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2004-03-23 第159回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十三日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     松田 岩夫君      岸  宏一君     中川 義雄君      仲道 俊哉君     日出 英輔君      鈴木  寛君     木俣 佳丈君      樋口 俊一君     浅尾慶一郎君      若林 秀樹君     小川 敏夫君      魚住裕一郎君     山本 香苗君      森本 晃司君     弘友 和夫君      大沢 辰美君     小泉 親司君      西山登紀子君     林  紀子君      福島 瑞穂君     田  英夫君  三月二十三日     辞任         補欠選任      平野 達男君     森 ゆうこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 扇  千景君                 木村  仁君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 中川 義雄君                 日出 英輔君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 松田 岩夫君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 脇  雅史君                 浅尾慶一郎君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 木俣 佳丈君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 内藤 正光君                 中島 章夫君                 平野 達男君                 森 ゆうこ君                 高野 博師君                 弘友 和夫君                 山本 香苗君                 紙  智子君                 小泉 親司君                 林  紀子君                 田  英夫君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        国土交通大臣   石原 伸晃君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        総務大臣    山口 俊一君        法務副大臣    実川 幸夫君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  森  英介君        農林水産大臣  市川 一朗君        国土交通大臣  林  幹雄君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        財務大臣政務官  山下 英利君        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        公安調査庁長官  大泉 隆史君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        環境省環境管理        局水環境部長   吉田 徳久君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、外交防衛等に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  それでは、これより質疑を行います。松田岩夫君。
  3. 松田岩夫

    松田岩夫君 おはようございます。自由民主党の松田岩夫でございます。今日は外交問題を主にお聞きさせていただきます。  まず、国際社会にとって現下の最重要課題でありますイラク問題からお伺いいたします。  折しも、三日前の三月二十日はイラクに対します武力行使開始から一周年に当たりました。私は、イラクの安定のためには、第一に治安回復、第二に政治プロセスと呼ばれる政治体制整備、第三に復興を通じた民生の安定、この三つが不可欠だと存じます。  現在、イラクには我が国を含めまして多くの国が要員を派遣し、厳しい環境の中ではございますが困難な任務に当たっておられます。こうした国際社会努力が大きな成果を上げつつあることは、イラクでの最近の世論調査の結果でも明らかであります。  三月十一日にマドリードで発生した列車爆破テロは、誠に全世界に大きな衝撃を与えました。その直後に実施されたスペイン選挙では、イラク駐留軍の撤退を公約した社会民主党が勝利しました。仮にもスペイン要員を撤退させるようなことになれば、イラク治安回復のための国際的努力にとってマイナスとなることは否定できません。  私は、国際社会武力行使に至るまでの亀裂を乗り越えてイラクの安定と復興のために結集し、しかもその努力成果を上げつつある今こそ、困難にひるむことなく、国際協調を一層強化していくべきであると強く確信しております。イラク問題に関しまして、我が国は一貫して国際協調重要性を強調してきました。今日、改めてその重要性を訴え、かつ実際にそのための行動を取っていくべきであると思います。  そういう意味で、一層の国際協調体制強化に向けた総理の決意をまず最初にお伺いいたします。
  4. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラク復興、手助けするということを考えますと、イラク国内治安をいかに安定させていくか、これが極めて重要な問題でありまして、この点については今、米英始め国際社会が共同して取り組んでいる。今後、国連が関与、役割を強めていくということが必要であり、どのような形で国連がより重い役割を担っていくかということについても現在協議中であると聞いております。  しかし、根本的には、イラク治安回復する主力、これはイラク人だと思っています。イラク人であり、イラク人警察。今、イラク方々に対して警察訓練等、共同で行っておりますが、このイラクの安定のために、まだイラク人自身イラク人自身治安回復するための部隊、整っていない。  そういう段階においては、お互い国際社会が協力していこうということで、どのような取組がいいかということを現在でも、国連の関与なり、各地域が、各部隊が、各国が派遣して、どの地域にその自らの役割を果たすかということで、イラク国内でそれぞれの部隊が汗を流しているわけでありますが、日本はこのテロ掃討作戦治安部隊というものを派遣しておりません。日本役割は特定の地域における復興支援人道支援であります。  それぞれの国にはそれぞれの国の事情があります。そういう中で、その国がどのような自らの国としての、イラク復興支援、協力できるかというのは、一国一国それぞれ主体的に考えていくべき問題でありますが、日本としては、ここまで来たイラク復興支援作り、これを決して失敗させてはいけない、何としても成功させることがイラク人のためであり、日本のためであり、世界の平和と安定を考えると欠かすことのできない大事な活動だという認識をしておりますので、できるだけ国際社会、いわゆる国連がこのイラクの問題に積極的に役割を果たすように、今各方面に働き掛けているところでございます。
  5. 松田岩夫

    松田岩夫君 国連もより積極的になりつつあると、誠に喜ばしいことであります。どうぞ、更に一層その方向で頑張っていただくように、総理からも正にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  それぞれの国がそれぞれの役割があるということでございますが、先ほど申しましたこのイラクにおける政治体制整備政治プロセス、進みつつあります。今月八日に基本法統治評議会メンバーによって署名され、イラク国民への統治権限の移譲と選挙実施に向けた道筋が示されました。誠に喜ばしいことと思います。  イラクは、御案内のように、シーア派スンニ派クルド人といった主要なグループ以外にも様々な民族、宗教が混在し、いわゆるモザイク国家と呼ばれています。こうした国において本当に民主的な政府を樹立し、しかも国家としての一体性を維持していくと、並のことではないと存じます。問題の複雑さ、あるいは我が国現地での態勢等を考えますと、こうした政治体制整備について我が国のなし得ることにはあるいは制約があるのは事実でしょう。しかし、可能な範囲で、この政治プロセスについても積極的に日本は何かできないだろうかと私は思うわけでございます。  イラク政治の中核を担うイラク統治評議会議長一行が、お聞きすれば、本日、訪日されると伺っておりますが、正に時宜を得た取組だと存じます。大いに評価したい。せっかくお見えになるのであれば、何かこういった政治プロセス政治体制整備といった面でも日本がもっと何かできないかなと、みんなそう思うと思います。そういった意味で、我が国として一体どのような貢献がこういった面でできるんだろうかと、正にこれもまた総理リーダーシップに大いに期待したいところでございます。  総理、こういった面ではいかがでしょう、我が国貢献は。
  6. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラクにおける自衛隊活動は、日本全体のイラクに対する支援復興活動の中で一部であります。今、自衛隊活動が表面に出ておりますが、これはあくまでも一部であって、今後、治安が安定すれば、一般民間人NGO方々、さらには日本企業方々イラクに行って、いろいろな分野において私は活躍できる余地が出てくると思います。  今回、イラク統治評議会の方がお見えになるというわけでございますが、日本としては、まずイラク人希望を持って、意欲を持って自らの国を築き上げるんだというその体制を築いていかないとこのイラク復興支援はうまく成功しないですよと、日本復興支援やるんじゃないんですと、イラク人自身国づくり復興支援、立ち上がらない限り、これはだれが支援したってうまくいくわけないと、早くイラク人希望を持って、自分たちの国は自分たちでつくるんだという体制を整えてくださいと、そういう中で、日本としてもできるだけ国力にふさわしい資金的協力物的協力人的協力を行いますというのが日本の一貫した姿勢でございます。こういう点について、イラク統治評議会の方がお見えになったときにも、会談の機会を得ればそのような話をして、できるだけ日本としても、イラク人希望する、またイラク人期待している、イラク人日本に何を期待しているのかという点も含めてよく協議をしていきたいと思います。
  7. 松田岩夫

    松田岩夫君 我が国も明治維新以降、欧米の先達に学んでこうして立派な民主主義を確立いたしました。そういった意味でも、イラクの国の政治体制整備といったことについても、我々大いなる努力をすべきだと思います。そういう意味で更に政府に督励をいたしておきますが。  今総理もおっしゃった正にこの人道復興支援について、日本のこれ正に得意とする分野であり、本領を発揮すべき分野だと存じます。現在、自衛隊による人的協力ODAによる資金的協力、これを車の両輪として進められておるわけでございます。連日、自衛隊現地における活躍ぶりテレビ等で見ます。その活動もようやく本格化しつつあるようで喜んでおるところですが、自衛隊の諸君が是非とも無事に任務を遂行されて、イラク復興の実を上げられることを心から祈念いたす気持ちで一杯であります。  さて、先般、NHKが各国報道機関とともに実施したイラクでの世論調査によりますと、復興支援期待する国として日本がトップに挙げられております。これはかつての日本援助民間企業活動が本当に有意義で立派なものであったことがイラク人の多くの人々の記憶に鮮明に残っているからだと思います。このような高い期待がある一方、現在、治安を始めとして援助実施現地事情というものは甚だ劣悪であります。恐らくかつてその建設に関係した病院学校等荒廃ぶり報道で知るにつけても、もし我々が現地に入ることができれば速やかに修復してあげられるのにな、恐らく切歯扼腕している日本関係者も多いのではないかと存じます。大きな制約を抱えながら現地期待と差し迫ったニーズにこたえるには、是非可能な限り迅速で、難しいところですが、機動的に援助をうまくやっていただきたい、そう思うわけです。  具体的に一体どのような援助をこういう状況の中で、どのような工夫をしながら進めていかれるのか、これは外務大臣にお聞きいたします。
  8. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員人道復興支援について、その日本役割が大きいとおっしゃられて、全くそのとおりだと思います。  中東の国も、おっしゃったその日本の今までの円借等の支援による日本への印象に加えまして、先日聞きましたところでは、アル・ジャジーラが四月に一九四五年の日本イラクということでシンポジウムをやるということのようでございまして、その意味は、恐らく日本の過去の経験日本自身の過去の経験からも学びたいというふうに思っているのではないかと思います。いずれにしても、その復興支援というのは、委員が冒頭でおっしゃった治安の問題にも政治プロセスの問題にも密接に関係がございますので、我が国として一生懸命に、迅速に、そして機動的にやらなければいけないと思います。  どのような工夫をしているかということですけれども、今非常に治安が厳しい中で、イラク人に一日も早く多くの支援をしなければいけないという中で、我が国としてやっておりますのは、これは案件の内容、性質にもよりますけれども、周辺国から現地及び、その周辺国での、周り、近隣の国で行っている企業ですとかコンサルタントですとか、そういった知恵をできるだけかりながら、どういうニーズがあるかということをきちんと把握をしていくということが一つございます。それから、今ヨルダン、アンマンの大使館をODAについては拠点としておりまして、そこにイラク政府の方がみんな出てきて、そこで細かい打合せをやっているということもやっております。なかなかいろいろ制約はありますけれども、これは一刻も早く、そして国民の税金を使うわけですから、透明性を持った効率的な援助をやっていくということで、引き続き機動的で迅速な援助ができるような工夫を重ねていきたいというふうに思っております。  補正予算を先般いただきましたけれども、その中でイラクに対する直接支援につきましては、移動式変電設備供与プレハブ式浄水設備供与、十三都市病院の改修、消防車の供与等、これを三月中に決定をするということで、最終的な調整を現在イラクと行っているところでございます。
  9. 松田岩夫

    松田岩夫君 多くの国民イラク復興に、あるいは多くの企業が、多くのNGOが大いに参画したいと言っております。どうぞみんなで、国民挙げてイラク復興ができるようなそんな手だてが、治安回復を一生懸命図りながら進められていくことを心から願います。  さて、テロは依然として続いておるわけでございますが、そのテロ対象が正にグローバル、地球に広がりつつあると。そういう意味我が国も決してテロ脅威と無縁ではありません。無縁どころか、これはそれなりに対応しなきゃいかぬ重要な問題になってきました。先般のマドリッドでの爆破テロに際して犯行声明を出したアルカイダ系テロ組織を名のるグループテロ対象として日本を含む六か国を名指ししたとの報道もあります。  既に九・一一以後、政府においては様々な措置を取られてきております。また、マドリッド爆破テロ後は、特に鉄道警備のための措置強化されました。是非国内の備えに万全を期していただきたい、危機感を持って取り組んでいただきたい、当然のことでございますが、国内におけるテロ対策強化について、官房長官からお伺いいたします。
  10. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 委員の御指摘のとおり、国際的というか世界的にテロ脅威というものが今存在するわけでございまして、その脅威と申しますか、これはもう世界じゅうが共有している脅威だというふうに私は思っております。  国内におきましても、今現在テロが発生すると、こういう具体的な情報があるわけではございません。しかし、そういうような世界情勢から考えて、いつどこで何が起こるか分からないという前提の下に警備を行っているということは、これは大変大事なことだというふうに思います。  申すまでもなく、テロというのは思わざるところ、裏をかく、すきをねらうと、こういうようなことでございまして、なかなか予知が難しい部分もあるのかもしれません。ですから、そういうことも念頭に置きながら、十分なる情報収集等を行いながら対応していくということに尽きるんだろうというふうに思っております。  国内テロ対策につきましては、これまでも官邸主導の下に、関係省庁において日々密接に連携をし、そしてまた情報収集、分析の強化、これを行っております。また、出入国管理とかハイジャック対策、それから重要施設警戒警備というようないろいろなテロ対策強化し、更に強化し、徹底をしているという状況でございます。  また、この間のマドリッドにおける鉄道爆破と、こういうようなことがございましたので、鉄道におけるテロ対策として、そういう状況を踏まえた上での対応、すなわち、国土交通省また警察から鉄道事業者に対し必要な指導、助言等を行うとともに、警察官が駅構内などのパトロールなどを実施するというような警戒徹底しておるところでございます。さらに、全国の鉄道事業者に対しまして、自主警備徹底を更に行うよう指示をいたしております。また、警察におきましては、鉄道事業者と連携して、新幹線を始めとする鉄道、駅、列車内、トンネル、橋梁等沿線重要施設警戒強化などを図っておりまして、引き続き官邸主導でもってテロ対策の一層の徹底を図ってまいりたいと思っております。
  11. 松田岩夫

    松田岩夫君 国内テロ対策には抜かりのないようにしっかりお願いをいたしておきます。  次に、朝鮮半島情勢について御質問をしたいと思いますが、北朝鮮大量破壊兵器の問題、我が国安全保障の根幹にかかわる問題であります、言うまでもなく。現在、六者会合の枠組みで北朝鮮核廃棄等に関する協議が行われておりますが、北朝鮮はかたくなな姿勢を崩しておりません。本年秋のアメリカの大統領選挙の結果が判明するまでは積極的な対応は取らないのではないかとか、時間稼ぎをしているだけではないかとか、いろんな見方があります。  一方、隣国韓国においては、御案内のように、大統領弾劾訴追案の可決など内政の混乱が続いております。朝鮮半島情勢や六者会合実施のタイミングにも影響を与えやしないかと恐れるわけでございますが、私は、こうした間に北朝鮮が着々と核開発を進めて取り返しの付かない事態に至ることを、だれでもだと思いますが、深刻に今危惧しておるわけでございます。  交渉の現状と北朝鮮核武装のリスクを踏まえますと、例えば六者会合のレベルを上げるとか、あるいは国連安保理で取り上げるとか、何か問題解決プロセスを加速化する手だてを考えなくてはいけないんじゃないかと、そんなことを思うわけですが、今後、北朝鮮大量破壊兵器の問題に一体どのように取り組んでいかれるのか。これは極めて重要な問題でございますので、外務大臣の所掌ではあるかと思いますが、総理にもまたお伺いしたいと存ずるわけです。
  12. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、北朝鮮をめぐる問題、特に核の問題、そして我が国にとっては拉致の問題、これは一日も早く解決をしたいと我々みんなが思っている問題でございます。  特に、核の問題につきましては、これは六者の会談で今議論をしておりまして、なかなか非常に速いスピードで問題の解決見えてくるという感じでないのは今残念ではございますけれども、一歩一歩、例えば前回の会談ではこの六者会談の次回の会合が決まって制度化に向けて一歩進んだ、また作業部会の設置も決まったということでございまして、今、作業部会でどういうことを取り扱うかといったことについて外交チャネルで今議論を進めているところでございます。我が国として、国際的な連携を取りつつ、そしてまた対話と圧力ということでいっておりますけれども、この路線をきちんと進めながらこの問題に対応していきたいと思っております。  それから、拉致の問題につきましては、これは我が国国民の生命と安全にかかわる重要な問題でありまして、北朝鮮に対しまして、北朝鮮に残っている家族の方の無条件の帰国と、そして真相が、安否の真相がはっきり分かっていない十人の方について事実関係、真相の究明ということを強く申し入れているわけでございまして、先般ピョンヤンで日朝二国間会談が行われました。ここで両方の主張が平行線に終わったということは非常に残念なことでございましたけれども、引き続き両国の間で話をしていきましょうということになっておりまして、また六者会談の折にもこの話の続きを申入れを強くいたしたわけでございます。先方からは、しかるべきルートで今度の日朝の二国間の会談については回答するということになっておりますので、我が国として、引き続き今働き掛けを行っているところでございます。  基本方針は圧力と対話ということでございます。そして、国際的な連携をきちんと取りながら我が国の主張をきちんとしていく、そして一刻も早い解決を目指していきたいというふうに考えております。
  13. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 基本方針、外務大臣が今答弁されましたが、日本としては、日朝平壌宣言、この政治文書、この精神が大事であると。これにのっとって拉致の問題、核の問題、ミサイル問題、包括的、総合的に解決していく、そのためにも、北朝鮮側が国際社会の責任ある一員になるようにここまで粘り強く働き掛けてきたわけでありますが、なかなか北朝鮮側もその進展の姿を見せてきません。  より誠意ある対応を求めているところでございますが、これは日本独自で働き掛ける点と、アメリカ、韓国を、アメリカ、韓国とよく協力しながら働き掛けていかなきゃならない部分、さらに六者協議の枠組みが今できておりますので、この中で協力しながら北朝鮮に扉を開かせるという、いろいろな働き掛けがあると思いますが、今のところ日本側の期待しているような働き掛けに北朝鮮が応じてこないという状況は残念でありますが、今後も一日も早く、拉致の御家族が求めているような問題、そして国際社会が最も懸念を持っている核問題等、協議の場は出てまいりますので、こういう点について率直な日本側の考え方と、そしてそれに向けての誠意ある対応を今後も北朝鮮側に求めていくという、この基本姿勢に全く日本政府としては変更ございません。
  14. 松田岩夫

    松田岩夫君 貴重なその六者協議という枠組みもできたことです。非常にいいことだと思います、それ自身はですね。ですから、これを本当に早く解決していくために、拉致も含めて六者協議のレベルを上げるとか、いろいろ工夫の余地がないのかなとしみじみ思うわけです。そういう意味で、総理始め皆さんの一層のひとつ御努力をお願いしておきます。  特に、拉致の方でいえば、一体何やっているんだというのが恐らく国民大衆の感情ではないかと思います。そういう意味でも是非しっかりと取り組んでいただきたい。  次に、中国問題について取り上げてみます。  中国との関係、言うまでもありませんが、二十一世紀の日本外交にとりまして大きな挑戦、チャレンジであります。中国の軍事費の増大、あるいは急速な経済成長に伴います問題等、こういったことを脅威と見る見方にどうしても傾きがちです。また、歴史認識の問題、あるいは海洋調査船の問題、不法滞在者の問題等々、それぞれの国内で強い反応を惹起する難しい課題も存在しております。日中関係を進めていく上でこれらの問題の解決を図って、主張すべきは主張していく、当然のことでございます。大いにやっていただきたいと思います。  同時に、しかし日中間の相互依存や交流を考えますと、両国の共通の利益を追求していく、そしてそれをともに実現していくという姿勢もまた重要だと思います。既に日本は、御案内のとおり、中国にとって第一の貿易相手国、日本にとっても第二の貿易相手国、最近は中国からたくさんの人が日本へ来ますし、来るようになりました。もちろん日本からはたくさんの人が訪問しております。  また、今、正に質問いたしました北朝鮮をめぐる情勢、あるいは環境問題、感染症、麻薬、国際組織犯罪、どんな、こういった国境を越えた問題すべて、日中両国しっかり協力し合ってやっていったらいいに決まっている、そういう意味でこうした共通の利益を拡大していくということは、先ほど申した諸懸案の解決にも好ましい影響を与えるし、またひいては東アジア一帯の安定にも資するものであります。  今般、自由民主党、公明党と中国共産党との間で設置が合意されました日中与党交流協議会でも、将来の日中関係を幅広く議論していくこととしております。  小泉総理は、かねてから中国の発展は脅威ではない、好機であると、いい機会だと、いいチャンスだと述べておられます。私もそう思います。しかし、この好機と正に課題の双方を有する中国との関係をいかに取り進めていくか、総理御自身の訪中も含めて、総理の御見解を伺いたい。
  15. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 中国と日本との関係は、友好的に今発展していると認識しております。  中国との経済関係も、かつて中国に対して警戒論を強く持っていた方々も多かったわけでありますが、私は、中国の発展というのは脅威ではないんだと、好機ととらえるべきだと。輸入が中国からどんどん入ってきますので、それとかち合う日本の業界の皆さんはやっぱり価格的に太刀打ちできないという気持ちを持つと思いますが、今や輸入だけでなく、日本企業も中国にどんどんどんどん輸出できるようになったと。輸出入ともお互い、相互互恵、相互依存関係を強めていくべきだと。隣国の発展というものは必ず日本にとってもプラスの影響を与えるものと前向きに考えるべきだと。かつての近隣窮乏化策を取るような時代ではないと。お互いが発展の中でそれぞれの国の繁栄をどう考えていくかという時代であるという観点から私は日中関係をとらえております。  そういう点から、この中国の目覚ましい発展を日本の経済活性化に、あるいは日中友好にどのように生かしていくかということが大事であると。人の交流、貿易の交流、文化の交流、スポーツの交流、格段に進んでおります。  今後、中国の国際社会における立場も大きくなってまいります。現に、北朝鮮をめぐる六者協議の場では中国がその役割を大いに発揮して、北朝鮮側にも強く働き掛けて、北京で六者会合が開かれた。中国側の努力日本としても評価しておりますし、北朝鮮に対する影響力を見ると、六者の中で非常に強い影響力を中国は持っていると思います。  そういう点を考えましても日本と中国との関係は大事であり、私は、日中友好の重要性というものをよく考えながら、これから日中関係の交流拡大を深めていきたいと思っております。
  16. 松田岩夫

    松田岩夫君 中国との間で歴史認識等いろいろ問題がありますが、こういったことを乗り越えて、一刻も早くもっともっといい関係ができて、いい間柄に作り上げると、我々の時代の大きな課題だと思います。総理の一層のリーダーシップをこの面でも御期待申し上げます。  ちょっと質問時間が、私、迫ってまいりましたので、最後に、国連の問題を少し御質問させていただこうと思いますが、日米同盟と同時に、国際協調国連外交といったものがかねてから日本外交の一つの大きな柱でありました。この外交の基本方針、これはそれで正しいし、そういう意味で、唯一の普遍的な国際機関であります国連役割と、これは誠に重要であります。  最近の国際テロあるいは大量破壊兵器、破綻国家といった新たな脅威の出現によって、国連期待される安全保障上の役割もまた変化しております。特に国際社会の平和と安全への責任を担う国連安保理が、正にその責任を果たしてほしかったイラク問題に効果的な対応を示せなかったと。安全保障面における国連改革の必要性がそういう意味で幅広く今日認識されるようになっております。  アナン事務総長もその必要性を十分認識されて、新たな時代の要請にこたえる国連の在り方を検討しようということで、緒方貞子JICA理事長を始め、有識者でハイレベル委員会を自らのイニシアチブで作られました。先般の訪日の際も、アナン総長は、安保理改革を始めとする国連改革の必要性を明快に訴えておられました。  我が国は、当然のことながら、安全保障理事会のより効果的な活動ができるような改革をしようとかねて主張いたしまして、そして、改革が実現した暁には自ら常任理事国としての役割を果たしていくんだということをずっと表明してきました。既に、安保理改革が始まって既に十年たつわけですが、今日までは残念ながら大きな成果を得ておりません。しかし、今日、今申しましたように、国連自身も含めまして国連改革が必要だという認識が出てきております。こういうときこそ、正に国連改革を進める絶好のチャンスだと思います。  そういう意味で、日本国連創設六十周年に当たる二〇〇五年に各国の首脳を介して国連改革について政治的意思決定をしようと提唱しておられることはすばらしいことだと、国際協調を掲げる我が国として、今後、安保理改革、国連改革に向けて更に頑張っていただきたい。そういう意味で、総理に重ねてこの国連改革に向けての日本役割、決意、そんなことを御質問いたします。
  17. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連改革の必要性については、国際社会の中におきましても、主要国の間でも高まってきていると私は思っております。現に、アナン事務総長の下で国連改革に関するハイレベルの委員会も設置し、その中に緒方貞子氏も委員として入っておられます。また、安全保障理事会、今の五大国、拒否権を持っておりますが、そういう国々の中でも日本国連常任理事国になることに賛意を表している国々もございます。また、この問題については、各国それぞれ国連役割強化していこうと、また国連の中での自国の立場を強化していこうという両面の思惑も持っております。  非常に難しい問題でありますが、私は、大きな時代の変わり目であります。そういうときに当たって、日本国際社会の場で日本にふさわしい役割を果たすという上においても、国連改革の重要性を今後も各方面に働き掛けていきて、この国連というものが国際社会の中でより大きな重要な役割を果たすための一翼を担っていきたいと考えております。
  18. 松田岩夫

