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2004-12-14 第161回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十二月十四日(火曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  十二月八日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     森 ゆうこ君      緒方 靖夫君     吉川 春子君  十二月十三日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     山本 順三君      小川 敏夫君     江田 五月君      吉川 春子君     緒方 靖夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         内藤 正光君     理 事                 景山俊太郎君                 小林  温君                 広野ただし君                 森 ゆうこ君     委 員                 小野 清子君                北川イッセイ君                 末松 信介君                 関口 昌一君                 田中 直紀君                 山谷えり子君                 山本 順三君                 江田 五月君                 津田弥太郎君                 白  眞勲君                 林 久美子君                 木庭健太郎君                 渡辺 孝男君                 緒方 靖夫君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    村田 吉隆君    内閣官房長官        内閣官房長官  杉浦 正健君    副大臣        外務大臣    谷川 秀善君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房拉致被        害者家族支援        室長       小熊  博君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省国際法局        長        林  景一君        経済産業大臣官        房審議官     長谷川榮一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (北朝鮮による拉致問題等に関する件)  (第三回日朝実務者協議に関する件)  (北朝鮮に対する経済制裁に関する件)  (北朝鮮に対する人道支援に関する件)  (北朝鮮情勢に関する件)  (北朝鮮の核開発問題に関する件)  (北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関  する決議の件)     ─────────────
  2. 内藤正光

    委員長内藤正光君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、田村秀昭君が委員辞任され、その補欠として森ゆうこ君が選任されました。  また、昨十三日、愛知治郎君及び小川敏夫君が委員辞任され、その補欠として山本順三君及び江田五月君が選任されました。     ─────────────
  3. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事森ゆうこ君を指名いたします。     ─────────────
  5. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、閉会中必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  7. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、政府から説明聴取いたします。村田国家公安委員会委員長
  8. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会開催に当たり、横田めぐみさんの遺骨とされるものなどの鑑定結果について御説明申し上げます。  横田めぐみさんの遺骨とされるものは、十一月九日から十四日までの間、北朝鮮平壌市において開催された第三回日朝実務者協議の際に日本政府代表団提出されたものであります。  新潟警察においては、横田めぐみさんを被害者とする少女拉致容疑事案捜査の一環として、その鑑定を、帝京大学科学警察研究所等国内最高水準研究機関等に嘱託したところであります。  十二月七日、新潟警察は、帝京大学より、横田めぐみさんの遺骨とされる骨片五個中四個から同一のDNAが、また他の一個から別のDNAが検出されたが、いずれのDNA横田めぐみさんのDNAとは異なっているとの鑑定状況聴取したところであります。  警察としては、これを受け、内閣官房外務省等関係機関と緊密に連携しつつ、八日、当該鑑定状況について、御家族への説明やその内容公表等の措置を取ったところであります。  また、松木薫さんの遺骨とされるものについても、欧州における日本人男性拉致容疑事案捜査を担当する警視庁において同様に鑑定を嘱託していたところ、八日、帝京大学より、松木薫さんのものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定状況聴取し、九日、内閣官房とも連携の上、御家族にもその旨の説明をしたとの報告を受けているところであります。  なお、以上の聴取結果については、昨日までに、帝京大学より同様の結果を内容とする正規の鑑定書関係警察において受理したところであります。  第三回日朝実務者協議において北朝鮮側からなされた説明提供資料等には警察としても疑問点や不明な点が依然として多く存在し、また、国際手配されている原敕晁さん拉致実行犯である北朝鮮工作員辛光洙有本恵子さん拉致実行犯であるよど号犯人魚本公博及び宇出津事件主犯格である北朝鮮工作員金世鎬ら三名について、北朝鮮がその犯行を否定し、引渡しを拒否していることは、警察として到底承服しかねるところであります。今回報告を受けた鑑定結果については、そうした我が方の見方を結果として裏付けるものとなったと考えております。  警察庁におきましては、日朝実務者協議に係る警察庁連絡調整班を設置し、今次協議聴取した内容提出を受けた資料等については、内閣官房外務省等関係機関と緊密な連携を図りつつ、警察総合力を発揮してこれらに対する捜査を推進していくこととしており、国家公安委員会としても、警察当局のこうした活動を一層督励してまいる所存であります。
  9. 内藤正光

    委員長内藤正光君) どうも御苦労さまです。  続きまして、細田内閣官房長官
  10. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会開催に当たり、拉致被害者や御家族状況等について御報告申し上げます。  政府としてはあらゆる機会をとらえ、拉致問題の早期解決北朝鮮側に強く働き掛けてきましたが、本年五月二十二日における総理訪朝の結果、七月までに拉致被害者の御家族の八名の帰国が実現しました。  蓮池さん御家族は、長女が十月一日から地元の大学に編入し、長男も自治体の作成したプログラムに基づき日本語を学ばれているところと承知しています。  また、地村さん御家族は、三人のお子様とも自治体プログラムに基づき日本語を積極的に学習しているところです。  曽我ひとみさんは、米陸軍座間基地夫ジェンキンス氏の軍法会議の結果を御家族とともに見守っておられましたが、ジェンキンス氏が十一月二十七日に刑期を終えて釈放されたのを受け、十二月七日、一家そろって佐渡へ移動し、日本での定着へ向けた生活を始められたと承知しております。二人の娘さんたちは、日本語学習を続けており、積極的に日本社会に溶け込もうとされています。  以上のように、帰国された拉致被害者五名のお子様たち日本語学習に意欲的に取り組まれており、今後、進学、就職等に向けて準備を進めるものと思われます。  三家族とも、それぞれ日本での生活の再建のために努力されており、政府としては、今後とも、拉致問題に関する専門幹事会において決定された拉致被害者に対する総合的な支援策及び北朝鮮当局によって拉致された被害者等支援に関する法律に沿って、関係省庁関係機関連携協力して総合的な支援を更に進めてまいる所存であります。  他方では、拉致問題については、安否不明の拉致被害者に関する真相究明が引き続き大きな課題として残されています。  政府は、十一月九日から十四日までの間、北朝鮮平壌において第三回日朝実務者協議開催しました。しかし、この協議において北朝鮮側から提供された情報物証のうち、北朝鮮側調査結果の核心を成す横田めぐみさんの遺骨とされるものは、今般の鑑定の結果、全く別人のものであったと判明しました。  北朝鮮側のこのような対応は極めて遺憾であると言わざるを得ず、政府は今月八日、在北京の我が国大使館を通じ、北朝鮮側に対して本件に関する厳重な抗議を行ったところです。  現在、政府において、実務者協議で得られた情報物証精査につき鋭意作業を行っているところです。その結果をも踏まえつつ、今後の対応を早急に検討していきたいと考えています。  拉致問題の解決に向け、委員各位の一層の御理解、御支持を今後ともよろしくお願い申し上げます。
  11. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 以上で説明聴取は終わりました。  村田国家公安委員会委員長、退席いただいて結構でございます。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 林久美子

    林久美子君 私は、七月の参議院議員選挙で滋賀県から選出をいただきました林久美子でございます。  この委員会質問に立たせていただきますのは本日が初めてでございます。大変重要な今回の委員会質問に立たせていただくことを光栄に思いますのと同時に、その責任の重さを感じております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、この場に小泉総理出席されていないことを大変遺憾に思っております。大事な局面であります。国民皆さん総理の言葉を聞きたいと思っている。これから外交をどうやっていくのか。是非とも小泉総理に御出席をいただきたかったということをお願いをしたいと思います。北朝鮮との対話以前に、国会、国民との対話すら不十分であるということをまずもって御指摘をさせていただきたいと思います。  さて、第三回実務者協議政府代表団が持ち帰った横田めぐみさんのものとされる遺骨松木薫さんのものとされる遺骨が、いずれもDNA鑑定の結果、別人のものであったということが判明をいたしました。  こうした北朝鮮対応には、拉致被害者家族連絡会、そして救う会の皆さん心情を思うと憤りを感じますし、日本国民の一人として怒りすら覚えております。こうした思いは多くの国民皆さんも同じであると考えますし、今月十日に開催されました衆議院拉致問題に関する特別委員会では、北朝鮮に対する経済制裁を検討するよう政府に求める決議全会一致で可決をされました。  これまでの外交努力により一部の拉致被害者の御家族帰国されましたけれども別人遺骨を持ち帰らせるなど、こうした北朝鮮対応は、これまでの対北朝鮮外交では行き詰まってしまっているということを示したものであると考えております。そうしたことから、今、対北朝鮮外交において我が国は非常に重大な岐路に立っていると思います。拉致問題の進展、解決に向け、判明している拉致被害者方々安否確認帰国実現のために、これまでの交渉取組をまず分析、検証をし、今後の取組に生かしていくことが必要なのではないでしょうか。  そこでまず、町村外務大臣にお伺いをいたします。  これまで二回の日朝首脳会談と三回の実務者協議を経て、今回、横田めぐみさんのものとされた遺骨提出をされました。今回の偽物遺骨提出について、一国の外交交渉として虚偽でしたでは当然済まされないと考えています。  現時点において、第三回実務者協議と今回の遺骨鑑定結果などについてどのように国民家族会、救う会の方々説明をされるのか、改めて評価見解をお伺いしたいと思います。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 二回の首脳会談、そして三回の実務者協議を振り返ってというお尋ねでございました。  国交のない北朝鮮との間で、小泉総理の正に政治判断によって二回訪朝をして、五名の拉致被害者、そして家族が八名帰国をしたということは、私はまず率直に評価をしていただければと、かように思っております。それ以前は、そういう問題すら存在をしないといろいろな形で言っていた国が、金正日軍事委員長がその問題を認め、謝罪した上で、そういう人、日本人を帰してくるということは、私は率直に評価をしていいのだろうと思います。  ただ、これですべて終わったわけではないというのはもとよりのことでございます。安否不明の拉致被害者方々に関する真相解明というものが、当然のことでありますけれども、次なる大きな課題として残っているわけであります。そのために三回の実務者協議をやり、先般、現地にかなり長い間いて、いろいろな資料等々を持ち帰った。その中核横田めぐみさんのものと言われたその遺骨であった。しかし、それが偽物であったということが先般の警察鑑定の結果分かったということでありますから、私どもとしては、大変、今委員の言われたように、私も国民の一人として、また外交責任者として大変な怒りを覚えておりますし、一体どういう意図の下にこういう行動を取ったのか、誠に理解に苦しむものでありますけれども、許すことのできない行為であるというふうに思います。また、その御家族皆さん方心情を考えたときに、誠にその心情や推察するに余りあるものがあると、こういう思いでございます。  今後どうやっていくのかというお尋ねでございました。  私どもとしては、今、その遺骨と称されるものの鑑定は出たんですけれども、その他の資料類が今ありまして、それを外務省及び関係省庁一緒になって分析をしている最中でございます。できるだけ早く、できれば年内にもその資料分析の取りまとめを行って、その上でいかに対応すべきかということを決めなければいけない。  国内にある、あるいは先般の衆議院における決議国民の大変に厳しい声というものを私どもも率直に受け止めながら、対話と圧力という方針で今日までもやってまいりました。そうしたもろもろの状況を考えながら、今後の対応もまた、でき得れば年内には決めなければいけないのかなと、かように考えているところでございます。
  14. 林久美子

    林久美子君 では次に、実際に実務者協議という場で交渉に当たってこられました薮中局長にお伺いをしたいと思います。  薮中局長は、先月、この特別委員会の場で、北朝鮮から提出された資料全体の印象として、非常に信憑性が高いとおっしゃっておりました。  偽物遺骨を持ち帰らせた今回の北朝鮮対応を今どのように受け止めていらっしゃるのか、また、今回のことで北朝鮮に対するとらえ方について変化があったのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  先般の日朝実務者協議でございますけれども、正に十一月の九日から十四日まで、相当長い時間掛けて行ったわけでございます。そして、その中で、先方説明を聞き、我々として全く納得のいかないところが多いということで、疑問点を突き付けて、そしてまた、そのやり取りを相当長くやった、また、資料も持ち帰ったということを御報告したわけでございます。  カルテにつきましてお問い合わせがありまして、そのカルテ自身については専門家の目で見ても信憑性もうかがえるけれども、やはりこれはよく精査してみなければいけないと、全体としてすべて精査して、その上で判断をしなければいけないということは申し上げたとおりでございます。  そしてまた、今正に、その先方からの調査結果としての中核であるこの横田めぐみさんの遺骨とされるものが、今大臣からもお話ございましたように、全く虚偽のものであったということで、これは当然のことながら、我々、私も交渉に当たった一員として、責任者として非常に強い憤りを感じているわけでございます。  今後、いずれにいたしましても、今回の調査結果につきまして十分な精査を行って、先方に更に厳しく問題点、追及していく必要があるというふうに考えております。
  16. 林久美子

