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2004-03-19 第159回国会 参議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十九日(金曜日)    午前十一時開会     ─────────────    委員の異動  三月十八日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     神本美恵子君      峰崎 直樹君     和田ひろ子君      森本 晃司君     草川 昭三君      大沢 辰美君     岩佐 恵美君      紙  智子君     林  紀子君      小泉 親司君     吉川 春子君      大田 昌秀君     福島 瑞穂君  三月十九日     辞任         補欠選任      段本 幸男君     小泉 顕雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 扇  千景君                 木村  仁君                 岸  宏一君                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 神本美恵子君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 中島 章夫君                 樋口 俊一君                 平野 達男君                 和田ひろ子君                 草川 昭三君                 高野 博師君                 山本 香苗君                 岩佐 恵美君                 林  紀子君                 吉川 春子君                 福島 瑞穂君                 島袋 宗康君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   坂口  力君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、個        人情報保護、科        学技術政策))  茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        経済産業大臣  坂本 剛二君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        財務大臣政務官  山下 英利君        文部科学大臣政        務官       田村 憲久君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        司法制度改革推        進本部事務局長  山崎  潮君        内閣大臣官房        審議官      渡辺 文雄君        内閣大臣官房        審議官      原田 正司君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        内閣沖縄振興        局長       東  良信君        警察庁長官    佐藤 英彦君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁防衛参事        官        安江 正宏君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁長官  山中 昭栄君        法務省民事局長  房村 精一君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        国税庁次長    村上 喜堂君        厚生労働大臣官        房審議官     渡辺 芳樹君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        水産庁長官    田原 文夫君        国土交通省海事        局長       鷲頭  誠君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        環境省総合環境        政策局長     松本 省藏君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党十五分、民主党・新緑風会五十分、公明党十分、日本共産党十五分、社会民主党・護憲連合五分、無所属の会五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。林芳正君。
  4. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。自民党林芳正でございます。  今日は十五分ということで、時間も限られておりますので、もう単一のテーマに絞って御質問をしたいと思っております。  そこで、特別会計のことを今日はちょっとお聞きをしたいと思っておりますが、総理はかねてから自分の在任中は消費税を引き上げることはしないと、しかし議論はしてくれとおっしゃっておられますが、この意味を善意に解釈いたしますと、やはりそれをやる前にまだまだやらなければいけないいろんな節約や無駄を省くということがあるだろうと。こういうことではないかというふうに思っておりまして、私も将来的には、これは消費税というものを拡大をしていってということしかないんではないかと思いますけれども、やはりその前にやらなければいけないこと、いろんなところの見直し地方財政についてもまだまだ行革をやらなきゃいけないところがあると思いますし、国にも、私も行革、長年やっておりますけれども、まだまだやらなければいけないことがあると。その中で、この特別会計見直しというのもやらなければならないんではないかというふうに考えておりますが、まだまだこのいろんな見直しをしなければならないということにつきまして、まず財務大臣見解をお伺いしたいと思います。
  5. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、林委員おっしゃいましたように、総理の御発言の背後にあるもの、指摘されましたけれども、私もそのように考えておりまして、歳出構造改革をして持続可能な財政にしていくために、言わば聖域なき見直しを行わなければならないのではないかと。今年もそれに相当取り組んだつもりでございますが。  御指摘になりました特別会計見直しと。これは、十六年度予算から、事務事業見直し等による歳出合理化効率化など、すべての特会を対象として取り組み始めたところでございます。こういう特会に限らず、あらゆるところでこういう努力を続けなければいけないと、こう考えております。
  6. 林芳正

    林芳正君 実は、谷垣大臣前任者であられました塩川財務大臣が、これは衆議院の方の、今、埼玉県知事になられました上田前議員の質問のときだったと思うんですが、こんなことをおっしゃっておられまして、母屋ではおかゆを食って、辛抱しようとけちけち節約しているのに、離れ座敷で子供がすき焼きを食っておると。まあ、非常に分かりやすい塩川財務大臣のお人柄がしのばれるようなお言葉であると思うんです。これ、十五年の二月二十五日、衆議院財金委員会でございますが。  私も、まあ、やっぱりおかゆよりはすき焼きを食いたいなと、下関でございますからすき焼きよりもフグを食いたいなと、こういうふうに思うのは人情でございますけれども、しかし、母屋で、一般会計の方でこれぐらいいろいろやっておるのに、どうも特別会計の方はというのがこの一言に凝縮をされておられて非常に分かりやすいお話だなと、こういうふうに思うんですが、今の財務大臣であられます谷垣財務大臣、このことについて見解、どうお持ちでございましょうか。
  7. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 去年の国会を振り返りますと、特別会計について、いろんな場で、固有財源等をもって不要不急事業が行われている場合があるんじゃないかとか、執行面の実態が分かりにくいとか、いろんな指摘が、指摘ないし批判、御批判というものがあったように思います。そういう事態を踏まえてあの塩川大臣が分かりやすく表現されたのが離れですき焼きと、こういう表現だったのではないかと思います。  特会については、従来からその改廃を含んで様々な見直しが進められてきているわけですが、私どもとしては、今の厳しい財政事情を見ますと、国全体としての歳出の一層の合理化効率化を進めていく中で、特会、避けて通れない課題だというふうに考えておりまして、昨年、財政制度等審議会特別会計小委員会というものを作っていただいて総ざらい的な検討をしていただいて、十一月に特会見直しに関する報告書を作っていただいたわけですが、こういう提言を踏まえまして、今年から、先ほど申しましたように特会について事務事業見直しとかあるいは説明責任強化、こういうことに乗り出したわけでございます。  できるだけ、やはり国会の御審議でも特別会計の全体像について、なかなかこれは、私も就任して見てみますと、なかなか全体像をきちっと把握するというのは簡単な作業ではございません。そういう全体をつかんでいただくための説明責任強化ということも特に頭に置いて作業をしたいと思っております。
  8. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。正に今大臣おっしゃられたように、これ、我々予算審議を始めるときに必ず一般会計特別会計とこの分厚い資料をいただくわけでございますが、この特別会計資料を全部一ページ、一ページなかなか目を通すというのは至難の業でございますし、私も何度かトライしたことがあるんでございますが、見ても余りよくぱっと分からないところがあるんでございます。  今、全体像とおっしゃいましたけれども、今日は資料をちょっと配付をさせていただきまして、その一枚目をごらんになっていただきたいと思うんですが。  よく我々は、八十兆で四十兆も借金をしてと、こういうようなよく議論財政のときするわけでございますが、右の円グラフを見ていただきますと、実は一般会計八十二兆に対して国庫予算歳出総額というのは四百六十九兆もあると、こういうことが分かるわけでございます。これは単純な合計でございますから、特会一般会計の間の入り繰りを省きますと大体右の端にある国庫予算歳出総計二百四十二兆と、これが実質は本当の予算の姿であると。だから、二百四十二兆のうちでどうするのかということを我々は考えていかなければならないということだと思うんです。  で、その左側に、しからば、今特別会計というのはどういうのがあるのかというのがたくさん書いてあるわけでございまして、三十一個を全部言ってみろと言われて、私も予算理事をしておりますけれども、三十一個を全部、言われると、なかなか言えないぐらいこれたくさん実は特別会計というのがあって、それぞれやっておられる。  こういうことでありまして、今大臣がおっしゃっていただいたように、昨年の十一月から財政審、ずっと前から検討されておられたのが十一月に報告書が出ておるわけでございますが、実はちょっと宣伝をさせていただきますと、この財政審が始まる前の段階で、自民党行革財務諸表を作ろうということをやらしていただいたわけでございます。さっき申し上げたように、予算書は見てもなかなか分かりづらい、大福帳方式で。やはりバランスシートとかPL、損益計算書といったような財務諸表の形式でこういうものを見ていかないと、実際に本当にどこに無駄があるのかというのはなかなか見えてこないということで、この財政審に先立つこと、三年、四年前だったと思いますけれども、プロトタイプを作りまして、これで作ってみてくれというのを党の方で先行してやらしていただきました。それをモデルにしていただいて、それをもう少しかちっとしたものにしていただく中でこの財政審検討も始まったと、我々はそういうふうに見ておるわけでございますけれども。ここで初めてといいますか、網羅的にやっていただいて、それぞれの特別会計についても具体的な見直し財政審で答申をされた。  それを受けて今年度の、今正に審議をしております十六度の予算案についてもかなりいろんな具体的な見直しをやっておられるわけでございますが、これ三十一、全部大臣に今から説明していただいても、ちょっと時間が幾らあっても足りませんので、労働保険特別会計、これかなりいろんな見直しをされておられるようでございますし、それから空港整備特別会計、これは聞くところによりますと、歳出を削減したということよりも入るを量るということを改革の中でやっていただいているということでございますが、この代表的な二つの見直し具体的内容について説明をしていただきたいと思います。
  9. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) まず、労働保険特別会計見直しの具体的な中身でございますが、昨年十一月の財政審報告の中では、労働保険特別会計雇用保険事業につきまして、まず一つとして、特別会計から補助金等の交付を受けている雇用能力開発機構などの特殊法人等業務、これにつきまして真に必要な事業重点化し、運営の効率化を図るということと、事業者等に対する各種助成金がございますが、政策効果支給実績を踏まえて、労働移動支援ミスマッチ解消等重点化する観点から見直しを行う等によりまして雇用保険事業全体の縮減合理化を進めていく必要があるというふうにされております。  具体的に、十六年度予算につきましては、まず雇用能力開発機構につきまして、IT職業訓練を廃止するとともに、業務内容見直しにより予算効率化を図りまして同機構に対する財政支出縮減をさせていただきました。また、事業主に対する各種助成金につきましては、中小企業人材育成事業助成金及び情報関連人材育成事業助成金の廃止などによりまして三十五本の助成金を二十九本へ整理統合を行ったところでございます。これによりまして、雇用保険事業全体では十六年度予算で四千九百四十三億円とさせていただきまして、対前年度六百四十七億円の縮減を図ったところでございます。  それから、空港特会でございますけれども、これも昨年十一月の財政審報告では、まず大都市拠点空港整備重点化を図るべきだ、そしてまたPFI手法の積極的な活用を図ってコスト縮減を行う、また名古屋空港羽田空港の跡地について地方公共団体等に対する早期かつ適正な売却に努め、借入れの縮減を図ること、さらに土地建物等使用料については、ターミナルビル会社など空港内事業独占的地位等に基づく高い収益性にかんがみ、収益性を反映した適正な水準に改めること、こういった必要性指摘をされたところでございます。  これを受けまして、十六年度予算につきましては、まず大都市圏拠点空港関連予算を、これは対前年度三〇%増加させまして重点化をさせていただきました。また、羽田空港の再拡張事業につきまして、これは予算の編成の過程におきまして、新滑走路等整備事業を約一〇%縮減をいたしました上、国際線ターミナルビル等整備事業についてはPFI手法による民間活力の導入などによりコスト縮減の方策を検討させていただいたところでございます。  さらに、委員指摘収入の方でございますけれども、名古屋空港用地の一部を売却することといたしまして歳入予算に十三億円の増収を計上いたしまして、さらに、空港ターミナルビル事業等について土地使用料見直しをいたしまして、従来の使用料に加え、売上高一定割合を加算する新たな土地使用料算定方式を導入いたしまして二十五億円の増収を図ったところでございます。  以上でございます。
  10. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  正に今副大臣から御説明いただきましたように、何もかも全部切ればいいというものではないわけでございまして、重点化を図って、めり張りですから、張りの方は必要なところは張るということも必要でございますし、めり込む方はめり込ませると。  空港ターミナルビル事業なんというのは、私も毎週羽田のあそこへ行きますけれども、もうたくさん人がいて行列ができて、余談になりますけれども、最近は駅弁じゃなくて空弁というのが大変はやっているということでございますが、あそこにお店を出したらもうもうかるのは間違いないわけでございまして、使用料をもっと取れるところから取るというのは正にめり張りが利いた改革であろうと、こういうふうに思うわけでございますが。  やはり特別会計というのは、そういうふうにある一定のことをやるために特定の資金や歳入というものを決めてそこを区分経理する、その代わりいろんなことはある程度裁量を持ってやると。今独立行政法人もそういう精神でスタートをしたわけでございますが、昔からそういうことでやってきたのがこの特別会計のある意味ではスタート時に考えておったメリットだと、こういうふうに思うわけでございます。  それが、なぜいろんな問題が出てきたかという一つに、先ほどお配りをいたしました資料の最初のところに「特別会計とは」というふうなところがありますが、この設置根拠というところに、財政法十三条二項で一、二、三ということが書いてあるんですが、この二番目、三番目はそうなんですけれども、一番目に「国が特定事業を行う場合、」というのが書いてあります。これは実際の条文ですと並んで書いてありますから、一、二、三と分かれてないわけでございますが、こういう今の区分経理じゃないことも若干読めるような書きぶりになっておって、そこが今言いましたメリットが若干生かされないものもこっちに入ってくるということになってしまうんではないか。  要するに、歳入の縛りが緩くなって受益負担関係が見えづらくなるというのがこの一番目のところでどうも入ってくるんではないかというふうに思われるわけでございますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 委員指摘のとおり、財政法第十三条におきましては、特別会計設置の具体的な要件の一つとして国が特定事業を行う場合を挙げているところでございますけれども、これは、事業の性格によっては一般会計と区分して経理する方がむしろその事業ごとの収支の状況を明確化することによりまして、適正な受益者負担とかあるいは事業収入の確保、歳出削減努力を促すことができるというふうに、ということの考え方によったものでございます。むしろ、一般会計と一緒にいたしますと、その事業の区分して経理することのメリットが出てこないという考え方でございますけれども、したがって、国が特定事業を行う場合には、財源有無にかかわらず、一般会計と区分して特別会計設置することができるものということは意味のあることだというふうに考えております。  ただ、財務省といたしましては、固有財源有無にかかわらず、歳出合理化効率化を進めるということはこれは非常に重要なことだと考えておりますし、また分かりやすい説明に努めるなど、今後とも不断の努力を続けていきたいと、こういうふうに考えております。
  12. 林芳正

    林芳正君 今の段階ではそういう御答弁になると思うんですね。しかし、この資料の二ページ目を見ていただきますと、この特別会計歳入予算、いわゆる特別会計にどこからどういうふうにお金が入っているかということを一覧表にした資料でございます。この総合計が左に出ておりますが、内訳として一般会計からの受入れと、ここが出ております。これは必ずしも合計してどういうふうになるということを言うつもりはないのは、国債整理基金等でこの一般会計から受け入れて当たり前のようなところもありますが、これを見ていただきますと、いろんな事業保険をやっているところでも、これ億円単位ですからかなりのお金が実は一般会計から入っているということがこの表を見ていただくと分かるわけでございまして、特定事業をやるから区分経理をするんだというのは、しないよりはいいかもしれませんけれども、どうしても特定事業というのが決まりますと、そのためにやるためには一般会計からどんどんどんどんお金が入っていくということでは、この大きなメリットである決められた歳入の中でその目的税的に使うとか、その保険料を年金に使うという趣旨がやっぱりちょっと薄まってしまうんではないかと。  ですから、今副大臣に御説明いただいたように、こういう表を作っていただいて、この一般会計から入っていくところは何だと、合理性があるのかと、やっぱりそういう検討を常にやっていただく必要があるんで、この表をもうホームページで公開されておられるということは大変大きな私は進歩だというふうには思うわけでございますけれども、やはりこういうことが今現実としてある。  そして、次のページを見ていただきますと、今度はこれは十四年度の決算でございますが、参議院では決算を重視するということで決算早めに出てくるようになりましたので、十四年度決算がもうあるわけでございますけれども、この翌年度に繰り越した額、これだけあります。それから、不用だったというのもこれ億円単位で、各特会にこれだけあるということが、これももうホームページで出ておるわけでございまして、やっぱりこれを見ると、すき焼きを食っている息子の離れに、おかゆをすすっている母屋の方からこれだけ仕送りをしている、しかも子供の方はこれだけ要らない金があるんだということも、これ表を見れば分かるわけでございます。  これ、だから、それぞれの特会についてはいろんな特質がありますから、全部が全部この数字は駄目だということではないんですけれども、やはり特別会計の申し上げました財政規律を保つ、裁量もその範囲で渡すというメリットが少しこの表を見て弱くなっているんではないか、こういうふうに思いますけれども、御見解をただしたいと思います。
  13. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) これは一般会計から特別会計への繰入れでございますけれども、委員も御指摘いただきましたように、いろんなこれ性格ございます。  国債整理基金への繰入れですとか、あるいは交付税、譲与税配付金勘定への繰入れ、こういったものもございますし、また例えば厚生保険特会への繰入れなどは、これは法令上の国庫負担に基づく繰入れでございますし、また公共事業関係特会への繰入れなどは一定の政策的な目的に基づくものということでございますけれども、これは毎年度の予算編成において、それぞれの事業のやはり必要性、有効性、効率性、そういった観点からやっぱりきちんとこれからも精査を行っていくということによって財政規律が緩まないようにしっかりと見ていきたいというふうに思っております。  また、昨年の財政審報告書の中でも、歳出合理化と併せて歳入面の見直しということで御指摘がございました、恒常的な不用金や多額の剰余金が発生している特別会計について、一般会計からの繰入れについて縮減したらどうかという御提言もいただいておりますので、こういった点も踏まえまして、特別会計のその歳入面にも着目した見直しは今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  14. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  我々、予算委員会でございますから、正にその検討はこの場でもやっていく必要があると思いますし、特に参議院は決算も重視しようということですから、決算の方でもチェックをしていくということが必要になる、こういうふうに思います。  そういうことで、やっぱり、ここには今日は財務諸表は持ってきませんでしたけれども、財務諸表というのを見ながら、せっかく作った財務諸表ですからチェックをしてまいらなければならないと思いますし、そのときに気を付けなければならないのは、先ほどのめり張りの話をしましたけれども、何でもかんでもやめればいい、切ればいいということではなくて、これだけおかゆをすすっているようなときにここまでする必要があるのかな、おかゆじゃなくてすき焼きを食える余裕があるときはやっぱりこれぐらいやった方がいいということでそれぞれの政策は出てきたわけでございますけれども、今こういう状況で、ちょっとそこは我慢をしていただけないのかなというのをやっぱり細かく丁寧に見ていくという必要があろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そういった意味で、我々もこれは取り組んでまいらなければならない話だと思いますし、この財務省が出しておられる資料を見ますと、昭和二十年以降、いろんな特別会計がこうあって、結構もう要らなくなってやめちゃったというのも、これは一杯あるわけでございます。ところが、最近見ますと、もう数が割と固定的になっておりまして、特別会計、毎年三つ作って三つやめるみたいなことを実は二十年代、三十年代とやっていたわけでございますが、どうも制度が固定化しているというところもあるようでございまして、そういうところも含めて今後は見直していく必要があるんではないかというふうに思います。  今御説明があったように、今後もその財政審の答申を受けて、引き続き見直していくということが財政審にも書いてありますし、我々もそういうことが必要だ、こういうふうに思いますが、最後に、今後のこの特別会計見直しにつきましての財務大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
  15. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財政審の御指摘を受けて、できるところは早くやらなきゃいけないというので、今年は、先ほど御指摘いただいたような労働保険特会とか空港整備特会、いろいろ見直しをやりましたし、また説明、最初にも申しましたように、分かりやすく説明するにはどういう工夫が必要かと、与党の方のいろいろな御議論も、御指摘もいただいた点を踏まえて、これはまだまだやらなきゃならないことが多いんじゃないかと実は思っておりますが、今後とも、今おっしゃったような、昔はかなりダイナミックにやっていたということも事実でございます。そういうことも視野に置きながら、見直しを不断にやっていきたい、こう思っております。
  16. 林芳正

    林芳正君 終わります。
  17. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で林芳正君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  18. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、山根隆治君の質疑を行います。山根隆治君。
  19. 山根隆治

    ○山根隆治君 おはようございます。  私がお呼びしていた大臣が到着していないということで、今日は流れるような質問というわけにどうもいかないようでございますので、大臣が、おられる大臣の順番で伺うということになりますけれども、御理解いただきたいと思います。  私は、今日お伺いいたしますのは、拉致問題についてまずお尋ねをいたします。  今外務大臣がおられますので、外務大臣からお伺いいたしたいと思います。  実は、私が平成十三年の十月三十日に参議院の内閣委員会において、これは当時、今も官房長官ですが、福田官房長官に拉致というのはテロなんですかということをお尋ねしたことがございます。それに対してのお答えとしては、テロというのとちょっとニュアンスが違うんじゃないかなと、こんなふうに思いますという答弁が実はございました。家族会の方、救う会の関係者の皆さん、非常にこれにショックを実は受けたということがございます。欧米の人たちの物の見方ということについては、これはもう拉致は完全なテロだと、こういう認識ですが、日本の政治家のみが拉致はテロではないんじゃないかという答弁が実は繰り返されてきました。  しかし、その後、川口外務大臣が、平成十四年二月の二十七日には衆議院外務委員会においてテロと違うというようなことをおっしゃっておられましたけれども、その後軌道修正されて、平成十五年三月十七日、参議院の予算委員会において、普通はこの拉致というのはテロと呼ぶと思うという趣旨の御発言がございました。その後、六月五日に衆議院の本会議で総理自身が今度は、普通はこれはやはりテロと呼ぶだろうということを発言されました。  そして、先ほど申し上げました官房長官の答弁も変わりまして、十月の、十五年十月の一日、テロ特におきましては、普通はテロだという認識をされた、表明をされたわけでございますけれども、ここで改めて、拉致はテロだというふうな認識を政府としてお持ちなのかどうか、今いらっしゃる川口大臣にお尋ねをいたします。
  20. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この前申し上げたことと全く同じことでして、拉致というのは国民の生命、安全にかかわる問題であるというふうに考えております。こういうことを普通にはテロと言います。
  21. 山根隆治

    ○山根隆治君 ありがとうございました。それは正式な見解ということを改めて伺いました。  実は、一九九四年の夏に金泳三元韓国大統領、そして前クリントン・アメリカ大統領と非常な激論が交わされたというのがつい最近の雑誌記事、インタビュー記事にございました。  当時、北朝鮮の核疑惑ということでアメリカが非常な危機意識を持ちまして、これはもう戦争にならざるを得ないという認識で、韓国金大統領にその協力を、理解を求めたわけでありますけれども、大統領は、金大統領はこれに猛然とやはり反対をいたしました。なぜかというと、もう四分以内に休戦ラインのところで敷設してある砲というもの、ミサイルというものが一気に韓国を襲う、数十万の人たちがこれによって一気に命を落とすことになりかねないんだということで、二十数回の電話でのやり取りをした上でこれをいさめたということがございます。  つまり、アメリカの国家戦略と、そして自国の国民を守ろうとする金大統領との間のいろいろなせめぎ合いだったというふうに私は思うわけでございますけれども、一国の最高指導者として国民を思う熱情というものを改めて私も感服をいたしたところでございます。  政治家の役割というのは、国民の生命と財産を守る、主権を守る、そして国際平和を希求するというところにあろうかと思います。そういう意味では、拉致というもの、国民の一人であっても拉致をされた場合には相当な覚悟を持ってこれを守らなくてはいけないということがあろうかと思います。  実は、三月の十六日、これはホームページから私、拾いましたけれども、救う会のニュースを見ました。実は、アメリカのべーカー駐日大使に、家族会の方、救う会の方が大使と話合いを持っております。  その席上、べーカー・アメリカ大使は、特別委員会が四月二十九日に、パターンズ・オブ・グローバル・テロリズムというレポートを報告するけれども、それに理由が書かれるということで、大使は、個人的にはリストに拉致問題を入れるべきだと思っているということを言われております。そして、参加された方々に希望を持ってこのレポートを待ちたいと思うということを発言をされて実はおられるわけでございまして、ここにそうした認識がレポートにされるということは非常に大きな政治的な意味があるということでございます。  そうしたところで、我が国の政治家が拉致はテロではないんではないかというふうな認識を示すということになると、大変なそごを来すことになるわけでございまして、そういう意味で私は今改めて拉致はテロなのかということをお尋ねをいたしたわけでございます。  こうした認識を改めてしっかりとお持ちいただきたいということを申し上げたいと思いますが、その点について、普通はということではなくて、もっと突っ込んだテロとしての認識を御表明いただければ有り難いと思います。  官房長官、おいでになりましたので、拉致がテロですかということの問題についての認識を──今ちょっと息が上がっていますから、やっぱり外務大臣、どうぞ。
  22. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほど申し上げたわけでございますけれども、この拉致というのは、国民の安全、国民の生命にかかわる重大な問題であるというふうに考えております。そういう状況を普通にはテロと言うと我々は考えます。
  23. 山根隆治

