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2004-03-16 第159回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十六日(火曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月十五日     辞任         補欠選任      段本 幸男君     山内 俊夫君      吉田 博美君     松谷蒼一郎君      伊藤 基隆君     樋口 俊一君      池口 修次君     峰崎 直樹君      続  訓弘君     森本 晃司君      紙  智子君     林  紀子君      小泉 親司君     池田 幹幸君  三月十六日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     保坂 三蔵君      西山登紀子君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 大島 慶久君                 扇  千景君                 木村  仁君                 岸  宏一君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 仲道 俊哉君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 松谷蒼一郎君                 森田 次夫君                 山内 俊夫君                 山崎  力君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 内藤 正光君                 中島 章夫君                 樋口 俊一君                 平野 達男君                 峰崎 直樹君                 高野 博師君                 森本 晃司君                 山本 香苗君                 池田 幹幸君                 西山登紀子君                 林  紀子君                 宮本 岳志君                 福島 瑞穂君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        総務副大臣    山口 俊一君        財務大臣    石井 啓一君        文部科学大臣  稲葉 大和君        厚生労働大臣  森  英介君        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小平 信因君        内閣経済社会        総合研究所次長  牛嶋俊一郎君        国税庁次長    村上 喜堂君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      青木  豊君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        水産庁長官    田原 文夫君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      寺坂 信昭君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、経済金融年金社会保障に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  それでは、これより質疑を行います。松谷蒼一郎君。
  3. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党松谷でございますが、経済問題に絞って質問をいたしたいと思いますが、その前に、ただいま報道等スペインテロ事件、そしてまた、これに関連いたしました総選挙の結果等についていろいろと報道されております。我が国にも関連がないとは言えない大きな事件でありますので、一言だけ御質問いたしたいというように思います。  今月の十一日にスペインテロが発生し二百人の犠牲者を出しました。これに憤激した国民は翌日十二日、四人に一人という千百万人の大量のデモ全国で行われました。その後、十四日に総選挙があり、その総選挙の結果は、予想に反して与党が大敗をするというような結果になったわけであります。  このことは、千百万人のデモが起こったというその背景には、一つには政府関係報道の誤りがあったというようなこともあったかと思います。がしかし、基本的にはやはり、こういったテロを許したということに対する警備その他の問題についての国民の怒りがあったんじゃないかというふうに思うわけでありますが、七月に参議院選挙を控えましてよそ事ではないという気もいたしますが、これにつきまして総理の所見を伺い、そしてまたテロに対する整然とした警備が既にきちっと計画されているのかどうかにつきましても総理の御見解をいただきたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) スペインで起こりましたテロに対しましては、犠牲者の方々に心から哀悼の意を表したいと思います。また、こうした自分たちの目的を達成するために全く関係のない人まで殺りくして平然としているテログループテロリスト、そういう者に対して強い憤りを感じております。  スペインの内政につきましては我々からとやかく申すべき立場ではございませんが、かねてから、スペインにおきましてはバスクを始め各地方によって地方自治権を拡大せよというそういう要求があるようでございます。そういう中での問題もスペインにおきましては総選挙の中での一つの課題だったと思います。  また、今回のテロリストの、今回におけるテロの犯行がそのような内政問題によるテロなのか、あるいはアルカイーダ等外国テロ組織によるテロなのか、まだはっきりとしておりません。これがどのような形で選挙に影響を与えたかというのは、いろいろ分析されているところでございます。  しかし、テロというものは今まで、ニューヨークでの九・一一以前から世界各地区で発生してはいたわけでありますし、今後も、このような状況を見ますと、日本におきましても、このようなテロに対してどのような対応が必要かということはふだんからしっかりとした警戒と対応体制が必要だと思っております。現に、オウムによるあのサリン地下鉄事件等化学兵器を使ったテロというものに対しては、もういかに甚大な被害が起こるかということを日本は経験しておりますので、そのような対策を含めて、今後怠りない対応が必要だと思っております。
  5. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 しっかりとした対応政府お願いをいたしたいところであります。  それでは、本題の経済問題につきまして質疑を行いたいと存じます。  国内景気につきましては、二〇〇三年の十月—十二月の実質GDPが六・四%の成長率を達成をするんではないかということが記録をされました。このことは、小泉内閣経済政策がある面で成功しているとも思えますが、ただやはり、中国とかアメリカの異常と思えるほどの好景気、それに支えられた国内輸出産業、そして一部のIT企業等々の牽引力によって成長率がこういった姿になってきたんじゃないかとも思えるわけです。  なぜかといいますと、私ども地方におりまして、景気が良くなったという、そういうような実感がないんですね。私は長崎でありますが、長崎中心商店街等はもう昼間でも夕方でもがらんとしていて、まあゴーストタウンとまでは言いませんが、そういうような状況であります。離島に行くと、壱岐、対馬、五島というような離島長崎県抱えておりますが、大変厳しい状況であります。  したがいまして、こういうような経済の形のアンバランスというものが私どもには大変不安でありますが、このことについて総理の御見解をいただきたいと思います。
  6. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現況の経済情勢につきましては、予想を超えた動きが、また改善状況が一部に見られておりますが、これがまだ地方に及んでいないという御認識だと思いますし、事実、各地域によってばらつきがあるのはおっしゃるとおりだと思います。  また、長崎におきましては、鎖国時代から長崎は言わば外国に交流の町として独特の意味合いを持った地域でありますし、今考えてみますと、歴史遺産も多いし、郷土色豊かな独特のものも持っておられます。言わばそのような、今後、観光遺産ともなり得る、観光資源ともなり得るものも私は数多くあると思います。また、長崎にちなんだ歌は実に多いです。そういう歌に歌われるぐらいに多くの人が長崎に愛着を持っている。そういう点から、長崎の方が全国にない自分独特のものをまだまだ広報なり宣伝なりする、して地域おこしに意欲を持って取り組んでいただきたいと。  今、かつての寂れた町も、地域の皆さんの取組によって多くの観光客が訪れている地域がかなりあります。あるいは、今まで規制の面において特区構想というものもございます。こういうような創意工夫を生かして前向きに向いて、長崎は今雨でも明日は晴れるぞというような、そういう意欲を持って元気に取り組んでいただきたいと、そういう意欲政府としても支援をしていきたいと思います。
  7. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 長崎について総理が非常に多くの理解をいただいているということは大変有り難い話でありますが、一度是非長崎の町あるいは離島にも行っていただいて、現在の経済状況あるいは生活状況といったものがいかに厳しいものであるかについて是非肌身にしみて感じていただきたいと。これは、もちろん長崎県あるいは各市町村中心に我々も一生懸命頑張りますが、しかしやはり限度がありまして、やっぱり国のきちっとした対応というものが必要であるというように思うわけであります。  そういう意味で、これからの小泉内閣政策というのは、経済政策一辺倒であるということではやはり問題があるんじゃないかと。やはり今、竹中経済財政担当大臣が当初骨太方針の中の原案で、これまでの国土の均衡ある発展ということについて地域間の競争に置き換えようとした。地域間の競争であれば、これは東京がもう全勝することは間違いないわけですね。じゃ、他の地域は全部廃れていっていいのかと、こういうことになります。  したがって、まず基本的な景気を良くするということ、これについてこれまで小泉内閣の取ったいろいろな政策が少しずつ功を奏してきているというように私も思いますが、しかし、弱者がますます弱くなっていく、厳しい状況に置かれているというのでは、これは政治ではないんですね。政治はやはり最大多数の最大幸福でありますから、この点について、骨太方針の中でそういうようなことを若干お考えになって、どうもまだ競争一辺倒のエコノミストを脱してないのかなという思いもないではない竹中大臣にひとつ御見解をいただきたいと思います。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 松谷委員からは、大変重要な問題を御提起くださっているというふうに思います。  競争一辺倒ですべてが解決するとは、もちろん当初から毛頭思っておりません。個性ある競争は必要だと。しかし、その必要な競争の上に立って、結果的に日本国民としての安定した生活経済活動環境が得られるような場を作っていく、環境を作っているのが正に政治の仕事であるというふうに思っております。  総理も先ほど御発言されましたように、正にマクロ経済が良くなっている今こそ、この状況地域に浸透させなければいけない、中小企業に浸透させなければいけない、そういう考えそのものを打ち出したのも実は経済財政諮問会議でございます。経済財政諮問会議の場で、正に昨年、マクロ経済に良い兆候が出始めたその瞬間に、次は地域であると、であるからこそ地域再生本部を作らねばいけないと。これは繰り返しになりますが、実は経済財政諮問会議の場からこういう声を上げまして、それが今形になりつつあるところでございます。  そこら辺は是非理解の上で、また地域再生プログラムも、これは金子大臣が御担当でございますが、先般、第一次の募集をいたしました。三百を超える自治体からそういう声が上がっておりますので、先ほど総理からもお話がありましたように、是非ともここはいろんな知恵を出し合って実現できるものは実現したい。構造改革特区は正に規制改革だけでありますけれども再生の方はそれプラスアルファの、政府としてできることを更に考えていこうということでございます。  しかし、三百というふうに申し上げましても、三千幾つある自治体のうちの実はまだ一割しかそういうものが出ていないというのも現実でございます。我々としては、自治体にも働き掛けて、是非しっかりとしたプログラムを出していただきたい。それに対して政府として、もちろん財政の制約がございますけれども、こたえられるものはこたえることによって、こたえることによって、この今の良くなり始めたマクロ状況是非とも地域に浸透させたい、中小企業に浸透させたい。そうすることによって、構造改革の成果を国民が広く分かち合えるような環境是非とも作っていきたいという非常に強い決意を持って当たっております。
  9. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 是非そういった政策をきちっと地域に浸透できるようにしていただきたいと思うんですが、私どもはずっと市町村を回りまして、あるいは各地の商工会とかいろいろな産業関係の方、あるいは市町村の、町長さんたちにお会いしても、大変に厳しい状況であると。特に、離島などについて言えば、これは産業としては農業林業水産業、それに公共事業しかないんですね。で、それを今、竹中大臣お話しになったようないろいろな特区とかなんとか、こういうようなことを話されていますが、そういうところとはまあある意味、無縁とは言いませんが、そういうようなものとは違った強力な政策もやっぱり打ち出していただきたい。  社会福祉政策については、我が自民党は当初より非常にすばらしい政策を打ち立てて強力に実施をしておりますが、地域間についても私は強者と弱者があって、やっぱり貧しい地域というのがある。その貧しい地域に対しては、一種の地域的社会福祉政策というようなものをきちっと取っていく必要があるんじゃないかというように思いますが、この点について大臣、いかがですか。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地域独自でやはりそれぞれに頑張っていただかなければいけないところはある、しかしそれだけですべてが解決するわけではないのだから、国としてのより大きなアンブレラといいますか器が必要であるというような御指摘というふうに存じます。  経済財政諮問会議等々の議論で、地域再生する場合にやはりまず三つのことをやらなければいけないというふうに思っております。  一つは、この公的な部門が行っている事業をもっと民間に移せないかと、外部委託の問題でございます。そうすることによって、これはかなりの即効性のある効果が期待できる面がございます。これは決していわゆるトータルが一定というゼロサムではなくて、そうすることによって財政も効率化されて、また地元の民間も潤うという事例がこれは幾つかの自治体で示されております。  二つ目は、地域にやはり基幹産業があります。基幹産業農業漁業等、それと公共事業だというふうに委員おっしゃいました。そういうものをやはり強くしていくということがどうしても必要なことになります。それぞれについて、今、更に調査も含めて我々としての対応策考えているところでございます。  加えて、新しい産業をそれぞれに起こせるところがあるでしょうと。かつて小さな村であったところが、人口一万人ぐらいの小さな町であったところが、今は年間百二十万人の観光客を集めるようになった、そういうところもございます。そこはやはり、観光等々を一つの取っ掛かりとして新しい産業をやはり興していっていただかなければいけない。  それに加えて、やはり国民としての必要な生活を保障するような仕組みというのは、これは国と地方の間でもこれまでも作られてまいりましたし、今度の新しい国と地方仕組みの中でもやはり当然そういうことは考えられなければいけない問題であるというふうに思っております。三位一体改革等の中でも、当然そういった問題意識を持って今新しいその仕組み作りに取り掛かっているところでございます。  委員の御指摘は我々も十分に踏まえて対応しているつもりでございます。
  11. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 その三位一体も、今過渡的なものとは思いますが、しかし各地方に行けばもう大変に厳しい財政状況になってきていると。そうでなくても、地方が非常に疲弊をしているところに、こういうような形で補助金はカットはされる、交付税は来ない等々、財源措置といってもそんなに財源のあるような町はないわけですから。そういう点で非常に厳しい状況にあることを訴えられます。過渡的なものであるとは思いますが、しかし、改革についての痛みとは思いますが、しかしそれはできるだけ痛みは少なく、そしてスムーズに移行できるように、改革が進行できるように是非お願いをいたしたいと思うんです。  例えば、長崎について言いますと、漁業の中核でありました巻き網船昭和五十四年で四十一船団ありましたが、平成十五年現在、十六船団に激減をしております。それから、以西底引きというのがある。底引きで漁は捕るわけですが、それは何と、昭和三十五年、百五十四船団ありましたが、現在わずかに七船団になっていると。非常にこの漁業についても厳しい状況があります。  これは、対中国とか対韓国とかいうような問題もありますし、漁業資源の問題もありますが、やはりこういうような状況については、国としてどういうような対応をしたらいいかということはやっぱりきっちりとやっていただきたいと思います。  今日は農水大臣がおりませんが、水産庁、副大臣来ておりますかね、副大臣からひとつ御答弁を願います。
  12. 市川一朗

