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2004-11-10 第161回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十一月十日(水曜日)    午前十一時三分開会     ─────────────    委員の異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     山内 俊夫君  十月二十八日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     三浦 一水君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         風間  昶君     理 事                 岩城 光英君                 大仁田 厚君                 小林  元君                 高橋 千秋君     委 員                 岩永 浩美君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 田村 公平君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 足立 信也君                 芝  博一君                 那谷屋正義君                 水岡 俊一君                 森 ゆうこ君                 山本 香苗君                 仁比 聡平君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        村田 吉隆君    副大臣        内閣府副大臣   林田  彪君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣府政策統括        官        柴田 高博君        防衛庁長官官房        審議官      伊藤  隆君        防衛庁人事教育        局長       西川 徹矢君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省総合通信        基盤局長     有冨寛一郎君        消防庁長官    林  省吾君        文部科学大臣官        房審議官     山中 伸一君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     尾山眞之助君        厚生労働省職業        安定局次長    大石  明君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        農林水産省農村        振興局整備部長  南部 明弘君        水産庁漁港漁場        整備部長     田中 潤兒君        経済産業大臣官        房地域中小企業        対策統括官    服部 和良君        国土交通省都市        ・地域整備局長  竹歳  誠君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        気象庁長官    長坂 昂一君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君    参考人        豊岡市長     中貝 宗治君        東京大学大学院        情報学環学際        情報学府教授   廣井  脩君        特定営利活動        法人レスキュー        ストックヤード        代表理事     栗田 暢之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風第二十三号等による風水害対策に関する  件)  (派遣委員の報告) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 風間昶

    委員長風間昶君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、台風第二十三号等による風水害対策に関する件について、本日の委員会豊岡市長貝宗治君、東京大学大学院情報学環学際情報学府教授廣井脩君及び特定営利活動法人レスキューストックヤード代表理事栗田暢之君、以上を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 風間昶

    委員長風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、災害対策樹立に関する調査のうち、新潟中越地震災害対策に関する件につきまして、次回の委員会参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 風間昶

    委員長風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 風間昶

    委員長風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 風間昶

    委員長風間昶君) 災害対策樹立に関する調査のうち、台風第二十三号等による風水害対策に関する件を議題とし、参考人から御意見を承ることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  本年は、観測史上最多の十個もの台風日本列島に上陸して、七月の梅雨前線による豪雨、超大型の台風第二十三号等、本年の風水害による被害は、死者二百人以上、負傷者二千五百人以上に及び、一部損壊を含む家屋の倒壊は七万四千棟を超え、床上床下浸水は十六万五千件に達するなど、極めて憂慮すべき事態を招いております。  本委員会は、これらの災害被災地である新潟県、福井県、三重県及び岡山県を訪れさせていただき、被害状況調査するとともに、現地要望を伺ってまいりました。現地では、土砂災害洪水被害等の惨状を目の当たりにして、風水害による被害の悲惨さを再認識し、迅速かつ適切な対策必要性を痛感した次第であります。  そこで、本日は参考人方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について御説明いたします。  最初に中貝参考人、続きまして廣井参考人、そして栗田参考人の順序でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、まず中貝参考人からお願いいたします。中貝参考人
  7. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) おはようございます。  貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。心は被災地にという思いがございまして、防災服を着ていることをお許しをいただきたいと思います。  今回の台風二十三号は、実は、今、豊岡に生きている人、百歳を超える人も含めて、かつてだれも経験したことのない大量の水を円山川に流し込みました。  お手元資料の三ページに豊岡を襲いました過去大きな台風円山川水位のグラフをお示しいたしておりますが、市民に記憶の新しい平成二年の台風十九号、それから昭和三十四年の伊勢湾台風をはるかに上回る水が円山川に流れ込みました。計画高水位八・一六メートルですが、これを上回っております。つまり百年確率を上回る水が一気に流れ込んだ、これが今回の台風でございます。これによりまして、私の方の発言内容のペーパーの一番上に書いておりますが、豊岡市の被害状況でございます。死者一名、それから床上浸水三千八百五十二棟、床下四千三百七十四棟等々の被害を引き起こしました。  で、堤防決壊ばかりがテレビで映るわけでありますが、実は豊岡が今回水害を受けましたメカニズムは大きく二つございます。一つは内水位上昇、もう一つ堤防決壊です。  参考資料の方の四ページに簡単な絵をかいておりますが、円山川本流が増水をいたしますと、支流に逆流をして水害を引き起こすおそれがありますので、本流支流との間の水門を閉めます。そうしますと支流の水は流れを、行き場を失いますので、これをポンプで強制的に支流から本流にかい出します。しかし、今回は本流水位上昇が余りにも速かったために、これ以上支流の水をかい出すと危険である、こういうことで、事前のルールに従いましてポンプを止めました。当然のことながら、内水は行き場を失って急激に上昇いたします。それでまず豊岡は水浸しになりました。そして、その上に本川の堤防決壊をして濁流が襲った。これは円山川左岸右岸側とも全く同じメカニズムになっております。  で、これまでの対策でございます。  まずは避難所の開設。そこに書いておりますけれども、最大で三千七百五十三名の方が避難所におられましたが、これは八日現在で五十一世帯、百九人まで減ってまいりました。そこに書いておりますが、括弧の二ですが、消防あるいは自衛隊の支援もいただきまして、八百九十九名の水に孤立した方々救助が行われました。  ところが、その後はごみとの闘いでした。豊岡市の二年分のごみに相当する四万三千五百トンのごみが出てまいりました。しかし、これは本当はごみではありません。人々の愛着や思い出のこもった家具でありますとかあるいはアルバムといった、そういったものが言わばごみとして出ざるを得なかった、情けなさと悲しみの交じったごみでありました。これを、他の自治体応援やたくさんのボランティアの御支援をいただきまして、とにもかくにも仮置場に今移したところでございます。市民の目の前からごみはまずは消えました。  それから次に、応急仮設住宅、これは民間住宅の借り上げで対応いたしておりますが、災害救助法適用に基づきまして、今そちらに入っていただく作業をいたしているところでございます。八日現在で三十七世帯の方に提供をいたしたところでありますが、今、更に引き続きこの作業をいたしております。  今後の課題です。私の発言要旨の方の二ページをごらんいただきたいのですが、まず災害ごみ最終処分です。四万三千五百トンのごみを、まだ残っていた工業団地の一角に運びました。これを最終的に処分をしなければなりません。しかし、私たちの自前の処理場の余力は、日々のごみ処理をいたしますとわずか四十トンしか残されておりませんので、一体いつまでこのごみ処理に時間が掛かるのか分からないという状況があります。この間、不法投棄、火災、悪臭、水質汚染ガス発生などの対策も必要になってまいります。  実は、幾つかの団体、自治体が帰り掛けにごみを持って帰ってくれました。自分のところの処理場処分をしてやろうと。ここまで私たちも実は思いが至りませんでした。そこで、これは被災地からの提案でありますが、これからの日本の国における災害応援協定ひな形として、標準として、これは処理費もあらかじめ決める必要があると思いますが、自治体が少しずつでも帰りに持って帰って処理をしていただくことになれば、後の復旧が相当早いのではないのか、このように考えておりまして、これは是非県レベルがいいのか国レベルがいいのか分かりませんけれども、これは被災地の声として提言をさせていただきたいと思います。  それから、被災者生活再建も今大きな課題としてなってまいりました。生活再建支援法は、実は水害は軽く被害が評価されがちだということがございましたが、幸い、先ごろ内閣府におきまして弾力的運用の方針が示されました。これによってかなり救われる者が出てくるのではないかと思います。  しかしながら、生活必需品は、大規模半壊の場合にはこの法律適用外です。何とか二階の畳は残った、しかしながらガスこんろ洗濯機炊飯器も冷蔵庫もテレビもみんなやられてしまったと。ほんの少し背中を後押しすれば自分で煮炊きできる方々がおられます。しかし、所得水準が低いために、そこがどうしてもできない方々がおられます。ここへ何らかの手を差し伸べる必要があるのではないかということで、今大変苦慮をいたしておるところです。国におかれましても是非ともの御支援、御検討お願いしたいと思います。  また、今の被災者生活再建支援法は、収入要件等が必ずしも実態に合っていないように思っております。四十五歳以上、つまり中高年は、比較的収入はありましてもローンでありますとか教育費かなりの出費を強いられておりますので、この人たちに対する支援の輪をもう少し広げる必要があるのではないのか、このように考えております。  産業の復興も深刻です。そこに書いておりますが、被害総額が土地、建物を除きまして百六十七億円、市内全域にわたりまして約千八百の中小事業所浸水被害を受けました。豊岡は、かばんの最大産地日本最大産地でありますけれども、ここも、製造機械も商品も材料も壊滅的な打撃を受けました。あと二か月以内に生産が開始されませんとその注文が中国へ逃げるということで、産地の存続がここ二か月の間に懸かっているという大変強い危機感を持っております。私たちも精一杯頑張りますけれども、国の御支援是非お願いしたいと思います。農地の被害かなりのものに上ることが予想されます。  そして、四番目ですが、円山川の抜本的な改修を一刻も早くお願いをしたいと思います。今、国土交通省の方で復旧については全力を挙げていただいておりますけれども、国直轄河川の中で、円山川堤防改修のスピードがほかに比べると速くはないという現実もあります。一刻も早い着手も、あるいは計画お願いをしたいと思います。  さらに、市の財政負担も急激に上がってきております。私は職員に、お金のことは心配するな、市民のためにやれることは何でもやれというふうに言っています。お金のことは私と助役と財政当局で責任を持つとは言っておりますけれども、相当激しいダメージを受けることになります。来年四月、合併を一市五町でいたしまして、自らの財政力を高める努力をしてまいりましたけれども、その努力が短期的には吹き飛ぶような勢いです。是非ともの御支援お願いしたいと思います。  三ページでございますが、危険情報伝達方法の検証、検討は、これも被災地として是非やりたいと思っております。防災行政無線の配備がおおむね終わった後の被災でございまして、市民各戸放送情報を伝えることができました。しかし、放送の伝え方に問題がなかったかどうか、たくさんの反省点がございますので、これはできるだけ早く検証して、全国の皆様に被災地からの教訓としてお届けをしたいと、このように考えております。  それから、国への要望でございますが、激甚災害早期指定等を含みます要望総理大臣以下関係省庁に対してもいたしております。要約はお手元資料の方に添えておりますので、後ほどごらんをいただきたいと思います。  私は、あの阪神・淡路大震災のときにも兵庫県の県会議員で、あの恐ろしい揺れの中にいました。今回またこの水害に遭いました。ボランティア方々、それから自治の仲間である他の市長、国、県にも大変な御支援をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。  いつの時代でも、人々を困難から救うのは希望です。私たちはその希望を失うことなく、市民一丸となって自分の足で立っていけるように努力をしたいと、こういう決意をいたしております。あわせまして、今なお厳しい状況にあります新潟方々や様々な被災に苦しむ各地の方々に、豊岡からも心からのエールを送りたい、そういう気持ちで一杯でございます。  どうもありがとうございました。
  8. 風間昶

    委員長風間昶君) ありがとうございました。  次に、廣井参考人お願いいたします。廣井参考人
  9. 廣井脩

    参考人廣井脩君) 東京大学廣井でございます。  私は、今年の水害一連水害を受けまして国が設けました、集中豪雨時の情報伝達在り方それから高齢者避難支援在り方に関する委員会の座長を務めさせていただいております。それから、旧国土庁防災局時代に、災害被災者住宅再建在り方についての検討会がありましたけれども、その委員長も務めさせていただいております。そういう観点から、それから私見も交えまして、本日は三つのテーマについてお話をさせていただきたいというふうに思っています。一つ情報伝達在り方、それからもう一つ高齢者等避難支援在り方、それから三番目が被災者生活再建支援問題であります。  まず、第一点から申し上げます。情報伝達とか避難勧告在り方についてでございます。本年の一連風水害におきまして、被災地では避難勧告を出すタイミングが遅れたのではないかとか、あるいは避難勧告を出さなかったと、そういう自治体が少なくありませんでした。これをどうすればいいかということが大変大きな問題になりました。考えてみますと、しかし、自治体市町村長さんが避難勧告を出す権限を持っているわけですけれども、市町村長さんが必ずしも災害に詳しい方々とは限りません。どういうタイミングでどういう形で避難勧告を出したらいいか戸惑うというのが現状だというふうに思います。  そこで、避難勧告市町村長さんが速やかに出せる基準のようなものを作ったらどうかということでございます。具体的には、雨量と河川実態とそれから予測ですね、そういう客観的な基準に基づいて避難勧告を出す基準を作る。これを現在気象庁等々と内閣府を中心にして検討中でございます。  それからもう一つは、今回の、これはまた後で申し上げますけれども、災害犠牲者方々高齢者等を含む災害時要援護者災害弱者というふうにも呼ばれておりますが、非常に多かったわけであります。こういう方々水害の真っただ中に避難をするというのは大変困難でございます。そこで、そういう災害時の要援護者方々には、一般方々よりも事前に、より早い時期に避難をしていただく必要があるというふうに考えます。  そこで、そういう方々のために、一般方々避難基準よりももう少し下のレベル基準避難をしていただく。避難勧告準備情報と呼んでおりますが、避難勧告準備情報を出して、この段階高齢者方々避難をしていただく。もう少し危機が迫ってまいりましたときに避難勧告避難勧告を出す基準ですね、そういう情報を出して一般方々避難をしていただく。二段階避難はどうだろうかと、こういう客観的基準検討していただいているというところが実情でございます。  それから、参考資料をごらんいただきまして、申し上げたいところは赤で書いておりますが、時間の問題もありますので飛ばして説明したい、ポイントだけ説明させていただきます。  それからもう一つは、高齢者避難支援ということでございます。高齢者等方々災害弱者というふうに呼ばれていますが、実は情報弱者行動弱者と、大きく言って分かれると思います。つまり、視聴覚に障害をお持ちの方は避難に必要な情報を得られない。特に、高齢社会が進みますと耳の聞こえない方々が増えてまいります。災害情報というのは、防災無線の話が今ございましたけれども、防災無線にしろラジオにしろ音声が主体でございます。したがって、聴覚に障害のある方は災害情報がなかなか得られないのが実態です。こういう情報弱者方々にいかにして必要で重要な情報を提供してさしあげるかと、こういう問題が一つあります。  それから、本日のテーマであります行動弱者、つまり自力で避難できない人をどう避難していただくかという問題があります。こちらの方は、地域社会が連帯をして避難支援していくということが最も現実的で合理的だというふうに思いますが、現状では、実は災害弱者あるいは災害時要援護者がどの地域にどのくらい存在するかということが分かっておりません。福祉部局では高齢者、乳幼児、外国人障害者等々の情報をつかんでおりますけれども、ばらばらの部局でつかんでおりまして、災害弱者として一体的な、一元的なリストがございません。まず、そういう災害弱者リストを一元化しなければいけないのではないだろうかということがございます。  しかし、防災に使うためにはもう一つ大きなハードルがございまして、こういう災害弱者災害時要援護者の方のリスト福祉目的で収集したわけでございますので、防災目的のために使うのは目的外使用ということでありまして、個人情報保護の問題に、機微に触れます。そこで、一部の自治体では個人情報保護審議会にかけて、福祉部局の得た情報防災部局に活用してもらおうというような動きがございますが、しかし、それはどこまで行っても守秘義務のある消防団までしか行きません。一般市民、例えば自主防災組織の会長さん等々にまでそういう災害弱者方々リストを日常的に持っていただくためには、法的な、制度的な仕組みが必要でありまして、この辺をどういうふうにクリアするかということが大変災害高齢者対策等々に大きな問題となっております。是非お考えいただきたいと思います。  それから三番目は、住宅再建問題でございます。是非お願いしたいこと、緊急にお願いしたいことでございますが、新潟中越地震では、災害救助法住宅応急修理制度を積極的に活用するということを進めております。屋根とか台所とか生活に必要な部分について五十一万九千円ということですが、昨日、厚生労働省さんでは六十万円にお金を上げたという話を伺っております。こういうこの応急修理制度一連台風災害にも適用していただきたいと、これも厚生労働省さんの方でもお考えというふうに聞いておりますが、是非早急に実現していただきたいというふうに思います。  それから、住宅再建問題そのものでございますが、最近改正された被災者生活再建支援法、以前の法律に比べて随分進展がございました。これは評価しなければいけないというふうに思いますが、先ほどのお話にもございましたように、まだ問題点が残っております。住宅本体に使えないということもございますし、私は一番大きな問題だと考えておりますのは、やはり先ほどお話ありました収入要件でございます。年齢制限収入制限が掛かっておりまして、一番働き手の中堅層支援を受けられない。大体、五十代、四十代の方々の五割以下しか生活再建支援法適用を受けられないという話を聞いておりますが、こういう方々かなりストックが少ないんですね。フローは結構多いんですけれども、ストックは少ない。そして、そのフローローンの支払とか子供の教育費に使われてしまうということで、この収入要件をもっと緩和する、あるいは年齢制限をもっと緩和する、こういう必要があるのではないかというふうに思っております。  しかし、いずれにしろ住宅再建、新しい住宅を建てるには千五百万から二千万、もうちょっと掛かるかもしれません。とても、生活再建支援法最大限三百万をフルに使ってもとても足りません。そこで、今、兵庫県が提案しているような住宅共済制度とか、あるいは地震保険有効活用とか、いろんなあの手この手を使って住宅再建制度を充実さしていただきたいと思っております。  ちょっと時間がなくなりましたけれども、一つだけ是非申し上げたいんですが、仮設住宅の問題であります。  仮設住宅は一軒建てると三百万円掛かります。それから解体するのに百万円。トータルで四百万円掛かります。恐らく、今回は寒冷地仕様の仮設住宅ですのでもう少し掛かるのではないかというふうに思います。これはしかし、基本的には二年で撤去しなければならない。もちろん、避難所から、避難所生活をして、その後、住宅再建をする気持ちのない方々、復興公営住宅に移るというような方々は、仮設住宅を造るというのは当然いいことなんですけれども、もう一度住宅を再建したいという方々は、仮設住宅充当分の現金四百万円を住宅再建の費用の一部として充てる、そういうオプションですね、つまり、仮設住宅を選んでもいいし、仮設住宅分に充当する現金を住宅再建費用に充てる、どちらかのオプションを被災者方々に選んでいただくというようなこともお考えいただければ有り難いと。  長くなりましたけれども、以上でございます。
  10. 風間昶

    委員長風間昶君) ありがとうございました。  次に、栗田参考人お願いいたします。栗田参考人
  11. 栗田暢之

    参考人栗田暢之君) よろしくお願いします。  私のような者がこのような場に出さしていただくことは、非常に感謝申し上げます。  名古屋で活動しますレスキューストックヤード栗田と申しますが、私は名古屋で活動しておりますが、この阪神大震災から十年という重みを非常に感じておりまして、本当に全国の仲間とともに歩んできた十年だということを考えております。その中で、現在のボランティア現状課題について報告さしていただきたいと思っています。  阪神大震災は、御存じのように百三十万人のボランティア被災地に駆け付けまして、きめの細かい支援活動を展開してきました。その年はボランティア元年と呼ばれました。その前にも、雲仙・普賢岳や奥尻島の津波災害ボランティアが活動しておりましたが、やっぱり決定的に市民権を得たのは阪神大震災じゃないかと私は思っております。  その後も、その一回だけじゃなくって、その後も、例えば九七年、ナホトカ号の油流出事故、あるいは九八年、福島、栃木、高知における水害、九九年、広島、二〇〇〇年、有珠山、三宅島の噴火、東海豪雨水害、鳥取西部地震、あるいは二〇〇一年、高知西南豪雨水害、芸予地震、二〇〇二年は岐阜県大垣市の荒崎地区、二〇〇三年は宮城県の北部連続地震、あるいは水俣の水害、このような毎年相次ぐ災害の現場には必ずボランティアの姿があった、この十年の歩みということであると思います。  今年は、特に台風二十三号を始め、その前の台風二十一号も強烈でした。今は新潟中越地震で、現在も、今この時間もボランティアが懸命な作業を続けているという現状があります。これはやっぱり、何度も申し上げますが、阪神大震災から十年という重みを考えますと、この間の歩みは、一たび災害が起こればボランティアが不可欠なんだという災害ボランティアの文化を創造してきたんじゃないかということで、日本社会に定着してきたと考えております。  しかも、そのボランティア特定の方ではなくって、一被災地で何千人、何万人という大きな力になっている。例えば、不確定な数ですが、台風二十三号で、後ほど申し上げますが、災害ボランティアセンターというところが全国で三十五か所にできまして、そこに駆け付けたボランティアは全体で約五万人いらっしゃる、これは不確定ですけれども。確定していますのが、例えば七月に襲った新潟水害の方ですが、このときには四万五千人、福井のときには約六万人。こういった何千人、何万人という方が被災地に行く、こういった日本の社会に定着してきたスタイルが災害ボランティアである。しかも、災害復旧・復興にボランティアは不可欠であるということが認識されたものだと思っています。  ところで、そういったボランティアさんが何万人、何千人と一度に被災地に来ても被災地の方はかえって迷惑します。あるいは混乱が続きますから、そういった状況の中でいかにそのボランティアさんを受け入れるかという受入れ側の問題もあります。  そこで編み出された方法が災害ボランティアセンターの設立ということであります。これは、例えば自治体の中に一つボランティアの活動拠点でありますということを旗印をきちっと掲げて、つまりボランティアしたい人とボランティアしてほしい人を需給調整をする機能を持った災害時の臨時の災害ボランティアセンター、ここで設置されるようになりました。先ほど申し上げたように、それが全国で台風二十三号関係だけで三十五か所、今はもう大分閉鎖をされております。  この仕組みの中で、特に昨今は、行政側は地域防災計画にそれらのことをきちんと明文化をして、県が主体となってボランティア本部を作りますとか、市がボランティア側に場所を提供しますとか、そういう基本的な明文化をしたところもあります。あるいは、その被災地となった社会福祉協議会だとかNPOだとか、あるいは企業とかJCとか生協とかいろんな各種団体がございますが、そういう方々が中心となって運営するいわゆる公設民営型、こういうものが主流となってまいりました。  阪神大震災のころは民設民営のパターンが非常に多くて、約六百ものボランティア団体があったと言われております。その中でも、必ずしもその行政機能あるいは他機関とうまく連携をするということが十分ではなかったということを考えますと、この公設民営のスタイルでこのボランティアセンターが設置されて、何千人、何万人というボランティアさんがそこで活動の拠点を得るということは、結局、その災害の一日も早い復旧・復興という同じ目的に向かって、そのすべての支援体制が互いの役割だとか違いを認識しながら行動するといったまさしく協働の姿が萌芽してきた、こんなふうにも考えております。  ただ、ボランティアセンターも数々の課題があります。その課題一つは、被災した自治体が必ずしもそのボランティアセンター設置への協力体制を整えていない。つまり、びっくりした行政側の方がボランティアということを余り理解せずに、うまく機能をまあ自分のところに取り込めないといいますか、とにかく阪神以降の十年の歩みをちょっと勉強していただいていればその重要性はすぐに御理解していただけるのに、ところが、水害では、例えば水が引いた後すぐに掃除を皆さんやっぱり被災者の方は始めたいんです。そのときにボランティアさんがいないとどうしようもないのに、その判断が後手後手に回りますとタイムリーなボランティア支援ができない。ここで行政側の対応の温度差みたいなものが被災地にあります。  それから、二番目として、ボランティアセンターが、公設民営といいながら、例えば行政だとか社会福祉協議会など、私も前サラリーマンですからよく分かりますが、縦社会ということがそのまま反映されてしまいますと、結局どうしてもボランティアさんを管理したり傘下に置くというイメージがわいてきます。その概念はやっぱり縦社会の概念ですから、ボランティアは本来横の、横の社会である、つまりボランティアコーディネーターだとかボランティアリーダーとかボランティアさん、いろんな方々がその現場に登場しますが、みんな一線に横並び。  一番偉いといえばやっぱりボランティアさんが偉いんだと。何で偉いかといいますと、被災者の声を生で直接聞いた方々だということを考えると、そのボランティアさんが活動しやすい環境を整える、あるいは被災者と直接聞いたその声を次に反映させる。つまり、上から下へ何かこう縦社会で指示をするんじゃなくて、下から上へボランティアさんを大事に扱う、持ち上げる指示の方、こういう概念がボランティアセンターは大事であると考えておりますが、ただ、行政とか社会福祉協議会が中心になって運営されると、どうしてもまあそういった概念が先に出てしまうということが問題となると思っています。  第三番目に、災害によってそのボランティアセンターの設置の体制やあるいは種類といったものもかなり異なる、その性格が異なるということが地域地域によって異なる、これが大きな課題としてあります。つまり、例えば水害の場合は掃除をするという一つの単純作業の目的が主体となりますので取り組みやすい。ところが、今もそうですが、新潟県の中越地震に大量のボランティアが入ってもいかがなものかと私は思っていますが、つまり地震の場合は、被災者の方の恐怖だとか悲しみとか耐え難い避難生活とか、あるいは先行きの不安、こういった心の問題を扱うことが多いので、何かこう一斉に掃除をするというそういうボランティアセンターじゃなくて、もっと被災者の心の中に飛び込んでいけるような支援、そういったことも必要だ。つまり、ボランティアセンターただ作ればいいということではなくて、外部からの支援なんかをうまく連携しながら、あくまでも被災地の地元が主体でありますよ、ここが頑張らなきゃいけませんよということを被災地が本当にこうボランティアセンターとして自覚できるかどうか、こういうことが大きな課題としてあると思っています。  こうした課題をやっぱり考えてみますと、平常時にぼうっとしていては、いきなり災害が来て大変だという状況を作るということ自体がおかしくて、つまり、災害が発生して慌てて調整してもそれはどうしてもやっぱり無理がある。やっぱりふだんからその災害が起きたらどうしましょうか、あるいは災害に対してどのような体制でそのボランティアを受け入れるのかというようなことが事前に話し合われて、そういったことを場を作ったり、あるいは講座を運営したりする行政や社会福祉協議会がもっと災害ボランティアとかコーディネーターの養成なんかを積極的に図って、地元が大事だと私申し上げましたが、地元の中に貴重な応援団として何人すぐに、そういったボランティアセンターと聞いてすぐに頭にイメージのわく人たちが何人いるかということが大事だと思っていますから、そういうようなことをふだんからやっていくことが大事である。  ただ、これはもう既にいろんな自治体とか社会福祉協議会あるいは各種団体で実践されておりますけれども、ただ地域地域、あるいはその主催者によって考え方がばらばらな方法でやっていますから、おたくはどんな方法でやっていますかとか、どういうねらいでやっていますかという互いの情報を交換したり、あるいはお互いもっとどんな支援がいいのかということを勉強できる、研さんしていく場が必要だと思います。  最後ですが、究極の学びが災害現場ということですが、今改めて私もこの十年来の活動を振り返って考えてみますと、ボランティアさんが災害現場であの惨状を確かに見た、聞いた、ボランティアが現場に行ってそれを確かに見た、そのことを、その事実を逆に絶好の機会というふうに、まあ不謹慎な言葉かもしれませんが、絶好の機会ととらえて、そのボランティアさんが他地域から来ている場合においては、その自分地域ボランティアが出身の地域、地元における災害前の防災体制はどうなのかと。こういう災害が来てしまった地域を実際に見て、私のところの町が被災してしまったらどうすればいいのかということを考える動機付けの役割を持って活動に参加すると、例えば四万人、五万人とか六万人とか申し上げましたが、そういう方々が地元で事前防災に取り組む、あるいは災害に強い町づくりを参画するといった貴重な人材になる、人材にこれからなっていくというふうに思っています。  そういう今までの十年の歩みの中で携わった災害ボランティアは、今の災害前の取組も含めてかなり知恵を集積しております。ところが、その知恵の集積は集積するだけではもったいなくて、それを情報公開しなきゃいけませんが、その集積をしていく部分だけでも、私どものような小さなNPOがそういうことをやろうとしても、なかなか資金の問題、人材の問題で行き詰まってしまうんです。ですから、これだけ災害ボランティアとかNPOが期待されているという現状にあっては、その量と質の向上をやっぱり図りまして、緊急時のみならず平常時からこうした課題に取り組むソフト面の各種施策の充実を是非皆さん方にお願いしたいと思っています。  なお、このお願いボランティアは無償であるということは全然次元の違う話であるということを御了解いただければと思います。  以上でございます。
  12. 風間昶