    林久美子君 先ほど町村外務大臣のお口からも、どういう意図で北がこういうことをしてきたのかというお話ございました。政府として、今、北朝鮮意図をしっかりと見極める必要があると考えます。  今回の偽物遺骨提出を受けて、これは金総書記指示の下でわざわざ偽物提出をしてきたのか、それとも、金総書記指示実務者が何らかの理由で従うことができず、あるいは従わずに偽物提出してきたのか、この点については外務大臣、どのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。
  17. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今お答え申し上げましたとおり、正に今回、向こう調査結果の核心ともいうべき先方が提示した横田めぐみさんの遺骨とされるものでございます、それが全く虚偽のものであったということで、元々のこの調査というのは、もちろん金正日国防委員長が再調査をするという決定の下に調査委員会ができたと。そして、今回の調査委員会から我々はこの説明を聞き、あるいは情報を入手し、そして物証を得たわけでございますけれども、この遺骨とされるものについてはキム・チョルジュン氏自身から私どもが受け取ったわけでございます。  これがどういう経緯でこうした重大な虚偽が行われたのかということにつきましては、我々、正にこれから鋭く追及していく必要があると思っておりますし、ただ、向こうの中の調査委員会なるものがどれだけの調査権限を持って行っていたのか等々、これから更に追及すべきことが非常に多いというふうに感じております。
  18. 林久美子

    林久美子君 今の時点でどのように分析をしているかということをお伺いをしたいと思います。  第三回実務者協議での北朝鮮説明にはうその上塗りとも言うべきところも見えました。中でも、田口八重子さんは一九八一年から一九八四年は横田めぐみさんと一緒生活をしていたと説明をしてきました。しかし、これまでに、大韓航空機爆破事件実行犯金賢姫死刑囚証言では、一九八一年七月からおよそ二十か月間、金元死刑囚日本語を教えたとされる李恩恵、すなわち田口八重子さんと同居をしていたとしております。さらに、地村富貴恵さんの証言では、田口さんが金元受刑者の偽名である玉花日本語を教えていたと証言をされています。  なぜ北朝鮮はこうした説明をしてきたと分析をしていらっしゃるのか、町村外務大臣是非伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  19. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今お問い合わせの正に田口八重子さんの件につきましても、我々は非常に大きな疑問を持って先方疑問点を突き付けたわけでございます。先方が、李恩恵に関する最近の報道でもございますように、この点について先方説明というのは、これにつきましては全く我々としてはそのまま承服できないような内容もございましたが、これについては今鋭意、全体の我々の持っている情報も突き合わせて精査をしているところでございます。  そしてまた、先方が、今お問い合わせのなぜそうした説明をしてきたのかと、この点は正に先方に対しては問題点を、そして先方説明の不自然な点を突き詰めていくことによって追及していくということしかないのではないかというふうに思います。
  20. 林久美子

    林久美子君 私は、外交責任者と御自身もおっしゃいました町村外務大臣是非伺いをしたいと思っております。  今回のこの横田さんの履歴を捏造してまで田口さんの存在、すなわち李恩恵存在を否定したというふうにもとらえられるわけです。この大韓航空機爆破事件という国家的テロ行為を否定するための捏造であれば、そこには拉致問題を超えた金正日書記の強い意図が働いていたとも見ることができると思いますが、町村外務大臣はどのようにお考えなのか、外交責任者として大臣の御見解をお伺いをいたします。
  21. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先方意図、それは、いろいろな推測はそれは可能だろうと思います。私どもとしては、今回の骨が、遺骨と称されるものが偽物であったということが分かった段階で、とりあえずまず抗議はいたしました。本格的な対応は今後決めると先ほど申し上げました。その抗議に対する反応は今のところございません。  したがいまして、いろんな推測は可能であろうと思いますけれども、どういう意図でやったかということを今この段階で私が申し上げることは差し控えたいと存じます。
  22. 林久美子

    林久美子君 これは非常に重要な問題であると思います。その政権内の統制が取れているのかいないのか、そういう問題にもつながるわけでございます。  細田官房長官、どのようにとらえていらっしゃいますか。
  23. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 今外務大臣から答弁されたとおりでございまして、まだ先方意図がこれであると断定するまでには至れない状況であるわけでございます。まずは、外交の常でございますが、先方の意思を問いただすということが大事でございますので、外交責任者政府責任者が憶測で、あなたは故意に、例えば分かっていて、そして実態はこうなのにこういうことをしたのであろうというようなことは、言うことは適当でないものですから、いろいろな思いはございます。我々も、このような虚偽に満ちた結果を政府間の交渉において堂々と出してきて、これが真実であるかのように述べたということは、我々も極めて遺憾な事態でありますが、ではどのような意図と、あるいは真意を持って、そしてどのような目的を持ってこのような行為を行ったのか、この点はまだこれからの交渉あるいは先方との接触にゆだねられるべきことだと思っております。
  24. 林久美子

    林久美子君 こうした外交におきまして、相手国真意をしっかりと分析をし検証し理解をするというのは、まずスタートラインであるとも思います。どうかしっかりとその点の御検討をお願いを申し上げたいと思います。  こうしたこれまでの外交というのを改めて検証してみたいと思いますけれども、これまでの対北朝鮮外交そのものにも原因があるのではないかというふうに思います。小泉総理が先頭に立って今回の拉致問題の日朝の交渉、当たってこられました。しかし、小泉総理のこれまでの発言等々振り返ると、必ずしも適切ではなかったのではないかと思われるところが多々見受けられます。  まず今年六月は、日経新聞のインタビューに対してこんなふうに総理はおっしゃっています。日朝国交正常化交渉について、二年以内にできれば実現したい、楽観主義、悲観的に考えず、いい方向に考えている、こうおっしゃっています。  そして七月、日韓首脳会談共同会見では、私の任期はあと二年ほど、その間に日朝平壌宣言が誠実に履行されれば、日朝国交正常化はなされるし、二年ではなく一年以内でも結構だとおっしゃっています。  核問題、拉致問題、そしてミサイル問題、解決にはまだ全くほど遠い状況の中で、どうしてこんな期限を切ったようなことが言えるのか、非常に疑問に思います。  さらに、総理、こんなこともおっしゃっています。五月二十七日の参議院のイラク武力攻撃事態特別委員会で、金正日書記について、穏やかで、快活な、冗談を飛ばす頭の回転の速い人だと、こういうことをおっしゃっています。  軽々しく拉致した国家の最高責任者を持ち上げると、どういうつもりで総理はこういう発言をされたとお考えでしょうか。町村外務大臣大臣としてどう評価されるのか、お伺いをしたいと思います。
  25. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 総理の発言は、全部それは前提付きですよ。宣言が、日朝平壌宣言が誠実に履行されれば、それは早く進むかもしれない。また、早く進むことを希望する。それは、ある意味では極めて正直であり、かつ自然であり、外交というのは余り楽観主義になってはいかぬし悲観主義になってもいけないと、こう思っております。しかし、まあうまく物事が進めば、それは一年か二年で正常化に行くかもしれませんねということを言うことは、別に不思議でも何でもないと私は思っております。  相手の人柄のコメントは、それはどういう状況の中で出てきた発言であるか、私は今議事録が手元にないから分かりませんけれども、どういう人なんですかという質問が出たので、多分そう答えたんではないかと想像いたしますが、ある一部分だけをもってして、それが適切であったかないのかと、しばしば私ども政治家の発言は、一言だけをとらえられて大変窮地に陥った総理大臣もいるわけでございますから、余りその総理の発言のある部分だけを取り上げて適切であるかどうかということについては、私はあえてコメントはいたしません。
  26. 林久美子

    林久美子君 総理大臣、一国のトップでございます。その総理の発言、余りにも軽々しいと私は考えております。  また、二度目の訪朝は参議院選挙前、五月二十二日でございました。このときに総理は、経済制裁について、北朝鮮が日朝平壌宣言を遵守する限り日本経済制裁を発動しないと表明をしてこられました。  時期的な問題というのもあると思いますし、こうして重要な外交カードである経済制裁、仮に日朝平壌宣言の遵守を前提していたとしても、それを発動しないということは、自らそのカードを使うことを放棄して自分の手足を縛ることにもつながりかねないと考えております。この点について、細田官房長官はどのように総理の発言をとらえていらっしゃいますでしょうか。
  27. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 二度にわたる訪朝も、内外、特に国内においてはそのようなことをすべきでないという声もありました。それから、二度目の訪朝で、なかなかジェンキンスさん御家族が帰ってこられないというような状況になったときに、極めてけしからぬというお話もありました。  確かに、そういういろいろな状況、それから従来の外交の常識から見ると、まだ成果がはっきりしないうちに訪朝して、そこでこの一つの成果を得てくるということは、言わば小泉流のいいところでもあると思います。これは、現にジェンキンスさんも見事に、この八人の方については日本にしっかりと帰還して、先ほど、冒頭申し上げましたようなことになったということは一つの成果であります。  ところが、その先にある十人の安否不明者、そしてその他の安否未確認の方々について、これを一歩一歩調査をして、そうして実務者協議をやって進めていくんだと、こういう約束をしたと。今まではその方々はもう知らないとか亡くなったとか言って、そのとき時点で、第一回目のとき以降出た資料は全くこれはもう間違いその他信憑性のないものであったわけでございますが、更に調査をして示すということでありましたから、それではそういうことを大いに進めましょうということでやってきたわけでございます。  したがいまして、その首脳会談で約束をしながら進めたことについて、正しい情報が得られなかった、あるいは虚偽情報しか提供されなかったということは、外交上見ましても大きなこれは問題であるというふうに考えておりますが、それを小泉さんの、小泉総理の見方が甘かったからなかなか、うそをつかれたんじゃないかということを言われるのは、物事の一面を、しかも現時点で発生したことについての評価として出てきておるわけでございますが、やはり日朝問題の解決という総理大臣としての意図、意欲、こういったものは我々にはひしひしと感じられるわけでございます。
  28. 林久美子

    林久美子君 では次に、経済制裁についてお伺いをいたします。  私は、これまでの小泉外交問題点というのもあるというふうに思っておりますが、これからじゃどうしていくのかと、非常に重要な局面を迎えているというふうに思います。今、国民世論も経済制裁やむなしという声も高まっております。そして、拉致された御家族を持つ皆さん経済制裁の発動を強く求めていらっしゃる。そういうことも踏まえて、しっかりと今経済制裁どうしていくのか考えていかなくてはいけないと思っております。  そこで、町村大臣、お伺いをいたします。アメリカのアーミテージ国務副長官が小池沖縄・北方担当大臣との会談の中で、経済制裁というカードを見せていることが有効で、実際に始めると大変だと述べられて、現時点での制裁発動は慎重にすべきとの見解を表明したと今日報道がなされました。こうしたアメリカの姿勢、どのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  29. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そういう報道があったことは承知しておりますけれども、私どもまだ正確に、どういう表現をどういう文脈の中で言われたかということについてはまだ正確なところを承知しておりませんので、そのアーミテージ副長官の発言についてこの段階でコメントすることは、これまた差し控えさせていただきます。
  30. 林久美子

    林久美子君 こうしたことを一刻も早くしっかりと分析をしていただきたいとお願いを申し上げます。  そして、その経済制裁につきまして、町村大臣自身も選択肢の一つであるとかねてからおっしゃってこられております。そして、先日、政府北朝鮮に対し、安否不明者十人に関する最終的な情報提供を求め、提供された情報が不十分であると判断された場合には経済制裁を発動する、その期限は来年三月とする検討を始めたと報道がなされました。この報道につきまして、事実なのかも含めて、町村大臣、簡単に簡潔にお願いを申し上げます。
  31. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 簡潔にとおっしゃるのならば、報道、一々の報道については私は責任を持ちません。
  32. 林久美子

    林久美子君 それでは、しっかりと、責任を持たれないということでございますけれども政府としてきちっと検討されているというふうに信じております。  これにつきまして、期限を切って、条件を付けて経済制裁考えていらっしゃるのか、どのように考えていらっしゃるのか、お願いいたします。
  33. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 冒頭申し上げましたように、今資料精査をやっているところであります。その結果を見て、踏まえた上でどのように対応するのかと、それは選択肢としてはそういった新聞報道のことを私全く可能性がゼロとは言いません。可能性で言うならばゼロ%から一〇〇%までであります。  したがいまして、経済政策も取り得る選択肢の一つということは、私、着任以来申し上げてきているところでありますから、どういう対応を取っていくか、いろいろな可能性を考えながら今後対応していきたいと、かように思います。
  34. 林久美子

