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2004-10-28 第161回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十月二十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      広野ただし君     森 ゆうこ君  十月二十七日     辞任         補欠選任      森 ゆうこ君     広野ただし君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浅尾慶一郎君     理 事                 愛知 治郎君                 中島 啓雄君                 山下 英利君                 平野 達男君                 若林 秀樹君     委 員                 片山虎之助君                 金田 勝年君                 田村耕太郎君                 段本 幸男君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 溝手 顕正君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 富岡由紀夫君                 広田  一君                 広野ただし君                 峰崎 直樹君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        伊藤 達也君    副大臣        内閣府副大臣   七条  明君        財務大臣    上田  勇君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        内閣産業再生        機構担当室長   藤岡 文七君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   山木 康孝君        金融庁検査局長  西原 政雄君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      長尾 和彦君        法務大臣官房審        議官       河村  博君        財務省主税局長  福田  進君        財務省理財局長  牧野 治郎君        国税庁次長    村上 喜堂君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        厚生労働省年金        局長       渡辺 芳樹君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        経済産業省経済        産業政策局長   北畑 隆生君        中小企業庁事業        環境部長     鈴木 正徳君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (災害復旧のための財政措置に関する件)  (財政健全化に関する件)  (税制改革に関する件)  (日本銀行金融政策運営に関する件)  (金融機関不祥事等に関する件)  (三位一体改革に関する件)  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件  )     ─────────────
  2. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣産業再生機構担当室長藤岡文七君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  7. 愛知治郎

    愛知治郎君 おはようございます。自民党愛知治郎でございます。  まず冒頭なんでございますが、自民党を代表しまして、今回の一連の度重なるまず台風ですね、そしていまだ続いております、この時点でもまだまだ続いております中越地震被災者方々に心よりお見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます。  また、懸命の被災者の救済、そして復旧に当たられている方々におかれましても、この場からではございますが、心より感謝を申し上げさせていただきたいというふうに存じます。  また、特に、昨年なんですが、私の地元であります宮城でも地震がございまして、その余震がずっと続いているその状況も見させていただきましたけれども、被災された方々のその気持ちですね、子供たちなんかも車が通っただけでその音ですごくおびえてしまって、非常に心細い、つらい思いをしていると思います。  この点、先日に大臣からもございましたけれども、もう最大限財政面でも協力をしたいというお話ありましたけれども、是非その点ではよろしくお願いを申し上げます。私自身も何とか何かできないかという思いでじくじたる思いはあるんですが、この際できることを、どんどんこの場でやっていけることをやっていければというふうに思います。  この点について、このために予算、国というのももちろん存在していますし、予算というのは使うべきだと思いますし、これは納税者方々十分理解はしてくれると思うので、最大限のできることをしていただきたい。改めてですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
  8. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私からも、今般の地震、それから台風等災害で犠牲になられた方々に対して心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、それから大変今被災をされて御苦労をされている方々に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。  私もまだ新潟地震の方の災害は自ら目で見ておりませんけれども、二十三号の被害洪水被害の方については若干現地も見てまいりまして、今朝なんか大分冷え込んでおりますから大変苦労しておられるだろうなと。それからまた、その災害も、後、余震が続いたり、水害の方もまだまだきちっと整理ができておりませんで、この後、大地も水がしっかり含まれておりますから、この後もし大雨等降った場合どうなるかと、いろんな御心配をされている様子を目で見てまいりまして、財政面からも万全な措置を取らなければならないと、こういう思いを新たにしているところでございます。  そこで、もうちょっと細かに、覚悟を新たにしているというだけでは足りませんので、もうちょっと細かに申し上げますと、本年発生の災害被害、これは度重なる台風がございまして、まだ十月十五日現在までのところしか手元に数字がございませんけれども、十月十五日現在で公共土木施設等に係る被害報告額は七千二百五十九億円と。これは平年を上回る規模になっておりまして、そこに、その上に台風二十三号、それから新潟県の中越地震による被害が重なってくるということでございますので、この状況が明らかになるにつれて更に被害総額が大きくなるということは、もうこれは避けて通れないことだろうと思っております。  まず、災害復旧事業の円滑な執行であるとか、あるいは激甚災害への適切な対応、これをできるだけ早くする必要があるということが第一でございます。  それから、災害被害額早期把握にも努めなければならないと思っております。災害復旧等のための必要経費がどのぐらいに上るのか、これは早急に見通しを付けなければいけません。それで、必要があれば、補正予算所要額を計上して通常国会冒頭に提出する用意があるということでございますが、緊急に必要となる経費がございます。  例えば私が見てまいりました水害でも、大変堤防等が、今までの堤防等がえぐれているようなところは早急にやらないと、次に雨が降ったとき更に広がっていくというようなことがあろうと思いますから、そういう緊急必要の経費は当初予算あるいは予備費の使用も含めて適切に対処して、財政面での対応に遺漏のないようにしたいと、このように考えております。
  9. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。本当に心強いお答えをいただきまして、心より感謝を申し上げます。  悪いことって重なるもので、いろんな問題が、国外の問題でも今いろんな問題が出ております。だからこそ、こういうときにこそ我々としては、これもう与野党を超えて、かかわらずに一致団結をして、この国のため、国民のためにできることをしていかなければならないというふうに思います。委員先生各位にも是非御協力をいただきたいというふうに存じます。  さて、やはり必要なことに予算を投じていくというのは国の責務でございますので、ただ、財政全般に関して私自身大変委員先輩方は非常に高度な専門知識を持たれている方が大勢おるんですが、極めて素人に近い、まだまだ勉強不足であるので、その点、御容赦いただきたいんですが、基本的なことですね、先日ごあいさついただいたことに関連しながら質問させていただきたいというふうに存じます。  そして、その基本的なことなんですが、まず財政全般ですね、ずっと借金が物すごいある、このままでは破綻してしまうんじゃないかという話はもうずっと聞いております、マスコミ等でもあるんですが。じゃ、果たしてどれぐらいあるのか、どれぐらい危機的な状況なのか、どうもよく分からない。数字が例えば七百十九兆という話は出てきていますけれども、その点、私もよく分かっていないもので、どの程度負担これからしていかなくちゃいけない、どの程度借金を負っているのか、これからどういうふうな解決をしていかなくてはいけないのか、数字を正確に知りたいと思いまして、この点をお伺いをしたいと思います。  まず債務ですね、債務。特にここ数年、小泉構造改革という話もありましたけれども、ここ数年に関して、三年前と現在と、どれだけの国及び地方債務を抱えているのか、その数字をお教え願えますでしょうか。
  10. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) 事実関係でございますので、私の方から御説明をさせていただきます。  今、愛知委員の方からも御指摘があったんですが、債務残高といった場合に、いろんな数字、いろんな指標があるんですけれども、まず最初に我が国債務残高、これは国の公債残高ということで申し上げますと、平成十六年度末では四百八十三兆円程度に達する見込みでございます。これは今愛知委員からもお話がありました、ちょうど三年前の数字と、三年前の平成十三年度の末が三百九十二兆円でありましたので、そのときから比べて約九十兆円増加するというような状況でございます。  また、先ほど委員が御指摘になった国と地方を合わせての長期債務残高ということで申し上げますと、これは国の長期債務残高に、先ほど申し上げました公債残高のほかに借入金の残高などの長期債務、それと地方長期債務残高、これを合計した数字ということでありますけれども、この数字を見てみますと、平成十六年度末で七百十九兆円、先ほど委員が御指摘になった数字でございますが、に達する見込みでございます。これが三年前の平成十三年度末には六百七十三兆円でございましたので、このときから約四十五兆円増加をしているというのが実態でございます。  今申し上げましたように、財政事情が非常に厳しい状況でございますので、財政構造改革を推進をいたしまして、現在、引き続き増加をしております債務残高、これの増加を抑制していくことが非常に重要な課題となっているというふうに認識をいたしております。
  11. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。何か悲観的な数字というか、危機的に感じるんですが。  一つは、この借金を全部一気に返せといってももちろん無理ですから、健全化、少なくともプラスマイナス・ゼロ、多少なりとも黒字化を今の段階で、できるだけ早い段階でしていかなくちゃいけないというのは私にもよく分かります。  ただ、これなんですけれども、一般会社ですと、債務はもちろんありますけれども、債権であるとか資産であるとか、全体のパイがありますよね、資産が。これは単に借金だけの数字が出てきて、国民人頭幾らという話はされますけれども、じゃそのプラスの面はどれぐらいあるのか、そのプラスマイナスでどれだけの借金を負っているのか、どれだけ返済を今しなくちゃいけないのかということの現状を把握したいんですが、この点、数字等を御提示いただきたいんですけれども。
  12. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) 今委員から御指摘があったのは、国のそういうバランスシートはどうなっているのかというようなことではないかというふうに思いますが、国の財務の場合には企業とは若干性格が異なっておりますけれども、ただ、企業会計における貸借対照表バランスシートを作成する手法を用いて国全体の財政事情を分かりやすく示していこうというようなことをこれまで取り組んでまいりまして、国の貸借対照表平成十四年度の資産それから負債、これを見てみますと、資産負債の差額といったもの、これがマイナスの二百二十七・四兆円になります。  この今申し上げました数字というのは、企業貸借対照表であればこれが資本の部ということに当たるわけでありますけれども、国については資本という概念がなくて、むしろそこは信用力が究極的には課税権等によって担保されているということになっております。そういう意味ではちょっと若干企業会計とは異なるわけでありますけれども、そういう性格を持っております。  そこで、じゃ国の資産というのはどういうことかというと、国が保有する資産というのは、基本的には国が行います様々な事務事業を遂行するために保有しているものでありますが、このうち、売却を予定している不動産といったものが平成十四年度末では一兆二千八百三十八億円ということになっております。これらの大宗は財務省が所管しておりますいわゆる一般会計所属の未利用国有地等が占めておりますけれども、これらについては積極的に売却を進めていきたいというふうに取り組んでいるところでございます。
  13. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  もちろん企業とは国ですから本質的に違う部分はあるんですが、やはり経営感覚というか、そういった財政、お金、収支をしっかりコントロールしていくという感覚は、財務大臣がリーダーシップを取って運営をしていかなくちゃいけないというふうに思います。  ただ、先ほど副大臣がおっしゃられましたけれども、信用、これは大きく一般会社と違う部分で、徴税権という話がございましたけれども、まずその信用に関しても、諸外国から見て本当にこの国は信用があるのかどうか、不安に思われているんじゃないかと私自身も思うんですが、要素が幾つかありまして、一個は、徴税権という話がございましたけれども、国民皆さんにちゃんと負担をしていただく徴税ですね、端的に言えば、増税してもっと負担してくださいと言うことができるのか、言えるのかどうか、それ実行できるかどうかということは諸外国から注目されていると思うんですよ。口で言いながらそれが全然できない、進まないんであればこれは信用を落としますし、国家としての信用、先行きに対する信用が落ちますので、これは国民皆さんに、納税者皆さんにしっかりと理解をしていただいてやらなくてはいけないことは、これはつらいですけれどもやらなくちゃいけない。その認識だけは私持っているつもりなんですけれども、この点について、信用を確保するためにも財政健全化を行うためにも、増税を含めて今後の姿勢、今ちょっと総括的な話ですけれども、財務大臣よりお伺いをしたいと思います。
  14. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員が御指摘のような現在の財政状況を乗り越えていくためには、ざっと言って三つしか手法がないんだと思います。  一つは、国全体の経済力が上昇していって、そういう中で国の財務体質が改善されていくという大きなやはり土台が必要だろうと思います。そういう中で、今度はじゃ具体的な歳入歳出の問題になってくるわけですけれども、これだけのフローから見てもストックから見ても借金体質になっている、何としても無駄なものを削り落として歳出をスリム化していく、そして必要なところに必要な経費を付けていくというめり張り付けを徹底的にやっていかなければならないということは、これは大前提としてあると思います。  しかし、歳出面だけで抑制していくということになりますと、国の財政全体として、一方で社会保障等高齢化が進んでまいりますと当然伸びるべくして伸びていくものがございまして、歳出減という手法だけに頼っていくと国の財政が言わばいびつになっていくという、ちょっと情緒的な表現でございますが、そういう問題がどうしても生じてきますし、そういう面から考えても、じゃ今度歳入はどうするんだということが必要になってまいります。  先ほど申し上げた大きな日本の経済力全体の位置付けの中で、歳出歳入両面でのバランスを取りながら臨んでいかないと我が国財政健全化していくという課題は達成できない、そのために我々も努力をしなければならないと、こう思っております。
  15. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  それで、ごあいさつの中にもあったんですが、二〇一〇年代初頭までにというお言葉がありましたけれども、この二〇一〇年代初頭、いつごろ、もう少しはっきりと、一〇年代初頭というともう何年かにわたりますよね、二〇一〇年だか一一年、一二年、一三年と幅広い。余りにも抽象的な、漠然とした言い方なんで、これはどの辺りで黒字化を図っていくおつもりなのか、もう少し具体的に教えてください。
  16. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 要するに、どういう手法プライマリーバランス回復を図っていくかということに関連してくるわけですが、まだしばらく時間がありますので、コンクリートにそれは二千何年であるということはなかなかお示ししにくいんで、二〇一〇年代初頭というのが今政府で決めて進んでいる方向でございます。  ただ、いろいろな、「改革と展望」あるいは骨太の方針の中でいろんな改革努力をしながらそっちの方向に進んでいこうということになっておりまして、閣議決定という形は取っておりませんけれども、それの検討資料の中の一つとして内閣府がお作りになったものは二〇一三年というところにプライマリーバランス回復を持っていく数値を示して、これは一つ検討参考資料、これが、繰り返し申し上げますが、閣議決定されているわけでもございませんし、その取り得る手法もそのときそのときで変わってまいりますから、ただ、一つ参考資料としてはそういうものがございます。
  17. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  おっしゃることはよく分かりますけれども、ただ、目標をはっきりさせていかないと、ずるずるずるずると先延ばしにするだけということにもなりかねませんので、これは是非しっかりとした目標数字を出して、計画を早急に出していただきたいというふうに思います。  その点で言いますと、例えば三位一体改革地方分権という話ありましたけれども、小泉総理が掲げて、言葉を作った方はだれかというのはちょっとよく分からないですが、方針を出して、目標を決めて、こういう数字を出したところで初めて動き出す、動き出しているように思われます。いろんな方々、真剣な議論を今していると思うんですが、正直申し上げますと、私自身が、今三十五歳なんですけれども、成人した段階ではもう地方分権地方分権という言葉をその時点でずっと聞いていると私は記憶をしております。じゃ十五年間何をしてきたのか、具体的にどう進んできたのかさっぱり分からない。今そのプランを出したときにも、数字ばっかりが先行して、じゃ中身どうやっていくのかという議論は今やっているように思えるんですね。  だから、そのしっかりとした計画目標がはっきりと、期間を決めたり、その計画をはっきり立てないと、ずるずるずるずる先延ばしになっていくんじゃないかという大変な危機感を持っております。是非この点では、しっかりとした明確な目標を早急に定めて、そこまでに計画を立てて実行していくという手法でやっていただきたいというふうに思います。  そのまだ具体的な中身というのはこれからなのかもしれませんけれども、先ほどおっしゃられた歳入の面ですね、税の負担をしていただく、この点、消費税議論もありますけれども、やはりある程度の大きな負担というのを国民お願いをしなければならないとは思うんですが、この点、今、現段階で結構ですので、消費税を含めてどのような形で国民皆さんから税をいただこうと考えているのか、今の、現時点での具体的な考えを教えてください。
  18. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財政だけでなく全体の構造改革を進めていく中では、社会保障制度改革であるとか、あるいは今委員がお触れになりました国と地方関係、いわゆる三位一体という形で進めておりますけれども、そういった問題、それから財政をどう健全化していくかという問題、それに併せて税制改革、こういうのが実は複雑に、一つだけぽんととらえてできるというものはなくて、それがみんな複雑に絡み合って連立方程式を解くような形になっているんだというふうに私は思っております。  私の所管しております財政の方から、財政、税の方から申しますと、先ほど申し上げましたように、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復するというのが一つの大きな目標でございますけれども、そのためには歳出面から、今歳入とおっしゃいましたけれども、歳出面から見ますと、大きな存在を占めておりますものがまず社会保障であり、それから国債費であり、それから地方にお渡しする交付税だと、こういうことになりますが、国債費は、国債費だけでは、全体の体質を改善しないと減っていきませんので、どうしても社会保障三位一体というのにある程度方向を付けませんと物事が進まないということがございます。  それで、じゃその三位一体を、消費税とおっしゃいましたけれども、三位一体の方で申しますと、三億円をめどに、消費税地方の、地方住民税に移管してやっていくという目標がございますから、これぐらいの額になりますとどうしても消費税体系というものを見直さなければならないわけでございます。  それで、今度、社会保障の方を見ますと、差し当たって基礎年金負担を、基礎年金の税金を入れる部分は今までは三分の一ですけれども二分の一に持っていくという目標がございますから、こっちの方でもどうするか。これはまず今三位一体でやっております所得税体系の方から見直していって、そのときに年金をどうするか、三位一体をどうするかをやって、これは大体十七年度、十八年度である程度やりたい。それで、それまでにいろいろ、じゃこれからの必要な財政需要は何なのか、財政サービスは何なのかというのを見極めまして、社会保障全体の今後の改革を視野に入れながら、平成十九年度からはやはり消費税お願いするような形で議論していかなければ、議論を整理していかなければならないんではないかと、おおむねそんなふうに考えているところでございます。
  19. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  複雑な事情、大変込み入った事情があって高度な手法を取っていかなくちゃいけないというのは十分分かりますけれども、さすがに私自身、細かな話というか専門的な話よく分からないので、単純に私の考え、原則論なんですけれども、まず財政ですね、このお金、どのように作ってどのように国をつくっていくか。例えば先ほどの災害なんかそうですけれども、こういうのはいつでもプールをしておいて使わなくちゃいけない、いざというときに財政出動しなくちゃいけないということがございますよね。それから、社会保障に関してもどれだけの厚みを乗せるのか。いろんな計画があるし、やはり予算全体の中で国の形というのはできてくると思うんですが、まずこういう国にしよう、こういう政策を取ろうというふうにその計画を立てた上で、支出の部分ですね、政策の部分計画を立てた上で、じゃそのお金を賄うために国民皆さんに税金として負担お願いしますというのが当たり前の形だと思うんですね。最初にお金がありきではなくて、まず計画を立てて、このような国の施策、全体的にこういった配分をしてこういう支出の在り方にしましょうというのを、目標計画を立てて、そのためにこういうことをしますから、国民皆さん、税金として負担お願いしますと。その負担の形というのはいろいろありますけれども、それが順番だと思うんですよ、単純に考えると。  それを全部一気にやろうとすると複雑になって分からなくなる部分もあるんですけれども、私自身がそういった内容を整理するためにはどうしてもそういうふうな考え方を取りたい。それが原則だと思うんですけれども、それだけじゃないとしても、基本的にそれが原則であるということでよろしいでしょうか、大臣考え方。
  20. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、愛知委員がおっしゃったことが正しいのではないかと思います。  私の分野で申しますと、やっぱり財政健全化していくというのが大きな私に与えられた課題でありますけれども、ただ、財政健全化と言ったって数字だけではできるわけではありませんで、先ほど申し上げましたような大きな支出項目、全部にわたって聖域なく見直さなきゃいけないんですが、大どころで申しますと、社会保障とそれから国と地方関係をどう改革していくかというある程度の見取図がないとなかなか財政再建につながっていかないということがございます。  それで、社会保障の方でいくと、じゃどういう改革を目指していくのかということになりますと、これも財政だけの論理でできるものでないことは明らかでございますけれども、私の観点から一つ申し上げられることは、社会保障制度というのは持続可能なものでないとみんなが安心してそれに頼っていくということはできないんだろうと思います。そうしますと、大きく言うと社会保障制度というのは国民経済の身の丈に合った、身の丈に合わないものをどんなに立派なものだからやろうといってもそれはできるわけがない、まず身の丈に合ったものに制度を整えていくということが必要じゃないかと。そうしますと、身の丈に合ったものにするにはどうしたらいいかということになりますと、やはり公助とか自助とかいうものの在り方、何が国が、あるいは公が乗り出していくべきことなのか、何が本来個人できちっと賄うべきものなのかということをもう一回再整理しなければ身の丈に合ったという姿がなかなかできない。  それで、それを更に突っ込んでいけば、今までの考え方で高齢者は大体弱者だという前提で作られてきたけれども、本当にそれでいいのか。やはり高齢者の中でも現役世代と遜色のない資産なり収入のある方が現にあるわけでありますから、やはり今の高齢者の姿に合わせた制度設計の見直しをしていかなきゃならないというような問題があると思います。  国と地方も、これもまたいろいろ、長くは申しませんけれども、要するに国も地方もお金が潤沢にあるんだったらいろんな使い方があるだろうけれども、全体に乏しくなっていく中で有効に使っていくためには、地方でできることは地方でと言っておりますけれども、一番切実に感じているところに有効に使っていく手段を考えていかなきゃいかぬと。それは細部になると今の議論はもっともっと細かな議論になりますけれども、そういう中で、そういうある程度見通しを立てた中で財政健全化ということを整理していかなければいけないんじゃないかと、そういうふうに考えているわけであります。
  21. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  抽象的な質問なんで大変分かりにくかったと思うんですが、今端的に財務大臣がお話しされたことは三位一体地方でという話だったんですが、私自身、総理が地方でできることは地方で、一言ですけれども、これはこれで大きな方針だと思いますし、実行していくべきだと思うんですが、正確に言えば、ちょっと言い方を換えて、地方でやってもらったことが、より効率的に、しかも機動的に対応できる問題は地方にお任せしよう、地方にやっていただこう、そういった政策、効率的により迅速にいろんな政策が打てる、そのことによって日本全体が活力を取り戻すんだと、これが基本的な考え方だと思うんですね。  この三位一体でもすごく不安だったんです。何となく数字が先行してしまって、何を渡して、地方の活力、地方がやった方がいいだろうということ、ただやらせるというんではなくて、地方がやった方がいい、地方に任せた方がいいということを明確にその分野分野によってしっかりと検証をして、その上で数字を合わせるというのが必要だと思うんですけれども、この点が非常に不安なんですよ。  ちょっと、私自身は環境の問題をよくやっているんですが、この点で例として挙げさせていただきたいんですが、廃棄物の、これは地方六団体の提言という形なんでまだ本決まりじゃないですけれども、廃棄物の補助金を全部地方に移譲しようという話はあったんですが、御承知かとは思うんですけれども、廃棄物に関して言えば、元々はその地域ですべてごみは片付けろという話でしたけれども、逆にインフラとかが整備されているのでごみがどんどん広域になって、いろんな不法投棄がどんどん広がっちゃっている。だからこそ、国全体、より広域な範囲でしっかりと管理をしなくちゃいけない。だから、地方に任せるんではなくて、国がもっと関与を強めて責任を持ってやるべきだという範囲だと思うんですけれども、まず数字が先行して、とにかくこの分野は地方に持ってきた方がいいんじゃないかというふうに言われているように見えるんですね。それが非常に不安なんですよ。  もう少ししっかりとした計画、これは地方の方がいいだろうという計画をまず立てた上でそうやって分権をしていく、補助金などの見直しもしていくべきだと思うんですが、先ほど私が言いました税とそれから財政、その支出の部分ですね、どっちが先かという話は言ったんですが、やはりその目的、どういう使い方を、どういう政策を打っていくかということをしっかりとプランを立てた上で、じゃお金どれぐらい必要ですというそのお金の議論は後から付いてくるものだと思うんですけれども、この順番を間違ってやってしまうと方向が定まらなくなると思いますので先ほどからこのように申し上げていたということなんで、是非しっかりとした計画を立てていただきたいというふうに思います。  自分の考えをとうとうと申し上げてしまいましたけれども、その点でもう一点だけ。  よくいろんな資料で、今のプラン、先ほど財務大臣がおっしゃっていたプラン、全体的な話もそうなんですけれども、政府の税調等、いろいろ計画、税の面から国のあるべき姿というのをいろいろ出していますけれども、先ほどの財政ということに関して言えば、調査会のような組織で、財務省にも財政審議会というところがあるというふうに聞いておりますけれども、ここではどのような議論がなされているのか。先ほどの税の面だけではなくて、財政、どのようなあるべき姿というのがしっかりと議論されているのか、それを活用しているのかどうか、この状況についてちょっと教えていただけますか。
  22. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財審、財政審議会では、先般、来年度の予算編成に向けて議論を開始していただくに当たって私が申し上げたことは、先ほど愛知委員にお答えしたことと重なるんですが、一つは、こういう財政状況を放置しておくと、本当に日本の財政は持続可能なものなのかという疑念が蔓延してしまうことに加えて、先ほど財政が良くするためには経済全体も元気が出てこなきゃいけないと申しましたけれども、これは相関関係でございまして、財政が悪くなって、要するにみんな国の財政のしりぬぐいの方に金が回っていくようなことになりますと、全体の民間の経済が活力があるふうにはいかないというふうにもなってくるので、立て直すためにはどうしたらいいかと。それは、歳入歳出両面からよくその議論をしてほしいということを申し上げて、今御議論をいただいております。  やや異例なことなんでございますが、財政議論していくためにも、もちろん財政審議会というのは税を議論するところではないわけですけれども、先般は政府税調の石会長と日銀総裁にもおいでをいただいて、全体の金融政策や租税政策の考え方も今の議論の流れも聞きながら議論を進めていこうと、そういうような議論を今やっていただいているところでございます。
  23. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。大変答えにくい質問をしてしまっておりますが、これが現実だと思うんですね。  私自身は、まだ勉強不足ということもございますけれども、一般の方にほとんど近い視点で今質問していると思うんですよ。といいますのも、正確にどのような状況があるのか分かっていない、分かりにくいということが一番だと思うんですね。是非、この点では、国の財政どのような状況になっているのか、正確に、個別具体的に情報を発信していただきたいと思いますし、私もせっかくこの委員会に所属させていただいたので、この点では機会があるごとにお伺いをしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  さて、また総論的な話になりますけれども、現在まだデフレがあるのかどうか。デフレが問題という話だったんですが、これ、両大臣認識、デフレは続いているのか、大分回復してきているのか、認識をお伺いしたいというふうに存じます。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今のお答えをする前に、ちょっと私の発言で、先ほど三位一体関係で三億円をめどにと申し上げたようですが、三兆円の間違いでございますので、訂正を、おわびをして訂正をさせていただきます。  それで、現在デフレなのかどうかということでございますけれども、経済全体を見ますと、輸出、生産、これは緩やかながら増加して、設備投資も増加しているわけであります。それから、雇用情勢もまだ厳しさが残っているけれども徐々に回復をしているということだと思いますし、家計消費も緩やかに増加していると。民間主導で経済は回復の方向をたどっていると思いますけれども、この中で、やはりデフレは、依然としてまだデフレ基調が残っていると思っております。したがって、財政と、それから日銀が所管しておられる金融政策と緊密に連携を取って進めていくことが必要ではないかと。  それで、このデフレ克服のために日本銀行も明確に金融緩和のコミットメントをしていただいておりますけれども、私は大変適切な方向を日銀もやっていただいているというふうに思っております。
  25. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 私も谷垣大臣と同じ認識でありまして、今の日本の経済の状況というのは、企業収益というものが大幅に改善し、そして設備投資も増加する中、民需主導で景気は堅調に回復をしてきているというふうに思っております。  ただ、この明るい兆しというものを、まだばらつきのあります地方でありますとか地域に浸透していく、そうしたことがこれからの大きな課題ではないかと認識をしているところでございますけれども、デフレにつきましては、やはり依然まだデフレの状況というものは継続をしていると、そのように認識をしておりまして、政府、日銀が緊密に連携をして、デフレ克服のための努力を続けていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  26. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  私自身、当選してから、おととしになりますけれども、予算委員会で質問をさせていただきました。そこでお話をさせていただいたことなんですが、改めて今ちょっと短い時間でお話をさせていただきたいというふうに思います。  デフレ、私も物事を整理しないとよく分からないもので、大きく分けて三つの大きな要素があるというふうに申し上げました。一個は内外価格差の問題、それから需要の変化の問題、そして金融ですね、金融の構造の問題、この三つの要因がデフレには大きく影響を与えているんじゃないかという話をさせていただきました。  内外価格差に関していえば、中国を始め外国の安価な安い労働力を使った安い商品が山ほど日本に入ってきて、商品の単価を下げて、それが物価を押し下げている、物価がどんどん安くなっているという現象がありました。  また、需要が変化したというのは、物があふれて、一通り、国民皆さんが欲しいものを一通り手に入れてしまったんで、じゃどこにお金を使うか。使い方、変わってきたんですね。現実的に出てきてよく聞く話ですけれども、例えばうんと安いものかうんと高級なものか二極分化してきているとか、需要の変化が起きてきたということであります。  もう一つは、金融の構造ですね。金融市場にお金が山ほどじゃぶじゃぶあったとしても一般の市場に出ていかない、だからこそお金が回っていかない、これは問題だという、その三つの要素の話をさせていただきました。  内外価格差に関していえば、現実的に諸外国、特に中国とか途上国の経済発展によってという面もございますし、今調整局面に入っていると思うんですね。大分一時期の物価の下落に歯止めが掛かって、ちょっと持ち直し、安定的になってきたんじゃないか、今調整局面に入っていると思います。  また、需要の変化に関していえば、これは逆に、民間側が自助努力で、大企業を中心に新しいニーズを的確にとらえながら頑張って今需要の変化に対応している。おかげで、よく言われる勝ち組、負け組って出てきていますけれども、対応したところはしっかりとこれは成績を上げているんじゃないかというふうに思います。  ただ、ただこの三つの中で一個だけ、これは厳しい話ですけれども、金融の構造に関して、これだけは私はずっと話をさせていただいて、竹中大臣とやったときも、ここです、問題はという話をさせていただいたんですが、変わっているのかどうか、ここに関して私自身非常に不安に思っているし、不満にも思っておるんです。  一番の、今の経済の問題の中で一番問題が、パイプが詰まっている、だからお金が流れていかない、これが一番問題であろうと。物価というのは基本的にお金が流れている中で高くなるものもあれば安くなるものもある、結果でしかないというふうに思っているんで、基本的にはですね、この詰まったパイプの流れを良くしなくちゃいけない。  それで、せっかく今、日銀総裁もいらっしゃっているんで一点だけお伺いしたいんですが、このパイプが詰まっているところで量的緩和という水を大量に流して、それで無理やり流しましょうという考え方がございます。私自身、それも一定の成果はあるとは思うんですが、これだけで果たしてその詰まっているパイプが完全にきれいになるのか、経済が回っていくのか、いっているのか、日銀総裁のちょっと認識をお伺いしたいというふうに思うんですが。
  27. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答え申し上げますが、なるべく短くお答え申し上げたいと思うんですけれども、今デフレについて重要な御指摘がございまして、継続的に物価が下落するという状況をデフレと言えば、今もデフレが続いているということになると思いますけれども、そのデフレの背景として委員指摘の三点、御指摘になられました。内外価格差という点では、これは経済のグローバル化の下でやはり依然として強い物価押し下げ圧力というのは引き続き働いていると。これは日本だけではなくて、先進国に対してもひとしく働いている。  それから、需要とおっしゃいました。需要と供給のバランスというふうに置き直して申し上げさせていただきますれば、日本の場合には最近の景気回復の流れの中でこの需給ギャップは相当縮まってきていると、この面ではかなり改善してきていると。  それから、三つ目の金融の方でございますが、これも近年の金融機関の不良債権の処理努力がかなり進捗いたしまして、金融機関は持てる資本を不良債権の処理にのみ充てるという状況から、次第に前向きの融資活動に資本を割り当てられる、つまり新しいリスクを取れる方向資本を割り当てられるという方向に変わってきている、これもデフレ解消の方向に向かった動きが既に出てきていると、こういうふうに言えると思います。  それで、私どものいわゆる量的緩和政策、これは二〇〇一年の春以降、既にもう三年強実施してきておりますけれども、これは金融市場に、おっしゃるとおり準備預金制度上求められる必要な当座預金の額の今は五、六倍という大きな額を出しております。それと同時に、この緩和を長く続けるという約束、つまり量をたくさん供給し、かつこれを長く続けるという約束、このコンビネーションが量的緩和ということでございますが、昨年の夏ごろまで、つまり物価の下落の下で、経済が下方スパイラルと申しますか、巻き込まれるようにしてどんどん経済も下落していく心配があった時期、この時期には、この量的緩和政策はたくさんの流動性を金融機関が利用できるということで金融市場の中での不安感を消すことができる、そして金融機関の、個々の金融機関の資金繰りを安定させるということで、最低限の金融環境を整える効果がある。したがって、実体経済の方からいえば、経済がデフレスパイラルに落ち込むというリスクをぎりぎり食い止めることができたというふうに思います。  昨年の夏過ぎ以降は経済が回復過程に入りまして、今度はこの量的緩和政策は、むしろ長く緩和を続けるという約束の方がこれは企業にとって好ましい金融環境を用意することができるようになってきた。つまり、日本銀行が長く緩和を続けるという約束をいたしますと金利が相対的に安定度を強めるということでありますので、企業が新しい行動を起こすときの金融面からの投資採算を容易に自ら持つことができると。つまり、投資計画をあるいは事業計画を立てやすくなるという意味で企業の立ち直りを金融面からサポートする力、最近のように景気回復の持続性というものが次第に高まってくる過程においては、この約束に基づく金融安定化効果、企業を支援する効果は時の経過とともに更に強まってきていると、こういうことでございます。  おっしゃいました目詰まり的なところで申し上げますと、引き続き企業は過去の過剰借金を返し続けている状況でございますので、銀行の貸出しの伸びという点からいきますとまだ減少傾向と。ただ、その減り方はだんだん縮まってきているということでありますし、金融機関の貸出し態度がどうかということを企業に率直にアンケート等で聞きます、あるいは個別に聞きますと、金融機関の貸出し態度は更に緩い方向に動いていると。これは大企業だけではなくて中小企業もそういうお答えをずっと継続していただいているという状況でございます。いずれ貸出しはプラスの世界に入っていくというふうに考えています。  そのほかに目詰まりという点では、資産担保証券の買入れ措置というのを昨年から日本銀行は踏み出しておりますが、これは当初の意図として、日本銀行が大量に買いまくるというんではなくて、日本銀行が買い取ることによって、それが口火となって資産担保証券の市場が発展するということをねらったものでございますが、最近までの状況を見ておりますと、日本銀行が買い入れるということを契機にしまして、市場においてはこの資産担保証券の消化の状況が非常に円滑になっている、市場の発展が促されているという状況がはっきり見えるようになってきておりまして、この面からも少し、銀行の貸出しというのは直接的と言うよりはやや間接的でございますが、企業金融を十分サポートしてきていると、こういうふうに考えております。  大変長くなって申し訳ありませんでした。
  28. 愛知治郎