    委員長風間昶君) ありがとうございました。  以上で三人の参考人の方からの意見の聴取は終わりました。  これから参考人に対する質疑を行わせていただきます。  質疑のある方は順次御発言願います。  なお、質疑は着席のまま行っていただいて結構でございます。
  13. 岩城光英

    ○岩城光英君 自由民主党の岩城光英です。  今日は、参考人の皆様方には、それぞれの貴重な体験等を通しましての御意見、あるいは参考になる御提言をいただきまして、本当にありがとうございます。  時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。  まず、中貝参考人にお伺いを二、三させていただきますが、被災地で陣頭指揮を取っておられ、さぞかし我々がうかがい知ることのできない御苦労もおありだと思いますし、また、体力的にも相当お疲れではないかなと、こんなふうに思っておりますが、そうした中、この場にこうして臨んでいただきまして、本当に恐縮をしているわけであります。  そこで、先ほどの話が十分という本当に限られた短い時間でしたので、言い尽くせない部分もたくさんあったかと思います。国に対して、あるいは様々な要望等もございました。例えば、災害応援協定の中にごみ最終処分についても入れた方がいいとか、そういった提言もいただきましたけれども、この場でこれだけは国に対して特に要望したいとか、あるいは国の災害制度に関してはこういった点を変えていってほしいとか、そういったことがありましたらお話しいただきたいと思います。
  14. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 細々したことはたくさんあるんですが、災害に関する様々な仕組みがありまして、全体像がなかなか見えないというのが経験として、実感としてあります。  もちろん、それぞれは理路整然と作られていると思いますけれども、災害救助法法律を見、あるいは生活再建支援法を見て、あるいは県の単独の制度を見てということで、なかなか順序よく物事を進めていけないというところがございましたので、もう少しその辺をきちっと整理をするということが要るのではないのか、こういうことがあります。  それから、私たちは、目の前の助けてくれと言う人に手を差し伸べたり、圧倒的な量のごみへの対応に相当手を取られましたから、比喩的に言いますと、頭から下だけで必死になって働いてきた、次の一手を打つということになかなか頭がいかない、職員ももう市民と一緒になって泥だらけでごみの片付けをしている、そういう状況でございました。是非、その専門家の派遣をお願いしたいということが切実な要望としてございました。  つまり、こういった災害の場合に、次に何をすべきなのかということを十分事前の訓練として身に付けた人がそばにアドバイザーとしていてくれるだけでも随分助かったのではないのか。消防に関しては消防大学校の副校長が早い段階で入ってきてくれましたので、救急については相当私たちの精神安定剤にもなりましたし、全体をうまく動かす上で役に立ちましたけれども、その後の復旧・復興については、正直言いまして途方に暮れているというのが実態でございます。  そういったことについて、是非、そういう人員、人材の養成でありますとか素早い派遣、こういったことをお願いをしたいというふうに思います。
  15. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございます。  次に、避難勧告避難指示についてでありますけれども、新聞報道によりますと、市長さんは、参考人は、市が避難指示の切実さを伝えられなかった、そうした中で、住民も緊迫した状況をよく理解できていなかったようだとおっしゃられたと報道されております。  それで、大変このタイミングって難しい、だと思います。廣井参考人からは、避難勧告を行う際の客観的な基準を作ったり制度化が必要ではないかと、こういった御意見も、御提言も出されましたけれども、これらの点についてはどのようにお考えでしょうか。
  16. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 実は、私たちもそこ、大変な反省点がございます。  実は、豊岡市の防災計画では、円山川水位が危険水位を超えて、なおかつ上昇しているときに出すと、こういうふうになっています。今回、私たちは、その危険水位に達するより前に避難勧告を出しました。しかも、その避難勧告を出した時点の情報というのは実は、円山川水位が実際分かってから十五分遅れで入ってきますので、私たちは十六時五分に避難勧告を出しましたが、実は、あっ十八時ですね、十七時段階の、つまり、円山川を見たらまだまだごくありふれた水位のときの情報を基に避難勧告を出しました。したがって、ルールからいくと早かったわけですし、恐らく早く、もっと早く避難勧告を出しましても、住民は周りの状況を見て全然問題ないというふうに判断しがちでありますから、その切実感を持って受け止めてもらえるタイミングはいつなのかということに大変判断に迷いました。  さらに、実は豊岡市は各家庭に受信機が、ラジオのような受信機がありますので、すべての家庭にまあ配備できている分については届くんですが、同時に屋外で拡声機でもあります。したがって、放送をゆっくり話さなければ反響で聞こえないということがございましたので、アナウンスする職員はできる限り文節を切って説明、情報を伝えました。さらに、特に冷静に放送するようにという指示もいたしました。これは、高齢者方々が頭に浮かびまして、パニックを起こされて、あるいは転倒して骨を折るということがあってはならないということで、ゆっくり冷静に放送をいたしました。その結果、全く緊迫感がなかった、まだまだ大丈夫だというふうに受け止めてしまったという声が市民の中でたくさんございます。  したがいまして、どのタイミングでどういう情報を、そしてどのような表現で、これはテクニックの問題でありますけれども、出すのかということについて十分な検証が要ると思っております。さらに、避難勧告というのは今回四万二千人の市民に対してやりましたけれども、それだけの人々に家をほっといて逃げろという、こういうことでございますから、なかなかこれは簡単には言いづらいというのが意思決定をする側としてはあります。  そこで、反省点として、先ほど廣井参考人の方からもお話がありましたが、その前段階の中間的な情報をいかに巧みに出していくのか、これが要るのではないかと思いますが、いきなりその場で巧みな技を発揮しろと言われても、これはなかなかできませんから、是非たちの経験も踏まえて、各地の経験も踏まえた上でのマニュアルを作るということが大変重要ではないかと、このように考えております。
  17. 岩城光英

    ○岩城光英君 中貝参考人にもう一点だけお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、円山川は国の直轄河川でありますけれども、今回というか、今年の風水害の特徴としましては、都道府県の管理の河川決壊、はんらんして大きな被害が出たということが挙げられると思います。実際、国の直轄管理区間では河川堤防の要対策箇所は七十か所でありますけれども、都道府県管理区間は実に九百五か所という膨大な数に上っております。こういったことから見ますと、都道府県管理の河川の整備が十分でないなというふうに私は感じております。  そうした中で、今、三位一体の議論で、税源移譲対象補助金について治水事業とか砂防事業も含まれておりまして、できるだけ自治体に移していくべきだという論議もございます。ただ、治水事業、砂防事業につきましては、単独の自治体で対応するとなかなか難しいと私は思っておりますし、上流と下流あるいは国と自治体が連携してやっていくべきだと、私はそう思っておりますけれども、中貝参考人のお考えをお聞かせいただければと思います。
  18. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 今回、豊岡の場合、国直轄でございますので、三位一体の議論とは直接リンクをしないわけですが、私自身はちょっと迷いがあります。今、県が行う河川改修あるいは治山治水事業も、国の補助を受けてやっているというものが大きなものについてはございます。したがいまして、今、日本の国でそこの災害対策が進んでいないとすると、それはその県の管理だからということではなくて、そもそも補助する元々の国の予算額自体に十分でないという要素がまずあるのではないかというふうに思います。したがいまして、これもまた三位一体とは別の議論として考えられるべきではないのかというふうに思います。  さらに、その次ですが、これは三位一体との関係ですけれども、つまり、ある府県で大きな災害が起きるリスクあるいは確率がどの程度のものなのか。それが大体どの府県でも同じような確率であるよとするならば、これを県の方に財源とともに移したとしても実態としては変わらないんではないか。ただし、そうではなくて、近畿府県で、今年は兵庫でした、何年か後に京都府でしたというようなことであるならば、むしろ一か所に予算を集中しておいて集中的に対策をするということも有効ではないかと思います。  ちょっとその点について私自身は判断するデータを今手元に持っておりませんので、まあ一般論としてということでお許しをいただきたいと思います。
  19. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございました。  では、廣井参考人に一点お伺いしたいと思います。  先ほど時間がなくて触れられなかったんだと思いますけれども、緊急時の連絡手段として、被災地において電話の回線というのは非常に生命線だと思っております。ペーパーの中に、公衆電話ですね、これをもっと活用していくべきだということが書いてありまして、私は興味を持っていたんですけれども、時間の関係でお話がなかったものですから、今御説明いただければと思います。
  20. 廣井脩

    参考人廣井脩君) 公衆電話は災害時に優先的に使える電話、災害時優先電話の役割を持っております。阪神・淡路大震災の映像をごらんになった先生方は御記憶あると思いますが、あの被災者方々が公衆電話の前に列を作って電話の順番を待っていたのを御記憶の方もいらっしゃると思いますが、通常の電話は通じなくても、公衆電話は通じます。ということで、実は公衆電話というのは災害が起こったときの一般市民の唯一の情報通信手段なわけでありますけれども、実はこれが最近急速に減っております。  もちろん、その背景には携帯電話の普及というのがございます。最盛期は公衆電話は九十万台ありました。阪神・淡路のときには携帯電話は約五百万台だったんですが、現在八千万台を超えておりますので、とにかく携帯電話が増えたことによって公衆電話が減っていくという現象が続いております。  ちょっと細かい話になりますが、公衆電話の運営維持費用、一か月に一万五千円ぐらいなんだそうですが、最近三千円、四千円を割っている公衆電話が圧倒的に多いわけで、そういうものから削られていきます。  実は、公衆電話には第一種公衆電話と第二種公衆電話とございまして、第一種公衆電話というのは公共性の観点からいかに採算が取れなくても維持していく公衆電話、これが十一万三千台ございます。つまり、このままでいきますと、十一万三千台しか残らないというような現状になってしまいます。これは大変重要な問題だと、ゆゆしき問題だと思っておりますが、NTTさんはやっぱり民間会社でありますので、不採算部門は見直すということをNTTグループ三か年計画というものの中に書かれておりまして、その中にはっきりと公衆電話とポケベルは見直すと書かれております。  このままでいきますと、したがって、公衆電話は十一万三千台になってしまうということなわけですが、諸外国ではユニバーサルサービス基金というのを設けておりまして、不採算部門に対しては電話会社が共同で資金を出し合って、もうからない部分にお金をつぎ込んで維持するという仕組みになっております。ところが、日本はNTTさんが独占でございまして、電話の九九%がNTTさんですので、事業者がお金を出すということに、助け合ってお金を出すといっても結局はNTTが出すということになってしまいます。そこで、ユニバーサル基金という形はどうも使えない。  やはり公共的な観点から第一種公衆電話を増やすというような形でいく。現在ある公衆電話を現在より増やせと言うわけにはいきませんが、少なくともこれ以上は減らさないような仕組みを総務省さんないし消防庁さんでお考えいただければいいなというのが私の常日ごろから思っていることでございます。
  21. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございました。  栗田参考人にもお話をお伺いしたかったんですけれども、時間が参ってしまいましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  22. 足立信也

    ○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。お三方とも大変示唆に富むお話をいただきまして、お忙しい中本当にありがとうございます。  私は、それぞれ御三方お一人お一人に一点ずつの質問にしたいと、そのように思います。  まず、中貝参考人になんですが、私はPRのことについてお伺いしたいんですけれども、その前に、あれだけの水没状況になった場合に、元々想定されていた避難所、それが実際は水没によってどれだけ使えなくて、そして結果として四十四か所になった、その数の点をちょっと教えていただきたいんですけれども。
  23. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 事前豊岡市が指定しました避難所の数、ちょっと私、今数字持っておりませんが、今回避難勧告するに当たって市民に連絡をしました避難所はすべて水没をしたとしても大丈夫だと、一階がつかったとしても二階以上に逃げることができる、堤防決壊したとしてもその濁流に流されない距離にある、あるいはそれだけの強度を持っている、そういうものを洗い出しをいたしまして放送いたしましたので、今回のことに関していえば、すべての避難所は機能したというふうに考えています。  ただ、済みません、防災計画避難所は地震のときも想定をし、火災のときも想定をし、水害のときも想定をしておりますので、どうしても中間的なレベルでの避難の指定がなされていることがございまして、今回、その中からこの水害に関してどこなら大丈夫だということを洗い出しをする必要があったと、こういうことでございます。
  24. 足立信也

    ○足立信也君 じゃ、本論のPRについてなんですけれども、報道にもございましたが、私も聞いたところによりますと、勧告と指示は勧告の方が重いって思われている方もかなりいらっしゃるんですね。ですから、まず必要なことは、避難勧告避難指示は一体どういうようなもので、それが出た場合にどのような行動をしてくださいというまずPRが必要だというこの点のことと、あともう一つ防災基本計画では浸水想定区域や土砂災害の危険箇所というものをあらかじめというのか公表しておかないといけないということがあるんですが、避難勧告・指示に関するPRの話と、それからその公表について、そのことを教えてください。
  25. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 勧告と指示は、言われましたように、実は私の家内自身も、勧告を受けたのになぜお父さん指示に変えたんだろう、というふうに疑問を持ったということですので、広く市民の中でもそういう声があります。したがって、議員が御指摘になりましたように、事前のPRももちろん必要だと思いますけれども、しかし事前のPRはほとんど心に残っていないということが実態としてあったのではないかと思います。したがって、事前のPRはもちろん大切なんですが、私たちの反省といたしましては、放送のときに、これがどういう意味を持つのかという言わばそしゃくをした表現をすればよかったな、このように考えているところです。  それから、浸水区域の公表は実は豊岡市内でも既になされておりましたけれども、それを個々の家庭に配るペーパーは実は準備中でございましたので、それがなかったというのが私たちも大変悔やんでおります。ただ、豊岡は長らく水害に苦しんできた町でございますので、多くの元々そこの地に住んでいる人々にとっては、伊勢湾台風のときはここまで水が来た、したがってすぐここまで逃げるようにといったことが言わば語りぐさとなって伝わっておりましたので、その分が少し豊岡の場合は救われたのではないのかと、このように考えています。
  26. 足立信也

    ○足立信也君 どうもありがとうございます。  廣井参考人にお伺いいたします。  準備情報、準備情報ですね、その段階が非常に大事だろうと私も思います。ところが、豊岡の例でもございますように、まず聞き取れない、大体が音によって伝わるものが多いので聞き取れない。それから、落ち着いて文節ごとに区切ってしゃべると緊迫感がないという話もございましたが、それに加えて高齢者、先ほどございました高齢者、それから視覚障害者、聴覚障害者、そのような方々がいらっしゃいます。そして、事前のPRよりも何よりも、その場に、そのときにどれだけ逼迫している状況かを伝えることが最も大事だと、今、中貝参考人の方からありました。ということを踏まえて、となれば、一番有効なそれを伝える手段ですね、というのは先生の考えではどれなんでしょうか。
  27. 廣井脩

    参考人廣井脩君) 複雑な問題ですけれども、まず避難関係の情報に幾つかございます。  法律に基づかない自主避難の勧めというのが一つございます。それから、災害対策基本法六十条に基づいた避難勧告、これは災害の発生のおそれがある場合あるいは災害が発生した場合に市町村長が出すということになっております。それから、避難の指示でございますけれども、これは急を要する場合に市町村長が出すと、こうなっております。ただ、実際の文面ではほとんど避難勧告避難指示の区別が付いておりません。そこで、緊急性が伝わらないと、市民には伝わらないということになります。  実は、そこのところは今後課題かなと思っておりますが、例えば避難の指示の場合には、重大な災害が発生するおそれがあるということを強調するとか、緊急に避難をしてくれというようなことを強調するとか、そういうような文章上の表現を工夫するということが一つございます。  それから、私は、緊迫感ということで思い出すんですけれども、もう古いことですが、昭和五十八年に山陰水害というのがございました。島根県の三隅町で大変大きな災害がありましたが、あのときには避難が大変、まあ大成功と言っていいぐらい成功しております。それはなぜかといいますと、自治体の職員が危険地域避難勧告、指示は出しました。それに加えまして、市町村長さんが防災無線のマイクの前に立って非常事態宣言という、聞き慣れない言葉なんですが、もう町は非常事態であると、したがって市民方々はこれはもう必ず避難をしてくれと緊急の呼び掛けをいたしました。これが非常に功を奏して避難が促進されたというケースがございます。ですから、避難の指示等々と同時に、自治体のトップが市民に直接呼び掛けるというような方法も有効かというふうに思います。  もう一つ高齢者のことでございますが、実は避難所の問題というのは大変重要な問題で、考えなければいけない問題だと思います。  大体、水害避難というのは腰まで水につかるぐらい緊急な事態になってやっと避難するというのがおおよそ、大体の一般的傾向です。そこで、何キロも離れた避難所避難するときに結局犠牲になってしまう。水害で外に出ていて亡くなった方が多いのはそういう理由からなわけです。そこで、なるべく近くに避難施設を設ける必要がある。水害避難というのは実は地震の避難所を応用しているだけなので、水害に特化した避難所を作っている地域というのはほとんど知りません。  私が申し上げたいのは、これは土砂災害はちょっと別なんですけれども、都市部の水害に関しては、近くのビルの高いところに逃げる、そうすれば少なくとも命は助かるということで、避難ビルという発想は津波にはございますんですが、水害についても避難ビルという発想を導入した避難計画というのが高齢化社会になってくると重要かなというふうに思っています。  よろしいでしょうか。
  28. 足立信也

    ○足立信也君 ありがとうございます。  それでは、栗田参考人にお伺いしたいんですが、ボランティアセンターとそのボランティアコーディネーターのことなんですけれども、ボランティアセンターは社会福祉協議会が主宰していると。どうも私は、やはり取り扱う対象がかなり違うんではないかという思いがしまして、栗田さんとしてはどこが所管されるのがいいと思われるかという点と、それから、私の同僚も医師のボランティアということで災害があったところへよく行きます。何といっても一番大事なのは、指揮命令系統がうまくいくかどうか。で、ボランティアコーディネーターが非常に重要だという認識はありますし、先ほど市長さんからも、専門家を早く、それはまさしくボランティアコーディネーターじゃないかと私は思っているんですね。  それとは少し離れますが、先ほど資金、人材面で非常に苦労しているというお話がありました。今、ボランティア行為に対する報酬ではなくて謝礼の意味で、そういう趣旨のものは認めるべきではないかという意見が出始めております。その点についても栗田さんのお考えをお伺いしたいと思います。
  29. 栗田暢之

    参考人栗田暢之君) 一口に災害ボランティアといってもいろんな種類があるといいますか、結局どの時期に活動する団体であるかということもそうでしょうし、これは本当に緊急救援を要するお医者さんの、例えばAMDAという岡山の団体がありますけれども、ああいうところは一般ボランティアとやっぱりちょっと違った活動をしなきゃいけませんし、どの時期でだれが入るかによって非常にその災害救援の在り方も全然変わってくると思いますが、私が申し上げたのは、一般論としての多くの市民が駆け付けたボランティアという意味で使わさせていただきました。  そういう方々が、特に特技もないんだけども自分思い被災地に入ってくる方々がたくさんいらっしゃる。そういう方々をコーディネートするのはやっぱり僕は社会福祉協議会がいいんじゃないかと思っていまして、ただ、何といいますか、地元できちっとしたそういう体制のNPOが育っていれば、そこと協働しながらといいますか、絶対的に災害救援のNPOが、私たちのようなこういったコーディネートを心掛けた団体もありますし、災害救援というと本当に現場に駆け付けて、自分たちが駆け付けて何ぼだという団体もありますし、やっぱり温度差もいろいろありますから、どの時期にだれが入っていくかということに対しては、災害救援NPOとかボランティアといっても非常に多岐にわたりますから、でも、その一般ボランティアさんがやっぱりどこかを目指して来るというときには、社会福祉協議会が曲がりなりにもボランティアセンターという機能を平常時から持っておりますから、つまり、災害ボランティアのときにも、究極のコミュニティーワークだというふうに全国社会福祉協議会の報告書には書いておりますけれども、災害が起こったときにその機能をしない社会福祉協議会はふだんから何しているのかということが逆に問われますよという警告もあるぐらい、社会福祉協議会は頑張ろうとしていらっしゃるんです。  ところが、社会福祉協議会でもこれはやっぱりいろいろありまして、例えば、元々職員が二人とか三人しかいない地域ボランティアさんが百人二百人集まってきても、これは混乱するばっかりですし、その社会福祉協議会なんかを中心として、結局、私も、その社会福祉協議会の職員が唯一ボランティアでちゃんとお給料をもらって年間生活している方々が社会福祉協議会の職員だと私は思っていますから、むしろその方々が中心となって、いかにその方々に対して応援団を組み合わせていくのかということがやっぱり大事じゃないかな。  ただ、その社会福祉協議会に別におんぶにだっこという意味じゃなくて、改善していただきたいのは、我々なんかと連携する場合に、まだその前段で申し上げたような非常に警戒をされるとか、結局、その縦のつながりでだれかの紹介がないと入れないとか、いろんなもう硬いことを言われるわけですね、緊急事態においても。その辺の融通さみたいなものが社会福祉協議会の、特に、例えばその社会福祉協議会の職員でも優秀な人たちがたくさんいらっしゃるのに、その上が抑えてしまうから、結局やりたくてもその事務局長とか会長レベルが全然理解しなくて、いい判断ができないということも現場では生じているようです。  それからもう一つの、ボランティアの有償の件ですけれども、非常に難しい問題ですから私一言で申し上げられませんが、例えば、私の知っている障害者のケアをしている団体の代表なんかに言わせますと、ボランティアというと非常に軽い乗りで申込みがあって、非常に、例えばその食事を介助しなきゃいけないとか、生活支援をしている人たちボランティアという、そういう非常に軽い概念で申込みがあって、でも、その軽い概念の申込みをやると、あっ、今日行けなくなりましたとかって、そういう電話がすぐ入っちゃう。それじゃいけないから、少しでもお金を払って責任を持たせるために有償ボランティアという制度を設けていますよと。  だから、単に何かこうボランティアに対してお金を出すということはこれは基本原則としては私はやってはいけないことだと思いますが、いろんな事情がある中で、そういうお金をきちっと出した方が責任を持ってやっていただけるんだという場面では使われているという話がありますから、ですから、使い分けをきちっとしていかないと、すべてがいいとかすべてが駄目だという議論ではどうもなさそうだと私は思っています。
  30. 足立信也

    ○足立信也君 我々も努力いたします。  どうもありがとうございました。
  31. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗です。  本日は、大変お忙しい中、貴重な御意見ありがとうございました。  今日は、本当に台風二十三号の甚大な被害を受けた豊岡の地より中貝市長にも来ていただきまして、また災害の専門家でいらっしゃいます廣井先生、そして被災者の力、生きる力となっているボランティア活動をしていただいております栗田代表に来ていただきまして、大変勉強をさせていただいているところでございますが、まず最初に、中貝参考人の方に現場からの声としてお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど廣井先生の方から緊急にこれやってもらいたいということで御提言がございましたけれども、この間、新潟中越地震に対して実施されているこの災害救助法住宅応急修理制度の活用をこの一連水害の方にも適用したらどうかというお話がございましたけれども、こうしたものが適用されることによりまして、この豊岡におきましても救われる方がいらっしゃるんじゃないかと思うんですが、こういうものを適用していただきたいのかどうかというところをちょっとまず初めにお伺いしたいと思います、もしできるのであれば。
  32. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 是非それが実現すればというか、していただきたいというふうに思います。  畳がとにかく入れば暮らせるという家もあります。あるいは、雨漏りが済めばとにもかくにもそこで住めるという方があります。自立をする意欲があって、少しだけ背中を押してあげれば自立ができる方がいるとするならば、そこに費用を投入する方がはるかにだれもかれもがハッピーなのではないかというふうに思いますから、それは是非お願いをしたいと思います。
  33. 山本香苗

