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2004-03-15 第159回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十五日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十二日     辞任         補欠選任      保坂 三蔵君     吉田 博美君      峰崎 直樹君     池口 修次君      和田ひろ子君     伊藤 基隆君      森本 晃司君     続  訓弘君      井上 美代君     西山登紀子君      八田ひろ子君     小泉 親司君  三月十五日     辞任         補欠選任      有村 治子君     木村  仁君      後藤 博子君     中川 義雄君      藤原 正司君     大塚 耕平君      森 ゆうこ君     内藤 正光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 扇  千景君                 岸  宏一君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 中川 義雄君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 吉田 博美君                 伊藤 基隆君                 池口 修次君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 内藤 正光君                 中島 章夫君                 平野 達男君                 高野 博師君                 続  訓弘君                 山本 香苗君                 紙  智子君                 小泉 親司君                 西山登紀子君                 福島 瑞穂君                 島袋 宗康君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        法務副大臣    実川 幸夫君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        文部科学大臣  稲葉 大和君        農林水産大臣  市川 一朗君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        財務大臣政務官  山下 英利君        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        司法制度改革推        進本部事務局長  山崎  潮君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁人事教育        局長       小林 誠一君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        文部科学省生涯        学習政策局長   銭谷 眞美君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省研究        開発局長     坂田 東一君        厚生労働大臣官        房総括審議官   井口 直樹君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      青木  豊君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        気象庁長官    北出 武夫君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百三十八分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党四十八分、民主党・新緑風会五十分、公明党十五分、日本共産党十五分、社会民主党・護憲連合五分、無所属の会五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。清水嘉与子君。
  4. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 おはようございます。閣僚の皆様方、また今週もどうぞよろしくお願い申し上げます。  私は今日は、医療問題、医師看護師問題等についてお話、質問させていただきたいと存じます。  日本医療保険制度というのは非常にすばらしい制度で、努力の結果、日本がこんなに世界最高長寿国になったと、すばらしいことだというふうに思いますけれども、しかし、OECD国々に比べますと、非常に特異な存在の状況になっているということも事実でございます。もう既に二十世紀の間にOECD国々は脱病院化を進めておりますのに、日本はまだ入院人口単位、このベッド数が非常に多うございますし、またそのベッド入院している期間が非常に長うございますし、またそこで働く職員が非常に少ないという意味では大変特異だというふうに思うんですけれども、そこでまず、ベッド病床のことについて坂口大臣にお伺いしたいと思います。  既に一般病床療養病床という新しい区分によって届出が済まされましたけれども、やはりこれを見てみましても、ベッドの数は多いと、多いというか、減っていないというふうに思います。そこで、今、厚生労働省では日本ベッドはどのくらい多いと思っていらっしゃるのか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
  5. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おはようございます。  確かに、御指摘いただきましたようにベッド数が非常に多いというのが日本医療一つの特徴でございまして、で、ベッド数は多いんですが、しかしそこに、そのベッド数の割合にする働く人の数が少ないということで、これから先このベッド数を削減をしながらいかにしてこの医療に携わる人の人数を残していくかということなんだろうというふうに思っております。  その中でも特に急性期医療、いわゆる療養型ではなくて、一般病棟の中の更にまたその急性期のことを扱われるところにつきましては非常に人手を要する、非常に御苦労されている、一般病棟で同じような人数になっておるものですから、そういうところが非常に御苦労されているというようなこともございますので、そうしたことに注意をしながらやっていきたいというふうに思っているわけです。  ベッド数をどれだけ、今多くて、どれだけこれを減らすかというのはなかなか一言で言い難いところもあるわけでありますけれども、諸外国に比較して多いことは事実でございますから、段階的にここは少し減らしていくという方向性は持っておるわけであります。しかし、ここをどれだけ減らしたらいいかという、なかなかベッド数を決定することは難しいわけでございますが、人口千人当たり病床数日本は十三でございますが、ドイツは九・一、フランスが八・二、イギリスが四・一、アメリカが三・六、このぐらいな比率でございますので、一度に減らすということはなかなか、日本全体の状況を見ていかなきゃなりませんから一度にはできませんけれども日本が大体、多いところと比較をしてもまだ倍ぐらいということでございますから、もう少しここは減らし、そしてまあ入院をしていただきます方の日数を少し減らしていくという、そうした努力と併せて行っていかなきゃいけないというふうに思っております。
  6. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今の一つの問題、在院期間が長過ぎるということについては、実際問題、今随分短くなってきていると思います。この短くなった理由というのは、むしろ診療報酬の条件が非常にそういうふうに誘導するようになっておりますので、それにつれて短くなっているというわけでございます。今まで病床が増え、減らないで、そして在院期間が短くなるということは、結局ベッドを増やしたことにもなるわけでございますので、この辺については是非方向を出していただきたいというふうに思っているところでございます。  ただ、そうはいいましても、ベッドを減らして在宅で進めるとなりますと、在宅の方の状況が大変なわけでございまして、よく言われていますような、病診連携を進めるとか、あるいは掛かり付け医をもっと進めるとか、あるいは看護にすれば訪問看護体制を進めるとか、こういったことはもう言われているわけですけれども、なかなかそれが進んでいかないというのが実態でございまして、退院させたはいいけれども、全く状況地域で受け止める対策がないというのは非常に大きな問題だというふうに思います。  これは先進国ではかなりこういった面で準備をしてきていると思いますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  7. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生指摘のように、患者の病態に応じた質の高い医療を効率的に提供していくために、私ども改革を進めていく必要があると考えております。その一環として、先生指摘病院機能分化、それから病院診療所役割分担連携訪問看護を含めた在宅医療の充実ということが大切と思っております。  厚生労働省、今年度中をめどに、まず地域医療支援病院承認要件を見直す、そしてその普及促進を図ることによりまして診療所を支援して病診連携推進したいと考えております。  二つ目在宅医療でございますが、これを進める上で不可欠なのは訪問看護推進でございます。現在、都道府県における協議会の設置、モデル事業の実施などの補助事業平成十六年度の予算案に盛り込んでおりますとともに、平成十六年度の診療報酬改定におきましては、末期がん神経難病などの患者に対して一日複数回の訪問看護の評価を充実するなどの見直しを行ったところでございます。  今後とも、これらの施策を通じまして、在宅医療推進等に努めてまいりたいと考えております。
  8. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 在院期間が短縮される、つまり入院していらっしゃる患者さんの中で軽い方が退院されるわけでして、在院期間が短縮されますと重い患者さんがたくさん残ってくるわけでございまして、そこで働く人たち労働密度が高くなる。今まで日本がこんなに職員の数が少なくてやってこれたのは、重い人も軽い人もみんなごちゃごちゃ入っていたからやってこれたのであって、これが重い人ばかりになってしまいますと、大変になっているわけでございます。  アメリカのデータなんですけれども、ペンシルバニアの百六十八の病院、これは外科系病院なんですけれども、初めて入院した患者さんで三十日以内に退院した患者さん二十三万数千人の方を調査したところ、その五〇%くらいの病院はもう患者看護婦比率が五対一、これは日本で言っている四対一とか三対一じゃありませんで、絶えず五対一はいるという状況ですから、日本で言うと一対一くらいになるわけですけれども。そこで、受持ち患者が仮に一人、看護婦の受持ち患者が一人増えると患者死亡率が七%上がるというような調査結果が出ております。そういうふうに、やはり職員重症患者を本当にきちんと安全、安心、そして医療過誤をなくしてやるためには、相当な量的にも質的にも整備しなければこれはやっていけないことでございます。  日本ではなかなか人の配置がうまくいかないということがございます。先ほどちょっと大臣からもございましたけれども重症病棟に特に看護婦をどうやって充足していくのか、これについてお伺いしたいと思います。
  9. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 確かに、先生指摘のように、OECD比較などを見ましても、病床百床当たり看護職員の数、日本は百床当たり四十三・五人に対しまして、アメリカが二百二十九人という統計もございます。  私ども、さきの第四次の医療法改正におきまして、療養病床一般病床に分け、それぞれの機能にふさわしい人員配置標準を設定いたしました。その際、一般病床につきましては、医療法最低基準として設定されている看護職員配置標準について、従来の患者四人に対して一人から、原則として患者三人に対して一人に引き上げたところでございます。  また、診療報酬では、従来より医療法上の標準を上回る看護体制について評価してきておりまして、平成十六年度の診療報酬改定においても、集中的な治療が必要で重症度が高い患者対象とするハイケアユニット入院医療管理料を新設し、その要件として手厚い看護配置を評価したところでございます。  今後とも、各病院において、病床区分見直しの趣旨を踏まえ、患者実態に応じた適切な人員配置が行われるよう対応してまいりたいと考えております。
  10. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今局長が四対一から三対一になったじゃないかという御指摘もございましたけれども、実際、三対一では二・八もできない状況であるということはもう十分御承知の上でおっしゃったと思います。診療報酬上の配慮ということで対応していかなきゃならないと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、医師の問題に入りたいと思います。  日本医師でございますけれども、従来、厚生労働省人口十万対百五十という目安を持っていたと思いますけれども、既にもう二百になっているし、また、文科省医科大学の定員を減らしているという状況でございます。じゃ十分足りているのかといえば、医療法基準を満たしている病院が七五%という状況でございます。一体、医師の需要、需給問題、どんなふうに認識していらっしゃるのか、大臣にお伺いします。
  11. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 全体の人数で見ますと、お話をしていただきましたとおり足りている勘定になるわけでございますが、地域的な格差が非常に大きい、それから、いわゆる科による格差と申しますか、必要な科の先生と、そしてそこに所属する先生の数というのが必ずしも一致していない。そうしたことがございまして、科により、それから地域により大変な医師不足になってきているのが現状でございます。  これからそこを、全体の人数もさることながら、そこをどうこれからしていくかということが大事でございまして、特に、例えば麻酔の先生が少ないとか、小児科の先生が少ないとか、産科が減ってきたとかいったようなことがございますので、そうしたことに対してやはり情熱を燃やしていただく方々をどう増やしていくかということが大事でございますし、それから、地域におきましても非常に格差がありまして、北海道あるいは東北地方等で非常に医師不足をしているというふうなことが起こってきておりますので、地域に対して定着をしていただく医師をどのように確保していくかということ、そうした、少しきめ細かく考えていかないといけないというふうに思っております。  専門性というのも非常に増えてきたものですから、非常に専門的な先生方が多くなってきている。ということは、全体として医師の数が非常にこれは必要になってくるということになってくるわけでありまして、その辺も加味をしながら今後の問題を考えていかなければならないのではないか。  全体として、ただ総数だけで見ていくということはできないというふうに思っておりまして、詳細なその辺の検討をして、そして、文部科学省とも十分な連絡を取らせていただきたい、あるいは総務省とも十分な連絡を取らせていただきたいと、そういうふうに思っております。
  12. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 それでは次に、その不足の問題から出てくるのかもしれませんけれども医科大学名義貸しの問題でございます。  医科大学名義貸し実態文科省、よろしくお願いします。
  13. 稲葉大和

    ○副大臣稲葉大和君) お答え申し上げます。  北海道にあります一部のお医者さんが道内の医療機関に対して名義を貸した問題でありますが、私ども調査によりますと、平成十四年度に名義貸しを行った者は七百三十六人、平成十五年度にありましては四百二十五人という数字に上っております。これは、全国の医学部に在籍するすべての国公私立の医者およそ七万三千人を対象にして調査をした結果であります。
  14. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この名義貸ししたというのは、本人の意思で貸しているんでしょうか。
  15. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 私ども実態調査をしましたところ、医局で、通じてということでというのが五大学で、その中で講師、助手の方が六人ということでございますが、その他は、本人病院医療機関と直接ないしは今まで行っていた先輩に紹介されてという形が多いというふうに聞いております。
  16. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 医局があんまり関与してないようなお話でございましたけれども医局名義貸しをするそのメリットは一体何でございますか。
  17. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 医局もそうですけれども名義を貸している人の八割強が大学院生でございます。  大学院生につきましては、他の学部大学院生と違いまして、学部修業年限も六年、そして、その後臨床研修二年をやって、それから四年の大学院に入ると、こういうことで、年齢が高くて家族を扶養しているというケースもございますし、また、大学院生でございますと、収入を得るというよりはむしろ授業料を払っているということで、言わば生活が大変経済的に難しくなっていると、こういう事情がございまして、そして、アルバイトをして生計を立てている学生が多いということでございますが、その際に、そういう形で先輩等あるいは医局からそういう紹介があればそこに、引き受けて、それが結果として名義貸しになっていると、こういうふうに理解しております。
  18. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 アルバイトで仕事をしているんだったらそこで収入得られるんでしょうけれども名義貸しというのは働いてない人のことなんですね。やはり、ちょっといろいろ問題ではないかと思います。  今度は厚労省に伺いたいんですけれども、今度は名義借りをしていた病院というのは、これは医師不足病院だけでしょうか。
  19. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 医療機関側においてその医師名義借りを行う要因としては、今文部科学省からの御説明があったような大学病院の問題、それから、私ども医療法標準医師数が下回るということで入院基本料減額措置などがあるということで、病院としてもそういう点を勘案していたのではないかと思います。医師地域偏在とか地域における医師不足という背景があるものですから、それ以外にも様々な要因があるのかなと思っております。  私どもとしては、総務省文部科学省とともに、先般こういうような問題もあったということでこの医師確保対策を取りまとめたところでございますので、今後とも関係者連絡を取りながら、地域医療を担う医師養成確保推進などはしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今のお話ですと、要するに医師不足のところがこういうことをしたんだという御説明だと思いますけれども、実際には医師不足していなくても名義借りをしていたところってあるんじゃないんですか。
  21. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生指摘のとおり、あるか、あると思いますので、私ども大学からの報告を現在受けておりますので、分かり次第いろいろと調査をしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 一つの問題は、やっぱり大学医局の問題があろうかと思うんですけれども稲葉大臣大学の、大学病院医局制度というのはどんなふうに認識していらっしゃいますか。
  23. 稲葉大和

    ○副大臣稲葉大和君) 今までの医局と、それから各地域のそれぞれの病院の院長を始めとする各内科、外科等部長等のやり取りの中で、恐らく地域病院に対してお医者さんが出向くことが実際問題として嫌がる部分もあったんじゃないかと思うんですね。そういうときに医局の協力を得て、医者配置についてそれぞれ先輩あるいは後輩といった、そういう間柄の親密な関係を通じて医局先生方お願いをすることによって、医師不足の解消という点では大変大きな機能、効用があったかと思っております。  しかし、それが高じますと、どうしても医局先生とそれから病院との間での癒着というところにまで発展するおそれもありますので、これからそういった医局制度については、私たちも正しい働き、役割をしていただくように臨んでまいりたい、お願いしてまいりたいと、かように思っております。
  24. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 医局制度、非常に閉鎖的な世界の中で何が行われているんだろうかというふうに一般の人は見ているんじゃないかというふうに思うのですけれども、しかしその医局制度が、医師のキャリアアップでありますとか研修の場を与えるとか、いろんな意味でプラスになっていることも事実だというふうに思います。  しかし、卒業生を、いわゆるハローワークのようなことを全部やっているわけですね。ハローワークですと、職を求める人も、それから人を求める人と、自由に選択できるわけですけれども、それが全く選択の余地がなくて、あなたはあそこへ行きなさいと、こうやられるわけでして、受け取る病院の方もそれを拒否できない。そして、二年たったらいなくなっちゃう。二年か一年か分かりませんけれども、いなくなってしまうというようなことで、非常にやっぱり問題がありますし、そこの系列に入ったところはいいですけれども、入れなかった病院なんというのは正に悲劇になるわけですね。  このやっぱり医局を通してのハローワークのこの仕組みというのは、やっぱりこれ変えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、これはやっぱり地域医療全体のことだと思いますが、これは厚生労働省に伺った方がいいのかもしれません。これから、医局に今のような役割だけを期待しているのはちょっとやっぱりまずいと思いますので、その辺について是非見解をお伺いしたいと思います。
  25. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、それぞれの医師の意見を十分に聴いて、そして、私はどこへ行きますということを言ってくれるということであればそれはいいわけでありますけれども、もう本人の意思を無視してあしたからあそこへ行きなさい、ここへ行きなさいというようなことは、これはもうやめていかないといけないわけで、そこは早くやはりこの医局制度というのは改善をしていかなきゃならないだろうというふうに思っております。  まだ日本だけならいいんですけれども、私の大学辺りでもケニアに行ったりしているわけでありますけれども、来年、来月からケニア行ってくれなんていって言われると、これはもう本人あたふたするわけでありまして、だから本人の十分な意思を尊重するということがやはり前提でございますから、そこができにくい環境、強引にしてくれと、せよということでなくても、それに反対しにくい環境というのが今まで正直言ってあったわけでありまして、そうしたところを改善をしていかなければ、これは本当に職業紹介の法律にも触れてくるところでございますから、明確にそこはしていきたい、していかなければいけないだろうというふうに思っております。  その代わりに、そういうふうにいたしますと、今までへき地等になかなか、派遣するというようなことがそういった中で生じて、行われていたことが、今度はまたできにくいという側面もまた出てくることも事実でございますので、そうしたことに対して、新しいやはりその機能を持ったところをどういうふうに作っていくかといったことも併せて検討をしていかなきゃならないんだろうというふうに思っております。
  26. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 是非、文科省厚生労働省一緒にこの問題を、やっぱりかなり公費を使って養成された学生たちの卒後の問題、やっぱり地域医療日本の国民のすべての医療を担うわけでございますので、是非その辺を透明性の通る中での配分をしていただきたいというふうに思っております。  それから次に、医師の研修制度の問題でございます。いよいよ今年から医師の研修制度が始まるということでございます。  まず、この医師の研修制度の意義についてお伺いします。
  27. 坂口力

    国務大臣坂口力君) しばらくこの医師の研修制度制度として少し途切れていたわけでございますが、あるのはあったわけでございますけれども、一応いわゆる研修制度として正確に位置付けて行うということを再スタートさせるわけでございます。  地域医療との接点が今まで少なくて、そして、どちらかといいますと、大学病院等で専門的な診療というものに偏った研修というのが行われていた嫌いもございます。よく言われますように、初期の段階のプライマリーケアというものが医師にとりまして一番大事なことでございますから、そうしたことが十分まず身に付く、それから後、専門的なことへというふうに進んでいけるように、初期の段階で学ばなければならないことがちゃんと研修できるような体制というのが必要なんだろうというふうに思っておりまして、そこを期待をいたしているところでございます。  医師としての人格の涵養、これはもう何をさておきましても、ここがもう一番基本でございますから、ここをしっかりと身に付けていただくようにする。そして、プライマリーケアの基本的な診療能力の修得というものを身に付けていただく。それからもう一つは、アルバイトをせずに研修に専念できる環境を作らなければいけないというので努力をしてまいりました。十分と言えるかどうか、余り大きなことも言えないわけでございますけれども、しかし一応の額は確保させていただいておりますしいたしますので、アルバイトアルバイトで追われて、実際に本当に身に付けなきゃならないことが身に付けることができなかったというようなことのないようにするといったようなことを中心にいたしまして整備をさせていただいたところでございます。  いよいよスタートをさせていただくことになりましたので、十分その状況を検証しながら、もしもうまくいきにくいところがあれば修正をしながら、訂正をしながら進めていきたいというふうに思っております。
  28. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 私もその医師の新しい研修プログラムというのを一つ拝見させていただきまして、なかなか本当にきめ細かいプログラムが作られていると、そういうところにたくさんの方々が希望して行かれたということを聞いております。想像していたように、大学病院だけでなくて、かなり地域病院にもそういう研修を求めていく学生が増えてきたということで、大変これ良かったことではないかというふうに思っております。  そこで、今大臣がおっしゃいましたような人格の涵養、あるいはプライマリーケアができる人、そしてアルバイトをせずに研修受けられると、大変よろしいわけですけれども、新しい制度で公費を使ってこの研修制度がスタートするわけでございます。一体国民はこの、卒業した後この人たちに何を期待していいのか、何が期待できるのかというところをまずお伺いしたいわけです。医師研修制度導入で期待される効果、どんなことがありますでしょうか。
  29. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先ほど大臣が答弁いたしましたように、この十六年の四月から必修化される臨床研修制度では、医師としての人格涵養、プライマリーケアの基本的な診療能力の修得、アルバイトをせずに研修に専念できる環境の整備ということで進めております。  で、臨床研修医にとりましての到達目標というものを二つ掲げておりまして、一つは、患者医師関係、チーム医療に対する理解、問題対応能力の養成、安全管理などの知識を修得というような行動目標、それから二つ目が、様々な患者の症状、病態、疾患に対する知識の修得などの経験目標、この二つの到達目標を掲げ、患者を全人的に診る診療能力が養われるとともに、幅広い診療分野に対して診療能力の向上が図られ、医師の資質の向上につなげていきたいと思っております。  一方、地域に対しての貢献でございますが、このようなプライマリーケアの基本的な診療能力を修得した医師が今後幅広く養成されるということは、地域医療への貢献が期待されるとともに、患者に対する質の高い医療サービスの提供が図られることとなるというように考えております。
  30. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 まあそうだと思いますけれども、研修を二年終わりますと、後どうなるのでしょうか。やっぱり卒後は専門コースにみんな行ってしまうのでしょうか。それとも、今実際には患者さんの多くの方々は、そんな特別な専門科、専門医療を受けなくても一般の、ごく一般的な医療を受ければいいという方がたくさんいらっしゃるわけでして、例えば、病院の中にその診療、プライマリーケア科とかなんとか、そんなことが広がっていくのかどうか、その辺のお見通しもお伺いしたいと思います。
  31. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 現在、研修制度始まる前でございますので、二年後にどうなるかということは予測でございますけれども先生指摘のように、大学病院から一般病院で研修をしたいという方が増えてきたということで、地域医療というものを学んでいただいた後に、確かに今の研修生の希望としてまた元の大学に戻りたいというふうに答える方が多くいるということは承知しておりますけれども、二年間の地域における研修の中で、やはり必要な技術というもの、それから自分の提供すべき医療というものが地域住民のためというふうに考え、より深くまた地域での接点を求めたいという人が増えてくるのではないかというように期待しております。  私ども、二年後にどのような受皿を作るか、今からまた検討会その他で考えさせていただきたいというふうに思っております。
  32. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 私、このお正月にチリの南極の基地に行ったんですね。そうしましたら、そこに、空軍基地なんですけれども、軍人さんが家族や子供たちも連れて来ているわけです。そこに病院がありました。そこの病院医師が二人おりまして、何か聞きましたら、要するにプライマリーフィジシャンですね。簡単な手術ぐらい、虫垂炎くらいは手術できる、それからお産もやったことがある、それから歯科の、歯科医の資格もあるので歯科もやっている。もう本当にプライマリーフィジシャンだなと思って見てきたんですけれども、ああいうこと、へき地だとか特定のところでは正にそういう医師が必要なんで、その基礎的な、今カリキュラムが変わってやってきましたけれども、そういう人たちがこれから出てくる可能性というのはないんでしょうか。
  33. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先ほど申し上げましたが、臨床研修のプログラムの二年間の間に必要な医療はそれぞれ研修することになっております。具体的には、内科、外科、それから麻酔科を含む救急部門、小児科、産婦人科、精神科、そして地域保健・医療というものが必修ということになっております。  したがいまして、先生指摘のような、最初に出会うような医療というものは、この二年間に一通り自分なりに身に付けることができるのではないか、またそのようなものは身に付けてほしいというのが今回の研修プログラムの内容というふうに理解しております。
  34. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 それで、二年終わったら、またそのプライマリーケアの専門医ができてもいいんじゃないかというふうに思うわけですね。今、さっき病診連携なんということを言いましたけれども、実際、診療所日本診療所もみんな専門医が多いわけでして、ここを正にプライマリーフィジシャンが出てきてくだされば相当在宅医療も進むんじゃないかというふうに思いますが、これは希望としてお願いをしておきたいと思います。  それから、いろいろ目標がございまして、すばらしい計画をしていらっしゃるわけですけれども医師というのは医療をするときにやっぱり大きなチームリーダーとして仕事をすることが多いわけですよね。やっぱり医師の診断があって、そしてみんなそれぞれの専門家がスタートして仕事するわけですけれども、そういうチームワーク、中でのリーダーシップを養う、これも非常に重要なことでございまして、そのことを是非教育もしていただきたいと、これはお願いをしておきます。  次に、保健所の医師の資格問題のことでございます。  地方分権改革推進会議、あるいは骨太方針二〇〇三等によりまして、保健所長の医師資格要件の問題についていろいろ指摘されているというふうに思います。厚生労働省におきましても、この十五年度中に結論を得るということで検討会を設け、もう既に会が終了したというふうに伺っております。どんな取りまとめになりましたか、お伺いしたいと思います。
  35. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お答え申し上げます。  保健所の業務についてでございますけれども、昨年来、SARSとかあるいは鳥インフルエンザとか様々な健康危機管理に関する業務が重要となってきているところでございまして、その業務の内容が変化してきております。保健所長につきましては、公衆衛生の専門的な能力に加えまして、緊急時の的確な判断能力というものが求められるようになってきているというふうに考えております。  先生の御指摘の、昨年三月に設置されました保健所長の職務の在り方に関する検討会では、こうした環境の変化も踏まえつつ、地域住民の健康の保持及び増進並びに安全の確保、これを前提としまして、地方の自主性の拡大の観点に立って検討をしまして、今月四日までに十回にわたり議論を行ったところでございまして、現在、報告書の取りまとめ中、取りまとめに向けた作業が行われているところでございます。  検討会の議論は大きく分かれておりまして、大変難しい問題でございますけれども厚生労働省としましては、検討会の報告書を踏まえまして、今後の方針につきまして三月中に結論を出すということで鋭意検討中でございます。
  36. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 どういう結論が出るのかさっぱり分からないんですけれども地域の公衆衛生を専門機関として保健所に期待する役割はだれもみんな大きく持っているわけでございます。しかし、今医師の存在は絶対欠くことはできないんですけれども医師不足で兼任をしているとか、それからまた公衆衛生を専門にする意欲のあるお医者さんが実際のところいなくなっているとか、あるいは所長としての管理能力にちょっと劣る方もいるというような、この現場の声がこの問題を起こしてきていると思います。  それに対応する結論を出さなきゃいけないということでございますので、これ十分検討していただくというか、前向きに検討していただきたいと思うのですけれども、伺うところによりますと、保健所長にならなければますます医師が保健所なんかに行かなくなっちゃうというような議論もされているというふうに伺っておりますけれども、これ逆なんじゃないかと思いますね。経験もなくて、すぐに医者だから保健所長になれるなんということになっていたら、ますますこの公衆衛生なんかに魅力を感じなくなってしまうんでないかと思います。  医師が当然必要なことは十分分かるわけでございますけれども、所長一人で何でもできるというような機関じゃないというふうに思っております。複数の医師配置、あるいは大学だとか専門研究機関との連携を図って、機動的にいい仕事をしていく。新しい、今おっしゃった、何ですか、SARSだとか鳥インフルエンザだとか出てきたにしても、保健所がもうさっと動いているというのは余り聞いていないわけでございまして、本当に私も公衆衛生の分野で働いた者として、今の保健所の姿というのはとても残念に思っていますし、また対人保健サービスがどんどん市町村に流れていくのに当たって、そのバックアップもできないという状況でございます。  国民の衛生水準ももうこれだけ上がってまいりました。もう今や健康増進、予防医学の時代でございます。新しい時代に向かって保健所の果たすべき役割機能、もう一度検討すべきときが来ているんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  37. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは御指摘のとおりですね、私もそう思っております一人でございまして。  この保健所長を医師にするかどうかの話は、役所は難しいことを言うていますけれども、本当はそのまましてほしいということですよ。そう思っているということを、私はそう言ってもいいと思うんですね。私もそう思っております、ここは残してほしいと。そうでなきゃなかなか進まない。診療所医師の果たすべき役割というのは大きいんですが、ここをもう少しやっぱり教育体制もきちっとしないといけないと思うんです。  昨年、SARSが発生いたしまして、そして本当に感染症に対して対応してくれるその機能が果たしてあるかということを思いましたときに、本当に対応できる人、日本の中で数人ぐらいしかいないというふうに専門家に言われまして、私も背筋の寒くなる思いがしたわけでありまして、少なくとも各都道府県に三、四名の、やはり緊急にそういう感染症等が起こったら的確に対応できるような人をやっぱり養成しておかないといけないというふうに思うんです。  それはまさしく保健所の機能と大きく結び付いているわけでありまして、ふだんからそういう人をつくり上げていくということが大事でございまして、そうした意味で、新しい現在の社会に対応できる保健所、そして、そこをリーダーシップを発揮できる医師のあるべき姿、これもう少し掘り下げて、そしてここは充実をしていかなければならないと思っております。
  38. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 大臣も是非医師でというお気持ちはよく分かりますし、まあ役所の方も是非、是非医師でという気持ちはよく分かります。  しかし今、研修制度も変わったりして公衆衛生に、もう研修をして本当にそこに行こうという人が増えてくることを大変願っておりますけれども、今、今本当に困っている地方の声、それは医師でなきゃいけないというんじゃなくて、過渡的にでも、やっぱり経験のある人たちが随分出てきていますので、もう地方自治体の長にお任せするということでもいいんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
  39. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お答え申し上げます。  大変難しい問題でございまして、意見が真っ二つに分かれてなかなか調節が付かずに、報告書も両論併記ということになったものでございます。早急に結論を出すべく努力してまいりたいと思っております。
  40. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 何か結論が出たの、出ないようでございますけれども、是非医師の、医師がもう重要なことはもちろん分かっておりますけれども、やっぱり地域住民の方のためにどうするかということで考えて、適任の方をどう用意できるかという視点から考えていただきたいというふうにお願いをしておきます。  次に、看護師の問題に入りたいと思います。  看護師につきましてはかなり需給計画に基づいていろいろ確保対策が進められていると思いますけれども、今もうベッドも増えなく、全体的には増えなくなってまいりましたし、かつてのような看護婦不足というのはない、看護師不足というのはないのではないかと思いますけれども、どういうふうになっておりますでしょうか。
  41. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 現在の需給見通しということでございますが、看護職員の需給状況については、平成十二年度に、十三年から十七年までの五年計画の看護職員需給見通しを策定して、この十七年末には百三十人前後でおおむね需要と供給が均衡すると見込んでおります。平成十四年末の看護職員の就業者数は百二十三万人。現在のところ需要見込みには達しておりませんが、供給見通しを上回る実績になっておりまして、順調に推移しております。  平成十八年度以降の需給見通しにつきましては、来年度、平成十六年度から当局に検討会を設置いたしまして検討に着手し、十七年中に新たな需給見通しを策定したいというふうに考えております。
  42. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 さっきの医師と同じように、全体的にはまあまあいい線行っているという話でございますけれども、これ、また足りないところというのはありますか。
  43. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは、厚生労働省のいわゆる統計的な数字と現場とは大分隔たりありますね。現場はやっぱり足りない足りないの大合唱なんですね。  ですから、実際問題として、資格をお取りになっている皆さん方が全部きちっと働いていただいているかどうかということもございますし、また最近働いていただく場所も多様化されてまいりましたから、必要なところに必要な人たちがここもまた欠乏しているということもあり得るわけでありまして、恐らくこれから看護師さんもだんだん専門化されてくるんだろうというふうに思いますから、そうしたことも十分に念頭に置きながら今後の養成、これ努めていかないといけないというふうに思っております。
  44. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 需給計画を作りますときの厚生省の考えます指標とそれから実態、実際にはそれは足りないというのとのギャップであろうかと思います。  それで、ある程度全体的に需給の問題が良くなってきたということもあって、准看の問題が大分動いております。准看護師の通信課程の導入が今年から行われるということでございます。准看から看護婦になるためのコースに通信課程が入る。  今の開設状況はどんなふうになっておりますでしょうか。
  45. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) これまでのところ、平成十六年四月の開校に向けて三校の指定がなされたところであります。また、平成十七年度の開校を希望している養成所が九つございまして、これらがすべて指定されれば、平成十七年度には全国で十二校、一学年定員ほぼ三千名に達するのではないかというふうに思っております。
  46. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 これ、准看護婦で十年以上の経験を有している者というふうになるわけですけれども、これで普通の進学コースに行かないでこの通信課程に来そうな人というのは、数の見込みはどんなふうですか。
  47. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生指摘のように、この通信制に入ることのできる方が先生おっしゃいましたように准看護師で十年以上の業務経験ということでございますが、約三十万人というふうに承知しております。
  48. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 三十万人に対して、今年、来年で三千人の枠ができるということでございます。  今年できますのを見ますと、大分、福岡、山口とずっと西の方に寄っているわけですけれども、もう学生募集もしていると思いますが、かなり遠いところの人も、他県からも受験者が多いんじゃないかと思いますけれども、その辺、事情分かりますか。
  49. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 今回、先生指摘のように、大分、山口、福岡、三校で六百五十名の募集があったということですが、現在聞いておりますのは、約千五百人近い応募があるというようには聞いております。  全国のばらつきですが、地元じゃないところからの応募もあるというようにも聞いております。
  50. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この三千人に対して三十万人というと、百年掛かるわけですけれども、二年間でかなりこれ負担の多い教育ですよね。財政的にも、何か聞きますと、八十万くらいは二年間で掛かると。それから、授業の面接の回数、三十五日は学校に行かなきゃいけないとか、それからレポートも、もう毎週レポート出さなきゃいけないような仕組みでありますとか、それから病院の見学実習もしなきゃいけないというようなことで、これは、なかなか進学コースへ行けなかった人たちのための、しかも、かつて余り進学コースなかったときに行けなかった人たちのために開いた特別のコースなんですけれども、なかなかこれ達成するのに難しいような状況になっているんじゃないかというふうに思います。  そこで、私は、他県の、いましばらくわずかの県しかできないわけですから、他県からの、受験するというか通学する、通信課程を受ける学生のために、やはり地方が相当援助をする必要があるんじゃないかと思うんですね。その辺いかがでしょうか。
  51. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 現在、この看護二年課程通信制の教育につきましては、臨床実習あるいは専門分野を含めまして六十二単位、二千百時間以上を修業年限二年で学習していただきたいと思っております。通信制であることから、印刷教材、放送等による授業を行った上で、電子媒体、郵便などを利用して添削指導を行い、学生が自宅で教材を用いて学習することを可能としております。  また、既に大学の既卒者その他でこの免許を持っている方もおられますので、一定程度既に取得した単位を認定する、あるいは放送大学というのがございますので、それの開講科目を教育課程に組み込むなどもできるようにしております。  臨床実習でございますけれども先生指摘のとおりでございまして、通常の実習の仕方とは異なりますので、自宅学習では判断力を高められるよう、専門分野七分野ごとに紙上事例演習を行う、それから、病院の見学実習を二日、面接授業を三日程度を組み合わせ、これを、准看護師として勤務をしているわけですので、勤務をしながら学習することが可能となるような方法を考えたいと思っております。  それで、病院の実習ですけれども、特に見学実習については、看護師等養成所の運営に関する手引において、養成所に対し学生の利便性を考慮し、実習施設を確保するとともに、養成所以外のいわゆるサテライト施設でも面接授業を行うことを可能としております。  そういうことをやる上で、この二年課程通信制の看護師等養成所に対する補助に当たりましては、その特性に合わせて実習施設の確保、それから今言ったサテライト施設での面接授業の実施などの支援ということも含めて現在検討しております。こういう通信制を実施する養成所の要望などを踏まえて、この面接授業を行うサテライト施設の確保、それから学生の利便性を考慮した実習施設の確保など、県外ということになれば関係自治体あるいは団体などに協力を求めるなど、必要な努力があるというふうに認識しております。
  52. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この准看の問題というのは、できた途端にもういろいろと問題になっていた制度でございます。この通信課程というのは、平成八年に厚生労働省がお出しになった准看護婦問題調査検討会の准看護師養成を二十一世紀の初頭にやめると、看護婦教育と、看護師教育と統合しようという方針があって、それに基づいてといいましょうか、それに関連して准看の経験長い人を看護師にしようということでできたコースでございます。  そういう意味では、非常に看護界にとっては大きな転換期の制度でございまして、本来でしたら国がそれこそ今まで看護師、准看護師を作ってきた、大きく作ってきたその責任からもきちんとひとつ通信課程を作って、そして全国に協力をしてもらいながら、早く准看から看護師にしてあげるというようなコースにしてほしかったわけですけれども、結局、こうして今民間にお願いすることになってしまいました。  そこで、今いろいろこれから始まることですのでどういうことになるか分かりませんけれども、やはり全国、全国で期待している成果を出さなきゃいけないと思いますので、例えば研修病院あるいは面接授業、あるいは大学だとか看護学校におきます単位の修得、こういったことについて、今県とか団体とかおっしゃいましたけれども、国も是非、こういうことに協力するという体制を是非作っていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  53. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生指摘のとおり、この制度の、通信制の制度を多くの人が利用できるように、また様々な便宜が図れるように考えたいというふうに思っております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
  54. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 それから、予算関係なんですけれども看護師養成所に何らかの補助金が出ているわけですけれども、この通信課程については特段のものが考えられていないというふうに思います。学生数といっても、絶えず授業をしているわけじゃありませんし、学生数を基本にして補助を考えるのもなかなか難しいんじゃないかと思いますけれども、これはどんなふうに考えておられるでしょうか。
  55. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 従前の看護師等の養成所に、で補助をしておりますような運営費補助ですとか施設整備費の補助などと同じように考えております。
  56. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 是非、実態を見ながら実効のある助成をお願いしたいというふうに思います。  それから次に、文部科学省お願いしたいんですけれども文部科学省でも准看護婦・士の養成を高等学校の衛生看護科でしていたわけですけれども、十四年から、これを一貫教育、五年の一貫教育で看護師を養成する制度に随分改まってまいりました。この状況、進捗状況を是非教えていただきたいと思います。
  57. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  高等学校とその専攻科におきましては、これは先生御案内のとおりでございますが、平成十一年に制度改正を行いまして、三年間の高等学校に二年間の専攻科を合わせました五年間一貫した看護師養成課程の導入を平成十四年度から可能にしたところでございまして、現在全国で六十五校の学校が看護師養成五年一貫課程を導入しているところでございます。  私どもは、この看護師養成五年一貫課程の導入に的確に対応するために、設置者に対する指導、助言でありますとか、あるいは新しく指定をされました学校の施設設備の整備状況でありますとか教員の配置状況を把握することを目的といたしまして実地調査ども現在行っているところでございます。  今後とも、看護師養成の重要性にかんがみまして、看護教育の充実に私ども努力をしてまいりたいと考えております。
  58. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 こうして准看の課程から看護師の課程に増えたということは大変よろしいことなんですけれども一つの問題は、これが高等学校の延長であるということで卒業生が大学に編入できない、この道が閉ざされていることでございます。看護師の養成ですと、看護師養成所から大学への編入が認められるようになっているわけですけれども看護師、衛生看護科の専攻科を出た人たち大学に編入できないで、また大学の一年生から入らなきゃいけないというのはちょっと不合理ではないかと思いますが、この道を何とか開いていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
  59. 稲葉大和

