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2004-11-30 第161回国会 参議院 外交防衛委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十一月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      藤末 健三君     白  眞勲君      浜田 昌良君     澤  雄二君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     簗瀬  進君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      簗瀬  進君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 谷川 秀善君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 今泉  昭君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君        外務大臣政務官  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁防衛参事        官        西山 正徳君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        防衛施設庁長官  山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        防衛施設庁業務        部長       土屋 龍司君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房審        議官       西宮 伸一君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        経済産業大臣官        房審議官     宮本 武史君        環境大臣官房審        議官       桜井 康好君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (アジア太平洋経済協力APEC閣僚会議  、イラクに関するG8及び周辺国による国際会  議、日・ASEAN外相会議並びに日中韓外相  三者委員会への出席に関する件)  (防衛庁長官アメリカ合衆国への訪問に関す  る件)  (日中関係と対中ODAに関する件)  (北朝鮮軍事情勢日朝関係に関する件)  (中国原子力潜水艦による領海侵犯事案に関す  る件)  (イラク治安情勢自衛隊派遣に関する件  )  (在日米軍再編問題に関する件)  (ミサイル防衛に関する件)  (第三回日朝実務者協議日本人拉致問題に関  する件)  (沖縄米軍基地問題に関する件)     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、藤末健三君及び浜田昌良君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君及び澤雄二君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 林芳正

  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 林芳正

    委員長林芳正君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  まず、外務大臣及び防衛庁長官から順次報告を聴取いたします。町村外務大臣
  6. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私は、十一月十六日から二十五日までの間外国を訪問し、チリのサンティアゴで開催された第十六回アジア太平洋経済協力APEC閣僚会議及びエジプトのシャルム・エル・シェイクで二十七の国及び機関の外相等の参加の下で開催されたイラクに関するG8及び周辺国による国際会議出席しました。  また、十一月二十六日から二十九日まで、日・ASEAN外相会議日中韓外相者委員会出席等のため、ラオスを訪問しました。  APEC閣僚会議では、WTO新ラウンドの交渉に一層の弾みを付けることで一致するとともに、APEC地域で増加するFTAにつき、交渉の際に参考とすべき諸原則をまとめました。また、我が国の提案により、APEC地域構造改革推進のための具体的な行動につき合意しました。さらに、テロ・不拡散対策についても、優先的に取り組むべき事項に合意しました。なお、私からは、北朝鮮の核問題を取り上げるとともに、拉致問題についても各国理解協力を求めました。  イラクに関するG8及び周辺国による国際会議では、イラク暫定政府の進める政治プロセス推進治安対策及び経済復興のため、様々な努力に対し、国際社会が一致団結して支援を行うことを明確にすることができました。  日・ASEAN外相会議では、今後の日・ASEAN関係強化について意見交換を行うとともに、昨年の日・ASEAN特別首脳会議で発出された行動計画進捗報告書を採択し、日・ASEAN首脳会議に提出しました。また、ASEAN全体との包括経済連携協定について、来年四月の交渉開始に向け、ともに努力していくことで一致しました。さらに、国際テロリズムとの闘いにおける協力に関する日・ASEAN共同宣言を日・ASEAN首脳会議において発出することで合意しました。私からは、北朝鮮問題につき六者会合早期開催を含めた核問題の平和解決への取組及び拉致問題の真相究明重要性についてASEAN各国理解協力を求めました。加えて、国連安保理改革早期実現に向け、ASEAN各国協力を求めました。  日中韓外相者委員会では、今後の日中韓協力方向性を示す三国間協力に関する行動戦略及び進捗報告書を採択し、日中韓首脳会議に提出しました。北朝鮮及び国連改革等の問題についても率直な意見交換を行いました。  以上で私の帰国報告とさせていただきます。
  7. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  次に、大野防衛庁長官
  8. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、十一月十九日から二十二日までの間、アメリカ合衆国を訪問し、チェイニー大統領を表敬し、ラムズフェルド国防長官日米防衛首脳会談を行い、また、アーミテージ国務長官意見交換を行いました。  チェイニー大統領への表敬においては、私は、米国の軍事態勢見直しに関し、抑止力維持沖縄等負担軽減に留意する必要がある旨述べたところ、先方から、その点は理解しており、沖縄負担について敏感でなければならない旨の発言がありました。  ラムズフェルド国防長官との日米防衛首脳会談においては、イラク復興支援日米防衛政策及び日本防衛政策見直し等について協議を行いました。  イラクにおける自衛隊派遣につきましては、自衛隊派遣延長に関する検討を現在政府内で行っているが、自衛隊安全確保の観点からも、現地の治安維持が重要である旨述べ、先方からは、各国は自主的な判断の下、活動を行っていると理解しており、安全確保は重要であるため、今後とも各国協議していきたい旨の発言があり、また、自衛隊活動を評価する旨の発言がありました。  日米防衛政策については、私は、在日米軍の再編成に関し、地元理解を得るのに時間を有することについて理解を求め、また、抑止力維持地元負担軽減への配慮が必要であり、今後、日米両国間で情勢認識役割任務に関する議論を行うことが重要である旨述べ、先方からは、基地の問題は時間を要することは理解しており、両国国際情勢認識を共有し、国民理解を深めることが必要であるとの発言がありました。  日本防衛政策見直しについては、私は、大綱見直し武器輸出原則見直し国際業務自衛隊の本来任務への引上げについて検討している旨述べ、先方からは、日本政策見直しはいい方向に向かっており、今後、日本がより大きな役割を果たすことを期待している旨の発言がありました。  アーミテージ国務長官との意見交換においては、我が国防衛政策見直し米軍再編等について意見交換を行いました。  今回の訪米において、米側との間で両国防衛政策や今後の日米協力方向性について率直な意見交換ができたことは誠に有意義でありました。これを踏まえ、今後とも日米防衛関係強化に努めてまいる所存であります。  以上であります。
  9. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 三浦一水

    三浦一水君 おはようございます。自民党三浦一水でございます。  質問の機会をいただき、お礼を申し上げたいというふうに思います。座らせていただきます。  つとに自分自身準備不足で、若干通告外的なものが入るかもしれません。大変対応力に富んだ外務省であり防衛庁と存じます。また、関係の省庁であると思います。できるだけの御対応をお願い申し上げたいというふうに思います。  まず、対中のODAについて外務大臣にお尋ねしたいんですが、先般、参議院決算委員会中国現状を視察をしてまいりました。その結論は非常に端的なものでございまして、先般、代表質問でも引き合いに出されておりましたが、それを継続する必要性は見いだせなかったと、残念ながらというのが、端的に申しますと報告上の結論であります。これにつきまして外務大臣は改めてどうお受け止めになっているか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  11. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先般の参議院の本会議におきまして、自民党の議員の方からの対中ODAについての御質問がございました。そのときの答弁あるいは総理大臣の御答弁もあったわけでございますけれども、一般的に、ODAを卒業するというちょっと、やや抽象的な物言いをしてしまいましたけれども、これは経済発展に応じてODA新規供与を行わなくなるということを意味して言ったつもりでございます。具体的には無償資金協力円借款技術協力、それぞれについて発展途上国が成長を遂げるに従って段階的に援助供与を行わないということを意味しているわけでございます。  これは日本ばかりではなくて、国際的にも同じような考え方が取られているところでございまして、一つの目安といたしましては、援助受取国の一人当たり国民所得が大体千四百米ドルに達すると無償資金協力原則として終了すると、それから、おおよそ三千ドルぐらいに達しますと円借款環境人材案件などを除いて終了すると、こういう基準を持っているところでありまして、これは根っこは世界銀行の融資ガイドラインというのがございまして、それを日本参考にしながらこうしたことを毎年決めているということであります。  現在の中国がどうかというと、二〇〇三年の一人当たり国民所得がおおよそ千百ドルぐらいということでありまして、いずれの今申し上げた数字の基準にはまだ到達をしていないのが今の姿であろうと思います。したがって、そういう意味で、現在かなり減少しているとはいうものの、援助を現在出していることについての妥当性はあるんだろうと、こう思っております。  ただ、参議院報告書でも触れてあったと記憶をしておりますけれども、特に沿海部を中心として近年著しい経済発展が続いているという状況を見たときに、近い将来一人当たり国民所得が順次こうしたレベルに達するであろうということはだれの目にも明らかだろうと、こう思います。  また、中国につきましては、ODA以外の特に民間投資が大量に流入しているという点も考えるべきポイントの一つだろうと、こう思います。また、これはODA大綱というものを我が国は持っているわけでございますが、この大綱に基づいて、ODAの実施に当たりましては、中国軍事支出動向でありますとかあるいは基本的人権保障状況といったようなことにも注意を払う必要がある、さらに、中国第三国援助中国自身が行っている発展途上国等への援助動向というものも考慮をするというような幾つかの考慮要素があるんだろうと、こう思っております。  いずれにいたしましても、結論的には、いつまでもODA供与を続けることにはならないということで、卒業時期が早晩来るであろうと、こういうことを申し上げたわけでございますが、いずれにしても、対中国政策全体の中でどうこれを位置付けるのかということを日本としては考えなきゃなりませんし、また実際にその終了に当たりましては、これまでODAが実際的には私はそれなりの成果を持ってきたと、こう思っておりますので、中国側ともよく協議をしながらその段取りを決めていくという必要があろうかと、かように考えております。
  12. 三浦一水

    三浦一水君 私も現場を見さしてもらいましたら、ここの現場の中では、いわゆる中国全体として評価をするものは少ないかもしれないけれども、かんがい施設を見してもらいました。そしたら、千世帯もあるかんがい施設無償で、その原資としては日本からの援助額は四百万しか行っていない中に、九キロにわたるかんがい施設、配管が整備をされ、そして貯水槽ができ、そこが、今までかんがいの水とそれから生活用のシャワーがなかった地帯がそのことで全部でき上がっていると。それに対しては、中国政府と自治体と、更には労働力現場の農家の方々が提供するという形でその事業が組み上がっておるようでございますが、その辺、ここにおいては非常に有効に活用されている現場も見さしてもらったわけであります。  ただ、今お話がありましたように、なかんずく軍事費に、軍事出費に回され、結果として間接的ながら回されているということは、我が国としてはこれは今防衛大綱見直しをしておりますが、その点まで影響をしてくることだろうと、これは具体的に、と思います。そういう人権の問題、さらに第三国援助、ここも、これも重要な視点でありますが、慎重になおかつ検討をしていっていただきたいというふうに要望を申し上げておきたいと思います。  最近の日中関係についてちょっとお尋ねをしたいと思います、外務大臣に。  私は、やっぱり日中関係というのは、国交回復前夜に周恩来首相がいみじくも田中当時の総理を歓迎してお話があった内容にもありますように、この二千年に及ぶ日中間の悠久な交流歴史というものをやっぱりきちっととらえながら行われていくべきだろうというふうに思います。漢倭奴国王という金印を授けられた時代もありましたろうし、唐に隋にこちらから使節団派遣したこともあった。琉球もその傘下にあった時期もあります。そういう長い歴史の流れを踏まえて、いわゆる国交回復共同宣言というものもそれをベースに行われてきたことだということであります。  戦後賠償が行われなかった、要求をされなかったということについても、周恩来首相が明確に当時申しておりますように、いわゆる軍部と日本人一般大衆の行為というものは明確に区別をするんだという思想に基づいてそれが大きな決意が中国側でなされたものであると、それが国交回復のまた基本にもなってきたという現実をきちっと踏まえるべきだろうというふうに思っております。  そういう中で、昨今のこの交流というのは、日中のこの二千年に及ぶ歴史の中ででも本当にいまだかつてない空前の大きなパイプで、経済文化あるいは体育、スポーツ交流に至るまで、これほど大きな今交流が行われていることは歴史的にないんじゃないかと、私は改めてその点を認識すべきだと感じております。  今の日中交流現状について大臣のお考えをちょっと伺いたいと思います。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 三浦委員、正に御指摘のとおりであろうかと思います。  一九七二年九月二十九日の日中共同声明、これを今改めて三十年余たって読み返してみて、多分、これに署名をされた田中総理あるいは大平外務大臣先方周恩来総理、さらには外交部長、ここまでの発展をするとなかなか多分思わなかったんではないのかなという思いがいたします。  もう改めて申すまでもございませんけれども、人の行き来が三百万人を超える、あるいは貿易総額が一千六百億ドルを超えるという大変な量に上っております。貿易などは、二〇〇三年は前年と比べると三割増ということで、爆発的な伸びをしております。また、日本の対中投資も二〇〇三年で約八十億ドルという巨額に上っているわけでございます。こうした人的交流経済交流、更にはもっと幅広く、学生交流でございますとかあるいは知的レベルの大学間の交流でありますとか、文化交流、様々な交流が活発化しているということはもう改めて言うまでもないわけでございます。  したがって、私どもは、この日中関係というのは、もちろん両国にとって有益であるのみならず、これは東アジア地域全体、もっと言えば世界全体にとってこれは貴重な二国間関係であると、こういう認識を持っておりまして、そういう意味で、今後とも更に幅広い分野での協力関係を構築するために一層努力をしていく必要がある、こういう認識でおります。  このことは、先般の胡錦濤主席小泉総理との間のサンティアゴでの首脳会談でも正に一致を見た点でありますし、私自身も、先方外務大臣サンティアゴで、あるいは先般ラオスでの日中韓三か国の外務大臣会合でも同種の話をして、全くそのとおりだという認識で一致しております。  更にこの関係がより健全な形で深化していくように努力をしてまいりたいと考えております。
  14. 三浦一水

    三浦一水君 最近よく政冷経熱ですか、そうだったと思いますが、チュンロンジンルーという言葉になります。これまあ、政治が冷え切っていて経済が非常にホットだということでありますけれども、私は、これ中国側が使われた言葉であって、我々が日中の交流考えるときにこういう非常に狭い局面で物を考えるべきでないというふうに思っています。日本のマスコミもよく好んでこの言葉を使っていらっしゃるようでございますが、単なる、中国側が、だれかが例えで言われたことだと、私は日中の交流というのはそんな薄っぺらなもんじゃないということを思っておりますので、その点は、大臣、またよく踏まえてお願いをしたいと思います。  学生交流でいいますと、私が七九年当時に留学したときは日本から三十人です。それが、今行っている数は、聞くところでは一万人のオーダーで中国側にも行っている、中国側から来ているのももう数万人と、その数倍あるという状況であります。これがやっぱり我が国安全保障においても何よりも貢献することなんだと。この大きな実態をしっかり踏まえながら今後の日中協議というのを行っていってもらいたいと思います。  そういう中で、靖国の問題が実に率直に頭の痛い問題であると思っております。ただ、私は基本的には、このこと、日本人中国人の考え方の違いというのも相当あるんじゃないかというふうに感じております。日本人の、少なくとも私の理解では、死者にむち打つ習慣はないということが言えるんではなかろうかと。ところが、向こうの人はあるということをよく言うんですね、それを。死んでからまでもその罪は逃れられない。ここは私も実際検証したわけじゃないが、もしあるとするなら外務省の詳しい方がいらっしゃいますんで、御見識のある方はちょっとお答えもいただきたいと思います。また、なければ、後日このことはまた議論させてもらいたいと思うんですが。  こういう基本的な──じゃ、お願いします。
  15. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 具体的な事例ということではございませんが、しかばねにむちを打つというのは史記にある、調べてまいりましたけれども、史記にある故事だそうでございまして、紀元前四百五十年に亡くなった方の話でございますけれども、春秋時代に楚の伍子胥という人が父親のあだ討ちということをするために楚の平王のお墓、お墓ですね、しかばねではなくてお墓だということになっているようでございますが、にむちを打ったということでございます。  この伍子胥という方は楚の人なんですが、お父さんが殺されて、呉に亡命をしたと。で、呉の参謀として楚を討伐したということで、楚を討伐した暁に楚の平王、平らの王と書くんだそうですが、の墓にむちを打ってお父さんのあだを討ったという故事に由来している言葉だそうでございます。
  16. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。  また私も勉強をしてみたいと思うのでありますが、いずれにしましても、我が国習慣というもの、伝統というもの、これは根気強く、やはりこの違いを前提として中国側理解を求めていかなければならない、これは決して絶えてはならないというふうに思っております。  先祖を敬い、英霊を敬うということにおいては日中間に、私は自分生活実感として全く差はない、全く差はないと。大衆は、私たちのその気持ちというのは中国大衆は受け入れてくれるものだと今でも確信をしております。これが、下手をすると、靖国参拝につきましても非常に、中国側の批判というものは最近のものであるということが言えるかというふうに思います。五十三年に合祀をされて、その後に中曽根総理が公式参拝をされて以降、少なくともその時点からだというふうに感じております。  そういうものをきちっと区別をしながら、我々は今後やっぱりこの話もしていかなければならないんだろうというふうに思っております。  大臣、何かお考えがあれば。
  17. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに分かりやすい単語で、政冷経熱ですか、そういう言葉が少し流布し過ぎているなという感じも私も率直に言って持っております。  靖国問題、先般の日中首脳会談でも中国側から、胡錦濤主席から中国側の立場についての言及があり、これに対して小泉総理小泉総理のお考えを述べた。なかなかそこは、一致を見たというわけには率直に言っていかない様子であったと思いますけれども、私はそれは、物の考え方あるいは個々の案件についてそれぞれの国の中ですべてが一致するというのはなかなかないだろうと思います。  これほど日米関係が深まったとはいったって、日米間には、過去の見たときに、例えば経済摩擦等々一杯いろんな摩擦があった。それでも乗り越えることができて今日の良い日米関係があるということを思ったときに、私は、この靖国問題があるからもう日中関係はもう終わりだとか、もう日中の政治関係が一向に前進しないということではない。違いがあればあるときほど、両国首脳、関係者が率直に会って率直な議論をして、お互いの理解を深め、その現在ある障害を乗り越える努力をすることこそが大切で、そういう意味で私は、確かに靖国の問題もありました、原潜の問題もありました、しかし、だからといって、日中首脳がそれだから会わないというのはおかしいんじゃありませんかということを私は今回のサンティアゴの会合の前に随分中国側には伝えたつもりであります。結果、会合が開かれて、そういう意味ではよかったと思っておりますし、率直な会談が行われたことはよかったと、私もそう思っております。
  18. 三浦一水

    三浦一水君 基本的に、一国の指導者が戦没者に対していつどのような形で追悼の意を表すか、その国の伝統と慣習に根差す私は基本的に国内問題であると認識を持っております。国内議論であってはいいが、他国からとやかく言われるべき筋合いのものではないと読売新聞も書いておりましたが、私はそのとおり思っております。この点は是非今後も御参考いただきたいというふうに思います。  財務省にちょっと、新防衛計画について財務省のお考えを聞きたいというふうに思います。  四万減の削減案について、財務省から、ある課長さんがそういうことが必要だと、新聞でも報道されたところでありますが、基本的にその財務省として意図されるところは何なのか、お聞かせをいただきたい。手短にお願いします。
  19. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 自衛隊の体制についてのお尋ねでございますが、我が国の防衛力の在り方につきましては、昨年末の閣議決定がございます。これは、安全保障環境の変化を踏まえまして、テロ、弾道ミサイル等の新たな脅威等に実効的に対応し得るなどの必要な体制を整備するとともに、本格的な侵略事態にも配慮しつつ、従来の整備構想や装備体系について抜本的な見直しを行い、適切に規模の縮小等を図るとされているところでございます。  現在、新たな防衛計画の大綱及び中期防の策定に向けて、安全保障会議において検討が進められているところでございますが、私どもといたしましても、先ほど申し上げました閣議決定の考え方に基づきまして、必要な検討を進めていきたいと考えております。
  20. 三浦一水

    三浦一水君 政府の一部には、災害派遣自衛隊の本来任務ではなく、新たな防衛体制を考える際の対象事象ではないような発言があるやに聞いておりますが、それは財務省ではないんですか。
  21. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 自衛隊の災害派遣につきましては、自衛隊法上、自衛隊の本来任務と位置付けられておると承知しておりまして、先般の新潟中越地震への対処のように、自衛隊の救援活動は地域住民からも感謝されまして、一般国民の信頼と安心も得られていると考えております。  今後とも、そういうことには自衛隊としても積極的に取り組んでいただくことが必要ではないかと考えております。
  22. 三浦一水

    三浦一水君 これは報道ベースの話ですが、師団編成にまで財務省がいろんな考え方をお持ちだというふうなことも聞いております。これは、本来戦略を所管すべきところは防衛庁であって、財務省がそれをするというのは誠に筋が違うし、私は目的達成ができないことではないかというふうに思っております。そういうことについてはどのようにお考えになりますか。
  23. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 私どもは財政当局でございますので、国民の皆様の税金をいかに効率的に使っていくかということが重大な使命だと考えております。そうした中で、自衛隊につきましても、どういうふうに、現在の環境の変化を踏まえまして、資源を重点的かつ効率的に使っていくかということが必要だと思っておりまして、そういう観点から政府部内で検討させていただいて、いろいろ議論させていただいているところでございます。
  24. 三浦一水

    三浦一水君 もうちょっと時間の関係防衛庁にお聞きできません。このまま財務省にお聞きさせてもらいたいと思いますが。  我々、私は熊本県ですけれども、選挙区は、平成三年に台風十九号というのがありました。このときに、大変な要請をして自衛隊に出動をいただきました。そのときの派遣人員というのが一か月間で三十万人になったということでありまして、一日延べ一万人が動員をされたという状況があったんです。これはもう大変な風倒木による二次災害を防止するための大きな手だてになりました。  しかし、考えなければならないのは、その三十万ということをどのパイで国防という基本的な役目を担いながら災害緊急体制を作っていくかと、これは並のことではない、現実的には。その中で今四万人削減ということが打ち出されることは、私は、とてもこれは実態に即したことでもないし、国民の期待にこたえられるものでもないと。国民の期待はむしろ非常に高め、その自衛隊の機能に対しては多機能の一つ、災害派遣ということに対しては大きな期待があるということだと感じております。  その点、財務省としてどのような感じ方をなさっていますか。
  25. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 先生おっしゃるようなその災害救助の重要性ということにつきましては、財政当局としても十分認識しているところでございます。  先ほどからの繰り返しになりますが、私どもは、国民からお預かりしている税金をいかに効率的に重点的に使っていくかという観点から自衛隊に、自衛隊の在り方について議論さしているところでございまして、今後とも政府部内で十分議論さしていただきたいと考えております。
  26. 三浦一水