    松田岩夫君 国連改革を始めとして、日本の果たすべき役割国際社会の中で今や日本の声が小さいと言われるような時代では良くない、そういう意味で幾つかの外交案件について質問してまいりましたが、最後にもう一つ、最近、日本が一生懸命やっている分野ということで、この人間の安全保障といったことについて外務大臣に御質問いたします。  開発とか環境とかいった、こういったグローバルな諸課題、こういった取組日本のまた得意分野であります。これまでも重要な役割を果たしてきました。特に、最近では、戦争、疾病、犯罪等の直接的な脅威から個々人を守る、かつ人間が個人として、個人が人間として持つ可能性を教育等によって花開かせていくという人間一人一人の安全に着目した人間の安全保障、こういった取組について国際的な努力日本が先導してやってきました。日本発のコンセプトとしてこの取組は更に積極的に進めていっていただきたい、こう思っております。  本日はこれに関連して、感染症の問題について具体的に外務大臣にお伺いいたします。  エイズ、マラリア、ポリオといった感染症への対処、我が国国際協力の重点の一つでありますが、昨今はこれに加えてSARSや鳥インフルエンザといった新たな感染症が近隣諸国を中心に流行しており、ベトナムやタイでは既に死者も出ている、鳥インフルエンザで。我が国国民生活にも大きな影響を与えております。  我が国として、これまでの感染症分野での実績と、こうした新たな事態に備えて、更にこの分野でも大いに頑張っていただきたい。外務大臣の決意をお伺いいたしておきます。
  19. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 私から一言御答弁申し上げます。  先生御指摘のように、人間の安全保障という観点の一つの重要なポイントとして感染症の問題というのはあるんだと思っております。従来からも、それは住民の保健上の安全衛生というだけではなくて、それがそれぞれの国々の経済発展の阻害にもなっているということもやっぱり重視していかにゃいかぬなと、こんなふうに思っておりますし、既に我が国としては、せんだっての沖縄サミットにおいても感染症対策イニシアチブというようなことを提唱いたしまして、総額二十億ドル以上の拠出をやってきておりますし、また、世界エイズ・結核・マラリア基金ということに対する拠出も行っておるわけでございます。  同時に、先生御指摘のように、最近のSARSや鳥インフルエンザに見られますように、これは世界的な協調がないと解決しない問題でございますので、これについても国際機関、WHOとかFAOとかいうふうな機関とも連携しながら、国際的に一致したスピードのある対策を打っていかなきゃいかぬというふうなことで取り組んでまいりたいと、こんなふうに考えております。  また、同時に、こうしたふうな感染症の問題というのは、直接的な看護とか治療とか医療体制の問題とかいうだけではなくて、言わばその背景には、やはり急速な人口の増加とか、あるいは貧困、あるいは衛生の基本でございます水の供給とかいうふうな問題も含まれますし、栄養の不足とか様々な総合的な正に人間の安全保障全体を、背景を念頭に置いてやらないといけませんので、そうした意味で人間の安全保障というのは、先生御指摘のとおり、日本発の一つのコンセプトとして、これからの国際貢献の重要な柱として取り組んでまいりたいと、こんなふうな決意でございます。  以上でございます。
  20. 松田岩夫

    松田岩夫君 時間が参りましたので終了いたしますが、最後に一言。  今、国際社会は大きな激動の時代と、新たな世界の枠組みもいかなるものになるのか、正にまだ不透明な面があります。そういう意味で、我々日本の国は単に与えられた環境に生きていくだけではなくて、どうぞ、みんなで新しいこの世界の安定した枠組み作りにも大いに貢献していけるような、そんな創造的な発想をもっと我が国からも出していけたらいいと、そういう思いも込めて個々の問題について今日は質問させていただきましたが、大きくは、しかし、これからの日本の国が世界の新しい枠組みを作るのにいかに参画していけるか、そんなことにももっともっと政府は中心になっていただきたいと心から願って、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  21. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。日出英輔君。
  22. 日出英輔

    日出英輔君 自由民主党の日出英輔でございます。  今、松田委員が最後にお話しになりました感染症に関連をいたしまして、少し御質問を申し上げたいというふうに思っております。  感染症につきましては、今、松田委員がいろいろお話しになりましたが、我が国では、現在は鳥インフルエンザの問題、あるいは昨年から引き続いてのアメリカ産の牛肉の輸入の問題等が直接的には関連をいたすわけでございます。  そこで、最初に、アメリカ産の牛肉の輸入の再開について、この数日一般紙をにぎわしておるようでございますので、農水副大臣から伺いたいと思うわけでございますが、現在の日本の全頭検査、これは世界に類のない厳しい検査でありますけれども、これによって国民が牛肉に対する安全、安心というものを得ているわけでございます。この日本の検査とアメリカの現在の検査体制、余りにも隔絶しているわけでありますが、こういったことを踏まえて考えまして、今新聞等では民間の自主検査の問題が出ているようでございますが、この辺を含めて今どのようなアメリカとの交渉をしておられるのか、伺いたいと思います。
  23. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) お答えします。  まず、アメリカとの交渉の経緯でございますが、私どもの方の亀井農林水産大臣と、アメリカのカウンターパートになりますベネマン農務長官との電話会談も、直接の電話会談もございましたが、それを含めまして数次にわたりましてアメリカといろいろと交渉を、協議を行ってきているところでございますが、その中で、我が国といたしましては、亀井大臣、再三この予算委員会でも御答弁申し上げておりますが、消費者の安全、安心の確保を第一に考える必要があることと、それから日本向けに輸出される牛肉につきましては全頭検査と特定危険部位の除去が基本でありまして、それは消費者からの要請も受けているところでありますということを丁寧に説明してきたところでございます。これに対しまして、これまでのところ米国からは輸入再開のための具体的な提案はございませんが、我が国事情を踏まえまして米国が適切な提案をしてくることを私どもは期待しているというのが現在の状況でございます。  それから、検査体制についての御質問もございましたけれども、基本的には、我が国といたしましては我が国と同様の措置、いわゆる全頭検査それから特定危険部位の除去ということが講じられていることが必要であると考えているところではございますが、アメリカにおきましては、昨年、死亡牛を含めまして二万頭強を対象にBSE検査を実施しておりますが、これにつきましても、サンプルの取り方とかサンプル数、検査手法等が不十分であるという問題点を私どもは認識しておるところでございます。  それに対しまして、米国政府の招聘によりまして米国のBSE対策を検証いたしました国際調査団の調査結果も出ておるわけでございますが、この調査団の指摘を見ますと、やはり現在のアメリカの取っておる措置は不十分であると。具体的には、三十か月以上の牛でBSE症状の牛あるいは死亡牛等、いわゆる高リスク牛と呼ぶんですが、それはすべて検査する必要があると。それからあわせて、三十か月以上の健康牛についても抽出検査を実施することを考慮すべきだという、そういう指摘がございます。  民間の方の話もいろいろございましたが、それに対しましてアメリカ側でもいろいろなことを検討しておりまして、一時的なサーベイランスプログラムの強化策が三月十五日に発表されたところでございまして、それはそれなりにBSEの広がりを検証するものとして私どもは評価できるとは思っておりますが、具体的にどれぐらいの検査頭数にするのかといったようなこともまだ明らかにされておりませんので、基本線は簡単には譲るわけにいかないなという感じで対応しているところでございます。
  24. 日出英輔

    日出英輔君 大変な混乱の中で今の全頭検査の体制ができたわけでありまして、生産者側は多大な負担もございます。また、国民もこの全頭検査に対して信頼感を持っておるわけであります。科学的に見て安全なのか、あるいはその基準というのは安心まで含めているのか、これは大変難しい問題だと思いますが、今外食産業等一部のところからアメリカの検査体制でいいじゃないかという話が出ておりましたが、私は、今、市川副大臣がお話しになりましたように、やはり今のアメリカの検査体制は不備であるというふうに思っております。  是非、安易な妥協はやっぱりせずに、しっかりと国民の安全、安心に対するこたえをしていただくように御努力を賜りたいというふうに思っている次第でございます。  それから、鳥インフルエンザの話に話を移させていただきます。  鳥インフルエンザなどという話が七十九年ぶりに、この高病原性のインフルエンザが出てきたという、これもしかもアジア地域で同時に多発して出てきたと、こういう大変厳しい話が出てまいりました。関係省庁の、あるいは都道府県担当者、あるいはいろんな方々の懸命な努力によりまして蔓延防止の策はそこそこに功を奏していると思います。山口、大分、これにつきましてはきちんとした取り鎮めといいますか、こういうことが功を奏しましたが、不幸にして京都の話はちょっと蔓延をしてしまったということであります。私はこの懸命な努力につきまして大変敬意を表するわけでありますが、時々刻々と実は養鶏業者あるいは外食産業あるいは関連業者の方々に対する影響が広がっているわけであります。  そこでお尋ねをいたしますが、この現在の鳥インフルエンザ発生によりますいろんな産業に対する影響をどういうふうに見ておられるのか、あるいは鶏肉でありますとか卵に対する影響というのは、消費減退というのはどのぐらい進んでいるのか、伺いたいと思います。
  25. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 私からは直接的な影響につきましてお答えしたいと思いますが、国内で鳥インフルエンザが発生して以降、全国的に鳥肉や卵の価格や売上げに影響が出てきているという認識を持っております。  具体的に、一例、二例、三例を申し上げますと、一つはまず鳥肉でございますが、インフルエンザ発生前と比較して、国内におきまして約三割程度価格が低下しております。卵につきましては、特に近畿で七%程度低下しております。それから、売上げでございますが、鳥肉につきましては東京、大阪で対前年比二、三割程度の減少。それから、卵につきましては、関西が特に影響が大きくて、売上げが対前年比三割程度減少というふうに承知しております。それから、外食産業につきましては、これは全国的に鳥肉、鶏卵を扱う焼き鳥店とか鳥料理店への売上げ等への影響が現在生じていると承知しております。
  26. 日出英輔

    日出英輔君 御案内のとおり、鶏卵は物価の王様でございます。自給率は九五%以上、一年に三百何十個一人当たり国民食べているということでありますし、鶏肉もまた庶民の大事な食材であります。  これに対しまして、この鳥インフルエンザが発生した農場、あるいは最大限三十キロ圏内にある農場、さらにはそのほかの養鶏の方々、どんどん実は風評被害が広がっているという現状にあります。これに対して、蔓延防止を含め、救済措置も含めて、大変素早い対策の取りまとめが行われていることについて私は大変敬意を表するわけであります。  自民党では、鳥インフルエンザ対策本部の対策取りまとめを三月十日に行っておりますし、また、これに対する関係閣僚会合の申合せも十六日、行われているわけでありますが、ただ、私はちょっとこの総合的な、あるいは緊急対策の中で少しやはりはっきりしていない部分があるんではないかというふうに思っております。それは、この養鶏事業者とか関連事業対策の内容でありますが、やや具体性を欠くんではないかというふうに思っておるわけであります。  今、新聞報道等によりますと、ある程度この辺についての具体的な検討を進めておられるやに聞いているわけでありますが、今、この辺についての検討状況について伺いたいというふうに思います。
  27. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) お答えします。  具体的な状況でございますが、まず、今まで移動制限区域内の農家に対して手当てしておりました家畜疾病経営維持資金というのがあるわけでございますが、それを拡充いたしまして移動制限区域外の養鶏農家も利用可能な資金メニューといたしまして、経営維持資金を新たに追加いたしましたのと同時に、償還期間の延長、それから貸付手続の簡素化の措置も講じております。それから、移動制限区域内の農家につきましても、この経営継続資金、それから新設いたしました経営維持資金につきまして、貸付限度額を飼養羽数に応じて百羽当たり四万円としてございますので、これを例えば二十万羽とすると八千万円という金額になりますので、規模に応じてかなり大きな額の借入れが可能になっていると私どもは認識しております。  それから、関連事業者対策につきましても、経済産業省にお願いいたしまして我々農林水産省としていろいろ調査をいたしまして、その調査結果に基づきまして、三月二十六日から食鳥処理加工業、それから鳥肉卸売業、鳥肉小売業及び卵卸売業の関連四業種につきましてセーフティーネット保証を発動するということが決まりました。あと、外食産業につきましては、現在セーフティーネット保証の発動に向けて影響調査の結果の取りまとめを行っているという、そういう段階でございます。
  28. 日出英輔

    日出英輔君 養鶏事業者に対する国の助成というのは今までほとんどなきに等しい、自力でここまでやってきた産業であります。そういう意味で、今、このインフルエンザ発生農家の対策というよりは、三十キロまで最大限広がりますが、その中での養鶏事業者、あるいは、さらにはそれを超えた事業者の方への影響というふうに広がっているわけであります。私は、是非この救済対策は、単なる救済対策ではなくて、日本国民の大事な食材であります鶏肉なり鶏卵に対する対策だという前提で素早い対策をやっていただきたいと思います。  今、副大臣お話しになりました家畜疾病経営維持資金の拡充の問題なども、実は金融機関に対してまだ十分に浸透されてないんではないかというような問題もあります。まだまだ、是非素早い対応をやっていただきたいというふうに思っております。  そこで、この今の鳥インフルエンザの問題でありますが、ゆゆしきことにといいますか、国民レベル、庶民レベルでいいますと、渡り鳥が死んだ、野鳥が死んだということで、地域ではかなりの問題になるわけであります。これは、東京でいきますと余り気が付きませんが、全国私も歩いておりますと、こういった問題が地方紙にどんどん大きなスペースで出てまいります。  この問題は、実は感染経路が分かっていないという問題とつながっていくわけでありますが、今回アジアで発生しておりますこのH5N1というタイプの鳥インフルエンザでありますが、これは各国で遺伝子の解析をし、この結果を比較をしますと、感染経路というのはしっかり分かってくるんではないかと思いますが、政府はどの程度これ承知をしているのか。特にこれ、もう一つは、死者が発生しておりますベトナムでありますとかタイでありますとか、こういったことについてはどうなのか。この点について厚生労働大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  29. 森英介

    ○副大臣(森英介君) 今委員からお尋ねのありました、各国でこの冬同時に鳥インフルエンザが発生いたしまして、韓国、ベトナム、日本、タイ、カンボジア、中国、ラオス、インドネシア、これいずれも今御指摘のあったとおり、H5N1型のウイルスでございます。特に、ベトナム及びタイにおいては、鳥から人への感染とそれから死亡者の発生も報告されております。  タイ及びベトナムで患者から採取されました鳥インフルエンザウイルスの遺伝子解析につきましては、国立感染症研究所も参加しているWHO国際研究機関ネットワークにおいて実施されておりますが、その遺伝子解析情報については、WHOが公表しておりますとおり、いまだ人に感染しやすいウイルスへの変異は認められてないということを聞いております。
  30. 日出英輔

    日出英輔君 この感染経路につきまして、例えば中国についてはこの大きなポイントになるんだろうと思いますが、この遺伝子解析についての結果は多分政府としては承知してないんだろうというふうに思いますし、いろいろ実は今この遺伝子分析の話は研究者同士のネットワークでやっていることが多いようでありますが、実は本当に研究者の方々だけのネットワークで済むんだろうかと。これだけ各国で、例えばタイでいいますと最大の産業であります鳥産業が壊滅に瀕するなどという議論がありました。国内でも、先ほど申し上げました日本では渡り鳥や野鳥の問題の、死骸の問題まで出てまいりました。  そのときに、今のこの遺伝子の解析結果の話につきまして、私はもう少しこの問題は大きな問題として、課題として取り扱われなければいけないんじゃないかというふうに思います。  それに関連しまして、実はこの間報道で、二十日ごろでございましたか、韓国のウイルス株との遺伝子比較をしたら、ほぼこれは日本で今発生しているウイルス株とほとんど同じである、ほぼ同じであると、こういう報道があったように思いますが、韓国は、昨年の多分十二月のたしか二十日過ぎにわあっと新聞等でも出ていましたけれども、蔓延しているという報道があったと思いますが、今、実は三月の二十日ごろになりましてこれが分かったというのは、ちょっと私はよく分からないんであります。  多分、この遺伝子分析、解析は多分一週間、数日ないし一週間ぐらいで分かるんだと思いますが、どうしてこんなふうに手間取ったんだろうか、その事情について竹本厚生労働務官に御答弁をいただきたいというふうに思います。
  31. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 委員御発言のように、昨年の十二月に韓国で鳥インフルエンザが発生しております。  そういうことで、こういった国の事例の発生がありますので、我が国としても、人のワクチン製造を念頭に置きまして、ウイルス株の保存を目的として本年一月に、韓国政府の了解の下に、韓国で発生いたしました鳥インフルエンザを国立感染症研究所が韓国側の研究所から入手をしておったところでございます。  ところで、このウイルスにつきましては、現在までに国立感染症研究所におきまして遺伝子解析を行いますとともに、人のワクチン製造用のウイルス株として保存しているところでございますが、このウイルス譲渡に関しましては、実は韓国政府との間の協議において、ウイルス情報の公開等は目的外使用として許可されていなかったところでございます。つまり、当感染症研究所が目的とした目的にだけ使ってください、そしてそれ以外の目的には使わないでほしい、したがって情報の公開もできないと、こういう制約があったわけでございます。  このため、鳥と鳥との間の感染経路を明らかにするために、鳥インフルエンザに感染いたしました日本の鳥と韓国の鳥との間でウイルスが同じかどうか、当然関心のあるところでございますので、こういった遺伝子比較につきまして、どうしたかといいますと、別途農林水産省及び動物衛生研究所の方から正式に韓国側に新たな働き掛けを行いまして、韓国側の了解を得られた上で、そういった目的に使いますので御協力願いたいということで、動物衛生研究所が遺伝子比較を行い、そして先般お話がありましたように公表をいたされたというところでございます。
  32. 日出英輔

    日出英輔君 それではちょっと、農水副大臣にちょっと伺いますが、今の竹本政務官のお話でありましたが、私の理解では、感染症研究所での分析結果でこのたび公表したのではなくて、動物衛生研究所の研究結果で発表したというふうに今伺ったように思いましたが、ここは、そうしますと、どこの、どこかで、今お話のように二月ごろでしょうか三月になりますか、その動物衛生研究所の方から韓国政府なりなんなりの方に要請をしたということなんでしょうか。ちょっと経緯を。
  33. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) いきさつにつきましては、今厚生労働省の方から御答弁ございましたように、最初はこの国立感染症研究所が入手しておりましたウイルスを活用できるのではないかと考えておったんですが、厳しい条件が付されているということが判明いたしましたので、改めて農林水産省と動物衛生研究所が韓国側にお願いをしてデータの提供を求めたと、そういう経緯でございます。
  34. 日出英輔

    日出英輔君 何か、今のお話でも、韓国政府自身が公表について慎重な態度を取っていた、あるいは制限していたというふうに聞こえるんであります。新聞等でもそういう報道がされているわけでありますが、やっぱり、この韓国のウイルス株との比較においてようやくこの感染者が報告されていない韓国ウイルスと一致したということは、やっぱりある種の安心感を与えるというふうに私は思います。これは、私は病理の方について余り詳しくはありませんが、多分、死者が出た、出ましたベトナムでありますとかそういったところと違うということとの関連で、大変大事な実は国民に対する情報ではなかったかというふうに思います。  それが、実は韓国では十二月中に発生をしている、日本では一月の十二日から発生している。こういう中で、三月の二十日ぐらいになりましてからこういう話が出てくるというのは、私は、何かもう少し、研究所、研究機関、各国の研究機関同士との連携あるいは行政と研究との連携、そういったことをもう少し密接にいたしませんと、せっかく昨年感染症予防法を改正をいたしまして、感染症対策をしっかりとしようということをやったわけでありますが、この動物由来の感染症で人間にうつりますよということになりますと、動物の方なのか人の話の方なのか、これは両省が相締結をして密接な連携を取ってやるということなんでしょうが、一工夫も二工夫もしなければいけないんではないかというふうに思います。是非、今回のこの話は、単なるどういうふうに入手したか、どういうふうに解析して発表したかではなくて、国民に対する情報の問題としてやっぱり大事なことではないだろうかというふうに思っております。  今、総理、ちょっとそういう少し細かい話を実は申し上げたんですが、この動物に由来します感染症対策を推進しますときに、結局、動物由来は、動物からくるのか、人の問題を考えるのか、こういう問題としてありますし、それから行政と研究の問題の、機関の連携という議論もございます。  それからさらに、国際的に同時発生をし、多発的に発生してきますので、この遺伝子の比較ということをしなければいけませんが、各国政府の思惑がどうもあるようだと。やっぱりその加害者として、自分がその加害者として、だったというのは嫌だろうと。これはそうだと思いますが、しかし感染症の場合には、お互いに皆被害国になる可能性もあるわけでありまして、私はこういった各国政府の思惑でありますとか、各国の中でもまた、研究者と行政官とのこの一体感の問題なんかもあるのかなというふうに思って、実は今回のこの問題について注目をしていたわけでございます。  そういう意味でいいますと、是非私は、この問題、感染症の問題はやっぱり研究機関に任せっ放しにするんではなくて、やはりあるときはやっぱり政府のトップ同士あるいは閣僚が話合いをするというようなことをしっかりやっていかないと進まないんではないかというふうに実は思っておるわけであります。  私は、そういう意味でいえば、今回の鳥インフルエンザに対する蔓延防止の対策についてはかなり的確にいっていると思うんですが、何か国民の安全、安心というところからしますと、やっぱり一工夫も二工夫もしないと、こういった問題が、物価の優等生であり、国民、庶民の食材である鶏卵、食肉の問題にまで響いてくることを私は大変心配をした次第でございます。そこで、実はこの辺のところについて一工夫をしていただきたいというのが私の一つの今日の質問の趣旨でございます。  それから、今の関係で、ちょっと感染症から離れましてちょっと伺いたいんでございますけれども、先ほどの韓国の政府機関がウイルス株についての遺伝子分析結果の公表について慎重であったと。これは別に韓国だけじゃなくて、中国もまだやっていないようでありますし、各国においてそういうような判断が働くことはあり得るとは思うんでありますが、ただ、そういうことはないと思いますが、邪推をすれば、研究所同士でのやり取りとかその他の中で、韓国に対する何か日本のこの希望日本政府の話が遠慮しながら言っている面があるんではないかということも心配といえば心配をするわけであります。  最近、やっぱり竹島の、竹島を主題とした切手の発行でありますとか、日本海の呼称に関する韓国側の態度の問題でありますとか等々、経済問題も交流問題もかなりうまくいっていると私は実は思っておるんでありますが、しかし、思っているんでありますけれども、何か対日感情が最近変化しているのではないかという、そういうようなことを憂えているわけであります。  ちょっと長話になって恐縮でありますが、私は平成十年に参議院議員にさせていただいて活動を始めたわけでありますが、平成十年の十月だったでしょうか、金大中大統領が来られまして国会で演説をされました。大変私は感銘を受けたわけでございます。過去を直視するという議論と、もう一つはやっぱり未来をちゃんと見据えて両国がやっていかなきゃいけないじゃないかということを言い、また、ちょっと原文で、私ここ一番感激したんですが、わずか五十年にも満たない不幸な歴史のために、千五百年にわたる交流と協力の歴史全体を無意味ならしめるということは実に愚かなことであります。またそれは、長久な交流の歴史を築いてきた両国の先祖に、そして将来の子供に対し恥ずかしく、かつ糾弾されるべきことではないでしょうかと。この部分については私は大変実は感銘を受けて聞いた一人でございます。  こういった非常に表側は、表面的にはうまくいっている仲でありますが、韓国の問題について、私は、政府としてこういったことについてどういうふうに考え、どういうふうに対応しておられるのか、外務大臣総理大臣のお考えを伺いたいと思います。
  35. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 韓国と日本関係というのは、これはこの地域にあって韓国は、例えば民主主義ですとか自由ですとか、そういった基本的な考え方を共有している重要な友好国であるというふうに考えております。両方ともアメリカと同盟関係を結んでいるという国でございます。そういった国と、共通の利益という言葉を使うのがいいのかどうかよく分かりませんが、ともに将来に向かって未来志向型の関係を築いていくことは重要であるというふうに考えています。  それで、国民レベルにつきましても、ここ数年間ずっと親しくなってきておりまして、特にワールドカップの共催、それから、ということをめぐって、特に若い人たちの間でお互いに対する関心、交流への熱意というものが生まれてきていると思います。  政府として、やはり韓国との間ではこういった大きな流れあるいは大きな共通の利益の追求、これを大事にしていきたい。また同時に、韓国との間では解決をしていかなければいけない個々の問題があるわけでございまして、これはきちんと解決をしなければいけないわけですけれども、それを、国民感情をあおるような、そういうことがない形で解決をしていくことが重要であると思っております。それをしながら両国の間で大きな未来志向の関係を築いていくということが基本的な考え方でございます。
  36. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務大臣の答弁ありましたように、日韓交流は進んでおり拡大しております。  過去の一時的な歴史の不幸な時期よりも長い友好の歴史が多いわけでありますので、こういう点に着目しながら、これからお互いの協力はもちろん、国際社会での協力の分野も広がってくると思います。  現に、日本と韓国はともにアメリカと同盟関係にあります。さらに、自由と民主主義とそして市場経済を重視するという共通の価値観も共有しております。また、ワールドカップにおいても日韓共同開催という、これは初めての出来事も大成功裏に終わりまして、私も昨年は盧武鉉大統領の大統領就任式に出席し会談する、また盧武鉉大統領も日本を訪問されまして、お互いの会談を経てますます交流を深めていこうということを確認し合い、現に金浦と羽田の直行便、つい最近開航されまして、これによってまたますますお互いの交流が増えていると。  かつては、日本と韓国の交流は年間一万人の日韓両国の国民が交流していたと。今や一日一万人、年間約二百万人以上の日本人が韓国を旅行している。韓国は百二十万人近くの方が日本に来られると。言わば、最もお互いの旅行者が多い両国間であります。最近では日本の文化も韓国で開放されていると。こういういい面の交流拡大、こういう点に目を向けて、お互い率直なこれからの友好協力関係を進めていくべきではないかなと思っております。
  37. 日出英輔

    日出英輔君 私も公務員時代から三十年近く韓国へよく行きまして、向こうの行政官あるいは研究者の方々とのいろんな話合いをずっとしてまいりました。余り私は嫌な思いをした覚えもございません。また、今総理がお話しのように、二百万人以上の方が韓国へ渡って、やっぱり歴史や文化や今の韓国の発展状況を見て、隣国としての実感をしっかり感じているんだろうと思います。そういう意味では、私は非常にうまくいっているんじゃないかと思いながらも、どこかで底流が少し非常に憂慮すべきことがあるのかなということもありましたので御質問をさせていただいたわけでございます。  トップレベル、政府のトップレベルでも大事だと思いますし、各省、外務大臣同士もあると思いますし、またいろんな段階での韓国との交流等を強めるように是非御配慮をいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。脇雅史君。
  39. 脇雅史

