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2004-03-22 第159回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十二日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     脇  雅史君      小川 敏夫君     若林 秀樹君      神本美恵子君     内藤 正光君      和田ひろ子君     鈴木  寛君      草川 昭三君     森本 晃司君      山本 香苗君     魚住裕一郎君      岩佐 恵美君     西山登紀子君      林  紀子君     紙  智子君      吉川 春子君     大沢 辰美君  三月二十二日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     段本 幸男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 大島 慶久君                 扇  千景君                 岸  宏一君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 脇  雅史君                 小川 勝也君                 大塚 耕平君                 榛葉賀津也君                 鈴木  寛君                 辻  泰弘君                 中島 章夫君                 平野 達男君                 若林 秀樹君                 魚住裕一郎君                 高野 博師君                 森本 晃司君                 大沢 辰美君                 紙  智子君                 西山登紀子君                 福島 瑞穂君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      金子 一義君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   佐藤 剛男君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君        農林水産大臣  市川 一朗君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        環境大臣政務官  砂田 圭佑君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        事務総長     川村 良典君        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣府政策統括        官        尾見 博武君        内閣食品安全        委員会事務局長  梅津 準士君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        金融庁監督局長  五味 廣文君        総務大臣官房総        括審議官     大野 慎一君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        消防庁長官    林  省吾君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        上田  茂君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       遠藤  明君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       恒川 謙司君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      青木  豊君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        林野庁長官    前田 直登君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      平井 敏文君        経済産業省通商        政策局長     林  洋和君        国土交通大臣官        房技術審議官   門松  武君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省都市        ・地域整備局長  竹歳  誠君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○委嘱審査に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十六年度総予算三案の審査委嘱についてお諮りいたします。  本件につきましては、理事会において協議の結果、次のとおり決定いたしました。  一、審査委嘱する委員会及び各委員会の所管は、お手元に配付のとおりとする。  一、審査委嘱する期間は、常任委員会については三月二十四日の一日間、特別委員会については三月二十五日午前の半日間とする。  以上でございます。  ただいま御報告いたしましたとおりとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百二十八分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党二十分、民主党・新緑風会六十三分、公明党十五分、日本共産党二十分、社会民主党・護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはお手元質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。脇雅史君。
  6. 脇雅史

    脇雅史君 自由民主党脇雅史でございます。  今現在、我が国で余り大きな話題にされておりませんが、大変なことが実は起こっておりまして、それは、公共事業が相変わらずどんどん減っていくわけでありますが、減ることはある程度やむを得ないといたしましても、今年また三位一体改革に伴って地方でも減るということで、実質的に仕事が半分ぐらいしかないという地方が多いわけです。そこで何が起こっているかといえば、正に過当競争が起こるわけですね。どんどんどんどん過当競争が起こって、そしてつぶれるものはつぶれろと、市場原理という言葉が使われているわけでありますが。  実は、本来建設業というのは大変大事な産業なんですね。これは人類の歴史の中でいつでもなくてはならない。産業というのは栄枯盛衰あるんですが、私は建設産業はいつの時代でも必要だと思うんですね。そして、いつでもきちっといい仕事をしてくれる、それが正に生活の基盤産業基盤、国の基盤地域基盤を作るわけですから。まあ、業界の規模というのはその時々の仕事の量によってこれは動くことはやむを得ない。ですから、いつまでも同じ会社が残っていなくてはいけないということを私は申しませんが、正に一生懸命いい仕事をするいい会社が残る、それが今なされなければいけないんですね。  今、政府でも様々な工夫がなされておりまして、いろんな努力がなされている。しかし、その原点が少し違うんじゃないか。会計法がそもそも原点にあるわけですけれども、これはあしたまた総理にお聞きしたいと思っているんですが、会計法の基本は、競争はいいんですけれども、価格競争だけを言っているんですね。品質性能競争は言っていない。およそ、産業競争が大事だというときに、価格だけで競争するなんてばかなことはあり得ないんですね。性能品質価格と組みで競争する、そしていい品質、いい性能を提供するところが残らなくちゃいけないんです。安いところが残ればいいんじゃないんです。そこのところは原点が違うものですからマスコミも間違って、会計法にこう書いてあるから会計法どおりにやれと。法律に少し問題があるところに、問題のある法律現実を合わせてどうするんだと、こういうふうに私は思うんですが、そういう傾向がある。  そこで、いろいろ議論をしたいんですけれども、あしたもありますので今日は会計法からまず入るんですが、まず予定価格というものですね、これもよく考えてみるとかなり不思議なものなんです。現実会計法に定めがあるわけでありますが、それでは、会計法で本来予定価格を決めた意図といいましょうか、どういうことで決まっているのかということをお聞きしたいと思います。財務大臣、いやいや、事務局でいいです。
  7. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 最初に、建設業、大事なものだと脇先生おっしゃいました。私も、先日、千葉県の関宿、利根川と江戸川が合うところでございますけれども、見に行ってまいりました。また、私の出身である京都では淀川の三川合流というようなもの、こういうものがそれぞれの地域の将来の発展の歴史的な骨格を作ったものではないかという思いを私は深くしておりまして、委員がいつの時代も大事な産業であるとおっしゃるお気持ちは、心から同感するものがございます。  余り一般論だけ申し上げるわけにいきませんので、そこで会計法でございますが、会計法では二十九条の六に、競争に付する場合においては、予定価格制限の範囲内で最低の価格をもって申込みした者を契約の相手方とするものとするというふうに書かれておりまして、これは国の支払の原因となる契約予定価格契約金額を決定する際の上限価格となるというふうに決めているわけでありますが、予定価格を決定するに当たっては、これは取引実例価格であるとか需給の状況であるとか、履行の難易であるとか、数量の多寡あるいは履行期間の長短と、こういうものを考慮して適正に定める、これは政令でございますけれども、そういうふうに定められているわけでございます。
  8. 脇雅史

    脇雅史君 今、私がお聞き申し上げたのは、その予定価格をどのように定めているかということではなくて、なぜにその上限拘束性を持たせた予定価格を設定しているのだろうかという意味なんですが。
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、国の契約国民の貴重な財源、税をいただいてそれを用いるものでございますから、公正、厳正な手続の下で国にとって最も有利な契約を行うことが重要であると、こういう考え方から予定価格というものが決められていると思います。
  10. 脇雅史

    脇雅史君 本来、これはよく経済学者も言われるんですが、価格市場で決めろと、売手買手があって、そのやり取りの中で自由な交渉が制限なく行われていれば、そこで価格が決まるであろうと。その価格が正しいんだということだと思うんですが、国が買手となるわけですね、公共事業。そのときに何で市場に任せられないんでしょうか、何で上限拘束を付けるんでしょうか。
  11. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、先ほど申しましたように、貴重な財源を一番有効、適切に使うということではないかと思います。
  12. 脇雅史

    脇雅史君 そのことはつまり、契約の双方が、片方つまり国という契約当事者片方自分利益を保護するために一方的に決めているわけですね。このいわゆる自由経済、自由な取引制限をするという、これ独禁法にもあるわけでありますが、独禁法売手買手か片っ方が勝手にそんな価格を決めたら、本来、独禁法精神に反するように思うんですね。  国は正に公共事業の、まああれは発注者ですけれども、実はお金を出して買っているわけですけれども、全く独占的に買手になっているわけですね、ほかにいないと。公共事業だけで商売をしている会社もたくさんある。そういう、当事者の片っ方が独占的権限を持って、自分に不利にならないように勝手に価格を決めるということは、本来、独禁法精神にも少し反するのではないかという気がするんですが、どうですか。
  13. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 竹島公正取引委員会委員長。──委員長、こっち、こっちへどうぞ。
  14. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) はい。  お答え申し上げます。  公共調達の場合に予定価格があるということで、何ゆえかということでございますけれども、今財務大臣からお話しのあったような、税金を使っているということがまあ一つ背景にあると思いますけれども、ただ、実際の予定価格の決め方を見てみますと、これは原材料費なり労賃なり、そういったコスト市場の実勢を見て決めて、その上に言わば適正利潤もオンして、言わばコスト積み上げ型に決まっているということだと思います。これは、そのことによって良質な仕事をやってもらえるだろうということも恐らく考えとして入っておると思いますが、独禁法上はそういうものがあっても、その上限価格の中で正に適正な競争が行われているかどうかということでございまして、仮に予定価格が何らかの理由で妥当性を欠いている場合には、それは入札は成立しないということになろうかと思いますので、独禁法上、別に予定価格があるからといって独禁法上困るというようなことはございません。
  15. 脇雅史

    脇雅史君 余り納得できる説明ではなかったように思うんですが。  本来、自由な競争を守るべき独禁法ですね、これが全く強権的立場を持つ発注者という立場を使って、自分だけは絶対に損をしないという状況を作っていると。それは国民税金ですから、大きく見れば国民利益を確保するという意味で認められるのかもしれません。私はそれを否定する気はありませんが。しかし、本来の取引という立場から見たら、若干そこにいびつなものがある。つまり、全くそうではない、いろんな市場があるんでしょうけれども、少しこの公共事業をめぐる市場売手買手関係というのは特異なものではないかなと、そういうふうに今のお答えを通しても私は思うわけであります。  そして、その上で、今財務大臣からも委員長からも、公取の委員長からもお話がありましたけれども、実務として一番大きな仕事をこなされている国土交通省として、それでは実際問題として予定価というのはどういう手順でどんな意識で定められているかということをお聞きしたいと思います。
  16. 門松武

    政府参考人門松武君) お答えいたします。繰り返しになる部分があると思いますが、お許し願いたいと思います。  公共工事発注の際に設定いたします予定価格は、市場におきます取引実例価格などを基に工事標準的な価格として設定されるものでありまして、契約金額を決定する際の上限となるものだと理解しております。なお、予定価格積算に当たりましては、適正な品質を確保するために必要な労務費資材費機械損料、諸経費等々を工種ごとに積み上げて標準的な価格を算定しているところでございます。また、積算に用いますこれらの単価などは、実態の調査に基づきまして算出される価格は適正な価格であると考えておるところでございます。  以上でございます。
  17. 脇雅史

    脇雅史君 標準的な価格、現在行われている例えば一メーターの穴を掘るときに、どれだけの人間の手で手間が掛かるか、どれだけの例えば資材が要るかと。そういう人件費資材費機械経費というのをすべて標準的なものを足して、そして積み上げて予定価というのが現状では積算をされている。つまり、これは現在行われている標準値なんですね。標準値であれば、標準より高い契約があったっておかしくないんです。標準値イコール上限値という考え方は、少し法律会計法があるがゆえに引っ張られているんですね。標準値上限値でなければいけないなんということは本来ないんですと私は思うんです。だから、今の世の中標準値イコール上限値というふうに、予定価といえば上限値と思い込んでいますが、これは大変な誤解があるということを私は申し上げておきたいんですね。ですから、予定価から少しでも下がらないと国が損をするという言い方がよくなされます。予定価の九十何%で落ちていたらおかしいということも言われる。  実は、私の経験で申し上げれば、役所予定価をはじく意識は、正に平均値を、標準値を取るんです。平均値を取って、これでやれば国は損しません、いい仕事も多分やってもらえるでしょうというものをはじくんです。それを実は最後持っていって、予定価格調書に書き込むわけですね。書き込んだ瞬間にこれが上限値に変わるんです。平均値から上限値に同じ値が変わるんです。それが今の現行法令だと私は思っている。  だから、予定価があって悪いとは言いませんけれども、予定価以下でやったら、より上でやったら損するとか予定価でやったら国が損をするということは一概には言えないと思うんです。もちろん、競争があって安く落ちることにこしたことはないんですけれども、それは私は反射的利益だろうと思うんですね。それを本来、目標として安ければ安いほどいいんだぞという契約が今この世の中でなされていますから、それはおかしいんではないかと申し上げているんですが、その辺について財務大臣、何か感想ありましたら。
  18. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 結局、その予定価格というものが、これは法令は、委員がおっしゃる、御指摘されますように上限として設定されておりますので、この予定価格をどういうものとして設定していくのかと。ここに今までにもいろいろ御工夫があり、御苦労があったと思いますが、やはり一つは、そこのやはり技法ということもあるのではないかと、お話を伺ってそのように感じた次第であります。
  19. 脇雅史

    脇雅史君 そういうふうに受け取っていただければ有り難いわけですが。  実は、必ず予定価を付けることになっております、請負契約あるいは売買契約で。しかし、役所予定価を本当にはじけるのかと。例えば、原子炉を出す、ロケットを上げる、いろんなケースがあるんです。それが本当の意味で、標準価なんてないですね、ほとんどね。だから、法令ではそう決まっておりますが、実は予定価が定めにくいケースもあって、そういうケースは一体どうしたらいいんだということがあるんです。  それは、法律は非常に一つの趣旨しか決めていませんから、それだけで来ていますから、担当者がいろんな御苦労をされて今日まで来ていますけれども、私はそういうことを、いろんなケースに応じてしっかり、もうとにかく契約といえば予定価があって、予定価上限値で、それより上はないんだという凝り固まった考え方を、今構造改革言われていますけれども、現行法令があって、法令のとおりに運用すればいいんだという、これ役所はある意味では無理ないんですけれども、そういう精神がどんどんどんどん世の中から離れていくんですね。間違っていくんです。だから、この点についても明日また申し上げますけれども、是非しっかり考えていただきたい。  というところで、最後に実務の一番責任者であります国土交通大臣にも感想をお聞きしたいのでありますけれども。
  20. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの脇委員の御議論を聞かせていただいて、委員政府に、国にとりまして反射的利益であると御指摘をされておりましたが、一般論ですけれども、国の財政事情というものを考えると、個社競争をした結果として、もちろん品質を確保した上で、安い工事で、安いコスト工事が行われるということは、私は間違っていないんだと思います。しかし、委員が御指摘のように、予価が上限であったものが標準値になるといったような現実的な問題というものはやはりあるんだと思います。  そこで考えなければならないのは、委員がこの御議論の冒頭におっしゃられましたような安かろう悪かろうになるということはやっぱりあっては絶対にならないし、不良業者が生き残るんじゃなくて不良・不適格業者が排除されていかなければなりませんし、低入札価格調査制度など、委員が御指摘された問題で、安かろう悪かろうと言われるようなものにならないような対策というものを十分にやっていかなければならない、こんな感想を持たせていただきました。
  21. 脇雅史

    脇雅史君 公正取引委員会、来られて、何か御意見ありましたら。失礼、失礼、会計検査院、間違えました。
  22. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 予定価格制度につきましては、国の予算執行が国民税金財源としているものでございますので、できるだけ有利な価格で行われるということが必要だろうと考えます。そういったことを背景に設けられているものでございます。したがいまして、予定価格積算に当たりましては適正なものであるということが必要ではないかと、こういうふうに考えております。
  23. 脇雅史

    脇雅史君 一番最終的な目標といいましょうか、それは、税金を使って我々の子供、孫までも使うインフラ施設をきっちりと造っていこうと。本当にいいものを造ってほしい。見掛け上きれいにできても、本来五十年もつべきものが十年で壊れたら何にもならない。いいものを造る。  今、良いものを安くということをよく言うんですが、良いものを安くというのは、確かにそれはあれば一番いいんです、こんないいことはありません。しかし、どこの世界に行っても良いものというのはそこそこ値段するんですね。宝石買いに行って、大きい宝石下さいと言ったらね、安く下さいと言ったら笑われますよ。いい洋服を買いに行って、もっといい洋服欲しいといって値段を安く欲しいんですがと言ったら、ばかかと言われる。  良いものを安くというのは、それはあれば一番いいんです。まあ私に言わせれば、ほとんど無い物ねだりみたいなもんで、たまにそういうケースもある、良いものが手に入ることもある。それを目指すことは悪いことではありませんが、良いものを安くということは本質的には違うだろうと。いいものを作ろうと思ったら、それなりに手間暇掛けて、いい材料使ってしっかり作らなかったら駄目なんです。だから、良いものを安くというのは私は七夕様に書く言葉だって言ってるんです。短冊に書くんならいいんです。願いなんです。  それはもう、いつもいつも実現できるものでない。だから言葉遣いを注意してほしいんです。良いものは適正価なんです。そのことを申し上げて、また予定価ということについても、現行法令会計法に一本そう書いてあるだけで、余りにも私は少し硬直的だろうと思うので、これをもう少しまた今後私自身も勉強して検討していきたいと思いますが、政府の方でもよろしくお願いをしたいと思う。  それから、公共事業の、これを市場という面から少し考えてみたいんです。この公共事業、よく市場と言われるんです、市場原理とか。これ非常におかしなものなんですね。市場と言うにはどうも市場らしくない市場。分かりやすくするために車の市場と並べて考えてみたい。それが妥当かどうかはまた意見があるんでしょうが。  市場というのは、物を作って売る売手側、生産者と、それを買って使う消費者、買手ですね、売手買手、生産者と消費者があって、そのやり取りの中に市場がある。それが自由な意思で自由に思うものを作って、そして自分が欲しいと思うものは買うということが自由になされて、そしてうまく回るようにというのが公正取引委員会立場でもあるし、独禁法を使ってそれを一生懸命番人としておやりになっている。ところが、例えばトヨタや日産という生産者は、これ一生懸命考えて、市場で当たるようないい車を考えますと、当たって大当たりすることあるんですね、大もうけすることもある。当たったらヒット商品。そして、トヨタや日産や本田が一生懸命やると車の市場が広がることもあるんです。倍になったり三倍になったりもするんです。  じゃ、翻って、我が公共事業の分野に返ってみるとどうだと。これは売手側というのは実は建設業なんですね。建設産業売手側なんですね。道路や橋を売っていると思えばいいんですけれども。厳密に言えば役務を提供しているような格好だと思うんですけれども、そういう売手側にあるんですが、これかわいそうなことに、建設業の側は幾ら考えていいアイデアを出しても、この公共事業の分野で大当たりするということはないんです。これかわいそうなんですけれども、ないんです。幾ら考えて、みんなで幾ら知恵を出しても、来年のじゃ公共事業市場規模が広がるかというと広がらないんです。何も影響力持っていないんですね。つまり、ここの部分は予算で決まるんですから。市場原理ではない、予算で規模が決まっちゃう。だから、それだけでもやや妙な市場なんですね。  消費者がどうかというと、公共事業の消費者、これ、実はお金を出して買う人というのが消費者なんですが、これは実は発注者なんですね。国、県、市町村、この発注者という人は、自分発注者と呼んでいますが、私は、市場という経済学の目で見たら物を買っている立場、消費者なんですね。この消費者は非常に変わっていまして、消費者マインドを持っていないというか、本来の消費者としてのパフォーマンスをしない。本来の消費者というのは欲しいものを買うんです。もう私はトヨタしか買わない、ウイスキーはニッカしか買わないとか、いろんな人がいるんです。欲しいから買っちゃう。ところが、そういうことは自ら戒めていまして、同じ業者から二度続けて買ってはいけないなんと言っているわけですから、ちょっと消費者としての、普通の消費者とは少し違う。  そしてまた、この消費者のすごいところは、国、県、市町村は税金使って仕事をしていますから、自らが損をしてはいけない。損をしたら国民の損になるからこれは何としてでも保護しなければいけないということで、国だったら自分法律作って保護するわけですね。すごい消費者なんですよ、絶対損しないぞと。会社がつぶれようが何しようが、必ず取り返せるように様々な保障制度を用意している。そういうすごい消費者なんですね。  しかも、これは当たり前のことなんですけれども、発注者ですから、来月工事出すぞということを自分でおっしゃるわけですよ、発注者はね。トンネル工事を、工期は何ぼで幾らで出すぞということをおっしゃる。しかし、よく考えてみたら、普通の市場で製品を出すぞという人、値段を決める人、性能を決める人はだれかといえば、本来、普通はトヨタや日産、生産者がやることなんですね。これ不思議なことなんです。消費者でありながらやる。  公共事業の生産者というのは、結局何の力もないんです。全く弱い。それが現実なんで、私は、ほかの分野と、いろんな分野の市場と比べると、公共事業市場というのは随分変なものだなと。本来の消費者がいないんじゃないか。国、県、市町村は消費者としての本来のパフォーマンスをしない、しかも市場規模が予算で決まる、これだけをもってしてもほかの市場とは少し違うんじゃないかと思うんですが、この辺、公取、どうでしょうか。
  24. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 御指摘のとおり、市場といいましてもそれは千差万別であると。おっしゃるように、車の市場請負契約である建設業と同じかといったら、違う点はおっしゃるとおりあることは私どももそう思っております。  ただ、私どもやはり頭に置かなきゃならないのは、公共調達といえども、これはいわゆるバリュー・フォー・マネーという、今、先生、安かろう悪かろうというか、良くて安いものはないというふうにおっしゃいましたけれども、やはり現実はそうじゃないんであって、同じ品質のものであっても価格が違うというのが、その事業者の創意工夫、生産性等々によって変わってくるわけでございまして、やはり金を生かして使うという意味では、これは個人の消費者であれ企業であれそうであるように、公共調達においてもそうであると、そうであるべきであるという考え方が私どもの制度の根幹にあるんだろうと思います。  したがいまして、申し上げたいのは、そういう中で確かに発注者がいろんな権限を持っておられますけれども、それを受ける請負事業者として事業者間の公正で自由な競争というものが確保されていなければ、本来のバリュー・フォー・マネーの目標とするところは実現し難いと。簡単に申し上げれば、談合が当たり前というような意識構造の下で金を生かして使うということはできないということだと思います。
  25. 脇雅史

    脇雅史君 私がお聞きしないことを随分お答えになりましたけれども、私が聞いているのは、市場という意味において、相当公共事業市場というのは風変わりな、様変わりな市場ではないかということについて、それについてはそうだと、いろんな市場があるというふうにお答えになったんで、私もそのとおりだと思う。  ところで、独禁法という法律は、一言で言うと消費者保護ということでいいんでしょうか。
  26. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 最終的には国民一般、消費者一般の利益ということでございますが、その前に、当然、事業者の健全な事業の遂行ということも目的の一つに入っております。
  27. 脇雅史

