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2005-06-13 第162回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月十三日(月曜日)    午後一時二十九分開会     ─────────────    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      松下 新平君     喜納 昌吉君  六月十三日     辞任         補欠選任      喜納 昌吉君     加藤 敏幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         木俣 佳丈君     理 事                 橋本 聖子君                 脇  雅史君                 榛葉賀津也君             ツルネン マルテイ君     委 員                 秋元  司君                 泉  信也君                 佐藤 泰三君                 中島 啓雄君                 水落 敏栄君                 池口 修次君                 加藤 敏幸君                 藤本 祐司君                 峰崎 直樹君                 遠山 清彦君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君    事務局側        第一特別調査室        長        三田 廣行君    政府参考人        内閣北方対策        本部審議官    東   清君        防衛庁防衛局次        長        山内 千里君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省欧州局長  小松 一郎君        文化庁次長    加茂川幸夫君        水産庁資源管理        部長       竹谷 廣之君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (日ロ外相会談に関する件)  (普天間飛行場代替施設に関する件)  (小泉総理訪ロ目的成果に関する件)  (我が国北方領土返還交渉に関する件)  (今後の対ロシア外交の進め方に関する件)  (日ロサケマス民間交渉に関する件)  (ビザなし交流の目的に関する件)  (元島民の権益の保護に関する件)  (東シベリアにおけるパイプラインプロジェク  トに関する件)  (米国におけるジュゴン保護訴訟に関する件  )     ─────────────
  2. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月三十一日、松下新平君が委員辞任され、その補欠として喜納昌吉君が選任されました。  また、本日、喜納昌吉君が委員辞任され、その補欠として加藤敏幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会内閣北方対策本部審議官東清君、防衛庁防衛局次長山内千里君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、外務大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長小松一郎君、文化庁次長加茂川幸夫君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君及び資源エネルギー庁資源燃料部長近藤賢二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  まず、外務大臣から報告を聴取いたします。町村外務大臣
  6. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私は、五月三十一日、訪日中のラブロフ・ロシア連邦外務大臣との間で外相会談を行い、多岐にわたる議題につき議論しました。  領土問題については、一月の私の訪ロの際に、ラブロフ外相との間で一致したとおり、領土問題に関する日ロ間の立場には隔たりがあるが、双方立場隔たりに懸け橋を架けるべく努力をしていくとの基本精神に基づいて真剣な議論を行い、議論を継続していくことを確認しました。  その際、私より、一九九三年の東京宣言、二〇〇三年に採択された日ロ行動計画に言及しつつ、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結することが日ロ双方の利益に合致することについては、日ロ双方認識一致している旨述べました。これに対し、ラブロフ外相より、この認識を確認するとともに、私が言及した文書を含め、すべての日ロ間の文書が有効であることを確認する旨述べるところがありました。  漁業分野に関し、私より、ロシア側手続の遅れにより日本漁船サケマス操業の開始が三年連続で遅れたことにつき、再発防止を求めました。また、当時未解決であった日本漁船拿捕事案に関し船長を直ちに釈放するよう申し入れました。これに対して、ラブロフ外相より、最大限の努力を行いたい旨述べるところがありました。なお、この拿捕事案については、外相会談終了直後の六月五日、船長が帰国し、解決を見ました。  このほか、安保理改革や拉致問題を含む北朝鮮問題、中東和平イラクイラン情勢アジア太平洋地域における協力中央アジア情勢等、喫緊の国際社会における諸課題につき意見交換を行いました。  大統領訪日の時期については、プーチン大統領年内に確実に訪日することが確認されました。具体的な訪日時期については、引き続き調整し、近く合意することとなりました。大統領訪日準備状況に関しては、様々な成果文書準備が進んでいることを確認し、仕上げの作業を進めることで一致しました。  また、今後、国連、G8等の機会をとらえ、首脳レベル大臣レベル日ロ間の政治対話を積極的に続けていくこととなりました。  以上、五月三十一日の日ロ外相会談報告とさせていただきます。
  7. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) ありがとうございました。  以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 秋元司

    秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。  前回に続きまして、また質問をさせていただきたいと思います。  久方ぶりにこの特別委員会開かれたわけでございまして、思い起こすと前回開かれたのは約二か月前だったような気がします。この二か月間様々な、新聞報道等で見てみますと、もういろんなことが、この沖縄に関すること又はこの北方問題、またロシアに関すること、いろいろ報道があった、そういう中に、ちまたでは、何が本当で何がうそかよく分からない、そんな疑問もただ耳にするわけでございますので、今日はお忙しい中、両大臣にお越しいただき、特に外務大臣に対しましては後ほど、今ロシア外交についての、この前、外相会談についての御報告があったわけでございますが、更にちょっと何点か突っ込んだ形でお話をいただきたいと思うところであります。  まず最初に沖縄の件からでありますが、この普天間代替施設についてであります。これにつきましては、普天間基地、もうSACO最終合意で取りあえず移転をするということは決まり、そしてまた返還ということも視野に入れた様々な議論がそういう中に、この辺野古沖への移設というのが決定する中で、ずっと今そのための調整又はいろんなボーリング調査等が行われたと思うんですけれども、結果的に非常にこの進歩状況が遅いということもあって、当然、当時このことを決めたときの環境、これは、環境というのは本当の普通の環境問題であって、ジュゴンの問題だとか、ああいった海を埋め立てるのは良くない、そんな話も出てきたり、又は当然、時間が掛かり過ぎたために、アジアにおける情勢又は新しく米国におけるトランスフォーメーション、こんな話も出てきたわけでございますが、そんな中で、何か一部の報道によると、辺野古沖への移設はもう白紙撤回になったなんという報道もちらほらされているようであります。  改めて今日はお伺いしたいんですが、この辺野古沖への進歩状況と、そしてこの白紙撤回なるものが叫ばれる中で、今、嘉手納基地への統合だという話もあり、又は今、これも一部の報道でありますが、伊計島等への移設の問題、こんなことも出てきておりますけれども、こういったことを一括して防衛庁、お伺いしたいと思います。
  9. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) お答えいたします。  まず、ボーリング調査現状でございますけれども、当庁としましては、市街地に所属する普天間飛行場を早期に移設返還するために、平成十一年度末の閣議決定に基づき、代替施設の着実な建設に向け、取り組んでいるところでございます。  現在、環境影響評価法に基づく所要の手続を実施するとともに、護岸構造検討に必要なボーリング調査等現地技術調査を実施しております。環境影響評価につきましては、環境影響評価法に基づき、昨年四月から方法書公告縦覧手続を開始し、昨年十一月までに沖縄県知事や一般の方々から方法書についての意見をいただいたところであります。現在、これらの意見を踏まえ、調査地点調査時期など追加すべき調査手法検討しているところでございます。  また、現地技術調査につきましては、昨年九月からボーリング調査を含む地質調査海象調査を開始しましたが、設置したボーリング足場を占拠されるなど、反対派による妨害行為により、安全、円滑に作業ができない状況が続いております。  当庁としましては、ボーリング調査に反対している方々理解を得るために引き続き説得を行い、地元の理解を得ながら、自然環境に十分配慮しつつ、安全対策に万全を期して円滑に実施してまいる所存でございます。  なお、海象調査につきましては、海底に設置した計測機器により波浪などのデータ調査中であります。
  10. 山内千里

    政府参考人山内千里君) それでは、私の方から、先生のお尋ねのいわゆるトランスフォーメーション関係の、日米でどのような状況か、あるいはどのようなことを話しているかということをちょっと簡単に御説明したいと思います。  初めに、先生の御指摘のように種々報道がほぼ連日のように出ておりますけれども、すべて政府としてそのようなものはあずかり知るものではございませんで、すべて事実ではございません。  普天間の問題でございますが、ただいまも施設庁の方からお話ありましたように、政府としては、平成十一年の閣議決定に従いまして、整々とSACO最終報告を実施していくということに変わりはございません。これは今年の、後ほど申し上げますけれども、いわゆる2プラス2においても確認していることでございます。  それで、日米協議、いわゆるトランスフォーメーション関係でございますが、少し長くなりますが、ちょっと簡単に申し上げます。  これは、アメリカの方のいわゆるトランスフォーメーションというものでございますが、これは御案内のように、いわゆるブッシュ政権政権に五年前に着きまして、そのころから、いわゆる九・一一テロの前から、全面的にアメリカの国防あるいは安全保障政策の見直しをやっておりまして、これはいわゆる戦略あるいは装備体系に至るまで全面的な問題、これをいわゆる変革という意味トランスフォーメーションと呼んでいます。これに基づきまして世界的なアメリカの体制を見直すということでグローバル・ポスチャー・レビューというのを具体的にやっておりまして、それに基づきまして個々基地あるいは配置というのをどうするかというのをリアライメントと呼んでいろいろやっているということがあります。  我が国でございますけれども、別にアメリカの対応を待って受け身に回っているわけでございませんで、これは四年前から足掛け三年ほど、防衛庁の中でいわゆる防衛力在り方検討というのをやっておりまして、その過程で、いわゆる九・一一が起きた後に国会の方で御審議いただいて、いわゆるテロ特でインド洋に派遣、あるいはイラクの後、イラク特特別措置法ですね、失礼しました、イラクに派遣する等やりながら、昨年の夏ごろに防衛庁として新しい防衛力在り方検討のめどを立てまして、他方総理の主宰される安全保障防衛力に関する懇談会の中で御議論いただきまして、昨年の十二月に新しい防衛計画の大綱を作りました。その中で、米国との戦略対話に主体的に取り組むようにということが明記されまして、これを受けまして、アメリカトランスフォーメーションとの間ですり合わせをしているというのが現状であります。  具体的にと申し上げますと、今年に入りまして、いわゆる2プラス2におきまして確認されたことでございますけれど、まずアメリカ日本の間で、それではその世の中を、国際情勢あるいはどのように見るかということで、戦略すり合わせをしようということで共通の戦略目標ということを確認いたしました。それを受けまして、いわゆる米軍と自衛隊と、こういうような世の中に対してどういうような役割任務、どういうものがあるのかということで役割任務能力について検討を進め、その上で、例えば在日米軍の戦力はどうあるべきかという、こういう検討、つまり三段階に分けようということで、今このいわゆる役割任務能力の二段階についてまとめをやっているところでございます。  これからこれを受けまして、在日米軍がどうあるべきか、その結果として個々の具体的ないわゆるフットプリント、基地がどうかという議論になりますので、種々報道が出ておりますけれども、まだその具体的なそういう議論になっておりません。  具体的に、最後になりますけれど、それではそういうような問題にどう対応するかということでございますが、これはもう当然ながら抑止力の維持というのが前提ですけれども、あくまで、特に沖縄のように極端にその米軍基地が密集しておりまして過大な御負担を掛けている、住民の方に負担を掛けているところについて極力負担を軽減できるように、我々としては最大の努力をしていきたいと考えております。  以上でございます。
  11. 秋元司

