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2005-05-11 第162回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年五月十一日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      鈴木  寛君     岩本  司君      林 久美子君     福山 哲郎君  五月十日     辞任         補欠選任      有村 治子君     水落 敏栄君      榛葉賀津也君     藤本 祐司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         太田 豊秋君     理 事                 阿部 正俊君                 田村耕太郎君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 大塚 耕平君                 平野 達男君                 柳田  稔君                 荒木 清寛君     委 員                 大野つや子君                 岸  信夫君                 後藤 博子君                 田浦  直君                 田村 公平君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 長谷川憲正君                 松村 龍二君                 水落 敏栄君                 山崎  力君                 山本 順三君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 岩本  司君                 尾立 源幸君                 大江 康弘君                 齋藤  勁君                 主濱  了君                 富岡由紀夫君                 広野ただし君                 福山 哲郎君                 藤本 祐司君                 若林 秀樹君                 谷合 正明君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君        国務大臣     村田 吉隆君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  知念 良博君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        防衛庁人事教育        局長       西川 徹矢君        消防庁次長    東尾  正君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房審        議官       兒玉 和夫君        外務大臣官房参        事官       小井沼紀芳君        外務大臣官房広        報文化交流部長  近藤 誠一君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      河野 雅治君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省国際法局        長        林  景一君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関  する調査  (イラクにおける邦人行方不明事件に関する件  )  (国民保護に関する基本指針イラク人道復  興支援特措法に基づく自衛隊部隊活動状況  及び最近のイラク情勢等に関する件)     ─────────────
  2. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月十五日、鈴木寛君及び林久美子君が委員辞任され、その補欠として岩本司君及び福山哲郎君がそれぞれ選任されました。  また、昨十日、有村治子君及び榛葉賀津也君委員辞任され、その補欠として水落敏栄君及び藤本祐司君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のうち、イラクにおける邦人行方不明事件に関する件及び国民保護に関する基本指針イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊部隊活動状況及び最近のイラク情勢等に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。町村外務大臣
  4. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 在イラク邦人行方不明事件について御報告します。  五月十日未明、ハートセキュリティ社ロンドン支店より在ロンドン日本国総領事館に対し、同社イラク支店でコンサルタントを務める邦人齋藤昭彦さん、四十四歳がイラクで行方不明になったとの連絡が入りました。同社からの連絡によれば、齋藤さんはイラク時間八日夕刻イラク西部ヒート近郊を十数人で車両にて移動していたところを何者かに襲われた模様であります。  政府としては、現在、外務省関係在外公館等を通じ、齋藤さんの御家族、ハートセキュリティ社及びイラク米国等関係国政府と緊密に連絡を取りつつ、事実関係調査中です。  政府としては、引き続き現地における齋藤さんの安否確認を急ぐとともに、仮に齋藤さんの拘束が事実であるとすれば、一刻も早く無事に解放されるよう全力を挙げて取り組む考えであります。  政府としては、このような卑劣なテロ行為を断固非難するとともに、イラクとその国民が安定と平和、発展を手に入れるためにも、国際社会と協調しつつ、引き続きイラク復興支援を積極的に進める所存です。委員皆様方の御理解と御協力を賜るようよろしくお願いをいたします。
  5. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岸信夫

    岸信夫君 自民党岸信夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま町村外務大臣より御報告ありましたイラクにおける邦人行方不明事件について、まず御質問いたします。  事件の概要についてはただいま大臣より御報告をいただきましたけれども、現段階ではまだ拘束されたとの確認が取れてないということです。犯行グループとされるアンサール・スンナなる組織からはウェブサイトにおいてこの齋藤氏の、拘束した旨の声明が出されております。また、昨日より様々な報道我が国においてもなされておるところです。  現地情報も錯綜している中で、また事件も進行中ということであり、難しいこともあるとは思いますけれども、分かる範囲で更なる詳細について、また我が国の今後の対応等についてもお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  7. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 基本的には先ほど申し上げたところが要点でございまして、それに尽きるかなとは思っておりますけれども、もう少し詳しく申し上げますと、八日に、この齋藤氏を含むハートセキュリティー社関係者十数名だそうでありますけれどもイラク西部に所在するアルアサドの米軍基地まで物資を運ぶと、こういう仕事に従事をしていたようでございます。齋藤氏は、その車両の警護を行うという役割を担っていたようでございます。同米軍基地に到着をし、同日の午後、齋藤氏ら十数名のそのハートセキュリティー社関係者基地を出発して帰路に就いたその夕刻ヒートという町の近郊において車列が何者かに襲撃をされたということでございます。その際、死亡者が出たほか、行方不明者も出ているということでございます。その辺の人数その他実態は必ずしも正確な情報にはまだ接していないところでございます。  そういう意味で、齋藤氏が拘束されているかどうかを含めて、安否がいまだに不明であるということでございます。  イラク渡航については、今、日本全体としては渡航を自粛するようにというお願い日本国民にしておるわけでございますけれども、こういう形で齋藤氏のように外国の言わばセキュリティー会社といいましょうか、警備会社に勤務をしたまま海外からそのままイラクに入るというような形についての入国については、残念ながら外務省としては把握しかねるケースかなと、こう思っているところでございます。  しかし、さはさりながら、いろいろなルートで情報、こういう日本人がいるということをイラクにあります大使館情報が入手できる場合もあるわけでございまして、そういう情報を入手した場合には、渡航を見合わせるように、あるいは先般も、香田証生さんのケースのように、隣国のヨルダンにいて入国をしたいという話があったときには、それを是非控えるようにというような強い勧告をしたりするというケースもございますので、今後ともこうしたことについては、できるだけ入国を延期するように、渡航を見合わせるように、今後とも最大限の努力をしていかなければいけないと、かように考えているところでございます。
  8. 岸信夫

    岸信夫君 政府におかれては、まず、その事件の正確な情報の入手、それから事実確認に努めていただきまして、また、報道されているようなこと、すなわち齋藤氏が実際に拘束されているということであれば、是非とも無事に解放されるように全力を尽くしていただくよう強く要請いたします。  今もちょっとお話ございましたけれども、この齋藤氏の現地での活動でありますけれども報道なんかによりますと、昨年から既にイラク国内活動していたんじゃないかと。ハートセキュリティー社には一年以上前から勤務していたというふうに了解をしています。  今おっしゃられたとおり、現地でのこうした邦人、すなわち自衛隊あるいは大使館報道関係者以外の邦人というのがどれだけいるのか、その辺りを正確に把握するというのは現実には難しいところかとは思いますけれども、こうした組織で働いている方の場合でしたらまだそうしたところをたどっていく手もあるんではないかと、こういうふうに思います。  今のこうした同様の日本人の方、どれぐらいいるかということは、概数でもつかんでおられるところというのはあるんでしょうか。
  9. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 正確なこれまた情報はよく分かりませんが、相当数多くの警備に当たる人たちというのが何万人単位でいるということのようでございます。したがいまして、それの関係する会社の数といっても相当多数に上るんであろうかと、こう思われるわけでございまして、そこに日本人がどれだけいるかどうかということは、率直に言って、これは非常に把握することが困難なケースなのかなと、こう思われます。  イラク全体にいる日本人の数は、自衛隊あるいは外務省関係者ははっきり分かっているわけでございますが、それ以外にマスコミ関係者を中心に若干名いるということは、これテレビの画面を通じて容易に知れるところでございまして、これらの方々にも強い勧告をしているわけでございますけれども、これについては絶対現地にとどまるという御意向でございますから、それ以上の退去命令という権限を私ども持っておりませんので致し方ないと思っておりますが、正確に何人ということはこの際は申し上げない方がいいということでございますから、若干名いるという程度にとどめざるを得ないわけでございます。
  10. 岸信夫

    岸信夫君 確かに、このイラク、ずっと以前からも退避勧告が出ている地域ですし、そこにあえて危険な任務を承知の上で入っておられるわけです。そうしたことから、先方から日本政府の方に連絡をしてくる、滞在をしているということを連絡してくるということはまずないんだとは思いますけれども、さはさりながら、我が国としてはやはり海外での邦人保護ということには責任があるわけでございますので、是非とも最善の努力を今後続けていただいて、御本人の無事の確認と無事な保護に向けて全力を挙げていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。  続きまして、イラク移行政府発足に関してであります。  一月の国民議会選挙を経まして、四月の六日にはクルド愛国同盟のタラバーニ氏が大統領に選出されました。クルド人大統領などということはフセイン政権下では全く考えられなかったことだというふうに思います。翌日には統一イラク連合のジャアファーリ氏が首相に任命されて、四月二十八日に移行政府が承認されスタートしたということですが、まだすべての閣僚が決まっていないようです。  新政権が今後、今年一杯続きます政治プロセスを着実に進めていくということができるようにこの支持をしていくということが、我が国を始めといたしまして国際社会のこれは責務であるというふうにも思うわけですけれども、このスタートしたばかりの新政権について我が国はどのように評価しているか、この辺りについて町村大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  11. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、一月の選挙を受けて、四月二十八日に移行政府発足をするということになりました。大分時間が掛かったではないかという指摘もあるようでございます。確かに、早くできればできるにこしたことがないわけでございますが、言わばこういう民主的な選挙を経、様々なグループを束ねる形で内閣あるいは大統領議会議長等を選ぶというのは大変なプロセスであったんだろうと、こう思われます。  まあこれらを派閥に置き換えて考えるとちょっとそれは大変不見識なことかもしれませんが、まあ自民党内の派閥であればある意味じゃささっとできることもあろうかと思いますが、国を挙げて、国を懸けて、しかもいろいろな宗教の違い、地域の違いを乗り越えて一つ統治体制をつくるというのは、多分我々が日本で想像する以上にはるかにそれは困難なことであったんだろうなと、こう思うわけであります。  議長にはスンニ派のハッサニー、これは暫定政府における産業・鉱物大臣が就き、大統領にはクルド愛国同盟タラバーニー党首がなり、首相には多数派であるシーア派ジャアファリー暫定政府の副大統領が任命をされるというような形、あと、それぞれ副大統領であるとか副議長、あるいは副首相、各閣僚にそれぞれいろいろなバランスを考えた形での人選が行われて発足をしたということのようでございまして、私どもとしてはこれを、新しいイラクが民主的な国家づくりのまた新しい歩を進めたと、こういう意味で歓迎をしているところでございます。私からも、ズィバーリー外相、この方は前暫定政府のときも外務大臣でありまして、私もお目に掛かったことがあるわけでございまして、お祝いの電報を発出したところでございます。  こうした動きを受けまして、今後は八月十五日までに国民議会憲法の草案を起草すると、そして二か月後の十月十五日までに国民投票を行うと、さらにそれからまた二か月たって、今度はその新憲法に基づく国民議会選挙を行うと、そして十二月末までに正式なイラク政府発足すると、こういう段取りが描かれているところでございまして、こういうプロセスを経ながら、やはりイラク社会というのは、私もそう知識があるわけではございませんが、非常に多様性に富んだ社会国家であるということで、その多様性を反映する形で今後政治プロセスが進展をし、いろんな意味で紆余曲折はあるのかもしれませんが、しっかりとした民主的な国家がこの一年掛けて誕生していくんであろうと思います。  私どもも、今後、いろいろな形でそうしたプロセス支援をしていきたいと考えているところであります。
  12. 岸信夫

    岸信夫君 今大臣から伺いましたとおり、この政治プロセス、これから年内、非常に多くのことをこなしていかなければいけないわけです。この政治政権運営にも予断が許せないような状況だと思います。イラクで民主的な国家政府が定着いたしまして、社会が復興してイラクの民衆に平和がもたらされていくということは、これはもう中東のみならず世界の平和と安定にとっても大変重要なことだと思います。また、我が国にとりましても、この中東地域エネルギー資源を大変多く依存しているわけですから、そういう意味でも大変関心の高いところだと思います。  いろいろまだ政治イラク国内での混乱ということも続くとは思うんですが、この政治プロセスを進展させていく、このことが大切だと思いますし、万一うまく進まない場合、又は国際的なテロ勢力などの助長していく、こういうことにもつながりかねないわけであります。そういう意味でも、我が国にとって、我が国もこのプロセスの促進の支援ということについては、今大臣もおっしゃられたとおり、大変必要なことではないかというふうに思います。  具体的にその支援策等についてもしお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 国づくりという意味では自衛隊活動があったりODAというものがあるわけですが、特にこの政治プロセスについての支援について限定をして申し上げますと、主として二つに分かれまして、一つ選挙支援でございます。  何しろ長い間この選挙というものをやってこなかった国でございますから、研修をするという形で、昨年の十二月から、十二月二十四日から二十八日まで、イラク独立選挙委員会の八名の方をお招きをして研修というものをやり、さらに第二回目の研修も、今年の、近々でございますが、五月十七日から二十五日まで、独立選挙委員会の十四名の方々をお招きをしてこの研修をやるということであります。地方自治体の方にも出向いて、どういう形で地方自治体選挙管理というものをやっているのかと、そんな実態についてもよく見たり、あるいは実務研修をするということにしております。  もう一つは、憲法制定プロセス憲法制定支援をするということでございまして、五月二十四日から三十一日までの八日間、日本イラクから十名ほどの方をお呼びしまして、この中には、女性を含む国会議員、それから内閣の役所の方、学界、こういう方々を十名ほどお呼びをしようと。日本からも、例えば明治憲法とか戦後の憲法制定プロセスに詳しい方であるとか、あるいはアジア諸国からも、例えばインドネシアあるいはマレーシア、これらの国々における憲法制定の、あるいは憲法改正の経験を語ってもらったり、あるいはイスラム国でございますインドネシアマレーシアも、イスラムの言わば宗教憲法というものをどういう形でうまく両立をさせていくのかというような実態も話してもらえるのかなと、こう思っております。  今のところ、五月二十四日から三十一日ということなんですが、ちょっとイラクからどなたがお見えになられるのかということが、いまだ現時点ではっきりしておりませんで、場合によると多少延期をすることもあるのかもしれませんが、できるだけ早くこういうような場を設定をしてお役に立てればいいなと、このように考え努力をしてまいりたいと思います。
  14. 岸信夫

    岸信夫君 どうもありがとうございます。  続きまして、現在の治安状況と今後の見通しについてお伺いしたいというふうに思います。  ようやく新政権が立ち上がったところでありますけれども、またこれがスムースにいかないということになると反対勢力テロ勢力を勢い付けてしまう、こういうこともあると思います。この一か月ほどを見てみますと、戦闘行為というものも一部の地域では大変激しさを増している。米軍イラク治安部隊警察民間人も含めて犠牲者もかなりの数に上っているようですけれども、まず、イラク全体の治安状況について政府がどのように認識しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) イラク治安情勢についてのお尋ねでございます。  この委員会でも累次御報告しておりますとおり、一月の三十日の国民議会選挙が終わった後、また四月二十八日の移行政府発足した後も、地域によりその脅威の度合いは異なっておりますが、駐留多国籍軍イラク治安部隊武装勢力の衝突、車爆弾ロケット弾によるテロの事案というのが発生しており、依然予断を許さない状況が続いているというふうに認識しております。  前暫定政府アラウィー首相、それから新しく首相になりましたジャアファリ首相、いずれも政府が取り組むべき最優先課題として治安対策を掲げております。そのために、特にイラク治安組織を強化するということをこれまで努力してきており、我々のイラク側から得ている情報によりますと、現在、四月の末に、十分な訓練が施され十分な装備を持ったイラクの軍と警察というのが合計十五万九千人ぐらいに上っているという報告を受けております。同じ数字が二月の四日付けでは十三万六千人でございましたので、確実と言えるかどうか分かりませんが、この治安組織の拡充という努力が実を上げているというふうに認識しております。
  16. 岸信夫

    岸信夫君 今お話ございましたとおり、この治安任務というのは今後現地の方に移行していくと、これが大きな流れだと思います。  自衛隊のおりますムサンナ県、サマワですけれども、この地域治安状況についてお尋ねいたします。  三月にオランダ軍からイギリス軍治安維持任務が移行され、また四月にはオーストラリア軍が新たにサマワに到着したということです。サマワにおける治安状況というのはもちろん予断を許さないものの、ほかの地域と比較すればまだ安定している、こういった状況に変化はないというふうに了解しておりますけれども、この治安任務の移管される中で治安維持体制が十分保たれていると今でも考えてよいのかどうか。また、この中には当然、自衛隊との情報の共有、連携ということも大変重要だと思います。また、今お話ありましたイラク治安組織充実状況も大変重要だと思いますけれども、こういったことを含めて、政府の認識をもう一度お伺いしたいと思います。
  17. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) サマワ治安状況についてのお尋ねがございました。  先生おっしゃったとおり、私どもは、サマワにつきましては他の地域と比較して比較的安定した状況が続いていると、こういう認識でございます。バグダッドのイラク政府、それから駐留多国籍軍の見解等を聞きましても、サマワが置かれておりますムサンナ県というのが全イラクにおいて多分最も治安上安定した地域一つであるというような認識が一般的であるというふうに私どもとしては認識しております。
  18. 岸信夫