    愛知治郎君 いや、丁寧な御説明ありがとうございました。  ちょっと時間がなくなってしまったので、こっちをメーンに質問しようと思ったんですが、改めての機会をいただいてまた質問したいというふうに思いますけれども、要は、おっしゃったとおりに、安心感というか、それを持たせる部分というのは必要なんですけれども、やはり金融機関がどんどんどんどん一般市場にもっと出さなくちゃいけないというのは明らかでしたし、その実数をお伺いをしたかったんですよ、三年前と比べて今のその貸出しの状況ですね。  それから、竹中大臣にお話をしたときに、金融の構造も変えなくちゃいけないだろうと。例えば間接金融、銀行が貸出しをする際にも新しい形、担保の問題もございましたけれども、新しい形をどんどん増やさなくちゃいけないだろうということもございましたし、間接金融から直接金融に移行していかなくてはいけないだろうと、株式市場であるとか、いろんな新しい取組を増やしていかなくちゃいけないだろうということをおっしゃられていましたので、具体的に何をやったのか、それから実績がどういうふうに上がってきたのか、どれぐらい出ているのか。先ほど、間接金融、銀行の貸出しは今どれぐらい、まあちょっと減っているという話をお話しされましたけれども、増やさなくちゃいけないですよね。  それから、一般金融市場、株式市場というのはどれぐらい今資金が市場に出ているのか、増えているのか減っているのか、減っていると思うんですが、その点、具体的な数字のお話をさせていただきたかったんですが、大変申し訳ありません、時間の使い方、私、うまくいきませんでしたので、次回に、次回というか、次の機会にまたお話をさせていただきたいと思いますが、ポイントはそこで、多分長官も大臣もその点御認識あると思うんで、しっかりとした施策、また実績を、結果を出すようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  29. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、この財政金融委員会での質問はやや半年ぶりぐらいになりまして、何だかぼけておりますので、もしかすると、とぼけた質問で、もう既にそういう論議は五月、六月ごろやっているよということかもしれません。お許しいただきたいと思います。  また、今日は大変忙しい、明日何か大変重要な決定がある中で日銀総裁にお越しいただいておりますので、日銀総裁、前半の方で少しお話を聞きたいと思います。  先ほど愛知委員から台風被害地震被害、私の北海道も台風十八号で風速五十メートルという大変な風が吹いてまいりまして、洞爺丸台風以来ということで五十年ぶりでございますけれども、大変な被害でございました。  それで、実は補正予算の話に移るんですけれども、なぜ所信表明の中で、要するに通常国会冒頭ということが限定的に書かれているわけですね。いや、即応するようにやるということはいいんですけれども、あれだけ読んで、ああ、通常国会冒頭まで実は何もしないんだという印象を持たれるかもしれないと。そういう意味で、あそこはできるだけ早く補正予算を組んでやっていきたいという表現でいいのに、なぜわざわざ、財務大臣の所信表明ですから、正に補正予算を組む責任者ですね。その意味でややそういった点に対する配慮が足りなかったんじゃないかというふうに思うんですが、その点、財務大臣、どう思われますか。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 早めにやると、やれというのは峰崎委員のおっしゃるとおりだと思っております。ただ、この災害復旧に係る事業費の確定というのはどうしても二、三か月掛かるものですから、現実的な作業水準を考えると所信の中で申し上げたようなことになるわけでございまして、その前に必要な緊急的なものについては、先ほども申し上げたように、当初予算なり予備費を使用するなりして万全の対応をいたしたいと思っております。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 正に今地震被災を、地震で大変な状況にあるということ、まだ現に余震がどんどん続いているということで、そういった方々に鼓舞する意味でも、それはもうできる限り早くやりますよ、もう政府としてやれることは何でもやりますと、こういうことをやはり政治家としてはメッセージを送っていただきたかったなと。これは是非、これからの要望でして、出しておきたいと思います。  さて、日銀総裁お見えになっておりまして、最初にちょっと苦情を申し上げておかなきゃいけないなと思っているんですが、こんなすばらしい、何というんでしょうか、「フィナンシャルジャパン」というのが出まして、私も早速すぐ買ってみました。表紙に日銀総裁と竹中大臣と顔が出ておりまして、実は、中身の方ちょっと読みましたけれども、なかなかカラーが入って非常にモダンな編集方針だなというんで、非常に好感を持って読んでいるんですが、実はこの編集責任者というんでしょうか、木村剛さんなんですね。これは金融庁も随分顧問だとかあるいはいろんな形で取り上げられておりますので、別にそのことが問題あるわけじゃないんですが、こういう特定の、しかも日本振興銀行の役員もやっておられると、こういう立場の方が出された編集に、日銀総裁がこういうのに出られるのはいかがかなと、こういうやや批判めいたことがあるんです。  私は木村剛さんという人は大変尊敬している、若い、私よりももっと若い方ですが、日銀のOBだと思いますが、大変尊敬している方の一人なんですが、そういう意味では、そのことの、この仕事にけちを付けるつもりはないんですが、そういう日銀総裁がこういうところに出ていかれるというのは、ややちょっと、日銀の独自性といいますか独立性が担保されている中で、いろいろと私はやはり批判を浴びても仕方ないのかなというふうに思うんですが、総裁、どのように思われますでしょうか。
  32. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  この件につきましては、「フィナンシャルジャパン」、今お示しの雑誌、これは雑誌の名前ですね、この雑誌社の方から日本銀行の広報の方にこういう企画があるから是非という申出がこの夏にございました。申出の趣旨を聞いてみますと、日本の金融経済の将来像について幅広く意見を語ってほしいと、言わばそういうメッセージを送ってほしいという依頼がございまして、その趣旨に照らして私どもはこれを受けることにしたということでございます。  もちろん、今おっしゃいました木村剛氏個人に対する営業支援を目的としたものではございません。そういう意図は全くなかったわけでありますが、今おっしゃいましたような批判がもしあるとすれば、それはなかなか私としては本意とするところではないわけでございまして、御指摘を受けて、今後十分そういった点についても心して、注意して行動してまいりたいというふうに思います。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 是非、そういった意味で総裁の一挙手一投足というのは随分注目をされ、また監視もされていると思いますので、その点は是非警戒をしていただきたいなと思います。  そこで、先ほど愛知治郎委員も御指摘になりました、十月二十二日に財政制度審議会の合同部会というんですか、いろんな部会がございました。そこに初めて日銀総裁がまた、これまた出られたということで、これはどういう背景で日銀総裁出られたのかなということで、まず総裁の方からこの合同部会に出るに至った理由、背景、そういったものについて御説明いただければなと思います。
  34. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) この件につきましては、財政制度審議会の方から是非出席されたしという御要請がございました。それに応じたものでございますけれども、私の考えといたしましては、これから先、非常に長期にわたっての課題でありますが、日本経済をよりダイナミックなものとして国民全体の利益がより高まるような方向に持っていかなければいけないと、こういう大きな課題を抱えているときに、将来の財政の在り方というのはこれに非常に深くかかわる課題であるという点が第一点でございます。  それから、今後長期的にそうしたダイナミックな日本経済を実現していく上で最適の金融政策をやっていくと、こういう立場からいきましても、財政の規律いかんということが非常に適切な金融政策の運営、その効果発現ということに絡んでまいります。そうした重要な問題を認識したものでございますので、財政審議会の御要請にこたえて、現在の段階における私の所見を申し上げた、かつ申し上げる必要が今としては非常にいい時期であるというふうに考え出席をさせていただきました。
  35. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の時期が非常にいい時期であると、こうおっしゃったんですけれども、それはある意味では景気が非常に堅調に回復し始めてきたと。そうすると、今まではかなり景気が悪い、そのために財政の支出も余儀なくされていたと、これからは是非財政規律をこれから高めてくださいねと。これ、後で中身についても少しお話ししますが、その中で、要するに、今の時期にここへ出席して日銀としての、総裁としての見解を述べることがいいと判断した何か根拠といいますか、それはもう少し、ちょっと説明していただければと思います。
  36. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 極めて短絡的に、景気が回復に向かったから財政が引締めに転じていいよというふうに考えたわけではございません。あくまで長期的な観点でございまして、過去十年以上も掛けて日本経済は構造改善を進めてきた、金融システムの健全化努力も進めてきた、来年の春にはペイオフ解禁という重要な時期も迎えていると。つまり、重要な、構造改革という意味では重要な折り返し点を今経過しつつあるということでありますので、将来、長きにわたって我々国民全体がある希望の持てるイメージを持って経済運営を進めていかなければいけないと、そういう重要な時期に今来ているということでございます。  先ほどからも財政プライマリーバランスの回復について真剣な御議論ございまして、拝聴させていただきましたけれども、そうした問題が本当にこれから我々として必ずこれをやり遂げていかなければならない課題として強く差し迫ってくるわけでありまして、あくまで今後の時々の経済の実勢に合わせながら、この長期的課題国民の一人一人が生活実感としてうまく組み込める形で実現していけるかどうか、非常に重要な課題だと、今がその出発点になると私自身認識したわけでございます。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 更にこれは日銀報告を通じてまた議論がある場がありますので、そちらに譲りたいと思います。  財務大臣、今回日銀総裁に是非出席していただきたいというふうに判断されるに至った、あるいは、これまでもずっと日銀総裁には出てくれと言っていたんだけれども、たまたま今回できたのか、それとも、いや、どうしても今回は是非出ていただきたいと、こういうことだったのか。そして、もし今回どうしても、後者であったとしたら、それはなぜこの時期に財務大臣としては日銀総裁の出席を求めたんですか。
  38. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私のお答えも、今、日銀総裁のおっしゃったこととそんなに離れるものではございませんけれども、今回の財政審議会の審議に当たりまして、基本的な問題意識は、一つは、民需主導の持続的な経済成長を達成していくためには財政改革していく、その財政改革の取組をもっと強化する必要があるというのが一つ。  それからもう一つは、そのためには歳入歳出、これは先ほど愛知委員にもお答えしたことでございますが、歳入歳出両面から取組をしなきゃならぬと、こういうことで、財審の審議、精力的にお願いしているわけですが、ちょうど総論的な審議の締めくくりで、全体の経済状況金融政策の運用、そういうものと併せて財政議論もしていく必要があるだろうと。だから、全体の締めくくりのタイミングにそういう観点から日銀総裁のお話を伺えたら今後の審議に非常によいのではないかと考えたわけでございます。  実は、私、従来、日銀総裁にこういうことを今まで一度も実際にお願いして来ていただいたことはなかったと承知しておりますが、従来お願いしたことがあったのかどうかというのはちょっと今寡聞にしてそこまでよく承知しておりませんが、今回、こういう形でお願いをして、来ていただいて貴重な御意見を伺うことができたのは非常によかったと思っております。
  39. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実はこの質問をずっとここでどうしてやっているかというと、アコードという言葉がございますですね。たしか一九五〇年ごろですか、たしかアコードが、アメリカの連銀と、FRBとそれから財務省との間で結ばれた協定というふうに聞いています。詳しくは大塚さんに前に一度聞いたことがあるんですが、そのアコードに向けた第一歩を踏み始めているのかなと。つまり、これから出口政策というのが、これは衆議院の財金委員会でも中塚さんの方からも大分出ていましたけれども、このいわゆる議論の始まりがいよいよここからスタートを切るのかなというふうに実は私、勘ぐっていたんです。  それと同時に、もう一つ、そのことと並んで、私は、日銀総裁、この間、これは我が民主党・新緑風会よく主張していたんですが、どうも日銀の領域よりも財政民主主義の領域に政策がかなりコミットしてこられましたですね。例えば株を買っていく問題だとか、アセットバックの、先ほどの資産担保証券もそうなのかもしれませんが、そういう目詰まり解消とか、様々な金融システムの不安ということはおっしゃりながら、実はこれは財政政策の領域にコミットしてきているなと。そうすると、もっと、この財政政策にコミットしてくるのであれば、正に国会あるいは財務省との間で十分な論議がされてしかるべきだから、私はやはり、ようやく、もしかするとこれまで余りそういう財政民主主義の観点の政策論議を十分してこなかった、国会では少しやってきたかもしれませんが、そういうことの反省の上に立って出られたのかなと、こう思ったんですが、そのどちらなんでしょうか。
  40. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 二つの観点からの御質問があったと思います。  一つは、米国の連銀と米国の財務省とのかつてのアコード。あのアコードの趣旨は、私の理解いたしますところは、連銀、戦時体制下以降、何と申しますか、国債に関して金利をなるべく固定化する、固定化という言葉は正しくないかもしれませんが、固定化するような方向で政策運営が行われていたのを、言ってみれば、市場に自由に金利を決めさせるという方向で連銀も金融政策をしましょうと、政府もそれを覚悟で国債の運営をしましょうという、そういうアコードだと思います。  そういう意味では、日本の場合には国債は市場で発行され、そして市場で自由に金利が形成されている。それを前提に政府も国債の政策をなさっておられますし、日本銀行金融政策をしているという点では今後ともそれは変わらない。そういう意味でのアコードは必要がないわけでございますが、ここから先のことを考えますと、国債累増の中で、本当に文字どおり、今私が申し上げましたように、市場において自由な金利形成を促し、それを前提に財政金融も健全な政策をやっていけるかという点になりますと、財政規律というものが市場はより厳しく問うようになるであろう、したがって財政審議会における議論が重要だと、こういうロジックでございます。  もう一つ、今まで日本銀行がやってまいりました株式の買入れとか資産担保証券の買入れ等、これは財政の世界に足を踏み入れたということをおっしゃいましたけれども、そうであるかどうか、これは別にいたしまして、私どもの意図は、つまりデフレが長く続き、経済をも巻き込んでデフレスパイラルに陥れかねないという危機的な状況の下で、日本銀行としては世界の中央銀行が取ったことのない異例な金融政策を取ろうとあえて決断した、その一環でございます。量的緩和政策そのものも、かつて世界の中央銀行がやったことのない異例の政策でございます。株式の買入れ、資産担保証券、いずれもそうでございます。  これはいずれ脱却していかなきゃいけない。今後長きにわたってこの政策を続けるわけには絶対にいかないわけでございまして、これはいずれ正常な金利政策に持っていかなきゃいけない。その場合にも、改めて、市場の中に大きなしこりがあれば本当の意味で正しい金利政策はできない。そのしこりの最たるものが財政の赤字の累積、国債発行残高の累積ということではないかと。恐らく市場がそこに着目するとすれば、早目に手を打っていく必要がある、こういう感覚で私は問題をとらえていたということでございます。
  41. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私もこの分野では余り詳しくはないんですが、大塚議員から前にお話を聞いたときに、あのアコードというのは、いわゆる金融当局がマクロの金融政策をやる場合に、財政政策に従属した金利政策を取らない、そういう考え方だということ、これはそう確認してよろしいんでしょうか。  そして、日銀も、これからそういう意味では、日銀の独立性ということで、そういう財政が非常に厳しいという事情はよく分かるけれども、しかし、基本的には日銀はやはり物価の安定というところがベースですけれども、先ほどの危機管理対応ということは私もよく分かりますが、ようやく何か、後でちょっと、この間財政制度審議会で述べられた中身を見ると、どうもデフレという認識が非常に弱くなっていらっしゃるんじゃないかなというちょっとイメージを持ったものですから。そうすると、今申し上げたように、これからの金利政策においてはそこで財政に従属はしないということの確認、それはあえてここで確認を求めたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
  42. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) おっしゃるとおりだと思います。  ただ、別の言い方をさせていただければ、市場で形成される金利が経済あるいは物価情勢に即して、実態に即した金利形成が行われるように持っていく、金利を無理にねじ伏せるような政策は取らないという言い方をしてもいいのではないかというふうに思います。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、この財政制度審議会の中で総裁は実はかなり多岐にわたってお話をなさっておりまして、これは日銀のホームページから取らせていただきました。つまり、財政制度審議会の議事録じゃなくて日銀から出されたわけでありますが、さてその中で、先ほど、今ちょっと私申し上げましたけれども、これは「国債残高の累増」というところの中で、「国債金利はやや長い目でみると、経済・物価情勢を反映して変動するものです。この点、現在、国債金利が低い水準で推移している最も基本的な背景としては、何よりも物価が落ち着いていることが挙げられます。」と、こう書いてあるわけですね。  この「物価が落ち着いている」というふうに言われると、はあ、そうすると物価問題というのは非常に安定的に推移していると、こう見えるんで、先ほど来ずっと財政担当大臣金融担当大臣もいわゆるデフレが続いていると、こういう指摘だったんですが、ここでデフレの問題に指摘されなかったのは何かの理由があるんでしょうか。
  44. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 市場におきまして国債金利が形成される場合の市場参加者が頭に描く金利観というのは、現実の、足下の物価の状況に加えて、先行きかなり長い期間にわたる物価がどうなるかというその一種の予測値、期待値と言ってもいいですが、その両方だというふうに思います。  日本銀行は、現実の物価の分析をし続けると同時に、市場参加者が先行きの物価観をどう見ているかということも同時に大変重要な指標だということで確認し続けておりますが、現状は、足下の物価はなお緩やかな下落基調を続けている。そういう意味で、継続的な物価の下落、つまりデフレの状況にあると認識しておりますが、市場参加者の先行きの物価観、これはなかなか正確には把握できませんけれども、物価連動国債の市場利回り等から推定される先行きの物価、あるいは私どもが生活者意識調査という形で一般の町の方々の将来の物価観というものもアンケートによって掌握いたしておりますが、その両方を見ましても、先行きずっとデフレということではなくて、先行きは若干のプラスの上昇と、まあ非常に安定した物価観を持っておられる、これら全体が現在の国債の金利形成の一つの大きな背景になっていると、こういう理解でございます。  言ってみれば、人々の物価観というものがそんなに異常な状況にはなっていないということの表現でございます。
  45. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本当はここで少し、ゼロ金利政策が実はデフレを長引かせているんではないかという、そういう指摘をされることが多いんですね。私どもの民主党の場合も、できるだけこの金利がゼロであるという異常事態は早く直すべきだというふうに思っているんですが、今お話しなさったところによると、このゼロ金利政策、あるいはゼロ金利以降の量的緩和政策、これについてはかなり効果があるというふうに、効果が出てきていると、こういう理解でよろしいんでしょうかね。  それと同時に、これはちょっと質問通告していませんが、伊藤大臣は昨年までは経済財政担当副大臣も兼ねておられたんですね。そうすると、これ昨年の経済白書なんですけれども、二〇〇二年だったと思いますが、この中で「量的緩和政策のマクロ的影響」という項がございまして、第一に、要するに量的緩和政策がどういう効果があるかということを、正にこれ経済財政白書ですから政府が公認したものであると思いますが、その中の第二番目に量的緩和政策に特有な効果としてのポートフォリオ・リバランシング効果というのが挙げられると。  ちょっと私も余りここら辺詳しくないんで、ちょっとそこの続きを読み上げてみますと、日銀当座預金というリスクもリターンもない資産増加することによって、金融機関ひいては経済全体として見たときの資産運用に変化が起き、よりリスクがあるがリターンも期待できる資産増加がもたらされることに期待される効果である。こういう効果があるんですよということだったんですが、これ効果あったんですかね。これ経済財政白書の二〇〇二年度の白書です。  伊藤大臣あるいは日銀総裁、こういう効果は、期待していたけれども、出てきたのか出てこなかったのか。お二人ちょっと答えてください。
  46. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  私ども、量的緩和政策の効果の認定というのは、実際、市場の中で、あるいは実体経済を見て現実的にどういう効果が出ているかという観点から判断いたしております。  そういう観点からいきますと、まず流動性を大量に供給する、量の面では、先ほども申し上げましたとおり、これまで信用不安が相次ぐ中にあっては、金融市場の不安を抑える、あるいは個々の金融機関の資金繰りについてともすれば不安感が出、あるいは資金繰りが不如意になるというふうなことを防ぐ、金融環境を保全するための一番基本のかなめのところをきちんと対応することができて、したがって金融の面から経済がデフレスパイラルに陥るリスクというのをかなり軽減した、あるいは防いだということだと思いますし、経済が最近のように回復過程に入ってまいりますと、将来にかなり長きにわたってこの緩和を続けるという約束が金利観を安定させ、企業の投資行動あるいは事業活動の予測可能性を強めるという意味で民間の前向きの努力を次第に強くサポートする効果が出てきていると、今後も出ていくだろうと、こういうふうに考えているわけでありますが、今委員のおっしゃいましたポートフォリオ・リバランス効果、この点については、私どもも理論的には、そういうことをおっしゃる方がたくさんいるし、私どもも理論的にはそうだろうというふうに思っておりますが、これを、先ほど私申し上げましたように、現実の世界で明確に確認するということがなかなか十分にはできていないという状況で現在までは来ております。
  47. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 私も今御発言ございました日銀総裁と同じ認識を持っておりますが、金融システムを安定化していくに当たって、やはり量的緩和政策というものは流動性に対する不安というものを払拭をしていく、そういう意味からしても私は効果があったというふうに思っております。  今、引き続き金融を担当する立場として、やはり先ほどデフレの問題について愛知委員からも様々な指摘がございましたけれども、金融の持つ機能というものをしっかり活性化をして、その機能というものが遺憾なく発揮されていく状況をしっかり作り上げていく、そのことがとても重要なことではないかというふうに思っております。そのために、この二年間、主要行を中心とした不良債権問題を正常化させていくために、金融再生プログラムに基づいて諸施策について全力を尽くしてきたところでございまして、その結果として、十六年三月期の主要行の不良債権比率は五・二%まで低減をし、二年半でおおむね半減をしていくと、目標に向かって順調に進捗しているところではないかというふうに思っております。  先ほど総裁からもお話がございましたように、これからは自らの資本を不良債権問題に充てるんではなくて、こうした資本を活用して、また資本も含めて経営資源というものを投入して、どう利用者のニーズにこたえていけるような金融サービスやあるいは金融商品というものを投入していくことができるのか、経営者の資質あるいは経営者の戦略そのものが問われる時期に入ってきたんではないかというふうに思っております。  そういう意味からも、私どもは金融機能を強化していくための更なる改革に向けて努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  48. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これ、ちょっと長い歴史的なタームでちょっとお話をしてみたいんですが、バブルが発生する前に、一九八〇年代に正に日本の経済が成熟化したと言われているんですが、そのときに真っ先に駄目になっていった大手銀行というのは長信銀なんですね。興銀、まあ興銀の出身者もおられますから余りあれで、長銀にそれから日債銀ですね。これらの銀行は主として設備投資資金を長期にわたってやっておった。ところが、この銀行が貸していた大手の製造業を中心とした重化学工業というのは、実はもう自ら調達能力を持って、銀行の貸出し先が少なくなっちゃった。それが実は不動産や、あるいは当時の、何といいましょうか、ホテルだとかゴルフ場だとか、そういったところへどどっと流れ込んでいったんですね。つまり、資金というもののいわゆる与信機能というものが、ある意味ではそういう貸出し先というものがない中でああいうバブルが起きて一時的にそれが大変な目に遭ったと。また、これバブルが崩壊をして、大変その回復に時間が掛かった。  そうすると、こういう、これ郵貯の民営化問題とも実は絡むんですけれども、先ほど、今金融サービスの機能向上とおっしゃったんですが、そういういわゆる巨大な日本の貯蓄、一千四百兆とも言われているこの貯蓄が、本当にそういうリスクのあるところにお金が流れていくような、そういう新しい金融サービスというものがどんどん広がっていったのかなと。私はどうもそうなっていないんじゃないかと思うんですよね。  そのときに、是非返事をいただきたいんですが、昨年、これはいろんなもう話をごっちゃにして全部言いますけれども、一昨年でしたか、貯蓄から投資へということで税制上の優遇措置だとかあるいは特定口座なんか作って大変努力したけれども、投機が増える、つまりデートレーダーとか、そういうものは増えているけれども、一向に実は個人投資家というのは私は増えてないように思えてならないんですよね。  そうすると、一体何が起こっているのかというと、金利がゼロであるために、つまり、それとデフレであるためにどうも、金利がゼロというよりもデフレであるためにどうもそういう直接投資に向かわない、つまりリスク資産というところに向かわないという、どうもいわゆる家計の側の合理的な選択というのがそこは利いているんじゃないかなと。そうすると、そういうところの中で、先ほど、これからデフレが解消するとかしないとかという、明日恐らく重要な決定会合があるんだろうと思うんですが、そうした中で、本当にこういうリスク、リスクに頼るような新しい金融サービス業というものは本当に今の日本の経済の中で出始めているのかなと。そういう兆しでもあったらちょっと私は教えていただきたいと思うんですが、そこら辺はどうでしょうか。
  49. 七条明