    脇雅史君 それで、消費者保護、事業者の保護ということも入るということですけれども、そういう意味で考えますと、本来は消費者をなぜ保護するかというと、弱いから保護するんですね。  この公共事業の分野は発注者、これが実は消費者なんですね。売手側が、これが事業者、建設業。強さを比べると、圧倒的に発注者が強いんです。さっき申し上げたように、すべて自分で権限がある。対等契約なんてあり得ないんです。独占的に仕事も持っているわけだし、すべて自分で決めますから。  今、これを悪い一例、例えば悪代官がこの公共事業発注者になると大変なことが起こるんです。これ現場で起こっていることなんですが、皆さん方、よく現場で起こっていることを見てほしい、何が起こっているか。仕事を請け負いますと、全く弱い立場なんです。  ある場面では、設計変更して余計にお金が掛かって、変更したお金を精算してくださいというと、予算がないから駄目だと、平気で踏み倒される。裁判すりゃ勝てるけれども、どの会社も裁判できない。裁判している間に、裁判勝っても会社つぶれちゃう。みんな泣き寝入りですよ。どこかの県でダムを勝手にやめても、違約金すら取れないし、訴訟も起こせない。あちこちでそういうことが起こっている。  どこかで歩道橋が落っこった。歩道橋が落っこってどうした。それは本来コンサルの責任なんだけれども、コンサルに瑕疵担保取るのを忘れていたから、ほかの同じ工区が、同じ工事をしている工区があるところの工事施工者はそれをやらされているんです。何でそんなものをやっているんだと言うんですけれども、言われたらやらざるを得ない。言うとおり造ったのに、何で更にお金を作って補強しなくちゃいけないんだ。それが現実に行われているんです。これが何で公正取引なんです。強い者と弱い者をしっかり見てほしい。  本来、独禁法という法律は弱者を守る、弱い消費者を守る法律なんだ。公共事業の分野ではこれ以上ないほど強い国、県、市町村という発注者を守って、何の権限もない建設業をいじめてどうするんだと、弱い者いじめ。  私は、それを競争をするなとかなんとかそんなことを言っているんじゃない。国民のために税金を使っていいものをしっかり残してほしい、そのために健全な業者を残すためにどうしたらいいかと。今ある法律をただ単に運用していけばいい結果が出るとは限らない、そのことを申し上げている。  実は、余りもう時間がないんでちょっと申し上げますと、この独禁法のガイドブックというのが実はある。これ公取委員会がお作りになったもの。  ちょっと最後読ませていただきますが、  私たちは、働くことにより生産活動に加わり、いろいろな商品やサービスを作り出しています。そして、すべての人々が消費者として生活に必要な商品やサービスを購入しています。私たちは、この生産と消費を効率的に結ぶ経済の仕組みを考えなければなりません。生産が私たちの必要とするものを作り出すことである以上、限られた資源と労働力を用いて、私たちの望むものができるだけ良質で安価に多く生産されるのが、最も効率的な経済ということになります。   そのために、私たちの経済社会では、国や政府が何をどれだけ生産するかを決めて命令するというようなことはなく、多数の企業がそれぞれ独自に判断して生産を行います。そして、企業はその商品が消費者に購入されることを目指して競争し、消費者は品質が良く値段も安いものを選ぶように努めます。 こう書いてあるんですが、ここ面白いですよね、「私たちの経済社会では、国や政府が何をどれだけ生産するかを決めて命令するというようなことはなく、」と。公共事業はそれをやっているんですよ。  だから、これだけ見ても、本来の独禁法精神公共事業の分野とは非常になじみにくいものだと。だから、法律の趣旨を生かしていろいろ工夫をしていただくことは結構です。しかし、そのまま適用すればいいというものではないということは明らかなんです。だから、本当の意味国民利益につながるように、いい仕事をするいい業者がしっかりと生き残れるように、そういうことを発注者もそして市場の番人である公正取引委員会も会計検査院も心して見てほしい。今のままいったら悪貨が良貨を駆逐しているんですということを申し上げて、終わらせていただきます。
  28. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で脇雅史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  29. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、高橋千秋君の質疑を行います。高橋千秋君。
  30. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。  今日は私、三十三分時間をいただきましたので、地方と都会というか、地方から見た今の政治の動き、国会の動き、政府の動きを御質問をさせていただきたいなというふうに思います。    〔資料配付〕
  31. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今、資料をそれぞれ配付させていただきますけれども、たくさん質問を用意させていただきましたのでなるべく簡略に質問をさせていただきたいと思いますが、まず、地方と都会とか地方政府ということを考えると、今日は麻生総務大臣に来ていただいていて、先週は二回も質問させていただきましたのでもう聞きたくないと思われているかも分かりませんが、やっぱりこれは大切なことですのでお聞きをしたいと思います。  まず第一に、これは、三位一体改革というのが今進められております。このそもそも論、目的というのをまず最初に総務大臣と、財務大臣にもお伺いをしたいと思うので、まずよろしくお願いいたします。
  32. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 過日の総務委員会と答弁が重複するかもしれませんけれども、基本的には、明治四年、廃藩置県この方、日本は中央集権という形で国の運営をやるということによって近代工業化社会を短期間に達成するという目的は達成できた。戦後も同じようにこのやり方を踏襲して、官僚主導・業界協調型みたいな形でのものに成功させたんだと思っておりますが、どうやら世の中が豊かになってきて、こういったときにはもう一回時代が大きく変わって、脱工業化社会というような時代になってくると、これは新しい時代に合わせたものが、これはむしろ中央で考えて、これでいいという答えがないものですから、いろんな意味地方が考えるということの方が大事なのではないかということで、地方に自由度を増す。そして、そういった意味では地方に裁量権を与える。その裁量権を与えるためのいわゆる財源というものも地方になるべく渡すというのが本来の、今回出てきた三位一体と言われる本来の目的は、地域主権という方向に比重を移していくということが主たる目的だと考えております。
  33. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も基本的に、今総務大臣がおっしゃったお考えと同じふうに考えております。  ちょっとまた違ったような面から申しますけれども、ベルリンの壁が崩壊してソ連というものが崩壊した過程を考えますと、中央で計画をしていくということだけでは現在の経済社会情勢に対応できない、やはりそれぞれの分野で自主的に、一番必要なものは何なんだという工夫をしていかなければうまくいかないということがあの時点で明らかになったのではないかと思います。  そういう考え方を推し進めていけば、今、麻生大臣がおっしゃったように、一番それぞれの地域で切実に感じていることをそれぞれの地域あるいはそれぞれの分野で決めていく、いただくということが必要なんじゃないかという考えが背景にあるのではないかというふうに思います。  それをやっていきますに際しては、地方にできることは地方で権限も責任も持ってやっていただく。それで、地方におけるその場合に受益と負担の関係をはっきりさせて、そして地方が自らの支出を自らの権限あるいは責任、財源で補う、賄う割合を増やしていく、それで真に住民に必要なサービスをそれぞれの地域で判断してやっていただくということだろうと思います。  しかし、それを進めてまいります場合には、今国も地方も非常に財政的に厳しいことになっておりますから、併せてそれぞれのスリム化ということも同時に仕込んでやっていきませんと、このような権限の再分配というようなものが進まない、こういうことがあろうかと思いますので、財政をお預かりする私の立場から申しますと、そこも併せてやっていかないとこの改革がうまくいかないということではないかと思っております。
  34. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 そもそも論は予算委員長にも本当は質問したいところだったんですが、これはできませんので控えますが、先日、予算委員会の視察で鹿児島県と熊本県へ行きました、団長が予算委員長でございましたけれども。その両方の知事からも、今回のこの三位一体改革について、要望というよりももう不満というか不平というか、そのような話が延々続きました。私も、昨日おととい、土日は地元であちこち行かせていただきましたけれども、どこへ行っても、この今回の三位一体改革については、もうほとんど不平というかだまし討ちだよというような、そのような発言がほとんどなんですね。  そもそも論については今お二方からお伺いをいたしましたけれども、そもそも論から随分私は変わってしまっているんではないか、国の役割とそして地方の役割というものについても、やっぱり随分中央から見た役割分担になってしまっているんではないかなというふうに思いますけれども、そもそも、国の役割、地方の役割、これもそもそも論になりますけれども、もう一度、麻生大臣の方にお伺いをしたいと思うんですが。
  35. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 国と地方の役割分担はどうあるべきかというのは非常に大事なところだと思いますが、この点につきましては、平成十年の五月に閣議決定をいたしております部分でいきますと、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務というところで、外交とか防衛とかいうことになろうと思います。二、全国に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務、例えば金融とか多分防災がこれに当たると思います。三番目、全国的規模、視点で行われなければならない施策及び事業、ナショナルミニマムの維持達成、全国的規模、視点からの、こういった視点からの根幹的社会資本整備ということになっておりますので、これは例えば義務教とか生活保護とか、そういうことになるんだと思っております。そして、地方団体は地域における行政を自主的かつ総合的に広く担うということが原則であると書かれております。  基本的には、こういった役割分担を踏まえて、今申し上げたような形で、今のが地方と国の役割なんだと思いますが、その線に沿って三位一体ということが出てきたんだと思うんです。  やっぱりこの背景は、財政がきつかったという面がありますので、その話と一緒に来ましたので、質的な転換をするという話と財政という量的な変換をするという話が一緒に来ているところが非常に話を難しくしておるというのは、私も率直にそんな感じがいたします。
  36. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 地方から見ると、先ほど、普通の理論、論理を並べられたんだと思うんですけれども、どうも下請じゃないかというような意識が物すごく強いんですね。やっぱり県も市町村も、国の下請ではないか、今の状況を見ると単に国の下請の仕事をさせられているだけだというふうに感じておられる方が非常に強いと思うんですけれども、そのことについていかがでしょうか。
  37. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的にはこれまでの長い間の、百三十年この方続いた一つの流れがありますんで、そういった意味からいきますと、何となく国がやって、その他の部分は地方でというところがこれまでの流れとしてありましたので、私は、そういった意識というのはある程度今まで続いてきたものとして戦前も戦後も同じように基本的な流れはあったと私もそう思います。  ただ、今回、そこのところを大きく踏み出しているところが非常に大きく違うところで、少なくとも基幹税を渡してあとはそれで自由にしてくださいというような話は、これは明らかに一つの流れとして、まだ完全なものではありませんけれども、少なくとも半歩、まあ少なくとも一歩ぐらいはそっちの方向に踏み出したということは確かだと思いますので、平成十八年度、時間がありますのでそれまでの間きっちりした方向は更に出していかねばならぬと思っております。
  38. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 この三位一体改革で所得譲与税という形が今度出てきましたけれども、財源比率というのはそもそも最低でも一対一、国と地方を一対一にすべきだと思いますし、むしろ仕事の量からいったら逆転すべきだと思うんですが、今回のこの改革でどれぐらいになるんでしょうか。
  39. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今の比率でいきますと数千億しか伸びておりませんので、今、御存じのように地方仕事は三、国が二、それに対して税の方は地方が二で国が三、よく言われる二対三、三対二の比率でありますんで、今回は数千億の話でありますんで小数点以下の分しか変わっていないんだと思っております、今、今回のあれでいけば。  しかし、流れとしては平成十五年の十一月に地方制度調査会、また同じく十二年の地方財政審議会において、いずれもその方向については考えねばならぬ、財源というものを考えねばならぬという答申も出ておりますんで、その方向で流れて、流して、この方向に進んでいくべきなのが当然だと私としては思っております。
  40. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ちょっと視点が違うんですが、竹中大臣お見えでございますので、最近の答弁を聞いておりますと、日本の経済、非常に良くなってきているという答弁ずっとされておられますけれども、私たち地方の議員から見ると、東京は確かにそんな雰囲気が出てきていると思いますが、地方についてどのようにお考えか、まずお聞きをしたいと思うんですが。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 地域状況につきましても答弁のたびに申し上げているつもりなんですが、マクロ的には良い方向に向かっている。しかし、それが地域や中小企業に十分に浸透しているわけではない。そういう意味での格差の是正、マクロの状況地域に浸透させることがやはり我々にとっても大変重要な課題だというふうに思っております。  地域もまた地域の中でいろんな問題、格差がございますけれども、そういうことをきめ細かく見ていかなければいけない状況にあるというふうに考えております。
  42. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ちょっとまあぴんとこない答弁なんですが、地域に行くと、地域というか地方に行くと、はっきり言ってまだまだ全然景気が回復しているという雰囲気にはないですね。特に、今回のこの三位一体改革で竹中大臣が言われるように、マクロ的にはそうかも分かりませんが、それに水を差すような地方交付税のカットだとか地方へお金が渡る部分が物すごく大幅に減ってしまうということで、地域も何とかはい上がろうとしているのを何か水を差してしまうような感じがするんではないかなというふうに思うんです。  先ほどの地域の経済の、景気の状況とあわせてそのようにお考えになりませんでしょうか、麻生大臣
  43. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 質問の趣旨は、地方、東京が良くなった割には地方は良うなっておらぬのではないかという……
  44. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 それに対して今度の三位一体は水を差してしまうんではないかと。
  45. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) よろしゅうございますか。
  46. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、どうぞ。はい、麻生大臣
  47. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的には中央が良くなった、東京が良くなった割には地方はそうではないのではないかという御意見には私も同じように感じます。  従来と違って、今回特にそう思いますのは、これリードしております産業が情報とか通信とかいうのが非常に大きな役割を占めております。したがいまして、情報通信というのはどうしても中央に集中する傾向を元々持っておるところでもありますので、従来に比べて、中央から地方に波及していくテンポが従来に比べて遅いという面は、一つの今回の、リードしております産業の種類にもよるせいかなと思っております。  傍ら、その分、地方において、例えば公共事業とかその他いろいろ地方がアンダーテーク、下請をやっておりました部分につきましては、その部分の仕事というものが従来の産業に比べて、地方にはそういった産業が余りないというところもありますし、加えて、そこに今財政再建という部分と両方重なってきたところがありますので、地方にとってより多くその影響が出たということは否めない事実だと思います。
  48. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今回のこの三位一体改革の中で、補助金と臨時財政対策債の削減で一二%カットですよね。これで地域、それぞれの地域で物すごく大幅なカットになってしまって、これ今年は何とか基金あちこち取り崩して予算組めるけれども、来年、再来年組めないという、そういう声がこの前、九州行ったときもそれぞれの知事からも話がありましたし、市町村長からも出ております。  一方で、新たに地域再生事業債という形で穴埋めをするという形なんですけれども、それするんなら、あえてこれを削る必要がないというふうに思うんですけれども、いかがなんでしょうか、総務大臣
  49. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 約八千億の再生債ということになっておりますけれども、やっぱり基本的には、地方交付税の赤字、累積赤字約五十兆、地方全体でいきますと約二百四兆という分にありますので、そういった意味では、ある程度意識として、これまで折半にするところまで来たりして、いろいろ地方には財政再建ということに関しては意識を持っていただかねばならぬというお話はもう一昨年も、まあ昔から、もっとずっと前からやっていたところではありますけれども、今回初めて、事は異常事態、緊急事態という意識を持っていただくためにもということで今回のような形をさせていただきまして、それが切り過ぎ等々いろんな御意見のあるところではありますけれども、地方にとりましては、これを非常に、本当はおととしからこれは始まっていた話だったんですけれども、おととしの場合はいろいろ手当てがありました。今回はそこのところが、従来どおりの方向で手当てをするということではなくて、いろんな形でもっと自分で考えてもらうという方向に進み出したというのが非常に大きなところで、従来とは違ったことはもう間違いないと思いますが。  ただ、こういった意識の変化を促すという意味においては、それなりの意義があったのではないかという感じが正直なところです。
  50. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ただ、その意識の変化という面でいえば、今までソフト事業に使われた部分が、今回のこの地域再生事業債ではハード部分しか使えないというふうに聞いているんですけれども、それは事実でしょうか。
  51. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いろいろ御指摘ありましたので、その点は結構弾力的に運用させていただく方向で動いていると思いますが。  細目につきましては、財政局長の方から言わせます。
  52. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 地域再生事業債でございますが、これは地方財政法上、五条に定める地方債ということでございますので、公共施設の整備事業等に充当することになるわけでございますが、全体としてみますと、現在の状況では七割から八割ぐらいの団体がこれを利用できるだろうというふうに我々は考えておりまして、その結果、建設事業にかかわります一般財源が浮いてくると。  で、全体の財政を見ますと、その結果、ソフト事業に要する財源にも余裕が出てくるというような形で、全体として地方団体の財政運営に寄与していくというふうに考えておるところでございます。
  53. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ということは、これは、これ自身はソフトには使えないということですか。
  54. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) これはあくまでも地方財政法上の地方債でございますので、ソフト事業そのものには使えないということでございます。
  55. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 そこが私はおかしいと思うんですよね。  今、結局、ところてん方式で余らしていったら使えますよという話で、実際のところ今までソフトに使えたのがソフトに使えなくなって、結局ハードだけということになれば、また箱物行政の推進になってしまうんではないか。そこがおかしいと思うんですが、いかがでしょうか。
  56. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) この地域再生事業債につきましては、充当につきましていろんな事業の一般的な起債の充当残に入れるというようなことも念頭に置いておるわけでございまして、そういう意味で、先ほど大臣がおっしゃいましたように、柔軟に対応しようということが一つございます。  その結果、おっしゃいますように、それじゃ箱物をどんどん造ることになるんではないかということについては、現在の地方団体の財政状況を見ますと、むしろ非常に厳しい見方で予算査定をしておるわけでございますので、そこのところは我々としては特に心配をしていないところでございます。
  57. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 そちらは心配していないかも分かりませんが、実際のところはそんな状況にないですよね。  地域は金が使えないから、それでそれを使って箱物行政をしようというようなことになってしまって、今まで地域おこし、村おこし、町おこしをやろうとしているNPOの団体、いろんなところが今まで使えたものをこれ当てにして今年計画していたのが、結局こういうことになって使えないというようなことが出ているんです、実際。これはおかしいなというふうに思うんですが、大臣、先ほどの柔軟というのとちょっと意味合いが違うように思うんですが、いかがでしょうか。
  58. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 地域で使う使い方というのは実はいろいろあるんだと思いますが、今のところ、本来二年でやるやつのところをある程度三年でやっていただくとか、例えば道路なんかの場合を。そういったものを含めまして、ある程度節約やらスリム化はしていただかないかぬということはこれは間違いない、これは皆お互いさま、皆そういうところだと思っております。  また、従来、今仕掛かり、仕掛かり品と言うんですけれども、今やっている最中のやつ、この分につきましてどうしてもこれ完成させねばならぬというものが幾つも箱物なりなんなりで持っておられるところも事実ですので、そういったところには今言ったものを使わせていただけるということにもなって、その分がこっちに余ってくるということにはなるんじゃないでしょうか。  なので、ちょっと考え方の問題だと思いますので、やり方として今申し上げたような対応をしておるというように思っております。
  59. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 現場はそんな甘くないと思うんですね。今ある金でもただでさえ足らないのに、それが余ってきてそっちに使えるというようなことはあり得ないと思うんですよね。  私は、是非この部分についてもソフト事業にでも直接使えるようにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) この起債事業、地方債でございますので、あくまでそれは建設事業という枠が財政規律上はまっているわけでございまして、特に地方団体で申しますと、全体として地方財源足りない場合に特に地方財政法の特例として臨時財政特例債というような赤字地方債を出すことはございますけれども、こういったものについて、最初から経常的経費を目当てに起債を出すということは現行法上は限界があるということでございます。
  61. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 先ほど適正価格の質問が自民党の委員の方からありましたけれども、それはそれで必要なことだと思うんですが、何か結局建物だけになってしまうというのは私は何かおかしな感じがしますね。  それで、今、合併の話、後でまたしようと思っていたんですけれども、合併今進んでいますが、合併を進める中で、例えば一つの大きな市があって周りに町村があるときに、今どういうことが起きているかというと、周りの町村、吸収合併されるような形のところはどんどん箱物造っているんですよ、今、もう合併に間に合わせるように。真ん中の市はもうゼロサムでいっているのが、周りのところの今年の予算編成見ていただくと、一五〇%とか一二〇%とか、この時代に、そんな予算を組んで箱物造っているんです。  今のようなお話でいけば、ますますそれに、この金がないから何とかしようという三位一体の中でやっている中で、そのような硬直的な使い方しかできないようでは、私はこんな変える意味が全くないと思うんですが、いかがでしょうか。
  62. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、地方として、その地域地域に事情が全部違いますので、そういったことの全然ないところもありますので、一概になかなか全部が全部とは言いにくいところだとは思いますけれども、いずれにいたしましても、それこそ地方という、合併をしてみんなでやっていく、その地域における意識また見識、そういったものが逆に問われているということにもなろうと思いますので。いろいろ、今合併すると多分一番大きくなります浜松などというところは多分日本で一番大きな行政体の、面積としては一番大きな行政体になるんだと思いますが、そういったところを含めまして、いろいろお話を伺っても、結構真剣に将来の新しい浜松というものを考えておられて、それぞれ首長さん皆集まっていろいろやっておられる現場というのをこの間ちょっと話を聞かせていただきましたけれども。  地域によって随分差がありますので、箱物だけを全部優先して造っているというのは、多分よほどその地域に箱物が今までそもそも絶対量が不足していたのか、もしくはそういった地域によって今だから使っちゃえというような意見もあるのかもしれませんが、いずれにしても、それこそ地域で決めていかねばならぬ大事なところでありますので、そこにおられる首長さん方の意識、見識が非常に問われているところだと思います。
  63. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 確かに見識が問われるのは当然のことですけれども、現実の例として、来年合併するのを決めているのに今本庁舎を建てている町があるんですね。もう来年、あと半年ぐらいしか使えない、そんなところもあるんですよ、実際のところ。私はやっぱりこれ、こういう形で一方で削減しておいて一方で増やすという部分がハードにしか使えないというやり方は私はおかしい。もっと、大臣が柔軟にと言われるのであれば、そういう部分も是非柔軟に対応できるようにもう一度考え直していただきたいなというふうに思います。  それで、この地域のことで言えば、交付税特会が地方分だけで三十三兆円あるんですよね。これ全部で五十・二兆円ですか、これを返していく方法、めど、これについて財務大臣、どうお考えでしょうか。
  64. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 交付税特会の借入金の償還でございますけれども、現在は通常収支の財源不足に係る新規借入金は段階的に縮小して、十五年度には解消しております。  十六年度の新規借入れは、恒久的な減税等による交付税の減収を補てんするためのものとなっておりまして、その結果、十六年度末のこの交付税特会借入金の残額は五十・二兆円と、五十兆二千億円と、こういうことになっておりますが、一方で、十六年度の地方の財政収入が大変厳しいと、財源不足対策で四兆円の赤字地方債を発行すると。  こういう状況の中で、この既往の特会の借入金の返済のために更に赤字の地方債を発行するということは、これは適当でないということから、十八年度までの期間中における財源不足対策の一環として、その間の借入金の償還は行わないこととしたところでございます。  いずれにいたしましても、この今後の三年間の間、地方の歳入、歳出両面にわたりまして財政健全化努力を重ねて財源不足を解消する、解消するよう努める必要があるというふうに考えております。
  65. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 先ほど財務大臣の方だったですかね、スリムにするというお話がございました。確かにもうぶくぶくに太っていたのがある程度健全な体型になればいいんですが、国は健全なある程度いい体型になるかも分かりませんが、気が付いたら地方はがりがりになってもう骨だけになっていたという話が今のこの三位一体改革じゃないかなというふうに思うんですね。  で、いつだったか、この予算委員会の、参議院の方の予算委員会の答弁で、財務大臣の方からこの地方交付税の地方財源保障機能はなくしていくんだというお話がございました。それについては、そのとおりでございましょうか。
  66. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) なくせということまで言っているわけではございませんで、調整機能は、これはもう財政力が違うからこれはあくまで必要だろうと。しかし、特会の借入れが五十兆を超えている地方債のその借入、地方の借入金残高が二百兆を超えている状況ではやはりその保障機能というのは、これは相当抑制していかないといけないと、こういうことは私は大事なポイントではないかというふうに考えております。
  67. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 保障機能、財源保障機能というよりもその水平的な調整機能ですね、これについてはいかがですか。
  68. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 水平的な調整機能ですか。
  69. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 地方ごとの。
  70. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 地方ごとの。それは、今交付税という形でやっておりますから、これは必要だと思いますし、また今後ともこの三位一体進めてまいりますと、さらにその辺をどうしていくかということはまた新たに議論を深めていかなければならない面があると思います。
  71. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 昨日、私は三重県の、私、地元三重県ですが、三重県の一番端っこの、川を渡ると新宮という紀宝町というところへ行ってきました。そこの上に紀和町という村、町があるんですが、町ですけれども、ここの高齢化率、六十五歳以上の方が五五%なんですね。そうすると、これは合併、今進めておりますけれども、それでもそんなに大きく変わらないんです、この高齢化率等については。その地域についてはもう六十五歳以上の人が二人に一人ぐらいの地域なんです。  そういうところで今後、企業もありません、財源を確保するというようなことは、はっきり言ってこれはもうどう考えても無理ですね。幾ら合併しても、これは三重県の半分ぐらい、南半分ぐらい合併したとしてもこれは大変なことで、財源を確保していくというのは今後更にまた難しくなっていくと思うんですけれども、そういうときにさっきの財源保障機能というのがなくなっていったら、地域はもう何もやれなくなってしまうと思うんですが、そういうことについてどうお考えでしょうか。
  72. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員指摘されたような問題は確かにあろうかと思います。そこで、私も保障機能をなくしてしまえというようなことを申し上げているわけではないんです。今のやはり特会の状況等を考えますと、相当なスリム化はしなきゃならないと。それで、やはり私の立場としてそれは強く申し上げなければならないところだと思っておりますが、それを進めてまいりますと、委員のおっしゃったような問題が当然顕在化してくると思います。そうしますと、この三位一体を進めていきますと、地方税体系はどうあるべきか、あるいは地方交付税の調整機能はどうあるべきか、これは先ほどの繰り返しになりますけれども、更に議論を煮詰めていかなければいけない面が、もう少しその問題点が浮かび上がってくるというふうに思います。
  73. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 そういう中で、今回この三位一体改革の中で、地方税、かなり地方交付税減らされて、地域が使える金はどんどん減らされて、スリムになって、自分たちで頑張れという、これ自身は分かるんですが、その一方で、国から来る指示やら規制やら、そういう部分というのはそう緩和されてないんですよね。私は、これは同時にやっていかないと、地方頑張りなさいと言いながら、国からの指示やら規制というのはそのまま続いているようだったら、それはおかしいと思うんですよ。これについてどうお考えなのか、これは総務大臣でしょうかね。総務大臣
  74. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 誠にごもっともなところだと思っておりますが、基本方針二〇〇三の中におきましても、国の義務付けも真に必要最低限のものに限定という言葉が使ってありますように、これ、今回の例えば公立保育園の話にいたしましても、地方がその分を税金でもらうことになって、いわゆる補助金ではない形でもらえるようになって、自由度が増したに対して、それに対しては規制が掛かっておる。いろんな意味で、何でしょう、例えば遊び場を何平米以上持たねばならぬ等々、幾つか規制がありますのは御存じのとおりでもありますので、そういった意味では、財源の自由度に合わせまして、少なくとも国が義務付けにつきましてもいろいろな、これは今の時代から見ればどうだろうかというようなものも幾つか見直されてしかるべきもの、多々あろうと思います。  これ、学校とか保育園とかいろいろ、幼稚園とかいろいろあるんですが、そういった意味では私どもも、地方自治法を改正して学校のプールは開放すべしということで法律を変えたにもかかわらず、市の教育委員会がノーということを言ってできなかった等々、幾つもありますので、そういったものについては、他の省庁にいろいろお話合いをさせていただいて、今後とも働き掛けさせていただきたいと存じます。  少なくともプールの問題については決着が付きましたけれども、その他にいろいろありますのは分かっておりますので、今後ともおっしゃる線を踏まえて対応してまいりたいと存じます。
  75. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私は、三位一体改革という、三位という部分があるのであれば、やっぱりそれも同時に、それは別枠のものかも分かりませんが、同時にやっぱり諸規制の緩和というのは進めていかないと実質的なところは進んでいかないと思うんですね。  さっき、公立保育園のお話がありまして、私の子供は実は双子なものですから、保育園行かせるのに、公立保育園は三年保育というのはなかったんですよ、今あるのかちょっと分からないんですが。双子割引というのもなくて二倍払わなきゃいけないんですね。だから、これ、公立保育園は、実質、私立の保育園に比べてサービス面も非常に後れている部分かなりあるんですよ。その三年保育もなかったりというところがほとんどで、今回一般財源化することによって、一般財源化というか、さっき、国庫負担という形じゃない形にしていくに当たって、やっぱりそのことに対する地域の不安というのは物すごく強いんですね。  特に、先ほど申しましたように、高齢化という話をしたときに、私は、高齢化というのは元気なお年寄りが増えていくということが喜ばしいことだというふうに思うんです。だけれども、問題は少子化の方なんですよね。その意味で、この公立保育園のことなんかでも、私はむしろ増強すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  76. 片山虎之助