    ○山根隆治君 ありがとうございました。  それでは、小野大臣が来られましたので、小野大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  我が国における失踪事件というものが北朝鮮による拉致だったと、こういう認識は政府はいつごろから持っておられたのか、お尋ねいたします。
  24. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 山根議員にお答えをさせていただきます。  昭和五十二年の九月に、北朝鮮工作員に取り込まれました在日朝鮮人が、四十五歳から五十歳くらいの日本人独身男性を北朝鮮に送り込めと、そのような指示を受けまして、かねてから知り合いでありました東京都在住の日本人男性を石川県の宇出津海岸に連れ出しまして、北朝鮮工作船で迎えに来ました別の北朝鮮工作員に同人を引き渡した事件、宇出津事件が発生したわけでございます。  当時は、警察におきまして当該在日朝鮮人を外国人登録法違反及び出入国管理令法違反で逮捕したものと承知をしておりますけれども、捜査に当たりましては、同人から拉致の経緯、動機あるいは状況等に関する供述を得たことから、北朝鮮による拉致事案であると見まして、国外移送目的拐取、拐取というのは誘拐の拐と取るという字を書きますけれども、拐取の立件を視野に入れて捜査を行ったものと承知をいたしております。  なお、当時、最大限の努力をもって証拠の収集に努めたものの、本人は北の方に拉致されてしまっているわけでございますので、事情聴取はもちろんできないわけでございます。国外移送目的拐取の立件に至らず、したがいまして、五十二年当時は、宇出津事件の被害者が北朝鮮当局の国家的意思によりまして、本人の意思に反して北朝鮮に拉致された事件であると公表できる状況にはなかったものと承知をいたしております。
  25. 山根隆治

    ○山根隆治君 一般には、この拉致というのは一九五〇年代からあったのではないかというふうに認識をされております。世間に公になりましたのは、昭和五十五年の産経新聞のスクープがございました。その後、梶山国家公安委員長が六十三年国会で北朝鮮による犯行だということを、見解を述べられたというところで初めて明らかに世間になっていったというふうに思っているわけでありますけれども。  それでは、小野大臣にお尋ねいたします。昭和五十六年に起きました、宮崎県において起こった日向事件というものはどのようなものであったのか、お尋ねをいたします。
  26. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 御指摘の事案は、我が国に密入国をいたしました北朝鮮の工作員が偽造の外国人登録証明書を使用して在日朝鮮人に成り済ましまして、北の他の北朝鮮工作員らとともに在日韓国人等へのスパイ工作、あるいは我が国自衛隊や対北朝鮮政策等に関する情報収集活動を行っていた事件であると承知をいたしております。  宮崎県警察におきましては、昭和五十六年の六月に、北朝鮮へ向けまして密出国を試みたものの、折からの台風のため工作船と合流できないまま宮崎県日向市の海岸を漂流している工作員を外国登録法違反で逮捕したと承知をいたしております。  さらに、十日間以上にわたる現場周辺の検索の結果、脱出しようとしていた海岸の松林から、暗号メモ、それから脱出地点の地図、それから偽造外国人登録証明書等を発見するとともに、同人の不法出国幇助をした別の工作員につきましてもこれを逮捕いたしまして、スパイ活動を裏付ける資料を押収したものと承知をいたしております。  また、工作員が徘回していた現場付近で発見されました偽造外国人登録証明書につきましては、他のスパイ事件で押収されたものと同質のものであることも確認されたと承知をいたしております。  以上のような警察捜査の状況につきましては、本件被疑者の逮捕後に事件公表を行って以降、捜査の各段階におきまして、捜査結果を踏まえ、最大限その公表に努めているところと承知をいたしております。こうした発表の内容に、ただいま申し上げました捜査の内容につきましてもすべて含まれていたところと承知をいたしております。  このような状況であるということを是非御理解を賜りたいと思います。
  27. 山根隆治

    ○山根隆治君 この方が検挙されたのは昭和五十六年の六月の二十四日でございます。この以降、たくさんの拉致事件というのが頻発をしてきているということでございます。このときになぜ的確な措置を取れなかったのかというのは非常に残念で疑問に思うところがございます。  このときの取調べの調書の中で、船の、偽装の工作船については圧倒的な速度だということも実は明らかになっております。工作船は三十五ノットから三十八ノット、時速にすると六十キロから七十キロぐらいのスピードを持っている。これに対して巡視船は時速三十キロぐらいということでどうにもならない、追い掛け切れないということもこの中でも明らかに、取調べの中でなりましたし、また、工作員の自供によりますと、拉致する場所の一つの共通したポイントというものも実は明らかになっているところでございます。  それは、無人駅があるところ、身を隠す森があるところ、それから夜間でも目立つ目標物があること、これを上陸の条件にしているということでございます。そして、具体的には、九州でいえば志布志海岸、日南海岸、青島海岸、大淀川河口、日向海岸、延岡海岸、そして大分、福岡、佐賀、長崎が適地だということを工作員が述べている、非常に衝撃的な話でございます。  よくここまで自供に追い込んだなというふうに思うわけでございますけれども、当時の取調べ官の大迫さんという方が朝鮮語が話せる方だったということでございまして、なかなか工作員ですから口が堅い、もう命懸けでこうした仕事をするわけですからそう容易に自供してくれるものじゃない。そして、いろいろな、お風呂に一緒に入りながら背中流したり、人間関係を作りながら、そして義兄弟の契りを交わして、相手の国の風習というものに同意しながら人間関係を作って、そして自供に追い込んだという、非常に涙ぐましい努力をされてこうした自供に追い込んだわけでございます。  ですから、この情報というものはもう我が国の最高機密に入っていたはずでございますし、また意味のある非常に大切な資料だったというふうに思うわけでございます。  昨年十二月にテレビでこのことが放映されて、いろいろな反響はあったんだろうというふうに思いますけれども、なぜこのときの自供を基にして国家としての対応策を取らなかったのか、非常に疑問であります。この点いかがですか。
  28. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。  日向事件でございますけれども、まずこれはいわゆる拉致事件ではございませんで、北朝鮮工作員のいわゆる潜入、脱出という事案であるということでございます。  それから、北朝鮮工作員のこうした潜入、脱出という形での密出入国の実態でございますけれども、警察は日向事件、これ非常に当時として画期的な事件だったと思いますけれども、戦後約五十件の北朝鮮関係の諜報事件を検挙しておりまして、こうした事件の多くが日向事件のように沿岸部において工作員が潜入、脱出をすると、こういうものでございました。最も古いこの種の事件といたしましては、昭和二十五年に島根県で密入国をした事件というものも検挙をしております。  で、こうした北朝鮮工作員による潜入、脱出の状況につきましては、ただいま日向事件について大臣から御説明ありましたように、精一杯の捜査を推進しているところでございますけれども、国民の皆様に広くこの実態を知っていただこうということを考えておりまして、そういう考えでおりまして、日向事件につきましてもその都度報道発表を行ってまいりました。また、警察白書、当時の警察白書にもかなりのスペースを割いてこの事件について記載をしてございますし、また警察庁警備局で発行しております「焦点」という広報資料がございますけれども、これでも特集として、この日向事件等につきまして、あるいはそのほかの北朝鮮工作員の潜入、脱出の事案につきましても広報に努めているところでございます。
  29. 山根隆治

    ○山根隆治君 いや、今の認識はおかしいんじゃないですか。これは拉致じゃないと、この事件は、日向事件は拉致じゃないという認識というのは極めておかしいですよね。それは拉致をその場ではしていかなかったかもしれないけれども、準備活動に入っているわけですから、それも一体のものとしてとらえなくてはいけないわけで、何ですか、今の答弁は。
  30. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 御指摘のとおり、本件そのものは拉致事件ではございませんでしたけれども、拉致事件と極めて類似した形態で行われている事案であることはもう御指摘のとおりでございまして、この日向事件における事例というのも大いに参考にさせていただき、また国民にもその実態を広く知っていただくための努力をしてきたというふうに御答弁させていただいたところでございます。
  31. 山根隆治

    ○山根隆治君 ちょっと大臣、どうですか、今の答弁、私のやり取り聞かれて、小野大臣
  32. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 捜査によりまして明らかになりました事実をどこまで公表するかの判断というものは、警察におきましては個人のプライバシーの問題あるいは保護、自後の捜査への影響、こういうことを総合的に勘案して判断していることと、一応、基本的な考え方としてはそのような場に立っているわけでございます。  なお、御指摘の件について申し上げれば、捜査によって明らかになった事実、ただいま申し上げましたとおりでございますけれども、宮崎県警察においては捜査の各段階で記者発表を行っているほか、それから、公判の場におきましても被疑者の刑事裁判を通じて相当程度明らかになっていることと承知しておりますので、さらに、事案につきましてその後も警察白書に捜査で明らかになった工作員の活動実態を詳細に記載をいたしましたり、適時に広報資料を作成するなどいたしまして、国民の方々に広く知っていただく努力を重ねてきたと承知をしているところでございます。
  33. 山根隆治

    ○山根隆治君 大臣、駄目ですよ、聞いていないことをお答えになってもしようがないんです。私は今公表しろとかなんとか、そんなことは要求、今、今の段階、何もしていませんから。私が申し上げたいのは、こうしたことが分かっていながら、いろいろな捜査の中で、北朝鮮の工作の手法とか、それからどこで拉致するかとか、もう明らかになっているわけですね。そして、工作船がどれぐらいの性能を持ったものかということがもう明らかになったわけじゃないですか、ここで、取調べで。ですから、それに対する政府が対応をすれば巡視船を、我が国の巡視船の性能をどれぐらい高めるとか、そういう措置をすぐしなくちゃいけなかったわけですね。国民に公表、その時点でしなさいということを申し上げているわけじゃなくて、あなたがそういうふうな情報を取ったならば、それを直ちに、今、そのお立場じゃないけれども、その当時は。しかし、それを関係機関に言って、防衛庁なり海上保安庁なり協議をして、その対策というものを国として、政府として取るべきだったんじゃないかということを申し上げているんです。
  34. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 一般論として申し上げますれば、警察は捜査によって明らかになった内容につきまして必要に応じて関係省庁に対し情報提供を行っているところでございます。特に日本人拉致容疑事犯を始めとする北朝鮮による対日有害活動の捜査に当たりましては、関係各機関との連携を取ることは捜査を進める上で必要不可欠と考えておりますし、海上保安庁とも所要の情報交換を行っているところであり、現在は先生御案内のとおり大変機能……(発言する者あり)はい。機能的にも大変北朝鮮に負けないだけのスピードを持つ捜査船ができているということは承知をいたしております。
  35. 山根隆治

    ○山根隆治君 私が質問していることに答えていないんですよね。情報を、今どうなっているかということじゃないんです、その当時の話なんですから。  そうしたら、関係機関に、そうした政府の関係機関とも協議したということであれば、そうしたら日本の巡視船というのは性能をいつアップできたんですか。北朝鮮の工作船に対応する性能をいつアップしたんですか。
  36. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 現在は大変巡視船のスピードがアップしておるということは承知しておりますけれども、国家公安委員長としていつという時期は承知いたしておりません、今。
  37. 山根隆治

    ○山根隆治君 何月何日からアップしたということを聞いているわけじゃなくて、一番大事なことは、こうした事実、日向事件で本当にすばらしいもう捜査されましたよ。そうした情報がありながら何で対応できなかったのかということをお伺いしているわけですよ。官房長、いかがですか。
  38. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) どうしてその対応できていなかった、対応していたんだろうと思います。しかし、それが日本としてどこまですべきかと、また、日本だけの立場というか、日本の立場で考えても、相手がいるわけですから、相手とどういうような交渉をしていたのか、そういうことを総合的に考えなければいけないんだろうと思います。  また、その防衛と海上保安庁、海上保安庁がどこまでできるかとかいったような、それから防衛庁にいつから引き渡すかとかいったようなことについての線引き、そういうようなことも十分、その時々の国際情勢とかいろんな状況を考えて判断することはあったとしても、なかなか判断しにくいような部分もあったんだろうと思います。  私もどういう経過をたどったかの、たどってこういうふうになったのか、これは分かりません。正直言ってその検証もしておりませんけれどもね。委員が、少し生ぬるかったんじゃないのかというような趣旨でお尋ねになっているんではないかと思うんですけれども、そういうふうに見える部分もあるのかもしれません。しかし、それは政府全体でどういうふうな対応をするかということについては、それはその時々の判断ということがありますから、一概にいいの悪いのというふうな判断というのは付けにくいことだと思います。検証しているわけじゃありませんから。  ですから、またそういう御質問をいただくというふうに予想していなかったものですからその程度しか言えませんけれども、過去の検証もさることながら、これからどうするかということも極めて大事なことでございます。むしろ……
  39. 山根隆治

    ○山根隆治君 過去があって現在があるの。
  40. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) もちろんそうですよ。そうですけれども、しかしそういうような経過を踏まえてそういうふうになっているんですから、だから今現在、それからこれからどういうふうにするかということを真剣に考えるべきことだと。もちろん過去のことについて、これは承知しているということは当然だと思います。
  41. 山根隆治

    ○山根隆治君 答えになってないじゃないですか。委員長お分かりでしょう、聞かれていて。どうして答えになってないかということをじゃ具体的に申し上げますよ、今むっとされたから、怒られているから。  今の御答弁の中で、今官房長官言われた、相手がある、相手があるないじゃなくて、相手がひどいことをしているんだからそれにどう対応するかというのは自国の判断ですよ。相手があるといったって、あなた、どこの国の大臣なんですか。日本の国民の生命と財産を守らなくちゃいけない、貴重な情報がある、これを生かしてどう国民の生命と財産を守るかという問題じゃないですか。何が相手があるですか。関係ないじゃないですか、そんなことは、相手は。
  42. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) それは日本だけで考えてすべて決められるということでもないでしょう。じゃ、どういうふうにしたらいいんですか。むしろお聞きしたいですよ、それ。
  43. 山根隆治

    ○山根隆治君 お教えしますよ。  日本だけで考えられることじゃないですか。巡視船の性能をアップするということは日本だけでできることじゃないですか。工作船に、向こうの工作船をこっちが捕獲しなくちゃいけないじゃないですか。そのために性能をアップするということです。それだけの予算を作る、付けるということです。それで済むことじゃないですか。相手があるからという、関係ないです。我が国の国内でできることです。
  44. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ですから、それは過去にどういう判断をされたか知りません。知りませんけれども、今は性能もアップさしているんですよ。それはそういう状況に応じてその必要性を感じて、我が国が必要性を感じてやっているわけですから、過去のことを言われても、そのときにどういう判断をしているか、ちょっと私も検証しておりませんのでお答えはできません。
  45. 山根隆治

    ○山根隆治君 そんなばかなことはないじゃないですか。過去のこと、今も拉致はずっと続いているじゃないですか。しかも、一説には百何十人が日本人は拉致されているという話もありますよね。警察が確認しているだけの数じゃない、とてつもない数の人たちが拉致されていると言われているわけですよ。なぜこんなことになってきたのかということを歴史を検証しなくちゃいけないですから、いけないということですよ。二十年ほどの前のことなんです。そのことを確認しなくてあしたへの対応なんかできやしないじゃないですか。  それでは、小野大臣にお伺いをいたします。  そのときの、五十六年六月二十四日に検挙したときのその取調べの調書というのが、これはもう民間の報道機関から国民の前にも明らかに去年されているわけですから、この調書を資料として提出をいただきたいと思いますが、委員長の方で後ほど御確認されるでしょうけれども、そういうことはでき得るかどうか、そのことをお答えください。
  46. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。  日向事件に関する捜査資料の公開についてのお尋ねだと思いますけれども、この種スパイ事件を検挙した際には、当然、警察部内、内部でその記録を整理、保管等はいたしましていろいろ捜査の参考としているところでございますけれども、その内容につきましては、やはり捜査上の秘密の問題でありますとかプライバシー保護の問題でありますとか、いろいろな点がございます。  したがいまして、その中で公表さしていただけるものにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、白書あるいは広報資料等でかなり詳細にわたりまして最大限の公表をさしていただいているところでございますので、この資料そのものの公表という形につきましては差し控えさしていただきたいというふうに思います。
  47. 山根隆治

    ○山根隆治君 被疑者はもう北朝鮮に行っていますよね、もう帰っていますね。今もう御生存、生存されているかどうか分かりませんけれども。特別な問題ないんじゃないですか、もうだって民間の報道機関が情報を取っているわけですから。何の問題があるんですか。  国会法百四条、そして憲法六十二条の規定によって要求をいたしたいと思います、改めて。
  48. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) この事件につきましては、関係者の一名逮捕、と幇助罪とで二名ですか逮捕しておりますけれども、さらに北朝鮮にその船で戻ったという者も、これは我が国に対する密出入国という、容疑者ということになります。そういう意味では、あの事件は完結に、完全に終結したものということは言えないというふうに思います。  それから、その内容につきましては、言わば我々の、この種の密出入国事案というのは、これは現在もあり、また今後も行われる可能性が大いにあるわけでございまして、そういった今後の対策に資するという部分もございます。  そういった種々の点を勘案をいたしまして、この資料そのものにつきましての公表というのは差し控えさせていただきたいと考えております。
  49. 山根隆治

    ○山根隆治君 小野大臣ね、私は昨日、もう事前に通告してあるわけですよ、こういうことを質問いたしますよと、日向事件について。ということをもうお話ししているわけですから、もう少し明快な御答弁がなくては困りますね。  どういう、こうした調書があって、いろいろな重要な情報がある、これに対しての対応をどうしたかということを関係機関にお話ししたと言うけれども、どこの機関にどんな情報を提供して対応策を取られたのか、もう一回明らかにしてください。
  50. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 恐れ入ります。現物を拝見していないために判断しかねますけれども、御指摘の文書の、文書面の資料につきましては、警察はこれを保有しております。  なお、該当文書の内容につきまして言及することについては、ただいま申し上げましたとおり、捜査上の秘密の保持やプライバシー保護の観点から差し控えるという立場でございます。
  51. 山根隆治

    ○山根隆治君 そしたら、この調書はなぜ民間に出たんですか。民間に開放されていて、開示されていて国会にどうして出せないのかを教えてください。
  52. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 先ほどの点を勘案いたしまして、公開できるところは公開させていただいているというところでございます。
  53. 山根隆治

    ○山根隆治君 どうも論議がかみ合わないんですね。(発言する者あり)
  54. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 不規則発言をやめて。
  55. 山根隆治

    ○山根隆治君 これは昭和史の深いやみですね。やみとなぞというのが北朝鮮の問題にずっとあるんです。これはもう官房長官のお父様が総理大臣されていたとき、時代のことでございます。当時、いろいろなうわさがありながらも政界を包むやっぱりやみだったですね、この部分というのは。私は、今それを明らかにすることによって明日につなげる、国民の生命と財産をどう守るか、国家の主権をどう守るか、これは非常に私はいい事例だったと思うんです。  これをもう一度、私は、調査して、それを明らかに国民の前にする義務があると思います。これはただ一つの事件だけではなくって、日本の昭和史の一つのやみの部分というのを明らかにすることは私はできるというふうに考えます。  また、もう昼でございますから、休憩して何らかの答弁をいただきたいと思います。
  56. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残余の質疑は午後に譲りますが、答弁についてはよく相談をして、午後再答弁をしていただくようにお願いしまして、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  57. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまより予算委員会を再開いたします。  国家公安委員長はどうした。はい、急いでください。国家公安委員長、遅刻ですよ。発言ありますか、冒頭に発言がありますか。小野国家公安委員長。  ちょっと済みません、議題宣告しておりません。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。  冒頭に、小野国家公安委員長、発言を許します。
  58. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 失礼いたしました。  先ほどの続きをお話しさせていただきますけれども、本件捜査に関しましては、既に支障のない範囲で、警察白書あるいは報道発表等を通じましてその内容を明らかにしているところでございます。そのようなわけで、資料そのものを御要望であれば、精査の上、個人のプライバシーに関する事項、あるいは捜査手法等捜査上の秘密に関する事項、あるいは将来の同種の事件の捜査に支障を来すおそれがある事項を除きましてお示しする方向で警察庁において検討するものと承知をいたしております。
  59. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、今御答弁にありましたように、委員長の方で警察庁の方に委員会の名において資料請求、是非していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  60. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 後刻理事会で協議いたします。
  61. 山根隆治

    ○山根隆治君 支障のないものをというものでございますから、どの程度が出てくるのかということがございます。  当時の取調べ官の大迫さんという方が非常な努力をされて取調べをされたということでございますし、当時の警察、日向警察の署長、山口署長さん、まだ御健在のようでございますので、この事の真相について、私の方から委員長の方に参考人として本委員会でお呼びいただくことを御要望させていただきます。
  62. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) この件についても、後刻取扱いを理事会において協議いたします。
  63. 山根隆治