    林久美子君 しっかりとこの場で、ここは議論をする場でございます。今政府がどういうことを考えているのか、大臣としてどういう制裁について考えていらっしゃるのか、きちっとお答えをいただくことが国民皆さんに対する説明であると私は確信をしております。
  35. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ここで今私どもが考えていることを全部しゃべりましょう。そうしましたらば、先方には全部伝わります。私ども先方情報はほとんど入らない。これで外交交渉は成り立ちません。  したがって、私は、恐縮でありますけれども、今どういう手段でどういうことが可能であるかということについてお話しすることはかえって国益を害するとさえ考えますので、今一々の経済制裁手段の中身、既にこれは自民党の経済制裁等の段階的イメージ、パターン一、二と分けて六つのフェーズがあると、こういったことなどもいただいております。こういったことを私どもも大いに検討材料にしながら、いろいろな考えを持っていることは事実でありますが、その逐一について述べることは現状差し控えます。
  36. 林久美子

    林久美子君 私は、ここでそのお話をしていただくことが決して外交上のマイナスになるとは考えておりません。  そして、時間がございません、最後に伺います。  しかしながら、この拉致問題、解決をしていくためには国際的な連携というのは非常に重要でございます。経済制裁を発動するとなった場合に、中国、韓国の協力、欠かせません。また、経済制裁にかかわらず、拉致問題をこれから前進を更にさせていくということを考えますと、この経済制裁の議論と併せまして、北朝鮮が国際的に着くテーブルというのを一定確保し続けることも重要であると思います。そのために、六月からストップしている六者会合を開催をして核問題を含めた議論を進めていくこと、これが重要であると考えます。  この六者会合の開催に向けまして、議長国である中国、あるいはアメリカなどについてどのように外交努力を今なさっていらっしゃるのか、どういうスケジュールを考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  37. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 北朝鮮に対する直接的な働き掛け、これは先ほど薮中局長が十一月に行かれたときも、先方の六者協議代表者という金桂冠という方に会って、まずその開催を直接働き掛けて、開催というか、できるだけ早く戻ることを働き掛けております。  また、その他の国々、アメリカ、韓国、中国、ロシア等々については、いろいろな機会で、例えば私個人だけの活動を取ってみましても、韓国の外務大臣とは、私が韓国に行き、あるいはラオス・ASEANプラス3、あるいはチリ・サンティアゴのAPECの場で直接韓国の外務大臣、あるいは中国の外務大臣とは同じチリ、そしてラオスで話し合っております。もちろん、総理大臣総理大臣で、APECあるいはASEANプラス3の場で話合いをしております。また、私どもの出先の外交官、大使以下もそういう活動を様々やっているところであります。また、ロシアのラブロフ外務大臣とも私はサンティアゴでこの問題で話をいたしました。様々な外交活動を私どもはやっております。そして、六者協議への無条件かつ可及的速やかな復帰ということで、そうした外交努力をやっております。  ただ、委員理解をいただきたいのは、この六者協議というのは核の問題がメーンテーマでありまして、ここで拉致の話をするという国際的な理解にはなっておりません。拉致の問題は基本的には各国とも理解をしております。日本の考えは正しい、日本支援をする、それぞれの関係国は皆さんそう言っておられますけれども、じゃ六者協議の場でこの拉致の問題を取り上げて議論をするのかということにはなっていないんだということだけは是非理解をいただきたいと思っております。
  38. 林久美子

    林久美子君 私が申し上げていますのはそういうことではなくて、それは重々承知をした上で、北朝鮮がテーブルに着くという、北朝鮮をそこから、国際的な協議の場から逃がすことのないように、六者協議をしっかりとこれから実のあるものにして開催をしていただきたいということをお願いを申し上げたつもりでございます。是非ともこの重要な局面、しっかりとした政府対応を心からお願いをいたしまして、私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  39. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  今、林委員からもありましたように、今回の実務者協議におきまして、特にこの横田めぐみさんの骨というものが偽物だったということにつきましては、国民の全員が怒っているということは間違いないわけでございまして、そういう中で様々な手段を用いて、やはり一番大きな目的は、今北朝鮮拉致された人たちを何とか無事に取り戻すことであるというふうにも私は思っておりますが、先ほど外務大臣からも、様々な外交努力でいろいろな機会を見付けてこの問題を世界にもアピールしていきたいということをおっしゃっていただきました。  ちなみに、ちょうどこの十七日には鹿児島県の指宿市で盧武鉉韓国大統領と小泉首相が首脳会談をするということでございますが、まず官房長官にお聞きします。  この場でどういう、何かそういう、大統領、韓国の盧武鉉大統領に対して何か働き掛けをする具体的なことというのは今考えていらっしゃるのでしょうか。
  40. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっとこれは外交のあれですから、私の方からお答えをさせていただきます。  今委員御指摘のように、指宿で日韓首脳会談が開かれます。先方外務大臣が来られるということなので私も参ろうかと、かように思っております。  どういう会談内容になるのか、まだいわゆる議題の設定といったようなものにはまだ至っておりませんけれども、常識的にだれしもがこの時期考えるテーマというのは、一つは、来年は日韓友情年二〇〇五年ということで日本と韓国の二国間関係の話、そのほか、愛知万博に合わせたビザ免除の話でありますとか日韓のFTAの問題、あるいは関税相互支援協定といったような問題等々、これは日韓の二国間では話があると思います。もちろん、それにとどまらず、多国間の問題もあろうと思います。当然のことでありますが、まだ議題として設定したわけじゃありませんが、この北朝鮮の問題が話題にならないはずがなかろうと、こう思っております。当然ここでいろんな話合いが行われる。それ以外にも、国際的な問題といたしましては、例えば国連改革の問題といったようなことも話題になるのかなと。そのほかいろいろなテーマもあろうかと思いますので、様々な問題が取り上げられる可能性があります。  いずれにしても、この拉致の問題も私どもとしては当然議題になるべき性格のものであると、かように理解をいたしております。
  41. 白眞勲

    ○白眞勲君 その拉致の問題につきまして、もっと具体的に何かどういった働き掛けをしたいと、韓国に対してですね、それについては今考えていらっしゃいますでしょうか。
  42. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まだ本件で私は小泉総理と詰めた打合せをしておりませんので、金曜日、土曜日ですから、その前には機会を得て総理とはお話をしたいと思っております。
  43. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、特にこういった機会というのはそうめったにあるわけじゃありませんから、頑張って、お互いに日本と韓国でこの拉致問題についての協力関係というものを結べるように御尽力をいただきたいと思います。  続きまして、今回の横田めぐみさんの骨というもののほかにも、やはり今一番大きなポイントになっているのは、やはり横田めぐみさんの夫であると言われているキム・チョルジュンなる人のことについてお聞きしたいと思います。  特に、このキム・チョルジュンさんがもしめぐみさんの夫でないということになったならば、もうこれは本当に完全に北朝鮮の今までのやっていることというのは全部もうめちゃくちゃと、言うなれば、そういうことにもなりかねない非常に大きな私は問題であるというふうにも考えているんですけれども。  警察庁にお伺いいたします。  警察庁も今回一緒に、今回の実務者協議で同席し、それなりの専門家もいらっしゃったということですけれども、面会しましたよね。その面会の中で、彼のモンタージュ写真あるいは似顔絵といったものというのは作っているんでしょうか。
  44. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 御指摘の人物の特定のための作業につきまして、警察といたしましても、各種情報精査、検証等を通じまして、その真実の究明に向けて努力を重ねている段階でございまして、現段階、今そういう作業中でございますので、その状況につきまして具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  45. 白眞勲

    ○白眞勲君 なぜその、作業中と言うんですけれども、もう大分たちましたよね。ですから、普通私なんか考えるには、その場で、会った人がその場でまずもうかいてしまわないと、だんだん人間の記憶というのは忘れてしまうわけですから、当然そこである程度の似顔絵とか何かというのはあるのが普通だと思いますし、現在捜査中というふうなことなんですけれども、その辺の真意がちょっとよく分からないんですね。  特に今回のこの問題については、彼は工作機関に勤めているというふうに言っておりまして、工作機関ということは、韓国とかあるいは日本とか、そういったところに場合によってはスパイとして活動していたという可能性だってあるわけなんですよ。そうしますと、やはり一般の人たちに広くその情報を求めるためにも、この方のそういう似顔絵とか何かを一般に公開してもいいんではないかと私は思うんですけれども、その辺につきましてはいかがでございますか。
  46. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、その御指摘の人物の特定につきましては今鋭意作業中でございます。  公表してはどうかということでございますけれども、正にそういった作業を今進めている段階でございますので、その取扱いについて方針を申し上げるというのは現段階では差し控えさせていただきたいと思いますが、そういったものの取扱いについては今後しっかり検討を、関係の省庁とも、関係機関とも連携をして検討してまいりたいというふうに考えております。
  47. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非それを公表できる、もちろんその御家族とか何かプライバシーの関係もあるかもしれませんけれども、そういう関係機関とよく調整しまして、やはり国民、非常に関心高まっていますし、そういった情報というのを日本のみならず世界じゅうから取る必要があるというふうに私は思っておりますので、是非前向きに考えていただきたいと思っております。  それと同時に、薮中局長にお聞きしたいと思います。  薮中さん、キム・チョルジュンさんと握手しましたか。
  48. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今の状況としてもう一度思い返しているところでございますけれども、最初に会って、恐らく握手はしたんだろうというふうに思います。
  49. 白眞勲

    ○白眞勲君 何かその、これはいろんな報道によりますと、細胞を採取したとかいうような話もあるわけなんですけれども、そういったことというのは実際今回やられたんでしょうか。
  50. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  先ほどの答弁にもございましたように、この本人の本人確認と人物の特定ということについては、当然のことながら調査団としても非常に大きな関心を持って臨んだわけでございまして、そういう意味で、前にも御説明したと思いますが、毛髪の提供を求めたということもございました。これについて先方は、本人の身分といいますか、職業上の関係でそれはできないということで、写真の提供があったわけでございまして、そこの写真には、二人で写っている写真と三人で写っている写真ということで、めぐみさんと写っている写真、それからキム・ヘギョンさんと合わせて写っている写真、それに本人が写っていたと、そういうのがございました。  それ以上に様々、本人の人物の特定ということでのことも、我々は今お話がありましたような、モンタージュという御質問もございましたし、様々の工夫も凝らしてございますけれども、これについては詳細に立ち入ることは控えさせていただきたいというふうに思います。
  51. 白眞勲

    ○白眞勲君 何で詳細に立ち入ることは控えさせていただくんですか。それはおかしいじゃないですか。我々一番知りたいところなんです、そこが。是非それちょっと、もう一回ちょっと御答弁願いたいと思います。
  52. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今正に、かねてから御説明しておりますように、今回の調査結果についての全体の調査取りまとめの精査の作業を行っているところでございます。特定、本人の、人物の特定ということについても、その精査の作業の一環としていろいろの角度からやっているということでございまして、精査過程でございますので、正に詳細については、全体の精査を行いたいということで、この時点で詳細を御説明することは控えたいと、こういう趣旨でございます。
  53. 白眞勲