    ○山本香苗君 そして、廣井先生の方にお伺いしたいわけなんですけれども、私も実はこれ思ったときに、何で水害の方に適用されないのかなというのを実際思ったんですが、今回こういう形でおっしゃられる中で、本当にこの適用されるされないという形の物差しみたいなもの、そういうものは廣井先生としてはどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  34. 廣井脩

    参考人廣井脩君) ちょっと難しいですけれども、これは私は適用されることを希望していますし、多分適用されると思っています。  まず新潟県中越からというのは、これは推測にしかすぎませんですけれども、台風二十三号が起こったのは十月の二十、二十一でしたですよね。それから、新潟中越地震が起こったのは二十三日ということで、ちょっと恐るべきことなんですが、平成最大の人的被害を出した台風と、風水害と、それから阪神・淡路大震災以来最大の人的被害を出した地震災害が一週間のうちに起こってしまったということなわけですが、地震の方にまず対策が集中をしたということがあったのかなと思いますので、当然、台風にも今後は適用されるんではないかと期待しています。  これは今まではビニールシートを提供するくらいな形で余り活用されていなかった制度ですが、今回、先ほどもちょっと申し上げましたが、五十一万九千円の額も六十万円に上げるというようなことで、厚生労働省さんとしても頑張っていただけるというふうに思っていますので、今後は、一度先例ができてしまえばまた今後もこういう形でできると思いますので、期待しているところです。  よろしいでしょうか。
  35. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。  それで、先ほどから、避難勧告避難指示、いろんな話が出ておりましたけれども、やはり、この新潟集中豪雨の関係で調査をしたところ、その避難勧告を受けた側の方がやはり重く受け止めてなかったという調査結果も新聞報道で出ておりましたけれども、そうした中で、やはり住民の防災意識というものをこれからしっかり高めていかなくてはならないんじゃないかと思っております。  そうした中で、専門家でいらっしゃいます廣井先生にその専門家としての見地から、また現場の声として御提言を中貝市長の方からいただきたいと思います。
  36. 廣井脩

    参考人廣井脩君) 風水害のときに避難勧告を軽視したり避難勧告に従わないというのは、相当一般的な傾向でございます。  いろんな災害調査を私もいたしましたが、まず、大雨洪水警報が出ても、自分のところにはそんなに大きな被害はやってこないと考える人が圧倒的に多いわけです。それから、避難勧告が出ても、まず一つは、情報が伝わらないというのもあるんですが、伝わりにくいというのもあるんですが、仮に伝わったとしても、やはり、おれのところは大丈夫だという、何といいましょうか、私らの用語では正常化の偏見といいまして、危険を無視する心理と呼んでいるんですが、つまり自分に危険が来るはずはないという心理があります。これは実は来るはずがないと思い込みたい心理なんですが、そういう気持ちがありましてぎりぎりの段階まで避難をしないというのが通常でございます。で、先ほども申し上げましたが、腰とか肩まで水が来て慌てて避難をするということになりますので被害が増えるわけですが。  先ほど申し上げた準備情報というのは、そういう緊急情報、緊急事態になってから高齢者等々の方々避難していただくのは現実には無理であるから、もっと事前避難をしていただきたいというのが趣旨でございますが、やはりこれは、より早く避難をしてもらう方法というのはなかなか難しいですが、これは非常に常識的な話になりますが、最近特に、さっき都市の中小河川お話がございましたが、都市の中小河川の場合は急激に増水をすると、それから下流に水がなくても上流に水が一杯たまっていますので急に下流にまで水がやってくるということで、目の前に危険が見えなくても実は危険が迫っているんだというようなことから、やはり日ごろの啓蒙が必要かなと、できれば学校教育の中でそういう啓蒙ができればいいなというふうに思っています。
  37. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 私も、今回の経験の中で人は動かないものだということを非常に実感をいたしました。  実は十八時五分に避難勧告をいたしたんですが、十五時五十五分には、市はこれこれの公民館を開けていますと、浸水などのおそれがあるときにはそこを利用してくださいということも事前情報として流しました。勧告もいたしました。その後、特に水害に弱い部分というのは分かっておりますから、そこに人々がどのくらい集まっているかという情報を取りましたけれども、全く増えないということで大変な焦りを感じました。  これは私たちの側の、つまり伝え方の問題ももちろんあります。それから、受け取る側、情報を受け取っても、それに対してどう反応するかというのはもう個々人の問題ですから、今後、防災意識という表現をされましたけれども、そのことを作り上げていく必要がある。  同時に、私たちにも限界があるということを共通の理解として住民と行政が作り上げていく必要があるのではないかと思います。命を行政にすべて預けました、防災行政無線で逃げろと言えば逃げます、そうでなければいますというのは、私たち、とてもこの身に余ることでございまして、私たちは最善の努力をするようにこれからも更に頑張りますけれども、そこには限界がある。自らの判断で、私たちから出す情報参考にしてという、そういうものなんだということの共通理解を作り上げていくことが是非必要だというふうに考えています。
  38. 山本香苗

    ○山本香苗君 正に、そういった防災意識というものを高める上でボランティア方々が実際現場に入ってそういった実態を見ていただくという、そういう中で協働していただくというのは非常に意味があることじゃないかと思っているんですが、阪神・淡路大震災から来年でちょうど十年ということでございまして、私も地元が関西の方でございますのでいろんなことでかかわらせていただいているわけなんですが、このボランティア、したい人と受けたい人、栗田代表の方にお伺いしたいんですけれども、このしたい人と受けたい人、これを今後橋渡しをしていくようなシステムを作ったり等々、報道もいろいろ出ておるところでございますけれども、こういった、先ほど課題があるとおっしゃられましたセンター、これをうまく動かしていくということもあると思うんですが、その他の方法として、そうした橋渡しをするようなシステムとしてこういうのがあったらいいなと現場から思われるようなものがありましたら教えていただきたいのと、もう一つお伺いしたいのが、迅速に参加できるような仕組みを作るための一つの手段として、今、全国規模で一連災害が起きておりますが、全国規模のボランティア基金みたいなものを作ってはどうかなという声も上がったりしているとお伺いしておりますが、これにつきまして、この二点につきまして、栗田代表の方にお伺いしたいと思います。
  39. 栗田暢之

    参考人栗田暢之君) 質問の言われた意味を、その順番をちょっと変えてお答えしたいと思いますけれども、ボランティア基金を作るということは大賛成で、私たち災害が起こるたびに乏しい民間の助成金の窓口なんかを頼って、私もその恩恵を受けながら、ここで十二、三か所ぐらいの災害現場へ行かさせていただきました。でも、それはあくまでも交通費ということで、日当はもちろん出ません。そういうレベルの、そういったすぐに使えるお金自分たちの理解のある助成金の団体から得られるという、非常に私たちはラッキーであると思いますし、そういうのが基金としてもっと広い方々が使えるものになれば、被災現場に行くということの交通費だけでも援助されれば非常に助かる制度だと私は思っています。  あるいは、静岡なんかも東海地震をにらんでこういうボランティア基金なんかを始めておりますから、そういうのを勉強して私たちも追随したいなと。もっと大きな力が働いて、国の方がそういった全体に使えるようなものということを考えると非常に夢が膨らんで、いい話だと私は思っています。  ただ、そういうものを私たちが恩恵を受けるという場面は、先ほど申し上げたように、災害が起こったら行くという、災害が起こったら行く、この繰り返しばかりなんですね。でも、私が申し上げたかったのは、災害が起こって行くというのは非常にいいことで、やらなきゃいけないことなんですけれども、その前に考えなきゃいけないのは、災害が起こってもボランティアさんが駆け付けなくてもいいほどきちっと備えていた町でしたよということを作り上げていくことの方が私は先決だと思っているんです。  ですから、ボランティアが今行くということは非常に大事なことでありますけれども、きちっと備えておくということの方にもう少し重点を置いた施策が出てこないと、起こったら行くことばかり考えて、起こる前のことをしない。つまり、今のボランティアも、災害現場に行くんですけれども、ちゃんとそこで学んで自分の地元で活動すればいい。それが、一番最初の御質問の、もっと新しい窓口みたいなところがないのかという活動につながっていく。  つまり、災害ボランティアとして非常に被災地に興味を持って行った人たちが、それは全員じゃなくてもいいんですけれども、自分のところの地域防災にきちっとかかわるNPOなり、あるいは自主防災会と連携するなり、そういった機能がきちっとその地域の中ででき上がれば、別に社会福祉協議会がいつも何かやらなきゃいけないことではないと思う。社会福祉協議会とそのでき上がったものと連携をしながら、自分たち地域災害対策の正に地域版シンクタンクみたいな、そんな存在になっていけばいいんじゃないか。もちろん、それはシンクタンクですから、私たちも、いろんな現場を見てその活動の様子ばかりを伝えるのじゃなくて、廣井先生なんかのお話なんかもきちっと聞いて、まともなことをちゃんと言えるようにしていかなきゃいけない努力は私たちも感じておりますけれども。
  40. 山本香苗

    ○山本香苗君 最後に、もう時間が迫ってまいりましたので、廣井先生の方にお伺いしたいんですけれども、先ほど、情報伝達の手段として公衆電話という話もありましたけれども、やっぱり、この八千万台にもなってきた携帯電話というものを今後どういう形で災害時に使っていくかなというところが一つあるんじゃないかと思うんですね。いろいろと、基地局においては充電の能力がまだまだ携帯の方はちっちゃいとか、いろんなまだ整備として整ってないところもあると思うんですけれども、方向性として廣井先生としてはこういうふうに進んでいってもらいたいということがございましたら、最後にお伺いします。
  41. 廣井脩

    参考人廣井脩君) 携帯電話、便利なんですけれども、災害防災という点からは物すごく弱点があります。  一つは、水に弱いんです。ですから、水につかると使えなくなります。つまり、水害のときに救助を求めても使えないということで、防水機能の携帯電話が是非必要です。これは売り出されておりまして、私も持っておりますが、普及はほとんどしておりません。つまり、時計のようにウオータープルーフというのを標準仕様にする必要があるかなと思っています。  それからもう一つ、これも物すごく重要なんですが、通常、電話が、災害のときに電話がふくそうしますと、固定電話については一一〇番と一一九番だけは優先的に接続できます。つまり、幾ら電話が込んでいても、一一九番、一一〇番は受ける方の余裕さえあれば通じるわけです。  ところが、携帯電話はそういう機能がございませんから、隣の友達に電話するのと、一一〇番、一一九番に電話するのと同じ機能を持ちますので、やっぱりそういう優先機能を持った、重要通信優先機能を持った機種が必要でございます。これも新機種で売り出されることになってはおりますが、これもまだまだ本当にごくごく一部です。  それから、位置の特定ができません。つまり、助けてくれと携帯電話で叫んでも、アンテナの範囲数百メートル以内にこの人はいるなとは分かりますが、ピンポイントで分かりません。つまり、位置特定ができるような携帯電話ということで、実は携帯電話というのは防災という点に関しては改善しなきゃならない点はたくさんございますので、何とかこれを改善してほしいと。  ただし、一ついいことがございますが、去年の九月から携帯電話の音声とパケット通信を分離いたしました。今度の新潟中越地震でもそうですが、携帯電話の音声は八七・五%の規制を掛けました。ですから、音声はほとんど通じません。ところがメールの方は、パケット通信ですから、メールの方は時間が掛かりますがほとんど通じております。つまり、いざとなったらパケット通信を活用すると。ただ、私の学生が新潟の実家にパケット通信をしたら五時間掛かったということなので、時間は掛かるんですが、多少は良くなっていますが、改善点はたくさんございます。  是非、御認識いただいて、改善するような方向で御検討いただければ有り難いなと思っております。
  42. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。
  43. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は、三人の参考人の皆さん、大変お忙しい中を、そして本当に貴重な御意見をありがとうございました。  まず、中貝市長にお尋ねをしたいんですけれども、先ほど来、本当に深刻な被災を受けた市民の皆さんの希望ということが本当に大事だというお話始め、生活あるいは営業の再建が今本当に困難なだけに、そこにどんな希望を持っていっていただけるのかと、これが政治の責任だということは私も大変痛感をしたんですけれども、それで、今日、参考資料として御提出をいただいている写真ですね、これを拝見して、改めて私、豊岡でのお一人お一人の生活やあるいは営業、これが大変甚大な被災を受けたんだなということを実感をしているところなんです。  市長市民の皆さんから直接たくさんの、今の苦しみ、あるいは怒りや要求ということをお聞きになっていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、そのお一人お一人の市民の声というようなものをもし御紹介いただけることがあれば、是非お願いしたいと思うんですけれども。
  44. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) まず、生活の方に関してですが、先ほども少し申し上げましたけれども、所得水準のこともあって、言わば、かまどの火を消さざるを得ない、家はとにもかくにも残りました、二階には畳があります、あと鍋とかまがあれば私食っていけますという方々に対して、差し伸べる手がどうもうまく見当たらないということがあります。そういう人たちに、これから国にもお願いをし、県にもお願いし、あるいは地域社会の中でどのように支え合っていくのかということが大きな課題なのかなというふうに思います。そういう声はたくさんあります。  それから、避難者の方々がやはり住むところ、一刻も早くこの避難所の集団生活ではなくて、とにもかくにも孤独にというか、孤独も一つには大切なことですから、自分たちだけの暮らしをできる場が欲しいということがございまして、応急仮設住宅で対応できる方、それから、これはもちろん自分でできないという所得の考え方がありますから、そこを超えているけれども大きな被害を受けている人たちに対していかにきめ細やかに、あなたは所得の関係で応急仮設住宅外れましたといったときに、泣きながら帰っていかれる方とかありますので、その辺が非常に私としては心に重くのし掛かっています。ただ、大都会ではありませんので、まだ私たちが頑張れば個々の方々への対応は可能だと思っていまして、そこは渾身の力でやっていきたいと思います。  それから営業に関しましては、先ほどもかばんについてお話をいたしましたけれども、大きな企業も製造ラインをやられました。コンピューターミシンなんというのは正にその核心部分をやられてしまいますと全く使い物にならない。ここを立ち上げるために融資が必要である。すぐ低利融資あるいは無利子融資とくるわけですが、既にもう筒一杯借りてしまっていて、金融機関の方がなかなかそこを緩めてくれない、こういう人たちにどのような対応をするのか。すぐ信用保証協会の枠を広げるとなりますけれども、信用保証協会も貸倒れは大変危険なことでありますから、そこでの審査が厳重になされるとなりますと、実はなかなか効果を生まない。信用保証協会の方も既に筒一杯借りてしまっていて、それでも駄目だという方について、さらにリスクを行政とあるいは金融機関がどのように取るのか、この辺に実はうまい手がまだ打ててないというのが、十分な手が打ててないという実態がございますけれども、その辺についての強い声というのは企業から出てきています。  また、豊岡は工場生産だけではなくて内職の方々が約千軒あります。こういう方々は、例えば一台五十万円のミシンを一台持ち、あるいは数台持っているんですが、実は今回災害にやられたところにそういう方々が集中をしておられました。水につかってしまった、もう私たちは六十、七十で、これからさらに五十万、百万の借金をしてまでもう一度立ち上がるのか、あるいはちゃんと受注は来るのだろうかということで、意欲が非常になえてしまっている。そういう方々はもうとにかくミシンが欲しい、こういう悲鳴のような声が上がっています。  ただ、いろんな制度上、差し上げますというわけにはいきませんので、そこに対していかにきめ細やかで、あるいは何というんでしょう、タフなといったらいいのか、巧みなといったらいいのか、そういう対応を今非常に求められているというところだと思います。
  45. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  先ほど、災害対策の全体の制度について中貝市長にお尋ねしたいと思いますけれども、大変複雑で全体像が見えにくいというのがその被災地自治体の皆さんにとってもそうだというのは、私もこの間実感してきました。  それで、今お話しいただいたような暮らしの再建あるいは営業の再建という、被災者御本人お一人お一人ということを考えたときに、ましてや自分にどんな選択肢があってどんな権利があるのかということがなかなか届かないという実情があるのではないかと思うんですが、その辺りで豊岡で御苦労されていること、あるいは政府に対して何か要望とかがあれば。
  46. 中貝宗治

    参考人(中貝宗治君) 私も走りながら考えているところがあったものですから、十分頭の整理ができていないんですが、国の制度自体、正直私たち自身が事前に十分勉強しなかったというのがまずあります。  災害救助法で一体本当にどこまで手が差し伸べられるのか。先ほど廣井参考人お話がありましたけれども、新潟の方でやっているというようなことができるとかいうような情報は私、全く持っておりませんでしたから、私たち自身がよく知らないといったことももちろんあります。  それから県の場合も、例えば兵庫県の場合ですと阪神・淡路大震災の教訓がございますから、様々な継ぎ足しの制度、補完的な制度がありますけれども、私たち事前にそういうものをあらかじめプールして全体像を見ていたわけではありませんから、そこのところもよく分からない。したがって、泥縄式、ここに問題があるぞ、何か方法はないのかといって探してくるというような、言わばその場その場の対応に追われてきているというところが私としては大変つらいなというふうに思います。
  47. 仁比聡平

    仁比聡平君 先に栗田代表にお尋ねしたいんですけれども、先ほど、ボランティア活動の主人公といいますか、はボランティアさんなんだというお話、大変感銘を受けまして、被災を受けた被災者の方、その被災者方々と一番接して声を受けられるボランティアさんが活動の主人公になって、自治体や社協やいろんな関係の機関と協働をしていくということで、いろんな御苦労がこれまであってきただろうと思うんですね。  そこで、具体的な災害地域のケースでこんなふうな工夫でこううまくいった、その教訓とか、それを全体として生かしていく上でこういうことがあればというようなことがあればお伺いしたいんですけれども。
  48. 栗田暢之

    参考人栗田暢之君) 時間がありませんのでどこまで申し上げられるか自信がないですが、主体は地元であるということをきちっと理解した、その地元にそういう災害救援のノウハウがなくても、地元が主体となってもうこのおらが村を守っていくんだという人たちが数名いれば、これ災害ボランティアセンターはもつと思っていまして、それが、外部からたくさん来ていろんなノウハウを伝授しようとする人たちもいますけれども、そういう方々が地元を主体として考えないと、その外部から来た人たちは後々帰る人たちですから、ここの応援団であるという自覚をしてうまくコラボレーションしていかなきゃいけないと思っています。でも、そのおらが村が大変だというふうに頑張った地域の柱は、やっぱり災害救援の柱ってやっぱり行政だと思うんですよね、ボランティアは幾ら頑張ってもそれは根こそぎ救えませんから。いわゆるその行政とボランティアの役割分担をきっちり持たせて、それぞれが意義のある活動をやっているんだということをお互いが認めるということも大事だと思います。  そういった意味では、去年の二〇〇三年の宮城県の連続北部地震で、南郷町というところが震度六弱、六強、六弱の地震に見舞われて災害ボランティアセンターを作られました。そのときに中心となったのが、やっぱり行政の命を受けて社会福祉協議会の方々がきっちり、そして私たちのような外部の今までのノウハウを受け入れてくれた。それからもう一つは、地元のボランティア連絡協議会、ボランティア友の会という方々、地元の方々です。たまたまイコール区長さんでしたから、もう顔の見える関係です、地元と。要するに、ボランティアというえたいの知れない方々を、この方々ボランティアさんなんですよ、この方々はこういうことをしてくれるんですよということを仲介をしてくれた人が地元の人であった、だからうまくいったというケースがある。  こういうような、一つ一つ地域地域によってやり方だとかあるいは一つ一つの事例がちょっと違いますので、一概には申し上げられませんが、地元が主体となって、その地元が頑張るということを柱としながら周りが、取り巻きがうまく入っていったというケースが一番いいんじゃないかというふうに私は思っていますけれども。
  49. 仁比聡平

    仁比聡平君 最後に廣井先生にお尋ねをしたいんですが、先ほど来、中貝市長にお伺いをしています自治体の苦労とかあるいは制度の複雑さとか、あるいは災害というのは通常経験をしないものですから、その自治体やあるいは被災者にとってはこれは初めてのことということがほとんどだと思うんですね。だからこそ、今のボランティア活動の問題についても中核を作るということが課題になるんだろうと思うんですけれども。  そういった被災者や、被災者というのはつまり住民やあるいは地方自治体、一番現場の市町村というところで考えたとき、そこの角度、目線で考えたときに、今課題として感じられていることがあればお尋ねしたいと思います。
  50. 廣井脩

    参考人廣井脩君) 二つ申し上げてよろしいでしょうか。  申し上げます。  一つは、自治体の話でございますけれども、やっぱり防災対策だけでなくて危機管理一般に通じますが、トップの方の決断と意識というのが大変防災体制が危機管理に大きく影響するわけでございます。アメリカの例を取るのは、アメリカだけの例を取るのはおかしいですけれども、アメリカでは自治体のトップになりますと危機管理の研修を受けます。つまり、自治体の長として危機管理がどうあるべきかという研修をかなり義務的な形で受けます。今消防庁さんでも自治体トップセミナーというようなことで防災セミナー、危機管理セミナーをやっていますが、やっぱり自治体のトップの方々に、災害があったときの対応の在り方、あるいは今後国民保護法というようなもので保護計画も作るということになっていますので、危機管理の在り方、そういうものについてトレーニングを受けてもらうような仕組みが必要かというふうに思います。  それからもう一つですが、実は私の専門は情報で、危機管理とか災害対応でした。ところが、一九九一年の雲仙の普賢岳の噴火、それから九三年の奥尻の津波、そして九五年の阪神・淡路大震災調査、経験しまして、これは緊急対応と同時に災害の後の救助、復興、復旧、つまり災害後の町づくりですね、そういう問題が物すごく重要かなというふうに痛感をいたしました。ところが、先ほど市長さんおっしゃったように、救助、救援の、復興、復旧のシステムが大変複雑でございます。  災害が起こった直後は厚生労働省さんが所管した災害救助法を発動して動きます。仮設住宅まではそれでいくんですが、今度新しく内閣府さんが所管しております被災者生活再建支援法というものは、これは内閣府の所管でございます。それから、町づくりになりますと国土交通省の所管というようなことで、まず所管がいろいろ違うということがございます。それから、復興のデザインをじゃどこが作るのかということもまだはっきりしておりません。  私は、これは頭の中でまだ漠然と思っているだけなんですけれども、どうもこういう災害大国日本では、災害対策基本法と同じような形になるのかどうか分かりませんが、復興基本法というような形で災害救助から最終的な町づくり、防災町づくりまでをトータルに含めた復興基本法というような法律を、法律体系を作る必要があるのかなというふうに考えております。
  51. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。
  52. 風間昶

    委員長風間昶君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  参考人方々には、本当に長時間にわたり御出席をいただきまして、貴重な御意見を拝聴させていただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  ありがとうございました。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  53. 風間昶

    委員長風間昶君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、台風第二十三号等による風水害対策に関する件について、本日の委員会内閣府政策統括官柴田高博君、防衛庁長官官房審議官伊藤隆君、防衛庁人事教育局長西川徹矢君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、消防庁長官林省吾君、文部科学大臣官房審議官山中伸一君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官尾山眞之助君、厚生労働省職業安定局次長大石明君、厚生労働省社会援護局長小島比登志君、農林水産省農村振興局整備部長南部明弘君、水産庁漁港漁場整備部長田中潤兒君経済産業大臣官房地域中小企業対策統括官服部和良君、国土交通省都市地域整備局長竹歳誠君、国土交通省河川局長清治真人君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省港湾局長鬼頭平三君、気象庁長官長坂昂一君及び環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 風間昶

    委員長風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  55. 風間昶

    委員長風間昶君) 災害対策樹立に関する調査のうち、台風第二十三号等による風水害対策に関する件を議題といたします。  まず、去る十月二十七日に行いました平成十六年台風第二十三号による被害状況等の実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。小林元君。
  56. 小林元

    ○小林元君 派遣報告を申し上げます。  去る十月二十七日、岡山県において、平成十六年台風第二十三号による被害状況等の実情を調査してまいりました。参加者は、風間委員長、高橋理事、小池委員山内委員、山本委員仁比委員、そして私、小林の七名であります。  現地調査の概要を御報告いたします。  まず、玉野市において、内野岡山県副知事から、被害の概況及び要望を伺いました。  副知事の説明などによりますと、同県の被害状況は次のとおりであります。  十月二十日午後、同県に最接近した台風第二十三号により、上斎原村恩原で降り始めからの総雨量が二百五十七ミリ、県北部の勝北町では広戸風と呼ばれる局地風が発生し最大瞬間風速五十四メートルを記録するなど、豪雨と強風に見舞われました。  これにより、土砂災害河川の越水、強風による建物の損壊などが発生し、十月二十六日現在で、死者七名、住宅の全半壊・一部損壊約四千七百棟、床上床下浸水約千八百棟、農林水産関係被害約三十九億円、公共土木関係被害約二十五億円、文教施設関係被害約二億円が生じました。  なお、同県では、八月三十日から三十一日にかけて中国地方を直撃した台風第十六号による過去最大潮位の高潮等により一万棟を超える住家が浸水したほか、漁業や商業関係施設などに甚大な被害が発生し、さらに、九月七日には台風第十八号により再び過去二番目となる高潮が発生し千四百棟を超える住家が浸水するなど、台風による被害が相次ぎ、早期の災害復旧が求められております。  岡山県からは、農林水産関係施設や公共土木施設について、災害復旧事業等の早期実施のほか、災害廃棄物処理事業に対する支援被災自治体への財政支援等について、要望がなされました。  その後、迫田玉野市助役から、度重なる台風襲来による災害復旧に係る要望を伺うとともに、お見舞金を手交いたしました。  次いで、現地視察に移り、玉野市宇野七丁目の土砂崩れ現場を視察いたしました。玉野市では、猛烈な豪雨の影響で、住宅街の裏山で土砂崩れが発生し、住宅八棟が全半壊し、生き埋めとなり五名が亡くなるという被害が発生いたしました。  被災現場は、傾斜地に建つ住宅街の中で土色の山肌がむき出しとなり、巨大な岩も散見されるなど、瞬時に家屋を飲み込んだ土砂災害の脅威を目の当たりにいたしました。現場では、一部瓦れき等の除去は終了しておりましたが、視察の前日には大雨により再び避難勧告が出されるなど、二次災害が常に懸念されることから、早期の復旧作業とともに抜本的な土砂災害防止策が喫緊の課題となっております。  次に、倉敷市において、古市倉敷市長から、度重なる台風襲来による災害復旧に係る要望を伺うとともに、お見舞金を手交いたしました。  続いて、児島田の口のがけ崩れ現場を視察いたしました。十月二十日、民家の裏庭で発生したがけ崩れに巻き込まれ、一名が亡くなる被害がありました。  視察当時、崩れた斜面は二次災害防止のため、ブルーシートに覆われておりました。  最後に、今回の台風で冠水した児島小川の視察を行いました。同地区は、大雨のたびに冠水に見舞われていることから、排水機場の整備の必要性を痛感いたしました。  以上が調査の概要であります。  今般の災害の特徴として、急傾斜地のはらむ危険性についての認識が不適切であったこともあり、避難勧告が出される以前に土砂災害は発生し、高齢者が犠牲となったことが挙げられます。被災地の早期復旧・復興、また、被災者生活再建支援、さらには、各地で繰り返されるこのような被害の軽減のためには、土砂災害のおそれがある地域における地盤調査の促進、排水機場の整備、高齢者等の迅速な避難誘導など各般の施策が緊要であることを、今回の現地調査で痛感した次第であります。  最後に、復旧作業等でお忙しい中調査に御協力いただきました方々に、厚く御礼を申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げまして、派遣報告を終わります。
  57. 風間昶

