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2004-03-26 第159回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十六日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      日出 英輔君     仲道 俊哉君      松田 岩夫君     大島 慶久君      脇  雅史君     岸  宏一君      浅尾慶一郎君     樋口 俊一君      木俣 佳丈君     峰崎 直樹君      弘友 和夫君     森本 晃司君      田  英夫君     福島 瑞穂君  三月二十四日     辞任         補欠選任      森 ゆうこ君     平野 達男君  三月二十五日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     藤井 基之君      高野 博師君     山下 栄一君      小泉 親司君     井上 哲士君  三月二十六日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     福島啓史郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 扇  千景君                 木村  仁君                 岸  宏一君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 仲道 俊哉君                 福島啓史郎君                 藤井 基之君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 内藤 正光君                 中島 章夫君                 樋口 俊一君                 平野 達男君                 峰崎 直樹君                 森本 晃司君                 山下 栄一君                 山本 香苗君                 井上 哲士君                 紙  智子君                 林  紀子君                 福島 瑞穂君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、個        人情報保護、科        学技術政策))  茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      金子 一義君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        農林水産大臣  市川 一朗君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君        文部科学大臣政        務官       田村 憲久君        文部科学大臣政        務官       馳   浩君        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        春田  謙君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○委嘱審査報告書に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、御報告いたします。  本委員会は、平成十六年度総予算三案につきまして、内閣委員会外十一委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されましたので、お手元に配付しております。  つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、締めくくり質疑を六十分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会三十分、公明党十分、日本共産党十分、社会民主党護憲連合五分、無所属の会五分とすること、質疑順位につきましてはお手元通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより締めくくり質疑に入ります。朝日俊弘君。
  6. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 民主党新緑風会朝日でございます。  いよいよ、予算締めくくり質疑段階に入りました。今日は、この予算委員会における幾つかの質疑と一部重複する部分もあるかもしれませんが、再確認ということも含めて、私の方から何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、国家公安委員長お尋ねをします。  最近、またしても各県警本部の様々な疑惑、不正経理、いわゆる裏金工作問題がマスコミで報じられております。これは、是非今後もより詳細にわたって詰めていかなければいけないと思っているんですが、今日は国家公安委員長としての基本的なお考えをお尋ねしたいと思うんです。  といいますのは、四年前ですね、警察法改正が行われました。当時、ちょっと思い出していただきたいんですけれども、随分といろいろ不祥事件があちこち全国各地で起こりまして、実は、私、その当時、当院の地方行政警察委員長を仰せ付かっておりまして、委員長という立場でこの警察法改正についての議論のまあ行司役をさせていただいたわけですが、そのときに一番問題になっていましたのは、公安委員会がちゃんと警察に対してきちっと管理監督、指導しているのかと。何やっているんだという議論が一番あったと思うんですね。むしろ、もう独自の機構を作ったらどうかということも含めて、相当根深い議論をさせていただいたと記憶しています。  しかし、それにもかかわらず、たった四年たった今、また同じ、あるいは違った問題かもしれませんが、体質的には同じような問題がまたぞろ暴露されてきているという事態を一体どう考えるのか。そもそも、前回の法改正が不十分かつ不徹底であったためではないかという思いもあり、また、それはそれとしても、その後の実施運用状況に問題があったのかという思いもあり、ここはひとつ国家公安委員長として、自らの責任でこれらの問題をどう認識をし、これからどう対応されようとしているのか、はっきりと方針をお示しいただきたいと思います。
  7. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 朝日委員お答えをさせていただきます。  北海道旭川中央警察署における平成七年五月の分と平成九年九月分の道費調査用報償費五十万円に関しまして大変不適正な予算執行が見られまして、また、静岡県の警察における総務課平成七年の県費の旅費をめぐりまして九百四十万円のいわゆる空出張費事案が判明したことは誠に遺憾でございます。また、元福岡県の警察本部銃器対策課員が匿名で、本人が在職しておりました平成七年から四年間にわたりまして裏金を作っていたとする内容の記者会見も行われたところでございます。  今、朝日先生の方からるるお話がございまして、御指摘のとおり、警察におきましては、一連の不祥事が発生いたしましたことから、平成十二年七月に、警察刷新会議から警察刷新に関する緊急提言というものをいただきまして、国家公安委員会及び警察庁では、同年八月に警察改革要綱を取りまとめ、さらに、十二月には公安委員会管理機能の強化を柱とする警察法改正を行ったところでございます。  また、情報公開というものに関しましても、警察改革以降、四十七都道府県にすべて情報公開条例実施機関となるなど積極的な推進をしているところでございますけれども国家公安委員会といたしましては、このたびの一連会計経理をめぐる事案につきまして、会議が開催されるたびに警察庁から報告を受けまして、必要な指示を行っているところでございます。  警察庁では、それを受けまして事案解明を図るとともに、予算執行の一層の適正化を図るための方策を打ち出しているものと承知をいたしております。  また、関係道県警察におきましては、それぞれの公安委員会指示を受けまして、事案全容解明に向けて鋭意調査を進めているところでございまして、北海道では、道公安委員会から警察法改正により新設をされました監察指示が発出されたところでございます。  警察におきましては、平成十三年度にいわゆる捜査雑費制度というものを導入するなど、捜査費を現場で使いやすいように、捜査員がですね、制度的改革を進めているところでございまして、国家公安委員会におきましては、国民の信頼回復に向け、今後とも、警察における予算執行に対しましていささかも疑念を抱かれることのないように更に警察庁を督励してまいりたいと、そのように考えております。
  8. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 是非、その監察をきちっとやっていただくということを含めて、国家公安委員会あるいは都道府県公安委員会がちゃんと機能しなければ、またぞろ一体何だという議論になりますから、ここはひとつきちんとやっていただきたいし、私どもも、この予算委員会としては一区切り付きますけれども、引き続きこの問題についてはきちっとそのお取組状況をフォローアップしたいと思いますので、十分心して取り組んでいただきたいと思います。  次に、食の安全問題に関連して、二点、御質問をしたいと思います。  一点は、この当委員会でも同僚郡司委員から御質問があり、それなりお答えがあったんですが、どうもはっきりしませんので、改めて確認をさせていただきたいということで質問をいたします。  BSEの問題。既に、幸か不幸か、十一頭目が確認をされまして、それなりに疫学的な調査検討は、例数が少ない場合はなかなか難しい点もありますけれども一定例数が、まあ妙なお話ですけれども調ってきて、一定の研究がしやすくなったと思うんですね。で、検討していただいたと。  そこで、BSEプリオン病ですが、その感染源といいますか発生源といいますか、それと、それの感染経路という、あるいは伝播経路、どちらかといえば、感染と言うよりは発生源あるいは伝播経路と言った方がいいのかもしれませんが、もうほぼ絞り込まれていてしかるべきではないかと私は思うんですね。  特に、同僚郡司委員が問題にしましたのは、一つは、英国なりイタリアから輸入されたであろう、そして国内肉骨粉として飼料に使われたんではないかというところからの一次的な伝播感染の問題と、どうもそれだけではなさそうだと、それをいったん国内で使って、国内で何頭かがBSEを発症して、それが解体処理されて、また肉骨粉となって使われて発症したという言わば二次的な伝播と二通りあるのではないか。  とすれば、そこはきちっとはっきりとそういう経路を区分けをし、そのことを含めてどう対応するか、対策を立てるかということをはっきりさせてほしいと。言葉を換えれば、輸入材料の場合は、ある意味では我が国は被害国だったかもしれないけれども、二次的な感染をこちらから、日本で起こしているとすれば、場合によっては加害国になっているかもしれないということを指摘されたわけですね。  この点について、市川大臣からも御答弁がありましたが、農水大臣答弁がいま一つ明確ではなかったので、ここで改めて再確認意味で御質問いたします。
  9. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) お答えいたします。  BSE疫学検討チーム報告書によります国内での七例目までの感染源と、それは、委員今御指摘のとおり、一つは八二年又は八七年に英国から五頭及び九頭の生体牛輸入されておるわけであります。そして、これが肉骨粉にされ、この肉骨粉最初感染源と、表現は一巡目と、こう申し上げてよろしいかと思いますが、八五年、八九年ごろになるわけであります。これに感染した牛から製造された肉骨粉が次の段階での感染源、これは二巡目と、こう申し上げることができるかと思いますが、九六年ごろになるわけであります。この可能性と。一つは、英国からの生体牛輸入。もう一方、九〇年以前に輸入されましたイタリア産の肉骨粉が含まれるわけでありまして、この病原体感染して、八七年、八九年ごろ、これは一巡目になるわけでありますが、そのイタリア肉骨粉に含まれた病原体感染した国内牛肉骨粉となり次の段階、二巡目、いわゆる九六年ごろになるわけでありますが、いわゆる感染源となったと、こういうことが、可能性が否定できないわけであります。  もう一つは、九〇年代半ばに輸入されたオランダ産の動物性油脂、この感染源と。これは九六年ごろになるわけでありまして、この三つの感染源、これが可能性があるとされたところでありまして。  また、感染経路につきましては、肉骨粉につきましては、配合飼料工場におきます製造あるいは配送段階におきます肉用配合飼料に交差汚染した可能性と、もう一つは、動物性油脂につきましては代用乳の原料として添加されている、これが直接感染経路として結び付けるということにつきましてはなかなか難しい面があると、このようにされておるところでもございます。  一方、昨年十月に八例目、いわゆる二十三か月、十一月に二十一か月齢が確認されたわけでありまして、これらの牛の感染が従来同様の感染によるものか、あるいは別のルートでの感染によるものかを含め、今いわゆる患畜に、当該患畜に給与された飼料等疫学情報収集と、またこれを行っておるわけでありますし、報告書に提示されました評価・分析手法参考に、感染汚染感染源原因の検証を今この八例目、九例目につきましては今進めておるところであります。  さらに、本年二月に入りましていわゆる十例目、十一例目が確認されておりまして、今このデータをいろいろ収集をし、専門家の助言を求めて原因感染原因究明をしておるわけでありまして、先ほど、最初に申し上げましたとおり、感染源として第一次、それで第二巡目と、こういう面でこれ感染源として、いわゆる国内での感染が第一次から感染していると、こう申し上げる、ある面では肉骨粉の問題等々から一巡目、二巡目と、こういうような中でいろいろこの原因究明をしておるというようなことでございます。
  10. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 丁寧に御説明いただいたようですけれども、どうも最後の方になるとよく分からないんですね。  それで、ここは少なくとも、大臣一巡目、二巡目という言葉をお使いになって、私は一次的、二次的という言葉を使いましたが、少なくともパターンとして、ストレートに伝播したタイプと、いったん国内伝播した後、再度伝播したという二つのパターンがあるということはお認めになるんですね。そこをちょっと確認させてください。
  11. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、専門家検討を進めておりますが、私も、今委員が御指摘のとおり、一巡目、二巡目という点では今御指摘のようなことは十分考えられると、こう思っております。
  12. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうしますと、最終的な結論というか、専門家の判断も、それは今後しかるべき時期に出されると思いますが、政策的には、そうすると、こういうことだと思うんです。  一応、今全頭検査をしていますから流通には問題がないとはいえ、感染経路によっては、そして感染の仕方によっては、対策をどう立てたらいいかという、対策が変わってくるわけですから、ですから、ここはひとつ、全頭検査をしているから安心だというだけで済ませるのではなくて、発生源感染源確認感染経路伝播経路確認を踏まえた上でそれぞれに必要な対策をきちんと打つということは是非必要だと思いますので、やっていただきたいと思いますが、その点はいかがですか。
  13. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 十分そのことに留意をしてこの問題の対応してまいっておりますし、これからもそうしてまいりたいと、こう思っております。
  14. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 食の安全の問題でもう一つ鳥インフルエンザ発生の問題であります。  これは、今、ようやくその後の処理に向けて落ち着き始めているかと思うんですが、これ、昔は家禽ペストというふうに呼ばれた、大変その専門家の中では恐れられた病気でありまして、今後もこれで終わりというわけにはいかない可能性があるということでお尋ねをするんですが、昨年の国会で、SARSの問題に現行の感染症予防法十分国としての関与ができない、あるいはできにくいということで法改正をしまして、隣に坂口厚生大臣おられますけれども、もちろん都道府県が主体でやっていただくんだけれども、広域にわたる場合などは国がむしろ直接に関与をし、調査をし、あるいは指示をし、当然、必要な支援もするという項目を感染症予防法改正で行ったわけですね。  今回の鳥インフルエンザ対策についても、もっと国が直接に出ていってちゃんとやってくれないか、やるべきじゃないかという議論があったと思うんですね。そのときに、何かこれはやっぱり都道府県の仕事だからというようなお答えがあったんですけれども、私は、もっと状況によっては国が積極的なリーダーシップを取って、あるいは責任を持って調査もし、対策も打つということは必要だと思うんですね。  そこで、今ある家畜伝染病予防法ですか、この法律の中にはそういう規定はないんですかね。法律上どうなっていますか。
  15. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 従来から家伝法によりましては、家畜伝染病が広域化した場合などの重大な影響がある場合には、国が都道府県指示し、自ら蔓延防止、この措置実施できるような措置になっておるわけでありますが、具体的には、第四十七条におきまして、家畜伝染病疾病発生又は蔓延により畜産に重大な影響を及ぼすおそれがあるという場合には、農水大臣は、都道府県知事家畜所有者に対する殺処分、家畜等移動制限家畜検査等実施すべき旨を指示することができるとされております。また、さらに四十八条で、農水大臣は、自ら都道府県知事指示をした場合は、都道府県知事から求められた場合には、国の職員である家畜防疫官蔓延防止措置等を自ら行わせることができると、このようにしておるわけでありまして、いわゆる感染症法改正で新たに盛り込まれた措置、実は家伝法におきましては既にそのような措置は講じております。  今回、京都の問題につきましても、地方農政局あるいはまた私ども本省関係者も一緒にいろいろの措置が極力できるような体制で今日までやってまいりました。今後ともこの問題につきましては、四十七条、四十八条、しっかり受け止めて対応してまいりたいと、こう思っております。
  16. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今お話しのように、法律としてはきちんとそういう根拠があるということですので、もちろん都道府県の皆さんにしっかり頑張っていただくことは当然としても、状況によっては、今回でも京都、兵庫、大阪とまたがっているわけですし、そういう状況に合わせて国がもっと積極的に支援をし関与をし、場合によっては担うということも含めて検討をしていただきたいと、これは要請をしておきたいと思います。  それじゃ次に、この委員会でも大いに問題になりましたいわゆる三位一体の問題に関連してお尋ねをします。  いわゆるというのは、何かこの間テレビを見ていましたら年金改革のところでも三位一体なんという言葉が解説されていまして、どうもあちこちで軽々しく使われる傾向があるのでいわゆる三位一体として使いますが、最初にこれは、この二点は是非総理にお尋ねをしておきたいと思う。  国庫補助負担金の削減とそれに対応する税財源の移譲の問題で、とにかく四兆円削減するんだと、こういう方針を、去年ですか、打ち出されました。ただ、去年打ち出される前に、ここに座っておられる片山試案というのが出まして、あのときは五・五兆円ということで、それなりに片山試案は一つの筋が通った数字だったと思います。ところが、それが急に四兆円と指示されたというのが全然分からない。何で四兆円なのか、これは総理の指示だというふうに伺っていますので、総理からお答えください。
  17. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、補助金が二十兆円程度ありますので、地方の自主性を尊重する方向で補助金と交付税と税源、財源の話をしようということで、いわゆる三位一体という言葉が出てきたわけであります。  当初は数千億円が精一杯じゃないかという議論があったんです。しかし、やはり三年間で兆円単位の削減をしようということで、三年間でやるんだったらば三兆円という話もあったと思いますが、四兆円程度を目指していこうという大ざっぱな数字であります。大ざっぱ。
  18. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 大ざっぱ過ぎるんですよ。  それなり、例えば、もう御承知のとおりで、全国知事会からは九兆円ないし十兆円の税源移譲ということが出されているんですね。それはそれで知事会の方でいろいろと根拠を積算されて、それなりの数字、根拠を持って求められている。それから、先ほども申し上げたように、片山試案の五・五兆円は、それはそれなりに、次のステップで一段階か二段階か置いて、国と地方との税財源の配分を一対一にするんだという、そのステップとして五・五兆円というふうに出されてきたんですよ。  だから、何らかの、総理が指示されるとすれば、あるいは方針として示されるとすれば、何らかの筋というか、根拠が必要なんじゃないですか。何か大ざっぱに、まあとにかく四兆円やれやと、そんなものですか。
  19. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、それぞれ具体的な数字というのは、あの時点においては難しいと。二十兆円だから十兆円やれという話も出ました。いや、五兆円、話という話も出ました。数千億円という話も出ました。まあ無責任なことは言えないから、四兆円目指そうと、四兆円ぐらいはやろうということで、まず初年度一兆円をやろうということで、具体的な点は、各省、担当大臣、地方公共団体、よく検討すべしということでございます。
  20. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、委員が御指摘になりましたように、当時の片山総務大臣が五・五兆ということで問題を提起されまして、それを機に三位一体の議論が進んでいったということは事実でございます。  当時は、私はこの仕事をやっておりませんでしたけれども、後になってなぜ四兆かと、四兆という総理の御指示が出たわけですが、それを伺いますと、いわゆる骨太の中でいろいろ重点項目がございますけれども、特に改革に力を入れなければならないのは、教育とか社会保障とかあるいは産業振興、ほかにもありますけれども、そういった分野で改革工程に従って、補助金改革もまず進めていく必要があるなと。  それから、その公共事業などについては、これはいろいろ重点化もしなければならないし、いろいろな効率化の観点から改革に取り組んでいく必要もあるだろうと。  それから、その補助金の過半は、五四%ぐらいになると思いますが、社会保障関係が占めていて、これはもちろん改革もしなければならないけれども、なかなか縮小、削減も難しいところもあるけれども、切り込まなきゃならないと。  こういうようなことをいろいろ勘案して、四兆程度を努力してみようと、こういう整理であったというふうに聞いております。
  21. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 どうも余り明快な根拠が示されたとは思いません。結局、総理の四兆円という提示はそんな大ざっぱな話だったのかと、改めてがっかりをいたしました。  もう一つ聞きます。その上で、平成十六年度における補助金の削減額を一兆円と示されました。この一兆円を示された理由及び根拠をお聞きします。  しかも、その一兆円の目標を、主として文部科学省と厚生労働省の予算からひねり出すというふうになったのはなぜか、是非。
  22. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 四兆円、目標にするんだったらば、初年度は、当時は数千億円が精一杯ということでありました。じゃ、三年間で四兆円目指すんだから、初年度一兆円ぐらい目指すべきだということで、これまた政治決断であります。当初、とんでもないと、数千億が精一杯だということでありましたけれども、結果的にこの目標は達成されたわけであります。
  23. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 自ら大ざっぱに政治決断とおっしゃいましたから、余り根拠はないんですね、そうすると。情けない、これ以上質問を進める元気がなくなってきましたが。  気持ちを取り直して、全体で四兆円、平成十六年で一兆円。だから、あと残りは三兆円ということになりますか。年末から今年の初めにかけて、多少閣内の中でも、いや三兆円だ、いや、既に前年度六千億をやっているから二・四兆円だという細かい話がありましたが、これは財務大臣確認します。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、四兆円をやるという中で、一兆円今年やりましたので、十六年度でやりましたので、残りは三兆円という整理でございます。
  25. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 さて、それで、なぜ削減額だけがはっきり決まって、その三位一体といいつつ、そのもう一つの二つの要素、交付税のところと財源移譲のところがなぜはっきりしないのか。これでは三位一体ではなくて、まず初めに補助金削減があって、その次に地方交付税の削減があって、結局、一番肝心な税財源の移譲の部分は最後まで不透明なままと。これで何で三位一体なんですか。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、一番税源移譲を最後に残しているというわけではありませんで、これはもう明確に、平成十八年度までに所得税を地方住民税へ移し替えていく、これを中心にやるんだという方針は明確に打ち出しております。ただ、そして、その言わば平成十八年度までのつなぎの措置として所得譲与税という形にしているわけでございます。  姿がはっきり見えないという御批判だろうと思いますが、今取っております手法は、補助金改革を進めていって、そして補助金改革の中で、やはり無駄なものはもうやる必要がないわけですから、引き続き地方にやっていただく必要があると、こういうものについて税源を手当てしていこうという方針でやっておりますので、これは片山当時の大臣の御発言をちょっと恣意的かもしれませんが借用いたしますと、やはり地方住民税とか所得税は毎年ちまちまといじるわけにいかないから、やはりある程度きちっと補助金改革の絵姿が出てきたときに明快にやろうと、こういう方針で臨んでおりますので、後回しにするというつもりは毛頭ございません。
  27. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 何か都合のいいところだけつまみ食いしているようで……
  28. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 朝日さん、ちょっと麻生さんから。
  29. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今財務大臣からもお話がありましたように、譲与税とか、残り三年間ありますまでの間のつなぎの仮称と思っていただいた方がよろしいんだと思いますが、いわゆる所得税というものを地方の住民税に移管をする、これはもう決まりです。決まりましたが、幾ら渡すのかという額につきましては、補助金の額が、例えば退職給与引当金とかいろんなところでいきますと、今年の退職給与と、三年後になりますと、これはいわゆる採用教員の数の違いがすごく大きくて、後になりますとそこがばっと膨らむんです。そうすると、そのときは、いや、平成十六年度の額で決まっているじゃないかと言われると、これは地方の方はその差額は自分で埋めないかぬということになりますんで、それは駄目と。  ということで、はっきりした額が決まりますという財務大臣の表現のとおり、そのときに決まった段階できちっとしましょうということをしているんで、それまでの間は仮称として、いわゆる譲与金とかいろいろな言葉を使っておりますけれども、そういった形にしてあるんであって、最終的にその額は、それに見合う額を所得税から地方住民税に移管させるということははっきりいたしておるというように御理解いただいたらよろしいと思います。
  30. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 最終的にちゃんと見合う額をとおっしゃいましたので、その言葉を忘れないでください。下手をすると、移譲部分を少しずつ減らして全然見合わない額に結果としてなりはせぬかという心配をしていますので、今の言葉を忘れないでください。  それじゃもう一点。  今回、三位一体改革の問題で非常に自治体の皆さんから反論が強いのは、その三つの要素、つまり国庫補助負担金の問題と地方交付税の問題と地方の税財源の問題と、これを一体的に解決しようという議論と、そこへ地方財政計画を全体にスリム化しようという話とが無理やり一緒になって出されたものですから、結果として、基準財政需要額の算定そのものをぎゅっと絞り込んで、したがってそうなれば地方交付税総額もぎゅっと縮減するという形で押し付けられた、そこに対して何だという声が非常に強いと私は思うんですね。  私に言わせれば、三位一体改革に付け込んでというか便乗してというか、言葉は悪いですが、その話と、この地方財政計画全体の強引なスリム化を、しかも中央集権で決めておっかぶせるというやり方に反発が非常に強いんじゃないかというふうに私は思います。  そういう認識について、これは財務大臣総務大臣、お二方から。
  31. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、方針は骨太二〇〇三にも明確に書いてございますけれども、地方交付税については、その財源保障機能、これは見直していく必要があるというふうに私は考えております。  もう今更申し上げるまでもありませんけれども、地方交付税特会というものが五十兆を超える借財を背負っておるということがございます。それから、地方全体でやはり二百兆を超えるものがあるわけでありますから、これは、地方財政計画の歳出を見直していく中で、地方交付税総額を抑制して財源保障機能というものを見直していくという手法を私は取らざるを得ないと思っております。  ただ、これはそれぞれの、財源調整機能というのは、これはこういうことを進めていく場合にあくまで必要だと思っておりますが、総額についてそういう考え方からスリム化を推し進めていると。  また、更に申し上げますと、地方でできることは地方でと、こういうことでやっておりますけれども、それをやっていくについても、国と地方のスリム化をしながらやらないと現実にはなかなか話が運んでいかないという現実が背後にあると、こう考えております。
  32. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今おっしゃいますように、今回の話の中で、三位一体の話とそれからいわゆる財政健全という話と二つ一緒に来たために、反応としては拒否反応みたいなものが大きくなったんではないかと、御指摘のとおりだと思います、その点に関しましては。  どうしてそうなっているかというと、基本的には、極めて、三位一体の方は、先ほど、片山試案等々に基づいてまあ大体というところでございますし、事実、私どもも、この間の共同通信等々のあれを見ましても、少なくとも人口五万以上の市町村の方はおおむねよしという形になっております。人口五万以下のところが今のような反応が出てきておるように思います。私のおります選挙区もほとんどそういうところが多いんで、同じような反応を私ども得るところですが。人口五万以下のところの市町村というのは、市町村の頭数からいくと八五%ぐらいになります。ただ、人口からいきますと約三〇%。人口五万以上のところに住んでおられる方が全人口の約七〇%ぐらいですから、首長さんの頭数でいきますと、今、朝日先生言われたような反応が出てくるんだと思いますが、そういったところでは、地方の小さなところと大きな団体とでかなり差が出たということは確か、私も、その点はそう思っております。  したがって、そこの小さな地方の中小のところにどうやって手当てをするかだと思っておるんですけれども、いずれにいたしましても、この財政を健全化せないかぬということに関しましてはどなたも御異議のないところだと思いますので、少なくとも、累積二百兆を超えます赤字ですし、交付税だけの赤字でも五十兆を超えておりますので、いろんな意味で、そこのところは何らかの形で対応しなくちゃならぬことははっきりしておりますので、そういったところをどうやって踏まえていくかという意味でありますので、三位一体という質的な変化の話とそれから財政健全という量的な話とが一緒に来たところが非常に大きかったということだと思いますので、その意味では、その量的な部分につきまして今後いろいろ、健全化債とかいろんな形でやらせていただいておりますけれども、そこらのところの対応は今後ともきめ細かにやっていく必要があると、私もそう思います。