    ○副大臣(七条明君) 今先生の方から貯蓄から投資という感覚と、それから直接金融に参加することができているかと。先ほど来愛知先生からも同じような趣旨のことが仰せられておりましたけれども、先生御承知のとおり、もう我が国金融システムは銀行中心の預金、貸し先により資金仲介をするいわゆる間接金融からこれは大きく依存をいたしております。  例えば、個人金融資産に占める株式投資信託の割合が一〇%程度にとどまっている、これも個人投資家の直接金融への積極的な参加を促進していかなければならないと、私たちはこう考えておりまして、こうした認識の下で、金融資本市場の構造改革についてはこれまで証券市場活性化促進プログラムに沿ってスピード感を持って着実に進行してきたところであり、証券の、先ほど先生の方からお話ありましたような大幅な証券税制の軽減あるいは簡素化や、本年におきましても証券取引法の一部を改正する法律案等を成立させ、所要の手続を取ったところでございます。  その数字も少し見てみますと、最近の株式市場の動向につきまして、平成十五年度の個人の株式売買シェア、これが二九・二%、平成二年度から、以来十三年ぶりに高水準になるというようなこともあります。あるいは、証券市場十六社ベースにおきます特定口座数も四万件を超えるような状況にありまして、個人投資家の証券市場への参加拡大が着実に進んでいる。まだ不本意でありますけれども、もう少し大きく進めていかなければなりませんが、参加拡大が着実に進んでいるというような経過もあろうかと思いまして、今後とも直接金融に向けての努力をしながら、投資への意欲を拡大していきたいと考えておるところでございます。
  50. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 今、副大臣からも答弁がありましたように、最近の株式市場の動向を見ますと、個人の株式売買シェアというものが二九・二%と大変高い水準になってきておりますし、特定口座数も増えてきている状況でございます。  リスクマネーという視点から見てみると、日本の持っている潜在力でありますとかあるいは底力というものを引き出していくためには、ニュービジネスの振興でありますとかベンチャービジネスの振興というのは大変重要であります。この点が十分であるかといえば、まだまだ大きな課題があるんではないかというふうに思っております。  政府としましては、こうした観点から、新興市場というものを整備をしていく、あるいはグリーンシート制度というものを証券取引所の中で明確に位置付けをしていく、あるいはこれに関連した銘柄に対する税制措置をしていくと、こうした諸施策というものを展開をしてきているわけでありますけれども、この面についてはまだまだ私は課題があるというふうに思っております。こうした問題についても、やはりこれからの金融改革の中で重点的な項目として取り組んでいく必要があるんではないかというふうに認識をしているところでございます。
  51. 七条明

    ○副大臣(七条明君) 委員長、少し訂正があります。
  52. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 七条内閣府副大臣
  53. 七条明