    三浦一水君 我が国のこの災害大国であるというこの現状は非常に世界において特殊な状況であると。台風の二〇%も我が国に襲来をするという現状もあるようでございます。これは、我が国の防衛力が特段に担わなければならない役割だとして他国にはないものがあるということをこの地震でも思い知らされたことではないかと。阪神もそうであり、今度の新潟中越もそうであるということであると思っております。  この点には決して支障が出ないような今後の大綱であり、また基本計画になるべく財務省としても取組をいただくことを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 山本一太

    ○山本一太君 まず、大野防衛庁長官に最初に質問をさせていただきたいと思います。  最初の質問については短くイエスかノーかでお答えをいただければと思います。長官北朝鮮という国は日本安全保障にとって最大の潜在的脅威の一つであると、こういう御認識をお持ちでしょうか。
  28. 大野功統

    国務大臣大野功統君) イエス。イエスでございます。
  29. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。長官、私は……
  30. 林芳正

    委員長林芳正君) 山本君。
  31. 山本一太

    ○山本一太君 委員長、失礼しました。  数か月前に久々に韓国を訪問いたしました。韓国に行った目的は、前回の国政選挙で韓国で大きな変化があって、現職議員の五割以上が新しい議員に替わってしまったと。特に、今の与党ウリ党が非常に増えて新しい議員が出てきたということで、私、政治家になってからずっと日韓議員交流に力を注いできたこともあって、ウリ党の国会議員がどんな安全保障について考え方を持っているかということを確かめるために行ってまいりました。  ソウルにいる間に、ウリ党の党の幹部の方とかウリ党出身の大臣の方とか、あるいは新しく当選した若手議員の方にもずっと会っていろんなお話をしてきたんですけれども、やはりウリ党と最大野党ハンナラ党の違い、いろいろありますが、安全保障の面において言うと、やはり対北朝鮮政策についての認識が違うと。もうちょっと具体的に言うと、やはりその北をどれだけの脅威とみなすかと、その北の脅威の度合いについての認識が違うということがはっきり分かりました。  私が会ったウリ党の国会議員はすべてこういう言い方をしておりました。北に対しては、有事の際にはきちっとこれを抑止する軍事力が必要だということは間違いないと、しかしながら、北に対しては対話と圧力というアプローチを日本側が言っているけれども、圧力は不適当だと。圧力を掛けるということは、これはかえってマイナスだと。なぜかというと、北は実は軍事的には非常に潜在力がない、ちっちゃな国であって、これはもう韓国に対しても、アメリカ、もちろん日米韓に対しても攻撃を仕掛けるような能力もないし意図もないと、こういうお話でした。  私はややそこについては違う認識を持っているんですが、それを踏まえて、日本側、特に日本の防衛を担当する防衛庁のリーダーとして、この北の軍事力、北の潜在的脅威について、基本的なことですが、どういう御認識をお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
  32. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 一つは、やはりオープンでない、トランスパラントでない国が一体何を持ってて、どういう装備を持ってて、どういう能力を持ってて、そしてその専制、独裁者と言うとまた語弊があるかもしれませんけれども、そのリーダーがどういうことをやるのか、言わばその点がはっきりしないということが私は一番脅威だと思っております。  そこで、対話と圧力というのでありますけれども、この対話と圧力という言葉も、圧力というのは使ってしまえばそれで終わりになっちゃう、こういう問題もありまして、極めて扱いにくい問題だと承知しております。  具体的に申し上げますと、大量破壊兵器やあるいは弾道ミサイルの開発、配備、拡散、どの程度まで行われているのか。ノドンは開発され、配備されているけれども、テポドン1、テポドン2、どうなっているのかはっきりしないところがあります。でも、そういう疑惑を解明していくことによって私は民主主義国家の脅威を除いていかなきゃいけない、朝鮮半島の脅威、脅威を低めていかなきゃいけない、我が国を含む東アジアの安全、ひいては世界全体の安全を、この国際社会のオープンな中に引き出していく、これによってこの脅威を低めて、低下させていくことが一番大事なんじゃないか、そういうふうに思っております。
  33. 山本一太

    ○山本一太君 今防衛庁長官、ふわっとした形でおっしゃいました。確かに、政治的な意図がはっきりしていないというところが一番の脅威だというお話だったんですが、もうちょっと具体的に、防衛庁として北の戦力についてどういう見方を持っていらっしゃるのか。例えば、ここ数年来いろいろアメリカの情報機関等々で、北の核開発の実態について三個か四個ぐらいを持っているとかいう話もありますし、あるいはノドンミサイルは、これは百基以上が既に北朝鮮に配備をしてあって、これは理論的には日本のあらゆる都市を攻撃できるという状況になっていると思うんですが、そこら辺のところをもう少し具体的な、防衛庁としてつかんでいる、あるいは認識しているデータがあれば教えていただきたいと思います。
  34. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、ノドンでございますけれども、ノドンの配備数についてはいろいろな御指摘があることは承知しております。しかし、北朝鮮が具体的に何発のノドンを保有しているかについては、先ほども申し上げましたように北朝鮮が極めて閉鎖的な体制でございますので、防衛庁としても断定的なことは申し上げられない。  それから、テポドン1でございますが、これ射程千五百キロメートルあることは御存じでございますけれども、開発を進めてきたと考えられている。さらに、長い射程のございますテポドン2でございます。これは射程三千五百から六千キロメートルと言われておりますけれども、開発中であると考えられますけれども、この北朝鮮の弾道ミサイルの、長期、射程が一層これからもちろん伸展していくとは思いますが、具体的にじゃどうなんだということになりますと、やっぱり、先ほど申し上げましたように閉鎖的な社会の中でどこまで具体的に私どもが責任を持って言えるかについてはなかなか言えないところがあると、こういう状態でございます。
  35. 山本一太

    ○山本一太君 正確なデータはなかなか分からないということなんですが、非常に言わずもがなのことではございますがちょっと確認をさしていただきたいと思いますが、しかしながら北朝鮮にはそのノドンというミサイルがあって、これは百基なのか二百基なのか分かりませんが、少なくともノドンというミサイルがあって、日本のあらゆる都市を物理的、理論的に攻撃できると、こういう状況であるという認識はもちろんお持ちだと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 大野功統

    国務大臣大野功統君) その蓋然性が極めて高い、ここは言えると思います。
  37. 山本一太

    ○山本一太君 今蓋然性が極めて高いというお話だったんですが、最近、大野長官がいろいろとあちこちでおっしゃっている弾道ミサイル防衛について、これ少し、これを発動する仕組みを変えたらどうかと。すなわち敵の、敵のという言い方はちょっと変えます、例えば他国のミサイルが日本をねらっていると、発射するときに察知できるようなときには、これは事前了解の制度を取ってもいいんじゃないかと、防衛出動を一気に発動してもいいんじゃないかという話ですが、これは今の北朝鮮の潜在的脅威を意識しておっしゃっているのか。ここはいかがでしょうか。
  38. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 御想像にお任せしたいと思います。私の口から北朝鮮であるとかどこの国であるとか言うことは控えさせていただきたいと思います。
  39. 山本一太

    ○山本一太君 それでは想像させていただきたいと思いますが、これは大臣、今の脅威ということについて、事前通告しておりませんが、答えられる範囲で長官の御意見聞きたいと思いますが、それでは中国は潜在的な脅威でしょうか、日本安全保障に対する。
  40. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 中国につきましては、本当にこれから仲良くしていかなきゃいけない国であることは間違いありません。先ほど町村外務大臣からお答えがあったとおり、経済的にはもう貿易が三〇%伸びている、こういうようなお話もありました。しかしながら、一方において、例えば軍備費を予算上毎年一〇%以上伸ばしている、それから最近の例でもございましたけれども、原子力潜水艦の行動の問題、それからもう一つは海洋調査の問題等、いろいろやはり透明性でない部分があると思います。世の中でやっぱりはっきり分からないことというのは脅威の一つの材料になるわけでございまして、そういう意味では私どもは、やはり今の状態じゃなくて、もっともっと国際社会の透明な中に中国も出てきてもらって、ともに語り合えるような仲になっていけばいいな、こういうふうに思っております。  御質問は脅威かどうか、こういうことでありますけれども、脅威というよりもむしろもっともっと透明性の中で行動してもらう、不透明ということがやはり脅威の種だなと、こういうふうには思っております。
  41. 山本一太

    ○山本一太君 何で私が大臣にこういう御質問をしたかといいますと、やはりその安全保障考え方においては、おっしゃったとおり、ある国が例えば日本なら日本を侵略している意図があるかどうかということが、もちろんこれが最も大きな直接的な脅威だと思うんですね。しかしながら、やはり安全保障というのは、最悪の場合を考えてきちっと戦略を練っていかなければいけない。そういうことからすると、北朝鮮のノドンミサイルは、これは北朝鮮のリーダーの意図によってはこちらに飛んでくる可能性があると、これはもう極めて低いと思いますけれども。それからいうと、私は、中国はチャンスであり、共生しなければいけない相手であり、しかし潜在的な一つの脅威としてもとらえなければいけないと思います。  長官御存じのとおり、中国は長距離ミサイル、中距離ミサイル、短距離ミサイル持っております。日本に届くのは中距離ミサイルでしょうけれども、これは百基以上あると言われておりまして、これは核を搭載できると。中国政府日本を攻撃するような意図はもちろんないと思いますし、そういうサインもありませんが、純軍事的に見ると、これは核ミサイルを日本に飛ばせるその能力があるということだと思うんですね。ですから、ここにやはり日米同盟によってこの核のパリティー、均衡を保たなければいけない。すなわち、抑止というものは、相手の潜在的な脅威をきちっと計って、それに見合う政策をきちっと立案していかなければいけないのではないかと、そういう一応問題意識からちょっと通告外の質問をさせていただきまして、大変失礼をいたしました。  さて、その話をした後で、町村外務大臣に御質問させていただきたいと思います。  私が申し上げるのは大変僣越なんですが、町村大臣が就任されて、いろいろとイラク問題や日中問題や北朝鮮問題で御発言をされて、私はやはり大臣外交のリーダーとしての大変な気概を持っていろいろと御発言をされているということで感銘を受けておりますし、これからも強いリーダーシップで、前川口大臣がそうではなかったとは言いませんが、これからも政治的強いリーダーシップで、外務省というか、外交をリードしていただきたいということだけまず申し上げたいと思いますが、その町村外務大臣が就任された後の御発言で非常に印象的だったことがございます。  それは、内閣改造が終わった間もなくの報道機関とのインタビューだったと思いますが、町村大臣が、北朝鮮、対北朝鮮外交について聞かれて、やはり対話ととにかく圧力というものをちゃんとやっていかなきゃいけないとおっしゃいました。  さらに、そのときに、これは今回の日朝の第三回の協議の前ではありましたが、まあ日朝協議はだらだらやっていてもしようがないと、いつまでも。これはいつか様子を見て、あるいはタイミングを切る形で、期間を区切ってハードルを上げて、北側に対していろいろと譲歩を迫るようなことも考えていかなければいけない、やはりその経済制裁という選択肢を捨てるようなことがあってはならないというようなことをおっしゃっていましたが、今でもその対話と圧力を使わなければいけない、さらには、場合によっては、今回で三回目の協議があって、今いろんな日本側が持ち帰ってきた資料を分析しているわけですけれども、場合によっては大臣就任当時におっしゃったように、期限を区切って経済制裁を発動していくような選択肢も必要だと思っておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  42. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに、私、大臣就任直後に日朝間の実務者協議の在り方、このままではいけないということを申し上げました。せっかく調査委員会ができているんだからその人に出てきてもらったらいい、そのためには北京という遠いところでやるよりはピョンヤンでやった方がいい、協議レベルも少し上げてやったらどうかということも申し上げました。実際そういう形で第三回の協議が行われました。  そして、その結果につきましては、今委員御指摘のとおり私どもで今鋭意分析をしているところでございますから、今後の対応について今直ちにどうこうということを申し上げる段階にはないわけでございますが、ただ、対話と圧力という基本方針は全く変わっておりません。場合によったらそれは経済制裁が有効であると判断をされる場合には、それは常に選択肢の一つとしてあるということは当たり前のことであろうかと、こう思っております。  ただ、私は何もその経済制裁をやりたくて、それが目的で言っているわけではないのはもう委員お分かりのとおりでございまして、より良い正しい結果を得るためにどうやったらいいかということを真剣に考えて今後とも臨んでいきたいと、かように考えております。
  43. 山本一太

    ○山本一太君 与党ですから委員会を止めるようなことをするつもりはありませんが、もうちょっと突っ込みたいと思いますが。  今回日朝協議の結果についてはいろいろと評価が分かれるところだと思います。これは外務省の薮中局長言葉をかりれば、出てきた証拠はともかく、少なくとも向こうは誠実に対応したということは意味があった。例えば、今回は核の担当者でもある金桂冠にも会った、これも前進ではないかという見方もあれば、特に自由民主党の中には、出てきたいろんな証拠を見ると実は目新しいものがないと。果たしてこれで北側が誠実に対応したと言えるんだろうかと。今日は警察庁の方にも来ていただいていますが、警察庁が相当身を粉にして、足を棒にして歩いて、拉致の特定犯というふうにきちっとアイデンティファイした辛光洙始めこうした実行犯についても北側は否定をしていると。  いろんな見方があるわけなんですが、大臣にお聞きしたいのは、これはもし、今、横田めぐみさんの遺骨と称されるものを持って帰ってきておりますけれども、例えばこれが本物でないということが分かった場合、あるいは外務省が集めてきて今いろいろと分析している資料がやはり相当いい加減だった場合、こういうときには町村大臣がおっしゃっていた期限を区切って経済制裁を発動するということもやはり念頭に置いて当たるべきではないかと思いますが、そこら辺いかがでしょうか。
  44. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 念のために冒頭、薮中アジア大洋州局長が非常に誠実であったという評価をしたことはございません。ただ、二回目と三回目と比べると、さっき申し上げたような担当者の変化、場所の変化、出席者の変化等もあったし、また、実際の関係者との面談も、十分であったかどうかは別にしてできたし、何らかの物証も、物的証拠も出してきたし、そういう意味で過去二回の協議と比較すれば、それは彼らなりの努力をしていたんだろうということは言えるだろうと、こう思うんです。  ただ、その結果として、じゃこれが十分な理解し得るものであったかどうかということは、今正に精査中でありますけれども、どうもよく分からないことがあるな、不自然なことがあるなというようなこともございます。それらを含めて今疑問点、不明点が多く残されておりますので、今回の調査結果を精査して、できるだけ早く精査して、その結論を踏まえた上で今後の必要な対応考えていきたいと、このように考えているところであります。
  45. 山本一太

    ○山本一太君 大臣もおっしゃったように、私も北朝鮮政策は行け行けどんどんでいいとは思っておりませんで、大臣が就任直後におっしゃった対話と圧力の両方がなきゃいけないと。こういう言い方をすると大臣に対しては釈迦に説法というか僣越ですが、我々が目的とすることは核問題の解決と拉致問題の解決と。これを最も効率的に効果的に解決するためにどういう政策を戦略的に取ったらいいのか、強く出たらいいのか、柔らかくいったらいいのか、そのバランスをどう取ったらいいのかという話だと思うんです。  外交というのは本当に難しいものであって、やっぱり後にならないと分からないところもあったりして、チェンバレンのあのヒットラーとの協定は、当時は何か戦争を避けたとかいって英雄扱いされたのが、今ではもう歴史の汚点というか、正に宥和政策の権化みたいないうふうに言われていて、そこはなかなか難しいところだと思うんですが、私は、大臣、感情的にではなくて戦略的に考えて、この今の北朝鮮の反応等々を考えた場合には、私は、その戦略の一つとして圧力を、対話を閉じろとは言いません、強めるオプションもあるんではないかというふうに考えております。  御存じかもしれませんが、前回の国会で北朝鮮に対する経済制裁法案というのをまとめました。私も自民党の中でこの案を実は書いた一人です。五年前に実は同じ案を出して外交部会までで力尽きたものですから、五年越しの懸案だったんですけれども、今回法律になりました。あくまでこれは外務大臣あるいは総理に対して政策の選択肢をお渡しをするということであって、これは結局、政府総理が最後は決断をするべき問題だとは思いますけれども、是非、経済制裁の発動ということも念頭に置いていただきたいと思うんです。  大臣、御存じかもしれませんが、ああ、これ見せないんだ、失礼しました、理事会でやっていないんだ。自民党の拉致対策本部の下に安倍本部長を中心とする経済制裁シミュレーションチームというのができて、今日はその一員の岡田さんもここにいるんですけれども、経済制裁のプランといいますか、いろんな順列組合せを考えてみました。これはもう一つではないんで、百も二百通りもあるんですけれども、一応我々は五段階の、一つのスタンダードのモデルとして経済制裁の流れを作ったんですが、その中には警告的措置というのもあります。  つまり、船の法律、特定船舶入港禁止法案とか改正外為法を使って、お金とか物の流れを止める前の警告的措置、例えば北朝鮮に送られる送金は今三千万円以上が、これが申告義務があるわけですけれども、これ下げるとか、携行するお金は百万円以上となっているんですけれども、これを下げるとか、こういう政治的なメッセージですね、むしろ、相手の経済にダメージを与えるというよりは。こういう方法もあるということは特に政治家として外務省をリードされている町村外務大臣の心にはしっかり置いておいていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。  それから、ちょっと時間が余りなくなってきてしまったんですが、一つどうしても今日は気になることがあって、外務大臣に御意見を伺いたいと思って参りました。  先般の協議の後、昨日だったと思いますけれども、朝鮮中央通信ですか、だったか労働新聞だったか、労働新聞か何かの社説だったんでしょうか、北朝鮮側が、我々は、安否十名の不明者の方々のことを死亡者と呼んだんです、死亡者についての情報はできるだけ出したという話が報道されていたのを記憶しております。  北朝鮮側は今回の日朝協議でも、この安否不明の十名の方々については、これは死亡したと、死亡しているんだと、二名については入ってきていないということを崩さなかったわけなんですが、どうも私が考えるに、最近いろんなところでこの安否不明の十名の方々があたかももう一〇〇%亡くなっているかのような、そういうどうもムードがあって、これ北朝鮮の戦略とは言いませんが、いろんなルートを使ってそのことを日本側に刷り込んでいる気がします。  あらゆる可能性があるということはもちろんあるかもしれませんが、今、二回目、三回目の協議を終えた時点で北朝鮮から出てきている情報のこのいい加減さ、こういうものをもって、あたかもこの十名が亡くなっているかのような前提で外交を進めるということは、これは当然あってはならないことだと。これは今の段階ではこの十名が生きているというそのスタンスを持って北側と交渉をしていかなければいけないと思っておりますが、この点について、政府の立場、外務大臣のお考えを聞きたいと思います。
  46. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先般の実務者協議の中でも、今委員御指摘のとおり、十名の安否不明の被害者のうち、八名死亡、二名は入京が確認できなかったと、こういう言わば説明があったわけでございます。  これについて私どもは、先ほど申し上げましたように、疑問な点、不明な点が相当あるということでありますから、もとより、死亡というものを前提にし、あるいは入京が、していないということを前提にして今後の作業をするわけではございません。客観的に何が正しいのかということを追求をするという立場で臨んでいきたいと、こう思っております。
  47. 山本一太

    ○山本一太君 そのお言葉を聞いて大変安心をいたしました。  残りがあと一分半ぐらいしかないので、最後にもう一つだけ、外務大臣基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。  小泉総理は日朝国交正常化をやるとおっしゃっていますから答えは自明なのかもしれませんが、あえてお聞きしたいと思います。  政府は、外務省は、北朝鮮との問題を解決する上で、金正日政権がこれからも続く、現在の金正日政権が続くという前提で、この政権と交渉して拉致問題、核問題を解決しようという立場に立っているのか。総理が日朝国交正常化と言っているので明らかなのかもしれませんが、改めてお聞きしたいと思います。  それとも、最近、特に第二次ブッシュ政権内でもいろいろと取りざたをされていますが、やはりここはレジームチェンジが必要じゃないかと。金正日体制をひっくり返さないと核の問題等々は解決しないのではないか。そこに向けて少しいろんなプレッシャーを掛けていかなければいけないのではないかという考えがありますが、外務省の、外務大臣基本的な立場はどちらでしょうか。
  48. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 現在の北朝鮮の体制についての評価、これはいろいろあろうと思います。本音を言えばそれはありますけれども、それは言わないことにしておきますけれども、国防委員長、金正日国防委員長は現在、北朝鮮の最高指導者であるということは事実でありますし、実質的にその体制を、国家という体制を掌握しているのもまた事実だろうと思います。  であるがゆえに、その金正日国防委員長小泉総理との間で平壌宣言が署名をされたということでありますので、あくまでも現在の実質的な指導者は金正日氏であるということを前提に物事を考えざるを得ないということであります。
  49. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。  終わります。
  50. 白眞勲

    白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  本日は、まず、小泉総理大臣が十一月二十一日にAPECで同席した台湾代表に対しまして、来年の二〇〇五年三月二十五日ですか、開幕する愛・地球博、いわゆる愛知万博の期間に訪れる台湾からの観光客に対してビザを免除するということを検討したというふうに、外務省の発表についてまず質問させていただきたいんですけれども、町村外務大臣にお尋ね申し上げます。  外務省は、前の川口大臣のときに、この台湾のビザ免除につきまして、中国を刺激する、また中国では一省のみのビザ免除なのに、台湾で全面的に認めてはバランスを失して問題があると慎重だったわけですけれども、私は、こういう台湾からの観光客の方々が一杯来られるという、こういった平和の祭典のようなこういう愛知万博というのに対してはどんどん台湾からのお客さんも来てもらいたいという気持ちなんですけれども、外務大臣はこの点についていかなる御意見をお持ちなんでしょうか。
  51. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 来年行われます愛知万博、いわゆる愛・地球博に関しての台湾のビザ免除の件でございますが、これは現在、政府内部で検討いたしておるところでございます。  台湾からの観光客も含めまして、いずれの国、地域からの観光客もこの博覧会に是非たくさん来てもらって楽しんでもらえるよう、最先端技術を活用した乗り物の利用やロボットの展示、また様々な文化行事等が予定をされていると承知をいたしております。  したがいまして、さらにどのような工夫が可能かを引き続いて検討してまいりたい。できるだけたくさんの外国からの観光客を、お越しをいただきたいというふうに考えております。
  52. 白眞勲