    委員長風間昶君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  58. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 自民党の大仁田厚です。  今年六月の台風六号を皮切りに、十月の台風二十三号までの多くの台風が上陸し、さらに七月の新潟・福島豪雨及び福井豪雨なども重なり、二百名を超す犠牲者を出しました。また、先日の中越地震でも多くの尊い命が失われました。まずは、犠牲者方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、いまだ避難所などで不自由な生活を余儀なくされている被災者方々にお見舞いを申し上げます。  さて、新聞やテレビでは連日、新潟中越地震について報道されておりますが、実際に強い余震が続き、深刻な状況下にあるわけですから、様々な情報を伝えることはマスコミにとっては当然の役割だと思っております。しかし、そんな報道の陰に隠れ、台風などによって甚大な風水害がもたらされた地域人々が数多くいることを忘れてはいけないと思っております。住宅が全壊した人、商売をやめた人、また精神的ショックが強く、今も不眠に悩まされている人、この先どのように暮らしていけばいいのか途方に暮れている方々もたくさんいらっしゃると思います。  そのような現状を踏まえて、本日は特に台風等による風水害について各担当省庁にお伺いしたいと思っております。  まず初めに、激甚災害指定の状況と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。  新聞報道によれば、新潟中越地震について激甚災害指定を前倒しして十一月中に行う可能性もあるようですが、私は、台風二十三号の風水害についても早期の激甚災害指定を図るべきだと考えております。今年の各地の風水害激甚災害指定の状況も踏まえて、村田大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。
  59. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 激甚災害の指定の認定につきまして御質問がございました。  今年は、今、大仁田委員が御指摘のとおり、大変多くの災害が発生いたしまして、これまでにも新潟・福島及び福井豪雨、それから台風十号及び十一号、それから台風十六号、台風十八号、これらによります災害について激甚災害に指定いたしまして、それぞれ被害状況に応じて公共土木施設や農地等に対する補助率のかさ上げという措置を講じたところでございます。このほか、台風十五号等と高潮による農作物の被害に対しまして農林水産省が天災融資制度を発動いたしましたので、それに合わせまして激甚災害としての指定を行いまして、貸付限度額の上乗せ及び償還期限の延長の特例措置を講じたわけでございます。現在、台風二十一号につきまして激甚災害の指定のために必要な手続を行っているところでございます。  台風二十三号につきましては、政府の非常災害対策本部というものを設けまして、私から、国土交通省、農林水産省などの関係省庁が中心となって被害額の早期把握を行うよう指示したところでございます。国土交通省や農林水産省から職員を直接現地に送りまして、被害状況のできるだけ早い取りまとめを行っていると承知をいたしております。  現在、今申しましたように、被害状況の把握を鋭意努力をしておるわけでございますけれども、これまでの状況から判断しますと、台風二十三号につきましては全国規模の激甚災害であります本激になる可能性があるものと私は認識しております。いろいろまだ難しいところがございますけれども、今月中の指定に向けて作業を進めるように指示しているところでございます。  新潟の方が十一月以内ということで御指摘ありましたが、新潟の方は雪が降ってくるわけでございまして、その前にできるだけ復旧活動に努力してもらうという意味でそういうふうに申しましたけれども、当然、時期的に二十三号の方が早く本土を襲来したわけでございまして、私どもとしては、併せてできるだけ早い、今月中にでも本激、激甚災害の指定を行いたいというふうに考えておりますので、なお一生懸命努力をいたしたいと思っております。
  60. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 よろしくお願いします、大臣。  僕は国というものはどういうものかとよく考えるんですけれども、こういう災害時とかそういった天災のときこそ国の在り方、そしてまた、国が父親である責任というものを全うすることによって国民は安心を得ると思っておりますので、是非大臣努力をよろしくお願いいたします。  今年の相次ぐ台風の襲来は、太平洋高気圧が張り出した状態が続いていることに原因があると聞いております。また、フィリピン東沖で発生した台風が高気圧のふちを通り道に次々と日本列島に移動し、またこれに秋雨前線が加わって強風と豪雨がもたらされたという解説を新聞で読みましたが、ここで気象庁にお尋ねいたします。  ここ数年、異常気象という言葉をよく耳にしますが、今年のように台風が十個以上も上陸するような状況は来年以降も十分に起こり得ると考えてよろしいのでしょうか。
  61. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) お答え申し上げます。  気象庁では過去三十年間に発生しなかったような現象が見られた際、これを異常気象といたしておるところでございます。  今、御質問の中にございましたように、今年の台風上陸十個は過去五十年間での最大の上陸数、過去はこれ六個でございますが、これを大幅に上回っているところでございまして、上陸数の観点から見まして異常気象の一つと申し上げて差し支えないというふうに思っております。  また、こうした異常気象が来年も起こり得るかというお尋ねでございますが、この点につきましては非常に予測が難しい問題ではございますが、台風の接近、上陸に伴う被害につきましては、御案内のようにこれまでも毎年のように発生しているところもございます。引き続き、台風災害等に対する更なる万全な備えが必要であるというふうに考えております。  以上でございます。
  62. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 夏以降も、私たち台風や地震による大きな被害状況や、被災された方々の苦難を新聞やテレビの報道でほとんど毎日目にしています。しかし、そんな報道を目にしても、どうしても感じるんですが、どうしてもテレビやそういったニュースで聞くと、言い方を変えればちょっと対岸の火、やっぱり地方で起こっていること、現実を目の当たりにすると、やっぱり被害状況とか、わあすごいなと思うんですが、どうしてもやっぱりテレビなどで見ると、どうしてもそういった自分の中でも感じるものがあります。  こういった認識を、やっぱりどこか認識を変えなければいけない。どこかの遠い国で起こっているような錯覚してしまうということをやっぱり認識を変えなきゃいけないと僕は思っておるんですけれども、国民の生命を守る上で防災行政はとても重要ですが、行政の取組だけでは安全を確保するということは僕はできないと思っております。  自助、共助、公助のバランスが保たれてこそ真の安全が確保されるわけですが、今回の風水害で地震災害被害を見ていると、自助についてやはり一人一人の防災への認識が低かったようにちょっと思えるんですけれども。  五千人もの犠牲者を出した伊勢湾台風に見舞われた、一昔前の話ですけれども、自然の恐ろしさを一人一人が認識し、台風が来るとなれば、それぞれが家庭で雨戸をくぎ打ちしたり、缶詰やろうそくを買い込んでそのときが来るのを備えたような子供のときの記憶があります。そんな時代から五十年、確かに砂防や治水の整備がされ、ビルやマンションの中にいれば風や雨の音も気にならない環境が整いました。しかし、そのような防災設備の促進や住環境の向上が私たち防災に対する切実さを何かちょっと奪っているような気配もあります。ハード面の対策は費用も時間も掛かりますが、個人の防災対策防災意識の向上はすぐにでも僕はできると思うんです。  そこで、防災意識の向上についてお尋ねいたします。  国民全体の防災意識の啓発、そしてまた子供たちへの防災教育の推進が急務だと僕は考えるのですが、これではこれまでどのように取り組んでこられたのかお聞かせください。そしてまた、今年の甚大な被害状況を教訓に今後どのような取組をされているのかお聞かせくだされば有り難いと思っております。よろしくお願いします。
  63. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 文部科学省でございます。  児童生徒に安全な生活を営むために必要な事柄につきまして理解させ、地震や台風等の災害時に安全な行動ができるような態度を身に付けさせる防災教育は極めて重要であると認識しておるところでございます。学校では、児童生徒の発達段階に応じまして、体育、保健体育科及び特別活動等を中心に学校教育活動全体を通じて防災教育が行われております。  具体的に申し上げますと、保健体育など各教科での指導のほかに、学校行事におきまして避難訓練を実施したり、学級活動において防災の重要性、災害時の対応について実践的な指導をしたりしておるところでございます。  文部科学省では、学校における防災教育の充実に資するために、地震等による自然災害に対する備えと安全のための適切な行動が取れるよう、授業などにおいて活用する児童生徒向けの防災教育教材でございますとか、あるいは各学校における安全指導の進め方や避難訓練の実施を含む指導計画の作成などに関する教師用の指導資料などを作成配付しておるところでございます。また、防災教育に関しまして、各都道府県において指導的な役割を果たしております小中高等学校の教員等を対象とした研修会等を実施いたすなど、指導の充実を図っているところでございます。  今回の震災、台風等を踏まえまして、今後とも、子供が防災に関する意識を強く持って行動することができるよう、各学校で実践的な避難訓練を実施いたしますなど、学校における防災教育の一層の充実につきまして都道府県教育委員会等を引き続き指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  64. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。  万全の備えをしていても自然災害を避けることはできません。ここまでは防災を中心にお伺いしてきましたが、次に、実際に災害が起こった際の対応についてお伺いしたいと思います。  台風二十三号の上陸の際、避難勧告避難指示が出されていなかった地域犠牲者が出てしまいました。また、警報などが出ている中、屋根の修理や高潮の状況を見に行くといった理由で屋外に出た方々も多数被害に遭われました。もしもう少し注意し、気を配っていたら命を落とさずに済んだケースも多かったと聞いております。そのような現状を考えると、危険が予測される地域では、台風が接近してきたら、空振りを恐れず早い段階避難させることが大切になってくるのではないでしょうか。  そこで、お伺いします。  避難勧告が出されていなかった地域犠牲者が出てしまった現状を踏まえ、現行の避難勧告避難指示の在り方問題点はないのか、また見直す必要はないのか、御所見をお伺いしたいと思っております。
  65. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 先ほど先生の方から、個人の住民の一人一人の防災意識の向上が非常に重要だというお話をいただきましたが、そのとおりだと思っています。防災というのは政府だけの取組ではできません。個人の一人一人が必要な知識を持ちまして日ごろの備えをしていくということが大変有効な対策であると考えております。  また、今、避難勧告・指示のことについて御指摘をいただきました。七月の梅雨前線豪雨新潟水害、福井の水害、また一連台風等の災害への対応につきましては、避難勧告等の伝達がよかったのか、スムーズにいったのか、適切だったかという課題が明らかになりました。これにつきましては、有識者等によります検討会を立ち上げました。先月七日に第一回会議を開催し、先生御指摘の問題等について現在検討を進めております。本検討会では、避難勧告などの判断基準の策定をやりたいと考えております。これによりまして、市町村長による的確な意思決定についての検討を進めていくという具合にいたしております。  御指摘のように、委員会の中では、検討の中では、市町村長さんが空振りを恐れているけれども、そういう恐れる必要はないというような御指摘もございました。また、都道府県や国の機関による市町村への支援在り方、住民、市町村長、職員などの災害に関する意識の向上などについての検討も深め、年内に骨子を取りまとめたいと考えております。また、年度内に速やかにマニュアルを整備したいと考えておるところでございます。
  66. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 よろしくお願いいたします。  午前中の参考人質疑の中でありましたが、避難勧告避難指示を出したとしてもなかなか家から立ち退いてくれない、そしてまた避難所を設備してもなかなか集まってくれないという意見を聴いて、何となく納得する思いがありました。  ただ、やっぱり僕は思うのですが、やっぱり事前にそういった注意を図ることによって尊い命を助けることもできる、そういった避難指示、避難勧告について、できるだけ本当にこういったことは守ってもらいたいということを力強く訴え続けるべきだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  相次ぐ台風集中豪雨被害を受け、気象庁は、都道府県と連携し、土砂災害の危険が高まっている市町村に向けてピンポイントで土砂災害警戒情報を出すことを決定されたということですが、そのような警戒情報は迅速な避難を促す意味では大きな期待を持つことができます。  それでは、気象庁にお伺いします。  来年度に実施を予定されているピンポイントの土砂災害警戒情報について具体的にお聞かせください。よろしくお願いします。
  67. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) お尋ねのございました土砂災害警戒情報に係る計画の概要を御説明を申し上げます。  現在検討中でございます土砂災害警戒情報は、大雨警報が発表されている状況下で地盤の状況、あるいは過去の土砂災害、それまでの降雨の履歴、現時点で、その時点での降っている雨、さらにはそれから先の降雨予測、こういったものを総合的に勘案をしまして、土砂災害の危険性がある市町村を示す情報でございます。先生、今ピンポイントというお言葉を使われましたが、我々としては、市町村単位でどの市、どの町が危険性があるということを示す情報でございます。  この情報は、国土交通省河川局砂防部と気象庁の連携の下で、実際の作業は都道府県と地元の気象台が共同して行い、発表いたすものでございます。御質問にもございましたように、この警戒情報によりまして市町村ごとに危険性が指摘されるところでございまして、防災対応がより適切に行われるようにというふうに我々も期待しておるところであります。  なお、この警戒情報の作成等につきましては、これまで一部の都道府県で試行を行ってまいってきております。平成十七年度以降、準備のできました県等のところから順次その運用を開始する予定でございます。  以上です。
  68. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 いや、各省庁、本当に今回、今年は災害が多く大変だと思いますが、そして、僕ちょっと思ったんですけれども、各地にやっぱり視察に行って現場を聞いてみると、やっぱり高齢者の方がかなりお亡くなりになられている、そしてまたけがをされているということが多いんですけれども、ここで質問いたします。  私の意見としては、災害弱者である高齢者や身障者に対して、一般よりも早期の段階避難勧告を出すといった二段階勧告などの対策が必要だと考えております。政府としまして、災害時に高齢者や身障者が安全かつ迅速に避難できる体制の整備が必要であるという認識で対策検討をされていると思いますが、今後の災害弱者への具体的な対策をお聞かせください。よろしくお願いします。
  69. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今回の一連災害の中では犠牲者の方のかなりの部分の皆様が高齢者であったという状況が分かってございます。高齢者等災害時の要援護者は健常者に比べますと避難に時間を要するということは先生御指摘のとおりでございます。  避難勧告などを出す際、災害時の要援護者に十分配慮することが重要であると考えておりまして、先ほどお話し申し上げました、お答え申し上げました検討会の中でもこれらの検討を行ってございます。  具体的に申し上げますと、現在、郡山市におきましては、災害時の要援護者避難に時間が掛かるということを、そういうことを想定した上で避難勧告の判断基準、早めの判断基準を定めてございます。早めに出すということにいたしております。また、名古屋市などは早い段階での避難準備のための注意情報を発出いたしてございます。  これらの運用状況等につきまして調査を実施いたしまして検討を深め、その成果を年内に取りまとめます、年度内に取りまとめます、年内、失礼しました、取りまとめますガイドライン等に反映したいという具合に考えてございます。  以上でございます。
  70. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございます。  報道によると、土砂災害のあった愛媛県四国中央市では、避難勧告が遅れた理由について、合併後まだ半年しかたっておらず、旧自治体地域の要注意箇所が本庁まで上がっていなかったという説明をしていますが、半年もたっているのに本庁での情報整備がなされていなかったということは大きな問題だと指摘せざるを得ません。  ここで質問いたします。  四国中央市のような対応の遅れを生まないように、合併を控えた自治体に対して国として指導が必要であると私は考えますが、いかがでしょうか。
  71. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えを申し上げます。  全国で市町村合併が進んでおりますが、市町村合併に際しましては、今御指摘をいただきましたように、災害防災情報につきましては、速やかに、かつ円滑に新市に引き継がれることが大変重要なことであろうと私どもも思っております。  このため、市町村合併に当たりましては、旧市町村の防災体制が新市町村の地域防災計画に円滑に位置付けられますよう、まず合併協議の場で十分な準備、検討を行って災害対策に万全を期していただきたいということをお願いをいたしておりまして、合併のマニュアルの中にもその点を盛り込んでおりますし、今年度の一連災害等を踏まえまして、本年十月にも改めて文書をもちましてその旨を各市町村にお願いをいたしているところであります。  その際には、災害による危険箇所の把握や避難勧告の発出方法、災害時の緊急連絡網につきましても確認をしていただきたいと、この旨もお願いをいたしているところでございます。
  72. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 是非、地方自治体に対してそういったことの指導を的確にやってもらいたいと思っています。どうもありがとうございました。  このように、全国各地で様々な災害が頻発する中で、各自治体でハザードマップを作成することなども重要だと思います。  そこでお伺いします。  各自治体のハザードマップの作成状況や住民の防災対策への活用について具体的にお聞かせください。よろしくお願いします。
  73. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) ただいまお話のありました洪水ハザードマップでございますが、これは事前地域の住民の方々に知っていただくことによりましてスムーズな避難ができるということで非常に効果的な方策だというふうに考えておりまして、その作成、普及に努めているところでございます。  この十月現在での普及状況でございますが、三百六十一市町村ということでございますので、まだまだその普及が十分ではないというのが現状でございます。今年、大きい水害のありました新潟、福井、三重、兵庫、こういうところでの市町村も作成がまだできていないというような状況にありまして、これらについて重要な河川につきましては、作成、普及を図っていく必要があると思っております。  また、委員お話しになりましたような、その作ることもありますが、それを周知して、そして活用していくという取組が重要なわけでございますが、これにつきましては自治体において様々な工夫がなされております。行政窓口での閲覧、配布でありますとか、あるいは各戸への配布、それから広報紙ですとかホームページ、電話帳へなどの掲載、こういうようなことを行っているわけでございます。また、町内会での防災訓練に当たりまして、この洪水ハザードマップを活用した避難訓練を行ったり、先ほどのような防災学習の中で教材として利用していただくとか、それから配布に当たりまして住民説明会をしっかりと実施していくというような工夫がなされておるわけでございます。  これからも普及、活用、ここまで含めまして強化を図っていかなければならないと思いまして、この普及、活用のガイドライン等も作成してこれらを支援しているというのが現状でありまして、今後とも取組を強化してまいりたいというふうに思っております。
  74. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 まあ、備えあれば憂いなしという言葉がありますが、僕らが学校で一回避難の練習をする、そしてまた二回する、三回することによって人間は体で覚えるものです。災害というものは急遽やってくるものです。急遽対応できるかというと、人間は人間の中で、体の中に、プロレスもそうですけれども、体の中で基本的に受け身を取っていないと体が反応しないように、急遽というのはなかなか反応しないものなんです。それを一回、二回、三回で体の中に覚えていると自然とそういったものが身に付いてしまうという、それによって尊い命が助けられるということがありますので、是非、義務とは申しません、義務とは申しませんが、やっぱりそういったことを常にやらせることによって避難もスムーズになってくるということがありますので、是非そういったことを市町村及び日本全体に広げてもらいたいと思っております。  それでは、最後、ボランティアについて御質問いたします。  阪神・淡路大震災を契機として、いわゆる防災ボランティア災害救助また災害救援に重要な役割を果たしております。いろんなところに行って言われます。ボランティア方々に助けられた、温かい真心で勇気付けられたということをよく聞きます。各地の風水害新潟中越地震被災地でも全国から、全国各地から集まったボランティアが物心両面にわたって貢献しています。  そのようなボランティアをより一層有効、活用という言葉はあれですけれども、有効的に働いてもらうために、行政や住民と一体となって活動するためのネットワーク化やシステム化が不可避であると私は思っております。また、ボランティアの基本原則が自発的貢献であるというものの、効率的に活動してもらうためには、働きやすい環境を整えるとともに、行政の担うべきところはたくさん僕はあると考えております。  そこでお伺いいたします。  ボランティアの環境整備について、今後目指すべき方向はどのようなものであるとお考えですか。
  75. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今年の一連災害におきますボランティア方々の活動につきましては、御指摘のとおり、目覚ましい活躍でございまして、頭の下がる思いでございます。大変感謝をいたしております。  国といたしましても、被災地での受入れ窓口についてホームページ上で積極的に情報活動の提供を行うこと等によりまして、ボランティア活動への支援を行ってきております。  また、本年九月には、防災大臣が御出席いたしまして、新潟、福井の水害に関する、係るボランティアさんたちを集まっていただきまして懇談会を開催いたしました。これは、被災地現地の活動していただきましたボランティアさんに広域的に活動するボランティア団体の参加も得て行ったところでございます。  この中でいろんな問題点が議論されました。例えば、ボランティア活動にはボランティアさんだけではなかなかうまくいかない、行政との連携、スムーズな連携が非常に重要だということが一つございました。また、義援金等から成る基金、ボランティア基金というものができているようなところについては迅速な活動に有効であったというようなこと、また、被災者のニーズの把握や被災者ボランティアとの調整を行うコーディネーターさんたちの体制が重要だというような各種の問題点について提起されたところでございます。  内閣府といたしましては、また平成七年度から毎年開催いたしております防災ボランティアのつどいというものを本年は、本年度は十二月にも開催し、これらの課題について議論していくなど、引き続き関係省庁と連携の下、ボランティア活動のための環境整備に努めてまいる所存でございます。
  76. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ボランティア活動と申しまして、基本的にボランティアの団体などがあるんですけれども、なかなか横の団体がつながらないということも聞いております。ただ、僕は思いますけれども、目指すものは一つですから、そして、やっぱり自分で、自分を犠牲にしてでも、自分が勇気を出していこうじゃないかということをやっぱり国民に示すことは大変に僕は重要なことだと思っております。子供たちの教育上も僕は必要なことだと思っています。  今回、地震の被災地やいろんな台風被災地などに出掛けていって、一つは、体育館の中でおばさんが一人僕に言うんです。おばあちゃんと写真を撮ったんですけれども、そのおばあちゃんが体育館の中でめちゃめちゃ人気者なんです。なぜかというと、そのおばあちゃんが一人一人の、一戸一戸の家庭を体育館じゅうを回りながら気配りをしたり、それで、その家族の面倒を見たりなんかしてくれて、そのおばあちゃんが物すごく、その体育館にいる人たちがみんな言うんです。あのおばあちゃんがいたから、もう私たち元気になれたっていう。  何というのかな、確かに災害というものは人に危害を及ぼしたり人の尊い命を奪ったりするものですけれども、時として、そういった本当に今失われたコミュニティー、人の優しさ、真心というものを感じるときがあります。人間というものは不思議なもので、そういったときにしか感じないのかと言われたらそうじゃないんですけれども、やっぱりそういった人たちがいるからこそこの国が成り立っているんだという基本的なことをおれたちは忘れちゃいけないと思います。  今後、防災についていろんなことがあると思いますが、是非国として、おやじとして、是非、子供たちが、そしてその家族が安心してこの国で住めるような防災の設備、そしてマニュアルを是非国を挙げて推進していただきたいと思います。  どうも今日はありがとうございました。
  77. 小池正勝

    ○小池正勝君 小池正勝です。御質問をさせていただきます。  まず、今回、台風、大変な被害をもたらしまして、亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますと同時に、心からのお見舞いを申し上げたいと思っております。  今回は、二十三号だけで八十七人もの方が亡くなり、六人もの方がいまだ行方不明。六月から全部合わせれば二百九名の方が亡くなられて、二十名の方がいまだに行方不明と、こんな大変な状況になっているわけでございまして、心からお見舞いを申し上げたいと思っています。そんなことを踏まえて御質問をさせていただこうと思っています。  まず一つは、台風というのは地震と違って予測ができます。台風を避けることはできませんけれども、しかし台風被害事前の対応なりそのときの対応がきちっとしておれば十分防げるはずであります。そこで、まず、台風時の対応から御質問をさせていただこうと思っています。具体的には、先ほども大仁田先生が御質問なられました避難勧告の問題です。  今回の台風時のお話で、避難勧告を出したところもあれば出さないところもある。あるいは、出したけれどもそれが遅かったというところもあります。先ほど派遣報告にもございましたけれども、玉野市、岡山県の玉野市に私も行かしてもらいましたが、ここは、もう土石流が起こって、高齢者が亡くなって、それが起こった後に避難勧告を出したと、正に後手に回ったというのがこの玉野市の例でありました。これは玉野市だけではありませんで、こういった後手に回った例というのは幾らもあるし、全然出さなかったという例もあるやに報道されておるわけでございます。  このような悲惨なことが起こらないように、先ほど大仁田先生の御質問の中でも柴田統括官お答えになっておられましたので、再度この点を御答弁願いたいと思います。
  78. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 御指摘ございますように、避難勧告避難指示等、台風等は事前からかなりの精度で予測ができておるわけでございますので、適切な対応が求められているところでございますが、多分、私が思いますに、その地域だとか首長さんにとってみれば初めての体験ということもございますでしょう。地域にとってみれば何十年ぶりという体験というようなこともございますでしょう。全国的には大変な災害日本列島を襲っているわけでございますが、その地域にとってみれば何十年とか久しぶりとか、もう初めての体験ということであろうかと思います。そのときに、市町村長さんたち避難勧告避難指示をどうやって出すかということについては、なかなか難しいものがあるんではないかと考えております。  そういう問題意識があるわけでございまして、一連台風災害等の後、関係局長会議を開きまして、特にこの避難指示・勧告情報伝達の関係等については有識者等から成る会議を開催し、政府の中で検討しようということで検討いたしているところでございます。  その首長さんたちがごらんになって何か客観的な基準というかマニュアルがやっぱり必要だろうと考えております。この検討会では、避難勧告等の判断基準の策定をする、かなり具体的なものをしたいと考えてございますが、これによりまして市町村長による的確な意思決定についての検討を進めていきたいと考えております。  また、名古屋市や郡山市などにおいては早い段階で発令する避難住民のための注意情報等がなされてございますので、その運用状況等についての調査を実施するとともに、都道府県だとか国が、国の機関による市町村への支援在り方ですね、それから、住民、市町村長、あるいは職員等の災害に関する意識の向上などについての検討を深めていきたいと考えておりまして、年内に骨子を取りまとめた後、速やかにマニュアルを整備したいという具合に考えております。
  79. 小池正勝

