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2004-08-05 第160回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年八月五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     理 事         加治屋義人君     理 事         段本 幸男君     理 事         常田 享詳君     理 事         小川 勝也君     理 事         紙  智子君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 羽田雄一郎君                 福本 潤一平成十六年七月三十日右の者は本委員を辞任した 。     ───────────── 七月三十日議長において本委員を左のとおり指名 した。                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 岸  信夫君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 羽田雄一郎君                 松下 新平君                 和田ひろ子君                 弘友 和夫君                 福本 潤一君                 紙  智子君 同日議院において左の者を委員長選任した。                 岩永 浩美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 羽田雄一郎君                 和田ひろ子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 岸  信夫君                 小斉平敏文君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 弘友 和夫君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        農林水産大臣官        房総括審議官   伊藤 健一君        農林水産省総合        食料局長     村上 秀徳君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       須賀田菊仁君        農林水産省農村        振興局長     川村秀三郎君        水産庁長官    田原 文夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (WTO農業交渉に関する件)  (平成十六年七月豪雨災害による農林水産関係  の被害に関する件)  (米国産牛肉輸入問題に関する件)  (食料農業農村基本計画見直しに関する件  )  (中山間地域等直接支払制度に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会開会をいたします。  議事に先立ち、一言ごあいさつを申し上げます。  去る七月三十日の本会議におきまして農林水産委員長選任をされました岩永浩美でございます。  本委員会の運営については、委員各位の格別の御指導、御協力をいただき、公正かつ円満に行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから理事選任を行います。  本委員会理事の数は四名でございます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事段本幸男君、常田享詳君羽田雄一郎君及び和田ひろ子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 国政調査に関する件についてお諮りをいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 岩永浩美

  8. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  9. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農林水産に関する調査のうち、WTO農業交渉に関する件及び平成十六年七月豪雨災害による農林水産関係被害に関する件を議題といたします。  政府から報告を聴取いたします。亀井農林水産大臣
  10. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まず、WTO交渉について御報告申し上げます。  私は、WTO交渉枠組み合意に向け、各国閣僚等と詰めの交渉を行うため、七月二十六日から八月二日までスイスのジュネーブに出張し、WTO一般理事会少数国会合等出席してまいりました。  今回の交渉会合は、今次ラウンドの成否のかぎを握る枠組み合意を目指すものであり、夜を徹して行われたグリーンルーム会合を始め、G10閣僚会合、さらにはグローサー農業交渉会合議長各国閣僚等との会談において精力的かつ集中的に議論を行った結果、最終日の深夜、合意に達しました。  我が国は、農業交渉については、多様な農業の共存を基本理念とし、柔軟かつバランスの取れた貿易ルールの確立に向けて、食料輸入国から成るG10の一員として積極的かつ建設的に交渉に貢献してまいりました。その結果、今回の枠組み合意において重要品目一般関税削減方式と異なる扱いとされること、その品目の選択が各国の裁量にゆだねられたこと、上限関税の設定については更に今後の検証にゆだねられたこと等の点でG10の主張が相当に反映されたものと考えております。  このように、今回の交渉においては、今後の農業分野モダリティー交渉において、非貿易的関心事項の適切な反映を始め、我が国主張を実現するための土台を作ることができたものと考えております。  さらに、林水産物についても、枠組み合意において、関税削減方式に関し更なる交渉が必要であるとされたこと、分野別関税撤廃等に関し具体的な分野が示されなかったことから、一定の評価をすることができると考えております。  今後は、枠組み合意後の交渉の中で、実質的な市場アクセスの改善を図りつつ、同時に食料輸入国主張を十分に反映したバランスの取れた現実的なモダリティーが確立されるよう、更に努力をしてまいる考えであります。  また、現在、食料農業農村基本計画見直し作業を行っておりますが、こうした国際事情をも踏まえ、競争力の強化に向けた農政改革を進めてまいりたいと考えております。  次に、このたびの梅雨前線豪雨による農林水産関係被害状況について御報告申し上げます。  まず、この災害により被災された方々に心よりお見舞い申し上げる次第であります。  梅雨前線活動が活発化したことにより、去る七月十二日夜から十三日にかけて新潟県及び福島県を中心に、また十七日夜から十八日にかけて福井県を中心豪雨となりました。  農林水産関係被害状況については、この新潟県、福島県及び福井県を中心とした豪雨により、水稲大豆等の農産物の冠水、農地農業用施設林地林道損壊等被害を発生しており、引き続き被害状況について調査継続している段階であります。  農林水産省としましては、被害状況早期把握に努めるとともに、関係県等と連携を図り、一、農地農業用施設林地林道等被害に対する農林水産業施設災害復旧事業早期実施、二、水稲大豆等農作物被害に対する共済金早期支払、三、経営再建等に必要な低利な経営資金の円滑な融通及び既貸付金償還猶予等、四、農作物被害拡大防止のための技術指導等災害対策に万全を期してまいりたいと考えております。  また、台風第十号による農林水産関係被害状況については現在調査をしている段階であります。  委員各位におかれましては、引き続き一層の御理解と御支援お願いいたします。
  11. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 以上で報告の聴取は終わりました。     ─────────────
  12. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農林水産に関する調査議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 自民党の小斉平でございます。  まず、質問に先立ちまして、さき新潟福井方面への集中豪雨、そして四国、中国地方を襲いました台風によりお亡くなりになられました皆様方に謹んで哀悼の誠をささげたいと思います。また、行方不明の御家族を始め、多大な被災を被られた方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、救援に当たられたボランティアを含む数多くの方々に敬意を表したいと思います。  ただいま亀井大臣の方からさき災害についての被害状況、あるいは対策について御説明をいただきましたので、どうかこの被災者立場に立って迅速で万全な対策を講じていただきますように重ねてお願いを申し上げたいと思います。  それでは、まず中山間地域への直接支払制度についてお尋ねをいたしたいと思います。  この直接支払制度は、耕作放棄発生防止多面的機能維持増進、さらには防災上からも川下の安全、大きな役割を担っておるところであります。まあ全国知事会や各市町村もこれまでの実績を踏まえてこの制度を高く評価をして継続を求めておりますし、また、対象用地要件緩和地方のアイデア、これを生かせるような見直し等々も要望をされておるところであります。中山間地域への支援による多面的機能の発揮、これは我が国社会や環境、防災の上からも非常に大事なことであろうと、このように思う次第であります。  制度継続に全力で取り組まれておるところであり、財政上、大変厳しいということは承知をいたしておりますけれども、私は半額を地方負担をするという現在の制度を国全体の取組、地方負担を軽減するという見直しも考えていいのではないかと、このように思います。  直接支払制度の堅持とともに、中山間地域保全にどのように取り組まれるのか、もう毎回この質問をいたしておりますけれども、再度、大臣の御見解を賜りたいと、このように思う次第でございます。
  14. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まず、台風関係災害につきましては、我が省といたしましても万全の体制が取れるよう鋭意努力をしてまいりたいと、このように考えております。  今御質問の中山間地域の直接支払制度につきましてでありますが、平成十七年度以降どうするかと、このことにつきましては、もう御承知のとおり、中立的な第三者機関、これによりまして中山間地域等総合対策検討会がございます。現行制度につきまして、この検証を行っておるところでもございます。  また、この制度につきましては、現在、地方公共団体からも多くの継続要望をちょうだいをいたしております。さらには、来年度の概算要求、こういう時期を迎えまして、なお一層その声が強くなっておるわけでありまして、私もこの制度役割、重要な役割を果たしておるということは強く認識をいたしております。  この現在行っております検討会検証を踏まえまして、本制度の果たす役割を堅持すると、この方向で来年度の予算要求概算要求に向けて、検討を含めて概算要求に向けて頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  15. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 この制度、宮崎県の農業専従者というものを内訳を見てみますと、大体六十五歳以上が四〇%、五十歳以上が八〇%というような状況、非常に高齢化が進んでいる。今のままいくと、国土の荒廃どころか集落そのものがなくなるというおそれが非常に強いわけなんです。そういう意味からも、そういう条件の悪いところの皆様方から何とかこの制度だけは堅持してほしいという声が非常に強いんです。そういう意味で、大臣には更に御努力を賜りたいと、このように御要望を申し上げたいと思います。  中山間地域へのこの直接支払制度というものは、毎回申し上げますが、二年後に期限を迎える森林整備地域活動支援交付金、これにも大きな影響を与える。ですから、私は頑張ってほしいといつも言っておるわけであります。  こうした中山間地域や山林の多面的機能、これは既に各方面評価がなされておるところでありますが、水産業及び漁村多面的機能についてもやっぱり私は評価をすべきだと、このように思っておりましたところ、一昨日、日本学術会議から答申が提出をされたということでありますから、この答申意義と内容、これについて長官の方から御説明を賜りたいと思います。
  16. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありました水産業あるいは漁村多面的機能ということでございますけれども、率直に申し上げまして、これまで学者の方々ですとか、余り本格的な研究はなされていなかった面があるということはこれは否定できないんではないかというふうなことで、昨年の十月でございますけれども大臣の方から日本学術会議の会長に対しましてこうした問題についての諮問というものがなされております。  これが今回、一昨日の八月三日でございますけれども答申ということがなされたわけでございますけれども、具体的な中身ということでは、例えば国境監視ですとか海難救助、こういったことを通じまして国民の生命、財産の保全機能があるということのほかに、例えば、ちょっとこれはかなりかみ砕いて説明しなければ一般国民方々になかなかお分かりいただけない部分もあろうかと思いますけれども人間社会から海へ排出されます栄養塩類、これが食物連鎖ということで水産物に、水産資源ということになりまして、これを漁獲することが物質循環を補完するという機能があるんではないかということですとか、それから、水産業藻場ですとか干潟の保全、さらには魚付保安林、こういう格好で生態系保全機能があるんではないか、こういったいろんな機能指摘されておりまして、私どもはこうした学術会議日本での科学者方々のお集まりの会議でございますので、こうした点につきましてまずは国民方々にその中身をよく知っていただく、こういったことが大切ではないかと、かように考えている次第でございます。
  17. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 長官の言われるとおり、この答申中身というものを国民によく理解をしていただくということは当然のことでありますけれども、その国民理解をしていただいた上でどのような対策を具体的に取るのか、取れるのかということについて、長官から御見解を賜りたいと思います。
  18. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) こうした多面的機能につきましては、平成十三年に制定されました水産基本法につきましても、国民理解関心を深めるとともに、その機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるよう必要な施策を講じなければならないというふうなことが規定されているわけでございますけれども、今回、こうした学術会議の御答申もいただきました。また、与党であります自民党あるいは公明党さんからも、こうした多面的機能についての具体的な政策を検討しろという御注文等々を受けておりまして、私どもといたしましては、八月、今月末までには十七年度に向けた予算編成作業ということで作業に入らなきゃいけないわけでございますけれども、可能なものにつきましては、こうした十七年度の予算、反映させたいということでいろいろと努力をしていきたいと、かように考えている次第でございます。
  19. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 まあ、長官、よろしく、しっかりと対策を講じていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、BSEについてお尋ねをいたします。  私は、これまでも述べてきたんですけれどもBSE発生国からの輸入はしないという政府方針、これは今までもずっとそのとおりだということで支持をいたしてきましたし、また、今もその気持ちというものは変わっておりません。  昨年の五月の末の委員会で、当時の生産局長に私は質問をいたしたんですけれども、これはトレーサビリティー法案質疑でありましたけれども、その中で、時の局長がこのように答弁されたんです。外国にBSEが発生した場合、最も強い検疫措置の、輸入は禁止すると、トレーサビリティーなんかよりかはるかに強いいわゆる検疫措置だと、このように言われました。ここでは、この方針の変更の理由というものを何回も求めましたけれども、全く私に理解できるような回答が返ってきません。でありますから、あえてそのことは答弁は求めませんが、しかしながら、今年の一月の末の委員会において、大臣が、輸入することにつきましては日本同等の、同じ全頭検査、いわゆるBSE検査特定危険部位除去、これが行われるシステムであればBSEが発生しておる国からでも輸入を禁止する必要はないと、こういうお答えをなさいました。  ところが、今見ておりますと、日米両国輸入再開を前提として議論をいたしており、全頭検査規制緩和、いわゆる条件緩和、これが非常に大きな問題になっております。私は、これはどうも理解できない。この委員会でも、この農水の委員会でも、我が国方針を変更したというような話は一切聞いておりませんし、どこがどうなればその全頭検査条件緩和というような話が出てくるのか、非常に私は理解に苦しむ、分かりづらいと言わざるを得ません。  そこで、大臣が述べられた我が国同等の全頭検査、すなわちBSE検査特定危険部位除去という政府方針、これは変わっていないと、この答弁は今も全く同じであると、このように理解してよろしいかどうか、大臣の御答弁を賜りたい。
  20. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 一月二十八日以降、四月に日米局長級会合が行われて、そして、専門家実務家、ワーキンググループの会議が三回行われております。そして、それぞれの立場での報告書が出ておるわけであります。  これから日米局長会合、これが開催されることになっておりますけれども、私は、前回にも申し上げましたとおり、我が国同等措置が講ぜられると、いわゆる、今、委員からも御指摘の全頭検査並びに特定危険部位除去と、この基本的な考え方は一向に変わっておりません。  いろいろ、会議報道で、何かマスコミからも何か報道がありますけれども、私どもといたしましてはその考え方は全く同じでありますので、是非よろしくお願いいたします。
  21. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 まあ少しは安心をいたしましたが。  それで、輸入再開問題というものは、今、食品安全委員会日米協議の二本立てで進められておるようでありますけれども、先月、食品安全委員会プリオン専門調査会が出した報告書たたき台、これでは検出限界以下の牛を全頭検査から外しても人への危険性は増えないと、規制緩和をいわゆる容認するような結論を出して、年内にも輸入再開かとマスコミで報じられました。  輸入再開に向けた日米間の両国協議が行われておる最中に、ちょうど、あたかもタイミングを計ったように規制緩和容認するたたき台が出されたということに、まず、私のみならず、関係者消費者を含めた関係者、大きな不信を抱いたと思うんですよ、私は。それはいろいろ要素があったかもしれませんけれども、そう取られてもしようがない状況にあると言わざるを得ないんです。  私は、この食品安全委員会の設立、このときに当たっていろいろ申し上げました。農水省や厚生労働省がかかわりある専門家を推薦するのはおかしいと、少なくとも一部は公募制にすべきである。それでなければ、両省とこの委員会というものが裏でつながっておるんではないかという国民に誤解を与えやすいということを私は強くその審査の過程で質疑をいたしてまいりました。そういった私の指摘、危惧が現実になってきたんではないかと、このように思わざるを得ないんです。  さらに、判定ができないから検査をやってもやらなくても危険性は同じだというんであれば、今までの全頭検査というのは無意味だということになるんですよ。全頭検査を始めるに当たって政府がその意義説明をして、国民が納得したからこそ牛肉の需要というものは回復したんです。たたき台の中で全頭検査意義はあったと、このように述べられ、潜伏期間におけるリスクがどの程度存在するかについて現時点では不明であるとしながら、全頭検査をやってもやらなくても同じということは、私は到底理解ができない。  食品安全委員会というのは国民の安全、安心のよりどころであって、委員会が大丈夫だと言ったものしか食卓に上らないという存在であるべきだと私は思うんです。その委員会検出限界以下の牛の判定ができない、言わばグレーであるに変わりはないから検査はやらなくてもいいと判断をして輸入を再開するということになればですよ、万が一、私は消費者の信頼というものは失われる。  今日の新聞に載っておりましたけれども、昨日、食品安全委員会が開催をした消費者との意見交換会、これでも全頭検査見直しについて慎重論が優勢であったと、消費者を含めて、このような報道がなされております。私はこれは至極当然のことだと、このように思います。安全を期すために、判定ができないというグレーの牛は、その判定ができる三十か月齢以上まで待って検査をしてシロと判定されたものだけを流通させるというのが私は当然だと、このように思うんです。全頭検査の有効性を高める方向にこそ食品安全委員会、これは向かうべきだと私は強く思うんですけれども、いかがでしょうか。
  22. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) お答えを申し上げます。  食品安全委員会では、本年の二月からBSE問題の全般につきまして議論を深めるということで議論をしてまいってきたわけでございます。その中で、我が国において講じられたBSE対策全般につきまして科学的な議論を進めてまいってきたわけでございます。  先生御指摘プリオン専門調査会報告書たたき台というのは、七月十六日に開催されました第十二回のプリオン専門調査会におきまして、これまで議論をしてまいりましたことにつきまして一応の整理をするという形で、我が国BSE対策検証する目的ということでそのたたき台をお示ししたところでございます。  そのたたき台の中では、御指摘のように、現在の検査法によりますれば、BSEの感染牛であったとしてもその延髄かんぬき部に異常プリオンたんぱく質がその検出限界以下しかたまっていない、蓄積していないものについては、これは検査では摘発することができないという、こういう整理が示されておるわけです。  こういうことから、その牛を検査対象から除いたとしても、全体としてSRMを除去しているという現在措置を取っておるわけでございますから、この措置の変更がない限りにおいてリスクが増加することはないという、そういう整理はしたところでございます。  いずれにしましても、これはたたき台でございまして、正にこの議論の途中というところでございまして、今後これを議論を深めてまいるところでございますので、今後のスケジュールその他につきまして現時点で予断を持って申し上げることはできないわけでございますけれども、私は、食品安全委員会といたしましては、当然のことながら国民の健康保護が最も重要であるというその基本的な認識の下に、客観的、中立的に科学的な議論を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  23. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 今、局長の方から最後の部分で言われましたけれども食品安全委員会の目的と、設置の意義というものを言われましたけれども、ですから、やっぱりそういう観点からも、国民が食に対する安全、安心ということの信頼を失わないようにしないともう何もならぬですよ。おたくの存在意義というのはなくなりますよ、国民からの信頼を失ったら。  ですから、そういうことを本当に気を付けながら、国民のためというんであれば、本当に国民が安全、安心、おたくの委員会が言うことは一〇〇%信頼するというような存在でなければならないと私は思いますから、更なる努力をひとつお願いを申し上げたいと思います。  以前、BSE調査団がアメリカ、カナダを訪ねまして、その報告書でアメリカは安全とは言えない、BSE汚染の可能性があると、このように指摘をされました。指摘された問題点をアメリカは改善したのかという問題があります。また、この七月には、アメリカ国内で見付かったBSE感染牛の、感染の疑いがある牛六百八十頭のうち農務省がBSE検査したのはわずか四分の一の百六十二頭だけであったことも同省の内部監査報告書で明らかになっております。さらに、アメリカは特定危険部位除去につきましても三十か月齢以上の牛を対象といたしておりまして、ずさんな検査体制、安全管理であるということは否めない。しかも、我が国トレーサビリティーシステムとは大変な乖離がありまして、牛の生産履歴がしっかりしていないために、月齢を乳歯やいわゆる永久歯などの歯で判断するあいまいな方法を取っておると私は聞き及んでおるところであります。  アメリカのへたり牛や死亡牛の問題、検査のサンプリングの少なさにより汚染の度合いが全く見えてこない、現状はどうなっておるのかと。汚染の可能性も安全管理の方法も不十分であれば輸入するのはいかがなものかと。これはやっぱり消費者から見た観点、そう思うと思うんですよ。局長、いかがでしょうか。
  24. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生今おっしゃいましたように、今年の一月に我が国から調査団を派遣をいたしましたし、また五月から七月にかけまして三回にわたりまして日米専門家、実務者によりますワーキンググループを開催いたしました。その中で我が国の方から、アメリカのBSE対策につきまして次のような問題があるということで、今、先生も幾つか例をお挙げになりましたけれども、問題点を指摘をいたしております。  例で申し上げますと、そのサーベイランスのやり方につきましては、サンプリングの取り方ですとか数の点が不十分だというふうなこと。また二つ目としまして、BSE検査の方法でありますけれども我が国と違いまして最新の方法が用いられていないというふうなこと。それから三点目として、えさの規制の在り方でありますけれども、牛の肉骨粉等が現在でも豚や鶏のえさとして利用が禁止をされていないということでありますので、当然交差汚染の危険がございます。それから、小規模な農家についてはこういった点でのチェックが行われていないと。様々問題点があるということは指摘をいたしたわけでございます。  これらの点につきまして、アメリカ側から、先ほど申し上げましたワーキンググループの会合等の場で、サーベイランスについてはこの六月から、従来は年間二万頭程度の規模で行われておりましたけれども、これを大幅に数を増加させて一年から一年半、強化されたサーベイランスを行うということ。それから、検査方法につきましても、我が国やEUが採用いたしております迅速検査法、いわゆるエライザ法というもの、それから確定検査でウエスタンブロットというものを日本、EUはやっておりますけれども、こういったものもアメリカでも導入したいというふうなこと。それから、飼料規制につきましては、すべての動物用のえさに対して牛の特定危険部位の使用を禁止すると。こちらの方はまだその方向を示しただけでありまして、実施はされておりません。  こういう点についての改善についての報告がございましたけれども、ですから、私どもとすれば一定の前進はあった、改善はされているとは思っておりますが、まだ日本の現在取っている措置等から見ましても十分なものではないというふうに思っております。
  25. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 さらに、BSEプリオンの検出限界、これを二十か月と見るのか三十か月と見るのか。いずれにいたしましても、検出限界以下の未検査牛、未検査の牛肉、これの輸入を認めて我が国でも同様の措置を取ることになれば、我が国でもいわゆるBSE検査逃れの牛が大量に出てくる、そのおそれが非常に強いんです。老廃牛、あるいは一部の高級牛肉、高級和牛、これを除いて、乳雄あるいは普通の和牛、ほとんどこのBSE検査を逃れようということで検出限界以下の月齢で出荷することになって、国内に流通するいわゆる牛肉の大半、これは大半が検査を受けていないという牛、牛肉になるおそれというものも可能性が非常にあるんです。さらに、その月齢以下であれば、EUやらイギリス、これからでもいわゆる未検査の牛肉の輸入を認めざるを得なくなるのではないかと私は思うんですけれども、そういうことで国内においてもいわゆる未検査牛肉が非常に大量に出回る、あるいは外国からの輸入でも、輸入牛肉でもそういうこと。  そういうことで、国民のいわゆる牛肉に対する信頼、これは私は非常に微妙だと思うんですが、保たれるかどうかということに御見解を賜りたい。
  26. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先ほど食品安全委員会の方からも答弁がございましたが、国内のBSE対策につきましては食品安全委員会プリオン専門調査会において検討はされておりますけれども、その中で、BSE検査には検出限界があり、検出限界以下の牛を検査対象から除外するとしても、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクが増加することはないと考えられるという、そういう見解が示されている一方で、検出限界以下の牛が何か月齢の牛に相当するかは現在の知見では明らかではないというふうにも言われておるわけでありまして、さらに私どもとしては今後の議論の帰趨をよく見極めていく必要があるというふうに思っております。  こういったまだ議論段階でございますので、今、委員がおっしゃいましたように、検出限界以下の未検査牛肉の流通を認めた場合にどうかということにつきましては、私から今の時点で何かコメントをするということは差し控えさせていただきたいというふうに思います。  ただ、このBSE対策の在り方を検討する上で大変大事なことは、やはり食品安全委員会において科学的な知見に基づいて行われるということと、それから、何よりも牛肉の安全性について消費者方々の信頼が損なわれることがないように、十分その議論の過程ですとか結論について消費者方々とのリスクコミュニケーションをきちっとして、消費者方々理解が得られた上でやっていくということが何より大事だというふうに思っております。その点についてこれからも十分留意をしていきたいというふうに思っております。
  27. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 冒頭申し上げましたとおりに、昨日行われました食品安全委員会意見交換会、これでも結局全頭検査に対してのいわゆるいろんな消費者やら生産者団体から意見が出てくるということは、やっぱりそこだと思うんですよ。そこだと思うんですよ。ですから、そういうやっぱりそのいろんな意見をちゃんと踏まえて対応していただきたいと、このように思う次第であります。  仮に百歩譲って、検出限界以下の牛肉の輸入、これを認めた場合でも、少なくとも国産牛の信頼性、これが確立されるように生産者に、生産者がこのBSE検査を受けるということを支援をして、BSE、まあいろいろ問題もあろうかと思いますけれどもBSE検査済みのシール、これを義務付ける。このことでやっぱり差別化できるような体制、これも私は一つ大きな必要性が出てくるんじゃなかろうかと、このように思うんですけれども、御見解を賜りたいと思います。  また、それでないと、我が国が今日まで大変な努力をして安全と安心、これをかち取ってきたこの検査体制、これは崩壊してしまうおそれが非常に強いんです。また、国民がこの牛肉に対して信頼をしなくなれば牛肉の需要は必ず落ち込みます、と私は思うんですが、その見解も併せてお聞かせを賜りたいと思います。
  28. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 国内のBSE対策に関しまして、今申し上げましたように、食品安全委員会の方で議論が行われております検査検出限界の問題も含めてまだ検討中ということで結論が出ておりません。私どもとしてはその議論の行方というものをよく注視をする必要があるというふうに思っております。  他方、米国産牛肉の輸入問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、やはりその輸入をするということであれば、それは我が国が現在講じている措置、それと同じ措置同等措置が講じられることが基本だということで、何よりも消費者方々の信頼を損ねないようにということで、食の安全、安心の確保を大前提にこれからもアメリカと議論をしていきたいというふうに思っております。  こういうことでありますので、検出限界以下の輸入を認めた場合のシールを張ることの義務付け云々ということにつきまして、今そのことについて私の方から仮定の、こういう場合であったらどうかということで具体的なコメントをするのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  29. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 最後になりますけれども食品安全委員会、これはその時々の政治的な立場、この利害という、これを離れてやっぱり中立的立場というものを確保しながら国民の食の安全を守るために作られたと、私はこのように理解をいたしております。しかし、このたたき台の文言で見る限り、検出限界以下の牛はシロではないと、そのリスクを国民に示していないわけであります。むしろ危険性が増えない、したがって大丈夫だというようなお墨付きを与えるような方向ではないかなと、このように思われてなりません。  BSE発生を契機に食の安全、安心、これが農政の重要課題とされまして関係者も大変な努力をされてまいりました。その象徴的存在として設けられたのが食品安全委員会、これに対する国民の信頼というものが失われたら、国民の食の安全、安心、これは根本から崩れることになるんですよ。  ですから、社会の空気や圧力に屈しないこの気概、これこそ食品安全委員会の私は基本的精神だと、このように認識をいたしております。グレーをクロでないからシロというような安全委員会ならもうむしろない方がいいと、消費者からいっても。そのような結論を出す委員があればもう代わってもらった方がいいと、私はもうそのように思います。いかがですか。
  30. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) 先生御指摘のように、食品安全委員会はリスク管理機関であります関係省庁から独立して、最新の科学的な知見に基づいて食品健康影響評価、いわゆるリスク評価等を行う組織ということで内閣府に設置されておるということを私ども十分認識しております。  したがいまして、我が国BSE対策検証作業につきましても、先ほど申し上げましたとおり、国民の健康保護が最も重要であるという基本的な認識の下に、これまで得られました知見等を踏まえまして中立的、客観的に科学的な議論を進めていくと。また、その国民に対しまして正確かつ分かりやすい情報を発信するとともに、意見交換等を行っていくということが極めて重要であるということで、こういう基本的な考え方で今後とも進めてまいりたいと思っております。  よろしくお願い申し上げます。
  31. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 局長、是非今答弁なさいましたそのとおりにやっていただきたいと、このように御要望申し上げておきますし、また、いずれにいたしましても、いわゆる国民の牛肉に対する安全、安心、これを、信頼が失われることのないように、これはもう牛肉に限ったことではありません、これはもうすべての食品にかかわってくる問題でありますから。特に今このBSEに関しましては、牛肉に対する国民の信頼というものは皆様方の大変な御努力ですぐ回復をしたんですよ。もう大変な迅速な対応ということで回復した。しかし、それが失われることのないようにひとつ今後とも全力を挙げて取り組んでいただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  32. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋義人でございます。  私は、WTO交渉に関連をして、食料農業農村基本計画見直し、そして中山間地域直接支払について若干質問をさせていただきますが、その前に豚コレラの問題についてお尋ねしたいと思います。  去る三月十九日、鹿児島県鹿屋の食肉検査所に持ち込まれた豚から豚コレラが確認をされて、そして今月の二日、鹿児島県の高尾野町なんですが、豚コレラの疑いがある事例が報告されています。昨日、農林水産省専門家によるこの検討委員会、開催されたやに聞いているんですけれども、現状そして今後の取組、詳しく御説明いただければ有り難いと思います。
  33. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  鹿児島県におきまして、今年の三月それから七月に豚コレラを疑う事例が確認をされまして、専門家によります、今、先生もおっしゃいましたが、豚コレラ撲滅技術検討会を開きまして、そこでの助言をいただきまして、一つは、疑似患畜が確認された農場で飼育をされていたそういった豚の殺処分、それから二点目としまして、殺処分をしました豚の死体等の適切な処分、それから周辺農場、この感染が広がっていないかどうかといった清浄性の確認検査、こういった防疫措置を進めてまいりました。  ところが、八月の三日でございますけれども、鹿児島県におきまして豚コレラを疑う三例目の事例が再び確認されたということから、改めて昨日、この豚コレラ撲滅技術検討会を開きまして、先生方のまた助言をいただいたわけでございます。  昨日の検討会で、今回のこの八月三日の三番目の例でありますけれども、そこから検出をされましたウイルスは、豚コレラのものですけれども、三月に確認された未承認ワクチンを接種したことによると思われる事例、それから七月に確認された事例、この最初と二番目のものと同じウイルスであるということが判断をされました。それから、防疫対応につきましては、三月、七月という過去二つの事例と同じ対応をしていけばいいということでございました。  こういった検討会の結果を受けまして、今後適切な防疫対応を行うというふうなことにいたしておりますけれども、今回の事例につきましては、この三月それから七月との関連が疑われますので、従来にも増して徹底した豚コレラ撲滅対策を講じていくということが必要だと思っております。  具体的に申し上げますと、ワクチン接種の有無を含めた関連農場、関係農場等に対します疫学調査をきちっとやっていきたいと思っておりますし、それから周辺地域を含みます広範な地域におきまして計画的に清浄性を確認をしたいというふうに思っております。  こういったこれまでの経緯を踏まえまして、私どもの方から各都道府県に対しまして、未承認ワクチンの不正使用の禁止を徹底をしていただきたいということで、一つは指導通知も出しましたし、また豚を飼っておられる方や獣医師の方など関係者に対しまして周知、指導の徹底、それから防疫措置の的確な実施ということで、豚コレラに係ります防疫対応を改めてきちっと現場で取っていただくようにということで私どもの方から指示をしたところでございます。
  34. 加治屋義人

