○吉田泉君
民主党の吉田泉であります。
民主党・
無所属クラブを代表しまして、
政府提出の
平成十七年度における
公債の
発行の特例に関する
法律案及び
所得税法等の一部を改正する
法律案に対し、
反対する立場で
討論を行います。(
拍手)
まず、特例
公債法案に
反対する
理由を二点申し上げます。
まず第一に、この法案は、
歳出改革なき
赤字垂れ流し法案であるということであります。
平成十七年度
予算において、見かけ上、
国債発行額は
減額されました。しかし、それは
民間の自助
努力のおかげで生じた税収の
増加によるものであり、
歳出の抜本
改革によるものではありませんでした。また、
小泉総理の
国債発行三十兆円枠という公約は、今回も守られませんでした。
高齢化は加速しております。
社会保障の費用はふえ続けております。それに対する備えが不十分なままに、野方図に
赤字国債が
発行され、
我が国財政の危機は深まる一方であります。
企業が生み出した利益の恩恵にあずかり、家計への
負担増を繰り返し、本格的な
歳出改革は先送りする。こうして
赤字を垂れ流しながら破綻の道を歩み続ける。それが
我が国の
予算の実態であると言わざるを得ません。そして、そのような
予算の根拠となる本法案を認めることはできません。
二つ目の
反対の
理由は、この法案が年金保険料の年金事務費への流用を今回もまた行おうとしていることであります。
そこには、昨年の
国会における議論が全く生かされておりません。昨年、この法案は、年金保険料ピンはね継続法案と呼ばれました。多くの
国民が保険料の流用について大きな不信感を抱いております。それにもかかわらず、これをこれからもまた続けようとする
政府の神経は、全く理解に苦しみます。定義の不明瞭な福祉施設費、物品調達や委託業務における不透明な随意契約、そして汚職
事件。社会保険庁をめぐるスキャンダルは限りなく続いております。それが正されないまま、社会保険庁が保険料をピンはねし続けることは許されません。
これに対し、
民主党の修正案は、このピンはね規定を削除することにしておりました。時限的
措置として始められたこの特例
措置に終止符を打ち、制度を本来の姿に戻そうということであったわけであります。
次に、
所得税法等改正案について
反対する
理由を三点ほど申し上げます。
まず一点目は、この法案には、目下の
経済状況を大きく無視した
定率減税の
縮減が含まれているからであります。
我が国の
景気は、GDP実質成長率が三期連続でマイナスとなるなど、先行きが大変不透明な段階にあります。
政府が言う
景気回復も、一部大
企業のみがその恩恵をこうむっているだけであります。
中小企業たたき、リストラ、給与の抑制などによって成り立っているにすぎません。雇用者
所得はまだ下がり続けております。そうした中での
所得税増税は、多くの
国民を苦しめ、
景気に悪影響を与える
政策であると言うほかはありません。
与党の
税制大綱にも、
景気動向を注視し、
見直しを含めて、機動的、弾力的に対応すると書いてあります。
与党自身が足元の
経済状況に自信を持っていないということではないでしょうか。即刻
見直しをして、
増税を中止するように求めます。(
拍手)
第二に、この税法改正案は、
国民の中の
経済格差をさらに広げる心配があります。
六年前、
定率減税は中堅
所得者のための
減税として導入されました。そして、そのとき同時に、
高額所得者のための
減税措置として、最高税率の引き下げもなされました。ところが、そっちの引き下げの方は今回も継続するということであります。たび重なる最高税率引き下げで、
日本は平等な国ではなくなってまいりました。
税制の
所得再分配機能は、先進十カ国中、最も弱い国になってしまっております。
定率減税縮減で、さらにこの機能が悪化することが懸念されます。
第三に、NPOに対する
支援税制が全く不十分なままとなっていることが挙げられます。
現在、
日本では、約二万に上る認証NPOが
活動しておりますが、寄附金が
所得控除される認定NPOは、たったの二十六団体であります。毎年のようにNPO
支援税制の改正は行われておりますが、小手先の変更にとどまり、一向にその
成果があらわれません。
これに対し、
民主党の修正案は、次のような項目から成り立っておりました。
第一に、
定率減税縮減の規定は削除であります。
基礎年金国庫
負担の引き上げ財源としては、徹底した
歳出削減で賄う、これが
民主党の公約であります。
第二に、NPOの
支援税制の拡充を追加しております。
パブリック・サポート・テストや
活動要件など、NPOの認定要件を大幅に緩和すると同時に、みなし寄附金制度の拡充、
収益事業の法人税率引き下げ、こういうことを図ります。また、個人寄附金の控除については、現行の一万円のすそ切りを
廃止することにしておりました。さらには、税額控除と
所得控除の選択制を導入します。こうして、NPOに対する寄附を飛躍的に促進する予定でございました。
第三に、ローン利子控除に関する規定を新設します。
これは、
国民の消費
活動全般にわたるものであります。対象を住宅のみならず、自動車ローン、
教育ローン等に拡大することによって、ローンにかかわる金利分をおおむねすべて
所得から控除することができるようにいたします。長期にわたって低迷傾向にある個人消費であります。それを刺激して内需拡大を図ろうということであります。それを達成して、真に豊かさを実感できる
国民生活の
実現を図ろうというのが
民主党の修正案でございました。
最後になりますが、昨年は、
所得税の配偶者特別控除上乗せ部分の
廃止、住民税均等割
増税、そして年金法改正後最初の厚生年金保険料引き上げがございました。ことしも既に、公的年金等控除の
縮小、老年者控除の
廃止が
実施され、さらに今後は、
国民年金保険料と雇用保険料の引き上げ、さらには、住民税の配偶者特別控除上乗せ部分の
廃止や厚生年金保険料のさらなる引き上げが決定しております。これに追い打ちをかける形で
定率減税の
縮減が行われようとしております。近い将来には、
所得税や消費税の抜本
見直しがこれに加わることになります。
たび重なる継ぎはぎ細工のような
負担増は、人々の希望を奪い、
景気の足を引っ
張り、
国民生活を破綻の瀬戸際へやろうとしております。(
拍手)
改めて
政府提出の特例
公債法案及び
所得税法等改正法案に対する
反対を申し上げて、
討論を終わります。ありがとうございました。(
拍手)