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2005-05-20 第162回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十七年五月二十日(金曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
山岡
賢次君
理事
今村
雅弘
君
理事
西川 京子君
理事
二田 孝治君
理事
松野 博一君
理事
黄川田 徹君
理事
楢崎 欣弥君
理事
山田 正彦君
理事
白保 台一君 赤城 徳彦君 石田 真敏君
岡本
芳郎君 梶山 弘志君 金子 恭之君 上川 陽子君 川上 義博君 木村 太郎君 城内 実君 北村 直人君 後藤 茂之君
後藤田正純
君 田中 英夫君 津島 恭一君 西村
康稔
君 原田 令嗣君 森 英介君 一川 保夫君
岡本
充功
君 鹿野 道彦君 岸本 健君 鮫島
宗明
君 神風 英男君 仲野 博子君 堀込 征雄君 松木
謙公
君
山内
おさむ君
大口
善徳
君
高橋千鶴子
君
山本喜代宏
君 …………………………………
農林水産大臣政務官
大口
善徳
君
参考人
(牛の
月齢判別
に関する
検討会座長
) (
日本獣医畜産大学応用生命科学部食品科学科教授
)
沖谷
明紘君
参考人
(
食品安全委員会プリオン専門調査会専門委員
)
山内
一也
君
農林水産委員会専門員
飯田
祐弘
君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
農林水産関係
の
基本施策
に関する件 ————◇—————
山岡賢次
1
○
山岡委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産関係
の
基本施策
に関する件について
調査
を進めます。
本件調査
のため、本日、
参考人
として、牛の
月齢判別
に関する
検討会座長
・
日本獣医畜産大学応用生命科学部食品科学科教授沖谷明紘
君、
食品安全委員会プリオン専門調査会専門委員山内一也
君、以上二名の方々に御
出席
をいただき、御
意見
を承ることにいたしております。 この際、両
参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただき、
調査
の
参考
とさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
沖谷参考人
、
山内参考人
の順に、お一人二十分
程度
御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度
委員長
の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、
参考人
は
委員
に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。 それでは、
沖谷参考人
にお願いいたします。
沖谷明紘
2
○
沖谷参考人
おはようございます。 御紹介いただきました
日本獣医畜産大学
の
沖谷
でございます。 本日は、
厚生労働省
及び
農林水産省
によって開催されました牛の
月齢判別
に関する
検討会
に関して、
検討会座長
として
意見
を求められましたので、本
委員会
の場において、
検討会
における議論の
経緯
、
検討
結果の
概要
などにつきまして御説明させていただきたいと思います。 なお、お
手元
には、
資料
として、「「牛の
月齢判別
に関する
検討会
」
報告書
」、それから
委員
の名簿、それから
米側
の
最終報告書
の
資料
の一部を用意してございます。 では、まず初めに、本
検討会
の位置づけについて御説明させていただきます。
平成
十五年の十二月、
米国
において
BSE感染牛
が確認されたことに伴いまして、
厚生労働省
及び
農林水産省
は、
米国
産
牛肉
の
輸入停止措置
を決定しました。その後、
輸入再開
に向けた
日米
の
政府間協議
が行われまして、
平成
十六年の十月には、
日米牛肉貿易再開
に向けた
日米政府
間の
認識
が一致しまして、この中で、
米国
産
牛肉
の
日本向け輸出再開
に関しては、
検討
すべき
主要点
の
一つ
として、二十カ
月齢
以下の
評価
のために
牛枝肉
の
生理学的月齢
の
検証
を目的として、
枝肉
の
格付
及び
品質属性
に関する
協議
を継続することとされたと承知しております。 このため、
米側
は、
記録月齢
が二十カ月を超える
去勢牛
及び未経産牛を
日本
への
輸出
のための
証明プログラム
から除外することを確保するような、
成熟度格付
の
最大値
、つまり
エンドポイント
を決定するための
特別研究
を実施することになりました。 このような
状況
を踏まえて、
厚生労働省
及び
農林水産省
は、科学的な見地から、
枝肉
の
生理学的成熟度
による
月齢判定法
の
有効性
の
検証等
を行う体制を整備するとともに、その
内容
を国民にわかりやすく示すために、牛の
月齢判別
に関する
検討会
が設置されました。
経緯
ですが、第一回目の
検討会
は、
平成
十六年の十一月十二日、
厚生労働省
及び
農林水産省
において開催されまして、この中で六名の
委員
が承認されました。
委員
のリストは
資料
に添付しております。また、
座長選出
も行われまして、私が本
検討会
の
座長
に選出されました。 さらに、
検討会
の趣旨と進め方について確認するとともに、その後、
米国農務省
が実施する
牛枝肉
の
生理学的成熟度
、
マチュリティー
に関する
研究
に関する技術的な
意見交換
を実施してきました。
平成
十七年の二月八日、
厚生労働省
及び
農林水産省
は第三回の
検討会
を開催しまして、
平成
十七年一月十九日に
米側
から提出され、さらに、二月八日に
追加情報
の提出のあった
最終報告書
について、
検討会
として、
獣医解剖学
などの
自然科学
の
観点
及び
統計学
の
観点
から
検証
を行いまして、
検証
結果を
検討会
の
報告書
として取りまとめました。
検討
結果ですが、三回にわたって開催され、すべて公開で行われましたが、その
検討
結果についての
報告
を、お
手元
の
資料
に従って説明したいと存じます。 まず、
米側
からいただきました
最終報告書
について、概略を御説明します。これは、二〇〇五年一月十九日に提出され、さらに、
追加資料
が二月八日に出されたものをあわせた
概要
でございます。
米国
の
背景情報
なんですが、
米国牛肉生産
に関する
背景情報
に関しましては、
米国
の肉牛の多くは
米国牛肉生産システム
のもとに
生産
、飼養され、一般的には、
肉用牛
の
育成
については、
生産農家
、
繁殖農家
ですが、そこで約六カ月、それから
育成牧場
で六から八カ月、それから
フィードロット
、
肥育場
ですが、そこで三、四カ月間飼養されまして、その結果として、屠
畜場
においては十五カ月から十八カ
月齢
で屠殺されて、
食肉
に加工されていると説明しております。
米国
における
牛枝肉
の
格付制度
については、
米国農務省
は、一九二七年以降、
公的機関
による
牛肉
の
品質
の
格付制度
を整備して、
米国
内の共通の指標として実施してきております。 現在、一九九七年に定められました
米国格付基準
に基づきまして、
米国農務省
が雇用する約百六十人の
格付検査官
によって、
肉質等級
を、
生理学的成熟度
、
マチュリティー
と、それから
脂肪交雑
の
状況
、
サシ
の多い少ないによって、
プライム
、チョイス、セレクトなどの八
等級
に区分しております。
プライム
は一番
サシ
の多いものです。
マチュリティー
は、
一つ
として、
背骨
などの
骨化
の進みぐあい、つまり骨格の
成熟度
と、それからもう
一つ
、
肉断面
の色、きめ、これを
肉質
の
成熟度
と言っていますが、それらをあわせて総合的な
成熟度
として
判別
しております。
マチュリティー
は、AからEまでの五つの区分に、それぞれ00から90までの十
段階
がありまして、合計で五十
段階
あることになります。一般的には、Aは若く、Eが高齢な牛であるとの傾向があるとされています。
格付検査官
の
研修
、
監督官
の配置、
格付
結果の内部及び
外部監査等
を実施し、A40においては、
腰椎
の
棘突起上部軟骨
の
骨化
が部分的にしか見られないなどの明瞭な
評価決定ポイント
があって、A50以上との間で高い
精度
で
判別
が可能であるとしております。入手可能な
データ
によれば、
肥育牛
のうちA40以下に
評価
される
枝肉
は、現在一割未満と
推定
されています。 それから、サンプリングと
データ
の
収集
に関しましては、
米国側
は、
平成
十四年十一月の四週間に、九つの
食肉処理施設
で、
生産農場
と
出生記録
を確認できる
肥育牛
四千四百九十三頭について、通常の
操業過程
で十一人の
格付検査官
が実施しまして、
データ収集
が行われました。
統計学的分析
に当たっては、
米側
は
出生日
を六十二日以下の間隔で確認できる
サンプル
三千三百三十八頭を
使用
しましたが、
月齢確認
が可能なものが限られている上、
調査期間
の
制約
があったため、
サンプル
には、
月齢
、性別、
管理方式等
に関して、ある
程度
の
偏り
が生じたとの記載が
米国報告書
にありました。
米国
が行った
統計学的分析
については、
資料
の一番
最後
の
ページ
にあります、マトリックスの
資料
がついておりますが、それを
参考
にしていただきたいと思います。 それを見ていただくと、上のラインですが、二十一カ
月齢
、それを縦に合計していきますと二百三十七頭の
枝肉
があるわけですが、すべてこれはA50以上と
評価
されており、A40以下と
評価
されたものは含まれていませんでした。また、十八カ月から二十一カ月の、そこを合わせますと一千七百四十八頭の
枝肉
になります。ここでもすべてA50以上と
評価
されまして、A40以下と
評価
されたものは含まれておりません。 この結果をもちまして、
ノンパラメトリック
な
統計学的分析
、つまり、母集団の分布型について一切の仮定を設けない
統計学的分析手法
によりますれば、二十一カ
月齢
以上の牛が、A40以下に
評価
される
可能性
は、九九%の
信頼度
で〇・二六%以下、これは千七百四十八頭の
データ
を用いたときの数字です。それから、より厳しく見た場合、これは二百三十七頭の
枝肉
の結果を用いたときですが、より厳しく見た場合は一・九二%以下であると
評価
しており、二十カ
月齢
以下の牛から
生産
されたことを保証するためには、A40が適当な
基準
として機能すると考えられると彼らは述べております。 それで、それらの
報告
を受けまして、我が方の
検討会
による
評価
を行ったわけであります。 まず、生物学的な
観点
からの
意見
を申し上げます。
解剖学等
の、あるいは生理、あるいは
肉質等
の
観点
から
検討
したわけです。
検討
結果として、
枝肉
の
成熟度
は生物学的にも実際の
月齢
