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神風英男君
民主党の
神風英男です。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
農林物資の
規格化及び
品質表示の
適正化に関する
法律の一部を
改正する
法律案、いわゆる
JAS法の
改正案に対し
質問をいたします。(
拍手)
質問に先立ち、
日本時間の本日未明に
情報が入りました
イラクにおける
邦人拘束事件について、
町村外務大臣にお伺いします。
まず、現
段階で把握している
状況について御
報告をお願いします。同時に、
政府としての対応方針をお示しいただきたいと思います。
政府の
イラク情勢認識並びに対
イラク政策について、改めて
大臣のお
考えを伺います。
テロが断じて許されるべきでないことは言うまでもありません。私
たち民主党としても、
情報が流れた
段階から速やかに対応を始め、既に
対策本部を設置し、動いております。
政府は
邦人保護の責務を果たされるよう強く求めます。
さて、今回の
邦人拘束事件にしても、このような社会的不条理に対応していくのが政治の大きな
役割ですが、これまでの自民党農政あるいは
農林水産省の政策は、農家に不条理を押しつける失政の連続であったと言わざるを得ません。(
拍手)
以前、東北地方のある畜産農家の話を聞いたことがあります。その方は、国や県の
指導に従い畜産を始め、百頭の肉牛を飼う大規模経営の畜産農家となりました。まさに一日も休まず、朝四時から夜七時まで夫婦二人で十三年間働きづめに働いて、残ったものは一億八千万円の借金であったそうです。
また、三千万円の借金を苦に猟銃で自殺をした三十九歳の大規模な養豚農家もおりました。ひとり年老いて残された母親は、自殺した息子の生命保険で農協へ千五百万円の借金を返し、残りは資産を処分して返済をされました。
このほかにも、七人の農家がその
地域で借金を苦に自殺をしました。
いずれも、当時の国や農水省の方針に従いながら規模拡大を図った畜産農家であり、彼らは極めて勤勉で質素な働き者ばかりです。
農業政策の難しさは各国共通の課題であり、単なる経済政策の
視点を超えた独自の理念や哲学が求められます。つまり、農政ほど、国によってその理念や哲学が異なる政策分野はないと
考えられます。
これまで小泉総理から、農政についての言葉を聞いたことはほとんどなく、郵政民営化で示されるような政治家としての熱を感じたことは全くありません。
そこで、現政権の農政における理念、哲学を
農林水産大臣に伺います。
また、食の安全についても、各国の認識は異なっております。
日本の食中毒患者数は毎年二万人から四万人台で推移をしており、死亡者数についても、
平成十四年の十八人が最も多く、例年、一けたの死亡者数にとどまっております。
それに対しアメリカでは、食中毒を担当している疾病
管理予防センター、CDCが
公表している推計値によりますと、
食品由来の疾病により毎年約七千六百万件の病気、三十二万五千件の入院が発生をし、約五千人が死亡しております。そのうち、千八百人は既知の病原体によるものですが、残りの約三千二百人は未知の病原体による死亡であるとされています。
このような食中毒の
管理体制をとっても、これだけ大きな隔たりが日米間で存在しています。そこで、BSE問題を含めた日米交渉の場において、このようなアメリカのずさんな食中毒の
管理体制について、これまで指摘をしたことがあるのでしょうか。あるいは、こうした現状にかんがみ、今後どのようにBSEの
管理体制の
向上をアメリカに要求していくのか、厚生労働
大臣、
農林水産大臣にお伺いいたします。
また、去る四月二十七日、来日中のランバート・アメリカ農務次官補は、アメリカ大使館で
民主党の鮫島「次の内閣」農水相と会談をした際に、BSE発生でとまっているアメリカ産
牛肉輸入の再開問題で、アメリカの輸出
業者が自主的に全頭検査をすると決めた場合も、アメリカ
政府として
行政指導で禁止すると述べたと聞いております。
理由については、検査をしたからといってBSEではないという証明にはならない、そういう検査は意味がないとの
説明であったようですが、食中毒の
管理すら満足にできない国に言われる筋合いではないと思いますが、このようなアメリカの態度に対して、どう抗議をされるお
考えなのか。これまで農林水産
委員会において四十一回にわたり、アメリカ産
牛肉の輸入再開については
日本と同等の
措置をアメリカに求めるとしてきた
日本政府としての主張を、政治家の言葉の重さをしっかりと自覚した上で、
農林水産大臣にお答えをいただきたいと思います。(
拍手)
さて、本題に入ります。
そもそも
JAS制度の基本的な目的は、
食料品等の
品質の
向上、まがいものや粗悪品の防止を行い、
消費者の
商品選択の
基準に資すること。そして、
JAS規格に適合しない
商品を排除することにより、
生産、
流通、
販売業者の適正な競争を図ることにありました。
しかし、昭和二十五年の
農林物資規格法の
制定以来、五次にわたる
改正を行い、
規格内容の追加や
格付方法の変更を行った結果、現在の
JASマークは、品位、成分、性能等の
品質基準を定めるいわゆる一般JASに加え、
生産方法についての
基準を
内容とする特定JAS、有機JAS、
生産情報公表JASなど、多様にわたる
表示となっています。そのため、
消費者は、
JAS制度そのものは認知をしていても、
JASマークとは、まがいものではないという意味なのか、
品質がよいという意味なのか、把握し切れていないのが現状です。
また、
JAS制度は、
農林水産省の
食料消費に関する
施策の一環として