  33. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ある程度問題意識を共有していただけたのかなと思いますが、そこで、その今回の一つはやり方、手順の問題ももう一つ非常に反発を生んだというふうに私は思っているんです。  つまり、私の出身の兵庫県の但馬地方の幾つかの市町村からもたくさん要望書が届きまして、それを見ますと、非常に気持ちを抑えながら二つの点で要望されています。一つは、地方財政見通し等の早期公表と、地方の意見の反映を図ってほしい。要するに、年末になってどたばた決めないでほしい、予算が作れないじゃないかと、こういう話が一つ。それから、的確な財源保障をしてほしい、この二つを求めておられます。もっともだと思うんですね。  そこで、やはりこれからの自治体の皆さんの御理解をいただいていくためには、何かこれまでのように国が、しかも年末になって急にこう決めたというふうで押し付けるようなやり方ではなくて、例えば、大臣も御承知だと思いますが、大阪府からは国と地方の新たな協議制度を作ってほしいと、例えば、地方公共団体に影響を及ぼすような法令、施策、計画について、内閣に対して地方が事前に直接議論に参加できるようにしてほしい、あるいは法令の制定、改廃について、地方の実情を踏まえて提案又は調整できる組織を創設してほしいと。  つまり、もっと国と地方がもう少しどうしていったらいいのかということについて協議をする場を作ってほしい、できればそういう仕組みを作ってほしいと、こういう要望が上がっているわけですが、私も同感でありますが、この点についてはどうですか。
  34. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 大阪府の方からの御提案から先に答弁をさせていただきたいと思いますが、これは、いわゆる憲法、殊に七十二条という、内閣の議案提出権というのと少しどころかかなり重なってくるところだと思いますので、これは今、この案に出ております案でいきますと、従来ですと内閣と議会というところ以外に、新たにこの地方何とか機構から出せるようにしようという御提案のように拝見をさせていただきますけれども、これでいきますと、これは今約三千三十の市町村があるんですけれども、そこの意見の集約は極めて短期間の間にこの協議会できるかという点が一点あると思っております。  また、知事会というところを今回見ましても、いろいろ町村会、市長会、議長会、いろいろございますけれども、そういったところの意見を知事会が全部まとめて、うちが言うのがすべての答えだということをまとめていただけるということになりますかというと、そこはなかなか難しいのはもう御存じのとおりで、同じ知事会の中でもまたいろいろございますのでね。そういったことからいきますと、これは、スピードを要求されるこの部分においては、ちょっとこの種の話はなかなか言われるほど、難しいのではないかなというところが一つです。  もう一点、先ほどの、先に御質問のあっておりました、いろいろな地方の意見を聴取して地方の意見を反映するようにすべきじゃないかというのは、私は誠にもっともなところだと思っております。  今回も実は、このような話は実は一昨年ほぼ似たような提案が出ております。それに対しては交付税や何やら、結構おととしの分には埋めた部分がありますものですから騒ぎにはならなかったんですが、今回は御存じのような方針でなりましたものですから騒ぎになった。だから、考えてみれば、おととしから言うてあるでしょうがという話と、これは去年の六月の二十七日の閣議決定のときにもう既に言うたでしょうがと申し上げたい立場にもあるんですが、おととしもそうだったけれども埋まった、だから去年も埋まるだろうと思われた方も多かったし、今度は来るぞと思われた方と、差は結構首長さんの中で差はありました。これは私どもに陳情にお見えになったことで、両方、同じ県から来られた方は、あんなこと去年の六月に出ていたじゃないかと言う方もいらっしゃいましたんで、それはいろいろあるんだと思いますが。  いずれにしても、役所というのは、こういう具合な通達が出ると各三千三百に隅々まで行き渡るもんだと思い込んでいる節がありますけれども、そんな世の中そんな簡単じゃありませんので、私どもとしては、これはもう少し丁寧にやる必要があるということで、総務省主催をいたしまして、この予算が終わりました後、四、五月で地方財政連絡会議を八ブロックに分けて行います。また、全国市長会主催、それから町村会主催でいずれもこの種の話を意見交換会をするという要望を向こうからもいただいておりますんで、可能な限り総務省の職員は全部これを送って、これ説明をするということで今いたしておりますし、全国総務部長会議、また全国財政課長・市町村担当課長会議もこの四月に開催をする予定にして、今御指摘のありました点に対しては対応させていただきたいと存じております。
  35. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 一つは、是非これまで以上に丁寧な対話をやってほしいんです、一方的な会議の説明ではなくて。対話を是非やってほしいと思います。それから、やっぱり仕組みの問題は、これは今すぐにイエスとかノーとかということではなくて、もう少しこれからもっともっと地方分権、地域主権が進んでいく中で、国の意思決定プロセスとそれぞれの自治体における意見調整みたいなことは、どこかで何らかの形が必要になるのではないかという気もしますので、検討課題としてテークノートをしていただければ大変有り難いというふうに思います。  それでは、以降、時間の許す限り、大分使っちゃいましたが、年金制度改正について幾つかの基本的な問題を中心にお尋ねをします。  まず最初お尋ねしたいのは、この年金制度改正を考えるに当たって、社会保障制度の中で医療や介護サービスの問題との関係をどう考えるか。一つの考え方は、年金を中心に考えて、一定程度比較的に高い年金の給付水準は確保しながら、しかし医療、介護サービスについては高齢者自身にも保険料なりあるいは一定の自己負担を求めるという考え方。もう一つは、そうではなくて、むしろ年金の給付水準は多少低めになっても医療及び介護サービスにかかわる言わば現物給付を重視して、そこはきちっと手厚くしていこうというところに重点を置く考え方と二通りあるというふうに私思いますし、先日、公述人の方からもそういう問題提起をいただきました。  そこで、まずそのお考えについて大臣と総理にお尋ねをしたいんですが、その質問に入る前に厚生労働大臣、来年介護保険制度の見直しが予定されている。どんな議論で進んでいるのかということと、とりわけ介護保険制度の見直しの中で保険料と自己負担の問題をどんなふうに組み立てていこうと考えているのか、この点についてまず厚生労働大臣からお尋ねします。
  36. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 介護保険につきましては、今鋭意検討を進めているところでございまして、夏ごろには省としての案を出したいということで今進めているところでございますが、今お話がございましたように、幾つかの問題点を抱えておりますことは事実でございます。給付の在り方、それから負担の在り方、制度運営の在り方、様々な面からあるというふうに思っております。  現在のところ、しかし考えておりますのは、基本的な枠組み、すなわちこの保険料、公費、それから利用者負担というこの枠組みはできる限り現状維持をしていきたいというふうに思っております。ただし、今いろいろな問題が起こってきておりますが、その中の特徴的なことは、先日もこの委員会でもお話がございましたとおり、要支援それから要介護の一のところ、非常に軽いところの皆さん方の利用率が急激に増えております。  ある面でいえば、増えるということはいいことではございますけれども、しかしそこの、そこの利用がうんと増えて、そしてその人たちが良くなってくれていればいいんですけれども、結果として見ると、調べてみると、そこが良くなっていずに、やはり要支援三とか四とかというふうに悪い方向にやはり転がっていっているというところがございまして、ここはその支援の仕方に問題があるのか、それとも時期に問題があるのかといったような問題がございまして、こうした点のひとつ見直しを行うということは避けて通れないのではないかというふうに思っております。  全体としましては、個人の負担や保険料の問題や、そうした問題も、どこまで上げてもいいというわけではありませんから、これは極力抑制をしながら、より効果的な介護保険制度というものをどう作り上げていくかということにしなければいけないというので今やっているところでございます。  これは介護保険の中の話ではございませんけれども、御承知のとおり、もう一つ障害者の介護の問題があることも事実でございまして、これとの組合せをどうするのか、これはやはり別途やっていくのかという議論も、これは介護の少し外側の話ではございますけれども、やらなければいけない。そして、それはまた介護全体にも影響を与えるということになってまいりますので、慎重なここは議論が必要ではないかというふうに思っているところでございます。
  37. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 いろいろ課題があるということで、慎重な検討が必要なことは私も認めますが、ちょっと再確認したいんですが、そうすると、基本的に高齢者の皆さんからの保険料及び自己負担の水準については、少なくとも今よりも軽くなるようなことは余り考えられなくて、今程度か若しくはそれよりも重い負担をしていただくことになるかもしれないと、こういうことですか。
  38. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) それはそれぞれの地域によっても格差はあるというふうに思いますが、いわゆる負担の問題になりましたときに、もう一つ、これは大きな議論を皆さん方にしていただいておりますけれども、この負担をしていただきます年齢の問題がございます。四十歳以上になっておりますけれども、そこをもう少し御理解をいただけることができるのかどうかということももう一つの大きな論点になっております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  このことは、高齢者の皆さん方に対する負担の問題に非常に大きく影響をしてくるわけでございますが、さりとてこの問題は、すべて働いておみえになる皆さん方と、そして企業とにおんぶにだっこをしていくということもこれは軽々に考えてはいけないことだ、これこそ年金、医療、介護全体のその枠の中でどういうふうにここを抑えていくべきところは抑えていくのかという話になってくるんだろうというふうに思っておりまして、そうしたところも踏まえて今議論を進めているところでございます。
  39. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 何か鶏か卵かみたいな話になってきましたけれども、今の段階でなかなか具体的な数字までお示しいただけることは難しいと思いますが、それでは、そのこととも密接に関連してくると思いますが、医療保険制度改正のことについて、ここはちょっとひとつ質問を二つに分けてお尋ねします。  まず、医療保険制度改正、昨年の、ちょうど一年前に基本方針が示されまして、そのときに二年を目途に抜本的な制度改正をやるんだという方針を示されました。ちょうど約一年前、去年の四月一日に厚生労働委員会で私も大臣質問をさせていただきました。  ちょっと日にちが悪かったのかなと今思っているんですけれども、あのときは大臣は、十七年に医療保険制度の改正案を出せるようにしたいと、私からの求めに応じてそのタイムスケジュール、工程表も作ってお示ししたいとおっしゃいましたが、あれどうなりました、四月一日でうそになっちゃいましたが。
  40. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 確かにそうした時期であったかも分かりませんけれども、エープリルフールとは関係ございませんで、私は今もできるだけ早くお示しをした方がいいという気持ちに変わりございません。それで、できれば私は十七年度にも出してほしいというふうに今も言い続けているわけでございます。だから、厚生労働省の表現としましては遅くとも十八年度、こういうことになっているわけでございます。  と申しますのは、これは厚生労働省の中の話を言うのはあれでございますけれども、来年、介護保険でいろいろ御審議をいただかなければならない。介護とこの医療の問題と双方を御審議をいただくという時間的な問題もあって、それが果たして可能であろうかという役所流の思いもあるだろうというふうに思っておりますが、私はいずれにしましても基本的な考え方は早く示して、そして御議論に供することが大事であるというふうに思っておりますので、できるだけ早くという私の気持ちには変わりません。四月一日には変わりなくそう思っております。
  41. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 できるだけ早く、少なくとも考え方なり骨格なりをお示しいただきたいと思うんですが、そこで、その中で一番年金制度とも深くかかわってくる話は、新しい高齢者医療制度を作ると。その中では、一体、高齢者自身の保険料負担はどうなるのか、そして自己負担はどうなるのかということが、これ大変重要な課題になってくる。  先日、三月の二十何日でしたかね、三日でしたか、七十五歳以上の医療保険料は一人当たり年五万三千円というような数字も出ていまして、おっとというふうに目を引いたわけですが、これから作られるであろう新たな高齢者医療制度の中での高齢者御自身の保険料負担と自己負担の水準についてはどんなふうにお考えですか。
  42. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここも非常に難しいところでございますが、高齢者の場合には自己負担、現在一割お願いをしているわけでございます。この一割お願いをするのを今後そこでお願いをしていくということになるのか、それは、その一割というのは保険料も含めての話なのかといったようなことも多分もう少し詰めなければならないというふうに思いますけれども、上限は設けまして、そして大きな病気にかかられたときと申しますか、高額の医療費の必要なときには上限を設けて御負担を軽減できるようにするというような措置を講じながら、しかし、やはり一割ぐらいは御負担をいただかなければならないのではないかというふうに現在のところ私は考えております。  しかし、これはまだ固まった話ではございませんで、省内におきましても、あるいはまたこの政府・与党の間でなお御議論もしなければならないところでございます。
  43. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと、念のため確認をさせてください。  先ほどちょっと言いました日経新聞ですが、三月の二十三日、一人当たり年五万三千円というのは、これはどういう数字ですか。もしあれでしたら、政府参考人の方でも結構ですが。
  44. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 新聞に出ましたのは審議会に出した資料でございますが、これは現在の高齢者の御負担の平均的な水準でございます。これからあるべき保険の負担という、現に、例えば国民健康保険で高齢者は保険料を納めていらっしゃいます。あるいは、被用者保険におきましても高齢者は御自身で加入、被保険者の場合は負担しておられます。そのような意味における高齢者の平均の負担額をお示ししたものでございます。
  45. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと再確認。  確かに、高齢の方で保険料負担をされている方もあるけれども、家族で保険、負担されていない方もありますよね。それ全部平均しての数、額ですか。
  46. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 被扶養者、被用者保険の被扶養者は御負担されておりませんが、それらの方については除いております。今現実に負担されている者についての全平均でございます。
  47. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 すると、少なくとも現実の制度の下で負担されている方の平均を仮に取ってみると五万三千円という程度ということだと思いますが、いずれにしても、これからの新しい高齢者医療制度で高齢者自身の保険料負担あるいは自己負担というのは、どの水準にするかは今後の課題としても、一定程度お願いせざるを得ないと、こういうお話であります。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  さて、その介護保険制度の見直しの話、そして医療保険制度の抜本改正の話を念頭に置きつつ、年金制度改正の、特に給付水準をどう設定したらいいかという話に戻るわけですが、これについては是非、所管の厚生労働大臣としてはどういうお考えで、そして総理大臣としてもどういう基本的なお考えなのか、それぞれにお尋ねしたいと思います。
  48. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 年金、医療、介護の中で年金の額をある程度維持して、そしてその代わりに医療、介護については負担をしていただくようにするという考え方と、そして年金をある程度抑制的にするが、その代わりに医療、介護についての負担も抑制的にするという、このどちらかという、こういう御質問だというふうに先ほどお聞きをしたわけでございますが、私もこの年金、医療、介護のことをいつも考えながら頭の中で常に繰り返しているわけでございますが、いずれの案を考えていきましても自己矛盾に陥ってくるわけでございまして、正直なところ、うまくそこを表現することはなかなか難しいわけでございます。  ただ、私が考えておりますのは、この三つの中、いわゆるこの限られたパイの中で年金、医療、介護をどう分けるかということをどれほど考えましても名案は出てこないわけでございます。この人口が非常に減っていきます中で、一体どうするかということでございましょう。だから、その中で私は、やはり一つは女性の働く場あるいは中高年のこの雇用、そうしたものを含めて、やはり支え手を増やしていくという制度があって初めてこの年金、医療、介護のこの中身の問題というのは、これはこの行き先が見えてくるのではないかと。そうした少子化対策やあるいは雇用の問題といったものとのこれはセットの話であって、そこを解決しなければその社会保障全体の問題がなかなか見えてこないというふうに実は思っております。  で、そうした中にあって、今まで厚生労働省は、年金、医療、それから介護を含む福祉全体として五、三、二という数字を今までお示しをしてきたというふうに思いますが、いろいろの検討をしてみますと、五、三、二ではなくて四、四、二という、医療と年金、年金と医療とをですね、同じレベルに見てそして介護というぐらいなこの姿になるのではないかというふうに最近思っている次第でございまして、それは国全体のこの国庫負担の問題と、それから委員はあるいは個人の側のこの負担の問題を御指摘をいただいているのかもしれませんけれども、そこは若干それは違うのかもしれませんが、国としての姿としてはそういうことにならざるを得ないのではないかと。  先ほどの高齢者医療のお話もございましたけれども、それらのことを勘案いたしますとそのように今、誠に大枠の話で恐縮でございますけれども、考えている次第でございます。
  49. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 年金、医療、介護ということでどう考えるかという御質問でありますが、やはりこれからの社会保障を考えますと、介護保険制度は一番遅く導入されたんですが、この介護保険制度を廃止しようという声は起きていないと思います。むしろ、不備な点を改善していこうという点が現在では多いと思います。  となりますと、私は、社会保障制度の中で、年金も医療も介護も給付サービスだけを考えるのではなくて、その裏に、だれが負担する、どう負担するという問題が出てきますので、私は、年金と医療と介護、これ合わせて国民はどの程度の負担をするならば給付が受けられるかということを整合的に考える時代に入ってきたなと。そして、これが経済の活性の問題、経済成長の問題、そういう総合的な考えを持ってこの社会保障に当たっていかなきゃならないと思っております。
  50. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと両大臣お答えは期待するような中身になっていないので、もっと議論したいのですが、ちょっと時間の関係もありますので、今後じっくり年金制度改正の中でやらせていただくということで、次の問題に移ります。  年金の制度設計をするに当たって、私の理解は、保険原理としてこれも二つの考え方があるだろうと。つまり、一つは、拠出の方を確定をさせて、つまり掛金建てで、拠出の方を確定させるけれども、給付の水準はある程度変動するのはやむを得ないという、言わば掛金建ての考え方を取るのか、それとも、給付の水準をある程度確保して、つまり給付建て、それに必要な拠出、保険料をはじき出して負担をしていただくという考え方を取るのか。理論的にはそのどちらかしかないともう私は思っているんですよ。  ところが、政府案は、何かあたかもその両方を、つまり給付水準も保険料水準もお約束をするような中身になっているんですが、これ理論的には不可能なことを提案しているようにしか思えないんですが、まずこの点について大臣の御説明をいただきます。
  51. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 拠出を中心にするか負担を中心にするか、それぞれ考え方あるというふうに思いますが、今回の年金制度の組立ては、拠出についての上限をまず設けると、一八・三〇という上限を設ける。その中でこの年金給付の額が動くということは許容をしていくという、これは大前提でございます。しかし、そうはいいますものの、年金の額が余り低くなり過ぎても困るということで、そのいわゆる受ける側の年金の額の最低限、ここまでに、ここまでは許容範囲という、五〇・二というその額を決定をした。  だから、どちらが中心かといえば、それは拠出の方が中心になっているというふうにお答えを申し上げるのが正しいと思います。
  52. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうすると、ちょっと別の聞き方をしますと、その負担と給付のバランスが約束どおり果たせなくなって、例えば拠出の方は一八・三〇に上限固定をしました。それでも、なおかつ給付水準の最低水準はここまでをお約束しますと書いてあるわけですね。附則に書くわけですね、法律に。この約束が果たせなくなった場合、その責任の所在と責任の取り方はどうするんですか。例えば足りなくなった部分は国庫負担で全部賄うんですか。
  53. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) その二つが実現をできるような政策を打っていくことが政府に課せられた課題であると私は思っております。  この中で大きな約束は二つあると思います。一つは実質賃金が一・一%、これが一つ。そしてもう一つは合計特殊出生率でありまして、これは二〇五〇年に一・三九という数字を挙げている。皆さん方の中で無理ではないかという御指摘は、どちらかといいますと、この一・三九が無理ではないかという御意見が多いと私は思っております。  この実質賃金上昇率一・一といいますのは、これは総賃金の伸びで見ますと〇・七でございます。人口が減っていきますので、〇・七でございます。私は、これは内閣全体、立てていただいている数字でもございますし、そしてそんな無理な数字ではなく、このぐらいはやっていかなければいけない数字ではないかというふうに思っております。  もう一つの方の一・三九というのが実際それができるのかどうかということでございましょう。現在、どれだけ子供が欲しいかということを聞きましたときに、大体二・五でのところが、その答えは返ってくると。そして、結婚して子供を、近々の一番近いところで、一番近いところで子供を産み終わった皆さん方の数字というのは二・三ぐらいでございます、これは結婚なすった方。  ですから、私は、国民の皆さん方も環境がもう少し整えばそれはやはり産みたいというお気持ちをお持ちいただいているというふうに私は思っております。そこをどうこれは乗り越えていくか、働き方の問題を中心にしてそこをどう乗り越えていくかということが一番大きな問題だというふうに思っているところでございます。  結婚された方が平均して二人お産みになるということを仮定いたしますと、合計特殊出生率では一・五ぐらいになります。だけれども、結婚しない方もおみえでございますし、結婚なすってもお子さんのない方もおみえでございますからそこまで下がるわけでございますが。一・三九というのが、これは二〇五〇年ぐらいにそれが達成されなければ、大変なこれは私は日本としては事態になっていく。特に二〇五〇年から二一〇〇年の間は、今のままの計算でいきますと四千万人ぐらい人口減るわけです、この五十年にがたがたと。  その事態を考えましたときに、やはりそうした少子化対策としてより積極的な案をどうするか、何が一番大事かということをこれから真剣に考えて取り組んでいかなければいけない問題だというふうに思っている次第でございます。
  54. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今のお答えは、要は政府の責任でやりますというお答えのようですが、そもそも子供を産み育てる話を政府が約束するなんというのはできっこない話でして、そういう要素を含めたところでお約束をするというのはどだい無理な約束じゃないかと私は思うんですね。  それで、もう一遍聞きます。約束どおり果たせなかった場合、その責任の所在と責任の取り方は、例えば不足した分は国庫負担で賄うということも含めて考えているんですか。
  55. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは短期的な問題と長期的な問題あるというふうに思います。一年一年のこの経過を見ていて多少の上下というのはそれはあり得ることもあるだろうと。しかし、中長期的に見てそれが達成できないというような事態になってまいりましたときには、それは様々なことを考えなければいけないんだろうというふうに思います。一時的なことであれば、これは積立金の利用というようなこともございましょうし、そして、現在やっておりますこの年々の〇・三五四%ずつ上げるというようなこの上げ方につきましての考え方にどうするかといったことも考えなければならないでしょうし、あるいは高齢者の既定の、既に出しております高齢者の皆さん方に対しましてこの物価の上昇に対する抑制を掛けておりますが、そうしたことをどうするかといった問題もあろうかと思います。  まあ二〇二四、五年までのところは、もう既に、その次の世代のお子さんももう既に生まれておりますから、人口的な意味での問題はもう計算済みでございますので、その辺のところまではいわゆる子供の数が減って云々の話はない。その辺まで一番問題になりますのは、この経済の動向ということになるんだろうというふうに思っております。
  56. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 どうもなかなかはっきりとお答えいただけないんですが、今のお答えと関連するので、次の質問に移ります。  今回、政府案では、いわゆるマクロ経済スライド方式を採用して、ある意味では自動的にずっと行くようにビルトインされているという御説明なんですが、そうしますと、これまでは五年に一度の財政再計算をして、良くも悪くも、どっちかいうと悪い方が多かったものだからそのたびに信用を失ってきたという経緯はあるんですが、五年に少なくとも一度ちゃんと計算をして、必要な手を打っていく、早めに軌道修正していくということは可能だったと思うんです、良くも悪くも。ところが、自動的なマクロ経済スライドで行くということになると、どうなんですかね、どうお考えですか。ずっとこう行っちゃう、任せていっても具合が悪い場合も出てくると思うんですね。ちょっと違うよ、これはという場合に、だれがどうチェックして、どういう手順で判断をするのかということについてはどうですか。
  57. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは、今回のこの改正案におきましても、少なくとも五年ごとに財政の現状それから見通しをやはり計算をし、作成をいたしまして、公表をさせていただくと。国会におきましてもそれらを基に御審議をいただくことに私はなるだろうというふうに思いますが、そうした五年ごとの見直しはこれからも明確にして、そして公表をして、皆さん方に御理解をいただくようにしていくということにしたいというふうに思っています。
  58. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと正確に言ってくださいよ。今の制度は五年ごとの見直しが法律で規定されているわけです。で、今度は、そうではなくて、私の聞いた説明は、今後も五年ごとにその一応財政の計算はしましょうということまでは書いてあるけれども、そこで必ず国会で制度改正議論をしなきゃいけないというふうには決まってないんですよ。そこで、だれがどう判断するのかということを聞いているんです。
  59. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) そこはもう御指摘のとおりでございまして、計算をして明確にすることはいたしますけれども、一々その都度、新しい法律を出すということではないということでございます。そうした中で、その状況を見ながら、これからの政策として何が必要なのかということを考えていくと、政府側のそれは大きな資料になるというふうに思っています。
  60. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 終わります。
  61. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で朝日俊弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  62. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、山下栄一君の質疑を行います。山下栄一君。
  63. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  私、まず最初に、国家公務員の天下りの問題についてお聞きしたいと思います。  行政改革、特に小泉内閣、特に小泉総理自ら大変な熱意を持って、情熱を持って取り組んでおられること、私も非常に共感しておるわけでございますけれども、その中で特にこの公務員制度改革ですけれども、これはなかなか進みにくいという分野であると感じております。  それで、この天下り問題につきましても、今国会いろいろと議論されましたし、また総理の非常に一歩踏み込んだ発言も非常に注目され、本当にできるのかというふうなことも言われておるわけでございますけれども、この天下り問題につきましては、再就職、非常に今一般の方々が難しい状況の中で国家公務員、特に高級官僚は別扱いされておるという一貫した御批判が国民からあるわけでございます。  したがいまして、この国家公務員の天下り、いわゆる天下り、これは営利企業だけじゃなくて特殊法人、独立行政法人、公益法人も含めたこの天下りについての、再就職についてのルールですね、あいまいではない明確なルールをこれ作る必要があるというふうに感じております。  それで、そのルールをどこで作るかということなんですけれども、私は政令というか内閣で作るべきではないと。国民の皆さんのこの公正であるということを保証するためにも立法府、法律で作るべきであると。承認基準は今人事院規則、営利企業の場合は人事院規則になっておりますけれども、これを法律で明確に作るべきだと。この点の御見解をお伺いしたいと思います。
  64. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 今の御指摘、御意見としてあるのは私たちも存じ上げております。  ただ、営利企業とそれ以外の特殊法人あるいは独法、公益法人等々につきまして、これまた営利企業と同一の類型で議論するだけでも済まない。今は委員の御指摘はすべてを法律でという御指摘でございますが、営利企業の部分については基本的な部分、できるだけ詳細に国民の疑惑を招かないような形で法律をするということを明確にしておりますけれども、それ以外の部分についてはどういう規制にしていくのか、どういうルールにしていくのか、今それを含めて検討を公務員制度改革の中で全体としてやってまいる。  ただ、いずれにしても、営利企業だけでなくてそれ以外の公益法人等々につきましても内閣関与を適切に強化していきたい、この方針でこれから進めてまいりたいと思っております。
  65. 山下栄一

