○長沢
委員 捜査が進むと被害金額がふえるという可能性もあると。
調査報告書の中を見ましても、五人の放送作家に対して支払っているが、そのうち一人はしっかりと台本も書いている。仕事をしている人、そして、今回不正に支払ったとはっきりわかる相手。そして、仕事していない、したという証拠が残っていない、どう調べてもわからない、だけれ
ども本人はちゃんと仕事をしたというふうに言われているということで、支払われた文芸委嘱料が適切だったのかどうか、ややグレーな部分の人が若干残っている、その辺が
調査ができないというようなことが
調査報告の中にも出ておりまして、これは非常に
調査がなかなか難しいところにあるのかなというふうに思います。
ただし、この四千八百八十八万円としても、それはやはり大変に大きい金額である。この元チーフプロデューサーの問題
一つとっても、いわゆる不祥事の根っことなるような問題が幾つか浮上するというふうに言っていいと思います。
まず
指摘できるのは、やはり経理処理のずさんさということでございます。
本来、この支払いを請求するのは、担当のデスクが請求をして、コンピューター上でその請求の書類を起票する、そしてそれをその上司であるチーフプロデューサーが決裁するという構造になっている。ところが、この担当のデスクが出張等でその支払い請求が起こせない場合は、上司、決裁者であるチーフプロデューサーの方が代理でそれを請求できるという手法があった、こういうふうに
調査報告の中にも出てきています。これを使ったのではないかということなんです。
すなわち、本来請求する人間、担当デスクの請求書を、決裁者であるチーフプロデューサーがコンピューター上でその書類を引き出して、そしてそこで、請求者である担当デスクの名前を使ってチーフプロデューサーが請求をする。ということは、すなわち、請求者とそれを決裁する人間とが全く同一人格になるという、これは、普通
考えれば、チェック
システムが全く働かないという中身になっているわけで、
システムのいわば欠陥だと思いますが、これがこの不祥事が発覚するまで長年続いていたということ自体、やはり大きな問題だと
指摘せざるを得ないというふうに思います。
また、こうした抜け穴を利用して、そこからキックバックをさせて着服していた。いわば受信料という公金、これを不正に得たわけですが、この公金に対する意識、自覚の欠如というのがここにはっきりうかがわれるわけで、これはこの事件をやった元チーフプロデューサーだけの問題ではなく、このチーフプロデューサーの不正をその後任の人が調べた、赤字がずっとこの番組は続いていた。赤字ということは、当初計上された番組制作のための予算、その予算をずっと上回る支出をその番組はずっと続けていたので、それに対して、なぜ赤字が出るのかと。
これは、海老沢会長のリーダーシップのもとで、経営をしっかり効率化しよう、こういう呼びかけがあって、そういう
調査をその後任の人がした。そうしたら、その赤字の部分を調べていく中で、どうも不正な支出があるかもしれないということが
指摘があった。この
指摘がありながらこの事件を放置してしまった当時の上司についても、この受信料に対する、公金に対する意識というものがやはり欠けていたのではないかというふうに言わざるを得ないわけです。
この管理監督
責任者である上長が、赤字経理を背景にする
調査に対する
責任も果たさなかった。それも、元チーフプロデューサーの、別の、借金の問題に対応しただけでよしとしてしまったという、この辺の管理
責任。これについて、NHKさんからもこれをきちっと処分をしているわけですけれ
ども、こうした自覚、意識の問題が不祥事の温床になっていたというふうに言わざるを得ないのではないかと思いますし、こういうところについては、しっかり今後、自覚、公金意識、そういうものを促す。
そして、もう一度、本当にまじめに働いている
職員の方もたくさんいらっしゃると思いますし、すべての
職員がこういう不正をしているということはあり得ないわけで、そういう意味ではごく一部の不心得者ということになるかもしれませんが、それでも、ごく一部でもその不祥事の温床というものがその中にあったとすれば、その自覚はやはり促していく努力を今後続けていただきたいということを、これは要望にさせていただきたいというふうに思います。
関連しまして、この「BSのど自慢」ほか八十八件、四千八百万円の不正の事件以外にも幾つもの不祥事が浮き彫りになっているわけですけれ
ども、私の方から
一つお聞きしたいのは、九月二日の定例記者会見におきまして、海老沢会長から新たな別の不祥事四件が公表をされました。
これはみずから海老沢会長の方から公表されたというものでありますけれ
ども、
平成九年の十一月に処分をされた、取引銀行に対して払い出し用の認証を不正に使用するなど約百万円の公金着服。
平成十二年十一月に処分された、取引銀行の通帳を改ざんするなどして合計三百万円の公金着服。
平成十三年四月に処分された、集金した受信料の一部、およそ二百万円の着服。
平成十三年十二月に処分された、出向先の会社の経費三百七十万円余りを私的に流用という事件。
この四件を会長の方からは記者会見で発表されたわけなんですが、この会見の席でなぜ公表されたのか、逆に言うとその前になぜ公表されなかったのか、この理由について
伺いたいと思います。