  77. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 公立の保育所の問題につきましては、今回この三位一体の対象にさせていただきましたが、その中身につきましての自由度というのは、これは御指摘のように、私も増していかなきゃいけないというふうに思っております。  今、今年認めましたものの中には、それほどその自由度を今まで以上に増やしたと、いわゆる国が持っておりますものを地方に移したというものはございませんが、かなりしかし、先ほど総務大臣からもお話ございましたように自由にできるところは出てきたというふうに思っております。  しかし、これだけでは、私も率直に言ってもまだ不十分だと思っています。もう少しここは自由度が増やせるようにやはりしないとその意味がないというふうに思っておりまして、どこをどういうふうにしたらいいかということについて、今検討をしたいというふうに思っております。
  78. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 この少子化の中で、私の住んでいる田舎でも私立の保育園は、子供が少ないものですから遠くまでバスで子供を集めに行っているんですね。公立保育園なんかは、どんどんどんどんこういう予算が硬直化してくると、そういうこともできませんし、親から見ればやっぱり遠くの私立、大体共稼ぎが増えてきましたから、遠くの私立に預けるしかないというようなことが起きてきますので、是非とも、先ほど大臣から御答弁いただきましたけれども、柔軟にこの面については更に増強する方向で考えていただきたいなというふうに思います。  それからもう一つ、今回出てきた中でまちづくり交付金というのがあるんですけれども、これについても、結局これ陳情合戦、東京へ今、その時期になると陳情がどっと来て、それぞれの議員の方々のところにも行かれると思うんですが、まちづくり交付金という形でいけば、結局陳情合戦は余り変わらないように思うんですけれども、いかがでしょうか。これは総務大臣でしょうか、どなたでしょうか。──石原大臣、お願いします。
  79. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) これは考えようだと思うんです。今後の町づくりというのは、その地域の方々が知恵と工夫を出し合って競争すると、そしてその競争した結果について行政の側が、すなわち採択に当たっていかに客観性と透明性を確保するか、これによりまして、これまでの陳情合戦から地方のアイデア、その地元の人が一番その地域をどうしたいかということを知っているわけですから、それをコンペティションで争われることによって作った仕組みがまちづくり交付金であると。ですから、その採択基準の客観的な評価を行って、結果も公表しますし、さらに、事業全体の費用対効果も、その後、事後評価も明らかにしていく。ですから、事後評価の結果、余り成績の良くないものは次年度以降は継続できない、そういうところで、今委員が御指摘されましたような陳情合戦というようなことのないように仕組みを作っていかなければならないものだと考えております。
  80. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 この三位一体改革の中で今回の義務教育の中の先生の退職金の部分が外されました、国庫負担という形で。  私が今お配りした資料、何か随分汚い写真で申し訳ないんですが、「全国町村長会創立総会の状況」という写真がそこにお付けしてございます。これは、大正十年二月十二日に神田の帝国教育会議堂というところで全国の町村長が六百十六名集まって、全国町村長会、今は全国町村会ですか、これを作ったとき、創立総会の写真なんですね。  これ、なぜこれを付けたかといいますと、その一番端で立っている方が大瀬東作さんという方で、これは前に総務委員会大臣にもお話をさせていただきましたけれども、坂口大臣は御存じだと思いますが、大宮町という三重県の真ん中の町の中に松坂牛で有名な七保村というのが昔ありまして、そこの村長さんだったんです。その方が三十五歳のときに村長になられて、当時、町の予算の八割近くが先生の給料だったんですね。もう何にもできないと。地域はもう疲弊して、本当に貧しい状況の中で何とか義務教育を守りたいということで、その予算の八割は先生の給料に使っていたと。ところが、これではもう幾ら何でももたないということで、やっぱり義務教育というのは国の責任で持つべきだという運動をされたのが、ここから来ているんです。  全国町村長会というのは、三重県の七保村という、職員が当時七人しかいなかったところにその設立事務局ができたと。昨日、実はそこへも行ってきましたけれども、その思いからすれば、どんどんどんどんこの義務教育の部分の負担が、国庫負担という部分が今減らされてきているんですね。これはやっぱり国の責任だと思うんですが、まず、この国の、義務教育についての国の責任について、まず文部科学大臣にお伺いしたいんですけれども。
  81. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 義務教育国庫負担制度によって国の義務教育に対する責任の在り方、これを担保していると私も考えておるわけでございます。義務教育というのが正に子供たちにとって基礎的な規範を養う極めて重要な教育でありまして、これについては憲法の要請もあって、国が要するに教育の機会均等あるいは全国の教育の水準を維持していくと、こういう観点から、これまで国が責任において義務教育を行うと、こういう形で来ておるわけでございまして、そういう意味において、この制度、この義務教育国庫負担制度の根幹、守っていくと、こういう観点からいたしましても、この義務教育費の国庫負担制度を堅持するという方針、これはこれからも私は非常に大事な制度であると、このように考えておるところであります。
  82. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 二年ほど前に、民主党の三重県連で募金を集めまして、中国の河南省というところの山の中に羅山県という村があるんですが、そこに小学校を寄贈いたしました。三百万円集めて、三百万円で一校建つんですね。年収九千円というところです。そこで開校式があって、私行ったんですが、その学校に集まっている子供たちのその外から同じような世代の子供たちがはだしで見ているんですよ、その授業の風景を。何であの子たち入れないんですかと聞いたら、あの子たちは学校にやるお金がないから外で見ているんだと。  上海なんかは今全部義務教育はただでやらされている、やっているそうです。しかし、中国なんかは、その地方は、それだけの地方の財政がなくて義務教育がただじゃないと。大変貧しいところでは子供の何割かはもう学校も行けない、小学校へ行けないと、そういうところにそういう寄贈をしたことがあるんですけれども、正に当時の大瀬東作さんのころの話というのはそれに近いような状況が日本にもあったんだろうと、それを何とかしなきゃいけないということでここまで頑張ってきたんだろうと思うんですね。  それで、私の付けさせていただいた二枚目の資料の、それ一枚めくっていただくとピラミッド型のものがございます。これは、これまで国庫負担の対象費目としてずっと推移してきた図なんですが、大正七年から、当時、その大正七年というのはこの大瀬東作さんが村長になった時期ですけれども、どんどんどんどんこういろんな費用が増えていきました。それで、昭和四十七年、四十九年を境に、今度はどんどんどんどん右に下がっていって、今回の改革の中で児童手当と退職手当がなくなると、もう給料本体しかもう残っていないんですね。ここまで来ているんです。私は、これは危機的なことだと思うんです。  今後、それはちゃんと守っていきますというお話でありますけれども、ここまで日本がやっぱり経済的大国になったのは義務教育があったからだと思いますし、教育があったからだと思うんですけれども、是非ここは守っていただきたいと思いますし、今二分の一というお話ですが、給料の二分の一の国庫負担ですけれども、負担と交付というのは全然意味合いが違うと思うんですよ。負担金というのと交付金と、国の負担というのと交付というのは違うと思うんですが、この意味について谷垣財務大臣、どうお考えでございます。
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先日も、負担金と交付金については、中島委員の本会議での御質問の中にもございました。これは、私どもは義務教育費国庫負担金、これにつきましては骨太二〇〇三で、平成十八年度末に中央教育審議会での議論も踏まえながら国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行うとされておりますけれども、一番考えなきゃならないのは、これはいろんな流れの中でこういう議論が起こってきているんだろうと思います。  一つは、やはり三位一体というような地方分権を推し進めるという考え方の中で教育を、義務教育をどう位置付けていくのかという議論もございましょうし、それから義務教育そのものがどうあるべきかという、これはもう河村文部大臣がお答えすべきことですが、そういう議論も必要ですし、それから私どもの立場からいたしますと、限られた財政資金をこの教育の振興のためにどうしていくかという視点も併せてこの議論の中でしていただかなければならないというふうに思っております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  ここから先は、政府の中でも必ずしもまだ意見が統一されているわけではございませんで、平成十八年度までにいろんな議論をしていかなければならないわけでございますけれども、例えば、少子化の中で限られた財政資金というものが有効に使っていただくのはどういうことなのかと。少子化の中でやっぱり教育負担というものは増え続けるべきかどうか。少子化になればかえってもっといろんな教育の需要、ニーズが見込まれるという考え方も当然あると思います。しかし、少子化になって子供の数が少なくなってきたときに、限られた財政資金をどう使っていくかという議論もしなきゃならないと思います。  ここら辺りはまだ統一した考え方が存在すると私は思っておりませんけれども、今後のこの国庫補助負担金の議論の中で、今申し上げたような教育の視点、地方分権をどう推し進めていくかという視点、それから財政という視点、こういうような視点でいろいろ議論を積み重ねていかなきゃならないと、こう思っております。
  84. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 一年ほど前、私は地元の子供のPTAの副会長をやっていまして、それで会合出ると、やっぱり教育費の話が出てくるんですよ。  さっき大臣からお話ありましたけれども、少子化になったときのニーズというのがあるかも分からないという話です。私は、さっき高齢化の話したときに少子化が問題だという話をしましたが、少子化を解決するためにも、やっぱりこの教育費を国が何とか免除、補助をしていくというのは大変重要なことだと思うんですね。ほかのことを削っても、まず教育にお金を費やしていくということが経済の発達やいろんな部分の発達につながっていくというふうに思うんですけれども、少子化になったときのニーズはそれは当然あると思うんですが、少子化対策として、この教育費をもう少し増強するということはお考えではございませんですか。
  85. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ここらはまだ議論が未整備なところであるというふうに思います。私はこれは、今委員がおっしゃいましたように、少子化によって教育の中で、これは私が議論するよりも文部科学省に議論をしていただくべきことかと思いますが、更に予算をつぎ込んでいかなければならない領域もあるいはあるんだろうと思います。逆に言えば、少子化になって生徒の数が少なくなってきたときに、むしろそこはやはりスリム化をしていただかなきゃならない領域もあるんだろうと思います。そういうこと、併せて議論していただきたいと思っております。
  86. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 その義務教育の在り方についてでございますけれども、ちょっと質問通告してなくて申し訳ないんですが、高校は私はもう義務教育化してもいいと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣
  87. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 現時点においては、御案内のように、憲法第二十六条、義務教育について無償にすると、こういう形で来ておりまして、現実に、御案内だと思いますが、高等学校は今九七%を超える進学率になっておるわけでございます。そういう観点からいけば、これはもう義務教育に近い状況にあると言っても過言ではないと思いますが、これはいろんな意見がありまして、現実にそうなっている、しかし逆に、今もう義務教育は小学校段階でよくて、もう中学校からはむしろそれぞれ自由にしたらどうだという意見も一方ではまたある。それは、早く社会に出していろんなことをやらしたらどうだという意見も一部あるんです。  しかし、国が、いずれにしても中等教育まで、これは中等教育、高校教育まで大きな責任を持ちながらやっているというものが現実でございまして、ただ、いわゆる授業料を無償とするというこの根幹は、小学校、中学校という形、これで今日まで来ておりますので、これを高等学校までそれを入れるかどうかということになりますと、これはあらゆる、今の財政的な問題も含めながらあらゆる角度から検討しなきゃいけない課題だろうと、このように思います。
  88. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 確かに財政はあるわけですからそれは大変難しいことだと思いますけれども、先ほど例に出した中国のその小学校のことを見ると、中国は五年生までなんですね、小学校は。そこの授業を見せていただきました。びっくりしたのは、日本の小学校五年よりもはるかにレベルの高い算数をやっているんですよ。そこはもう貧しいところですから、ノートもペンもないですから、本当に何か、もう何度も何度も書いたような教科書の上にまた書いている。教科書も何度も何度も使い回しをしているような状況ですけれども、黒板に書いてある数式を見たら、日本の小学校五年の数式よりもはるかにレベルの高いことをやっているというのを見て私はびっくりしてしまったんですね。  このままほっておいたら日本は、いろいろ言われていますけれども、レベルが落ちてしまったんじゃないかという話もありますけれども、もっとやっぱりほかのことにも優先してやっぱりこの部分にお金を是非使うべきだと思うんですね。これはやっぱり国家百年の計だと思うんですよ。  さっき、まだ審議が、論議がしっかりしてないというお話ありましたけれども、私はこれは、百年先、二百年先の日本のことを考えるんであれば、もう今すぐにでもやっぱり論議をして結論を出すべきだと思うんですけれども、もう一度財務大臣、お願いできますでしょうか。
  89. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、先ほど申しましたように、骨太の方針の中でも、平成十八年度末までに一般財源化の方向の議論を煮詰めていく、それはもう中央教育審議会の議論を踏まえながらと書いてございますが、そういう中で当然議論を煮詰めて、今のような委員の視点も併せて議論をいただかなければ、財政の視点だけとか地方分権の視点だけとか、それだけで結論が出るものではないと思っております。
  90. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 この市町村合併が進んでいる中で学校の統廃合も随分進めているんですね。確かに必要のないところはカットしていけばいいのかも分からないけれども、この地域の合併の中でうちの小学校がなくなってしまう可能性があるということでいろんな運動をされている方もたくさん目にいたします。  やっぱり財政とのバランスは当然必要だと思いますけれども、何度も申しますように、やっぱり教育というのはやっぱり国の基本ですから、十分そちらに財政の措置もしていただけるようこの場で要請をしておきたいなというふうに思います。  それで、余り時間がございませんのでほかの問題に行きたいと思うんですが、先ほど申しましたように、つい先日、予算委員会で九州へ視察に行きました。そのときに九州新幹線に試乗させていただきました。「つばめ」でしたっけね、乗せていただきましたが、この開業間もないと思いますけれども、その状況、開業して間もない今の状況について、簡単で結構ですので御報告いただけますでしょうか。
  91. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 開業後まだ一週間しかたっておらないところでございますが、前年の同比に比べますとほぼ二五〇%以上の乗客に乗っていただいているというところでございます。
  92. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 開業して間もないのに前年度比があるのはおかしいなと思うんですけれども、私、この九州新幹線へ行って非常に不思議に思ったのは、博多まで今新幹線走っていて、皆さんよく利用されると思うんですが、今回の新幹線、南から上がってきていて真ん中が抜けているんですよね。それで、これは真ん中の部分はあと何年掛かるんでしょうか。
  93. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 整備新幹線につきましては平成十二年の政府・与党の申合せで整備を進めておるところでございますが、平成十二年の当時でおおむね十二年後の完成ということでございまして、あと、今十六年でございますので、まあ八年前後ということでございます。
  94. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 普通、博多まで来たら博多の先から造っていった方が効率的だと思うんですが、何で南から造られたんでしょうか。
  95. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) どこをやると時間短縮効果が一番大きいかというところで南から着工をいたしました。八代―鹿児島間は、新幹線ができる前は二時間二分掛かっておりましたけれども、新幹線ができてわずか三十四分になったということでございます。飛躍的な時間短縮効果のあるところから着工したということでございます。
  96. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私はとてもそんなふうには思いませんでしたが、それはほかの国土交通委員会等でもまた質疑があると思うんですが、普通考えたら、続けて造った方がこれは効率的だというのが普通の感覚だと思うんですよね。  それで、今回のを見たら、あれ、在来線と新幹線とホームを挟んで乗り換えるようになっているんですよね。私は、こんなことしなくても、それはまあ一番効率的だという御答弁だと思うんですけれども、観点変えて、フリーゲージトレーンというのをずっとJRの方は研究しているんですけれども、その状況、いかがでしょうか。
  97. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) フリーゲージトレーンにつきましては、アメリカのコロラド州のプエブロというところで走行試験を実施しておりまして、現在は日本の線路の上で引き続いて走行試験をしております。  今までの結果を申し上げますと、新幹線の部分につきましては二百キロの高速走行をできるということが確認されております。  ただ、しかしながら、今現在新幹線の走行スピードが二百七十キロでございますので、二百七十キロをフリーゲージトレーンで走れるように、技術的な課題に取り組んでおるところでございます。
  98. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 その実用化、いつぐらいになりますか。
  99. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) おおむね数年後には実用化をしたいということで研究を進めております。
  100. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私の地元の三重県の鳥羽やら伊勢の辺りでも今非常にフリーゲージトレーン、何とかしてくれという運動がありまして、それで私もそのプエブロまで三十数時間掛かって行ってまいりました。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  大変、試験走行、すばらしい試験走行をやっておられるのを実際に見せていただきましたけれども、さっき申しましたように、整備新幹線、南からやったのがどういう意図でやったのかというのは別として、私はこういう実用化すぐできるようなもの、そしてこっちの方がお金掛からないんですよね。さっきの話で、ホームを降りてまた前のに乗るような、そんなことも、面倒くさいこともしなくても済んでしまうし、いろんな意味で実用化は簡単だと思うんですが、是非推進をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  101. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 先生御指摘ございましたように、フリーゲージトレーンができますと、新幹線と在来線、乗換えなしで行けるということでございます。したがいまして、利便性の向上ということから考えますとフリーゲージトレーンの役割は非常に大きいと考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたけれども、今後とも実用化のために技術開発に努めてまいりたいと思っています。
  102. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 是非進めていただきたいと思うんですが、私の地元の伊勢の方におかみさん会という経営者の奥さん方の会があって、そこが一生懸命それを推進して、何とか今落ち込んでいる観光客を呼び込みたいということで頑張っているんですが、時々、小泉総理が英語をしゃべっているビジット・ジャパンのCMを見させていただくことがございますけれども、このビジット・ジャパン構想について簡単に、観光立国構想ですか、こちらについて簡単に御報告いただけますでしょうか。
  103. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) ビジット・ジャパン・キャンペーンでございます。昨年の四月からスタートしております。昨年の七月に観光立国関係閣僚会議で今後の観光立国の行動計画を決めまして、その中で、それぞれの地域の魅力を磨き上げる、あるいは外国人が独り歩きできるような環境を整備するというようなことと並びまして、重要な項目として、ビジット・ジャパン、トップセールスを初めとして日本の魅力を海外に発信するということが位置付けられているものでございます。
  104. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 その辺は非常にいいことだと思うんですが、でも、実際考えると、この前も予算委員会で出たかと思うんですが、より多くの外国人を呼び込むということになるとビザの問題が出てくるんですね。  これ、一方で多く呼びたい、一方では、変なと言ったら怒られますが、危ない方には入っていただきたくない、これは当たり前のことだと思うんですが、このビザの発給について、特にアジア、中国、韓国、それから、韓国はもういいんですかね、中国についてビザを、観光ビザについてもう簡略化していくということは考えておられますでしょうか。
  105. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 基本的な考え方として、人的な交流の促進という観点から、アジア諸国・地域に対しまして、これまで数次にわたり査証手続の簡素化は行っております。  具体的に申しますと、韓国人に対しまして、これは平成十四年の一月から、有効期間五年間の数次の短期滞在査証を発給しております。また、サッカーのワールドカップの開催中には、これは一か月半の期間でしたけれども、期間限定で査証免除をいたしました。それから、今年の三月一日から修学旅行生に対しまして査証免除をいたしまして、今後の話としまして、二〇〇五年に再度の期間限定の査証免除をしていくということで検討をいたしております。それから、これは韓国と相談をしながら、日韓首脳共同宣言にも書いてございまして、一緒に努力をしていくというふうに考えております。  中国に対してですけれども、北京市、上海市、広東省在住者を対象に、平成十二年の九月から、団体観光制度、これを実施をいたしております。今後、対象拡大地域の拡大につきまして、我が国の国内の関係省庁と相談をしながら、今中国側と鋭意調整中でございます。  香港、これは一定の旅券の所持者、SAR、BNOにつきまして、今年の四月から短期滞在査証の免除を実施をするということで考えております。  また、台湾の人につきましては、十一年の八月から有効期間五年の数次短期滞在査証を発給をいたしております。  一般論として、これは観光促進という側面がある一方で、出入国の管理ですとか犯罪対策ですとか、そういった管理、観点もございますので、総合的に検討してまいりたいと考えております。
  106. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 特区大臣来ていただいておると思いますので、カジノ特区、可能性があるのか、お伺いしたいと思います。
  107. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 先生のお地元の鳥羽市を含めて、全国から九か所ほどでしょうか、これまでに特区での御要請もありました。  ただ一方で、今、刑法に関するものという部分については、本当に特区になじむのかという議論、それから子供の教育ですとか暴力団の資金源というような問題もございますので、本当に国民の理解が得られるのか、この議論がまだ必ずしも成熟していないのかなと。否定はいたしません。特区で考えるのか、あるいは全国の特例法で将来考えていくのか、そういうものも含めて更なる勉強はさせていただきたいと思っております。
  108. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 時間がないので次の問題に移らさせていただきます。  農業団体の再編についてお伺いをしたいんですが、まず農協、JAの存在価値、どういう存在価値があるのか。まず農水大臣と、後ほど財務大臣からもお伺いをしたいんですが。
  109. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 農協は、農業者の相互扶助を基本といたしまして、組織として農産物の共同出荷あるいは生産資材の共同購入、あるいは営農指導、営農資金の融通と、組合員に対しましてのいろいろなサービスの提供を行っておるわけであります。農業の生産力の増進と、あるいは農業者間の地位の向上と、こういう面で大きな役割を果たしておるわけであります。  我が国農業の構造改革を進めるに当たりましても、農協が販売また営農指導の機能を活用いたしまして地域農業の力強い発展を推進すると、こういう主体としてのその役割を担うことが必要と、このように認識をいたしております。  また、近年、社会経済情勢の変化に対応いたしまして、営農、経済事業を中心といたしまして農協改革が急務でありまして、農協系統の改革を支援すると。こういう面で農協法の改正を今国会に提出をしたところでもございます。
  110. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 あと、財務大臣
  111. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、農水大臣がおっしゃったことと違う特別なことを考えているわけではありません。  今、農水大臣の御答弁の中に、農協が構造改革に資する仕事をしていくというお話がございましたけれども、私どもも農業関係予算につきましては、構造改革を進められる予算については前向きに考えていきたいと思っているわけでございます。
  112. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 農協の一番のライバルは郵便局だと思うんですけれども、その意味総務大臣、いかがですか。
  113. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) やっぱりこういう議論は大切だなと思いながら拝見、拝聴していたんですけれども。郵便局として農協は競争相手か。山間部に行ったら十分に、両方で共同すれば結構経費の削減にはつながると思います。
  114. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 実際、もう農協の中に郵便局があるところもありますから、まあそれは一つ考え方だと思いますけれども。  今、農協再編、物すごく進んでいるんですね。特に不良債権等の問題等いろいろありまして再編が進んでいると思うんですけれども、これは事務方からでも結構ですが、今どれぐらいの数になって、今後合併等どうなっていくのか、お聞きしたいと思います。
  115. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統におきましては広域合併を推進しております。本年の三月一日現在の総合農協数は九百十一となっております。そしてまた、今後、総合農協数を四百三十三とする構想を策定しておりまして、引き続きこの農協合併を推進するということでございます。  また、都道府県段階の連合会と全国連の統合も一定の成果を上げておりまして、今後も経済連等で統合を予定しているところでございます。
  116. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 九百十一という数字は総務大臣が目指しておられる市町村の数、千よりももう既に下回っておるわけですが、そのことによって、実は先にそっちが進んでいるんですよね。市町村との連携がこれうまくいかない不具合が結構出てきているんですよ。今までの農協の範囲と市町村の、新しい市町村の範囲がずれるというのが出てくる。  このことについてどういうふうにお考えですか、そして対策はどうでしょう。
  117. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的にさしたる支障はそんなに起きないだろうと思っております。  今、既に私どものところでも、町村合併より更に広い範囲で合併したところというのは私の選挙区内にも三つぐらいあるんですけれども、そこそこうまくやっておるような感じがいたしますんで、だれが経営するか、だれが首長やるかによっても随分差が出るんだとは思いますけれども、いずれにいたしましても農協の問題と市町村合併と直接に関係があるとは思えないんですが、いずれにいたしましても、合併をして、その残った農協の支所をうまく活用しておられる点は農協の経営者側の方にちょっと才があるなという感じが私の見た率直な実感です。
  118. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 総務省側からは不具合がないような御答弁でございましたけれども、私は、米の生産調整は今農協に任されているんですね。これは、国の責任として減反政策をやってきた中で、今農協に全部任せようというのはこれはおかしいという声も随分あります。  その意味で、農協サイドから見ると不具合が随分あると思うんですが、いかがでしょうか。
  119. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 先ほど言いましたように広域合併が進んでおりまして、現在六割の農協が市町村の区域を越えております。ただ、現在は、その市町村と定期的な意見交換の場を設置しましたり、また各市町村の農業あるいは農村振興に関します協議会あるいは審議会に参加するなど、意見の調整が図られております。  今後も、そういう区域が違うということもあると思いますが、新しい誕生する市町村とも十分今申し上げましたような取組がなされることを期待しているところでございます。
  120. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 農水大臣に伺いたいんですが、米の生産調整はもう今後も農協というか、もう政府じゃなくて、政府というか、行政じゃなくて農協に全面的に任せていくというおつもりですか。
  121. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 市町村とJAと、いわゆる農業団体と、この緊密な連携、今水田農業ビジョン作りで地方の協議会が行われておるわけであります。そういう面で、行政ともやはり緊密な連携が必要と、このように思っております。
  122. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 実質は、今農協の、農協には正組合員、準組合員というのがありますが、ちょっと名前を出すとはばかられるので、ある三重県の農協の話をしますと、農協の正組合員が四千名、準組合員が五千名、九千名の農協です。組合員数から見ると九千名というのは比較的大きな組合員数ですけれども、農業者数というのは二百人です。正組合員というのは本来農家なんですね、だけれども、実質農業をやっているのは二百名、そのうちの平均年齢が七十歳。これでは実質に合わない。農家イコール組合員ではないわけですね。  その中で、生産調整を実質的に今農協に全部任せているようなことになっているというふうに思うんですけれども、もう一度御確認をしたいと思います。
  123. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) それぞれ地域によりましていろいろ形態違うかと思いますが、市町村とJAが緊密な連携を取ってやっていただいていると。また、私ども地方農政局も、先般来、幹部の職員を派遣したり、あるいは地方農政局がその協議会に再三出向きましていろいろの努力をいたしておるわけでありまして、全国的にいろいろの形態があろうかと思いますが、やはりそれは行政としてのかかわり合いと、これをしっかり持って対応してまいりたいと、こう思っています。
  124. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 視点を変えて、新聞によく農協の不祥事がよく出るんですね。これ、不祥事の件数、分かれば教えていただけますか、一年間の。
  125. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 不祥事の発生は農協系統全体の信用失墜にもつながりますので、その根絶が喫緊の課題と思っております。  件数でございますが、内容はいろいろ千差万別でございまして、一律的に集計して公表するということは無用の誤解を生ずるおそれがあるということで公表しておりませんので、この点、御理解いただきたいと思います。
  126. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 これは情報公開すべきだと思うんですが。  そのうちで、じゃ、数はいいですから、そのうちの信用事業にかかわる不祥事は何%ですか。
  127. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) その内訳も集計をしておりませんので、申し訳ございませんがお答えできないことを御理解いただきたいと思います。
  128. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 これはおかしいと思うんですね。これだけ問題になっているのに、そんな数字自体も、統計を取っていないということ自体が私はおかしいというふうに思うんですが、特に今地方で、先ほど合併問題ずっと話しましたが、先ほど大臣が言われたように、地方の行政と連携を取ってということになれば、これは、農協というのは非常に重要な、地方にとっては重要な組織なんですね。その意味で、そういう不祥事が起きているということに対して公表できないというのはどういうことなんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  129. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) いろいろ指導して、その発生がないような今努力をいたしておりますが、この件につきましては、不祥事件の問題、いろいろのケースがありまして、また、これはほかの都市銀行等々、金融機関につきましてもやはりそういうものは発表していないと、このようにも承知をいたしております。
  130. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 農協は民間でしょうか。よく半官半民とか言われますが、いかがでしょうか。位置付けを教えてください。
  131. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) もうこれは民間の組織と、このように認識をしております。
  132. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 これ質問通告していないので、答え、なければ結構ですが、全中に農水省から何人天下りされていますか。
  133. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全中への出向者はございません。
  134. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 出向じゃなくて天下りですが。
  135. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 天下りもございません。
  136. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 農水省の指導が農協に物すごく強くて、農水省の顔色をうかがわないと何もできないという状況が今農協の中で続いておるんですね。特に、今あちこちで赤字農協が出てきております。  全国の赤字農協の数は出せますでしょうか、大臣
  137. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ちょっと、今手元に資料がないんで、ちょっとお答えできないんですが、全般的に申し上げまして、ほとんどないということでございます。
  138. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ほとんどないというのは事実ですか。
  139. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 赤字の農協はございません。
  140. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 赤字の農協がないというのはびっくりしましたけれども、それじゃ、信用事業の利益の赤字のパーセント、農協数のパーセントは分かりますか。
  141. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 基本的に、信用事業と共済事業では黒となっております。
  142. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 どこもないということですか、単位農協で。
  143. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 川村局長。はい、呼んだ。川村局長
  144. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 済みません。失礼しました。  四%割れはないということでございましたが、短期での割合は一割ある、程度あるそうでございます。失礼いたしました。
  145. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 どういうことですか。赤字はあるということですか。
  146. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 当期での損失を計上したものが一割あるということでございます。
  147. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ということは、先ほど赤字は全然ないということは訂正をされるということでよろしいですね。
  148. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 申し訳ありません、訂正をいたします。
  149. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 不良債権の処理、今どこの金融機関も困っているんですけれども、これに対して農水省としてどういう御指導をされておりますか。
  150. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統におきましては、農林中金が中心となりまして農協の金融自主ルールというものを作ってございます。これに基づきまして、早期発見、早期是正ということで、経営の健全化を図るために不良債権の促進でありますとか問題農協の解消等に努めているところでございます。
  151. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 金融担当大臣にお伺いしたいんですけれども、農協のこの不良債権の処理については農協の内部で全部処理しなさいという話ではありますが、金融庁が出している金融の不良債権の回収のマニュアルどおりに今指導がされています。そのことに対して、竹中大臣、どのように御指導されていますか。
  152. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員御承知のように、農協の系統機関、金融機関のうち信用事業に関しては金融庁も共管するということになっております。したがって、検査、監督、企画、そういうものに関しては我々も参画する。その意味では、恐らく今委員指摘になったのは検査マニュアル等々のお話だと思いますが、これに関しては、やはりこれは信用、農協系は全体の一割のシェアを今持っておりますので、その意味では金融はつながっておりますから検査のマニュアルはしっかりと適用していただくということになると思います。  ただし、不良債権の処理とおっしゃいましたけれども、不良債権の処理等々について、これは主要行にだけ我々は目標を定めておりますので、各地方銀行、それと農協系統の金融機関等々について不良債権の処理についての目標は課してはおりません。
  153. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 農協には公的資金がまだ一度も入っておりませんけれども、今後入る予定はありますか。
  154. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 分かりますか。
  155. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 系統農協、それらは今、先ほど局長からも答弁をいたしましたとおり、農林中金を中心といたしまして経営の健全化と、この努力をいたしておりますから、そのような予定はないと、このように確信しております。
  156. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 農協、最初、存在価値について農水大臣からお話があったように、信用事業だけじゃなくていろんなことをやっているわけですね。その中でやっぱり金融庁と同じようなマニュアルでやられること自体が私、非常に難しい、不良、不採算部門も大変重要な部門があるわけですから、それと同じようにやったら不具合が出てくると思いますけれども、農水大臣、いかがですか。
  157. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 我が方全般といたしまして、監査の問題等々につきましても、都道府県の農協につきましては県のいろいろの指導、監査と、こういうものもありますけれども、全体としてコンプライアンスの遵守等々のことをいたしまして、それらのないようにそれぞれをJA、努力をしておるはずでありますし、また今後ともそのような指導をしてまいりたいと、こう思っております。
  158. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 しかし、現状はどんどんどんどん貸し出しているところでも数字的で割り切って、そこはもうやめておきなさい、回収しなさい、貸しはがしみたいなものを実際に農協の中でも起きておりますけれども、そういうことを事実とらえておられますか。
  159. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 不良債権等の処理は進めておりますが、やはりその貸出し等の、今申されましたような貸しはがしがないように指導をしているところでございます。
  160. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 いや、実情は農水省は貸しはがししろというような指導をしておるように聞いておりますが、違いますか。
  161. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) そういう指導をしている事実はございません。
  162. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 本当ですね、確認をいたしたいと思います。
  163. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) そういう指導はしておりません。
  164. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 実際は、私の聞く範囲ではそういうような指導がされていて、農協の内部だけで早いところ処理しろという指導がどんどんどんどん行われているようでありますけれども、私は農水省がもう少し、そのようなやり方ではなくて、もう少しちゃんとした指導をすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  165. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほど申し上げましたとおり、農協の使命と、それを遂行するにつきましていろいろ不祥事件等々も過去にあるわけでもありますし、そういう面で農協がそのようなことのないように、役職員、コンプライアンスを遵守をし、そして組合の使命が達成できるような努力をするように指導してまいりたいと、こう思っております。
  166. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 確認をしたいと思いますけれども、ちゃんと農水省としてもサポートをしていくということを確認できますでしょうか。
  167. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 農水省としてもいろいろの指導をし、またこれは県との関係もあるわけでありますから十分その辺の指導をし、徹底をしてまいりたいと、こう思っております。
  168. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私の持ち時間が少なくなってきたんで、もっと本当はこれをやりたいと思いますが、また別の機会に移したいと思います。  最後に医療の問題、今日、厚生労働大臣、来ていただいておりますので質問をしたいと思います。  実は、田舎ではお医者さんが全然足りないんですね。昨日、尾鷲市の市長選挙がございまして行きましたら、前日に尾鷲市長が退院をした中で選挙ということでございましたけれども、非常に足りません。このことについてどういう対策をされていくのか。特に地方について足らないということに対してどうされていくのか、お伺いをしたいと思います。
  169. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは医師の問題、北海道から、あるいは東北からいろいろお話を実はいただいております。もう各地域からも出ておりまして、国全体で見ますと医師の数というのは足りていると、こういうふうに言うんですけれども、最近のように科目別専門性と申しますか、それがだんだん専門性が高くなってまいりますと、そうすると科目によりましても足らない。例えば小児科が足らない、産科が足りない、麻酔科が足りないといったような話になってくるということがあるというふうに思っております。  したがいまして、数は足りておりましても科別に見ると足りないということもございますし、それから今お話ございましたように、地域別におきまして、足りているところと足りていないところとが非常に明確になってきている。あるいは非常に差が大きくなってきているということございまして、いかにしてこれを分散、分散と言うと言葉は悪いですけれども、各地域にその役割を果たしていただくようにするかといったことにつきまして、現在、総務省の方とそれから文部科学省の方とで委員会を作りまして今やっております。  それで、一つ地方においてこれはそれぞれの大学病院と地方の病院との間で正直言ってうまくいってないところが多い。そうしたこともあって、お話合いをしてもらうようにひとつするといったようなこと、県がこれは主導性を発揮していただくということでお話をひとつしていただく、そしてまた国レベルでこれでいいかということがございますので、国レベルにおきましてももう少し地域別に医師の状況を把握をして、そしてここが、東京だとかそうした大きいところにだけ偏在するというようなことのないようにするための手だてをどうするかということを今検討を始めているところでございます。しっかりここをやりたいと思っております。
  170. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 先ほど申しました三重県の尾鷲市の総合病院だとか、もっと南にあります紀南病院なんというところは入院患者の七割以上が七十歳なんです、七十歳以上。そういう高齢者医療がこれから地域医療にとって大変重要になってくると思うんですけれども、この高齢者医療対策というのはいかがでございますか。
  171. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 高齢者医療の問題は、これはそれぞれの地域におきまして格差はございますけれども、これも地方に行けば行くほど高齢者の数が多いわけでございます。先ほどの紀和町など、五五%とおっしゃいましたでしょうか。そのぐらいになってきているということでございますから、やはりそうしたことも念頭に置いた医療の在り方、そして医師や看護師の配置の問題など、そうしたことも考えていかなければいけないというふうに思っておりまして、そうした年齢構成等もよく検討しながら地域医療というものを考えていくということで、今そうしたことも含めて今やっているところでございます。
  172. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 もうあと一分しかありませんので、最後に、その辺に対応して、事前に質問通告してありますけれども、栄養サポートチームというのを私の知り合いが一生懸命やって、縦割りをなくしてその病院の中でも横断的にいろんなチームを作ってサポートをしていくというチームを作っている、NSTという方式があるんですけれども、これについて厚生労働省はなかなか反応していただけないというお話なんですけれども、対応していただけますでしょうか。
  173. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 反応いたしております。十分に反応いたしておりますが、この制度をもう少し十分広がりと申しますか、内容の吟味をしていただいて確固たるものにしていただきましたならば、これに対して保険点数も含めて検討させていただきたいと思っております。
  174. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 時間が来ましたので、資料を付けましたけれども、これは三重県の医師を何とか充足するための制度を入れてありますので、また見ていただいていろいろ検討していただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  175. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  176. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。  関連質疑を許します。小川勝也君。
  177. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  午前中の高橋議員に引き続きまして、関連ということで質問をさせていただきたいと思います。  冒頭、通告をしていなかったんですけれども、今朝の朝日新聞に、一月に総理が打ち上げました、あるいはこれは幻だったのかもしれませんけれども、情報通信省構想がどういういきさつでふにゃふにゃと消えていったのか、そんな流れの検証記事が出ておりました。  基本的に、両省のその関係をめぐる利権争いというのかあるいは縄張り争いというのか、二十世紀から大きな懸案事項とされていました。できれば、一緒になればそのロスがなくなるわけでありますので、きれいにいけばいいなという思いもあったわけでありますけれども、総務大臣、今日、今朝のその新聞を見てどんな感想をお持ちになりましたか。
  178. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 予定外の質問なので、新聞は見ても読まないようにしていますので詳しく、詳しく読んでいないんですが、あの経緯は、その中におりましたのでそれなりに詳しく知っておる方だと思いますが、基本的には、情報通信、放送、いろいろ電波を扱う事業というのは両省にまたがっている部分が多いのはもう小川先生おっしゃるとおりであります。  したがいまして、これまでもいろいろ両省でいろんな無駄な話が、無駄な意見の、労力の浪費みたいなものがあったということはもう難くありません。  党の政務調査会長をしておりましたときにこのe―Japanというのをやり始めたときも、これはなかなか難しい問題が一杯ありましたので、両省の間に結構な、両方の、何というのかな、リーダーシップの取り合いと言えば聞こえがいい言い方でしょうけれども、結構争いがあったことも否めない事実だと思いますが、幸か不幸か、今、総務省の方に、私自身がそこに来たものですから、それ以来、両省との間には結構話の、意思の疎通は昔に比べればはるかに良うなったと思っておりますし、また、総理のあれで、審議官クラスのところで両省の間に交流の人事を進めるということもほぼ決まって人選が今進んでおるところでもありますので、今、まずはそこからスタートかなという感じはいたしますけれども、取り急ぎ、今これを新たに、全然、法律作って別に、省を別に作るという話が今急速に具体化しようという雰囲気ではございません。
  179. 小川勝也

