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2004-08-05 第160回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年八月五日(木曜日)    午後二時八分開会     ─────────────    委員異動  八月四日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     秋元  司君      小泉 昭男君     松村 龍二君      松山 政司君     河合 常則君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水嘉与子君     理 事                 小林  温君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 広野ただし君     委 員                 秋元  司君                 柏村 武昭君                 河合 常則君                北川イッセイ君                 小池 正勝君                 山東 昭子君                 松村 龍二君                 今泉  昭君                 田村 秀昭君                 津田弥太郎君                 白  眞勲君                 林 久美子君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 緒方 靖夫君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房拉致被        害者家族支援        室長        内閣大臣官房        拉致被害者等支        援担当室長    小熊  博君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (特定失踪者問題に関する件)  (日朝国交正常化交渉に関する件)  (日朝平壌宣言に関する件)  (日本拉致問題に関する件)  (北朝鮮に対する人道支援に関する件) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨四日、岩井國臣さん、小泉昭男さん及び松山政司さんが委員を辞任され、その補欠として秋元司さん、松村龍二さん及び河合常則さんが選任されました。     ─────────────
  3. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 小川敏夫

    小川敏夫君 民主党の小川敏夫です。  外務大臣にお尋ねしますが、いわゆる特定失踪者の問題ですが、この特定失踪者について我が国政府北朝鮮に対して調査をするようにということを求めた、このような経過はございますでしょうか、これまでに。
  7. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 特定失踪者につきまして今までいろいろな場で北朝鮮に対して調査を求めたことが全くなかったかといえば、そういうことはあったということでございます。
  8. 小川敏夫

    小川敏夫君 そういうことはあったということであれば、そういうことはあったということについてのその具体的な状況をもう少し詳しく説明してください。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮と例えば国交正常化交渉等の場で話をするということでありますけれども、その細かいやり取りについては、今の時点で申し上げるということは、そういう正に交渉の話でございますので、差し控えさせていただきたいと思います。  基本的に政府立場と申しますのは、これは国内の法の手続認定をされるという手続があるわけでございます。それで、これは今まで政府拉致被害者十五名の認定をしたということでして、再開をした調査白紙に戻しての調査についても、これに、この中で安否不明者について調査北朝鮮側で今やっているということでございます。  ただ、それ以外にも北朝鮮による拉致可能性を排除できないという事案があるというふうに考えておりまして、今、鋭意所要調査関係の部署で行っているということでございます。その中で、外務省としてこれらの十五名の方に限定しないでいろいろ安否不明者について、あるいは特定失踪者と言われる方々も含んだ形で情報を集めるということが重要でございますので、そういった広い観点可能性があるという観点から外国の関係当局あるいはその情報提供ができる人に対して情報収集については今努めてきているということでございます。  日本の制度、法律によってこれが、ある方が拉致をされたということが認定できるということであれば、そのときには内閣総理大臣関係行政機関の長と協議をして認定をするということになっているわけでございまして、基本的に拉致被害者について安否確認を求めていくというのは認定をされた人たちに関して求めていくという、そういう方針で考えているわけでございます。  そういうことを前提として、全くなかったかといえば、全くなかったとは申し上げないということを言ったわけです。
  10. 小川敏夫

    小川敏夫君 特定失踪者が数多くあるわけですが、例えば、会自身は三十二人、非常に拉致された可能性が高いという方が現実におるわけでございます。我が国政府として拉致被害者として認定したと、認定していないから何もしないということはこれは政府対応として許されることではないわけでありまして、拉致された可能性があると、そのような被害に遭った国民があるという可能性がある以上、そのことについて北朝鮮に対してどうなっているかということをきちんと調査を申し入れるべきであるというふうに考えますが、この特定失踪者の問題について北朝鮮に対して調査を申し入れたことがあるんですか。
  11. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 最初におっしゃられましたように、ほかにも、認定をされた人以外にも拉致された可能性のある事案はあるというふうに考えているわけでして、それについて、関係省庁国内では警察を中心として所要調査をしている。ですから、何も全くやらないということは許されないというふうにおっしゃられましたけれども、これは全くそのとおりでございまして、我々は全く何もやっていないということではないということでございます。  それで、そういった調査をした上で北朝鮮に対して調査の依頼をして、その結果、いかなる回答にせよ、出てきたことに関して我々としてそうではないのではないかということが言える。そういう、あるいは聞くことが非常に拉致の蓋然性が高い事案であって、それについて聞くことによって幾つかの進展があるという状況のそのことになりませんと、単に調べるということだけでは、ある答えが返ってきたときに我々としては反論ができないということになるわけですから、そういう意味可能性のある事案、これについて国内で、あるいは外務省国外でいろいろな情報収集をするということの努力をしていると、そういうことでございます。
  12. 小川敏夫

    小川敏夫君 例えば北朝鮮が認めた九家族十三人にしても、ある時期まではそのような事実は全くないと北朝鮮は言い張っておったわけでございます。  そういったことから考えれば、この特定失踪者の問題についてもどうなっているのかと聞いて北朝鮮がないと言った場合に、その後対処しようがないということはこれはないわけでありまして、今この特定失踪者の問題についてなぜ拉致被害者について認定できないのかと。そうすると、確固たる断定できるまでの状況には至っていないからだということでありますけれども、もう二十年、三十年近くたっているこういうケースで、国内状況を調べたからといって新たに確固たる状況が出るとは考えにくいんです。やはり拉致が疑われる当事国に対して調査をお願いするということは、これ国民生命を守る政府の責任として当然のことだと思うんですが。  要するに、大臣答えは、特定失踪者の問題について、特定失踪者について北朝鮮に対して調査申入れをしたことがないと、こういうことになるわけですね、大臣答弁は。
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 繰り返しになりますけれども……
  14. 小川敏夫

    小川敏夫君 あるかないかで結構ですよ。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我々としては認定された方々、これはいろいろなことを調べた上で、警察においても調べられ、そうした上で拉致をされたという認定政府としてしているということであります。  こうした方々に対しては、については、認定過程で様々な情報を持っているからこそ認定をしたということであるわけでございます。そして、ほかにもそういった可能性のある方々はいらっしゃる。そういうことについては、まずその政府の中で可能な限り情報を十分に集め、調査捜査を行って、そして認定ができるということであれば認定をするという、そういう手続、これは法的に決まった手続であるわけです。そういうことを行って、拉致可能性のある方といいますか、その認定をされた方についてはきちんと調査をしていく。そして、それ以外の方について効果のある形で北朝鮮に対して聞くということはあり得るということを申し上げているわけであって、ただ、いろいろな拉致を、特定失踪者についてこちらでまず情報を持っていることが大事であろうと、そういうことを言って、申し上げているわけです。
  16. 小川敏夫

    小川敏夫君 質問答えてないじゃないですか。  聞き方を変えますが、日朝平壌宣言で、いわゆる拉致問題のことが宣言の中に盛り込まれておりますが、この拉致問題について、要するに北朝鮮は今後このようなことを行わないということが宣言に盛り込まれているだけでして、この問題を過去どのように行ったかについて、これから調査するとか事実を明らかにするということがこの宣言の中に全然盛られていないわけですよ、これからもうそういうことは行いませんということが書いてあるだけで。そして、今の質問大臣答弁の中でも分かるように、特定失踪者の問題について北朝鮮に対して調査申入れをどうやらしていないということのようで、それ以外のことについては何にも説明できない。  この日朝平壌宣言、こういう特定失踪者の問題についてもうふたをしてしまって、もう解決済みだということにして日朝間のすべての物事が進んでしまうような、そうした形にも見えるんですが、大臣、どうですか、そこのところは。
  17. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日朝平壌宣言の今お読みになられたところの次に、「日本国民生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認」をしたということを言っているわけであります。  先般、総理が五月の二十二日に訪朝をして、金正日国防委員長と話し合った際に、この安否不明者方々については、これは白紙に戻して調査再開をするということを言っているわけでして、その後、例えば私がジャカルタで白南淳外務大臣お話をしたときにも、それから先般、ピョンヤンにジェンキンスさんに会いに行ったときにも、これについてはきちんと調査を今やっているという話があったわけでございまして、おっしゃったような、これをもって我々は拉致の問題、それについてはもう終わって、そしてそのほかのことを直ちにやれる、あるいはやろう、正常化をしようということを考えているわけでは全くないということを、これは再三再四申し上げているとおりでございまして、拉致の、安否不明者方々についての調査、これについてはきちんと向こう側にこれをやるということを言っているわけでございまして、この立場については、あるいはこの方針については全く変わりないわけです。
  18. 小川敏夫

    小川敏夫君 私は特定失踪者の問題についてお尋ねしているんでね。日本拉致被害者として認定した人に対して、あるいは十人の安否についてお尋ねしているんじゃない。  この日朝平壌宣言の際に北朝鮮は九件十三名の拉致を認めたわけで、認めたと同時にこの平壌宣言をしておるわけです。そうすると、特定失踪者の問題について北朝鮮は何にも認めてもいないし、何にも触れていない。そして、この平壌宣言では、大臣、いみじくも読まれたけれども、要するに今後再び生じることがないような適切な措置を取るというのが北朝鮮の義務じゃないですか。だから、既に生じておるかもしれない特定失踪者の問題について、この平壌宣言については調査するとか適切に何らかの対応をするということは何にも盛り込まれていないわけですよ。  ですから、九件十三人の問題、それを拉致問題として取り上げたまま、あと特定失踪者の問題はもうふたをしてしまって終わってしまうという、そういう宣言に読めるんですがね。その十人の調査の問題じゃなくて、特定失踪者のことについて大臣答えてくださいよ。質問答えていないじゃないですか、あなたは。
  19. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 外務省薮中アジア大洋局長
  20. 小川敏夫

    小川敏夫君 ちょっと待ってください。外務大臣に今日は質問するということでしょう。そんな細かいことを聞いているんじゃないんだから、大きな方針について聞いているんだから、外務大臣答えなさいよ。そういう約束で薮中さん来ているんでしょう、今日は。私は呼んでいないんですよ。
  21. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) どなたが答弁されますか。
  22. 小川敏夫

    小川敏夫君 約束が違うじゃないか。大臣答弁すると。だけれども……
  23. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 私、委員長が指名しましたので、薮中さん、まず説明してください。
  24. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今大臣答弁あったとおりですけれども、我々まずやってきたことは、これは委員も御承知のとおりでございますけれども、まず最優先日本政府としてやってきたことは、今までの日本政府として、拉致として認定した、拉致被害者として認定した方々、これについての徹底した究明をすると。これは最優先事項であったということは、日本政府がかねがね言ってきているところでございますし、また国民方々もそういう御理解でおられるというふうに私どもは認識しております。そして、生存された方々すべてということでございます。まずは、もちろん分かっていました方々についての御帰国と御家族帰国、そしてまた十名の方々安否の徹底した解明ということがまず最優先課題としてやってきたことは御承知のとおりでございます。  そしてまた、今のお話特定失踪者でございますけれども、先般の日朝首脳会談、この席におきましても総理の方からはっきりと、更にまた拉致被害者として認定した方が出れば、当然これは安否不明の方々と同様の調査を先方に求めるということをはっきりと言われておりますし、すなわち日朝首脳会談の席上でこの問題があるということをきちんと登録してあるということでございます。
  25. 小川敏夫