との間に一定の
相関
があることが認められました。 A40の
評価決定ポイント
とされている
腰椎棘突起上部
の
軟骨
の
骨化状況等
の特徴と実際の
月齢
の
推定
については、
日本国内
や外国において
研究
されてきたことはこれまで知られておらなかったんですが、その
相関
の
程度
、
月齢推定
の確かさなどについては、本
研究
の
統計学的分析
も踏まえて
判断
する必要があるとの
結論
に至りました。 それから、
枝肉格付
の
観点
からの
意見
でありますが、
米国
の
格付基準
によれば、A40とA50の骨の
評価決定ポイント
には明確に識別できる差異があります。
精度
の高い
判別
が可能であることが確認できました。これにより、A40は
成熟度
の
判別基準
としては適当であると考えられました。 この
資料
についております後ろから二枚目と三枚目の
写真
をごらんください。コピーでちょっと見にくいんですが、これはA40とA50の
腰椎
の
断面
の
写真
でございます。それで、下の方が頭のところになります。この二十二
ページ
のものがA40で、一番下の
背骨
から飛び出している骨が、とげみたいになっているのが
棘突起
なんですけれども、その一番
上部
がちょっと白くなっているのがごらんいただけるかと思います。
軟骨
の
状態
です。 それから、その次の
ページ
がA50です。その一番下の骨の先端ですね、左端のところ、一番上に白い帽子がかぶって、その次が濃い赤色になっている。先ほどのところはまだ白かったんですけれども、そこが
骨化
している。
軟骨
が今度は硬
骨化
しているということがはっきりわかっております。我々も明らかにそうであるというふうに
認識
しました。 しかしながら、
枝肉
の
格付
は、
格付検査官
の目視で
判別
するものであり、ある
程度
の誤差は排除できないものとなっています。このため、高い
格付精度
を確保するために、
評価決定ポイント
の
明確化
、あるいは
格付検査官
への
研修
、
周知徹底
、
標準作業手順等
の導入を通じた
評価
・
格付
結果の
記録
とその
保存
が必要であるというふうにしました。 それから次は、
統計学的観点
からの
意見
でありますが、今回の
米国
の
研究
は、
月齢
を確認できる
肥育牛
が限られていることなどから、ある
程度
の
偏り
を伴う
サンプル
となっており、
統計学的分析
に当たっての
制約
はあるとの
検証
結果が示され、これは
米国側報告書
の
内容
と同じ
認識
になっております。 それでありますけれども、先ほど申しましたように、
月齢
と
成熟度
にある
程度
の
相関関係
があることは全員が認めました。 今回、
米国側
から
調査
結果の生
データ
を全部提供していただいて、
日本側
でも
専門家
による幾つものモデルでの
統計学
的な
分析
の
方法
について考察を行いました。 この中で、
ノンパラメトリック
な
統計学的分析
が最も適当な
分析手法
であるという
結論
に至り、この結果では、二十一カ
月齢
以上の牛の
枝肉
が、A40以下に
評価
される
可能性
は、九九%の
信頼度
で一・九二%以下、さらに、十八カ
月齢
から二十カ
月齢
までにA40以下が確認されなかったという事実をさらに加えました
事後解析
によれば〇・二六%以下であるという
米国側
と同じ結果が導き出されました。 それで、
最後
に、それらに基づいて総合的な
評価
をしたわけですが、一番目、A40とA50の間には高い
精度
での
判別
が可能である、
枝肉
の
成熟度
を客観的に
判別
する
基準
としては適当であると考えられること。 それから二番目として、A40を
基準
として用いた場合、
統計学的分析
からは、二十一カ
月齢
以上の
牛由来
の
枝肉
が、A40以下に
評価
される
可能性
は、九九%の
信頼度
で一・九二%以下。さらに、十八カ
月齢
から二十カ
月齢
までにA40以下が確認されなかったという事実を用いた
事後解析
によれば〇・二六%以下であるということが実証され、
米国
の結果と一致したこと。 それから、この結果を踏まえまして、二十一カ
月齢
以上の
牛由来
の
枝肉
を排除する
基準
としてA40を採用し得るか否かの
判断
に当たっては、
米国
産
牛肉
の
BSE感染リスク
の
程度
を考慮する必要があり、この
リスク評価
を踏まえて、この結果が
リスク
の
観点
から許容し得るものであると
評価
できるならば、二十一カ
月齢
以上の
牛由来
の
枝肉
を排除する
基準
としてA40を採用することは可能と考えられること。 それから
最後
に、以上の
評価
を踏まえて、A40を
基準
として採用する場合には、一、
成熟度
を用いた
月齢判別
を行う場合、A40の
評価決定ポイント
の
明確化
、
格付検査官
への
周知徹底
、
評価
結果の
記録
とその
保存等
が必要であること、二、二十一カ
月齢
以上の
牛由来
の
枝肉
を排除するための
基準
としてのA40の
有効性
を確認するため、
追加的検証
または実施後のフォローアップが必要であることに留意する必要があることということが、今回の
検討会
での
結論
であります。 以上でございます。(拍手)
山岡賢次
3
○
山岡委員長
ありがとうございました。 次に、
山内参考人
にお願いいたします。
山内一也
4
○
山内参考人
山内
でございます。 本日は、
BSE
の
リスク
と我が国における
安全対策
について、私の
見解
を述べさせていただきたいと思います。お
手元
に私の原稿をお配りしてあると思います。 まず
最初
に、
BSE
がもたらす
リスク
を整理してみたいと思います。
BSE
は、牛の
神経疾患
で、牛を確実に死亡させる重要な
家畜伝染病
です。人は、
BSE牛
の脳や
脊髄
が含まれる
食肉
を食べたことで
BSE
に
感染
し、
変異型ヤコブ病
を発症しています。
変異型ヤコブ病
の
患者
は、これまでに
英国
で百五十五名、
フランス
十一名のほか、
日本
を含む七カ国で一名ずつ見出されています。
英国
では、一九九六年までに七十万頭ぐらいの
BSE牛
が
食用
に回されたと
推定
されています。多くの人が
BSEプリオン
の含まれた
牛肉
を食べた
可能性
があると推測されるのですが、なぜ
患者
の数がこのように少ないのか、その
科学的理由
は全くわかっていません。 発病する人の数は限られているとはいっても、
変異型ヤコブ病
では、ほかの人に
血液
などを介して
感染
を広げる
リスク
が問題になっています。
英国
では、発病はしていないが
感染
している人が三千八百名いるという
推定
もあります。そして、
変異型ヤコブ病
の人が発病する二、三年前に献血した
血液
を輸血されたために
感染
したと考えられる人が二名見つかっています。さらに、
英国
では九名、
フランス
では二名の
変異型ヤコブ病
の人の
血液
からつくられた
血液製剤
が多くの人に投与されていたことが問題になっています。 このように、
BSE
には
家畜伝染病
としての牛に対する
リスク
、牛から人への
感染リスク
、人の間での
伝播リスク
と
三つ
の側面があります。しかも、牛、人のいずれでも、発病すれば一〇〇%死亡します。ほかの
食品中毒
などとは全く異なる難しい問題を抱えた病気ということをはっきり
認識
しなければなりません。 さて、
BSE対策
の
基本
は、牛の間での
蔓延防止
です。
肉骨粉
を牛に与えなければ
BSE
は広がりません。科学的には単純な話のはずですが、
BSE牛
の脳を健康な牛に食べさせた
英国
の実験では、わずか一ミリグラムの脳でも牛は
感染
しています。そのため、
肉骨粉
が
市場
に出回っている限り、牛のえさに混入して
交差汚染
を起こすおそれがあります。そこで、
日本
と
EU
では、
肉骨粉
の
使用
はいかなる動物に対しても完全に禁止されていて、間違って混入する
交差汚染
を防ぐ
対策
が実施されています。 ここで、
日本
での
BSE対策
の
経緯
を振り返ってみたいと思います。 牛から人への
感染防止
は、屠
畜場
での全
頭検査
と
特定危険部位
、
SRM
の
除去
の二つで行われています。 二〇〇一年九月に
日本
で
最初
の
BSE牛
が見出され、十月十八日から屠
畜場
での全
頭検査
と全
月齢
の牛についての
SRM除去
が開始されました。これより前、
EU
では、二〇〇〇年十月から十二カ
月齢
以上の牛について
SRM除去
、回腸遠
位部
は全
月齢
、そして二〇〇一年一月からは三十カ
月齢
以上の牛すべてについての
迅速BSE検査
を始めていました。 そこで当初、
日本
でも
EU
と同じ条件での
対策
が予定されましたが、
政治的決断
で、
月齢
を問わず
食用
に回るすべての牛について
迅速BSE検査
を行うことになり、十月九日に
厚生労働省
は、「
食肉処理
時の
BSEスクリーニング検査
の
対象拡大
について」という通知で、全
頭検査
の方針を発表したのです。 振り返ってみますと、当時は牛の
月齢
を確認するための
トレーサビリティーシステム
がなく、三十カ
月齢
以上という
判断
は牛の歯並びで行わなければなりません。その際に起きたかもしれない混乱は、全
頭検査
を採用したことで回避できました。さらに、二十一カ
月齢
と二十三カ
月齢
という若い牛での
感染
も確認できました。このようにして、現在では、全
頭検査
は正しい
判断
であったと
評価
できます。 ところで、わずか一カ月という短期間で
全国
の
食肉衛生検査所
で一斉に全
頭検査
が実施できたのは、一九七〇年代終わりから厚生省の
難病研究班
で、
ヤコブ病
の
研究
、次いでスクレイピーの
研究
が始められ、その
研究
の蓄積を土台として、一九九七年からは
農林水産省
と
厚生労働省
がそれぞれ
BSE
についての
全国的研究班
を結成して、
BSE
の
診断法
、不
活化法
もしくは
病原体
の性状、そういった面での
研究
を進めていたためです。
日本
で
BSE発生
が確認されたとき、
研究面
では直ちに対応できる
状態
であったのです。 一方、もう
一つ
の
対策
である
SRM除去
は、当初は不十分なものでした。私
たちプリオン専門家
は、
脊柱
の中にある
背根神経節
も
SRM
に加えるべきと考えていました。しかし、
厚生労働省
は、
OIE
の
基準
が
BSE
低
発生国
の場合には
脊柱
を
SRM
に加えていなかったことを
参考
にして、
脊柱
は取り上げなかったのです。
OIE
が低
発生国
についても
脊柱
を
SRM
に指定したことで、二〇〇四年二月にやっと
脊柱
の
除去
は実施されました。 屠
畜解体法
にも問題がありました。この
作業
の際に、
食肉
に
SRM
が混入するおそれのあるのは、牛を気絶させるために行われるスタンガンによる
スタンニング
、続いて、気絶した牛の
運動反射
を防ぐために脳からワイヤを差し込んで
脊髄
を破壊する
ピッシング
、そして、
背骨
を切断する
背割り
の
三つ
の
段階
です。
スタンニング
については、現在の
方法
よりも安全なものはできていませんので、その改善は今後の問題です。
ピッシング
はまだ七割ぐらいの屠