    ○副大臣市川一朗君) 我が国水産業は、やはり国民の重要なたんぱく源を供給する産業でございますので、食料の安全保障という点からしても大変農業とともに重要な産業であると思っておりまして、特に私なんかも魚好き人間でございますので、魚なくしては生きていけないと思っておりますので、そういう意味で、水産業について、特に長崎辺りで頑張ってもらわなきゃいけないという基本的な認識があるわけでございますが。  ただいま先生から御指摘ございましたように、東海、黄海操業しております底引き網あるいは巻き網漁業につきましては、主漁場であります東シナ海や黄海におきまして、日韓日中漁業協定に基づく相互に入り合う操業を行っていることで漁獲割当て操業条件の設定が行われておりますし、周辺地域資源状況の悪化、あるいは魚価の低迷等によりまして漁業経営が非常に悪化しているということを私ども認識しておるところでございます。  これらの状況の変化に対しまして、今後の見通しを見ましても、相互主義に基づく交渉を基本としておりますので、例えば漁獲割当て増大とか操業条件の緩和というのはなかなか困難な状況ではないかという認識を持っているわけでございます。このため、平成十二年の日中漁業協定発効後、以西底引き網漁業につきましては二十六隻、巻き網では十二か統の大幅な減船を実施いたしまして、日中基金によりまして漁業共済掛金に対する助成等を講じてきたところでございますが、最近では、特に巻き網漁業につきましては、漁獲量増大が見られまして、経営状態につきましても若干小康状況にあるという認識は持っております。  平成十六年度予算におきましては、大中型巻き網漁業負債整理対策として漁業経営再建資金償還期限延長等を講じているところでございますけれども、巻き網漁業の抜本的な低コスト化を実現するために、新しい技術を導入した操業形態を産官学連携して漁船漁業構造改善推進会議というところで今検討しておるところでございまして、抜本的な改善策をいろいろと講じていく必要があるんじゃないかというふうに認識しておりますので、先生からも是非バックアップしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  13. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 是非しっかりやっていただきたいと思います。  さきに申し上げましたが、地方では、特に我が長崎県等については、離島、半島、過疎地域が大部分でありますので、そういうような地域産業というのは、先ほど竹中大臣は何か新しい産業を持ってきて切り替えればいいというようなお話はありましたが、そう簡単にいくものじゃないですね。やっぱり離島に来るような産業というのはなかなかないわけでありますから、観光についてはそういうようなことは考えられると思いますが、やはりそういうような地域というのは農業が主である、それから林業、それから水産業、今言った。ところが、これらの産業が、いわゆる一次産業が壊滅的な状況にあるわけです。これはやっぱり国の基本農業であり水産業であるとするならば、政府としてはきちっとした対応をこれは行う必要があると思います。  さらに、そういう地域では公共事業というのも一つの大きな産業になっているわけです。ところが、公共事業について、例えば道路について言えば、とにかく経済効率だけでいくと。経済効果がなければ道路は造りません。そうしたら、経済効率があるというところはみんな人が多いところですから、全部大都市に立ってしまう。じゃ、大都市だけ道路を造ればいいのか。そういうことではないんですね。道路というのには、単なる物流、人の流れだけでなくて、例えば医療、救急、急病の人が出たと、それを病院に送らなくちゃいけない、そういうのもやっぱり非常に重要な役目であります。  地元のことを言って申し訳ないんですが、大村市に国道三十四号線というのがあります。この国道三十四号線が大変な渋滞をしている、いつも渋滞している。長崎には珍しく大村の中央病院、国立の中央病院があって、大変大きな病院です。そこが救急病院でありますが、その救急病院に患者が発生して届けようとしても、渋滞してとても届けられないのでわざわざ高速道路に乗って佐賀県の方から入ってくると、こういうような状態さえある。したがいまして、高速道路の問題は今、道路の問題でいろいろと言われておりますが、そのことは後ほど触れるといたしまして、やはり一般地方道というのは生活に非常に密接した道路でありますから、そういうところについてはきちっとした対応をしてもらいたいと思います。  ところが、何でもかんでも削減すればいいという、谷垣大臣は言いますが、財務省の指導かどうかよく分かりませんが、しかし公共事業については、事業費全体で七・一%の減というような状況にあります。更にまた削減するのか。そういうような、大都市を削減するというのであればまだ分かりますが、そういう弱者切捨てのような形での公共事業削減というのは、地方はそういう公共事業にかなり依存している部分もあります。例えば、農業が非常に厳しい状況にあると。農業の従事者は今まで公共事業の方に雇用移転をして、そこで雇用がある程度円滑にいっていたと。ところが、今度は公共事業をばっさばっさ切り捨てますから、そちらでの雇用が見込めない。結局失業率が高くなる。しかも、大都市と違って転用のできない地域でありますから、大変悲惨な状況になってくるわけであります。その辺のところは政治として十分考えていただきたいと思います。このことは国土交通大臣で、一存で御答弁できることではありませんが、しかし、大臣からひとつ御見解を賜りたいと思います。
  14. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員がお地元の国道三十四号線の例を出されまして、渋滞の状況等々によりましてこの医療機関への救急車の到達時間の問題点について御言及がございましたが、私もこの週末、九州をいろいろ歩いてまいりまして、道路事情あるいは鉄道事情を見てまいりました。やはり地方に行けば行くほど、鉄道網も都会に比べれば不備でございますので、道路を利用しての移動というものが大体九割、皆様方の各家庭にも一台ではなくて二台以上の車がある、そういうことで、この地方の幹線道路、あるいは様々な高速道路も含めてでございますけれども、重要性が都会よりも更にまた一段あるということは私もそのとおりであると思っております。  先ほど委員が御指摘されました救急病院への到達時間、例えば出血多量の場合の死亡率は三十分で五割、六十分たてばほぼ百割の方が、一〇〇%の方が亡くなるという結果もあります。そういう意味からも、その救急救命装置が設けられている病院の少ない、国立病院の例を今委員はお出しになりましたけれども、そこまでのアクセスも考慮するということは、長崎県に限らず、いろいろな過疎地域の方々から現実の問題として、御自分のお子様がそういう事態に遭ってどうであったかというような、本当に身近な問題として私もお話を伺わせていただいております。  その一方で、この厳しい財政事情の中で、道路整備については、その必要性というものは、やはり今言われました採算だけではなくて、あるいは地域の事情、外部的な要因というものを十分に考慮する問題はたくさんあると思います。病院もしかり、あるいは災害が起こったときの代替道路あるいは交通網が山岳地域を通っていることによっての遮断率の多岐、こういうものをすべて外部評価をして、必要なものから順番に社会資本の整備というものを行っていかなければならないと思います。そのときにはやはり、もちろん委員が御指摘されましたように地域のニーズというものを十分に踏まえさせていただいて、重点的かつ効率的にこの社会資本の整備というものは進めていかなれければならないんだと考えております。
  15. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今大臣から話がありましたように、地方道については今のような正に生活道路でありますから、大変に国民生活に密着したものであるわけですね。財源に限りがありますから、その点は十分理解はできますが、やはりそういう点は十分に配慮した上で配分をしていただければというように思います。  今お話があったように、例えば防災のための道路、島原半島で普賢岳噴火の後遺症はまだまだ残っております。それに対する地域高規格道路の計画あるいは工事、そしてまた、非常に効果的な道路として評価されております西九州自動車道が武雄から佐世保に入りました。それを更に佐世保を貫通して、県北の北部へ道路工事が実施されていけば、これはやっぱり県北という非常に長崎でも厳しい状況地域の振興になるというように思います。そういう点を十分御理解をいただきたいというように思います。  ところで、総理にお伺いいたしますが、先週ですか、道路公団の民営化法案が閣議決定をされました。これについて、総理はいかような評価、何点ぐらいの評価を与えられておりますでしょうか。
  16. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 点数は申し上げられませんが、画期的な大改革だと思います。民営化推進委員会の意見を基本的に尊重することができたと思って良かったと思います。  まず何か、これは借金四十兆円、これを確実に返済すること、四十五年掛けて借金返済します。このめどが付いた。さらに通行料金、これを引き下げます。これも決定いたしました。同時に、道路公団を分割する。これも分割すること決定いたしました。さらに、ファミリー企業の見直し、コストの削減、基本的な意見をほとんど尊重することができた。画期的な大改革だと思っております。
  17. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 画期的な大改革であるということで、私ども国土交通委員会でしっかりとこの問題については今後議論を重ねてまいりたいというように存じます。  ところで、民主党は高速道路の料金を無料化すると、こういうことを言っているわけですが、それは今総理が申し上げました画期的な大改革であります道路公団民営化の方針といいますか、あるいは民営化委員会の方針と全く逆な発想ではないかというように思いますが、これについて国土交通大臣の御見解を問います。
  18. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま総理から御答弁をさせていただきましたとおり、民営化推進委員会の意見というものを基本的に尊重させていただいたわけでございます。ただ、二点ほどその民営化推進委員会の意見というものを採用しなかったものがございます。  それは、一つは、会社が道路を所有する、平たい言葉で言いますと、上下一体という話でございます。  やはり高速道路、これは有料道路で、厳しい財源の中で利用者の方々の料金によって早急に装備するという目的の中、こういうものをやってきた経緯からしても、道路の哲学、国民の皆さん方の共有財産であるということからも、プライベートな会社がこの道路を所有するということは今のこの日本にはなじまない。すなわち民営化委員会の皆様方の念頭にございますのは、ただいま委員が御指摘になりましたように、永久有料、こういうものを念頭に置かれているわけでございます。しかし、その無料化すべきという民主党の案とはここでもう明らかに百八十度以上の大きな開きが私はあるんだと思っております。したがって、民主党の御提案の高速道路の無料化は民営化委員会の基本的な考えと全く違うと言わざるを得ないと思っております。  しつこいようでございますけれども、道路は無料自由通行の原則が極めて高い、公共性の高い公共公物と位置付けておりますし、私有になじまない財産であるということは、多分今国民の皆様方にお問い掛けをして八割九割の方がそういうお考えに立つんだと思います。もちろん、これから大きな議論があって、道路も全部個人のものだと、こういう議論を、議論自体を否定するわけではございませんけれども、今般の改革においては、四十五年でこの債務を必ず返済して、民営化したときにも今ある債務を上回らないと、そういうことを法律でしっかりと縛らせていただいておりますし、三つに分割することによって会社間の競争、あっちの会社ではこういうサービスをやっている、こっちではこういうサービスをやっている。九州で電車に乗ってまいりまして、本当に様々な努力が民営化されたことによって電車の装備あるいは客室サービス、こういうもので関東で乗る電車とまた違う、一味も二味もすばらしい九州でのJRの努力というものも目にしてまいりました。やはり分割は必要であるなということを強く感じたわけでございます。  そういう観点でこういう民営化法案を閣議決定させていただきましたので、国土交通委員会で更なる深掘りをした御議論を賜ればと承知しているところでございます。
  19. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 まあそもそも道路というのは公物ですから、公共財としてこれを先ほど申し上げましたような国民生活に密着した道路として使用する、これはもちろん無料であります。しかし、高速道路のように、これを道路を造ることによって非常に物流がスムーズになる、経済効率が良くなる、経済にプラスするというような道路は利用者の負担ができるならば、その利用者の負担を考慮しながら道路を造るという方式がいわゆる道路公団の有料方式であったわけでありますね。これを無料にしてしまうというのは、いかにもその辺のところがしっかりしていないと私は思います。  先ほど総理は、今度の民営化法案はすばらしい成果で、改革の成果であるというようにお話しされましたが、この点について総理の御見解をいただきたいと思います。
  20. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 無料にするという民主党の案、これからどういう具体的な無料化案として出してくるのか詳細には聞いておりませんが、結局いつかは道路は造らなきゃならないんですから、これは、無料化にした場合に高速道路を使わない人もこれ税でやれということになりますね。今まで特別な高速道路は有料でやってきたんですから、そこが無料になっちゃうということは、全然使わない人にも税負担でこれを賄うということであります。こういうことについても私は疑問を持ちますし、よく今回の出た案を民営化推進委員会の意見を尊重していないと言っていますけれども、それでは民主党は民営化委員会の意見を尊重する案がいいのかというと、そこもはっきりしない。  それと、必要な道路を造るのかどうかという場合にも、私は最初から、民営化になった場合でも、民営化会社が造れない道路、これは出てきます。九千三百四十二キロ計画しておりますが、これは今回民営化になりますと全部できるとは限りません。その際には、今までの費用計算ではできないけれども、コストを削減する、あるいは四車線を若干小さくする、あるいはインターチェンジを変えるということによっては、費用を安くすればできるかもしれないという点は造っていいんじゃないか。  さらに、これは民営化会社ができないけれども地域の実情によって、この区間はどうしても必要だという場合には、それでは地方がどのぐらい負担するのか、国がどのぐらい負担するのか、あるいは利用者がどのぐらい負担するのか、よく計算して、このような費用が掛かっても造る価値があるかどうかというのをよく検討してもらって、必要だったら造ればいい。  私は、必要な道路も造らないのが正しいんだという意見には賛成できません。前から言っているんです。必要な道路をどうやって負担をしながら造るかということを考えればいい。ただ、コストを無視して、どんどん借金を今の公団方式で先送りして、借金して造って、あとは借金の返済は考えろと、負担者だけ、利用する人に押し付けろとか、あるいは税金で面倒見ろと、そういう計算もなしにするのは良くないということでありまして、私は、民主党がどういう提案をしているかかなり人によって違うものですから、一体として対案を出してくれば分かるんですけれども、ある人の提案によっては、必要な道路も造らないのが民営化でいいんだという人もいるようであります。私はそういう考えを取っていない。  そういう点におきまして、無料化に関しては、無料化は使わない人にも全部税負担を強いるわけですから、無料化というのは好ましいものではないと思っています。
  21. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 この問題についてはこれ以上質疑は続けませんが、いずれ国土交通委員会で議論の場があるだろうというように思います。  高速道路と併せて、新幹線、大変地域振興のために大きな役立っているんですが、先週、九州新幹線の鹿児島ルート、一部着工になりました。九州の各マスコミ始め、経済界あるいは一般の人々についても大変な喝采を持って迎えられました。これである程度、九州の地域振興に役立てていくんじゃないかという思いがあります。  ただ、九州新幹線はルートが二つありましてね、鹿児島ルートもありますが、長崎ルートもあるわけです。長崎ルートについて、どうも若干遅れているようなことを感じて残念でならない。  それは、原子力船「むつ」が昭和三十四年かな、参りましたときに、これは政府ではありませんから、ここで言うのが適切かどうか分かりませんが、当時の政権与党であります自民党の大平幹事長、中曽根康弘総務会長等々の三役の方が念書を出して長崎ルートの早期着工を約束した。鹿児島ルートと長崎ルートは同時一体的に着工するんだと、こういうような念書です。これは政府ではありませんから、ここで総理に質問するわけにはまいりませんが、しかし、そういうような政権与党としてのきちっとした協定、約束があったんですが、これがまだ守られていないというように私は感じます。  長崎ルートの早期着工について、国土交通大臣見解を問いたい。
  22. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が御指摘になりました原子力船「むつ」に関する事案については、昭和四十九年に太平洋上で放射線漏れ事故を起こして、佐世保港への寄港受入れが問題になったということは承知しております。そして、その際、昭和五十三年の五月でございますけれども自民党の当時の三役の皆様方から長崎県知事に対しまして、長崎新幹線の工事着工に関する基本的な考え方が示されたということも聞いております。  その上でお話をさせていただきたいと思うんでございますが、整備新幹線に関しましては、これももう委員御承知のことだと思いますけれども平成十二年十二月の政府・与党に基づきましてその整備を推進してきているところでございます。  同申合せでは、長崎新幹線を含む未着工区間に関し、社会経済情勢、国、地方公共団体の財政事情等に照らし、東北新幹線盛岡—八戸間及びただいま委員が御指摘されました先週開業いたしました九州新幹線新八代—西鹿児島間の完成後に見直すこととされております。このため、今政府・与党で見直しに向けて、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおきまして整備財源に関する検討が行われているところでございます。  役所の立場といたしましては、まだこのプロジェクトチームから何の御提言もいただいておりません。鋭意かなりの深掘りをした議論が行われているという話を座長の先生からもお聞きしておりますが、この検討を見守りますとともに、この検討に当たりまして、やはり財源をどうするのかといったような大変重要な問題を含みますので、詳細のデータの提供等々、協力を行っているところでございます。
  23. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 与党プロジェクトチームから何ら提言がまだないというんですが、今現在いろいろと審議中でありますが、こういった状況というのは十分政府の方も御理解をしていただきたいと思います。  最後に、バブルの後遺症があるといいながら、これはもう十年近く、我が国は非常に元気のない状態が続いている。かつてはジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたほどの日本に対する世界的な大きな期待があったんですが、今はそれがなくなっている。私は、少しずつ景気も回復していくであろうとは思いますが、やっぱり国民に、勇気付けられるような一つのシンボル的なプロジェクトというものがあってもいいんじゃないかと。  例えば、羽田空港の国際化でありますとか、あるいは今申し上げました新幹線でもそうでありますが、あるいは環境問題として、例えば大村湾、閉鎖式の海域であります大村湾、非常に環境が悪化しておりまして、そういうところに、大村湾と東シナ海の間はわずか五キロしかない。そこに運河を造って、せき止めしながら運河を運航すれば、大村湾はたちまちに浄化されるであろうと。そういうような大きなプロジェクトというものも十分政府としてはお考えになっていただいて、元気を出していただきたい。小泉総理、非常に元気でありますが、もっと元気を出して長崎で歌が歌えるようになっていただきたいというように思いますが、最後に総理の御見解をいただいて終わりたいと存じます。
  24. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大村湾に運河を造って東シナ海につなげるという、これは初めて伺いましたけれども、大きな構想ですね。大村湾は湾口一つでしょう。それ、運河を造る場合に、その東シナ海に抜ける運河が、これ山があるかないかによっても運河の造り方が違ってきますよね。その生態系に与える影響はどうかとか、いろいろあると思います。  構想としてはこれは面白い構想だと思いますが、それは住民の方、生態系の問題、あるいは今までの大村湾がこう両方海でつながった場合、その周辺の環境にも大変な影響を与えていくと思いますので、一つの構想としては面白いものだと思いますが、この点についてはもっと十分に、実現、着手する前には十分な住民の皆さんの御理解、あるいは環境に与える影響、あるいは経済効果、そういう点について十分検討する必要があると思っております。
  25. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。仲道俊哉君。
  26. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 総理、毎日御苦労でございます。  今、松谷委員の方から元気な総理のということでお話がございましたが、先日、地元で女性グループとの会合のときに長嶋監督の病気のことが出ました。やはり、あれだけ健康な人でも過労がたたるとああいう病気になるんだなということで、皆さんと一緒に一日も早い全快を祈ったわけでございますが、そのときに総理の話が出まして、女性の、私、グループに行きますと、必ず総理の話がこれ出てくるわけですが、そのときに日本一忙しいスケジュールの総理で、実際、健康管理どうしておるんだろうかなという話が出ました。  私も独り身ですが、総理も一応独り身のようでございますので、実際にその健康管理というのを皆さんが大変心配されておりますので、せっかく今日いい機会でございますから、総理の健康管理につきまして国民の皆さんに安心するような一つの何かお話ができましたらと思っています。
  27. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 健康を心配していただきまして、ありがとうございます。まあ若干、最近、花粉症で悩んでおりますが、最近はいい薬が出てきておりますので、今のところ、今日は鼻水が止まっておりますので、これは大分この薬は効くなと思っておりますが、本来は薬に頼らないで、健康の三原則があるということは常々言っているんです。  それは何かと。日ごろからの正しい食生活、食事に気を付けるということ、バランスの良い食事、これが第一。そして、十分な休養、そして適度の運動、これが私が常々心掛けている健康三原則であります。これで駄目な場合に、病気になったときにお医者さんに診てもらったり、薬を飲んだりすることがいいんであって、最初にこの健康三原則を忘れて暴飲暴食勝手放題、悪くなったらもうお医者さんがいるからいい、薬飲めばいいというのでは真の健康ではないということで、健康三原則を気を付けるようにしております。  ただ、そういう中でも、これ十分に全部できるわけではありませんが、心掛けながら、忙しいときには、休みのときには寝だめをするとか、運動も思うようにできませんけれども、日ごろわずかな時間を利用して柔軟体操ぐらいはするとか、この三原則を気を付けて、暴飲暴食せず、何とか予定を変更しないで、予定どおり毎日の仕事ができるように心掛けております。
  28. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 その女性グループも今日聞いておりますので、多分安心をしただろうと思いますが。  自衛隊のイラク派遣については、私、一度だけ是非機会があればお聞きしたいと思っておったことがあるんですが、実は私には九十三歳になる母親が、おふくろがおります。一番末弟が北海道の自衛隊にいるわけですが、そのおふくろが、自衛隊のイラク派兵、派遣について、なったときに、やっぱり母親なんですね、お寺に行かないように願掛けをしまして、そして行かないということが分かりましたら、是非そのお寺にお参りに行きたいということで、私、そういうおふくろの考え方なり、年を取ってもやはりおふくろは我が子がかわいいんだなと思う。  そのことを弟の方に電話しましたら、いや、それは心配していただいて大変有り難いけれども、任務が決まったら、派遣が決まったらその任務を遂行する、そして無事に帰ってくるから、是非おふくろには安心するように言ってくれという大変力強い電話を聞いたわけですが。  そこで、この自衛隊派遣を決断するまでに、私は、総理は随分悩まれただろうと思うんです。そういう親と同じような私心、私のことの、そういう気持ちと、それから総理という公の立場での、この日本の国をどうするのかという国益に関しての、そういう二つの中のはざまで随分心の中でも葛藤があっただろうと思いますし、決断するまでの総理の心境というのは私はいかばかりかとお察し申し上げるわけでございますが、そういう意味で、今回の自衛隊派遣に対しての総理の決断に至るまでの御心境なりお考えがありましたら、ここで国民の前で是非御披露をお願いをいたしたいというふうに思う次第です。
  29. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 仲道議員の母親の御子息を思う気持ち、正に親を思う心に勝る親心と言われますが、子供が親を思う気持ちよりも親の子供を思う気持ちはもっと深いんだという、もうその一端だと思います。それに対して、御子息さん、任務をしっかり果たすんだと、心配するなということで、日ごろからその心の備えはされているんだと思います。  今の自衛隊の諸君も、でき得ればイラクに行かなくて平和が保てる、国際社会の責任ある一員としての任務が遂行できるんだというんだったら、それでいいと思っております。私も、国連の加盟国として、日本がこのイラクの復興支援に自衛隊を派遣することなしに、国際社会から日本はよく責任を果たしてくれるなと、そういう評価を受ける状態であるならば何もする必要はないかと思います。このように、イラクに多くの国々が協力しながらイラクをテロリストの温床にしては大変になると、やはりイラクに安定した民主的な政権を作るために何が必要かということで取り組んでいるわけであります。  また、国連の安保理事会におきましても、加盟国に対してそれぞれの国がそれぞれの国にふさわしい協力をイラクのために出してくれという要請が来ている。これにどうこたえるかということを考えると、日本のこれまでの状況日本が敗戦後多くの国の支援や協力を得て発展してきた。当然イラクの国民も、今多くの支援を望んでいるでしょう。苦しい立場だと思います。そのときに、日本として、今ようやく他国から援助を受けないでも、多くの国民の努力によって今日、自国の発展にそれぞれの力を発揮することができる、むしろよその国を援助する立場になった。  そういうことを考えますと、イラクの安定した政権が一日も早くイラク人によって建設されるということは、世界の平和と安定はもちろん、日本国にも大きな影響を与えてくる。エネルギーの問題一つ取っても、あるいはテロの脅威を考えても、やはりイランが安定した政権で発展してもらいたいと。  これが混乱のままに、多くの国がイラクの支援から手を引いてテロリストがばっこするような、あるいはテロリストの温床となるような国になったらどうなるんだろうかということを考えると、日本は世界の中での今やGDPにおきましてもアメリカに次いで第二位の国になっている。資金的協力もしましょうと、物的な協力もしましょうと、人的な貢献もしましょうと、できるだけの国際社会の中での責任を果たしますよということになりますと、日本のできる分野、じゃ人的協力ということになるか、何ができるかというと、これは、民間人は、今の治安状況から考えますと、自分で自分の身を守るすべというものがない。  さらには、外交官二人が日本でも犠牲になったということを考えると、かなり危険を伴う状況にあっても、日ごろの訓練によって危険を避ける能力、訓練をしている。また、危険を避けるある程度の装備も持っていけると。そして、組織的に、ホテルに泊まらなくても自分で宿営地を作り、自分たちで食料を供給できる、そういう能力を持った組織が日本にあるかというと、自衛隊しかない。  そして、自衛隊が行くから戦争に行くんだと言って反対している人が一部におりますけれども、自衛隊は戦争に行くのではないと。イラク人から評価される、歓迎される復興支援活動、人道支援活動に行くんだと。アメリカやイギリスと同じようにテロ掃討作戦に参加するものでもない、掃討作戦や戦闘行為に参加するものではないと。自衛隊はあくまでも復興支援活動、人道支援活動ですということで、今回、自衛隊の諸君に赴いてもらうということになった。  現実に自衛隊が行けば日本は敵視されると言っておりますが、現実、自衛隊が派遣されて現地の状況を我々見ていると、敵視させるどころか歓迎してくれて評価してくれて、日本の支援に対してもっとという要求も来ている。  こういう状況を見ると、日本の自衛隊の活動は戦争のためではない、復興支援、人道支援、日本人の一般の市民ができない仕事をしてくれる。日本の一般の市民が、訓練もしていない、装備も持っていない。こういう活動というのは、日ごろから十分な組織的な訓練と使命感を、責任感を持った組織である自衛隊の諸君しかできないなと。  いずれ、イラクの治安が安定し、自衛隊が行かなくても一般の市民、一般の国民が、あるいは一般の企業が、日ごろの自衛隊の訓練をしていない人でも復興支援、人道支援に赴けるような状況を作られた段階には、多くの支援が日本にとってはいろいろできると思います。  自衛隊の復興支援、人道支援は、日本の支援のあくまでも一部であります。しかし、その一部の仕事も一般市民にはできない、訓練をしていない国民にはできない。そういう国民に代わって、自衛隊の諸君は、日本国民の善意の代理者として、代表者として、善意をまたそれを実行できる人々として、日本国民のために、イラク国民のために活躍してくれるんだなと心から敬意を表して、今後の活動が立派に果たされるように、毎日毎日期待し、また願っております。
  30. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 今、総理の決断について一般の国民の皆さん方も十分理解しただろうと思いますし、ただ、これまで反対をしている方は、ただ戦争反対であるとか、ただアメリカの言うなりにというような、そういうようなことでの反対をしておるわけですが、今の総理のお言葉を聞いて国民の大部分は理解をしたんじゃないかというふうに思います。  次に、この国のあるべき姿ということについてちょっとお聞きしたいんですが、総理は、聖域なき構造改革ということで、官から民へというようなことで政策を進められているわけですが、その先に見える国の姿、どういう国にしたいんだという、そこのところがいま一つ国民理解されていないんじゃないかなと。  例えば、明治政府の場合には富国強兵、殖産振興というようなことを、また戦後の吉田内閣では食糧増産とそれから経済振興とか、そういうこと。また戦時中では、私たち戦時中の教育を受けたんですけれども、お国、善しあしは別にして、お国のためにということで真剣に教育を受け、そして私自身は十五歳から少年飛行兵として予科練に行き、海軍航空隊に入ったという。そういうことで、何か若い者が目的を持って、そしてやっていくという、そのときには純粋にこの子供たちは目的を持って、そして頑張ってきた。総理はこの前、知覧に行って随分と感激をしたようでございますけれども、そういう問題。  ちょっと話が外れますが、北朝鮮、私はそういう意味じゃ非常に怖いんです。私たちが少年時代に受けたような教育を今、報道関係で見ますとね、だから、金日成のためには命を投げ出していいというような、そういうところまでの教育を受けておるという、そういう意味では非常に怖い存在に私は思っておりますけれども。  何か、そういう意味で、この先に見える日本の姿なり、又は特に青少年や辺りに希望を持たしていくような、支持率五五%に上がったわけでもございますし、総理のそういうリーダーシップの下での日本のあるべき姿というのを是非お示しいただきたいと思うんです。いかがでしょう。
  31. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦前と違って、やはり時代も変わってきますと、それぞれ人の生き方にもいろいろ変化が出てくると思います。ある人によって、国が生き方を決めてもらった方が目標ができていいんだという人も一部にいますが、圧倒的多数は、自分たちの生き方は自分で決めると、余り余計な干渉してくれるなという方が増えているんじゃないでしょうか。  私は、現在、日本状況を見まして、今ほど自由で平和で繁栄を謳歌している時代はなかったと思っています。失業の問題、雇用問題、厳しい状況だということがありますが、歴史を見れば、今ほど若い人たちが自分の職業を自由に選択できる時代はなかったと思います。  そういう中で、やっぱり豊かさの中にも貧しさというものがある、困難がある。人間の世界、悩みは尽きないなということだと思いますが、そういう中にあって私は、政治といろいろな企業なり各個人との役割というものを、まず私は政治の大事な役割は、自らの創意工夫が発揮されるように、個人も自由も、そういう活動の基盤を作る、環境を作ることが政治で一番大事だと思います。政治がああやりなさい、こうやりなさいと言わなくても、おれたちの将来はおれたち考えるんだと、おれたちの自由にやらしてくれというような、そういう環境政治が整えていくこと。  さらに、その自分たちだけではどうしてもできないということに対して国としてどのような支援が必要か、協力が必要か。個人でできない場合、お互いが支え合っていく。社会福祉なんかそうですね。個人だけではとても、医療も年金も介護も自分のだけの収入では不安だと。だからこそお互い支え合っていこうという制度を作っていく、国の支援も必要だろうと。  しかし、根本的には、自分たちの将来は自分たちで選ばせてくれという環境を作るということが政治として大事じゃないかと。それがやっぱり、個人も企業も自ら助ける精神、自らを律する精神、この精神がどんな時代においてもどんな国においても国を発展させる原動力だと私は思っております。自分で意欲的に自分を助けようとする、自分を助けることができれば人の助けにもなるのではないか。企業もそうです。そして、自分の足らざるところお互い助け合おうと、それができない場合、国が何ができるかということを考えてもらおう、これがやっぱり私は基本ではないかと。  そして、いろんなチャンスの機会を提供していく。一度や二度の失敗でくじけないで、ああ、この仕事が何だったら別の仕事にも転職できるなと。過去の経歴、つまずき、だれだってあります。一度の過ちでその人間が将来も駄目かということは全く言えない。ある企業では十分な能力を発揮できなかったけれども、次の違う仕事移ったら思い掛けない能力を発揮する人はたくさんいます。プロ野球一つだって、このチームでは活躍できなかったけれどもほかのチームに移ったら随分活躍できるという人、たくさんいるわけであります。役人の世界では余りうだつが上がらなかったけれども、政界へ出たら見事にその能力を発揮できたという人もいる。逆に、役人の世界ではもう成績最優秀、ところが政界へ出ると余り成績関係ないな。やはり政界、政治家、国民選挙等は余り成績とは、学校の成績とは関係ないなと。  それには、個人には向き不向きがあるんです。一つの美点が他のところで生かされるか。そうでもない。一つの弱点が別の世界で美点とならないとも限らない。長所が短所であり短所が長所であるというんですから、どのような場合があっても失敗は成功のもとと思って失敗を成功に生かす、そういう努力が個人も企業も私は必要だと思っております。
  32. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 今日、もう少しこの問題については、ちょっとはぐらかされたような気がいたしまして、根本的なことで論議したいんですけれども、今日は教育の問題がこの集中審議の議題ございませんので、また後日に譲りたいというように思います。  次に、集中審議の議題であるこの年金問題について。  今国民年金不信が非常に増大をしております。この前の世論調査等も非常にそのパーセントが、パーセンテージが高いわけですが、我が国が世界に誇る国民年金制度を持続可能にするということで厚生労働省は先般案を出したわけでございますけれども、どうもその案に対しましてもなかなか、八八%の人がこうした見直しには不満であり不安であるというようなことを言っておるんですが、ここのところの、なぜ国民が不信感を持ち、不安である、不満を持っておるのかというところの認識については総理はどのようにお考えでしょうか。
  33. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) やはり高齢少子社会になってきまして、今までの年金受けている人に比べると将来自分が年金を受ける立場に立ったときどうなるかということが今盛んにいろいろ問題になっております。  これ一つ考えてみましても、高齢者が少なくて若い人が多い、言わば年金を受けるよりもその受ける給付を支えている保険料を負担する人が多い時代は、保険料も少なくて給付が多いという時代であったわけでありますが、これから将来を考えるとそうではない。出生率を見ても、かつて戦後、二百、一年間で二百七十万人ぐらい赤ちゃんが生まれていたんじゃないでしょうか。今、百二十万人を切りましたね。半分以下になっちゃった。逆に、人生五十年だった、戦後、一時期。それが今人生八十年になった。八十歳まで生きるのは長生きじゃない、もう当たり前になっちゃった。百歳以上が一万人を超えたわけでしょう。  そうすると、人生五十年のときに六十五歳から年金をもらおうという制度だった。死んでからもらう。平均寿命のかなり先に年金は給付されるよという時代から、今はもう六十歳、六十五歳にしても、八十まで生きるのは当然になっているんですから。そういう中で若い人ががくんと減ってきましたから、今までのように保険料は安く給付は厚くという時代じゃないなと。どんどんどんどん若い人、出生率減っていきますから、それで高齢者が増えている。これはやっぱり今までどおり給付が受けられるんだろうかという不安が起こってくるのは私は理解できます。  軽い負担で厚い給付じゃなくて、やはりある程度の負担をしながら給付というものを、若い人の負担を考えて給付というものをある程度削減せざるを得ないなという状況でありますので、それで果たして将来の生活をやっていけるかという不安があるんだと思います。当然、給付と負担だけでは年金制度成り立ちませんから、足らざるところをどれだけ税金を投入しようかと。税金を投入する、これ増税は嫌だということになってきます。  しかし、どれもこれも組合せが必要でありますから、どの程度国民理解を得てこれを調整していくか。この点、非常にそれぞれの人によって考え方が違うと思いますが、こういう問題については国民理解を十分得て、長く続く、これからも一定の年金は老後生活の、生活にとってなくてはならないものでありますので、永続できるような制度を構築していかなきゃならない。そのための、理解と協力のための努力は今後とも必要でありますので、十分政府としても説明しなきゃならないと思っております。
  34. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 今、総理の方から税の問題が出ましたが、実際に国民負担率を、三分の一から二分の一に引き上げるというその財源の手当てですね。これが実際には、今予算を組むのにも、なかなか税収が上がらないということで非常に苦労しておるわけですが、国民の中にはその不安を持っておるのに、実際に二分の一にしたときのその財源をどうするんだろうかという、そこのところの不安が非常にあるわけですね。  民主党等ではこの消費税の問題が、昨年の総選挙のときにも消費税で財源に充てるんだということで、民主党の方ははっきりマニフェストでも述べておるわけですが、自民党の場合に、実際にその財源というのはなかなかあいまいで、国民の前にはっきり示されていない面があるわけです。  そういうところが非常に不満なり不安に思っている点があるんです。その財源については実際にどのような考え方を持っておるのか、そこの点についてお伺いします。
  35. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、仲道委員の御質問になりましたように、財源の手当てというのは、単なる無駄な経費を削ったというだけではなくて、きちっと税で手当てしておきませんと、いつまでたっても持続可能かどうかという安心感ができませんので、私は基本的に税源できちっと手当てをするということが大事であるというふうに考えております。  ただ、いずれにしましても、三分の一から二分の一に持っていくということになりますと、膨大な財源でございますから、全部それについて今確定的に見通しがきれいに描けているというわけではございません。  現時点の方針を申し上げますと、まず平成十六年度からは年金課税の見直しによって増収した分を財源に充てていくと、こういうことでございます。それでまず着手すると。それから、平成十七年度と十八年度におきましては、いろんな経済社会の動向も踏まえながらいろんな税制上の措置も講じた上で国庫負担の割合を適切な水準へ引き下げて、いや、引き上げていくと。そして、平成十九年度をめどに、政府経済財政運営の方針との整合性を確保しながら、それから社会保障に関する制度全般の改革の動向と、こういったものも勘案して所要の安定した財源を確保する税制上の抜本改革を行った上で、平成二十一年度までの間に二分の一までで引き上げると、までに引き上げると、こういうことにしておりまして、これに伴う税制面の対応については、先般の与党税制改正大綱でもいろいろ御議論をいただいたわけですので、それを踏まえて社会保障制度全般の見直しや三位一体改革と併せて税制の抜本改革に取り組んでいくと、こういう中で道筋を付けていきたいと考えております。
  36. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 この税の問題については今後それぞれの委員会等で論議をされるだろうというふうに思いますが、次に国民年金保険料の未納者対策ですね。四割近くにも及ぶ国民年金の未納者がいるという、このまま放置すれば年金制度全体の崩壊にもつながるんじゃないかということで大変心配をされているんですが、今後未納者の対策についてはどう進めようとしているのか、お伺いいたしたいというふうに思います。
  37. 森英介

    ○副大臣(森英介君) お尋ねのありました未納者対策でございますけれども、おっしゃるとおり、国民年金の保険料については、平成十四年度で納付率が六二・八%となっておりますことは大変深刻な問題と受け止めております。このため、厚生労働省としては省内に国民年金特別対策本部を設置いたしまして、今後五年で納付率八〇%の達成に向けて全省を挙げて取り組んでいるところでございます。  具体的には、まず年金広報や年金教育などを通して制度に対する理解を深めていただき自主的な納付に結び付ける一方、未納者に対しては個々に催告状の送付、電話や戸別訪問による保険料納付の督励を行います。また、新たにコンビニエンスストアでの保険料の収納を開始するなど、より保険料を納付しやすい環境作りに努めるなどの取組を行っているところでございます。  さらに、十分な所得がありながら度重なる納付督励によっても理解が得られません未納者に対しましては、強制徴収を実施しております。また、今回提案しております年金制度改革案の中でも、所得に応じた保険料負担とする観点から、所得に応じて保険料の四分の一免除から全額免除までの多段階の免除制度を導入することといたしておりますし、また、収入の不安定な若年者が保険料を追納できるようにする納付猶予制度を導入いたしますし、また、保険料納付実績と給付に関する情報の分かりやすい形での通知、いわゆるポイント制を導入することなどを盛り込んでおりまして、こうした制度的な対応を含めまして納付率の向上に一層取り組んでまいりたいと、こう考えております。
  38. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 強制徴収等について質問しようと思ったんですが、今御答弁の中で述べられたようでございますが、税方式についてちょっとお聞きしたいんですが、巨額な未納問題を解決するには基礎年金を全額税金で賄うという税方式が財界などから提唱されております。大臣はこの税方式についてどのような認識を持たれておるのか、またあわせて、厚生労働省の場合は社会保険方式にこだわっているようでございますけれども、これとの関連についてそれぞれのお考えをお聞きいたしたいと思います。
  39. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 特に基礎年金についてでございますけれども、これを税で行ってはどうかという御意見があることを私も十分承知をいたしております。  しかし、総論的なことを申し上げますと、これから先、高齢者医療、そしてこの年金、基礎年金、そして介護と、この三つを見ましても、かなりこれから先、高齢化が進むにつれまして伸びてくることを予測をしなければならないわけでございます。  ここを全体としてどういうふうに賄っていくかということを考えましたときに、例えば消費税なら消費税の問題が出たといたしましても、これをそうしたことを全体を念頭に置いて考えておきますとすべてを年金に投入することは不可能な状況。一番伸びますのはこれは高齢者医療でございますので、そうしたことを考えますと、やはりその財源的にもこれすべてをすることはなかなか難しいと思いますのが一つ。  それから、年金制度といいますのは、やはりこれは世代内あるいは世代間の助け合いでありまして、それぞれがお互いに保険料を出していただいてそしてそこで助け合っているんだという、そのやはり意識の中でこの問題は進めていくということがこの年金という制度そのものにとって大変私は大事なことだというふうに思っております。  そうした意味で、やはり一部二分の一の国庫負担というのはお願いをいたしますけれども、これは少子高齢社会の年齢構成が余りにも大きくひずんでくるということがございますので、そうした意味からいたしまして、国庫負担もお願いをいたしておりますけれども、そこを是正しながら、直しながらやはりその後はお互い助け合っていくという、保険制度というこの制度がやはり私は必要ではないか。  確かに、先ほどお話ございましたように、払ってくれない人があることも事実でございます。しかし、全然所得のない人の中でも四割の人は払っていただいているわけでありまして、必ずしも所得のあるなしと払ってくれる払ってくれないとが関係がないといったようなこともあるわけでございますので、私は、払っていただいている皆さん方の御好意に報いるためにもやはりきちんとしていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
  40. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 今、大臣の方から少子高齢化に対しての実際にはいろいろなひずみが出ておるということで、抜本的な改革としては賦課方式でなくて積立て方式ではどうかという、そういう抜本的な改革に対する、そうすると国民理解も得られやすいんじゃないかという、そういう積立て方式については大臣はどのようにお考えでしょうか。
  41. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 確かに前々から御議論がございまして、賦課方式、いわゆる順送り方式ではなくて、それぞれがもう積み立てていってもらう方がいいのではないかというお話がございました。  積立て方式にいたしますと、その人がどれだけ自分で納めたかということとそして受け取る額というものとが一致するということで、プラスの面があるんだろうというふうに思っております。ただ、こうした少子高齢社会の中で、それは一つの特徴ではございますけれども、しかし、これからの社会の動向、経済の動向がどうなっていくか不明な面がございますが、もし仮に今のようなデフレではなくてインフレのときが来る、そうしたことがありますと、その年金の額は必ずしも掛金をした額がそのときの貨幣価値でうまく返ってくるとは限らないわけでございます。実質の賃金上昇などもこれはなければいけませんし、一応そういう社会を描いていくということにするならば、やはり賦課方式で掛金をしていただいてそのときの貨幣価値でもらっていただくということがやはりいいのではないかと私は思っている次第でございます。若干そこに少子高齢化社会で掛金をしてくれる人ともらう人との数の差をどうするかという問題は確かにあることはあるわけでございますけれども、将来の変化のことを考えますと、やはり賦課方式というのは避けられないのではないかというふうに私は思っております。
  42. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 いろいろと質問をもう少ししたいんですが、もう時間がございませんので、年金問題について竹中大臣に、企業負担の増加というのが、経済界、非常に今経団連等が反対しておりますね。  実際に大臣の目から見て、この企業負担の増加というのが実際の経済に与える影響というのはどういうふうにあるのか、そこのところ大臣のお考えをちょっとお聞きしたい、いたしたいと思います。
  43. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 年金の問題に関しては、給付と負担の関係をきっちりしなければいけない。給付はもちろん多ければ多いほどいいわけでありますけれども、その分負担が多くなるということに対しては、これは企業も家計もなかなか耐えられない。そうした中で、その給付と負担をバランスさせて、ぎりぎり負担できるような、やはりぎりぎりの選択をしたというのが今回の改正であると思っており、改正案であると思っております。  この負担なんですけれども、毎年〇・三五四%ずつ増大させていく、これは平年度ベースで直しますと、これは企業と家計と合わせた負担になりますけれども、〇・五兆円ぐらいの負担になります。その〇・五兆円ぐらいのお金が政府が、政府年金を管理する主体である政府民間部門から吸収するということで、その部分をやはり負担、経済に対してもマイナスの影響になるのではないかということは、これはやはり考えておかなければいけないわけです。  しかしながら、これは〇・五兆円ということは、GDPに対して見ると〇・一%ということになります。〇・一%の負担、その分の経済への影響というのはもちろんあるわけではございますが、しかしそれによって年金制度そのものが持続可能なものになっていく、つまり安心して給付が受けられる体制になっていく、そのメリットはやはり大変大きいわけで、その意味では日本経済の現状から考えられると、このごろ厳しい状況はあるかもしれないけれども、これは間違いなく吸収できる規模であると、そのように私自身は判断をしております。
  44. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 それをお聞きして安心をいたしました。  時間がもうございませんので、年金問題は以上にして、最後に、やはり大分県で起きた鳥インフルエンザの問題について地元の議員として触れざるを得ないわけでございますけれども。  大変世間を騒がしたわけでございますけれども、三月の十一日に無事終結宣言を出しました。被害も大したことはなかったわけですが、これはひとえにこの飼育者の良識ある私は早期通報のおかげであると、そういうふうに思いますし、行政の対応も大変適切であったと。地元の町長を含めまして非常に適切であったと。  この飼育者の行為というのは、京都などの極めて不誠実な対応に比べて私は大いに称賛されるべきであると思いますし、その当時は随分嫌がらせの電話が掛かったみたいで、何でそんなことを言ったのかとか、もう夜も寝られないぐらいに嫌がらせの電話が掛かったみたいでございますけれども、本人も先般に通報してよかったということで、終結した後しみじみと語っておりました。また、激励の電話も随分掛かったみたいでもございます。  そこで、農林水産省にお尋ねしたいんですが、この発生場所を中心とした制限、移動制限を半径三十キロメートルというふうに決めたということですね。この根拠、この三十キロメートルとした根拠は何によって決めたのか。これによっては随分いろいろとまた問題があるわけでございますが、そこの点についてお伺いいたします。
  45. 市川一朗

    ○副大臣市川一朗君) 昨年の九月に防疫マニュアルを決めますときに専門家の意見を聞きまして、また学術論文等を参考にいたしまして、今御指摘のような三十キロという移動制限区域にしたんでございますが、その際、一番ポイントになりましたのは、ウイルスを伝播させるものとして、媒体として、昆虫ですね、私の記憶ではハエがその一つ基本になっておったようでございますが、その後いろいろと現実に発生いたしましたので、その辺も踏まえた形で、今は少し改正しているところでございます。
  46. 仲道俊哉

    ○仲道俊哉君 三十キロということにつきましては、この前実はあの起きたところが九重町というところです。よく久住町と言われるようだが、久住町というのはこの久住で、こちらの字を書きます。こちらの字ですね。(資料提示)  それで、実際には、九重連山という阿蘇山と同じところにあるのはこちらの町でございまして、この前起きたのはこの九重町という町で、ここが実際に観光である湯布院ですね、総理もよく御存じだと思いますが。  湯布院が三十キロ以内に入るんですが、今大体お話をお聞きしますと、十キロ以内にこれを縮めようと、三十キロを。十キロ以内になりますと湯布院は入らないんですね。随分とこのときに観光の町である湯布院が迷惑を被ったわけで、それから、今お聞きしますと、一匹のハエが飛ぶその距離が三十キロであるから、ハエによってその三十キロを決めたと。何かこう非科学的なことでこういうことが決められるということについては非常に残念だったんですが、是非そういう意味では、これから科学的な点についてと。  それからまた、最後に、もう時間がありませんので、私はあと一分しかございませんが、総理、これを通報したという、こういう社会的な道徳、それから京都辺りでは商業的な道徳ですね。やっぱり基本は教育になるわけですけれども、そういうことに対しての私は基本的な考え方というのが、日本人にこれから大いにそういう道徳性が培われなけりゃいけないと思うんですが、最後に総理の御見解をお聞きして、質問を終わります。
  47. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 本来、法律がなくてすべてうまくいけば一番いいと思うんですね。法律以前に守らなきゃならない問題がたくさんあると思います。  法律さえ守っていればいいんだということではないと思いますが、やはり企業人には企業人、多くの鶏を飼っている養鶏業者の皆さんには養鶏業者としてのやっぱり責任感、それがあると思います。やっぱり法律以前の問題、どうあるべきかという、そういう点について十分日ごろから心していただきたいと思っております。
  48. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。山内俊夫君。
  49. 山内俊夫