    加治屋義人君 ワクチン等を含め、原因究明に是非急いでいただきたいと御要望申し上げておきたいと思います。  それでは本題に入りますが、去る八月一日のWTOの一般理事会で農業分野を含めた新ラウンドの枠組み合意がなされました。今後、これを基に具体的なモダリティー合意に向けた交渉が始められることになりますが、今回、関税の階層的削減の対象となる一般品目の例外措置として重要品目が認められたことなどは我が国主張が反映できたものと、そういうふうに評価をさせていただいておりまして、大臣を始め交渉関係者に敬意を表したいと思っております。  しかし、現場の生産者や団体がどれほど納得したのか。先送りされたもの、あるいはあいまいなものも多く、これで一安心とは必ずしも言えないのではないか、そういうふうに思っています。  今度のモダリティー策定まで予断を許さない状況であるということには変わりないと思っておりますが、例えば国家貿易品目の米、麦、乳製品など一律的な義務的な拡大につながるのではないかと、あるいは関税割当て適用外の牛肉、豚肉、砂糖など今後どうなるのかと大変不安を募らせております。これらについて、大臣の認識と今後の対応についてお願いをしたいと思います。
  35. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WTO農業交渉、今回の交渉、これは大枠を決めると、こういうことでいろいろ議論をし、その合意に至ったわけでありまして、これからの問題、市場アクセスの改善等の具体的なルールの問題、あるいはまた個別品目の取扱いを基本的に方向付ける、こういう問題、これはこの今回の枠組みの交渉以上に大変重要で、かつ厳しい交渉になると、このように認識をいたしております。  これらの問題につきましては、今後とも、G10と共同歩調を取って今回いろいろやってまいったわけでありますが、更にこの連携を強化すると。さらには、食料輸入国としての立場、これを強く主張してまいらなければなりませんし、またいろいろの国々との交渉と、これもまた必要であるわけでありまして、バランスの取れた現実的なモダリティーが確立できるように今後とも努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  36. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  我が国農業の健全な発展と確実な改革の妨げとならないよう、この重要品目の取扱いと不当な上限関税の導入措置などについて、これから十分関係者協議をしていただきながら進めていただきたいと思っています。  そこで、今回特に注目している点がございます。これは、このWTO交渉食料農業農村基本計画見直しとの関係であります。  現在、来年三月の改定に向けて基本計画の見直しが行われておりますが、その大きな柱の一つが品目横断的経営安定政策であって、担い手を中心に所得補てんを行うというものでありますけれども、今のところ米生産農家は対象としないのではないかと言われております。これは、今回の合意により例外扱いとなった重要品目に米などが含まれ、今後も現行の四九〇%程度の高関税で輸入が阻止されるから必要ないということを意味するのでしょうか。品目横断的経営安定政策に米が含まれるのかどうかということと、WTOとの関連について教えていただきたいと思います。
  37. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今の品目横断的な経営安定対策の対象に水田作経営というものを考えております。水田作経営の基幹となりますのは米作でございますので、この政策の対象として当然米は対象となるということでございます。  ただ、この経営安定対策の今議論されている具体的な仕組みが二つございまして、一つが諸外国との生産条件の格差を是正するための対策、要するに直接固定支払と言われる対策と、それから収入、所得が変動した場合にそれを補てんする、そういう影響を緩和するための対策と、二つこの具体的仕組みがあるわけでございます。  この前者の諸外国との生産条件の格差を是正するための対策といいますのは、例えば市場価格の方がコストを償っていない場合にそれを補てんする場合の直接固定支払ということでございますので、現時点でお米は市場でそれなりの所得を得られるような価格は形成されておりますので、品目別にいいますと、お米の部分につきましてはこういう直接固定払いの積算と現時点では考えにくいということでございます。これは先生言われましたように、しかるべき国境措置でしかるべき収入が確保されておるという点からくるものでございます。  もう一つの収入の、あるいは所得の変動を緩和するための対策、これにつきましては年々の変動でございますので、現在、米政策改革というものに取り組んでおるわけでございますけれども、その進展の状況を見ながらそういう対象にするということについて検討をしていくということになろうかというふうに思っております。
  38. 加治屋義人

