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中川国務大臣 田中委員の方は外交全体については専門家でいらっしゃいますが、たまたま先週一週間の感想を述べよということでございますので、まず、よく言われるのは、
日本は三人の
大臣がそれぞれ行って、ともすれば、ばらばらに担当も違うし、目的といいましょうか、各省の目標が違うということで、よく内外からやゆされることが多いわけであります。ただ、複数
大臣が行く例というのは、
田中委員も御承知のとおり、
EUなんというのは
貿易担当
委員と
農業委員が行きますし、それから、今回はカナダも
貿易大臣と
農業大臣が来ておられましたし、そのほか、数カ国来ておりました。
私自身、率直に申し上げて、マスコミからやゆされることは、それは結果としてそうであれば仕方がないわけですけれども、大事な
会議でございますから、絶対に実態論においてばらばらにならないようにしようということは、亀井
大臣と飛行機の中でじっくり打ち合わせをいたしました。主に行った役所は、外務省、農林水産省、そして私ども
経済産業省と財務省でございましたけれども、私ども二人の
大臣が、それぞれの役所を超えて、例えば
大臣がいらっしゃっていない外務省あるいは財務省の分も含めて、きちっと全体を見、そして両
大臣がよく
連絡を折に触れてとり合う。
私も農林
大臣経験者でございますし、また、亀井農水
大臣はいろいろと経済
関係のことに大変お詳しい
大臣でございますから、そういう
意味でよく
連絡をとり合いながら、少なくともこれは最後は闘いになるわけでありまして、いわゆる少数国
会合なんというのは二日徹夜でやりましたけれども、今おっしゃったように、ゼーリック
代表だとか
ラミー委員なんというのは、もう本当に頭のいい方で、学生時代から弁論の勉強をして、そして法律の専門家で、しかも政治家じゃございませんから選挙の心配も要らないというところで、物すごい
議論をするんですね。
一つだけ例を挙げますと、私は
田中委員と違ってほとんど英語がわからないんですけれども、ある文章の中に「ジーズ・エレメンツ」という言葉が入っていたんですが、この「ジーズ・エレメンツ」について、
アメリカ、
EUを含め、ほとんどの国の人たちは、
交渉を何年間もやっている、しかも英語ぺらぺらの人たちですから、「ジーズ・エレメンツ」なのか「ザ・エレメント」なのか「ア・エレメント」なのかで一時間ぐらい
議論をやっているんですね。私にとっては、正直言って、何か中学校一年の英語の勉強を思い出しているようですが、実は、これが
交渉の中身だと。「ジーズ」の複数形になるのか「ザ」がつくのか「ア」がつくのかでもって、そのエレメントの
意味が全体に極めて影響してくるんだというんですけれども、通訳の人が一生懸命訳してくれますが、そんなものどうでもいいじゃないかというのが私の正直な気持ちなんですけれども、そこがやはり政治家の、私自身のアバウトなところであります。
それから、もう
一つだけ、これは聞いた例でありますけれども、例の五カ国、NG5と言われている、今回、実質
農業の話し合いを煮詰めたと言われている
国々の中に、ゼーリックさんとラミーさん、フィシュラーさん、それから
ブラジルのアモリンさんという外務
大臣、これらはもう
交渉のプロです。そして、選挙の洗礼を受けていない人たちです。他方、このメンバーの中の
インドと豪州は政治家であって、いわゆるたたき上げの政治家の人たちですから、この人たちが、一日半、ほとんど徹夜で、我々の
会議の前に実質的に
農業合意を決めようといってやったらしいんですけれども、それに参加していたある国の大使から聞きましたけれども、もう政治家はこの
議論についていけない。それに、法律家の人たちの、しかも弁の立つ法律家が、あるところで、さっきの「ザ」と「ア」と複数形じゃありませんけれども、そんなところをぱぱっと
議論をしたり、その次の瞬間にはまた全然違う
議論でどうするかと。例外
品目についてはどうだとか、キャッピングタックスについてはどうだとか、そういう話をぱぱぱぱっと資料も見ずにやっていくと、豪州や
インドの
大臣ですらもうついていけない。
日本は入っていなくてよかったね、こういうふうに言う、変な
意味で励まされたという話を聞いたことが先週あります。
事ほど、ある
意味では
国益を守るために必死になって
各国頑張っているわけであります。
日本は、そういう
意味で、語学のハンディキャップ、それから
大臣が今回二人、場合によっては外務
大臣も含めて三人行くわけでありますけれども、ですから、今回は各省間の連携は非常にうまくいったと、正直言って、私は自信を持って
皆様方に
報告をさせていただくことができるというふうに思っております。何か御
質問があれば私は喜んでお答えいたしますけれども。
そして、成果としても、
農業も含めて、これは先ほど冒頭申し上げたように、脱線
状態から線路の上に車両を整備して乗っけて、そして
加盟国がそこの列車に乗り込んで発車のベルをいつでも押せるような
状態に戻したというのが、今回の
会合のある
意味では比喩としてはそういう
状態でございますので、そういう
意味では、
日本の立場、内容も十分反映された形で、さあ、いよいよこの線路の上を終着駅に向かって進んでいこうというところの準備段階が完了したという全体としての問題と、
日本の立場、先ほど
松島委員からも
質問がありました、いろいろな
センシティブな問題を含めて、結果としては、スタートラインとしてはいいスタートラインに
日本としてもつくことができたというふうに私は
委員会の先生方に御
報告ができるというふうに思っております。