    小川勝也君 こういう話は一回出るとなかなか次出るまで大変時間が掛かるということで承知をしておりますので、要はそのロスの分野がなくなればいいわけでありますので、業界関係者の間でも、この省庁の管理が、あるいは権限が二つにまたがっているということを非常に危惧しておられる方が多いものですから、そのロスの部分が少なくなるように鋭意努力をしていただけたらというふうに思っています。  そういったように、効率化ということも非常に大事なわけであります。先ほど、午前中の質疑でも高橋議員からいろいろな指摘がありました。アメリカ型グローバルスタンダードあるいは市場原理、二十世紀から二十一世紀にかけて私たちを取り巻く経済社会、様々な変化が遂げられておりますし、その速度が非常に速い。そんな中で、先ほど三重県の様々な話もありましたけれども、私も地元の北海道を様々な観点から見ていまして大変厳しい現状というのを実感しているわけであります。経済原則とか市場原理競争社会、ある面では必要なわけでありますけれども、それが余りにも行き過ぎている。三位一体改革の中に見られるように、市町村の経営や地方の経営がすべて効率という流れにも非常に大きな戸惑いを持っているところであります。  この世の中を何とか変えなければいけないという思いはあるわけでありますけれども、現状をうまく地域の人たちに説明をするときに大変お世話になっている方がいます。それは竹中大臣でありまして、竹中大臣がすべてその経済効率主義で日本経済や日本に暮らす人たちの生活を大きく変えている張本人ではありませんけれども、竹中大臣がこういう考えでこういうふうにしているというふうにしますと、地域の人たちは妙に納得をしてくれるわけであります。ですから、本人とのやり取りをしたことがないわけでありますけれども、利用させていただいていることを感謝、御礼を申し上げながら、せっかくの機会ですので議論を少し進めさせていただきたいと思っています。  竹中大臣は合衆国で活躍をされておられました。そして、御本人は私や高橋議員と同じように東京ではない地域の御出身、和歌山県だと伺っています。それぞれアメリカのような競争社会、アメリカ型、アメリカンドリームを目指すという社会もいいけれども、日本には日本の良さがあるというふうに思うわけであります。それぞれ両方をよく知っているお立場から、アメリカ型社会経済、そして日本型地域文化・社会経済、それぞれのいい点をお述べいただければと思います。
  180. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 非常に大きな御質問でありますから、一面的なことを申し上げるとかえって誤解を生むかもしれませんのですが、あえて私は日本の典型的な地方都市の出身者であるということも御紹介をいただきましたので。  私は、かねてから人間という言葉に日本の考え方、社会の考え方が集約されていると思っております。つまり、人じゃなくて間という字が入っている。日本にはこの間という字がすごく多いわけで、これが違うと間違う、抜けると間が抜けるというわけで、その間柄を大変重視するというところが日本の社会の基礎になっているというふうに思っております。これが同時に、我々のやはりこの社会の温かさ、心地よさにつながっているわけでありますが、これがまた間柄を強調し過ぎると何も変えられなくなってしまうという側面もあるのではないかと思っております。  しかし、私はやはり、この人間という言葉が存在して間柄を重視する、経済取引においても、これは雇用者と経営者の間においてもそれを重視する、そういうものが日本の一つの良い基盤になっているというふうに理解をしております。
  181. 小川勝也

    小川勝也君 間柄というお言葉で御説明をいただきました。  先ほど、私申し上げましたように、効率化を進めなければならない点もあると思います。そして、効率という問題を度外視しても守っていかなければならないというものもあるんではないかなというふうに訴えています。今、この二十一世紀、後でいろんな問題点を指摘したいと思いますけれども、国民がいろんな面で苦しい立場に追いやられている。それは余りにも効率化になじまない点まで効率化にさらされようとしたり、あるいは過度な競争社会がそれを起因しているという言い方もできるのかもしれません。  間柄というお言葉ありましたけれども、日本独自のもの、あるいは日本的なものでこういう点は守っていった方がいいんじゃないかなという点、何かお気付きになりましたら御指摘いただければと思います。
  182. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 日本の文化というのは極めて洗練された、優れた特殊性を持っていると思いますので、これはもう何としてもやはり守っていきたい、これは文化全般について言えることであろうかと思います。  お尋ねは、むしろ社会のシステムとかそういうところでやはり守るべきことは何なのか。私は、やっぱりそれが先ほど言った間柄なんだと思います。人、ヒューマンビーイングというのは各国で言うんだそうですけれども、人間、間という字というのは日本とあと一か国、二か国ぐらいしか世界じゅうにないんだそうでございます。そういう意味では、調和を大事にする、人はすべて個人で自己の満足を完結されるのではなくて間柄において存在しているわけでございますから、それをやはり経済政策の中にもきちっと反映をしていく、効率化すべきところは効率化をするけれども分かち合うところは分かち合うと、やはりそういう我々が今まで培ってきたものを大事にして、かつこのグローバルな競争社会の中で更にやっていけるものを我々自身がしっかりと作り出していくことだと思っております。
  183. 小川勝也

    小川勝也君 私、大臣のようにアメリカ合衆国に暮らした経験がありませんので、どういったものか分かりませんけれども、今、日本国内でどういったことが起こっているか、様々あるわけでありますけれども、その中で貧富の差が広がっているんではないかというふうに指摘する方がいます。大臣の肌で感じるその度合いというのはどうでしょうか。
  184. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の日本は、当時の列強の中で最も所得格差の激しい大きな国でありました。それが戦後、経済全体が成長する中で、むしろ所得の格差を縮めるということに成功したやはりすばらしい実績を持った国だと思います。  その中で、これは世界じゅうまた今直面しているわけでありますけれども、ここ十年ないしは十数年、緩やかにやはり所得格差が拡大しているというのは私は事実であろうかと思います。ただし、地域の中でも例えば県庁所在地とそれ以外のところでも格差が拡大しているとか、その格差の拡大の仕方がなかなか多様で複雑になっていると。しかし、とにかくそうしたことに対してその機会の平等を重視しながら、しかしある程度、結果的にも皆さんが納得できるようなその分配が行われるような仕組みを作っていかなきゃいけないと思っております。
  185. 小川勝也

    小川勝也君 大臣の御指摘のとおり、かつてはかなり貧富の差のあった国だというふうに私も理解しています。一九四五年の戦争の後、それがまたリスタートになったという言い方は適切ではないかもしれませんけれども、財閥解体なんかもあってある程度そのチャンス、そのスタート地点がそろったところからリスタートしたので、高度経済成長、そしてその後ぐらいまでは極めて所得格差、貧富の差の小さい国の一つに私たちの国はなったんだろうというふうに思っています。  そんな中で、日本の国のいい点というのを、過去の話ですけれども、挙げるとすれば、みんなが一生懸命働いた、みんなが一生懸命働いてそれなりの生活を享受できた、そのことだったろうというふうに思います。今、一生懸命働いてもなかなかうまくいかないという人たちが大変多くなってきているんではないかなというふうに思うわけでありますけれども、日本人のその勤勉な国民性ということに対して、大臣、思いがあったらお伺いをしたいと思います。
  186. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私はやはり、地方都市で父親、母親が正に勤勉に働いているのを見て、周りの人はみんなそうでありました、そういう社会というのはやっぱりすばらしいと思います。しかし、勤勉に働いてもなかなか思ったようには豊かになれない。それにはどうしたらよいだろうかということを幼心に感じて、結果的には経済学を勉強したいというふうに私自身思うようになったわけでございます。  その勤勉性について、恐らくやはり豊かさとともにある意味でのハングリー精神みたいなものはやはり徐々に薄れていくというふうに感じます。特に若い世代、これは私が年を取ったせいかもしれませんけれども、やはりそういう思いは私にもございます。ここはしかし、我々が目指すものをもっと高く持って、我々が本来持っている勤勉性を是非発揮させていかなければいけないと思っております。
  187. 小川勝也

    小川勝也君 ということで、この資料をお配りしている、新生銀行の上場の問題、あるいはそこの過程の話に移るわけであります。  新聞なんかにもいろいろ出ておりまして、問題点は幾つかあるわけでありますけれども、最も分かりやすいのは、ぬれ手でアワで巨万の富を得た人たちがいるということ、そして日本政府がそこに課税をできなかったので損をしたんではないか、あるいは授業料が高かったんではないかという指摘であります。  この問題は、上場をするずっと以前から国会でも大きな問題として取り上げてこられました。簡単にというわけにいかないと思いますけれども、この上場に至るまでの間に、今指摘されている主な問題点にどういう点があったのか、事務方から簡単に御説明をいただきたいと思いますが。
  188. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 旧長銀問題を含みます金融問題につきましては、平成十年当時、国会で様々な御議論が行われまして、旧長銀問題については与野党合意を踏まえて成立した金融再生法の下で対応をすると、こういうことになったわけでございます。そこで、平成十年の十月、この法律の施行に伴いまして特別公的管理の開始決定が行われたというふうに承知をしております。  この旧長銀の譲渡先の選定に際しましては、金融再生委員会におきまして、公的負担の極小化、それから金融システムの安定など、こういった視点に立って複数の候補先が提示をいたしました条件について総合的に検討をして、その結果、リップルウッド社の提案、提示条件が最適であるという判断がなされて譲渡先に選定をされました。  その後、平成十二年三月に旧長銀の株式譲渡によりまして特別公的管理が終了をしたということになっております。特別公的管理の終了後は、新生銀行という名称になりまして、これまで当期利益、あるいはリストラ等の関係につきましては、概して経営健全化計画を上回る実績で推移をしてきております。  したがって、この計画、おおむね着実に履行しているというような状況であるというふうに承知しておりまして、今般、東京証券取引所に、同行の再生に向けた過程における一つのステップということになると思いますが、上場が行われたと、こういう、こういった経過になっております。
  189. 小川勝也

    小川勝也君 せっかくですので、どの部分がぬれ手にアワというふうに言われているのか、御説明いただきたいと思います。
  190. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) この新生銀行に対しましては、設立の際に、あっ、失礼しました、株式譲渡をいたします際に、リップルウッド社が中心となって設立をいたしましたニュー・LTCB・パートナーズといった会社がございまして、この会社が千二百億円という金額の増資を行っております。また、同時に、旧長銀の株式を十億円という形で買取りを行っているといった、こうした経過がございます。もちろん国の方も二千四百億円の公的資金の増資を行ったわけでございます。  そこで、恐らく、おっしゃっておられますようなお話が出るというのは、この株式が上場されましたときに、されます際に、一株五百二十五円という価格でこれを上場しておりますので、これが、これによって得られますキャピタルゲインというものが非常に大きいではないかと、こういうことを言われているのではないかというふうに思います。  ちょっと数字で申し上げますと、売出しの株数というのは、先般オーバーアロットメント分も出ましたので、これも入れますと、売出し株数四・八億株ということになります。仮にこの売出し株数に五百二十五円を掛け合わせますと、売出し総額は約二千五百億円ということになるわけでございますが、当初出資をいたしましたのはパートナーズ社は千二百十億円と、こういうことでございます。  したがいまして、引受手数料百億円余り掛かっておりますが、これを差し引きましても一千億円余りの利益が取りあえず確保できているといったような点を指しているのではないかと思います。
  191. 小川勝也

    小川勝也君 今日、多分前場の引けが八百円台だと思うんですけれども、そのほかの含み益というのはどのぐらいになりますでしょうか。
  192. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 先週末の引けが八百八十二円でございました。これにパートナーズ社が現在保有しております株式約八・八億株ございますので、これを掛け合わせますと、パートナーズ社保有の株式の時価総額が七千七百八十一億円と、こういった数字が出てまいります。
  193. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど勤勉性への哲学をなぜお伺いしたか、分かっていただけると思います。  一生懸命仕事をしておられる方、当然たくさんいます。残念ながら、会社の運営が思わしくなくて百万円の手形が落とせなく、愛し、愛し育てた会社をつぶしてしまう経営者もおられますし、後ほど議論させていただきますけれども、自らの命を、生命の終えんを自らの手で行う方も多数出ているようであります。  このことを、これ正当な行為ということであるならば、それを絶対認めないという立場には立ちません。しかし、そのルールとか運用とか監視は極めて厳しいチェックの下に行われなければならないのは言うまでもないことだろうというふうに思います。  先ほど御説明をいただいた中で、複数の会社あるいはグループが名のりを上げた中でリップルウッド社にどんな優位性があったのか、お答えいただきたいと思います。
  194. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 長銀の譲渡先の選定に際しましては、先ほど申しましたように、公的負担の極小化あるいは金融システムの安定など、こういった視点に立って金融再生委員会において候補の選定がなされたということでございます。  こうした検討の過程で、限られた候補者ではございますけれども、幾つかの提示がございまして、この候補者の提示条件の比較検討を行った結果であるということでございますが、リップルウッド社の提示条件が、金融再生法が定めます費用最小化の原則から見て他の候補者より優位であるといったようなこと等が決め手になってこの選定がなされたというように承知しております。
  195. 小川勝也

    小川勝也君 もう衆議院議論されていることなのでもう皆さん御承知おきかと思いますけれども、例えば日本国内に住んでおらない投資家がキャピタルゲインを得たときに日本国は課税できないわけであります。そうしますと、日本国の別な会社がこの長銀の再生をして今回と同じように上場を果たした場合、何らかの形で、税という形で日本政府に入ってくるわけであります。そのことは当然大きな額の差になってくるわけでありますけれども、そのことも比較対照、あるいはリップルウッド社と国内の会社を比較する要件の中にしっかりと組み込まれていたのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  196. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  御指摘の外国人投資家に対する課税の問題、これは税制上の問題でございますので、特別公的管理銀行にありましたその長銀の受皿選定に当たっては、当時の金融再生委員会において、先ほども事務方から御答弁させていただいているように、公的負担の極小化、金融システムの安定化の視点に立って、そして内外無差別の原則、この大前提に立って選定を行ったものと承知をいたしているわけであります。  したがって、旧長銀の譲渡先の選定は、もとより限られた候補者の中から選定されたものでありまして、その中で各候補者の提示条件を比較検討し、パートナーズ社を選定したものであると承知をいたしております。
  197. 小川勝也

    小川勝也君 公的負担の最小限の原則ということの中に、後で入ってくるであろう税収、これが加味されていたのかどうかをお伺いしています。
  198. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今御指摘の税制上の問題を考慮して旧長銀の受皿選定を行うことになりますと、これは相当な制約が掛かることになります。  先ほど申し上げましたように、その公的な負担を極小化をしていく、あるいは金融システムの安定化を実現をしていく、こういう考え方に基づく適切な受皿の選定が実際上困難になるんではないかと、そういう認識が当時の再生委員会の中にあったと理解をいたしております。
  199. 小川勝也

    小川勝也君 結果的に課税できないという問題が起きました。そして、極小かどうかというのも、後で触れますけれども、大きな訴訟になりかねない案件を抱えているので今のところいかんともし難い状況だろうというふうに思います。  結果的に課税できないわけでありまして、もし同じような、例えば投資グループでもいいです、国内に居住地を置いておられる方の投資という結論から今回と同じような新生銀行の再上場のような形で行われた場合は、それは税金として入ってくるわけでありますので、これは言うまでもなく公的資金は税金から出されておりますので、入ってくる財布、入口は違っても結論として同じ形になるわけであります。  もし仮にという話にはお答えいただきにくいのかもしれませんけれども、そういった場合、税金が入らなかった分だけ損したんじゃないかと一般人、我々は思うわけでありますけれども、その辺についての御答弁をいただきたいと思います。
  200. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今先生からもお話がございましたように、これは仮定でお答えするということはなかなか難しいんではないかと思います。  一方で、当時の再生委員会においては、やはり資産の劣化の防止というものをしていかなければいけない、そうした視点からも国民負担を抑えていく必要があると。そのためにはできるだけ早く特別公的管理というものを終了することが望ましいというふうに考えておりました。そうした観点から、先ほどから御答弁をさせていただいているような形でこの問題に対応させていただいたわけであります。
  201. 小川勝也

    小川勝也君 今の御答弁について二点お伺いをしたいと思います。  一つは、アドバイザリー契約を結んでおられる会社があったかと思います。これはゴールドマン・サックスという会社だろうというふうに思います。この人たちはだれのために仕事をしていただくということになっておりますか。
  202. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 旧長銀とゴールドマン・サックス社の間で締結されましたフィナンシャルアドバイザリー契約におきましてゴールドマン・サックス社の役割といいますのは、長銀に対する第三者から見た公正な評価、譲渡先の選定、そして譲渡交渉、譲渡スキームあるいはその条件の検討、そして譲渡契約書の作成、こういった点にかかわります財務上の助言及び助力を提供するということになっているものでございます。
  203. 小川勝也

    小川勝也君 旧長銀というふうに言っているわけでありますけれども、その時点においての旧長銀と日本政府との関係をお答えをいただきたいと思います。
  204. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) この譲渡契約を結びます時点におきましては、特別公的管理という形で預金保険機構がこの旧長銀のすべての株式を保有をしていると、こういう関係でございます。この預金保険機構は国の監督の下にある認可法人と、こういう位置付けでございます。
  205. 小川勝也

    小川勝也君 特別公的管理ということは、長銀という会社はあっても、その持ち主である今言われた預金保険機構が監督をしている、あるいは事実上の意思決定機関というのは、預金保険機構、すなわち政府が持っていたと言っても過言ではないと思うわけでありますけれども、御確認をお願いします。
  206. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) この長銀を特別公的管理にいたしまして受皿へ譲渡をしていく、この過程におきまして最も大きい役割を果たしますのは、国の機関であります金融再生委員会でございます。  この金融再生委員会が譲渡、受皿に譲渡をするのに適する資産と適さない資産の仕分を行うといったようなことを行い、また、こうした譲渡契約などが結ばれる過程におきまして、その経過を預金保険機構、あるいは旧長銀から報告を受け、あるいは相談に乗ると、こういった仕事をいたしておりました。国の関与は非常に強い状態でございます。
  207. 小川勝也

    小川勝也君 余計なことを言って、最後、ちょっと強いと言ったんですけれども。  結局、実質、長銀というその存在はあったけれども、国がしっかり管理をして、そして、言葉をかりるとするならば、その金融機関が大きな経済的な役割を果たしていたのできれいな形で再生をすることが望ましいと国が考えて、そして国の出費がなるべく少なくなったらいいというふうに考えてゴールドマン・サックス社にそのアドバイスをお願いをしていたと私は考えるわけでありますけれども、お答えをお願いしたいと思います。
  208. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) フィナンシャルアドバイザーを選定をいたします際には、金融再生委員会から選定基準、九つほどのポイントがございますが、これを広く公開をして公募をするといったような形で、公正なプロセスを経て総合的に検討してゴールドマン・サックス社を採用したといった経緯がございます。  このフィナンシャルアドバイザーの選定基準、一例を挙げますと、例えば質の高い国内に常駐するスタッフを有して、こうした事柄について十分なチームを組成することが可能である、あるいは内外金融機関にかかわるMアンドA等の実績がある、あるいは、更に申しますと、企業金融にかかわる提案力について高い評価を得ていることなど、九項目の基準に基づいて選定がされているということでございます。  まず、こういった基準に基づく選定を行うことで適切な、国民負担最小となるような譲渡についての適切なアドバイスが得られるであろうという、そういう前提があるということでございます。
  209. 小川勝也

    小川勝也君 長々と御答弁をいただいたんですけれども、求めていないんですね。  私の言っていることが間違っていたら教えてください。私が日本政府だったとするならば、ゴールドマン・サックス社に期待をすることは、できれば破綻した長銀をきれいな形で再生してほしい、そしてもう一つは、国の支出損を最小限に食い止めてほしい、これが日本政府の意向だろうというふうに思いますけれども、いかがですかとお答えした。
  210. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) この長銀を再生をさせる、あるいは再生に当たって国民負担を最小となるようにするといった任務を負いますのは、このフィナンシャルアドバイザーではなくて、受皿金融機関、あるいは受皿となる株主の経営、こういったものであろうかと思います。フィナンシャルアドバイザーはあくまで、先ほど申しましたように譲渡契約についての様々な助言を行うと、財務上の助言を行うという立場でございまして、この譲渡契約に基づいて長銀を再生していきますのは、リップルウッド社が中心になって設立をいたしましたニュー・LTCB・パートナーズ社ということになると思います。このニュー・LTCB・パートナーズ社が新生銀行を経営することで今回の上場という再生のワンステップに到達したということであると理解しております。
  211. 小川勝也

    小川勝也君 らちが明かないんで、そのゴールドマン・サックス社を置いておいて、日本政府立場というふうに置き換えてください。新生銀行になりましたけれども、旧長銀がまともな形で金融機関として復活してくれれば有り難い、させてほしい、これが一つ。そしてもう一つは、先ほどから何度も御答弁もいただいておりますし、私も述べている、国の支出がなるべく少なくあってほしい。この二つの条件というのは間違いですか、間違いじゃないですかと。
  212. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 譲渡先選定に当たっての基本的考え方はおっしゃるとおりでございます。
  213. 小川勝也

    小川勝也君 国の支出を最小限にしたいということと、税金が上がらない売り先と税金が上がる売り先をどっちにしたらいいかということは非常に近いところにある条件だろうというふうに私は思いますけれども、私の考え方は、これは間違っていたんでしょうか。
  214. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今先生が御指摘をされたことは基本的に正しいと思いますが、私も先ほど答弁をさせていただいた中で、内外無差別の原則があるということもお話をさせていただいたというふうに思います。この問題については、国際でも大変注目をされておりますし、その国際的な評価が得られるような、そういう再生というものも実現していかなければなりません。その中で、内外無差別の原則に立ってこの問題の対応をしていくという形で当時の再生委員会は取組をさせていただいたところでございます。
  215. 小川勝也

    小川勝也君 内外無差別の原則は分かったんですけれども、お答えをいただきませんけれども、想像するに、同じ条件で日本国内企業が再生を果たしたときに、日本の投資家が先ほどおっしゃっていただいた額のキャピタルゲインを受け取って、そこからその人たちが日本国民であれば税金を払うわけであります。けれども、たまたま内外の無原則、内外のその先ほどの条件の結果、アメリカに、あるいはオランダに、世界各国にその投資家が存在するので、日本に税金が入ってこなかったということであります。  財務大臣おられますけれども、税収もどんどんどんどん減っていて、のどから手が出るほど僕は税収欲しいと思うんですけれども、この問題にもお詳しいと思うんですけれども、思いはいかがですか。
  216. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) のどから手が出るほど欲しいかと言われれば欲しいですが、それはやはり税法に基づいて納めていただくしかないわけでございます。  それから一つ、私の名前が出ている資料をいただきましたので。二〇〇〇年の七月十二日、そごうが民事再生法申請となっておりますときの金融再生委員長に私の名前を書いていただいておりますが、私はたしか七月四日に離任したんだと思いますので、御訂正いただきますようお願いいたします。
  217. 小川勝也

    小川勝也君 まあ、訂正しておわび申し上げますけれども。  基本的に言っていることは分かるわけであります。もし、仮の話にも答えられないけれども、日本の会社が再生を担当して日本の中に投資家がいたら、その税金は日本に入ってくるわけであります。そのときに海外の投資家グループにこの担当をしていただいたら、そういったことが起こるということはもう予見できたんじゃないかというふうに思うわけであります。その辺についてはいかがでしょうか。
  218. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員からいろいろ当時のことについて検証をいただいておりますが、まあ、しかしこれ仮定の話でございまして、もし国内の企業でそういうことができたら納税ができたはずであると、その思いは理解できます。分かります。しかし同時に、実は当時やっぱりそういう状況ではなかったんだと。そういう中で、とにかくこの十四兆円の資産規模を持っているところを何とか再生させなければいけない。そのためにはやはり内外無差別で本当にしっかりしたところを選ぶと、しかも少ない候補先から選ぶと。そういう非常に差し迫った状況なのであったというふうに理解をしております。  ちなみに、全銀協の会長が今年の二月に記者会見で、日本の企業が買わなかったのかということについて問われておりまして、その中でやはり私ども邦銀も当時は自分のところの不良債権処理で精一杯で余裕もなかったし、再生を手掛けるようなノウハウも当時は十分なかったように思うと、そのようなことであのときはやむを得なかったのかなという思いを持っていると、そのように述べておられます。やはり当時のやはり非常に差し迫った状況の中での選択であったと理解をしております。  ちなみに、その資料、私の字が間違っておりますので、ひとつ御訂正をいただければと思います。
  219. 小川勝也

