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細川委員長 平成十五年度
決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、
委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成十五年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、
平成十五年度
決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行
状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の
努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な
措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 国の財政は、公債残高が累増しており、非常に厳しい
状況である。まずは二〇一〇年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を目指し財政の健全化を図ることが重要な課題である。このため歳出の各分野について経費削減を着実に
推進し、財政再建に取り組むべきである。また、特別会計についても、区分経理の必要性を吟味するなど厳しく見直すべきである。
2 最近の合計特殊出生率の低下にかんがみ、婚姻、出産、育児を容易にできる環境を着実に整備すべきである。子育て支援において、各地域における小児救急医療体制の整備充実をはじめ、次世代の育成に向けた積極的な施策を
計画的に実施していくべきである。
3 高齢化の一層の進展に伴い、介護を受ける者の増加による介護保険給付費が増大する
状況にある。このため、介護を予防重視に転換し、特に筋力向上運動の
推進、地域に密着した予防拠点の整備を行い、また、介護予防サービスの普及を図るなど、介護サービス内容を見直し持続可能な介護保険
制度を構築すべきである。
4 国の内外で大規模な地震の発生により
国民生活に多大な影響を及ぼし、
国民の防災に対する意識が高まっている。今後も大規模地震が想定される中、建物の耐震化、津波軽減
対策等を
推進するとともに、特に、災害時における「救命ライフライン
システム」を早急に整備し、人命を最優先とする総合的な地震
対策に取り組むべきである。
5 先般発生した列車脱線事故は、
国民に不安を与え
社会的信頼を著しく失墜させるものであり誠に遺憾である。公共交通機関は安全輸送が使命であり、安全確保、安全
対策の検証を行い、鉄道事
業者に対して事故防止
対策の徹底を求め、再びこのような重大事故が起こることがないように万全を期すべきである。
6 近年、
犯罪情勢は急速に悪化し、特に
外国人犯罪は増加傾向にあり、
国民の生命や財産に重大な被害を及ぼす凶悪
犯罪が後を絶たない
状況にある。このため
不法滞在者の取締りの強化、
治安関係職員の増員及び国際捜査の体制整備、学校の安全確保のために万全を期する施策など、積極的、効果的な
犯罪防止対策に取り組むべきである。
7 地球温暖化
対策の第一歩となる京都議定書の発効に伴い、我が国の数値約束達成のため、温室効果ガスの削減
対策や森林吸収源
対策をはじめ、京都メカニズムに係る
対策とその裏付けとなる施策を
推進すべきである。地球温暖化
対策は、中長期にわたるため地球温暖化の科学的研究、技術・開発等、そのための
社会的
基盤の整備や広く啓発活動・環境教育を進めるべきである。
8
政府開発援助(ODA)は、我が国の国際的立場にふさわしく、国際
社会の平和と発展に貢献するため重要な政策である。この開発援助にあたり、二国間の関係、
経済状況等を考慮して、
経済資金協力については、政策評価を活用・検証して実施
状況の改善、被援助国の真に必要な援助を展開するため、現地の非
政府組織(NGO)との
連携を強化し、有効な外交手段として、一層戦略性を高め効率的・効果的な援助を実施していくべきである。
二 会計検査院が検査報告で
指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの
指摘事項について、それぞれ是正の
措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三
決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の
決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に
推進し、財政運営の健全化、行政の
活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を
推進し、もって
国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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