    ○白眞勲君 いろいろな話があるんですけれども、例えば手に細胞採取のために何か薬品を塗ったりして、それでそこから細胞を採取するというようなやり方もあるというふうなことを聞いたことあるんですけれども、薮中さんはそれについて御存じでいらっしゃいましたでしょうか。
  54. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 私は承知しておりません。
  55. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非こういった問題というのは、非常にやっぱりこれからの、日朝交渉をやるかどうかも含めましてですけれども、大きな影響を及ぼす部分だというふうに思います。  昨日ですか、齋木審議官が工夫をしているということを言ったんですよ。ですから、何かそういった工夫を考えているんでしょうか。もう一度御答弁願いたいと思います。
  56. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 先ほどお答え申し上げましたとおりでございまして、人物の確定のため、特定のためにそれなりの工夫はしたということでございます。
  57. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、それは例えば工夫をしてその細胞が出てきたら、まあ細胞かどうか分かりませんけれども、そういったものでキム・チョルジュンなる人物が横田めぐみさんの夫であるかどうかというのが判明した時点でこれは発表しますか。  父親、ごめんなさい、父親です。
  58. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) いずれにいたしましても、これは政府全体で我々として精査の作業をしているということでございまして、またその結果については政府の中でよく調整をしながら、必要なことにつき、前向きな公表をしていく考えでございます。
  59. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非この問題、真相究明という部分において、今回せっかく薮中さん、北朝鮮平壌に行かれまして、私も、最後の日のあれは宋日昊さんとですかね、空港で飛行機の待合室のところにいる薮中さんの映像を見まして、ほとほと疲れ切っている様子を私は見まして、本当に御苦労な仕事をされたんだなというふうに個人的にも、何というか、大変だなというふうに思いました。是非、今回の交渉でそういったいろいろなものを持ち帰っているはずなんで、その内容につきましては詳細にこれをチェックしまして、国民皆さんにきちんとした形で早めに、一刻も早く明らかにしていただきたいというふうに思っております。  それで、続きまして、二十五万トンの食糧援助につきまして、人道援助についてお聞きしたいんですけれども町村外務大臣は先週の十二月十日の衆議院拉致問題特別委員会で十二万五千トン食糧援助に関しましてはもう行わないという旨の発言をされましたけれども、それでよろしゅうございますね。
  60. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 本件につきましては、今年の五月の総理訪朝を受けて、それ以前は人道援助を差し控えていたわけでございますけれども、日朝関係をめぐる全般的な雰囲気の改善という中から、小泉総理が食糧を二十五万トン、医薬品一千万ドル相当の人道支援を行うということを表明をしたわけでございます。これは別に拉致問題に関する見返りとか対価とかいうことではなくて、国際機関の要請を受けて、そうした雰囲気の全体の改善を受けてそれを決断をしたということでありまして、そういう中で、その後具体的な各国への要請がありましたものですから、ワールド・フード・プログラムからそうした要請があったものですから、今年の八月に十二万五千トンの食糧支援、それから七百万ドル相当の医薬品を支援をするということでございます。  実際向こうに持っていったものについては、二回にわたって現地調査をやってきておりまして、それはそれで必要なところには大体届いているようだという調査結果も上がってきているところでございます。  ただ、今回のこの遺骨と称されるものが、鑑定の結果本人のものではないということが判明をしたわけでございますから、こうした状況の中で仮にワールド・フード・プログラムの方からそうした人道支援の要請があったとしても、これに直ちに応ずる状況にはないと、かように判断をいたしましたので、今後、さらに残っている十二万五千トンについて今やる予定はないということを先般申し上げたところでございます。
  61. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとこれ、私の認識とちょっと違うんですね。  私は、人道支援はこういう拉致問題完全に解決するまでは行うべきではないというふうに考えておりますし、また民主党もそういう考え方であり、そういう観点から、今までいろいろな会議を通じまして、この問題につきましては我々としてもいろいろと意見を申し、そして質問をさせていただいたわけでございますけれども、その中では、例えば小泉総理大臣は、この支援はあくまでも人道的な観点からなされるものであり、北朝鮮側に何らかの見返りを与えるというものではなく、その後ですね、諸懸案についての北朝鮮対応と関連付けて実施されるものではありませんと言っているんですよ。諸懸案というのは、これ拉致問題ですよね。つまり、拉致問題で北朝鮮対応と関連付けて実施されるものではないということをこれ言っているじゃないですか。言っているにもかかわらず、今の町村外務大臣お話ですと、拉致問題に絡めてやっぱりやめたと言っているじゃないですか。これ違うんじゃないですか、答弁が、そのときと。それについてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  62. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 冒頭申し上げたように、直接的な対価、見返りと、これこれをやるからこれこれをしろよという関係ではないということは先ほど私も申し上げましたし、それは累次総理お話をしているとおりであります。  ただ、こうしたいろいろな政策の実施というものは、いろいろな要素をまた考えていくということもあろうと思います。基本は人道支援でありますから、国際機関の要請を受けてそれを行うというのが基本であろうかと思いますけれども、それでは今の状況、今の雰囲気の中で、はい、残り、じゃ国際機関の要請来ました、十二万五千トン出しますと、きっと白先生から猛烈な勢いできっとおしかりが来るんだろうと思います。私どもは、そこは一度こう言ったからもう二度とそれを変えないということではなくて、外交というものは、一定の幅を持って柔軟性を持って対応をしていくというのはある意味では当然のことではないだろうかと、そういうふうに考えた結果、今後世界食糧計画からそういう要請があったとしても、私どもは今これを応ずることは難しいんですよということを申し上げたわけであります。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 それちょっと変ですよね。今の雰囲気ではと今、町村外務大臣おっしゃいましたけれども、今の雰囲気とそれから前回の雰囲気というのは、そんなに大きな違いというのは、日本国民北朝鮮に対する認識というのは私は変わらないと思うんですよ。その当時だって、松木さんの骨が偽物だったというのはその前からあったんですよ、一回目の。今回横田めぐみさんの骨が偽物だったから、じゃやめますということだったんですか。そういう雰囲気じゃないと私は思いますね。  つまり、そもそもこの二十五万トンの米支援というのは、今正に町村外務大臣おっしゃったように、一種のこれは身の代金といいますか、そういったものとして小泉総理大臣が持っていって、十二万五千トンまず渡しますよと、ですから残りの家族を帰してくださいということのために使ったんだということが、今回これで判明したんじゃないんでしょうか。私はそういうふうに思ってしようがないんですよ。つまり、前々からその二十五万トンについては、小泉総理大臣こういうふうに言っているんですね、これ予算委員会で。何回も答弁してますよと言っているんですよ。今までの北朝鮮対応とこの人道支援とを関連付けているわけではございませんと言っているんですよ。北朝鮮側対応人道支援関連付けてませんよということをここで言っているんですよね。ところが、今の町村外務大臣は関連付けているじゃないですか。これは白が、私が怒っているから変えたんだというような言い方をするけれども、それもまた変な話でございまして、やっぱりそれは、私が言えば変わるんですか、じゃ。それは違うと私は思いますよ。やはりそこに外交の一貫性というのが私はあると。  私に向かって、それは外務大臣外交外交だと言うなら私も一言申し上げますけれども、今回の件については交渉とか協議という言葉を私自身は使ってほしくないんです。これは要求なんです。全然我々は向こうに対して何かを譲歩する必要も何もない。要求をすればいいんですよ。実務者協議なんて、私、協議という言葉自体が何か変だなというふうに思っているわけなんですよ。  そういう面で、もう一回ちょっと町村外務大臣、今度外交の非一貫性について御答弁願いたい。
  64. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほども申し上げたように、そうした総理が今年の五月、平壌に行かれた、そういう中で全般的な雰囲気の改善というのは、それはありましたよ。そうでしょう。だってそれだけの、先ほど僕が冒頭、林委員にもお話ししたように、二回の訪朝によって、拉致された五人、そして家族の八人帰ってきた。これはやっぱり明らかなそこで前進があったんですよね。(「帰って当たり前」と呼ぶ者あり)いや、それは当たり前とあなたおっしゃるけれども、ごめんなさい、ちょっと別にこれは個別のやり取りをするつもりはございませんが、それまで全く問題の存在すら否定をしていた国と小泉さんが二度の話合いによってそういう成果をまず上げてきたというベースがあるからこそ、今日、さらにまだ安否不明の方々の問題が引き続きあるということでありまして、それを当たり前と言ってしまえばそれまででありますけれども、私は、そこで一定の前進があった、そういう二国間の雰囲気を反映をして、そういう人道援助もやってもいいんだろうというふうに判断をした。そこは別に、これを何万トン上げるから、じゃ代わりに何という具体のそういう見返り関係というのはありませんよ、そこには。そういう雰囲気の改善があったところでそれが行われたということでありまして、今回、そういう雰囲気、状況にないと、明らかになくなってきたということですから、これは今回、いったんは半分出したけれども、これについては当分差し控えようということを決めたもので、別にそれはさほどそんなに不思議なことであるとは私は思っておりません。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 そもそも、これはそもそも論になってしまうんですね、もし大臣がそういう御答弁されるならば。この九月の十七日、二〇〇二年のですね、その小泉訪朝の際に、拉致問題解決なくして国交正常化はあり得ないという小泉首相の明確なメッセージを北朝鮮に伝えることによって、経済苦境に陥っている今の北朝鮮拉致解決せざるを得ないような状況に追い込んだわけなんですよ。追い込んだ途端、今、正に町村外務大臣おっしゃいましたように、状況の改善が見られたから米やったんだと今おっしゃいましたよね。結局そういうことをおっしゃったじゃないですか。これはおかしいということなんです。今、正に総理も言っているじゃないですか、何らかの見返りじゃないんだよと、これはあくまでも人道支援だということをずっと一貫して言ったんですよ。今の話というのは、正に一定の前進が見られたから食糧支援をやりましたと今おっしゃった。それは、やはりあの食糧支援というものが、一つの身の代金的なそういうイメージでの食糧であったということを正に今、外務大臣がお認めになったんじゃないのかというふうに私は思うわけであります。  ということは、今までの小泉外交は、今、官房長官も何かいろいろとおっしゃっていましたよ、いろいろなその全体の流れを見て判断してほしいというふうにおっしゃっていました。ワンフレーズじゃないんだということを言っていたけれども、結局、だって全体の流れを見るならば、今のずっとした流れというのを、今、正に町村外務大臣お話しされたように、やはりこの食糧支援というのが、十二万五千トン最初に渡した食糧支援というのが、これが身の代金的な意味合いを持っていたと。選挙対策だったんじゃないのかと。私は選挙をやっていましたから、当時。そういうふうにしか思えないわけですよ。外交の一貫性全くない。国民に対してあれを、人道支援であって、そんなの拉致と関係ないんだということをずっと言ってたじゃないですか。それが今、正にそういうふうに、町村外務大臣拉致と関係があるようなことを言っているわけじゃないですか。改善が見られたとおっしゃった。それは答弁が違うんじゃないんですか。
  66. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ですから、何度も申し上げているように、何万トン上げたから具体的に何を相手に求めると、そういう関係のものではありませんよと。ただ、こうしたいろいろな、食糧支援にしても、もちろん人道的な観点というものがベースにあることは間違いがありません。それに基づいて国際機関の要請が来るんです。それを受けて全部国際機関の言うとおりやるわけじゃありません。日本状況相手国状況、二国間の関係、そういったものを総合判断をしてやるわけであります。今年の五月の総理訪朝を契機として、少なくともその時点で全般的な雰囲気の改善が見られたことは、それは間違いがないんです。だから私どもとしてはそれを、支援を出すことを決めた。ベースにあるのは国際機関からの要請であります。  そして、今回のこうした言わば偽の証拠といいましょうか、資料が来たという状況の中で、先ほど申し上げた全般的な雰囲気の改善というものが明らかに後退をしたから、こういう状況の中で、幾ら国際機関の要請があってもそれは応ずることができないという日本判断をする、これ別に何にも不思議なことはありません。別に何かの対価で、対価でやっているわけではないということは再三申し上げております。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 その町村外務大臣お話というのは、結果的にこれ対価でやっているということなんですよ。全般的な雰囲気の改善、今も私申し上げました、全般的な雰囲気といったって、別にこれは拉致問題を、帰すか帰さない、拉致の問題の解決北朝鮮側に懸かっているんですよ。つまり、北朝鮮側に懸かっているということは、雰囲気じゃないんですよ、これは。北朝鮮対応によって我々は食糧をやるかやらないかを決めているんだということなんですよ。我々が何か譲歩する問題じゃないでしょう、これは。つまり、向こう側からそういう話があったときに、全体的な雰囲気ということは、この食糧支援というのを実はカードとして我々は使っているということでしょう。つまりその身の代金として、身の代金としての内容として使っているということを言っているということでございまして、どうも町村外務大臣、もうちょっとそこを、もう一回議事録を見直していただきたいというふうに思います。  もう一つ、私はもう時間で、もっともっとこれ一時間でも二時間でも私ずっとやっていきたいんですけれども、そうもいかないみたいなので。  ですから、この食糧支援につきまして、今後これは院に報告されますよね。その実施状況につきましての外務省の今のモニタリング調査につきましてですけれども、どうなんでしょうか。
  68. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 北朝鮮、対北朝鮮に対する人道支援のモニタリングでございますけれども、先ほども大臣から簡潔に御報告ございましたように、我々としてはこれ二回実施いたしました。そして、先般十二月の四日から十一日までの日程で第二陣が帰ってまいりましたけれども、これにつきましては、全体として、WFPも含めて、非常にきっちりとしたモニタリングが今回はできたというふうに考えております。  具体的には、受益者の視察ということで家庭訪問もいたしましたし、各地を訪れ、そしてまた我々の方から、現地に到着後、希望する場所を指定するというようなことで、かなりアトランダムといいますか、計画的でない形でのモニタリングというのは非常に重要でございますけれども、そういうことを含めて、きっちりとしたモニタリングを実施できたということでございます。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非それをペーパーで、どういったところにどういうふうにして回ったのかということも含めて、実施ちゃんとされましたということを、口ではなくてそれを是非提出願いたいということをちょっと、院にお願いしたいと思うんですけれども委員長お願いしたいと思うんですけれども
  70. 内藤正光