    岸信夫君 ありがとうございます。  自衛隊活動状況、今後の方針についてお伺いいたします。  今、現地には第五次の派遣部隊任務を行っております。また、今月には第六次の部隊が派遣されておるわけであります。特別措置法に基づく基本計画によりますと、自衛隊の派遣期間、今年の十二月十四日までというふうになっておりますけれども、この当面の期限までを考えますと、あと第七次、第八次ぐらいの派遣部隊というものを編成していく、こういうことがこれから必要になってくるんじゃないかというふうにも思います。  政治プロセスの進展とかあるいは自衛隊任務遂行状況によって、活動の終了時期、撤収時期を見極める必要も出てくるタイミングがあるのではないかと、こういうふうにも思うわけでありますが、このことについては、米軍やあるいはイギリス軍などの動向にもよるところも大きいとは思いますけれども、そうした自衛隊活動、今後の方針についての見通し等お聞かせいただければと思います。大野長官お願いします。
  19. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、今後の自衛隊活動でございます。  委員御存じのとおり、給水活動、公共施設の修復活動、そして医療活動、この三つをやっておりましたけれども、給水活動につきましては、ODAによる給水機、浄水機が行き渡りまして、この辺は、このところは二月、今年の二月四日からこの給水・浄水活動はやめているところでございます。ただ、公共施設の修復活動、道路の修復あるいは学校等の修復でございますが、これはまだまだ需要が存在しておりますし、また医療活動につきましても、例えばどういうふうに病人を運び込んでいくか、そういう技術指導、医療指導でございますが、現地には十分需要があるわけでございます。  その中で今後どのように考えていくか。まず私は、切り口としては三つか四つあると思うんです。  一つは、やはり政治プロセスが、イラクにおける政治プロセスがどのように進展していくんだろうか。町村外務大臣の方から、いろいろ問題はあったけれども今のところこういう点まで来ていると、こういうお話がありました。そういう政治プロセスの進展を十分見極めていくことが一つ問題点だと思います。  それからもう一つは、ムサンナ県の治安状態がどうなっていくんだろうか、この点は今委員もお触れになりましたけれども、いわゆるオランダ軍が撤収してイギリス軍、そしてオーストラリア軍が、この両軍が治安維持に当たると、あるいは現地治安機関の育成に当たる、こういう仕事をやっております。したがいまして、こういうイギリス軍オランダ軍と、失礼しました、オーストラリア軍日本自衛隊、三者の間で連絡を密にして情報を交換しながら協力関係を強化していかなきゃいけない。  せんだって、ゴールデンウイークの間でございますけれども、私、オーストラリアへ行ってまいりまして、ヒル国防相と会って、毛利元就の三本の矢の話を出して、三者で協力していく、絶対大丈夫だと、こういう話もしてまいりましたけれども、やっぱり協力関係、これはもう本当に大事なことだと思っております。そういう観点がやはり一つ必要だと思います。  それから、イラクの経済社会の復興の状況一つあると思います。これ先ほども申し上げましたけれども、これはなかなか復興の状況という切り口で見ますと、まだまだ道半ばだなという感じがしておりますが、そういう切り口も大事だなと。  それからもう一つ国際社会の動向、これを見ていくことも大事だなと。  こんな四つの切り口を見ながら考えていかなきゃいけない問題でありますけど、今現在で見ます限り、自衛隊につきましては自衛隊活動の需要は十分ある、ニーズは十分ある、そしてやはり自衛隊が真剣に取り組んでおります人道復興支援活動、この安全確保を十分注意しながらやっていかなきゃいけないなと。問題は、早くこれが治安、今言ったような四つの観点から良くなってきて、自衛隊がやっている仕事が本当に民間の手で、イラク人の手でなされていくことが望ましいな、そんな日が一日も早く来ることを我々も一生懸命今頑張って期待していきたい、このように思っております。
  20. 岸信夫

    岸信夫君 どうもありがとうございます。  自衛隊のこの活動についての国民に対する広報の件であります。  大変現地のニーズに即した活動自衛隊の皆さんに続けていただいておるわけでございまして、また一方で現地の住民の雇用を創出するということもあって大変地元住民の方には喜ばれておる、こういった活動を続けているこの自衛隊の現状というものが余り正確に伝わってこないんではないか、来ていないんではないかという気がするわけであります。国内の、日本国内の広報活動を充実しなければいけない、こういうことはもちろんなんですけれども、一方でイラク国内あるいは中東地域、そしてヨーロッパやアメリカ含めた国際社会、更に言えば中国や韓国、こういった国に対しても、我が国イラクイラクの復興に尽力している、国際社会の安定に大変寄与しているんだと、こういうことをもっと積極的にPRしていかなければいけないんじゃないかと、こういうふうに考えます。  今のこうした広報活動について、現状、そして今後どのようにやっていくおつもりがあるかどうか、こうしたことをお伺いしたいというふうに思います。
  21. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 岸委員指摘のとおりでございます。現地サマワでは住民の中で自衛隊活動というのは大変な共感を呼んでいる、そして高く評価され、受け入れられている。これは、私は昨年の十二月にサマワへ参りましてこの目で確かめてまいりました。しかし、この活動が意外に、日本国内でどうなっているんだ、国際的にどうか、こういう点は我々一生懸命やっているつもりなんですが、先生御指摘のとおり、これからもやっていかなきゃいけない、広報活動を重点的にやっていかなきゃいけない、このように思っております。  現在やっておりますことを全部挙げますと時間掛かります。掛かりますので、もう本当に主な点だけ申し上げたいと思いますが、例えば防衛庁といたしまして、政府広報の枠組みを活用しながらイラク市民や国際社会に向けた広報として、アラビア語版、英語版のホームページによる広報をやっております。それから、海外メディアからの取材にも対応いたしております。私もこういうメディアに対応してやっております。アラビア語版パンフレットを作成してこれを配っております。現地のテレビ、新聞による広報もやっております。私も、中東衛星TV、アル・ジャジーラに出演さしていただいたことございます。英語版パンフレットの作成配布をやっております。英語版政府広報誌への関連記事を掲載しております。現地部隊による広報活動もさしていただいております。  そして、現地部隊が、本当にこれは本来の人道復興支援活動ではないんですけれども、余暇に例えば文化活動をやる、これは大変この現地の人の共感を呼んでいる。そして、そのことが、せんだってオーストラリアのヒル国防相と会ったときも、サマワ日本人日本自衛隊の宿営地へ行って太鼓の演奏を聴いたと、大変高い評価をする、ああいうことをやりながら支援人道復興支援活動をやっているんだなと、こういうことをおっしゃっていました。そういう意味で、こういうこともやはり広報活動の一環として日本自衛隊活動を広めていく道かなと、こんなふうに思います。  その他まだ一杯あるんですけども、時間の関係で、後ほどもし御興味あれば事務的に御説明をさしていただきたいと思います。
  22. 岸信夫

    岸信夫君 ありがとうございます。  先ほどもちょっと触れました中国や韓国、こうした国に対しても、我が国はこれだけ世界の平和に今寄与しているんだと、こういうことをPRしていくということもこれ大変大事なことじゃないかというふうに考えますけども町村大臣、もし御意見ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  23. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、自衛隊活動を内外にPRするという点については大野大臣からお答えをいただきました。  それに加えまして、やはり日本の国というものを知ってもらうPR、なかなか中東というのは、縁が深い割には先方に対するPRが今まで手薄であったと、そんな反省もありながら、先方のマスコミ関係者日本に呼んだり、あるいはこちらから積極的なPR活動を仕掛けていくというようなことも大いに政府全体としても心掛けているところでございます。  今委員特に言われました中国、韓国への例えば今言ったような自衛隊の平和活動、復興活動のPR、そういうものができているかという、私ちょっとまだそこ調べておりませんのでよく調べてみたいと思いますが、多分そこまではできていないのではないのかなという気がいたします。  私どもは、戦後六十年、日本の平和な国としてのそうした活動に自信があるからこそ、様々な国際舞台でより一層の場を求めて、今活動の範囲を広げているところであります。そういう活動が適正にどれだけ近隣諸国に理解をされているかどうかという問題指摘は大変、今委員からいただきまして、重要なポイントであると、かように受け止めましたので、大いにそうした面も今後心掛けてやっていかなければいけない、このように受け止めた次第でございます。
  24. 岸信夫

    岸信夫君 どうぞ引き続き最善の努力を続けていただくようお願いいたします。  続きまして、国民保護に関する基本指針についてお伺いいたします。  この基本指針が閣議決定されたと、こういうことでございますが、国民の生命と財産を守るという、この国の責務を果たすための枠組みが具体化の運びになるもので、村田大臣始めとする関係者の皆さんの御努力を多とするものであります。  国民の一人一人の価値観が多様化しておる中で、あらゆる脅威に対して国民を守っていかなければいけないわけでありますけども、この国民保護措置の実施に当たっては、各省庁、都道府県あるいは地方自治体、そして公共事業者の多くの関係者がかかわってくるわけであります。こうした例えば組織一つ一つが、縦割りの弊害とかあるいはセクショナリズムなどの弊害が出てくることのないように、きちんと機能するように連携を取っていく、このことが大変重要なんじゃないかと、こういうふうに思います。  また、国民協力がなくしてはこれもう機能していかない、大変不可欠のものだと思います。そのための啓発ということも、これはまた大変重要なことだと思います。  大臣から、この基本指針の策定についての評価及び今後の取組ですね、保護に関する計画、業務計画も含めて、こういったものの現場への落とし込みということのスケジュール等、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 有事法制担当大臣としてお答えをいたしますが、平成十五年に事態対処法ができまして、そして昨年には国民保護法が成立したわけでございまして、そういう意味国民保護に関します法制が一応整ったわけでございまして、国民保護法に基づきまして本年の三月に、今委員が御指摘なさいましたように、国民保護に関する基本指針を作りまして閣議決定したところでございます。  この評価でございますが、長年の懸案でありました武力攻撃あるいはテロの際に国民の生命、財産を守るというのが政府に課せられた重大な重い、重たい責任でございますが、そうした国民の生命、財産を保護するための基本的な体制が整備されたものと、こういうふうに考えております。  それで、スケジュールでございますが、基本指針に基づきまして、今年度中を目途に指定行政機関それから都道府県の国民保護計画、それから指定公共機関の国民保護業務計画を作ると、こういうことになっておりまして、それに引き続きまして、来年度には市町村国民保護計画、それから指定地方公共機関の国民保護業務計画が作成されると、こういうことになっておりまして、そうしたことで、国民保護法に基づく一連の計画が整備されると、こういうことになるわけでございます。  で、今委員も御指摘なさいましたように、国民保護措置の実効性を高めるためには、一つ関係機関あるいは国民の日ごろの訓練が必要であると、こういうふうに考えておりますので、平素からそうした訓練には関係機関とか多くの住民が参加してほしいと、こういうふうに考えておりますし、それから国民協力が得られるように、やはり啓発が、国民に対する啓発が政府としても、あるいは関係の機関においても必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  26. 岸信夫