    白眞勲君 本当に私ももちろん皆さんの意見と同じ意見でございまして、やっぱりこういう人的交流というのがやはり一番日本理解を高めるために、海外からのお客さんをどんどん呼んで楽しんでもらう、ああ、よかった日本はという気持ちにしてもらうのが一番私もいいというふうに思うんですけれども。  そこで、万博全般を担当する経済産業省にまずお尋ねしたいんですけれども、三十万とか五十万とも見込まれる台湾からのお客様が来るわけなんですけれども、実際、ちょっと考えられないとびっくりしたのは、私は、台湾パビリオンがないんですね。つまり、台湾からお客さんが来ているのはいいんだけれども、この間、ビザ免除みたいなことまで発言しているにもかかわらず、その博覧会会場にはその台湾パビリオンもなければ、台湾という文字もどうもないというと、これちょっと台湾の人、寂しがるんじゃないかと、そういう私は感じがするわけでして、例えば愛知県で以前開かれた名古屋デザイン博には、そういう参加してましたよね、その台湾のパビリオンというのは。その辺についてどういうことなのか、ちょっとお聞きしたいんですけれども。
  53. 宮本武史

    政府参考人宮本武史君) 先生御指摘のとおり、来年の愛知万博全体の約一割の百五十万人ぐらいの外国の方の来場を予定しておりまして、その中、細かい内訳までは作っておりませんが、当然のことながら近隣のアジア諸国からたくさんの方がいらっしゃることを想定しております。特に、台湾も意識して誘客を行っているところでございますが、誘客ということと、それから、実際にいらっしゃってから会場で、おっしゃったとおり、失望しないようにという二面のことが必要かと思っています。  まず、おいでいただくために、台湾からの観光客の誘致に関しまして、博覧会協会において、繁字体という台湾の方を意識した字体でのパンフレットを作りましたり、あるいは台湾で博覧会に関する説明会を行ったり、いろんなことで台湾を意識した誘客活動を行っておりますのと、それから、先生御指摘のありました、会場に実際にいらっしゃってパビリオンがないんじゃないかという、そういう御指摘につきましては、台湾からいらっしゃった方についても博覧会で十分満足いただけるような内容を国際博覧会条約上可能な範囲内で十分詰めてみたいと思っておりまして、現在更に検討を続けているところでございます。
  54. 白眞勲

    白眞勲君 是非、台湾から来た人たちが、実際に行ってみたら何も台湾らしいものも何もないで、中国だけがどかんとあるような、そういうことというのは是非避けていただいて、非常に楽しんでいただくということがやはり一番やっぱり友好関係の増進にも役立つことであるというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  本来、だれにとっても楽しい万博が、例えば仮に中国からの何か圧力とか、そういうことはないんですよね。
  55. 宮本武史

    政府参考人宮本武史君) いろんな国の方々といろいろ意見交換等を……
  56. 林芳正

    委員長林芳正君) 宮本議官
  57. 宮本武史

    政府参考人宮本武史君) はい、失礼しました。  もちろんいろんな国の方々とフランクな意見交換をやっておりますが、そういう圧力と感じたことはございません。
  58. 白眞勲

    白眞勲君 余りにも、やっぱり政治とかそういったものと余り関係ない形でこういった行事というのをしてほしいなと思うわけで、特に小泉さんが台湾からビザ免除しますよという一種のリップサービス的な発言で、来てみたら、そんな台湾の何もパビリオンもないとかなんとかということでは非常にまたちぐはぐな、場当たり的な発言とも言われかねないとも思いますので、そういうふうに是非これからも積極的に関与していただきたいと思うんですけれども、この件に関しましても、外務大臣、まあせっかくでございますので。  何か外務大臣は、何か新婚旅行も台湾に行かれたとかいう話があるぐらい、非常に台湾に御関心が高いんじゃないかなとも思っているんです。そういうこともありまして、また北海道、選挙区の北海道も台湾の方、一杯お客さんいらっしゃっているということもあります。ですから、そういうことを考えますと、何か台湾へ熱い思いがあるんじゃないかなとも思いますが、もしよろしければ、一言お願いできればかと思います。
  59. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私の個人的なことまでお調べをいただいたことに誠に恐縮に存じております。昭和四十五年の新婚旅行で行ったのは、間違いなくそれは事実でございます。  これ、今回の愛知博が国際博覧会条約に基づく、言わば正規のといいましょうかね、一番格が高いといいましょうか、そうであるがゆえに公式参加者になれないということ、もしこれが通常言われているところの博覧会というのであれば、こういう条約が適用されずに、台湾の方でもどうぞということになるんだろうと思います、パビリオン作ってもいいんですよということになるんだろうと思うんですが、正規の博覧会であるがゆえに、そこは条約上の制約があるというのはある意味では残念なことであります。  台湾の方がお見えになって失望感を味わわれてしまうのかもしれないということは私も心配はいたしておりますので、今、経済産業省からお話があったとおり、お見えになってもできるだけ楽しんでいただけるようないろんな工夫をしてもらっていると思いますので、そのようなことで、たくさんの方がお見えになれるようないろんな手だてを考えていかなければいけないと、かように思っております。
  60. 白眞勲

    白眞勲君 是非よろしくお願い申し上げます。  続きまして、我が国の対中国ODAにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。  経済産業省の方、質問、もう大丈夫です、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。  大臣、今も御質問、御発言もありましたし、また卒業生という言葉、何度も大臣は今国会等で御発言されているんですけれども、その中で近い将来という言葉をまたよく発言されております。その近い将来、もちろん今のお話では、国民所得はまあ千百ドルぐらいだからということで、その辺の数字的な問題もあるしということで、ODAの卒業生というものについてどういう、その何か基準ですね、先ほど人権とか軍事の利用、転用とか、あるいは三国経由のいろいろな援助、そういったことにも言及されたんですけれども、そういったことを総合的に判断されるんだとは思うんですけれども、何かそういうものを、何か判断基準というものを、何かそういうルールというのを何か作るというような気持ちでいらっしゃるんでしょうか。
  61. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 特に中国についてのみの何かルールを作るということではないと思います。先ほど申し上げたようなことはどの国にでもやはり当てはまる話というふうに御理解をいただければと、こう思っております。  さはさりながら、今、私、日本政府は国別の援助計画というものを作って、国別に今後どのような援助国民理解を得ながら、あるいは先方のニーズに合った形で進めていくのかという国別援助計画というのを持っているわけでありますので、当然、中国にもそういうものがあるわけであります。それを適時適切に作り、また見直していくという中で、先般の答弁で申し上げたような、あるいは先ほど三浦委員に対するお答えで申し上げたようなことを考えて、まだいつのどの時点で必ずODAを全部終えなきゃいけないということを今頭の中に描いているわけではございませんけれども、ただ、現在がこうだからまた来年もそうだという単純延長的な発想であってはいけないということを考えながら、この対中ODAに取り組んでいく必要があるだろう。  報道されるところによりますと、中国外務大臣もまた、いつまでも日本に頼るということはないと言われたと、こう報道をされております。直接会って私も確認したわけじゃございません。中国もまたそういう思いでいるのではないのかなと、こういうことでございます。
  62. 白眞勲

    白眞勲君 是非、その辺につきまして、また国民的にも税金が使われるということで関心も高いところでもあると。なおかつ、中国の原潜の問題とかそういった問題もありますので、適時、国民に対しての御説明というのもよろしくお願いしたいというふうに思います。  それで、日本ODA中国国内での認知度といいますかね、それについてちょっとお聞きしたいんですけれども、上海サーチナという調査会社が複数行った一般消費者の五千人に対する、中国国民に対して、アンケート調査によりますと、日本ODA、合計三兆円もの大金を使っているということについて、五、六割の中国の人たちがそれを知らないということが判明したというふうに言われているわけなんですね。  これ、まあ別に中国だけじゃなくて、日本ODAについて、例えば韓国でも以前ODA、有償資金協力無償、いろいろやっていたんですけれども、例えばソウルの大学の小児病院というのかな、子供病院ですね、も日本の資金協力でたしか八三年ごろに建てられたということを知っておりまして、私は知っていたんですけれども、ところが韓国の友人に聞いてもだれ一人として知らない。新聞社の人間も政治家も知らなければ、一般の人も知らない。  そういう中で、ちょうど八三年ごろというのは日本と韓国、いろいろ教科書問題や閣僚のいろいろな発言等々において、いろいろなぎくしゃくした期間でもあったとも言えるわけなんですけれども、そういったときに、このODAが実はソウルの子供たちのそういう病気の治療のために一生懸命使われているんだよということを韓国の国民は全く知らされていないということというのは、国民感情と実際の、何というんでしょうね、政治のやり取りとの遊離、乖離が行われているんではないのかなということで、もう少しそういったものが有効に機能していれば、こういう対日感情、例えば、例えばですよ、韓国の対日感情、当時の対日感情についても非常にいい影響があったんではないだろうか、そういうふうにも思えるわけでして、昨今の中国の、例えばあの例のサッカーの対日感情のああいう露骨なああいう形というのも、もう少しこういう対中国ODAなんかの有効的なその認知、告知というものをする必要が私はあるんではないのかなというふうに思っているわけです。そういったその広報に実際に問題があるんじゃないのかなとも、また私は心配しているわけでございます。  実際、例えば中国の鉄道においても、電化されている鉄道の二六%が日本ODAだとかいろいろあるわけですし、例えばその三百億円も投じた北京空港、日本の広報パネルでもあった、これは報告書にもあったんですけれども、人目の付きにくい国際線のVIPルームの通路に掲示されていたということで、実際の一般の人たちには目に触れないようになっている。それでは、果たしてその何ですか、町村大臣がよくおっしゃっている効果的、戦略的な対中ODAとか、対中外してもいいですけれども、ODAということからちょっとこれは話が離れてきているんではないのかなというふうに思えるんですけれども、その辺につきまして、大臣、どういうふうにお伺いになっていますでしょうか。
  63. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) ODAの広報の問題でございますが、正にお話ございましたとおり非常に重要な問題でございまして、我が国の税金を、貴重な税金を使ってODAを実施をしている、それが相手国の国民に十分認知されると、これは不可欠なこと、絶対に必要なことだというふうに考えております。  特に、中国につきましては、正にいろいろなところで中国側認識が足りないのではないかとか、それから今先生御指摘がありましたとおり、いろいろなプロジェクトについても、これが本当に日本ODAで行われたのかどうかということについてのその認知度が足りないのではないかというような御指摘をいただいておりまして、そういった点については、もう当然私どもとしても、これは、これまでもできるだけの努力はしておりますけれども、一層認知度を高めるために努力をしていかなくてはいかぬというふうに考えております。  具体的には、一つは、直接に中国側のメディアに働き掛ける、あるいは中国側国民の人たちに直接働き掛けるという方法。それから、当然ながら中国側のその実施機関に対して、あなた、ちゃんと、これをしっかりと中国の人たちに、これは日本協力で行われているということをちゃんと知らしめるように責任を持ってやってくださいということで、両方面について努力をしているということでございます。  今御指摘がございましたような具体的な、例えば北京空港の問題であるとかそういった点について、前はその国内線のターミナルの出口にあったそのプレートが、そこの場所が使えなくなったということによって、今お話がございましたように、VIPルームの方に付け替わったというようなことがございますが、それも中国側は、一応中国が、そこをいろいろ要人の方が通るところだということでそれなりの広報効果はあるということですが、それだけに、もちろん中国側がやることに任しておいてはいけないわけで、これは、例えばこの空港については日本国のODA協力しているんだよということについては、私どもの大使館を通じてのいろいろな広報活動、あるいは中国メディアに対するブリーフィング等を通じても、引き続きこれが日本ODAで行われているということについて広報に努めていきたいというふうに考えております。
  64. 白眞勲

    白眞勲君 非常に広報頑張っている、やっていきたいという気持ちはよく分かりましたけれども、ちなみに、大使がこの視察に何度行かれましたでしょうか。テープカットとかあるいは中国のその北京空港を利用したという、通ったというんではなくて、実際に視察という面で何回行かれたんでしょうか。去年一年間です。
  65. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 大使の、そのODAの、今お話ございましたように、通常、北京の中でいろいろな形でODAのプロジェクトを訪れるということは日常非常に多いわけでございますが、地方に、正にODAのプロジェクトの進捗状況を見る、あるいはそれがどう使われているかを見るということで訪問をしたということについてはこの一年間で三回というふうに聞いております。
  66. 白眞勲

    白眞勲君 外務大臣が戦略的なODAというふうに言っている割には年三回しか行っていないと。一千億円も、約一千億円弱の、今までの累積で三兆円もODAをやっていながら、年三回行っていると。  やっぱり、大使が行くというのはやっぱり相当な向こうに対するプレッシャーというか圧力にもなると思いますし、そういったことはやはり、大使館主催のパーティーを一回減らしてもその分そちらに行くような、そういう、中国国内広いんで大変だとは思いますけれども、やっぱり努力というのは必要だと思いますし、また、例えばいろいろなアイデアが私はあると思うんですね。例えば、総領事館で待っている方々に対して、例えばその広報ビデオを流して、そこでODAのことをちゃんとこう、これだけやっているんですよとか、いろんな工夫、創意工夫というのはこれからも是非私はやっていただきたいなというふうに思うんですけれども。  あと、有償資金協力無償資金協力無償の方は基本的にプレートとかなんかを付けるようにということは言っているようですけれども、有償については付いていないということ、それについては余りお願いしていないということなんですけれども、本当なんですか。
  67. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 一つ、先ほどの大使の活動についてでございますが、当然ながら、いろいろな地方のプロジェクトの視察については館員が手分けをして非常に多数行っているということ。それから、先ほど私が申し上げましたのは、正にODAプロジェクトの視察ということで申し上げた回数でございますが、そのほかに、いろいろな竣工式であるとかいろいろなセレモニー的な行事、こういったことには、先ほど申し上げました回数以外にも大使、数多く出席をしているということでございます。  それから、ただいまお話がございました、無償の方はこういうものをちゃんとやれと言っているが、有償資金協力の方についてはそれを十分やっていないのではないかという御指摘ございましたが、これは、私どもとしては、その円借款による協力につきましてもこれは日本ODAによる協力ということでございますので、これは相手側の実施機関に対しても日本ODAでやったものということについてちゃんと認知できるようにするようにということについてはきちっと言っております。
  68. 白眞勲

    白眞勲君 きちっと言っているという割にはこれ、これは「平成十六年度あなたの目でみる国造りの現場 ODA民間モニター報告書」という中では、中国で、建物のどこにも、下水処理場を紹介するパンフレットのどこにも、一字にもODAのことなど何も記載されていないと。  ですから、言っている割には何か実行されていないんじゃないかというふうに思いますので、その辺はやはり、やっぱりきちっとやっていくという気持ちが必要だと思いますが、最後に、大臣、このことについて何かありましたらお話しいただきたいと思います。
  69. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、議員から大変貴重な御指摘をいただきました。努力は、それぞれ広報の面あるいは掲示の面、努力はしているんだろうけれども、正直言って不十分な点があるということはもう御指摘のとおりだろうと思います。  もっとそういう面で努力をしなければいけないし、たまたま私、ビエンチャンに参りまして、そこでASEAN各国との外相会談がありました。大変立派な国際会議場がございまして、そこに入っていく玄関のところに大きく日本ラオスの国旗がかいて、かいてというかもう彫ってありまして、そこにちゃんと英語でこう説明、あるいはラオス語ですか、説明が付いておりまして、これは日本ODAによってできたと。  あのくらい大きくきちんと入口に掲げてもらえれば、なるほどこれはいいなと、こう思ったわけでありまして、そういう面、やっぱりこれは心掛けねばいけない問題だと思いますので、委員の今御指摘をしっかり受け止めまして、今後、日本ODAがちゃんと現地で生かされているということが分かるように努力をしてまいりたいと思います。
  70. 白眞勲

    白眞勲君 是非、中国の北京空港のVIPルームに、プレートだけVIP扱いじゃしようがないわけでございまして、是非こういうODAというものをより戦略的に価値のあるものにしていただきたくお願い申し上げます。  続きまして、中国の原潜の領海侵犯につきまして大野防衛庁長官に御質問したいんですけれども、率直にちょっとお聞きしたいんですけれども、長官、この事件でどういうことが反省すべき点だというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
  71. 大野功統

    国務大臣大野功統君) やはり、検証して反省すべき点は反省する、直すべき点があれば直すべきだと私は思いますけれども、やはり海上警備行動、警察権の発動でございますから、なるべく早く判断を下して発動すべき、発令すべきものである、このところは私は検証していかなきゃいけないんじゃないか、このように思っています。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 正にそうでして、領海の外、出てから海上警備行動発令というのはもう全く何かちょっと本当にちぐはぐだなという感じがするわけでして、例えば今回は領海の外に出たわけですけれども、もし万が一、それが例えばもっと東京の方に近づいてきたとかそういったいろいろなことだって今後も考えられるわけなんですが、そういう中で今回、例えばその中の浮上を促すような爆雷投下とかなんかというのも今の法体系によってはできないんではないかという話もあるんですけれども、その辺、防衛庁長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  73. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 海上警備行動でできますのは浮上、潜水している艦船に対しまして浮上要求をする、それから退去要求をする、こういうことでございます。潜水艦が領海内で単に潜没航行を続けている限りにおきましては、今申し上げているような浮かび上がってください、旗出してくださいということができるんでありますけれども、だからといって、潜水艦が浮かび上がってこないからといって爆雷等の武器を使用するということはできないものと私は思っています。
  74. 白眞勲

    白眞勲君 ともかく、浮上をしてください、浮上をしてくださいといってもなかなか浮上をしていない潜水艦に対してどういう行動を取るのかというのは、やはりいろいろと、これは専門家の間でもいろいろな議論があるかと思いますけれども、過去のいろいろな事例を含めた形で是非一度検討していただきたいというふうに思うんですが、防衛庁長官、それについて最後に一言お願いいたします。
  75. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 例えば当方に対して攻撃を掛けてくる、こういう場合には具体的にケース・バイ・ケースで判断していかざるを得ませんけれども、それに対して正当防衛なり緊急避難という考え方でやっていけるというふうに思いますが、そうでない限り、あくまでも警察行動でありますから、私は今の体系でいいんじゃないか、このように思います。  ただ、過去においてスウェーデンの例もございます。スウェーデンの例の場合、やはり度重なる領海への侵入があった。それから、警告、抗議などの措置を尽くしてもそれを全然受け入れてくれなかった、改善されなかった、こういうことがあってのことだと思います。だから、ケース・バイ・ケースに考えて、幾ら警告してもということだけでは無理だと思いますが、逆に向こうから何らかの反応が出てくる、そういう場合には考えなきゃいけないな。これは理屈で言うとどういうことになるのかというと、やっぱり正当防衛とか緊急避難とかいう考え方で対処していくのかな、なおその辺は検証というか検討はさせていただきますけれども、私は今の体系でいいと思っています。
  76. 白眞勲

    白眞勲君 次に、イラク問題に関しましてまた防衛庁長官にお聞きしたいんですけれども、昨日ですか、オランダ軍の国防大臣長官は会談をされて、オランダ軍の撤退表明を受けたということで、今度オランダ軍、今度サマワから今度撤退した場合にだれが自衛隊を守るのかなと。オランダ軍はいなくても自衛隊って安全なんでしょうか。
  77. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、オランダのカンプ国防大臣発言でございます。三月の半ばに撤退することについて三大臣の書簡、オランダの三大臣の書簡を議会へ送付していると、こういうことでございます。したがいまして、そういう方向で進んでいることは事実でございますけれども、国防大臣発言によりますと、その時点ではもう地元イラクの、サマワのと言ってもいいかと思いますけれども、地元の警察組織あるいは治安組織がしっかりしてきているだろうと、こういう話であります。したがいまして、カンプ国防大臣の将来見通しでは、その時点では治安は安定しているんだと、こういう見通しだと考えられます。  それから、情勢の変化によっては考え直す、柔軟に考えるというようなことはないのかと私の方から質問をさせていただきました。それに対しましては、カンプ大臣は、交代をするとなると交代要員の教育が必要である、教育を始めていない、こういう話でありますから、まあ事実上撤退ということになろうかと思います。しかし、その場合もし、情勢の変化等いろんなことが予断を許さないというのは度々我々も御説明申し上げているわけでございますけれども、先ほど出張報告のところでも申し上げましたとおり、それはいろんな国際的に話し合っていくということでございます。
  78. 白眞勲

    白眞勲君 私、前回の質問イラク特措法に関して大野防衛庁長官に非戦闘地域か戦闘地域という議論は国際的になされている議論かどうかという御質問をしたときに、長官は、これは日本国憲法九条との関連でこういう考え方をしているんだなと言って、知る人ぞ知るですというふうに答弁されたわけでございますが、今もこの知る人ぞ知るだということは、お考えないんでしょうか、お考え変わりないんでしょうか。
  79. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この非戦闘地域というのは、もう先生十分御存じのとおり、法律的に使っているわけであります。特措法によりまして非戦闘地域に自衛隊派遣する、こういう仕組みでございますから、じゃ非戦闘地域はというと、こういうことである、そこまではもう今日申しませんけれども、こういうことである。だから、我々としては非戦闘地域、自衛隊が出て行く、派遣される非戦闘地域をきちっと法律上、法律上にそごがないように決めていくと、こういうことであります。したがいまして、じゃ、ここは戦闘地域かと聞かれますと、これは私は我々の責任においては判断できません。日常会話でこれはもちろん戦闘地域ということは当然あります。しかし、イラク特措法における法律用語で戦闘地域かどうかということは判断は要求されていません。我々に要求されているのは、非戦闘地域はここですよということでございますので、ついつい知る人ぞ知ると言ってしまったのではないかと思いますけれども、言葉遣いにつきましては、もし誤解がありますようでしたらおわびいたしますけれども、我々に要請されているのは、くどいようでございますが、非戦闘地域ということを法律上の要請によってきちっとしていこう、こういう趣旨でございます。
  80. 白眞勲

