから、具体にすぐ安保条約を発動する云々ということまではあえて申し上げませんけれども日米間の協力体制は非常にしっかりしているんだということを北朝鮮に対して明確なメッセージを発するということは大変外交的に意味のあることだと、こういう認識でこの文章をまとめたところでございます。
  21. 山本一太

    山本一太君 今の外務大臣の御認識を伺って、大変私、安堵いたしました。  具体的なケースについてライス長官と直接話されたわけではないというお話だったんですけれども、この時期に日米外相会談共同声明でこういう内容を発表したということについて言えば、正に北朝鮮のこの挑発的行為といいますか、冒険に対する抑止として働くということは間違いないと思っております。  極めて個人的ではありますが、私は、本来であれば、ブッシュ大統領と小泉総理の間で、六か国協議についてはこれはもう大事にすると、北朝鮮問題についてはこれは軍事的な手段で解決するということはあり得ない、平和的だということを確認をしつつ、やはりこの最悪の事態に対しては、当たり前ではあるけれどもアメリカも断固として行動するという言質を取るぐらいやってもいいんじゃないかと思いますが、そこはいろいろと難しい外交的配慮もある中で、町村大臣日米外相会談でぎりぎりいろんなことをお考えになったんだと思いますが、こうした声明をまとめられたということについては、先ほども申し上げましたが、大変私は意味のあることだったというふうに思っております。  さて、その中で、今、町村大臣が特にこういう時期という言葉をお使いになられました。先月、北朝鮮政府が、今までも非公式な場所ではいろいろと、核兵器を持っているよとは言っておりますが、しかしながら、政府声明として初めて公式に自分たちは核兵器を持っているという保有宣言をしたということがございました。  まず、これについて、日本政府としてこの核保有宣言というものをどう受け止めているのか、これ外務省で結構ですから、その見解を伺いたいと思います。
  22. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 委員指摘のように、二月の十日でございますけれども、先ほど外務大臣の方からも御答弁ございましたが、北朝鮮が初めて、公式にでございますけれども、核を保有の宣言を行ったということ、これは非常に、やっぱり国際社会に対する非常に大きな挑戦であるというふうに受け止めております。  私ども日本にとりましても、今まで核保有についてこれを示唆するような発言というのは北朝鮮の当局者の口からは度々聞かれておったわけでございますけれども、公に初めて正式に彼らの声明でこういう形で宣言が出たということについては、非常に日本安全保障に対する重大な脅威であるというふうに我々は受け止めておりますし、この宣言を受けて、我々としては、到底これは容認できないという強い姿勢で対応しなきゃいけないというふうに受け止めております。
  23. 山本一太

    山本一太君 今、齋木さんのおっしゃった日本政府のその認識というものは私も一〇〇%共有しておりますし、当然これは重大な脅威として受け取らなければいけない。もちろん、このことによって日本外交政策が、さっき大臣もおっしゃった対話と圧力というプロセスによってこれから進んでいくわけなんですが、あたかも圧力のカードが一切切れないみたいな、そういった流れになるということはこれはいけないと思いますし、過剰反応は禁物ですが、しかし、やはり中長期的に見ても極めてこれは重大なターニングポイントだというふうに認識をされているということだと思います。  そこで、今回の核保有宣言は、くしくもこの北朝鮮問題に対する、先ほど私が申し上げたメジャープレーヤーの間の温度差というものを私は示す例になったというふうに考えております。北朝鮮がもし核保有をしたら、これ今、名実ともに持っているわけではなくて、政府が核兵器を持っていると言った段階ではありますけれども、北がもし核を持ったら、これは日本にとっては大変な脅威であるということは間違いありません。しかしながら、今回の核保有宣言に対する各国の対応を見たときに、私は正直言って懸念を持たざるを得ない、そんな感じがしています。  例えば中国中国は、北が数年前にNPTから実質的に脱退するような行動を取ったときにはもっと厳しい行動を取った。ところが、今回、この北の核保有宣言を受けての中国外務省のスポークスマンの発言なんかを聞いていますと、これはもうまるで当然核を持っていたことは分かっていたことだと、この核保有宣言を非難するというよりも朝鮮半島の非核化をしっかりやっていかなきゃいけませんという程度になっていると。  私も、外交防衛委員長を林委員長の前にやらせていただいたり、あるいは外交安全保障の分野でいろいろ国会議員として活動してくる中で、中国政府の方々やあるいは共産党の若い幹部とか外交官等々にもいろいろと会ってお話をしましたが、どうも総合すると、中国が、もちろん中国にとって核兵器を持った北朝鮮というのは困った存在だとは思いますけれども中国が本当に北の核を脅威として思っているんだろうかと。彼らが本当に北が核を持ったからといって自分たちを攻撃していると思うんだろうかと。むしろ私がいろいろ中国の関係者と話をしている中で感じたのは、むしろ彼らは、北の核よりも日米同盟とか、そちらの方に懸念を持っている、日本の核武装みたいなことについて懸念を持っているという気がいたします。  更に言えば、韓国は、これはもう当然、もう釈迦に説法ですが、元々、この北朝鮮問題については日本とかなり、日米温度差があったと。しかも今回、非常にタイミングが悪いことに竹島問題が起こり、さらには四月の教科書問題等々もあって日韓の間が今ぎくしゃくしていますけれども、これからもかなりこれはもめる兆候が出てきたと。  こういう中で、外務省としてどうやって、特に北朝鮮問題については核も拉致もそうですが、日米韓の連携というものが非常に重要なわけですけれども、こういった温度差を踏まえて、特に韓国が重要だと思いますが、どうやって日米韓の連携というものをつくっていこうと思っているのか、どういう作戦があるのかということについて、外務省意見をお聞きしたいと思います。
  24. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 委員の方から冒頭、中国についてのコメントございましたので、その点につきまして私どもの感じているところを申し上げたいと思います。  当然、中国は六者会合のホスト国でございますから、何としてでも、この六者会合プロセスを通じて北朝鮮の核問題の平和的解決に力を注いでいるという、これは当然でございます。去年の六月に最後に第三回目の六者会合が開かれて以来、八か月余り中断状態が続いておるという、この状態については中国政府当局も非常に深刻な懸念を持って、であればこそ様々な外交チャネル、様々な人の人的なコネクションも使って、北朝鮮を早く交渉の場に戻すようにいろいろと尽力をしているという実態があるわけでございます。  先ほど、中国北朝鮮声明に対する反応がやや甘いんではないかという趣旨の御提起ございましたけれども、確かに、中国北朝鮮の関係というのは私どもから見ると若干、昔からの言わば友好関係、非常にほかの国よりは濃いものがございますから、そういう意味では、中国としてそれなりに北朝鮮に対する物の言い方に気を遣っているあるいは調整しているという部分があるいはあるのかもしれません。  ただ、様々なレベルで私ども中国側といろいろと意見交換情報収集しておるところによれば、中国はこの二月十日の北朝鮮外務省声明、非常に深刻にとらえていると、これに対応して北朝鮮に対してしっかり対応するという、そういうスタンスを取っているということは我々としては間違いないものというふうに理解しておるわけでございます。  一つの例を申し上げれば、三月三日でございますけれども、IAEAがこの北朝鮮の核問題について理事会の議長総括というのを出したわけでございますけれども、その議長総括の中で、我々が折衝の結果、文言調整を行った結果、この北の外務省声明については、深刻な懸念を表明という、そういう文言で決着したわけでございますけれども、この深刻な懸念という表現自体、これ、中国も当然IAEAのメンバーでございますし、この文言調整に深くかかわったという立場でいえば、中国認識を明確に示しているというふうに私どもとしては認識しておるわけでございます。  それから、韓国のことについて委員の方でお触れになられましたけれども、私どもは、この韓国も含めて六者会合、少なくともこの六者のうちの五か国は、北朝鮮を早く協議の場に戻して、何としてもこの外交的なアプローチによって核廃棄を求めるという、その点については我々としては全く一致した立場であるというふうに思っております。ただ、もちろん、六か国の間で個別の論点についてはまだ相当調整を要するような違いというのは実はあるわけでございますが、それは正に交渉が再開された段階で、折衝を通じて我々の立場の違いといったものを埋めていく、そういう努力というのが求められていくんだろうというふうに思っております。  韓国立場、これは日本との間で二国間の問題があるからということをおっしゃられましたけれども、確かにそういう二国間の問題、幾つか最近出てきておりますけれども、そういった問題は問題として、我々は、きちっと冷静に二国間の問題として対応し、冷静に解決していくということは当然一方において模索していきながら、六か国協議における日本韓国、あるいは日本アメリカ韓国というその三つの国の連携がいささかも揺るぎを見ることなく、しっかり対応できるように、これは今後ともやっていかなきゃいけないと思っておりますし、また先般、実務者レベルで新しく首席代表にそれぞれ日本アメリカ韓国、任命された三人がソウルに集まって二月の二十五、二十六と協議をやったわけでございますけれども、その協議の結果、日米韓の認識は少なくとも実務レベルではぴったりと一致して、北朝鮮の核放棄を絶対にこれは追求していくんだということで外に向かってその認識を述べているわけでございます。  今後、その実務者のレベル、それからまた更に上のレベルも含めて、当然これ外務大臣と先方の外交通商部長官の間では、度々電話会談も含めて認識のすり合わせというのをこれまでも行われておりますけれども、今後、閣僚レベルも含めて、その辺の日韓関係、この核問題に対する対応は揺るぎないということは今後とも確認を図っていきたいというふうに思っております。
  25. 山本一太

    山本一太君 今、齋木さんが、先般行われた日米韓の実務者協議の代表の初会合で改めて日米韓の連携を確認したというふうにおっしゃいましたけれども、もちろんその北朝鮮の核廃棄ということについては一致しましたが、私はやはりこの実務者レベルの協議の結果を見ると、やはり特に日米と韓の隔たりは大きいなと。どうも記者発表した内容も日本韓国では、韓国の新聞等々もそこら辺ちょっと集めて読んでみましたけれども、随分違うなと思っていまして、やはりその日韓のこの連携についてはこれから相当注意深くやっていただきたいと思います。まあ、竹島を含めた二国間の関係は、これはもうこれだけですべての質問時間を使いたいみたいな大きな話なんで、これはもう避けたいと思います。  中国も、もちろん北朝鮮の核保有というものを望んでいないと思うんですが、ただ私は、どうも中国側のいろんな意見を聞いてみると、彼らはもちろん北朝鮮の核保有は恐れているんですけど、もっと恐れているのは金正日体制の崩壊じゃないかと。金正日体制が崩壊するということの方をもっと恐れているんじゃないかという懸念を持たざるを得ないんです。  物すごく乱暴に言うと、いろんな事情ありますが、やはりその北朝鮮の核武装ということについて言うと、明らかに日米韓中、この四か国には温度差があると。クロフォードの首脳会談で、拉致問題に対しても最後まで日本を応援してくれると言ったブッシュ大統領のいるアメリカでさえ、もちろん六か国協議日本と足並みをそろえてもらっているし、日本抜きになんていうことは決して許さないでやってくれると思いますが、しかしアメリカには北朝鮮の核ミサイルは届きません。どっちかというと、やはりアメリカは大量破壊兵器の流出、技術の流出みたいなものを恐れていると。中国は、どう見ても北が核を持ったからといって自分たちが撃たれるとは全く思っていない。韓国の方も、ミサイルはむしろ海を越えていくんじゃないかと思っていると。そういう脅威認識温度差がある中で、もちろん国際協調、六か国協議等々でやりながら、しかし日本として何ができるかという部分も模索していかなければいけない、それが私は日本の取るべき外交戦略だというふうに思っております。  さて、そこで一つお聞きしたいことがあるんですが、今、日本外交が最も避けなければいけない最悪のシナリオは、北朝鮮地下核実験だと思います。北朝鮮がもし核、地下核実験に踏み込むということになると、これは正に名実ともに核保有国になると。アジア太平洋のパラダイムが変わるということになる。核弾頭を搭載できる技術に向かって進むということになると思うんですね。この北朝鮮地下核実験というのは可能性のない話じゃない。もちろん、北は六者協議に戻ってくるとは言っていますが、万一、北が核保有ということを本当に決めていた場合、そういうシナリオも考えなきゃいけない。  そこで、この北朝鮮地下核実験を防ぐために、日本政府としてどういう対応を考えているのか、あるいはもう一つ関連して言えば、北が万一地下核実験をやってパキスタンとかインドのような名実ともに実質的な核兵器保有国になった場合、どういう日本対応するのかという危機管理シミュレーションみたいなものがあるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。それは外務省でも、大臣でも、外務省で結構です。
  26. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 北が核実験、地下核実験を行った場合どうするんだという、その辺の対応についてということでございますけれども、繰り返し申し上げておりますように、私ども、当然六者の中で北の核保有を絶対認めないという、そういう基本的なスタンスで特に日米韓は足並みをそろえておりますし、また中国も当然そうでございますけれども、そういうことでこれからもなるべく早期にこの六者を再開させて、北の核廃棄を実現させるように一層努力しなきゃいかぬという、これはもう認識は一致しておるわけでございます。  二月の十日の声明以来、私は、少し局面が深刻化したというふうに私どもとしては考えておりますけれども、とにかく絶対にそういったことは、もうこれ以上の事態の悪化は我々としては認めない、国際社会に対する重大な挑戦であるという観点から、もしこれ以上の事態の悪化を北朝鮮があえて行おうとするならば、これは重大な結果が北朝鮮に対して待っているよという、そういったメッセージも我々国際社会の側から北朝鮮に対して出していくということが極めて重要であるというふうに思っております。  どういう具体的な検討をしておるのかという御質問でございますけれども、この辺になりますと、もちろんインテリジェンスの世界にもかかわってくることでございますし、また事柄の性質を考えますと、今こういう場に備えてこういうことを例えば考えておりますというようなことを具体的に申し上げるというのはちょっとこの場では差し控えさせていただくのが適当であろうかと思いますので、御理解いただきたいというふうに思っております。
  27. 山本一太

    山本一太君 今、齋木さんがおっしゃった北朝鮮に対して、北朝鮮の核保有は断固許さないという日本政府としてのメッセージを送るということはもちろんこれは当然だと思いますし、ある意味でいうと、町村外務大臣のイニシアチブで、私の感覚ですけれども、そこを踏み込んで、かなり北に対しての抑止のメッセージを送られたというふうに思っております。  しかしながら、当然、政府にどういうシミュレーションがあるんだと、地下核実験やった場合、どういう対応があるんだと聞いても、当然今ここで答えをもらえるとは思っておりません。政府の方でできないんならば、これはもう有志でやるしかないということで、我々、その勉強会つくって、自民党の中で、この北が地下核実験をやった場合に日本がどういうプロセスに踏み込まなきゃいけないかと、こういうことをきっちりシミュレーションしようと、早速今週の木曜日に集まって研究を始めたいと思っております。  その我々が考えるシミュレーション、北が地下核実験をやった場合に日本が何をしなきゃいけないか。今まで脅威が百だったものが百五十になったと、そうしたら抑止が百だったら五十上乗せしなきゃいけない。これの方法、この抑止の五十を上乗せするのにどういう方法があるかと考えたときに、一つは、もちろん町村大臣がこの間日米外相会談もなさって、大野防衛庁長官もラムズフェルド長官と会談をされた、日米安保条約というものがありますけれども、しかしながら、この日米安保条約の核の傘あるいは日米安保条約の下のあの抑止力に加えて、自衛隊が単独で場合によっては北朝鮮の基地をたたく敵地攻撃能力、これは自民党のみならず民主党の中でも前から主張している方々がおりますが、その敵地攻撃能力を日本はこれは考えざるを得ないと、つくらざるを得ないということをきちっとシミュレーションの中で我々の研究でまとめたいと思っております。  そこで、長官、随分時間がたってしまいまして、本当にお待たせして申し訳なかったんですが、防衛庁長官にお聞きしたいと思うんですが、万一、日本が自衛隊単独の敵地攻撃能力を付けようというふうに決断をした場合、これはもちろん自衛隊の爆撃機とか、爆撃機というのがあるのか、戦闘機の航続距離を延ばすだけじゃだめで、向こうのレーダー網をかいくぐるシステムも必要だと思いますし、あるいは発射したミサイルとか爆弾が正確に向こうの基地に届くような恐らく誘導システムも必要だと思いますし、どこに基地があるのかということをその確かめるインテリジェンスも必要だと思うんですが、こういうことをやった場合、大体どのぐらいのスパンで日本の自衛隊はそういう敵地攻撃能力を付けられるのかどうか、防衛庁長官、答えられる範囲で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  28. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 敵地、敵基地攻撃能力でございます。答えられる範囲は極めて狭いということをまずお断り申し上げます。  まず、そういうことが法理論的にできるかどうか。これはもう従来からできると、こういうことになっております。専守防衛でございますけれども、自衛権の発動は、言うまでもなく、急迫不正の侵害あるいは他に代替する手段がない、そして必要最小限度の場合は自衛権を発動できるんだ、こういう考えの下に、もし某国からミサイルを撃ってきてそれが日本に落ちてきてということになりましたら、座して死を待つべきか、こういう議論があります。で、法理論的には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる場合には、敵の誘導弾、基地をたたくことはできると、これは従来からの解釈であります。  ところが、次に、そういう判断をするのかどうか。先生は、判断をした上でどうかとお聞きになっているんですが、やっぱり判断をするかどうか、これは政策判断の問題であります。で、政策判断をするかどうかは、これまではそういう判断はいたしてない。つまり、実際にはそういう法理論的に認められておっても、日米安全保障条約の中で日米間でどういう役割分担をやっていくのか。アメリカの方は攻撃能力を発揮してもらいましょう、日本の方はむしろ防御的な能力でやりましょう、こういうことでございます。  したがいまして、その御質問に直接お答えすることは極めて難しいんでありますが、現実の判断はそうなっている。もし仮にということであればこれから勉強しなきゃいけない、こういうことでございます。
  29. 山本一太