    秋元司君 当然、恐らく政府としての今の態度というものをお示しいただいたと思うんですが、ただ一向に前に、恐らく沖縄県民皆さんから見てもなかなかこの代替移転というのが進みそうもないという見方と、そしてまたいろんな各社のいろんな報道がある中に非常にいら立ちを覚えた形で報道もまたエスカレートしているんじゃないかなと、そんなふうに思うわけでございます。  当然、今回の米軍トランスフォーメーション抑止力、これは当然、今我が日本にとってはこの北朝鮮又は中国が最近いろんな形で活発になってきている、動きが活発になってきている、そんな意味ではこの抑止力という意味を当然重点的に考えなくちゃいけないわけでありますが、これは難しい問題でありますけれども、同時に、やっぱり沖縄県民に対する負担軽減というものは図っていかなくちゃならない中に、いろいろとちまたでは、また学者皆さんもこの辺野古がもし駄目だった場合、断念した、そういった結論になった場合においての方法として、嘉手納基地統合の話、またこれ発着回数をちょっと減らせばいいんじゃないのという声も一部の学者の話ではあるようでございますから、いろんなことを総合的に考えながらこの問題は対処していかなくちゃならないと思うんですけれども、いずれにしても予断を許さない状況であり、なおかつ辺野古、これについては一応政府決定して前向きに進んでいるという話でございますから、引き続き関係各位の皆様の御努力をお願いしたい、そのように思っております。  ちなみに私は、先般、この辺野古を見させていただきながら、すばらしい、余りにも環境が良過ぎたんで、辺野古への移転というのはいささか今後見直した方がいいんじゃないかな、そんなことは個人的には思わせていただきました。  次に、話を、話題変えさせていただきます。  今、外務大臣から先般の外相会談の御報告がなされたところでありますが、当然ロシアについてのこの戦後の宿題シベリアの抑留の問題、そして北方領土の問題、こういったものがあるわけなんでこの委員会が存在しているということでありますけれども、今現在この日本におかれた状況、この戦後の宿題というものがまだまだ片付いていない中に、先般、第二次大戦戦勝国と又は敗戦国の両首脳がいわゆるモスクワの対独戦勝六十周年記念式典我が国総理がそれに出席をする、このことに対しまして国内世論からも、まだ宿題が片付いていないのに和平というイメージを世界に印象付けて、今後日本のこの宿題がどっか追いやられちゃうんじゃないの、そんな疑問が投げ掛けられる中での今回総理訪ロの話だったと思うんですが、改めて今回総理ロシアに訪問した目的と、できましたら大臣なりが感じたその成果というものをお答えいただければと思います。
  12. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 五月八日から十日まで総理ロシアを訪問をされたわけでございます。この九日、十日、これは国連追悼和解の日という形で昨年の秋でしたか定められたものでございまして、世界の主要な国々の首脳案内状が出されていたわけでございます。  出席をして、総理御自身の言葉をかりれば大変良かったと、こう述べておられました。それは多分意味するところは、これは戦勝国とかあるいは負けた国とかいうことを区別することなく、幅広い結束の下で、第二次大戦中のことについて、お互いに亡くなった方々について追悼をし、またお互い和解をしながら未来にともに進んでいこうという国際社会の意思を表すというのがこの式典の趣旨であったということで、それにふさわしい会であったということを総理は受け止められたんだろうと、こう思っております。  また、その際にプーチン大統領とシュレーダー・ドイツ首相との首脳会談も行われたわけでございますが、日ロ首脳会談では、日ロ関係日ロ行動計画に基づき幅広い分野で進展していることを評価するとともに、プーチン大統領訪日に向けて平和条約問題及び幅広い実務分野に関して精力的に準備を進めていくということで一致をしたと。日独首脳会談では、安保理改革実現に向けて更に協力をしていこうということで一致をしたということであったようであります。  いろいろな議論が確かにあることは私も承知をいたしておりますけれども、仮に日本首相が行かなかったというケースを考えてみたときに、なぜ日本首相だけが来ないんだろうかという、本来のこの式典とは全く違った意味話題が展開をし、私は、そのことは翻って総理にとっても日本国にとっても決していいことにはならなかったんだろうと、こう思っております。そういう意味で、私は総理のこの追悼和解の日に参加をされたというのは極めて適切な判断であったと、かように考えております。
  13. 秋元司

    秋元司君 一国の総理判断の中に行った行動でありますから、我々といたしましても、是非こういった機会を通じて、我が国が国益を考えた形でロシアとの外交、前向きに進んでいくことを期待をさせていただくところであります。  その中で、今大臣からのこの報告にもありましたけれども、大臣報告の中にもプーチン大統領来日についていろいろとあったと、言及されたという話でありますが、大臣外相会談をやられてもうはや、五月の三十一日でしょうからもう二週間ぐらいたっておりますけれども、プーチン大統領来日の予定というのは何か具体的に今現在どのような話になっていらっしゃるか、答えられる範囲で結構でございますから、お願いします。
  14. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど御報告いたしましたように、日ロ外相会談の中では大統領年内に確実に訪日をするということが確認をされたわけでございまして、それに向けての十幾つの成果文書を今作業をしているということでございます。その準備を精力的に進めていこうということでまた一致をしたわけでございまして、こうした準備状況を踏まえながら、大統領訪日の具体的な時期はそんなに遠くないうちに合意できるのではなかろうかと、こう思っております。  ただ、余りこの訪日の日程を決めること自体が何というんでしょうか余り大切だ大切だということになりますと、逆にですね、ちょっと言い方はおかしいんですけれども、先方が何というんでしょうか訪日カードを握ってしまうというようなこともありますんで、どうぞいらしてくださいというような、こう淡々とした姿勢で私はいいのではないかなと、こう思っておりましてね、余り早く早く早くお願いしますと言って、こうへりくだってお願いをするような話ではないんだろうと、基本的に私はそういうふうに思っているんであります。
  15. 秋元司

    秋元司君 まあ一番現場、最前線で交渉していらっしゃるのが外務大臣立場だと思いますから、その辺、状況を見極めた上で、せっかく来られるのであれば、来られたときに日本での歓迎方法と、そしてまた日本国として言うべきことはしっかり伝える、このことも大事だと思いますので、引き続きの交渉又は調整、よろしくお願いしたいと思います。  次に、政治の話ばかりじゃなくて、やっぱり少し経済話題にも触れておかなきゃならないと思いますが、今この、今といいますか、過去でもそうでありますけれども、非常にロシア、そして特にシベリアに対する油田開発、莫大な油田があるというふうに言われておりまして、日本としてはエネルギー政策、特に油については中東依存度が、中東への依存度が高いという中で、いろんな方面でのエネルギーの確保ということが常に言われているわけでありますけれども、分かる範囲で結構でございます、この東シベリア原油埋蔵量なんというのはどれくらいあるものなんですか、外務省
  16. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) お答え申し上げます。  ロシアにおける原油埋蔵量でございますが、ロシア国家秘密に属するというものとされておりまして、詳細なデータは公表されておりません。  他方、一つの材料といたしまして、二〇〇三年に公表されましたロシア産業エネルギー省作成の二〇二〇年までのロシアエネルギー戦略という報告書がございまして、これには東シベリアサハ共和国の二〇二〇年時点の石油生産量の見通しとして次のようなことを述べてございます。  一番目として、楽観的なシナリオの場合は年間八千万トンの生産石油生産量があるであろうと、見込まれると。それから二番目、適正な社会経済発展が達成される場合は年間五千万トンの生産が見込まれると。三番でございますけれども、開発が進まない危機的なシナリオの場合、年間三百万トンというようなこともあり得ると。かなり幅がある予想ではございますけれども、このようなことをロシア産業エネルギー省作成の資料は述べておるということがございます。  現在、日ロ間で、日ロ専門家会合ということで、東シベリア地域における油田開発も含めまして太平洋パイプラインプロジェクト実現に関する日ロ協力の具体的な在り方に協議を行っているところでございまして、今後ともこういった専門家レベルでよく協議をして実態も把握をしたいと考えてございます。
  17. 秋元司

    秋元司君 まず、そのパイプラインのことについてでありますけれども、当然、パイプラインが、今獲得をめぐって、日本とまた中国と今非常なデッドヒートの争いをしているというやに聞いております。  今、日本でのこのエネルギー確保の問題については、なるべく石油に対する、油に対する依存度を低めていこう、そんな動きもありまして、このパイプラインを、太平洋パイプラインを引いていくに当たりましては、当然、日本も最終的には開発するならある程度資金を出していかなくちゃいけない、そんな状況でもあると思うんですが、まあ言ってみれば、費用対効果をどう考えるかということでもあると思うんですけれども、私、個人的には、やはりこのシベリア油田開発というものをしっかり、日本でもこのプロジェクトに参加をして、そして獲得する、そういった運動を起こしていかなくちゃならないんじゃないかな、そのような思いがするわけでありますけれども、いろんなエネルギー政策等々も含めて経済産業省の太平洋パイプラインについての日本政府の考え方、お伺いしたいと思います。
  18. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今先生御指摘からございましたように、シベリア原油、相当な量が期待をされるわけでございます。そういう中で、シベリア原油ロシア太平洋岸まで輸送するという太平洋パイプラインのプロジェクトにつきましては、ロシア東シベリア地域開発という非常に大きな問題があるだけではなく、大きなポイントがあるだけではなく、私どもといたしましても、我が国を含むアジア太平洋地域エネルギーの供給源を多様化するという意味で、我が国にとっても戦略的な意義を有するプロジェクトだと考えておるところでございます。このような観点から、これまで日ロ間の様々なレベルでその実現に向けた議論を行ってきたところでございます。  具体的に申し上げますと、太平洋パイプラインに係る日ロ専門家会合におきまして、パイプラインの建設資金の融資について、また東シベリア油田の探鉱開発について、さらにパイプラインの詳細なフィージビリティースタディーについて、この三分野におきまして太平洋パイプラインを実現するために日ロ間でいかなる協力が可能かということを現在議論をしているところでございます。  今後とも、日ロ間のあらゆるレベルで太平洋パイプラインの具体化に向けた議論を深めてまいりたいと考えておるところでございます。
  19. 秋元司

    秋元司君 ありがとうございました。  どっちにしろ、多分、ロシアとしては、当然、今、日本と中国それぞれ競争が始まる、そんなことの中で余り日本側が、こう言っちゃなんですけれども、欲しい欲しいと言えば足下見られるということもある中に、私は個人的には当然開発することはやぶさかでないわけでありますけれども、本当調査というものを、できるのであれば共同調査というものをある程度させてもらいながら進めるということも一つの手段じゃないかなと思うわけでありますけれども、しかしこれはロシア、相手があることなんで、なかなかそうはいってもロシアが応じないというのであればしようがないわけでありますが、その辺を慎重に見極めながらしっかりとしたエネルギー確保のために頑張っていただきたいと思います。  以上の点、今日は特にロシアについて何点か質問させていただいたわけでありますが、とにかく、北方領土の問題についてもそうであります、日本としてしっかり言うべきことを言っていく、これはもう当然のことである中に、今、中国は非常にエネルギー確保のためにアフリカに繰り出していったり、そして日本の南の方では尖閣諸島、EZ、EEZのライン上でどんどん油田開発する、特に異常なまでにエネルギー確保については運動を、また事業を展開しているわけでございまして、日本としては、このシベリアエネルギーの問題は、エネルギーという問題だけじゃなくて、やっぱり北方四島を最終的には日本返還してもらう、そういった意味合いからもシベリアに対してある程度のくさびを打つことが、日本シベリアを挟んで四島を押さえて最終的にはこれを戻す、そういったことにも私はつながっていくんじゃないかなと思うわけでありますが、以上の点から含めて外務大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、今後、ロシア外交ということをどんなふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  20. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まず、この東シベリア原油の問題、大変大切なプロジェクトだと、こう思っております。  これはもうロシアにとっても、今までややもするとこの極東シベリア地域というのは開発が遅れ、中央政府の方から見てもどちらかというと余り力が入っていなかった地域だろうと、こう思います。近年、サハリン1、サハリン2を含めて、エネルギーということで大変モスクワの方から見ても注目度が高くなってきているということであろうかと思いますし、逆に日本から見ても、中東原油の依存率が相変わらず九割前後と非常に高いと、これを少しでも低くし、供給の多角化、安定化を図るという、そういったエネルギー政策の観点から見ても重要なんだろうと、こう思っております。  もうちょっと日ロ全体という観点からこれを考えたときに、私は、ロシアというものはヨーロッパの方を見る顔と、それから中央アジアの方を見る顔と、やっぱりアジアの方を見る顔、まあ大きな国ですからいろんな顔が見えるわけであります。  ただ、その中で一番存在感が私どもから見て薄いのはやっぱりアジアの顔ではないのかなと、こう思うわけでありまして、私は先般ラブロフ外務大臣と話した折も、もうちょっとアジアの方にあなた方関心を持つべきではないだろうかと、どうしてもモスクワというのはヨーロッパに近い方にあるものだからアジアの方が手薄になっているんじゃないのかなと。だから、アジアロシアが活動しようというときに私どもは一緒になって協力する用意があるんだということを申し上げ、そのための日ロ行動計画というものだって作ったじゃないですかと。これを今正に現実に進めているわけでありますけれども、そういうものもあるし、それから彼らは、例えば今年の十二月に開かれます東アジア・サミットにロシアも参加をすることに関心ありと、こういうことを述べました。それだけ彼らもだんだんアジアの方を向きつつあるということは間違いないだろうと思うんですが、それにはもっとそれにふさわしい活動というものがないと、幾ら東アジア・サミットに参加したいと思っても、ASEANの皆さん方が何でロシアなのと言われりゃそれまでですよと。だから、もっとアジアの方顔向けて一緒に我々と仕事をしようじゃないかと、お互いの共通利益もあるんだ。そういう利益を達成するためにも、のどに突き刺さった骨でありますこの北方領土問題というものはきちんと解決をしなければ、本当意味日ロ交流というものにはどうしても一定の制約が掛かってしまうんじゃないんだろうかと。そういう観点で、この領土問題というものも一緒に解決をするようにお互い努力をする必要があると思うよと、そんな話をし、その辺の認識は私はそう今ラブロフ外務大臣との間に違いはないのだと、こう思っておりまして、そういう意味で、領土の問題は領土の問題として非常に重要な長年の問題ですが、同時に、今言った経済の問題を含む幅広い交流というものもやっぱり同時並行に進めていくと、こういうことが大切なのであろうと、かように対ロシア外交については考えているところでございます。
  21. 秋元司