    委員長内藤正光君) その申出につきましては、後刻理事懇にてお取り計らいしたいと思います。理事会にてお取り計らいいたします。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後でございますけれども、今、林委員からも指摘があったんですけれども、六か国協議につきまして、町村外務大臣は、ここは純粋には、基本的には核の問題を話し合う場であるということ、まあそうだと思います。しかしながら、やはりこの六者協議における、日本のおける立場というのは非常に重要であると思います。今の日本国民の、正に町村外務大臣も御認識されているように、気持ちとしては、この六者協議においてもし仮に核で北朝鮮が相当譲歩をしたとしても、日本国民は、拉致の問題が解決しない限りは、今後、北朝鮮に対する人道的な支援等も含めたいろいろな経済協力というのはやる気はないんではないかというふうにも思いますので、最後でございますが、六か国協議における拉致問題について、やはり町村外務大臣、相当強く、そのほかの四か国ですね、北朝鮮、まあ北朝鮮も考えると五か国になりますけれども、働き掛ける、そういうおつもりはございますか。
  72. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほども前の質問で申し上げましたけれども、アメリカ、韓国、中国、ロシア、それぞれの国とそれぞれのチャンネル、それぞれのレベルの協議、話合いを通じてこの拉致の問題についての正しい理解を得、さらに、私どもの考え方に対する、事実関係のみならず私どもの考え方、対応についての理解も得る努力を既にやってきております。今後ともやっていきたいと、かように考えております。  そして、六者協議の場でも、全くこれは話題にしないということでもないと思いますけれども、六者協議は先ほどお話ししたとおりのことで、核の問題が議題でございますから、それを中心に話し合っていく。いずれにしても、無条件に可及的速やかにこの六者協議の場に北朝鮮が戻る、今は応ずる気配がないという状況でありますので、戻るような様々な働き掛けを引き続きやっているところでございます。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 では最後でございます。
  74. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 時間が来ております。簡潔にお願いします。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 はい、分かりました。  六か国協議是非この六か国協議の場においてもいろんなチャンネルを通じて、是非この問題について働き掛けていただきたいと思いますし、それと、今回のこの問題については、小泉総理大臣が米というものを、食糧支援というものをカードにしてこの拉致問題の解決に、を使ったという、この外交的なカードとして、あるいは国民に対してそういう今までの言っていることと、場当たり的な外交をしていたということが判明したということで、今回こういったことは是非やめていただきたいということを申し上げて質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  76. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。  私どもも、今回、この横田めぐみさんの遺骨の問題、別人だったことに対して、大変驚き以上に憤りを強く思っておりますし、やはり政府として、日本として何らかの対応をきちんとなさねばならないし、その中の一つはやはり経済制裁も含む強い態度で臨まなければならないんだろうと、こう感じております。  そこで、今日は何点かお尋ねをしたいわけですが、まず政府として、十二月八日だったと思いますが、このDNA鑑定結果を受けて北朝鮮に対して在北京の北朝鮮側の大使館を通じて厳重抗議をしたと。先ほど外務大臣、その返答はまだないとちらっとおっしゃったようでございますが、どういう抗議を、文書でなさったのか、口頭でなさったのか、そしてそれに対して現状はどうなっているのか、まずお答えを願いたいと思います。
  77. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  十二月、去る八日でございますが、本件につきまして、正に今次調査中核を成す横田めぐみさんの遺骨とされるものが虚偽であったということを受けまして、私どもの方から直ちに、我が方在中国大使館を通じ北朝鮮側抗議を行ったわけでございます。それは正に今回の鑑定の結果ということで、その遺骨とされるものが別人のものであり横田めぐみさんのものではないということが判明した、そしてまたこれが調査核心を成すものであるということ、したがって北朝鮮側調査虚偽であったと断じざるを得ず、日朝平壌宣言の精神に反することは明らかであり極めて遺憾であるということを申し、厳重に抗議したということでございます。  具体的には、我が方の在北京大使館の堀之内公使から北朝鮮大使館の趙吉柱参事官に対して口頭で行い、また正確を期する意味で、抗議内容を文書にしたものも先方に送付したわけでございます。
  78. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 返事。
  79. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 失礼いたしました。  そして、今までのところ北朝鮮側から本件に対する回答はございません。
  80. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣ね、もうちょっと怒っていいと思うんですよ。きちんとした形でこういう抗議をして、いまだ何ら返答もないこと自体は私はこれを更に怒っていいことだと思います。  大臣は先ほど、今後その他の資料分析してその上で対応を決めたい、それはそれできちんとした対応政府対応はもちろん決めていかねばならない問題ですが、正に今局長おっしゃったとおり、今回の中で一番中核となるべき事実にこういう問題があったわけですから、これに対しては、それこそ外務大臣名、正にそういう形でのもう一回更なる、なぜこんなことになったのかということを問いただす必要があるし、まずは回答を得る必要があると思うんですが、大臣、もう一歩強い形の声明をする必要があると思いますが、いかがですか。
  81. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど冒頭申し上げましたように、これは日本国民としても、また外務大臣としても大変な憤りを持っているということは申し上げました。今、木庭委員から大臣名でやれというお話でございました。先ほど申し上げたように、年内には調査結果をまとめて、そして政府としての対応を決めようと、こう思っておりますので、そこでしっかりとした対応を私どもが示せばいいのではないかと、かように思っております。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それはそれできちんとやってもらいたいんですよ。ただ、要するに相手がどこまでこの日本の今こういう雰囲気というのを分かっているんだろうかと。単に外務ルートで抗議しただけで、この今、日本のこの怒りですよ、伝わるのかといったら伝わらないですよ。そこは、それこそ外交というのはいろんな手法があるんであって、そこは二段階に分けてもやりよう私はあると思いますし、もうこれ、それこそまだ返事返ってこないならやっぱりもう一歩強くやるべきじゃないかなと感じますが、済みません、更に御答弁をいただきたいと思います。
  83. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 貴重な御意見として承っておきます。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、そういった様々な対応をやっていくことがこの問題に対する大事なところだと思っております。  そこで、ちょっと基礎的なことを聞いておきたいんですけれども、今回この遺骨については、ある意味じゃ真っ赤な偽物だと分かったわけですけれども、まず事実確認として、この骨ですよね、松木さんの問題もまた今回きちんと結果が出たわけですけれども、どういう状況だったのか、警察の方から一応確認の意味で骨の状況がどうであったかということの報告だけいただいておきたいと思います。
  85. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。  さきの日朝実務者協議におきまして北朝鮮側から提出をされました横田めぐみさんの遺骨とされるもの及び松木薫さんの遺骨とされるものにつきましては、関係警察より国内最高水準の研究機関などに鑑定を嘱託しておりましたところ、いずれにつきましても、昨日までに、帝京大学から同人らのものとは異なるDNAが検出されたという鑑定結果を得たところであります。  遺骨状況というお尋ねがございました。これらの遺骨とされるものの状況でございますが、高温で焼かれて細かくなっている状態だったという報告を受けております。なお一般的に、一般論で申し上げれば、人骨からのDNAの検出は、これが焼かれることによりましてこれは非常に困難になるものであるというふうに承知をしております。  引き続き、警察といたしましては、捜査によって明らかとなります客観的事実に基づき判断を重ねて、真相究明に努力してまいりたいと考えております。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ薮中局長お尋ねしておきますが、先ほど遺骨についてはキム・チョルジュン氏という方から直接いただいて、これは、その受け取ったときの状況なんですけれども、今回証拠と言われるものは幾つかあったと。ある意味では、今回中核となる遺骨がこういう状況ですから、ほかのものについても疑わざるを得ないような状況にもなってきていると私は思うんですけれども、この遺骨については、そのキム・チョルジュン氏から具体的にその説明を受けて、薮中局長はその目の前でいただいてこられたものなのかどうか、その受取の状況をもう一回説明しておいていただきたいと思います。
  87. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  北朝鮮側よりの横田めぐみさんの遺骨として渡されたものでございますけれども、これは横田めぐみさんの夫であったとされているキム・チョルジュン氏より直接、めぐみさんの遺骨であり、めぐみさんの御両親に直接渡してほしいということを先方が述べて、キム・チョルジュン氏なる方から私が直接手渡されたものでございます。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、先ほどもこれ議論になっていましたが、もう一つ、今回のこの調査の中でポイントとなるのはこの遺骨の問題、これは偽物でした。次は、この横田めぐみさんの夫と言われる方の問題、今御報告のあったキム・チョルジュンさんという方が本物であるかどうかという問題でございます。  これについて、先ほど、今は特定作業中であるという警察の御説明もありました。また、先ほど報告があったとおり、本人確認するための写真や頭髪等の提供はこちらに持って帰ってこれなかったという報告もございました。ただ、家族会への説明の中で、それに代わるものは収穫したと。それに代わるもの、つまり本人確認等できるような代わるものは収穫した、それに基づいて鑑定を進めているというようなお話があったやに伺っておりますが、今話ができる範囲内でどういう作業を、特定作業をなさって、そしてできれば、そのことについては、先ほど大臣年内にも一つの結論を出して対応を出そうとおっしゃるんですから、その本人特定というのは少なくとも、例えばクリスマスぐらいまで、二十何日ぐらいまでにできる状況にあるのかどうか、併せて御答弁いただきたいと思います。
  89. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  キム・チョルジュン氏なる者の特定、本人確認ということでございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたが、毛髪等の提供ということを要求いたしましたところ、先方からこれは拒否されたということでございまして、写真は見せられたわけでございますが、その他本人確認を行うべく工夫は凝らしたということでございます。それも含めて鋭意現在調査、そしてまた精査の過程において作業を行っているところでございまして、全体として今回の調査結果についての精査の中で明るみになったことはきちんと御報告をしていきたいというふうに考えております。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いつごろまでにできそうなんですか。
  91. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) これは、全体としての今の精査の作業は、先ほども大臣から御説明ありましたとおり、本年内にはこれを完了すべく今鋭意作業をしているところでございます。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それは全体のお話でしょう。そうじゃなくて、このキム・チョルジュン氏なる者の特定ということについてはいつごろまでに結論を出そうということでお取り組みでしょうか。
  93. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) これにつきましても、その精査の全体の中で行っていくということで考えております。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その辺を、本当は中核となる遺骨の問題はこういう形でやってきたと、次の大事な問題はこういう問題である、もう一つ大きなのは実はカルテという問題もこれ本当にそうだったのかどうかということも疑問視されている部分もあるわけですから、ポイントとなる部分については国民に対しても私はきちんとした情報提供というものが必要だと思うし、それはなかなか難しい作業だと思いますよ。作業だとは思うけれども、ある程度のめどを付けながらいろんな場で回答をなさった方が私はいいと思いますし、少なくともおっしゃる限り年内には間違いなくおやりになるんでしょうから、そのころまでにある結論が出せると。そのことについてはきちんと公表もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に今作業を進めているところでございまして、鋭意その作業を行いまして、年内精査の一定の結果を公表したいというふうにも考えております。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そして、今、食糧支援の問題について議論がなされておりました。私は、ちょっと考えが違うところがあります。  今、やはりこの問題を解決するために、ある意味では北朝鮮に圧力を掛けられる問題があるならばあらゆる手段を使っていけばいいと思っておりますし、私は逆にこの食糧支援について、残った部分について、それは大臣は、逆にこの国会の答弁でそれはやめたとおっしゃるだけでなく、機関に対しても、こんな状態ではとてもそれをやれる状況にないということを国際機関に表明もし、逆に言えば北朝鮮に対して外務大臣名で、あんた方、こんな対応をしていたら、当然人道支援として私たちはやるべきと考えているこんな問題すらできないんだとはっきりおっしゃった方が私はいいような問題だと思っております。  逆に言えば、今回こういう、私はその拉致どうのこうのより、国と国の関係の中でこういった不誠実な対応相手国がするのであれば、我が国としても考えなければいけない問題があるということを表明すべき問題だと思っております。逆に、私は是非、今回、外務大臣として、この食糧支援については今回の一連の両国のいろんな交渉経過を見た限り凍結せざるを得ないと決断したと、きちんと明確に申された方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  97. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど白委員にも申し上げたことでございまして、私どもとしては、今委員の言われたような位置付けでこの食糧支援を一対一の関係で位置付け、やっているわけではないということでございます。ただ、今そういう御指摘もいただいたところでございますから、貴重な御意見としては受け止めさせていただきます。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今後は、これももうずっと議論になっているとおり、今後の対応の中でどうこの経済制裁を発動するか否かということが最大の課題になってきていると思っております。これまで政府北朝鮮政策については、先ほど大臣も申されたとおり、対話と圧力と何回も述べられてきたし、そのためのカードを私どもも作らなければならないということで国会でそのカードを作ってきたわけでございます。  一部報道を読んだりいろんな方々の発言を聞いておりますと、政府年内でも総理の書簡を北朝鮮の総書記に送り、厳重な抗議に併せて安否不明者十名に関する新たな情報を求める方向で検討に入ったとか、期限内に情報提供ない場合には経済制裁の発動も視野に入れざるを得ないとか、いろんな発言が出ているのも事実でございますが、私も、まずは一度そういう形で第一段階の、このいわゆる遺骨の問題では、私はもう一回、何回も繰り返しになりますが、まず第一弾として私は外務大臣が一つの手を打つべきだと思うし、そして全体のいろんなものを精査した上で、さらにある意味ではきちんとした書簡、それは総書記あてのものというのも送ることも必要だろうし、それに対する期限を切ることも必要だろう。  そういった結果を受けての経済制裁という問題になるのかもしれませんが、いずれにしても、その方法とともに、やはり先ほどから論議がされているように、この問題、もちろんこの拉致の問題は日朝でやっていく問題でございますが、少なくとも核の問題について六か国協議も行われている。この六か国に対する理解というのは非常に必要な問題だと思いますし、是非ともそういったところも大臣として、様々な機会を通じておやりになっているという御発言もございました。ただ、今回のこういう結果を受けて、というのは横田めぐみさんの遺骨偽物であった、こんな厳しい状況を踏まえていますよという、これも踏まえた上で各国と様々な話をしていただきたいと思いますが、大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  99. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 親書等々いろいろな報道があります。その一つ一つについてあえてコメントはいたしませんが、いろいろな手段、方法というのがあり得るんだろうと、こう思っております。今回の遺骨偽物であったという事態を踏まえてのまた更なる外交活動をしっかりやれという木庭議員の御指摘、ごもっともでございます。  たまたま、今、今日お昼に私はEUの二十数名の大使と会う機会がございました。その場でも、今この北朝鮮の事態はこういう状態になっているということをかなり詳しく説明をし、EUの大使諸君も一生懸命メモを取って、これは一生懸命本国に伝達をすると、ある大使も言っておられました。そういったことはささやかでございますけれども、そうしたことの積み重ねをこれから当然いろいろなレベルで、先ほど白委員からも日韓首脳でそのことを触れるべきではないかという御示唆もいただきました。それも当然、多分私も議題になってくることであろうと思います。そうした様々なレベルの外交活動の中から、幅広い国際的な理解を得る努力を一生懸命やっていきたいと思っております。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今EUの話が出ましたので一言申し上げておきますと、この問題、この拉致問題ですね、国連の人権委員会決議においても採択をされております、この問題については。したがって、国連人権委員会是非調査団も送りたいというようなことも気持ちは持っていらっしゃるようでございます。そういう意味では、やっぱり北朝鮮国交があるEUの国々がありますから、こういうところに働き掛けていくことによってこの問題に対して一つの強力な武器にもなっていくでしょうし、特にやっぱり私は、こういった虚偽報告というのを平気でやってきたということについてはよく周知徹底して知ってもらい、国連の場、様々な場を通じながら最大限の努力をしていただきたいことを要請をし、これについて御答弁いただいて、私の質問を終わっておきたいと。局長でもいいですよ、大臣、どちらでも。
  101. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、国連の人権委員会で主としてこの問題が取り扱われているのは委員御承知のとおりでございます。今年の四月に人権委員会の強制的失踪作業部会というものを通じて申立てを行ったり、あるいは北朝鮮の人権状況決議というものを共同提案をしたり、そこで国連特別報告者の任命を決定したりしているわけでございます。ただ、ある意味では残念なことに、現在の人権委員会のこうした決議は強制力がないという制約があるということは残念なことでありますけれども、こうした活動もまた幅広い国際理解を得るための一つの活動だと、こう思っております。  たまたまEUの話をしましたが、確かにEUの中には幾つもの国が国交を正規に持っております。そうしたことも私ども外交活動の一環として重要だと思っておりますので、EUのみならず、世界じゅうの国々にこうした問題について理解を得るべく努力をしてまいりたいと考えます。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  103. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  第三回日朝実務者協議の際、北朝鮮側から横田めぐみさんの遺骨として提供された骨も、松木薫さんの遺骨とされた骨も別人のものであることが公式に確認されました。北朝鮮の態度は極めて重大かつ無責任であり、我が党は北朝鮮側の不誠実な態度に厳しく抗議するものです。  どうしてこんなことが起こるのか。その最大の問題になっている北朝鮮の特殊機関についてお尋ねしたいと思います。  第三回実務者協議北朝鮮調査委員会責任者、陳日宝人民保安省局長は、特殊機関を含むすべての関連する中央機関、地方行政機関など関連団体に対し調査を実施したと説明する一方で、特殊機関の関与した事案であり、捜査が極めて難しかったと述べたといいます。また、第一回、第二回の協議でも、宋日昊外務省局長は、拉致にかかわった特殊機関の協力が得られず調査が難航していると繰り返し述べたといいます。この発言は事実なのでしょうか。
  104. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  基本的に今委員御指摘のとおりでございまして、先方、陳日宝、これは調査委員会責任者でございましたけれども調査の活動としては特殊機関を含むすべての関連する中央機関に対する調査を実施したということは言っておりましたけれども、他方において、証人であるとかあるいは物的証拠であるかとかということについての調査を行っていく過程の中で、特殊機関において既に書類は焼却されている等々、そうしたことでの難しさということも我々に説明していたという経緯がございます。
  105. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうすると、そういう特殊機関とは何なのか。政府は、北朝鮮からどのような説明を受けられているのか、どのようなものとまた把握されているのか、お伺いいたします。
  106. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 北朝鮮政府の側から、特殊機関の具体的な内容について、あるいは性格について説明を受けているということはございません。先方は、これは特殊機関であるということを繰り返すのみでございます。もちろん、政府としても、北朝鮮が言ういわゆる特殊機関であるとか、あるいは工作機関に関しましては様々な情報に接しております。朝鮮労働党の傘下にある、あるいは人民軍の傘下にある機関というのがこうした特殊機関あるいは工作機関に当たるものであろうということで考えられますが、北朝鮮側がそれについて具体的に我々に説明をしているということはございません。
  107. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 北朝鮮側拉致事案の責任者として処罰したという特殊機関のチャン・ボンリム及びキム・ソンチョルという二名の人物は特殊機関のどういう部署で活動していたのかというその説明は受けられていますか。
  108. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正にこの点は我々も厳しくただしたところでございます。といいますのも、先方説明拉致事案の責任者というのがこの二名、チャン・ボンリム及びキム・ソンチョルということで、この二名が既に処罰されているということでございました。そして、我々の求めに対して今回先方が出してまいりましたのは、この二人の当時の裁判記録の一部でございます。これを現在精査しているところでございます。
  109. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 横田めぐみさんの夫であったとされるキム・チョルジュン氏、この方は現役の工作員とのことですけれども、どのような部署で所属していたのか、説明受けられていますか。
  110. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 先方説明では、このキム・チョルジュン氏というのが工作機関に属しているということだけの説明がございまして、もちろんそれ以上には正に工作ということで先方説明をしておりません。
  111. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 その工作機関というのは特殊機関のことですか。
  112. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) そのように理解しております。
  113. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 要するに北朝鮮は、拉致問題の解明にとって最大の問題と思われます特殊機関について何も具体的な説明をしていないというふうに私は理解いたしました。  しかも、キム・チョルジュン氏の問題では、先ほども議論にありましたけれどもDNA鑑定のために血液採取とか髪の毛の提供とか、写真撮影さえも拒否したわけで、特殊機関というところがいかに調査に非協力的な存在であるかということ、そしてまた、これを相手に、対象に調査するということがいかに困難かということも同時に示されたと思いますけれども、その点についてもお伺いいたします。
  114. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 率直に申し上げまして、私どももそのような非常に歯がゆい思いというか、困難に直面したわけでございます。  具体的にいろいろの質問をする、そして追及をいたしましても、一つは、これが特殊機関の者であって当時の記録というのが存在しない、あるいは焼却されている、あるいは現役の、特殊機関の現役の人間であれば、これが直接に会うことができない。そうしたことで、実際の真実の追及ということでは確かに非常に大きな壁というか難しさを提供していることは我々も直接に感じたところでございます。
  115. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ところで、その二年前の日朝首脳会談で、金正日氏が特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走って拉致を行ったと説明した。その拉致、その特殊機関というのは現在も存在しているんでしょうか。そしてまた、その特殊機関と先ほど指摘した北朝鮮調査委員会調査対象としているという特殊機関というのは同じ組織なんでしょうか。
  116. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 基本的に、特殊機関ということで先方から説明があったものにつきましては、機関としては存在しているというふうに理解しております。  もちろん、特殊機関という中に、先ほど申し上げましたように幾つか、例えば朝鮮労働党の傘下あるいは人民軍の傘下といったものがあるようにも承知しておりますけれども、いずれにせよ、そうした機関が名前は変わっても廃止されたことはないというふうに我々は理解しております。
  117. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうすると、同じ組織が存続しているという、つまり、その拉致を行った組織が存続し、そしてそれを対象に今調査委員会調査しているという、そういう認識になりますでしょうか。
  118. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に先方説明も、その特殊機関の一部の妄動主義者がということで、その中の特定の個人だという説明がございまして、そして先方説明いたしましたのは、拉致事案のこの責任者というのがこの二名であったと、これがいわゆる責任者であったということで、それが処罰の対象になったというのが先方説明でございます。
  119. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 細田官房長官にお伺いいたします。  今、薮中局長から、交渉の困難さですね、わけても局長は特殊機関が調査の壁になっている、壁という言葉さえ使われてこう答弁があったわけですけれども金正日氏は小泉首相の再訪朝の際に、安否不明者の十名の再調査を白紙に戻して徹底的に行うと約束したわけです。そうした壁を作っていること自体、金正日氏が約束したことが、その約束が果たされていないということになるのではないでしょうか。
  120. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私どもはそう感じております。はっきりと、これまでの数々の拉致問題について、どこまで金正日委員長指示をし、具体的に何名の日本人拉致したのか、これは大きなまだ未解明の部分はたくさんありますが、少なくとも首脳会談において金正日氏が、最初はある資料、データ等を出したけれども、これを言わば撤回をして、二回目の首脳会談で撤回を事実上して再調査を命ずるということを言ったということは一つの大きな展開をしたのではないかと我々は考えておったわけでございますが、それを、実際に出てきた事実を見れば、まだこれから若干の事実が、かなり大きな、大部の資料もあって間もなく解明が進むと思いますけれども、これが一向に改善を見ないということは、いかなる背景があるのかということはよく考えなきゃならないことであると思います。
  121. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、これまで御答弁を伺いながら、北朝鮮側調査委員会は特殊機関の中まで入って調べたと説明しているようですけども調査を通じて彼らが提供してきた情報物証のほとんどは、結局特殊機関から出されたものをそのまま日本側に提供したということにすぎない、そういう感じがいたしました。  もし可能ならば、官房長官のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  122. 細田博之

