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2004-03-12 第159回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十二日(金曜日)    午後二時四分開会     ─────────────    委員の異動  三月十一日     辞任         補欠選任      大江 康弘君     内藤 正光君      樋口 俊一君     和田ひろ子君      林  紀子君     井上 美代君      宮本 岳志君     八田ひろ子君      又市 征治君     福島 瑞穂君  三月十二日     辞任         補欠選任      木村  仁君     有村 治子君      中川 義雄君     後藤 博子君      大塚 耕平君     藤原 正司君      内藤 正光君     森 ゆうこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 有村 治子君                 扇  千景君                 後藤 博子君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 中島 章夫君                 平野 達男君                 藤原 正司君                 峰崎 直樹君                 森 ゆうこ君                 和田ひろ子君                 高野 博師君                 森本 晃司君                 山本 香苗君                 井上 美代君                 紙  智子君                 八田ひろ子君                 福島 瑞穂君                 島袋 宗康君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        国土交通大臣   石原 伸晃君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君        農林水産大臣  市川 一朗君        経済産業大臣  坂本 剛二君        国土交通大臣  林  幹雄君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        財務大臣政務官  山下 英利君        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       村上 康聡君        内閣府政策統括        官        小平 信因君        内閣府政策統括        官        尾見 博武君        防衛庁防衛参事        官        安江 正宏君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        総務大臣官房総        括審議官     大野 慎一君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        法務省矯正局長  横田 尤孝君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   天野 之弥君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        厚生労働省労働        基準局長     松崎  朗君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁次長  小林 和弘君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君        環境大臣官房審        議官       小沢 典夫君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまより予算委員会開会いたします。  公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度総予算案審査のため、来る三月十八日午前十時に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を七十五分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会五十分、日本共産党十五分、社会民主党護憲連合五分、無所属の会五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  6. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。辻泰弘君。
  7. 辻泰弘

    辻泰弘君 民主党新緑風会辻泰弘でございます。  本日は二時からの開会ということで、いつもは三倍やりませんと後でおしかりを受けるんでございますけれども、今日は三倍より少し早めにせいというような内々の指示もございますが、生来不器用な人間でございますので、余り調整はできませんので、ぶっつけ本番ということでやらせていただきます。  さて、まず、前回も私、予算委員会でお伺いいたしましたけれども、幹部公務員給与に関する有識者懇談会というのがございます。官房長官の御所掌のことかと存じますが、その後の審議状況といいますか、三月初めに結果が出るようなことを聞いておったんですが、そのことどうなっておりますでしょうか。
  8. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 幹部公務員給与の在り方につきまして、それぞれの職務内容、責任の重さなどの実情を踏まえて必要な見直しを行う、こういうふうなことを目的といたしまして、私の主宰の下で幹部公務員給与に関する有識者懇談会、これを開催いたしまして、これまで四回開催いたしました。  次回の懇談会でこの取りまとめを行おうと、こういうふうに考えておるんですけれども、これはもう三月中にできればというふうに考えておるところでございます。
  9. 辻泰弘

    辻泰弘君 総理の給料についてはどのように議論が出ておりますでしょうか。
  10. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これはいろいろな意見が出されておるわけでございまして、総理給与意見として上げてはどうかと、こういうような意見があったということは事実でございます。
  11. 辻泰弘

    辻泰弘君 どの程度の水準まで上げろという議論があるんでしょうか。
  12. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) そのような具体的な議論はしてなかったというふうに記憶しております。
  13. 辻泰弘

    辻泰弘君 聞くところによりますと、一千万近く引き上げるというような議論もあるように聞くんですけれども、いずれにいたしましても、前回も申しましたけれども、今日の経済社会状況というものをしっかり踏まえた上での方針ということがあるべきだと思っております。そのことも改めて申し上げておきたいと思います。  それで、もう一つ公務員のことについて関連いたしますけれども、前回、本委員会において総理が、各役所事務次官OB天下りは許さないと、このような方針を明言されたわけですが、早速その巻き返しみたいな動きが出ておるわけでございます。  昨日でございますか、各次官厚生労働次官あるいは財務次官、御発言がございましたようで、例えば厚生労働次官によりますと、いささか論理的ではないと、総理の御発言趣旨が論理的ではないというふうにも読めるわけですが、そのような発言もあるわけでございます。  このような発言官房長官、どう受け止めておられるでしょうか。
  14. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) どういうような趣旨発言をされているか、新聞を見る限りでは判然といたしません。ですから、そういうこととは別に、そういう意見意見としてお聞きしますけれども、今まで特殊法人、また独立行政法人、こういうようなものに対する人事、これいわゆる天下りということで、場合によっては一部の、一部じゃない、相当部分のそういうような法人総裁とか、それから理事長、そういうものを特定の官庁が独占してきたといったようなことがございます。そういうようなことは、これからは公共性の高い業務を効率よく実施する、こういうことは大事でございますので、そういうことを考えながら、今後の人事についてはいろいろなことを考えていかなければいけないというふうに思います。  その中で、よろしいですか、進めて。例えば、考え方原則というようなものを申し上げますと、法人の長につきましては事務次官等ポストからの任用、これを固定化させることはしないということ。それから、法人の長及び役員につきましては、官民の出身者をバランスよく適材適所登用するということ。また、いわゆるプロパー内部登用ですね、内部の方の登用、これを進めるということでございます。  そういったようなことを原則として、今後、役員人事、特に長の人選については配慮をしていこうと、こういうふうなことでございまして、具体的な法人の長、役員人事の、その業務内容法人業務内容、そういうことは勘案しながら考えていくことでないか。また、個別に判断していくというふうなことではないかというふうに思っております。  ただ、全体的にどのぐらいのそれじゃ割合にするかということでありますけれども、私ども今考えておりますのは、取りあえず半分以下にすると、役人の、長及び役員ですね、そういうような方々は大体半分以下にしていくのが妥当ではないかなというふうに考えているところであります。
  15. 辻泰弘

    辻泰弘君 総理発言を軌道修正されているように思われてなりません。  まず、では恐縮ですけれども、坂口大臣、実は昨日は厚生労働次官発言されていて、後の方で、もう少し大いに議論をさせていただきたいと、こういうふうにもおっしゃっているようなんですけれども、総理が明確におっしゃった方針に対して大いに議論をさせるという場があるんでしょうか。
  16. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは次官発言でございますか。
  17. 辻泰弘

    辻泰弘君 はい。そのように聞いております。
  18. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 次官がどう言ったか、私全然聞いておりませんけれども、総理がおっしゃったやはり大方針というのは、これはもう原則、大方針だと思っております。  次官だとか局長だとか、その出身者は何か次のポジションに就くのが当然だという考え方を持っておることは間違いであると、それはやはり自分のことは自分考えるんだと、こういうふうに今言っているところでございます。
  19. 辻泰弘

    辻泰弘君 大臣から心強いお言葉を聞いたように思いますが、もう一つ谷垣大臣、お伺いしたいんですけれども、林次官発言で、首相発言は重く受け止めるが、特殊法人などのトップの任免については二〇〇二年十二月の閣議決定あるので、その双方を勘案していくことだと、このようにおっしゃっているようなんですね。  しかし、二〇〇四年の三月の総理の御発言とこの二〇〇二年の十二月のあれというのは、時期的に言っても当然総理の方に重みがあると思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  20. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今厚生労働大臣がおっしゃいましたように、従来、私の役所事務次官が占めてきたポストというのは確かにございますが、それを既得権益のように考えるということは、これは間違っていると思います。  今、私の役所にすぐそういうところがあるわけじゃありませんが、やっぱり適材適所という、これはもう広く人材を、やはりどういう人を充てるかと、広く考えなきゃいかぬと思います。
  21. 辻泰弘

    辻泰弘君 三月の八日、本委員会における、失礼しました、決算委員会でございました。決算委員会における総理の御発言は、事務次官が自動的に自分役所特殊法人に行ったり独立行政法人天下りしていくのはもう許される時代じゃない、できるだけこういうものをただしていかなきゃならぬと、次からはもうそういうことはしないということをはっきり言明しておりますと、そういった視点を大事にして、断固として進めていきたいと、こういうような発言になっているわけです。  ですから、その精神を後退することなくしていただきたいと思いますが、官房長官、いかがでしょう。
  22. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今までいわゆる天下りがどういうふうに行われてきたのかということをよく見れば極めてはっきりしているということはございます。  例えば、ある役所の所管の、あれは公団においては昭和二十六年から歴代厚生事務次官が、厚生省だな、厚生事務次官がずっと占めていると、これも十代ぐらいにわたって占めていると、こういうふうなことがあるわけですね。それが果たして適材適所であったのかどうかということは、吟味されていたのかどうかということ、そういうことも含めて我々としては検討していかなければいけない。今後は、そういう意味において、総理が言われるように、このポストは必ず厚生事務次官が行くんだとか、ほかの事務次官が行くんだとかいうようなことにはならないと、こういうことを総理が言われたわけでございます。
  23. 辻泰弘

    辻泰弘君 総理のその決意を後退させるなく進めていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。  さて、次のテーマに移らせていただきます。  靖国神社参拝についてでございます。過般、大阪地裁での判決が二月二十七日にございました。それについて政府見解を問うておきたいわけでございます。  それで、その以前に、政府が今まで見解を出されておりますけれども、その、現在有効である、このことについての見解を御披露ください。
  24. 村上康聡

    政府参考人村上康聡君) お答えいたします。  政府といたしましては、内閣総理大臣その他の国務大臣靖国神社参拝公私の区別に関する政府統一見解といたしまして、昭和五十三年十月十七日の参議院内閣委員会におきまして、神社、仏閣等への参拝は、宗教心の表れとして、すぐれて私的な性格を有するものであり、特に、政府の行事として参拝を実施することが決定されるとか、玉ぐし料等の経費を公費で支出するなどの事情がない限り、それは私人立場での行動と見るべきものと考えること。公用車の利用につきまして、閣僚の場合、警備上の都合、緊急時の連絡の必要等から、私人としての行動の際にも必要に応じて公用車を使用しており、公用車を利用したからといって、私人立場を離れたものとは言えないこと。肩書記帳につきましては、記帳に当たり、その地位を示す肩書を付すことも、その地位にある個人を表す場合に慣例としてしばしば用いられており、肩書を付したからといって、私人立場を離れたものと考えることはできないこと。さらに、気持ちを同じくする閣僚が同行したからといって、私人立場が損なわれるものではないとの考えを示したところでありまして、この考えは現在も変わっておりません。
  25. 辻泰弘

    辻泰弘君 二月二十七日、大阪地裁がそれにかかわる判決をしておりますけれども、その内容を教えてください。
  26. 村上康聡

    政府参考人村上康聡君) 御指摘判決は、平成十三年八月十三日に小泉純一郎氏が行われました靖国神社参拝につきまして、原告らが本件参拝によって精神的損害を受けたとして、国に対して国家賠償法に基づき、また、小泉氏と靖国神社に対し、民法の不法行為に基づいてそれぞれ損害賠償請求し、さらに国、内閣総理大臣等に対して参拝違憲確認参拝の差止めなどを求めたという民事訴訟行政訴訟について、いずれも原告からの請求を棄却ないし却下したという判決でございます。  このうち、民事訴訟損害賠償請求に関する判断の中で、本件参拝につきまして、国は、総理私人立場で行ったものである、小泉氏は内閣総理大臣職務として本件参拝をしたものではないなどと訴訟の中で主張していたにもかかわらず、その主張を認めずに、本件参拝小泉氏が内閣総理大臣資格で行ったものと認めるのが相当であり、国家賠償法一条一項の「職務を行うについて、」に該当し、憲法二十条三項の国の機関たる内閣総理大臣が行ったものと言える旨判示しております。
  27. 辻泰弘

    辻泰弘君 その本件参拝内閣総理大臣資格で行われたか否かというところで、具体的な例示として、こういうことがあった、こういうことがあったと言っているわけですが、そのことについてお示しください。
  28. 村上康聡

    政府参考人村上康聡君) 判決は、国家賠償法一条一項の「職務を行うについて、」に関しまして、本件参拝の態様は、公用車を用い、秘書官を同行させて靖国神社に向かい、参集所内閣総理大臣小泉純一郎記帳し、献花の名札に献花内閣総理大臣小泉純一郎と記載させていたなど、内閣総理大臣としての参拝と推認し得る要素を多分に含んでいること、靖国神社参拝自民党総裁選挙の公約として位置付け、平成十三年五月の衆議院予算委員会内閣総理大臣として参拝するつもりだと発言し、参拝直前内閣官房長官首相談話を読み上げさせたことなどに照らせば、小泉氏は本件参拝前においては内閣総理大臣として参拝することを明確に示していたと言えること、本件参拝後、小泉氏は、本件参拝公私の問題について質問されても、私的参拝であることを明確に示したことがなかったことなどの事実関係を総合して、これを外形的、客観的に見れば、本件参拝小泉氏が内閣総理大臣資格で行ったものと認めるのが相当であり、本件参拝は「職務を行うについて、」に該当する。そして、内閣総理大臣としての資格で行ったものと認められるのであるから、国の機関たる内閣総理大臣が行ったものと言えると判示しております。
  29. 辻泰弘

    辻泰弘君 官房長官にお伺いしたいんですけれども、私は、総理大臣たるお立場の方は、当然その政治状況なり世界の状況などを判断して対応されることが本来だと思いますけれども、しかし、突き詰めていったところ、私人としての、個人としての権利は当然あり得るというふうに、突き詰めて考えればあり得るかもしれません。そのことが、見解として唯一支えられてきたことが、あくまでも私人としての立場参拝したことであったと。こういうことで、それなりにぎりぎりのところで守られてきたといいますか、理解が及んでいたというのが私の正直なところでございます。総理自身はおっしゃいませんけれども、官房長官がずっとフォローしておられたわけです。しかし、私も本会議で聞いております。しかし、その論拠は地裁判決で崩れたわけです。  官房長官自身も遺憾であるとおっしゃっていますけれども、このことをどういうふうに整合性を取られますか。
  30. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) まず、私が遺憾であるというふうにいつどこで言ったのか、ちょっと教えてください。そのようには言った覚えが実はないんであります。  まず、この判決は国の勝訴であるということ、これは明確でございますね。そして、内容的なことでいろいろございます。先ほど村上参事官の方からも答弁ございましたけれども、公用車で行ったとか、また警護を付けていた、秘書官がいたといったようなことがこれは公人としての疑念があると、こういうふうな指摘があったようでございますけれども、このことは総理大臣立場ということからして、公用車で行っちゃいかぬとか秘書官連れていってはいけないというのは、これはちょっと無理な話ではなかろうかというように思います。  しかし、参拝そのものは私的な立場で、個人真情として、真情の発露として行われたものであると、こういうふうに私は理解いたしておりますし、またそのように総理のお考えもしばしばお聞きしているところでございますので、今回の判決はそういう意味において勝訴になったことについては正しかったと。ただ、一部そういうふうな疑念を持たれたということについては非常に残念であるというふうに思っております。  今後も、他の裁判所で審理があるようでございますので、引き続き、それぞれの訴訟の中で国の主張が認められるように適切に対応してまいりたい、そのように思っているところでございます。
  31. 辻泰弘

    辻泰弘君 まず、私自身が、朝日新聞、読売新聞、手元にございますけれども、その中では、私的な参拝という主張が認められなかったことは遺憾だとおっしゃっているというふうに出ていますけれども、これは間違いですか。
  32. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ちょっと、何ておっしゃった。
  33. 辻泰弘

    辻泰弘君 これが読売新聞です。これが読売ですね。(資料提示)
  34. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ああ、そう。これね。  ですから、これは私的な参拝であるという主張が認められなかったことは遺憾である、それはそのとおりです。先ほどのはちょっとあの、遺憾というのはほかの意味であったという意味で、先ほどの、ちょっと取り消しておいてください。  遺憾であるというのは、こういうような私的な参拝という主張がこの判決の案文で見ると疑念があるというようなことで記述されておりましたので、そのことに対して遺憾であるというふうに申し上げた。
  35. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、この判決自体が遺憾であるということは間違いないということですか。
  36. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) いや、判決の中で、何というんですか、法的なことを私よく知りませんけれども、付言された文の中でそういうような判断が示されたという、そういう、懸念が示されたということについて遺憾であるというふうに思ったわけであります。
  37. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、本会議長官は、「私人としての立場参拝されたものと理解しております。」と明言されているわけです。今回の判決を受けて、長官私人としての立場で行ったという主張が認められなかったのは遺憾だとおっしゃっているわけですね。だから、それは根底が覆っていることになりませんか。
  38. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) その時点で──これ、いつのあれですか。
  39. 辻泰弘

    辻泰弘君 翌日ですから、二月の二十八日です。
  40. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) あの判決内容を恐らくそのときにおいてはよく見ていなかったと思うんですけれども、そういうような付言がなされたということについて遺憾であると、こういうふうに申し上げたわけです。
  41. 辻泰弘

    辻泰弘君 そしたら、よく見たらどうなんですか。
  42. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) よく見たら……。  これは先ほど村上参事官の方から答弁したとおり、私どもとしては、この付言については、例えば車の問題とか、それから秘書官の問題とか、そういうことについては、これでもって公人としての参拝と言うわけにはいかないというように考えております。
  43. 辻泰弘

    辻泰弘君 ということは、この判決内容見解が違うということですね。
  44. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) その部分について言えばそういうふうに考えて結構でございます。
  45. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一度明確にお答えください。総理のこれまでの靖国参拝は性格がどういうものなのか、公人として、私人としてどうなのかということを明確にお答えください。
  46. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは、先ほど申しましたように、総理参拝は、個人真情として参拝をしたいという、そういうことでございまして、その形式について問われても困るところがあるということでありまして、これは、あくまでも内容的には個人の宗教的な真情と、こういうふうに考えてよいと思います。
  47. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、政教分離を定めた憲法二十条三項の国及びその機関の活動に当たると指摘して、違憲の疑いを推認させるような内容になっているわけでございまして、この点は、私は今の長官の御答弁では、率直に言って筋の通った形になっていないと思っています。やはり総理たる公人の行動でございますから、そのことについて今までの御見解と違った形での判決が出たという事態を踏まえて、もう一度しっかりとした、これまでの方針を踏まえた見解を示していただきたいと、このように思います。  今後、見解を出されることはありませんか。
  48. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 裁判自身は勝訴であります。ただ、付言としてそういうような外形上の指摘があったということでありまして、そういうことで、そのことはちょっと誤解もあるんではなかろうかというように思いますので、そのことについて私は、そういう判断は遺憾に思うと、こういうふうなことであります。  そしてまた、これは政府といたしまして、昭和五十三年十月十七日、参議院内閣委員会において示した靖国神社参拝する際の公私の区別に関する政府統一見解、これを見直す考えは今ありません。小泉総理参拝については他の裁判所でも審理されているため、引き続き、それぞれの訴訟の中で国の主張が認められるよう適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  49. 辻泰弘