    秋元司君 ありがとうございました。  以上です。
  22. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、実は先日も決算委員会というところで初めて、ちょうど十三年、当選して十三年目になるんですけれども、初めて質問しましたけれども、沖縄北方領土問題も実は私も初めて質問をするということで、これまでの間、決して問題意識がなかったわけじゃないんですけれども、ついつい日本経済の金融不安だとか税制改革だとか、そういったところに集中しておりまして、今日は初めての、予算委員会等では質問したことあるんですけれども、初めてでございますので、本当に初歩的な質問から入るかもしれません。よろしくお願いしたいと思います。  そこで、日ロ問題に入る前に、ちょっとやはり今、中国の問題が非常に靖国参拝問題であるわけであります。  私が質問通告したのは金曜日でございました。土曜日の日に、これはもう日本経済新聞に載った記事でございますからごらんになっていると思うんですが、首相官邸におられる飯島秘書官が次のように発言をされているわけです。これは十一日に長野県の辰野で講演されたそうです。  その中で、総理大臣は二〇〇五年も靖国神社を参拝する考えだというふうに、日中首脳会談、昨年の十一月のチリのサンチャゴだと思いますが、伝えていたということで、しかも中身を更に敷衍してこれは引用されてあるんでありますが、チリで胡錦濤主席と会う前に強烈なカードを切ったと。首相は時期を別としても来年も靖国神社を参拝をする。それでも不都合がなければ会談を受けると伝えた上で会ったと説明をされたと。同時に、国の指導者たる小泉首相が不戦の誓いで靖国神社に行くのは何らおかしくない、多分必ず参拝すると思うと、こう述べられたんでありますが。  という事実関係について、町村外務大臣、どのようにつかんでおられたんでしょうか。あるいは、こういう報道がなされていることに対してどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  23. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 報道は私も承知をしておりますが、首相秘書官の一々の発言に別に外務大臣としてあれこれコメントをする必要はないんだろうと、こう思っております。
  24. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先日でしたか、呉副首相日本をドタキャンされたと。いろいろ、なぜなのか憶測をずっとたくましくするマスコミ報道などもあったわけでありますけれども。  首相秘書官の一言には余り自分が答えるのはどうかということなんですが、しかし、これはやはり首相秘書官でございまして、政務の秘書官でございますので、私は、こういう事実関係があったのかないのか、そのことは対中国に対して、特にサンチャゴの日中の首脳会談、この前提条件として、我々からすると、日本側が是非会ってくれというふうに持っていったのかなと思ったら、どうもこの表現によれば、要するに、首相は時期は別としても来年も、つまり今年のことですけれども、靖国参拝をすると、それでも不都合がなければ会談を受けると、こういうふうにして日中首脳会談が開かれたと、こういうふうになっているわけですが、当然、日中首脳会談のスタンバイをされた外務省としては、そういう事実関係というものについてつかんでおられるし、そういうことが前提の上でこの日中関係というもの、特に首相の靖国問題について、ある意味ではいろんな対応がそれを前提にして進められていると思うんですけれども、今のちょっとにべもない答弁だと、我々としても、いやいやそれで分かりましたと引き下がるわけには、町村大臣、いかないんじゃないかと思うんですが、この点、改めて御見解を聞きたいと思います。
  25. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) にべもない言い方で誠に失礼をいたしましたけれども、どういうやり取りが事前に日中間であったかという点を含めて、外交交渉にこれはかかわる話でございますので、そのやり取りの一々について今この時点で私が述べることは、それは不適切なんだろうと、こう思います。  いずれにいたしましても、総理が靖国参拝については適切に判断をすると。何度言われても適切に判断をすると、こう言っておられる以上、私どもも、総理がすべてのことを含めて適切に判断をされるんであろうと、かように考えているわけでございます。
  26. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日は日中問題の論議ではありません。むしろ対ロ問題ですから、これ以上お話ししませんが、ただ、やっぱり総理大臣秘書官というのはたしか公務員ですね、特別職の公務員に当たるんじゃないかと思いますが、特に政務の秘書官は。そういう意味で、その発言が、しかも総理の秘書官ということで大変私は重いものだというふうに思いますので、この点はまた別途追及していきたいというふうに思っております。  そこで外務大臣、この間、私が非常に、ずっと川奈の問題とかいろいろ今日聞いてみたいと思っているわけでありますが、小泉首相が非常に日ロ問題に関して発言をされた、最近における非常に私、特徴的な意見というのは、昨年九月に根室で発言をされているわけです。北方領土の視察です。これはたしか洋上視察ということで、この洋上視察自体が対ロ外交にとって本当に良かったのかどうなのか、マイナスではなかったかと、こういうふうに私どもは思っているわけでありますが、そのことはちょっと別にいたしまして、根室で一体どういう発言をされているのかということについて私の方から言いますと、こういうふうにたしか根室で発言されています。  日ロ両国の国境は択捉島と得撫島の間に存在することをロシア側が認めれば、択捉島以南の諸島の返還の時期、返還の態様については柔軟に対応する、実際に返還されるまでの期間にはこれら諸島にロシアの実効支配が及んでいることを認めると考えると、こういう形で実は根室において発言をされたというふうに私どもは報道を通じて承知しているんですが、それは間違いございませんか。
  27. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、手元に総理の発言の資料もあるんですが、かなり長文なものなので、どこの部分を訳していいのかちょっとよく分かりませんが、今委員が言われたように、四島の我が国への帰属が確認されれば、実際の返還の時期あるいは態様については柔軟に対応する考えであると。いずれにしても、政府としては、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を早期に締結すると、こういう一貫した方針に変わりはないという趣旨であろうと思います。
  28. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、この中身は、我々がよく言われている、伝えられている川奈提案と同じものではないかというふうに言われているんですが、それはそうなんでしょうか。
  29. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 川奈合意というのは大変簡単な、一行二行のものでしかないわけですが、この川奈提案というものは、これは九八年四月に橋本・エリツィン会談で、橋本当時の総理が提案をされたことを指しておられるんだろうと、こう思います。  依然としてこの平和条約締結交渉というものが、総理大臣が替わって代が替わってもいまだに継続中の案件であるということでもあり、したがって、これで全部今すべて終わっているなら、どこかでこれがオープンになることもあり得るんだろうと思いますが、今日ただいま現在もこの平和条約交渉が、平和条約締結問題というものが続いているということからいたしまして、この川奈提案の内容あるいはそれに対するロシア側の反応といったようなものを今ここで詳細に政府として国会という場でコメントすることは差し控えるべきではなかろうかと、かように思っております。  この川奈提案の内容についていろいろ報道されていること、これは私も承知をしておりますが、この点については今のところコメントを差し控えるということで御理解をいただきたいと思います。
  30. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、川奈提案と言われているものは、かなりもう人口に膾炙してるんじゃないかと思うんですよ。朝日新聞が一九九九年四月十九日付けの朝刊で、川奈提案というものの全貌を明らかにいたしました。  私、最近、日本ロシア大使、ロシア日本大使、一人は丹波さんですね、それからもう一人はパノフさん、それぞれ実は本を出されているんです。パノフさんのやつは「雷のち晴れ」、それから丹波さんのやつは「日露外交秘話」とかいったでしょうか、二つ、読ましていただきました。  この中に、丹波さんの場合にはかなり要約書きだったと思いますが、パノフ大使も実はその中身を明らかにしてるんですよ、川奈提案なるものの。しかも、これは、要するにパノフさんが、いつも、その中に書いてるんですけど、日本側は、例えば川奈の提案があった場合に、その川奈の提案はもう、すぐ翌日リークされちゃう。こういうことで、一体情報管理どうなってるんだというところまでやってるんですが。  その意味で、町村外務大臣、そろそろもう外交における秘密というのは最小限にとどめるべきであって、もうこれだけ人口に膾炙して、今、私が質問しているのは、総理大臣が根室で発言された要点というのはどうもそこの、川奈提案と言われているものの延長線にあるんじゃないのかということを聞いても、いや、川奈提案なるものが実はどういうものかは正式にはここで明らかにできませんと。これじゃ全然、北方領土問題についての質疑をする意味がなくなっちゃうんですよ。  その意味で、どうなんでしょうか、もうこの川奈提案であれ、あるいはその提案を受けて、その年の十一月だったでしょうか、小渕総理に替わっていると思いますけれども、それに対するお答えがあったモスクワ提案、こういったものについて、是非この場で明らかにしてもらえませんかね。その点、まず要求したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  31. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) いろいろな形で情報を、今、リークというお言葉を使われましたが、がもしあったとすれば、大変遺憾なことであろうかと思います。パノフさん等々がどういう立場で、どういう情報に基づいて本をお書きになっているか私も詳細は存じ上げませんけれども、これが、もう既に一件落着をし、ある程度時間がたち、関係者に何ら迷惑も掛けないとかいうことになれば、それは外交文書だって一定の時間がたてば、それはオープンにするというルールがあることは委員も御承知のとおりでございますが、まだまだこれ、今現在、ホットな交渉が続いているという段階でございますから、その点について、こういう内容であったということを公にすることはやはり差し控えるべきであろうと、こう思っております。  それは、いろいろな方がいろいろな交渉をし、いろいろな提案をし、いずれも、何とかこの領土問題を解決したいという思いで努力をしておられるわけでございまして、それらのことを全部、逐一情報を明らかにしていくということがプラスになるのであれば、それは、それは一つの考え方であろうかと思いますが、どちらに転ぶか分からない現在の段階で、中途のものについて私は公にすることが適切なことではないと、こう思われますので、恐縮でございますけれども、この点について、川奈提案の具体の内容について申し上げることは差し控えさせていただきます。
  32. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 誠に残念な回答でしかないなと思っておりますが、この間ずっと、日ロ交渉の歴史ずっとたどってみたときに、今から百五十年前の一八五五年までさかのぼるつもりはないと思いますけれども、しかし、その一つ一つの歴史たどってみると、どうも秘密に隠れてる、ベールに隠されてると。要するに、今我々四島の返還ということを言っているんですけれども、本当日本政府はこの第二次世界大戦の敗戦以降も、それは最初から四島だったのか、本当に途中で四島になったのか、だれがこの四島返還というところに方向付けていったのか、非常にあいまいとしてよく分からないという、私はずっと分からないものがずっと続いている歴史だというふうに思っておるんです。  その意味では、これから四島の返還を求めていくということについて、私自身はもちろん気持ちは持っておりますけれども、そこら辺が非常に秘密外交というか、非常に分からないままに、この歴史というものが正しく検証されないと、私はやはりこの北方領土問題というのは本当意味で正しい解決になっていかないんじゃないかなというふうに思っております。ちょっと残念なことでございますが、先に進みたいと思います。  そこで、町村外務大臣、私は、特に冷戦が終わって以降の日ロ外交の中で非常に重要な原則といいますか考え方が提起されたのは、一九九六年の七月の経済同友会における橋本首相がユーラシア外交ということを提起をされたわけであります。この考え方については、現在町村外務大臣は、この橋本総理大臣が当時提起をされたユーラシア外交に関して現在ではどのような評価をされているのか、その点、お聞きをしたいと思います。
  33. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 九七年の七月だと……
  34. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ああ、九七年ですね。
  35. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) はい、思いますが、橋本総理経済同友会の会員懇談会で演説をされたことを指しておられるんだろうと思います。ユーラシア外交という大変壮大な名前で演説をされ、その中で、日ロ関係改善のために、信頼、相互利益、長期的な視点、この三つを原則として提唱をして、この三原則に基づいた北方領土問題の解決及び経済分野における具体的な進展を図るべきであると、こういう趣旨だろうと思います。  私は、この橋本三原則というものは大変有意義な内容であろうと、こう思っておりまして、当時の橋本総理日ロ関係を改善したいという意欲の表れとして評価をするものでございます。その考え方に基づいて、その後の九七年十一月のクラスノヤルスク合意あるいは九八年四月の川奈合意、これはいずれも橋本、エリツィン両者の合意でありますし、さらに、九八年十一月、これは小渕総理にもう替わっておられますけれども、小渕・エリツィンのモスクワ宣言にも反映をされているという意味で、私は大変重要な指摘であろうし、またその考え方はずっと引き継がれておりまして、二〇〇三年一月の小泉・プーチンの日ロ行動計画の中にもこうした幅広い分野日ロ関係を進展をさせていく、その中で四島の帰属問題を解決して平和条約を早期に締結するということが生かされているというふうに考えております。
  36. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう一つちょっと原則的なことをお聞きしたいんですが、ソ連邦が崩壊して以降、日ロの間で随分といろんな外交関係が組み立てられて、その都度、東京宣言であるとかイルクーツク宣言であるとか、いろいろ出されているわけですが、そうした中で、町村外務大臣、あるいは外務省としてというふうに言い換えてもいいと思うんですが、今我々が一番あるいは基本として重視しているというか、その合意というのは何なんだろうかなと。いろいろあるんですよね、それは先ほどの川奈提案は中身は言えないと。川奈提案に対する回答であったモスクワの会談の中身、これも実は恐らく、答えてくださいと言ったら、恐らく中身についておっしゃらないのかもしれませんが、あと、二〇〇一年にたしか森前総理がイルクーツク行って、イルクーツクで約束してますね。クラスノヤルスクの合意であるとか、様々ないろいろなことがあるんですけれども、東京宣言とか。今一番その基本としている、我々が、これが今その我々として一番日ロの間の合意事項としては重要なものですよというのは何なんでしょうか。
  37. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 一番の出発点は、何といってもこれはまだ冷戦中というかソ連時代でございますが、五六年の日ソ共同宣言があります。その後、ソ連が崩壊をしてロシアに変わった後、いろいろな宣言が確かに委員御指摘のように出されているわけでございますけれども、九三年東京宣言、九八年モスクワ宣言、二〇〇〇年両首脳声明、二〇〇一年イルクーツク声明、二〇〇三年日ロ行動計画等々、いずれも有効な文書であると思っておりますが、委員、あえてどれがというお尋ねで、どれが重要であるかというお尋ねでございますが、いずれも重要でございますが、特に私どもはこの九三年の東京宣言というものに注目をしているわけでございまして、そのことは先般の私とラブロフ外務大臣との間の中でも特にその点を私から触れたところでございます。
  38. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、その東京宣言のポイントといいますか、これはたしか四島の問題を具体的に明記されたという点で非常に重要であるということなんだろうと思いますが、それ以外になぜこれを非常に重視しているのかという、その点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  39. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 東京宣言の重要性でございますが、今委員も御指摘になりましたように、この北方四島の島の名前を具体的にすべて列記をいたしまして、この四島の帰属の問題を解決をして平和条約を締結するという必要があるということをまず確認をしていると。この東京宣言以来、私ども、この日ロ間の平和条約交渉の共通の交渉の指針であるというふうに理解をしているわけでございます。  また、この宣言におきまして、その上で北方領土問題の解決でございますが、一つは歴史的、法的事実に立脚をして解決する必要があるということを一つ申しております。  それから、二番目でございますが、両国の間で合意の上作成された諸文書、それから法と正義の原則を基礎として解決をするということを明記しているということも重要な点であるというふうに認識をしております。
  40. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 とすると、プーチン大統領が昨年十一月、ラブロフ外相ロシアのテレビでインタビュー答えます。要するに、一九五六年の日ソ共同宣言が今日でも効力を有する、その第九項で、二島の引渡しはこれまで両国間で話し合われてこなかったとして、いずれにせよ、色丹島、歯舞諸島の返還による平和条約締結プロセスの解決を示唆した。それについて、たしかこれはテレビインタビューをした後でプーチンさんもそのことに言及して、閣僚会議の席上で、これについては、両国が調印をし両国議会で批准された文書で負った義務の履行は、ソ連の継承国家としてのロシアも引き受けると。しかし、ロシアが義務を履行するのはパートナーが同様に行動した場合であるといわゆる発言されたと。これは事実間違いないですね。
  41. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) プーチン大統領、ラブロフ外務大臣の発言でございますが、これ、時系列的にはラブロフ外務大臣が先に発言をされまして、趣旨は今委員のおっしゃったこと、趣旨だと思いますけれども、正確な表現につきましてもし御指示がございましたら御説明をさせていただきます。
  42. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いやいや、趣旨でいいんです。  そうすると、東京宣言よりは、要するに今外務省からすれば、あるいは外務大臣からすれば、どちらでも結構ですが、このプーチンさんあるいはラブロフ外相立場というのは後退をしているというふうに見ているんですか、それとも、いや後退はしていないと見ている、どっちなんですか。
  43. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まず、なぜ改めて昨年十一月にこの五六年の日ソ共同宣言に基づく義務というものを言ったんだろうかと。これは必ずしもよく分かりませんが、いろんな解釈がございます。  一つの解釈は、また先祖返りしたといいましょうか、元々の主張に戻ったという後ろ向きの評価もあるだろうし、他方、ある意味では二島を返すという話だってロシア国民にとっては決して面白くないといいましょうか、全く北方領土問題なんか、さすがに存在しないとは言わなくなったようでありますが、返還する必要ないとかそういう議論ロシア国会の、議会の中でも随分あります。だから、決してこういうことを言うのはプーチン政権にとって人気の出る話ではないんですね。それにもかかわらずこのことを、わざわざ二島のことを触れたというのは、ある意味ではこれは前向きの取り組む姿勢を示したんだと、プラスに評価すべきであると。両方の解釈というのが実はあるようでございます。  これ私ども日本は、じゃどう受け止めるのかといえば、それは元々二島でいいよというんだったらば五六年のときにこれで済んで、そのまま平和条約結んで、これで一件落着したわけです。しかし、そうならなかったと。そして、依然として東京宣言で領土問題があるんだということをお互いに確認をしたということは、二島だけではこれ話が済まないということを彼らも当然認識をしているというふうに考えるのがこの東京宣言あるいはその他の累次の宣言の趣旨だろうと私は思います。  したがいまして、日本政府としては、この東京宣言にあるとおりに、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというこの交渉指針については何ら変わりがないと、こう考えておりまして、先方は少なくとも二島はと言う、我が方は四島だと言う。しかし、これでずっと平行線を今日まで言わばたどってきたわけですから、これでは何ら進展がないよなというふうに私は思いますものですから、何らかのこの両者の間に懸け橋を架ける努力をすることが我々外交当局の務めであろうと、こう考えて、先般来の二度の日ロ外相会談に臨み、真剣な話合いをしているということでございます。
  44. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、プーチン大統領ラブロフ外相が言っている中身でちょっとこれはどういうことですかと聞いてみたいのは、ロシアが義務を履行するのはパートナーが同様に行動した場合であると、こう言っているんです。パートナーというのは多分日本のことです。日本が、我々も義務をやるけれども、日本も同じようにやってくれなきゃ駄目だよと言っているんですけど、これが中身がよく分からないんです。これ何なんでしょうか。
  45. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) これは相当程度想像でございますが、五六年共同宣言の九項でございますけれども、この二島、歯舞、色丹を平和条約締結後に引き渡すということを言ってございますけれども、この平和条約を締結をするに至っていないわけでございます。その平和条約が締結をされていない現状で、その義務というのは果たすと、履行をするということにはならないと、こういうことを言っているのではないかと私どもは見ております。
  46. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 想像じゃ困るんですよね。できれば、相手側がそういう発言したときに、この意味は何なんですかといったようなやり取りというのは当然、それは表でやるか裏でやるかは別にしてあって私はしかるべきだと思うんですが、いずれにせよ、昨年十一月になぜプーチンさんやラブロフさんがその話をしたのか。  その一か月前に中国との間の国境の画定が終わったわけですよ。終わっているんです。そこで、昨年十月に北京で達成された中ロ東部国境の画定に関する最終合意というものが、多分、あるんだそうですね。その合意の内容について見ると、彼らが言うには、領土の割譲や引渡しではない、ロシアの領土の保全という憲法での規定に抵触しない、長期にわたる両国間の国境画定交渉で達成された原則に基づく国境線の画定である、これは、これを可能にしたのはロシアと中国が戦略的パートナーとして両国関係を国境問題の最終的解決を可能にする高さに引き上げたことである、こう言っているんです。  そうすると、日本は、日ロの間の領土問題というのはそういう高みに引き上げるというところがまだできていないんじゃないかということを彼らは暗に言っているんだろうと思うんですよね。  そこでなんですけれども、実は先ほど町村外務大臣が橋を架けたいとおっしゃったんです。その橋の中身って何なのかなということと同時に、あわせて、そのときに、これは二年前の一月十一日、日ロ行動計画、先ほどおっしゃいました、今、小泉首相が二〇〇三年の一月十一日にモスクワで訪問されて締結をされた日ロ行動計画、この進展が十分であるのかないのか、これだけじゃ駄目なのか。一体全体、ここの、行動計画の評価、さらに行動計画の評価と絡んでるのかもしれませんが、日ロの間の懸け橋というのは一体何を意味しているのかというのは、ここでちょっと、外務大臣、明らかにしていただけますでしょうか。
  47. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 行動計画、これは今着実に進展中、現在進行形であると、こう思っております。中身は多岐にわたりますから詳しくは申し上げませんけれども、国際政治舞台における協力でございますとか、あるいは両国間の貿易経済分野等、幅広い分野日ロ関係を発展させていくということでございまして、これについては、今回のプーチン大統領訪日の際にもこの行動計画の内容がどこまで進展しているか、あるいはどういうことをこれからやろうとしているのかということを確認しながら、実務文書をまとめているという最中でございます。  それを前提にしながら、懸け橋とは何ぞやというお尋ねでございます。  これは正に、恐縮でございますけれども、懸け橋という文学的、文学でもありませんかな、抽象的表現になっておりますが、この内容を今正に日ロ間で鋭意話し合っているという最中でございますから、大変恐縮でございますが、その具体の内容について今お話しすることはできませんが、ただ、私がここで懸け橋という言葉を使ったのは、言わば六十年間、あるいは一九五六年からすると五十年近く、結局、いろんな提案があり、いろんな議論があり、それぞれの方がいろいろ努力をしたけれども、結果を見ると、全く交わることのない主張の平行線が今日まで続いていると。日本外交の選択として、これからまた五十年、百年、この状態をずうっと続けていくという選択肢も私はあるだろうと思います。それはあるだろうと思いますけれども、しかし、それはどう考えても日ロ両国の共通の利益には反することではないだろうかと、私はそう思います。  特に、委員がお話しのとおり、なかなかこれは冷戦時代には難しかったテーマだろうと思いますが、幸いなことに冷戦も終了し、日ロ間の経済関係その他もいろいろ深まってきていると、そういう中にあって、依然として領土問題だけは平行線のまま六十年来て、そしてこれから先もずうっと続けていくということは、私は余りにも芸がないことではないのかなと、こう思ったものですから、懸け橋という表現を使いましたが、お互いお互いに納得し合える解決策というものがどこかにないものだろうかということで、今真剣な議論を両国間で行っているという最中でございます。
  48. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まだ、何か具体的に議論しようかなと思うと、外交のことだから具体的に明らかにできないというんでは、ほとんどこれ議論してもなかなか進まないなというふうに思って、まあ秘密会ならしゃべってもいいですよというふうにおっしゃるんならば秘密会にしなきゃいけないのかもしれませんけども、こういう議論では全然進まないなと思っているんですが。  そこで、町村外務大臣、二〇〇三年一月にモスクワで締結された日ロ間の、小泉政権日ロ行動計画ですけれども、このいわゆる時間軸のとらえ方というふうに申し上げていいんですけども、たしかこれは六つの柱を設けてますよね。政治的対話の深化、それから二番目に平和条約交渉、三番目に国際舞台における協力戦略的パートナーとしての対話と行動の推進と、四点目が貿易経済分野における協力、それから五番目に防衛・治安分野における関係の発展、六番目に文化・国民間の交流の進展と、たしかこの六つぐらいに外務省のホームページなんかを読むと理解できるんですが、この時間軸をどうとらえているかと。  つまり、今ずっとお話を聞いていると、私は実は、エリツィンさんが出てきて、クラスノヤルスクの、先ほどあったユーラシア外交、クラスノヤルスクの合意、それから川奈といったときのあの雰囲気というのはやや、本当に異常だったんじゃないかな、今から思うと。で、そのときの雰囲気があるがゆえに、プーチンさんが去年の十一月に提起をした問題というのは、実は二島の問題を、平和条約という問題を含めて、実はかなりあれは重要な提起をされているというふうに私自身は思ってはいるんですけども、四島の問題まで波及をさせるとなると、相当の時間、つまり信頼関係、先ほどの、私、何も、ユーラシア外交というのは、三つの条件言いました、信頼関係ですね、相互の信頼、相互利益、そして長期的な視点と、こう書いてある。どうも我々の目からすると、あのクラスノヤルスクの合意以降の、二〇〇〇年までと、エリツィンならやるんかもしれないと、そして今度出てきたプーチンさんも、大統領の任期もある、もう大統領に任せれば何とかできるんじゃないかと、こういう流れの中で高揚した気分が、何だか、何だそれっぽっちかという、それっぽっちかというのは、去年の十一月のいわゆる二島を平和条約を締結してというあの一九五六年のところで答えが出てきた、あっ、こんなものかいというようなところの判断を、ちょっと私は時間軸が速過ぎるんではないかという気がしてならないんです。  もう少し長期的な視点で、先ほど戦略的パートナー、たしか九六年四月、エリツィンさんが、あっ、九六年、これちょっと別ですね、これ中国ですから別ですが、戦略的パートナーというところまで高まっていくというのには、そういう経済的な交流だとかお互いの信頼関係だとか、そういうところの流れを非常にある程度時間軸をしっかり取らないと、やはりなかなかこのいわゆる平和条約、四島の問題というのは片が付かないんじゃないかなというふうに思えてならないんです。  そこで、もう余り時間もなくなったんで、私の言いたいことというのは、そういう意味でいうと、あのプーチンさんがなぜ今年になって来る来ないというのが片が付かないのかというと、どうもその辺り、日本側の要求するものというのは余りにもまだ性急過ぎるんではないかと。そこのところに行ってないのに、実は自分が行ったらきっと何かこの北方領土問題でより一歩前進があるはずだと、こういう形での受け止め方をされるとすれば、なかなかそうはいきませんぞと、こういうのがあるからなかなか行けないんじゃないかなと思うんですよね。  そこら辺、プーチン大統領が昨年のサミットのときに、いや来年の年明けたら行きますよと、その後、APECへ行っても、いや、どうですかと、小泉首相が三月の万博の開会どうですかと、いろいろ水を向けても出てこない。ようやくこの間、ラブロフ外相と、いや年内にと言っているけども、この年内というのも、本当年内本当に来るかどうか分からないという、私は疑っているんですけども。  つまり、プーチンさんが来るためには、恐らく日本側の求めているものとプーチン大統領日本側に譲歩できるものとの間に余りにもまだギャップがあり過ぎるというように思えてならないんですけども、ここら辺は、いや、そんなことない、もう十二月に、までに来るということが確定したし、その来た段階では、従来のものよりも一歩前へ出たその確約ができるんだと、そういう成果が期待できるんだと、こういうふうな、ある意味では前進が期待できるというふうに判断をしておられるんでしょうかね。その点どうでしょうか。
  49. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど申し上げたように、戦後六十年あるいは日ソ共同宣言から四十九年、ずうっと掛かってなかなか答えが出てこなかった問題。確かに委員御指摘のように、クラスノヤルスク合意では二〇〇〇年までに平和条約を締結するとまで、まあ言わば、なかなかこれは大変なことですよね、三年後にもう平和条約だと言い切ってしまうというのはですね。まあそれを言うだけのきっとそれなりの背景、根拠があって、お互いにそう思ってこういう合意ができたんだろうと私は思いますけれども、しかしそうはなりませんでした。  したがって、私は、今回プーチン大統領日本に来られたときに、何かすべてこれで全部解決しますというようなことを私は考えて、それは解決すればしたでいいですけれども、なかなかそう簡単にはいく話ではないだろう。委員御指摘のように、息の長い、長期的な視点というものも持ち合わせていないと、一回や二回行き来しただけで問題が解決するとも思っておりません。  ただ、具体の議論というものはやっぱり着実に進めていくということは大切だろうと。そういう努力なしに、いたずらに経済交流だけが深まれば、それでこの領土問題が解決するという性格のものでもないだろうと、こう私は思っておりますので、したがって領土問題は領土問題として、この帰属問題についてそれを実現するためにどういうふうに議論を進めていくか、環境づくりをやるかということはしっかりと議論をする。  ただ、もう一度申し上げますけれども、大統領訪日のときにすべて解決するとも率直に言って言えるほどそんな簡単な問題でもない。ただ、それがその後の、また小泉首相が訪問をし、また先方大統領日本に来るという中で、少しずつでもいいから前進をしていく、そういう話合いを両国でやっぱりやっていくということが大切なんだろうと。決して性急に結論を出すために、もちろん結論を出すために議論するわけですけれども、性急に、何かせいては事をし損ずるということがないようには十分注意をしながらこの問題に取り組まなければいけないテーマであるというふうに認識は持っているつもりであります。
  50. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、さっきちょっと言い掛けたんですけれども、中国の国境の画定がロシアとの間で終わったのは、昨年のたしか十、たしか調印したのは今年に入ってからじゃなかったですかね。エリツィン大統領が北京を訪問してこの問題について提起したのは、九六年の四月なんですよ。そして、九七年の十一月に北京で、エリツィン氏がまた訪問して江沢民主席との間で戦略的パートナーシップを発展をうたった共同声明に署名をして領土問題についての解決の方向を出していったわけです。かなり時間を掛けて、しかも中ロの間で信頼関係を持ってきたと思うんですよね。  ですから、そういう意味で、我々として、我々というか、この日ロ関係の戦後のまだかなりひん曲がった歴史が随分僕はあると思うので、そこはやはりかなり時間を掛けて、二〇〇三年一月のこの小泉政権下での日ロ行動計画をやっぱり着実に発展させるということが私は非常に重要だというふうに思うし、そこで戦略的なパートナーとしての行動をやっていくということもうたっているわけですから、それが必要なんではないかなと思うんですね。  そこで最後に、こういうこともお聞きしておきたいと思うんですけれども、かつて、まず二島を返還して、四島に対する主権を放棄したとは言わないと。まずは二島を、この一九五六年のいわゆる日ソの共同宣言のこれを継承しているわけですから、まずこの二島の返還をある意味では実現をして、そして引き続き継続して残りの二島を協議しようと、そして平和条約をその上で締結していきましょうと、こういう考え方が一時期出されたことがございます。川奈提案なんかはむしろそれを積極的に出したものだと言われていますが、そういうまず二島を確実に確保して、そしてその後含めて領土の返還の道筋というのは、そういう考え方で今外務省の、外務大臣はそういう考え方でいいというふうに理解をしておられるのかどうか、この点についてだけは確認をしておきたいと思うんですが。
  51. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 明示的に日本が二島先行返還論でいいと言ったかどうか、私は確認をしておりませんが、そういうような雰囲気がある時期あったことは事実なのかもしれません。いずれにしても、二島返還でいいんだということが日本の態度ではないということははっきりこの際させておきたいと思います。
  52. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう最後にいたしたいと思うんですが、これちょっと質問も含めてなんですが、たしか一度、日ロの間で領土交渉についての資料集を作るとかというのは、ちょっとこれ質問しておりませんでしたけれども、そういうことは報告書としてまとまっておるのかどうか。その際、その際ちょっとお尋ねするんですが、いろいろ資料をずっと読み始めて思うと、例えば第二次世界大戦の終わる間際に、例えばアメリカ合衆国とソ連邦との間で、終戦に当たって、クリル列島、千島列島の範囲はどこまでかとか、そういうことについての法的な、国際法的な解釈みたいなものの変遷みたいなものはアメリカ外交文書その他によって全部整理されているんだろうかと。あるいは、一九五六年の鳩山さんが訪ソされたときの日本大使と日本におけるアメリカ大使、当時、どなたか分かりませんが、この大使が日本の動きをアメリカとの間でどのように、実はもう多分、その当時は五十年以上はたっていますから、五十年近くたっていますから、多分公開される予定の資料だと思うんですが、そういういわゆる往復書簡、資料、大使の出した電報だとか、そういうものも含めて全部そういうものはでき上がっているんでしょうか。そういった点についてどのような成果が表れたのかだけ、教えていただきたいと思います。
  53. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 今御質問のございましたこの日ロ間の領土問題の歴史に関する共同作成資料集でございますが、これはエリツィン大統領が九三年に入ります、日本訪日いたします前に、いろいろな両国政府間の調整を踏まえまして一九九二年九月に、日本国外務省ロシア連邦外務省の共同作成資料集という形で、ロシア語、日本語でこういう資料を発行をしてございます。それで、さらにこれは二〇〇一年、二〇〇一年の一月十六日には改訂版が出ております。  で、この共同作成資料集に記載をされております、収録をされております各資料でございますが、昔の地図を含めまして、日ロ間で作成をしたいろいろな文書でございますとかいろんなものが出ておりますが、今、そんな、例えば千島列島の範囲に関するアメリカ国務省の文書というものは入っておりません。これは、日ロ間で共通にこれを入れようということが合意をすることができるものが入ってございます。したがいまして、私どもの立場からすれば、こういうものは是非入れるべきではないかというものはほかにもあるわけでございますが、そこまでは入っていないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  54. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  55. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  五月三十一日に行われました日ロ外相会談等に関連して質問をさせていただきたいと思います。  最初は、領土問題に関する日ロ間の立場隔たりをつなぐ懸け橋ということですけれども、先ほども質問がございました。一月に町村外務大臣訪ロした際に、領土問題に関しての日ロ間の立場隔たりをつなぐ懸け橋ということでございますけれども、イメージ的な答えでもよろしいんですが、今回の五月三十一日の外相会談でその懸け橋がどの程度でき上がりつつあるのか、その感触についてお伺いをしたいと思います。
  56. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) なかなかお答えをするのがちょっと難しいお問い合わせでありますが、両方で、これは日本の方から一方的に物を言ったり、あるいは先方が一方的に物を言うということではなくて、やっぱりお互いにどういう努力ができるのかということで、日本側が一方的にとか先方が一方的にということではない、お互い努力のプロセスといいましょうか、をしようということについて基本的な合意があるという意味では、事態は前向きに進み始めた、その第一歩を踏み出したと。誠に抽象的な物言いで渡辺先生に申し訳ないのでありますが、それが先般の五月の会談であったかなと。  今後、先ほど峰崎委員からもお話あったとおり、ロシア、中国の間でも首脳で合意ができてからかなり長い期間、事務的な詰めといいましょうか、作業が行われていて、ようやっと昨年の秋にまとまったということでございましょう。したがいまして、かなりそういう作業というものが今後必要なのではなかろうかなと思っております。
  57. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 なかなか我々議員の立場から見ていても、その懸け橋がどの程度でき上がりつつあるのかなというのが見えないものですから、いいお答えといいますか、少しでも希望が見えるように、この程度まではできつつあるというようなお答えが早くいただけるように頑張っていただきたいと思います。  次に、プーチン大統領訪日に向けての成果文書準備状況についてお伺いをしたいんですけれども、なかなか現段階できちんとお答えをいただくことは難しいのかもしれませんが、何か成果文書準備が大分進んでおり、その仕上げを、仕上げ作業を両外相が事務方に指示をしたということでありますけれども、どういう項目でどういう内容なのか、おおよその概略でも分かれば有り難いなと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  58. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 成果文書につきましては、先ほど来お話に出ております日ロ行動計画を踏まえまして、幅広い分野で一層協力を具体化していくために数多くの分野で今調整を行っているところであります。  一つは、四月二十二日にロシアのフリステンコ産業エネルギー大臣がお見えになりまして、そこで貿易経済日ロ政府委員会第七回会合というのを開きました。その間、そのフリステンコ大臣との間で十以上の分野文書につき準備がかなり進みつつあるということを確認し、そのことを日ロ外相会談でも確認をしたわけでございまして、どういう分野かといいますと、エネルギー分野あるいは非核化支援、それから原子力あるいはIT技術あるいは密漁・密輸対策など、幅広い分野でということでございまして、最終的には十を超える分野での文書ができ上がるのではないかと、こういうことで今作業を行っているところでございます。
  59. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 できるだけ多くの成果が生まれるように、早くその作業が進んでいけばプーチン大統領も早くおいでになる機会ができるのかなと、そのように期待をしております。  そのほかにちょっと、五月三十一日の会談のときに、北朝鮮による日本人拉致問題に関してのロシアの支援ということも話合いがされたというようなお話でしたので、我が国からも拉致問題の解決に対する支援をロシアの方に、ロシア政府の方に、連邦政府の方に求めたということでありますが、ラブロフ外相の方から、日本立場はよく理解していると、ロシアは様々な機会にこの問題を北朝鮮に提起していると、そのような旨のお答えがあったということですが、これに関してどのような提起をしているのか。何かロシア側から御説明があったり、あるいは日本として把握しているものがあれば教えていただきたいと思います。
  60. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員御承知のとおり、北朝鮮とロシアというのは伝統的な関係を持っている、そういう関係であるわけでありまして、日本とはまた異なった立場で北朝鮮に対して働き掛けができる国であろうと、こう思っているわけであります。  やり取りについては、今委員から御紹介をもうしていただきましたとおりで、拉致問題について、日本立場はこういうことで是非理解を求めたいし、是非御協力もいただきたいというお願いをし、先方からは、日本立場はよく理解をしているし、様々な機会にこの問題を提起していると、こういう発言がありました。様々なレベルの具体の中身は、じゃだれとだれといつというところまで詰めて聞くことまではいたしませんでしたけれども、これは多分、それは相手国との関係もあって言えない、先方も日本に言えないという部分も多分あったんだろうと、こう思われるわけでございます。  いずれにしても、日本は、ロシアを始めいろいろな国々に対してこの拉致問題の解決につき、自らが努力することは当然ですけれども、関係国からも是非働き掛けをお願いをしたいと。北朝鮮と正規の国交を持っている国々も随分あるわけでございまして、そういう国々にも是非御支援をお願いをしたいということで働き掛けをしております。何といってもそれは中国が一番大きな影響力を持つんだろうと思いますが、ロシアもまた同様にそういう力を持っていると、こういうふうに私ども認識をして先方に依頼をしたと、先方も努力をするという返答があったということでございます。
  61. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 何か今後ロシア側から、今後こういう点で支援をしますよという、何か、今後の対応について何か発言はございましたでしょうか。
  62. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっと私も、具体にいついつどんな形で将来ということは発言がなかったと記憶をしております。
  63. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そのほかに、大臣、漁業の問題もいろいろ主張をされたということでございますけれども、四月から五月にかけて日ロサケ・マスの民間の方の交渉が行われたわけですが、やはり、先ほどもお話ありました、三年連続で日本の漁船の操業の開始が遅れてしまったわけですけれども、その遅れた理由についてどういうロシア側から説明があり、その解決のためにどういう対応をすると、そのようにおっしゃられたのか、その点を町村大臣にお聞きしたいと思います。
  64. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは漁業関係者の皆さんにとっては大変大きな問題でありまして、時期を逸すると船が出ても魚が取れないということすらあり得るわけであります。  そこで、私どもとしては、随分早い段階からこの問題ありますよと、一月のときに既に問題提起をしております。その後、野村駐ロ大使が先方にいろいろ働き掛ける、我が方も事務次官あるいは逢沢副大臣あるいは私、それぞれロシュコフ大使やら、あるいは先方のフラトコフ首相あての書簡、あるいは直接会ったりというようなことで働き掛けをしていたのであります。そのことをラブロフさんにも申し上げたんでありますけれども、先方からは、よく問題は理解をしていると、原因はロシア側の事務的な手続の遅滞であると。事務的な手続の遅滞というのは一体何なんだろうかと思うのでありますが、そういうことで遅れてしまって申し訳ないと、再発防止に向けて最大限努力をしていくと、こういう回答があり、結果的には、比較的、その後ちょっとまた遅れたりしましたが、当初の出港予定日が五月十五日であったんですけれども、二〇〇三年が六月七日、二〇〇四年が六月十六日、そして二〇〇五年は五月二十七日に小型船、中型船は五月二十九日ということでございまして、昨年、一昨年よりはちょっと早くなりましたけれども、いずれにしてもこういうことが二度と起きないようにということで引き続きロシア側に働き掛けをしていかなければいけないと、かように考えているところでございます。
  65. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 事務的な手続の遅れ等が原因で日本側がなかなか出漁できないということもあるという、そういうお話でしたので、そういう点、これからは余りないように、更にしっかりと政府側からも言っていただきたいと思います。  それで、今回の民間交渉の結果がどのようになったのか、そして近年の民間交渉の動向、それについて、また水産資源の現状に基づいて今後日ロの民間のサケ・マス交渉がどんな見通しになるのかについて、水産庁の方からお考えをお聞きしたいと思います。
  66. 竹谷廣之