    国務大臣細田博之君) これはしかし、一国の代表する人がそういうふうに約束をして、そのとおりやっていないわけですから、我々は先方政府あるいは責任者に対して強く事実を求めていく、これしかないと思っております。
  123. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、その真相究明、それが正にこの事案では決定的に大事になっているということを痛感しております。  つまり、北朝鮮日本側への資料の提供、情報の提供、これは結局北朝鮮の特殊機関の管理下に置かれているのではないかと、私はそういうふうに感じるわけですね。結局は金正日氏が言った一部特殊機関の妄動主義が今でも続いている、そして真相解明を妨げる役割を果たしているということになるのではないかと思います。これではまともな資料情報も出てくるわけがないし、真相解明に近づけないと。正に薮中局長が言われた壁を作っていることになると思うんですね。  こうした特殊機関を相手に調査する以上、これまでと同じやり方で協議を続けても拉致問題の解明と解決の保証はないのではないかと感じるわけです。やはり重要なことは、これまでの延長線上ではない、拉致問題に正面からメスを入れることができる相手と強力な交渉を進めることが必要ではないかと、そう思いますけれども、その点について官房長官の御見解をお伺いいたします。
  124. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 実務者協議においては、北京において、かつ、向こうの代表とこちらの代表で一定レベルでやってきたわけですけれども、それではどうも解明できないと。しかも、すぐに逃げられてしまうと。これはまた平壌に帰って相談をしなきゃいかぬとか、そういう事実については今は持ち合わせていないというようなことで、これでは北京では交渉しても進展がないのではないかということで、しかも局長レベルに上げて、そして平壌でやったと。そして、向こう調査機関が出る、こちらも警察等の専門家が出て、きちっと証拠調べ等もできる専門家を派遣してやっておるわけでございますから、これで一応の進展を見るのではないかと期待しておったわけですが、そうではないということでございますので、我が政府としてもこの間もなく出てくる調査結果をもってどういうふうに対応するか、これは真剣かつ強力に対応しなければならないと思っております。
  125. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そのとおりだと思いますね。それで、私たちの党の志位委員長は、九日、小泉首相に対して、北朝鮮側交渉担当者を、拉致問題の全貌を知り、問題の解決責任を負うことができ、権限を持った人物にすることを北朝鮮側に要求するよう、そう要望いたしました。正に今の局面というのは、こうした立場で交渉の仕掛けを変えて事態の打開を図る、そういう必要があると、私たちはそういうふうに考え、また信じております。  最後になりますけれども、この委員会の最後に採択される予定の決議案について一言述べておきたいと思います。  我が党は、拉致問題の解決のためには交渉を強めることによって解決することを最優先にすべき、そして最優先に追求すべきだという立場であります。決議案の中に粘り強く協議を進めることが明記されたことは重要であると考えます。  今の局面で大事なことは、北朝鮮提出した資料意図的な虚偽を疑わせるものであり、そこには拉致の実行にかかわった特殊機関が介在しているという重大な問題があることが判明したことです。このことから、明らかになった新しい局面の下では、交渉による解決を成功させるためにも、今後の交渉の推移と北朝鮮側の態度いかんによっては経済制裁も取るべき選択肢の一つである、あり得るということを考えるものであります。  以上の立場から決議案に賛成する態度を表明いたしまして、時間となりましたので、私の質問を終わります。
  126. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。  様々な場面で、今、国家意思が問われていると思います。  中国原潜の領海侵犯事件、その後について町村外務大臣にお伺いいたします。  日中外相会談、首脳会談において日本は再発防止を求めましたが、明確な再発防止策はまだ示されておりません。中国は外交ルートで決着済みという考えのようでございますが、日本側としてはこれで決着済みとしてよろしいんでございましょうか。
  127. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先月の十九日でございますけれども、私はチリのAPECの場で先方李肇星外交部長と話をいたしまして、先方からの陳謝及び再発防止について、それは当然であるという話でありました。現状、まだ再発防止策の具体案について先方からの提示は受けていないわけでございますけれども、今後、この問題については二国間で話し合ってしっかりとしたものを作り上げていかなければいけないと、かように考えておりますので、もうこれで済みというわけではございません。
  128. 山谷えり子