    小川勝也君 おわびして訂正をします。  それで、今国内の金融機関がどういう状況だったかというお話もいただきました。そのことも踏まえて今度の長銀は、これは再生するのは外資系しかないかなという思いはその当時あったんでしょうか。
  220. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) そういう思いはございませんで、当時の金融再生委員会における旧長銀の譲渡先選定に際しては、極力多くの譲渡先候補を見いだしていきたいと。そのために国内勢あるいは海外勢を問わず多数の金融機関に接触を行ったところでございます。そしてその後、金融再生委員会において、先ほどから御説明をさせていただいているように公的負担の極小化でありますとか、金融システムの安定化、こういう視点に立って各候補者の条件を総合的に検討した結果、リップルウッドが最適であるということで選定をされたと承知をいたしているところでございます。
  221. 小川勝也

    小川勝也君 一番うまく再生できる一グループが担当すればいいわけであります。そのときに、本当にこの公正な形で競争が行われたかどうかということに若干の疑問があります。  それは、今、竹中大臣から御指摘がありましたように、国内の金融機関等は自分のところが大変だったわけであります。そして、当局からどうなっているんだ、どうなっているんだ、ちゃんとやれというふうに言われているということ。  そしてもう一つ、日本型行政指導なんというような、これは世界の言葉になったわけでありますけれども、いわゆる金融機関と金融当局との力関係自分たちが得するように国にお願いすると国が損する話なんで、そんな話は国にしにくいわけであります。それで、もし自分たちならこうしたいという交渉をするにも及び腰というんでしょうか、腰が引けていると。御機嫌を伺いながらこの長銀を再生したいということをお願いする。  片や外資系、これは図に出ているようにリップルウッドあるいはフィナンシャルアドバイザーとしてのゴールドマン・サックス、外圧という言葉もこれ世界の言葉になったわけでありますけれども、これを若干利用しながら強引に進めていける。そういう意味でいうと、当時、国内の会社企業群と外資系の企業群との間で、精神的なものかもしれませんけれども、交渉の土壌に相当差異があったのではないかと私は思うわけであります。御答弁をお願いしたいと思います。
  222. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今精神的に差があったんではないかと、こういうお尋ねでございますけれども、当時からも国内勢あるいは海外勢、そうした差別があってということは全くなくて、内外問わずに多数の金融機関に接触を、私どもとして当時の再生委員会はさせていただいたというふうに承知をいたしております。  また、当時の行政当局も法令等に基づき適切に監督を行っているところでありまして、また旧長銀の一連の処理というのは、当時の与野党の合意の下に成立をした金融再生法の趣旨に基づいて、その手続に基づいて対応をしたところでございまして、今の御指摘のその強い裁量と、そういうものは当たらないというふうに考えております。
  223. 小川勝也

    小川勝也君 聞いてないことまで答えていただいて。  それで、そのゴールドマン・サックス社にそのフィナンシャルアドバイザーをお願いをして、今回の仕事をしていただきました。彼らに対する日本政府の評価というのはどんなものでしょうか。
  224. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 評価ということ、お尋ねでございますが、基本的には契約に基づいて仕事をしてもらったという評価でございます。
  225. 小川勝也

    小川勝也君 例えば、衆議院の岩國先生なんかは、アドバイザーというのはその依頼者がもうかるために最善を尽くすはずだと、そんな課税のことも念頭に置かないそのアドバイザーなんというのはあり得ないんじゃないかという指摘があるわけであります。その辺はどうでしょうか。
  226. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そこは選定のときの内外無差別という、これは選定の際の再生委員会の基準にのっとっているわけでございまして、アドバイザーのそのアドバイスの内容がどうこうということとは、これは異質の問題であるというふうに思っております。
  227. 小川勝也

    小川勝也君 例えば、その契約を挟んで、契約をした途端にゴールドマンにいた方がリップルウッドに異動したりなんかしているんですよね。これは当然御承知だと思いますけれども、答弁をいろいろ見ますと、アメリカ合衆国や、特に金融界では、そういう人の異動というのは当たり前なんだということで御答弁をされているようでありますけれども、例えば日本政府あるいは旧長銀がゴールドマン・サックスにフィナンシャルアドバイザーをお願いをした、そうしたらその二か月後にゴールドマン・サックスのある重要な中枢を担う方が今度はリップルウッド社に引き抜かれていくわけであります。こういった取引を日本語では不透明というふうに言うと思うんですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  228. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 今、例に挙げられました方は、譲渡候補先であるパートナーズ社を組成をいたしましたリップルウッド社のある方、この方がかつて旧長銀のフィナンシャルアドバイザーであるゴールドマン・サックス社に在籍していたのではないかと、こういうお話だと思います。  この点につきましては、この特定の方につきまして私が承知しておりますところでは、当時の金融再生委員会がゴールドマン・サックス社に確認をいたしましたところ、その方はゴールドマン・サックス社にはおられましたけれども、旧長銀の譲渡に関与していたという事実はないということが確認をできていると、このように聞いております。
  229. 小川勝也

    小川勝也君 これは、このほかにもいろんな指摘があったり、委員会に提出をしていただけない資料等もあるわけであります。  例えば、旧長銀とゴールドマン・サックス社がどのような契約内容において契約をされていたのかという文書は出していただけたんでしょうか。
  230. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 旧長銀とゴールドマン・サックス社、フィナンシャルアドバイザーたるゴールドマン・サックス社との間でフィナンシャルアドバイザー契約締結されておりますけれども、この具体的な内容につきましては、経営の一方の当事者でございます、これは純粋の民間企業でございますゴールドマン・サックス社が今後の日本でのビジネスに支障を来しかねない等ということで、要するに、こういったものを開示をいたしますと、ゴールドマン・サックス社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると、こういった理由でこのゴールドマン・サックス社は契約内容の開示に反対をしておられます。  また、行政の側でも、今後の金融の、金融機関の破綻処理などあり得ないわけではないと思いますけれども、こういったようなことを行っていきます上でフィナンシャルアドバイザーを活用していくということも想定されますけれども、この場合、契約内容を現時点で開示をしていくということになりますと、今後の金融行政の円滑な遂行にも支障を来しかねないということでございまして、契約の相手方でございますゴールドマン・サックス社の事情、そしてまた行政側の事情、どちらから見ましてもこの契約の内容を開示するということは困難であるというのが現在の考え方でございます。
  231. 小川勝也

    小川勝也君 アドバイザーとして得た収入、報酬はどの程度でしょうか。
  232. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) ただいまの御答弁と重複をしてしまいますけれども、フィナンシャルアドバイザー契約、報酬につきましては、当然契約の中に記述をされることになると思いますが、こうした報酬の体系につきましてこれを具体的に公表するということは、ゴールドマン・サックス社は反対をしております。また、私どもの事情からいいましても適切ではございません。  この報酬体系について要点だけを申し上げますと、報酬の内容は、月額基本料、それから基本合意契約が締結された場合の特別報酬、そしてその他実費といったような構成要素から成っているというふうに承知しております。
  233. 小川勝也

    小川勝也君 例えばアメリカ合衆国では、外交文書さえも年限が来たら公表するようになっていると聞いています。そしてまた竹中大臣も、どこかの時点で、この一連の再生への動きが本当によかったのかどうなのか、行政として限界まで頑張ったのかどうだったのか検証すべきだというふうに述べておられる点もございますので、例えばこういった件をしっかり情報を開示して検証するというのはいつぐらいが適当だと考えますか。
  234. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私が検証と申し上げましたのは、これは金融だけではなくてすべての政策について、やはり十年、二十年の単位で、これは専門家によってきっちりと検証はやっぱりなされるべきだと思います。そういうことを申し上げました。  今の問題については、まだ正にこの途上でございまして、今の問題についてどういうことが可能か、ちょっと私、今の時点では考えはございません。非常に長期のプロセスの中でその政策についての検証というのは専門家によってこれはしっかりとしていただきたいと今でも考えております。
  235. 小川勝也

    小川勝也君 更に問題がありまして、イ・アイ・イ・インターナショナル、このグループがサイパンでの裁判を再開をいたしまして、この新生銀行を相手取って訴訟を起こしています。これもちょっと微妙なんでありますけれども、瑕疵担保条項等が様々契約事項にありまして、新生銀行は、もし訴訟が起きて敗訴をした場合は預金保険機構に何らかの請求を回すだろうと、こういうふうに言っているわけでありますけれども、日本政府としてはどういうふうにとらえておられますでしょうか。
  236. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 旧長銀の譲渡契約は、その預金保険機構、旧長銀及びパートナーズ社の間における民事上の契約でございます。この契約書においては、旧長銀の偶発的債務や訴訟に関連した損失にかかわる預金保険機構の補償について規定が設けられております。  お尋ねの新生銀行にかかわる損害賠償訴訟がどのようなものになるかと、こうしたことを予見することは大変難しいことでございますが、仮に、当該規定に関係する事象が生じた場合には、当事者間において民事上の問題として契約及び法令にのっとって適切に対応されるものだと思います。
  237. 小川勝也

    小川勝也君 そうしますと、新生銀行から、これはこの条項に基づいて払ってくださいと言われたときに協議をするということですね。
  238. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) これは、現時点においてはその新生銀行より預金保険機構に対して具体的な補償請求がなされているわけではございませんので、同機構として最終的な判断はできないものだと聞いております。
  239. 小川勝也

    小川勝也君 片道ですから、あんまりしゃべっちゃいけないんですけれども、以上のことを総合すると、これ、もし仮に、さっきぬれ手でアワからスタートした議論であります。そして、瑕疵担保条項等があって、損したとき、これは飛ばしましたけれども、預金保険機構に何らかのツケをお願いするというのが今回の再生の中の中身でもありました。  そして、日本政府としては、日本国内以外の会社に再生を任せたということで、投資家からのキャピタルゲインに掛かる課税も取り逃していると。そして、言われるところの、もしもうかっても頭打ちという条項まで入っている。  そしてさらに、訴訟があって新生銀行が払わなきゃいけないというふうに裁判で負けたら、このツケ回しまで国にしますよということが契約条項になっているわけであります。こういう契約が一番良かったというのは、どういう契約なんだと。そして、そしてもし数年後、裁判に負けて、いや日本が、ごめんなさい、新生銀行が負けたので、そのときの契約に基づいて預金保険機構がその肩代わりをしますといったときに、本当に日本国民は納得するのかと。とんでもない話です、これは。  そして、今回のこと、なかなかこの不透明な中にあって確証が得られませんので余り無責任なことを言えませんけれども、競争に参加した国内系のグループの中には、最初から外資で決まっていた、あるいはリップルウッドのあの政治力にはかなわないよな、様々な意見も漏れ伝えられているところでもあります。  そしてまた、このアメリカ合衆国と日本の関係からいって、プラザ合意以降、市場開放、様々な点を外圧という形で掛けてきました。そして、日本の金融機関をターゲットに様々な活動が繰り広げられてきたのも事実でありましょう。  そして、この新生銀行が再生したということに関して、多くの投資家がおいしい思いをいたしました。日本はもうかるぞ、日本への投資圧力が強まりました。そのこと自体は悪いことではないわけでありますけれども、しっかりとその参入の機会そしてその透明性というのをしっかり確保しないと、これは日本としても墓穴を掘る結果になっていくんではないかというふうに思います。  そしてまた、感情的な面も加えますと、このことに気をよくしてゴールドマン・サックス始め様々な企業が日本の様々な不動産やゴルフ場や、あるいはそういう商業施設なんかも買いに入っているようであります。  で、竹中大臣は当然国務大臣であります。そういった動きに際して、日本の市場というのもグローバル化されているんだから、どんどんみんな買いたければ買えばいいじゃないか、それとも、いや日本の企業でできる面はノウハウをしっかり付けて対抗できるようにした方がいいんじゃないか、どういう御感想をお持ちですか。
  240. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員の今の御指摘でございますけれども、我々はやはり、今、正に今委員指摘のように、やはり透明な行政をしていかなければいけない、これは強く心に思っております。金融庁の顧問であります久保利先生という有名な弁護士さんがいらっしゃいますが、金融はコンプライアンスの塊であると。行政も金融取引もやはり厳格な法手続にのっとらなければいけないんである、透明でなければいけないんだと。金融庁の中に各省庁に先駆けて我々はコンプライアンス室、対応室というのを作りまして、そうした行政の実践に心掛けているところでございます。  今お尋ねの内外の競争でございますが、これはやはり内外の競争は無差別にやっていただかなければいけないと思います。これはやはり重要な原則論だと思います。しかし、その中で、外資が入ってくるからこそ日本の企業が強くなっていく、そして日本の企業が強くなって、日本の企業の良さを発揮しながら、我々の雇用環境の整備、更には経済の発展につながっていく、それがやはり我々が期待する姿でございます。
  241. 小川勝也

    小川勝也君 日本の金融業界は護送船団なんという言葉をよく使われておりました。進化するために金融機関に外資系が入った方がいいなというそんな期待感もあったかと思います。竹中大臣の御感想でも結構です。いかがでしょうか。
  242. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 外資が良い悪いというような判断は、これ私にもないし、政府の中にもないと思います。  ただやはり、透明な競争はしていただけるようになっていただきたい。先ほど間柄の話をさせていただきましたけれども、護送船団とか談合というのはある意味で間柄のちょっと悪い面が出てきたのではないかという面、これはそういう指摘もあるわけでございます。そこは、繰り返しますが、良い面は残しながら公正な競争をやると。その中で、内の資本か外の資本かというのはその一つ競争の結果なんだというふうに思っております。
  243. 小川勝也

    小川勝也君 いみじくも間柄という言葉を使っていただきました。これは質問になるかどうか分かりませんけれども、その日本的な経営、金融機関といわゆる借り手との関係というのがありました。よく知っている社長なんでなかなか返せ返せと言えない。これが日本型経営の良くもあり悪いところだったのかもしれません。  そして、この長銀の再生に際して、この人たちは投資家の命を受けて利益を上げることが最善の、最大の仕事でありますので、ここにも様々な企業の点も書いてありますけれども、私が知っている企業も大変な貸しはがしに遭って苦労いたしました。本当に涙を流しながら銀行に返済をし、あるいはその中には本当につらい思いをした人もいるんではないかなというふうに思っています。そして、そのことを見習えとばかりにどんどんどんどん不良債権処理に加速をしていく中で大変生きにくい、厳しい国になってきたわけであります。  そして、このストレス社会ということが関係してくるのでありましょう。自殺をめぐる問題に次移るわけでありますけれども、大変、そのこともあり、最近は自ら命を落とす方が非常に多いわけであります。  坂口大臣はどのようにこの数字をとらえておられるでしょうか。
  244. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 平成十四年の精神患者の患者数は、調査によりますと約二百六十万人でございました。それは三年前の、その三年前の調査からいたしますと五十五万人増加をいたしておりました。特にその中でうつ病などの患者が約一・六倍になっております。  そうした状況でかなり精神的な疾患、これも幅広いわけでございますけれども、そうした範疇に入れる人たちが増えてきているということは間違いのない事実だというふうに思っております。そうしたことを今後どのように取り扱っていくか、今後の大きな課題だというふうに思っております。
  245. 小川勝也

    小川勝也君 今日の新聞記事で自衛隊の隊員の皆さんの心のケアのために人を送るという記事が出ていました。先進国中ではその心のケアということに関して日本は遅れていると、こういうふうに言われているわけであります。大変重要になってきましたこの問題について様々な施策が必要かと思いますけれども、現状の御報告をいただければと思います。
  246. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 冒頭に、先生から御質問ありました日本の自殺者、自殺の死亡者数をまず申し上げたいと思いますけれども、我が国の自殺死亡者数は、平成九年まで二万三千人前後で推移しておりましたが、平成十年になりまして、主として中高年男性の死亡者数が増加いたしました。具体的には四十歳から五十九歳の男性で、平成九年が六千九百十五人、平成十年が一万八人ということで、中高年男性の死亡者が増加したということであります。その結果、約三万人に急増いたしまして、その後は横ばいの状態にあるわけでございます。ちなみに、平成十四年の自殺死亡者数は、厚生省の調査によれば二万九千九百四十九人ということでございます。そのうち男性が約七割強を占めているということでございます。  日本の精神保健福祉医療につきましては、入院施設中心の医療ということでございましたが、地域生活ができるような方向に向けて全力を尽くしてこれから対策を講じていくところでございます。  また、うつ病につきましても大変重要な課題でありまして、都道府県向けの対応のマニュアルでありますとか、あるいは保健従事者向けのマニュアルを作成するなど、うつ病あるいは精神病というのが国民だれでもかかる病気であるという認識の下で、周囲の下で温かく精神障害者の方々を見守るような体制作りに努力してまいりたいと考えております。
  247. 小川勝也

    小川勝也君 最近、アスペルガー症候群などという耳慣れない言葉も耳にいたしました。少し前はADHDなどという言葉もしっかり覚えたわけでありますけれども、その心のストレスが若年層、子供にも様々な影響を及ぼしているのではないか。あるいは、これは諸説まだ解明されていないわけでありますけれども、食生活やあるいは化学物質の影響があるのではないか。最近は統合失調症とか様々な言葉も使われているようでありますけれども、新しいこういう疾病群あるいは症候群など、どういった症例が報告されて、対策を取っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  248. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 高機能自閉症あるいはアスペルガー症候群、ADHD、注意欠陥多動性障害、LD、学習障害などの発達障害が増えてきていると言われております。  こうした障害は、それぞれ障害によって症状が異なりますけれども、例えば他人とのコミュニケーションに障害がありますとか、あるいは注意力に障害がありますとか、読む、書くなどの学習の一部に障害があるなどの症状が発達期に現れるものと認識してございます。  こうした発達障害の方々の数につきましては、診断、評価の手法が必ずしも確立されていないことから、その正確な数値は把握されておりませんが、外国の学説によりますと、自閉症、アスペルガーなどは八歳以下の〇・六%、それからADHDは学齢期の三から七%、LD、学習障害は生徒の五%の発症率があるとするものがございます。  これらの発達障害につきましては、脳の障害そのものを取り除くということは困難な場合が多いとされておりますけれども、早期に発見し、適切な指導あるいは環境を整えることによって症状が改善し、社会生活への適応が期待できる障害と考えられているところでございます。こうした観点に立ちまして、家庭あるいは学校、地域社会、職場などでこうした新しい障害に対応した対策が必要だと思いますけれども、これまでその実態が必ずしもはっきりしなかったということや、あるいは法制度の谷間にあるということから、必ずしも十分な対策が講じられてこられなかったという面があろうかと思います。  例えば厚生労働省の障害保健福祉施策といいますのは、知的障害を伴う場合を施策の対象としてきておりまして、こうした発達障害、知的障害が伴わないケースが多いわけでありますが、必ずしも十分な対応ができておりませんでしたが、平成十四年度から、自閉症・発達障害支援センターということで、こうした方々の相談などに応じられる体制の整備をしているところでございます。  この発達障害につきましては、厚生労働省のみで対応できる問題ではないと思います。今後、文部科学省などとも連携し、また関係の方々とも協力しながら対策の在り方を検討したいと思っております。
  249. 小川勝也

    小川勝也君 文部科学大臣もお見えでございますけれども、小学校を中心に現場の先生方も大分御苦労されているんではないかと思いますけれども、どういった報告を聞いておられるでしょうか。
  250. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今厚生労働省からもお答えありましたように発達障害児、学習面、行動面、著しい障害があるんではないか、困難性がある、大体六%前後ではないかと、こう言われております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  文部科学省も、教育現場、このことに気付いたのは比較的最近のことでありまして、専門家も少ないということもございまして、この点については総合的な教育支援体制の整備を図っていくというのが今段階でございまして、これ、モデル事業を今全都道府県にもセットいたしまして委嘱をいたしております。厚生労働省とも連携をいたしておりまして、専門家が小中学校を巡回をしながら指導内容や方法等について教員に助言を行うと、こういう状況でございまして、特に専門家と連携した体制作りが非常に大事だと、こう思っております。  また、都道府県においても、指導的な役割を果たす教員等の研修を今行っておりまして、それからLD児等の児童生徒の指導方法を盛り込んだパンフレットとガイドライン、冊子を作っておりまして、厚生省、厚生労働省側の協力をいただきながら、今進めております。  こういうことで、厚生労働省との連携を緊密にしながら、各地域や学校、それから医療、福祉、こういう関係機関と連携をしながら、LD、ADHD等の児童生徒の総合的な支援体制を更に整備してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  251. 小川勝也

    小川勝也君 スクールカウンセラーなんていう制度もあります。これの充実と併せて、教室においての様々な現象面を専門家に伝えられて、しっかりとその解決策が見いだされるように最善の努力をしていただきたいと思います。  それにも増して、私ずっと思っていることがあるわけでありますけれども、小学生の中でも特に低学年というのは非常に大変なわけでありまして、これが例えば三十人とか三十五人とか児童がいると先生方も大変だろうなと。私どもの党は、すべての学級が定員が三十人以下になるようにというふうに政策としても決めておりますし、提案もさせていただいておりますけれども、小学校一年生、二年生は二十人以下ぐらいの学級にしていただくことが望ましいと考えているところであります。文部科学大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  252. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 一クラス何人ぐらいが理想かということについては、まだ確たる数字的なものといいますか、統計的なものが出てきていないんであります。できるだけ少人数でやった方が行き届くであろうということ、これは予想はできるわけでありますし、先生の数が無尽蔵に増やせるものならそれも一つの方法であると思います。  しかし、今現実、先生をどういうふうに増やすかということで第七次の定数改善計画を持っておりまして、これ五年間、十三年から十七年まで二万六千九百という改善を行います。その中で、先生の定数を確保しながらやっておるところでございます。  やっぱり、特に委員指摘ありましたように、低学年についてはできるだけ少人数でやろうと、あるいはチームティーチングにして二人先生体制でやろうということは、各都道府県教育委員会御努力をいただいておるようでございます。そこで、地方も自主性を発揮していただこうということで、平成十三年以降は都道府県の判断でそれが可能なような形を取ってきておりまして、随時運用の弾力化を図っていただいておるところでございます。  小川委員は二十人と言われましたが、平成十五年度においては三十の都道府県において小学校低学年は三十五人以下にしようという努力を大変いただいております。この実を今上げていただいております。さらに、この十六年度から総額裁量制という制度を導入いたしまして加配、いろいろ問題がある学校、クラスに先生を増やしていく加配制度を持っておりますが、そういうものをその少人数学級をするやつに活用できるような運用を弾力を図るというような努力をいたしておりまして、これも各都道府県の自主的な判断に基づいて、各地域地方のその裁量を増していただきながら、きめ細かな教育の展開がよりやすくなるようにということで努力をいただいております。  私も、二十人でどうだと言われれば、小学校の先生方はそれはたしか二十人でやれば楽になられるだろうな、ある面ではですね。だからそれに向けて、各教育委員会がそのとき、その学校の実情に応じて、特に都市部については人数が非常に多い場合があります。そういうところを集中的に減らす努力をしていただくとか、というのは、田舎の方は御案内のようにもう一クラス平均二十人切っている、大部分そうであります。都市部でそういう問題がございますから、そこへ集中的に配慮していただくという取組が必要ではないかなと、こういうふうに感じております。
  253. 小川勝也

    小川勝也君 子供たちにも本当にストレスがもう起因している、大変生きにくい社会になっているんではないかなというふうに想像するわけであります。例えば、いいか悪いかは別にして、悪いんでしょうけれども、地域や家庭の教育力が落ちている。あるいは児童虐待、家庭環境の複雑化、そして食生活や生活習慣が就学前にしっかり家庭で作り上げられているのかどうか。様々な現代的な課題というのがあろうかというふうに思います。しっかりと、この少子化にあって子供たちはこれ国の宝物でありますので、効率化、金の話ばかりしないで、どこかで思い切った決断をしていただければというふうに思っているところであります。  時間がなくなってきましたけれども、先ほど高橋委員からも御指摘がありました。地方は大変厳しいわけであります。そして、先ほどから効率化がいいか悪いかという議論をしますと、地方の人口がどんどん減っていく、そしてコミュニティーが崩壊していくということが効率という面からも、先ほど来議題になっております教育現場や医療含めて大変になってくると思うわけであります。地方にお金を渡さないことだけが効率化ではなくて、しっかりと適正なサイズを地方にも確保することが私は効率的な地方運営だろうというふうに思っているわけであります。  総務大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  254. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは地域によって随分と差がありますのは御存じのとおりで、北海道ですから、特に、そうですね、一番、日本で一番小さな人口は多分山田市というところだと思いますけれども、北海道の空知の方にある、あれが一番小さいと思いますが、(発言する者あり)歌志内、で、山田とつながっているんですが、こういったところでは、基本的に旧産炭地と言われるところで、ここが一挙に人が増え一挙に人が減っていったというところが一番の特徴で、多分地域コミュニティーが一番崩壊したのは、多分急激に人口が増え、増えていった人が一挙に出ていったあの地域が一番かなというのが率直な私の実感でもありますが。  これは、その後その地域をどうするかということになると、それはその地域土着の人がどれだけ頑張るか、また外から来た人がそこにどれだけ定着するかというのによって随分差が付くんだと思いますが、企業文化だけだと企業がなくなると大体全部ということになりますので、いろんな意味で、役所としてはいろんなことで、地域コミュニティーの意義にかかわるというために何をということでいろいろなことをやっておるんですけれども、地域によってこれははっきり言ってもう全然条件が違いますので。  これ一つの例ですけれども、市町村の活性化新規施策二百の事例という本を、これは総務省としては珍しく読める、おおっという、読める本なんです。こういうのを銭取って売らないところが駄目なんです。これをただで配るから値打ちがないので、これをもっとお金取って売った方がよっぽどよろしいというんですけれども、北海道では留辺蘂町とかいろいろ例がほかにも挙がってありますので、これは差し上げても別に収賄にはならぬでしょうから、後でこれ差し上げますから。こういうのを見られると、自分と同じような市町村がほかの地域ではどのように取り組んでいるかという、コミュニティーに関してですよ、関してでいうと非常に参考になられると思いますので、こういったようなことをやらないと、ただただ人口比で割っていくと、どんどんどんどん寂れていくとか、早い話が竹島が一杯できるみたいな、極端な言い方をすればそういうことになるんだと思うんですね。  そういった意味では、東京都の青ケ島という八丈島から更に南に七十キロぐらい行った島がありますが、ここは人口百九十人ぐらい、多分全国で一番小さな村だと思いますが、こういったところはそこに住んで頑張るという人が、昔からの人がいるものですから、何となくその種の騒ぎにはならないのですが、大陸棚の問題含めていろいろなところに波及をいたしますので、何らかの形でそこに住んでくれている人はそれなりの対応というのにすける、援助する、そういったことは別の発想として、金だけの話ではなくて別の発想が必要ではないかという感じがいたします。
  255. 小川勝也

    小川勝也君 今大臣からは旧産炭地の話をいただきました。これ、北海道でも非常に深刻な話であります。それと同時に、大きな問題点はやはり第一次産業だろうというふうに思います。  ある一定程度のコミュニティーをしっかり守ることが効率的な国土運営だというふうに考えた場合、やはりしっかりと農業と森林に関する林業、これをしっかりと頑張っていくことが一番大事だろうというふうに思います。  自給率を高めなければならないということと併せて、農林水産大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  256. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 我が国の農業、国民の生活を支える食料の供給がもとより農村地域の基幹的な産業であるわけであります。そういう面で、農業の健全な姿を維持発展していくこと、また地域の活力の維持やあるいは真に豊かで安定した国民生活、こういう面で大変重要な役割を果たすわけであります。そういう面から、特に農業構造の立ち後れと農村の高齢化の進行と、あるいは地域の活力の低下と、こういう点を今委員からの御指摘の問題、そのようなところがあるんではなかろうかと。  こういう面で、是非一つは、米政策の問題につきましては水田農業ビジョン作り、産地作り対策と、こういう面と、あるいはまた食料・農業・農村基本計画の見直しを企画部会に、審議会の企画部会に諮問し、意欲と能力のある地域の担い手と、これに後押しをし、積極的な農政を展開してまいりたいと。  また、林業につきましても大変森林の有する多面的な機能と、これを持続的に発揮させるような多様な森林の整備と保全を推進していくわけであります。そういう面から、地球温暖化防止十か年計画、この今努力をしておりますが、財源の問題もありますし、担い手の問題があるわけであります。これら緑の雇用担い手育成事業、こういうものを通じて、森林の整備、担い手の確保、育成と、このようなことに努めてまいりたいと。  そういうような中で、自給率の向上の問題、これは今日、私どもやはり食料の安定供給の確保と、これを図ることが必要でありますし、自給率の向上を目指して努力をしておるところでもございます。これは生産面、消費面と、あるいは食品関連事業一体となった形で進めていかなければならないと思いますし、消費の面では食料の、食の多様化、洋風化等々の問題もありますし、あるいは栄養のバランスの問題、これがございます。そういう面で、食育の推進、こういう点で、また生産の面では、先ほど申し上げましたとおり基本計画の見直しと、こういう中で農業の活性化と、国際的にも対応できるような対応と、そういう中で自給率の向上に向かって努力をしてまいりたいと、こんなように思っております。
  257. 小川勝也