    小川敏夫君 拉致被害者として認定された者が出れば対処をするということは、要するに拉致被害者として認定する以前の段階では特定失踪者問題について取り上げないと、こういうことですな、要するに。  ちょっと待ってください。約束が違うでしょう。今日は大臣答弁していただくと。ただ、細かい個々の事柄になって大臣では答弁し切れないことについては薮中さんにさせてくださいと言うから、じゃ座ってもいいよと言っただけで、こんな国の基本方針にかかわることについて大臣、あなた答えなさいよ。もしそんなことでまた薮中さんが答えるんだったら、次から私は同席させませんよ。
  26. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 拉致被害者認定については、今後いろいろな調査が進むに従って、あるいは捜査が進むに従って、あるいは外務省国外からの情報収集が進むに従っていろいろな展開があるであろうというふうに私は思っております。  それで、冒頭に申しましたように、これについて北朝鮮にこれはどうなっているんだということを聞いて効果が出る段階、そういうことであればそれは全く聞かないということではないということを申し上げているわけですけれども、聞いて、こちらが何も情報もない状態で調査といっても、これは全く足下を見透かされることになるだけに終わるということであろうかと思います。  それで、はっきり申し上げて今までおりますことは、これは国交正常化自体については様々な問題、これは核の問題もありますし、ミサイルの問題もあるし、もちろん拉致の問題もあるわけで、そういうことが解決をしたということでなければ国交正常化交渉は終わらない、これは繰り返し繰り返し申し上げているところであるわけです。いろいろな展開が今後あり得るというふうに考えておりますけれども、いずれにしてもそういった問題が解決をしなければ国交正常化交渉は終わらない、それが政府立場であります。
  27. 小川敏夫

    小川敏夫君 質問は、特定失踪者の問題についていわゆる拉致被害者として認定されなければ要するに政府として対応しないと、拉致被害者として認定すれば対応すると、さっき薮中さんの答弁の中で小泉総理はおっしゃったと言うんだから、拉致被害者として認定しなければ対応しないと、こういうふうに私は聞き取れましたから、そういうことでいいんですかと大臣に聞いているんですよ。何にも答えていないじゃないですか。
  28. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 再開調査をしている対象としているのは基本的に拉致被害者として認定をされた人について行っているということであります。  それで、これについては、拉致被害者認定というのは、正に調査捜査、いろいろな情報収集、そういうことをして起こる、して行うことでありますから、今認定されている人以外に政府としては何も対応をしないということで申し上げているわけではないということです。  いずれにしても、そういった様々な展開を経て認定をされた方については、これは真相究明北朝鮮に対してやっていくようにということは言っている。それから、もちろん政府としては、この特定失踪者、この方々についていろいろなところから情報を集めて認定をしていくわけですから、その認定をするのに必要な情報、これが仮に北朝鮮にあるということであれば、もちろんその過程で聞いていくということがないわけではないということを申し上げているわけです。
  29. 小川敏夫

    小川敏夫君 その最後で、聞いていくことがないわけではないと将来の形で答えましたけれども、だからそういうことが今までにありましたかというのが私が一番最初に聞いたことじゃないですか。これから聞いていくことがあるわけでは、聞いていくことがないわけではないという将来のことであれば、じゃこれまではなかったんですね。
  30. 川口順子

    国務大臣川口順子君) その御質問については冒頭、単刀直入にお答えをしたつもりでございます。
  31. 小川敏夫

    小川敏夫君 答えられないんですか。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いえ、そのときに申し上げたことは、今まで聞いたことがないというふうには申し上げませんということを言いました。ただし、その内容については正にその二国間の外交交渉にかかわることなので申し上げられないと、そういうことを言ったわけです。
  33. 小川敏夫

    小川敏夫君 おかしいね。将来はやることもありますと答えておいて、過去のことについては答えられませんと。  じゃ、何で、過去のことは外交機密答えられないけれども、これからやる将来のことについては外交機密じゃなくて、今何で答えたんですか。
  34. 川口順子

    国務大臣川口順子君) かつて聞いたことがなかったかといえば、そう言われること、そういうことではないということを言いました。将来においてそれについて情報収集の一環として聞くことがないかと言われれば、そういうことではない、同じことを申し上げているわけです。過去と現在あるいは将来について同じことを言っているわけです。その内容、具体的な内容については、それはお話外交交渉のことですから申し上げられないというふうに申し上げただけです。
  35. 小川敏夫

    小川敏夫君 まあ、北朝鮮が認めた横田めぐみさんを始め九件十三人についても大変に長い間政府が放置したということで大変な苦痛を与えておったわけですけれども、この特定失踪者の中にも真に拉致されたという方が恐らくあるでしょう。それに対しては大変冷たい態度政府は取っているんじゃないでしょうか。国民生命を預かる政府の姿勢として、私はそんな無責任な、そんな態度はどうしても許せない。もう答弁要りません。そのことについてはしっかりとして取り組んでいただきたいというふうに思っております。  大臣答弁の中で出ました日朝国交正常化の問題、この拉致の問題、こうした問題について、これが解決しなければ云々という説明がありましたが、この日朝国交化の、正常化交渉ですが、これは拉致問題、私は特定失踪者の問題も含めて拉致問題と考えておりますから、北朝鮮が認めた九件十三人だけではなくて特定失踪者の問題も含めた拉致問題として聞きますが、この拉致問題が解決しなくても日朝国交の、日朝国交正常化交渉を進めて、日朝国交正常化をするということは考えているんですか。
  36. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、かつて政府の中で専門幹事会官房内閣官房長官が長になって行っている会合の中で、当時、安倍副長官が副長官でいらしたかと思いますけれども、国交正常化について、この日本に帰ってきている五人の、蓮池さんや地村さんや、の五人の家族の方八人が日本に帰ってくるということがあれば、国交正常化交渉の中で、ほかの今の行方が、安否が不明な方々についての真相究明正常化交渉の中でやっていくということを決めたということでございます。そういう意味で、曽我ひとみさん家族を含む拉致被害者方々家族の方が日本に帰ってきたということでございますので、この国交正常化交渉再開をする前提は満たされているというふうに考えております。  ただ、それを、じゃいつから再開をするかということにつきましては、これは今の段階で決めているということではない、具体的な時期は決まっておりません。これはいろいろなことを考えるということでありまして、例えば国交正常化交渉の中で議論をしていくといった拉致についての真相究明の問題ですとか、そういったことが国交正常化交渉の中で進展をするかどうか、あるいは今、六者会談というのを核についてやっているわけですけれども、そういった核の問題、これについてどのような進展をしているかとか日朝関係がどのような状況にあるかとか、そういったいろいろな全体的な姿、これを視野に入れながら、いつから正常化交渉再開するかということについては、これを検討をしていくということで考えておりまして、今の時点で、じゃいつから再開をしますという具体的な時期については、日取りは頭の中にはないということでございます。  それから、もう一つおっしゃった、それではそういうことが解決をしないで国交正常化をするのかということを最後におっしゃられたと思いますけれども、これは先ほども申し上げましたとおりでございまして、いろいろな懸案、こういったことが包括的に解決される必要がある、それがなされない、なされるまで正常化交渉は終わらないんだということを申し上げているわけです。
  37. 小川敏夫

    小川敏夫君 確認しますが、私は特定失踪者の問題も拉致問題等含めてお尋ねしたわけですが、そうすると、今の大臣答弁は、特定失踪者の問題も含めて、この拉致問題が解決しなければ、正常化交渉は行うけれども、正常化には至らないと、こういうことになるわけですね。はっきり約束していただけますね、じゃ。
  38. 川口順子

    国務大臣川口順子君) このことは、外務省だけで決めるということではございませんで、政府全体として考えていくということでありまして、先ほど申し上げたことは、政府全体としてそのように考えているということで申し上げたわけです。  具体的に、じゃどの段階国交正常化交渉が、今後の話としてですね、終わることになるのか、そういったことについて、それはそのときそのときのいろいろな展開もございましょうし、今の時点外務省として政府全体としてはこのように考えるでしょうということは申し上げにくいわけですけれども、今政府全体として申し上げていることは、包括的に解決をして、そしてその時点国交正常化ができるようになるであろうと、そうして国交正常化交渉をして経済協力をしようということで、正に日朝平壌宣言にのっとって進んでいくということであるわけです。
  39. 小川敏夫

    小川敏夫君 私が感じている不安は、大臣が言いましたように、この日朝平壌宣言で、生存者五名の家族帰国交渉ということが順調にいけば正常化交渉は入るんだということでした。この日朝平壌宣言を見ると、先ほども言いましたように、北朝鮮は今後このようなことを行わないということを約束しておるだけであるわけです。ですから、特定失踪者の問題が完全に欠落しておるわけですよ。  だから、正常化交渉は、じゃ家族帰国のことが順調にいけば正常化交渉は入ると、それはそれで、そういうことなら、そういうことで私なりに理解しましょう。だけれども、特定失踪者の問題が何にも解決しないまま正常化交渉に入って、しかし特定失踪者の問題が何にも解決しないまま、私は、国交が正常化されてしまって、特定失踪者の問題がふたをされてしまうということを私は懸念しておるから質問しておるわけです。  実際、この平壌宣言を見れば、くどいようだけれども、これからやりませんということだけ、それから九件十三名を認めただけで、それ以外のことについては何にも触れていないわけです。何にも触れていないまま、さあ国交化の、国交の正常化交渉をしましょう、国交を正常化しましょうというのがこの平壌宣言、正に特定失踪者の問題が完全に見捨てされている。私は、この特定失踪者の問題が完全に見捨てされ、見捨てられているということについて、ひどい、ひどく懸念を抱いているから今日あなたに、いや失礼、外務大臣にお尋ねしたわけです。  ですから、特定失踪者の問題について、やはり国交化を、国交を正常化するという上でのこの特定失踪者問題の解決前提条件なんだということが政府方針だということをはっきり述べてください。言えませんか。言えませんか、これで私の質問を終わりますが。
  40. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員が御懸念になっていらっしゃる御心配というのは私もよく認識をしております。  それから、その特定失踪者と言われる方々の御家族方々、この御家族方々がこれで全部、まあ言葉は悪いですけれども、事が終わりになってしまって、何にも政府はやってくれないのかというふうに思われているお気持ちということもよく私は理解をいたしております。  将来の話でございますので、どういう状況国交正常化交渉が終了するかということについて、今から形式的な要件でこうであるということをお話をするということは非常に難しいというふうに思っています。  政府全体、あるいはそういったその関係者といいますか、御家族のお考え、そのときのいろいろな状況ということがあるわけであって、北朝鮮がそういったその国交正常化ができるような、そういうその状況になるように平壌宣言に従って前向きの交渉を取ってくれると、取るようにということを我々は求めてきているわけでして、またそういう状況になれば国交正常化ができるということでございますし、Aが成就すれば、あるいはBが成就すれば国交正常化ですということを線を引いて今の時点政府を代表して申し上げるというのは難しいと思いますけれども、申し上げていることは、様々なそういった問題が包括的に解決をするということでなければ正常化交渉は終わらない、正常化をするということにはならないということであるわけです。
  41. 小川敏夫