    ○副大臣稲葉大和君) ただいま先生が御指摘されましたように、高等学校の専攻科の制度ができたわけでありますが、そもそもこの高等学校の専攻科を作ったねらいというのは、看護師の国家試験を早く受験できるように、そういう目的を持って作られた制度であるわけです。他方、専修学校におきましては、やはりその授業の内容等からしましても、短期大学を卒業するに足りる授業内容を持ったものでもあるわけであります。  そもそも、制度的にいいますと、そういった若干の体質の違いというものがありますが、しかしいろんな社会の要請からかんがみまして、私たちも、できるだけ早くに、高等学校専攻科を卒業された方々に対しまして大学に編入できるようなそういうことを検討してまいりたい、そう思っております。  ただ、看護科、看護の専攻科がありますと同時に、あるいは農業、商業、工業、水産、こういった方面におきましても専攻科が存在するわけでありまして、そういった方々との関連も踏まえて、いろいろな制度改正、そしてその障害を一日も早く取り除くことによって大学に編入できるような形で、私たちも、十九年の三月には卒業生が輩出されるわけですから、そこに向けてしっかり検討してまいりたい、かように思っております。
  60. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 大変前向きの御答弁、ありがとうございました。是非、卒業生が出る前に結論を出していただきたい、前向きの結論を出していただきたいというふうに思います。  次に、外務大臣、お待たせ申し上げました。FTA交渉におきます人の移動のお話でございます。  シンガポールに続いてメキシコのFTA交渉も成立いたしまして、本当に御苦労さまでございました。次は労働移動等を含めたアジアの国々との交渉になると思いますけれども、今FTA交渉におきます人の移動に関する交渉状況、ちょっと教えていただきたいと思います。
  61. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) FTAの関係でございますけれども、これはフィリピンあるいはタイといったような国で交渉の開始前に作業部会というのを開いて議論をいたしております。そういった中では、看護師やあるいは介護士について、これを日本が受け入れるということについて強い関心を示した国もございます。  ただ、今我が国とこれはアジアの国、タイ、フィリピン、マレーシア、そして韓国、四つと交渉をいたしておりますけれども、今の段階で、この交渉の中では人の移動を含めまして具体的な要求が出ているということではないということでございます。
  62. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 作業部会の中でこういう話が出ているということでございますけれども、早晩これは問題になってくるだろうというふうに思います。  そこで、厚生労働省厚生労働大臣に、日本政府の基本的な意思、看護師あるいは介護といったような人たちの、日本は導入する側になるわけですけれども、その基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  63. 坂口力

    国務大臣坂口力君) タイなどにおきましては、看護師それからマッサージ師といったような人たちを是非日本で採用してほしいということを申しております。現在は、日本日本の資格をお取りをいただければそれは従事していただいて結構というふうに言っているわけでございますが、日本における資格はなしにして何とかならないかというような御要望があるわけでございまして、それは今お断りを申し上げているところでございます。  特に、介護の問題等につきましては、日本も現在スタートさせたところでございますし、そして看護師の養成というものもスタートさせまして、いろいろと勉強もしていただき、そして制度もここでようやく確立をしたところでございますので、何もなしにやはり日本でというわけにもなかなかそれはいかないというふうに今思っております。  どういう方法があるかということを現在検討させていただいておるところでございますが、しばらくは、こうした日本の中におきます、言葉の問題もございますし、他の方々とのこれはチームも組んでやっていただかなきゃならないわけでございますしいたしますから、そうしたことを一体どう乗り越えていただけるのかどうかといったことと併せて検討させていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  64. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 資格制度があるところについてはその資格をというお話でございます。確かに、日本の場合には日本語の習得というのは非常にやっぱり一つの大きな弊害になろうかと思います。  既に、政府の方では経済社会の活性化あるいは国際化を進めるために専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れを推進するという方向が決まっているようでございますけれども看護の分野でも、かなり日本大学看護大学がないときにはかなりアメリカに渡って、そしてそこで大学に行きながらアルバイトをしながら勉強してきた人たちがたくさんいるんですね。そういう人たちはみんな帰ってきて日本のリーダーになっています。  そういう、日本は幸いこんなに大学もできましたから、そういう地位をやはり東南アジアの方々にもお与えすることも非常に大事なことだと思いますし、オープンにするのはやぶさかじゃないわけでございますけれども、しかし、一般に労働するということになりますと、やっぱり言葉の問題があります。また、御承知のように、今医療の過誤の問題がたくさんあるわけですけれども、冷やり、いわゆる冷やりとしたりはっとしたりするようなヒヤリ・ハット事例を調べますと、その多くがやっぱり看護師が起こしている事例、しかもいろんなコミュニケーションが悪くて起きた事例が非常に多いわけでございます。  やっぱり言葉の問題というのはどうしても避けられない問題だと思いますので、十分慎重にやっていただきたいというふうに思うわけでございます。  もう一点、外務大臣にお伺いしたいのは、今恐らくFTA交渉を進めるに当たりまして、事案ごとに進めるか進めないかの判断をするときに、その判断基準みたいなものをきっとお作りになるんじゃないかなというふうに思うのですけれども、そのときに、例えば今、東南アジアの国々日本がかなりODAのお金を使って協力しております保健・医療分野、あるいは看護師医師といったような分野でも相当な協力をしてきているわけでございます。  本来、教育でありますとか治安の問題でありますとか食料の問題でありますとかこういった健康の問題というのは、それぞれの国がその国の国民のためにしっかりと基礎的なものを準備する必要があるはずでございますけれども、なかなかできないような事情があるわけでございます。  そういう中で、日本がODAを使っていろいろやっているところから、しかもこっちへ来てもらうのはかなり優秀な人を来てもらうようになると思いますので、そういうせっかく教育を受けた人を先進国が取ってしまう、取ってしまうというのも、やはりこれいろいろ問題があろうかと思うのですね。  そういう意味では、ODAの協力しているようなところについての配慮というものを是非この基準の中に加えていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  65. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 東南アジアとの関係で、ODAについては、おっしゃるように、人材の養成ということを日本としてはかなりやっているわけでございます。それで、特にHIV、エイズの問題を中心としてとか、あるいは社会的な支援一般の中で教育分野についての支援とか、そういうことも行っております。  そうやって人材育成をしたその人材というのは、基本的にその国が社会基盤あるいは経済基盤のベースになるようなそういう配慮を持って、考え方を持ってやっているわけでございますけれども、EPAあるいは経済の自由化、活性化という観点から言いますと、やはり基本的な考え方としてあるのが、相互に経済を刺激し合ってお互いに競争力を高め合うというところにその意味があるんだろうというふうに思います。それで、その国がもしある分野で、これは繊維産業でも何でもいいんですけれども、競争力があるというようなことであれば、経済の中でその分野は大きくなっていく、またそこに多くの優秀な人材が集まっていくと、そういうような、巡り巡ってそういうことになるんだろうと思います。  ですから、EPAあるいはFTAとの関係では、そういう意味で、もし看護師あるいは介護士といった分野がその国にとって経済的に比較優位があるということであれば、恐らく日本の育てた人材、あるいはそれが更に次の世代を育てという形でその国で好循環をしていくことにもつながっていくという側面もあるというふうに思います。  いずれにしても、今、東南アジアにおいて人材の育成というのはODAをやる上で非常に重要な観点でございまして、我が国としてもいろいろな支援をしていく中で人材の育成についても配慮をしていきたいと思っております。
  66. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 おっしゃるとおりに、途上国の人材育成に日本が力を入れなきゃいけないのは十分必要でございますけれども、そこで、そこの国でも足りない人たちを連れてきてしまうことについての問題点を申し上げたわけでございまして、是非御考慮いただきたいと思います。  それから、もう最後、時間が、私の持ち時間なくなりましたので、一点、次世代育成支援の問題でございます。  また、総務省の発表によれば出生児数が百十三万九千人、もう戦後最低を記録したということでございます。随分長いこと少子化対策をやってまいりましたけれども、なかなか成果が上がっていかない。そういう中で、子供の数は減る、一方、非常に子供、生まれる子供の平均体重が減ってきているという問題がございます。また、未熟児が大変増えちゃっているということでございまして、約、生まれる子供の九%は未熟児になっていると。二千五百以下ですね。しかも、もう千以下の極小未熟児も生まれていると。見ますと、三百グラムでも育っている、こういうふうになってきているって、これは一体何が原因かと。  いろんな原因があると思いますけれども一つには、やっぱり生殖補助医療の発達、医学の発達だと思いますけれども、そういうものがあるんじゃないかということで、あるいは女性側の問題もあろうと思います。晩婚化による高齢出産あるいは薬物依存の問題もありましょうし、若い人たちの性病罹患だとか、人工妊娠中絶をしたり、あるいは若い女性たちが極端にやせる、スリムになるというようなことで母体を作っていかない、母体としての適格性を欠くような人たちが親になっているということもあろうかと思います。  少子社会の中で、確かに小児医学が乳児死亡率ゼロにするということで一生懸命努力してきたのは分かりますけれども日本のこれからの将来を考えますと、やはり本当にこのままでいいのか、本当に適格な健全な子供を作るためにもう少し子供の、小さい、特に未熟児、超未熟児なんというのを作らないような政策をもっと進めるべきじゃないかというふうに思っているんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  67. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) お尋ねの低出生体重児の問題でございますが、先生今御指摘のありましたように、通常言われております原因といたしましては四点指摘されておるところでございます。  一つは出産年齢の上昇、それから周産期医療の向上、それから先ほど御指摘のありましたような不妊治療の普及、それから若い世代の妊娠中の体重管理というようなことが総合的にいろいろ要因になっているのではないかというふうに言われております。  どういった対策を講じていくかということでございますが、出産年齢の上昇につきましては、こういったことが低出生体重児の可能性が高くなるといったようなことについて、広く、正しい妊娠に関する情報を普及をしていくと、こういったことが重要かと思いますし、それから、周産期医療の向上に伴いまして未熟児が発生するといったことにつきましては、そういった事態に迅速あるいは的確に対応できる医療体制を整備していくということが必要かなと思っております。  それから、不妊治療の普及によります多胎妊娠ということにつきましては、これは、日本産科婦人科学会が既に原則として移植する胚の数を三個以内に抑えるというようなことを自己規制でやっておりますし、それから、排卵誘発剤もできるだけ、可能な限り使わないようにするといったようなことで自主規制をしておりまして、これがこの数年を見ますと一定の成果を上げてきておるというふうに認識をしております。  それから、若い世代の妊娠中のやせ過ぎといいますか、体重管理といった問題につきましては、十六年度の研究課題としても私ども取り組んでいきたいと思いますし、そういった成果を踏まえて、必要な広報・普及活動に努めてまいりたいというふうに思っております。
  68. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。  それでは、森田先生に次の関連質問をお願いします。
  69. 尾辻秀久

    ○理事(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。森田次夫君。
  70. 森田次夫

    ○森田次夫君 私、最初に、自由民主党の森田でございます。清水委員の関連質問をさせていただきたいと思います。──見えられましたですね。  私、最初に、イラクへの自衛隊派遣につきまして幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  イラクへの自衛隊の派遣につきましては、私はもちろん賛成でございます。しかしながら、どうしても、やっぱりもろ手を挙げて賛成すると、こういうことまでは何となくちょっと引っ掛かるわけでございます。  と申しますのは、空港等に小さいお子さんを抱えられた若いお母さんが見送りに来られております。万一、万々一ということでございますけれども、この子のお父さんが正に何かあったときにはどうなるんだろうかなと、ついついそんなことも考えてしまうわけでございます。  私、終戦が小学校の二年生でございましたものですから、やはり何となく出征兵士を送るあの姿というのは少しは記憶があるわけなんですね。日の丸の小旗を振って、万歳万歳といって送られていったわけでございますけれども、どうしてもその辺ともダブってしまうわけでございます。  だからといって、この日本は大国になりました、金だけ出して汗をかかないと、こういうことであれば、正に国際社会から孤立をしてしまいまして、国益を損なうわけでございます。あの湾岸戦争のこの二の舞だけは絶対してはいかぬというふうに思うわけでございます。今はただ、自衛隊の皆さんが立派に任務を果たされまして、そしてお元気で帰国されることを願っておるわけでございます。  そこで、お伺いを防衛庁長官にいたしたいと思うんですけれども、一昨日も第二次の隊が出発をいたしましたけれども、今もって治安の方は決して安定しているとは言えないと思うんですけれども、そういったところに自衛隊を派遣する、こういうことでもって、長官としても正に私は苦渋の選択であったんじゃないかな、こんなにも思うわけでございますけれども、御家族あるいは派遣された自衛隊、それらの方々にどのような思いを持っておられるか、今の御心境をお伺いをさせていただきたいと思います。
  71. 尾辻秀久

    ○理事(尾辻秀久君) 川口大臣は退席されて結構であります。
  72. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お答えを申し上げます。  結局、先生先ほど出征兵士のお話をなさいました。今回は戦争に行くのではなくて、本当に困っているイラク人にどのようにして温かい手を差し伸べるのかということであります。ですから、出征を見送るときの日本人の心境とは違うのだということは十分認識をしつつも、圧倒的多くのイラク人が自衛隊を歓迎し、そして助けを待ち望み、それが一つ一つ実を結びつつあるとはいえ、先生指摘のように、であらばこそ、であらばこそ自衛隊を攻撃をするのだというイラク民衆の敵でもある勢力が存在をしているということは事実である、そしてそれが、サマワは比較的治安の良好な地ではありますけれども、全く危険性がゼロというわけではない、御指摘のとおりであります。  私は小牧におきましてもあるいは旭川におきましてもその壮行会に行ってまいりました。まさしく生まれたばっかりの赤ちゃんを抱いて記念写真を私と一緒に撮ってくれる隊員もおりました。御家族は決して、不安、ではないと思っています。でも、でも笑顔で送り出すんだという気持ちが御家族の中にもあったということは本当に有り難いことだと思っています。心中はどんなに不安であっても、どんなにいろんな思いがあっても笑顔で送り出さなきゃいけない、その御家族の思いをきちんと我々は受け止めなければいけないんだと思っています。  したがいまして、御家族に対するケアというもの、随分時代は進みまして、テレビ電話なぞというもので会話ができるようになった。昔はもう何週間あるいは何か月も掛けてようやっと手紙が来るようなことであったのが、今はテレビ電話で画像も見える。この子こんなに大きくなったよみたいな、そういう画像も見える。もちろん、音声電話は当然のことでございます。  そういうような形で、できるだけ御家族の御不安というものを解消をするように、そしてイラクに行っておる自衛官たちが御家族の元気な姿が見られるように、そのようなことで、可能な限りのことをやってまいりたいと思いますが、いつも先生方から御指導いただきますように、同時に、国民の皆さん方が隊員に対して、そしてどんなに不安があっても笑顔で送り出した家族の皆さん方に対して、御苦労さんというお気持ちを持っていただく、そのことも併せて私どもお願いをし、努力をしていかねばならないと思っておるところでございます。
  73. 森田次夫

    ○森田次夫君 テレビ電話のことにつきましてはまた後ほどお伺いをさせていただきたいと思います。  イラクでの任務というのは、正に過酷な環境で自衛隊の皆さんも厳しい任務を遂行しておられるわけでございます。そこで、一つは自衛官の現地での生活の現況ですね、この辺はどうなっておられるんだろうと。それから、健康管理でございますね、これはどうしておられるんだろうと。それから、今長官もおっしゃられましたけれども、残された御家族ですね、この支援はどうなっているんだと、こういったことにつきましてこれからお伺いをさせていただきたいな、こんなに思っておるわけでございます。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  そこで、困難な任務を承知で任務遂行に頑張っておられる自衛隊の皆さんに対しまして、派遣先で不便を来さないようにすると、こういうことが一つは大事だろうと思いますし、そして安心して職務に専念できるようにすること、この二つは極めて私は重要だなというふうに思っております。  そのために、厚生福利の施設面、こういったところに十分配慮をしていただきたいな、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点につきまして防衛庁としてどのような施策を取っておられるのか、お伺いをいたします。
  74. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 福利厚生についてお尋ねがございました。  御指摘のように、極めて過酷な環境であります。今は北海道の部隊を出しておりますので、マイナス二十度のようなところから参りました。この季節でもサマワは一番温度が高ければ四十度に達しておりますので、差引きで六十度の温度差の中で今やっておるわけでございます。もちろん極めて厳しい緊張の中にあります。町に出てお買物なんというのは当然できるお話でもございません。お酒ももちろん飲んではいけません。そういう中で、まだ立ち上げの段階でございますから、お休みというものをきちんきちんと取るというわけにもいかない。テレビで映る隊員は頑張っていますとにこにこしておりますけれども、実際は極めて過酷な環境の中で厳しい緊張を強いられて活動しておるというのが実態であるというふうに私は考えております。  その中でできる精一杯の福利厚生とはどういうものであろうかといえば、それはやはり気分を転換させ、そしてまたリフレッシュをするということであろうと思っております。現在、宿営地建設中でありますけれども、完全にできました段階で、今も順次整備中でございますが、トレーニングジムというものを作りたい。そしてまた、リラクゼーションルーム、何かこう英語で言うと何だかよく分かりませんが、要は本当にいやしの空間のようなものを作る、あるいは売店というものも完備をいたしまして、現在、共済組合が運営しております仮店舗を開いておりまして、いろいろなお買物ができるようにするということを考えております。  また、先ほどもお話をいたしましたけれども、いろんなコミュニケーション、日本とのコミュニケーション手段というものも考えておるところでございます。  来月四月には小規模な厚生施設が利用できるようになるというふうに考えておりまして、最終的には、繰り返しになりますが、今申し上げましたような、日本国内におけるのと同じというわけにはいかない、しかしある意味で日本国内よりも充実させたものをその場に備えるというような、そういうマインドを持っていかなければいけないというふうに考えておりまして、福利厚生施設の充実向上には最大限配意をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  75. 森田次夫

    ○森田次夫君 イラクの人々と友好関係を保つために、現地の文化であるとか習俗であるとか、そういったことを事前に勉強されて、そして派遣されたと、こういうふうに聞いておるわけでございますけれども、隊員に対しましてどのような御指導をされておられるのか、その辺ちょっとお聞かせください。
  76. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まさしく、日本と全く違う文化、違う宗教、違う風俗の下で暮らすわけであります。そこでずっと心掛けてまいりましたのは、向こうの文化や、あるいは宗教や、あるいは風習に対して尊敬の念をお持ちなさいということであります。そのイスラム教の文化というものに尊敬の念を持ち、理解をするということでございます。  それはもう口で言ったって仕方がないのでありまして、個々具体的に、例えばどのようなものであろうかということについてハンドブックを作りまして、いろんな学者の方々の御意見も承りまして、例えばこれ、私は意外に思ったんですが、出された食べ物というのは全部食べちゃいけませんということなんだそうです。日本であれば、全部食べたのがおいしかったよというあかしになるわけですが、向こうで言うと、全部食べちゃうと料理は足りなかったんだという不満の意の表明になるんだそうでありまして、なるほど聞いてみなきゃ分からぬものだという話でございますが、そのようなことに至りますまで、向こうの生活あるいは風習等々、とにかく失礼のないようにということであります。  そして、アラビア語というのはとにかく難しい言語でありまして、そう簡単に習得不可能なものでございますけれども、基本的なあいさつぐらいはアラビア語でできる、日本語でこんにちはと言うんじゃなくてアラビア語でこんにちはとこう、でも私、ごめんなさい、しゃべれませんが、そういうような形で、どうやってコミュニケーションを図るかということ。そしてまた、女性に対する敬意の払い方、女性に対する接し方、そのようなことを、それはもうすべて完璧にマスターをするわけにはまいりませんが、とにもかくにも敬意を払い、失礼のない、日本人は本当にイラク人を大切にしているんだ、文化を尊敬しているんだということが分かっていただけるように、派遣をいたしますまでに、万全とは申しませんが、できる限りのことをし、これからもしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  77. 森田次夫

    ○森田次夫君 料理が余るだけ出すんだという、中国なんかもそういうことだろうかなというふうに思うわけでございますけれども。  今、先ほどですか、隊員の休日ですね、これ決まってないということでございましたけれども、休日も不規則だ、それから外出ももちろん危険だろうし、それから当然娯楽施設なんというものもないだろう、そしてまたアルコールも駄目だと、こういうことになってくると、休日が正に、ちょっと長官もおっしゃられましたけれども、施設の中で過ごすしかないのかな、こんなにも思うわけでございますけれども、そうしますと、隊員の皆さんはすごくストレスがたまってしまうんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  そういったことは任務にも当然影響をするわけでございますので、隊員に対するメンタルケアですね、これはどういうふうなことを行っておるのか、お聞かせをください。
  78. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) メンタルケアにつきましては、こういうところへ派遣をいたしますのが何せ初めてなものでございますから、今考えられる限りのことを行っておるということでございます。  一つは、カウンセリング教育というのを今回のことに限らず平素からやっておるわけでございますが、そのカウンセリングの教育を受けたカウンセラーという者、それを派遣をいたしておるわけでございます、これは隊員でございますが。で、個々の隊員の不安とか悩みとか、そういうものにきちんと対応できるようにしたいということであります。  あるいはPTSDと、こう、外傷後ストレス障害、これは第一次世界大戦後に確認された、そういう症状でございますが、そういうものに対してもきちんとした対応ができますように、派遣をしております医官にはそのような対応ができるような能力というものを備えて派遣をいたしておるわけでございます。また、予防的措置として、いろいろな精神的ケアを事前に行う、そういうようなこともやらせていただいておるわけでございます。  もう一つは、先生、今お休みが取れないというふうに御指摘をいただきました。今、何しろ立ち上げの時期でございますので、決まってお休みが取れるということにはございませんが、状況が安定をすれば、やはりきちんとしたお休みは取らせてあげたい。  もう一つは、やはりまだこれは確定的なことは申し上げられませんが、そのような緊張状態がそんなにいつまでも続くものではございません。どのような形でローテーションを組むかということも、そのようなことを勘案しながらやってまいりたいと思っておるところであります。
  79. 森田次夫

    ○森田次夫君 安んじて職務に専念するためには福利厚生あるいはメンタルケアだけではなく、常にやはり国内の御家族と連絡を取り合えるような体制、このことが極めて重要かなというふうに思うわけでございますけれども、もう先ほど既にテレビ電話等のお話もございましたけれども、こういったことについてどのように考えておられますか。
  80. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、最終的にはこのようにしたいと思っております。  陸上自衛隊におきましては、衛星携帯電話を二十台貸与する。で、一週間のうちお一人五分二回、というのは十分ということでございますが、これは別に一分ずつ十回やったってよろしいわけでございますが、衛星携帯電話を貸与する。それから、インマルサットを使いましたテレビ電話を四台設けたい。これは一週間にお一人様十分ということであります。また、公衆電話七台を設置をしたい。うち一台はクウェートでございます。あるいは、これは、あるいは、失礼しました、あるいはは取り消します。これはクレジットカードを使いました電話機でございます。今申し上げましたのが陸上自衛隊でございます。航空自衛隊は、一週間で一日十分三回というような形になろうというふうに聞いております。  あとは、最近のことでございますので電子メール通信ということでございますが、これ陸上自衛隊、航空自衛隊両方とも電子メール通信というものが行えるように、現在各隊員にメールアドレスを付与いたしまして、陸上自衛隊におきましてはITルームにパソコン四台を設置をして、そういうようなことができるようにしたい。そしてまた、航空自衛隊は業務用パソコンを使いまして電子メール通信を行っておると、こういうことでございます。  電子メールあるいは衛星携帯電話あるいはテレビ電話、そういう形で日本における御家族あるいは関係者の方々とそういうような会話ができる、あるいは絵が送れる、そういうような形を作りたいと、このように思い、今実施を進めておるところであります。
  81. 森田次夫

    ○森田次夫君 大変細かいことですから長官じゃなくて参考人で結構でございますけれども、そのテレビ電話ですけれども、現地ではそういうことはあると思うんですけれども、そんなら日本の隊員の皆さんがテレビ電話を持っているかといったら、恐らくは持っていないだろうと思うんですけれども、その辺は日本の場合はどういうような対応の仕方をされておられるんですか。
  82. 小林誠一

    政府参考人小林誠一君) お答えいたします。  今、テレビ電話の件でございますけれども大臣からお答えいたしましたのはイラクに派遣されている部隊の方でございまして、それでは、今正に先生お話ししましたように、隊員の御家族が自分のうちでできるかと、こういうわけではございませんで、部隊の方といたしますと、これは陸上自衛隊でございますけれども、国内のそれぞれの駐屯地等に設けまして、そのテレビ電話が使える場所というのを作りまして、そこで部隊と、現地派遣部隊とテレビ電話が使えると。したがいまして、御家族にはその近傍の部隊に行っていただいて派遣部隊のお父さんたちと交信をしていただくと、こういうことでございます。  以上でございます。
  83. 森田次夫

    ○森田次夫君 声ばかりではなく顔まで見られる、こういうことでもってお互いに安心されるんではないかと思いますので、是非とも進めていただきたいというふうに思います。  そこで、一家の大黒柱でございますいわゆる自衛官を長期間、が長期間家を空けるわけですね、留守にするわけでございます。そうしたことで、御家族のやはり不安というのは相当のものがあるんではないかなというふうに思います。そうした御家族の不安を払拭する、それが一つはテレビ電話という、あるいは電話だということでございましょうけれども、そのほかにどの支援を考えられているか、またやっておられるのか、そういったことにつきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
  84. 小林誠一

    政府参考人小林誠一君) お答えいたします。  留守家族の支援体制ということで、これは各、陸の場合でございますけれども、陸も空も同様でございますけれども、留守家族支援センターというものを派遣部隊あるいは幕僚監部に設けさせていただいているところでございます。  また、その留守家族支援センターにおきまして、当然のことながら、いろいろ留守家族の皆様の急病とかそういったものに対する支援とか医療の相談とか、あるいはその他いろいろな各種御相談をお父さんに代わって御家族の御不安がないようにする。特に、今回は北部方面隊が出ておりますので、例えば今の時期でございますと、まあ降雪といいますか、雪で、雪下ろしとか、そういったことにもこの留守家族支援の者が当たると。できるだけその御家族に対しても、対しましても、一人、一家族に対して一人の隊員という形で指定させていただいて、御家族とのコミュニケーションが緊密に取れるような体制、こういうことを取っておるところでございます。  以上でございます。
  85. 森田次夫

    ○森田次夫君 まあ、正に一対一で支援をされておられる、いろいろと今お聞かせいただきまして安心したわけでございますけれども、今後もできるだけの支援をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それとこれ、イラクと直接関係は、限ったことではございませんけれども、よく聞く話に、自衛隊が造る施設というものは非常に早いと、しかしその壊れるのも早いんだ、こういうようなことをよく聞くわけでございます。例えばPKO等で道路等を造ると、造るのは本当に早い、その代わりまた、凸凹になるのも早いし、もう三年もすると陥没するところがある、こういうようなことを言われている専門家がおられますけれども、まあこれは一面では私は当然かなというふうに思うわけです。まあ自衛隊ですから、移動して、そしてそのためには道路を造って、そして車なら車を通して、通してしまえばもうそれでもって任務は終了と、こういうことになるわけですから、これは当然といえば当然なんでしょうけれども、せっかく造ってあげたはいいは、一年もしたら凸凹になった、何だということになったら、これはまあ余りよろしくないんじゃないかなというふうに思うわけで、そういったことがないように十分その任務を遂行していただきたいと、このように思うわけでございますが、何か御意見等あれば。
  86. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) また、ゼネコンではございませんのでみたいなお答えになってしまいますが、まさしく先生指摘のように、自衛隊というのはそういうものであります。また、あるいは先生方、いろいろな地域におきまして私どもが道路工事でありますとかグラウンドの用地の造成でありますとかやっておるのをごらんになると思いますが、あれはまた別のものでございまして、あれは自衛隊法百条でやっておるものでございますが、これはきちんとしたものをやるわけであります。  自衛隊のやっていることがいい加減だというお話ではございませんで、まさしくPKOで与えられておりますものは、PKO自体国連の仕事でございますので、これは国際連合が、この道路はこのように直す、この橋はこのように直す、それ以外のことをやってはいかぬわけでございます。日本独自でやっておるわけではなくて国連のオペレーションとしてやっておるわけでございますから、日本がやったところはえれえ立派な道である、ほかの国がやったところはてんで駄目であるというような話になるとこれはかえっておかしなお話になってしまうわけでありまして、これは手抜きをしておるわけでも何でもなく、国連の仕事はとにかくそのときに応急的にできるようにということを任務といたしておるわけでございます。  言葉を言い換えますと、派遣先国の社会基盤整備を本来の任務としておるわけではございません。したがいまして、道路でも簡易舗装というような形でやっておるようなことでございまして、完全なものを求められておるわけではございませんが、その制約の中で私ども誠実な仕事をさせていただいておるわけでございます。  先般、シャルマが国連安保理で演説をいたしました。その中において、東ティモールでやっております自衛隊の仕事でございますが、自衛隊の施設部隊が東ティモールの道路網の主要幹線を維持するために行っている非常に有意義かつ不可欠な職務に関し安保理の注意を喚起をしたい、この職務に対する継続的な国際支援がなければポストUNMISETの治安状況に対し迅速に対応する能力が国じゅうにおいて急速に低下をするであろうということであります。この部門における継続的支援及び能力の向上が日本の自衛隊施設部隊が行った優れた所期の成果の拡大のために不可欠であると、このように述べております。  先般、グスマン大統領も参りまして、自衛隊がやってきてくれたおかげで本当にいろんな基盤が整いつつある、言葉はそのまま正確ではありませんが、感謝をしておるというお話がございました。  いずれにいたしましても、私ども、与えられた任務の中で誠心誠意やってまいりたいと考えております。  なお、イラクの場合には、これはPKOという活動ではございませんので、これはまた別の考え方があろうかと思います。冒頭へ戻りますが、私ども、そんなにすごい能力を持っているわけではございません。高速道路ばんと造ってみせろと言われたら、そんな能力は全然ないわけでございまして、この辺りは外務省とよく協議をさせていただきながら、何がイラク国民のために日本としてできることなのか、その中で自衛隊ができることは何なのか、与えられた任務を誠実に果たしてまいるべく努力をしてまいりたいと考えております。
  87. 森田次夫