    ○小池正勝君 私も市長をやっておりましたので、この避難勧告を出すタイミングの難しさというのは私自身も身をもって感じた一人でございまして、そのときに、今統括官がおっしゃられたように、具体的な基準というのがもうほとんどないに等しいというのが今の状況なわけですね。  じゃ、すべてに出せばいいかといったら、これは余り何でもかんでも出していると、今度は、一般市民の方が今度は信用してもらえなくなってしまって、まだ川に水が低水路にしかないじゃないかというような話になってしまったんでは、これまた避難勧告の意味がなくなってしまうわけですから、当然ここは基準というものを明確に国の方でお決めいただいて、もちろん場所によっても違うし、地形によっても違うし、それはそうだろうと思いますが、具体的な基準というのをきちっとお作りいただいて、しかもそれを全国に周知徹底する。市町村長に周知徹底するだけじゃなくて、住民にも十分な周知徹底をお願いしたいと思っています。  そこで、玉野市のお話に戻るんですが、玉野市の今回避難勧告を出すのが遅かったと。遅かったというのはもちろん責められるべきだと私は思いますが、と同時に、もう一つ、この現場へ行って見させてもらって御説明を伺うと、ここは危険箇所に指定されていなかったと、こういうことがその場で御説明がございました。家のすぐそばまでもうがけになっていまして、軟らかい地盤で崩れてきて、高齢者の方が亡くなるという大変不幸なことが起こったわけでございますが、そのときの御説明では、岡山とか香川とかという瀬戸内海側は余り災害の経験がないので指定していなかったんだということを市役所の方は御説明しておられましたが、いずれにしても、こういった危険箇所、指定していなかったわけですけれども、危険箇所の総点検というのをすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  80. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 土砂災害の危険地区の話でございますが、全国に現在、把握されているもので、人家五戸以上の保全対象があるものについて二十一万か所ございます。それ以下のものも含めますと五十二万か所ということでございますが、今お話のございました玉野の土砂害の現場でございますが、これは区域の指定がなされていなかったということがあるわけでございます。土石流が発生したわけでございますが、これらの原因につきまして現在岡山県の方でその調査を実施しているところでありますので、その調査結果が出てまいりましたら、それに伴って全国的な調査が必要かどうかということを判断して対処してまいりたいというふうに考えております。
  81. 小池正勝

    ○小池正勝君 是非よろしくお願いいたします。何といいましても人命の問題ですので、是非よろしくお願いしたいと思っております。  続きまして、災害時のお話なんですが、実は災害時、情報伝達が重要だということが言われていまして、これはもう当然だと思うんですが、そのときに、私もそうでした、災害時に電話しよう、携帯電話しようと思っても、携帯電話は通じないというようなことがあります。  実は午前中の参考人お話の中でも、携帯電話というのは水に駄目なんで、非常に防災上はよくないというお話がございました。むしろ、情報伝達ということからすると携帯電話よりは公衆電話の方がいいんだというのが参考人お話でございました。しかしながら、公衆電話というのはどんどんどんどん数が減らされ、携帯が普及しているから減らされているから大変困ったことなんだということを参考人はおっしゃっておられましたが、いかがでしょうか。
  82. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 公衆電話は、今先生御質問になったとおり、災害時には一番頼りになるというものは事実でございます。  ただ、公衆電話も、携帯電話がこれだけ普及してまいりましたり、あるいは競争が激しくなってまいりますと、一定の基準以下、以上のものはどうしても採算上取り外したいということで、実態的に見ますと、採算の取れないところからは数が減っているということはございますけれども、そうは申しましても、必要最低限であるという一定の基準の下では配置をしてあるということでございまして、特に災害等がありますと、特別に公衆電話を即置くという形で対応しているというのが実態でございます。
  83. 小池正勝

    ○小池正勝君 いや、そこでです。ですから、減っているんだと、採算上減っているんだと、それはもう分かっているんですが、防災上の観点から公衆電話の設置というのを総務省としてお考えになる気はないかということなんです。
  84. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 災害時以外のときに国が例えば積極的に何らかの支援をしておくということについては、現時点では考えてはおりません。災害時のときに、緊急時に臨時に仮設的に公衆電話を置くということを積極的には進めるということではございます。
  85. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは遅くないですか。災害が起こって被害が出てから置くのでは遅いんですよ。それを参考人はおっしゃっておられたんです。ですから、採算ということはもちろん分かります。だからこそ国が防災上の観点から乗り出したらどうかということを御質問しているんです。
  86. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 公衆電話をということについては、それがすべてかどうかというのはいろいろ御議論があると思いますけれども、現時点ではそこまで考慮してはおりませんでした、事実として。  ただ、いろいろな通信手段がございますので、例えば通信がふくそうしてつながらないというときにどうするかとか、例えば伝言メッセージを使うとかという形で安否を使うというようなことだとか、あるいは放送を使って何かできないかとかいうようなことについては検討していきたいというふうには思っております。
  87. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお答えは、私なりにそしゃくして言わしてもらうと、今までは考えてこなかったけれども、これからは考えるという理解をしてよろしいんでしょうか。
  88. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) そこまで私も答弁したつもりじゃございませんで、申し訳ないんですけれども。ただ、まあ、公衆電話を国が、民間事業者がやらないところをやるかということについて、これは困難だろうというふうに思っております。ただ、その代わりに何かできないかということについては検討はしたいというふうに思っています。
  89. 小池正勝

    ○小池正勝君 NTTに代わって国がやれと言っているんではないんです。NTTに例えば助成する、基金を作る、様々な支援の手段があると思いますが、いずれにしても、防災上の観点から設置しておかないと、いざというときに、先ほど局長の御答弁は、災害が起こった後そこに設置しますよと、これはよく知っています。そうじゃなくて、瞬時に対応したいから、瞬時に情報を取りたいときに公衆電話がなくて、携帯では水に駄目なんだというのは専門家はおっしゃっているんですから、ここは公衆電話というのを見直して、防災上の観点から考え直すべきではないですか。
  90. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 直ちにというわけにはいきませんが、大きな問題提起だというふうに受け止めたいと思います。
  91. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のは問題提起という受け止めですか。それとも検討していただけるんでしょうか。
  92. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 別に問題提起を受けたということでございますので、どういう結論になるか、私は今からお答えはできませんけれども、検討することについて前向きにいきたいとは思っております。
  93. 小池正勝

    ○小池正勝君 よく分かりました。これ以上は申しません。  次に、この情報伝達の関係で、管理者同士の情報伝達ということについて御質問をさせていただこうと思っております。  様々な管理者がありまして、私のところに、私、実は徳島なんですが、徳島の新聞がございます。徳島の板野郡というところがありまして、その中に宮川内谷川という川があります。これ、吉野川の支川でございます。この宮川内谷川というのがはんらんして浸水被害が出たんですけれども、ここは上流に宮川内ダムというダムがございます。これは県のダムです。県の治水ダムです。この宮川内ダムの放流連絡体制に改善の余地があるとの声が流域住民や町関係者から相次いだと、こう書いてあります。県からより細かな放流情報が提供されれば、対応ももっと迅速にできたと流域の町職員は話す。通常毎秒数トンしか放流されないダムが、二百トンを超える放流がなされた。その午後一時十五分、ようやっと流域住民に避難勧告した。しかしながら、半時間後には堤防から水があふれ出してしまった。板野町では、自宅周辺が水没し、町からの避難指示が出ても自力で避難できず、板野西部消防署のゴムボートで救出されたり、家で孤立したりする住民がいたと、こういう報道がされています。  この宮川内ダムの例ですけれども、まず、町に対してこの放流、何トン放流するか、いつ放流するかというのは連絡してあるんでしょうか。
  94. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 宮川内ダムでございますが、今お話しのありました板野町を始め、土成町、吉野町、上板町、それから市場、板野の両警察署に対して通知をすることにしておりますが、その通知をする内容としましては、今回も四回の通報を行ったということでございますが、段階がございまして、一つは洪水警戒態勢を取りましたよということがございます。それから二つ目には、洪水の調節操作に入りますので放流を開始しますということを通知しておりまして、これが洪水のあった前日でございます。それから、洪水のあった、今御指摘のそのはんらんとかあったときでございますが、時間にしましては十四時三十分から十四時四十分、二十日のですね、十四時三十分から十四時四十分にかけまして、計画を超える洪水に対応する操作に入りますということ、そういう操作に移行しますということを通知していると。それから、同じくその日の十八時五十分から十九時二分にかけまして、そういう操作を終了いたしましたと、こういう四段階で通知をしているようでございます。  国土交通省では、毎年出水期前に、今御指摘のような、管理者間の通報がきちっとうまく伝わるようにということで、都道府県知事あてに出水期における防災対策、出水対策についての通知を行っておりまして、この中にはダムの操作状況等の通報について、あらかじめ通報系統を確立して関係機関との打合せを十分行っておくようにということを注意喚起といいますか通知をしているわけでございます。  これからも、やはりそういう管理者間といいますか、自治体等との間の連絡は非常に重要なことだと思っておりますので、更に注意喚起等してまいりたいと思っておりますが、なおこの宮川内ダムにつきましては、放流状況のデータにつきましてはテレホンサービスを行っているということでありますので、知りたいというところからそちらの方にアクセスして情報を得るということは可能になっているということを申し添えておきたいと思います。
  95. 小池正勝

    ○小池正勝君 ということになりますと、結局その情報を得た町が対応、先ほどの話に戻るんですけれども、避難勧告が遅かったと、こういうことになるんでしょうか。
  96. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 出水の早さとかいうこともあろうかと思いますが、これも今回相当な雨が降ったということでございますので、どのくらいの雨が降ったときにどういう状況になるのかという情報について、その市町村が事前に知っておくことが重要だと思いますが、その辺のところが不十分であったのかなというふうに考えておりますが、ここら辺については、やはりその避難のための勧告なり指示なりをする目安というものがやはり重要ではないかなというふうに思っております。
  97. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは、そのお話はおきまして、この災害時、まずその避難とか災害時にどう逃げるかという話と同時に、災害の後、これはもうどこの被災地に行ってもそうですけれども、一日も早い復旧・復興というのを願うと、これはもうどなたもそうだろうと思っています。  そこで、これも地元の徳島の例を出して恐縮ですが、私ども徳島で三回台風被害が出ました。一番早かったのは七月の十号、十一号というやつでございました。  このときには、徳島の山の方、上那賀町とか木沢村とかいいまして、四国山脈の中とお考えいただければいいんですが、そこに大変な雨が降って、土砂災害が発生して、家も流されるというふうな、もちろん死者も出るという大変な被害になったんでありますが、もうそれから約百日がたつわけです、七月末ですからね。約百日がたちます。しかし、査定に入ってくれない。早く、一日も早く復旧・復興してほしい。査定しなければなかなか話が進まない。しかし、その査定作業が、もちろんお忙しいのはよく分かりますし、この事態だから、しかも全国が、徳島だけではないんだから大変なのは分かりますが、しかし百日も掛かっているというのは遅いんじゃないか。そう思っておりましたら、月曜日の日から入っていただいたようですからもうこれ以上は言わないんですけれども、ただ、三月、百日も掛かると。ここは何とか改善する余地はないんでしょうか。
  98. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今回、徳島の方の災害でございますが、大変大きい災害でございました。台風十号、十一号、ここではそれこそ千ミリを超えるような雨が降って大変な被害を受けたわけでございます。私ども、災害報告を受けておりますのが、県下全域でありますが、五百二十二か所、額にしまして百三十億という膨大なものでございます。この木沢村、上那賀町に、その報告額にしまして百億分が集中しているというような状況でありまして、こういう大きい被害があったものですから、災害直後に災害査定官を派遣してございます。  この災害査定官は、これからその災害復旧事業を円滑に進めていくための、現地で調整をする、指導をするというような目的で入っているわけでございます。その中で緊急に対応しなければならないようなもの、例えば二次災害に結び付くとか、それから被害が拡大してしまうと、ほっておくと、こういうものについては緊急な対応が必要でございますので、その場で打合せをして応急復旧工事に掛かってきていたということでございます。その他のものについては、急がないというわけではございませんが、一般災害復旧の査定につきましては、今お話しのように今週から来週にかけて入っているところでございますが、これにつきましては、その査定のための書類の整備というようなことで、出してくる方のスピードもあろうかと思います。  ただし、その緊急に対応していかなければならないという趣旨から申し上げますと、災害査定というのは早ければ早いほどいいわけでありますので、これからも災害査定のスピードアップには留意をしながら対処してまいりたいと思います。
  99. 小池正勝

    ○小池正勝君 是非この査定を急ぐと同時に、査定に時間が掛かった分は工事の方で取り返すというんで、一日も早く復興のほどをお願いしたいと思っております。  そこで、公共土木災ではなくて、農業の関係の災害についても質問をさせていただこうと思います。  農地が当然災害に遭います。作物、種をまいて災害に遭う。当然、さっきの査定でまあ三か月、百日掛かる。これも一日も早くやってほしいんですが、そうはいったって明日査定してくれというわけにいかない。これもよく分かります。そうすると時間が少し掛かる。これはもうやむを得ないと思うんですね。ところが、作物の場合は種をまく時期というのがありますから、なかなかやってくれないと種まく時期が遅れてしまってもう来年回しという話になってしまうわけなんですよね。  そこで、農業の場合、この種をまく時期というのを十分念頭に置いて査定をしていただかないと、せっかく査定が終わって農地の工事が終わったって、もう種がまいたって時期外れということになったんでは大変困る話になります。この点について、まず農林当局の方は、査定はどのぐらい時間が掛かって、こういうことについてどうお考えになるのか、御答弁をお願いします。
  100. 南部明弘

    政府参考人(南部明弘君) 農林省の査定、それから早期にというお話だったかと思いますけれども、私どもの所掌しております災害復旧事業につきましては、農林水産業の施設の災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる暫定法と私ども呼んでおりますが、その法律に基づいてやっております。今年非常に災害が多いものですから、先生御指摘の徳島県で、私どもの所掌では大体三十三億五千万ほど、そのうちの半分ぐらいが一つ台風で来ておるということで、県、市町村とも積極的に、何と申しましょうか、工事を始めるための査定を受けるための災害復旧の事業の計画概要書というようなものを作成されている段階だと思っております。  私どもそれを踏まえて査定を行いまして、その後おっしゃいましたような復旧工事に取り掛かるという運びになるわけでございますけれども、しかしながら、作物の作付けということもございますので、そういうようなものに関して緊急を要する場合には、この査定を待たずに写真で工事を残しておいたり、必要な図面をそろえるというような、簡易な手続でもうすぐ工事に着手できるような査定前の着工というようなことをやりまして、その辺で積極的な対応を現在進めておるというところでございます。
  101. 小池正勝

    ○小池正勝君 正にそれを言ってほしかったんですが、写真でいいんですね。
  102. 南部明弘

    政府参考人(南部明弘君) はい、写真等で証明していただければ後で査定対象といたします。
  103. 小池正勝

    ○小池正勝君 これでもう住民は大変喜びます。大変困っておりましたんで、写真でやっていただけるということを聞いて、早速報告をしたいと思っております。  次に、生活再建支援法との関係で御質問をさせていただこうと思っております。  生活再建支援法は、これもよくどこの被災地へ行ってもお話が出るんですけれども、この法律というのは建物の全壊とか大規模半壊ということになっておりまして、住宅の構造上とか物理的な損害というのを対象にしておるということであったわけですが、したがって水害の場合、床上浸水は駄目だと、対象にしないというふうなことが言われておって、各被災地もここを何とかしてくれという声が強かったわけですけれども、先般政府の方で通達を改正していただいて、床上浸水でも対応できるよと、場合によっては対応できるんだよということにしていただいたと。  大変有り難いと思っていまして、これはもう感謝申し上げたいと思っているところなんですが、その際に、御質問したいと思うんですが、床上浸水も大規模半壊に準じて認定できますよとはなったんだけれども、その場合の認定に建設技術の専門的知識を有する者というのが認定しなければならないと、こう書いてある。しかし、山の方で建設技術の専門的知識を有する者というのはなかなかいません。しかも、災害時ですから、このように大変四国の中でも徳島の中でも各地で災害がありましたから、そういう専門の方というのは都市部に偏っていると同時に引っ張りだこでございますから、そういった方が回ってこないというのがあるんですね。  ですから、この建設技術の専門的知識を有する者でなければ駄目なのか。逆に言うと、町長さんが認定するとか責任がある者が、村長さんが認定するとか責任がある者が認定するということでよろしいのかどうか、その点お伺いします。
  104. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 被災者生活再建支援法適用の関係でございますが、先生の方から床上浸水はそもそも対象にしないんだという御発言ありましたけれども、それはちょっと誤解でございまして、床上浸水も元々は自然災害すべて対象にいたしておりました。外見的な面で、それからまた経済的な面、両面でもって大規模半壊あるいは全壊ということを決めておったわけでございますが、床上浸水は分かりにくいことは事実でございます。地震は、倒れたとか、何度倒れたとかもう全壊したのが目で見て分かるわけでございますが。そういうことでございましたので、分かりにくいということがございましたので、先般弾力的運用につきましてかなり詳しく定めまして通知をさせていただきました。例えば、畳がもう駄目になってしまったら、例えば床がもう駄目になったという具合に見てもいいんではないかというようなことでやらさせていただきました。  そして、またこれらの運用の改善に、弾力的な改善によりまして積極的な活用を政府としてもお願いしたいと考えております。  また、今御指摘にございましたように被害認定の調査でございますですね、これは市町村長がおやりになるわけでございまして、建築技術の専門的知識を有する方が行うことが望ましいには違いないわけでございます。ただ、それほど数が各市町村におられるわけでもないと私も思っておりまして、具体的な調査方法については、例えば外部に委託をするとかいろんなやり方があろうかと思いますが、それらを当該市町村において適切に御決定していただければ結構だという具合に思っております。  また、今回は被害かなり広域的に広がりましたので、隣の市町村もやられているということがあるかもしれませんけれども、地方公共団体間でふだんから相互に協力関係を結んでいくというようなこともやっていただければ、かなりスムーズにできるんではないかと思っております。
  105. 小池正勝

    ○小池正勝君 今の柴田統括官のお話は、市町村で適切にやっていただければいいというお話ですから、建設技術者でなくてもいいと、こういうことですね。よろしいですか。
  106. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 先ほど申しましたように、そこが望ましいのは事実でございますが、認定の仕方等についてはいろんな工夫の余地があるということでございます。
  107. 小池正勝

    ○小池正勝君 よく分かりました。  次に、災害になりまして当然予防ということを考えなければいけないんですけれども、まず、私ども徳島の例を何回も出して恐縮ですが、今回、徳島では吉野川という大河川自体は余り大きなことにはなりませんで、そこに流れ込んでいる県管理河川とか、あるいは水路というのが、まあ内水ですね、内水がパンクして、内水があふれて浸水被害が起こるということになりました。全国的に見ましても、円山川とかという一級河川、直轄河川被災堤防が壊れたという例もありますけれども、ほとんどの災害の場合は、直轄河川ではなくて県管理河川なり二級河川ということが今の状況でございます。  伺いますと、直轄管理河川の場合は危険箇所が七十か所だと。ところが、県管理河川は九百五か所もあるというふうな話のようでございますが、この県管理河川なり二級河川の整備が極めて遅れていると、こういう認識を持っておるんですが、それでよろしいのかどうか。
  108. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今挙げられました数字は、七月の出水を機にいたしまして目視の緊急点検を行ったものでございます。都道府県が管理しております河川については、全体の調査はできておりませんが、その中の約三分の一ぐらいではないかと思いますが、その結果でございます。  その中からいろいろな課題が浮き彫りになってきたわけでございますが、やはりその整備の遅れということもありますが、ふだんの管理、これも重要なわけでありますが、大変、例えば延長にして長い区間を管理していらっしゃるということで行き届かないところも多々あろうかと思います。  それから、最近の豪雨の傾向というのは集中豪雨が多いわけでございますので、こういう中小河川、それから今お話にありましたような内水ですね、こういう形で浸水が起こるケースが多くなっているわけでありますので、管理水準を適切な水準に保っていただくためのいろんな工夫をしておりまして、ふだんの施設の点検だとか、それから施設の強化のためのマニュアルのようなものを御提示しまして、管理水準を保っていただくような努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  109. 小池正勝

    ○小池正勝君 今の局長さんの御答弁、正にそのとおりであると思うんですが、そういった緊急箇所の点の話というよりは、実は私ども徳島市内に園瀬川という川があります。これは県管理河川です、吉野川の支川ですけれども。これが、破堤ではありません、越水いたしました。  これはどうしてそうなったかというと、左岸と右岸の堤防の高さが違います。右岸側が極端に低い、左岸側が高い。従来、その理屈は、左岸側の方は住宅地であった、右岸側の方はかつては田んぼでしたから一つの理屈があったんだと思いますけれども、しかし今やもう住宅地になっていますから、そんな理屈は通りません。  ですから、こういった問題は、適切な管理というのももちろん大事なんですけれども、正に堤を上げないことにはこの話は解決しないと思うんですね。ですから、この県管理河川の整備、そういう意味で整備率が遅いと思うんですが、いかがでしょうか。
  110. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 委員のよく知っていらっしゃる川の話でございますが、ここにつきましては、整備が確かに右岸の方は遅れていたという現状があるわけでございますが、平成十五年から平成十九年までの五年間で、今、緊急改修を進めている途上での今回の越水による被害であったわけでございます。なるべく早く洪水による被害が解消されるように頑張ってまいりたいと思っております。
  111. 小池正勝

    ○小池正勝君 もう時間も迫ってまいりまして、ありませんので、最後に一言だけ申し上げさせていただいて、できたら河川局長さんの御答弁をいただければ有り難いと思っていますが、一言だけで結構なんですが。  今、園瀬川の改修を急ぐというお約束をいただきました。もう一つ、内水の問題が非常に多いんで、特にポンプの設置というのを、恐らくこれは全国各地から要望があろうかと思いますけれども、この内水問題、大河川の問題も大事なんだけれども、ポンプの設置ということを是非御尽力を賜りたいと思います。
  112. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 洪水対策につきましては、まずはその河川からのはんらんを止めるということが重要でありますが、そういう整備がある程度進んでまいりますと、今御指摘のように、内水はんらんが問題になってくるわけでありまして、最近の特に都市部なんかは内水による被害が非常に多いわけでございます。  ただし、この内水に対する対策というのは、一般的な対策として取られておりますのが、排水機場というポンプで川に吐くという形を取っているわけでございまして、非常に予算も必要になってくるわけでございまして、これらについては、洪水に遭う頻度であるとか、それからその程度、それから守るところでの保全対象がどういう状況にあるのか、こういうようなことを考えながら外水対策、いわゆる堤防とか川の掘削、こういうものとか、ダムとか遊水地とかいろいろあるわけでありますが、そういうものとのバランスにおきまして適切な内水対策をこれからは講じていかなければならないというふうに思っておりますので、内水対策についても推進してまいる所存でございます。
  113. 小池正勝

    ○小池正勝君 大変明快な御答弁を賜りました。  以上で質問を終わらせてもらいます。
  114. 風間昶

    委員長風間昶君) 質疑はこの程度にとどめ、午後四時まで休憩いたします。    午後二時四十七分休憩      ─────・─────    午後四時開会
  115. 風間昶

    委員長風間昶君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査のうち、台風第二十三号等による風水害対策に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 芝博一

    ○芝博一君 それでは、再開後の質問をさせていただきたいと思います。  私はさきの選挙で三重県選挙区から当選をさせていただきました芝博一でございます。  改めて私からも、このたびの水害そして新潟中越地震被災に遭われました皆さん方にお見舞いを申し上げますとともに、我がふるさとの三重県も二十一号で甚大な被害を受けました。風間委員長始め委員の皆さん方にも現地の視察にお越しをいただきましたことにも改めて御礼を申し上げながら質問をさせていただきたいと、こう思います。  限られた時間でございますので、できる限り前段の部分は省かせていただきまして、直接質問をさせていただきたい、こう思っているわけでありますけれども、午前中の参考人質疑、それから先ほどの大仁田先生そして小池先生等々の質問との重複もございますので、切り口を変えながら質問をさせていただきたいと思っております。  まず、村田防災担当大臣大臣にお尋ねをしたいわけでありますけれども、政府内での防災大臣の位置付けと、それから所管をする組織のあるやないや、改めて防災大臣としての権限についてまずお聞かせください。
  117. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 防災担当大臣でございますけれども、特命担大臣といたしまして平成十三年の省庁再編成以降常設と、こういうことになっております。所掌でございますが、災害についての予防、応急対策復旧・復興対策に関する基本的な政策の企画立案、それから総合調整等を行うと、こういう形になっております。  今般の台風二十三号とそれから新潟県の中越地震につきましては、災害対策基本法に基づきまして非常災害対策本部を設置いたしました。  こうした大きな災害に対して政府一丸となって対応をしているところでございますが、その災害対策基本法に基づきまして防災担当大臣がその非常災害対策本部の本部長ということにされておるわけでございます。防災に関する施策は多くの省庁にまたがっておるわけでございまして、今後とも関係省庁あるいは被災地方公共団体とも連絡を取りつつ、被災地復旧・復興のために、役所の垣根を取り払いながらこの復旧・復興対策を遺憾なく推進していきたいと、こういうふうに考えております。
  118. 芝博一