    ○副大臣(七条明君) おわびを申し上げなきゃなりませんが、先ほど特定口座数を四万と申し上げましたが、四百万の誤りでございます。訂正させていただきます。
  54. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まだまだその議論をしていきたいんですが、日銀総裁、もうそろそろ時間、十一時半ぐらいまでということなんで、もう二点ほど日銀総裁にお聞きしたいんですが、このいわゆる財政制度審議会の記録を見てみますと、順調に国債がいわゆる消化をされている。リスクプレミアムも付いていないと。これはどう解釈したらいいんだろうかと言って、二つの解釈を出されているんですよ。  一つは、財政状況は現実は確かに悪いけれども、政府が将来は財政支出の改善に向けて着実に取り組んでいくことに投資家は信認を置いている。財務大臣が聞いたら、本当にああそうであればいいなと思うだろうと思うんですが、私はそうではないと思っているんですが。もう一つの解釈として、投資家である金融機関は、将来の財政状況をにらみつつも、当面の収益確保を優先して、取りあえず安全な運用手段として国債に投資をしているという見方もあるかもしれませんと。どちらを取られているんでしょうか。
  55. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 市場参加者の深層心理はこうだと具体的に描き出すことはなかなか難しいと思いますが、私ども、深層心理をあえて分解すればこういう二つの要素になるんじゃないか。そのどちらか一方というよりは、やはり両方の要素が現実にはかみ合っているというふうに思いますが、現在、政府財政規律に対して投資家の信認が全く失われていれば、今のような国債の市場金利の形成がなされるというふうには到底考えられないと思います。  したがいまして、現在、投資家の財政規律に対する信認はまだ基本的には失われていないと思いますが、ただ重要なことは、ここから将来に向かってより強くその信認が感じられるように持っていかなきゃいけないという点ではないかと思います。  そして、二番目の金融機関が大量に国債に投資をしているというのは、多分に運用難によるところが大きいだろうと。ここのところはかなり明確だろうと思いますが、この場合にも、政府あるいは財政規律に対する信認が基本的に失われていればこのような投資行動はやっぱり取れないだろうというふうに考えます。自分のお金でなくて、金融機関の場合には預金者、その他、他人のお金でございますので、そんな無責任な運用はできないということだろうと思います。  したがいまして、どの程度か、両方がどの程度のウエートで組み合わさっているか、私分かりませんが、まあ両方の要素がある程度ずつ組み合わさって今のような金利形成につながっていると。大変ずるいお答えで申し訳なく思いますけれども、そういうふうに思っております。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 恐らくそう答えられるんじゃないかなと思っていたんですが、やはりまだこれから財政の信認をより強めていくと、こういうことで、実はその後、たくさんお話聞きたいと思ったんですが、かなり、いわゆる潜在成長率を高めていくためにもっと民間の力を進めなきゃいけないと、こうおっしゃっているんですが、そこでちょっとお聞きしたいわけでありますが、それは、ちょっとこういう直截な聞き方してよろしいのかどうか分からないんですが、どうも竹中大臣、今日はお呼びしたのになかなか来れないということなんで大変残念なんですけれども、やはり民に任せた方がより効率的だと、こういう考え方がずっと僕は背後にあるような気がするんですが、そうすると、例えばこれから財政の規律を高めていきますよというときに、我々からすると、例えば税の問題を一つ取ってみても、所得の再配分というものについてはどう考えているか。つまり、二極分解がどんどん最近進んでいますよと、個人の所得階層もどんどん広がってきていると、こう言われている。そうすると、日本の社会の安定というものが崩れていくじゃないかと。  そうすると、この財政規律を、負担増を求めていくときの負担の仕方を見てみると、どうも、先ほど間接税、消費税のお話をされていましたけれども、消費税でもってもうアプリオリに十八年から、平成十八年度からそれで進めていくというような考え出されていましたけれども、そういう消費税の非常に持っている逆進性みたいなものを持っているわけですね。  そういう、このいわゆる財政規律を再建しなきゃいけないということについて理解をするんですが、その財政規律の再建の仕方ですよね。そして、そのときに、例えばスウェーデンだとかフィンランドとか北欧の、ヨーロッパの国々、特に北欧の国々はかなり国の財政規模が社会保障支出や特に人的な教育支出だとか、そういったところにウエートを非常に高くして、経済成長率、すなわち潜在成長率も高いところの水準に持っていっているんです。  そうすると、何もアメリカのような形で持っていくんじゃなくて、そういうヨーロッパのいわゆる経済の姿、あるいは社会保障財政、そして経済との関係を私はやはりもっと学んでみる必要があるんじゃないかなと。二十年前のサッチャーさんやあるいはレーガンさんのもう一遍焼き直しみたいな形になっていくというのは、どうも私は日本にとって余り芳しくないというふうに思っているんですが、ここは、日銀総裁、是非、どんな考えを持たれているのか教えていただきたいと思います。
  57. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) やはり二重の問題があるというふうに思います。  一つは、国民負担の問題といいますか、大きな政府か小さな政府か。今委員のお話ですと、民間に任せた方が効率的という考えがあるがと、こういうお尋ねでございますが、これは民間に任せて効率的という場合は、市場メカニズムに全面的に従うからそれは資源再配分機能が市場メカニズムによってなされて、そういう意味での納得性があるという意味だと思います。しかし、政府が行う行動は、仮に市場メカニズムに十分沿っていない場合でも、国民にとって、何といいますか、非常に、どういうサービスを提供するかと。民の手にゆだねない官の手で資源再配分機能が国民にとってどれだけ質の高いサービスがなされるかという非常に高度な判断で、民間に任せた場合と政府が自らやる場合のサービスの質の高さとの判断というものが正に国レベルで判断されるべきことじゃないかと。したがって、国民負担の高さ低さというのは一概には言えないと思います。国民的合意の下に国が提供するサービスと民間に任せた場合の資源再配分機能の結果との比較ということになると思います。  それから、いかなる国民負担率、国民負担率が高い場合もあるいは低い場合にも、日本のこれからの経済社会を考えますと、人口構成というものがかなり偏りが生ずる、そういう世界にだんだんなっていくわけでありますので、世代間の利害関係というのは従来よりもますます厳しくなっていく。国民負担率のレベルがいかようであれ、その中で運営される年金、その他制度について受益と負担関係が世代間で公正であるようにと、これまた高度に政治的な判断、高度な政治的判断が要るレベルと。この二つの重要な尺度を国としてしっかり持てるかどうかということが非常に大事な点だというふうに思います。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総裁、ありがとうございました。大変お忙しい中を御出席ありがとうございました。  それでは、財務大臣、ちょっと金融不祥事に入る前に三位一体改革、あの郵政の問題ちょっとお聞きしようと思ったら時間ありませんので、三位一体改革のところで、最近はもう私のところにも随分批判がどんどん飛び込んでくるんですよ。例の交付税、これが来年、再来年で七・八兆円ですか、削減するということで。これは約束違反じゃないか、あるいは、というよりも三位一体改革、本当は今参議院の自民党の幹事長をやっておられる方が三位一体改革の言い出しっぺということで、名付け親だということなんで、本当はおられれば是非論議に参加してもらったらいいと思ったんですが。この三位一体改革のとき、私、どうもこれ、昨年の実はこの閣議決定、骨太方針二〇〇三年、そこをちょっと冒頭を読んでみますと、こういうふうに書いてあるんですよ。  三位一体改革によって達成されるべき望ましい姿と。「①地方一般財源の割合の引上げ」と、いいですか、一般財源と書いてあるんですよ。「地方税の充実確保を図るとともに、社会保障関係費の抑制に努めるなど、地方財政における国庫補助負担金への依存を抑制することにより、地方一般財源(地方税、地方譲与税、地方特例交付金及び地方交付税)の割合を着実に引き上げる。」と、こう書いてある。後ろの方には、いや財源をもっと合理化をしなきゃいかぬとか、いろいろ書いてあるんですけれども、これが昨年のいわゆる骨太方針の中でこの三位一体改革を打ち出したときの最初の原案なんです。  恐らく財務大臣にはいろいろ言い分が私はあるんだろうと思うんです。財務省にとって言い分はあるんだろうと思うんですが、これでいくと、要するに、端的に、平野委員がこの間予算委員会で質問されていましたけれども、税源移譲、補助金を減らして税源移譲しますよと。そうすると、地方もいろいろですよ。それは人生いろいろじゃないけれども、地方もいろいろなんです、正に。そのいろいろな、豊かな地方もあれば、北海道の私が住んでいるところ、非常に貧困な地域もたくさんある。貧困というのは、担税力といいますか、そういうものが非常に低いところもある。このそれぞれにとってみて、そのまま税源だけで移譲されたんでは、今の形のままですよ、交付税制度の中身というのは分からないから今のままだと思っているんですが、そうすると、ここはもう補助金もらっていたときよりうんと減っていくわけです。所得譲与税では実証済みだったわけです、この一年間。それはおかしいじゃないかと。そこはやや、交付税でちゃんと面倒見るんだからと、こういうのがこの骨太二〇〇三年に書いてあるわけです。書いてありますよね。  そうすると、当然のことながら、交付税が毎年、去年も交付税、臨時財政対策債が三兆円近く減った、来年、再来年で七・八兆も減ったら、この足らず前をちゃんと見てくれるところは一体どうなっているんだと、こういう怒りの声がどんどん出てくるんですよ。そうすると、元々この三位一体改革なんというのは三位帳じり合わせだったんじゃないんですかということになっちゃって、これは本当に三位ばらばらになっちゃって、今中央省庁と地方団体がやっていますけれども、地方団体の内部の中から私どもの耳の中に、このまま行ってもらったら交付税がどんどん減らされたらとんでもないよと、この三位一体改革なんか認められないよという声が上がってくるのは当然だと思うんですけれども、そこは、大臣、どう思っていらっしゃいます。
  59. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 元々、三位一体という場合に、補助金、それから税源移譲をして、先ほど、一般財源を増やしていくという中でも主として考えられていたのは、いろんなことがございますけれども、やはり税源移譲だという要望は、希望は地方団体に非常に強かったというふうに思います。それと同時に、併せて交付税改革も行わなければ三位一体にならないわけでございまして、今、峰崎さんが読み上げられました昨年度の方針の中にも、交付税を、地方交付税の財源保障機能についてはそれを見直していくということが、そして縮小していくということが書かれているわけであります。  それで、今の、この間、平野議員とも予算委員会でやらせていただきました、随分地方の格差が出てくるではないかという御指摘は、私はそのとおりだと思っております。六団体が今の案を作られて、使い勝手のいい交付金というような考え方を離れて税源移譲だというところにやっぱり踏み込んでいかれたについては、六団体の間でも相当な悩みのある議論だったということは私はよく分かります。  それは結局、税でやっていけばそれぞれの、何というんでしょうか、自治体の財政力の格差というものが出てくる。そこはあえて自分たちの自主性を高めて、自立性を高めていくためには、何というんでしょうか、均衡ある国土の発展という今までの考え方もあったけれども、それぞれの地域の言わば自主性を高めた個性ある発展をしようという非常につらい決断が六団体のお考えの中にもあったんではないかと思います。  それに対して、ある程度交付税というものがそれをやはり補完していく機能を果たさなければならないことは確かでありますけれども、交付税の、何というんでしょうか、財源調整機能と保障機能のうち、やはり交付税が七・八兆というようなことを申しておりますが、随分臨時特例地方債と特例加算でしなきゃならない部分が増えてきておるわけですから、これを放置しておきますと、それは全体の規律というものがなかなかできないので、やはり標準的な財政として国が保障すべきものは何なんだという観点から、もう少しやはり議論をしていかなければいけないんじゃないかと私は思っております。
  60. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう話はもう何度も聞いているんですよ。問題は、じゃ交付税の将来像というのは、地方自治体、私、ずっと北海道回ってみて、将来像が見えないんだ、どこまでの水準を保障するんだ、どういう仕組みでするんだと。例えばあの中の、国税五税になっているけれども、あれを法人事業税の配分比率を変えるとか、あの中の税制を繰り替えるとか、そういう交付税全体像というものが見えないから、あれ、どこまで下がっていくんだろうか、どういうふうに豊かな地域とそうでない地域の格差を埋めるのかという、そこをはっきりさせないと駄目なんじゃないですか。そこがはっきりしないから絶えずこの問題がずっと続くし、ばらばらの状態が続いているんじゃないですか。  これ、いつまでに交付税の将来像というのを確定するんですか。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、峰崎委員のおっしゃいますように、今三位一体、経済財政諮問会議あるいは政府の中で議論しておりますけれども、交付税改革の姿というところが実は一番遅れているところでございます。  それで、今、まあ私が御答弁すべき筋合いでもないんですが、総務省におかれましても今交付税改革の姿を出すということで作業をしておられるというふうに承知しておりますし、十一月の半ばまでに全体像をまとめろということでございますから、そういう中でもう少し私どもも議論を詰めて、こういう場でももう少し的確にお答えできるようにしていかなければならないと思っております。
  62. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日は予算委員会じゃないから、総務大臣がおられればそこでちょうちょうはっし、またやってもらいたいと思ったんですが、これは早く作らないとそれは無責任だと私は思いますよ。それは、そのことだけ申し上げておきたいと思います。  それじゃちょっと、もう二十分間という短い時間で不祥事の問題、全部対応できるかどうか分かりませんが、非常に頭にきている問題がたくさん最近出ておりますね。UFJ銀行の検査忌避問題、告発の問題、あるいはダイエーの問題、シティバンクの問題、コクドの問題、今日はまた西武鉄道だけじゃなくて、あれですか、伊豆箱根鉄道も出てきた。本当に、あるいは整理回収機構でも何か大きな問題があったというように聞いて、一体どうなっているんだという思いが強いわけでありますが、そのことは別にして、ちょっと特に私、シティバンクの問題について本当に腹立たしい思いがしております。  金融庁からもいろいろ来ていただいて、このシティバンクの行政処分についていろんな資料、お伺いしました。最近ではいろんな、アエラだとか週刊金曜日だとか、いろんなところに新聞記者の皆さん方がどういうことをやったのかと書いてあります。これ、行政処分をやって、これいつ実は調査をして検査したんですか、このシティバンクに対しては。
  63. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 検査につきましては、立入検査の実施日が平成十五年十一月四日、そして立入検査の終了日が平成十六年四月十二日、検査結果通知日が平成十六年の五月二十一日でございます。
  64. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 つまり、調査をして、調査結果が分かったわけですね。そして、何でこの九月まで延びたんですか、なぜ。  それは、同じことは、UFJの告発でも同じなんです。UFJはどうだったんですか。検査をした日、そしてその通知、結果を通告した日、そして六月に一回やって、このたびまた告発しましたね、UFJの場合は。そのちょっと日程を教えてください。
  65. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答えいたします。  UFJに関しましては、検査立入り開始が、昨年、平成十五年の八月の二十八日でございます。それから、立入りが終了いたしましたのが今年の平成十六年五月の二十一日、それから検査結果の通知をいたしましたのが平成十六年の五月三十一日でございます。それから、行政処分等が行われましたのが、この検査対応について行われましたのが平成十六年の六月の十八日、そしてこの告発が行われましたのが平成十六年の十月の七日、同時に業務の一部の停止命令、これも併せて行われております。
  66. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうして、今度の告発もそうですし、シティの処分もこんなに遅くなったんですか。その間、七月とか八月とか九月とかありますよね。  金融担当大臣、当時は竹中さんですけれども、アメリカへ行っていらっしゃるんです、その間ね。要するに、何か、処分を直ちにする前に、アメリカの方に行っていろいろとこの問題についてのいろんな協議をされてきたというふうによくマスコミ等で言われているんですが、そういう事実はございませんか。おられないので、本人が、困っているんですけれども。
  67. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 私どもの行政処分でございますけれども、銀行に関しては銀行の健全かつ的確な業務の遂行ということを確保するためにやるということでございますが、この行政処分、処分を受ける側の銀行にとりましては重大な不利益処分でございますので、私どもの行政の手続といたしまして、まずもって事実をきちんと確認する、相手の銀行とも認識を共通にするという作業が必要でございます。  検査結果が通知されますと、私ども監督局の方では直ちに、銀行法であれば二十四条に基づいて報告徴求というのを行いまして、それに基づいて報告が出てくる。その出てきた報告について、事実関係がそれで正しいのかどうかというヒアリングあるいは銀行との間のやり取りをするということを経るわけでございます。そういう作業を経まして事実確認をきちんと行い、重大な処分の場合には弁明の機会の付与といった手続も踏みまして行政処分を行うと、こういう流れになっているわけでございますので、それには一定の期間が掛かるというのが一般でございます。
  68. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっとシティの問題についてしつこく聞きますが、この銀行は前にも一回同じようなことを、問題を起こしているでしょう、平成十三年に。そのときには何をやって、どういう行政処分を出して、それは一体守られていたのか守られていなかったのか、どうなんですか。
  69. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) どなたが御答弁されますか。
  70. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 前回、十三年においても処分を行っております。そのときに業務改善命令を出しまして、それについて体制の整備を行ったという報告があったわけでございますけれども、今回行いました検査において、その報告のとおりの体制整備、業務改善が行われていなかったということが確認されたということでございます。
  71. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、前回の行政処分は何の役にも立っていなかったということですね。
  72. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 私どもはその都度その都度事実に基づいて、法令にのっとり行政処分を行うということでございまして、それなりにその当時行政処分を受けた銀行の側は対応をしたんだろうというふうに思いますけれども、時間の経過とともにその体制整備というのが実効性を失っていったということであるのかもしれません。
  73. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、今度行政処分をして、二十二日に向こうからCEOが来て、いや、こうします、ああしますと言っているけれども、これは今度の行政処分で担保できるという保証はあるんですか。
  74. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 私ども、銀行の業務の健全かつ適切な運営ということを目的といたしまして、検査、報告徴求あるいは行政処分の権限、一番重い場合には免許の取消しといった権限を与えられているわけでございますけれども、それを遂行するに当たりましては、銀行法にもございますように、私企業でございますから銀行の経営の自主性ということを重んじなければいけないという面もございまして、私どもの行政上の関与ということは、その事態の実態に応じましてそれぞれ適切にその関与の度合いというのも決めていくわけでございますけれども、いずれにせよ、今般の処分に関しては相当重大な内容でございますので、この今般出てまいりました業務改善計画、これがきちんと履行されているかどうかというのは引き続き注意深く見ていきたいというふうに思っております。
  75. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、二度目なんですよね。それは、二度目の分野のところだけはいわゆるもう免許停止にしたと。これはかなり重いものだと思いますけれどもね。  しかし、コンプライアンス、このいわゆるシティというののコンプライアンス体制というのは、ほとんど、前回やっていてまた同じことを繰り返していることに対して、これをいわゆる制裁といいますか、これは行政処分とおっしゃったんですが、ここはやはりもうある意味では、先ほど自主性を尊重すると言っていましたけれども、企業は独立した人格を持っていますよね。そうしたら、こういうやはり違法な行為を繰り返すところに対しては厳罰でもってやらなきゃいけないんじゃないですか。なぜ告発しなかったんですか、その関係者を、責任者を。告発というスタイルをなぜ取らなかったんですか。免許取消し、もちろん大きい処分だと思うけれども、そこのところを厳しくしないから、つまり、もう二度とこういう問題は起こさせませんよと、こういうことをしたら責任者はこういう形で刑事的な告発を受けますよと、こういう実は司法の世界での公平性を保たないと、同じことが何回も何回も繰り返されるんじゃないんですか。どうですか。
  76. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 私どもに与えられております行政上の権限というのは、先ほど来申し上げておりますように、銀行の場合であれば、銀行の業務の健全かつ適切な運営ということを確保し、最終的に、それに基づいて信用秩序の維持、預金者の保護、あるいは金融の円滑ということを確保すると、こういう位置付けになっているわけでございます。そういう中で、金融行政上の我々の目的、あるいは我々に与えられた権限に沿って私どもとしては金融上の処分をしているということでございます。  それ以上の個別の、刑事告発云々の事柄につきましては個別の話でございますので、言及を差し控えさせていただきたいと思います。
  77. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣、両大臣おられます、一人はもう弁護士さんですから。日本の経済司法というところはこの問題でいつも同じ問題を繰り返しているんじゃないんですか。つまり、行政上の処分をやってお仕置きはするけれども、しかし、これをいわゆる、何というんでしょうか、二度と起こさせないようにいわゆる刑罰というか罰の体系ですね、非常に狭い範囲でいわゆる刑法の、刑事訴訟法に規定されているけれども、こういう実はところだけじゃなくて、もっと広いいわゆる行政法の体系の中からも、こういう問題が起きたときに必ず、やはりひどい場合は、二度と起こしたときにはもっと厳罰になるとか、あるいはこういったところで非常に情状酌量の余地がある場合には減らすとか、そういった法体系へ持っていって、早く変えないとこれ駄目なんじゃないかと思うんですが、そういった点で、谷垣大臣は、質問通告していませんけれども、こういう問題が多発して一向に減っていかない、特に官製談合なんかもっとひどいんですけれども、それにはまた別の要因があるんだと思うんですが、その点、どういうふうに認識されていますか。
  78. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 企業犯罪を、企業犯罪と申し上げていいか、企業犯罪をめぐる環境というのは、法制度の整備というのは、私は、私も峰崎委員とは同世代なんですが、私どもの学生時代から比べると随分牛の歩みのように遅々としておりますけれども、かなりあの当時と比べてみると環境の改善は進んできたというふうに私は思っているんです。  ただ、結局、市場のルールとそれから社会正義という双方が重視されなければならないけれども、今回のような事件はそういったものを大きく、何というんでしょうか、踏み破ったものだというふうに私は思います。  ですから、一つは、この当事者、経営者、法令遵守意識というのをもう少し高めていくためには何をしたらいいかという相当切実な課題一つある。それからもう一つは、ディスクロージャー等を始めとして透明化をして市場規律を高めていく手段、もう少し工夫すべきところがあるのかないのかと。それから、我々の、我々って、今私自身は直接そういうところの監督権限は持っておりませんけれども、行政の側の適切な監督権限の発動に何か支障があるのかどうかと、そういった辺りを併せて点検していく必要があると思っております。
  79. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 時間がもうほとんどなくなってきて、私は、やはりこういう機会に、もうこれで二度目ですよと、だから、その部門だけじゃなくて、部門の免許の取消しじゃなくて、そこの責任者をきちんと告発すると。それぐらいの姿勢をこれから変えていかないと、私は、やはりまたこういうことをしでかすんじゃないんでしょうかね。コンプライアンス体制、こういうふうに整えました、いや、縦割りのところを横割りにしましたと、いろんなことを書かれていますけれども、私はそう思わない。  そういう意味で、伊藤大臣、是非ここのいわゆる問題起こしたところは告発するということを是非お願いしたいし、私は是非こういう方々に来ていただきたいんですよ。  シティでいえば、参考人を要求したいと思いますが、前のシティバンク、エヌ・エイ在日支店のチーフエグゼクティブオフィサー、ダグラス・L・ピーターソンさん、あるいは個人金融本部の本部長ジョイス・フィリップスさん、こういう方に来ていただいて、ちょっと英語私できませんから通訳入れてもらって、是非、何でこんなことになっているのか、アメリカだったらこれどんなことになるのか、私はやはり少しきちんとやらなきゃいけないんじゃないのか。  それと、UFJ。これは明らかに、前の頭取さん、寺西さんは衆議院の委員会に来て言っていますよね、私は検査忌避なんてやったことありませんと。ところが、金融庁は検査忌避でもってこれ告発したわけでしょう。ところが、何だか寺西さんともう一人副頭取の人が入っていないんですよね、その告発の中に。おかしなこと起きるものだなと思って見ているんですが、なぜそうなったのか私も分からないんですが、この方も是非、これは国会での発言、まあ証言ではありませんが、参考人として述べたことが間違ったこと、つまり金融庁と違うことを言っているわけですから、これもまた参考人としてお呼びしなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですね。  それから、整理回収機構の、これ今日本当は社長さんに来てもらいたかったんですが、なかなか来れないとおっしゃるんですが、ここでも何か法令違反があったというんですよ。奥野善彦さん、これも是非私どもは参考人としてお呼びしたいなと。  さらに、今日もうあと、十二時一分までということなんであれなんですが、コクドの動きですね、今日。いろいろ事情たくさんあると思うんですが、そういったことも含めてコクドの動き、一体これから、あるいは証券取引法だけじゃないと思うんですが、その点については、今後はどんな、どんな状況になっているのか。どういうふうにコクドのこの問題について金融庁としては対応されようとされているのか、是非お聞きしたいなと。  時間ありませんので……(発言する者あり)ああ、参考人要求ですね、もう一回参考人要求いたします。  さっきのシティバンクはさきのお二人です。それから、整理回収機構は奥野善彦さんです、これは社長さんですか。それから、UFJの銀行は、前頭取の寺西正司さん、それから現会長にも、あるいはUFJの頭取さんにも是非実情を聞きたいと思いますので、玉越良介さん、それからUFJ銀行頭取の沖原隆宗さんと。是非この方々に対して参考人として来ていただきたいなということを含めて、これはお願いし、答弁をして、私の質問を終わります。
  80. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) ただいま峰崎直樹君要求の参考人については、後刻理事会で協議いたします。
  81. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) コクドについてのお尋ねがございましたが、これは個別事案の内容についてでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、一般論として申し上げますと、仮に、監視委員会において事実関係の解明を進めた結果、違法行為が認めた場合には告発を行うなど、厳正に対処するものであるというふうに承知をいたしております。  いずれにいたしましても、証券市場の信頼を確保していくためには適切なディスクロージャー及び公正な取引の確保が行われることが極めて重要でありますので、金融庁としても適切に対処をしてまいりたいと考えております。
  82. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  83. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後三時三十分開会
  84. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言願います。
  85. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  午前中は愛知委員が大変いい御質問をしておられて、私も同じことを聞きたかったものですから、冒頭、まず愛知委員と重なる部分がありますけれども、財務省に確認をさせていただきたいんですが、通告してある質問の最初の二つをまとめてお伺いしますけれども、やはり国がどのぐらいの債務を抱えているかということをきっちり把握をするということが財政健全化に向けてのもう第一歩でございますので、そういう意味では、国債の残高とか、これは明確に把握ができるわけでございますが、それ以外の債務、例えば財投機関がどのぐらいの赤字を抱えているのか、あるいは財投機関にとどまらず、認可法人やまだ残っている特殊法人、独立行政法人等々が一体どのぐらいの債務を抱えていて、国全体としての赤字というのはどのぐらいなんだということをお分かりになる範囲で結構ですからお答えいただきたいというのが一点と、その結果として、財投機関とか特殊法人とかの中で不要不急のものについてはもう大胆に更に見直していくという御方針でいいのかどうかという、この二点についてまずお話を承りたいと思います。
  86. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 大塚委員がもう今までいろいろこの委員会でも御議論いただきましたように、国全体の、何というんでしょうか、財務関係ができるだけ一覧性をもって分かるようにというようなことで、一般会計にとどまらず、特別会計もできるだけそういうアカウンタビリティーのあるようにすべきであるとか、あるいは財投等もいろいろ改革をしてまいりましたのがこの間の流れであると私も思っておりまして、まだまだ今後ともやることがあると思いますが、今委員のおっしゃったような方向で今後とも努力をしなければならないと思っております。  財投につきましては、特にピーク時の今半分程度の額になっておりまして、ピーク時は四十・五兆円が今二十・五兆円になっていると。  それで、今委員がおっしゃったのは、国と地方債務残高は幾らになるのかということでございましたか。
  87. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その中でも、もし不良債権とかもあれば。
  88. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 不良債権ですか。公共部門の不良債権の規模につきましては、これは開示されているリスク管理債権額につきましてはちょっと細かな数字になりますので、政府委員といいますか、参考人から御答弁をいたさせます。
  89. 牧野治郎