    小川敏夫君 終わります。
  42. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲と申します。よろしくどうぞお願い申し上げます。  私は、まず、今も外務大臣の方からおっしゃられましたその日朝平壌宣言ですね、ちょくちょく言葉としては本当に毎日のように聞いているわけでございますけれども、これについて、まずちょっと、もう少し具体的にちょっとお聞きしたいというふうに思っているわけでございます。  まず、その位置付けについてちょっとお聞きします。どういう位置付けなんでしょうか。日朝平壌宣言の位置付けにつきまして、まずお聞きします。
  43. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) この日朝平壌宣言の位置付けでございますけれども、これは正に小泉総理金正日国防委員長との間で取り交わされた宣言でありまして、基本的にこの日朝間関係、これを正常化するための原則をそこで盛り込んだ、そういう宣言でございまして、これに沿って、日朝双方がこの宣言に沿って、そして問題を包括的に解決していって、そして日朝正常化を図ろうと、そういう基本的な原則を述べた宣言でございます。
  44. 白眞勲

    ○白眞勲君 それで、この日朝平壌宣言のほかに、いわゆる日本北朝鮮との間の首脳同士でいわゆるサインをしたような書類というのはほかにあるんでしょうか。
  45. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) これはございません。
  46. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、まずは、それと、これ非常に、じゃ、そうすると、日本北朝鮮の様々なことを話し合うその根本中の根本である書類であるという認識だと私は思うわけでございますけれども、そうしますと、その次にちょっと、もう一つ聞きたいのはその形式ですね。この日朝平壌宣言の形式というのは、これはどういうふうな形になって、日本語と韓国語で、ああ韓国語じゃない、朝鮮語ですね、ハングルで書かれているということでよろしいんでしょうか。
  47. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) そのとおりでございます。
  48. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、これは外交文書という位置付けだと思うんですけれども、例えばこれ、間違ったら、間違っていたら大変なことになりますよね。
  49. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) これは各々の両首脳が署名をしているという意味で、非常に政治的には重い位置付けをしておりますけれども、両方、双方の政治的な意思をそこに表明したと、そういう文書でございます。
  50. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、例えば、過去に日本と、いわゆる外交文書の中で、双方のやはり文章が違った例というのはあるんでしょうか、過去に。
  51. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 御質問の趣旨が必ずしも私にはよく分かりませんけれども、基本的に、例えばこの日朝平壌宣言につきましては、日本語の……
  52. 白眞勲

    ○白眞勲君 日朝平壌宣言じゃなくて、過去の外交文書の中で。
  53. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 日本語のテキストと朝鮮語のテキストというのが同等の重みを持つと。そして、今言われる外交文書というのが法的な例えば義務をそこへ付ける、新たに生じるような文書ということで言っておられるのか、あるいは一般的な政治的な意思を表したものであるということであるのかということはございますけれども、基本的には我々の作業というのは、当然その内容として使われる文書は同じ物事をそこへ表明するという言葉を使うことで、当然でございます。
  54. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、例えば過去に、海外の事例でも結構でございますけれども、こういう文章の、お互いの文章がそれぞれの言葉で書かれていますよね、その内容が違う場合があったんでしょうか、そういう過去にそういう事例というのは世界の中にどこかにありましたでしょうか。
  55. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) ちょっと私、必ずしもそのいろんな……
  56. 白眞勲

    ○白眞勲君 記憶だけでいいです、記憶だけで。
  57. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 外国、私自身としては承知はしておりません。
  58. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとじゃ、その辺の前提条件を基本としまして、実は私、いわゆるハングルができますので、この日朝平壌宣言につきまして、ちょっとあれを回してください。ちょっと資料をお渡しします。    〔資料配付〕
  59. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは日本語と朝鮮語でできている書類でございますけれども、日本語の方はこれはインターネットで出しました。外務省のホームページが出たのでそのままだと思いますが、日朝平壌宣言の方はお手元にあるような形でハングル文字で書かれているわけで、この四角の部分は、これは私の方で翻訳した部分でございます。  私も、この文章が九月のたしか十七日でしたね、二〇〇二年の九月の十七日にできたわけで、その文章を、当時私も朝鮮語ができるということで、朝鮮の、いろいろな北朝鮮の反応なんかを見るために、いろんな朝鮮語の文献なんかを見ましたわけでございます。そういう形で精査をさせていただいたところ、日本語と朝鮮語に大きな相違がある、違いがあるということが認識されました。  ただ、私も当時、一般の庶民でして、その原文という、正文というんでしょうかね、それを見るという、そこまでやることもないだろうということで、あれ違うなということで、単なるこれは翻訳の、例えば通信社の翻訳のミスとかいうことも多々あるだろうということで、そのままにしておったわけでございますが、もちろん外務省に問い合わせて正確、その正文見せてくれと言えばいいんでしょうけれども、そこまでやることもないだろうというふうに思いまして、そのままにしておったんですけれども、実は昨日、この正文を見ましたところ、朝鮮語では、この四ページ目ですね、朝鮮語の前の、四ページ目のこの部分で謝罪、四角に囲った、一ページ目でいいですね、一ページ目のこの「お詫びの気持ち」というこの「お詫び」という部分、これが朝鮮語で見ると謝罪になっているんですね。ハングルを日本語に翻訳した場合にですね。ですから、謝罪になっていると。  つまり、日本語では「お詫び」、朝鮮語では謝罪。「お詫び」に当たる言葉というのは、その四ページ目に当たると、朝鮮語で言うと、これは謝過と言うんです、サガって朝鮮語で言いますけれども、サガという言葉が当たるんですよ。ですから、これ謝罪にしているということは、日本語と朝鮮語のこの日朝平壌宣言、この二つの文章が正文であると言っても内容が全く別のものがそこにあるということがこれで分かるわけなんですね。これは問題じゃないんでしょうかね。  で、じゃ、謝罪と、まあ何というんでしょうかね、おわびって一緒じゃないかと。とんでもない話ですね、これは。過去にもこの謝罪とおわびで外務省の皆さんも相当もめたということは、よくいろいろな文章、それは韓国と日本との間の関係の文章でもいろいろな、過去にもその問題でいろいろとあった。つまり、どういうことかというと、謝過、いわゆるサガですね、サガというのは過ちを謝る、謝罪というのは罪を謝るということから、そこに法的な責任が生じ、つまりこれは補償するということまでいく可能性がある。つまり、朝鮮語、つまり朝鮮の人たち北朝鮮人たちには謝罪という言葉を使って、日本人たちには、何ですか、「お詫び」というふうにしているということは、北朝鮮人たちにとってみたら、ああ、これはお金もらえるのねというふうに感じる文章にしている。  この二つの違い、これどういうことなんだということで、これはちょっと言葉は悪いかもしれませんけれども、二枚舌外交じゃないのか。日本国民に向かってはいいことを言って、向こうの国民にもいいことを言っている、そういう二枚舌外交にしか私は見えないのであります。  ですから、そういうことについて外務大臣、この外交的な責任、どういうふうに取られるんでしょうか。
  60. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私はハングルが読めませんので、今おっしゃっていることについて事実、正しいとか正しくないとか申し上げることはできないんですけれども、委員がそうおっしゃっていらっしゃるでしょうから、おっしゃっていらっしゃるわけですから、このハングル文字は謝罪であるということを前提お話をさせていただきたいと思いますけれども、仮にそうであるとしても、私は普通の日本の、日本語の語感、これは条約とかそういうことではないわけで、重みのある政治的な文書であるということを先ほど局長からお話をしたと思いますけれども、そういう文書にある言葉として日本人が、日本語に精通をしている人が謝罪というふうに聞いたときに、それは必ず損害賠償を意味しているというふうには必ずしも思わない。おわび、謝罪という言葉は二つの異なった言葉でありますけれども、その点についてニュアンスが違うというふうに私は取っておりませんということで、したがって、その言葉について何か責任が生ずるような問題ではないと思います。
  61. 白眞勲

