○
政府参考人(
玉井日出夫君) 引き続き御
説明をさしていただきます。
まず、五
ページからでございます。
キャリア教育の目的とその
推進方策でございますが、今の子供たちの
状況、いろいろ問題があるわけでございまして、したがって、私どもは、児童生徒の発達段階に応じたキャリア教育をしっかり進める必要があるという認識の下に、
平成十四年十一月に
経済、労働、教育、行政、さらに幅広い分野の専門家から成ります
調査研究
協力者会議を設け、そこで議論を重ね、本年一月に基本的な考え方を御報告いただいたところでございます。
その考え方をこの五
ページに示さしていただいているわけでございます。
すなわち、キャリア教育の基本的方向というのは、左にございますように、児童一人一人のキャリア発達への
支援である。職業人、
社会人としての資質、
能力を高める指導を充実する必要がある。さらに、働くことへの
意欲の高揚と学習
意欲の向上。自立意識の涵養と豊かな人間性の育成であると。そのためには、ちょうど真ん中にございますが、学校の教育活動全体を通じて、しかも児童生徒の発達段階に応じた組織的、系統的なキャリア教育が必要と、こういう認識の下に
学校教育の在り方を
見直していこうとしているわけでございます。すなわち、児童生徒の職業観、勤労観をどのように育成していくかでございます。
この五
ページの真ん中をごらんいただきますと、学校における具体的な
取組として、この報告では三つのことを特に重視しております。
一つは、教科、科目の学習とキャリアに関する学習との相互補完性を重視した教育活動の
展開でございます。それからもう
一つは、
職場体験、インターンシップなど、いわゆる体験活動を活用していくということであります。そして
三つ目は、右にございますが、
社会の第一線で活躍している人材をキャリアアドバイザーとして学校に入っていただいて、実際の
社会におけるその現場の今現実に働いている
方々の意識を学校の中に取り込んでいくと、こういうねらいでございます。
こういう考え方で初等中等教育、小学校から高等学校までキャリア教育を充実していこうと、こういうふうに思っているわけでございます。
六
ページをごらんいただきますと、この今申し上げましたキャリア教育を進めるために考えていることでございますが、既に本年度から新キャリア教育プラン
推進事業というものを今立ち上げて、現に
実施しているところでございまして、やはりこれは、今申し上げましたことは、小中高を通ずることと同時に、
地域ぐるみでやっていく必要がございますので、キャリア教育
推進地域を指定したり、キャリア教育のためのフォーラムを設けてその広がりを設けたり、あるいは、インターンシップをするためには
関係省庁等の連携が必要でございますので、その連絡協議会を設けたりして今進めているわけでございまして、六
ページの右の方には具体例を若干御
参考のためにお書きしております。
それから、七
ページでございますが、今の初等中等教育におきますキャリア教育の中で、高等学校では特にインターンシップが大変重要な役割を果たしております。そのために、特に高校のインターンシップを少し御
説明させていただきますと、この今の
状況は、今まで、
平成十年に約二〇%強であったのが、ちょうど倍以上、四七%まで進んでおりまして、更に今これは広がりを見せているところでございます。
実施しているのは大体二年生を中心に行っておりまして、特にやっぱり職業
関係の高校、つまり専門高校は大変今一生懸命やっておりますけれども、右のグラフにごらんいただきますとおり、普通高校がなおなお十分ではないと、伸びつつはございますけれどもまだ不十分だというふうに思っております。そのためのインターンシップの単位認定だとかそういうものを今進めているわけでございますが、この点について更に力を入れていきたいというふうに思っております。
それから、八
ページでございますが、先ほど副
大臣、塩谷副
大臣から申し上げましたとおり、今後キャリア教育を更に充実するために新しい
展開を図っていこうということで、十七年度に特に力を入れようとしているところがございます。それは、
一つはキャリア・スタート・ウイークの全国