    山内俊夫君 自民党山内俊夫であります。  先ほどから、経済問題、また金融問題、三位一体改革、いろいろ御意見が出ておりました。これはもう衆議院の方でも随分議論されてきたわけでございますけれども、この日本社会というのは、私は、根底が大変、他人を思いやる心、それとか、和をもって尊しとすべしという、大変日本古来のいい考え方があったと思うんですね。いつの時代から自己中心的な社会になってきたのかなというようなことを私は常々考えておりまして、政治の世界に足を踏み入れてからも同じようなことをずっと考えてきておりました。  じゃ、どこに原因があるんだろうと。私は、基本的にはやはり教育にあるのかなというような気がいたします。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  今日は関連質問でございますから、本来なれば経済問題、金融問題等に質問をすべきでありますけれども、そのもう一つ根幹のところを少し掘り下げてみたいなと思って質問を用意させていただきました。  先ほどから先輩諸氏の答弁の中に、やはり社会不安、やはり将来の年金不安、そういったものが随分出てきております。まだまだ、特に年金、介護の面においては安心感が国民に十分伝わっていない、そのような気がいたすわけでございます。少子高齢社会という大きな流れの中で新たな構築を今ちょうどしているところだろうと、私はそのように認識をしておるわけでございます。  そうなってくると、実は、例えば介護、年金、一体的にどうも考えられるんですが、私は少し哲学が違うのかなという気がいたしております。  例えば、介護については自分たちが、少子社会ですから自分たちの老後の不安を、どうしても公的なところに介護をゆだねなきゃいけない、そういったこともありますから、自分が自分のために掛ける保険であると私は認識をいたしております。  ただ、年金はちょっと哲学が違うのかなと。たかだか、日本社会というのは、終戦後、昭和三十年代から所得倍増計画をやってまいりました。花が咲いてきたのは大体昭和四十年代、そして五十年代、六十年代の前半でややバブルがはじけてきつつあった。たかだか三十年ぐらいしか日本社会というのは、考えてみると豊かな社会本当に短いですよね。それまでに一生懸命、明治、大正、昭和の前半の人たちがこの今日の社会を築いてきてもらった。その私は御褒美で私は年金を差し上げているんだろう。そのような考え方になれば、先ほど仲道先生からの質問の話にありました三十ほぼ七%にわたる国民年金の不払者がいる。この人たちの十数%は、どうしても、失業問題があったり、自分のを払えない、限界がありますから、それはそれでいいとしても、二十数%の人たちは、アンケートを取ってみますと、自分がもらえないから払わないんだという風潮がここのところ一気に増えてまいりました。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  そういったこともありまして、この年金制度というのは、本当に基本的な人間の考え方そのものを教育の現場で、また社会全体の考え方、他人を思いやる心というものを養成しないとこの問題は解決しない、私はそのように思っております。  この原因は何だということもいろいろ先ほどから言われておりましたが、この自己中心主義をはぐくんできたというのは、私は戦後教育の欠陥の一部じゃないかなと思っております。  私もちょうど戦後生まれでございますから、知徳体という、知育、徳育、体育というこの大きな柱に支えられた戦後の民主教育を享受してまいりました。でも、この中に何か忘れられたものがあったのではないか。  私は、今回内閣が思い切ってこの食育という言葉、これを世に問うてきた、ちょうど一昨年ぐらいからこの食育というものを教育現場に、また農業問題に、経済問題に、厚生労働問題に投げ掛けてきた、これは、私は大変評価をいたしております。  この食育という言葉、私も少し調べてみますと、これは明治後期までにはよく知られていた言葉なんですね。そのころは食育、体育、知育、才育、徳育と五つの要素があった。それが戦後、知徳体に、三つに絞られたわけでございますが、これは一九〇三年、明治三十六年、これは報知新聞編集長の村井弦斎氏が言っておるんですが、小さな子供たちには徳育とか知育とか体育とかいう前にまず食育というものをしっかりと与えなきゃいけない。そうすることによって、その次のステップで知育、徳育というものにつながってくる。大変含蓄のある言葉を残しておいでになります。私も正にそのとおりだと思いますし、今回内閣がこの食育を出してきたその背景には、生きる力を与えよう、子供たちに生きる力、言わば人間力の向上を目指しているんだという大きな私は柱があると思います。この考え方というのは私は本当に、私も大変評価をいたしておりますし、私もこの考え方には全く同感であります。  そこで、総理にお聞きしたいんですが、この食育に関して総理は今後どのように取り組んでいかれるか、その辺りをお聞かせいただけたらと思うんですが。
  50. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食育というのは新しい言葉だと皆さん思っておりますが、今、山内議員指摘されたように、もう明治時代から五育の一つとして、知育、徳育、体育、才育、食育ですか、言われていることでございますが、食というのは人間をはぐくむ、育てる基本だと思います。  言わば、生まれて初めて親と接する、その中で、食事をしながらいろんなことを教えてもらう。これはもう教育の基本だと思います。やっぱり教育が悪いと、子供を責めるよりも、やっぱり大人の責任が大分あるんじゃないでしょうか。まず、どのように食物を食べるかと。御飯の食べ方、はしの持ち方、あるいは家族との食事の席で、あれはいい、これはいい、いろんな話題がなることによって社会生活基本というものを、先生、他人の先生に教えられるまでもなく何となくもう身に付けていく。やっぱり食事の場というのは極めて重要であります。  そして、どのような食事をしたら健康にいいのかと。やっぱり物事、勉強をするにも仕事するにしても健康が基本ですから、どんな品物をどのくらい食べるかというものもやっぱりその場で家庭がまず教えていたと思うんですね。それがだんだんおろそかになってきた。はしを持つことも、どうやって持つか知らない子供が出てきたとか、あるいはフォークだから、何でもこう突けばいいんじゃないかと。物の食べ方でも、我々子供のころは御飯粒残しちゃいけませんよと。今、逆に、ある程度残さないと、全部食べちゃ体に良くなくて、太り過ぎて良くないというふうな、そういう点もあるようですけれども、ともかく、もったいないから残すのはやめなさい、食事するとき音を立ててはいけませんとか、そういうもう基本的なことを家庭で教わっていたわけですね。それはやっぱり食事の機会。そういう意味において食育というのは極めて重要であると。  また、大人になっても、食べる楽しさ、政治家同士でもそうですよね。まず付き合うとき、何か飯一緒に食べよう、食事しよう、そこからやっぱり付き合いが始まっている。食事のときの仕事とは離れた会話、こういうものを考えますと、食育というのはもうあらゆる教育の基本ではないかと、考えてみれば。食事の持つ重要性ということをやっぱりもっと家庭でも学校でも地域でも重視していいのではないかということから、私は、食育という言葉、明治にあった、ああ新しい言葉じゃなかったんだと、昔からあった言葉なんだと。古きを知りて新し、古きをたずねて新しきを知るという温故知新という言葉もありますので、ああこれは大事なことだなと。最も、子供を育てるためにもまず食物が基本だと。  そういう意味において、そこから広がるいろんな教育の場が展望できるのではないかと思いまして、あえて食育教育の重要性を訴えたわけでございます。
  51. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  正に、食はすなわち人が生きていくのには絶対不可欠なものであると、そういった認識の下に、実は今回、食育ジャンルというのは当然、農水省、そして経済産業省、厚生労働省、そして環境省、ここにもわたっているわけですが、今日はもう特に河村大臣お越しいただいておりますが、総理と同じような私質問になろうかと思いますが、文部科学省、非常に次代を担う子供たちに対して、教育現場で今後どのような形でこの食育というものを広げていくおつもりか、その辺りをお考えを聞かせていただきたいと思います。
  52. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 私、昨年九月に総理から文部科学大臣に命ぜられたときの指示書をいただいた。その最初のところに、知育、徳育、体育プラス食育を重視した人間力向上の教育改革に努められたしと、こう書いてありまして、正に正式に内閣方針として食育が出てきたと。私も我が意を得たりという思いでお受けしたわけでありますが、今、総理その点について詳しく述べられました。正にそういう、総理言われた形で食育の重要性をしっかり教育の場でもう一度根本から見直しながら進めていこうということでございます。既に学校現場におきましてもこの食育についてはもう取り掛かっておりまして、特に小学生、中学生の段階でしっかりやろうと。まず、その食習慣をちゃんと付けさせるということ、そこからスタートしなきゃいけません。  それで、御案内のように学校現場そのものは学校給食を持っておりますから、それを通じてやるということがございます。それから、家庭科とか保健体育とか、そういう教科でやるということでございます。実は、食生活学習教材というのがありまして、「食生活考えよう 体も心も元気な毎日のために」と、これを小学生、中学生に全部渡しまして、渡しましてというか、これを中心にして一緒に学んでおると、こういう現状でございます。  その中で、まずバランスの取れた食事というのはどういうものかということを学ぶ。それから、そのための食料の材料ですね、それを学び、それがどういうふうに生産をされて、そして流通をして、どのような形で消費されている、それについては農家の方のどんな御苦労があるかというようなことも学んでいこうと。  こういう形で進めておりまして、特にその中では、その地域の伝統的な食事、材料、あるいは日本の和食という伝統、こういうものもしっかり学ぶということでございまして、これは正に全体で食育を考えるということでなければならぬわけでございますが、教育を預かる文部科学省としても、子供たちが将来心身共に健全に育つ、総理言われたように、やっぱりこの食べるということ、これが一番基本ですから、しっかりこれを重視して学校における食育を推進してまいりたいと、このように考えております。
  53. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  この食という材料で教育するというのは非常にインパクトありますね。先ほど総理も、米粒の話が出ました。私も母親から、遊びに行きたいから少し残しながら行こうとしたら、ちょっと待てと、中にお茶でも入れて、お白湯でも入れてきれいに食べていきなさい、そういうような教えを受けた覚えがございます。  今日、特に私も香川県ですから、魚が先ほども話が出ておりました、松谷先生の方から、瀬戸内の魚に関して少し食育を絡めてお話をしたり、また質問もさせていただけたらと思うわけでございますけれども、実は瀬戸内の魚は今、県魚としてはハマチなんですね。  そのハマチは、実は総理のところのおひざ元、三浦市三崎漁港で蓄養させていただいております。香川県漁連というのは、非常に小さな漁連ですから、養殖ハマチをいち早く開発したところなんです。そのハマチを、この京浜地帯に新鮮でおいしいものを早く出せるようにということで、三崎漁港で水面を利用させていただいて蓄養をやらせていただいて、市場動向を見ながら出す、値段も余り下げないように、そのようなやり方をやっております。大変うまくやって、これも知恵の一つだろうと思うんですけれども。  その香川県の東の方に実は引田町というのがある、昔の引田町。今は、予算委員長のおひざ元で、合併をいたしまして東かがわ市になっておりますけれども、そこへ今度、第二十四回豊かな海づくり大会がありまして、そこに天皇陛下、皇后陛下お越しいただくということになっておりますけれども、そのハマチにもう一つ、香川県というのは有名なサワラという魚があります。これはもう委員長も御存じだと思いますけれども、このサワラにまつわる大変社会的なお話が一杯あるんです。  ちょうど讃岐、香川というのは大体五月の中旬から下旬にかけて農家が田起こしを起こし、田植の準備に入るわけなんですが、六月の上旬に田植に入っていきます。その前に、農家に嫁にやった母親の里にサワラ一本持たして帰すんです。今から忙しくなるから、このサワラを持って里へ帰っていらっしゃいという話がある。それを、嫁が喜んでサワラを一本持って帰るんです。そうすると、今度母親が、実の生みの母親が、おまえは行ってまたかわいがってもらわなきゃいけないからということで、そのサワラ、五月のサワラというのはちょっと水っぽい、身が余り締まっていないサワラなんですが、それを酢で締めるわけですね。酢で締め、酢で締めた切り身を今度箱ずしという、こういう箱のすしを作るわけです。その箱ずしを嫁入り先に持って帰らすんです。これは、そのやはり母親が娘を思う心ですね。このサワラ一本の中にそれだけの物語があるわけなんです。  食材というのは、必ず日本全国、北海道から沖縄までいろんな話があると思うんですね。こういったものをもう少し教育現場にも出してきて、一つ一つの食材でこういう時代背景があったよということもやはり教育現場で、また社会の現場でいろいろ広宣流布していきながら食というものを大事にしていきたい、そのような気がするわけでございまして、特に総理も、就任したときに米百俵のお話ありました。これもやはりかなりインパクトがあったと思うんです。やはり食なんですね。食がやはり人の心をある程度動かすんじゃないかなと思っております。  そういった意味で、総理考え方、この社会的な意義をこの食に私は求めておるわけなんですが、その点、コメントをいただけたらと思うわけです。
  54. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、香川県と三浦との御縁がこれほど近いとは思いませんでしたけれども。  食べ物に込めた親の思いやり、サワラ一本に込めたいろいろな真心、やっぱり一番大事なのは食べ物ですから、今もう食べ物豊富な時代ですけれども、我々の子供の、つい五十年前までは、もう卵だって本当に病気になったときぐらいしかくれなかったですよね。毎日食べるなんというのは想像できない時代でした。  まあ、そういうことから、食べ物に対する大事にしようという心が薄れてきたんだと思いますが、これだけの米が余っている状況でも、不作と聞けば米泥棒が出たり、クリ泥棒が出たり、サクランボ泥棒が出たり、そういう時代であります。  食べ物というのは実に貴重だと、そういう点を考えても、日ごろから、食べ物を作るためにどれだけの人手が掛かっているか、これを取るためにどれだけの人が苦労しているかということに思いを致すのもやっぱり食育の一環ではないか。食べ物を大事にしようということは、今後、健康のみならず、あらゆる面においても私は大事な視点ではないかなと思っております。
  55. 山内俊夫

    山内俊夫君 総理から少し米泥棒の話も出ました。我々昔から、農家の人たちが丹精込めて育てているものに関しては、いかに学生時代、小さいとき、やんちゃ坊主のときにでも泥棒はしなかったですね。庭木に生えているザクロとかカキ、これは商品じゃありませんから、ちょっといたずら心で取ったということはありますけれども、畑まで出ていって盗むということはまずなかった。これはやはり教育力があったんじゃないかなと思うんですね、社会的な教育力が。最近の泥棒は、本当にもうお米ができる寸前にかっさらっていくという、大変、私は、泥棒にももうルールがなくなってきたと、そういう時代になったんじゃないか。  そういったことで、まず、教育の現場では、より食養を、食育を育てていきたいということで、学校栄養職員の専門性を生かす工夫として栄養職員の授業参画を進めておるということも聞いておりましたが、その中にあって、特別非常勤講師制度があると聞いておりますが、この辺り、少し御説明いただけないでしょうか。
  56. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 特別非常勤講師制度についてのお尋ねでございますけれども、この制度は、優れた知識や技術を有します地域の人材あるいは多様な専門分野の社会人を学校現場に迎え入れることによりまして学校教育の多様化への対応やその活性化を図ろうとするものでございます。  本制度の活用状況でございますけれども昭和六十三年に本制度が創設されて以来、年々増加をしておるところでございまして、平成十四年度におきましては一万七千六百五十件の特別非常勤講師が活用されておるような状況でございます。  学校栄養職員につきましても、その栄養に関する専門性を生かして、この制度によりまして家庭科などの関連教科等において食に関する指導に当たっておるところでございまして、平成十四年度におきましては千六百四十三件の活用実績があるところでございます。
  57. 山内俊夫

    山内俊夫君 この学校栄養職の免許状を付与したいという制度もどうも今回上がってきておるようでございますけれども、その場合の資格試験の対象者とか資格内容等について御説明いただけないでしょうか。
  58. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 栄養教諭制度についてのお尋ねでございますけれども、学校における食に関する指導につきましては、先ほど申し上げましたように、学校栄養職員が特別非常勤講師制度を使ったり、あるいは学級担任等と一緒になりましてチームティーチングといった形で携わっておるところでございます。  しかしながら、これを更に充実いたしますためには、学校栄養職員の持つ栄養に関する専門性に加えまして、教育に関する資質を身に付けていただきまして直接児童生徒への指導を担っていただけるように栄養教諭制度を創設したいと考えておるところでございまして、今国会に所要の法案を提出させていただいておるところでございます。  具体的に、栄養教諭に対する役割でございますけれども、栄養教諭に関しましては、食育に関しましてその学校教育活動全体の中で年間を通じてどのような食に関する指導を行うのかといったようなことの企画立案の段階から中心的な役割を果たしていただく。同時に、自らも教科担任や学級担任等と連携しながら直接児童生徒の指導に当たっていただく。さらには、家庭や地域との連携を図っていただくというようなことで、学校における食に関する指導全体をコーディネートするようなことを、役割を期待しておるところでございまして、栄養教諭につきましても、他の教諭や養護教諭と同じように専修、一種、二種それぞれの免許を作らせていただきたいと考えておるところでございます。
  59. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かに、免許制度によってその一定のレベルを確保するという考え方、私はそれはそれなりに理解をいたしております。  ただ、ついつい日本社会というのはもう免許というものに余りにもウエートを置き過ぎてしまって、実は学校の教壇に立つにはちゃんとした免許証を持っている人だけじゃないと立てないという今まで大変かたくなな考え方があったように思います。私も教職の課程の中で教育実習で教壇に立ったこともございますけれども、もう少し社会で生きた学問、社会で本当に頑張っておられる、専門、頑張っておられる方が自由に学校現場で子供たちと触れ合って、社会の一部をこう教えていくという、これも私、社会性を高めるために大変重要なことじゃないかと思っておりますが、この辺り、ちょっと大臣考え方を聞かせていただけますか。
  60. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) NHKの番組に「ようこそ先輩」というのがあって、各界でいろいろ活躍されている方々が教室に来て子供たちと一緒に授業、授業といいますか体験談を話しながらやっておられるのを私も見まして、皆さん大変あれは評判がいいんだと、こうおっしゃいます。なかなか、学校の先生方があれを見ているとあのとおりはなかなかうまくいかないと、こうおっしゃるようでありますが、私は社会で頑張ってこられた方々がそういうところへ来ていただいて大いにやっていただく、結構なことだと思っております。  先ほど説明いたしました非常勤講師制度、こういう形を取って、一応その形の上では特別非常勤講師だという形にして制度にのせる、あるいは予算化する場合にもそういう形で予算化するという形を取っておりまして、そういうことで、もう学校はそういう意味で大いに開いておるわけでございます。さらに、経済界の方々にも是非どんどん出ていただいて学校現場でやっていただきたいと、こういうお願いもいたしておりまして、大いに進めてまいりたいと思っておりまして、いい御指摘をいただいたと思いますが、ありがとうございます。
  61. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かに大臣おっしゃるとおり、是非この制度は自由に、なおかつ濶達に制度を生かしていただければ私はいい教育ができるんではないかなと思っております。よろしくお願いします。  さて、食育の絡みでございますけれども、実は、人間が一日三食大体基本的に取られますけれども、学校給食の現場というのは二百日ぐらいでしょうね。それでも三分の一ぐらいは学校給食に、ほとんどは家庭で私は食事を取るのが中心になっておると思います。ですから、この食育の大きな要素というのは家庭にあるんだろうと思いますけれども、でも、教育の現場も一端を担っていただくということでおいては、この給食制度というのは私は大変戦後の中ではいいものができ上がったなと思っておりますが、少し制度疲労も見えているところも多々あるように思うわけでございます。  ただ、私はこの学校給食現場というのは少し国策も考えたものをやっていただけないものかと。最近では農水省の方で地産地消とかいう言葉も出しております。そして、米飯給食ももっともっと増やそうじゃないかというようなことも言っております。今、日本国の食料自給率が三九%、ほぼ四〇%切っている。先進国の中ではもう最下位ということも聞いておりますが、やはりお米の文化であります。米を、やはり米飯を使うことによって、お米とバランスの取れた副食品がまた出てまいります。そのときにやはり地産、地元で取れたものを地元で消費するという基本原則でいきますと、地方の農家の人も漁業に携わる人もやはり元気になれるんじゃないかなと。  そのときにコストパフォーマンス中心にやられますと、これはもう全く競争には勝てないということで輸入品に頼ってしまうということになりますが、そういった辺りも考えて、少し国策的な意味合いで学校給食、これについて地場産品の活用パーセント、それとかお米の使用パーセント、分かりましたらちょっとお知らせいただきたいと思います。
  62. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校給食におきます地場産業の活用についてのお尋ねでございますけれども、学校給食におきまして地域の産物を活用いたしますことは、食事の内容の多様化、あるいは児童生徒に地域産業や文化に関心を持たせる上で大変良い教材になる。また、二つ目には、地域農業等に従事しておられる方々に対する感謝の気持ちや地域との触れ合いを実感することができる。さらには、顔の見える生産者により供給される食材は安全性が高いといったようなことなどから、大変意義深く大切なことであると考えておるところでございまして、文部科学省におきましても、学校給食の手引や通知等におきまして、郷土食や地場産物の導入について工夫をするよう指導をしておるところでございますし、先ほど大臣から御紹介をいたしました、児童生徒に配っております「食生活考えよう」という教材の中におきましても地場産物を取り上げまして、地域の特産物の活用や郷土料理の導入など、地域の特性を生かした学校給食の実施についてその推進を図っておるところでございまして、お尋ねの地場産物の活用の状況ということでございますけれども、私どもの行いました平成十五年度の調査におきましては、地場産物の活用状況が、これは食品数ベースで調査したのでございますけれども全国で約二〇%となっておるところでございます。  同じように米飯給食についても推進をしておるところでございますけれども、米飯給食につきましては、平成十四年五月現在で、米飯給食が週当たり全国平均で申し上げますと二・九回導入されているというような状況になっておるところでございます。
  63. 山内俊夫

    山内俊夫君 米飯給食というのはかなり私が思っていたより伸びてきておりますね。これは大変私はいいことであると思います。食品数ベースで約二〇%という数字、これはまだまだもっと地場産品の数量、また品目等々伸ばしていただきたい、このような気がいたします。  ところで、学校給食現場で様々な問題点が最近指摘されるようになってまいりました。例えばO157事件以降、ちょっと余りにも過剰に過敏な状況になっているんではないかなという気がいたすわけでございます。  実はつい最近、これ三月十四日でございますか、「鳥インフルエンザ過剰警戒」という、これは毎日新聞の記事が出ておりました。これ、専門性からいきますと全く問題ないといった場合にでも、学校給食現場は全く使わないぞというのがかなりの市町村で出てまいりました。  この背景はいろいろあると思います。これは、教職員、職員側は、後で問題が起きちゃいけないからもう事前に拒否をしておくという考え方が一つある。それと、やはり父兄、保護者の皆さんから余りにも、危ないから、何で使っているんですかとかいう話を突っ込まれますとどうしても弱いですから、現場としたら少し腰が引けている状態である。  これは私、ちょっとゆゆしき問題であると思うんですね。やはり、ちゃんと冷静に物事を考えていけば、使えるものはちゃんと使っていけばいい。例えば卵でも、七十度以上の加熱をすれば決して不安じゃないということももう少ししっかりと国民に知らしめていくという必要があります。これはいろんな角度から知らしていかなきゃいけない。ただやみくもに大変だ大変だということになってきますと、全く本当に現場そのものが大変になってきますし、ひいては地域経済もかなり大きな影響も出てくるんじゃないかと、そういう心配をいたしております。  こういったことに関して、私はもう一つ事例を挙げたいと思います。  別の事例があるんですが、これは少し、これも私は、インフルエンザの関係とよく似ている問題なんですけれども、これも魚料理に関係しております。魚料理を、今日は焼き魚やる。そうすると、切り身を、かなりの量を第一次加工したやつを給食センターの方にお届けする。その中で小骨があったら駄目ですよと、こういうこともあるんですね。小骨があった、それに対して始末書書かされたという業者がいるんですね。  ちょっと待ってください、ちょっとこれ、観点おかしいんじゃないのと。というのは、魚というのは骨があるのは当然なんですね。まあイワシとかになってくると小さな細い骨になってきますから、当然そのときに、これこそ食育なんです、教育現場で、今日は小骨がある魚ですよ、こういうところに骨が入っていますよ、だから皆さん、気を付けて取り除きながら食べましょうねと、これ一つの私、教育だろうと思うんですね。それなくして、もう魚は全く骨がないんだという、もう加工されたもので出てきましたら骨がありませんから、もうそれこそハンバーグぱくつくみたいにぽっと口に入れる。そうすることによって魚は骨がないものだと思っている子供が育つかも分からない。  そうじゃなくて、やっぱり食材食材で、やはり現場で、その現場が一番教育現場としたら効果があるわけですから、そういったことをしっかりとやはりやっていく、それにやはり御父兄の方、保護者の方々にもその辺りを十分理解をしていただくようなやはり啓蒙思想も必要じゃないかなと思うわけなんですが、この点について、じゃ、河村大臣お願いいたします。
  64. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 先に、おしまいにおっしゃった小骨のお話、これはやっぱり教育できちっと学ぶべきことでありますから、そこまでやりますと正に行き過ぎになってしまいます。食材というのはこういうものだということをきちっと学ばせる、食育の中で教育効果を上げる、今の御指摘の点も十分配慮すべき課題だというふうに思いまして、これは詳細に、今後、学校栄養職員出てまいりますから、その中にきちっとそういうことも教育の一環として考えようというふうにしていきたいと、また意見も聞いてみたいと、こう思っております。  それから、インフルエンザの問題。実は、今日閣議の前に関係閣僚会議がございまして、鳥の緊急、インフルエンザに対する緊急総合対策、まとめられたところでございます。  その中において、文部科学省においては、特に学校給食等において混乱が起きないように十分な指導をすると、こういうことがうたわれておるわけでございまして、そういう方向で臨んでおるところでございます。  今、山内先生指摘のように、学校現場では、父兄の方々、PTAの方々、ちょっと過剰に心配される向きもありまして、そういうことで、これはもう鳥肉を全部排除しろ、卵を排除しろということになっていきますと、本当に食育できないじゃないかという声もございます。そこで、これは食べ物から体に、人間にうつるということはあり得ないことだと、それから、万一その菌があったとしても、七十度以上で熱すれば、煮沸すれば大丈夫ですということをもっとぴっと徹底しようということでございます。農水省にもそういうお話をいたしておりまして、農水省の関係機関も教育委員会とそういう話をするということでございます。  実は、文部科学省も今日、全国のそうした保健、食料関係担当先生方を一堂に会しまして、そのことを周知徹底するために今日会議を今開いておるようなわけでございまして、正にしっかり、こういうことをすれば安心ですよということをした上で、まあそれを地域地域で判断をしていただくということでございますが、無用な混乱が起きないように十分注意してまいりたいと思っております。
  65. 山内俊夫

    山内俊夫君 最後になりましたが、この食育に関しまして、これ総理に意気込みを聞かせていただけたらと思うんですが、実は農水省が提唱いたしましたニッポン食育フェアというのがこの一月の十七日、十八日、東京フォーラムで開かれました。ほぼ二日間で一万七、八千人のお客さんが来られたと聞いておりますが、今後、この食育というのは私非常に大切に思っておりますので、この五省庁が一致団結して全国的なフェアを大々的にやってこの広宣流布をしていくということ、そして地域地域にあってでも是非この食育フェアというものを、地域にマッチしたフェアを是非やってほしいなと、こういう思いがあるんですが、どうか総理考え方、意気込みを聞かせていただけたらと思います。
  66. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食べ物は健康の基本であり、生活の最も基本的なものであるという認識の下に食育の重要性を今後も訴えて、多くの国民理解と協力を得て健康でいい文化を育てていきたいと思っております。
  67. 山内俊夫

    山内俊夫君 どうもありがとうございました。
  68. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で松谷蒼一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  69. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、内藤正光君の質疑を行います。内藤正光君。
  70. 内藤正光

    ○内藤正光君 どうもこんにちは。民主党の参議院議員の内藤です。  今日は六十五分間、年金問題に絞って質疑をさせていただきたいと思います。  まず、社会保険庁にお伺いをしたいと思います。  昨年末から今年にかけまして、支払能力がありそうな国民年金の保険料滞納者、未納者、そういった方々一万人を対象に調査をしたと。そして、最後まで対応に応じなかった五百名には最終督促ですか、それをやって、そしてその後、沖縄県の方ではいち早く強制徴収をやったというふうになっております。  新聞報道では、その中にはいわゆるお医者さん、まあだれが見ても高額所得者だとは思いますが、そんなような方まで未納者の中に一人いた。強制対象、強制徴収の対象となったというふうに聞き及んでいますが、いろいろ聞きたいんですが、まず、余り、いろいろ経緯とか細かなことは結構です。強制徴収の対象になったのは所得層としてはどんな方々がいたんでしょう。お医者さんというのは分かっているんですが、そのほか、もし分かれば、分かっているはずですが、教えてください。
  71. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) お答え申し上げます。  先ほど御質問でございましたように、国民年金の未納者の中で、十分な所得があると考えられながらも度重なる納付督励によりましても理解が得られない方、こういう方を対象といたしまして強制徴収を実施するということで今年度取り組んでいるところでございます。  全国で一万人程度を対象にこれ、最終催告状というのを出させていただきまして、その後、納付督励をして、まあ相当数の方がこの段階でお納めいただくという方もいらっしゃったわけでございますが、そういうことにつながらなかった方、納付の約束もいただいていない、そういう方につきまして督促状というのを出させていただくということでございます。督促状を出させていただいた後、財産調査をやり、必要に応じて差押えと、こういうことでやっていくわけでございますけれども、現時点で最終的な差押えまで行ったと私ども報告を受けておりますのは沖縄県の九件でございます。一つ一つ職業ということでは私ども掌握しておりませんが、御指摘のように、例えば医師の方がその中におられるということは報告を受けております。
  72. 内藤正光

    ○内藤正光君 医師のほかにはどんな人がいたのかというのは把握はしてないんですか。所得分布上でも結構なんですが。
  73. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 基本的には、私ども所得が低い方につきましては免除という仕掛けがございます。実は最終催告状をお送りした方の中にも、よくよく調べてみると門構えは非常に立派でしたけれども所得がないということで免除対象という方もおられました。そういう方は、逆にこれは免除の方に動いていただくということになるわけでございます。  したがいまして、具体的にその九名の方の所得が一つ一つどうであったかというところについての数字は今持ち合わせておりません。
  74. 内藤正光

    ○内藤正光君 この話を長々とやっているつもりはございませんが、八七年に五人を対象に強制徴収を掛けたわけでございますが、実はその後、五人いっときは払ったんですが、その後また再び三名の方は未納者になってしまったというふうにも聞いております。  私は正直言いまして、確信犯的な未納者、支払能力がありながら確信犯的にもう未納を続けている人に対しては、強制徴収というのははっきり言えば本当にコストに見合った効果があるのかという疑問もありますし、もうこんな小手先の対応に終始していて、今三百二十七万人いるんですよ、二年間保険料を一円も納めてこなかった人は。強制徴収という、こういうコストが掛かる対応で一体どれぐらい未納率を下げられるのか、収納率を上げられるのか。私はそんな小手先の対応に終始しているんじゃなくて、抜本的な改革に、早く国民年金改革に乗り出すべきだということで、今から何点か国民年金が抱える問題について、いろいろ総理を始め、皆さん方と議論させていただきたいと思います。  まず、国民年金の空洞化という言葉が叫ばれております。実は四割に上る人が払っていないと。そして、じゃ、これが一体どういう問題につながっていくのかということなんですが、実は、これ、本当にまじめに払っている人に付け回しをしているんですね。(「そういうことだ」と呼ぶ者あり)ですよね。はっきり言えば、大局的な問題点を言うならば本当に税方式か保険料方式かというのがあるんですが、現行の枠内での問題としては、さっき言ったように、払ってない人の付け回しをまじめに払っている人たちに押し付けているという現状がございます。  分かりやすくちょっと私、図式化してまいりましたので。(資料提示)これは、今度は裏も表もカラーですので見ていただければと思いますが、よく国民年金というのがありますね。これは二十歳以上の全国民が加入すると。ただ、サラリーマンの中には、いや、自分は入ってないよと思われる方いるんですが、そうではなくて、報酬比例で払ったこの保険料の中からある一定ルールに基づいて厚生年金からもこの基礎年金、あるいは国民年金という言葉でよく知られておりますが、そちらの方にお金が拠出される。で、国家公務員等の各種共済についても同様なわけでございます。そしてまた、国民年金についてもまた同様に、基礎年金がある一定のルールに基づいて拠出されて、そして給付に必要な額が作られるわけですね。ところが、この国民年金が四割が未納なんです。  じゃ、この未納、どうやって対応しているかということなんですが、さっきも言ったように、払っている人、まじめに払っている人からちょっと多めにもらってこの穴埋めをしているという現実がございます。財政調整、これをもうちょっと具体的に数字を挙げて説明をさせていただきたいと思います。(資料提示)  ここに国民年金、厚生年金、各種共済とあります。そして、例えば国民年金の基礎年金の給付に必要なのが二〇〇〇年ベースで十三・七兆円あったと。この十三・七兆円を各種、国民年金、厚生年金、各種共済、どういうふうに配分させるのかといったら、本来だったらばそれぞれに所属している被保険者の数で割り振りすればいいわけです。国民年金二千百五十四万人、厚生年金四千七十五万人等々と、これを比例配分すれば本来、国民年金からの拠出金の額は本来四兆二千七百億円になるはずなんです。厚生年金について言えば八兆八百億円になるわけです。そして、合計すると十三・七兆円になるんですが、実際の拠出金の算定はこういうふうにはなっていないんです。  この国民年金の二千百五十四万人という数字をごらんいただきたいと思います。ここからなぜか未納対象、未納者、免除者、未加入者、こういったものが一切合財省かれているんです。実際には国民年金一千二百十六万人ということではじかれているんです。ほかの厚生年金や各種共済はそういうのは、このとおりの数字を使います。こうやると、相対的に国民年金からの拠出額が減るわけです。実際に十三・七兆円をこの人数に基づいて比例配分してみますと、国民年金は二兆七千九百億円、逆に厚生年金は増えてしまって九兆三千四百億円となっているわけです。  この差分を見てみたいと思います。国民年金は、本来負担すべきであった拠出額よりも実は一兆五千億少なく済んでいるわけです。そして、じゃ、その穴埋めはどうなっているかというと、厚生年金だとか各種共済から行われているわけです。厚生年金は、本来負担すべき拠出金の額よりも一兆三千億円多めに払っているんです。各種共済についてもまたしかりなんです。で、これ、制度間の問題ということで言うならば、国民年金の不払、空洞化のツケを厚生年金、サラリーマン等にしわ寄せしているという実態にほかならないんじゃないでしょうか。ですね、総理、うなずいていらっしゃいますが。  そこで総理にお伺いしたいのは、実際には国民年金でもまじめに払っている人からもこうやって穴埋めしているんですが、ただ、現実としては、まじめに払っている人に未納者、不払者、滞納者、そういった人たちの負担をしわ寄せする、こういった実態について総理はどのようにお考えなんですか、問題認識をされているんでしょうか、お考えをお伺いしたいと思います。
  75. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この年金問題は、一元化の問題、長年取り組んでまいりました。既定の制度からくる既得権の問題もあります。期待権の問題もあります。難しい問題で、サラリーマンの方が、今の時代におきましては、ずうっとサラリーマン、定年まで働くという状況でもございません。制度が変わった、あるいは違う制度に入るという人も出てまいります。そういう中にあって、今御指摘の問題、いろいろあると思います。こういう点についても、今後、年金改革の中では私は大事な問題だと受け止めております。
  76. 内藤正光