    ○白眞勲君 この問題については外務大臣は知らなかったと。つまりこれは、この文章自体が謝罪になっているということを外務大臣は知らなかったわけですよね。
  62. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 謝罪、おわび、ここに使われているニュアンスで仮に、正に同じようなニュアンスを持った言葉であるというふうに私は考えております。これは過去の植民地支配云々云々ということについて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明した、正にそういうことであると思います。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、一九九六年の八月十五日の毎日新聞には、戦後処理の幕引きをねらう、法的責任は回避ということで記事が載っているんですね。その中に、「「謝罪」なら日本政府が法的な責任を認めて国家補償に踏み出すというニュアンスに受け取られる可能性がある。」と書いてあるんですよ。つまり、こういうふうに外務省では分かっているんですよ、この謝罪という言葉は、非常にこれは微妙なニュアンスがあるということがあるからこそ、今まで、例えば村山さんのあれは何でしたっけ、従軍慰安婦の関係の問題についても橋本、あっ、村山さん、橋本総理大臣のお手紙についてでした、たしかそうだと思いましたけれども、そのときにもこれはおわびということで相当もめたんですね。  ですから、これを同じニュアンスであるというふうに大臣がおっしゃったとしても、受け取る側、私が申し上げているのは、この北朝鮮側がこれを補償だというふうに思わせるようなニュアンスをわざとしているということをはっきりとここで言っているんじゃないでしょうか。
  64. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  補償の問題がそこで生じるんではないかと、そういう表現を使うことによってというのが今の委員の御指摘かと思いますけれども、正にその点については日朝平壌宣言、ここにもございますけれども、ここではっきりと書いているところがございます。それは二ポツの二つ目、三つ目のパラグラフでございますけれども、「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、一九四五年八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。」ということがございます。正に補償という問題はそこでは生じないのであるということを明確に言っているということでございますし、また、今の表現につきましてはもちろん、委員大変お詳しいわけでございますから私どもの方から言うのはあれでございますけれども、例えば辞典を見ましても、日本語のわびの説明として朝鮮語では、日朝辞典、これは一九九七年の辞典でございますけれども、謝罪、謝過が朝鮮語としてあるということで、これは言葉としての語感を何を適当なものとして選ぶかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、我々にとっては日朝平壌宣言日本語テキストというのが我々にとって重みを持ち、双方、もちろん日本語テキスト、朝鮮語テキストの各々が同等の重みを持っているわけでございますけれども、そうした中で実態として一番大事なところは、今委員御指摘の点は、財産権、財産及び請求権については相互に放棄するという基本原則を日朝ともに受け入れているというところが一番大事なところであろうというふうに思います。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 この件につきまして、まずその「お詫び」というもの、昨日、外務省の朝鮮語のできる方に私聞きましたよ。そうしましたら、謝罪じゃございませんということを明確に昨日は聞きました。この翻訳は違いますということを外務省の担当者の方が昨日おっしゃっています。ですから、この二つの文章は全く別々の文章であります。朝鮮語のそのニュアンスの問題がどうこう、辞典がどうこうと言ってもそういうふうに、ここに書いてあるように謝過という、まあ日本語で言えば謝過ですね。この謝過という言葉がある以上、それを使うのが適当であるということは、昨日外務省の担当者、朝鮮語の担当者はそうおっしゃっているんですね。それを薮中さんはそういうふうにおっしゃっていたら、これは違うじゃないですか、政府の見解は。それがまず第一点。  それともう一点、「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、」という二つ目のパラグラフの点です。「一九四五年八月十五日以前に生じた事由」と書いてあります。ところが、これについても、日朝平壌宣言を見ると事由にはなっていないんです。理由になっているんです。理由です、これは。これは後で外務省の担当者は見てください。理由です。つまり、事由と理由とどう違うんだと。  私も、これはもう言葉、もう言葉のあれについてどうこう言うこともないけれども、事由というのは、私は辞書で調べたら、これは起こした事柄についての理由だそうですよ、事由というのはね。あっ、済みません、こんな立派な先生の前でこういう、何かこういうことを言うのもなんですけれども、理由ということはその起こした事柄がない部分なんですよ。取られているんですよ。つまり、これの、皆様の、外務省が請求権云々と言っているこの部分は放棄していますよと言っても、その事柄について放棄はしていないんです、朝鮮語の文章は。  つまり、これは、この二番目の非常に重要な、この日朝平壌宣言の中でも、私は、この「お詫び」というのは非常に重要な言葉であると思う。その「お詫び」を謝罪にさせられて、謝罪にして、それで、小泉さんはそれでサインをしているわけですよ。それで、北朝鮮人たちは、ああ、これでもしかしたらお金がもらえるかもしれないという誤解を与えているわけでしょう。日本政府はそうはしませんというふうに言っても、それと同時に、下にパラグラフが書いてあると言っても、事柄についての理由の事柄を取られて理由にされているということになったら、一九四五年八月十五日以前に起こしたことについては請求権は存在しているということをこれは、朝鮮語では意味しているんではないんでしょうか。外務大臣、お答えください。
  66. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど薮中局長から御説明を申し上げたとおりでございまして、これについての考え方というのは、これは放棄をしたということであります。そして、これを、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議をすることとしたということであります。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣、同じようなことを言わないでください。今、薮中さんが言った後に私はこういうことを言って説明したわけですよ。それについてまた何で薮中さんと同じ答えをするんですか。  つまり、事柄、つまり一九四五年の八月十五日以前に行った事柄については書いてないんですよ。そういう事柄ということが書いてないんですよ、朝鮮語には。ですから、私は、この事柄が書いてなくて、理由になっちゃっているんです、これ。事由の、事由の事がなくなっちゃったんです。だから、これは、いわゆる朝鮮語では謝罪という言葉と、この理由というものがセットになっているんですよ。セットでちゃんと違う言葉にされているんですよ。日本語と、日本語では「お詫び」という言葉と事由になっているんです。朝鮮語では謝罪という言葉と理由になっちゃうんです。  これは、明らかに二つの言葉を使っているということは、日本国民に対してこれをどういうふうに説明するんですか。朝鮮語でこうなっていますなんということを今まであなた方言っていないですよ。日朝平壌宣言日朝平壌宣言というのは毎日のように、毎日のように言っていらっしゃいますね。それでも、実際、日朝平壌宣言が朝鮮語と日本語でこれだけ違いますよと言ったら、これは無効ですよ。これについて、謝罪ですと。今までおわびという言葉と謝罪という言葉をどんどんどんどんそうやってお互いに使い合っていたんじゃないですか。それを一生懸命区別していたんじゃないですか、外務省は。それをいきなりこうやって、謝罪は、いや、これニュアンス一緒でございますと今おっしゃいましたよね。  そのニュアンスが一緒だということで、じゃ、あれなんですか、外務大臣、これからは、こういう形はニュアンスは一緒ですということで、つまりこれは北朝鮮人たちにとってみたら、請求権も放棄していません、ね、請求権。補償は、補償はしてもいいんですよということでいいんですね。
  68. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今委員がおっしゃったようなことというのは我々の理解ではございません。  いずれにいたしましても、ここの平壌宣言に書いてありますように、この「放棄」、これは具体的にどのような形でするかということは、今後、国交正常化交渉の中で交渉においてこれを具体的に協議をするということになっているわけでして、そのときの我々の立場は、先ほど来、薮中局長から御説明をしているようなことが我々の立場であるということであります。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういうことを外務大臣に私お聞きしているわけじゃないと思うんですけれどもね。この文章の違いについてお聞きしているわけでございます。ですから、これは全く違った文章ですよ。謝罪とおわびというふうにして、朝鮮語の方では請求権、つまり一九四五年以前の賠償については補償しますという金銭的な補償もニュアンスとして含まれているということを誤解を与えるような文章になっているんじゃないんですか。つまり、そういうことですよ。つまり、その二つの言葉が全く違うということをもう一度これは認識していただきたいと思うんですね。ですから、それについての外交的な責任はどうなんですかと私は、外交上の責任ですよ、これ。外交上の責任をどう取るのかと。今まで日本政府は、年金問題でもそうですけれども、四十か所の誤りがありました、官報で、官報で記載すりゃいいです、じゃ、これも官報で記載すりゃいいんですか。違うでしょう、これは、外交文書ですよ。北朝鮮に向かって官報で説明すりゃいいんですか。それについてちゃんとお答えいただきたい。
  70. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この日朝平壌宣言、これはその政治的な重みを持った文書であるというふうに申し上げました。これのその日本語テキスト、すなわち条約ではないということですけれども、この日本語テキスト、朝鮮語テキスト、これはその各々が同等の重みを持っているものではございますけれども、そこに用いられている言葉、これは日朝双方がお互いの意図、これを十分に踏まえた上で最も適切な表現を選んだものであると考えております。二つの国の言葉が、これは英語と日本語であれ、より近い関係にあると思われがちな日本語とハングルの間であれ、それは全く同じことですけれども、違う国の言葉が完全に一〇〇%、一対一対応しているということはこれはなかなか難しいことであって、たまたま同じ漢字を使えば同じであるというふうに思ってしまいがち、まあ元々漢字を使った言葉であるということでですけれども、というふうに思いますけれども、いずれにしてもそれはそういうことではない、一対一対応はしていないというところからその二つの言葉を突き合わせるときにはスタートをしなければいけないというふうに思っています。  いずれにしても、そのおわびであっても謝罪であっても、これは補償を伴うというようなその考え方をしていないということはそもそも申し上げたとおりですし、国交正常化交渉の中において請求権の放棄の具体的なその対応、これについては協議をしていくということでこれから議論をしていく話である。我々は我々の立場を持って議論をしていきますし、我々の理解では北朝鮮側とこのことについてそんなに違いがある、補償を前提にしているというふうに考えているふうには必ずしも思っておりませんし、万が一そういうことであればそれは更に議論をしていくということであって、外交上のこれが責任を伴うものであるというふうには全く考えていないということです。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、意図が、意図が同じならばといったって、これ意図が違っているんじゃないですか。私は朝鮮語をやっていて、韓国語をやっていて、それでこれ見て請求権出ているねということなんです。こう思っている人が一杯いるんだったら、これ意図が違うんですよ。  それと、今ね、それは確かにそうですよ、外交外交文書で英語とね、例えばほかの、日本語とほかの外国語がそれが翻訳するときには全く一対一にはならないかもしれません。でも、確かに、それで見ると確かにこの平壌宣言の中にも、全く全部一〇〇%一緒じゃないんですよ、それは分かっているんです、私も。それでもこのおわびについては、過去にもこの謝罪にするかどうかで相当に議論があったところなんだということもあるわけですよ。漢字言葉はほとんど日本語も、韓国も北朝鮮も大体一緒ですよ。自動車は自動車と言うんですよ、新聞も新聞と言うんです、韓国語では。同じ漢字を使うんですよ。謝罪は謝罪なんですよ、これは。それをそういうことで逃げないでいただきたい。これは違う文章であるんです。違う文章に対して、小泉さんはそういう形で、これ小泉さんは知っているんですか、こういうふうに違っているんだと、その部分が違いますよと。  それともう一つ、それともう一つ、請求権は放棄しているといっても、今申し上げましたように理由についての言葉が全然ないですね。理由になっているんですよ、それは。事由が理由になっている。これについて、つまり請求権が、なってないじゃないですか、請求権が生じてないんですよ。それについてどうお考えなんですかと聞いているのに、責任は取ることないですなんてとんでもない話です。これ、どう責任を取る、国民人たち、これ注目していますよ。それに日朝平壌宣言が、拉致問題にしても核問題にしたって、これ根本を成すものだということは今御指摘ありましたですね。それに対して何にもこれ決まってないじゃないですか。これじゃ何にも意味を成さない。  両方の、不動産だって何だってそうですよ。契約書がお互いが違うならこれは無効ですよ、違いますか。契約書だってそうでしょう。何だってそうですよ。海外との取引でもそうですよ。そういった契約書でも何でも、文章が違うならば、ニュアンスが違うならばこれは無効なんでしょう、違いますか。ですからして、これも謝罪とおわびということで日本語と朝鮮語が違うならば意味合いも違うし、北朝鮮人たちはもうもらえるものだと思っているかもしれない。  ですから、今後議論を深めていくなんてとんでもない話ですよ。これが基本ベースなんですから、ここちゃんとやるべきじゃないですか。だったらこういうことについて謝罪はというけれども、もう一回確認すべきじゃないんですか。これは、謝罪というのは、ここは謝罪になっているけれどもこれはサガですと、謝過ね、日本語で言うと謝過ですと、そういう意味合いですよということをもう一度北朝鮮にちゃんと確認を取っていかないと、ここが一番根本の問題ですよ。韓国の問題でもそうですよ。一回歯車狂い出すと、ずんずんずんずん、ずんずんずんずんそういうふうになっていくんじゃないんですか。ですから、こういった問題についてきちんと両者の間で話し合うんだったら、今話し合うべきでしょう、この文章について。それからもう一回国交正常化交渉について考えるべきだというふうに私は思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  72. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 薮中局長
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 大臣の話を聞いているんです、私は。大臣に聞きたいんです。国交正常化交渉について聞いているんです。
  74. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ちょっと事実関係ですのでちょっと、はい、薮中さんちょっと。
  75. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 事実関係について改めて一言申し上げたいと思いますけれども、今のポイントは、請求権があたかも放棄されていないような基本原則があるというふうに委員はどうも言っておられるというふうに私は理解いたしましたけれども、この文章を読んで、もう一度読ませていただきますけれども、「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、一九四五年八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、」、この文章について、「事由」が理由だという翻訳が朝鮮語でなされていると、したがって相互に放棄するとの基本原則ではないんだというふうには私にはどうしても読めないものでありまして、また日朝辞典におきましても、事由が朝鮮語において事由と理由と二つ書かれているというところもございます。  まあ言葉そのものを私は今云々するよりは、基本的にこの文章を読んで、基本として双方が「財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則」、これが確認されている。そしてまた、日本語においても双方がサインしているということも改めて申し上げておきたいと思います。
  76. 白眞勲