    白眞勲君 私が申し上げたのは、法律用語それは云々はどうであれ、やはり実際に今サマワで自衛隊が展開しているという中で、そのときにも私は御質問をしたわけですが、そのいわゆる幾ら法律用語がどうであれ、サマワとか、まあイラクの人、あるいは世界の人たちはこの自衛隊の存在というものがどういう形で来ているのかというものについて、その法律用語では分からないわけでして、それはどうなんですかといったときに大野長官から知る人ぞ知るだと、知っている人さえいりゃいいんだというようなニュアンスに私は受け止めたわけでして、そういう観点からすると、やはり日本という国家が海外にそういって出すんですよというものを、例えば自衛隊というのはそのイラクの人たちにとってみたら、自衛隊なんて言葉はないわけでして、日本軍になっちゃうんじゃないかなと思います。ですから、アラビア語でも恐らく日本軍と翻訳されているんじゃないかなと私は思いますし、一般の、もちろんそれは防衛庁としては何かそういうアラビア語の翻訳はあるんでしょうけれども、一般の向こうのイラクの人たちがしゃべるときには日本軍になっちゃうんじゃないかなと思うんですね。アメリカでもジャパニーズ・アーミーという言葉をよく使うということも聞いておりますので。  そういう中で、自衛隊の存在というのが果たして、日本が行うのは武力行使じゃなくて復興支援なんだということをきちんと広報しなければいけない、そういうときに防衛庁長官が知る人ぞ知るですということで、ちょっと言い方は、下世話な言い方すれば、けつまくっちゃったような感じになっちゃうと、それはうまくないんじゃないのかなというふうに私は思うわけでしてね。  例えば小泉大臣、小泉総理大臣も、日本はどのような活動を行うかということに十分な理解協力を得ることが極めて重要であると、アラブの関係の報道機関においても、心して十分日本の立場なり日本支援活動の説明を行ってまいりましたし、これからも機会があればするつもりでございますと、昨年もテレビに出たというようなことをずっとこう説明しているわけなんですね。  ところが、肝心の防衛、自衛隊の命を預かる最高責任者である防衛庁長官が、そういうことを理解し、努めると言うんだったら分かるけれども、知る人ぞ知るですというふうにぽんと言われちゃうというのは、これはちょっといかがなものかなと。内閣としての整合性にも問題があるんじゃないかと。総理大臣理解するように頑張っていますと言っているにもかかわらず、防衛庁長官は知る人ぞ知るです、もうあとはどうぞ御自由に解釈してくださいみたいな感じだとうまくないんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  81. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず一番の、問題幾つかあると思いますが、日本軍というふうにイラクで思われているのじゃないか、言っているのじゃないかと、こういう問題でございますけれども、私がイラクというかサマワの方々からいただく手紙でございますが、これは自衛隊日本自衛隊というふうにきちっと言ってくれております。  それから、サマワの関係者ですね、関係者は、自衛隊がやっていることは人道復興支援であるということもきちっと理解してくれておると思います。ただ、それが全部の人に理解していただいているかというと、それはそうではないのではないか。なかなか憲法九条に基づいて戦闘地域にだけ自衛隊が出てくる、このことについては私はなかなか御理解、世界じゅうの皆さんに御理解いただいているかどうか。もちろん、関係者はみんな知っています。昨日もカンプ・オランダ大臣と話をしましたけれども、日本のやっていることは人道復興支援ですねと、こういうことでございますから、治安維持とは全然違いますねということで関係者は分かってくれている。しかし、なかなか一般の方に非戦闘地域という概念を理解していただくというのは難しいなと。  こういう意味で、非戦闘地域については知る人ぞ知ると、こういうふうに言ってしまったので、言い方の悪かったということであればおわびを申し上げますけれども、私は、この人道復興支援あるいは自衛隊活動についてもっともっと御理解をいただきたい、こういう意味でこれからも広報活動をどんどんやっていかなきゃいけないんじゃないかと。  ただ、その御理解については、次のポイントですが、今のイラクの人道復興支援活動につきましては、地元のサマワの方々、本当に理解してくれておるわけでございまして、この間の某紙の現地における世論調査におきましても、八三%か四%の方が支持しているということでありますし、それから、せんだって私がサマワの評議会議長からいただいた手紙の中にも、自衛隊は東アジアから平和と安全を運んでくれる平和のハトであると、イラクにとりましては偉大な客人である、いや、イラクイラクというか、失礼しました、イラクじゃなくてサマワです、サマワにとっては自衛隊は偉大な客である、サマワのみならずサマワの各家庭にとって客人である、こんな文章がありまして、大変理解していただいているなと思っております。なお広報活動に努めて理解を賜ってまいります。
  82. 白眞勲

    白眞勲君 別に私、大野防衛庁長官を何か謝らせようと思って言っているわけではございません。別におわびしなくても結構でございます。信念に基づいて御発言いただければ結構だというふうに思っているんですが。  やはり日本の今回、自衛隊が行っているわけですし、それに対する防衛庁長官というお立場というのはやっぱり自衛隊員の命を守るという重要な使命を帯びているわけですし、また、政府としましても、やっぱり少なくとも危険な地域、非戦闘地域とか戦闘地域というその概念を超えても、やはりそれは危険な、日本よりは相当危険な場所に、あっちで展開されているわけですから、それをやはり、ここからでもやはりいろいろな面でやっぱりサポートしてあげる必要性があるんじゃないかなと。  もちろん、この十二月の十四日の派遣延長をするかしないかという議論はどうであれ、少なくとも今まで自衛隊がサマワで活動していたということは事実なわけですから、それに対してきちんとしたやはり広報宣伝活動というものは非常に重要な私は役割ではないかなというふうに思うんですよね。  それがやはりなかなか理解が得られないと非常に不幸な事件なんかも起きる可能性だってあるわけですから、それはもう何ですか、余り、やらないから、十分だということはないと思うんですよ。その宣伝活動をこれで十分だということはない。やってもやっても足りないぐらいやってもいいと私は思っております。それがやはり日本の、日本は非常に平和を愛する国民なんですよと、戦争というのは嫌なんですという、その日本の平和主義というのをやはり世界にアピールする、あるいはイラクの人たちにもアピールするやっぱりチャンスである、そういう観点から、是非これからもそういう自衛隊員を守るという観点からもそういう宣伝活動に力を注いでいただきたいというふうに思いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  83. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣防衛庁長官国際会議、外遊、御苦労さまでございました。  最初に、防衛庁長官の先ほど報告も伺いました。そしてまた、このことでは本格的に議論もしたいんですが、引き続き日米間で鋭意詰めているということで、この米軍再編問題で一点、両大臣から伺いたいと思います。  いわゆる米軍再編に伴う第一軍団司令部の座間移転というのが、これが具体的にどこのだれからだれに、いつ米側から日本に対して提案があったのかということが分からないまま、公式に非公式にもいろいろ聞いても、いつ、だれがどこで、どういうふうに我々に言ったんだというのがないまま独り歩きしているような嫌いがありますが、ただ、再編が、私自身が住みます神奈川県の座間に第一軍団司令部、これが相当な米軍再編の中の日本にかかわる部分として大きなウエートを占めているということについてはどうもこれは動かし得ない事実なようであります。  そこで、長官もこのことでアメリカ合衆国とのそれぞれの人たちと話し合ってきているということで報告もいただきました。  さて、だれからいつということはないにしても、率直にお尋ねいたしますけれども、政府は米軍の軍事合同に関する米国の要請についてはほとんど拒否したことはないですね、これまで、この間、日本政府というのは。これ、政府はもう受け入れるという前提で今対応されているというふうに私ども認識をせざるを得ないんですけれども、いかがなんですか、その点について。  言ってみれば、第一軍団は、この不安定の弧ということで、日米安保条約そしてまた極東条項ということでいろいろこれ日米間やり取りあったと思うんですが、このアジアから中東、東アフリカまで広いカバーをしているところに、地域を、しかも、今申しましたように、極東条項をはるかに超えていくわけであって、私は予言者でもありませんし占い師でもないんですけれども、この間の日米間の関係でいえば、あえて予言的な言葉を言わせていただければ、政府そのものは、第一軍団司令部、座間に受け入れると、こういうことにこの間の動きを見ていてもう見ざるを得ないというふうに思いますが、これいかがですか。  それでは、具体的に「防衛庁長官アメリカ合衆国への訪問について」ということで記述があったのは大野長官の方ですので、大野長官にお尋ねいたします。
  84. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、今回の訪米について、この問題は全く出ておりません。  それから、今回の訪米の中で私が度々申し上げましたのは、やはり戦略対話、そしてお互いの役割任務等の分担の問題、これをきちっと話していこうじゃありませんかと。これについてはそのとおりであったと。個別問題につきましては、同時に、あるいはそういう問題話して、後、きちっとやろうじゃないか、こういう認識でございました。それで、具体的問題につきましては、どちらかというと事務レベルでまず話し合ってくれ、これが今回の私の訪米においての話の内容でございます。  ところで、その第一軍団の話でございますけれども、先生おっしゃるとおり、太平洋からインド洋に至る米太平洋軍の責任地域に展開して様々な軍事作戦を遂行することを任務をしている、それはそのとおりでございます。ただ、今申し上げましたとおり、個々の問題につきましてはいろんなアイデアを交換しているという段階でありまして、そういう種々の具体的な見直しの問題点についてはまだまだこのアイデアの交換段階である、このことはきちっと御認識いただきたいと思っております。そういうことで、いずれにしても、もう当然のことじゃないかとか、そういうことでは全くありません。今から話し合っていくことでございます。  今まで、じゃどういう話があったんだと、こういうお尋ねかもしれませんが、この個別問題についての具体的な話合いというのは、今の段階で、相手国との問題、これからいろんな絡みがございますので今の段階で申し上げるわけにいけない、このことはお許しをいただきたいと思っております。
  85. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 第一軍団の司令部が、この日本の安全と極東の平和と安全、このことに寄与するんだから座間に司令部を移転しても日米安保条約に違反しないということ、こういう論理を今検討中じゃないんですかということをあえて私はお話しさせていただいているんですよ。  それから、長官、個別の、座間だとかいろんな個別の地域の基地のことについては話し合っていないというふうに言いますが、それは大臣レベル長官レベル、事務レベル、いろいろあると思います、総合的に議論をしていると思うんです、総合的に。この中で、座間の問題についても普天間の問題についても、あらゆる問題について個別基地を提起をしていかない限り日米間で話できないじゃないですか。  米軍再編の問題について向き合っちゃ駄目だなんて言っていないんですよ、私は。当然、向き合っていくべきだということで。そして、日本日本の平和と安全について、歴史的な経緯と今日と将来的な展望に立ってきちんと向き合っていくべきだというふうに私は前も言ったつもりであります。その基本的なスタンスがどうも分からないという、今日はこのことについては議論しません、そういうことを前回か前々回やり取りをさせていただきました。その中で、その中であえて具体的に限定さしてくれりゃ、それはこの日本の安全、極東の平和と安全ということになる。  そういうような理屈、理由で、日米安保条約を逸脱をしていく、極東の条項から逸脱をしていくとしても、そういった理屈付けでこの第一軍団の司令部というのを、座間移転という、受け入れるんではないかというふうに私は、政府、とりわけ外務大臣大野防衛庁長官もいろんなところで今まであれじゃないですか、我が国内のマスコミにお話ししているじゃないですか。そういうことをあえて予言的ということをお話をさせていただいたんです。  端的にいかがですか。
  86. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私、冒頭申し上げましたのは、今回の私の訪米においてはこういう話は出ませんでしたと、それから、しかしながら、事務レベルにおきましてこれまでいろいろな個別基地問題の話はアイデアの交換という形で出ておりますと、そしてその具体的な話合いの中身については今の段階で申し上げられません、こういうことを申し上げましたので、全くそういう話がないということを言っているわけではございません。御理解いただきますように。  それから、極東問題につきましては前回も政府統一見解を出させていただいております。そういうことで御理解をちょうだいしたいと思います。
  87. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 個別の問題について話できないというふうに言いますが、報告の中でですよ、例えば一ページから、チェイニー大統領への表敬においてと、私から米国の軍事態勢見直しに関し抑止力維持沖縄等負担軽減に留意する必要がある旨述べたところって、沖縄等負担軽減に留意するって、沖縄の基地のことじゃないですか、ということでしょう。  あえて、では、私は、地元の自治体の首長さんからも、この座間の司令部には、更なる基地の強化につながっていくということについて、対策本部ができていろいろ情報を収集して、そしてこれからの更に基地の継続、強化につながるからということで、これやめてほしいという要請も陳情も受けています。しかし、いまだこの間の日米のやり取りや日米が、アメリカと向き合っていく中で幾つかの理屈を付けて、日米安保条約等を逸脱しても極東条項逸脱しても座間の司令部を受けていくような方向に、今内々であって言えないということでしたら、一方で、具体的に沖縄負担に、負担軽減について目に見える形で整理、縮小ということについて詰めているのかどうか、詰めているのかどうか、トータルな形の中で。軽減をしていくということについて、これ、具体的に目に見える形の中で米国にきちんと約束させていくという、させるべきではないかというふうに思いますが、そういうことを明確に言えますか。
  88. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 沖縄負担の軽減という話はずっと言ってきているわけでございます。同時に、アメリカ軍の抑止力の、抑止力維持するということも言っているわけでございますが、ここで言う沖縄の過重な負担、あるいは負担を軽減する、こういうことは全般的な問題で言っているわけでありまして、具体的にどこの基地をどうする、こういう話につきましてはアイデアの交換という段階でありますから今の段階で申し上げるわけにはいけない、こういうことをずっと言ってきているわけでございます。  沖縄全体としては負担の軽減ということを、私も今回の訪米で度々それぞれの方々に会ってまいりました、会ってまいり、言ってまいりまして、そしてそれぞれ、チェイニーもラムズフェルドもあるいはアーミテージも理解を示してくれているわけでございます。
  89. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 沖縄の米軍基地の返還、整理、縮小について、今更、この普天間が返還されるということを、それを今度の再編について絡めてくるということじゃないと私は思いますけれども、普天間というのは、もうこれは合意しているわけですから、それ、合意をした以降この日本側がなかなか実行できないという部分になっているわけで、私が申し上げているのは普天間の話ではないわけで、普天間は当然もう返還すべきであるという立場に立って、国内への移転ではなくて海外へ移転すべきだという、これは我が党、我が会派のまたそういう主張であります。そのぐらいな先ほど申しましたつもりでやるべきだというふうに私は思いますし、これは決して座間の司令部受け入れるという意味じゃなくて、やっぱりそういうものだろうというふうに私は思っております。  ただ、大前提は、日米安保条約を、この枠組みは変えないと、あるいは極東条項については見直しをする必要がないというふうに立っているから、そうであるならば、この大きな東アフリカまでやはり全体的に指揮命令で行く座間の司令部、陸軍司令部の移転というのはあり得ないんではないかということをあえて原則的には私は申し上げさせていただきたいというふうに思います。  それから、二つ目に入ります。  長官に続きますが、これ、外務大臣もそうですけれども、イラク特措法におけるこの派遣延長期間はいつ閣議決定する予定ですか。いつの閣議ですか。
  90. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これはまだ最終的に、総理御帰国後、相談をしたいと、こう思っておりますが、多分どこかの、来週、閣議のチャンスが二回ございますので、そのいずれかということになると、多分来週の金曜日の閣議ということになるのかなと、こう思ってはおりますが、まだちょっと、最終的に総理御帰国後、しっかり相談をしたいと思っております。
  91. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、今の外務大臣の御答弁ですと、今まで国会でいろいろ私どもは更なる延長をすべきではないという主張で、衆参で申し上げさせていただきましたが、今の来週の日程ということになりますと、もう派遣延長の、しないという選択肢はないと、派遣延長なしという選択肢はないということでよろしいですね。選択肢、延長しないという選択肢ね。
  92. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 延長するしないを含めてすべてのことを、多分来週の金曜日の閣議において決定をすることになろうと、こう思います。
  93. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日曜日に大野長官が、NHKですかね、延長問題についていろいろ幾つかのやり取りの中で、来年の十二月までが一つの区切りだと、こういう答弁と、答弁じゃないですね、発言をされていると思います。  このいろんな私も思いがあるんですが、率直に申し上げまして、この今、国会の開会中なんですね。こういった発言は衆参で長官、多分その前までこの参議院のこの特別委員会もございましたし、衆議院でもありましたし、国会の中でそういう長官発言というのは、次の一年が区切りだとかいう発言、私は記憶にありません。いや、それはあなたが記憶にないんだということを言われれば、いつどこで言ったって言っていただければいいと思うんですが。  いわゆる国会の議論というのは、国民への説明、国会を通じて、そして今回はやっぱり、今回はというか、この件については自衛隊隊員のこの安全の問題でできる限り説明をきちんとして、そして理解を求めて、最終的にいろんな意味での結果を出すということだというふうに思うからこそ、この法律についても国会の承認というふうに私どもずっと国会のこの立法時から特措法については主張しておりました。しかし、国会承認事項ではないですね。  そして、さらに今、閣議の話をさしていただければ、十二月三日に今この会期末が終わろうとしている。我が方は、会期を延長すべきだ、その会期延長すべきだという理由は今申しましたような理由で、国民への説明、国会の関与ということで、この承認というのを様々な角度から取り上げて議論して、決着を付けていくべきだろうという国会議員としての責務があるからこそなんです。  そういう前置きをお話しさせていただければ、この日曜日の、次の一年が区切りだろうということについては、いささか私は国民無視、国会無視ではないかというふうに思いますが、どういう見解をお持ちでしょうか。
  94. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私の発言は、もちろん延長問題については基本計画の延長をどうするか、これは十二月十四日以降の問題で、これは治安の問題とそれからイラクの復興の状況、この二つを見て考えていくと。しかし、何らかの節目があるとすれば、この今から判断する延長問題とは別にして、その何らかの節目があるとすれば、国連決議の一五四六で言われております多国籍軍の任務政治プロセスが終了する来年の十二月末、これ、こういうことも一つの、こういうことが一つの節目として考えられるのではないかと、こういうことでございますから、全体としての節目というのはここにありますねと。しかしながら、日本の判断は今から、先ほど町村外務大臣おっしゃったように、これから決めることであると、こういうことを申し上げているわけでございます。
  95. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理大臣と私、特別委員会でやり取りさしていただいたときも、派遣延長を決めるなら決めればいいじゃないですかと、そういう話をさしていただきました。これは後ほど話はしますが。国会の方にはあいまいな形で言いながら、どうも外の方ではそうではない言い方をするということについて、極めて私は信頼感を本当損なわれるやり方であるということについて言わざるを得ません。  昼を挟みますので、この一問だけお答えいただいて、また昼の休憩後になりますので、ちょっとそういう意味での質問をさしてもらいますが。  イラク特措法には、活動の期間、二条三項、そして派遣期間、四条二項二号という、この二つの用語が使われています。活動の期間とそれから派遣期間と、これそれぞれこの法律の中で使っているんですが、これは当然解釈は違うと思うんですね、活動期間とこの派遣期間。それぞれの解釈について伺って、その後の質問は午後に譲らさしてもらいます。
  96. 増田好平

    政府参考人増田好平君) お答えいたします。  まず、先生からの今質問の最初の活動の期間でございますけれども、これは先生からもお触れになりましたように、イラク特措法の二条三項の中で、よく言われます自衛隊の行う、自衛隊のじゃない、対応措置につきましては、我が国の領域とそれからいわゆる非戦闘地域で行われなければならないというところの非戦闘地域を定義する表現の中で活動の期間、正に現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域においてという表現の中に活動の期間という表現が入っております。この活動の期間と申しますのは、正にこの非戦闘地域というものを定義する形におきまして、その活動の開始から終了に至るまでの期間という意味でございます。  また、もう一つ派遣期間でございますけれども、これは基本計画の記述すべき要素、事項を定義した法の四条の中に言葉が出てまいります。すなわち、対応措置を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の派遣期間ということでございます。したがいまして、これは外国の領域で対応措置を実施する期間を言うものと考えております。
  97. 林芳正

    委員長林芳正君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  98. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほど、午前の後半でイラク特措法での活動の期間、そして派遣期間について、それぞれ解釈について伺いました。頭悪い方ですので、すぱっと分かった限りでは理解できるようなできないような部分もございますが、要は、派遣期間と活動の期間というのは同趣旨ではないということは言えるんではないかと思いますが、それはよろしいですよね。
  100. 増田好平

    政府参考人増田好平君) 先ほどお答えいたしましたように、派遣期間というのは基本計画に必要的記載事項として掲げられているものでございます。他方、活動の期間という用語は二条の非戦闘地域の要件の中で設けられて、述べられている概念でございまして、両者はおのずと趣旨、目的を異にするものと考えております。
  101. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁長官自衛隊の隊員の方に派遣命令、今回、第四次派遣命令お出しになりました。ちょっと事前に私も役所の方とお話しすりゃよかったんでしょうけれども、この派遣命令書というのは、文書で派遣命令ですね、隊員に対して、派遣命令、口頭、口で、いやそんなことないと、文書でということで、文書でそれぞれの隊員にされているものなんでしょうか、お尋ねします。  分かっている人で結構です。
  102. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) それは、手元に資料がございませんが、私ども命令出すときに、必ず決裁という行動起こしておりますので、それは文書の形になっているというふうに考えております。
  103. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 恐縮です、事前に言わなかったんで。  それは、一人一人ですね、隊員、林自衛隊員、齋藤隊員と、一人一人交付するものなんですか。
  104. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) それは、私ども、いわゆる内局に回ってまいりますのはまとめた部隊ごとのものでございますが、恐らく部隊の長の方からは何らかの要式行為があるんではないかというふうに思っております。済みません、今手元に資料ございませんので、正確なところは……。
  105. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 こういうお尋ねも、もう四次目になりましたから、もう十分御経験されているんじゃないかなというふうに思いましたんで。そして、あえて言わせていただければ、今何かそこに、手元に資料がなければ質問が続かないとか、国会ストップするようなところじゃないんですが、名前のところは空欄でもちろん結構なんですけれども、こういう自衛隊の隊員に派遣命令書を交付をしていますということを資料として提出をいただける用意はございますか。
  106. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 提出させます。
  107. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。  派遣命令ですから、防衛庁長官、その部隊長、その個々の隊員に対して、日本から、今回のイラク特措法の場合は外国にということで要請するわけですね。ですから、派遣期間というのは、この派遣命令書を出した日で、あと多分、このいつということについては三か月ということでリミットというのはなって、この基本計画上の期間ではないというふうには理解はできるんですけれども、当然のことながら、いつからいつまでというのは書いてあるんでしょうね。それ以上になると分からないですか。
  108. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 派遣命令自体には、別途定める日までという記載がされております。
  109. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 分かりました。  なぜこういったことをお伺いをするかといえば、当然派遣期間と活動の期間は違うということは、これは理解できましたけれども、今回、国会でイラク、サマワ地域における治安状況というのをそれぞれが、国民、国会もいろいろ心配し、そして政府も心配し、そしてぎりぎりまで判断を待つというある意味では閣議の状況ではないかというふうに思いますが。そして、相対的には、オランダが治安任務から終わった後、今、イギリスの方と話をしている。  こういうような、これまた事実をされているわけであって、実体上は、もう十二月十四日以降も継続して業務に付くという前提で準備をされるというふうにこれはだれもが受け止めているわけであって、そこで、あるならば私どもは派遣延長はこれ是としないという立場でございますが、この間の総理自身答弁は、これは外国の任務と、そして任務が、それぞれの任務が終わった後も、撤収の期間もこれは活動の期間に入りますよというお話をしています。  そうすると、十二月十四日、これはもう事実上十二月十四日を、これは過ぎる。この前のいろいろなやり取りの中でも、一か月程度は大体掛かるんではないだろうかという話になりますと、事実上もう、ここで何か突発的なことがあって、閣議にいろんな重大な案件としての課題がかかるのかも分かりませんが、どうあっても十二月十四日以降、以降入ってくる活動期間なり撤収期間、これを一緒に含めてですけれども、そういうことになるわけであって、あえて、そこで今回ずっと国会の中で十二月十四日以降の派遣延長問題、派遣延長問題ということでためらっていること自体が、私は政府対応というのが理解できない、理解できないんですよ。  もう事実上、十二月十四日以降入らざるを得ない状況に今来ているんではないでしょうかということについて御指摘さしていただきますが、いかがでしょうか。
  110. 大野功統