    ○森田次夫君 どうもありがとうございました。  それでは、文部、次に文部科学省についてお伺いをさせていただきます。  昨年の秋ですね、日本青少年研究所、これは民間の機関、団体でございますが、日本アメリカ、中国、韓国の高校生を対象にした調査でございますけれども、いわゆる男は男らしくすべきである、女は女らしくすべきである、こういう調査をしているわけでございますけれども、そのように考えておるという比率日本の高校生は際立って低かったと、こういう調査結果が出ておるわけでございます。  かつて我が国でも、女房といいますか、妻は三歩下がって亭主の影を踏まずとか、そういうようなことでの男尊女卑の風習等もあったわけでございますけれども、やはり民族だとか国だとか時代によりましてそれは異なるだろうと思うんですが、他の三国と余り比べて特異な結果でございまして、例えば男は男らしくということで、中国の男子高校生は八三%がすべきだというふうになっているのに対しまして、日本の場合には、男の、男性の高校生は四九・二%。それから、女は女らしくすべきであるというので、日本の女子高校生は二二・五%でございます。中国の場合には六八%。正に際立って低いわけでございますし、大変驚いているわけでございますけれども、この調査結果についてどのようにお考えか、思っておられるかお聞かせください。
  88. 稲葉大和

    ○副大臣稲葉大和君) ただいま森田先生が御指摘されましたことにつきまして、私もいささか感ずるところあるんですが、これを個人的に申し上げてよろしいのやら、また答弁として申し上げればよろしいのやら、今悩みながらこの席に立っているところであります。  それぞれ、それこそ先生がおっしゃられるように、その国の時代背景、あるいはそれぞれの思想によって言葉の意味合いが変遷してまいります、違ってまいります。私自身も、父から言われたこと、時には、常に男らしくしろと、そういうようにしつけられてきた少年時代があるわけで、そのときには、男は女性をかばうべしと、そしてひきょうなことはしてはならぬと、こういうふうに言われてきたわけでありますが、その男らしさ、女らしさが一体どういう中身を持ってくるのか、それによってこの教育の仕方あるいは高校生のアンケートの答え方も異なってくるものと思っております。  ただ、しかしながら、その言葉につきましては、どの時代においてもある程度普遍性を持った中身というものが当然備わっていると思います。そういう点につきましては、正に先生が求められておられる男らしさ、女らしさということを存続させたいと思いますし、かといって、じゃ今までにありましたように、男女の差、そして男尊女卑というその社会が良かったかということになれば、決してイエスという答えは出てこない。これはだれしもがお感じになっているところだと思っております。  こういう意味合いにおいて私たちは、男女共同参画社会基本法にも求められている男の人と女の人が、常にどの場面においてもその個人的な性の差を排除した形で、その個人個人の能力に応じてひとしく同じ条件の下に社会に参画できるように、これからも学校教育の場で指導してまいりたいと、このように考えているところであります。
  89. 森田次夫

    ○森田次夫君 御答弁の中で、どこまで答えたらいいか悩んでおるということもありましたけれども、その辺をお聞かせいただきたいと思うんですけれども、我が国もジェンダーフリー思想がここまで来たかということで、実は私としては唖然としておるわけでございます。  教育の場で男らしさ、女らしさの観念を、今もちょっとお話があったような気がするんですが、否定するためのチェックリストを作って、性別にとらわれた答えはすると減点するんだ、こういうふうな啓発用の冊子があるというふうに聞いておるわけでございます。これは事実でございますか。
  90. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  私ども、個別の学校におきます補助教材の使用状況につきまして逐一詳細は把握はしていないのでありますが、御指摘の男らしさ、女らしさに関するチェックリストの作成について、報道等でそういうものがなされているということについては承知をしているわけでございますが、いずれにいたしましても、学校教育におきましては、児童生徒の発達段階を踏まえながら、男女の平等や相互、男女相互の理解と協力などについて指導する必要があり、教材の内容が画一的に男性と女性の違いを一切排除するかのようなものであれば、それは適切ではないと考えておるわけでございます。  文部科学省といたしましては、学校におきまして、男女が相互に理解を深め、互いに協力し、尊敬し合うことができるような指導が行われるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  91. 森田次夫

    ○森田次夫君 それは事実だという御答弁でございますけれども、どの程度の学校でそういった冊子を使っているか、文科省として把握をされておられますか。
  92. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 先ほど申し上げましたように、個々の学校におきます補助教材の使用状況について、逐一詳細は把握をしていないところでございます。
  93. 森田次夫

    ○森田次夫君 割合ですね、大体何%とか〇・何%とか、そういう割合も把握してございませんでしょうか。
  94. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 先ほど来申し上げておりますように、具体の状況を把握をしていないわけでございますが、まずは、各学校におきます教育活動の具体の内容については、学校の設置者である教育委員会において把握をし、適切に指導をしていただくことが肝要であろうかと思っておるわけでございまして、私どもといたしましては、各教育委員会に対しまして、政府の男女共同参画社会に向けての基本的な考え方の趣旨を徹底してまいりたいと考えております。
  95. 森田次夫

    ○森田次夫君 男女混合名簿が学校で広く使用されているというふうには聞くんでございますけれども、正にそれ、さらに、中には女男混合名簿と、こういうふうに言い換えておるところもあると。まあ、ここまで来ますと、正にこっけいとしか私は言いようがないんじゃないかなということで、迷惑するのは学生じゃないのかなと、こんなに思うわけでございますけれども。  男女混合名簿を使用している学校はどのくらいあるのか、また女男名簿を使っているところはどのくらいあるのか、もし把握しておられればお聞かせください。
  96. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  学校におきましては様々な場面で出席簿等の名簿が用いられているわけでございますが、それらにつきまして男女別にするかあるいは男女混合で作成するかと、特にこれは文部科学省が様式を決めたりしているわけではございませんで、各学校、教育委員会におきまして教育指導や学校運営上の実態等を踏まえて判断をされているのではないかと、このように承知をいたしております。
  97. 森田次夫

    ○森田次夫君 ジェンダーフリーとは、男女の差別をなくすために男女の区分までなくしてしまおうと、こういうような考え方というか思想じゃないかなと私は思うわけでございます。男女平等だとか男女共同参画社会の理念とは全く関係ないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  男女には、肉体だけではなく脳や心理的な部分も違うんだ、これは私が言っているわけじゃなくて、東京女子大の林先生という方が言われているわけでございますけれども、教育現場では性差と性差別の違いをしっかりと教えるよう、またジェンダーフリーという言葉を使わないようにする、こういうことを文科省は指導すべきと思いますけれども、いかがでございますか。
  98. 稲葉大和

    ○副大臣稲葉大和君) そもそもジェンダーフリーという用語について確たる定義があるわけではないと私は存じております。そういう状況の中で、男女の性の区別を一切排除し、そしてそれによって男女の平等を実現しよう、そう考えておられる方々が多く存在しているということも認知しておりますが、しかし厳然として男性と女性の性差、性の違い、区別というものは存在するわけでありまして、その存在を否定して、すべからく男性も女性も皆画一的に取り扱う、こういう思想あるいは行動についてはいかがなものかと私は思っております。  したがって、これからの学校の教育課程の中におきましても、依然として男性と女性の区別は厳然として存在する中で、しかしながら、男性と女性それぞれの持つ特性をいかに個性を生かして伸ばしていくか、それが学校教育に課せられた宿題だと思っておりますので、このことを踏まえてきっちりと教育の場で生かしてまいろう、かように思っております。
  99. 森田次夫

    ○森田次夫君 福田官房長官が衆議院の内閣委員会の答弁の中で、ジェンダーフリーという言葉は使わないよう自治体を指導すると、こういうようなことを答弁をされたということでございますけれども、これは事実でございますか。
  100. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ジェンダーフリーという用語でございますが、現在政府ではこの用語を使用しておりませんで、そのことは国会等で官房長官あるいは内閣府の方でそのようにお答えをしているところでございます。
  101. 森田次夫

    ○森田次夫君 それでは、ありがとうございました。文科省についての質問はこれで終わらせていただきます。  十二時までということなんでございますけれども、今度新しく年金の問題になるんでございますけれども、よろしゅうございますか。
  102. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、やめましょう、それじゃ。  残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  103. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。森田次夫君。
  104. 森田次夫

    ○森田次夫君 午前に引き続きまして、今度は年金制度につきましてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  年金は老後の生活に掛け替えのない役割を果たしておるわけでございますけれども、若い世代を中心に、将来、年金がもらえないんじゃないかと、こういうような不安を抱いておる人も少なくないだろうというふうに思うわけでございます。とりわけ、私が危惧をいたしますのは、公的年金なんて損だと、保険料を払う必要ないんじゃないかというようなことを考えておられる若い方々が増えてきているんじゃないのかなと、こんなにも思うわけでございます。  現役のときから老後を迎えるまでの長い期間に経済社会がどのように変化するのか、そして自分がどのくらいの老後の生活を送ることになるのか、これは、あらかじめ、だれもが予測できないわけでございますよね。また、もし公的年金がなかったら、年老いた御両親の生活というのは子供だとかそういった方が見ていかなくちゃいかぬわけでございます。公的年金制度というのは、こうした御両親への仕送りを社会全体で行う仕組みである、これによって若い世代の方々も御両親の高齢期をそれほど心配せずに生活を送ることができるんじゃないか、このことも忘れてはならないだろうというふうに思います。  そこでお伺いをさしていくわけでございますが、今回の改革を考えるに当たりまして、どのようなことを基本に置き、そして、特に若い世代に向けましてどのようなことを訴える改革であるのか、坂口大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  105. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘いただきましたように、年金制度、やはり老後を迎えますと、これはもうどうしても必要なものでございますし、今日までこの年金制度が続いてきたわけでございますから、これからもこれが継続できるようにどうするかということだろうというふうに思っております。  しかし、その中で、少子高齢社会がこれだけ進んでまいりましたから、お若い皆さん方の立場からすれば、支払をする側の人数がだんだん減っていく、そして受ける側の人たちがだんだん増えてくるという社会の中で、本当にこの制度が維持されるのであろうかという御心配が生ずることも、私は、これは無理からぬことだというふうに私も思っております。しかし、そこを、大体どのぐらいの負担を今後していただいたらどれぐらいの年金ができ得るのか、それは私たちの子供たちの世代あるいは孫たちの世代にもそれを続けることができるのであろうかという、その大枠のところをまずお示しを申し上げて、そして国民の皆さん方に御理解を得るというのが今回の一番の中心ではないかというふうに思っております。  そのためには、国としても出すべきものは出さなければいけませんし、二分の一に、国庫負担の二分の一に引き上げるということにつきましては、これは引き上げるための道筋を明確にさせていただいて、そして二分の一にいたしますということを決めさせていただいた。あるいはまた、積立金を少しこれは使わせていただいて、そして今後のお若い皆さん方の年金の一部にさせていただくということもそこに示させていただきながら、そして上限と下限、この保険料の上限、そして今度は給付を受ける方の下限、そうしたものもお示しをさせていただいて、そして皆さん方の御理解を得たいというのが今回の案でございます。
  106. 森田次夫

    ○森田次夫君 ただいまお答えをいただきましたが、年金制度というものは大変大切であるなというふうに思うわけでございます。  そこで、国民年金の保険料の未納者が増加をしていることは非常に残念なことだなというふうに思うわけでございます。平成十四年度の国民年金の保険料の納付率が六割程度にとどまっておると、こういうことも聞いておるわけでございますが、このような未納者を放置していたんでは制度の信頼にもかかわるだろうというふうに思うわけでございます。  今回の改革の中で、新たな未納者が起こらないようにするためにどのようなことを考えておられるのか、また、未納対策にどう取り組んでおられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  107. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) お答えいたします。  国民年金の未納問題、第一号被保険者の保険料納付率が低くなっているという問題は非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。そのため、昨年の八月には厚生労働省の中に国民年金特別対策本部というのを設置いたしまして、全省挙げて取り組んでいるところでございます。  具体的には、先ほどもお話ございましたけれども、公的年金の意義、役割ということについて正しく理解していただいて、自主的に保険料を納めていただくということがまずは重要でございますので、そのための年金広報、あるいは年金教育というものの充実に努めてまいりたいと考えております。それから、新しくコンビニエンスストアでの保険料納付を今度できるようにいたしましたけれども、このようにより保険料を納めやすい環境作りというのも進めたいと考えております。  それから、未納者についてでございますけれども、個別に催告状をお送りする、あるいは電話による納付督励をやる、それから戸別訪問による納付勧奨をやると、こういったことを進めてまいりたいと考えております。それから、さらに、十分に所得がありながらも、度重なる納付督励によりましても保険料を納めていただけない方につきましては強制徴収も実施をするということでございます。  それからまた、今回、今、国会で御審議をいただいております年金制度改革案の中におきましても、所得に応じました保険料負担とする観点からの多段階免除制度の導入、あるいは若年者に対します納付猶予制度の導入、これはフリーター対策ということになろうかと思いますが、こういったことも盛り込んでいるところでございまして、これらを含めまして納付率の向上に全力で取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  108. 森田次夫

    ○森田次夫君 特に若い世代でございますけれども、老後の年金といっても余り身近に感じないというかぴんとこないのかなというふうに思うわけでございます。  そこで、自分が将来どのような年金を受け取ることができるのか、分かりやすく伝える工夫が必要じゃないかというふうに思うわけでございますけれども、これについてどのようにお考えでございましょうか。
  109. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) お答え申します。  今回の年金制度改正案の中に、被保険者の方々に対しまして保険料の納付の実績を個人個人で定期的に通知を行うということを盛り込んでおります。それから、その際に、被保険者が支払っていただいた保険料の納付実績を点数化をいたしまして、私どもポイント制というふうに呼んでおりますが、これでどういうポイントを今お持ちかということについても個別個別に通知をいたしたいというふうに思っております。  この仕組みによりまして、若い方も含めまして、これまでどの程度の保険料を納めていただいたか、それからその納めていただいた保険料が御自分の将来の年金に対しましてどの程度の効果を上げているかということが頭の中で考えていただくことができるようになると思っておりますので、現役の世代、特に若い世代の方々が年金制度につきまして言わば実感を持っていただくようなことを今度の制度改正案の中に盛り込んでおりまして、是非これを実施したいというふうに思っております。
  110. 森田次夫

    ○森田次夫君 お年寄りの方が受給しております年金額でございますけれども、この改革によってどのように変わるんでしょうか。
  111. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 今回の改正案で御提案を申しておりますいわゆる給付水準調整の仕組みでございます。これは、将来の保険料率を一八・三%ということで固定をいたしまして、その範囲で基礎年金の国庫負担二分の一と、この両方の力によりまして給付と負担を安定させようというものでございますが、片方で将来の世代の若い世代に過重な負担を負わせないようにということでございますが、同時に高齢者の方々の生活にも一定の配慮を行うと、こういうことでこの調整を考えてございます。  具体的に申し上げますと、社会全体の年金を支える力に応じまして、年金の給付水準を緩やかに時間を掛けて調整することといたしておりまして、既裁定の方につきましては、物価の上昇率から公的年金の被保険者数の減少、これしばらく増えますけれども、いずれ減ってまいります。あるいは平均余命の延び率、これを考慮させていただきまして年金額を改定するということを調整の基本といたしております。  その際、高齢者の方々の生活の安定に配慮をいたしまして、この改定率の調整は、名目の年金額を下限といたしまして、調整によりまして年金額を前年度の額よりも引き下げることはしないということを基本といたしております。
  112. 森田次夫

    ○森田次夫君 今のいただいておる年金というのは、もうそれよりも下げない、こういうことでございますね。  そこで、今回の年金制度の改革の中で非常に重要な点は、先ほども大臣からちょっとお話がございましたけれども、国庫負担金の二分の一への引上げだろうというふうに思います。将来の厚生年金の給付水準、これを五〇・二%も、平成二十一年度までに国庫負担の割合を完全に二分の一にする、こういうことが前提になって計算されておるわけでございます。  平成十六年度におきましては、年金の課税の見直しによる増収分が現在の国庫負担割合にある三分の一加えられて投入されておるわけでございますけれども、十七年度以降につきましても、所要の税制改革の見直しによりまして必要な財源を確保して着実に引き上げることが必要じゃないのかな、このように思うわけでございますけれども、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  113. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは今お答えを、御発言をいただきましたとおり、十六年におきましては年金課税の見直しによっているところでございますが、十七年、十八年におきましては、現在の、現在ございます税制を改正を行うことによって、そこから財源を生み出すということでございます。  具体的にその中のどこをどういうふうにしていくかということについては、これからの議論もあろうかというふうに思いますが、恒久的減税の縮減、廃止と併せまして、国、地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しと、こうしたことを税調でもお決めをいただいているところでございます。  十九年度を目途といたしまして、年金、医療、介護等の社会保障全体を見まして、そして新しい税制も含めて更に検討をするということをお決めをいただいておりますしいたしますので、そうしたスケジュールにのっとってこれから進んでいくものというふうに理解をしているところでございます。
  114. 森田次夫

    ○森田次夫君 保険料一八・三%の固定方式といいますか、これで百年間現役世代の収入の五〇%以上の給付が持続できるのかどうなのか、その辺お伺いをさせていただきます。
  115. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) ただいまお尋ねございました保険料率一八・三%、それから給付水準五〇・二%という、専業主婦世帯のモデルのケースでございますが、この前提といたしておりますのは、いわゆる合計特殊出生率が二〇五〇年に一・三九というふうな中位推計を基本といたしております。それから経済前提といたしましては、長期的には物価上昇率一%、それから実質賃金上昇率一・一%、それから実質運用収益率が二・二%という形でございます。こういうことをこれから中長期で日本の経済社会が実現ができれば、五〇・二%というのは十分可能だろうというふうに考えております。  したがいまして、こういう年金制度の改革と併せまして、日本の経済社会全体として、例えば次世代育成支援対策でありますとか少子化の問題にどう取り組んでいただくか。あるいは、構造改革を進めていただきまして、経済の回復等、持続的な経済発展をどうするかという、この問題とこの年金の給付水準の問題というのは正に一体的な問題だろうというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、今申し上げたような全体の対策を進めていただくことによって、この水準を実現することは十分可能だろうというふうに考えております。
  116. 森田次夫

    ○森田次夫君 今回の年金の改正といいますか改革でございますけれども、これは抜本的改革というふうに考えておられるかどうか、その辺をお伺いをいたします。
  117. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは何をもって抜本的と言うかという、人によってそれぞれの考え方が違うところでございますが、我々は一番その基本になりますところ、負担と給付のところを明確に将来まで示したということにおきまして抜本的改革だというふうに思っている次第でございます。この基礎を、これを土台にいたしまして、その上に様々な制度を将来また構築をするということは可能だろうというふうに思っておりますが、基礎となるべきところはここにお示しを申し上げることができたというふうに思っております。
  118. 森田次夫

    ○森田次夫君 一部の新聞等でございますけれども、年金改革は今国会では断念だと、こんなような報道もあるわけでございますけれども、年金は正に老後生活の糧でありまして、国民生活にとりまして極めて重要であるわけでございますので、是非とも国会での成立を強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  そこで、あと一分でございましてあれなんですけれども、私、厚生労働大臣務官のときに、北海道であるとか青森だとか高知であるとか、そういうハローワークだとかそれから労働基準監督署、こういうところを視察させていただきましたけれども、どこもおおむね似たようなものでございますけれども、相談窓口が非常に狭くて、正に書類の山で業務を行っておると。大体みんな似通りですが、そういった状況でございます。  そしてさらに、求人情報をパソコンで検索するようにできておるわけで、なっておるわけでございますけれども、これも後から設置したもので、その分が更にもう狭くなってきておるわけでございます。そして、相談される方が来られるカウンターでございますけれども、こういうふうにやって並んでいるんですけれども……
  119. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) もう時間が来ましたので、手短に。はい。
  120. 森田次夫

    ○森田次夫君 はい、済みません。  そういうことで非常に狭いあれですし、プライバシーも守れない。また、駐車場も大変狭いわけでございますけれども、そういったことで、町の中にあるからそういうことなんで、郊外に私はハローワークだとか基準監督署というようなものを移すようにしたらどうかな、こんなにも思うわけでございますけれども、今すぐというわけにはまいらないかも分かりませんけれども、その辺ひとつお聞かせください。
  121. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、もう来ました。オーバーした。はい。
  122. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘を受けましたことを十分踏まえまして、今後執行していきたいと存じます。
  123. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で清水嘉与子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  124. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、小川敏夫君の質疑を行います。小川敏夫君。
  125. 小川敏夫

    小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。  日本歯科医師連盟、いわゆる日歯連ですね、これにつきまして東京地検から強制捜査がなされているという事実がございます。それに関連しまして、厚生労働大臣に、あるいは厚生労働省にお尋ねいたしますが、いわゆる精神障害福祉法に言う障害者の認定について、そしゃく機能障害に関する平成十三年九月七日付けの通知というものが出ておりますが、この通知が出されるに至った経過について御説明いただきたいと思いますが。
  126. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) そしゃく機能障害につきましては、昭和五十九年の身体障害者福祉法改正により、それまで運用により音声・言語機能障害の一環として身体障害の対象とされておりましたそしゃく機能障害を法別表の身体障害の範囲に明示的に加え、そしゃく機能障害が身体障害であることの明確化が図られたものでございます。  昭和五十九年の法改正当時におきましても、そしゃく機能障害につきましては、歯科との密接な関連があるということから、この障害の認定につきましては、それまでの肢体不自由などとは異なりまして、医師の診断書のみならず歯科医師の関与も必要ではないかという議論が当時の国会でもなされたところでございます。そうした国会での議論を踏まえまして、昭和五十九年法改正当時の取扱いといたしましては、法律上の診断書の作成は引き続き医師によるものとしつつ、医師が総合的な観点からそしゃく機能に関します診断書を作成する際の参考とするために歯科医師の意見書を求めるということとされたところでございます。  その後、法改正以降、歯科医学の進歩がございます。その後の歯科医学の進歩を踏まえまして、歯科医師の診断書が必要ではないかとの問題意識が改めて提起されるようになったところでございます。例えば、民主党の参議院の先生からも平成十二年一月に質問主意書、平成十二年四月には議員立法、平成十三年三月には国会の質問という形でそのような問題提起がなされております。また、口腔外科の専門家の先生方からも、歯科医師役割をより明確化する必要性が提起されたところでございます。  こうした一連の動きを踏まえまして、厚生労働省内におきまして実務的あるいは専門的な見地から検討を進めました結果、そしゃく機能障害のうち口唇口蓋裂後遺症につきまして、一つは、医師が最終的に診断書を書くに当たりまして歯科医師の診断結果あるいは意見をより確実に反映する必要があること、また、実態的にも歯科医師によりまして口唇口蓋裂後遺症に対する診断が広く一般的に行われているという実態にかんがみまして、厚生労働省といたしまして、歯科医師の意見書を診断書・意見書に改めるとともに、障害に該当するか否かの意見を記載する、歯科医師が記載する欄を新たに設けることとしまして、平成十三年九月に部長改正通知を行ったものでございます。
  127. 小川敏夫

    小川敏夫君 まあ詳し過ぎるほど懇切に丁寧に説明いただきましたけれども、そうした通知がなされる背景に、日歯連からの陳情というか、そういうふうにしていただきたいという要望、こういったものは厚生労働省に寄せられていたんでしょうか。
  128. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 日本歯科医師会からはそういった要望が出されておりました。それから、口腔外科の先生方からもそういった意見が出されたところでございます。
  129. 小川敏夫

    小川敏夫君 具体的に、では自民党の中から、あるいは党としてでなくても自民党の議員から、そうした方向に向けて取り組んではどうかというような意見なりあるいは要請があったでしょうか。
  130. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) この問題は、昭和五十九年の法改正当時から、与野党を問わず、問題提起がなされたテーマでございます。その十三年の改正通知の検討に当たりましても、与野党を問わずいろんな先生方から、いろんな角度から御意見や御助言あるいは御質問等をいただいたと思いますが、詳しい経緯を記した資料が残されておりませんので、具体的なお答えはできません。
  131. 小川敏夫

    小川敏夫君 資料がないから詳しいことが分からないと言うんであれば、これは個々的に当事者に聞くしかないというふうに思いますが。  じゃ、日歯連の捜査の点は外れまして、大臣にお尋ねしたいんですが、今の答弁にもありましたように、実際にこのそしゃく障害に関して歯科医師が実際に診断しておるという状態にあるにもかかわらず、身体障害の認定に当たっては、歯科医師の診断書だけでは駄目で、医師の診断書がなくてはならないというこの本質的な理由はどこにあるんでしょうか。
  132. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは過去にも民主党の同僚の議員の方から何度かここで御質問をいただいたところでございまして、私もそのときにはよく分からなかったわけでございますが、以後勉強いたしますと、このそしゃくというのはかみ砕くことと飲み込むことの二つが含まれておりまして、かみ砕く分野はこれはもう歯科医師先生方の診断でいいということでございますが、中に飲み込むところが含まれておるものですから、飲み込むところは医師の範囲だと、こういう話がございまして、非常にここは複雑になっておりまして、そうしたことから、この問題、医師と歯科医師と両方の診断書ということに落ち着いたんだろうというふうに思います。  もうはっきり申し上げていた、櫻井先生から何度か御質問ちょうだいしまして、もう少しそしゃくさせてくださいと私ここで申し上げたこともあったわけでございますが、確かにそうした両面があって、歯科医師先生だけでもいいだろうという御主張あったことも事実でございますけれども、そうした飲み込むという部分が含まれておりますだけに単純明快にはいかなかったということでございます。  この話、非常に歴史が古い話だそうでございまして、三十年間医師会と歯科医師会の間でももめ続けていた話だそうでございまして、何か古いなにを見ますと村山元総理も御質問をしていただいたというふうななにが残っているそうでございますから、かなり古いんだろうと思っております。
  133. 小川敏夫

    小川敏夫君 私は、歯科医師の診断書だけでそしゃく障害の認定がされて十分ではないかという考えに立って質問しているわけですけれども大臣はそしゃく障害と嚥下障害が密接に関連しているということでしたが、この身体障害者福祉法は、そしゃくについて障害があるということを求めてきた人に対してそしゃくの障害があるという判断をすれば足りるんで、別にそれを求めてきた人は、それが嚥下障害があるのかどうか、あるんならそれはまた別に申請すればいいわけで、あるいはそしゃく障害のほかに嚥下障害が関連しているかどうかということを別に求めているわけでも何でもない。  すなわち、非常にこれは、大臣はそしゃくし難い、嚥下し難いと言うけれども、非常に単純なことでして、そしゃく障害があるから認定してくださいということを求めてきた人に対してそしゃく障害があるかないのかをこれは判断すればいいんで、それに嚥下障害が関連しているかどうかとか、そういうことは全く無関係だと思うんですが。ですから、端的に、そしゃく障害の認定を求めた人に対して、そしゃく障害について実際に診断を担当している歯科医師が診断をして、その診断書を提出すれば足りると私は思うんです。  それについて、本来無関係な嚥下障害をという理屈を出してなかなか歯科医師さんの立場を認めないのは、これは本質を外れた、医師会と歯科医師会の勢力図がまだ医師会の方が上回っているという、医師会のその方の都合によって歯科医師のそうした正当な職務上の権益が、権益というか立場が虐げられているんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょう、大臣、見解は。
  134. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そしゃくという言葉の中にかむことと飲み込むことの二つが含まれているということだものですから話はややこしくなるわけでありまして、そしゃくというふうに言えばもうそれはかむことだけだということであれば話は単純明快なんですけれども、そしゃくということの中にかむことと飲み込むことが含まれているというものですから、さあ、どちらの領域だということになってくるわけでございまして、そうした意味で、しかし歯科医師の皆さん方のお立場もこれ十分尊重すべきだというふうに私も思っておりまして、そうした意味で、歯科医師の皆さん方も診断書を御提出をいただけるということに、そこは一歩前進させるというふうに私は思っていたわけでございますけれども、今後もこの問題は続く問題だというふうに思っておりますし、単純明快にもう少し、これは解決できるときが来れば、私ももう少しまた研究したいと思っております。
  135. 小川敏夫

    小川敏夫君 単純明快に歯科医師の診断書で足りるように認めていただきたいと思っておりますが、今日の質問の本筋はむしろ日歯連の方の献金問題等についての質問でございますので、その診断書の問題はこの程度にしたいと思います。  厚労大臣に対する質問はもう以上ございませんので、御退席はなさっていただいて結構でございます。
  136. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、それを提案として受け止め、あとない、ないですか、はい、それじゃどうぞ。
  137. 小川敏夫

    小川敏夫君 日歯連についてですね、強制捜査が既に入っておるわけでございますが、法務省にお尋ねしますが、その捜査の状況について、それは説明できないということは重々分かっておるわけですが、なかなか政治家絡みのことにつきまして様々な圧力、あるいは陳情等があって、捜査の決意、方向が鈍ってしまうんではないかというようなことがあっては、絶対にあってはならないので、そういうことがない、捜査を厳正に行うというその心構えを、是非局長にお聞かせいただきたいと思いますが。
  138. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 御理解いただいて有り難いことでございますが、捜査機関の活動の内容にかかわる事柄につきましては、なかなかお答えいたしかねるところでございますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、検察当局におきましては厳正、公平、不偏不党の立場から、法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適宜適切に対処をしているものと承知しております。
  139. 小川敏夫

    小川敏夫君 厳正に厳しくやっていただくということをお願いいたしまして、法務省に対する質問も以上ございません。  質問、話が少し、話題が変わりますが、財務大臣にお尋ねいたしますが、今年度の税制から土地建物譲渡損の損益通算、損失繰越控除廃止について、これが行われるとしておりますが、これについて、その趣旨についてまず説明していただきたいんですが。
  140. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今お尋ねの損益通算の廃止は、これは土地建物の長期譲渡所得の税率を二〇%へ引き下げるということと、それから百万円特別控除と、これを廃止するということとパッケージにして行うわけですが、その一番のねらいは土地市場の活性化に資する制度改正ということでございまして、株式に対する課税とのバランスも考えながらこういうことをやらせていただきました。  それで、御指摘の損益通算廃止はこのパッケージの一環として行うものでございますけれども、その背後にある問題意識は、そもそも土地とか建物の譲渡損益というのは取得のときから一定の時間を掛けて生じてくるわけですが、納税者が譲渡をする、この譲渡の時期は納税者が選べるわけですけれども、そのときに、長い間掛けて形成されてきた利益といいますか、損益が実現するという形になるわけですね。そうしますと、それは毎年毎年の勤労の成果でございます事業とかあるいは給与といったその他の所得とは性格が異なるものではないかという考え方を踏まえまして、所得とは分離して、こういった所得とは分離して課税することが適当ではないかという考え方に立つものでございます。譲渡損失については、こうした性格の違いを踏まえまして、諸外国においても他の所得との損益通算を無制限に認めている例はないというふうに聞いているわけでございます。  それで、現行の税制は、土地建物の譲渡益は、これは二六%の比例税率による分離課税をしているわけですが、他方、譲渡損失は、最高税率五〇%で、総合課税される他の所得から差し引くことができると。これは諸外国にも今余り例のない、バランスをやや欠いた制度となっておりまして、これを今回改めようと、株式と同様に本来の分離課税としようということでございます。  それで、今回の損益通算の廃止は、土地本来の使用収益目的とは離れた損益操作とか節税目的の土地の売却を防止しながら、使用収益に応じた価格形成を土地市場で適切にしていただけるんじゃないかと、そういうことを意図しておりまして、パッケージでやることが土地市場の活性化のために必要なんじゃないかと、こういう考え方でございます。
  141. 小川敏夫

    小川敏夫君 減税と実質増税とをパッケージでやるということですが、土地の譲渡益課税、これの税率を下げると。すなわち、土地を売ってもうかった人については減税をすると。一方、損益通算を認めないということは、土地を処分して損した人、この人については実質増税勘定になるというわけで、そうすると、何かどうも感情、国民感情として、土地を売ってもうかった人の税金は安くして、土地を売って損した人の方は今度増税になるというと、どうも人情に反するんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  142. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 人情とおっしゃいますとどうお答えしたらいいかということになりますが、結局、やや私の説明は人情と離れた考え方というふうには思っておりませんで、そもそもその利益の性質が違うもんじゃないかと、違うものを相殺、相殺じゃない、通算するというのはやっぱり理屈が合わないんではないかと、こういうことでございますから、必ずしも人情とは反するとは思っておりません。
  143. 小川敏夫

    小川敏夫君 そうすると、大臣説明を聞いていますと、じゃ、そもそも性質が違うような損益通算を認めていた、これまで認めていたことがそもそも間違いだったと、こんなふうにもちょっと聞こえるんですが、そういうことですか。
  144. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) この二つの利益といいますか、そういうものの性質が違うということを考えますと、そういう考え方に立ちますと、今まではやや不均衡な制度になっていたんじゃないかということでございます。
  145. 小川敏夫

    小川敏夫君 あと、この損益通算廃止が本年一月から、すなわち法改正ができたときは、これから後になるわけですけれども、それから本年一月のこの取引にさかのぼって適用されるわけですね。ですから、例えば今現在、今現在は損益通算が認められるというこの税体系の中で実際に取引されると。しかし、この直後に法案が通れば、さかのぼって損益通算ができなくなると。これは、その行為のときに本来損益通算が認められるはずだったものが、その後に改正された法律で認められなくなってしまうというのは、これは不利益処分が遡及してはいけないという大原則に反すると思うんですが、その点いかがでしょうか。
  146. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員が御指摘のように、確かにまだそのような法律ができておりませんから、現時点でそういう今までの制度を前提として土地の売買をなさって通算をしようという方の事実上の期待に反する面は、これは確かにございます。  ただ、これはやや理屈めきますけれども、不利益をさかのぼらせることはおかしいじゃないかということでありますけれども、これは、所得税というのは年間を通じてその所得に対して課税をするという暦年課税の仕組みを取っているわけですが、損益通算というのは年末に損と益が決まった段階での所得金額の計算の過程で適用されるものでありまして、個々の譲渡の日に決定をされるという仕組みにはなっておりません。過去においても、四月一日施行の改正によってその年分の所得税から、つまり一月一日から損益通算を廃止しているという例があるわけでございますが、今委員がおっしゃったように、不利益不遡及に反するかと。委員は法律家の御出身でよくそういう議論御承知でございますけれども、税の場合は、いわゆる刑罰の場合のように必ずしも厳格に適用されるわけではなくて、一定の政策目的がある場合には不利益を不遡及する、させることも許される場合があると。  それで、今回のような、今御説明したように制度の立て方も、年度末、その個々の取引のときで決めるわけではなくて、年末で決めるということでもございますし、それからやはり土地の、先ほど申しましたように使用収益に従った市場を形成して促して、そうして全体の税率も二〇%に下げて土地取引を活性化させたいという政策に合目的性がございますので、私は、不利益不遡及ということがこの改正を許さないというようなものになっているというふうには考えておりません。
  147. 小川敏夫