    ○山根隆治君 この北朝鮮という国は大韓民国の官邸、大統領官邸を襲撃したり、あるいは航空機爆破事故も、事件も起こしました。ラングーン事件もあった。偽札を偽造して密輸するということも起こった。そして、日本の拉致の問題があった。やりたい放題のところでございます。したがって、普通の交渉ではなかなかうまくいかなかったというのが日本の外交の実績でございます。  ですから、時には圧力もという、最近、今叫ばれているところでございますし、それが一部功を奏しているところもあります。幾つものやはりカードというものを私は北朝鮮に対しては外交交渉の上で持つべきだと思っておりますが、私たち民主党が要望いたしております、この拉致問題についての特別委員会を衆議院、参議院でそれぞれ要望して、国対、国会関係者の間で今協議されているところでございます。  国会で決めることでは十分ございますけれども、外務大臣としてそうした動きについて期待されていますか。私たちの主張に期待されていますか。
  64. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 北朝鮮に対しましては、政府として対話と圧力ということを言ってきているわけでございます。そして、その対話、これは今、ピョンヤン、失礼しました、六者会談等で進めているということでございますし、それからまた圧力ということも、対話に向けるために適時適切に使っていくということが必要であろうかというふうに思っております。  特別委員会ということは、これは委員もおっしゃられましたように、正に国会の中でお決めになられるということで、設置自体について私の立場でコメントをさせていただくのは控えさせていただきたいと思います。
  65. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうは言いながら、今大臣の目を見ていると、かなり私たちに期待しているなというふうに私にはお見受けしまして、やはり外交のカードとして特別委員会があるということだけでも相当なやはりプレッシャーになるわけでございますから、この点については国会筋の話でありますけれども、更に今の期待される目を受けて民主党もしっかり頑張っていきたいというふうに思っているところであります。  そのほかのカードとして、これは事前に通告いたしていませんけれども、石破さんに突然ちょっと振って恐縮でありますけれども、軍事的な面でのやはりプレッシャーというか、そういうものも一つのカードになり得る。つまり、具体的には、大規模の軍事演習といったようなものを日本海で行うということもありますし、それから潜水艦とか工作船を追尾して撃沈する訓練をあえて見せる等のメニューというものも軍事的にはあり得る。私は今、素人ですから、そういうことをすべきだと言っていませんが、様々なそうしたデモンストレーションというのはあり得るわけでありますけれども、そうしたものを検討されたことはございますか。
  66. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 突然のお尋ねでございますので的確なお答えができるかどうか、これは自信がございませんが、私どもとして特定の国を想定をいたしましていろいろな実際の今先生が御指摘のような、そういうようなことをやっておるわけではございません。  しかしながら、私ども、防衛力の本質は抑止力であると。どのようにして、相手方が日本に対してそのような攻撃を仕掛けないかということを念頭に置きながら、抑止力としての防衛力は保持をしておかねばならない。そして、仮にそのようなことがあった場合に、どうして国家、国民、国の独立と平和、国民の生命と財産守ることができるかという意味におきまして、委員が御指摘になったようなことをやっておるわけではございませんが、しかし、向こうが日本を侵攻しようと思った場合にそれは必ず排除ができるんだということは、特定の国を念頭に置いたわけではございませんけれども、きちんと能力として保持をしているということは必要なことであろうと思っております。  具体的な訓練の内容につきましては、それはお答えを差し控えさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。
  67. 山根隆治

    ○山根隆治君 来年度予算の中で、BMDについて既に二〇〇三年の十二月に導入が決定しているわけでございます。この予算付けはどのようになっておりましょうか。
  68. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御指摘のように、平成十一年八月に安保会議の了承を経まして日米共同技術研究に着手をしたところでございます。これは四つの分野にわたっておるところでございまして、現在、設計及び試作、試みに作るもの、を鋭意行っているところでございます。平成十一年度から十五年度までに百五十六億円の予算を計上してまいりまして、さらに、試験等に伴う経費といたしまして、平成十三年度から十五年度まで二十一億円の予算を計上してまいりました。  この功績の一つであります赤外線シーカーにつきましては、既に一部の試作品が完成をしておりまして、平成十六年度予算案におきましては、試験等に伴う経費といたしまして七十六億円を計上させていただいておるところでございます。  現在、今後の予定につきましては合衆国と調整中でございますので、詳細申し上げる段階ではございませんけれども、現在試作中のものが完成をいたしますれば、それらに関して必要な試験を日米共同で実施していくことになるものというふうに考えております。
  69. 山根隆治

    ○山根隆治君 委員長、小野大臣に対しては私の方からの質問をこれで終わりますので、お取り計らいください。
  70. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) どうぞ。
  71. 山根隆治

    ○山根隆治君 既に北朝鮮に配備されておりますノドン二百基及びテポドン1の開発が完了が近いとされているわけでございますけれども、今長官の方から御説明ありました予算付けがされているということで、BMD、ミサイル防衛システムをもってこうした北朝鮮のミサイルに対して対応するということでございますが、このシステムでほとんど防御し得るという御認識でしょうか。
  72. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 十六年度予算におきまして私どもがお願いをしておりますBMDシステムというのは、委員が今お尋ねになりました日米共同研究を行っておるものとはまた別物でございます。これは委員よく御案内のとおりでございます。これは、イージス艦に配備をいたしますSM3と地上に配備いたしますパトリオット、PAC3でもちまして、ダブルで撃ち落とそうと、こういう構想でございます。  先生御指摘のように、北朝鮮が、まだこれだれも見たわけじゃありませんし、数数えたわけじゃありませんから何個ということは言えませんが、二百基とも言われております。そのようなものに対しまして、私どもといたしましては、このシステムが相当に効果的なものであるという判断をいたしまして、今導入をお願いをいたしておるわけでございます。  このことが北朝鮮、仮に北朝鮮といたしますと、私ども特定の国を念頭に置いておるわけではございませんが、その中距離のミサイルが飛んでまいりました場合に、このイージスシステム、イージス艦のSM3あるいはPAC3、これをもちましてかなりの確率でこれを撃ち落とし、そして国土の防衛が図れるというような認識は持っておるところでございます。
  73. 山根隆治

    ○山根隆治君 湾岸戦争のときに配備されたパトリオットについて、その後検証して、当時言われていたほど命中率が高くなかったというふうに言われているんですが、これは事前に申し上げてなくて申し訳なかった、済みませんが、その命中の確率はどの程度か、御認識されていますか。
  74. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 数字まで確たることを、申し訳ございません、記憶をいたしておりませんが、あの湾岸戦争のときにアメリカが急いでイスラエルに配備をいたしましたパトリオットは、これはいわゆる短距離用のもの、つまり短距離用でございますからスピードが遅いということでございます。  したがいまして、それでも落とすことはかなりできたと。ただ、落とすことはできたのですけれども、かなり地上に近づいてから落としたものですから、ミサイルそのものは落ちてこなかったが、その残骸といいますか、そういうものが降ってきて、かえってその被害が甚大であったというふうに記憶をいたしております。  したがいまして、今度導入いたしますパトリオットはPAC3と申しますが、これをもっと高い高度で撃ち落とすことができる。そして、当然精度も上げております。つまり、残骸が地上に飛来をして、そのようなかえって被害が、大きくなったかどうか知りませんが、被害が生ずるというようなことを防ぐという意味で、非常に能力を向上したものを予定をいたしておるところでございます。
  75. 山根隆治

    ○山根隆治君 パトリオットの命中率はそれでは分からないということが分かりましたけれども、そこに搭載されているものが生物化学兵器であるのか、核であるのか、その判断というのは事前にできるんですか。
  76. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは正確に認識をすることは難しいだろうと思います。つまり、宇宙空間を飛しょうし、そして我が国、我が国といたしますか、本土に向けて国土に向けて相当のスピードで落ちてまいりますので、これを、例えて言えば、変な話ですが、透視をして透けてみてこれが何を積んでいるのということは当然分かりません。ですから、事前に、そのミサイルを発射するときに、じゃ何を積んだのということがいろんな情報から分かれば、分かるようなことがありますれば、それが何を積んでいるということを了知することも可能でしょうが、それが分からずにもう撃たれた、それが落ちてくるという状況になって、それが何を積んでいるかということについて正確に把握することは不可能な場合の方が多いのではないか。  むしろ、私どもとしては、それがNであれBであれCであれ、その場合にどのように的確に対処をしていくか、もちろんそれが発射されないという外交努力、そして抑止力、それをきちんと十二分にいたしました上で、なおかつそのようなことになりました場合に、当然今御指摘のBMDで撃ち落とすことができれば、それは国土に対する被害は全くない、極小であるということが言えますが、それがそうでなかった場合にどうするんだいということになりますと、これは私どもとしては、その被害をどうやって極小にするか、そのことも併せて考えておかなければならないことだと思っております。
  77. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうしますと、何を搭載されたか分からなくても撃ち落とす。そのことによってかえってパトリオットで撃ち落としたときの被害というものが予測できないということでございますが、その場合に迎撃すべしという指令をするのはどなたですか。
  78. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) したがいまして、イージス搭載型で落とします場合には、これは相当の高高度で落としますので、それが何を積んでおったとしても国土に対する被害というものはないというふうに考えられます。それがパトリオットで落とせたといたしましても、それがNであれBであれCであれ、特にBであるとかC、つまり生物化学兵器であれば相当の高高度で落としました場合に国土に対する被害というものは全くない、極小であるということが言えようかと思います。それはNにおいてもほとんど同様でございます。  したがいまして、だれが命令をするのかということにつきましては、これはどういうような法的構成をするかというお話になってまいりまして、それは、当然これを撃ち落とすということは、防衛出動下令ということが可能性としては考えられます。そうしますと、自衛隊法上にございます防衛出動の下令の手続は先生御案内のとおりでございます。  そうしますと、いかにして迅速にその下令がなされるようにできるか、そしてまた、そこにおいてシビリアンコントロールとの関係国会との関係、そのあれをどのようにして確実なものにしていくか、そのようなことにつきまして今後の議論ということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、BMDを、システムを作動させるということになりました場合に、きちんとした法的な根拠、そしてまた下令権者、そして迅速性を担保、そういうものが必要であろうと思っております。
  79. 山根隆治

    ○山根隆治君 私の持ち時間があと一分ほどでございますので、外交防衛の問題についてはこれで締めさせていただきたいと思います。  話はがらっと変わりますけれども、厚生大臣厚生労働大臣にお尋ねいたします。  痴呆性の高齢者の方が非常に増えております。実は、いろいろな痴呆が完治するかどうかというのは医学的になかなか分からないところがありますし、これからの医学の進歩に負うところが多いかと思いますけれども、メンタルな部分での政策というものも行政上私は考えられ得るだろうと思っています。  地方自治体がこうした面では非常に進んでおります。いわゆるアニマルセラピーというのがございます。この問題について、痴呆性の老人、お年寄りに対するメンタルケアとしてのアニマルセラピーについてはどのような御見解、お考えを持っておられましょうか。行政の中でこれから組み入れていくということは可能でしょうか。
  80. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 最近、動物と人間との間の問題は、いろいろの病気のこと等でマイナス面のことが表面に出てきておりますけれども、しかしそうではなくて、動物と人間の関係というのは非常に密接な、そしてまたプラス面があるわけであります。  今、御指摘いただきましたように、痴呆性老人の場合、その人の若いときの、その人の生涯と申しますか、そうした中でどういうふうに動物と接触をしてきたかということによりまして、非常に強い関心をお持ちになっている。表面に出ておりませんけれども、そうした、それが犬であれ猫であれあるいは小鳥であれ、いったようなことで、それらを、そうした動物に接することによって非常に疾病そのものに対しても好影響を与えるということが言われ始めておりますし、私も理解のできるところだというふうに思っております。  最近、ボランティア活動等で犬等をお連れになってそして訪れていただく方も多いというふうにお聞きをいたしておりまして、その効果が注目をされているところでございまして、これから我々もそうしたことも十分に配慮していかなければならないというふうに思っているところでございます。
  81. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) もういいの、それで。
  82. 山根隆治