    山下栄一君 金子大臣とちょっと考え方が違うわけですけれども、承認基準は別に営利企業その他と同じ基準である必要はないわけで、それぞれルールが、明確なルールが必要だと、そのルールを内閣じゃなくて立法府で、要するに法律という形で定めるべきであると、このように私は申し上げておるんですけれども、総理はどのようにお考えでしょうか。
  66. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 天下りの問題については国民から厳しい批判を受けているということをやっぱり真摯に受け止めなきゃならない。公務員の再就職問題についても、どうあるべきかという点については、公務員制度改革の中でも今後考える必要があるということで、今各党、与党でも検討しております。片山委員長はその分野におきましては前から極めて熱心で造詣が深い方でありますが、この点につきましては、今後各党協議を踏まえまして、また公務員としての使命感として、意欲を持って公務員の皆さんが働いてもらう、そういう在り方も同時に考えていかなきゃならない問題でありますので、十分各党間の協議をする中で今の御意見等も参考にさせていただきたいと思っております。
  67. 山下栄一

    山下栄一君 今、特に営利企業への承認主体、承認は人事院でやっておられるわけです。それを大臣でというお話もありましたけれども、それを内閣でという今見解だとお聞きしておるわけでございますけれども。営利企業のみならず、先ほども申し上げましたけれども、特殊法人、独立行政法人、公益法人、一括して同じ主体で承認をする必要があると。それは内閣でやるべきだと。それも、だれかがやって、例えば各大臣がやった後の事後チェックじゃなくて、自ら直接内閣が一括して天下り先の再就職の承認を行うべきだと、このように考えるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
  68. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 今、総理から御答弁が、答弁がありましたように、各党協議いただいて明確なルールを作っていくと、これがまず先であります。どういうルールを作っていくのか、その結果を見て、またそれを承認する在り方というのにつきましては、その制度設計、ルールを作った上での制度設計の中で対応をさせていただきたいと思っております。
  69. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと金子大臣答弁は大分後退しているように私は思うんですけれども。各党一致して協議してということで、法律で作るという、立法で作るということになっていくと思うんですけれども、私が申し上げたのは、営利企業への承認は今人事院でやっておられる。その、ただ、ほかの特殊法人、独立行政法人、公益法人、ここら辺の天下りが非常にあいまいであるという厳しい御批判があるわけで、それをやはり一括して同一主体で、それは内閣でやるべきではないかということを、そのように方向でも考えておられるというふうにお聞きし、そういう答弁も今国会であったようには感じているんですけれども、この点は総理はどうでしょうか。
  70. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 今、委員の御指摘内閣で、営利企業のみならずそれ以外についてもすべて内閣で一括管理する、それをどういう体制を作るのかという御質問だというふうに理解したんでありますけれども、先ほど答弁いたしましたように、営利企業のみならず、それ以外の特殊法人、独法あるいは公益法人について内閣関与を強化していくと、そのためのルールを今検討をしている、先ほど答弁をいたしました。  このルールを明確にした上で、この一括承認する体制についてルールを明確にした上で検討させていただきたいと、それが今の私たちの考え方であります。
  71. 山下栄一