    小川敏夫君 所得税は年末、年度を全体まとめるものだという点はそのとおりですが、土地の取引はその時点で、売ってしまったら売ってしまったわけで、税制が変わったからあの売買はなかったことにしてくれということはできないんで。ですから、法律上、不利益不遡及ができないと。あっ違うか。不利益遡及ができないという法律論とは別に、もしそうであるなら、十分な周知徹底期間を置いて国民に周知を尽くしてからそのような適用をすべきだと思うんですが、どうもそれが足らないんじゃないかというような考えでおります。  答弁は要りませんけれども、答弁があればしていただいて結構ですが。
  148. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) そういう委員のような御批判があることも事実でありますけれども、他方、いつまでと決めまして、こういう制度にするよと、あらかじめ相当長期間ありますと、その間にやはり言わば節税目的の投売りというようなものを助長するおそれなしとしないと。そのことはむしろ使用収益にも根差した価格形成というものに対して障害になるのではないかと、私どもはそういう判断をしたわけでございます。
  149. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも何か言葉の裏を見ると、今までの損益通算を認めていたことが大失敗だったようなニュアンスでちょっと受け止めましたけれども、私の受け止めですから、別に答弁は要りません。財務大臣への質問は以上でございます。  石原国土交通大臣にお尋ねいたしますが、日歯連、これからの受けております献金につきまして、先日高嶋委員から質問があり、説明いただきました。日歯連の会長、臼田さん個人、あるいは日歯連の、そうしたもらった方、個人からの献金はございませんか。
  150. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) お尋ねの件でございますが、日本歯科医師会、日本歯科医師連盟及び関係団体からの献金はございますが、個人からの献金は、そういう事実はございません。
  151. 小川敏夫

    小川敏夫君 先ほど、歯科医師のそしゃく障害の診断書の件につきまして厚労相に質問したんですが、このそしゃく障害に関して歯科医師が診断書を書けるようにしていただきたいというような陳情を日歯連側から大臣は受けたことはございませんでしょうか。
  152. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまのお尋ねの件でございますが、障害者の方のそしゃく障害をめぐって、過去の経緯、また歴史的な歯科医師会と医師会との様々な問題ということがあるということを先ほどの厚労大臣委員との議論の中で聞かせていただきましたが、私に対しまして、この問題についてどうこうしてほしいという御陳情をいただいたことはございません。
  153. 小川敏夫

    小川敏夫君 それでは、大臣は、ほかの議員の方とこのそしゃく、この問題というのは今言ったそしゃく障害に関して歯科医師が診断書を書けるという点ですが、この問題に関して勉強する勉強会とかあるいは政策集団、こうしたグループに加わったことはありませんか。
  154. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの御質問は私がこの問題に関して勉強会あるいは政策集団等々で議論をしたことがあるのかないのかという御質問と受け取らせていただきましたが、この問題についてお話を聞いたことはございますが、今、委員と厚労大臣の話を聞かせていただきましてこの問題の本質というのが理解できたところでございます。
  155. 小川敏夫

    小川敏夫君 この問題についてお話を聞いたことがあるということですが、それは日歯連側から聞いたということですか。
  156. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 詳しくは覚えておりませんけれども、日歯連の方もいたかもしれませんし、ちょっとそのときのメンバーにどんな者が、どの方がいたということは、政治家も含めて覚えておりません。
  157. 小川敏夫

    小川敏夫君 そういう話を日歯連の人から聞いたかもしれないと言うけれども、先ほど日歯連から陳情を受けたことはないと言うけれども、そういう話を聞くことが陳情ということじゃないんですか。  さっきは全然ないと断定したけれども、今は何か、あるのかないのかちょっとあいまいな返事だったんですが。
  158. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 私は政治家でございますので、様々な勉強会にも出席しておりますし、様々な政策集団にも属しております。そんな中でいろいろな方がいろんな意見をお話しになるということは逐一覚えてはいませんけれども、そういう話もあったかもしれないと思っております。  しかし、具体的にこうこうこういう問題があるからこういうふうにするのが私どもの考えだというような話を伺って、そういうふうに行動をしてくれということはございません。
  159. 小川敏夫

    小川敏夫君 具体的な行動を要請されたことはないけれども、日歯連がそういう希望を持っているということ、それが具体的行動には至らないけれども、しかしそれについて協力してほしいぐらいのことは、じゃ言われたということですか。
  160. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほども御答弁させていただきましたように、この問題の本質がどこにあるのかといったような点について、私は専門的に社会保障等々の問題を勉強してきたことがございませんので、今、先ほどのお話を聞かせていただいて、なるほどな、そういう歴史的経緯があるのかなと、そういうことも含めて理解をしたということでございます。
  161. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣は、平成十二年、十三年ですか、日歯連から百万円の献金を受けているということでしたが、大臣自身、受けている者として、なぜ日歯連が年間百万円の寄附をしてくれるんだろうというふうにお考えでしたか、お考えですか。
  162. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの御指摘平成十一年十一月、平成十三年の四月に日歯連が私のパーティー券を購入した理由についてのお尋ねだと思いますが、私は、政治献金、いろんな様々な団体あるいは企業等々、また個人からいただいておりますが、どういう理由で私に個人の献金あるいは企業の献金をしていただいているかということを、その個々について考えたことはございません。
  163. 小川敏夫

    小川敏夫君 何の理由もないのに献金してくれたというのはなかなか考えづらいんですがね。  もう一度確認しますが、そういう日歯連から陳情を受けた、あるいはそういう話を聞いたということについて、ないんですか、それともないんじゃなくて覚えていないということなんですか。
  164. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 小川委員、先ほども御答弁させていただきましたけれども、政治家でありますし、委員も政治家でありますから、様々な団体あるいは様々な方から話を聞くということは政治家の私、仕事だと思っております。また、その問題が自分の専門分野でなくても誘われれば仲間としてそのような会合に出ることも事実だと思います。  そんな中で、今日御議論になっておりますこの、特にこのそしゃく障害の問題について、私が、どうこうしてほしいと、こういうことを我々は望んでいるからこういう方向で何とかならないかというような形で御相談なりしていただきたいというような御要望は受けたことはございません。
  165. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、受けたことはないと。そういう一つ要件大臣の方で作って、そういう形に合った、要件に合った形での要請は受けていないと言うんだから、じゃ、会ったことはあるわけですね。
  166. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これも先ほど御答弁いたしましたけれども、様々な会合、様々な政策集団に所属して様々な問題について私はこの十数年間にわたって話を聞いてきた、そんな中で、こんな話もあったかなといえばあったかもしれないと、その程度の記憶しかないほど私の認識度は大変浅いんだと思っております。
  167. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣は、年間百万円寄附くれる方は何人ぐらいいらっしゃるんですか。
  168. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 手元に資料がございませんから分かりません。
  169. 小川敏夫

    小川敏夫君 いや、そんな正確な数字は結構ですよ。大体の数でいいですけれどもね。  つまり、百万円の献金をくれる日歯連という存在が全く目立たないほどたくさんの献金をもらっているのか、そうじゃなくて、やはり大臣の中では百万円の献金をくれるというのはやはりかなり少ない方だと、もらっている方としては意識する相手だというかどうかの認識の程度のことを聞いているので、その程度の数字で結構ですから答えてください。
  170. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほども御答弁させていただきましたように、私は、いつどこからどれだけの献金をいただいたというようなことは承知していないんです。  委員の御指摘は、日本歯科医師政治連盟がどういう存在であるのか、意識をしているのかしていないのかということを言わせていただくならば、委員も同じだと思いますが、地元で大変お世話になっておりますし、この大きな団体である医師会、歯科医師会、薬剤師会は三師会と言って大変大切にしている団体の一つであると思っております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
  171. 小川敏夫

    小川敏夫君 委員も同じであるという、私も同じであるという意思が、意図が全く分からないので、私は一銭も献金いただいておりません。あるいは、そういう人たちを大事にするという意味では大事にしていますけれども、別にそれは国民の一人として大事にしているわけで、特に献金を受けている方についての意識は全く持っていないわけで、今委員が同じですと言われた意味はどういうことですか。
  172. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほど委員が厚労大臣との議論の中で、歯科医師会の立場を重要、大切にするべきであるという個人としてのこの問題に関する御見解を示されていたとおり、委員もこの問題について御造詣が深いですし、歯科医師皆様方から話を伺っているようなこともあるのではないかと推察したから、大切にされているのではないかと思ったということでございます。
  173. 小川敏夫

    小川敏夫君 何か、献金の問題を聞いているのに、全然献金とは関係ないところで同じだと言われても非常に困るんですが。  日歯連の人からの大臣とのやり取りについては、これ以上言っても余り出てこない、答えが出てこないようですけれども、では今度、その問題について、大臣厚労省の方にお話をしたこと、あるいは会合を持ったことはありますか。
  174. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほどもお話をさせていただきましたように、この問題についての本質等々は、今の今まで私も正直申しまして何のことだかよく分かりませんでした。今もまだ一体どういう問題が、厚労大臣がそしゃくさせてくれというような話を言った言わないというような話をされていましたように、私にはこの問題の本質というものは見えてまいりません。そのような人間が厚労省に対して物を言えるとは私は思っておりませんし、これまでにも思って、そういうことを理解して厚労省に問い尋ねるようなことも一切しておりません。
  175. 小川敏夫

    小川敏夫君 そういうことを理解して会ったかどうかは別にしても、この問題に関して厚労省の人と会ったことはあるんですか。
  176. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 私がこの問題をこの程度しか理解していない中で、厚労省から話を聞く、もちろん様々な会合には各省の役人の方が入っている会合等々ございますから、そこに厚労省の方がいたかいないか私は分かりませんけれども、この問題に限って、厚労省の方に来ていただいて、この問題はどうなっているんだ、本質は何なんだというような説明を受けたことはございません。
  177. 小川敏夫

    小川敏夫君 自民党のほかの議員の方がこの問題について厚労省の方から説明を聞いている。その場に大臣も同席したことはありませんか。
  178. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これも先ほど御答弁させていただきましたように、政治家でありますから自分が専門としない分野の会合には出ております。  ただ、それを逐一覚えているということはございませんし、この問題についても、仲間の議員が集まっていた会合に出たかもしれませんけれども、それは何回も出たということではなく、出たかもしれないと、その程度の感覚でしか私は覚えておりません。
  179. 小川敏夫

    小川敏夫君 出たかもしれないという答弁が大変微妙な答弁ですけれども、余りこのことで時間をつぶしてもしようがありませんけれども一つ確認しますが、いわゆる大臣が先ほど述べた献金ですね、届出済みの献金、これ以外に日歯連から献金を受けたことは全くありませんか。
  180. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 政治資金は適正に処理されているものと承知しております。
  181. 小川敏夫

    小川敏夫君 日歯連から適正に処理しているとは言えない、要するに報告していない政治献金を受けているかどうか、あるいは政治献金ではなくて金銭の贈与、そうしたものは受けているかいないか、その点についてはどうですか。
  182. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほど政治資金は適正に処理されていると承知していると御答弁させていただいたとおりでございますが、そういうものがあるかといえば、ないと思います。
  183. 小川敏夫

    小川敏夫君 ないと思うというのは、ないならないと言ってほしいんですけれども、これ以上は、これで質問を終わりますけれども、今ないというふうに言われた、そのことについてはやはりそれだけの政治的な責任も十分踏まえての発言だと思いますが、そういうことでよろしいですね。
  184. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 政治資金は適正に処理されているものと承知しております。
  185. 小川敏夫

    小川敏夫君 いや、私はあなたのその政治的責任に、今答えられた答弁について、政治家としての責任についてどう思うかを聞いたんです。
  186. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ちょっと質問の意味が分からないんですが、私の何に責任があるのか、ないのか、また、何について私が責任を持つべきなのか、持たないべきなのか、ちょっと御質問の趣旨が分かりません。
  187. 小川敏夫

    小川敏夫君 では、大変に分かりやすく言いますが、日歯連から裏献金あるいはやみの贈与を、金銭贈与を受けていたという事実があった場合には、今うその答弁したことになりますから、それについて政治責任を取る、議員を辞職するぐらいの決意はおありですか。
  188. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 仮定の御質問にはお答えできませんが、政治資金は適正に処理されているものと承知しております。
  189. 小川敏夫

    小川敏夫君 仮定の質問でも何でもないんで、あなたのここで述べられた答弁がうそであったら、それだけのきちんとした責任を取っていただきたいんですがね。そこについては、その責任についてははっきりその正面から答えてくださいよ。
  190. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 国会で御答弁をさせていただいておりますので、政治資金は適正に処理されていると私は承知しているわけでございます。
  191. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも大臣の答弁は言葉言葉で非常にあいまいに言っておるわけですが、だから、もらっていないならもらっていない、もしもらっているような事実があったらきっぱりと議員を辞めるというぐらいのことを言ったらどうですか。
  192. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 議員の身分は議員が自ら判断するのが私は基本であると考えております。
  193. 小川敏夫

    小川敏夫君 何ともつまんない議論をしているけれども、議員自ら判断をする、つまりあなたの議員たる身分についてはあなた御自身が判断するんだから、あなたのその判断する基本的な基準について尋ねているんですよ。  日歯連から適正に処理した献金以外の献金あるいは金銭贈与があった場合には、議員の辞職ぐらい考えるぐらいの責任があっての発言ですか、答弁ですか。
  194. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 政治資金は適正に処理されていると私は思っております。
  195. 小川敏夫

    小川敏夫君 結局、後でうそがばれたときの言い逃れのために言わないんだなというふうに考えさせていただきます。次に、道路公団民営化についてお尋ねいたしますが、もし大臣、私の考えに不満だったら答弁されて結構ですけれども、答弁する気がないようですから。  道路公団民営化についてお尋ねしますが、まず大臣、道路公団の民営化推進審議会の意見書、これについてどの程度尊重しているんでしょうか。まず、大臣の基本的な考えを聞きたいんですが。
  196. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの委員の御質問は、政府が民営化推進委員会の答申を受けて、基本的に尊重する、こういうふうに閣議決定をさせていただいたわけですけれども、その基本的に尊重するという意味は何を意味するのかと、そういう質問としてお答えをさせていただくならば、民営化の原点というのは四十兆円に上る債務の確実な返済だと思います。そして、必要な道路というものは、私も昨日は九州を回って見てまいりましたけれども、採算性だけではなくて、外部効果やあるいはBバイCの観点から造っていかなければならない道路があるわけです。これは会社、今度は民間会社でございますので、自主性を尊重してできるだけ少ない国民の負担の下で造ることが、私は今委員指摘の意見書の根幹だと思います。そういう根幹を、私は一〇〇%呈しているんだと思います。  じゃ、どんなところが民営化委員会の意見のうち採用しなかったのかという話でございますけれども、これはやはり一つ、哲学論になると思うんですけれども、我々の考えでは、保有機構を持って、その資産、道路については保有機構が所有する、そしてサービスエリア、パーキングエリアについては民間会社が所有するという考えに立ったわけです。これは、高速道路というものが国民の社会生活、経済に非常に重要なものであるから、やはり民営化するといっても、やはり国は、道路は国民のもの、国のものであるという根本的な哲学に立脚しての判断であります。しかし、民営化委員会の答申は、株式会社、すなわちプライベートが高速道路、道路自体も保有する、そして高速道路の料金に対して利潤を含めるべきである、この二点については哲学の相違から採用をいたしませんでした。
  197. 小川敏夫

    小川敏夫君 この審議会の意見書は、改革の意義と目的について、「必要性の乏しい道路をつくらない仕組みを考える必要がある。」、「必要性の乏しい道路建設をストップし、」と、これが改革の意義と目的だというふうにうたっておるわけですが、今の大臣の答弁の中には、その必要性の乏しい道路を造らないと、仕組みに関しては全く触れられていなかったんですが、これはどうでしょうか。
  198. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 今の点は、今未供用の整備区間のおよそ約二千キロについての御質問だと思います。この二千キロの路線、七十路線残っているんですけれども、この七十路線についてすべての路線についての費用対便益、すなわちBバイC、また採算性、その他の外部効果、外部効果には、これも何度も御答弁をさせていただいておりますけれども、基幹病院から一体どのぐらい掛かるのか、あるいは災害が起こったときの代替道路はどんなふうになっているのか、あるいは原発の近隣地区であったら原発の不慮の事故の際の避難路としてどういうものがあるのか、こういう外部評価を指標にしまして客観的に成績順を付けさせていただいたわけでございます。これは、いわゆる中村英夫教授の評価基準に基づいて、厳格かつ、この数字は客観的でございますので、客観的な評価を行ったわけでございます。  この評価の結果、どういう結果が出たかと申しますと、この中には、社会的に外部効果として必要なものだけれども、しかし有料道路としてやっていくなら管理費も出ない、しかし必要性はある、こういう道路も実は出てきたわけであります。  しかし、そんな中で、抜本的に今の路線あるいは構造、規格等々を見直さなければ一切これまでの計画どおり造らないという抜本的見直し区間五区間を、こういうものも決めさせていただいたわけであります。この路線の選別によりまして、何が必要な道路なのかということを客観的指標で明らかにさせていただいたところでございます。
  199. 小川敏夫

    小川敏夫君 この必要性の乏しい道路を造らない仕組みと、それについて審議会の意見が明文化している、これについて今大臣お話を聞きましたが、大臣お話ですと、結局、抜本的見直し区間、これについて規格を見直して造ると、それ以外は全部造るというように説明しているように思うんですが、そこの造る造らないでいった場合、現在この未供用区間約二千キロ、これについてもう一度説明してください。
  200. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 今の委員の御質問は、すなわち、必要な道路というのは一体何なんだろう、そういう根元的な私は御質問だと思うんです。  今も御説明をさせていただきましたように、九千三百四十二キロの整備区間のうち未供用のものが二千キロあります。これまでの計画を私はこれは前提としておりません、すべての道路につきまして。で、今話しました客観的な基準を作らせていただきました。その結果、どうであったか。  公共事業として事業を行うか行わないかのいわゆる採算性、失礼いたしました、費用対効果、BバイCは一以上あれば公共事業としては採択いたします。これは基本だと思います。一を上回る七十路線がすべてであったということは事実であります。しかしながら、じゃ一に限りなく近いものはどうするんだと。  あるいは、さっき申しましたように、有料道路でやって管理費も出ないものは間違いなく有料道路でやらない。しかしながら、有料道路にすることによって交通需要が減ってしまうという地域もあるわけであります。ですから、有料道路方式でこれからも整備するもの、さらには、新直轄、すなわち税金で造る、こういう道路を設定させていただいたわけでございます。  抜本的な見直し区間、先ほど御説明させていただきましたが、五区間百四十三キロを設定いたしました。この二方式の区間のそれぞれについてはBバイCが一をわずかしか超えない、要するに一・二とか一・三とかそういうものや、投資効果や採算性の観点から今のままの計画で、今のままの規格で道路を造るということができないというふうに御理解をしていただきたいと思います。  すなわち、抜本見直し区間は、規格や構造やルート、ルートを変えることによりまして九千三百四十二キロという整備計画のキロ数の議論は全く意味のないものになるわけでございます。そういうものは事業を中断して必要な調査を実施したいと思っております。その結果、整備計画の変更がなされない限りはこの五区間については事業には着手しない、そういうふうに是非御理解をいただきたいと思います。
  201. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、端的にまずお尋ねしますが、その百四十三キロ、抜本的見直し区間ですが、これについては造らないというふうには全然なってなくて、規格見直しを行うと。規格見直しして整備すると書いてあるんだから、大臣の話でもう少し端的に答えていただきたいんですが、要するに規格を見直しして造るということなんですね。
  202. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいまの委員の質問は、抜本的見直しというのは造るのか造らないのかどうなんだ、こういう御質問に私は聞きました。  抜本的見直し区間というのは、やはり投資効果や採算性の観点から今の整備計画で決まっている規格や構造での整備がもう無理だ、できないということを決めたということでございます。すなわち、抜本的に見直さない限りは事業を一時中断して、必要な調査をして、国幹会議の議を経ない限りは造らないと、そういうことでございます。
  203. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、大臣の話は、造らないということを何か国民に対して強調したいがためにそういうふうに説明するんでしょうけれども、すなわち、そのような規格を見直せば造るということでしょう、少なくともこの国土交通省が作った資料では造らないとは一言も書いてないので。抜本的な見直しをする、規格を抜本的に見直しして整備するとあるんだから、要するに規格を見直しして造るということですよ、この百四十三キロについても。
  204. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 若干個別にお話をさせていただきますと、先ほど話されました収入で管理費が補えない区間でも、用地回収に着手してないところもあるんです。それが抜本的見直し区間の中にございます。しかし、その区間の中で高速道路という概念は外れて、並行国道の交差点を立体化する、そういうことによって高速道路と代替、高速道路の機能を代替する道路を造る必要性があるのかないのかということは、もちろん私はあるんだと思います。  そういう意味でいきますと、それは高速道路ではありませんけれども、高速道路の機能を代替する、そこが規格の変更であり、構造の変更であり、ルートの変更であります。そういう意味においては、そこで必要性のあるものは造るし、それでも、もう一度評価をしてみて規格を変える、構造を変える、ルートを変える、それでも先ほどの評価に照らして合格点がなければ造りません。  しかし、私は先ほども何度も申しましたように、七十区間はすべてBバイCが一を上回った。じゃ、一に近いところをどうするのかということが私は委員の御質問に対する答えなのではないかと思っております。
  205. 小川敏夫

    小川敏夫君 なかなか大臣の答弁は長いばかりで、私の質問に端的に答えてないんですが、この新直轄方式ですけれども、これも要するに、この新直轄方式の場合には規格の見直しをしないでただ造る主体を変えてということになるでしょうけれども、規格の見直しをしないで造ると、こういうことになるわけですか。
  206. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) そこは大変私大きな誤解であると思うんですけれども、新直轄で整備する道路にいたしましても、効率性、重点化というものを図っていくことが重要なんだと思います。今の計画のまま、例えば盛土が五メートルである、あるいは直線が何キロも続いていて、全部トンネルを抜けていく。そういうことではなくて、やはり節約できるところは節約して造っていく、それがすなわち冒頭お話をさせていただきましたように、国民の皆さんにとりまして最小限のコストで必要な道路を造るということだと。  ですから、答弁が長いという御批判を受けておりますけれども委員の御質問にお答えしているポイントは、すなわち、今のまま効率性を重視しない、あるいは重点化をしないという形では造らない、できる限りの節約を行った上で造っていくと御理解をいただきたいと思います。
  207. 小川敏夫

    小川敏夫君 これから造る高速道路についてコストをなるべく引き下げると。これは当然のことで、しかしそれは民営化しなくたってできるわけで、なぜ民営化するのかということの大きな議論をしているわけでして、これ民営化推進委員会は、必要性の乏しい道路を造らない仕組みを考えることが民営化の目的だと言っておるわけです。  しかし、大臣お話ですと、新会社に引き継ぐものもあるけれども、そうではなくて、新直轄方式といってそのまま造るものもあると。そして、抜本的見直し区間が百四十三キロあると。そうすると、まず百四十三キロ以外は全部造るんだと。百四十三キロについても規格を変えただけで、要するに造るんだということになれば、この審議会の意見書が、「必要性の乏しい道路建設をストップし、」と、それがそもそも民営化の改革の意義と目的なんだと言っている部分が全く抜け落ちて、全く改革の意義を達していない、そういうことになる今回の政府・与党案だと思うんですが、この議論に対してはどうですか。
  208. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) その点も委員、是非答申を御熟読願いたいと思うんですが、これは何が必要で何が必要じゃない道路かということに起因しての御質問だと思うんです。  民営化委員会の御提言によりまして、民営化委員でございました中村英夫教授のBバイC、採算性、外部効果、この指標を作ったわけであります。その指標を作った結果は、先ほども申しましたように、公共事業のメルクマールであるところのBバイCが一を下回る道路というものは実はなかったわけであります。それはどういうことかと申しますと、公共事業としてはすべての計画路線はそのまま造っても構わない、そういう結論だと思うんです、数字が物語っているところは。しかし、それでは債務がここまで大きくなってしまった、こういうものに対して債務が本当に返済できるのかといったような最大の民営化のポイントにこたえることができない。  ですから、先ほど来お話をさせていただいているように、コストをできる限り引き下げて、今までは造られる順番についても一体どこから造られてきているんだろうという疑念を持つようなところがあった。しかしこれは、これからは原則的に成績のいいものから造っていく。そして、必要性はあるけれども有料道路としてはやっていけない、すなわち、私、昨日、九州の蒲江というところと、大分ですね、大分の蒲江から宮崎の北川というところまでの路線を視察してきたんですけれども、ここは実は有料道路でもぎりぎりBバイCも一・二ぐらいなんです。しかし、御存じのように、大分県境と宮崎県境の間は大変交通の要所で、これまでも南北の交通、物流というものがなかった。これを地元の意見も取り入れて今度は新直轄で造るということにしたわけです。  その結果、どういうことが起こるかと思いますと、料金を取りませんので交通量が増える。そして、コストももちろん下げていくことによりましてBバイCが三・三と、三倍まで上がるわけですね。BバイCが三に上がるということは、その工事手法を変えることによって、成績がいいわけですから早く整備される。こういうふうに地元の意見も十分に聞かせていただいて、必要な道路を造る仕組みにさせていただいたわけであります。  それともう一つ委員は、コストを削減するのであるならば公団でできたじゃないかという御指摘がございました。しかし、私は、公団方式の弊害というのは、施行命令という一方的な命令の仕組みの下、経営努力の有無が公団の業績に反映されないんです。コストをどんなに削減しようが、公団の業績に反映されない。コスト高、サービス不足。そして、委員が言われるところの必要じゃない道路、不採算路線の建設の歯止めというものが欠如していた。こういうものに対して、こういうものに明確な歯止めを掛けていくというのが今回の民営化の私は目的であると思っております。
  209. 小川敏夫

    小川敏夫君 今大臣が答弁された中で非常にポイントがありまして、今の道路公団システムですね、これは国が施行命令を出す、それによって道路がどんどんできてしまう、これが問題だということでした。  今度のこの政府・与党案で、しかし、新直轄方式、これも結局同じような仕組みで、どんどん高速道路ができてしまうんじゃないですか。
  210. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ちょっと今の御質問の意味を私が十分に取れていないんで、ちょっと私なりに判断をさせていただくと、そもそも新直轄方式というのは、どんどんどんどん新直轄方式で九千三百四十二キロ以外のものも整備していくというものではございません。九千三百四十二キロの中で新直轄方式というものを決めさせていただいたわけでございますから、その意味においては必要な道路を新たな整備手法によって整備していく。しかしながら、これまでの公団方式のような高かろう良かろうみたいなものは一切捨てて、これは税金で造りますですから、高速道路として必要最小限の機能を持った高速道路として整備をしていくわけです。  そうすると、委員の多分御質問の意図にありますのは、じゃ、民間会社は何やるんだ、民間会社の自主性は本当に尊重されるのか、こういう御質問ではないかと私は理解をさせていただいたわけですけれども、施行命令や基本計画の指示といったような国からの、先ほど言いました一方的な命令の枠組みは、今回の法律案を読んでいただければ御理解いただけると思うんですけれども、一切廃止いたします。事業中区間は国土交通大臣と複数の会社が協議する仕組みにしたわけです。  すなわち、委員の御指摘は、採算性が合わない道路をまた国があるいは保有機構が優位的な立場に立って造らせるんじゃないか、だから何にも変わっていないんじゃないか、こういう御懸念があっての御質問だと思うんですけれども、その点につきましては、会社側に実質的な拒否権、自分たちが民間会社ですから、ここを造ったらどうですかと保有機構が言います。しかし、いや、私たちはこれは嫌ですと言いましたら、その人に無理やり押し付けないことにしたわけであります。  それと、先ほど新直轄の話の中でさせていただきました、いわゆる九千三百四十二キロの外、これはもちろん造らなきゃいけない道路が私はたくさんあると思います。しかし、これは民間会社が申請してこない限りは、その会社に、おい、ここ必要だから造れ、こういうことは一切いたしません。  すなわち、拒否権を持ち、申請主義において道路の整備を行うということによりまして、これまでの公団方式の弊害というものを除去させていただいたわけでございます。
  211. 小川敏夫

    小川敏夫君 ちょっと議論の的を絞りますけれども、その新直轄方式なる六百九十九キロ、これはもう施行するというふうに決まっておるわけですか。すなわち、これまでの道路公団の関係では国から施行命令ができて、既に建設することが決まっておるわけです。この新直轄方式も同じように、もう既に国から施行するということの決定が出ておるわけですか。
  212. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 今回、新直轄方式に整備手法が変わる区間については、昨年十二月二十五日の国幹会議の議を経まして、二十七区間、六百九十九キロを選定いたしました。この国幹会議のメンバーには御党の参議院の代表の方も含まれて、その方も御賛成をいただいたわけでございます。  その選定はじゃ一体どうしたのかということでございますけれども、二千キロについて、先ほど話しました中村英夫教授の客観的な評価指標を作らせていただきました。その厳格かつ客観的な評価の結果を踏まえ、さらにやはり、先ほど蒲江と北川の例を出しましたが、これは地元の要望で新直轄方式というものを踏み切ったわけですけれども、BバイCが三倍にも上がる、これは非常にすばらしいことですからその地元の意見を採用したわけですけれども、そういう地方公共団体の意見というものもこれからの高速道路建設では十分に配慮をしていかなければならないんだと思います。  具体的にはどういうことかと申しますと、先ほど話しましたように、管理費も出ない、有料道路に適さない区間、これがございます。それともう一つは、新直轄方式というものは無料なわけでございますので、無料区間としても、高速道路はネットワークで必ずどこかつながっているわけですけれども、ネットワークとの関係から、無料で走ったら料金所があって、また無料で走ったらまた料金所があるといったような、ネットワークから支障が来さないで新直轄にできる区間等々、大まかに言いまして二つに分けまして、この六百九十九キロを造るということを国の政策として、また国幹会議の議を経まして決定をさせていただいたと御理解いただきたいと思います。
  213. 小川敏夫