    国務大臣大野功統君) せんだってのイラク特別委員会での議論でございますけれども、これは派遣期間内に日本に帰ってくるという意味ではないと。ただ、問題点としては、派遣期間内に、要するに対応措置を終了しなきゃいけない、この点は一致した見解でございます。  ただ、見解にややずれがあったと思いますのは、対応措置というのは一体何だろうか、こういう点でございます。対応措置というのを、すべて残務整理まで含むのか、含むとしてもどの程度含むのか。一つ一つ残務整理というものを考えてみた場合に、全体を把握して、それを派遣期間内に残務整理のすべてを終了するのかと、こういうところで若干こう、若干というか、考え方が違っていたと思います。  それで、そういう意味でいいますと、例えば基本計画に定められております給水活動あるいは医療支援活動、学校、道路の補修活動、こういうものは絶対に派遣期間内に終えておかなきゃいけないけれども、その残務整理をするという問題がありますものですから、それをどう考えるか、こういう問題でございます。  問題は明白にしておかなきゃいけません。ですから、それは今明白にさしていただきますけれども、今のお尋ねのポイントだけで考えさしていただきますと、仮に、仮にそういう場合になった場合には、例えば派遣期間を延長した上で残務整理をすると、こういう、そうして撤収を完了させるということも考えられると思います。それは解釈の問題で、本来の前向きの復興支援業務とその残務整理をどう考えるか、ここを分けて考えていただきたい、こういうことでございます。
  111. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 活動の期間と派遣期間ということを理解をするのにやっとなんで、また対応措置とかいろいろなこと言われると、なかなか混乱してきちゃうんですね。  だから、派遣期間内ですべての行動を終わっていくということだと思うんですよ、派遣期間内に。今まではそうでしたから。外国への支援活動というのは、派遣期間を決めて、派遣期間内に終わる、あるいはぎりぎり帰ってくるということでありましたから。だから、派遣期間内で活動を終わる、対応措置も全部終わるということだと思うんです。  そこで、総理答弁というのは、ある意味では私は整合性を取っているんだろうなと。じゃ、しかし今十五日、十四日、十四日で派遣期間が基本計画上切れるということで、仮に今撤収をすると、明日でも撤収をするというときになると、この前の、前までの長官答弁ですと、それなりの時間が掛かると。そうすると、必然的に十四日をお過ぎになるんじゃないですかと。それは十四日を過ぎるということは現時点では閣議、延長で期間、基本計画上期間を延長しなければ違法な状況に置かれてくると、違法な状況に置かれてくるという認識をお持ちですよねということなんです。
  112. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、対応措置に残務整理のどこまで入るかということで前回は食い違いがあって、少しそこは整理しなきゃいけない。で、整理いたします。そして、その対応措置、残務整理はすべてやっぱり期間内、派遣期間内に入れてしまった方が分かりやすいだろうということを今おっしゃっているわけですけれども、それは私もそうした方が透明、明白になると思っております。それは整理いたします。  その上で、御質問の趣旨は、繰り返しになりますけど、今もしもう終了ということになった場合は残務整理期間が十四日以降に及んでくるだろうと、こういう御質問でございますが、それは先ほど御答弁申し上げましたとおり、もし十四日を過ぎて、これは全部仮定の上に立っている答えでございます、十四日を過ぎてでないと残務整理ができない、撤退ができない、撤収ができない、こういう場合には、例えば十日間延長をさしていただきます、こういう処理が私は正当な処理だと思っております。
  113. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういうことだと思うんですね。そういうことでなければ、この第四次派遣の人たちというのは延長がなければどういう状況においても違法な状況に置かれるということになりますから、私はそういうことだと思うんですね。そこら辺がこの前までの議論でどうもなかなかかみ合っていない、整理をされてないというふうなことで、あえて私はお話しさせていただきました。  あえてまた言わしていただければ、この延長問題でいえば、早く、むしろ早く、早くしろというよりは、私たちは延長はすべきじゃないというんですが、政府自身側の今の立場に立つならば、もう第四次派遣隊もう既に出していると、中東に派遣をしているということになるならば、なぜ閣議決定をしないんだろうかというその疑問点と、もう一つは、国会開会中にそういったことについてきちんと議論をするということについて、どうしてそういう姿勢を取られないんだろうかということ。国会が終わった後、先ほどの外務大臣が来週閣議ですと言うことについては、これが到底理解できない、これが理解できないです。よく、お分かりですよね。  だから、それほど、それじゃ一日一日、一週間一週間、いろいろな様々なことが、サマワの状況がそれだけ気になるということになるならば、大変な状況だということなんですよ、裏返して言えば。それだったらそれで、そういうような実態を国会に明らかにして、議論をして決めていくということがやはり国会の在り方ではないかということを基本的に申し上げさしていただいているわけであります。それについて一言ございますか。
  114. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この問題はやはり総合的に考えていかなきゃいけない。その主要なポイントというのは、繰り返して恐縮でございますけれども、一つイラク復興の道のり、そしてもう一つは治安の問題、安全確保の問題でございます。  安全、治安の問題につきましては、サマワは他のイラクの地域に比べて安定している、このことは昨日のオランダのカンプ国防大臣との間でも共通の認識でございます。しかし、迫撃砲、ロケット弾が飛んできている、このことだけは重大な関心を持って見詰めていかなきゃいけない。やっぱりぎりぎりまでその状況を見据えて判断した方がいいのではないかというような考え一つあるのではないか、私はこのように思っております。
  115. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それほど危惧されている現地の状況だと思うんです、それほど。ということで、私は、そういう状況をつぶさに明らかにしていくと。そしてまた、治安についてはオランダ軍に、そして引き続きイギリスに対して依拠せざるを得ないという状況であるということについて、率直にやはりやり取りをする国会の在り方ということについて、私は野党の一員として、国会議員、国会に議席を置く身として、いや、国会は会期延長求めてきたけれど会期延長駄目だった、終わった後に閣議決定だと。閣議決定、終わった後に閣議決定しました、そしてまた委員会の議論ですというのは、わずかな間なんですから、これは国民に対して一人の国会議員としてなかなか説明し得ない問題だということにあえて、再度指摘させていただきたいと思います。  残り時間、私自身の残り時間が少なくなりました。度々お話しさしていただいています神奈川県におきます米軍家族住宅について再度確認させていただきたいと思います。  二つだけまとめて質問をさしていただきます。  一つは、米側からこの米軍家族住宅についての入居希望者数、概略伺えば、陸軍、海軍、空軍、海兵隊あるけれども海軍が主だというふうに言っていますが、この神奈川の地域、あるいは他の地域を含めまして、この家族住宅を日本側に幾つ建設してほしいということについて求めているのかどうかということについて明らかにしていただきたいと思います。
  116. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) いわゆる家族住宅の不足数ということで私ども把握しておりますのは、横須賀、厚木地区で約千三百戸、それから在日米海軍の佐世保地区で約六百戸ということでございます。
  117. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この千三百戸、横須賀の方ですけれども、今回、根岸が四百、移転部分、そして新たに三百戸、これの三百を差し引くと残り千という理解でよろしいんですか。
  118. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) おっしゃるとおりでございます。
  119. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、残り千については、これはどういう今検討、もくろみでいらっしゃるんですか。
  120. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これ、私ども、当面は根岸の四百戸あるいは不足分解消の三百戸、計七百戸、これはいわゆる池子地区に建設をすることに重点を置いていきたいと考えておりまして、残りの千戸について米側から今の時点で具体的な要請等があるわけではございません。今後の中長期的な流れの中で、例えばその千戸なるものの住宅の所要が、不足数がどういうふうに変化をしていくのか、あるいは、当然のことながら我が国の財政事情等もございます。そういったことを勘案して、どういうふうに米側のニーズを満たしていくか、今後の課題というふうに認識をいたしております。
  121. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、日本側として千三百戸言われたけれども、はいはいはいはい次から次へ造りますということは言ってきていないということだと思うんですが、それだったら千三百戸、なかなか、今回いろいろやり取りさしていただきましたけれども、近隣地域にはないということでノーと言える私は姿勢があったっていいんではないかというふうに思いますが、そのことが一つ。  それから、これも指摘さしていただきましたけれども、米軍の要請に応じて、いわゆる軍人の階級、すべての階級に応じて家族住宅を海軍に関して要望を聞いてきたと。ある時期まではある階級以上までが家族住宅に求めに応じて住宅を建設をしてきた、ある時期からすべての階級に応じて家族住宅の建設を要望されて日本側として認めてきて対応してきたと。  二つ合わせればですよ、二つ合わせれば、なぜこういうことを申し上げているかといえば、日本側は日本側の財政の状況なり地域的な状況なり歴史的な状況があり、そしてアメリカはアメリカ側での軍人の充足をするということに事情があるけれども、日米間できちっと話し合って、ノーならノーということについて言える時間もあったし、今だってあるんではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  122. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これ、先ほど家族住宅の不足数を申し上げました。ただ、池子地区に七百戸建設することによりまして、その不足数のその積算の前提になっている内容、これがほとんどがいわゆる単身者でございます。家族帯同で来られて、施設・区域内の家族住宅に住むことができない、言わばそのニーズにどうこたえていくかというその切実度というものをよく聴取しながら米側といろいろ調整をしてきているということでございます。  それから、もう一点の、いわゆる家族帯同基準あるいは家族帯同で来られた際の施設・区域内の家族住宅の入居基準、こういうものは確かに昭和四十年代の後半、これは徴兵制がなくなったというような米側の事情とも絡んでおりますけれども、順次緩和をされてきております。そのことによって当然その母数というものが増大を、まあ潜在的なニーズの顕在化したといいましょうか、ということでございますが、これは風俗、習慣、言語、いろいろ異なる異国に来て、言わば安全保障に従事をする、さらにセキュリティーの確保という問題もございます。  そういった事情から、あるいは即応態勢の維持という観点もございましょう、施設・区域内における居住を望んでいるということに対してどう我々がこたえていくか。これは、ある意味でいえば、日米安保体制の円滑な運営、運用ということにも絡んでくることでございまして、さっき申し上げたように、他方では財政事情、地域の事情、そういうことも勘案をいたしますけれども、もう一方では、今申し上げましたような米側の事情、こういったものも考慮しながら必要な住宅、家族住宅の建設というものをやってきているということでございます。
  123. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今、私が指摘した一言は、日本政府の姿勢として、いかに日米安保条約があり地位協定があろうが主張すべきことは主張していくということだと思うんです、私は。徴兵制から志願制だとか、これはアメリカ側の事情であって、それは確かに日米安保条約、地位協定上、これ、この安全保障上の問題なのかも分かりませんが、何から何までごもっともごもっともということではないと。いろいろやり取りしますと、そんなこと齋藤さん、ないんですよと言うけれども、結果的にはそうなっているんですよ、結果的には。ということが一つ。  それから、度々こちらの方で、私は、カラーコピーを委員の方々にお示しをしながら、三者合意以前の政府側の逗子市民を中心のとする説明の仕方をし、三者合意に至って今日に至るということに話をしています。  政府の方は、三者合意、いわゆる三者合意で今日に来て、それ以前に関して、私どもが幾らこの提供施設総体の緑地が残るではないかということについて提供、そういうことを約束をして三者合意にしたんではないかと言っている。しかし、それは不変のものではありませんということを言っている。そうすると、不変なものではないというと、一体政府の説明って、市民に説明っていうのは一体何なんだと、三者合意からスタートする話じゃないんじゃないか、最初から、提供施設のところから始まって家族住宅を建てるということの中での三者合意ではなかったのかということに私は言っておりますが、そうではないということで。  そうすると、そういう無理もしても、一方的に地域的にも無理をする、そして日米間でもそういった点について無理をする、こういったことにすべてしわ寄せが全部国民に来ているじゃないですか。異なった対応が横浜市も逗子もしているじゃないですか。こういった理不尽なことを私は大変問題であるということを繰り返し繰り返しお話をさせていただいているつもりであります。  私自身の持ち時間は本当に過ぎていまして、同僚議員に申し訳ないんですが、最後のお尋ねですけれども、三者合意以前について、政府が、政府が逗子市や神奈川県に対して説明したあの緑地部分、残る緑地部分というのは、今回、あのときの、三者合意のときの住宅が建設した後守られる、緑地を守られるという提案であり、そのことが三者合意の前提であったということについて私は認識に立ちますけれども、そうではないとおっしゃるのは、何でそうではないんだということについてここではっきり言ってください。
  124. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 平成六年の三者合意につきましては、追加的な家族住宅の建設をするしないという点について見解が私どもと逗子市の方で異なっているということは残念なことだと思っております。  御指摘の、それ以前の、前々回でしたか、十一月の初めの委員会において御議論がございましたチラシの件、これは、これまでるる御説明を差し上げておりますように、家族住宅の建設によって池子の森のほとんどがなくなってしまうのではないかという御心配が市民の方の間にあったということから、池子の森の緑の大部分が家族住宅を建設しても残りますということを当時、イメージで正確に御理解をいただくということで作成をし配布をしたということでございます。  その間のやり取りにおきまして、委員の方から、そういう説明は最初から将来的な家族住宅建設を念頭に置いていたかのように受け取れるではないかという御指摘もございました。誤解のないように、あえて私が申し上げたこと、言い換えますと、将来の、その当時のそのチラシというものは、将来の追加的な住宅建設に含みを持たせたり、あるいは逆に、一切の追加的な住宅建設を排除をするというような考え方に基づいて作成配布したものではないということでございます。その意味で、チラシが、逗子市民の方々にいわゆる池子の森全域で今後一切家族住宅を建設しないということを約束をしたというふうな受け止め方をされたとすれば、これはチラシを作成配布した趣旨と異なるものでございます。
  125. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私の発言で私自身質問を終わりますが、それはやっぱり、逗子市民、県民をやっぱり裏切る、愚弄する実は説明なんですよ。今回ある姿とすれば、当時はそうであった、提案をした、三者合意に至った、しかしその後様々な状況が変わった、いいか悪いかは別ですよ。  先ほど、冒頭言いましたように、家族住宅をどんどんどんどんこうやって受け入れたと。で、千三百戸になったと。建てなきゃならないと、状況が変わった、どうしましょうかというときに提案をして、いや、約束はそうじゃなかったけれども、というところの積み上げの中で逗子市があり横浜市があり神奈川県があるんだと、私はそういうふうに受け止めます。  あくまでも、そういうような私は理解を、今長官が説明した理解というのは逗子市民なり県民は受けていないということを申し上げさせていただきまして、同僚議員の方にバトンタッチさせていただきます。
  126. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  ちょうど一年前の今日、奥さん、井ノ上さんが亡くなりました。現地時間の二十九日ではございましたが、日本時間の三十日零時四十分ということで、正に一年がたちまして、奥大使が、青年よ、荒野を目指せという言葉を残されたという記事も読んだことがございましたが、正にこの一年間を振り返りまして、我が国政治が大変重い決断をした、その中でこのお二人の死というものを改めて我々の中で忘れないように認識をしなければならないと自分自身に言い聞かせながら質問を続けたいと思いますが、先ほどの齋藤先生の質問を聞いていて、やはりこれは、自衛隊がどのようにして国民の皆さんとの信頼関係を作っていくか、これ自衛隊だけでなくて、我々の政治がどう国民と信頼関係を醸成していくかという問題だと思うんですね。  もう今、答弁者もう席外されましたが、余りにも私は誠意のない考え方ではないかなというふうに思わざるを得ません。その前に、齋藤委員質問をされたこの派遣期間の問題も私、同じだと思うんですね。我々自衛隊を送り出す側の政治のあるべき姿勢として、この派遣期間の問題がいまだかつてあいまいになっていたということ自体が大きな問題であって、こういったあいまいな政治のルール若しくは法の決め方の中で自衛隊の皆さんは日々大変厳しい場所で任務に就かれていらっしゃる。そのことを考えますと、やはりもっときっちりと政治の側がしなければならないと思いますよ。  そして、イラク特別委員会があったのは金曜日でございますから、長官がいずれ明白にしますとおっしゃいましたが、まだこれ明白になっていない。すなわち、あのとき総理長官と御意見が全く違っていらっしゃいましたが、この辺の整合性というのはまだきちっと定まっていないんでしょうか。
  127. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、これはきちっと整理をして明快にいたします。  これ今、今申し上げますと、先ほども齋藤先生の御質問にお答えしましたが、やはり対応措置というものをどこまで考え対応措置にするか、ここに食い違いがあったわけでございます。したがいまして、対応措置の中に残務整理も全部入れるんだ、こういう方向で整理をしてイラク特別委員会の理事会に報告をするつもりでございます。
  128. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ここは委員会が違いますからという理由はそうかもしれませんが、やはりこの問題を議論できるというのは、我々は会期延長を要求していますが、もし延長されないとなると、やはり閉会中審査、イラク特しかないんですね。  ですから、我々参議院の場所で、この現時点で、長官の下で汗をかいていらっしゃる自衛隊の方々に対する誠意の意味を込めましても、やはり我々に、最後になるかもしれないこの委員会できちっとその辺のことを表明されるというものが私は政治の姿勢だと思うんですが、恐らく長官の中にはこの辺のことはもう分かっていらっしゃると思うんですが、イラク特はイラク特として、やはりこの外交防衛の場所できっちりと私は表明されるべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  129. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 形としては、もちろんイラク特の理事会に報告するということでなっております。中身としまして明快にさしていただきますけれども、中身につきましては、先ほど来申し上げましているとおり、残務整理も対応措置として派遣期間内で終了させるということで整理をいたします。
  130. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、それがやはり本来筋だと思うんですね。かつてのカンボジアPKO等を見ましても、やはり日本に帰ってくるまでが彼らにとったら派遣期間である。水を供給している、若しくは復興支援作業をしている、そのときだけではないんですね、やはり任務というのは。それが終わって、宿営地を片付けたり、最後の飛行機に乗り日本に帰ってくるまでがやはり当然私は任務であるべきだと思っておりますし、長官もそのようにお考えだと思うんですが。
  131. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 誤解がないように一つだけ明白にしておきたいと思いますのは、日本へ帰ってくる日がその派遣期間の終了日内でなきゃいけない、こういうふうには解釈しておりません。対応措置の中に現地におきます残務整理も含めて、派遣期間内で前向きの仕事、残務整理、すべて含めて終わってほしい、こういう意味でございます。
  132. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 残務整理、残務整理と言いますが、別に机の上を片付けるわけじゃないんで、イラクのサマーワで様々なものを撤収するなりなんなりの作業なんですね。これというのは、すなわちその残務整理、長官のおっしゃる「残務整理」をやっていらっしゃるときも、当然、国又は国に準ずる者からの攻撃であるとか事故に巻き込まれる可能性が十分あるわけでございますよ。  ですから、その辺をきちっとやりませんと、現地の自衛官に対して大変私は失礼だと思いますよ。正に長官はそのトップにいらっしゃるわけでございますから、この点はきちっとこの場所で明確にできるところはしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  133. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 例示的に申し上げますと、例えば原状回復義務、あるいは使用いたしました物品をどういうふうに処理するか、こういうことを含めて、すべて残務整理は対応措置として派遣期間内に終了してもらう、こういうことでございます。
  134. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ということは、もうあと二週間ですから、総理の中では恐らくもう延長ありきで、この話が十四日の間際に、なるべく十四日に近いところで決めるという答弁総理されていましたが、総理の中ではやはりまず延長ありきだったんだなという認識で、長官、よろしゅうございますでしょうか。
  135. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 延長ありきという議論は我々はやっておりません。あくまでも二つの問題、一つイラク復興の状況、そしてもう一つは治安の状況、つまり安全確保の問題がございます。この二つを軸にして総合的に判断する、こういうことでございます。延長ありきという前提で話は進めておりません。
  136. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、現地にいらっしゃる自衛官の皆さんになるべく政治がきちっと皆さんの活動そして任務、その正当性を担保していくと、そして、法律だけではなくて、国を挙げてこれを、行ったからにはサポートしていくという姿勢が必要だ、その思いから長官にこの質問をさせてもらっているんですが。  先週も、ひげの佐藤一佐と話をさせていただいたという話はイラク特別委員会で述べさせていただきましたが、やはり話を聞きますと、本当に大変な任務をされているんですね。五十度から六十度の酷暑の中、暑さだけではなくて見えない敵、それからダニですとか、いろんなものと戦っている。その中で、一生懸命現地の方々とコミュニケーションを取る努力もされている。意外と知られていなかったのが、いろんな日本、そして自衛隊のことを知ってもらう広報活動をやっているんですが、フジという新聞を出していらっしゃる。現地の新聞よりも多く発行、部数が発行され、現地の新聞以上に読まれているのがこのフジという自衛隊が発行している新聞なんですね。  こういうことをこつこつこつこつ現場努力してやっているんですが、それを本来サポートする政治が私は余りにも自衛官の皆様に対して誠意が、私自身も含めまして、もっと政治がきちっとした対応をしなければいけないなと。さきの特別委員会の議論であるとか、あれをもし自衛官の方々が現地で聞いていたら、私は本当に申し訳なく思うし、彼たちだって残念に思うと思うんですね。ですから、是非この点は、防衛庁長官でございますから、自衛官の皆様に対してこの点はしっかりしていただきたいということを改めて要望をして、次の質問に移りたいと思います。  町村外務大臣にお伺いするんですが、さきの特別委員会でも外務省のサマーワ事務所についてお伺いいたしました。まあ、なるべく情報を公開したいと、大臣自らがおっしゃってくださいましたので、もう少し具体的にこのことをお伺いしたいんですが、現在小川さんが隊長で、班長というんですか、責任者で、ほか四名、計五名の皆さんで外務省のサマーワ事務所を運営されているんですが、その前は小川さん、小林さんですか、という方が行っていらっしゃったと。お二人ともアラブの専門家でありますのできちっとした任務をやってくださっていると思うんですが、この方々はあれですか、テロ特措法十条のイラク復興支援職員の枠で行っていらっしゃるんでしょうか。
  137. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) お尋ねの在サマワ外務省連絡事務所の所長以下合計十名が五人ずつの交代でおりますが、彼らは外務省の職員として現地に行っております。
  138. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 たしか五月以降、このイラク人道復興支援職員が三名行って以来、奥さん、井ノ上さんの事件があって以来行っていないというふうに把握をしているんですが、外務省の職員が現地へ行けて、この復興支援職員を出さないという理由は何なんでしょうか。
  139. 増田好平