    小川勝也君 地域コミュニティーを例えば再生しようと思えば、それは大変お金が掛かるわけでありますし、大変それが難しい今状況になっているんだろうというふうに思います。しからば、今もうぎりぎりのところまで地方は来ていますので、今ある資源をまず大事にして、人が残れる地域にすることが一番肝要だろうというふうに考えています。  総務大臣、しっかりとその辺を御理解をいただいた上で、地域社会、地域経済を守っていくんだという御決意をいただきたいと思います。
  258. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、約三千三十ぐらい市町村が、日に日に合併しておりますんで正確な数字じゃありませんけれども、三千前後のものが今ありますが、そういった中にあって、やっぱりこの国は、北は北海道から南はまあ沖縄除いて大隅半島までのところでも、ヨーロッパで二十三か国ぐらい、二十三か国、これずっと当てはまる非常に縦に長い、南北に長い国、したがって地域もえらく差があって当然、山の中、また島国とはいえ山の中というところも、国土緑化率七〇%なんというところですから、そういった先進国ってそんなほかにあるわけでもありませんし、日本という国一国でもって一つの文明圏として成立しているという国もそうざらにあるわけでありませんので。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  そういった国というものの持っております歴史、伝統というものは大事にしていくには、やっぱり地域に昔からありますいろいろな文化というものが根付く、定着するというのはとても大事なところでして、そこを、かかわって育ててくれている人がおりませんとどうにもなりませんもんですから、何となくみやびたところに人が走って、ひなびたところから人が去っていくというのは世の流れかもしれませんけれども、それはまたそれでひなびたものは大事に再評価されてしかるべきと思いますんで、そういった人たちが絶えないように私どもとしては頑張っていかねばならぬと思っております。
  259. 小川勝也

    小川勝也君 しっかりとこの地域を支えるためには、先ほども農林水産大臣から御答弁をいただきましたように、地球環境問題にも配慮して森林をしっかりと整備をしていくということ、そして食料自給率を高めていくということをしっかりと国是に据えて、地域の農業農村をしっかり守っていくこと、このことが肝要だろうというふうに思っています。  食料のことで言うと、もう一点日ごろから大変気になっていることがあります。それは、自給率四〇%と言われている私たちの国でたくさんの食料を輸入をしているわけであります。最近は、フードマイレージという言葉もあって、どれだけの距離運ばれてきたのか、これに着目するなどという運動もあります。言うまでもなく、運ばれてくる間にエネルギーを消費してくるわけでありますので、その罪たるや大変なものであります。  そして、最も気になる点は、それを世界から買ってきて、全部食べるんならいいですけれども、相当の食べ残しがあります。これは、食べ残しというのは、家庭から出る残飯だけではなくて、売れ残りやあるいはレストラン、外食産業、食品工場、あるいは倉庫に入ったままなどというものも含めてであります。  そして、もっと言うと、それを処理するのにまたガソリンや軽油を使って車が運んで、そして巨額を投資して造られた廃棄物処理施設で、そして望みもしないダイオキシンを出しながらそれを燃やすという、「バカの壁」という本がはやりましたけれども、私に言わせれば、ばかな国と。これは、経済効率だとか経営効率だとか言う前に、これは何としてもやめていかなければならないだろうというふうに思っているわけであります。  環境大臣農林水産大臣のこの点についての御所見をお伺いをし、質問を終わらせていただきます。
  260. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 子供のころは食べ残すと母から、それを作った人がいるんですよと、そして世界で同じ年ごろの子供たちで食べられない人たちもいるんですよということで、食べ残しをすると大変しかられたものでございます。  最近では、食べれば栄養、捨てればごみという言葉もあるそうでございまして、このように食料品、食品の食べ残しでございますけれども、全体含めて食品廃棄物、これをどうやって抑えるかということは、循環型社会を構築していくという意味でも大変重要な課題の一つと考えております。  また、食品リサイクル法があるのは御承知のとおりだと思います。これは、事業者そして家庭からの食品の廃棄物をどのようにしていくかということで、それぞれ例えば調理の方法も含めて、発生物をできるだけ抑えるということで責務を表示しておりまして、明示しておりまして、また基本方針でもその具体的な取組の方向というものも明示しているということでございます。  毎年、ごみゼロ推進全国大会ということを毎年開いておりまして、そこは廃棄物全般ではありますけれども、そのような形を通じて普及啓発にも努めていきたい。  この食料の問題でございますけれども、できるだけ、今おっしゃることは誠にごもっともだと思います。農林水産省とも連携を密にして、必要な施策に取り組んでいきたいと考えています。
  261. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 食生活を取り巻く環境、大きく変化をしております。食生活に関する様々の問題があるわけであります。そういう面で食育、先ほど申し上げました食育の中で、平成十二年に食生活指針と、これを示しまして、その中でいろいろのことを申し上げ、申しておるわけでありまして、食品の適切な購買行動や上手な保存方法と、こういう普及、食べ物を大切にする意識の高揚に努めております。  また、食品リサイクルの関連につきましても、この法に基づきまして、環境省と連絡を取り、連携を取り、特に肥料・飼料化の問題、再生利用をすると。  あるいはまた、農水省等におきましても、全国各地にこの法律の説明会等々をいたしまして具体的な取組の支援を今いたしております。事業者と農林漁業者の方々が連携したリサイクル国づくり、あるいはまた先進的なモデル的なリサイクルの施設の整備とか、あるいは優良リサイクル事業者の育成と、こういうことに努めておりますし、実は農林水産省も、食堂のごみ、廃棄物、これを千葉の方に送りまして肥料にいたしまして、その野菜を食堂で食べるというようなことの努力もいたしております。
  262. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で高橋千秋君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  263. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、魚住裕一郎君の質疑を行います。魚住裕一郎君。
  264. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  予算委員会議論も随分深まってきたなという印象を持っているわけでございますが、だんだん議論が深まっていくと、また議論が白熱してくると過激な議論も出てくるわけでございますが、まず、この私たちの国会質問ということについて若干議論をしてみたいと思っております。  私たちの議論は、この予算委員会はもとより、会議録で周知される、また報道機関等を通して報道される、また、各、衆議院、参議院の努力としてインターネット等でも放映される、さらにはライブラリーとしてこれがいつでも検索できるようになっているというふうに承知をするものであります。  ただ、それを前提にしながら、この国会における、委員会における発言、例えば国会法百十九条では、この無礼の言の用いてはいけないとかですね、そういうような取決めになっておりますし、また、規則、参議院規則五十一条では、そういう品位を傷付けたりするような場合には制止、委員長がこれを制止し、又は発言を取り消させるというような規定がございます。  ちょっと前の地方裁判所段階での判決でありますけれども、いわゆる国会議員の免責特権、憲法五十一条との関連もございまして面白い判断をしております。憲法五十一条が妥当したとしても、そのことから当然に国家賠償法一条一項、所定の違法がないことにはならない、また、議員である被告は、右発言に係る事実関係を十分調査して、その真実であることを確認した上、右発言をすべき職務上の法的義務を負うというような判断を示しております。  私たちのこの発言自体が、ついて国は国家賠償法の責任も負っている。また逆に言えば、私は、国会が、国会議員が他人の名誉とかプライバシーを害するような発言をした場合には制止をし、また取り消し、また国会質問による人権侵害を未然に防止しなきゃいけない、そういう義務があるだろうというふうに考えるものであります。  ところで、不確実な憶測記事等に基づいて質問した場合、いろいろその後、理事会とかいろいろ議論がなされるわけでございますが、それに基づいて議事録を訂正されたりもいたします。  ところで、今、先ほど、冒頭申し上げましたように、インターネットでも我々の発言とかが出ているところでございますが、まず、インターネット上、私たち、議事録というのはどういう扱いになっているのか。特にインターネットに載った後、議事録が訂正された場合、議事録ですね、議事録そのものの扱いはどういうふうになるのか。事務総長、お願いします。
  265. 川村良典

    事務総長川村良典君) お答え申し上げます。  インターネット上の会議録の扱いでございますが、参議院のホームページにおきまして、会議録については会議終了後の、会議録の確定後、翌日に載せております。  そもそも、委員会あるいは本会議の席上で発言が問題になったものにつきましては、その発言について協議が調うまでは会議録として出されません。その協議が調って確定した段階で初めて出るわけでございます。また、インターネットに載せました会議録についてその後、訂正あるいは削除ということが行われますと、それについてはその訂正、削除に応じてインターネット上の会議録についても訂正、削除を行うという扱いになっております。
  266. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そこで、私たちのこの質疑、本会議も委員会もこの院内テレビも出ておりますけれども、インターネットで見られるようになっているところでございます。また、それを広く周知するように参議院としても努力しているところでございますけれども、このインターネット中継の運営の状況、そしてまたライブラリーとして、ビデオ・オン・デマンドでいく場合、どのぐらいまで見ることができるのか、衆参それぞれ分けて御説明をしていただければと思います。
  267. 川村良典

    事務総長川村良典君) インターネット上における審議映像の中継でございますが、これにつきましては、院内テレビ中継を開会から散会まで無編集、無解説で行い、これをそのままインターネットで公開するという議院運営委員会理事会の御決定がございます。これに基づきまして、現在はインターネット上の同時中継あるいはビデオライブラリーともに院内で放送しております審議中継の映像と同一のものを提供いたしております。  それから、ビデオライブラリーの期間でございますが、これは参議院におきましては直近国会一回分ということでございまして、現時点で申し上げますと、一月十九日のこの国会開会日以降の本会議、委員会の審議を中継いたしておりまして、次期国会が始まります前日までライブラリーで見られるということでございます。  なお、衆議院でございますが、衆議院については、過去一年分の審議映像が見られるという取扱いになっているというふうに聞いております。
  268. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 まあそれは容量の問題もあるのかなとは思いますけれども、各国会議員の発言、また総理を始め各大臣のこの答弁等、貴重な歴史的資産ということを考えますと、やがてはアーカイブになって歴史資料になっていくんだろうなというふうに思うわけでありますが。  先ほど申し上げましたこの議事録の訂正があった場合に、削除とか、中継そのもの自体は放送ですからもう訂正もへったくれもないわけでございますけれども、しかしライブラリーあるいはアーカイブズになった場合に、その後、この議事録で訂正になったその部分が削除されましたよ、そういう場合にこのライブラリーとして一体どういうような取扱いになっているのか、またそれはどこで議論されているのか、含めてお尋ねいたします。
  269. 川村良典

    事務総長川村良典君) 会議録の訂正があった場合のインターネット上の審議中継の映像をどう取り扱うかということでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、院内テレビ中継については無編集、無解説という原則がございまして、これに従ってライブラリーについても、その当時の映像そのものを提供させていただいているということでございます。
  270. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 衆議院では議運、そしてまた小委員会の下で議論をしていると思いますけれども、それは、今、事務総長のおっしゃるには、それは議運の理事会等でしっかり議論しろというようなことになるんでしょうか。つまり、議事録として訂正をしたものが官報とかあるいは議事録として出される。しかし、このライブラリー、もっと、もっともっとこの映像というのは文字でいくよりももっとはるかに影響が大きいと思います。インパクトがあるわけでございまして、そこに私人の名誉を害するようなものがあるとか、侮辱的言辞があるとか、それが議事録では削除されているけれども、ライブラリー上何にも手当てがないというのもいかにも変だなというふうに思うところでございまして、もう一度その点、いかがでしょうか。
  271. 川村良典

    事務総長川村良典君) 審議映像のテレビ中継あるいはインターネット中継につきましては、先ほど申し上げましたとおり、議院運営委員会理事会でその運営方針を御決定いただいているところでございまして、そこでの議論をしていただくことが必要かというふうに思います。
  272. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今そのような御答弁でございますけれども、私たちのこの質問等を含めて、これ、インターネットに載せるということは、それはもう外国まで行っているということでございますし、また電子データとして後年にも大きく残るわけでございまして、その点、私どももしっかり議論をさせていただきたい、このように思います。  続きまして、FTAに関連してお尋ねをします。  先般、三月十二日ですか、メキシコとの合意というふうに至ったところでございますけれども、メキシコ、この合意内容が完全に実施されたとき、メキシコの輸入に占める日本のマーケットの占有率でございますけれども、どのぐらいになるのか。もうこのFTAがきちっと妥結しないからどんどん減っていくんだみたいな議論があったわけでございますが、その点はどのような影響を受けるのか、御答弁を願います。
  273. 林洋和

    政府参考人(林洋和君) お答え申し上げます。  この経済的効果、私ども三つぐらいあるかなと思っております。  第一点は貿易面でございます。従来、FTAを結んでおります米国やEUは平均関税率ゼロで物を出しました。それに対して我が国の企業は平均関税率一六%を払っておったということで、幾つか試算ございますけれども、NAFTAができる前のシェアをそのまま伸ばすと、二〇〇〇年において約四千億円の輸出の逸失利益、逸失されたものがあるという試算もございます。これが今回平等になるわけでございますので、この貿易面の効果が第一にあろうと思います。  第二番目は投資面でございます。二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇三年、日系企業が様々な理由で投資を撤退いたしました。今回、このFTAの中で投資ルールの整備あるいはビジネス環境の整備というものが入ってございますので、事業展開が円滑に行えるようになるという意味で投資面の効果がございます。  それから三点目。このFTA、EPAというものが日墨双方を近くさせる、あるいは日墨双方の共通の基盤を作るということで、直接的な二国間取引のみならず、合弁とか第三国との共同事業、そういったものの可能性もあるのではないかというふうに考えております。
  274. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今三つの側面にわたって御説明をいただいたわけでございますが、FTA、このメキシコとの合意に至ったということでございますが、今後は特に東アジア諸国との交渉に焦点が移るかなと思っておりますが、韓国、タイ、フィリピン、マレーシア等々、交渉されているということでございますが、その簡略な状況、交渉の状況、そして見通しについて御説明をいただきたいと思います。
  275. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ただいま四つの国とアジアでは交渉しているということでございまして、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアということでございます。それぞれの国と一、二回、既に交渉をいたしておりまして、基本的な考え方であったり、今後の作業のスケジュールであったり、どういったことを対象にするかということであったり、そういったことの議論を今いたしているところでございます。  我が国として、これは日本全体の国益という立場から、成功をさせるように取り組んでいきたいと思っております。
  276. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 東アジア諸国というふうなことを考えますと、やはり関心事項といいますか、人の移動というのが大きなポイントになるんじゃなかろうかというふうに思っております。単純労働のみではなく、いろんなカテゴリーの人々の人の移動ということが要請されてくるだろうというふうに思いますが。  一方で、我が国、もう数年すれば人口が減ってくるかもしれないみたいな、そういう予測もされるところでございまして、そうなると、将来的には年間六十万人ぐらい労働力が入ってこなきゃ日本の活力を維持できないんではないかというような人もおりますし、一方、いろんな人が来たら今の治安状況からして外国人犯罪が増えるんではないのかとか、いろんな言われ方もするところでございますが、労働人口の減少というものを視野に入れた労働政策面からの具体的な検討面に入るべきではないか。そしてまた、このFTAあるいはEPAの交渉のときに、外務省とか経産省だけではなくして、厚生労働省や法務省なりも入って交渉していった方がいいんではないかと、このように思うところでございますが、代表して厚生労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
  277. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 人口問題からいいますと、二〇一五年、十一年先でございますが、労働力人口約三百九十万ぐらいは減るのではないかという試算がございます。これは、女性の雇用でありますとか、あるいは中高年、特に六十歳代の雇用をどう拡大をしていくかということによってある程度これは補うことができ得るというふうに思っておりますが、それに対して外国人労働者どうするかという問題が更に焦点になってくることも事実でございます。  FTAの中におきましても、とりわけタイ等のこの交渉の中で、看護師さんとか、看護師さんあるいはマッサージ師さんといったような人を是非日本の方に入れてほしいという強い要望があることもよく承知をいたしております。現在のところは、専門性、技術的な分野での外国人労働者の受入れは積極的に推進するということになっておりますが、いわゆる単純労働者の受入れにつきましては、これはいろいろの影響も大きいわけでございますので、慎重に対応をするということになっているわけでございます。  そうした中で、旧労働省はどちらかといえば入れないというニュアンスの方が非常に強かったわけでございますが、専門的な方、技術的な方を中心にしてこれからどう門戸を回復していくか、これは各省庁とよく協議をさせていただいて決定していきたいというふうに思っております。
  278. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 専門家とおっしゃいましたけれども、何か外国の例見ていますと、何かアフリカのお医者さんがどんどんイギリスの方に行って、そのアフリカの現地では大変な医療状況になっているというふうに聞いておりますし、そんなことも本当に影響大きいもんですから、その辺まで踏まえた交渉をしていただきたいなと思っております。  ところで、やはり日本にとって大きな課題、やはり中国だろうというふうに思っております。  これは官房長官にお聞きした方がいいんでしょうか、朱鎔基さんが二年前の十一月に日中韓のFTAの実現可能性についての共同研究ということを提言されたというふうに思っておりますが、一方で、アジア全体あるいはアメリカを含めて全世界に大きな影響を与えるであろうというふうに考えるわけでございますが、この中国とのFTAの交渉について、どのような見解、あるいはまたこのFTAの実現可能性という、その共同研究、日中韓のその共同研究の進捗具合につきましてちょっとお教えいただきたいと思います。じゃ、外務大臣
  279. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 中国はその経済という関係で我が国にとっては非常に重要な国でございまして、総理がおっしゃられましたように、これを脅威ではなくてチャンスであるというふうにとらえているわけでございます。相互依存関係、特にその補完的な相互依存関係が年々深まってきているというふうに思っております。今、中国は経済的にはどういう段階かといいますと、WTOに入るに当たって幾つかのことを約束をしていまして、それを実行をし、すなわち国内体制を整備をしているということをやっております。  それで、中国とEPAを締結することをどう考えるかということですけれども、将来的にはその可能性を視野に入れているということですけれども、当面、中国との間ではそのWTO協定、そのときの約束事項を中国がどのように履行しているかということですとか、日中の両国の経済関係がどうなっているとか、あるいはWTOの新しいラウンドの交渉、これがどのように進展をしているとか、また現在我が国がやっておりますASEAN、韓国とのEPAの交渉がどうなっていくかとか、そういった要素を総合的に勘案をしていきたいというふうに考えております。  日本と中国は重層的にほかにもやっていることがございまして、一つが日中経済パートナーシップ協議、これを開催をしていまして、日中間の問題の早期発見、それから予防、紛争を未然に防止をすると、そういう観点から、貿易、投資を中心といたしまして中国と意思疎通を図っております。  さらに、もう一つ、日中韓三国間でやっていることですけれども、これは経済連携を一歩強める、前に進めるという、その推進を考えまして、共同研究を三つの国にある研究機関においてやってまいりました。そして、昨年は日中韓首脳宣言というのがございましたので、それに基づきまして、投資取決めにつきましては共同研究を今立ち上げまして、産官学が一緒になって議論を積極的にしているということでございます。  日中間ということで考えますと、そういった重層的な取組を通じて利益が両方に合う、ある、そういう形で経済関係を更に発展させ、進歩をさせていきたいということでございます。
  280. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 しっかりやっていただきたいなと思うとともに、これはやはりFTAにしてもEPAにしても、何といいますか、世界の中における日本の生き様というか、生き方といいますか、それもかなり影響してくるのかなというふうに思っておりますし、やはりこれは戦略的に物事を考えて取り組んでいく必要があろうかと思っております。  どこかの経済団体だと思いますけれども、経済連携担当大臣みたいなのを設けて、やはり官邸主導でしっかり取り組むべきであるというような提言があったというふうに記憶するわけでございますが、今外務大臣中心に御答弁いただきましたけれども、各省にまたがるといいますか、そのためにいろんな大臣が出ていってと、それはもうそれで各分野においてしっかり取り組んでいるわけですから必要なことかもしれませんけれども、やはり担当大臣みたいなものを置いた方がより日本の姿勢を示し得るんではないかというふうに考える次第でございますが、官房長官、いかがでございましょうか。
  281. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) FTAの推進、これは今の国際情勢の中において、これから避けてというわけにはいかないような大きな流れがあると思います。極めて重要な課題であるというように考えておりますので、先般、メキシコのFTAも、これは実質合意という段階に至りましたけれども、このことにつきましても関係省庁連絡会議を官邸中心にして行ってまいりました。  実際に、これからほかの地域、例えばアジアのタイ、フィリピン、マレーシアとか韓国とかというようなことになってまいりまして、その取組はFTAというそういう分野にとどまらず、FPAですね、FPAですね、というような大きな概念、すなわち制度とか制度の一体化だとかいったような多岐にわたるテーマを対象としなければいけない、そして総合的に判断していかなければいけないということになりますと、それはやはり官邸中心で、各関係各省、十分な協議を必要とするということでございます。  実際に、昨年十二月に内閣官房副長官を議長とする経済連携促進関係省庁連絡会議というのを設置いたしまして、関係省庁間で連絡の強化図っておるところでございますけれども、今後も、当然のことながら、関係省庁一体となって、政府一体となってこの問題に対処する、そしてまた更に必要に応じて関係閣僚による会議も、これも持たなければ当然いけませんし、そのための準備も今しておるところでございます。
  282. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 広い分野ということであれば、EPAだと思いますけれども……。
  283. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) EPA、ごめんなさい。
  284. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 何度か、政治主導といいますか、そういう観点からも含めてまた御検討をいただければというふうに思います。  続きまして、羽田飛行場の再拡張問題につきましての質問をさせていただきたいと思います。  私も、千葉をぐるっと回っていますと、やはり成田の飛行場とかございますが、いろんな人に話聞くと、やはりこの成田飛行場の話って結構すごく尾を引いているなというイメージがございます。今、羽田空港再拡張事業に関する協議会というのがずっとやってこられたようでございますが、国土交通大臣にお聞きをしたいと思いますが、二月九日、この第四回の協議会で千葉県と関係十四市の方からいろいろ要望事項等八項目ですか、この要望を踏まえた上での新たな飛行ルートの案、こういうものを提示を是非してもらいたいというふうに言っていると思いますけれども、一か月以上たつわけですね。これ、いつごろ回答する予定でございましょうか。じゃ、事務当局の方で結構ですから。
  285. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 今のお話ありましたように、二月九日の羽田空港再拡張事業に関する協議会で私どもの案を正式に提示したわけでございますが、この案は、飛行ルート案は、一つが安全の確保、それからもう一つ環境基準の遵守、それから予定されております四十・七万回の飛行を効率的に行うことということを基にしたものでございまして、最もオーソドックスと考えられる飛行ルートを基本案といたしました。これにつきましては、できるだけ海上で処理をすると、可能なところ、可能なところにおいては飛行高度を引き上げるというふうな工夫をしてございます。  また、分散ケースというのがございますが、これにつきましては千葉県知事が首都圏全体で騒音を分散すべしという御意見がございまして、これに対しまして幾通りの案も検討いたしました結果、現在の管制技術上運用可能な案をお示ししたものでございます。  これらに対しまして二月九日の協議会当日に、千葉県からなお共有が不十分であると、更なる首都圏全体での騒音の共有あるいは浦安方面の低音、低空騒音の改善などを求めた意見書が提出されたところでございまして、私どもとしては、いただいた意見につきましては現在できるだけ早く回答したいと考えておりまして、検討を行っているところでございます。
  286. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 できるだけ早くと言うけれども、来年度予算、こう予算付けているわけでございましてね、それをどう執行するかという話になってくるわけですし、入札問題にも絡んでくるだろうというふうに思いますが、これは国土交通省いろいろできるものとできないものがあるという、それは当たり前の話かもしれませんが、じゃその中で何ができるものか何ができないのか、そういうことをはっきりしていただきたいなと思いますし、特に今言及があった浦安の関係、D滑走路の、ただ角度とか、浦安の住宅街はディズニーランドがあって高層住宅街がありますけれども、その上を飛んでいくような形で本当にいいのかと。浦安といえば、ディズニーランドといえばもう全国、東南アジアを含めて、それだけで人が集まってくるようなところでございまして、そういうようなところ、この滑走路の位置とか角度をやっぱり変更していくべきじゃないかと。かなり説得性があるなと私は思っておりまして、この点はいかがでございましょうか。
  287. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 先ほど申し上げましたように、県から御提案のあった項目は八項目ございます。これらに対しまして、私どもは、管制運用上の問題点、安全性に問題がないかどうか、あるいは環境の面で問題がないかどうかと、あるいはほかの施設の関係でどうかというふうな様々な点について現在検討してございますので、したがいまして、できるもの、対応可能なもの、あるいは困難なものと、それぞれあろうかと思いますが、御指摘のD滑走路の件でございますが、一つが、まず申し上げておきたいのは、D滑走路につきましてはディズニーランドの直上を通るものではございません。ディズニーランドのわきを通るものでございますので、現在の案でもディズニーランドの花火その他については問題がないと思っておりますけれども。  いずれにしましても、現在のDランの位置、角度につきましては、基本的に航空機騒音が環境基準を満足した上で、なおかつ、先ほども申し上げますが、航空機の安全な運航の確保であるとか、あるいはあそこは多摩川の河口に造るわけでございますので、多摩川河口部との関係、あるいは港湾機能への影響、あるいは航行する船舶との関係、さらには現在のC滑走路との関係、それから空港周辺の施設との関係などなどございまして、これらの問題について多様な課題というのがございました。  これらを克服する必要があると考えておりまして、私どもとしては慎重な検討が必要だと考えておりますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く回答したいと考えております。
  288. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 納得できるような飛行ルート案というものを是非お願いをしたいと思いますし、また納得が得られないまま工事へ向けての入札だというような形になっていくと、またぞろ成田の飛行場みたいな悪夢が繰り返されるんではないか、一番私は懸念をするところでございます。  また、経済波及効果という試算も出ているところでございますけれども、これはもう国が行うような事業で、雇用も含めて経済波及効果は大きければ大きいほどいいわけでございますが、千葉県は一%ということでございますが、一%でそれで満足するのかどうか分かりませんが、ただ、これは外部効果もあれば、外部不経済は圧倒的に千葉県大きくなるのかななんというふうに思っているところでございます。できるだけ、限り、この外部効果が発生するように努力をしていただきたいと思いますが。  それとの関係で、今度逆に東京とか神奈川とか考えてみますと、特に神奈川の方からは、京浜臨海部の重厚長大産業、これを何とか地盤沈下を、経済的な地盤沈下をきちっとまた再生させたいというような思いで神奈川口構想というのがあるようでございますが、これについての進捗あるいは大臣のお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。
  289. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 魚住さん、時間が来ましたからね。
  290. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) お答え申し上げます。  その構想は昨年の十二月に松沢知事、中田市長、阿部市長から御提案がございまして、二月の十二日にこの問題、神奈川口構想に関する協議会を設置して、三か月に一遍ぐらい議論をして、今委員が御指摘の経済波及効果が神奈川県に浸透していくような方策、どんなものが考えられるのか、また何がすぐできるのかということで議論をさせていただいております。  首都高の神奈川の方からのアクセスについて東京の方からと同じように引き下げさせていただくことや、あるいはすぐ川崎市を中心に京浜臨海工業地帯がございまして、ここの部分につきましてもかなり今工場の移転によって空き地が出ておりまして、これを都市再生に役立てるためにこの羽田飛行場がうまく使えないかということで、次回は連休の前ぐらいに二度目の会議を開かせていただいて、今事務ベースで詰めております諸課題、そして政策について議論をすることにさせていただいているところでございます。
  291. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  292. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で魚住裕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  293. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、西山登紀子君の質疑を行います。西山登紀子君。
  294. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党西山登紀子でございます。  今日、私は、建築労働者の、就労者の仕事起こしと住宅改修、リフォーム、改修助成制度について質問をさせていただきます。  九七年の消費税の五%アップを含みます九兆円の負担増は長期の不況の引き金となりました。とりわけ、個人住宅の建設に大きな足かせとなっております。長期化する不況の中で全国の建設就労者の数も減っているのではないでしょうか。
  295. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 総務省の労働力調査によりますと、建設業就業者数は、一九九七年、平成九年でございますけれども、それまで一貫して増加し、ピークは六百八十五万人、しかしながら、御指摘のとおり、一九九八年、平成十年以降は建設設備の減少に伴いまして一貫して減少を続けております。平成十五年、二〇〇三年には六百四万人となっております。
  296. 西山登紀子