    辻泰弘君 かつて、中曽根さんのときは政府見解を新たにされて、やはり私はそういう意味では誠意のある対応だったと思うんですが、今回のこういう判決を受けて、やはり私は、政府として見解をもし変えられるなら変えられる、そういったことで、判決が出ているわけですから、そういう意味においてはやはり筋の通った誠意ある形で私は示していかれるべきだと思いますので、そのことは申し上げておきたいと思います。  それでは、この問題だけ時間を取るわけにもいきませんので、次の問題に行かしていただきます。  鳥インフルエンザの問題でございます。  もう既に同僚議員が多く質問しておりますので、ポイントだけお聞きしたいと思うんですけれども、まず現状と取組方針について、農水大臣厚生労働大臣、お願いいたします。
  50. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 鳥インフルエンザにつきましては、防疫マニュアルに則しまして防疫措置を迅速かつ的確に実施すると、こういうことでありまして、京都府での発生に際しまして、発生農場からの通報が行われず、また大量死亡後も生きた鳥の出荷をしたと、出荷先で感染が確認をされたと、こういう問題であるわけであります。  こうしたことから、家畜伝染病予防法に基づきまして、養鶏農家に対しましては週一回死亡羽数等の状況の報告を求めておることであります。通報体制の確立に今努めております。  それから、防疫マニュアルにつきましては、これまで三例の経験を踏まえまして、専門家の意見を聞いた上でその見直しを進めてまいりまして、十日付けで一部改定を行ったところであります。  その主な改正内容は、移動制限区域内の範囲につきましては半径十キロメートルを原則として、従来は三十キロでありましたけれども、半径十キロメートルを原則とし、状況に応じて五キロから三十キロとすることにしたわけであります。  移動制限の期間につきましても、防疫措置終了後二十一日以上と、こういうことにいたしました。従来は二十八日以上と、こういうことであります。  また、鶏卵の保管、加熱処理等のための移動は移動制限の対象外とすると、こういうことにいたしました。さらに、発酵等によりまして十分加熱がなされた鶏ふんについては、移動制限の対象外とすることにいたしたわけでありまして、また移動制限命令に協力した養鶏業者に対する助成措置の制度化、また通報義務違反に関するペナルティーの強化と、このことにつきまして家畜伝染病予防法の改正案を今国会に提出すべく、今検討を進めているところであります。
  51. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 厚生労働省といたしましては、生活衛生関係営業者に対します支援のほかに、各省庁ともよく連携を取っておりまして、正確な情報提供を行いたいというふうに思っております。  大事なことは二つございまして、私の方の一つは人への感染を防止をするということが一つ、それからもう一つは食品の安全確保と、この二つでございまして、人への感染防止のためには、鳥の処分に従事する人、この人に対しましてインフルエンザワクチンの接種でありますとか、このインフルエンザは人間の方にはやっておるインフルエンザのワクチンでございます。感染防御及び健康監視を徹底的に行うということの指示。それから、高病原性鳥インフルエンザにかかった疑いのある人を診察をするような医療機関がありましたときには、これは直ちに報告を求めまして、それに対して対応するようにということの徹底、これをやっております。  それからもう一つ、食品に対しましては、これは農林水産省と連携を密にいたしまして、いわゆる食鳥処理場、食べる鳥、食鳥処理場におきまして都道府県が行います検査の際に、異状のない養鶏場から出ました鶏である旨の確認を行うこと。それからまた、食鳥検査におきまして、鳥インフルエンザに感染している疑いがある鳥に対しまして簡易検査キットを用いたスクリーニング検査を実施をするということを開始をいたしました。例えば、持ち込まれた中で多数死亡しているといったようなケースがもしもありましたときには検査を行うといったようなことにいたしております。
  52. 辻泰弘

    辻泰弘君 農水大臣、法改正にも言及されましたけれども、補償とか罰則強化などが伝えられておりますけれども、法改正、どういう方針で取り組まれるのか、その点について教えてください。
  53. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほども申し上げましたが、移動制限命令下に協力された養鶏の業者に対します助成の問題、このことにつきまして、山口県の例もございますのでそれをどう制度化していくか、あるいはまた通報義務違反、こういう面でのペナルティーの問題、このことを中心に制度化と、の法改正と、これを考えてまいりたいと、こう思っております。
  54. 辻泰弘

    辻泰弘君 その法改正は今国会中にということでございますか。
  55. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今国会中に提出できるように、今いろいろ都道府県からのお話等も承らなければならないところでありますけれども、そのように、今国会中にということで考えております。
  56. 辻泰弘

    辻泰弘君 養鶏は今共済制度に入ってないようなんですけれども、そういう考え方というのはあるでしょうか。
  57. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今委員指摘のとおり、家畜の死亡だ、あるいは廃用、疾病及び傷害と、こういう面で牛、豚、馬、これは家畜共済制度に入っておるわけでありますが、鶏の場合は極めて飼養規模が大きい、企業的経営が主流となっておりましてやはり通常の経営内でリスクの吸収が可能であると、あるいは主要な疾病につきまして予防方法等が確立していると、こういう点で今日まで業界からもその要請もなかったわけでもございます。  しかし、鳥の保険につきましては、これから要望が高まるという場合につきましては、適切な補償額の設定方法や損害評価方法を確立できるかどうか、あるいは保険の仕組みによります事業経営、運営が適切に行えるだけの保険母集団の確保がなされるかどうかと、これは保険技術的に解決すべき問題点が、十分これ踏まえて検討していく必要があると、このように考えております。
  58. 辻泰弘

    辻泰弘君 その点についてもまたこれから御検討いただきたいと思いますが、鳥インフルエンザに関しましては関係省庁対策会議が設置されていると聞いております。各役所が集まっていらっしゃるようですが、それぞれの取組、今後の方針についてお示しください。
  59. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 大変、各大臣、多岐にわたりますので簡潔に答えてください。
  60. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 文部科学省といたしましては、各学校において鳥を飼育いたしております。あるいは学校給食にも関係いたします。無用の混乱が生じることのないように、厚生労働省、農林水産省とも連携を取りながら、学校現場に適切、的確な情報を提供する、そして指導に努めております。  特に、保健所や家畜保健所と十分連携をして、鳥インフルエンザに関する正確な情報収集に努めること、あるいはこれまでの知見によれば、学校で飼育している動物が直ちに危険になることはないが、手洗いやうがいの励行、清潔な状態での飼育、動物の健康状態の把握に努めよ、そういうことを都道府県にも通達をし、周知徹底を図っています。  また、鶏卵、卵、鶏肉であります。これまで食物を介して人に感染したことがない、七十度以上に加熱すれば安全である、こういう情報も達しておりまして、それぞれの委員会でその取扱いについて十分対処するようにと。さらに、科学技術振興調整費を緊急支出いたしまして、農水省、厚生労働省、環境省と連携の下に、インフルエンザの感染経路の解明、あるいは鳥の、他の鳥、伝播の可能性や病原性の解明問題、あるいは人用のワクチンの候補となるウイルス株の作製等の研究を行っているということでございまして、さらにこの問題について適切に対応してまいりたいと思っております。
  61. 片山虎之助

  62. 辻泰弘

    辻泰弘君 いや、各省。
  63. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 小野国家公安委員長、簡潔に。
  64. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 鳥インフルエンザに関しまして、警察庁の……
  65. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 今日は金曜日ですからね。何時になるか分からない。
  66. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 警察の取組について申し上げます。  京都府警察におきましては、二月二十七日に事案を認知以降、警察本部の中に対策室を設けまして、府関係部局等と連絡を取りながら三点について行動を起こしております。  事実関係の調査と確認でございます。二番目が、府が設置いたしました消毒ポイントでの交通整理、三点目が現場周辺での警戒活動、これらは現在も継続をいたしております。  また、三月三日から延べ五日間、浅田農産船井農場における機動隊を派遣をいたしまして、府が行います鳥の袋詰め作業等の支援を行い、この活動は既に終了いたしております。  それから、食品安全委員会におきましては、鳥インフルエンザの発生に際しまして、委員会会合において関係機関や専門家の出席を求め、意見交換を行っているところでございます。特に、鶏肉、鶏卵を食べて人に感染することは考えられないという科学的知見を国民に正確に伝えていくために、一、ホームページへの分かりやすいQアンドA、これを掲載さしていただきました。二点目、委員によりますテレビ番組等での解説を積極的にいたしております。三点目は、専門家によります講演会や意見交換の開催などを行っているところでございます。
  67. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 国土交通省では、トラック事業者に対しまして、移動制限区域内三十キロでございますが、範囲、制限の内容等々を周知徹底し、関係車両の消毒、清掃を行うよう指導を行ったところでございます。これからも適切に対処してまいりたいと存じます。
  68. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 法定の伝染病ということもこれあり、国の対策は今はでき上がりつつあるところですけれども、既に地方団体いろいろ既に支出をしておられますので、当面の間、暫定処置を講じたいと思っております。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財務省に関しては、一つ政府系金融機関の対応ですけれども、これは特別相談窓口を通じてセーフティーネット貸付けを活用するなどの対応を取っております。それから、もう一つは今農水大臣の方で移動制限区域内の農家の助成とか、あるいは大分、京都府の事例への対応策を検討していただいておりますが、蔓延防止を徹底するという観点から、どういう予算面の措置をすればいいか、今御相談をしているところであります。
  70. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) 環境省といたしましては、鳥インフルエンザの発生に渡り鳥等の関与の可能性が指摘されておりますので、感染経路の解明の分野で取り組んでいるところでございます。  このため、山口、大分、京都の発生地に職員を派遣し、野鳥の専門家等とともに渡り鳥等の生息状況の概要把握を実施しているわけでございます。  また、先ほども出てまいりましたけれども、科学技術振興関係調査費によりまして、いわゆる関係府省が連携して実施しております緊急調査研究、これにおきまして渡り鳥の渡来ルートにかかわる解析、さらに渡り鳥等のウイルス保有調査を進めているところでございます。  またさらに、先般、カラスの感染の事例がございました。そういった発生等も踏まえまして、四府省通知で各都道府県に対しまして死亡した鳥のサンプル検査等の実施を要請しているわけでございますし、さらに、昨日は、大阪府、茨木市等に職員を派遣いたしまして、大阪府の調査への協力に当たらせているところでございます。  また、今後とも、この野生鳥類等にかかわる感染経路の解明を中心といたしまして、この問題の早期解決に向けて役割を強く果たしてまいりたいと、このように考えております。
  71. 浜田靖一

    ○副長官(浜田靖一君) 防衛庁といたしましては、今回の京都の、府のケースのように、被害が大規模であるなど緊急に対応する必要があり、地方自治体による対応が困難であると、やむを得ないと認められる場合には、地方自治体からの求めに応じまして自衛隊部隊等による支援を行う。そしてまた、地方自治体及び他の機関と連携して自衛隊の保有する装備、能力、範囲内で適切に対処してまいりたいと思っておりますが、今回の場合におきましては、四日間から、四日から十一日まで、延べ人員にいたしまして約二千百九十名、車両五百五十両を出しまして対応させていただいたところであります。  以上であります。
  72. 坂本剛二

    ○副大臣(坂本剛二君) 簡単に申し上げます。  農水省の方から、全国の鳥肉・鶏卵業者に影響が出ているようだからその対策を講じられたいという要請がありまして、三月四日から、政府系三金融機関、それから各県の保証協会、商工会議所、商工会連合会等々で相談窓口を設けております。  それから、政府系三金融機関でセーフティーネット融資としまして、一般の運転資金とは特別枠で、円滑化運転資金のための一億五千万を中小企業金融公庫で、それから国民金融公庫では四千万の貸出しを行っております。  今後とも、農水省と連携を密にしながら対策を講じていきたいと思っております。
  73. 辻泰弘

    辻泰弘君 一つ財務大臣にお伺いしておきたいと思うんですけれども、農水省がその損失補償しようというお考えを出していらっしゃるのに対して、財務次官が慎重だというふうな、そんなような報道がありますけれども、その点についてどうですか。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いや、これは法も随分古い、古いといいますか、こういうようなことを予想していないことがありまして、どういうことを考えたらいいのか、今慎重に詰めております。
  75. 辻泰弘

    辻泰弘君 各省のお取組を多といたしますけれども、財政的な裏付けもしっかりとやっていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。  さて、二月の半ばに予算委員会の視察が大阪、兵庫に行われまして、尾辻先生を団長として行ってまいったわけでございまして、そのことも関連してお伺いしたいと思うわけでございます。  大阪では医薬基盤研究所にお伺いしましたが、そのことは独立行政法人の法案がございますので、厚生労働委員会でまた質疑議論をさせていただきたいと思っております。  それで、三位一体についてのやはり意見が多かったわけですが、そのことについては既にいろいろと議論をなされております。ですから、私は、ここで一つ、一点お聞きしておきたいんです。  憲法においては、当然ですけれども、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、それからまた「ひとしく教育を受ける権利を有する。」と、こういうことになっているわけでございます。すなわち、生活保護、また教育というものについては国がやはりしっかりと責任を持ってと、こういう精神だと思うわけでございます。そういう意味でいろいろと、地方分権という形もあるわけですが、いずれにいたしましても、国がしっかりとその生活保護ないしは教育というものについて責任を持って財政的な基盤もしっかりと対処していくということがあるべき姿だと思うんですが、それぞれの御所管の大臣の御所見をお伺いいたします。
  76. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 今先生指摘されましたように、生活保護というのは、やはり最低の生活を保障していくという憲法第二十五条の理念に基づくものでありまして、その趣旨につきましては、国の責任というのは当然そういう枠組みの中でやっていくものだと、このように思っております。  しかし、生活保護の実際の実施におきましては、認定だとかあるいは支給だとか、これは地方自治団体が行っておりますので、今後とも三位一体の改革の議論の中で、とりわけ総務省、そして地方自治団体ともしっかりとよく協議をしながら検討をしてまいりたいと、このように思っております。
  77. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 辻委員指摘のとおり、義務教育費国庫負担制度は、国がその責任を制度的に担保して保障する制度でありまして、これによって、地方公共団体の財政力の差があるにかかわらず、格差があったとしても、全国のすべての地域において優秀な教職員を必要数確保する、そして、教育の機会均等あるいは教育水準の維持向上を図ってきたと、こういう制度でございます。  義務教育費国庫負担制度の在り方につきましては、昨年六月のいわゆる骨太の方針二〇〇三等を踏まえて、財源論だけでなくて教育論としてしっかりと議論をするために、現在、中央教育審議会においても義務教育制度の在り方の一環として検討をしてもらっているところでございまして、文部科学省といたしましても、義務教育費国庫負担制度について必要な見直しは行いつつも、国の責任において教育の機会均等とその水準を確保するという、この制度の根幹を引き続き堅持するという観点に立って適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
  78. 辻泰弘

    辻泰弘君 生活保護については、また厚生労働委員会での審議もありますし、また議論したいと思いますし、今の教育の問題は、財政の論理、また地方分権の論理で終始しているところがあるわけですが、やはり根本に教育の論理がなければならないと。このことについて、是非その立場から追求していただくようにお願いしておきたいと思います。  もう一つ、視察の中で出た意見がございました。それは、いわゆる特定疾患、難病の対策のことでございます。それは、公費負担が、国の本来出してくれるだろうとみなしていた分が国が出さない、こういうことなんでございます。この状況について厚生労働省、どのように把握しておられるか、お願いします。
  79. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 特定疾患治療研究費補助金は、事業の実施主体であります都道府県に対して、毎年度の予算の範囲内で事業費の二分の一を補助することとしています予算補助事業でございます。厳しい財政事情を反映しまして、平成十三年、十四年度におきまして予算額が一割ずつ減額されたために、都道府県におきます財政負担が増大し、事業の安定的実施を妨げかねない状況にあったところでございます。  こうした状況を踏まえまして、平成十五年度予算におきましては対前年度比三十億円増の予算を確保するとともに、事業評価の導入、それから難病患者認定適正化事業の推進など、制度の適正化に向けた見直しを行ったところでございます。さらに、十六年度予算案におきましても、厳しい財政事情の下、前年度比三%増の総額二百十九億円の予算を確保したところでございます。  今後とも、難病のこの制度の適正化、安定した運営に向けて施策を実施するように努めてまいりたいと思っております。
  80. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、例えば兵庫県だと平成十三年度四億、十四年度六億の超過負担が発生したというんですが、全国で百億以上出ていると思うんですが、その状況はどうですか。
  81. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 平成十四年度のデータしか手元には持っておりませんけれども、交付率が六一%ということになっております。
  82. 辻泰弘

    辻泰弘君 厚生労働大臣にお伺いしたいんですけれども、やはりこれは昭和四十年代後半以降、国と地方で難病は支えるんだという基本的な考えできて、予算補助ですから、結局財政措置的にはそうならざるを得ないところがあるわけですが、しかし、根本の精神はやはり半分国で支えるということだったと思うんです。そういう意味から、しっかりとその分は見ていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。
  83. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは法制化すべきかどうかでいろいろ意見の実は分かれるところでございまして、審議会においてもいろいろ議論をしてもらっているんですが、この特定疾患対策の根拠が明確化するという長所がある反面、法制化によって対象疾患でありますとか施策の固定化が生じて柔軟な運営ができないというようなマイナス面もあるというようなことで、賛否両論ございます。  できる限りこれは対応していきたいというふうに思っておりますが、しかし、症例数が少ない、原因不明、それから効果的な治療方法がない、生活への長期的な支援と、この四つがあるということが前提になっておりますので、それに合わせて考えていきたいと思っております。
  84. 辻泰弘

