○長島
委員 私としては、NATOが、シーアイランド・サミットの前のノルマンディーの六十周年のときに、やはり
治安状況は大変心配だということで、
治安部隊の訓練など、
イラク国内でないところでやるんだというような、そんなイニシアチブを出したというような、そんな
説明をしていただきたかったんですが、どうもそういう話が出てこなかったので大変不満であります。
外務大臣、
国連に対して、
国連からのいろいろな
日本に対する期待感があると思うんですね。私も、訪米する前に、
国連の
イラク、アフガニスタン担当の専門官とお話をする機会がありましたけれども、さっき藤田
委員がお述べになりましたけれども、来年一月までの選挙を何とかしたい、その選挙の管理のために少なくとも五百名ぐらいの
国連職員は
イラクに入らせたい、こういう意向を持っていますね。
アフガニスタンをめぐっては、事務総長を支援しようという、事務総長を支援するための加盟国の有志のグループができていますね。ですから、
イラクでも、例えば
日本がイニシアチブをとって、そういう、
イラクで選挙をしなきゃいけない、
国連職員五百人入れなきゃいけない、そのための
治安、警護というか、彼らの安全の確保をするために、例えばパキスタンとか、兵力を出してもいいと言っている国があるわけでしょう。そういう国々に呼びかけて、我々は中に入ってやることはできないかもしれないけれども、例えば、周辺諸国で後方支援をやるから、みんなで事務総長を中心にこの復興支援を支えようじゃないか、こういうイニシアチブが
日本からあってもいいと思うんですね。
何か私も、先ほどから藤田
委員とのやりとりを聞いていても、
日本の
政府の中に、
自衛隊さえ出しておけば、あとはそんなにいいやというような、そんな油断の思いというか、少しおおように構えたものがあるとすれば、それは大変悲しいことであるということを
一つつけ加えておきたいというふうに思います。
それでは、次の問題に移りたいというふうに思います。
これは先ほど来再三議論がありました、例の
参加と
協力の問題であります。六月の十八日に、
イラクに
自衛隊を残す、そして多
国籍軍の枠組みの中でそれを
活動させるんだという、こういう閣議了解というのが出まして、結論としては、従来の
政府見解を変えるものではない、こういうことが言われておるわけですね。
その担保としては、統合司令部の
指揮下に入らない、それから
自衛隊は引き続き
憲法の禁じる
武力行使を行わない、それから
他国の
武力行使と一体化しない、この三つを条件として、今回も、統合された司令部の
指揮下に入らないで多
国籍軍の
一員になる、こういう決定が下されたというふうに了解をしておりますけれども、私は、ここに至る
法制局の
政府解釈は、かなり紆余曲折というか、混迷をきわめたような気がするんです。それは、かなりの部分は、小泉総理が
参加するというふうに言ってしまったことに端を発しているのかもしれません。
閣議了解では、小泉総理が盛んに使っていた
参加という文言は使わないで、多
国籍軍の中で
活動を行う、すなわち、どういうことかというと、「
自衛隊は、多
国籍軍の中で、統合された司令部の下にあって、同司令部との間で連絡・調整を行う。」こういう
言葉遣いになっているんですね。
アンダー・ユニファイドコマンドの話はもうさんざん先般の閉会中審査の中でもされたと思いますけれども、多
国籍軍に
参加するけれども
指揮下に入らないという話と、統合された司令部という訳し方、この二つが、ある
意味で、
政府の
説明が
国民にとってわかりにくい、そういう印象を与えたというふうに思うんです。
私は、この混乱の最大の原因は何だろうかというふうに考えたときに、やはり内閣
法制局の
憲法解釈において、
武力行使の有無というのが唯一最大のメルクマール、もちろん
武力の威嚇も入っているし、
武力行使と一体化するかしないかという問題も入っているんですけれども、束ねて言えば、
武力行使にかかわる
日本の行動が
一つの大きなメルクマールになっているということは了解をしていただけるというふうに思います。
これが、
日本のやる
活動が
人道復興支援活動だけなら恐らく話はすっきりいったんだと思うんですね。しかし、もう
一つ、
イラク特措法には
安全確保支援活動というのがあるんですね。これは、
航空自衛隊を中心にして多
国籍軍への
輸送業務もやっているわけですね。これは、わかりやすく言えば、
治安維持や
治安の回復に努めている多
国籍軍に対する後方支援をやっている、こういうことになりますね。
この多
国籍軍の
治安回復行動の中には、先ほど末松
委員も挙げたように、
ファルージャで行われたような純然たる
戦闘行為も含まれる可能性があるわけですね。それは否定できません。
防衛庁長官、首をひねっておられますけれども。
自衛隊の
活動それ自体は、当然のことながら後方支援ですから、
武力の
行使に当たらないことは間違いありません。しかし、
他国の
武力の
行使との一体化というのは、そういう
意味では、つまり多
国籍軍の
一員となっているという
意味合いにおいては、あるいは多
国籍軍への後方支援を行うという
意味合いにおいては、その多
国籍軍の行う
武力行使との一体化にならないという法的担保はどうやって与えられるんでしょうか、
法制局長官。
〔
西田委員長代理退席、
委員長着席〕