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内閣総理大臣(
小泉純一郎君) 仲道議員の母親の御子息を思う気持ち、正に親を思う心に勝る親心と言われますが、子供が親を思う気持ちよりも親の子供を思う気持ちはもっと深いんだという、もうその一端だと思います。それに対して、御子息さん、任務をしっかり果たすんだと、心配するなということで、日ごろからその心の備えはされているんだと思います。
今の自衛隊の諸君も、でき得ればイラクに行かなくて平和が保てる、国際社会の責任ある一員としての任務が遂行できるんだというんだったら、それでいいと思っております。私も、国連の加盟国として、
日本がこのイラクの復興支援に自衛隊を派遣することなしに、国際社会から
日本はよく責任を果たしてくれるなと、そういう評価を受ける状態であるならば何もする必要はないかと思います。このように、イラクに多くの国々が協力しながらイラクを
テロリストの温床にしては大変になると、やはりイラクに安定した民主的な政権を作るために何が必要かということで取り組んでいるわけであります。
また、国連の安保理事会におきましても、加盟国に対してそれぞれの国がそれぞれの国にふさわしい協力をイラクのために出してくれという要請が来ている。これにどうこたえるかということを
考えると、
日本のこれまでの
状況、
日本が敗戦後多くの国の支援や協力を得て発展してきた。当然イラクの
国民も、今多くの支援を望んでいるでしょう。苦しい立場だと思います。そのときに、
日本として、今ようやく他国から援助を受けないでも、多くの
国民の努力によって今日、自国の発展にそれぞれの力を発揮することができる、むしろよその国を援助する立場になった。
そういうことを
考えますと、イラクの安定した政権が一日も早くイラク人によって建設されるということは、世界の平和と安定はもちろん、
日本国にも大きな影響を与えてくる。エネルギーの問題
一つ取っても、あるいは
テロの脅威を
考えても、やはりイランが安定した政権で発展してもらいたいと。
これが混乱のままに、多くの国がイラクの支援から手を引いて
テロリストがばっこするような、あるいは
テロリストの温床となるような国になったらどうなるんだろうかということを
考えると、
日本は世界の中での今やGDPにおきましてもアメリカに次いで第二位の国になっている。資金的協力もしましょうと、物的な協力もしましょうと、人的な貢献もしましょうと、できるだけの国際社会の中での責任を果たしますよということになりますと、
日本のできる分野、じゃ人的協力ということになるか、何ができるかというと、これは、
民間人は、今の治安
状況から
考えますと、自分で自分の身を守るすべというものがない。
さらには、外交官二人が
日本でも犠牲になったということを
考えると、かなり危険を伴う
状況にあっても、日ごろの訓練によって危険を避ける能力、訓練をしている。また、危険を避けるある程度の装備も持っていけると。そして、組織的に、ホテルに泊まらなくても自分で宿営地を作り、
自分たちで食料を供給できる、そういう能力を持った組織が
日本にあるかというと、自衛隊しかない。
そして、自衛隊が行くから戦争に行くんだと言って反対している人が一部におりますけれ
ども、自衛隊は戦争に行くのではないと。イラク人から評価される、歓迎される復興支援活動、人道支援活動に行くんだと。アメリカやイギリスと同じように
テロ掃討作戦に参加するものでもない、掃討作戦や戦闘行為に参加するものではないと。自衛隊はあくまでも復興支援活動、人道支援活動ですということで、今回、自衛隊の諸君に赴いてもらうということになった。
現実に自衛隊が行けば
日本は敵視されると言っておりますが、現実、自衛隊が派遣されて現地の
状況を我々見ていると、敵視させるどころか歓迎してくれて評価してくれて、
日本の支援に対してもっとという要求も来ている。
こういう
状況を見ると、
日本の自衛隊の活動は戦争のためではない、復興支援、人道支援、
日本人の一般の市民ができない仕事をしてくれる。
日本の一般の市民が、訓練もしていない、装備も持っていない。こういう活動というのは、日ごろから十分な組織的な訓練と使命感を、責任感を持った組織である自衛隊の諸君しかできないなと。
いずれ、イラクの治安が安定し、自衛隊が行かなくても一般の市民、一般の
国民が、あるいは一般の企業が、日ごろの自衛隊の訓練をしていない人でも復興支援、人道支援に赴けるような
状況を作られた段階には、多くの支援が
日本にとってはいろいろできると思います。
自衛隊の復興支援、人道支援は、
日本の支援のあくまでも一部であります。しかし、その一部の仕事も一般市民にはできない、訓練をしていない
国民にはできない。そういう
国民に代わって、自衛隊の諸君は、
日本国民の善意の代理者として、代表者として、善意をまたそれを実行できる人々として、
日本国民のために、イラク
国民のために活躍してくれるんだなと心から敬意を表して、今後の活動が立派に果たされるように、毎日毎日期待し、また願っております。