    ○芝博一君 改めてお聞きをいたしましたけれども、残念ながら我が国ではまだアメリカのように、すなわち一般的に言うFEMAであります危機防災局があって行動部隊がある、また組織が確立しているわけであります。対策本部を立ち上げたときの責任者でありますけれども、所管する部局もなければ省庁もない。そして明確な権限も、ある意味では、残念ながら付与といいましょうか与えられていないのも現実だろうと思っています。  今お話がありましたように、事があったときに各省庁間の間に立ってまさしく総合調整をすると、これが我が国の特命の担当大臣最大のお役目かな、お仕事かな、そんな思いもする中でありまして、そんな観点から以下の部分を御質問させていただきたい、こう思うわけであります。  その中で、この水害等の部分におきまして、全国各地で災害が起こった後、すなわち一番最初に手が付けられますのは何といっても人命の救助であります。この部分においても、そして人命救助のその後に大事なことはライフラインの復旧であります。ライフラインといってもいろいろございますけれども、電気、水道、通信等々を含めながら、やっぱり人命救助からライフラインの復旧まで含めて、その根底にあるのは、人や物や物資を運ぶ緊急のための、併せての道路の活用であります。  この部分について、今回の水害等々の災害の部分の人命救助、そしてさらには復旧・復興の中で、改めてでありますけれども、道路の果たした役割、そしてこれから防災上もそして復旧上も道路網の整備をしなければという必要性の部分、まあこれは相反する部分もあろうと思いますけれども、国交省の道路局長並びに、含めて防災担当大臣の立場から御所見をお伺いしたいと思います。
  119. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えします。  委員御指摘のとおり、道路は国民生活や社会経済活動を支える最も基礎的な社会資本であり、今回の台風二十一号等災害時においては、住民の避難や救援、復旧物資の輸送等を行う上で極めて重要な役割を果たしているものと考えております。先般の新潟中越地震においても、被災翌日には高速道路において緊急輸送物資を運搬する緊急車両について全区間通行を確保し、直轄国道につきましても、被災二日後には一部区間を除き一般車両の通行を確保したところであります。  豪雨、地震などの災害が頻発し、急峻な山脈が国土の中央を貫くといった脆弱な国土を持つ我が国においては、安全で安心な道路交通を確保するため、災害に強い道路造りが必要と考えております。このため、道路の整備段階においては、最新の耐震基準等に基づく防災の高い道路の構築を行うとともに、既存道路につきましても、定期的な点検を行い、のり面防災対策や橋梁耐震補強等の防災対策を進め、信頼性の高い道路ネットワークの形成に努めているところであります。  厳しい財政状況下ではありますが、道路特定財源を活用した所要の予算を確保し、道路の防災対策を効率的かつ着実に進めてまいりたいと考えております。  以上であります。
  120. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、道路局長の方からお話がございましたが、私ども災害が起こったときから、大きな災害については先ほど申しましたように非常災害対策本部というものを立ち上げて、各省庁を督励しながら、あるいは場合によっては関係の各省の局長級、例えば局長級の連絡会議等を開きまして、それで、これからの防災上必要な道路についての復旧はどうあるべきかということについても、専門家の意見を聴きつつ、またその防災基準というものを改めながら復旧作業も進めていくと、こういうことになるわけでございまして、常に災害が起こった後、こういう基準でいいかどうかということは反省をしながら復旧・復興を進めていくということでございます。  すぐれて、防災というものは過去の経験値というものが判断の材料になりますので、そういうことを踏まえて復興に努めていくと、こういうことではないかと考えております。
  121. 芝博一

    ○芝博一君 復興・復旧の道路の必要性、早急性の部分は言及いただきましたけれども、当然ながら復興・復旧の部分において大変重要な役割を道路は果たしているという、これは今も両者から御答弁いただきました。ところが、今の現下の状況を考えますと、道路局長からは言及ありましたけれども、例えば道路特定財源の問題が一般化されるかという議論がありますし、高速道路の整備の問題云々についてもいろんな議論がございます。  その中で、このまま進むと、私自身はこんな懸念をするわけでありますけれども、全国の道路網の整備が縮小したり遅れてくる懸念が非常に大きくなってくると、こう思うわけでありますけれども、そのときに、今、道路の災害復旧の問題も含めながら、まさしく人と物を運ぶ道路の部分について、災害の面からも含めて、村田防災担当大臣は政府の人間でもあります。しかし、今回国民は、この道路の必要性、道路網の整備というのは本当に必要だなということを実感をしているところでもありますから、相反する部分でありますけれども、その辺の整合性の部分について、時の流れの議論と今後の道路網整備、それは復旧も含めながらの部分でありますけれども、道路の果たす役割も含めながら、その整合性について防災担当大臣はどのような所見をお持ちでしょうか。大臣大臣の。
  122. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 御質問の趣旨が果たしてしっかり私が理解したかどうか分かりませんが、常に、今回の中越地震におきましても、復旧の前提として道路がしっかりしていないと復旧にも入られないと、こういうことでございますので、生活道路に至るまで、やっぱり道路の必要性というものは担当大臣としてもしっかり認識しているわけでございます。  そういう中で、いったん起こったその災害によって破壊されましたそうした道路等の公共インフラにつきまして、復旧する際には今後どう防災の観点からどうした道路を造って復旧していくべきかということは常に私どもの考えにあるわけでございます。
  123. 芝博一

    ○芝博一君 いずれにしましても、国の今の流れが、公共事業の抑制の中の道路整備の問題と、やはり防災で道路網を整備していこうという問題と相反する部分はあると思いますけれども、是非防災の立場に立った是非大臣発言といいましょうか、考えを推し進めていただきますようにお願いしたいと、こう思います。  もう一度、同じような質問をダムについてもさせていただきたいと思います。  今回の多くの水害の中で具体的に、朝の議論の中でダムの放流の問題について議論がありましたけれども、ダムの果たした役割というのは大変大きかったんだろうと、こう思っております。そこの部分のところを改めて、河川局長もお見えでありますし、補足して防災担当大臣にもダムの役割が、十分な役割を果たしていたのか、治水の面においてですね、そこのところの認識がありましたらお聞かせください。
  124. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 我が国の国土条件からしますと、地形が非常に急峻だということがございますし、また梅雨、台風期の集中的に豪雨に見舞われるということがある中で、ダムというのは水不足解消も含めまして、我が国の中では河川整備の一つの有効な手段であるというふうに考えております。  この一連水害の中でも洪水調節機能を発揮しておりまして、延べ八百二十のダムで洪水調節を行っておりまして、下流の水位低下、あるいははんらん被害の軽減に大きく役立っているというふうに思っているわけでございます。  国土交通省としましては、このダム事業につきましては事業評価を適切に実施することによりましてダム事業の必要性、妥当性を十分検証しながら、必要なダム事業については整備を推進して、事業効果の早期発現に努めてまいりたいと思います。
  125. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、河川局長がお答えになった国土交通省所管のダムに限らず、農業用のため池におきましても、今回の地震でも、その土砂崩れをそのため池が受けて下流の部落を災害から救ったという、そういう報道もありましたように、防災の観点からもちろんダム等の必要性というものは私ども深く認識しているわけでございます。
  126. 芝博一

    ○芝博一君 今、国土交通省の方からもお話ありましたけれども、今ダムについて、大型の公共工事等々についての見直し論、いわゆる再評価委員会等々の中で議論がされているところで、中には見直しや中止が決まったダムもある現状でもあります。その十分なる効果と評価をしながらダムの推進をしていきたいと、こういうお話でもありましたし、防災担当大臣からも十分なその効果があるんだという部分であります。  一般、私ども国民から見れば、今回のような水害が起これば、是非、治水の部分でのダム建設というのは正に生命と財産を守っていくわけでありますから、今まで、いっときのように利水も兼ねたという欲張った考えじゃなしに、やっぱり治水の部分で、大型じゃなくても小型でもいいと、そんな部分のダムの建設というのはやっぱり大事なんだろうと、こんな思いをしておりますので、是非そういうような思いを持ちまして、今回の教訓を生かして、ダムの部分の必要性についてもひとつ防災担当大臣としての働き掛けをいただきたいな、そんな思いでもございます。  続いて、次の質問にさせていただきたいと思いますけれども、朝からも議論いただきました気象情報、まさしく、また防災情報の伝達の問題についていろんな議論がなされておりました。  その中で、気象庁の方が注意報、警報を発令をしております。この警報等々につきましては、法の義務の下にまず知事に伝達をされます。ここまでは義務として定められているわけでありますが、その警報等を受けた知事は市町村長に伝達をする。今度は知事の義務がそれからは発生をしている。そして、各市町村長は警報、そしてもろもろの気象情報等々データを駆使しながら、朝から議論がありましたような避難勧告避難指示をそれぞれのマニュアルに基づいて、防災計画等々のマニュアルに基づいて判断をして、市町村長の責任の下で勧告、指示を発令をしている。こういう状況があるわけでありますけれども。  この中で、今、いろんな各地で声が上がっていますのは、この気象庁の注意報、警報の伝達、情報伝達に時間が掛かり過ぎている、こんな指摘の声があります。特に、県庁なり市町村が休日のとき、夜間のときに、今言いましたように、気象庁から知事に、知事から各市町村に大量の情報量になってきますから、数になってきますから、時間が掛かり過ぎて、それから担当者が休日、夜間には少ないということ含めて、ここのことが非常に議論をされているわけであります。  是非、この見直し論をする中において、この警報等々の伝達を知事だけに義務付けるのじゃなしに、まずやっぱり現場で勧告、指示を出すのは市町村長でありますから、直接的に法整備を進めて、市町村長に伝達をする。そして、その伝達した中での、伝達をする体制の整備を進めていくべきだと考えているわけであります。それは、今回の水害を見ても、局地的であり、そして短時間で被害が襲ってくるという現状から見ても、どうしても一分でも一秒でもというような感覚での情報伝達が必要でありますけれども、ここの部分についての法整備並びに体制整備について防災担当大臣のお考えがありましたらお聞かせください。
  127. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) ただいま気象情報の市町村への伝達にかかわるお尋ねがございました。  現在、今、委員の御質問の中にもございましたように、気象警報は気象業務法に基づきまして、気象庁から都道府県を経由して市町村に伝達されるとともに、もう一つ気象庁からNTTを通じても市町村に伝達をされております。気象庁におきましては、このような現行の二種類の伝達経路に加えまして、関係機関とも連携をし、最新の情報通信インフラを活用した市町村を含めた地域におきます防災気象情報の共有化の促進方策についての検討を現在進めておるところでございます。  なお、気象警報の気象庁から市町村への直接伝達の法制化につきましては、今申し上げましたような施策の検討を進めている段階でございます。今後、関係者の意見も徴しつつ、所要の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  128. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今年の夏の集中豪雨のときから、一つ情報伝達のスピードの問題がいろいろ議論されました。それからもう一つは、今度は市町村長さんがそうした情報を仮に受け取ったとしても、判断できるような内容になっているだろうかと、こういう問題点もあったというふうに思います。  私どもは、台風等の被害が予想される場合に、やっぱり適時的確に避難勧告等の指示を市町村長さんがやっていただけるための方策というものを改めて改善していかなけりゃいけないと、こういうふうに思っておりまして、十月の七日に検討会というものを立ち上げて、で、過去の、特に先ほど申しました梅雨前線による集中豪雨のときの反省でございますが、そうした反省に基づきまして、改良できるところがないかということをただいま、年内にでも骨子案でも作り出そうということで一生懸命検討をしているところでございます。
  129. 芝博一

    ○芝博一君 気象庁の方にお伺いいたしますが、施策でもって、法整備じゃなしに施策でもって各市町村への情報伝達を整備していきたいというような形で答弁を聞かさせていただきました。そのときに是非、休日対策、夜間対策というものを含めながら、情報としてNTTとの協力でやっても、出したよ、しかし、受ける側の体制が十分整っていないと何にも意味がないわけでありますから、その辺の部分を含めながら、やっぱりきちっと、できることならば法的な部分を含めて体制を整えていただきたい、またそれを防災担当大臣としても後押しをしていただきたい、一刻も早い情報が伝わる形がまず大事だと、こう思っています。  今、防災の担当大臣から検討会お話がありました。先ほど、朝の質疑の中でも御報告いただきましたけれども、避難勧告・指示の部分においては、各それぞれの防災マニュアル、市町村等々で防災計画の中ではマニュアル化しておりますけれども、全国統一的な指針もないから、この検討会を立ち上げて、判断基準を年内にもまとめてやるんだというお話を聞きました。その部分のお話だなと、こう思っております。  その中で、大臣水害等々に対する部分というのはもう当然含まれてくるわけでありますが、水害に対する避難勧告・指示ですね。ところが、難しいのは、山地の方から、すなわち土石流とか土砂災害の部分でのこの避難勧告・指示、これが今回は余り出されませんでした。なぜかというと、現場の市町村長がその判断に非常に迷う、目に見えない、データがない、少ない、この辺の部分であります。  是非、今回の判断基準検討をする中で、この土砂災害に対する部分についても十分その辺を配慮いただきまして織り込んでいただきたいと、こう思っておりますし、水害だけの避難勧告・指示だけじゃなしに、土砂災害に対する勧告、指示の具体的な判断基準も作成されるおつもりですね。
  130. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 一つは、土砂崩れの危険が予想されるところはそういう危険地域であると指定をするわけでありますけれども、そうした作業が全国きちんとまだ十分いっていなかったという反省もあるでしょうし、それから今度は、今年の場合に余り、かつて雨が、余り台風が来なかったような地域も大分襲われたと。あるいは、最近のあの雨の降り方というのは非常に集中豪雨的でありましてたくさんの雨が降ると。  いろんな様々な問題があるわけでございますけれども、当然、水害の要するに危険を予報するといいますか、指示をするだけではなくて、土砂崩れについても、雨の降り方等によりまして、あるいはこれまで長雨が続いたから、特に今回の台風での雨は危ない、土砂崩れの危険があるということも含めまして、分かりやすいマニュアルを作ってさしあげたいなというふうに思っているわけでございます。
  131. 芝博一

    ○芝博一君 水害に対する部分じゃなしに、土砂災害等に対する避難勧告・指示、大変現場の市町村長は頭を痛めているところでありますから、市町村長が自信を持ってある意味では勧告、指示ができるようなマニュアルを早急に作っていただきたいと、こう思います。  その中で、もう一点お聞きしたいのは、気象庁が出す警報の中で、最近、特に一つ変更があって、重要変更ということの項目が加わったそうであります。その部分について簡単、概略、結構でございます、内容、基準、運用、発令等々について、簡潔にちょっとお答えください。
  132. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) ただいま委員からお尋ねありました重要変更でございますが、本件につきましては、大雨警報の中での重要変更ということでございまして、大雨警報を発令している気象状況下におきまして、気象庁が過去数年間で最も災害の危険性が高まったと判断した場合に発表するものでございまして、現在は災害の危険度を示す技術基盤が整っています土砂災害についてこれを実施しているところでございます。  土砂災害以外の他の風水害につきましては、関連する技術基盤の開発整備とともに、こういった重要変更がどのような場合に有効かということも含めて今後検討を進めてまいる所存でございます。
  133. 芝博一

    ○芝博一君 この重要変更、行政用語といいましょうか、そういう気象庁用語のなんだろうと、こう思いますけれども、どのことかと聞きますと、大雨によって近年まれにないほどの土砂災害の危険が高まっていますよという、テレビで流れてくるあの文言だそうでありますけれども、大変それによって住民は危機感を感じて避難態勢といいましょうか、心構えができてきた。  しかし、この重要変更で運用しているのは土砂災害だけという今の現状でありますね。これやっぱり洪水の部分について拡充していくべきだと、こう考えるわけであります。特に、朝からも議論がありましたけれども、大雨洪水警報等々の部分で、河川決壊であるとかはんらんとか越水等々の部分において、住民は見えないわけであります。で、警報が出ても、時間とともに、雨量とともに危険度は上がっている。まさしく計画水位を超え危険水位を超えてくる中の部分で見えない。その部分の中で、やっぱり警報が出ていきなり避難勧告・指示が出るんじゃなしに、その間までにもう一度住民のために喚起するような、もっと危険が本当に迫っていますよというそんな部分の発令なり伝達なりの方法、内容があってもいいんじゃないかと、こう思っているんです。  お聞きをすると、以前にスーパー警報というようなことが議論されたと、こう聞いておりますが、そういう部分を含めながら、要するに勧告が出る、指示が出るまでの、警告の中でも一ランクも二ランクもレベルがアップした、危険度がアップしたような中での住民に対する周知方法、警告というような部分のお考えを進めていく考えはありませんか。土石流のみにかかわらず、洪水警報等、洪水の中の部分で。
  134. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) 先ほど、私のお答えの中の後半で申し上げましたように、現在のところの技術基盤をもってしますと、重要変更の対象として土砂災害という観点でこれを実施しておるところでございまして、今委員御指摘の、その他のといいますか、災害等につきましては技術的基盤の更に確立ということを含めてこれからの検討課題というふうに承知しております。
  135. 芝博一

    ○芝博一君 検討課題ということでありますけれども、大臣是非今進めていただいている避難勧告・指示の検討か判断基準の中においても、いきなりどんな出し方をしどんな形であるか、内容とか時期とかという前に、今言ったような気象情報的な中での準備段階的な警報も含めて、是非検討課題の中に入れていただくことを強く要望させていただきたい、こう思います。  時間の関係で、次に行かさせていただきます。  次に、今被災を受けました全国各地では、災害復旧工事に向けて、すなわちその調査、査定と設計を進めているところであります。基本的には、これを受けて国の採択をいただくわけでありますけれども、この採択の部分に大きく影響してくる激甚指定の部分であります。  先ほど、大仁田議員からの質問でも御答弁をいただきました。二十一号については手続中、二十三号については本甚扱いになるだろうという見通しでありますけれども、大臣からもお話がありました。二十三号はいいんですが、二十一号、激甚扱いじゃなしに地域指定でいかれるという形の解釈でいいんですか、全体的なものじゃなしに。
  136. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今、二十一号につきましては作業を進めているところでございまして、現在、作業を進めておる段階でございますが、激甚の本激、全国的なレベルの本激の中でどこが当てはまるかというような観点で今進めているところでございます。局地的な災害ということになりますと、これは年度末に局激という格好で指定することになります。
  137. 芝博一

    ○芝博一君 ちょっと、今、二十一号も本激扱いの部分の中で今手続中という解釈でよろしいですか。
  138. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 本激の場合には、市町村あるいは県の方から、公共団体の方から被害状況の見積りを出させていただきます。その被害状況の見積額を見まして、本激基準に達する場合には本激ということで本激指定に入ってまいるわけでございまして、ただいま二十一号の関係についてやっているというのは、本激に当たるかどうかという被害状況等をいただきながらその作業をやっているということでございます。  ただ、本激もいろんな本激がございますし、どれがどう当たるかというようなことについて今作業をいたしているということでございます。それが基準を満たすということであれば速やかに本激の指定ということに入っていきたいという具合に考えております。
  139. 芝博一

    ○芝博一君 是非、今回連続している台風十八号までは激甚災害の指定をされていますが、それ以降二十一号について、二十二号、二十三号も含めて、是非差のないような形で、是非本激扱いの部分で手厚い後の支援をいただけるような形で採択をいただけますように、まずこれもお願いの部分であります。  今各地では、今この復旧作業に向けての要するに調査、すなわち査定、それから設計、この部分を進めているところであります。これは、この査定設計委託費の補助金制度というのがございますけれども、ところが、残念ながら限定がございまして、この補助金制度の部分におきますと、その対象が激甚災害、又は地すべり対策工法を実施する箇所、橋梁、高架構造物並びにトンネルに係る箇所の場合は調査費、設計費は補助金対象としますよ、こういうことなんですね。  ところが、現実論的にいきますと、確かに今言いましたこのような大型公共工事の部分もありますけれども、それ以外の、道路や河川の方が何百倍も数があって量が多いんです。そこのところは、このままでいきますと補助対象になってこない。だから、だれがお金を出すかというと、基本的には県が負担をする、県単で予算を付けていく、こういうことになっていくわけでありますけれども、是非、ここの交付要綱に記載されている以外のところの道路、河川等々についても、この復旧工事に掛かろうと思えば、調査、すなわち設計がどうしても必要でありますから、そこの部分への補助制度を拡充をしていただきたいと、こういう思い地域の声でありますけれども、その辺についての見解についてお答えいただけませんか。
  140. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 災害復旧の申請あるいは査定に向けての書類の作成、このための調査とか設計が必要になるわけでございますが、査定のために必要な設計図書の類につきましてはこれは地方公共団体の負担でやっていただくことになっておりますが、大きい被害が発生しましてたくさん必要になってくるとか、それから特殊な工法が必要になった場合にはこの調査設計費がかさむことになりますので、これらにつきましては委託費用の一部を補助しまして地方負担の軽減を図るということで臨んでいるわけでございますが、この負担がかなり大きくなってきているという現状を踏まえまして、平成十六年の発生災からは、この部分について委託費の補助対象限度額というのを今までの二倍まで引き上げておりまして、かなりの部分まで対応できるようになっておる現状にございます。
  141. 芝博一

    ○芝博一君 限度額を引き上げて二倍ぐらいということでありますが、それで、今回の水害、全国各地の水害の要するに査定設計料の部分の補助ができれば、カバーできればいいんでありますけれども、地方財政も大変厳しいときでありますから、数が多いものですから大変な金額になってまいります。その部分について、是非支援の拡充をお願いをしたいと、こう思っております。  それでは、続いて次の質問に行かせていただきますけれども、朝からも河川等々の決壊の議論が出ておりました。その中で、今回、集中豪雨、また大型台風が大きな甚大な被害をもたらしましたけれども、異常気象ということであります。  しかし、その異常気象の原因というのは、よくいろいろな形で報道もされ議論もされておりますけれども、温暖化が一番の原因なんではないだろうかと、こう思っております。温暖化が原因で異常気象が発生する、集中豪雨で、大型台風で大きな被害が発生をすると。これは、温暖化が進めばもっともっと日本としてはこの対策を考えていかなければならないと、こう思っているわけであります。  ところが、その中で、今、現状河川改修等々につきましては、例えば計画雨量というのがありまして、その河川の流域に降った過去の雨量の観測データを基に確率計算をして計画雨量を決めている。例えば、一つの一級河川では、五十年に一度の起こるであろう雨量を基に計算をした五十分の一の計画規模、こんな形で整備をしたり、例えば円山川は百分の一だそうでありますけれども、そんな中で特に今回多くの被害が発生したのは県管理の、先ほど議論ありました、中小の河川であります。  ところが、この中小の河川一般的にお聞きしますと三十分の一、五十分の一の計画規模、すなわち三十年に一遍、五十年に一遍の雨量計算で今までやってきたということでありますけれども、これからの、今回の被害を受けて、そして温暖化が進む中で、この雨量計算、河川計画規模を全面的に大幅に見直していく必要があると、こう考えておりますけれども、その辺の見解についてお答えください。
  142. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今年の一連の洪水の中で、過去最大の雨量を記録したところが何か所も出てまいりました。私ども、今、従前から行ってきております災害対策につきまして総点検を掛けて、抜本的な見直し強化を図るという一連検討を進めてございますが、その中で、計画の雨量をオーバーしたような河川についての、今委員お話しになりました計画の対象降雨ですね、そういうものとか計画の流量、これについても、今年観測された雨量を踏まえまして、必要な見直しが出てきた場合には計画そのものを見直して今後の対策を講じていくという対処をしていく所存でございます。
  143. 芝博一

    ○芝博一君 時間がありません。是非その見直しをしていただきたい。  しかし、今回、多くの決壊なり越水なり洪水が発生した河川というのは、この改修工事が進んでいない河川も多々含まれております。先ほどからもお話がありましたように、県管理の中小河川改修が本当に進んでいないのが現状であります。  防災面からも是非ともこの部分に力を入れていただきたいわけでありますけれども、最後に、防災担当大臣として、河川改修の促進を是非国交省に強く働き掛けていただく、総合調整していただきたいと思いますが、その決意だけを聞かせていただいて、最後の質問にしたいと思います。
  144. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、委員がおっしゃるように、今回、一連台風による水害被害等を検証しまして、基準の見直し等が必要であるということであれば、それを見直して、これからの災害に備えると。その中で、河川のはんらんによりまして多数の浸水家屋がたくさん出ましたことを考えるときに、河川防災対策というものも一生懸命やっていかなきゃいけないということでございまして、国土交通省にもその点はお願いをいたしたいというふうに考えております。
  145. 芝博一