    ○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  構造改革に関連してお伺いをさせていただきます。  小泉総理、構造改革を旗印に本当にさっそうと登場されまして、これまでのしがらみを断ち切って変えるべきものは変えると、本当に強い決意と情熱を持って登場されたわけで、その意味で多くの国民がそれに期待をして支持をしたと。本当に過去に例を見ない、八割、九割という国民総理を支持した。すばらしいことだと思いますし、私もその御熱意に敬意を表するわけでありますが、問題はその後でございまして、いろんな分野で変えなければいけないと、私もそう思います。  問題は、各分野で何をどう変えるか、その手法と中身が大事なわけでありまして、本当にそれぞれの分野でいろんな方がいろんな価値観を持っていろんな思いでいるわけですから、既得権を守るなんという、そういうけちな根性で申し上げるわけではなくて、将来の日本にとって、日本国民にとって本当に良くなる改革は何かという目でみんな思っているわけですから、もう少し幅広い論議がなされ、あんまり幅広くやっていくと消えてしまうこともありますから、それは今のやり方の良さも私は認めないわけではないんですけれども、そういう感じを抱いております。その意味で、道路の問題についても私も若干申し上げたいことがあるんですが、余り時間がありませんから、今日はまずちょっと違う問題から入らせていただきます。  今、実は我が国、大変な問題が起こっているんです。これは、事件や事故ですとマスコミが積極的に取り上げますから、なるほど大変だというふうに皆さん分かるんです。今、建設産業、これどんどん壊れつつあるんです。壊れている。これは当たり前の話で、公共工事どんどん減らす。まあ半分ぐらいに減ってしまった。ただ減っただけじゃないんです。減れば当然過当競争が起こって、今ダンピング合戦、大変な騒ぎになっている。  現実を申し上げますと、正に悪貨が良貨を駆逐するというようなことが起こっている。建設産業をやられている方が、例えばおじいさんの代から一生懸命やってきた。おやじも頑張って、私も頑張って、一丁前の会社になった。世のため人のためと思って汗水流して頑張った。この仕事を子供に引き継ごうか。幸いなことに子供もちゃんと育っている。しかし、こんな思いは子供にさせたくないからやめようか。何人もの社長さんがそういうことを言っている。そういう状態になっている。そして、ひどい話は、社員の皆さんにだけは迷惑を掛けたくない、お掛けしたくない、だから自分は命を落としてでも保険金で払ってくれ。遺書を書いて亡くなる方もおられる。そんな状態になっているんですね。  これから各省の皆さん方にお聞きをしますけれども、どういうふうに現状を認識されているのかと。本当に厳しい。まあ全く分からないわけではもちろんなくて、それなりに御努力をいただいているわけでありますが、ここに問題がありまして、現行の法制度、あるいは建設業、公共事業の市場とよく言われますけれども、昨日総理がいないところでちょっとお話をしたんですが、非常に変な市場なんですね。本来の市場原理が働かない。  それをきちっと認識をしていないんじゃないかという思いがあって、役人の皆さん、行政府が一生懸命やってくれればやってくれるほど実は状況がひどくなるという、そういう傾向もあるんです。一生懸命やっていますからもちろん良くなっているところは私も認めますけれども、そんな傾向すらある。  だから、これは正に根本から今のありようを変えないと我が国の建設業は駄目になってしまう。私は、建設産業は、これ、斜陽産業にしてはいけない産業だと思うんです。人類がある限り、生活の基盤あるいは生産の基盤、これ、なくていいときないんです。建設業が、建設産業がいい仕事をしっかりできなかったら、地域の発展も県の発展も国の発展もない。だから、本当にいい仕事をしてくれるいい業者がしっかり残るように、それを国としてやらなければいけないと思うわけで、そういう意味で、総理、この分野も私は構造改革すべき分野だと思うんですが、是非総理の馬力でこの分野も取り上げるというふうに言っていただけると有り難いわけでありますが、御所見をお伺い申し上げます。
  40. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 建設業界が非常に厳しい状況だということは私もよく伺っております。今まで景気対策、公共事業、公共工事を積み上げてやってきた。小泉内閣になってからはそういうことをしないと、景気対策しないと、よく御批判を今まで受けてきたところでございます。予算も減らしてきていると、増やせと言っているのに何で減らすんだという、よく御批判をいただいているのも承知しております。  しかし、時代の大きな変わり目に来ていると。確かに、たばこ屋さんの数の二倍もある建設工事、これほど多く必要なのかという議論もあります。やはり業界再編という苦痛を伴うこともあるでしょう。今までの状況だったら、受注も少ない、仕事も少ない、やっていけない。やっぱり苦境を打開するためにはどうやって工夫をしていこうかと。非常に苦労されている状況もよく認識しております。  そういう中で、これからの新しい時代にどのような消費者に必要とされる建設業界になるかということについては、私は、業界自身がそれぞれ積極的に時代の転換に合った事業展開をされまして、困難な状況にあってもしっかりとやっていく基盤を作っていただきたいと。そういう点に関しましては、いろいろ事業者の中でも、新しい事業を展開されたり、あるいは今まで考えられなかったように、建設工事の方々が農業分野に進出するとか他分野に進出するところも出てきております。  自分の仕事に誇りを持つと同時に、この新しい時代に生き抜くということについて、やはり今までの方がいいんだという方はたくさんおられると思いますが、今までではもう済まないなという観点も持って意欲的に取り組んでいただきたい。その必要な対策、こういう点については、意欲のある方々に対して支援をする体制を国交省とも取っております。
  41. 脇雅史

    ○脇雅史君 お話しになられたことはかなり理解できます。しかし、一つだけ。  民間に任せるということは、業界に任せるということは必ずしも適切ではないんですね。公共事業の分野というのは、実は国がプレーヤーなんです。自分で出すんですね。自分がその競技に参加しているんです。だから、あんたたち頑張れよというわけにいかないんです。かつて四百三十兆円やる、六百三十兆円やる、だから業界しっかり対応しなさいよと言った責任もあるんです。だから、プレーヤーとしての責任がありますから、そのことをしっかり将来に向けて自ら、それではどれだけの仕事が将来要るんですということを、まあこれは先のことですからだれも明言はできないわけですけれども、業界と一緒になってやっていかなければいけない。もちろん、いろんな分野に多角的に取り組む努力も要るでしょう。しかし、国は、おまえらに任せればいいというふうに済む分野ではない。だから、この公共事業の分野というのは少し特殊なんですよということを私は申し上げている。  その辺のところがどうも理解が薄いものですから、しっかり考えてほしい。どうですか。
  42. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 建設業の現状と見通しについて、先生御指摘のとおりでありますけれども、建設業は、建設投資のピーク時の三分の二まで減少している中で倒産件数が三分の一を上回るという、全産業のですね、という厳しい経営状況にあるわけでありまして、このため既に大手ゼネコンでは生き残りを懸けて淘汰あるいは再編が進んでおります。公共投資が減少する中で、比較的依存度の高い地方の中小あるいは中堅建設業もこの淘汰、再編は避けられない状況というふうになっておるわけでございます。  こうした状況に踏まえて、得意分野の集中あるいは企業間の連携、そして新分野への進出等々、企業基盤の強化を図るための動きも見られているところでございます。国土交通省といたしましては、こうした取組支援するとともに、関係省庁と連携してバックアップをしてまいりますし、また不良不適格業者の排除の徹底を図りたい、このように思っております。あわせて、総合評価方式やVE方式など企業の持つ技術力を評価できる発注方式、工事成績の評定を入札契約へ反映する取組など、技術と経営に優れた企業が生き残り、伸びていける環境整備に努めてまいりたいと思っております。
  43. 脇雅史

    ○脇雅史君 国交省として一生懸命お取り組みになられているということはよく分かるんですけれども、やはり根底に公共事業というものを執行する立場、それがどうも少し最近、自覚が足りないと言っては失礼ですけれども、しっかりと理解されていない部分があるのではないかという気がするんですね。  つまり、公共事業というのは、我々国民がもっと便利になろう、もっと安全になろう、もっと快適に暮らせるようにしよう、みんなでお金を出し合ってでもそういうことをやりましょうという仕事なんですね。その公共事業をしっかりやらなかったら国際競争力も付かないんですね。基礎体力がなくて何で外国と伍して戦っていけるかと。そういう仕事をやるのが国交省であり、各県であるわけです。  ですから、その立場から見れば正に、業界と役所、行政と業界というのはどういう関係かといえば、公共事業をお互いに役割分担をして一緒にこなす仲間なんですね。そういう意味で、少し普通のあれとは違うんですね。役人が一生懸命計画作って予算取ってきても、それだけでは公共事業は進みません。ちゃんと仕事をしてくれる人がいなかったら我々の子供や孫の時代に立派な施設は残せない。だから、いい仕事をしてくれる会社がいないと困るんです。これは国のため、国民のために困る。業界のためだけではないんです。そのことを本当にしっかりと意識をする人が減ってきていて、何か建設業というのは悪いものだと。片手間なんかで仕事をしていればいい仕事ができるなんということにはならないんです。やっぱりいい仕事ができるいい業界をしっかり残す、そういう観点を役人の皆さん方に是非持っていただきたい、これはお願いをしておきます。  ところで、現況に対する認識という意味財務大臣からもお聞きをしたいんでありますが。
  44. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 財務大臣として特別なこういう考えを持っているというのはございませんけれども、これだけたくさんの雇用を抱えている業界ですから、恐らく身内にだれも建設業で働いている人間がいないなんというのはいないと思います。私の周りにもたくさんおりまして、いろんな話はよく聞いているわけですが。  一般論としては、先ほど総理からお話もありましたように、建設投資を大分抑えておりますから、そういう中で、たくさん雇用を抱えてたくさんの業者がいるわけですから過当競争の状況にあるという、非常にそれは苦労されている状況だろうと思います。そういう中で、やっぱり今委員がおっしゃっておりましたように、技術力のあるところ、経営のやはり力のあるところ、こういうのは残していかなければ、委員のおっしゃるようにこれからの日本のインフラ整備というのにも本当にお手上げの状況になってしまうんだろうと思います。  そういう再編を、やはり再編は不可避なんではないかと思いますが、そういうものをどういうふうにやっていくかということは工夫が、これはもう私の立場から余り申し上げることではありませんけれども、工夫が必要なんだろうと思っております。
  45. 脇雅史

    ○脇雅史君 財務大臣は非常によく御理解をいただいているように思いますが、よろしくお願いをいたします。  それでは、各県がやはり公共事業は進められているわけでありますが、その県における入札制度等を総括的に監督されておられます総務省の立場から、現状の認識をどう思っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  46. 山口俊一

    ○副大臣(山口俊一君) 私の方からもお答えをさしていただきますが、先ほど来、脇先生御指摘のとおりだろうというふうな認識を実は私どもも持っております。  単に建設業といっても、実は地方経済の中でも大変大きなウエートを占めておりまして、脇先生御出身の徳島、私も徳島なんですが、ああしたいわゆる過疎県といいますか、そういった中におきましては、もろにそういった状況が全体に響いてくるというふうなこともあるのは十分承知をいたしております。  地公体における在り方なんですけれども、これに関しましては、やはり地公体が契約をする場合には、どうしても公平性とかあるいは効率、すなわち機会均等等々というふうな観点から一般競争入札ということは原則ではありますが、しかし昨今の正に公共事業が激減する中で相当な過当競争もある。しかも、御指摘のように、いわゆる不適格業者というのも相当問題があるんじゃないかというふうな問題意識も私ども実は持っております。  もう御案内と思いますけれども、最低制限価格制度とか、あるいは低入札価格調査制度等もございます。あるいはまた、平成十一年からいわゆる技術力等で判断をする総合評価方式というふうなことも導入をされているところでありますが、そうした様々な方式がうまくこれ機能するように、そして先生御指摘のように、しっかりした業者がちゃんと立派な仕事ができるようにというふうなことで、機会があるごとに都道府県等に対しても御要請をしていきたいというふうに思っております。
  47. 脇雅史

    ○脇雅史君 ありがとうございました。  実は、ある県によっては、総理もお聞きいただきたいんですが、どうも最近建設業というのは、役人の皆さん方も一部の方でしょうけれども、悪者扱いして見る人が増えていまして、ある県で、これは実話なんですけれども、県知事さんが、県の出先をひっくるめてあらゆる部署に建設業は出入りしてはならないという命令を出したところもあるんです。ですから、地元の業者は、本当に仕事にならないって困っているんですね。そんなことまでが今起こりつつあるんだということは、総務省としてもしっかりと認識をして今後対応していただきたいとお願いを申し上げておきます。  それから、今現実に起こっていることは、仕事がないから大変な過当競争が起こっているんですね。過当競争があるからダンピングが起こる。ですから、私、公正取引委員会という役所がしっかりと、売手と買手、市場というもののバランスをしっかり見ていただく大事な役所ですから、そういう目で見ていただきたいと。これだけダンピングが起こっていれば過当競争はおかしいんじゃないかということを、少し取り締まるといいましょうか注意をするといいましょうか、いろんな措置が必要だと思うわけであります。  そしてまた、売手と買手という立場から見ると、実は公共事業、売手は建設業の側で買手が国や県なんですね。お金を出してダムや道路を買っているわけですから、これは完全な独占的買手市場なんですよ。だから、買手の言うことを聞かないと建設業はもうどうにもならないというわけで、一部不心得者がいて大変変なことも起こっている。そういうことも、やはり市場を適正に見ていくという立場から、公正取引委員会はしっかりと対応していただきたいと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  48. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) お答え申し上げます。  まず、採算を度外視したいわゆるダンピング受注、これは、先生を始め、もう今まで私どもいろんな方からそういう状態にあると、何とかしてくれという話をお聞きしております。  独禁法上は、採算を度外視したようなダンピング受注を繰り返すことによって、相手、競争相手の事業者の受注機会を奪うという場合にはこれは不当廉売ということになりまして、独占禁止法の違反ということになるわけでございまして、私どもは、個別具体的に、そういう情報に接した場合にはきちんといたしますということを従来から答弁してまいっているところでございます。  しかしながら、ある意味では不思議なことに、具体的な情報公正取引委員会に寄せられるということはございません。談合の情報は参りますけれども、こういうことで不当廉売が具体的に行って、行われているということは、よく耳にする割には情報としては具体的に入ってこないと、こういう状況でございました。そこで、公正取引委員会としては、私どもの方から出向きまして、国土交通省、それから各都道府県の御協力をお願いして、最低制限価格とか低入札価格調査制度に引っ掛かって調査をしたと、いわゆるダンピングのおそれがありそうなケース、これを出してくださいということで、昨年の暮れからお願いをしてまいっております。  今何件かの情報が参っておりますので、それを分析中でございますけれども、具体的にこれは文字どおり独禁法違反を問わなければならないというケースが出てまいりましたら、きちんとやらせていただきたいと思っております。
  49. 脇雅史

    ○脇雅史君 是非とも、しっかりと対応をお願いをしたいと思います。  それから、今我が国の法制度が少し不備なのではないかということを申し上げたわけですけれども、今の公共事業の調達、公共事業の入札契約制度というのが、これの原点は会計法なんですね。会計法の二十九条というところにずっとるる書いてあるわけでございますが、この精神がどうもこの今の状況になじまないのではないか。これ、昭和三十六年にたしか制定を、改正で制定をされたはずでありますから、実に四十三年たっているわけですから、少し時代の流れにやはりそぐわない、ですから改革すべきだと私は申し上げるわけでありますが。  当時の状況は、公共事業は元々直営でやっていたんですね、建設省が、直営で自ら人夫を雇ってやっていた。それを請負に転換をしようということで始まっていったわけですね、請負工事というのは。ですから、しっかりと建設業者は発注官庁が監督をしながら仕事をするという実態があった中での、私、当時作った法律で、やはり法律というのはその都度最善なものを作っていきますからそれはそれで正しかったと思いますが、今のこれだけいろんな会社がある中で、本当にいいのかなという気がするんです。  どういうことかといいますと、簡単に申し上げると、これ売買、売買と同じ原理になっているんですね。例えば、競売しますと。私が国だとして、この時計を売りたいと。私が一番もうかるように売りたいと思えば、皆さん、この時計買ってくれる人、手を挙げてくださいと、こう言いまして、一番高く言ってくれた人に売れば、私、一番得するんですね。そのときに、できるだけ多くの人に参加してもらった方が私がもうかる確率が増えるんで、間違いなく、多くの人に参加してもらって、その中の一番高値と契約しましょうというのが正しいんですね。これ、全く正しいと。これが会計法の原点。売る場合はどうかと。今度は、この時計持っている人来て、寄ってきてくださいと言って、私に売ってくださいと。一番高く買ったら損しちゃうから、一番安い値段で売ってくれる人を探すと。そのときも、やはり一人でも多くの人に来てもらったら私がもうかる可能性が強いから、これも正しいと。だから、売買は正しいんですね。売買、請負と来ているんです。  さて、請負工事のときにどうしているかと。こういう工事がありますよと、やれる人、手を挙げてくださいと、こう言うわけですよ。そうすると、できるだけ多くの人に集めて来てもらって、その中で一番安い値段と契約したら国は得することに会計法という法律はなっているわけです。ところが、本当ですかと。本当に、一円でも安いところと契約したら国は得するんですかと。時計であれば間違いなく得するんですよ。請負契約はそうはいかない。これから仕事するんですから、腕の悪いやつや持ち逃げするやつと契約したらえらいことになっちゃう。そうなっちゃいけないから、やはり法律もいろいろ定めがあって、入札に参加できる資格とか様々な要件を備えていますが、これが十分とは言えない。  私は、医者と一緒だと言っているんですね。病気になります。私、病気になる。指切ったぐらいだったら、そこら辺、何でもいいから安い医者でもいいんですが、もし大変な病気になったらどうしようと。これは、その道のお医者さんをいろいろ探してきて、まあ来てもらうわけにはいきませんが、調べて、そしていろいろ見て、一番信頼できる、いい治療をしてくれるお医者さんを探すはずなんですね。あなた頼みますよと言うはずなんです。まさか一番安い人にお願いしますとか、いや、くじ引で決めましょうなんて言うはずがないんです。その場合には、お金は何ぼ掛かってもいいよとすら言うんです。大事なものであればあるほどに、そういう選択を人間はするんですね、国といえども、国家といえども。  何で会計法がそうなっているか。この精神は、実は非常に大きいんです。憲法なんですから、この入札契約制度の。どこまで行っても、さっき国交省がいろんな工夫を言われましたけれども、どこまで行っても最後は一番安いところと契約するんですよということになっている。それはもう建前論としてどこまででも通用しちゃうんですね、しかも言わば憲法としてあるわけですから。  よく新聞なんか見ていますと、どういうことを書いているかというと、法律にこう書いてあるのに何でそうしないんだと、悪いことをしているんじゃないかと書くわけですよ。私に言わせれば、法律の規定そのものが不備なんだから、不備な法律に現実を合わせる方がよほどおかしいと思うんです。国の損失になると思う。  だから、本当の意味でいい仕事をしてくれる人をきちっと選ぶ。これは本来どの消費者もするんですよ、自分がお金を使う立場であれば。責任を、使う立場であれば、この人に頼むのが今一番いいんだと。そのだれかを特定に決めることはもう悪いことのように今、日本ではなっているんですね。癒着だということ。癒着は確かに悪いですよ。しかし、癒着が起こるから一切接触しないなんていう話をしたら、これは完全に間違う。  実は、アメリカの最近の公共調達の改正の事例を見ていると、やはり仕事をした人のパフォーマンス見ているんです。どういう仕事をするんだろうかとしっかり評価をする。評価をして、もし良かったら次頼もう、悪かったら遠慮してもらう。それをしない限り、いい業者は育たないんですね。当たり前の話なんです。  そういう意味で、私は、財務大臣は昨日予定価の話もいたしましたけれども、あわせて、少しこの精神を変えた方が国にとって良くなるのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  50. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 昨日、予定価の問題で議論させていただきまして、乏しい財政の中で血税をもってやるんだからきちっと規律がなきゃいかぬということは申し上げたわけです。  それで、昨日来の委員の御議論を伺っておりまして、通常の、何というんでしょうか、市場に任せれば済むというようなものとはちょっと性格が違うんじゃないかという問題提起をされまして、国も一つのプレーヤーであるという御主張もございました。  私は、確かに一般の市場に任せれば長い間には市場でいい解が出てくるというようなものと少し違うところがありますから、それだけに、何というんでしょうか、法のルールというものがやっぱりなきゃいけないし、その法のルールが本当に現実に即して現実をより良く生かしていくものなのかどうかというのは不断に検討しなきゃならないと、多分そういう御主張だと思うんで、その精神は私は確かにそうだと思います。  ただ、今現状のもう一番会計法の二十九条辺りよく御承知の委員に申し上げるのはちょっと釈迦に説法で、内心じくじたるものがあるんですが、原則は委員のおっしゃるように自動落札方式といいますか、一番安いところ、安くで入札をした者に入れるということになっているのは事実でありますけれども、そのほかに総合評価落札方式というのも定められておりまして、これは二十九条の六の二項に書いてあるものですが、一番安いところから取るというものによってはより難い契約については、価格及びその他の条件が国にとって最も有利なものをもって申込みをした者を契約の相手方とすることができるということがございますし、それから委員が先ほどおっしゃっている請負、特に請負契約などについては低入札価格調査制度というのを設けて、一番安いものを排除する仕組みもできているということでございまして、その中で、現行法ではその中で最善の工夫をしていただくということになると思いますが、なお何が問題かについては、またいろいろ御議論を賜ればと思っております。
  51. 脇雅史

    ○脇雅史君 ありがとうございました。  現行法上で本当に多くの苦労をされて、様々な制度を検討されていることは私もこれは十分に感謝を申し上げるんですが、元が悪いと言っているわけなんでね。  総理、何が問題かというと、これは本質的に競争が大事だと言っているんですけれども、日本の会計法で言っている競争というのは価格だけなんです。だれがやっても同じものができますよと、造らせてみせるという精神でできているんです、請負契約は。  ところが、どこのどんな産業の分野でも、競争が大事だといったときに、価格だけで競争するところがありますか。品質、性能併せて競争するんですよ。価格だけなんかで競争するから変なことが起こる。  だから、今の日本では、資格審査さえ通れば、安くさえ入れれば取れちゃうんですよ。だから、本当に真面目にやる人が取れない、そういうモラルの破壊が起こるんです。いい仕事をするか、いいものを作ってくるか、技術力はどうか、そういう部分の競争を併せ持たなかったら、これは本質的におかしいと思うんです。  私はそれを申し上げているわけで、総理、御見解どうでしょうか。
  52. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、建設業界の実情は脇議員のように専門でありませんので、よく実情は承知しておりませんが、価格だけじゃないということは当然なんで、質がなきゃ駄目だと。そして、一社じゃなくて、競争がなきゃうまくいかない。私は当然だと思います、価格じゃないということは。
  53. 脇雅史