    岸信夫君 我々国民一人一人の命にかかわってくる大変重要なことだと思いますので、是非しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。また、今後のスケジュールについても、保護に関する計画、あと今年、来年度までかけてやられるということですけれども、こういった海外からの脅威等は待ってもらえないんで、是非この辺はしっかりスピードアップしてやっていただきたいと、このように思っております。  時間も参りましたので、以上にいたします。ありがとうございました。
  27. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹でございます。  まず、私の方からも、イラクで拘束されたと思われる齋藤昭彦さんの安否確認、そして拘束されていることが事実であるとすれば、一刻も早い解放に向けての御努力を私の立場からもよろしく冒頭お願い申し上げたいというふうに思っております。  今日は前半、五十分の時間をいただきましたので、前半イラク情勢、そして後半国民保護指針に関する内容について御質問させていただきたいと思います。  まず、このたび新しいイラク移行政府ができたということに対しまして、私もこのイラク特別委員会ずっとかかわっておりまして、イラクにも行きましたし、様々なかかわりの中で、時間は掛かりましたけれど非常に感慨深いものを感じておりますし、年内の本格的な正統な政府に向けて本当に順調に推移していってほしいものだなというふうに感じております。  イラクという国は、長い歴史の中ではフセイン政権というのは本当に一部の期間だけでありますので、それ以前はずっとイラク人の手によって統治していたわけでありますから、そういう意味での知恵、能力はすばらしいものが私はあると思っておりますので、正にそこに国際社会としてサポートするということが重要な観点ではないかなというふうに思っておるところであります。  まず初めに、やはり自衛隊派遣のきっかけとなりましたイラクへの攻撃、それに基づく国連決議等で、やっぱり最大の焦点は大量破壊兵器を所持していたかどうかということではないかなというふうに思っております。アメリカの方で出されました米国独立調査委員会報告によりますれば、攻撃の判断となった情報の誤りを完全に認めているわけでありまして、あのCIAといえどもやはり情報の収集能力がやっぱり不十分だったということをアメリカ政府は認めているわけであります。  本来であれば、大量兵器がなかったわけですから、それに基づいて攻撃することが問われなきゃいけないんですが、アメリカはもう一方のフセイン政権のやっぱり転覆というか、除去というものが一つの大きな目標であったということは事実でありますので、これは余り問題視されていないのではないか。しかし、日本は違うんです。やっぱり、国連決議に基づいて判断し、最終的にはアメリカからの情報イラクが大量破壊兵器を持っているということを信じてアメリカをサポートしたという意味において、アメリカの立場と私は大分国内的には違うんではないかなというふうに思います。  昨年の、一昨年ですか、そのときの話も、直接アメリカから情報を聞いている、この国会の委員会の中では言えないけど信憑性があるんだということを、基づいて日本政府としては判断しているわけですから、その情報そのものが誤りであったということに対して日本政府としてどういう責任を感じているか、外務大臣にお聞きしたいと思います。
  28. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この問題は、既にもう私の前任者を含めて、正にこのイラクへの武力行使が始まる時点から、あるいはその前から様々な国会での御議論があったものと承知をいたしております。そして、この点については、総理大臣始め関係、前川口大臣等も含め、累次発言をし、御説明をしてきたことであると理解をしております。  私も同様の見解を述べてきているところでございますが、これは、イラクは一九九〇年から二〇〇二年にわたる十二年間にわたって累次の国連安保理決議に違反し続けてきたと。そして、ぎりぎりの段階になって最後のチャンスですよという決議が出たにもかかわらず、それに対して対応しなかったということで、そうした最後まで国際社会の真摯な平和に向けての努力というものにこたえようとしなかった。そういう認識があったからこそ私どもは国連決議に基づいて取られた行動を支持したということでございまして、これは二〇〇三年三月二十日の内閣総理大臣談話に典型的にそのことは示してあるわけでございまして、したがって、その大量破壊兵器があればあったでそれは一つのまた論拠になるのかもしれませんが、私どもとしてはその有無にかかわらず、十二年間にわたるイラクの国連決議無視の活動というものに対して、それでは国際社会というものが維持できないんだということで判断をし、そうした武力行使を支持したということでございまして、その点はまず基本的な御理解を賜ればと思います。  それからもう一つは、それでは情報収集の点が、じゃ、日本はどうだったのかというまた別のお問い掛けも含まれていたかと、こう思われます。確かに、アメリカのこの独立調査委員会報告書はアメリカ自身の情報収集の在り方について検証と提言を行っているということはそのとおりであろうと、こう思います。  翻って、それでは日本はどうかといえば、それはいろいろな外交を展開していく上に際して、優れた情報収集能力、分析能力を高めていかなければいけないという点については、誠にそれは御指摘のとおりであろうと、こう思っております。しかし、十分であるかといえば、それは率直に言って不十分だと言わざるを得ないと私は思っております。  特に、いわゆる一般的な情報とは別の、いわゆる、正に例えば軍事にわたるような話、インテリジェンスと言われている部分の情報というものは、別に開き直って言うつもりではございませんが、本当に戦後それは、そういう部分はむしろやってはいけないんだというような、言わば日本社会あるいは議会の中でのそういうコンセンサスの中で、およそそういうものに人を投入したり、あるいは予算を投入したりすることはやってはならないと。  本当にここ最近のこと、僕は国会の様子が非常に変わってきたのはある意味では大変有り難いことだと、こう思っているぐらいでございまして、だから今の日本の状態がいいとか許されるということではなくて、より一層今ある体制の中でもそうした能力を高める努力をしなきゃなりませんし、私は、さらにもう少し根本的に、これは外務省だけの問題ではなくて、政府全体のそうしたインテリジェンス能力を高めるのはどうしたらいいんだろうかというようなことを含めて、今改めて、改めて外部の有識者の懇談会を私の下につくりまして、そうした能力をどうやって高めていくかというようなことについても御議論をいただき、御提言をいただき、それを実行していきたいと、かように考えております。
  29. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今の大臣がおっしゃった前半の部分について否定しません。そういう国際社会の対応に対して協力してこなかった、その側面はあるでしょう。最後は、やはり大量破壊兵器を持っている可能性が一番高いということを信じたわけです、日本は。だからこそパウエルが、パウエル前国務長官が安保理で解説して、詳細なイラストまで持って説得したわけですよね。日本はそこに乗ったわけですよ。小泉総理も、フセインがいないからといって大量兵器がないとは言えないとか訳の分からないようなことを言って、大量破壊兵器はある、そういうことを断定してやったにもかかわらず結果こうだったということに対する私は反省があってもいいんじゃないでしょうか。  もう一度ちょっと御答弁、ニュアンスは大分、去年、おととしからは変わっていると思います、それは。そういう事実はあるんですよ。そこはお認めいただけますか。
  30. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ここに平成十五年三月二十日、内閣総理大臣談話、閣議決定というものがございます。  ここを見ると、主として、十二年間にわたり十七本に及ぶ国連安保理決議に違反し続けてきましたと、最後まで平和解決の機会を生かそうとしませんでしたということ、このような認識の下で日本日本自身の国益を踏まえ、かつ国際社会の責任ある一員として我が国の同盟国等によるイラクに対する武力行使を支持しますということでありまして、この中には、それは確かに委員おっしゃるとおり、背景としてそういうものがあったではないかと言われりゃ、それはそういう背景としてそういうことはあったかもしれませんが、しかし私は、この閣議決定の中に、イラクが大量破壊兵器を保有しているからこうした武力行使が正当化されるという論証は、この二十日前も二十日後も、三月二十日前も二十日後も実はしていないと。もちろん、私も正確ではございませんが、小泉総理のやり取りがあったということはテレビ等を通じて私も見聞きはしておりますが、少なくとも政府の公式な見解は平成十五年三月二十日、閣議決定のとおりだということでございます。
  31. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 これ以上こういう問答繰り返しても仕方ないのかもしれませんけれども、総理は明らかに持っているということを確信してらっしゃって、今見付かんなくてもきっと出てくるんだということを答弁でなんか言っているわけですから、そういうことを総合的に判断してやっぱりイラク攻撃をサポートしてきた事実に対して、私はやっぱり謙虚な反省の姿勢が求められてしかるべきだというふうに思っております。  その上で、次に自衛隊の派遣時期の、自衛隊の撤退の時期と考え方についてお伺いしたいと思います。  民主党としては、自衛隊派遣そのものに反対をしてきたというのは御案内のとおりでございます。しかし、行ったからにはやはり活躍してほしいと、無事に任務を終えて帰ってきてほしいという気持ちは変わりませんし、本当にいい評価を得られているということは、私個人的にもやっぱりうれしいところだと思います。そして、やっぱり一年たった、この移行政府ができた今この時期が一つの私は撤退する節目ではないかというふうに思っておるところであります。  その件についてちょっとお伺いする前に、やっぱり一年間、本当に何の襲撃もなく、負傷者も出ず来れたというのは非常によかったと思いますが、一つちょっと、事前通告していないんですが、お伺いしたいのは、確かに襲撃を受けた負傷はないですけれども、様々ないろんな作業中の事故による負傷者というのは私はそれなりにいらっしゃるんではないか。もしつかんでいれば、ちょっと教えていただきたいと思います。  なぜこういうことを聞くかというと、私もイラクに行ったイギリス軍の将校の人に聞いたんですが、いやもう攻撃による死傷者よりも、むしろ何千名の部隊を動かすこと自体が大変なことで、それに伴うやっぱりいろんな事故、死傷者も出るんだと、その辺が大変なんだという話をやっぱり思い出したものですから、現時点でそういう負傷者等いたら、ちょっと教えていただければ有り難いなと思います。正直に教えていただきたいと思います。それについて何か、突っ込んで何か文句を言うつもりはありませんので。
  32. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 御指摘の負傷、けが等の問題でございますけれども、私のところまで報告が上がっているような案件はございません。したがいまして、大きな負傷はない、このことは申し上げることができます。  それは、現地で例えば風邪を引いたとか、ちょっと手を切ったとか、そういうのはあるのかもしれませんけれども、私のところへ報告に上がってくるような案件はございません。したがいまして、私は大きなものはないと思っております。
  33. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 長官のところに上がってきた事実はないということでありまして、恐らく土木工事等すれば、通常であれば、ある確率で私はそういう事故が起きるというのは自然な姿ではないか、逆にないというのは私はおかしいなという感じさえ感じるものですから、もし長官に上がってなくても政府参考人の方から、いや、こういう事故、負傷はあったんだというのがもし分かれば教えていただきたいと思います。
  34. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) お答えいたします。  大きな負傷というものについては報告としては来ておりません。細かいけがとか、多少のことはあったかと思いますけれども、負傷という意味での報告は来ておりません。  それから、病気とかもございまして、突然のお尋ねなので、ちょっと今データを持っておりませんけれども、病気で日本に帰国したというような例は何件かございました。
  35. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いずれにせよ報道、さっきの御質問にもありましたように、活躍状況が分からないというのは、そういうことも含めてやっぱり報道がきちっとなされてないという現実の側面もあるんではないかなという感じがします。  その上で、自衛隊撤退の時期と考え方について、新聞報道によれば、防衛庁長官は、年内、年末が一つの節目だという御発言をされたということですが、先ほどの四つの観点と、一年という、十二月末というのがどういう結び付きがあるのか、その辺も含めてお答えいただきたいと思います。
  36. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 年末にそういう議論が起こることは、私は国際的にそういう議論が起こるだろうと思っております。  と申しますのは、多国籍軍のマンデートが、今の移行政権から本格政権が確立されまして、それが年末までに終わりますと、国連決議一五四六、安保決議一五四六によりまして多国籍軍のマンデートが切れる、こういうことになるわけでございます。これをどうするか、こうするかと、こういう議論は起こる、そういう問題として申し上げているわけであります。  ただ、我々として、日本として自衛隊の問題、今後の問題、どう考えるんだ、こういうお尋ねにつきましては、先ほど申し上げたような四つの切り口からあるんだろうと、こういうふうに思っておりますし、我々としては、一日も早くイラクが復興して、そして治安も安定して、そしてイラク人自身の手であとの復興の過程を遂げていく、遂行していく、こういう日が一日も早く来ることを望んでおります。
  37. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 一年、年末が一つの区切りだというお話がありました。全体的な状況を判断してということになろうかと思いますが、やはり一年間たって、それなりの評価を得ていい仕事をされて、一つ移行政府ができたというのは節目だというのは、やはりイラクイラクで自立できる潜在的な能力がある。自ら人道的な支援を自ら現物供与でやるというこの援助は、もう私は、区切りとして一つ役目を終えたんではないか。ニーズはこれありますよ、どれだけやったってそれは切りないですから。曲がりなりにも、向こうは力がなくても、その向こうの政府をやっぱり側面的に支援していくという形がやっぱり今一番求められているなってあえて言えば、それは治安業務ですよ。それができないんだったら引き返せという話では私はないかなというふうに思います。  その上で、イギリス、オーストラリア軍に、軍組織である自衛隊警備を頼んでまでやる必要が、今この全体的なニーズが下がった中であるのかどうかということを聞いているわけです。私は、アメリカに対してそれなりに、一年間やったという評価はそれなりにしていただけるんだという感じがしますんで、そこまでして本当にやる必要があるのかと。私は、一つの節目として、移行政府ができたというこの瞬間をとらえて、私はやっぱり考えてもいい時期ではないかなというふうに思いますが、もう一度ちょっと御答弁、その辺も踏まえてお願いします。
  38. 大野功統

    国務大臣大野功統君) イラク復興支援イラクを民主主義国家として生まれ変わらせる、変わってもらう、これは国際的な協力の枠組みでやっているわけでございます。  日本としても、日本ができる範囲で、この国際協力の中で日本としてこのイラク再生のために、イラク新生のために頑張っていく、私は当然のことだと思っております。その上で、イラク治安等の問題がある。治安が悪いから民間の手でできない、そういう問題もあるわけでございます。  いろんな切り口、四つばかり切り口申し上げました。そしてその中で、私、自分の目で確かめてきたことは、やはり現地日本に対するニーズが非常に高い、日本の復興、人道復興支援に対するニーズが非常に高い、こういうことは深く胸に刻んでおかなければならない、このように思っております。そういう意味で、国際的、国際社会の動向という切り口も、私、先ほど申し上げました。  一々繰り返すことは避けますけれども、そういう角度から、私はやはり強調したいのは、みんなで、国際社会みんなでこのイラクの復興、イラクの再生、これのために協力していこうじゃないか、この姿勢が一番大事じゃないか、このように思っております。
  39. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 自衛隊派遣だけが国際社会協力を構成しているものじゃないというのは一番よく分かられている。日本政府全体として国際協力にどういうふうに入っていくかという問題であるわけですよ。  繰り返しになりますけれども治安が悪いから軍組織を出しているんです。じゃ、何で自衛隊派遣して、警護してもらうために他の軍組織お願いしなきゃいけないんでしょうか。
  40. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 日本自衛隊活動につきまして、その安全確保というのは大変重要なことでございます。この安全確保というのは自衛隊自らの手でやっていることでございます。イギリス軍あるいはオーストラリア軍、以前のオランダ軍、それぞれサマワ地域の、あるいはムサンナ県、あるいはイラク南東部の治安全体を維持していく、あるいは治安組織を育成していく、こういう役割は負っておりました。  しかし、今委員の御発言聞いていまして誤解されては困るなと思うのは、そういう軍に、他国の軍に守ってもらっているわけじゃありません。治安維持していく、これがイギリス軍オーストラリア軍任務でございまして、我々は、自らの安全については自ら確保していく、そしてその責任は防衛庁長官にある、こういうことで従事させていただいているところでございます。
  41. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それまた少しちょっと詭弁だと思うんですよね。やっぱり治安、その部隊がなければ自衛隊は派遣できないんですか、オランダ軍、いやいや、オーストラリア軍イギリス軍がいなければ。
  42. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 仮定の問題にはお答えしにくいんですけれども、やはりこれ国際協力なんです。治安維持していく、そのイラク治安を守る機関、警察等ですね、これを育成していく。これも本当にイラクの復興、再生のために重要なことなんですね。そういう仕事をやっている。それがイギリス軍であり、そしてオーストラリア軍。  繰り返しになりますが、治安維持する、そして治安機関を育成する、こういう仕事をやっている。その中で自衛隊は自らの安全を確保しながら人道復興支援に従事している、こういう構図でございます。
  43. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いずれにせよ、オーストラリア軍に警護をお願いしているという側面はこれは否定できないわけですから、そこはそういう形でやってきているわけですよね。それは全体の中の治安活動維持するという意味において私はあると思うんですね。そこまでして自ら自衛隊を派遣してこういう人道復興支援をただ付き合う形でやるよりは、本当にやっぱりイラク移行政府をきちっとやっぱり支援していくという方向に大きく切り替える時期だと思いますし、もう無償資金協力から来年からはもう円借款のインフラ整備の方に今移行しようとしている時期でありますから、その同時期に現物支給、人道復興支援をやるということ自体はやや私はもう違和感を感じております。  そういう警備、それは仮に、防衛庁長官がおっしゃったやり方でその地域治安お願いしているんだということを仮にあったとしても、じゃ自衛隊が、ああもう非戦闘地域になったからすぐ引き返すということが本当に国際社会で逆に許されるんでしょうか。そんな状況まで整備されていないで自衛隊を派遣する必要があるんでしょうか。それは正直に振り返って、私は、自衛隊の権能に与えられたところに基づいて、帰るべきときは帰る、やるべき仕事はやる、そこできちっと節目を付けてやるというのが私は国際社会に対する正直なやり方だというふうに思っておりますんで、もし最後ちょっと御答弁あれば簡単に。簡単で結構ですので。
  44. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 二点ばかり申し上げたいと思います。  第一点は、決して警護を他国の軍隊に依存しているわけではありません。  もう一度繰り返します。自ら安全確保をやっております。安全確保を万全を期して、長官としても今後とも注意を払ってやっていきたいと思います。  第二点、国際社会の中でどういうふうにやっていくか。  それは、今大変私、力を入れてやりたいのは、やっぱりそういう国際活動が大事であると。つまり、紛争が起こる前に紛争を予防するんだ、紛争が起こった後の処理をいち早く、武力行使をしない、あるいは武力行使と一体とならない形でやっていくんだ、それがやはり世界平和のために日本として尽くすべき方法じゃないか。そういうことは無意味なんだろうか、私はそれは疑問に、首をかしげたくなります。  非常にそういう意味で、中東の、イラクが平和になれば、安全になれば中東が安全になる、平和になる、中東の平和というのは正に世界の平和であり、日本の平和である、私はそういうふうな考え方を取らしていただきたいなと。それを国際社会協力の中で自衛隊の仕事としてもやっていいのではないでしょうか。
  45. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 国際社会の動きに対して日本協力するのはこれは当然のことであります。ただ、やはり本当に自衛隊の機能が発揮できるような、力を発揮できるような形で派遣するというのはこれは当然のことでありますから、私は、今のようなこういう中途半端な形でこれ以上続くと私はやっぱり逆にそのことが国際社会に理解されないということにもなりかねないし、自衛隊自体の安全性にも非常に大きくかかわる問題だというふうに思いますんで、そういう節目節目で本当に地に足の着いた議論をしっかりやって自ら主体的に決めるということがやっぱり求められているんではないかなというふうに思いますんで、そのことを申し上げまして後半の質問に入らさしていただきたいというふうに思います。  国民保護法でございますが、それに基づいた基本指針が閣議決定されたということであります。指針を策定したことに対しましてはもちろん一定の評価はあるかと思いますが、本当に国民保護に対して実効あるものになるかどうかはこれからの取組次第だと思いますし、私の個人的な感想では、やはり地方自治体がどれだけ本気になって実情に即した措置ができるかというところに懸かっていると思うんですね。どんなに中央政府が旗を振ったところでやっぱり地方自治体が動かなければ意味がありませんので、そういう形できちっとした措置ができるように今後是非努力をいただきたいなというふうに思っているところであります。  今回、最初ちょっと二問、四類型に関する質問をさしていただきたいんですが、その中で、四類型というのは、着上陸侵攻、そしてゲリラ・特殊部隊、三つ目が弾道ミサイルと、そして四番目が航空攻撃の場合を想定した特徴と留意点を基本指針の中に入れているということであります。  ちょっと飛びますけれども、やはりある程度優先順位を付けることがやっぱり必要ではないかなというふうに思います。すべての地域においてこの四つの条項についてきちっとやるよりは、日本海側と太平洋側、東京あるいは原発があるところというのは全然違うわけですから、その自治体自治体によってその計画の違いはあっていいと思うんです。  その上で、ちょっと事例として、五月一日の北朝鮮のミサイルの事案についてお伺いしたいと思います。それを一つの事例として、本当に我が国がどこまで対応できるか、国民保護指針に基づいてどういう措置がとれるかということについてお伺いしたいというふうに思います。  まず、外務大臣にお聞きしたいんですけれど、このミサイル発射訓練そのものが私は平壌宣言に反するんではないかというふうに思います、正直言って。これは、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も継続していくということを確認しているわけでありますんで、これはどんなに短距離であろうと長距離だろうと、ミサイル発射訓練そのものをこれはしているわけですから、もう正に、もう抵触そのものじゃないんでしょうか、外務大臣
  46. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 五月一日の午前に北朝鮮がミサイルを発射したという未確認情報がありました。引き続き事実関係確認をしているところでございますけれども、必ずしも十分確認はされていないという状態かと思われます。  その際、仮に、言われているように射程の短いものであったと。長短にかかわらず、これは日朝平壌宣言にあるミサイル発射モラトリアムに反するのではないかという御指摘でございました。  事柄の性質、量と質とを考えるというのはちょっと変な言い方かもしれませんが、性格として、私は決していいことだとはそれは思いません。が、しかし、これはやはり日本の安全保障に影響があるかどうかという観点で考えたときに、極めて足の短いミサイルが日本の安全保障に特段の影響を与えるものとは考えられないということからすると、決して歓迎すべき事態でないことはもう当然のことではございますけれども、今般のミサイル発射と言われているものが直ちに日朝平壌宣言との関係で問題になるというふうに私どもは受け止めておらないのでございます。  ただ、いずれにしても、この地域の緊張を高めかねない、また地域関係国との間で無用の摩擦を引き起こしかねないという懸念はあるわけですから、こうした活動については十分政府としては注視をしていく必要があるとは考えております。
  47. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まず、そのミサイルが短距離だったということを確認されたんでしょうか。防衛庁長官でも結構ですけれども
  48. 大野功統