    山本一太君 ぎりぎりのお答えいただきまして、防衛庁長官、ありがとうございました。  あと一分しかないんで、最後一つだけ外務大臣にお聞きをして私の質問を終わりたいと思うんですが、北朝鮮がもし名実ともに核保有国になる、小型核弾頭を付けたノドンミサイルというものが出現する、この場合、日本が抑止力を高める方法は、例えば敵地攻撃能力ということもありますし、もう一つは核武装ということだと思います。  私は当然、個人的には核武装反対です。日本にとっていいこと何もない。しかしながら、中国韓国が北の核保有についてここまで認識に差があって、本当の危機感を持っていないという状況においては、彼らに対する目覚まし効果として、もちろん反対ではありますが、核武装の議論というものを初めて始めなきゃいけないと思っていまして、これ非常にコントラバーシャルでありますが、初めてこの核武装というものが日本外交政策について持つ意味について研究したいと私は思っておりますが、その点について最後外務大臣の、この選択肢について、私はもちろん個人的にはマイナスばっかりで反対でありますが、議論をするということについて外務大臣がどう思っておられるか、一言いただいて、質問を終わりたいと思います。
  30. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 政府立場でお答えをするならば、それはこれまでの日本政府の累次の発言のとおり、これはとても考えられる選択肢ではないということにならざるを得ないと、こう思います。山本委員がそれは党のお立場でいろいろな自由な発想でお考えになる、そこについて私があれこれまた言うべき性格でもないだろうと、こう思っております。  私もいろいろな外国の人と話をすると、何で日本は核兵器を持たないのと誠に不思議そうな顔をして問われることも率直に言うとあるわけでありますが、それは日本が唯一の被爆国であるという経験、そして、現実に非核三原則というものを持ち、NPT上の日本立場、これまで守ってきた義務といったようなことなどを考えたときに、それは現実の選択肢ということにはならないということがやはり公式の答えとして、当然それが日本政府のポジションであろうということであります。
  31. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。終わります。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  私も冒頭、通告はしていなくて恐縮ですが、昨日の日本船襲撃及び二邦人を含む三名の誘拐事件についてお伺いしたいと思うんですが、概要は先ほど外務省からお伺いしましたので結構でございますが、AFP通信等によりますと、海賊が身の代金を要求しているという報道もあるわけでございますが、現実問題として身の代金が要求されているのかと。されているとするならば、どういった関連の組織がこの犯行に及んだと推測をされるのか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  33. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) AFPの話は私は承知をしておりませんし、現実に私どもが関係方面との話の中で、身の代金云々という話は全くまだ聞いておりません。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 犯行グループの推測。
  35. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) それについてもまだ情報はございません。
  36. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ずっと、このマラッカ海峡だけではなくて、このインドネシア周辺若しくはフィリピン周辺におきまして、各船籍をねらったこの襲撃、海賊事件が横行しているんですが、専門家の話を昨晩からいろいろ収集しているんですが、恐らく犯行グループとしては三つに絞られるんであろうという話がありました。一つは、いわゆるJI、ジェマー・イスラミア、若しくはアチェのGAMの末端組織、若しくはインドネシア国軍の末端組織ということだそうでございますが。  私、この事件、ずっと四年間、この海賊問題並びにテログループによる誘拐事件等を自分なりに勉強してまいりまして、二〇〇三年十二月十一日に、大変不幸にもコロンビアの左翼ゲリラFARCによって二年九か月にわたる監禁の末、殺されてしまったヤザキシーメルのコロンビアの村松治夫さんの事件をすぐ思い出したわけでございますが、この事件もFARCが、いわゆる身の代金の交渉、このときは金額が十数億円まで上ってしまったんですが、大変外務省も御苦労され、また最大限できる限りのことをして努力をしてくださいましたが、結果的に村松さんは帰らぬ人になってしまいました。  今回の事件、この三名だけではなくて、実際、金品と同様に船に積んであった書類まで取られているという情報を得ました。そうすると、明らかにこの船も絡んだ身の代金を要求する可能性が極めて高いということでございますが、九・一一並びにアフガニスタンの動向以降、非常にアルカイダの勢力が停滞をし、勢力が弱まってまいりましたし、加えて、先ほど山本委員からも指摘がありました津波の災害によって、アチェ等は、アチェ自身は山岳地域に住んでいますから、GAM自身は山岳地域に住んでいますから人的被害はなかったんですが、いわゆる武器の密輸等、不正行為による集金活動がアチェでできなくなってきているということで、資金調達が大変厳しくなっている、それでこういった誘拐事件をまた始めたのかなという推測ができるわけでございますが、極めてセンシティブな問題でございます。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  私は今日この問題をあえて取り上げたのは、マスコミ並びに報道関係者にお願いをしたいと思って、あえてこの事件を取り上げました。是非、この問題を大きく余り大げさに取り扱わないでいただきたい。非常に、今後人命の絡んだ交渉も始まると推測をされます。この問題が政治的に大きくなればなるほど、報道ベースで大きく報道されればされるほど、このお二人のクオーツ、その価値というものが高くなってしまう。そういうことが決してあってはいけない。一日もスムーズに速やかに安全にこの三名の身柄を我々に返してもらうために、我々もきちっとした誤りのない対応をしていただきたいと、並びに、外務省には是非全力を挙げてこの三名の救出をお願いをしたいと、そのことを言いたいと思います。  さて、今日は町村大臣並びに大野防衛庁長官に対する所信表明に対する一般質疑でございますが、町村大臣が所信の中で志の高い外交ということをおっしゃいました。また並びに、我が国の安保理常任理事国入りの実現に向けて最大限努力してまいりますと、大変力強い決意を述べました。今日は大臣に、この大臣外交理念について直球で勝負をしようと思っていたんですが、実はその大臣の所信の聞いた後、実はこの外務省の外で、この町村大臣のおっしゃった志の高い外交、若しくは日本常任理事国入りするために最大限努力を払っていることが非常に危うくなっている事件が起こっているということに接しました。欧米では、日本は一体どういう国になっちゃっているんだと。若しくは、日本がこのようなことで、一体本当に常任理事国になれるわけないじゃないかというような議論が起こっているということも聞きました。  これは何の事件かといいますと、日本では余り報道されていないんですが、アメリカ人で世界的な有名なチェスの名人でボビー・フィッシャーさんという方がいるんですが、資料はもう配付してくれてありますか──はい。事件の経緯は、そちらにありますボビー・フィッシャーさんに関する事実の経過という紙でまとめさせていただきました。全部説明をすると大変長くなりますので、またこの書類をゆっくり読んでほしいと思うわけでございますが、簡単に言いますと、欧米では日本の将棋の羽生と野球のイチローを足して割ったようなもう超有名人なんですが、昨年の四月に日本に入国しまして、六月の時点で本国アメリカからパスポートの無効措置を受けたことが判明いたしました。七月に日本から出国しようとしたところを収容されまして、現在は強制退去を求められているということなんですね。  このパスポートが無効になった理由ですが、何と、一九九二年、今から十数年前、当時のアメリカの経済制裁下にあったユーゴスラビアでチェスのチャンピオンシップに参加をして、これ勝利しているんですね。で、ユーゴスラビアから賞金をいただいたと。実際はユーゴスラビアの国からではなくて、多くのスポンサーが参加していますから、たまたま会場がユーゴスラビアだったということなんですが、これが当時のアメリカの法律に反するということでパスポートが無効になったわけでございますが、フィッシャー氏は本国以外に送還されたいということを希望しているんですね。  先月末には、アイスランドが受け入れましょうと、何とパスポートまで交付してフィッシャーさんの受入れを認めているんですが、ところが法務省は本国送還が原則だとして、アイスランドに行っちゃいけないって言っているんですね。  現在、収容して、収容生活を送って八か月になっておりますが、この事件、ずっとこの経緯を読んでいきますと、アメリカのパスポート無効措置そのものにも、またそのタイミングについても様々な不可解な点が実はあるんですが、それはアメリカの問題ですからさておきまして、今日はこの日本の入管法について限定して少し、法務省、今日見えていますから議論をしたいんですが、まず一点確認をさせてください。  私が承知している範囲では、入管法の、出入国管理法の世界においては、その強制退去を命じられた者については国外退去をさせること、これが大前提でありまして、送還先の議論というのは二の次になるというのがこの世界の常識だというふうに私も勉強し、また多くの方からも、これが原則であり、前例であり、大前提であるということを聞いているわけですが、その辺の確認をまずさせてください。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕
  37. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問の退去強制手続における送還先の件でございますが、入管法の五十三条に送還先に関する規定がございます。  この第一項によりますと、退去強制を受ける者の国籍又は市民権の属する国に送還されるというふうな規定がございますので、これが原則になるわけでございます。米国籍の方であれば米国に送還するというのが原則の規定でございます。  ただ、これらの国籍国等に送還することができないといった特別な事情がありますときは、同条の二項に規定がございまして、それ以外の国に送還することもあり得ると、こういう規定になっております。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ただし、日本にとりまして、日本から出ていってほしいという方がいるわけですよね。本人も出ていくと言っているんです。その行き先の問題は二の次であるはずなんですね。大前提は日本から出すことが目的でありますから。そして、その一義的目的、一時的な目的であるはずの日本から出ていっていただく。それ、フィッシャーさん、出ていくと言っているんですよ。で、アイスランドも受け入れるって言っているんですね。ところが日本は、いやアイスランド行っちゃいけないと、行くならアメリカにしか行ってはいけないと言っているわけですよ。  それで、昨日私がレクを受けたところによりますと、送還先を自由にしてしまうと、テロリスト支援国家に行きたいと言った場合が問題になるということを審判課長さんが明言をされました。そして、こちらが大前提となるのでゆるがせられないと。したがって、フィッシャーさんを例外扱いはできないということだったんですが、こういった解釈は一体いつから始まったんでしょうか。
  39. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 送還先をどのように決めるかということにつきましては先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、テロリストの対策上といったことがそもそもその入管法の五十三条の規定を作る際に想定されていたというふうに私も理解はしていないわけであります。  ただ、今先生が御指摘のようなテロリストという、仮に、先生の御質問の案件について、その方がテロリストであるということは全くないわけでありますけれども、仮にテロリストと判明したような者を送還しなければならないということを想定した場合に、それをどこにするかということにつきまして本人の自由意思に任せると、送還先について、ということにいたしますと、問題が生じることはあり得るというふうに思うわけでございます。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 先ほど言ったように、これを担保する法律はないと。いわゆる運用でやっているわけですよね。そのテロリストがどこに行くかどうか分からない。テロリストが勝手に、自由にテロリストが行きたい国に行ってもらっては困るからということを今おっしゃったんですよね。
  41. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) そういう趣旨で申し上げたつもりではございません。ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、テロリストでありましょうとも、そうではない外国人の方でありましょうとも、退去強制手続は入管法の規定に従って行われるわけでございまして、その送還先につきましては先ほど申し上げました五十三条の一項、二項の規定が適用になりますので、テロリストであるからということで特別な送還先が定まるというわけではないという理解をしております。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 分かりました。  それでは、この五十三条の一項、二項について若干お伺いしたいんですが、フィッシャーさんはアイスランドに行きたいと言ってアイスランド行きを望んでいるんですね。そして、そればかりか、アイスランド側もそれを受け入れて入国・居住許可を与えてパスポートまで発行しているんです。しかも、フィッシャーさんは自費で旅券を買って、航空券を買って出国すると、自費出国をすると言っているんですね。  日本は、とにかく日本から出ていってくれと言っているわけですよ。で、フィッシャーさんは出ていくと言っている。法務省は、本来でしたら、日本の税金を使って八か月間も収容しているわけですから、本人が出ていきたいと言えば、喜んで出ていってくださいというのが、私は納税者としても、そして法のルールからしても当然だと思うわけでございますが、ところが、なぜか行き先はアメリカしか行ってはいけないと言っているわけですね。その理由が、さっき言ったように、五十三条の一項ということなんですが。  それでは、この五十三条の一項の対象で、この五十三条の対象以外、でない場合は、すなわち本国へ送還されなくてもいいケースですね、それは、昨日の話によりますと三点ルールがありまして、UNHCRの関与があるか、そして本国が受取を拒否している場合、若しくは本国が戦争状態等にある場合という三点を御指摘されたんですが、それに間違いないですね。
  43. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 委員指摘のとおりでございます。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 確かに原則はそうなんですが、それでは、これまでの事例でこのUNHCRも関与していない、若しくは本国が受取を拒否している、若しくは本国が戦争状態にある、この一、二、三の例以外で三国に送還をされた、ごめんなさい、さっきUNHCRが関与していないと言いましたが、関与している場合、若しくは本国が受取を拒否している場合、若しくは本国が戦争状態にある場合、この一、二、三の例以外で三国に送還されたケースは、昨日のレクではないというふうに説明を受けたんですが、これ本当にないんですか。
  45. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) その後、先生の方に資料をお渡しさしていただいたというふうに認識しておりますけれども、国籍国以外に送還をされたケースはございます。  例えばでございますね、国籍国を送還先としていた場合におきまして、退去強制令書を発付した後に第三国から難民として受け入れられたというようなケースがございまして、こういった場合に、そのことを配慮いたしまして、難民として受け入れるという第三国の方に送還をする、したケースはございます。  また、退去強制令書を発付後に第三国の国籍の女性と婚姻したという男性のケースがございまして、こういうケースにつきましては、御本人も難民であるというような主張をされて訴訟もしていたというようなケースでございますが、こういう、この方についてもその婚姻した女性の国籍国に送還したという事例はございます。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 資料を配付してください。    〔資料配付〕
  47. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨日のレクでは、その難民絡みの話しかありませんよと、その一、二、三以外では基本的にないと思いますよという話をお伺いしていたんですが、私もその後いろいろ調べさせていただきました。そうしたら、幾つかあるんですね。このUNHCRの関与、若しくは本国が受取を拒否、若しくは本国が戦争状態にない、この三つのルール以外でも三国に送還されているケースはあるんです、第三国に。  例えば、先ほども言いましたが、このイラン人の場合、日本では難民申請をして、それが許可されませんでした。難民と認められなかったんですが、そして、カナダ政府がこれを受入れを表明して、第三国のカナダに行きました。そして、その他、クルド人の場合もそうですが、このクルド人も日本に難民申請をしているんですが、日本は難民と認めずに、その後、アメリカの、アメリカ国籍を有する女性と婚姻が成立していたものですから、アメリカへ行けたということなんですね。  昨日来、法務省さんが説明しているこの三原則、三つのルール以外でも、このようにクルド人のケース、イラン人のケースあるわけでございますが、どうしてフィッシャーさんだけ例外扱いをして第三国に行けないわけですか。
  48. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) ただいま委員指摘の事案につきましては私どもも承知しておりますけれども、これは、委員も御説明ございましたように、一つは第三国が本人を難民であるとして受け入れますということを明確に表明されておりましたので、そのことを配慮いたしまして第三国に送還したというケースでございます。  それから、もう一つの件につきましても同様でございまして、まあマンデートはないわけではございますけれども、難民の主張をしておって訴訟もしておったというようなケースであります。それと、第三国の女性と婚姻をしていたということで家族的な結合ということにも配慮して第三国に送還をしたと、こういう経緯だったと記憶しております。
  49. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 このお二人のケースは、実はフィッシャーさんも難民申請しているんですが、これ日本政府から、法務省から認められませんでした。  すなわち、例えばこの、ではそのイラン人のケースのようにアイスランドが、じゃ、フィッシャーさん難民ですねと言って受け入れますと言ったら、アイスランドに出さざるを得なくなりますが、そういった解釈でよろしいんですね。
  50. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 先ほども説明申し上げましたが、委員指摘の事例につきましては、御本人の事情、また本国の事情等も当然考慮されているわけではございますけれども、今委員の御指摘の本件につきましては、御本人の国籍が米国籍ということでもございまして、その国情に何ら問題のない国であるという認識をしております。
  51. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それ、どういうことですか。その国の、本国の事情というのはどういうことでしょうか。アメリカなら問題があって、ほかの国だと問題があるんですか。
  52. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 先ほど委員の御指摘の事例でございますが、これにつきましては、御本人が難民の申請、主張をしておったことに加えまして、本国について、本国の国情について種々議論があるところでもございます。しかしながら、米国に関しましてはおよそ難民の対象となるような国情にあるという認識はしておりませんので、そこが違うというふうに考えております。
  53. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そういった国の事情の判断は法務省でやっているんですね、じゃ。それ、リストか何かあるんですか、この国はこういう状況にありますという。その基準がなかったらおかしいですよ。その資料出してください。
  54. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 我々は難民認定の業務も行っておるところでございまして、かなりの件数の難民申請がございます。いろんな国籍の方からの申請がございます。そういうケースの審査を通じまして各国の実情は把握しているつもりでございます。結局はケース・バイ・ケースにはなるわけでございますが、情報はある程度把握しているつもりでございます。
  55. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 人の一人の人生若しくは命、そして、ひいては基本的人権にもかかわる出国先の問題を、ケース・バイ・ケースであるとか、この国は大丈夫だから、アメリカは大丈夫だから、この国は変だからという論議は、私は法を扱う法務省の見解としては余りにもいい加減だと言わざるを得ないと思いますよ。あたかもアメリカの方を向いて日本はこのフィッシャーさんのケースを裁いているかのように誤解を受けますよ。そして、実際受けているんです。だからこそ、アイスランドだけではなくてヨーロッパ各国で、一体日本はどうなっているんだと、こんな法をねじ曲げて運用している国が国連の常任理事国になっていいのかという問題が連日新聞をにぎわせているわけでございます。  もう一点お伺いします。先ほど難民性と言いました。そして、家族の結合を重視すると言いました。このクルド人、イラン人のケースは、難民性であるとか家族の結合を重視したと。しかし、この問題と、この問題が、フィッシャーさんがアイスランドに行きたいと、理由、諸所の理由をケース的に、若しくは法の担保として上回るという理由はどういうところなんですか。
  56. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 現在訴訟中の案件でございますから立ち入ったコメントは差し控えさせていただきますけれども、先ほど来御説明させていただいておりますように、退去強制手続における送還先はその当事者の本国、国籍のある国であるということが大原則でございまして、この原則を適用できないようなケースというものが例外になるわけでございまして、先ほど委員指摘の事例につきましては、そういった例外的に第三国に出国を認めるのが相当であると判断されたケースでございます。  本件につきましては、例外に当たるものとは判断いたしておりません。
  57. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 なぜ例外じゃないんですか。  では、質問を変えます。  難民性であるとか家族の結合の重視であるとか、フィッシャーさんの理由でアイスランドに行きたいという理由、このそれぞれの理由があるわけですよ。その理由の重さというものは、これどういう基準で決めるわけですか。フィッシャーさんのケースは駄目で、クルド人やイラン人は結構ですよと。これ、きっかりとした、しっかりとした基準が担保されているんでしょうか。
  58. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 入管法の五十三条の第三項に難民条約の趣旨に基づいた規定がございまして、こういう規定に該当する場合には当然その送還先について検討をする余地があるというふうに考えておりますが、米国がその規定に当たるというふうには理解できないわけでございます。
  59. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 全く答弁がよく分からないんですが。私もせっかく今日、町村大臣に骨太の質問をさせていただこうと思ったんですが、時間がどんどん経過してしまいますので。  これは、今の答弁を見ても、今日はもう海外のメディア、多くこの問題注目しているんですね。ますます町村大臣日本信頼というものは私は失っているように思うんですが、余りにも、先ほどのアメリカが特別であるとか、このケースは三つの要素を含んでいないけれども、難民性かつ、難民性であるとか家族の結合を重視するから特別なんだといった、あたかもフィッシャーさんだけがどうしてもアメリカに行ってもらわなければ困るかのようなこういった法務省の対応というものは、私は若干、私は誤解を与える、そして明らかに私は法務省のこのフィッシャーさんの取扱いは疑問を我々に与えざるを得ないというふうに思っております。  確かにフィッシャーさんは、これ法律とはまた違うところですが、アメリカ政府に対しまして非常に九・一一以降ネガティブな言動を繰り返しているのも事実でございます。また、報道ベースによりますと、アメリカはどうしてもこのフィッシャーさん許せないと、別件の脱税等で今捜査して何とか逮捕したいというように捜査が進んでいると。そのデッドラインが四月の八日というようにも聞いていますが、こういった諸所の事情をパズルのように当てはめますと、あたかも日本が、この脱税で犯罪人引渡条項でアメリカに渡せばすんなりアメリカに持っていくから、それまでの間、何とか予防勾留のようにして留めておきたいというように見えてしまうんですよね。そして、海外の方々も、そして法の専門家も、冷静に見てこのフィッシャーさんの法務省の取扱いは明らかにおかしいと言っているわけでございますよ。  私は、政治の世界ですから、様々な圧力外交もあるでしょう。しかし、あなたたちは法務省ですから、法を扱う立場として、きちんと正しく法を適用し、これを守っていただきたいということを強くお願いをいたしまして、私の大臣への質問に移りたいと思いますが、この問題につきまして、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  60. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、委員と法務省のやり取りを十分聞かせていただきました。法務省、入管法を所管する省庁としてこれの規定に基づいて判断をしているということという説明だと思います。  特にアメリカ側から本件について、私自身、このフィッシャー氏をどうこうしてくれという要請を受けた記憶は私もございませんから、特にアメリカ側に何か特段の配慮をして法務省が法の運用をどうかしているというふうに私も理解はしておらないわけであります。  いずれにしても、今、本件は裁判中であるということでございましょうから、その個別の案件について余り私の立場でコメントをするのはむしろこの際は差し控えるべきなのかなと、こう思っております。
  61. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、大臣所信に対する質疑に入りたいと思います。予想外に時間を取ってしまって大変申し訳なかったんですが。  町村大臣、先ほど山本委員からもありました2プラス2の話でございますが、大臣は志の高い外交をやっていこうというお話をされました。様々なその志の高い外交の定義というものはそれぞれの政治家が持っていると思うんですが、私、一つのその志の高い外交というものは、やはり自分の信念を持って、そして日本らしさを持って、様々なその圧力もあるでしょうが、そういったものに負けずにと、負けずにと言ったら変ですが、その日本らしさをこれからどうやって貫いていくのか。確かに世界の中の日米同盟という言葉もよく出るわけでございますが、日米同盟日米との関係も重要でございます。しかし、アメリカと協調する中で、他方、日本らしさをどう出していくかということが大変重要だと思うんですが。  先日の2プラス2で、地域における共通戦略の目標という話がありました。日本アメリカは正に同盟国として協調をしているわけでございますから、多くの共通点があっていいと思います。しかし、日本アメリカ、それでは共通ではない目標というのは一体、大臣、どういうものがあるとお考えでしょうか。
  62. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そうですね、ちょっと突然そう言われてもなかなかすぐ思い浮かびませんが、先般の2プラス2における共通戦略目標というのは、まあ主としてこれは安全保障にかかわる事態について議論の中から共通点が浮かび上がってきたということを記したものでございまして、個別の案件について個々の違い、かなりそれはあります。  これは余りいい例では、余り取り上げたくはございませんけれども、今の米国産輸入牛肉の扱い一つ取りましても、まあ久方ぶりのと言っちゃいけませんけれども日米間貿易摩擦のような様相を呈してきつつある。これ一つ取りましても、それぞれの国に、アメリカアメリカなりに、日本日本なりのやはり食品安全というものについてのやっぱり受け止め方の違いがどうしてもあるんだなということを強く感ずるわけでございまして、これは余り戦略目標という大仰なものと比較すべきものではないと思いますが、一例を挙げますと、日米間の抱えている問題でもなかなか直ちに同じ目標、同じ行動を取れるわけでもないということはこれまでもありましたし、現在もある、これから将来においてもあるんだろうと思います。  ただ、私は、日米関係というものがしっかりしているということが様々な日本外交、対外的な活動の重要な基盤を成しているという認識を持っておりますから、意見の違いがあっても率直な議論をしていくということは大切なことであろうと、こう思っておりまして、できるだけ、それは共通点が多い方がより日米の関係がしっかりとしたものになるという意味で今後とも率直な議論は続けていきたいものだと、日米間においても、またその他の国においても率直な議論は続けていきたいものだと考えております。
  63. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いつも大臣には具体的な話をよくさせていただくんですが、せっかく今日は大臣所信なものですから、私もあえてこういった理念的な、一見分かりにくい議論のような、的を得ないような議論のようになるかもしれませんが、私なりに大臣の理念をお伺いしたいと思ってあえてこのような観点から質問をさせていただいているわけでございます。  確かに、日本アメリカ、とても大切な関係であります。しかし、他方、この戦後六十年という節目の中で、よくヨーロッパや他国から、日本常任理事国になってもアメリカの票がもう一票増えるだけではないかというような議論、若しくは、日本はいつも何でもアメリカの言いなりではないかという議論があるわけでございますが、私は決してそうじゃないと思うんですね、ですからこそ先ほどもフィッシャーさんの例を出したわけでございますが。  私は、日本アメリカとの信頼関係を築きながらも、日本の歩んできたこの戦後六十年の歴史、それから日本のある地位的な、地理的な状況、様々かんがみて、やはりアメリカとは違う日本らしさをこれからどう出していくかと、それが一つ大きな日本役割になるんだろう、それが日本外交一つの大きな柱になってくるように私は思っております。  そして、この戦後六十年の節目についてお伺いをしたいわけでございますが、大臣は、所信の冒頭、「今年は終戦六十周年という節目の年に当たり、我が国は、我が国にふさわしい国際貢献を通じて平和を希求するとの決意を新たにし、世界の平和と繁栄のため、一層積極的な役割を果たしていく」と決意をされました。  来る五月九日、モスクワで開催をされます、対ドイツの勝戦六十周年記念式典が行われます。ブッシュ並びに中国の胡錦濤、そして当事者でありますドイツも参加するということで大変大きな節目のイベント若しくは外交のポイントになると思うわけでございますが、小泉総理、これに出席されないというような、報道ベースですが私は拝見させていただきましたが、この事実関係はどうなのか、そしてこの問題を、この節目を町村大臣はどのように日本外交としてとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  64. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のとおり、また私の所信でも申し上げたとおり、今年はやっぱり六十年といういろいろな意味で節目の年だと、こういう認識を持っております。したがって、各国でいろいろな行事が行われるというふうにも聞いております。  特に国連では、昨年の十一月に総会決議で採択をされておりまして、今年の五月八日及び九日を追悼と和解のときという宣言をいたしまして、それでモスクワでこの式典が開かれるということでございました。また、すべての加盟国に対してこれらの日を適当な方法で祝うことを促しているということでございまして、五月九日にモスクワで第二次世界大戦終結六十周年記念式典が予定をされていると。これは国連決議を踏まえたものでございまして、プーチン大統領から小泉総理あてに、昨年、参加を招請する書簡が届いているところでございます。  一部の報道で、総理は不参加を表明したという報道もあったようでございますが、それは事実に反するところでありまして、今、目下、ちょうど連休後のことでもございます。国会の日程がどういうふうになるんだろうかといったようなこと、あるいはその他の国内の日程等を含めて今慎重に検討しているところでありまして、まだロシア政府に対して私どもとして正式な回答はいたしておりません。慎重に考えて決定をしていきたいと、こう考えております。
  65. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 町村大臣にとっての戦後総括、今年一年、御自身はどのようにこの戦後総括という問題をとらえていらっしゃいますか。
  66. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) いろいろな角度からのとらえ方があるだろうと思います。  やはりこの終戦のとき、正に日本国じゅう灰じんに帰していた状態から、諸先輩の努力もあり日本の国家がここまで発展を遂げてきたということに対して、これまで努力をされた方々に対して心から尊敬の念を持つと同時に、よくぞここまで日本はあの終戦のときからの混乱の状態から発展ができたなという感慨をひとしお持つわけであります。しかし、それはもちろん日本人の努力にもよるところがありますが、諸外国から様々な支援を受けた、やはり国際社会の支援もあってこそここまで来ることができたという面ももちろんあろうかと思います。  しかし、同時に、もう少し長いスパンで考えてみると、江戸時代から明治になり、明治以降、日本の国民が営々として努力をしてきたという積み重ねがあったから、一時的にはいろんなビルが壊され、いろんなものが破壊されたけれども、直ちに復興に着手できたということもやっぱりあったのであって、これはむしろ大正、明治、あるいは江戸時代、我々の祖先の積み重ねというものの有り難さというものを逆に強く感ずるわけであります。  また、同時に、さはさりながら、第二次大戦中の日本人によるところの韓国あるいは中国に対する植民地支配あるいは侵略といったようなものについてのやはり私どもは率直な反省の念というものを持たなければならない。大変な迷惑を与えたし、そういう意味での村山談話、あるいは、例えば日韓でいうならば小渕総理とそれから金大中大統領との共同声明、あるいは盧武鉉大統領と小泉総理との共同声明、いずれもそうした率直な日本人の、過ぐる大戦の最中における我々の行動というものに対しての反省というものも深く述べられている。  やはり私どもはそういう反省の上に立って、平和な日本、平和な世界をつくろうということで努力をしてきた。それは微々たるものであったかもしれないけれども、私は世界じゅうの国々が、そうした、日本の平和を希求し、そのために軍事的手段によらないで世界平和を築く努力をしてきたということについて、私は、いろいろなことを言う国もありますけれども、私は、日本自身のこれまでの六十年間の活動というものは、自信を持ってそのことは言ってもいいんだろうと思います。だからこそ、そういう自信に裏打ちされて、私どもは今回常任理事国になる、そういう資格があるだろうし、またそういう活動をしてきた日本常任理事国になることが国際社会にとっても意義のあることなんだと、そういう思いで常任理事国入りということを訴えている。  ちょっと取り留めのない話でどうも申し訳ありませんでしたが、そういう思いで今いるところであります。
  67. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、大変じっくりと町村大臣の戦後総括の話を聞かせていただいて、丁寧にかつ重たい言葉でお話しくださって、ありがとうございます。  私は、そろそろ、勝戦国対敗戦国であるとか、補償するしないであるとか、謝罪するしないといった形だけの戦後総括ではなくて、やはり温故知新と申しますけれども日本そして周辺国も、今までの、今日までのこの六十年の歩みを冷静に、そして建設的に振り返りながら、これからの日本、そしてこの地域、そして世界の在り方を考えていく、そういう戦後総括をみんなして共同作業でやる必要があると思っています。  そして、この戦後総括という問題は、私は戦後生まれの人間でございますが、やはりこれからの、六十年という歴史を大切にした、そしてそれ以前の歴史をも大切にした我が国が今後どのような国になっていくのか、この国の生き様や、やはり国の形、これからの行く方向をきちっと世界にアピールしていく大変重要なチャンスだと思っております。ですから、小泉総理がロシアに行かれないと聞いたとき若干クエスチョンマークが付いたわけでございますが、今大臣の話で、まだ行く可能性は十分あるということでございます。ロシアだけではなくて、これから世界各国で同じような、勝戦若しくは敗戦という言葉は付いているかもしれませんが、戦後総括をする式典が各国であろうかと思います。これは国会が許せばという当然まくら言葉が付くわけでございますが、私は大臣是非、海外に対してこの節目の各国でやる式典を御利用されまして、今後、日本はこういう国になっていきますよ、こういう国がこれからの日本ですよというメッセージを是非発していただきたいというふうに思っております。  その他、たくさん聞きたいことがあったわけでございますが、時間がなくなってしまいまして、残余の質問はまた後日に譲ることをおわび申し上げまして、同僚委員質問を譲りたいと思います。
  68. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  今日は、お手元に資料を配っていただきたいと思うんですけれども。    〔資料配付〕
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、前回というか先日、外務省のワイン等酒類及び絵画等美術品の購入に関する質問について質問主意書をお送りしまして、その答えについて、答弁書についてまずはお聞きしたいなというふうに思っているんですけれども、今、お手元に今配られているかと存じます。  この文書を皆さんも読んでいただければと思うんですけれども、答弁書の中にワインの本数等がいろいろ、私としても聞いてみたんですが、「改めて詳細な調査が必要となるため、お示しすることは困難である」という文章がこの短い答弁書の中に四か所もあるというような状況でして、正直申し上げてもうほとんど答えていないなという感じを受けたわけでございます。  特に、私聞いているのはそんなに、何か膨大な資料を要求しているつもりはないわけでして、フランスとポルトガルとドイツに所在する在外公館においてワインの本数どれぐらいあるのかとか、その程度のことを聞くにもかかわらず、改めて詳細な調査が必要とかいうことということは、これは一体どういうこと、答えたくないのかなと、余り何か誠意を感じていないんですね。答えたくないのかあるいは何も把握していないのか、どっちなんでしょうか、外務大臣、ちょっとお答えいただきたいと思うんですけれども
  70. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今の御質問でございますけれども、三つの公館ではございますけれども、購入したワインの具体的な本数、購入額等、個々にそれぞれの公館に確認する必要がありますので、一定の時間が必要ということで、できるだけ早く、早急に調べたいと思っております。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、これからもう一回答弁書を作って出してくださるということですよね。
  72. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) しかるべく御報告させていただきたいというふうに思っております。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、是非委員会の方でまたよろしくお願いしたい。委員長、お願いいたしたいと思います。
  74. 林芳正