    ○脇雅史君 当然そうおっしゃっていただけると私も思ったわけでありますが、おかしいんですね。どう考えたって、まともに考えたらそんなことおかしいじゃないかと、改革してみせると、こうなるはずなんです、というふうに今後、政府各部内で御検討を賜るように心からお願いを申し上げるわけであります。  そこで、最後に、道路公団の問題について、道路公団といいましょうか、公団の関連、四公団の民営化のことで申し上げたいんですが、私は、結論から申し上げればそんな変なことにはなっていないと、私の主義、信条、主張からしても、そう思います。結果としては、そんなにおかしくはない。  しかし、その過程でなされた様々な議論には、相当変な議論だなと思ったことがございます。最近の新聞論調を見ていますと、民営化法案ができ上がってきたころに、道路は大事だと、道路というものは極めて公共的に大事な仕事であると、その大事な仕事に政治家や行政が口出しできないようにすべきだと、そう書いてあるんですね。感心というか、変なこと言う人がいるもんだと思うんですが。だから、それは市場原理でやらなくちゃ駄目なんだと、こうおっしゃるんですが、こういう論理には到底くみすることができない。  何で国民がお金を出して、税金を使って行政という組織を作っているんだ。何で選挙までしてわざわざお金掛けて人を選んで、国会議員も選んでいるんだ。そういう人間、正に公的な部分、市場原理に任せてはいけない部分を国民に代わって判断をし、行動していくために選んでいるわけですから、そういう意味では、正に行政や国会が、日本の正に最も根幹的な公共施設である道路をどうやって整備していくのかとこれは当然考えるべきで、逆に言えば、そこまで政治家や行政が国民の皆さんに不信の思いで見られているという、私極めて残念なんですが。私自身も振り返って反省しなければいけない点があるかもしれません。  それはしかし、あらゆる個人が反省すべき点がないなんという個人はいないわけでありますから、まあしっかりと過去を振り返ればいいんでしょうけれども、それはそれとして、悪かったら悪い行政を良くしなければいけない、悪い政治は良くしなければいけないんであって、それを市場原理で取って代えようなんというのは、これは国を滅ぼす議論ではないかと私は思うわけですし、そして、もう一つ申し上げておけば、道路というのは、なるほど道路公団が有料道路制度を使って国幹道を整備してきましたけれども、あれは単なる手法なんですね。で、有料道路もひっくるめて、元々有料であるかどうかは、民主党もいろんなことを言っていますけれども、無料にする手だってあるんです。それはいろんな問題がありますよ。だけれども、道路そのものをどうやって整備をしていくのかということの、一部を有料制度を使うことが有利であったから日本という国は道路公団というものを使ってやらせたにすぎない。ですから、全体の道路をどう発想すべきかということがない限り、一部切り出して道路公団だけ始末すれば世の中がうまくいくなんというはずはないんです。  ですから、そういう意味で、その一連の道路をめぐる議論の中で、極めて真っ当な議論が欠けていたのではないかという私は思いがしていまして、もうほとんど決着は付き掛けて、この国会で法案も出ているわけでありますが、その辺について総理の御見解を最後にお聞きをして、終わらせていただきます。
  54. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今国会に提案しております道路公団民営化の法案、改革、私は画期的だと思います。多くの方の意見、基本的に全部尊重しています。  まず、四十兆円の債務、これを確実に返済すること、四十五年、これをはっきりとうたっている。そして、今まで道路公団の通行料金は過去値上げしてきました。これを引き下げると、これも尊重しています。なおかつ、道路公団、競争原理も働かせるように分割しろ、これも尊重しています。そして、コスト削減、これも実施しております。そして、必要な道路をいかに国民の負担を少なくして造るか、これも実現しています。ほとんど基本的に尊重しているんです。  批判する方は、全部無料にする立場から批判すること。民営化というのは賛成だけれども、民営化のためには必要な道路まで造らない方が民営化としていい会社だと、もうけられる、そういう形で批判される。考えが根本的に違いますから。  今回の民営化案は、私は画期的ないい改革案だと思っています。
  55. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で松田岩夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  56. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、木俣佳丈君の質疑を行います。木俣佳丈君。
  57. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 おはようございます。民主党・新緑風会、木俣佳丈でございます。しばしの間、お手合わせをよろしくお願い申し上げます。  まず、一番初めに、今日は外交・防衛の集中審議ということでありまして、北朝鮮問題、さらにはイラク派遣問題、核疑惑の問題にわたって質疑をさせていただくわけでありますけれども、実は、私がずっと手塩に掛けてというか、考えてきたものに、平和づくりというのをいかにこの日本から発信できるかどうかというものがございます。  やはりこの日本というのは、憲法に代表されますように、平和の使者として非常にいい働きをこれからもっともっとしなければいけない、正にそういう観点で国際場裏で頑張らなければいけない、こういう意味で、私なりにこの六年間も議員活動を続けさせていただいたつもりでございます。  そういう一環として、ちょうど来年のあさって、三月の二十五日から愛知県、私の地元でありますけれども、愛・地球博が開催されます。ここで実は、来年のことではございますけれども、七月に平和づくりのイベントというものを大々的にやっていく予定でございまして、やはり今、新しい、戦争も新しいような形になりました。そしてまた、日本の中に、平和な日本の中にも実はテロリストが入り込んでいたり、つまりは、一国全体が何もないから平和だというそういう状況から随分変わっている。  そういうことで、このイベントの中で、つまりは日本から発信した平和づくりというものを頑張ってやっていきたいと思いますので、是非総理にも積極的に、これは与野党を超えて御支援いただきますようにお願いしたいんですが。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 愛知県における愛・地球博、万国博覧会、いよいよ一年後に控えて、関係者が連日この大会を成功させようと御努力されていることに敬意を表しております。  木俣議員、御地元だということで、これは党派を超えた国民的な行事、さらには、世界の多くの国が出展、参加されますし、これは世界的な行事だと思っております。大阪万博のときには七十数か国が参加して大盛会に終わったわけですが、今回は既にもう百か国以上の国が参加表明されております。  自然の英知、自然との共生、そして、愛知県自身の取組のみならず、国民的な、いい万博にしようということで、もう各界各層の方々が今いろんな知恵を絞っていただいている、こういう点につきまして政府としてもできるだけの支援をしていきたいし、それぞれの取組の中で、せっかく今二〇一〇年に外国人旅行者を五百万から一千万人に倍増しているという計画を立てているんだと、ただ愛知万博だけ見て帰ってもらうのはこれは惜しいじゃないか、せっかく愛知万博に遠い国から来ていただくんだったらば日本の各地も回っていただこうという点につきましても、いろんな、旅行業界のみならず、いろんな方々にそういう視点も大事ではないかということで取組をお願いしております。  既に予約券も発売されておりまして、私も買いましたけれども、八百万の売り込みのうち既に五百万も超えてもう売上げが出ているというように聞いております。順調な滑り出しでございますが、あと一年、この愛・地球博が成功するようにお互い党を超えて頑張っていきたいと思いますので、よろしく御協力お願いしたいと思います。
  59. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 与野党超えて是非努力をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  ここまでは一致するわけでありますけれども、この平和な静かな日本の中で、大変な問題が、継続的に犯罪行為が行われている。これは、例えば北朝鮮の拉致の問題又は国内に潜伏する工作員の問題、数多くあるわけであります。拉致の問題については、私も二十歳のころからたまたまこの韓国関係やらせていただいておりまして、横田めぐみさんとは実はほとんど年が一緒ということもありまして、非常に遺憾な思いでこの問題を考えてまいりました。  総理が訪朝されてからもう一年半が過ぎておるわけでありますけれども、本当になかなかこれがうまく一向にいかない。さらには、五人が、五人の被害者の方々が帰られて一年半も家族と離れ離れという大変なこの今事態になっているわけであります。  先般、つまり去年の暮れに、韓国から元北朝鮮の工作員の安明進さん、この方は横田めぐみさんは生きているんだということでこの拉致問題がかなり動いた方でありますけれども、この方を韓国から名古屋に呼びまして、お招きしまして話をさせていただきました。その際に安明進さんが言われたのは、横田めぐみさんは一〇〇%生きていると、こういう証言をされました、今です、されました。これについて、総理、どのようにお考えになりますでしょうか。
  60. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今まで拉致の問題について北朝鮮から得ている情報、これはもう非常に乏しいことで、ものでございます。  それで、政府といたしましては、今まで外国の政府、他の外国政府ですね、それから拉致の脱北者の方々、拉致というのは取り消しますが、脱北者の方々、これから、これらの方々から情報を取る努力をずうっと続けてきておりますけれども、この問題の解明につながる情報というのはまだ得ていないということでございます。したがいまして、安明進氏の言われることが事実かどうかということについては今の段階でははっきり確認をすることはできない状況であります。  いずれにいたしましても、政府としてはこの解明に向けて全力を尽くす所存でございます。
  61. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私は、昨日今日質問を外務省に投げておりません。もう一週間以上前に、つまり、こういう情報があるんだ、これについて国会で答弁をしていただくんだという、委員長、指示をしながら今日を待ちました。  それでは、この証言についての、この真否ですね、真相についてはどのような調査をされましたでしょうか。外務大臣、どうぞ。外務大臣に、だから。外務大臣是非
  62. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) まあまあ、まず聞いてから。
  63. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  今大臣の方からも御説明ございましたけれども、政府としましては、この拉致問題に関する真相究明、これをこれまでも北朝鮮側に対しましては機会あるごとに強く求めてきておるわけでございます。実際に調査団の派遣の機会、あるいはその国交正常化交渉の機会等々の場におきましても真相究明を強く先方に対して要求してきておりますし、また質問事項も提出しておるわけでございますけれども、私ども、残念ながら現時点で先方、北朝鮮側から得ている回答、これは極めて不十分なものであるというふうに認識せざるを得ないものでございます。  また、いろいろな国々、それからまた脱北者も通じまして情報収集、これは実際やっておるわけでございますけれども、残念ながらこの拉致の事案の解決にこれは直接結び付くんだということを私どもは自信を持って断定できるような有力な情報というのは今日まで得られていないというのが実態でございます。  ただ、いずれにしましても、私どもは横田めぐみさんは必ず生きているというふうに信じて対応してまいりますし、今後ともそういうことで、安否の確認も含めて、北朝鮮側に対しては機会あるごとにその全体の真相究明ということと併せて要求していくと、こういうことには全く変わりございません。
  64. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、そうではなくて、要するに私が、横田めぐみさんは生きているということを安明進さんから直接聞いたんですね。ですから、そのことについて要は調査をしたかどうかということを私は聞いているんであって、していないという、できないという答えを事前にいただいていますよ。だけれども、できないということではなくて、電話だってできるわけですから、なぜそれを外務大臣はされなかったか私はちょっと伺いたいですし、それについて総理はどういう感想をお持ちでしょうか。いや、外務大臣にやはり伺いたい。
  65. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、この事実解明というのは重要なことでございます。ございますので、脱北者や外国の政府や様々なソースから情報を集めております。  それで、先ほど私が申しましたように、今の段階でこの事実が確認をできる、おっしゃった事実が確認できるような情報には接していないということでして、具体的にどういう人にこれを聞いたかということについては、これは一つ一つ申し上げないという方針を取っておりますので、だれに聞いたか、だれから情報を集めたかということは申し上げることは控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、結論的には、今の段階でおっしゃったような事実関係を確認するような、確認できていない、政府としてはできていないと、そういう、残念ながらそういうことでございます。
  66. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、総理の感想をちょっと、取りあえず。
  67. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 川口大臣の答弁のとおりであります。
  68. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 一つ一つ申し上げられないということでありますけれども、確認できていないということだもんですから、確認できているかどうかを考えた、じゃ言っていただけますか。確認できない、できていないということだもんですから、確認できたかどうかは、それは言えるんじゃないですか、今。
  69. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本語の問題で行き違いがあるのかもしれませんけれども、そういう、横田めぐみさんが生存をしていらっしゃるという事実を確認できていないということを申し上げているわけでございます。大変に残念だということでございます。
  70. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いえいえ、違います。  いや、もちろんこの場で、又はオープンな場で、公開の場ですべての情報をしゃべってほしい、いや、しゃべることがいい、すべてがいいことだとは思いませんよ。しかしながら、例えばこちらから情報提供をさせていただいた、そしてそれについて例えばこれはまあコンフィデンシャルに、マル秘にしてくださいよ、ただ、こういうことを彼は言っていましたということを例えば内々、守秘義務も例えばこれはありますよといいながら、例えば返してくるというのが私は非常に誠実な姿ではないかと思うし、そういった一つ一つのやはり在り方が私はこの拉致の問題、これは国家主権の侵害なんです。本当にこれは、日本でなくアメリカであればこれは何としても取り返しに、取り返しに行く問題なんです。これをしてなかった、二十五年、四半世紀してなかった。  ですから、これを私は何としても、先ほどの万博の話じゃありませんけれども、与野党超えてやらなきゃいけないと思うから私は情報提供しておるのにもかかわらず、全くそれはナシのつぶてであるというのが非常に遺憾であるということを言いたいと思います。  さて、この拉致のこの被害の問題の完全な解決というのは、総理、どういったものを言うんでしょうか、完全な解決というのは。これで完全な解決をしたというのは。──いやいや、総理に、総理に、総理に、だから。
  71. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  これはずっと政府としていろいろな機会に申し上げておりますけれども、帰国された五人の方、この五人の方の北朝鮮に残っている御家族の方、この方々が無条件で帰国をするということが一つでございます。それとともに、安否の分からない方々もいらっしゃるわけでございまして、その方々についての事実の解明、これが重要であるというふうに考えております。  引き続き北朝鮮の誠実な対応を求めていく考えでおります。
  72. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 総理
  73. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務大臣の答弁のとおりであります。
  74. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、僕は総理に伺いたいのは、総理が常々、この拉致の問題は日朝間にかかわる最大の懸案の一つであると、これの解決なしには国交正常化は絶対ないというふうに明言されておりますですよね。であるならば、御自分の、やはり国のトップの方でありますので、総理のお気持ちも含めて、この完全解決とは何か、もう一度是非答えてください。
  75. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう何回も今までの委員会でも答弁しておりますが、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題、包括的に解決する、これが日本の基本方針であります。
  76. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 残念ながら、情熱がちょっと伝わらないという気持ちが私は率直にいたします。  石破大臣に伺いたいわけでございますが、まだ大臣就任前のことでございますが、二〇〇二年の七月の二十五日に、国会の、衆議院の方の安全保障委員会の中で、参考人質疑の中で、これは、拉致はテロだという政府のこの認識はあるが、しかし、この国は国家の体をなしてないと、そのことをよく私どもは認識していかなければならないし、これを変えていかなければこの国の将来はないということを言っております。さらに、拉致の問題はテロと一体であるとも答えております。  さらに、この中の参考人の西岡氏によれば、七六年に金正日が工作員の現地化についての命令を直接出しているという証言があるのでこれは国家ぐるみのテロであるということを述べておるわけでございますが、拉致は国家ぐるみのテロではないでしょうか。今はもう変わりましたですか、御意見は。
  77. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、それは私が大臣になります前の衆議院における参考人質疑の際に私が質問で申し述べたことでございます。  私はそこで、拉致はテロと一体であるという言い方をいたしました。それは、例えば、蜂谷真由美こと金賢姫が大韓航空機を爆破した、で、金賢姫の手記によれば、私には日本語の先生がいたと、李恩恵という人で故国に残した子供を思って泣いておったというのがあって、それは田口八重子さんであるということになるとするならば、それは、拉致は何のために行うかというと、単なる人さらいではなくて、大韓航空機爆破事件という、これは明らかな国家テロとも言うべきものであろうと、とするならば、その拉致というものとテロというものが一つのセットとなっているのではないだろうかということを私は参考人質疑で質問をいたしたわけであります。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  それは、拉致そのものの行為が恐怖の連鎖によって社会体制に著しい変革をもたらそうとすることを企図するものということだとするならば、じゃ、次はだれが拉致されるんだろうという恐怖心をみんなが持つということが必要になるはずなんで、そうすると、テロの厳密な定義には当てはまらない場合がある。しかしながら、この日本人拉致問題というのは、でもテロという、大韓航空機爆破事件もそうですが、それの一つの手段として行われたとするならば、これは一体として評価をすべきものではないかということを当時申し上げました。その認識は私は現在も変わりません。
  78. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、そのとおりだと思います。それで十分です。  となると、大韓航空機の爆破、このテロ国家ぐるみの金正日の指令に基づくものですよね。それをちょっと確認したいんですが。
  79. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのことにつきまして私が確定的なお答えをする立場にはございません。それは、韓国当局によっていろいろな捜査が進められておる。したがって、金賢姫という容疑者に対して、彼女、今元死刑囚ということになっておりますが、他国の司法機関が判断をすることにつきまして、日本国務大臣として確たるお答えをする立場にはございません。
  80. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、これはおかしいですね。金賢姫は証言をしていますよね、していますよね。金賢姫さんは金正日の指令の下に爆破テロを行ったとしていますよね。それは確認できますか。
  81. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 彼女が韓国の法廷でどのように述べたか詳細に存じませんが、今、木俣委員が御指摘のような、そのような証言といいますか、被告の陳述といいますか、そのようなことをしたということは承知をいたしております。
  82. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ということは、石破大臣のその御答弁のまま、そのまま受け取れば、大韓航空機テロ、これは国家ぐるみのテロであったと。つまりは、そしてその表裏一体の拉致の問題も国家ぐるみのテロということになりますね。  総理国家ぐるみのテロということで拉致はよろしゅうございますか。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロとは何ぞやという、法的に説明しろという場合には、私は法律家ではありませんからはっきり申し上げられませんが、テロ、これは許されざる行為だと思っております。
  84. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 恐らく、いや、テロの定義を内閣総理大臣に伺うつもりはございません。つまりは、石破長官が今言われたその文脈、コンテクストの中では、つまりは大韓航空機爆破、これはテロ、そして国家ぐるみのものである、金正日の指令の下にやった、そしてこの爆破のテロとそしてこの拉致の問題が一体だということもおっしゃった。つまりは、これは全部一緒であって、つまり国家ぐるみでこの犯罪行為をやったということになるのじゃないですかと私は伺ったんです。そうじゃないんですか。そういうコンテクストであればそうじゃありませんか。
  85. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、大韓航空機と拉致が一体であるかどうか、これは分かりません、日本国として。しかし、拉致したというのは金正日氏がこれを認めて謝罪したわけでありますので、これは向こうがちゃんと関与していたということを認めたということでありますので、こういうことは断じて許されない行為だと思っております。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
  86. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ちょっと答弁の不一致があると思います。つまりは、いやいや、防衛庁長官は爆破のこのテロは金正日、そして単に拉致は、拉致、人さらいだけではないと言いましたよね。つまりは、日本人教育をする、そしてそれは金賢姫さんもこれは答えているわけです、李恩恵が教師であったということは答えている。ということであれば、全部つながるんじゃないでしょうか。
  87. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 大韓航空機事件あるいはラングーン事件というようなものがありました。そのことについて、金正日総書記というのか軍事委員長というのか、それが自らやったということはまだ言っておりません。ただ、いろいろな状況から考えてみるときに、少なくとも拉致の問題というものは、北朝鮮の工作員の日本人化ということが行われた、その家庭教師というんでしょうかね、そういうものとして使われたということがあるだろうということでございます。  先生仰せのように、大韓航空機爆破事件をやりましたということを北朝鮮が言ったということは、私はまだ寡聞にして存じません。  しかしながら、日本人をなぜ拉致していったかといえば、それはやはり工作員ということだったのでしょう。蜂谷真由美、金賢姫の場合には、そのことを詳細に彼女が述べておるわけでございまして、そのことについて北朝鮮が認めたかどうかというのは、これはまた別の問題でございます。  しかし、今まで私どもが考えてみますときに、拉致問題はなぜ許されざるものであるかということは、国家の主権ということが脅かされた、侵されたということと同時に、それだけではなくて、日本国だけの問題ではなくて、それは多くの国にテロ、あるいはテロというものに基づくがところの核兵器あるいはミサイルの拡散、そういうものを最も国際社会が恐れなければいけないからなのだということだと思っております。そのことが大韓航空機あるいはラングーン事件と直接結び付けるということを今申し上げるだけの、それだけの確証というものを私は持っていないということでございます。
  88. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 まあキャビネットに入られると大分意見が違うなという感想であります。  さらに、先ほどの〇二年の七月のこの意見の中で、〇一年の暮れの東、二〇〇一年の暮れの東シナ海での銃撃戦があったと。大臣が、石破大臣が、あれが北の工作船であることがはっきりすれば制裁措置を考えるべきと、このように述べていらっしゃいます。  北の行為であります。制裁措置は既にもう用意は一部されて、船舶についてはこれから出てくるわけでありますが、もう既にできた金融関係のこの制裁措置又はその他ですね、されるべきじゃないんですか。
  89. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは国会において御審議をいただき、法律として成立するということが肝要なのだと思いますが、私が申し上げたいのはどういうことかというと、対話と圧力というときに、圧力、それは軍事的な圧力を意味するものではございません。私どもの国は専守防衛という国是、国是といいますか、基本方針がございますので、私どもの方から北朝鮮に対する攻撃能力を有するということはガイドラインのコンテクストからも取っておらないわけでございます。  しかしながら、例えば弾道ミサイルがどこからでも、どこからということを特定するわけではございませんが、落ちてきたときに落とす……
  90. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 工作船の話を私は聞いているんです。