    加治屋義人君 品目横断的経営安定政策にしろ品目ごとの補助にしろ、今回の合意によれば、固定面積に支払う補助なら生産が求められない直接支払として消滅の対象にならない青の政策に含まれる、すなわちWTO上可能の政策となるのかどうか、その点、合意の解釈について教えていただきたいと思います。
  39. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今般の品目横断的な経営安定対策検討の視点の一つに、国際規律の上で認められている対策に、すなわち緑の対策等にするということを基本に考えるということでございますので、私どもとしてはできる限りこの緑の政策、すなわち生産と連動しないようなデカップリングと言われているような支払だとかあるいは環境支払だとか、そういうものが緑の政策としてあるわけでございますから、そういうものに該当させるようにしたいというふうに思っているところでございます。  一方で、生産に関係のない対策となりますと、じゃ耕作放棄だとか捨て作りなんかをしている場合も対象にするのかということも問題提起をされておりまして、やはり日本の実情からいたしますと、そういう営農努力をしていない者も対象にするというのは実情に合わないのではないか、あるいはやはり担い手への農地の利用集積というものに対してインセンティブを与えるような対策が必要なのではないかという、一方ではそういう問題提起もされておりますので、そういうところも勘案しながら、できるだけ緑の政策というものに適合するように検討を加えていく必要があろうかというふうに思っております。
  40. 加治屋義人

    加治屋義人君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。  大臣に伺いたいと思うのですが、WTO交渉、本年末を交渉期限としておりましたけれども、一年先送りになりました。しかも、この期限内にまとまるかどうかは不透明、そういうふうに思っておりますが、WTO交渉が今後長引くと、当然その内容も確定しないことになるのではないかと。来年三月までとされる基本計画の見直しはWTOとの整合性を保つことができるのかねと、そういう気持ちでおりますが、その点をお願いしたいと思います。
  41. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 基本計画、いわゆる食料農業農村基本計画、これはいわゆるいろいろの状況食料農業、また農村をめぐる諸情勢、こういうものの変化を踏まえましておおむね五年、こういうことで見直しをすると、こういうことになっておるわけでありまして、現在その審議会におきまして御議論をいただいておるところでもございますし、もうこのことは御承知のことであるわけであります。  しかし一方、農業をめぐる情勢、構造改革の立ち遅れ等の問題、これはもういろいろ指摘をされておるところでもありますし、高齢化の問題等、あるいは耕作放棄地の問題等々、いろいろあるわけであります。  そこで、このWTOの農業交渉、この進展にかかわらず改革の加速化を図ること、これがやはり当然必要なことであるわけでありまして、そういう中でこの問題、私は、昨年十二月にいわゆる品目横断的な経営安定対策への転換あるいは担い手・農地制度見直し農業環境とそして資源保全政策の確立、こういう三つの課題につきましては現在審議会におきまして検討をしていただいて、十日の日に審議会の中間論点整理がまとまると、このような日程であるわけでありまして、この中間論点整理、これを受けまして可能なものから平成十七年度の予算措置概算要求に入れることができるか、制度改正やあるいは具体化が、こういうものができるかどうか、スピード感を持ってこの改革を進める、こういうことで進みたいと。そして、来年三月、基本計画の策定、これをいたしてまいりたいと、このように考えております。
  42. 加治屋義人

    加治屋義人君 大変大切な問題だと思っておりますので、是非よろしくお願いしておきたいと思います。  次に、今年度で期限が切れる中山間地域直接支払とWTO交渉との関係について疑問を一つ持たせていただいております。  農業の国内支持政策の削減について合意された内容を見ますと、現行では削減対象外とされる緑の政策についても貿易歪曲性がないかどうか見直し、明確化する。その際、非貿易的関心事項が考慮されるとされております。中山間地域直接支払は、条件不利地における農業や地域の維持が目的であって、貿易歪曲性など全く無縁の政策であります。現行上、緑の政策でやるばかりではなく、今後も削減の対象外として扱うのが当然と思われますが、その点どうお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  43. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) 中山間地域直接支払制度につきましては、現在緑の政策として通報しております。  今お話がありましたように、今回の枠組み合意の中で緑の政策につきましては、今お話があったように、政策基準の再検討あるいは明確化ということを行うということにされております。ただし、その再検討、明確化の中においても貿易歪曲的な影響がないか、あるいはまた最小限であるということが、そういう基本的概念は維持されております。また、非貿易的関心事項が考慮されることが必要であるということも記述されております。  そういったことからいいますと、中山間地域制度の支払の性格からいきまして、生産条件の不利を補正して多面的機能維持増進するといったこと、こういったことは緑の政策の基本的概念に一致するというふうに考えておりますので、再検討、明確化が仮に行われたとしましても、その性格上、中山間地域支払制度は緑の政策に位置付けられるべきものというふうに考えております。
  44. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  今回の合意によりますと、緑の政策を再定義する場合に、非貿易的関心事項が考慮されるとしていることからも分かりますように、今後は農業多面的機能がますます重要なものとして考慮していかなければならない、そう思っております。  そこで、環境負荷の少ない農業や資源循環型の農業、国土保全や文化的価値を持つ農業農村などへの補助や支援がますます必要であり、これは削減の対象外として当然緑の政策に含まれていくものと、そういうふうに考えておりますが、そのように理解をしてよろしいのかどうか伺います。
  45. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) 緑の政策の基準につきましては、今申し上げましたように、今後再検討あるいは明確化をしていくということでございますけれども、基本的概念は維持されているというふうに考えております。  そういう中で、個々の政策がこの緑の政策にどれが該当するかということにつきましては、やはりこの再検討、明確化が行われた後に個々の政策ごとの性格を判断して扱うべきというふうに考えております。
  46. 加治屋義人

    加治屋義人君 最後の質問になりますけれども、林産物との関連でお伺いしたいと思いますが、林産物につきましては、地球温暖化、そして地球環境問題の関心が高まっております。我が国の森林・林業、木材産業はもう大臣承知のとおりでございます。森林の整備、管理が十分に行われていない、そしてまた外材輸入の増加から木材の自給率、正に二割を切る、そういう状況になっております。このままでは森林の有する多面的機能の持続的な発揮や資源環境型社会の実現が本当に危ぶまれているのではないかと危惧いたしております。  そこで伺いますが、WTOにおいて林産物については非農産品市場アクセス交渉の中で議論が行われてきたと聞いておりますけれどもさき枠組み合意がどのような結果であったのか、また林産物に関するWTO交渉への対応、方向等について大臣に伺いたいと思います。
  47. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WTO交渉におきまして、林産物、これは非農産品市場アクセス、この交渉の中で議論が行われたわけでありまして、デルベス・ペーパー、これを中心に進んできたわけでありますが、このことにつきましては、この非農産品市場アクセス交渉の中で更に、一つは、分野別関税撤廃等につきましては一部輸出国から廃止をすべきだと、こういう提案、主張があったわけでありますが、対象分野が具体的に明示されなかったと、こういうことが一つであります。  さらには、関税削減の方式につきましても、途上国の柔軟性がのみ明示されている中で更なる交渉をする、こういう必要性、これがうたわれたわけでありまして、今後この交渉におきまして、地球環境の問題あるいは有限天然資源の持続的利用、こういうことの重要性を踏まえまして、林産物、分野別関税撤廃等の対象とならないようにすること、さらには関税削減方式につきまして、我が国の森林・林業、木材産業を取り巻く、今、委員からも御指摘の事情、このことを十分配慮が行えることになるよう引き続き最大限の努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  48. 加治屋義人