    国務大臣大野功統君) このミサイルというのは極めて短い距離を飛しょうしたものと考えております。町村外務大臣が申し上げましたとおり、直ちに我が国の安全保障に特段の影響を与える事象とは言えない。その他、例えば事実関係の詳細、その意図を含め、防衛庁として確定的なことを申し上げることはできません。
  49. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 短距離ミサイルだと確認したんでしょうかという質問なんです。考えているじゃなくて、事実としてそういうことを確認したかどうか。
  50. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 様々な情報からいたしまして、そのように思っております。こういうのを確認というかどうかは御判断に任せます。
  51. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 防衛庁として確認していないんですか、じゃ。  様々な情報からそう思うということを断定しているだけで、その断定に基づいて、これは短距離だから平壌宣言に違反していないということをまず言えるんでしょうか。
  52. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 様々な情報がございます。その情報源等その他につきましては、我々はお答えを、答弁を差し控えさせていただきます。  様々な観点から申し上げて短距離であると、このように考えております、短距離のミサイルであると。
  53. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いや、確認できているかできていないかということについては、情報でそういうふうに思いますということであります。  その下で、これは短距離だから違反していないということは、私はその、冒頭申し上げましたように、平壌宣言には何も、その短距離だとか長距離だとか書いていないんです。とにかくミサイル実験は駄目だということを確認しているわけでありますから、短距離で、長距離ミサイルであっても短距離で落とすことはできるわけですよ、それは。それを、そのものを確認できていないで、それを短距離だと断定すること自体が私はおかしいと思いますよ、それは。  それで、防衛庁が、この国民保護指針で、これが短距離だか長距離だか出たときに分からずしてその対応ができるなんということはもうあり得ないですよ、こんなの、基本的に。  もう、もう一回、それ。正直に言ってください。
  54. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 情報によって確認する。確認というのの定義の問題であると思います。それは、自分の目で見なきゃ確認できないと、こういう意味ではありません。
  55. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 当たり前。
  56. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 当たり前のことであります。  それは様々な、様々な情報、そしてその情報源については私は答えを差し控えさしていただきたい、このように言っておるわけでありまして、その認識につきましては、そういうふうに短距離のものであるということでございます、それ。
  57. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 同じ質問をちょっとするのも、だから、防衛庁として短距離だということは確認したと、そういう断定したということでよろしいですね。はい。もう、再度。
  58. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 防衛庁といたしまして、短距離である、このように確認しております。  確認ということは……(発言する者あり)確認でいいんですよ。
  59. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で、もう一回その、外務大臣、その短距離とか長距離とか関係ないんです。ミサイルの発射実験はモラトリアムだということを継続するということを平壌宣言に書いているんですから、それは。それ自体をやっぱり、駄目なことは駄目だと。それは冷静に対応する必要があるけれども、これに抵触するかどうかというのは国民に分かりやすく説明しないと、それは、分からないですよ、それは。大臣お願いします。
  60. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日朝平壌宣言第三項には、双方は、互いの安全を脅かす行動を取らないことを確認したと。また、第四項に、双方は、北東アジア地域の平和と安全、安定を維持、強化するために互いに協力するということを全部述べた上で、一番最後のパラグラフに、朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していく意向を確認したということから、これはまあ類推でありますけれども、ごく短距離のものは互いの安全を脅かす行動にはつながらないであろうからこの平壌宣言には違反しないという解釈を私どもは今取っているということであります。
  61. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 冷静に対応する必要はあるんですよ。しかし、でも、アメリカの反応はこれ全然違いますし、やっぱり脅威を、脅かしているんですよ、これは、この地域の安定を。そういう正しい認識をやっぱり包み隠さずきちっとやっぱり分析して、やっぱり国民に言うべきことはやっぱり言うというのがやっぱり分かりやすいやり方ではないかなというふうに思います。  その上で、最初の情報米軍からもたらされたというふうに聞いておりますけれども、ミサイルが発射して何分後に米国から防衛庁情報が行ったか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  62. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 五月一日の午前になりますけれども、北朝鮮がミサイルを発射したとの未確認情報があったのは事実でございます。  これに関する第一報については、発射されたと思われる時点より遅滞なく入手したという状況でございました。
  63. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 遅滞というのは何分ぐらいでしょうか。で、米国、米軍から発射後何分後に情報を得たんでしょうかと。
  64. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 情報源について明らかにすることは差し控えたいと思うんですけれども、発射したと思われる時間に遅滞なくということで、速やかに来たと、こういうことでございます。
  65. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いや、それはですね、国民保護指針に基づけば、その発射情報に基づいて中央政府から都道府県に行って、自治体に行って避難訓練をしなきゃいけないんですよ、避難をしなきゃいけないんですよ。ですから、やっぱり遅滞なくという情報だけでは分からないですよ、これは。具体的に何分後に情報を得て、何分後にちゃんと伝わっているんだと、だから皆さん安心してください、ちゃんと警報も出せますということは、今回のこの基本指針の趣旨じゃないでしょうか。だからこそ、こうやって委員会で聞いているんですよ。  もう一回お伺いします、長官
  66. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 遅滞なくでございます。(発言する者あり)はい。遅滞なくというのは何分かと……
  67. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 大体範囲で。
  68. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 何分かと、それは、それはきちっと検証してみる必要があります。私には、何分かというようなことを言えることは、情報は持っていません。  ただ、極めて早くという、極めて速やかに、発射後極めて速やかにという報告は受けております。
  69. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 言えないのと情報を持っているか持っていないかというのは全然違うんで、何分後になったかという情報持っていますか。
  70. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、個人としては、防衛庁長官個人としては持っておりません。速やかに情報は上がってきたと、こういう情報報告でございます。
  71. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 防衛庁長官としては持ってないという発言ですよ、今。いいですか。それはおかしいですよ、そんな。長官に上がってきていないで、情報が来ていないということを……
  72. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私自身は、知り得べき情報は上がってきております。それを公表するかどうかは別の問題でございます。  したがいまして、私は、ここの、今この場で申し上げれますのは、速やかに上がってきているということでございます。個人としてということでは分かりません。しかし、長官としては分かっております。
  73. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 もうこういうことで時間つぶしたくないんで、ほかの質問したいんですけれども、個人としては持っていないというのはどういう意味なんですか。上がってきているけれど、その辺のちょっとやり取りがよく分からないんで、もう一度分かりやすく。
  74. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、こういう情報につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。  しかしながら、ここで国民の皆様に申し上げられますのは、速やかに情報は上がってきている、そしてそのことは公表できません、このことを御理解いただきたいと思います。  我々としては、きちっとその情報をとらえて、把握しまして、そして国民の皆様が安心できるように対応していく、これは当然のことでありますから、そのことは私はここでお約束いたしますけれども、今、今ですね、例のミサイルのときに何分何秒だ、こういうことはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  75. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ここは国会の開かれた論議ですから、やっぱり国民が安心できるようにやっぱり答弁するというのが基本だと思うんです。  ミサイルが発射したら十分で東京にこれが落ちるんですよ。それを遅滞なくとか速やかにとか、そんな言っているレベルじゃなくて、それから地方自治体に行って、警報出して避難させるんですよ。そこまでのことをこれで書きながらそういう答弁しかできないなんて、こんなの意味ないじゃないですか。
  76. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今回のミサイル、北朝鮮のミサイル発射訓練につきましては、やはり先ほども申し上げましたように、極めて短い距離のものであったと、したがって、直ちに我が国の安全保障に特段の影響を与えるものではない、こういう観点から申し上げておるわけでございまして、国民の生命、財産を守るのは当然防衛庁長官の責務でございます。そういうことで、今回のは、安全保障上問題ないという観点からも、この問題についてはお答えを差し控えさしていただきたい。言えますことは、速やかにということでございます。
  77. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 短距離だったから脅威じゃないということじゃないんです。発射後何分できちっと情報をつかんだということが重要なんです、これは。そのときに角度を見てどこに飛ぶのかというのをやるのがミサイルディフェンスの今回のあれでしょう。そのことに対しての基情報がなくて、そんな警報もくそもないじゃないですか。それを、これを聞いていたら国民はますます不安になりますよ、これは。  撃った瞬間に、日本海を越えて前のように三陸、こっちの太平洋沖に落ちるのか、今回の短距離になるのかというのは、それは分からないわけですよ。それ、撃った瞬間にどういう情報があるときちっとやっぱり把握する、その上で取りあえず最終的にはそれはそういう判断があるんだと思いますが、今の情報、御答弁を聞いている限りにおいては、ますます私も、聞いている本人、私も分からないですから、もう少し分かるように、具体的にじゃ何分で、恐らく、じゃ何分後には地方自治体に今回の情報は行っていたということぐらいは言えるでしょう、それは、発射後。それが言えなかったらこれはお話にならないですよ、これ。訓練もくそもないですよ、こんなの。
  78. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 国民の生命、財産を守るという観点から申し上げますと、極めて速やかにそういう情報は各地方自治体に伝わるようにしなきゃいけないと思っております。そういう観点から、ミサイル防衛におきましても、例えば発射後何分ぐらいでそういう情報が伝わるんだろうか、ここも正確には申し上げてないところでございます。しかしながら、私は、少なくともミサイル防衛につきましては迎撃した瞬間に、瞬間に、本当に瞬間にお伝えするべきだと思っております。これは現実の問題になったときです。  それから、現実の問題になってないときに何分なんだと、こういう問題であります。これは先ほどから議論になっておりますけれども我が国の安全保障に直接関係がない、間接的にはあるかもしれません、直接関係がない、こういうときに、やはりその情報をどういうふうに公開するか、この問題であります。私は、何度もお答えしておりますけれども、速やかに伝わったと、こういうことを申し上げております。何分ということにつきましては、やはり情報というのはいろんな組合せでできているわけであります。その相手があることもあります。そういう観点から、私はここでそのお答えを差し控えさせていただきたい、このことを申し上げておるわけでありまして、気持ちとしては委員と全く同じように速やかに伝えていく、これは当然のことでございます。
  79. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 短距離だったということは後でそれは確認できたわけですから、撃たれた瞬間にいち早く察知するということが重要で、それがどういう距離なのか、どこに行くのかということを、必要なんです。  もう根本的なことを言えば、未確認情報確認したと言いましたよね。未確認情報確認したというのは、ファーストハンドの情報じゃないんですよ。いろんな情報で総合したらそうだったということを後で言っているわけですから、やっぱり根本的に、基本的には、遅滞なくというレベルじゃなくて、後でそういう情報確認したということですから、私はやっぱり大野長官の答弁そのものが完璧に基本的に間違っているというふうに思いますし、ますますそれでは、申し訳ないですけれども、私はやっぱり理解したい、積極的に理解したいという立場で聞きながらも、それでは分からないと思います。  その上で、やっぱりこの、今回この国民保護指針の、基づいて、この一つの類型の中に入っているわけですよ、ミサイル攻撃というのが。それに対して、今のような御答弁を聞いて、これを国会の、地方自治体が聞いていたらどういう対応をしたらいいのか、どういう計画を作ったらいいのかというのがもう全く分かりません。だから、その上で、そういう御答弁の中でこれをやっていくということに対しては非常に、私は非常に不安でありますし、いろいろ確認していかなきゃいけないことはあろうかと思いますので、是非ともしっかりとした情報把握をお願いしたいなというふうに思うところであります。  残り五分ぐらいとなりましたので、いろいろ聞きたいことはあるんですけれども、今、村田大臣にその関連でお伺いしたいと思いますが、最終的に、内閣府に情報が入る、自衛隊情報が入る、それを伝えて国民が避難できるまで何分ぐらいを想定しているんでしょうか。
  80. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) これはミサイル、ミサイルの場合に、それは防衛庁にお伺いをするのが一番正確ではないかというふうに思いますが、我々がこうした基本指針を整備していく段階において、十分からあるいは数分以内という中で我々は国民連絡をしなけりゃいけないという想定で準備をしているわけでございます。
  81. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういうことでは、防衛庁長官の速やかにというのは、数分から十分以内にきちっとちゃんと自衛隊は把握していると。でも、それじゃ遅いんです。避難まで含めて今おっしゃっているわけですから、瞬時に伝達するということがやっぱり非常に重要ではないかなというふうに思います。その上で、情報の伝達システムということを考える上で、今非常にまだまだ不備があるんではないかなという感じはしております。  基本的には、その防災無線あるいは最終的にはサイレン、警報ということを多分今準備されているんだろうというふうに思いますけれども、結論からいって、ちょっとそういう形では今の状況に対応できないんじゃないかと。とりわけ情報弱者、視覚障害、聴覚障害持っている人に対して、とりわけ聴覚障害を持っている人に対して、やっぱりサイレンじゃちょっとやはり到底それは生かし切れないわけですから、私は携帯電話というものを少し使ったらいいんではないか。今調べましたところによると、視覚障害者の八三%、聴覚障害者の八四%が実は携帯を持っているんですね。聴覚障害でもメールを見て、それで個人の情報をやり取りをしているということにおいてはサイレンじゃ分からないんで、やっぱりもう九割近い人が持っているんであれば、これは技術的に可能だと思うんです。  つまり、事前登録をその地域にしておいて、あるいは申し込むときに障害者割引というのがありますんで事前に分かるわけですよね。そうしたら、一斉にそういう情報弱者の人にきちっとやっぱり情報が伝わるということが私は可能だと思いますんで、やや、そのサイレンもいいですけれども、少しIT時代に対応した情報伝達システムを私はやっぱり少し構築するべきじゃないかと思いますが、大臣、御答弁いただけますでしょうか。
  82. 東尾正

    政府参考人(東尾正君) 地方公共団体の伝達でございますので、こちらからお答えを申し上げます。  ただいまおっしゃいますように、基本的には、基本指針におきまして防災行政無線を使用するということになっておりますけれども、これ以外にいろいろな方法を駆使すべきということで検討はしております。  特に御指摘のございました携帯電話につきましても、データベース化は技術的には可能ではございます。しかしながら、現在のその回線の状況から見ますと、極めて多数の電話を一気に発信することが難しいということから、これは技術的な問題でございますので、その辺のクリアという課題があると思いますので、私どものまず第一次的な手段といたしましては、防災行政無線を一斉に衛星を使ってメールをするようなシステムの開発、これを今考えております。
  83. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 一斉じゃないんですよ。その情報弱者の方だけ事前登録みたいな形で、大体契約するときに障害者割引等があるようですんで、そういう方たちを中心に、情報弱者の人を中心にやっていれば一斉ではありませんので、そこは技術的には全然問題ないと思いますんで、是非ともまた御検討をいただきたいなというふうに思っております。じゃ、何か前向きな……。
  84. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) いずれにしましても、ミサイル攻撃の場合も含めまして、できるだけ早く即時に国民情報を伝えるという、そういう仕組みが必要だと、こういうふうに考えておりますので、我々は防災行政無線等を、公共的ないろんなシステムを駆使するということを基本に考えておりますが、それは一つに限るわけじゃなくて、多重的にいろんな方法を考えていかなければいけないというふうに考えておりますので、先生の御指摘考えさしていただきたいと思っております。
  85. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 もう私の持分はこれでなくなりましたので、本当は後半は民間防衛組織について質問させていただきたかったんです。  実は、去年、シンガポール、スイス、フランス、ドイツと行って、それぞれの民間防衛組織実態を見たときに、先ほどの訓練もそうなんですけれども、民間防衛組織がないとほとんど訓練も意味は成さないということが私は実態として分かりまして、本当に瞬時に初動の対応として、そこで効果的に混乱なくやっぱり誘導できるというのは、そういう組織がそれぞれの地域にないとこれできないんですよ。それをなくして、言葉だけ言って、訓練だああだと言ったってこれ話にならないんで、是非ともその辺も含めて、今回一番欠けているのは、私は、その地域におけるそういう組織がどう構築していくかということが完全に欠落しているということ。すべてその四つの国はありましたし、かなりの規模でお金を掛けてやっぱりやっている。それと併せてこの基本指針是非ともお考えいただきたいなと、そのことを申し上げまして、私の質問とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  86. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党・新緑風会の犬塚直史でございます。  本題に入る前に、この邦人の誘拐につきまして、先ほど外務大臣がお答えの中で、こういう軍人以外の、コントラクターと呼ばれているそうですが、この人たちの数は万単位いると聞いておるというふうに先ほど言われたんですけれども、実際の数は本当に把握されてないんでしょうか。そこからまずお願いします。
  87. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 先ほど大臣が二万人という数字を挙げられたと思いますが、新聞等でいろいろな報道がされている数字を多分言及されたんだと思います。  イラクにどれだけ警備関係の非軍人の民間の方がいらっしゃるかについて、確たる数字は私ども持っておりませんし、そういうものがあるということも承知しておりません。
  88. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 これは通告していないんですが、私がこういう事件がありましたので今朝慌ててインターネットで見ただけの話なんですけれども、過去三年間にこのコントラクターと呼ばれている方たちの死亡、これが二百三十四名発表されているんですね。  この資料を見ますと、亡くなった日、姓名、国籍、亡くなった状況、どこで亡くなったか、そしてどこの会社から派遣されたかまでが公表をされて、だれでも見ることができるようになっている。その上、今回の齋藤さんが所属をしておられたハート・セキュリティー、この会社が派遣をして、昨年四月六日に亡くなった方の名前までここに出ているんですね。  一体、情報、先ほどから、情報収集能力ということが今問われているわけですけれども、我々が簡単に見ることができるこのインターネットでさえも、たった十分ぐらいで、二百三十四名が亡くなっていると。ということは、そこから類推してもですよ、例えばこういう情報ソースの大本をたどっていきさえすれば、これは当然把握することができる数字なんではないでしょうか。  もう一度お答えください。
  89. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) せっかく犬塚先生から御指摘いただきまして、私どもとしても、そういうルートも通じて更に情報収集に努めたいと考えております。
  90. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 曲がりなりにも日本の国が、邦人の拉致といいますか、誘拐をされて、みんながこれまでこれほど注目している中で、先ほど来同僚議員が言っておりますけれども日本情報収集能力というのは本当にここまで低いのかと。言えないことと言えることがあるというのは分かるんですが、余りにも情報収集能力に対して目が行ってないということをまずは指摘をしまして、本題に入りたいと思います。  テロの未然防止に関する行動計画というのを、この配付資料を皆さんの手元にお配りしましたので、まずはこれをごらんになってください。  まず、内閣官房に伺います。  この行動計画十六項目を作った、この経緯、どうしてこの十六項目にしたのかということを御説明ください。
  91. 堀内文隆