  91. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) いいですか、落とす、あるいはそういうような防御的な能力を備えるということと同時に、いろいろな圧力を加えていく、それは対話を成功に導くための圧力として多くのカードを有するということは有益なことだと考えておるわけでございます。
  92. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、そうではなくて、大臣御自身が、あれが北の工作船であることがはっきりすれば経済措置を即考えるべきだと、こういうふうに言われているんですよね。ですから、経済制裁のこの措置の法律が一つもうできたわけですから、それはもう発動するべきじゃないですかということを僕は言っているんです。もう何度も同じようなお答えになりますので。  先ほどの、ちょっと変わりまして、横田めぐみさんが生きているという証言について、是非私、調査を外務省の方にお願いしたいというふうに思います。  更に言えば、これが先ほどだれが、だれから聞いたとか、どう調べたとか、公の場でできないということであれば、是非予算委員会の理事会でもって秘密会の集会の決議を是非お願いしたいんですが、委員長よろしく取り計らいをお願いします。
  93. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまの木俣君の要求につきましては、その取扱いを後刻理事会で協議することにいたします。
  94. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございました。  この拉致の被害のこの完全解決に向けては、総理がよく言われますように、日米の関係強化ということが非常に重要であるということは私も意見を同じにするものであります。  そういう中で、実はこの四月、来月にもこのいわゆるテロ支援国家のこのリストの改定があると私は聞いておりまして、外交ルートを通じて外務大臣もかなり働き掛けをしているということを聞いております。  ただ、残念ながら、このテロ支援国家の中に、七つの国の中に北朝鮮入っておりますけれども、その理由という一つのペーパーがありまして、その理由の中に日本人拉致という国際犯罪について、ないんですね。明記がされていません。  ですから、この明記を是非されるということは非常に大事でございまして、例えば世界銀行からの融資を受けられないとかアメリカの国内法でそういうふうに決まっているわけでありまして、是非総理のイニシアチブをもってこの拉致の文言をテロ支援リストの理由のところに入れていただきたいと思うんですが、是非総理の決意を。
  95. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃったように、米国がテロ支援国家というふうに書いてある中に拉致のことというのは理由としては明記をされていないという現状があるわけでございますけれども、これをどのように載っけて、書いていくか、どのような記載をするかということは、最終的には米国の判断の問題であるかと思います。  我が国としては、これは総理の御指導もいただいて、米国政府に対しまして、これまでのその経緯あるいはその拉致の被害者の御家族の御意向、これを踏まえましてこの報告書に拉致問題が明記をされると、そういうことを希望しているのだということを米国政府に伝えてきているわけでございます。これにつきまして、米国政府我が国の要請も踏まえまして今検討しているというふうに聞いております。
  96. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 アーミテージ国務副長官も、二月に来日したときに、六か国、六者協議のこの結果を見て考えるということを考えられておりますので、是非総理のもう一押しですね、アメリカにしていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、日本テロ、拉致の問題を最優先に考えているということはよくアメリカも分かっておりますので、だからこそ、六者協議でもアメリカは日本と協力してこの拉致の問題も取り上げているわけであります。要は、何が効果的かという観点から考えていきたいと思います。
  98. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、そうではなくて、効果的なものですから、この拉致のリストに挙げる。その理由に、数々爆破テロの事件もあり、要は北朝鮮は拉致国家であるというふうにされておるわけですが、そこにこの日本人の拉致の被害の問題も入れていただくということは非常に効果があるんです。ですから、是非力を……(発言する者あり)そういうことなんです。ですから、本当にあと一か月、いや四月に改定をするということですので、力を込めて是非お願いしたいんですが。
  99. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今お話し申し上げましたように、いろいろ協議をしております。緊密な協議の下に何が効果的かと働き掛けておりますので、その点はよく相談しながら、日本として何が一番効果的かという観点から判断したい。アメリカにもそのような形で要請しております。
  100. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 繰り返しなんですが、効果はあるんです。あるから、アメリカは要するに拉致支援国ということで七つを名指しして、さらに、その中で三つは悪の枢軸ということを言って、要は徹底的にそこをあぶり出そうというふうにしているんですよね。ですから、効果はあるのは、総理、分かるじゃないですか。分かっていらっしゃると思うんですよ。ですから、これはリストの中に入れるように働き掛けをしていただきたいと思うんです、是非
  101. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 既に働き掛けておりますし、アメリカも、これは拉致の問題と核の問題、平和的に北朝鮮解決するということが大事だということを日本と共有しております。そういう中での問題であります。
  102. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 次に、この北朝鮮の問題、数々の問題の解決に向けて今アメリカとは協調して、されていると。私の友人も頑張っているわけでありますけれども、ただ、あるシンクタンクのトップの方からいろいろお話を伺うと、そのまた上のレベルの方々の中には、十分な配慮を、アメリカ側として十分な配慮をされているのかなと疑問を呈するような発言がブッシュ大統領からあったということを聞きました。  実は、この今月一日の十一時から、ブッシュ大統領と五つのシンクタンクの、これは保守系のシンクタンクでありますが、社長との対話があったということについては外務省に調べていただいておりますけれども、この中の内容で、これまた事実は確認できていないということでお答えありますが、こんなこと事実が確認できないなら、もう外務省やめた方がいいと思います、まずは。  それはそれとして、三点挙げられたということですね。一点は、北朝鮮問題は中国に任せるということをブッシュさんが、大統領が直接言われたということであります、任せるという。二番目に、私は必ず勝つと言ったと。三番目に、ケリーは弱いと言ったと。そういう三つを言われたそうであります。  一点目、北朝鮮問題は中国に任せるという話があったということは、外務大臣、もう調べられましたでしょうか。
  103. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務省といたしまして、この会談においてどういうことが話されたかというようなことは確認をいたしておりません。これは考えてみていただければ、例えば総理がどなたかを集められてお話しになられて、その中身が、ではアメリカが全部確認できるだろうかと。首脳の会談、ほかの方の会談というのはそういう性格のものであるというふうに思います。いずれにいたしましても、それは私どもとしては確認をいたしておりません。
  104. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 五つのシンクタンクは米国でも有数のシンクタンクでありまして、そのシンクタンクの中の方がホワイトハウスにもうかなり行っているんですね。ですから、日本のシンクタンクと、言い方は悪いんですが、ちょっと違う。つまりは政策決定をするときに、例えば国防のディフェンスポリシーボードのような、つまりホワイトハウスに直接意見を言うような方々が実はそのシンクタンクにいらっしゃる。そのトップの方々に向けて話をしたことを聞かなくてもいいというような今お話だったと思うんですよ。  私も外交は与野党を超えたところにあって国益を追求しなきゃいけないと、これは総理に一致するものであります。ただ、正確な情報をどのように取って、誤りがないようにしていくというのが、ある意味外務省の又は内閣官房役割である、又は防衛庁の役割であると。これは当たり前の話なんですよ。ところが、先ほどの話も含めて、要は確認できないと、大統領がいろんな方と会うんだから、いろんな方と会うんだから、その一々話に付き合っていられないと。  そういう問題ではないんです。そういう問題ではなくて、中国に任せるよということを言っているということについては確認する必要が私はあると思うんです、絶対に。  もう一回申しますが、それをブッシュ大統領が言ったか言わないかをこの場で絶対言わなきゃいけないということを僕は言っているわけじゃない。ただ、確認をして、確認をして、要はそれは確認できているんだというところがやはり私は外務省の一番大事なところであって、情報管理の最も一番日本が後れたところだと私は思うんですよ。それを何とか与野党を超えて、とにかくいい情報を、正しい情報を探ろうじゃないかということを言っているわけなんです。  この点についても、是非委員長にお願いしたいのは、この場で言えないならば秘密会開きましょうよ。それで、外務省、総力を挙げて本当に、これ、三月の一日の十一時という日取りまで決まっていますから、だれが集まったかも分かるんです。五つのシンクタンク、名前は今挙げませんがね、保守系のシンクタンクですよ、(発言する者あり)ですね。与党からもそういう話がある。これ秘密会で、だから是非、どういう話をしたかやってください。理事会でもんでください。
  105. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 今の件につきましても、その取扱いを理事会において協議いたします。
  106. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございます。  そう言ったんだという、本人から私も聞いたものですから、これはちょっと黙っていられないという気持ちでありまして、本人から、ブッシュさんがそういうふうに言ったんだということなんです。  そうすると、確かに、要は北朝鮮にとって中国が最大の支援者で、その支援がなくなれば存続できない、こういうところ、国であります、中国は。  ただ、今、中国とはどうなっているかというと、靖国問題。で、要は、総理のこの間の発言もありました。中国が望まないなら行く必要がないということで、首脳外交を自らストップさせてしまっていると。アメリカは中国に頼むと。  これは、実はリチャード・パール前国防会議議長も共通した認識で、あのビデオ見ていただいたと思いますが、先般、日曜にやった日高さんのワシントン・レポート、この中でもはっきり述べて。で、言った言わないで、私テキストを持っていますが、言われちゃうと困るんでビデオを三大臣には事前にお渡ししておきました。この中で言っているとおりに、要は、中国に、要は、中国がうまくやらなければ最後は軍事力行使しかない。いや、もっと言うと、アメリカの保守派は、結局は話ししたくないんだと、もう。北朝鮮にだまされて、何言うか分かんないんだと、言って約束なんか守る国じゃないんだという共通認識がありまして、日本が話合いでと言うから、しようがない、いや、中国に頑張ってもらって話合いやろうじゃないかというのが実は六者協議なんです。  で、中国に任せるという話があって、さらに、その中国に総理は行く必要ない。首脳会談を、まあいろんな各地ではされております、それは知っています。しかし、その御当地の中国に行く必要はないというふうに、正に火に油を注ぐような発言がありました。これではこの北朝鮮の問題は私は動かすことができないと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは全く私は違うと思っております。  まず、ブッシュ大統領がどう言われたかということについても、これは分かりません。著名なシンクタンクの方と対談の中で、ブッシュ大統領は言っているわけじゃないですから、ブッシュ大統領会った方がそういうふうに言われたと聞いております。私もよくあります。いろんな方と会います。私と、全く私が言っていないことを私と会った人が言っている場合が随分あります。ブッシュ大統領が言ったという記事じゃありません、木俣議員が言っているのは。私も読ませていただきました。だから、ブッシュ大統領会った人がブッシュ大統領はこう言ったということをブッシュ大統領が言ったと決め付けるのは早計だと私は思っております。まず、これ第一点。  そして、私も、いろいろな知識人、私よりはるかに専門的な知識を持った優秀な方と、いろんな提言なり議論を聞くことがあります。参考になりますが、その人の言うとおりやるとは限りません。これ、よく間違えないでください。いかに優秀なシンクタンクが進言したとしても、ブッシュ大統領がそれを採用するとは限りません。  そういう中でこれからの外交を考えますと、私は、中国が私の訪問を望まないならば私は行く必要ないと言ったんですよ。今、日中関係の重要さは私もよく認識していると、日中友好論者だと、私は。そして、今、日中は交流拡大していると、何ら問題ないと、いい関係だと。六者会合においても協力していると、六者会合における中国の役割日本は評価していると。そういう中での発言で、私は、お互い都合のいい時期に相互訪問できればいいなと言っているわけです。しかし、都合が悪くて私の訪問望まないときに行っても、それは大した効果にはならないから、お互い望むときに行けば行くんであって、望まないときに私は行く必要ない、これは当然のことを言ったんです。
  108. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 それじゃ、中国がこの日本と、日中関係は本当に大事な最重要な関係の一つだと思うんですね。中国が総理の来るのを望まないと。では、それ、何が理由だと思いますか。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは中国側の事情があると思いますよ。靖国参拝も一つかもしれませんが、靖国参拝は、私は、戦没者に哀悼の意を表すこと、二度と戦争を起こしてはいけないという意味を込めて参拝しているわけですから、これ一つを取って中国側が私の訪問望まないという、そのように考えるべきではないと思うんであります。  日中関係は、靖国参拝だけじゃありません。もう広範な分野にわたって日中関係重要性は中国側も分かっているはずであります。自国の戦没者に哀悼を示す、どのような表現を自国の方々がされるかというのは自国それぞれ事情があります。
  110. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 総理の信仰の話を聞いているんじゃなくて、要するに、中国がなぜ望まないのかということを私は伺っておるわけでありまして、もちろんそれは、中国に聞いてくれと言われればそれはそうかもしれませんが、私はどう考えても、石破長官、失礼しました、中谷長官、前長官のときもそうだったんですが、やはりこの靖国の問題と、参拝の問題と、公式参拝の問題と極めて密接な関係に私はあると思います。  ですから、望まないということ自体が、望まないなんていうこと自体が非常に不健全なもう既に関係なんですね。ですから、やはり中国のやはり力をかりなければ、この拉致の問題、そしてまたミサイル、核の問題、これが、つまり北朝鮮の問題ですね、解決できないということであるならば、これはまあ望まなくても行けとは言いませんけれども、しかし望まれるようなこれは総理になっていただきたいと、是非来てくれというふうに言われる総理になっていただきたいと私は思います。  それで、ちょっと済みません、六者協議のその総括をこの中にしております。(資料提示)この拉致の問題、核の問題と、こうありますけれども、ここを見ていただきますように、核の問題、拉致の問題についても日米韓、ここのところは基本的には同じ認識で大体そろっている。ところが、中国、ロシアについては、拉致の問題については二国の問題であると、又は核の問題については平和利用であったらいいじゃないか、北朝鮮の立場を容認するような、こういうやはりことになっていると総括を私はできると思います。更に言えば、北朝鮮については拉致の問題は解決済みだということを言い張っている。さらに、拉致の問題については議長のこの総括の中に言及がないという、こういう状況があるわけであります。  やはり、アメリカが中国に頼むんだと、ブッシュ大統領がそういうふうに言ったと。ところが、中国についても拉致の問題は二国の問題だと何となく投げている風があると。これではうまくいかないんじゃないかと私は思うんです。  これは、この概要版も、六者協議のときだけではありません。発言がなかったという、それだけではありません。例えば昨年、国連の人権委員会で北朝鮮非難決議時に反対ないし棄権した国、これが中ロ韓三国なんですね。ですから、これもやはりこのものと似ているんですね。人権の問題で非難決議をしたときに、やはりこの中ロについては棄権ないし反対なんですね。こういった問題について川口大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  111. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、その表についてですけれども、私どもが理解をしているのと若干、その整理と違うのではないかというふうに思います。  拉致の問題について解決ができていないということについての思い、これは私どもも全く木俣委員と共通にいたしておりますけれども、中国、ロシアについては、これは「二国間の問題」というふうに書いてありますが、中国もロシアもそういうことでこれに対して冷たいということでは全くございませんで、中国もロシアもこの拉致の問題については理解をするということを言っております。そして、それぞれの形で協力をしてくれているわけでございます。例えば中国について言いますと、これは、この間の六者会談の折にも日朝協議のアレンジについて積極的に協力をしてくれているわけでございます。  それから、議長総括で触れていないということがそこに書いてありますけれども、そうではございませんで、すべてのその懸念する事柄という文言が入っているわけであります。  それから、北朝鮮解決済みと言って全然それだけであるというふうにおっしゃられましたけれども、この間の六者会談がありましたときに、その後で金桂冠氏が記者会見をしておりまして、そこで彼が言っていますことは、拉致問題は基本的にすべて解決した問題だということである、後続措置の問題が残っているということを言っているわけでございます。したがって、解決済みということでは必ずしもないということでございまして、その辺についての我々の考え方は違うということでございます。  いずれにしても、先ほど来中国の話が出ておりますけれども、中国はこの核の問題、拉致の問題も含めて六者会談北朝鮮の問題が平和のうちに解決されるということに非常に熱心に取り組んでいるということでございます。米国も、じゃ、中国にほうり投げてあるかというと、全くそれはそんなことはないというのは我々がよく知っているとおりでございまして、そこにも書いてありますけれども、核の問題も拉致の問題も正に我々と一緒になって、日米韓連携をしてこの解決に一生懸命に取り組んでくれているということでございます。  ということで、そこの図表の整理と私どもの考えていることと若干違うかなという印象を持っております。  それで、人権の委員会の話につきましては、この事実関係については齋木審議官の方から話をしたいというふうに思います。
  112. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 人権委員会でございますけれども、実は去年から、今年も三月の十五日の週からまた人権委員会、ジュネーブで開かれておりますけれども、その人権委員会の場におきまして北朝鮮の人権状況についての様々な議論が行われております。  昨年は、先ほど木俣委員御指摘のような形の人権状況の決議というのが採択されまして、その中で多くの国は賛成いたしましたけれども、一部の国は反対ないし棄権ということの結果ではございました。今年もまた人権の関連の決議というものの上程、採択を目指して、ヨーロッパの国々も含めて、今、日本も緊密に連携取りながら北朝鮮の人権状況についての決議の準備、採択について取り組んでいるところでございます。  また、この人権委員会におきまして、日本政府代表といたしまして出席した外務務官、松宮政務官の方からも、北朝鮮の人権状況についての問題提起をステートメントという形で各国の前で明確に言及したところでございます。
  113. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、大臣の認識がちょっと違うと私は思います。つまりは、全体会合の場でロシアと中国が発言をしなかったということは、これは今月の二日の外務委員会で齋木参考人が述べていることであります。ですから、二国の問題と私が言ったのは、要はしっかりと我々日本と同じ気持ちで述べてないと。で、中国が一番やはりシンボリックに言っていただくことが非常に私は大事であるということを述べたいと思います。  さて、外務大臣が、今この拉致犯罪実行犯の引渡し要求について、金世鎬、そして辛光洙、魚本公博、この三者の要求を北朝鮮側に身柄の引渡しをするべきだということを申しましたときに、ある委員が、北朝鮮外交関係がない中で身柄の引渡しを行っても実効性は得られないと、このように答弁をしております。これは、いかにも私は情熱が感じないことではないかと思いますが、外務大臣、どうでしょう。──いや、大臣が言ったから、大臣に。
  114. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 身柄の引渡しの要求の話でございますけれども、これは拉致事件に関する容疑者身柄引渡し、捜査当局でまず逮捕状の発付というものをしていただかなきゃいけないわけでございますけれども、それを得まして外務省として身柄を引渡しを要求することが最も有効であるという、そういう段階で判断して、北朝鮮側に対して累次求めてきておるわけでございます。一般論としてそういうことでございますけれども。  また、過去におきましてもそういう形で、辛光洙については二〇〇二年の八月でございますか、逮捕状の発付を得まして、国際手配の手続を取っていろいろな場で、局長協議の場、日朝間の、あるいは日朝国交正常化交渉の場においてもそういうことで身柄の引渡しを要求してきておりますし、また久米さんの拉致事件の関連、これについても我々としては最も有効なタイミングを見てこれをやっていくというスタンスであることは間違いございません。
  115. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、今、辛光洙の話も言いましたが、ICPOに頼んでも第三国にいなければ捕まえることはできないじゃないですか。そんなこと知っていながらそういうことをやっているということは、私は非常におかしなことをしているというふうに言いたいと思います。  さらには、被害者についての賠償、この問題、まず外務大臣にもう一回、身柄の引渡しを行っても実効性は得られないというふうに答弁されておりますが、実効性は得られないんですか。
  116. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについては今、齋木審議官から御説明をしたとおりでございまして、私どもとしては最もこれが有効であるときにこれを行っていきたいということでございます。
  117. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、実効性は得られないと答弁されておるんで、そうではないでしょうと私は言っているわけであります。  時間がございませんが、この拉致を実行したのは北朝鮮の工作員ということでありますけれども、北朝鮮工作員は実は日本の中にも多数今存在します。  公安委員長、そのようでよろしゅうございますか。
  118. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。  北朝鮮工作員が我が国内にいるかという御質問でございますけれども、警察は、戦後五十件の北朝鮮工作員関係の事件を検挙をしておりまして、こういった事件捜査を通じまして、北朝鮮の工作員が、例えば工作船を使って潜入、脱出を繰り返したり、あるいは国内において日本人の拉致を行ったり、あるいは中にこの拉致した日本人に成り済まして不法出入国を繰り返したり、あるいは国内においていわゆる韓国に対する工作の拠点としての活動を行ったり、あるいは我が国政治外交あるいは自衛隊に関する各種の情報収集活動、在日米軍活動、在日米軍に関する情報収集活動といったものを繰り返してきているものというふうに承知をしておりまして、こういった状況につきましては、その都度広報に努めているところでございまして、北朝鮮工作員につきましては、現在も相当数の者が国内において活動しているものと推定をしております。
  119. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、推定じゃなくて確定ですよ。つまり、今言われたとおり、今国内に工作員が入り込んで、不法にですね、活動しているという状況であります。  警察庁では、恐らく五百人以下三百人以上ぐらいの範囲でマンツーマンで素行を調査をされていると思うんですが、こういったいろいろ国際的ないろいろな紛争等々激しくなりますと、そういうやからが何をするか分からないということで間違いないと思うんですね。  是非委員長にお願いしたいのは、これまた、これ秘密会でございますけれども、どのぐらいの数がいて、どういう危険性があるのか、どんな武器を持っているのかということを、やはり私はこれは本当はオープンでやりたいんですが、しかし、問題であるということであれば是非、まずはオープンで数を出していただくようにしたいというのが一点。もし、それが駄目な場合には、是非理事会で、秘密会の中で我々に是非守秘義務を課せながら教えていただきたいと思うんですが。
  120. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) いずれにせよ、後刻理事会で十分に協議いたします。
  121. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございます。  つまり、私が言っているのは、かつて韓国の事例でもありますけれども、二十六名の北朝鮮工作員が入ったことがあったそうですね。そのときに六万人の軍隊、韓国軍の、六万人の軍隊が五十日間活動してその掃討作戦をやったと。つまり、二十六名が入っただけでも大変な事態になる可能性があると、こういうことを私は申し上げたいということなんです。  ちょっと話が飛びます。(資料提示)  時間がございませんが、今、国際場裏で大変問題になっているものの一つでありますカーン博士の核拡散の疑惑であります。  カーン博士がこれは述べておりますが、ムシャラフ大統領を含む軍トップが核取引を承知していたということはカーン博士が述べております。更に言えば、ムシャラフ大統領は赦免、つまり恩赦、特赦というんでしょうか、謝罪をしたから許したということでありますが、これはもう最も真相に触れるやみの中のやみだと私は思っておりまして、今、核問題がこれだけ言われている中で、よし、それじゃ謝ったから許してやろうというので日本はいいんでしょうか。ODAを今出し続けておりますが、私はこのパキスタンのカーン博士が個人でやったとは到底思えません。必ず、だから後ろに国が付いていると思います。どうでしょうか。
  122. 片山虎之助