    政府参考人増田好平君) 基本計画上、イラク復興支援職員の活動として何種類かの活動を記載しております。現実にイラクの国内でこのイラク復興支援職員の活動というのは行われておりませんが、それは正に、現地の治安の状況それから活動の安全性というものを我々として勘案いたしまして、現状においてそのような形で、イラク復興支援職員の活動という形で人道復興支援活動等を行うことは適切でないと判断して行っていないということでございます。
  140. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、その外務省サマーワ事務所の活動について若干お伺いしますが、五名の中のうちアラビア語が話せる方は何名いらっしゃるんですか。
  141. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) アラビア語を外務省に入ってから現地で研修を行ったという意味での、我々はアラビストと呼んでおりますが、これは十名のうち四人おります。そのほか、例えばさっき名前が出ました小川所長のように、サウジアラビアに在勤したという中東の経験を持った者がまた別途ございます。したがいまして、お答えとしては四名、十名中の四名ということになります。
  142. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 まあ小川さんは、サウジアラビア、あとエジプトでも大変御尽力を発揮された優秀な外交官ですから間違いのない仕事をやっていらっしゃるということは推察できるわけでございますが、この現地の政治状況の把握若しくは治安状況の把握等はどのような方法で、具体的にどのようにやっているんでしょうか。
  143. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 現地におきましては、このサマワ事務所の関係者、特に実際仕事をしており、その今の御指摘の点につきましては、例えば所長であるとかアラビア語ができる所長の補佐が現地のいろいろな方々との情報収集をしております。大きく分けますと、政府関係者、県の知事さんでありますとか県の警察の本部長であるような政府関係者、それから二番目のグループとしては、県でありますとか市であるその評議会のメンバーの方々、それから三番目は、政党であるとか宗教関係者、現地の報道の関係者、それにオランダの軍の関係者の特に情報関係を担当している方々、国連の職員、そういった方々が大別できるかと思います。このような方々と日常的に情報活動をしております。
  144. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 オランダ軍の関係者という局長答弁ございましたが、このオランダ軍の把握している治安状況、オランダ軍はこのサマーワの治安についてどのようなことをこの職員に報告されているんでしょうか。
  145. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) この点は先ほども例えば大野防衛庁長官の御説明にございましたように、一般的な状況認識としては、イラク全体の治安状況の中ではこのサマーワは比較的安定している地域である、しかしながらいろいろと予断を許すことなく注視しないといけない動きがあるという、こういったことにまとめられるのではないかと思います。
  146. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁長官、十一月二日の当委員会での私の質問に、オランダが撤退するのは治安の悪化もあるのではないかという質問に対しまして、長官がそういうふうには聞いておりませんと明確に否定をされていますが、これ、今でもこの認識に変わりないんでしょうか。
  147. 大野功統

    国務大臣大野功統君) オランダの方は、政治プロセスで選挙が済んで、その後三月には現地の治安組織に治安をゆだねることができるのではないか、こういう発想法で三月中旬の撤退を決めたというふうに私は理解しております。  したがいまして、治安の悪化ということじゃなくて、治安は現地に任せられるんだと、こういう思いであると思っております。
  148. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 治安は悪いが、治安の維持は現地の警察に任せようと。すなわちこれは、サマーワが、オランダの新聞や、私、大使とも話をしたんですが、明らかに治安の悪化が理由だとおっしゃっているんですよ。二名が亡くなって、世論が真っ二つに割れ、いや、大きく反対に傾きつつある中で、オランダと日本の違いは、オランダは与党がこれ撤退の大合唱を上げているんですね、民主66という党ですが。その中で、八月、二人目の死者が出、さっき言ったその大臣も、イラク市民はもはや我々の親友ではないとカンプさんがおっしゃっているんですね、非常に治安が悪くなってきていると。  こういう状況にあって、変に国民やそして我々を安心させるために、いや、オランダが撤退するのは治安の悪化ではないんだと言うことは、私適切な判断ではないんじゃないかと。これ、明らかに治安の悪化がオランダ軍撤退の原因だというふうに世界が見ているんですが、なぜ日本防衛庁長官だけオランダの撤退は治安の悪化が理由ではないということをおっしゃれるんでしょうか。
  149. 大野功統

    国務大臣大野功統君) このカンプ国防大臣認識でございます。これ、オランダ軍の駐留というのは来年の三月中旬に終了する予定であるけれども、総選挙後の、国民議会選挙後の来年三月にはイラク治安維持能力が現地の者に、サマワの者にゆだねられる、治安維持能力が向上しているというふうに予想している、こういうことでございます。  したがいまして、三月以降の治安につきましてはムサンナ県を含むイラク南東部を管轄するイギリスなどが判断することになるんだろうと、こういうふうに言っておりますけれども、少なくともカンプ国防大臣は、治安の維持というのは現地の治安組織に、治安維持組織にゆだねられる、こういう認識でございまして、昨日もその辺は議論いたしました。結局、いろいろ議論した結果で申し上げますと、今申し上げたような筋でございます。
  150. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 局長、そうすると、今まで部族社会の情報というのは実はオランダ軍が大分情報収集して日本自衛隊に情報提供するというシステムが主流だったんですが、これ、オランダ軍なくなりまして仮に現地警察が来るとはいえ、逆に今の体制を快く思っていない組織の情報というのは入りにくくなる可能性があるわけでございまして、この部族社会の情報収集というのは今後どのようにやっていくんですか。
  151. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 榛葉先生御指摘のように、さっき申し上げたいろいろなニュースソース、情報収集ソースの一つの重要なところが、仮にオランダ軍が現地から引き揚げるというような事態になれば、そこがなくなるというのは御指摘のとおりだと思います。  他方で、防衛庁長官、今御答弁おっしゃっておられましたように、オランダが引き揚げる場合には、多国籍軍の中においてイラクの南東部について責任を有しております英国とそれからイラクの暫定政府を中心に、あの地域をどういうふうにして情報収集も含めて対応するのかという、そういうことは多分というか当然議論されると思いますので、オランダの抜けた部分の多国籍軍の情報というのは、別途またそれは入手できるのかなというふうに我々思っております。  同時に、先生御指摘のもう一つの点、日本自身が独自に情報を取らないといけないということはもちろん十分認識しているわけでございまして、さっき申し上げたような、例示を申し上げましたが、あの中でほとんどのニュースソースというか情報の取っている先はイラクの人たちそのもの、その人たちから取る努力をしておるわけでございまして、この点の努力は、サマーワにおける外務省事務所の経済協力を行うということに並ぶ二つの重要な柱、情報収集とODAの実施、この柱でございますので、これからも更に現地に食い込んだ情報収集ということに心掛けたいと考えております。
  152. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 さきのイラク特別委員会で私の質問町村大臣が、いろいろな任務をこの外務省サマーワ事務所はやっていると。自衛隊との現地社会との潤滑油であるとか、政務関係の情報収集であるとか、便宜供与を図っているとか、その中に経済協力案件の形成と実施に関する業務ということを大臣が四つ目の理由としてお述べになられましたが、この日本ODAについて今どんなニーズがあるのかと。恐らく具体的な案件がもう幾つか出ていると思うんですが、お披露目程度で結構なんですが、こんな案件が実は上がっているんだというようなものがあったら、局長教えてもらえるでしょうか。
  153. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 分野別に申し上げますと、水、それから医療、電力、それと治安関係、この四つが大きなものだと思います。これ以外にも、教育でありますとか道路の修復であるとかいろんなニーズがありますが、今申し上げたような水と、水・衛生と言ってもいいか分かりませんが、水・衛生、それから医療、失礼、それからあれですね、現地のさっき申し上げたような幾つかの分野が例示できると思います。
  154. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、その現地で一緒に支援を実施する、ともに活動できるようなNGOや国際機関、外国のNGOも含めましてね、は存在するんですか。
  155. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 経済協力をサマーワで行うときの一番重要な相手方は、現地政府の道路局、電力局、民生局というような地方の公共団体です。いずれ我々いなくなるわけですから、そのときにはイラクの地方政府自分で道路を造るわけだし、病院を建て直していくわけですから、そういう人たちが中心的な相手です。  それに加えまして、雇用創出については、国連のハビタットでありますとか国連の開発計画、UNDP、こういう人たちが私どもの相手でございます。
  156. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務省のホームページ開きますと、この外務省サマーワ事務所の活動が結構詳しく載って大変勉強になるんですが、そこを見ると、やはり小川さんたちの御苦労がよく分かるんですね。小川所長のインタビューの中にこんなのがありまして、ムサンナー県の開発は長年、中央政府から軽視されてきており、支援を必要としているというくだりがございました。正にそのとおりだと思います。  これはあれですか、ODA支援をする場合、日本外務省とムサンナー県との契約になるのか、それとも外務省とサマーワ市との契約になるのか、どういう形になるんですか。
  157. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 案件によって異なっておりますが、例えばこの前、御記憶だと思いますが、ムサンナ県にパトカー四十台を供与いたしました。これは日本政府とそれから先方イラクの内務省との間での契約に基づくもので、内務大臣、内務省がサマワに千百台のうちの四十台を持ってきたというようなものです。それから、例えば病院の、サマワの母子病院に医療器材を出すということは、これは草の根無償というやり方でやっておりますので、日本政府とそれからサマワのその病院の院長さんとの契約ということになるでしょう。  また、国連機関でありますと、国連機関に対して日本政府として直接お金を拠出して、それに基づく一種の契約に基づいて国連機関が現地で仕事をしていただくと、こういう格好になります。
  158. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、そこで若干気になるのが、ムサンナー県内の、我々は、サマーワ、サマーワといいますが、サマーワ以外にも十二、三の自治体があるわけでございまして、ある種この自治体間で、やっかみという言葉が正しいのかどうか分かりませんが、やはりどうバランス取っていくかというのも、今後、日本の対イラク、長い目で見た対イラク関係考えると大変重要なことで、とりわけムサンナー県が貧しかったがゆえにこの辺をきっちりやることが私大事だと思っているんですが、その辺のバランスという問題は局長、どうなっていますか。
  159. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 私自身は二つのバランスが必要だと思っております。そのまず一つは、先生御指摘のように、ムサンナ県の中で、サマワだけではない、郡部を含めて人口全部で六十万いて、サマワはそのうち二十五万人ですから、その残った地域についても日本援助というものが行き渡るような努力をしないといけないと思っております。これは自衛隊関係の事業においても同じようなバランスが図られていると思います。  二番目は、今度はイラク全体の支援の中におけるムサンナ県に対する、何というんですか、バランスというのもありまして、これについては既に委員会でも御紹介しておりますが、バグダッドから帰ってくる、時々戻ります職員の話なんか聞きますと、バグダッドでは、どうして日本はあれだけムサンナ県を大事にするんだ、うちの県にも自衛隊是非来てくれ、そうしないと、えらく日本はあそこばっかり一生懸命になっているんじゃないかと言うぐらい、実はムサンナ県が恵まれているんじゃないかといううわさが、うわさがバグダッドでは伝わっております。  しかし、これは、日本は、あの地域が最も貧しい地域で、先生御指摘いただいたように、サダム政権下でほっておかれた地域ですから、そこを選んでやっているわけですから、一定のそういう意味では重視をするというのは適当な政策だと思っておりますが、それにつけても全体の中におけるバランスということも考えないといけないと思っております。
  160. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  防衛庁長官に一点だけお伺いします。  イラク特別委員会で、サドル師派がなぜ国に準ずる者でないのかと、しつこいなと思われるかもしれませんが、ある方は粘り強いということもおっしゃってくれた方もいらっしゃいますので、このサドル師派、サドル師派、このサドル師派というのは、長官おっしゃるには、十万人規模の民兵がいるけれども国際性がないからこれは国に準ずる者じゃないんだという答弁がありました。じゃ、このザルカウィ氏派ですね、ザルカウィ容疑者のグループというのは、これ大変大きな組織で、攻撃を加えてきているわけですが、これはなぜ国に準ずる者ではないと長官おっしゃるんですか。
  161. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、サドル師……
  162. 林芳正

  163. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 失礼しました。  まず、サドル師派でございます。  度々申し上げて恐縮なんですけれども、非戦闘地域、これは特措法上の法律的な概念であると、こういうことを再び念頭に置いていただいて聞いていただきたいんでございますけれども、ある行為がイラク特措法に言う戦闘行為に当たるかどうか。これは、国又は国に準ずる者同士が国際紛争の一環として人を殺傷し、物を損壊する、こういうことで、その際に判断要素としてよく言われております計画性、継続性、相続性、国際性等があるわけですが、これらを総合的に判断して、非戦闘地域であるというふうに、戦闘行為が行われてない地域であると、こういうふうに申し上げているわけでございます。  その上で、サドル師派ということについて申し上げますと、長くて済みませんが、イラク・シーア派、イスラム教の一部の武装組織を有するものと考えられております。そういうことを考えていきますと、主権国家に準ずるような実態を有しているものではないと判断されるものであります。  また、ザルカウィ・グループでございますが、これはアルカイダ系統ということでございますけれども、言わば同法、イラク特措法の第二条第三項の規定に基づきまして、活動を実施する地域について、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される期間の、活動の期間を通じて戦闘行為が行われてない、こういうことを我々は判断していかなきゃいけない、これはもう先生御存じのとおりであります。  そこで、ザルカウィ氏、ザルカウィ氏の組織につきましては、必ずしもその実態は明らかでないわけでありますけれども、自衛隊イラク特措法に基づく活動を実施していない地域において、国又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いの一部を構成する、先ほど申し上げました人を殺傷し又は損壊する行為、すなわち戦闘行為が行われているかどうかについては確定的にお答えすることが困難である、これはもう冒頭から、非戦闘地域というのはこうだと、こういうもんだと、こういう判断の下に申し上げているところでございます。
  164. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 長官、この質問になると大変答弁長くなりまして、残り七分で五分しゃべられると何のボールも返せなくなってしまうんですが、答えはよく分からないんで、またこれやらなきゃいけないですね。そうすると、また、おまえしつこいじゃないかと言われるんですが、これ次期通常国会も私やりますから、これは。  というのは、このザルカウィ容疑者グループに自衛隊がねらわれる可能性があるんですよ。長官のそのような答弁しかできない理由もよく分かりますが、私、だから自衛官の立場に立ったら、可能性のある組織が一体どういうふうに日本の法律上認知されているんだということをきっちり議論しないと、長官の下にいる自衛官のためにやっているんですが、どちらが自衛官のことを本当に考えているか分かんなくなってしまいますから、これはきちっと、現にザルカウィ容疑者グループ若しくはサドル派たちから自衛官が、現地の自衛隊が襲撃に遭う可能性があるわけですよ。それをこんなのらりくらりと言っておったら、これは大変、冒頭言いましたが、現地で汗をかいている自衛官に申し訳ない。これ、政治の責任ですからね。そのことのために私は次期通常国会もやらせてもらいますので、それまでには是非明確な御答弁をお願いをしたいと思いますが。  残り二分となりました。これは大臣でも吉川局長でも結構ですが、パレスチナの問題にどうしてもこの国会中に触れなければならないと思っていますので、一点お伺いします。  私の親友のアルヒンディーというパレスチナの代表部の一等書記官、若い外交官ですが、非常に優秀な若い青年ですが、彼とよく話をすると、やはりポイントはハマスが政治参加できるかどうかだということを我々よく議論するんですが、当然イスラエル、アメリカはハマスをテロ組織として、交渉相手としてみなしておりません。このような中において日本は、日本外務省は、このハマスというグループ、アラファトが亡くなりまして初めて今政治に参加する野心を見せ出しています。これは大変ターニングポイントだと思いまして、これチャンスだと思うんですが、彼たちがやはり武力攻撃、テロを始めとするそういった行動を捨てながら政治に参加していく方法を私は切って、断ってしまってはいけないと思っていまして、これ非常にセンシティブな議論かもしれませんが、このハマスという組織とこれからどう向き合っていったらいいんでしょうか。
  165. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 榛葉先生には、十一月十一日の本委員会におきましてもこのハマスの問題を取り上げられ、武力闘争の部分でないハマスの顔ということを重視してはどうかということをおっしゃいました。  御質問の部分にお答えしますと、今度新しくPLOの議長に就任したアッバースさんは、就任直後から、これまでの国際的にはテロ組織というふうに認定されておりますハマスとイスラミック・ジハードを含みますパレスチナの諸派間のイスラエル攻撃をやめろということを目指しながら、これらの勢力を政治参加させようという方向での対話を継続しておられます。私ども、この動きは大変歓迎すべき動きだと思っております。  今のところハマスは、一月の九日に行われますパレスチナ自治政府長官の選挙には参加しないと言っておりますが、十二月の二十三日から始まります地方選挙には参加するんだということを言っております。ですから彼らの、ハマスのこれからの動きというものは、先生御指摘のように我々としても十分注意、注目していかないといけないと思っております。
  166. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私が前回このハマスの問題、そしてアラファト、ポスト・アラファトの話、アラファトが亡くなった際にという話をしましたら、外務大臣が、まだ存命中のアラファトさんを亡くなったことを前提にしてお話をするのはどうかという話がありまして、全くおっしゃるとおりですが、その数時間後にアラファトが亡くなる結果となってしまいました。決して私はそのことを知っていたわけではないということを申しまして、質問を終わりたいと思います。
  167. 澤雄二

    澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  本日は、ミサイル防衛システム、それから先日の中国の原潜の領海侵犯、それから、前回もお尋ねをしましたが、米軍のヘリの墜落事故、この三点についてお話をお伺いしたいと思っております。  最初に、ミサイル防衛システムについてお伺いしますが、防衛庁長官にお尋ねをいたします。  先日、ワシントンに行かれましたときに同行の記者団に対して、迎撃ミサイルの防衛出動の手続、閣議それから安全保障会議等を省略してできるだけ早く対応するようにしたいという構想を話されていらっしゃいました。国会の場で改めて現時点での構想についてお話を伺いたいと思います。
  168. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ミサイル防衛は昨年十二月十九日の閣議で決定されております。既にその後、ミサイル防衛についての予算は十六年度から付いておる、本年度から付いておるわけでございます。七、八年掛けてこれを配備していく、こういう計画になっております。  ただ、ミサイル防衛という全く新しい分野の防衛でございますので、その運用方針をきちっとしておく必要がある、早くしておく必要がある、こういう思いでございます。そういうことはそのときの官房長官談話にもたしか入っていたと思うのでありますが、それじゃこの問題をどういう切り口で考えていくか、これはもう大変基本的な問題として我々考えておかなければいけないと思っております。  その切り口、一つは、これを武力攻撃事態における防衛出動と考えるのか、あるいは緊急避難、正当防衛と考えるのか、こういう問題も考えておかなきゃいけません。大事なことは、さらに問題点として民主主義、つまりシビリアンコントロールということをどういうふうな観点、切り口で考えていかなきゃいけないのか。それは、一つは手続をきちっとしておくということであり、最終的にはだれが責任持つのか、こういう切り口があるのではないか。  今現在、政府全体としてはいつこの法案を提出するのか、こういうことを決めているわけではありません。ただ、私、防衛庁長官としては、軌道に乗っておりますミサイル防衛について早くこの運用方針、これをきちっと定めて、御議論いただいて定めて明らかにしておくことが必要だ、その場合のポイントはシビリアンコントロールをいかに確保するか、その手続をどうするかと、こういう話をさしていただいたわけでございます。
  169. 澤雄二

    澤雄二君 確認をさせていただきますが、ワシントンの同行記者団の説明の中では、手続を簡素化をしたい、対応を早くしたい、そのために安全保障会議、閣議の手続を省略して決断する方法はないかという御説明をなさいました。それはお考えに変わりはありませんか。
  170. 大野功統

    国務大臣大野功統君) そういうふうに手続を簡略化したいのではなくて、簡略化しないと対応できない、こういう問題でございます。  先生よく御存じのとおり、ミサイルが発射された、恐らく十分から十二分ぐらいで日本の領土に、領域にミサイルが攻撃されてくる。そういう場合に防衛出動の手続、すなわち安全保障会議、閣議、そして国会の承認あるいは国会への報告、こういう手続をすべて取るわけにはいきません。したがって、シビリアンコントロールを確保しながら、安全保障会議、閣議等を開く、あるいは国会の承認というものをどう考えるか、こういう手続は簡略化せざるを得ない。したいのではなくて、せざるを得ないというところがポイントでございます。
  171. 澤雄二

    澤雄二君 分かりました。  今おっしゃいましたように、そうしますと心配されていることが二つあります。長官もおっしゃいました一つはシビリアンコントロール、一つは集団的自衛権であります。  そのシビリアンコントロールについては、長官も言われました五分という説もあります、十分、十二分という説もあります。この短い範囲内の中で、いわゆる指示をされた制服組だけではなくて、シビリアンがどういう判断をできるのかと、物理的に可能なのかと、それがシビリアンコントロールを守れるのかどうかという不安の議論の焦点でありますけれど、これについてどうお考えですか。
  172. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、どういう判定をしていくのか、こういう問題があるわけでございます。その際に、まず国際情勢の問題があります。それから、その当該国の意思表明の問題があろうかと思います。さらに、ロケットの撃つ、ロケットを立てるといいましょうか、そういう問題。そして、そのロケットに、ミサイルに、失礼しました、ミサイルに燃料を補給する、こういうことになってくると蓋然性が極めて高くなる。そういう問題を考慮しながら、手続としては、じゃその段階になったら事前にでも閣議なり安保の了承、事前了承といいましょうか、そういうことがやれないかどうか、これ、問題点の一つでございます。  それから、ホットラインで、ホットラインで連絡する、こういうことも一つ論点として挙げて考えておかなきゃいけないのではないか。  さらに、最終的に、発射されましたらそれは直ちに連絡、ホットラインで連絡すると同時に、迎撃ミサイルが発射された場合です、同時に、その責任は一体だれが取るんだろうか。やはり私はシビリアンが責任をきちっと取っていくべきではないだろうかと、こういう議論をしております。私自身とそのときワシントンで同行した記者との間でそういう議論をいたしました。
  173. 澤雄二