    山下栄一君 ということは、金子大臣ね、内閣が承認をしないということであるならば、そういうことじゃないということであるならば各府省大臣がやるということになってしまうわけで、それについての批判があるという背景が私はあると思うんですよ。だから、一括して、営利企業その他の独立行政法人等も同じ主体で、それは大臣じゃ駄目でしょうと、内閣が直接やはり承認すべきではないかということが今大きなテーマになっているんではないかと思うんですけれども、総理はどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  72. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その点も含めて今協議の対象になっておりますので、十分この協議の方向を見守りながら検討していかなきゃならないと思っております。
  73. 山下栄一

    山下栄一君 冒頭申し上げましたこの行政改革の中身はいろいろ、地方分権も含めて、規制改革もその一つだと思いますし、特殊法人改革も、また公益法人改革も柱だと思うんですけれども、公務員改革というのはなかなかこれ進みにくいと。これが大きな行革の、また行政への不信の大きな背景になっているというふうに私は思うわけです。  そういう意味で、この天下り問題をどういうふうに取り組んでいくのかということは行革への熱意を測る大きな判断基準になっていくと。今までの営利企業に対する承認は人事院でやっていた、それを大臣に持ってこいという意見もあったわけですけれども、それはおかしいでしょうということになりつつあるというふうに私は思うんですね。これは、大臣ではなくて内閣がやはり承認するということについては、それははっきりしているんですよね。それはどうなんでしょうか。総理にお聞きしたいと思います。
  74. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 御意見の趣旨も、内閣承認の方がいいのではないかということだと思いますので、その点、十分今後検討していきたいと思っております。
  75. 山下栄一