    ○山根隆治君 せっかくですから。  大臣、是非、まだまだ国の行政の中ではこうしたセラピーの問題、未開拓でございますので、是非積極的にお取り組みいただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  83. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。榛葉賀津也君
  84. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  冒頭、北朝鮮問題に情熱を傾けまして、また中東問題にも現場で必死に汗をかいてくださいました前北東アジア課長の藤井新さんが、先日、四十四歳という若さで肝臓がんで亡くなられました。二十年掛かるかもしれないけれども朝鮮半島には必ず和解と平和の時が来る、そのときに日本が何をするか、政治家も役人もしっかりと考えなければいけないという言葉を投げ掛けてくださいました。大変高い理想とそして志を持った藤井さんに心からの哀悼の意をささげたいというふうに思います。  それでは、平成十六年度の予算について、山根先輩に引き続きまして質問をしたいというふうに思います。  まず冒頭、政府専用機の水増し問題について防衛庁長官にお伺いをしたいんですが、先週、政府専用機を運用する航空自衛隊千歳基地の特別空港輸送隊で、訓練で使う機内食の代金が水増しされ、別の目途に使われて、流用されていたという事件が発覚をしたんですが、この事実関係はどうなっているんでしょうか。
  85. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 本件につきましては、航空自衛隊特別航空輸送隊、政府専用機を運航いたします、千歳にあります輸送隊でございますが、この訓練担当でありました自衛官が、平成十三年から平成十四年の機内食配付訓練用の食材を北海道苫小牧市にございます納入業者から購入するに当たりまして、支払われるべき代金以上の金額を請求させ、その差額約三百万円を使用し、東京都に所在いたします航空関連業者から時計等の物品を不正に購入した疑いがございます。  この疑いにつきまして、現在、航空業務、警務隊が、航空警務隊が捜査を実施しているというところでございます。
  86. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 腕時計等という話がありましたが、具体的にもう少し。何のためにその三百数十万円を使われたんですか。
  87. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この件につきましては、現在調整、捜査中でございます。これを何のためにということも含めまして、現在、事実関係の確認を行っておるところでございます。  以上です。
  88. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、もう事実が分かっていることがたくさんありますので、もう少し具体的にこの事実関係を責任長官としてお答えいただきたいんですが。これ二回にわたって納品させているんですよね。これ具体的に何を納品させているんですか。
  89. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在のところ、全部私も存じておるわけではございませんが、時計、これは腕時計であったかと思います。あとはパーソナルコンピューター、パソコン、そのようなものを購入をしているというふうに承知をいたしております。
  90. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 二回にわたって購入しているんですが、一回目はこれ空自の特別航空輸送隊あてに納品しているんですよね。このときは腕時計を九十個、それから空自のロゴの入ったボールペンであるとか、その他約八品、様々なものが納入されていると。一回目はどうも腕時計が中心のようでございますが、で、二回目はこれ御自身の官舎、御自宅に納品が行っていまして、このときはボールペンからパソコンから、その他八品目。一回目が二百万円程度、二回目が百三十万程度行っているわけでございますが、これ一回目は部隊へ行っているということは、これ組織絡みの事件というふうにこれどうしても思ってしまうんですが、長官、どうですか。
  91. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その点も含めまして、現在、事実を厳正に把握すべく捜査を進めておるところでございます。  で、捜査内容に関することでございますので、本当に、別に隠しておるわけでもございません。これは、今委員指摘のようなことも、実際に私自身このことを聞きまして懸念をいたしたところでございます。そのようなことはないというふうに現在考えておるところでございますけれども、これは私が考えておったって仕方がないのでございまして、そのことにつきまして厳正に行っていくということであります。  そのような問題意識は持っておりますが、私自身、これは今捜査段階にございますものの、個人的なことではないかなと、そうあってもらいたいものだと思っておりますが、そのことにつきまして厳正にきちんと捜査をいたすという現段階でございますので、委員の御質問には、恐縮でございます、隠すわけでもございません、今のこの時点でどうであるということを、確たるお答えができないということをお許しいただきたいと存じます。
  92. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 BMDやイラク特措法、有事法制に対しては正に立て板に水を流すように答弁をされる長官が非常に歯切れが悪いわけでございまして、これ、二回目は御自身の社宅に送られてるということは、これ、私事に使ったのかなと。しかし、航空自衛隊のロゴの入ったボールペンやその他をどのようにこれ使ったのかというのが分からないわけでございますが、私、いろいろ調べたら、そのホテルの担当の方が、まあこれ政府専用機に乗ってともに行動することがあるんですが、どうもあちこちの外国の要人の方にそういった物品をちょっとおみやげ程度に渡したり、そういったこともどうやらあったような発言もあるわけでございますが、これ、一体だれがこの問題を調査しているんですか。
  93. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは先ほどもお答えをいたしましたが、航空自衛隊にございます警務隊が捜査を行っておるところでございます。
  94. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この警務隊が昨年十一月から調査をしています。もうかれこれ四か月たっているんですよね。これ、いまだに事件の全容が分からないというのは、これ不自然だと思うんですが、長官、これしっかり調査されているんでしょうか。
  95. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まさしくそのことは、私自身、厳しく申しておるところでございます。  これはもう、先生御指摘のように四か月もたっている。そしてまた、事件というものについても、これ被疑者が逃亡するとか、そんなようなお話でも何でもございませんので、私どもの部隊の中のお話、あるいは、先生御指摘のように、ホテルでありますとか、あるいはそういう東京の業者でありますとか、そういう方々も事件の中には、関与したかどうかということは別でございますが、登場するわけでございます。  私ども、このようなことにつきましては厳正にきちんとやっていかねばならないということでございまして、このことにつきましては、捜査というものが適正に厳格に、なおかつ迅速にきちんと行われるようにということは先生と同じ問題意識を持ちまして、私自身このことに対処しておるつもりでございます。  より一層努力をしてまいります。
  96. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大変、迅速にと言う割には大変迅速でないと思うんですが。  個人的な犯行であるというふうに思いたいと先ほど長官御答弁されましたが、極めて希望的観測でありまして、このように四か月もたっているということは、逆に組織ぐるみで犯行が行われ、また彼だけではなくて、その上司であるとか上部の者までこの事件に関与しているからこそ捜査の発表や状況がこれだけ時間が掛かっているんではないかと、これ素人考えですが、思ってしまうのは当然だと思うんですよね。  また、この事件が私は氷山の一角なんじゃないかと。同じようなことが、警察庁じゃないですが、水増ししたり、そういった問題が各部隊で起こっている可能性があると思うんですが、こういった問題にどのように、長官、調査されますか。
  97. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このことにつきましては、私は先生と思いは一緒だと思いますけれども、自衛隊、自衛官は、それはほかの仕事、警察もみんなそうだと思いますけれども、そういうことについて特に厳正であらねばならないと思っております。  それは、いざというときに自衛官の、自衛隊員の宣誓に基づきまして、国民の皆様方に対して職務を全うせねばならない自衛官であればこそ、そういうことは極めて厳正でなければいけないという思いは持っております。  私、希望的観測ということを申し上げました。それは私の希望でありますが、捜査は捜査として厳正に行っていかねばなりません。これは氷山の一角というふうにおっしゃいましたが、そういうようなことが全国各地、北海道から九州、沖縄、あるいは海外に展開しております自衛隊、そのようなことがかりそめにもないように、そのためにいろいろな規則もあり、そういう組織もあるわけでございます。そういうことについて更なる厳正を期すということは、言葉だけではなくて、日常的にそのようなことが仮にあるとすれば、それがすぐに分かるのだというような体制、これについて常に不断の見直しを行っていかねばならないと考えております。
  98. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は二つの理由でこの事件許せないんですね。一つは、当たり前ですが、我々の税金をこのように不当に利用するやからは到底許すことができない。そしてもう一点の理由は、我々は、自衛隊のイラク派遣に反対をいたしましたし、いまだに反対をいたしております。しかし、現地で汗を流している自衛官に対しては最大限の敬意を持って安全を祈り、そして一日も早いイラクの復興を祈念をいたしております。  この政府専用機、正にこの水増し事件の舞台になった政府専用機は、正に自衛隊のイラク派遣の、陸上自衛隊の輸送にも使われているんですよね。いまだにインド洋で、そしてイラクのあの現地で必死になっている自衛官がいる他方、このようなとんでもないことをやって、どのように国民に自衛隊に対する理解を求めるのか。私は到底、日ごろ長官のおっしゃっていることと現場で起こっていることが一致していないというような思いで、大変残念な思いであります。そのことを申し上げますが、何か御発言ありますか。
  99. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 全く同じ思いであります。  ただ、先生、このことはもう別に言い訳をするわけでも何でもございません。私は、九九・九九%の自衛官は先生おっしゃるように一生懸命やっているのです。しかし、その中でたった一人でもたった二人でもそういうことがあったとするならばそのような信用を失墜してしまうのだ、一生懸命努力をしている人たちの国民に対する思い、国民の皆様方がそういう人たちに対する思いを、それは失わせしむることになるのだと。さればこそ、このことは本当に厳正にやらねばならないということは私自身常に申しておるところであります。更に努力をさせていただきます。
  100. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、ミサイル防衛システムについて、山根委員に引き続き質問をさせていただきます。  武器輸出三原則であるとか集団的自衛権の問題であるとか、様々具体的な技術論、法律論はあるかと思うんですが、この具体的な話は後日外交防衛委員会に譲るといたしまして、今日は、この問題に大変お詳しい長官から何点か確認をしたいと思うんですが、先ほど山根委員質問にもありましたが、これ基本的なことなんですが、BMDの研究、開発そして配備と、この現状はどうなっておりましょうか。
  101. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは委員御案内のことでございますが、もう一度ちょっとお話をすることをお許しをいただきたいと思います。研究とは何であり、開発とは何であるかということでございます。  今、日米で行っております研究と申しますものは、将来の防衛力整備を想起、想い起こすという字を書きますが、想起し、将来の開発に活用し得る技術を確立すること、あるいは開発の前に技術リスクを低減すること、それを称して研究というふうに申しております。それでは開発とは何なのかといいますと、要求性能に合致した装備品を国内外の技術力を結集して創成、創成というのはクリエーションの方の字を書きますが、創成するというものが開発というものでございます。いずれにいたしましても、先生御指摘のように、研究、開発、装備と、こういう段階になるわけでございます。  今、日米で共同研究をしておりますのは、先生御案内の四つの分野につきまして行っておるわけでございまして、これは、本当に技術的なリスクを低減をする、そしてそれが将来の開発に活用し得る技術として確立をする、そのような段階にあるわけでございます。  これは、先ほども答弁を申し上げましたが、赤外線シーカー、すなわちミサイルの相手を捕捉する目のようなものですね、これにつきましては試作というものが終わっております。そのほかのものにつきましては試作段階にあるわけでございまして、その成果というものが得られるように今後とも努力を傾注してまいりたいというのが現状でございます。
  102. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 現在は研究段階ということですが、研究段階でもう五年が経過しているんですよね。先ほど山根委員指摘にもございましたが、十六年度の予算で、PAC3とSM3、一千六十三億円ですか、が計上されていますが、これは予算面からいったら事実上開発にゴーサインを出しているというふうにも、取れないんですが、どうですか。
  103. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはそういうものではございません。なぜならば、私の言い方が悪いのだと思いますが、日米で共同研究をしておりますものは四つの分野、すなわち今の迎撃ミサイルというものを更に性能向上させる、あるいは相手のミサイルが性能向上しました場合に今のものでは対応できない。当然、軍人というのは、軍事技術というのは追い掛けっこみたいなところがございますから、更に高度な技術を有するものを求めまして今研究を行っているわけでございます。  先生御指摘のように、十六年度でミサイル防衛について予算化をした、それは日米共同研究とは全く別物でございますので、開発にゴーサインを出したという御指摘は、私の勘違いかもしれませんが、もしこれで、十六年度予算をもってして開発に事実上のゴーサインを出したということであれば、それは異なるのではないかと思っております。異なるものだと私は考えます。
  104. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、この開発段階に進むのは具体的にいつごろになるのか。それと、この開発段階に最終的に行くと、日本国内で決定するのはどこで決定するんでしょうか。
  105. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、一に掛かってその技術が確立をされたかどうかということに基づきまして判断をすることになるのだと思っております。  これは、例えばキネティック弾頭にいたしましてもノーズコーンにいたしましても、あるいは第二段ロケットモーターにいたしましても、これ日米で鋭意研究を行っておりますが、これには相当の努力を要するものだと思っております。これがアメリカでスパイラルアプローチを取っておりますことは先生御案内のとおりでございますが、その中に、きちんと日米としてその研究というものが行われ、成果を得るということが必要でございまして、その段階がいつかということにつきまして、これはいついつですということが申し上げられるような状況に現在はございません。
  106. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、それともう一点、最終的に国内で決定するのはどこでこれ決定するんですか。
  107. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは政府全体で決定をすることになるものでございます。すなわち、冒頭お答えをいたしましたように、これが日米共同研究を行うということも政府として決定をいたしたことでございます。これが開発段階に移行するかというのは、研究の成果を踏まえつつ、政府として決定を行うことになると考えております。
  108. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 政府で決定というのは最終的には閣議なんでしょうが、その前の安全保障会議でこれを決定するという認識でよろしいんでしょうか。
  109. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 将来のことにつきましてちょっと私が現在責任を持ってお答えをできる立場にはございませんが、安全保障会議並びに閣議の議を、閣議の決定を経るというようなことになろうと考えております。
  110. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 山根委員からも若干技術面での不安について先ほど指摘があったんですが、先週のアメリカ上院の軍事委員会の公聴会で、ミサイル防衛の真価を問うということで、北朝鮮のミサイル脅威に対応できないのではないかという質問に対して、国防省の高官が、そうだろうというふうに認めているわけですが、この発言を長官、どうお考えですか。
  111. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは前後のやり取りを英語そのままで読んでみませんと、委員は英語に堪能でいらっしゃいますから全部お読みのことかと思います。恐縮ですが、私、全部のやり取りを承知をいたしておりませんのでお答えをすることは難しゅうございますけれども、先ほど山根委員の御質問にもお答えをいたしましたが、洋上配備型、そして地上配備型、それを組み合わせることによりまして国土に対する被害というものが事前に防げるというようなことを科学的にいろいろと証明をしました上で、これは私ども実現を期するものだというふうに考えております。つまり、それは、ハワイで行っておりますところのイージス艦を用いました、たしかレイク・エリーというイージス艦であったと思いますが、それによります弾道ミサイル迎撃試験というものにつきまして相当の確証が得られておるということで今回のことに至っておるわけでございます。  そのほか、どういうような体制を取れば、何回か予算委員会の答弁で、例えばレーダー、センサー、あるいは指揮管制システムにつきましてお話をいたしました。ミサイル防衛というのは、全体としてシステムでございます。単体をもってしてどうのこうのというだけのお話ではなくて、全体のシステムがどのようにワークをするかということにつきまして、私どもとして、どこを特定しておるわけではございませんけれども、弾道ミサイル、中距離弾道ミサイルの脅威に対して十分対応できるということで今年度予算でお願いをしているものでございます。
  112. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 このMDは、弾頭に迎撃ミサイルが当たらないとこれ価値がないわけでございますよね。その実験に初めて成功したのが昨年の十二月の十一日でございます。そのたった一週間後に日本の安全保障会議と同日の閣議でこのBMDの整備を決定しているわけですが、これ一週間前にやっとその技術的に弾頭に当たるという技術がたまたま成功して、その一週間後にもう日本ではやるんだという閣議と、それから安全保障会議で決定する。これ、長官、技術的に不安はないんでしょうか。
  113. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その前に、先ほどは、今年度においてお願いすると先ほど答弁いたしましたのは、来年度の間違いでございます。  そのことにつきまして、私もその正確性ということにつきましては、本当に私どもとしてきちんとした判断をしていかねばならぬというふうに申しました。それは、先生が御指摘のように、昔からBMDというのはあったわけですよね。さればこそABM条約なんというものがあったわけでございます。それはもうかなり荒っぽい話でありまして、飛んでくるミサイルの近くで核を積んだミサイルを爆発させて、もうもろともに落っことしてしまおうという、かなり荒っぽいお話でございました。  ところが、今回のBMDシステムというのは、先生まさしく御指摘のように、直撃をさせて、それはもうマッハで飛んでくるものを宇宙空間で直撃させるというんですから、これはもう大変なものでございます。そのことにつきまして、ずっと長い間研究をしてまいりまして、そして当たると。そして、その研究と、失礼、実験というものは、一回のみならず、それは段階的に、本当にきちんと当たるのか、そして単に当たるだけではなくて、本当にこの点この点というものに正確に当たるのかということをすべて実証しながら進めてきたものでございます。  したがいまして、私どもとして、非常に拙速に、たまたまの、偶然の成果を基にしてこのような決定をしたというようなものではございません。それがどれだけ技術的に信頼の置けるものであるかということにつきましては、常に私検討をいたしております。そのことにつきまして、これは明らかにできない部分多々ございますけれども、また委員の御理解を得るべく、そしてまた納税者の方々にきちんと誠実なものであるべく常に努力をしてまいりたいと思っております。
  114. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そのBMDというのは極めて技術的で、大変難しい話なんですね。加えて、冒頭言いましたが、武器輸出、輸出三原則であるとか集団的自衛権であるとか、様々な日本の形を作るこのルールの、枠組みの話もある。そのような中で、極めて既成事実が先行していっているんではないか。これ、しっかりと国会や国民の間で議論をして、話をすべき、するべき問題が、政府の中でもう路線が決められて、それにどうも議論が後から付いていっているような感がするものですから、私はあえてこのような質問をさせてもらっているわけでございますが。  この閣議が行われた、昨年閣議が行われたこの弾道ミサイル防衛システムについては、一回だけなんですね。ごめんなさい、閣議ではなくて、安全保障会議でこれが議題になったのは一回なんです。平成十五年の十二月の十九日、一回だけ。その初めての安全保障会議で決まって、その後すぐ閣議決定されて、これ、私、時間的にも調べたんですが、大体四十分ぐらいで、このBMDだけではないですから、様々な問題も議論されたんでしょう。これ安全保障会議ではどれくらいの話がどれぐらいのボリュームでこれしっかり議論されたんでしょうか。
  115. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 相手はだれ。
  116. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 通告してありますから。
  117. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、福田内閣官房長官
  118. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いいんでしょう。  安全保障会議におきましてどのぐらいの議論をされたかというお話でございます。これ、今時間のことはおっしゃっていましたけれども、もちろん報告があり議論するという場でございます。ただ、この安全保障会議の中身についてはなかなか言いにくいことがありますので、これはひとつ勘弁していただかなけりゃいかぬと、こういうふうに思います。  しかし、この会議をする事前に、事務的にはいろいろ連絡し、説明をしというようにしておりますので、その一回で決まったと、すべてが決まったんだというふうなことではないということを御理解いただきたいと思っております。
  119. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 このBMDにその議会の中で反対された御意見はあったでしょうか。
  120. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今の私の答弁において申しましたように、この会議の中でどういう議論があったかとかいうことについてはこれは申し上げないと、こういうことになっておりますので、ひとつ御勘弁をいただきたいと思っております。
  121. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、長官、逆だと思います。  当然、軍事的な機密に対してはシークレットのところがあってしかるべきでしょう。しかし、このBMD全体の、それぞれの委員の皆さんがこのシステムについて専門だけではないと思います。しかし、様々な立場の人間がどういう議論をして、どういうふうにこのBMDを政府として考えているのかと。その議論した内容を国民に知らしていく、国会に知らしていく、そしてそれをまた材料にして国民や国会できっちりと議論していくと、こういったことをやらないと、私は、この国の防衛にとって大変有意義なBMDであっても、きちっとした理解を得られないと私は本末転倒になってしまうというような思いがいたしております。  続きまして、国会との関係についてお伺いしたいんですが、若干気になる点は、これ導入の際に、昭和四十四年の衆議院本会議で決議された宇宙の平和利用という観点から、これ問題はないんでしょうか、長官
  122. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御指摘のとおり、これは昭和四十四年五月の九日でございます。これは恐らく宇宙開発事業団法につきまして議論が行われたときの決議であろうかと思いますが、昭和四十四年五月九日に衆議院、院におきまして、「わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」というものがなされております。「わが国における地球上の大気圏の主要部分を超える宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉をはかり、あわせて産業技術の発展に寄与するとともに、進んで国際協力に資するためこれを行なう」。  先生御指摘の、しかしこの「平和の目的に限り」ということについてどうなのだということでございます。  この点につきましては、私どもといたしましては、官房長官談話でも、平成十年十二月、つまり共同研究に着手をいたします際の官房長官談話でございますが、そこにおきまして、BMDシステムが、我が国国民の生命・財産を守るための純粋防御的、かつ、ほかに代替手段のない唯一の手段であることを踏まえれば、BMDシステムに関して我が国が主体的に取り組んでいくことは、本件国会決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念にも沿ったものであり、国民各位の御理解をいただけるものと考えると、このように申し上げております。  政府といたしまして、この国会決議との関係はこのように整理をいたしておるところでございまして、一つは、ほかに代替手段のない唯一のものであるということ、そして、これは先生よく御案内のとおりでございますが、このBMDシステムにおきます迎撃ミサイルというものは、それのみをもっては何ら攻撃的な能力を有するものではございません。これは、その前に弾頭積む、弾道、つまり火薬を積むものでもございませんので、いわゆる物理的にぶち当てることによって落としてしまうというものでございますから、この迎撃ミサイルそのものを撃ったって何の攻撃能力もないものでございます。唯一代替手段のないもの、そしてそれ自体は何らの攻撃能力を有しないもの、したがいまして、この国会決議の趣旨に反するものだとは全く考えておらないところでございます。
  123. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 確かに平成十年、官房長官は談話でそのように言っていますが、私、このときの官房長官の談話は少し逃げていると思いますよ。  というのは、これポイントは非軍事ですから。非軍事というポイントについては全くこの談話は触れられていないんですよね。そして、宇宙開発事業団等も言っていますが、問題は非軍事であると。これは基本的には当時衛星等を考えているわけですよ。これはBMDのことなんて考えていないわけであります。その問題、長官、どうですか。
  124. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御指摘のとおり、この昭和四十四年の決議というものは衛星そのものを考えておって、迎撃ミサイルというものを念頭に置いてこの決議がなされたということは極めて想像しにくいものだというふうに考えております。  他方、平和の目的に限りと申し上げましたときに、このBMDシステムというものがほかに代替手段がないものである、そして我々の国防の目的というものが、国家の独立そして平和を守る、国民の生命、財産を守る。我々の国防の目的自体が国民の独立と平和を守るためなのでございます。  これが、じゃ平和の目的ではないのかねと言われますと、これ、それまたおかしな話だねということになるわけでございまして、私どもといたしましては、他国を侵略をしない、そしてまた専守防衛に徹する。しかしながら、我が国に対しまして攻撃があった場合には、我が国の独立と平和を守るために国家として、そしてまた防衛庁・自衛隊として最大限の努力をするということから考えましたときに、先生御指摘のとおり、確かにこれはこのようなシステムを念頭に置いたものではないのかもしれない。しかしながら、これが、じゃBMDシステムがこの決議に反するものかといえば、そういうことには決してならないと思っております。
  125. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 先ほど四十四年に衛星と言いましたが、これ衛星の理念が入ったのは昭和五十八年の通信衛星の利用以降の話でございまして、この当時から衛星及び、五十八年以降、衛星及びそれと同様の機能を有する衛星に関しては宇宙の平和利用を認めると。しかし、今回はミサイルですから、これはきっちりとこの問題をやはり理論武装していく必要が私はあると思います。  この問題はまた引き続き議論をしていきたいと思いますが、ミサイル防衛のプロフェッショナルであります長官に逆にお伺いしたいんですが、このBMDのウイークポイントというのは一体何なんでしょうか。脆弱性であるとか、弱点は一体何でしょうか。
  126. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 弱点を国会の場で申し上げるというのもいかがなものかという気がしないではございません。  それは、技術というものは常に万全ではないのであって、それを超えるものが出てくるとすれば、それが弱点なんだろうというふうに思っています。ですから、戦車ができたときは、もうこれを超えるものは現れないだろうと言われ、飛行機が出てきたときは、これを超えるものは現れないだろうと言われました。この迎撃ミサイルシステム、BMDシステム自体、今のところ、弾道ミサイルに対して代替手段のない唯一効果的なものだというふうに考えております。  しかしながら、その相手の、どことは申しませんが、そのミサイルというものが今考えられておるものよりも更なる高度な技術を持ったものになりました場合に、それにきちんと対応できる技術というものは持たねばならないだろう。さればこそ、日米共同研究というのは、今の、現在、来年度予算でお願いしておりますものに更に高い能力を与えるものということでございまして、そういう問題点はあろうと思っております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  同時に、これは私、一昨年もいろいろと申し上げたことでございますが、例えて言えば費用対効果、お金掛かり過ぎるじゃないのとか、でもその効果といった場合に、でもそれが落ちた場合に、何千人、何万人、あるいは何百人かもしれない、その命が失われることがあるとするならば、それは効果なんて計り知れないものなのだろうと思っております。  ですから、そういうようなことに関しましていろんな議論はしていかなければならない。このシステムというものが本来の機能であります、撃ったって撃ち落とされるんであれば日本に向けて弾道ミサイルを撃つのをやめようと、そういう思いをそういうような勢力に思わせるために、その能力というものは、先生のお言葉をかりればウイークポイントというものがないように、私どもは常に努力をしていかねばならないものだと考えます。
  127. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁長官、ありがとうございました。  委員長長官には以上で質問を終わりますので、お取り計らいをよろしくお願いします。
  128. 尾辻秀久