畜場
で続けられています。
背割り
の際には、その前に
脊髄
を吸引
除去
することが必要ですが、その装置を開発しなければならず、
段階
的に導入されて、現在九割ぐらいの屠
畜場
で行われるようになりました。全
頭検査
と異なり、
SRM除去
に関連した
対策
は
段階
的に改善されてきているのです。
農場
の牛での
対策
にも年月がかかりました。
サーベイランス
のための
死亡牛検査
が一〇〇%のレベルで行われるようになったのは二〇〇四年四月です。
生産履歴
を管理するための
トレーサビリティーシステム
ができ上がったのは二〇〇三年十二月で、これが
流通段階
までに広げられたのは二〇〇四年十二月でした。この時点で
BSE対策
がほぼ出そろったとみなせます。 ここで、
日本
で行われている二重の
安全対策
の意義を考えてみます。
安全対策
の柱の
一つ
は、
SRM
の
除去
を確実に行うことです。屠
畜解体
時に
SRM
が
食肉
に混入することも防止しなければなりません。
SRM除去
の
実態
について、
厚生労働省
は、これから
定期的点検
を行う仕組みを構築することになりました。一方、
BSE牛
についての
科学的知見
は限られており、まだ見つかっていない
未知
の
SRM
も
感染源
となります。例えば最近、
日本
の
死亡牛検査
では、
末梢神経
など、これまで
SRM
に指定されていない
組織
でも
病原体
が見つかっています。
研究
の進展に伴って、ほかの
組織
でも
病原体
が見つかる
可能性
があります。すなわち、
食肉
に混入する
SRM
と
未知
の
SRM
も
感染源
となり得るのです。全
頭検査
で陽性になった牛は、個体全部が焼却されますので、これらの
感染源
が
食用
に回ることはありません。 一方、全
頭検査
を行っても、潜伏期中の牛すべてを検出することはできません。これは
BSE
に限ったものではなく、どのような
感染症
でも同じことです。
BSE
の場合には、
検出限界
以下のために
検査
で陰性と判定される牛による
リスク
は、
SRM除去
で低減しています。ただし、
未知
の
SRM
や屠
畜解体
時に混入する
SRM
による
リスク
は残ります。しかし、
検出限界
以下の牛の場合には、脳に蓄積している
病原体
の量が非常に低いため、
未知
の
SRM
や混入する
SRM
がもたらす
リスク
は非常に低いものと推測されます。 このようにして、全
頭検査
と
SRM除去
が相補って
食肉
の
安全性
を確保しているのです。すなわち、
フェールセーフシステム
ということになります。 さて、ここで、
スクリーニング
と
サーベイランス
についてお話ししたいと思います。
日本
では、前に述べましたように、屠
畜場
での
BSE検査
、すなわち全
頭検査
は、
感染牛
を
市場
に出さないための
スクリーニング
とみなしています。
スクリーニング
とは、審査して選別することです。ところが、二〇〇二年十二月に
米国
で
BSE牛
が見出されてから、
BSE検査
は
スクリーニング
ではなく
サーベイランス
のためであって、
安全対策
は
サーベイランス
と
SRM除去
で十分であるという
見解
が突然出てきました。その
背景
を考えてみたいと思います。
サーベイランス
とは、
医学用語
で、
感染症
の
発生
を常時監視する
対策
のことです。
BSE
では
農場
での
死亡牛検査
が
サーベイランス
の中心になっており、これにより、
農場
での
BSE汚染
の
実態
を推測することができるわけです。さらに、
サーベイランス
を毎年続けることによって、
肉骨粉使用禁止措置
の
実効性
を推測するのにも役立ちます。
米国
の
BSE対策
は、
農場
では
リスク評価
と
サーベイランス
、屠
畜場
では
SRM除去
で行われています。
BSE検査
は
サーベイランス
のために行うものとみなしています。
BSE検査
の目的が、
日本
では
スクリーニング
、
米国
は
サーベイランス
と、全く異なっています。もちろん、
日本
の屠
畜場
での全
頭検査
の成績は、汚染の
実態
を把握するという意味で
サーベイランス
にも役立っていますが、それは副産物であって、主目的ではありません。
日本
での
サーベイランス
は
農場
での
死亡牛検査
が主体です。
日本
と
米国
の間には、
スクリーニング
の必要性について根本的
認識
の違いがあるのです。 国際的にはどうでしょうか。一九九六年に
変異型ヤコブ病
が初めて見出されたとき、WHOの
専門家
会議
では、
BSE
の症状を示した牛のいかなる部分、製品も人の食物チェーンに入れてはいけないという勧告を出しました。
EU
の科学運営
委員会
は、一九九九年に、消費者の保護のための理想的レベルは
感染
動物の排除であって、これが合理的に保証できない場合の次善の策は
SRM
の
除去
と述べています。二〇〇一年一月に、
EU
が三十カ
月齢
以上の牛のすべてについて
迅速BSE検査
を行うことを決めた際、
EU
の消費者健康保護
委員長
は、
EU
議会で、この措置は
感染牛
をできるだけ
市場
に出さないことの確保のためと発言しています。ことしの四月にオランダで
最初
の
変異型ヤコブ病
の
患者
が見つかった際に、担当大臣は、屠
畜場
での
検査
で陽性の牛はすべて
市場
には出していないのでオランダの
牛肉
は安全であると言明しました。
英国
では、三十カ
月齢
以上の牛すべてを殺処分しています。これらはすべて
スクリーニング
の考え方です。
スクリーニング
を全く行っていないのはスイスだけです。 一方、
BSE
にかかわる
牛由来
食品の
輸出
入の際の国際
基準
は、
OIE
の国際動物衛生規約で決められています。そして、この中で取り上げられている
対策
は、
リスク評価
と
サーベイランス
、それに屠
畜場
での
SRM除去
です。
スクリーニング
の考えは全く入っていません。WTOの枠組みのもと、円滑な国際貿易を行う立場から、
スクリーニング
の考え方は取り上げられないものと思います。
サーベイランス
は、
最初
に述べましたように、汚染
状況
の把握と
肉骨粉
対策
の効果を確認するためのものです。その結果、
BSE牛
がほとんどいなければ屠
畜場
での
対策
は
SRM除去
だけで十分という考えです。この考え方の根底には、集団としての家畜を相手としてきた獣医学的視点があります。しかし、
変異型ヤコブ病
のような悲惨な病気につながる問題の場合、人の健康保護の立場からは個人の安全を考えるべきであり、それには
スクリーニング
の考え方が必要です。
日本
では、この三年半の間に、獣医学と医学の両分野の
専門家
が協力して、
BSE
にかかわる食の
安全対策
を確立してきました。その結果、世界に誇れる
安全対策
ができました。しかし、このすぐれた
安全対策
が、貿易の妨げという
観点
から見直しを迫られているのです。
最後
に、食品安全
委員会
プリオン専門
調査
会での議論を振り返ってみたいと思います。 私は三年前、
BSE
問題に関する
調査
検討
委員会
の
最後
で、各
委員
が感想を述べた際、
リスク評価
に我々科学者が参加できるようになることを高く
評価
するとともに、科学者は責任を自覚しなければならないと発言しました。今回、プリオン専門
調査
会での中間とりまとめと
月齢
見直しの諮問についての審議でもって、改めて責任の重さを感じさせられました。 中間とりまとめでは、「
結論
」の文言に私たちの
意見
を正確に反映させることができなかったこと、そして、その文言が
月齢
見直しの諮問の根拠になったことは大変残念に思っています。
月齢
見直しは、
米国
産
牛肉
輸入再開
を目的としたものと国民は受けとめていながら、専門
調査
会では、諮問の目的を尋ねた私たちの質問に対して、国内
対策
における科学的合理性の確保という行政側の回答しか得られず、納得がいかないまま、
月齢
見直しの審議を行わざるを得なかったことも残念です。 一方、
リスク評価
の
作業
は、私たちにとって初めての経験で、かなり苦労しましたが、その結果、客観的な定性的
評価
の方式ができてきたことは大きな成果であり、この面ではある
程度
責任を果たせたものと考えています。
最後
に、諮問に対する
報告書
の「
結論
」について一言つけ加えたいと思います。 諮問の審議の過程で、
SRM除去
の監視や輸入配合飼料に関する問題点が明らかになり、それらの改善策が実施されることになりました。そこで私は、「
結論
」に、
検査
月齢
の線引きがもたらす
リスク
は非常に低いレベルの増加にとどまるという
判断
のほかに、一連の
対策
の
実効性
が確認された後に
月齢
の線引きを行うのが合理的という
判断
を併記するよう提案したのですが、諮問は現在の
対策
のもとでの
リスク評価
を求めたものとみなされるため、この時期尚早という
判断
は「
結論
」ではなく、留意すべき附帯
意見
として「おわりに」の項に入れられたのです。この附帯
意見
について、
リスク
管理側がこれからどのように留意されるのか見守りたいと思います。 以上です。(拍手)
山岡賢次
5
○
山岡委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。 —————————————
山岡賢次
6
○
山岡委員長
これより
参考人
に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
北村直人
7
○北村(直)
委員
自民党の北村直人でございます。 両先生におかれましては、本当に専門的な立場から日々御指導を賜り、また今回、それぞれの立場できょうこのように御発言と御
報告
をいただいたことに、まず感謝と御礼を申し上げる次第でございます。 与えられた時間が十五分でございますので、端的に何点かお聞きをさせていただきたい、このように思います。 まず
最初
に、牛の
月齢判別
検討会
の
座長
をお務めをいただいた
沖谷
先生にお聞きをしたいと思いますが、ただいま先生から御説明をいただきました、アメリカは
枝肉
の骨格や
肉質
を見て二十カ
月齢
以下を
判別
するという提案をしておりますが、私たちのこの
日本
の消費者を含めて国民の間には、そのような
方法
で本当に正確な
月齢判別
が果たして可能なのかという素朴な疑問が依然としてあるわけでございます。 といいますのは、
沖谷
先生は
肉質
の
評価
の
専門家
でいらっしゃいますけれども、私の知る限り、
日本
では
牛肉
の
肉質
と
月齢
との関係に関する
研究
とかそういった学問があるというようなことは、私は余り聞いたことがございません。つまり、学問として、一般の国民もあわせて認知をされているというんでしょうか、そういうようなものがあるというふうには私は聞いてはいませんし、
評価
をしていないわけでございます。 そこで、
沖谷
先生に、
肉質
の
専門家
として、先ほど先生からお話のありましたA40といった
基準
で本当に
月齢
の
判別
ができると思われるのかどうか。先ほどの先生のお話では、アメリカのそういった
データ
を含めて
検討
委員会
としてはこれは認めざるを得ないというような
結論
