○西島英利君 是非よろしくお願いをいたします。
それでは次に移らせていただきます。
実は、アメリカの映画で「ジョンQ」という映画がございます。デンゼル・ワシントンという俳優が演じておりまして、実はアメリカの
医療保険制度を実によく
理解できる映画だというふうに思っております。
尾辻大臣まだ見ていらっしゃらなかったら是非何かの機会に見ていただければというふうに思いますけれども、これは少しだけ
お話をさせていただきますと、ジョンQという父親がある会社で勤務をしておりまして、ところがその会社が非常に不況な状態でございまして、その会社が入っている
保険会社との契約、つまり不況なので安い
保険料の
保険に切り替えたわけでございます。
で、ジョンQの息子さんが野球が趣味でございまして、父親もその応援に行っていたわけですが、野球の試合中に倒れてしまいまして、救急で救急病院に運び込みました。その結果、心臓に重大な欠陥があり、心臓移植以外には
治療のしようがないということでございまして、ジョンQは、これは父親でございますけれども、すぐにじゃその手術の登録をしてくれというふうに頼むわけでございます。しかしこの病院の院長は、いや、おたくの入っている
保険では息子さんの
治療はできないと言います。いや、そんなことはないと、ちゃんとした何でも受けられる
保険に自分は入っていたんだと言いますけれども、しかし会社が
保険料の安い
保険に知らない間に切り替えていたわけでございます。
何とかお金を出すから
治療してくれと言いますけれども、そこの病院は、いや、あなたの預金はこれだけしかないというところまで実は調べているわけでございまして、ですから
治療はできないと言います。しかし何とかするということで、必死になって借金を友人、知人にします。しかしそう簡単に集まる金額ではございません。しかし息子さんの状態はどんどんどんどん悪くなっていきまして、あと数日の命というときに、病院側からお金が集まらないのであれば今すぐ退院をしてくれというふうに言われるわけです。
そこでジョンQは、息子のことですから何とかしなければいけないということで、病院を占拠し立てこもり、結果的には大きな社会問題となりまして、病院が手術をすることを決断をし、息子さんは助かったということでございます。しかし、ジョンQは逮捕されて刑務所に入ってしまったという、そういう映画の実はストーリーでございます。
つまり、お金がなければ必要な
医療が受けられないという
制度を実にうまく表した映画でございまして、アメリカでは非常に有名になった映画でございます。
そして、それを受けるような形で、二〇〇三年の一月の二十八日にブッシュ大統領が米国の議会で、一般教書演説で第二番目の重要項目として次のことを実は発言をされております。
国民全員に質が高く利用可能な
医療を提供をすることが第二の目標である。多くの人々にとって
医療費は高過ぎるし、
医療保険に全く加入していない人たちも多い。つまり、アメリカでは
保険料が高いがゆえにその
保険に入れない人たちが四千万人以上いらっしゃるという状況があるわけでございます。こうした問題は、
保険の適用と
治療を制限するような現在のアメリカの国民皆
医療保険制度ではこれは解決できないと。ですから、国民全員が優良な
保険に加入し、自分で
医師を選び、高齢者や低所得者が必要な援助を得られるような
制度の確立を目指さなければならないと言っているわけです。つまり、日本のこの国民皆
保険制度を実は
考えているわけでございます。
クリントン前大統領も実は同じような
考えでございまして、奥様のヒラリー・クリントンに命じましてずっと検討させたわけでございますが、残念ながら導入ができなかったわけです。
さらに、官僚や法廷弁護士や健康
医療団体、これはHMOという
保険会社でございますけれども、こういう人たちから、
医師や看護師や
患者が再び米国の
医療を主導するようにしなければならないと。つまり、
医師が主導してアメリカの場合は
医療を提供しているわけではないわけであります。民間
保険会社によって実はアメリカの
医療は主導をされているという現状があるわけでございます。
もう一つは、
医療改革はまずメディケアから始めなければならない。つまり、メディケアというのは六十五歳以上の方々を
対象にした
医療制度でございます。ところが、これは外来の場合には薬代は実は適用されないわけでございまして、薬を得るためには、これは完全な自己
負担だったわけでございますが、まずすべての高齢者が処方薬を提供する
医療保険制度を選択できるようにすべきであるということで、今後十年間で四千億ドルの予算を計上してあるということを言われたわけでございます。その結果、二〇〇三年の十二月にこれが法制化をされまして、処方薬としては
保険で見るという形にようやくなってきたわけでございます。しかしこれは二〇〇六年からの実はスタートでございます。
今回の大統領選挙、イラク戦争等々が実は盛んに新聞で報道されていたわけでございますが、実は国民にとって一番大きな問題は
社会保障制度の充実でございました。これはブッシュ大統領も、それからケリー候補も同じような主張をされていたわけでございます。
さらに、ここに産業新聞という十月二十六日のニュースが書いてございまして、その中に、高薬価に苦しむ、つまり薬代が高いという
意味でございますが、高薬価に苦しむ米国内の
患者にとってカナダからの輸入医薬品は既に欠かせない選択肢になっていると。非常に薬が高いわけです。アメリカ医薬大手が本当に恐れているのは、ほとんどの先進国に比べてアメリカ国内の薬価が大幅に高いことを国民に知られることだという記事を実は載せているわけでございます。
そこで、
規制緩和というのを広辞苑で調べてみますと、この
規制緩和という
意味は実は経済活性化の
意味でございます。
総合規制改革会議、昔は