    西山登紀子君 私の元には、建設労働者や中小零細工務店の方から、仕事が激減している、賃金や単価の切下げもひどいものだ、不払の多発に悩まされて自殺に追い込まれる仲間が後を絶たないと訴えが届いております。国は、大企業、ゼネコン中心の不況対策ばっかりやっているんじゃないか、中小零細企業や町の建設業者や建設労働者のための仕事起こしと雇用対策の拡大は何もやってくれないんじゃないかと、こういう声が届いているんですけれども、大臣、その声にどのようにお答えになりますか。大臣です。
  297. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 中小の零細、地方の中小零細建設業は、受注の減少、利益率の低下により厳しい経営環境に直面しております。こうした中、一方ではリストラなどに備えました雇用対策が大変重要だと考えておりますので、厚生労働省と連携いたしまして失業者の再就職、新事業に対応するための教育訓練などに対する支援を行っているところであります。  また、一方で、建設業者の新規分野の進出についていろいろと支援をしてまいる必要があると思っております。このため、実態、課題、行政への要望などの調査を行いました結果、例えば住宅のリフォームですとか、農業、福祉、環境ビジネスが主たる進出分野であることが分かりまして、また、それぞれ各々に課題があることも分かりました。  新分野への進出は安定的な雇用確保にも資することから、関係省庁の局長クラスから成る連携会議を開催いたしまして、こうした動きの一層の促進を図ってまいりたいと考えております。
  298. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、重要な政策にかかわる問題ですから大臣を要求をしておりましたが、どういうことなのでしょうか。  まあ、いろいろ言われましたけれども、昨日も私、地元の京都で町の大工さん、左官屋さんの声を聞いてまいりましたけれども、やっぱり仕事がない、何とかしてほしいという声は切実でございます。  今、資料配付をさせていただきましたのでちょっと見ていただきたいと思いますが、これはそういう建設関係者のお声と住民の住宅改修の願いがマッチングをいたしまして、住宅リフォーム助成制度と、こういうふうに言われる新しい制度が創設されまして、大変喜ばれているわけですね。  ずっと見ていただきますと、実施をされている自治体の数は五十七の市区町村に広がっております。県レベルでいいますと京都や埼玉、東京、兵庫など一都一府十県の下、五十七市区町村に広がっているわけですね。  内容的に見ていただきますと、これは大変新しい制度でございますから実施時期は非常に新しくなっているわけですが、助成の内容は一〇%の助成で上限は十万円です。よく注視していただきたいのはこの助成額と工事総金額でございます。A分のBが非常に経済効果が上がっているという指数になるわけですけれども、約、それぞれ見ていただきますと、二十倍以上を超えているところが非常に多くなっているのが特徴です。  私の地元の京都の京田辺市の例を御紹介いたしますと、二〇〇二年から住宅改修助成制度を不況対策緊急支援助成事業として始めたんですね。三十万円以上の住宅改修と修繕について、工事費の一〇%から上限十万円まで助成しましょう、一千万円の予算で実施をいたしました。百四十七件申込みがあり、百二十二件に助成をいたします。完成工事額は二億一千三百四十万円、実に二十倍の経済の波及効果が出ております。地元の工務店などもチラシで宣伝をするなど、自らも積極的に取り組まれました。不況の対策地域経済活性化、雇用の創出と、安心で非常に快適な住まい作りに大きな効果があると大変好評でございます。  国土交通省にお伺いしますが、こうしたリフォームの助成制度というものは、全国のこうした例で見ましても仕事起こしに役立っている制度ではないでしょうか。いかがですか。
  299. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) お答えいたします。  様々な観点から、今委員指摘のように、住宅改修への助成制度を設けている地方自治体があることは承知しております。  補助額に比べまして二十倍の工事費ということでございますが、これは補助金額に比べて二十倍の工事になっているということでございますが、一般的に経済的な効果と言う場合に、住宅投資の生産誘発効果というようなことをむしろ我々は言っております。増改築も含めまして、我々の試算によりますと、木材あるいはガラスなどの生産資材に加えまして、関連の機械、エネルギー輸送等を含めまして約二倍近い生産誘発効果があるというふうに言われておりまして、地域経済の活性化にもある程度は資するというふうに考えております。
  300. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣にお伺いいたしますけれども、実は、この住宅改修助成制度というのは一つ大きな効果があるということが分かってまいりました。それは住宅改修リフォームのインセンティブが働くという効果ですね。京田辺市の工務店で話を聞いてきました。  十万円の補助でも決してわずかではない、年金生活者や高齢者から大変喜ばれていると。何が一番のメリットかというと、リフォームの決心が付いたというお客さんが多いということなんですね。この工務店は、この制度を利用いたしまして、制度を宣伝して、二年間で四十件新しい受注を集めました。京田辺市の実態調査でも、この制度で時期を早めたのが四八%、予定していなかったが決めたというのが一三%、合わせて六四%がこの制度によってインセンティブが働いたということを示しております。  大臣にお伺いしますが、二月の二日に国土交通省は社会資本整備審議会の答申を出しております。これは、既存建築物の改善と有効活用を打ち出しまして、量的な住宅不足は解消してきた、少子高齢化の進展や地球環境問題への対応から、既存建築物の改修、住宅改修にすぐシフトする転換期にあるというふうにしているんですね。  ですから、この住宅リフォーム助成制度、この制度というのは正にその方向に合致した内容を持っていると思うのですが、いかがでしょうか。いや、大臣です。大臣に聞いているんです。
  301. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) やっぱりその住宅リフォームのストックの活用というものが大変重要であるということは委員がお調べになった市町村の助成制度の結果あるいは局長の答えの中にも明確だと思うんです。  それを、じゃ、どういうふうに国が政策としてやっていくのか。手法とか目的、やっぱり目的が必要だと思うんですね。国が助成措置を取るということには、やはりなぜ住宅だけなのかということが明らかでなければ、じゃ、私のところもこういう助成措置をしてくれという話になりますので、やはり目的と手法というものを様々な観点から検討していくということが私は必要だと思っております。
  302. 西山登紀子

    西山登紀子君 目的と手法はいろいろあるけれども、こういうリフォームの助成の制度というのがそういう方向性に合致しているということで、大臣も否定はなさらなかったと思います。  次に、経産省にお伺いしたいと思いますが、この制度というのは、やってみますと非常に大きな経済効果があるということが分かって、自治体自身も驚いているんですね、実を言うと。京都の加悦町では予算額の二十倍の事業になったと。町の理事者は本当に驚きまして、下水道事業の促進のねらいで制度を創設したんですけれども、それだけにはとどまらず、電気工事や水道工事、大変喜ばれて、町の商工会も大変評価をしているんですけれども、経産省、お伺いしますが、こうした地産地消というんでしょうか、こういう地元の業者で地元に合った住宅を住んでいる人の声を聞きながらやっていくという、この住宅改修の助成制度というのは地域活性化の一つの特効薬というふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  303. 平井敏文

    政府参考人(平井敏文君) 経済産業省におきましては、地域の経済と雇用を担う中小企業につきまして、いわゆる金融セーフティーネット対策でありますとか、再生支援、新事業展開、各種の中小企業の活性化施策、また、最近では産業クラスター計画の推進など、地域経済の活性化のため様々なメニューを実施しているところでございます。  地域の直面する課題は、地域ごとに非常に様々でございます。こういった政策メニューを地域の実情に応じ、主体的、効果的に活用していくことが重要なかぎであると考えておりまして、今後、地方分権が進展していく中で、地域経済の活性化における自治体の役割は一層重要なものとなっていくと考えております。  こういった意味で、自治体自らが主体的な取組を行うことは極めて重要であると考えております。
  304. 西山登紀子

    西山登紀子君 直接この制度についての評価はお避けになったわけですけれども、是非研究をしていただきたいと思います。  大臣にお伺いいたしますけれども、こういう地域の活性化に役立って経済波及効果も大きいと、仕事起こしにもなっていると、大きなリフォームのインセンティブになって利用者からも歓迎されているというこの制度ですね、この制度を国が住宅改修助成制度という形で自治体が実行しているものを応援するというふうなことになりますと、そのインセンティブは更に大きくなるんではないかと思いますけれども、こういう答申も出ているわけですから、住宅の改修を助成するという自治体の支援策を国が支援をする時期に来ているのではないでしょうか。大臣
  305. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 先ほどもお答えいたしましたが、地方自治体におきまして住宅改修、様々な観点から、特に高齢者福祉等の観点から、それぞれ地域の実情を踏まえまして、独自の判断で住宅改修に対する補助を行われているものが多々あるということは承知しております。  ただし、住宅というのが典型的な個人資産でございまして、したがいまして公費で補助を行うということは極めて慎重に検討すべき課題でございます。  耐震工事に対する助成制度、国、制度を持っておりますが、これはかなり公共的色彩が強い、つまり倒壊したときに道路をふさいでしまうというようなケースの場合に限定をしておりますし、また、利子補給、十年間の利子補給相当額に、相当する金額を補助する。本体に対する補助という考え方は取っていないというようなこともございまして、国が助成を行うということは慎重に検討すべき課題ではないかというふうに思います。
  306. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、これは重要だから大臣にお答えいただきたいと思うんですね。  これは、個人資産への助成はできないというような御答弁が今あったわけですが、そうじゃないと思います。いろんな形で個人資産への助成というのはやっているわけですね。形はいろいろ違います。住宅ローン減税だって七二年から実施しているわけでございます。これはやはり個人財産形成への支援なんですね。国土交通省の施策でも、マンション業者の建て替え、改修、ビル業者のリフォームには支援をしております。これは結果的には個人の住まいへの援助ということになるのではないかと思うんですね。  答申だって、新しい、今はフローからストックの時代だということで、改修が必要な住宅が実に四割に達するというふうな答申でございます。さらに、この答申は、その改修を、所有者の自助努力にゆだねるのみでは十分な効果ができない場合には助成の充実を図ることは必要だと言って、さらに講ずべき施策についてというようなことでも述べているわけですね。  大臣、是非お答えいただきたいんです。こういう地方自治体の知恵、こういうものをやはり国として研究をしてみると、そういうお気持ちになっていただけませんか。大臣にお願いします。
  307. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 先ほども御答弁させていただいたわけなんですけれども、地方の自治体が様々な取組の中で委員言われるところの動機付けがあるということを実証しているということは、多分委員のおっしゃるとおりだというようなことは肌では私も分かるんです。  ただ、局長が答弁させていただきましたように、地域の活性化のために、住宅改修というものに限って、それによってその地域経済を良くするということは、今度は他業種の方々との問題をどう整理するのか、あるいは何で住宅なのかという、先ほども言いましたように政策の目的、こういうものをやっぱりしっかりと位置付けていかなければならない。ですから、必ずしも私も一番いい政策選択手段ではないんじゃないかというふうに思っております。
  308. 西山登紀子

    西山登紀子君 この住宅改修リフォーム制度というのは、単なる仕事起こしのためだけじゃないと、リフォームのインセンティブを働かす効果があるということを私申し上げたと思います。よく研究をしていただきたいと思います。  そして、国際的な水準をちょっと見てみたいと思うんですね。国民の居住の権利を示した一九六六年、国際人権規約の社会権規約第十一条、国土省は把握をしているでしょうか。
  309. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) お尋ねの経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約につきましては、我が国は一九七九年に批准しております。その第十一条第一項におきまして、この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置を取り、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認めるとされていることについては承知しております。  政府といたしましても、これらの規約も踏まえまして、国民の住生活の質の向上を目指しました住宅政策を積極的に推進しているところでございます。
  310. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほど大臣も、肌では分かると、地方自治体のその努力に対して肌では分かるというふうにおっしゃったわけですが、国際的なその条約もそのように定めておりますし、適切な居住の権利と生活条件の不断の改善は国民の権利であり、国はそのための保障の措置を取らなければならないということで、国土交通省もその方向で施策を進めているというお答えがいただけましたので、私は、次に、その方向で自治体がやっている今の住宅改修助成制度は、やはりそういう水準に向かっているという点について見ていきたいと思います。  まず、介護についてです。  介護保険では、個人住宅の改修リフォームに対する支援措置がございますね。実績、実態はどうなっているでしょうか。また、自治体が独自の助成制度を作り支援をしていると思いますが、実態を把握していらっしゃるでしょうか。
  311. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答えいたします。  介護保険制度では、在宅介護を重視し、高齢者の自立を支援する観点から、要支援の方や要介護の方に対しまして、先生からお話ありましたように、住宅改修につきまして保険給付の対象といたしております。  給付の対象は六種類あるわけですが、例えば手すりを取り付けたり、段差を解消したり、扉を取り替えたり、洋式便器への取替えなど、そういったものを含めまして六種類の内容に限りまして、個々の要介護者の方が利用できる額といたしましては、原則として二十万円を限度といたしまして給付の対象としております。  実際に掛かりました住宅改修費の、介護保険は一割負担でございますので、介護保険の方では掛かりました費用の九割を給付しているということでございますので、先生のおっしゃった意味での倍率は非常に低くなります。  この住宅改修の給付状況につきましては、平成十二年度に十五万四千五百五十六件、給付額といたしまして百五十八億円でございました。平成十四年度では三十五万二千四百七十件、給付額三百八十三億円ということで、二年足らずの間に倍率、倍になっておりますので、大きな伸びを示しているというふうに思っております。  市町村の独自事業として介護関係でどういうものがあるかということについて私ども全国的に調査しているわけではございませんが、介護保険制度の実施状況につきまして、定点観測的に百二十五の自治体を選定いたしておりますので、その百二十五自治体にアンケート調査を行いましたところ、三十一の保険者から住宅改修について独自事業、独自制度があるという回答はいただいております。
  312. 西山登紀子

    西山登紀子君 厚生労働大臣にお伺いいたしますけれども、介護保険による住宅改修というのもあるわけですけれども、非常にばらばらだ、まだ十分じゃないということで、自治体が独自の助成制度を作っていらっしゃる。東京都などは、私も驚きましたけれども、予防給付ということで、介護保険の対象にならない方でも二十万で、十八万円は独自にこれは補助金として出しております。こういうふうな自治体の上乗せ、横出しの制度というのは在宅介護福祉に大きく貢献していると思いますけれども、どうでしょうか。大臣の御意見を伺います。
  313. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほど局長からも答弁しましたように、介護保険制度の中で自立支援ということで現在行っているわけでございます。要介護者とそれから要支援者両方行っております。  これはかなり喜ばれているというふうに思っております。手すりでありますとかあるいは滑り止めでありますとかトイレの改修でありますとか様々なものがあるわけでございますが、できるだけやらなきゃいけないというふうに思っておりますが、年金の住宅ローンのように、後の世になりましてから余分なことをしたとしかられなくてもいいようにだけはしておかなきゃならないというふうに思っております。  自治体が横出しその他をしていただいておやりをいただいているということは大変いいことだというふうに思っておりますから、その必要に応じておやりいただければ結構だというふうに思っております。
  314. 西山登紀子

    西山登紀子君 ずっと見てまいりましたが、実は私も勉強いたしまして、させてもらって、静岡県が耐震の個人住宅の補助、三十万円、これはやっていると。それから、京都は町屋保存の助成を決めまして、改修費の三分の二を補助するということを決めております。  時間がないので大臣にお伺いいたしませんけれども、この住宅改修助成制度というのは一石二鳥、三鳥、四鳥もあるんですね。介護とか耐震、バリアフリー、歴史的な都市保存、こういう形ですので、是非一度勉強、研究をしていただきたいと思います。  次に、高次脳機能障害の問題に移させていただきますが、国土交通省厚生労働省は高次脳機能障害に対しては対策はどのようになっているでしょうか。
  315. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 交通事故などを原因としまして脳損傷が起こり、後遺症としまして言語、思考、記憶力などの脳の知的な機能に障害が起きる高次脳機能障害は近年認識されるようになってきております。これに対しまして自動車損害賠償責任保険の取扱いでございますが、これを平成十三年一月から、医師などの専門家による審査を行いまして、後遺症として認定して自賠責保険金の支払を行っているところでございます。
  316. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 高次脳機能障害につきましては、診断、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立しておらず、早急な検討が必要であったことから、これを行政的に高次脳機能障害と呼び、平成十三年度から高次脳機能障害支援モデル事業を開始し、支援策を検討してきたところでございます。  モデル事業におきましては、国立身体障害者リハビリテーションセンターと全国十二地域地方拠点病院におきまして高次脳機能障害者への支援とデータ収集を行い、これを基に高次脳機能障害者についての診断基準、認知障害の改善あるいは残された機能の活用を目指す医学的リハビリテーションのプログラム、社会復帰準備のための支援ニーズ判定表、あるいは社会復帰支援のプログラム等を作成し、現在、これらを報告書として取りまとめているところでございます。四月初めには公表できるのではないかと考えております。  また、平成十六年度におきましては、これまでの成果を踏まえまして、リハビリテーションプログラムなどを活用して、拠点施設における訓練の実施、支援ニーズ判定表あるいは社会復帰支援プログラムを活用した各モデル地域の拠点施設に配置されました支援コーディネーターによります相談対応あるいは地域関係機関の調整支援計画の作成等の具体的支援を実施する予定としております。
  317. 西山登紀子

    西山登紀子君 昨日京都で、いろんな、若者と親の会の集まりに出席してまいりましたけれども、やはり診断書を書いてくれる病院が近くにないとか、治療や職場、社会復帰に向けリハビリを受けたいとか、切実な声が出されました。せめて各県に一か所ぐらいの対応ができる病院を作っていただきたいと思います。  これを最後に質問いたしまして、大沢議員に行きたいと思います。大臣の御答弁を。
  318. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 最近、こういう患者さんが増えてまいりましたこと確かでございます。しかし、最近明らかになってきたと申しますか、増加してきましたために、まだそれに対する診断ということも十分にできない病院もあるというふうに私も存じております。  患者の増加とともにこれは全国的にやはり増やしていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、それに対する対応も厚生労働省としても検討しなきゃいけないと思っております。
  319. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。大沢辰美君。
  320. 大沢辰美

    大沢辰美君 引き続き、大沢辰美です。  私は、川崎重工業の人権侵害問題について質問をいたします。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  まず最初に、防衛庁にお聞きします。  川崎重工業の子会社の日本飛行機が防衛庁に不正な請求があったということで、百二十三億円の支払を求めた事件がありました。事件のあらましと対応について説明をしてください。
  321. 大井篤

    政府参考人(大井篤君) お答えいたします。  話は昨年の三月にまで戻るわけでございますが、昨年三月、防衛庁が日本飛行機に対しまして調査を実施いたしました。同社が防衛庁に対し過大請求を行っているという事実が判明したわけでございます。  防衛庁といたしましては、昨年五月、同社が過大請求を行っていたという事実を公表し、また日本飛行機に対しましては競争入札に参加させない措置を取るとともに、過払い額算定のための特別調査を実施いたしました。防衛庁は、特別調査に基づきまして、返還請求額、先ほど御指摘になられました約百二十三億円と推定いたしまして、去る二月、本年でございますが、二月二十七日に同社に対し返還請求を行ったところでございます。  同日、同社は請求額全額を国庫に納入いたしました。防衛庁は、これに伴いまして、同日付けで同社に対する競争入札に参加させない措置を解除したところでございます。
  322. 大沢辰美

    大沢辰美君 私は本当に、国が発注する仕事で百二十三億円もの不正に請求があるということに対して本当に理解ができませんでした。  御存じのように、日本飛行機は川崎重工業の一〇〇%出資の完全子会社ですね。川崎重工業が発表した文書によれば、百二十三億円支払っても会社が昨年暮れに発表した連結決算上八十億円の経常利益、四十億円の純利益という見通しに影響が出ないという会社のコメントが出ていますが、確認できますか。
  323. 大井篤

    政府参考人(大井篤君) お答えいたします。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  川崎重工業が、去る二月の二十七日に、日本飛行機事案における同社の今期連結業務への影響といたしまして、同社の時価純資産を勘案すれば軽微であるという見通しを公表したということについては承知をしております。
  324. 大沢辰美

    大沢辰美君 結局、百二十三億円支払っても決算上に影響しないという結果でございます。本当にもうかっている会社だということが分かります。  今、日本の大企業で働く労働者の過労死やサービス残業などが重大な社会問題になっていますが、私は、働く者の人権を守る立場から、国会でも大きな問題として追及してまいりました。特に、日本の大企業が、思想、信条を理由に賃金や昇格の差別が横行していることなどから、職場での無法を許さないための告発もやってまいりました。  本日取り上げたい問題は、神戸市の川崎重工業に働く労働者十六人が、昇給や昇格差別を受けているということで、一九九四年の十一月ですけれども、兵庫県の労働委員会に訴えました。そして、やっと九年一か月たった三千三百日後の昨年十二月に是正命令が出ました。会社の方もこの命令を受入れを表明しましたが、会社が命令を誠実に実行しないことが今問題になっています。  そこで、まず兵庫県地方労働委員会が昨年十二月に出した命令の内容について説明をしてください。
  325. 青木豊

    政府参考人青木豊君) お尋ねの救済命令でございますけれども、川崎重工業株式会社が、この本件の申立人であります十六名の労働者に対しまして、この申立人らの諸活動を嫌悪して、その職能区分、等級を恣意的に低く据え置き、その結果、賃金に格差を生ぜしめて不利益取扱いを行ったということを不当労働行為と判断した上で、申立人の職能区分及び職能等級の格付を平成五年十一月にさかのぼって是正すること、それから是正後の格付に従って支払われるべき賃金と既に支払われた賃金との差額を支払うこと、在職中の申立人について、労働組合活動を理由とする昇進及び昇給において不利益取扱いを行ってはならないことを命じたものであるというふうに聞いております。
  326. 大沢辰美

    大沢辰美君 大変立派な是正命令が出されています。  そこで、一般論で聞きますけれども、会社が地労委の命令に従うということは、労働組合法違反の差別があったことを認めたということになると思いますが、どうでしょうか。
  327. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 会社が労働委員会の命令に従うということは、その御質問ですが、差別があったことを認めたかということですが、これは使用者の主観に属する問題であることでありますので一般論としてもお答えしにくいわけですが、少なくとも労働委員会の認定した事実と命令の内容については、もうこれ以上争う意思がないということは言えるのではないかというふうに思っております。
  328. 大沢辰美

    大沢辰美君 私は、一般論では本当に労働組合法違反そのものだと思います。  そこで、川崎重工業の田崎社長という、社長さんですけれども、この方が、コンプライアンスガイドブックというのがあるんですが、そのあいさつの冒頭に、企業の反社会的行為は企業そのものの存在を危機にさらすという認識の下に、会社員が違法行為は絶対に起こさないということを企業運営方針としておりますと言っています。ところが、会社側は、訴えた労働者に対して謝罪するどころか、話合いもしない、何の反省もなければ再発の防止も約束をしていないんです。  一方的に、この一月二十二日なのですが、十年間の賃金差別の差額分と称してお金を振り込んでまいりました。しかも、労働者がとても納得いく内容ではないんですね。例えば、ある労働者は一か月にわずか三十円が振り込まれたのです。三十円というのは一日一円ということでしょう。だから、本当にこれ以上切り詰めようもない最低中の最低の差額で、この一つ取っても私は会社側の不誠実な態度が表れていると思うんですが。  会社側が、こういう地労委がすばらしい命令を出したことに誠実に履行しない場合は、法的にはどのような制裁措置、罰則が取られるのでしょうか。
  329. 青木豊

    政府参考人青木豊君) お尋ねの件ですけれども、労働組合法三十二条によりまして、確定した労働委員会の命令に違反した場合には、十万円以下の過料、過ち料に処することとされております。
  330. 大沢辰美

    大沢辰美君 そのとおりだと思います。本当に労働者の皆さんは、不当な差別をしてきた会社が、その事実を認め謝罪してほしいと、話合いをしてほしいと、命令に従うというのであれば、そこが出発点だと思うんですね。このように訴えています。ところが、先ほど述べましたように話合いの場所さえ持たない。命令を受け入れるというのであれば、労働者との話合いを、応ずるというのが私は当然だと思うんですね。  そこで、大臣の見解をお聞きしたいのですけれども、これも一般論としてお聞きします。地労委の命令、是正命令を受け入れたのならば、労使が話合いのテーブルに着くことは当然のことと私は認識していますが、私の認識は間違っているんでしょうか。いかがでしょう。
  331. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 地労委が、長い年月を掛けてでございますけれども、結論を出したわけでありますから、その結論に従いまして労使でよくお話合いをしていただきたいというふうに思っております。
  332. 大沢辰美

    大沢辰美君 そのとおりだと思います。  私は、これまでの労働争議の事例から見ても大変異常な事態がこの川崎重工では発生しているということを言えると思うんですが、例えば本日、石川島播磨重工業の昇格昇給差別を訴えた労働者と会社側の和解が成立しました。その中では、昇給昇格の是正に加えて、解決金の支払、再発の防止について、幹部社員への和解内容の徹底と指示などを具体的にしています。関西電力や既に日本鋼管でも同じように解決をしています。ところが、川崎重工の場合は違うわけですね。  ここに私は、会社から労働者の代理人の弁護士さんに内容証明付きで送られてきた文書があります。会社としてはこの内容にこういうふうに書いてあるんですね。地労委の判断内容はずさん極まりないものであり、到底受け入れ難いものでありますと言いながら、あえて従うと言っているんですね。また、会社は、社員向けに出している労働情報という冊子があります。これによると、命令を受け入れた理由の一つは和解だと、慰謝料や弁護士費用の支払などを条件で挙げているが、地労委の命令に従うことによって賃金補正以外の問題を切り離して排除する意思を明確にしたいというのです。  つまり、労働者への人権侵害には何ら反省することなく、私はいい加減な賃金差額を支払ってその他の金が掛かることについては支払わない。会社にとって長引かせることは得でないので、不服だから受け入れたと公言をしているようなものです。  私は大臣、私は表向きだけは従って本当のところは抵抗している、こういうのを面従腹背という言葉で表せるのではないでしょうか。そう思いませんか。
  333. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 面従腹背というのは、表面は服従するように見せ掛けて内心では反抗することというふうに辞書にも出ているわけでありますけれども、個別の今の事件の評価につきましては、評価は差し控えさせていただきたいと思います。
  334. 大沢辰美

    大沢辰美君 広辞苑に書いてあるとおりだと思いますが、私は地労委命令の持つ社会的意義を重く受け止めない会社の態度、いい加減に解決する最悪の先例になりかねません。なぜこういうふうに会社は対応を取るのかということですが、私も調べていくうちに、これは日本の大企業の多くにある労働者の人権を無視した企業体質が川崎重工にも深く蔓延しているということが分かりました。川崎重工にかかわる案件はその他にも解雇撤回を求める案件、女性労働者差別の是正の案件など数多くあるんです。ところが、会社はそういう企業体質を覆い隠そうとしているのが今の実態です。  先ほども述べましたけれども、こういう川崎重工株式会社コンプライアンスガイドブックというのを出されていますが、ここに書いてある言葉の表現もやはり同じように、このことによる、説明によれば、法令のみならず広く社会のルールを守ることと説明しているわけですね。  そこで、この二十九項の文を見ますと、差別的取扱い、嫌がらせ、その項には人種、思想、信条、性別、年齢、社会的身分、家柄、国籍、障害有無に基づく差別的扱いや、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等の嫌がらせを行ってはなりませんと書いてあります。  差別的昇給昇格の是正が命令されたのにそれを誠実に実行しないとなれば、私はここに書いてあることはみんなうそになると思いませんか。どっちが本音かということになれば、労働者への人権侵害の反省がないという事実を見れば明らかです。  会社が命令を受け入れた理由の一つは、会社の説明によれば、慰謝料や弁護士費用の支払など、地労委の命令に従うことによって賃金以外の問題を切り捨てて排除をする意思を明確にしたいというものでした。今、最初に言いました、防衛庁に百二十三億円支払っても連結決算上は影響しない会社が何で労働者にはそんなに冷たいのかというのを指摘せざるを得ません。  大臣、やっぱり私は、お金の問題でなく、労働者に対する姿勢の問題だと思いませんか。大臣の認識をお聞かせください。
  335. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 個別的なお話でございますから個別的によくお話をしていただければいいというふうに思っておりますが、中労委の問題につきましては、時間が少し掛かり過ぎるものですから、もう少し早くしていただこうということで今回法律もまた出させていただいているところでございますので、またよく御審議をいただきたいと思っております。
  336. 大沢辰美