    政府参考人(牧野治郎君) 今先生のお尋ねの御趣旨が、財投機関が更に融資をしているわけでございますが、その中でそれぞれの機関がリスク管理債権をどれだけ持っているかという御趣旨だと思いますが、ちょっと今数字を出しておりますので、恐縮でございます。
  90. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 お探しの間にちょっと補足を。  私の質問がまずかったかもしれませんが、通告してあるのは公共部門全体の不良債権で、今、話の関係で、流れで出たのは財投機関等を含むもろもろの機関の債務は幾らかということで、二つのことをまとめてお伺いしてしまいましたので、何らかの形でお答えいただければ。
  91. 牧野治郎

    政府参考人(牧野治郎君) まず、財投機関、特殊法人、それから独立行政法人含みますけれども、それに不良債権があるんじゃないかという御趣旨でございますと、今、こういう独立行政法人、それから特殊法人も基本的に民間ベースの会計基準に基づいて財務諸表を作っております。それで、直近のものは十五年度末のものがございますが、それで点検いたしましたところ、基本的に債務を支払えないような、そういう資産が劣化して債務が払えないという状態にある機関はございません。そういう意味では、不良債権は基本的にないというように我々は考えております。
  92. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 本当にそう考えておられるんでしたら大きな間違いですから、よくチェックをしていただきたいんですが。  しからばお伺いしますが、独立行政法人には監査法人付けることになっておりますけれども、これは根拠がありますよね。そこに、お手元にあれば、どういう根拠に基づいて監査法人を付けることになっているか、御紹介ください。
  93. 牧野治郎

    政府参考人(牧野治郎君) 特殊法人は、まず、法律的に義務付けられているわけではございません。ただ、民間ベースで財務諸表を作りなさいというものが主計局の方の指導でなされておりまして、それに基づいて民間ベースの財務諸表が特殊法人については毎年公表されております。  それから独立行政法人でございますが、これは独立行政法人通則法によりまして会計処理は原則として企業会計原則によるというようにされておりまして、これを受けて作成されました独立行政法人会計基準に従って財務諸表が作られているということでございます。
  94. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私がまとめて申し上げますが、確かに民間ベースの会計基準で財務諸表を作りなさいということを国の関係機関全体に指導をなされつつあると。これはかつてに比べたら大きな前進なんですね。そして、独立行政法人については、独立行政法人通則法の三十九条で監査法人に監査をさせろと書いてある。  谷垣大臣、ところが、特殊法人とか認可法人全体に関しては独立行政法人と同じように監査法人を付けるという指導は行われてないんですよ。一部、財務省の事務方の方に調べていただきましたら、資産額が一定規模以上のもの等々ごく一部のものについては、これは公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せという平成十三年二月九日のもので一部網は掛かっているんですが、まだまだ十分にそういう意味では、お隣におられる伊藤大臣の所管である監査法人を活用して政府機関の財務諸表を、お題目ではなくて、本当に民間ベースの基準で作り、そしてチェックをしていくという形になっていないというふうに私は思いますので、その点を、これは改善の余地がありますので、是非、特殊法人、認可法人等についても、もし民間ベースの基準で会計をやると、あるいはやっているとおっしゃるならば、チェックの段階までやらせていただきたいということをお願い申し上げますが、その点についてお答えいただけますか。
  95. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私ももう少しその点よく勉強してみますが、今受けております報告は、特殊法人については会計監査人の監査自体は確かに義務付けられているわけではないけれども、会計監査人の専門的な知見を活用しようという必要性から、財投対象のすべての特殊法人において公認会計士の関与がなされているというふうに報告を聞いております。ただ、その関与というものがいかなるものであるのかということについてはもう少し勉強させていただきたいと思っております。  財務省の管轄と申しますか、そういう観点で申しますと、特に日本政策投資銀行ですね、それから国際協力銀行、ここでは行政コスト計算財務書類について会計監査人による監査証明を受けているというふうに聞いています。
  96. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 二点指摘をさせていただきますが、まず一点は、牧野さんに申し上げますけれども、不良債権はないとおっしゃった理由が、特殊法人等は最終的な債務の返済については国が保証しているから、返済がされるんだから不良債権がないんだという、そういうロジックでおっしゃっているとしたら、もうそれは全然我々の常識とは違いますので、そうでないことを願いますというのが一点です。指摘だけしておきます。もう御答弁結構でございますので。  二点目については、今、谷垣大臣おっしゃったように、一応そういう御指導をされているとしても、本当に、しからば公認会計士や監査法人の皆さんがダイエーに対して行ったり、りそなや足利銀行に対して行っているのと同じビへービアで国の機関に対しても厳しい判断を示しているかどうかということについては、いま一度チェックをしていただきたいということをお願いをしておきます。(発言する者あり)今日は時間がないものですから。  その上で、今申し上げましたように、今回、ダイエーの問題、ここでもまた監査法人が登場したわけでありますが、その点について、今日は伊藤大臣ほか関係の皆様に事実を幾つか確認をさしていただきたいと思います。  先ほど、始まる前に伊藤大臣とお話をしておりましたが、今年のノーベル経済学賞はアリゾナ州立大学のプレスコットさんという人とカーネギーメロン大学の方とお二人が、キドランド教授ですね、お二人がもらわれたんですが、私もじかに物を読んだことはありませんが、ルールと裁量という観点から、ルールに基づいたマクロ経済政策が重要だということが業績で、そういうことを主張された論文を書いて、それを業績として受賞されたわけですが、これはマクロ経済政策だけじゃなくて、金融行政やあらゆる公共政策について私は一番重要な点、今の時代に一番重要な点だと思っておりますので、そういう観点から、今回のダイエーの処理が既に決まっているルールどおりに行われたかどうかということについて、限られた時間の範囲でちょっと確認をさせていただきたいと思います。  まず、これ、最初に内閣府にお伺いしますが、産業再生機構の所管官庁というのはどこになるんでしょうか。
  97. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 産業再生機構法におきます主務大臣は、内閣総理大臣財務大臣、経済産業大臣でございます。
  98. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、どこがお答えになるかはお任せしますので、適宜お答えください。  まず、監査法人がダイエーの決算承認を拒否したというのは、これは事実でしょうか。
  99. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) まず、監査法人がダイエーに対してどのような言い方をしたのかというのは私ども承知はしておりません。  しかしながら、十月の十三日の夕方、ダイエーの高木社長の方から当省に対しまして、銀行から産業再生機構を使わなければ金融支援はしないと言われている状況の中では監査法人として中間決算の了解をし難いというふうに監査法人の方から言われているというふうな報告がございました。
  100. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、もう一つ伺いしますが、産業再生機構の斉藤社長が七月二十三日にUFJの沖原頭取に金融支援は最大でも四千億円で済むというふうに伝えたというふうに聞いておりますが、これは事実でしょうか。
  101. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 個別の具体的な案件につきましては、機構がどのような検討、交渉を行ったかにつきましては、事業の再生という極めて機微な経営上の課題に取り組んでいる機構の業務の性質上、申し上げることは適切ではないと考えております。  いずれにいたしましても……
  102. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いずれにいたしましてもより後はいいですわ。  もう一個聞きます。  ダイエーが九月十五日に産業再生機構との間で査定作業を進める契約を結んだという報道がありますが、これは事実でしょうか。
  103. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 恐縮でございます。やはり個別の、個別具体的な案件でございますので、極めて機微な経営上の課題関係しているということで、申し上げることは適切でないと考えております。  一般論として申し上げますと、機構が資産査定を行うに当たりましては、事業者及び金融機関との間で守秘義務契約を締結してございます。当該協定を締結した事実も含め、機構においては公表しないという定めになっておりますので、よろしく御理解お願いしたいと思います。
  104. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、守秘義務契約とおっしゃいましたが、それに絡んでちょっと幾つかお伺いしたいんですが、もう通告した質問はこれで全部終わりましたんで。  産業再生機構とダイエーはいろいろやり取りをこの九月の上旬に至る過程でもやっておりましたけれども、これは産業再生機構とダイエーはどういう関係でやり取りをしていたんですか。どういうそれぞれ位置付けでやり取りをしておられたんですか。産業再生機構法及び産業再生機構の定款等に定められているルール上、どういう位置付けで交渉していたんですか。
  105. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 私どもの理解は、正に産業再生機構におけます支援、買取り決定に至る前の事前相談の過程であるというふうに理解をしております。これにつきましては、産業再生機構法第十九条第一項第五号に、業務に関連し必要な交渉及び調査ができることとなっておりますし、また第七号には、「前各号に掲げる業務に附帯する業務」についても行うことができるということになっております。
  106. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 おっしゃるとおりですね。私も調べました。事前相談、法十九条五項、七項、うん、正確なお答えですね。  じゃ、その事前相談を行ったときに、QAありますね、その機構のQAに事前相談に関する情報はどのようにするというふうに書いてありますか。
  107. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) もうこれは個別のマターになるわけでございますが、機構につきましては、事業者及び金融機関等からの再生支援の申込みや、また資料提出に伴って事業者や金融機関等が保有する極めて機密性の高い情報を保有することになりますので、そういう、こうした情報が漏えいされないようにということで、機構法上、その機密保持については厳しい定めがございます。
  108. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 おっしゃるとおりです。QAにはこう書いてあるんですよ。事前相談の段階で機構が情報を外部に漏らすことはないと書いてあるんですよ。どうして機構がダイエーといろいろ交渉していることがあんなに新聞に一杯出るんですか。  もう一回聞きますよ、通告した質問を。七月二十三日に産業再生機構の斉藤社長がUFJの沖原頭取に金融支援は最大でも四千億で済むと伝えたのは事実ですか。
  109. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 再度で恐縮でございますが、それは極めて機微な経営上の課題ということでございますので、申し上げることは適切でないと考えております。  また、先ほど申し上げましたいずれにいたしましてもということなんですが、おっしゃいますこの数字でございますけれども、基本的には厳格な資産査定等を経て最終的に決定されるものでございます。そういうことで、現時点と申しますか、その当時の時点におきまして金融支援を含め具体的な内容について何ら決まってはいなかったんではないかというふうに承知いたしております。
  110. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日、時間がありませんから、是非、いずれにいたしましてもとか一般論ではというその後段の部分は結構でございますので、御協力ください。  じゃ、例えば斉藤社長が今私が申し上げたようなことをマスコミにしゃべっていたら、これは守秘義務違反ですか。
  111. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 産業再生機構法上、第十三条には役員等の秘密保持義務が定められております。また、六十三条にはそれに関する罰則規定がございます。
  112. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日は大変息が合っていまして、私も調べたところ、法の十三条と六十三条は網に引っ掛かってきまして、そのとおりです。  じゃ、もう一つ伺いしますが、正式にダイエーが産業再生機構に支援を要請するというのは法の何条に基づいて行われますか。
  113. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 恐縮でございます。  支援決定ということで法律の第二十二条でございます。
  114. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 おっしゃるとおりです、二十二条です。僕も調べました。  二十二条に基づく申請はまだしていないんですね。
  115. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) まだされてございません。
  116. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 お手元にQA持っていますか、産業再生機構のQA持っていますか。
  117. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) はい、全体ございます。
  118. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありますか。じゃQAの一の九の(三)、ちょっと読み上げてください。
  119. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) (三)でございますね。「逆に、機構が対象事業者に対する支援決定をしないときは、対象事業者について機構が公表することはありません。」。
  120. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、この後、機構が査定をして、いや、これは引き受けられないということになった場合に、もうこれは衆人環視の下で行われていますから、公表しないも何も、もうみんな分かっちゃうじゃないですか。このQA違反ですよね、これ。どう思われますか。
  121. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 機構といたしましては現在時点でまだ支援決定はいたしておりません。報道等において様々な経緯が流されておるという理解でございます。
  122. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、その答弁は論理的に成り立たないんですよ。皆さんがルールをもし守るとおっしゃるんだったら、このルールどおりに、もう支援決定をしないということはあり得ないという選択か、皆さんがルール違反をして、支援決定をしないという決定をして、言わば公表しないという約束にもかかわらずダイエーの名前が市中引き回しの上何とかになっちゃうという、このどっちかしかもう選択肢ないんですよ。どっちを取られるんですか。
  123. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 何度も申し上げて恐縮でございますが、まだ支援の申込みを受けていないということでございます。
  124. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、正式に法の二十二条に基づいて、支援を要請された後にデューデリジェンス等の所定の作業をやって支援をするかどうかを決めるという、そういう段階だという理解でいいですね。
  125. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) いわゆるデューデリジェンスと申しますのは様々な段階がございます。事前相談の段階、それから支援の申込みを受けた段階、それからまた支援決定をいたしました後、買取り決定をいたします間の段階、様々ございますので、今申し上げていますのは事前相談の段階ということでございます。
  126. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、もう繰り返しになるから言いませんが、もう聞いていらっしゃる委員皆さんお分かりのとおり、事前相談の段階では、どこと事前相談をしているかということすら本当は表に出てはいけないというルールになっているんですよ。──いや、いいです、いいです。したがって、これはどうもルールどおりには行われていない。  ここに至るまでの間、機構の斉藤社長が外部に対して何をしゃべっていたかということが実は大きな問題なんですよ。これについて、斉藤社長が守秘義務違反をしているようなエビデンスが出てきたらどうしますか。斉藤社長に六十三条に基づく罰則を掛けますか、所管官庁として。
  127. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 法律どおりに対処いたします。
  128. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 よく分かりました。  それでは、これは経済産業省がお出しになった正式の紙です。我々の部会とかでも御説明いただいた紙でありまして、先ほども峰崎委員との午前中の議論の中でも出てきたかもしれませんし、先ほどもおっしゃったかもしれませんが、十月十三日の十八時の段階のやり取りとして、ダイエーの高木社長が中川大臣と面談し、高木社長から、銀行から機構を使わなければ金融支援ができないと言われている中では云々と、こう書いてあるんですね。これは皆さんがお出しになった紙ですから。そう書いてありますね。まず、書いてあるかどうかの認識だけ共有させてください。
  129. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) そのとおりでございます。
  130. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これ、機構を使わなければ金融支援ができないと銀行が言っているというんですが、機構を使うと、じゃ機構がどのぐらい支援をしてくれるかとかという、そういう再建に関する数字が分かっているからこそ、機構を使う場合、使わない場合ということが銀行が言えるわけでありますし、それから、さっき申し上げましたように、斉藤社長が七月の二十三日の段階金融支援が幾らになるということは既に言っているわけでありますので、それも数字がいろいろ分かった上でなければ言えないことでありますね。  そうすると、いろいろダイエーがこの九月から十月にかけて大騒ぎしていたときに、機構側のデューデリジェンスが終わっていないからこのままじゃ機構は引受けができないとかできるとかと言っていたのは、デューデリジェンスが終わっていなかったと言っていたのがうそなのか、それとも、それまでの過程でいろいろもっともらしい数字を外部にしゃべっていた、その数字の根拠がなかった、つまり言っていた数字がでたらめだったのか、どっちですか。
  131. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 先ほども申し上げましたが、機構は基本的に厳格な資産査定を行ってしかるべき金額等を決定いたします。ということで、その当時の時点ではまだ金額等はなかったものと理解しております。
  132. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の質問、今のお答えで終わったわけじゃないですからね。これはこれから事実確認をしていかなきゃいけないので。  じゃ、もう一つ伺いしますが、機構に再建を要請しなければ銀行団は融資を引き揚げるというふうに銀行団が言っていたというのは、機構側から内閣府が聞いている情報、経済産業省がダイエーから聞いている情報、あるいは伊藤大臣が、金融庁の方、事務方の方でも結構ですが、銀行団から聞いている情報では、それぞれ、事実ですか、間違いですか。端的に答えてください。
  133. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 私がダイエーから聞いておるところでは、金融支援ができないというふうなことは銀行はおっしゃっていたようですけれども、具体的に、何か融資を引き揚げるというふうな具体的なことをおっしゃったとは聞いておりません。
  134. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 私どもが機構と話をしておりましたのは、正に法にのっとりまして、事業者としかるべき金融機関が両方併せて機構に申し込んでくるというのが原則であるということでございます。
  135. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 個別金融機関の個別取引先に関する事柄でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  136. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 何でも個別だから言えないということになると、これはやはり、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、いろいろ難しい問題が起きてきますので。  こんな経緯が不透明なまま、ダイエーについて、産業再生機構が、この後、法の二十二条に基づいて正式に引き受けたとして、再建計画がうまくいかなければ、最終的にはまた、いろんなルートを経由して公的負担ということで、これは財務省の問題になっていくわけなんですね。  いろいろ今までの過程でも、問題提起だけを今日していますので、この点は解決しなければいけない、事実を明らかにしなければいけないという点が幾つかあるんですが、もうあと時間も少しになってきましたので、一つ、監査法人が決算を承認を拒否したというところの理由についてもう一度関係者の皆さんの御認識をお伺いしておきたいんですが、銀行団が融資を継続しなければダイエーのゴーイングコンサーンは維持できない、だから監査法人は十月十五日の決算を承認できないというふうにもう報道されておりますし、私自身関係者からそういう話を聞いておりますが、監査法人の判断の背景はそういうことであったという理解でよろしいですか。これは関係者の皆さんそれぞれにお伺いします。
  137. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 基本的にそういうことだったというふうに理解しております。
  138. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) 担当室といたしましては民間当事者間のやり取りについては承知いたしておりませんので。
  139. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) お尋ねのような報道があったことは承知をいたしておりますけれども、個別債務先の問題でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、監査法人は独立した立場で監査を行っていると承知をいたしております。
  140. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 伊藤さん、大変僕は伊藤大臣に期待していますので、竹中さんよりも期待していますのでお願いしたいんですが、いや、それでは困るんですよ。  いいですか、今、迎さんでしたっけ、大体私の言ったとおりだっておっしゃいましたよね。産業再生機構に持ち込まなければ銀行団は融資を継続しないと言っている、そして銀行団が融資を継続しないというならばゴーイングコンサーンは維持できないから決算を承認できないと言っている、だからダイエーはバンザイしたわけですよ。このロジックが通るんだったら、日本じゅうの企業、いつでもバンザイですよ。銀行融資止められて継続できる企業なんかほとんどないですよ。だから、これが事実だったのかどうなのかということを確認するのは、これは個別の問題じゃなくて、日本じゅうの企業にかかわる話なんですよ。このロジックで監査法人が決算承認を拒否したとしたら、これはやはり監査法人の判断基準の在り方について国会で議論しなくてはまずいです、これは。これが一点。  それから、話を元に戻しますよ。  経済産業省がいろいろごたごた不適切なことをやっていたというのは、高木再生委員長の手紙等からでも推測はできます、事実かどうかは知りませんが。だから、経済産業省についてはまた改めていろいろお伺いしますが、今日、私は産業再生機構側の問題点を指摘しているわけです。いいですか。  産業再生機構側は事前相談の段階でぺらぺらぺらぺらと外に向かってしゃべっていた。しかも、そのしゃべっていた内容が、デューデリジェンスが終わっていてしゃべっていたのか、あるいは終わっていなかったということがうそだったのか。いずれにしても、うそをついているんですよ。そういう入口の段階からもうめちゃくちゃな状態で、最後の出口のところでは、監査法人が、いや、銀行団が融資しないんだったら企業は存続できない、それは決算承認できませんという、こういうルールで決算承認を拒否したとすると、もうこれは海外の投資家から見たら日本の企業社会というのは無法地帯ですよ、これは。  これについては事実関係をきっちり明らかにしないと、最終的に財務省負担になり、そしてそれが国民負担になるということを到底看過できるものではありませんので、委員長お願いをしたいんですが、経緯についての詳細な報告書を当委員会関係省庁から提出を求めたいということと、それから再生機構の斉藤社長の参考人招致を求めたいと思います。
  141. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) ただいまの御提案につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  142. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日の質問はこれで終わらせていただきます。
  143. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  さきの参議院選挙で初当選をいたしまして、本日が最初の質問となりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)ありがとうございます。  まず冒頭、午前中にもお話ございましたけれども、度重なる台風、また新潟中越地震、謹んでお見舞い申し上げるとともに、補正予算の基本的な考え方について断片的に報道等されておりますけれども、財務大臣に御確認をさせていただければと思います。  基本的に、まず思いとしては、もう年度内にも補正が組んでいただきたいという思いがあるわけでありますけれども、これまでの財務大臣等のお話によりますと、今年度の災害復旧費七百二十七億円プラス予備費三千四百億円で到底間に合わない場合には剰余金一兆五百億円を費やし、更にそれでも足りない場合は国債も増発すると、このようなふうに理解しておりますけれども、基本的な補正予算についての考え方、これでよろしいんでしょうか。
  144. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 基本的にはそういうことでございますが、やはり当初予算はもう決まった予算でございますから、これは使えるものは当然使っていく。それから、予備費については、まだその補正より先に予備費を使うかどうかというのは、そのときそのとき、もう少し具体的に考えなければ答えは出ません。もう少しいろんな集計、それから緊急にやらなきゃならないもの等あると思います。それで集計して、補正、その次に補正ということになるわけですが、今のお話は補正の財源をどこに求めるかということだったと思います。  それで、剰余金については、半分は国債等の償還のために入れなければならないという法律がございますので、一つはその法律のルールがあるわけでございますが、そういうことで賄えないとなると、国債をどうするかということも視野に入れなければならないということはおっしゃるとおりでございます。  ちょっと今、もう一つ。  いきなり国債と申しましたけれども、その前に、要するにどれだけ税収があるかとか、そういう、もう少しいろいろなことがございますので、ちょっと単純化して申し上げました。申し訳ありません。
  145. 西田実仁