    辻泰弘君 どうもこの難病というのは、大人の難病、子供の難病も担当局が違ったりするようなことでございまして、これを追っ掛けていますと、率直に言って、役所のその課に人間とか病気が合わせないかぬのじゃないかと、こんなふうに思ったりするようなこともあるわけでございます。  この問題も、今後、知事会もそういう要望を出しているようでございますけれども、これはただ単に兵庫県のみならずでございますから、こういったことについてやはり国としての責務というものはしっかりと果たしていくんだと、こういう姿勢でもって、今後財政的なことも、また法整備ということについても、今度は小児慢性の方は法制化になるようですけれども、特定疾患の方もしっかりと対応していただくように御要請申し上げておきたいと思います。  それで、その特定疾患にかかわる、特定疾患でないという言い方もあるようですけれども、一つ例示として、かねて坂口大臣が新しい道を見いだしていきたいとおっしゃっているいわゆるスティーブンス・ジョンソン症候群、これについての現状の対応、方針をお示しいただきたいと思います。
  85. 坂口力

    国務大臣坂口力君) このスティーブンス・ジョンソン症候群といいますのは、これは薬によりますアレルギー反応で起こるものでございますので、いわゆる今まで言ってまいりましたところの特定疾患治療研究、このいわゆる難病の中には本当は入らないわけでございますが、広い意味でこうしたものもとらえまして、そしていろいろの研究を行いたいというので研究対象の一つにしているところでございます。  とりわけ、この涙腺がやられるものですから、涙腺のこの再生と申しますか、そうした研究を今していただいているところでございます。
  86. 辻泰弘

    辻泰弘君 前も大臣おっしゃっていましたが、点眼薬の保険適用とかそういうことについても、それから、あるいは医薬品副作用被害救済機構、今度変わりますけれども、その認定基準ですね、〇・〇八という、そういうものについてもしっかりと、もっともっと血の通ったものにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  87. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 点眼薬につきましてはかなりもう研究が進んでおりまして、実用化を目指して一日も早くしたいというふうに思っているところでございまして、その他の面につきましても鋭意検討しているところでございます。
  88. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一点、今度は医療保険制度全般についてお伺いしておきたいと思いますが、昨年閣議決定された方針があるわけですけれども、それは結論的に言うと、平成二十年度に向けて実現を目指すと、大分先のことがおしりになっているわけですけれども、年金のことで今議論になっているわけですが、当然、医療保険制度も大きな課題なわけでございます。  それで、これから、今年金の議論ばっかりになっておりますけれども、医療保険制度をどういった形で取り組んでいかれるのか、そのことについて御方針をお示しください。
  89. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 医療保険の改革につきましては、現在進めている最中でございますが、一つは高齢者の医療制度の創設でございますし、それから、今までたくさん分離されております、国民年金、国民年金じゃありません、国保、それから政管健保、あるいは組合健保といったものにつきましての統合一元化を目指しての話を進めているところでございます。  それからもう一つは、診療報酬のこのもう一度根本的な改革について取り組んでいるところでございまして、早ければ、できれば平成十八年度の国会にその改正案を出させていただくということで鋭意努力をしているところでございます。
  90. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一点、今度は住宅再建支援の問題でございます。これも一つ議論でございました。地域的のみならず全国に係ることでございます。  それで、今度の居住安定支援ということで予算も付いているわけでございますけれども、ここでいつも議論となるのは、建築費本体が支援対象とされていないと、その部分がいつも言われるわけでございます。これについて、井上大臣、御所見をお伺いいたします。
  91. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 個人資産中の個人資産といいますか、これは住宅なんですね。住宅につきましては、これまで公的資金でもって支援をしてきたことはないわけであります。  しかし、神戸のあの大震災で、何とかその住宅再建の支援ができないものかということでいろいろと我々検討したのでありますけれども、どうもやっぱり住宅本体の建築費に公金を出すということについては問題があるということで、何とか周辺経費に支援をして住宅再建を支援をしていけないものかということで検討いたしまして作り出しましたのがこの制度でございまして、やはり住宅自身はやっぱり本人で、本人のお金で建築をしていくべきものと我々は考えております。
  92. 辻泰弘

    辻泰弘君 これについては、自民党でやっておられた相沢さんが、御自身の経験を踏まえて、現実にあるじゃないか、現に税金は様々な形で個人に投入されている、例えば被災した、被災した農地や農業用施設の復旧施設はとても手厚いと、こういうような指摘もあるわけです。  こういうものとの区別はどうされているんでしょうか。
  93. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これまでも農業政策の中で比較的そういった支援もありましたけれども、もう一つは、やはり広い面積を対象にいたしまして強制をしていく性格があるわけですね。例えば圃場整備の事業なんかは道路を付け区画を造っていくということですから、全体を強制していくそういう事業でありますから助成をしていくということでありまして、例えばこれは区画整理事業なんかも同じような私は性格の事業でありまして、助成をしているわけでございます。
  94. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点については私どもも方針をこれから出していくわけですけれども、この本体の部分、御議論させていただきますけれども、政府の方でもその点についても今後とも検討を続けていただきたいと、そんなようなことを申し上げておきたいと思います。  それから次に、地方分権の絡みで中核市のことをお伺いしておきたいと思います。  今、中核市の要件はどのようになっているか、お示しください。
  95. 大野慎一

    政府参考人(大野慎一君) 中核市の要件でございますが、人口要件と面積要件がございまして、人口につきましては三十万人以上、面積につきましては、人口五十万人未満の場合は百平方キロメーター以上と、このようになっております。
  96. 辻泰弘

    辻泰弘君 視察に行きました尼崎、西宮というところが中核市を目指してやっていらっしゃるんですけれども、しかし、西宮は面積要件で九十九・九六というようなことで、ぎりぎりで入らないということになっているわけなんです。何ゆえ入っていないか、お示しください。
  97. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 西宮の場合は、他の町、他の市との境界線がいまだまだはっきりしていない、国土地理院上。私有地が多いというのが多分その大きかった理由だったと記憶します。
  98. 辻泰弘

    辻泰弘君 中核市の要件が、百平方キロ以上を有することと、そしてその面積は、国土地理院において公表した最近の当該市の面積をいうという非常に硬い表現になっておりまして、それを満たさなかったら絶対駄目というふうになっているわけでございます。  この点については、委員長大臣をなさっているころ、総務委員会でも議論をさせていただきまして、大臣も、当時の大臣も、コンマちょっとぐらいのことでだれも文句は言わないと、こんなような答弁もされているわけでございまして、そのときは片山大臣にも力強いお言葉をいただいておりましたんでございまして、解釈上どこまで行けるか、法制局なんかとも相談して、どうしても駄目なら法律改正を含めて考えるとまでおっしゃっていたわけです。  ですから、こういう能力と意欲がある自治体が地方分権を推進していこうというときに、それを阻むようなそういうことは元々の本義を忘れたことになると思うので、是非その点は改めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  99. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 片山国務大臣、「もし零コンマちょっとぐらいのことで法律に仮に違反しても、だれも文句言う人はいませんよね。ただ、」という、そこからが大事なところです。我々は法律を守らにゃいけません立場だと、こう答えておられるので、誠に明快な答えなんですが、今言われましたように、これは、結構、いつの日かこの質問は来るだろうと思っておりましたので、いろいろ既に詰めさせていただいておりますが、果たしてこの中核都市制度を当時作ったときにこの面積要件というものが必要なのかどうかという疑問もあるところでありますので、この三月に発足いたしました第二十八次地方制度調査会で、合併特例法の期限後の大都市の在り方ということについてこれを議論をするように言っておりますので、この問題を含め検討させていただきます。
  100. 辻泰弘

    辻泰弘君 当時の片山大臣も、面積要件が本当に要るかどうかということもあるというふうにおっしゃって、今、大臣と同じ御趣旨なんですけれども、やはりそもそも面積要件というのはどういう意味があるかといいますか、そういう地方分権を進めるときにやはり基本的には人口ということにならざるを得ないと思うんですが、そういう意味でこの中核市の要件というもの、全国的なことでございますけれども、やはり地方分権を進めるということで作ってこられたわけですから、是非そのお立場からその点についてもう早急に取り組んでいただきたいと思いますが、決意をお伺いしたいと思います。
  101. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今答弁申し上げましたように、三月の第二十八次地方制度審議会において既にこの問題を検討するということでスタートをさせていただいておりますんで、御要望の線に、いつまでと言われるとちょっと困りますけれども、基本的にその方向で考えさせていただいております。
  102. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一点、視察のときに触れたことでございます。これは大阪のタクシーの競争の激化という問題でございます。  改正道路運送法が成立して二年たつわけですけれども、大阪は特に全国の中でタクシーの競争といいますか、非常に激しくなっておるということを、客引きみたいなことですね。その状況、タクシー業界の実態どうなっているか、大阪の状況、把握しているところをお示しください。
  103. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) タクシーの大阪の状況でございますが、実際の営業収入という形で見ますと、昨年に比べまして五・一%ほど下がっております。それで三万円ぐらいでございます。それから実車率が四一・四%という形で、これも一・七%ほど下がっておりまして、そういう意味で、事業の状況というものは需要の低迷等の反映も入りまして厳しい状況にございます。
  104. 辻泰弘

    辻泰弘君 私がお聞きしているのは、実車率とか賃金がどうこうということではなくて、本来タクシーが営業している、利用者が使う、そういうときの利用の仕方といいますか、そういう本来目指したことがちゃんとできているかどうか、そのことについてです。
  105. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 改正法の御趣旨と申しますのは、いろんな経済的な規制を緩和して需給調整措置はやめまして、それで意欲のある事業者が入ってこられるようにということでやっております。そういう中で、新規参入という業者の数も増えておりますと。それと同時に、増車が行われている状況でございます。  それから、運賃面でありましたように、遠距離割引を、特に大阪では百十七社が五千円超五割引きというところに行われているということ、あるいは自動認可運賃の下限を下回っておりますけれども、最初に五百円の運賃という、こういうのが大阪でよく見られているということで、運賃面での値下げも行われております。
  106. 辻泰弘

    辻泰弘君 実際、乗車するときタクシーが多いから、それをどこどこまであんた幾らで行ってくれるんだというのを聞いてやるという、そういうのがもう横行しているわけですね。そういう競争の域に達しているわけです。そういうのをどう把握していらっしゃるかということです。
  107. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 認可運賃を下げまして、それで相対で事を決めるというのは、こういうことにつきましては違法行為でございまして、こういうものについて監査の中で厳格に対応していきたいというふうに思っております。
  108. 辻泰弘

    辻泰弘君 労働条件の面でどういうふうな変化があるかというのは把握していらっしゃるでしょうか。
  109. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 労働条件でございますけれども、これは平成十四年度の調査でございますが、労働時間につきましては若干の減少傾向にあります。ただ、ほかの一般の男子労働者に比べますと、依然として一割程度長いといった状況にあるというふうに解釈しております。
  110. 辻泰弘

    辻泰弘君 規制緩和も一つの大きな大事な課題だと思いますが、やはり経済的規制、社会的規制ということがあるわけですが、やはり社会的規制というものもやはりしっかり見ていかなきゃいかぬ。すなわち、労働や安全や衛生、環境といった、そういった社会的規制の部分は、やはり単なる規制緩和で生活が良くなるわけじゃない、人間が幸せになるわけじゃない、そういった側面も見ていかなければならないと私は思うわけでございます。大阪の場合、非常に競争が苛烈になっているということがございまして、ドライバーの労働条件も悪くなっていて、結局安全にかかわってくると、こういうような状況もあるわけでございます。  そういう意味で、しっかりと見詰めていただいて、かつては扇大臣のころに、時間を掛けて、もう少し時間を見て動向を見ながら、新たに考えなければならないことがあれば検討していきたいと、こういうような御答弁があるわけですが、このことについてしっかりと見詰めていただいて、しかるべく対処していただきたい。ある意味では規制を掛けるということも必要かと思うんですけれども、その点について国土交通省の御見解をお示しください。
  111. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 改正二年という形で、いろんな状況につきましてはなお判断、結果についての判断はまだ早いかと思いますけれども、よく状況を見ながら適切に対処したいと思います。
  112. 辻泰弘

    辻泰弘君 労働条件の関連で一つ、労災のことをお聞きしておきたいと思います。  規制改革会議で労災の民営化という議論があるようですけれども、私はこれ、根本的におかしな議論だと思っていますけれども、厚生労働省としてはこの労災の民営化についてどのようにお考えでしょうか。
  113. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一つ、先ほど、訂正しておきますが、国保の問題で、早くとも十八年と言いましたけれども、遅くとも十八年の間違いでございましたので、申し訳ありません。  それから労災保険の問題でございますが、これはなかなか難しい問題ございまして、事業場への立入り権限の問題でございますとか、あるいは実態を踏まえた労災認定というのは、なかなかこれは難しい話でございまして、民間にゆだねて、そこはなかなか私どももここは難しいんではないかというふうに思っておりまして、ここはひとつ今の制度のままで進ませていただきたいというふうに思っているところでございます。
  114. 辻泰弘

    辻泰弘君 言うまでもありませんけれども、民営化すれば未納、未加入も増えるだろうと。また、制度の信頼も確保できないわけでございますから、人間が働く根本の部分を支えるセーフティーネットといいますか、その部分でございますので、これは民営化ということとは違うと、なじまないものだと思いますので、その辺はしっかりとお取り組みをお願いしておきたいと思います。  それから、労災の関連で、私かねがねこの本委員会でも質問したと思いますが、労災勘定の中で未払賃金の立替払がされていると。本来、倒産のリスクと労働災害のリスクは違うわけですけれども、同じ勘定でなされていると。やはり区分経理すべきだということだったんですけれども、その点について今年の予算で変わったように聞いておりますけれども、そのことを御説明ください。
  115. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 御指摘のように、予算書上でございますけれども、これは平成十五年度末におきましては、目の労働福祉事業団交付金の内数としてただいまの未払賃金の立替払事業の予算計上がなされておりました。これは、十六年度におきましては、これは労働福祉事業団の独法化に伴いまして今度新しく目を起こしまして、目、未払賃金の立替払事業補助金ということで予算書上も明示したところでございます。
  116. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点は一歩前進と思いますけれども、やはりそもそも別勘定といいますか、別の経理でリスクが違うことをやっているわけですから、その点については一歩前進と申し上げますけれども、今後ともその点についてしっかりと、本来違う勘定なり経理でやるべきだと、このことを改めて申し上げておきたいと思います。  それで、一応これで視察の関連のことで終わりまして、次、財政と税制のことでお伺いしたいと思います。  お手元にお配りさせていただいたのは私が作った資料でも何でもなくって、財務省と内閣府が出された資料でございまして、改めて出していただいたわけでございます。先般、大塚議員が御質問されたわけですけれども、その志を継いでやっていきたいと、このように思っているわけでございます。  それで、そもそも最近の税、税収がどのようになってきているかということなんですけれども、最近の税収、税の自然増収、税収の伸び率、こういったものについてお示しいただきたいと思います。
  117. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 自然増収でございますけれども、税制改正の影響を除外した場合の年度間の増収ということで位置付けさせていただきますと、バブル期前、昭和五十一年度から六十年度につきましては平均一・九兆円の程度の増収、バブル期、昭和六十一年度から平成二年度につきましては平均五・二兆円程度の増収、バブル期後につきましては、増収となっている年度を平均いたしますと〇・八兆円の増収となっております。  税収の伸び率につきましては、これは税収決算額の伸び率でございますけれども、先ほども申し上げましたバブル期前については平均の伸び率がプラス九・六%、バブル期ではプラス九・五%、バブル期後ではマイナス九%からプラス七・四%まで大きな変動を示しているところでございます。
  118. 辻泰弘

    辻泰弘君 この財務省の歳出歳入への影響試算、お手元にも配っておりますけれども、これの税収の試算の見積りの方法をお示しください。
  119. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) まず、この影響試算でございますが、前提といたしまして、特定の政策判断を加えることなく十六年度予算の制度、政策を継続した場合の後年度の歳出歳入の影響を積み上げて計算をしております。  ここでは、具体的に申し上げますと、平成十七年度から十八、十九年度にかけまして、一定の経済成長率等の経済指標を仮置きいたしました上で、一般歳出については経費の積み上げを行っておると。税収につきましては、名目経済成長率と税収弾性値一・一を用いて伸ばした上で十六年度税制改正の影響等を調整して算出をしているところでございます。
  120. 辻泰弘

    辻泰弘君 その税収弾性値一・一というのは最近の傾向として、平均値としてとらえ得るでしょうか。
  121. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 税収弾性値につきましては、これはバブル期前が平均一・〇九でございまして、ここのを使っております。といいますのは、バブル期ではこれは非常に一・七四と、特異値ということでもございますし、またバブル期後もマイナス三・九六から六・二九で大きな変動を示しておりますので、安定した値を得られますバブル期前の十か年度の平均を取った、で一・一を用いているということでございます。
  122. 辻泰弘

    辻泰弘君 結果として一・一を使っていることによって税収見積りが、まあ過大とは言いませんけれども、見込める上で一番上のところに来ているというふうなふうに私は思いますけれども、いかがでしょう。
  123. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) これにつきましてはいろいろの見解がございまして、むしろもっと大きいんではないかという御指摘もございますし、いやこれは高く見積もり過ぎているんではないかと、両方の見方がございます。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  ただ、我が国の税体系は依然として基本的には累進的な税体系でございますので、理論的には税収弾性値は一を超えるものというふうに考えられますし、また、やはり安定したデータの蓄積という意味で、従来どおりの一・一の税収弾性値を用いているところでございます。
  124. 辻泰弘

    辻泰弘君 内閣府の方の試算のこれについて、税収の推計の前提をお示しください。
  125. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 内閣府の参考試算、「改革と展望」の参考試算におきます税の推計でございますけれども、これは基本的には、主要の税目ごとにモデルによりまして試算をいたしまして、それを合計いたしまして税収を試算をしているところでございます。
  126. 辻泰弘

    辻泰弘君 私が聞いておりますところ、税制改革ということでは既存の十六年度改正あるいは十五年度改正の後の平年度化というか、その部分については入り込んであるわけですけれども、それ以外のところは、例のあの基礎年金の国庫負担の二分の一への引上げの部分、この部分については、既存の税制改革を伴わないけれども増収を見込んでいると、このように聞いておるんですけれども、その点御説明ください。
  127. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 今先生からお話がございましたように、基礎年金の国民負担割合を二〇〇九年度までに二分の一にするという前提で、機械的に毎年六千億円程度増収を図るという前提で試算をいたしております。
  128. 辻泰弘