    理事(尾辻秀久君) はい。
  129. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、北方領土問題についてお伺いをしたいと思うんですが、まず冒頭、茂木大臣、二月七日が北方領土の日ということで、先日、私も九段会館にお邪魔をいたしまして、長官のごあいさつ、決意を拝聴いたしましたが、これ、なぜ二月七日が北方領土の日なんでしょうか。
  130. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今年の二月七日、委員にも参加していただきまして、また総理も出席の下で大会を開かさせていただきましたが、この二月七日、日露通好条約の締結の日と、そういうことで定め、この日を中心にして全国的な運動展開させていただいております。
  131. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 さすが大臣でございますが、百五十年前に下田で日露通好条約が結ばれて来年が百五十年ということでございまして、この節目に私はきっちりとこの北方領土問題を国内でもう一度、拉致問題と同等にこの問題をしっかりと私は考えていかなければならないと思うんですが、川口大臣にお伺いします。  この北方四島返還のロードマップというのはあるんでしょうか。
  132. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) お答えをする前に、冒頭、委員から藤井課長にお言葉をいただきまして、ありがとうございました。  それで、御質問の日ロの北方領土のロードマップということでございますけれども、これはまず、昨年の一月に両首脳が日ロ行動計画について合意をし、署名をいたしました。この中で、柱六つ立っておりますけれども、その一つに平和条約というのがございます。その場におきまして、両首脳は、平和条約を可能な限り早期に締結をするということで強い決意、これを確認をいたしているわけでございます。それから、プーチン大統領として、昨年の五月に首脳会議がありまして、会談がございましたときにも、この領土問題を先に延ばす気はないということを言っているわけでございます。  したがいまして、ロードマップという意味では、日ロ行動計画、これがロードマップでございまして、いろいろなそこに書かれていることを実施をしながら、肯定的な雰囲気を作っていく、その中でこの平和条約の問題を解決をしていくということです。考え方としては、これは四島の帰属の問題、国境が今画定をいたしておりませんので、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという考え方を取っております。  そして、今後のことでございますけれども、大統領の選挙がございまして、再選をプーチンがされたということでして、非常に強力な基盤を持つに至ったわけでございますけれども、このプーチン大統領が強力な基盤を維持し、そしてこの平和条約の締結のためにリーダーシップを発揮をしていくということを我々としては期待をしているということでございます。  私は、先般、新しいラブロフ外務大臣と電話で話をいたしまして、今年の前半にも訪ロをしたいということを言いまして、先方とその際に平和条約についてもきちんと話をしましょうということを合意をいたしております。  そういった形で、粘り強く、そして強くこの平和条約の締結の問題については交渉していきたいと考えております。
  133. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ロードマップというのはゴールがあってやっとロードマップになるわけですが、大臣のそのロードマップは一体いつ北方四島が返るという、ゴールはどこにあるわけでしょうか。
  134. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) いろいろなことについてこれから交渉していくということでございますけれども、四島の帰属の問題を解決をするということが、そして平和条約を締結するということでございまして、いつ等の点につきましては、それは今後の交渉の中で決定をされていくということであると思います。
  135. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 川口大臣は、他国の領土問題であるパレスチナ問題についてはきっちりと、他国に先駆けて川口ロードマップをしっかりと、最終ゴールの日時まで決めましてロードマップを作成し、積極的にこのパレスチナ問題の解決に向けてイニシアチブを取ろうとした方でございます。  私は、自国の領土問題に関しましてはそれ以上に積極的に、これ主権の侵害の問題でありますから、ロードマップを作っていく必要があると思いますが、これ、具体的に、大臣、ロードマップを作る覚悟はありますか。
  136. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この北方四島につきましては、これは実際に重要なことは帰属の問題が解決をしていくということであると思っています。今、この施政権、これは我が国にない形に残念ながらなっているわけでございまして、今後、領土、日ロ行動計画に基づいて、そして交渉をしていくということで考えております。
  137. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、何が何でも北方領土を返すんだという気概が伝わってこないんですよね。返してもらうんだと、取り返すんだという話でございます。北朝鮮問題に関しましては、これだけ国を挙げて何とかしようと思っている、経済制裁までするんだと言っている。他方、戦後六十年間我々の国が侵略をされ、主権が侵害をされている。  昨日、北方領土返還・四島交流促進議員連盟で、ロシアの専門家であります青山学院教授の袴田先生の講演を聞くことがあったわけですが、これ、日ロアクションプランに対しまして、ロシア側は、日本は領土問題について建前だけで、実際は経済協力、これはシベリア開発であったり太平洋パイプラインであったり、この話だけでいいんだというふうにロシアは理解しているというふうに、これは専門家が言っているんですね。これはとんでもないことでありまして、大臣、このような現状について茂木大臣と川口大臣に御認識をお伺いしたいと思います。
  138. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 日ロ行動計画についていろいろな御意見があるということはよく承知をいたしております。  ただ、政府として、その日ロ行動計画の中において平和条約をきちんと一つの柱として取り上げているわけでございまして、それを形だけ取り上げているというふうに我が方は当然考えておりませんし、またロシア政府がそう考えているとも思っていないわけでございます。  これは、プーチン大統領と私は、一昨年の十月にお会いをしたときも、これは我々の世代で解決をしなければいけない、前の世代が作った問題を我々の世代で解決をしなければいけないということをプーチン大統領自ら私におっしゃいましたし、総理との会談においても、これを沼に埋めるつもりはないということを明確におっしゃっているわけでございまして、我が国として、その平和条約の問題が解決をしなければ日本とロシアの関係一つ上のレベルに行かないということも言っているわけですし、そのことはロシアは非常にきちんと理解をしていると私は考えております。  いろいろな批判はございますけれども、ということは承知していますが、この日ロ行動計画に沿って日ロ関係を肯定的な関係にしていきながら、そして、平和条約の問題が解決をしなければ一つ上のレベルに日ロ関係は行かないんだ、今の日中関係あるいは日米関係のような関係と比べて何十分の一の強さの関係でしか、あるいは弱さの関係でしか日ロ関係はないわけですから、そのことは非常によく分かってロシアもいるわけでして、それを日ロ行動計画に沿って進めながら、そういった平和条約がなければそうならないんだということを我が国として言っているということであります。粘り強く交渉していくことが必要だと思います。
  139. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 議連の皆さんの活動には私も大変関心を持ってフォローさしていただいておりまして、昨日袴田先生お呼びになって意見を聞かれたと。その結果も私聞いております。そこの中で委員指摘のようなポイントが出たということでありまして、これは傾聴に値するなと私は考えております。  もちろん、ロシア政府の立場、今、川口大臣が言ったような形でありまして、この領土問題そして平和交渉の問題をしっかりロシア政府としてとらえているということだと思いますが、しかし、ロシア全体を見ますとそれは様々な意見もあると思います。そこの中で、例えば経済が先行してそれで大丈夫なんだと、そういう意見があるとしたら、それは誤ったメッセージですよと、そういうことをきちんと日本政府として伝えていく必要があるなと考えております。
  140. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 結構です。日本の政府としてしっかりとメッセージを私はやはり送らなければいけないというふうに思います。  その中で、昨日、川口大臣が電話で会談をされたという新しい外務大臣のラブロフ新外相、彼が領土問題はロシア憲法が指針だというふうにはっきり答えているわけでございますが、川口大臣と多分電話会談した直後だと思います。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  大臣、この新外相の発言、領土問題での譲歩は極めて困難だというメッセージを送っているわけですが、それに対してどのようなふうな御意見ですか。
  141. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ラブロフ新外相がそういうことをおっしゃったということは間接的に聞いております。もちろん、これは交渉事でございますから、それは双方それぞれの思いがあっていろんなことを言うということであると思います。そういった発言一つ一つというのはそれなりの多分意図を持って発言がなされているというふうに理解すべきことであって、我々としてもこの問題について一歩も譲るつもりはないわけでございます。  この問題、北方領土の問題というのは国境が画定していないということであります。国境を作る、国境を画定をする、そして平和条約を締結をする、それがあって初めて経済関係なんかも含めて更に日ロ関係一つ上のレベルに行くというメッセージはずっと我が方として発し続けてきているということであって、先方はそういったことを十分に受け止めながら、それはプーチンの発言等にも表れているわけでして、その上で両方ともそれぞれの立場に立って主張をし合い、交渉していくということであると思います。
  142. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、国内法の考えについてお伺いしたいんですが、北方領土への国内法の適用について、平成十四年三月の予算委員会で我が党の峰崎議員の質問に対しての答弁で、これは原則として国内法を適用するが、現実の施政権を行使できない現状においては、法律によっては特別の定めを置いたり解釈をしたりして実際には適用を除外しているという趣旨の答弁があったんですが、その例として相続税法であるとか関税法というものを挙げているんですが、茂木大臣、このほかにどんなものが適用除外になるのか。昨晩のレクの際には、内閣府の北方担当の方がこれは把握されていないと、法務省に聞いてもこれは法務省が把握する立場じゃないということだったんですが、どうなったんでしょうか。
  143. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 昨日から調査をいたしました。  現在分かっている範囲で十五本の法律、これが特別な扱いをしているという形であります。連合国占領軍の行為等に対する被害者等に対する給付金の支給に関する法律であったり、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律、それから水際対策に関連します関税法であったり関税定率法であったりとか、それから外為法の関連のもの、そういったものを含めまして十五本ございます。
  144. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それだけですか。
  145. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 現在調査したところによりますと十五本と考えております。もし御指摘がありましたら、伺いたいと思います。
  146. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨日から調査をされて現在のところは十五本ということですが、私、それがおかしいと思うんです。明日にでも、来週にでも北方領土が返ってきたらすぐ我が国の国土としてきっちりと国内法の枠組みで担保ができるというのを準備をするのが私は政府の役割であり、それを正に統括する役割が大臣の立場だというふうに思うんですが、大臣、どうですか。
  147. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) これは、北方四島に、我が国の固有の領土であると、しかし残念ながら現在、我が国の施政権が及ばないために特別の措置を取っていると。  例えば、北方領土を経由して物が入ってくると、そういうときに関税の徴収をどうするんだとか、それから検疫をどうするんだと、そういうために特別な措置を定めているわけでありまして、返ってきた段階では国内同様の措置が当然取られるということであります。
  148. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 北方領土は日本固有の国土であると声高らかに宣言したり、北方四島を返せというアピール出したり、ロシアと交渉したり、様々なことはいいでしょう。しかし、私は、国内においてきちっと受皿を作っていく、私は若干これ政府の怠慢があるんだと思いますよ。  国民は一生懸命アピールしています。例えば、先日の舛潟裁判。先日、先月の二十四日、北方領土の水晶島で所有をしておりました土地の登記簿に記載された住所の変更申請ですね、いわゆる舛潟裁判ですが、元島民の、もう亡くなられましたが、舛潟喜一郎さんが釧路の地方法務局の根室支局の登記官を相手取って訴えました。これ、最高裁は原告側の上告を棄却しているんですが、茂木大臣、この判決どう思いますか。(発言する者あり)
  149. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 野沢法務大臣でいいでしょう。
  150. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 不動産登記法は法務省所管でございますので、私の方から御答弁をいたします。  北方領土地域に所在する土地又は建物についての登記簿は、現在、釧路地方法務局の根室支局において保管されておりますが、同地域については、戦後、事実上我が国の統治権、行政権を行使することができない状況に置かれまして、不動産登記法に基づく登記ができないことから、現在は同地域に所在する不動産についての登記事務は行っておりません。  御指摘の事件につきましては、このような取扱いに基づいて行われました登記申請却下処分の取消しを求める訴えについて請求を認容する一審判決がされたことから、これを不服として控訴を提起したものでございます。  この点については、控訴審及び上告審において国の主張が認められております。
  151. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この判決に対する茂木大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  152. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 判決についての御説明、今、野沢法務大臣の方からございました。北方四島に施政権が及ばないために様々なことが起こっていると、このことについては極めて残念だと思っております。
  153. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この裁判、一九九六年十一月、一審では原告側が勝っているんですね。それに国が控訴をしている。これ法務大臣、一審で原告側が勝ったと。島民は大変喜んだわけでございます。北方四島返還への足掛かりになるかもしれない、しかし国がこれを控訴をした。これ控訴をした理由を、もう一度分かりやすく説明してください。
  154. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 現在の北方領土の状態が日本の国内法が及ばないということによるものでございます。
  155. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これに対する弁護団や旧島民の反応は、司法も我々を捨てたのかというメッセージでございます。  先ほど行政権が及ばないというふうに大臣おっしゃいましたが、一九六四年十一月十日付けで国は歯舞諸島の建物登記簿の一部について滅失登記を行っていますね。建物がなくなっている事実を法的に手続によって確認しているということは、これしっかり行政権が及んでいるんじゃないんですか。
  156. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 不動産登記制度は、いわゆる不動産取引の安全と円滑を図るための制度でありまして、その根幹である登記簿の記載の正確性を確保するために登記事務を行う登記官に調査などの具体的権限が与えられているところでございます。このような制度の下で登記事務を行うことは、対象となる土地に関する国の統治権、行政権の行使にほかならず、これが及ばない土地を登記事務の対象とすることはできません。  御指摘の件につきましては、昭和三十九年に、歯舞群島に所在する建物の一部につき、従前の登記簿の登記用紙の表題部に昭和三十五年法務省省令第十五附則第五条により建物の滅失を登記するとの記載がされております。  しかしながら、先ほど申し上げました不動産登記制度の本質に照らしますと、北方領土地域に所在する不動産については、その滅失の登記をすることは昭和三十九年当時においてもできなかったものと解され、これらの記載は不動産登記法に基づく登記としての効力を有するものではございません。
  157. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それではもう一点聞きますが、一九八二年以降、北方領土に本籍を置くことができるようになりましたが、これ自由に本籍を北方領土に置けるということは、これはやっぱり行政権がどう考えても及んでいると思うんですが、この点についてはどうですか。
  158. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 戸籍法における本籍は、日本の領土内であればいずれの地に定めることも自由とされていますので、北方領土内を本籍地とすることも可能として取り扱っております。  これに対しまして不動産登記は、不動産の現況を公示するという制度でありまして、現地確認等の必要な調査を行うことが前提とされていますが、我が国の行政権の行使が事実上不可能な状況に置かれている地域においてはこの必要な権限を行使することができないことから、登記事務を行うことができないものであります。
  159. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日本の法律というのはそんな冷たいんでしょうかね。私は、法律というのは日本人を守り、国土を守っていく、そのために法律があると思っています。  そして、北方領土は日本の領土ですから、確かに法務省の心配も分かります。実際に行けない土地を売買されたり相続されたり、様々な問題も起こるでしょう。しかし、私は、基本的に北方領土には国内法を適用して、問題のあるところだけを外しておくという逆の発想で、国を挙げてこの北方領土は日本の領土であり、それを取り返すんだという主張をするべきだと思います。  この原告団や旧島民は、別にこの土地が欲しくて私利私欲でやっているわけじゃないんですね。この問題を提起することによって北方領土が返る手掛かりにしたい。そして、国民にしっかりとメッセージを送りたい。そしてもう一つ、島民はどんどん亡くなっていくわけでございます。高齢化していくわけでございます。いずれ将来、自分の、北方領土が返ってきたときに、自分の子や孫が相続でもめないように、きっちりと登記簿だけは自分の住んでいるところに戻しておきたい。当たり前の国民感情だと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
  160. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 北方領土に対する思いは私も委員と全く同じでございますが、法務省といたしましては、法の趣旨並びに事実に基づいて公正なる判断の下に仕事をしておるところでございます。
  161. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 茂木大臣にお伺いしますが、現在元島民というのは日本にどれくらいいらっしゃって、平均年齢はどれぐらいなんでしょうか。
  162. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 元島民の方は、現在日本に九千人を下回るレベルになっております。平均年齢は七十・九歳だと記憶をいたしております。
  163. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 旧島民から残置財産の現状把握や保全措置の要望が出ているんですが、これに対してどのようにおこたえできますでしょうか。
  164. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 旧島民の皆さんからすると、残置財産をどうするかと、一番重要な問題でありまして、私は先日、根室管内を訪問して、旧島民の皆さんとお会いしたときもそういった問題、指摘を受けたわけであります。この財産権の問題につきましては、領土問題とともに日ロ間においてなお未解決でありまして、平和条約締結交渉において明確にされなければならない問題だ、こんなふうに考えております。  元島民の皆さんの心情、それは察せられるわけでありますけれども、財産権の不行使に関する補償、この問題もあるわけでありますが、これは他との均衡からなかなか困難な問題だ、こんなふうに考えております。
  165. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 国民向けには返還運動をしようと呼び掛けながらも、実は国内的には、法的には全くこの返還に対して準備が私はできているとは思えないわけでございまして、もう一度この北方問題、そしてこの北方領土に対する国内法の問題をこれからきちっと沖北委員会等で議論をしていきたいというふうに思います。  川口大臣にお伺いしたいんですが、そして法務大臣にお伺いしたいんですが、もし、北方領土が返った後、今現在北方領土に住んでいるロシア人の住民たちが引き続き北方領土に住みたいと主張されたら、これはどうなるんでしょうか。
  166. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) お尋ねの点につきまして、北方領土に長期間居住されているロシア人の方々の歴史的な経緯等も踏まえながら、外交交渉を通じまして、これは政府全体として検討すべき問題と考えます。  したがいまして、ロシア人の取扱いがいかなるものになるかは現時点ではお答えをいたしかねるところでございます。
  167. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今法務大臣がおっしゃられましたように、現実の問題として、戦後ずっと六十年近く北方領土に住み続けているロシア人がいると。そこで生まれて育った、あるいは亡くなられた方がいるという事実はきちんと踏まえなければいけないというふうに思っております。  そういったことをきちんと踏まえた上で外交交渉をやっていくということですけれども、具体的にその方たちにどういうふうにそのときしていただくかは、これはロシア側との話合いの中で決まっていく、あるいは決めなければならないというふうに思っております。
  168. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 現在は検討されていないということですが、私は、茂木大臣の下、今年にでも、来年にでも北方領土を返してもらおうという気構えで我々はやっておりますから、検討しておりませんではなくて、すぐに検討をしていただきたい。そして、いつ北方領土が返ってきても何ら心配のないように法整備をしていただくようにお願いをしたいと思いますが。  茂木大臣に最後にお伺いしたいのは、この北方領土に対しまして、一国二制度的な日ロ貿易であるとか経済交流であるとか、そういった特区的な構想を考えておられますでしょうか。
  169. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) これから正に領土問題の解決を図っていくと、そして返ってきた暁には当然あの地域が発展するような様々な施策というのを国として考えていく必要があると思います。
  170. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 戦後六十年たつ中で、どうもこの北方領土問題が私はマンネリ化している、そして返還運動も決して惰性に流されてはいけないということを強く訴えまして、私のこの北方領土に対する質問は終わりたいと思いますので、茂木大臣、ありがとうございました。大臣委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。  次に、難民や定住外国人の点についてお伺いしたいんですが、先日、不法滞在でキンマウラさんがこれ人道上の立場から難民に特別許可をされましたが、これ、キンマウラさんの案件が、ああ、よかったねという話だけにしてはならないわけでございまして、私この問題を見るに際して、この難民問題ではなくて、この国の人口問題、人の流れというのは一体これからどうなっていくんだろうということを大変考えさせられました。  この予算委員会でも様々な議論がされています。少子高齢化の問題であるとか、年金の問題であるとか、労働力の問題であるとか、移民、難民の問題であるだとか、FTAの問題であるとか、そして無論、税の問題であると。しかし、考えますと、これはすべて人の移動にかかわる、働く人間が減ってきているという問題に関連するわけでございまして、私は、この国の形をこれから日本の政治家がどういうふうに考えているんだろうかということを霞が関ではなくて政治家が責任を持ってこれ議論していく必要があると思うんですね。  外国人とこれから共存をしていく日本になるのか、そうでないのか、外国人を、多い方がいいのか少ない方がいいのか、これは政治家としてきっちり日本の国の方向性、責任と覚悟を持って私はもうそろそろ議論するときに来ていると思うんですが、官房長官、どうでしょうか。
  171. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 我が国は、やはり国際社会の中の一員であるということによって我が国を維持し、また国民も高い経済生活を送ることができるという、そういう国家だと思います。  その前提としては、やはり世界が平和でなければいけない、そして自由に往来できるといったようなことも必要なことでありまして、そういうことによって日本は活力を持ち続けてきたんだろうというふうに思います。  これからもそういうことは当然必要なことだし、ましてや、日本の人口はこれから減るかもしれぬというようなときにおいて、今後の日本をどうするかということは大変大事な問題だと思います。  そのことから、我が国は国際国家として生きていくのかどうかということで、その中身が一つ問題になるわけですね。特に、単に物や金とかいうだけでなくて、人の交流というようなものがどういうような位置付けがなされるべきなのかということ、正に委員おっしゃるように、これは大変大事な議論であるし、また難しい議論なんですね。もう本当に人様々な考え方を持っておりますので、この辺は正に国会でもって十分な議論をしていただきたいというように思っております。  私、正直に申しまして結論、方向性に対する結論というのは持っていません。難しいんでなかなか分からない。しかし、国際社会の中において日本が孤立するようなことがあってはならないし、また、日本人として国際社会に対する理解というものも十分持っていなければいけない。そうしないと、やはり経済生活も、経済生活と申しますか、経済関係もうまくいかないんではないかというように思います。  その辺のことをどうするか。大いに、特に若い先生方には大いに議論していただきたい問題だというふうに思っております。
  172. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 資料を配付してください。    〔資料配付〕
  173. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これは若い議員もそうでない議員もみんな一緒に考えてもらわなければならない問題なんですが、私は、FTAの問題であるとか、有事法制の問題であるとか、年金の問題であるとか、各省庁から様々な御指導を賜ってレクを受けます。それで感じるのは、それぞれの省庁で非常に外国人の受入れや外国の人たちとどう共存していくかという考え方が大分違うんですね。  これ、なかなかどの委員会で質問していいか分からなかったのですが、今日、せっかく予算委員会でチャンスをいただきまして、ちょっと子供のようなパネルで申し訳ないんですが、こちらに、私、何々省大臣もしくは副大臣は、何々の理由で、どんな外国人が、日本に、より多く若しくは少なく入ってくるような政策を推進しますというようなパネルを作ってまいりました。(資料提示)  テレビの「笑点」のようで大変申し訳ないんですが、これ、即興で各大臣ちょっとお答えいただきたいんですが、私、大変僣越ですが勝手に例を示したいと思いますが、亀井先生には大変申し訳ないんですが、私が農林水産大臣になったことを想定いたしまして、私、農林水産省大臣榛葉賀津也は、地域の担い手育成が推進していない、もしくは農業の担い手が少ない理由で、健康で元気で有能な外国人がより多く日本に入ってくることを希望しますというふうに、農業の立場からですとこういうことも言えるわけでございます。そして、国土交通省の関係で言うと、私、国土交通大臣は、観光立国を推進する理由で、たくさんの外国人が入ってくることを希望しますということも言えるかと思います。  しかし、国家公安や警察では恐らく逆なことになってくるんだろうと思いますが、これ、財務大臣、どんな国を財務省とすると希望されているんでしょうか。
  174. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財務省としてというのはちょっと言いにくいんですが、あえて財務省、財務大臣としてお答えするとすれば、やっぱり人材と資本の交流を促進する政策を取らなければいけないんじゃないかと思っております。  先ほど、税のこともちょっと言われましたが、私は、そのために税は大事な手段だと思っておりまして、日米租税協定というのを改定いたしましたけれども、これは日米だけではいけないので、もっとほかの国にもこういう形で資本と人材の交流が促進されるような仕組みを推し進めていきたいと思っております。
  175. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 引き続き、厚生労働省と経産省にお伺いしたいと思います。  個人としての考えで結構でございます。
  176. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) はい。  先生の質問、非常に難しくて、一言で言えるものじゃないと思いますけれども、今、先ほど言いましたように、やっぱり国家としてどうだという問題もあろうかと思いますけれども、いずれにしましても私、厚生労働大臣といたしまして、経済の活性化をやっていくと、それと同時にまた国際交流を更に進めていくんだと、こういう観点から、いわゆる専門的な、あるいは技術的な外国人労働者を積極的に受け入れて、日本を大いに富を更に富める国にしていく、そういうことが非常に大事じゃないかと、こういうふうに思っております。
  177. 坂本剛二

    ○副大臣(坂本剛二君) 書式どおりに答弁させていただきます。  私、坂本剛二経済産業省副大臣は、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図るとの理由で、専門的、技術的分野の優秀な外国人が、より多く入ってくるような政策を推進します。
  178. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大変ありがとうございます。  大変皆さん積極的に外国人の方を受け入れようというようなことでございますが、これやはり私は、政治家の覚悟とこの国の方向性をどう考えるかということなんだろうと思います。  とみに年金の問題を考えるときに、私はこの壁にぶち当たりましたし、自分も外交問題をやっていて、常に外国人の存在、この国はどういう国としての形を作っていくんだろうかという問題を常に考えております。  先日も、パートタイマーや臨時雇用の話がありました。外国人の雇用もたくさんあるわけでございまして、いわゆるアウトソーシングで働いている方々がたくさんいらっしゃる。そして、この外国人労働者が、実は年金を払っていらっしゃらない方がたくさんいらっしゃる。理由は二つあるんですね。事業主側も事業負担を支払いたくない、そして外国人労働者も、いずれ将来自分が年金もらえないのが分かっていますから、お金を払うのはもったいない。しかし、健康保険には入っていたいと。  この矛盾がありまして、しかし、結局保険にも入らずに、いざ病気やけがになったときにどこにしわ寄せが行くかというと、地方自治体がこの泥をかぶっているわけでございまして、臨時で国民健康保険に入ったことにして地方がこの面倒を見ているという状況があるわけでございますが、厚生労働省並びに総務省にこの問題について御認識をお伺いしたいと思います。
  179. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 公的年金制度というのは、日本に住んでおられる外国人も日本人と同じように適用していただくと、こういうことになっておるわけであります。  やはりいわゆる医療保険もそうですけれども、外国人といえども病気になったりいろいろするわけでありますけれども、そういうときにはやはり多額の費用が掛かるということで、やはり保険が入っておるということによってその人の社会保障的制度から見ても助かる、こういう観点からそういうことになっている、こういうふうに思います。  それと同時に、今先生おっしゃいましたように、二十五年間そうしたら外国人労働者がずっと掛けられるのかと、途中で何らかの事情で帰ってしまう場合あるじゃないか、その分はどうなるのか、こういう点があろうかと思います。これもやはり障害給付だとかあるいは遺族給付という、そういうことも起こり得るということで、公的年金制度の適用を除外することは適当でないと、こういうような観点に立っておるわけでございます。  それともう一つ、途中で帰られる場合は脱退一時金というものが支給されておりますので、あるいはそういうことになっておるということを申し上げておきたいと思います。  あとは、もう先生御存じのように、日本と外国との条約といいましょうか、二重払いというものをどういうように合算していくか、こういうことができるということでありますので、そういう点も大いに活用していくことが大事じゃないかと、このように思います。
  180. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この話は、総務省として答える場合は、基本的には地方財政をかなり逼迫させる要因になっておることは確かです。  これは結構昔からございまして、バブル最盛期のころはこれは各省庁が全部でやったんですけれども、特に埼玉県なんていうのはえらい目に遭ったところですよ。ここに責任者がいらっしゃいますけれどもね。私も埼玉の川口は随分行きましたから。  あのとき、各省庁縦割りでやりますと、けがした場合、勤務中なら労働災害、通勤中なら交通事故です、とすれば自治省管轄の消防庁等々で、もう管轄がばらばらになりますのでもうとても対応できないということで、これ、丸々一年間、もうこの担当の委員会を責任持たされましたんで、これは榛葉先生えらい詳しいんですが。  正直言って、例えば栃木県の、太田とか大泉とか、多分人口、労働人口の一割を超えたと思いますね、もう。そこらのところではこの問題は大変でして、同じ国からだけならいいんですが、そうじゃない方には、マンションの中でたき火をしないでくださいというのをペルシャ語で書いて出せと言われて、だれが書けるんですというと、その通訳代はだれが払うんですというと、その太田市役所が払うというのを毎週やるととても金掛かって大変だから何とか政府で金払えという話のように対応するようには我が国はできておりませんから、そういった意味では、これは、より多く入ってきてもらったら甚だ地方はえらいことになっちゃうということになるんだと思っておりますんで、そういった意味では、ある程度日本語の理解できる方に入ってきてもらわぬと非常に地方は困っちゃう。  傍ら、現場じゃ結構できておりまして、埼玉に見学に行きましたときには、とにかく大工の棟梁が、壁土塗っている人には中国語で、リベット打っている人には英語で、そしてもっこを担いで、しているフィリピン人にはタガログ語で、ちゃんと一人で四つも、三つぐらい言葉をぺらぺらしゃべって、代議士は何か国語できるんだと聞かれて非常に恥じ入ったことがありますけれども、それぐらい現場は既に対応しておるという事実もそこにはある。  そういったのを全部突き合わせた上で、自治省といたしましては、これは正直申し上げてその種のところの対応というのは、今特別交付税でいろんな形で面倒見ておりますし、また各地方団体におきましては、ポルトガル語の講座等々いろいろやっておられるのも事実なんで、こういったものは今、徐々にではありますけれども、そういった対応が少しずつでき上がりつつある。  かつ、インターネットでいろいろ始まりましたんで、そのインターネット間で、こういう単語はこういう具合にして書けばいいというような情報交換も各市間でやっておられる、町もありますんで町間でやっておられるというところが現状だと存じます。
  181. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 全国十三の自治体が外国人集住都市会議というのを作りまして、総務省にこのような提言を出しているわけですが、中には人口の一〇%以上が外国人と、ブラジル人という地域もたくさんあるわけでございまして、厚生労働省に至っては、この保険と年金の別建ての方式であるとかというものを私はこれから外国人に対しては考えていく必要があるんではないか。  そして、これは浜松市の例なんですが、日系ブラジル人の子供が勉強する場合ですね、このブラジル人学校に行きますと月に四万九千円くらい掛かるんですね。普通の学校の約八倍近い値段が掛かるということで、ここで浜松市が厚生労働省の補助金制度、これはどんな補助金かというと、市町村緊急地域雇用創出特別対策事業と、これ、特別、雇用を作っていくという厚生労働省のこの制度に乗ってブラジル人学校の先生を雇用し、ブラジル人学校を作って、浜松で働き、また学んでいる子供さんに学校を提供していると。しかし、この制度は三年しか駄目なものですから、極めて短期的なその場しのぎの制度であります。  こういった具体的な提案がもう現場では、どんどんどんどん地方自治体では進んでいるわけでございますが、制度や国が私はその実態に付いていっていないというふうに思いますが、総務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  182. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今NHKでいろんな番組をいろんな言葉で、ちょっとイスラエル語どうなっているか知りませんけれども、やっておるんですが、ポルトガル語はやっておらぬのです。現実問題として、NHKのいろんな言葉の番組を流すのに是非ポルトガル語を入れてもらいたいと、ブラジルで、実際やったんですが、ポルトガルのポルトガル語だったもんだから全然通じなかったという、これは本当の話ですから。それで、ブラジルのポルトガル語にまた番組を撮ると。  いろいろこれ、この十何年でいろいろさせていただいたんですが、今、例えばポルトガル語でいって、多分、群馬県の太田、大泉、この辺が多分人口比日本一というところだと思いますが、こういったところで毎週日曜日に三時間のポルトガル語の番組を放送し、交通ルール、ごみの出し方、税金、教育、医療など生活に密着した情報を提供しているというのがおおたコミュニティ放送を設立した太田市周辺の話なんです。  これは一つのささやかな例で、浜松はこの間伺いましたけれども、言われたとおり浜松も猛烈な勢いで人が増えていますので、ここのところも同じように、同じ、明日からごみの収集日は火曜日から木曜日に変わりますとか水曜日に変わりますとかいう紙一枚を五か国語も六か国語でも刷らないかぬというのは、その分だけコストが掛かりますので、なかなか経費が高いというのに対応するためには、これはある程度、そういったものが今回の行政手続オンライン化法によって、一つのところからこういった文章を入れればさっと出てくるようなことには、ほかの市のところを参考できるような形になったり、いろんなことが安くなるとは思いますけれども。  いずれにしても、こういうような人口増というものは今までの行政の中では余り深く考えてきておりませんし、また各省庁縦割りでやってもなかなかうまくいかない分野でもありますので、これは政治の場面で真剣に考えておかないと、将来禍根を残す問題だと存じます。
  183. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 国民保護の問題や入管の問題等、様々な質問を用意しており、また通告をしましたが、時間がなくなりました。準備をしてくださってお伺いすることがなくて大変申し訳ありませんでしたが、後日に質問を譲りたいと思います。  この委員会で年金問題やFTAの問題、それから有事法制や地方分権、様々な問題を語るときに、私は、それぞれの話も大切ですが、やはりきちっとこの人の流れ、この国をどういう形につくっていくかという問題を議論しなければいけないんだろうというふうに思います。  今年はペリーが来航して百五十周年。百五十年前は日本は鎖国政策でございました。この百五十年で大きく日本の形が変わってまいりました。これからどういう形の国をつくっていくか、私自身もしっかり勉強していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  184. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で山根隆治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  185. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、草川昭三君の質疑を行います。草川昭三君。
  186. 草川昭三