    委員長林芳正君) はい。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 それと同時に、そのワインの、この中にちょっと書いてある、ない部分についてちょっとお聞きしたいんですけれども、まず、その外務省本省が購入するワインはだれがどんな基準で選定し、購入しているんでしょうか。どなたか専門家でもいるんでしょうか。
  76. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 専門家の方にもいろいろ御意見をお聞きして、そのときの価格だとか質だとか、そういうものを考慮して外務省の中で決めております。
  77. 白眞勲

    ○白眞勲君 専門家の人に聞くということなんですけれども、それはどういうスタンスで、いつどこでどういう形でその専門家の人に聞いているんでしょうか。専門家ってだれですか。
  78. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 専門家と申しますのは、例えばソムリエをやっておられるホテルの関係者とか、いろいろ関係の専門の方からお聞きしております。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、そのワインを買うたんびにそういう方々に聞いてからワインを購入されているんでしょうか。
  80. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) それは買い方にもよりますけれども、基本的にはいろんな方の御意見をお聞きしながら購入しております。
  81. 白眞勲

    ○白眞勲君 千六十四本のワインをお買いになったというふうに答弁書に書かれているんですけれども、そのワイン、今どういうふうになっているんですか。保管はどこでされているんでしょうか。
  82. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 約千本のワインでございますけれども、これ諸外国の要人の接遇等に供するということで、現在、飯倉公館において管理をいたしております。
  83. 白眞勲

    ○白眞勲君 だれが管理されているんですか。
  84. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) これ、形の上では会計課でございます。飯倉公館において管理しております。
  85. 白眞勲

    ○白眞勲君 現在、外務省の飯倉公館にはワインどのぐらいの在庫があるんでしょうか。
  86. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 飯倉公館では、現在、総計約八千本のワインがございます。
  87. 白眞勲

    ○白眞勲君 このワイン購入に際しまして、在外公館向けに本省及び国内の関連機関でワインは購入されているんでしょうか。
  88. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 在外公館向けに日本で買っているということはございません。
  89. 白眞勲

    ○白眞勲君 ない、ない。ないということですか。
  90. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) ありません。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回、三か所、私は、ワインの、フランス、ポルトガル及びドイツの在外公館についてのワインのデータなんですけれども、そこに、皆様お手元にもあるかと思うんですけれども、文書を、この「一の2から4までについて」というところを読みますと、外務省は、「平成十四年以降現在までに、フランス、ポルトガル及びドイツに所在する在外公館において購入したワイン等酒類の銘柄等の個々のデータについては、改めて詳細な調査が必要となるため、お示しすることは困難である」というふうに書いているわけなんですが、その後に「各在外公館が庁費、交際費等により購入し、会食やレセプション等の機会に使用してきているものである。」ということは、これ詳細な調査と個々のデータについてちゃんと把握しているからこういうことが言えるんじゃないんですか。
  92. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 在外公館で購入しました予算の費目、これについては当然のことながら承知しておりますけれども、それぞれの公館で何本何を買ったかというのは、現時点では、在外公館がやっておりますので、本省では承知してないということでございます。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、この場合に、これは今お出しいただけるということをおっしゃっていただいたんですが、月別のデータについても出していただきたいというふうに思います。
  94. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) はい、そのようにさせていただきたいと思います。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 その中に、「庁費、交際費等により購入し、」というふうになっているんですけれども、実際に、ワインというのは、これは庁費、交際費と二つに分かれていますけれども、どっちに属するものなんですか、これ。
  96. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) これは、各々のケースによって異なっています、用途で異なっております。社交的、儀礼的なものは交際費を使って購入するというふうにしております。あるいは、外国の方、人脈づくりということであれば、在外公館交流諸費等でやっているということでございます。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、各大使館とか何かによって庁費だけに使っている場合もあるわけですし、ワインが、それから各大使館によっては交際費だけの項目もあるんですね。  そうすると、今のお話ですと、それぞれの大使館によって、それぞれ庁費、交際費にワインが分けて書かれてなきゃいけないですよね。
  98. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今御答弁申し上げましたように、それぞれのケース・バイ、場合場合で使う費用が異なっておるということでございます。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 答えてないんですけれども、交際費と庁費がそれぞれの大使館になきゃいけないですよね、今のお話ですとね、官房長のお話ですとね。  ところが、その中には、大使館の中には庁費だけしか入ってない場合もあるわけなんですよ、ワインが。あるいは交際費だけで挙げられている場合もあるんですよ。ですから、それ、今の話ですと二つあるということなんですけれども、ないじゃないですか。どうなっているんですか。
  100. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) これは、在外公館のそれぞれのまた場合がいろいろあろうかと思います。先生御指摘のようなケースもあるかも分かりません。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、ある大使館によっては社交儀礼が全くないと。パーティーとか何か使う場合に、そういうところで交際費として使っているわけですよね、ワインを。ところが、そういうのはないんですか、大使館によっては。
  102. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 在外公館、繰り返しになりますけれども、それぞれのケースによって、先ほど申しましたように、庁費、交際費等、それぞれの費目を使って購入しております。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然答えてないんですけれども、ですから、大使館によっては、そうすると全くしてないということもあるわけなんですね、人脈づくりを、逆に考えますと。逆に考えますと、今おっしゃったのは、庁費の場合には人脈づくりだって今おっしゃいましたよね、官房長は。  ですから、そういった観点からすると、人脈づくりを全くやってない大使館もあるということですね。
  104. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 人脈づくりということで一般的な形で申しましたけれども、例えば庁費についてはレセプションで使うワインをやっております。レセプションも、広い意味でいえば人脈づくりということになろうかと思います。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、レセプションは交際費にならないんですか。
  106. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今の分け方ですと、レセプションに使うワインというのは庁費でやっております。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、逆に言うと、庁費に使われているレセプションは分かりました。じゃ、逆に、交際費でレセプション、大使館、場合によっては大使館の中には、レセプションをしているところではワインを使ってないんでしょうか。言っていること、分かります。
  108. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) レセプションで使う、また繰り返しになりますけれども、レセプションで使うワインについては庁費でやっておりますし、それから社交的、儀礼的な用途でやる会合、これに使用するワインについては交際費で充当しているということでございます。
  109. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の聞いているのは、この中に、今申し上げましたように、交際費の、ごめんなさい、庁費の中にワインが含まれてない場所がありますよね。つまり、レセプションをしてないんですか、そういうところは、じゃ。ワインを使ってないんでしょうか、レセプションの中で。
  110. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 天皇誕生日等、大使館で、各大使館でやっておりますけれども、こういった場合には庁費を使っております。  したがいまして、大使館、庁費で各大使館とも、ほとんどの大使館だと思いますけれども、レセプションについては、におけるワインについては庁費で充当しているということだと思います。
  111. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、天皇誕生日は大体普通、大使館でどこでもやっていますよね。
  112. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) はい、やっております。
  113. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、レセプションでは、天皇誕生日のときに庁費を使ってワインをしているわけですね。
  114. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) そういうことでございます。
  115. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、交際費でワインを落としていて、庁費が全く、ワインが項目がないところがあるわけですよ。それはどういうふうな御見解なんですか。矛盾しているじゃないですか。  つまり、どういうことかというと、天皇誕生日のときにワインを使っているわけでしょう、ほとんどのところが。それでいて、そこには交際費としか挙がってないわけで、庁費でワインが挙がってないじゃないですか。どういうことなんですか。
  116. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) いろいろなケースがあるかと思います。御指摘のところのケースというものがどういうところかちょっと分かりませんけれども、例えばの可能性として、庁費として以前買ってあったものが残っていて、それを使っているというケースもあろうかと思います。
  117. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、大使館によって、もし場合によっては庁費が全くなくて、全くない場合もあるわけですよ、過去に。過去に全く庁費として中にワインというリストがないにもかかわらず、そこでレセプションが行われて、そこでワインが使われたとしたら、それはどこから落としたことになるんでしょうか。
  118. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今申し上げましたように、いろんなケースがあろうかと思いますけれども、過去に買っておいたものを使用したということで、その年については例えば使わなかったということがある、というところがあるかも分からないと申し上げました。
  119. 白眞勲

