○葉梨
委員 ありがとうございました。
特に、堤防というか、私も勉強してみたら、今私の住んでおります取手市というのは、直轄河川ですけれども、利根川と小貝川の堤防に囲まれています。そして、その堤防の
歴史を見てみましたら、これは徳川
時代の初めに川をつけかえてつくったんですけれども、やはり四百年来のものである。そして、特に治水というのは極めてアナログですね。本当に、もともとの、大切なのは土のうであるということで、アナログ、大事なことだな。
ですから、そういった
意味で、基本に立ち返って、やはりかつての
歴史、そういったものも見ながら本当のこれからの
社会資本をつくっていただきたい。
大臣、戻られましたので、まちづくりということで申し上げていきたいんですけれども、実は、
社会資本で今堤防の
お話をしておりました。堤防の話から今度まちづくりに戻ってまいるんですが、私自身は、堤防と同じで、
社会資本というのも単にコンクリートで物をつくればいいというのじゃなくて、
歴史的な
社会資本というのをちゃんとつくっていかなきゃいけないんだろうというふうに思っています。その
意味では、最近まちづくりの中で考えていますのは、昔の、江戸
時代につくったお城だとか戦国
時代の建物だとか、あれも
社会資本なんですね、実は。そういう中で物事というのをやはり考えていかなきゃいけないというふうに思います。
そこで、ちょっと視点を変えまして、
一極集中という視点からいろいろと考えてみたいと思うんです。
先般来、
東京一極集中という話は相当いろいろと出てまいりました。それから、多分私、いろいろ考えなきゃいけないのは、それをしっかり防止、
東京一極集中を是正するために、これから出てくるのは道州制の議論だろうと思うんです。ただし、道州制の議論が出てきたとしても、やはり考えなきゃいけないのは、道州の中でまた
一極集中が起こってしまうということがあるんです。
今、実は、都道府県、市町村の力が非常に弱いものですから、先ほど
森田先生からも
お話のありました市町村合併というのが進んでおります。県の力が非常に強くなっています。
県の中で見てみたら、四十七都道府県の中で、
人口の、先ほど
東京は一割弱だという話が
計画局長からあったんですが、
人口の一割以上が集積している、県庁所在地に集積していない県は三つしかございません。
一つは山口県。ただし、山口県は下関という
大都市がございます。それから三重県。津はございますが、四日市という
大都市がございます。もう
一つは我が茨城県でございます。ですから、四十七都道府県のうち四十四の都道府県、しかも、数え方によっては四十六の都道府県がその県の
人口の一割以上を
一つの町に集積させてしまっているというのが今の現状です。
ですから、
日本全国で起こっているのが
東京一極集中、各都道府県の単位で起こっているのが県都
一極集中、そういう現象が起こっている。
そこで、そこのところを、これはなぜだというふうなことを考えてみますと、やはり先ほど来
お話のありました
特色ということ、これは非常に大きな課題だと思うんです。
大臣は
関西でいらっしゃいますけれども、私も実は、大阪の西成警察署に一年、それから兵庫県の県警本部に二年、三年ほど暮らしたことがございます。
関西というのは、大阪がありまして京都がありまして、それから神戸がある。私ども関東の人間から見ますと、本当に近いですね。町がつながっている。町がつながっていて、もしもこれが
東京近郊だったら、横浜は多少違うんですけれども、例えばさいたま市とか千葉市よりも、実は神戸と大阪の間というのは
東京とさいたま市、
東京と千葉市よりも近いんです。ところが、
東京から見て千葉市がどれだけの、まあ
特色を持っていないとは申し上げませんけれども、存在感を持っているか、
東京から見てさいたま市がどれだけの存在感を持っているか。
大阪にとっての神戸というのは、単に
人口比だけの問題じゃなくて、やはり町が
形成された
特色の問題、そういったところからも全然違う。そしてまた、京都というのは
歴史的なものとして、別格なものがある。そんな
印象を、私はずっと関東に暮らしておって、それが
関西に初めて暮らしたときに持った覚えがあるんです。ですから、必ずしも距離が離れているから
特色がないとか、そういうわけじゃないんです。
そこで、つらつら考えてみますと、何が違うか。
社会資本というと、どうしても戦後、
開発の中で
社会資本というのをつくってきた、そういうような
考え方で、やはり我々思いますけれども、先人がつくってきたということを今
清治局長もおっしゃられましたけれども、そこでいいますと、本当に先人が培ってきた
歴史的な遺産、
歴史的な
社会資本、こういったものをやはり我々がどう生かしていくか、そういう視点が
特色をつくるためには必要なんじゃないかというふうに思います。
ところが、今町おこしということを言いますと、各市町村、私どもの取手市の
中心市街地の人たちもそうです、それから、どこの町の人たちもそうです、大体バスで連ねて見学に行くんですね。川越はいいじゃないか、豊後高田はいいじゃないか、そういったことで見学に行く。同じような、じゃ、駄菓子屋をつくったらいいじゃないか、何をつくったらいいじゃないかという形でいって、結局、
特色のあるところに見学に行ってそれを持って帰ってきて、同じような
特色を持ったところが
日本全国にたくさんできるものだから、全然
特色にならない。そういうような町おこしが今行われているんじゃないかというような
感じがいたします。
これはなぜかというと、やはりビジネスモデルで
特色を出そうとすると必ずキャッチアップが起こるんです。まちづくりのビジネスモデルというのは特許がとれませんから、必ずキャッチアップが起こってきます。そうしますと、ほかに勝てないもの、ほかの町が絶対に勝てないものは何だ。
私どもの茨城県の県都、水戸というところがございます。私は、もう今は選挙区ではなくなったんですけれども、この間も
お話をして、そうですね、だけれども、水戸には偕楽園という三名園の
一つがある。それからもう
一つは、弘道館という、これはもともとの水戸城、これは水戸藩士というのは、ずっと在府、江戸におりましたけれども、弘道館は水戸城の敷地内にある。そこをやはり結ぶような、
歴史的な回遊性を持たせて、そこに何か商店街とかそういったものをつくる、そういう形だったら、まずほかの町ではやはりこれはまねすることができないわけです。ですから、そういったようなユニークなまちづくり、そういう視点も非常に大事だと思います。
ですから、どうしてもやはり今までビジネスモデルというものに目が行きがちだった私たちのまちづくり、町の
特色づくりというのを、やはりもう一度本当に立ち返って、
歴史とか風土とか伝統、そしてその中で何百年間培われてきた
社会資本という、もっと広い目で見ていく、そういうような視点が私は大事じゃないかなというふうに思っております。
そこで、これからのまちづくりについての
歴史、風土、伝統、その生かし方について、
大臣から御所見を伺いたいと思います。