    草川昭三君 公明党の草川でございます。  最初に、港湾の問題について御質問したいと思います。  近年、日本の港湾は香港やシンガポールなどアジアの主要港に比べてコンテナの取扱いのシェアというものが大幅に低下をしています。こういうことに対しまして、国は全国で数港を国際コンテナの拠点港として育成をする計画を立てておりまして、港湾コストの三割削減などを目標とするスーパー中枢港湾育成プロジェクトというのをかつて打ち出したわけであります。水深十五メーターを超える大水深の岸壁や奥行き五百メーター以上の大規模なコンテナヤードを有する次世代のコンテナターミナルを整備をする方針を打ち出し、本年三月、今月中でございますが、候補港の評価案をまとめる予定になっておるわけでございますが、今日までその結論が公表をされていない、こういうことでございますので質問をさせていただくわけであります。  まず、日本にコンテナ港と呼ばれる港は幾つあるのか、また、アジアの主要港のコンテナの取扱量と比較をしますとどういう実態なのか、さらに、これらの港が、コスト及びサービス水準という観点から見ますと海外の港に比べ大変低い、能力が、国際競争力の点でも劣っていると言われますが、どのようなことかお伺いします。
  187. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  我が国におきまして基幹航路が寄港をいたしますいわゆるコンテナ港湾といたしましては、東京湾、大阪湾、伊勢湾の三大湾に加えまして北部九州の四地域に中枢国際港湾を、そしてこれを補完する形で全国八地域に中核国際港湾を配置をしてございます。  今、委員の方からアジアの主要港におけるコンテナ取扱量についてのお尋ねがございました。一昨年のデータでございますが、コンテナの取扱量で見ました世界の第一位は香港でございます。年間の取扱量、二十フィートのコンテナ個数で、二十フィートのコンテナに換算をいたしまして千九百十四万個という大きな数字になってございます。第二位はシンガポール港の千六百八十万個、第三位がお隣韓国の釜山港の九百四十四万個となってございます。一方、日本の港湾で世界における順位が最も上位にあるのは第二十位の東京港でございまして二百七十一万個となってございます。ただ、先ほど言いました東京湾全体で見てみますと年間五百十万個ということで、世界で第十位にランクをされるということになります。  以上申し上げましたように、近年のアジア、特に我が国を含みます東アジア地域における港湾間競争、大変激しいものがございますが、この中で、我が国の港湾は相対的にその地位が低下をしてございます。これはアジア地域の急速な経済成長及び我が国製造業の海外移転の進展という経済あるいは貿易構造の変化に加えまして、我が国港湾のコストが釜山港などに比べて二、三割高いことや、船が港に入りましてからその引取りまでの時間、我々リードタイムと呼んでおりますが、これが例えばシンガポールの二十四時間以内ということに比べまして現状で三日強掛かる。そういう意味でのコストを含めたサービス水準の低さが原因であるというふうに認識をしております。
  188. 草川昭三

    草川昭三君 今の答弁を聞きますと、我が国の主要なコンテナ港の相対的な地位が低下をしているという答弁であるということがよく分かったわけでございますが、施設についてちょっとお伺いしたいと思うんですが、我が国の岸壁は老朽化をしたり小規模であったりして、大型化が進むコンテナ船への対応が今日の物流の動きに対応できないのではないかと、こう思うんでございますが、先ほど言われましたアジアの主要港に比べた施設の現状はどうなっておるのか、お伺いをします。
  189. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お尋ねのございましたまずコンテナの取扱量の趨勢でございますが、我が国の港湾全体で見てみますと、コンテナの取扱量、二十年ほど前の一九八〇年においては三百四十二万個でございましたが、一昨年の二〇〇二年には千三百五十万個ということで、約四倍に増加をしております。  しかしながら、その期間における数字は、香港で見ますと約十三倍、シンガポールでは十八倍、釜山港でも十五倍ということで、大変大きな増加率を示してございます。その結果、順位におきましては、一九八〇年当時、神戸港が世界の第四位でございましたが、二〇〇二年には第二十九位まで低下をしておりまして、委員指摘のとおり、そういう意味で港湾の相対的な地位が低下をしているというのが現実の姿でございます。  また、二点目のターミナルの規模で見ますと、単一のターミナルを、ターミナルを単一のターミナルオペレーターが運営しているものといたしまして、我が国の今あります最大のコンテナターミナルであります横浜港の南本牧の埠頭につきましては、規模が、長さで七百五十メートル、奥行きが五百メートルございまして、面積にいたしますと三十七・五ヘクタールになってございます。これに比べまして、一例でございますが、シンガポールのパシルパンジャンという地区のコンテナターミナルは、延長が二千百四十五メートル、面積にしますと八十四ヘクタールということで、三倍の、三倍近い規模になっているという姿になってございます。
  190. 草川昭三

    草川昭三君 今の数字、これは本当はグラフでも出していただくとぴんとくると思うんですが、それほど実は日本の港湾というのはアジアの諸港に比べて大変劣化をしておるということの答弁だと思うんです。  それで、第九次港湾整備七か年計画というのがあったわけでございますが、これが平成十四年度で計画期間が終了をしております。  それで、先ほども言われたんですが、日本の港の弱点は、依然として効率性が悪いということがあると思うんです。その理由の一つは、コンテナターミナルには複数の荷役業者が入っておるわけでありますし、それぞれのシステムでコンテナの荷役を行っている。事業者の枠組みを超えてターミナルの運営を一体化するというような考え方が必要であると思うわけでございますし、そういうシステムの一層の機能向上を図らなければ日本の港の地位の低下は防げないと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  191. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) お答えいたします。  先生ただいま御指摘されましたように、我が国のコンテナターミナルにおきましては、船社ごとに港湾運送事業者が縦割りでコンテナ荷役を行っているという例が多いということは事実でございます。  一方、平成十二年十一月から主要九港につきまして港湾運送事業の規制緩和というのを実施いたしましたが、その中で荷役作業の共同化というものも推進しておりまして、現に名古屋港の鍋田埠頭や博多港のように、港運事業者が複数、共同でコンテナバースを借り受けた上で、共通のゲートシステムや情報システムの下で一体的なターミナル運営を行い、より一層の荷役の効率化とこれに伴うコスト低減を図っているという例も出てきているところでございます。  現在、検討が進められておりますスーパー中枢港湾構想では、大規模なターミナルオペレーターの設立による複数のターミナルシステムの統合やターミナルのIT化、自動化が重要な課題となっております。  私どもといたしましては、港運事業者、港湾管理者とも協力しながら、スーパー中枢港湾構想の具体化に取り組みまして、その中でコンテナターミナル運営システム機能の一層の向上を図ることにより、ターミナルコストの低減や荷役の迅速化といったことを実現して、国際競争力の確保に努めてまいりたいと考えております。
  192. 草川昭三

    草川昭三君 今の答弁に若干重複するわけでございますが、昨年の三月に、今答弁がありましたスーパー中枢港湾の候補として東京港、横浜港、阪神港、名古屋港、北九州港、博多港の五つが候補に選定されたということだと思うんです。  これらの候補は、次世代高規格コンテナターミナルとしてアジアの主要港をしのぐコストとサービス、すなわち港湾コストは現状より三割は削減することを目標、あるいはリードタイムは現状三日間から四日間掛かっておるのを一日程度まで短縮させるといった明確な運営目標を掲げまして、その実現に向けた施策の検討を進めていると今の趣旨は、答弁があったと思うんです。  一方、企業の国際競争にとっては国際コンテナの物流が果たす役割は非常に大きい。特に、中国を始めアジア諸国との間で、原材料や半製品、完成品を安く、そして非常に数が多く、効率的に輸出入をするということは今後の企業活動にとっては私は不可欠だと思うんです。  そこで、国交省はこれまでの、率直に申し上げますけれども、港湾政策の誤りや立ち後れを認めて、そしてコンテナの岸壁は、先ほど答弁があったように、思い切って一千メーター以上、それから水深は十五メーター以上、コンテナヤードの奥行きは五百メーター程度、年間のコンテナの取扱いは少なくとも、これは専門用語になりますけれども百万TEU、コンテナの数のことを言うわけでございますが、大規模な次世代型の高規格ターミナルの整備が私は必要だと思うわけであります。同時に、その広いターミナルに荷物、コンテナを動かすにはどうしても情報通信基盤の強化が必要になりまして、ターミナルの高付加価値を進めることが必要だという考えを私どもは持っておるわけです。  そのためには、現在候補になっている港の検討に速やかにこたえて、早期にスーパー中枢港湾を選定する、選ばなきゃいけない。港湾投資の選択と集中を急ぐべきではあると思うんですが、その検討は一体どこまで進んでいるのか。私が言いましたように、作業部会は本来は三月中に結論を出すということになっているんですが、どうなっているんですかという質問をしたいと思うんです。
  193. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) スーパー中枢港湾構想に対する現在の検討状況あるいは指定の時期についてのお尋ねでございますが、ただいま委員のお話にございましたように、昨年の三月にスーパー中枢港湾の候補として、今お話のありました五つの地域といいますか港を選定をしたところでございます。今、それぞれの候補の地域におきまして、スーパー中枢港湾の目標を実現するためのアクションプログラムと申しますか、スーパー中枢港湾育成プログラムの検討を進めていただいておりまして、その締切りが今月末になってございます。  現在、各候補が育成プログラムの最終の詰めといいますか、さらに関係者間のぎりぎりの調整を行っているところでございます。その後、私どもに提出をいただきますと、スーパー中枢港湾選定委員会というものがございまして、その委員会におきまして、私ども示しております指定基準への適合性などにかかわる検討、審査を行っていただきまして、それに基づいて我々としてもできるだけ早期に判断をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  194. 草川昭三

    草川昭三君 今のアクションプログラムの答弁があったんですが、実はその中に提出者の方は、コスト削減の効果として東京は二九%削減できますよ、横浜は二五%削減されますよ、名古屋は三六%削減をすることができますよ、神戸は二六%、北九州は二五%、博多は二一%引き下げることができるという試算値も既に示されておるわけですから、せっかくそういう熱意があるところでございますので、先ほど申し上げておりますように、三月中にとは言っていますけれども、私どもが聞いている話では三月中には難しいだろうと、四月に越すのではないだろうかと言われておりますが、是非私は進めていただきたいと思うわけでございますし、しかも平成十六年度の予算には、このスーパー中枢関連港湾の予算に約五億円、私、弱と、こう聞いておりますが、五億円弱が計上されておりますけれども、この予算をどう使うのか。あるいは港湾物流情報プラットホームの開発のような港湾の情報化の推進もこの中に入れていくのか。早くこれを進めていかないとせっかくの予算が私はうまく消化されないのではないかと思うので、その点についての質問を行う次第でございます。
  195. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  スーパー中枢港湾におきましては、先ほどお話をいたしましたように、お隣の釜山港などアジアの主要港との競争に向けて必要な規模や機能を有する次世代の高規格コンテナターミナルを形成をして、それを単一の民間オペレーターによる効率的な運営を実現をしたいというふうに考えてございます。  このため、今委員よりお話のありましたように、十六年度予算では約五億円を用意をしたいというふうに思ってございまして、ターミナルの運営システムの統合あるいは大規模化や、貨物の搬出入システムのIT化などによりまして、ターミナル利用の高度化及び物流の効率化の効果を明らかにするための社会実験を実施することにしてございます。  また、お尋ねのありました港湾物流情報プラットホームにつきましては、この社会実験の実施によりまして、なお導入に一層促進されるものというふうに考えてございます。
  196. 草川昭三

    草川昭三君 中部圏の物作り産業のサプライチェーンの拠点として伊勢湾も手を挙げておるわけでございますが、その際、名古屋港のみならず、四日市港を含めた伊勢湾の物流機能が相互に補完し合う形でそれぞれの能力をフルに発揮する必要が私はあると思うんです。  スーパー中枢港湾では、そのような港湾の広域連携についてどのように位置付けられておるのか、お答えを願いたいと思います。
  197. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えをいたします。  港湾の広域連携についてのお尋ねでございますが、スーパー中枢港湾におきましては、ターミナルごとの機能分担の明確化や投資の効率化などを促進するために、複数の港湾管理者等が広域的な連携を実現をしてもらうように私どもから強く求めているところでございます。  御指摘の伊勢湾、伊勢湾地域におきましても、コンテナ物流機能を有します港として、お話のありました名古屋港と四日市港がそれぞれ伊勢湾の湾奥部に隣接をして立地をしてございます。現在、そういう中で、それぞれの港の港湾管理者であります名古屋港管理組合と四日市港管理組合がスーパー中枢港湾育成プログラムの検討を共同で行っておりまして、その中で機能の適切な分担、情報の共有化あるいは災害時の相互補完、そういった連携を促進をしようということで検討を進めておられるというふうに聞いてございます。  私どもといたしましても、そういった連携が図られることが極めて重要であるというふうに、かよう認識をしているところでございます。
  198. 草川昭三

    草川昭三君 これは最後に大臣にお伺いをしますが、日本からの輸出貨物がハブ港として韓国の釜山港や台湾の高雄港に流出をしておることは事実だと思うんです。それで、これに対しては、やはり国が強力なイニシアチブを発揮して、港湾に関係する官民が一体になり、日本港湾の地位の再浮上を図るためにこのスーパー中枢港湾の政策を是非推進をしていただきたいと思うわけです。  特に、日本の港湾運送事業については、港湾の労使間の合意によりまして、港湾荷役は三百六十四日間、二十四時間フルオープンで実現をするということになって今日に来ておると思うんですが、今後の港湾の競争力を一層充実し、海外港湾との国際協力に打ち勝つためには、なお一層国のイニシアチブと港湾関係者の強力な取組が必要だと思うんですが、その点について大臣から答弁願いたいと思います。
  199. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 時間が来ましたから簡潔に。
  200. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が御議論をいただきましたように、国際スーパー中枢港を構想しておりますのも、やはり近隣アジアの釜山あるいは上海、あるいは香港というところにいつの間にか負けてしまって、施設が老朽化し、さらにはテリトリーが分かれているということで共同に作業がなかなかできない。  そんな中で、今委員が御指摘されましたように、港湾荷役の方の三百六十四日あるいは二十四時間フルオープンなど、このままじゃいけないという動きが出てまいりまして、これに呼応する形で通関体制の整備や輸出入・港湾関係諸手続のワンストップサービスというものを始めまして、我が国の港の国際力強化に今全力で取り組んでいるところでございます。  しかし、現状は、先ほど政府参考人の方から答弁をさせていただきましたように、アジアの地域に、ますます差が出るぐらいに向こうも必死になっている。そんな中で、スーパー中枢港というものも選択と集中という考え方に基づいて、委員が今御指摘されましたように国の強いイニシアチブによりまして、積極的にこの構想を推進し、世界の港湾、特に東アジアの港湾に、ハブ港としての機能を取り戻す意気込みで取り組ませていただきたいと思っております。
  201. 草川昭三

    草川昭三君 最後に、総務大臣に一問だけ。  三位一体の改革等で大変、昨日も委員長の御指摘もあったわけでございますが、格付会社が地方債を格下げする旨の報道が随分出ておるわけでございますけれども、この件について、勝手格付だというような言葉もございますが、大臣見解を賜って終わりたいと思います。
  202. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 時間も来ているようなので手短に。  そんなことはありません。
  203. 草川昭三

    草川昭三君 じゃ、以上で終わります。
  204. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で草川昭三君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  205. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、岩佐恵美君の質疑を行います。岩佐恵美君。
  206. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 ジュゴンが生息している沖縄辺野古の海域に普天間代替の基地建設が計画をされています。国内外でこのような基地建設に対して大きな批判が広がっています。今日は、世界北限の沖縄のジュゴンについて伺いたいと思います。  環境省は三年越しで調査を行っております。現段階の状況について御報告いただきたいと思います。
  207. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいま御指摘ございましたように、平成十三年度から十五年度にかけてジュゴンと藻場の広域的調査を実施してきたところでございます。  もちろん、目的はジュゴンの全般的な保護方策を検討するための基礎情報の収集ということでございますが、これまでセスナ機から、ですから上からの目視調査によって沖縄本島周辺で延べ十二頭の遊泳中のジュゴンを確認をいたしております。また、海草藻場のジュゴンのはみ跡、食べた跡については、名護市の嘉陽の沖合、そして古宇利島付近などで、合計六地点で確認がされております。また、ジュゴンのものと思われるふんも収集いたしまして、ジュゴンは沖縄本島周辺に広範囲に、かつ極めてまばらに生息をしているという状況がこれまでのところ分かっております。  本年度は調査の最終年度に当たっておりますが、これまで集めました情報の分析、取りまとめを行いまして、できるだけ早く報告書を作成していきたい、こう考えております。
  208. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 ジュゴンは天然記念物に指定をされています。文化庁としてジュゴン保護のためにどう対応してこられたのか、御報告いただきたいと思います。
  209. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) こっち、こっち、はい、こっち。あなた偉いのよ。
  210. 田村憲久

    大臣政務官(田村憲久君) どうも失礼いたしました。  先生おっしゃられましたとおり、ジュゴンに関しましては、文化財保護法に基づきまして昭和四十七年に天然記念物に指定をさせていただいておりまして、その法律にのっとって現在保護をいたしておるわけでありますけれども、何分ジュゴンに関しては各省庁と非常に連携をしながら保護をしていかなければならない、そういう課題がございまして、現在各省庁としっかりと連携をして保護をさせていただいておるというような次第でございます。
  211. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 水産庁として、混獲を防ぐということで取り組んでいるはずなのですが、どう取り組んでおられますでしょうか。
  212. 田原文夫