  123. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大臣
  124. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 駄目、駄目、川口外務大臣。指名した。
  125. 川口順子

    国務大臣川口順子君) カーン博士をめぐるネットワークでございますけれども、そのネットワークが今国際社会において調査をなされ、少し見えてきているということは、非常に先の核の不拡散と、あるいは大量破壊兵器の不拡散という観点から望ましいことであるというふうに思います。  それで、今委員がおっしゃったような本当に実態がどうであったのかということについては、今パキスタン側は調査中であるということを言っております。我が国としては、この関連の状況情報については提供を求めているわけでございます。
  126. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、これは全く違いますね。  パキスタン側はもう調査しないと言っているんですよ。アメリカもこれについては不問に付すと言っているんです。更に言えば、今、ビンラディン掃討のためにイラクから空輸でどんどん、兵をパキスタンにどんどん入れているという話なんです。要するに、パキスタンにどんどん入れて、ヒンズクーシーの辺りに隠れているビンラディンを掃討して、大統領選に間に合わせて、パキスタンを使わせてやるから、つまりはこれ許してくれと、こういう話に今なっているということを私は聞いております。  つまり、このままいきますと、我が国自衛隊、本当にたくさんの方々イラク復興ということで頑張っていらっしゃるのは、私も本当に敬意を表するところであります。ただ、これは命令一下、行かざるを得ない。自衛隊の方はもし命令に従わなかったら、これはクーデターになるんです。ですから行かざるを得ないという中で、要は誇りを持って行っていただいておると私は思います。  ですから、ある意味で感謝をせにゃいかぬかもしれませんが、ただ私は、例えば前国防長官のコーエンさんが言うように、彼は非常に防衛政策の中でもいまだに前国務長官として相当な影響力を与えている。この方が言っていますように、例えばイラクが手薄になる、又は、もっと言えば自衛隊に大変危害が出る可能性、英語で言うと、マイト・ベリー・ウエル・ビー・ターゲティド、つまりは、当然ながら物すごい可能性でターゲットになっているんだと、自衛隊は、ということを言っているんです。  何が言いたいかというと(発言する者あり)いえ、そんなことない。何が言いたいかというと、つまりは、この自衛隊が大変な危険なところに行って、危険なところに、正に戦闘地域ではないとおっしゃるかもしれないけれども、いや、私は戦闘地域だと思いますね。ここに行って、正に歴史的な大転換をして、今はもう地球上どこでも自衛隊が行けるようなという状況に要はしちゃったわけですね、日本が。  ところが、要するに国民が、もっと言うとアメリカの最高首脳はどう言っているかというと、小泉総理が要は説得を、国民を説得してそれを納得させたんだと。大変な要は状況の中でも説得して納得させているんだと。  知らず知らずの間にこういうことが進んでいる。歴史的な転換点が行われている。こういう中で、私は非常に不安を隠せざるを得ない、隠すことができないんです。どうでしょうか、総理
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 報道に基づいた推理の点もあると思うんでありますが、その引用された報道がすべて事実とは限りません。外国の交渉というのは、明らかにしている中でも真偽入り乱れている。明らかにしない部分もある。各国の思惑も、友好関係、非友好関係、複雑であります。そういう中で判断しなきゃならないものであって、私は、イラク自衛隊派遣につきましても、北朝鮮に対しても、今までの基本方針どおり進めていくことが日本にとっても必要だと思っております。
  128. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後三時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後三時開会
  129. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。  関連質疑を許します。浅尾慶一郎君。
  130. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  私は、政治家を志した最大の理由は、だれにでも何度でもチャンスがある社会を作っていきたいと、そういうことで政治家を志したわけでありますが、最近、少しずつでありますけれども、制度の方で失敗しても再起が図れるというものができてきたのはいいことだなというふうに思っておりますが、一方で、若い人たちと話をしていますと、なかなか将来に夢が持てない、希望が持てないというような話もございます。  実際にその国際的な比較調査をいたしますと、日本、アメリカ、タイの小学校の低学年では九割ぐらいの方が将来に希望があると。しかし、高校三年生になると、タイの方は九割、そしてアメリカの方は大体七割ぐらいが将来に希望があるということでありますが、残念ながら日本の高校生は三割ぐらいしか夢や希望があるという答えを出していただけないというのが今大変残念な状況なんではないかなと。理由はいろいろあると思いますが、一つの理由は、多分、政治がすべての人に対して少なくとも公平に接しているというふうに思えないというところにもあるんではないかなというふうに思います。  実は、昨日、仲間の人たちと話をしている中で笑い話にもならない話がありまして、これは何としても戒めていかなければいけないなという話がありました。総理はイギリスに留学をされておられますから、これはフランス語だそうでありますけれども、ノーブレスオブリージュという言葉があるのは御存じだと思います。しかし、今の若い人はなかなか仕事がないという中で年金の負担が上がっていくと、そのことを称してジョブレスオブリージュだということをその仲間の人間が言っていました。  こういうようなことを変えていかなければいけないということに関しまして、まず、今日、報道が幾つかされておりました。社会保険庁が年金の納付促進のために江角マキコさんという方を雇っておられたわけでありますが、私はこういった啓蒙活動よりも、むしろ、そういったお金を掛けてコマーシャルやるよりも、地道な努力、集めていただく努力が必要ではないかなというふうに思いますが、その点についてまず総理はどういうふうに思われますか。
  131. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 広報については、私は専門家でありませんので、いろいろ工夫するようにということを指示しております。  同じお金を使うにしても、コマーシャルについて見てもらえるのと無視されるの、両方あると。なるほどなと、いいなと思うのと、そうでないのもあると。だから、そういう点はよく、役人で考えると余り見てもらえないから、もっと他の分野の専門家の知恵をかりていいものを作ってくれというふうに指示しておりますので、今回の国民年金のコマーシャルですか、私、残念ながら見たことないんですけれども、こういう点についても、今お話を聞きまして、もう一工夫あったなと、またよく注意すべき点もあったなと感じております。
  132. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、コマーシャルをやるよりも先に、社会保険、特に年金についてはやるべきことが多いということで、具体的な質問に入らさしていただきますが、まず、現在までの国民年金の未納額、数字でお答えいただきたいと思います。
  133. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 現在までのというのはなかなか分かりにくいんですが、平成十四年度末、したがいましてこの二年間でございますが、それは約二・一兆円でございます。
  134. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今日の報道にも少し出ておりましたけれども、その江角さんは二年分を追加で払われたと。しかし、二年よりさかのぼる部分については時効のため払わなかったということなんですが、国民年金は、これは国民すべてが、厚生年金とかその他に入っている人を除いて納める義務があるわけでありまして、納めていただいてない方に対しては当然時効の中断措置を取るべきだと思いますが、そうした措置厚生労働省、取ってないんでしょうか。
  135. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私も二年間という時効というのは少し短過ぎやしないかと。ほかの税制等に比較しても短いわけですので、もう二年過ぎてしまうと取れない、あるいはまた納められないというのは、少しこれは具合が悪いんではないかということを私も常々言っているところでございます。
  136. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、時効というのは督促をすれば中断がされるわけですから、そういう措置は取っているんですかという質問であります。
  137. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) したがいまして、二年間はやっているわけでございます。だから、二年を経過してしまえばそれはできないことになっているということでございます。
  138. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 どうも御理解いただいてないようなんですが、普通の債務がある場合に、払ってくださいといった段階でそれは時効が中断するということでありますから、そういう措置を取ってられるんでしょうか。
  139. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今御指摘のように、督促状を出しました場合には時効が中断されます。それはそういうふうにいたしております。
  140. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、そういった措置は取っておられないということですね。
  141. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ですから、措置を取っていないかどうかとおっしゃるんですか。
  142. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうそう。
  143. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) はい、取っておりません。
  144. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 総理、コマーシャルよりも私はそういう時効で、今時効に掛かってないものが二兆円だということですから、もっと多くの金額がもう既に失われてしまっていると。そっちの方がはるかに大事な問題だというふうに思いまして、したがって、江角さんを使うコマーシャルよりはそっちの方がいいんではないか、大事ではないかという趣旨の質問なんですが、その点についてどういうふうに思われますか。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう今まで払っていない人に対してどうやって払ってもらうか、時効も含めて再検討する余地があるなと思っております。
  146. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 多分、時効になってしまったものは、これは法律を、特例かなんか作らない限りは再検討というのはできないということになっておりますんで、そういう特例法、法改正も含めて、過去債務についてそういう法改正を考えられるという御趣旨の答弁ですか。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どうしたらば払っていない人に払っていただけるか、こういうことを考えるのに法律的な処置が必要だったら再検討すべきだと。それはよく専門家の皆さんの意見を聞いて、できることならできるだけ多くの人に保険料を払ってもらうような工夫をすべきだと私は思います。
  148. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 繰り返しになりますけれども、国民年金は義務でありますから、そういう措置是非取っていただきたいというふうに思います。  次に、厚生年金。これは、五人以上の従業員を抱える事業所は加入の義務があるということでありますが、現在、厚生年金に加入している事業所は幾つであるかということと、実際に加入の義務がある事業所というのはどれぐらいあるんでしょうか。
  149. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 厚生年金に加入、いわゆる加入をしているのは、例えば平成十四年度末でありますと百六十三万か所でございます。しかし、加入手続をしていないところというのは、なかなか分かりにくいわけでございます。
  150. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 義務を負わせていて分からないというのは、大変言葉は悪いですけれども、無責任ではないかなというふうに思います。  私、類推ですけれども、国税庁が調べました全国の法人調査、これを調べますと大体二百八十万ぐらい事業所があると。したがって、半分近い事業所が厚生年金においても、国民年金が四割未納であると、それも、しかも時効で、中断して、時効でなくなっちゃったものを除いて四割という数字に加えて、今申し上げましたように、厚生年金については半分近いものが入っていないと。  ですから、国民年金の問題、厚生年金の問題、コマーシャルをやるよりは、そういうものにしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。  そこで、年金について、年金の間にある不公平というものも、私は国民が持っている一つの大きな問題ではないかなというふうに思います。これは、合理的に制度の違いが説明できれば国民も理解をしていただけるのではないかなというふうに思いますが、まず、そのために一つパネルを使わせて説明をさせていただきたいと思いますが。(資料提示)  ここに、民間の企業の方が加入される厚生年金と、それから国家公務員、地方公務員の場合はまた別の数字が出てきますが、地方公務員の方が加入される公務員共済との比較をしております。  この赤でくくってある部分が民間と公務員との間の違いでありまして、どこが違うかといいますと、保険料収入というのは労使折半であります。ですから、ここは二十一兆七百八十七億円と一兆四百七十九億円で一緒、労使折半で一緒でありますが、しかしながら、追加で、民間の場合は五千、ごめんなさい、国の場合は追加で五千百八十七億円の国庫負担がある。これは同じような形で、比率は一緒ですが、負担が地方公務員においてもあります。  つまりは、民間の場合は一対一の負担であるにもかかわらず、公務員の場合は使用者側が一に対して、ごめんなさい、雇われている側が一に対して雇用者側が二負担していると。一対二の負担になっていると。これは大変な、見れば不公平だと思いますが、これが存在する何らかの合理的な説明はできるんでしょうか。
  151. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今委員が御指摘ありましたのは、共済年金のその他の国庫負担金と言われる中の追加費用、これは恩給期間に係る国庫等の負担額の数字をお示しになったんだと思うんですが、これは平成十五年度で五千百八十七億円、お示しになったとおりであります。  こういうことがありますのは、元々昔の官吏制度の下では、恩給という形でこれは全額国庫負担で退職した後お払いするという形になっておりましたのを、要するに、共済年金システムと統合しますときに、従来の恩給、そういう経緯を引き継いで国庫で負担をしたということでございます。ちょうど昭和三十四年、ですから昭和三十四年におられた分はそのような国庫負担をしていると。同じ勤めている方でも、三十四年過ぎた分は共済年金の普通のシステムでやっているということになるわけですが、そういう経過システムとしてこのような制度が作られているということだと思います。
  152. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 財務大臣、御答弁いただきましたが、昭和三十四年の前の人のための制度だということでありますが、昭和三十四年というのは一九五九年ですから、四十五年前になるんですか、四十五年前の制度だと。そうすると、四十五年間掛かっていまだに民間は一対一、そして公務員の方は一対二の負担というのは、余りに時間が掛かり過ぎているんじゃないかと思いますが、その点について、総理はどういうふうに思われますでしょうか。
  153. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、丸々恩給制度の下におられた方というのはもうほとんど残っておられないと思いますが、まだ、例えば昭和三十三年に公務員になられたような方は一年間適用されて、もう退職されている方がほとんどだと思いますが、そういう形で、現在では、いわゆる恩給部分というのはそういう形で非常に少なくなっているのが現実ではないかと思いますので、過渡期の制度としてもだんだん、何というんでしょうか、役割を果たしつつあるというふうに私は思います。
  154. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、非常に少なくなっているということで、繰り返しで恐縮ですが、しかし一対二であると。つまりは、自分が負担する額の倍になるぐらい国や地方自治体が負担していただいているというのは、言葉として非常に少ないという言葉は、私はその言葉は、多分民間で働いている人からすれば大変な憤りを覚える言葉ではないかなと。ですから、非常に少ないと、しかし、例えば今、昭和三十三年ということをおっしゃいました。一年間いられた方、そのための、ためだけに一対二あるというのは余りに金額が多いんではないかなというふうに思います。  こういったものをそのままにしておいて、そして厚生年金の保険料を今年の十月から毎年毎年十四回にわたって引き上げていくというのは、私は国民の理解は得られないというふうに思いますが、その点について総理はどういうふうに思われますでしょうか。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の案は負担と給付の数字をはっきりと打ち出したわけでありますが、制度間の問題、いろいろいきさつもあります。それから既得権もあります。期待権もあります。そういう点で、制度を全部一元化しようという努力も必要だと思いますが、これについては今回の法案を通した後でも十分協議、検討する価値はあると思っております。
  156. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 制度間の問題ということをおっしゃいました。制度間の問題であるということもあるかもしれませんが、しかし合計で一兆八千億円、国と地方を合わせますと一兆八千億円ですから、消費税の〇・七%分ぐらいですか、のお金が使われているということは大変大きな金額ではないかなというふうに思います。そのことを、民間の人も含めてみんなで負担するというのは少し、冒頭申し上げた公平性ということからいうと、不公平ではないかと私は少なくとも思います。  しかし、ここでそのことを議論しても多分深まりませんので、もう一点、不公平だと私が考えるものについて申し上げさせていただきたいと思います。  公務員の退職金というものについて調べさせていただきました。退職金は民間企業の退職金と比較をするということでありまして、数字だけを申し上げますと、民間の退職金が二千七百九十万円と、これはかなり高く出ているんだと思いますが、二千七百九十万円。それに対して、公務員の退職金が二千九百四十八万円であると。したがって余り違いがないというのが事前に質問をした際の国の御答弁でありました。  しかし、その退職金の中身を調べてみましたら、民間の方は実は企業年金と言われるものも含めて先ほど申し上げました二千七百九十万円であると。そして、公務員の方は、今申し上げた共済年金というところには職域加算というものも含まれていますから、それが別に出ていると。別に出ているけれども企業年金を含めた民間の分と比較をしているというのはおかしいのではないかと思いますが、まず実態について、大臣、御答弁いただけますでしょうか。
  157. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今のは給付水準の実態……
  158. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 調査の実態ですね。
  159. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) あっ、調査の実態……
  160. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 総務大臣ですね。
  161. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) あっ、総務大臣、済みません。
  162. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 給付水準の話ですね、済みません。  民間企業企業年金というものに関しましては、御存じのようにこれは退職金の一時金というのの代替部分ということになっておるんだと思いますが、退職金制度の一環として作動しているということなんだと思いますが、実態調査におきまして、退職金に当たる、退職金に相当する企業年金のいわゆる企業負担分の対象も含めて計算しないといかぬところだと思いますが、国家公務員の退職手当の基準に入れておりますので、今の言われた額になってきているのだと思っております。  そこで、基本的にはこれは、国家公務員共済年金のいわゆる職域加算分というものにつきましては、いろいろ身分上の制約というのは、労働基本権なんというものがいろいろ制約されている等々がありますので、そういった意味では、なに、ほかにも守秘義務やらいろいろあるんですが、そういった意味で、こういったことから労使折半の負担による公的年金制度の一部として受けられたものであり、退職手当とは別の性格のものというそもそもの位置付けになっているというのだと思っております。  したがいまして、共済年金の職域加算分につきましては、退職金の官民比較の対象には余りなじまないのではないかというのが見解です。
  163. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 麻生大臣は御自分でもかつて企業を経営されておられました。御自身で経営されたときにその企業年金というものも御自身の会社にあったかもしれません。しかし、それはもし一時金で払われた場合に、年金は更に付加して払っておられましたか。
  164. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 労務を担当しておりませんので、直接全部労務担当常務がやっておりましたんで、私はちょっとそこまで、細目詳しくありません。
  165. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今テレビ見ておられる方もいらっしゃるので、少し分かりやすく説明をさせていただきますと、民間の場合は、いわゆる退職金と、そして退職後に年金として受け取ることが選択できる制度としての企業年金、これを希望すれば一時金としてもらえるものというものを合算して、先ほど申し上げました二千七百九十万円というのが民間の数字であります。大体これは四割ぐらいがいわゆる企業年金ですから、毎年、あるいは毎月毎月いただける年金としてもらうか、あるいは一時金として受け取る。そして残りが、六割ぐらいが退職の一時金というのが民間の制度であります。  そして、それに対しまして、先ほど申し上げました二千九百四十八万円という公務員の退職金は、これはすべて一時金であります。先ほどの麻生大臣の御答弁ですと、公務員の場合は、守秘義務とかあるいは様々な労働三権の制約とかそういうものがあるから、その分民間よりも高くてもいいんではないかと。  ですから、単純比較いたしますと、民間分が大体一千五百万だといたしますと、一千五百万円分ぐらい民間より高くてもいいんだという、その対価が、守秘義務とか労働三権の制約に対する対価が一千五百万円だという、多分趣旨の御答弁だと思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  166. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) その一千五百万という額が適切かどうかは別にして、基本的な考え方としてはそういう考え方だと存じます。
  167. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、後ほど申し上げますが、労働三権というものについてもしっかりとむしろ公務員に付与した上で、民間とイコールフッティングの条件にした方が、先ほど来申し上げていますように、だれかが得をしていると思われない、そういう社会になるんじゃないかなというふうに思います。  ちなみに、具体的な数字をそれぞれお答えいただきたいんですが、今申し上げましたように、約四割、支給された退職金の総額の四割が民間でいうところの企業年金だということになりますと、具体的な金額は国で幾ら、地方で幾らでございましょうか。
  168. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 地方公務員の退職手当の支給総額及び退職職員数につきましては、平成十三年度中に支給されました一般職の全地方公務員の退職手当金の支給状況につきましては、手当総額二兆三千七百三十四億一千二百五十八万三千円、職員数につきましては十四万四千四百四十二名ということになっております。  国家公務員の退職手当の予算に関しましては、各府省が要求を行い、財務省の査定を経て決定されるものでありまして、総務省の予算要求には全然関連をしていないんですが、国家公務員の退職手当の受給者数及び支給の総額につきましては、平成十二年度の実績しかありませんが、受給者数約八万三千六百人、支給総額で八千百五十九億円となっているところだそうです。
  169. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほど共済年金について国庫負担が民間の厚生年金とは同じ条件になっていないという話を申し上げました。今の退職金についても、必ずしもリンゴとリンゴを比べているわけではなくて、リンゴとミカンを比べるような調査をした上で、そしてその退職金を算定しているということに問題があるんではないかなと私自身は思っております。  今の共済の国庫負担の追加部分と退職金の四割を仮に民間にないものとして計算いたしますと、大体二兆六千億円弱になると。今、基礎年金の追加、三分の一から二分の一に追加しようというお金と大体それで合致するわけでありますから、そのすべてを使えと、過去のいろんな経緯もありますからすべてを使えということは言いませんけれども、そういったようなものについてもしっかりと踏み込んでいくということこそが聖域なき構造改革なんじゃないかなと私は思いますが、総理はどういうふうに思われますか。そういう、どういうふうに思うかということですから。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公務員なり民間なり、それぞれ給与というのは、まず国民が就職する際に大変関心のあるところだと思います。公務員の給与については、やっぱり人事院勧告等、民間に準拠する。また、職業の特徴柄、やっぱり公僕としての使命感、いろいろ制約もあると思います。  多い少ない、議論はあると思いますが、制度そのもの、また仕事柄いろいろ議論されて、こうした方がいい、ああした方がいいというのは私は結構だと思います。
  171. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、今申し上げましたように、別に高い、合理的な説明が、多くの人が納得できたということであれば、それはいいと思いますが、しかし、先ほど申し上げましたように、年金制度については、民間では本人の負担が一、そしてそれに対して使用者側が一なのに対して、公務員の場合は一対二になっていると。あるいはまた、退職金についても、本来は年金で支給されるものも、民間では年金で支給されるものも含めてそれを退職金だといってその額を支給していると。そういうのを足すと二兆六千億になりますという話をいたしましたが、それに対して、その全部とは言いませんということも申し上げたんですが、踏み込んでいくというのが私は本当の意味での聖域を作らない構造改革ではないかなというふうに思います。  次に、今給料という話がありました。いろいろ関連して調べたら、なかなかこれは民間ではあり得ないようなこともあったので、それも質問をさせていただきますが、国家公務員は給与法第八条第六項で、職員がある号俸を受けてから一年以上を良好な成績で勤務したとき、一号俸上位の号俸に昇給すると、この良好な成績というのはどういう成績でしょうか。
  172. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 簡潔に申し上げますと、通常程度に満足に勤務をした場合ということでございます。
  173. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、通常程度に満足に勤務した場合という御答弁でしたが、この通常程度というものを調べてみますと、有給休暇を除いてですよ、有給休暇を除いて年間で四十日以上欠勤がない場合、それを評して通常程度に満足に勤務した場合というふうに定義されていると聞いていますが、そういうことでよろしいですか。
  174. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 四十日以上休むと定期昇給する資格はない。したがって、それ以下の場合に定期昇給するということではないということです。必ずしもそうではない、やはり良好な成績でなければならないと。
  175. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今は、四十日以上休むと、その有給休暇を除いて四十日以上休むと昇給はしないと、しかし四十日は休んでいないけれども昇給をしないケースがあるという答弁ですか。
  176. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) そのように理解していただいて結構ですが、申し上げましたように、良好な成績でなければならないということです。
  177. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 良好な成績の具体的な定義を言っていただいていないんで、事前に、人事院の方の御説明では、四十日以上休んだ場合には昇給しませんと、したがって良好な成績というのは四十日以内の欠勤だという説明でありましたので、これ以上ここで時間掛けても時間の無駄ですから、後ほど、別途いただければと思います。  しかし、一言だけ申し上げさせていただきたいのは、有給休暇を除いて四十日以下の休みだったら昇給するという民間の会社は多分ないんではないかなと、そのことだけは申し上げさせていただきたいと思います。  それから、次に勤務時間について御説明をさせていただきますが、(資料提示)勤務時間の中に、よく分かりにくいんですけれども、休憩時間というものと休息時間というものがありまして、休憩時間はいわゆる無給の時間と、労働基準法に定めるところの職務を命じてはいけない時間ということになっておりまして、そして休息時間は有給の時間でありますと、何か事があれば職務を命じてもいいという時間だそうでありますが、問題は、かなり多くの自治体で、まず国家公務員の場合はほぼすべての、すべての国家公務員がお昼休みに休息時間を取っています。つまりは、どこか外に出掛けてしまったら何かを命じようと思っても命じることができないと。  省庁によっては、この有給じゃなくて、無給の部分を十五分にしていると。つまり、本来はお昼を十五分で食べてなきゃいけないんですけれども、残り三十分くっ付けて四十五分で昼休みを取っている省庁もあるということでありますが、休憩、ごめんなさい、休憩と休息が余りにも似ているので、休息というその有給の時間は勤務時間中の軽度の疲労から回復するためにということですから、昼休みに入れるということは、本当は勤務時間中の軽度の疲労を回復することにはつながらないんじゃないかなと。つまりは、お茶を飲んだり、最近は禁煙も増えていますが、たばこを勤務時間中に吸ったりする時間に休息時間を充てるのがふさわしいんではないかなというふうに思いますが、この点について、この運用について、どの大臣が答弁者として適切か分かりませんが、お答えいただけますでしょうか。
  178. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 財務省の場合でお話をいたしますと、御指摘のように、財務省では十二時半から十二時四十五分まで十五分間を無給のこの休憩時間の方に充てております。それから、休憩時間の前後十五分ずつを有給の休息時間にしている、つまり十二時十五分から一時までがいわゆる昼休みということになっているわけです。  それで、委員が指摘されましたように、休息時間では、有給の方の休息時間では、つまり前後の十五分ずつですけれども、職務専念義務というのは免除されているわけです。その間は、職務専念義務というのは、休憩時間ですから、休息、ちょっと待ってください、休息時間ですから免除されているわけですが、免除されているわけですが、その間は必要に応じて勤務を命じることもできるとなっておりまして、財務省では、それぞれの部署で、その休息時間を含む昼休みの時間帯にも、例えば必要に応じて外部からの照会に応ずるとか執務を遂行するというような形で運用しているわけです。
  179. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一度このパネルを使わせていただきますが、一部の自治体においては、一番下のところを見ていただきたいんですが、昼休み十二時から一時までになっていますと。しかしながら四十五分は、ちなみに、地方公務員の方々は労働基準法というものの適用を受けますから四十五分間の休憩時間を取らなければいけないということに法律が書いています。国家公務員の方は、なぜか労働基準法の適用を受けなくていいということなんで十五分間の休憩時間でもいいということなんですけれども。一部の自治体では、休憩時間が四十五分でありながら、なおかつそのうちの十五分は休息時間でもあると。これは、この時間はどっちの時間でしょうか。厚生労働大臣、基準法を所管するところでお答えいただきたいと思うんですけれども。
  180. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 地方自治体のことを私もちょっとよく分かりませんが、この休息ですね、休息時間といいますのは、これは一応待機をしていなきゃいけない、命令の届く範囲内のところにいなきゃならないということでございますので、いわゆる休憩時間四十五分ある、それに対してプラスして取っているということでございましょうけれども、本当は休息時間というのは、例えば三時から少し体操をするとか、そうしたことの方が休息時間だと私は思っておる。
  181. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の大臣が言われたのが正に多分休息時間を正しく理解することでありまして、十時なら十時、三時なら三時に十五分間体操をするなり、体操できないときは仕事をすると、それが正しい休息時間の運用だと思います。  しかしながら、今自治体でも国でもその分を昼休みに入れることによって早く、実際に早く帰っているかどうかは別として、早く終わると、そういう仕組みを作っているわけでありまして、麻生総務大臣所管の地方自治体について伺いたいと思いますが、もっと分かりやすい自治体は始まりの時間とか終わりの時間にこの休息時間を付けていて、実際早く帰れちゃうと、そういう自治体がありますが、どれぐらい数があるかお答えいただけますか。
  182. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 知っていて聞いておられるのかどうかは知らない、神奈川県に物すごく多いんですよね。だから聞いておられるのだと思いますが、数をお知りになりたいようでございますのでお答えをさせていただければ、今、地方により種々運用の仕方に多々問題ありというのであれば、基本的には県で二団体、神奈川県はその一つです。それから、市で十二団体のうち九市が神奈川県。そして、町村におきましては十四団体、そのうち十一が神奈川県ということになっております。
  183. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今お答えいただいたのは、多分その真ん中、お昼休みに入れていると、これも先ほど大臣、坂口大臣お答えいただいたように、その本来の趣旨と外れていると。しかし、同じように本来と趣旨と外れているのは、始まりの時間に休息時間をくっ付けるか、終わりの時間に休息時間をくっ付けて、早く帰るか遅く来るか、それができる自治体はどれぐらいありますか。
  184. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のように、今申し上げたのはちょうど真ん中の部分で、最初のところに付いております、休息時間を開始直後に置いてある団体は六十団体、そして終了直前に置いておりますところが七百三十八団体あると承知しております。
  185. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 つまり、終了直前とか昼休みとか開始前に入れているというのは、実際は働いていないわけですよ。先に帰っちゃうとか遅く来るとか、そういうことでありまして、であれば、その休息時間というのは本来の趣旨から外れているんだから、やめるか、あるいは十時、三時に体操の時間を設けるかということだと思いますが、実際に民間企業を調べたら、こうした休息時間、有給の休み時間を持っている企業というのは、少なくとも自治体の事務職に相当する職種においてはほとんどない。国家公務員においてもほとんどない。  ですから、こういうものを、十五分とか三十分ってごくごく短い時間だというふうに思われますけれども、これ、総人件費の八時間以内の時間に掛けても一兆円ぐらいのお金になるわけですよ。ですから、こういうのをやめるだけでもかなりの、先ほど二兆六千億というお話を申し上げましたが、これで一兆円ぐらいのお金になると。こういうところに切り込んでいくというのが本当の意味での聖域なき構造改革だと思いますが、どうですか、総理総理
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、どしどし改善の余地ありそうですね。組合の皆さんは猛反発しそうだけれども、いい提案ですよ。
  187. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、組合の皆さん猛反発されるというお話をされました。私は、組合の皆さんはしっかりと組合の立場で主張をされるべきだと思います。それを、先ほど麻生総務大臣は労働三権が制限されていると。だから私は、これは労働三権をしっかりと与えた上で、政府が責任を持って交渉をすべき課題だと思いますが、労働三権を与える用意はありますか、総理
  188. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 労働三権関係ない話だと思いますけれども、これは厚生労働省かなと思わないでもありませんけれども、今労働三権という、簡単に言われますけれども、これは団体締結権と交渉権と争議権といろいろありますので、三権と一概に言われますけれども、それちょっと定義を分けていただかないと、中はばらばらですから。
  189. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問の趣旨は、総理が、組合の皆さん猛反発されますと、しかしいい提案だからどしどしやってみたいと、しかし何か一方で、組合の皆さんが活動できる権利を制限しておいてどんどんやるというのはこれは不公平だと。冒頭申し上げましたように、公平なベースの上で交渉するというのが私は今この日本の社会において求められているんではないかと、求められているというふうに思います。  ですから、総理としてそういうふうにおっしゃるんであれば、一方の労働三権を付与される用意があるかどうか、そのことを伺って──総理です、総理総理総理総理総理です。総理総理総理です。
  190. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 公務員の労働基本権というものにつきましては、これは御存じのように特殊性やら、先ほど申し上げた、いろいろありますんで、現行の制約というのはそういうのを前提にしてなされておりますんで、労働三権と言われる、いわゆる通常労働三権、三つをそのまま今完全に付与するというのは今の状況では困難ではないかと思っております。
  191. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一方で、提案はどしどしやって、でも組合の人が反発するでしょうと、しかし一方で労働三権は与えないというのは、繰り返しになりますが、これは不公平だというふうに申し上げたいと思います。  そこで、次に、私何回かこうした問題について取上げをさしていただきました。その過程で、国家公務員法に照らして守秘義務というものもあるんではないかという事案にも遭遇をいたしました。(資料提示)  去年の六月の九日、このメールは六月六日付けになっていますが、六月の九日の日の参議院の本会議におきまして公務員の実態についての質問をさしていただきました。その中でも労働三権のことについては触れさしていただきましたが、こうしたメールをいただきました。  私は、私の主張に対して反対をされる方が多いということはよく承知をしております。しかしそれは、その反対というのは主張をしっかりと公の場でした後に反対をされるというのが正当な反対をする行為ではないかなというふうに思いますが、この質問、このメールは私が質問をする前、前の日の金曜日に私あてに送り付けられたメールであります。  そこで、このメールについて、そもそも質問をする前という段階ではその職員は職務上知り得た秘密に当たるんではないかと。この職務上知り得た秘密をもってこのメールを、これ私個人に来たわけではありませんで、私の事務所に来ました。事務所に来たということはだれが見るか分からない。事務所の職員は少なくとも全員見れる。そういうものを送り付けるということは、職務上の秘密に当たるんではないかなと思いますが、まず一般論として、国家公務員法上の守秘義務、秘密というものは何に、どういうものでしょうか、お伺いさせていただきます。
  192. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今いただきました件でありますけれども、国家公務員法百条の第一項に規定する守秘義務という対象になる秘密につきましては、一般論として言えば、これは非公知の事項でありまして、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものと解されております。  また、個別具体例の事実につきましては、守秘義務違反に当たるかどうかについては、これちょっと各府省でやっていただかねばいかぬところだと思いますんで、これまでの今調査につきまして、私も先ほど内容は伺ったんですが、去年でしたですかね、この話は。だそうですけれども、この調査では行為者の特定が今できないので、現時点では守秘義務違反であるか否かは直ちに即断はしかねないということになっておるというように理解をしております。
  193. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 行為者の特定ができないから守秘義務違反かどうかの断定ができないという答弁でありましたが、行為者の特定をするということがまず内閣として求められているんではないかというふうに思います。つまりは秘密、まだ公知になっていないものについて漏らしたというのは明らかに国家公務員法の守秘義務に反するということだと思いますが、その点についての御答弁をお願いします。
  194. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この点につきましては、個人的な意見を基に、しかも匿名で国会議員に対して事前に質問の自粛を求めるといったような行動は、これはもう適切でないことははっきりしております。そういった意味では事実、事実でしょうから、これは甚だ遺憾な事態だと理解をいたしております。
  195. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が政府から本件について説明をいただいておりますのは、これを、メールを送ったその業者に問い合わせをしたところ、しっかりとした国家公務員法の守秘義務というような法律違反である、告発を受けた場合には調査をしますと。しかし、単なる問い合わせということに関しては個人情報保護の観点もありお答えできないという返答をその業者はしております。  私は、その業者の返答は正しいと思います。ですから、今問われているのは、政府として守秘義務違反で告発をする用意があるかどうか、その点でありますが、いかがですか。
  196. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今ちょっと即答いたしかねますので、この問題、問題ちょっと、今正直なところ昨年の経緯も余り詳しくありませんのでちょっと即答いたしかねますが、今特定をできるということなんであれば、告発すべきか否かにつきまして改めて返答いたします。
  197. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 浅尾慶一郎君、手短にひとつ。
  198. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので、事案については質問通告もいたしておりますので、是非しっかりと対応していただきたいと、このことを申し上げて、終わります。
  199. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で木俣佳丈君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  200. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、弘友和夫君の質疑を行います。弘友和夫君。
  201. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  私は、この国のありようといいますか、また姿形をどうするか、構造改革等も含めまして何点かお尋ねしたいと思いますけれども、持ち時間が三十分でございますので、御答弁は的確にお願いしたいというふうに思います。  まず、市町村合併の推進につきましてでございますけれども、合併特例法の期限切れまであと一年となりまして、私は今、九州、四国と回らして、全国的にも一緒だと思いますけれども、精力的に市町村の皆様はこの合併協議を進めておられます。  そういう中にあって、今、法定協議会を設置していますのが、市町村が千八百を突破しました。任意協議会を含めますと、全市町村の七割に達しております。そういう、しかし、これを合併にこぎ着けるまでは大変な御努力、また考え方、利害関係、様々な違いがございますので、非常に地元的には苦労されていると。  明治の大合併のときは、小学校を建設をするという中で、七万一千ぐらいなのが一万五千八百、五分の一ぐらいになった。昭和の大合併の場合は、各中学校を作ろうというのが非常に大きなモチベーションになりまして、これは三分の一ぐらいになりました。ところが、今回の市町村合併につきましては、三千二百市町村を千ぐらいにしようということでございますけれども、そういった明確な考え方というか、そういうのが何か一つ、確かに財政的な部分とかいろいろこのままでは駄目だなとかいうことはありますけれども、何かもう一つ、このままでもいけるんじゃないかという、思っておられる方もいらっしゃるし、いろいろとございます。  そういう意味で、今なぜ市町村合併なのかというまず原点に返りまして、また、総理は先日、道州制の件につきましても第二十八次地方制度調査会にも諮問されました。だから、道州制、また市町村合併、それから都道府県の形というのをどうするのか。あれのところは三つの市ぐらいができまして、全県でですね、三つの市ができたらもうそれですべて網羅されると、じゃ県と三つの市ということでやるのかどうかとか、いろいろな問題が起きておりまして、ですから日本の国全体を、道州制なら道州制と市町村がこういう形になるんですよというような何か明確な、総理はどういう思いを描いておられるか、お尋ねしたいと思います。
  202. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 道州制と、今回、小泉内閣実施しております三位一体改革、これは別と考えていただきたい。なぜならば、道州制の議論は今地方制度調査会で有識者も交えて議論していただいております。私が言うのは、道州制の場合、北海道は道州制が施行されなくても、本来、今北海道自身が考えて、こうありたいということで、特区的な考え方からできるのではないか。だから、道州制と三位一体、こう一緒に考えますと混同する場合があります。そういう点から、現在の三位一体というのは道州制を前提としておりません。そこをまずはっきりしておいていただきたい。  もし道州制を考えるんだったらば、北海道は、将来、道州制が実施された場合においても、県は、北海道にどの県も付かないと思います。また、北海道の一部もどの県にも付かない。だから道、現在の道が市町村とどういう関係を作るかは北海道自身が考えてくれと。それについては私は積極的に取り上げたいと。だから、今の三位一体改革と道州制というのは全く結び付かない前提で御議論いただいた方がいいと思います。
  203. 弘友和夫