展開というところでございますが、先ほど申し上げましたのは小中高を通じて全体的に発達段階に応じてやっていくということでございますが、特に中学校段階が非常に重要な時期であろうと、こういうふうに思っております。
そこで、今現に兵庫県やほかの県でも様々な形で中学校を対象にしてかなり長
期間、言わば一週間程度、その
地域の
方々の御
協力を得て、実際に
職場に入ってみる、実際にいろんな活動をやってみることが大変いい効果を上げているわけでございますので、それを全国
展開を図っていこうというのが十七年度の新しい
事業でございます。すなわち、五日間以上の
職場体験の全国
展開を通じてキャリア教育の更なる
推進を図るということで、これを今年度から広げてまいりたいと。特に中学校の多分大体二年生ぐらいが
重点になってこようかと、こういうふうに思っております。
それから、もう一
ページめくっていただきますと、九
ページでございますが、高校段階では、先ほど申しましたインターンシップも大変重要なんでございますが、同時に専門高校が大変地元の
産業界と密接な連携を取って、地元に必要な
人材育成で大変重要な役割を果たしているわけでございます。そのために、既に私どもは十五年度から先端的な技術、技能を取り入れた教育、あるいは伝統
産業に関する学習に
重点を置きました、そういう特色ある活動を行っている専門高校を、「目指せスペシャリスト」と、こういうキャッチフレーズで指定をしながら、
地域の御
協力を得て進めているわけでございます。これに、先ほど申し上げました
政府を挙げての
取組でございますので、
経済産業省、
厚生労働省の御
協力も得ながら、更にここを力を入れていこうとしているわけでございます。十七年度はその拡充を図ろうと、こうしているわけでございます。
具体例を若干今九
ページの右の方にお示しをしておりますけれども、例えば和歌山県の南部高校でございますけれども、ここは大変地元の特産品で梅が有名でございます。この新品種のスーパー南高梅、この
開発を通じて
地域に根差す農業スペシャリストをこの南部高校は実践をしているわけでございます。さらに、その下は高知県の県立高知工業高校でございますが、ここは建築の基礎や伝統を学びながら、日本の伝統、文化を継承する将来の宮大工をこの工業高校において育成しようという
取組をしているわけでございまして、この面を更に力を入れていきたいと思っております。
それから次、十一
ページに飛んでいただきますが、日本版デュアルシステムの
推進についての若干の御
説明を申し上げます。
これは、
厚生労働省と御
協力しながら、働きながら学ぶ、学びながら働く、それをデュアルでやっていくというシステムでございますけれども、十一
ページにございますように、厚労省の方の様々な
施策と合わせながら、私どもは専門高校とそれから専修学校でこの日本版デュアルシステムの
推進を図ろうとしているわけでございまして、そこでは、専門高校におきましては十六年度から効果的な
導入手法などの
調査研究を行うモデル
事業を
実施しておりますし、それから専修学校におきましても、学びながら働く人のための
就業を組み込んだカリキュラムの編成につきましての先導的なモデルを今作り上げて、それを全国的に普及しようと、こういう試みをしているわけでございます。
それから、十二
ページでございますが、今申し上げましたことのもう少し具体的な分かりやすい例をちょっと示させていただきました。
左側が専門高校の例でございますけれども、ここにございますように、
一つは、これは三重県の方でございますけれども、ここの運営委員会、つまり教育部局だけじゃなくて労働部局それから商工会議所といったところにも御
協力いただいて、
地域を挙げてデュアル教育のシステムをやっていく。桑名商工会議所、桑名工業高校、そして
企業、ここの三者の連携
協力によって具体的な今事例が始まりつつあるということでございます。さらに専修学校で、今、右にございますような教育プログラムの
開発が今進みつつあるというところでございます。
それから、十四
ページに飛んでいただきますと、いわゆるフリーター
対策でございますけれども、これは専修学校を中心に考えておりまして、そこで学び直しの機会をどのように確保していくかということをやっているわけでございます。
先ほども申し上げました
若者自立・
挑戦プラン、この中での専修学校を活用した形でございまして、