を出されておりますけれども、先生の、本当に御自身の御
判断
として、率直な御
意見
をまずお聞かせをいただきたいと思います。
沖谷明紘
8
○
沖谷参考人
お答え申します。 先ほども申しましたように、生理学的な
成熟度
による
月齢判別
については、
資料
の「生物学的
観点
からの
意見
」のところに、(1)、(2)それから(4)に示されたとおりであります。特に、色とそれからきめについてはそういう
研究
がないというわけではなくて、もう既に公知の事実として全世界の肉の
研究
者が理解しているところで、
日本
の
格付
においても、色が濃いものは老齢牛ということで格が低くなっております。ですから、
肉質
については
研究
をもうやる必要がない
状態
になっている。 骨についてはそういう
研究
は、我々経験したことがないんですけれども、アメリカ側ではそれを使っていたということで、実際にそういう
データ
とか現物を見せていただいて、
研究
として成り立つかどうか
データ
を出していただいて、その判定を我々の
検討会
でやったということで、ここで、
結論
はそういうことで判定できるということを出しました。 以上です。
北村直人
9
○北村(直)
委員
先生の科学的な知見というのは大変
評価
ができるものだと私は思っておりますが、一方で、
米国
の事例を見ますと、一日に五千頭規模を処理する屠場等々で、六秒ぐらいの時間の中で
枝肉
の
格付
官はこれをする、こういう短い時間で本当にこれらをやれるのかどうかなという私は心配を持っているわけでございます。そういうところも、今後国民に向かって、アメリカのやり方はわかった、しかし、
日本
の国民に向かってそれらをしっかり理解をさせられないと、せっかくの立派な
格付
であっても、私は何となく不安をぬぐい切れないのではないかという、実は私は個人的な考え方を持っているところでございますので、なお一層、先生方の御指導をいただきたいと思います。 余り時間がございませんので、次に、
山内
先生に、お答えというよりも御
意見
を賜りたいと思います。 私は、一般的に
日本
の消費者というのはいわゆるゼロ
リスク
を求めているんだと思いますね。つまり、原因は何だ、
日本
人の消費者は原因がわからないと不安になる、つまり、先生が先ほど言った
スクリーニング
、これを非常に国民は求めているのではないか。そのことによって、ああ、原因がこういうことだ、その原因が取り除かれるような、そういう措置がとられていれば安全でそして安心だ、こういうことだと思います。 しかし一方で、今回の食品安全
委員会
の
最後
の、これはどうも私の目から見て、
サーベイランス
、つまり、いわゆるプリオンの
専門家
の方々が、原因が何だかということについての議論をしているのが、いつの間にか、最終的に疫学的な、そういう
統計学
的なものでくくられてしまったのではないのかなという私は危惧を持っているところでございまして、その辺について、大変見識の高い
山内
先生の御
見解
をまずお聞かせをいただきたいと思います。
山内一也
10
○
山内参考人
まず、ゼロ
リスク
の問題でございますが、私が先ほど申し上げましたように、
BSE
に関しては科学的にわかっていないことが非常にある。そして、例えば
特定危険部位
に関してもまだわかっていないところがある。 それで、そういったものの
リスク
というのは、これは、今いかなる
安全対策
をやったって、結局残っていくわけです。したがって、ゼロ
リスク
にはならない。ただし、科学的に可能な
対策
はすべてやるべきである。少なくとも、国民がそういったものの負担に応じるのであれば、私は全部やるのが正しい考え方であろうと思います。そこでもゼロ
リスク
にはならないんだということをやはり
認識
してもらう必要があるんだろうと思います。 それから、食品安全
委員会
での議論でございますが、原因究明というのはこれは大変難しい。科学的にやっていけばやっていくほどわからない問題がいっぱいある。その中で、どういう
安全対策
をやっていくかということを議論してきたつもりでおります。 ただ、
リスク評価
には、定性的な
リスク評価
と定量的な
リスク評価
と二つありまして、より科学的、もしくは客観的なものは定量的な
リスク評価
です。ですから、なるべくそういったものに持っていきたいと思ったわけですが、これは残念ながら、できるだけの
データ
がない。その議論の中で、疫学的な面がかなり強くなってきたのではないかというふうに思います。 そして、定性的な
評価
においては、少なくとも、個々のいろいろな汚染の要因とか人への
感染
をもたらす要因、これは実際には、生体牛の汚染度と
食肉
の汚染度というのをいろいろな要因について調べていく、その
段階
では、疫学的というのではなくて、かなり客観的なと言ったらいいかどうかわかりませんが、定性的な
判断
をしてきました。
最後
のまとめのところになりますと、やはり疫学的もしくは確率論的な考え方にならざるを得なかった、それが今の御質問で指摘された面であろうと思います。
北村直人
11
○北村(直)
委員
ありがとうございます。 確かにゼロ
リスク
ということはあり得ないと。私たちがおぎゃあと生まれれば
リスク
をしょって生きるわけでありますので、その
リスク
をいかに自分が回避をしていくか、あるいは社会がその
リスク
をゼロに近づけていく、そういう政策や、あるいは
対策
をとっていくかということが大切だというふうに私は思っております。食育等々を含めて、生まれてから、小さいときから義務教育等々の中で、そういったことをきちっと教育を通じて知らしめていくということが私は大切なことだというふうに思っております。 その上で、今後、アメリカの輸入に対する諮問、そして答申が出されるわけであります。先ほど来先生が、
サーベイランス
と
スクリーニング
のことを
報告書
の中でも詳しく述べていただいて、私は先生のおっしゃることはそのとおりだというふうに思います。と申しますのは、アメリカの
専門家
は、先ほど私が言ったように、疫学の学者が出てくる、
日本
からはプリオンの
専門家
が出てくる。そうしますと、レールのように、どこまで行ってもこれは交わらないというようなことになる。私はそのように危惧をしております。 ですから、本当に
日本
が輸入を再開するのであれば、アメリカの方は、やはりプリオンの専門学者が出てきて、先生方と議論をした上でどうするかということが必要になってくるのではないかな、このように私は思いますが、先生のその辺の御見識をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
山内一也
12
○
山内参考人
私は、
日米
BSE
作業
部会に参加しまして議論をいろいろ行ったんですが、プリオンの
専門家
は一人もアメリカ側ではおりませんでした。そして、現実に今、USDAもしくはアメリカの獣医大学で、
BSE
ないしプリオンの
研究
を行っている人は、USDAでは全くいないと言っていいと思いますし、獣医大学の方でも、シカの慢性消耗病という別のプリオン病の
研究
を行っているグループはいますが、
BSE
については行っていない。結局、
日米
BSE
作業
部会をやって一番痛切に感じたのは、私たちのカウンターパートがいないということ。ですから、科学的な議論をしようにも、行政官を相手に議論をしているわけでして、そこですれ違いが起こっております。その感は今も非常に強く持っております。
北村直人
13
○北村(直)
委員
山内
先生の率直な御
意見
、大変ありがとうございます。これは貴重な御
意見
でございますので、今後、そのことについては、やはり我が国も毅然とした態度でアメリカに対して物を申していかなければならない、私はそう思っている一人でございます。 その上で、もう時間がございませんが、最終的に、どうも物を買う側が売る側の条件に合わせるというのは、何か私はおかしいなと。本来は、売る側が買う側の条件を満たして、これだけあなた方の条件を満たしたのですから、どうぞ何とか買ってくださいと最敬礼するのが普通であって、胸を張って、おまえたち買う側がおれたち売る側の条件をのめというのは、非常に横暴な
意見
であるような気が私はいたします。 本日、
専門家
のお二人の先生から御
意見
をお聞かせをいただきました。我が国としても、本当に毅然として、ぜひ、両先生の御
意見
のもとに、
米国
に対しても明確な
意見
を言って、第一義的に
日本
の消費者の安全ということに、ここに的を絞って、専門的な両先生の知見を堂々とお述べいただくことをお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
山岡賢次
14
○
山岡委員長
次に、
岡本
充功
君。
岡本充功
15
○
岡本
(充)
委員
民主党の
岡本
です。 本日は、たくさん質問を用意しておりますので、端的にお答えいただきたいと思います。 私もつい最近までモレキュラーバイオロジーをやっていましたので、ぜひそういった
観点
で、科学的な知見でのお答えをいただきたいと思います。 まずは、
沖谷参考人
の方に御質問させていただきたい。 まずは、一月十九日に、
日本
政府に対する
最終報告書
がアメリカ農務省から提出されました。この
報告書
、あたかも科学的な
データ
になっているかのような取り扱いをされておりますけれども、私は、この
データ
について幾つか疑問を持っています。 実は、私自身はこれを政府に対して質問主意書で質問したんですが、政府は答弁を回避してまいりました。その
内容
について、ちょっとお答えをいただきたいと思っております。 まず、この提出してきた
報告書
、
成熟度
の
研究
となっていますが、この
研究
には、いわゆる論文に必要なマテメソ、マテリアル・アンド・メソッドという部分ですね、そしてまた、これはまず再現性を保証するものなんですが、この再現性の保証がない。もっと言うと、科学論文で参照文献がない、リファレンスがないというものは、私はこの方見たことがないんですけれども、こういう
観点
からいうと、これは
研究
の体裁をとっているとお考えですか、それとも、とっていないと思われますか。
沖谷明紘
16
○
沖谷参考人
こういう
研究
は今までなくて、初めて公開されるということなんですけれども、予備的な
データ
を、私がこの
検討会
の前に一回
BSE
の
専門家
会議
に参加したときに、予備的な
研究
結果というのですか、そういうのを見せていただきました。それが出ました。それを見て、これは本格的に、サイズを大きくしてやる価値があるというような印象を持っていたんですけれども、それから、生理的
マチュリティー
と
月齢
にかなりの関係があるということを、皆さんそういう
意見
を出したものですから、それじゃ、向こうが
研究
をやってみましょうといって初めてやったわけで、これが
最初
の公開された
研究
結果。だから、おっしゃるとおり、必ず
検証
が必要だということを私たちは考えて、
最後
の
報告書
の後ろには、
検証
もしくはフォローアップということ。 それから、マテリアルについては、現状の、今屠殺しているそれを使ってやる以外にこの
研究
はできそうもないということです。膨大な数を
研究