    弘友和夫君 全く結び付かないということはあり得ないんですよね。今やっていることはそうかもしれません。ですけれども、道州制も含めてこの国の形をどうするか。国と地方の役割、それから都道府県と市町村の役割等を考えていかないと。私は一体的に考えるべきだ、しかし今回は三位一体というか、そういうことであるということで理解をしているんですけれども。  時間がございませんので、それと裏腹の、今話が出ました三位一体でございますけれども、これは片山委員長総務大臣のときに、三位一体、これは三元連立方程式で行うんだと。一つだけでは答えが出にくいと、だから三つの独立した要素を同化すと、した上で一体として決定しないと結論が出ないと、こう言われたわけですよね。これは、私も数学が得意じゃありませんけれども、三元連立方程式というのはどう解かれるのかなというふうに楽しみにしておりましたら、今回、この措置というのは全く三元連立、これは方程式なのかどうかという、まず国庫補助負担価額で税源移譲が決まるんだと。地方がやるべきもの、それからやらなくてよいという財務省が決定をして、それ、やらなくてよいというものには税源移譲しないわけですから、だから、税源移譲したくなければやらなくていいものを増やせばいいわけですね。そうした上で、だから一兆円の中で約四千億強ぐらいしかあれは付いていないと。そうしておいて、それに地方交付税を一二%、約三兆円ですかね、これを今回カットした。  ですから、これ、地方を回ってみましたら、大変なこれは、突然のようにこれは切られているわけです。こういう三元連立方程式というのはあり得ないと思うんですよ。ただ仕事をきちっとして、それに財源を付けて、別個に交付税は切りますよと、しかも一二%。これ来年、再来年というふうにやられる。さっき何か衆議院の本会議で総務大臣は十八年度まできちっと方針を示して地方が予算編成しやすいようにするという、何かさっき言われたようでありますけれども、そういうことではないんじゃないかなと。全くこれは三元連立、一次方程式じゃないかなというふうに考えるんですけれども。これはだから、委員長はそこで答弁されたようでありますけれども、答弁していただいても結構ですけれども、どちら、財務大臣総務大臣、どこがこれ、一二%切られたというのは、どちらがこういう、どうあれなんですかね、ちょっと言ってください。
  204. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、私も数学得意な方じゃありませんので、三次元連立方程式などというものはちょっと縁がないところの世界なんですが、今言われましたように、確かにおっしゃるように、ちょっと今回の中で話がすごく難しくなっておると思いますが、基本的には三つのことを一緒にやるという点は私は間違っていないと思うんです、これは、ここのところは。三位一体などという宗教用語になっていますけれども、これは、三つのことを一緒に同時にやるということは、私はこれは三者一体としては私は決して間違っている方法だとは思わぬのです。  そういった意味では、財源も確かにこれまで全く駄目だった、いわゆる国税というものも地方税に移管されておりますし、そういったことでは今まで例がないことが起きておりますことも事実としてやっぱりこれ率直に認めないかぬところで、約六千百億については移動しておりますんで、その点は確かだと思うんですが、残りもう一つの部分で、この三位一体という中にはもう一つ別の部分で、地方財政としては特例公債だけで約五十兆、累積で約二百兆を超えます赤字部分を何としても減らさないとえらいことになるというもう一つの部分とが一緒に来ておりますもんですから、何となく一挙にどんと一二%という話になりますように、えらいことになったという点が非常に地方にとりましては問題ということになっていると思います。  ただ、基本的には、是非御理解いただきたいんですが、首長さんの数からいきましたら、これはこの間のアンケート調査を見てもお分かりいただけますように、五万人以上の市町村におきましてはおおむね良かったと言っておられる方が約、いらっしゃる、ここのところは数からいきますと、人口の数からいきますと七〇%ということになるんですが、首長という、地域の団体の数からいきますと、五万人以上の首長さんの数というのは一五%しかないものですから、残り八五%の首長さんは反対。  したがって、弘友先生のおられる北九州はいいけれども、周りの京都郡とかあの辺のところは多々問題ありということになってくるんだと私もそう思いますんで、そこの点につきましては、私どもも別個にいろいろ細目手当てをしていかねばならぬところだと、丁寧に対応いたしたいと思っております。
  205. 弘友和夫

    弘友和夫君 私の地元もそうですけれども、先生の地元の筑豊も大変、今地方は大変困っているという、全国的に大変な問題抱えておりますので、この問題、法律もまた新たに出るようでございますので、別個にやりたいというふうに考えております。  それから、私はよくお話しをさせて、総理にもお話しさせていただいたことがあるかもしれませんけれども、剣道やっていましたら、構えと目の付け方が大事だということで、構えは正眼の構え、中心線を外さない。それから、目の付けどころは、目の前に相手いるけれども、遠山の目付という、遠き山を見るがごとしというですね、目の前に相手はいるけれども遠くの山を見るような目で目の前の相手を見たらよく動きが分かるという。これはまさしく、この国にとってはあるべき姿形を明確にして、それに向かってやっていかなければならないということだと思うんであります。  その中で、私は、この日本の国、文化芸術立国にすべきだという、我が党も一生懸命これ主張させていただいて、二〇〇一年に文化芸術振興基本法というのが制定された。これは文化芸術立国への第一歩ということで、二〇〇三年には初めて一千億台になりました。二〇〇四年には一千十六億という、それでも全体の予算の〇・一二%でしかないんですね。  体に栄養が必要なように、心には文化の滋養は不可欠だと。芸術を愛するということは、虚栄で自分を飾るためのものでもなければ道楽や暇つぶしでもない。人間が人間として人間らしく生きていくための絶対なくてはならない魂だと、それが文化だと、こう言う方がいらっしゃいます。  先日も、文化団体の皆様と懇談した際に、人間性のレベルの中心には文化芸術がある、その周りに経済だとかいろいろなものがあるというふうに言われましたけれども、総理の文化芸術立国への、向けての決意を端的に聞かせていただきたいと思います。
  206. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 文化芸術の重要性弘友議員も指摘されましたが、私も、文化芸術というのは国境を越えてどの国々の人々にとっても大事なものだと思っております。仕事も大事、食べることも大事ですけれども、やっぱり精神的な糧、これはやっぱり文化芸術だと思います。  ハルウララちゃんが昨日、残念ながら百六連敗ですか、喫しましたけれども、あの名騎手武豊さんにしても駄目だったかと。しかし、ああいう競馬のレースを見ていても、競馬に関心ない人でも、ああ頑張っているなと、何かこうほのぼのとした温かい気持ち与えますね。  いろいろな文化芸術あると思います。人好き好き。競馬は文化芸術じゃなくてスポーツだ、かけ事だと言う方々あると思いますけれども、すべてひっくるめて、人間に、仕事以外あるいは食べること以外に、何かほのぼのと気持ちをしたものも与えたり、励まされたり、元気をもらったり、いやされたり、いろいろなそういうものというものを大事にしていく生活、姿勢というものが私は人間の社会を豊かにしていくのではないかと思っております。
  207. 弘友和夫

    弘友和夫君 総理はよく歌舞伎だとかコンサート鑑賞に行かれて、そのときに、この大変なときに何で行くんだみたいな話がありましたけれども、私はこれは、そういう考え方、非常に貧しいなと。やはり私はどんどんこういう、国のリーダーがそういうところへ行ってもらいたいと。文化芸術によって立つことこそこの国の進むべき道だと。エステに通うよりもよっぽど私はいいと思うんですよね、これは。政治家たるものは、私は顔を磨くよりも心を磨けと、こういうように言いたい。(発言する者あり)  今こっちから話がありました。浪曲にも、浪花節、講談にもと。私、そうだと思う。やはりそういう、これは落語協会、また講談協会、浪曲、奇術、それからコント、マジック、曲芸、ボーイズ、漫談、物まね、歌謡曲、民謡、こういうことで構成されている日本演芸家連合という方からの、これはうちの提案の中にも入っているんですけれども、講談などを学校教育や福祉活動に活用すると。それからまた、商店街寄席など伝統文化を町づくりに活用と。  こういうことも含めて、大衆演芸も含めて私はこれ振興、講談や浪曲なんというのは日本の道徳的な基本的なこれに、培ってきたわけですから、是非こういうものを振興するように進めていっていただきたいというふうに考えておるところでございます。これはもう御答弁は要りません。  次に、ちょっと順番を変えさせていただきまして、温泉の問題についてお尋ねしたい。温泉観光地の活性化についてですね。  これは、前々から私どもも温泉地の活性化について取り組んでまいりまして、これは、高齢化社会が進む中で、温泉療法等の予防医療の活用によって、今までの宴会型温泉地から健康推進型温泉地へ転換は欠かせないと、こういうふうに思っておりますけれども。  例えば、温泉活用によって、山形県の東根市では、旅館と提携して温泉を介護予防のためデイサービス事業として活用して利用客が増えている。長野県の北御牧村は、温泉を利用した保健事業を実施して、一人当たり老人診療費を三年間で一七・四%も減少させて町の財政に大きく貢献していることが国民健康保険中央会のデータに紹介されているわけです。  ですから、いろいろな形で温泉地というのを、私はこれ日本が抱えている大変有効な資源でもあるし、ここの活性化を図るべきであるということも考えますし、また温泉療法等によって医療費も削減されるということもありますので、これは、これの保険の適用化等も含めまして、坂口大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  208. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) よく温泉療法というお話が出るわけでございますが、最近は、今お話ありましたように、高齢者のためにどう使うかということがかなり言われております。しかし、私は、高齢者だけではなくて、若い皆さん方がどう使われるかということが非常に大事だというふうに思っております。いわゆる生活習慣病と言われている皆さん方、この生活習慣病を予防するためにどうするかということにもう少しうまく利用できないだろうかな、利用の仕方だというふうに実は思っております。  で、昨年でございましたか、作りました健康増進法の中にもそのプログラムを書いているわけでございますが、そうした中で、やはりこの温泉というものをうまく利用していく、そして、ただ単に利用するというだけではなくて、これを本当に科学的に健康と結び付けてどうしていくかということが大事でございます。よくドイツ等でやっておりますような療法がございますけれども、そうしたことも十分に参考しながら今後考えていくべき問題だというふうに思います。  まあ、なにのお話も出ましたけれども、健康、いや、健康じゃありません、診療報酬との関係もお話出ましたが、なかなか、診療報酬ということになりますと、医療機関で行うとか、あるいはまたそこで明確に科学的な効果というものが明らかになるということが一つの前提になりますので、最初から一足飛びにそこへ行くということはなかなか難しいのではないかというふうに思っておりますが、保健事業としてこれは非常に重要な部分の一部であるという、そういうふうに思っております。
  209. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、その温泉地でいろいろ大変な大きな問題が生じておりまして、これは週刊誌等にも報道されておりますけれども、この見出しを見ましたら、排水規制の基準大幅強化で湯の町大混乱と、七月危機、全国の温泉六割が営業できないと。  これはどういうことかといいますと、平成十三年七月に、水質汚濁防止法の一部改正によって硼素及びその化合物が有害物質等に加えられて、海域以外に排出する場合の許容限度、一リットル中十ミリグラムと定めた。ただし、これは三年間の暫定排水基準が業種別に設けられまして、温泉を利用した旅館業と下水道業については、他業種に比べると緩やかな五百ミリグラムで、三年間のこの猶予があるということでございます。で、その暫定排水期間が六月中で切れると。今年七月よりこれが適用されますと、一気に五十倍の厳しいものになると。  これと同時に、またもう一つ、これで懸命にいろいろ物作りに貢献されているメッキ業の中小企業の皆さんも同様な状態に置かれているわけですけれども、こういうことに対して、是非、今まで周知徹底も、最近になって皆さん、これは大変だという話になってきているわけですね。ですから、周知徹底も余りされてなかったのも事実でありますし、現実に実用的な除去の方法というのがこれは確立されてないということで、もう是非これの延長等を考えられるべきじゃないかなというふうに考えておりますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
  210. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) 弘友委員にお答えをいたします。  温泉旅館の排水に含まれる弗素あるいは硼素については、先ほど委員が御指摘されたように、現段階において適用可能な処理技術がなかなか見付からない状態であるととらえておりまして、このようなことから、排水濃度の実態、また適用可能な処理技術の水準等を考慮しまして、暫定排水基準の適用期間の延長の措置を含めまして、現実的で合理的な結論を出してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  211. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、副大臣の方から、現実的、合理的な措置を取るというふうな御答弁でございましたので、延長も含めて、是非これは、現実に対応できない、そういう技術も確立されてないということでありますから、技術の確立の支援も含めてやっていただきたいなと。  それでもう一つ、これは道後温泉、総理も行かれたわけですけれども、この道後温泉、これは三千年前から、三千年前、三千年前からですね、温泉わいているわけです。掛け流しの、原湯掛け流しのこのお湯に塩素を入れないといけないと、こうなるわけです。塩素を含んだ温泉というのは塩素臭くて、掛け流しでたまらないわけですから、これに今さら塩素を、ところが法律ではないんですよと指導しています。ところが、そういう指導を保健所等からされると、また松山の場合は条例を作ったんですけれども、こういう必要はあるのかどうか。また、塩素を加えることによって、また別のアンモニアと化合することでトリハロメタンとか発生とかいうこともあるわけですから、掛け流しの、三千年前からずっと、ほかの温泉もそうなんですけれども、やっている温泉にそういうことが必要なのかどうか、端的にちょっと御答弁お願いします。
  212. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御説明申し上げます。  入浴施設を発生源とするレジオネラ症の感染事例が度々発生しましたことから、平成十四年十月に指針を定めまして、レジオネラ症の発生防止対策等を条例等に盛り込みますように各都道府県に対してお願いをしているところでございます。  当該の指針では、貯湯槽等に付きます生物膜の除去、あるいはエアロゾルの発生抑制などの設備の衛生管理が中心となりますけれども、浴槽水の消毒について塩素系薬剤を使用することを基本としつつ、温泉等の性質から塩素系薬剤が使用できない場合などには他の適正な衛生措置を行うこととしているところでございます。  先生御指摘の有機物質を多く含むような温泉水におきましては、当然有害な物質が発生することもございますので、このような場合には塩素系薬剤を使用することはできない例になるというふうに考えております。  いずれにしましても、掛け流し式と呼ばれます入浴施設におきましても源泉タンクや浴槽の管理状況が悪い状況では浴槽水でレジオネラ症の原因でありますレジオネラ属菌が検出されることもございますので、こうした設備においても指針の趣旨を踏まえまして適切な処置を講じていただきたいというふうに考えているところでございます。
  213. 弘友和夫

    弘友和夫君 ですから、その適切なきちっと清掃、清潔に保っておくとかいろいろなことは当たり前な話であって、何でもかんでも塩素入れないといけないとかいうような話じゃないんですよ。今まで何千年もそういうあれが発生したことないという、その前にいたかどうか分かりませんけれども、そういうことを全国的にとにかく規制をすればいいということだけじゃなくて、是非、これはまた別の機会でもやりたいと思いますけれども、温泉地、余り規制規制で塩素一杯の、またそういうところににおいがするような、入りたくないということになってきますので、是非考えていただきたい。  時間が余りありませんので、ちょっと項目だけ触れたいと思いますが、これは先ほど浅尾議員が言われたジョブレスオブリージュじゃありませんで、ノーブレスオブリージュの話でございまして、武道教育でございますが、これは是非、これは文化芸術振興基本法の中でも身体文化という武道、これはまた武道教育というのは、ええっとか今もちょっと声が上がりましたけれども、何か戦前に回帰するんじゃないかみたいな話になる。決してそういうことではありません。  今、青少年の問題、様々な問題があります。で、青少年の問題だけじゃなくて、まさしく先ほどの公務員、官僚、政治家、今、昨日もお医者さんの話だとか学校の先生の話、また警察の話、そういう全体的を考えると何かこの日本の社会というのが病んできているというような感じがします。  ただ、これはじゃ法律を変えるだけでいいのかということを、私は法律を変えたって、変えるだけでそんなものが変わるわけはない、やっぱり現実的な対応を現実、現場で一生懸命やっている。例えば武道なんかは、言うまでもなく心身を鍛練し、礼儀を学ぶことによって自己を律する力をはぐくみ、相手を理解し尊敬する心を育てる。また、けいこや試合で感じる痛みは他者の痛みをも教えてくれる。これは相手を思いやる心をはぐくむことにもなると。まだまだ武道の効用というのはたくさんあります。勇気と信念、そして健全な人格をはぐくむ武道、様々効用がございますけれども、時間がございませんので、とにかく、こういう文化芸術振興基本法の中にもありました、そういう武道というものも教育の中に、社会の中に是非取り入れて、具体的な問題についてはまた別途やっていきたい。  先ほど、もう一つ、観光立国。もう一分しかございませんので、これで、この観光立国を今進めておりますけれども、これは外国人の方が訪れてみたい、住んでみたい、こういう国づくりなんだと。考え方として、それを今排除をするのかしないのか。観光立国ではどんどん外国人の方来てもらいたい。片一方では法務省、それから警察庁。  時間が参りましたので終わりますけれども、中国人ビザの問題についても極端に減らしているんですよ。百数十人申請したらたった二人だけしか、これ来れるようにならない。そういう極端なのは、やっぱり開かれた国にしなければ、犯罪というのは別個きちっとやるべきだと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。
  214. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で弘友和夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  215. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、小泉親司君の質疑を行います。小泉親司君。
  216. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。  小泉純一郎総理大臣に質問をさせていただきます。  アメリカの大義ない無法なイラクの戦争が開始されてから一年がたちました。現在、イラク米英占領軍の占領が大きく破綻していると思います。私は、この破綻している一つの要因に、今回のイラクの戦争が果たして正しい戦争だったのか、大義のある戦争だったのかという点があるというふうに思います。私は、今回のイラク戦争は大義のない無法な戦争であった、現在の占領も不当なものだというふうに考えております。これは、私どもばかりじゃなくて、多数の国際社会の認識であるというふうに思います。  そこで、戦争の最大の根拠とされてきましたイラク大量破壊兵器の問題について、総理と議論をしていきたいというふうに思います。  我が党は、この問題について、これまでも志位委員長を始め一貫してこの問題を追及してまいりました。総理は、戦争が開始された一年前の昨年三月、三回にわたって総理のメールマガジンでこのイラクの問題取り上げておられる。今日はパネルにしてまいりました。(資料提示)  小泉内閣のメールマガジン、三月十三日のメールマガジンでは、この問題は、全世界大量破壊兵器を持っているイラクの問題であるということを忘れてはなりません。二十日、問題は、大量破壊兵器を保有するイラク脅威に私たちがどう対峙するかです。フセイン政権がこれらの兵器を廃棄する意思がないということが明らかになった以上、これを放置するわけにはまいりません。このアメリカの決断を支持する以外に解決の道はないと思います。これが支持の理由です。これが二十日。二十七日、この問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないこと、こう言っておられる。  つまり、この三つのメールマガジンとも、大量破壊兵器イラクが保有している、こういうことを断定されておる。この総理の自らのメールマガジンでの見解、これはまずお認めになりますね。
  217. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はい、メールマガジンでそのようなことを書いた記憶がございます。  ただ、私がこのイラク戦争を支持した理由は、累次の国連決議にのっとったものであります。
  218. 小泉親司

    小泉親司君 総理は、もう一つ私お尋ねしたいんですが、我が党の、今年の一月二十六日の衆議院予算委員会、この予算委員会で我が党の穀田国対委員長衆議院議員の質問に総理は答えられて、イラクの、イラク大量破壊兵器を持っていないとも断定できない、持っているとも断定できない、こう言っておられる。ということは、断定したという見解は、これは間違いだったというふうに総理はお認めになるんですか。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今の時点ではそうは言えません。当時、イラクが過去に大量破壊兵器を使用した、そして国連の査察を妨害した、国連の相次ぐ決議を無視し続けた、そういう事情から、大量破壊兵器を持っていないという責任を果たすのはイラクの立場だったんです。イラクが、自分たち大量破壊兵器を持っていませんということを立証しなきゃならなかったんです。それをすれば、戦争は起こってなかったんです。ああいう状況を見て、私は持っていると思いました。今、ないとはいまだに断定できません。
  220. 小泉親司

    小泉親司君 あなたは、先ほども私確認しましたように、メールマガジンでは明確に断定を三回にわたって行っておられます。ところが、今年の一月二十六日の衆議院予算委員会、この予算委員会では、持っているか持っていないか断定できないとおっしゃったんですよ。明確に違うじゃないですか、見解が。そういう説明を明確にしない限り、今の説明じゃ全然これは成り立ちません。  これは間違いだとお認めになるんですね。
  221. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そうではございません。これは、いまだに見付かってないから大量破壊兵器がないとは言えない、私は今でもそう思っていますよ。まだあるかもしれませんよ。そういうことを言っているんです。
  222. 小泉親司

    小泉親司君 あなたが大変敬愛するブッシュ大統領、ブッシュ大統領は、既に二月二日、NBCテレビのミート・ザ・プレスという大変有名な人気の討論番組がございます。この討論番組の中で何と言っているかといいますと、司会者が、三月十七日にあなたは我が国を戦争に導いた夜にこう語った、米国及び他国の政府収集した情報は、かつて考え出された中で最も致死的な武器の幾つかをイラク政権が保有し、つまり大量破壊兵器ですね、保有し隠し続けていることは疑いないとしていると。大統領、そうだと。司会者、じゃ、それは明らかに事実でなかった。大統領、そのとおりだ。  つまり、保有し隠し続けているということは、これはブッシュ大統領が最後通告の夜に米国民に演説したんです。その演説した内容では、これは明らかに事実ではなかったんだとブッシュ大統領が認めているんですよ。  なぜあなたはそれをお認めにならないんですか。
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はブッシュ大統領と違いますから、ブッシュ大統領の発言についてはここにおいてどうだこうだとは言いません。しかし、いまだに捜索続行中であります。ないとは断定していないんです。今、ない、ないという断定の中で小泉さんは質問している、私に質問している。ないとも断定できないんです。
  224. 小泉親司

    小泉親司君 私は、あなたの最も敬愛するばかりじゃなくて、イラクの戦争を起こした方が、つまりその方が、元々はイラク大量破壊兵器を持っていたんだ、だから我々は開戦したんだと米国民に言った。ところが、今度はそれを事実上ブッシュ大統領がミート・ザ・プレスという中で撤回したんです。あなたが初めに、このイラク大量破壊兵器の保有問題についてあなたが一番先に言ったんじゃないんですよ。ブッシュ大統領が言ったんですよ。その人が、保有を断定したのは間違っていたんだということを言っているんです。何であなたは、あなた自身が事実上これをお認めになった、断定した、その事実を今度は持っているか持っていないか断定しない、できないというふうにおっしゃっておきながら、その誤りをお認めにならないんですか。そんなおかしなことないじゃないですか。
  225. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ブッシュ大統領が間違っていたとは言っていないと私は聞いております。  ブッシュ大統領は、サダム・フセインが米国にとって脅威であることについては疑いの念は全くなかったと。なぜなら、彼は兵器を所有する能力、製造する能力を有していた。我々が、彼が兵器を所有していると考えていた、国際社会も彼が兵器を所有していると考えていた。彼は兵器を製造し、そのような兵器をテロリストネットワークに渡す能力を有していたということを言っております。で、現在も捜査続行中であります。  そういうことから、私があのイラク開戦を支持したのは、一連の国連決議にのっとったものであり、当時はフセイン政権が国連決議にのっとって、私たちは大量破壊兵器を持っていませんと証明すれば、あの戦争は起こっていなかったんです。立証責任はイラクにあったんです。フセイン政権にあったんです。それをなぜしなかったのか。当時、査察を妨害し、何回も国連を無視し続けてきた。これ、ないというふうに考える方が当時はおかしかったと私は思います。いまだに、ないとは断定できないんです。
  226. 小泉親司

    小泉親司君 総理国連決議、国連決議とおっしゃるけれども、この国連決議の問題について言いますと、アナン事務総長が三月八日、開戦一周年を前にしましてアラブのジャーナリストと会見した。この記者発表については、国連のホームページに載っておりますから、詳しくだれでも読むことができる。  この中で、アナン事務総長は何と言っているかといいますと、安全保障理事会も国連も戦争を承認してこなかった。安保理は長期にわたる論議と数多くの努力の末、イラクとの戦争を承認しなかった。戦争は国連憲章と相入れず、いかなる戦争行為も広く疑問視されるだろうし、その正当性は広く疑問視されるだろう。明確なのは、これは国連による制裁戦争ではなかったし、国連安保理の決定ではなかった。これだけ国連事務総長がはっきり言っているんですから、この事実は明快でありまして、私は国連決議を理由にすることはできないと思います。  それから、先ほど、総理が今引用されたことは、今お読みになったことは、実際には、私も全文を持っておりますが、後ろの方で言っているだけで、一番初めに冒頭からこの問題、つまり大統領が実際に保有し隠し続けていることは疑いないとしているということは明らかに事実ではなかったということについて、そのとおりだと言っているんですよ。  あなたも持っておられるんだったら、その事実を、こういう事実が書かれていることはお認めになるんですね。総理、いかがですか。総理、その元を持っておられるんでしたら、このことが書いてあるということをお認めください。
  227. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) じゃ、読みましょう。NBCインタビューでブッシュ大統領の発言です。  三月十七日に大統領は、イラク体制は最も殺傷力の強い兵器を保持し続け隠し続けていることは疑いの余地がないと述べたが、そのようなことは現実にはなかったようだがとの質問に答え、そうだ、誤った前提に基づいて国家を戦争に導いたとの批判にどうこたえるかと問われ、私は当時得られていた可能な限り正確な情報に基づき判断を行った、その情報は何年もかけて収集され、米国の分析官も他国の分析官も正しいと考えていた、自分は兵器の備蓄があることを予想していたが、イラク監視グループのケイ博士は、イラクが兵器開発能力を有していたことを明らかにした、兵器は戦争期間中に破壊されたか、隠されているか、他国に移転されたかもしれないが、我々はそれを明らかにすると、そういう文章、インタビューに答えているわけでありまして、その当時の自分の所感については説明したいと、さっき私が答弁したとおりです。  そして、国際社会も彼が、サダム・フセインがですよ、兵器を保有していると考えている、彼は兵器を製造し、それらのテロ兵器をテロリストネットワークに渡す能力を有していた、あの男は脅威であったのであり、我々が彼に対処したのは最善の事態を期待することはできなかったからであると、彼が大量破壊兵器を自国民に対して使用したことを忘れてはならないと、こうも述べているんです。
  228. 小泉親司

    小泉親司君 総理、あなた、それは要旨なんですよ。そんな、それは、官僚が書いた要旨をやっちゃ駄目ですよ。実際には、あなた、これは……
  229. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 実際だよ。
  230. 小泉親司

    小泉親司君 実際ですよ。こっちですよ、実際は。あなたが今言っているのは要旨じゃないですか。そんな、駄目ですよ。こんな、司会者が、ミート・ザ・プレスのテレビでやったこと。実際には、原文じゃないですよ、日本語ですよ。こういう、私は、明確に大量破壊兵器は疑いない、そうだ、それは明らかに事実で……
  231. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 抜粋だよ。
  232. 小泉親司