産業界との連携
協力によって専修学校で短期教育プログラムを
開発すると、その上で職に必要な知識、技術をここで獲得できる、そういうプログラムを
開発しようということで、今十六年度から
実施しているわけでございまして、十四
ページの右にあるような、こういうプログラムを今
開発しているところでございます。
それから、十五
ページでございますが、今申し上げたフリーターの問題で、いつでもどこでも手軽に学べるということも大変重要になってくる時代でございまして、ITを活用する必要がございますので、これも
文部科学省、
経済産業省、
厚生労働省が共同して、e—ラーニングによります草の根の学びのシステムを
構築しようと今しているところでございます。すなわち、学び直しができる学習
支援の仕組みを
構築していこうということで、カリキュラムの
開発あるいはシステムの
開発に今取り組んでいるところでございます。
それから、十七
ページに飛んでいただきますと、大学
関係でございます。
大学
関係は特にキャリア高度化プランということで考えておりまして、ちょうど真ん中にございますように、左から
社会人キャリアアップ、
社会人を更に再教育できるシステムを
構築する、それから特色ある大学教育の改革ということで、大学の学部レベルも
強化を、教育を
強化していく、さらに専門職大学院ということで、こういうプロフェッショナルを養成するということにも力を入れたいと、こういうふうに思っておりますが。
特に
若者の
就業問題といいますと、先ほど高校生のインターンシップを申し上げましたが、実は大学生のインターンシップも大変効果が上がっておりますし、これが大変重要になってきております。ここ十八
ページでお示しをしております大学等におけるインターンシップの
推進でございますけれども、これも
平成十四年が二三・七%でございましたけれども、既に四六・七%まで今広がっておりまして、これは大きく多分広がっていくであろうというふうに思っております。これ大体学部でいいますと三年生ぐらいが中心になっておりまして、大体二週間程度が多いというふうに
理解をしております。そのための
推進施策も、ここに書いてあるとおりでございます。
そこで、具体例をちょっと
一つだけ、二つほどお示しするために十九
ページを御用意しております。
大学におけるインターンシップでございますけれども、例えば、これ実名を出しておりますけれども、立命館大学でございますけれども、ここはその部分的なインターンシップではなくて全学的な
取組をすると。そして、大学教育の一環として位置付けるということにしております。そして、そのためのインターンシップオフィスを設けて、そしてインターンシップに関する窓口一元化、すなわちワンストップサービスを大学として取り組んでいるところでございまして、そのような努力がありまして、実は始めた十一年度ごろには二百名程度であったそうでございますけれども、これが十五年度約一千名というふうに大きく今伸びつつあるということでございます。
それから、豊橋技術科学大学、これは高等専門学校の卒業生を更に受け入れていく、学部でいいますと三、四年生、それに修士レベルが加わっている大学でございますけれども、ここはその特色を生かしまして、学部四年生全員に対しまして、卒業研究修了後二か月間の長期にわたります
社会人、
社会の実学を体験するその実務訓練、これは必修科目でございますけれども、そういうものを設けることによって今のインターンシップによる効果を上げているというふうなことでございます。
以上、はしょった御
説明で大変恐縮でございましたけれども、
若者のその
就業につきまして、キャリア教育、それぞれの小さいときからの発達段階に応じた教育に力を入れるとともに、
社会との
関係を結び付けていくということの努力をしているわけでございますが、このためにはやはり、学校だけではなくて、インターンシップもそうでございますし、先ほどのキャリア・スタート・ウイークも同じなんですけれども、
地域社会全体が受け入れていただくという仕組みが大変重要になってきますし、御
協力が大切だと思っておりますので、その点での私どもとしても努力をしてまいりたいと、かように思っております。
以上でございます。どうぞよろしく
お願いを申し上げます。