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南野国務大臣 まず、
民法の一部を
改正する
法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
中小企業が融資を受ける際には、経営者等が保証人となって、継続的に発生する不特定の融資債務を保証する根保証契約がしばしば結ばれております。そして、
現行法においては、根保証契約の
内容について何ら規制もないため、保証の限度額や保証期間の定めのない、いわゆる包括根保証契約が結ばれることも少なくありません。しかし、現在の厳しい経済情勢のもとで、個人の保証人が予想を超える過大な
責任の追及を受ける事案が多発しており、根保証契約の
内容を適正なものとするための措置を講ずる必要があるとの指摘がされております。
また、明治二十九年に
制定された
民法のうち、第一編から第三編までの
財産法部分は、片仮名、文語体の表記のまま現在に至っており、古めかしい用語や
表現も多数残されていることから、わかりやすい現代語に早急に改めるべきであるとの指摘もされております。
この
法律案は、これらの指摘にこたえるため、
民法の見直しを行うものであります。
この
法律案の要点を申し上げますと、第一は、貸金債務等について個人の包括根保証を禁止するなど、根保証契約の
内容に合理的な規制を加え、根保証をした個人の保証人が予想を超える過大な
責任を負うことがないようにしていることであります。すなわち、貸金等根保証契約において、極度額の定めのないものは無効とし、元本の
確定すべき期日についても、契約締結の日から五年を経過する日より後の日を定めたときは、その定めを無効とするとともに、その定めがない場合には、契約の締結の日から三年を経過する日に元本が
確定するものとしております。さらに、主たる債務者または保証人が
債権者から
差し押さえを受けたとき、破産手続開始の決定を受けたとき、または死亡したときも、貸金等根保証契約における元本が
確定するものとしております。
第二に、
民法を現代語化することであります。
民法の第一編から第三編までの片仮名、文語体で表記された条文を平仮名、口語体にするとともに、現在では一般に用いられることのない用語を他の適当なものに置きかえております。これらの措置によって、国民生活と密接な
関係にある
民法を、
表現や形式の面でも身近でわかりやすいものに改めることにしております。
以上が、この
法律案の趣旨であります。
次に、
債権譲渡の
対抗要件に関する
民法の
特例等に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
近時、企業金融のあり方について、不動産担保や個人保証に過度に依存した資金調達手法を見直す必要があると指摘されており、企業資産のうちこれまで十分に活用されてこなかった不動産以外の資産、具体的には、動産や
債権を担保
目的または流動化
目的で譲渡することによって資金を調達する
方法が注目を集めております。しかしながら、
現行法のもとでは、動産を活用して資金を調達しようとしても、動産の譲渡を第三者に公示する
制度が不十分であるという問題があります。また、
債権を活用して資金を調達する
方法についても、現行の
債権譲渡登記
制度においては、債務者の特定していない将来
債権の譲渡を登記することができないという問題があります。
そこで、この
法律案は、法人がする動産及び債務者の特定していない将来
債権の譲渡についても、登記によってその譲渡を公示することができることとして、動産や
債権を活用した企業の資金調達の円滑化を図ろうとするものであります。
この
法律案の要点を申し上げますと、第一に、法人が動産を譲渡した場合には、動産譲渡登記ファイルに動産譲渡登記をすることによって、
対抗要件を具備することができることとしております。
第二に、動産譲渡登記について、その申請手続や登記事項の開示
方法等の登記手続を整備しております。
第三に、法人が債務者の特定していない将来
債権を譲渡し、または当該
債権を
目的として質権を設定した場合にも、
債権譲渡登記ファイルに
債権譲渡登記または質権設定登記をすることによって、債務者以外の第三者に対する
対抗要件を具備することができることとしております。
なお、この
法律の
制定に伴い、政省令の
制定等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この
法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この
法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。