    山下栄一君 営利企業のみならず、ほかの、何かしつこく言いますけれども、一括して同じ主体でやるべきだというのが私は国民の健全なお声ではないかと、それを内閣が直接やるべきだということを私は申し上げております。  その上で、内閣が承認するというふうなことを考えた場合に、内閣といってもこれ各省の合議体、大臣の合議体でもあるわけでございますので、この天下りに関する調査それから審査、また、こういうことを各省が出向した内閣の方々でやっておったんでは、また元も子もなくなってしまうというふうに感じるわけです。  したがって、この調査審査、これは今は営利企業については人事院、第三者機関がやっておりますけれども内閣が一括管理、また承認するという仕組みにする場合、この調査審査、場合によっては勧告ができる、そういう第三者的なそういう機関、これは私はしっかり作っておかないと国民は信頼しないというふうに考えるわけですけれども、こういう第三者機関の必要性について人事院総裁のお考えをお聞きしたいと思います。
  76. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 先ほどから伺っておりましたら、大体この天下りの審査の在り方についての考え方は私たちの考え方とほぼ一致しているというふうに思います。  そこで、今の御質問お答えいたしますけれども審査をするというのは、公正な立場で審査をしなきゃならないということでございますから、公正性が担保される機関で審査をしていただく、しかも、その審査についてのノウハウを持っている機関が審査をするのがいいだろうというふうに思います。
  77. 山下栄一

    山下栄一君 検討していかなきゃならない、また、そういう話を先ほど総理おっしゃいました。今の人事院総裁お話についての小泉総理の感想というか、どうでしょうか。
  78. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 各方面の意見を参考にしながら今後検討すべきだと思っております。
  79. 山下栄一

    山下栄一君 再就職というよりも、いわゆる天下り問題についての断固たる毅然とした姿勢を貫くことができるかどうかが私は行革の大きな、行革に対して本気であるかどうか、それが内閣が問われておるというふうに考えておりますので、是非小泉総理の毅然としたリーダーシップをお願い申し上げたいと思います。  次に、若年雇用問題。  ちょっと時間がなくなってまいりましたけれども、私は、フリーターの大変な増加、また学生、生徒が将来の進路に対して非常に不安を持つだけじゃなくて、働くことそのこと、職業観、また勤労観が非常にぼやけてきておるということ、私は深刻な問題であるというふうに思うわけでございますけれども。こういうことについて、私は、義務教育終了段階である程度の職業観、勤労観を持って義務教育を終える、国民共通教育である義務教育段階終了時には、国民、将来、国民といいますか、の一員である生徒、児童生徒が自立したそういう職業観、勤労観を持って義務教育を終えることが非常に大事ではないかということを考えております。このことについての文部大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  80. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 委員山下委員指摘の点、フリーター現象、二百万とも言われておりますが、こういう現象の中で非常に大事な御指摘だというふうに受け止めております。  特に、学校教育、義務教育段階において働くことの意義とか目的、あるいは職業、職業生活、そういうものについてやっぱりちゃんと指導していく必要がある、こう考えておりまして、いわゆるキャリア教育、勤労観それから職業観を身に付けさせる教育をやる、それによって将来の進路が啓発的に受け止めるような形に持っていく。そのためにやっぱり体験の機会を持たせよう、これが必要であろうと、こう考えております。  平成十四年から総合学習の時間というのが設けられまして、この時間を活用してそうしたことを取り入れる学校が非常に増えてまいりました。全国の公立中学校の中でも約八七%の学校が何らかの形でこういう教育を、実践教育を取り入れるようにいたしております。しかし、これも時間的にすればそんなに大したことはありませんが、もっと本格的にやるべきではないかと。  例えば、最近よく言われるようになりました兵庫県の例がございます、トライやる・ウイークというやつです。これは中学二年生になりまして、五日間ほど腰を据えてこうした体験学習をやる。特に中小企業、商店街に出ていって、自らレジを打ったりなんかしながら店のお手伝いをするとか、いろんな企業に入っていく、そういうことをやっております。  これはもう、例えば不登校の子供たちまでこれに参加するというような効果も現れているようでございますので、そういうものをもっと全国的に広める必要があるということもございまして、実はこの十六年度から全国四十七都道府県、地域を選んで、そしていわゆるキャリア教育推進地域指定事業といいますか、そういうものをモデル地域を作ってやっていこうと、こういうふうにいたしておりまして、今後ともこうしたいわゆるキャリア教育といいますか、働くことの意義、そして汗を流して働くことがどういう意義を持つかということをしっかり学ばせる必要があると思います。思いますし、また、父親、母親が働いている現場にも子供たちが出掛けていってそういうものを見る、そういうことも必要になってきておりますので、そうした組織的な系統的なキャリア教育をしっかり進めてまいりたいと、このように考えております。
  81. 山下栄一

    山下栄一君 文科大臣、今おっしゃったこと非常に大事なことやと思います。私は、中学校における就労体験学習、工場見学とか職場見学じゃなく実際働いてみるという、そういう体験、就労体験学習が極めて重要である、それは中学校の段階が大事だということを感じております。今のお話、是非、これ指示する、指令するわけにいきませんので、そういう考え方を自治体と、もっと教育委員会とも連携を取ってやっていただきたい。  もう一点、キャリアアドバイザーを中学に派遣という話がありますけれども、私は、経験豊かな社会人を進路指導、特に中学校の進路指導の担当として学校に配置すべきだというふうに考えております。スクールカウンセラーのキャリア版といいますか、そういう形で学校にいらっしゃるということ、教員免許を持たなくてもいいから、そういう社会経験豊かな方々を学校に配置するということの重要性を是非文科省、認識していただいて、取り組んでいただきたいと思います。御見解をお伺いしたいと思います。
  82. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 学校にキャリアアドバイザーといいますか、そういう進路指導に当たってそういう本当の専門家を入れていくということ、これも今日の状況から見て非常に必要になってきていると思います。そういう意味で、教員自身もそういう研修をしてもらわなきゃなりませんが、同時に産業界の動向とか企業の動き、そういうものが分かっておるといいますか、実際に分かっている地域の方々ですね、企業の人事課の経験があるとか、そういう方々にも入っていただくことが非常に効果的ではないかと、こう思っておりまして、これはキャリアアドバイザーとして学校に招いて、そういう方々に必要なその学習、就職相談に乗っていただくということ、これをこれからもっと進めていかなきゃ、現実にもうそういうこともやっている学校もございますが、これも先ほど御答弁で御答弁申し上げましたが、キャリア教育推進地域指定事業の中でも考えていくということでございます。  まあアメリカ辺りでは、いわゆるスクールカウンセラーの中に更にキャリアカウンセラーというんですか、こういう専門的な勉強をした方々が実際に学校現場におるということも聞いておりまして、まだこういう点では私は日本は後れておると、こう思っております。  そういう意味で、当面まずは若者たちを職業的な自立に導いていくような、厚生労働省側もキャリアコンサルティングを行う人材の養成を進めると、こう言っておられますので、そこともタイアップしながら、学校に専門人材を置くということ、その方向で、特に地域の人材を活用する、そういう方向で更に努力をしていきたい、このように思っております。
  83. 山下栄一

    山下栄一君 御答弁ありがとうございました。  終わります。
  84. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で山下栄一君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  85. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。井上哲士君。
  86. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。  まず、総理にお聞きをいたします。  一昨日の二十四日、三菱自動車の大型車タイヤの脱落事故で、同社の大型車部門が分社してできた三菱ふそうが設計ミスを認めて国土交通省にリコールを届けました。  この事故は、二〇〇二年の一月に横浜市内で起きたものであります。走行中の三菱自動車製の大型トレーラーからホイールごと外れた百四十キロのタイヤが、四歳の長男の手を引いて一歳の子供をベビーカーに乗せていたお母さんの背中を直撃し、亡くなられたという本当に痛ましい事件であります。  当時、三菱自動車は、これはリコールに当たる構造上の欠陥でない、整備不良が原因だとしてきました。政府もこの言い分を認めておりました。ところが、一転、今回、会社が設計上の欠陥を認めてリコールを届け出たと。この問題での政府としての責任というのはどのように認識をされていますか。総理、総理、総理。
  87. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの委員が御指摘になりました横浜の事故を始め、痛ましい事故が再三再四発生したことに関しましては大変心を痛めているところでもございますが、このいわゆる車輪と軸との間のハブというものに起因すると言われる事故につきまして、三菱に対しましては再三にわたりまして報告聴取や立入検査などを行って、原因究明と再発防止に努めてきたところでございます。  しかし、その過程の中で、かなりの年限がたっている中で、これまで会社側の説明は、ハブの破損はいわゆる不適切な整備や使用によるものであり、リコールには該当しないと、こういう説明をずっとしてきたわけですが、今回の社長が自ら行った会見等々はこれまでの説明と異なるものでございます。リコールに判断するまでの期間が長期間を要しておりまして、安全上極めてこの問題につきましては国土交通省として遺憾と言わざるを得ないと考えております。  現在、鋭意、なぜこういうように説明に変化があったのか、あるいは詳細に行われているこの報告が適切に行われていたのか、こういうことにつきまして、今厳しく調査をしているところでございます。
  88. 井上哲士

    井上哲士君 三菱自動車に一番の責任があるのは当然です。しかし、今のお話は、会社の説明が変わったということで、政府の責任について明確でありませんでした。  同社は、九二年に東京でも保冷車が同様の事故を起こしております。九二年以降、三菱自動車以外でハブの破損による大型車のタイヤ脱落の事件というのはどうなっているでしょうか。
  89. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 国土交通省におきまして自動車メーカー四社の大型車の前輪ハブ破損事故の発生状況を調べましたところ、確認できたところでは、九九年一月以降でございますが、三菱製自動車以外の発生はしておりません。
  90. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ、三菱自動車からはどのように報告されていますか。この横浜の事件の前後で分けて答えてください。
  91. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 三菱自動車製の前輪ハブの破損事故につきましては、九二年の最初の事故から二〇〇二年の横浜での事故が起きるこの前まででございますが、三十八件発生していると報告を受けております。  それから、二〇〇二年一月の横浜で発生した事故を含めまして、昨年五月十五日までに十九件発生しております。
  92. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、ほかの会社ではゼロ、三菱だけは五十七件と、異常な数が出ているんです。ところが、三菱自動車側は、これすべて整備不良だと言ってきたんですね。要するにユーザーが悪いと、こういうことを言ってきたわけです。  しかし、三菱自動車のユーザーだけが整備をちゃんとしていないと、こんな話はだれが聞いてもおかしいと思うわけです。当然、監督官庁である国土交通省としては、こんな言い分は認めずに、構造上、設計上の問題があるんではないかと、こういう立場で、リコールの命令権とか勧告、立入監督権があるわけですから、これを行使すべきだったと思うんですね。  ところが、この事件の後の二〇〇二年の五月の衆議院委員会で我が党の瀬古議員の質問にこう答えております。適切な点検整備の問題があったとした上で、「設計または製作の過程に原因があるというふうに判断するのは困難でございまして、現時点ではリコールには該当しないというふうに判断しております。」、こういう答弁をしているんです。これは立入検査を、調査をした上での判断だったんですか。大臣、どうですか。大臣
  93. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 国土交通省におきましては、ハブの破損の重要性にかんがみまして、三菱自動車に対して再三原因究明と再発防止を指示しているわけでございますが、その整備上の問題だけでなくて、設計上の問題も含めてどういう原因があったということは報告求めてきているところでございます。その間に三菱自動車の方では整備不良が原因だという形で説明してきたということでございます。  それで、立入検査の件でございますけれども、そういうのを事故直後、いろいろな指示報告聴取、そういうことをやっておりましたけれども、立入調査は二〇〇二年の、その年の六月二十七、二十八日に、二十七、二十八日に行っております。
  94. 井上哲士

    井上哲士君 六月に立入調査ですから、この五月の答弁の時点では立入調査してないんです。なぜ立入調査もせずにリコールに値しないということを判断できるんですか。大臣、答えてください、大臣。おかしいじゃないですか。大臣
  95. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) それは、先ほども答弁申し上げましたけれども、整備上の問題でなくて、設計上の問題も含めてどういう原因があったのだということ、それから再発の防止に努めろということで、そのことを厳しく指示していたわけでございますが、その間、三菱の方では、整備不良等によるハブの異常摩耗が原因で、適正な整備と使用が行っていればハブの破損は生じないという説明がされてきたわけでございます。  国土交通省としては、再発防止ということが非常に重要でございますので、そういう中で、三菱自動車によります自主点検を、点検、改修を促進するということ、あるいはユーザーによる的確な点検整備の促進に努めていたところでございます。
  96. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、そういうメーカーの言い分をうのみにして設計の原因があるふうに判断できないということを言ったわけでしょう。なぜこんなことが言えるかと聞いている。これ、大臣、答えてください。
  97. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 政府参考人から御答弁させていただきましたように、三菱側は、適正な整備と使用を行えばハブは破損しないということを資料をもってこちらに提出してきたわけですね。その資料をもって作ったものがそうであるということで、そうじゃないんじゃないかということでこちらは再三再四、設計上の問題も含めてあるんじゃないのかということを再三再四言いましたけれども、彼らは、そうではなくて、使用上ちゃんとやっていればハブは壊れないんだという資料をもって提供して私どもに説明してきたということでございます。
  98. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、そういう資料をうのみにするんじゃなくて、なぜ立入調査をしなかったのかと、そのことを聞いているんですよ。もう一回答弁してください。
  99. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ですから、何度も申しましていますように、あんたが信じたのがいけないんだと言われればそれまででございますけれども、示されているものを中心に調査をして、ただし、事態の重大性にかんがみて設計上の問題も含めてちゃんともう少し説明しろということを再三再四求めてきたわけでございます。
  100. 井上哲士

    井上哲士君 結果は、メーカーの言い分をうのみにしているんですよ。  二〇〇二年の二月には国土交通省自動車交通局長の名前で通達出されていますけれども、最近のこうした脱落事故の防止はホイールナットの締め付けやトルクの不良等の保守管理上の問題に起因してみると。ですから、ちゃんと保守管理しなさい、こういう通達出しているんですよ。全くメーカーの言い分をうのみにしているだけじゃないですか。その責任、どう考えるんですか。
  101. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) それは、一月の事故以来、先ほども申しましたけれども原因究明と再発防止の指示する中で、整備上の問題でなく、設計上の問題も含めてどういうことなんだということをいろいろ、事実解明に努めて、努めろということだったわけでございますが、そういう中で三菱自の説明としましては、やはり整備不良が原因だということで、資料も提出されて、それ説明していたということでございます。  そういう中で、やはり安全の、再発防止を優先しまして、優先しますというか、再発防止の観点から対策を講ずることも必要だということで、自主的な点検、回収を三菱においても進めるということでございますので、そういうところを、その回収を促進すると同時に、ユーザーによる点検、的確な点検整備の促進も図るべきだということでやっているわけでございます。
  102. 井上哲士