    ○白眞勲君 答えになってないんですけれども、要するに、庁費とか交際費とか、大使館によって気が向くままに、ワインを今度は交際費だ、今度は庁費だと、その大使館によってその癖で、その日は、その大使館はワインというのは庁費で落とそうと、そういう明確な基準がないということなんじゃないんでしょうか、今の。  まあ、後で官房長さん、一回この議事録見てくださいよ。いかにそのお話がいい加減かというのは分かると思いますよ。どうなんですか、その辺。その辺は、交際費で落とせとかいうことは規定があるんですか。
  120. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) また繰り返しになりますけれども、買い置きを使ったところもあろうかと思いますし、それから、先ほど来御説明しているような用途に基づいて購入をしているということでございます。
  121. 白眞勲

    ○白眞勲君 買い置きといったって、ずっと庁費で落としてないのに、何で買い置きがそこにあるんですか。どういうことなんだかさっぱり分かりませんよ、その言い方は。まあ、この辺にしておきます。  次に行きます。  日本画について次にお聞きしたいと思うんですけれども日本画を大分美術品として購入されています。その評価基準というのはどこにあるんでしょうか。──急いでください。
  122. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 在外公館に送ります絵画でございますけれども、これは日本の文化を紹介するということで非常に大事だということで、関係の日本画の団体、有力団体の関係者の意見を聞きつつ、毎年購入しているということでございます。  具体的には、日展あるいは院展の関係者から御意見をちょうだいしながら購入しているということでございます。
  123. 白眞勲

    ○白眞勲君 当然、大使館、各大使館あるいは大使公邸とか何かにおける美術品なんかも含まれると思いますから、当然いわゆる在外公館における人たちの意見というのも参考にしつつ買わなきゃいけないなと思うんですね。例えば、ここの壁にどんな色が合うからこんな色のやつがとか、それぞれのやっぱり感覚というのはこれは必要だというふうに思うんですけれども、その辺についての意見というのは当然聴取するんでしょうね。
  124. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) まず最初に、その対象になる在外公館の意見を聴取いたします。それに基づきまして選定をいたすということでございます。
  125. 白眞勲

    ○白眞勲君 聴取してから選定まで何日間掛かるんですか。
  126. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) これもケースいろいろあろうかと思いますけれども、できるだけ速やかに選定するようにいたしております。
  127. 白眞勲

    ○白眞勲君 その要求は文書で来るんでしょうか。
  128. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 申し訳ありません、もう一度お願いします。
  129. 白眞勲

    ○白眞勲君 その要求は文書で来るんでしょうか。
  130. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 基本的には文書のやり取りでやっております。
  131. 白眞勲

    ○白眞勲君 その文書にはどういったことが書かれているんでしょうか。
  132. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 大きさ、色彩、それからどういうモチーフ、こういうものをどういうふうにしたら、どういう絵がいいかというような要望が参ります。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 具体的な、だれだれさんの作品のこういうのが欲しいという場合もあるんでしょうか。
  134. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) それは基本的にはないというふうに承知しております。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 基本的にないんですね。もう一回確認します。
  136. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 基本的にはないと思いますけれども、ケース・バイ・ケースで、その地域にゆかりのある方にかいていただきたいというような要望があることもあります。
  137. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、ゆかりのある方にかいてもらいたいというふうにおっしゃいましたけれども、ということは、今、日展の選考委員とか何かが決めるというふうにおっしゃる前に、先方の在外公館のしかるべき人がかいてくれと言うことによってかかせる場合もあるということですね。
  138. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) はい、そういう場合もございます。
  139. 白眞勲

    ○白眞勲君 それってどうなんでしょうかね。防衛庁長官、余り、知らぬふりしているような顔をしていらっしゃいますけれども、非常に関心は持っていらっしゃるんだと思うんですけれども、普通、長官はあれですか、家に絵買ったことあります。
  140. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 私が買いました絵は、外国に行きまして道端でかいている絵がありますね。ああいうものは買ったことありますが、美術品とか高価な芸術品みたいな絵は買ったことございません。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣、いかがですか。
  142. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そういうプライベートなことまで私がここでお答えをしなきゃならぬのかなとは思いますが、あえてのお尋ねですからお答えいたしますが、たしか、これは議員の資産報告の欄に美術品という欄がたしかあったような記憶がありますが、そこに私は記録をするべき立派なものは我が家にはございません。
  143. 白眞勲

    ○白眞勲君 在外公館ですから、当然それは高価なものをある程度飾っておかなきゃいけないというふうに思いますけれども、あるいは非常に、何でしょうね、由緒ある美術品を置くということによっての、今正に官房長がおっしゃったような、やはり日本のイメージアップにつながるというところは私もよく分かります。私もある大使館にお邪魔しますと、その国のいろいろな美術品を見て、ああ、すばらしいなと、すてきだなというふうに思うことによってその国のイメージアップというのは図れるのは分かるんですけれども、ただ、今のお話によりますと、ある一人の外交官がこの絵を作れということを、この絵をこの人にかいてもらいたいということを言うという、それは今おっしゃいました、最初におっしゃいました選考委員とか云々という以前の問題じゃないのかなと。それは御本人の趣味であって、それは日本国民の趣味じゃないかもしれないわけですよ。その辺について官房長、どうお考えですか。
  144. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 先ほどのお話、御答弁申し上げましたように、そういう意見が寄せられることがございますけれども、それは正に日本を代表する建物、在外公館に置く絵でございますので、公平な視点から選ばさせていただいているということでございます。
  145. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、できるだけ速やかにというふうにおっしゃったんですよね、向こうから要請があった場合には。できるだけ速やかにという中で、そういう公平なスタンスというのはできるんですか。その辺の選考過程というのは書類にまとめてあるでしょうね。
  146. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) できるだけ速やかにというふうに申し上げましたけれども、それこそ購入等手続がございますし、それは一定の時間が必要であります。ただ、そういうニーズがあるところにはできるだけ早く出したいということで作業をしているということでございます。
  147. 白眞勲

    ○白眞勲君 在外公館に送った美術品の個々のデータというのは当然物品管理簿等があるかと思うんですけれども、と同時に、これは本省で購入しているわけですね。それと同時に、在外公館に物品管理簿があるというふうにも理解しているんですけれども、今日、会計検査院の方いらっしゃっているかと思うんですけれども、その辺についてちょっと御説明いただきたいと思うんですけれども
  148. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 会計検査院では、私ども、毎月定例的に提出を受けた計算書とか証拠書類に基づいて書面検査を行っておりますけれども、最近では、外務本省のほか、毎年相当箇所、二十か所程度の在外公館に対して実地の検査を行っているところでございます。  お尋ねの絵画等の物品管理の状況ということでございますけれども、今申し上げましたように、実地検査の際には、そういう購入した絵画等に限らず、いろいろな物品の適切な管理が行われているかどうかというそういう視点から見ておりますけれども、そういう実際の物品管理の状況などにつきましても、現品と当たりながらそういう状況については検査の中で把握しているという、そういう状況でございます。
  149. 白眞勲

    ○白眞勲君 大臣は常日ごろ、国益に立脚した志の高い外交を展開するというふうに、私は何でこんなワインのこととか何かを聞いているかと。きっと皆さんの中には、もうこんなことよりももっとライスさんとの打合せの話とか何かを聞いた方がいいんじゃないかというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、実は外務大臣の所信のこの文章の一番最後には、「課題は山積しておりますが、私は、国民の御理解をいただきつつ、国益に立脚した創造的で志の高い外交を」というふうに書いているわけですね。  つまり、このワインとか絵画というのは非常に国民の関心というのは高いんですよ。と同時に、機密費というのが過去に外務省で問題となったことがあります。そのときにもこのワインというのが話が出てきたわけなんですけれども、この答弁書とか何かについてだって、全然まだまだ、答えがまだまだ不十分であるというような中で、国民のこの今の外務省に対する不信感が高まってはいけないという観点から、私はやはりこういった問題についても外務省としてやっぱりきちんとこういう問題について国民に対して明らかにするべきではないかなというふうに思うんですけれども外務大臣、御所見をちょっとお聞きしたいと思います。
  150. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員からは、これ、三月三日付けで質問主意書が出されました。私どものお答えは三月十一日付けでございます。ちょうど一週間、やや一週間。  委員からのお尋ねは、それぞれ、例えばワインについては、フランス、ポルトガル、ドイツにある在外公館について銘柄、本数、それぞれの内容量、定価、購入価格、購入者、購入先、購入先と支払先が異なる場合には購入代金支払先、具体的にワインが納品された納品先、購入日時及びその銘柄を選んだ理由を示されたいと。ここまでのお問い合わせを直ちに短時間で御返答申し上げるのは、それは一定の期間が要るということは是非、白委員にも御理解を賜りたいというふうに思います。  先ほど官房長申し上げましたように、できる限り、率直に言って、その銘柄を選んだ理由まで私は一本一本について示せるかどうか率直に自信はございませんけれども、まあ可能な限り調べてお答えをしたいと、こう思っております。  また、絵画についても、委員もお認めをいただいたように、我が国在外公館にふさわしい日本の文化の発信等という観点もあると思います。そういうことで購入をしているわけでございます。  ただ、なかなか難しいのは、購入価格などは、例えば絵画について言いますと、大変、画家によってはです、これたまたま私が個人的に聞いた話で、すべて一般的に通用する話かどうか分かりませんが、自分はその国が大変好きだという、これまでのきっと画家としての経験なんでしょう、是非そこにある大使館に私がかくから置いてもらいたいという申出をすると。しかし、それは無料というわけにはいかない。そうすると、ある意味ではその向こうの御厚意といいましょうか、お申出でございますから、多分その方の、市中で買うと一号幾ら幾らというものよりは、例えば相当安い値段でいいですよと言っていただく場合もある。そういうときに、その値段が公表されることが、結果としてその方の評価にある意味ではマイナスを及ぼすことだってあり得るかもしれないというようなこともあり、なかなかその辺はどこまで厳密にお示しできるのかなということを率直に私は、これはたまたまある一、二の画家の話だもんですから、一般論として言えるかどうか分かりません。分かりませんが、そういうこともあるのではないだろうかと、こう思います。  いずれにしても、委員指摘のとおり、外務省改革ということで、平成十三年九月に会計検査院からこの報償費の使途については明確にしなさいという御指摘を受けて、それ以降改革に取り組んでいるということでございます。そういった経緯を踏まえたときに、こうしたものについて、国民の皆さん方から疑問を持たれるようなことがあってはそれはならないという御指摘はごもっともであろうと、こう思っております。できる限り、きちんと皆様方に御説明できるように基準を設け、公表すべきは公表してやっていく必要があるだろうと、かように考えております。
  151. 白眞勲

    ○白眞勲君 正に外務大臣のおっしゃられたとおりでして、こういった、本当に、何億円というような仕事じゃないかもしれないけれども、本当に一万円単位のこういったものというのが、意外とやはり一般国民の人たちというのは敏感に感じる部分というのは私はあると思いますので、是非御尽力いただきたいなというふうに思うわけなんですけれども。  そういう中で、外務大臣が今、本当だったら高い評価を受けている人たちが安く売っている場合もあるかもしれないというお話もありましたけれども、逆の場合だってあるわけなんですね、もしかしたら。今のお話ですと、ある個々の人間が外務、在外公館にいる人が、この人に対して分からないまんま、この値段なんだというふうに聞いて、そのままの値段を言ってくる可能性だってあるわけなんで、その辺は厳正に対処していただきたいなというふうに思うわけなんですけれども。  今外務大臣がおっしゃいましたように、その外務省改革ということを今一言おっしゃいました。その中で、検察査察室というのが外務省にできたということですけれども、今大体、在外公館何か所ぐらい調査されましたでしょうか。
  152. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 在外公館、全部で百八十九ございますけれども、現在まで百六十公館、六十か所検査を行いました。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 その中に、国連、ニューヨーク、ポルトガル大使館、国連の、あれは何ですか、何といったっけ、何だっけ、外交部、(発言する者あり)代表部、それとか、ニューヨーク領事館、そしてポルトガルの大使館おっしゃいましたでしょうか。
  154. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 今委員から御指摘のあった公館については、先ほどお話ししました百六十ではなくて、正確には百六十一でございます、その中に含まれております。
  155. 白眞勲

    ○白眞勲君 美術品は調べましたか。
  156. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 査察の一環として調べているということだと思います。
  157. 白眞勲

    ○白眞勲君 当然、美術品写真台帳もありますよね。
  158. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 報告を受けておりますけれども、それぞれの公館から問題があったという報告には接しておりませんので、あったということだと思います。
  159. 白眞勲

    ○白眞勲君 購入台帳も外務本省にはあるはずと思いますけれども、ありますよね。
  160. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) あります。
  161. 白眞勲

    ○白眞勲君 在外公館、その三か所の物品管理簿もありますよね。
  162. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 物品管理簿は、物品管理の責任者が在外公館の場合は在外公館長になっていますので、在外公館にあるということでございます。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 あるにはありますよね。
  164. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) あると承知しています。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非それを、この三か所だけで結構でございます、是非御提出いただきたい、委員会に御提出いただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。
  166. 林芳正

    委員長林芳正君) 後刻理事会で協議いたします。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 検察査察室は、そういう中で、どれぐらいの時間を掛けて、何人ぐらいで今やっていらっしゃるんでしょうか。
  168. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 監察査察室というのを平成十三年九月に設けておりますけれども、現在二十二名おります。その中で、幾つかのチームに分けておりまして査察をやっているということでございます。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 当然、査察マニュアルはありますよね。
  170. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) ございます。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 マニュアルも是非見せていただきたいと思うんですけれども、どうも何か分からないんですよ。どこにマニュアルがあるのか、どういった検査をしているのか、さっぱりそこに分からないんですけれども、それ公開できますでしょうか。
  172. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) マニュアルはございまして、それに基づいてやっているわけですけれども、これを公表するということになりますと、その査察の手法というのが明らかになるということで、そこは公表は差し控えさせていただきたいということでございます。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 よく分からないんですけれども。  マニュアルが見えないまんま、査察していますと言ったって、それは国民は納得しませんよ。それ、どういうふうにお考えでしょうか。
  174. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 私どもとしては、そのマニュアルに基づきまして、しっかりときっちりとやらさせていただいているというふうに思っています。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 やり方が分かっちゃうから駄目っていうんじゃ、それ国民納得しないというふうに申し上げているわけでして、何で公開できないんですか。もう一度御答弁願いたい。
  176. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 私どもとしては、査察を実施するに当たって、それを公表することによって支障が生じるというふうに判断しているということでございます。  それから、もう一点加えさせていただきますと、査察に当たりまして、我々内々の人間だけでやっているということではございませんで、これも平成十三年九月以降、公認会計士等の外部の専門家の参加を得て、公平性、中立性を確保しつつやっているということでございます。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 支障が生じるって、どんな支障が生じるんでしょうか。具体的に言ってください。
  178. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 査察に当たっては、集中的に大体一週間ほど時間を掛けてやっておりますけれども、かなり詳細な査察をやっております。その中で、やはりそのマニュアルを明らかにするということになると、その査察の効果が薄れるというふうに我々は考えております。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 査察の効果が何で薄るんですか。その支障が生じるという意味には全然答えて、なっていないんですけれども。もう一回、その支障が生じる意味は何なんでしょうか。
  180. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 査察というのは抜き打ち検査的な要素が入っております。それを最初から示すということになると、その対策を講じられてしまい、十分な効果を上げられないということを我々は考えています。
  181. 白眞勲