    加治屋義人君 WTO、関連して幾つか質問をさせていただきましたけれども、冒頭申し上げました生産者、生産団体、非常に先の見えないWTO、今回のこの内容でございますので、しっかりと頑張っていただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  委員長、ありがとうございました。
  49. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  まず最初に、豪雨災害について、まだまだ被災状況はっきりしていないわけですけれども大臣から報告をいただきました。亡くなっている方もいらっしゃいます。また、被災に遭わられた方、大変多くおりまして、これからもしっかりと、農林分野の部分では農林水産省しっかりと被害状況を調べていただいて手当てをしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  私も初当選以来ずっと農林水産委員会に所属をさせていただいて、農林水産業、プロではなくて素人でございますので、勉強させていただきながら質問をさせていただいてきました。質疑をしておりましても、今臨時国会ほど大切な部分というか、WTOの問題、BSEの問題、またコレラの問題とか、まだまだ食の安全、安心という部分でもしっかりと議論をしていかなければならないわけですけれども、今臨時国会は大変短いものでありまして、それ自体残念に思っております。我々としては、しっかりとした議論の時間を取って対応していきたいということを申し上げさせていただきながら、今後、和田理事と一緒に理事をさせていただきますので、力を合わせて理事を務めさせていただきたいと思っております。そういう中で、我々の思いというものを少しでも、野党の話も耳を傾けていただいて国の農業の発展のために参考にしていただければと思っております。  まずは、WTO農業交渉についてお聞きをさせていただきたいと思っておりますけれども、カンクンの閣僚会議では、途上国、先進国間の立場の違いがどうしても埋まらず合意に至らなかったということでございます。決裂をしたわけですけれども、今回はとにかく合意をしていこうということで、どちらかというと、合意自体を優先させて主要な論点を先送りにして、輸出国、輸入国双方の都合がいいような形で解釈ができるものとなっているように感じております。  今後のモダリティー交渉、これがもう決戦の場でありまして、どのように臨んでいくのかお答えをいただきたいと思っております。
  50. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) WTO農業交渉につきましては、御指摘のとおり、今回はあくまでも枠組みの交渉ということでございました。  今回、その枠組みの合意がなされたわけですが、これからいよいよ具体的な数字なりあるいはいろんな細かい要件を含んだ基本的なルールというものが交渉されると、いわゆるモダリティー交渉が行われていくということになります。これは、これが決まりますと正に個別品目ごとの取扱いとなっていくということになりますので、大変重要な交渉になりますし、また大変厳しい交渉になるというふうに考えております。  したがいまして、今後、G10諸国と結束をまた更に強化しながら、また途上国にもいろいろ働き掛けをしながら、食料輸入国としての立場がきちんと反映されますようにしっかりと交渉してまいりたいというふうに考えております。
  51. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 大変厳しい交渉ということを認識を持っていただいているということを感じておりましたのでそれはいいとしますけれども、なかなか安堵したということではなくて、本当にますます厳しい状況の中で交渉が予想されております。タフな議論と我々日本主張をしっかりと、根回しもしながら議論をしていっていただきたいなと思っております。  先ほども言いましたように、輸出国そして輸入国ともに都合よく解釈できるものになっておりますので、これからが正念場でございます。そういう中で、我々としては高関税を維持する代償として低関税での輸入の義務的拡大を迫られる、このようなことがないのか、そういうことが話し合われていないのか、またそのようなことがないということをしっかりと言っていただきたいわけですけれどもお尋ねをさせていただきたいと思います。
  52. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) 今回の枠組み合意の中におきましては、関税削減につきましては、いわゆる階層方式、つまり高い関税ほど大きく削減するという方式の採用は決まっております。しかし、その中で、いわゆるセンシティブ品目につきましては別な取扱いをするということで階層方式の枠外という位置付けがきちんとなされております。  このセンシティブ品目につきましては、関税削減と関税割当て約束の組合せで対応するという別のルールで今後交渉がなされるわけですけれども、これはあくまでも別のルールということで、代償措置という考え方は我々としては理解をしておりません。  なお、この組合せにつきまして、センシティブ品目への配慮があって初めて最終的なバランスの取れた交渉になるという記述もございます。我々としては、こういったことを根拠にしながら、今回、今後の交渉の中で品目の事情によっては一律的な関税割当ての拡大を求められないような交渉をしっかりやっていきたいと思っております。
  53. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 日本政府は義務的拡大はないというような解釈をしているようですけれども、先ほども言いましたように都合よく解釈できるものですから、輸出国の方は義務的に拡大するというふうに主張してるわけですね、既に。このこと一つ取っても本当にタフな交渉になるのは必至でありまして、心して掛かっていただきたいと思っております。  厳しい交渉をしているにもかかわらず、今回の交渉で結局結論の先送りに成功しただけだという声も実はあるわけでありますけれども、そのことについてどうお考えでしょうか。
  54. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) まず、今回の枠組み合意につきましては、我が国を始めとしますG10、食料輸入国立場が相当程度取り入れられているというふうに考えております。  具体的に申しますと、まず上限関税につきましては、昨年九月のカンクン閣僚会議におきましてはデルベス議長案というものが出されましたけれども、その中では原則設定するという案になっておりました。それが今回の中では、上限関税役割について更に評価されようという表現にとどまっておりまして、交渉前の段階にとどまっているというふうになっております。また、先ほど申しましたように、重要品目の取扱いにつきましても階層方式の外枠と、枠外という位置付けになっております。そういった点で、決して問題が先送りばかりされているわけではないというふうに考えております。  ただ、今後いわゆるモダリティー交渉が行われていくわけですけれども、こういったきちんとした今回の枠組み合意を根拠にしながら、先ほども言いましたようなG10諸国との連携を強化しながら、多様な農業の共存が可能になるような交渉をしっかりやっていきたいと思っております。
  55. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 合意文書には今後の検討課題といったような表現が多くて、具体的に数字が出てくるこれからが本当に大変でございまして、安堵したり一息つくというような状況下にないことを指摘させていただきたいと思っております。  WTO交渉を通して、外からしか見れないわけですけれども、感じることは、日本農業を強くしていかなければならないなということを感じております。直接交渉に当たっている農水省、また前回のウルグアイ・ラウンドから十年もたっているわけですから、もっともっと厳しい日本の現状を感じ取って、そして世界と対峙していかなくちゃいけない。そういう中で、国内の農業の足腰を強めること、これをしてこなければならなかったともっともっと感じてもらわなければならないなということを思っております。  足腰の強い農業、もちろん価格面でも、また国際競争力を持つ農業を築くためにはどのようにしていくつもりか、是非お答えいただきたいと思います。
  56. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からWTOの関連につきましていろいろ御発言をいただきました。  振り返って考えますと、昨年の九月のカンクンでのことと、先ほど答弁をいたしましたとおり、上限関税の問題等につきましては、正にあの当時、私参りまして、上限関税の問題という大変厳しいことを突き付けられ、あのデルベス議長に、正文として入っておったわけであります。それを何とか、これは結論的には削り落とした文章でございますけれども、括弧書きで例外ということを主張し入ったわけであります。あの当時は正に本当に、上限関税を強いられたら私は独り席を立って帰ってくるつもりで交渉に臨んだわけでありますが、自来、G10を結成をいたしまして食料輸入国立場で連携をし、そして一部、G5から日本は除かれている、G5になぜ入らない、こういうような御指摘もございますけれども、しかしあの中に入ったら、農業国というような立場上限関税の問題が果たして今回このような状況になったかどうか、これは正に分からないわけでありまして、私はやはり食料輸入国立場で、今回G10の存在は、私、自分で言うのは甚だおこがましいことでありますけれども、それなりの声価を世界の各国からも受けたと、こう思っております。  そして、やはりこれ交渉事でございますから、EUも同じような多面的なグループ、こういう面での共通点があるわけであります。これからモダリティーを確立する面で、いわゆるG10の結束と同時にそれぞれの国と、今日G5のインドであるとかブラジルであるとか、いろいろ接触もし、またアメリカ、EUとも十分それらのことはやってきたわけでありますが、これからモダリティーの確立の面では、やはり十分G10と同時にそれらの国々との関係というものをしっかり持って、先ほどのお話のとおり、もうこれで一休みというようなことは決して思っておりません。引き続いてこれをやっていかなければならないと、このように思っております。  そういう中で、今後の日本農業、足腰が強く本当に価格面でも国際的な競争ができるような、そういうための努力をしていかなければならないわけでありまして、意欲と能力のある担い手が主体、そして常に創意工夫、そしてそれらが発揮できるようなことにならなければならないと。また、農産物の品質の向上の面でもやはり努力をしていかなければならないと。そういう中で、我が国農業生産の相当部分を担う農業構造、これを構築していくことが重要なことと、このように認識をいたしておるところであります。  さらには、農業構造のこの実現、そういう面では、施策の対象をこれまでよりも、幅広い農業者を一様にカバーするのでなく担い手に重点と、さらには個別品目ごとの価格・経営安定対策から担い手対象に、そして経営の安定を図る対策に転換するのと、今、基本計画の見直し作業、この審議会でいろいろ御議論をいただいております。このような問題をスピード感を持って対応すると、そして足腰の強い我が国農業を構築してまいりたいと、このように考えております。
  57. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 G10の結束ということ、これは本当に大切なことだと思います。交渉事でございますし、同じ思いを持てるメンバーがしっかりと議論をしていくことも大切ですし、また、やはり途上国や輸出国に対してもしっかりと理解を求めていく、そういう根回しも大切でございますので、いろいろな形でこれからの最終的なモダリティー交渉に当たっていただきたいと思っておりますし、やはりこの国の農業を力強くしていく。  また、我々民主党は、去年のマニフェスト総選挙と言われた選挙の中でも、食と農業安心、安全を守っていく観点からも、食の安全保障の考え方の下、直接支払制度の創設を訴えさせていただいたり、またあわせて、やはり物流コストが日本はどうしても掛かるわけでございまして、この物流コストの大きい日本にとって無限大の効果が出てくる高速道路の無料化なんかも、実は我々はそのマニフェストからずっと訴えているところでございます。  今、食の安心、安全が叫ばれている中で、日本はこういう安全や安心ということに特化して、地産地消をもちろん進めると同時に、輸入国から逆に輸出をどんどんできる、安心と安全だから買いたいと言わせるような輸出国を目指し攻めに転じていくときではないかなということを感じておりますので、是非そのことも付け加えさせていただきたいと思っております。  次に、BSEの問題について質問をさせていただきますけれども、小斉平さん退席されておりますが、小斉平さんが我々よりももっともっと厳しい質問をしていただいておりますので、私も続いてBSE問題について質問をさせていただきたいと思います。  一九八六年に英国で初の狂牛病が発見されて十八年がたっているわけでございます。日本は、初動の後れと農林水産省の対応の余りにもひどい悪さで国民から信頼を失って、世界で最も厳しい、また、そこまでやらなくてもと思われるようなことまでやって国民安心と安全を提供してきたわけであります。日本消費者安心と安全を提供する義務を国は負っていると考えております。  国内消費の牛肉の三割弱の輸入があったアメリカ、ここでBSEが発見され、日米間の輸出入というものが禁止されて日米BSE協議に係る第三回の専門家及び実務担当者の会合報告書が出されておりますが、この中から少し質問をさせていただきたいと思っております。  これ自体が、外務省でやられたということ自体がちょっと何で外務省なんだろうという思いもあるわけですけれども、外務省に引っ張られるとどうしてもアメリカとやはり追随していくようなイメージがあって、やはり農水省は日本国民の命と財産、命と安心と安全を守っていくんだという観点からいえば、何で外務省でやるのかなと。外務省でやったら何かそのままアメリカに妥協していかなくちゃいけないんじゃないかなというようなイメージを持ちながら質問をさせていただきますが、アメリカはBSE暫定清浄国であると主張しているようですけれども日本としての見解はどのようになっているのか、お答えください。
  58. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 日米間で行われましたBSEのワーキンググループにおきまして、アメリカは、米国で発生したBSEの牛というのは輸入牛であると、それから国内におきますBSE対策も国際基準を満たしているとして、自分の国、米国がOIEのBSEコードに基づけば暫定清浄国に該当するというふうに主張したのは事実でございます。  これに対しまして、私ども日本からは、一つは、今年の一月に日本からBSE調査団を派遣しておりますし、またアメリカも国際調査団を招聘いたしましたけれども、そのどちらの調査団の報告におきましても、米国とそれからカナダのBSEの汚染状況というものには大きな差があるとは考えられないというふうな報告書が出されておりますし、また二点目としまして、アメリカの飼料規制、えさの規制の実施期間ですとかあるいはサーベイランスの実施の状況を見ますと、国際基準を満たしていないという可能性もあるというふうなことも指摘をしたわけでございまして、こういったことからいたしますと、現段階で米国を暫定清浄国というふうにみなすのは難しいというふうに思っております。また、アメリカはOIE、国際獣疫事務局の方から暫定清浄国として承認されているわけでもありません。そういったことから、私どもとしてはアメリカを暫定清浄国とは考えておりません。
  59. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 その認識をしっかりと持ち続けていただいて、これからアメリカがどういう対応をしていくかというものを見守っていきたいと思いますし、その視点を持ってしっかりと対応していただきたいと思っております。  日本では、特定危険部位除去ですね、除去方法として、背割りをする前に髄を吸引する吸引方法を取っているはずですけれども、これは飛び散らないようにということで背割りをする前にそういうような形を取るわけですけれども、アメリカはどのように特定危険部位、SRMですね、の除去方法を取っているのか、そのことで日本として納得をしているのかどうか、その違いと、また納得をされているのかどうかということをお聞かせください。
  60. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 米国におけるSRMの除去方法についてでございますけれども日米BSE協議で科学的知見や事実関係を整理するために設置されました専門家及び実務者会合、ワーキンググループにおいて米国側より説明された内容によりますと、米国側では全月齢の扁桃及び小腸並びに三十か月齢以上の頭蓋、脊髄等について、HACCPやマニュアルに基づき除去を行うこととしている旨の説明を受けたところであります。他方、我が国におきましては、全月齢の頭蓋、脊髄、回腸遠位部等について、都道府県等の職員であると畜検査員の監督の下で除去を行っておるところであります。  したがいまして、最も大きな我が国との違いはSRMの対象月齢でありまして、これについてはもちろん納得していないわけでございます。
  61. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 我々が調べた中では、背割りは髄を取る前にしているということは、もう飛び散って肉に付着しているというような状況があるという話がありますけれども、その部分はいかがでしょうか。
  62. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 我が国との脊髄除去の方法についての違いでございますけれども我が国の場合は、背割りの前に脊髄を吸引除去することを、一般に、背割りをして脊髄を取って、その後高圧洗浄等をしてきれいにするわけでございますけれども、そこは両方の国やっているわけでございますけれども我が国としては、それに上乗せとして、背割りする前に脊髄を吸引除去する、そしてより安全性を高めるという措置をしているところでございます。
  63. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 高圧洗浄をしていれば大丈夫という認識を持っているということですか。
  64. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 私ども平成十三年の段階でございますけれども専門家から構成されます研究班の会議を作りまして、実際に脊髄除去技術の評価を行いました。その際に、高圧洗浄により枝肉の汚染の除去効果があることは、これは確認しております。  もとより、背割り前の脊髄の吸引除去だけで全部きれいに取れるわけではございませんので、その後の高圧洗浄と、これも大変大事でありまして、その後で本当に取れているかどうか、これの確認する研究をしております。  重ねて申し上げますけれども、この高圧洗浄というところがしっかり行われているかどうか、これが大変重要であります。
  65. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 髄を先に取った方がより安全だということは間違いないわけですよね。
  66. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 洗浄する対象の量が少なければ、それは当然より安心できるのではないかと思います。
  67. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これ以上ちょっと聞いてもよく、どんどん深みにはまっていくので、これ以上はまた後日説明をお聞きしたいと思いますけれども。  それでは、次の質問に移らせてもらいます。  日本は、肉骨粉の飼料利用を全面的に禁止し焼却しているのに加えて、交差汚染防止対策として、飼料規制について、ラインの分離、専用化等も行っていると思いますけれども、アメリカは、飼料規制について、ラインの分離、専用化等を検討する用意はあるのかどうか、また今の状況を教えてください。
  68. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今お尋ねの点につきましても、ワーキンググループ等の場でアメリカ側に確認をしているところでございます。  現状では、アメリカは、哺乳動物に由来するたんぱくを反すう動物用のえさとして使うことは禁止をしておりますけれども、その他の豚や鶏に使うというようなところは、牛肉、牛由来のものであっても認められているというふうなことがございまして、交差汚染の危険性があるということは十分指摘をしたところでございます。  こういった日本側の指摘に対しまして、先ほどの日米ワーキンググループにおきまして、アメリカ側からもそういった点については改善をする用意があるということで、現に今年の七月の十四日付けの官報に掲載をされておりますけれども、一つは、哺乳動物なり家禽に由来するたんぱくを反すう動物用に使用することはまず禁止をするということ、それから特定危険部位も、これは牛の特定危険部位でございますけれども、えさ利用にすることを禁止をするということ、それから歩行困難な牛や死亡牛のえさ利用についても禁止をすると。そういうことに加えまして、今お尋ねのございました反すう動物用の飼料の製造施設、設備、あるいは輸送資材等の専用化、いわゆるライン分離でございますけれども、それについても行うということで、そういった方向について今パブリックコメントを求めているという、そういう状況にあるという説明がございました。  ですから、まだ現に実施はされておりませんけれども、そういった方向で改善をする用意があるというのが現状でございます。
  69. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これが改善されなければなかなか輸入を解禁していくような話にはならないと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  70. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今お尋ねの飼料規制、いわゆるフィードバンにつきましては、これは牛のBSEが他の牛に感染をする、そのサイクルを断ち切るために大変大事なことだというふうに思います。ですから、アメリカにおいてBSEが蔓延していくことを断ち切る、そのための手段として大変大事だということでございます。  他方、牛肉の輸入ということからいたしますと、えさの規制というのは直接の関連はございません。むしろ、アメリカがBSEに汚染されているという条件の下で、どういうことをすれば安全、安心な牛肉が輸入できるかという、そのことをこれから協議をしていくということでございます。
  71. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、日本トレーサビリティーのシステムを導入しております。牛の出生情報を記録し、正確な月齢も判定ができるということになっておりますけれども、農水省はこれから言うことについては違う見解を持っているようですが、私は国民の、国民また消費者ですね、の皆さんにとっては、これも安心と安全に寄与しているというような思いもします。また、やはり顔が見えるということで信頼を持てるというふうに考えております。  農水省は、なかなかそこの辺りは違う見解というか、今まではそうではないというようなことを強く言っていたので私とは違う見解を持っていると思いますけれども、アメリカにもトレーサビリティーシステムの導入を求める必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
  72. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 牛のトレーサビリティーシステムあるいは個体識別の制度でございますけれども、本来の目的は、感染牛が見付かった際に、それと同じ飼養条件にあったそういう同居牛を速やかに特定をしていく、そういうことを通じまして、国内におけるBSEの蔓延防止措置を的確に行うための基礎的な条件として大変大事な仕組みだというふうに思っております。それと、消費者への情報提供という役割といいますか機能もあるというのはそのとおりでございます。アメリカに対します先ほど申し上げました国際調査団等の報告におきましても、米国において個体識別システムを実施をすべきだという意味での勧告もなされてございます。  こういった状況の中で、先ほどのワーキンググループの場におきまして、我が国日本ではこういった仕組みを導入しているというふうなことは説明もしてきたところでございますし、アメリカの個体識別制度の導入の現状についてもこちらから、日本側から質問をし、説明を求めたところでございます。アメリカ側の説明によりますと、動物の個体識別システムの確立を段階的に進めていくという現状にあるということでございまして、今時点の状況は、全国的あるいは義務的な制度としてはまだ確立をしていないという、そういう状況だという説明がございました。  そこで、その個体識別制度でございますけれども、それ自体が、今申し上げましたように、目的として牛肉の安全性を直接保証するというため、そういうための措置ではないということから、牛肉輸入の再開に当たっての条件にすると、そういう条件を付けるということは必ずしも適切ではないというふうに農林水産省としては考えているところでございます。
  73. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 ただ、やはり国民の皆さんは、このトレーサビリティーシステムでやはり顔が見えるということで安心とそして信頼をここに持っているということも私は思っておりますし、これがなかなかないとやはり信頼が持てなくて、また牛肉に対する国民の不信感というものが募ってくるんじゃないかなということを感じております。  私たち民主党、そしてまた共産党さんや社民党さんも含めて、野党三党で衆議院の方から輸入牛肉の情報管理伝達特措法というのを実は出させていただいております。是非これも参考にしていただいて、しっかりと議論をさせていただくことによって与野党一緒に合意して、今後の対応、迅速にするためにも、そして国民の信頼を得るためにも、是非このことはお願いをしておきたいなと思っております。  報告書を読んでいても、今の質疑応答をさせていただいている中でも、まだまだアメリカからの輸入というもの、これを再開することなど考えられないわけであります。日本からのアメリカへの輸出と、そしてアメリカからの輸入というのが何か一緒になって同時並行で考えられているようなこともちらほらと聞こえてくるわけですけれども、これもまたおかしなことで、こちらの方が信頼ができるようであれば先にもちろん輸出もできるようになるわけだと思いますし、アメリカの方が信頼がしっかりとかち得るのであれば、あちらからの輸入が先に入ってくるというようなことだと思って、これが同時に両方でバーターみたいな形になるということがないように是非お願いしたいということと、また、夏を目途に米国産及び日本産牛肉の輸入再開に向けて最終的な結論を得るというような話がありますけれども、この夏というのは、もう既に夏も終わりに近づいているわけですが、これをいつと考えているのか、また、まだまだそんな話にはなっていないということであるのか、お答えいただきたいと思います。
  74. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 日米の牛肉貿易に関します局長級協議、これ四月の二十四日に開催されておりますけれども、その中で、一つは、先ほどから出ておりますワーキンググループというのを設置をして専門的、技術的事項について整理をしていく、協議をしていくということと、それから、今、先生がおっしゃいましたが、本年夏をめどに日米双方が米国産牛肉及び日本産牛肉の輸入再開について結論を出すべく努力をする、その二点が合意をされているわけでございます。  それで、具体的なこれからのスケジュールということでございますけれども、これは関係省庁と相談をしながらアメリカ側と調整をするということになりますけれども、現時点で申し上げれば、具体的な日取りその他についてはまだ一切決まっているわけではございません。  それからもう一つ、日本からのアメリカ向けの牛肉の輸出についてのお尋ねもございましたけれども、これは何も取引というか、そういう条件ということで言っていることではなくて、日本はきちっとしたBSE対策をしているわけですから、当然、アメリカ側に輸出をする場合に認められてもそれは当然であるという、そういう意味でアメリカ側に要求をしているというものでございます。
  75. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 もう一度確認させていただきますけれども、それでは日本とアメリカの輸出入というのは別個でしっかりと考えられていると、こういうことでよろしいんでしょうか。
  76. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今現在は二つの、双方向の牛肉の貿易が止まっているわけでございます。したがいまして、その両方の事柄を協議の対象として議論をしている段階にございます。ですから、そういう意味においては、同じように貿易の再開というのが実現するのが望ましいという意味で同時にできれば決着をしたいというふうに思っているわけでございます。
  77. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今のだとやはりバーターみたいな話になってくるわけで、こっちが妥協する妥協しないという話で、やはり日本はもう確立しているわけですから、もう輸出を求めていくというのは当たり前でありまして、まだまだアメリカの方は疑問が残っているわけですから、今すぐは無理だよと言ってもおかしくないわけです。ですから、同時にという話が出てくると、やはりそれはちょっと違うぞというふうに思いますので、ちょっとそこのところは考え方を変えてもらわなければならないなというふうに思います。  今まで大臣に聞いていただいて、今のことも含めて、こんなことではやはり妥協するような話になってきますから、また、小泉総理がサミットで決めてきたみたいな話まで実はマスコミからは出ているわけで、こんなことを続けていたら信頼というのはなかなか得られないわけで、大臣の決意を是非お聞かせいただきたいと思います。
  78. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 日米の問題につきましては、経過等々につきましては御説明申し上げたところであります。  しかし、何分にも、私はやはり我が国消費者の信頼、そして国民の健康保護と食の安全、安心、このことが基本的なことでありますから、これに基づきまして日米協議を続けていくと。そして、ワーキンググループにおきます報告書も、これはいろいろまだ相違点もあるわけでありますので、これらの問題に十分協議をするということは必要なことでありますし、さらに、我が国の場合はやはり我が国同等のことが行われると、これが基本であるわけでありますので、それに基づきましてこれからも協議をしてまいりたいと、このように思っています。  また、あわせて我が国の牛肉の輸出の問題、これは今まで、かつてはやっておったわけでありますが途絶えておったわけでありまして、今回の協議で申し上げておることでありまして、これはやはり交渉事でございますから。ただ、私は日本輸入につきましては先ほど申し上げましたことが基本的なことでございますから、これを崩してまで日本の輸出をするということは、これは認めることのできないことでありますので、是非その辺の御理解をいただきたいと思います。
  79. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは大臣に期待をして、質問を和田さんに替わりたいと思います。