    政府参考人(堀内文隆君) お答えをいたします。  政府といたしましては、緊急事態の対処に当たって、これまでに阪神大震災や地下鉄サリン事件などの大規模な災害、事件、事故などを踏まえて、二十四時間体制情報を収集する内閣情報集約センターを設けるとともに、各省庁の危機管理部門全体を統括する内閣危機管理監を設置するなど、総理、官房長官のリーダーシップの下、政府一体となって速やかに緊急事態に対処する危機管理の体制整備に努めてきたところであります。  さらに、平成十三年に発生した九・一一米国同時多発テロ以降、国際的な連携を強化しつつ、国内においてテロ防止、テロの未然防止に関する諸施策を強力に推進してきたところであります。  しかしながら、国際テロをめぐる情勢は依然として厳しく、また情勢の変化に対応した未然防止対策が必要であることから、昨年八月、閣議決定によりまして、官房長官を本部長とする国際組織犯罪等対策本部を現在の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部に改組しまして、我が国におけるテロの未然防止に向けた制度、体制等について問題点の洗い出し及びその改善策の所要の検討を行いまして、その結果として、政府が新たな対応を必要とする十六項目を明らかにし、その改善のための方向性と期限を示したところであります。  今後とも、政府は一体となって本行動計画を着実に実行し、テロの脅威から国民の生命を守り、国民の負託にこたえてまいりたいというふうに考えております。
  92. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 その行動計画を私の方で簡単にA4一枚にまとめたわけでございますが、非常によくできているんです。これをごらんになっていただくと、上の、一番上を見ていただくと、内容、目的、対応、時期、いついつまでに、どういう対応を、どういう目的でやるのかということがきちんと書いてあるんですね。  それに比べまして、ほぼ同時期に出ましたこの国民保護に関する基本指針、これを見ますと、一切そういう、いついつまでに何をやるのかということが全く出てないんですね。実効性に非常にこの基本指針は私は疑問を感じるんですが、どうしてこういう違いが出たのか、御説明ください。
  93. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 基本指針でございますが、基本指針につきましては、国民保護に関するその措置について、これから今年度、来年度にまたがりまして、指定行政機関あるいは地方公共団体も含めまして、国民保護にかかわりますこの基本指針に基づいて様々な措置を計画に作り上げるという、そういうスタートとなるといいますか、その指針でございまして、いつまでに作るかというのは、十八年度まで行けば地方公共団体まで最終的にでき上がると、こういう内容でございまして、先生が今おっしゃいますそのそれぞれの内容につきましても、公共団体によりましては内容が違ってくることも予想されますし、これはともかく計画を作っていただくというのがスタートでございますので、そういう意味では、その計画を作るそのスケジュールというのはあらかじめ決まっていると、こういうことではないかと理解しております。
  94. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 まあ大枠を作ったということだと思うんですね。それが今度は都道府県に下りていき、そして最終的には市町村に下りていくという理解でよろしいんだと思うんですが。  それでは、その次の段階の都道府県国民保護モデル計画を消防庁が作ったわけですね。これを見ても、まだその具体性といいますか、安心してこれで国民が非常事態になったときに退避ができるんだな、安心できるんだな、そういう体制になるんだなというのは全く見えてこないんですね。  先ほど同僚議員が申し上げましたけれども、人任せではなくて、最終的には自分たちが自分たちの町や家族をどういうふうに守るんだというところまで落ちてこない限りは、これは絵にかいたもちだと言わざるを得ないんですけれども。  そこで、消防にお伺いをします。  国民保護モデル計画における消防団あるいは社協、そして郵便局、こういったところとの連携はどういうふうに考えておられるんでしょうか。
  95. 東尾正

    政府参考人(東尾正君) 国民保護上、警報の通知、伝達や避難住民の誘導など多くの措置を行わなければいけないので、これらを地方公共団体の職員、一般職の職員だけで行うことに限界があるという御指摘はそのとおりだと思います。  まず、消防団でございますけれども、消防団は常備消防や市町村職員と一体となって国民保護措置を実施することとされている法的主体でございます。したがいまして、私どもといたしましては、まずこの消防団の充実、活性化の支援ということに力を入れております。  次に、社協でございますが、社会福祉協議会につきましては、高齢者、障害者など要援護者の状況を把握する絶好の立場にございますので、その職員が自発的な意思に基づきまして消防団などと連携をする、警報の伝達、避難住民の誘導に協力することを期待しておりますし、また、地方公共団体に対してそのようなことで連携を図るよう指導しております。  さらに、郵便局でございますけれども日本郵政公社は指定公共機関に既に指定されておりますので、これはもちろん先生御存じのとおり、武力攻撃事態があった場合の郵便の確保についての指定公共機関でございます。しかしながら、同時に地域の実情にも精通しておりますので、先ほどの社会福祉協議会と同様、国民保護措置に協力することを期待しているところでございます。
  96. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 上で決めたことが下まで下りていって市町村レベルになったときに、やっぱりそういう実感を消防の方はお持ちだと思うんですね。ところが、一番初めに内閣官房の長官の談話が出たときには、自衛隊警察、海上保安庁等関係機関の能力を結集して国として全力を傾注するって、そこまでしか書いてないんですね。やっぱりここは、今消防の方がおっしゃいましたけれども、郵便局はあくまでも郵便を配達することはメーンの業務であってというふうに、やっぱり遠慮が出てくるわけですよね。  私の田舎は離島なんですけれども、離島、非常に広いんですが、人口四千ぐらいで警察官は一人しかいないんですね。そうした中にあって、じゃ何か非常事態があると、じゃお年寄りはどこにいるんだと、あそこの独居老人はどういう生活をしていて一人では絶対逃げられないと、そういう情報を知っているのはやっぱり毎日配達をしている郵便局の方なんですよ。  やっぱりそういうことも視野に入れて、本当にきめの細かい退避ができるような、まずは上からの指示をしないと下は動けないと思うんですが、いかがでしょうか。
  97. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) この基本指針に基づきまして都道府県あるいは市町村が具体化する業務計画まで考えているときに、これは、一つ国民保護というシステムの中でのいろんな具体的な措置に並んで、多くのケースでは、防災の観点からのいろんな既に行われている計画なり地方防災計画というのもございますし、そういう系統でのいろんな準備というのがあろうかと、こういうふうに思います。  今、テロのいろんな計画に比べてスケジュールが非常に具体性が欠けるじゃないかというお話が、御指摘がございまして、それがどういうところに例えば当たるかなと私も考えてみました。  例えば、備蓄なんかのケースが出てまいります。備蓄があって、備蓄で大概の食料とかそういうものについては、防災のシステムの中で備蓄されるものは既に三日分は用意しなさいということが地域防災計画等で書かれておりまして、そこを活用するというふうな仕組みになろうかというふうに思うんですね。  だけれども、今度は、こちらの国民保護計画に特有な、例えば一つの例として、NBCテロに基づくいろんな薬を準備しなきゃいけないとか、あるいはガスマスクを準備しなきゃいけないというものについて、いつまでに準備するのか、どれだけ準備するのか、そういう具体性がないじゃないかという、犬塚委員がそういう御指摘ならば先生の御指摘はお受けしなければいけないなというふうに考えますが、いずれにしましても、初めてやっとでき上がった国民保護のためのシステムでございまして、まずはその保護指針に基づきまして保護計画を作っていただくというところまで、これ二年掛かるわけでございますが、国あるいは公共機関等も含めまして、まずは国の基本指針に基づく計画を作っていただくというのが先行するのではないかというふうに考えておりまして、その過程でもって、具体的に措置しなけりゃいけないものは、いつまでにやってほしいということは議論が出てくるのではないかというふうに思います。  防災の観点である地域防災計画を見ていただきますと、これは同じような非常に類似性のある体系になっておりますから、そういう意味で、その中でいつまでにやれとかそういうことは余り書いてないところがありますので、それでも実際は動いておるということでございます。  今、先生が御指摘の避難するに大変時間の掛かる御老人とか身体障害者についてどうするのかということにつきましても、災害の面では、そうした災害について避難する場合に非常に時間が掛かる方については、今我々がモデルを作ってこれを発表して、公共団体まで、市町村までそういう計画についての類型を出して、出しまして、お示ししまして、そういうものをお作り願いたいということをこれから行おうとしているところでございます。
  98. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今おっしゃった類型あるいは行動モデル計画というものが拝見をしていて安心できるというふうには全く感じない、具体性に欠けるという観点から質問をしているわけなんですね。  特に、もうこの件についてはこれで終わりにしますが、特にお願いをしたいのは、やはり国が守るということはこれはもう無理なことは分かっているわけですから、皆さんの、もう本当に大人全員協力をしてもらって、いかにしてこういう非常事態に対応していくんだということをもっと目に見える形で示していかないといけないというふうに思っていますことを付け加えまして、次の質問に移ります。  お手元の資料をごらんになっていただいて、一番下のハイジャック手段、スカイマーシャル制度の導入、これはもう既に運用が開始をされているわけなんですが、これについての現状をお願いいたします。
  99. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) スカイマーシャル制度の運用状況についてお答えいたします。  我が国の民間航空機に対するいわゆるハイジャック対策につきましては、かねてより国土交通省あるいは航空会社によりまして各種の航空保安措置が講ぜられてきたところであります。  九・一一、米国の同時多発テロ等の厳しい国際テロ情勢を受けまして、いわゆるスカイマーシャルというもの、航空機に警備のための要員を、多くの場合警察官でございますが、これを搭乗させて警戒を行うという、警備を行うという、そのスカイマーシャル制度を実施する国が大変増えてまいっております。そしてまた、昨年六月のシーアイランド・サミットで、スカイマーシャルの取組を強化しようということも一つの内容となっております安全かつ容易な海外渡航イニシアチブというものが合意されるというような動きもございました。こういった状況を背景に、警察といたしましてもスカイマーシャルの実施の準備を進めてきていたところでございます。  昨年十二月に、御質問にございました国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきまして、こういった行動計画の検討の中で、我が国民間航空機に警察官を警乗させるこのスカイマーシャルを実施をするということがこの政府の本部決定として決定をされたところでございます。この決定を踏まえまして、警察では、国土交通省、そして民間航空会社関係機関との緊密な連携の下で、スカイマーシャル制度を同月から、すなわち昨年の十二月から実施をし、これまで順調に運用してきているところでございます。  今後とも、関係機関と緊密に連携しつつ、我が国民間航空機に対するハイジャック対策の万全を期してまいりたいと考えております。
  100. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 このスカイマーシャルについてなんですけれども、そのお配りをしました紙の四番のテロリストの入国阻止というところで対応を見ていただくと、ICPOのデータベース活用というふうにこれ書いてあるんですね。  これ、御存じのように、国際的な警察協力機構と呼んでもいいんですが、ここでそうしたテロリストのデータベースを持っている、それを活用しながら個々の国が警備に当たるということだと理解しておるんですが、このICPOのデータベース活用とハイジャック、スカイマーシャル制度の導入の関係、どのように活用されているのかをお答えください。
  101. 知念良博

    政府参考人(知念良博君) ICPOデータベースの内容のお尋ねでございますが、ICPOにおきましては、各国から提供を受けました情報を基に国際犯罪に関する総合的データベースを構築、運用しまして、加盟各国警察機関の日常的な照会に応じているところであります。日本警察国内で発生した国際的な犯罪の捜査を遂行するについてこれを活用しているところであります。  また、ICPOでは、特に近年は特定の犯罪分野に係る各国間の協力プロジェクトを目的としたデータベースの充実に努めておるところでございまして、例えば盗難車両のデータベースでありますとか紛失・盗難旅券データベースなどを構築しまして、各国、加盟各国の警察機関がこれを活用しているところであります。  それから、ICPOでは国際手配制度を有しておりまして、この制度が国外逃亡被疑者や行方不明者の発見、常習的国際犯罪者に係る情報共有等のために有効に活用されているところであります。  日本警察におきましても、これらのデータベースなどを有効活用しつつ捜査活動を実施しているところであります。
  102. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 個人の大変大切なデータベースですから、この間お伺いしたときは警察の方に聞いたんですが、ICPOのデータベースというのはICPOの本部にあって、日本の方からそれにアクセスすることはできない、あくまでも照会ベースで行わなければならないというふうに聞いております。当たり前のことだと思うんですね。  にもかかわらず、日本の旅行者が、今後IC旅券を導入した際に、アメリカの入国のときにバイオメトリックス情報、顔の情報がアメリカの入国管理事務所に蓄積をされていってしまう。そして、それに対して、日本人が、旅行者が退国をした後にはそのデータを削除するように外務省から要求をしているが、今のところそれに応じていないというふうに聞いているんですが、外務大臣、現状はどういうふうになっておるんでしょうか。
  103. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日本政府は、US―VISITプログラムというプログラムの下でアメリカ政府により取得された外国人入国者からの指紋、それから写真の個人情報が厳格適正に管理されることが重要であると、こう考えておりまして、この点を、規制改革に関する日米間の対話というのがずっと毎年開かれておりますが、そういう場であるとか、あるいはアメリカ政府がいろいろな規制をやる際等にパブリックコメントを求める、それに日本政府としてコメントをする等の場を使いながら米国政府に申入れを行ってきているところであります。  これに対してアメリカ政府は、日本側の懸念を理解をする、そして外国人から採取した個人情報を厳重に管理すべく種々の措置を講じているということを表明をしてきておりまして、そのことは規制改革対話の成果に関する首脳への報告書というものが出されるわけでありますが、その旨も明記をされているわけでございます。  いずれにいたしましても、日本国民の個人情報を厳格に管理しますように、アメリカ政府に引き続き申入れをしていこうと考えております。
  104. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 その報告書に明記をするというお話だったんですけれども、御存じと思うんですが、バイオメトリックス情報というのは、取替え不能な情報であります。普通の住所とか氏名とか電話番号とかいうものはその個人にくっ付いてしまって取替えできないというタイプのものではないんですが、顔ですとかあるいは虹彩ですとか指紋ですとか、こういうものが一度取られてしまいますと、我々が生きている限り、どこに行こうがこれは絶対に取替え不能なタイプの情報であります。そういった情報であるにもかかわらず、またアメリカ入国の際に際して、入国に必要だから渡した情報であって、本人の意思でこういう取替え不能の情報をアメリカの入管に渡したわけじゃないんですね。こういう問題が二つあるわけです。  さらに、近年非常に多発をしておりますけれども、こうした個人情報の流出の事件があります。御存じのように、いったん流出した情報というのはもう際限なくコピーをされて市場に流通をしてまいります。いったん出てしまったものだから、フロッピーで返せばいい、あるいはプリントアウトしたものを廃棄すればいいというタイプの情報ではないんですね。もう際限なく広がっていくという、こういうバイオメトリックス情報、取替え不能な情報、こういう情報が万が一、大臣日本人の罪もない旅行者のバイオメトリックス情報が世界じゅうに流れてしまった場合、一体どういう補償措置をアメリカに対して講じていくおつもりなんでしょうか。
  105. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 補償措置とおっしゃっている意味がちょっと私にはどうもよく分からないのでありますが、ごく最近時点でも、二〇〇五年三月七日、規制改革イニシアチブの下での作業部会のやり取りがございまして、日本側から、先ほど申し上げたような厳格な管理を徹底すべきということに対して、アメリカ側は、個人情報保護の重要性はよく認識をしていると。外国人入国者の個人情報は米国民に対するプライバシー保護と同じ基準で保護しており、プライバシー専門の職員を配置していると。また、関係機関との情報の共有は、法律に基づき他省庁との同意なしに行えないことになっていると。取得した情報は保存期間七十五年と。  こういうようなことで、それぞれの国で持っている可能な限りの手段を尽くしてこうした個人情報を守ると。これは日本においても同様、米国においても同様だろうと、こう考えます。
  106. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 もちろん、日本においても米国においても、個人情報をきっちり守っていくという政府の立場は当然のことながらあると思うんですね。しかしながら、アメリカが求めたIC旅券の中に入っている情報日本の旅行者が全く自ら出したわけでもない情報日本政府が守るというのは、これは当然の話だと思います。  万が一これが漏れた場合には、その出元というのははっきり分かっているわけですね。バイオメトリックス情報、顔情報、今のところ、これからアメリカの入管しか行かないわけですから。そうした場合に、日本政府としてどういう対抗を、対抗措置、今から考えているのか。対抗措置と言うとちょっとあれですけれども、どういうふうに責任を米政府に対して追及をしていくのかという、そうしたお気持ちは今おありでしょうか。
  107. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まあ、犬塚委員のようにありとあらゆることをすべて事前に考えてやるというのはなかなか容易なことではないなと今のお話を伺っておりましたが、重要な問題指摘なので、よく受け止めて考えてみたいと思います。
  108. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 申し訳ないですけれども、ありとあらゆるというよりも、一番基本的な大切なポイントだと私は理解をしております。  次に行きます。  この配付資料の十番ですけれども、国際的なテロ資金対策ということで、今、本人の確認あるいは取引記録の保存、疑わしい取引の届出というものを、FATFというところで四十の勧告、九の特別勧告の完全実施ということで日本政府が決めているようなんですけれども、この平成十八年上半期までに制度整備をするという、ここに目標が出ているんですが、進捗状況をお教えください。
  109. 神余隆博