    政府参考人竹谷廣之君) お答え申し上げます。  今年の日ロサケ・マスの民間交渉の結果でございますけれども、一言で申せばほぼ前年並みといった内容になっております。  具体的には、操業条件は、出漁隻数が、昨年が四十八に対しまして今年が四十九隻と、一隻増えました。全体の総漁獲割当て量は若干の出漁の遅れなどを踏まえまして七千百二十一トンということでございます。また、入漁料の単価につきましては、一キロ当たりの単価が二百九十二円五十一銭ということで、全く前年と同額といった内容となっておるところでございます。  そうした形で今年は決着したわけでございますが、サケ・マスの資源動向を踏まえまして今後の見通しということでございますけれども、サケ・マスの資源動向につきましては、ロシア側の専門の科学者の見通しということによりますと、全体として見ればロシア側の資源状況というのは比較的良好であるという内容になっております。そうした資源状況を踏まえますと、今後とも安定的に我が国の漁業者の方々が入漁できて、操業できるようにしっかり確保していきたいというふうに考えておりまして、水産庁といたしましても、今後とも民間交渉を支援してまいりたいというふうに、かように考えている次第でございます。
  67. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。そういう意味ではまだまだ期待持てるということだと思いますけれども。  次に、質問ですけれども、先日ニュースで小池内閣特命担大臣がビザなし交流で北方領土の方に行くというようなニュースが出ました。今回、小池内閣特命担大臣のこのビザなし交流に伴う北方領土訪問の目的についてお伺いをしたいと思います。
  68. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御承知のように、ビザなし交流は、四島に住んでおられるロシア人とそして日本国民との間の相互理解を図るということで、そこからまた領土問題の解決含んでの日ロ間の平和条約締結問題の解決に寄与するという目的平成四年から始まっております。また、大臣北方領土訪問というのは、平成十二年の続総務庁長官から数えまして、今回、私、国会の状況次第ということでございますけれども、四人目となることと思います。  私の日程は七月の七日から十一日まで、北方四島交流事業訪問団に加わる形でございまして、国後と択捉と、この二島を訪問することといたしております。  滞在中、四島の在住の、まあ滞在中といいましょうか現地に住んでいるロシア人の方々意見を交換をしたり、また北方領土現状を実地に視察するということから、この四島在住のロシア人との日本国民の交流と相互理解を一層進展をさせていくという、その一翼を担えればと、このように考えている次第でございます。
  69. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 前回の委員会でも質問をしたんですけれども、紗那郵便局あるいは択捉水産会の事務所が残っているということで、この点にも大臣は大変関心を持っておられて、今回訪問されるときもそちらを視察するチャンスがあるんじゃないかと思うんですが、この点に関して、この保存について何か一歩進歩が、進展が期待できるのかどうか、その辺、お伺いをしたいと思います。
  70. 東清