    山谷えり子君 是非よろしくお願いいたします。武大偉中国外務次官が、技術的原因により過って入ったと、この説明ではとても納得できませんので、どうぞよろしくお願いいたします。  領海侵犯に対し、国際慣例上、関係者の処罰や賠償を求めることができるとされています。日本は国際法上許されているこの権限を行使するおつもりはございますか。
  129. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これ、国際法上の問題でございますけれども、これ、すべての国の船は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、当該沿岸国の領海において通航できるということになっております。したがって、外国船舶が他国の領海でこうした国際法に従って航行している限り、それは問題がないというのがまず大前提でございます。  他方、船が国際法上問題になるような行動を取っている場合には、これに対しては一定の措置を取ることができる。仮にその船が軍艦の場合、沿岸国は領海から直ちに退去することを要求するということができるわけでございます。また、その軍艦に対する措置とは別に、軍艦の国、今回で言えば中国でありますけれども、に対して陳謝や再発の防止を要求するということで、そういう意味での相手国責任を追及をするということができるわけでございますが、ただ、国連海洋法上、そうした外国の軍艦を退去要求しかできないのか、捕まえちゃえばいいじゃないかと、結構そんな議論もああした折にはあったわけでございますけれども、これは外国の軍艦は沿岸国の管轄権から免除されるという国際法上のあれになっておりまして、停船、拿捕等の管轄権の行使に当たる行為を行うことはできないということになっているわけでございます。
  130. 山谷えり子

    山谷えり子君 無害通航権はあるわけですけれども、今回の場合、かなりいろいろなことが考えられると思いますので、その辺、もう一歩進めて検討をお願いしたいというふうに思います。日本は毅然として国家意思を示すことが再発防止につながり、結果的に日中の両国の良い関係を築くことにつながると考えております。  さて、ジェンキンスさんが米誌のインタビューで、脱走した米兵が北朝鮮日本、ルーマニア、レバノン、タイの女性と結婚したと言っております。日本というのは曽我さんのことだと思います。拉致被害者は、つまり日本、韓国だけではなく欧州や東南アジアにも及んでいるということなのでしょうか。町村外務大臣、ルーマニア、タイ政府に事実確認をなさいましたでしょうか。
  131. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  我が方からは、今御指摘のルーマニア、タイ、そしてレバノン、各々について政府調査をするあるいは確認を求めるということの措置を取ってございます。
  132. 山谷えり子

    山谷えり子君 今日、EU二十五か国大使とお会いになられたということですが、町村外務大臣、その辺のことを何か意見のやり取りなどございましたらお聞かせいただけますでしょうか。
  133. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 特にこのジェンキンスさんの問題ということについての議論はしておりませんで、専らその遺骨と称せられるものが偽物だったということを中心に北朝鮮のこの拉致の問題を話をしました。
  134. 山谷えり子

    山谷えり子君 その拉致の問題については、どのようなやり取りがございましたでしょうか。
  135. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これについては私の方から、事実関係及び今こういうことで調査をしておると、年内には一定の方針を出したいということで、これに対して特に特定の大使から何か質問なり意見なりがあったというわけではございません。
  136. 山谷えり子

    山谷えり子君 十日、衆議院拉致問題特別委員会で、経済制裁の発動を検討する、人道支援は誠意ある回答が得られるまで凍結との決議がなされました。また、自民党拉致問題対策本部で、期限を設け回答を求め、応じない場合、経済制裁発動をという決議が採択されました。拉致議連でまた経済制裁発動をの決議がなされました。経済制裁に対して国民は七、八割が賛成しております。与野党から発動を求める声が上がってきております。  政府は、北朝鮮虚偽回答に、十二月八日、北京の大使館を通じて抗議したけれども北朝鮮のリアクションはまだないというやり取りが今特別委員会でもなされましたけれども政府としては、期限を切って回答を求めるおつもりがあるのか、あるいはまた国際手配されている辛光洙、金世鎬、魚本公博、三氏の引渡しを求めるなどの、どのような具体的な対応をお考えでございますか。
  137. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  正に政府対応といたしましては、現在進めております先回の調査結果についての精査を本年内に終わり、そして、その上で我が方の今後の対応判断するということにしているのが現状でございます。その中で今後の対応を決めていき、そして的確に対応してまいりたいというふうに考えております。  また、御指摘のありました辛光洙、金世鎬、魚本公博について、これは当然、前回も我々は引渡しを求めました。今後とも、この引渡しを求めるということについては強力にやっていきたいというふうに考えております。
  138. 山谷えり子

    山谷えり子君 昨年九月二十四日の国連総会で、当時の川口外務大臣日本人拉致事件について演説、それに対して北朝鮮代表は、日本は朝鮮半島占領時代に八百四十万人を強制連行したと反論しました。翌週、私は国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会で八百四十万人強制連行説の事実を確かめました。当時の川口外務大臣は、昭和三十四年、外務省調査したが、強制連行はない、合法的に徴用令が適用された期間はあったが、大半の渡航者は自主契約だったと答弁されました。  先週十日、北朝鮮平壌放送で、日本反動らは過去に自らの働いた途方もない強制連行、拉致犯罪を覆い隠そうと策術の限りを尽くしていると非難したと言われております。  町村外務大臣は強制連行についてどのようにお考えでございましょうか。
  139. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 川口大臣も御答弁をしていたようでございますが、昭和三十四年の調査結果というものが政府あるいは外務省の方から出されているようでございます。多分、委員よく御承知のとおりでありましょうから、その詳しい中身について今あえて時間のあれで申し上げませんけれども、今、その当時の、昭和三十四年七月時点の資料内容を、これは違うと言って否定をする客観的な情報は、残念ながら今私どもの手元にはないということのようでございます。
  140. 山谷えり子

    山谷えり子君 めぐみさんは生きておられる、安否不明者十人、三けたに上るとも言われる被害者の多くは生きておられる、帰国していただかねばなりません。  十日、米国は、北朝鮮が保管していた約八千本の使用済核燃料棒の再処理作業を完了したと判断、核爆弾四個から六個分が作れるプルトニウムがあると分析しています。国際原子力機関、IAEAのエルバラダイ事務局長も、再処理が完了したとの見方を示しました。  町村外務大臣、再処理完了という、これをどのようにお考えでございましょうか。
  141. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 北朝鮮の核開発問題、これは日本にとりまして、日本の安全保障にとりまして大変大きな、重大な問題であるということで、関係国ともよく意見、情報交換をやっております。  アメリカ政府が正式に北朝鮮が八千本の使用済燃料棒再処理を完了したという点を具体的に確認をしたという情報にはまだ私ども接していないわけでございます。いろいろな情報を総合的に勘案してみたときに、日本政府として北朝鮮が兵器化し得るプルトニウムを相当量保有している可能性があるとは考えておりますけれども、核開発のこれが正確な現状でありますということについて何らかの確定的な結論をまだ持っているというところには至っておりません。いずれにしても、この六者協議の場を通じてしっかりと取り組んでいきたいと思います。  なお、ウラン濃縮計画については、二〇〇二年十月のアメリカ代表団訪朝した際に北朝鮮側がアメリカに対してウラン濃縮計画の存在を認めたと、こうされているわけでございます。日本も例のパキスタンのカーン博士による証言を含めて関連情報の収集に努めているところでございまして、アメリカ国務省も、北朝鮮によるウラン濃縮について明確で説得力のある証拠が多数存在すると、こういう言い方になっておりまして、その詳しい中身はここですということを特定するところにはまだ至っていないというふうに理解をいたしております。
  142. 山谷えり子

    山谷えり子君 十日、安倍幹事長代理とアメリカのデトラニ朝鮮半島担当特使が核と拉致問題との解決に向けて日米の連携について話されました。報道によれば、デトラニ氏は北朝鮮の核問題について、我々は忍耐力を失いつつあると語ったと言われております。  九四年、米朝枠組み合意で北朝鮮は核開発凍結を約束しました。その後、アメリカは北朝鮮が核開発に動いたことを知り、また二〇〇二年には国防省は北朝鮮がウラン濃縮計画を有していることを発表、二〇〇三年一月、北朝鮮はNPT脱退を宣言。  私は、その直後の二〇〇三年三月に横田さんらとアメリカに行き、政府、議会人、マスコミに拉致問題を訴え、北朝鮮について意見交換してまいりました。アーミテージ国務副長官拉致はテロと言われ、ハスタート下院議長はこの時期に来られたのは意味があると言われました。北朝鮮の核貯蔵庫から使用済核燃料が運び出されたのが確認され、北朝鮮戦闘機が米偵察機に攻撃用レーダーを照射し、日本海に向けて地対艦ミサイルを発射したころでございました。  翌四月、私は、チリで開催されたIPUの会議、百十五か国の国会議員が参加した会議で起草委員を務めました。大量破壊兵器である核兵器、生物化学兵器、ミサイルの不拡散について演説し、各国は輸出管理を厳格にやってほしいとの文言を含む決議が採択されました。私は決議の背景に特に北朝鮮問題があることを言及いたしました。  そして、二〇〇三年五月二十三日、日米首脳会談で、事態が深刻化した場合、経済制裁を含む措置を取ることを小泉総理とブッシュ大統領の間で話し合ったと聞きます。つまり、町村外務大臣経済制裁について日米は一年半にわたり意思を確認してきたと考えてよろしいんでございましょうか。
  143. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 山谷委員拉致の問題あるいは核の問題、北朝鮮の問題、大変熱心にこれまでも取り組んでこられたことにまず心から敬意を表したいと存じます。  昨年の五月二十二日、日米首脳会談のやり取りでございますけれども総理からは、拉致問題の解決なくして国交正常化はないと。国交正常化は拉致のみならず、核、ミサイル、過去の問題を包括的に解決してから行うという日朝平壌宣言の立場は変わらない。すべてのオプションをテーブルに置くというアメリカの立場を理解する。ただし、イラクと北朝鮮では対応ぶりが違うと。平和的な解決が重要であると。日米韓協調することが大切。マルチの協議に日韓が参加することは不可欠であると。もし北朝鮮が更に事態を悪化させれば一層厳しい対応が必要になると。平和的な解決のためには対話と圧力が必要である等々の話がございました。  これに対してブッシュ大統領からは、北朝鮮の脅迫には屈しない。中国が責任ある行動を取り始めたことは意味があると。日韓の参加を得た五か国協議開催して北朝鮮を説得することが重要である。問題を平和的に解決すると確信しており、そのためにも強い行動が必要である。北朝鮮からの核や麻薬の拡散は絶対に容認できない。拉致は忌むべき行為であり、拉致された日本国民の行方が一人残らず分かるまで日本を完全に支持すると。北朝鮮拉致に対して強く抗議をしたいと。  こういうことで、両者の意見、完全に同じとは言えないかもしれませんけれども、基本的には同じ方向を向いて合意ができたと、かように理解をしております。基本的には対話と圧力という基本方針について意見の一致を見たと、かように理解をしております。
  144. 山谷えり子