    ○内藤正光君 いや、大事な問題だと認識されていたならば、この通常国会における抜本改革案と言われているわけですから、なぜ盛り込まなかったかということです。今回の改革案は、結局はサラリーマンが加入する厚生年金の保険料を何%にするかとか給付水準を何%に下げるかと、そういったもう厚生年金に特化して、それも出と入りの帳じり合わせに余りにも終始し過ぎてしまっているんじゃないかと。本当の年金の問題といったら、実はこの国民年金の問題なんです。ところが、今回ほとんどこの国民年金に関する改革案が見られないんですよ。私はそこを聞いているんです。  特に国民年金の問題といったら、さっきのやっぱりまじめに払っている人にしわ寄せをするというこの財政調整の問題なんです。これははっきり言えば、そうですよ。正直者がばかを見る制度が今の年金制度ですよ。こんな制度もたないですよ。はっきり言えば、今、これテレビ映っていますけれども、これ見たら、何だ、こんなことになっていたのかといってばからしくなって払いたくなくなっちゃうかもしれないんですよ、これ。
  77. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) もう一度ちょっと見せていただけませんでしょうか、その表を。  確かに、一時的にはそういうふうになるかもしれません。しかし、国民年金で納めていない人というのは、これは年金もらえないわけでありますから。で、そこの調整は、これは積立金の中で一時的に行われるわけで、最終的にその人たちには年金は行かないわけでありますから、最終的にはプラマイはないわけですね。
  78. 内藤正光

    ○内藤正光君 厚生大臣おっしゃったように、払わなかった人は六十五歳以降もらえない、自業自得だと。それはそれでいいんです。それも大きな、無年金という問題は大きな問題としてまた別次元で議論をすべきなんですが、ただ私が指摘したいのは、払わない人がいるという現実はその人個人の問題にとどまるものではないということを言っているんです。これはまじめに払っている人にしわ寄せをしているということなんですよ。  そして、帳じりが合うと言いましたが、国民年金というのは完全賦課方式ですよ。今現在の現役が払った保険料は今現在のお年寄りに年金給付という形で行くんですよ。これが今の国民年金仕組みです、基本的な。それを何か、厚生労働省、昨日も事前レクでいろいろ言ってきたんですが、都合のいいように、あたかも積立金方式のような説明をするんですよ、後から帳じりが合うって。国民年金というのは完全賦課方式なんですよ、何度も言うように。今現在の人が払っている保険料は今現在の高齢者の方々に行くということなんでしょう。時間スパンで考えちゃいけないんですよ。今現在を考えなきゃいけないんです。  そういったことで、どうですか。
  79. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 確かに、この拠出金ということにつきましては、そこでお示しになったようなことに私もなると思います。計算、その数字が大体そのぐらいになるのかなと私も思います。それはそのとおりでございます。しかし、個々人の保険料がこれで増えるというわけではないということを私は申し上げているわけです。そこは調整されていく。この間に保険料、その積立金がありますから、そこでの調整で行われているわけでありまして、最終的にはそれはその人たちには年金が行かないわけでありますから、そこは調整される。  ただ、御指摘のように、現在の高齢者に対する負担という意味では、それは現在の人たちがそれで支えているわけでありますから、そういう意味では、現在のこの支えている人たちの肩に掛かってきているということは、それはもう御指摘のとおりだと私も思います。  今、一人一人が払っておりますその保険料というのは、全員が拠出をしていただくという前提の下に、例えば一三・五八%でありますとか一万三千三百円ですとか、そうした額というのは計算をいたしております。全員がこれは払っていただけるという前提の上で始めからそういうふうに計算をいたしておりますので、だからそこはよく御理解をいただいて結論を出さないといけないというふうに私は思います。
  80. 内藤正光

    ○内藤正光君 今の厚生労働大臣の説明は完全におかしいと思います。  というのは、いいですか、厚生年金からの拠出金が本来負担すべき額よりも多くなっているわけですよ。この、ここでいえばピンクの部分が多くなるわけですよね。そして、厚生年金に所属している人たちに払うお金はもう決まっているわけですから、確定給付でですね。それを賄うために現役世代に対してはちょっと高めの保険料を要求せざるを得なくなるということじゃないですか。だから、この空洞化問題というのは、実は、サラリーマンとの対比で分かりやすくなるからそれを言いますけれども、本来もうちょっと少なめでいい保険料率が高めになってしまっているんですよ。  ですから、今現在の賦課方式であるという現実を考えたならば、つまり世代間の助け合いですよね、という現実、その制度の基本原理を考えたならば、私は空洞化の問題というのは今の現役の保険料率にかなり影響を与えていると思いますよ。違いますか。
  81. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) その表を見せていただけますか。  この中で、国民年金のところは上に行く矢印は書いてありませんけれども国民年金のところも上へ行っておる……
  82. 内藤正光

    ○内藤正光君 当然そう、枠外ですからそうですね。
  83. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 上へ行っておるわけですね。それで、皆でそれを支えているわけなんです。  確かに、一時的には厚生年金、共済年金から出していただく拠出金が多くなって、そしてそれは全体の積立金や全体の財源の中に入っていくかもしれないと。しかし、将来はその国民年金で未納であった人には、それは年金を払わないわけでありますから、その分は要らなくなるわけであります。ですから、トータルで見れば、私は、そこで調整されるというふうに私は思っております。
  84. 内藤正光

    ○内藤正光君 いや、本当にこれはトータルで考えるべき問題じゃないんですよ。完全賦課方式ですから、国民年金は。今現在どうなっているのかということを私は言っているんですよ。これはトータルで、例えば預貯金だったらそうですよ、今百万円、例えば百万円納めなくても十年後に百万円納めれば、それはトータルでその個人については帳じりは合いますよ。でも、この国民年金というのは、何度も言いますが、今現在払っている、払われている保険料が今現在のお年寄りに年金という形で回るんですよ。ですから、少なくとも今現在はまじめに払っている人たちに大変な負担をしわ寄せしているというのは、これは紛れもない事実なんですよ。  だから、私が言いたいのは、この空洞化という問題に対していかに政府が本気で取り組む気があったのか。今回の改革案を見る限りは、この空洞化に対する対応がほとんど見られないんですよ。私はそれを言っているんです。  ですからね、大臣、この今払わない人は後になってもらえないと、だからトータルで見れば同じだというのは、これは積立金の話ですよ、積立制度の。この完全賦課方式という枠の中で説明してくださいよ。
  85. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 今先生おっしゃいますのは基礎年金のところでございます。  それで、基礎年金は拠出金方式で、ここは賦課でやらせていただいておりますが、基礎年金とは別に国民年金の特別会計がございますし、厚生年金の特別会計がございますし、共済組合の特別会計がございます。  それで、国民年金で申し上げますと、現在積立金は約二・六年分持っておりまして、その積立金の中と、それから保険料収入、それから国庫負担、それから運用収益がございまして、このトータルの中で基礎年金の拠出金がどうなっていくかということを計算をしながらやっていくというのが国民年金財政方式でございます。  それから、もう一点でございますが、免除の方あるいは保険料を納付していない方に対して拠出金を賦課するということにつきましては、免除の方につきましては現行制度で申しますと全額国庫負担で給付を行います。したがいまして、この方たちの給付は保険料とはかかわりのない世界でございます。  それから、保険料を納付されなかった方につきましては、その部分につきましては保険給付になりませんので、こういう方に基礎年金の給付として生じない部分について拠出金を払っていただくというのは、またかえって合理的でない面が出てくるだろうと思います。
  86. 内藤正光

    ○内藤正光君 全く私が求めていない答弁だったんですが、もう、でも厚生労働省の方に聞くといつもこんな感じなんですよ。はっきり言えば、こんなんじゃ絶対改革できやしませんよ。  それで、ちょっと総理にお伺いします。政治のリーダーとしての決意をお伺いしたいんですが、何度も言いますが、国民年金の空洞化という、未納の問題というのは、本人が老後無年金になるということに加えて、今現在お示ししたように、まじめに払っている人にしわ寄せをしているという、これ紛れもない事実があるわけです、あるわけです。  今後ますます少子高齢化が進展していく中で、現役世代である私たちは負担が重くなっていくだろうという覚悟はできているんです。しかし、覚悟はできているんだけれども、そんな中に不公平感が渦巻いていたら、絶対これからの社会保障制度、成り立ちませんよ。何で私たちだけが負担を、同じ世代の中で私たちだけが負担を押し付けられなきゃいけないのか。こんな不公平感があったら、絶対にこれから重くなる一方の社会保障の負担なんというのは支えていこうという気になりませんよ。  私は、そんな中で第一歩として、まずこの国民年金の対象者の数から免除者だとかそういった、あと未納者、未加入者、こういったところを引いているわけですね。これというのは、取りも直さず国民年金が直面する問題を覆い隠す行為そのものなんですよ。これをもうちょっと現実に即してやったならば、国民年金の空洞化という問題をもうちょっと深刻に考えていたはずなんですよ。  こういう便利な数字のトリックを使ってきたからこそ、国民年金の空洞化という問題に対して真剣に取り組んでこなかったんですよ。はっきり言えば、便利な厚生年金だとかいう財布があるから、そこから穴埋めすりゃいいという姿勢で来たわけですよ。私は、この問題を放置したままでは絶対に駄目だと。  そこで、少なくともその第一歩として、国民年金の空洞化という問題を直視するためにもこの拠出金の算定方法を抜本的に今すぐ見直すべきだと思いますが、もうやるかやらないかなんですが、総理、お考えをお示しください。
  87. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、年金改革にいろいろ意見があります。  しかしながら、国民年金においても、確かに未納者、多い。六二%の方はまじめに支払をしているわけであります。そういう中で、やっぱり国民年金の保険料、そして給付、それを考えての今回の改革案だし、支払、年金を払っていない方に対してどのように払ってもらうか。全然払う能力ない方はこれは免除制度がありますが、払う能力があるにもかかわらず払ってくれない方に対するいかに支払ってもらうか等の対応、それはありますので、今そういう払ってない人が多いから、これに対して全く改革していないということは私は言えないのではないかと。現に、今後の負担と給付の問題、数字を示して出しているわけでありますので、そういう中で対案を出されて議論をしていく必要があると思います。
  88. 内藤正光

    ○内藤正光君 総理がおっしゃっているのは、負担と給付云々というのは厚生年金の問題ですよね。今回の改革の話でもそういう話ばっかりだったんですよ。国民年金の抜本改革が何一つないというのが私たちの見方なんですよ。はっきり言えば、免除制度も多段階免除制度を設けたと。だけれども、こういった財政調整という仕組みがある中で、免除制度というのは本質的な解決策じゃないんですよ、免除枠を増やせばそれだけ拠出金の額が増えるだけの話ですから。ここがふさがれていれば私は話は別だと思いますよ。  ただ、厚生年金だとか各種共済とつなぐこの財政調整のパイプがある限りは、免除制度なんというのは全然抜本改革にならないと思いますが、私が聞いているのは、まずは国民年金の問題なんです。国民、負担と給付というよりも国民年金の、特にこの空洞化の問題ですよ。ここを聞いているんです。そこをどう解決に取り組むかどうか、意思があるかどうか、それをお伺いしているんです。
  89. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 国民年金の問題は、これはもう徴収をする以外にないわけでありますから、これなかなか難しい問題ですけれども、税金と違って、このやはり年金の制度というものをしっかりこれは認識をしていただいて集める以外にないんですね。  急に下がりましたのは、これはまあ社会保険庁責任あるんですけれども、この平成十四年から国の方が集めるようにしたと。今まで市町村お願いをしていたのが国がやるようになったということによって、そこでがくりといった。それはもう初めからそのようにならないようにといってやかましく言っていたんだけれども、結果としてはそうなったということでありまして、ここは私も責任を感じているわけでありまして、ここを元へどう戻すかということにつきましては、これはかなり積極的にこの年金制度についての理解を得るということを前提にしながら、そして強制徴収といったようなこともこれはやっていかなければならない。しかし、一般のその税制と同じようにして初めから強制徴収したらいいかといえば、そうではなくて、やはり年金制度というものを理解をしていただくということが大事だと思うんです。  先ほどもお挙げになりましたように、医師という非常に恵まれた、多分恵まれたと思いますけれども、人であっても納めていないというようなことがあるということは、それは問題でありまして、そういう皆さん方には、この年金制度は自分のためのみならずと、現在の高齢者を支えることであり、また自分の将来のためのものであるということをよくそれは理解をしていただかなければならないわけでありまして、そこをどのようにこれから努力を重ねていくかに一に掛かっているというふうに思います。  例えば、民主党さんがおっしゃっているような、例えばスウェーデン方式、近いんだろうと思っておりますが、スウェーデン方式にいたしましても、今度はそうするとかなり多額の保険料を徴収をしなければならないわけですね、自営業者の皆さん方からは。だれが徴収をするかという問題があり、さらに、大きな保険料を本当にちゃんと徴収できるかどうかということは大変大きな問題、私はなると思うんです。ここはより積極的に、この年金の問題は保険料を納めていただくようにする以外にない、私はそう思っております。
  90. 内藤正光

    ○内藤正光君 我が党の案については後からいろいろ説明をさせていただきますが、まず厚生労働大臣は、いや、これから制度に対する理解を求めて、そして理解をしてもらった上で払ってもらうとおっしゃいましたが、私は現実を理解しているから払わないんじゃないかと思いますよ、現状を理解しているからこそ。  そこで、ちょっと国民年金の未納の問題をもっと整理して考えてみたいと思います。何も確信犯的な不払ばかりじゃないわけですから、払えなくて払わない人もいますから。ですから、国民年金というものを改革するためには二つの観点から見なきゃいけないと思います。  一つは、支払能力があるのにもかかわらず未納を続けているような確信犯的な人。これは、はっきり言えば、サラリーマンというふうに書いてはありますが、まじめに払っている人にしわ寄せをするという現実がありますね、再三申し上げておりますように。  そしてもう一つは、やっぱり低所得者の未納もあります。リストラ組も国民年金に編入されるわけですから、あります。実は、このことは、この低所得者の未納という問題は、国民年金の哲学というか意義そのものに疑問符を投げ掛けている実情にほかならないんですよ。ですよね。  そこで、ちょっと一つ一つ、まずこの支払能力があるのにもかかわらず未納ということについていろいろ議論させていただきたいと思います。  もう御案内のように、実態調査によれば、実は、国民年金の未納者であるにもかかわらず、一方では、個人的には個人年金に入っていたり、生保の、あるいは生命保険に入っている人、これが実際どれぐらいいるのかといったら、五四%いるわけですよね。個人年金について言うならば、払っていないにもかかわらず、生保等の個人年金に入っている人は実は二割いるんですよ。こういった人たちは完全に支払能力があるわけなんです。  実際、じゃ、こういう人たち、じゃ、どういうふうに対処すべきかということで、経済財政諮問会議等でも再三にわたって指摘されておりますし、また、実際に厚生労働大臣としても予算案の要望として挙げられたかと思いますが、国民年金の加入者というのは確定申告しますよね、ほぼ。ですよね。確定申告する際に、普通だったらば各種控除措置を受ける際にはそれぞれの支払証明書の添付が義務付けられていますね、生命保険にしても何にしても。ところが、社会保険については添付が義務付けられていないんですよね。  そこで、ちょっと国税庁にお伺いしたいんですが、何で社会保険料の支払証明書のみが添付を義務付けられてはいないんですか。それは、所得税法百二十条でそれが求められていないと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、合理的な理由を教えてください。この法律云々じゃなくて、合理的な理由です。
  91. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) そもそも、一般論として申し上げますが、申告内容をチェックする方法は、添付書類のみならず、我々国税当局が持っている情報であるとか納税者に対する質問等々、種々の方法において実施しているところであります。  この国民年金につきましては、これは強制徴収の制度として設計されているわけでありますから、加入者がその保険料を納付することが前提とされております。したがいまして、確定申告に当たってはその額を証明する書類、いわゆる添付書類でありますが、それを義務付けてはおらないということであろうと思います。
  92. 内藤正光

    ○内藤正光君 何だかよく分からないですよね、何だか、はっきり言って。  何で求めていないのか、もっと明確な答弁をいただきたいんですが、もうちょっと、時間の関係で、昨日も国税庁さんあるいは財務省さんと話をしていると、建前論ばかりに終始しているんですよ。国民年金は全国民の義務だから払っていると、払わない人は、強制徴収を掛けているから払っていないはずがないという、そういう前提に立っているんですが、ただ、現実はもう既に四割が未納なんです。  そして、もう一つ言います。払っている人と払っていない人との間に所得の違いは全くありません。これが実際のグラフです。(資料提示)赤いグラフは未納者の所得分布です。黒い、青っぽいグラフはちゃんとしっかり納めている人の所得分布です。一番右端が所得一千五百万円、当然左端が所得なしということなんですが、これを見ていただければ分かるように、有意な差は、そんなに大きな有意な差はないはずです。実際に、納付者の所得平均は四百十八万円なんですが、実際に払っている人の。それ以上の人でも平気で未納の人はたくさんいるわけですよ。これ、数合わせてみると、実は四割、この四百万円以上の所得がありながらも国民年金保険料を納めていない人が実は全未納者のうちの四割占めているんですよ。ですよね。  私は、こういったまず人たちに対して、どうしっかりと納めていってもらうかということを考えなきゃいけない。そして、何度も言いますように、未納は本人だけの問題ではなくて、今現在のまじめな人たちにもツケ回しをしているという現実があるわけですから。  そこで総理、ちょっとお尋ねしたいんですが、こういった人たちの未納対策というのは、強制徴収よりもコストを掛けずにできることがあるんですよ。やっぱり確定申告の際に一枚、支払証明書を求めればいいだけなんですよ。それだけなんですよ。コスト掛からないんですよ。これ、どうなんですか。要はやる気があるかどうかの問題なんですよ。それで、やるに、総理でいいです、やるに当たっては、所得税法百二十条に一言加えりゃいいだけなんですよ、社会保険料の支払証明書を求めると。どうですか。──いや、総理です、総理です。
  93. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いいヒントを与えていただいたと思っております。  この未納者、決して所得がないから払ってないわけではないと、個人年金にも入っている方がいるんですから。これをどうやって払ってもらうかということについては工夫の余地はいろいろあると思います。それは、今一つのヒントを与えていただきましたし、そういう点についても私は検討する価値があるのではないかなと思っております。
  94. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと総理の答弁に補足させていただきますが、この添付を求めていないという理由は、先ほど事務方から御説明させたとおりでございます。  それで、昔は、みんな年金もらえなきゃ大変だというんで、ちゃんと払ってくれたという現実がございました。それから社会保険料控除も、貯蓄を奨励しようという、元々の制度的な目的はそっちにありました。しかし、だんだん、先ほどから委員が御提起のように未納問題が深刻だということになってきまして、それで昨年も委員は塩川大臣に問題提起をされました。  それで、社会保険庁の方からも我々に、何か税の方としてやれることはないかという問題提起がございまして、そこで、社会保険庁とそれから我々国税とそれから地方税と、やはり持っている情報がばらばらではやっぱりうまくないということで、それぞれ情報も共有しながら、所得がありながら未納をしている者というようなことについて、お互いに連携を確認して、もう少し実効的な措置がないかということをやろうということで、具体的にはもうちょっと詰める必要がございますけれども、まだ必ずしも添付するというところまでは議論は進んでおりませんが、今そのような議論をしております。
  95. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  96. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。内藤正光君。
  97. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、午前に引き続きまして質問をさしていただきます。  まず、午前中に出したこのグラフ、もう一度使わしていただきたいと思います。(資料提示)これは、もう午前中、既に説明をさしていただきました。これが、未納者と納付者の所得分布に違いがないと。で、納付者の平均所得が四百十八万円なんですが、それ以上の所得を得ていながらも未納の人が多いと。  で、ここをどう防ぐかなんですが、ここは、やはり強制徴収とか、そういったコストの掛かる、手間を掛けるよりも、やはり確定申告の際、その支払証明書、これ一枚求めれば、やはりそこで抑止効果は絶大だと思うんです。  私はそう思うんですが、是非財務大臣厚生労働大臣、両大臣の前向きなお考えをお尋ねしたいと思います。
  98. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 午前中の最後にも御答弁申し上げましたように、だんだん率が下がっている、払っている方の率が下がっているのを税でどう対応するかという問題で、今検討しておりますのは、社会保険庁と国税と地方税で、これ、できるだけ連携を強めて、情報も共有するという形にしたらどうだということで検討を今しております。  ただ、まだ最終的な結論が、結論は出ておりませんので、ここで確定的な御答弁をすることはできませんが、できる限り税としても対応ができるような形を検討してまいりたいと思っております。
  99. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私は財務大臣ほどそこのところは専門家じゃございませんが、お聞きしたところ大変いい案のように思いますから、よく相談させていただきまして決めさしていただきたいと思います。
  100. 内藤正光

    ○内藤正光君 じゃ、それを──委員長、はい、済みません。
  101. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ちょっと落ち着いてね。
  102. 内藤正光

    ○内藤正光君 両大臣から大変前向きな答弁をいただいたかと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。やるべきだと思いますが。
  103. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 休憩後に、内藤議員のその質問、なかなか示唆に富んでいるなと思って、短い時間でしたけれども、私なりに問題点を聞いてみました。  今、財務大臣と厚労大臣の答弁ですが、社会保険庁、税務署、連携を考えているようですが、なかなか踏ん切りが付かないようです。しかし、これ、確かにいいヒントをいただきましたので、未納者をできるだけ少なくするためにはどうしたらいいか、これ、よく連携取って、これがうまく機能するように、もう一段真剣に検討するよう指示いたします。
  104. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非その方向性で、総理大臣のリーダーシップの下、是非、未納対策、特に納める余力があるにもかかわらず納めていない、そういった方々に対する収納率の向上、これはもう内閣の一致した方向性ですから、是非取り組んでいただきたいと思います。  そして、次にですが、またもう一度このパネルを出さしていただきます。  国民年金の未納問題として、先ほどから支払能力がある人の未納については、総理を始め両大臣からはかなり前向きの答弁をいただいたかというふうに思っております。  そしてもう一つ、低所得者の未納についていろいろお話をさしていただきたいと思います。  考えてみますと、現役時代、低所得の人ほど老後は国民年金に依存をする可能性が高くなるわけです。当然です。ところが、残念ながら、現役時代、低所得であるがゆえに保険料を納められない。で、結局、老後には無年金になってしまうというような自己矛盾を制度自体が抱えているというふうに私は思います。もう正にこれ、国民年金の何たるかを考えたときに、その基本哲学をも否定し得るような制度欠陥ではないかと私は思っております。  なぜかと考えたときに、これは所得に関係なく保険料は一万三千三百円、夫婦二人ならば二万六千六百円、まあ所得がそれなりの人であれば大したことないのかもしれないけれども、先ほど午前中も申し上げましたように、失業者も職のない人もリストラ組もこの国民年金に編入されるわけです、厚生年金から。そしてまた、所得の元々少ない人、そういう人が二万六千六百円をどうとらえるかといったときに、私はかなり逆進性が高いんではないのかというふうに私は思います。  そこで、そういった思いから、私は正直言いまして、今の国民年金、所得捕捉が難しいという理由があったにせよ、今現在という時代に照らし合わせたときに、やはり制度を抜本的に見直すべきときに来ているんじゃないか、制度設計そのものに今矛盾を来しているんじゃないかというふうに思います。そこで、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  105. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これ、制度設計考えますと、今まで長年の制度ですから、財源にしても今までの制度でなじんできた人についてどう対応するかにおいても、もう非常に不安を与える面と、それと新たな財源を要するためにどのような税源が必要かという問題と、それと生活保護との問題と、それから、さらには納税把握するためにはどういう制度がいいかと、いろんな問題が絡んでくるんです。それは一年や二年でできる問題じゃありません。現在の制度のままで改革しようというのと、今の制度を全部変えちゃって改革しようという、そのぐらいの違いですから。  いろいろ案を出すのはいいです、各党がそれぞれ提案されて、そういう方向に結ぶために協議をしようというのはいいです。しかし今、これは一年や二年でできる問題ではとてもありません。案としては、それは出されて議論の材料にするのは私は歓迎しております。
  106. 内藤正光

    ○内藤正光君 一つ考えるに、この国民年金、私、大きな問題点をいろいろ述べてきましたけれども、二万六千六百円、夫婦二人で、逆進性が高いという問題、あるいはまた払えるのに払えないという、払わないという確信犯的な方々、こういったことを踏まえたときに、私はもう今の保険料方式が果たしてもうこれ以上維持できるのか大変疑問に思っております。  ですから、私は、可能性、考え方としては財源の消費税化も一つでしょうし、広く薄く、しかし公平に財源をいただくというそういった方法も一つでしょうし、また自営業者の方も所得捕捉を完璧にさせていただく、そういった手段を講じることによって、やはりサラリーマンの年金と同じように報酬比例にしていくとかいろいろ手段があるかと思います。そういったことも踏まえて、幅広にこの国民年金の抜本改革取り組んでいく意思がおありだというふうに判断してよろしい、理解してよろしいんですね、総理
  107. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は各党がそのような提案を出して協議するということはいいと思います。
  108. 内藤正光

    ○内藤正光君 これから我が党も民主党としての年金改革案を出していきますので、しっかりと、これはもう党派を超えて本当に国民に安心を与えるためには年金制度はどうあるべきなのか、もう抜本的に、小手先だけの改革ではなくて、先送りを絶対せずにしっかりとした改革に向けた審議をしていきたいというふうに考えておりますので、どうか受けて立っていただければというふうに思います。  さて次に、テーマ変わりまして、厚生年金、老齢厚生年金の給付水準等についていろいろ議論をさせていただきたいと思います。  政府案は、このたびの改革案によって保険料率を現行の一三・五六%から一八・三%にまで段階的に引き上げていくと。そして、その後は給付水準を、今平均所得の六割となっているのをこれまた下げていって五〇%程度にするというふうにしておりますが、そこで厚生労働大臣、お尋ねしたいと思いますが、その数字をはじき出すに当たっては数々の前提条件があろうかと思います。そこで、代表的な前提条件といたしまして、出生率をどのように見ているのか、あるいはまた国民年金の納付率についても、これ大きな、大きく影響するものでございますが、それをどのように改善すると見ているのか。そういった主なパラメーターについて、前提条件を教えてください。
  109. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 様々な前提がございますけれども、一番大きいのは実質賃金の上昇率の問題と、それから今御指摘になりました合計特殊出生率、この二つが一番大きい前提だというふうに思っております。  実質賃金上昇率は一・一%を上回る。最低一・一%というふうに踏んでいる。それから、もう一つの方の合計特殊出生率は二〇五〇年に一・三九%、こう決めております。私はもう少し早く一・三九というのを上げなきゃ、二〇五〇年に一・三九というのではまどろっこいという気がするんですけれども、一応計算はそういうふうになっております。  それから、いわゆる国民年金の方の納付率でございますけれども、これは一応八〇%に引き上げていくということを前提にしております。  大きい点を挙げれば、そういうことだというふうに思います。
  110. 内藤正光

    ○内藤正光君 ただ、この前提条件なんですが、こういう言い方をしたら大変失礼かもしれませんが、特に厚生労働省さんが出される前提条件はかなり外れることが多いというのが実態じゃないのかなというふうに思うんですが。  それこそ出生率にしましても、今現在一・三ちょっとですよね。それが一・三九に回復するというんですが、果たして回復する要因があるのかどうかということです。例えば、今平均すると一・三一とか二ぐらいなんですが、東京だとか都市部に限っていいますと一・〇ですよね。都市部の出生率というのは、ある意味は先行指標的な意味合いもあるわけなんです。地方も次第にそういった方向へ近付いていくわけですよ。都市部が回復の兆しを見せているというのであれば、それはやがて一・三九に回復していくと見る見方もそれはいいのかもしれません。しかし、現実は都市部においても回復の兆しは見えていない。  そしてまた、もう一つ言いますと、今回の改革というのは毎年〇・三五四%ずつ引き上げるということなんですが、国民にもう少し分かりやすく言いますと、これは毎年一兆円ずつ負担増を強いていくということですよ、一兆円。そしてこれは事業主折半ですから半分が、半分が事業主、五千億、残り半分がいわゆる給与所得者、サラリーマンだとか公務員ですね。つまり、これは間違いなく雇用環境の悪化につながるんじゃないのかと、そしてまた消費の抑制につながるんじゃないのか。そして、これの大事なことは、一年じゃないんです、向こう十数年間ずっと続くんです。十四年間。  私は、このどれをもってしても、とてもじゃないが、実質賃金の上昇どころか、そもそも正規社員自体がどんどんどんどん減ってしまって、それこそまだ働く場所があればいいです、こういった大変なコスト負担増を嫌って企業は海外に出て行くという道を選択するかもしれない。こういった様々な社会要因考えたときに、私はとてもじゃないが、厚生労働省さんが前提としている、そういった、出生率は一・三九に回復するだとか、そういったパラメーターは一概には信じ難いものがあるんです。それでもなおもこれは正しいんだとおっしゃるんですか。
  111. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは、社会保障を取り巻きます様々な政策とこれは一体の話だと思うんですね。ですから、今回提案をいたしております年金制度はその年金の話だけではありませんで、合計特殊出生率にいたしましても実質賃金の上昇にいたしましても、それを可能にするような政策は何かということをどう実現をしていくかということだろうと思うんです。それとセットの話ではないかというふうに私は思っております。  確かに、合計特殊出生率は東京都は一・〇。その中で、目黒ですとか渋谷ですとかですと〇・七というような数字になっておりまして、確かに東京は低い。しかし、北陸の方に行きますと、は大体一・五を堅持をしている。  まあ、そうしたことがあって、地域による格差はございますが、これは、やはり住まいも含めまして生活の在り方というものをどうしていくかということと深くかかわりを持っている。単純な話ではないというふうに思っております。それらの一つ一つの要因をどのように克服をしていくかということが大事でありまして、特に東京都など都市部におきまして、どうここを克服をしていくかということが御指摘のように私も非常に大事なところだというふうに思っております。  その辺のところを政策として立案をしながら、もう皆さん方が本当にそんなに子供は要らないというふうにお考えになっているのならこれは話は別でございますけれども、そうではなくて、やはり結婚される皆さん方は、やはり二人は欲しいというふうに思われる、あるいは三人欲しいというふうに思われる方が存在いたします以上、その皆さん方の御意思におこたえをしていくような政策は何かということを積み重ねていくことが大事というふうに思っております。
  112. 内藤正光