    小川敏夫君 つまり大臣、質問がですね、大臣先ほど、今度の道路公団改革の最大の意義は、道路公団の判断とは無関係に政府の意思で、施行命令という形でどんどんどんどん道路ができてしまうということが問題だという問題意識に立って改革をしたんだということですね。そういうふうに述べられた。  私が聞いておるのは、新直轄方式、この六百九十九キロも、政府が決定して道路を造ると。ただ、これを道路公団なり新会社に押し付けないと、自分で直轄するということだから、新会社に押し付けないということは別にしましても、道路を造ると、高速道路を造るということについては、政府が施行命令を出して決定して造るのも、新直轄方式ということによって政府が造るということを決定した、この政府の判断で、政府の意思で高速道路を造ってしまうというこの仕組みは全く同じであって、正にこの改革の意義は没却されているじゃないですかというふうに聞いておるわけです。
  214. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これも先ほど来御答弁をさせていただいているわけなんですけれども、いわゆる九千三百四十二キロの残りのいわゆる仕掛かり品と言われる二千キロ、七十区間については全部客観的な指標を出しました。その結果は、いわゆるBバイCは一応すべて上回っていたわけであります。これは客観的な指標であります。  さらに、そんな中で、BバイCが低い、しかし、外部効果、基幹病院への到達時間、あるいは代替道路の有無、こういうことから造らなければならない道路というものがやはり多数存在する。それは、都会に暮らす私どもの感覚からすると、採算性、採算性では量ることができない。採算性はないわけですから。しかし、必要な道路であるということが客観的な指標で明らかになった以上、また、委員は政府が命令を出してどんどん造るとおっしゃいましたけれども、先ほど申しましたように、今度の新直轄二十七区間、六百九十九キロにつきましては、国幹会議の議を経て、御党の参議院議員の委員の方々も参加していただいて賛成をいただいて造るということを決めたわけでございます。ですから、これは必要性があるから造るということでございまして、無駄な道路を造るということでは私はないと思います。  更に言及をさせていただくならば、コスト削減、コスト削減を四兆円プラス二兆五千億、六兆五千億コストを下げるということも決めましたし、債務の返済期間を民営化後四十五年と法律で縛るという初めての試みも取らせていただきましたし、民営化時の債務がそれ以上増えないようにという上限の設定もさせていただいたわけでございます。  これによりまして、これまでどちらかというと建設に、歯止めが掛からなかった建設というものにも歯止めが掛かりますし、何が必要なのか、何が必要じゃないのか。地域にとりましては高速道路はきっと皆さん必要だって言うんです。しかし、それを客観的な指標で評価して、ですから、これからこの仕掛かり品の二千キロの外に一一五二〇という基本計画ございますけれども、そんな中でBバイCが一を下回るものがあればこの評価もさせていただきますが、それは造らないということになるんだと思います。
  215. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも、私が一つのことを聞いているのに、大臣のお言葉はその前後を含めて十ぐらいのことを答えるので、なかなか議論が煮詰まっていかないんですがね。  新直轄方式、これは有料道路でなくて無料にするということですが、これは、今大臣が少し言われたように、要するに採算性が全く取れないから有料道路として成り立たないと、だから無料にすると、こういう意味ですか。
  216. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これは今回の改革の私基本だと思うんですけれども、これまで委員と私の議論の中で、無駄な道路、必要な道路というのは一体何だろう、それは、そのイメージするものはやっぱり若干違うような気がするんです。やはり皆さん、必要な道路、無駄な道路というものは、住んでいるところによってイメージするものは違うんだと思います。それを、客観的な指標を作ったわけです。  この客観的な指標が、数字でありますから正直であります。これを加工などしておりません。民営化委員会の指示に従って、その数値を全部使わせていただいて評価した結果、BバイCはすべて一を上回る。一を上回るということは、公共事業である以上は造るということであります。  しかし、先ほどもお話をさせていただきましたように、一に限りなく近いものがあるわけですね、一を指標の転換点といたしましても。先ほどお話をさせていただいた九州の高速道路がそのいい例ですけれども、これは一・二六というBバイCだった。一に限りなく近いわけです。しかし、これを無料化することによって、そのBバイCというものは一挙に三・三三まで上がる。こういうところがやはり全国にたくさんあるわけですね。どれもこれもこれは必要な道路でありますので、必要な道路は必要最小限のコストで造ると。  ですから、もし今私が説明されていることにおかしいというのであるならば、例えばどんなところの道路が、今回の計画で造るけれども、これは必要ないんじゃないかと。私は、あの七十の、指標に基づいてお話をさせていただいていると是非御理解をいただきたいと思います。
  217. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも大臣の話は長いばかりで。  じゃ、全く私の質問に答えていないんだけれども、聞き方を変えますが、例えば無料化して新直轄道路を造るということですが、これまでの道路公団方式ですと、当然有料で、しかもプール制ということで、すべての高速道路の利用者の料金負担によってその建設費を賄うということになるわけですが、今度はこれが新直轄方式ということで新会社から外れるわけです。そして、しかし国の予算で、特定財源使うのかどうかは別としまして、国のお金で造るわけですが、したがって、これは国民から見れば、高速道路の通行料という形で国民全体が広く薄くその負担を強いられていたものを、今度は税金という形でやはり広く薄く負担するという構造であって、全く国民がその建設費、そのコストを負担するという意味においては何にも変わっていないんじゃないでしょうか。
  218. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ちょっと私の質問のちょっと御理解が十分じゃないのかもしれませんけれども、九千三百四十二キロの整備計画の中で今できていないものが二千キロございます。先ほどお話ししましたように、この七十区間でございます。この七十区間すべては、実はBバイCで見るならば一を上回っているわけです。しかし、この今次の改革に照らし合わせると、先ほど話した抜本的見直し区間、新直轄に整理をさせていただいたところにいたしましても成績が大変悪い。しかし、その代替需要というものを、並行国道の整備や、あるいは構造の見直しにとって代替することができるであろうと考えたからこそ、抜本的見直し区間として一時中断をさせていただいたわけでございます。  しかし、先ほども、くどいようですけれども、BバイCはみんな一を上回っているんです。じゃ、有料道路で整備する二区間、これは第二名神の部分でございますけれども、ここは、ちょうど去年にそこに並行して新たなバイパスができたんですね。このバイパスができたことによってこれまでの計画と、実は交通量の需要がそのバイパスに迂回をしてしまいますから下がる、ですから今の規格のまま、だあんとすごいものを造る必要性がなくなった、これが五区間であります。  それ以外のものについては、委員はまだその中に、五区間を除いたものの中に不必要な道路があるという仮定に立って私は御質問されているのかなという印象を受けたわけですけれども、客観的指標から判断をさせていただくと、これは公共事業のBバイCの基準はすべてクリアしている。しかし、今般の改革にかんがみまして、やはりどうやってコストを下げていくのか、また、地元の皆さん方にもいろいろなアイデアを出していただいてこの成績表の順位を上げてもらうことによって早く整備をしていく、こういうふうに整理を実はさせていただいたわけでございます。
  219. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、端的に大臣が答弁してくれればいいんですよ。  要するに、その九千三百四十二キロのうちの百四十三キロを除いた部分は、大臣は、造る必要があるから造るんだと、こういう前提に立っておるわけですね。
  220. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) そのとおりでございます。
  221. 小川敏夫

    小川敏夫君 ですから、そうすると、この審議会の意見書で、民営化の最大の改革の意義と目的は、最大じゃなくて改革の意義と目的は「必要性の乏しい道路建設をストップし、」と、これが審議会の意見であったけれども、その意見を踏まえた政府の出した結論は、百四十三キロについてだけ規格を見直して造る、それ以外の残りについてはすべて造る、これが政府の結論だと、こういうことですね。
  222. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これも先ほど答弁をさせていただいたわけでございますけれども、民営化推進委員会の指示に従って中村英夫教授が客観的指標を作り、その指標の結果が、五区間を除いて、今のままコストは削減する努力をしつつ造るということになったわけであります。  民営化委員会の指標にのっとって残りの七十区間について指標を出した、その指標の数字をそのまま取らせていただいて、五区間を除いてはコスト削減の努力をしつつ整備をしていく、その整備をしていく中に、新たな手法として、先ほど言いましたけれども、採算性だけでは判断できない外部効果等々を考えると、やはり有料道路方式でやっていくのが無理だということで、新直轄という税金でやはり責任を持って整備をしていくという区間が含まれていると御理解をいただきたいと思います。
  223. 小川敏夫

    小川敏夫君 大分議論がかみ合ってきたんですが、要するに、ですから、有料化できないからその部分については新直轄方式に、無料化するというふうに言うわけですけれども、しかし、すなわち有料道路として全く採算性が取れないと、そういう道路については新会社に渡したんでは新会社がやっていけない、あるいは債務の償還に、債務の償還計画が成り立たないということがあって、その部分、新直轄方式を切り離したと思うんですよ。  そうすると、その無料化によって、これまで採算性が全く合わない道路の分を通行料金という形にして国民に広く、薄く広く負担させていたそのものを、今度は新直轄方式だから税金という形で国民に広く薄く負担させるわけだから、結局、国民に負担をさせるという意味においては全く何にも変わっていない、何にも変わっていないという状況の中で全く同じように高速道路を造る、百四十三キロ以外は全部を造ると、こういう結論になるので、私が言いたいのは、今度のこの政府・与党の道路改革案、言葉だけで、見せ掛けだけで実質的には何の改革案にもなっていないじゃないかと、こういうふうに私は指摘しているわけですが、大臣、どうですか。
  224. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 民営化推進委員会が、やはり各委員の方々いらっしゃいますから、先ほどの前段の話のように、イメージする必要な道路、無駄な道路というものがきっと分かれていたんだと思うんです。大都会に拠点を置く先生方はやっぱり、地方の道路なんかもう要らない、採算性が合わないんだから。しかし、地方に立脚する、あるいは地方の実情を知っている民営化委員会の先生の中には、そうはいっても採算性だけで物事を判断しちゃいけないね、もう少し客観的な指標を作ってみようよという意見が提言されたんだと思うんです。  そこで、民営化委員会の提言にのっとって、先ほど話した七十路線を路線ごとに評価してみた。これは客観的な、民営化委員会の指示どおりの指標でありますので、私はこれは多くの国民の方々の御理解を得ると思うんですけれども、そんな中で、委員が御指摘の五区間を除いては今のまま、もちろんコストを、コスト六兆五千億削減いたしますので、かなり構造等々は変わってくると思いますけれども、高速道路機能を持つ道路は整備していこう。  そんな中で、どうしても、先ほども答弁いたしましたけれども、管理費も出ない、すなわち切符を切るおじさんたちの費用も出ない、こういうものは、その人たちを雇って有料道路を維持すればするほど累積が赤としてたまるわけですからやめましょうという形でこの新直轄というものを決めた。これは、政府が最終的に決めましたけれども、国幹会議という各界の代表あるいは各党の道路問題に造詣の深い方々が出て賛成をしていただいて、この六百九十九キロを税金で整備していこうということを決めたわけです。  しかし、これまでの有料道路整備の基本というもの、高速道路、有料高速の基本は、利用をする方々の負担において、言ってみるならば特急料金とかグリーン料金とかと同じように、その人たちの、利用者負担という形で整備していこうという形で高速道路を整備してきたということは事実です。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  ですから、今度は、委員の言うところの税金ということは、薄く広く国民の皆様方の資金をちょうだいいたしまして必要な道路を整備していくということを決めたということでございます。
  225. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、利用料金という形で国民が負担していたものを税金という形で国民が負担するということだから、国民の負担には何にも変わっていないと。ですから、私は今回の政府・与党の改革案は実質的には改革に値しない名前だけの改革じゃないかと、こういうふうに私は議論しているわけですが、どうですか。
  226. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 議論の根本に、またくどいようですけれども、例えばこんなところが要らないんじゃないかというものを委員がお示しいただくと非常になぜかということが具体的になると思うんですけれども、意見書の指示に従って、意見書で出てきたものが必要であるという数字を示している以上は、基本的に意見を尊重しなければなりません。もちろん閣議で決定させていただいておりますので、基本的に尊重するという立場で、この民営化委員会がお示しした新直轄、民営化委員会がお示ししたところのその指標にのっとって必要、不必要、あるいは見直す区間、あるいは新直轄で造るというものを決めたわけです。  新直轄方式を考えろということも、私どもが急に管理費も出ないからよしと言って作ったんじゃなくて、民営化委員会の提言の中にこれに代わる仕組みを考えろと。先ほど話しましたように、地方を見たことのある方、あるいは大都会だけに住んでいる方々によって必要な道路、不必要な道路のイメージが違うから、指標を作り、なおかつそういう中で採算性だけでは割り切れない道路があるだろうなということを民営化委員会の委員の方々が考えたからこそ、提言の中でこの新しい高速道路の整備の仕方を考えてみろと。この提言の中にありましたので、それを考えて、今回新直轄というものを提案させていただき、国幹会議で御党の代表、参議院の代表の方の賛成もちょうだいして整備をしたと。ですから、不必要なところがどういうところなのか、具体路線じゃなくても結構ですが、こういうものが要らないんじゃないかということがあればお示しいただければ、なぜなのか、なぜこれを造らなきゃいけないのかという御説明は可能なんだと思います。
  227. 小川敏夫

    小川敏夫君 具体的な路線についてどこがどうのと言っている話じゃないんで。ただ、道路公団のこの改革というものがどうして出てきたのか。すなわち、施行命令が出されて道路公団が高速道路を建設する、その場合に、採算性が全く合わないところでも地元の要請とか様々な事情によって高速道路を造ると。しかし、そういうふうにして造ってきた結果、どういうことになったか。すなわち、採算性が合わない道路がどんどんどんどんたくさんできて、できてしまって、高速道路の料金プール制、これではもう賄い切れないほどの借金を抱えてしまったし抱えてしまう、料金がどんどん上がってしまうと。こういう構造では駄目だというところから道路公団の改革の出発の原点があるわけです。  私が言うのは、しかしその道路公団について施行命令が出された、施行命令じゃなく、施行命令でいいんだな、施行命令が出された残り約二千キロ、これについて、結局、新会社に引き継ぐもの、あるいは税金の負担といって国民が薄く広く負担するもの、その負担の形は分かれたけれども、結局、道路公団時代と同じように、施行命令が出されたものは結局、わずか百四十三キロを除いて全部造るということじゃないですかと。だから、これは改革という本来の目的には全く実質が伴っていないんじゃないかと、私はこういうふうに議論しただけです。
  228. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 同じ答弁をして本当に恐縮なんですけれども、必要な道路って何なのかということはやっぱり各個人によって違うんですね、きっとイメージするものが。しかし、それを民営化委員会の答申にのっとって客観的な指標で評価をすると、一時中断する五区線、百四十六キロを除いては何らかの形で整備をしていかなければならないというのがこの中村英夫教授が作った厳格な評価基準の結論なわけであります。  委員が前段御指摘された公団事業に対しての批判というものは、私はもう的を得ていると思うんです。すなわち、建設に歯止めが掛からない。採算性の全く取れない路線もプールで建設していって返済期限を順次先送りしてきた。あるいは建設、管理コストの削減努力、さっき言いましたように、安く造っても公団側の事業に対して何のメリットもございませんから削減努力が不十分。あるいは、これも猪瀬委員指摘で大分改革が進んだんですけれども、ファミリー企業との関係が不明瞭。公団組織を維持したままではこれらの批判に対して十分な成果を上げることができなかったということは私は事実だと思うんです。ですから、総理が言うところの戦後有料道路制度の初の抜本的改革というこの民営化という荒治療を使って今の問題、公団に対する、公団行政に対する批判にどうこたえていくのか。  そんな中で、無駄な道路は造ってはいけない、そして何が無駄かということは客観的な指標にのっとって決めると。さらに、債務の返済期間を民営化後四十五年と法定化したわけであります。あるいは、さっきも言いましたけれども、四十兆円と言われるこの債務の上限は、これを民営化したときのこの上限を上回らないということも決めます。そして、さっき言いましたように、これまで公団側は造れ造れという圧力に対して造ることが仕事だったですけれども、会社の自主性を尊重する仕組みというものも入れさせていただきました。あるいは、これから会社が建設するに当たっては会社が自分たちで自己、マーケットから自己資本で調達してくる、これによって市場規律というものが働く仕組みも作らせていただきました。さっきも言いましたけれども、有料道路事業というものも二十兆円掛かるものも十兆五千億と半分にさせていただいた。競争原理を導入するために三分割した。  もろもろのこういうものを積み重ねることによって、すなわち言葉を換えますと、公団民営化という枠組みを通じて初めて今言ったようなことが可能になったということは私は委員の御指摘のとおり事実なんだと思います。
  229. 小川敏夫

    小川敏夫君 この道路公団改革は、小泉総理は大変胸を張ってすばらしい中身のある改革だと言っておるわけですけれども、私は全く言葉だけで、見せ掛けだけで国民を欺く中身がない改革だと、こういうふうに判断しているわけで、当然、そういう観点から聞きますから、大臣が中身がない改革だと言われて、はいそうですと言うわけないことは分かっているけれども、お立場上、しかしそういう観点から聞いている。  ただ、大臣の答弁を聞いても、全くコスト削減する、コストを節約する、こんなのは当たり前のことであって、本来民営化の議論が出てきたその道路公団の在り方の根本的な問題、なぜ改革が必要であったかという原点の問題、その小さな問題であって、より大きな問題は、先ほど大臣も私の指摘が正しいと認めてくれたとおり、これまでの道路公団方式では、どんどんどんどん施行命令がなされるまま道路ができて、その結果によって借金が膨らみ、償還不能になってしまう、料金がどんどん高くなってしまうと。こういう問題点を解消しなければならないというのが正に改革の出発点だったわけです。  そこで、私は聞いておるわけです。今回の政府・与党のこの改革案。新会社に引き継ぐ部分と、それから有料道路としてはやっていけないから、すなわち採算性が余りにもないんで新会社には引き渡せない、でも造る。それを今度は、道路公団の借金あるいは高速道路の利用者の通行料金という形の国民の負担ではなくて税金という形で、結局は、つまりこれまでの道路公団方式であれば道路公団の借金という形、通行料という形で国民が負担していたもの、それを削減しなくちゃいけないという、その出発点のその削減すべき部分を実は削減しないで、ただ単に、新直轄方式によって国民の税金負担に、負担するその名目を変えただけじゃないかと。だから、私は、今回の改革は全く中身がない改革だと、こういうふうに指摘しておるわけです。  これについて、大臣は私に聞かれたこと以外に、前のこと、後のこと、ずっと十ぐらいのことを延々としゃべって、大臣が答弁すると私はいろいろ食い付きたいところが随分出てくるんだけれども、今私が指摘している点が、正にこの改革が本当の改革なのか、私が言う見せ掛けだけの改革なのかの根本ポイントだから、同じことを何回も何回も繰り返し質問しているわけです。  どうです、大臣、私の指摘について端的に、そのことだけでいいから答えてください。
  230. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 委員の御指摘を端的に私が御理解をさせていただくならば、新直轄方式、すなわち税金で道路は整備するな、こういうものがあるからけしからぬというふうに聞こえておりますが、それは民営化委員会が第三の方、政策、物を造る道を考えろという提言にのっとって政府として決断をし、国幹会議で御党の委員の御賛同も得て、この新直轄というものを導入したということでございます。
  231. 小川敏夫

    小川敏夫君 私の考え方は十分お話しして、まあ何回聞いても同じ答弁しかないんで余り議論が進まないんですが、聞き方を変えますが、これは新直轄方式の道路、これは税金で造るんでしょうけれども、これは特定財源で造るんですか。どういう費用でどういう主体で、だれがどういう資金で造るんでしょうか。
  232. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) 新直轄方式の財源の手当てという御質問であります。  総枠の議論を少しやらせていただきたいと思うんですが、新直轄方式につきましてはおおむね三兆円ぐらい、総額でですね。目安でございますから、これは実際は幾らになるかと、これからの議論でありますが、現在、昨年の十二月二十五日に御指定いただきましたのが、国幹会議でですね、お諮りいたしましたのが、約七百キロ、六百九十九キロ、事業費で申し上げますとおおむねが二兆五千億円ぐらいと、大ざっぱに申し上げるとそういうことだと思います。  そこで、おおむね目安として三兆円ぐらいということでございますので、それを毎年、平年度化いたしましたら事業費は、最初のころは立ち上がるまでなかなか事業費は積み重なりません、しかしながらある程度順調に事業が進み始めますと、ある一定の額ぐらいに近づくであろうと。これをおおむね二千億円ぐらいと、こういうふうに考えております。そうしますと、この二千億円に対しまして国と地方が一対三、基本的には国が三で地方が一。したがいまして、二千億円でしたら、国費が一千五百億円で、地方費が、地方が五百億円用意していただく、こういう形になります。ただし、直轄事業でございますので、それぞれの地方公共団体の財政力に応じた補正がございます。  結果、ただいまの見込みで申し上げますと、十五年度分で申し上げますと、本来、したがいまして四分の一、二五%地方が御負担いただくという形でございましたが、そうした補正を考えますと大体一五%ぐらい、こうなっているところであります。そういう意味では、おおむね二千億円ということを考えましたときには、おおむねその一五%、三百億円ぐらいが地方が負担していただき、残り千七百億円ぐらいは国が負担させていただくと。  問題は、予算の手当てそのものをどうするか。国の方は基本的に道路特定財源でお願いを申し上げる。地方の方も、実は、昨年といいますか十五年度に自動車重量税を、地方の譲与分を増やしました。この増やしました譲与税の分を、これは、譲与税は市町村の財源になるものですから、これを約九百三十億円増やして、市町村と都道府県で今度は地方道路譲与税の、ガソリン税の方ですが、自動車重量税でいったん動かして、そしてガソリン税の譲与分で市町村と地方でお分けいただいて四百五十億円と四百八十億円、こんな形で十五年度から税の、税源移譲をさせていただいた、こういう形であります。そうしますと何とか総額としては充てていただくことはできるだろう。  ただし、ここのところは、譲与税の分につきましては、ひもが付いてどこに幾らというお話ではございませんので、地方公共団体が御自分の懐全体の中で御差配いただくということになります。ただし、実際に必要な金は後年度、基本的には総務省の方から交付税で補てんがされると。交付税も事業費補正が、と標準補正でそれぞれ補てんしていただける。こういう形で、実質的にはその財源として重量税が回り回って行っている、こんなふうな制度を十五年度から用意させていただいたと、こういうことでございます。
  233. 小川敏夫

    小川敏夫君 それは建設費だけではなくて建設した後の維持管理費用も含んでの話ですか。
  234. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) これから建設、主として建設に入り、まだまだ時間を要して最初に供用し得るのが何年か後になろうかと、こういうことでございますので、十五年度にただいまの重量譲与税の議論をさせていただいた段階、あるいは新直轄方式の高速自動車国道における国と地方の負担の割合、この議論をさせていただいている段階では、基本的に建設費はこういうことにしようということにさせていただいたところでありまして、将来の供用前の国や地方の財政の状況等も踏まえながら、維持管理そのものについてどうするかという点については引き続き協議、こういうことにしているところでございます。
  235. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣、民主党が高速道路の無料化案を出したとき、じゃ、これからの高速道路の維持管理費をどこから出すんだと。当然、一般国道と同じように道路特定財源から出すんだというのが民主党の案でしたが、それに対して、政府・与党の方は全く、高速道路の管理費用が全くないような話、あるいは道路特定財源から管理費を出すなんというのはとんでもないというような前提に立った批判があったわけですが、今聞きましたら、直轄道路による高速道路、これ道路特定財源から出すんだから、別に民主党が言うように道路、高速道路、道路じゃないや、高速道路を無料化したその維持管理費を特定財源から出すことは別に本質的に問題があるわけじゃないんで、ただ単に政策的な問題だけですね。
  236. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) システム上同じだと思います。
  237. 小川敏夫

    小川敏夫君 すなわち、民主党が言う高速道路の無料化した場合に、その高速道路の維持管理費を道路特定財源から出すということについてはこれまで政府・与党の方、批判していましたが、じゃ、その批判を撤回するわけですね。
  238. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) システム的には一緒なんですけれども、ほかの事業ができなくなる、すなわちそろばんが合わないということで問題があると言っているわけでございます。
  239. 小川敏夫

    小川敏夫君 しかし、道路特定財源、新直轄方式によって高速道路を道路特定財源から使えば、その分一般の、一般の国道に対する分が食われて減るから、理屈は同じじゃないですか、多少金額の多寡はあるにしても。
  240. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) 今大臣申し上げましたように、具体的などのぐらいの規模になるかと、これがかなり違ってくるのではないかということが問題であろうかと思います。  現在、一般国道の直轄の管理費等で既に国費としては四千億円。で、高速道路関係の維持管理費も恐らくそういうような以上のオーダーになるであろうということを考えますと、その分の財源を今やっている事業の中で生み出し得るかと。こういうような問題からいきますと、全体、例えば九千三百四十二キロの中で既に直轄という形で七百キロあるいはそれ以上やるとしても全体の一割もないという状態でございますから、どれだけのオーダーの管理費を国費で支弁し得るか。オーダー的に大きくなっていけば大変な負担になると、ほかの事業がなかなかできない、こういうことになろうかと思っております。
  241. 小川敏夫

    小川敏夫君 無料化の議論は少し後にしまして、まずその九千三百四十二キロを超える部分ですね、これについて大臣、新直轄方式は九千三百四十二キロの範囲内という趣旨の先ほど答弁がありましたけれども、その九千三百四十二キロを超える部分については新直轄方式は適用されないと、考えていないと、こういうことですね、先ほどの答弁、確認ですが。
  242. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) いわゆる整備計画が九千三百四十二キロでございますが、法定予定路線が今委員指摘の一万一千五百二十キロです。その二千百八十キロについては、その着手時期、事業主体、整備手法というものは今決まっておりません。すなわち、その前の段階のところの議論を今させていただいているからであります。今後整備を進めるにいたしましても、現在までの検討過程を前提としますと、これまでのような計画みたいなもので造っていくことはなくて、不断の見直しを私はやはりこの整備計画の外のものを同じようにやっていくのが必要なんだと思うんです。  で、そうはいっても、やっぱりぱっと思い付いても必要なものというのは目に浮かびます。その整備計画区間以外の区間で、例えば私とか小川委員が住んでいるところの東京外環道路の関越道、東名のように極めて重要なものもここに入っております。  で、整備区間以外の区間についても、私は先ほど来何度も何度も御答弁しております、中村英夫教授の作りました、民営化委員会がこの指標に合わせて必要か必要じゃないかを判断しろといった厳格な評価をやっぱり実施しなきゃいけないんだと思います。そして、事業の着手又はその整備手法について、その結果を見て、その結果がどうなるかを見て、この九千三百四十二キロの議論の終わりましたらすぐにしていかなければならないと思っております。  そこで、委員の多分御心配は、その、じゃ、外の部分もまたその民営化された会社に押し付けるんじゃないかというような御懸念があるんだと思いますけれども、これは民間会社には押し付けないで、その会社の自主的な判断、先ほども申しておりますように、この道路を、例えば外環道路を造りたいという会社があれば、申請に基づいて、その申請がリーズナブルであればお願いをすると、こういう形になるんだと思います。
  243. 小川敏夫

    小川敏夫君 今新会社のことを話されましたけれども、私は、そうじゃなくて、新直轄方式によって、要するに国が造るその九千三百四十二キロを超える部分について新直轄方式で造るのかどうか。  すなわち、新直轄方式というのはこの今回決めた六百九十九キロ、これで終わりであって、九千三百四十二キロを超える部分については新直轄方式はないというような趣旨の答弁にさっき聞こえたんですが、どうなんですか。九千三百四十二キロの外にも、新直轄方式はまたそのときに必要性があればやるということなんですか、やらないということなんですか。
  244. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) 済みません、ちょっと私の方から、多少技術的な面もございますので。  まず、九千三百四十二キロ、未供用区間二千キロの中で、昨年の十二月二十五日に六百九十九キロを新しい直轄方式でお願い申し上げたと、こういう形でありますが、先ほど申し上げましたように、これからもこの二千キロの中で更に、会社が、民営化会社が発足いたしましたら、民営化会社がどういう区間を会社として事業を継続するかと、こういう御議論があろうかと。その場合に、あわせまして、更に直轄方式、新しい直轄方式で事業を進めた方がよろしいかどうか、こういう区間もこの二千キロの中に更にあるんではないかと。これは地方公共団体等の意見もよく聞きながらそうした全体の調整をしなければいけない、こういう問題だと思っておりますし、したがいまして、二千キロの中でもまだ新しく直轄方式になり得る区間というのはあり得る、こういう問題が一つでございます。  それからさらに、この九三四二から外側の部分についてどうか、こういうお尋ねでございます。  そういう意味では特に手法を、整備手法を一つ一つ決めているわけではございませんが、可能性のあるものとしては、当然のことながら直轄方式でやる分もあれば、さらに有料道路としての会社がそれぞれ事業をどのぐらいやり得るかといったような検討もあるでございましょうし、そうしたことも含めて、この残り二千百八十キロの整備の在り方については、新直轄も含めて、あるいはまた有料道路事業も含めて検討がなされると、こういう問題だと思っております。
  245. 小川敏夫

    小川敏夫君 どうも、ちょっと議事録を読み返さないとはっきりしないんですが、大臣は、新直轄方式、九千三百四十二キロの外にはないという趣旨の発言をさっきされたように思うんですがね。  じゃ確認しますが、九千三百四十二キロの外にも新直轄方式で高速道路を建設するということはあり得る、こういうことですね。
  246. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 私の発言の趣旨として、法定予定路線のいわゆる一一五二〇の中に税金で造る高速道路がないというような答弁をした記憶は私はございません。  先ほど御答弁をさせていただきましたように、この九千三百四十二キロの外については事業評価を行っていないんです。ただ、ぱっと常識的に考えて、私の近くで外環道路、委員のお住まいのところも関係すると思うんですけれども、外環道路はやはりだれに聞いても必要だと。しかし、どの程度必要なのかということは、その実は評価をしておりませんから分かりません。それが必要であると思いますけれども、やはりさっき言ったように、個々人によりましてこれが必要だ、この道路が不必要だというものがあるわけですから、この一一五二〇についてもすべての路線、区間についてこの評価基準、厳格な評価基準に合わせて成績表を作ると。  その結果、先ほども言いましたように、民営化委員会の推進の中に新たな整備手法を考えろということが出てきたように、この一一五二〇の中にも、採算性からいうと、採算性は合わないけれども、どうしても必要な道路というのは出てくると思います。そのとき、様々な整備手法でこういうものを造っていくということを決めていく。それを決めるにいたしましても、先ほど話しております国幹会議の皆様方にも十分に御相談をさせていただくということだと思います。
  247. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、一言でまとめますと、一一五二〇と九千三百四十二キロの間の区間は政府が新直轄方式で造るということもあると、こういうことなんですね。
  248. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 厳格な評価を行って、そういうものがあればそのとおりでございます。
  249. 小川敏夫

    小川敏夫君 それから、新会社ですけれども、新会社はこれから新しく高速道路を建設するという場合に、この九千三百四十二キロあるいは一万一千五百二十キロ、これに拘束されないで、新会社が必要と考えれば高速道路を建設するということも可能なスキームとなっておりますね。どうですか、この点は。
  250. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) 現在、事業中、建設中あるいは調査中の路線、区間以外につきましては会社が自主的に検討し申請をするということでございますので、考え方の上では、有料道路事業としてこういう路線、区間を建設したいということが申請として出てき得るというシステムではあろうかと思っております。
  251. 小川敏夫

    小川敏夫君 私はスキームを聞いておるわけで、ですから、スキームは、新会社はできるということですね。  それから、新直轄方式、すなわち国費を使った高速道路を造るという面につきましても、これから政府の判断、国幹審の決議が必要と言うけれども、これまでの高速道路に関する行政をずっとつかさどってきたのが正にこの国幹審ですね。正にこれまでのそうした政府の高速道路行政と同じ仕組みで、これから新直轄方式ということで一一五二〇のその中の高速道路、これを建設することもあるということが今回のこの政府のこの改革案のスキームですね。どうですか、大臣
  252. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほども御答弁させていただきましたように、その九三四二の残事業二千キロについては、七十路線について客観的な評価をいたしました。一一五二〇の残り部分二千百数十キロについては客観的評価を行っておりません。この客観的評価を可及的速やかに行って、その実態を見て整備方法を検討する、あるいは整備しないものが出てくるんだと思います。
  253. 小川敏夫

    小川敏夫君 だから、スキームとしては、造るということがあるスキームになっておるわけですね。大臣、正面から答弁しないけれども、まあ議論のやり取り見れば当然そういうことだということが分かると思いますが。  これまでの道路行政、正に道路公団、これを改革しなければならないという事態を招いたその政府の決定、国幹審の決定によるというその仕組みを全く残したまま、その仕組みによって九千三百四十二キロの外のその高速道路も建設ができるというスキームであれば、これは結局、小泉総理が胸を張って、大改革だと言えるような実態は全くなくて、ただ単に赤字路線、新会社の、民営化した新会社に持たせるわけにいかないから国の税金で造るんだと、したがって国民がその分を負担するんだと、こういう構造はこれまでの道路公団の仕組みと全く変わっていないと、私はそのように評価しますが、大臣、いかがですか。まあ聞いても、はい、そうですと言うことはないでしょうけれども、それについて真正面から反論があれば反論していただきたい。
  254. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ですから、必要な道路と必要じゃない道路の客観的な判断基準の物差しが委員と私は違うと思うんですね。私は、民営化委員会の推奨して、やれと言った指標にのっとって必要であるか必要でないかを判断した。一一五二〇についてはまだこの判断基準がありませんので、私としては、だれがどこをどのような形で整備するかということは言えない。ただ、その中の可能性としては様々な整備手法がある。それは当然同じ客観評価を行うわけでありますので、同じ客観評価の結果、会社に任せないで国が造るという道路があった以上、同じものを否定するわけではないということだと思います。
  255. 小川敏夫

    小川敏夫君 これまでの道路公団の仕組みが、九千三百四十二キロどんどん造っちゃうと、あるいは一万一千五百二十キロも造ってしまう、そうしたことの問題点から、改革ということに出発の原点があった、それが全く没却されているというふうに思いますが。  話を次の点に進めますが、政府・与党案ですと、今度の改革の後、高速道路の通行料金が一割ぐらい下がると、このような提案をしておりますが、この高速道路料金が一割ぐらい下げられるということのその具体的な根拠といいますか、数式といいますか、これを示していただけますか。
  256. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) 先生指摘のように、政府・与党申合せにおきましても、平均で、平均で高速自動車国道について一割の料金の値下げを平均で努力すべしと、こういうことであります。  これを具体的にというお話でございますが、これにつきましては、今社会実験、こういう形でいろんな割引実験の在り方を勉強しているところであります。具体的には、例えば高速道路については、長距離割引、ETCを使った長距離割引をした場合に、どのぐらいの弾力性といいますか、更に高速をお使いいただけるような割合が増えるかとか、あるいはまた同じくETCで申し上げれば、首都高速の夜間割引につきましても今まさしく実験をしている、こういう状態であります。  さらに、地方部におきましては、例えば朝晩の通勤時間帯などにおいて高速道路の方を、例えば具体的には新潟等においては半額で割り引いた場合にどのぐらいお使いいただけるか、こういったようなことも実験として、社会実験として行っているところであります。そうした成果を踏まえながら、地域ごとあるいはまた時間ごと等の弾力的な割引といったようなことを検討する、こういうことが一つだと思っております。  さらには、マイレージ割引、こういう形で料金の別納割引を昨年の十月以来、これまでの制度そのものは新たな適用せずに、経過措置としては延ばしながら新しい割引制度も今検討しているところでございます。これにつきましては、例えばマイレージ割引といったような形もあろうかということで検討している最中でございます。  そういう意味では、こうした地域ごと、時間帯ごと、またETCを使う、あるいは全体としてということで、いろんな組合せの中で料金の割引を行って、自主的に先ほどのお話の平均の一割割引、さらには別納制度の新しい姿も含めた割引の在り方、こういうものを今検討しているところでございます。
  257. 小川敏夫

    小川敏夫君 その政府・与党の案で、その申合せにスキームが移行した後は高速道路料金が一〇%下がるというところが国民に示されたわけですが、その一〇%下がる、一方で四十兆円にも上る道路公団の借金を四十五年間で完済しなくちゃいけないわけで、ですからその借金の返済、これと関連して本当に高速道路料金を一割下げることが可能なのかどうか、そうした具体的な算定方式があって言っていることなのか、そうじゃなくて、そうした具体的なこともなく、ただ取りあえず一割下げるという約束をしただけなのか、この点はどちらなんですか。
  258. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) そういう意味で、大事なことは、その割引の、割引をした、その代わり一方でまた利用促進にそれがつながり、大きな減収にならない、あるいは逆にもっとお使いいただいてもっと増収になるというような状態が出れば一番私どもにとっても、また利用される皆様にとっても望ましいことがある、こういうことかと思っております。  通常でございますと、平均的にといいますか、基本的な料金の水準を例えば一割割り引くというような形ですと、これまでの経験でいきますと、一日当たりの交通量といいますか、はコンマ三ぐらい増えるかと。つまり、一〇%の割引した場合には三%ぐらいの利用量が増えるか、逆に言いますと、一〇%上げますと三%ぐらい減ると、こういうことでもあったわけでございますが、という形であったということであります。  これをできるだけ多くの利用促進につなぐ、そのためにはどういう割引の在り方が望ましいかというようなことを大前提にして、十五年度、社会実験という形で様々な実験をさせていただいているということであります。そういう意味では、通常、今までとらえてまいりました弾性値、料金の弾性値〇・三を、どれだけ、どういうやり方で増やしていくか、これが大事なことだと思って、今まさしく実験し、検討しているところでございます。
  259. 小川敏夫