    政府参考人(東清君) 先生御指摘の択捉島の水産会事務所、それから紗那郵便局の建物保存につきましては、これは戦前に建設された日本の建物として数少ないものということで、島民の方々の昔をしのぶよりどころということで、返還運動の方々意見としても是非とも保存に向けた活動をしたいという話を伺っております。  今年の二月に領土返還要求全国大会で特別決議が行われて、これらを受けまして、民間主導で、幅広い国民の寄附金によってこれらの建物保存を図る動き、そういうものが高まってきていると承知しております。  政府としては、引き続き、広報啓発等を通じまして、それらの活動が円滑に行われるように側面的な支援を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  71. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 北方領土の、我が国の固有の領土である北方領土の大事な残っている建物でございますので、国民への啓蒙のためにも十分活用したいという大臣のそういうお話もございましたので、今回の訪問のときに何らかのまたそういう面での成果が出るように我々も期待していますので、よろしくお願いいたします。  最後の質問になりますけれども、千島歯舞諸島居住者連盟が去る五月二十四日の平成十七年度通常総会にて六項目の決議を行ったわけですが、その中に不動産関係の権利に関する二項目がございます。  元居住者は、北方四島から強制的に追われ、故郷で築き上げた平和な生活や財産のすべてを失ったところであり、その権利を自ら利活用できないことに伴う損失は計り知れないものがあると。政府は、せめて財産権の不行使に対する損失に対して、何らかの直接的支援措置を早急に講ずるよう強く要望すると。  もう一項目は、元居住者の残置不動産の現況を把握し、その保全措置を講ずるとともに、北方四島の返還を踏まえた残置不動産の処理方策を早急に示すよう強く要望すると。  そういう要望がございました。これに対して、政府としてどのような対応をされるのか、この点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  72. 東清