    ○内藤正光君 じゃ、取りあえずその出生率が二〇五〇年時点で一・三九に回復するだとか、そういった前提条件の下でまあ話を進めたいと思います。  あくまでそれを前提条件として、保険料率は一八・三%、そして給付水準は五〇・二%で支えられるということなんですが、ということは、裏を返せば、こういった出生率だとか前提条件が悪い方向へ崩れれば、当然のことながらこれ見直さざるを得ないと思いますが、そういう理解でよろしいですか。つまり、保険料を上げるか、あるいは給付水準が更に下がるか、そのどちらか一方になるんでしょうか。あるいは何かオプションがあるんですか。
  113. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは、先ほど申しましたように、下がらないようにどう政策を打っていくかということだろうというふうに思っておりますが、しかし、そうはいいますものの、経済も、これは世界経済の中で非常に大きな影響を受けながら日本経済も行くわけでございますから、我々の考えております意思のとおりにこの経済も動くとは限りません。そのときには、万が一ということもそれは当然考えておかなければならないというふうに思っております。  そのときにまず一番先に手掛けることは、これは〇・三五四%ずつ上げていくわけでありますし、そしてまた、一方、現在既に年金をもらっておみえになる皆さん方の方につきましては、賃金、物価上昇によりますけれども、これは少し物価上昇よりも抑えめに抑制をしていくというようなことをやっているわけでございますが、その辺のところで調整のできる範囲のところは調整をさせていただくというのがまず第一だろうというふうに思っております。五〇%というのは堅持をする、そのためにはその辺の調整をするという必要性は、万が一ですね、悪い場合には起こってくる可能性はあるというふうに思います。  二〇二四、五年ぐらいまでの間は、もう既に現在生まれているお子さんの数というのは、これはもう決まっているわけでありますから、この皆さん方が成長されて、そしてその後保険者になっていただく数というのは、二〇二四、五年ぐらいまでは大体計算がこれはできるわけであります。その後は、これは合計特殊出生率もどうなるかということは大きな影響を与えていく。だから、今から二十年ないし二十四、五年、この辺の間のところは経済の動向がどうなるかによって影響は受けることはあり得るというふうに思っております。
  114. 内藤正光

    ○内藤正光君 総理、昨年だったかと思いますが、支給開始年齢引上げを、たしかいずれかの場で発言されたかと思うんですが、総理はそういったオプションも一つ念頭の中に入っているということですか。例えば、今後、経済動向だとか雇用情勢だとか、向こう数十年先、何がどう変わるかも分かりません。そういった中、給付水準を、保険料率を上げるだとか給付水準を抑制するだとかいう可能性もあるんですが、そのほかにもう一つ、支給開始年齢の引上げというオプションもあろうかと思うんですが、それも、総理、今もお持ちなんですか。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、何年か前に、段階的に六十一歳から六十五歳に引き上げていこうということになっております、たしか二〇一三、二〇一三年までに。その間に引き上げ、更に引き上げようということは考えておりません。
  116. 内藤正光

    ○内藤正光君 その間にはという条件ですね。じゃ、それ以降はその限りではないということなわけですね。分かりました。また、それは後からまた別の機会にいろいろ議論させていただきたいと思います。  ちょっと、厚生労働大臣、この項目で一つ質問させてください。  出生率一・三九、これはいわゆる高位推計、中位推計、低位推計とあったときの中位推計だろうと思います。低位推計で計算したら大体どういうふうになるんでしょうか、教えていただけますでしょうか。
  117. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 低位推計は一・一何がしだったと思いますが、一・一ぐらいだと。
  118. 内藤正光

    ○内藤正光君 低位推計で考えた場合の例えば給付水準とか、そういったものはお持ちですか、資料としては。
  119. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、基本的には、二〇二三年前後までは高位、中位、低位で労働力人口は変わらない状態で推移するだろうと思います。  それから、五〇%の水準は確保するという基本的な考え方は今回の改正法の附則にございますので、基本は五〇%の水準を確保していくということでございますが、仮に給付水準を、低位推計の場合に、それ以上引き下げていくということで機械的に計算をいたしますと、所得代替率は四六・四%という状態になってまいります。
  120. 内藤正光

    ○内藤正光君 つまり、出生率が、厚生労働省、大臣が期待するように二〇五〇年時点で一・三九にはならずに、一・一になったとしたならば、いわゆる低位推計ですね、低い推計になったとしたならば、今は給付水準を五〇%だと言っているんだけれども、それすらも守れずに四六・四%にもなり得るということですね。  ただ、よく厚生労働省さんの過去の財政計算、再計算のたびに出してくる推計というのは、どちらかというと、実績値は低位推計に合っちゃうんですよね。どうしても低位推計に落ち着くんですよね。過去がそうだからこれからもそうだとは必ずしも言い切れませんが、往々にして厚生労働省さんはかなり甘めの推計値を使っていると、はっきり言いますと。  ですから私は、一・一にもなり得るということで、つまり給付水準四六%にもなり得るということで、もっとそれをしっかりと国民に示していかなきゃいけないんじゃないんですか。こんな五〇%、五〇%なんて、その五〇%のモデル自体もおかしなものなんですよ、もう。よく、これ勘違いさせる、国民に誤解を与えるんじゃないかと思います。  五〇%って何なのかといったら、いわゆるモデル世帯ですよね。モデル世帯とは何なのかといったら、奥さんが一回も働いたことがなく、サラリーマンの専業主婦になったような人。一回も働いたことがないというのは更に条件厳しいです。一回も個人的に保険料を納めたことがない、つまり二十歳でもってサラリーマンの奥さんになって、働かないまま四十年ずっと専業主婦のままでいった人、これが専業主婦、いや、モデル世帯ですね。(資料提示)このモデル世帯のときになって初めて五〇%という水準が確保されるんだ、されるんだということをおっしゃっているわけです。  しかし、このモデル世帯というのが一体今の時代どれぐらいいるのか。少なくとも今のこの国を代表する家族像なのかといったときに、とてもじゃないが、私がさっき申し上げたようなモデル世帯というのはそんなに多くないだろうし、またこれからますます減っていくんだろうと。  じゃ、実際はどうか。夫婦四十年共働きしたカップル、大体三九%ですよ。そして、更に言うと、独身で一生を過ごす人もこれから増えてくるでしょう。男性の独身の場合は三六%ですよ。金額にすれば、平均値でいえば十七万円ですよ。女性の独身に至っては、確かに数字は高いです、四四・七%。しかし、女性の平均所得低いですから、受給額十三万円ですよ。  私は、モデル世帯、何か用いなきゃいけないというのは分かるんですが、余りにもモデル世帯五〇%、五〇%と、今や五〇%という数字が独り歩きしているんですよ。やはり深刻に考えなきゃいけないのは、逆に、ああそうか、五〇%は確保されるんだと。誤解している人は、払った分の五割が戻ってくれば。そうじゃないですよね。今現在の現役労働者の所得の平均の五割というのが水準ですけれども、私は、五〇、五〇ということで、私は、問題なのは、こういう人たちも五〇というふうに思い込んでしまって、でも実際気が付いてみたら、男性の独身者だったらば三六%だとか、こういったところから目をそらしちゃっているんじゃないかなと思いますよ。  私は、厚生労働省としては、これ、こんな一番、ほとんどありもしないこのモデル世帯というもので五〇、五〇というのを余りにも振りかざすというのは、私は無責任だと思うんです。いかがですか、これは。
  121. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 前半の少子化の問題は、先ほど申しましたように、一・三九に上回っていくような政策をどう立案をしていくかということに懸かっているということだと思います。  先ほどのモデルの話でございますが、それをごらんをいただきますと分かりますとおり、現在もいろいろのばらつきがあるわけでございます。モデルにいたしております五〇%というのは、それは夫婦で五〇%、一人当たりにしますと二五%ということでございます。この一人当たりにして二五%というのは、その中で一番低い値でございます。したがいまして、夫婦して五〇・二、そして一人当たりにすれば二五・一になりますか、ここは最低の水準を私は示しているというふうに思っております。  したがって、決してこれは意味のない数字ではございませんで、ここは最低を示している。確かに、お一人のときにはパーセントは低いけれども年金の額は大きい、そういうことでございまして、一人当たりにしますと一番低い水準のところをお示しを申し上げておりますのがモデル年金のその五〇・二でございまして、そうした意味で、一つ一つこれは皆さんにお示しをしなければいけないというふうに思っております。  同じ、御主人が働いておみえになって奥さんがおみえになります御家庭でも、御主人の賃金の大きい小さいによりまして、これはパーセントは違うわけでございます。所得の少ないところにつきましてはパーセントは高くなる、所得が高いところの人にとりましては低くなる、そうしたこともありますけれども、そこを平均値でお示しをしているところでありますので、国民の皆さん方にも包み隠さずよく御理解をしていただきたいというふうに思っているところでございます。
  122. 内藤正光

    ○内藤正光君 私の持ち時間ももうそろそろ終わりですので、これで最後にいたしますが、一つは、これは繰り返しになりますが、向こう十四年間〇・三五四%ずつの引上げは、取りも直さず向こう十四年間、毎年一兆円ずつの引上げ、それぞれ、事業主負担プラス五千億、サラリーマン層プラス五千億。更に言えるのが、そういった保険料アップが、実はそのすべてがいわゆる過去債務に回ってしまって、今払っている人の給付水準には何ら反映されないんです。そうですよね。私は、こういった実態は不信感を招くだろうし、また経済的にも、また個人消費にも多大な悪影響を与えることが懸念されると。  そして、さらに、最後になりますが、先ほどもいろいろ申し上げましたが、不確かな、決して確かではない前提条件や、これからどんどんどんどん減っていくであろうモデル世帯を用いた議論していること自体が私はおかしいんじゃないかなと思うんですが、更に言うならば、マクロ経済スライド調整というものを採用したと、それによって国民年金すらもこれからどんどんどんどんその実質価値は引き下げられていくわけです。そういったことを見たときに、私は哲学の異なる国民年金と厚生年金をごっちゃにしちゃっているんじゃないかと思います。何を守っていかなきゃいけないのかというのが全く見えてこないんです、今回の改正案からは。厚生年金国民年金ごっちゃにしてしまって。私は、これでは決して年金への信頼を取り戻すことができない。もう抜本改革を、私は、やはり年金の哲学、そういったものを議論するところから始めていかなきゃいけない。  そして、これは私たち民主党も用意をしておりますが、是非議論をしていきたい、お受けをしていただきたい、そのことを申し上げまして、関連質疑、移らしていただきたいと思います。
  123. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。峰崎直樹君。
  124. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、是非これから、年金の問題ももちろん絡んでありますが、経済の問題を中心あるいは財政の問題を中心にしてお話をさせていただきたいと思うんですが。  今日は日銀総裁にもお見えいただいておりますが、最初に、今度の中期展望が出されているわけでありますが、この中期展望の中で、いわゆる物価上昇といいますかあるいはデフレーターといいますか、これが実はまた一年先に延びて、デフレーションというのは終わっていないんではないかなと。  実は、ずっと私、九二年に当選させていただいて、ストックのデフレではなくてフローのデフレの問題を最初に九五年の三月に指摘をさせて以来、デフレの問題についてずっと一貫して主張してきたわけでありますが、このデフレがまた先送りになってしまっている、これは一体なぜなんだろうなと。  この点についてまず最初にお伺いしたいわけでありますが、これ、竹中大臣にお聞きしたらいいんでしょうか。この点、マクロ、これは「改革と展望」の中でまた一年先に延びているわけですね。そうすると、最初のいわゆる二〇〇一年ですか、二〇〇二年の展望を書かれて、そのときには二〇〇四年度までにはいわゆるデフレからの脱却をすると言っている。ところが、去年はまた一年延びている、今年もまた一年延びている。これは一体、毎年毎年先送りしているというのは、これは政策の失敗を表しているんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょう。
  125. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今日は福井総裁もお見えでございますが、デフレの克服というのは確かに大変難しい問題であるというふうに認識して取り組んでいるところであります。しかし、去年から今年にかけての「改革と展望」の中でデフレの目標をまた先送りしているということは、これはそうではございません。デフレに関しましては集中調整期間を終えた後で克服できるというシナリオは、これは変えておりません。  恐らく、技術的には、昨年の「改革と展望」と今年の「改革と展望」では価格指数について示し方をより指標を増やしておりますので、その点についてGDPデフレーターの指標だけを取り上げて峰崎委員はそのような御指摘をしておられると思いますが、去年までは価格の指標を試算の中で見れるのはGDPデフレーターだけでございました。しかし、去年までの時点で、それでは不十分ではないかという御指摘を専門家の方々からたくさんいただいたわけです。むしろ、インフレ、デフレを判断する場合の中心的な指標は消費者物価なのではないのかと。物価目標を掲げている国もありますけれども、そういう国ではおしなべて消費者物価で見ているぞと。そういう指標をしっかりと加えて総合的に判断すべきだという専門家の御指摘も踏まえて、今年からは消費者物価、企業物価、GDPデフレーター等々で総合的に判断するというふうにしているわけであります。  総合的な判断として集中調整期間が終わった後にデフレを克服していくというシナリオが変わっているわけではありませんので、毎年毎年先延ばしをしているというのは、これは少し御批判は当たらないのではないかと思います。  いずれにしても、デフレ、大変難しい問題、しかし消費者物価や企業物価等々も踏まえて総合的に是非判断する中で、正に政府、日銀一体となってこの目標を達成していきたいというふうに考えております。
  126. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 じゃ、竹中大臣にお聞きしますが、デフレかデフレでないかの判定は何によってするんですか。  私はこれまで、九五年の三月の時点で、早くから、これデフレじゃないですかと言っていました。当時、たしか経済企画庁長官は宮崎勇さんだったと思いますが、いやまだデフレではありませんとおっしゃっていました。だけれども、そのときに実はもうデフレーターがかなりもうマイナスのところへ行っていたわけであります、GDPデフレーターが。その意味で、このGDPデフレーターこそが、海外要因も捨象するし、国内で生じているデフレーション、つまり需給ギャップの問題あると思うんですが、そういう問題を指摘するのにはこれが一番ふさわしい指標じゃないんですか。  その総合的に勘案するということで、CPI、つまり消費者物価もそれから企業物価も卸売物価もこれも入れて総合的にといったら、何が基準なのかさっぱり分からなくなるんですが、何が基準なんですか。そこはこの新しく二つ追加しているということは、今までの考え方を変えるということなんですか、変えないということなんですか、どちらなんですか。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 物価の指数にはいろいろあります。その中で、それぞれが特徴を持っているわけですから、峰崎委員は、自分は、海外要因等々のない、要素価格を含むGDPデフレーターで自分は判断しているんだとおっしゃるのは、これはこれで一つの見識であろうとは思います。  しかし、これ、価格の指数というのは正に多様であります。消費者物価が我々は重要だと感じるときもあるし、企業物価でその動向を見たいというときもある。ここはやはり総合的に判断するというのが、これは政策においてはやはり一番必要なことなのではないかと思っております。  指標を変えたのか、物差しを変えたのかという御質問に対しては、いや、変えたわけではありません。我々は、物差しを拡充して、今度から、GDPデフレーターだけではなく、消費者物価や卸売物価も企業物価も含めて総合的に判断するというふうに考えていると、この点を御理解いただきたいと思います。
  128. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうも私は納得できませんね、その今のお話は。  従来の「改革と展望」の中には、GDPデフレーターを基準にしながら進めてきたわけですから、今回総合的にと言われても、じゃ、今度これが、あるときはCPIが上がったから、あるときはGDPデフレーターから、こういうある意味では非常に訳の分からない判断基準になってしまうんじゃないか。  そこで、日銀総裁、お尋ねいたします。  実は、日銀総裁自身、ちょうど就任されて以来一年たつわけでありますが、デフレの問題というのは日銀の責任非常に大きいと思うんですけれども、その意味で、このGDPデフレーター、これを基準にすると、ある意味で二〇〇六年度まで実はデフレが終わらないという前提になっているわけですね。  そのことに対して、今この基準は何なのかというやり取りございました。それと同時に、そこまで実はデフレがずっと続いてしまうということに対するこの一年間の日銀の政策というのは一体何だったのか。ちょうど一年、非常に区切りがいいときでありますので、これまで日銀総裁やってこられたことで、ある意味では目詰まりがしているから、民間の企業にお金が流れるようにしようじゃないかというようなこともされてまいりましたですね。  あるいはさらには、今、今年、今日は三十兆から三十五兆までのいわゆるリザーブターゲットというのは余り変えないというお話でございましたけれども、それをそういう形で緩和してこられましたですね。そういうことの効果というのは本当に現れてきているんだろうか。マネーサプライも、たしか去年の十二月だったと思いますが、一%台まで下がってきておりますですね。そうすると、お金は全然、潤沢には提供するけれどもさっぱりその効果は現れていないじゃないかという厳しい御指摘がやはり出てくると思うんですが、それらを踏まえて、日銀総裁、何か御見解あればお伺いしたいと思います。
  129. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、日本銀行は、デフレから日本経済を脱却させる、この一点に絞って懸命の努力を継続中でございます。  現在ただいままでの状況でございますけれども日本経済、少なくとも実体経済を見ます限り、徐々にいい方向に動いていると、次第に持続的な回復パスに乗るという方向に動いておりまして、日本銀行といたしましては、デフレからの脱却ということは、実体経済改善ということと表裏一体となってでなければ実現できないというふうに思っております。  物価の面を見ますとまだ引き続き、委員指摘のとおりいろいろな物価指数ございますが、いずれの物価指数を見ましても、まだ完全にデフレ脱却ということに判こを押せるような状況になっていないということでありますけれども、これから次第にいい方向に行くだろうと。  日本銀行は、もちろん、経済ないし物価の状況を判断いたします場合にいろいろな物価指数すべてを見ております。しかし、金融政策運営上、すべての物価指数を見ながらいつの日か政策運営のやり方を変えますということになりますと、国民の皆様方には分かりにくいと。日本銀行といたしましては、国民の皆様方の生活に一番距離の近い、一番分かりやすい消費者物価指数というものを明確に基準に取って今の緩和政策を続けております。  委員指摘のように、三十兆、三十五兆というふうな大量の流動性を供給しておりますが、これに象徴されるような量的緩和の枠組みというのは、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にプラスになる、ゼロ以上になるまで今の枠組みを続けるということで国民の皆様方に明確にお約束しております。  日本銀行はほかの物価指数を見ておりますが、私どもの判断は、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ以上になれば、その後も持続的な経済の成長が失われない限り他の物価指数もいい方向に必ず向かっていく、これは方向性として違った動きはするはずがないと、こういう判断に立っております。
  130. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 日本銀行としては、消費者物価指数というものを、安定的にゼロ以上に上がることだと、これがデフレからの脱却という指針だということで理解していいんでしょうか。
  131. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) 委員の御質問の中身を私なりに理解させていただきますと、デフレから脱却した日本経済状況というのは、ある意味で非常に均衡の取れた姿で経済の成長が安定的に続くと、恐らくこういう状況を指しておられると思います。  日本銀行が目指しております消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ以上というのは、恐らく最終的に日本経済が最も望ましい均衡的な、均衡の取れた姿に行くあるいは一つの通過点かもしれないと。しかし、この通過点を必ず通らなければより良い姿に行かないわけでありまして、今の非伝統的な金融政策の枠組みをフルに活動しながら、少なくとも早くこの通過点に到達したい、そうでなければより良き均衡に行けないと、こういう構図になっておるわけでございます。
  132. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 日本銀行としては、国民に分かりやすい、しかしデフレーターの指標もしっかり見ている。私は、やはりどうしてもCPIは海外要因というのが必ず入ってくると思うんですね。そうすると、どうしてもやはりその物価指数というものを見るときに、本当に需給ギャップが解消しているのかどうかとか、そういった点でやはり不十分だというふうに思いますので、引き続き私はデフレーターを基準にして見るべきだというふうに主張しておきたいと思います。  さて、そこで総理にお聞きしたいわけでありますが、ちょっとまた元へ戻りますが、プライマリーバランスの黒字を、二〇一三年に実はこれを黒字化すると、こういう方針だということでいろいろ試算も出ているわけですが、この考え方には変わりはないわけですか。
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この方針に変わりありません。
  134. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 さてそこで、その中身を今ずっとこれから、先日はテレビが入っておりませんでしたが、大塚議員がいろいろと質問をいたしました。そこで、私も更に聞いてみたいわけでありますが、「改革と展望」、これ内閣府が作られました。この中で、二〇〇五年度から五年間、毎年六千億円ずつ負担増と、こういうふうになっていくわけでありますが、それはどういう税目で負担増が行われるんでしょうか。
  135. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 「改革と展望」におきまして、基礎年金の国庫負担割合につきまして一定の前提を置いて試算をいたしております。これは、「改革と展望」の参考試算という性格上、一定の前提を置きませんと試算ができませんので、そういう前提で機械的な試算をしているということで、以下申し上げます。  まず、基礎年金の国庫負担割合を引き上げますための税財源でございますけれども、二〇〇四年度税制改正におきます年金税制の見直しにおきまして、年金に対しまして平年度ベースでまず千六百億円の財源を充当すると。それから、二〇〇九年度に国庫負担割合が二分の一になりますように、二〇〇五年度から二〇〇九年度までの五年間、毎年度六千億円ずつ段階的に国庫負担を増額をしていくという前提を置いております。  その中身でございますけれども、各年度六千億円ずつにつきまして、まず二〇〇五年度、二〇〇六年度、それぞれの全額につきましては所得税、それから二〇〇七年度の六千億円の半分につきましては所得税、それから二〇〇七年度の残りの半額、それから二〇〇八年度、二〇〇九年度の全額につきましては消費税で手当てをするという前提を置いて試算をいたしております。  これらの前提は、昨年末の政府・与党におきます年金税制の議論を踏まえたものでございまして、政策的な判断をして設定したということではございませんで、あくまでも機械的な試算ということでございます。
  136. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今のこの試算を、総理、お聞きになって、これはそれでいいと、そういう試算の前提でいいんだという判断でよろしいですか。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は専門家でありませんので技術的なことについては詳しくは存じ上げませんが、一つの試算として、仮定のそういう試算は必要だということでありますので、それはそれでいいだろうと。
  138. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、この試算を置いていると、この試算の是非の問題はちょっと横に置きましょう。問題は、これは必ず所得税、二〇〇五年度、二〇〇六年度、これは必ず所得税の減税をやるというこれは前提なんですね。これは確実におやりになるんですね。  これはどなたに聞きましょうか。財務大臣、お聞きしましょうか。政府・与党で決めたんでしょう。
  139. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 与党の税制改正大綱は、御指摘のように一定の方向を出していただいておりますし、もちろん我々も、政府の中でそれは決めたということはございませんけれども、与党の検討結果を一つ下敷きにしながらこれから我々も考えていかなければならないと思っております。
  140. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 厚労大臣、いかがですか。この年金財源はこれで確実に担保された、確保されたというふうに理解してよろしいんですか。
  141. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほどからお話にございますように、この段階的な税収というものを積み重ねていけば、それは二兆七千億が達成されるわけでございますから、そうしたお決めいただきました税収によって賄われていくものというふうに私は理解をいたしております。
  142. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 あっ、そうだ、日銀総裁にもうちょっと聞きたいことあったんですが、もう私はこれで結構でございます。委員長、取り計らってください。
  143. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) それじゃ、どうぞ。
  144. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実はこの問題については大変な問題が私含まれているような気がするんです。  つまり、二兆五千億円の特別減税を元に戻すという話ですね。そうすると、この特別減税を戻すには、何かやっぱり特別減税やったときの条件があるわけですね。景気対策としてやった。さあ、これは来年度も引き続きこれデフレーターで見るとマイナスなんです。ひょっとしたら先へ行くかもしれません。そうすると、二〇〇五年度、二〇〇六年度、あるいは二〇〇七年度の半分も行くかもしれないけれども、ここでいわゆる所得税の減税を元に戻しますということは、今決められるんですか、決められないんですか。もしこれは、決めるんだったら、いわゆるはっきり決めるというふうに言ってくださらないと分からないんですが、これはどなたにお聞きしたらいいんでしょうかね。厚労大臣でしょうか、財務大臣でしょうか。
  145. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、税制の決定は単年度でやっておりますから、今私どもが決めたと申し上げられるのは来年度、お出ししているものでございます。それで、これは与党で決めていただいたことを、これを、先ほど申しましたように、一つの下敷きとしましてやってまいりたいとは思っておりますが、まだ完全に政府として決めたわけではございません。
  146. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうするとですよ、まだ政府として決めていない、来年になったらデフレがまだ続いておった、再来年になってもまだデフレが続いていたと。そうすると、この所得税の減税、二〇〇五年度、二〇〇六年度やりますよということについては、全然これはある意味ではあれがないじゃないですか、いわゆる確定というものが。  そうした中で、実は今年度からですよ、厚生労働大臣、〇・三五四%はこれから十数年間は今年の法案が通ったらもうずっと毎年のように上がっていくんでしょう、十何年間。ところが、そのためのいわゆる条件、つまり年金引上げ料のための前提条件となっていくためには、安定した財源をきちんと二分の一まで確保しますという前提ですわね。今確保できているのは先ほど言った千六百億だけでしょう。この後のものは何にも確保できていないのに、これから十何年間引き続き保険料は上げていきますよと。これ、国民納得しますか。どうなんですか。
  147. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 確かに、これからの年金制度を考えていきますときに、一方におきまして保険料の御負担をいただかなければならないことは事実でございます。しかし、この年金制度というのは、一方で負担をしていただきますが、一方でそれをお受けをいただく方があるわけであります。そして、そのお受けをいただきます皆さん方の年金を年々歳々これ出していき、これを継続をしていかなければならない。今年は約四十二兆円ぐらいの年金額が出るわけでありますから、こうしたことが一方におきましてこれは経済に大きな影響を与えていることは事実でございまして、そうした両にらみの中でこれは決めていかなければならない問題であり、私はお決めをいただきましたこのパーセントを上げていただきますそれだけの価値はあるというふうに思っている次第でございます。
  148. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 価値があるとか、私さっぱり分からないんですよ。これから、もう保険料に関しては毎年一八・三〇ですか、それになるまで、二〇二二年まで続くんでしょう。今年の法案、恐らく年金改正法が出ると思うんでありますが、それが改正されたら、これまでは五年に一回ずつの改正が法案掛かっていたわけですよ。今度はこの改正案が通ったら、二〇二二年までは改正なしに毎年〇・三五四%ずつ上がっていくということを前提にしているんでしょう。そうでしょう。  そうすると、肝心の二分の一財源については安定財源というものがまだ未確定だと。ところが、二〇二二年までの財源だけはこれはもう確保していただきましたよと。こんなばかな話ないじゃないですか。  どうですか、もう一回。あるいは総理大臣に、もしあれだったらこの問題について答えてくださいよ。
  149. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、峰崎委員がおっしゃるところは、税制改正は年度、これは多年度でやっているわけじゃありませんから、年度ごとでやっておりますから今の御指摘のような問題が出てまいります。ただ、ある程度長期の方向も示さなければいけないということで、与党の方で税制改正大綱としてお決めいただいた。私ども政府としてまだこれを決めたとは申しませんけれども、申せませんけれども、先ほどから繰り返して申し上げておりますが、それを下敷きにしながらこれからの税制改正に挑んでまいりたいと、こう思っているわけでございます。
  150. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 納得できないんですね。  別の角度から行きましょう。  なぜこの二兆五千億円の、サラリーマンの皆さん方、この方々だけから、いわゆるサラリーマンといいますか税を負担している方、所得税を払っている方々から、実はこれを上げて、それを年金財源に持っていくんでしょうかね。それ以外の年金を払っていない方々とか、こういう方々については何もない。そうすると、どうもこの、いわゆる年金というものはみんなで支えるんだよというふうに言っているけれども、このいわゆる二分の一財源に持っていくためには、実は、いわゆる所得税の払っている方々だけが実は負担が非常に重くなるという、そういう問題はどういうふうにお考えでありますか。これは厚生労働大臣からお聞きしましょうか。
  151. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは税制の問題ですから私が答えるのが適当かどうか分かりませんが、この年金財源として、今お話がございましたように、十七年、十八年におきましては、これは現在あります税制の改正の中から出していただくということが決まっておるわけでありまして、これは与党の方でそう決めていただいていると。その具体的な、より具体的な中身について最終的に決定されているわけではないわけでございますが。その中でどの税制をどう改革をしていただくかということはかなりいろいろあるんだろうというふうに思いますけれども、その中ででき得る改革は何かということを御検討をいただくということだろうというふうに思っております。  消費税ということになってまいりますと、これはサラリーマンもそうでございますけれども、そうではなくて、自営業者の皆さんも第一次産業の皆さん方も全員がこれは御負担をしていただくことになるわけでございますから、そうしたことも見やって、今後この財源をどう確保していただくかということになるんだろうというふうに思っております。
  152. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、総理大臣、これちょっと質問しておりませんが、二兆五千億円所得税の特別減税、これを廃止をする、所得税で負担が重くなるんです。消費税でやれば今おっしゃったようにみんなで負担をするわけです。そうすると、総理が私の在任中は消費税を上げないんだということが、実は一握りの、一握りじゃないですね、所得税を払っておられる方々だけが非常に重くなっているという、この負担が集中している問題についてはあなた責任ありませんか。どうですか、総理大臣
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 税というのはすべての国民が負担するものです。そして、私が在任中は消費税を上げないという点につきましては、この二年半の間に消費税を上げる環境にないと私が判断しているからであります。しかも、二分の一、三分の一から基礎年金を国庫負担二分の一に引き上げるという際にも、一年で約二兆五千億円という考え方もあります。しかし、これを複数年度でやろうという判断を下してやっているわけであります。  今後、この税負担を三分の一から二分の一に引き上げていくという決定については、来年度、再来年度におきましてもいろいろ議論をしていかなきゃならないと思っておりますが、少なくとも、この二年半の間に消費税を上げる環境になるとは私は思っておりません。
  154. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 じゃ、所得税で負担をすることについては、いいんですか。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いろいろな税項目ありますから、よく今後、議論の余地があると思います。所得税だけではございません。
  156. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 所得税以外にはどんなものがあるんですか。(発言する者あり)何だ、自分で答えたじゃない。
  157. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) まあ、峰崎委員のおっしゃったことは、確かに定率減税を小渕内閣のときに作りました。あのときはやはり景気が非常に悪かったからこういう減税が必要であるということでありましたが、まず、この定率減税を廃止して二分の一に持っていくためのステップにするためには、当然そのときの、これからの経済情勢の判断なんかもしながら行わなければなりません。それから、あわせて、所得税全体の、何というんでしょうか、抜本改正みたいのも考えていかなきゃならないと思います。それは、ちょっと話を広げてしまいますが、三位一体をどうしていくかという問題もございます。消費税はその後に出てくる問題です。
  158. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと三位一体出ましたので、ちょっと官房長官に、今日は一問だけで出ていただく、しかし、これ重要だと思ったんで、ちょっと今の話から離れちゃうんで、先に官房長官にお伺いします。  三位一体改革で、今年一兆円の補助金の移譲をやりましたですね、削減をやりました。残りは幾らなんだというときに、どうも財務大臣の言っていることは、いや、残りは去年もやった芽出しがあるからそれは外さなきゃいけないというのと、それから、いや、常識的には四兆円と骨太方針に書いて一兆円やったんだから残りは三兆円だねというのと、どうもばらばらなんです。これ、ちょっとここで確定してくれませんか。  どうぞ、官房長官──いいですか。
  159. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) それは、残り三兆円をやっていくということで整理ができているわけでございまして、私が申し上げたのは、一兆今年やりました、昨年、芽出しやりました。芽出しの部分が雲散霧消したわけではないということを申し上げたかったわけでございまして、予算委員会衆議院予算委員会でしたか、総理の御発言も受けて、今後三兆円を目指してやっていくと、こういうことでございます。
  160. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 官房長官、私、もうこれ以上聞くことありません、今ので、お話で。閣内不一致かなと思っていたものですから、これは重要だと思って実は確認しましたんで、結構でございます。改めてありがとうございました。  そこで、三位一体改革出たんで、いろんな問題、ちょっと「改革と展望」のところに絡めて是非お話を聞きたいんですが、このいわゆる今三位一体改革の中で、今地方を回っていまして一番厳しい批判を受けているのは、交付税がどんどん削られていったんです。  財務大臣交付税の削減というのは、今年もやったけれども、来年も再来年も三位一体改革の期間ずっとやるんですね。それから、財源対策債、これも今年は相当削減されました。その方がひょっとしたら大きいかもしれません。こういう改革というのは、これは三位一体であり、分権改革の一環としておやりになるんですか。
  161. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 三位一体の中に交付税改革がございますが、その交付税は、もう峰崎委員に申し上げるまでもございませんけれども、特会の借入金の残高が五十・二兆になっていると。それから、地方の借入金残高も二百四兆になっていると。こういう中で交付税改革を進めていく場合には、これはあくまで財源調整機能というのは、これは交付税の機能としてどこまでも残るものだし、残さなきゃならないものだろうと思います。  しかし、財源、この保障機能のようなものはできるだけ抑制していきませんと、今のような問題を、借入金を抱えている状況から次の展望がなかなか開けてこないということがあろうかと思いますので、これは三位一体改革中、やはり交付税、特にその財源保障機能の縮小といいますか、スリム化というのは私は避けて通れないと考えております。
  162. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これから三年間、今までどおりやっていきますよと、こういうことですね。そうすると、私は、非常に一つ欠けているんじゃないかと思うんですよ。  交付税制度というものがなぜ肥大化したのか。交付税制度というものは、量的にどんどんどんどん削っていけば、これは交付税改革になるんですか。そうじゃなくて、交付税がなぜ肥大化しなきゃいけないかという要因があったんでしょう。そういう分析をして、交付税はこういうふうに改革をいたしますという改革案というものは私はまだ見たことがないんですよ。  あの「改革と展望」や、あるいは骨太答申の中には、財源保障機能と財政調整機能と二つ書いてあるだけなんです。しかも、今日、総務省からもお見えになっていますが、交付税の中で保障しているのは、地方自治体における標準的ないわゆる仕事というのはこういうものですよということを表示をしているんですよ。その中には、法律や規則や様々な問題によって担保しているものがあるわけですよ。  そういうところまでなべてどんどんどんどん減らしていったら、一体これはどういうふうになっていくんですか。地方自治体は、私たちは国の仕事があるがゆえに実はこういう仕事をやっているのに、もうそれはやっていけませんねと、こういうことで、この交付税削減というものが一番大きい影響を受けているわけですよ。  そういうことを全く無視して、いや、来年も削減します、再来年も削減しますと。これ、テレビで聞いておられる地方自治体関係者が聞いたら、いやいや、今年でも私の所属している小樽なんというのは十九億円歳入欠陥でした。あるいは平良市もそうでしたね、沖縄も。そういう自治体が来年は、今年は二つかもしれないけれども、来年はもっともっと増える、再来年はもっともっと増えていく、こういう状態になっていくんじゃないですか。  赤字再建団体という制度があるけれども、みんな再建団体になっちゃうんじゃないですか、そういう過疎地域においては。どうですか。
  163. 山口俊一