    ○白眞勲君 この「基本原則」というところがポイントなんですよ、逆に言うと。基本が原則ですよ。だからこれはまだ請求権が生じるんじゃないかというふうに議論としては成り立っちゃうんですよ。理由って事由じゃなくて、事由の中には理由がございますとか、訳の分からないこと言わないでください。事由は事由で理由は理由ですよ。事柄ということがなくなっちゃっているんですよ。ですからして、この基本原則に基づきという意味だったら、基本原則なんだから基本じゃない部分についてはこれは請求権があるということになるんですよ。そういうふうに取られかねない。そういう問題について大臣はどうお考えなんですかと。両方の文章は違う、そしてなおかつ小泉首相は知らないんでしょう、この話を。ですから、それについてどう思っているんですかと、これを聞いているんです。
  77. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いろいろお話、承らせていただきましたけれども、この日朝平壌宣言あるいはそのほかのどの文書にしても、それはその両首脳が署名をなさった重要な政治的な文書であって、両国ともこの原則に基づいて今後正常化交渉の中において正常化に必要なことを議論をしていくということであるわけです。  いかなる種類のそういう正確な、そういう文書であれ、仮に日本人の人たち日本語の同じ文書を見て解釈をしたとしても、それは異なる解釈はあり得る、それは排除できるものではないわけでございまして、そういった場合にも話合いをして解決をしていくということであるわけです。  この文書について、おっしゃったような言葉の違いというのが私にはそれほど、委員がおっしゃるような大きな問題になるような事柄には思えないのですけれども、いずれにしても、この文書に基づいて両方がそれぞれの考え方を言っていって正常化交渉を終わらせ正常化をするということについての強い意思の確認というのはできているわけであります。  様々な問題は、仮にこの中で言葉が違っていなくても、それは今までの、今まで国交を持っていない二国間ですから、解決していかなければいけない問題というのはあると思います。それは政治的な意思によって解決をしていこうということであるわけで、始めに戻りますと、そういった言葉の、委員のおっしゃった理由と事由がどれぐらい大きな意味を持つ違いなのか、謝罪とおわび、恐らくこれを読む人の心の中に、これは同じようなニュアンスの言葉であろうということについて余り問題は生じないのではないかというふうに私は認識をいたしております。
  78. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 白さん、時間が来ております。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣、前の、以前、いろいろな談話とか何かを見ていただきたい。この問題については更に追及していきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  80. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。  報道によりますと、いよいよこの拉致問題をめぐる日朝実務者協議が十一日にも北京で開かれるというような見通しが報道されておりました。当然、この十一日の北京の会議というのは、最大の争点は、争点というか焦点ですね、横田めぐみさん始め安否不明者十名の再調査の問題であり、具体的な回答を北朝鮮側から引き出せるかどうか、これが正に焦点になっていると私も思います。  この問題について、川口大臣、記者会見の中でも、北朝鮮、今委員会を作って調査しているんだから、できるだけ早く結果、過程を示すことが大事だというようなことを大臣御自身も述べられておりますし、また細田官房長官も、二十八日の記者会見だったと思うんですけれども、この場で、五月から、つまり総理がお会いになられてから二か月以上経過したので分かっているころじゃないかと推測されると、そろそろ調査を終えられると期待しているというような発言もございました。  そういったことも踏まえて、この問題、つまりこの安否不明者十名の問題についての現在の状況、更に言うと十一日、私どもも是非この時点北朝鮮から引き出せることを期待しておりますが、今大臣がこの状況をどう認識されているかを伺っておきたいと思います。
  81. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず報道の、十一日に開催をされるということでございますけれども、私たちとしては、日本政府といたしましては、ずっとできるだけ早く開きたいというふうに考えてきております。そしてそういうことを、早く開きましょうということの申入れも行ってきております。ただ、今の時点で、十一日に開かれ議題はこうであるということは決まっていないということを申し上げるわけでございます。  そこの会議、早期に開かれるとして、その会議で何を議論をするのかということでございますけれども、基本的な考え方は、この前の五月二十二日の総理の訪朝のフォローアップをするということであります。再調査というのはもちろん非常に大きな課題、重要な課題であると考えているわけです。そして、これについては、御案内のように、白紙に戻して本格的に調査をする、再調査をするというお話金正日国防委員長からありました。その後、日朝外相会談も行いましたし、それからジェンキンスさんを迎えに行った外務省の職員に対して北朝鮮からは、これについては地方にも委員会を作って、そして新たな調査を進めていると、結果ができ次第日本側にこれについては報告をするという話がございました。そして、そういうことでございまして、我々としては一日も早く北朝鮮から回答が得られるようにずっと働き掛けてきておりますし、引き続き働き掛けたいと思います。  このほかに、フォローアップといたしましては幾つか、例えばよど号の問題もあるかもしれませんし、ほかの問題について議論される可能性もあると思います。いずれにしても、日朝間のいろいろな問題、これについて実務者のレベルできちんと話をしていこうと、そういう場であるということでございます。できるだけ早期に開きたいと思います。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その早期に開こうという現段階ではいつだと特定して言いにくい状況であるということを理解した上で、ただ、そういうのが目の前に迫りながら、今日実は閣議決定がなされました。何の閣議決定かというと、約束をしておった食糧支援の問題、医薬品支援の問題。  外務大臣、これ明確に今日も記者会見で、これは人道支援の問題であるとおっしゃったようですけれども、一般国民にとってみて、また普通の人たちから見ると、何か今、この食糧支援の問題について今日の段階でやることがどうなんだという、これはいろんな、外交の在り方としてどうなのかと、意見ありますよ、いろんな。この辺はある意味ではきちんと説明もしなくちゃいけないし、私は今日は閣議決定をされたんだと思っております。早期、こういう問題の解決に向かって、決定は決定でしました。しかし、それとともに、もう一つは実際にこれを実施するかどうかについて、その問題についてはいわゆる北朝鮮対応を見ながらそれは検討していくべき課題だと私は思いますし、そこは外務大臣、きちんとやっていただかなければならない問題じゃないかなと、こう思いますが、今日決定されたんですけれども、いかがですか。
  83. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この人道支援、食糧等の二十五万トンと医療品等の一千万ドル、これにつきまして、総理が訪朝なさった折に金正日国防委員長との間でそういう話になったということでございます。  それで、その後、これは正に人道支援ということでございます。これについて、これをいつ実施するかということについて、国内で様々な御意見があるということについては十分に承知をいたしております。  小泉総理の訪朝の後、これは国際機関を通じて行うということでしたので、国際機関と調整を行ってまいりました。そして、その調整の中で、人道支援のうち、WFP、世界食糧計画ですけれども、これを通じて十二・五万トンの食糧支援、そしてユニセフとWHOを通じて医薬品等の人道支援を行うということになったわけでございまして、北朝鮮が依然として深刻な食糧事情に直面をしている、そういった状況にあるわけでございまして、それにかんがみ、国際社会が北朝鮮に対して行っている人道支援、これに我が国としても参画をすると、そういう観点人道支援を実施をするということであります。  様々な日朝間の懸案事項、拉致、核、ミサイルその他、そういった諸懸案、これを包括的に解決をして、地域の平和と安全に貢献をする形で北朝鮮との間で国交正常化交渉を行い、正常化するということについての我が国の基本方針、これにいささかの変更もないということであります。  基本方針に、そういった基本方針を持っておりまして、問題の解決については平壌宣言にのっとって北朝鮮側が一つ一つ前向きに対応していくということについて、これはしっかりと求めていくということは変わりありませんけれども、この話は何かに対して見返りを与えるということではなくて、あるいはお土産を与えるということではなくて、人道的な北朝鮮の置かれたニーズ、これに対して実施をしている国際社会の支援、これに一員として参加をする、そういうことを決めたということでございます。  国際機関と調整をいろいろしておりますので、国際機関が今後、秋から冬にかけての北朝鮮の食糧のニーズ、こういったことを考えながら実施をしていくということになるというふうに思います。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そのとおり理解は理解としてしたい部分もございます。ただ、その一方で、やはり今、日本が抱えたこの拉致問題を始めいろんな状況の中で、私は使えるカードというのは最大限使っていくのが、それは外交上当たり前のことであって、それはありとあらゆるいろんな方法を考えなければ私は本当はならない一面があるんじゃないかなとも感じておりますが。  そして、一つお尋ねしておきたいのは、早期にこの日朝の実務者協議ができて、例えば調査の結果が出たとすると。結果の、調査を受けて、これまでこれもいろんな検討がなされているようではございますが、例えばその調査結果というのを、それが最終であり中間であり、どうなのか分かりませんが、それを受けた後にどうされるおつもりがあるのかということが問題になるんですよ。  つまり、それを確認するために、これ話として出ておりましたが、調査団を政府として送ってこの真相究明の問題、ある意味ではもう一歩踏み込んで日本としてやる必要があるというふうにお考えになっていらっしゃるのか。まだこれは仮定の話です。次の段階の話ですが、でも、私はそこまでやる必要性は、どんな結果が出たとしても私はやる必要があると思っているんです。きちんとした形で北朝鮮から答えが返ってくる。それについての裏付けをきちんとやるというのは、これは私は日本政府としてやるべきことだと思いますが、この調査団派遣を含めどんなふうにお考えを今持っていらっしゃるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 調査、しっかりとした調査を行って、その回答が出てくるということを我々としては期待をしているということでありますけれども、同時に、その調査が満足するものではないと我々が感じた場合、これはとことん答えを求め続けていくということであるわけです。  回答が出てきておりませんので、何かを、例えば満足のいかない調査ではないかとか、そういったことを前提に今申し上げるということはできるだけ控えさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、その調査の回答を見て、必要なことはやっていく、やっていく必要があると思っております。  それがどういうものを含むことになるか、それは正に調査内容を見て、今委員がおっしゃったような事柄、これもいろいろ視野に入れて、その時点対応をきちんと政府として考えるということであると思います。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、先ほど大臣おっしゃったように、いつからこの日朝国交正常化交渉と、どういう状況に入ったら具体的に進めていくのかと。いろんな考え方もあるようですし、大臣答弁をお聞きしていますと、今、例の家族の皆さんが日本帰国されたと、帰国されたというのが一つの前提条件を満たしているのであって、ある意味では、今からでも国交正常化の問題に入っていける環境はでき上がっていると、こう認識していいのか。  私はやっぱり、ここまでいろんな問題を詰めてきて総理が五月に行かれた、そして白紙に戻して、この十名の問題については少なくともきちんとした結論を出しますよと、こう言っている。と言った以上、少なくともこの安否不明者十名の問題というのがある程度のめどが付かない限り、このめどが付いた時点で一つの日朝国交正常化交渉に入れる一番の最初の入口というのは、少なくともそこまでの問題というのはハードルをクリアしなくちゃいけないし、交渉の中で、先ほど特定失踪者の問題、いろんな話出ました。家族の皆さんを含めて一番心配されているのはやっぱり、もう交渉に入ってしまえばこれですべては終わりになっちゃうんだよということを家族の皆さんは一番心配しているのであって、だからまずポイントは何かというと、帰って、帰国された、これは一つの本当にハードルを一つ越えた、大きなものはクリアできたとは思いますが、少なくとも次の段階、今の段階は何かというと、この十名の問題については、少なくともある意味ではある程度ほぼ完璧な結論が得た上で、その上で次のハードルへというふうになっていくのではなかろうかと私は思うんですが、その辺はどう認識すればよろしいんでしょうか。よく分からないんです、そこが。大臣答弁をしていただきたい。
  87. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申し上げたのは、前提はできたというふうに申し上げたわけです。それはなぜそうかといいますと、専門幹事会の決定というのがあったわけでして、そういうことで前提はできた、あるいは条件はそろったということだと思います。  ただ、具体的に、じゃいつから正常化交渉をやるかということについては、しかるべきときにということを申し上げているわけでして、今の時点で何月何日というふうに頭にあるわけではございません。  これはいろいろな、先ほども別な委員の方に申しましたけれども、いろいろな状況、始めた場合に、これが円滑に進捗できるような状況があるかどうか。二国間の、日朝間のいろいろな問題が解決をしていくような状況にあるかどうか。あるいは核等の全般の六者の会合でやっていることについて、それを、それに弾みを付けるようなことで日朝間の会談が、協議が進展をしていくかどうか。いろいろなことを考えながら検討をしているということであって、今決めているわけではないということであります。  再開をした調査安否が分からない方々調査、これについては幹事会の中でも言いましたように、この正常化交渉の中でこの調査を進めていくということが前進に資するであろうという考え方で、それがベースに調査会の、幹事会の決定にはあるというふうに思います。  そういったことも含めて、全体が前に進んでいくようにするためにはどうしたらいいだろうかということを考えながら、具体的な再開の日取りということは今検討中であるということであります。  いずれにしても、明快なことは、そういった問題の解決、包括的に解決をして正常化交渉、失礼しました、正常化を行うということを言っているわけでして、そういった解決がなければ正常化にはならない。包括的な解決をして正常化、この基本的な方針には変わりはないということであります。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そこはいろんな考え方があるんでしょうけれども、私は、今の国民感情、いろんなことを考えた場合、もう一歩進めた形で、そういったところまで踏み込んだ形での次へというふうに進めていけないものかなという、これは是非、先ほどもおっしゃったように、早期に日朝実務者協議もやられるわけですし、そこの段階で進めるためにも、それをクリアすれば進むという外交カードを使いながら何とかそれの一歩、ある意味では包括的にいろんな問題を解決しなければいけません。先ほどおっしゃったように、十名以外の問題も出てくるかもしれません。それは協議の中の問題になっていくかもしれないけれども、少なくともこの十人の問題について、ある程度のこれ、先に、先行き見通しが付けられればなという願いは持っていますし、是非そういう気持ちでこの実務交渉も含めて当たっていただきたいなと、このように思うわけでございます。  そして、もうあと質問時間がないんで、ジェンキンスさんの問題、本当にいろんな意味外務省も含め、また支援室も含め、御苦労いただいて一つの流れを作っていただきまして、今、日本に戻ってきているところでございます。  これも新聞報道でしか私どもは分かりませんが、独立法務官と今日初面会というような報道もあっておりましたが、事態は少し動いているようでございます。  いずれにしてもこの問題、最初は日米犯罪人引渡条約の存在が、その後は日米地位協定の問題が、いろいろな心配がいろいろなされてまいりましたが、一番大事なことは、とにかくジェンキンスさんも日本でという希望を持たれるように心境の変化もあったと。家族がきちんと日本で暮らせることが一番大事であって、そこへ向けてどう落ち着けていくかが一番大事なポイントだろうと思っておりますが、これに臨む川口外務大臣の、直接かかわれる部分、かかわれない部分とかありますよ。でも、やはり最終的にジェンキンスさん、曽我さん家族日本に本当にきちんと落ち着ける、この状況を作れるように努力もしていただきたいし、これに向かっての大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  89. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私も曽我ひとみさんとこのことについてお話をさせていただきましたけれども、曽我さん、最終的に家族全員で日本に住みたいと思っていらっしゃるということであります。日本政府としても、そうなるように最大限の支援を現に今行っているところでございます。  これは正にジェンキンスさんのプライバシーの問題でございますので、言えること、言えないこと、様々あるということについては御理解をいただきたいというふうに思いますけれども、最大限の支援をしていくという姿勢に全く変わりはございません。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  91. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。この間の北朝鮮との交渉とかあるいは到達点についてお伺いしたいと思います。  北東アジアの平和と安定にとっては北朝鮮が国際社会に復帰する、このことが非常に重要だと思います。形の上では九一年に南北朝鮮の国連同時加盟ということがありましたけれども、実態は、北朝鮮は国際社会の中で極めて孤立している、到底国際社会の一員と言えない状況が続いてきたと思うんですね。  国際社会に復帰するためには、核兵器を含めた核問題を解決すること、そして拉致問題を徹底的に解決すること、これが不可欠になっていると思います。拉致北朝鮮が認めた、これまで国際的に行ってきた数々の無法行為の中で最高首脳が認めた唯一のケースだと思います。ですから、この問題を、拉致問題を解決するということは、こういう無法行為を解決していく、その突破口を作るという非常に重要な意義を持っていると思うんです。  言うまでもなく、日本の主権とそれからまた人権の侵害を原状回復するという日本にとって極めて重要な課題であると同時に、ちょっと見方を変えれば、これは北朝鮮にとっても、彼ら自身が今はどれだけ意識するかは別として、国際社会に復帰していくという点からいって大事な課題だろうというふうに思うわけです。したがって、拉致問題というのはどういう性格を持っているのか、これを自問するに、やはり私は国際的な性格を持っていると思うんですね。  私は、端的に言えば、去年夏に中国に行ったときに中国の人たちと話をして、拉致問題を六者協議に持ち出されるのは迷惑だ、これは日朝間でやってくれ、出さないでほしいというのが自分たちの考えだということを聞いてきました。しかし、この五月に議連で訪中したときには、胡錦濤主席のレベルでやはりこの拉致問題について触れて、その解決が必要だということを述べる。そういう点からいっても、中国の立場も変わっているんだろうということを感じてきております。  そうした点でお伺いしたいんですけれども、拉致問題の持っているこうした性格、やはり国際的な性格を持っているというその点で、この間、関係国がどんな認識の変化があったのか、それについてお伺いしたいと思います。