    政府参考人(東清君) 先生御指摘のこの二つの御要望につきましては、千島連盟から長い間出されているものでございます。  ただ、この財産権、それから残置不動産の問題につきましては、他の戦後補償との均衡、あるいは行政権が及ばないというふうな事情もございまして、非常に困難な状況であるということ、という点は変わっておりません。したがって、これらの問題の対応というのは、平和条約締結交渉の過程において明確にされるべきものであるというふうに認識しております。  政府としては、北方地域及び元島民の置かれている特殊事情等にかんがみて、自由訪問、あるいは低利融資等の実施、元島民等による返還要求運動に対する支援、後継者対策等の援護等の措置を講じているところでございまして、これらの援護措置の着実かつ円滑な実施に努め、返還への取組を一層精力的に図ってまいりたいと思っております。
  73. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 非常に残念な状況ですので、何とか一歩進展ができるように力を注いでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  74. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最近、ロシア側の様々な意見が新聞紙上で報道されておりますけれども、六月三日にロシア外務省がサハリンの議員らの書簡を受けて声明を発表しています。その中で、平和条約締結をめぐるロシア日本の対話はロシアの領土割譲を意味するものではないとか、あるいは北方領土返還は不可能と、こういう見解を示しているんですけれども、これは今までのロシア政府の見解に照らしても違うんじゃないかというふうに思うんですが、まず外務省認識をお聞きしたいと思います。
  75. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 今の御質問にございましたロシア外務省報道官、これはヤコベンコという報道官が六月二日に声明を出したということが報じられております。  これは今委員もおっしゃいましたように、元々は、サハリン州、これは行政区画として北方四島がこのサハリン州に所属をしておりますので非常に強硬な立場を取っているわけでございますけれども、その議員グループからラブロフ外務大臣、これが日本へ参ります前に、公開書簡というような形でソビエツカヤ・ロシア新聞というのにまず掲載をされたというふうに承知をしております。  その内容は、基本的に、ラブロフ外務大臣日本へ行って、彼らの立場から申しますと、このロシアの領土を日本に譲り渡すんではないかと、外務省の、ロシア外務省の態度が、立場というものが非常に弱腰ではないかと、こういうような内容でございました。  それに、このヤコベンコ報道局長の声明というのはこれに反論をしているという形でございますので、ただ、今先生がおっしゃいました幾つかの表現が北方領土の引渡しが不可能というような表現があったというふうには、少なくとも私、手元に持っております資料には書いてございませんで、むしろ、例えば若干御紹介をさせていただきますと……
  76. 紙智子