    ○芝博一君 終了いたします。
  146. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党・新緑風会の水岡俊一でございます。  芝委員の質問に引き続き、私から質問をさせていただきます。  このたびの台風二十三号による被害は、私出身の兵庫県においても大変大きな被害になりました。私は、本日午前の参考人、中貝さんが市長を務める豊岡市の出身であります。災害発生の四十時間後には、ふるさとに帰って、その被害状況を見てまいりました。  無残にも変わり果てた町々、家々を胸の張り裂けるような思いで眺めて立ち尽くす、その悲しさ、つらさは、水害、地震問わず、非常に多くの全国の皆さんと共通した思いだったというふうに思います。私の育った家も、身の丈以上に水がつかって、全く変わり果てた家になってしまいました。  台風、地震の被害によって亡くなられた方、また被害を受けられた方に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興を望みながら質問に入りたいと思います。  まず、国土交通省にお聞きをいたします。  兵庫県の但馬地方を流れる円山川堤防整備率についてでありますが、これは何と六・八%と聞きました。近畿内で最も低いという報道であります。円山川堤防延長七十七キロのうち、完成堤防はわずか四・四%。近畿地方を眺めてみますと、淀川が約七〇%、加古川は約四五%、揖保川は約五〇%という中、二〇%を下回るのは円山川だけということであります。それも、六・八%であります。何か、災害の後になって聞くことでありますので、唖然とすると同時に、そんなばかなと思わず叫んでしまう数字であります。  これについて正確な実態を聞かせていただきたいと思いますし、また、それが事実ならば、なぜそのような低い整備率のまま放置をしていたのか、納得のいく説明を是非お願いをしたいと思います。
  147. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今、委員お話にありました円山川でございますが、確かに堤防の整備率、低うございます。現在、堤防が完成している、すなわち高さもあるし幅もあるという部分が、今御指摘の六・八%でございます。そのほかに、計画高水位、いわゆるこの高さまでの洪水に対して安全な川に、水位に対して安全な川にしていこうという高さまで堤防が確保できている割合が七二・三%でございまして、いずれも整備水準としては低い状況にとどまっているわけでございます。  これは、委員も御承知のように、この地域が大変低いところであるということと、軟弱地盤のところでございまして、堤防を盛るためにいろいろな工夫をしながら盛ってきているところでありますし、また地盤沈下等もありまして、堤防をとにかく計画高水位という高さまで確保していく、維持していくということに現在腐心している状況にあるわけでございます。  そういう中で、円山川、特に豊岡の周辺につきましては地盤が低うございますので、内水はんらんも非常に大きいわけでございまして、この内水対策も併せて進めていかなければならないという状況にありましたので、河道の掘削、堤防を維持していく、それから内水対策も講じていく、こういう中で、堤防を放置しておいたということではなくて、堤防につきましても逐次整備を進めておりますが、いろいろな条件からなかなか進んでいないということは御指摘のとおりでございます。
  148. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 努力をいただいていることは承知をしておりますが、先ほど申し上げたとおり、近畿の中でも二〇%を下回るのは円山川だけ、それも一けたであります。このことについて、他のところとこれだけ違うのはなぜかというふうにお聞きをしているんです。もう一回お願いします。
  149. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今申し上げましたように、堤防の断面とか高さとか、こういう面におきましては、何%が整備されているということで示しておりますので、そういう比較になろうかと思います。ただ、それぞれの川におきましては、いろんな条件の違いがあります。また、洪水の履歴の違いもあるわけでございます。  この円山川につきましては、いわゆる昭和三十四年の伊勢湾台風というときに非常に大きい出水があって大変な被害を受けたわけでありますが、そのときの最高水位というのは、今私どもがその高さを維持したいと思って頑張っている計画高水位よりは低うございました。これは、その水準で当然いいということではございませんので、今回、このたびの大水害を契機にいたしまして、同じような雨、これは計画の雨量よりは少なかったわけでございますが、また流量も計画よりは少なかったわけでございますが、こういう流量を安全に流すためにどういう対策が必要かということを現在検討しておりまして、緊急に対処していく必要があろうかと思っておりますので、この点につきましては一生懸命取り組んでいく所存でございます。
  150. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 はい、分かりました。  先ほどの芝委員からの質問にありましたとおり、これまでの数値に頼るんではなくて、新たな計算値、予想値を基にした様々な対策是非とも必要だということで、よろしくお願いをしたいと思います。  次の点に移ります。  引き続き円山川のことですが、円山川堤防決壊をしたということはもう皆さん御存じのとおりでありますが、この堤防決壊部分というのは暫定堤防という形であったようです。つまり、通常の堤防よりは一メートル低い堤防であると。完成堤防とは呼べないという堤防のことでありますが、一メートル低いといっても八・六六メートルあったというふうに言われています。そして、決壊場所近くの、このたびの二十三号の水害のときには最高水位は八・二九メートルであります。今日の午前の資料の中にもそう出ております。  八・六六メートルあったのに、八・二九メートルの最高水位しかなかったはずにもかかわらず、堤防を水が越えてしまったという事実がある。これはどういうことなんでしょうか。御説明願います。
  151. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今回の円山川の出水は夜中であったわけでございますが、そういう中で河川状況等を監視していたわけでありますが、堤防を水が越えたらしいということは、これは出水の後の堤防の上に残った、いわゆる流れてきたものとかそういうことからも確かでございまして、その辺につきましては、現在、堤防関係の調査をしっかりやることによっていろいろなことが分かってくるというふうに思っておりますが、この破堤した箇所につきましては計画高水位よりも若干低かったという事実はあるようでございまして、今、一メートルという話がございましたが、前後の関係からいきますと約七十センチほど低かったと思われます。それは、七十センチというのは、ほかのところが計画高水位よりは五、六十センチ高かったんだけれども、全体の中では、破堤したところについては地盤沈下、造った後の地盤沈下もありまして、計画高水位よりも若干低かったという事実があるようでございます。  いずれにしましても、調査委員会の中で検討されまして、破堤が起こったのは出水によるものなのか、あるいは堤防の中に水がしみ込んで堤防が弱体化したのか、その辺のところを検討されていくことになろうかと思います。
  152. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ちょっとよく分からない御答弁だったように思いますが、要は、今のお話でいくと、最高水位が八・二九メートルだったということはよく分からないというお話でしょうか。今日の資料の中にも八・二九メートルという数字は、これは明らかに測定を時系列的にされた資料を基にしたものでありますから、何か科学的に考えるためには確実な数値を基にして物事を考えていかなきゃいけないと思うんでありますが、ほかよりも幾らか低かったとか、計画したものよりも低かったから越えたかもしれないとか、あるいは越えていないかもしれないけれども堤防は破堤をしたということなのか、何かその辺りがよく分からないと思います。もう一回だけ聞かしてください。  私の聞いているところによると、その破堤をした辺りはほかの部分よりも更に一メートル低かったではないかということが言われていると。これは専門家の人も指摘をしているということが新聞報道でありました。この点についてはいかが調査をされたんでしょうか。お願いをします。
  153. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) ただいま御指摘のありました水位のデータでありますが、今回最高水位で八メーター二十九という数字、今お話しになりました水位でございますが、これは立野という水位観測所がございます。これは円山川のいろいろな洪水等の基準点になっているわけでございますが、この地点で観測された最高水位でございますが、それに対しまして、堤防が破堤しました地点はそれより少し上流でございます。  それから、ここの堤防は、豊岡の市道ですね、市道と兼用しているところでありまして、高さ関係につきましてはその地点での水位が幾らだったのかという比較等は詳細にはできない現状で、道路の話は少し別でありますが、できない現状にありますが、なおその前後の堤防の高さに比べると七十センチほど低かったという事実がございます。
  154. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 時間に限りがありますので次に進みたいと思いますが、この件については、最後に私申し上げたいのは、この破堤した部分が完成堤防であったならば今回のこの堤防決壊による大きな水害は防げたのではないかということをきちっと科学的に究明をしていただきたいということであります。是非お願いをして、また後ほどいろいろと委員会としても追及をお願いをしたいというふうに思っております。  次に、実は今朝、中貝豊岡市長の方からこのような資料が提供されまして、提示をされまして、豊岡市内の浸水の主な理由についてお話をされました。これは豊岡だけでなくて、全国の各地で大きな河川のそばにある市町の持つ共通の悩みであるというふうに思います。内水の水位がどんどん上がることによって町が沈んでしまうというようなことがあるんですが、私、ここで一つ大きな指摘をしておきたいと思うんです。というのは、豊岡市は円山川水位がどんどんと上がっている間、決壊をする随分手前に、私の調査によれば五、六時間手前で豊岡市内は多くの部分で浸水をしております。つまり、今朝のこの図による説明によらないほかの原因で豊岡市内が水につかっているという実態が私はあるとつかんでいます。  その辺りについて、防災担当大臣としては何か御報告を聞かれているんでしょうか。お願いいたします。
  155. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 私のところでは、私個人、大臣としては、そのような情報にはまだ接しておりません。
  156. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ということは、私、質問の方でお願いをしたんですけれども、豊岡市内で堤防決壊よりも六時間も早く浸水をした状況について、何か調査をしていただいたんでしょうか。そのことについて、どなたでも結構ですのでお答えをください。
  157. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 内閣府といたしましては、個別具体的な円山川被害状況についてはなかなか把握しにくいところでございます。河川局等ともいろいろ話を聞いてみたところでございます。多分、先ほども河川局長が御答弁申し上げておったと思いますが、堤防決壊より早く浸水被害が出たということであれば、内水面の排除の話を先ほどされていたと思いますけれども、原因は定かではありませんけれども、その内水排除というのがなかなかうまくいかなかったのではないかと、それが原因の一つではないかという具合に考えられるんではないかと思っております。  今後、関係省庁、特に国土交通省河川局あるいは関係地方公共団体により原因究明調査を早急に行っていただき、対策を講じていただくものという具合に考えております。
  158. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私も三重県の被災地状況も視察をさせていただきました。今年はどの地域に行っても皆さんが口をそろえておっしゃるのは、予想を超えた雨量、かつて経験をしたことのない雨量があったことによって私たちの想像を超えた現象が起きた、だから本当に私たちの力の及ぶところではなかったというところが悔し涙とともに語られたことが多かったというふうに思います。  しかし、そのことだけですべてのことを片付けてはいけないというふうに私は思います。こういった災害の中に、もしかすると私たちがこのことを実施しておけば防ぐことができたかもしれない、あるいはその多くの雨量の陰にあって何かほかの問題が起きる可能性があったかもしれない。言うならば、年内にもまた集中豪雨が起きたら、豊岡の市内は堤防決壊しなくてもまた床上の浸水が起きてしまうかもしれないという危険性があるわけであります。これは豊岡だけじゃなくて日本の全国の多くの市町が持つ危険性だろうと思いますので、そういった辺りでは科学的な究明を是非ともお願いをしたいということを申し上げたいと思います。  随分時間を思いのほか取ってしまいましたので、質問をちょっと飛ばしていきたいというふうに思います。  台風二十三号の風水害は、人的な被害、住居の被害に加えて、農業被害、そして地域の地場産業にも多大な被害を与えています。地場産業は、地域の雇用で掛け替えのない役割を担っているわけでありまして、正に地域住民の暮らしを支えているわけです。兵庫県では、先ほどからお話ししている豊岡市のかばん、西脇市の播州織物、淡路島の線香やかわら、そういった地場産業が深刻な被害を受けています。  非常に時間がないので申し訳ないんですが、簡単に、厚生労働省、そして経済産業省のこういう地場産業あるいは労働者に対する支援の概要をお話をいただきたいと思います。お願いします。
  159. 大石明

    政府参考人(大石明君) 厚生労働省といたしましては、現地の労働局に災害対策本部を設置し、災害救助法適用地域内のすべての公共職業安定所、労働基準監督署に相談窓口を設けております。また、同地域内に所在する事業所に雇用される方で、事業所が災害を受けて、その結果、やむを得ず休業すると。こういう場合、一時的にどうしても離職を余儀なくされるわけでございますけれども、こうした方の雇用保険の基本手当の支給に当たっては特例措置が講じられるということでございます。その他、通常、雇用保険の場合ですと、一応認定日に安定所に来ていただくという日にちが、日が決まっておりますけれども、その辺は来れないケースもございますので弾力的な運用をすると、こういったような措置を取らせていただいております。
  160. 服部和良

    政府参考人(服部和良君) お答えいたします。  台風二十三号で被害を受けられました兵庫県等の中小企業に対しましては、政府系中小企業金融機関のいわゆる災害復旧貸付けの対象としております。この災害復旧貸付けでございますけれども、一般の貸出し枠とは別枠の限度額が適用になります。また、いわゆる金利のみをお支払いいただく据置期間につきましては、例えば中小公庫や国民公庫では二年以内ということで、一般の貸出し枠よりは長く設定できることになっております。さらに、担保特例ということで、中小公庫や商工中金では、八千万円を上限といたしまして貸付額の五〇%について担保徴求の免除を認められる制度になっております。そのほか、私どもからは、政府系中小企業金融機関や信用保証協会に対しましては、中小企業の方に親身な対応を行うようにというふうなこと、あるいは貸出し・保証手続の迅速化、あるいは既往債務の条件変更等の弾力化ということで、適時適切な、個別企業の実情に応じた対応をしていただくように指示をしておるところでございます。  以上でございます。
  161. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございます。十分に地場産業要望に沿うものになるように、皆さん方のお力を更にいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、文部科学省にお聞きをしたいと思います。  被災地では多くの子供たちがショックを受けています。被災した子供たちは、死傷者あるいは自宅が倒壊したその姿を目の当たりにしているわけです。また、泥に埋まった自分の持ち物を見ているわけであります。そういった子供たちはとても強い精神的なショックを受けておりますが、心理的に不安定な状態に陥った子供たちに対する心のケアが必要なことは今私が言うまでもないことであります。  阪神・淡路大震災では、担任を持たず、心のケアに専門的に取り組む教育復興担当教員が国の予算で配置をされました。私も現場の教職員として、文部省の配慮に感動し、子供たちと一緒に立ち直る努力を続けておりました。  今回の台風被害や地震の被害が特にひどかった地域の学校では、早くも心のケアの必要性が叫ばれております。このたびも教育復興担当教員の配置が必要だと考えて私はおりますが、文部科学省としてはいかがでしょうか。
  162. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 先生御指摘のとおり、災害に遭った子供たちが精神的に非常に不安定な状況に陥っている、こういう子供たちに対しての心のケアを行うということは非常に重要なことと考えております。  今おっしゃられましたけれども、例えば阪神・淡路大震災の際には、文部科学省の方も加配をいたしまして、カウンセリング担当教員というものを置いたという措置を取ったところでございます。  また、今回の中越の大地震に際しまして、ここから、新潟県の教育委員会の方からは教育復興担当教員の加配措置というふうなものについての御要望も受けているところでございます。  文部科学省といたしましても、災害を受けました県の教育委員会等とも連携を取りつつ、御要望も伺いながら対策をしていきたいというふうに思っております。
  163. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 是非とも、検討いただいて配置をお願いをしたいというふうに思います。  さらに、続いて文部科学省、お願いいたします。  兵庫県教委は、災害が起こった十月の二十日の翌日には早速、避難所となった学校を支援するために震災・学校支援チームというチームのメンバーを被災地に派遣をいたしました。この震災・学校支援チームというのは、避難所となった学校において、その避難所の運営をリードしたり、関係機関との調整をしたり、子供や教職員の心のケアあるいは給食の支援などを行うチームであります。  阪神・淡路大震災を機に、兵庫県において県の教育委員会と教職員組合が合意をする中で設立をされた組織で、教諭、養護教諭、事務職員、栄養職員とカウンセラー約百五十名で構成し、平時から、通常勤務をする一方、訓練、研修会を実施しながら、防災体制の整備、防災教育の推進に努めているチームであることは皆さん御存じのとおりだと思います。  一連台風被害のためにいち早くチームが派遣をされ、活動を続けておるわけでありますが、その点について文部科学省としてはいかが評価をされているんでしょうか、お聞かせをください。
  164. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 先生御指摘になりましたけれども、兵庫県では、阪神・淡路大震災の際にほかの県から受けた支援にこたえるというふうな観点もございまして、震災・学校支援チームというものを作り、今回の新潟の震災に際しましても兵庫県教育委員会が震災・学校支援チームを新潟の方に派遣しまして、学校教育の応急措置と早期の再開、あるいは児童生徒の心のケア、学校における避難所運営といった目の前の問題について、阪神・淡路での経験を踏まえた支援を行っているということでございまして、非常に有り難いものと思っております。被災地の学校あるいは教育委員会にとっても心強く感じたものというふうに思っております。高く評価いたしたいと思っております。
  165. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 是非とも、文部科学省の方々も、この機に被災地に行かれて避難所となった学校の様子も是非見ていただきたいというふうに思います。  さて、防災担当大臣にお伺いをしたいと思います。  これまで、今私が申し上げました兵庫の震災・学校支援チームは、二〇〇二年四月に北海道有珠山噴火、二〇〇二年十月には鳥取県西部地震、それから二〇〇三年七月には宮城県北部連続地震、そして先日は新潟県の中越地震にそれぞれの県教委からの派遣要請に基づき派遣をされたところであります。その重要度はますます増しているといった実態であります。  これは、御想像のとおり、各県の教職員定数の苦しい台所の中に盛り込まれたものでありますので、こういった形のものは、国の責任としてこのような援助チームを設立をして今後の災害対策に生かすことが求められていると、正に今求められていると私は考えるわけでありますが、防災担当大臣としてのお考えを是非とも聞かせてください。
  166. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 兵庫県の皆さん方には、今回の新潟中越地震におきまして、その兵庫県におきまして大変な台風による被害が出たのにもかかわらずたくさんの御支援をいただきまして、人的な支援をいただきまして、本当に私どもとしても感謝をいたしております。  かつまた、兵庫県からの御支援が大変有り難かったのは、阪神大震災のときの経験を踏まえて貴重なアドバイスも一緒に持ってきていただいたということでございまして、そうした意味もあって、大変私どもは感謝をいたした次第であります。  私どもも、災害が起こったときに、やっぱり子供たちからお年寄りまで、健康管理から心のケアまで直ちに必要なところから、あるいは長期化すればそうした長い間のケアが必要になるということでございまして、県あるいは地方公共団体レベルのそうした御支援を仰ぐと同時に、国でも、今回の場合でも心のケアあるいは健康管理につきまして、例えば心のケアでは国立精神・神経センターの皆さん方を派遣していただいて国レベルでも必要な人的な資源を動員すると、こういうことに努力したわけでございまして、そうした意味で、災害に際しまして今御指摘のような構えというものが立ち所にできるというような仕組みを作っていけたらと、こういうふうに考えておりますので、なお今後とも検討をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  167. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 時間がなくなりましたので、また次回のときにいろいろと、また御要望をさせていただきたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  168. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗です。  まず最初に、今年の一連災害でお亡くなりになられた方々、御遺族の方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。  また、連日連夜、復旧のため被災地で頑張っていただいております自治体関係者の皆様、警察、消防等の皆様、ボランティアの皆様、自衛隊の皆様、また本省でその対応に追われていらっしゃる皆様方にも、活動にも心から敬意を表したいと思っております。本当に御苦労さまでございます。  さて、今年は、新潟・福井集中豪雨一連台風被害があった現場に数多く足を運ばせていただきました。どこに行きましても、とにかく元の生活に一日も早く戻りたいと、そのために支援をしてもらいたいというのが切実な願いでございまして、住宅問題がその最大課題となっておりました。  国としては、現行の被災者生活再建支援法を弾力的に運用していくと。これは大変有り難かったんですが、その弾力的に運用していくことによって被災者支援していくということでございますが、新潟中越地震におきましては、災害救助法を弾力的に運用して半壊に応急修理制度適用するという決定が初めてなされました。これと同様、この制度を一連台風等の風水害を受けた被災者方々が利用することはできないんでしょうか。
  169. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) ただいま先生御指摘のように、今回の新潟中越地震におきまして、災害救助法住宅の応急修理につきましては、新潟県とも相談した上で、現行制度の下でできる限りの弾力的な運用が行われるよう、対象者、修理箇所、基準額等に関しまして十一月二日付けで通知を発出したところでございます。  この災害救助法に基づく住宅の応急修理は、地震のみならず他の自然災害にも適用となるところでございまして、水害につきましても当然に適用になり得るというふうに考えております。台風二十三号の被害を含めまして、本年発生した水害につきましてもこうした応急修理の考え方をできる限り適用してまいりたいと考えておりますので、早急に県当局と協議に入りたいというふうに考えております。
  170. 山本香苗

    ○山本香苗君 もう一度確認なんですけれども、今いただきました御答弁によりますと、災害というものを、別に地震であれ水害であれ、区別はしないと、だから災害救助法、じゃ適用になったところで、実態としてそういった需要があれば適用していただけるということなんでしょうか。
  171. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 当該被災地の都道府県、市町村の判断があると、あるとは思いますが、それで、そういうふうに応急修理をしたいということであれば、私ども相談してそれを適用していくということでございます。それは被害の程度、箇所、場所、問いません。
  172. 山本香苗

    ○山本香苗君 ということになりますと、消防庁の調べで住宅被害の中でたくさん半壊というものがあるわけでございますけれども、こうしたものを自治体の方なり、実態があればきちっとやっていただけるということでよろしいですね。
  173. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 幾つか条件的なものがあるんでございまして、要するに例えば現に避難所にしている方、そういう条件の下で相談に応じてきているということであります。
  174. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。  今日の参考人質疑の中でも、東京大学の大学院情報学環廣井先生からも、また豊岡市長の方からも、そういったことあれば、適用していただけるのであれば是非そういったものもという話もございましたので、どうもありがとうございます。  次に、先ほども御質問の中にございましたけれども、激甚災害指定につきましてもいろんなところで言われてきたところでございます。現時点におきましては、台風十八号まで決定していただいている、指定していただいているところでございますが、その後の風水害に対する指定の見通し、大仁田委員からも御指摘ありましたけれども、もう一度重ねて大臣の力強い御答弁をいただきたいと思います。
  175. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今御指摘のように、十八号までは激甚災害の指定をさせていただいたわけでございます。二十一号以降につきましてはただいま被害額の把握をしていると、こういう状況にございます。  その今やっている作業というのは、もちろん新潟県の中越地震まで含むものでございますが、特に新潟県の中越地震につきましては、雪も、降雪も迫ってくるということでございまして、私どもは、直接農林水産省及び国土交通省等の職員を派遣して、できるだけ早く被害額の把握ができるように努めているところでございます。二十三号についても、大変大規模な台風被害ということで、この二十三号被害についての把握も急ピッチでやっているところでございまして、できたら、でき得る限り早めるということで、今月中にでも指定ができればと、こういうふうに考えているわけでございます。
  176. 山本香苗

    ○山本香苗君 もう現場の皆様方はそれを前提で一生懸命頑張っていらっしゃいますので、何とぞ今月末までによろしくお願いしたいと思います。  台風二十三号によりまして円山川決壊し、市の半分以上が泥水につかった豊岡市におきましては、先ほどるるお話ございましたが、二度と決壊しないような堤防、安心できるような堤防を造ってもらいたいというふうなことを口々に言われました。先ほど、なぜこういった甚大な被害が起きたのかという御質問につきましてはございましたので、私は、私の方からは、この円山川堤防がこれからどういう形できちっとやっていただけるのか、その展望について、見通しについてお伺いしたいと思います。
  177. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 円山川につきましては、今回、本川の堤防とそれから支川の出石川の堤防と二か所で破堤をして大変な水害になったわけでございますが、この二か所とも緊急の復旧ということで、昼夜作業で取り組みまして、十月二十六日までには堤防断面を確保したところでございますが、さらに、一連の緊急復旧として十一月七日までに対策を終えているところでございます。  なお、先ほどもちょっと触れましたが、この二か所の破堤箇所につきましては、円山川堤防調査委員会を現在設置いたしまして、一月末を目途にしましてその原因究明に努めているところでございまして、ここで対策方法の検討もしていただくことによりまして、それらを受けて来年の出水期までには本格的な復旧を終える予定でございます。ただ、これは復旧という段階まででございますので、それ以降の抜本的な対策につきましては、堤防の整備もございますし、これは今の堤防よりももっと高くできないかということとか、それから堤防自体を強化していくというようなことですとか、それから川を掘るとか、そういうようなことを緊急的にまた集中的に実施するような計画を持ちたいと思っておりまして、現在検討を進めているところでございます。
  178. 山本香苗

    ○山本香苗君 復旧が終わった後のきちんと抜本的な対策を練っていただきまして、二度とこうしたことが起きないような堤防を造っていただきたいと思います。  被災地のどこに行きましても、ごみの問題、ごみ処理の問題が大変頭の痛い問題となっております。先日、今年の台風豪雨などの災害に伴い発生したごみ処理経費が、十月上旬の台風二十二号までの時点でさえも約百億円に達して、本当に阪神・淡路大震災のあった七年度に次ぐ規模で、風水害だけだと過去最大規模になるということをお伺いしました。  こうした状況ではございますけれども、被災した自治体からのすべての要請にきちんとこたえていただけるのでしょうか。明確な御答弁を環境省からお願いしたいと思います。  また、財政規模の小さい自治体におきましては、このごみ処理経費が大変、財政運営にかなりの支障を来すほど大きな額になっているとも伺っております。こうした地方自治体に対して特別交付税をしっかり措置していただけますようお願いしたいと思いますが、重ねて、この点につきましては総務省にお伺いします。
  179. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 災害廃棄物の分別収集処理に要する費用につきましては、費用の二分の一を国庫補助いたしております。この中で、地方公共団体のニーズを踏まえまして、他市町村への委託などによる廃棄物処理も補助対象とするとか、また中小企業、零細企業などから災害に伴いまして出てまいりましたごみにつきましても、家庭のごみなどと同様に集積されている場合には、これについても適切に対応するといったことで工夫をして、より支援の充実を図っているところでございます。
  180. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 度重なる台風災害、あるいは新潟中越地震などで今年度は例年になく大規模な災害が多く、それに伴いまして大量のごみが排出されていることは御指摘のとおりでございまして、地方団体に非常に大きな財政負担になっていると我々も考えております。  災害に伴って発生いたしますごみ処理については、ただいま国庫補助が出るということでございます。その裏の地方負担につきましては、従来からその八割を特別交付税で措置するということとしておるところでございますので、十分地方の財政運営の状況をお聞きいたしまして、財政運営に支障が生じることのないように対処してまいりたいと考えております。
  181. 山本香苗

    ○山本香苗君 十分にやっていただきたいと思います。  次に、兵庫の話ばかりだったんですが、ちょっと京都の方の話もさせていただきたいと思っております。  日本三景の一つであります京都府宮津市の天橋立で自生しますクロマツが約四千八百本あるんですが、そのうちの百九十三本が台風二十三号の強風で倒れました。被害に遭った中には、俳人の与謝蕪村が天橋立を詠んだ句にちなんで「蕪村の松」と呼ばれる樹齢数百年の木も含まれております。  この天橋立公園の復旧是非国としても支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  182. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 天橋立の公園は京都府の管理する公園でございます。今、先生御指摘のように、約二百本の松の木が倒れる等の被害が起きていると京都府から報告を受けています。  都市公園の被害については、公共土木施設として災害復旧の対象となります。ただ、自然物である樹木については公共土木施設に該当しないとされておりますが、大量の倒木によって公園施設である園路等の機能に重大な支障が生ずる場合にはその排除に要する費用が災害復旧の対象となる場合があります。  日本三景の一つである天橋立の自然景観の回復方策については、既に京都の樹木のお医者さんによる診断とか、いろいろ治療等も考えられているようでございまして、京都府等の地元では景観全体についてどう回復するかということに検討したいという御意向もございますので、国としてできる限り支援をしていきたいと思います。
  183. 山本香苗