規制緩和という言葉をたしか使っていらっしゃったと思いますが、まさしく経済活性化が目的の実は
委員会、
会議であったわけでございます。
さらに、ここに、日米
規制改革及び競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革
要望書、これは毎年出てまいります。その中を読んでおりますと、これは経済成長や市場開放を促進するとの目的で設置した日米
規制改革及び競争政策イニシアティブということがここに書かれておりまして、その中で、米国は、
総合規制改革会議が今後とも新しい機関、設置成ったときには、改革の提言を実現するに当たり、積極的かつ有効な役割を果たすことができるよう、その権限を強化することを要請すると。つまり、アメリカから実はそういう要請がなされているわけでございます。
さらには、この
要望書の中を読んでまいりますと、薬価の価格それから
医療材料等々のことが書かれております。重要なことは重要なことでいいんですけれども、その中の
問題点は、製品、これはお薬でございますけれども、製品の売上高に基づく市場拡大の再算定基準は、適応に変更があった場合の再算定も含めて廃止すると。また、比較薬が市場拡大再算定を受けた場合の再算定も廃止すると。価格削減を行うことで、市場で成功し需要の高い革新的製品に対してはそうしないと不利益になるからであると。つまり、一度決めた価格を下げるなということを言っているわけですね。
先ほど申し上げましたように、アメリカの医薬品がいかに高いかという
お話をいたしました。そして、こういう協議の中で決められた価格、これは当然それだけ需要が多ければ価格としては下がっていくのは当たり前だろうと思うんですが、それを下げるなということをここで言っているわけです。
さらに、日本市場に製品導入をする際の特定の
費用を考慮しない上限価格を課すことを控えろと。はっきり言ったらめちゃくちゃですね。自分たちがもうけることはきちんともうけさせろと、おまえたちが勝手なことするなというようなことが実はこの
要望書に書かれているわけでございます。
そして、この
要望書が出ますと、その翌年の六月には必ずそれに対してどうだったのかという報告書が出てまいります。それを読みますと、
厚生労働省は、米国業界を含む
医療機器業界及び医薬品業界と緊密にコミュニケーションを取る機会を増加させたと。つまり、おれたちの言うことを聞いてくれたんだということです。
さらに、中医協の問題についても、業界に意見表明の機会が与えられ、議論の結果、二〇〇四年度の薬価基準改正においては、
厚生労働省は、外国価格調整
ルール及び原価計算方式の変更、後発品のない長期収載医薬品に対する再算定
ルールの導入並びに外国価格参照を利用した再算定
ルールの導入を行わなかったということをここで報告書として出していくわけですね。さらに、再算定に際しての引下げ率を緩和することも検討したと。真に有用な製品の価格を不当に削減しないことを確保するというようなことを実は、これはアメリカからの報告書で実はそういう報告書が出ているわけでございます。
それに対して日本政府がコメントを出しておりまして、厚生
関係は、医薬品に係る価格の再算定は、市場規模、用法など当該製品の公定価格を定める際の見込みと市場の
実態に著しい差が生じた場合に、これを是正することを目的としたものであると。だから、ペナルティーを課すわけではないということを日本政府としてはコメントをしているわけでございます。
このように、本当に今、
医療費がこれだけ高いということを言われながらも、実は高止まりでいいじゃないかというような
要望がこの中でされていると。
さらには、在日米国商工
会議所が意見書を出しておりまして、日本の病院内特定病院への株式会社参入を実現させろということをここで意見を言っております。特に、病院内に企業の従業員が配置され
患者と交流し臨床活動を行えるようにするとか、
患者サービス・アクセス権を得る対価として病院に対する支払を可能にすると。
つまり、アメリカはいろんな企業が実は病院内に入っておりまして、それだけでも実はコストが物すごく高くなっているわけです。そのようなことをやれという意見書を実は出しております。
さらには、二〇〇一年版日米ビジネス白書によりますと、これもアメリカからの
要望でございますが、継続的な
医療教育により認証された専門医には、そのような教育を受けていない
医師より高い報酬を与えるべきであると。
医療施設が国民健康
保険で賄われない
治療、
技術及び医薬品の
費用を民間
保険に直接請求できるようにすべきだと。企業による病院経営を許可することを要請すると。
つまり、こういう形で日本に対して内政干渉的な
要望を次から次にしてきているわけですね。
そして、これ、極め付けでございますけれども、今年の六月三日の朝日新聞でございます。
規制改革の特集が組んであるわけでございますが、そのときに、
規制改革・
民間開放推進会議の宮内義彦議長がこういうふうに述べております。今、
医療産業三十兆円に抑えられているけれども、
規制改革ができれば五十兆円から七十兆円にもなるんだと。
つまり、まず利益ありきからスタートして、国民のニーズ云々というのはこれは付け加えでしかない。本当にそのようなことで、今日先ほど
中原委員も議論をされましたけれども、そういうレベルで持ち出してきているものと、まさしく国民の
医療はどうあるべきか、
医療制度改革はどうあるべきかと、この真剣になって
考えているところで議論がかみ合うはずがないわけですね。是非そういうところも皆さん方に
理解をしていただきたいというふうに思うところでございます。
そこで、せっかく
規制改革の方から来ていらっしゃっておりますので御
質問をさせていただきたいと思いますが、盛んに今、民間の参入、民間の参入と言われますが、民間と
医療法人とはどこがどう違うのか、それをまずお教えいただきたいというふうに思います。