    政府参考人(神余隆博君) お答え申し上げます。  マネーロンダリング及びテロ資金対策に関します国際的な基準でありますFATF勧告の実施につきましては、昨年十二月のテロの未然防止に関する行動計画におきまして、本年七月までに勧告の実施方法を検討して結論を得るということになっております。これを踏まえまして、現在、関係省庁によります緊密な連携の下に、我が国の現状の把握、必要な措置の検討等を行っているところであります。外務省としても、関係省庁間の意見交換の場の設定等を通じて本件取組の促進に努力をしているところでございます。  その進捗状況について簡単に御説明申し上げますと、これまでの検討を通じまして、我が国として勧告の実施が既に確保されている事項も多くあることが確認されております。一方、勧告の内容や対象によっては新たな措置をとる必要がある可能性の高いものもありますところ、各省庁におきまして、国民生活に与える影響等にも留意しつつ慎重に検討を進めているものと承知をしております。外務省としても、取組の促進のために今後とも協力をしていきたいというふうに考えております。
  110. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、このFATFですか、これの四十の勧告、九の特別勧告について申し上げましたのは、先ほどの個人情報保護の話なんですが、先日来、内閣官房の方に伺っていましたらば、国際的なこういう個人情報を守っていくという取組は承知していないと、こういうふうに言われたんですね。いろいろな取組が、個人レベルでもあるいは自治体レベルでも、あるいはNPO、NGOグループでもいろんな取組はされているんですけれども、こうしたどれかを日本政府として決めて、国際的な枠組みの中でここのところは必ず準拠していくんだと、ここに基づいてアメリカもやってくれよというような話にはならないんでしょうか。
  111. 堀内文隆

    政府参考人(堀内文隆君) テロの未然防止の行動計画との関係で申し上げたいと思います。  テロの未然防止の行動計画につきましては、先ほど申しましたように、今後政府が講ずべきテロの未然防止対策の大きい方向性と期限を示したものでありまして、それで、個人情報保護関係については記載していないわけでございますけれども、今後これらの諸対策を具体化するに当たりまして、先生御指摘の個人情報保護の問題につきましても必要な検討を行いまして、適切なテロ対策になるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  112. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 実は、昨日来ちょっと驚いているんですけど、そういう国際的な基準に基づくという考えはないということを担当の方々から言われておりまして、ここのところは、ひとつしっかりした基準に基づいて個人情報を守っていくという方策をお願いをしまして、次の質問に移りたいと思います。  外務省の方に伺います。  旅券不正使用で我が国入国した過去の主要な例、特にテロリストの例をお教えください。
  113. 三浦正晴

    政府参考人(三浦正晴君) 法務省の方から御説明させていただきたいと存じます。  旅券の不正利用による入国の事例ということでございますので、数件御紹介をさせていただきたいと思いますが、まず一点目でございますが、日本の旅券を不正に取得した外国人がこれを使って日本から出たり入ったりしていたという事例でございますけれども、不法滞在の外国人が居住しているというふうに認められる情報に基づきまして入管の警備官が摘発を実施した際に、たまたま居合わせた男性に事情を聞いたところ、日本語がほとんど話せないという状況であるにもかかわらず、自分は帰化日本人であるというような説明とともに、日本人男性名義の正規な旅券を提示したというケースがございます。  この旅券にはまさしくその場にいる本人のその男性の顔写真が貼付されておったということでございまして、事情を聞きますと、いかにもその帰化に至った経緯というものがどうしても理解ができないようないい加減な話であるということから、鋭意追及した結果、本人は中国人であって、就学ということで日本に来たものの、その後十年ほど不法滞在をしておって、その中でブローカーにお金を払いまして日本人の住民票などを手に入れて、その日本人に成り済ませて旅券の申請を行いまして正規旅券を手に入れた。これを使って外国に行ったり日本に戻ってきたりということを繰り返していたというような事案があるという報告を受けております。  また、もう一点、一件紹介さしていただきたいと存じますけれども、私ども入管では外務省さんの方から失効した日本旅券についての情報をいただいております。これを出入国管理の際に利用をしておるわけでございますけれども、実は、香港から日本の空港に到着した女性につきまして、自分は日本人であるということで帰国の手続をしたわけでありますが、その際に提示された旅券が日本人女性名義の旅券でございました。  これは、身分事項でございますとか顔写真にも改ざんの痕跡ございませんで、正規に日本政府が発給した旅券であるということが確認されたわけでありますけれども、既にその前に外務省の方から情報を得ていたものでございますんで、その女性を追及した結果、彼女はタイ人の女性であるということが判明いたしまして、やはりタイでブローカーから顔や年齢等が非常に似通った日本人女性の旅券を渡されまして、それを持って日本に来たと。その途中、香港などを経由しておりまして、いかにもタイから直接日本に来たということがばれないような形でいろいろ工作をしておったようでございまして、それを裏付けるために、旅券の中に香港に一度上陸したというような偽造された香港の出国入国の証印まで付していたというようなケースがございます。  以上でございます。
  114. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この十六項目の行動計画をもう一度ごらんいただくと、左側に移動手段、入手手段、警備手段と書いてあるんですが、これはすべて日本の水際でテロリストの入国を抑えていこうと、あるいは爆発物や微生物兵器の原料の入手を抑えていこう、あるいは重要な場所の警備国内でしていこうというものばかりなんですね。  その中で、今のお話のように日本国内だけではどうしてもこういう対策を取ることができない、この六番、⑥としてあるんですが、例えば東南アジア諸国との協力ということで、文書の鑑識の専門家の育成と装置の導入の支援ということで、こちらから専門家を東南アジア諸国に送っていると聞いているんですが、その進捗を教えてください。
  115. 遠藤善久

    政府参考人(遠藤善久君) お答え申し上げます。  偽変造旅券等を使用いたしますテロリストの我が国への入国を阻止するためには、諸外国、特に我が国への直行航空便の出発地でございます東南アジア各国の文書鑑識能力の向上を支援することにより、我が国への出国を未然に防止することが効果的と考えられます。このような観点から、先生御指摘のとおり、この行動計画におきましても東南アジア諸国等の文書鑑識能力向上のための支援を行うことがうたわれております。  これを踏まえまして、外務省といたしましては、まず本年三月からでございますが、タイ政府に対して偽変造文書鑑識能力の向上を目的としたJICA技術協力プロジェクトを開始いたしました。具体的には、タイ政府入国管理審査官、これを日本招きまして、集中的に出入国管理や偽変造文書鑑識技術についての研修を行ったほか、さらにタイの出入国管理局に対し文書鑑識専門家の派遣を行いまして、先方に供与する最新の文書鑑識機材を用いまして偽変造文書鑑識能力向上のための支援を行う予定でございます。  また、タイ以外の東南アジア諸国に対する同様の文書鑑識能力向上のための支援につきましても、今後、各国の能力及び取組の状況を見つつ必要な支援を検討していく考えでございます。
  116. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今まで、この行動計画もそうなんですが、こちら岸での水際の対策というのが中心に書かれておるんですが、やはり向こう岸に渡ってテロリストの原因のところから除去していく、向こう岸からやっぱり日本が積極的にイニシアチブを取って国民の安全保障を考えていくということが非常に大事な時代なんだと思います。  そうした中で、日本が頑張っている分野が御存じのように幾つかあるんですが、まずDDRという今の取組、これを御説明ください。
  117. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) DDRの御質問がございました。  これは、武装解除それから動員の解除をして元兵士の社会復帰を成し遂げるというその頭文字を取りましてDDRと言っているわけでございますが、紛争が起きたときにその紛争を解決するということだけではなくて、事前にその紛争の原因を摘み取って紛争が起きないようにしていこう、そのため、そういう考え方で紛争予防というそのやり方の一つと位置付けられておりますが、日本政府におきましては平和の定着という考え方から、紛争後の国家におけるODAの資金を使って平和を構築していこうという、こういう考え方の下に先生御指摘のDDRを積極的に進めております。具体的には、アフガニスタンでありますとかリベリアを含むアフリカの諸国、東ティモールというのがこの典型的な例です。  詳細はあれですので、アフガニスタンの場合だけを取り上げますと、日本がこのDDRについてG8諸国の主導国としてこれまでDDR活動を引っ張ってまいりました。その結果、開始をして一年半たちまして、旧国軍に属しておりました兵士約六万人のうちの四万八千人から五万人に近い人たちが武装解除、動員解除をされて、今いろんな格好の職業に就いて社会復帰を果たすに至っております。日本がこれからも進めていく中心的な外交課題と考えております。
  118. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃるように、DDR、物すごく海外では高い評価を受けております。  もう一つ日本が非常に高い評価を受けている真実和解委員会、今までの経緯と現状を簡単で結構ですから御説明ください。
  119. 兒玉和夫

    政府参考人(兒玉和夫君) お答え申し上げます。  日本がこれまで支援を行ってきております実績のある真実和解委員会は東ティモールのケースがございます。  東ティモールは、一九九九年にインドネシア政府による拡大自治案の受入れかあるいは独立かを問う直接投票が行われまして、その結果、東ティモール住民はその八割が独立を選択をして、その後、約二年半の国連によります暫定統治を経て二〇〇二年の五月に独立をしております。真実和解委員会は、当時の暫定政府によりまして二〇〇一年に独立機関として設立されております。  この委員会は、特に九九年の直接投票後の騒乱時に発生した、いわゆる独立派とインドネシア併合派の間の人権侵害、例えば略奪、放火、暴行といった、そうした行動について関係者からの聞き取り調査を行いまして、真実を明らかにして、両者、加害者、被害者の間の対話を促すことを通じまして東ティモール国民の和解を促進する活動を行ってきております。  日本政府は、これまで、この真実和解委員会活動に対して、二〇〇二年の一月、現在の東ティモール大統領でございますシャナナ・グスマン氏が訪日した際、小泉総理の方から百万米ドルの支援を表明しております。  これを受けて、二〇〇二年の二月、無償資金協力で五十三万ドル、また、二〇〇三年六月、草の根・人間の安全保障無償資金協力で四十七万ドルを供与しておりまして、現在、この真実和解委員会は実質的な活動を終えて最終報告書を作成中と承知しておりまして、これまで司法手続に代わる約千五百件もの和解活動が完了したということでございます。
  120. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 非常に地味ではあるんですが、日本が今まで地道に重ねてきたこういう努力が高い評価を受けているということだと思うんです。  最後になるんですが、新防衛大綱において、昨年の十二月の十日、内閣官房長官の談話としまして二つの、我が国の防衛に関する、国民の安全に関する指針というのも出ているんですが、一つ我が国に直接脅威が及ぶことを防止・排除する、直接の国民の安全、もう一つは国際的な安全保障環境を改善すると、この二本柱でいっているわけですよね。今おっしゃったようなことは地道で余り目立たないんですが、国際的な環境を改善をして、テロリストが来ないと、日本に対する攻撃が来ないという意味ではもう一番大切なことではないか。特に、これからODAや無償供与の使い方を考えていくに当たって一番大切な分野ではないかというふうに考えております。ミサイルが発射された、十分以内にどこか逃げろというような話ではなくて、ふだんからこういう地道な活動をしていくことが私は一番の国民の安全に寄与する行動だと思っております。  そういう話をいたしますと、論理的な帰結といたしまして、やはり一番今、日本が行なってアメリカやあるいは東南アジアの諸国に対して最も大きな影響を持っていると思われますのは、やはり国際刑事裁判所のローマ規程の日本の締結でございます。  これに関してはもう何度も町村大臣にお伺いをしておりますんであれなんですけれども、最近また、これはEU・ジャパン・サミット、今年の五月二日の日にルクセンブルクで小泉総理がEUの首脳と一緒にジョイントの記者会見を行いまして、インターナショナル・クリミナル・コートは非常に大切な機構であるということをはっきりと言っておるわけですね。また、昨年来お願いをしておりましたあのダルフールの、今では四十万人と一説には言われているこの殺害、大量虐殺の件をこのICCに付託をするということについては、日本が賛成票を投じたという非常に前向きなニュースが今伝わっております。  これから、大臣、どうでしょうか、ICCのためのローマ規程締結、これからのカレンダーはもうそろそろできておるんでしょうか。
  121. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員指摘のように、三月の末の国連安保理、スーダン・ダルフールに関する採択において、日本は非常任理事国として賛成投票を投じたところでございます。また、五月二日の日・EU定期首脳協議共同プレスステートメントにおきましても、日・EU首脳は、ICCの役割を、国際的に懸念される最も重大な犯罪の不処罰を終わりにさせる各国の努力を補完する重要な手段であることを認識したということでございます。  こういうことを内外に明らかにしているわけでございますから、かねてより委員の御関心、国内法制の整備を含めてこのICC規程の締結をやらなければいけないということで、先般来御説明をしておりますとおり、非常に関係省庁幅広く影響するものですから、今その国内法の整備をしっかりと、しかし同時に緻密に進めていくという作業をやっております。  申し訳ありませんが、今日の時点でいついつに国会に出せるという御返事ができるほどまだ煮詰まってきておりませんけれども、可能な限り早くこれを締結できるように最大限の努力政府を挙げて取り組んでいかなければいけないと考えております。
  122. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 最後に……
  123. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 時間ですから。
  124. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 はい、分かりました。  最後に、アジア諸国との歴史認識あるいは戦争の記憶ということで今大変に摩擦が起きておりますが、今、日本でなければできない、こうしたことを一つ一つ、地味であろうが何であろうが重ねていくことが一つの突破口になるということを信じて、私の質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  125. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、冒頭、在イラク邦人行方不明事件につきまして一点お尋ねをいたします。  この当該の襲撃を行ったのは武装組織のアンサール・アルスンナ軍である、そういう宣言がなされておるということでございますが、この事実関係確認をしておりますか。また、この武装組織の背景について教えてください。
  126. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 今回、事件の実行犯ということで犯行声明を出しておりますのが、先生おっしゃいましたアンサール・アルスンナというテロ組織でございます。この組織につきましては、元々はこれはアルカイダの関連組織一つというふうに位置付けられている組織でございますが、我々、現時点では、犯行声明のようにこの組織が実際にこの齋藤昭彦さんの事件に関与していたかどうか、ここについての確証はまだ得るには至っておりません。
  127. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の件は、これまでの例と違いまして、危険を伴う業務に自ら就いていたということはありましょうが、しかし一方で、先ほどの御説明でも、このいわゆるイラク復興支援にかかわる仕事に就いていたということも事実でございまして、これは無事に帰れるように政府として全力を尽くしていただきたい、こう思います。  そこで、イラク治安情勢でございますけれども、この先月末の移行政府発足の前後から非常に自爆テロを含む残虐なテロが頻繁、頻発をしておりまして、治安は悪化の一途をたどっていると言わざるを得ないと思います。これは、移行政権発足に伴いまして、今後の政治プロセスの進行を阻止をしたいという、そういうもくろみではないかという見方が多いわけでございますが、外相は今後のイラク治安情勢の見通しについてどう分析をしておりますか。
  128. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに委員指摘のように、三十日の選挙、そして二十八日の移行政府発足後も、地域によりまして脅威の度合いというのは、相変わらずでございますが相当違いはあるようでございますけれども武装勢力との衝突でありますとか車爆弾ロケット弾等によるテロの事案が発生をしていると。悪化の一途をたどっているという表現が適切であるかどうかは、何をもってそう見るかということでございます。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  例えば、例えば一つの見方でありますけれども、米兵が既に千六百人以上実は亡くなっておられるわけでございますけれども、過去の動きというのを見ると、例えば昨年の四月ごろ、昨年の十一月ごろ、特に十一月はファルージャの襲撃、それから今年に入って一月、選挙の直前と、この辺は大体毎月、それぞれの月で米兵の亡くなられた方々が百人を超えるということですが、最近ですと、二月五十八人、三月三十六人、四月五十一人、五月は九日の時点で十九人ということですから、まあ百人を超えるペースではないと。これをもって治安状況をすべて云々するのはいかがかと思いますが、一つの指標としてこれを仮に置いた場合には、悪化の一途をたどっているということでは必ずしもないのではないかと、こう思っております。ただ、依然として予断を許さない状況が続いているということかなと思います。  おっしゃるとおり、新しい統治体系ができる、これに対する強い反発ということ、何とかこの統治体制というものを崩したいという、そういうような考え方が当然反体制グループからはあるんだろうと、こう思われるわけでございます。しかし、それぞれのグループによってそれぞれの理由がまたあるのかなと思われまして、それらがすべて必ずしも明確に分かっているわけではございません。  ただ、新政権も、とにかく自前の軍隊等を養成してイラク治安再建を急ぎたいということで、治安の確保が最大の政府にとっての課題であるという認識は既に再三表明をしているところでございまして、これは米国務省の発表でございますけれども、ごく最近時点で、イラク軍、そしてイラク警察の中で必要な訓練と十分な装備を持った要員は約十五万九千人いるということでございます。このほか、警察、軍ではないけれども、施設の防護に当たる施設防護隊というものが七万五千人いるということでございます。そして、これらの数は次第次第に今増えていると。それぞれの国が訓練に相当の力をかしておりますから、こうした能力というものも、治安能力というものも上がってくるんだろうと、こう思います。  したがって、一遍にこうした無差別テロ等々がなくなるとは思いませんけれども、次第次第に統治能力が増し、また治安能力が増してくれば、こうしたものは次第に低下していくのではないのかなということを、やや期待を持って、含めて言えば、そのような見通しを持っているわけでございます。
  129. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 特に心配なのは自衛隊員が活動しますサマワの情勢でございます。このサマワ治安情勢につきまして、悪化の兆しでありますとか、あるいは住民に何か反日感情が生じているとか、そういうことはございませんでしょうか。これは防衛庁長官ですか。
  130. 大野功統