    ○副大臣(山口俊一君) 私の方からもお答えをさせていただきたいと思いますが、今の交付税の削減の問題につきましては、もう財務大臣の方からお話があったとおりでございますが、確かに二〇〇三で総額を抑制というふうなことがうたわれております。  しかし、この具体化につきましては、結局は、そうした経済財政諮問会議における様々な議論とか、当然それと税収動向等を踏まえて、これは年末の予算編成とか地方財政対策の中でこれ実現をしていくものでありますけれども、ただ、一方において、先ほど財務大臣お話にありましたように、やはり五十兆からの交付税特会の赤字があるというふうな中で、やはり地方に、地方財政健全化に向けて大いに御努力もいただきたいというふうに考えておるところでございます。
  164. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総務副大臣、もう少し地方自治体の気持ちを全部分かってやってくれないと困りますよ。  それと同時に、これは全国の、世界の分権化が進んだところと分権が余り進んでいないところを調べてみると、財政で非常に困っているところというのは、分権化が進んでいるところというのは余り財政難に陥っていないんですよ。むしろ、分権化をすることによって実は地方自治体の税財源は、効率的に使おうという努力をする地域が多いわけなんです。  そうすると、今のやり方を見ていると、分権化をしなきゃいけないという努力をしようというやさきに、どんどんどんどんもうそのいわゆる大本を削っていって、とてもこれでは、分権化する以前に地方自治体が成り立っていかないというところまで落ち込んでいるんじゃないかという、気にならないんですよ。  恐らく、きっと、多分合併という話が出るんだろうと思うんです。私は、確かに小さな自治体というのは効率が悪いかもしれない。それを言うんだったら、巨大都市の方がもっと効率悪いですよ。十五万ぐらいの都市が一番効率的だと言われているんですよ。そうしたら、三百万人いる横浜市だとか私の住んでいる札幌市、今百八十七万人です。こういったところの効率の悪さといったものを改革するということの方が、同時にやらなきゃいけないのに、もう一方的に地方、小さな自治体だけが悪い悪いと、こう来ているわけですよ。こういうところにも私は矛盾が、私は相当あると思っているんです。  そこでお尋ねしますが、この「改革と展望」の中に、今財務大臣がおっしゃったように、いわゆるこの三位一体改革の期間の交付税の削減の率というのはかなりのテンポで入っているんでしょうか。どのぐらい入っているんでしょうか。簡単にやってください。
  165. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 来年度につきましては政府で決定された内容を試算の前提としておりますけれども、十七年度以降につきましては、これから議論され決定されるということでございますので、特に新しいものは入れておりません。  なお、念のために申し上げますと、これはモデルによる試算でございますので、外生変数を与えて十七年度以降は試算をしているということでございます。
  166. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこはもっと追及したいところなんですが、ちょっと人口の問題、行きたいと思います。  「改革と展望」の中で、私は非常に、先ほど内藤委員の少子化の問題についての中位推計の話が出ました。そこで、総理、ちょっとお聞きするんですが、フリーターという言葉、御存じでしょうか。
  167. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はい、承知しております。
  168. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 フリーターというのは、私の、今日手元に配りましたけれども、上の方に数字が出ていますので見ていただきたいんですが、五ページ目に、フリーターというのは今どのぐらい伸びているか。二〇〇一年に、数字が出ておりますが、これ四百十七万人。フリーターとは学生、主婦を除く若年層、三十四歳から十五歳のうち、パート、アルバイト、派遣等を含む、及び働く意思のある無職の人、四百十七万人と出ているわけです。  先々週の日曜日だったでしょうか、NHKテレビで「フリーター四百十七万人の衝撃」というテレビがございました、特集番組がございました。私もそれを見ておりました。非常に深刻だと私は思いました。これフリーターというのは、これから減るんでしょうか、増えるんでしょうか。これ人口統計ですから、厚生労働省にお聞きしたいと思うんですが、その前にちょっと数字をもう一回見てください。この中に、八ページを見ていただきたいわけでございます。  八ページは、これは労働力統計、労働力調査でありますが、総務省の調査です。常用雇用が九七年を境にして九八年、九九年ずっと常用雇用労働者が減って、その代わりいわゆる非常勤労働者がどんどん増えている。そして、正規職員と言われているものと非正規職員というのを、その数字は一体どこにどういう形で現れているかというのをちょっと先に数字を見ますと、四ページ、この下の方は五と書いてあるのは四ページですが、見ていただいたら分かるんですが、正規職員は一九九七年には三千八百五十四万人だったものが四百万人減りまして、この五年間で、三千四百五十六万人。それに対して、それ以外のパートタイマーとか派遣労働とか契約社員とかで不安定労働と言われているものが増えてきている。  そこで、お尋ねいたしますが、フリーターというのはこれから増えていくんでしょうか、それとも減っていくんでしょうか。
  169. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) この四百何万人というこの数字の中には失業者も実は入っているわけでございます。我々厚生労働省が言いますところのフリーターというのは二百万人超ぐらいなところでございまして、この四百万人という中には派遣業でございますとか失業者というのも入っているわけでございます。そういう、この見方によっても違うわけでございますが、これから先どうしても我々が減らしていかなければならないのは、まず失業者でございまして、ここをどう減らしていくか。若干最近減ってまいりましたけれども、まだまだでございますから、ここはしかし、景気の動向にもよりますけれども、私はかなり減っていくだろうというふうに思っております。  しかし、その派遣業でありますとか、それからアルバイトの皆さん方というのがどうなっていくかということは予断を許さないというふうに実は思っておりまして、これから注意深くこの点につきましての政策立案をしていかなければいけないというふうに思っております。
  170. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実はこういうものが生まれてくるというのは、中学校卒業する、高校卒業する、大学を卒業する、その時点から実は問題出てくるわけですね。今、高等学校を卒業してどのぐらいの人が仕事にあり付けないんでしょうかね。これ文部大臣、ちょっとお尋ねしましょうか。
  171. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 高卒で卒業して就職も進学もしない、今十三万二千人という統計になって、これは十五年度の学校基本調査においてそういう状況下でございます。ちなみに短大が二万三千、大学が今十二万三千ということで、そういう方々がフリーターになっているという状況にあると思います。
  172. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは私は、一方的に企業経営者が悪いというふうには思わないんです。もちろん、企業経営者の中にはこの際とばかりいわゆる正規社員をリストラして、そしてフリーター、アルバイターやいろんな不安定労働者を雇い入れるということはあると思うんです。そういうことの行き過ぎもあると思うんです。これは注意しなきゃいけないし、低賃金だというふうな問題もあるわけでありますが、問題は、驚いたんですけれども一九九二年、高校を卒業したときの求人数、つまり高等学校に求人が行くのは何人いたのか。九二年には百六十七万人高卒に需要があったわけです、求人があったわけです。これが今、去年、三年度は二十二万人しか来ていないんですよ。つまり、八分の一になっているわけであります。なぜだと思います、文部大臣。  はい、どうぞ、どちらでもよろしいでしょう。
  173. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 高校卒が非常に厳しくなりました。これは主に大きい企業でございますけれども、今まで多く雇用していただいておりましたが、ここが急に少なくなってきている。大きい企業に聞きますと、大きい企業がおっしゃるのは、即戦力で間に合う人が欲しい、だから高校生は遠慮して大学卒なり短大卒なり高専といったところの人が欲しいというのが一つ。それからもう一つは、今まで高校卒で事務に就いておみえになった商業などの出身の皆さん方のところがパートの皆さん方に取り替わっているという、この二つの大きな要因によって高校生の就職というものが少なくなってきているというふうに我々は考えております。
  174. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう一つ、これ重大な問題があるのは、学力の低下というのがありませんか。ゆとり教育ということで、この間ずっと、随分進んできたと思うんです。労働力人口がどんどん少なくなっていく。そうすると、その少なくなった労働力がしっかり頑張ってもらわなきゃいけない。ところが、学力低下がどんどん進んでいると。  実は、高卒として雇わない理由の中に、いわゆる労働力として意欲のない未熟な者が多くて、中小企業はそれを育てる余裕がないというようなことも指摘されているわけですよ。  ですから、私はそこのところは、いわゆる産業構造が変わる、IT化も起きる、そして重化学工業のこれまでブルーカラーの正規社員というものがどんどん空洞化、途上国に移っていく。しかし、それだけにそういう労働力はもしかしたら少なくなっているのかもしれませんが、どうもやはり卒業したときの雇用されるべき高校生の力というものが落ちていくという、きたということが大きな要因に、一つに上げられるんじゃないかと思うんですが、それは文部科学大臣、何かそのことについての責任を持っている、どう考えておられますか。
  175. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) ゆとり教育が学力低下を来したんではないかと、こういう話、私の耳にも入っているわけでございます。  現実に高校生を採用される企業の皆さん方、今こういう時期でありますから、大変いろいろ我々の方も各企業体あるいは経済団体、お願いをいたしておるわけでございます。そうしますと、おっしゃいますのは、学力テストだけではなくて、礼儀作法とかそういうところからまずきちっと教え込まなきゃいけないと、こういう指摘もあるわけでございます。  先般、高等学校の学力テスト、全国的にやった結果を見ておりますと、文部科学省が期待した数字に対して、理科、数学が弱い、しかし国語、英語力は期待した程度、それ以上になっているという数字も出ておりますし、またその下の小中学生の辺りの世界のレベル、これはまだ決して日本が落ちているという状況にないことは、ないんであります。しかし、ただ問題なのは、学ぶ意欲がない、あるいは自分の学習時間を自分で持っていないというような指摘がございます。  ただ、今、最近の子供たち、我々と違ってコンピューターを操るとかそういう時間も持っておりますから、そういう総合的に見ていただく必要もあります。最近は、情報の授業を実習にするとか、そういう新たなものも加わってきておりますから、そういう総合的に見ていただく必要が私はあると思っております。  学校現場に学力低下を来してはならぬ、これはもう私は当然のことだと思いますが、今文部科学省が考えておりますのは、やはり基礎、基本をきちっと教え込む必要がある、このことを、もっと大事だと、こう考えておりまして、ゆとり教育と言われますけれども、その時間を、土曜日を休みにしていったその時間をどういうふうに使うかということ、これはやっぱりもっと基礎、基本に力を入れていくべきだというところで、今すぐ学ばなくていいものは削減をしたという嫌いがございます。  しかし、それがややもするとゆとりが緩みというふうに取られて、もう勉強しなくていいんだというふうに取られては困る。このところは我々もしっかりそういうふうに走っていったことについては反省をしながら、学習指導要領についてもその点はきちっと押さえて、きちっと学ぶことはしっかり学んでもらう、学力低下を来さないようにするということについては十分意を用いて、確かな学力を植え付けていくということにもっと努力をする必要がある、そのように私ども考えておるところであります。
  176. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日は学力低下の問題をこれ以上はやりませんが、是非そこの、労働力の量だけでなくて今度は質が、量が減っていくんですから質を高めないといかぬわけですから、是非、そこの改革を進めなきゃいかぬなと思っているわけですが。  ちょっと、人口と経済成長の関係について、お手元の三ページ、ちょっと資料をごらんになっていただきたい。  一番上に、「経済成長率と人口増加率」というものがございます。これは、一九五五年、高度成長の始まったときから、ずっと横に一〇%の伸び率、これGDPの伸び率です。五%、〇%、五%と書いてあります。  一九七〇年代の前半までは人口の伸び率も一〇%台だった、ごめんなさい、労働力人口です、人口じゃありません。労働力人口の伸び率も一〇%台だった。そうすると、大体この実質GDPの伸び率も一〇%台。そして、この七〇年代半ばから九〇年代のあのバブルの終わった後ぐらいまでは、今度は人口の伸び率も大体五%前後だと。そして、それのGDPの伸び率も大体四%。  さて、この九二年のバブル崩壊以降、人口、労働力人口がずっとこれは見通し得るというのは、多分、一九〇〇、二〇一六年ぐらいまでは見通せるんだろうと思うんですが、ずっと、これ人口ずっと減っていくわけです。そうすると、これ、実質の伸び率は低下してきていますけれども、これ、ますますずっと低下する、ほうっておけば。こういうふうに私どもは見ているわけですけれども、過去、こうトレンドで来たんです。  これが、あの推計で見ると、実は、この伸び率は実質でいけば二%台は維持できますよと、こう言っているんですよ。本当に、これできるんですか、こんな人口、労働力人口の伸び率が低下する中で。どうでしょうか。これはむしろ内閣府の方の担当者から聞いた方がいいかな。
  177. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 言うまでもなく人口の動向と経済成長率、GDPの変化というのは大変こう関係いたします。当たり前の話ですけれども、GDPの伸び率というのは人口の伸び率と一人当たりの稼ぎの伸び率を足し合わせたものになりますから、人口の伸び率が減る、ないしはマイナスになるということはGDP全体がなかなか伸びないという状況につながりかねないわけであります。  我々が見越しておりますのは、人口が急激にこう大きな変化を遂げるという、以前、一〇年、二〇一〇年代でありますけれども、現実問題として、既に生産年齢人口は日本の場合毎年もう三十万人ぐらい減少を始めておりますし、これからまた労働力人口も低下が見込まれる。それに対応するためにも、実は女性や高齢者の社会進出、労働力化を高めていかなければならない。かつ、一人当たりの生産性が高まるような状況を作っていかなければいけない。正にそれが労働市場の構造改革であり、人間力の強化であると、そうした問題意識を我々は持って、その構造改革骨太方針も作っているわけでございます。非常に長期に取ってみますと、五十年とかですね、取りますと、委員指摘のようなことが確かに非常に大きな次元で日本の問題になり得るというふうに私も思います。  しかし、今我々が見通しております二〇一〇年代初頭ぐらいの動向につきましては、内閣府の試算とこれは矛盾するものではないというふうに思っております。
  178. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それじゃ、内閣府はこれ労働力人口の伸びだとか、そして労働力人口の伸びと同時にフリーターの比率は今後はどういうふうになっていくのか、就業率の変化はどうなっていくのかということについて、これはどういう見込みをしているのかだけちょっと、じゃ教えてください。
  179. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。  まず、この試算におきましては、総人口を外生的に与えております。この総人口につきましては、先ほどから出ております厚生労働省の方で推計をしておられます人口の中位推計を前提にいたしまして、その中のどれぐらいの割合が労働力化するかということをこれも外生的に与えまして、その前提の下で全体のモデルの中で試算をしていると、こういうことでございます。全体としては、先ほども大臣からも申し上げましたような労働力化率の若干の向上、あるいは生産性の向上ということを併せて外生的に入れていると、こういうことでございます。
  180. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の、私は見通しがより細かく聞く時間と余裕ありませんけれども、フリーターというのは、先日の日曜日の番組もそうでした。これからはますます増えて、そして今、組織労働、フリーターでない一般労働者といいますか、その労働者の比率が七対三とかなっているけれども、これは二十年、三十年、五十年たつと一対一まで行きますよと、こういうことを、見通しを立てているんです。  その意味で、このフリーターがどんどん増えてくるということは、一体将来どういうことになっていくのかなということを我々は予測して考えなきゃいけないんじゃないかと。そうすると、今フリーターの平均年収というのはどのぐらいだというふうに把握されていますか、厚生労働大臣。されていませんか。じゃ、私の方で言いましょう。大体平均百四十万円だと言われているわけです。年収でですよ。そして、あのときの番組にもございましたね、所得税払っているか、国民年金の保険料払っているか。払っていない。  そして、私は、戦後の日本社会保障制度を、国の社会保障制度の不備を補っていた大きな二つの要因、家族とそれから企業という二つの要因で社会保障がある程度補足されていたと思うんですが、この人たちは将来家族を持って子供を産んで、そしてバラ色の夢を描けるんだろうかね。よく竹中大臣おっしゃるんです、努力すれば報われる。そうですよ、努力して報われればいいんですよ。  どうもこの若い方々の意識、最近意識調査が行われました。世論調査がございまして、内閣府の世界青年意識調査です。これはごらんになった方おられると思いますが、朝日新聞にもこれ載りましたけれども日本の社会に不満だと、何が一番問題だということで就職難の悩みと書いています。どういうふうに、この世界のアンケートは、日本、韓国、アメリカ、スウェーデン、ドイツ、五か国ですが、社会の満足度で、日本は不満、やや不満の合計が五九・四%。十年前は幾らだったか。何と世界で最も満足度が高くて、一二%台だった。これも前回は四〇・三、そして今回は五九・四というふうに急激に上がっている。何が一番問題なのかというと、やっぱり失業だという。だから、ドイツも同じように、失業で悩んでいるから同じように出てきているわけだ、統計が。  ということは、若い方々は、この間のフリーターもそうでありましたけれども、ある意味では、いわゆる自分たちが二、三年アルバイトでもしながら次何しようと考えていた人たちも、これが職歴に換算されないためにどんどんどんどんこのフリーターが高年化していっているわけですよ。先ほど失業者対策を重視すると。これもそうです。しかし、この四百十七万人に及んでいる中に失業者もいるけれども、それ以外の方々、これから増え続けるであろうこういう人たちに対して抜本的にメスを入れないと、家族は崩壊して、ますます少子高齢化になって、年金を、今さっき何とおっしゃいました、合計特殊出生率一・三二が一・三九になる。とんでもないという話になりますよ。  そうすると、財務大臣、税金も所得税も払ってもらえないかもしれない、地方税も払ってもらえないかもしれない。国の根幹がぐらぐらぐらぐらっと、こう実はこれ大きく揺らいできているのが今の日本の社会じゃないかというふうに思えるんですが、総理大臣、これどういうふうにお考えでしょうか。
  181. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 社会が大きく変化している一つの側面を今とらえられてお話ししているんだと思います。確かにフリーターの問題、これは本当に正規の就職口を見付けながらなかなか自分に合った職が見付けられないということで、心ならずもフリーターになっている方にとっては深刻な問題だと思います。また、これ将来の動向でありますが、現在、これは極めて少数だと思いますが、むしろ会社に行かないで自宅でいろんな会社の仕事をしているというのも出てきている。むしろそれが自分に合っているんだというフリーターという方もいるわけですね。  我々の時代、我々の若い時代は一定の会社に勤めたら定年までいるというのがごく普通の考え方でしたけれども、今やもう会社に入っても、いい会社に入ってもすぐ辞める方が多い。また別の会社を見付けていく。あるいは、専業主婦の方がかつては一番多かったのが、最近は共働きの世帯の方が多くなっている。これは時代が大きく変化していきます。  今後、今我々が考えているのは、子供のころから、やはり仕事というのは大事ですよということから、小学校、中学校から職業体験、仕事と、大人の仕事はどういうものかというものを学業、授業の一つに加えていこうということも今進めております。  現在のフリーターの方に対する対応と、そして子供のときからやっぱり仕事というのは大事なんですよと。勤労の喜び、勤労の大切さをよく理解してもらうためにも小学校、中学校、高校だけじゃない小学校、中学校の時代から仕事体験授業なり仕事の大切さをよく分かってもらうような教育も必要じゃないかと。これは当面の問題と将来の問題、両方よく考えていく必要があると思っております。
  182. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは相当本腰というか、ある意味では総合的に対策を打たないと、その将来のある意味では我々の国を支えてくれる人材がこういう形でなっているわけですよ。ですから、教育の問題も、実はゆとり教育の問題のマイナス面を早く克服しないと大変だなというふうに思えてならないわけであります。  さて、もう時間が余り多くありませんので、たくさんお聞きしたいわけでありますが、一つだけどうしてもお聞きしたいことがあるわけです。それは、厚労大臣に、この一三・八五から一八・三〇。八と三と五がよく出てきてですね、北海道ではよくうそのゴサンパチと言うんです。うそのゴサンパチ。五と三と八が出るとどうもうそくさいと言うんですよ。まあ〇・三五四%も三五八でなくてよかったなと思ってはいるんですが。まあそのことは別にいたしまして、そのいわゆるこれが一八・三〇になったときは、これ平成二十二年、二〇二二年ですか、国民負担率どのぐらいになるんですか。
  183. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 国民負担率の問題は、これは年金、医療、介護等、少なくともこの三つがあるわけでありまして、ほかにも労働の方もございますけれども、これらのことを含めて、大体どれだけで抑えられるかということでございます。  今まで大体、年金、医療、介護、それに雇用保険も含めまして、初めは三五、六になるんではないかというふうに言っておりましたけれども、今度一八まで、年金を一八まで抑えまして、これで三二ぐらいまでは抑えられると。あと、年金と介護の間の整理、あるいは年金と介護の間の整理、若干制度間の整理をしなきゃならないというふうに思っておりますが、なかなか、しかし三〇に抑えるというのはなかなか苦しい。やはり三〇はどうしても少し出るんではないかというのが私の今の実感でございます。
  184. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 税金が抜けているんですよね。両方入れてもらわないと、それは社会保障負担率ですわ。社会保障の公的負担率だと私は思います。  そこで、これ、十一月二十八日、去年の経済財政諮問会議の議事録の中で、坂口大臣は、この年金保険料二〇%の場合の潜在的国民負担率は六三%と民間議員に試算していただいたと。一六%になるとこれが六〇%を超える。つまり、保険料率が二%減ると国民負担率は一%減ることになるんですねと、こうおっしゃっている。ということは、今度一八%ですか、一八・三。そうしたら、これ六〇%超すんじゃないですか。そういうことをお認めになるんですか。
  185. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私、そのときに言ったのを正確に覚えておりませんけれども、私は全体としてのパーセントを申し上げたわけで、六〇というのは、それは何の数字……
  186. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 国民負担率。
  187. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 国民負担率六〇%、ちょっと済みません、ちょっと今記憶に。
  188. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 じゃ、今、後で調べてください。  内閣府は、これ、目標は五〇%なんでしょう、潜在的国民負担率は。私はそれは、必ずしもそれはいいと思わないけれども。そうすると、この五〇%以内ということの試算はできているんですか。
  189. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 二千……
  190. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いいですよ、いいですよ。
  191. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、どうぞ。
  192. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 二〇二〇年度におきます先ほどの御質問は、潜在的国民負担率が何%になるかと、こういう御質問であったかと思いますけれども、これはかなり多くの前提を置かないと試算ができませんので、現時点では何%になるかということは内閣府のものとしては試算をいたしておりません。
  193. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、厚生労働大臣、ちょっと時間ないんで。おっしゃったこと分かっていますから。  それは竹中大臣、これ怠慢じゃないんですか。五〇%までに潜在的な負担率をとどめますよということで今、年金のいわゆる負担水準の問題が出てきたわけですよ。そのときに、この経済財政諮問会議では六〇%だ、六二、三%だとなっているわけですよ。ところが、それに対して、今何にも試算していませんと言っているんですよ。おかしいじゃないですか、これ、骨太方針の中に五〇%未満と書いて。  総理大臣、これだけ大事なその方針を何にも試算していないということ自身がこれは無責任だと思いますね。そう思いませんか、総理
  194. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、経済財政を整合的に運営するために、予見できるぎりぎりの十年程度というので「改革と展望」を出しております。それより先の話については、これは我々のキャパシティーといいますか能力を超えるところがありますので、数字を出すことはかえって混乱を招くという意味でそういうものは作っておりません。  そこに今御引用いただいた骨太方針は、これから正に医療の問題、介護の問題、社会保障全体の問題をこの数年の間に集中的に議論しなければいけない、そのときの我々の目指すべき一つのめどといいますか心掛け、そういうものとしてそこへ我々の一種の決意を書かせていただいているわけで、そういう数字になるような形で是非制度設計をしたいという趣旨でございます。したがって、数字がないから無責任だということではこれはないのじゃないかというふうに思っております。
  195. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 あなたね、民間の方はもうこうやって出してきておられるわけですよ。そして、ああ、それですかと、それ、議論の台座になっているわけですよ。坂口大臣もそう答えているわけですよ。それが、いわゆる先の予見はいろいろ難しいからと。難しいけれども、いろんな予見を入れることによって将来の展望を出すというのが一つの役割じゃないんですか、これ。それは無責任ですよ。  さて、もう時間もありませんので、坂口大臣、今度は、国民年金というのはなぜ、なぜその定額で取るようになったんですか、一万三千三百円。
  196. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 国民年金と一般の厚生年金と歴史的にも違いますが、国民年金の場合には、いわゆる自営業の皆さん方を中心に、あるいはまた第一次産業の皆さん方を中心にして発展してきたということもございまして、なかなか、所得の把握というものがなかなかうまくいかないといったこともあるというふうに思います。そうしたことを中心にしまして、一定の率で皆さん方からちょうだいをするということにしてきたと。若干、しかしそこには……
  197. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一定額。
  198. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 一定額、一定の額でいただくということにしてきた。  ただし、そこに少し無理があるものですから、今回四段階にしようといったようなことも我々も考えているということでございます。
  199. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、定額制にするというのは、いわゆる自営業者だと所得がなかなか正確に捕捉できない、そうなんでしょう。間違いないですね。今、うんとおっしゃっている。  そうしたら、今度、四分の一だ、半分だ、四分の三だといって免除制度入れていますけれども、そのときの基準は全部これ所得ですね。この所得は正確なんですか、じゃ。一九六一年に国民年金が入って、このいわゆる、今回、そのいわゆる様々な条件を付けてその減額をしていますね。その減額するときの条件は全部所得でしょう。この所得は正確なんですか。あの時点と、六一年に入ったときと今とでは格段に所得捕捉率が良くなりました、こう言えるんですか。
  200. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 今先生お話ございましたその免除制度でございますが、これは基本は申請による免除でございます。それで、法定による免除は、例えば生活保護を受けているような方は、これ、その事由で免除いたしますので、申請による免除を御自分で選択ができるという仕組みでございます。  その際の免除の基準でございますけれども、全額免除の場合には住民税の均等割が非課税という基準で行っております。それは市町村民税の課税上の所得でチェックをしておるということでございます。
  201. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、四分の一とか半分とか四分の三が入ってくるということは、要するに、定額でなくて結構だということを実はようやく認め始めたわけですよ。そうすれば、最初からこの所得比例年金を組み立てていってもこれは別に問題なかったわけじゃないですか。そういう意味で、取りやすいように取りやすいようにとか、納入しやすいように努力をしているように見えていて、実は、最初の一万三千三百円で給付が六万六千円というこの額は、実はある意味では、先ほどいろいろ変えたらどうだと言っているけれども、高額の所得の方々にとってみると、六万六千円もらう程度で毎月一万三千三百円払うのはうっとうしい、それならもう自分は払わないと。そういうインセンティブがないんじゃないんですか、掛けていく。つまり、そこが比例していないんですよ、やっぱり。そこが、やはり高額所得者の問題があるし、低額所得者は余りにも多過ぎるということがあるわけですよ。  その意味で、私は、この所得の捕捉問題というのは、これだけじゃありませんよ、介護保険だけじゃ、にもつながってくる、あるいは文部省でいえば奨学金をもらえるときの基準だとか、様々なところへ全部これ、所得の捕捉が正確であるということが掛かってくるわけですよ。  だから、納税者番号制度を含めた、そういう公平な所得捕捉をしていくための様々な努力をしていく必要があるんじゃないかと思うんですが、そういう努力は余りお金を掛けないでもできるんじゃないんですか。どうですか、財務大臣。早くやってください。
  202. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、所得捕捉は、就労形態とか、いろいろな仕事の在り方が随分変わってまいりまして、それはそれで我々も所得捕捉率を高めるように努力しなきゃならないと思っております。その関係で納税者番号制を取り入れろと、こういう御議論がございましたけれども、今これはいろんなまだ論点が残されておりまして、これは私どもとしても詰めていかなきゃいけないと思っております。  それで、今政府税調でやっておりますのは、金融資産性所得を一体的に課税する新たな金融・証券税制を作るために納税者番号というものをどういうふうに考うべきかと、今その点を議論しております。
  203. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今議論している、今議論している、本当にこれもう長い間議論しているんですよ。そんなにもう私は時間は待っておれないと思うんですね、この種のものは。我が党の場合は、特にスウェーデン型の、所得捕捉を正確にとらえなきゃいかぬということがありますので、是非そのインフラは早く整備してもらいたいなというふうに思います。  さて、余り、もう時間がなくなりましたので、何だかあっち行ったりこっち行ったりして余り今日は一貫性がないで申し訳ないんですが、私は、やはりこの冒頭のプライマリーバランスの黒字化の問題というのは、財政、つまり早く財政を健全化させていく第一歩にしていかないと、これはもう大変なことになりますよというふうに思っているわけです。それはもう共通認識できると思うんです。  そこで、例の実は名目成長率と長期金利の関係なんです。  竹中大臣、実は昨日も、おとといですか、いや、名目成長率は、日本の場合、三十年前を取ったら、実は名目成長率の方が長期金利よりも高いんだと、こういうお話になったわけです。  調べてみました。お手元の一ページ目にあるやつです。そうすると、なるほど日本は、三十年取ると、一・二%だけ名目成長率の方が高い。それと同じようなのはイギリスだけだと。あと、世界の国々は、三十年取っても、アメリカ、ドイツ、イタリア、カナダといった先進国はみんなやはり、これは三十年取っても実は逆なんですね、おっしゃっていることと。そして、二十年、十年というところを取ると、全部そうなんですよ。つまり、経済成長率よりも、ごめんなさい、名目成長率よりも長期金利の方が跳ね上がるんですよ。  ということは、やがてデフレがもう終わろう、終わるかもしれないというような淡い期待を持っている、いつになるか分かりませんけれども。そうすると、こういうふうにして上がってきたときに、デフレから脱却したときに経済成長が起きたら、それ以上にいわゆる長期金利が跳ね上がっていく。このことは私は非常に危険性が非常に大きいんじゃないかと思うんです。  竹中大臣、これ是非、この数字を見て、昨日の答弁あるいは衆議院における答弁、やっぱり間違えていたというふうに思われませんか。
  204. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 思いません。これは、私は、長期金利と名目成長率関係は、そこの表に見てとおり、高い場合もあれば低い場合もあるわけですけれども、長期的には、いわゆるノーマルな状況では、名目成長率と名目金利がほぼ同じか、ないしは名目成長率がまあ少しは高いというのがやはり長期的には私は申し上げられるのではないかというふうに思っております。  逆に、これ、まあ民主党もいろんな財政等……
  205. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 簡潔に。
  206. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) マクロの、はい、その見通しをお作りになるそうでありますけれども、そのときは名目金利の方が高いという想定をされるんでしょうか。私はそうは思っておりません。事実に基づいて判断していきたいと思います。
  207. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) いいですか。
  208. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後になりますが……
  209. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 一言、一言だけね。
  210. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ええ、もう簡潔に言います。  いろいろ今日は、いわゆる人口の伸びだとか、あるいはいわゆるフリーターの増加だとか、このプライマリーバランスの黒字が二〇一三年というのはどう見ても達成できるとは思えない。そのことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  211. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で内藤正光君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  212. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、渡辺孝男君の質疑を行います。渡辺孝男君。
  213. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  私ども公明党は、国民の不安を解消し、活力みなぎる「安心・はつらつ社会」の構築を目指し、多くの国民の皆さんの声を聞き、そして生活者の立場に立って様々な政策を立案し、その実現を目指しております。日本を活力みなぎる「安心・はつらつ社会」とするためには、日本の社会に大きな影響を及ぼしている日本の人口動態をしっかり見据えて政策を立案し、実行しなければならないと、そのように思っております。  総務省は三月十二日に、平成十五年十月一日現在の日本の推計人口を発表しました。総人口は約一億二千七百六十二万人、人口増は前年同月比で十八万四千人、率として〇・一四%の微増で、戦後最低であった前年に続く戦後二番目の低さでありました。  六十五歳の老年人口は六十五万人増加して二千四百三十一万人となり、年齢構成では過去最高の一九%になりました。反対に、十四歳以下の年少人口は二十万人減少し、千七百九十万人となり、構成比では一四%に下がりました。少子高齢化が一段と進み、人口減少社会の到来が間近となってまいりました。  そこで、森厚生労働大臣にお伺いをいたします。この人口動態を踏まえますと、日本が人口減少社会となるのはいつごろからと推測されますか。
  214. 森英介