    ○白眞勲君 百六十か所も回っていれば、最初に回ったところと最後に回ったところで当然、どういった査察をしていますよというのは、これは話としては当然行くじゃないですか。普通そうですよね。  普通は、会計検査院でもそうだし、それから金融庁でもそうですよ。検査っていえば、当然その検査のマニュアルがあって、そのマニュアルに従ってこれを当然やっていくわけじゃないですか。それは各銀行だろうが何だろうが、民間企業だろうが全部、税務署だってそうですよ。全部そういうマニュアルがあって、マニュアルに従ってやっているのが当たり前ですよ。それと同時に、それはもうほとんど公になっているのが当たり前なんですよ。  それを、何か支障が生じるったって、何かばれちゃうからだとか言っている。要するにそういうことでしょう、ばれちゃうからでしょう、次のその。  それちょっとおかしいんじゃないでしょうか。是非公開していただきたいと思うんですが、もう一度お願いしたいと思います。
  182. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私は、ほかの行政機関がどういうふうにやっているかもちょっと伺ってからお答えをしたいと思いますが、例えば税務のマニュアルなんというものを私はとても公開しているとは率直に言って思いません。それはやはりきちんとした立場でその機関がそれぞれどう活動しているのかということ、税は余りにもお金が絡むからこれは難しいのかもしれません。例えば今、昔でいうと行政管理庁というのが、今総務省の行政管理局と、監察局というんですか、これが行政監察というのを組織としてやっておりますが、私は寡聞にして、例えば行政監察局がどういうマニュアルで監察をするぞということを公表してやっているということでは多分ないんではないのかなと思います。  したがいまして、そうした他の例もちょっと参考にしながら今委員の御指摘については考えさせていただきますが、多分、私の直感といっては失礼ですが、余りそういう監察基準、マニュアルというものを公表しているケースというのは寡聞にして聞いたことはございません。いずれにしても、後刻委員長には、あるいは委員にはお答えをいたします。
  183. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、当然調査報告というのはこれ大臣に上げるんじゃないかなというふうに思うんですけれども大臣はもちろん受け取っていらっしゃいますよね。
  184. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 着任してしばらくした折に膨大な監察結果を拝見をいたしました。余り何が書いてあるということを今ここで申し上げることすら適当ではないのかもしれませんが、極端なことを言いますと、在外公館に勤務している館長とその次席との人間関係までそれこそ詳しく書いてあったりいたしまして、ここまで調べるかなと率直に言って思ったことさえございます。それはかなり詳細であり膨大なものであり、きちんとやっているなというので随分すごい調査をするんだねと聞いたらば、正に外務省改革の一環としてこれを始めたんですと。そのために、たしかあれは検察庁ですか、から専門の方を監察官としてお迎えをして、そしてその方の指揮もいただきながらやっているんですという説明を受けたことがございます。
  185. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非そういった話というのは、今初めて聞いたわけですから、そういったものをやっているんですよということを公開するだけでもやはり外務省に対する国民の信頼というのは高まると思いますので、是非それを、自分の机の中に入れるだけではなくて、全部を公開しろとは言いませんけれども、やはりマニュアルについてもできるところとできないところがあるのは分かります。ただ、こんなことを調べているんですよということを国民にきちんと明らかにするべきではないのかなというふうに思うわけでございます。  と同時にもう一つ最後でございますけれども、今日はちょっと防衛庁長官に対する質問がちょっと時間がなくて申し訳ございません、何か絵に対する質問しかしなくて済みませんでした。また次回はやらさせていただきたいと思っているんですが、一つだけ、その内外の通信社購読経費五・九億円について、私が質問状を出したことについて、前回私はこの外務部会、民主党の外務部会での質問で、この購読費については海外の在外公館の購読費もすべて合わせているからこれだけの五億九千万円という、私も新聞社にいましたから分かるんで、こんなに購読費払ってくれているんだったら有り難いなと思うぐらい、もちろんいろんな新聞社もあるんでしょうけれども、というぐらいすごい金額なんでと言ったり、今、今回の答弁書によりますと何か購読はしてませんよと言っているんですね。何かこれちょっと全然答弁違うんですけれども、どっちが正しいんでしょうか。
  186. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 御質問の外国語情報誌の購読でございますけれども、これは内外通信社購読経費の中には入っていないということでございます。外国情報誌の購入につきましては、新聞、定期刊行物購読料等で別途計上されているということでございます。
  187. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると前回の、前回の私に対する課長の説明というのは間違っていたということですね。
  188. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 会計課長の方からこの間御説明させていただきましたけれども、内外通信社購読経費の中に外国語情報誌購読経費が含まれているという印象委員に与えたということであれば、それは正しくありません。答弁書にあるとおり、この経費は内外通信社購読経費によって外国情報誌の購読は行っていないということでございます。
  189. 白眞勲

    ○白眞勲君 この件について、また次回やりたいと思っていますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  190. 林芳正

    委員長林芳正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後二時三十二分開会
  191. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  192. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚直史でございます。今日はこの外交防衛委員会で初めての質問をさせていただきます。  私は、実は十八年間ハワイの方で仕事をしておりまして、ああいう太平洋の真ん中において仕事しておりますとまあいろいろと考えさせられることがございまして、特にハワイはイーストウエストセンターですとか東西の懸け橋のような地理的な位置がございます。  多分この委員会の皆さん御存じだと思うんですが、四四二部隊という有名な日系部隊があったんですけれども、多分御存じだと思うんですが、パープルハート大隊といいまして、第二次世界大戦で最も死傷者が多かったという大隊でございます。こんな話、何でしているかといいますと、実は第二次世界大戦以降のハワイの秩序をつくるにおいて、この四四二部隊の方たちが非常に大きな役割を果たしました。私どもが偉そうな顔をして今商売できるのはこの方たちのおかげだと思っております。  私は、そういう中で、この日本の力といいますか、日本の大きなこの責任というものがやっぱりあるんじゃないか、特に、この冷戦が終わった後に日本が果たすべき非常に大きな役割があるんじゃないかと思って、そういう観点から今日は外務大臣質問をさせていただきます。  まず、昨年のあのハイレベル委員会の報告の中に、外務大臣安保理はもっとICCを、国際刑事裁判所を活用するべきだと、安保理はICCにもっと付託をすべきだという報告があったんですけれども、これは御存じでしょうか。
  193. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ハイレベル委員会報告書、私、全部読みましたので、そういう指摘があったことを記憶をしております。
  194. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 であれば、今我が国が常任理事国入りに立候補しているわけですが、常任理事国入りの前にこのICC、国際刑事裁判所の定めるローマ規程締結をすることは論理的な必然だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  195. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先般、この点についてはたしか予算委員会でも委員から御指摘をいただいたポイントかと記憶をしており、まあちょっと記憶が間違っていたらごめんなさい。  結論だけ言うならば、必ずしも論理的にICCローマ規程を締結しなくても私は十分常任理事国としてやっていけると、こう思っております。なぜならば、現在の常任理事国の中でもこれを締結をしていない国が複数あるからでございます。  ただ、委員指摘のこの国際刑事裁判所の重要性というものは、先ほど申し上げましたように、報告書の中にも触れられているとおりでありまして、大変私は大きな意義を持つものだと、こう考えております。  これも、この委員会であったか、あるいは別の委員会であったか、たしか委員からこれも前にお尋ねあったような気もいたしますけれども、この一九九八年、ICCの規程を採択したローマ外交会議以来、私どもは一貫してこの設立の段階から日本も積極的に関与をしてきた部分でございまして、そういう過去の経緯からいっても、これについて私どもは締結をしたいという意欲は持っております。  ただ、ICCの対象犯罪の重要な柱である戦争犯罪につきまして、そもそも戦争の存在を前提として、こうした、これを処罰する国内法制を整備するあるいは議論をするということが日本の国内では率直に言ってはばかられるという政治状況があったという中で、ようやっとさきの通常国会で武力攻撃事態対処法の整備が行われると、いわゆる有事法制の整備が行われてまいりました。そこでようやっとこのICCの規程の締結に向けた前進があったという状況でございますから、更にいろいろな議論を重ねる必要がある分野でもあろうかと思います。  先般、法務省の担当局長が幾つかの例示をたしか挙げて先生にも御答弁を申し上げていたと思いますが、そうした締結のために必要な国内法の整備につきましては鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
  196. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今日は限られた時間ですので、なるべく簡潔に御答弁をお願いします。  私、この話をお伺いするのは実は四回目になるんですが、どうしても、この国内法の未整備ということが原因で、もう七年になるんですが、七年間これができなかった、どうして七年間もこれができなかったのかということがやはりどうしても納得ができない部分があります。  既に御存じのように、九十七か国、国内法、自国の整備をしてこの締結をしているわけですが、もう一度伺いますが、日本の法律だけがこの九十七と比べて特別であるということをおっしゃっているんでしょうか。
  197. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  これは以前にも委員には別の場でお答えした経緯あろうかと思いますけれども日本の法体系が何か特異であると、特殊であるということで申し上げているつもりはございませんけれども、ただ、憲法の九十八条にも、条約、国際法の誠実履行義務というものがうたわれておるわけでございまして、私どもといたしましては、条約を締結するに当たりましてはこの誠実な履行、国内的な履行というものがきちっと行えるようにということで、ある意味で、恐らく委員のお立場から見ますと、そこまでやらなくてもいいんではないかというふうに思われるようなところがあるのかもしれませんけれども、きちっとした形での国内法の担保、これをきちっと履行できるような担保というものをした上で締結するということを慣行としておりまして、そのことのためにと申しますか、そういう国内法整備を適切、落ちのないようにきちっとやるということのために時間が要しているというところでございます。
  198. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃっていることはよく分かります。よく分かるんですが、やはり政治のリーダーシップというものがないために、じゃ、これを締結をするから国内法の整備をしなさいという、その政治のリーダーシップなしに何となく放置されているんじゃないかという印象をどうしてもぬぐうことができないんです。  といいますのは、先般、ハーグに行きまして、韓国の判事、実は選出をされているわけなんですけれども、御承知だと思うんですが、のお話などを伺っている中で、やっぱり韓国の場合は日本と非常に似た状況の中で、在韓米軍もおり、基地協定も地位協定もある中でこのICCを締結をした。その前提としてやっぱり金大中、ノーベル賞を受賞した大統領が非常なリーダーシップを持ってこれを締結にまで持っていったという事情があると聞きました。  外務大臣、どうなんでしょうか、韓国できて、どうして日本にはできないんですか。
  199. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私は韓国の立法状況というもの、あるいは国会の状況をつまびらかにしておりませんので、ちょっと私自身、韓国と比較をする知見も能力もないので、そのお問い合わせにはちょっとお答えを差し控えさせていただきます。
  200. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は韓国状況と比較をして申し上げたんですけれども、一番申し上げたかったのは、政治的なリーダーシップがないために国内法の整備が進まないんではないかと。あるいは、もしリーダーシップの問題でないとしたらば、これはひょっとしてアメリカの影響下にあり、言ってみれば軍事的にはアメリカの言わば支配下にあって米国の方針には逆らえないと。あるいは、北朝鮮の脅威があるために米国が正面を切ってこのICCに反対をしているから動けないんだと、そういうことなんでしょうか。
  201. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは先ほども申し上げましたように、やっぱりすぐれてやっぱり有事法制というものの、これだって本当はもう二十年、三十年前に整備をすべきものがいろいろな政治状況の中でできなかった。ようやっと去年、おととしですよ、これが議論をされ法制化するようになってきたのは。  したがって、そういう雰囲気の中で、確かにそれは議論のスピードがそれは遅かったかもしれないけれども、僕はこれは誠にやむを得ない状況であったと。その辺、もし韓国と強いて比較をするならば、それは彼らは多分そうした有事法制等々もきっと早い段階から整備されていたのではないかと、これは想像でございますが、だろうと思うんです。日本はそういう面で、とにかく日本は戦争にかかわる法制などというものはもうおよそ議論することすらいかぬというような国会内外の雰囲気が実際あったわけであります。だからこそ、有事法制の検討が進まなかった、法制化ができなかったという今日までの姿、ようやっとこれが議論できるようになったということでありますから、正にこれからなんだろうと、そう思っておりまして、別にアメリカからこの規程をどうこうしてくれとか、してくれるなというような話は一度たりとも外務省に来たことはございません。
  202. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃることはよく分かりました。確かに、別にリーダーシップの問題でもなければアメリカの影響の問題でもないと、私もそういうふうに思っているんです。  じゃ、何が問題なのかといいますと、私はその外交日本の戦略というのがはっきりお持ちになっていないんじゃないかと、そんな気がしてならないんですけれども。先般の、昨年のあの小泉総理の国連新時代という大変格調の高い演説が国連でなされました。その中に三つ大きな私は柱があったと思っております。一つは人間の安全保障日米同盟、そしてアジア協調、この三つなんですね。その中で、その人間の安全保障を言うのであれば、これは法の支配ということですから、正に今この時宜を得た、法の支配の言わば国益を超えた、国際的な法益を進む言わば今シンボルになっているICCの締結するということは今ほど時宜を得たことはないというふうに考えるんですが、外務大臣、いかがですか。
  203. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 小泉総理の国連新時代、昨年の九月における演説があったわけでございます。これはどの部分を取って言うかは別にいたしまして、いずれにしても、今日の国際社会が直面をするいろいろな課題がある、これに対処するためには国連なかんずく安保理を改革して加盟国が国連新時代の構築に向けてともに協力しようと、これが一番のエッセンスであったと、こう思っているわけでございまして、このせりふから直ちにこのICCというところに行くのか行かないのか、そこはいろいろな解釈があるのかもしれません。いずれにしても、私どもとしては一生懸命今作業をしているところでございます。  中には、私も詳細に詳しく知っているわけじゃありませんけれども、国内法制はしばらくさておいても、とにかく規程だけは締結をしてしまうと、そういう条約の結び方をする国もあるやに聞いております。日本はそこは極めてまじめな性格の人々が集まっているものですから、きちんと完璧に国内法制を整備した上でやろうということで、どうしても時間が掛かってしまうという嫌いがあるのは傾向としてはあるんだろうと思います。いずれにしても、引き続きこのローマ規程の締結に向けて国内法制の整備の努力はやっていこうと、こう思っているところであります。
  204. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今お話が国内法の方に少し戻りましたので、ここで三月十日のアナン事務総長の国際的なテロに対する取組をやろうじゃないかという発言がこれはスペインでやられたんですけれども、これについての外務大臣の御見解をお願いします。
  205. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 三月十日のスペインにおける、スペイン・マドリッドにおいて開催されました民主主義・テロ・安全保障に関する国際サミットでアナン事務総長が述べておられますテロに関すること等でございます。  私は、このアナン事務総長の発言の趣旨というのは、先般のハイレベル委員会報告書が提案をしている内容と軌を一にするものであろうと、こう思っておりまして、私どもとしてはよく理解ができることだと、こう受け止めております。
  206. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 お手元にお配りした資料をごらんになっていただきたいんですが、米国による空爆等における国際法上の根拠と日本政府対応と題した紙で、これ、大変失礼いたしました、出所が書いてございませんが、私の事務所の方でいろんな方の協力を得ながら作ったものでございます。何でこんな紙を出したかといいますと、テロという言葉に対する明確な定義が今のところなかなか、これといった定義がまだ確定をしていないという問題があります。  この紙をごらんになってください。一列目が事案、これは九八年のスーダンから二〇〇三年のイラク戦争まで、二列目はそれに対する国際法上の根拠、そして三列目が日本政府対応とコメントでございます。  ここで注目をしていただきたいのがこのスーダン、アフガニスタンの空爆。一行目の国際法上の根拠は国連憲章の五十一条になっております。そして、それに対する日本政府対応、これは、米国のテロ行為に対する姿勢は理解できると。理解できると。要するに、国連憲章五十一条の自衛権行使をテロ行為に対する断固たる姿勢として理解できるというふうに言っているわけです。  そこから、下から二行目に移っていただいて、今度はアフガニスタンの空爆のときです。これも、三行目を見ていただくと、同じく国連憲章第五十一条に基づく個別的、集団的自衛権の行使なんですね。これに対する日本政府対応は、やはりこのテロに対するアメリカの取組を今度は強く支持をし、可能な限りの協力を行うと、こういうふうにここで小泉総理が談話を出しているわけですね。  言わば同じテロ、同じ国際法上の根拠をもって日本政府対応がここまで違うというのはどういうことなのか、お答えいただけますか。
  207. 林景一

    政府参考人(林景一君) 端的に申し上げれば、それは事案がそれぞれ異なるわけでございますので、我が国にとりましての関心、あるいは我が国から見た関与の度合いとかいったことによって、おのずから政治的な判断を含めた対応というのは異なるところはあると思います。  法律的な根拠として、それは自衛権で正当化されるのか、あるいはそれはされないのか、あるいは決議があるのかないのかといったことは、それはもちろん大きな判断の中の一つの要素であろうと思いますけれども、その判断を踏まえた上で理解できるというふうに考えるのか、支持できるというふうにするのか、あるいは更に踏み込んで支援までするというような形にするのか、それはおのずとやはり事案によって異なるんだろうと思います。  このアフガン空爆と申しますのは、これは御案内のとおり、九・一一の後の、下の事例というのはそういうことでございますけれども、これは言うまでもなく、ワールド・トレード・センターにおきましては我が国の同胞も二十数名命を失っているというふうな事情もあるわけでございまして、その辺のところ、やはり極めて重大な事態であったということであろうと思いますので、これに対する対応というものをやはり政治レベルで御判断なさったということではないかというふうに思います。
  208. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃることはよく分かるんですね。九・一一の後に、あの異常な心理状態にあった。私もそのときアメリカで仕事をしておりましたんで、ふだん仲良くしていた人たちが胸に星条旗のバッジを付けて、もうプロ・ブッシュ一〇〇%でした。どんな発言をしても聞いてくれないような、正にブッシュ一辺倒のあの雰囲気の中で日本政府がこういう対応をしたというのは、私はよく分かるような気がするんですよ。  しかしながら、この同じテロということに対して、同じ国連憲章五十一条に基づいた行動がこれほど、支持するというふうなところから可能な限りの協力を行うというところまで、これほどぶれてしまっては、やはり国際社会の信頼を得るというところからは私はほど遠いと思うんですね。私はここではっきりと、やっぱりテロに対する明確な定義、日本が明確な定義なしにこれ混乱してしまったって、これはいい例なんですよね。  我が国は何をもってテロだというふうに定義を持っているのか、説明していただけますか。
  209. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 私ども、答えは御質問のものと一致するのかどうか分かりませんけれども、国内法的な形で御説明いたしますと、テロ行為を効果的に禁圧するための法整備の必要性については法務当局としても十分に認識しているところでございますが、テロ行為の定義については様々な議論があると承知しております。  国内法的に見ますと、ちなみにテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の国内法整備として、平成十四年に立法された公衆等脅迫目的の犯罪行為のための……
  210. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 テロの定義を聞いているんですよ。
  211. 大林宏