    辻泰弘君 その六千億の税目を一応想定されていると聞いておりますけれども、何によってというふうに、取り組んでいらっしゃるんでしょうか。
  129. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 平成十六年度税制改正におきまして、年金税制の見直しによりまして平年度ベースで千六百億円のまず増収がございます。それから、平成十七年度から二十一年度までの五年間の間、毎年、先ほど申し上げましたとおり六千億円段階的に国庫負担を増額をしていくということになっておりますけれども、二〇〇五年度、二〇〇六年度の全額、二〇〇七年度の半分につきましては所得税で対応すると。二〇〇七年度の残りの半分、それから二〇〇八年度、二〇〇九年度の全額につきましては消費税で手当てをするというように機械的に試算をいたしております。これはあくまでも試算の機械的な前提ということでございまして、政策的な判断で置いているということではございません。
  130. 辻泰弘

    辻泰弘君 すなわち税制改正は伴わないけれども増収を見込んでいると、こういうことになるわけですね。
  131. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 昨年末の政府及び与党におきます税制改正、年金の議論におきまして、先ほど申し上げたようなことで、二〇〇九年度までに基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げるということになっておりますので、それを参考にいたしまして、前提を、先ほど申し上げたように、試算の前提として置かせていただいていると、こういうことでございます。
  132. 辻泰弘

    辻泰弘君 財務省の試算と内閣府の試算で、一般会計について一般歳出とそれから税収の部分でそれにかなり違いがあるわけです。この部分をどのように分析されているでしょうか。これは財務省なのか、内閣府なのか、両方なのか。
  133. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 違いは二つあろうかと思います。一つは、まずやり方、技法が違うということであります。例えば税収についても、先ほど言いましたように、弾性値なのかモデルなのか、その技法が違う。当然これは違った前提でありますから違った数字になります。  もう一つは、政策の前提が違います。財務省の方は今の政策を言わば横置きしてやっていると。内閣府の方は「改革と展望」で示された政策が実現していく、それには一定の機械的前提を置いておりますけれども。その二点において違ってくるということだと思います。
  134. 辻泰弘

    辻泰弘君 財務省としては、税収を、内閣府が見込んでいる税収、これぐらいは確保できると思っていらっしゃいますか。
  135. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) これは、内閣府の方の試算は特定の政策実行による変化を試算をしているということでございますけれども、財務省の方は、先ほど申し上げましたように、一定の名目経済成長率と税収弾性値ということで機械的に試算をしているものでございまして、そういった差異があるということでございます。
  136. 辻泰弘

    辻泰弘君 差異は分かるんですけれども、要は、それぐらい取れることがあるかといいますか、少し、はっきり言って高過ぎるんじゃないかということ、高く、財務省から見たときは高いんじゃないかということなんです。
  137. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 高いか低いかというのはなかなか評価、難しいところでもあると思いますけれども、一つの仮定を置いた試算という、あくまでも試算ということかと存じます。
  138. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは大事なところでございまして、谷垣さんの財政演説の中で、この来年度予算については基礎的財政収支の黒字化に向けて一つの手掛かりとなるものと考えているとおっしゃっているわけで、この基礎的財政収支の黒字化というのが実はここの内閣府の試算からきているわけですから、実はそれは財務省が見込んでいる税収よりもかなり大きい税収によってなされているわけなんですね。だから、そういう意味においては実は非常に大事なところだと、このように言わざるを得ないわけです。  そこで、一般会計におけるプライマリーバランス、この間もちょっと竹中さんとやり取りしましたけれども、この内閣府の試算の中に出ている、四ページですけれども、この中の一般会計のプライマリーバランスは実額として幾らか、この間、引けばいいとおっしゃったですけれども、それをお示しください。
  139. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 細かい数字で恐縮でございますが、申し上げます。  一般会計の基礎的財政収支のお尋ねでございますけれども、二〇〇四年度は十九兆円、これはGDP比三・八%の赤字でございます。以下、二〇〇五年度が十八・八兆円、二〇〇六年度が十六・七兆円、二〇〇七年度が十八・三兆円、二〇〇八年度が十七・六兆円ということになっております。
  140. 辻泰弘

    辻泰弘君 それだと、バランスするまでの数字は実額としてお示ししていただけませんか。
  141. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 二〇一三年度までの数字を申し上げます。  二〇〇九年度が十六・八兆円、二〇一〇年度が十五・一兆円、二〇一一年度が十二・六兆円、二〇一二年度が十二・三兆円、二〇一三年度が十一・八兆円ということでございます。これはあくまでも国の一般会計の基礎的財政収支でございます。
  142. 辻泰弘

    辻泰弘君 二〇〇〇年代、二〇一〇年代初頭の改善といっても、結局、今、実額でいえばそのようなことでございまして、一般会計にとっては十何兆で、まあ若干改善あるかもしれませんけれども、そんな本質的な改善でないようにも思うんですけれども、この数字、財務大臣、どうお考えですか。
  143. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この二つの試算がありますのは、歴史的にいえば、私どもが出しておりますのをいつも予算審議のときお示しをして審議の参考にしていただいたわけですけれども、その後、いろいろな改革論が起きてきますと、そういう改革の努力を入れたものを少しお示ししたらどうだと、こういうことで内閣府の方で試算をされるようになったと。  だから、確かにこれはいろんな前提があるわけでございまして、当然そこに向けた政策の努力がなければなかなかそういうふうにはなっていかない、こういうふうに思います。  そこで、相当、今いろんなところで難しい運営を行ってきておりますので、確かに、じゃ今言ったような数字の目標を完全にできるかと、おまえはどのぐらいの確度を持って請け負えるかと、こういうもしお問い掛けになりますと、これは実はなかなか厳しい数字でありまして、相当眼を高くして頑張らなきゃいかないと、こう思います。
  144. 辻泰弘

    辻泰弘君 来年度予算がそのプライマリーバランスの黒字化に向けて一つの手掛かりになると、このようにおっしゃっている、そのことについては変わりませんね。
  145. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは平成十五年度の予算平成十六年度の予算を比較して、数字を比較していただければ、現実にプライマリーバランスは若干改善しておりますので、そのことを指して一歩手掛かりが得られたと申しているわけであります。
  146. 辻泰弘

    辻泰弘君 この内閣府の試算の中の基礎的財政収支は伸び率で表示されているんですけれども、ベースとなる二〇〇三年度あるいは二〇〇四年度の実額を示していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  147. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 国と地方を合わせました基礎的財政収支でございますけれども、二〇〇三年度が二十六・七兆円、二〇〇四年度が二十三・二兆円というふうに試算をしております。
  148. 辻泰弘

    辻泰弘君 それは二年度、両年度であれを示していただきました。  その以後というのは当然実額としてあるわけですね。
  149. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 実額がございます。
  150. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、基礎的財政収支との関係のみならずですけれども、この、将来をやられるときに、二〇〇八年までは名目成長率、示されていると思うんですけれども、二〇一三年までも名目成長率、当然前提になっているわけですね。  実質成長率、名目成長率、それぞれその数値をお示しください。
  151. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) それでは二〇〇九年度以降の実質成長率、名目成長率、それぞれ申し上げます。  まず、実質成長率でございますけれども、二〇〇九年度が二・二、失礼いたしました、基本的には二〇〇九年度から二〇一三年度までは実質成長率は毎年二・二%ということになっております。  それから名目成長率でございますけれども、二〇〇九年度、二〇一〇年度はそれぞれ三・三%、二〇一一年度が三・四%、二〇一二年度が三・五%、二〇一三年度が三・七%というふうに試算をいたしております。
  152. 辻泰弘

    辻泰弘君 今お話ございましたように、大変高い、今でいえば高い成長率を前提としてプライマリーバランスの黒字化というのがあると、このように思うわけです。ですから、この成長が不可能であれば全く絵そらごとになっちゃうわけですけれども、これを政府としては当然やるということになるわけですけれども、このことに向けて、その可能性、自信のほどを竹中大臣お願いします。
  153. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 険しい道であると思います。しかし、実質成長率を高めて同時にデフレを克服する、結果的に名目成長率が高まる、そのような中で是非問題の解決を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  154. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、この基礎的財政収支を考えるときの、国と地方でトータルで考えていらっしゃるわけです。そのことのメリットといいますか、なぜそうされているか。
  155. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、例えばちょっと考えていただきたいんですが、ほかの条件が変わらないで地方交付税が増えたとする、地方交付税が増えたとする。そうしますと、その場合には国の赤字が広がる、しかし地方の赤字が縮まるないしは黒字が増える、そういう形で一種のゼロサムの関係がそこではできます。  今、国と地方の仕組みそのものを根本的に見直そうとしているわけですので、そこをあえて国と地方で分けて非常に大胆な前提を置いてやるよりも、やはり国、地方が合わせてどうなのかと。正にそれがマクロ経済的な意味を持つわけですし、我々は、国と地方を合わせたプライマリーバランスの改善というところに大変大きな意義があるというふうに思っております。
  156. 辻泰弘

    辻泰弘君 先ほどプライマリーバランス等について将来の数値を新たにお示しいただいたわけですが、これは、私はこういう財政の審議に非常に役に立つ重要な数字だと思います。もとより試算ですし、内閣府レベルのということはもちろん承知しておりますけれども、やはり、そういう意味ではオープンにしてその議論の素材に供していただきたいと思いますので、せっかく御答弁いただいたことですから、先ほどの実額は途中までお示しいただいたところも、将来のことも含めて是非一枚のペーパーにして、一枚でなくてもいいんですけれども、ペーパーにしてお出しいただきたいと思うんですけれども、委員長、お取り計らいお願い申し上げます。
  157. 尾辻秀久

    ○理事(尾辻秀久君) 後ほど、ただいまの辻君の要求につきましては、その取扱いを理事会において協議することといたします。
  158. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、いわゆる財政再建ということについてですけれども、これまでのいわゆる特例公債脱却の目標、どのように、目標の推移といいますか、そのことを御説明をください。
  159. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 特例公債脱却に関する目標といたしましては、まず、昭和五十年代におきまして累次にわたって特例公債脱却の具体的な目標年次が設定されたところでございまして、平成二年度にはその脱却が達成されたところでございます。  その後、財政状況が再度悪化したことを踏まえまして、平成八年の十二月に、財政健全化目標といたしまして平成十七年度までのできるだけ早期に特例公債依存から脱却することが、こと等が閣議決定をされまして、平成九年三月にはその目標年度が平成十五年度に前倒しをされたところでございます。  これを踏まえまして、平成九年十一月に成立いたしました財政構造改革法におきましては、一般会計の歳出について平成十五年度までに特例公債に係る収入以外の歳入をもってその財源とすることが法律上明記されたところでございますが、平成十年五月の同法改正の際に、目標年度の十七年度への変更等が行われ、その後、同年十二月には財政構造改革法が停止されるに至ったところでございます。
  160. 辻泰弘

    辻泰弘君 今の御説明で、平成二年ですか、特例公債脱却が実現したとおっしゃったんですけれども、それは結局、一般会計出さずに全部、国債整理基金特別会計で借換債を発行するということに変えてしまったことでそういうふうに見えただけのことであって、実際上は何も脱却していなかったということになるわけですけれども。  また、その議論はまた別にいたしまして、それで、この財政構造改革法をもう既に停止されているわけですけれども、この四条に財政の規律の目標を据えているわけです。このことについて、四条の御説明をお願いします。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
  161. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 財政構造改革法の第四条でございますけれども、「財政構造改革の当面の目標」といたしまして、平成十五年度までに一般会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字の対国内総生産比を三%以下とすると。それから、平成十四年度までの間の各年度において、特例公債の発行額の縮減を図り、一般会計の歳出は平成十五年度までに特例公債に係る収入以外の歳入をもってその財源とすると。あわせて、平成十五年度の公債依存度を平成九年度に比べて引き下げると、こういう内容でございます。
  162. 辻泰弘

    辻泰弘君 今の条文は、停止しているわけですけれども、しかし、潜在的にはマクロ的な目標と一般会計の目標と二つ持っていると、こういう状況であるということなんですね。  私が申し上げたいのは、先ほどのプライマリーバランス、内閣府の一つの目安といいますか目標がある、これはこれでやはり手掛かりとして大事なものだと思うんですが、しかし、やはり一般会計も持つべきじゃないかと。やっぱり一般会計で、昭和五十年から赤字国債を発行して、出発してきて、財政再建を掛けてきて、なかなかならないで、結局、特例脱却というのが実質的にできないで、結局、内閣府に振ってしまったような感じに見えるんですけれども、やはり私は、一般会計における財政の規律のめどといいますか、三十兆円枠というのがありましたけれども、それはまあ単年度のことで、やはり一つのルールといいますか目標というものを、ここは、財政構造改革法はストップしていますけれども、一応は十七年度というのはあるわけですね。そういうものをやはり明示していかないと、マクロ的な目標で、しかもGDP比率だと、そしてさっきのように高い成長率が前提となると、こういうもので改善するんだということを言っても、正直言って分からないわけですね。やはり、我々もまず自分が見えるところからやっていかなければ始まらないわけでございますから、もちろん特別会計との、また地方とのトータルというのも意味はあるわけですけれども、しかしまずは一般会計を見詰めるということが大事だと思うわけです。  そういう意味でも、一般会計における特例公債の脱却が指標なのかどうなのか、私自身、答えはにわかには出ないんですけれども、やはりその部分についてはやはりしっかりとその目標といいますか、そういうものを持つべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  163. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、今、辻委員のおっしゃったことは大事なことであると思うわけでございますが、私どもがこの財政運営の大きな今根本方針としておりますのは、骨太の方針に書いてありますように、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復していこうということでやっておりまして、今委員のおっしゃったように、ほかにもっといろいろ具体的なものを考えろというと、一般関係の税収割合をどれだけにするかとか国債発行額をどれだけに抑えるかとか、国債発行額と一般会計の税収をどういうふうに見ていくかとか、いろんなことが考えられるわけでございまして、それはそれぞれ私は意味のあることだと思います。  しかしながら、そういうことをやっていきますと、今非常に財政運営なり経済運営なり厳しい状況の中でやっておりますので、要するに税収というものが相当そのときの経済情勢や何かによって変動するもの、その税収状況に合わせて経済運営を、財政運営をやっていくということになりますと、必ずしもそのときそのときに適時適切な手を打つことが縛られてしまう場合もあり得るんだろうというふうに思っております。  そういう状況の中でやっていきますときには、先ほどから申し上げているように、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復していくという、そういう目標でやっていこうということでやっているわけでございまして、委員のおっしゃっていることを全然頭の中から取り払っているわけではありません。頭の片隅にはいつもちらちらしております。
  164. 辻泰弘

    辻泰弘君 片隅と言わず、真ん中に置いていただければと思うんですけれども。  やはり、財政というものの規律を考えるときに、率直に言いまして今の目標というのは非常に分かりにくいといいますか、率直に言ってもう雲をつかむような感じになってしまっていると。ですから、財政構造改革法においてはマクロ的な目標が片やあり、一般会計における目標が片やあったと。もちろん批判といいますか、結局、選挙で結局ああいう形で停止されてしまっているわけですけれども、しかし、やはりその精神といいますか、やはり一般会計においても財政規律の一つの指標を持つということはやはり大事だと思いますので、その点については是非今後とも真ん中の課題として、片隅ではなくて、真ん中に置いて取り組んでいただくように御要望を申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。  さて、財政構造改革法の附則で、今議論になっております社会保険庁の経費が保険以外にも、保険給付以外にも使われたと、こういうことになっているわけです。結局、何ゆえこの構造改革法が停止されているのにその附則だけ生き残っているかと、このことについて御説明ください。
  165. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 財政構造改革法につきましては、その当時の当面の景気回復に全力を尽くすということから、平成十年の十二月に停止をしたところでございます。  それで、その附則でございますけれども、一方で、いわゆる十一年度の概算要求時、平成十年の八月十二日の閣議了解におきまして、財政構造改革の一環として既に措置された制度改正については、既定の方針に沿って引き続き推進を図ると。したがいまして、財政構造改革法は停止しますけれども、その考え方については堅持するということで、その附則につきましては停止をしなかったところでございます。
  166. 辻泰弘

    辻泰弘君 附則については停止しなかったといいますか、本体は停止したけれども附則の部分はもう先の法律の中に溶け込んでしまっているので取戻しができなかったといいますか、その方が正確なんだろうと思うんです。  いずれにしましても、十五年度までは財政構造改革法が結局その部分だけが機能していたと。そして、今度の十六年度についてはそれが切れたので今度の財政特例法で赤字国債の発行と同時に規定をしたと、こういうことになっているわけなんですね。これは本会議でも答弁がありましたけれども、この措置を来年度どうするのか、厚生労働大臣、まずどうお考えでしょうか。
  167. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 財務大臣とよくお話をさせていただくことになっているわけでございまして、昨年の十二月におきましても財務大臣としっかりお話をさせていただいたところでございます。当面、十六年につきましてはこのままいくということにして、十七年からの問題につきましては改めてお話合いをさせていただくということになっているわけでございます。  この与党の方でもいろいろとお決めをいただいておりますし、また国会審議状況等も踏まえましてしっかりと財務大臣とお話合いをしていきたいというふうに思っております。
  168. 辻泰弘

    辻泰弘君 財務大臣、こういう赤字国債の変形みたいなことの措置は、その年金の使い道ということの批判の以前に極力なくすべきだと思うんですけれども、いかがですか。
  169. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、なぜこういう形になっているかということになると思いますが、年金の事務費等については、国民年金法等においては国庫で負担せよという原則が書いてあるわけですね。これは、広く国民が関与してくる年金については、こういう一般会計と申しますか、税から入れるのが妥当であろうという考え方に基づくものであろうと思いますが、他方、やはりこういう年金も一つ国の営む事業でございますから、その事業の経費はその枠内でという考え方もあり得るわけでございまして、財政の厳しいときには少しそういう考えも援用してお助けをいただけないかということでやってきたわけでございます。  百かゼロでなく、オール・オア・ナッシングではなく、その中間辺りに解があるという考え方もあるのかもしれません。  ただ、繰り返し申しますが、原則は現在の法制の下において国庫から負担するというのが原則でありますから、やはりそれをいつできるかということは目指さなければいけない方向と思いますが、来年度につきましては、今厚生労働大臣がおっしゃいましたように、よく厚生労働大臣と御相談をして在り方を決めていきたいと思っております。
  170. 辻泰弘