    小川敏夫君 質問に関係ないことを長々と答えないでくださいよ。これは政府・与党案で提案したことなんだから、大臣、直接お答えください。  一割を、高速道路料金、この政府・与党案のスキームになれば高速道路料金一割を下げますと国民に対して約束したわけですよ。私が聞いているのは、その一割を下げるということについて、じゃ具体的な数式、具体的なスキームがあって、もう既に根拠があって打ち出した数字ですか、それとも、そうではなくて、そうしたものはないけれども取りあえず一割は下げようという努力目標として掲げた数字ですかと聞いているんです。
  260. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先ほど局長の方から答弁をいたしましたように、もう既に夜間割引、これは首都高でやっておりますが、東京線で七百円を四百円に、あるいは横浜線で六百円を三百円に、あるいは通勤割引、新潟、岡山等々で半分にすることによって並行国道の渋滞が半分の距離になる、あるいは到達時間が半分以上に短縮される、こういう効果が出ているわけであります。そういうものを組み合わせることによりまして一割ということは十分に可能であると考えております。
  261. 小川敏夫

    小川敏夫君 これからそうした様々な組合せを検討して可能であるということですから、この政府・与党案を打ち出した段階では、その一割を、料金を下げるということについて、その債務の償還と合わせて具体的に算定して出た数字じゃない、こういうふうに、要するにそういうことなんですね。
  262. 佐藤信秋

    政府参考人(佐藤信秋君) 御指摘のように、平均で料金の一割引下げを図る、平均で、いろんな手段で、こういうことを前提にしてそういうお取決めをいただいた、こういうことでありますので、そのやり方について、あるいはまた実質的な影響がどうなるかという点については、その割引の在り方などに、いろいろによって変わることもある、こういうことでありますので、現在まさしくどうした形でやっていくかということを検討させていただいている最中だということであります。
  263. 小川敏夫

    小川敏夫君 私は、要するに政府・与党案というもの、先ほどるる述べたように、実質的な改革の意義の目的から懸け離れた、本当に民営化という言葉、民営化すれば改革だというだけの中身がない改革案だというふうに考えておるわけですが、当然この分析すればそういう結論になると思うんですが、そうした点の実態をごまかして、国民からあたかもいい案だというふうに評価を誤って得るために、言わばあめをばらまくようにして、政府・与党案によれば高速道路料金が一割下がるということを具体的な算定根拠もないままに打ち出したんだというふうに思っておるわけです。  実際に、ですから、これから検討するというんだから、政府・与党案、一割の料金引下げを発表したときには具体的な算定根拠があったわけではないんですね、大臣、そうでしょう。
  264. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これは、民営化委員会の答申を読んでいただければ御理解いただけると思うんですけれども、民営化時点で平均一割の運賃値下げを行うべしという御提言をいただきました。これを受けまして、政府・与党で民営化までに前倒しいたしまして一割の削減を図る、これは十分なぜ可能であると政府・与党が判断をさせていただいたかと申しますと、大体キャッシュフローが二兆円でございます。このうち先ほど局長が御答弁をさせていただきました料金別納制度、これやめます。これで二千二百億ございます。いろいろな先ほど来お話をさせている割引料金を組み合わせることによって一割を削減するということは十分可能であるから、政府・与党として国民の皆様方に一割削減すると、料金を一割下げるということをお約束させていただいたわけでございます。
  265. 小川敏夫

    小川敏夫君 その料金別納制度をやめるとか割引制度を出すから一割下がるという話じゃ、この公団改革の本質から出てくる問題じゃないじゃないですか。あるいは、それまでのその別納制度、そういう制度をそのまま温存していたことがむしろ悪かったんであって、決して改革の成果ではないと思いますが。  さて、高速道路のこの新しい料金ですが、これは四十兆円にも上るこの道路公団が負ってしまった、道路公団関係会社が、関係公社が負ってしまった四十兆円もの借金、これを四十五年間で完済しなければならない。すなわち、国民にそういった意味で負担をさせないということで大変にまた重要なポイントでありますけれども、私が一つ気になるのは、新しい新会社、これから高速道路を建設する、これから建設するその高速道路の建設費用、これも新たに借金として返済しなければならない。すなわち、民間会社が新しく道路、高速道路を建設した場合に、その高速道路と、それに伴う借金をすべて機構に移し替えると。そうすると、今四十兆円の借金が新たな建設費用の分だけ膨らむわけです。そうした場合に、その借金の返済、四十五年ということの償還計画が、新しく道路を建設するごとに更に借金が膨らむ。しかも、新しい建設は当然採算性が悪いでしょうから、そのことによって更に償還が困難になるという事情があると思うんですが、その点、四十年間で、失礼しました、四十五年間で四十兆円、確実に償還できるということについて、どの程度そうした根拠を持っておられるんでしょうか。
  266. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) お答えいたします。  これは先ほど委員が御指摘されました公団方式の批判、こういうものに、この債務の償還を先送りしていくと、そこに大きな問題があったという御指摘でございまして、それはそのとおりであると私御答弁させていただきました。この教訓に立ちまして、四十五年で債務を償還するということを法定いたしますし、民営化時の債務を上回らない、こういう縛りを掛けさせていただいたわけでございます。  そして、委員の御指摘は、収益性の低い道路を建設続けてその債務が本当に返せるのかどうなのかというところに問題点の立脚があるんだと思いますけれども、新会社による高速道路の整備については、これも先ほどお話しさせていただきましたけれども、費用対効果、採算性、外部効果で厳格な事業評価を実施しておりますし、先ほど来御論議のございます施行命令に代表されるような一方的な命令の仕組みを廃止して会社の自主性を最大限尊重する仕組み、すなわち、残存事業として残っている仕掛かり品については複数協議制を導入することによって会社が嫌であるならば拒否できるというようなことにいたしましたし、新規路線についてはこの前の段階で御議論がありましたように申請主義にした。さらに、会社が資金調達を自らマーケットで行うという形にしたわけです。  どういうことかと申しますと、自らが市場でお金を借りてくるということは、道路完成の段階でその道路資産と建設に要した債務を機構が引き継ぐわけですけれども、引き継いだ債務は実質的に会社が料金収入という形で機構を通じて返済するわけです。  じゃ、仮にここで、新会社がこういう値段で造りますよといってそれ以上工事費が掛かっちゃった。アクアラインはその一つの例だと思うんですが、そのときはそのまま国が払ったんですね。しかし、今度は、多く約束したよりも掛かってしまったら会社のオウンリスクになります。  そういうことで、無駄な道路が造れない仕組みを採用したということで、今の委員の御指摘のような、返済できないんではないかという質問に対しては、返済できなくならないようにこれだけの方策を講じているということで御理解をいただきたいと思います。
  267. 小川敏夫

    小川敏夫君 これまでの道路公団方式、いわゆるプール制で、採算性が悪い道路を造ってもプール制ですべて平均にならしていたということによってどんどん採算性が上がり、高速道路が造られたということがあるわけですが、今度は新会社になっても新しく高速道路を建設する、その建設した高速道路とそれに伴った費用は機構に振り替えると。しかし、機構の方は、その新しく増えた建設費に伴う負債を、新しいその高速道路の通行料金あるいはそれの貸付料だけを償還原資とするんではなくて、すべての高速道路の貸付料、これを全体の負債の償還原資として使うわけですね。  ですから、これまでの採算性の乏しい高速道路、これをプール制によってすべての高速道路の利用者が負担していたという構造をそのままそっくり引き継いだ形で、新しくこれから造る採算性が悪いであろうその高速道路のその建設費用も、結局はすべての高速道路の貸付料という形、すなわちこれまでのプール制と全く同じ構造で、そのまま移っているだけじゃないですか。すなわち、プール制に対するこれまでの在り方に対する反省が何にも生かされていないと私は思うんですが、大臣、いかがですか。
  268. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これは多分、東名のお金で九州、北海道の高速道路を造るんですかという御質問なんだと思うんです。会社が新たに建設する高速国道の債務は、委員指摘のとおり、その会社が料金収入全体から返済するというのが基本方針です。すなわち、東名の収入で九州の道路の建設には回さない。  これを担保させていただくために、いろいろ御心配がいつも出るようでございますので、独立行政法人通則法に基づく国土交通大臣が定める保有機構の中期目標、これは三年を念頭に考えておるんですけれども、中に明記する。で、機構に国土交通大臣がそれを指示して公表する。これに基づいて機構が作成する中期計画にも同様の趣旨を盛り込んで、国土大臣が認可する。これ全部オープンになる話ですから、それによって、今委員が御指摘のように、新しい新規建設に他のところの料金収入を使うということはできないように明らかにさせていただきます。  また、会社と機構が、機構が締結する協定、これは協定で、委員は法律の専門家でございますから、協定でありますので、合意がない限りはその協定は最初の結んだままなんですね。これを踏まえて作成される機構の業務実施計画において、会社ごとのリース料の総額と新規建設費用を明らかにいたします。で、新規建設費が当該会社のリース料の内側に収まっているか否かがこれによって明確になって、委員の御指摘のように、回すんじゃないかということが抑止できるわけであります。  この業務実施計画を国土交通大臣が認可することによって、これを法律にしっかりと縛ることによって、委員の御懸念を払拭していく、これは現行プール制に代わる全く新しい仕組みであると御理解いただきたいと思います。
  269. 小川敏夫

    小川敏夫君 この審議会の意見が出されたときには、いわゆる道路族というんですか、あるいは一般に抵抗族と、抵抗勢力と言われる方たちが、こんなんじゃたまらぬといって大変大騒ぎしたんですが、政府・与党案が出たらぴたっと静かになってしまいました。いかに今度の道路公団改革案というものが形だけで、実質的な中身が全く失われてしまった名前だけの改革案だということが、多少なりとも今日の質疑で分かっていただけたらというふうに思っておりますが、また、この議論はまた機会を改めまして、時間があるときにゆっくりしたいと思います。  外務大臣、大変長らく長い時間お待たせしましたが、拉致被害者家族の問題、まあ私は外務大臣には質問の終わりのころに来ていただければいいと言ったんですが、最初からお越しいただいてありがとうございます。  拉致被害者の家族の問題と日朝の関係の交渉が大変困難な状況になっておるようですが、私、北朝鮮が、日本が五名の拉致被害者の方についていったん返すと、すなわち一時帰国であるという約束をしたのに、それを破ったからけしからぬと、このように繰り返し言っておるわけです。  もちろん、私は、この拉致被害者五人の方が日本にいるのは当然ですから、返せなんという考えは毛頭持っておりません。当然、日本にいるべきだと思っておりますが、ただ、その交渉の過程で北朝鮮にそのような付け入るすきを与えたような交渉のまずさが、今の拉致被害者の問題解決に困難な状況を作っている一つの原因ではないかという観点からお尋ねするわけですが、そもそも、この拉致被害者五人が平成十四年十月に帰国した、この際に北朝鮮との間で、これは一時帰国であって、いったん滞在した後また北朝鮮に戻すというような約束が日本と北朝鮮との間にあったんでしょうか、なかったんでしょうか、どうでしょう。
  270. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは今まで何回か別な先生に御答弁を申し上げていることですけれども、あのときの話といたしまして、一、二週間程度の日程ということで調整をしていた経緯はございます。ですけれども、その五名を必ず北朝鮮に返すという約束があったわけではないということでございます。
  271. 小川敏夫

    小川敏夫君 その調整をしていた経緯があるということなんですが、その一時帰国、小泉大臣平成十四年十月十五日に、その五人の方が、被害者の方が帰国した際、このときの談話でこのように言っておるんです。  その部分だけ述べますと、今回の一時帰国の実現により、拉致問題の解決に向けて第一歩を踏み出すことができましたと。すなわち、小泉総理が、五人の方の家族の帰国を一時帰国と、こういうふうに言っておるわけです。この一時帰国という言葉の意味は、当然一時帰国なんだから、いったん日本に帰国した後また北朝鮮に返すという趣旨がこの一時帰国という言葉の中には含まれているように思うんですが、そうじゃないんでしょうか。
  272. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほど申しましたように、そういうことで調整をしていたという、一、二週間で返すということで調整をしていたということをそういう言葉で表現をしたということであるかと思いますが、この五人を必ず返すという約束をしていたことではないということでございます。
  273. 小川敏夫

    小川敏夫君 一時帰国という言葉の意味をもう一度説明していただけますか。
  274. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 五名の被害者の帰国に際して、日程を一、二週間程度という日程にするということで調整をしていたという経緯があったということでございます。
  275. 小川敏夫

    小川敏夫君 だれが見ても、一時帰国、これはそれが実現する前の官房長官談話、これにおいても、これは平成十四年十月九日ですけれども、福田官房長官の談話でも、五名の生存者御本人の一時帰国について具体的に調整しているというふうに述べておるわけです。  もう答弁要りませんけれども、私は、五人の家族の方が日本に帰国する、そして日本で生活するのは余りにも当然のことだと思っておりますけれども、北朝鮮に日本が約束違反だというような言い掛かり、あるいは言い掛かりじゃなくてそのような主張をされるということについて、外交上の不手際があった、そのことが今回のこの拉致問題の解決を困難に導いている一つの大きな原因ではないかということを指摘して、私の質問を終わります。
  276. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で小川敏夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  277. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、山本香苗君の質疑を行います。山本香苗君。
  278. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗です。  私は、以前、九・一一以降国家と国家の戦争よりも、テロ組織などの非国家主体からの攻撃、テロからの脅威などにどう対応するかということが今日的には非常に重要じゃないかという問題意識から、国家対国家というもの、従来の脅威のみを想定した我が国の防衛力の在り方を見直すべきだと、そういったことを申し上げました。  その後、政府として平成十六年末までに新たな防衛計画の大綱を策定し、防衛力の在り方を見直すことが閣議で決定されました。やや遅きに失した感がございますが、私個人としては基本的にこの見直しの方向に賛成でございます。今日は、その立場から今後の防衛力の在り方につきまして防衛庁長官にお伺いしますので、どうぞよろしくお願いいたします。  質問に入りますが、新しい防衛計画大綱の策定に向けまして現在精力的に防衛庁内で検討がなされていると伺っております。防衛庁としては、いつごろ策定をめどに検討を急いでいらっしゃるのか、よろしくお願いします。
  279. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生から御指摘いただきました問題意識、全く我々と同じでございます。昨年末の閣議におきまして、新しい大綱は十六年中にということになっております。今年は十六年でございまして、今年中にこれを決めなければいけないということでございます。庁内的に、先生も御案内のとおり、今、在り方検討会議というのをやっておりますが、これは当然防衛大綱の見直しといいますか、新防衛大綱の前提を成すものでございますので、現在本当に精力的に議論をしております。  この論点の中心は、本当に今まで、先生がいみじくも御指摘になりましたような、国対国ではない場合があるのだと。そして、ミサイルにはミサイル、航空母艦には航空母艦、潜水艦には潜水艦、戦車には戦車、そういうアクター、主体も非対称であれば使われるものも非対称であるのだと。それにどうこたえるのだということにきちんとした答えを出す、我々はそういう責務を負っておると考えております。
  280. 山本香苗

    ○山本香苗君 十六年中ということでありますので、多分十一月、十二月ぐらいに策定がされるということで、その前段階のたたき台を今一生懸命やってくださっていることだと思うわけなんですが、防衛力の在り方の見直し、決定いたしました昨年十二月十九日の閣議決定の文言というのは非常に抽象的なわけですね。  その中身を今日は具体的にしていきたいと思うわけなんですが、まず冒頭、この閣議の中には、我が国がめぐる安全保障環境についての言及がございます。ここに言います大量破壊兵器というのは何を指すんでしょうか。
  281. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 通常、NBC、NBCというふうに申しておりますが、核、そしてまた生物、化学、この三つを大量破壊兵器というふうに申しております。
  282. 山本香苗

    ○山本香苗君 ということは、核兵器、生物兵器、化学兵器という攻撃もあるという想定に対応する装備も考えていらっしゃるということでしょうか。
  283. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それが新しい脅威として認識をされております以上、それに対する力、抑止力、これは本質的には抑止力だと思っております。要するに、核で撃ったらば日本は全く駄目なのだと、あるいは生物兵器で攻撃したら駄目なのだと、あるいは化学兵器で攻撃したら全く守る力がないのだ、それじゃやりましょうかということになってしまうわけで、それに対する力を持つこと自体が相手のそのような攻撃の誘惑を抑えることになる、そういう意味での抑止力はきちんと保持をしなければいけないと思っております。
  284. 山本香苗

    ○山本香苗君 ということは、さきの大綱、平成八年以降に係る防衛計画の大綱でも、核兵器の脅威に対しては米国の抑止力に依存するものとしているわけでございますけれども、この考え方を変更する、しない、どういうことでしょうか。
  285. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私の理解が必ずしもぴったり正確ではないかもしれませんが、例えば大量破壊兵器の運搬手段たるミサイルというものがございます。BMDというもの、前の大綱を作りましたときは、まだそんなものできるんだかできないんだか、海のものだか山のものだかさっぱり分からぬという時代でございました。  したがいまして、それでは、どの国とは申しませんが、相手方の基地をたたくのだという能力、それをやる以外にないのだということになりますれば、その能力を我が国としては保有をしない。つまり、我が国は弾道ミサイルも持たない、そしてそういうような敵基地を攻撃するような能力を保有した戦闘機も持たない、爆撃機も持たないと。したがって、その打撃力は合衆国にゆだねるという考え方、これはガイドラインから流れておる考え方であります。現在もその方針に変更はございません。
  286. 山本香苗

    ○山本香苗君 その後に書いてあります弾道ミサイル、ここで言います弾道ミサイルというのはどういうミサイルを意味しているんでしょうか。
  287. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 世にミサイル、ミサイルと言いますが、ミサイルというのは弾道ミサイルなるものと巡航ミサイルなるものに二つに分かれます。  弾道ミサイルというのは、はっきり簡単に言っちゃえば、これはロケットであります。巡航ミサイルというのはジェット機だと思っていただければいいわけでありまして、ロケットエンジンで飛びますのが、そして放物線を描きまして、あるところまで上がりますと物理の法則に従って落ちてくる、これが弾道ミサイルであります。巡航ミサイルというのはジェット燃料でございますから、基本的に大気圏内を飛行いたしまして、低い速度で低いところを飛んでいくと。しかしながら、その分操作性が容易であるということになってまいります。  弾道ミサイルの特徴を一言で申し上げますと、昔、どこかに早い、安い、うまいとかいう食べ物がございましたが、これ一言で申し上げますと、速い、高い、遠くまでと、そういうことだと思います。速度はやたらめったら速いです。マッハ十ぐらいで落ちてまいります。速いものになりますと二十ぐらいで落ちてきます。また、宇宙空間へ出ます、大気圏外に出ますので、非常に高いところまで上がります。  そしてまた、大陸間弾道弾に象徴されますように、大陸間を飛ぶようなICBMのようなものもございます。これは距離的に短距離、準長距離、準中距離、そして中距離、そして長距離というふうに分かれてまいりまして、長距離といいますのはICBMという大陸間弾道弾のものでございますが、要は距離によって、そしてまた、そうですね、その距離が遠くなれば遠くなるほど高いところまで上がりますので、落ちてくる速度も速いということになってまいります。  私どもといたしましては、大陸間弾道弾用の防衛システムというようなものは、まだどの国でも開発をされておるわけではございませんので、基本的に世に言いますところの準長距離、中距離あるいは短距離、そういうものに対しての防衛能力というものを保持したいと考えております。
  288. 山本香苗

    ○山本香苗君 次の質問までちょっとお答えになられたかなと思ったんですが、今回導入することになりました弾道ミサイル防衛システムというものについて具体的にどういうものか、今いろんなミサイルのことを言われましたけれども、そういう中で、今回我が国が導入するシステムにおいては、どの事態のどの想定のミサイル攻撃に対応するものになるのか、教えてください。
  289. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在、私ども、弾道ミサイル防衛構想を考えますときに、特定の国を念頭に置いておるわけではございません。  しかしながら、同時に、このミサイルというものが、弾道ミサイルというものがどれだけの早さで世界じゅうに拡散をしておるかということにきちんとした認識を持たなければいけないのだと思っています。冷戦真っただ中は、そんなミサイルというのはアメリカとソ連しか持っていなかったものが、冷戦末期には十か国ぐらいが持つようになって、今や四十六か国ぐらいがその弾道ミサイル、先ほど申し上げました、速い、高い、遠くまでと、こういうものを持っておるわけでございます。  しかしながら、どの国を念頭に置いてこれを整備をするというわけではございませんが、基本的に中・短距離のものに対して迎撃する能力を保有したいと思っております。これは、一昨年アメリカ合衆国におきまして正式に導入が発表されたものでございますが、私どもの国といたしましても、基本的にイージス艦に搭載をいたしますSM3というミサイル、そしてまた、それで一〇〇%落とせればいいのですが、それを落とし損なった場合に後はもうどうにでもなれという話になりませんので、地上配備型の、PAC3と称します地上配備型のミサイル、この二段構えで国を弾道ミサイルの脅威から守るというような能力、そしてまた抑止力というものを保持したいと考えております。
  290. 山本香苗

    ○山本香苗君 このミサイルの迎撃の実施に当たっては、我が国自身のセンサーでとらえた目標情報で我が国自らが主体的に判断するというふうに、この閣議決定がなされたとき官房長官もおっしゃっていらっしゃったわけなんですが、このセンサーとは何を指すんでしょうか。
  291. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このミサイル防衛システムというのは、先生指摘のように、センサーがなければ成り立つものではございません。先ほどSM3でありますとか、あるいはPAC3ですとかいうことを申し上げましたが、それ単体だけで撃ち落とすことは絶対にできないわけでございます。まさしく弾道ミサイルの飛しょう状況というものをきちんと計算をする、この時点で落とすということをコンピューターによって算出をし、それを指揮命令系統において流すという、3CIというふうに私ども申し上げておりますが、コマンド、コミュニケーション、インテリジェンス、あとはコンピューター、3CIというのはそういうようなものでございますが、そういうものをきちんと持ち、これがセンサーの部分でございます。そしてまたウエポンの部分、これもちゃんと持っていかねばならないのだということでございます。ですから、センサー、ウエポン、そしてまた指揮通信システムと、こういう三つのことになります。先ほど3CIと申し上げましたのは指揮通信システムのことであり、そしてまたセンサーというのは状況を感知するレーダーのようなものを指しております。  そのセンサーとは何なのかといいますと、これは、何だか専門用語を使いまして恐縮でございますが、現在開発をしております将来警戒レーダー、FPS―XXと申しますが、これが一つでございます。もう一つはイージス艦に搭載をいたしますところのSPY―1レーダーというものがございます。これは現在、イージス艦がイージスシステムを積んでおりますが、それを能力を向上させる型でございます。もう一つは航空自衛隊でFPS3改というレーダーを現在開発をいたしておりまして、このようなものを組み合わせることによりまして、日本独自のセンサーによりまして、そしてまた日本独自のイージス艦あるいはパトリオット、そしてまた日本独自の指揮通信システムによりまして日本だけでこの抑止力を保持したい、このように考えておるところであります。
  292. 山本香苗

    ○山本香苗君 このまた閣議決定の中におきまして、「平和と安全に影響を与える多様な事態」ということが、そういう文言がございますが、これは何を指すのでしょうか。
  293. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この閣議決定にございます「平和と安全に影響を与える多様な事態」と書いてあります。多様な事態ということになれば何でもそうじゃないのと、こういうことになりますが、これはこういうふうな文脈でつながれております。  すなわち、先生がごらんいただきましたように、この閣議決定には、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下する一方、つまり、本格的な侵略事態が起こる可能性は低くなってきましたねと。一方で、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織などの活動を含む新たな脅威や平和や安全に影響を与える多様な事態への対応が国際社会への差し迫った課題となっているということでございまして、本格的な侵略事態ではないが我が国の平和と安全に影響を与える事態といえば、例えて言いますと、どことは申しませんが、離島に対する侵攻というもの、離島に対して相手方が侵攻してくるというような事態、あるいはゲリラや特殊部隊による攻撃、そしてまたテロあるいは武装工作船による不法行為、そしてまた大規模ないし特殊な災害、これはいろんなケースが考えられると思いますけれども、いわゆる我々が今までメーンで考えてきた、先生が冒頭御指摘なさいましたように、国家による、ある意味で伝統的なといいますのかクラシックなといいますのか、そういうようなものではない形のいろいろな事態というもの、そしてそれは離島に対してやってくるかもしれない、大規模テロという形で起こるかもしれない。そういうような、今世界じゅうで起こっているようなありとあらゆる事態が世界にとっての課題であると同時に、その対処は我が国にとっての課題でもあるというふうに考えておるわけでございます。
  294. 山本香苗

    ○山本香苗君 となりますと、その前に、今読み上げていただいたわけなんですけれども、「国際テロ組織等の活動を含む新たな脅威」と、今言われました「平和と安全に影響を与える多様な事態」とはどう違うんですか。
  295. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ここは、新たな脅威としては何でしょうかということを申しますと、これは、例えて言えば九・一一のようなもの、あるいは弾道ミサイル、大量破壊兵器のようなもの、そういうように従来想定をしなかったものというのを考えるべきなのだろうと思っております。  先生がおっしゃいますように、ここの文章はどのようにつながっているかといいますと、新たな脅威や平和や安全に影響を与える多様な事態と、こういうことになっておりまして、ここの部分はやっぱり一くくりにしていただきまして、今まで考えていたクラシックな正規な大規模侵攻というようなものではない、国際テロ組織等の活動を含む新たな事態や平和や安全に影響を与える多様な事態ということを考えるべきなのだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、大量破壊兵器や弾道ミサイルというものが物すごく拡散をしておる。それは、ある意味でこれが拡散したということによって新たな脅威が起こってきたということが言えるんだろうと私は思っておるのですね。そして、多様な事態というのは、テロ等々を含めて多くの事態が起こるようになった。ここは確かに、先生厳密におっしゃいますとどこが違うんだというふうに、こうおしかりを受ける文章になっておるのかもしれません。相当考えて作ったつもりでございますが。今までと考えていたものとは違うような事態がいろいろなアクターの面におきましても、あるいは手段の面におきましても起こっているというような認識だと私は考えております。
  296. 山本香苗

    ○山本香苗君 この閣議決定の中では、いろいろこの防衛力全般を見直す中で、陸海空それぞれ三自衛隊の装備、組織について言及しているところがあるわけでございますが、陸上自衛隊におきまして、まず先に、陸上自衛隊におきましては新たな脅威と、脅威に対応する実効的な組織、装備としてどういったものをお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  297. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 一言で言いますと、今までの陸上自衛隊というのは対機甲戦というものをメーンに考えてきたという感じだと思っています。対機甲戦を重視した整備構想というのは、何かといえば、北海道に見られますように、例えば北海道には九〇式戦車という我が国において最新の戦車を配備し、いわゆる機甲師団といいますか、そういうようなものを持っておるわけでございます。要は、劇画的に言えば戦車対戦車みたいな、そういう形の機甲戦というものを重視をし、整備をしてきたわけでありますけれども、じゃ、そうするとNBC、特にBでありますとかCでありますとか、そういうものからどうやって市民、国民を守るのかということになってくるわけでございます。  そうしてきますと、例えば来年度予算、御審議いただいております来年度予算におきましては、核や生物や化学兵器に対処し得るものとして生物偵察車のようなもの、つまりそれが走っただけで一体どのような生物兵器が使われたのであろうかというようなことが分かるような車でございます。そういうものを整備をしたい。あるいは、ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設の防護のための装備としての軽装甲機動車、そのようなまさしく新たな脅威というものに対抗する意味での軽装甲機動車なり生物偵察車なり、そういうものを来年度予算ではお願いをいたしておるところであります。
  298. 山本香苗

    ○山本香苗君 で、今言われたように新たな脅威に対応する組織、装備と、従来の、従来の脅威に対応する組織、装備と、こういうもの二つ併存するような形になるわけですよね。  で、陸上自衛隊においてはこの二つ、この従来型と新たな脅威と、どういう形、どういう比重の置き方で見直しがなされるのか。例えば、五対五とか六対四とかありますけれども、その辺り、もうお考えになっていらっしゃいませんか。
  299. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そこが分かりません。分かりませんというのは、いい加減なことを申し上げているわけではなくて、それが五対五の比率にするべきなのか、六対四の比率にするべきなのかというのは、例えば、今ある車が古くなっちゃったので新しい車を買いましょうみたいな話で、すぐにその車が買い換えられる、あるいは洗濯機でも冷蔵庫でもそうですが、そういうお話に相なりませんで、私どもの場合には、構想をしてから実際にそれが物になって装備化されるまでに大体十年ぐらい掛かるわけでございます。で、その今あるものも、これはいろんな御議論はあろうかと思いますが、今あるものも基本的に使えるうちは使うということでありまして、これはもう使えなくなっちゃったから全部オシャカにして、その分新しいものを入れましょうというようなシステムには相なっておりません。そうしますと、一体どれぐらいの比率にするのかというのは極めて難しいところでございます。  同時に、どの地域にどのような危険あるいは懸念というものがあるのかということを正確に計っていかねばならないというのがあります。今まで北方重視というふうに言われておりましたが、これはシフトをしていかねばならないだろう、もちろん北方の重要性が減ずるものではありませんが。それと同時に、いろんなものを持ったときにそれを全国ばらばらと置いておくのか、それとも輸送手段というものを確保して、その機動性というものを確保するのか、そういう議論を今詰めておるところでございます。  したがいまして、六対四とか五対五ということが申し上げられる段階にございませんけれども、いずれにしても、これから先はそういうようなテロとか生物に対応するようなそういう装備が大事なんだよといっても、それじゃ今までの正面に、いわゆる今までの伝統的な機甲戦の部分を完全にネグっていいかといえば、そういうものでもございません。その部分は一に掛かって、現在我が国を取り巻いておりますそういうような状況というものをどのように認識をするか、それは外交面も含めてでございますけれども、そのような認識について可能な限り正確な理解を持つという努力をしていかねばなりませんし、今後とも先生の御教示をいただきたいと思うゆえんであります。
  300. 山本香苗

    ○山本香苗君 そういった具体的に比重の置き方というのはまだそういう形で明確に言えない、明確にならない状況であるというのは分かるわけなんですけれども、非常に重要な点だと思うんですね。  海上自衛隊においても、陸上自衛隊もそうですけれども、海上自衛隊においてもやはり新たな脅威に対応していかなくちゃいけないと。イージス艦等々、今、先ほど御説明ありましたけれども、具体的にこの新たな脅威に対応する組織、装備はどうなりますか。
  301. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど陸上自衛隊は機甲戦というふうに申しました。それじゃ、海上自衛隊は今まで何を考えてきたのかというと、メーンに考えてきたのは対潜水艦戦なんです。主にソビエトの潜水艦というものに対してきちんとした探知能力を持ち、きちんとした抑止力的なものを持たねばならないだろう。したがって、潜水艦あるいは私どもは護衛艦というふうに申しておりますが、護衛艦も対潜戦を重視をしてまいりました。そして、P3Cなぞという対潜哨戒機、今は哨戒機と申しておりますが、これを百機も持っておるなんというのは、これは日本だけでございます。狭い海域に、狭い区域にこれだけ集中しておるのは日本だけでございます。  どうも海上自衛隊の装備というのは、今まで対潜水艦戦というものを考えてきたのだと。しかしながら、新たな脅威に対応し得るとすれば、先ほど申し上げましたように、イージス艦にそのような能力を与えまして、SM3がきちんと撃てるようなシステムというものをイージス艦に付与をするということがございましょう。  あるいは、今度の予算お願いしております、私ども一六DDHというふうに申し上げておりますが、ヘリコプター搭載護衛艦というものに新しい機能というものをきちんと持たせたいというふうに思っております。つまり、長い時間海洋に浮かんでいられるというもの、海洋でミッションができるというものでございますが、この新しいタイプのヘリコプター搭載型護衛艦というものもお願いをいたしております。  これは、そのほかにも例えば、これはもう今年度、来年度予算お願いをしているかどうか、今正確に承知をいたしておりませんが、多分もう終わったんだと思いますが、例えば、舞鶴に置いてありますはやぶさ型のミサイル艇のようなもの。今まで、護衛艦といいますと、どんとでかくて強そうなという感じでございましたが、そういうような小回りが利きスピードが速い、乗員は少ないけれども、そういうようなものも着実に整備をさせていただいておるところであります。
  302. 山本香苗

    ○山本香苗君 陸上、海上ときました。航空自衛隊につきましても御説明いただきたいと思います。
  303. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ひとつ簡潔に、分かりやすく。(発言する者あり)全部言わなくても結構ですよ。
  304. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 一言で申しますと、対航空侵攻というものを今まで重視をしてまいりました。つまり、向こうから大編隊が飛んできますよと、それに対してどう対処しますかということでやってまいったわけでございますが、そうしますと、じゃ弾道ミサイルに対してどうなのということになります。先ほどお答えの中で、レーダーの装備、弾道ミサイル対処能力を有するレーダーの装備ということを申し上げました。あるいは、地対空誘導弾というようなものも考えておるところでございます。  したがいまして、私どもは、現在のところ、対航空侵攻というものを考えまして、例えばF15というようなものを整備をしてまいりました。そういうものはこれからも着実にいろいろな改修も加えてまいりますが、同時に、弾道ミサイル、そのようなものにも対応できる能力を航空自衛隊には付与をしたいと、このように考えております。
  305. 山本香苗

    ○山本香苗君 新しい防衛大綱が十六年中に策定された後に、大綱で決めた組織編成だとか装備形態について着手していかなくちゃいけないわけなんですけれども、いつ着手して、また、それをいつ大体達成するんだというめどはお持ちでしょうか。
  306. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、一に掛かって新しい大綱がどのようなものになるのかということによります。そしてまた、中期防がどのような形になっていくかというものにもよります。  しかし、それが、新しい脅威がございます以上、それを認識しております以上、それはいつでもいいというお話にはなりません。これを着実になるべく早い時期に、といってもバスやトラックを買ってくるわけではありませんので一年、二年というわけにはまいりませんが、可能な限り早い時点で、おおむね二中期防期間、二中期防期間ぐらいは掛かろうかというふうに考えておりますが、そのような努力をしてまいりたいと考えております。
  307. 山本香苗