    政府参考人大林宏君) ですから、今申し上げた国内法的な形で、このような規定、条約に基づいた国内法はございますけれども委員がおっしゃられるように、テロ行為という形で定義した国内法というものはないものと私どもは承知しております。
  212. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 正に法務省の方がおっしゃっていただいたとおり、テロの定義というのは非常に難しくて、ないわけですよね。ですから、同じテロといっても、やっぱり対応は違ってきてしまうというこの問題があるわけなんですね。  先ほど町村外相がおっしゃったハイレベル委員会の中でも、それを実は言っているところがございまして、ちょっと要約して読ましていただきますが、テロの定義は、一、関連する十二の国際条約、二、ジュネーブ条約、三、ローマ規程、これはICCのためのローマ規程、この中に十分に書き込まれていると。今さらテロの定義を云々してここでこれを問題とするのは、これは政治の全くの責任であるということをここで言っているわけですね。  町村大臣、今、このテロの定義さえできないという今の状況ではなくて、今こそこのローマ規程を我が国が締結をして、テロ防止に向けた国際的な協力の中の大きな役割を果たすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  213. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) このテロをどう包括的に定義をするのかと、これは、なかなかこれは難しいんだろうと思います。現実に、一般国際法上、確立した定義は現在ないという今の現状でございましょう。したがって、このテロを廃絶するための、ハイジャックでありますとか人質行為とか、爆発物の設置とかテロ資金供与等々の一定の行為類型について、これらを犯罪として、そして処罰のための法的枠組みを整備する対応ということで現在十二のテロ防止関連条約が存在をするということで、これらについては日本もすべて締結を完了し、誠実に実施しているということであります。  日本が積極的に、今ちょっと私が取り違いかもしれませんが、テロの定義を作るように努力をしろと、もしそうおっしゃっている……
  214. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、そうじゃないですよ。
  215. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) のではないわけですね。まあまあ、それなら結構ですけれども
  216. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大野防衛庁長官がこの間の予算委員会の場で、自衛隊のソフトパワーということをおっしゃっていただいたと。自衛隊と、言わば防衛外交の境目は非常になかなか見えにくくなってきているんだと。自衛隊の皆さんはよくやっているんだと、現地に行って、場合によっては折り紙までしながら皆さんとのコミュニケーションを図っておるんだと、これも一つのソフトパワーだということをおっしゃって、私は非常に共感を覚えたんですが、自衛隊は折り紙するべきかどうかは別としまして、共感を覚えたんですけれども、今度のダルフールへの自衛隊の派遣、これの打診がゲエノ事務次長、国連の方から来たというふうに聞いているんですが、今その対応の方はどうなっておるんでしょうか。
  217. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) ゲエノ事務局次長には、私はお目に掛かりました。私がちょうど忙しかったものですから、後半は今津副長官対応してもらいました。  こういうような自衛隊が持つ言わば平和への思い、紛争を防止する思い、これはどんどん伝えていきたいと思っております。しかしながら、やはり制限がある、これが日本の自衛隊の活動であります。この制限は、もう先生に申し上げるまでもないことでありますけれども、あるいは武器の使用、非戦闘地域の問題、武力行使と一体になってはならない、こういういろんな問題がある。したがって、この今回の派遣、自衛隊の派遣する場所がどういう、もうどういう状態にあるのか、これはきちっと把握していかなきゃいけない。実際に自衛隊を派遣しようとすれば、そういう問題が一つ出てくるわけでございます。その上に立って、日本との関係、言わばこれは政策判断の問題になろうかと思いますけれども、例えば日本の近隣の国はどうなんだろうか、それから日本と特に関係の深い国はどうなんだろうか、国際的にその他の国はどうなんだろうか、こういう政策判断も議論があるのではないか、こういうことを私感じております。  もし、後半、私、後半出ていなかったものですから、これ以上ありましたら今津副長官にお尋ねください。
  218. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 結構です。  いろんな判断要因がある中で、なかなかそう簡単には決められることじゃないと、非常に苦労しておられるということだと思うんですね。  同じように、いろんなその要素の中、例えば国連と現地、そして自国、ゲリラの中に挟まれて非常に苦労したあのカナダのPKOの、ルワンダの作戦の責任者だったダレール将軍というのを長官、御存じでしょうか。
  219. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 実は私、九四年に自衛隊がザイールに派遣されました、その派遣をすべきかどうかということで、調査団でルワンダ、ザイールを視察してまいりました。そんなことで名前程度なりは知っております。
  220. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 このダレール将軍の本を、実は私、今読んでおるんですけれども。  現地の人道活動をしている国境なき医師団あるいは世界の医療団というような人たちがいかに苦労しているか。それ、正にそれ以上の、このダレール将軍は苦労されたと。そのことは、百日間で八十万人がジェノサイドの被害に遭ったあの現場にいたダレール将軍が今、世界で最もランクの高いPTSDの患者さんになってしまわれたと。しかも、今、そうした中でもルワンダのICTRですか、ICCの前身と言っても私は差し支えないと思うんですが、そうしたジェノサイドの責任者を何としても国際法廷の中で裁いていくんだと、そういう意図を持ったICTRの中に言わば相手軍の、相手方のこのジェノサイドの責任者を引っ張り出して、このダレール将軍が今証言に行っているわけなんですね。  そうした中で、これ、つい最近の記事がここに出てきたんですけれども、やはり我々のやっているピースキーピング、これを言わば憲章の六・五条というふうに考えて、もっと積極的にやるべきだと。そして、その車の両輪として正義というものがなきゃいかぬと。この場合で言えば、非常に時期と地域を限定をしたICTR、ルワンダだけの国際法廷はあったけれども、いや、これを普遍的な管轄権を持たして、しかも時間的には制限を持たせないICCを一刻も早くやるべきだという文脈でこれを話しておられるんですけれどもね。  現場の同じ御苦労をされているその司令官として、どういうふうにこれ受け止められますか。
  221. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) かつて、過去におきましては、戦争というのは国益と国益とのぶつかり合いであって、大義等という議論は余りなかったような気がいたします、歴史的に振り返ってみますと。  ただ、現在は地球が小さくなった、国際社会になってきた、そういうことから、やはり国益の衝突はやはり平和裏に調整していかなきゃいけない、これが非常に大きな問題だと思います。つまり、そこに言わば国連の役割がある。  したがって、このジェノサイドの例を取ってみますと、ジェノサイドというのは非戦闘員の大量殺りくにつながっているわけです。戦争というのは戦闘員同士の戦いでなくなってきたというのが今の状況だと思います。それにプラス、ジェノサイドのようなことが起こっている。これはどうしたって国際的な社会の中で私は判断していかざるを得ない場合が多々あるのではないか、このように思う次第でございます。  したがいまして、この今のICTRは現在も審理中であるとは聞いておりますけれども、一般論といたしましては、民衆の虐殺等にかかわった指導者等の犯罪を国際社会の中で判断していく、公正な審判を付すというようなことは、正にこの我々が住む小さな、小さくなりつつある国際社会の中では人類共通の利益としてとらえていくべきだと私は思っております。
  222. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 長官、おっしゃるとおりなんですよ。正に国際社会の中でいかにしてこういう許し難い、今まで全く放置されてきた犯罪を裁いていくのか、これがそのまま平和につながっていくという冷戦後の枠組みになってきたわけですよね。しかしながら、大変残念なことですが、そうした言わば国際法益をつくっていこうという流れに対して、アメリカが正面を切ってこれに反対をしているわけです。  この間、予算委員会でも申し上げましたが、ネザーカット条項というのを作りまして、ICCに加盟した国に対してアメリカは軍事的あるいは経済的な支援をカットするというところまで今やっているわけなんですね。  私は、正に今、日本の果たすべき役割が非常に大きいと。今こそリーダーシップを取って、こういう非常に大事なICCのようなことは、常任理事国入りする前に、あるいは同時にやっていくことが私は筋だというふうに、日本の戦略だというふうに信じております。  そうした意味で、先ほどから申し上げましたが、私は、国内法の整備ができている、できていないから入れないんじゃない、リーダーシップがないからじゃない、アメリカの影響でもない。はっきり言って、私は、日本の国際社会に対する戦略というものがもうちょっと考えなきゃいけないんじゃないかと、そういうふうに思っているわけです。  例えば、今度イスラエルとパレスチナの代表を日本に招致をするという報道がございましたが、外務大臣、これは日本のイニシアチブだったんでしょうか、アメリカのイニシアチブだったんでしょうか。
  223. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 両当事者の信頼醸成をいかに図るのかと、大変難しいテーマではございますが、これまでもずっとこういった信頼醸成会議といったような形で日本で過去二度、三度やってまいりました。  私は、一月の半ばにイスラエル及びパレスチナのトップリーダーと会って、これは小泉総理からのメッセージであるということで、両国の首脳を日本に招待をするという話をいたしました。また、先般小泉総理自身もそれぞれの日本にいる代表者、大使に招請をいたしました。まだ日時等はっきりいたしませんけれども、夏前にはそういったことも実現する可能性があると、こう思っております。  もちろん、この中東和平問題、日本がすべてを取り仕切る立場にはございません。しかし、日本日本なりにやれる役割があるだろうということで、アメリカあるいはEU関係国とももちろん情報交換を密にしながら、この中東問題の一刻も早い解決へ向けての歯車が回るように努力をし始めて、これまでもやってきたわけでございますが、今後とも努力をしていきたいと、かように考えております。
  224. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は、大変すばらしい試みだと思います。しかし、これが昨年、小泉総理が国連新時代と言ったあの演説の、一つには人間の安全保障があり、日米同盟があり、そして東アジア地域統合をつくるんだと。その大きな戦略の中で日本がイニシアチブを取ってやったんだったらもっとすばらしいんじゃないかなと、そんな気がしております。  あるいは、今度の台湾と中国の平和的な解決をエンカレッジするというような表現が2プラス2であったんですけれども、これもやはり日本のイニシアチブだったんでしょうか。
  225. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この問題は、既に今まで何度となく日本も、またアメリカも、その方針は累次表明をしてきたところでございます。したがって、そう何か新しい対中政策を出したというつもりはございませんが、地域全体の安全保障環境を考えたときに、やはり台湾の問題というのを無視するわけにはまいらない重要なテーマであると。それについては両国が全く同じ考えでいるということで、平和的な解決、両当事者間の対話が早期に再開されることを希望するということを載せたわけでありまして、これは何か日本が、あるいはアメリカが、いずれか一方がイニシアチブを取ったということでは必ずしもございません。意見が一致した点でございます。
  226. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 中国が昨年の中国外交白書ですか、この中で、六か国協議を発展させて平和的なメカニズムの構築を目指すという発言をしております。また、韓国も非常にその類似の発言をして、盧武鉉大統領の発言の中にちょっと違うところがたくさん取り上げられているんですが、人類社会の普遍的倫理、これに日本はもっと積極的に貢献すべきだみたいな発言をしているわけなんですね。ですから、本当に東アジア地域統合を目指すということであれば、言ったことをもっとこの近隣の諸国とも協力をしながら戦略を持ってやっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  227. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。よろしくお願いを申し上げます。  昨日、中国の全人代が閉幕をいたしました。最初にこの関連の質問をさせていただきます。  この全人代の報告によりますと、最初に二〇〇五年、中国の今年の国防費は日本円で三兆一千八百億円、前年比一五・六%の伸びで、日本円にして初めて三兆円の大台を突破いたしました。この点についてが第一でございます。  そして、また、昨日でありますけれども注目の反国家分裂法が成立をいたしました。内容を読みますと、まず最初、一九九〇年代に考えられていた当初の構想よりかなり穏当な表現になっておりますし、そして、従来から言っております台湾の平和的統一に向けた中国政府の従来の政策も明記をされております。しかしながら、それでも統一が阻害される場合には、三つの条件が付いておりますけれども、非平和的方法や必要な措置を取るということは残っておりました。これは武力行使の可能性を示唆しているというのは皆さん周知のことでございます。  また、町村外務大臣は所信の中で、中国との関係は我が国の最も重要な二国関係の一つであり、その深化と発展はアジア太平洋の安定と繁栄の観点からも重要ですと、このように所信で述べられています。  二つとも記者会見その他でお答えになっていることであるかと思いますけれども、国会の場で改めて外務大臣防衛庁長官の御所見をお伺いをいたします。
  228. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まず、中国防衛費についてのお尋ねでございました。  委員指摘のように、前年予算額ベース比で一五・六%増という大変に高い伸びでございます。このところずっと二けたの伸びが続いているわけでありまして、その伸びもさることながら、これは先般の2プラス2の日米共通戦略目標にも書いてございますけれども、この発表された国防費以外にもその内訳等を含めて依然として不透明な部分があると私どもは考えておりまして、引き続き中国に対してこの国防予算を含めた中国の国防政策について更なる透明性の向上を図るように、日中安保対話というような場もございます、あるいは日中外相会談、いろんなレベルの会合がございますので、より透明性を高めるような働き掛けをしていきたいというふうに考えております。  それから、反国家分裂法の採択についての考えでございますけれども、これにつきましては台湾海峡の平和と安定、また最近緩和をしつつあります両岸関係への否定的な影響を与えるのではないかということから懸念を持っているわけでございます。他方、今委員もお触れになりましたけれども中国はこの中台問題の平和的な解決のために最大限の努力をするとも述べておりますので、この点にはやっぱり留意をすべきであろうと、こう思っております。  いずれにいたしましても、台湾をめぐる問題につきましては、当事者間の対話による平和的解決が必要だということをこれまで何度も述べてきております。そのための対話の早期再開が必要だということも述べてきております。また、日本としては武力行使には一貫して反対をするという立場も述べてきているところであります。  したがって、この平和的解決によってこの問題を是非解決を図られるように、両当事者に強く期待をしているということでございます。
  229. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 簡単にお答え申し上げます。  中国の国防費の伸びでございますけれども一つ、三兆円、日本円換算三兆円超えました。  二つ、十七年連続して一〇%を上回っております。日本防衛費は、残念でございますがここずっと減っておりますが、厳しい財政事情の中、めり張りを付けて柔軟かつ効率的な防衛力を構築したいと思っております。  それから三つ目、町村外務大臣おっしゃったわけでございますけれども、透明性に欠ける。この透明性で一、二の例で申し上げますと、開発費が一体どうなっているのだろうか、それから例えば調達をした場合、その費用は、外国から調達した場合、その費用はこの防衛費の中に入っているんだろうかどうか、それからもう一つは、装備の具体的な数がきちっと分からない、こういうところが不透明性の問題かと思います。もっともっと透明性を持って対応してもらいたいなと、これが我々の率直な気持ちでございます。  次に反国家分裂法でございますけれども、これはもう一言で申し上げますと、私は、大変緊張感をもたらすものであると同時に、だからこそお互いに平和裏に話合いをして解決してもらいたいなと、正に町村外務大臣のおっしゃったとおりでございます。  以上です。
  230. 澤雄二

    ○澤雄二君 次に、同じ中国との関連でございますけれども、東シナ海における中国のガス油田開発についてお伺いをいたします。  東シナ海における春暁のガス油田開発、大変注目を、行方が、されておりますけれども、先週、実はフジテレビのジェット取材機が最新の映像をとらえました。それによりますと、すごく大きなクレーンを積んだ作業船が現場海域で映像がとらえられています。専門家によりますと、この春暁のガス油田は多分採掘施設が四つ造られ、そしてその真ん中に処理施設が造られて操業開始へと向かうだろうと。この大きなクレーンを積んでいる作業船というのは、正に四つの採掘施設と真ん中の処理施設の構築のために現場海域にいると。もし、工事が始まると、これも専門家の意見でありますけれども、十日ぐらいで多分工事が終わるだろうという見方もされております。  また、大陸側からの油送パイプ、これはもう春暁のすぐ近くまで敷設をされているという情報もあります。また、一方、経産省の音波探査によると、春暁のガス油田は中間線を越えて日本側まで連続していると、可能性可能性でありますが、あるという結果も出ています。また、一方で、中国側からは共同開発をしたいという打診があったという、これも情報でございます、というのもあります。  外務大臣にお伺いしますが、外務省は我が国の資源を守る観点から、今後このガス油田開発、中国のガス油田開発、どのように対応されるおつもりでございましょうか。
  231. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員がお触れになったテレビ報道があったことは承知をいたしております。中国が東シナ海の日中中間線付近でやっております資源開発、その設定された鉱区、それから地下構造が日中中間線の日本側の水域にはみ出しているおそれがあるというふうに私どもも考えております。  したがいまして、政府としては、中国側にこれまで累次にわたって、排他的経済水域及び大陸棚に係る我が国の主権的な権利等が侵害をされるおそれがあるという我が方の懸念を伝達をしてまいりました。本件に係る情報の提供を求めるとともに、日中中間線の日本側水域においてこれは経産省が主導して物理探査を実施してきているという状況で、この間その一部の結果が報告をされていたところでございます。また、この春暁において一方的な開発行為を行わないように中国側に求めてきているわけでございます。  中国側のこの企業は年内にも操業を開始する予定という公表をしているようでございまして、御指摘のような現場水域での作業も行っているというふうに承知をしておりまして、こうした点をよく認識をしながら、中国側に開発作業の中止を求め、かつ引き続き物理探査を継続するとともに、昨年十二月でしたかな、両国で協議が開かれたわけでございますが、次回会合をまた開くようにということで申入れをしているところであります。  なお、共同開発のお話ございましたけれども、先方より具体の内容について共同開発という提案が行われたことはございませんし、したがって詳細な議論を両国で行っておりません。  あっ、さっき十二月と申しました、失礼しました、協議は去年のいつだった、十月でしたかね、去年の十月。失礼いたしました。  以上であります。
  232. 澤雄二

    ○澤雄二君 続きまして、国連の安保理改革についてお尋ねをいたします。  まあ今までも議論もされておりましたけど、日本是非常任理事国に入りたいと手を挙げて今様々な活動をしているわけでございますけども、ハイレベル委員会、それからミレニアム・プロジェクト、この二つの両報告に対するアナン事務総長の報告、ともに今月中に出されるという予定でございまして、いよいよ大事なときを迎え始めたと思っております。  そこで、日本政府対応について確認をさせていただきます。  日本は、そのハイレベル委員会がまとめました二つの改革案のうち、常任理事国六か国と非常任理事国三か国を拡大するいわゆるA案、モデルAに基づいた国連安保理改革を支持している、そして、ドイツ、インド、ブラジルとともに、新しい常任理事国を、年内に、投票で選ぶ決議案を年内に提出するための外交努力を今続けておられると、このように推察をしておりますけれども政府対応としてこれでよろしいでしょうか、外務大臣にお伺いいたします。
  233. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、今このモデルA、Bと二つあるわけでございますが、常任、非常任ともに拡大をするモデルAという考え方で私ども今年の一月の国連総会の場で公式に見解を申し述べたところでございます。  そして、これは昨年の国連総会、九月の総会の折からでございますけれども日本インド、ブラジル、ドイツと、四か国で折に触れて集まり、ともに情報交換をしながら支援してくれる国を増やそうということで、それぞれ協調しながら努力をしているというところでございます。  三月中にアナン事務総長の報告書が提出をされるということで、いよいよ具体的な議論がまた進んでいくと、こういうことでございましょうし、九月にニューヨークで首脳が集まりまして、このハイレベル委員会の報告書、それから二十一世紀の国際社会の開発目標、ミレニアム・ディベロップメント・ゴールズ、これについての協議をするということでございます。  したがいまして、これから九月に向けてが大変大きな重要な時期であろうということで、私ども全力を挙げて外交努力をしていこうと、こう思っております。  どういう決議をして、どういうふうにこう進めていくのかと、まだ必ずしも各国と十分意見が調整をできたわけではございません。今委員が言われたようなまあ二段階方式とでもいいましょうか、これも一つの方法であろうとは思っておりますが、今後更に関係国ともよく協議をして、どれが一番いい進め方であろうかということを協議をしていこうと、こう思っております。  まあ外交努力の一環として、実は今までは地域ブロックごとに中南米大使会議とかアジア大使会議というのをやっておりましたが、まだ十分準備ができたわけじゃございませんが、五月に全世界の大使を一遍に集めて、これから何か月間全力で頑張ろうというような意味合いを込めて一堂に会した大使会議も開いて、まあハッパを掛けるというとちょっと言葉が適切かどうか分かりませんけれども、そんな会議も開いて、世界を対象にした積極的なアプローチを展開をしていこうと、かように考えているところであります。
  234. 澤雄二