    辻泰弘君 年金課税が今度強化されることになっているわけですけれども、それの跳ね返りで介護保険料、国保に跳ね返ってくるということがあるわけですけれども、その負担がどのぐらいになるかということとそれについての対応策、厚生労働大臣、お示しください。
  171. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 年金のその税制が変わることによりまして、そのことが国民年金、国保それから介護に影響してくるではないかという御指摘、それはそのとおりでございまして、介護につきましては、介護保険の改正を来年行いますので、その中で十分に勘案していきたいというふうに思っております。それから、国保の方につきましても全体の見直しを行います中で、一部のところにだけその負担が大きくなるというようなことのないように考えていかなければならない。ただ、高齢者のところの、ここを全部なくするということになりますと、その分がみんなまた若い人の分にそれがおぶさってくるということもございますので、その辺のバランスを十分に考えながらやっていきたいというふうに思っております。
  172. 辻泰弘

    辻泰弘君 国保の実施主体は地方ですけれども、それは国からそのように要請することがあるということなんですか。
  173. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 国保につきましては、それぞれの市町村によりましていろいろのやり方あるというふうにお聞きをいたしておりますので、一応我々の考え方もお示しをして、そして地方との調整をしたいというふうに思います。
  174. 辻泰弘

    辻泰弘君 私の最後の質問にしたいと思いますけれども、坂口大臣は三月九日、この場で、国債は大変大きな損失を出すこともあると、こういう発言をされたんですけれども、そのことについて御見解をお示しください。
  175. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 積立金の話だったんだろうと思いますが、それで国債を持っていて、国債をずっと持っておりましたらそれはマイナスにはならないわけでございますけれども、途中でそれを売り買いをするということになりますと、その時々の時期によって上がり下がりがあるということを申し上げたわけでありまして、大きな損失を出すというのは少し表現がオーバー過ぎたかと思いますので、訂正いたします。
  176. 辻泰弘

    辻泰弘君 以上で私の質問を終わらせていただきます。
  177. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。森ゆうこ君。
  178. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党新緑風会の森ゆうこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今ほども辻委員からいろいろ御質問がありました年金の問題について、厚生労働委員会で今後徹底的な審議をするということはさておきましても、まず今日は、根本的な改革なのか、それは厚生労働大臣はそうおっしゃっている、抜本的な改革、総理はそうおっしゃっている。どちらにせよ、まあ私どもはそう思っていないわけです、政府案は。  根本的な問題をお聞きしたいと思いますが、年金の問題はもはや厚生労働省の年金局だけで議論している時代は私は終わったと思うんですね。少なくとも厚生労働省は、医療や介護やその他の福祉、社会保障全体の問題としてとらえるべきで、その厚生労働省だけではなくて政府全体として、つまり国民負担の全体の問題として、日本経済に対する影響ということを考えて、租税と社会保障負担を合わせた国民負担率がどうなるかとか、そういった様々な視点から検討されるべきであります。つまり、政治家が大枠を決めて、そして細部は年金のプロに任せるということが大事だと思うんですけれども、そういう意味で様々な問題の解決も見送られております。  そのような全体からの視点の欠如というものが決定的な問題だと思うんですけれども、大臣厚生労働大臣に御見解を伺います。
  179. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ある意味では御指摘をいただいたこと、私も賛同するところがあるわけでございます。  いわゆる社会保障費を全体で見ろというお話がよくございます。私もそれはそういうふうにしなきゃいけないというふうに思っておりますが、社会保障費の中だけで見ておりますと、それはその中でそのパイをどういうふうに分けるかという話になってしまいまして、割合は、パーセントは出てまいりますけれども、全体の額というのはどうなるかということはそこからは出てこないわけでございます。  したがいまして、社会保障だけではなくて、周辺のその政策等も総合的に見ながら、将来の社会保障としての財源がどれだけ確保できるのかということを見ながら、そこでその中の割り振りを考えないといけないというふうに私も思っておりまして、そういう意味では、今おっしゃったこととある程度重なる部分があるのではないかというふうに私も思っております。
  180. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 度々今までも坂口大臣とは委員会でもそのようなお話をしてまいりました。やはり、グランドデザインをかくということが欠落していれば本当に改革という案はできないと思います。どんな制度を作っても、国民の信頼が得られなければ結局その制度は維持できないわけでして、そういう意味で、ほかの社会保険や税だけじゃなくて、労働市場、少子化対策、マクロ経済全体の議論を踏まえて医療や介護保険の改革と整合的に今後の年金のグランドデザインをかくべきだと考えております。  ここで私は、一番問題なのは、相変わらず国は、すべて何か公的年金制度について責任を、年金制度すべてにおいて国が責任を負わなければいけないというふうに思っているのではないかと思うんです。政府が保障する範囲を広げているために制度が不安定になっていることに原因があると思います。政府があらゆることをやろうとするから無理や矛盾が生じる。  年金制度改革の最大の眼目は、人口減少社会における公的年金をいかに維持すべきかという点であるはずで、政府はできることとできないことをはっきりと区別するべきであります。そこに政府として確実に実行できる制度というものに作り変える。例えば、もう保障できないという部分については私的年金にする、民間にゆだねていく、そういう大胆な発想も必要かと思いますが、政府と民間の役割分担を明確にすべきという視点が欠けているというふうに私は思うわけですが、この点に関しての大臣の御見解をお願いいたします。
  181. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 森先生にいつもそうしたお話を聞かせていただいておりまして、ある意味では私も、このことにつきましても意見の重なるところがあるというふうに私も思っております。  しかし、民主党の中ではいろいろの御意見もあるようでございますから、民主党の御意見というよりも森先生の御意見というふうにお聞きした方がいいのかなというふうにも思いますが、高齢者の皆さん方にお聞きをしましたアンケートの調査によりましても、年金プラス自助努力というふうにお答えになっている方が一番多いわけであります。そこが、年金プラス自助努力が、年金がどのぐらいで自助努力がどのぐらいかということは人によってそれはある程度、僕も違う、私も違うと思うんですけれども、しかし、皆さんがそういうお考えになっていることも事実でございます。  今御指摘いただきましたように、老後の生活をすべて年金で見ていくということは、できれば私はそれに、その方が好ましいというふうに思いますけれども、今後のこの少子高齢社会の中の人口構成を見ていきますと、そこはかなり無理な面も率直に言ってあり得ると。そこは素直に国民の皆さん方に申し上げて、そして御理解を得なければならないだろうというふうに思っております。  そういう意味では、私は、今、森先生がおっしゃったことに対しまして私も賛同する面もある。しかし、その中で、できるだけその中で、しかしほかのことに比べて年金だから、年金に対してだけは何とか維持をしていくという最大限のやっぱり努力が必要ではないかというふうに思っているところでございます。
  182. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 一致するところも多かったわけですけれども、それならば、なぜ本当に国民が信頼できるような抜本的な改革、大胆な改革案が示せなかったのか、大変残念に思いますが、その点につきまして、細かいところは今後の議論をさせていただきたいと思います。  財務大臣にはこの件について私は質問通告しておりませんでしたけれども、先ほど申しました、もう厚生労働省だけで考えている問題じゃありませんよということで、今回の年金の改革議論にどの程度かかわったんでしょうか。
  183. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、基礎年金の負担を二分の一から三分の一に、三分の一から二分の一に持っていくというようなことに関しましても、これは大きな財政上の問題でございますから、いろいろ御一緒に議論をさせていただきました。
  184. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まあ、それは部分的な議論ですね。だから、私が言った、要するに国民負担率全体ということで考えて、どのようにかかわったんでしょうかということなんですよ。
  185. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、一つの例を申し上げただけでございまして、やっぱり大きな意味で持続可能なものにしていただかないと安心ができないわけでありますから、負担と給付の関係がどうあるべきかというようなこと、そして、その負担と給付の関係をバランスを取るためにはどう税を入れるべきか、こういうようなことでいろいろ議論をさせていただいたわけであります。
  186. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 国民負担率、税負担と保険料の負担のその全体の話にどのようにかかわったかということであって、今のお答えではちょっと納得できないんですけれども、私、次の問題がありますので、次に移らせていただきたいと思いますが、官房長官がいらっしゃらないんです。
  187. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 記者会見です。
  188. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 記者会見、それは困った。  じゃ、別な問題に先に移らせていただきます。官房長官いらっしゃらないと質問できませんので。  それで、それでは先に臓器移植の問題について坂口大臣に伺いたいと思います。  本年一月より生体肝移植に関する医療保険の適用が拡大されました。この医療保険の拡大によって、更に一般医療として生体肝移植が普及していくことが予想されますが、今後の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  189. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 生体肝移植の保険適用の拡大の経過、あるいは今後の見通しにつきまして申し上げます。  生体部分肝移植につきましては、原則十五歳以下の患者を対象として平成四年八月に高度先進医療が適用され、平成十年四月から保険適用されておるところでございますが、十五歳を超える患者の肝硬変、劇症肝炎につきましては、ドナーから肝臓を大きく切り取るなどの必要があり、保険導入、十年当時でございますが、そのときの症例数や成功数等を踏まえ、これまで課長通知におきまして十五歳以下の患者に限っておりました。  しかしながら、これらの疾患を有する十五歳以上の患者への保険適用についても患者や学会等からの要望が寄せられたことから、昨年七月に中医協、中央社会保険医療協議会でございますが、この下に設置されました診療報酬調査専門組織において、公開の場で専門家からのヒアリングを行うとともに我が国における症例を検討したところでございます。  その結果、保険導入当時に比べて、十五歳を超える患者の症例数が増加していること、十五歳を超える患者を対象とする場合も、もう医療技術等の進歩により、生存率、安全性からも問題がないと考えるに至ったこと、有効性については症状の進行状況が一定の範囲内であれば良い成績が得られているとのことから、公開の中医協の御議論をいただき、その了解を得て、課長通知で定めた年齢要件の緩和を本年一月に行ったところでございます。  なお、影響でございますが、中医協で、大いに議論をいただきましたときに、中医協で私ども報告いたしました影響額は数億円ということで、その程度で対応できるものと考えております。
  190. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まだ質問していないところまでお答えいただきました。それで、私がちょっと分けて質問しようと思ったんですが、今お答えいただきました。  今医療費が高騰する中で、今回、生体肝移植、今保険が適用されないとお一人様千五百万掛かる。これが本当に患者の負担になっているという、家族の負担になっているということで、希望が多いというのは私もよく知っております。実際に陳情も受けております。  しかし、まず、じゃ医療費のこの影響についてのみお聞きしますけれども、数億円、数億円というのは一体どういうことなんですか。
  191. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 恐れ入ります。今後の見通しという意味で申し上げましたが、中医協で今後どの程度掛かるのかということにつきまして私どもお答えいたしましたのは、今まで十五歳以上の方については認められていなかったわけでございますが、認め、保険適用されていなかったわけでございますが、保険適用されていない中で、言わば自費で行われました実績、この実績件数等を評価いたしまして、そのような傾向から今後どのようにその適用した場合に患者が出るかという一定の推測を行いまして、大体年間百人程度と見込みました。そして、百人程度を前提に、今生体肝、部分肝移植の費用、主として手術料につきまして大体平均一千万ぐらいと見ておりますけれども、それを掛け、しかも移植を受けることにより不要となる入院、措置、投薬等の費用がございますので、それを控除いたしますと数億円に達するというふうに予測いたしております。
  192. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まず、私、この今の経過ですね、保険適用された経過、調べました。これ、全然国会では関係ないんですね。課長通達、さっきの中医協の報告、報告されて、そして了解が得られたということで、課長通達。  私、この生体肝移植という非常に難しい様々な問題をはらんでいる、これの保険適用の拡大について私ども全く関与できない、課長通達でなされているということに問題あると思うんですが、大臣、いかがですか、これ。
  193. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、国会におきましてもいろいろと御議論をされたところだというふうに思っておりますし、そうしたことも踏まえて中医協の方で御議論をいただくことになった、そして決定をしてもらったという、中医協からの経緯は先ほど申し上げたところでございますけれども、それまでにはいろいろ御議論をいただいたというふうに思っております。
  194. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今回、与党の方で臓器移植法に関する改正案を御用意されているというふうに伺っております。この臓器移植法の賛否は別としまして、ここに、そもそも生体肝移植についてきちんとした規定がまずなされていないという問題点があるということは以前から指摘されたところでございますが、これはいかがですか、大臣
  195. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 臓器移植法でございますけれども、これは移植医療の適正な実施に資するということを目的にした法律でございまして、基本的には死体、生体にかかわらずこの法律の守備範囲になってございまして、例えば生体肝移植、生体部分肝移植に関しましては、臓器売買等の禁止の規定についてこれは適用のあるところでございます。
  196. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 都合のいいところだけ抜き出さないでください。  生きているドナーから肝臓を、例えば肝臓を取り出して今家族間でやり取りされていますけれども、生体からの移植は。そのようなことに関してきちんとした、死体からの臓器の提供について規定してあるほどきちんとした規定はないということは非常に問題だというふうに当初から指摘されております。  日本は国際的に見ますと生体肝移植が比較的多いと、多くなっているという現状があると思いますが、この点についていかがですか、大臣。まあ、政府参考人でもいいですよ。
  197. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 生体肝移植というのが確かに増えてきていることは事実だというふうに思います。  その生体肝移植に対する医療技術の進歩、その現在までの経験の積み重ねというものが非常に大きくなってまいりまして、この生体肝移植のできる大学あるいはまた大きい公立病院等、そうしたところが増えてきております。前は本当に特定の場所だけしか行われなかった。それが非常に幅広く行われるようになってきたことは事実でございまして、そのことがまた実例数を増やしているということになってきている。一に掛かりまして、その生体肝移植に対する研究が進んだ、そういうことではないかというふうに思います。
  198. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 要するに、日本では脳死からの移植の件数が少ない一方で、生体肝移植が非常に多くなっているという現状があるんですが、大臣じゃなかったら参考人でいいですから、答えてください。
  199. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) その実態の背景にあるものは何かということでございますけれども、基本的には臓器移植法が本人の意思確認というのを書面でもって確認せざるを得ないというようなかなり厳しい運用になっているということが、死体腎移植を必ずしも円滑に進められない今現状になっているんじゃないかというふうに考えております。
  200. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その一方で、家族間の生体肝移植が非常に多くなってきている。  ところで、そのドナーに保険は利くんですか。
  201. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) ドナーの摘出に関する治療費も含まれております。
  202. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この生体肝移植についての問題点、なかなか分かっていながらお答えにならないんですが、ドナーとなった当事者に問題だらけと言わしめる状況にあるということで、これは社会科学研究、細田先生の論文なんですけれども。  まず、生体から肝臓が切り取られて移植されて、そのドナーに対してどのような影響があるか。まだ実験段階ですよね。いかがですか。
  203. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) ドナーに及ぼします医学的な影響というのは必ずしも十分把握されていないということでございますけれども、今後、ドナーのその後のフォローアップ研究というようなことをして、ドナーの安全性の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
  204. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そして、この問題点は、要するに自分の家族がもう移植でしか助からない、しかも死体からの臓器の提供が見込めない、結局、家族愛という、美談ということで、中には、本当は嫌なんだけれども結局拒否できなかった、そしてその家族愛の下に家族を助けるという、そういうことで非常に困難な状況にその後陥っているということも報告されているわけです。  こうしたところ、そのドナー、そして患者、その家族の状況を改善するための方策という、そういう環境整備というのは不十分だという指摘があるんですが、この点についてはいかがですか。
  205. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お答え申し上げます。  もう一つの生体肝移植の問題点というのは、ドナーの方のインフォームド・コンセントというんですか、どうやってその了承を取るのかという問題ではないかというふうに考えております。  この人権の尊重など、倫理面での対応に関しましては、関係学会、特に日本移植学会でございますけれども、倫理指針を策定するとともに、移植を行う各医療機関において倫理委員会を開催するなど、適切な対応を現在も図ってはおります。また、実情に即したインフォームド・コンセントの在り方等、ドナーへの適切な対応の必要性につきましては、関係学会において平成十四年度から検討が進められております。  厚生労働省におきましても、平成十五年度から生体肝移植におきます肝提供者の提供手術後の状況に関する研究等に関しまして補助を行うなど、適切なインフォームド・コンセントの在り方について検討を進めているところでございます。
  206. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ですから、この生体肝移植の問題について、そういう様々な問題を解決していないままこの保険の適用拡大に踏み切りますと、やっぱり保険が適用されるということでますます症例が増えると思うんですね。悩みを抱える人も増える。  コーディネーターの不足、そしてドナー、家族の精神的サポートをする人の存在の重要性が指摘されていると思うんですけれども、そういうことについての検討はいかがでしょうか、されるのでしょうか。大臣、お願いします。
  207. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この生体肝移植に対する保険適用が、今、私はプラスの面の方の方が多いというふうに思っておりますけれども、そのことによって生体肝移植が非常に増えて、いわゆる提供される側のドナーの方に対してマイナス面を与えるのではないかという御意見のようにお聞きをいたしました。  もし仮にそこが非常に無理な形で進められるということになれば、当然、御指摘をいただいたようなことが起こるわけでございますが、今までのところは大体御家族、御兄弟でありますとか、そうしたところが中心になられるケースがかなり多いわけでございまして、今までは、行いたいけれども多額のお金が掛かるためになかなかでき得ないというようなことで、皆さん方が救う会のようなのをお作りになって、そして募金をしておやりになっているというケースがかなり多いわけでございますので、私は、御指摘のところは十分気を付けなければいけないというふうに思いますけれども、保険適用を進めたということは私は一つ前進になったのではないかと私は理解をいたしております。
  208. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 逆に、保険適用されたということで、生体肝移植、もうそれしか助かる道がないと言われたときに、家族が自分の臓器をもう提供しなければいけないという圧力が掛かる、それを精神的にサポートする体制が整っていない、そのことが問題だと申し上げているんですけれども、そのことについて問題意識はないということですか。
  209. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは、やはりきちっと説明ができる体制というのは、それは作らなければならないというふうに私も思います。そうしたことにつきましても学会等もいろいろの御指摘をいただいていることも十分存じておりますので、そこは今後も進めていきたいというふうに思います。
  210. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まず、先ほども指摘しておきました、生体肝移植がきちっと臓器移植法の中の枠組みに規定がなされていないということが問題である、しかも、この臓器移植法も今、一足飛びに何やら改正の動きが出ているということに対して私は非常に危機感を持っております。いろんな問題がある、そして死生観の問題もある、そういうことを飛び越して改正案が一足飛びに強行採決等で成立することのないよう、まず今指摘しておきたいと思います。  続いて、まだ官房長官お見えじゃないようですので、エイズ問題の対策について伺います。  世界での感染者が増加の一途をたどっております。日本も例外ではありません。私は今、大変エイズの問題に関して日本におきましては深刻かつ、そしてここが今正念場だと思っているんですね。ここできちっと食い止めないと感染が更に拡大する可能性があるというふうに考えておりますが、私はこのような危機感を抱いておりますが、大臣の危機感はいかがでしょうか。
  211. 森英介