    ○副大臣(森英介君) お答え申し上げます。  平成十四年一月に国立社会保障・人口問題研究所が行った日本の将来推計人口によりますと、我が国の総人口は平成十八年に、すなわち二〇〇六年に一億二千七百七十四万人で最大となりまして、それ以降は人口が減少する予測となっております。  前回の平成九年一月の推計によりますと、総人口が最大となるのは平成十九年と予測しておりましたので、今回の推計は前回と比べてそれが一年早まったという結果でございます。
  215. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 人口減少社会の到来が一年前の推測よりは一年早くなったということでございます。  少子高齢化の進展と人口減少社会の到来を本当に間近に控えまして、厚生労働省としまして社会の活力を維持増進するためにどのような方針でどのような政策を行っているのか、坂口厚生労働大臣にお伺いをいたします。
  216. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは全体の政策にもかかわってまいりますが、先ほど峰崎議員の御質問にもありましたとおり、今から約十年、二〇一五年ぐらいになりますと労働力人口、約三百九十万、四百万人ぐらい減ってくるわけでございます。そうした中で、これからどういう社会を作っていくかということでございますが、この労働力人口が三百九十万なり四百万なり減ってくるということになりますと、それを、それに対する対応、これから労働力人口が要らないようなことでは困るわけでありまして、多くの人がより働く時代にしなければいけない。  そうしますと、その減り方をどう抑制していくか、どうそこを賄っていくかということになりますと、中高年、とりわけ六十歳代の皆さん方の働く場所をどうするかということ、そしてまた、一方におきましては、女性が子育てと仕事が両立できる社会をどう構築をしていくかといったようなことにしなければいけないというふうに思っております。もちろん、若年者の働く場所につきましても、これ確保していかなければなりません。ここは、いわゆる有効求人倍率でいいますと、二十四歳までのところは一・四五というふうに非常に、一を超えておりまして求人の方は非常に高いんですけれども、なかなかミスマッチがあって就職をしていただけないというような状況があると、こういったそれぞれ違う問題を抱えておりますけれども、とにかく多くの皆さん方がその労働力人口の減少を補うようにするために働いていただける場をどう確保していくかということがより大事になってくるというふうに思っている次第でございます。
  217. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、竹中経済財政担当大臣にお伺いをいたします。  このような人口動態の予測を踏まえまして、日本経済の活力を維持増進していくためにどのようなシナリオで中長期的に経済財政を運営していく方針なのか、お答えいただきたいと思います。
  218. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 人口の要因というのは、先ほども申し上げましたように、経済成長、経済活力に大変大きな要因を与えると思います。  とりわけ、労働に関しては二つのことをやらなければいけないと思います。一つは、人口が減っても、その中で労働力に参加する比率、労働力率が高まるようにしなければいけない。分かりやすく言うと、やはり女性と高齢者が働きやすいような仕組みを作っていくということ、これが大変重要だと思います。もう一つは、人材一人一人の価値をしっかりと高めていって、生産性が高まる、高い付加価値が生み出せるような、そういった意味での人間力の強化というのが大変重要になります。  それに加えて、マクロ経済的な観点からは、今は日本は貯蓄がたくさんありまして資本を輸出しておりますが、高齢化とともに資本の輸出が減る、場合によっては資本も受け入れなければいけないということもあり得ますから、そういった意味での外国からの投資をしやすくするような環境も作る、そういうことが大変重要な要件になってこようかと思っております。
  219. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 では次に、谷垣財務大臣にお伺いをいたします。  平成十六年度の予算案にも、近い将来の少子高齢化の更なる進展、あるいは先ほどから話題にしております人口減少社会の到来を見据えた配慮というものがなされていると、そのように思いますけれども、その重立ったものを国民の皆さんに御紹介いただければ幸いです。
  220. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどからの御議論のように、少子高齢化が急速に進んでおりますので、経済の伸びを超えて社会保障の負担と給付が増大していくということがこれはもう見込まれる。どうやってそれは持続可能なものにしていくのかというのがまず一番基礎的な予算を作る場合の視点だろうと考えております。  それで、構造改革はこの目的で行うものでありますが、現実に予算を組むとなりますと、限られた財政資源の中で国民の、経済社会の変動に伴う国民の不安を解消しなけりゃなりませんので、めり張りを利かすということが大事なことなんじゃないかと、こんなふうに考えておりまして、平成十六年では、こういった視点から、年金制度改革であるとか、それから診療報酬、薬価等の改定の医療制度改革、それから生活保護制度の見直しといった構造改革の面にも相当取り組んだつもりでございます。  それから、先ほどのめり張りという面では、歳出全体の効率化を図りながら、少子化対策あるいは若年者雇用対策、それから質の高い効率的な医療の提供、それから健康作り、障害者施策と、こういったものを重点化したつもりでございます。  一般歳出を相当厳しく抑制いたしましたけれども社会保障関係費は約一九・八兆ということで、伸び率はプラス四・二%と大きなものになっていると、これがまあ大体大まかに申し上げた十六年度予算ではないかと思っております。
  221. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 社会保障予算も四・二%増えているということでありますけれども。  次に、小泉総理にお伺いをしたいと思います。  我が国は、少子高齢化並びに来るべき人口減少社会の中で、国民生活の向上と、そしてまた社会の活力を維持増進していくためには、やはり国民一人一人の様々な能力の開発と、そしてまた、先ほども話がありましたけれども、生きる力の育成というか、そういうものが大変重要であると、そのように考えるわけです。  さらに、自助努力ばかりではなくて、互いにやはり助け合って生きていく共助の精神を持つ人間性豊かな、そういう人をつくっていくことが重要であると、そのように考えるわけであります。政府としても、それらを側面から支える環境作りが大切であると、そのように思います。  話は少し変わるんですけれども、そういう意味で、文化芸術は、そういう自助あるいは共助の人間力という、そういう話がありましたけれども、人間力あるいは人間として保つべき重要な能力を、自分の、まあ皆さんそれぞれ内なる生命にあるわけですから、そういう能力を内なる自身の生命から呼び起こすための大きな力になるのではないかと、この文化芸術がですね、力になるのではないか、そのように考えるわけでありますけれども、そういう意味で、これからの日本にとって文化芸術の振興は大変重要であると考えますけれども小泉総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  222. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 人はパンのみにて生くるにあらず、言うとも言われております。生活、仕事に一生懸命明け暮れて、文化芸術など余裕はないよという方々も多いと思いますが、たまにはいい映画を見たり、あるいは音楽を聴いたり、物語を読んだりしながら人間というのは希望を持ったり、あるいは勇気が出たりするもんじゃないでしょうか。  文化芸術の振興基本法というものを先年策定いたしましたけれども、そういうことから日本としても芸術振興、文化振興、いろんな施策に力を入れてきたと思いますが、これからも、多くの人間が持てる才能を発揮するというのは、単に今考えられている普通の仕事だけじゃありません。普通の仕事以外に特別の能力を持った方もおられるわけであります。また、そういう自分にはない能力を持ったすばらしい技術や文化に触れて人間というのは何かしら啓示を受ける面が多いもんですから、そういう文化芸術に対して多くの人が触れることができる環境を作る、またそのような仕事をしている人たち生活しているような施策を講ずるというのは、これからも大変重要なことだと私は思っております。
  223. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 坂口厚生労働大臣と前の経企庁長官である堺屋太一氏が対談をしておりまして、そのときに、人口減少社会でも経済が発展する、文化が発展するということがあったと、それはイタリアの例であると、ちょうどルネサンスのときにそういう状況であったということで大変示唆に富むお話がありまして、私もしっかり勉強しなければいけないなと、そのように思った次第です。  今回の年金改正に関して、公明党は、今後の少子社会、少子高齢化社会、そしてまた人口減少社会の動向を見据えて、百年安心できる年金改正を目指すべきだと、そのように主張をさせていただいたわけでありますけれども、今回の年金改正ではそのような少子高齢化の更なる進展、あるいは人口減少社会の到来ということを見据えてどのような改革が行われているのか、どのような観点、先ほど申し上げたそういう観点で、どのような改革が行われたのか、坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  224. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 年金制度の中身につきましては今更申し上げるまでもないわけでございますが、先ほどから議論をいたしておりますように、そうした制度を堅持をしていきますためにはやはり支え手が十分にあるということが大事でございまして、現在、なぜ年金制度が大きな課題になっているか、問題になっているかといえば、やはり少子高齢社会が到来するからでございまして、現在、高齢社会のいろいろの弊害と申しますか、この高齢化社会の与えるいろいろの問題点というのはクローズアップされてきておりますが、まだ少子化によるところの影響というのは十分に私は出てきていないと、これからだというふうに思っている次第でございます。  そうした中で、新しい年金制度を構築をしていくといいますときに、やはりそれを取り巻きます、その年金制度を取り巻いていきます環境を整えていかなければならない、それはやはり働き手をどう増やしていくかということに尽きるわけでありまして、先ほどから議論がありますように、その働き方の中身も含めてでございますけれども、ここがどう確立されるかということによってこの制度が生きるも死ぬも決定されると言っても過言ではないというふうに思います。  そうした意味で、先ほども少し触れましたとおり、中高年、とりわけ六十歳代から七十歳前半の皆さん方の働く意欲のある方に対する働く場所をどう提供をするかということと、女性の子育てと年金といったようなところをやはり明確にしていかないといけないというふうに思っております。  とりわけ女性の問題につきましては、よく言われますように、女性は最初雇用に就きまして、そしてやはり結婚し、子育てのときには一度お勤めを辞めて、そしてまた子供が大きくなりますとまた勤めに入ってといったようなことがあって、ちょうどM字型になるということがよく言われます。その真ん中のところがどうしても落ち込んでいくということでございまして、この真ん中のところの落ち込みをなくするというだけでも、いわゆる年金の負担率一八・三〇が上限というふうに言っておりますけれども、二、三%、少なくとも二%ぐらいはこの谷間をなくすることによってカバーできるという程度、ほどのことでございまして、そうした意味で、やはり働き方、働く人数もさることながら、その内容というものをどう改革をしていくか。男女の賃金格差も含めてでございますけれども、その辺のところが非常に今後大きな課題になってくるというふうに思っている次第でございます。
  225. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、大臣、坂口大臣の方から、そういう働く女性に対する配慮というものも行っていかなければいけないということでありますが、今回の年金改正の中には、そういう子育て支援という観点で改正が行われている面もございますので、その点を国民の皆さんに御紹介をいただければと思います。
  226. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今回の予算の中には、次世代育成支援の充実ということが一つの柱になっておりまして、その中には、通常、賃金が支払われないことから育児休業中はこの保険料の免除措置を取っております。この保険料の免除措置を取っております期間が、現在子供が一歳に達するまでというふうになっておりますが、子供が三歳になるまでここは拡大をいたしております。  それから、子が三歳に達するまでの間、勤務時間の短縮等の措置を受けながら就業を継続をして、その間、従前よりも賃金が低下するという場合がございますが、低下した場合に、その保険料は低下した賃金を基準に課する、課することになりますが、給付の方は、給付の方の算定上は低下する前の賃金で保険料納付が行われるようにするといったようなこともその中に含めているところでございます。  児童手当、小学校三年生までするというような他の政策もあることは御承知のとおりでございます。
  227. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最初に申し上げましたけれども、活力みなぎる「安心・はつらつ社会」を築くためには、やはりもう一つの大事なことは、やはり大切な命を守ると、そういう政策を推進するということが大切であると思います。  平成十六年度の予算の中にも医療関係予算が盛り込まれているわけでありますが、その中で新しく小児救急電話相談事業というものがのせられているわけでありますけれども、やはり子育てをしている家庭にとりましては、子供さんが急病になりますと、相談する人が周りにいない、あるいは小児科医あるいは救急病院が近くにないということで大変な不安がありますけれども、それを解決する一つの大きな手段になるのではないかと、そのように思います。  坂口厚生労働大臣から、小児救急電話相談事業、それから、そのほかの小児救急医療支援のための予算等がありましたらば、その点について御説明をいただきたいと思います。
  228. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 前回にもあるいは申し上げたかもしれませんけれども、この小児救急医療体制、全国的に広げていかなければなりませんし、充実をしていかなければなりません。  それで、そのときに、全国一律の電話番号でそして呼出しをしていただくということにしたいというので、シャープ八〇〇〇番でございますか、というのを早急に作りたいというふうに思っております。その番号を回していただければどこからでもこの小児救急医療に対する相談ができるということにしたいというふうに思っております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  それから、地域によりまして非常に小児科の先生が少ない。そこをどうするかという問題があるわけでございますので、その地域によりまして小児科の先生の少ないとき、当面、急に小児科の先生を増やすというわけにもいかないものでございますから、内科の先生にもう一度小児科のところをしっかりと検討していただくといいますか、勉強していただくといいますか、思い出していただくといいますか、それによって一時的ではございますけれども、そこで小児科医も務めていただけるような体制にしたいというふうに思っております。  一方でそういうふうにお願いをしながら、今度は大学におきまして小児科の医師が減らないようにどうしていくか、増やして、増えるようにどうしていくかということも考えていただかなければならないわけでございまして、そうしたことに対しましては、診療報酬改定に当たりまして小児科の方に対する強化といったようなことも今回行ったところでございます。
  229. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 午前中の議論の中でもあったんですが、もう一つ救急医療について質問させていただきたいと思います。  離島とかあるいは山間地等に住んでおられる方、あるいは豪雪地帯に住んでおられる方の場合に、大きな事故や重い救急疾患が発生した場合には専門の病院まで搬送するのに大変時間が掛かって間に合わないというような不安もあるわけです。そのような不安を解消するためには、通常の救急体制で間に合わない場合にヘリコプターで現場に急行し、そして同乗している医師がその場であるいは搬送中にも救急医療を施せる、そして最短時間で専門病院に患者を送るドクターヘリというそういうシステムがあるわけであります。我が国では平成十三年度からこのドクターヘリが導入されておりますけれども、その実績につきまして、岩尾医政局長にお伺いをいたします。
  230. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 御指摘のドクターヘリの国庫補助事業でございますが、平成十三年度に千葉県、静岡県、愛知県、岡山県、福岡県の五県、平成十四年度からは神奈川県、和歌山県が加わり、現在七つの県で活用されております。  導入県におきます平均出動件数でございますが、平成十三年度においては百件強であったものが平成十四年度では三百件を超えるなど、順調に増加しているところでございます。
  231. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 平成十六年度の予算案の中でも、このドクターヘリの整備について強化するという予算があるわけでありますけれども、この点について岩尾医政局長にお伺いをいたします。
  232. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 平成十六年度の予算案では九機分の所要額を計上しております。既に導入している七県に加え、新たに二機分を確保したところでございますので、今後とも各都道府県の導入意向を伺いつつ、活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
  233. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私どもは、公明党としましては、やはりこのドクターヘリ、大事な役割を果たすものと考えておりまして、全国配備をするべきだと、そのように考えておるわけでありますけれども、この点に関しまして今後の展望、取組について坂口厚生労働大臣にお伺いをいたします。
  234. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ドクターヘリ、もう少し本当は増えればいいわけですが、かなり金額的にも高いものでございますし、また維持費もかなり掛かることも事実でございます。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  一県に一つずつというふうになっていくのも大事でございますが、小さい県同士でございますと、隣同士の県で共有して使用していただくというようなことも必要ではないかというふうに思っております。  最近の例としましては、和歌山が中心になりまして、奈良、三重と三県で共有して使っていただいておりまして、特にその三県の山間へき地等のところでいろいろ急病人が出たときに対応するというようなことが行われたりしているわけでございます。  したがいまして、これからそうしたことも含めて、全国レベルでこれが拡大をしていきますように、私たちも努力をしたいというふうに思っている次第でございます。
  235. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 救急体制の整備についてこれまで質問をさせていただきましたが、一つ総理の方にお願いがあるわけであります。  交通事故や虚血性心疾患あるいはこの間も議論しました脳卒中なんかもやはり救急治療というものが大変肝心でありまして、救命率や社会復帰率の向上のためにはやはり迅速な応急処置というのが大切であり、また専門機関への早期搬入というのが非常に大事になるわけです。  そこで、中学生以上の方々への救急蘇生法の普及、そしてまた救急救命士の業務の高度化、そしてドクターヘリやあるいはドクターカーというものもありますので、これらの整備の促進というのが大事であると。助かるべき人をきちんと助けられるように、そういう、命のリレーと言われておりますけれども、それを確保していくように整備を促進すべきだと、そのように考えておるわけです。  総理の御決意をお聞きしたいと思います、整備について。
  236. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ドクターヘリにかかわらず、全体としての救急体制が全国的にこれは広がっていかなければならないわけでありまして、地域によって、同じ病気になりましても救急病院に到達できるまでの時間格差というのは非常に大きいわけでございます。早く施設の、設備の伴ったところに運搬できるかどうか、運搬と言うとしかられますね、運ぶことができるかどうかというようなことが非常に大事でございます。  各地域におきまして短時間で中心的な役割を果たします救急病院に到着できる時間設定というものをそれぞれの地域で作っていただいて、そして早くそこに到達できるために何が必要なのか、ヘリコプターが必要なところもございましょうし、救急車で済むところもございましょうし、いろいろのやり方があるというふうに思っておりますので、そうした総合的な対策をそれぞれの都道府県あるいは地域で取り組んでいただくようにお願いをしていきたいと思っております。
  237. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 交通事故が、かつての一万六千人年間事故死者数から八千人になったという、半減したということも、最近の私は救急救命医療の効果も若干あったのではないかと思っております。  この救急救命医療の充実策については今後も必要だと思っておりますので、各国の事例、また現在のいろいろな点を参考にしながら進めていきたいと思っております。
  238. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 残りの時間、医療保険制度の改革、そしてまた介護保険制度の見直しについて質問をさせていただきたいと思います。  医療保険制度の改革、今進められているわけでありますけれども、昨年の基本方針の閣議決定から一年になるわけでありますが、市町村国保、政管健保、健保組合の保険者の再編統合に関しまして検討がどこまで進んでおるのか、坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  239. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 昨年の三月にいわゆる医療保険制度の改革案を出させていただきまして、それから鋭意その検討を続けているところでございます。  一つは、いわゆる高齢者のための保険制度でございまして、ここにつきましてはこれは進めていくということで、これはもう一致をして進めているところでございますが、問題は、その国民健康保険とのかかわりのところでございますし、国民健康保険をどのように統合化していくかといったことが一番課題といたしましては大きな問題だというふうに思っております。  都道府県単位で統合化をしていくということは大体一致をいたしておりますし、一度に都道府県でできないような大きい県におきましては、二次医療圏といったようなことも中間的にはあり得るというふうには思っておりますが、できる限り都道府県単位ということでお願いをしたいというふうに思っております。  そこで、少し難航いたしておりますのは、都道府県におきましても、その新しくできます法人と申しますか、統合いたしました保険者の一翼を担っていただけるかどうかということでございまして、知事さん方とよく御相談をさせていただいているところでございますが、その件につきましてはまだ意見の一致を見るところまで至っておりません。しかし、市町村の代表の皆さん方だけでこれをやっていただくというのはいかがなものかというふうに思っておりまして、是非とも都道府県にも御参加をいただくように呼び掛けをいたしているところでございます。  また、一方の政管健保につきましては、これは都道府県単位に分割をいたしまして、そしてそこで行うということに大体意見の一致を見まして、進行いたしております。  組合健保につきましては、小さなものにつきましては一体化をして一つの法人を作っていくということも可能にしたいというふうに考えておりますが、ここは大きい健保組合もございますので、これは一律にはなかなかいかないというふうに今思っているところでございます。  そのほか、いわゆる診療報酬体系の見直しも並行いたしまして、その基本のところを整理をしてそして進めるということで今やっていただいているところでございまして、特にこのコストというようなものを重視をする、あるいは時間というものを重視をする、あるいは非常に疾病で重い軽いといったようなことに対しましても配慮をするといったようなことを中心にしながら、もう一度診療報酬体系というものを基本的に組み直していただくといったことを今進めていただいているところでございまして、遅くとも十八年には国会に提出ができるようにしたい、早ければ十七年にもしたいといったようなことで今進めているところでございます。
  240. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 介護保険制度についても、法施行後五年目を目途としてその全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直しを行うということで、見直しに向けて検討が進められていると思うんですが、今の現状とそしてまた今後の見直しに向けての方針について、坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  241. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 介護保険につきましては、現在検討を進めているところでございまして、六月と言っておりますけれども、六月にできるかどうか、私、少し遅れるかもしれないという気もしているわけでございますが、検討項目といたしましては、被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲、これをどうするか、それから保険給付の内容と水準、それから保険料及び納付金の負担の在り方、こうした点を中心にしながら今やっているわけでございまして、この三年間の実情等も踏まえながらいろいろと検討をさせていただいているところでございます。  一番最近指摘をされておりますのは、非常に、要支援でありますとか要介護一でありますとか、非常に軽いところに利用していただく方が非常に増えてきているということがございますので、これらの点につきまして今後十分に検討していきたいと思っております。
  242. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 以上で終わります。
  243. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で渡辺孝男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  244. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  245. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  今日は、景気と雇用問題について質問をさせていただきます。  まず最初に、政府景気が回復しているというふうにおっしゃっておりますが、午前中も自民党の方からありましたけれども国民中小企業にはその実感が伴わない、懸け離れているんではないかというふうに再三指摘されているところです。  総理に伺いますけれども、どうして中小企業国民にそういう実感がわかないのか、総理はどういうふうにお考えですか。
  246. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあ人様々だと思いますが、やはり現在職を持っていない方にとっては、全然景気の実感なんかないというのは私は当然だと思います。また、この経済指標というのは、やはり今までの実績からいって、出てきた数字の指標を目安にしておりますので、そういうのを調べてみますと、企業業績も改善してきた、そういう企業が多く出てきた。また、景気にとって一つの目安となっております設備投資も増加してきた。さらに、物価にもここに来て下げ止まりの傾向が見えると。さらには、失業者、雇用情勢は厳しい状態が続いているものの、求人数等増えてきており、若干改善の兆しが見られるということからして、経済状況にも明るい兆しが見えてきたのかなと。  よく、私の改革をとらえまして戦前の大恐慌の事例の例を当てはめる方がおられましたけれども、戦前のあの浜口内閣当時の大恐慌のときには、アメリカも悪かった、ヨーロッパも悪かった、日本も悪かった、世界恐慌と言われるぐらい。そのときに改革をやったから、台風のときに窓を開け放つようなものだ、小泉は同じようなことをやっていると批判されましたけれども、現在、アメリカの経済も好転してきている、中国経済も成長している、外部環境も当時とは大分変わっているんではないか。こういう好機をとらえて今まで進めてきた改革を促進していくことによって、明るい兆しが出てきた経済を大企業のみならず中小企業にも、また中央だけでなく地方にも広げていくのが小泉内閣の責務だと思っております。
  247. 大門実紀史

    大門実紀史君 よく分からないんですけれども、要するに、大多数の人は良くなっていないからそういう実感がわかないんだ、もうそれだけのことだと私は思います。  これから改革をということですけれども小泉内閣発足して三年たちましたけれども総理は最近、改革でまいた種が芽が出てきたというふうな言い方もされておりますけれども、三年たってようやく芽が出ると。そうすると、花が咲くのはいつごろになりますか。
  248. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 石の上にも三年という言葉があります。桃栗三年柿八年、いよいよ改革の種に芽が出てきたな、この芽を木に育てていく、花を咲かせていく。いずれ、私が退任するころには二%程度の経済成長を達成させていきたいなと思っております。
  249. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、花が咲くのは大企業だけで、国民の皆さん、中小企業の皆さん、いつまで待っても花は咲かない、まいた種も災いの種ばかりじゃないかというふうに思っているところです。  中小企業国民に実感がないのは、要するに、よく言われている二極化しているわけですね。一部の製造業の大企業が増益になっていると。だけれども、国内需要が低迷していますから、国内需要に依存している中小企業等々がなかなか厳しい状況が続いているということだと思います。  その国内需要が低迷しているのは、なかなかわき起こらないのは、これはもう当然、所得環境が、雇用の環境がほとんど改善していないと。所得や雇用の環境改善しないというのは、やはりこの間、言われている大企業の増益、企業の利益というものが所得環境、雇用の改善に結び付いていないからではないかというふうに思います。  お手元に資料をお配りいたしましたけれども、パネルにもいたしました。(資料提示)  見てもらいたいのは、要するに企業利益は、企業利益はですね、何だかんだ言っても伸びているんです、曲折あっても伸びてきているんです。ところが、賃金は一貫して下がり続けていると。利益が上がっても所得に、賃金、所得に結び付かない状況に今なっているということです。これは現実としてこういうふうに推移していると。  それはなぜかということなんですけれども、それは棒グラフの方を見てもらいたいと思いますが、簡単に言いますと、この間、小泉構造改革小泉内閣が進めてきた規制緩和、先ほど竹中大臣が労働市場の構造改革と言われましたけれども、その雇用の構造改革が進んでいるからです。  まず、大きな話でいきますと、正社員が減って非正社員が増えると。これが、七年間で比べますと、大体四百万人正社員が減って、非正社員、パートとか派遣労働とか契約社員とか、そういう非正社員が四百万人増えているということです。賃金どうなるかといいますと、当然、見てもらって分かるとおり、この非正社員の方々というのは正社員の約半分の賃金です。だから、低い賃金の人たちがずうっと増えていると。なおかつ正社員の方も、この間、成果主義だとか裁量労働制とか、あるいはベースアップゼロとかで賃金の抑え込みをずうっとされていると。当然ですね、当然ですね、この利益が上がっても、元々利益はそうやって上げたわけですけれども、そういうふうに就業構造が変わってきておりますから、これは当然、所得だとかそういう雇用環境に、改善に結び付いていかないと。今そういうふうになっていると思いますけれども、いかがですか。
  250. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大門委員から幾つかの御指摘がございましたが、まず、大多数が良くないんだというのは、これは経済、常にまだら模様ではありますけれども、これはいささか少し極端なのではないかと思っております。五百兆経済でありますから、一部だけが良くて全体が二%、三%成長するということは、これはあり得ないわけです。  我々、まだら模様を注意して見ておりますが、例えば街角の景気ウオッチャー調査というのをやっております。これは、タクシーの運転手の方とかスナックの経営者の方とか、正にその方の実感はどうですかというのを聞いて発表しているわけですが、この景気ウオッチャー調査によりますと、現状、すべての地域改善はしております。まだら模様はまだございますけれども、そういう方向には行っているということは是非認識を賜りたいと思います。  その上で、賃金の問題でございます。賃金、ここの図を今拝見いたしましたが、実は、この九七年の以前に日本の労働市場に非常に大きな変化が起こっています。九〇年から九〇年代の半ば後半にかけて、いわゆる労働分配率が非常に高まっていると。同じ価値を稼いでも、それを給与に回す部分と利潤に回す部分、その給与に回す部分が世界で類を見ないぐらい急激に上昇をしました。その結果、日本の企業が疲弊してその競争力が問われるようになった、それを正にリストラ等々でしっかりと立て直す時期のこのグラフでございます。  その意味では、労働者の一部の方は大変だということも事実だと思いますが、実は賃金は最近になって下げ止まってまいりました。企業が改善する中でリストラも一段落をしつつある。それが賃金の下げ止まりになって、これが雇用に、さらには賃金に、そして消費にいかに向かわしめるかと、そういう非常に重要な局面だと思っておりますので、我々はしっかりと見ております。  非正規社員等々の問題については、これは幾つかの問題があるということは承知をしておりますが、一方で働き方を多様化させたいというニーズもある中で、我々としてはしっかりと対応をしていかなきゃいけない問題であると思っております。
  251. 大門実紀史

