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生田参考人 日本郵政公社の
生田でございます。おはようございます。
今、幾つかの御
質問がありましたので、それについてお答えをさせていただきます。
まず、
今期の
決算をどう見ているか、それから、
中期経営計画の
目標は達成できるのかどうかという御
質問にお答えいたします。
今期の
決算、今
大臣からも御披露いただきましたように、
郵便は二十六億の赤の
予算であったのが二百六十三億円のプラスになった、それから、
郵貯は一・一兆の
利益の
目標に対して二兆三千億出た、それから、
簡保の方は
内部留保が三百二十四億減るということになっていたのが逆に四十一億円
積み増したということで、
数字づらだけ見ていきますと結構いいのかなというふうに思われるかと思いますが、実は私は非常に深刻に受けとめておる、まだまだこれからであるというふうに考えておるということをまず申し上げておきたいと思います。
それにしましても、
初年度、比較的
計画値を上回る
数字を
出し得たというのは、まさに
職員一同が
サービス業をやっているんだというふうに
意識をかなり思い切って変えてくれまして、我々は
サービス業、
真っ向サービスということで真剣に取り組んでくれた成果であろうと思います。初めは
民間的手法ということで非常に戸惑いを感じたと思うのですけれども、よく乗り越えて頑張ってくれたと思います。今お話ありましたように、
組合の方も
改革ということに対して志をほぼ同じくしてくれていまして、私は
パートナーシップ宣言というのをやったんですが、
組合もそれをバックアップしてくれている、こういう感じでございます。
結果はそうやって少しよかったんだけれども、厳しく見ているという要因を申し上げますと、
郵便の方はやはり基本的には
ITの進化、それから、
欧米では
独占分野ですから
欧米では見られない
メール便のところでの競争というふうなものがございまして、
売り上げが年々減ってきております。
したがいまして、この単
年度は、最初は思い切ったいろいろな
合理化をしましたからそれによる益が出まして黒になりましたけれども、毎年やるわけにはいきませんから、ことしもまた
売り上げは減るわけです。多分六百億から七百億ぐらい減ると思います。それをのみ込んでまた
黒字にしなきゃならないというふうな大きな問題を抱えておるので、これは四、五年先回りして数千億収入が減るという前提で
損益構造を
整備するというのが
構造改革なので、それへの
チャレンジはこれからであるという
意味で深刻に受けとめておる。
それから、
郵貯の方は、これも先ほど
大臣がちょっと触れていらっしゃいましたが、
信託運用益というのが一・二兆あるわけでありまして、これを引きますと一・一兆ということで、ほぼ
予算並みということでございまして、その
意味ではこれからの問題が大きい。
保険は、なるほど、
内部留保をほんの少々
積み増したが、
新規契約の伸び悩みということで、マクロとしては大きな問題を抱えておる、こういうふうなことでございます。
それで、
中期経営計画との関連でありますが、来年の十七
年度、十八
年度で
アクションプラン、
行動計画の二年目に入ります。今、それの策定の真っ最中でございまして、何とか
営業力の
パワーアップと
生産性の
向上というものでさらに
改善を求めようというふうな
努力の真っ最中でございます。私としましては、
中期経営計画の
目標としております、
郵便では四年間合わせて
合計五百億円の
利益を出す、
郵貯では四年で三・九兆円以上出す、
簡保では
内部留保の
積み増しを三千億以上やるという
目標は、よほど大きな与件の変化がない限り達成できるのじゃないか、達成しなきゃいけない、こういうつもりで
努力している次第でございます。
次に、
郵便の方が年々
売り上げが減っているのにどうやって
黒字化になったんだというお話でございます。
通常郵便物は前
年度対比二・三%減少いたしましたので、大変厳しい。これはまことに厳しいんです。特に一種、二種の方ですね、それから
メール便。ゆうパックはおかげで大体
最後の