  80. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。よろしくお願いいたします。  大臣のWTOの御報告と、後は台風報告、また長雨による新潟福島福井の御報告をいただきました。被災に遭われた皆さん、またお亡くなりになった方々の御冥福を心から私もお祈りをいたしたいと思います。  質問に入らせていただきます。  BSEやWTOについては既に同僚議員から質問が出ましたので重複を避けて、私は、今現在見直し作業が行われています基本計画に関連してお尋ねをいたします。  この食料農業農村基本法、平成十一年に作られました。そのとき、私も農林水産委員会に所属をしていました。そして、同僚の議員の中には先日お亡くなりになった久保亘さんもいらっしゃいました。本当にいろんなことについて久保先生から御示唆をいただき、勉強をさせていただいたと思います。久保先生はもう本当に心から農業というものを考えておられて、この農業基本法に前文がないというのを大変残念に思っておられました。  それでありますので、私は、今日皆さんにお配りをしておりますが、昭和三十六年にできた農業基本法の前文を、ちょっと時間があれなんですが、読ませていただきたいと思います。   わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、国民食糧その他の農産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等国民経済の発展と国民生活の安定に寄与してきた。また、農業従事者は、このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。   われらは、このような農業及び農業従事者の使命が今後においても変わることなく、民主的で文化的な国家の建設にとってきわめて重要な意義を持ち続けると確信する。   しかるに、近時、経済の著しい発展に伴なつて農業と他産業との間において生産性及び従事者の生活水準の格差が拡大しつつある。他方、農産物の消費構造にも変化が生じ、また、他産業への労働力の移動の現象が見られる。   このような事態に対処して、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、農業従事者の自由な意志と創意工夫を尊重しつつ、農業の近代化と合理化を図って、農業従事者が他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにすることは、農業及び農業従事者の使命にこたえるゆえんのものであるとともに、公共の福祉を念願するわれら国民の責務に属するものである。   ここに、農業の向うべき新たなみちを明らかにし、農業に関する政策の目標を示すため、この法律を制定する。 という前文であります。  久保先生は、これを熱く語っておられました。日本農業従事者は、この前文を読んで、自分たちの農業がいかにこの日本にとって大切であるか、もう本当に熱い血潮をみなぎらせたものだというふうに語っていただいておりましたことを、私は昨日のように思っています。  当時でありますと、格差というのは工業、経済成長の中での工業や何かだと思いますが、今では外国とかWTOのとか、他産業という次元は違うというふうには思いますが、現在のこの農政の基本として、どこか違ったものがございますか。これは通告はしていないんですけれども、この精神というものに違いがあるかどうか、亀井大臣お尋ねをします。
  81. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農業をめぐる環境、いろいろ変わってきておりますが、基本的なことにつきましては同じものを持っておると、このように認識をいたします。
  82. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ありがとうございます。  それでは、質問をさせていただきます。  先日、食料農業農村政策審議会企画部会の中間論点というものの素案を見せていただきました。私は、まず、ちょっと驚いたんですが、論点の整理というのは、「はじめに」ということを頂いて、第一は「政策展開の基本的な考え方」、第二は「政策改革の方向」、第三に「その他」というふうになっています。  その中にはいろいろ、食に対するニーズの多様化とか、もういろいろあるんですけれども、第三の「その他」という中に「今後の主要な検討課題と検討の進め方」というのがありますが、そこに、この秋以降、第二の施策の具体像を明確にするとともに、食料自給率目標を始めとする政策展開の目標や指針のほか、食の安全・安心の確保、農業生産資材の生産及び流通の合理化、新技術・品種の開発・普及、有機物の循環利用の促進、食品産業の競争力強化、農産物・食品の輸出促進、農村の振興など諸施策の在り方についても検討を行うべきであるというふうに「その他」に書いてあります。  私たち、日本農業って、自給率の目標とか、今後、日本の農政をどういうふうに持っていくか、そういうことが一番大事であって、そこからいろいろ発生してくるんだと思いますが、「その他」の項目で今後の課題として自給率の目標とかそういうことを書いてあるんですけれども、本当に、政策展開の目標、指針はまず最初に決めて、それを実現するために政策展開の基本的な考え方や政策改革の方向が検討されるべきではないんだろうかというふうに思いますが、間違いでしょうか。大臣、お答え願います。
  83. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この問題、この基本計画の見直しお願いをした、そういうこと。一つは緊急的な問題と。いわゆる土地利用型農業中心にして構造改革が遅れていると。あるいはまた耕地の利用率の低下と集落機能の低下とか、あるいは農業の有する多面的な機能、この発揮に支障を来すおそれがそういう面で高まってきているとか、あるいはまたWTO農業交渉等におきます国際規律の問題、こういうことの状況、これらが緊急の課題と、このような認識を持っておるわけでありまして、そういう中で、私は、昨年十二月に、いわゆる品目横断的な政策への転換、あるいは担い手・農地制度見直し、そして農業環境、環境保全、こういうことを優先三課題として諮問をお願いをしたわけであります。  そしてさらに、秋以降の議論として、来年三月までのことでありますから、中間論点を審議会におきまして整理をしていただき、秋以降、今御指摘食料の自給率を始めとする施策の展開の目標であるとか、あるいはまた食の安全・安心の確保の諸施策の在り方であるとか、これらにつきまして幅広く御議論をいただくと、こういうことになっておるわけでありまして、最終的に来年三月に基本計画の見直しと。そして、それはバランスの取れたものを作り、新たな計画、このようにいたしたいと、このように考え、企画部会におきまして、政策審議会の企画部会、座長の下でいろいろ論点を整理をされ、審議の計画、こういうものをお持ちになっておるわけでありまして、来年三月の基本計画、最終的にはバランスの取れた基本計画、これを重視するということが考え方であるわけであります。
  84. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 それはもちろん、来年三月までにできればいいということなんですけれども、もう前提の持ち方が私は違うんじゃないかというふうに思っていますので、そういう懸念がありますので、どうぞそのことを踏まえて、きちんとしたバランスの取れたもの、大臣がおっしゃいましたように、お願いをしたいというふうに思います。  自給率の目標は、この基本計画ができるときは、基本法ができるときはたしか五〇%というふうに言ったはずなんですけれども、基本計画の段階で四五%になりました。その経緯をちょっと教えてください。
  85. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 一つは、世界の食料事情、需給事情、また中長期的に見ても、大変緊迫をすると申しますか、厳しい状況が予測をされるわけであります。  そういう中で、国民の多くの皆さん方も大変この事情に不安をお持ちになっておるわけであります。こうした状況で、現行の食料農業農村基本計画におきましては、基本的には食料として国民に供給される熱量の五割以上を国内生産で賄うことを目指す、このようなことが適当と、このようにされておったわけでありますが、平成二十二年までの計画期間におきましては、関係者努力により低下傾向にある食料自給率に歯止めを掛け、その着実な向上を図ることとし、そして消費者や食生活の見直し、こういう中で、消費者、生産者におきます関係者が取り組むべき課題が解決をされた場合に実現可能な水準ということで食料自給率が四五%を設定したと、このように承知をいたしております。
  86. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 どなたに聞いても、本当は一〇〇%あればいいんですけれども、せめて五〇%、少なくとも五〇%ぐらいはだれでも思っていますよね。そういうことからしても、四五%ということに対して私は大変残念だなという思いがいたしますが。まず、この五年間で四〇%から全然上がっていないんですよね。こういう、四五%に向けての取組というのはされていたんですか、お尋ねをします。
  87. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) 今、委員指摘のとおり、我が国食料自給率四〇%、カロリーベースで四〇%ということで近年推移してきております。この食料自給率につきましては、国内生産だけでなくて、国民食料消費の在り方ということによって左右されるということが大きいわけでございまして、その観点から、食料農業農村基本計画におきましては消費及び生産両面における課題を設定いたしまして、この解決を図るために取組をしてきたわけでございます。  具体的に申し上げますと、消費のサイドでは、食生活指針の普及定着などを通じまして栄養バランスの改善を図る、あるいは食生活の見直しを推進するということ、それから生産サイドにおきましては、国産農林水産物が消費者に選択されるようにその条件を整備していく、特に品質の向上あるいは低コスト化などを推進してきたところでございます。
  88. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 これから六年間で四五%にするその施策はどんなものがあるのか。まさか四五%を捨てるということはないんですよね。
  89. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) 農林水産省といたしましても、最大限の努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  二十二年度までに自給率を四五%にするとの目標でございますけれども、その条件として、総供給熱量の四分の一を占めております、そしてその自給がほぼ一〇〇%でございます米の消費の水準を維持するということがまず一つございます。それから、それ以外の品目については、基本的に国内における生産を拡大するということなどを前提としているわけでございます。  他方、米につきましては消費量の減少が継続しておりまして、平成十四年度で六十二・七キログラムまでに減少している。それ以外の品目につきましては、麦、大豆、それから砂糖を除き総じて生産量が減少しているというような状況がございます。  したがいまして、四五%の達成のためには、更に消費、生産両面における課題の解決に向けまして更なる努力が必要であるというふうに考えております。そのために、消費者、生産者、あるいは食品産業の事業者などの関係者の取組を促進していきたいというふうに考えております。  消費の面では、食生活の変化に伴いまして、食料自給率の低下に加え栄養バランスの崩れということで、生活習慣病の増加などが社会問題化していることも考慮いたしまして、食生活の改善に関する正確な情報提供を通じまして栄養バランスの改善を図る、あるいは地産地消の推進、食文化の維持、継承を通じまして栄養バランスの改善あるいは食料消費等についての理解を促進するということ、いわゆる食生活の大切さ、いわゆる食育ということを進めてまいりたいというふうに考えております。  生産面……
  90. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 はい、結構です。済みません。  是非、四五%という目標を達成するために頑張ってくださいよ。もっと元気にお願いします。  次に、論点整理の第一の「政策展開の基本的な考え方」の第二番目に「農業の構造改革の立ち遅れ」。「農業の構造改革の立ち遅れ」、私、本当にこの項目、驚いたんですが、農業構造の立ち遅れ、構造改革の立ち遅れという見出しは、そこには、農業の構造改革の立ち遅れ、生産構造の脆弱化の進行が懸念される、このため効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立し、我が国農業の生産性の向上と競争力強化を図ることが急務というふうに書かれています。  一つは、現在の基本法が決定された平成十二年に併せて提示された農業構造の展望などでも、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するというようなことであった、さっきの前文にも書いてありました。  六兆百億円というウルグアイ対策競争力を強化して足腰の強い農業経営を作るというのはどこに行ってしまったの。農業の構造改革の立ち遅れという見出しで生産構造の脆弱化の進行が懸念される、何言っているんだというふうに思うんだけれども、その六兆百億円の使途というのはどうだったんですか、効果は何だったんですか、お願いします。簡単にお願いします。
  91. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今、先生御指摘ございましたように、ウルグアイ・ラウンド合意関連対策であります。  非常に各品目に対しまして国際状況が変わりましたので、これを受けまして、このねらいは、一つは、合意によって我が国農業農村に及ぼす影響、これを極力緩和したいと、あわせまして望ましい農業構造の実現と資本装備の充実、こういった目的だったわけです。したがいまして、事業内容も、農業生産基盤の整備から、それから地域の農業生産の高度化のための施設整備、あるいは担い手への農地の利用集積のソフト事業等多岐にわたっております。  これは、最初六年間、結果的には二年延長して六兆百億円の事業費を投入いたしまして、この対策についての評価平成十二年に行いました。  その評価の結果を、ポイントを申し上げますと、その中間評価の結果としまして、事業の執行水準が低いものとか、それから、いろいろな情勢変化がございまして目標達成が必ずしも十分でないと、こういった事業も見受けられたわけでありますが、ただ、全体として見ればそれなりの効果を上げているということでございまして、この事業は、言わば具体的な観点でいきますと、例えて言いますと担い手育成型の圃場整備事業に重点的に追加していくという、言わば進度を上げるとかそういった対策をやったわけでございますが、その場合には、担い手の経営規模が約二・五倍と、こういった明確な効果が出る地区もあったわけでございます。  ただ、そういったことと、一方で、農地の利用集積というのは、ソフト事業でいきますと、担い手に農地の過半を集積する目標面積に対しまして達成率が五四%程度と、その両面ございまして、そういう意味でいきますれば、今、先生御指摘ございました、せっかくこれだけの事業をやって効果はどうなんだということになると思いますけれども、全体の農政のいろいろな課題がある中で、相当各品目共通して引き上げる、そういう効果はあったと思うんですが、ただ、今の最大の課題でございます土地利用型農業の経営規模とか、それから今の担い手の皆さんの年齢構成とか、これはまだまだそういった目標に達していないという状況がございますので、それをこれからどうしていくかということは今の私どものやっております基本計画見直しの課題だというふうに考えておるところでございます。
  92. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今お答えをいただきましたけれども食料農業農村政策審議会企画部会が、農業の構造改革が立ち遅れている、生産構造の脆弱化の進行が懸念されるなんというふうに言われ、政策評価はきちっとされているのにこういうふうな指摘があることに、大変不満はないんですか。これはお金が足りなかったということなんですか、六兆百億円では。使い方の使途が違ったということなんでしょうか。ちょっとお尋ねします。
  93. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 六兆百億円で目指した対策としては、先ほどの圃場整備だとか、効果があった部分もございまして、それは適正に評価されております。  ただ、全体としての水田農業、例えば米が典型ですけれども、ああいった今後の構造を考えたときに、規模でありますとか、それから担い手の言わば経営体でありますとか年齢でありますとか、そういうところはまだまだ、その当時のウルグアイ・ラウンド対策以降の情勢変化もありますし、それから、私ども目指して利用集積しようとしたところがなかなか結果として出なかったと、両面あると思います。ただ、それは両面出なかったといいますのは、その六兆百億円が全く無駄だということじゃなくて、それはそれなりの効果で上げたけれども、まだいろいろな環境の中で足りない部分があるので、これからその制度の在り方等を含めて見直しをしなくちゃいけないというふうに今評価をいただいているというふうに理解しております。
  94. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 じゃ、農業構造の改革の立ち遅れなんという見出しにはならないと私は思います。更なる農業構造を改革をしなければいけないとかという見出しならいいんだけれども、こんなこと書かれていられないんじゃないですか。怒ったらいいじゃないですか。例えば、農業者の皆さんがあの六兆百億円をいただいてというか、六兆百億円でどうなったかといったら、うちの周りの農家の皆さんなんか借金増えただけですよね。償還金が大変だ。機械化が進んでその機械の借金だけでも大変だ。また、足腰強いなんというふうにはもう本当に思えないというふうに思っています。  昔は農家は絶対につぶれないって会津なんかでは言いました。何でって、土地があるから。来年必ず生産があるから。いいよな、農家は土地持ってっからなという感じだったんですけれども、私の大切なお友達も今回、本当に花作りにもう情熱を燃やして、農業と複合経営で花作りをして、何回も雪でハウスが壊れたり、そして連作の障害があったりしていろんな資金を借りるんだけれども、農協の資金借りたり国からの資金借りたりして、国からの資金は前向きじゃないと後ろ向きには貸さないから、だから農協のちょっと高い資金借りたりして、つぶれて、今はもう本当に町を出ていかれた人もいて、私たち、この間涙のお別れをしたんですけれども、本当に今の農業大変ですから、しっかり考えていただきたいと思います。  次に移ります。  「食に対するニーズの多様化と高度化」という見出しが付いた項目がありますが、ここでも食に対する信頼の再建という程度で、国民の皆さんに食べてもらうために具体的に何をすべきかということは何も言っていません。ただ、国民の皆さんの嗜好が変わったとか、食べることが少なくなったとか、そんな何か言い訳がましいことしか私には聞こえてこないんですね。先ほども指摘がありましたが、アメリカ産牛肉の輸入再開するために、国民の食に対する信頼の象徴とも言える全頭検査についても、若い牛を検査しても結果が出ないから、検査してもしなくてもリスクは変わらないから全頭検査やめて輸入しましょうなんということが、もうこんなことが言われるとすれば何をか言わんやですよ。  食料自給率を向上させるために何をするかという前に、できない理由、言い訳をしたりしないで、お米や国産品を食べない方が悪いと言わんばかりのことは言わないで、例えばお米の消費拡大のためにどんな努力をしたか、具体的に説明をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  95. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) お米の消費拡大の関係でございますけれども、生産者団体などとの共同提供によりますテレビ番組で御飯食の健康情報等を提供する、あるいは栄養士会などと連携いたしましたシンポジウムを開催するなど、いろんな取組をさしていただいております。  地産地消の取組を支援しながら、学校給食での米飯の推進、あるいは生産者団体が実施しますPR活動、稲作体験活動教室などについての支援と、こういったことも地道に今取り組んでいるところでございます。
  96. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 学校給食に御飯食べてもらうなんといって学校給食の補助金はやめてしまわれたんですよね。それで本当に自分たちの何かやる、本当にやっているのかというふうに思います。  例えば、JAでお米ギャラリー、国会ごはん亭というのがあるんですけれども、国会ごはん亭は平成十五年の十一月から十六年の三月現在でもう二万人ものお客さんがいて、私もこの間買いに行ったら、もう行列なんですね。本当にみんなお米好きなんですよ。何かもっともっと食べていただけるような努力をしなくちゃいけないんじゃないですか。  例えば、うちの会津坂下町は構造改革特区というのに手を挙げて、農林省でこの間、会津坂下町の宣伝、紹介をさせていただきました。もう皆さんおいでいただいたんですけれども、あのときにはおにぎり作りが間に合わなかったんですよ。鯨汁がもうみんな食べられちゃってなかったんです。もうお昼になる前に全部売れちゃう、そういう状況だったんです。  みんな本当にお米好きなんです。お米を食べることが少なくなったとか、そういうことではなしに、もっともっと、減反とかそんなことにばっかりお金使っていないで、お米食べること、そして地産地消、何でもいいから日本の国の農産物を日本国民にもっと食べてもらう努力をきちっとしていただきたいというふうに思います。  次に質問いたします。  「農業多面的機能に対する期待の高まり」ですが、だから私たちは多面的機能を適正に評価して、農業多面的機能を推進するために必要な生産活動に対して適切な補償をしなくてはいけないんじゃないかというふうに思っています。  このことに対して、「農業生産環境施策の在り方」のところを見て、ちょっといささか驚いています。その「ウ」のところにある「施策の具体化に向けた手順」のところを見ますと、農業者が最低限取り組むべき規範については、有識者の意見を踏まえて策定するとともに云々と書いてあります。生産者の意見はどうなっているんだろう。有識者の意見を踏まえて策定するというんですね。しかも、規範というのはどういうことなんだろう。  これまで環境面を無視して化学肥料とか農薬、そして基盤整備などをやって増産しろ、コストをあれして増産しろって目指してきたのは農林省じゃなかったんですかね。それをこれから政府の言うようにやれば支援するから、農業者の皆さんが、支援するから、いい子であれば、化学肥料を少なくすれば何とかを、まあ堆肥を少なくすれば、いい子にしていれば補助金も上げますよなんという言い方だったら農家の人怒るんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがですか。
  97. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員のお話でございますが、御案内のとおり、やはり農業生産活動そのものにつきましても、やはりそれに伴って様々な環境負荷が発生をするわけでございます。地域によりましては農業生産によりまして地下水などが汚濁すると、そういった例も生じているわけでございます。  したがいまして、やはり環境問題につきまして国民関心がますます高まっているわけでございますので、やはり農業に対する国民の信頼を得ていくという観点からも、農業全体につきまして環境保全を重視したものにやはり転換をしていくことが求められているというふうに考えているわけでございます。  そこで、これを推進するための手段ということでございますが、やはり肥料でございますとかあるいは農薬を必要以上に使用しないといったようなことで、農家の方々が環境に対する負荷を低減するということで最低限取り組んでいただく事項というものを規範として策定する必要があるんじゃないかというふうに指摘をされているというふうに理解をしているわけでございますが、その規範というのは何かということでございますが、例えば農薬取締法でございますとかそういうふうな関係法令、これはやはり当然守るべきであろうというふうに考えておりますが、さらに施肥、肥料を施すとか、あるいは病害虫防除にしましても、余り過剰にそういうことをやらない、適切なことにとどめるというふうなことで、環境の負荷に必要な最低限の基本的な事項を整理をいたしまして、その事項に沿って農家の方々が御自分の生産活動を点検していくということが想定されるわけでございます。  こういった規範につきましては、やはりただいま委員からもお話ございましたが、各種のいろんな農業振興施策の実施を通じてその定着を図っていくということが望ましいんではないかということでございまして、そういった事業の実施の際に、受益をされる農業者の方々がこの規範を実践をしていただく、そういうことを確認されるというふうな仕組みということが適当じゃないかというふうに考えているわけでございまして、また、この規範の策定に当たりましても、決して有識者、確かにここには有識者というふうな規定しかないわけでございますが、当然のことながら現場で苦労しておられる農業者の方の御意見、そういったことも当然幅広くお聞きするということが重要であろうというふうに考えている次第でございます。
  98. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は、考えますのは、農業をされている皆さんに、国民食料を守っていただいている皆さんに、多面的機能を守っていただいている皆さんに、対価としてお支払をしますというふうな状況があって、そして農業者は、こんなふうに対価をもらったんだから私たちはなるべくそういうものを使わないような努力をしようとか、そういうことからの発想で国はいけばいいのに。例えば規範をする、守るべき規則を作るということなんだけれども、例えばさっきの長雨の被害なんといったら、規範を作っても、もちろん今年は物すごい虫が増えたり細菌が増えたり、もう何か病気が増えたりしたら、規範どころじゃないほどの肥料を、そういうものを、化学肥料を使わなければいけないかもしれない時期もある。そして、気温が上がったら何かをしなくちゃいけない。今年は規範よりも少ないかもしれない。  だから、規範なんて決めても本当は農業者の知恵の方が正しいんですよ。有識者の御意見と一緒に農業者の御意見も入れるというふうに言われていますけれども農業者の知恵とか努力とか経験こそが本当にすばらしいものであるんだから、なるべくこんな規範なんという言葉ではなくて、もっと書きぶりを考えていただいたらいいんじゃないかなというふうに思いますので、お答えは要りません、よろしくお願いします。  次に、「グローバル化の進展」というところがありますが、これに関連して攻めの農業というふうにも言われています。攻めの農政とはどういうことをいうのでしょうか。輸出を視野に入れた程度で攻めというんですか。例えば、中国のお金持ちは、我が中国の農産物はすごく毒が多いから日本から輸入しようなんということを考えて、そんなことが我が国の輸出を視野に入れた程度で攻めというんでしょうかね。  先ほども言いましたけれども、自給率の向上のために、そして国産品の消費を拡大するために、例えば輸入農産物に頼っている外食の量販店などが国産品に切り替える場合にメリットがあるようにするよというようなこととか、中山間地域の直接支払を含めて農村が活性化して耕作放棄地が解消されるように積極的に支援するとか、従来の政策エリアを超えて、あるいは従来の政策エリアの中心でなかったものに力点を置いたり、農業農村を活性化させていくようなことが攻めの農政ということだというふうに思いますけれども、いかがですか。
  99. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 基本計画の見直し、今いろいろ委員からも御指摘を受けておりますが、これはこの審議会座長の中間論点の整理をされるその素案と、このようなわけでありまして、今回の基本計画の見直しの中ではやはり前向きな形でいろいろの対応をしなければならないと、このように考え私は諮問をしたわけでありまして、そういう中で、やはりとかく今まで保護、いわゆる守りの、国内農業を保護するとかあるいは輸入を抑制すると、こういうような視点で守りと、こういうことでありますけれども、私はやはり農業に創意工夫、またあるいは自由な発想、さらには意欲のある、やる気と能力のあるそういう方々を後押しをする、そういうことも大きな私は攻めのことではなかろうかと、このように認識をし、そのような政策の転換と。  あわせて、もう一つはやはり全体として輸出の促進、輸出することもありますけれども、やはり新技術ですとか新製品でありますとか、新品種あるいはバイオマスの問題ですとか、そういうものを含めて有効活用ができるような、そういうことも併せて考えてまいりたい、そのようなことを展開をしてまいりたいと、このように考えておる次第であります。
  100. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 最後にもう一度大臣お尋ねをします。  中間論点整理の中でできるものから来年度の概算要求にのせていくというふうに言われておりますが、現時点で何が来年度から実施できると考えておられるのか、お尋ねをしたいということです。  日本農業というのをどうすべきか。規模の拡大だけではなくて、集落とか文化を守っている小規模農家の皆さんの思いとか、担い手の方たちには他産業並みの所得を維持できるようにするとか、いろいろ言われておりますけれども、是非に、農業をしっかり、ビジョンをしっかり見据えて、農家の皆さんがこの農政にくっ付いていって絶対に間違いがないんだというような農業をするためにどんなふうなお考えでおられるのか、そしてこの概算要求にはどれをのせるおつもりなのかお尋ねをして、私の質問終わります。
  101. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まだ正式に、十日の日に中間論点整理をちょうだいをするわけでありまして、今日その取りまとめの作業がなされておるわけであります。そういう面でできるだけ、先ほど来申し上げましたとおり、スピードをもっていろいろの対応をしなければならないわけであります。  そういう中で、やはり担い手の育成また確保への支援策をどうするか、こういう問題、また農地の利用集積につきましてどう対応するかとか、あるいは担い手を対象とした品目横断的な施策の導入に向けての調査検討、こういうものを考えなければなりませんし、あるいはまた環境や農地、環境保全の問題、これにつきましてどのようなものを調査検討、主として来年度の概算要求、そういうものが考えられると。  私は今日、まだ具体的に中間論点整理をちょうだいしておるわけではありませんから、十分それらを精査をして、時間は限られておりますけれども、主として前に進むために、それを実行するために最初の基本的なことにつきまして要求をしてまいりたいと、このように考えております。
  102. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 終わります。
  103. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友でございます。  私、農水委員会は初めてでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。  まず初めに、WTOの枠組み合意の関連してお伺いしたいと思いますけれども亀井大臣始め今回交渉に当たられた皆様、大変御苦労さまでございました。  大臣は、今回、夜を徹して行われたグリーンルーム会合も含め、精力的かつ集中的に議論を行い、今後のモダリティー交渉の基礎となる枠組みを確立した点で極めて意義深いと、このように自ら評されておりますけれども、今回の交渉の御感想、そしてまた我が国交渉においては多様な農業の共存を基本理念にいたしまして、多面的機能への配慮、二番目に食料安全保障の確保、三番、輸出入国間のルールの不均衡の是正、四、開発途上国への配慮、五、消費者、市民社会関心への配慮を日本提案として主張してまいりました。  今回の合意にはこれらの主張をどのように反映されたと評価しているのか、また林水産物についてはいかがでしょうか。感想についてもお伺いしたいと、このように思います。
  104. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WTO農業交渉一般理事会におきまして、各国の閣僚と本当に夜を徹して議論を経まして、枠組みの合意が成ったわけであります。  今回の農業交渉枠組み合意、それは、一つはセンシティブ品目一般関税削減方式と異なる扱い、これができたことと、またその品目の選択が各国の裁量にゆだねられた。また、上限関税につきましては、まず交渉の前に役割評価をする、こういうこととされたことと。市場アクセスの改善につきまして柔軟性を確保することができた。さらには、輸出補助金あるいは一部の輸出信用、国家貿易企業に関する貿易歪曲的な行為等の撤廃に加えまして輸出禁止及び制限に関する規律強化について明記がされておるわけであります。この結果、輸出国と輸入国との規律のバランスの改善につながったと、このように考えております。  今後、この枠組み合意の下で食料輸入国主張を十分に反映した農業モダリティーが確立されるように、G10諸国あるいはまたそれぞれ引き続きいろいろの国々としっかり話合いをして、このモダリティーが確立されるように努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  105. 弘友和夫