    ○紙智子君 短めに。
  77. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) このロシア外務省員が背信行為をしていると、ロシアの領土を保全を擁護しないと、しようとしていないという消極的受け身の立場を取っていると非難されているけれども、そういうことはないとか、領土問題につきましては、むしろ日本側がロシアの主張をしている国境線を合意していないので、この問題が存在をしていると、問題が存在していないふりをすることは頭を砂に隠すことを意味し、これはロシア外交にふさわしくない、日本の領土問題に関する見解に対して高圧的で敵対的な立場でもって反応することも解決の出口とはならないと。  短くということでございますのでこれぐらいにしておきますけれども、ということで、そもそもサハリン側から非常にそういう批判を受けて、それに対する返事であるということも勘案する必要があると思いますし、今言ったようなことも書いておりますので、必ずしも御指摘のように今までよりも強硬になったとかいうようなことではないのではないかという感じを持っております。
  78. 紙智子

    ○紙智子君 ロシア政府自身が出しているロシア対外政策概念というのがありますけれども、そこに述べていることに照らしても、そこで言っているのは、現在の交渉メカニズムの枠内において両国間の国際的に承認された国境線形成の互いに受け入れられる解決策の探求を続けていくというふうに言っていますから、つまり国境は未画定だから双方が納得できる解決策を探求していくということなわけですよね。  そういうことから見ても、やっぱり非常に強硬的な意見というふうに、出された意見がですね、思うんです。これにきちんとやはり反論もして、日本立場で論争もしていく必要もあるというふうに思うんですけれども、そこで大臣に、こうしたことに対してどのようにこの日本立場を説明し、交渉していくおつもりなんでしょうか。
  79. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今局長からお話ししたとおり、そのロシアのサハリン州ですか、の議員とロシア外務省とのある種のやり取りですよね。それは、彼らは国内的にいろんな議論もあるんだろうと思いますけれども、その一つ一つの意見について、これは日本はこう考える、日本はこう考えるということをやるのも一つの方法かもしれませんけれども、国内的な一々のやり取りについてそれぞれにまたコメントをするということはいかがなものかなと、こう思います。  今、基本的に日ロ間で話合いが継続をしているわけでありますし、日本固有の領土である四島の帰属問題を解決して平和条約を早く締結するという基本方針があって、そして日ロ間の話合いが今行われているわけでございますから、そこでこう言った、あそこでああ言ったということについて一々反応をする必要もないのではないかと、こう私は考えております。
  80. 紙智子

    ○紙智子君 今、日本外務省認識として、ヤコベンコ報道官が、言わば反論的なという話もされていたんですけれども、ちょっと違うかなというふうに思って聞いています。  その同じ外務省の声明で、ヤコベンコ報道官は、報道局長ですかね、こういうふうにも言っていますよね。戦後処理の結果として、すべてのクリル諸島がロシアの領土であるとするロシア外務省立場はよく知られていると。さらに、三日、これタス通信ですけれども、ロシュコフ駐日大使が、北方領土は侵略者である日本が戦争に敗れた結果取り上げられたもので、ヤルタ協定によって国際的な合意があるというふうに述べていると。これ、双方とも戦後処理でヤルタ協定による千島引渡しを正当化している話だと思うんです。  私は、これはやはり戦後の領土不拡大の原則に照らしても間違っているというふうに思うんですが、実際にこの連合国で領土を拡張した国はないわけで、このロシア側認識に対して外務省はどのように思われますか。
  81. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) ヤルタ協定でございますが、これはヤルタ会談の結果結ばれたこのいわゆるヤルタ協定、これは当時の連合国でございましたこの主要連合国米英ソの首脳が、その戦争、これは終結直前でございますけれども、その共通の目標を陳述した文書にすぎないと、その当事国でない我が国は何ら拘束されるものではないという基本的な立場日本立場でございまして、これは今までのこの外相会談におきましても必要に応じ累次指摘をしているところでございます。  このヤルタ協定、蛇足でございますけれども、先般の六十周年、第二次大戦終結六十周年の記念行事に際しまして、ブッシュ大統領、これは歴史的に大きな間違いであったというような発言をされたということもございまして、日本のみならずヨーロッパにおいても、歴史的な評価というものについては相当な意見隔たりというものを内包しているというふうに考えてございます。
  82. 紙智子

    ○紙智子君 町村大臣は一々それに反論する必要もないようなことを言われたんですけれども、今ロシアが戦後処理の問題をめぐっては自らの正当性を主張してきているという、まあ駐日大使自身もさっき紹介したようなことを言っているわけです。  そういうときだからこそ、当時領土不拡大という連合国の戦後処理の原則を言わば乱暴に踏みにじった形で一方的に歯舞、色丹、そしてこの千島列島を併合した誤りについて、それを正す立場に立ったやっぱり論争必要じゃないかと、私はそういうふうに思うんですけれども、大臣、これからの交渉でその点どうですか。
  83. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そのことを一切もうロシアと論争しないと言っているわけではもとよりございません。正にそのことをめぐって議論をしているわけでありまして、紙委員の御指摘はそういう意味では私どもも基本的に同じ立場でいると、こう思っております。  ヤルタ会談の位置付けということについては、先ほど局長が申し上げたとおり、これはこれで日本がそこの中に入っていたわけでもないし、拘束もされないということは、これも既に累次いろいろな場所で述べているわけでありまして、したがって、ロシア側が幾らそれを言っても、それによって日本が何か拘束をされたり、日本側の意見が制限をされるということは全くないというポジションで臨んでいるところでございまして、その点は今までも日ロ間の領土交渉の中で議論が行われておりますし、今後またそういうことが議論になれば、当然そこはあなたと意見が違うということで、当然議論になるポイントの一つであろうかと思っておりまして、そういう意味で紙委員の御指摘は私どももよく理解できるところでございます。
  84. 紙智子

    ○紙智子君 それで、やはり日本は領土交渉においてこのサンフランシスコ条約で千島を放棄したと、これは事実なわけで、それが日本にとっては弱点でもあると思うんです。しかし、このヤルタ会談での不当な秘密協定の取決め、今、町村大臣もおっしゃったとおり、やはり日本はあずかり知らないところで勝手に決めて、それをそのままサンフランシスコ条約に持ち込んだということ自体がやっぱり誤りだというふうに思うんです。  今まで日本はこの北方四島について、放棄した千島には入っていないと、だから返還してほしいということで主張してきたと思うんですね。しかし、この議論が、先ほどもちょっといつから四島にという話がありましたけれども、この議論が果たして国際社会の中で通用するのだろうかというふうにも思うんです。  やっぱりこの放棄した条項というのはそもそも領土不拡大の原則からして正しくないと、だからこの正しくないものを不動の前提にするのではなくて、元々平和的に画定していたこの領土を戦後処理として奪っていること自体の不当性をもっと堂々と主張するということを検討すべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか、大臣
  85. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 今の御質問が千島列島とこの四島の返還について、御質問の趣旨、私、正確に理解したかどうか分かりませんけれども、私どもは、日本政府は一貫いたしまして、サンフランシスコ平和条約第二条(c)により千島列島は放棄しておりますということで、この千島列島の返還を求めることはできない、その考えはないということを言っているわけでございますが、一方におきまして、千島列島はそもそも歴史的に一度も他国の領土、我が国以外に所属をしたことがないということが一つございますし、それからさらに、一八五五年の日露通好条約のときに、その自然に成立していた国境は択捉島と得撫島であったと、更に加えまして、一八七五年の日本ロシアの間の樺太千島交換条約で、我が国ロシアから南樺太の代替といたしまして譲り受けた諸島、これが千島列島として得撫島から以北の十八島、これ名前をすべて列記をして千島列島としていると。この千島列島というものが、したがいましてサンフランシスコ条約で放棄した千島列島ではないということ、一貫してそういう立場でございますので、四島につきましては、当然のことながらサンフランシスコ平和条約で放棄をしたと、千島列島に入っていないわけでございますから、一貫をしてこの返還を求めているということでございます。
  86. 紙智子