    ○山本香苗君 テロ、テロと、あとミサイルなどの新たな脅威、また新たな戦争というものに、今回の閣議決定の中にも「実効的な」という言葉が非常に利いているわけなんですね。実効的に対応するために我が国に求められるのは、防衛力の見直し、それも非常に大事なわけなんですけれども、と同時にやはり情報と戦略能力の向上というものが非常に大事だと思うわけなんです。例えば、総理の下に専門的に国家戦略を検討させる機関を置くとか、情報を一元的に、また集中的に集める、そういったことが、そういう体制を作って情報と戦略をしっかり押さえることが非常に重要じゃないかと思っているわけなんです。  本来これは内閣の課題でございますから官房長官にお伺いしようと思ったんですけれども、ちょうど定例の記者会見のお時間だということでいらしていただけなかったので、国防の責任者でもあります防衛庁長官にこの点につきまして御意見をお伺いしたい、お伺いいたします。
  308. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおり、どのような装備を持ち、どのような能力を有しましても、情報というものがなければこれはもう意味をなさないものでございます。  私どもとして防衛駐在官というものを世界各地に置かせていただいております。それは外務職員として出しておるわけでございますけれども、そこからの情報の伝わり方につきましても見直しをいたしました。それは、先生外務省御出身でいらっしゃいますからよく御案内のとおりでございますけれども、同じ情報を防衛庁も同じ時間に共有をするということは重要なことだと思っております。そして、今その防衛駐在官にきちんとした情報収集をしてもらう、そういう体制はきちんと確保しなければいけないだろう、シビリアンコントロールの下にということだと思っております。そのほか、例えば情報本部というものを整備をいたしました。あるいは情報衛星というものも上げさせていただいております。  要は、情報というのは、集めてくる、そしてそれを分析する、それを評価をする、その三つの段階においてどうなんだということをもう一度精査をしなければいけないのだろうと思っております。それは、電子情報もございますれば画像情報もあればヒューミントと言われるものもあります。どんな情報をどのように集め、どのように分析し、どのように評価をするか、そしてそれをどのように伝達するか。それは、政府全体として常に見直していき、正確を期し、万全を期すことが国家の安全につながると考えております。
  309. 山本香苗

    ○山本香苗君 テーマをがらりと変えますね。防衛庁長官、どうもありがとうございました。厚生労働大臣、よろしくお願いいたします。  次に、乳がん検診のことについてお伺いしたいと思います。  先週の金曜日の夕刊にも近く乳がん検診などの検診方針を取りまとめるというふうにございましたけれども、具体的にいつ取りまとめられるんでしょうか。
  310. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 済みません、遅れまして。  乳がん検診につきまして今いろいろと検討会で御議論いただいておりまして、恐らく今月の末ぐらいには一つの結論が出るのではないかというふうに思っております。  現在、全市町村でこの乳がん検診はやられておりまして、九七%の市町村で行われておるわけでございますが、後ほど出ますそのマンモグラフィーによって行われているところはそんなに多くはないということでございまして、今一番焦点になっておりますのは、マンモグラフィーで検診をする年齢を何歳からにするかということが最大の課題になっております。
  311. 山本香苗

    ○山本香苗君 今お話ししてくださいましたとおり、マンモグラフィーという、マンモグラフィーによる乳がん検診につきまして、対象をいつ、どの段階にするかと。五十歳、現行五十歳であるわけですけれども、それを四十歳へと引き下げることが検討されているというふうに伺っております。  ですが、今少しお述べになられましたけれども、幾ら対象を拡大してもマンモグラフィーがない自治体ではマンモグラフィーによる検診は受けられないわけです。このように自治体間におけますばらつきを厚生労働大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  312. 坂口力

    国務大臣坂口力君) マンモグラフィーがないところがかなり今ございまして、一つ、その機械も高いということもあるんだろうというふうに思うんですが、少ないものですから、これを全国的にマンモグラフィーが普及するようにしなければならないというふうに思っております。  それで、ちょっと今数字ありませんので、後で局長、何だったらちょっと答弁をさせますが、ただ、それもそうなんですけれども、受診率も低いんですね。全体で市町村の、この検診の対象女性の一二%しか受けていないということがございまして、立派な機械入れましても受けに来てくれなかったらこれまた何にもならないわけでありますので、一方で検診のこの準備を更に、体制を、準備じゃなくて体制を整えるということが一つ、それから、受けていただけるようにどういうふうに啓蒙するかということがもう一つ、両方あるというふうに思っています。
  313. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) マンモグラフィーの実施状況につきましては大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、現在の基準では五十歳以上の方が対象になっております。  元々、受診率が対象年齢の方に比べ、対しまして一二・三%というふうに低いわけでございますけれども、ただ、市町村の方でマンモグラフィーの検査を実施している割合を見ますと、平成十二年度には二九・二%であったものが平成十四年度では四八・二%ということで、市町村の実施率自体は上がってきておるということでございまして、私ども今、検討会で見直しお願いしていますが、そもそも五十歳以上という基準でいいのかどうか、その年齢のところ、大臣から御答弁申し上げましたようにそこのところが問題になっているのと、基準はともかくといたしまして、現在お受けいただいていないと、わずか一二・三%の、対象年齢に対してお受けいただいていないというところをどうしていくかという二重の課題を抱えているものと、こういうふうに承知いたしております。
  314. 山本香苗

    ○山本香苗君 今御答弁ありましたけれども、実際は半分ぐらいしかマンモグラフィーの、マンモグラフィーと視触診の併用検診をしているところはないわけなんですよね。実際、その視触診単独じゃ効果がないんですよというふうにして、マンモグラフィーの導入決めたの平成十二年なんです。その二年前の平成十年には視触診単独じゃ余り効果はありませんよという研究会の報告書が出ていると。で、十二年導入したと。で、十三年にもう一回厚生労働省の方で研究班報告書を出していて、やっぱり単独の、視触診単独じゃ効果がないんですよということが出ているわけなんですね。  二回報告書が出て、導入決めた。しかし、市町村では半分ぐらいしか導入していない、若しくは検診自体していない、そういう状況にあるわけなんですけれども、国としてやっぱりこれ決めた限りはきちっと積極的に推進すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  315. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 経過につきましては、今先生から御指摘のあったとおりだと思います。  私どもも、この検診自体は四十歳以上の方を中心といたしまして、老人保健法に基づきます保健事業、ヘルス事業の一環としてやっているところでございます。常に進歩も著しいものでございますので、がん検診の在り方については見直しをしていきたいということで、現在の検診事業が十七年度から新たになるということでございましたけれども、特に乳がんなどにつきましては今の在り方でいいのかというお話もあり、前倒しをして昨年十二月から新たな見直し班を作って取り組んでいるところでございます。  御指摘のとおり、委員の、その専門家の委員の方からも、本当に効果がある検診法でやるとなったらきちんとやるべきだと、そこが日本の言わば検診事業の一番の問題点だという御指摘があり、例えばアメリカなどでは非常にがん検診の項目は限られておりますけれども、乳がんなどについては効果があるということで、その場合、対象年齢の方の七割に検診が実施、実際受診されているということで、やはり本当に効果のあるものを重点的にやると決めた以上きちんとすべきだと、こういうことを専門家からも御意見ちょうだいしていますので、私ども実施方法なり、そういったことについて、いずれにしてもこれ市町村にお願いしている事業でございますから、市町村の方ともよく連携を取りまして、受診率が上がるように、また効果のある検診方法に、近く、大臣からも御答弁申し上げましたように報告が出ますので、それに沿って技術指針を変えてまいりたいと考えております。
  316. 山本香苗

    ○山本香苗君 まあ効果のある検診をしたいということなんですけれども、マンモグラフィー、この、まあ入れているところ半分ぐらいという話ですけれども、マンモグラフィーであったら何でもいいというわけじゃないわけですね。精度のいいものじゃないとこの陰影とかちゃんと写らなかったりとかするわけでありまして、きちんとした基準というものがなくちゃいけないと。そのまず基準を何にしていらっしゃるのかということと、また公的検診においてその基準を満たすものが大体どれぐらいあるのか、その点、二点お願いいたします。
  317. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 先生おっしゃるとおりでございまして、乳がんの検診で、非常に小さい三百ミクロンくらい以下の石灰化したものについてもその機械でとらえられないと検診効果が上がらないと言われております。  そこで、基準でございますけれども、私どももそういったことが見えるマンモグラフィー装置が早期発見につながるということで、原則として日本医学放射線学会の定める基準を満たしていると、そういうことでお願いをしております。  その専門家で組織いたしますマンモグラフィ検診精度管理中央委員会、これは関係学会が集まって作っている委員会でございますが、そこで調査いたしましたところ、基準に適合したマンモグラフィーは、二〇〇二年十二月末で千四百八十三台であったということでございます。これは全国に三千二百九台マンモグラフィーの装置があったうち、千四百八十三台がこれに合致したということでございます。  このように合致基準が低いということは、要するに古い機械がまだ残っているということでございますので、我々としてはできるだけ早く新しい機械に切り替えていただくということをお願いしてまいりたいと考えております。
  318. 山本香苗

    ○山本香苗君 この今機械の装置の方、言いましたけれども、実際、そのマンモグラフィーの写真を撮る撮影技師の方も必要なわけですね。と同時に、その写真を分析する読影の専門知識を持った読影医師という方々についても、そういう人が見ないといけないわけですけれども、国としては検診の指針として、この撮影技師、また読影医師はどういった形で指導されていらっしゃるんでしょうか。
  319. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 私ども、がん検診におきます、今御指摘のありました撮影する放射線技師と、それから画像を読み取る、読影する医師につきましては、当然一定の知識を必要とすることから、先ほど申し上げましたマンモグラフィ検診精度管理中央委員会が開催する講習又はこれに準ずる講習会を修了していることが望ましいと、こういうふうに基準としては言っております。  実際、昨年十二月末現在で講習を受けられました放射線技師が三千三百三十六名、医師三千七百二十六名でありますが、講習を受ければよろしいということではなくて、一応、講習終了後、レベルについてチェックいたしておりますので、今申し上げました数の、放射線技師で言いますと六〇%、千九百九十五名、医師で申し上げますと七四%、二千七百五十一名の方がそういった意味で基準を満たしていると、こういうふうに考えております。
  320. 山本香苗

    ○山本香苗君 その指針というものは現場でどのくらい守られているのか承知していらっしゃいますでしょうか。
  321. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、実際、私どもマンモグラフィーの検査、併用することが望ましいと、こういうことを申し上げている中で、実際実施できている市町村が五割ないと、こういうようなことでございますので、もう一度私ども、今度の新基準を作りましたときにきちんと、こういった基準が徹底するようにもう一度きちんと対応してまいりたいと思いますが、現在、ちょっと今手元に各市町村の状況がどうなっているかについての資料はございません。
  322. 山本香苗

    ○山本香苗君 大体、今やり取りしている中で、マンモグラフィーの検診が行われていたとしても、精度の良い装置がある、また技量の高い撮影技師がいる、読影できるお医者さんがいる、この三拍子が必ずしもそろってないという状況というのは分かっていただけたと思うわけなんですけれども、でも実際、検診に来られる方というのは、検診結果、またお医者さんというものを信じていらっしゃるわけなんですね。ですから、異常なしという形で診断が下されると、安心して、検診結果を疑って掛かるということは余りしないと。だから、仮に検診で見落としがあった、見誤りがあったとなった場合に、治療が遅れて手後れになる可能性が非常に高いわけなんです。それが怖いわけなんです。  乳がんは、やっぱり早期検診・発見によって比較的治癒率が高いがんであるというふうにお伺いしております。二十代、三十代で乳がんに決してならないとは言えませんけれども、我が国においては四十歳代の女性が最も多く乳がんになっているという現状を踏まえて、四十歳からの、四十歳からの実効性のあるマンモグラフィー併用検診を早期に実現していくことが非常に重要だと思うわけなんです。  検診対象対象を今拡大する方向で御検討していらっしゃるということでございますけれども、市町村、市町村だからということじゃなくて、市町村において実効性のある検査体制構築をするために、国としても、やはりこのマンモグラフィー導入の財政的支援のみならず、必要な人員の配置、育成を含む体制整備のための支援を、この検診方針を新たに出すときに一緒に検討していただけないでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。
  323. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話ありましたように、医師、それから技師、そしてその車と、車、車じゃありません、まあ検診の施設、そうしたものがそろわなければいけないわけでありまして、これからそれらを、三点セットをそろえながらどうやっていくかということだと思うんです。  現在ありますマンモグラフィーがそれじゃ完璧、一〇〇%完璧なものかといえば、これもまたそうは言えない、更にまたいいのが出てくるんだろうというふうに思います。またいいのが出てくると、初めのはまた古くなったと、こういう話を繰り返すことになるわけでございますが、まあしかし何はともあれ、現在最高と言われておりますところの機材をどう市町村によってこれを整えていただくかということだろうと思います。  まあかなり高いものだもんですから、これもなかなか財政的にかなり必要でございますから、一年に全部できるというわけにはいかない。小さな市町村でしたら二つなり三つなりの市町村がひとつ一緒に持って、まあそれこそ検診車のような形のものでできるということならば、それも一つの方法ではないかというふうに思いますし、そうしたことも考えて、全体で、日本全国で行き渡るようにしなければいけないと思っております。
  324. 山本香苗

    ○山本香苗君 今おっしゃられたように、その三点セット整えるのは非常にお金も掛かるし、時間も掛かるであろうということではありますけれども、今、実際四十歳代の女性の方々が多くこの乳がんにかかっているわけですね。そういう状況をまず実効的にきちっと体制として整えていくことによって、まずこういう検診をしっかりとしたものにしていただきたいわけでございまして、これからしっかり国としても、市町村に任しているからという形にされないで、検診方針の新たな見直しとともに、支援も是非ともよろしくお願いしたいと思います。  また、この乳がんの話の次に、また話は変わるんですが、若年雇用についてお伺いします。  私も、当選以来ずっと、この若者の雇用問題ということをずっとやってきたわけなんですけれども、なかなかこの若者の雇用問題というのは解消されないわけなんです。経済が良くなれば解消するか、そういうものでもないと。じゃ、なぜ解消されないのか、その原因をどう分析されているのか、また、それに対してどう厚生労働省として対応しようと考えていらっしゃるのか。よろしくお願いします。
  325. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 若年者の場合に、高校卒業の人と大学を卒業の人と若干違うというふうに思いますが、高校卒の皆さん方がなかなか就職できなくなりました理由はかなり明確になってきております。  それは、企業の方が、今までのように、高校卒の皆さんを雇用しまして、そしてしばらく自分の企業でいろいろと指導をする、技術を身に付けさせるということがなかなかできにくくなりまして、即戦力として間に合う人が必要になってくる、必要になってきているというようなことで、高校生よりも大学生あるいは短大生を雇うというふうになってきている。もう一つ要因は、事務的なことでありますとか、そうしたことにつきましては、高校生よりもパートの皆さん方がそこに取って代わられていると。この二つの理由によって高校生の場合には非常に難しくなってきている。  大学生の場合には、そうした面では即戦力として間に合うということで、科によりましては十分に働けるわけでございますが、しかし、文科系の場合になかなか行く先がなくなってきているといったようなことがございまして、全体として難しい状況が続いている。  この辺のところにつきましては、国としても、国としての、技術を身に付けさせる、文科系の方も含めてでございますけれども、そうした技術を身に付けていただきながら、雇用の場にひとつ相談に乗せさせていただくといったことをやはり両方、両輪のようにやっていかないといけないというふうに思っております。
  326. 山本香苗

    ○山本香苗君 来年度の予算におきましては、若者自立・挑戦プランということで大々的に四百九十四億円ほど若年雇用に掛ける予算というものがぐっと増えるわけでございますけれども、今言われた技術を身に付ける、恐らくデュアルシステムのことを言われていらっしゃるんじゃないかなと思うわけですが、その他にジョブカフェとかいろんなものを、公明党としても推進してきたものを今回実現していただくという運びになっているわけでございますが、実際、このジョブカフェ、今いろんな名前のものがあります。ジョブクラブだとかヤングハローワークだとかいろんな、こういろんなものが出てきて、どれがどれだかよく分からない。どこがどう違うのか、その点につきまして御説明お願いいたします。
  327. 青木功

    政府参考人青木功君) お答え申し上げます。  様々な名前があるという御指摘でございますが、簡単に申し上げますと、ヤングハローワークと言われているものは大都市に、全国五か所にありますけれども、これはハローワークの若手の、若い人たち専用のハローワークというふうにお考えいただければいいと思います。平成十五年上半期に十七万人の若い人たちが来ておりまして、約四千、三千六百人の方が就職しています。  それから、ヤングジョブスポットという名前、これも昨年ぐらいから展開していますが、これはむしろハロー、仕事を探す以前に、仕事ってどんなものかとか、そういったものを勉強すると。言わば、ハローワークに行く全体の、前の段階の言わば啓発施設というふうにお考えいただければいいと思います。  それから、今お話にございましたジョブカフェにつきましては、これは今度の四大臣の合意に基づく若者自立プランによるものでございまして、今申し上げた二つの機能を総合的に持って若い人たちに対応していこうということで、これは全国に展開できるものと思います。
  328. 山本香苗

    ○山本香苗君 いろいろとそういった形で若者の支援をしていただく、箱物ばかり造るわけではなくて、きちんと機能が分かれていて、若者に対してきちっと広報もしていただきまして、しっかり利用していただくようなシステムを作っていただきたいわけでございますが。  今日、一つ御提言を申し上げたいと思っているのが、イギリスにラーンダイレクトというシステムがあるそうでございます。これは国家レベルのe―ラーニングシステムで、大体皆さんがぱっと見てよく分かるように十五分単位の教育コンテンツによって構成されていて、大体千ぐらいその種類はあるというふうにお伺いしております。これが何でいいのか。これは、いつでもどこでもだれでも気軽に学んで職業能力を高められる制度としてイギリスで始まりまして、非常に浸透してきているというふうにお伺いしております。  こうしたものを作ることによって、ぱっと自分が何かやりたいと思ったとき手の届くところに学ぶような環境ができる。そういうものとして、イギリスではアドバイザーが常駐する学習センターに、ショッピングセンターだとか図書館だとかレストランだとか、人の集まるところにぱあっとあるらしいんです。そうしたものを日本でも、今言われたようなたくさんヤングハローワーク、ジョブカフェなんとかありますけれども、そういう既存のものも使いながら、気軽に学べるようなシステムを作ることによって、雇用問題というかこの職業能力を高めていくようなシステムを日本でも作ったらどうかと思うわけですけれども、この制度について、またその制度制度についてちょっと御説明いただくのと同時に、御検討いただけないでしょうか。
  329. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 内容はもう今お話しになったとおりでありまして、もう十五分以上はやらない、もうわずか十五分ぐらいでとにかく職業能力を身に付けさせる。毎日毎日それを積み重ねる。もう長い時間をするのではなくて、そういうふうにやっていく。それはそれなりのやはり効果を上げておるようでございます、私もまだ一か月ぐらい前に聞いたばかりでございますが。  そうしたやり方、それはサラリーマンの皆さん方、今勤めている、そこはいいんですけれども、もしも替わるとしたら自分は何をやるべきかふだんからやはり考えて、新しい自分の能力を身に付けるということでおやりになっている。長い時間をそこでやるということはもう不可能ですから、帰りにちょっと寄って十五分、まあちょっと一杯じゃないですけれども、ちょっと寄って勉強というふうなことをやられて、それの積み重ねが非常に効果を上げているという話でございますから、多くのお勤めになっている皆さん方にもそうした機会を与えることができればというふうに思いますし、これは民間でおやりになっているケースがほとんどだそうでございますので、民間レベルでもそうしたことをおやりいただけるようにサポートするといったことは大事なことだというふうに最近思っている次第でございます。
  330. 山本香苗

    ○山本香苗君 是非ともこれは御検討していただきたいと思うんです。  最後に一つだけ、坂口大臣平成十三年の十一月十九日の行政監視委員会で質問しました渡邉千栄美さんの件につきまして最後にお伺いします。  薬害ライ症候群で苦しんでいる千栄美さんを何とか助けていただきたいと、救済していただきたいというお願いを申し上げたときに、大臣の方から、もうちょっと、少し検討いたしておりますので、もうしばらく少しお時間をちょうだいしたいと思いますという御答弁をいただきました。千栄美さん御自身はこの言葉をどう受け取ったか、御自身お話しすることはできないわけなので、どう思ったというふうに聞くことはできないわけなんですけれども、お母様始めまして関係者の方が大変喜んでいらっしゃいました。  あれから約二年近くたちます。どう検討していただきましたか、結果を早くお示ししていただきたいと思います。坂口大臣だからこそ期待しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
  331. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いや、余り期待されても具合悪いわけでございますが、確かにそのことは聞きまして、お辞めになりました野中先生からも実はいただいたりもいたしまして、私もいい方法がないかと思って一生懸命検討してきたところでございますが、なかなか法律的にはうまくいかない。ただし、何とか方法があるんだろうというので最終調整に今入っているところでございまして、何らかの道を考えたいというふうに思っております。
  332. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。
  333. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で山本香苗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  334. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
  335. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初にこれをちょっと見ていただきたいと思うんですね。(資料提示)これは新聞の一面全面を使っての日本医師会の広告です。  それで、二月二十五日そして三月九日、二回にわたって「立川談志の健康高座」ということでやっていまして、立川談志氏と西島英利氏の全身を写して、うつ病と痴呆症についての対談をしています。これだけの広告を出すというのは、相当のやっぱり資金も必要だというふうに思うわけですね。それで、西島英利氏は精神科医で医師会の常任理事というふうに紹介されているんですけれども、この七月の、行われる参議院選挙の自民党の比例代表の候補者でもあるんですね。  それで、問題は、参議院選挙の候補者である西島氏を、多額の資金を使って選挙を数か月後に控えたこの時期に掲載していると。しかも、談志氏の高座の相手に西島氏をなぜ二回も続けて出しているのかと。これはやっぱり売名のための、公職選挙法で禁止されている事前運動になるんじゃないかというふうに疑問を持たざるを得ないわけです。  厚生労働大臣大臣は先日この委員会で、公益法人である医師会と政治連盟の活動について明確に区分されるように、誤解を生まないようにと常々言っているというふうにおっしゃいました。このような選挙の事前運動まがいの広告を出すということは誤解を生み、好ましくないのではありませんか。
  336. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 公職選挙法につきましては、これは担当大臣からまたお話あろうかというふうに思いますが、そこに書かれております内容につきましてはこれはもう立派な内容でございまして、何ら問題はないというふうに思っておりますが。  そこに出ている人がそうだということが、まあ私は、私もそれ実は見たんですね。見たんですけれども、そこに立っている人がだれかということまで私も気付かなかったわけで、今回御質問をいただくということで、あ、そうか、あの人がそうだったのかというふうに初めて知ったようなことでございますから、まあたくさんのお金は使っているかもしれませんけれども、多くの人はそれはだれかということは分からないんではないかと思っております。
  337. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと非常にあいまいな答弁だと思うんですね。先週言われたばかりですから。そこに立って、大した問題じゃないかのように言うんですけれども、決してそうじゃないんだということを私は言いたいと思うんですよ。  それで、自民党のホームページ開きますと、まずこの政策、党役員などとともに、選挙情報という欄がありますね。それで、そこをクリックしますと、第二十回参議院通常選挙公認候補者の項が出て、こういうふうになって出てくるわけですよ。(資料提示)それで、その中身をクリックしていきますと、比例代表公認候補者の中に西島英利の名前が出てくると。その名前をまたクリックしますと、今度はこの西島氏のホームページにつながって「西島英利VS立川談志の「健康高座」」という対談が出てくるわけですよ。だから、正にこの広告が選挙と一体になって出ているわけですね。  それで、我が党の議員が、医師会は公益法人だから自民党の党費を負担するとか特定候補の選挙活動というのはできないのではないかと、これ二〇〇一年の六月に質問しているんですけれども、この質問に対して、厚生労働、当時の伊藤雅治医政局長はかつて、本来であれば政治連盟の行うような支出はしてはいけないと考えているというふうに答えているわけです。医師会が選挙の事前運動まがいの支出などはすべきではないということだと思うんですね。  先週、我が党の同僚議員が指摘しました医師会と政治連盟の一体化の問題に続いて、この医師会と選挙の事前運動まがい問題というふうに思うんです。厚生労働省として改めて調査すべきではありませんか。
  338. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 公職選挙法上の問題につきましては、これは担当大臣からひとつお答えをいただきたいというふうに思いますが、私の方もそういう御質問があるということでお聞きをいたしておりますが、公職の候補者となろうとする者について選挙区内の者に対する新聞広告が禁止されているというのは事実でございます。主としてあいさつを目的とする場合であって、今回の意見広告はこれに該当しないというのがその御答弁でございますので、ここはまた正式にひとつ専門的なところからお聞きをいただきたいというふうに思います。  ただし、私の方といたしましても、これは医師会なり歯科医師会なり薬剤師会なりというその辺のところは、医療問題等につきましては私たちの範疇でございますから、そうした点でもしも行き過ぎた点があるということであれば御注意を申し上げるということだと思います。
  339. 紙智子

    ○紙智子君 候補者でなければ確かに何の問題もないわけですけれども、しかし候補者であると。そうすると、やっぱりこれは売名行為じゃないかというふうに疑惑を持つわけで、今おっしゃいましたけれども、きちっと調べて注意をするところはするということではありますから、そこはしっかりやっていただきたいということを申しまして、次の質問に移らせていただきます。  次は、高病原性鳥インフルエンザの問題です。  我が党は二月にこの高病原性鳥インフルエンザの対策会議を立ち上げまして、山口そして大分、京都と、中心に発生した地域調査をやりました。同時に、やっぱりこれ全国的な取組にしなくちゃいけないということで、地方議員とも連携をしまして各地の調査や申入れの実態調査などに取り組んできました。その中で、採卵農家や養鶏業者からも、国の対策は遅過ぎる、すべて後手じゃないかという非常にいら立ちの声も寄せられました。京都で封じ込めに失敗をして深刻な事態を迎えているわけです。一段階危険度が高まったというふうに指摘する専門家の方もおられます。  そこでなんですけれども、明日、政府の総合対策を発表するというふうに報道をされていますね。それで小泉総理は、済みません、間違えました、八日の決算委員会で我が党の畑野議員も質問をして、小泉総理自身も、反省踏まえて防止対策をするんだというふうに答えたわけです。それで明日、政府の総合対策発表というふうに報道されているわけですが、亀井大臣は十二日のこの当委員会で、移動制限に伴う補償を制度化する家畜伝染病予防法の改正、これについて今国会中行うということを明言されましたよね。それで、これは改正後直ちに施行するということで受け止めてよろしいんでしょうか。
  340. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) お答えいたします。  今回、このインフルエンザ対策として、移動制限命令下にありまして協力した養鶏業者に対しましての助成措置を行う、この制度化の問題と、またさらには通報義務違反に関するペナルティーの強化の問題と、このことを今いろいろどうするかと協議をしておるわけでありまして、今国会にこの改正案を提案、提出すると、こういう予定で今進めております。  これ、いつ国会に提出できるかと、その問題がありますけれども、その辺の日程と、いつと、できる限り早くそれを実施をすると、このように考えております。
  341. 紙智子

    ○紙智子君 いつやってくれるのかと、これはやっぱり関係者の皆さんにとっては一番聞きたいことなんですよね。  それで、そもそもこの移動制限にかかわっての補償問題というのは今始まった議論じゃないんですね。二〇〇〇年のときに北海道で口蹄疫が出て、そのときも大問題になっていたわけです。それで、やはり何で今回山口で出たときにすぐやらなかったのかと、こういう声も出ているんです。私のところに、BSEで発生農家になられて、それでその後離農せざるを得なくなった猿払の御夫婦の方から電話が来たんですね。それで、自分たちのようなつらい人たちをもう繰り返させるわけにいかないんだと、だから本当に何で早くやらないのかという電話が寄せられたんですよ。ですから、是非早くこれをやらせていただきたい、やる必要があるというふうに思います。  問題はこの法改正の内容なんですけれども、移動制限を受けた周辺農家の補償について、畜産物、それから卵などの評価額の減少分、輸送・保管経費などに対して国が責任を持って補てんをするということなんでしょうか。
  342. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今その検討をしておるわけでありまして、一つは、山口県での、いたしました、それを制度的にどうするか、この検討を今最後の詰めをいたしておるわけでありまして、できる限りその対応ができるようにいたしたいと、こう思っております。
  343. 紙智子

    ○紙智子君 山口県のを参考にという話なんですけれども、これは私は山口県の例も決して十分じゃないというふうに思うんですね。それで、山口の県知事自身が記者会見で何とおっしゃっているかといいますと、鶏卵の価値減少分の二分の一と補てん率が極めて低いことや算定の基礎となる単位、単価が地域実態を反映していないことなど、甚だ不十分なものと言わざるを得ないと。さらに、国としての支援策を是非もっと充実してほしい、そうでなければ周辺の農家の安心した協力を得られないと思うので、国で全額とか五分の四といいますか、それくらいの支援措置は是非必要だというふうに言っているんですね。やはり、国の責任で本当に必要なことはやるというふうにしていただきたいんです。  それで、ちょっと続けて聞いていきますけれども、この話については後ほど西山登紀子さんの関連発言で具体的な中身述べますので、これはここまでにしておきます。  それで、次に厚生労働大臣になんですけれども、WHOはこの間、高病原性鳥インフルエンザについて様々な勧告、提言を行っていますけれども、これはアジアでの拡大がやっぱり人の健康を脅かす問題として非常に大きな危機感を持っているからだと思うんです。  それで、WHOはこの高病原性鳥インフルエンザに感染した鳥の処分に従事する者についての感染防御に関する勧告というのを出しています。厚生労働省はこれを受けて一月二十九日に都道府県に通知を出しましたよね。それで、抗インフルエンザの薬であるタミフルを備蓄医薬品リストに入れるように求めているわけです。ところが、三月十日現在で聞きますと、備蓄されているのは二十五県の七千四百人分と、一か月以上たっていて結局二十二県がいまだに備蓄していないということなんですね。  それで、全国どこで発生してもおかしくないという事態の中でこういう状況を放置しておいて万全な対処ができると思われるのかどうか、そこのところをよろしくお願いします。
  344. 坂口力

    国務大臣坂口力君) WPROが発表しましたのは、それはタイですとかベトナムですとか、そうした鳥と人間がもう本当に共存をしているようなところを中心にしたこととして発表しているというふうに思います。日本はそうしたところと若干違いますから、それほどの問題はないというふうに思っておりますけれども、しかし鳥を飼育をしておみえになるところで、そして発生をするということになれば、それは同じような状況が生まれないとも限らないわけでございますから、皆さん方に御注意すべきところは御注意を申し上げているところでございます。  タミフルの話がございましたが、これはかなりな量もう日本の国内に入っておりまして、医療機関にはかなり蓄えがあるというふうに我々は思っている次第でございます。大体日本に入ってまいります約半分はもう既に販売をされて、医療機関に渡っているところでございます。しかも、今年は人の方のインフルエンザが思ったほどはやらなかったと、これはもう大変幸いでございましたけれども、はやらなかったために手持ちはかなりあるというふうに思っておりますし、全国レベルでもそれが全国に行き渡るようにしたいというふうに思っております。
  345. 紙智子

    ○紙智子君 今のお答えは国民全体に対しての話で、ここで言っているのは鳥の処分に従事する人たちのところなんです。だから、急がれているわけですよね。そこはしっかり行き渡るようにしていただきたいということを指摘して、ちょっと時間がありませんので次の問題へ行きます。  家畜衛生保健所の体制なんですけれども、初動の体制が大事だと言われていて、そのためにも家畜保健衛生所の役割が決定的に大事なんですが、この二十年間でこの家畜保健衛生所の箇所数、人数がどうなっているかということをちょっと教えてください。
  346. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 家畜保健所の設置数及び獣医師職員の推移でありますけれども、昭和五十九年、二十年前には二百二か所、二千二百五十四名、十年前、平成六年には二百一か所、二千百二十四名、平成十四年には、二年前になりますけれども、百八十一か所、二千八十二名となっておりまして、なお十五年十一月の時点では獣医師職員数は二千百六十五名と、このようになっておりまして、これは死亡牛の検査等、家畜保健衛生所の業務の増大に対応するために、近年、都道府県におきまして家畜保健衛生所の職員の増員を図ってきているところでもあります。一部の県におきましては十六年度におきましても増員を予定している県もありまして、各都道府県の実情に即した形で人員の確保に努めておるわけであります。  これは、今回の問題、あるいはまた家畜保健衛生所の職員対象に全国の病状鑑定機能を一定水準以上に維持し、家畜衛生技術の普及また向上に寄与するために講習会等をいたしまして、監視体制の強化あるいはまた迅速診断機器等を整備するための事業を実施するなど、環境整備等を含めて家畜保健衛生所の家畜防疫体制の強化を図っておるところであります。
  347. 紙智子

    ○紙智子君 全国で二十一か所この二十年間減ってきて、そして獣医さんも減ってきていると。一方では、BSEなども含めてやる仕事というのは増えていて、私も知っている家保の人に聞いてみましたけれども、やっぱり今だけでも精一杯なんですね。そこに突発的に今回のようなことになるとそれこそ回らなくなるということなんで、是非、体制強化をしていただきたいというふうに思いますが。
  348. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。西山登紀子君。
  349. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党西山登紀子でございます。鳥インフルエンザ問題で関連質問をいたします。  農水省は浅田社長を告発するとしていますけれども、経過からして当然です。しかし、それで問題が終わるわけではありません。私の地元の京都では、正に大きな災害に遭ったような状態が続いています。住民の物理的、心理的、経済的な負担と被害は大変なものでございます。一日も早く平穏な、そして安心、安全な丹波、京都に戻って暮らしたい、このように皆さんが願っておられます。  私は、京都の日本共産党鳥インフルエンザ対策部長といたしまして、二十八日に現地調査に入りまして、この間二度も直接亀井大臣にも申入れをさせていただきました。今、京都府も丹波町も浅田農産の鳥の処理を終えまして、一万立米、一万立方メートルもの鶏ふんの処理に入っております。これがまた大変苦慮されております。  農水大臣にお伺いしますが、地元住民のこの願いの一日も早い実現と、そのために国の緊急で万全の対策を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  350. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 地元丹波町におきまして、私も現地に参りまして、知事さんあるいはまた町長さん始め、また地元の皆さん方も大変いろいろの問題のある中で大変御協力をちょうだいし、いろいろのことに努力をしていただいておりますことに敬意を表する次第であります。また、あわせて、私も地元の皆さん方からいろいろのお話を承ってまいりまして、その中で丹波町では発生農場の鶏の淘汰は終了しまして、そして殺処分の鳥の埋却溝への投入も終了いたしたわけでありますが、現在、あの農場内にあります鶏ふんの問題と、この臭気の問題等々、また、私も中に入りまして、大変の量の鶏ふんがあるわけであります。この処理をどう進めていくかと。  京都府におきましては、発生農場の鶏ふんの処理方法につきまして、これを発酵、また消毒、消石灰を十センチくらいにあのところに散布をすると、こういうようなことでいろいろ進めていただいております。現在、いわゆる鶏舎の中に鶏ふんがこびり付いているような状況でありますので、それをはぎ取ると申しますか、これ引き落としする作業がまた大変なことと、このように思っております。  一日も早く防疫措置の完了ができるように努力をしてまいりたいと。また、先ほども、私、京都の知事さんにもお目に掛かりまして、いろいろ御努力いただいておりますこと、またいろいろお話も伺ったわけであります。この完了ができますように努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  351. 西山登紀子

