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岩國委員 食育というものの大切さを私は否定するわけではありません。昔から衣食住と言われて、
食事は人生にとって、人間にとって大変大切なものだという認識は私も十分持っております。しかし、それを教育の中に位置づけるということに関しては、非常に私は違和感を感ずるんです。
日本の伝統というものからこの問題を考えてみた場合に、例えば、
日本人の場合には趣味とか習い事に道という名前をつけて、お花でも華道という、書を書くことも書道という、お茶の習い事をすれば茶道という。私は、これは
日本の文化の非常にすぐれた点だと思うんですね。民間の、
学校で習わないことでも、一人一人こつこつと、先輩あるいは師匠を見つけては、自分の人生、人格を磨くために、道という名前をつけて、華道、茶道あるいは書道。しかし、食べ物が大切であっても、食道という言葉を私は聞いたことがないんです。
カルチャー教室、たくさんの広告が出てきます。このカルチャー教室も非常に盛んになっておりますけれ
ども、水泳教室、ヨガ教室あるいは料理教室というのはありますけれ
ども、食教室というのは聞いたことがないんです。食というのは、教えるもの、学ぶものというよりも、家庭の中でお母さんからしっかりと、小さいとき、ゼロ歳のときから身につけるもの、それが私は食ではないかと思うんです。
私は、こういうものは
法律にはなじまないから、
食育という概念は肯定するとしても、
食育法と「法」をつけることに抵抗を感じるわけです。これは国家権力や
政府や国
会議員がやることではない、そういう思いがあります。
例えば、西洋文化の発祥の地と言えば、まずイタリアでしょう。イタリアではどのように言われているか。イタリア人の一番の情熱、人生で一番楽しみを覚える、自由に楽しめるというのは、アモーレ、カンターレ、マンジャーレ、この三つですね。
小坂先生もヨーロッパに取材されましたから、よく御存じと思います。アモーレ、カンターレ、マンジャーレ、愛して、歌って、食べて、これが人生の一番の楽しみだと思っているんです。裏返して言えば、この三つの分野だけはどんな国家権力者も介入したことがないんです。また、介入しようとしない分野なんですね、アモーレ、カンターレ、マンジャーレは。シーザーも介入しませんでした。ネロも介入しませんでした。ローマ法王も介入しませんでした。
一般庶民は、この三つだけは、権力とか政治と無縁の、自分たちのものとしてとっておいてほしい、それが一般大衆の願いじゃありませんか。これが私は
日本の常識、世界の常識だと思うんです。
法律の好きなドイツでさえもこんな
法律はつくっていません。職業訓練法はつくっても、食べ方の訓練法、教育法はつくっていないんです。
こういう食べるということは、常に権力に一番遠い位置に存在するからこそ、みんな味がわかるんです。食べ物を権力者のそばに持っていかれる、食べること、食べ方さえも権力、
法律、
制度の中に取り込まれる、それでは味が悪くなると思います。
食は広州にあり。広州というのは、御存じのように中国の国家権力から一番遠いところにあります。
日本でも、浪花の食い倒れと言われます。浪花の人、大阪の人は、食べることを非常に楽しんできました。それはどこにあるか。江戸でもなければ京都でもない、出雲でもない、奈良でもない、常に国家権力が存在しなかったところに食文化が一番発達しているんです。
そういう権力と食ということを考えれば、私は、安易にこういう
基本法だとか
推進法だとか、
国会の中で
法律や
制度をつくって介入すべきものじゃないと思います。私は、食こそ自由で民主、自由民主党の名前そのものに一番合っているのは、
法律や
制度から解き放すことが
皆さんのおやりになることではないかと思います。そういう食に対して権力が介入する、それを食権介入と言うんです。そういうことをやってはならないと私は思います。
私は、頭が古いのかもしれません。しかし、いろいろな国を見て、いろいろな国の人たちの食べ方を、そして
子供の育て方をずっと見てきて、私は非常にこの
法律には違和感を感じる、そのことを申し上げます。
子供が悪いのは
学校のせいだ、社会が悪いからだ。本当は悪いのはその
子供であり、その親なんです。自分の体が悪い、
小坂先生も先ほど糖尿の心配があるとおっしゃいました。しかし、やれ糖尿病だ、血圧が高い、自分の体が悪いのは親のせいだ、
小泉さんのせいだ、すぐに社会のせいや
小泉さんのせいにしてしまう。これも私は悪い風潮だと思うのです。悪いのは本人なんです。
こういう
食育法があったら、
小坂先生は糖尿病にならなかったか。私は、やはりおなりになったと思うんです。あれだけ飲んだり食ったりを楽しんでおられるわけですから。
食育法と全然
関係がない、個人の生き方の問題なんですね。悪いのは自分の暮らし方、つき合い方、そういう方にとっては、この
食育法があってもなくてもほとんど
関係はない。自分が自分の健康には責任を持つ、これこそ私は一番大切なことじゃないかと思うんです。
そして、この
法律の中には、
地産地消、宮腰
先生のホームページものぞかせていただきました。この
食育法については情熱を傾けていろいろと書いていらっしゃいますけれ
ども、どうも目立つのは
地産地消、
農業、農村の
活性化。つまり、胃袋よりも財布の方に私は重点があるような気がするのです。つまり、今までの農政の失敗というものを、こういう厚化粧のこの新法で目先をかわそう、こういう思いが私はしてなりません。
まず、宮腰
議員にお伺いいたします。
国民の関心事の中で、今、年金とかあるいは景気対策が関心事の一位、二位に来ますけれ
ども、この
食育法については関心事はどれぐらいなんでしょうか。上から何番目ですか。郵政改革、よくて八番、十二番目が郵政改革、こういうものを今一生懸命
政府はおやりになろうとしているわけですけれ
ども、この
食育法、
食育ということについては、
国民の関心事、そういう世論調査の中で何番目ぐらいだという認識を持っておられますか。