    国務大臣大野功統君) サマワの情勢でございます。  まず、イラク南東部全体はイラクのほかの地域に比べれば比較的安定しております。その中で、サマワが所在いたしておりますムサンナ県における事件は少ない傾向が現在も続いております。  サマワにおきます事件といいますと、今年に入りまして、注目すべきはやはり一月の十一日、日本自衛隊の宿営地に向けてロケット弾が撃たれました。また、イギリスのキャンプ・スミッティにおきましても、近辺で飛しょう音が聞こえた、ロケット弾が着弾したと、こういうことであります。それが三月二十七日でございます。この二件以外はもう事件がほとんどありません。これという事件ありません。そういうことで治安は比較的安定して推移している、このように考えております。  そのほか注目すべきは、やはりムサンナ県の治安機関が育ちつつある、このことでございます。現在、ムサンナ県、人口約六十万でございますけれども治安組織の要員は五千五百人、言わば百十人に一人の治安要員がいると、こういうことでございます。この治安機関の育成に当たりましては、イギリス軍それからオランダ軍オーストラリア軍、それぞれ貢献していると、こういう状態であります。  さらに、日本人道復興支援活動が民生の安定にやはり寄与している。そういうことからいいますと、民生の安定が治安の安定につながっていく、こういう問題もあろうかと思います。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  いずれにいたしましても、我々としましては、現地の情勢については、予断を許すことなくしっかりと心を引き締めて、自衛隊活動につきましては安全確保、万全を期して頑張ってまいりたいと思っております。
  131. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この移行政権は、正式政府発足に向けまして、憲法草案の策定等非常に重要な任務を負っているわけでございます。  そこで、小泉総理は書簡の中で、この憲法草案に、起草にかかわるイラク人専門家を日本に招いて、国づくりの根幹となるこの憲法の草案の起草について様々なそうしたノウハウを伝授する、そういう意図を表明しておりますけれども、それはどのように具体化していきますか。また、この憲法だけではなく、イラクの法制度の確立に向けても様々な支援をするべきであると思いますが、今後の政府の取組についてお尋ねをいたします。
  132. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 憲法起草に関する知的な協力をしていこうということでございます。  今、イラク側と相談をして検討しているところでございますが、今のところは先方の参加者を十名ほど、議会の議員さんでありますとか、先方の内閣の法務部とか外務省のお役人さん、あるいは学界、こういう方々から十名前後御参加をいただければということで、五月の下旬にそういう言わば勉強会といいましょうか、意見交換の場をつくろうと。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  日本側も、明治憲法、戦後の憲法あるいは現代の憲法に詳しい方々、それからアフガニスタンで制憲、憲法制定支援を経験のある日本の学者もいらっしゃいます。それから、インドネシアあるいはマレーシアという国々でそれぞれ憲法制定したり、あるいはイスラムという観点からその憲法というものとの整合性をしっかりとらえておられる、そういう学者もいらっしゃる。そういう方々も一緒にお招きをして、この憲法制定の下支えをやっていこうということを考えております。  またさらに、その後、憲法に基づいていろいろな法律がまた作られるということになると思います。こうした法制度、法律制度、体系をつくるための支援というようなものもこの憲法制定後に当然必要になってくるであろうと、こう思われますので、今後、来年度の予算等々でそうした取組を具体化していければいいなと、こう考えているところでございます。
  133. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 我が国イラク人道復支援は、自衛隊の派遣とODAによる支援を車の両輪として進めております。このうち、ODAにつきましては五十億ドルの支援を既にコミットしておりまして、そのうちの無償資金協力はほとんど全額決定をされたということでございます。残りの円借款三十五億ドルにつきましては、これは政権が整備されませんと契約もできないでしょうからそれを待っておったわけでありますが、いよいよこの円借款も再開ということが視野に入ってきておると思います。  そこで、外務大臣に、今後、この対イラクに対する円借款の進め方についてお尋ねいたします。特に私は、自衛隊活動しているこのムサンナー州を中心にODAも展開をしていくべきであると思いますし、もう一点は、公明党が力を入れておりますメソポタミア湿原の復元も含めて、環境案件についても十分ウエートを置いていただきたいと考えますが、いかがですか。
  134. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のとおり、十五億ドルの無償資金供与のうち、ほとんどのものは既に実施決定をしているという状態でございます。さらに、その後に来る中期的な復興需要、これは基本的には委員指摘のとおり最大三十五億ドルまでの円借款ということで、既に二回調査を行っております。  これは、JICAが調査団を、直接イラクに入れないものですからアンマンに、ヨルダンのアンマンに送りまして、そこで、一回目は二〇〇三年十二月から二〇〇四年の三月まで、二回目は二〇〇四年十二月から今年の三月までということで、一応五月末を目途に調査結果を取りまとめたいということでございます。  また、イラク政府イラク計画省というものがこの円借款に関する先方の言わば受皿だそうでございまして、今年の四月にもイラク計画省と協議も始まったということでございます。  今後どういう分野でこうした円借款を活用していくのか。よく地元の情勢を踏まえながら必要なものに絞ってやっていきたい、そう考えているところでございます。  非常に多様な幅広いニーズがあるんだということでございまして、これは日本独りがもとよりやるべきものではない、国際社会協力してやっていくことになるだろうということで、特にイラクのその復興支援については、先般ブッシュ大統領がヨーロッパを訪問したときに、欧州と、EUとアメリカでそういった会議を開こうではないかと、こういう提案がなされ、EUもそれはそうだということになりました。先般、私、京都でEUの委員会委員とASEMの会合の傍らで話し合う機会がありまして、その折に、日本もこれまでの実績があるし参加をしますよという話をし、もう大歓迎だと、是非一緒にやろうという話も出されているところであります。  どういう分野をということで、今ムサンナ県あるいはメソポタミア湿原を始めとする環境案件というお話がございました。そうしたことも念頭に置きながら、例えば、日本は伝統的に例えば人材育成などというのも大変得意な分野でございます。そうした日本が得意とする分野を含め、また国際的なある種の役割分担も図りながら、ODAというものがうまく活用できるようにしていきたい。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  ただ、何といってもまだ日本側のそうした専門家が現地に入れるような治安情勢ではないという制約があるというのが現在のイラクの姿なものですから、もうもちろんイラク政府のお役所の方々とは話ができるんですが、実際にやっぱり日本の技術者等が現地に行って現場を見てということがODAを的確に実施する際にはどうしても必要でございますので、その辺がいつ本格的に始められるかといったようなことも、治安情勢もよく見極めながら進めていきたいと、かように考えております。
  135. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 大野長官お尋ねいたします。  長官も、イラク復興支援の在り方につきましては、今のこの自衛隊活動中心というところからODAを主体とする方向に移行していかなければいけない、そういう認識はもちろんお持ちであろうかと思います。  そこで、先ほどの御答弁では、まあそうは言っても、この年末、いわゆるこの正式政権の樹立、あるいは派遣計画の活動期限というのは、派遣期間というのは十二月十四日でございますけれども、それまでは現地で頑張っていくという、そういう方針であると承知をしてよろしいですか。
  136. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 十二月十四日が期限切れということでございますけど、当然のことでございます。
  137. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非頑張っていただきたいと思います。  最後に、村田大臣に、この国民保護国民保護基本方針の推進につきまして、今後、国、地方公共団体、指定公共機関及び指定地域公共機関、この間の連携がスムーズにいきませんと実効のある国民保護は実現できないわけであります。この点どう取り組んでいかれるのか、大臣の決意を聞きまして、終わります。
  138. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 国民保護措置を実施していくために国と地方公共団体あるいは指定公共機関等が連携をしていかなければいけないということは明らかでございまして、これは国民保護法の中にそういう規定が具体的にもございますし、それから基本指針の中でもそういうことの記述があるわけでございます。どういう面にわたるかというのは、そもそも、基本計画あるいは基本業務計画、業務計画の作成に当たっても、国はその公共機関、公共機関あるいは地方公共団体等を指導をしているし、まあ具体的に地方公共団体等が作られた業務計画等につきましては協議を受けるということで、相互にやり取りがあるということで、そこでも連携が図られるということになると思います。  さらには、警報システムの準備とか訓練のやり方、啓発の、国民に対する啓発の方法、すべての面にわたりまして、計画の作成から実際の啓発あるいは訓練の実施等を含めまして、国と地方公共団体あるいは指定公共機関との連携が私はこの国民保護措置の実施に際してのかぎとなると、こういうふうに思っております。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 周辺事態に関する日米間の協議について、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  先月八日、ハワイで開かれました外務・防衛当局による審議官級の協議において、周辺事態が発生した際の対応について話し合われたと、そう報じられております。  四月の十二日の会見で大野長官は、米軍への提供施設の検討状態について、具体的な施設の名前は挙げられなかったけれども、話は進んでおりますと述べられております。進んでいると言われるわけですけれども、どこまで進んでいるのかをお伺いしたいと思います。
  140. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 日米間のただいまのトランスフォーメーションの協議でございますけれども、様々な問題点について協議を行っております。今御引用なさいました私の会見につきましても、ここに記録ございますので見ておりますが、必ずしも周辺事態のことについて申し上げたわけではなくて、いろんな意味での議論が進んでいるということでございます。  したがって、あの時点での段階、今もそうですけど、具体的にどうこうというような話はできませんし、その時点でも今でも同じでございますが、まだ何らか具体的な話が決まったという状態ではありません。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣はトランスフォーメーションと言われましたけれども、周辺事態における米軍の提供施設について具体的な検討に入っているのかという、そういう質問に対して、私も手元に記録がありますけれども、具体的というか、話は進んでおります、そう述べられておるんですよね。ですから、その点をはっきりと述べていただきたいと思うんです。私は何も、具体的にどういう、施設の名前をということを聞いているんじゃありません。この検討どういう、どう進んでいるのか、そして検討に入っているのですかと、そこをお尋ねしております。
  142. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 先ほど申し上げましたとおり、あらゆる面での日米間の協力についてやはり話し合っている。これはガイドラインでも言及されておりますけれども、協議は常に続行していこうと、こういうことでございますから、当然のことながら、いろんな場面、周辺事態も含めていろんな場面で協議はあるわけでございます。  ただ、私がここで特に頭の中に置いて申し上げたのは、周辺事態ということではなくて、全体の話としてそういう話はやっておりますと、ただ、具体的には何も決まってませんと、こういうことを申し上げました。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いずれにしても、日米のその協議の中では周辺事態も含まれるということは明らかであります。  その点で私、特にお伺いしたいと思うのは、例えばそういう際に、周辺事態の際に、協議では施設の具体的な名前を触れたりとか、そういうことというのは出ているんでしょうか。
  144. 大野功統