    澤雄二君 おとといの「報道二〇〇一」の番組、これ私が作った番組でございますが、ここで防衛庁長官は、そのホットラインの相手に総理若しくは防衛庁長官というふうにおっしゃいましたけれども、それはお考えの中にあると思ってよろしいですか。
  174. 大野功統

    国務大臣大野功統君) そういう考えの中にあるというよりも、私は、論点整理をして、そしてこれから議論して、そしてきちっとだれでも納得できるような、納得できるというのは、つまりそういう安全保障会議とか閣議とか、こういう手続をもう省略せざるを得ないもんですから、しかし省略しながらシビリアンコントロールを守っていく、だれでも分かる手続にしていく、こういう論点整理として申し上げているつもりでございます。
  175. 澤雄二

    澤雄二君 もう一つの皆さんが心配している点、国民が心配している点は集団的自衛権との絡みでございます。  これは、発射されたミサイルを迎撃したと、でもよく調べたら日本向けではなかったといったときに、集団的自衛権を逸脱しているじゃないかと。これはどうやって保障されるおつもりですか。
  176. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 当然の御指摘でございます。当然の御指摘でございますけれども、いわゆる大気圏内の、発射されまして、大気圏内のブースト、ブースター段階におきましては、これはどこへ飛んでいくのかまだ分かりません。したがいまして、その間にやっぱり発射するのは控えなきゃいけない、こういう問題が一つあろうかと思います。  それから、大気圏外へ出まして、いわゆるミッドコースへ入りましたら、その段階から要するにどこへ落ちていくかはっきりするわけであります。ブースター段階、ブースト段階から迎撃いたしますと、やはりそれは日本に来るのか、同じ方向ですから、まあ方向性は若干の角度があるから分かるんだろうと思いますけれども、日本へ落ちてくるのか、あるいはアメリカまで行ってしまうのか、これは分かりませんから、先生御指摘のとおりやはり集団的自衛権の問題が発生する、これはもうそのとおりでございますから、そのやはりミッドコースに入ってから、方向が分かって落ちていく地点が分かってから迎撃していくということであろうと思っております。
  177. 澤雄二

    澤雄二君 分かりました。ありがとうございます。  それでは、次に移ります。  先日の中国原潜の領海侵犯でございますけれども、十日の早朝に国籍不明の原子力潜水艦が領海侵犯を確認されたと。防衛庁長官のところに六時半ぐらいに報告があった。海上警備行動が発令されたのが八時十五分、この間、二時間十五分で、八時四十五分、二時間十五分掛かっています。この時間についてはもう国民の皆さんが、国を守るという視点からいったら余りにも掛かり過ぎだと、皆さんそう思っていらっしゃると思うんですが、改めて外務大臣防衛庁長官に感想をお聞きしたいと思いますが、手続の話は度々聞いておりますので率直な感想だけで結構でございます。
  178. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、これは海上警備行動、警察行動であります。防衛出動ではありません。したがいまして、分かった段階でできる限り早く発令をして、それを明快にしていく必要があるんだなと、これは私、感じております。  それから、ただ潜水艦、潜っている潜水艦ですから、いつ、いつ領海に侵入してくるのか、これは大変難しい問題であることは御理解をちょうだいしたいと思います。
  179. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、大野大臣言われたようなことで、なかなか難しいことなんだろうと思います。  したがって、これ慎重な手続を踏んで対処したんだろうと思いますけれども、今、澤委員おっしゃったように、それは時間が掛かった、掛かり過ぎじゃないかと言われりゃ、まず直観的にこれは、それはそうだなとだれしもが思うところだろうと思います。その辺を今関係方面で検証作業中でございます。  したがって、よく検証して、やっぱり速やかな改善策を講ずるということが多分求められることになろうかと思いますので、そういう姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
  180. 澤雄二

    澤雄二君 ありがとうございます。  それで、内閣官房にお伺いいたしますけれども、十日から二十日たちました。三週間であります。もう多分いろんなことが検証され、検討されたんだと思います。事は国の安全保障にかかわることで、場合によったらあしたにでもまた同じことが起きるかもしれないんで、できるだけ早く検討を進められているんだと思いますが、これまでのところどういうことを整理されたのか、どういうことを改良すればいいと今考えられているのか、お話しになれる範囲でお聞かせいただけますか。
  181. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) お答えをいたします。  政府といたしましては、位置の特定が難しい潜水航行中の潜水艦に対しまして慎重に必要な手続を踏んで対処してまいったわけでありますけれども、この点につきましていろいろな御批判があることも承知をしているところでございます。  その中で、例えば防衛庁からの連絡を受けた後、情報収集、事実確認の上、海上警備行動の要件を満たすか否か、また発令した場合にどのような措置を講じ得るか等について慎重に確認、検討を行ったところでありますけれども、これらの手順をより効率的に行い得る余地もあるものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、危機管理体制につきましては不断の見直しが必要でありまして、反省すべき点については速やかに必要な改善策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  182. 澤雄二

    澤雄二君 期待をしております。できるだけ早く次の機会には判断ができるようにお願いをしたいというふうに思っております。  防衛庁長官にお伺いをいたします。  平成十年ぐらいから東シナ海において中国が海洋調査というのを頻繁に行っております。これは、もちろん名目的には科学調査ということで海洋調査を行われているわけでございますけれども、この海洋調査、実は簡単に軍事に転用できると、場合によったら潜水艦の航路もそれによって測量することができるということについての御認識は、防衛庁長官、どうでございますか。
  183. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 御指摘のように、中国の民間船あるいは軍に所属する調査船が日本の近海に現れて調査をしているということは事実でございます。  それで、その調査の内容について、音波を発したり、いろいろな行動をしておりますが、私ども一定のいろいろ技術的な推定はいたしておりますが、中国側の方が明確に目的をその軍用というふうに明らかにしておりませんので、それについて明確な言及は避けさせていただきますが、私ども常に注意をして監視活動を行っているところでございます。
  184. 澤雄二

    澤雄二君 これは軍事に転用される、若しくは軍事目的で海洋調査を行っているということは、ほぼそうだろうと常識的に思われていることでございますけれども。  一つお尋ねをしますけれども、平成十年から十三年、場合によっては十四年ぐらいまで急激に東シナ海での海洋調査が増えております。十三年から事前同意を求められるようになっています。十五年、東シナ海はゼロであります。そして、十六年から、今年度でありますけれども、太平洋、鳥島近辺での海洋調査が急速に増えています。こういうことについては当然、防衛庁も先刻御承知のことだと思いますけれども、一つお尋ねをしますけれども、十年から十三年若しくは十四年までにわたって東シナ海の海洋調査が頻繁に行われていたのが、十五年、突然ゼロになった。まあ終わったと考えるのが自然だと思います。そうすると、もしかしたら中国の艦船若しくは潜水艦、原子力潜水艦がこの近海に現れるかもしれないぞというような対応若しくはシミュレーションをされたことはありますか。
  185. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 先ほどもお答えをいたしましたように、私どもといたしまして中国側の意図が必ずしも明確でないということは認識をいたしておりますが、それを前提に一定のシミュレーションをしたということはございません。ただ、先日もP3Cが中国の原潜を発見しましたように、常に警戒監視活動は怠らないようにしているところでございます。
  186. 澤雄二

    澤雄二君 今の防衛局長答弁でも皆さん推察をされたと思いますけれども、多分そういう考え方とそういうシミュレーションがなかったために今回いろんな不手際が起きたんではなかろうかというふうに思います。P3Cの行動についてもいろいろ聞きたいことはありますけれども、今回はそれは除きたいというふうに思います。  現在、今年度から鳥島近辺での海洋調査が非常に増えております。今度、これが終わったときに、今度はこの近海に現れるかもしれないんで、それだけちょっと御忠告を申し上げておきたいというふうに思います。  それでは次に、前回お尋ねをしましたけれども、米軍ヘリの墜落事故について改めてお尋ねをいたします。  前回お尋ねをしましたときに、墜落した米軍ヘリがストロンチウム90を積んでいたと。そのストロンチウム90が出す放射線量についてはほぼ人体に影響がないという認識外務大臣もお持ちでございましたけれども、ストロンチウム90そのものについての危険性については余り認識をお持ちでなかったという答弁でございました。  そこで、今回、資料を配らせていただきました。日本大百科全書、それから岩波の理化学辞典というものの二つに書いてあるストロンチウム90の記述でございます。日本大百科全書によりますと、途中から読みますが、「大気中に放出されたものが人体に入ると、」、ストロンチウム90ですが、「カルシウムとともに骨に集まり、長期にわたって造血臓器を冒すことになるので、人体にとってはもっとも危険な放射性核種の一つである。」というふうに書いてありまして、ストロンチウム90、これが例えばヘリの墜落のショックで粉じん化して微粒子になった、それが体内に入ると、ここに書いてあるように大変危険な状態になるわけでございます。  あのヘリのローターには六つのカプセルが収められていました。五つは回収されましたが、一つは回収されていません。それで、前回の質問のときにもお見せをいたしましたけれども、これは事故直後の新聞の記事の写真でございますけれども、(資料提示)いろんな防護服を着て米軍が現場検証に当たっております。全部マスクを付けています。これは遠くからごらんになれないかもしれませんが、この写真によると、酸素ボンベを背中に負っています。つまり、これは外部の空気は全く体の中に入れないぞという鉄壁の守りでもって現場検証をしております。  これは、外務省のこれまでの説明によりますと、漏れた油に引火してヘリが爆発するかもしれない、若しくは隣の建物が壊れてくるかもしれない、それから身を守るために防護服を着ているんだというような御説明でございましたけれども、だれもそうは思わないだろうというふうに思いますが、肝心なのは、米軍はこれだけ完全防護で現場検証を行っていた。ところが、事故直後、消火に当たった消防署員、警備に当たった警察官は、この事実を全く知らされていませんから命をさらして無防備でその任務当たりました。  この事実について再びお尋ねしますけれども、外務大臣、どういう感想をお持ちですか。
  187. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今、澤委員がおっしゃいました防護服の件につきまして、ちょっと事実関係を御答弁させていただきたいと思いますけれども、これは我々が考えているということよりも、八月二十七日に米軍がバックグラウンド・ブリーフィングを行っておりまして、時間の関係で詳しくは申しませんけれども、米側によりますれば、この事故現場において米軍が御指摘の防護服を用いて行ったというこの防護服は、米海軍及び米海兵隊がこのような事故が発生した際には全世界的に行っているというものでございまして、今回の事故に限られた対応ではないということ。また、今おっしゃいませんでしたけれども、ガイガーカウンターを使っていたということも大分報道されましたけれども、これも一部の航空機やヘリコプターの残骸を検査する際には使用される標準的な検査機器の一つであるということを米側は説明をいたしております。  また、私がこの前、澤委員の御質問に対しまして、私の方から米側に対してこのような問題について照会をしていたということを御答弁申し上げましたけれども、ちょっと舌足らずでございましたので補足をさせていただきますと、一部の報道で事故機に劣化ウラン弾が積んであったのではないかということが報じられたものですから、その件につきまして私の方から、これがもし本当ということであれば、これはやはり調査の上、明らかにすべきだということを申し入れたということでございまして、このストロンチウム90のことが頭にあったわけではございません。  また、この問題、ストロンチウム90を含みまして何か特定の有害物質が積載されていた、あるいは使われていたということが具体的に認識にあってそういうことを米側に照会したということではございませんので、そこはちょっと訂正をさせていただきたいと思います。
  188. 澤雄二

    澤雄二君 今局長が説明されましたバックグラウンド・ブリーフィング、このときにはまだストロンチウム90のことは米側は発表していません。だから、そういう事実との関連で言うわけがないんであります。  それから、ガイガーカウンターというのは、今おっしゃいましたけれども、間違いなく放射線量を測る機械でございますから、そういう危険性がなければ使うことはないだろう、それは間違いなくストロンチウム90のために使われたんだろうと、だれもそう今では思いますよね。  それで、僕がお聞きしているのは、つまり、ストロンチウム90というのはそれぐらい危険性があったにもかかわらず、日本の消防署員、警察官は全く無防備でその任務に当たらざるを得なかった。三週間知らされなかったわけです。この事実についてどう認識をされておりますか。どう考えておられますか。できれば外務大臣にお答え願いたいですが。
  189. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変に遺憾なことでありまして、連絡が遅れたということ、今委員御指摘のような、人体、生命の危険ということが、確かにこの辞書ですか、百科事典を見るように、大変危険な放射性の物質であるということであるわけでありますから、こうした点について速やかに通報がされなかったのは本当に誠に遺憾なことであると思います。  したがって、こういうことがあるものですから、きちんとした事故発生時における連絡通報体制をしっかりやらにゃいかぬと、改めて今回それを確認したものですから、今、それに関する特別分科委員会ができて、その検討を鋭意進めているということで、事態の改善を今後図っていかなければいけないと。いや、別に事故を予想しているわけじゃありませんが、万が一、事故があったときでもきちんと対応できるようにしなければいけないと、このように考えているところであります。
  190. 澤雄二

    澤雄二君 是非、軍の機密その他の壁に負けないで、日本国民の命を守るためにきちっとした交渉をしていただきたいというふうに念願をいたします。  防衛庁長官にお尋ねをいたします。  墜落をしました米軍のヘリの同じシリーズといいますか、姉妹機といいますか、海上自衛隊が岩国基地に十機持っていらっしゃいますね。MH53E掃海・輸送用ヘリコプターでございますが、これはその事実はございますか。
  191. 大井篤

    政府参考人大井篤君) お答えします。  今御指摘のありましたMH53Eでございますが、十機、岩国の方で保有をしております。
  192. 澤雄二

    澤雄二君 これ、同じシリーズでございますので、同じようにストロンチウム90は検査用のために搭載していますか。
  193. 大井篤

    政府参考人大井篤君) MH53Eにおきましても同様にストロンチウム90がございます。
  194. 澤雄二

    澤雄二君 基地内での管理はどのようにされていますか。
  195. 大井篤

    政府参考人大井篤君) ストロンチウム90の使用でございますけれども、これは放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律というのがございまして、その法律に基づく届出を行いまして、この法令に基づきましてストロンチウム90を適切に管理をしているということでございます。
  196. 澤雄二

    澤雄二君 それでお尋ねをいたします。  こういうことがあってはならないのでありますけれども、万が一、不測の事態でこのヘリが市街地に墜落をするというようなことがあれば、同じような、米軍のヘリの墜落と同じような危険性が住んでいらっしゃる市民、それから消防、警察官に対してあると思いますけれども、防衛庁はどういう対応をされようとしていますか。
  197. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) ただいま申し上げましたように、ストロンチウム90を厳格に管理しているところではございますけれども、防衛庁では特別の制度を定めまして、万が一、事故等がございまして危険が発生した場合には、放射線障害を防止するため、付近の住民に直ちに警告を発したり、それから警察や消防等の関係機関にも迅速に通報して遺漏なきを期すことをしております。
  198. 澤雄二

    澤雄二君 ありがとうございます。  先ほど、ミサイル防衛システムのところで防衛庁長官一つ質問をし忘れました。失礼をいたしました。  改めてお聞きしたいと思いますが、現在、日米間でミサイル防衛について、技術について共同研究が行われています。その日本の、具体的に日本技術協力によって今後のBMDの能力向上に今どのように貢献しているのか、どういう開発が一番進んでいるのか、お聞かせ願えますか。
  199. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 現在、日米間で行われております共同技術研究でございますけれども、より将来的な迎撃ミサイルの能力向上を念頭に置いております。こういうことを念頭に置きながら、我が国防衛に万全を期するということで引き続き推進していくことが大切だと思っております。  BMDシステムに関する技術というのはもうその進歩の速度が物すごく速いもんですから、より確実に迎撃を行い得るような能力向上、これが大切な問題であります。弾道ミサイル技術の拡散、向上等にかんがみれば将来に備える必要がもう絶対的にあるわけでございまして、このために我々としましては日米共同技術研究などを通じてBMD能力の向上に継続的に取り組んでいきたい、このように思っているところでございます。
  200. 澤雄二