    大門実紀史君 いろいろおっしゃいますけれども、マインドの改善だとか若干賃金が下げ止まりとか、私はもうそのちょっとしたことを針小棒大に言って、ちょっとそういうことはないんではないかと思うんです。日本経済全体を見ると、重病人の小康状態といいますか、私、その範囲ででして、そんなに大騒ぎして良くなったというほどの話じゃないんです。  私がお聞きしているのは、私がお聞きしているのは、どうして、どうしてこういうふうな構造になっているのに利益が所得に、これは政府も言われているわけですね、ポイントは、所得や、大企業の増益が所得や雇用環境改善に結び付くかどうかというのは、政府も再三答弁されているからお聞きしているわけですけれども、どうしてこういう就業構造になって、低賃金構造になっているのに利益が結び付くんですかと。  竹中大臣、一応学者ですから、私は理論的にお聞きしているわけだから、大臣もちょっと理論的にすぱっと答えてくださいよ。どうして結び付くんですか、こういう構造になって利益が、所得、雇用に。どうして結び付くんですか。
  252. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 一応ではなくて学者のつもりでございますけれども。  私は、私も事実を申し上げているわけでございます。雇用調整を実施した事業者の割合というのが、二〇〇二年の第一・四半期は三二%の企業で回答がございました。それが今、最近期は一七%ぐらいまで減っている。確かに、リストラをして賃金を下げて雇用形態も変えるということを企業はやってまいりましたけれども、それが一段落しつつあるというのは事実でございます。また、所得面で、定期給与でありますけれども、二〇〇三年前半は減少傾向にあったわけでありますけれども、これが今横ばいに転じております。これも事実でございます。労働分配率が上がった後、それを調整するという厳しいプロセスを日本経済は経てまいったわけですけれども、それが今実を結びつつあって、それから新しい局面に行こうとしていると、この認識は私自身は正しいと思っております。
  253. 大門実紀史

    大門実紀史君 私お聞きしているのは、そういう周辺の数字をいろいろ並べて、その状況を聞いているわけじゃないんです。どうして結び付くのかということを再三お聞きしたわけですけれども。  要するに経路が断たれていると思うんです、昔と違って。昔は言ってありましたね、パイの理論という、私たちは違うと思いましたけれども、一応企業側も言うような、利益が全体上がれば賃金も増えるよと、所得、雇用も増やすよと。昔はありましたけれども、今逆になっていると。幾ら利益が上がっても総人件費は抑えるという戦略になっているし、それに沿った規制緩和を政府の方はやられてきたと。こういう中ではそういうふうに結び付きませんよということを御指摘しているわけです。つまり、政府小泉構造、小泉内閣の責任で目詰まりを起こしていると、波及しなくなっているということを指摘しているわけです。  そもそも、その非正規雇用の話が出ましたので、先ほど峰崎議員からもありましたが、私もフリーター問題、非常に今重大問題になっているというふうに思いますので、そちらの方に質問を移したいと思います。  私、埼玉でフリーターをしている二十八歳の女性から、直接どんな状況なのかと話を聞いてみました。人材派遣登録は二つの会社にしていると。一つは、登録後何にも連絡がないそうです。もう一つの方は、この一か月で四日間の仕事があっただけだと。それも、貴金属会社の呼び込み、受付、たったそんな四日間の仕事に採用者九十五人採用するのに二百四十人が応募したそうですね。応募したということです。しかも、国語テスト、小テスト、面接をやられた上で採用と。これは時給、交通費込みでたった千円だそうですね。時給千円と。こんな状況です。その後は仕事の紹介がないと。内実を聞きますと、仕事が欲しければ自分からもっと低い時給でいいですからとか、そういう売り込みをしないとこの人材派遣会社は仕事を回してくれないということも言っておりました。もちろん社会保険は入っていないし、派遣会社の方が社会保険が入らないような、入らなくていいような時間設定にしていると。職業能力を身に付けるなんてとんでもない、いわゆる単純労働ばっかりに派遣されてスキルアップなんかできないということ。あるいは、職安にも行っているけれども、フリーター状態からもう長年、三、四年抜け出せないでいるということをこの女性は言っておりました。  先ほどもありましたけれども、フリーターと正社員の賃金格差、私の調べでは少し違います。年収でありますと、この十五歳から二十四歳で調べますと、年収平均だと、正社員だと三百八十七万になりますけれども、フリーターは百五万です。約四分の一です。こんな水準に置かれていると。これが社会にどんな影響を与えるかは、先ほど民主党の峰崎議員からありました。私もそのとおりだと思います。社会的に大変深刻な事態をもたらすというふうに思います。  問題は、私、問いたいのは、総理にお伺いしたいんですけれども、どうしてこのフリーターと言われている皆さんがどうしても正社員になれない、こういう状況が続いているのか、これは何が原因でどうしたらいいというふうにお考えですか。
  254. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これだと一言では言えないと思います。人様々だと思います。時代の変化にもつれまして、考え方にも、大企業に就職をすれば、ああ、これでいいという状況でもない。それぞれの好みも違って、学歴の高い人でも、人がうらやむようないい企業に入ってもすぐ辞める方も出てくれば、厳しい仕事でも一生懸命やっている方もおられる。それは人様々でございますが、このフリーターが増えているというのは必ずしもいい傾向でもない。  そして、今お話しのように、フリーターで、好んで、自分はそういうのを好むんだと、おられると思いますが、そういう方は少数だと思います。やはり若い時代から訓練なりあるいは知識の蓄積なりというものを備えて自分に合った仕事を見付けるということを奨励するためにも、この問題については、当面の対策と、それから子供のころから、学校の場から、一つの勤労の喜びなり勤労の重要性をよく理解してもらうような教育も必要じゃないかと。様々だと思いますが、やはり大きな時代の変化に今現れていると。  この時代の変化、これをどう適応していくかというのが我々に課せられた政治家の立場だと思います。同時に、これからの将来を担う若い方々にも、是非とも勤労の喜びなり勤労の重要性を認識してもらうような、そういう在り方というものも考えていかなきゃならない問題だと思います。
  255. 大門実紀史

    大門実紀史君 総理、人様々というのはもうやめていただけますか。これは話、議論になりません、人様々ですと。そういうことではないと思います。もっとちゃんと総体としてこの問題とらえていただきたいと思います。  ただ、総理言われたとおり、フリーターを自ら望んでいる人はそんなに多くないんですね。ところが、私、昨日もどこかの副大臣、あるいは今日は文部科学大臣が言っていましたけれども、このフリーターが増えている原因を、あたかも子供の職業意識が低い、あるいはやる気がない、学力が低下していると、それを主要な原因のようにこの国会の場で言われているというのは、私、開いた口がふさがらないで聞いておりました。  もちろん、高校生の卒業時のアンケートを取るとそういう子供たちもいます。いることは事実です。だけれども、すぐ社会に出て現実にぶち当たって、大変なことだとみんな気付いているわけですね。それをむしろ、私から言わせれば、そういう子供の言ってみれば未熟さです、子供の未熟さをいいことにして、それを安く使って、使い捨てのようにしている企業の方が私よっぽど非難されるべきで、子供たちを非難する話じゃないと思います。総理が言われたとおり、望んでいる人は少ないんだと、みんな正社員になりたがっているんだということを是非その副大臣だとか文部科学大臣に注意をしておいてほしいというふうに思います。  フリーター増加の原因は、国民生活白書、これは竹中大臣が冒頭に、なかなかのこと書かれておりますけれども、そこで指摘されているように、企業が新規採用を減少させていることが一番の原因なんです。しかも大企業ほど採用をしなくなっていると。先ほど坂口大臣お答えになりました、もうそのとおりだと思います。  大企業の現場、今どうなっているか。製造の現場は即戦力が欲しいと、即戦力欲しいと、だから業務請負。この問題点は我が党の小池議員が前回指摘しました。もう大変なピンはねのひどい形式です。業務請負にみんな大企業の製造現場は正社員、高卒の新規採用やめて移しているわけですね。事務の方も、坂口大臣言われたとおり、パートに、パート、アルバイトに切り替えていると。だから、新規採用が減ってこういうフリーターがたくさん生まれているんだということなんです。  ですから、まあ私思いますけれども、もうフリーターという呼び名をそろそろやめるべきだと。自由で気楽なとか、そうじゃなくて、もうみんな若い人たちは今毎日が気詰まりなんです。毎日がもう展望が見えなくて大変なんです。ですから、簡単にフリーターというような軽い言葉で言うような問題ではないというふうに申し上げたいと思います。  許し難いのは、私は企業の姿勢ですね。NHKのアンケートによりますと、フリーターを雇っている企業は何と言っているか。フリーターは会社を支える重要な戦力、社会保険、退職金は不要で、会社に非常に有利な雇用形態である、使い捨て、消耗品、かわいそうだが、今の状態が嫌なら辞めてもいい存在だと。便利な存在ではあるが、本人には申し訳なく思っているというふうに言いながら、これからも使いたい、増やしたいと、そういう答えた企業が五割以上あるんですね。  私は本当に余りにもひどいと思いますよ。目先の利益だけ追って、こういう若い人たちを、正に食い物ですね、するような企業。こういう企業について、総理、いかが思われますか。これは総理のお考え聞かせてください。
  256. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、さっき人様々だということは言うなと言われましたけれども、企業によってもいろいろあるんです。企業に、一つの企業に勤めたいと思うんだったら、これは採用を働き掛ける人もその能力を身に付けなきゃならないと。どんな企業だってやっぱり一定の能力求めます。それは、それぞれの個人が自らやる気を持って、そのような会社に勤めたいんだったら、自分はどういう知識を身に付ければいいか、どういう技術を習得すればいいか考えてもらわなきゃいかぬと。  これは、どの世界でもこれは当然のことなんです。やはり一定の、スポーツにおいてもそうです。このスポーツ出るためには日ごろから訓練しなきゃ出れないと。マラソンでも、オリンピックの枠が一つ足りなくて残念でしたけれども、この一つの枠を目指すのにどれだけ涙ぐましい血のにじむような訓練、練習をしているか。  やはり、今職のない人は、求人数が多いんです。何とかしても欲しいと言っている企業たくさんあるんです。それに対して、自分はその仕事をつかもうというんだったら、やる気を出して、やはり一つのそれは苦しさでありますが、乗り越えるための努力はしてもらわないと、努力しなくて何にも、得れるという状況じゃないということも御理解いただきたい。そして、企業もできるだけ社員を大事にするような環境を整える、そういう企業が私、発展していくと思うんであります。  すべてやる気のない人じゃありませんから、いかにやる気を持ってもらうか。そして、今職のない人が職を得るために知識なり技術を身に付けるためには一定の努力が必要だと、こういう点もやっぱり理解していくことが大事だと思っております。
  257. 大門実紀史

    大門実紀史君 よく分からないんですけれども、私が先ほど申し上げた、各企業が言っている消耗品、使い捨てというのは仕方がないとおっしゃっているんですか、それでは。
  258. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そう一部をとらえて言っているんじゃありません。大門さんの全体の質問の趣旨をとらえて私は答弁しているんです。  それは、そう言われれば、部分を取られて批判されるのは仕方がありませんが、そういうことではございません。
  259. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、申し上げたいのは、青年は、ほとんどの青年は努力しているんです。だって、今、十年前に比べて、青年、若年失業者でずっと求職活動を二年以上続けているという人たちは十年前の倍の比率になっていますよ。みんな仕事探しているんですよ。私がお話聞いた人も、もう毎日のように職安へ行って、求人雑誌見たって、もう派遣労働ばっかりじゃないですか。派遣と短期ばっかりじゃないですか。それは行きますよ。いつまでたっても、能力を身に付けたくても、職業能力身に付けたくてもスキルがアップしないんです、技能がアップしないんです。そのまま三十代、四十代になってしまうんですよね。努力をしているんです。  もう一つ、国のこういうことの根本にかかわりますので質問したいと思いますが、これはフルタイム労働、パート労働の賃金を国際比較したものです。(資料提示)  見てもらって分かるとおりですけれども、主要国の中で、例えばスウェーデンですと、フルタイム労働者が一〇〇とすればパート労働者の賃金が八七・二ということを表します。イギリスなら、一〇〇のところパート労働者は五八・〇というようなことを表します。日本は一〇〇に対して五〇・五、四九・九、四九・七とずっと下がってきています。  どうしてこういうふうに日本はいわゆる正社員とパート労働の賃金格差が広がっているんですか。
  260. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) この表を見せていただいて、諸外国のパーセントを私もよく存じませんけれども日本の場合に、パート労働をしておみえになる方が女性の方が多いということも私は影響していると思います。男女の賃金格差ございますし、パート労働で百時間とか百三十時間とかというような範囲の中でされる方がかなりあるというようなことも影響して、平均してこれは落ちてきているんではないかという気がいたします。
  261. 大門実紀史

    大門実紀史君 女性が多いと低くてもいいということではないと、そういう意味で言われたんじゃないと思いますけれども。  私が聞いているのは、ほかの国、じゃ結構ですよ、ヨーロッパだけ比べてもらっても結構です。なぜそれだけ格差があるんですか。
  262. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ですから、諸外国がこれだけ高いかどうかということを私もちょっと数字持ち合わせておりませんのでよく分からないということを申し上げたわけです。
  263. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、私がお教えします。  つまり、イギリスとアメリカは、先ほど竹中大臣言われたような労働市場の構造改革というのを進めてまいりました。規制緩和ですね。流動化、進めてきて、もちろんヨーロッパもそういう非正規雇用、派遣労働とかも増えてきましたが、ヨーロッパは、やはりそれに対して規制を掛けなければいけないと。ほっておくと賃金格差が広がって低賃金労働者が先ほどから御指摘しているように増えてしまうと。世の中が大変なことになってしまうと。それで、規制を掛けなきゃいけないということでいろんなことをやってきたからこれだけイギリス、アメリカとは違うわけです。  その点から踏まえて、坂口大臣にお聞きしますけれども、このままで日本はいいんでしょうか。
  264. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ヨーロッパの場合には、御承知のように職務ごとの賃金が決まっております。いわゆる産業別協約というものがあって、それによって定められているということも私はあると思います。そこが日本は少し違うところでございますので、そうしたことも影響しているんだろうというふうに思います。  ただし、我が国も、パート労働で働いていただく皆さんの仕事の内容にもこれはよりますけれども、正社員の皆さんとパート労働の皆さん方の仕事の内容が同じであれば、これはやはり格差というものはなくしていかなければならないわけでありまして、そうした意味で我々の方も、昨年でございましたか、正社員とパートタイム労働者との間の均衡処遇に向けたルール作りというのをやりまして、そして指針を改正をしてお示しをしたところでございます。そうしたことを今後も我々としても努力していかなきゃいけないと思っております。
  265. 大門実紀史

    大門実紀史君 産業別労働協約のことを一言言われたので、アメリカもイギリスも産業別協約はございますので、それだけではないというふうに御承知おきください。  EU、欧州連合では、正規雇用と非正規雇用の今、大臣言われました均等待遇を目指して大変努力をしてきています。イニシアチブ取ってEUが努力をしてきています。例えば、九七年にはパート労働の均等待遇を図るEU指令というのを出しました。次に、九九年には有期雇用の指令を出して、そして今、派遣労働についてそういう指令案を出そうというふうな動きになっている。パートも有期雇用も派遣労働も、次々と、このまま放置しては大変なことになるということで、EUがイニシア取ってやってきているわけですね。御存じのとおり、EU指令は発せられますと、それぞれの国で何年か以内にそれをちゃんと法制化しなきゃいけないという大変強制力のあるものです。  日本はどうかといいますと、今、坂口大臣言われたとおり、パート労働についてはやっと厚生労働省が、二〇〇三年十月適用ですかね、パート労働指針を出されました。私、これ出されたことそのものは意義があると思っておりますけれども、ただ残念ながらスピードが遅過ぎる。これだけ先ほどパネルでしましたように急速に拡大している中で、しかも努力目標で終始していると。もう努力目標で終始している場合ではないと申し上げたいと思います。  しかも、派遣労働は何の、何も手が付いておりません。むしろ規制緩和ばっかりやっているんですね。で、今、派遣労働の事態は大変深刻なものになっておりまして、いわゆる派遣のダンピング競争が起きています。これは労働者派遣法が改正、改悪されましたから、製造現場への人材派遣が今年の三月一日、この前から解禁になっているわけです。そこで、今、特に大企業の製造現場の仕事を取ろうということで、業務請負会社と人材派遣会社が受注の、仕事を取りたい、労働者をうちの方が安く送るよというダンピング競争をやっていると。つまり、まあ元々その人材派遣も業務請負会社もピンはね会社ですから、ピンはね会社同士が更にダンピング競争をすると、またすさまじい事態ですね。これでは、更に更にそこで働かされる、送り込まれる労働者がピンはねされていくということになると思います。  で、今、派遣労働者の時給は下がっているんです。そもそも下がっているんです。九四年平均で一千七百四円だったものが、二〇〇一年で一千四百四十四円に下がっています。どんどんどんどんこの人材派遣会社等のダンピング競争をやっているから、人材派遣の労働者もずっと下がっているんですね。  こういうことを考えますと、私はもうやっぱりこのパート、有期雇用、派遣労働、同時に日本は急いでこういう均等待遇の方向に切り替えていくということをやらなきゃいけないと思いますが、そういうお考えはございますか。
  266. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは企業だけ悪いといっても、私は始まらない話だと思うんですね。企業は企業で一生懸命やっているわけであります。全体としての環境をどう整えるかということになってくるんだろうというふうに思っております。全体としてこの正規の職員を受け入れられるような体制を、経済体制をどう構築をしていくかということが今求められているわけでありまして、そうした方向に向けて今何をなすべきかといったことだろうというふうに思っております。  したがいまして、そうした中で一歩一歩前進をしている、していくことが大事でありまして、全体でいろいろの法律を変えるというようなことは、それはできたといたしましても、現実性がなかなか伴わない。そこが、現実がそうなるようにしていかないといけないというふうに思っております。
  267. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう問題ではございませんので、強力なイニシア取って進めなければ大変なことになるということを申し上げたいと思います。  EUでは欧州委員会がイニシアチブを取ってやっているという話をしましたけれども、そのEUの雇用・社会政策担当委員のディアマントプルさんが講演でこういうことをおっしゃっています。私、これ非常に重要だと思っているんですけれども、EUは次の目標を持ってやっていると。競争力の強化、社会的公正、労働条件向上、生活、質の向上、これを全部合わせてやるんだと。競争力の強化も一緒にやるんだと。つまり、社会政策への支出というのは決して経済の負担ではなくて、経済成長と社会的団結の健全なバランスを確保する手段であると、こういう考え方で世の中のことを考えておられるわけです。  日本も、そういう企業側の政策ばかり応援するような政策じゃなくて、もっとこの国の在り方をよく考え政府が施策を取られることを求めて、私の質問を終わります。
  268. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  269. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  270. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず、スペインにおいて社会労働党が勝利をしました。イラクからの撤兵を発表しております。憎悪と報復の連鎖を断ち切るための本当に決断だと思います。日本も、これ以上悲劇を起こさないためにイラクへの派兵を撤兵すべきではないですか、総理
  271. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) スペインテロにより多くの死傷者が出たということに対しまして、大変残念であり、被害者並びに被害者の御家族の皆さんに心から哀悼の意を表したいと思います。  こうした全く関係のない一般国民を殺りくして自らの目的を達成しようとするテロリスト並びにテログループに対して、私は強い憤りの念を持っております。  スペイン内の政局のことについては、私はとやかく言う立場にありません。また、今回のテロの犯行が、かねてのスペイン国内の政治問題に端を発するものなのか、例えて言えばバスク地方などのある地域におきましての自治権拡大、これの政治騒動、政治闘争の一環なのか、あるいはアルカイーダ等外国テロ組織による犯行なのか、これは私も今のところ全く分かりません。スペイン捜査当局が今捜査中だと聞いております。その理由は分かりませんし、原因も分かりませんが、テロについては、それぞれの国が自国でできること、また外国と協力しながらやっていかなきゃならないものもあります。  また同時に、イラクの復興支援の問題でありますが、これに対して、この総選挙の結果をスペイン政府は受けて、だれを総理大臣にするか、どういう政権ができるか、今の時点で私は、その新しい政権がイラクの復興支援に対してどのような対策を取るか、これもまたはっきりとした見通しを持っておりません。  しかし、日本としては、イラクの安定のために、復興のために支援をしていくという基本的な姿勢は、この今回のスペイン政府選挙の結果によって左右されるものではございません。
  272. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 多くのスペイン国民の人たちテロを憎み、哀悼の意を表し、それをなくしたいと思ったからこそ、憎悪と報復の連鎖を断ち切るために何をなすべきかということを選択したのだと思います。日本も、悲劇を絶対に起こさないためにイラクから撤兵すべきだということを強く要求したいと思います。  次に、所得格差のことについてお聞きをいたします。  これは給与階級別の構成比の増減です。(資料提示)この五百万から二千五百万までの間が減り、三百万が一番増えております。ちょっと図で分かりやすくしますと、ここの四百万以下が非常に増え、三百万年収が一番増え、ここの後が非常に減っています。そして、実は二千五百万円台が微増をしております。このように、所得が二極分解をしています。年収三百万円で生きる法という本がありますが、今、年収二百万円台で生きる人々も多くなっている。  この二極分解は小泉構造改革の下で起きています。このことをどうお考えになられますでしょうか。総理お願いします。
  273. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本の所得格差は主要先進国に比べて大きいものではございません。また、バブル崩壊時に比べて所得格差が広がっているということも、事実を見るとそうではございません。格差は縮小しております。  いずれにしても、今はデフレでありますから、かなり所得が低い方々が増えてきている。そういう中で、一方ではかなり収益を上げて所得を向上させている層も出てきている。しかし、収益を上がる方は多ければ多いほどいいということにこしたことはありません。一方、収益の、所得の低い人をできるだけ少なくしていく、そして社会保障等セーフティーネットの拡充策を考える、これもやっぱり政治で大事な役割だと思っております。
  274. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 重要なことは、この中間層だった人がどっと四百万円以下に移り、二千五百万の人が微増し、両方に分かれてきていることです。今はデフレですが、去年の健康保険法の改悪、そして今年の年金改悪に相まって、負担感は非常に増えていますし、負担増です。この二極分解の在り方、大金持ちとそして貧しい人を増やしていく、こういう構造改革の在り方こそ見直されるべきだというふうに考えます。  では、三点目に、原子力発電のバックエンドコストについてお聞きをいたします。  この図をちょっと見てください。(資料提示)これは、原子力発電から出た使用済核燃料の後始末の費用です。これは約十九兆円掛かります。これから負担する金額が約十九兆円掛かります。これについては税金で払うのでしょうか。どうなるのでしょうか。
  275. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今のバックエンドを含めた核燃料サイクルについて、審議会の結果として約十九円、十八・八兆円でございますが、これについて今後どうしていくかということについては、事業者あるいはまた関係者も含めて、このエネルギー政策の中での重要な位置付けでございます。  安全性と御地元の御理解に基づいた上での原子力発電、そしてまた核燃サイクルシステムの中でこの十九兆円というものをどういうふうにしていくかについて、今後また議論を早急に煮詰めていきたいというふうに考えているところでございます。
  276. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 第二、第三の再処理工場が必要となれば、これが十七兆円、三十四兆円となることも考えられます。この約十九兆円については多額の金額です。道路公団なんかよりもはるかに多額の金額、道路はしかも放射能を出しません。  この金額について、電力会社は是非税金でやってもらいたい、これから負担する分ですから、国は電気料金でやれというふうなせめぎ合いがあります。しかし、どっちにしろこれは国民負担、この電気料金になろうとも税金で払おうとも、国民にとっての負担です。  この十九兆円については国は負担すべきでないと考えますが、いかがですか。
  277. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 冒頭申し上げるべきでございましたが、御承知のとおり、日本はエネルギー、いわゆる資源エネルギー、発電エネルギーはほとんどないという状況でございます。もちろん、新エネルギー、風力とかあるいはバイオエネルギーのようなものを現在研究中でございますけれども、そういう状況の中でどうやって安定的に発電を始めとするエネルギーを国民に供給をしていくかというときには、石油あるいはまた天然ガス、あるいはまた先ほど申し上げた安全性と御地元の御理解に基づく原子力エネルギーというものが必要でありまして、そういう中でバックエンドを含めた形での核燃サイクルに十八・八兆円が掛かるという公的な試算が出ているわけでございまして、それについて、もちろん大きな金額ではございますけれども国民にとって必要なエネルギーであるという前提で、どういう形でこういうシステムを構築していくか、そしてまたこの十八・八兆円というものをどういう形でみんなで出し合ってこのシステムを構築していくかという議論が、国民のもちろん視点、国民の御理解というものも含めながら必要であるということで、これから議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
  278. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、この審議会の評価では他の電源との比較において遜色はないというふうに言っています。遜色がないのであれば十九兆円を、今まで原子力発電に十兆円つぎ込んできましたが、十九兆円つぎ込むべきではありません。  社民党は環境立国を目指すべきだと考えています。食料の自給、そして森の維持、そしてエネルギーの自給、そして脱原子力、自然エネルギーの促進、そのことによって環境との共生を図るべきだと考えています。国民の貴重な税金、十九兆円をつぎ込まないように強く申し上げ、国民の皆さんがこういう公共事業をチェックするようにと強く申し上げ、私の質問を終わります。
  279. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  280. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  281. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 メキシコとの自由貿易協定の問題と国内の農業政策について、まず総理にお伺いいたします。  WTO交渉の先行きが不透明な中で、多国間協議を重視してきた我が国もWTOの補完的なものとしてFTAを推進することとしており、総理も、国内農業構造改革を進めつつ、我が国全体の国益追求の観点から精一杯努力することを表明されております。  こうした中で、メキシコとの間のFTA交渉が進められ、両国政府は先日合意に達したとのことであります。この交渉で、メキシコ側が重視していた豚肉に日本側は八万トンの低率関税輸入枠を設けるという譲歩をしたと聞いております。豚肉は我が沖縄県にとっても農業産出国の上位三品目の一つでありますが、この合意は国内農業に与える影響が大きいわけであります。  総理はメキシコとのFTA交渉に関連してどのような国内農業構造改革を進めようとお考えになっておられるのか、そのための国内対策をどういうふうに考えているのか、お伺いいたします。
  282. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全体の考え方申し述べますが、メキシコと日本とのFTA、いわゆる経済、自由経済連携協定、妥結し合意を見ることができました。これは、日本経済全体を考えますとかなり大きな意味を持つものだと私は評価しております。農業の問題だけではなくて、工業製品も大きく影響を受けてくると思います。  農業について言えば、御承知のとおり、豚肉とそれからオレンジジュース、これが大きな交渉といいますか、かなりこの合意に見るまで議論がありました。豚肉の数量をどのぐらい日本に入れるのか、またオレンジジュース、これをどのぐらい拡大するのか。これについても、日本としてはこれを拡大していくという方向でメキシコ側の協力を得ることができた。  一方、工業製品につきましても、自動車とか家電製品、これが今度はメキシコを拠点にしてアメリカ、北米についても、ヨーロッパについても低い関税で交流ができますから、日本のいわゆるそういう工業製品扱っている方々には大きな朗報だと思います。  両方譲るべきは譲るという精神でこの交渉を成功させようということで昨年来やってきたその方針を基に、経産大臣農水大臣、外務大臣、三者よく協力しながらメキシコ側と折衝を重ねてようやく合意を見たということは、今後、日本農業について全部輸入をストップするというんじゃなくて、譲るべきは譲ると。その際に、国内の農家にどのような打撃があるか、また打撃があった場合にどのような対策講じるかということが重要だと思っております。  一方、農業構造改革、私は言っているんですが、もう輸入を防ぐだけじゃなくて、日本から輸出を考えたらどうかということを強く言っているわけであります。  昨日も戴秉国外務次官、中国の外務大臣見えたときに、何と中国では一粒三百円のイチゴが売れていると。本当なのかと、本当だと。そうしたら、日本のリンゴは中国で人気で、一個百五十元、百五十元というと、二十円として三千円でしょう。十五元としても二千円以上するね。だから、そういう輸出できる農産品も日本もあるんだと。こういうことを考えて、輸入阻止だけじゃなくて、日本の農産品をこれから輸出するという面も考えて、この自由貿易協定は私は積極的に進めていきたいと思います。
  283. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がありませんので、前に進みます。  三位一体改革についてお伺いいたします。  地方の自主性で行政運営をする、それが三位一体改革の目的だったはずであります。  しかし、昨年末、駆け込み的に決まった補助金の一兆円削減、交付税の大幅削減等により、多くの自治体では見積り、見積もっていた以上に大幅に財源不足額が膨らみ、予算編成は大混乱に陥りました。今回、視察に行った鹿児島、熊本の両県でも、財源不足はいずれも三百億円を超えているとのことです。  補助金交付税は削減されるが、本格的な減税、移譲は後回し、これでは一方的な地方の、地方への負担の押し付けではないですか。全国知事会の梶原会長も、三位一体改革とは名ばかりで、三位ばらばら改革だと批判しております。総理はこの点についてどうお考えですか。
  284. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) できるだけ手短に答弁を申し上げますが、三位一体は、もう何度も申し上げておりますが、地方でできることは地方で、権限も責任も持ってやっていただく。しかし、これを進めていくためには、今の厳しい財政事情でございますから、地方の自立を支える財政基盤を作るにも、国と地方合わせたスリム化をしなければ実現できないということがございます。  そこで、まず補助金改革ですが、これは今年、一兆円やったわけですが、この中には、例えば義務教育国庫負担制度などのように総額裁量制を入れたわけですが、要するに、教職員の給与水準などを地方が自主的に決定できるよう自由度を拡大しているとか、そういう観点から挙げますと、農業委員会の設置で市町村の裁量を拡大したとか、それから公共事業も削減いたしましたけれども地方の自主性、裁量性を発揮できるようにまちづくり交付金を創設したとか、こういうような工夫をしまして一兆円やりました。  そこで、その税源、財源はどうかということでございますが、まず、全部一兆円財源をお譲りするということじゃなくて、あくまで地方で続けていただく必要のあるものについてお譲りするということで、まず、一般財源化された補助金について、これは四千七百五十億程度でありますが、所得譲与税による税源移譲、これが二千二百億程度、それから義務、義務教育──後で申します、義務教育費国庫負担金の退職手当について税源移譲予定特例交付金二千三百億程度、併せて財源措置を行いまして、さらに昭和、十五年度分の税源移譲が二千五十一億ございます。それから、公共事業の、先ほど申しましたように補助金削減いたしましたので、まちづくり交付金というのを千三百億ぐらい作りましたので、今年地方にお譲りした財源は七千八百億、七千八百億、九百億ぐらいになっているわけでございます。  それから、税源移譲については、そういった補助金改革を見通して、平成十八年度までにその所得税を地方地方住民税に移していくと、こういう形で必ずこれはやらなければいかぬものと、そういうことでやっております。  それから、地方交付税につきましては、これも先ほど御答弁申し上げましたけれども、要するに税源の、この財源を調整する機能は、これはあくまで大事でございますけれども、今のように特会の借入金が五十億を、五十兆を超えている状況の下では財源調整機能はあくまでスリム化をしなきゃならないということで今度のような形を取らせていただきましたけれども、十六年度の地方財政計画の規模自体は対前年度比、これは一・五兆円減、一・八%減、これは一昨年、昨年と同程度の見直しとなって必要な財源をある程度確保しているということではないかと思っております。
  285. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大変、次に進みます。  県財政市町村財政もみんな同様の痛みを感じております。また、県では三位一体改革の全体像、スケジュールが分からないので、市町村に対して適切な指導をすることも難しいと言っております。  政府は、どの補助金が、いつ、どのくらい減額されるのか、あるいは廃止されるのか、そして税源移譲や交付税改革はどのように進めていくおつもりなのか、三位一体改革の具体的な工程表を一刻も早く示していただきたい。  これが最後の質問です。答えられますか。
  286. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 簡潔に。
  287. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 大きな方向は基本方針二〇〇三に書いてございますが、できるだけこれは地方と対話をしながら進めていく必要があると思っております。
  288. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。  これにて経済金融年金社会保障に関する集中審議は終了いたしました。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会