    ○副大臣(森英介君) 私からお答えをさせていただきます。  委員指摘のように、HIV感染者及びエイズ患者数は中期的に見て増加傾向にあります。そういうことで、感染症法に基づく感染症発生動向調査事業などによりますと、平成十五年では、HIV感染者が六百二十七人、そしてエイズ患者が三百二十六人と報告されております。特に、最近では、男性同性間を中心とした性的接触によるものが拡大しつつありまして、予断を許さない状況にあると認識しております。  このような状況を踏まえますと、正しい知識の普及啓発及び検査体制の充実が何より重要であろうということで、特に性感染症予防対策の充実を図りますとともに、繁華街などの利便性の高い場所で、休日、夜間等の時間帯に配慮したHIV検査、また相談事業の拡充を図るなど、最大限の努力をしてまいるつもりでございます。
  212. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 特に最近、感染者の低年齢化で、以前は特定の、ある特殊な方たちの間での感染増加だったわけですけれども、今は異性間の感染増加といった問題が深刻なんですが、教育現場等での正しい知識を普及する必要があると思いますが、来年度予算ではいかが反映されているでしょうか。
  213. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) お答えします。  御指摘のように、最近、二十歳代の若い方々にこの感染が広がりつつあるという、非常にゆゆしい問題だと考えておりまして、文部科学省といたしましても、いわゆるエイズ教育といいますか、性教育について指導を強めておるところでございます。  予算でどうかということでございますが、十六年度から新たに、厚生労働省や関係機関、保健所、医師会との連携を取りまして、エイズ教育を始めとする性感染症対策、あるいは性教育の効果的な指導方法についてという実践的な調査研究を行う性教育の実践調査研究事業を、予算案六千百七十八万、これをもって対応したい、こう思っておりますし、また、産婦人科医等の専門家が学校でのエイズ教育に参加していただく、地域保健との連携を図るための学校・地域保健連帯事業、平成十六年度予算二億一千百三十六万円を実施するということでございます。  これまでも、性教育に関する教師用の参考資料、あるいは教師、教員等への研修会を開催する、また中学校一年生、高校一年生全員にエイズ教育教材の作成をする等々の諸対策を行いながら、この性教育の充実を図り、エイズ予防対策やっておるところでございます。
  214. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 坂口大臣、先ごろ急逝されました沢たまき先生、ずっと厚生労働委員、理事が一緒でございまして、党は違いますけれども、この感染症の問題とエイズの問題、同じ危機感を共有しておりまして、特に最近若い人たちが誤った情報を、例えば雑誌やネット、もうすごいんですね、もう。表現の自由と言えないような、もう本当にそういうものがはんらんしています。マニアがするべきようなことが普通のノーマルな行為だと思い込んでいる若い人たちがいるということで、この問題について年が明けたら取り組もうねというような話もしておりました。先生が急逝されたことは大変残念だったと思うんですけれども。  この問題、大変いろいろ問題がありまして、妊娠時の検査でHIVに感染していることに気付く妊婦さんもいるし、そしてこの汚染の、感染の拡大が輸血の汚染につながっているということで、様々なことが報告されているわけですが、この状況はいかがでしょうか。
  215. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 輸血に関しましては、いわゆるごく初期の場合でなかなか抗体がはっきり分からないという状況の輸血者というものをどうなくするかということに尽きると思っております。もう完全にかかってしまって、そして完全なエイズ患者になってしまっております人が献血をしてくれましたときには、それはもうすぐに検査をして、使いますまでに判明をするわけでございますから、そこは問題ないわけでございますが、本人もまだかかったかどうか分からないというような人が献血をしましたときにどうするかという問題がただ一つ残っておりまして、そこが、しかし年にお一人かお二人かというようなことで起こってくるということが現在判明してまいりまして、そこに対します手当てを、今まで五十人単位で丸めて検査をいたしておりましたのを二十五人にそれを少なくしますとか、様々なことで今対応をしているところでございます。  それは一つ献血の話でございまして、その他のお若い皆さん方に対する問題というのは、これはだから医学教育ということもこれはもうもちろん大事でございます。もっと幅広い社会的教育と申しますか、全体の中でやはりお若い皆さん方にいかにそのことが恐ろしいことかということをやはり分かっていただくようにしなければいけないというふうに私も痛切に感じている次第でございます。
  216. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 はい、ありがとうございました。  エイズに感染しているかどうか、その検査代わりに輸血を使うと、献血、献血をするという人もいるわけで、そういう意味でもっと、敷居が高過ぎるのじゃないか、もっと気軽に検査ができるような体制を整えるべきと考えますが、その点についてもう一言お願いします。
  217. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 献血は敷居が低くって保健所は高いのかということもありますけれども、献血という行為に隠れて検査をしようという方がおみえになることだけは事実でございまして、そのことは是非避けていただきたいというので、赤十字の方も一生懸命その危険性のある人は是非おやめをくださいということを呼び掛けているわけでございますが、ここがなかなかうまくいかないところでございます。  呼び掛けつつも、しかし、献血をしていただいた方の血液をいかに早くいかに安全なようにこれを検査をするかということが大事でございまして、今後も、幾つかの改革案を作っておりまして、鋭意これを実現に移しているところでございまして、献血の場合にももう白血球の部分は全部もう除くと、そして赤血球の部分だけをその献血の血液に使うというようなことも今やっているところでございまして、そうしたことも含めて、今後そうした影響ができる限り少なくなっていきますように努力をしたいと思っておるところでございます。
  218. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 エイズの問題については、もっと国民全体で危機感を共有すべきだと思います。  本当は内閣官房長官がいらっしゃらないと残りの質問がなかなかできないんですけれども、せっかく外務大臣にもわざわざお越しいただいておりますので、官房長官いらっしゃいませんが、FTAの推進に向けての取組について伺いたいと思います。  FTAの推進について日本は後れを取っている、NAFTAやEUといった欧米諸国の取組と比べ後れを取っているという指摘があるわけですが、政府方針としては特に東アジアを焦点に当てているということでありますが、いつまでに欧米の取組に追い付くのか、少なくとも。明確な方針をお示しいただきたいと思います。
  219. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃられましたように、今アジアでは、既に締結をしたシンガポールに加えて、マレーシア、フィリピン、タイといった国とやっております。さらに、韓国ともやっているわけでございます。  いつまでにということでございますけれども、大体のめどといたしましては、できるだけ早くということでありますけれども、今年の終わりぐらい、あるいは国によっては来年になるところもございますけれども、東南アジアの国々との関係では今年の終わりということを大体のめどに今考えております。  我が国が決して後れを取っているということではありませんで、EPA、FTAといいますのは、これは基本的に自由貿易、更にそれをやっていくということでありますし、EPAというのは、それを物の貿易だけではなくて幅広く広げていこうということでございます。我が国としては、マルチの場での貿易の、あるいはほかのことの自由化に加えて、補完的なものとして、これをできるだけ早く今やっているところについては締結をしたいと考えております。
  220. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 川口外務大臣も様々な課題で御苦労されていて、大変責められることが多いわけですけれども、政治にはやはりビジョンを示すということが大切であって、特にアジアの中心的な存在として日本が今後発展していくというメッセージを伝えていただきたいと思うんですけれども、しかし、このFTAを進めるに当たりましても、やはり北朝鮮の問題、アジアでの日本の地位の確立というのもありますが、北朝鮮の問題もありますけれども、どうも、これは通告しておりませんが、昨日の報道を見ますと、日朝間の交渉、全然めどが立たないというような話も出てまいりました。今のFTAの推進につきましては今年の末ぐらいまでにというような目途を示していただいたわけですが、通告していなくて恐縮なんですけれども、北朝鮮の問題について、今の段階で見通しを是非お願いします。
  221. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは作業部会、六者会談の中では作業部会をやっていくということで考えているわけでございますし、バイ、日朝の二国間の会談についても、今北朝鮮に対してこれをできるだけ早く開催をしようということで、それがまた北朝鮮にとっても利益であるということを言っているわけでございます。今の時点でいつということがはっきり決まっているわけではありませんけれども、そういう、できるだけ早く進めたいというふうに考えているわけです。  この問題について、我が国として、韓国、アメリカと連携をしながら北朝鮮との関係についてはやっていく、さらには中国、ロシアとやっていくと、一緒にやっていくという方針は変わりはありません。
  222. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この北朝鮮の拉致問題について、私、当選して初めての予算委員会で川口大臣を質問したときのことをよく覚えております。あのときから比べると、政府の姿勢はまあかなり変わった、本当に良くなった。そして、その結果、様々な状況は変わってまいりました。  しかし、とにかく北朝鮮に対しては、対話も必要ですけれども、きちんと期限を区切って、いついつまでにやらないと日本はこう出るよというようなことをはっきり示さないと、あそこはもうずるずると時間をただ引き延ばすだけだと思うんですけれども、もっときちんとした対応をしていただきたいと思うんですが。もう待てません、はっきり言って。どうですか、もう一言。
  223. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 我が国としても、これはその家族の方、一日も早く、本当に一刻も待てない、一秒が大事だというふうに思っていらっしゃると私も思います。そういう気持ちをきちんと踏まえて、できるだけ早くというふうに思っているわけでございます。
  224. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この問題に関してはまだまだ言いたいことはあるんですけれども、次の問題に移りたいと思います。  危機管理の対応について官房長官をお待ちしていたんですけれども、記者会見のようですのでほかの大臣に伺いたいと思いますが。  阪神大震災やオウム真理教の地下鉄サリン事件、そしてBSE、SARS、鳥インフルエンザ、国民に重大な被害を及ぼす緊急事態が発生している中で国の迅速な対応がこれまで以上に必要となってきておりますが、総理大臣は、緊急事態に対しては、内閣官房を中心に政府が一体となって対処する体制の整備に一層努めてまいりますというふうな抽象的な発言をされているんですけれども。  鳥インフルエンザに特化してお聞きしますと、確認されたのが、国内で一応確認されたのが一月上旬であるにもかかわらず、関係省庁対策会議が設置されたのは今月に入ってから、そして先ほどの辻委員に対する御答弁をお聞きしましても、果たしてこれでいいのかなと、今までの教訓は生かされたのかという疑問があるんですけれども、一体何をなさっていたのでしょうか。危機管理の対応について農水大臣、どうぞお願いします。
  225. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) BSEの発生、こういうことで我が省、危機意識の欠如と危機管理体制の欠落と、こういう厳しい御指摘をいただいたわけであります。  今回、この鳥インフルエンザの問題、この問題につきましても、実は昨年七月に、食品のリスク管理、危機管理を担当する消費・安全局を昨年七月、スタートさせたわけであります。そういう中で、香港等周辺諸国におきまして鳥インフルエンザが発生が見られました。そして、専門家の意見を踏まえまして、昨年九月に防疫マニュアルを規定をいたしました。さらには、十二月に韓国でこの鳥インフルエンザが発生をいたしまして、そしてこれを踏まえて再度、養鶏業者等にこの防疫の対応の徹底を呼び掛けてきたわけであります。  このマニュアルに従いましていろいろやりましたが、山口県、大分県におきましては通報が早かった、こういう面で的確な対応が行われたわけでありますが、京都の発生に際しましては、発生農場からの通報が遅れた、こういうことで影響が拡大をしている、これは大変遺憾に思っておるところでもございます。  今回の京都府の事例を踏まえまして、私もすぐ京都に参りまして、そして現場を見、そしてまた京都府知事又は関係町長さんともお話をいたしまして、何といっても早期発見、早期通報、この義務の明確化を図るとともに、先般、これも四日の日に各都道府県の主務部長を農水省に招集いたしまして、改めて意識の徹底、このようなことを図って、今後とも防疫体制の確立に努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  226. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の現状の問題点は、発生後の対応を自治体に任せているということが私は問題だと思うんですが、いかがですか。
  227. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) これはいわゆる地方に委託をしていると申しますか、都道府県の家畜保健所、これが担当していただいておるわけでありますので、そういう面では情報の一元化等々、緊密な地方自治団体との連携と、こういうことが必要なわけでありまして、その体制を取っておるところであります。
  228. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、鳥インフルエンザ、それからSARSもそうですが、国境や県境はないんですよ。ですから、ほかの大臣もいいでしょうか、発生後の対応を自治体に任せるんじゃなくて、危機管理というのは国が中心となってやらなければいけないと。  常に常設の危機管理の体制が国にあって、そして、例えば今回インフルエンザ、今後、鳥インフルエンザ発生した、例えば新潟県で発生した、そのときには国からその対策本部にいるスタッフが現地に行ってそこで対策本部を作って、そこで様々な、ですから国が……(発言する者あり)静かに聞いてください。  とにかく、国が中心となって対応するというような体制を作るべきだと考えますが、いかがですか。
  229. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今、各都道府県のその防疫体制、家畜保健所と家畜防疫員と、こういうそれぞれの関係者もおられるわけでありまして、緊密な連携と、私どもの地方農政局からも人が出向きましてその体制をともに取っておるわけでありまして、これら動物検疫の問題等々も踏まえて、今委員指摘の問題につきましては、いろいろ御指摘を受けるところはありますけれども、現状におきましては、現在の体制を緊密な連携、そして情報の一元化と、こういう中で迅速に、またそれぞれ都道府県におきましても、特に京都におきましては今回の問題につきまして知事先頭に大変な努力をしていただいておるわけでありまして、今後とも、情報の一元化、そういうものに努めて、そして更に早期の通報と早期の蔓延防止の努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  230. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 坂口大臣、いかがですか。SARSとかでいろいろもう本当に苦い経験をお持ちだと思うんですけれども、今の体制でよろしいんでしょうか。
  231. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 昨年の今ごろはSARSで大変苦しい思いをしたわけでございまして、それで感染症法を改正をさせていただいて、国が直接行うことと地方にゆだねることとを両方振り分けをいたしまして、そして、いざというときには国の方も積極的に関与させていただくというふうにしたわけでございます。  そうしませんと、去年、台湾の医師が旅行に参りまして、そして四、五県でございましたが各県を旅行して、帰って向こうで発病したという件がございました。そのときに、各都道府県での対応、いろいろの意見の違いがありまして非常に調整に苦労をしたものですから、そう法律の改正をさせていただいたという経緯がございます。
  232. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の、大臣坂口大臣の御答弁を聞かれて、いかがですか。
  233. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現在は、防疫マニュアルは国が作成する、そしてそれに従っていろいろの対応をしていただくのは都道府県と家畜防疫員等々、その組織の中でやるということでありますので、今日、その緊密な連携と、地方のやることとまた中央のやることとそれぞれあるわけでありますから、その体制をしっかり持ってやってまいりたいと、こう思っております。
  234. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いやあ、官房長官、ちょうどいいところにお帰りになりました。  もう私の、早く終わりたいんでもう残り時間少ないんですけれども、危機管理の対応について大臣に質問していたんですけれども、どうもやっぱり、これじゃ危機管理ができるのかというもう疑問が、答弁していただけばしていただくほど不安が高まるんですよ。  国の権限を強化して、いざというときには国が中心になって対策をすぐやるという、そういうきちんとした危機管理体制を作るべきじゃないか、今までのケーススタディーが生かされていないんじゃないかという御指摘をしているんですが、いかがですか、官房長官
  235. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 我が国の危機管理は随分しっかりやっているなというふうに、私、担当しながら思っております。  ただですね、ただ、こういうものはこれで十分ということはないんですね。ですから、日々、新しい知識があれば、それに基づいて新しい対応をすると、こういうふうなことになるわけです。  今までも、例えば地下鉄サリン事件とか阪神大震災とか、こういうふうな大規模な事件とか事故とか災害、こういうものがございました。そういうものを踏まえて、内閣情報集約センター、これを設けた。これは三年ほど前だったと思いますけれども、そこでは二十四時間体制で情報の収集、整理を行うと、こういうふうなことをしております。  また、最近は重要な空港、港湾に危機管理全体を統括する内閣危機管理官を設置すると、こういうふうな対応もしておりますし、そういうことで、これは切りがないこともあるんですけれども、また、それを十分にすればそれだけ費用も掛かるということもありますけれども、できるだけの施策を行い、対策を行って、そして国民の安全、そして国の安全といったようなものを図っていきたいと、こんなふうに思っております。  そういうことでございまして、委員がおっしゃっているような状況には私はないというふうに思っておるところでございます。
  236. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 何かほんわかしているなという感じで本当に残念なんですが、もう時間もないので、この問題について、私、今現時点で持っている問題意識として、家畜伝染予防法と感染症のすき間、これ人間と家畜、分けられている、ここにも問題があるということを指摘しておきたいと思います。  もう少しお聞きしたかった、特にオウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者の支援についてお聞きしたかったんですけれども、もう時間になりましたので、これで質問を終わります。
  237. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で辻泰弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  238. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、八田ひろ子君の質疑を行います。八田ひろ子君。
  239. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党八田ひろ子でございます。  坂口厚生労働大臣に伺います。  まず最初に、お配りをしておりますこの資料の、ホチキスで留めてあるのの四枚目をごらんください。これは、鹿児島県の医師会からファクスで鹿児島県下の各医師に今月の三月一日、あ、済みません、これの四枚目です、はい。あて先に「夜間大量F—NET」、医師会に登録された電話番号に一斉に送付されたというもので、文書の内容は重大であります。これ、本文の二行目ごらんください。「今年七月施行予定の第二十回参議院議員選挙の対策として特別会費を徴収する」とあり、特別会費賦課額は連盟会員(日医A会員)一人当たり一万円、徴収方法は社会保険診療報酬口座より三月に徴収する、とあります。  医師連盟は医師会を通じてこのように正に一体となって自民党の参議院選挙活動費を集めているということでありますが、これは大問題です。大臣見解を伺います。
  240. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは日本医師連盟からでございますから、まあ日本医師会からこれを行っているんだったらそれは問題でございますけれども、医師連盟でございますので、医師連盟というのは政治団体でございますから、私は、医師会が行ったものとは別に違いますし、厚生労働省が所管いたしますのは医師会の方でございますから、この問題は別途考えるべきだと思っております。
  241. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 政治連盟とおっしゃいますけれども、実際そうなっていませんでしょう。医師会のファクスで送って診療報酬口座からの引き落とし、医師会の業務そのものではありませんか。  鹿児島だけでも医師会のA会員というのは一千二百余名あるということですが、これで一千二百万円です。全国でもしこんなことが行われますと総額八億円、莫大な金額。そうしたお金が社会保険診療報酬の振替口座から徴収されるというのは、公的医療保険のお金が八億円も自民党に自動的に流れる仕組みがあるということじゃないですか。重大だと思わないんですか。
  242. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは私が答えることとは違うというふうに思います。医師会の問題は、公益法人として私の方で所管をいたしております。医師連盟の方は政治団体でございますから、私の方とは違うというふうに思います。  ただ、私の方がいつも医師会や歯科医師会に言っておりますのは、ここは明確に区分されるように、誤解の生まないようにしてくださいということを常々申し上げているところでございます。
  243. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 だれが見ても一体だと思いますよ。こういうことを正さなきゃいけません。まず一体どうなっているか、全国ちゃんと調べるべきだと思いますが、大臣、どうですか。
  244. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 何度か都道府県に対しましても通達を出しておりますし、そして、都道府県の方でいろいろとそのことについて、医師会、歯科医師会その他薬剤師会や看護師会など、様々なその団体に対しまして呼び掛けを行っているということでございまして、鋭意私は改善をされてきているというふうに思っております。
  245. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 この資料は、自民党が医師会という公益団体を下請として使って、組織的にもお金も一体となって集める、驚くべき選挙をやっている、このことを証明していると私は思うんですね。だから、きちっとやめさせるべきなんですよ。指摘されてもどうなっているのか調査さえしないという、そういう姿勢では小泉内閣に清潔な政治を語る資格はないと、こういうことを強く指摘をして、次の労働問題に移りたいと思います。  まず、大臣、一九九九年、ILO総会で提言されましたディーセントワーク、この人間として尊厳を保てる生産的な仕事という考え方と、我が国の労働基準法第一条の労働者が人たるに値する生活との規定、これは同じ方向性、共通性があると私は思うんですが、いかがでしょうか。
  246. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ディーセントワークというのは余り聞き慣れない言葉でございますが、御指摘のように一九九九年のILO事務局長報告において使われているようでございます。仕事における基本的な権利が保護され、適正な収入を生み出し、適正な社会的保護を伴う生産的な仕事を二十一世紀の基本的な目標の一つとして主張されているというふうに承知をいたしております。  このことは、労働基準法第一条第一項に「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」という基本的な姿勢と、ここは同方向を向いているというふうに思っております。
  247. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 全く私の見解とも一致しております。  そこで、具体的な例で順次伺っていきたいと思うんですね。アルミ製造主力メーカー住友軽金属名古屋製造所というところでは、高温の中で長時間変形労働があるわけですが、この会社、九三年から二〇〇二年までの間に四割の労働者削減で、余裕のない職場で労働災害が多発しておりまして、労働基準監督署も是正のために何度も指導が行われておりますが、労災の件数と指導についてまずお示しください。
  248. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 御質問の住友軽金属工業株式会社名古屋製造所でございますけれども、平成十三年から現在まで死亡災害は二件ということでございます。
  249. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 資料の二枚目を見ていただきたいんですが、ここは名古屋製造所だけで二〇〇〇年から今年の二月までに七十件の労災事故、二枚目ですね。新たに労災認定の訴えも出ていて、死亡災害は四人。このほかにも在職死亡が七名、労災、在職死が多いんですね。  その原因は、私は高温の中で二交代による長時間変形労働だと思います。暑熱作業ですね。資料の一枚目、これは今日パネルも持ってきましたが、これは住友軽金属のある労働者の一か月の生活サイクル表です。(資料提示)  拘束十三時間の昼勤が三日続きます。これ三日間ですね。夜勤が翌日から拘束十一時間から十二時間、これが三日。そして、夜勤明けが一日で休日が二日。この長時間変形労働に加えて、暑さでもうろうとして労災の多発につながっていると思うんですけれども、こういう点では調査、監督されているでしょうか。
  250. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 個別の案件でございますので具体的にはお答えしにくいわけでございますけれども、こうした、今御指摘のように、ここで事故があったということであれば、当然のことながら災害監督ということで、原因調査等を含めまして現地の監督署において臨検監督、そういったものを行っているはずでございます。
  251. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 この工場内のアルミ製造ラインの職場では、一昨年の夏に二十一日間の気温を測ったところ、四十度を超えた日が五日で、三十五度を超えた日が十二日です。上司は、もっと高いところが一杯あると取り合わないんですけれども、確かに、圧延職場では四十六度から四十九度なんですけれども、熱中症で倒れて社内診療所で受診する労働者も実際います。高温の中で昼は十三時間を超え、夜は、先ほどのこれですが、十一時間、十一時間、十一時間と、こう働くわけですね。この労働者の場合は、残業は一か月五十三・七五時間、これは厚労省の過労死ラインに当てはめれば黄色信号ですね。健康破壊と死亡労災が多発して、熱中症も発生している職場、これでは大臣、ディーセントワークどころじゃないですよね。  こういう暑熱作業の現場で熱中症の予防対策として温湿度の基準値を定める、これが大事だと思いますが、厚労省、どうですか。
  252. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 御指摘のような暑熱作業所でございますけれども、こうしたものにつきましては、従来から、労働安全衛生法等に基づきまして、換気でございますとか、そうしたものをきちんと行って対策を行うということを指導しているわけでございます。  ただ、御指摘のように、具体的に何度以下は危ないとか、そういうふうな絶対的な温度についての基準というものは現在のところございません。
  253. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ここに中央労働災害防止協会のパンフレットがあるんですけれども、ここではWBGTの基準を示しているんですけれども、これはどうですか。
  254. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) お配りいただきました資料にもございますように、これは日本体育協会が作成した「熱中症予防のための運動指針」というもの、これを引用した格好で中央労働災害防止協会、これが熱中症予防対策の指針として活用しているということは承知しております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、実際に具体的な温度、絶対的な温度の基準は現在のところ定めてはおらないということでございます。
  255. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今の資料の三枚目をごらんいただくと、局長の読まれた上のところですね、ここに、熱中症を予防するためにはWBGTを測定して暑熱の程度を知り、適切に管理することが必要である、日本産業衛生学会も勧告しているんですね。局長が言われたこのパンフレットも労働省の監修なんですけれども、「作業の場合も目安として利用できます。」とわざわざ書いてある。こういう指針があるんですよ。それなのに、規制も作らない、基準もない、こういうのは私は問題だと思うんです。  高温の中での長時間変形労働については、二交代でなく三交代にした上できちんとWBGTに基づいて規制すべきだと思うんですけれども、大臣、お考えになりませんでしょうか。
  256. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは常時の温度がどれだけかということと、いわゆる瞬間風速、一時的なと申しますか、瞬間風速というとちょっと短過ぎますけれども、一時的に高くなるという場合と、様々あるだろうというふうに思いますが、しかし、常時高いというのは体に対してかなりな影響を与えることは事実でございますから、今後、一遍検討いたします。
  257. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 是非そうしていただきたいんですね。高温での長時間変形労働時間そのものも規制する、こうしないと人たるに値するとさっきおっしゃった労働基準法の根本も守れませんし、政府がきちんと責任を持っていただきたいとお願いしておきます。  もう一つの観点ですが、残業なんです。残業は臨時的なものと私は理解しておりますが、どうでしょうか。
  258. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 残業といいますといろんなとらえ方あるかもしれませんが、取りあえず労働基準法で定めます法定労働時間を超えるものを残業というふうにした場合、この労働基準法では三十六条で、協定に基づき法定労働時間を超えて働かすことができるというふうにされております。  この場合、コンメンタール、私どもの監修しておりますコンメンタールにおきましても、この残業という、残業といいますか時間外労働といいますのは、無制限にできるものではなくて、あくまでも臨時的なものであるということで、なるべく少なくするようにということが望ましいということで、協定でございますので、この協定を結びます労使がそれぞれ自覚を持ってそういった方向で考えてほしいということを期待しているというふうに考えております。
  259. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そうなんですよね。  それで、この生活サイクル表をもう一度見ていただきたいんですけれども、(資料提示)昼と夜の二交代で二十四時間をこれ操業しているわけですね。こんなようなところは、二交代でやっているところはほかのアルミメーカーないんです。  生活サイクル表のこの赤くかいてあるところが所定内勤務で、オレンジは残業なんですね。昼勤の場合、三時間四十五分の残業をして、朝八時から九時までが通常サイクル。一方、夜勤の労働者は、夜の九時から一時間早出残業、オレンジの部分が必ずあります。翌朝の八時まで更に残業のある日もあるわけです。つまり、こちら側のところですね。ここがもう残業がずっとあるという、そういうローテーションなんです。  元々臨時的で、今言われた、必要最小限にしなければならない残業を見込んでいる、これ無理だと思うんですよね。二交代に問題があるんですけれども、やっぱりこの二十四時間操業するようなところでは、せめて三交代、八時間を原則とした、そういうのが必要だと思いますけれども、そういう面では、大臣、どう思われます。
  260. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 確かに二十四を三で割りますと八になりますけれども、それとはまた別にいろいろ休暇の取り方、そうしたことによりましても実質的な休養等は取れるわけでございますので、それは各事業場の中で労使一緒になって考えていただければというふうに考えております。
  261. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大臣に伺いたいんです。  昼勤には、この方は三食、会社なんですよ。実際に拘束十三時間で、おふろとかいろいろありますからね、三回食事を会社でしなければいけない。こういう残業の組み込まれ方って、どう思われます。
  262. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは、先ほど局長からも答弁しましたように、やはり労使でよくお話合いをしていただいて、そしてどういう労働条件にするかということをお決めいただくのがまず原則だというふうに思います。その中でいろいろのことが起こってくる。それが守られないということになってくれば、それに対して行政の方もそこに御相談に乗るということになるんだろうというふうに思っておりますから、そこはひとつ労使でよくお話合いをしていただいて、どうするかということがまず第一というふうに思っております。
  263. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大臣、労使で話合いに任していては労働者が守れないから労働基準法を作ったんだって書いてあるじゃないですか。さっき第一条の精神、あなたはおっしゃったじゃないですか。厚生労働省は所定外労働を減らすために変形労働制を活用するんだって、パンフレットまで出していますよ。ところが、長時間の変形労働プラス恒常的残業、これでは全然駄目じゃないですか。  で、こういう問題と、こういう中で有休も取れないんですよね。さっきの生活サイクルなんか休日出勤やるんです。これ、恒常的ですよ。人員が全く余裕がないから、だれか休む、代休であれ有休であれ、そうしたら休日の人が出てくる。ここの会社は九三年から二〇〇二年までの間に一千二百六十九人、四割の人減らしなんです。三千百七十七人だったところが千九百八人です。その結果、有休も取れないんです。この夏季の連続休暇合わせても、一年間に七、八日の有休なんです。  今、有給休暇は完全取得すれば百五十万人の雇用創出があるっておっしゃっていますけれども、有休も取れない、過労死さえ生み出す長時間労働者がいる、一方で失業者が増えている、こういうときだったらやっぱり労働条件を労働基準法の精神で改善をする、そしてこの有休も取れるようにする、これが必要だと思いますが、どうでしょう、大臣
  264. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 何度か言っていただきまして恐縮でございます。  先ほど申しましたとおり、具体的なそのお話、急に今ここでお聞きして、私がとやかく言うわけにはまいりませんが、すべての場合に共通して言えますことは、原則として労使でこの労働時間というのはお話合いをしていただいて、そしてそれに従って皆さんが御努力をしていただくというのが私は原則だというふうに思うんです。  ですから、その企業が労使でどういうふうなお話合いになっているのかということを私もよく存じませんし、それらのことをまずお伺いすることの方が私は先だというふうに思います。
  265. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 労働基準法にのっとって人間らしくまともに暮らせる働き方のルール作り、促進をさせていただきたい、これを申し上げまして、関連質問に譲ります。
  266. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。井上美代君。
  267. 井上美代