    ○澤雄二君 次にお伺いしようと思っておりましたことを先に答弁をしていただいたのでそこのところは省きますけれども、今御説明受けましたように、政府の方針を実現を目指して、各国の理解、支持を得るために大変な御努力をされている、まあ今まで地域別に行われていた大使の会議を東京で開かれて、全員集めて、まあ今の大臣のお言葉だとハッパを掛けようと思っているというお考えは聞かせていただきました。  今回はやっぱり数少ない常任理事国を果たす絶好のチャンスであろうと、まあこれは皆さん多分同じ考えだと思います。で、そういうチャンスを迎えた我が国としてどうしてもこの目的を果たしたいと、実現したいという、町村外務大臣の何か御決意みたいなものは聞かせていただけますか。
  235. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 実は、委員御承知のとおり、一九四五年に国連ができて以来、この国連憲章はたった一回しか改正されたことがございません。その一回というのは、安保理常任理事国の議席を十に増加させるという、この一回だけでございます。まあ我が日本国憲法はまだ一度も改正されたことがないということでありますから国連憲章よりもまだ扱うことが難しいのかもしれませんが。  しかし、この国連憲章一つ取りましても、御承知のように、まず加盟国の三分の二以上の賛成でこの憲章改正案を採択をし、それをさらに各国がそれぞれ持ち帰り、常任理事国五か国を含めた全加盟国の三分の二以上の国々による批准承認が必要であるということでございますから、正直言って、常任理事国に手を挙げようとしている国々は大変熱心になるのは分かるのでありますが、その他の国にとってはまあ直接我が国にはあんまり関係がないなという態度を取っても別に不思議はない。あるいは常任理事国、今の五か国にとってみても、まあある意味では先発国の既得権というとちょっとおかしな言い方かもしれませんが、まあ既に確立している地位が分散してしまうという意味で、そんなに前向きに考えるテーマであるかどうかということについて、正直言いまして、どこまでP5が熱心になってもらえるんだろうかという懸念もあります。したがって、率直に言いますと、この道のりは誠に平たんではない、山あり谷ありだなと、こう思っております。  ただ、六十年たった今日、国連がこれまでこれほどまでに重要な機関であり、これほどまでに重要な役割を果たしていると。で、更にこの国連の機能を高める、国連の代表性を高めるというためにも、私は是非この絶好の機会を逃すことなく国連改革全体もやり、そしてその中で日本常任理事国を実現をしたいと、こう強い決意を持っているところでございまして、今後ありとあらゆる機会をとらえてこの実現に向けて努力をしてまいりたい、省を挙げて努力をしていきたいと。また、これは外務省独りでやれるものでもございません。委員の先生方のお力もおかりをしなければなりませんし、いろいろな方々のお力添えもいただいて、何とか実現をしたいものだと考えております。
  236. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございます。ありがとうございました。  その平たんではない、そして遠くに見えているゴールに向かって是非頑張っていただきたいというふうに思いますけれども、そしてそれが実現したとき、安保理入りが実現をしたときに一体日本は何をするのかと、どのような役割を果たすのかと、そういう理念、ビジョンについて、これも大臣、タウンミーティングその他で随分いろいろな考えを披瀝されておりますけれども、私はその中で、核を持たない、戦争放棄をした我が国として、世界じゅうの人たちがテロや貧困や飢餓、そして環境問題や麻薬やエイズなどから解放される、いわゆる人間の安全保障の確立が非常に重大なテーマであろうというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお聞かせください。
  237. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のとおり、この人間の安全保障という考え方、理念、これは日本が提起をした考え方でもあるわけであります。できるだけこれを何とか実践をしたいということで、日本が主導して国連に人間の安全保障基金というものを設けたわけでございます。これまでも既にこの基金を使ってシエラレオネの元兵士の社会復帰支援をしたり、あるいはアフガニスタン難民・避難民助成支援の実施をしてまいりました。あと、これは日本の国内措置でございますけれども、草の根・人間安全保障無償資金協力というような予算もつくりまして、草の根の人々にきめ細かく支援を実施するというような形で、人間の安全保障というテーマを具体に実践をしていくということも取り組んできたところでございます。  こうした、地味ではありますけれどもこういう取組をやっていくことが、私はやはり世界の国々がやはり見る人は見ているのかなと、こういう気がしてなりません。  外務大臣に着任して以来、かなり数多くの諸外国の外務大臣とも話し合う機会がありました。アフリカの国々の外務大臣とも話し合ったりしておりますけれども、やっぱりそういう国々が、日本という国は非常に約束したことをまじめに、地味だけれどもまじめに一生懸命それぞれの国民のことを考えてやってくれているということを非常に評価をする。これは日本に来られたから多少いいことを言っているのかなと思わないでもないんですが、僕はここは素直に受け取っていいのではないだろうかというふうに思っております。日本の海外青年協力隊あるいはシニアボランティア、こういう方々の地道な活動などというものも高く評価をされてきております。  そういう意味で、私はこうした地味な活動の累積があるからこそ、だから日本安保理常任理事国になれるんだということを自信を持って言えるわけでございまして、こういう活動を一切しないでとにかくなりたいんだと言っているわけでは決してないということであろうと思います。
  238. 澤雄二

    ○澤雄二君 すばらしい理念を披瀝していただきまして本当にありがとうございます。  常任理事国入りを果たして、正にそういった人間の安全保障の政策をどんどんどんどん日本が進めていくと、本当に意味での日本の国際的評価というのはすばらしく高まっていくだろうというふうに思っていますんで、是非外務省の御努力をよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、スマトラ島沖地震について緊急人道支援について伺います。  我が国は、もう皆さんよく御存じのとおりでありますが、地震、津波被害に対していち早く五億ドルの無償援助を決めて、そのうち二億五千万ドルは速やかに拠出、送金をされました。人道貢献とも併せて現地で大変感謝されているのは報道されているとおりでございます。また、その中で、これは外務大臣の特に指示があって進められたというふうに伝えられておりますけれども、被災した子供たちに対する支援プランも八千六百万ドル活用されておりまして、所信の中でも述べられておりましたけれども、このきめ細かな対応によって多くの成果を上げているというように聞いています。各国の中でも特出した特別な立場を得てユニークな援助として注目もされております。  だから、どういう成果が上がっているのかと現地のNGOその他ユニセフ等に問い合わせをしましたら、当初心配された人身取引、これもキャンペーンその他で今ほとんど伝えられなくなっている。それから、これも大変心配されましたけれども、感染症がすごく広がるんではないかと、これも予防注射その他が功を奏して今押しとどめているというような成果を出しております。  ただ、現地にいろんなことを聞きましたら、一つ後れている分野がございます。それは、この数字はああいう混乱した中での数字でございますから詳細なことは分かりませんけれども、いわゆる孤児、孤立した子供、それから親を亡くした子供、片親もいらっしゃいますけれども、その子供たちは一万人から一万五千人存在していると言われています。そして今ユニセフ、NGOその他が一生懸命進めているのは、その子供たちのデータ登録であります。つまり、データ登録をすると人身取引からその子供たちを守ることができる。それから、場合によっては子供を捜している親との再会もその登録が非常に役立つというようなことがあってそれが進められているわけでありますが、残念ながら、これは三か月たった今も一千人ぐらいしか登録をされていないと言われています。もしこのペースで進みますと優にこれから更に一年以上掛かるわけで、その子供たちを人身取引、それから親との再会、そういったことから守るためにも、是非このペースをスピードを上げていただきたいという要望をしたいと思いますが、どうでございましょうか。
  239. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 非常に幅広くいろいろな被害者が出ておるわけでありますけれども、特に被害者、子供の被害者というものはある意味では一番悲惨な存在であろうということで、私、一月の十二日か十三日でしたか、日本からちょうどモスクワの方に出発する前に、日本でこうした子供の問題を担当しているNGOの皆さん、それからユニセフを始めとする国際機関の日本代表の皆さん方に集まっていただきまして、今どういうことが問題だろうか、どういうことを日本政府やったらいいだろうかと。ユニセフにはかなり数大きな金額の拠出をしているわけだけれども、例えばこの子供対策でどういうことに重点的にお金を使ってもらったらいいだろうかということの相談を持ち掛けたわけであります。  その後、いろいろ皆さんと議論をする中で、一月二十一日に約八千六百万ドルの津波被災子ども支援プランというものを発表しました。中身については今委員の方から御紹介をいただきまして大変恐縮をいたしておりますけれども、人身取引の防止あるいは感染症の予防、特に感染症の予防は、これはもう自衛隊の皆さん方の防疫活動というものも大変成果があったものと思いますが、こうしたことに取り組んでいる。  ただ、委員指摘の被災した子供の登録というものが実は思いのほか確かに進んでいないなという実感を持っております。これは三月十四日現在でユニセフが集計をしたところによりますと、インドネシアで孤立した子供の情報は確かに約千件ぐらいだということ、スリランカの場合ですとこれはちょっと集計する母体といいましょうか、その単位がちょっと違うのかもしれませんが、IOMという機関が集計したところによると、これが六千五百五十世帯ということでございまして、ちょっとこのそごがあるので必ずしも正確じゃございません。こういう状態でありまして、当初インドネシアでは孤児やらその親を失った、片親を失った子供が一万人から一万五千人いるのではないかと、こう言われていた中でこの千人という数が何かいかにも少ないなという私ども実感持ちました。  そこで、今ユニセフとも相談をしながら更に一層努力をしてもらいたいということをお願いをしているところでありまして、今後、情報交換を密にしながらこの問題にもしっかりと我々も協力をし、取り組んでいきたい、かように考えております。
  240. 澤雄二

    ○澤雄二君 これで私の質問を終わりますけれども、当初通告をしておりましてできなかった質問については、後日かなり早い段階でまた改めて質問をさせていただきたいと思っています。  どうもありがとうございました。
  241. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、イラクでの治安任務にかかわる問題について伺いたいと思います。  町村大臣は、訪米などの際にイラク情勢などについて、またその対処についてアメリカ側といろんな議論をされていると思います。そうした中で、アメリカ側は政治プロセスなどイラクの復興のためには治安維持を重要だとして部隊の増強などを行ってきたという経過があると思います。  そこで、外務大臣にお伺いしますけれども、米国は他国に対して多国籍軍への参加、とりわけ治安任務への参加を呼び掛けているという、そういうことはあるんでしょうか。
  242. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今時点では二十九か国の国々がイラクに部隊を派遣をしているという状況であろうかと思いますけれどもアメリカが今積極的にこの数を増やそうという努力をしているという情報に接したことはございませんが、ただ、この多国籍軍の活動、すなわちイラク人によるイラクの国づくりに幅広い国際社会の支援が必要であるということは常日ごろ米国が主張している点であると、このように理解をしております。
  243. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本に関連してなんですけれども日本が今後、求められればイラクにおいて治安の任務を引き受けること、それを検討するという、そういうことはある、あり得るんでしょうか。
  244. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 基本的に、当たり前のことでありますけれども、このイラク復興支援の在り方、これは各国がそれぞれ独自に判断をすべきものであるということで、日本は独自の判断でこの法律を出し、イラク人道復興支援特措法というものを大議論の末、国会でお認めをいただいたわけでございます。これに基づいて自衛隊が派遣をされ、人道復興支援活動及び安全確保支援活動というのをやっているわけでございまして、この治安維持活動というのは法律上含まれていないわけでございますし、そういうことで私どもやりますよということは既に何度となく国際的にも発信をし、発言もして、アメリカはもとよりでございますが、各国からそうした日本立場考え方については理解を得ているところでございます。
  245. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今の大臣からの御答弁でも、日本においては治安任務は法律上認められていないと、そういうことで、それは明確だと思うんですね。  ところで、大野大臣にお伺いしたいと思うんですけれども安全保障防衛力に関する懇談会という、昨年四月ですね、総理大臣の決裁で開催された懇談会があります。ここにその報告書が全文、私持っておりますけれども、この懇談会が昨年十月に出した報告書があります。その中では、自衛隊として国際活動における治安任務の担当について検討するようにと求めている、そういう箇所があります。これの二十ページなんですけれども、ちょっと紹介したいと思うんですが、自衛隊はこれまで人道支援と後方活動に従事してきたが、少し飛ばしますけれども、今後はこれまでと同様に展開していくのか、それとも自衛隊の能力に着目して、いわゆる治安維持のための警察的活動を視野に入れて、入れるのか、政府において十分検討すべきである、報告書は少し長いので省いた部分はありますけれども、趣旨は明確だと思います。こういうことが述べられているわけですね。  これは当然、懇談会ですから、総理の決裁で作られた懇談会ですから、単なる見解の一つということでは済まない問題だと思います。政府におかれまして、現在までにこの検討に入っているのかどうか、お伺いいたします。
  246. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、同報告書にあります「治安維持のための警察的活動」というものは、言わば内戦等により警察機関が十分に機能しない地域において、安保理決議を根拠として各国軍隊等によって行われる現地の治安を維持するための各種の警察活動という理解だと思います。この種の活動というのは、イラク、アフガニスタン等においても各国軍隊によって実施されております。しかし、今先生御指摘のとおり、現行法上、自衛隊の業務としてはこの種の活動は全く規定されてないということであります。  こういう安保懇の報告書に基づいて検討を始めているかと言われると、まだそこまではいっておりません。しかし、治安維持のための警察的活動が実施、警察的活動を実施するか否かについては、今後の我が国の国際平和協力活動の在り方とかかわるものであることはもうそのとおりであります。  今後、国民的な議論を踏まえて検討すべき課題である、今後の課題であると、このように私は理解しております。
  247. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今後の課題であると、もうそれが答弁だったと思うんですね。  こんな事実があるんですね。これは、今日はプリントアウトして持ってまいりましたけれども、海兵隊ニュース、アメリカの海兵隊ニュース、二〇〇四年七月二十三日付けなんですけれども、同日、キャンプ富士において、海兵隊が自衛隊幹部の代表者の前で現在イラクで行っていると同じ安全安定化作戦、略してSASOといいますけれども、を実演して見せたと報じております。これは何のためにこういう教育を受けたんですか。
  248. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 米軍の訓練の目的と、それから自衛隊の見学の目的ということでございましょうか。  まず、米軍の訓練の目的でありますけれども、これは必ずしも詳細に承知はいたしておりません。恐らく、実任務に備えた予備役隊員の練度向上の一つの目的、練度向上ということを一つの目的として定期的に行っているのではないかな、このように思っています。  それから、陸自の見学の目的の方でありますけれども、陸自は従来より、経験豊富な米軍から様々なノウハウを吸収し、戦術、戦闘能力の向上を図るために米陸軍や海兵隊の訓練を見学している、研修している、こういう状況でございます。  今回の研修は、イラク人道復興支援活動等の様々な活動の際の安全確保についての参考になるのではないかと、参考になるものとして実施しているものであります。
  249. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この訓練は、私が示しました海兵隊ニュースによると、現在イラクで行われている治安安定化作戦と同様のものだというわけですね。そう書いてあるんですよ。明らかにイラクを念頭に置いている、この部分ははっきりしていますよね、今の御答弁でも参考になるというわけだから。
  250. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) それをよく見てないものですから、よく分からないんですが。  我々としては、今申し上げましたとおりこの訓練を、訓練について視察し見学することが今後の活動について参考になるんだろう、こういう意味で見学、視察をしているわけでありまして、それが実際に役に立っているかどうかと、こういうふうに言われますと、これはそれぞれ人それぞれの判断があろうかと思います。  その評価につきましては、いろんな評価があろうと思いますけれども、私はやっぱりいろんな、米軍含めてのいろんな活動状況、これを今自衛隊としても勉強しておく、このことは意義があると思っています。
  251. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米側の考え方がよく分からないという話もされましたけれども、米側の目的ですね、それはここにも書いてあるんですよ。この治安安定化作戦訓練によって、自衛隊は海兵隊がイラクで得た教訓を学ぶことができ、この教訓を自らの訓練に取り入れることができるだろうと、こういうふうにはっきり述べているわけです。  ところで、このSASOはどんな演習をやられているか、把握されていると思いますが、どんなものですか。
  252. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) これ、例えば昨年七月のキャンプ富士においての問題一つ取り上げてみましょう。  そうしますと、同訓練、陸上自衛隊の隊員が研修したことは事実であります。具体的には、米海兵隊の部隊が危険のある地域を車両で移動する際の警戒要領等にかかわる訓練を研修したと、こういうことであります。このような訓練が、米軍訓練というものは、米軍が行う言わばいろんな機関の支援及び現地の安定確保のための活動、まあ支援とか安定化ということでしょうね、にかかわる訓練の一つである、このように承知いたしております。
  253. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今大臣が述べられたこともそのとおりですがね、狙撃、護衛、爆弾処理、負傷者の運搬、そういうふうに書いてあるんです。そうだと思います。こういうことが実際にやられている。そこを自衛隊が幹部が視察しているということですよね。  では、伺いますけれども、自衛隊が米軍と一緒になって演習することはあるんでしょうか。あるとしたら、それはどんなものですか。端的、簡単で結構ですから。
  254. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) いや、この今のは見学だけでございます。
  255. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい。ええ、そう、視察です。
  256. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 当然ですね、視察、見学であります。  それから、演習をすることも、ちょっとそこまで私、即座に答えられるだけの知見を持っておりませんけれども、当然あると、あります。
  257. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 注意していただきたいと思うんですけれども、これについてはレクを、これを尋ねますよときちっと通告してあります。きちっと答えてください。
  258. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) それでは、例えばですね……
  259. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そんな一杯あるんですか。
  260. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) かなりありますね。  十五年度、米国ハワイ州パールハーバー海軍基地におきまして、方面隊指揮所演習というのを、十五年度でございますが、やっております。それから、米国における実動訓練、米国ハワイ州スコーフィールド・バラックス演習場、これもやっております。  それから、国内でございますと、大矢野原演習場、それから饗庭野演習場、これ十五年ですね、十五年はその程度でございます。
  261. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それで、それを、たくさんあるならば、是非リストにして出していただきたい。お願いいたします。  それで、質問を続けますと、私、例えば割と最近のものでいうと、これもやはり海兵隊ニュースに載っているんですけれども、ちょうど昨年十月九日から十四日間、グアムにおいて自衛隊と海兵隊が共同で行った訓練があるわけですけれども、それについて、それがどんなものなのか、目的は何か、なぜそんな訓練をしているのかをお尋ねいたします。
  262. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、御要請のありましたリストでございます。これは、先生のところへ後ほど御説明に上がります。  それから、グアムにおいての訓練でございますけれども、陸上自衛隊は、多様な事態に対処するため、平成十四年度以降、効果的な訓練施設及び訓練評価システムを有するアメリカに部隊を派遣して実動訓練を実施いたしております。経験豊かな米軍からノウハウを吸収し、市街地戦闘等に関する戦術及び戦闘能力の向上を図っていると、こういうことでございます。  今年度という、今年度ですね、今年度の参加部隊、人員を若干御説明いたしますと、昨年九月二十八日から十月二十五日まで、米国グアム準州米空軍アンダーセン・サウス訓練場ほかでございます。陸上自衛隊第三師団第三七普通科連隊の人員百二十五名が参加いたしております。米側部隊は、海兵隊第三海兵機動展開部隊約七十名、こういうことでございます。
  263. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この訓練の目的は、今大臣おっしゃられましたけれども、都市型実動訓練なんですよね。ここに写真もホームページで公開されておりますけれども、こういう写真がある。こちら自衛隊、こちら米兵。あるいは、こういう射撃訓練のこういう模様も既に写真でも公表されているところです。  そして、こういうふうに参加している自衛隊がこの訓練、演習をどう評価されているのか。その点、いかがですか。
  264. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 市街地訓練につきましては、やはりそれなりにアメリカの豊かな経験がございます。そういうことに参加したことについて、自衛隊としては新しい経験ができたということで評価いたしております。
  265. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはりこれは非常に実戦的な訓練なんですよ。もう想定もね、正に町をその中につくって、本物と変わらない、銀行もあれば高いビルもある、そういうところでどういう訓練をするかということを一緒に米軍としてやっているわけですよね。  実際、この米軍ニュースによると、キャンプ・バトラーに駐在する陸自調整官の諏訪猛准尉がこう語っているんですよ。この経験は現在サマワで支援部隊として駐在している山形に本拠を置く陸上自衛隊東北方面隊の支援を増強する自衛隊員にとって有意義な訓練だと。第三師団といえば、先月編成された第五次イラク派遣部隊の要員を送った師団であります。  自衛隊は、この訓練がイラク駐留に役立つと、先ほど視察については参考になると言われましたけれども、役立つと、そう確信してこういう訓練をしているということになりますか。
  266. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 必ずしもイラクと関係するということで訓練に参加したりしているわけではございません。米国における訓練というのは必ずしもイラク人道復興支援活動を目的としたものではありません。同訓練に特にイラクに派遣する自衛隊員を、あるいは派遣された自衛隊員を参加させるというものでもありません。事実、これまで実動訓練に、実動訓練にはイラクに派遣された自衛隊員が参加したという事実はございません。
  267. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 イラクは、先ほども答弁にありましたけれども、治安任務は行わないということははっきりしたわけですよね。しかし、この参加した幹部の自衛隊員は、イラク派遣の自衛隊にとって有意義だと、極めて役に立つと述べているわけですよね。  ですから、私は、この問題というのは正に非常に重大な問題が含まれていると思います。やってはならない、法律上やらないと述べていることに対して、今実際にアメリカと一緒にそういう訓練を行っている、そういうことを述べました。こういう訓練が、グアムにおけるこういう具体的な訓練ですね、都市型実戦訓練が今回初めてではないと思いますけれども、それについても資料を出していただきたいと思います。  その点で少し続けますと、第三海兵遠征軍特殊部隊のストゥレイ少佐は、この訓練の目的は米海兵隊と陸上自衛隊が都市型訓練施設で一緒に訓練し、お互いの戦術を共有することによって、こういった環境での任務をより効果的に遂行できるようにすることだとはっきり述べているわけですね。ですから、私は、今イラクだけじゃないと言いました。至言だと思いますよ。確かにこれからのことを考えたら、いろんなことを考えておられるだろうと思います。  とすると、今後、自衛隊を米軍と様々な形で協力させて、米軍が言うように日米共同で治安活動に当たる、そういうことを考えているんじゃありませんか。
  268. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 済みません、私の方からお答えをしたいと思うんですけれども。  実は、この都市型のこういう訓練は、共同訓練だけでやっているわけではなくて、例えば、私も副長官になって各地視察を行っておりますけれども、福岡の春日で国内のテロに対する対策としてコンピューターを使って独自にそういうものを想定して訓練いたしておりますから、そういう訓練もしているということで御認識をしていただいて、イラクのそういうことを想定しているものではなくて、やっぱり能力を高めるための訓練をしている一環だというふうに御理解をいただきたいと思います。
  269. 林芳正