    弘友和夫君 成果が大変上がった部分と不透明な部分、そしてまた先送りといいますか、された部分、様々あると思うんですけれども、今回の合意におきまして、米などの重要品目は大幅な関税引下げの対象から外れる、いわゆる例外扱いになったものの、ほかの農産品は大幅に関税を引き下げられたり、重要品目でも輸入枠を広げられたりする公算が大きいと言われております。  例えば、米のミニマムアクセスのような低関税での輸入枠の拡大が義務付けられたのかどうか明確でないと、こういうふうにも言われておりますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  106. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) 今回の枠組み合意におきましては、いわゆる関税削減につきましていわゆる階層方式というものが取られましたけれども、同時にセンシティブ品目につきましてその別扱いが明確にされておりますし、また、言ってみれば階層方式の枠外という扱いがきちんとなっております。  そのセンシティブ品目につきましては、関税削減と関税割当て約束の組合せを通じまして市場アクセスの改善を図るということが書いてありますけれども、同時にセンシティブ品目への配慮があって初めて最終的なバランスの取れた交渉結果になるという記述もございます。こういったことが明記されておりますので、こういったことを基に一律の義務拡大、関税割当ての一律的な義務拡大にならないような交渉をしていけるというふうに考えております。  いずれにしましても、センシティブ品目関心の高いG10諸国を始めとするそういう国々と連携を取りながら交渉してまいりたいと思っております。
  107. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほど大臣が言われましたように、重要品目につきましてはその選択が各国に任せられると。この重要品目に該当するかどうかというのは、非常に国内の生産農家にとりましても経営に直接直結する事項でありますので大変関心を持っておられると、このように思うんですけれども我が国重要品目として米や乳製品などの高関税品目中心に、聞くところによりますと千三百品目のうち、関税品目数のうちの約三割を求めていると、こういうふうに報道もなされております。  一つ、その各国の選択に任せられているという交渉だということですけれども、じゃ、その数が果たして、その千三百のうちの三割ぐらいが果たして認められるのかどうか。任せられたら、幾らでも何割でも、じゃ各国でそれを選択できるのかどうかとか、またそういう合意になっているのかなという疑問もあるんですけれども、そういう問題と、それからその千三百品目のうち三割という、大体どういう、どれぐらい、それからどういう考えに基づいてこれを決定されるのかということについてお伺いしたいと思います。
  108. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) まず、センシティブ品目につきましては、今お答えしましたように、階層方式の枠外という位置付けがきちんとなされております。このセンシティブ品目につきまして、何を選択するのかというのが各国の裁量に任されているという形になっております。また、その数につきまして、今後の交渉事ではございますけれども、今後の交渉におきまして現行の約束を考慮して適切な数を設定するというふうになっておりまして、当初案では関税割当て品目数ということが明記されておりましたが、その規定から修正が行われまして、それ以上に拡大する余地が確保できたというふうに考えております。  実際に、どのような品目をこのセンシティブ品目と位置付けるかでございますけれども、実はこの一般関税削減方式自体がまだ決まっておりません。階層方式の数なりあるいは決め方、そしてその関税削減方式自体決まっておりませんので、そういったことによってもまた変わってくる。また、センシティブ品目に関します具体的な約束内容をどうするかということによっても変わってきますので、今の段階では具体的にお示しすることは困難であるというふうに考えております。
  109. 弘友和夫