用の牛として育てて、ある期間を決めてやるという大がかりな
研究
は、差し当たっては、すぐにはできないということで、プラクティカルにはこれで統計的な数字まで計算してみようということになって、こういう
結論
になったわけです。 以上です。
岡本充功
17
○
岡本
(充)
委員
本当に端的にお答えいただきたい。 これが科学的な論文として、体裁として先生のところに来て、ジャーナルに載せる、これはアクセプトしますか。
沖谷明紘
18
○
沖谷参考人
します。
結論
はそれだけです。
岡本充功
19
○
岡本
(充)
委員
私が問いかけたいのは、ジャーナルにもいろいろあると思いますけれども、科学的な
データ
に基づいていると言うけれども、例えば、いただいたこの
サンプル
の、どういう頭数をどれだけ屠畜して
評価
したか、このエバリュエーションのところを見ても、残念ながら統計的なばらつきがある。つまり、升でいうとAの40の十八、十九、二十、二十一、そしてまた、この表、エージ・イン・マンススと書いている右下のあたりですね、Bの
段階
と二十六から三十の
段階
、この部分の統計的な数が落ちている。 これは、私は時間がないので指摘できないけれども、統計的に
検討
すると、この部分は不十分だ。それはもちろん
検討会
の中でも話が出たと聞いていますけれども、こういうような
サンプル
をもとに
評価
をしていくというのは、極めて限られた科学的
データ
であって、これを純粋に科学的に考えたときに、本当であれば、リジェクトとは言わなくても、もう一回やり直せと普通来るんですよ。それで、もう一回、しようがないから私たち実験し直す、追加実験を載せてジャーナルに載せるのが普通だと私は思うんですね。どうですか。
沖谷明紘
20
○
沖谷参考人
簡単にできるような実験であればそういうことになりますけれども、これは大変な
研究
だというふうに我々は
評価
したわけですね。現状において
収集
できる
データ
、この一頭一頭についての履歴はちゃんともらっております。雌、雄、それから飼養条件については。それはもちろんフルのペーパーには出ているわけです。マテリアルの説明はちゃんとできると思います。 ただ、いろいろなばらつきがあるとかなんとかというのは、これはやってみて初めてわかったことであって、この実験計画はそういうやり方でやって得られた結果であるという、その限定つきでもちろん
報告書
は出している。 以上です。
岡本充功
21
○
岡本
(充)
委員
繰り返しになりますけれども、本来であれば、こういうものは、できることであれば
サンプル
だって
偏り
がなくやらなきゃいけないし、もっと言えば、その施設、牛についても、無作為抽出をしてこれを
評価
していくというのが、私は
研究
の
精度
としてより高いはずだというふうに思っています。 今、先生は、これでもアクセプトされると。それは、いろいろジャーナルはあるでしょうけれども、本来であれば、私は、これについて追加実験を求めるべきであるし、この
報告書
にも載っているけれども、追加実験なくしてはこれを最終的に認められない、もっと追加実験をやってくれと言うべきだったんじゃないかというふうに思うんですが、今回の最終的なこの話の中で、
検討会
の結果として農水省が持ってきた、
基準
としての
有効性
を確認するためには
追加的検証
または実験後のフォローアップが必要だというのは、まさにこれを先生方御自身も
認識
をされたからじゃないかと私は思うわけなんです。それは違いますか、イエスかノーか。
沖谷明紘
22
○
沖谷参考人
そのとおりであります。
岡本充功
23
○
岡本
(充)
委員
そうすると、
基準
としての
有効性
を確認するための
追加的検証
または実験後のフォローアップが必要だと言っていますが、このフォローアップも、単なるフォローアップではない、
追加的検証
となり得るようなフォローアップじゃなければいけないというふうに考えるわけなんです。それは、イエスかノーか、どちらでございましょう。
沖谷明紘
24
○
沖谷参考人
そのとおりです。 それで、追加の
検証
データ
をいただいております。生
データ
で、まだ統計処理をしていない、最終的なものじゃないので、それをやってくださいということで待っております。
検証
の
データ
が来ております。フォローアップについては、これから、実施してからの話ですから、あれですが。 以上です。
岡本充功
25
○
岡本
(充)
委員
どうもありがとうございます。 それは、当然のことながら、このエイジ・イン・マンススの統計的ばらつきを埋めるものでなければいけないというふうに私は思いますけれども、その点についても同様の考えでよろしいでしょうか。
沖谷明紘
26
○
沖谷参考人
結構です。
岡本充功
27
○
岡本
(充)
委員
続いて、
山内参考人
の方にもお伺いしたいと思います。済みません、早口でいきますが。 二十カ
月齢
以下の牛の
BSE検査
をやらない方向になるこの最終
結論
が出てきたという中で、今回の
検討
に当たって、私は質問でもこれはさせていただいたんですが、定性的
評価
をされている。しかし、定量的に検定をする有意差を出すことが不可能だったのか。 つまり、私が質問した当時は、三百五十万頭の屠畜した牛がいて、そして、さらに二十カ
月齢
以下はその一割ぐらいの牛で、そして、そのnで実際に
BSE
だと言われたのは、実は二十カ
月齢
以下では出ていなかった。これは
統計学
的に検定することができるということで、カイの検定を使って、カイの検定ではできないけれども、特殊な検定を使ったらできるんだということを私はこの
委員会
でもお話をさせていただきました。そうすると、今より倍以上の検定をしないと有意差が出てこないんだ、本当は二十カ
月齢
以下で
BSE
がいないとは言えないんだということを私はこの
委員会
でやらせていただいたんですが、この定性的
評価
になる中で、今私がお話をさせていただいた
統計学
的な
検証
、特に有意差を出すための
統計学
的な
検証
というのはなされたんでしょうか。
山内一也
28
○
山内参考人
定性的
評価
の場合に、
統計学
的な
検討
は行っていません。できるだけの
データ
がありませんでしたから。
岡本充功
29
○
岡本
(充)
委員
私もきっとそういうことだったと思います。 さて、それでは、理論的には二十カ
月齢
以下の牛でも
BSE
になるのではないかと私は思っています。暴露する量によって私は変わると思っているんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
山内一也
30
○
山内参考人
おっしゃるとおりです。暴露量が多ければ、二十カ
月齢
以下でもあり得る。一番若い発病例が、
英国
で二十カ
月齢
というのがあります。この牛は、今の
検査
法でやれば、条件次第では十三カ
月齢
でも陽性になっている
可能性
があるという
EU
の科学運営
委員会
の
報告
もございます。
岡本充功
31
○
岡本
(充)
委員
次の質問ですけれども、そういった中で、今のウエスタンブロットだけじゃなくて、異常プリオンと言うべきか、幾つかの新しい、その検出法が出ています。ことしの五月にも、イスラエルの方から出ているジャーナル・ニューロイムノロジーの中には、尿の中のイムノグロブリンのライトチェーンでわかるんじゃないかとか、三月には、いわゆるCDI法のさらに進んだサンドイッチ・イムノアッセイが
報告
されています。それぞれ、ジャーナル・オブ・イムノ・メソッドですか、の中でも
報告
されております。 こういったものを見ると、新しい
検査
方法
が今後出てくる
可能性
が十分あると思うんですけれども、そういった中で、今回の二十カ
月齢
以下の牛でも検出が可能になってくる
可能性
はあるとお考えでございましょうか。
山内一也
32
○
山内参考人
十分ございます。そして、
報告書
の附帯
意見
の中でも述べてありますが、二十カ
月齢
以下を
検査
から外してしまった場合に、実際に新しく開発されてくる
検査
法の
評価
ができなくなるという、そういう矛盾のあるような諮問であるということも述べております。
岡本充功
33
○
岡本
(充)
委員
もう
一つ
の重要な
対策
、
SRM除去
。 確実な
SRM除去
、均一で正確な
SRM除去
は私は不可能だと思っているんですね、最終的に、パーフェクトなものは。不可能だという私の考えに、どうお考えでしょうか。
山内一也
34
○
山内参考人
私の話で申し上げましたように、既に指定されている
SRM
、それから混入してくる
SRM
、
未知
の
SRM
、こういったものを全部考えた場合、それをすべて取るということはできません。
岡本充功
35
○
岡本
(充)
委員
続いて、もう時間も残り少ないんですが、豚の
肉骨粉
の
使用
について今回再開されました。これは実は、同様に論文が出ていて、種の壁を考える上で極めて重要だと思うんですが、「ジャーナル・オブ・ゼネラル・バイオロジー」の中に、これは二〇〇三年ですが、「スタディーズ・オブ・ザ・トランスミシビリティー・オブ・ザ・エージェント・オブ・
BSE
」、豚の、これが出ているんです。 この中で見ると、種の壁を一たん超えると、豚の中でも
BSE
が広がるということが示唆されています。種の壁があるから豚には行かないけれども、一たん豚に行ってしまったら豚の世界でも
BSE
が広がると考えるんですが、それについての御
見解
はいかがですか。
山内一也
36
○
山内参考人
今引用された文献は、これは豚への脳内摂取実験であって、そして、その場合には豚が
感染
した、要するに、豚には感受性はある。ただし、現実に、
農場
とか野外でもって経口で豚が
感染
した
可能性
はまず考えられないということと、経口摂取と脳内摂取の
感染
性の差、これが非常に大きい、この二つの点から、豚で、自然界でもっての経口
感染
は起こり得ないだろう、そういうふうに
判断
をしております。
岡本充功
37
○
岡本
(充)
委員
済みません。
最後
にちょっと伺いたい。 今回の食品安全
委員会
の
結論
について、るる
最後
に述べられました。先生は中間
報告
の中で御
意見
を述べられた。それが残念ながら
結論
に載らなかったり、そしてまたその載った
結論
が、残念ながら官僚にいいように利用されて、最終的な
結論
になったのではないか。私は先生は、強くというか、じくじたる思いで今回見ていると思います。 今回のこの
最終報告書
に至る過程。官僚に利用された、もしくは、言葉は悪いけれども、だまされたという思いはありませんでしょうか。
山内一也
38
○
山内参考人
おっしゃるとおりです。 これは私たちの反省でもあるわけですが、結局、例えば中間とりまとめの
結論
のところで、
最後
に二つの事項、こういったことは今後の
対策
を考える上で重要な点であるといったようなことが、
座長
一任後につけ加えられて、それに基づいて
月齢
見直しの諮問が出てきた。そういう点について、我々科学者としては、そこまでの読みはできなかった。ある意味では確かに利用されたんだというふうに思います。 今後、そういったことがないように、今回も、例えば諮問の
報告書
に関しては、科学者、
専門家
だけで行政は一切入らずに
報告書