  92. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今委員御指摘のとおりでございまして、拉致問題、関係各国の見方というのも最近まで、この一年半相当変わってきているというふうに私ども感じております。そしてまた、この拉致問題を解決するためには、もちろん日朝間日本北朝鮮に対して直接働き掛ける、その努力がまず第一に重要ではございますけれども、各国、関係各国、国際社会がやはり北朝鮮に対してこの問題の解決を併せて非常に重要な問題であるとして働き掛けるということも我々は非常に重要であるというふうに考えまして、国際社会あるいはいろんな外国との協議の中でこの問題の解決の重要性と、そして関係諸国の協力ということを求めてきたわけでございます。  そうしたことが相まってということであろうと思いますけれども、北朝鮮の中でもやはりこの問題をやはり解決しよう、解決する必要があるという考え方を改めて示したのが、先般の五月二十二日の首脳会談における金正日国防委員長の発言であったと思いますし、それが正に真摯なものであることを、真剣なものであることを我々は強く祈っているわけでございますけれども、当然のことながら、引き続き国際社会の協力、理解を求めていきたいというふうに考えております。
  93. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 拉致問題の前進というのがやはり六か国協議の前進にもつながるということを痛感するわけですね。したがって、私も北朝鮮がやはり変わりつつあると。恐らく曲折も時間もあるでしょうけれども、掛かるでしょうけれども、しかし最終的にはその解決を図るということについて真剣に取り組むという、そういう方向に行くだろうということを思うし、また期待するものです。  北朝鮮との関係では、日本日朝交渉と六者協議、両方やっているわけですけれども、この二つの交渉の場で、そうした点で北朝鮮立場とか姿勢の変化、これについて、もし感じられることがあって、可能ならば話をしていただきたいと思います。
  94. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  正に六者協議との関係もございます。基本として、やはり基本的な日本側の考え方というのは非常に重要です。それは、日朝国交正常化を図る、しかしそのためには包括的な解決が必要であると。核問題、ミサイル問題、そしてこの拉致の問題を包括的に解決しなければいけないと。この基本原則というのが正に大事なことでありまして、それが十分北朝鮮が理解できるかどうかということでございますけれども、その理解が十分に深まってきたというふうに私どもは考えております。  そして、その結果として正に核問題、これを、核の完全放棄を行うに当たっても、一つはそれは自らの安全保障が大丈夫かどうかということはございますけれども、核放棄を行った結果として、やはり経済協力が得られるんだ、そういう道筋が付くということが、多分北朝鮮がこれから進んでいく、国際社会の中に入っていく上で非常に重要なことであろうと思います。  そういう意味では、委員御指摘のとおり、この二つの問題も相互に関係している。その基本は、日本にとってみれば、そしてこれは北朝鮮にとってもでございますけれども、問題の包括的解決、これなくしては正常化もないし経済協力もないということであろうというふうに思います。
  95. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 恐らく北朝鮮がそういう実利の道が分かってきたということにもなるのかなと思うんですね。  次に、六者協議についてなんですけれども、この枠組みというのは非常に重要な枠組みだということを痛感します。これまで三回開かれていますけれども、北朝鮮のこの会議に対する立場というのが非常に、図式的には、一回目は否定的、二回目は肯定的、三度目は積極的と、そういうふうに私はこう理解するわけですけれども。  とりわけ三回目では、朝鮮半島の非核化に向けた第一段階措置という、それを早期に実現するという点でその具体化を図るという議長声明、それに沿って問題点を縮小をするための新たな議論ということが言われた。これは非常に大事で、従来アメリカがそのCVIDを述べてきて、それを堅持しながらも、しかしアメリカは具体論を出す。そして、同時にまた北朝鮮もそれにある程度戸惑ったかもしれませんけれども、しかし、最終的にはそれに積極的に応じざるを得ないような状況にあるのではないかというふうに思うんですけれども、その事態についての評価をお聞きしておきたいと思います。
  96. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に委員御指摘のとおり、第一回目から第三回目の間において相当な変化はあったと思います。  やはり基本は、非常に相互不信というのが関係国、特に米朝の間にあったということでございまして、その相互不信の深さのゆえに第一回目、あるいはそれに至る準備の過程でなかなか土俵に着くことも、あるいは席に着くこともしなかったと。そして、席に着くや否やお互いが相手を非難するという感じのやり取りがあって、第一回目、御記憶かと思いますけれども、の会談が終わった後に北朝鮮は、この六者協議に対しては何の関心も興味も希望も持っていないということを言って北京の空港を去っていったということがございましたけれども。  第三回目に至りまして、ようやく一つの目標というのがみんなで合意されたということ、あるいは意思がそこで統一を見たというのは朝鮮半島の非核化であるということでございます。これに向かってどう進んでいくのかということで、その第一歩として、正に非核化の第一歩としての措置を具体的に検討し始めたと。そして、北朝鮮からも、あるいはアメリカからも具体的な提案が出たということで、そういう意味では一つの共通の土俵に上がったかなという感じにまで来ていると思います。  ただ、問題はこれからでございまして、なかなかまだこれが本当の解決につながるのかどうかということは、北朝鮮が本当に核を廃棄する、放棄する意思があるのかどうかと。それに対しては、正にエネルギー支援であるとか、あるいは安全の保証であるとか、国際社会としても核を放棄すれば大きなメリットがある。これは小泉総理日朝首脳会談で言われたことでございますけれども、そういうことも相手に示しながら、そしてまた各国、六者が集まって共通の目標でやっていこうという、その目標をみんなでどれだけ具体化できるかということであろうと思いますし、また時間の問題も非常に大事だと思っております。  そういう意味では、次回の会合が非常に大事な会合になると思います。
  97. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 近く作業部会が開かれると思いますけれども、それに臨む外務省立場とそこでの課題、予想される課題についてお伺いします。
  98. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今申し上げました第一歩ということで、非核化への第一歩ということでの凍結ということがございますけれども、一番大きい問題はそこで何を凍結するのかということであろうと思います。つまり、今までの北朝鮮の核開発活動の全貌がそこできちんとテーブルに提示されるということが非常に大事でございます。そして、その検証の仕方、それをどうしていくのかと。これに対してまた、北朝鮮以外の五者がどういう手だてを北朝鮮に対して、例えばエネルギー支援であるとかあるいは安全の保証であるとか、そういうことについての考え方を具体化する。  いずれにしましても、その双方について相当問題を具体的に詰めて議論をする、深掘りをすることが非常に大事であろうというふうに思っております。
  99. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 小泉総理がこの間の衆議院の本会議で、日朝国交正常化交渉について、曽我さん家族を含む拉致被害者家族帰国の実現によって交渉再開前提は満たされたと考えていると、そういうふうに答弁されていますけれども、先ほどから議論ありましたけれども、私は交渉国交正常化交渉を開くということと、始めるということと、それから国交正常化をするということはまるっきり違う話で、恐らくその間には相当大きな距離があって、事柄の進展にもよりますけれどもかなりの時間も掛かるということはあると思うんですね。  拉致問題の解決一つ取ってみても、私は、例えば交渉を始める。当然人の往来が大きくなります。あの小さな国で密室をいつも作っておくということは不可能ですから、人的往来があれば当然いろんなことが分かる、写真も出てくるだろう、この人に会った、見たことがあるという人も出てくるだろう、そういうことになってくると思うんですよね。そうすると、国交正常化交渉、もう既に政府方針としていつでも始められるという条件満たされているわけですから、私はこの交渉を早く始めて、その中で諸懸案を話し合う。そして当然その中には、先ほどから議論がありましたけれども特定失踪者、その他これから出てくるかもしれない拉致事件、そういう問題もあるかもしれません。そうしたことをすべて解決するという、そういう方向の方が望ましいのではないかということを考えているわけです。  その点で、先ほどから、時期はいつと言っても答えられないということは分かりましたけれども、しかし私は、そのための今後の具体的なステップですね、それをどう考えるのかということについてお伺いしておきたいと思います。
  100. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に正常化交渉再開するということと正常化の実現までに非常にその中に大きな問題を解決しなきゃいけないということでございますから、大きなそこにプロセスがあるわけでございます。また、正常化交渉の中でいろんな問題を解決できる、あるいはしていかなければいけないということも今委員御指摘のとおりでございますけれども、今後のステップとしましては、正に今先ほどまで大臣の方から御説明ありましたように、実務者協議もございます、そしてまた全体の状況を見ながら、当然のことながら核の問題もございます、六者協議の実務者、作業部会もございます。そうした状況進展も見つつ、適切な機会にこの国交正常化交渉再開も行っていくと、こういうことであろうというふうに考えております。
  101. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後川口大臣にお聞きしておきたい、お聞きしたいんですけれども、やはりこの日朝問題を解決するということは北東アジアの平和と安定にとって極めて大事である、これは日本だけではなくてすべての関係国が認めているし、それ以外の国際社会全体もそのことに注目しているというのが実際だと思うんですね。  そうすると、日朝交渉を進める。そして、その日朝交渉の中で、かなり問題を解決していくということが包括的解決にもつながる。それで、日本との間では、この平壌宣言の中には、非常に重要なことに核問題が書かれていますよね。これも非常に大事ですよね。核問題、それから拉致を含む問題、それからまた歴史問題、こういう問題の解決を進めていく。その点で、これからどういう形で日本政府がこの問題に取り組んでいくかというその点について、簡潔にお答え願いたいと思います。
  102. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この北朝鮮との間の問題の解決日朝の二国間の問題だけではないという御指摘は全くそのとおりであると考えます。  先ほども、先ほど来申していますように、包括的な解決をする、そしてこの地域の平和と安全に資するような形でこれを解決をしていくということは政府の基本的な考え方であるわけです。そして、それはこの地域だけに実はとどまらないで、例えば不拡散の問題、WMDの問題、これは世界全体が今非常に課題と考えている問題であって、北朝鮮との間でこの問題が解決をされるということは世界の平和と安全につながるということだと思います。そういう観点からほかの国々も北朝鮮の問題については関心を持っているということであります。  政府として、こういった包括的な大きな解決ということを考えながら、この地域の平和と安定に、安全に資するということをベースに置きながら解決を、様々な問題を解決をしていきたいと思っています。
  103. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  104. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村議員でございます。  先国会において北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会というのが初めて発足いたしました。そして今日、第一回目の会議、この臨時国会もこれで終わりかと思いますが、第一回目の委員会に自民党を代表して発言させていただきます。大変光栄に存ずる次第でございます。  といいますのは、私は福井県出身でありまして、福井県には皆様御承知の小浜というところから地村保志、富貴恵夫妻、またこのたびの交渉で三人のお子様が帰ってまいりまして、まだ特定失踪者という方が三人ぐらいおられるわけですけれども、そういうようなことで大変に関係も深いということでございます。  さて、この拉致の本質が一体何なんだろうかなということを考えることがあるわけですけれども、拉致問題というのは、例えば私どもの普通の家庭で子供や孫がだれかにさらわれたということの問題だと思うんですね。そうしたときに、その家のおじいさんであれおばあさんであれ、父親であれ母親であれ、白髪につえをついているようなよぼよぼのおじいさんであっても、かわいい孫がだれかにさらわれたということになりますと、腕の力はなくても、さらった人の家の玄関へ行ってうちの孫を返せということを主張すると。幾ら暴力でけ飛ばされても、うちの孫を返せと言って肉薄する性質の問題だろうと、こういうふうに思うわけです。  これが今度の拉致、いわゆる北朝鮮による拉致問題ということになりますと、国家の主権ということが関係しているわけですね。日本の刑法を無視して海岸から無理やり麻の袋をかぶせて連れていったと。こういうことですから、この問題は昔であれば戦争してでも解決しないといかぬと。国家のメンツが懸かっている話でありますから。先ほどのおじいさんがつえついてでも返せということを肉薄しなければならない、肉薄するであろうという性質の問題であろうというふうに思います。  また、これが過去に起きた事件でありますので、長い時代国民の大半がこれを無視して過ごしてきたという、あるいは知らされなかったから無視してきたということもあるわけですけれども、そういう中の過去の事件でありますが、現在仮にこういう事件が起きればどうなのかと。外交交渉に行かれた外務省の偉い方が、大臣なり高官がその国にさらわれてしまったと。あるいはそういう場合、やっぱり国家のメンツを懸けて、ほかのことはもう全部うっちゃっておいてでもその問題を解決しないといかぬという性質の話かと思うんです。そして、これが高官であれば救って庶民なら救わないのか、男なら救って女なら救わないのか、年寄りなら救わないで若い人なら救うのかということになりますと、それは差がないわけでありまして、あくまでもこの拉致という問題については国家の威信を懸けて解決に取り組まなければならないというふうに思います。しかし、一面、やっぱり非常にこの拉致の問題だけに目を奪われて、全体のバランスということも無視してはいかぬということもあると思うんです。  最近、私は共同通信のOBでデモクラシー・ウィズ・ウエポンという本を書いた松尾さんという方からお話を聞いたことがありますが、現在、アメリカのある財団が北朝鮮の大学生を特待、呼んで、コンピューターの教育をしてあげているというようなことも聞いたことがあります。  したがって、外交には絶えず、国と国の付き合いには絶えず一面的ではなくて両面から広い視点でアプローチしなければならない。まして、北朝鮮との間では核、ミサイルの問題があるわけですから、これが日本に対しては鋭敏に刃向かっているよりはこれを穏やかにした方がいいということは、もうこれは間違いのない事実でございます。  それから、やはり歴史の問題も無視できないと思いますね。私は地元で朝鮮の、日朝関係の朝鮮の歴史をよく勉強している方から最近もお話聞いたんですが、六世紀のころからの、白村江の日本が行って敗れてきたというとき以来、あるいはそれ以前から、千年、二千年の大変な歴史があるわけです。皆様御承知の豊臣秀吉の朝鮮征伐、朝鮮全土に殺りくを行い、何千人もの技術者や婦女を拉致したことを徳川家康に対し朝鮮国が返せと言ったが返さなかったと、それをなだめるために朝鮮通信使を迎えることになったと。私も詳しくないので知りませんが、そんな話をしておりました。  それから、戦前の話はまあさておきまして、そのような大きな歴史の中でいかにこの拉致問題をさっきの最初に申しました原則に立ちながら解決していくということかなというふうに思うわけです。  したがいまして、小泉内閣小泉外交というのは、この拉致については二回とも単身北朝鮮に乗り込んでいって、平壌に乗り込んでいって、せっかく議員立法で作った外為法の改正の法案とか入港する船を差し止めることができるといったことを使いませんというようなことを言って交渉すると。せっかくの道具を捨てて、放棄して交渉するというような交渉術を見れば、非常に拉致という問題だけ見ればとんでもない交渉の仕方だなというふうに思いますけれども、アジアの平和、北東アジアの平和全体ということを広く考えた上での外交であると。それはなるほど、これはなかなかのものだなというふうにも理解したいという気持ちもあるわけでございます。  しかし、こういうことを、よく小泉政治はワンワードポリティックスという、ワンフレーズポリティックスですね、そういうことも言われるわけですが、よく国民にその真意を説明していただきたいなというふうに思う次第でございます。  そこで、具体的な質問に入りますが、先ほど木庭先生の質問でありましたけれども、今日、食糧の支援を、人道支援をするというふうに発表になったようですが、まず、どのような支援を行うのかということについてお聞きしたいわけですが、先ほどちょっとおっしゃいましたので私から御紹介しますと、十二・五万トンの食糧支援、七百万ドルの医薬品等の人道支援、米四万八千トン、小麦五万トン、トウモロコシ一万八千五百トン、大豆五千トン、砂糖二千トン、食用油千五百トンと。こんな内容だというふうにお伺いするわけです、承知するわけですが、しかし、これは総理日朝交渉、首脳交渉のときに発表した数字とはちょっと違うと。小泉総理が表明したのは二十五万トンの食糧支援、ちょうど半分ですね。それから一千万ドル相当の医薬品等の人道支援の数字、これが七百万ドルということでありますけれども、これはどうしてこういう違う数字になっているのか。  十一日の交渉に向けてまだ切り札として半分取っておくということであれば、これはこの人道支援拉致被害者の解放のあれではない、対価ではないということと食い違うことになりますけれども、まずこの数字の違いはどうして起きたのか、教えていただきたいと思います。
  105. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  五月二十二日の日朝首脳会談において、今正に委員御指摘のとおり、小泉総理の方からは二十五万トンの食糧、そしてまた一千万ドル相当の医薬品等、これを国際機関を通じて人道的な観点から北朝鮮に支援するということが表明されたわけでございます。その後、我々としましては国際機関との話合いを、協議を持ってまいりました。そして、実際に北朝鮮における食糧あるいは医薬品でのニーズ、その時々の状況がございます。そして、それを相当詰めてまいりました。  現在のところ、まず食糧につきましては、WFPから、今年、具体的には十月から十二月の時期が、今作業を彼らはしておりまして、この中で是非日本からは十二万五千トンの支援を得ることが非常に重要であると。そしてまた、残りにつきましては来年の早々にまたそのニーズが出てくるということでございまして、取りあえず国際機関との、特に食糧についてはWFP、世界食糧計画でございますけれども、現時点においてまず十二・五万トンの食糧支援、これの要請があったわけでございます。  同様に、医薬品につきましても、ユニセフから五百万ドルの支援の要請がございまして、またWHOからも二百万ドルの支援の要請があったということでございまして、今具体的に各国際機関、これは北朝鮮に入っていろいろモニタリングもしながら、その時々のニーズを国際社会に対してのアピールとしてやっておりますけれども、それに応じた形で実施したということでございまして、残りの分につきましては、今申し上げましたように国際機関と引き続き協議を行いながら、これは人道支援として実施していくということでございます。
  106. 松村龍二