    井上哲士君 要するに、メーカーの言い分をうのみにして結局整備の問題だということでやってきたんですよ。  総理、聞きますけれども、今ありましたように、当時、立入調査もせずにリコール該当しないという判断を示しているんです。大体、先ほどもありましたように、九二年の東京の事件以来、横浜の事件までに三十八件も起きているんですね。このときにきちんと立入りも含めて調査も含めて対応をしていれば、この横浜の事件も起きていないし、横浜の事件以降ももう三十二件起きているんです。人の命奪われているんですから、今の国土交通省の対応を聞いて、総理、どうですか。これで適切だったと言えますか。
  103. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 事故発生からリコールまで、かなり長期間たったということは遺憾なことだと思います。今までの対応の点についても今後よく点検して、反省すべき点は反省し、事故防止、安全対策に一層力を入れるべきだと思います。
  104. 井上哲士

    井上哲士君 反省すべき点は反省する、事実上不適切があったことをお認めになられました。  重大なのは、自民党が同社から毎年多額の政治献金を受け取っていることであります。三菱自動車の事件というのは今回だけじゃないんですね。二〇〇〇年にも道路運送車両法違反によって四百万円の過料処分を受けております。これ、三十年間にわたってクレームやリコールを隠ぺいしてきたと、こういうことで処分を受けました。今回も、問題を組織ぐるみ隠ぺいをしてきた。事実上の企業犯罪ですよ。ところが、このリコール隠しで処分を受けた二〇〇〇年には自民党は千五百万円、翌年は千四百万円、横浜の事件が起きた年にはやはり千五百万円献金を受けているんです。合計四千四百万円の巨額な献金であります。  総理は、衆議院締めくくり質疑の中で、企業献金について堂々と使わせてもらうと、こういう答弁ありましたけれども、こういう企業犯罪を犯しているような企業からの政治献金も平気で受け取って堂々と使うと、こういうことが言えるんですか。お答えください。
  105. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、政治献金については、政治献金、これは適正に法にのっとって処理すべきだと思っております。政党活動として、多くの企業、団体から政治献金を受けて使うというのは決して私は、政党活動として許される、許されないわけではないし、また政党の活動を活発にする上においても認められていることでありますので、法に違反しているならともかく、適切に処理されているならそれで私はいいと思っております。
  106. 井上哲士

    井上哲士君 今の答弁を被害者の方が聞いたらどう思うかと私は思います。  今、法的問題がなければと言われました。自民党がもらっている献金には、道義的、政治的問題にとどまらない問題があるんです。  総務省にお聞きしますけれども、政治資金についてはどういう量的、質的規制がありますか。
  107. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 政治資金規正法におきましては、政治活動の公正を確保するという観点から寄附の量的制限及び質的制限の規定が設けられているところでございます。  政治資金法の寄附の量的制限に関する規定につきましては寄附、寄附をする側は個人と企業、団体等に、寄附を受ける側は政党、政治資金団体とそれ以外の政治団体とに分けてそれぞれ規制がされているところでございます。また、寄附の質的制限でございますけれども、国又は地方公共団体から補助金等を受けている会社等が政治活動に関する寄附をすること、三事業年度以上にわたり継続して資本の欠損が生じている会社が政治活動に関する寄附をすること、外国人、外国法人、主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄附を受けること、本人の名義以外の名義又は匿名で政治活動に関する寄附をすることなどについて制限が設けられているところでございます。
  108. 井上哲士

    井上哲士君 総理、今の答弁については当然承知していると思いますけれども、いかがでしょうか。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今のとおりだと思います。
  110. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ、自民党としてはこうした政治資金規正法違反を防止をするためにどういう対策を講じているんでしょうか。
  111. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 党としては担当者がきちんと適切な献金を受けるべき、常に心していると思っております。
  112. 井上哲士

    井上哲士君 先ほどの質的規制の中で、規正法の二十二条、三項についてありましたけれども、もう少し詳しく御答弁願います。
  113. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 政治資金規正法第二十二条の三第一項におきましては、国から補助金等の交付を受けた会社その他の法人は、当該補助金等が試験研究、調査又は災害復旧に係るもの、その他性質上利益を伴わないものなどである場合を除きまして、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところでございます。  また、同じ条の第二項におきましては、国から資本金等の出資等を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところでございます。  また、同じ条の第六項におきましては、何人も、第一項又は第二項の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならないというふうにされているところでございます。
  114. 井上哲士

    井上哲士君 この条文を受けた趣旨はどういうことでしょうか。
  115. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) ただいまの規定の趣旨でございますが、国から補助金等や出資等を受けている会社その他の法人との政治資金の授受が、補助金等の決定をめぐり不明朗な関係を生じさせる危険性があることなどにかんがみまして、このような会社その他の法人が行う政治活動に関する寄附について規制しようとするものであるというふうに認識しているところでございます。
  116. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ、国土交通省にお聞きしますが、交通施設バリアフリー化設備整備費補助について二〇〇二年度の交付実績をお聞きします。東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、名鉄、近鉄、京阪、阪急、西鉄、山陽、各私鉄事業者について明らかにしてください。
  117. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) ただいま先生からお話のありました各事業者に対する交付金の実績でございますが、東武に対しまして五千七百万円、西武に対しまして九千万円、京成一億七千万円、京王七千百万円、小田急三億三千八百万円、東急一億一千万円、京急一億二千六百万円、名鉄一億九百万円、近鉄二億六千七百万円、京阪三千万円、阪急一億九千五百万円、西鉄五千七百万円、山陽三千三百万円となっております。
  118. 井上哲士

    井上哲士君 それぞれ交付年月日がどうなっていますか。
  119. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 今申し上げましたいずれの事業者につきましても、交付決定日は平成十四年四月十九日になっております。
  120. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ次に、公共交通移動円滑化設備整備費補助について、同じく二〇〇二年度、京急、相模鉄道、阪神、山陽鉄道、岡山電気軌道について決定年月日と実績を明らかにしてください。
  121. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 御質問にありました補助金でございますが、ノンステップバスの導入に対する補助でございます。これはいずれも平成十四年でございますけれども、京浜急行電鉄に対しまして五月十四日、九月三十日、十月三十一日、合わせて千五百七十万円、相模鉄道に対しまして五月十四日と九月三十日、合わせて三百七十万円、阪神電気鉄道に対しまして九月三十日、百八万円、山陽電気鉄道に対しまして六月十日、八百五十四万円、岡山電気軌道に対しまして九月三十日、三百四十三万円でございます。
  122. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ、さらに、低公害車普及促進対策費補助事業の中でバス車両とTPFについて二〇〇二年度の交付実績、京浜急行について、同じく年月日と実績をお願いします。
  123. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 京浜急行電鉄に対します低公害車の普及促進のための補助金、まずバス車両につきましては、平成十四年十月三十一日に交付決定を行い、五百九十万円交付しております。それから、DPFとか酸化触媒のいわゆるディーゼル微粒子の除去装置でございますが、これについては、平成十四年十月九日から平成十五年二月二十一日までの間に六回交付決定を行い、合計で三千六百四十八万円を交付しております。
  124. 井上哲士

    井上哲士君 ちょっと資料を配付、お願いをいたします。    〔資料配付〕
  125. 井上哲士

    井上哲士君 今、国土省が、国土交通省が答弁した内容をまとめたものをお配りをしております。  補助金の総額は十七億四千八百十一万八百五十七円、各事業者ので、太字部分を二ページ以降見ていただきたいんですが、この補助金の交付事業者が自民党の政治資金団体である国民政治協会に対して寄附をした年月日と寄附額、一年以内の寄附額が実に七千六百六十九万二千円になっています。  総理、先ほどからの答弁を聞いておられたと思いますが、明らかにこれは政治資金規正法違反じゃありませんか。いかがですか。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私は捜査当局ではありませんし、法律関係者じゃありませんし、その点は、違反であるかどうか、今私がここで判断することはできません。
  127. 井上哲士

    井上哲士君 今何の答弁聞いていたんですか。補助金を決定以降一年以内にこういう寄附をしてはいけない。これ、全部公になっている資料から作ったものなんです。  先ほど適切な処理をされておると言われましたけれども、明確に一年以内の、補助金を決定以内から一年以内にもらっているじゃありませんか。明確な違反じゃないですか。
  128. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは私が判断する材料はございません。
  129. 井上哲士

    井上哲士君 だから今材料を示しているんですよ。自民党などが公表しているそれから出しているんですよ。この材料を見て判断できないんですか。これは当然、判断できるでしょう。いかがですか。
  130. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは法解釈、私がここでしろと言ったって、それは無理ですよ。適切に党の関係者が、法に照らして、政治献金を扱っているわけですから。
  131. 井上哲士

    井上哲士君 適切でないからこういうことになっているわけですよ。現実に出ている、なものなんですね。いいですか、一年以内に出されているものなんですよ。  どうですか。この表を見たら分かるんじゃないですか。もう一回、どうですか。
  132. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、政治資金を担当している方が法に照らして適切にやっているということであります。
  133. 井上哲士