    澤雄二君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  201. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 北朝鮮問題について質問いたします。  町村大臣は、冒頭ここで報告されたように、ビエンチャンの会議ASEAN中国、韓国のカウンターパートと会談してきたばかりでありまして、そこでは、先ほど報告にありましたけれども、六者会合早期開催を含めた核問題の平和的解決への取組及び拉致問題の真相究明重要性について参加国の理解協力を求めたとの報告を聞いたばかりです。  大臣はその現地での記者会見で、六者会合の年内開催を目指すとともに、正式協議の前段階として実務者協議や非公式協議、これらを含めた柔軟な対応をしていくと述べ、形式にこだわらずに協議を継続していくことを示されたと思います。  韓国のKBSニュースは二十五日、韓国政府高官の話として、六者会合の非公式会合が来月十五から二十三日の間に北京で開かれる見通しだとも報じております。そういう可能性など、六者会合に向けた開催の見通しについて大臣にお伺いいたします。
  202. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっと先に事実関係だけ申し上げておきますが、韓国の方から正式の会議にこだわらずにというような発言は確かに三大臣会合のときは出ましたが、私の方からは言っておりませんので、それはちょっとあれさせていただきますが。  六者協議の開催の見通しといいましょうか、可能性というお尋ねでございます。  これは私ども、私が出ました外相レベルの話、さらには首脳レベルの話、それぞれの中で、またこれは今回のASEANプラス3以外でも、APECの場ででもそうなんでありますけれども、結論はいつも本当同じでありまして、無条件で可及的速やかに北朝鮮はこの六者協議の場面に戻らなければならないということを合意をしているところであります。  そういうことで、それぞれ個別に様々な形でアプローチをしているところであります。外務省としても、例えば米大統領選挙が終わった直後に、御承知のように薮中局長を団長とするピョンヤンの第三回目の協議の場で金桂冠氏にこれを働き掛けている。中国は、あるいは韓国は、それぞれのルートで働き掛けをしているということでありますので、じゃ、いつどういう形でということを今断定的に申し上げるほど煮詰まっているわけではございませんけれども、私どもの期待、希望としては何とか年内に次回の会合が開けるようにということで、引き続きあらゆる方法で働き掛けをしていきたいと、かように考えております。
  203. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 六者協議の開催に向けた努力の継続をお願いしておきたいと思います。  今日は薮中局長が不在ですので、さきの日朝実務者協議で副団長を務められた齋木審議官にお聞きいたします。  政府は現在、今回の協議で得た情報や物証の精査を進めていくと思いますけれども、その目的というのは、作業を通じて新たに何が疑問として残るのか、新たに北朝鮮に問い直す、問いただす必要がある問題は何か、それを積極的に整理するということにあると思いますけれども、いかがでしょうか。
  204. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  先般、ピョンヤンで行いました第三回実務者協議でございますけれども、五十時間にわたる先方とのやり取りを通じまして、先方の説明を通じて得た情報、それからまた先方から提供があった様々な物的証拠を今政府関係省庁の間で手分けをして全力で精査をしておるところでございます。  今回、この精査で我々が目指しておる目的というのは、元々私どもがこの問題についていろいろなところからこれまで得てきました情報とそれから北朝鮮側から二年前にも受けた説明、それから今回受けた説明等々を突き合わせて、依然としてまだ不明確な点、不自然だと思われる点、説明がいま一つ納得いかない矛盾点等々を一生懸命今、整理しているところでございます。  いずれにしても、我々としては、その真相の究明、拉致問題の真相究明というのを全力を挙げて進めていかなきゃいけないと思っておりますけれども、どういう観点から今後どうやってこの真相究明を進めていくべきかということにつきましては、今正に進めております精査の結果を踏まえましてよくよく考えていく必要があろうかというふうに考えております。  いずれにしましても、まだその精査、途中段階でございますので、今の段階で具体的にどういう点なのかということを申し上げることは、申し訳ございませんけれども差し控えさせていただきたいと思っております。
  205. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 確かに、北朝鮮の説明には不明確な点が多く見られると思いますね。  先日、北朝鮮側の原敕晁さんに関する日本政府の説明内容が公開されました。それによると、北朝鮮は当初、死亡、原さんの死亡の経緯を肝硬変と説明していたわけですけれども、今回は食道静脈瘤の出血と訂正いたしました。その理由について北朝鮮は何か説明していましたか。
  206. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 確かに、二年前に私ども調査団を派遣いたしましたときの説明では病気、肝硬変という説明だったというふうに記憶しておりますけれども、今回、調査委員会を作って改めてその調査をした、その結果、原さんは肝硬変という診断を受けて入院し、治療を行っていたと、ただ、その八六年の七月の十九日に昏睡状態に陥って食道静脈瘤出血で亡くなったということを今回彼らの調査委員会の中での調査で確認されたと、そういう説明でございました。
  207. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 横田めぐみさんが死亡したという日時の問題でありますけれども、今回の再調査で横田めぐみさんの患者死亡台帳に記載された名前が後で書き込まれたものであるということが判明したということですね。これについて、北朝鮮側は、めぐみさんが入院していたという四十九号予防院には彼女の死亡を確認できる具体的な日時を覚えている者はいなかったと弁解しているそうですけれども、それでは、なぜ今回の死亡年月日を九四年四月十三日と特定できたのか、特定した人物はだれだと説明しているのか、お尋ねいたします。
  208. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 確かに、二年前に私どもの調査チームを出しましたときの先方の説明は、横田めぐみさんは一九九三年の三月十三日に亡くなったという、そういう説明でございました。  今回、実務者協議先方が説明した内容は、二年前の説明は誤りでしたと、二〇〇二年の八月ごろに北朝鮮関係機関の関係者が病院にやってきたと、それでリュ・ミョンスクさん、これは横田めぐみさんの北朝鮮での名前だというふうに説明がありましたけれども、リュ・ミョンスクさんのその死亡した日の確認をその関係機関の方から病院に求めたけれども、病院側では彼女の死亡を確認できる具体的な日時を覚えている人がいないということで、この関係機関の関係者が実は正確でない死亡日時を患者の入院退院台帳に書き加えて当時死亡台帳としたものであると、ただ、調査委員会で改めて調査を行った結果、九四年四月十三日に亡くなったんだということが確認されたという、そういう説明でございました。
  209. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 答弁は簡潔で、たくさん聞きたいと思いますので。  死亡日や死因など、重要な問題について交渉のたびに変わるということ、これもやはり、やはり不可思議なことだというふうに思うんですね。ですから、やはり徹底究明が非常に大事だなと思います。  めぐみさんのものだとして今回北朝鮮が出してきた第六九五病院の百九十ページにわたるカルテについてですけれども、薮中局長は、信憑性のある、信憑性がある心証だと述べられました。  そのカルテには担当医師の署名などはあったんですか、なかったんですか。
  210. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) カルテ、確かに現物私ども向こうで預かりまして、それをコピー取りまして、精査は今しておりますけれども、今その内容について、どういう内容が書いてあるのかということについてはちょっと、申し訳ございませんけれども、今日の段階では差し控えさせていただきたいと思っております。
  211. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 市川修一さんについてもお聞きしますけれども、北朝鮮は、市川さんの死亡について、七九年九月四日にウォンサン市のソンドウォン海水浴場で心臓麻痺により水の中に沈んで死亡したと説明しております。そもそも海岸からどのぐらいの地点で心臓麻痺を起こしたかという説明しているんですか。
  212. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 今お尋ねのように、市川修一さんの死亡についてそういうような説明がございましたけれども、むしろ死亡した当日の水温ということよりも、最高気温が当日は二十二・五度であったということで、必ずしも高くはなかったけれども水は冷たくなかったということで、泳いでいる人は少なくなかったという、そういう説明がございました。
  213. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その地点について説明はありましたか。
  214. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) いろいろと我々の方で先方の説明に対して納得のいかない点というのは当然向こうに対して質問を集中して投げ掛けました。
  215. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ソンドウォンは遠浅の海水浴場という指摘があるんですね。具体的にどのくらいの遠浅なのかを私調べてみました。  韓国の新聞の中央日報の、これは二〇〇〇年の十二月の二十九日付けにはこの海水浴場の特徴が詳しく書かれているんですね。それによると、約四キロにわたる白浜で、海岸から百メートル先に行っても水深が一・五メートルから深くて二メートルにしかならないというところだという、あります。  本当に市川さんが心臓麻痺で水の中に沈んだというなら、それこそ海岸から百メートル以上離れた地点まで行かなければ水の中に沈むということは不可能ということになると思うんですね。そんなことじゃありませんか。
  216. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 今委員お話しになりました点について、私どもも当然納得のいかない点として先方との間でいろいろとやり取りをした中に含まれている点でございます。説明に対する私どもとして納得した答えが得られたというふうには思っておりません。
  217. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 こんな遠浅の海水浴場で、しかも泳ぎ、泳ぎが苦手で好きでない市川さん、正確に言えば拉致された当時そうだった市川さんが、わざわざ百メートル以上離れた水の中に沈むほどの地点まで行って心臓麻痺を起こすということはやはり考え難いわけですね。  不可解な点はまだありまして、北朝鮮は、市川さんが死亡したとされる当日の水は冷たくなかったと説明して、今話がありました。それでは、当日の海水浴場の水温、気温じゃなくて水温は一体何度だったと説明しているんですか。
  218. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) その点については特段の説明はございませんでした。
  219. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 心臓麻痺というのにですね、水温の説明がないのも不可解だと思うんですね。  それで、気象庁が提出した当日のウォンサン海域の海面水温を示した資料があります。気象庁の説明では、当日の水温は二十二・五度だったといいます、水温ですね。同時に、当日の陸地の気温について朝鮮半島の気象データを持つ韓国の気象庁に私の方で尋ねてみました。韓国の気象庁の資料によると、ここに資料があるんですけれどもね、ありますけれども、これによると、当日のウォンサンの気温は最高が二十二度、最低が十四度、平均気温は十八度しかなかったというわけです。  陸地の気温が平均十八度しかなかったことと比較すると、当日は二十二・五度ある水の中の方が陸地よりも温かかったということにもなるわけですね。このような状況をもって果たして心臓麻痺を起こすということあるんでしょうか。不思議だと思います。
  220. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 正に今委員がおっしゃったようなことも含めて、私ども非常に不可解であるなということはたくさんございまして、この件につきましても、そういったことも踏まえて先方との間でいろいろとやり取りをいたしました。  先ほど申し上げましたとおり、私どもとしては先方の説明に対して納得がいったというふうにはいまだに思っておりません。
  221. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 調査団は今回海水浴場の出納係員から事情を聴取したと伺っております。その人物が本当に当日その場にいた人なのかどうかということを、本人しか知り得ない事実を突き付ければ検証できると思うんですね。  例えば、韓国の聯合ニュース二〇〇一年七月十日付けによると、北朝鮮では一時期水着を着た男女が一緒に泳ぐことを禁止するために海水浴場を男女を区別していたと、そういう時期があるわけですね。それに加えて、ソンドウォンのように有名な場所では、外国人専用の海水浴場を別に設けて国内の人間と分けて使わせたりしたということがあるわけです。ですから、その出納係員が本当にその当日にその場にいた人物かどうかは、こうした状況と得た証言を照らし合わせれば判断が可能だと思うんですけれども、いかがでしょうか、その点は。
  222. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 私どももいろんな問題意識を持って、この件の真相究明に引き続き努めてまいる予定でございます。
  223. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはりいろいろな疑問点があると思うんですね。  それで、本日私が指摘した、非常に限られたものですけれども、こうした点なども含めてやはり徹底的な精査をしていただきたいと思います。そして、その新たに北朝鮮に当然問いただす必要がある問題出てくると思います。それを整理して、引き続き日朝協議を継続しながら真相の全容解明に当たってほしいと、そういうように希望するわけですけれども、その点、お伺いいたします。
  224. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 冒頭申し上げましたように、今精査の真っ最中でございますけれども、精査の結果を得た上で今後どういうふうに取り進めていくかにつきましては、大臣ともよく御相談をして検討してまいりたいというふうに思っております。
  225. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、町村外務大臣にお尋ねいたします。  やはり不十分ながらも今回資料それから幾つかの情報があった。しかし、その中には不自然な話もいろいろある。しかし、そうしたことを今政府が全力を挙げて精査しているわけですね。そして、今審議官からお話があったように、それについて北朝鮮に当然問いただしていくべきこと、そろってくると思うんですね、時間の経過とともに。  私は、そうした中でやはり改めて真相の全容解明のためには次の協議が必要になってくると思いますけれども、その点について大臣のお考えをお伺いいたします。
  226. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今審議官からるる御説明をいたしましたように、よく合点がいかない面、不明な点あるようでございますが、いずれにしても、今資料の精査中ということでございます。それをできるだけ早くまとめまして、その上でどういう対応を取っていくのかということについては改めてよく議論をし、また関係方面、これは外務省以外の役所も関係をするわけでございますので、相談をしながら最も適切な対応を取っていきたいと、かように考えております。
  227. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 北朝鮮に対する経済制裁せよという声が現実にあります。  しかし、大事なことは、経済制裁によって北朝鮮との対話の道を断ち切ってしまうならば、今るる話があった拉致問題の真相究明がどれだけできるのかできないのかという、そういう問題にもなってしまうと思うんですね。やはり私は、今政府が全力を挙げて進めているその調査、精査、それをやはり疑問点、不可解な点、それをやはり北朝鮮側にやはり真っ正面からぶつけて、新たな回答を得て真相の解明を進めていくというステップがどうしても協議の継続の中で必要だと考えております。それがやはり、今回得られた、限られたとしても得られた情報の精査を生かす道であると、そう考えております。つまり、拉致問題の解決を進めていくためにもそういう道が必要であって、経済制裁の道はその解決を閉ざしてしまう可能性がある、そのことを申し上げたいと思うんです。  それから同時に、日朝協議と六者協議は車の両輪だと思います。これは、私、以前質問させていただいたことがあります。  冒頭、大臣報告されたように、六か国協議関係国との合意に、もし経済制裁ということになるならば、私は逆流を持ち込むことになると思うんです。そもそも、第一回六か国協議の議長の総括で、参加国が合意いたしました平和的解決のプロセスの中で状況を悪化させる行動を取らないという合意があるわけですし、今日それが生きているということも政府は認めているわけです。  また、北朝鮮に対する食糧人道支援を打ち切るべきだという議論さえあります。これは、FAOを始め国連諸機関が人道援助という枠組みで決めて、アメリカ、EU、ロシアなどの政府、その他たくさんありますけれども、政府とともに進めているものです。こうした中で、仮に日本が人道食糧支援を打ち切ったり経済制裁を進めることになるならば、日本の国際的な立場、信頼性を損なうということになりかねないと思います。  したがって、私は、北朝鮮との対話、実務者協議の継続を通じて真相究明を迫っていくこと、このことを政府に、また町村外務大臣に強く求めたいと思います。  ちょうど時間になりましたので、これで質問を終わります。
  228. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 名護市辺野古沖で防衛施設庁が実施している海底ボーリング調査との関連で環境省にお伺いいたします。  世界自然保護会議の第三回会議が去る十一月十七日から二十五日までタイのバンコクで開かれました。この会議で、同二十五日、財団法人世界自然保護基金ジャパンが日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全について勧告を提起いたしました。これに対して、参加政府のうち賛成が七十、反対四、棄権が四十二でした。一方、NGO側は、賛成百八十五、反対二十二、棄権二十四の圧倒的多数で勧告は採択されました。  世界自然保護会議の勧告は法的な拘束力はありませんが、国際条約と同等の重みがあると言われています。しかも、今回の勧告は二〇〇〇年十月の勧告に続くもので、世界自然保護会議は、名護市の辺野古海域や沖縄本島北部において過去四年間、ジュゴンなど希少野生生物保護に有効な保全策がほとんど取られていないので、改めて勧告を本会議検討したとコメントしています。  そこで、環境省にお伺いします。四年前の勧告を受けて、政府としてはジュゴンなどの保護策をどのように取ってこられたのか、また今回の勧告をどのように受け止めておられるのか、お伺いします。
  229. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 環境省としては、これまでジュゴンについては、十三年度から沖縄本島海域全域で保護対策を検討するための調査としてジュゴンの生息調査を実施してきたところでございます。それから、漁網に混獲された場合が多いので、レスキューマニュアルの作成、普及啓発などを行っております。  ノグチゲラについては、種の保存法に基づく保護増殖事業計画を策定し、生態状況のモニタリング等を行っております。また、鳥獣保護区の設定について検討を行っております。  ヤンバルクイナについては、種の保存法に基づく保護増殖事業計画を策定し、また、マングース、ノネコなど外来種生物対策事業等を実施してきているところでございます。
  230. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この第三回会議は本勧告案の採択に当たって、海底ボーリング調査に関連して日本政府に対し具体的に、ジュゴン生息海域における軍民共用空港建設計画に関する環境アセスメントでは、最初からやり直しを含めて代替案を検討し、またボーリング調査、弾性波探査などの事前調査環境アセスメントの対象にすることを要請しています。また、米政府に対しては、沖縄の希少な野生生物の生息地における米国の基地建設について、米軍の環境管理に関する基準に基づいて日本政府との間で環境保全、野生生物保護の観点を協議することなどを要請しています。  これらの要請に対して米国政府は、この勧告案の提出者の種に対する危惧について共感し尊重するとして、米政府は普天間飛行場の移設先に関して包括的かつ透明性のある環境影響評価を行うことに対してコミットしていくつもりであると、もし日本政府が要請するならば環境アセスメントに協力する準備があると発言したと報じられています。一方、日本環境省は、議論されていない問題点も認識の異なる点もあるので、環境省として修正案を提出したいと述べたということであります。  そこで、環境省にお伺いしますが、どんな修正案を提案されたのですか。
  231. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 勧告の前文部分について、ジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの保全のために調査研究や保護対策を講じていること、普天間飛行場代替施設建設については環境影響評価の手続を開始したことなど、これまでの政府の取組内容について盛り込むよう、十一月二十五日の全体会議の場で修文を提案し、認められたところでございます。
  232. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いいたします。  本勧告案に対して投票にかけたところ外務省は棄権なさったと報じられていますが、それは事実ですか。事実とすれば、棄権した理由をお聞かせください。
  233. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 採択に当たって外務省は棄権をいたしました。  この勧告は、普天間飛行場代替施設の建設予定区域におけるジュゴン等々の、ジュゴン、それからヘリ、米軍ヘリ着陸帯移設事業予定地におけるノグチゲラ及びヤンバルクイナを保護するための建設計画の中止の可能性を検討、を含む環境アセスメントを行うということを日本政府に求める内容でございました。政府としてはこれらの三つの、三種の保全のためにこれまで様々な調査研究や対策を行ってまいりました。また、これら施設の建設に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うという方針を既に決定をし、環境アセスメントの手続に着手をしているところでございます。  こうした政府の方針を踏まえまして、IUCNの会議の期間中、外務省環境省とともに勧告案の内容につきまして関係者と協議を行いましたが、残念ながら調整が調わなかったため、採択に当たっては棄権をしたということでございます。そういう意味で、勧告の中に我が方政府の取ってきた措置や考え方が反映されなかったということは、残念な結果になったわけであります。  政府といたしましては、今後とも、これらの施設の建設に当たっては自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を今後行っていく所存でございます。
  234. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 環境に影響を与えないように、あるいは最小限の影響でという趣旨のことをおっしゃっておりますが、外務大臣は御存じかどうか知りませんけれども、この辺野古地域は、沖縄県が三年、四年くらい掛けて環境調査をした結果、現状のまま保全すべき第一位にランク付けしているところでありますよ。ですからそこを、そこに巨大な施設を造るということは、アメリカの会計検査院の報告書をごらんになるとお分かりになると思いますが、環境破壊のおそれがあるということははっきりと書いているわけなんですね。  ですから、県が作った条例にも違反するような形でそれをやっていくと、これから県の環境政策というのは実施できないという懸念があるわけですから、その辺、是非お考えいただきたいと思います。  それから、世界自然保護会議の勧告に対する日本政府の窓口は外務省ですけれども、今申し上げた点を含めて、今後どのように対応なさるおつもりでしょうか、外務省からお伺いしたいと思います。
  235. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今のは普天間飛行場代替施設の建設のお話だろうと思いますけれども、この代替施設の建設、それから北部訓練場、ヘリコプター着陸帯の移設につきましては、沖縄において米軍の使用する施設・区域が果たしております重要な役割に留意しながら自然環境に与える影響を最小限にとどめつつ実施するものでございます。特に、普天間飛行場代替施設の建設につきましては、この飛行場が市街地に所在していることもありまして、一日でも早く周辺住民の方々の不安を解消したいとの考えから建設事業に取り組んでいるものでございます。  政府といたしましては、今、大田委員がおっしゃいましたような、ジュゴン等を含む自然環境の保全の重要性を十分認識しているところでございまして、環境影響評価の結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  236. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛施設庁にお伺いします。  つい先日、二十九日に、沖縄県は那覇防衛施設局に対し普天間飛行場代替施設の環境影響評価方法書に対する意見書を提出したと報じられておりますが、防衛施設庁はこれにどう対応なさるおつもりですか。
  237. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 先般、沖縄県知事の方法書につきましての意見が那覇防衛施設局長に提出をされました。この知事意見のほかに一般の方々の意見等も踏まえまして、環境影響評価の調査手法などを最終的に決定をするという運びになりますが、最終的にその決定した上で環境現況調査を実施をするというふうに取り進めてまいりたいと考えております。
  238. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府は常々、地元住民の意見を十分によく聞いた上で地元協議してやるとおっしゃっておるわけですから、是非ともお言葉どおりにしていただきたいと思います。  先日、十一月四日の本委員会で普天間代替施設の建設費用についてお聞きしたところ、防衛施設庁から戸田施設部長が、埋立ては約三千三百億円だが、上物の部分などの経費は積算できていないと答弁されました。しかし、総額は一兆円を超すのではないかと言われている大きな工事ですから、全体の建設費用の見積りもないままに埋立て工事を進めるということはちょっと理解に苦しむところでございます。  本当に予算の総額は決まっていないのか、そしてこの予算は一体どの予算から出るんですか、防衛庁予算から出るんですか、それともSACOの別途予算というのがあって、そこから賄うおつもりですか。
  239. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 御指摘のように、建設工事費につきましては、いわゆる本体部分、これは三千三百億でございまして、いわゆる上物工事、これは米軍の専用施設と、それから民間空港としての機能も一部併せ持っておりますので、民間区域、それから滑走路等共同で使用する、そういった施設によって構成をされるわけでございますが、それぞれの内容や規模等につきましては米国あるいは沖縄県等関係機関と調整をする必要がございまして、現時点におきましてこういった調整等を了しておりません。したがいまして、いわゆる上物工事、大体三年程度私ども掛かると見込んでおりますけれども、その建設経費につきましては、こういった調整を了した上で内容、規模等が明らかになることに伴って実際の見積りがなされるというふうに考えております。  それから、こういった建設経費というものがどういう形で計上されるかということでございますが、これはSACO事業でございまして、今後政府全体として十分かつ適切な措置を講ずる、これは閣議決定における基本的な方針でございますが、関係機関と協議をしながら所要経費の額、計上の方法、こういったものを詰めていくということになろうかと思います。
  240. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今のお答えですと、まだその滑走路の長さも、上物にどういうものが来るかということも分からないという趣旨に聞き取れるわけなんですが、滑走路の長さとかそういうのも分からない時点で埋立ての費用に三千三百億掛かるというのは理解に苦しむわけなんですが、その辺いかがですか。
  241. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは、滑走路は二千メーターでございまして、それを含めてたしか二千五百メーター、七百メーターの規模の埋立てを行うというふうに承知をいたしておりますが、ただ、これは三千三百億のその経費の見積りというのは、私ども、かなりの精度を持ってやっているわけでございます。  ただ、現実問題として、先ほど来申し上げておりますように、上物工事につきましては、どういった内容の施設をどの程度の規模で建設をするかということがまだ固まっておりません。米国あるいは関係機関との調整を経た上で決まるということで、これは言わば見積りの精度として幾ら幾らというようなことを申し上げる段階にないということでございます。
  242. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 一兆円も超えると言われている、これは一兆円というのは、ただ素人が言っているんじゃなくて、専門家たちがいろんな論文の中に書いているわけなんですね。例えば、一兆五千億、関西新空港並みになるという論文もあるわけなんですね、現実に。ですけど、その一兆円も超える、今の財政難のときに一兆円も超えるような大きな工事をしようとするときに、最初から予算の規模も決めないでこういうことがやれるんですか、政府において。
  243. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは、市街地にございます普天間飛行場の移設・返還という、これは沖縄の県民の方々の負担をいかに軽減するかという中で組み立てられたプロジェクトでございます。私どもとしては、そういったその事業の推進必要性を強く感じつつ、できるだけ早く移設・返還が可能となるように鋭意努力をしているわけでございますが、その過程過程におきまして、どういったその事業をし、それに必要な予算がどの程度必要になってくるか、で、それはどういう格好で計上するか、これはその時期時期にそれを適切にその措置をしていきたいというふうに考えておりまして、現時点で、いわゆるその埋立てに要する三千三百億円以外に果たして幾ら掛かるというようなことを明示的に申し上げられる段階ではないということを申し上げているわけでございます。
  244. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それでは、改めてお伺いしますけれども、今県民の了解を得てという趣旨の御発言がございましたが、御承知のように、今県民は反対運動を起こしてずっと座込みしているわけなんですね。で、それを、その県民の意向を体して工事をやると絶えずおっしゃっているわけなんですが、それじゃ伺いますけれども、SACOの最終報告の趣旨に基づいて今の工事を進めると絶えずおっしゃっていますが、SACOの、今長官はその二千メートルから二千五百メートルという滑走路の長さをおっしゃったんですが、SACOの最終報告で言われている滑走路の長さは幾らですか。
  245. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 平成八年のSACO合意におきます、これは代替施設の形態も異なりますが、千五百メーターであったと記憶をいたしております。
  246. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 千五百メートル、実際は千三百メートルと明記されていて、その前後に百メートルずつの緩衝地帯を設けると書かれているわけですね。ですから、合わせて千五百メートルというふうになるわけですが、それを今の軍民共用なんてというのはSACOには全く書いてないわけです。埋立てというのを全く書いてないわけなんですが、前から私はSACOというのは一体これは条約ですか何ですかと、一方的に変えることができるんですかと何度も伺っているわけですから、その辺が非常にあいまいですが、改めてお伺いしますけれども、SACOは、SACOの合意というのは一方的に変えることができるんですか。例えば、埋立てなんて書いてないのに、埋立てが勝手にできるんですか。
  247. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは私どもの立場でお答えを申し上げるのは適当かどうか分かりませんが、委員御承知のように、当初のと申しましょうか、いわゆる平成八年のそのSACO合意からいろいろなその曲折を経て今日の普天間の移設・返還の枠組みというのができ上がったわけでございます。  で、そのSACO合意の形式的な、まあ手続といいましょうか、これはいわゆる2プラス2で決まり、さらに平成十四年の十二月における2プラス2で、その年の夏に、今の辺野古沖で私ども、今取り掛かっております代替施設の建設工事の基本計画を定めたわけでございますが、それを推進していくということが今申し上げた平成十四年の十二月の2プラス2で確認をされているということから、日米両国政府基本的な認識として、今のプロセスを進めていくことが最も現実的かつ確実な普天間の移設・返還の方法であるというふうな認識でございます。
  248. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後に、外務大臣に一問だけお伺いいたします。  去る十一月二十七日の地元紙によりますと、山崎首相補佐官は、懸案の普天間飛行場問題について返還に向けてアクセルを踏む必要があると述べ、米軍再編に伴う日米協議で新たな解決策を検討していくとの考えを示したとのことです。特に、山崎氏は、過渡的な措置として普天間飛行場を嘉手納の既存施設へ統合する案を示唆したということでありますが、外務大臣はこの点について御存じでいらっしゃいますか。そして、もし御存じでしたら、この普天間の嘉手納飛行場への移設ということについてどのようにお考えでしょうか。
  249. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 報道のコピーは拝見をいたしましたが、詳細は承知をしておりませんのでコメントをすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、先ほど施設庁長官が申し上げましたとおり、私ども政府としては、SACO最終報告や平成十一年の閣議決定、これに従って一日も早い移設を進めていくという基本的な方針には全く変わるところはございません。
  250. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  251. 林芳正

    委員長林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会