    小泉親司君 抜粋じゃないですよ。一番重要なところをあなたに質問しているんですよ。  それは、私は、総理、これは大変おかしいと思いますよ。総理自身が実際にメールマガジンでイラク大量破壊兵器を保有していたと断言した。ところが、今度は、我が党の追及に対して何て言っておるかというと、持っているか持っていないか断定できないんだと言った。変わっているんです、明確に。しかも、ブッシュ大統領だってこれは変えているんですよ。何でそれが、初めに断定したことが誤りだということは、総理はそれはなぜお認めにならないんですか。これ、どうですか。
  233. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは現時点では断定できないからです。将来見付かる可能性なきにしもあらずなんです。  当時は、多くの人が持っていると見ていた。しかし、今の時点でいろいろ捜索しても出てこない。将来出てくる可能性はあるんです、現に捜査は続行中なんですから。もう、毒ガスにしても生物化学兵器にしてもごく小地域で隠すこと可能なんですから、これは将来出てきたらどう言うのでしょうか。今、断定、ない、ないとは断定できない状況ですよ。
  234. 片山虎之助

  235. 小泉親司

    小泉親司君 委員長
  236. 片山虎之助

  237. 小泉親司

    小泉親司君 いや、いいですよ。要らないですよ。
  238. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) いや、指名した。何度も手を挙げている。
  239. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国連の査察団も認めているように、イラクは、ボツリヌス菌、炭疽菌、VXガス、サリン、いろいろ挙げられますけれども、そういうものを持っていたわけです。そして、その国連の査察に対して、それを廃棄をした、あるいはどこかに隠した、あるいは今持っている、いずれにしても、そういったことを見せる責任があるにもかかわらずそれをやらなかったということであるわけです。したがいまして、私どもの申し上げているとおり、これは米英も両方ともそう言っていますけれども、国連において第七章の下において採択をされた国連決議、あの安保理決議、これに基づいて武力行使が行われたということは正当化をされるということでございます。  それで、先ほど来おっしゃっていらっしゃるNBCのインタビューのことですけれども、これは、事実は現実にはなかったようだが、三月十七日に大統領が述べたような事実は現実にはなかったようだがという質問に対して、総理が先ほどからおっしゃっていらっしゃいますように、正しいと述べて、現時点では兵器の備蓄は見付かっていないということを認めたということですけれども、これも先ほど総理がおっしゃったことの繰り返しになりますが、兵器は戦争期間中に破壊されたか、隠されているか、他国に移転されたかもしれないが、我々はそれを明らかにするということを述べているわけです。  責任がイラクにあって、それを明らかにしなければいけないのはイラクである。国際社会がそれに基づいて、国連の安保理決議に基づいて、武力行使を正当であるというふうに判断をしている。日本はそういうふうに判断をしていると、そういうことでございます。
  240. 小泉親司

    小泉親司君 総理、私の時間が短いのに、外務大臣入れられると大変、もう昔からの話を繰り返しているだけですから、総理に私お尋ねしたいんですが、総理がお答えになっていないんですよ。どこをお答えになっていないか。総理は、メールマガジンで明らかに断定したんです。そうでしょう。ところが、それを今のお話、これまでの繰り返しの答弁は、断定できないんだと言っているだけの話で、つまり、断定した人が今度は断定できないんだと言っているだけなんですから、これ見解を言い換えられているんですよ。断定したという誤りを総理はお認めにならないんですか、どうですか。
  241. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 将来見付かる可能性もあるんです。今の時点でないとは断定できないんです。
  242. 小泉親司

    小泉親司君 だって、あなたが先に断定したんじゃないですか。あなたがメールマガジンで、先ほど言いましたように、あると断定したんじゃないですか。だから、断定しているんだから、現実にはあなた自身がこれを言い換えられているんでしょう。だからその言い換えられているのは、明確にこれを断定したことは誤りだとなぜあなたはお認めにならないんですか。おかしいですよ。
  243. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほども答弁いたしましたように、当時の状況から持っていると断定できる状況にあったんです。今、ないと断定していますが、小泉議員は、ないとは断定できないでしょう。過去使って、この立証責任はイラクにあるんですから、フセイン政権にあるんですから、そして過去使用しているんですから、ごく小さなところに隠すこともできる。だから、今ないとは断定できる状況じゃありませんよ。
  244. 小泉親司

    小泉親司君 いや、あなたがあると断定したのが初めの誤りなんですよ、私は別に何も断定はしていませんよ。あなたが断定したんです。だから、断定した方がそれをあるかないか断定できないとおっしゃっているんだから、それを私は言い換えているんだろうと。断定したという誤りをお認めになるのかと言っているんです。  私は、三月十八日に、例えばイラクの戦争を支持して現在米英占領軍の主力部隊の一つでありますポーランドのクワシニエフスキー大統領、この大統領は、大変、大量破壊兵器問題で釣られたことは大変全く不愉快だと、我々は作り話にだまされたと言っておられる。ポーランド大統領は、アメリカからイラク大量破壊兵器があるという非常に強い可能性を知らされていた、しかし見付かっていないと、こう言っておる。私はだまされたという点である種の不快を感じたんだと、こういうことを言っている。  もう一人、アメリカの元大統領ジミー・カーター氏、三月二十日、イギリスのインディペンデンスのインタビューに答えまして、近年、我々にとってイラクに関与する理由はなかった、戦争はイギリスとアメリカ政府のうそと誤った説明に基づいていた、両国政府は、サダム・フセインには九・一一の同時多発テロの責任があり、イラク大量破壊兵器を保有していたと偽って主張した、また私は、恐らくブッシュ大統領とブレア首相はイラク問題が不確実な情報に基づいていることを知っていたのだと思う、戦争をする決定がなされ、その後戦争の理由を探そうということになったんだというふうにジミー・カーター氏は語っておられる。  多くの人がこういう疑問を大変提示されておる。そのときに、私は、総理が断定された。それを今度は持っているか持っていないか断定できないというふうに言い換えられているのは、私は、これは明確な、総理は認識を変えた。何でその誤りを総理はお認めにならないんですか。
  245. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは当時の状況から、イラクが持ってないということを説明もしないし、査察も妨害している状況から考えれば、あのときに断定したと思っても不思議ではないし、今ないとは断定できない状況です、何回も言っているように。今も捜査続行中であります。だれもないとは断定できないんです。当時もカーター元大統領はそのような発言はしていない、今になってそのような発言をしたかもしれませんけれども、これはまだまだ捜査続行中でありますから、ないとは断定できる状況にない。
  246. 小泉親司

    小泉親司君 何であなたは断定したんですか。その時点その時点と言いながら、三月には断定しているじゃないですか。そこを言っているんですよ、私は。(発言する者あり)そうですよ、アメリカに言われたんじゃないんですか。実際にはあなた自身が、持っている、持っている、これは三回にわたって国民にあなたのメールマガジンで言ったんですよ。それを何で、明確にあなた変えているじゃないですか。そんなことで問題を私はずらすのは問題だと思います。  その点で、イラク大量破壊兵器を保有していたという問題は、アメリカ国内だけじゃなくて、戦争を担ったイギリス国内でも調査委員会が設けられた。ブレア政権も本当に責任が今問われていると思います。三月十六日には、オルブライト元米国務長官が責任者であります「イラク戦争一年」と題する世界規模の世論調査、ここでは米英の指導者は大量破壊兵器問題でうそをついたのかという質問に対して、フランスは八二%がうそをついた、ドイツは六九%、ロシアは六一%、このうそをついたというのが圧倒的多数なんですね。私もこれは明確に、大量破壊兵器を保有していたというのはこれはうそだと思います。  その意味で、総理は、断定した、誤りだったということすら、断定した、誤りだったということすらもあなたはお認めにならない。ここが私は大変重大な問題で、なぜ、ブッシュ大統領だって間違いだったと認めている問題について、なぜあなたが認めないのか。そこを明確になぜできないんですか。
  247. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 過去持っていたし、使用したこともあるし、そして、自らないということを説明しなきゃならないにもかかわらず説明しなかった、査察を幾度も妨害した、こういう状況から、私はあると断定しました。  しかし、今、捜査続行中で、ないとは断定できる状況じゃありませんよ。将来分からないですよ。出てきたらどうするんですか。
  248. 小泉親司

    小泉親司君 あなたは断定したと今おっしゃったでしょう。一度は断定したんですよ。一度は断定したんでしょう。それを言っているんですよ、あなた。明確に断定した。ところが、今度は持っているか持っていないか断定できないと言っておられるんです。だから、その誤りを私はなぜお認めにならないのかということを私は言っているんですよ。そこを明確に私は指摘をしておきたいというふうに思います。  もう一つ私、総理総理、もう一つ私……
  249. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 当時のいろいろな情勢から断定しました。しかし、今、あるかないか分からないという状況になっている。しかし、捜査を続行しているんです。出てきたら、断定したのが正しいとなるんです。ないと断定できる状況じゃないんです。
  250. 小泉親司

    小泉親司君 あなた、あるというふうにあなたは断定したじゃないですか。そんな、駄目ですよ、でたらめのごまかしじゃ。あなた自体は、実際には、イラクが保有しているということはもうメールマガジンで何度も断定しているんだから。それでもってあなたは戦争を支持したんじゃないですか。そういういい加減なことを私は、いや、私の、私の質問をいたします。もう一つ総理、質問いたします。いや、総理……
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今ね、今続行しているんですよ。あるかもしれないということで続行しているんですよ、捜査を。(発言する者あり)しかし、出てきたら、断定したというのは正しかったとなるじゃないですか。今の時点で誤りだと言う必要、全然ないじゃないですか。
  252. 小泉親司

    小泉親司君 あなたは、だって一度は断定しているんですから、それが間違いだってことをなぜあなたは今の段階でお認めにならないのか。そこを私は明確にして、委員長、いや、駄目ですよ、私の時間だから、委員長、私の時間、委員長、おかしいですよ……
  253. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ないとは断定できないからです。出てくる可能性はあるんです。
  254. 小泉親司

    小泉親司君 私は、これはやはり、あなたが断定しておいて、ブッシュ大統領も、その保有しているということを断定したのは否定されているにもかかわらず、あなたが再びこれを持ち出す、依然としてこれをやっているのは、私は開き直り以外の、ないと思います。その意味で、今度のアメリカのイラクの戦争の理由、それから戦争を支持した理由、これは私は極めて大義のないものであったことは、私はますます明らかだというふうに思います。このような点で私は、この引き続く不当な占領に支援、合流する政府の態度は、私は認められない。  そこで、私もう一つだけお尋ねさせていただきますが、これまでも私一貫して、この連合軍のシミタールの、三日月という雑誌でありますけれども、この雑誌の問題について取り上げさせていただきました。(資料提示)この前、総理にも答弁いたしましたが、このシミタールという占領軍の中に何て書いてあるか。日本人、連合軍に参加。米英占領軍のパルマー大佐は、彼自身の参謀の一人である日本人の三佐と毎日テーブル越しに顔を合わせる。日本人のヒデシマ・タカ三等陸佐は、この二週間、第七米英占領軍民生部門の朝のミーティングでテーブル越しにいた人物だ。この方はヒデシマ・タカアキさんという方ですが、その三佐が実際にはこの米英占領軍の実際には民生部門の占領機構に参加していると。これは正に占領行政の、私は、への参加でありまして、これは憲法違反であるということは、私は明確だというふうに思います。  同時に、この占領軍の問題については、やはり同時に、これは大義ない無法な戦争と占領に支援、合流するものであって、こういうことは絶対許されないと思いますが、総理、この点いかがです、総理総理、いかがですか。
  255. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは全く言っているのは違うんです、小泉議員の言っていることは。連携、連絡しているのと指揮下に入るということは全く違うんです。(発言する者あり)この前もやったの、本当。同じことばっかりやっているけれどもね。  あくまでも、イラクに派遣されている自衛隊部隊我が国の指揮下に入っているんです。その指揮下に入っているのが、アメリカ軍とか各国の軍と連携なり情報収集するのが何でいけないんですか。むしろそれは評価されているんですよ。非常に調整し、連絡を密にし、情報交換しているということで評価されているんです。  御指摘の記事は、そういう日本関係職員がよくやっているなと評価されている記事だと思うんですが、これが外国の部隊日本関係職員なり自衛隊の諸君がよく連絡調整しているなということで、各国、他国の指揮下に入っているというのは、これは間違いです。指揮命令の問題とは全く関係がないことなんです。  それを誤解させちゃいけませんよ。日本部隊として、自分の安全を図る、各国がどういう状況をしているのか知りたい、イラク国民は何を要求しているのか知りたい。それはいろいろ連携取りますよ。そういう連携を取るから各国の指揮下に入っているというのは、とんでもない誤解です。日本自衛隊なり職員は日本国家の指揮下に入っていることであります。
  256. 小泉親司

    小泉親司君 私は、この問題は重要だから、総理、取り上げているんです。何度も総理、取り上げます。  私は、この問題については、実際に自衛隊の三佐が占領軍の占領行政に携わっているということを明確に私はこの記事は言っていると思います。その意味でも私は、戦争も大義がない、占領も不当であると。今、例えば、国際社会もますます離反しまして、有志連合も分裂し始めている。スペインも六月末に撤退するというようなことを表明している。今、私は、占領地イラクに軍隊を派遣している国々も撤退の意向をしている国々もある。  その点で私は、このイラクに六月末に主権が国民に返される、そういうときに、この主権国に他国の軍隊がずっと居座るということは私は言語道断でありまして、この点ではイラク復興は占領軍の枠組みから国連中心に切り替えるべきだというふうに思います。  その意味で、不当、不法な戦争、占領に支援、協力する自衛隊の派兵は許されない、直ちに撤退すべきだということを強く主張しまして、質問を終わります。
  257. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で小泉親司君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  258. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田英夫君。
  259. 田英夫

    ○田英夫君 今、テロということが、世界でといいますか人類の大問題になっている。これはどなたも認めると思いますが、総理はこのテロというものに対してどう対応されるおつもりですか。
  260. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロというこの法的な定義は難しいものでありますが、テロに対してやっぱり屈してはいけないなと。現在の紛争というのは国家国家の紛争ではなくて、テロというのは姿が見えません、相手の形も見えない、そして一国だけに存在しているのではない。非常に今までのいわゆる紛争形態というか戦争形態とは違った形態であります。  そういう中で、自分たちの目的を達成するために全く関係ない市民、国民を殺りくして平然としている。こういう卑劣なテログループテロ組織の脅しに屈してはならないと、断固として戦っていかなきゃいかぬと思います。
  261. 田英夫

    ○田英夫君 アメリカのブッシュ大統領は、九・一一のテロの後、アフガニスタンに対して戦争でこれを押さえ付けようと。その延長線上でイラク戦争もあると思いますが、テロに対して戦争をもってこたえるということを支持されますか。
  262. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 九・一一の前からテロというのはあったんです。何人もの国民関係ない各国の人々が犠牲になりました。九・一一というのは、これは大変大掛かりな犠牲、犠牲者を出し、大規模なテロ行為、言わばアメリカ国民の我慢にも限度があったと思うんですね。今までどこにいるのか分からない、しっかりとした証拠がないというために見えない相手に対して常に警戒をしていなきゃならない。それでもニューヨークがやられワシントンがやられ、多くの犠牲者を出した。そこで、テロの首謀者であるビンラディンの隠れているアフガンに対してテロとの戦いに踏み出した。  戦争だけによって解決できると思いませんが、それではあのテロ撲滅、テロリストグループの撲滅を図ることなしにテロがなくなったかといえば、なくなったと思いません。今まで何にも戦争しないのにやられていたんですから、テロを。そこが難しい。実に難しいと思います、率直に言って。  じゃ、何もしなかったらテロ起こらないか。そうじゃないですね。どの地域でも全く関係ない国でテロが起こって、関係のない国民がたくさん殺されている。それはもう九・一一以前、イラク戦争以前、アフガン戦争以前からそうです。これをどう解決するのか。非常に難しい問題だと思います。
  263. 田英夫

    ○田英夫君 いや、それはもうテロというのは、日本を例にとっても、戦前、昭和初期も頻発しましたよ、財界の人が殺されたり浜口総理がやられたり。そして、五・一五事件もテロですよ、あれは青年将校がやったことですけれども。二・二六事件はクーデターに近いかもしれないけれども、正にテロというのは世界じゅうでずっと以前からあった。なぜ起こるのか。問題はそこじゃないですか。  それは、民族的な対立とか宗教的な対立とか、あるいは歴史的な怨念とか、さらには貧困、抑圧という状態、それに対する反発、あるいは主義主張の違いから来るものもあるでしょう。五・一五事件などは、当時の世界の軍縮という方向に向かう、平和という方向に向かう潮流、不戦条約ができた、軍縮が進むということに対して、青年将校や右翼が反発をしたと。そういう歴史を冷静に見る必要があるし、特に近代目立つのは、大きな軍事力を持った勢力、国、それが抑え付けようとすることに対する反発と。  で、テロの、テロを戦争で抑えるということは、私は軍事力によって抑えるということは愚策中の愚策だと思う。アメリカのブッシュ大統領がアフガニスタンに対してやった、イラクに対してやっていることは正に愚策だと思いますよ。テロを拡散するだけですよ。そういう意味で言えば、イスラエルとパレスチナの例、これは最もあしき例ですよ。もうごく最近もヤシン師が殺されたと。このイスラエルのやり方は正に愚策ですよ。悪い例ですよ。イラク戦争も悪い例ですよ。  これに対して、いい例と言えるのはEUじゃないですか。ドイツとフランスは、本来ならば怨念を持って対立して、どちらかがどちらかにテロを仕掛けるというようなことがあっても仕方がないような歴史を持っている。ナチス・ドイツがフランスを占領したときに、フランスの人たちはレジスタンスという形で民衆が抵抗した。ある意味では一種のテロかもしれない。しかし、その歴史を乗り越えて今EUという一つの形になって、さらには、西ヨーロッパと東ヨーロッパの国々というのはこれまたイデオロギーの違いから相対立していて、正に怨念を持っていてもおかしくない。それが今EUが拡大して東ヨーロッパまで包含しようとしている。これは、私どもにとっては一つの示唆に富んでいる、人類にとって一つの示唆に富んでいることじゃないでしょうか。  こういうことをやっぱり世界に広げていくということを日本は考えなければいけないと思いますよ。イラク自衛隊を送ったということが怨念を作り出すというような、そういう方向に行かないように配慮をしなけりゃいけない。私は送ったこと自体に強く反対ですけれども、それがテロの拡散、そして日本へのテロを招いてしまうという原因になり掛けている。少なくともアルカイダ系の団体からは、一番先に日本の名前を挙げていることは御存じのとおりであります。  もうこれだけしゃべると時間がなくなりました。本当に今このテロという問題に対してどう対応するかということが世界の課題になっている。もちろん昔からあったことですけれども、今は特にそれを乗り越えなければ、国と国とのいわゆる正規の戦争という形から、不正規戦争という名前も付いていますが、このテロに対してどう対応していくか、戦っていくかというよりも、対応してなくしていくかということを、総理、これはみんなで考えるべきことじゃないですか、日本人だけではなくて、国連の舞台で。そして、テロは基本的に軍事力ではなくて、お互いの協力と、あるいは起きてしまったことの処理は警察という形で処理すべきことではないですか、怨念を残さないために。  感想を伺いたいと思います。
  264. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 長い歴史のあることでありますが、当面考えると、イラク復興を成功させるということはテロ脅威を減少させることに役立つと思います。イラクテロの温床にしてはいけない。イラク復興のためにイラク人が意欲を持って自らの国づくりに立ち上がることができるように、国際社会国連を中心にして立ち上がるべきときだと思っております。
  265. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  266. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で田英夫君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  267. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  268. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 日米地位協定の問題についてお伺いいたします。  三月二十日の琉球新報、二十一日の沖縄タイムス、二十二日の朝刊の朝日新聞、二十二日夕刊の毎日新聞などの報道によれば、日米地位協定第十七条の運用をめぐる日米間の非公式協議が去る十八日と十九日の両日、東京で開かれ、日米間で大筋合意され、二十四日からワシントンで開かれる日米協議で正式合意を目指すという。  伝えられるその運用改善の内容は、日本で罪を犯した米兵容疑者を日本警察が取り調べる際に、殺人や強姦などの凶悪犯罪に限って、米政府関係者の同席を認める代わりに米兵容疑者の引渡しが円滑に行われることを期待しているのだという。  この件に関して外務大臣にお尋ねしたいのは、まず第一に、この新聞報道は真実か否かという点と、第二に、真実だとすればどのような点を改善と受け止めているのかという点、第三に、この程度の運用改善では沖縄県民の日米地位協定の抜本的改定要求にははるかに遠いという点についてどうお考えになっているか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  269. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 刑事裁判手続でございますけれども、これは昨年の夏に会合が開かれまして、それ以降中断をしているという形になっていまして、昨年の十一月にラムズフェルド国防長官日本にお見えになったときに私との間で、できるだけ早期にこれにつきまして解決をしていきましょうということで、その重要性について認識が一緒に、一つになっているということでございます。それで、これを受けまして、現在、この件の早期解決に向けまして、双方、日本もアメリカも努力をいたしております。機会があるごとに実務担当者の間で意見交換を行ってきております。  ただ、その内容、あるいはその次にどういうところで会談をするかというようなことにつきましては、今、日米間で調整中でございますので、ここで申し上げることは控えたいというふうに思います。  それから、沖縄の県民の方が、米軍のその施設・区域が七五%が沖縄にあるということで御負担をお掛けをしているということについては認識をいたしておりますし、そのことについていろいろな御要望がおありになるということも承知を十分にいたしております。  平成七年におきまして、刑事裁判手続で日米合同委員会の合意というものができました。ここにおいて、殺人、強姦等の犯罪で我が国が重大な関心を持っている者につきまして起訴前の拘禁移転を可能にするという道を開いたわけでございます。これは、その平成七年の九月に沖縄県内で発生をいたしました少女の暴行事件を契機に、アメリカ、米兵の被疑者の身柄引渡しについての沖縄県民の方々の強い御意見、これを踏まえまして日米両政府が最大限の努力を払いまして協議をして、この十七条の改善措置、十七条五項(c)ですけれども、の運用の改善措置として合意をしたわけでございます。このような起訴前の拘禁移転、この要請を可能にする枠組みにつきまして、実際に何度も起訴前の拘禁移転が行われているわけでございまして、こういった地位協定は世界の中で日米地位協定以外には存在をしないわけでございます。  政府としては、今後ともこの合意の運用を適切に行っていくということに努めていく所存でおります。
  270. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がありませんので先に進みます。  まず、アジア外交について総理のお考えをお聞かせください。  小泉総理は、就任以来、ゲリラ的な靖国神社への参拝を繰り返され、中国や韓国など近隣のアジア諸国に不快感を与えていることは間違いありません。今や、今はやりのどこかの国のネオコンのように偏狭なナショナリズムに固執、固執して、大局的な見地からの対アジア外交、特に対中国外交に冬枯れのような不毛な状況を作り出しているのではありませんか。日米関係が重要であることと同様かそれ以上に長期的には日本にとって中国外交は重要だと思いますが、現状では停滞しているように思います。  そこで、小泉総理の対中国外交について、その所信を承りたいと思います。
  271. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、現在、日本の対中国外交が停滞しているとは思っておりません。  中国の目覚ましい経済発展、これは脅威ではなくて好機ととらえるべきだと就任以来発言しておりますが、現実に、中国からどんどん日本に輸出されて脅威だと思っていた方も、今では逆に日本の品物も中国に輸出することができると、お互いの経済発展は望ましいと、いろんな経済的な刺激を与えてくれる、あるいは相互恩恵をもたらすというのが実際の貿易交流の中で実感として分かってきた人が随分出てきている。また、人的な交流も、スポーツ、文化、芸術、いろんな方面にわたって非常に交流は拡大しております。また、中国の皆さんが日本に旅行したいという方々も増えている。そして、政治家の間でも交流も盛んでありますし、私も中国の主席なりあるいは首相なりにも会談していると。ただ、靖国参拝をもって停滞しているというのは、一部を見て全体を見ていないのではないかと思います。  私は、どの国の方々でも自国の戦没者に対して哀悼の意をささげる、これは当然のことだと思っております。私は、どの国の指導者であれ政治家であれ、その国の戦没者に対してどのような参拝をしようが敬意を表そうが、私はとやかく言いません。同じように私も、今日の日本の発展があるのは現在生きている人だけではないと、心ならずも戦場に赴かなければならなかった、そして命を失わなければならなかった、そういう方々の尊い犠牲の上に今成り立っているんだと。これを忘れてはならない、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちから靖国参拝しているんであって、こういう戦没者に対する哀悼の意の表し方が悪いと言われて、それを言うこと聞かないあんたが悪いと言われて、日本国民どう思うでしょうか。  私はそういうことを考えて、靖国参拝をすることが日中の関係を阻害しているという見方は立っておりません。恐らく中国側もそう思っていないんじゃないでしょうか。私は、こういう点については大局的見地に立って、未来志向に立って、日中友好の重要性を考えてこれからも日中の交流を図っていきたい、日中友好を促進していきたいと思っております。
  272. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 現在、外務大臣、韓国や台湾でのいわゆる政局が非常に流動しております。その辺について日本としての、外務大臣としてのいわゆるこの二国の、まあ二国じゃない、台湾は地域ですので二国と言いませんけれども、その問題についてどういうふうに日本外交対策を立てているのか、お伺いいたします。
  273. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 時間がありませんので簡潔にお願いします。
  274. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、韓国でございますけれども、いろいろなことが、弾劾ということが行われ可決をされましたけれども、日韓関係でこれが何か違いをもたらすか、あるいは六者会談についてもたらすかといえば、これは基本的にそういったことはない、韓国の外交政策は基本的に変わらないということでございます。  それから、台湾ですけれども、これは選挙が非常に僅差で陳水扁候補が当選をしたということでございますけれども、その後、抗議活動等がまだあるということでございます。情勢については、引き続き注視をしていきたいというふうに思っております。  それから、公民投票が行われましたけれども不成立ということでございまして、これについては、台湾の人たちは現状を大きく変更をするべきではないだろうというふうに思っているその気持ちが表れた結果であろうかというふうに思っているわけでございます。我が国の台湾と中国との関係についての考え方は今までと全く変わりはないということでございます。
  275. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  276. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。  これにて外交防衛等に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会