    ○西田実仁君 私、初めてですので、この間の大臣の所信的なごあいさつに基づいてお聞きしたいと思っております。  まず最初の経済財政運営に関する基本的な考え方というところで、これは御確認でありますけれども、子や孫に負担を先送りしない持続可能な財政制度と、こういう表現をされておりますけれども、これはすなわち毎年度の一般歳出等の、毎年度の一般歳出等のことですね、一般歳出を税収等で、その年度内の税収等で賄うと、受益と負担を均衡させると、こういうふうなことが子や孫に負担を先送りしないと、こういう意味というふうに理解してよろしいんでしょうか。
  146. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いわゆる二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支のバランスを取ると言っておりますけれども、その心は、その年にいただいた税金で、委員がおっしゃるように、その年の政策経費は賄っていくと。  もっとも、今まである、たくさんある借金の例えば利息払いについてはなかなかまだそこまで行かないけれども、取りあえず、今使うものは今の、今必要なものは今の税金でやっていこう、そうして負担を先送りにしないようにしようというのが二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支の回復を目指そうという心でございます。
  147. 西田実仁

    ○西田実仁君 午前中にも御議論ございましたけれども、正にその二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指すと、こういうふうに言われ続けておられるわけでありますけれども、念のために数字を確認いたしますと、この平成十六年度の当初予算国債費は十七兆五千六百八十六億円、そして新規国債発行額は三十六兆五千九百億円で、すなわち基礎的財政収支は十九兆二百十四億円の赤字になるわけでございます。昨年度も十九兆円以上のプライマリーバランスの赤字があるわけでございますけれども。  そして、この国債費を除く歳出が今後仮に横ばいで推移をすると、こういうふうに想定した場合に、二〇一〇年、午前中は二〇一三年というお話も一つのメルクマールとしておっしゃいましたけれども、今後十年間、例えば二〇一四年というように考えたときに、この約二十兆円のプライマリーバランスの赤字を、歳出がこれまでと同じように横ばいというふうに想定した場合には、これを埋め合わせようと、プライマリーバランス黒字化を図ろうと、均衡化を図ろうとした場合には、単純に考えれば、毎年度二兆円近くの税の増収というものを図っていかなければならないと、このように理解すればよろしいんでしょうか。
  148. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、いろんな数字を固定して税収でやると考えた場合とおっしゃいましたが、税収だけでやろうとすると、多分あらあらそういうようなことになろうかなと思いますが、私どもの考え方は、やはり税収だけというのはいささか無理があるんで、全体のやはり経済の体力といいますか持続的成長、そういう中で税収の自然増がどこまで見込めるかというのはいろいろデリケートな問題がございますが、やっぱり全体の体力が良くなっていくということが一番基本として必要だろうと思います。  その上で、歳出もやはり抑制をしなければいけませんし、歳入をどこで確保するかという観点、税制をどうしていくかという観点も併せてやっていかなければならないと思っております。
  149. 西田実仁

    ○西田実仁君 正にそのところが一番重要だと思っておりまして、プライマリーバランスの均衡化ということは大変に大事なことではございますけれども、単に税収でやるということではなくて、やはり成長、特に国の経済規模に対する債務残高の比率をある一定にし、収縮させていくということを考えたときには、やはり名目利子率以上の名目成長率を図っていくということが大変大事になってまいりまして、その上での自然増収というところでこのプライマリーバランスの均衡化を図っていくということを、大臣がこの間の所信的あいさつでも言われたとおり、民間部門が主導する形でのこのプライマリーバランスの均衡化ということが大変大事ではないかというふうに思っておりますけれども、御所見を伺えればと思います。
  150. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) おっしゃるとおりだと思います。
  151. 西田実仁

    ○西田実仁君 続きまして、平成十七年度予算編成についての先般のごあいさつでございますけれども、これもごく当たり前といえば当たり前ですが、ごもっともなことをおっしゃっているのは、従来にも増して歳出の抑制と予算配分の重点化、効率化を行ってまいりますと、このように宣言をされているわけでございますけれども、私自身がただ問題とすべきことは、これまでも国会の中で随分議論されてきたように思いますけれども、一般会計の空洞化そのもののことをきちっと議論しなければいけないんではないかというふうに思っております。  ちょっと数字が並びますけれども、あえて申し上げますと、平成十六年度の一般会計歳出は約八十二兆円、そのうちほかの他会計、すなわち特別会計への繰入れ、これにつきましては約四十七兆円ありまして、補助金が約二十五兆円、そして出資金等が二兆円強と。すなわち、一般会計が直接的に支出するのは人件費とかあるいは運営費等、物件費等ございますけれども、八兆円ぐらいしかないわけでありまして、すなわち予算一般会計の八十兆円強の予算に対して一割しか直接には支出していないと。つまり、一般会計をスルーして特別会計にどんどん流れていると。特別会計そのものも一般会計の約五倍の規模を歳出歳入ともに持っているわけでございまして、一言で申し上げますと、歳出の抑制と予算配分の重点化、効率化を行うというふうに申しましても、財政資金の過半が一般会計を素通りしていく中ではなかなか予算、決算ともに監視が容易ではないのではないかと、このように考えるわけであります。  その意味では、昨年十一月に特別会計の見直しにつきまして御議論があったようで、御報告も出ているようでありますけれども、これを一刻も早くこの特別会計、税金の無駄遣いをなくしていくことも含めて合理化等をしなければならないと。これはもう皆さんが共通して思っていることだと思いますけれども、この財政健全化を図っていくということを考えたときに、一般会計を単にスルーして特別会計が肥大化している、このことに、どういうスケジュールで、具体的にこれをどう改善していくのかということについて御意見をお伺いできればと思っております。
  152. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) 今委員から御指摘がありましたように、特別会計が相当大きな額になっておるわけでありまして、これが、一般会計は空洞化しているという言い方が必ずしも適切かどうかというのは別といたしまして、特別会計のやっぱり見直しを図っていかなければ財政の立て直しができないというのは今御指摘のあったとおりでございます。  そういう意味で、昨年は、今ちょっと言及されましたけれども、財政制度等審議会におきましてもこの特別会計の総点検をいたしまして、十六年度予算から様々な事務事業の見直しなども既に着手をしているところでございます。歳出の合理化、効率化など十六年度予算の中にも様々に生かされているわけでありますが、ただ、今御指摘にあったとおり、引き続きこの特別会計の見直しというのは重要な課題でございますので、今も、今年も財政制度等審議会においても更にこの特別会計の見直しの論議を今進めております。また、経済財政諮問会議におきましてもこの特別会計の性格に応じた中期的な抑制の目標を含めた改革案について今議論されているところでございます。  私たちとしても、こうした様々な御議論を踏まえた上で、これは審議会でも年内に改革案が策定されていることでありますので、そうした御議論を踏まえて、予算編成の過程におきまして特別会計の一層の見直しを進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  153. 西田実仁

    ○西田実仁君 続きましては税制改革につきましてお話をお伺いしたいと思います。  この所信的なあいさつの中でも、国、地方のいわゆる三位一体改革社会保障制度改革といった重要な課題に取り組みつつと、このように述べられておられるわけでありますけれども、まずこの三位一体改革についてお伺いしたいと思います。  三位一体改革については、今日がちょうど地方団体の代替案の提出期限だったと思いますけれども、まだ年内、十一月ということでしょうけれども、秋が過ぎてもう冬も近づいてきているわけでありますけれども、これはどういうふうに決着を図っていくのかということについて御所見をお伺いしたいこととともに、先般の経済財政諮問会議で大臣がお出しになりました地方財政計画に七兆から八兆円の無駄というか過大計上がある、そして交付税の肥大化につながっていると、このような御指摘を、資料を出されておられますけれども、その御真意をお伺いできればと思います。
  154. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今日が委員がおっしゃいましたように地方六団体の作られた案に対する各省の対案と申しますか、そういうのの提出期限でございますが、相当膨大なものがもう出てきたのか出てくるのかちょっと私まだ定かに聞いておりませんけれども、まだその内容がどういうようなものなのか私自身も全部を把握しているわけではございません。ただ、総理からは、地方六団体が作られた改革案を真摯に受け止めて、改革案の実現に全力を向けて当たれと、こういう御指示で、十一月半ばを目途に全体像を取りまとめろという指示が出されているわけでございます。  それで、九月に三位一体改革に対する大臣会合というようなものができておりますので、今後、そういう中で、官房長官、それから竹中大臣、麻生総務大臣、私、それからそれぞれの案件の関係大臣等が協議して、だんだん問題を早急に整理していかなければいけないと、調整をしていかなければならないというふうに考えております。  その際に、特に私は財務大臣という立場から申し上げますと、いろいろな補助金をどうするかという議論が今までも相当ありましたけれども、国と地方の役割分担は何なのかというような総論としては今までも随分ありまして、総論はある意味では整理されていると思いますけれども、個々具体的な政策手段に関して、国がやるべきものなのか地方がやるべきものなのかということはもう少し詰めなきゃならない点があるんだと思うんですね。地方がだから実施していくべき事業は何なのかと、こういう辺りを政策論でやっぱり詰めなきゃならないというのが一つ。  それから、そのときに、私の立場からすると、乏しい資金を効率的に使わなければなりませんから、どういう仕組みでやっていくとより効率的に目的を達成できるかという視点は不可避だろうと思います。更に申しますと、納税者の視点に立ちますと、無駄なものは、そのままこれは地方にお譲りするとかお譲りしないとかいう話だけではなくて、無駄なものはやはりもうやめようと、廃止ないし縮減をしていくという視点も必要ではないかと、そういった観点から議論をしていきたいと思っているわけでございます。  それで、今、交付税改革について、先ごろ経済財政諮問会議あるいは国と地方の協議の場で財務省考え方を申し上げたわけでありますけれども、三位一体の中で補助金は相当議論され、それからそれの裏打ちする税源移譲については所得税を中心に地方住民税でやっていこうということはあらあら方向が出ているわけでありますが、交付税改革についてはまだ実は議論が進んでおりませんで、今朝も峰崎委員との御議論の中でその点は一番進んでいないと率直に申し上げたところでございます。  そこで、私の観点から申しますと、交付税というのは、地財計画歳出歳入がございますけれども、交付税には二つの機能が、これも今更そもそも論を申し上げるまでもございませんけれども、地方間の財政格差を調整していくという調整機能と、それから地財計画上、歳出歳入のギャップを埋めていくという財源補てん機能というのがあるわけでございますけれども、そこのところが相当大きくなってきて、率直に申し上げますと、必ずしも、最後はそういう交付税で補てんされるからという形で、地方財政をそれぞれの自治体がスリムにしていこうと、これはもう自治体によって意識が様々だと思いますが、必ずしもそういうインセンティブが働いていない場合がこの財源が補てんされるということであるのではないかと。  その一番大きなものが地方の単独経費一般行政経費というものが非常に大きくなってきている。その中身をやはり明確に、何というんでしょうか、しながら、透明化しながら無駄を省いていくことが必要ではないかというのが私どもの考え方でございますが、ただ、もちろん、これはまだいろんな交付税改革については財務省の提案、提案といいますか、主張でございまして、これから更に詰めていかなければならないことでございます。
  155. 西田実仁

    ○西田実仁君 続きましては、世界経済の安定と発展への貢献という項目のところで大臣がアジア債券市場の育成イニシアチブ等について言及をされておられますけれども、ここは、端的に申し上げまして、このアジアの経済秩序、あるいは金融、地域金融連携、あるいは金融秩序というものを保っていこうとするのであれば、地域大国でもあります中国との関係というものに日本がどのような、その関係を深めていくことに日本がどうイニシアチブを取っていくのか。やり方によってはライバル関係になるだけに陥るかもしれませんし、場合によっては共同でアジアの発展に貢献もできると。  この点につきまして、日本として、特に中国との金融あるいは経済連携、どのように深めていくのか、どういうリードをしていくのかということについてお伺いしたいと思います。
  156. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) 今委員からアジアにおける中国経済の重要性について御指摘があったわけでありますけれども、私どもも全くそのとおりに考えております。  そういう意味で、財務省としては、中国という御指摘ありましたけれども、更に韓国も含めた形でマクロ経済や地域金融協力、それにかかわります諸問題については様々なレベルでこれまでも極めて密接な協力関係を築いてきたところでございます。例えば、最近でもASEANプラス3の会議などには、今年も谷垣財務大臣も御出席をいただいておりますけれども、そうした機会に別途この日中韓の三か国で様々な情報や意見の交換も行っております。  今御指摘いただいたように、中国の役割というのは非常に重要になって、更に重要になってきているわけでありますので、今後ともこうした日本、中国、韓国の間の緊密な情報や意見の交換を更に深めていかなければいけない、そのような努力をしていきたいというふうに考えております。
  157. 西田実仁

    ○西田実仁君 続きまして、伊藤大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、大臣のごあいさつの中で、金融システムの安定強化に関しては、平成十六年度末までに不良債権問題を正常化させ、平成十七年四月から予定どおりペイオフ解禁拡大を実施すると、このようにおっしゃっているわけでございますけれども、私の狭い理解では、いわゆるビッグバン、金融ビッグバンというものが開始されたときに、その本来の目的につきましては、日本のメガバンク、大きな銀行が欧米の金融機関と伍して戦っていく、収益力を強化していくということにその本来の目的というものがあったというふうに理解しているわけでございまして、またその後、金融機関のいろんな持ち株会社方式での統合、あるいは様々な、収益力を引き上げるために金融資本市場にかつてでは想像できないほどかなり自由に参入ができるようになってきた、このように背景が変わってきたというふうに思うわけでございますけれども、ただし、この不良債権問題という、これを処理するために、金融機関の収益力を強化していくという本来の金融ビッグバンの目的がどこまで今達成できているのかということについてはやや疑問に思っております。  主要行の不良債権半減という目標が達成された後に金融行政としてどのような目的、目標を持っていかれるのか。あるいは、この文章で、うがって読めば、ペイオフ解禁拡大というものによって自由競争が拡大して、そういう金融行政の何か目的を持つのではなくて、自由、ある種の自由放任主義のようにしてやっていくことが大事だとお考えなのか。この辺、金融再生プログラム後の金融行政の目的についてお伺いしたいと思います。
  158. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 今御指摘がございましたように、この二年間というのは、日本経済を長年苦しめてきた不良債権問題というものを正常化をさせて、そして構造改革を強固に支える金融システムというものを構築をしていく、そのために金融プログラムというものを策定をさせていただいて、そのプログラムに基づいて諸施策というものを展開をさせていただきました。現在、十六年三月期の主要行の不良債権比率を見ますと五・二%まで低減をしてきておりますので、プログラム全体としては順調に進捗をしてきているというふうに思っております。しかし、まだプログラムの目標を達成をしているわけではありませんので、改革の手を緩めることなく、確実に目標が達成できるように、金融再生に向けて、金融システムの安定強化に向けて努力を続けていかなければいけないというふうに思っております。  その後についての金融の姿をどのように描くのか、この点については、今年の六月に閣議決定をされました基本方針二〇〇四の中で、新しいプログラムとして金融重点強化プログラムというものを策定をする、仮称でありますけれども、策定をするということになっております。そして、このプログラムの目標というのは、世界でも最高水準の金融機能を利用者のニーズに応じて提供できるような金融システムというものを構築をしていく、そのことを目指したプログラムを作っていこうということを明らかにしているところでございます。  現在、こうしたプログラム作りに向けての作業をスタートさせていただいたところでございまして、こうした目標に向かって新しい金融行政の展開というものをこれから進めていきたいというふうに考えております。
  159. 西田実仁

    ○西田実仁君 中小企業、中小・地域金融機関に関しても言及されているわけでありますけれども、これを素直に読むと、中小・地域金融機関の収益力も回復し、そのことによって同時にこの不良債権が優良債権化していくというふうにも読めるわけでございます。  しかしながら、一方で、その後段に言われておりますけれども、金融検査マニュアル別冊の改訂を行うとともに、中小・地域金融機関の業務の特性を踏まえた多面的な評価、このようにも言及されているわけでございまして、今現時点で中小金融機関の経営の現状、これが日本の今後の景気の拡大の持続性ということに関しまして大変重要になってくると思いますけれども、今この中小・地域金融機関の経営の現状をどのように概括的に思われているのか、これについてお尋ねします。
  160. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  地域金融機関の経営の状況でございますけれども、直近の財務内容を見ますと、健全性基準について、足利銀行を除いてこの基準は満たしております。そして、地域金融機関の問題については、御承知のとおり、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに基づいて、中小企業の再生と地域経済の活性化を図りながら、同時に不良債権問題を解決をしていこうということで、諸般の様々な努力を今地域の金融機関は展開をしていただいているところでございます。  そして、私どもにおいても、検査においても、先ほど御紹介がございましたように、中小企業編という形で検査マニュアルの別冊を新たに改訂をさせていただきました。より中小企業の実態に即した検査を実施することによって中小企業に対する金融というものを円滑にしていこうと、そうした視点からマニュアルの改訂にも取組をさせていただいたところでございます。  これからも地域に密着をした金融機関としての機能というものを強化をすることによって、こうした取組を進めることによって地域における利用者の方々の信認というものをより強固にしていく、そうした取組を更に強力に進めていかなければいけないというふうに思っております。  先ほどお話をさせていただいた新しいプログラムにおいても、中小企業の再生やあるいは地域経済の活性化に貢献できるような金融機能を強化をしていく、そのための地域金融を確立をしていくということを重要な課題として設定をしておりますので、そうした問題についても今まで以上に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  161. 西田実仁

    ○西田実仁君 地域の金融機関と密接不可分である中小企業の再生につきまして関係各位の方にお伺いしたいと思いますけれども、私も選挙区が埼玉で、首都圏ではございますけれども、その県も大変広うございまして、地域によっては様々な中小企業、なかなかまだ前向きな投資に向かわない、ある意味で攻めよりも守りにまだ十分に時間また資金を費やさなければならないというところが多々ございます。  そこでお尋ねいたしますけれども、総理もこの間本会議でもおっしゃって、再生支援協議会について大変に成果を上げているというお話をされました。あの数字自体はそのとおりだと思いますけれども、実際に、その後の、後段の、総理はおっしゃっておりませんでしたけれども、その対応が終了している比率というのの数字が出ておりませんで、対応が終了している、再生の対応が終了しているのは実はわずか相談件数の四%ぐらいしかないという大変にまだまだ少ない、少のうございます。  すなわち、この中小企業の再生ということについて言えば、まだほんの緒に就いたばかりということが言えるというふうに思っておりまして、こうした中小企業再生支援協議会の機能拡充等も含めまして、こんな感じの調子で、スピードで中小企業の再生ということが行われていくということで実際よろしいものかどうか、御担当の方にお聞きできればと思います。
  162. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 今先生からの御指摘ございました中小企業再生支援協議会でございますけれども、昨年二月以来、すべての都道府県に設置させていただきまして、私ども、地域の総力を結集しまして中小企業の再生を御支援申し上げているところでございます。  これまでの実績でございますけれども、約五千社の企業から御相談がございまして、そのうち、今先生が御指摘ございましたように五百五十八社、五千社のうち五百五十八社の再生計画の支援を行っているところでございます。そのうち、完了しました会社でございますけれども、二百三十四社ほどございます。このほかに、現在この再生計画の支援の相談を継続している会社さんにつきまして、一千件ほどございます。  私ども、地域の方々から御意見を伺い、またその地域の金融機関からの御意見を伺いますと、やはりそのニーズが非常に強いものというふうに考えておりまして、今後ともこのようなニーズに的確に対応すべく、政策金融など様々な施策を私ども結集いたしまして、中小企業の再生に万全を期してまいりたいと考えております。
  163. 西田実仁

