○
古川(禎)
委員 核の
開発について、わからないと。仮に持っておったとしても、実際それを弾頭化して起爆できるところまでいっているかどうかわからないということですが、一方で、生物あるいは
化学兵器の場合は、これは確実にあると言われております。
いずれにしても、
精度が高くないノドンであっても、それを東京とか大阪というような
我が国の大都市に向けて撃たれた場合には、これは、
精度が低いということをもって
脅威を打ち消されるわけでは到底ないわけでございます。
ただ、
北朝鮮が核を保有して
相当程度それを高度化していると仮にしましても、そしてその
北朝鮮が
我が国に対して
核攻撃をしかけたとしましても、これは、
米国のいわゆる核の第一撃で北を壊滅できる、いわゆる核の傘というものがあるんだと私は思っています。
日米安保が空洞化していない限りにおいては、いわゆる
相互確証破壊、
MADの
核抑止理論に照らせばそのようなことになるだろうと。
では一方で、
中国はどうだろうかということで
心配をしております。十六年度の
防衛白書を見てみましたら、
ICBM、
大陸間弾道弾約三十基、
新型ICBMそれから
SLBM、
潜水艦発射弾道ミサイル、これも
開発を進めていると。また
中距離弾道ミサイル、これは当然
我が国を含む
アジア全域を
射程に入れておるわけですけれ
ども、これは百十基、
短距離弾道ミサイルも約四百五十基ということでございます。
もちろん、
米国の保有するそれに比べますと、数は、
規模は劣るというものの、確実にその
配備数を増しておって、同時に、
有人宇宙飛行に成功するというぐらいの
技術力の急速な向上というものもあるわけですので、これは
大変脅威であると私は思っております。
この
米国大陸を
射程におさめることのできる
ICBMそれから
SLBM、この
二つの核、これによって、
相互確証破壊、
MADの
理論が現実化していくことは想像できないことではないと私は思うわけであります。かつての
米ロの
関係と同様に、今後米中の
関係においてもそのような構造が成立していくのではないか。だとするならば、
我が国にとっての
中国に対する
アメリカの核の傘というものは、実はほころびが生ずる
方向で、穴が開きつつある
方向にあるのではないかというふうに思うわけであります。
私は
国防の
基本というものは
抑止力にあると思います。
抑止力というものは、
我が国を攻めてきた
敵対国に対しまして現実的にそれに
報復をする力、
攻撃をする力と言っていいと思います。だとするならば、具体的に、
報復する力を持ち、そしてその意思もあるんだよということを明確にメッセージすることによって初めてその
抑止力というものが機能し得るのではないかと思うわけでございます。
これまで、
国防論議の際に
専守防衛という言葉がございました。
専守防衛というとどうしても、
イメージからいきまして、とにかく外国への
攻撃力は持たずに、
日本の
国土に攻めてきたものに対する迎撃、迎え撃つ、押し込んできたものに対して押し返す、ですから、結果的に
本土決戦しかあり得ないということになると思うんですけれ
ども、そんな
イメージといいますか錯覚といいますか、ちょっと過剰な、遠慮がちな
考え方に支配されておった嫌いがあるのではないかなというふうに感じているわけですけれ
ども、今回の
ミサイル防衛というものは、純粋に防御的な、かつ他に
代替手段のない唯一の
手段ということでの狭義の
ミサイル防衛だと思います。すなわち、飛んできたものを撃ち払うという限定的なものであるということなんですが、しかし、私が申し上げたいのは、広い
意味での
ミサイル防衛といいますか、もっと積極的な
抑止力、すなわち、
攻撃力というような本質的な要素を包含する
意味での
抑止力というものをやはり備えるべきではないかというようなことを申し上げたいと思うんです。
敵対的な
国家が
ミサイルを例えば
日本に向けて現実的に撃ってくる場合、これがもう明示されておって、これは
我が国に対する
攻撃に着手をしたと認められるような場合に、これは
自衛権の発動ということで対処し得るのだと思いますけれ
ども、しかし、
日米安保によりまして
我が国はその機能を
米軍に依存している
状況にあると思っています。しかしながら、
米軍も完璧ということはありませんで、いろいろなケースにおいては十分な対抗ができないことも十分考えられるのではないかと思います。ですから、その
意味では、
我が国もある
程度は独自の
通常兵力を保有するべきではないかと私は思っておりますし、それこそが先ほど申しました
国防の
基本である
抑止力を持つということになるんだと思うんです。
私は、今回、
北朝鮮、いろいろ慌ただしい
状況になっておりますけれ
ども、このような
東アジアの
状況の中で
日本が
核兵器を保有するべきだとは思っておりません。しかしながら、
北朝鮮や
中国を
射程圏内におさめるような
長距離ミサイル、
通常弾頭の
長距離巡航ミサイル、こういうものは
主権国家として持つということを
検討することは許されるのではないだろうかと私は思っております。
その点につきまして、
長距離巡航ミサイルの
配備の是非について
我が国としてどういうふうに考えておられるか、御所見を賜りたいと思います。