    井上美代君 日本共産党井上美代でございます。  私は、今日、最低賃金制度を中心に質問をいたします。  最近、民間のシンクタンクは、急増するフリーターがGDPを二%近く押し下げているという、こういう試算をしたレポートを提出、発表しております。  近年は、若者や女性だけではなくて、働き盛りの男性たちの中にもパートなど不安定雇用が大変増えていることは、もう皆様方御存じのとおりであります。サラリーマンの所得というのはもう本当に連続して下落しており、そして年収三百万円時代と言われ、低賃金、不安定雇用の急増というのは国民の購買力の低下と消費不況の長期化をもたらすとともに、今、国会の争点となっている年金制度にも深刻な影響を及ぼしております。  皆様方のお手元に資料をお配りしております。それを見ていただきたいんですけれども、労働者全体に占める短時間雇用者の比率なんですけれども、二〇〇五年から二〇二五年までの将来見通しを示したものなんです。  平成十年の推計と、そして平成十四年の推計を比較しておりますけれども、この短時間雇用者とは、御存じのように、パート、派遣、契約社員などが大半なんです。平成十年のこの推計というのは、前回の二〇〇〇年の年金の改正案の前提となったものです。また、平成十四年の推計というのは、今回の政府案の前提となっているものなんです。  この四年間で見通しがどのように違ってきたのか、なぜ違いが出てきたのか、きちんと説明をいただきたいと思います。政府参考人
  268. 青木功

    政府参考人(青木功君) 労働力人口の推計の問題でありますけれども、今お話ございましたように、平成十四年度に行いました労働力人口の推計に用いた短時間雇用者比率は、二〇二五年において三五・八%程度というふうに見込んでおりますが、平成十年度推計よりも一〇・五ポイント程度高く見込んでおります。  これは、平成十年時点での推計以降、想定していたよりも短時間雇用者の比率が高まったために、平成十四年度推計においては短時間雇用者比率がより上昇するものと見込んだ推計になった結果によるものでございます。
  269. 井上美代

    井上美代君 本当に違いが出ている、この表を是非見詰めてほしいというふうに思います。  政府の当初の見通しを上回って、短時間の雇用者、つまり不安定雇用労働者が激増する見通しとなっております。その背景に、ここ数年の財界と政府が一体になったリストラと、そして雇用の流動化があることは明らかだというふうに思っております。  正社員とそしてパートの賃金格差というのは、もう本当に広がる一方であります。パートの多くは最低賃金水準で働いております。雇用と賃金を改善することは、景気のためにも社会保障のためにも本当に急務になっているというふうに考えておりますが、最低賃金制度に絞って今日は質問をいたします。  最低賃金制度は、国が法律の強制力をもって賃金の最低限度を定めるものですが、最低賃金制度の根幹には生存権を定めた憲法二十五条があります。それに基づく労働基準法第一条には、労働者が人たるに値する生活を営む権利があります。最低賃金制度はどのようなもので、そして、憲法の二十五条の生存権はどのように生かされているのかということを答弁願いたいと思います。
  270. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 最低賃金法でございますけれども、これは今御質問のように、憲法第二十五条の趣旨、さらには労働基準法第一条、こうしたものを踏まえまして、最低賃金法第一条にございますように、賃金の低廉な労働者の労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、事業の公正な競争の確保などに資することを目的とするというふうにされております。  また、具体的な最低賃金の決め方でございますけれども、これは、この最低賃金法第三条「最低賃金の原則」という条文ございますが、ここにおきまして、最低賃金は、一つは労働者の生計費、二つ目、類似の労働者の賃金、三つ目、通常の事業の賃金支払能力、この三つの要素を考慮して定められるというふうに規定しているところでございます。
  271. 井上美代

    井上美代君 今言われたことが現状の中でどうなっているかということを見てみたいというふうに思います。  全労連傘下の労働組合の若者たちが最低賃金で実際の生活を一か月送った体験記をずっと報告しております。何百人という人たちがいるんですけれども、全国平均では時給は六百六十一円というのが今の平均です。そして、八時間、週五日働いて一月で十二万二千円弱という本当に低い水準で働いているわけなんです。  その現状はどうなっているかというと、朝食は抜いて一日二食です。そして、食費は昼三百円。この三百円というのは、外では食べられません。外で食べたらもっと掛かります。夜は五百円で、もう外食は全くないという生活です。散髪には行かない。そして、誘いを断り切れずに一回飲んだらもう翌日からもう計算が狂ってしまうという、そういう生活なんですね。休日は家にこもったきりだということなんです。また、別の人ですけれども、この人は本も新聞も買わずに、服も買わない、食事も半分、貯金はもちろんできない。  もう本当にそういうのが並んでおりまして、私は聞いて、見ていて、本当にこれは大変な生活だというふうに思っております。最低賃金で生活をしていくということ、これは大変過酷な生活になっているということを私は強く感じております。  そこで、私は大臣に御意見を聞きたいと思います。一体、このような現状になっている、法律ではきちんと言っておりますけれども、このような現実になっているというこの現状を大臣はどのようにお考えになるでしょうか。どのようにお感じになるでしょうか。御答弁を願いたいと思います。
  272. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 最低賃金制というのは、これは都道府県によりまして若干違いますし、都市部と田舎の方とでは違うというふうに思います。  これはもう読んで字のごとく最低賃金でございますから、別に最低にしろということを言っているわけではなくて、一番最低がここということを決めているわけでありますから、できる限りそれよりも高い賃金と申しますか、そういう日々の賃金にしていただくことが望ましいことは事実でございますが、最近のような経済動向もあってなかなか思うようにいかない企業が多いこともまた事実でございます。そうした中で、今お挙げになりましたような方もそれは中にはお見えになるんでしょう。しかし、すべての人がそうとはなかなかそれは言えないわけでありまして、もっとお仕事をなすっている方もありますし、いたしますから、そこは様々だというふうに思っております。  そして、先ほど二〇二五年までのカーブが出ましたが、あれは厚生労働省の出したものでしょうか。ちょっと私は、うちから出したもので私が異議を唱えておっては話にならぬわけでございますけれども、これから……
  273. 井上美代