    ○西田実仁君 今御指摘の中小企業の再生について今お話しいただいたわけでありますけれども、一つは大変相談件数が多いと、でもなかなか処理ができないというのが私も埼玉県で中小企業再生支援協議会でもお聞きした正直なところだというふうに聞いております。  そこで、今一部で言われておりますけれども、事業再生士といったような一つの資格をもっと広めていって、そして中小企業の再生をもっとしやすくしていく、相談をもっと受けやすくしていくと、こういう環境整備が必要ではないかというふうに私はまず考えるのが一点と、もう一つは、今政策金融のお話しされました。例えば、政策金融機関、公的な融資、運転資金のところで特に中小企業からの訴えが多いのは、はっきり言って据置期間。例えば、据置期間一つ取ってみても、最長でも皆二年という、あるいはほとんど一年、もう横並びになっておりまして、もうちょっと柔軟に、運転資金でも五年のものや、あるいはもしかしたら十年とか、海外等でも比較してもそうしたものもあるわけでございまして、これは法律で決まっているということではなくて、要項で決まっているというふうにもお聞きしておりますので、もうちょっと柔軟なそうした政策金融ということもあってもいいのではないかと、この二つをちょっと御提案させていただきたいと思いますけれども、御意見、いかがでございましょうか。
  164. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 先生から今御指摘ございましたように、中小企業の再生に当たりまして、やはりその事業再生を担う人材の育成、これが非常に重要だというふうに考えております。私ども、この中小企業再生支援協議会におきましても、地域におきまして様々な知見を持たれている方々、公認会計士の方、税理士の方又は弁護士の方々、様々な方々を結集いたしまして、この中小企業の再生を行っているところでございます。  あわせまして、この専門家を育成するための教材、カリキュラム、これにつきまして私ども作成を行ってきておりまして、実は今先生御指摘のとおり五千件ほどの相談がございまして、まだ継続の相談中の案件、まだ策定支援中の案件、たくさんございまして、私どもいましばらくはこの実務をできるだけ的確に行っていきたいと考えております。先生今御指摘ございました再生士につきましても、私ども、こういうような実績を踏まえまして今後検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。  それから、あわせまして中小企業金融でございますけれども、昨年以来、この中小企業の借換えのために信用保証制度を創設しましたところ、一年間で約七兆円ほどの借換え保証がございました。非常にこの融資機関について需要が多いというふうに私どもも感じているところでございます。できるだけリスケジュールとか様々なことを講じまして、中小企業が再生するということがまず大事でございますので、私ども、政府金融機関につきまして的確に指導してまいりたいと考えているところでございます。
  165. 西田実仁

    ○西田実仁君 ちょっと観点が全く違う件を一つお聞きしたいと思いますけれども、年金を担保としたローンについてお伺いしたいと思います。  これは地元で様々な方から実はお話をいただきまして、年金を担保としておじいちゃん、おばあちゃんがローンを組んでしまって、それを全額返済に充てなきゃいけないと。よく金融機関の窓口で説明も受けずにそのようなローンを組んでしまったことで、その後非常に生活が困っている、こういう件を幾つかお聞きしております。  そこでお尋ねしたいと思いますけれども、年金権を担保としたローンというのはそもそも原則禁止をされているというふうに理解しております。すなわち、国民年金法第二十四条で「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」と、このようになっているわけですけれども、これでよろしいんでしょうか。
  166. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 一身専属性のある権利でございますのでそのような規定が整備されておりますが、昭和四十八年と記憶しておりますが、年金関係法の改正の際に議院修正において年金受給権を別に法律で定めるところにより担保に供することができるという制度が導入されたということでございまして、その後、昭和四十九年に至りまして年金福祉事業団法の一部改正ということを通じて公的な年金担保融資というものがスタートしたというふうに承知しております。
  167. 西田実仁

    ○西田実仁君 原則は年金権を担保にしてローンは組めないということですけれども、例外規定が決められているということだというふうに思います。それがその福祉医療機構を通じての融資ということで、これは全国の普通の銀行で、あるいは国民生活金融公庫で、どこでもはっきり言って受付がされていると。非常に普及しているというか、実際にローン残高も増えているというふうに承知をしているわけでございますけれども、ただ、そういう意味では、そういうニーズがあるということなんだろうなというふうにも思います。  しかしながら、今申し上げましたとおり、まずこの仕組みをよく理解していないお年寄りがだれかにある意味で唆されたというケースが私の場合お聞きしましたけれども、よく理解しないでこのローンを組んでしまい、さらにこのローンは、何か不思議なことなんですけれども、全額を返済するかあるいは半額を返済するかという二つしか返済方法がないという、こういうなかなか金融商品というのは珍しいんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、これをもうちょっと、もしこれがニーズがあり、必要であるということであれば、まず窓口でのきちっとした説明が必要であるということとともに、この返済の方法についてももう少し柔軟にしていくべきではないかというふうにも思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
  168. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 恐れ入ります。お答え申し上げます。  先生御指摘の事例のようなケース、間々あるということでございますが、私ども、受託金融機関に対しまして独立行政法人福祉医療機構の方からは、借入れ申込みは年金受給者本人が行うことを原則とするということ、そして病気であるなどの理由により受給者以外の御親族などが借入れ申込みを行う場合は委任状の提出を求めると同時に、電話連絡等で受給者本人の意思を確認するということをはっきり明記して金融機関の方にお願いをしているわけでございます。  そういう中でということではございますが、御指摘のような事例が生じないように、更に受託金融機関における取扱いということで福祉医療機構を通じてよろしくお願いしていく、徹底を図っていくということで努力させていただきたいと思っております。  その上で、今御指摘の年金担保融資の返済方法につきましてでございますが、かつては全額ということだったようでございますが、平成十二年に返済方法を一つ加えて半額返済、年金が半分残るという形の返済方法というものが導入されたわけでございます。  御指摘の点については、実際にそうした細則を定めて運用しております福祉医療機構の方にも様々なお考えもあろうかと思いますので、よく相談の上、研究してまいりたいと思っております。
  169. 西田実仁

    ○西田実仁君 最後に金融庁にお聞きしたいと思いますけれども、これはかつて委員長もこの委員会で御質問されたようでありますけれども、消費者金融について大変にコマーシャルが多くて、テレビ等で非常に上手な作り方をされております。私も小さな子供が二人ほどおりまして、知らないうちに口ずさんでいたりするわけでありまして、それ自体は商業行為であり、別に取り立てて何か言うことではございません。  もう一つ、携帯電話のバナー広告でも、実は一番多いのは出会い系に加えましてこの消費者金融の広告になっております。そこで、これ自体は規制はできないとしましても、それに対抗し得る知識なり理解というものを子供のころからいわゆる金融教育等において身に付けていかなければ、対抗できずに、知らぬうちに借金がもう簡単にできてしまうということもあって、余りよろしくないんではないかというふうにも考えるわけでございますけれども、もう少し小さいころからの金融教育、いろいろと御努力されていることは承知しておりますけれども、力を入れていくべきではないかということについて最後お伺いしたいと思います。
  170. 七条明

    ○副大臣(七条明君) 今、消費者金融のコマーシャル、私も時々見るわけで、先生が言われるとおりだと思っております。  金融庁としては、消費者が物やサービス、あるいは金銭の価値に対する健全な感覚を養い、様々な金融商品、証券サービスについて自分の立場で、いわゆる主体的にそれを判断をしていかなきゃならないというのはもう原則でございますけれども、こうした観点に立って、いわゆる今金融庁としては消費者の教育、特に青少年だとか若い人に対する教育も含めまして、金融庁のホームページに金融サービス利用者コーナーを新設をして消費者に対する各種の情報を提供しております。あるいは学校における金融経済教育の一層の推進をするために文部省を通じまして協力を要請をしているような問題もございます。  できればこのホームページをごらんいただければと思うんでありますが、例えば、中学校や高校を対象とした副教材において、金融関係の消費者問題として多重債務あるいはやみ金融等々の問題も取り上げておりまして、カード使用やあるいは借金に当たって等本当に必要な借入れかどうか、あるいは自分の収入から見てきちんと返済ができるかどうか、あるいは借り入れた利子が幾らになっているかということを十分に把握をしてからでないと借りてはいけないよと、こういうようなものを指定をしながら副教材としてこれらを来年から各中学、高校に対して配付をして、そしてそれをもう更に徹底をしていかなければならないと、こういうふうに考えております。  また、現在作成中の高等学校向けパンフレットにおいてもクレジットあるいはローンに関する仕組みについて記載をするようなことも検討いたしておるところでございます。
  171. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非、中学、高校もそうですけれども、小学校のころからもうほとんど刷り込まれて、頭の中にその音楽とともにその企業名がもう何か肉化してしまっているという問題もあると思いますので、小学校からも是非検討していただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  172. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  本題に入る前に谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、今日の夕刊ごらんになりましたですか。見ていないですよね、当然ですね。私も今投げ込んでもらって見たんですけれども、午前中の愛知委員との質疑の中の答弁で、もう日経新聞一面で書いておりますけれども、谷垣財務相が消費税増税の時期を初めて明示したというような書き方されております。  私も午前中聞いていて、えっと思ったのは、あれはっきりと時期を言われたのかどうかというふうに聞いていたんですけれども、各紙一面で取り上げておりますので、少しその確認の意味で。こういうふうにおっしゃった、正確に、私も耳で聞いたときには二〇〇七年度というのが残っただけなんですけれども、正確にはこう言われたということで、二〇〇五年度、二〇〇六年度は所得税の見直しをやると。つまり、定率減税のことを想定されていると思うんですけれども、そして二〇〇七年度、つまり二〇〇七年の四月一日からという意味になりますけれども、消費税増税をお願いする形で議論をしていかなければいけないと。この文言が初めて引上げ時期について明示をしたことになるというふうに報道しているわけですね。  私も総理に伺ったことはありますけれども、総理は、まあ任期中には議論はしてくれと。任期中は上げないということで、いつからという時期は明示されたことは私が記憶する限り一度もないと思います。  そういう点では総理の考えよりも踏み込んだ発言をされたのかどうか、確認の意味でちょっとコメントお願いします。
  173. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も午前中の、夕刊は読んでおりませんけれども、ファクス等で流れているのを読みまして、こういう趣旨で言ったわけでは必ずしもないんだけれどもなと思いながら議事録をもう一回読んでみたわけであります。  今、大門委員がおっしゃったように申しておりますけれども、ややミスリーディングな言い方だったかなと思いますのは、私の真意は、昨年の与党あるいは与党税調と、それから、与党税調の御議論の中でありましたが、平成十七年、十八年度は所得税を議論して、所得税体系を見直していくと、それから、それまでに社会保障等どういう負担をしたらいいか議論をしていって、平成十九年度をめどに消費税を含んで租税改革をやっていくということを申し上げたつもりであります。  そのときに、じゃそのとき消費税を含んで税制改革をやっていただくというときに、まあいろんなものが含まれると思いますが、時期をどうするかというようなことはこれからの議論だというふうに思っております。
  174. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうすると、午前中私も聞いていた二〇〇七年度からお願いしたいというのは言い間違ったということですか。
  175. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 言い間違ったといいますか、やはりそのときに、平成十九年度からスタート、実際にその導入する時期はいつかは別として、そのときまでにやはり税制改革消費税を含む税制改革をまとめて動き出すような形にしたいと思って、これは私の意欲を含んだ表現でございますけれども、そのときに、じゃ法律は例えば提出させていただきましても、実施時期がいつになるかどうかというようなことは、もう少し全体の経済情勢とか、いろんなこれからの議論を踏まえていかなければならないと思っております。
  176. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、ちょっとこの機会に、本題に入る前なんですけれども、幾つかお聞きしたいと思うんですけれども、今意欲がというふうな表現されましたけれども、景気、総理は、私、予算委員会でお伺いしたときに、自分の任期中はという意味で言われると、経済成長が三%ぐらいになるまで回復をしたいと、そういう意味では、裏返せばそういう、それぐらいの経済環境にならないと消費税は難しいというふうなことも含まれていたというような気がしますし、竹中大臣も景気の状況を見ながら時期は考えていくということを繰り返しておっしゃっていると思うんです。  谷垣大臣にこのことをお伺いするのは初めてだと思いますが、私は、その前に定率減税の見直しをやると、で、連続して消費税増税とすると、消費税の税率アップ何%になるか、想定されているか、まだ決まってないと思うんですけれども、いずれにせよ数兆円から場合によっては八兆円、九兆円レベルの負担増が三、四年の間にかぶさると。  ですから、今の景気の状況をどう見るかということもありますけれども、私は今の景気の状況は、家計といいますか、経済の六割占める家計でいえば、正にまだ足踏み状態というところだと思うんですね。これが二、三年後に急に良くなるとは思えませんし、仮に少し良くなっても、連続して三、四年で八兆円の負担を掛ければ、九七年の例もありますけれども、かなりまた景気が、仮にそのとき上向いていてもかなりまた下降に下るんじゃないかと。ですから、よほど見極めないとね。  もちろん、日本共産党と与党の皆さんとは消費税に対する考え方違います。私たちはそもそも税制として余り良くない税金だと思っておりますけれども、それをちょっとおいておいたとしても、景気のことだけ考えても、かなり慎重に考えないと、消費税増税というのはかえって悪循環を招くといいますか、今国内の景気が悪いのは地域で物が売れないからですよね。地域で物が売れないのは、やっぱり家計が余り良くなっていないから、収入が良くなっていませんね。  だから、家計が良くならないと地域の経済、地域の中小企業も良くなりませんから、国内が、今地域経済が冷え込んでいるわけですね。そういうところは良くならないのに、もしそういうことをやるとまた悪くなると。巡り巡って国の税収が、所得税、法人税も良くならないから悪循環になっていく。そういう危険性があるので、景気の状況はよっぽど見極めないと、そういう議論といいますか、そういう方向さえ疑問に思っているところでございます。  そういう点で谷垣大臣に基本的にお伺いしたいんですけれども、景気が良くならないで、それでも消費税を、まあ財務省財務省の、財務当局のいろんな理由があるかも分かりませんけれども、景気の状況とかかわりなくやはり消費税はどこかで上げるという、先ほど言われた意欲みたいなことが少し感じられるんですが、その辺はいかがでしょうか。
  177. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは消費税に限りませんで、その前の所得税をどう見ていくかというところもそうでありますけれども、景気の回復の動向をどう見ていくかということは、委員のおっしゃるように、これはやはりよく見極めながら、一番議論をしなければならないところの一つだと思っております。  それで、まだここから先の、随分先の景気まで全部判断する能力は私にはございませんけれども、現在、例えば所得税体系なんかを見直す、あるいはそういう中で定率減税はどうだというような議論が起こりつつあるわけでございますけれども、それに関しては、私は、何というんでしょうか、あれを入れたのは平成十一年だったと思いますけれども、当時の経済状況とは相当変わってきていると。  一つは、バブルの言わば後遺症といいますか、不良債権処理に足を取られて、多少景気が良くなってきても、どうもすぐしぼんでしまうというような状況はほぼほぼ乗り越えつつあるんじゃないかなというふうに思っておりますのと、確かにまだ景気回復もいろいろ懸念すべき点はたくさんございます。業種による違いとか、あるいは地域によるばらつき、それから更に言えば、じゃ原油高はどうなるかとか、まあいろいろなことがあるわけでございますけれども、総じて言えば、民需主導で堅調な歩みではないかというふうに思っておりますが、ここはもう少しこれからきちっと景気の回復の状況をよく議論をしながら話を進めていくべきことだろうと思います。
  178. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、申し上げているのは、景気一般ではないんです。企業とかあれこれじゃないんです。原油とか何かじゃないんです。家計そのものなんです。  定率減税も消費税も直撃するのは家計です。それぞれの家計ですね。もうわざわざ言うことありませんけれども、それが経済全体の六、七割占めているし、地域経済とかあるいは国内の経済そのものがどうなるかのかぎを握っているわけですね。消費がかぎを握っているというのは再三竹中大臣も言われているわけですね。それについて今申し上げているわけで、それが、まず定率減税の縮小なり廃止なり見直しをやっていくと。これで何兆円かかぶると。更に消費税と。このスケジュールですね、これは相当無理があると。今よっぽど良くなっていれば、まあ皆さんの理屈、私たちそう思いませんけれども、与党の理屈も成り立つかも分かりませんけれども。こんな悪いときに更にかぶせて、更に消費税というこのスケジュールそのものがやっぱり相当無理がある話だなというふうに思っているんですね。  そういう点でいきますと、あれこれじゃなくて、家計の状況なんです。家計でいえば、バブルのときに比べたら悪くなっています。バブルの後に、九七年に比べたら悪くなっています。九〇年代半ばから比べると相当悪くなっています、家計というのは。雇用所得にしろ家計収入にしても、消費水準も悪くなっています。だから、悪くなっているんです、今。バブルの後よりも悪くなっていると、家計でいえばですよ。そういうときに、更にそういうスケジュールでかぶせていくと。  これは相当無理があるという前提で今お話ししているわけですけれども、その家計が今の状況のままだったら、消費税増税は無理だとお考えですか。
  179. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 大門委員が、あるいは共産党のお考えとして、家計の状況に非常に重点を置いて見ておられるのはよく承知しております。ただ、私は、一般じゃないんだ、家計だとおっしゃいましたけれども、この問題はかなり幅広く見ていく必要があるんではないかと思うんですね。  ちょっと大門委員の論点をそらしてしまうようですが、例えば、じゃ年金なんかはどうなるのだというようなことになりまして、年金の将来が不安だということになれば、やはりなかなか消費マインドも良くならないし、家計の不安も付きまとうということになってくるんではないかと。そういうところにしっかりした財源を持っていって、そこが安心だということになるとまた変わってくるという面もあるのではないかと思いますので、私はそういう総合的にやはり見る必要があるだろうと思っております。  私は何も家計消費の動向を、あるいは家計の収入の動向を全く無視して、それ行けどんどんというふうに考えているわけではありませんで、それも一つの大事な要素だと思いますけれども、総合的に見る必要があるんではないかというふうに思っております。
  180. 大門実紀史