    委員長林芳正君) 緒方君、質疑時間が終了しております。
  270. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 2プラス2で発表された共通戦略目標には、自衛隊及び米軍が多様な課題対応して十分に調整しつつ実効的に対処するための役割、任務、能力について検討を継続すると明記されております。  長官最後にお伺いしますけれども、自衛隊の治安任務担当、そのための共同訓練や基地の共同使用を進めていくということはそういう検討に、対象に入るんでしょうか。  そして最後に、これお尋ねした最後に更に、最後に一言申し上げたいんですけどね、今日の答弁は本当にひどいと思います。何をテーマにしてどういう質問をするか、それをちゃんと挙げているのに、なぜきちっと準備していないのか。時間がどんどん少なくなって、たってしまいます。  委員長におかれましては、この対応について理事会できちっと対応していただきたいということをお願いして、私、質問を終わります。  最後に答弁お願いします。
  271. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 2プラス2での日米の任務、役割分担等の問題でございます。あるいは能力の問題等もあります。これにつきましては、今からの議論中身でございます。議論中身でありますから、これからは、今の段階であれこれと言うわけにいきませんけれども、そういう役割分担、任務の問題、これをきちっと検討していく。その中で、その中でやはり基地の共同使用ということも考えに入れていく。そのことが、言わば別の意味では抑止力の維持と、在日米軍の抑止力の維持と、それから負担の軽減につながっていく、こういう考え方でこれから議論をしていくということでございます。
  272. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  273. 林芳正

    委員長林芳正君) 後刻、緒方君の件につきましては理事会で協議いたします。
  274. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。よろしくお願いいたします。  これは通告はしてございませんが、ごく基本的なことですので、答弁よろしくお願いいたします。  まず、外務大臣の所信表明の中に、「在日米軍の兵力構成見直しについては、米軍の抑止力の維持と沖縄等の地元の過重な負担の軽減を念頭に置きつつ、日米間の協議を強化してまいります。」とありますけれども、どうもこれまでの外務省の文書を読んでおりますと、抑止力の維持というのがどちらかというと比重が高くて、基地の削減という問題は従になっているような印象を受けるわけなんですが、外務大臣は、その抑止力の維持というのと基地の削減というものは両立するとお考えでしょうか。もしするとお考えだとすれば、例えばどのようなケースの場合に抑止力を維持しながら削減が可能になるとお考えでしょうか。
  275. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 失礼しました。私の方から、基本にかかわることでございますからお答えを申し上げますけれども、これはもとより両立可能であるという認識に立ってこの二つが並行して書いてあります。どちらが主でどちらが従という意識もございません。それぞれ重要なこととして何とか実現をしたい。  確かに、過重な負担軽減、すなわち海兵隊の数が減る、あるいは基地の数が減る、自動的に抑止力が低下するではないかという一見相矛盾した命題を並べるのはおかしいんではないかという御指摘であろうかと思います。  しかし、必ずしも、例えば基地の数が仮に減ったとしても、即それは抑止力の低下にはならない。例えば、それは、どういうんでしょうか、例えば武器等の性能が向上するといったようなことによって抑止力は変わらないということも十分あり得るわけでございまして、また人の数が減ったからといってその人の数が減った分だけ抑止力が下がるというものでもなく、そこはより効率的な部隊配置をする等々のことによって抑止力は維持できるということでありましょう。  したがって、ストレートに負担軽減イコール抑止力の低下ということには必ずしもつながらないんだろうと、こう考えているわけであります。
  276. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今おっしゃることは一般論でございまして、それは私も十分に理解しているつもりです。  ただ、今問題になっているのは、現実に抑止力を維持しながら沖縄の基地を削減するという問題ですから、例えば沖縄の基地で申しますと、嘉手納は抑止力が非常に強いから残すけれどもほかの部分については削ることは可能だとか、もうちょっと踏み込んでおっしゃらないと何を言っているのかよく分からない。これまでの外務省の文書を読んでおりますと、ずっと同じような調子で続いているような気がしてなりませんので、もう少し次の機会に具体的に教えていただきたいと思います。  それで、関連しまして、防衛庁長官にお願いいたしますが、この防衛庁長官の所信表明に「在日米軍の兵力構成見直しに関しても、できる限り早く作業を進めてまいりたいと考えております。また、SACO最終報告の着実な実施に向け、引き続き真剣に取り組む所存であります。」と出ておりますね。  これ、実は、前に私が外務大臣にお伺いしまして、SACOの最終報告と現実に今政府がなさっておられることとは全く中身が違うと、したがってSACOの最終報告を忠実に実行するということはSACOの中身について知らない県民、国民をだますことになりかねないので、そこは明確にしてくださいとお願いしたところ、町村大臣が初めて中身が違うということをお認めになったわけですよ。  にもかかわらず、ここでSACOの最終報告を忠実に実行するということは私なんかからすると到底理解できない、納得できない点ですが、どうしてそういうことをお書きになっているんですか。外務大臣はその点をお書きになっていないわけですがね。
  277. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは普天間の移設・返還のことを想定してのお尋ねだと思いますが、確かに平成八年のSACO最終報告におきましての普天間飛行場の取扱いというのは、海上に撤去可能な千五百メーターの施設を造るということであったわけですが、それが委員御承知のように、いろんな地元での反対等の経過を踏まえて、平成十一年に現在の稲嶺知事及び岸本名護市長が現在のキャンプ・シュワブ沖、辺野古沿岸域において代替施設を建設するということについての言わば受入れ表明をしていただいたと。その暮れに政府が普天間の代替施設建設の基本方針を閣議決定をいたしましたが、確かに普天間の移設、代替施設の内容というものはそういった経緯の中で変わってきているというふうに思います。  ただ、これはSACO最終報告自体が日米安全保障協議委員会において言わばオーソライズされているものであるということでございまして、平成十一年の暮れの基本方針を決定をして以降、現場における代替施設の規模、内容等の議論を経て平成十四年に、夏に基本計画を代替施設協議会において決定をいたしました。  それをその年の暮れの日米安全保障協議委員会において……
  278. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 時間ありませんので、簡潔にお願いします。
  279. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) おいて、着実に推進をしていくという確認をいたしておりますので、そういう一連の流れの中で今日まで来ているということでございます。
  280. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いや、そうだとすれば、なぜ率直にそういうことを書かないんですか、なぜSACOの最終報告と書くんですか。最終報告と現在やっているのは中身が全然違うと言っているんですよ。埋立てなんてどこにも書いてないですよ、SACOの最終報告には。なぜそれを書かないんですか、率直に。いついつの閣議決定で決めた内容について忠実に推進しますとなれば話分かりますよ。
  281. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは、先ほどその経緯を御説明をいたしました。  県知事等、地元からのいろんな要請を受けまして、当初は……
  282. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いいです。
  283. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 米軍の専用ということで建設をしたわけでございますが、先ほど申し上げたように、基本計画におきましては軍民共用ということで……
  284. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと、ちょっと待ってください、そういうのを聞いていません。
  285. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 私ども、そのSACOの最終報告というふうに申し上げておりますのは、最大限、沖縄の米軍施設の整理、統合、縮小を図るという最終報告の趣旨に合致をしているという点においていささかの変化もないということから、ああいう表現を使っているわけでございます。
  286. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 とんでもないことですよ。趣旨に合致しているということで飛行場の長さが変わったり、滑走路の長さが変わったり、埋立てというのは全くないにもかかわらず自然環境を破壊して埋立てするとかということ、これが趣旨に合致しているとは到底思えないですね。  今、私が問題にしているのは表現のことを言っているわけですよ。SACOの最終報告ということをおっしゃるから、最終報告とは違うんでしょうといって言っているわけですよ。それ、違うことを平気で何度も何度も繰り返して、しかも先日の外交防衛委員会外務大臣がお認めになったわけですよ、率直に。初めてお認めになったわけですよ。にもかかわらず同じ表現を使ってやるというのは、沖縄県民をだますことになりかねないわけですよ。ですから、その表現を、今おっしゃるとおりのことを閣議決定したなら、いついつの閣議決定に従ってやると言えばいいじゃないですか。そこが問題だというわけですよ、そのSACOの最終報告のとおりということが。  次に、外務大臣、お願いいたします。  米軍の再編に係る米国との協議に関連して、三月九日付けの地元新聞は、沖縄のキャンプ・キンザーの全面返還、キャンプ・シュワブとキャンプ・ハンセンの自衛隊との共同使用を検討していることを日本政府関係者が明らかにしたと報じています。これはもう大変重大な問題でございますが、これは事実でございますか、外務大臣
  287. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) いろいろな報道がされているという事実は承知しておるんでございますけれども、現在、個々の施設……
  288. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 事実ですか、事実でないですか。
  289. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) それは、そういう検討をしている、決定が行われているという事実はございません。
  290. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 決定してないですね。決定しないですね。
  291. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 現在、種々の具体的なアイデアについては検討しておる、いろんなことを検討しておるわけでございますけれども、個別の施設・区域についていかなる決定もなされていることはございません。
  292. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 重ねて確認さしてください。  キャンプ・キンザーの返還というのは事実でないわけですね、この報道というのは。
  293. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) キャンプ・キンザーの全面返還について決定をされているという事実はございません。
  294. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府からの方針について、あるいは米側との具体的な協議内容について説明がありませんので、沖縄の関係自治体や地元住民は情報にどうも翻弄されるような、振り回されるような格好で、むしろ基地が強化されるんじゃないかという懸念を強めておりますので、どうかその辺はもう少し丁寧にきちっと説明していただけたら有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、三月十一日付けの朝日新聞に米軍の再編に係る2プラス2が六月開催で予定されているという報道がございますが、これも事実でございますか。
  295. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 現時点において、六月に次回の2プラス2を開催するというような方針が決まっているという事実はございません。
  296. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありませんね。
  297. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) ありません。
  298. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 普天間基地の名護市辺野古沖への移設が難航していることもあって、マスコミは最近、米側は移設先の変更も視野に検討する方針を表明したとか、小泉総理は普天間基地の名護市辺野古沖への移設計画について外務省防衛庁見直しの検討を指示したとか、移設の見直しについての報道が流されておりますが、外務省は、あくまでも普天間基地の名護市辺野古沖への移設計画を推進するおつもりですか、いかがですか。
  299. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 普天間飛行場の移設に関しましては、先ほども説明したようなSACO最終報告を踏まえつつ、また平成十一年の閣議決定に従いまして早期の移設・返還へ向けて全力で取り組んでいくというのが基本的考え方でございます。  ただ同時に、在日米軍の兵力構成見直し議論を現在、これから行っていく中でSACO最終報告の内容と接点が出てくる可能性というのは排除されないというふうに考えておる次第でございます。
  300. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 よく御承知だと思いますが、今、沖縄県知事がワシントンに行っておりまして、基地の整理、縮小について、あるいは普天間の基地の県外移転ということについてアメリカ政府に要請しているんですが、今日の昼のニュースによりますと、大幅に、沖縄基地については大幅に削減される可能性があるという一方で、これまで以上に過重な負担を強いられる部分も出てくるかもしれないという趣旨が出ておりますが、そういうことを考えますと、どうやら嘉手納への統合というのが予定されているのかなという感じがするんですが、その点についてはどうお考えですか。
  301. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 個々の在日米軍の施設・区域の見直しにつきましては、いろいろな具体的なアイデアについて現在議論はしておるわけでございますけれども、何ら現時点で予断をできるような状態ではないということでございます。
  302. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 関連して、外務省にお伺いいたします。  普天間基地を始め、在沖米海兵隊のうち、イラクへ派遣されている兵員数と、イラクでの任務の終了後、現時点で沖縄に帰還した兵員数、また沖縄に戻らずに米本国へ帰還した兵員数はそれぞれどれくらいになっているか、教えてください。
  303. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 米側から得ております説明に基づきますと、在日米軍からイラクに派遣された主な部隊といたしましては、昨年初め、これは二月から三月にかけてというふうに承知しておりますけれども、イラクに派遣されましたのが第四海兵連隊の三個歩兵大隊、これが約三千人というふうに説明を受けております。また、昨年八月には第三一海兵機動展開隊がイラクに派遣されまして、この隊員数が約二千二百名という説明を受けております。  現在、そのイラクに派遣されたこれらの部隊のイラクでの活動終了後の行き先等々につきましては、米軍の運用の詳細に当たる部分もございますのでその一々について御説明申し上げることは、立場にはないのでございますけれども、基本的には、この派遣された部隊が任務を終了した後にその同等の、同じような規模の部隊が沖縄に戻ってくるという説明を受けております。  なお、ちなみに、昨年八月に派遣された第三一海兵機動展開隊、これにつきましては既にイラクにおける任務を終了したというふうに承知しておりまして、今後、沖縄に戻ってくるものであるというふうに理解をしております。
  304. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、アメリカ本国へ戻った海兵隊はいないということですか。
  305. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 現時点においてそういう説明は聞いておりません。
  306. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣に改めてお伺いしたいと思いますが、米海兵隊が沖縄に駐留する目的は何ですか、何と認識していらっしゃいますか。
  307. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 海兵隊、大変に機動力、展開力の高い部隊ということでございまして、海兵隊の三つの部隊のうち、海外にあるのは沖縄だけ、あとの二つは米本土にあるという状況でございます。  したがいまして、米軍としても、米軍全体としても、この沖縄に駐留している海兵隊というのは大変重要な部隊であるという認識があると聞いております。
  308. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛施設庁長官にお伺いいたします。  防衛施設庁が今、普天間の代替施設建設に向けて地元住民の反対を押し切って強行している名護市辺野古沖合の海底ボーリング調査はこのまま続けるおつもりですか。また、この調査にどれだけの予算を計上していますか。調査主体はどこの何という会社ですか。御説明ください。
  309. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 現在行っておりますボーリング調査は、代替施設の護岸構造、これは高さとか幅でございますが、それの検討に要する必要なデータ収集を目的としているものでございまして、私どもとしては、普天間飛行場の移設・返還に向けて必要不可欠な調査であるというふうに考えております。  この予算の関係でございますが、ちょっと恐れ入ります。
  310. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 結構です。次の質問に移ります。
  311. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 予算の関係といたしましては、現地技術調査で平成十四、十五年、これは繰越しをいたしておりますが、三億八千万。なお、環境影響評価として、これは十四、十五両年度で五千万ということでございます。  なお、業者の名前につきましては、申し訳ございません、手元に資料がございませんので、恐縮でございます。
  312. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 改めて防衛施設庁長官にお伺いしますが、普天間代替施設建設に関しては、現在、埋立て造成費の三千三百億円の見積りが明らかにされておりますが、上物については全く明らかにされておりませんけれども、上物の建設をどれくらいの予算を見積もっておられますか。
  313. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは先ほど、昨年の当委員会においてのお尋ねもございました。これ、いわゆる本体のその陸地の部分については三千三百億でございますが、上物につきましては、現在の普天間飛行場の機能等も勘案いたしまして、どういう内容の施設をどの程度の規模でどういう配置で建設をするかということ等につきまして、米軍あるいは民航部分については沖縄県、いろんな情報等をいただきまして調整中でございます。現時点においてはなお具体的な所要額を算定するところまでには至っておりません。
  314. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あの巨大な飛行場を造ろうというのに、最初から予算の措置もしないでそして工事を始めるということはちょっと考えられないことなんですが、しかもずっと前からこの問題についてお伺いしていて、何か月もたってまだ分からないというような、そういう巨大基地の建設というのについてはどうも納得いきかねますので、どうか、次回にもう一遍確認させていただきますので用意していただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  315. 林芳正

    委員長林芳正君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会