    松村龍二君 今日、閣議でそのような発表、協議をした際に、後ほど閣僚、各閣僚からそれはいいことだと言う方もおられるし、あるいは今拉致の大事な十名の行方不明者の交渉を前にしてちょっとどうかなというような御意見、あるいはせっかく十二万五千トンの食糧を差し上げても、人道支援に使われないで、いわゆる首脳たちの恣意に、恣意的に使われるということがあってはならないから、食糧の支援チェック体制を作れというようないろいろな御意見があったというふうに報道されておりますけれども、そのような厳しい国民の意見の中、この十日の拉致被害者の行方不明の交渉にも当たるわけでございますが、今のその交渉を前にこういう人道支援のことを決めたということとの、国民の疑問に対し、大臣から、自分としては、まあ今お話あったように思いますけれども、大臣のお口から、どのような決意で交渉に取り組むつもりであるということをちょっとお話しいただきたいと思います。
  107. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、人道支援、食糧と医薬品の人道支援に、今日決定をするということに決めた理由としては、先ほど薮中局長も言いましたので詳しくは繰り返しませんけれども、基本的に、国際機関と調整する中で北朝鮮の秋から冬にかけてのニーズと照らし合わせて、国際機関から、先ほど申し上げたような数字の量、それが必要だということがあったということで、世界のほかの国々の、参加をして、参加をした形で日本人道支援を行うということが適切であるという判断をしたということであります。  それと、様々な日朝間にある問題を解決をしていこうという強い日本政府の考え方、それとはこれは独立したものでございまして、これも先ほど来申しておりますように、日朝間で今一番大きな拉致についての問題は、調査再開をした後のその回答であります。ここについてどのような調査の回答があるかということについて、我々は満足のいく回答を求めて北朝鮮に対してそれを言っていくということであると思います。  それから、核の問題、ミサイルの問題、これについても、これはいろいろな場で、また別な場で話も、核については六者会談で話をいたしておりますし、その他安全に関する問題についても六者会談あるいは日朝間の会談で話をされることになっていますけれども、そういったことを解決、包括的に解決をして初めて国交正常化ができるという我々の基本方針は変わらない、これは強い方針を持っているわけでございます。  したがいまして、北朝鮮が前向きにそういった一つ一つの問題について解決をしていく姿勢を持っていくということが大事であるということを我々は何回も繰り返し繰り返し北朝鮮に伝えていますし、今後ともそれは行っていく考えでおります。  繰り返しますが、国交正常化交渉はそういう状態になるまでは終わらない、国交正常化はできないということが基本的な方針であって、包括的な解決、これが何よりも重要だと考えています。
  108. 松村龍二