を書いています。そういったところで対応していきたいというふうに思います。
岡本充功
39
○
岡本
(充)
委員
お忙しい時間、どうもありがとうございました。終わります。
山岡賢次
40
○
山岡委員長
次に、白保台一君。
白保台一
41
○白保
委員
きょうは、
沖谷
先生、
山内
先生、大変御苦労さまでございます。公明党の白保でございます。 この
委員会
には非常にこの問題に詳しい方が何人かおられて、もちろん科学者じゃないと思いますけれども、いらっしゃいます。私は、その域には達しておりませんけれども、素朴な疑問をお聞きしていきたい、こういうふうに思います。 初めに、
沖谷参考人
にお伺いしたいと思います。 我が国は、全
頭検査
という消費者の安全、安心に対する要請にこたえる、こういう体制で
BSE
に対する対処をしてきた結果として、世界でも非常に珍しい二十一カ
月齢
の
感染牛
を見つけ出して、そしてまた生後二十カ月以下を
BSE
の
検査
対象外とする大きな根拠になったんだろう、こういうふうに思います。しかしまた、アメリカでは牛は群れで飼育されていて、我が国のように個体管理がされていなくて、正確な
月齢
は確認できない、こういうお話です。
輸入再開
交渉で、
米国
は、
枝肉
の
成熟度
によって
判別
可能、こういうようなお話を先ほども伺いました。流れ
作業
の中で
検査
員が目視で確認するという
検査
方法
というのは
米国
関係者からも不備が指摘されている、こういうふうにも聞いております。 年間三百五十万頭、こういった牛を処理するアメリカで、今後も
月齢判別
が有効かどうかという
検証
は時間がかかっても行う必要があると思いますが、まず、どのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
沖谷明紘
42
○
沖谷参考人
格付
のその時間については、そのとおりであって、見てきたんですけれども、最終的には、
報告書
の
最後
に書いてありますように、A40を採用するというふうに決まった場合に、もっとはっきりマニュアルをつくるということができるようにと、現状は、A40にするかということを何も決めないで
調査
した結果としてこの数字が出てきたということで、今、A40ということとA50をきちっと識別できるようなことに決まれば、いろいろな手だてをやっていくということを期待しているわけです。 それで、我々は、その手順とか、いろいろやったらいいというふうに提案しているわけですけれども、この間、農水省とそれから厚生省の関係者が現地
調査
に行きまして、こういうことの考えが出されたというふうに聞いております。 A40を
月齢判別
に使う場合には、
格付
検査
員がAの00からAの50までの標準
写真
サンプル
を携行することや、通常の
格付
工程で対日
輸出
用に選別した
牛枝肉
を対日専用
作業
ラインにさらに移して再確認する、改めてA40以下かどうかを再度確認して最終判定するという考え方が示されております。 以上です。
白保台一
43
○白保
委員
アメリカ農務省は、全米における家畜の個体識別、追跡制度を
段階
的に導入して、二〇〇九年から義務づけると発表したようですけれども、このような制度が本当に導入されれば
米側
の
月齢判別
の仕組みも整う、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
沖谷明紘
44
○
沖谷参考人
はい。まさにそのとおりだと思います。個体識別の制度を導入するというメリットは、必ずしも単純に
月齢
だけを知るためじゃなくて、病気が起こったときのトレーサビリティーあるいは飼養条件等々、新しい技術の開発とか、いろいろなものに役に立つわけで、それらも含めた利点だと思います。
月齢
については、出生時に個体識別のマークをつければ確実にできることは明らかであります。そのとおりだと思います。 以上です。
白保台一
45
○白保
委員
では、次に、
山内参考人
にお伺いいたしたいと思います。
山内参考人
は、新聞で見ましたけれども、「人の健康こそ重要」、そしてまた「
日本
の
対策
で世界貢献を」、こういうような新聞のインタビュー記事を見ました。 そこで、お伺いしたいと思います。 どちらも
感染
していない、
感染
している
可能性
がない牛、どちらも
感染
している
可能性
がないとは言えない
牛肉
で、どちらも
特定危険部位
を
除去
した
検査
済みの三十六カ
月齢
の牛と未
検査
の十八カ
月齢
の牛では、大変失礼な話ですけれども、
参考人
はどちらをお選びになりますか。
感染
している
可能性
がないと言えない
牛肉
で、
特定危険部位
を
除去
して
検査
済みの三十六カ
月齢
の牛と十八カ
月齢
の牛では、もしお選びになるとするならどちらの方をお選びになりますか。
山内一也
46
○
山内参考人
済みません。私、耳が余りよくないので、ちょっと、今の御質問をもう一度。
白保台一
47
○白保
委員
どちらも
感染
している
可能性
がないと言えない
牛肉
で、
特定危険部位
を
除去
した
検査
済みの三十六カ月、それと十八カ月、選ぶとしたならどちらをお選びになりますかという、大変失礼な話ですけれども。
山内一也
48
○
山内参考人
済みません、ちょっと。どちらも
感染
していない……。ちょっと……(白保
委員
「言い切れない」と呼ぶ)言い切れない……。(白保
委員
「ただ、
検査
は済んでいますよ」と呼ぶ) 私は、ともかく、
検査
をするということと
特定危険部位
の
除去
のこの二段構えをやったものしか選べないというふうに考えております。さらにもっと若い牛の場合にどうなるかという意味でしたならば、これは最終的には確率論の問題。ですから、非常に低い確率であると考えればいいのかもしれません。
白保台一
49
○白保
委員
我が国の消費者の七割が全
頭検査
を必要と答えています。二〇〇一年に
BSE
が
発生
し、
牛肉
の消費量が激減しました。安全、安心を求める声にこたえる形で全
頭検査
の体制が確立したわけですね。 今日、全
頭検査
によっても、検出に限界があって、絶対安全、こういうふうに保証されているわけではないということも多くの消費者は承知はしておりますけれども、なおかつ全
頭検査
を必要としているのはどういう理由なのかということが
一つ
。それからもう
一つ
は、全
頭検査
が二十一カ
月齢
の
BSE感染牛
を発見したことは大きな意味があったというふうに言えるのではないかな、こう思いますが、この二つについてお伺いします。
山内一也
50
○
山内参考人
全
頭検査
を消費者が支持しているというのは、やはり二〇〇一年十月からの全
頭検査
採用によって、あの時点では確かに安全、安心というふうな形で社会にはPRされました。 我々
専門家
は必ずしもそうは思っておりませんで、全
頭検査
と
特定危険部位
の
除去
と両方である。ただし、
特定危険部位
の
除去
に関しては、きょう申し上げましたように、まだ幾つか問題点が残っていた、それを全
頭検査
がカバーしている、そういうとらえ方をしてまいりました。そういった点については、機会があるたびに、いろいろな講演会などでも、なるべくそういう知識を皆さんに伝えるように努力もしてきたつもりです。 ですから、現在、全
頭検査
を支持するという立場の人たちは、当初の安心、安全ということと、さらにもう
一つ
、もっとしっかりとした理解のもとに支持するという、両方の方がいるんだろうというふうに私は思います。
白保台一
51
○白保
委員
厚労省、農水省両省から、
米国
産
牛肉
の輸入の再開条件を諮問される場合も、そもそも
日米
の考え方の違いというのがありますから、
評価
はなかなか難しいんじゃないかな、こういうふうに思うんです。アメリカの方針というのは、先ほどもお話がありましたが、獣医学的な
観点
で一定の
リスク
を容認する。我が国の食品安全
委員会
は、先ほどの新聞にもありましたように、人の健康を前提に、医学的知見から
評価
する、こういう相違がありますね。 この違い、これでもって
評価
とかあるいは諮問とか言われても、これは大変なことだと思いますが、この違いについて、どういうような影響が諮問された場合に出てくるのかな、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
山内一也
52
○
山内参考人
人の健康を重視する立場。まず、
日本
の場合には、薬害
ヤコブ病
、百人以上の
患者
を出したということで、国民の中でこの
ヤコブ病
の悲惨さというのはかなり
認識
があると思います。そういったことがやはり根底にはあるだろうと思います。そして、アメリカの場合には、多分、そういうことよりはもっと多くの、いろいろな
背景
の人たちがいる国ですから、
ヤコブ病
そのものに関する
認識
も
日本
のように十分に普及できているとは思えません。
基本
的な考え方の違いのもとに今後諮問が出てきたときどうするのかということに関しましては、先ほど申し上げましたが、
リスク評価
における定性的な
評価
の手法、これを一応つくってまいりました。これはそのままアメリカの場合にも当てはめられます。考え方の違いとは関係なしに、客観的にそれぞれの要因を
判断
していくことは可能だと思いますので、技術的には十分に対応できるというふうに考えております。
白保台一
53
○白保
委員
アメリカは、北米の方の大陸で見つかった牛はみんなカナダ産だ、
BSE
が見つかったのはカナダ産であると、こういうふうな言い方をする。みずからは、要するに暫定的な清浄国だ、こういうような言い方をしておりますが、国際的には
BSE発生
国とみなされると思います。したがって、今後、アメリカの
BSE発生
の
可能性
について、この辺はどのようにお考えでしょうか。
山内一也
54
○
山内参考人
アメリカ政府がつくった国際
調査
委員会
の
結論
でも、北米全体として見た場合に、アメリカにおける
BSE
とみなしているわけです。ですから、アメリカで見つかったのがカナダ産であるということは、これは何も理由にならない。 それから、暫定清浄国というのは、これは自分の国が勝手にそういうふうに言うだけのことであって、輸入する国がそうは思わないということであれば、十分にそれは対応できる話だろうと思います。 そして、アメリカでの
BSE
がどうかと言われると、少なくとも、
EU
の地域的
BSE
リスク評価
、これは昨年でしたか出ましたので、アメリカはレベル3ということで、
日本
と同等の汚染の
可能性
があるといったような
評価
もされています。それはえさの問題が特に大きいわけですが、かなり
BSE
の広がっている
可能性
も考えざるを得ない、そういうふうに考えられるんだろうと思います。
白保台一
55
○白保
委員
まだまだお聞きしたいことがいっぱいありますが、時間でございますので、これで終わらせていただきます。
山岡賢次
56
○
山岡委員長
次に、
高橋千鶴子
さん。
高橋千鶴子
57
○高橋
委員
日本
共産党の
高橋千鶴子
です。 きょうは、両先生、お忙しい中を御
出席
いただきまして、本当にありがとうございます。
最初
に
沖谷
先生に伺いたいと思うんです。
委員会
やあるいは予算
委員会