    政府参考人(田原文夫君) お答えいたします。  漁業とジュゴンとの関係でございますが、定置でございますとか刺し網に掛かる可能性があるということで、平成十三年度以降でございますが、内閣府の沖縄特別振興対策調整費、こうしたことを使わさせていただきながら、漁具によりますジュゴンの偶発的捕獲防止のための技術開発あるいは藻場、えさになります藻場造成技術の開発、こういったことを取り組んでおります。  今後とも、環境省を始めといたしまして、関係各省庁と連携しながら、引き続きジュゴンと漁業の共存と申しますか、そうしたことのために取り組んでまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  213. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 ジュゴンはかつては南西諸島に広く生息をしていました。しかし、現在では沖縄本島のみにせいぜい数十頭しかいないという状況にあると言われます。これまでジュゴンが年間を通じて見付かっているのは東海岸だけです。辺野古周辺の海はジュゴン生息地の、生息域の中心に当たります。辺野古の海草藻場には、先ほど環境省の調査以外にも、今年一月に日本自然保護協会の調査でもジュゴンのはみ跡が見付かりました。(資料提示)  これがパネルなのですが、皆さんのお手元には資料がお配りをさせていただいております。この四角いピンクのがジュゴンによるふんの発見位置で、そしてこのグリーンがジュゴンのはみ跡の位置でございます。そして、これが自然保護協会のはみ跡の位置が今年に入って発見されたということです。後でここのところは、この四角は説明いたしますけれども、基地が予定されている、海上基地が予定されている、そういうところでございます。  実は、この辺はもうジュゴンが随分いて、安部オールの、安部オール島近くで一週間で三頭が観察されました。つい最近も大浦湾の入口を泳いでいるジュゴンの姿がテレビで放映されています。ここには、沖縄でジャングサ、つまりジュゴンの草と呼ばれる海草の良好な藻場があります。そのためにここでジュゴンが奇跡的に生き残ってきたわけです。ジュゴンの生息にとって一番大切なところであります。  正に、ここに政府は、長さ二千五百メーター、幅七百三十メーターの大きな飛行場を造ろうとしているわけです。  防衛施設庁は、沖縄のジュゴンについてどう認識をしておられるでしょうか。
  214. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) ジュゴンにつきましては、文化財保護法に基づく天然記念物に指定をされておりますし、ワシントン条約におきましても絶滅のおそれの高い種であるということで、原則国際取引が禁止をされている、国内的にも国際的にも保護が図られるべき種であるということでございます。  また、沖縄本島周辺海域に生息をするジュゴンにつきましても、世界的分布の北限ということで、個体数が極めて限られているといったようなことを私どもも承知をいたしております。
  215. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 ジュゴンを、沖からリーフの切れ口を通って、いわゆる口と言われていますが、そこを通ってリーフ内に入ってきて海草を食べていることがはみ跡からも確認をされています。  リーフを埋め立てる巨大な基地建設とその使用がジュゴンの生存、生息環境に重大な影響を及ぼす、このことは明らかだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  216. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) 普天間代替施設の建設につきましては、これ平成十一年末の閣議決定をいたしましたこれは政府方針、あるいは一昨年の七月に代替施設の基本計画、これを策定をいたしておりますが、そのいずれにおきましても、地域の住民生活や自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うということになっているわけでございます。  とりわけジュゴンにつきましては、藻場の減少などの影響が考えられるわけでございますが、今後、代替施設の建設を進めるに際しましては、環境影響評価を適切に実施をし、その影響が最小限になるような対策を講ずるということで、ジュゴンを含む自然環境への著しい影響を避けるための最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  217. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 二〇〇〇年の世界自然保護連合、IUCNの決議が日本政府に求めたジュゴン保全対策、これはできたのでしょうか。
  218. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 御指摘の二〇〇〇年の勧告決議は、沖縄のジュゴン、ノグチゲラなど、数少ない野生生物保護への国際的な関心の高さを表したものと受け止めておりますが、具体的には、勧告は、ジュゴンの保護に関しては、ジュゴンの生息地及びその周辺の軍事施設の建設に関する自主的な環境影響評価を可能な限り早期に完了すること、及びジュゴンの更なる減少を食い止め、その回復を支援するジュゴン保全措置を可能な限り早期に実施することが要請されていると受け止めております。  普天間飛行場代替施設の建設に係る環境影響評価については、現在、防衛施設庁においてその準備を進め、この勧告を踏まえ、平成十三年度からは、大臣から申し上げましたけれども、ジュゴンと藻場の広域的調査を環境省としても実施しているところであります。沖縄本島周辺のジュゴンに係る全般的な保護方策を検討する旨、今現在、情報を収集しているところであります。この結果、この地域のジュゴンは広範な海域にまばらに分布していることが今までのところ分かっております。  これを踏まえ、長期的な視点に立った保護の取組を進めるためには、移動経路や繁殖に関する生物学的な知見の集積などに加え、漁業従事者を始めとした地元関係者の理解や協力体制を築くことが重要なかぎであると考えているところであります。
  219. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 三年以上たつのにまだ何もできていないわけですね。一方、基地建設計画はどんどん進行しています。  環境省は沖縄の周辺にまばらにいるというふうに言いますけれども、環境省のその調査、あるいは限られた調査、それでそういう話をしているのであって、現地のNGOの皆さんが調査をしたところによれば、東海岸、辺野古、そして、大浦湾はちょっと深いですから通り越しますけれども、嘉陽と、そういう地域に非常に四十何回も目視が、観察がされているということがあるので、そこのところはきちっと踏まえて正確に私は評価をしていかなければいけないというふうに思っております。  今年の秋の十一月にはIUCNの第三回会議がタイのバンコクで開かれます。それに向けて、前回の決議に関する日本政府の報告が求められておりますけれども、それはどうするんですか。
  220. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) IUCNの規約上は、第二回総会での勧告について第三回総会で報告することは特に義務付けられているわけではありませんが、必要に応じ、IUCN事務局を通じて、普天間飛行場代替施設についての環境影響評価の進捗状況、並びに先ほど申し上げましたジュゴンと藻場の広域的調査の実施結果、今後地元関係機関や漁業従事者と協力しながら進めることとしておりますジュゴン保全のための各種の取組状況について報告したいと考えております。
  221. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 沖縄のジュゴンは、環境省の遺伝学的特性調査によりますと、オーストラリアのジュゴンと系統が異なるということです。沖縄のジュゴンを守るということは、世界の生物多様性の確保に関する日本の国際的な責務だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  222. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) そのとおりだと思います。
  223. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 三年間のジュゴンの広域調査の結果はまだまとまっていないし、環境省の、まばらまばらと言いますけれども、全然それは現地での調査と違うわけですね。また、そのジュゴンの保全策も確立していない。基地建設に関する環境アセスの方法書さえできていません。にもかかわらず、防衛施設庁は、飛行場本体の護岸造りのための大掛かりなボーリング工事を現地技術調査と称して今行おうとしています。一体この工事はどういう工事ですか。
  224. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これは、普天間飛行場の代替施設本体の建設に先立ちまして、波浪等の本体への影響を防ぐ必要がございまして、これは海上の空港施設どこでもそうですが、護岸が必要になってまいります。その護岸構造、この場所は非常に地形等が複雑なところでございますので、護岸構造の検討に必要な地形、気象、海象あるいは地質、こういったものに係るデータ収集を目的として現地技術調査を行おうということにしているものでございます。
  225. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 もうちょっと、ボーリングの数だとか面積だとか、そういうものを言ってください。
  226. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) この現地技術調査につきましては、既に気象、地形等は着手をいたしておりまして、今後、今お尋ねのございました地質調査、いわゆるボーリング調査、実施する予定にいたしております。これは六十三か所、大体直径が十センチから十五センチの穴を掘りまして地質の調査を行うというものでございます。当然専門家等の意見も聴取をいたしまして、ジュゴンの生息にできるだけ影響を与えないということから、作業の時間の設定でありますとか、あるいは一度に行うボーリングの箇所数を八か所に限定をいたしますとか、あるいは作業に従事する作業員等に対する環境面での教育を実施する等の様々な対策を講じて行いたいというように考えております。
  227. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 六十三本のボーリングを打ち込む、ボーリングそのものはそんなに径が大きいものでなくても、やぐらはかなり大きなものですね。そういうボーリング工事を行うと、六十三か所で。正にこのボーリング工事というのは飛行場建設事業の一部なんですね。そのボーリング工事をやって、飛行場建設のアセスを実施する前にジュゴンに悪影響を及ぼす、そういうことがあっては私は決してならない、そう思います。  環境省としてどういう助言をしたのですか。
  228. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) 御説明を申し上げます。  環境省といたしまして、現地の技術調査の作業計画につきまして防衛施設庁からの相談を受けまして、その実施に当たりまして可能な限り環境への影響が少ない調査の方法を選定すべきであるという助言を行っております。  もう少し具体的に申しますと、その助言では、調査の実施に当たりまして事前に専門家の意見を聴取しながら作業計画を作成し、そして公表をすること、さらに、地質調査や海象調査にかかわる調査地点の選定、あるいはボーリング作業につきましてジュゴンあるいはその藻場、サンゴ、これらへの影響にできるだけ配慮することなどを助言として申し上げております。  例えば、ボーリング調査地点に関しましてはジュゴンが通る可能性のあるリーフの切れ目を避けるというようなこと、藻場、サンゴなどにそのやぐらの足場ができる限り掛からないように努力するというようなこと、あるいはボーリングの作業は早朝、夜間には実施をしないというようなことなどについて助言を申し上げております。
  229. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 このやぐらというのは、例えば縦横八メーター掛ける八メーターの、下の方ですけれども、そういうところをやぐらを作ってその真ん中にボーリングをやるということですよね。ちょっとそれもう少し詳しく言ってください。
  230. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これは今御指摘いただきましたように、ボーリングをする際に足場を設置いたします。これ、いろんな形態の足場がございますが、とりわけ海底面と接するいわゆる接地面積、これが比較的小さい形態の足場を設置をすることにいたしております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
  231. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 にもしても、その四メーター掛ける四メーターのものもあったり、八メーター掛ける八メーターのものもあったり、かなり大きなものなんですね。それで、沖縄のジュゴンがどこで食事をしてどこで休息しているのか、二十四時間の生態というのははっきりしていないんですね。音や光への反応というのも全く分かっていない。そういう中でこういう工事が行われるわけです。  海底地層の弾性波探査というのはどうやるんでしょうか、教えてください。
  232. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これ、いわゆる地層調査のためには、今申し上げておりました直接穴を掘ってボーリング調査を行う、これが一番直接的な知見が得られるということでいいわけですが、他方で環境面、ジュゴンの生息を踏まえた環境面への配慮というようなことも考えまして、ボーリング調査はできるだけ限定をする。その代わりに、間接的な手法ではございますが、今お尋ねの弾性波探査、いわゆる音波による地質データの把握をするということを考えておりまして、これは音波探査機を小型船舶で曳航をいたしまして、護岸等の予定線上を走らせまして、そこの地層状況を測定をするというものでございます。  ちなみに、音波の周波数は大体〇・五から十キロヘルツ、人間の耳で聞こえるいわゆる可聴域の範囲でございますが、その強さは音源から大体百メーター離れた水中で実際に測定をいたしました結果、水中の音圧レベルで百四十五デシベル、これは漁船の航行音よりはやや高いという程度の音でございます。
  233. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 ジュゴンの聴力や音波への反応についてどのような知見がありますか。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
  234. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) ジュゴンは世界的にも飼育された事例が余りなく、コミュニケーションなどの生態に関して知見が少ない種の一つであります。  ジュゴンの鼓膜は人間の約八倍の大きさがあり、聴覚は発達していると考えられておりますが、研究事例はほとんどありません。オーストラリアなどの研究事例によれば、ジュゴンは周波数二十キロヘルツ以下の音に対して良い感度を持っているとされており、また鳴き声については中心周波数は四キロヘルツ程度とされております。ジュゴンの飼育経験者によれば、聞き慣れない音に対しては最初は敏感な反応を示すが、危険が及ばないと分かると時間とともに慣れる傾向があるとのことであります。
  235. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私、ジュゴンの専門家に聞きました。聴力について分からないというのが実態だというふうに言っています。今そういう中で工事をどんどん進めるということになると、これはもう本当に重大なことになるんですね。  日本自然保護協会がこのジュゴンのはみ跡とこのボーリングの位置、この関係が近いじゃないか、影響ないのかという質問に対して、二百メーター以上離れているから影響ないというふうに答えたというんですけれども、本当にきちんと調べて影響の評価をしたのでしょうか。
  236. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) ただいまの御指摘は、今年の二月に、昨年暮れに開催をいたしました代替施設建設協議会の協議内容を地元の市議会の皆さんに説明した際のやり取りの中で、確かに辺野古沖で環境団体がジュゴンのはみ跡を発見された、それに関連して質問がございまして、那覇防衛施設局の職員の方から、確かにボーリング地点から二百メーター以上離れた場所であるという回答を行っておりますが、ただ、ジュゴンに与える影響について問題がないというような説明をしたということではございません。  ただ、いずれにいたしましても、私ども、今後ボーリング調査を実施をいたします際には、先ほども御説明をいたしましたが、できるだけ、ジュゴンの生息等にいろいろ知見として十分得られていないところはございますが、これまで専門家の意見等も聴取をいたしまして得られている知見の範囲で、できるだけそういった影響を避けるための配慮をして進めていきたいというふうに考えております。
  237. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 その専門家ですけれども、専門家の名前はどういう方ですか。それから、専門家が直接文書で出されたんですか、それとも聞き取りですか。
  238. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これは昨年、いわゆる現地技術調査の計画を立てるに際しまして、先ほどございました環境省の助言をいただいたほか、海洋動物学、海洋植物学の御専門の方五名から助言をいただいておりますが、お願いをする際に、氏名は公表しないということで御了解をいただいた上で私どもお願いをしたという経緯がございますので、それは差し控えさせていただきたいと思いますが、御意見につきましては数度やり取りをさせていただきまして、結果として、いわゆるフィードバックで私どもが立てました計画について再度チェックをしていただいたりしておりますが、それは、口頭によるものあるいは最終的にメールをいただいて意見を聴取したもの等がございます。
  239. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 なぜ専門家の意見を求めるのに名前を隠す必要があるんですか。
  240. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これは、先ほど申し上げました五名の専門家の方に御意見をいただく際に、先方の御意向もございまして、お引き受けいただく際の言わば条件といいましょうか、私どもの対応ぶりとして、そういうお約束の下にお引き受けをいただいたということでございます。当然、双方の信頼関係もございますので、差し控えさせていただいているということでございます。
  241. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 専門家というのは自らの学識に誇りを持っているはずなんですね。私、こんな名前を出さないという条件で意見を求めるなんというのは本当に非常識だと思うんです。  環境省は、専門家の意見を求めるときに匿名を条件とするようなことはあるんですか。
  242. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 的確に、簡潔にね。要らぬことは答えぬでいいんだから。
  243. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) 環境省の場合には、環境影響評価に関して、例えば調査、予測、評価の手法などについてガイドブックなどを作っておりますが、その検討作業を行う場合に有識者による検討会を組織して検討を行っておりますけれども、参加した有識者の名前は公表いたしております。
  244. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 公表するのが当たり前なんですよ。どこのだれが言ったか分からない、しかも聞き取ったものを総合事務局が要約したり、あるいはメールで来たものをいろいろ書き加えたりして、ジュゴンに影響がないって言ったってだれも信用しないんですよ。  沖縄県の文化環境部が意見を求めたサンゴ、ジュゴンの専門家の方々は、ボーリング工事はサンゴ、ジュゴンへの影響は回避できないとして、現場海域でのボーリング調査自体に反対する立場で助言したといいます。名前は県の意見を公表する際に出すということだそうです。それが当たり前なんですね。私、防衛施設庁の対応は全くおかしいと思うんですね。  環境大臣、これでいいとお考えでしょうか。
  245. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 一般的には公開をすることが重要であると考えておりますけれども、それぞれのケース・バイ・ケースのこともございましょうし、責任を持つ機関が判断なさるべき問題だと考えております。
  246. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 環境省としては本当に情けない回答だと思います。環境をしっかり守るということでいえば、こういうものは到底常識で通らないことなんですから、きちっと対応していかなきゃいけないことなんですから、非常にがっかりしました。  次に、イリオモテヤマネコが最大で今百頭ぐらいしかいないということですけれども、道路を造ったことによって交通事故死で大分被害を受けているようですが、その実態を明らかにしてください。
  247. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 環境省が把握しているところでは、昭和四十六年以降、七十七件のイリオモテヤマネコの死亡個体が確認されております。そのうち交通事故によるものは三十七件となっております。
  248. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 イリオモテヤマネコの交通事故というのは道路沿いで起きているわけですが、事故が多発しているところ、そうでないところもあります。資料をお配りしてあります。事前にどこにどのぐらいのヤマネコがいるのか、どこでえさ食べているのか、主にどこを通って移動しているのか、自動車のヘッドライトにはどういうその反応するのかと、そういうちゃんとした調査をやらないでこういう道路を造るからこういう事故が起こることに、起こったんじゃないでしょうか。  そういう意味では、ジュゴンについてもきちんと調査をする、責任を持つということが大事だと思いますが、環境省いかがですか。
  249. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 交通事故対策としては、イリオモテヤマネコがよく道路に出てくるところに注意の標識や看板、また自動車が通行する際に振動音を発生するゼブラゾーンが設置されております。また、道路の下部にボックスカルバート、猫の通路のコンクリート製のものですが、ヤマネコ用の通路を設置しているところであります。  さらに、交通事故はヤマネコの活動が活発になる繁殖期の二月前後に多いということから、平成七年度からこの時期に自動車の運転者側に注意を呼び掛けるキャンペーンを実施しているところであります。このようなことを通じて、今年度については五年ぶりに無事故と、ヤマネコの死亡はなくなっております。今後とも防止に努めてまいりたいと思います。
  250. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今回のその質問で、ジュゴンについてとにかく非常に国際的に重要な地位を占めている、そしてそれが、米軍基地を造る、それは日本政府が執行するわけですね、そのことによって絶滅の危機に瀕しているということです。そもそも沖縄県民の願いというのは米軍基地の縮小。県内移転、海上基地の新設ではないんですね。それはアメリカのあの海兵隊による少女暴行事件が契機でこういう要求が強まったわけです。そもそもこの海上基地建設が、やること自身が問題、間違いなんですね。そして、ジュゴンを絶滅に追いやる、こういうことは絶対に許されないということを私は強調して、ちょっと時間がなくなりました。  今日、私の質問、終わって、吉川さんの関連質問にお願いしたいと思います。
  251. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。吉川春子君。
  252. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党吉川春子です。  警察の裏金作りの問題について伺います。  旭川中央警察署捜査用報償費不正支出疑惑について、道警本部長の中間報告では、道警本部長は報償費からの裏金作りを認め、組織的であったことも認めています。また、静岡県警本部長も空出張による裏金作りを認めていますが、大臣も同じ認識でしょうか。
  253. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) お答え申し上げます。  北海道旭川中央警察署の捜査用報償費をめぐりまして、不適正事案に関しましては、北海道警察における調査の結果、捜査用報償費の執行に対して正規の手続が取られず、事実と異なる会計書類が作成されていたことについて、当時の署長等が認識をいたしまして、あるいはこれに関与していた事実が認められたところでございます。北海道警察におきましては、このような事実関係を踏まえ、本件事案が組織的な問題であると言わざるを得ないとの判断を示しているところでございます。  しかしながら、北海道警察におきましては、旭川中央警察署におきまして不適正な予算執行が認められたこと及び警察法上、第四十三条二項二に基づきます北海道公安委員会からの監察の指示を踏まえまして、捜査用報償費につきましては新年度から逐次計画的に全道調査会調査を実施する方向で検討していることでありまして、北海道警察全体について組織的不適正経理があったかどうかについては、その結果を踏まえて判断すべきものと考えているところでもございます。  私といたしましては、旭川中央警察署におきまして不適正な経理が行われていた事実が認められたことは誠に遺憾でございまして、国家公安委員会におきまして、このたびの問題に関し十分議論をさせていただき、国民の信頼を回復するために有効な施策を打ち出すことができるように努めてまいりたいと考えております。
  254. 吉川春子

    吉川春子君 不適正な予算の執行にとどまらない裏金作りは、これは犯罪に当たると思います。  法務省に伺いますが、警察署の会計課と職員がぐるになって架空の領収書を作り、公金をプールした場合、業務上横領罪に当たるのではありませんか。
  255. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねは、一定の状況を想定して犯罪の成否をとらえるものでございますが、犯罪の成否は収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でございますので、よってお答えいたしかねますが、あくまでも一般論として申し上げれば、業務上他人の財物を扱っている者が、それを自己が勝手に使用するという場合、業務上横領罪が成立するだろうと思います。
  256. 吉川春子

    吉川春子君 公務員が空出張の旅費を請求し、会計課をだまして公金を受け取った場合は詐欺罪に当たるのではありませんか。
  257. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) このお尋ねにつきましても、犯罪の成否は収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でございますので、具体的にはお答えいたしかねますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合等に成立し得るものと承知しております。
  258. 吉川春子

    吉川春子君 その他、公文書偽造罪等も想定されるのではありませんか。
  259. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 想定されるかどうかと申し上げますことにつきましては、あくまでも個別に判断される事柄でございますので、お答えいたしかねますが、あくまでも一般論として申し上げれば、私文書偽造罪は、行使の目的で、権利義務若しくは事実証明に関する文書を偽造した場合等に成立し得るものと承知しております。
  260. 吉川春子

    吉川春子君 国家公安委員長、こういう公金の裏金作りは、幹部がこれを受け取ることは業務上横領罪その他の犯罪に該当するかもしれないという認識をお持ちですか。
  261. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 現時点では、関係道府県警察におきまして、公安委員会の指示を受け事実関係を調査中でございますが、犯罪に当たるか否かにつきましては、調査の結果により明らかになる事実に基づきまして個別具体的に判断すべきものと承知をいたしております。
  262. 吉川春子

    吉川春子君 事案によっては、横領罪や詐欺罪、公文書行使、偽造に当たるという認識は全くありませんか。
  263. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) ただいま申し上げましたとおり、現時点では関係道府県警察におきまして、公安委員会の指示を受けて事実関係を調査中でございます。  ですから、犯罪に当たるか否かについては、調査結果により明らかになった事実に基づきまして個別具体的に判断すべきものと承知をいたしております。
  264. 吉川春子

    吉川春子君 元道警釧路方面本部長の原田宏二さん、弟子屈警察署次長であった斎藤邦雄さんが勇気ある証言を行っています。道警の調査でもその証言が裏付けられています。警察庁として、道警調査において情報提供者として領収書を記入された人物が実際上も捜査報償費を受け取っているかについて調査して結果を公表してほしいと思います。いかがですか。
  265. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) お尋ねの北海道旭川中央警察署の捜査用報償費をめぐる不適正事案に関しまして、現在北海道警におきましては、当時の捜査員と関係者からの事情聴取あるいは住民監査請求に係る資料の印影及び筆跡の照合検査等を行い、不適正な予算執行が行われていたとの判断を示してまいりましたが、今後は事情聴取内容の突き合わせや、正規の手続を経ないで支出された捜査用報償費の具体的な流れと使途、会計書類の作成の経緯等についての調査を行い、事案の全容解明に更に向けて更に調査を進めていっております。  なお、捜査協力者である領収書の名義人からの事情聴取を行うことにつきましては、これまでのところ領収書の名義人からの事情聴取は実施していないとの報告を受けております。
  266. 吉川春子

    吉川春子君 ですから、今後調査するかということを伺いました。  捜査員二十二名を聴取しておりますけれども、その中には協力者に支払うべき捜査用報償費は受領しておらず協力者にも支払っていない者がいたと、こうなっているわけですから、マスコミ報道でも報償費を受け取っていないという協力者がいるわけですから、そういうことを調査の対象にすべきだとはお考えになりませんか。
  267. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) ただいま申し上げましたように、もろもろの調査を遂げまして、総合勘案をいたしまして、捜査協力者との信頼関係等についての検討も加えた上、判断されるべきものと承知しております。
  268. 吉川春子

    吉川春子君 捜査協力者を対象にした調査は行いませんか、行いますか。
  269. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) 繰り返して恐縮でございますけれども、ただいま申し上げましたように、もろもろの調査を総合勘案し、そしてまた将来に向けてのことも含めて、捜査協力者との信頼関係について検討を加えた上で判断されるべきものと承知しております。
  270. 吉川春子

    吉川春子君 本当に事実を解明するという思いが全く伝わってきません。  それで、続いて伺いますけれども、静岡県警総務課の空出張はどのような方法で請求され、だれが決裁したのか、空出張の多い順番に、A、B、C、Dという形でいいですが、何日間出張していたことになっているのか、伺います。
  271. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 静岡県における組織的な裏金作りということの御質問をいただいたわけでございますけれども、総務課の平成七年度の県費旅費をめぐりまして九百四十万円のいわゆる空出張事案が判明したことは誠に遺憾であると思っております。  現在までの静岡県警察の調査におきましては、だれが具体的に指示をしたのか、個々の役割がどうであったのか、いまだ解明されないために、現時点において組織的な裏金作りと判定するまでは至っておりません。  そうした中で、県警の調査によりますと、先生今御質問のありました空出張の件数が多い順に五人ほどというお話でございますけれども、百六件が一名、九十五件が一名、八十五件が二名、八十一件が三名との報告を受けておりまして、空出張の件数百四十一件、空出張の延べ人数九百七十人となっております。
  272. 吉川春子

    吉川春子君 金額は合計幾らですか。
  273. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) 現在までの調査の結果、九百四十万円ほどでございます。
  274. 吉川春子

    吉川春子君 静岡県警総務課の担当者が代理受領者となって、その口座に振り込まれていました。個人には支払われることもなく、総務課に空出張の旅費をプールしていました。空出張によって受け取った金はだれが保管していたのでしょうか。
  275. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) どうも失礼しました。  現在までの静岡県警察の調査では、保管をいたしておりましたのは総務課の次長と思われますが、現在、更に詳細調査中でございます。
  276. 吉川春子

    吉川春子君 静岡県警でも北海道警でも空出張、架空の領収書作りを組織的に行って裏金を作り、幹部が管理して使っていました。手口は様々で、道警の警察署では架空の領収書を作り報償費を受け取り、静岡県警総務課では捜査費、報償費が使えないので空出張という手口、元警察官の告発によれば、福岡県警の銃器対策課では捜査費、報償費を架空の領収書で裏金を捻出。これはもう全国の警察で様々な手口で裏金作りが行われていたということになるのではないですか。  道警とか静岡県警の一部だけを調査していても組織ぐるみの不正を解明できない、全国的な調査を行うべきではないかと思いますが、小野大臣、いかがですか。
  277. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 不適正事案やあるいは疑惑に対しましては、既に関係道府県警察におきまして、公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているものと承知をいたしております。  調査の結果、不適正なものが判明すれば、厳正な対処をするものと認識をいたしておりますけれども、国家公安委員会では、警察庁が都道府県警察に対しまして実施する監査の充実強化を図る一環といたしまして、監査に関する権限を明確化するとともに、国家公安委員会に対し監査結果を報告させるということなどを定める会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定することといたしております。  今後、従来以上に監査の実施頻度を高めたり、あるいは捜査費を執行したりした捜査員に対する対面調査の機会を増やしたりするなどの具体的な監査の充実強化策につきましても、警察庁の予算執行検討委員会におきまして検討を進めているものと承知をいたしております。  そのようなことから、警察におきまして、警察庁におきましては、今後、都道府県警察に対しまして計画的に定期監査を実施するものと承知しておりますが、このような規定やあるいは監査要求を反映いたしまして都道府県警察に対しまして厳正に内部監査を実施していくように、国家公安委員会といたしましても督励してまいりたいと思っております。
  278. 吉川春子

    吉川春子君 警察庁長官は各地の県警を転勤してこられまして実情にお詳しいと思いますが、これは一部の警察がやっているだけではなくて全国的にやられている可能性もある。全国的に調査の必要ありとはお考えになりませんか。
  279. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) この会計経理の問題につきましては、職務執行に必然的に伴う重要な性格を持ったものでございます。私どもも捜査に従事して、そのように配意してまいりましたけれども、しかし、予算の執行の適正を確保するためには、その都度その都度反省、検討を加え、その透明化を図るなど、適正化に努力を重ねていくべきものと考えておりました。  そこで、特に平成十二年、警察刷新会議の提言等がございまして、更なる執行の適正確保に努力せよということがございまして、捜査費の、あるいは報償費の使い勝手が悪い部分についてはなお検討を進めまして、平成十三年度からは、従前は立替払方式でございましたけれども、あらかじめ捜査員に、少額でありますけれども、五千円あるいは一万円といった捜査費を、報償費をあらかじめ渡しまして、そして、後ほど精算をするという方式に変えるなど、るる改善に努めてまいっております。  私といたしましては、そういう改善の成果は現在確実に現れているものと思っておりますし、また、先ほど大臣答弁にございましたように、来年度からは監査のやり方も変え、また、領収証の徴取の仕方も抜本的に変えるなど、平成七年度等の出来事とはいえ、この種の不適切な行為が行われることがあり得ないように改善を進めていく所存でございます。
  280. 吉川春子