    井上哲士君 結局、総理は、公共事業の受注企業からの献金の規制なども言いましたけれども、結局これについても全く手を付けませんでした。今度は補助金交付事業からの寄附というのは明確に違反だという明確な資料を示したのに、何ら責任ある態度を取ろうとしていない。これは、金権政治なくそうという国民の声から全く逆行しております。これでは、こうした政治的にも法的にも問題がある献金を受け取っている状況では国民の政治不信は解消しないと、このことを指摘しまして、質問を終わります。
  134. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  135. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  136. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  前大統領特別顧問のリチャード・クラーク氏が、九・一一テロの後に、ブッシュ大統領からテロとフセイン大統領との関連を出せと、見付け出せと指示を受けたということを先日発表をしました。また、当時財務長官だったオニール氏も、ブッシュ政権が発足時からフセイン政権の打倒を検討していたことを明らかにしています。また、ウッドワード氏も、ラムズフェルド国防長官がやはりイラク攻撃を提案をしていたと、九・一一テロ直後に、ということを明らかにしています。これはアメリカでも大きな問題になっていますが、大問題だと思います。  九・一一テロの後に、なぜイラク打倒が出てくるのか。イラクへの武力攻撃から一年たちました。そもそも間違った、イラクへの攻撃ありきというところに立った攻撃ではなかったのでしょうか。
  137. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃった、クラーク前米大統領特別顧問が二十一日にテレビでのインタビューに答えて御指摘のような発言を行ったということ、そういう報道については承知をいたしておりますけれども、そういったそのやり取りが実際にクラーク顧問と大統領との間で行われたかどうかということについて、アメリカ政府としてこれを確認しているということについては承知をいたしておりません。  おっしゃったほかの方々、オニール前財務長官あるいはウッドワード氏、アメリカは言論が自由な国でございますから、いずれにしてもいろいろな方の発言というのはおありになると思いますけれども、それが本当にあったかどうかということは分かりませんし、それから、政府としてそれを確認しているということはないわけです。  いずれにいたしましても、そのアメリカですが、これはイラクとの関係では、一貫して達成すべき目標はあくまでイラクの武装解除である、つまり累次の関連の安保理の決議がございますので、そういった義務を、決議の義務を履行しているかどうかということであるということを明確に述べているわけです。  ブッシュ大統領がイラク武力行使の決断をする過程で、これは二〇〇二年の九月の国連演説以降、国際協調を目指して様々な努力を払った上での決断であるというふうに承知をいたしております。  ということでございます。
  138. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 リチャード・クラーク氏は、アメリカでテロ対策、サイバー犯罪に対しての第一人者で、長期間担当をしてきました。彼の発言は重いです。また、彼だけでなく他の重要な人物もイラクへの攻撃をまず意図していたという旨の発言、それとの関連を探し出せというふうに言っていたという発言があります。  私は、ポーランドは現在アメリカにだまされていたというふうに言っています。スペインも、サパテロ書記長率いる社会労働党が撤兵を公約し、選挙で勝ちました。日本がなぜあのようなイラクへの武力攻撃をいまだに支持しているのか、日本でなぜあのイラクへの武力攻撃に当たってうそや捏造があったかどうかの検証が行われないのでしょうか。
  139. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ポーランドの大統領についての御発言についてお触れになりましたけれども、この御発言の内容というのは、ポーランドは安定化任務が成功裏に終了してからイラクを撤退するということでございまして、大統領の発言がこれまでのポーランドの立場を変更するというものでないことは明らかであると思います。ポーランド首相もイラクから撤退をするつもりはないということを明らかにしているわけでございます。  スペインにつきましては、これは、おっしゃったように、その状況がもし現状のままであれば、友好国及びすべての政治勢力に連絡を取って撤退の決定に広範な支持を得たいということを述べているというふうに承知をいたしております。  それで、日本が支持をなぜしたか、そしてなぜ検証をしないかということでございますけれども、支持をした理由というのは今まで何回も申し上げていますけれども、実際にイラクが大量破壊兵器を使った、そして数々の、多くの国連の決議に対して重大な違反を犯しているということがあったわけでして、関連の安保理決議あるいはその国連査察団による報告でそういうことが明らかになってきた。これが国際社会の一致した決定として一四四一においてなされたということでございます。  それで、細かくは申しませんが、米英によるイラクに対する武力行使、これは国連の憲章の第七章の下で行われた、採択をされました六七八、六八七、一四四一とこれを含む関連の安保理決議に合致をしている国連憲章にのっとったものであるということでございまして、大量破壊兵器の脅威というのは国際社会全体の問題でございまして、我が国にとってもこれは無縁でないわけです。そして、武力行使なしに大量破壊兵器の脅威を除去できないという状況に至りまして、我が国としては国益に照らしてこの安保理決議に基づく行動を支持をしたということであります。  我が国として、国連の査察団が出した報告書、これをきちんと検討をいたしております。そのソースが、米英の報告、それを頼りに判断をしたわけではない、国連の査察団の報告書、これにおいて分析をし、これを検討したということを踏まえております。
  140. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 その国連の大量破壊兵器の調査団長だって批判しているじゃないですか。大量破壊兵器などなかったことは、アメリカのアカデミー賞でショーン・ペン、主演男優賞を受賞して言ったこととおりで、なぜ日本外務大臣だけがそんなことをいまだに言っているのでしょうか。
  141. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ブリックス氏も当時、国連の決議一四四一あるいはその武力行使に至る前のその後の時期の様々な議論の中で、イラクはこの協力を小出しにしかしていないということを言っているわけで、イラクが決議に従って無条件、無制限、即時の協力をしていないということについてはブリックスさんも言っているわけでございます。そういった状況でのイラクの要請の、協力の仕方ということで、本来査察団として行うべき査察が必ずしもできていないということを言っていらっしゃるということでございます。
  142. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私はリチャード・クラーク氏の発言が極めて重要だと思います。  日本はアメリカにだまされていたんですか、それともアメリカの言い分をそのまま信じているんですか、どちらですか。
  143. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) どちらでもございません。
  144. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや再度、こういう発言重要じゃないですか。だまされているんですか、それともだまされていると知っていて、アメリカの言うことをうそでも捏造でも丸のみしているんですか、どっちですか。
  145. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) だまされてもおりませんし、うのみにしているわけでもございません。
  146. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 それでは、何ですか。リチャード・クラーク氏やオニール氏、ウッドワード氏などの発言は何なんでしょうか。
  147. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは、私はその発言の当事者ではございませんし、また発言が行われたとされるその場にいたわけでもございません。我々としてもちろん確認できませんし、その前に米国政府としても確認をしていないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  148. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 日本政府はなぜ一方の発言を信じ、もう一方の発言を信じない、その場にいなかったからと言うのでしょうか。  私は今度のリチャード・クラーク氏の発言が重要だと思うのは、九・一一テロ前にテロの警告を言っていたが無視された、九・一一テロの直後にイラクとの関連性を出せとブッシュ大統領から言われていた、むしろイラクへの武力攻撃は意図的になされたんじゃないか、むしろブッシュ大統領はテロの危険を発生させていると言えるのではないか。  クラーク氏の本の中に次のような言葉があります。やる必要のない高い代償を伴うイラク戦争は、原理主義者や急進的なテロリストの運動を世界じゅうに広げ勢い付かせた。  テロが世界じゅうで拡大をしています。テロが、テロや憎悪、報復が拡大しないことを本当に願うわけですが、イラクへの武力攻撃はテロを拡大をしている誤った政治的判断だとあえて問いますが、いかがですか。
  149. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 米国には、あるいは世界にはいろいろな発言があると思いますし、またそれを信じる、あるいは信じたいと思われる方もいらっしゃると思います。  我々の判断、これは先ほど申しましたように国連の査察団が報告を作っているわけです。それを検討いたしました。そして、イラクがかつて実際に大量破壊兵器を使用しているということがあったわけでして、そしてそのほかに多くの大量破壊兵器についての疑い、疑念が国際社会によって持たれていた。査察への非協力を始めとして、イラクの関連安保理決議の重大な違反が犯されてきた、イラクが犯してきたということにつきましては、関連の安保理決議や国連の査察団の累次の報告で明らかになっている。これは国際社会の一致をした認識であったわけです。  そして、先ほど申し上げた国連の憲章第七章、平和と安全を回復するという明確な目的のためになされた、七章の下で採択をされた六七八、六八七、一四四一、これを含む関連の安保理の決議、これに合致をして国連憲章にのっとったものである、これらの決議がのっとったものであるということは繰り返し述べてきたということでございます。  大量破壊兵器の脅威というのは世界全体が今抱えている脅威でございます。イラクの前からテロというのは脅威だと認識をされ、そして、いつ、どこで、だれが突然にテロの犠牲になるか分からないということが現実に起こったわけです。  そういったその脅威というのは我が国を取り巻くアジアの情勢とも無縁ではないということでございまして、武力行使なしに大量破壊兵器の脅威を取り除くことができないという状況に至って、我が国は国益に照らしてこの武力行動、武力行使、失礼いたしました、武力行使を支持をしたということでございます。
  150. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ヤシン師の殺害の件も、憎悪や報復がそれ以降テロを拡大するだけであることを教えていると思います。  日本はアメリカの言うがままに、全、あらゆるリスクを背負わされていると。今からでも遅くない、イラクから撤兵すべきであるということを改めて総理に申し上げたいと思います。  次に、年金の問題について質問をします。  株による損失、グリーンピアによる損失、そして目的外使用など、たくさんの損失が出ています。なぜ保険料を払わないのか、最近保険料を払わない人のことが話題になっていますが、この保険料、積立金の無駄遣いが国民に対して信頼感を与えていないと。全くそれを払底することになっていない制度に問題があります。  ところで、年金福祉事業団から年金資金運用基金、そして今回、年金積立金管理運用独立行政法人法案が出ています。看板を付け替えて、うみを全く出さないまま、なぜこれで改革と言えるのでしょうか。
  151. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今までの運用でございますが、株式だけを見れば、時によりましてプラスになりましたりマイナスになりましたりいたしますけれども、積立金全体で見れば、昭和六十一年以降こちらに、だけを見ましても七十五兆円の収益になっております。年平均にしまして四兆円を超えているというふうに思います。  株式だけを見ました場合に六兆円のマイナスというふうによく言われますけれども、私は、平成十二年までの一・七兆円と、それからの後の四・三兆円とは理由が違うというふうに思っております。  平成十二年までの一・七兆円は、これは御承知のとおり、財投からお借りをして、そして五・一%の金利でお借りをいたしております。したがいまして、ここで収益は、九・三兆円の収益を上げておりますけれども、その金利に到達しなかったがために生じましたものでございます。十三年、十四年の二年間の四兆三千億は、確かに株式においてマイナスになりました。しかし、昨年から今年にかけまして、平成十五年度におきましては、この二月現在で四・五兆円という収益になっておりまして、それらは取り返しております。しかし、これらの、取り返すにしろ取り返さないにしろ、株式に、すべて株式で行うということは私も無理だというふうに思っております。ここは分散をして行うということが大事でありまして、全体として国民の皆さん方の年金の積立金をお守りをしていくということが大事ではないかというふうに思っております。  これから先は独法を作りまして、今までは、独法の、今までは積立金をどういうふうにして使うかということは厚生労働省の方で決めておりましたけれども、そうしたことにつきましてもすべて今回できました独法の中で計画を立てていただいて、そしてそこでお願いをする。独法の理事長になられる方も民間の方から選びまして専門家の間で決定をしていただく。そうしたことで新しくスタートをさせていただきたいと思っているところでございます。
  152. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 株の運用も問題ですが、グリーンピア、そして目的外使用が非常に問題なわけです。何兆円あるか分からない、これから増えるかもしれない、閉鎖だけは決めたけれども、あと責任を取らなければならない。今までだれも責任を取っていない、だれも責任を取っていないままなぜ独立行政法人へ行けるのでしょうか。うみを出さないまま看板付け替えるだけ、焼け太りになるのではないですか。
  153. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) グリーンピアその他の施設の問題につきましては、これはまた別の問題でございます。  先日もお話を申し上げましたとおり、国会におきまして衆議院で三回、そして参議院で三回、六回にわたりましてこの福祉還元をすべしという国会の附帯決議があるわけでございます。そうした附帯決議も踏まえて行ってきたところでありますから、責任問題を言いますならばそうした問題にも言及をしなければならないということになってまいります。  もちろん、運営をどうしていくかという運営の問題もあったというふうに思いますし、その運営はそれぞれの自治体にお任せをしてきたということもございますから、それらのことを検証を一回しなきゃならないというふうには思っておりますけれども、そうした過去の歴史があることもこれは御理解をいただかなければならないというふうに思っております。
  154. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福島瑞穂君、時間ですからね。
  155. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ひどいですよ、年金福祉事業団、そして年金資金運用基金で、厚生労働省がなぜそこの問題にかくも長い間、五十年間メスを入れてこれなかったかというところが問題じゃないですか。国会、自治体だけの問題ではないですよ。厚生労働省が今までメスを入れてこれなかった、放置をしてきた、にもかかわらず独立行政法人にして、むしろ厚生労働省から離れてだれも責任を取らない体制で百五十兆円が使われる、これに関して国民が不信を持つのはある意味むべなるかな、当然かもしれないというふうに思っています。  ここにきちっとメスを入れ、看板付け替え、焼け太りの独立行政法人にはおかしいということを述べ、私の質問を終わります。
  156. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  157. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  158. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後の質問者になりました。無所属の会の島袋宗康でございます。  去る三月九日に参議院予算委員会の審議に入って以来、私が連日のように沖縄の直面する諸問題を取り上げて、総理を始め各大臣、政府の皆さんに質問をしてまいりました。その中に、いかにたくさんの米軍基地絡みの問題があるかということを改めて痛感しております。  例えば、普天間飛行場の返還と移設の問題、キャンプ・ハンセン内の都市型訓練施設の問題、空自恩納分屯地におけるPCB処理の問題、米海軍の水中爆破訓練や新型ソナーの問題、米海兵隊による下地島、宮古、石垣の民間空港利用の問題、日米地位協定の改定問題等、実にたくさんの問題があります。そして、政府は、これらのどの問題を取ってみても米側に良い顔を向け、沖縄県民の立場に立たない対処の仕方をしております。自民党出身の河野衆議院議長でさえ、イラク問題等、日本の米国一辺倒姿勢を批判されているということではありませんか。  小泉総理と川口外務大臣に、改めて、沖縄の米軍基地絡みの諸問題を本当に沖縄県民の立場に立って真剣に解決していこうというふうに思っておられるのか、その辺について具体的に説明をしていただきたいと思います。
  159. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本の基地の七割以上を沖縄の皆さんに負担していただいている、この負担をいかに軽減していくかということは大変重要な問題であり、この基地の整理、統合、縮小につきましては小泉内閣の大きな課題でもあります。米軍当局との協議、さらには米政府との間におきましても、この沖縄に集中している基地の問題について理解をいただき、そして今後とも沖縄の負担をいかに軽減していくかということにつきましては小泉内閣としても大きな責任だと思っております。この問題については、常に島袋議員からも当委員会でも取り上げられておりますし、日本国民としても大変重い指摘だと受け止めております。
  160. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 外務大臣、いかがですか。
  161. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 在日米軍の施設・区域の七五%が沖縄にある、このことが沖縄の県民の方々に大きな御負担になっているということについては深く認識をいたしております。日米安保体制というのが我が国及び極東の平和と安全を守る上で必要であるという中で、特定の地元公共団体の方々に負担が掛かっているということは、現実、そうであると思います。  私は、就任以来、沖縄にも参り、お話を直接伺わせていただきましたし、それから米国との話合いの中において沖縄の問題も取り上げさせていただきました。  この御負担を考えるときに、私としてまずやらなければいけないということは、SACOの最終報告を着実に実施をしていくということと、地位協定の運用の改善、これについて少しでも前に進めるように努力を重ねていくということであると思っております。  引き続き最大限の努力を重ねたいと思っております。
  162. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 昨日の朝日新聞は、一面の見出しで、普天間基地、米、名護市移転見直し打診、日本側は消極的、下地島も浮上と伝えています。  この普天間飛行場の名護市辺野古への移設見直しを米側が日本に打診したとの報道は、先月十三日に毎日新聞も報じて以来、政府が異口同音にこれを否定しております。今、朝日の報道で、やはりこの問題は日米間でくすぶり続けている問題ではないかというふうに私は改めてこの問題を提起したいと思います。  日米地位協定問題を協議するため訪米中の長嶺安政外務省北米局参事官は、二十四日からローレス米国防次官補代理と交渉に入ったが、普天間移設問題についても意見交換をするだろうというふうな見通しを立てております。  米側は、ラムズフェルド国防長官の強い意向で、普天間の五年以内の早期移設の必要性という立場から、名護市辺野古への移設が時間が掛かり過ぎることや、十五年の使用期限に難色を示す立場から、嘉手納統合案や下地島空港移転案などを示していると思われますが、政府は、SACO合意に固執する立場から、これらの米側の打診には非常に消極的な姿勢になっているのではないかというふうに私は考えます。しかし、普天間の辺野古移設の問題は、やはり何といっても自然環境破壊の大きな問題があります。中止すべき計画であると私は思っております。  今、米国が、ブッシュ大統領の意を受けたラムズフェルド国防長官によって推し進めている米軍のトランスフォーメーションを好機ととらえて、普天間の即時返還を求めるべきであると私は考えております。その辺について、重ねて外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  163. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 幾つかのことをおっしゃられたわけですが、米軍の、在日米軍の軍事体制の見直し、これにつきまして、これに関するアメリカとの協議におきましては、在日の米軍が持っている抑止力、これが効果的に維持をされるということと、沖縄を含む米軍施設・区域が所在をする地元の公共団体の御負担、これを十分に念頭に置いて考えるべきだというふうに思っています。それで、この観点から協議を進めていく考えでおりまして、このような基本的な考え方については今までの日米協議の場でも伝えてきているところでございます。  それから、その普天間飛行場の移設・返還問題について、委員が御指摘になられたような報道、こういったことについて米国側から打診があったという事実はございません。  そして、その普天間飛行場についての我が国の考え方でございますけれども、これは平成十一年に閣議決定がございまして、普天間飛行場の移設に係る政府方針というのが決定をされたということを踏まえまして、その後、代替施設の協議会を設置をし、そして二年間の長きにわたっていろいろ御議論を重ねたということの結果、平成十四年の七月に普天間飛行場の代替施設基本計画を決定をしたということでございます。それから、十五年の一月には、代替施設建設協議会も設立をされております。  したがいまして、普天間飛行場の移設・返還、これにつきましては、政府としては、今後とも地元公共団体の方々と密接に連携、お話をさせていただきながら、普天間飛行場の移設・返還の問題について全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  164. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がありませんので前に進みますけれども、実は、一昨日の二十四日に、尖閣諸島の魚釣島に中国人七名が上陸して、沖縄県警がその七名を逮捕するという事件が発生しております。この事件の当初から、経緯と現在の状況及び今後の対処方針について、警察庁当局から御説明をいただきたい。また、この七名の取調べ後の身柄の処置については、送検か入管送りか、いずれの方針なのか、お伺いします。
  165. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 一昨日の早朝、尖閣島の魚釣島に中国人の活動家グループが上陸するという事案発生をいたしました。これを受けまして、沖縄県警察におきましては、同日、海上保安庁の協力を得まして、所要の人員を現地に派遣をさせていただき、上陸をしておりました中国人七名全員を出入国管理及び難民認定法違反の容疑で逮捕いたしまして、昨日、二十五日ですけれども、沖縄県下の警察署に身柄を移しまして所要の捜査を行っているものと承知をいたしております。  現在、沖縄県警察におきましては鋭意捜査を進めているところでございまして、今後の見通しにつきましては現時点で申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  166. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 委員長、ちょっと。
  167. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 島袋宗康君、簡潔に。
  168. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この問題、非常に重要な問題でありますので、川口外務大臣、近いうち中国に訪問される予定であるでしょうから、是非この問題も中国とちゃんと話し合って円満に解決できるように努力していただきたいと思いますが、いかがですか。
  169. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私は今、中国訪問を国会のお許しをいただければ行いたいと思っております。  そういうお許しがいただけるという前提の上でお話をさせていただきたいと思いますけれども日本と中国の間には二国間の問題もございますし、それから、広く世界の、例えばイラクですとか北朝鮮ですとか、ほかのことにかかわる問題もたくさんあるわけでございます。そういった様々な問題について李肇星外務大臣お話をさせていただきたい、また国家要人に表敬をしたいというふうに考えております。  そして、その中で、この尖閣列島の、尖閣諸島のこの問題、これについては我が国の立場というのははっきりしているわけでございます。そういった基本的な立場を踏まえて中国と話し合いたいと考えております。
  170. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  171. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて締めくくり質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、平成十六年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  172. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。山根隆治君。
  173. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、民主党新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十六年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。  小泉内閣は、過去三年もの長きにわたり、構造改革と称し、国民に不安を与え痛みばかり押し付ける政治を行ってまいりました。小泉改革の三年間にわたる失政は厳しく問われなければなりません。  イラク戦争の大義であった大量破壊兵器がいまだ発見されないまま、政府は自衛隊のイラク派遣をなし崩しで強行しました。我が党は、被災したイラク国民に対する人道復興支援については積極的に取り組むべきものと考えますが、それには米国追従の自衛隊派遣ではなく、我が国が主体的立場で国連を中心とした国際協調体制を構築する中で、イラク復興支援の在り方全体を見直すべきであります。そう強く今日まで主張してまいりました。  一方、内政問題に目を向けますと、小泉政権が掲げた様々な改革案はいずれも看板倒れの先送りに終わり、まともな改革など一つも見当たりません。鳴り物入りでスタートした道路公団民営化は、不採算路線の建設取りやめなど、当初期待された改革の理念とは似ても似つかない骨抜きの内容と断ぜざるを得ません。年金制度改革を見ても、単なる数字合わせとその場しのぎの妥協の産物にすぎず、およそ改革の名に値するものではありません。国と地方の税財政改革である三位一体改革に至っては、地方に痛みを押し付けるだけのものでしかありません。  小泉内閣の掲げる構造改革は、すべてが掛け声倒しのごまかしに終わっております。三年にも及ぶまやかしだらけの政治は、その矛盾を国民に押し付けるだけであり、断じて認めるわけにはまいりません。  以下、本予算案に対する主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、抜本的な年金制度改革を行わず、給与を引き下げ、国民に大幅な負担増のみを強いる内容となっている点であります。  小泉内閣は、平成二十九年度までに厚生年金保険料の上限を一八・三%に固定することで、給付水準は現役収入の五〇%を確保すると宣伝しております。しかし、そもそもこの数字はある特定の前提条件を置いたモデル世帯そのものにすぎず、かつ、その試算の前提となる出生率や経済見通しも極めて甘く実現不可能な内容であり、国民を欺く誇大広告であると断ぜざるを得ません。現行制度の延長線上で負担と給付の在り方を調整するだけの小手先のつじつま合わせはもはや限界に達しており、このままでは国民の将来不安や制度不信を払拭できないばかりか、単なる国民への負担の押し付けでしかなく、到底認めるわけにはまいりません。  反対の第二の理由は、三位一体改革により、政府の失政のツケを地方に押し付けている点であります。  地方交付税及び地方向け補助金がそれぞれ一兆円以上削減された上に、臨時財政対策債も大幅に削減される中で、国からの税源移譲などの財源措置はわずか四千五百億円にとどまっております。このため、地方はこれまでの歳出削減努力だけでは対応できず、借金を、取り崩すなど、基金を取り崩すなど、持続可能な予算編成が困難な状況に陥っております。このような地方へのしわ寄せを強いるだけの改革など言語道断です。  反対の第三の理由は、破綻の危機に直面している我が国財政の再建への道筋が一向に見えない点であります。  本予算案では、国債発行額は約三十六・六兆円と過去最高になり、租税収入は約四十一・七兆円と一般会計の半分しか賄うことができない異常な事態となっております。にもかかわらず、本予算案では、交付税特会への返済繰延べなどの隠れ借金を続けるなど、一時しのぎの対応を繰り返しており、借金依存の構造から脱却する目途が全く立っておりません。かかる危機的財政状況下の下、二〇一三年度にプライマリーバランスを黒字化するとの虚言を吐きながら、無責任な財政運営を放置する本予算案に我々は断固反対の意思を表明するものであります。  以上、本予算案に反対する主な理由を申し述べました。  小泉内閣は、構造改革が全く進まないツケと天文学的な借金を、そして、現在そして将来の国民へ押し付ける本予算案は、改革断念予算、いや、国民虐待予算と呼ぶほかなく、正に小泉内閣三年間の失政を象徴するものと断ぜざるを得ません。ビジョンなきつじつま合わせの予算が行き着く先は、我が国財政の破綻であり、国民生活の崩壊であります。我が国の将来を背負う能力も責任もなく、ただ崩壊へと導くだけの小泉内閣の一刻も早い退陣こそが、国民の最大の利益になることを申し上げ、反対の討論を終わります。(拍手)
  174. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 渡辺孝男君。
  175. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、平成十六年度予算三案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。  我が国は、昨年来、イラク人道復興支援という国際社会における最重要課題に率先して取り組み、世界に誇り得る貢献を行ってまいりました。その過程におきましては、憎むべきテロにより、二名の外交官を失うという痛ましい悲劇を経験しました。我々は、その尊い志を継承するためにも、卑劣なテロに決して屈することなく、これまでの努力を継続することこそが、イラク国民の自由と民生向上をもたらすのみならず、テロの拡散を抑止するために極めて重要であると確信をしております。また、かかる我が国の取組は、国際社会において名誉ある地位を占めることをうたう憲法の理念にも合致するものと固く信じて疑いません。  事実、去る二月二十四日、参議院の議場において、アナン国連事務総長は、我が国の取組について、賞賛されるべき連帯姿勢を示したと、極めて高い評価をされております。また、サマワにおいて自衛隊が熱い歓迎を受けているのは周知のとおりであります。  我々は、現在も困難な任務を遂行されている自衛隊員に対し、心から敬意を表するものであります。政府におかれては、現地における期待にこたえるべく、ODA等も活用し、給水や学校、病院施設改修などのインフラ整備、メソポタミア湿原の復元等、雇用創出などのための具体的な支援策を一層講じられるよう求めるものであります。  一方、内政におきましては、改革なくして成長なしとの理念の下、歳出構造改革、社会保障制度改革、構造改革特区の設置などの経済構造改革に果敢に取り組んでまいりました。  こうした努力の結果、現下の我が国経済は、昨年十月から十二月期の実質GDPが年率換算で六・四%の高成長を示したほか、本年三月期の企業の経常利益が過去最高と見込まれるなど、回復の動きが顕著になってきております。  特に、今回の景気回復局面においては、公共事業による下支えによることなく、設備投資の回復が大きく寄与するなど、民間部門の自律的回復が鮮明に現れております。雇用の面でも求人の増加や賃金の下げ止まりの傾向が見られるほか、物価の下落幅も縮小傾向にあり、デフレからの脱却が視野に入りつつあります。  かかる実体経済における数々の指標の改善こそ、小泉内閣が取り組んできた構造改革が正しかったことの証左にほかならないのであります。  以下、本予算に賛成する主な理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、年金制度の抜本的改革に着手したことであります。  予想を上回る急速な少子高齢化の進行やそれに伴う年金財政の悪化は、制度への疑問や将来に対する不安を生じさせております。  かかる状況を踏まえ、まず、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げの筋道を決め、十六年度においては高額所得者の年金課税の見直しによる増収分を財源に国庫負担の増額を図ることとしております。また、年金保険料の上限を一八・三%とするとともに、給付水準を現役世代の平均的収入の五〇%以上を確保することとし、給付と負担の対応関係を明確に示しているのであります。  このように、あえて負担増をも含む年金財政の長期ビジョンを国民に提示したことは、将来にわたり持続可能な年金制度を構築せんとする政府の責任ある態度を示すものとして高く評価すべきであります。  賛成の第二の理由は、国と地方の財政関係を抜本的に改める三位一体の改革に取り組んだことであります。  国から地方へとの基本理念の下、地方が決定すべきことは地方自らが決定する分権型システムの構築に向け、国の関与の縮小とともに地方の権限、責任の拡大が求められております。  かかる観点から、地方交付税、税源移譲、補助金について一体的な改革を進めていくこととし、十六年度においては国庫補助負担金の一兆円削減、所得譲与税による基幹税の税源移譲、地方交付税の規模の縮減を図りました。  一方で、国による箇所付けを行わず、地方が主体的に事業を実施する統合補助金を新たに一千五百億円増加させるなど、厳しい財政状況に対応しつつ、地方の自主性、自立性を最大限高める施策を推進しているのであります。  政府は、緒に就いた三位一体改革を進めるとともに、地域再生プログラムの策定、道州制の検討など地方の活性化に資するための改革を更に推進することとしており、我々は、かかる政府の積極的な姿勢を強く支持するものであります。  賛成の第三の理由は、中小企業の再生支援、創業支援とともに、雇用の改善を図る施策が強化されている点であります。  我が国経済の根幹を支える中小企業の活性化は、持続的な景気回復のかぎを握るといっても過言ではありません。  かかる観点から、ほとんどの主要経費が縮減される中、中小企業対策費を前年度より増額し、中小企業再生支援協議会の拡充のほか、ベンチャー挑戦支援事業や中小企業金融における証券化支援業務の新規計上など、中小企業の創意と工夫を後押しする施策を数多く盛り込んでおります。  また、雇用への対応としては、企業実習と教育訓練を一体的に行うことにより若年者層の人材育成を図る日本版デュアルシステムの導入や長期失業者の早期再就職支援を強化するなど、特に支援が必要な層に対する重点的な対策を講じているのであります。  これらの施策の推進は、中小企業活性化と雇用創出を通じて、地域経済の発展にもつながるものであり、誠に有益であると確信するものであります。  そのほか、物の豊かさだけではなく、心の豊かさも求める国民の要望にこたえ、文化芸術予算も対前年度比十三億円増の一千十六億円を確保したところであります。  以上、本予算に賛成する主な理由を申し述べました。  政府におかれましては、本予算成立後、迅速かつ適切に執行されんことを強く要請いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  176. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 林紀子君。
  177. 林紀子