    松村龍二君 ジェンキンスさんの問題とか特定失踪者の、最近、脱北者が韓国に入国した際に所持していた写真が、一九七六年、日本で失踪した埼玉県川口市の藤田進さんとよく似ていると。  特定失踪者についての対応、決意というようなお話は既に御質問がございましたので、ちょっとあと一つどうしてもお聞きしておきたいという問題は、このアジア外交という問題に関しましてですね、まあ話が少し飛びますが、七月三十一日、中国の問題ですが、七月三十一日に重慶で日本がヨルダンと試合をしたときに、選手に対してブーイング、日の丸、君が代に対してはブーイング、また日本の観客に対しては最後に物を投げたりといった反日的なことがあったと。引き続きまして、八月三日に済南で行われた際にも、程度は少し良くなっていたけれども、問題が起きたということでございます。  報道されている中には、それは中国において反日の教育が行き届いて、若い人がそういう気持ちを示したという報道もあります。あるいは、奥地の方では経済が必ずしもうまくいっていないんで、そういう不満を別の形で出したというふうな分析もいろいろあるわけですけれども。  しかし、私どもこの、私は実は終戦まで中国で育ちまして、済南の近くの青島というところに、海岸べりですけれども、育ったわけですが、そういう意味においては、中国と日本というのが仲良くしないといかぬというふうな、肌でそういう感じを持っているわけです。  したがって、第二次世界大戦中に日本の軍人が、残虐な行為が、必ずしも戦闘行為としての、戦争の最中の必然的な行為に基づく残虐な行為でなくて、面白半分に中国人に対して残虐なことをしたとか、そういう話を戦後、おじさんが帰ってきて聞いたりしたことがあるもので、そういうことがあったということについては申し訳なかったなという、日本人の一人としてという気持ちは持っておりますが。  しかし、やっぱり高碕達之助の事務所開設以来、日本人が、そういう過去に対して贖罪の気持ちもあったかと思いますし、また隣の国が純粋に繁栄してほしいというふうな気持ちでODAも一兆円の全く支援を、無償支援的な支援をしてきたとか、この過去の日本と中国の歴史においては、いろんな政治家あるいはいろんな経済人が本当親身になって解決しようとしてきた、その量とこの量とが同じかどうかは別としまして、大変大きな歴史もあるわけですね。  したがって、こういう事案が起きたときに、やはり是は是、非は非としてはっきり意思を表明しないと、いつまでも事があいまいもこに進んでいくというふうなことにもなりかねないと思います。  私は、かつて、昭和四十八年から五十一年まで、東南アジア、タイの大使館にいたこともありますが、田中角栄首相が来まして、反日運動が起きて、田中首相が来たら三千人のデモ隊がそのホテルを襲って、田中さんが身の安全が危ないというような情報が事前にありまして、大使に報告しましたところ、外務省と相談しまして、大使はタイの外務大臣に会って、タイの外務大臣に対し、閣議を開いて日本の首相の安全を保証するという一札を出さない限り、日本の田中角栄をタイに送り込むわけにはいかないというような訓電が来まして、藤崎大使という方でしたけれども、そのようなことをして、大変政変の後で混乱していた時代でしたけれども、タイの警察も久しぶりにしゃっきりしまして、警備を万全を期すことができたということもあるわけでございまして、やはり政府としてこの問題について、外交ルート、あるいは、どのようなルートか分かりませんが、日本の毅然とした意思を示す必要があると思いますが、これについてはどのような対応をしておられ、また今後どのようにしたいのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  109. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アジアカップの試合に際しまして、例えば国際スポーツ試合であるにもかかわらず、スポーツ試合らしいフェアな応援がない、国歌の斉唱に関してブーイングがある、あるいは日本のサポーターが身の危険を感じるようなことがあるというようなことが起こったということは非常に残念なことだと思っております。  これに対しまして、外務省としていろいろなところで、あるいはいろいろなレベルで数回中国に対しては申入れを行っております。中国政府としては、これについてはこれをきちんと受け止めて対応を取っていると承知をしています。  準決勝のときの済南での試合ですけれども、この前には国際的なマナーということも教えたということのようでございますし、それまでに比べて大分事態は改善をしたということだと承知をしております。  中国側に対して例えばどういう申入れをしたかということでありますけれども、例えば昨日、次官から武大偉大使にこの申入れを行っております。また、私も昨晩、中国の共産党の書記処の書記が来日を、外務省の招きで来日をしておりまして、夕食をともにする機会がありましたので、このお話をし、善処方を申し入れております。  それから、今日、武大偉大使が、この方、離任をなさいますので、総理に離任のごあいさつに行った際に総理から、七日の決勝戦がスポーツマン精神にのっとった良い試合となって、日中双方の国民が楽しめるものとなることを期待しているということをおっしゃられたところ、武大偉大使から、中国側としても良い決勝戦となるように期待しており、主催国としてしかるべき措置を取る考えであって、御安心いただきたいというお話があったと聞いております。  中国としてこれは警備の強化をやっているということでもありますし、昨日私が話をした中国共産党の書記においては、日中間が、先ほど松村委員もおっしゃられましたように、近い国であって、この関係が友好関係を持っていくということを何よりも大事なことであると中国の指導者層は考えている、これを是非強化をしていきたいと思うと。それに際して、そのようなサッカーの観客のマナーのようなことがあって、それが日中の友好関係に悪い影響を及ぼすということについては、そういうことがないように希望しているし、そういうようなことがないようにしたいということで、中国の政府としては非常にこれを重く受け止めてそれなりの行動を取っているということであると思います。  決勝戦というのは、しかもこれは中国対日本ということでありますから、どこの国も大変にエキサイトをする試合になるわけでございまして、そうした中で、日本の国歌やそして日本の観客や日本の、しかも特に選手たちがきちんとしたプレーができるような、フェアな精神で是非応援をしてほしいというふうに私としては強く望んでいるわけでございます。中国としても、オリンピックが中国で開かれるという状況でございますから、指導者層は非常に重く受け止めているということであると思います。  それから、原因についていろいろ取りざたをされて、これは何とも分からないということでありますけれども、一つ、昨日、私が中国の書記から聞いた話で、日本人として余りそれまで頭に浮かんでいなかったことですけれども、日本でサッカーといえば国を挙げての大スポーツであるということでみんなが関心を持っているということですけれども、中国の場合、サッカーというのはほとんど人気のない試合であるということであって、中国の重慶であのような事件が起こったということについて、実は中国の大部分の国民はそういうことがあったということすら知らないということであるということを言っていました。  それはもちろん、中国がこれに対して対応を取っていくということの重要性を何ら減ずるものではないわけですけれども、やはり我々として、隣国の中国で日本のサッカー選手に対して、あるいは日本の国歌に対して、中国のあの十四億、十三億の民を全部包むような形で反日運動が存在をしているというふうに考えないということがまた大事であろうかというふうにも思ったわけでございます。
  110. 松村龍二

    松村龍二君 日本外交が、先ほどのお話じゃありませんが、言葉が外交で大切であるというお話がありましたけれども、日本人は、分かっているだろうとか、そういうようなあいまいな対応をすることが間々あるわけですけれども、やはり北朝鮮に対しても、中国に対しても、こういうことがあったからここで遠慮するとかどうこうでなくて、そのこと一つ一つをやっぱり是々非々はっきり対応し、今度の問題等についてはやはり日本の決意、ODAなんかも場合によっては考慮するぞというようなことを国民は望んでおりますので、ひとつくれぐれも対応を間違えないように、また総理自身も何か、特に外交になりますと言葉が尽くしませんと、靖国の問題にしても真意は説明しないままなし崩しでこうやっているということでは誤解を招くということもあろうかと思いますので、今後のアジア外交についてひとつよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  111. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  112. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会