    西山登紀子君 是非、現場の声をお聞きいただきまして、万全の措置をお願いをしたいと思います。  浅田農産のような巨大な鳥農場のウイルス封じ込めというものは、正に災害と京都府知事をして言わしめたほどにひどいものでございます。  そこでお伺いいたしますが、日本の大規模養鶏農場の事業者数と出荷シェアはどうなっているでしょうか。
  352. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) お答えを申し上げます。  大規模養鶏農家ということでございますが、採卵鶏農家とブロイラーと、両方それぞれあるわけでございます。採卵鶏の方は、飼養戸数、全国で四千戸農家があるわけでございますが、ただいまお話しの大規模ということで、一つには五万羽以上十万羽未満の農家は三百三十戸で、出荷額シェアは一六%。ただ、十万羽以上、これが三百六十戸でございまして、出荷額シェアは五四%というふうになっております。  また、ブロイラーの方で見ますと、全国で三千四百の農家がおりまして、出荷羽数五万羽以上十万羽未満の農家は六百五十二戸で、出荷額シェアは八%、一方、十万羽以上は千八百八十戸で、出荷額シェアは八八%と、こういうふうになっております。
  353. 西山登紀子

    西山登紀子君 今お聞きのように、非常に巨大化が進んでいるということなんですね。この浅田農産も船井農場など六農場、実に百七十五万羽を扱っていました。ホームページを見ますと、浅田農産はHACCP方式で、非常に近代的な衛生管理をむしろ売り物にしておりました、今は閉じられておりますけれども。  そこで大臣にお伺いしますが、この鳥インフルエンザウイルスというものは対象を選びません。現行の家畜伝染病予防法では対応できない新しい事態に直面しているのではないでしょうか。一所有者とか一府県だとか一市町村の責任で取り組む水準をはるかに超えた事態が今進行しています。小泉総理も決算委員会で我が党の質問に対しまして反省を述べられたわけですけれども、反省をするならば、こうした非常に、流通も養鶏場の規模も非常に極端に巨大化をしておるというこの事態を直視されまして、鳥インフルエンザの対策は国の責任で、法改正も含めて全面的な防疫体制を講ずる必要があるのではないか、この点について、農水大臣
  354. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) この問題につきましては、防疫マニュアルを国で作りまして、そして各都道府県家畜衛生保健所、そして家畜防疫員等々でいろいろやっていただくわけであります。  今度の京都府のケースにつきましても、防疫マニュアルに従って京都府と農林水産省とが密接に連絡を取りながら蔓延防止の措置を講じているところであります。もう、山口県、大分県につきましては通報が早かったと、京都の場合はその通報が遅れたと、こういうことであのような事態になっておるわけであります。  そういう面で、この防疫問題、蔓延防止、防止の問題につきましても、私ども京都府からの要請を受けまして、農林水産省の担当官を京都府に派遣をし、京都府と農林水産省と連携連絡調整を行うと。また、防疫業務、消毒作業の応援のためにも地方農政局の職員や動物防疫所、家畜改良センターあるいは周辺府県の獣医師等を派遣したところでもあります。  今後新たに発生するこの事態に対しまして、迅速的確な人的支援を行えるように各地方農政局や各都道府県の派遣可能な家畜保健衛生所職員等をリストアップしておりまして、発生した場合には直ちに農林水産省の家畜保健、家畜衛生専門家を派遣すると。あるいは管轄地方農政局及び地方農政局のリストアップメンバーを発生県に派遣をして、本省及び関係都道府県との連絡等をサポートすることによりまして一元的な情報管理体制を、情報連絡体制を整えると。そして、そのほか、各都道府県におきましてもリストアップメンバーを発生県に派遣すると、こういう要請ができるように今しておるわけでありまして、このことは三月十日にも各地方農政局、都道府県にも知事あてにも通知したところでありまして、そのようなチームワーク、連携と、こういう面でこの本病の蔓延防止に万全を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
  355. 西山登紀子

    西山登紀子君 もう一度農水大臣にお伺いしますが、京都の事態というのは二十二万羽の鳥の処理だとか、三十八万個もの卵の処理だとか、大きな穴を掘らなければならないとか、これはもう本当に大きな災害だと知事が言いました。私が質問いたしましたように、巨大化していると、こういうことについての認識を持った防疫体制、法の改正も含めてですけれども、それをおやりになるという決意、もう一度お伺いしたいと思います。
  356. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今申し上げましたとおり、私どもの組織、これは地方でこの現場の体制というものはおやりいただくことになっておるわけでありますが、地方農政局あるいはまた獣医、専門家等々をいつでも派遣できるようなそういう体制、リストアップをいたしまして、そのような体制の中で、機動的に対応できるような体制というものをしいておるわけでありまして、この体制、こういう中で万全を期してまいりたいと、こう思っております。
  357. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、今緊急を要しているのは、クロと判定するまでの時間が掛かり過ぎるという問題でございます。京都の場合でも、通報からつくばの動物衛生研究所に運んでクロと判定されるまでに二日間も掛かりました。家畜衛生保健所の体制強化はもちろんのことなんですけれども、関西につくばのような検査体制を早急に作るべきではないでしょうか。
  358. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 通告、通報を受けた段階でその態勢に入るわけでありまして、現在、動物衛生研究所で確定診断、これを行っておるわけでありますが、動物衛生研究所におきまして高病原性鳥インフルエンザの確定診断業務に今支障を来していると、このようには聞いておらないわけでありまして、現段階では新たな機関の設置、これは必要ないと、このように考えております。
  359. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変緊張感を欠いていると思うんですね。初期対応がかぎだと言っておりますのに、本当にクロかどうかということを判定するのが時間が掛かります。クロになるまでは自粛措置、こんなふうにもなっているわけで、これは早急に検査体制の整備を求めておきたいと思います。  次に、三府県知事、ここにございますけれども、二府七県議会の議長の要望書が出されておりますが、この要望書は、今回のこの鳥の災害におきまして、経済的そして防疫上の損失など、いずれも国の完全補てんというのを求めているのが私は特徴だというふうに思うんですけれども。  総務大臣にお伺いいたしますが、京都では防疫措置に四億円掛けております。お金がなければ完全な防疫体制ができない、あるいは格差が生まれるということではいけないと思いますが、当然、これは補償はされますね。
  360. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この鳥インフルエンザというのはもう先生御存じのように法定の伝染病でありますから、そういった意味では国として、地方公共団体との間に役割分担はもちろんのことでしょうけれども、万全の処置を講ずるのは当然、これまでなかったものが起きておりますので、そういった意味としては、今、農林省等々においていろんな形で、今までなかった、前例がない騒ぎですので、いろいろ新しい事態に対応するためにいろんなことをやっておられるんだと思いますので、私どもとしては、国として、いろいろ要望が地方から、現場から要望が出されておることはよく承知をしておりますけれども、国としてどう対応されるかというのをよく見極めた上で、私どもとしては万全の対応をしてまいりたいと思っております。
  361. 西山登紀子

    西山登紀子君 当然の対策をよろしくお願いしたいと思います。  次に、生産者の損失補てんの問題なんですけれども、京都府は、制限内外の生産者が受けた被害について、補償額、およそ五億四千万円を見積もっております。この自治体のやっている努力に対しまして国も完全な補てん、この要望書が要求しておりますけれども、農水大臣、いかがでしょうか。
  362. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、いわゆるこの問題、制度化という形での今検討しておるところでもございます。なお、京都府での緊急融資制度、今お話がありましたが、このことにつきましては、家畜疾病経営維持資金、これを国で低利融資制度として措置をしておるわけでありまして、この上乗せということで無利子の制度を利子補給ということで国がやっておりますものに利子補給をされたと、このように承知をしておるわけでありまして、関係の、被害農家の関係の皆さんが、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、いろいろ伺って制度化をして対応してまいりたいと、このように考えております。
  363. 西山登紀子

    西山登紀子君 住民も自治体も完全補てんということを要求しておりますので、その点をよくお考えをいただきたいと思います。  次にですけれども、移動制限区域外の風評被害も伴っての影響についても是非損失補てんが必要だということと、もう一点は、実はかしわ屋さんというものが非常に今重大な打撃を受けておりまして、京都では地鶏が、丹波地鶏、京都地鶏、ブランドですので、かしわ屋さんが今ばたばたと廃業に追い込まれているというような状態でございます。  この点につきましても、風評被害も含め、鳥精肉業者、つまりかしわ屋さんですけれども、損失補てんの対象にすべきではないでしょうか。
  364. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 移動制限区域外の農家につきましては、販売不振あるいはまた低価格等の影響を受けていることを踏まえまして、低利の運転資金であります家畜疾病経営維持資金を拡充いたしまして、移動制限区域外の養鶏農家も利用可能な資金メニューを新たに追加したところでもございます。  また、鶏肉、鶏卵の加工品の取扱い・取引関係事業者の経営の安定を図るために、今、経済産業省に働き掛けまして、政府系の中小企業金融機関が実施する低利な運転資金を別枠で貸し付けるセーフティーネット貸付けを講じたところでもあります。  また、風評被害の問題でございますけれども、この対策につきましては、鶏肉あるいは鶏卵に関する正しい情報にかかわるPR活動、地方紙四十七紙への広告の掲載や、小売店舗用のポスターも、あるいはQアンドAと、この配布を行っております。  さらには、私ども、地方農政局及び地方農政事務所を通じまして、鶏肉、鶏卵取扱店店舗を巡回をいたしまして、風評被害をもたらすような不適切な表示に対して個別指導を実施いたしております。  さらには、発生県産であることだけを理由として鶏肉や卵の取引拒否が行われないよう、関係団体等に対しましても協力を要請をいたしております。地方農政局、例えば近畿でありますと、近畿農政局では、大手量販店の本部等にも直接足を運びまして、不当な取引が行われないよう協力要請をしておるところでもございます。同様に、学校給食におきましても、鶏肉や鶏卵を不使用としている教育委員会に対しましても、地方農政局、例えば近畿農政局では直接足を運んで協力を要請をいたしております。  さらに、正しい情報の伝達と、こういう面で、三月九日付けで、食品安全委員会、厚生労働省環境省と連携いたしまして、政府として、国民に対しましての、鶏肉、鶏卵の安全性等につきまして都道府県を通じまして周知を図っているところでもございます。  今後とも、風評被害の防止のためにきめ細かく努めてまいりたいと、こう思っております。
  365. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、厚生労働大臣にお伺いしたいと思いますが、厚生労働省は、国民生活金融公庫を通じて、鶏肉、鶏卵を扱う生活衛生同業者組合員について一千万円まで低利融資するとしておりますが、被害者である鳥精肉業者に対して、せめて据置期間一年以上、無利子の融資制度にすべきではないでしょうか。
  366. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先日も京都の知事さんにもお話も申し上げたところでございますが、衛生環境激変対策特別貸付制度がございまして、その中で低利子で貸付けを行うということをやっているわけでございますが、やっているというよりも、これを今検討しておるところでございまして、間もなく結論が出るだろうというふうに思っております。  無利子というわけにはいきませんけれども、現在〇・七五%でございますから、非常に低い金利でございますので御理解をいただけるものというふうに思っているところでございます。また、借入れの日から六か月以内でありましたら元本につきましての返済猶予にも応じることができるようになっておりますので、そうしたことも御利用いただけるというふうに思っております。
  367. 西山登紀子

    西山登紀子君 京都府の食鳥肉販売業生活衛生同業組合理事長の河原さんという方が、借りてもいつ返済していいか分からない、不安だというふうにおっしゃっておりますので、是非この据置期間の一年以上、無利子の融資制度をお考えいただきたいと思います。  次に、この移動制限区域内でどんな事態が起こっているか、あるいは区域制限外でもどのような中小業者への状態が起こっているかということですが、高田農場の近くの民宿では、実に五月の連休まで予約は全部キャンセルされています。  経産大臣にお伺いしますが、ホテルや旅館や民宿や飲食業、その他関連する被害に遭っているその業者の損失補てんを実施すべきではないでしょうか。
  368. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、今回の鳥インフルエンザ発生によって関連する中小企業については、特別相談窓口、あるいはまたいわゆるセーフティーネット貸付けが既に行われているところでございます。今のホテルなんかもそれに該当するというふうに考えております。  ただ、損失補てんにつきましては、それぞれの所管をする行政が一元的に判断をして、何らかの対策を取れるか取れないかを御判断をするんだろうというふうに思いますが、一般論として経済産業省として申し上げますならば、行政行為に起因しない損失に対して、財政資金を個別事業者に損失補てんのために資金を発動するということは慎重な検討が必要であろうというふうに思っております。  繰り返しますけれども、具体的な内容について関係省庁において御検討いただくべきものだと考えております。
  369. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 西山登紀子君、時間が来ていますからね。
  370. 西山登紀子

    西山登紀子君 はい、最後です。  今、京都府や京都市は、高病原性鳥インフルエンザ緊急融資の制度を創設いたしまして、今日から、三月十五日から実施をいたしました。具体的な対象要件をうんと軽くして、最近一か月の売上げが減少していることなど、また融資の特徴は据置期間を一年に延長するなど、特別のこの鳥インフルエンザのための緊急融資制度を創設しているんですね。国としても、やはりこのような制度、地方は一生懸命頑張っているわけですから、是非無利子融資制度を国の創設、国の制度として創設する。借換え制度もそのようにして地方の制度を見習ったわけですから、是非その点について御決意をお伺いしたいと思いますが、経産大臣と農水大臣、お二人、最後お願いします。
  371. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 中川大臣、簡潔に。
  372. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 無利子制度ということでございますが、現時点では先ほど申し上げたように特別相談窓口、そしてまたセーフティーネット貸付け、低利の別枠の融資をやっておりますし、農林水産省からの御要請があれば、セーフティーネット保証についてもこれから検討する準備がございます。これで制度としていろいろと対応をしていきたいと考えております。
  373. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 移動制限区域外の融資の問題、あるいはまた鳥肉等関係の商店等々につきましての問題、農家の中小企業への、中小企業庁へのお願い等をいたしまして緊密な連携を取って今日やってきておるわけであります。  至らないところはまた考えていかなければならないと思いますが、現状、その対応は一通りいたしたつもりであります。
  374. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  375. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  376. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  法務省入国管理局がホームページ上で外国人情報の受付を始めました。概要について説明お願いします。
  377. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 我が国に入国し在留しておられる外国人の大多数の方がルールを守っておられるということは言うまでもありませんが、残念ながら、我が国、現在約二十五万人の不法滞在の外国人の方がいらっしゃるわけでございますが、この皆様に対しては何とかひとつお帰りをいただこうかということで、既に内閣ではこの不法滞在を半減させるという方針を打ち出して取り組んでおる次第でございます。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  そのためには積極的な摘発活動を行う必要がありまして、これまでも電話やお手紙で国民の方々からお寄せいただく様々な情報は貴重な情報として活用させていただいておりますが、その中から電子メールで情報提供したいというお声もありまして、これはもう昨今の社会情勢では当然のことではないかということでございまして、これを受けるのは特別、差別とか排外主義を助長するということではないと考えております。
  378. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ただ、違反者と思われる人に関する情報の通報動機もひどいんですね。これは、近所迷惑、不安、利害関係、違反者のために解雇されたなど、入管法違反の通報とは何ら関係ないものが挙げられています。  入管法六十二条は通報に関して限定をしております。他の法律でも同じです。通報に関しては、ドメスティック・バイオレンス防止法を始め、通報についてはこういう場合にできるとありますが、このホームページ上は近所迷惑、不安、そういうことが通報動機になっております。これは極めてあいまいかつ問題ではないでしょうか。
  379. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) もちろん、私どもは、入管法で定めておりますこの諸規定については、通報の手段その他にかかわらず、これは尊重していかなきゃいかぬと考えております。
  380. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、通報動機に近所迷惑、不安、利害関係などあるんですね。そうすると、不安を抱えているので、どうもあの外国人は怪しいんじゃないか、それで通報が起きます。これは通報の内容を明らかに超えていると考えられますが、いかがでしょうか。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
  381. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 通報動機についてのお尋ねですけれども、通報動機について例示をしているのは、その動機もそうですが、その通報者が自分の氏素性を明らかにしているか、あるいはその通報内容が具体的であるのか、そういったこともすべて踏まえて、この通報された内容がどの程度信用性が置けるものか、あるいはこの情報をどれだけ緊急に着手すべきなのか、そういったことを判断する一つの要素としてこの通報動機も例示しているわけで、その例示に当たりましては、従来から入管は、電話であるとかお手紙でいろいろ情報をいただいています。  そういったこれまでの実績で、大体こういったことで私らは通報しているのだというものを今回例示として取り上げているということでございます。
  382. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 でも、不安で、それが通報動機だとなれば、それは外国人に対しての差別につながると考えられますが、いかがでしょうか。  通報の要件に当たらないことを、なぜ冒頭、通報動機に挙げているのでしょうか。また、これは匿名でも通報ができるようになっております。
  383. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、この通報動機はあくまでもほかの通報人の氏、氏名であるとかあるいは通報の内容であるとか、そういったこと等すべて総合して、いただいた通報内容がどれだけ信用できるのか、そういったことを判断する材料としてこの通報動機もあった方がよい、こういう判断で設けたものでございまして、決して差別を助長するとか、そういった意図ではございません。
  384. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、このインターネットを見ても、ホームページを見ても、非常に分からない。  まず、提供情報の次に通報動機というものがあります。きちっと、どんな場合に通報できるかということと関係なく、通報動機というところからスタートしていますので、不安を感ずる、近所迷惑だと思った人が、あの人騒いでいるし、日本人かどうかなということで通報することもあり得ると思います。これはやはり問題だと思いますが、いかがでしょうか。
  385. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 正確に申しますと、何も通報動機から始まっているわけではなくて、まず通報者の方の氏名、それから通報の内容についてはどういう通報内容なのか、働いている場所なのか、それとも住んでいる場所なのか、そういったことをお教えいただいたその次に、それでは通報動機は何でありますかということをクリックによって教えていただき、そしてさらに、通報の内容としては具体的にどういう違反事由があるというお考えなのかを記載していただくということであって、別にその点では問題はないと考えております。
  386. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、これは匿名でもできるものであります。  では、次にお聞きしますが、個人情報保護法がありますけれども、これに関して集めた情報が電子磁気テープ化していらっしゃるのでしょうか。
  387. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) データとして蓄積しております。
  388. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 国会でも議論になりました個人情報保護法に関しては、これは個人情報保護、非常に厳密な法律を作りました。これには、通報、この何か違反しているかもしれないということで、個人の情報、外国人かどうか分かりませんよ、電子データ化されることは個人情報保護法に超えているのではないか。いかがでしょうか。
  389. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 今回の通報制度は、あくまでも、入管法六十二条第一項が何人であっても退去強制事由に該当する外国人について通報することができると、この法律を受けて、それが従来手紙や電話で行われていたものを電子メールでもお受けしましょうとしただけのことであって、決して個人情報保護法に抵触するものとは考えておりません。
  390. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、六十二条の通報かどうか、これを見ているだけでは分かりません。違反者ということが書いてありますし、やはり、繰り返し言いますが、通報動機に近所迷惑、不安というのがありますから、不安だ、近所迷惑だ、あいつはおかしいということで通報してしまうことがあるわけです。  そして、これが電子カード化されるんであれば、それはやはり個人のデータがこれで集積をしていく。本当にその人が外国人であるのか、あるいはいわゆる不法就労外国人であるのか分からないにもかかわらず、電子カード化されるのではないですか。これは個人情報保護法を超えていると考えますが、いかがですか。
  391. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 私どもといたしましては、退去強制事由に違反すると思われる外国人がいますよと、それを入管に通報したいという方からその通報を電話やはがきとは別にこの電子メールでもお受けしているということであって、その意味では決して個人情報保護法を超えるものとは考えておりません。
  392. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、いろんな人から来た情報を電子カード化するわけですから、それを超えている。いろんな人の情報、いろんな人から匿名で来たものも電子カード化するのですから、個人情報保護法に反するおそれがあると考えます。  そして、人種差別撤廃条約を日本は批准していますが、国又は地方の公的権力は人種差別を助長し、又は扇動することは許されない。こういうことをホームページでやると、いろんな人からあいつは怪しいんじゃないかという、適法に働いている人もいますし、外見は日本人に見えなくても日本人という人だっている。でも、これだと本当に密告ということになるのではないでしょうか。また、匿名でできますから、安易な通告もできるわけです。しかも、それが電子カード化されるという点が極めて問題だと考えますが、法務省は問題だと考えないのでしょうか、人権侵害は起きないのでしょうか。
  393. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) このいただく通報は、あくまでも、退去強制事由に該当する人物について入管がこれを摘発を行う、そのための事前の調査を行う、そういったことの端緒として使うために、国民の皆さんが持っていてこれを入管に教えたいという情報をいただくという限度のものであります。  また、そのいただき方で、必ずその名前を明記するようなことを義務付けますと、かえって、入管に教えたいけれども自分の名前が明らかになるというのは困るという人から正確な情報があるいは入りにくいということも懸念されます。  そういう意味で、私どもとしては決して、いい加減な情報であるとか、あるいは外国人を陥れるような、特定の外国人をおとしめるような、そんな情報をいただくつもりは毛頭ないわけで、真実の情報をいただく、そのためには匿名の道も開いておいた方がよいと、こういう考えで行っているところでございます。
  394. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 今まで、外国人の妻に逃げられた夫が妻を通報するとか、ライバルの会社をこれで通報するなどいろんな、これは電子だけではありませんが、あります。やはり無責任な通報がこれで起きるのではないか。  また、「入国管理局ホームページへようこそ」の冒頭は、「我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより、健全な日本社会の発展に寄与しています。」と。しかし、この文章が、法務省の文章で問題なのは、「我が国にとって好ましくない外国人」、極めて主観的な書き方をしていることです。このホームページを見た人は、何か外国人は危ないぞと、きちっと通報の要件など書いてありませんから、これで匿名で安易に通報するのではないでしょうか。  法務大臣、法務省は人権擁護局もあります。法務省が人権侵害をしてどうするのかと思いますが、いかがでしょうか。再考の余地はないのでしょうか。
  395. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 法務省はもちろんこの人権擁護も大事な仕事としてやっておりますので、この記事あるいは通報のシステムは決してそのような御心配の向きには至らないと思っております。
  396. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この近所迷惑、不安、利害関係という通報動機をやるというのは、やはり外国人に対して不安がある、あるいは近所迷惑、利害関係、そういうことをやはり想起させるし、だから通報してやるというふうになるし、通報された人間が間違っていたらどうなるのかと思います。  大臣、このようなホームページの情報受付は中止すべきあるいは再考すべきだと重ねて御質問いたします。
  397. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 今後の運用については私どもも十分心して取り組むつもりですが、これも一つのもう最近普及されました手段として活用の方も考えていかなきゃいかぬなと思っております。
  398. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福島瑞穂君、もう時間だよ。
  399. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 人権上極めて問題があり、外国人排撃になりかねないので、中止してくださるよう強く求めて、私の質問を終わります。
  400. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  401. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  402. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、南西諸島における地震予知と防災及び自然環境保護についてお伺いしたいと思います。  去る二月二十七日に地震調査研究推進本部の地震調査委員会は、「日向灘および南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」の結果を公表いたしました。その公表の意味と意図及び地震防災上の観点から南西諸島周辺においてはどのような備えが求められるのかというようなこと等について伺いたいと思います。  そしてもう一つは、同時に、現在の南西諸島方面における地震予知を含む気象観測体制の現状と課題について承りたいと思います。
  403. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) まず、私の方から先生指摘の地震調査研究推進本部が出しました「日向灘および南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」についての概要等についてまず御説明申し上げたいと思います。  これは、まず、地震調査研究推進本部自体が阪神・淡路大震災を契機として設置されたものでございますけれども、地震防災対策に役立てるため、この本部におきましては、当面の優先課題といたしまして、我が国の社会経済に大きな影響を及ぼす全国の主要な九十八の活断層、そして主要な海溝型地震につきまして、その活動間隔あるいは次の地震の発生可能性等につきまして評価を実施し、評価結果を随時公表しているところでございます。  御指摘の「日向灘および南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」、これもその一環でございますけれども、安芸灘から伊予灘を経まして豊後水道に至る領域、そしてまた日向灘、与那国島の周辺及び南西諸島周辺、それぞれの領域につきまして、将来予想される大地震の規模及びその長期的な発生確率の評価結果を取りまとめたものでございます。  今後三十年以内の地震発生確率につきまして、具体的には、安芸灘から豊後水道につきましてはマグニチュード六・七から七・四の地震が四〇%程度の確率で、同様に、日向灘ではマグニチュード七・六前後の地震は一〇%前後、一〇%程度、マグニチュード七・一前後の地震が七〇ないし八〇%、与那国島周辺ではマグニチュード七・八程度の地震が三〇%程度であると評価されております。  沖縄を始めとする南西諸島周辺の地震についてでございますけれども、この地域は大変広大な領域でございます。また、地震のタイプや発生の特性が必ずしも明確ではないなどの理由によりまして、今後の地震発生の可能性、すなわち三十年間の間に何%であるかということにつきましては評価がされなかったという状況でございます。
  404. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 島袋宗康君。  あれ、まだまだ。はい、取消し。北出国土交通省気象庁長官
  405. 北出武夫

    政府参考人(北出武夫君) 沖縄における気象庁の地震観測体制についてお答えさせていただきます。  気象庁は、地震発生時に直ちに震源及び地震の規模を決定し、これを基に地震、津波に関する防災情報を迅速かつ的確に発表、提供するため、沖縄県を始め全国に地震計を整備するとともに、沖縄県など地方公共団体が整備した震度計データを活用するなどして地震活動を常時監視しております。  沖縄地方におきましては、十四か所に地震計を設置し、二十一か所に震度計を配置しておりまして、二十四時間体制で地震を監視しております。地震が発生した場合には、沖縄気象台におきまして、これらの地震観測データを解析処理し、迅速かつ的確な地震及び津波に関する情報を発表しております。  また、大地震や群発地震が発生した場合には、活動情報を詳細に把握するため、地震機動観測班を現地に派遣しまして、地震観測体制を強化することといたしております。  気象庁としましては、今後とも適切な観測体制を確保するとともに、適切な防災情報の提供に努めてまいる所存でございます。
  406. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 どうもありがとうございます。  次に、ノグチゲラは、国の天然記念物で、沖縄本島北部にだけしか、生息するキツツキ科の固有種の鳥であります。生息数は多くても五百羽程度と推定されておりますけれども、絶滅危惧種であります。環境省ややんばる野生生物保護センターは、林道建設など開発の影響で最近そのノグチゲラの巣がハシブトガラスに襲われるケースが増えているとのことであります。早急な実態調査が必要だと思いますけれども、この辺について、この希少種のノグチゲラの現状と保護策について、環境省から御説明願いたいと思います。
  407. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) ノグチゲラは、沖縄本島北部のみに生息する我が国固有の種であることは委員指摘のとおりです。生息数も、おっしゃったように五百羽以内と推定されております。  保護につきましては、我々の出先の現場の保護のための拠点施設でありますやんばる野生生物保護センターを中心にして、個体数の把握、分布状況に関する調査、巣穴の監視等について実施しているところであります。  また、ノグチゲラと併せてヤンバルクイナの保護もありますので、生息を、捕食して生息を脅かすマングース、野猫の捕獲事業を進めているところであります。
  408. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ヤンバルクイナは、一九八一年十一月に確認された沖縄本島北部の山原区域だけにしか分布しない固有種の飛べない鳥で、環境省の絶滅危惧種ⅠB類に分類されております。  そのヤンバルクイナが昨年九月から十二月にかけて山階鳥類研究所が調査したところ、個体数は一九八一年の発見当時の推定約二千羽から半減をして千羽を下回ったおそれがあるとのことであります。生息域も大分狭まって、国頭村だけになった可能性が高いと言っております。同研究所は、一刻も早く保護策に取り組まないと絶滅に追いやられると指摘しております。  そこで、環境省に、この鳥の現状と個体数及び生息域の減少の原因、そして絶滅を防ぐための今後の対策についてお伺いいたします。
  409. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) ヤンバルクイナにつきましては、今我々が把握しております生息個体数は千二百というふうに思っております。  しかしながら、生息域が次第に北の方に上がっていることは御指摘のとおりだと思います。これにつきましても数が減っていることは確かでありまして、減っている原因については、生息域がきちっと保全されていないということも一つの理由でありますし、またノグチゲラで申し上げましたように、マングース、野猫、場合によってはカラスの影響もある、一部あるというふうに推測されております。マングースと野猫については捕獲事業を始めているところでございます。
  410. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国立公園指定にされている西表島にはイリオモテヤマネコがいます。これも絶滅が心配されている種であります。  また、鹿児島県奄美大島にはアマミノクロウサギという珍しいウサギが生息しています。これも最近、外来種のマングース等に襲われて生息環境が悪化しているようであります。  そこで、この両種についてもその生息の現状と保護対策について伺っておきたいと思います。
  411. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) イリオモテヤマネコにつきましては、西表島で生息数は百頭前後で安定していると考えられております。これにつきましては、西表野生生物保護センターを中心にして傷病個体、けがした個体の保護や交通事故の防止のための普及啓発活動を進めておりますし、また、生息の分布域密度を把握するために自動撮影装置による調査や目撃情報の収集など、モニタリングを実施しているところでございます。  また、アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の二島にのみ生息する日本固有種で、個体数は奄美大島で約数千、徳之島が百二十から三百頭であろうと推定されております。  本種は特異で原始的な形質を有すること、また分布が極めて限られていることから学術的にも貴重な種とされ、環境省のレッドリストでは絶滅危惧種に掲載されているところであります。  保護の取組については、鳥獣保護法により捕獲等が規制されているほか、環境省の奄美野生生物保護センターを中心にして生息情報の収集を図るとともに、傷病個体が発生した場合には関係者の協力を得つつこれを保護しているところであります。  また、このクロウサギを捕食し、生存の脅威となっているマングースの駆除事業を平成十二年度より実施しております。本年一月までに計一万一千頭のマングースを捕獲したところであります。
  412. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 御存じのように、ジュゴンは沖縄近海を北限とする海生哺乳類であり、我が国ではここだけしか生息しない希少動物であって、やはり絶滅危惧が、絶滅危惧される状況になっており、現在までに環境省でも調査をされておりますが、同時に、これは国の天然記念物でありますので、私はその生息環境を守るため、天然記念物の地域指定をすべきであると考えておりますけれども、文化庁の御所見を承りたいと思います。
  413. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 文化庁ではありませんが、環境省の考え方を申し上げたいと思います。  十三年から十五年にかけて環境省でジュゴンの生息実態藻場調査を実施してきております。現在取りまとめ中のところであります。この結果は、ジュゴンは沖縄本島海域全域にまばらに、極めてまばらに分布しているということが明らかになっております。  保護区、委員指摘の保護区の設定につきましては、考えるべき保護方策の一つであるというふうには考えられますが、ジュゴンの生態が非常に解明されていないということがまず一つ。それから、分布域が広範に及んでいるということ、沖縄本島北部、本島全域に及んでいるということ、それから、長期的なジュゴン保護のためには漁業者など地域との調整、合意が重要など、今後の検討課題が地域指定に関してはあると考えております。  これまで三か年の分析の最終年度でありますので、取りまとめ、生息実態を今後も更に進め、地元関係者関係機関ともよく話し合いつつ、今後具体的な保護方策について検討してまいりたいと思っております。
  414. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 是非、天然記念物の地区指定をしていただきたいということを重ねて要望します。  奄美大島、沖縄本島、西表島等を含む琉球諸島は東洋のガラパゴスとも言われて、例えられております。貴重な動植物の存在する豊かな自然環境の、まだ自然環境を残している地域であると言われておりますが、私もそのように思います。そこで、この豊かな自然を後世の人々のためにも保存していくために、私はこの地域をユネスコ世界自然遺産に登録申請すべきだと考えます。  先般、知床が登録申請された折には、候補地の一つに挙げられながら見送られた経緯があります。なぜ見送られたのか、その理由と今後の取組についてお伺いするとともに、環境大臣のこの件に関する御決意を承りたいと思います。
  415. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 昨年、専門家の方々、学識経験者の皆様方に検討会を開いていただきまして、今御指摘のように、先発いたしております知床、そして小笠原諸島、琉球諸島、この三地域がまず世界自然遺産の候補地として選定されたところでございますが、推薦条件が整いました知床について、今年の一月末にパリにありますユネスコの世界遺産センターに推薦書を提出したところでございます。認め、登録されることを、まず、そのためのしっかりと……
  416. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 どういう努力されます、努力されます。
  417. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) いやいや、まず知床の話ですよ、まだ、先生。待ってください。まだ時間あるね。  それで、世界自然遺産の登録には二つ条件があるわけですね。一つ世界的に見て貴重な自然であること、そして二つ目がその自然を将来にわたって守るために必要な措置が取られているかということですが、最初の方の条件については、先ほどから先生がイリオモテヤマネコの話などをなさっておられるように、もう固有な動植物が多いということで独特の生態系を有しているということは、これはもう既に内外ともに知られているところでございます。  問題は二つ目なんですが、今後、関係省庁、そして鹿児島、沖縄、それぞれの県との連携をしっかり取らせていただきまして、まず保護区の設定の拡充を急ぐということが道筋として考えられる、そしてまた取らねばならない。そして、世界自然遺産としての条件を、二つの条件を整え次第推薦手続を進めてまいりたいと思いますので、先生も御協力のほどよろしくお願いいたします。
  418. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会