    吉川春子君 今後の制度の改善ということはもちろんやっていただかなくてはなりませんが、今各地で犯罪行為にも当たるかもしれないことが行われている、それをどういうふうに徹底的に調査するか、捜査するかということが問われています。  法務大臣に伺います。各地で裏金作りが行われておりまして、犯罪の端緒というのはたくさんあります。警察は自分で自分の手を縛ることはできません。この際、検察庁が捜査等に乗り出して積極的な役割を果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  281. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) お尋ねの問題は捜査機関の活動の有無、内容にかかわる事柄でございまして、お答えいたしかねるところでございます。  なお、あくまで一般論として申し上げますと、検察当局においては刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきまして適切に対処するものと承知しております。
  282. 吉川春子

    吉川春子君 検察、法務省がもうちょっと積極的に、警察側も非常に消極的なものですから、そこを是非やる必要があると思います。そして、その二百億円近いお金が裏金になっているわけですね。  これまで我が党も、国家公安委員会及び都道府県警察から独立した監査委員会を設けて外部監査の仕組みを作ることを繰り返し提案してきました。内部監査だけではとてもできないんですね。外部監査をやらないと解明できない。どうですか、小野大臣に伺います。
  283. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) あの、小野大臣の御指名です。小野大臣
  284. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 失礼しました。
  285. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) お答え申し上げます。  個別具体的に不正事案が、あるいは疑惑がある道府県におきましては、それぞれの北海道あるいは静岡等が公安委員会の指示を受けながら自ら調査をし、既に調査の途中経過を報告するなどのところまで至っております。  警察庁といたしましては、関係道府県と連携を取りつつ、更に事案の解明を進め、早急に結果を公表するとし、不適切なものがあれば厳正に対処していくと、そのような姿勢でおります。  会計検査の検査等を受けているところでもございますけれども、警察の会計の監査におきましては、捜査に密接に関連をする情報、関連を有する情報に接することを考えますと、これに加えて新たな外部監査制度を導入することはいかがなものかと思っているところでございます。
  286. 吉川春子

    吉川春子君 法務大臣、いかがですか。
  287. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 今後の課題として承っておきます。
  288. 吉川春子

    吉川春子君 警察庁とか国家公安委員会がもう非常に消極的なんですね。しかし、国民はこれを解明することを強く求めております。そうすると、非常に国会の役割が重大であると思います。  さきに私たちは三人の参考人招致を求めましたけれども、さらにそれに加えて、静岡県警本部長の水田竜二氏を参考人として招致することを求めます。
  289. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまの吉川君の要求につきましては、その取扱いを後刻理事会において協議いたします。
  290. 吉川春子

    吉川春子君 高知県警でも国費である捜査の偽造請求が問題になっています。調査していますか。
  291. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) 高知県警として調査をいたしておりましたところでございますけれども、ただいま告発が検察庁に、地方検察庁に出されまして地方検察庁が捜査をされているところでもあり、その動静を、動向を見ながら支障のない範囲内で調査を進めていっているところでございます。
  292. 吉川春子

    吉川春子君 伺いますが、警察国庫支弁金の金額、今年の予算額は幾らになっていますか。
  293. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 時間ですが。
  294. 吉川春子

    吉川春子君 終わります。
  295. 佐藤英彦

    政府参考人(佐藤英彦君) 十六年度でございますか、でしたですか。  平成十六年度警察庁予算における国庫支弁金の総額は九百六十六億八千三百万円でございます。
  296. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 吉川春子君、最後に。
  297. 吉川春子

    吉川春子君 それだけのお金が適切に使われていないということですので非常に問題だということを指摘して、私の質問を終わります。
  298. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  299. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  300. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  今国会に裁判員制度、刑事訴訟法の一部を改正する法律案が出てきております。裁判員制度は、司法の民主化という点から歓迎すべき点であります。しかし、裁判員制度の導入の前提として、証拠の全面的開示と捜査の可視化、捜査の過程がきちっと見えるようにということが絶対に必要要件です。だれも冤罪を生むような裁判にかかわりたいと思うような人はいないでしょう。そこで、本日、そのことについてお聞きをいたします。  証拠開示の点なんですが、この法案では、検察官が「相当と認めるとき」となっています。これでは現在の実務よりも悪くなる、あるいは変わらないのではないですか。
  301. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいまの点につきましては、「相当と認めるとき」というふうになっておりますけれども、最終的にその判断は裁判所の方で行うということになりますので、裁判所でその必要性とそれから弊害の有無、これを総合して判断をするということで、決して検察官が自らこれは必要はないということで、それで済むというものではないということでございます。
  302. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 しかし、現実に刑事裁判では証拠開示の点で大変問題になっています。  裁判官は、現在においても証拠開示を勧告することはできるわけですが、それに比べても別に前進は何も見られないのではないですか。
  303. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 現在ははっきりした規定がないということからそういうような問題があるということで、今回私どもはそれを、はっきりした規定を設けて、それは弁護人からの方の請求、請求権ですね、そういうものも与えているわけでございまして、最終的には裁判所がすべて判断をするという構造になっておりますので、そこで出るべきものは出るというふうに考えております。
  304. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 現実でも裁判所は勧告を持っていますが、なかなか証拠が出てきません。  国際人権規約B規約で一九九八年十一月に勧告がなされました。それにはこう書いてあります。すべて日本がその法律と実務を、弁護側が関連するあらゆる証拠資料にアクセスすることが保障されるように改めることを勧告する。  あらゆる証拠資料となっておりますが、今回の刑事訴訟法改正案はそうなっていないのではないですか。
  305. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) このB規約の意見書で言っている点は防御の点ですね、被告人の防御、これに十分なものと、こういう理解だろうと思います。  私ども、今回の法案においては二つの類型でその提出を可能にしているということでございます。一つは、検察官が提出した証拠の証明力ですね、これを検証するという場合でございます。それからもう一つは、被告人側の主張、これに伴った証拠ということでございまして、その防御に必要なものについてはお出しをすると、こういう考え方でございます。
  306. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 一つの問題は、この類型化ということです。類型に漏れている点などについてはアクセスしたいと思ってもよく分からない、この点についてはいかがでしょうか。
  307. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) この類型、幾つか掲げてございますけれども、細かくこういうものを出してくれという必要はございませんで、例えば現場の目撃者の供述書とか、それから現場から押収されました証拠品、こういうような概括的な特定で結構でございますので、その中で最終的にどれを出すか、弊害がないかどうか、こういうことを判断してお出しをするということでございます。
  308. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 しかし、被告人側には類型化されていない証拠がどんな証拠があるか分からない場合が多いのではないですか。
  309. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ですから、検察官の出した証拠、これの証明力をテストすると、こういうためには、そのために必要なものは提出を命ずるということになるわけでございます。あるいは被告人の主張に伴ったものは出すということでございまして、ここに掲げてございますものは、ほとんどのものはこの類型に掛かるんではないでしょうか。証拠物あるいは検証、それから鑑定ですね、それから供述ということになりますので、ほとんどのものはこれで網羅されるというふうに考えております。
  310. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 類型化はされているが、ほとんど入っているということでしょうか。  なぜ今日証拠開示の問題を扱うかといいますと、日本では死刑判決を受けて死刑台から生還をした人が四人おります。例えば諏訪メモといった被告人のアリバイを証明する第三者のメモ帳が検察側によって秘匿されていたと、それが証拠が出てきたと。いずれ四つのケースも隠されていた証拠が出てきたことによって無罪となっています。証拠が出てこなければ無罪の証明ができない、ここがポイントです。  諸外国の立法例ですと、たくさんの誤判事件を契機に改善をしています。例えば、カナダ最高裁は、誤判事件を契機に、公判に入る前の段階で検察側に全面的な証拠開示義務があるとしています。イギリスでも、幾つかの誤判事件を教訓に、利用するかしないかにかかわらず、検察側は手持ち証拠の一覧を弁護側に示すルールが定められました。  日本はなぜここまで踏み込めないのでしょうか。
  311. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 例えば、証拠の中には他人のプライバシーあるいは名誉、これにかかわるものもあるわけでございます。こういうものを全部オープンにするといった場合に、その方たちの人権はどうするのかという問題も当然ございます。そういう弊害があるわけですね。  それからもう一つは、捜査の初めのうちは、関連があるかないか、それはちょっとさておき、必要性、必要なものはみんな集めるわけですね、証拠として。結果としてそれは使う必要がないというものもあろうかと思うんですが、全面開示となりますとそういうものも、膨大な証拠品を全部お出しをするということになるわけでございまして、かえって審理が遅れてしまうという逆の問題もあるということを御理解賜りたいと思います。
  312. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 外国の冤罪のケースも、新たな証拠が出てきて冤罪が立証されるケースが多いことは御存じのとおりです。  では、イギリスがやっているように、証拠の一覧、リストを開示する、これはいかがでしょうか。
  313. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) リストの問題も私どもの検討会で検討はいたしました。ただ、リストといいましても、概括的に供述書とかそういうふうに書いても中身は何も分からない、これは余り意味がないことだろうという議論でございました。じゃその中にその要旨を書き込むかと、こういうことになりますと全部お出ししたのと同じになってしまうということで、どちらもそれではうまくいかないということでこういう考え方は採用しなかったということでございます。
  314. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 極端だと思うんですね。全部書くかゼロか、で、結局出さない。私は、証拠のリスト、例えばルミノール反応があった、あるいは指紋を採取した、例えばそういう記録はせめて証拠リストとして出すべきだと。証拠リストを書くときにプライバシーに配慮をする場合も必要かもしれません。でも、開示できる範囲内で証拠のリストは、例えばAさんでもいいですよ、だれさんの供述調書。あるいは、特にブツの場合は重要ですよね。例えば科学的な、例えばDNA鑑定をしたとかしないとか、そういうことについて知ることができないわけですよ、そもそもどんな証拠があるか。  手持ち証拠の一覧については、これを出すべきではないですか。
  315. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 例えば、先ほどから申し上げておりますように、証拠物であれば、その現場から押収された証拠品というふうに概括的に言っていただければ結構でございますので、これに関してどういうものを持っているかは、最終的に裁判所は、それを全部チェックをいたしまして、その上で提出を命ずべきものとそうでないもの、この判断をしてやるという構造になっておりますので、そこはチェックが利くという構造でございます。
  316. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 山崎さん、それは現実の裁判を御存じないですよ。実際、弁護側は何を持っているか分からないんですよ。当てずっぽうに、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるで、百個言えば当たるかって分からないんですよ。だからこそ、せめてプライバシーに配慮しつつ手持ち証拠の一覧を出すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  317. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただ、これは自己の主張に必要なもの、それと、やはり検察官が証拠を出してくるわけでございますから、その証明力を争うもの、この二つで裁判は足りるはずでございます。ですから、そういう関係でその範囲を画しているわけでございまして、ありとあらゆるものについてリストを公開するというのは、逆にやはりプライバシーの問題等、これに影響があるということで相当ではないというふうに考えております。
  318. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 イギリスでは、請求審の裁判官に検察官手持ち証拠に何があったかを調査する権限を置いております。日本にはこのような制度も何もありません。いかがでしょうか。
  319. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 諸外国にはいろいろな法律があろうかと思いますけれども、私ども、今回の考え方としては、これで十分に機能するだろうということでお出しをしているということでございます。
  320. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、もうちょっと頑張ってくださいよ。というのは、裁判員として国民は裁判に関与する、しかし証拠が出てないかもしれない、だれだって冤罪が起きるかもしれない。証拠が不十分なまま判断せよというのは困りますよ。証拠の開示がきちっとあって初めて、自分はオープンに、客観的に裁判に加われると。その自信がなくて呼び出されてこの範囲でやってくださいと言われたら、それは困るというふうに思います。  例えば、イギリスでは九六年に最終請求審査のため独立した機関を設置し、強力な証拠開示命令権を認めて証拠収集に支障がないようにしました。こういうことを、再審請求においてこそ、無罪の立証のためにこういう制度を設けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  321. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 考えはいろいろあろうかと思いますけれども、私どもは、現行法に比べてこれを思い切って飛び出している案でございます。まず、これをきちっと運用するということは非常に大切だろうというふうに思っております。その上でいろいろな問題があれば、またそれは考えざるを得ないということになろうかと思います。御理解を賜りたいと思います。
  322. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福島瑞穂君、もう時間ですよ。
  323. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 これでは冤罪事件を完全になくすということにはできません。公正な裁判ということが必要ですし、低い水準で証拠開示がなされることは困ると。裁判員制度の導入として、これは修正をすべきであるということを申し上げ、質問を終わります。
  324. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  325. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  326. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄振興に関してお尋ねいたします。  平成十六年度沖縄開発事業は二千五百八十億五千七百万円が計上され、本年度比五・五%の減となっております。政府全体の公共事業予算減額に伴い、沖縄振興開発事業費のうち公共事業関係予算削減が行われ、前年比一割減の事業もあります。こうした状況を見て、沖縄振興計画の着実な実施が非常に危ぶまれております。政府の考えをお伺いいたします。
  327. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) お答え申し上げます。  平成十六年度予算におきましては、公共事業予算額が全国的に抑制される中にありまして、沖縄振興計画の着実な推進に支障が生じることのないよう最大限の努力を図ってきたところであります。  委員の方から五・五%の減額と、こういう御指摘をいただいたわけでありますが、これは建設のピークを迎えました沖縄高専の施設整備費の減等を含みました沖縄振興開発事業費全体の削減率でありまして、公共事業予算額について見れば三・九%の減額と、こういう形になっております。もちろん、減であります。  十六年度は、補助金等が削減される中で直轄事業を極力増額するなどの努力をしたところでありますが、事業別に見てみますと、御指摘のように、削減率が一割近いものもございます。しかし、これによりまして直ちに沖縄振興計画の着実な推進に影響が生じるものではないと、このように考えております。  公共事業の内容を見てみますと、例えば新規事業として、久米島の儀間川の総合開発事業、それから那覇港の廃棄物埋立て護岸、伊江島の国営かんがい排水事業等の予算を確保するなど、沖縄振興にかかわります施策の推進に十分配慮した予算になっていると、このように考えております。
  328. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 長官も御承知のように、沖縄はまた国民所得の平均の七一%しかないと、そして失業率も本土の約二倍に若い者が達しているというふうな状況で、非常にそういった面で経済的には疲弊を被っているんじゃないかというふうに考えております。ですから、削減よりはむしろ増額をしてそういったいわゆる国民所得の引上げを更に倍増していきたいというような感じでありますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、沖縄科学技術大学院についてお尋ねいたします。  沖縄科学技術大学院大学については、平成十六年度内閣沖縄予算で二十九億円の関係経費が計上され、また、同時期の関係閣僚会合で、恩納村への設置平成十七年度中の整備法人の設立、整備法人に主任研究者五十名程度を集めることが決定いたしました。また、本年二月初旬にはブレナー教授が学長に内定し、ボード・オブ・ガバナーズの設置が決まりました。  そこで、以下何点かお伺いいたします。  まず、大学院大学の開学に向けて、政府の今後の取組についてお伺いいたします。
  329. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 沖縄科学技術大学院大学は、沖縄振興計画におきまして、我が国の科学技術の進歩の一翼を担い、我が国の大学の在り方のモデルとなるような世界最高水準のものと位置付けておりまして、今後の沖縄振興の目玉となる大変重要なプロジェクトであると考えております。総理も昨年、そして今年の施政方針演説の中で、もう沖縄に科学技術大学院大学を設立する構想を推進すると、このことを明確に表明していただいておりまして、今日、谷垣大臣もいらっしゃいますが、関係閣僚と協力しながら、政府としてその実現に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  主なポイントだけ申し上げますと、一つは、委員の方からも触れていただきましたけれども、学長予定者、二〇〇二年にノーベル生理学・医学賞を受賞されたブレナー博士に内諾をいただきまして、構想の実現に向けてこれは一つの大きな前進であると、こんなふうに考えております。  また、昨年の十二月に関係閣僚会合二回目を開きまして、そこで申合せを行いまして、正に平成十六年度から施設の基本設計を実施するなど、構想の事業化をスタートすることとなったわけであります。  現在も、大学院大学に関連します国際シンポジウム、ワークショップ等の開催、それから先行的研究事業を実施しておりまして、また研究基盤の整備を行います法人も平成十七年に設立する予定であります。  こういった構想の実現に向けまして、官房長官財務大臣、そして文部科学大臣、そして私から成ります関係四閣僚の会合を開催しておりますけれども、関係省庁とも緊密な連携を取りながら、政府一体としてしっかりとこの構想を進めてまいりたいと考えております。
  330. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まず、大学院大学の開学に向けての政府の今後の取組についてお伺いいたします。
  331. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今申し上げたところでありますけれども、準備事業の方はちょっと私が先行して言ったかもしれませんけれども、先行的な研究事業は四事業が今進んでおりますし、ワークショップ等々も開催をさせていただいている。また、体制上の四閣僚会議の開催、そして関係省庁の連絡も今後密にしていきたいと、こんなふうに考えております。
  332. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ブレナー教授の学長内定は、世界水準の教育、研究者確保に向けて大きな前進だと考えております。  大学院大学の開学のめどとなる五十名程度の主任研究者の確保については、今後どのように進めるおつもりなのか、お聞かせください。
  333. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  五十人の主任研究員の確保をどのように進めるかということでございますが、その問題につきましては、今後のこの構想を推進するに当たりまして重要な問題でございまして、今大臣の方から御答弁をいたしましたとおり、学長予定者であるブレナー博士、この方が非常にリーダーシップを発揮いただいて人材のリクルートをするということでございます。  私たち内閣府といたしましては、優秀な研究者を確保するということにつきましては、やはり研究環境、それから生活環境等、そういう研究者の基盤となるようなものをきちっとやっていかなきゃいけないということで、研究者にとって魅力のあるものを作っていかなきゃいけないということでございまして、政府といたしましては、これらの条件の整備に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  334. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 設置が決まったボード・オブ・ガバナーズについては、その性格や役割、学長との関係はどのようなものになるのか、その辺についてお伺いいたします。
  335. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  ボード・オブ・ガバナーズの性格等についてのお尋ねでございますが、ボード・オブ・ガバナーズというものは、整備法人とか将来の大学の運営について、研究者のリクルートだとか、恩納村におきます施設の整備の進捗を進めていくとか、そういうものについて学長が決定するわけでございますけれども、その学長の決定をオーソライズする、そういうものでございます。一般的に、例えば評議員会とかそういうものに相当するものでございます。  このボード・オブ・ガバナーズの具体的な位置付けにつきましては、整備法人の設立のときに、又は大学が新しくできるときには大学の中で位置付けられるというふうに考えております。  以上でございます。
  336. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 平成十七年度中に整備法人が設立され、主任研究員が五十名程度に達した時点で大学院大学が開学されるということが決まったことで、平成十九年九月と言われた開学が先延ばしされるという見方も出てきました。  そこで、開学の目安についてはいつなのかという点についてお伺いいたします。
  337. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 我々としては、あくまで沖縄に世界最高水準の大学院大学を作りたい、これが基本的な考え方でありまして、それに向けて鋭意できるだけ早く準備を進めると。  そういった中で、まずその主任研究員、まあ五十人程度に達した時点をめどとすると、こういうことでありまして、ブレナー教授の内諾終わりまして、私はこれからリクルートの作業も順調に進んでいくんではないかなと、そういった情勢を見極めながら、できるだけ早い開学、開学に目指して、向けて努力してまいりたいと考えております。
  338. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 はっきりした、何年度から開学するというふうなめどぐらいは付けられませんか。
  339. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まあ委員が当初十九年の九月の開学と、こういう時期についておっしゃっていただいたわけでありますけれども、そういうことは我々も十分認識をしております。ただ、先ほど申し上げましたように、時期ありきよりも、やはり最高のものを作る、そのための努力をしてまいりたいと考えております。
  340. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大学院大学が目標としている世界最高水準にするためには、最先端の水準の高い研究施設を整備することも、優秀な研究者を確保するためにも必要不可欠であると考えられますけれども、その研究施設の整備についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
  341. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  研究所の整備についてどのようにやっていくのだということでございますが、やはり世界最高水準の研究、教育を行うということでございますので、相当心してやっていかなきゃいけないというふうに考えておりますけれども、その大学院の設立に先立ちまして、沖縄の研究基盤の整備を行う法人を平成十七年度に設立をいたしまして、国際的に卓越した研究をたくさん実施していきたいというふうに考えておりまして、これは昨年十二月十九日の関係閣僚会議において申し合わされた内容でございます。  今年から実施しております先行事業、四件なされております。これはいずれも世界最高水準のすばらしい研究者で、研究内容だということで御評価いただいておりますし、国際的な評価も非常に高いということでございます。そういうものにつきまして、私たち、その設備も含めて、今、沖縄の方で設備の改造をやっておるということでございます。  内閣府といたしまして、この整備法人の設立に向けて法案を準備するということと、それからブレナー博士とよく御相談をさせていただいて、それで、施設整備でどんなものが必要なのか、どういう形でやっていくのかということを十分に御相談させていただいて整備を進めていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  342. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国際的な水準の大学を作るということでありますから、計画によりますと、外国人も招致するというふうなことでございますけれども、何対何の割合ぐらいでいわゆる外国人を迎えるのか、その辺のことについて、もし分かっておりますならば御説明いただきたいと思います。
  343. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、授業等につきましてはすべて英語でやらさせていただきたいと、こんなふうに考えております。  実は、今週、沖縄の方でこれに関連した国際的なワークショップやっておりますけれども、五十人近い学生の参加者のうち日本人の人、国内からの参加者は三名であります。それ以外は海外からの参加者ということであります。  実際、大学が開学したときの状況と、これはその時点でということになると思いますが、一番優秀な教授、一番優秀な学生に集まってほしい、その結果として構成比がどうなるかということは今の時点では分かりません。
  344. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今、三名、国内から三名と言われましたよね。たった三名ですか。その辺、もう少し説明していただけませんか。
  345. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 現在、申し上げましたのは、ワークショップを沖縄の方で開催しておりまして、これは先行事業としてやっているものでありますけれども、これは酵母に関する最先端のレクチャーをして、それに対して三十前後の学生といいましてももう博士課程であったりとか既に博士を持っている方が参加すると、こういう形でやっておりますけれども、今回の参加者、書類選考等々をやらさせていただきまして、日本からの参加、この人が三名で、確かに例えばカリフォルニアから来て、日本人の人等々はいますけれども、海外からの参加者が四十数名と、こういう形であります。  ただ、大学について申し上げますと、先ほど言いましたように、優秀な方ということが基本的な基準でありまして、外国人の枠が何名、日本人の枠が何名、沖縄から何名と、そういう枠を設定することは想定をいたしておりません。
  346. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ありがとうございました。  終わります。
  347. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。  次回は来る二十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会