    大沢辰美君 そのことも指摘したいと思いますけれども、私は、重大だと思うのは、会社の地労委の権威をないがしろにしようとする言動だと思うんですね。地労委の判断はずさん極まりない、地労委の判断の良識を疑わざるを得ない、地労委の命令はお粗末と言う以外にはないということも言っているんですね。地労委に対してこれだけの批判があれば、中央労働委員会で争えばよいんです。そういうこともせずに命令を受け入れたわけですから、一体、私は、地労委の命令って何ですか、そんな簡単なものじゃないですよね。私は、こんなこと許されるのだったら、地労委の役割を根底から否定しかねない重大事だと思います。  私は、これだけ労働者の働く形態が複雑になっている今日、地労委の役割はますます重要になっていると思うんです。その役割を否定するような言動には、担当大臣としても是非一言、注意を喚起していただきたいとお願いしたいと思うんです。  しかし、必要な改革も大事だと思います。今、大臣が言われました、審理に余り時間が掛かり過ぎる。川崎重工のケースでは九年余りです。その間も差別的取扱いが行われ続けてきました。審理を促進することや、和解の勧告ができるようにすることなど、一層の改革が必要だと思いますが、もう一度大臣の見解を伺います。
  337. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 地労委、中央委、そうでございますが、一層の改革に取り組んでいく決意でございます。
  338. 大沢辰美

    大沢辰美君 えらい簡単な答弁でございますけれども、しっかりと私は、地労委の役割を果たせるような状況を作っていくこと、そして企業責任も問うようなルールを作っていくことが大事だと思います。本当に、私は、川崎重工業のような大企業が、社長の言うように反社会的行為が企業そのものの存立を危機にさらすというのであれば、社会的責任を自覚して、このような人権侵害は一刻も早く解決するべきだと考えます。  そのことを主張して、私の質問を終わります。  以上です。
  339. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で西山登紀子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  340. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  341. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  日本は環境立国を目指すべきだということで、今日は林業、農業の問題を中心にお聞きをいたします。  地球温暖化対策は、平成十七年度より第二ステップとなり、所要の追加対策の実施とし、第一ステップ段階の評価の見直しを平成十六年度に行うこととしています。平成十六年度、森林整備予算は千八百二十四億円となっていますが、この経費では目標三・九%は達成できないのではないでしょうか。
  342. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現状の程度の水準で森林整備等が推移した場合には、確保できる吸収力三・九%を下回る、こういうことに、これも大幅に下回るというようなことになろうかと思います。  十か年計画につきまして、関係府省と十分連携を取って、健全な森作り、森の整備、あるいは保安林等の適切な管理、保全、あるいは木材及び木質バイオマスの利活用、こういう面でこの三つのステップの見直しをし、進捗状況を見直しをし、そしてステップ・バイ・ステップで頑張ってまいりたい、こう思っております。
  343. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 前向きの答弁をしてくださいましたが、ヨハネスブルク環境サミットにも行きましたが、あと、この速度で地球温暖化が進むと、あと地球が何個あっても足りないという、あるいは氷河が解ければどうなるかという、そういう議論も、本当に実際氷河が解けておりますので、地球の未来を考えれば極めて重要です。  先ほど、三・九%は達成できないので見直しということですが、本当にこれはどうやって三・九%を実現するか、もう少し具体的に教えてください。
  344. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) いろいろ厳しい状況下で、やはり先ほど申し上げましたような森林の整備、あるいは保安林、あるいは国民参加の森作り、あるいはバイオマス等々いろいろの施策を進めるわけでありますが、さらに、一つ財源の問題にも掛かってくるわけであります。  やはり、いろいろ、この第一ステップでの進捗状況を踏まえまして、いろいろ勧告やら検証の体制と、こういうことの整備をするわけでありますし、それらの評価をし、また見直しをすると、その繰り返しでやるわけでありますが、ある面では、やはり地球温暖化に掛けた新たな財源を、一般財源を何とか、財務大臣がおられますけれども、財源の措置をお願いをしたいと。しかしそれができなければ、また是非国民の皆さん方の御理解をちょうだいして、新しい、温暖化を、推進するため、三・九%目標達成するための税源のことも考えていかなければならないと、こう思っております。
  345. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 京都議定書は日本が頑張った成果ですが、財務大臣、今農水大臣からありましたが、いかがでしょうか。
  346. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も京都選出でございますので、京都議定書というのは大事にしなきゃならないと思っておりますが、限られた財政の中で、効率的にやはり森林整備を進めて、地球温暖化の防止にも資するような御相談を、これ、よく農林水産大臣とやりたいと思っております。
  347. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 是非、京都議定書を大事にするために、財務大臣、是非前へ一歩を進めてください。  農水大臣が先ほど国民の理解を得ながらというふうにおっしゃいましたが、昨年来から環境省を中心に温暖化対策税の導入について検討がされています。ここに来て、いろんな団体、生協や環境団体から意見も出されておりますが、京都議定書は国際公約です。このためについて、どのように進めていくか、農水大臣、いかがでしょうか。
  348. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 新しい財源の問題、これにつきまして我が省内におきましても、この温暖化対策税と、こういうことがいろいろ内部的には勉強しておるところでございます。この税財源と、こういう面で森林整備の活用にできるような積極的な対応をしたいと、こういうつもりで、今内部的にはいろいろ勉強しているところであります。
  349. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 温暖化対策税、上流に掛けるか下流に掛けるかとかいろいろ議論がありますが、今どこまで行っていますでしょうか。
  350. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現在、省内でいろいろ、それはなかなか難しい問題でございますので、今検討しているという段階であります。
  351. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 日本は森が豊かな国ですし、国産材の自給率を高めるためにもっともっと努力がなされるべきだというふうに思っています。  先日、三重県に行ってまいりました。民間の林業をやっている、国際基準の、やっているところの速水林業というすてきなところだったんですが、ほかのいろんな方たちの意見を聞くと、国有林も含めまだまだ山が荒れています。採算が取れないという問題や、なかなか後継者が育たないという問題があります。日本の山が荒れていくのは、環境の面からも地方分権という観点からも大問題です。  森林・林業基本計画による数値では、現状は六万七千人、十年後を見通せば四万七千人まで減少します。しかし、林野庁見通しでも必要労働者は六万人としております。もっと実は必要ではないか。日本は山が本当に多いですから、現行の緑の雇用の規模では不足をしていくのではないか。農水大臣、いかがでしょうか。
  352. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 御説明申し上げます。  先生今御指摘のように、専業的な林業就業者、これ平成十二年の国勢調査によりますと六万七千人でございました。これが、現在の減少傾向がそのまま続くということになりますと、御指摘のように平成二十二年には四万七千人程度にまで減少してしまうというのが見込まれるところでございます。  地球温暖化防止のための森林吸収量三・九%でございますが、これをやっぱり達成するためには、確かに今後の機械化ですとかあるいは路網整備の進展、あるいは森林施業の多様化等、状況の変化が想定されますことから、一概にはなかなか申し上げられないわけでありますけれども、生産性の向上等も併せ考えますと、林業就業者数について現状程度の水準、これを維持することが必要ではないかというように考えている次第でございます。  現在、毎年四、五千名、四千名から五千名程度の方が実は離退職しているというように推定されるわけでありますけれども、一方で、ここ数年来新規就業者の方が大体二千二百人から二千三百人ございまして、緑の雇用対策での約二千四百人、これを勘案いたしますと、おおむね離退職者の数とバランスが取れるのではないかというように考えられるわけでございます。  このような中で、近年の林業就業者の減少数が全体としまして漸減傾向にあることを勘案しますれば、現状程度の水準の維持は可能ではないかというように考えているわけでございますが、今後とも林業就業者等、担い手の確保育成に積極的に取り組んでまいりたいというように考えている次第でございます。
  353. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 このままでは林業に携わる人たちがどんどん減って、日本の森が荒れ、それは日本全体にとっても、環境の面でも、地方分権という観点からもよくないわけですから、農水大臣、今の林野庁長官の漸減だからということではなく、もっと前向きに緑の雇用創出についていかがでしょうか。
  354. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) いや、私も和歌山県の龍神町ですとかあの辺の森林組合に参りまして、そして緑の雇用の皆さん方といろいろお目に掛かり、また現場でチェーンソーをやっておられる方々と、ちょうど暑いときだったんですけれども、お話をして、なかなか厳しい中で数の少ないわけであります。しかし、大変積極的に対応してくれておりまして、東北あるいは大阪からサラリーマンを辞めて来ていると、そしてその地域に定着をして、そしてまた龍神町も若い人が入ってくれる、これ住宅を提供すると、こういうようなことで、サッカー、バレーボールを指導してくれるとか地域の活性化にもつながると、こういうお話も承ったわけであります。  今年度の予算につきましても予算措置をいたしまして、この緑の雇用を維持し、そして厳しい状況下でありますけれども、林業経営者あるいはまた新規就労者を積極的に支援してまいりたいと、こう思っております。
  355. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 よろしくお願いします。様々な点でも本当に必要なことです。  先ほど、農水大臣からバイオマスの話が出ました。岩手県や様々な県、バイオマスに県も力を入れて頑張っておりますが、バイオマスについてはどのような推進策をされていらっしゃるでしょうか。
  356. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 特に私どもの方は木質バイオマスの関係、これに積極的に取り組んでおります。  全国でいろいろ林地残材ですとかあるいは製材工場での廃材が出てくる、そういったものを、あるいは例えばエネルギーの方に使っていく。例えば秋田の方ですと、発電に使うというようなことで、それを一部では売電するというようなことも行われておりますし、さらにはペレットストーブ、こういった中で燃料用として、暖房用として、そういった形も積極的に取り組んでいるところでございまして、今後とも森林バイオマス、こういったものに積極的に進めていきたいと、かように考えている次第でございます。
  357. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 農水大臣、バイオマスの件でもう一言と、それからもう一つ、林業を見ていますと、正直、中小零細が非常に多くて経営が非常に厳しいと。労働者対策と併せて、林業事業での新たな経営、安定した経営に向けての新たな対策がやはりもう一歩必要ではないかということを非常に痛感をするのですが、その点、二点についていかがでしょうか。
  358. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) バイオマスの関係は、我が政府でバイオマス・ニッポン総合戦略、そういう中でも、また先ほどの木質の関係、林野の関係とも併せて、私ども、農水産物の廃棄物の問題等々もありますので、総合的にバイオマスの問題を努めてまいりたいと。  特に、この間岩手県に参りまして、林野の関係の方、それからバイオマスの問題につきましてもお話も私も承ったわけでありまして、ストーブの問題等々対応してまいりたいと、こう思っております。  それから、あと、林業労働力の確保のために就業条件の改善だとか、いわゆる事業体の事業量の確保と生産性の向上などによりまして経営の安定を図ることは重要なことでありまして、その面では林業労働力の確保の促進に関する法律がこうあるわけであります。これに基づきまして、事業体における雇用管理の改善と事業の合理化を一体的、計画的に推進すると、こういう面での税制上の優遇措置も持っております。あるいは、都道府県の林業労働力確保支援センター、これを通じまして高性能の林業機械の貸付け等の経営の合理化、こういう面での指導や助成を行っておるわけでありまして、今後とも、これらの施策、林業事業体による雇用の管理の問題、改善、あるいは安定的な事業量の確保、生産性の向上と、これにつきまして大変厳しいいろいろの状況があるわけでありますが、十分努力をし、支援をしてまいりたいと、こう思っております。
  359. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 財務大臣、京都議定書は公約ですので、是非、財務大臣のこれからの前向きな取組を期待します。また、温暖化対策税の導入についても、私は早期に導入が必要ではないかと思っておりますので、今後もよろしくお願い申し上げます。  次に、食の安全についてお聞きをいたします。  食の自給率を高めること、食の安全が非常に重要です。有機減農薬農業の振興とともに、地産地消の運動が非常に重要だと考えております。作る人と食べる人が見える関係地域の人々による地域のための農業を確立していくことが必要であると。学校給食の中にこの考えを取り入れているところもあります。BSE発生以来、自給なくして安全なしという考え方をもっともっと強めていく必要があるのでしょうか。  しかし、政府の方向は違います。農地を集めて規模を拡大し大型生産をやっていく、その中で中小農家をつぶしていくというのが政府の考えですが、果たしてこれで農産物の自給率は向上するのでしょうか。食の安全を確保できるのでしょうか。農水大臣のお考えを伺います。
  360. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 大変多岐にわたる御質問でございますので。  まず一つは、食の安全、安心、このことにつきましては、国民の健康保護を第一に、食の安全、安心、このことに政府といたしましては食品安全委員会を設置をし、あるいは食品安全基本法、こういう中で食品安全行政の体制の整備を進めてきたわけでありまして、我が農水省といたしましても、産業振興部門から独立した食品分野における消費者行政、こういう面で消費・安全局、これを設置をいたしまして、そして昨年七月からスタートをし、さらには食品安全委員会のリスク評価、それに伴うリスク管理、生産資材、生産財の問題、肥料の問題等々の問題につきましては適切な対応をしておるわけでありますし、あるいは今日大変御心配をお掛けしております鳥インフルエンザの問題等々につきましても、今国会に家畜伝染病予防法、この改正をいたしまして対応をしたいと、こういうようなことで、関係府省とも十分連携をし、食の安全、安心を期してまいりたいと、このように思っております。  また、自給率の問題でございますけれども、いわゆる現行食料・農業・農村基本計画におきましては平成二十二年、食料自給率を四五%と、このような目標に、今その達成のための努力をしておるわけであります。しかし、その条件として、総供給熱量の四分の一を占め、自給率がほぼ一〇〇%である米の消費、これが平成九年六十六・七キロであったわけでありますが、平成二十二年にこれ六十六キロと、このように想定をしております。しかし、現実に今は六十二・三キロくらいでございますから、やはり何といっても米の消費量の減退というのが食料自給率の問題として大きなウエートを占めるわけであります。  そのほか、それ以外の品目につきましては、基本的にあとは生産を拡大すると、こういうことを前提としてやっておるわけでありまして、いわゆるそれ以外の品目、麦、大豆、砂糖を除き総じて生産量が減少していると、こういうことで、自給率が生産拡大をしている品目を伺っても、やはり一方では米のように消費が減退すると、そういうことで食料自給率の目標がいわゆる相殺をされてしまうと、こういうようなことであります。  そういうようなことで、何とか四五%を達成するために、これは消費と生産とあるいは食品関連事業体、これが三位一体になった形でいろいろ連携を取る必要があると思うんです。  そういう面で、消費の面では、やはり今、食の洋風化、多様化と、あるいはまた栄養バランスが崩れてきている、そういう面で生活習慣病の問題もあるわけでありまして、先ほども委員指摘にございましたが、食育の推進と、このことはやはり重要なことでありまして、消費の面ではそういう問題と、また生産の面では、やはり今、食料・農業・農村基本法の見直しをし、そして生産の体制、担い手の、あるいはやる気と能力のある担い手の後押し、また農地制度の問題、環境、水の問題等々を含めた中で今諮問をお願いしておりますが、そういう中で、やはり生産が拡大できるような構造改革を進めてまいりたいと、このようなことで、消費者、生産者、そして食品産業の事業者の関係が一体となった形で自給率の問題に対応してまいりたいと、こう思っております。
  361. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 地産地消、食の自給率を高めるように、高まるように、今後ともお願いしますし、また今後も質問していきます。  ところで、食品の安全に関しては食品安全委員会ができました。ところで何をしているのかということで、今回の鳥インフルエンザ問題を食品安全委員会としてどのように見ているか、お伺いいたします。
  362. 梅津準士

    政府参考人(梅津準士君) お答え申し上げます。  鳥インフルエンザにつきましては、世界的にも卵や鶏肉を食べて感染した例は報告されておりませんけれども、外国で濃密に生きた鶏と接触したことによる感染の例が報告されることなどにより食品そのものへの不安が生じ、風評被害が生じているものと承知しております。  このため、食品安全委員会として、鳥インフルエンザの発生に際しまして、委員会会合において専門家や関係機関から報告を求めるとともに、意見交換を行い、鶏肉や鶏卵を食べて人が感染することは考えられないという知見を国民に正確に伝えるために、分かりやすいQアンドAをホームページで掲載したり、あるいは委員がテレビ番組で正確な解説を行ったり、専門家による講演会や意見交換会の開催等を行っております。  今後もこうした取組を通じて科学的な食品安全行政を進めてまいりたいと思っております。
  363. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 食品安全委員会は、今回の鳥インフルエンザ問題などはどうすれば防げたというふうにお考えでしょうか。
  364. 梅津準士

    政府参考人(梅津準士君) お答え申し上げます。  今申し上げましたように、鳥インフルエンザにつきましては食品を通じましての人への感染の例は報告されておりません。したがいまして、この問題はいわゆる家畜衛生行政という側面と、それからまれに生きた病鶏に濃密に接触することによるいわゆる感染症の問題と、この二つの側面があろうかと思います。  そのような意味で、私どもも政府対策本部に参加して、今申しましたように、食品を通じて人に感染することはまず考えられないという情報の、正確な情報の発信に今努めておりますけれども、そうした科学的知見をより分かりやすく伝えていくということがこうした事態のより短期間の終息にとっては有益ではないかというふうに考えております。
  365. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 では次に、年金の問題についてお聞きをいたします。  グリーンピアの問題に関して、大規模年金保養基地についてがありますけれども、この赤字処理の具体的な方針の工程表を出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  366. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) グリーンピアの赤字でございますが、二つございまして、一つは施設整備にかかわるものでございます。もう一つは実際のグリーンピアの運営にかかわるものでございます。  施設整備の建設費につきましては、資金運用部から借り入れました額が元本が千九百十四億でございまして、これに利息を合わせまして、償還すべき総額は三千五百八億でございます。このうち平成十四年度までに二千七百十一億を償還済みでございますが、借入れしましてから二十五年掛けて償還する計画でございますために、残る七百九十七億を平成三十四年度までに償還することとなっております。  この借入金の償還は、年金財政から出資する出資金等を財源として行うこととなっております。しかしながら、平成十七年度までにグリーンピア事業を廃止するということが決まっておりますので、平成十八年度以降の償還につきましては、できるだけ早く償還するように検討していきたいというふうに思っております。  それから、運営費でございますが、これは主に基本的には地方公共団体に運営を委託してお願いをいたしております。それで、そのうちの固定資産税、それから森林、林地の維持管理費につきましては年金資金運用基金の方で負担をいたしておりまして、それ以外の経費につきましては委託を受託しました自治体において独立採算でやっていただくということになっております。  この運営費につきましては、これから平成十七年度にかけまして、これの跡地利用なりあるいは自治体を中心とした売却について検討いたしてまいりますので、その中でこの運営費の処理問題について検討していただくということになってくると思います。
  367. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 今後の方針について若干発言をしていただきましたが、今後の具体的な方針の工程表について、もっと具体的に今後また教えてください。  また、先ほど平成三十四年度まで旧資金運用部への償還を行う予定だったが、早めるというふうにおっしゃいましたが、どれぐらい早められるのでしょうか。
  368. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 従来の資金運用部から年金福祉事業団が借入いたしました際には二十五年間で償還するということで借入をいたしておりますので、平成十七年度に全体を、事業を終わりました後にもこの償還は続くわけでございますが、私どもは、この全体の運営の停止とできるだけ合わせて償還を早めるように検討してまいりたいと思います。
  369. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 できるだけ早くということですが、どれぐらいを見込んでいらっしゃいますか。平成三十四年度まで随分先ですから、教えてください。
  370. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) その点につきましては、これから検討していく必要があるというふうに思っております。予算にもかかわる問題でございますが、私ども、できましたら平成十七年度を目途に償還をする道を考えていきたいというふうに思っております。
  371. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 グリーンピアがなくなっても借金が物すごく残っていく、しかもその償還が平成三十四年度まで今の時点では掛かるということは極めて問題だと思います。平成十五年から三十四年度までの償還予定額七百九十七億円が増えるということはないのでしょうか。
  372. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) この償還予定額につきましては、元本の借入れは既に確定をいたしております。それから利子につきましては、旧資金運用部からの借入れでございますので、固定金利でございますのでこの金利は動きませんので、基本的にこの額は変わりはございません。
  373. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 先ほどグリーンピアに関して、年金積立金、年金運用資金とそれから自治体というお話がありました。このグリーンピアの委託の実態に関し、赤字分を県に埋め合わせをしているのではないですか。
  374. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) グリーンピアにつきましては、最初の四施設につきましては当時の年金福祉事業団から公益法人に委託をいたしまして、その公益法人で運営管理をするという形で始まっておりましたけれども、その後開設しました施設につきましては、地元の都道府県と協議をいたしまして、都道府県の方でこの運営をしていただくという形になっております。  その際に、保養基地の運営でございますが、建設費については、もちろんこれは都道府県が負担をしていただくということは考えないということでやってきておりまして、それから固定資産税につきましても当時の年金福祉事業団の方でお支払をする、それから先ほど申し上げました林地管理費についてもお支払をするということでございますが、日常的な運営につきましては都道府県の、日常的な運営の費用につきましては都道府県が負担をしていただくという原則で来ておりますので、そういう意味から申し上げますと、これは十三施設ございまして、これまでの累積で申し上げますと、七施設において累積赤字がございます。それから、六施設につきましては運営費の累積の黒字がございまして、それぞれ運営の状況が違いますので、最終的には、今申し上げました都道府県との契約に基づいて、運営費の赤字部分につきましては都道府県で担当していただくということで考えていかざるを得ないだろうというふうに思っております。
  375. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ここで責任があいまいになるんじゃないかと。都道府県が赤字の埋め合わせをするとして、あとは知らないよということになると、これは都道府県、かなり大変になるのではないか。その点ではいかがでしょうか。
  376. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 元々、運営を委託をお願いをいたしましたときに、その運営経費につきましては運営を担当していただく自治体において負担をするという契約書になっておりますので、その契約書の原則に基づいて対応していただくということになるだろうというふうに思っております。
  377. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 国民が、あるいは私たち国会議員がはてと思うのは、グリーンピアの営業状態が悪かったと。確かに、運営の費用は都道府県だとしても、大本の頼んでやっていた年金福祉事業団は、その管理、監視は一体どうなっていたんですか。責任、委託が都道府県だから都道府県やっているでしょうと放置していたんじゃないですか。監視はどうしていたんですか。
  378. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 運営の状況につきましては、当時の年金福祉事業団あるいは年金資金運用基金も自治体からお聞きをいたしております。  それで、トータルの額で申し上げますと、十三基地ございますけれども、平成十四年度末の累計で申し上げまして、十三基地で約八億二千万の累積の赤字でございます。しかし、先ほども申し上げましたとおり、そのうちの六か所につきましては累積で黒字が出ておりまして、それから七か所については累積で赤字が出ているという、こういう基地によって運営の状況は違いますので、私ども、先ほど申し上げました契約の原則に基づいてこの問題については対応していただくということでお願いを申し上げたいというふうに思っております。
  379. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 平成十七年度までにグリーンピアの廃止という政府の方針があります。廃止せざるを得なかったそれまでの監視、チェックのなさについてはどうお考えでしょうか。
  380. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 元々、グリーンピアが設置をされましたのは昭和五十年代でございます。当時で申し上げますと、年金の受給者あるいは年金の被保険者、この方々に利用していただくということで始まったわけでございますが、御案内のとおり、平成九年におきましてこのグリーンピア事業からは撤退をするということが閣議決定でお決めをいただいております。その後、平成十三年になりまして、平成十七年度中に基本的にはこの事業、撤退をしようという形になっておるわけでございます。  そういう意味で、時代の変化といいますか、時代の変化あるいは民間におけるこういう余暇施設の充実といいますか、こういうことにかんがみまして、こういう形の施設については撤退をしようという方針で来ておるということでございます。
  381. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 むちゃくちゃな言い方をすれば役人の道楽、つまり、各地にグリーンピアを造ったが草ぼうぼうで借金が残って、あと、それは自治体に押し付けてどうするというふうに思いますが、だれも責任を取らないと。この委員会でも責任を取れという話が出ましたが、その後どうなっておるでしょうか。
  382. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 最初のグリーンピアを創設いたしましたときには、もちろん地元の自治体を始めとしまして、こういう施設を是非地元にという御希望が非常にあったわけでございます。そういうことを踏まえまして、施設の運営につきましては、日常的な運営につきましては地元の自治体にお願いをして運営をしていただこうということで実施を期待してきたわけでございますので、そういう経緯から申し上げまして、今申し上げましたような、例えば運営費の負担区分につきましては自治体にお願いをするということはやむを得ないことだろうというふうに思っております。
  383. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 答えになっていません。自治体側が造れ造れと言ったからといって、国民の貴重な年金積立金をこれにつぎ込んでいるわけですから、それはきちっとチェックをすべきだと考えますが、いかがですか。
  384. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは、現在の段階になりますとなぜそんなの造ったのかということになるわけでございますが、国会におきまして、衆参三回にわたりまして附帯決議を付けていただいて、福祉還元をせよということになったわけであります。その当時、私も五十年当初ぐらいにはもう在籍をいたしておりましたが、そのころはもう造れ造れの大合唱であったわけでありまして、そういう意味では役人が勝手に造ったわけではないというふうに思っております。  年々歳々、これは予算案にも計上されてその予算が通っていっているわけでございますから勝手に造ったわけではない。それで、ただ、その後の運用そのものが十分であったかということになれば、これは私も若干責任あるというふうに思っております。もっとうまく運用できなかったのかということはあるんだろうというふうに思っておりますが、しかし先ほどから話をいたしておりますように、運用そのものは自治体が引き受けてやる、建てるだけ建ててほしい、こういう話でスタートしたことでございますから、国の方も責任あると言えばないとは言えませんけれども、しかし、ここは自治体がやはり中心になってここはおやりをいただかなければならない問題であったというふうに私は思っております。
  385. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 確かに、自治体にも問題があったかもしれません。しかし、国はこういう建てることを決定し、かつ委託をしているわけですから、その点についてのやはりチェックは必要であったと。国に、役所に責任がないという言い逃れはできないというふうに思います。  ところで、グリーンピアの廃止という政府の方針がありますが、譲渡はそれまでに完了できるのでしょうか。期限までに譲渡できない場合、それ以降も固定資産税を年金特別会計から払い続けるのでしょうか。
  386. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 現在、十三基地のうち二基地につきましては譲渡が完了いたしております。この二基地につきましては、基本的には地元の市町村を中心に、この利用といいますか、に協議をしていただいております。それから、一基地につきましては、その一部につきまして譲渡が完了いたしております。  基本的には、例えばいわゆる宿泊部門がございますけれども、宿泊部門を介護の施設に転用するというようなことでございますとか、あるいは学校の校舎に使うというようなことでございまして、今十三基地、譲渡が完了しました二基地を除きます十一基地につきまして地元の自治体とそれから年金資金運用基金の間でそれぞれ個別に協議をさせていただいておりまして、相当具体的な計画を持っておられるところもございますので、私ども十七年度中にこの事業につきましては跡地利用、それから転用も含めまして完了するように努めたいというふうに思っております。
  387. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この委員会で年金積立金について質問をしてきました。年金福祉事業団がグリーンピアの事業をし、多額の赤字を生み出し、結局それが負担になっていくという現実があります。  その中で、今私が不安なのは、結局前身、年金福祉事業団の後身が今もってこの年金積立金の運用の担当であるということです。失敗をした人間に、申し訳ないけれども、もう一回年金百四十七兆円の最終的な運用が任されているわけですが、これは非常に問題ではないでしょうか。
  388. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) ただいま国会に御提出を申し上げております年金積立金管理運用独立行政法人におきましては、この大規模年金保養基地の事業でございますとかあるいは住宅融資の事業につきましては、これを切り離しまして、年金の運用専門の組織を考えたいというふうに思っております。
  389. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福島瑞穂君、時間ですからね。
  390. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 はい。  この問題についてはまた今後も追及していきます。
  391. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会