    ○紙智子君 言いたいことは、要するに今の時点で、相手国、まあロシア側が言わばこの戦後処理をめぐって自分たちの国のやっていることは正当なんだということを言ってきているときだけに、やっぱり間違った、そもそも不当な占領という形でやってきた、そういう上に立って、そこから超えない形で、もう放棄してしまったものはしようがないということではなくて、やっぱりそもそも、その前提となっていた条約自身が不当なものだったんじゃないかということを主張していくということが大事なんじゃないかと。その不動の前提にしないということはそういう意味なんですけれども、そこのところを私はより強く言いたいわけです。  それで、条約であれ、その一部であれ、国際的に正義に反する条約というのは未来永劫変えちゃいけないということではないわけですから、やっぱりその国の国民の意思で是正する権利もあるということでは、国際上の上でも、国際法上の上でもそれは認められているわけですから、そこのやはり根本問題を今やっていく必要があるんじゃないかということを言いたいわけです。
  87. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  88. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと、最後一つだけなんですけれども、それらをめぐっても、ちょっと大臣の、町村大臣の最近の発言の真意を確認をしたいんですけれども、五月二十七日の記者会見で、先ほども出ていましたけれども、懸け橋の話と、それから五月十八日の日経新聞のインタビューで、領土交渉については、両方が納得し得るということは双方がどっかで譲歩することだと、どちらも譲歩しない合意はあり得ないというようなことを述べておられるんですけれども、これはロシアに対して譲歩を示唆するというふうに受け止められるんじゃないかという心配を思うわけですけれども、そうじゃないということで理解をしたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  89. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 簡潔に、じゃ、外務大臣、お願いします。
  90. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 誤解を生じたような表現だったとすれば、これは大変遺憾なことでございまして、何も日本が一方的に譲りますということを言ったわけでもございません。我が方の主張の根拠というものは累次明確に述べているとおりでございまして、その点については、何か足して二で割ったり、足して三で割ったりするようなことをもし意味するように取られたとしたら、それは私の本意ではないということを明確に申し上げて、日本には主張する明確な根拠があるんだということで御理解を賜ればと思います。
  91. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 大田昌秀君。
  92. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) ちょっと、訂正、訂正だけ。
  93. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) じゃ、一言だけ。
  94. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 先ほどちょっと、大変失礼いたしました。私の答弁の中で、北方四島についてはサンフランシスコ平和条約二条(c)に言う千島列島に含まれておりませんと言うべきところを、千島列島について、この北方四島と言うべきところを千島列島と言い間違えましたので、そこを訂正させていただきます。申し訳ございません。
  95. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。最後でございますので、よろしくお願いいたします。  これは通告してございませんですが、お許しいただきたいんですけれども、基本的な問題ですから。  先ほども同僚議員お二人の方が似たような質問をしておりました。先ほどの外務大臣の御報告の中で、領土問題に関する日ロ間の立場には隔たりがあるが、双方立場隔たりに懸け橋を架けるべく努力しているという趣旨のお話がございましたけれども、これまでの議論を聞いていても、まだよく日ロの、この領土問題に関する日ロの態度というのが、立場というのがよく理解できませんので、簡潔に外務大臣から日本側の立場は現在こうだと、それに対するロシア側の態度はこうだということを御説明いただけたら有り難いと思います。よろしくお願いします。
  96. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日本側のこの領土問題に対する基本的なポジションというのは、累次申し上げておりますように、この四島について、領土問題について──ごめんなさい、ロシアの方は五六年の共同宣言に基づいて考えたいと、一言で言えばそういうことなんだろうと思います。私どもとしては、四島というものを前提にして考えているんだと。二島と四島ということで、まず単純化してしまえばそういう違いがあるということで、今日までずっと来ているということであります。  じゃ、どこに接点があるのかということがもしお尋ねだとすれば、そこに今正に日ロ間で本当に答えがないものかどうか議論をしているということでありまして、今あり得べき答えの結果をここで申し上げる状態にはまだない。正に議論を新たな次元で今始めているということでございますから、その中身を今申し上げる状態にはちょっとないものですから、恐縮でございますが、それは交渉中の事項でございますので結果を見て御判断をいただくしかないのかなと、こう思っております。
  97. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、東京宣言というのは撤回されたということというふうに理解してよろしゅうございますか、東京宣言
  98. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) いや、東京宣言、私どもは東京宣言というものが大変重要な宣言であるというふうに先ほど御答弁を申し上げたとおりであります。  ロシア側がどうなのかということは、ロシア側もすべて今までの出された宣言、声明等は有効であるということでございますから、私は、ロシア側が例えば東京宣言を撤回したとか、無視するとか、認めないとかいうことではないというふうに、私どもはそう理解をいたしております。
  99. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお願いいたします。  東シベリアのタイシェトからシベリア産石油を日本海に運ぶパイプラインの建設構想について、簡潔に御説明ください。  つまり、我が国は予算をどれくらいこれに出したかということについてお願いします。
  100. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) シベリア原油を太平洋岸まで輸送する太平洋パイプラインでございますが、これは先ほど大臣からも御説明ございましたように、ロシア側にとってもこのシベリア、極東の開発の促進につながるというメリットがございますし、我が国を含むアジア太平洋諸国にとっても、エネルギー供給源の多様化という意味戦略的意義を有するプロジェクトでございます。  現在、このルートを含めたプロジェクトに関する決定の現状でございますが、これは基本的にはロシア政府が行うものでございますけれども、先般ロシア側が申しておりますのは、まずこのタイシェットというところからスコボロディノと、ちょうど太平洋に行くまでの真ん中ぐらいのところでございますけれども、そこまでパイプラインを造ると。そこから先、どういう段階で造っていくかということについては、よくこれから検討をしていくということを発表しております。  日本との協力との関係にございましては、関係につきましては、四月二十二日に東京で開催をされました貿易経済日ロ政府委員会第七回会合でございますけれども、町村大臣とフリステンコ産業エネルギー大臣の間で、この太平洋パイプラインに関する日ロ間の協力、どういった協力が可能であるかというようなことについて、まず日ロの専門家、今までもやってきておりますけれども、この協議をよく加速化させようということで一致をして、この専門家による協議を含めましては、いろいろなレベルでの協議を深めていくことが必要ではないかと考えている次第でございます。
  101. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これまで、我が国はどれくらいの資金を、何らかの資金を提供しているんですか。
  102. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 今具体的に、これまでに具体的な資金が供与されたというところまでは至っておりません。
  103. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る六月八日付けの朝日新聞は、ロシア側がルート途中の経由地のスコボロジノまで建設して、そこからパイプラインか鉄道を使って中国への輸出を優先させる方針を鮮明にしていると報じています。中国ルートが優先されるとなると、我が国へどういう影響がありますか。
  104. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 一月に大臣訪ロをされましたときのフリステンコ大臣との会談、それから五月の東京における会談でも引き続きその話が行われましたけれども、ロシア側のフリステンコ大臣の説明というのは、中国も当然のことながらロシアの石油に重大な関心を持っているのみならず今までも話が行われていて、現実に一定量の石油を提供をするという約束も行われていると、そういう約束はロシアとしては遵守をすると、きちっと守っていくと。  ただ、それをパイプラインという形で提供するのか、今委員の御質問にもございましたけれども、鉄道輸送という形でやるのかと。これについて、現在では鉄道輸送ということでまずやるということになっているわけでございますが、パイプラインを建設をするということが決まったわけではないと、そういう説明を受けております。
  105. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 我が国に対しては影響はないとおっしゃるわけですか。
  106. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) これもロシア側、フリステンコ大臣等の説明でございますが、基本的にロシア政府としては、先ほど申しましたように、ロシアエネルギー戦略上の観点から、この東シベリアの石油を太平洋まで出しまして、これを国際市場に提供するということがロシアにとっても戦略的な意義があるのだと。ただ、コスト、それからいろんな経費の面等でそろばんをはじくところがございますので、まずその十分な資源量が中国、それから日本、十分出てくるかどうかというようなことを含めて総合的にこれを検討する必要があると。太平洋まで現実にパイプラインを造っていくためには、まず今現在可能になっている石油の量では十分ではございませんので、まだ開発をしていない東シベリアの資源、石油資源を開発をするという必要が出てくるであろうと。そのためには、コストとか条件が合えば日本協力をするということも十分に可能である、その意思と能力日本にあるということを日本側から今までも言ってきているわけでございまして、正にそういう観点から専門家の間でよく協議をしていくということになっている次第でございます。
  107. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお伺いいたします。  同じく朝日新聞は、これまでロシア日本を東方の唯一のパートナーと考えていたが、最近はアジアでの日本の重要度について、中国、インド、カザフスタンなどの第一グループに次いで、韓国、パキスタン、モンゴルなどの第二グループに移したと報じておりますけれども、日ロ外相会談に臨まれて、何らかのそういった感触を得られたのでしょうか。
  108. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 恐縮ですが、その報道自体もちょっと私存じ上げておりませんし、ロシアのだれがどういう分類をしているのかもちょっと承知しておりませんので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
  109. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 同じく外務大臣にお伺いします。  ロシュコフ駐日ロシア大使が、去る六月三日、タス通信のインタビューに答えて、日本との平和条約交渉を目指す北方領土問題の解決策として北方四島を日ロ両国民が同等の権利を持つ共同統治地域とする案に言及したと報じられています。この点についてはいかがでございますか。どのように認識をお持ちですか。
  110. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは大使御自身が仮説的な可能性として述べているお話であり、ロシア政府としての見解というのではなくて、大使の個人的な見解を述べたものと、こういうふうに理解をいたしております。したがいまして、この共同統治なるものがどういうものであるのか、ちょっとよく分かりませんので、これ以上コメントすることは適切ではないんだろうと、こう思います。
  111. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛施設庁にお伺いいたします。  二〇〇三年九月、日米環境保護団体が、アメリカのカリフォルニア州北部地区連邦裁判所オークランド支部に対して、米国の文化財保護法に基づいて名護市辺野古沖に生息するジュゴン保護を求めて米国国防総省とラムズフェルド国防長官を相手取り提訴いたしました。これに対して米政府側は、建設主体は日本なので米国関係ないと却下を求めましたが、米連邦裁判所はその主張を退けて既に実質審理に入ったと報じられています。この件について防衛施設庁はどのように認識しておられますか、そしてどう対応なさるお考えですか。
  112. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) お答えいたします。  米国におけるジュゴン保護に関する訴訟につきましては、米国内での訴訟事案でもあり、所見を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
  113. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは非常に大事な問題、それを差し控えるって、当事者の防衛施設庁が、アメリカでさえもこのジュゴンを大事にしようとして国が指定しているものですよね。これに対して発言を差し控えるというのはちょっと納得できませんけど。
  114. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 私どもの現在の取組ですけれども、代替施設建設事業の実施に当たりましては、平成十一年末の閣議決定を踏まえ、ジュゴンを含む自然環境に著しい影響を及ぼさないよう最大限の努力を行うこととしておりまして、現在、環境影響評価法に基づき環境影響評価を実施しているところでございます。ボーリング調査につきましては、環境影響評価の対象とはなされておりませんけれども、実施に当たりましては、環境省の助言を得て、環境への配慮方策を盛り込んだ作業計画や沖縄県から示された環境配慮事項を踏まえ、必要な環境保全措置を講じていることとしております。  当庁としましては、今後とも、ジュゴンを含む自然環境保全の重要性を十分認識し、事業の実施に際しては自然環境に著しい影響を及ぼさないよう努めてまいる所存でございます。
  115. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後にあと短い質問をさせてください。  軍民共用の空港を造るという場合、米軍への提供する施設というのは防衛施設庁の担当になると思いますけれども、民間の問題についてはどのように法的に対応なさるおつもりですか。同時並行的に作業を進めておられますね。そうすると、民間空港も防衛施設庁が担当することになるんですか、法的に。
  116. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 沖縄県知事の要請を踏まえ、防衛施設庁は民間区域も併せ事業主体となり、防衛施設庁が民間区域も併せ事業主体となり、代替施設全体を不可分一体的なものとして整備することとしたものでございます。民間区域の整備に要する経費等につきまして、経費や維持費の在り方につきましては、今後、関係機関と協議をしつつ検討してまいることで今調整しているところでございます。
  117. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  118. 木俣佳丈

    委員長木俣佳丈君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十九分散会