    弘友和夫君 ちょっとよく分からなかったんですけれども、じゃ、その数についても各国に任せられているということでよろしいんですか。
  110. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) あくまでも今後の交渉ということでございますけれども、我々の主張しておりました方向に沿って交渉していけるという余地ができたということでございます。
  111. 弘友和夫

    弘友和夫君 交渉する上においては、日本はその千三百の関税品目のうちどれぐらいという、どこら辺をというふうな考えを持っておかないとあれなんですけれども、そこら辺についてはいつごろまでに日本としての考え方を決められるんですか。
  112. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) このWTO交渉の今後のスケジュールでございますけれども、今のところ決まっておりますのは、来年の十二月に香港において閣僚会議を開催するということが決まっております。ただ、そこまでに何を交渉し、何を決めるのかということはまだ詳細に決まっておりません。  ただ、いずれにしてもモダリティー交渉はいずれ始まるということでございますので、我が国としてもきちんとモダリティー交渉に向けての対応方針を決めながらやっていきたいと思っておりますけれども、この数につきましては、あくまでも先ほど申し上げましたように一般関税削減方式がまだ具体化しておりませんので、そういったこと等を併せながら、考えながら検討し、交渉してまいりたいと思っております。
  113. 弘友和夫

    弘友和夫君 来年の十二月ですか、最終ゴールだと言われておりますけれども、もう今既に大分遅れているんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、今から具体的な交渉になってくると非常に各国の利害も更に対立する懸念があると。しかしながら、我が国としてもこのWTOそのものの求心力が落ちるような事態というのはやはり避けなければならないと、こういうことで、最終点合意を目指した今後の展望といいますか、についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  114. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) まだ、先ほど申しましたように、交渉のスケジュールは詳細決まっておりませんけれども、これから始まるいわゆるモダリティー交渉、ここで数字なり細かい要件が入ったルールが決まっていくということで大変重要な交渉になると考えております。また、当然いろいろな国のする主張がありますので厳しい交渉になるかと思いますけれども我が国としましては、G10の諸国の結束あるいは途上国への働き掛け、そして米、EUとも話合いをしながらきちんとバランスの取れた、柔軟性の確保されたモダリティーを確保できるよう交渉をしていきたいと思っております。
  115. 弘友和夫

    弘友和夫君 今後、重要品目でも輸入枠を広げられたりする、そういう公算も大きいわけですけれども、基本的に我が国農政改革によって価格面等での国際競争力に強い農産物を作る体制が急務であると、この体制作りについて、そしてまた、少しちょっと角度は違うんですけれども、農水省は担い手を対象とした経営安定対策の一環として二〇〇七年度の導入を目途に日本型直接支払で、一部の支払対象を担い手以外にも広げることを検討をされていると聞いております。  我が党も、意欲ある担い手や経営主体として実態のある集落営農に対する品目横断的な直接支払制度や、環境保全農業に対する直接支払を導入するための調査検討を行うことを要求をしておりますけれども、この強い農業の、農政改革、そしてまた今のお聞きした直接支払等のことにつきましてお伺いしたいと思います。
  116. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現在、食料農業農村基本計画見直しの中で、品目別の価格・経営安定対策、これから意欲と能力のある担い手の経営を支援する、品目横断的な経営安定対策への移行、これらを中心我が国農業全般につきまして、改革方向につきまして検討しておるわけであります。そういう中で、やはり構造改革の強力な推進、この需要に応じた生産を図ることや、あるいは国際規律の強化にも対応し得るような政策体系の構築が求められておるわけであります。  そういう点から踏まえまして、諸外国の直接支払の制度を視野に入れまして、我が国農業が抱える独自の課題、これにこたえるような工夫を加えながら競争力の強化に向けた農政の展開を図ってまいりたいと、このように考えているわけであります。  我が国農業全体、また環境保全、これをも重視をした転換、環境政策の一層の推進と、このようなことも今考えて対応しておるところでもございます。
  117. 弘友和夫

    弘友和夫君 是非頑張っていただきたいと思います。  次に、BSEの問題につきまして、昨年の十二月の末に米国でBSEに感染した牛が見付かって、我が国は直ちに輸入禁止措置を取ったわけですけれども、米国産の牛肉が日本の食卓から消えてもう半年が過ぎました。これの再開問題につきまして、先ほど来もう論議があっておりますけれども、これを、BSE対策検証する食品安全委員会と、それから具体的な再開条件を詰めていく日米協議のこの二本立てで進んでいるというふうに理解をしているわけですけれども。  そこで、食品安全委員会と、それから日米協議、これのスケジュールはどうなっているのか。そしてまた、今まで発生国の牛肉は輸入しないという原則を貫いてきたわけですけれども、米国産に限って輸入再開するということは、例えば協議が整った場合ですね、それは国際ルール上可能なのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  118. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) お答え申し上げます。  食品安全委員会におきましては、本年の二月からBSE問題の全般につきまして議論を深めてまいったところでございまして、その中でBSE対策全般ということと併せて、その中でBSE対策についての科学的な議論を進めてきたと、こういうことでございます。  その中で、七月十六日、先般開催されました第十二回のプリオン専門調査会におきまして、これまでの議論を踏まえまして、BSE対策につきます報告書たたき台というものをお示ししたところでございます。いずれにしましても、このたたき台というのはあくまでもこれ現在、議論の途中でございまして、現時点で今後のスケジュールにつきまして予断を持って申し上げられるという、そういうような状況ではございません。  いずれにいたしましても、食品安全委員会といたしましては、引き続き国民の健康保護が最も重要であるという基本的な認識の下に、客観的、中立的に科学的な議論を進めてまいりたいと、このように考えております。
  119. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生の方から、アメリカに限って輸入することとなった場合に何か国際ルール上の問題はないのかというお尋ねでございましたが、農林水産省としまして、輸出国におきまして家畜の重大な伝染性の疾病が発生した場合には、家畜伝染病予防法に基づきまして、当該国からの家畜や畜産物の輸入を停止してきているところでございます。  他方、当該発生国の方から輸入停止措置の解除について要請があった場合には、その国の家畜防疫対策の実施状況、あるいは当該国での疾病の発生状況等を踏まえまして、輸入停止措置の解除の可能性について検討をすることになってございます。  アメリカにつきましては、昨年末にBSE感染牛が確認をされまして以降、我が国としてはアメリカからの牛肉輸入そのものは止めておりますけれども、アメリカ側からその輸入再開について要請がありましたので、我が国が講じている措置同等措置が講じられること、それが基本としてこれまでも協議を行ってきたところでございます。  他のBSE発生国につきましても同じように、そういう要請があった場合には、日本が現在取っておりますこういった措置と同じ措置が取られるということであれば、輸入停止措置の解除について検討を行うということになるということでございまして、そういう条件が整えば国際法上問題はないというふうに思っております。
  120. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、日米協議でのワーキンググループにおける日米双方の主張は、現状として一致しているところと一致しないところ、様々あると思うんですよ。それで、どこら辺、日米主張でどこが一致している、どこが不一致であると、どこを詰めなければならないという、簡単で結構ですけれども答弁していただきたいと思います。
  121. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 五月以降三回にわたって開催をされております日米専門家、実務者によりますワーキンググループの協議の結果が報告書として先般取りまとめられておりますけれども、その中で、日米双方でBSEの様々な問題について見解が一致した点というもの、それから一致しなかった点というものが整理をされてございます。  まず、一致した点で主なものはどういうことかということでございますけれども、一つは、BSE検査方法でございます。若い牛については現在の検査方法では蓄積された異常プリオンたんぱくの検出はありそうにないということで、今、現状のBSE検査というのは検査方法そのものとして検出限界というものがあるという点は専門家としては両方で認識が一致をしております。  それから、特定危険部位除去というものが人の健康を確保する上で非常に重要だという点も一致している点でございます。  また、ごくわずかな感染源になります物質を摂取するだけでBSEが感染をするということから、えさの規制というものは非常に大事なことだということも認識が一致している点でございます。  そのほかにもありますけれども、以上のようなところが主なものであります。  他方、日米間の見解が大きく違っている点としましては、屠畜場におきますBSE検査につきまして、その目的自体が日本とアメリカで違ってございます。日本は感染牛をBSE検査で見付けて、それを食のルートに入ることを排除をするという、そういう牛肉の安全性を確保するというのが検査の目的だというふうに位置付けておるのに対しまして、アメリカでは、このBSE検査はサーベイランスと、結局BSEがどれぐらい浸潤をしているか、あるいはBSE対策の効果はどうかという、そういうことを検証する手法だというふうに検査を位置付けているわけでございます。  また、アメリカは国内のBSE対策、自ら十分だとしておりますけれども日本から見ると様々なサーベイランスですとか飼料規制等についてはまだまだ問題があるというふうに指摘をしているところでございまして、こういう点が見解の相違をしている点ということでございます。
  122. 弘友和夫

    弘友和夫君 そこで、今一致している点と不一致の部分があったんですけれども輸入の再開につきましては向こうが日本同等措置をしないといけないと、こういうことなんですよね。同等措置というのは、日本は全頭検査をやっておりますと、だけれども、今の一致している点というところを見ましたら、若齢牛については検出の、検査の方法で限界があるというふうに言われている。全頭、ある意味では全頭検査をしても、科学的に言えばですよ、意味が、意味がないと言うと語弊がありますけれども、そういう科学的に分からないんですから、しても同じじゃないかとこれは思うんですけれどもね。  そこを、当時日本は全頭検査をしているわけですよ、厚労省はどういうことでこの全頭検査をされていたのかと。
  123. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 平成十三年当時の全頭検査導入の経緯についてでございますけれども、当時は牛の月齢が正確に確認できなかったこと、それから検査をした肉としない肉が流通すること自体への不安があったこと、さらには各方面からすべての牛を検査対象とすべきとの要請をいただいていたという状況がございました。  こういったことにかんがみまして、食用として処理されるすべての牛を対象にBSE検査を行うこととしたわけでございます。
  124. 弘友和夫

    弘友和夫君 そうしましたら、食品安全委員会の方でも、例えばそれは純科学的というか、そういうことで、要するにそういう検出には限界、検査に限界があるみたいなね、若い牛について、限界というか抽出されないというんですか、そういうことになった場合に、じゃ、全頭検査意味があるのかどうかという、問われると思うんですけれども、それについては厚労省、今後、じゃ、これは日本、アメリカじゃなくて日本でどうするのかという話にもなると思うんですけれども、いかがですか。
  125. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 我が国BSE対策につきましては、御指摘の全頭検査の在り方も含めまして、現在、食品安全委員会において公正中立的な立場から科学的な評価検証が行われているところでございます。さらに、これらの評価検証と併せて、消費者方々等とのリスクコミュニケーション、意見交換会も行われております。  厚生労働省といたしましては、こういったリスクコミュニケーションを含めた食品安全委員会における議論を注意深く見守ってまいりたいと思います。特に、食の安全、安心消費者の納得、こういったことに十分関心を払っていきたいと考えております。
  126. 弘友和夫

    弘友和夫君 私も、非常に今後難しいのは、もう科学的に全頭検査をしなくてもといいますか、しても余り若い牛は分からないということになって、科学的にはこうなんですよと例えば結論が出たとしても、日本で全頭検査やっているわけです。そういう今言われた消費者の心理というか、そういうものが非常に大事になってくると思うんですよ。だから、そこら辺を、その兼ね合いをどうしていくかということがやっぱり大事でございますので、是非しっかりと消費者の皆さん、また国民の皆さんに説明もしていただいて、安心を与えていただきたい。それと同時に、そういう意味で、日米交渉も、協議も進めていっていただきたいと、このように思います。  ちょっと時間が余りありませんので、さっき鹿児島の豚コレラにつきましては御質問がございましたので省略をさせていただきます。  最後に、新潟福島福井豪雨、そしてまた八月に入りまして台風十号、十一号ですか、本当に亡くなられた皆様にお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いも申し上げたいと思うんですけれども市川大臣、御視察もこの新潟福島福井豪雨、行かれておりますし、また八月に入っての台風十号、十一号につきましては、福本務官、地元の四国でございまして、視察もされているとお聞きしておりますけれども、最後にお二人にその現地の状況、そしてまた農地農業用施設、林業用施設の復旧見込みというか、また現地の皆さんの声がどういう声であったのか、そしてまた今後のそれに取り組む決意等をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  127. 市川一朗

    ○副大臣市川一朗君) 今般の梅雨前線豪雨による被害につきましては先ほど大臣の方からその概況を御説明したとおりでございますが、今、被害金額として積み上がっておりますのは五百八十三億円ぐらいでございますけれども、県によりましては農作物等の被害等まだ調査中でございますので、もっと積み上がっていくんじゃないかなと思っております。  私も、七月二十二日でございますが、御指摘のとおり福井県に現地入りさせていただきました。大変厳しい被害状況であることに私も驚いたところでございまして、改めて災害に弱い日本というものを意識したところでございまして、やはりこの辺のところをしっかりと根底から対策を講じていかなければいけないのではないかなと思ったところでございます。  そして、知事さんや市長さん、町長さんからそれぞれ現地でいろいろとお聞かせをいただきました。特に農業関係では農作物に冠水状況があったところやあるいは、びっくりしましたのは、集落排水施設がやられておりまして、一切被害が生じておらない地域でも排水施設がやられていますから、それが使えないために生活に支障を来しているというような状況もございまして、こういった問題はできるだけ早く、早期に復旧する必要があるというふうに思っているところでございます。  そして、農作物被害では水稲大豆等中心でございますが、これは先ほども大臣も御報告いたしましたように、共済金の支払、それも早期支払、それから経営再建に必要な低利資金の融通等、これを早めに実施しておく必要があると思っております。  そういったことも含めまして、これから、現在も既に取り組んでおりますけれども、更に関係機関との連携を深めて、そして対策の万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。  どうぞよろしく御協力お願い申し上げます。
  128. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) これ、台風十号によりまして農林水産関係被害状況、大変大きなものがございまして、道路等寸断されているところもありまして、現在も調査中で、継続中でございます。特に徳島県、こちらに十一号も昨日、今日と上陸いたしましたけれども、高知県中心に記録的な豪雨となっておりまして、農産物、また農林水産業施設において相当の被害が発生しているものと考えております。  なお、現在の途中経過でございますけれども農林水産業全体で約六十一億円の被害、これが各県から報告が上がってきております。追ってまた、台風十一号による雨量について、相当なものでございましたし、急に発生した台風で、連続しておりますので被害の増加も懸念されているところでございます。  農水省といたしましては、今後とも被害状況早期把握を努めまして、さき梅雨前線豪雨災害と同様、災害復旧や災害金融、災害補償制度等の活用を通じまして農林水産業における災害対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  129. 弘友和夫