位置づけられてきたため、厚生労働省の
食品安全政策とは別の政策となっています。その結果、
食品の
表示について、
JAS法のほかに
食品衛生法、薬事法、健康増進法、景品
表示法、
消費者基本法など、他の法令との整合性がなく、余りにも複雑となり、小規模零細
業者にとってはその対応が困難になっている面も否定できません。
政府は、
JAS制度のあり方
検討会の
報告において、
JAS制度見直しの
趣旨は、
消費者の食に対する
信頼性のさらなる
確保と新しい社会への対応を見据えたものであると述べていますが、今回の法
改正では、
流通の
方法についての
基準を
内容とする
JAS規格の
制定と
登録認定機関制度の
改善の
二つの柱しかなく、
制度見直しの
趣旨が実現できる
内容とは到底思えません。
今後早急に、
JAS制度について、
消費者ニーズや社会の
変化に対応した
改善を行うべきであり、
消費者にわかりやすい
JASマークのあり方と他の関連法による
表示のあり方との一元化を図るべきであると
考えますが、
農林水産大臣、厚生労働
大臣に
政府の見解を伺います。
次に、
登録認定機関制度について伺います。
今回の
法律改正では、
JASマークの貼付について、今までの
農林水産大臣による
JASマークを貼付できる
製造業者の
認定や、
登録格付機関、都道府県及び
独立行政法人農林水産消費技術センターによる
格付が廃止をされ、
大臣に
登録された
民間の
第三者機関である
登録認定機関のみが
認定を行うこととなります。
しかし、
登録基準を、
行政裁量の余地がない形で
登録が可能となるよう
法律に規定しているとはいえ、あくまでも
民間機関であることから、競争原理や利益
確保が働くことは否定できず、
機関そのものの質が低下したり、
製造業者の
認定に際して不公平になる
可能性があるのではないか、あるいは、
民間任せできちんと食の安全、安心が
確保されるのかなどの問題点も指摘をされています。
これに対し、
農林水産省は、
登録認定機関への適合命令、
業務改善命令を新設するとともに、
登録要件を満たさなくなった場合には
登録を取り消すことにより
JAS制度の
信頼性を
確保するとしていますが、今までこの種の問題に対する役所の対応を見る限り、
登録機関に問題が生じた場合、迅速に対応できるとは思えません。
これらの問題について、
農林水産大臣の見解を伺います。
また、この
民間の
登録認定機関が
農林水産省の天下り先になることはよもやあるまいとは思いますが、この点についてもあわせて明快な答弁をお願いいたします。
次に、
品質表示のあり方について伺います。
現在の
JAS制度では、
品質表示基準制度によって、生鮮
食品については名称、
原産地を、
加工食品については名称、原材料名、
内容量、
製造業者名、賞味期限、保存
方法等の
表示が義務づけられていますが、これらは、
事業者が
消費者に対して最低限伝えるべき
情報についての
表示であります。
しかし、近年の
消費者の食の安全、安心への志向にかんがみると、現在の
表示義務に加え、飲
食料品等の
生産過程を含む
情報を明示することが、
消費者ニーズにこたえることになり、また
事業者にとっても
消費者から高い評価を得る機会になると思われます。
こうした
観点から、
加工食品の原料
原産地表示も進めるべきであると
考えますが、現状では、生鮮
食品に近い
加工食品二十
品目群についてのみしか実施をされておりません。
すべての
加工食品について厳密な原料
原産地表示を行うことは困難でありますが、その
必要性の高まりを
考えたとき、今後
政府として、
加工食品について原則として原料
原産地表示義務を課し、技術的に不可能なものについて除外規定をつくるのか、あるいは随時
加工食品の種類に応じた
表示義務を課していくのか、どちらが
消費者、
事業者を含め、
国民生活にとっての有益性が高いと
考えるのか、
農林水産大臣の見解を伺います。
また、
JAS法において建材の
品質表示義務をかけるべきであるとの
意見もありますが、この点についての見解もあわせて
農林水産大臣に伺います。
ことし、
日本が戦後六十年を迎える一方で、ベトナムでは四月三十日、ベトナム戦争終結三十年を迎えました。
このベトナム戦争に関し、昨年
イラクで犠牲となってしまった橋田信介さんが、その取材当時、滞在していたメトロポールホテルで開催されたハノイ対話は、大変大きな衝撃でした。
三百六十万人のベトナム人が殺され、五万八千人のアメリカ人が命を失ったベトナム戦争について、当時のアメリカ国防長官のマクナマラ氏の呼びかけによって、我々はなぜ戦争をしたのかを、アメリカ、ベトナム双方の戦争
指導者
たちが四日間にわたって検証をした
会議です。
その結果、共産主義の広がりを阻止しようとしたアメリカと、ただ民族の統一、民族自決権を求めていたベトナムと、戦争の目的についてさえ双方の認識は全く異なっていたことを知らされました。
つまり、アメリカが共産主義の拡張を防ぎ、ベトナムが統一を果たすことは、戦争をしなくても、ともに達成できたはずであったのです。余りにも残酷で愚かな事実でした。
しかしながら、
日本の農政に典型的な、失敗を隠ぺいし、原因を明らかにせず、責任を回避しようとする自民党官僚政治の抜きがたい悪弊に比べれば、ハノイ対話はやはり敬意を表すべきものと思います。(
拍手)
こうした病理を克服するのに
民主党政権の誕生を待たなければならないことは、
日本にとって大きな不幸でありますが、一日も早くその日が来ることを期して、私の
質問を終わります。ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣町村信孝君
登壇〕