    大門実紀史君 家計に注目しているのは別に我が党だけではございません。今、どのエコノミストも問題は消費、家計消費、消費の動向だ、家計だということは言っているわけですね。それが、これから本格的に景気が良くなるか、国内経済良くなるかのかぎだということは大体おしなべて皆さんおっしゃられている。ですから、そこに今注目してお話ししているわけですね。  ですから、財源論だとか、いろんな話になるとまた立場が違うところになってしまいますけれども、私はあくまで景気と消費税との関係で御質問しているわけですが、そうすると、家計がこれ今より余り良くならなくても、ほかのことが良くなると思えませんけれども、家計が良くならなくても、消費税、二〇〇七年度ぐらいから導入するという、先ほど意欲というか、ちょっと決意が見えたのか財務省の本音が見えたのか分かりませんけれども、その辺の、もう景気が良くならなくてもやっちゃうというようなことはあるんですか。
  181. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 景気が良くならなくても、家計がどうあろうとやっちゃうというような意欲をまだ示したつもりはございません。やはりその辺りは注意深く見ながら判断していく必要があると思っております。  ただ、ここもまた、また一言申し上げますと、今日、大門委員が御質問されようとしている本題に入れなくなっちゃうかもしれませんが、私は、企業部門の、何というんでしょうか、が堅調に回復していることが今徐々に家計等にも及びつつある状況ではないかなというふうに思っておりますので、そこもあるいは大門委員考え方が違う点かもしれません。
  182. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう本当、そうですね、本題に入れなくなりますんで。  ただ、一言だけ申し上げておきますと、企業部門が家計に結び付けば何も申し上げることはないんですが、この間、結び付いていないんで予算委員会でもいろんな議論をさしてもらっているということと、景気の動向を十分配慮した上でいろんな議論をされるべきだということでございます。  もう一つ、本題に入る前に用意していたことがあるんで、どうしてもお伺いしなきゃいけないことなんですけれども、災害対策の関係です。  災害対策の財政措置で補正を組むということも考慮に入れておられるということですが、私、この間、災害の各地調査して、自治体の皆さんと、市長さんや町長さんとお話しするんですけれども、具体的にいろいろ要望が国に対して出てくるんですけれども、今度補正組むとしても、こうならないでほしいなと。もちろん、国がやるべき災害対策の事業、これはもちろん手厚く頑張ってもらいたい。ただ、市町村、自治体レベルが手当てしなきゃいけないことも一杯あるんですね、災害対策というのは。その点で首長さんが異口同音に言われるのは、思い切って、災害を受けた、被災された皆さんにいろいろなことをやりたいと。そのときに、財政が余りないものですから、後で交付税措置をちゃんとしてくれるという、そういう枠組みができれば思い切って住民のためにいろいろやれるんだということを、首長さん、いろいろ言われるわけですね。  そういう点では、今度の補正組まれるときに是非お願いしたいのは、国の事業を補正で厚くするだけじゃなくて、市町村がやることについても手厚くできるように、まあ交付税措置になると思いますが、その辺を手厚くできるようなことも補正に是非盛り込んでいただきたいと思うんですけれども、お考えあれば。
  183. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは被害がどういう現状なのかもう少し把握しませんといけないと思いますが、今おっしゃったような論点は、一つ激甚災害等の制度をどう使っていくかということがあると思いますし、もう一つは特別交付税のようなものをどう使うかというようなことがあると思うんです。それをどうしていくかはもう少し被害中身をよく掌握してから我々も議論したいと思っております。
  184. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、その地方の問題を是非お願いします。  もう残り時間がありませんので、具体的な、本題の具体的なことは次回やらしてもらいます。厚生労働省、ごめんなさい、来てもらって。  大臣にだけ基本的な考え、お伺いしたいと思いますけれども、今日取り上げたかったのは、この間、私、ずっと社会福祉事業に掛かっている消費税の問題を取り上げてまいりました。例えば無認可保育所の問題ですね。今日は実は障害者の方々が社会復帰のために働いておられる授産施設のことについて取り上げようと思ったんですが、時間ないんで中身は次回にいたしますが、基本的な考え方、伺いたいんですけれども、社会福祉事業というのはそもそも公共性がある、非営利だということで消費税から元々原則的に外されているものなんですが、そういうものが幾つかの、部分的に課税になったりしているんですね。これが、次回、問題点明らかにしたいと思いますが、要するに矛盾をいろいろ生んでおります。  私、消費税増税云々する前に、まず社会保障事業にまで消費税が掛けられていると、そういう、例えばそれをそのまま、これ消費税二けたになるとかヨーロッパ並みになるとかなったら、これとんでもない、違う話になってしまうわけですね。  そういう点からいって、その社会福祉事業に対して掛かっている消費税幾つかあるんですけれども、一度総合的に研究していただいて、検討してもらいたいというふうに思うんですけれども、具体的に言えば、この前の無認可保育所のことを一度大臣にも御答弁いただいて、今検討していただいていますけれども、あれは厚生労働省頑張ってくれて、そうしなきゃということで努力してもらっていますけれども、まだそういう問題が残っております。  そういう社会福祉事業はやっぱり消費税にそぐわないということで元々非課税になっていたわけですから、そういう今掛かっているものについてちょっと研究をしてもらって、検討してもらいたいというふうにお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  185. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この間以来、ずっとその問題を大門委員が追及されているわけですが、こういう、ちょっと今の御質問の機会をおかりして、こう言ってしまうとちょっと刺激的かもしれませんが、やはり今後消費税をどうしていくかということを考えて、先ほど平成十九年度目途にというようなことをちょっと申し上げたわけですが、そういう中で、やはり社会福祉事業や社会保障、社会福祉等をどう見ていくかというのは消費税全体を見直していく中でも一つのテーマなんじゃないかなと私は感じておりますので、まだ、あらかじめ結論を持っているわけではありませんけれども、頭に置いて少しよく考えてみたいと思っております。
  186. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  187. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 去る七月の選挙で初めて参議院に参りました沖縄選挙区の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  これまで県議会に十二年おりましたが、やはり国会と県議会とは違います。参議院の常識には疎いところもあろうかと思いますが、新人に免じて御容赦をお願いしたいと思います。  さて、質問も今回が初めてですが、今日は深く専門的な質疑というよりも、谷垣大臣の政治姿勢をお伺いして、今後の国会活動の参考にさせていただきます。そこで、幅広く御見解をお伺いしますために一つでも多くの質問を行いたいと思いますので、どうぞ簡潔な御答弁をよろしくお願いしたいと思います。  まず、一昨日の財務大臣委員会での演説を伺っていますと、お尋ねしたいことは山ほどございます。例えば来年度の予算編成方針の問題やあるいは税制改革と多々ありますが、時間が限られておりますので、今回は大臣の経済財政運営に関する基本的な考え方の中から三位一体改革に絞って、地方の視点、とりわけ沖縄の視点から幾つかお尋ねしたいと思います。  まず、三位一体についてなんですが、この三位一体改革のねらいとしては二つあるとおっしゃっていますね。一つ地方でできることは地方で、もう一つは国、地方を通したスリム化だとおっしゃいますけれども、地方でできることは地方でと申しますと、権限もそれから財源も与えると言われても、現在全国各地で知事や市町村長さんたちは大騒ぎをしています。  財務大臣の立場で見て、この騒動はどこに原因があり、そしてどのような対応が必要だとお考えになるのか、まずお伺いいたします。
  188. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 地方でできるものは地方でというふうなことは、地方の自主性を拡大していくというのは地方自治の本旨に沿ったことで、そういう議論がずっと行われてきたということは当然のことだろうと思います。  じゃ、それをやっていくにもお金が要るということになりまして、結局、その金が潤沢にあるときは余り問題は生じなかったんだろうと思います。国、地方とも余りそのお金がないという中でこういう議論が起きてきましたのは、一番切実に感じるところにその乏しい資金は回していった方がより効率的に使えるじゃないかという視点がやっぱりあるんだろうと思います。それで、国が後ろで糸を引くよりも、地方にお渡ししてやっていただいた方がいいものはお渡ししようという発想が確実に今度の考え方の中にはあるんだろうと思います。  しかし、他方、そのお渡しするものも、これも乱暴に言ってしまえば、国が今まで補助金で出していたものは、租税で賄っているものはあらあら言えば半分しかないわけでございますから、お譲りできる財源も半分しか、二分の一しかありませんよと、こう申し上げたら、これは多分地方は悲鳴を上げられるだろうと思います。一〇〇%全部お譲りしますということになれば、国に残るのは借金で賄ってきた部分だけ残るということで、国も苦しくなってしまう。結局、どこで折り合いを付けるかというのでお互いに非常に苦しい作業があるわけでございます。それがスリム化ということで、スリム化をしなければならないというのはそういうことだろうと私は思っております。
  189. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今三位一体のことで伺ったわけですが、沖縄振興策の中で、この三位一体改革の総論部分で、今もおっしゃいましたが、地方でできることは地方でということにはもちろん反対いたしませんが、しかし、その改革による影響といいますか、各地方公共団体で異なることから、それぞれの地域の特殊事情に配慮すべきとの声もあるわけです。  谷垣大臣は、沖縄のその特殊事情といいますか、どのように認識をされているのか、御所見をお伺いいたします。
  190. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 沖縄出身の糸数議員にこれが沖縄の特殊性だというふうに申し上げるのはちょっと恥ずかしゅうございますが、どうしてあの沖縄特措法のようなものが制定されているのかということを考えますと、当然その背景になる理由があろうかと思います。  一つは、やはり沖縄の置かれている歴史的な、これはもうずっと昔のことは申し上げなくても、いわゆる沖縄戦であるとか、あるいは戦後長きにわたって我が国の施政権の下になかったというようなことが、歴史的事情があると思いますし、それから、ほかの都道府県は多くの場合に四つの島の中で大体コンパクトにまとまっている場合が多いわけですが、沖縄の場合は非常にあの広い海の中で島ででき上がっているというような地理的な特徴もあるのではないかなと思います。  それから、日本は大体温帯と言っていいんでしょうけれども、亜熱帯というところにあるというようなこともあるのではないかなと思いますし、更に申し上げれば、非常に基地が多いというような社会的な面もあって、そういう中でそういう沖縄の事情を考えた場合にどういう措置が取れるかということで特措法みたいなものができ上がっているんじゃないかというふうに考えております。
  191. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今大臣の御答弁の中にも沖縄県の特殊事情あったわけですが、今日のこの三位一体改革が進められる中において、それが克服されて、一日も早く本土並みの政治及び社会的な生活水準を達成するためには大臣としてどのような手だてが必要であるか、御見解をお伺いいたします。
  192. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先日もこの三位一体に関して国と地方の協議の場がございましたときに、いわゆる六団体の案に対案をお答えになったのは沖縄担当大臣の小池大臣でございますけれども、その席には稲嶺知事もおいででございまして、まだどうその議論を結論を付けていくかということは定かではありませんけれども、おおむねやはり沖縄のさっき申し上げたような特殊性というものをどう配慮し反映していくことができるかという感じであったと思います。それをどう仕組んでいくかはまだこれからの問題でございますけれども、そういうことをこれから煮詰めていかなければならないと思っております。
  193. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 大臣は先ほど沖縄の特殊事情という中でやはり米軍基地のこともお話をされたわけですが、この米軍施設・区域が集中する社会的な事情、そのために政府は今手厚い振興予算を手当てするともずっとおっしゃっていらっしゃいますが、その予算措置をする側の財務大臣としては過去の振興予算は沖縄の自立経済の実現に効果的だと考えていらっしゃいますか。そしてまた、今後もそうした配慮は続けられるのかどうか、お伺いいたします。
  194. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これ、なかなか御答弁が難しゅうございますけれども、沖縄特措法の下で補助率などを高くしてやってきた成果はある程度私は現れてきているのではないかなと思います。  今後に関しては、私はいろいろな重点化とか効率化とかいうものは常にしていかなければならないとは思っておりますけれども、やはり基本的にそういう枠組みがまだしばらく要るんではないかと思っております。
  195. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、この振興策の中とそれから財政改革の中で特に問題とされていくのが沖縄の新基地問題だというふうに思います。  今、沖縄の名護市の辺野古沿岸で、およそ一兆円に近い巨費を投じて、今後約十五年の歳月を掛けて米軍の普天間基地の代替施設を建設する計画が進行中であります。一方、在外米軍再編論議の中で、在沖海兵隊の移転、それからその削減計画検討されていますが、厳しい財政改革の実現を迫られる財務大臣として、この移転、それから削減が検討されている中での新基地建設をどう考えていらっしゃるのか、大臣の率直な御見解をお伺いいたします。
  196. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の普天間の問題については、政府方針というのは、SACOの最終報告であるとか、平成十一年だったと思いますが、閣議決定等がございますので、それに従って沖縄県と、あるいは沖縄の市町村と十分協議しながら取り組んでいくというのが政府の基本方針でございますので、私としてもこの平成十一年の閣議決定等に従って対応していくということであります。
  197. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この件に関してはまた今後是非伺ってまいりたいと思います。  次に、特区構想についてお伺いいたします。特区制度についてお伺いいたします。  今、沖縄には、例えばこの三位一体改革が言われております中で、大臣は、地方の自主、自立につながる真の改革となるためには、地方が活力ある、いわゆる民間主導の自立型経済を構築しなければならないとおっしゃっていらっしゃいます。沖縄県には、以前から、そうした目的のために沖縄振興特別措置法で、先ほどからおっしゃっていらっしゃいますが、三つの特区があります。その一つに沖縄特別自由貿易地域、それから二つ目に情報通信産業特別地区、そして三つ目が金融業務特別地区が設けられていますが、まず大臣にお伺いしたいのは、この名護市の金融特区の現状について、大臣の現状認識をまずお伺いいたします。
  198. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) お答えをいたします。  名護市の金融業務特別地区制度でございますが、これは名護市からの創設に対します非常に強い御要請もございまして、金融業等の企業誘致によりまして本島北部地域の振興と雇用創出を目的といたしまして、先ほどお話がありました沖縄振興特別措置法において初めて設けられた制度でございます。  この制度におきましては、税制上の優遇措置としましても、平成十四年度の税制改正におきまして、様々な特殊事情を考えまして、金融業特別地区における金融業務用の建物等に関する税額控除制度、あるいは金融業務特別地区におけます認定法人の所得の特別控除制度が講じられております。  こうした全国的に例のない特別の制度も作ったところでございますので、今後、こうした制度が企業誘致を促進をして、金融業務等の集積が図られまして、地域経済の振興あるいは雇用の促進に貢献していくものではないかというふうに期待をしているところでございます。
  199. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、名護市の金融特区についていろいろおっしゃっていただきましたけれども、特区固有の優遇措置がある一方で、片や規制緩和も十分ではなくて、現行制度のままではこの所期の目的は難しいとの指摘もございます。それについてはどう考えていらっしゃるのか、その方策も併せてお伺いしたいと思います。
  200. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) この制度が創設をされまして、特に税制上についてはかなり特別な制度も導入されているわけでございます。今後、更にどういうような、更に促進をしていくためにどういうような方策等が考えられるのか、地元の皆様方のまた御意見も伺いながら検討させていただきたいというふうに思っております。  ちなみに、その中で、先ほど法人所得の特別控除制度について、これ地元の方から出ているお話でございますけれども、常時使用する人数が二十人以上であることが認定の要件とされております。こうしたことの緩和などについては意見を伺っているところでありますが、やはりこれは雇用の創出ということがこの最大の目的だろうというふうに思っております。特に金融業の場合にはビジネスはあるけれどもなかなか実際に雇用の創出につながらないというような業務形態もあるものですから、こうした制度が設けられております。  いずれにしても、この制度が期待されているような効果が上がるような方向で更に検討を進めたいというふうに思います。
  201. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今お答えをいただきましたけれども、実際には、この規制緩和の縛りの中で、やはり二十人以上の雇用でなければ成り立たないということから、まだスタートして二年半たった現在におきましてもやはり希望の企業は一社だけという、そういうこともございます。キャプティブの保険に関することもいろいろ縛りがありまして、なかなか特区はできても先に進んでいないという地元の実情もございますので、是非この点に関しましては、地元名護市との御相談なども含めて、あわせて、是非、せっかくできた特区をやはりこの地域の経済の自主、自立につながるような、そういう中身にしていただきますように強く要望申し上げたいと思います。  次に、沖縄に関しまして、先ほど大臣の方からもやはり沖縄戦という特殊事情があるということをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、沖縄には戦後処理問題というのがかなりまだ残っております。例えば不発弾の処理問題などもございますし、これから私が質問させていただきますことは実は旧軍飛行場用地の問題であります。  来年で戦後六十年になりますが、沖縄には戦時中の未処理問題が六十年たった現在も残っておりまして、その一つに先ほど申し上げました旧日本軍飛行場用地問題がございます。この用地問題の多くが歴史的な経緯で現在国有財産として財務省の所管になっておりますが、この問題についての谷垣財務大臣のまず御認識をお伺いしたいと思います。
  202. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) ただいまの御質問についてお答えいたします。  今委員から御指摘がありました旧軍飛行場跡地、これについては、これまで訴訟等も含めて様々な運動があったということは十分承知をいたしております。ただ、その中で、これらの跡地については、これまでも米軍から返還をされた場合には、どういうふうに使われたかというのはもう委員の方が御承知かと思いますけれども、那覇空港等に活用するといった例もございます。沖縄の振興のために有効に活用するということにされているわけでございます。  今後とも、基地の返還等に伴って跡地利用が可能となった場合には、沖縄の振興にとって貴重な財産でもございますので、従来と同様に、地元の要望等も十分に聞きながら、沖縄振興特別措置法を始めといたしますそうした法律にのっとりまして、適切にまた有効に活用していきたいというふうに考えております。
  203. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、旧軍飛行場用地の問題の中で、例えば県内には五つの地主のグループがございますけれども、その中でも、例えば小禄地区、それから嘉手納地区、あるいは宮古、石垣、読谷と、幾つもございます。一緒にグループを組んで、この旧地主の皆さんが集まりまして、この飛行場問題、どうしても戦後処理の未処理案件の大きな課題として解決していただきたいということで、政府の方でもこれを認めてくださいまして、新振計の中に位置付けられたわけなんですが、その中でも、特にこの旧軍飛行場用地の代表的な事案であります読谷補助飛行場の問題でございますが、これ、戦後六十年の節目の来年に当たりまして、防衛施設庁から返還が予定されております。この米軍用地の跡地の返還がやはり旧軍飛行場用地問題の解決の絶好のチャンスであると思っているわけですが、この事案に対する財務省の基本姿勢をお伺いしたいと思います。
  204. 上田勇

    ○副大臣上田勇君) 今委員から御指摘がありましたように、旧読谷飛行場跡地につきましては来年の五月末までに米軍から日本の方に返還されるものというふうに承知をしております。  この財産につきましては、地元読谷村の方からも是非取得したいというふうな意向も伺っておるところでございまして、同村の方から正式に利用計画などが提出されれば、関係法令に沿いまして有効な活用を極力図っていきたいというふうに考えております。
  205. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間もありませんので、もう終わりにいたしますけれども、実はこの旧軍飛行場用地の問題なんですが、去る大戦のときに取り上げられた土地、もちろん国の立場はいろいろあろうかと思いますが、やはり地主の皆さんはもうかなり御高齢でございます。この問題の解決を見ずに亡くなった多くの地主もいらっしゃるわけで、今、それこそ二代目、三代目の方々が一緒になってこの運動に取り組んでいらっしゃいます。  是非とも、今の御答弁いただきましたように、来年の五月には防衛施設庁からの返還が予定されているということで、私たち県民としましては、やはり県民の財産として自分たちの土地は是非とも自分たちで使っていきたいという立場でこれまでも運動してまいりましたが、このことが今このような形で解決をしていくということは大変喜ばしいことでございますし、また国におかれましてもそういう形で対応してくださるということに敬意を表しながら、まだまだ沖縄にとりましてはやはり戦後の未処理問題が残っております。  先ほども申し上げました不発弾の問題なども、先週、私がこちらに伺う前に、那覇市内のすぐ近くでそれこそ避難の命令が出まして、二時間ほど自分の家にも帰れないという実態がございます。そういう中で、また新たな基地問題が浮上するような、そういう特殊な地域でございますが、先ほど大臣もお答えになられましたように、やはり三位一体改革の中で、それこそ地方でできることは地方でということをおっしゃりながら、また地方の自立のためにはという、その三位一体改革の矛盾点などもございます。  しかし、地方の自立をしていくための予算配分と申しましょうか、そういうことに関しましては是非ともあらゆる角度から御検討をしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  206. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  207. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 次に、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。福井日本銀行総裁
  208. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 日本銀行福井でございます。  日本銀行は、去る六月でございますが、平成十五年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出させていただきました。本日、日本銀行金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいし、厚く御礼を申し上げます。  最初に、最近の経済金融情勢について御説明申し上げます。  我が国の景気は回復を続けております。その背景について御説明申し上げますと、世界経済は、これまでの高めの成長から幾分速度を落としつつも拡大を続けております。米国では、原油価格上昇の影響などから個人消費が減速しておりますほか、雇用拡大のテンポも春先に比べれば鈍化しております。しかしながら、企業収益や設備投資は増加を続けておりまして、景気拡大のモメンタムは維持されているものと見られます。また、東アジア経済も、中国を中心になお高めの成長を続けております。  こうした世界経済の下で、我が国の輸出や生産は伸びがやや鈍化しつつも増加傾向を続けておりまして、これが企業収益の好転をもたらし、設備投資の拡大を促しております。こうした前向きの循環が働いていることが今回の景気回復の一つの背景でございます。  また、企業の過剰投資、過剰債務、過剰雇用や金融システムの脆弱性といった、これまで我が国経済の回復を遅らせてきた構造的な要因の調整がかなり進んできていることが景気回復の二つ目の背景として挙げられると思います。そうした調整が進展している成果といたしまして、企業収益は大きく増加しておりますし、雇用面の改善傾向も続いております。  先行きにつきましては、原油価格の高騰が内外経済に与える影響や世界的なIT関連需要の動向などに留意していく必要はございますが、世界経済が拡大を続け、我が国でも構造的な調整圧力が和らいでいく下で、景気は回復を続けるものと見ております。  次に、物価の面について見ますと、国内企業物価は、原油を始めとする内外の商品市況高あるいは需給バランスの改善ということを反映して上昇しております。一方、消費者物価、特に生鮮食品を除く全国の消費者物価は、企業部門における生産性の向上や人件費の抑制などが商品市況等の上昇の影響を吸収する効果もございまして、小幅の下落を続けております。  金融面では、日本銀行の潤沢な資金供給の下で、金融市場は総じて落ち着いた状況が続いております。資本市場では、長期金利は年半ばにかけて幾分上昇いたしましたが、このところは一%台半ばで推移しております。また、株価は、景気が回復を続ける下で、総じて底堅く推移している状況でございます。  企業金融をめぐる環境も、信用力の低い企業についてはなお厳しい状況にございますが、全体として見れば、緩和される方向にございます。民間銀行の貸出し姿勢は緩和してきておりまして、企業の方から見た民間銀行の貸出し態度も引き続き改善しております。また、民間の資金需要は減少テンポが幾分緩やかになってきております。こうした下で、民間銀行の貸出しは減少幅の縮小が基調として続いております。さらに、CP、社債といった資本市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いておりまして、CP、社債の発行残高は前年を上回って推移しております。  次に、最近の金融政策の運営について申し述べさせていただきたいと思います。  日本銀行は、現在、日銀当座預金残高という量を操作目標として金融緩和政策を実施いたしております。具体的には、三十兆円から三十五兆円程度という目標値の下で金融市場に潤沢な資金供給を行っております。また、この金融緩和政策を消費者物価、生鮮食品を除く全国ベースの消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続する、そういう約束をしております。  以上のような約束は、先行きの金利予想、ひいては市場金利を安定させる効果がございまして、その下で企業にとっては引き続き低利での資金調達が可能となる環境が整えられております。このような金利を通じた景気支援効果は、景気が回復し企業収益が改善する状況においてより強まっていくと考えられるところでございます。  こうした政策の効果を念頭に置いて、日本銀行は、消費者物価指数に基づく約束に従って量的緩和政策を堅持いたしております。  加えまして、日本銀行は、金融緩和の効果を経済に幅広く浸透させるため、市場を通じる資金仲介の多様化、効率化にも取り組んでおります。このことは、長期的には金融資本市場の整備につながっていくと期待されるところでございます。その一環として、昨年夏場から資産担保証券の買入れを開始し、これまでに累計で約一兆五千億円の買入れを実施いたしております。  さらに、今年の五月から、国債市場の流動性向上という観点から、市場で不足する国債の銘柄について、日本銀行が保有する国債を補完的に市場に供給する制度を実施しております。  このように、日本銀行は、幅広く金融資本市場の整備に資する取組を進めておりまして、今後ともそうした努力を更に続けていきたいと考えております。  なお、日本銀行は、株価の変動が金融機関経営、ひいては金融システム全般に及ぼすリスクを緩和する趣旨から、銀行保有株式の買入れを行ってまいりましたが、本措置については、本年九月末をもって終了いたしました。この間の買入れ額は二兆百八十億円に上っております。  日本経済は、世界経済が拡大を続ける下で今後も回復を続けていくものと予想されます。これを持続的な成長とデフレ克服の実現につなげていくためには、引き続き幅広い経済主体の経済活性化に向けた取組が重要だと考えております。  日本銀行といたしましては、景気が回復を続ける中にあっても、消費者物価指数を基準とする約束に沿って粘り強く金融緩和を続けることで日本経済を金融面からしっかりと支援してまいる、そういう覚悟でございます。  御清聴ありがとうございました。
  209. 浅尾慶一郎

    委員長浅尾慶一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会