    ○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇四年度政府予算三案に対する反対討論を行います。  反対する第一の理由は、今後十数年にわたる際限なき年金保険料の引上げや庶民増税など、連続負担増予算だからです。  小泉内閣発足以来、四兆七千億円もの負担増と給付削減に加え、新たに二兆五千億円以上、合計七兆円もの負担増が強いられることになります。  特に、年金制度の大改悪は、今後十四年間にわたって毎年七千億円も引き上げられ、給付は実質的に史上初めて引き下げられます。国民年金は今でも平均受給額月四万六千円なのに、更に一五%も引き下げられることは、生存権保障の憲法原則を踏みにじるものです。基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げ、年金積立金を計画的に取り崩し、雇用の拡大などで年金の担い手を増やすことこそ年金改革です。  地方財政の三位一体改革として福祉や教育のための国庫補助負担金を大幅に縮減、廃止し、地方交付税の圧縮と合わせて三兆八千億円も国から地方への財源を切り捨てる一方、税源移譲は削減額の一二%にすぎません。地方への税財源の移譲と財源調整機能としての地方交付税制度の原点に立ち返るべきです。  反対する第二の理由は、大企業奉仕や公共事業の浪費の仕組みは温存しながら、国債の新規発行は二年連続史上最高となり、財政破綻を進めるからです。  税収は歳出総額の半分にすぎず、国債の新規発行は三十六兆五千九百億円、国、地方の長期債務は合わせて七百十九兆円と、財政悪化は目を覆うばかりです。関西国際空港二期工事などには多額の予算が計上され、未整備の高速道路もほとんど建設されるなど、無駄な浪費構造は正されていません。  大企業は輸出と大規模なリストラで史上最高の利益を上げても、国民にその実感はありません。政府が進めてきた規制緩和、労働法制の改悪によって正社員は減少し、低賃金で不安定な雇用者に置き換えられています。若者のフリーターも急増し、深刻な社会問題となっています。こんなことを続けては、国民の暮らしの向上、景気回復は望めません。各地で発生した鳥インフルエンザに対しては、法改正も含め、国の責任でその対策に万全を期すべきです。  反対する第三の理由は、イラク占領や弾道ミサイル防衛システムのように、アメリカの軍事戦略に日本を一層組み込む予算であり、憲法九条を改悪する策動とも軌を一にしたものだからです。  イラク戦争を開始して一年が経過しましたが、大義とした大量破壊兵器は発見されません。大量破壊兵器があると断定し、イラクへの自衛隊派兵を強行した小泉内閣責任は重大です。  今なお戦争状態が続いている他国に重火器で武装した自衛隊を派兵し、アメリカの占領支配へ合流、加担することは、憲法が禁ずる武力・交戦権の行使に当たることは明らかです。国際社会が行うべきことは、米軍主導の軍事占領をやめ、イラク国民に主権を返還し、国連中心の枠組みで復興支援することです。自衛隊は直ちに撤退すべきです。  また、北海道警察などによる捜査費などを流用した組織的な裏金作りが次々と明らかになりましたが、調査はなおざり、捜査もされていません。第三者の外部監査制度を実施すべきです。  今求められているのは、社会保障、雇用・中小企業対策など、景気回復と国民生活防衛のための予算の拡充です。  このことを強く主張して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  178. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  179. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 多数と認めます。よって、平成十六年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十七分散会