    ○山本香苗君 この天橋立を含みます丹後は、この十月二十九日に国土交通省の観光交流空間づくりモデル事業の一つに選定されたばかりとお伺いしております。このモデル事業に選定された地域国土交通省はソフト・ハード面の両方から総合的に支援をして、観光交流空間づくりの後押しをされるというふうにお伺いしております。この事業のかぎを握る一つが、ポイントの一つがこの天橋立の美しい自然景観でもあります。是非、この自然景観を取り戻せるかどうかがこの事業の成否も決めると思いますので、今後とも御支援のほどよろしくお願いしたいと思っております。  次に、防災行政無線についてお伺いしたいと思っております。  今日の午前中の議論の中でもその防災行政無線お話が出ておりましたけれども、まずこれを設置していく、整備していくことが必要なんだということを感じております。  現在におきましてはまだまだ都道府県によりましてこの整備状況かなりばらつきがあると伺っておりますが、この整備するか否かは市町村に任せられていることは存じ上げておりますけれども、国としても計画的な整備をバックアップしていくような姿勢を積極的に示していくことが必要だと思いますが、具体的にどう推進していくのか、その推進策についてお伺いいたします。
  184. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 防災行政無線の整備についてでございますけれども、私ども、今回の災害にかんがみまして改めて地方団体にお願いしているものの一つがこれでございます。  一つは、県と市町村との間を結ぶ防災行政無線、これは現在整備率は一〇〇%になっておりますが、今回の災害の場合、水につかりまして使用ができなかったとか、あるいは、例えばこれは地震の場合でありますけれども、耐震性のあるところに設置をしておられなかったために使えなかったとか、あるいは停電時に非常電源装置を備えていなかったために使えなかったと、こういう事例も出てきておりますので、この点はもう一度点検と整備の推進をお願いしているところでございます。  それから、お尋ねの点はこの点ではないかと思いますが、市町村におきまして市町村防災行政無線というのがございます。これは災害時に住民の方々に迅速かつ的確に情報を伝達することが重要でありますので、そのために設置をしていただいているものでありますけれども、住民全員に一斉に同時通報が可能であるということ、そして先ほども申し上げましたが、災害の際にダメージが少ないものをお願いしたいと、こういうことで防災行政無線の整備をお願いしているところであります。  この市町村の防災行政無線につきましては残念ながらまだ全国的な整備水準が約六八%ということになっておりまして、整備率一〇〇%の県もおありでございますけれども、三割に満たないというような県もあるのが実態でございます。  ただ、私どもは災害時に最も重要な機能の一つであるというふうに認識をしておりまして、地方団体にも強くその整備を働き掛けております。改めてその旨を地方団体にお願いしたいと思っておりますが、消防庁といたしましても、それを支援するために補助制度とそれから単独制度、両方用意をいたしております。今年度の場合も、申請をなさいました地方団体はすべて補助制度又は単独で採択をするという取扱いをさせていただいておりますが、今後ともそのような必要な財政上の措置を通じて整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
  185. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。  もう一つ情報伝達につきまして、携帯電話の話も午前中に出ていたわけなんですけれども、携帯電話も八千万台ということで三人に二人の方がお持ちの時代になってまいりました。そうした中で、災害時においても携帯電話というのは有効な通信手段ではないかと思うんです。でも、いろんな課題はあると認識しておりますが。  この災害におきましてiモードの災害用掲示板というものがかなり活用されてきているというふうにお伺いしております。短時間の間に六万件ぐらいが登録されたというふうにお伺いしているんですけれども、その安否情報の登録、すなわち自分の安否について掲示板に書き込めるというのは被災地域にいるiモードユーザーの方に限られているんです。外から安否情報、その人の、被災した方の安否情報の確認については他社の携帯からもできますし、インターネットからもできるんですけれども、自分が登録しようと思えばiモードのユーザーの方だけに限られているわけなんです。でも、実際、その安否不明な友人の方等が知りたい、その安否が知りたいと思っている人が必ずしもiモードを持っているiモードユーザーとは限らないわけなんです。  是非、こうした災害時には、iモードだ、KDDIだ、ボーダフォンだと携帯会社によらず、どの携帯端末からも利用できるような仕組みを作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今、先生御質問のあったとおり、今のiモードの災害用の伝言板は非常にうまく利用されておりまして、十一月九日現在で七万六千八百二十七件でございまして、固定電話が十一万一千五百件でございますので、相当利用率はいいなというような受け止めをしております。  それから、このiモードの伝言板は、他事業者からの端末とかあるいはパソコンからも利用できるということはございますけれども、現実問題としては今はiモードだけでございますので、これにつきましては、十一月一日に関係事業者集まりまして情報交換をし、今後どうするかという取組の中で、例えばKDDIは平成十七年一月末から導入を検討するということで開発をしているというふうに聞いております。それから、ボーダフォンも他社の動きに触発されまして導入をしたいということで検討しておりますので、私どもとしてはこれを加速するように取り組んでいきたいというふうに思っております。
  187. 山本香苗

    ○山本香苗君 一体とした形にするような形で加速するように促していかれるんですか。
  188. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 端末についてはそれぞれ別だと思いますが、どういう形でお互い相互に接続するかというのは技術的な問題がございますので、相互接続等のことも含めてここは検討していく必要があろうかというふうに思います。
  189. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非、どの携帯端末からも登録できるような形にしていただけるように、技術的なところいろいろ方法があるとお伺いしましたけれども、是非そうしたものも作っていただけるようにしていただきたいと思っております。  次に、ボランティアのことについてお伺いしたいと思います。  阪神・淡路大震災のときも思いましたけれども、今年の一連災害におきまして本当にボランティア方々の力というのは大きい、被災者方々の本当に生きる勇気になっていると感じました。  しかし、ボランティアに来てもらいたいと思ってもスムーズに来てもらえなかったり、逆にボランティアしたいと思っても的確にニーズのある場所が分からないといった状況が現場にはあるとお伺いしております。  先日、こうしたボランティアをしたい人と受けたい人、この橋渡しを被災した自治体が中心となってするようなシステムを開発するといった新聞報道がございましたが、この報道のとおり来年度このシステムの開発に着手されるのでしょうか。また、それに着手するのであれば、いつごろまでに構築することをめどとして考えていらっしゃるんでしょうか。
  190. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 御指摘のように、災害時のボランティア活動の成否は、ボランティアコーディネーションといいますか、需要と供給をいかにうまくマッチングするか、それに懸かっていると私ども考えておりますし、そう申し上げても過言ではないと思います。  このため、実は消防庁におきましてはそのようなソフトが開発できないかということで研究を重ねてまいりましたが、災害時のボランティア・コーディネーター支援システムというものを今年度開発をいたしました。これは、例えば災害現場におきまして清掃とか給食とか建築とか土木作業とかいろいろな、要援護者方々の介護も含めまして必要なニーズの項目ごとに、それを必要とする被災地の住民の方々、そしてそれに対して支援希望される方々、双方から申込みができるようなシステムとして基本的な標準ソフトを開発をいたしまして、本年度、市町村あるいはボランティア団体にももう配付をさせていただきました。  ただ、これは被災地の現場におきまして双方の需要と供給をマッチングさせるシステムとして開発はできておりますが、今後の課題といたしましては、現地に入られなくてもそれぞれの生活の場所からインプットできるような、いわゆるオンライン化を進めたようなソフトも必要であろうと思っておりますので、それを含めて新しいソフトの開発が今後の課題となっております。そのようなシステムができましたら、そのようなパソコンを現地に配備をした上で、その次にはこれを運営できるコーディネーターを、いわゆる人材を育成していくと、こういう課題に取り組まなければならないと考えております。  いずれにいたしましても、御指摘のように、現地で需要と供給をいかにうまくマッチングさせるかというのが成否を決めるものだと思っておりますので、なお現場の実態を踏まえまして使いやすいものの開発、指導に努めてまいりたいと考えております。
  191. 山本香苗

    ○山本香苗君 もう一つボランティア関連で、今日の先ほど御答弁の中にもありましたけれども、ボランティア方々大臣とが意見交換した中でも、ボランティア基金みたいなものを作ったらどうかという話が出てきたというふうにお伺いしましたが、今日、午前中に参考人に来ていただいた方にもお伺いしたら、もう大賛成だという話をされていたんですが、こうしたボランティア方々が迅速に活動できるように全国規模のボランティア基金などを創設したらどうかという御意見もございますが、これについてはどういったお考えをお持ちでしょうか。
  192. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今年の一連災害におきますボランティアの皆さん方の目覚ましい活躍に対しましては大変頭の下がる思いでございますし、感謝もいたしているところでございます。  今御指摘いただきましたが、本年九月には、防災担当大臣出席されまして、新潟、福井の水害関係で御活躍いただきましたボランティアの皆さんにお集まりをいただく懇談会を開催いたしました。直接御活躍いただいた皆さん方に加えまして、広域的に活躍するボランティアの団体の参加も得て行ったところでございます。  その中でいろんな意見が出ました。実態を踏まえていろんなボランティアさんからいろんな意見が出ましたが、ボランティアがその自主性を生かしながらいかに行政と連携していくかということがやっぱり一つの大きな問題だというのが一つございました。  それから、福井はナホトカ号のときに義援金がいただいておりまして、その義援金の中からボランティア基金に一部それが使われていたと、これが非常に役立ったと、今後そういうその義援金等から成るような地方におけるボランティア基金を作っていく必要があると、非常に有効だというような御意見もいただいておりました。  また、先ほどの御説明にもあったかと思いますが、被災者のニーズの把握や被災者ボランティアとの調整を行うコーディネートの体制が重要だというようなお話もございました。  また、内閣府といたしましては、今年の十二月にも防災ボランティアのつどいを開くなど、ボランティアの皆様に対する支援ということにつきまして環境整備に努めてまいる所存でございます。その中で、いろいろとボランティアの皆さんの支援になるようなことを考えていきたいというように考えております。
  193. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非ボランティア方々の生の声を大事にしていただきながらいろいろやっていただきたいわけなんですけれども、最後にお伺いしたいんですが、今年の一連災害におきましてはボランティア方々にも大変お世話になりましたけれども、自衛隊の方々が夜通しで一生懸命救助活動をしてくださっていることに対して心から感謝をしております。  今も新潟で一日二千人近くの隊員の方々が活動を続けていらっしゃるそうですが、今年のように相次いで災害が起きた場合、自衛隊の活動の方々に支障を来すようなことはないのか、今後の自衛隊の災害派遣における課題についてお伺いします。
  194. 伊藤隆

    政府参考人(伊藤隆君) 自衛隊の災害派遣に対します国民の期待の高まりを受けまして、防衛庁といたしましては、様々な形で起こり得る災害に対してより迅速かつ適切に対処し得るよう、災害派遣体制の充実強化に努めてきているところでございます。  特に、平成七年一月の阪神・淡路大震災以降、種々の教訓を踏まえまして、災害に際して自衛隊の部隊等が都道府県知事等からの要請を待たずして自主派遣を行う場合の基準を定める等の措置を講じてきたところでございます。  また、陸上自衛隊におきましては、平成十三年度より災害派遣即応部隊を全国的に指定いたしまして、約二千七百名の規模で二十四時間待機態勢を維持しているところでございます。さらに、災害対処に第一義的責任を有する地方公共団体及び警察、消防を始めとする関係機関との間では平素から連携強化を一層進めていくことが重要であるということでありますから、昨年度は四十七全都道府県主催の防災訓練に参加するなど、訓練への積極的な参加を通じて地方公共団体及び関係機関と相互の連携強化に努めているところでございます。  防衛庁・自衛隊といたしましても、今後とも、災害発生に際しましては、国民の生命、財産を守るため、種々の訓練の成果、実際の派遣災害の際の様々な教訓を生かし、迅速かつ適切な災害派遣活動に努めてまいる所存でございます。
  195. 山本香苗

    ○山本香苗君 最近、自衛官のOBの方を防災担当者として採用する地方自治体が増えてきているとお伺いしているんですが、今後、今年の一連災害を受けて更に増える可能性があるんじゃないかと言われておりますが、こうした自治体の要請に防衛庁としてはどう対応していくのか、最後にお伺いして終わります。
  196. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) ただいまの御質問にお答えいたします。  現在、四十九名の方が四月、九月三十日現在で退職され、地方公共団体で採用され働いております、いずれも防災関係でございますが。防衛庁といたしましても、この自衛隊の退職自衛官が地方公共団体でこういう形で活躍できるということは、相互の連携の強化を図るという意味で大変有意義なことだと、こういうふうに考えております。  そしてまた、一般に申します退職自衛官の中には、いわゆる部隊活動、実際、あるいは運用、あるいはそれの企画とか、そういうことに結局、平生の仕事の中で携わっておりますので、そういう経験を持っている、あるいは危機管理に関します企画能力、こういうものに非常に優れておる者が結構多くおられます。そういう意味では、またその中の、自衛官の中に、実は余りこれ知られておりませんが、六十歳に待たず、五十四歳ないし五十六歳でいわゆる若年定年制度がございまして、これで辞められておられる自衛官が結構ありまして、こういう方は気力も非常に充実した形でまだまだ働ける方がたくさんおられます。  そういう意味では、こういう退職自衛官を採用していただけるということは当方にとっても大変有り難いことでございますし、そういう一方で、地方公共団体にとっても結構使っていただけるんじゃないかと、こういう気持ちでおります。当方といたしましても、そういう観点から、耳を立てていろいろそういう情報がないかということをいろいろ活動としてやっておりますし、それからまた、地方自治体の方で欲しいと、そういう御要望があれば、そちらの方に情報提供をしっかりさせていただくという形で対応しておりますが、いずれにいたしましても、今後とも可能な限り当該業務に知見を有するこういう退職自衛官を求められる地方公共団体の御要望には十二分にこたえていきたいと、こういうつもりでおりますので、よろしくお願いいたします。
  197. 山本香苗

    ○山本香苗君 終わります。以上です。ありがとうございました。
  198. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  新潟中越地震等、十個もの台風集中豪雨の中で犠牲となった方々被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。  私は、新潟、福島、福井の集中豪雨以来、十四の被災地自治体の数でいいますと二十四の自治体調査をして、それぞれ政府の対応を求めてまいりました。二十三号から二十日がたちましたけれども、なお各地で営業やあるいは生活の再建のめどが立たない方々がたくさんいらっしゃいます。  豊岡の中貝市長も午前中語られましたけれども、同じく兵庫の二千八十六棟の床上浸水があった洲本市の七十七歳の女性は、おうちの内壁がはがれ落ち、床板がめくれ上がった家の中で独りでぽつんと座り込んで、三遍水害に遭うたけど、こんなん初めてや、修理するお金もないし、こんな状態では住まれへんから来月知り合いのところに引っ越します、遠いとこには行きたないけど、こんなふうに語っておられます。こうした切実な願いにこたえるふさわしい公的な支援がなければ被災者が立ち直れないということは、各地の実情から明らかではないでしょうか。  そこで今日は、まず住宅の応急修理についてお尋ねをしたいと思います。  厚労省は、十一月二日付けで、新潟中越地震における災害救助法の「住宅の応急修理の円滑な実施について」との通知を新潟県に出されました。一世帯当たり五十一万九千円の範囲での応急修理の実施が速やかに進められるよう、対象者を明確にし、手続の簡素化を図るものとされており、私はこれが現場で大いに活用されるよう期待をしたいと思っています。  救助法とこの通達の関係について、我が党は、住宅の応急修理は災害救助法に元々規定をされているもので、ですから、風水害にも適用をすべきものであるということを様々な機会で求めてまいりました。  そこで、厚労省にお尋ねしたいのですが、救助法の実施主体は各都道府県となっているわけですから、中越地震だけではなく一般救助法の適用される自然災害であれば、各県の判断によって、今年度基準でいえば上限五十一万九千円、この応急修理の活用も可能だということですね。その点を確認させてください。
  199. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 住宅の応急修理につきましては、災害救助法に以前から「災害にかかつた住宅の応急修理」ということが規定があるわけでございまして、今回、新潟県の中越地震に際しましてはその扱いをかなり明確化した取扱いで通知をしているわけでございますが、当然ほかの水害につきましてもこの災害救助法のこの応急修理の規定の適用はあるということでございます。
  200. 仁比聡平

    仁比聡平君 被災者やあるいは被災者の強い要望の中で努力をされている自治体の皆さんにとって大変大きな希望の光だというふうに思います。今の扱いが速やかに現場で活用されるように強く求めていきたいと思うんですけれども、一方で、被災地の各地にお邪魔をいたしますと、この応急修理が必ずしも活用されていないという実情があるというふうに感じてきました。制度の周知の問題や、あるいは予算の制約などの問題があるのかもしれませんけれども、住宅の再建が生活を再建する不可欠の基盤だということにかんがみて、もっと積極的に活用されるように厚労省としても御指導をいただきたいと。  その御指導に当たって、罹災後、この応急修理が今の一般基準では罹災後一か月内に行われるということが原則とされていると思います。そうすると、今年相次いだ被害の中で活用にちゅうちょをする自治体があり得るということになるのではないかと懸念を私するんですけれども、こういった場合に、特別基準を相談をすることを含めて、是非厚労省として活用の御努力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  201. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 災害救助法適用につきましては、告示でその基準一般基準として定めているわけでございますが、もう災害の対応はそのときの災害の種類あるいは起こった地域で様々でございまして、そのたびごとに都道府県と相談をして合理的な基準を改めて特別基準として設定していることはもう幾つもございますので、相談をして適切に対応してまいりたいと思っています。
  202. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、仁比委員が御質問の件でございますが、今度の新潟中越地震被害者の中で、とにかく家を直せば元々自分生活のよりどころとしていたところに帰れるという数が非常に多いと。そして、住んでいる人もそれを一番望んでいるということもありまして、厚生労働省も、今までの基準がこう分かりにくくて、本来ならば、つぶれたところに青いビニールシートを張るぐらいの利用しか想像できなかったところをその修理に活用してもらおうということで、そうした対象者とか、あるいはいろんな基準ですよね、そういうものを明確にしていただきまして、今委員が余り利用がないんじゃないかとおっしゃっていたようなことをこう改善をしていただきましてね。  それから、金額も六十万円ということで、五十一万九千円ではなくて六十万円ということで少し、とにかくあの新潟の場合にはですね、雪深いところでございますので、そのために余計にお金が要るだろうということも考えて六十万円ということにして皆さん方に御活用を願うようにしたわけでございまして、まだ決めていただいたばかりでございますので、地元の公共団体に十分その情報が行っていないかということを私も心配いたしますけれども、是非とも御活用いただきたいということで、厚生労働省からも情報を公共団体に発してもらうように私からもお願いを申し上げたいと思っております。
  203. 仁比聡平

    仁比聡平君 是非、これが現場で活用されていくように御努力をいただきたいと思います。  もう一点、住宅の再建の前提となる被災家屋の被害認定の基準について内閣府にお尋ねをしたいと思うんですが、中越地震被災地から、今日、特に至急尋ねてほしいという声がありましたのでお尋ねをさせていただくんですけれども、家屋の調査については、例えば罹災後の被害状況の把握の中でなされる全半壊とか一部損壊というような調査や、あるいはこれまで新潟で取り組まれてきた余震などとの関係でなされてきた応急危険度判定の危険、要注意などの判断があります。これと、生活再建支援法の前提となる全壊、大規模半壊、半壊という認定は、これは私の理解では別の角度からの基準であって、その別の角度の基準をもって改めてなされるものというふうに理解をしております。  ですから、例えば、罹災直後に一部損壊と一見外見から見られた家屋でも、三度その建物が傾いていれば全壊という認定をされる、あるいは一部損壊とされたところでも、土台にひびが入り、住めないという状況が後で明らかになれば、これはその旨しっかりと評価をされて全半壊の認定につながっていくということかと思うんですが、そういった理解でよろしいのか。そして、そういう理解が現場で被災者に対応する自治体職員に周知をされるように是非努力をいただきたいと思うんですが。
  204. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 被害の認定の関係についての御質問でございますが、まず消防庁の方から全壊が八百、九百とか、半壊が千数百とかいうのが出てまいりますが、これは被害状況消防庁さんの方でごらんになって、報告を受けて、それを今我々としては正式な、消防庁からの正式な被害状況ということで把握し、公表しているところでございますが、これが一つございます。  それから、今おっしゃいました応急危険度判定というのがございますが、これは住宅だとか建物が震災の後、非常に傷んでおる場合がございまして、これにむやみに入られたときに余震等があって二次災害被害を受けるおそれがあるということで、応急危険度判定という制度でもって、その辺立ち入ったときに、危ない、あるいは注意しろ、問題ないというようなことを決めておるわけでございますが、そういう趣旨の制度でございます。  また、今御指摘の被災者生活再建支援法上の認定というのは、これは法律に基づく認定でございまして、国の方から、内閣府の方から基準を出してございます。その基準に基づいて、それぞれ市町村の方で適切な認定作業が行われるということでございまして、それぞれ異なったものでございます。  なお、これから、被災者生活再建支援法でございますと、その法律に基づく市町村長の、市町村の認定作業というのも入りますし、また災害救助法関係のいろんなベースとなります認定というのは罹災証明というのもこれから出てくるわけでございまして、これらの作業につきまして、これから現場で現地の方で入っていくわけでございますが、人手も限られていますし、非常にまた冬の、厳しい冬が近づいているということもございますので、できるだけ一緒になって効率的な対応がやっていただきたいということで考えております。  昨日、現地の方で内閣府の担当官及び厚生労働省の担当官が出掛けておりまして、県及び市町村の担当の皆様に御説明をいたしているところでございます。
  205. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、今の住宅再建にかかわる救助法そして支援法の運用、特に積極的な現場での運用について是非、これから被災者の皆さんのところにしっかりと届けていくという決意をお伺いしたいと思いますが。
  206. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) これから具体的に住宅等の再建に当たりまして、今、統括官が申し上げたような市町村が罹災証明を出すに当たってのいろんな判定作業があると。そのためにやっぱり前提となる、どういう、判定の基準ですよね、そういうものはしっかりしなきゃいけないなというふうに考えております。  具体的に改まった点も新しい制度もございますので、現場で間違いが出ないように、そしてできるだけ多くの皆さん方の救いとなるように努力したいと、こういうふうに考えております。
  207. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  次に、高潮対策について一点お伺いをしたいと思います。  台風十六号、十八号で瀬戸内海沿岸で各地で甚大な被害がもたらされました。香川県、岡山県南の沿岸部、広島県など大きな被害が出たのは御承知のところです。実は、高潮災害防止のための海岸の緊急点検は既に、平成十一年の台風十八号で十二名もの死者を出した熊本県不知火の被害を受けて既に行われてきました。その年の、十一年十一月一日付けの点検結果を見ますと、全国でその不知火の被災地に類似をした、湾奥に位置し、特に地盤が低い地域が四百九か所あるというふうに報告をされていますが、その箇所で、つまり、この五年前の緊急点検で既に危険地域として認識をされながら、保全施設の面でも、また先ほど来指摘をされている避難勧告の遅れの面でも、特に対策が取られないまま今回の台風で甚大な被害が出た地域があるということが極めて私、重大だと思うんです。  大臣も視察をされました倉敷市の玉島地区もその一つです。私、決壊寸前であった宝亀堤防の現場で数十人の住民の皆さんから、電信柱を越える波しぶきで生きた心地はしなかった、土手を破られたらこの中の何人かは死んでいたと、口々に必死の思いを伺いました。住民の皆さんは、堤防のかさ上げとともに、土手幅を広くする、波返しを設置をする、あるいはテトラポットなど消波施設を設置する、こういった要望を強く持っていらっしゃいますけれども、今度こそ再度災害を防止するために、原状回復にとどまらない特段の対応が必要ではないでしょうか。  水産庁と港湾局にそれぞれ伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  208. 田中潤兒

    政府参考人(田中潤兒君) お答えいたします。  玉島勇崎地区における災害復旧につきましては、十二月に災害査定を行い、原状回復を図ることとしております。また、これに加え、今後の高潮対策として、倉敷市が堤防前面に、先生おっしゃられました消波ブロックを設置すること等も計画しているところでございまして、国としてもこれを支援していきたいと思っております。  加えまして、岡山県におきましては、今後、背後地域の浸水状況等の調査を踏まえ、海岸保全施設の整備計画の見直しなどを検討をしていくと聞いております。その結果、当地区において更なる対策が必要となれば所要の措置を講じていきたいと思っております。
  209. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お尋ねのありました倉敷市の玉島勇崎における宝亀地区の高潮被害についてでございますが、この海岸堤防につきましても、台風十六号によりまして護岸の背後の土砂が一部流出する等の被害が発生をしてございます。本施設につきましては、取りあえずの応急措置として九月の二十七日までに工事が完了をしてございますが、本格的な復旧につきましては、十一月下旬に災害査定を行う予定にしておりまして、できるだけ早期の復旧を図ってまいりたいというふうに考えてございます。  また、ただいま水産庁の方からの御答弁にもございましたように、岡山県で現在、今回の被害にかんがみまして、浸水原因の究明あるいは海岸保全施設の整備計画の見直しなど、必要な対策について今後検討をしていくというふうに聞いてございます。国土交通省といたしましても、今後の海岸保全施設の整備につきまして、こういった検討結果を踏まえて、地元の御意見、御意向を十分伺った上で適切に対処をしてまいりたい、かように考えてございます。  ありがとうございました。
  210. 仁比聡平

    仁比聡平君 終わります。
  211. 風間昶

    委員長風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十三分散会