の中でもこの
格付
の問題を質問してまいりました。直接
検討会
の先生にお伺いする機会をいただいて本当によかったなと思っているところなんですけれども、
格付
はその国固有のやり方であると思います。私は、これを
月齢
とリンクさせることには非常に無理があると。先ほど来、質問にもあるように、この
月齢
と
格付
をリンクさせるという考え方について特別な
研究
をされた学術論文などもいまだ世に出ていない、そういう中で初めての試みがされたわけです。 そこで、
検討会
にはアメリカが幾つかの
サンプル
を出して、
月齢
が明確にわかるものと、
格付
との比較をする中で、たとえばらつきがあっても間違いなく二十カ
月齢
以下となれるのがA40という形で
結論
を出された。ですから、そのこと自体は、要するに、その与えられた
サンプル
の中では確かに信憑性があったかもしれないと思うんですね。ただ、アメリカには交配種が圧倒的に多い。ですから、
サンプル
というのは本当はもっともっとさまざまな種類を実際は見なくちゃいけないだろう、
肉質
もさまざま違うだろう。まして、
日本
では全く違う種類でありますから、
日本
で
格付
をやっている方がそれを見ても、イコールそうだというふうにはできないものでありますよね。 この点を踏まえて、
検討会
ではどうしてこれを正確だと言えるのか、伺いたいと思います。
沖谷明紘
58
○
沖谷参考人
我が国の場合は
出生日
はわかっておりますけれども、その
格付
というのは、肉のおいしさというのですか、かたさとか、そういうもので、肉の食品としての価値を決めるために
格付
をやっております。 その
格付
、かたさ、特にアメリカの場合はかたさなんですけれども、高齢の牛ほどかたくなる、これは世界全部共通なんですけれども、年齢のわからないものについては、
マチュリティー
を知ることによってかたさを
推定
するということで、完全に、ぴったり一対一の関係ではないですけれども、ある幅を持って
相関
があるということはもう既にわかっていて、それを使っているということで、全くそういう
研究
がないということじゃなくて、
格付
自身が、もともとそういう生理的なものの
状況
が年齢によって変わっていくということに基づいて
格付
というものがつくられているというふうに僕らは理解しております。 〔
委員長
退席、山田
委員長
代理着席〕
高橋千鶴子
59
○高橋
委員
ですから、アメリカが示した
月齢
がわかる
サンプル
三千数百ですよね。これだけで照らし合わせたら大丈夫だというふうに
判断
するのではなくて、さまざまな交配種がある、そういうことも踏まえて、なるほど、
格付
というものがどの種でも成り立つものだな、A40が成り立つものだなという
判断
が可能ですかと伺っております。
沖谷明紘
60
○
沖谷参考人
仮定の話はちょっとできないんですけれども、今もらった
サンプル
データ
の中ではいろいろな品種がまざっていることは事実であります。 アメリカの全部の、今存在している牛のそれを、母集団を完全に反映している、そういうことは保証はできませんけれども、また、そういうことはサンプリングの場合は不可能だということを
認識
して、あの
報告書
を
検討
して
結論
を出したということであります。
高橋千鶴子
61
○高橋
委員
当然、たくさんある品種の中でやはり不可能があるということがお話しされたかと思います。 もう
一つ
ですけれども、当然、アメリカのラインに乗せる上で、
枝肉
で
判別
をするわけですけれども、
枝肉
になる時点でもう頭は切り離されておりますよね。それから、部分肉をどんどん切り離していくわけで、
日本
に輸入されるのはほとんど部分肉である。 アメリカが屠畜処理をしているのは三千五百万トンであります。
日本
に入ってくるのは全体の、量で言うと三%、でも牛の数で言うと九割ですよね。つまり、それだけ細かい肉をいろいろな牛から集めて、パッキングされて
日本
に入ってくるという、アメリカ人が食べないショートプレートなども含めて、そういう
日本
の事情がある。逆に言えば、だから、アメリカは、それだけの牛を全
頭検査
するのはコストがかかって、
輸出
する分と同じ額くらいかかるということをおっしゃっているわけですけれども、それだけ細かくされるものに対して
最後
までA40がついてくるのか、その点についていかがでしょうか。 〔山田
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
沖谷明紘
62
○
沖谷参考人
日本
に入ってくる
牛肉
についてはトレーサビリティーが確実にできるようになっております。国産の牛は当然もう義務なんですけれども、輸入する牛についても、JASの任意規格として
生産履歴
を追及するシステムができております。 私の個人的な希望なんですけれども、もしアメリカから入る場合においては、そのシステムを使っていただきたい。ランバートさんも
会議
の中でそういう発言をしておりまして、
記録
には残っております。 以上です。
高橋千鶴子
63
○高橋
委員
要するに、
検討会
で
判断
できたのは、多分その
サンプル
の範囲内であって、
最後
までついてくるかどうかということまでは、先生は多分責任を負えないんだと思うんですよね。ですから、期待したいというお話があったと。ここで、やはり
検討会
がお墨つきをつけた、
月齢
はいいんだというふうにはならないということが確認できたのかなと思っております。 時間がありませんので、今度、
山内
先生にお伺いしたいと思います。 先生の御発言の中で、まず、フェールセーフの考え方が紹介されたことは私も大変同感であります。 私どもも、全
頭検査
万能論ということは、一度もそういう立場に立ったことはございません。幾つかの
対策
が組み合わさってこそ、安全、安心、
リスク
を限りなくゼロに近づける、そういうことが可能である取り組みが本当に必要、求められているのかなと思っております。 また、
結論
の部分に当たって先生方の
意見
が正確に反映させられなかったということについて、非常に率直な、残念であるという御
意見
をいただきました。 私は、やはりこのことで、科学者がお墨つきを与えたからもう線引きはできたんだというように利用される、こういうことがやはりあってはならないし、そのことによって科学者の良心がゆがめられる、このことに対して強く怒りを感じているものであります。 そこで、まず伺いますが、食品安全
委員会
が
全国
で
リスク
コミュニケーションを行って、多数の
意見
が出され、また文書でもたくさん寄せられました。その処理の
状況
を五月二日の
報告書
を見ますと、千二百五十ですよね、さまざまな角度がございます。それなのに、非常に一くくりにして
調査
会の回答を与えているものが多いなと思ったんですけれども、実際、この回答についてはどういう処理を行ったのか。つまり、だれがどうやってこの回答をつくったのか、
委員
の了解を得ているのか、具体的に伺います。
山内一也
64
○
山内参考人
まず、
結論
のところで、諮問に対して、
月齢
見直しの方で
リスク
が変わらないといったようなことは私たちは言っていなくて、そのことについてお答えしたいと思うんですが、
リスク
は上がる
可能性
があると言っているわけです。ただ、そのレベルは非常に低いであろう、そこまでしか私たちは言っていません。 しかしながら、あの
報告書
自体を出したときに、マスコミも原則容認ということで、あとはレールの上をどんどん走っていっているのが現状であろうというふうに思います。その非常に低いレベルの
リスク
の増加が人の健康にどういう影響を及ぼすのか、これは私たちはよくわからない、科学的にはまだはっきりは言い切れないという立場です。 それから、
リスク
コミュニケーションに関しまして、これは、まずどういう手順でということに関しては、私も詳しいことはわかりませんが、あれは事務局の方で全部整理したんだと思います、非常に膨大な回答に対して。そして、回答案が一応
座長
の承認のもとにという形で我々のところに回ってきて、そして、各
委員
がまたコメントを述べております。私も重要と思われる点に関してはコメントを出して、そういったところは採用されております。ただ、すべてに関してどうなっているかというのはちょっとわかりません。
高橋千鶴子
65
○高橋
委員
委員
の方に
意見
の回答が回ってはいるけれども、多分すべてに対して了解という形ではないのではないかなと今のお話を聞いて思いました。 その点でも、やはり話し合いの、せっかく国民の
意見
を踏まえて安全
委員会
はやるというスタンスで来たわけですから、その点についても、私はこの回答を読んでいてそう思いますので、非常に残念だなと思っております。 そこで次に、いよいよ今度アメリカ産
牛肉
が輸入されるとすれば、
日本
の
牛肉
と比べて
リスク
が同等であるかということが食品安全
委員会
に諮問されるということが考えられるわけですけれども、そのときに、アメリカからの
データ
が余りにも少ないのではないかということが大変言われています。 また、農水省は、飼料規制についてはアメリカの
リスク評価
の対象としないということも
委員会
で明言をしております。この点についての
見解
を伺いたいと思います。
山内一也
66
○
山内参考人
アメリカの場合の
リスク評価
を行うときに、先ほど申し上げましたが、私たち、定性的
評価
の方式は前の諮問のところでつくっております。これは十分に利用できると私は考えています。 そうなりますと、定性的
評価
では、生体牛における蓄積度それから
食肉
への汚染度、この二つの立場から
評価
をすることになります。そうしますと、飼料規制や何か、そういう項目について
評価
するしないというのを、これは私たちが決めることですし、当然あの
評価
の方式の中には入ってくるはずです。
高橋千鶴子
67
○高橋
委員
ありがとうございます。 項目に入ってくるはずですということで、非常に困難かと思いますけれども、
リスク評価
に関してまた、食品安全
委員会
の、時期を決めたということではない慎重な審議を求めたいなと思っております。 それで、
山内
先生は、二〇〇一年の
日本
での
BSE発生
以来、
調査
検討
委員会
などずっとかかわっていらっしゃったと思うんですけれども、いわゆるルートの解明、これについてはいまだされていないと思うんですね。その後も
BSE
の
発生
がありますし、死亡牛からも
発生
があるということで、貴重な
データ
の蓄積は得られていると思うんですね。私は、これはあいまいにするべきではないと思うんです。その点が、最近とにかく二十カ
月齢
のところに集中していますので、一体どうなっているのかなということと、ルートの解明をしていくことや、まだ不十分だと言われている飼料規制などをしっかりやっていっていわゆる清浄国へのプロセスというのが見えてくるだろう、そのことについて、つまり
日本
が清浄国を宣言するまでのプロセス、これがどういう見通しがあるかということの先生の
見解
をぜひ伺いたいと思います。私は、それまでは今の体制を維持するべきだという
意見
を持っているんですけれども、ぜひその点で
見解
を伺いたいと思います。
山内一也
68
○
山内参考人