    国務大臣大野功統君) これは、いろんなアイデアを交換するということはあり得ると思います。  ただ、今回のはトランスフォーメーションの協議でございますから、話はやはりいわゆる日米の、米国の再編成、軍事の再編成問題、これが中心になっているわけでございます。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が尋ねているのは周辺事態の件なんですけれども、トランスフォーメーション、そしてまた日米間の協議というのはいろんなケースがあると思います、当然。有事、日本有事のこともある、周辺事態のこともある。しかし、その中で、そういうことを併せていろんな話を進めているという、そういう理解ですよ。そういうふうに認められたと思います。  それで、ひとつ米軍の側から提供施設の具体化について、例えば提供の可能性のある施設を決めておきたいという、そういう要望はあるんでしょうか。
  146. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 具体的にこの施設を使いたいという場合にいろんな意味合いがあると思うんですね。今、自衛隊基地を使う、あるいはその他の基地を使う、いろんな問題があります。それから、それを取り巻く国際環境というのがやはりあります。国際環境が変化していけば、やはりそういうことも変わってくるわけでございます。ですから、常に協議は続行していく、こういう姿勢でその辺は、その辺というのはつまり周辺事態等の問題ですね、はいつも協議しておく、こういう姿勢でございます。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり、私はこの問題はやはり重大な問題だと思うんですよ。  というのは、周辺事態法の中では、提供施設の問題というのは、地方自治体の長、その施設の管理者、これが協力を要請を受けてどうするかを決めるという、そういう取決めになっているわけですよね。そういう中で、しかしその辺について、その長にも様々な形で連絡が行かないまま、あるいは更に言うならば、国民に対してきちっとした形で問題が提起されないまま、いろんな形で話が進んでいく。今大臣は、周辺事態も含めていろんな形で話は進んでおりますと、そうおっしゃられたわけですけれども、私はこういうことがあってはならないと思うし、また検討されているならば、どういう検討を進められているのかということをきちっと明らかにしていくのが筋だと、そのことをはっきりと申し上げておきたいと思うんです。  その上で、アメリカが自ら戦争を戦う場合、あるいは軍事行動を起こす場合、これは、あらかじめ使用できる施設、これを事前にはっきりさせて、そしてまたそれをシミュレーションに盛り込む、これがアメリカ軍の軍事行動の通常の形だと思うんですね。アメリカというのはあらゆるケースを想定してシミュレーションをつくっていく。とりわけ軍事においてはそういう形が行われていることはもう周知のことです。そうでないと、実際に軍事作戦行動を取るときにアメリカ側に困難が生じる、作戦上困難が生じると、このことは明らかだと思うんですね。しかし問題は、周辺事態で使うかもしれない日本の施設を事前にそういう計画に盛り込んでいいのか、そのことが問われると思います。  私は、アメリカのウオープラン、作戦計画に日本の施設を盛り込むべきではない、そう考えますけれども長官のお考えを、率直なところをお伺いしたいと思います。
  148. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、様々な施設を米軍が使う可能性のことにお触れになっていらっしゃいますが、これはもう今御指摘いただきましたように、例えば民間の、例えば管理しております、地方自治体が管理しております港湾とかあるいは空港でございます、これはもう当然のことながら特定公共施設利用法によりましてまずお願いをしなきゃいけない、こういうことでございます。だから、これは勝手に決めたりなんかする、こんなはずは到底ありません。  それから、もう一つの問題点は、先ほども申し上げましたけれども、やはりいつも、いつも固定的な考え方ではなくて、例えば国際環境変わっていくわけですから、そういうことも念頭に置きながら、やはり常時いろんなことを念頭に置いて協議していかなきゃいけない。この問題があります。  こういうことを踏まえて申し上げたいと思いますが、例えば自衛隊米軍の周辺事態における協力、あるいは武力攻撃事態において共同する対処あるいは共同して対処する場合、あるいは新たな脅威や多様な事態への対応、そしてまた津波災害等の救援などを含めて国際的にどういうふうに共同作業をやっていくか、オペレーションをやっていくか、こういう問題があろうかと思います。こういうふうに新たな安全保障環境の下における様々な課題にやはり実効的に対応するための役割とか任務とか、こういうことはきちっと日米間で協議しておかなきゃいけない、このことを改めて申し上げたいと思います。  なお、協議につきまして、もう少し詳しくというお話があるかもしれません。しかし、これは事柄の性質上、答弁を差し控えさせていただきたい、このようにお願いする次第でございます。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 法律に沿わなきゃいけないと答弁されながら、同時に国際環境云々ということを述べられる。私は、法律に従うと、それのみだと思うんですよね。今や、周辺事態と有事と一緒に述べられましたけれども、自治体との関係では違うんですよ、明確に、法律で定めるところが。きちっと認識いただきたいと思うんですね。  そこでお伺いしたいんですが、周辺事態が起きた際に米軍に優先利用させる空港や港湾の名前や使用内容を定めた指針を作ることでさきの審議官級協議で大筋合意したという報道がありますけれども、それは事実でしょうか。
  150. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、米軍に優先して使用させるこの施設、港湾とか空港、こういうことは、先ほども御説明申し上げましたとおり、これは周辺事態法にかんがみまして、まずお願いをしなきゃいけない、こういうことでありますから、そういうことはあってはならない、当然のことであります。したがいまして、そういう事実はございません。  それからもう一つ。先ほど私、特定公共施設利用法と申し上げましたけれども、これは周辺事態法の誤りでございます。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府は今後、事前の指定や策定を検討していくつもりですか。
  152. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 事前の策定と申しますと、そういう……
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 施設に対する。
  154. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 施設の、事前に米側と協議して、こういう場合にはこうだということでございましょうか。そういうことも念頭に置かなきゃいけないかとも思います。しかし、今は御存じのとおり、このトランスフォーメーションの協議をやっているわけです。  それからもう一つは、先ほど来委員が御質問、御指摘なさっている問題点というのは、常に協議をしておかなきゃいけない、こういう形でございます。
  155. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり、大臣、念頭に置かなきゃならないというのは、やはり重大答弁だと思います。これは法律に沿ってやる場合、事前に日米間でその協議を進めたら、自治体が、協力を要請するとか、その前にそれを進めることになる。そのことは正に自治体に対する、今の大臣の答弁もある程度含めてだと思いますけれども、やはり自治体に対する圧力になる、そうなると思います。  それで、いずれにしても、先ほどから言われているように、大臣は、協力要請とか協力依頼、これが周辺事態法の自治体との関係、趣旨だということを言われております。これは間違いありませんよね。これは先ほどから言われているとおりです。  そうすると、私は、あくまで協力の依頼ということが言われ、決められている、法律で決められている、その一方で、大臣が事前指定を念頭に置いて云々ということは明らかに周辺事態法、正確に言えば九条に、趣旨に反する。九条は、自治体に対して必要な協力を求めることができるとか依頼することができるとか、そういう定めですけれども、明らかに逸脱することになるんじゃありませんか。
  156. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私が申し上げている、そういうことを念頭にと確かに申し上げましたが、それは事前指定という、事前にそういう指定のことを考えてやっていると、こういう意味じゃありません。やはりまさかのときには、どういうようなことを、どこをどうしなきゃいけないなということもやっぱり念頭に置きながらということでございますので、強制的にそれをどうするとか、そんなことは一切やっちゃいけないことでございます。それは当然のことで。  しかしながら、やっぱりこういう事態になったらこうだろうな、アイデアの交換としてやっていかなきゃいけないし、そしてそれは常時そういう形で協議はしておこうというのが安全保障上大変重要な意味合いを持つことでございます。
  157. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり大臣の今日の答弁、やはり重大な点が含まれていると思いますよ。  私の質問は、事前指定や策定を検討していくのかということについて、念頭に置かなきゃならないと明確にお答えになった。あるいは最初の質問で、周辺事態のことも含めてアメリカと様々な形で話を進めておりますと、そうも答弁された。そうすると、この法律に定める地方自治体の長が管理者となっている民間の施設、これに対する事前指定等々、それはその責任者の頭を飛び越して既に日米間で協議されているということになるじゃありませんか。私は、これは大間違いだということを痛感するわけです。  そして同時に、私は、なぜ周辺事態法の中で求めや依頼としたのか、その経過が非常に大事だと思います。事態の緊急性、緊要性を考慮して入れたのだという、それが政府のこの間の説明でした。しかし、今それを、トランスフォーメーションがあるから、様々な脅威があるからと、そういう形でそれをほごにしていく、それはとんでもない、このことを申し上げたいと思います。  そして、法律では、最終的に、民間の協力の求め、依頼による、そう決まったわけですから、私は、今念頭にあると言われた提供施設の事前の指定、そうしたものについてはきっぱりやめる、このことを要求して、質問を終わりたいと思います。
  158. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後でございますので、よろしくお願いいたします。  まず、外務省に伺います。  拘束されている齋藤昭彦氏は、本部がキプロスにあるハートセキュリティー社イラク支店に所属し、この会社イラク米軍から警備などの業務を請け負っている会社だと報じられています。  このような会社に勤務している日本人が今回のように武装勢力に拘束された場合、例えばジュネーブ条約で定められた保護の対象となるのかどうか。法的な、その辺の法的な立場はどうなっているか、教えてください。
  159. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ジュネーブ諸条約が適用される国際的な武力紛争とは、二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争をいうと、こう定義上なっております。そして、ジュネーブ諸条約上、捕虜とは、そのような紛争の当事国の軍隊の構成員等で敵の権力内に陥ったものをいうと、こういう定義のようでございます。  したがって、こうした御指摘のような、この今回のような民間人の取扱いについて、そもそも二以上の締約国と言えるのかどうかとか、あるいはこの定義に照らして捕虜に該当するか否かについて、なかなかこれ個別具体的に判断するのは難しい問題だなと、こう思っておりまして、まだ何しろ実態も必ずしもよく分からないという状態なものですから、今ここで明確にちょっとお答えすることは大変難しゅうございます。
  160. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  イタリアのベルルスコーニ首相は、去る四月、イラクに派遣している自国軍三千人を来たる九月から段階的に撤退させることを明らかにしています。中東研究の専門家や軍事アナリストは、イタリア軍の撤退でイラク南部における自衛隊の存在感が高まって自衛隊に対する潜在的危険が高まるだろうと懸念を示していますが、防衛庁長官はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  161. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、三月十五日、イタリアのベルルスコーニ総理がテレビ番組の中で、イラクにおける我々の兵力数の段階的制限、これは九月から始まるであろうと、こういうふうに述べております。しかし、同時に、これはイラク政府によるイラク治安組織の構築能力に大きく依存、依存すると、こういうふうにも述べておるわけでございます。  この発言につきましては、イタリア軍を削減していく時期については、イラクにおける治安維持任務イラク治安部隊に移譲していくとの多国籍軍の取決めの進捗状況を踏まえ判断していこうと、こういうことだろうと思います。したがって、直ちにイタリー軍を撤退させるということではないのではないかと思っております。  また、同じく、ベルルスコーニ総理は、五月五日でございますけれども、上下両院におきまして、新政府が自ら治安維持でき、新政府が我々の支援を必要としないとするまでイラク復興のためのイタリアのコミットメントを継続する、このようにも述べているわけでございます。  我々としては、いずれにしましても、この日本自衛隊活動というのは現地で大変大きな共感を呼んでいる、このように見ておりますし、また各国からも高く評価されているわけでございます。我が国独自の判断で考えていく、意味は、安全確保に十分留意をして、このイラク復興、我々、目的、国際的な目的が達成され、先ほど来議論しております四つの問題点、視点を中心に判断できる、こういうときが来るまで国際的な枠組みの中でイラクの復興のために貢献していく、こういうことでございます。
  162. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 続きまして、国民保護法制について担当大臣にお伺いいたします。  国民保護法第一条四項で定められている武力攻撃災害について、「武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害をいう。」と定義されています。  武力攻撃災害と自然災害との間にその内容において何らかの違いがありますか。あるとすれば具体的にお示しください。
  163. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) お答えいたします。  武力攻撃災害の定義につきましては委員が今引用されたとおりでございまして、一般の自然災害の定義と区別をしておるわけでございます。  しかし、起こります事象は人の死亡であるとか負傷あるいは火事、爆発、放射性物質の放出等でございますので、その対処に当たる措置というのは類似をしているわけです。  しかしながら、基本的に違いますところは、自然災害の場合には地方団体がその対処措置の中心となり主体的にその措置を講ずるわけでございますが、この国民保護法におきましては、国が地方団体に対して指示を行いまして、国と地方団体が相互に連携して一体となって対処をすると、ここが大きな違いでございます。
  164. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 内閣府にお願いいたします。これは通告はしてございませんが、基本的なことですのでよろしくお願いします。  この保護法、国民保護法制をお作りになるときに、過去の戦争の体験をどのように取り入れて、どのように生かそうとお努めになられたか、教えてください。
  165. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) さきの大戦におきましては、国民保護に係る措置というものが十分に講じられなかったために、多くの国民が戦渦に襲われ、避難が十分できなかったと、こういう反省があったわけでございます。  そのため、今回の国民保護法制におきましては、住民をいかに安全に、速やかに避難させるか、そのための仕組みをどうするかということに十分留意しながら体系を組み立てたわけでございます。
  166. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 武力攻撃事態や有事事態の場合、我が方が優勢の場合と劣勢の場合とでは、国民を避難させる、住民を避難させるそのやり方において根本的に違うと思いますが、その辺のことは検討なさったんでしょうか。
  167. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) 武力攻撃事態、これは武力攻撃事態になった場合、それから予測される事態、その事態においていかに国民を安全に避難させるか、そして起こりました武力攻撃災害をいかに最小にとどめるか、これが課題でありまして、我が国が優勢であるか劣勢であるかにかかわらず、国民の安全を最優先に考えるということでございます。
  168. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜこういう質問をするかと申しますと、実は去る沖縄戦のときに住民を九州に避難させるということを決めたんですが、ところが負け戦ですから船があるいは飛行機が全く利用できずに、また、船で疎開させようとしたら途中で敵の軍艦に沈められてしまうというような事態が起こったわけですね。  ですから、政府が幾ら力んでも、劣勢の場合には今の日本のような多くの島々を抱えているところでは極めて困難といいますか、不可能な場面が出てくると思うんですがね、そのような点はどういうふうにお考えでしょうか。
  169. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) これから国民保護をいかに円滑に行うか、そのための国民保護の計画をこの国民保護基本指針に基づいて各省庁それから各地方公共団体、そして指定公共機関にお作りいただくわけでございまして、過去の大戦の反省にかんがみて十分に国民保護措置が行われるようにしていく必要があると思っております。
  170. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁にお伺いいたします。  地方自治体は、これまで平和憲法の精神に沿って自治体に課せられた住民の生命、身体、財産を守るという使命を果たせばよかったのですが、これからは有事においてもその使命を果たさなければならなくなりました。しかし、自治体には有事の際の対処について余りノウハウは持っておりませんから、軍事的知識と経験を持つ自衛隊あるいは自衛隊員OBの協力を求めざるを得ません。そのため、都道府県において自治体の防災や国民保護計画に関する部門に退職自衛官を採用するケースが増えていると報じられています。  現在、退職自衛官が自治体の防災部門に再就職している都道府県と市町村の数及び在籍している退職自衛官の総数について教えてください。
  171. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  防衛庁といたしましては、国の防衛という任務に携わっております自衛官が退職後、その在職中に培いました専門的知識を生かして退職後も地方公共団体に採用されるということにつきましては、自衛隊と地方公共団体との緊密な協力関係を構築して相互の連携の強化を図るということに寄与するという格好で良いと、いいことであるというふうに考えております。  そしてまた、他方、これは地方公共団体にとりましても、そういうふうなノウハウを防災あるいは各種の危機管理の際に生かせるということで、非常に歓迎されているところでもございまして、これまでのところもこういう退職自衛官の採用等についての問い合わせについては積極的な情報の提供等をやってまいっております。  今後もこれを続けていきたいと思っておりますが、先生今お尋ねの数、現在における数ということでございますが、三月三十一日、今年の三月三十一日現在でございますが、一都一府二十五県、これは県でございます、県レベルでございますが、三十二名行っております。それから、市レベルでは十九市二十二名。合わせて、両方合わせ五十四名の退職自衛官が現在在職しておるということでございます。
  172. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にいま一つお願いいたします。  去る四月二日付けの読売新聞は、陸上自衛隊は来年二月、熊本で行われる自衛隊と米陸軍との共同図上演習に九州・沖縄八県の危機管理担当者を参加させる方向で検討に入ったと報じていますが、これは事実でございますか。
  173. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大田委員指摘の日米共同方面隊指揮所演習でございますけれども、これは従来から日本が攻撃を受けた場合の日米共同訓練と、こういう趣旨で続けてきているものでございます。五十六年度以降毎年度、日本及びアメリカでやっております。コンピューターを用いて行います図上訓練でございます。来年は一月から二月にかけまして西部方面隊でこれを実施いたします。  自治体の管理官をどうするかと、こういうお尋ねでございますけれども、本年度、つまり来年一月、二月に行われます訓練につきましては、現在その内容について検討中でございます。こういう訓練をするに当たりまして、今お尋ねのあったような自治体関係者が直接参加する、こういうことを前提とした訓練ではございません。ただ、今、大田委員御自身が御指摘なさっておられましたとおり、国民保護法制と自衛隊の訓練の関係は、これは考えていかなきゃいけないのではないか、こういう問題意識はございます。国民保護法制を踏まえた地方公共団体あるいは地域社会との協力を推進する、このことは大変重要だと思っておりまして、今後、訓練の取組方等については検討をしてまいりたいと思っております。
  174. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あと一つだけ。申し訳ありません、防衛庁長官お願いいたします。  長官は、五月一日、訪問中のフィリピンのマニラ市での記者会見で、今年の八月中旬にシンガポールで行われる大量破壊兵器の拡散防止構想、PSIに伴う合同訓練に自衛隊の艦船や航空機を派遣する趣旨のお考えを明らかにされたようでございますが、何の目的で派遣するんでしょうか。
  175. 大野功統

    国務大臣大野功統君) やはり我々の役割、責務というのは、平和国家として国際安全保障環境を良くしていく、そのために大量破壊兵器の拡散を防止していく、こういうことも一つであります。したがいまして、このPSIというのは大変大きな課題ではなかろうか、国際社会が一丸となって取り組む、取り組んでいく必要があると信じております。  このPSI、拡散に対する安全保障構想でございますけれども、こうした取組につきまして、防衛庁といたしましても日本の安全保障上あるいはいろんな意味合いから積極的に取り組んでおりまして、昨年の十月には日本でこれを、PSI海上阻止訓練として日本が主催いたしました。次はPSIのシンガポールでございます。シンガポールが八月に主催を予定しております海上阻止訓練に防衛庁としても今申し上げましたような趣旨から、核拡散しちゃいけない、これはもう本当に安全保障環境を良くしていくんだ、いろんな紛争を未然に予防していくんだ、こういう観点から、私ども是非とも防衛庁として自衛隊の艦艇や航空機を派遣したいな、こういう考えでございます。  主催国でございますシンガポールあるいは関係官庁、海上保安庁等ですね、こういうものもございますけれども、必要な調整を実施した上、調整をいたしました上、自衛隊の艦艇あるいは航空機を派遣したい、このように考えております。
  176. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  177. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会