    弘友和夫君 もう三十秒ぐらいございますので。  今お話出ました共済金ですね。これはやはり早期支払というのが非常に地元の皆さん待っておられますので、できるだけ早くやっていただきたいと。  それから、非常に今、冷害だとか地震被害等で農業共済の財政が非常に厳しい状況になっているということで、この備えは大丈夫なのかどうかということが一点と、それからもう一つ、一方では九州は非常に渇水になっているんですよね。もう半分、ダムがもう半分以上かれているとかいうのがたくさんございまして。そういうものについて、もう簡単で結構ですけれども、もしございましたらお伺いして終わりたいと思います。
  130. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 共済金の支払財源でございますが、先生御存じのように、昨年、水稲の冷害がございまして、昨年八百十八億円支払われました。現在、十五年度末で積立金の残高が百十六億円ございます。今年の予算が二百五十四億円ございます。北陸地方農作物被害、共済に入っていないものも含めまして今八十四億円ぐらいでございますので、現時点では支払財源に支障はないというふうに考えております。
  131. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お尋ねの渇水の関係でございます。豪雨の一方で渇水の地域もあるわけでございます。  渇水の状況一般河川におきますダムの取水制限ということで見ますと、八月三日現在で、北海道、東海、近畿西部の一部でダムにおいて取水制限が行われております。ただ、これらのダムの取水制限は六%から一〇%と低率にとどまっておりますので、現在のところは水管理の徹底ということで対処をしているというふうに承知をしております。また、お尋ねの中でございました九州地方、ここでは確かにダムの貯水率がかなり低下しているという状況がありまして、七月下旬以降、間断かんがいなどの自主的な節水が行われていると承知しております。  今後とも、この貯水状況あるいは降雨状況、こういうものをよく注視しながら、農業用水の反復利用などいろんな技術的な対応がございますので、そういった指導を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  132. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、二十分の質問時間ですので、答弁できるだけ簡潔にお願いしておきたいと思います。  それで、BSEの問題からですけれども政府とアメリカはこの夏をめどに双方の牛肉の輸入再開について最終結論を出すというふうにしているわけですけれども、しかし、そういう段階なんだろうかというふうに思うんですね。  日米専門家会合のこの報告書ですけれども、この報告書でも我が国の国内対策との違いというのは明確です。そして、アメリカの対策というのは非常に不十分であるということもはっきりしているわけです。飼料による交差汚染の問題でいいますと、日本側はこの中で、米国の飼料規制は交差汚染の可能性が排除できず、肉骨粉の適切な管理のために飼料工場のライン分離、専門化等による交差汚染防止対策を実施する必要性ということを指摘していると思うんですね。この指摘に沿って、それじゃこの夏までにアメリカ側というのはそういう対応をする見込みがあるのかどうか。夏というと、今八月ですから九月ぐらいまでになるのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  134. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 四月の局長級協議において、本年夏を目途に日米双方が牛肉の輸入再開について結論を出すべく努力をするということが合意されているわけでございますけれども、具体的なそういった条件はこれからの協議になるわけであります。  先生今例示に挙げられました飼料規制等につきましては、牛肉をアメリカから輸入する場合、日本消費者に対して安全、安心を確保するという点からいたしますと、そこはちょっと別のものでございまして、飼料規制というのはアメリカでBSEが蔓延をするそのサイクルを断ち切るために大変重要なものとして日本としては指摘をしていることでございまして、牛肉そのものを輸入する場合の条件というのは、先ほどからお答えしておりますけれども日本が現在取っているBSE検査ですとか、あるいはSRMの除去といった点について必要な条件をきちっと合意をしていくということだと思っております。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 この夏までにということでいえば、これはこれからだということですから、はっきりしてないわけですよね。  それから、アメリカはBSEの感染の疑いのあるこの本来検査すべき牛の四分の一しか検査できてなかったという事実も明らかになりましたよね。非常にずさんな実態だというふうに思うわけですけれども、この報告書で、やっぱりアメリカはサーベイランスの問題で、三十か月齢以上の高リスク牛を今後大体一年から一年半掛けて集中して調査をすると、そうやってサーベイランス強化するんだということを言っているわけですけれども、その感染の程度を測るためにやっているわけですね。その結果を受けてアメリカ産牛のこの汚染状況を判断するというのが筋だと思うんですけれども、この点どうでしょうか。
  136. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 強化されたサーベイランス、その目的、それからこれからの実施のスケジュールは、今、先生おっしゃったとおりだというふうに思います。  ただ、その日米の牛肉の交渉ということについて申し上げますと、サーベイランス自体は、アメリカの言わば汚染度といいましょうか、BSEの蔓延の状況を測るということでございまして、そういう状況であっても、安全な牛肉が輸入される条件が整えばそれは可能性があるというふうに思っております。  ですから、大事な点は、日本でもBSEは発生をして、これまで十一頭見付かっておりますが、その中で消費者方々は、日本の現在取っているBSE対策の下で消費が拡大をし、安心して消費していただいているという状況にあります。ですから、そういう状況を、アメリカ、これからどういうふうにBSEが発生するか、それは予断を許しませんけれども、そういう中で消費者安心してもらえる、そういう条件を確保していくということがポイントだというふうに思います。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと聞いていることが、その感染の程度を測るためにやっているその結果を当然受けて検討することになるんじゃないのかということを聞いたんですよね。
  138. 中川坦

    政府参考人中川坦君) BSEの強化されたサーベイランスの結果は、もちろん一年とか一年半たたないとそのこと自体は分からないと思います。ですから、その点についていえばまだ不確かな部分があるというのはそのとおりでありますけれども、そういった状況の中でどういう条件を確保すれば牛肉の輸入というものが可能かということを、そこを議論していくのがこれからの課題だということでございます。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 それから、この報告書でも書いてあるんですけれども、アメリカはBSE暫定清浄国だというふうに主張しているわけです。それで日本側は、米国がまだOIEによる暫定清浄国ということで承認されていないと、さっきも答弁にありましたけれども、ということを挙げてこの中で異論を示したわけですね。それで、この夏中に、じゃアメリカに対してOIEによる承認が出る見通しがあるというふうに考えていますか。
  140. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 同じような答弁になって恐縮ですけれども、今、先生が御指摘になった点も、確かにアメリカのOIE基準によりますステータスという点では、日本がアメリカに対して見ていることと、それからアメリカ自身が自分をどう評価しているかということの違いがございます。  そういうことはそのとおりでありますが、そういった点も含めて、先ほどから申し上げていますように、牛肉そのものの輸入再開についての条件をどうするかということで、これから議論していこうということでございます。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 OIEによる承認ということでは、今その見通しというのは立ってないわけですよね。だから、そこのところをちょっとはっきりしてほしいというふうに思うんですよ。  それで、結局今聞いた一つ一つの問題についてはよく分からない状況になっているわけですよね。で、そういう状況なのに、最後の出口であるこの全頭検査、それからすべての月齢のSRM、危険部位の除去、これもアメリカ側はしないわけですよね。それでどうして安全と言えるのかと。こういう段階で最終的な結論を出す段階とは言えないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点どうでしょうか。
  142. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカが現在国内において取っておりますSRMの除去の方法、それからBSE検査の方法、これは日本が現に今実施をしているものと大変大きな違いがあります。  それはそうでありますけれども、そういう、それをそのもので牛肉貿易の再開をしようとしているわけではありません。これから再開をするに当たってどういうふうな条件をアメリカ側に要求し、それを実現していくかということがこれからの課題だということでございます。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 日本国民がやっぱり不安に思っている。今一つ一つ挙げたこと自身がやっぱりクリアされるかどうかという問題は非常に大きな点だというふうに思うんですよ。  それで、ちょっと大臣にもお聞きしたいんですけれども大臣はこの間、内外無差別の原則というのは基本的なことだと、この立場を繰り返し強調されてきたというふうに思うんです。この内外無差別というのは当然なことですけれども、これまで確立をしてきた国内での安全対策、これを放棄して輸出国のそれに合わせてやっていくということでは全然ないというふうに思うんですね。  その原則を貫くとなりますと、やっぱり今のアメリカの対策の現状のままではその解禁というのはこれ不可能だという判断になるんじゃないかと思うんです。この点どうかということと、もう一つは、夏をめどに輸入再開の結論を得るとこれに書いてあるわけですけれども、これだけやっぱり双方の違いがある中で、やっぱり先に期限ありきということではなくして、やっぱり十分検討して、そしてやるということが必要なことだというふうに思うんですけれども、夏をめどにというこの期日、期限にこだわらないというふうに明確にお答えになられるでしょうか、その点ちょっと二点。
  144. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私、終始申し上げておりますとおり、一つは日米局長レベルの会合、これから開かれることになっておりますが、これまだいつになるか決まっていないわけでありますが、基本的には我が国の国内での措置、これと同等措置が講じられるということが基本的なことであります。やはり何といってもこれは食の安全、安心ということが確立されなければならないわけであります。そういうことを基本に米国との協議をすると、しているというのが現状であるわけであります。  これ夏がいつまでか、これも分かりませんし、今その合意ができるというのは、予測するということは今の時点では何とも申し上げることはできないと思います。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 今の御答弁ですと、これからの検討の中でということで、だから夏までかどうかということについてもちょっと今のままだと、これも明確に夏までと書いているんだけれども、やっぱりこれ無理があると思うんですよ。  だから、そういう点では、そういう期限にこだわらないで、今、安全、安心、国内でのそこのところを確保するということをおっしゃったわけなので、そこはこだわらないということで理解してよろしいでしょうか。
  146. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども申し上げましたとおり、国内の同一の基準という基本的なことでありますので、こういうことが入れられなければ、これ期限の問題という、これはもうないわけでありまして、あくまでも私は我が国と、国内措置同等措置、これが基本的でありますし、併せて食の安全、安心と、このことが重要なことであるわけでありまして、このことを優先しなければならないと、こう思います。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 そういう安心、安全を確保するということを重点にして期限という問題はこだわらない。こだわらないというか、この中に、何と言うんですか、基づいて、夏までというふうになっているんだけれども、こだわらないというふうに受け止めて理解をしたいと思います。  それで、昨日、食品安全委員会が主催した食に関するリスクコミュニケーションがやられているんですけれども、この中でも全頭検査継続してほしいという要望が相次いで出されて、複数の公述人から米国産の輸入牛肉の輸入解禁につながることがあってはならないという意見が出されています。その上で、輸入再開検討するにはアメリカ産輸入牛肉についてのリスク評価が必要だという意見が出されたわけですね。そうしたら、これに対して座長でありますプリオン専門調査会をやっておられます吉川座長が、アメリカのリスク評価というのは肩の荷が重い、情報が得られていない中では不確実なものしか出てこないというふうにおっしゃっているんですね。事実上、やっぱりアメリカ産牛肉のリスク評価というのは今の時点では不可能だということを示唆している発言だというふうに思うんです。  こういう状況下で輸入再開検討するということ自体にやっぱり無理があるというふうに思いますし、そういう段階の中で、最終結論としてこの輸入再開の方向ということで無理に結論出すということになると、これはやっぱりアメリカの圧力に屈したんじゃないかということでの批判も受けざるを得ないというふうに思いますし、消費者の安全、安心よりもアメリカ優先の姿勢なのかというふうな批判も受けざるを得ないというふうに思うんです。恐らくそんなことはよもややらないとは思いますけれども、そういうことをやらないということでお約束していただけるでしょうか。大臣お願いいたします。
  148. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来申し上げましたとおり、私は国内の措置、これと同一の基準と、こういうことでありますし、食の安全、安心と、このことがまた大前提であるわけでありまして、昨日の議論がどういうことであったか私は細かく承知をしておりませんけれども、これからの協議の中で私は今私が申し上げたようなことを前提にいろいろやらなければならないと思っております。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、WTOの問題ですけれども、ちょっと時間がありますので、少し詰めてお話を、質問したいと思います。  それで、既に議論されてきているんですけれども、今回の枠組みの合意というのは、輸出国、輸入国で解釈をめぐってはどちらもいろいろ都合よく解釈できる内容だというふうにも言われているわけですけれども、例えば高関税の品目の大幅削減というのは避けられないという見方が出ている中で、日本重要品目については枠外だというふうに主張しているわけです。こういう重要な部分で合意文面の各国の解釈というのはこれ一致していると思われないんですけれども、この点についてどうか、お聞きしたいと思います。
  150. 伊藤健一

    政府参考人伊藤健一君) 今回の農業に関する枠組み合意をどう見るかでございますけれども、例えば上限関税につきましては、その役割は更に評価されようということで実質的に先送りになっていますし、また重要品目につきましても、今御指摘ありましたけれども一般の階層方式とは別枠で扱うということも明示されております。そういった意味では、問題がすべて先送りされているというばかりではないというふうに考えております。  ただ、あくまでも今後のモダリティーを決める前提となる枠組みでございますので、具体的な数字も入っておりませんし、要件もまだ入っておりません。そういう意味では、今後の交渉にゆだねられている課題が多いことも事実でございます。  そういった点につきまして、今後の交渉の中で、今回のこの枠組み合意につきまして各国がそれぞれの立場でそれぞれの主張をするということも当然想像はされます。そういう意味では、今後のモダリティー交渉は大変重要な交渉であり、また厳しい交渉になるというふうに認識しております。  交渉というのは元々そういうこと、要素は当然あるかと思いますけれども、当然我が方としましては、この枠組み合意を根拠にG10諸国のような連携国、あるいは途上国へも更に強力に働き掛けまして、我が国主張が反映したモダリティーにしていくように強力にやっていきたいと思っております。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 これからの厳しい交渉になるというお話もあるわけですけれども、やっぱりそれぞれの主張で必ずしも統一した解釈でない中で、解釈なしに関税割当の拡大、それから階層方式をうたったということは、今後それを根拠にこちらも言うかもしれませんけれども、逆に輸入自由化に一層進まざるを得ない状況に追い込まれることもあるんじゃないかと思うんです。  それで、やっぱり上限関税評価という文面を残したということも日本にとってはこれ不利になるんじゃないかと思います。関税の上限を決めるということでは、当然のことながらやっぱりこれから追求されていくわけですし、その意味では火種を残したと言っていいのか、作ったと言っていいのか、そういうふうに言わざるを得ない状況でもあって、やっぱりその期限の中だけで合意をしようというふうに、そのことを優先したということがそういう事態作っているんじゃないかと、拙速じゃなかったのかというふうにも思うんです。  それで、私は、これからの交渉ということについて、大臣が今度の交渉の中で重要品目の選択について各国の裁量に任されてその数の拡大の余地があるということについて、それぞれの裁量でということを評価されて言っておられるんですけれども、もっと根本的にといいますか、本当にその国その国の実情に合った自主的、独自的な農業政策や貿易政策が幅広く保障されると、そういう枠組みを本来作るべきであって、やっぱり今までの交渉の枠内だけでいきますと、幾分は日本の意見も取り入れられるけれども、多くは妥協を迫られるという形になってしまって、そういう交渉じゃなくて、やっぱり重要な部分についてはそれぞれのその国の主体的、自主的な政策の実現が認められるような枠組みにしていくことが大事だというふうに思うわけですけれども、それに対する大臣の御認識を。
  152. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の枠組み合意の問題で、今、上限関税の問題を御指摘になりましたけれども、今度いわゆる階層方式、これはもう御承知のとおり、これを幾つにするか、階層を三つにするか四つにするか、こういうことになるわけでありまして、そういう面では高関税のところもあるわけであります。  そういう面ではやはり、そういう階層方式ということになるわけでありまして、センシティブ品目をそれから除外する、こういうことでありますので、上限関税はある面では私は設定というのはこの階層方式に屋上屋を重ねるようなことであるわけでありまして、このことを私はこの一般理事会の中でも強く主張をし、上限関税の問題は事実アメリカやそのほかの国からも強く設定の議論があったわけでありますが、そういうことを主張してまいったわけでありまして、いわゆる階層方式を採用するという中でセンシティブ品目をまた別に作るということは、私は今後この上限関税の問題につきましては、また更にそのことは主張しますけれども、一つの整理ができたんではなかろうかと、このように思っております。  さらに、今御指摘の多様な農漁村の共存、これを基本理念として主張してきたわけでありまして、生産性のみを追求した画一的な農業が生き残るのではなく、あくまでも農業の多面的な機能食料の安全保障等非貿易的関心事項、このことが適切に配慮がされなければならないわけでありますし、このことも附属書の中にもうたわれておるわけでありまして、今後ともいわゆる各国農業が共存できるような柔軟性が確保された貿易ルールが確立されるように更に努力をしてまいりたいと。  またさらに、G10の諸国やあるいはまたそれ以外のいろいろの国々とも十分話し、また積極的に働き掛けをいたしまして国際的な理解が得られるように努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 多様な農業の問題もお話しになっているわけですけれども、やっぱりその実現のためにも、私はWTOの枠そのものに対しても改定を求めていくということが必要だということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  154. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  155. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 継続調査要求に関する件についてお諮りをいたします。  農林水産に関する調査につきましては、閉会中もなお調査継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  158. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 委員派遣に関する件についてお諮りをいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時十二分散会