ルートの解明は非常に重要な点でして、前に一回
報告書
を出しましたが、今度新たに、
研究
班という形で、
農林水産省
が中心になって発足します。実はきょうの夜、第一回目の会合を開きます。そこで新しく出てきた
BSE
例なども含めての
検討
を行ってまいります。 次に、えさの問題。これは本当に重要だと思うんですが、今度の諮問の審議の
段階
でも、輸入配合飼料に関しては今まで全く
実態
をつかんでいなかった。国内
対策
というのは、私は、これはかなりしっかりしたものができてきていると思いますが、世界的な
BSE汚染
がある現在、やはり輸入飼料に関してもしっかり
対策
を講じていかなければ、それは清浄国という道はなかなか難しいんではないか、そういうふうに
認識
しております。
高橋千鶴子
69
○高橋
委員
時間が来たので終わります。ありがとうございました。
山岡賢次
70
○
山岡委員長
次に、
山本喜代宏
君。
山本喜代宏
71
○山本(喜)
委員
社民党の山本です。きょうは、
沖谷
先生、
山内
先生、お忙しいところ、貴重な御
意見
を賜りまして、大変ありがとうございます。 そこで、まず
最初
に、両先生にお伺いをいたします。 科学者の立場で
BSE
の解明についていろいろ努力されてきたと思いますが、しかし、昨年の十月には、
日本
とアメリカの両政府によって、
牛肉
製品の貿易の再開に関する共同記者発表というのが既に行われておりました。その上で、二十カ月以下とか、あるいは
特定危険部位
の
除去
という形で、もう初めからその
結論
が政府の方から示された上でのそれぞれの
委員会
での審議ではなかったのかというふうに私は考えるわけでございます。 そうした政府の進め方、あるいはさらには、ことしになってから、例えば外務省なんかから、
委員会
の審議が遅過ぎるとか、そういった雑音も聞かれました。そうした政府の今までの取り組み方、科学者としてこうしたやり方についてどのようにお考えか、まず両先生からお伺いしたいと思います。
沖谷明紘
72
○
沖谷参考人
二十カ月以下を云々かんぬんということについては、私自身は全く討議する立場の場所には参加しておりません。 ただ、二十一カ月、
月齢
を
マチュリティー
で判定できるかどうかということについては、今でも科学者としての興味を持っております。ですから、アメリカのフォローアップも、結果を楽しみにしておって、学問としてきちっと定着して、成書としてその本が出ることも当然期待しているということで、大変恐縮なんですけれども、私に与えられた役目だけできちっと果たしていきたいというふうに思っています。 以上です。
山内一也
73
○
山内参考人
今指摘されましたように、政府関係の方では、何かもう初めにどんどんいろいろなことを決めていかれる。我々専門
調査
会はそういったこととは関係なしに審議はしておりますが、マスコミ報道はそうではない。要するに、こちら側が審議している一番大事な点ではない
月齢
見直しだけに絞って、アメリカ産
牛肉
輸入の方向につなげてのものしか行われていなかった。それで我々は非常に当惑をしておりました。 ただ、審議が遅いというようなことも聞こえてはきましたけれども、一切そういったことには振り回されずに、我々は独自に自分たちのペースでやってきたと思います。
山本喜代宏
74
○山本(喜)
委員
沖谷参考人
にお伺いしますけれども、今回の
検討会
の
報告書
の中で、A40を
基準
として採用し得るか否かの
判断
に当たっては、
米国
産
牛肉
の
BSE感染リスク
の
程度
を考慮する必要があるというふうに述べられておりますが、このような
判断
をされたのはなぜでしょうか。
沖谷明紘
75
○
沖谷参考人
その数字を見ていただくと、かなり大きな数字だと思うんですね、一・九。普通は、ゼロ
リスク
を期待している向きもあるんですけれども、そういうことはあり得ないんですけれども、もっと小さい数字ということでしょうか。この数字は、生物を対象にした統計の結果としては非常にいい数字というふうに
判断
しております。ですから、あとはその数字を何かに掛けて
リスク
を計算するわけですけれども、それは
BSE
の方です。 我々は、アメリカのそのことについての
データ
を持っておりません。個人的には皆さん知っておりますので、この数字では、使える、計算をしてみる値があるなという
判断
はしており、ですから、お使い、
検討
してくださいというふうに提案しているわけであります。 以上です。
山本喜代宏
76
○山本(喜)
委員
A40の
検討会
ですけれども、解剖学、生理学あるいは
統計学
、この
三つ
の
観点
から
研究
されまして、三回目の、最終回の議事録は公表されておりますけれども、それぞれの
三つ
の分野で
分析
の強調点が違うと思うんですが、こういった点について、どのようにそれぞれ違うのか、素人にわかりやすいようにちょっと紹介していただきたいと思います。
沖谷明紘
77
○
沖谷参考人
解剖学的あるいは生理学的、
統計学
という
観点
があるんですけれども、生物学的に、先ほども申しましたように、色とかきめというのは、もう既に全員が
研究
者はみんな知っている事実であって、さらに、それは納得するというか、初めにもう共通の知見として、知識として持っているわけです。 あと、解剖学については、解剖の先生が二人参加してくださって、現物をお一人の方は見ていらっしゃいますし、ああ、確かに言われているようなことが実際に起こっているという確認、我々はそれが年齢に応じて変化するものだということを
委員
が了解したということであります。 それから、生理学的には、性ホルモンが出てくるときがちょうどそのAの40と50のところなんですけれども、そこで
軟骨
が
骨化
するという、がくっと変わるということ、それも我々がすごく興味を持って
認識
したということであります。 それから、統計については、何回も
サンプル
に
偏り
があるというふうに出てきますけれども、母集団がどうなっているかということを知るのはほとんど不可能だということで、現状を受け入れるということであの数字を出したということであります。 以上です。
山本喜代宏
78
○山本(喜)
委員
次に、
山内参考人
にお伺いしますけれども、五月に
OIE
の総会が開かれまして、マスコミ等の報道によりますと、
特定危険部位
を除けばあとは全部いいんだというふうな話し合いがなされるというふうなことが報道されておりますけれども、この
OIE
の
基準
ということについてはどのようにお考えでしょうか。
山内一也
79
○
山内参考人
いわゆる、条件をつけない、無条件物品として、骨を取った、脱骨した
牛肉
、
特定危険部位
を取った上ですが、それはもう条件をつけないといったような提案がなされるということになっておりますが、
日本側
として、少なくとも私たちもこの
リスク
コミュニケーション等で
意見
を出しましたが、例えば、最近
日本
で、
末梢神経
に
特定危険部位
というか、
末梢神経
でも異常プリオンたんぱくが見つかってくる。そういったようなことを考えた場合に、今のような条件で肉が安全であるということは言い切れない。 それから、やはり国際的な
安全対策
に関する
基準
、考え方、原則というのは、WHOなどが言っているような、要するに
感染
している牛は一切食物チェーンには入れない、こういう原則があるわけです。したがって、やはり無条件というのは、これは受け入れられないというふうに考えております。
山本喜代宏
80
○山本(喜)
委員
重ねて
山内
先生にお伺いしますけれども、
日本
とアメリカの間で結んだ中身ですけれども、
特定危険部位
の
除去
とそれから二十カ
月齢
ということで、飼料規制については、
日本
政府はアメリカに対して求めない、それを条件としては盛り込まないというふうに言っています。
特定危険部位
の
除去
は
牛肉
そのものの
安全性
を直接確保するものではないということで、政府の答弁は再三されているわけですが、このことについてはいかがお考えでしょうか。
山内一也
81
○
山内参考人
まず、
特定危険部位
の
除去
、これはどこまで確実に行われるかということが大事だろうと思います。その上での二十カ
月齢
以下という話であろうと思います。 それから、飼料規制に関しての、求めないというのはどういうことになるのか、私もこれは全く知りませんが、先ほどもお答えしましたが、飼料規制の面も、定性的
評価
の中における要因の
一つ
として重要な要因ということになっていくというふうに私は考えております。
山本喜代宏
82
○山本(喜)
委員
山内
先生にお伺いしますけれども、今後、アメリカからの輸入条件についていろいろと諮問され、これから進んでいくわけですが、マスコミ等では、七月再開かとかあるいは九月再開かとかいうふうに、もう既に報道されていますね。今後
調査
会の中で審議するに当たって、そうした雑音について、どのように考えていくんでしょうか。
山内一也
83
○
山内参考人
前の諮問の、
月齢
見直しを含めた諮問のときも大変な雑音がございました。この次のもあったとしても、これは私たちは全く気にしません。その点は、ある意味では科学者というのはかなり独立性を持っているというふうにお考えいただきたいと思います。
山本喜代宏
84
○山本(喜)
委員
そこで、アメリカからの
輸入再開
に向けた諮問がされた場合、諮問を受けて
調査
する項目があると思いますが、どのような点を
調査
していくのか、そうしたことについてお伺いします。
山内一也
85
○
山内参考人
リスク評価
の諮問だと思いますし、定量的
評価
は、
日本
の場合もできなかったわけですから、アメリカの場合もできないだろう。私たち、今のところ定量的
評価
はできないし、定性的な
評価
ですから、定性的な
評価
の方式というのは、一応これまでにつくったもの、それをアメリカの場合にも当てはめていく。どういうふうに当てはめるか、それはこれからの
作業
にかかってまいりますが、十分に対応できるであろうというふうに考えております。
山本喜代宏
86
○山本(喜)
委員
次に、再度
沖谷参考人
にお伺いしますが、
検査
官の目視によって
検査
が進められるわけですが、百六十人の
検査
官で何百万頭ですけれども、この
検査
官の労働条件とか労働時間とか、そうしたものについての配慮も含めて、
検討
の中に入っているんですか。
沖谷明紘
87
○
沖谷参考人
実際にどうやるか、そういうことについては一切
検討
しておりません。当然、正確を期してやるシステムをお考えくださると、執行する場合。私たちは、科学者としての、生物の
データ
を見て、それで得られる結果を提示しただけであります、期待するところはもちろんありますけれども。 以上です。
山本喜代宏
88
○山本(喜)
委員
どうもありがとうございました。終わります。
山岡賢次
89
○
山岡委員長
これにて
参考人
に対する質疑は終了いたしました。 この際、
参考人
各位に一言御礼を申し上げます。 本日は、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。(拍手) 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十八分散会