事業庁の年から比べますと一〇%伸ばしたんですけれども、ほかは大変厳しい、こういうわけでございます。
それに対しまして、取り組んでまいりましたのは、とにかく
営業力の
パワーアップということで、
品質の
向上を図るというふうなことで、翌日
配達エリアをふやすとか夜の再
配達時間を一時間延長するとかいろいろな施策をいたしまして、
品質の
改善を図りました。
それから、
事業のあり方、組織、
要員配置、そういったものを役所型、
管理型から
事業型に転換いたしまして
営業力を
パワーアップするというふうな
営業の充実を図るということに加えまして、先行投資的なものも百六十億円やるということで
システム整備を図るというふうな前向きの面。
それに加えまして、いろいろな
生産性向上、ジャパン・ポスト・
システムと言っておりますが、トヨタのチームにいろいろ指導を得ました区分、
集配等の
効率化の運動、それがだんだん深まってまいりました。
そういったことや、調達のコスト、これは
事業庁最終年度、八千三百億円使っていますが、
対比二〇%は
合理化しようということで、
初年度は一三%ぐらい
改善しました。
初年度の秋まではもう
事業庁のときに決まっていましたので
効果が出なかったんですが、後半に
効果を出すことによって一三%
改善いたしました。そういったようなこと。
さらには、
組合との
協議を経まして、同意のもとに粛々と進めております
要員の調整、二年間で一万七千人やりますが、そういったものの積み重ねによりまして
初年度は黒に転じ得た。二年目にもそういったことを積み重ねながら
努力をしていきたいと考えております。
三番目の御
質問だったのが、
郵便事業の五千五百億円の
債務超過は、それじゃ、四年で解消できるのか。これは率直に申しまして無理であります。
これは、
中期経営計画のときは、
初年度は
赤字、二年目からほんの少々
黒字を
出し始めて、四年
合計で五百億円の
利益を出す、こういう
中期経営計画になっておりますので、
中期経営計画どおりということになりますと、
スタートが五千八百億円の
債務超過ですから、端数はありますけれども五千三百億円まで縮めればいい、こういうことになっているわけであります。
私の今の感度ではそれを少し上回りまして、何とか少なくとも五千億は切りたいなという覚悟で全員と
努力の真っ最中ということでございますが、
アバウトでいえばやはり五千億は残ると思うので、もし
民営化ということになるのであれば、これをぜひ、どういう
格好で消していただくか、賢明な
制度設計をお願いしたいと思います。
債務超過で
スタートし得る
会社というのはあり得ない、これは厳然たる事実であろうと思います。
それから、
過少資本問題、四番目のお問いでございましたが、〇・三%からことし一・一%になりました。だけれども、これには先ほど申しましたような
信託運用益も入っていますから、こんな
比率でふえていくわけではないわけであります。何が
適正資本かというのにはいろいろ御
議論があると思います。
公社化前には約十兆円じゃないかというのが、新聞を見ますと大体どのエコノミストなんかもおっしゃっていましたが、
公社法ではそれを約七兆円と見ているわけですね。
七兆円への
チャレンジができるのかというふうに問題を置きかえてみますと、今の
利益構造からいきますと、
郵貯、
簡保それぞれ健全に
中期目標を達成して、多少上乗せをやったとしましても、これには手が届かないと思います。余りこういう席で
数字を申し上げるのがいいのか悪いのか、ちょっと私、全くのど素人でわからないんですけれども、
アバウト六兆ぐらいまではいけるかもわかりませんが、足りないと思います。
それからさらに、さっきも申しました、その中の内訳としては
郵便の約五千億の
債務超過があるということなので、これをどうして適正な水準に
整備していただいて
スタートするのか。適正な
資本金を持って
スタートする以外、健全な
経営というのはやはり難しいと思います。お金のフローだけじゃなくて、バランスシートの方も健全な
格好で
スタートするということが不可欠の要件であろうと思いますので、何とかいろいろとそこの問題を克服できるような御工夫をいただければありがたいと考えております。
以上です。