    山谷えり子君 今年、二〇〇四年一月、米国五人の核問題専門家北朝鮮でプルトニウムを見せられ、その後、パキスタン、カーン博士のウラン濃縮技術供与が明らかになりました。二〇〇四年四月、チェイニー副大統領は上海の大学で講演、北朝鮮の核問題は深刻であるとし、タイム・イズ・ノット・ネセサリリー・オン・アワー・サイド、時間は必ずしも我々の側にない、時間がたてばたつほどこちらが不利になると語りました。  町村外務大臣、タイム・イズ・ノット・オン・アワー・サイドについて日本政府はどのように考えておられますか。
  145. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) チェイニー副大統領の今年四月の上海の大学における講演内容について今お触れをいただきました。日本としても、いたずらに時間が経過すること、これは決して国際社会にとってのみならず、日本にとっても時間が我が方に有利なわけではない、時間がたつことはやはり大きな問題だというふうに考えております。  しかるがゆえに、できるだけ早期にこの六者会合の再開をしようということでありますが、いろいろな理屈を立てて、韓国がIAEAに違反しているじゃないかとか、アメリカは相変わらず敵視政策を取っているじゃないかとか、あるいはアメリカのスタッフの、スタッフというか、新しい政策がどうなるか分からないじゃないかなどなど、いろいろなことを理屈に上げて協議に、再開に応じないというのが現在の姿でございますけれども、私どもとしてはありとあらゆる外交努力を講じましてこの再開に向けて努力をしている最中でございますし、来年のできるだけ早い機会に、どうも年内開催というのはこれは難しくなったというのが客観的状況かと思いますが、来年のできるだけ早い機会にこの六者協議の再開をできるように最大限の努力をしていきたいと思っております。
  146. 山谷えり子

    山谷えり子君 時はどちらの味方か、タイム・イズ・ノット・オン・アワー・サイド、日米、そして平和を願う国々の味方なのか、それとも北朝鮮の味方なのか。  二〇〇四年春、CIAレポートは北朝鮮は二〇〇七年までにウラン爆弾が作れるようになるのではないかとも述べました。最高で一年間に六個製造できる。拉致と核、ミサイル問題は一つ、切り離せません。北は、北朝鮮は核爆弾を作り、間もなく実験を繰り返し、完全な核兵器として実用化、強い立場にあると考えているのではないでしょうか。外交交渉は自分が強い立場か弱い立場か、どちらにあるのかという分析から始まります。北朝鮮は間もなく圧倒的に強い立場になり得ると考えているのではないでしょうか。だから、時間を稼ぎ、核兵器、ウラン爆弾を作ろうとして、更に自分の立場を強めようとしているのではないでしょうか。町村外務大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  147. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ウラン型の核兵器の製造に成功したか否か、この点につきましては先ほど申し上げましたように、関係国等々とよく情報交換をしながら一定の結論を得るべく努力をいたしております。事柄の性質上、明確にこれだということは今申し上げる状況にはございませんけれども、先ほど来委員が言っておられるように、時間はある意味にとって北朝鮮にとっては有利に働いている面もありましょう。  しかし、他方、時間がたつとともに彼らがもうよって立つ基盤というのはこうした、真実か脅しかはこれは分かりません。サダム・フセインだって大変な兵器を持っているぞと言いつつ結局なかったということは、かつてはあったけれどもその時点ではなかったということは、しかしそれがあることを見せることによって、実は大変なある種の強みも発揮していたという面もありましょう。  しかし、今の北朝鮮の経済状態等々を判断したときに、そんなにゆとりのあることを言っていられるんだろうかということもございます。したがって、それぞれの国がそれぞれの強さと弱さがあるということを冷静に判断をしながら、今の日本北朝鮮の関係で、この拉致の問題を解決するのに何が最も適切な手段なのかということを、できるだけ早い機会に方針を明らかにしなければいけないと、かように考えます。
  148. 山谷えり子

    山谷えり子君 冷静な見方はしなければいけませんけれども、アメリカは本当に時間は自分たちの味方なんだろうかという疑問を非常に強く持っているわけでございます。  今年二月、北京で第二回六か国協議で、北朝鮮の金外務次官はケリー国務次官補に、六か国協議の間も我々は核兵器を作ると言ったといいます。ケリー次官補は時間の経過が米国に有利と考えるのは誤りと強調しました。九月二十七日、北朝鮮外務次官は国連総会の演説で核抑止力は対米自衛手段と強調しました。国交正常化したがっているのは北朝鮮、お金に困っているのは北朝鮮日本の立場は弱くないという見方を多くの人がしていますが、時間はどちらの味方なのかということをひとつ考えて交渉に臨まなければならないと思います。  福沢諭吉は、一身独立、一国独立、「独立の気力なきものは国を思うこと深切ならず」、深く切ならずと申しております。経済制裁対話を引き出し、拉致問題解決するための手段です。国際平和のための手段です。このまま北朝鮮が核を作る方向で動くことは世界の平和のためにならない。感情論で経済制裁を言っているわけではございません。経済制裁すればミサイルが飛んでくるのではないかという意見もありますが、日米安保の下、そんなことをすれば次に何が起きるか、北朝鮮政府は合理的に現実的に判断していくと考えます。リビアのカダフィの例もございます。先日のCIAレポートによれば、北朝鮮はミサイル部品、技術を相変わらずアジア、中東、アフリカに輸出しているとあり、年間約七百億円の収入とも言われております。  横田さんは、早紀江さんは、向こうの国の人々が自由になれるようにと言われました。  そこで、ちょっと経済規模についてお伺いしたいんですけれども北朝鮮のGDP、国家予算、どれくらいあるのでございましょうか。
  149. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  北朝鮮の経済規模につきましては、種々の統計がございますが、韓国銀行の推計というのが一つございます。これによりますと、二〇〇三年に名目国民総所得は百八十四億ドル、一人当たりにいたしまして八百十八ドルであるという推定がなされております。
  150. 山谷えり子

    山谷えり子君 日本が分かっている部分だけの渡航者の持ち出し金額は二十五億七千六百万円、魚介類の輸入九十二億円ぐらいと言われておりますが、このような金額からいって、北朝鮮にとってそのようなものを止めることは大変影響力があると考えますが、どのようにお考えでございましょうか。
  151. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) もちろん、全体の北朝鮮の経済の規模でございますので、日本との貿易あるいは日本からの送金というのが、それはそれなりに非常に大きなインパクトはあるということであろうというふうには考えられます。
  152. 山谷えり子

    山谷えり子君 経済産業省にお伺いします。  日本北朝鮮間の貿易状況をお教えください。
  153. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) お答え申し上げます。  貿易の額及び内訳ということで順次お答えを申し上げます。  まず、貿易額でございますけれども、私どもの貿易統計によりますれば、二〇〇三年、我が国からの輸出が百六億円、輸入が二百二億円、合計で三百八億円でございます。ちなみに、これは我が国の貿易総額の〇・〇三%に匹敵いたします。本年はまだ年が終わっておりませんので、十月までの速報値ということでお答え申し上げますと、我が国からの輸出が七十八億円、輸入が百四十三億円でございます。  昨年の貿易額の内訳を若干補足いたしますと、我が国から輸出されている品目で最も多いものがトラックでございまして、これが金額ベースで全体の約二割弱、一九・二%でございます。で、乗用車等も含めまして、輸送機械全体で三二%、それから毛織物、化繊織物の繊維製品が二三%、この二つの品目の範疇で過半を占めるわけでございます。  一方、その輸入でございますが、先ほど御指摘ございましたアサリを始めまして、ズワイガニも含めました魚介類が四五%、これにマツタケ等を含みます野菜が五%、スーツ、ジャケット等の衣類が二一%、これらの品目で七割を超えるというような状況になるわけでございます。
  154. 山谷えり子

    山谷えり子君 こちらから出ていっているトラックなどが軍事用に転用されているのではないかというような危険性はどうでしょうか。あるいはまた、一般機器や電気機器の中で部品がミサイルの関連部品に転用されるというようなことはどのようにお考えでございましょうか。
  155. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) 私ども、そういうようなことがないように輸出管理を外為法にのっとりまして厳しくやっておりますし、とりわけ北朝鮮の場合には、いわゆる汎用品も含めまして他の国の場合よりも精密にチェックをしておりますので、そういった御懸念はないというふうに思っておりますし、この点につきましては、いろいろと迂回輸出等の可能性もございますので、関係国とも連絡を取りながら対処をしております。
  156. 山谷えり子

    山谷えり子君 チェックを厳しくしたので麻薬などはここのところぐっと入りにくくなったと言われておりますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  157. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) 麻薬につきましては、これは現在どの国から入るものも含めまして、水際と言っておりますが、通関の際に全品規制をしておりますので、そういった心配はないというふうに思っております。
  158. 山谷えり子

    山谷えり子君 横田めぐみさんに戻っていただく、成田のタラップから降りていただく、三けたのめぐみさんたちに戻っていただく、これ以上核開発を北朝鮮にさせない、経済制裁発動により拉致問題解決のため対話の道を開くこと、世界を不安定にしないことのために決然とした決断を求めたいと思います。  ありがとうございました。
  159. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 他に御発言もないようですから、質疑はこの程度にとどめます。  この際、小林温君から発言を求められておりますので、これを許します。小林温君。
  160. 小林温

    ○小林温君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する決議(案)   本年十一月に開催された第三回日朝実務者協議において、横田めぐみさん、松木薫さんのものとして北朝鮮側から提出された遺骨が、今般、我が国捜査機関の鑑定により別人のものであることが明らかとなった。   この北朝鮮の不誠実な対応は、我が国の尊厳を著しく損なうとともに、拉致被害者心情を弄ぶものであり、強い憤りを禁じ得ない。   平成十四年九月の小泉総理訪朝に際し、我が国の主権及び我が国民の基本的自由と人権に対する重大かつ明白な侵害である日本人拉致という忌まわしい国家的犯罪行為の実行を北朝鮮が認めてから既に二年の歳月が経過した。この間、五人の拉致被害者とその家族帰国が実現したが、先の実務者協議における安否不明者に関する北朝鮮側説明は、我が国民の疑問に応えるものとはなっていないことが今回の鑑定結果により明らかとなり、このような著しく誠実を欠いた北朝鮮の姿勢は、強く糾弾されなければならない。   政府は、この際、拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ないとの不動の立場を堅持し、北朝鮮との間で粘り強く協議を進めるとともに、次の諸点に留意し、拉致問題の抜本的解決の促進に遺漏なきを期すべきである。  一 改正外為法や特定船舶入港禁止法等現行の国内法制上とり得る効果的制裁措置の積極的発動を検討すること  二 いわゆる対北朝鮮人道支援については、北朝鮮側からの誠意ある回答が得られ、その信憑性が確認されるまでの間凍結すること  三 今回の実務者協議の後、我が国に持ち帰った資料については、真相究明に寄与するよう、可及的速やかな科学的鑑定分析を進め、その結果を当委員会報告すること  四 朝銀系信組に対する監督を一層厳格に執行すること  五 拉致問題に関与した責任者・実行者等の厳正な処罰の執行とその報告、具体的な再発防止策の確立、拉致被害者に対する補償の確実な履行について、北朝鮮に対し強く求めること  六 政府認定に係る拉致被害者以外で拉致の疑いのある事案についても、その真相究明に積極的に取り組むとともに、拉致被害の認定を進めること  七 本年四月に国連人権委員会が採択した決議において、北朝鮮に対し拉致問題を明確に透明性をもって緊急に解決することを求めていることを踏まえ、かかる国際社会の支持と協力をより強固なものとするため、六カ国協議を始めとするあらゆる機会を捉え、外交的努力を引き続き強化すること  八 帰国された拉致被害者及び家族に対する支援について、国、地方公共団体、民間団体の連携に留意し、十全の対応を図ること   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  161. 内藤正光

    委員長内藤正光君) ただいま小林温君から提出されました決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、杉浦内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。杉浦内閣官房長官
  163. 杉浦正健

    内閣官房長官(杉浦正健君) ただいま北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する決議が採択されましたことを受けまして、一言述べさせていただきます。  既に御案内のとおり、今般、横田めぐみさん及び松木薫さんの遺骨とされるものが御本人のものでないとの鑑定結果が出ました。北朝鮮側調査結果の核心を成すものであったと言えるこの調査虚偽であったと判明いたしましたことは、極めて遺憾であると言わざるを得ません。  政府としては、既に北朝鮮に対して厳重に抗議を行ったところでありますが、ただいまの御決議の趣旨も踏まえて、今後、北朝鮮に対して拉致問題に関する真相究明を一層強く迫っていくための対応を早急に検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  164. 内藤正光

    委員長内藤正光君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会