    井上美代君 厚生労働省ですよ、厚生労働省ですよ。
  274. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 厚生労働省ですか。これからいわゆる労働力人口減っていくわけですね。二〇一五年ぐらいになりますと約四百万ぐらい、三百九十万から四百万ぐらい、六十歳以下の、この人だと減ってまいります。二〇二五年だったら八百万ぐらい減ってくると思うんですね。その中で、このいわゆる短期労働者と申しますか、パートの人たちがどんどんと増えていくかどうかということは、いろいろのこの要素を踏まえて検討しなければ分からないことだというふうに思っております。
  275. 井上美代

    井上美代君 今現状を申し上げましたけれども、そういうのは、こういう人もいるけれどもそうじゃない人もいるだろうとおっしゃいましたけれども、私は、大臣、もっと現状をごらんになっていただきたいというふうに思います。多くの方がこれです。  そして、御存じのように、目安は変わっておりません。労使の一致がないということで凍結したままです。だから、そういう現状も大臣に打開してもらわなければいけないと思っておりますので、頑張ってほしいというふうに思います。  次に、私は、その最低賃金と生活保護の水準を比較してみたいと、こういうふうに思うんです。  生活保護というのは、皆さんも御存じのように、死ぬか生きるかという最後の命綱として、厳しい審査の下で支給をされているものです。だから、対象も性格も最賃とまた違ったものではありますけれども、これをいろいろ比較ができるようにしたいというふうに思うんです。  例えば、東京で二十代と三十代の若いサラリーマンがいますけれども、この独りで暮らしている場合に生活保護による保障の水準は幾らになるでしょうか。そしてまた、勤労に伴う、働いている人に対しては勤労に伴う必要経費というのが付くわけですけれども、それも加えて、内訳も含めて幾らになるのか、御答弁を願いたいと思います。
  276. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) お尋ねの生活保護基準額でございますが、これは要保護者の年齢別、世帯構成別、所在地別に定められているわけでございますが、東京二十三区内在住の二十歳から四十歳までの単身者の場合、これは生活扶助は月額八万四千八百六十円でございます。これに住宅がない方の場合には月額五万三千七百円を上限とする住宅扶助が実費で支給をされます。よって、基準額は、上限で合計月額十三万八千五百六十円ということでございます。  ただ、被保護者に勤労収入がある場合には、基本的にはこれは生活に充てていただきまして、その分保護費が減額されるということでございますが、被保護者の勤労意欲を増進するために、勤労収入の一部を収入額に応じて手元に残す勤労控除の仕組みを設けております。この平均控除額は約二万円となっておりまして、これを考慮いたしますと、働きながら生活保護を受給している単身世帯の場合、実際に消費し得る水準としては約月額十六万円ということになろうかと思います。
  277. 井上美代

    井上美代君 今十六万円という御答弁をしてくださいましたけれども、この生活保護の十六万円には税とそして社会保険料というのは含まれていないんです。だから、普通のサラリーマンは税や社会保険料を払っておりますので、この十六万円に税と社会保険料を足したものがサラリーマンの最低生活費になるというふうに思うんです。  独り暮らしのサラリーマンで税と保険料を除いた所得が十六万円の人、つまり年収で二百万円ぐらいの人ですけれども、収入に占める税と社会保険料、この割合は、この総務省の家計調査で調べてみますとおおむね一一%となっております。この一一%を使って十六万円から計算をしますと、最低生活に必要な賃金収入は約十八万円という、こういう計算になります。  東京のこの最低賃金は、時給が全国一でたったの七百八円なんですね。一日八時間、月二十二・五日働いたとしたら十二万七千四百円、これが金額です。十八万円の七割しかない、五万円も下回っているという、このような最低賃金でございます。  私はこの最低賃金を引き上げるべきだというふうに思っておりますけれども、大臣の御答弁を求めたいと思います。
  278. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今、話聞いていますと、その生活保護の方が高過ぎるような話でございますけれども……
  279. 井上美代

    井上美代君 違うんです、そういうんじゃないです、違いますよ、それじゃ解釈は。
  280. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 最低賃金、本当に最低賃金でどれだけの人が働いているかでありまして、それはそれぞれの人の立場によって私は違うというふうに思っております。  したがって、今後全体をよく見ながら考えていくということだと思います。
  281. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) もう時間が参りましたので。
  282. 井上美代

    井上美代君 はい。
  283. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で八田ひろ子君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  284. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  285. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず初めに、劣化ウラン弾のことについてお聞きをいたします。  オランダはアメリカに対し、イラクのサマワにおける劣化ウラン弾の使用につき問い合わせをし、回答を得ました。日本はアメリカに対し問い合わせをしたのでしょうか。
  286. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) いたしまして、米国から関連する情報の提供を受けております。
  287. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 どういう回答だったのでしょうか。
  288. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私どもがアメリカ側から得ている情報には、これは軍事的に機微な情報も含まれておりますし、また相手国との信頼関係もありまして、内容をつまびらかにするということは差し控えたいと思いますけれども、カンプ・オランダの国防相がオランダの議会で述べたように、劣化ウラン弾の大部分はムサンナ県よりも北側で使用されたが、サマワ地域においても使用された模様であると、そういう認識を持っております。
  289. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 サマワでも使われたという回答は得られたのですね。
  290. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) サマワでも使われた模様であるという認識を持っております。
  291. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 模様であるという意味が分からないんですが、使われたのですか、使われていないのですか。
  292. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  オランダのカンプ国防大臣、オランダの議会で証言しておりますが、数回使われたというふうに証言をしております。私どもとしても同じ認識を有しております。
  293. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 オランダの上院予算委員会でオランダは、イラク戦争の劣化ウラン弾の全容を請求し、調査をしております。オランダの上院予算委員会でやれることが日本の予算委員会でもきちっとやれるべきだというふうに思っています。  英国において、で、サマワで劣化ウラン弾が使われたという回答を得ているわけですから、その点について日本政府は何か対応あるいは情報を自衛隊に伝達するということはしているのでしょうか。
  294. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この点につきましては、防衛庁ともよく協議の上、私どもとしての対応を考えております。
  295. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 国会で劣化ウラン弾のことは何度も質問されていますし、私もしております。もう自衛隊はサマワに行っているんですよ。今協議をしているというのはどういうことでしょうか。
  296. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) オランダのカンプ国防大臣のその議会証言でもございますが、この米国からの提供を受け、オランダも新たに計測をいたしましたけれども、この点について懸念となるものはない、しかしその劣化ウラン弾が発見された地域は現在効力を有する指示に従って標識を立てられているということでありまして、予防的な措置を講じているというふうに理解しております。  私どもとしましても、そういう認識に立って、しかし十分なその準備をする必要があると、こういう認識でございます。
  297. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 十分な準備をして自衛隊の人たちにどういう情報の提供をしているのか、していないのか、どうなんですか。
  298. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 防衛庁とは緊密な連絡を取り、防衛庁の方でもこの点については十分認識をされていると承知しております。
  299. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 十分の認識をしているのは分かります。しかし、サマワに派兵されているのは自衛隊員の当事者ですから、そこに対して情報の提供ということなどはなされているのでしょうか、対策は取っているのでしょうか。
  300. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ただいま外務省からお答えがあったとおりでございますが、十分な情報を私ども、外務省と共有をいたしております。  対策につきましては、何度か先生にお答えをしたとおりであります。
  301. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、私が聞きたいのは、じゃ、端的に聞きます。自衛隊の人に対して、サマワで劣化ウラン弾が使われたという回答をアメリカから受け、そしてそれについての対策を自衛隊にきちっと情報提供しているかという質問です。
  302. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 私どもが米国より入手しました情報については、防衛庁とも協議をしております。
  303. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、協議は結構なんです。協議は結構なんですが、実際、自衛隊がサマワへ行き、働きに来ているわけですから、それに対してなぜ手を打たないのかという質問です。
  304. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生おっしゃる手を打つというのがどういうことなのか、ちょっとにわかには理解しかねるところでございますが、現場の隊員も当然必要な情報は有しておるわけでございます。  現場の隊員の安全について、私どもが米国あるいはオランダから得た情報で現場の隊員の安全の確保に必要な情報は与えておりますし、そのための対策というのは累次お答えをしておるとおりでございます。
  305. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 日本がアメリカから情報を得たのはいつで、そして自衛隊のサマワにいる人たちに対してきちっとその情報を現場に伝えたのでしょうか。そして、伝えたとしたら、それはいつですか。
  306. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 米国よりその情報を入手したのは二月二十日でございます。
  307. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 後の質問。
  308. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) その時点で防衛庁ともその情報を共有をしております。
  309. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 共有は分かりました。具体的に現場にそれを説明し、隊員には徹底をしているのでしょうか。
  310. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 当然のことでございます。
  311. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 手元に配付している資料を見てください。  これは、イギリス軍が自分の、イギリス軍兵士に対して配っているものです。劣化ウラン情報カードです。あなたに何か問題があった場合はすぐ基地に戻り、すぐ所属する部隊の軍医官に相談をしてくださいという、国防省のホームページからも情報を得ることができます、こういうカードを配っています。  日本は自衛隊の人たちに対してどう説明をしたのでしょうか。
  312. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御指摘の、今委員の皆様方にもお配りをいただいておりますカードでございます。このカードがあることは承知をいたしておりますが、先生、今いみじくも御指摘になりましたように、イギリスの国防省のホームページには何が書いてあるかといいますと、イギリス国防省が生物学的検査として被曝検査を行うこととしておるのは、正に劣化ウラン弾が撃ち込まれた車両に搭乗していた兵士、すなわち、イラクは劣化ウラン弾を使っていませんけれども、あるいは同士討ち等々によって、イラクは使っておるとは承知をしておりませんが、あるいは同士討ち等々によってまさしく戦争中に戦車等々に搭乗しておって、それに劣化ウラン弾が撃ち込まれたというような人か、若しくは破壊されたイラク軍の、劣化ウラン弾によって破壊されたそのような戦車に、戦車等々に必要があって乗った者、立ち入った者、そういう者が対象でございます。  私どもはそういうような現場に遭遇することはございませんわけでありまして、イギリスのホームページにそのように書いてある、しかしながら、それが対象となっているのは今申し上げたような者であって、私どもの自衛隊はそういう場面には遭遇をしないということでございます。  しかしながら、危険が全くゼロということは申し上げられませんので、累次申し上げておりますように、ガイガーカウンターあるいは線量計というものを部隊そしてまた個人が所有をして行っておるということであります。
  313. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、私は、石破防衛庁長官の劣化ウラン弾に対する認識が非常に間違っていると思います。  というのは、金属ですし、粉末で空中を浮遊するわけですから、吸い込むと体内を、少量でも体内で被曝をし続けると。ですから、当時戦車に乗っていなかったとしても、空中で、砂漠の中で、粉じんの中で劣化ウラン弾を吸収することは、それは十分あり得るわけです。だからこそ、日本もきちっとオランダ軍がやったように調査をし、かつ警告をきちっとし、手当てを考えるべきだと思います。  では、外務省、私はイギリスがこういうカードを出しているということにもある種驚きましたが、一つは、イラクの人たちにこそこういう情報の提供をすべきではないか。これはいかがでしょうか。
  314. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  この劣化ウラン弾の健康に及ぼす影響につきましては、先生御承知のとおり、いろんな国際機関のレポートが出ており、直ちに健康に影響があるという断定的なものは出ておりません。また、オランダにおきましても、こういう予防的な措置は取られておりますけれども、オランダ政府も同様な見解を有しております。  しかし、国際的な結論は出てないまでも、この劣化ウラン弾の影響については、オランダであれイギリスであれいろんなその検討がなされているわけでございますから、それを踏まえて対応するということは必要かもしれません。今先生おっしゃったとおり、自衛隊においてもそういう意識を持ってその活動をしているということでございます。  現時点におきまして、イラクの人々に対しましては、先ほども申しましたとおり、立札を立てるなりの警告がなされておりますが、私どもとしても、そういうことを認識しながらイラクの人たちに対しての周知はできる限り進めるべきであろうと考えておりますが、具体的にはどのような対応になるかということについては十分具体的な事例をもって判断すべきであろうと考えております。
  315. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 イラクの人々たち、人々に対してこそ知らせるべきだとおっしゃいました。大至急それについて検討し、イラクの人々に対してこそ情報が渡るように、劣化ウラン弾の被害が未来に広がらないようにということを強く申し上げます。  ところで、先日、イギリスにおいて、湾岸戦争中に劣化ウラン弾に被曝した退役兵士が劣化ウランの影響で健康を害したと訴えていた裁判で、年金控訴審は、今年二月四日、請求を認める決定をし、劣化ウラン弾による健康被害を公式に認めました。このことを御存じでしょうか。
  316. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。  英国のエディンバラの年金提訴審判所が今年二月に、湾岸戦争の際に劣化ウラン弾による健康被害を受けたと主張しておられる退役軍人の方の事案に関しまして、この方の年金の支給額が満額支給の場合と比べて半額、半減されているということのようでございますけれども、その軍人の方の年金額を見直すよう命ずる判断を行ったということを報道で承知しております。
  317. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 劣化ウラン弾による健康被害が認められたのではないですか。
  318. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) 私ども、この報道を見まして、英国の国防省に事実関係を照会をいたしました。先方からの返事でございますけれども、国防省として現在審判所の判断の及ぼす影響や本年年金額について検討中であるという返事をいただいております。
  319. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 裁判で湾岸戦争で劣化ウラン弾で被害があって健康被害があるという立証をするということはとても困難なことだと思います。にもかかわらず、それが裁判所で認められた、劣化ウラン弾の健康被害が時を経て認められたわけです。  日本政府は相変わらず劣化ウラン弾は人体に影響がないと断言をされるのでしょうか。
  320. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) この審判、年金提訴審判所の判断でございますけれども、どういう理屈付けでもってその今申し上げたような判断をしているかというところは私ども承知しないわけでございます。  他方、同僚の政府参考人の方からの御説明もございましたけれども、イギリス国防省でございますが、このホームページにおいては劣化ウランが紛争後の健康被害の原因であるとすることを示す信頼に足る科学的、医学的証拠等は存在しないと記述されております。また、劣化ウラン弾の健康被害などにつきましては、これまでに国際機関などによる調査が行われておりますけれども、国際的に確定的な結論は出されておりません。  したがいまして、政府としては、劣化ウラン弾に関する国際機関等による調査の動向を引き続き注視していきたいと考えております。
  321. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、そんなことをやっていたら手後れになりますよ。  このイギリスの国防省が出している劣化ウラン情報カードにはこう書いてあります。あなたは劣化ウランが使用された戦場に派遣されています。劣化ウランは低度ながら放射性の重金属であり、健康被害を引き起こす可能性があります。あなたは任務中に劣化ウラン弾を、劣化ウランを含んだちりにさらされたかもしれません。だから対処せよって書いてあるわけですね。日本が相変わらず人体に影響があるかどうか分からないという答弁を繰り返していることは全く理解ができません。
  322. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、ホームページにどのような人が対象になっているかというと、まさしく劣化ウランに被弾した車両に乗っていた人とか、あるいはその後、劣化ウランによって破壊された車両に何らかの事情があって立ち入った人とか、そういうのが対象になっておるわけです。  しかしながら、私どもは隊員の安全というものをきちんと考えて、さればこそ、ガイガーカウンターも部隊に保有し、そしてまた個人に蓄積された放射能というものを調べるために線量計も保有をし、そしてまた健康診断、そのようなものも行い、医官も派遣をしておるわけでございます。ですから、私どもは、先生御指摘のように、劣化ウランに対する認識が甘いとか、それに対して隊員に対する対処がいい加減であると、そのようなつもりは全くございません。
  323. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福島瑞穂君、もう時間ですから一言。
  324. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 はい。  しかし、政府は人体に関する影響が明らかでないとしているわけですね。そして、私が声を大にして言いたいのは、イラクの写真集を見ていますと、子供が戦車、劣化ウラン弾が被弾された戦車で遊んでいたり、金属をはがそうとやっている、そんな写真もあります。正にイラクの人々はもっと情報がないまま被曝をしているかもしれないという現状があります。  この点について、自衛隊員の命、そしてイラクの人々に対して、劣化ウラン弾をなくすために日本政府が真っ正面から対応されることを心から本当に要求し、私の質問を終わります。
  325. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  326. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  327. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 数年前に米軍が久米島の鳥島射爆撃場で訓練を行い、劣化ウラン弾を発射して問題になったことがありました。今回、同じ鳥島射爆場で海上自衛隊が次期哨戒ヘリSH60Kに搭載を予定している対艦ミサイルの発射実験を行おうとしております。久米島沖は良好な漁場でありますし、操業の安全上の問題などから、久米島町やそして自治体あるいは議会などはこの問題について非常に反対をし、沖縄県漁連などが発射実験の中止を求めております。県も基地の固定化と基地負担の増大につながることが懸念されるとして反対を表明しております。  そこで、私は、海上自衛隊はこの実験計画の中止を速やかに決定すべきであると考えておりますけれども、防衛庁長官見解を求めます。
  328. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、現在使用しておりますSH60Jというものを、後継機でございますSH60K、これに搭載いたしますヘルファイアと申します、先生御指摘の空対艦、対艦ミサイルの実験のことを指しております。  これは、一つはレーザーを使用いたしまして管制を行います関係上、そのような適地がこの地をおいてほかにないという理由が一つございます。  これが固定化につながるのかとか、あるいは負担の増加につながるのではないか、そういう御懸念が今先生から表明をされました。それは、沖縄県においてもそのような議論が県議会であったことも承知をいたしております。しかしながら、これはそのような事情に基づくものでございまして、固定化あるいは沖縄の御負担の増加、それにつながるとは私は考えておりません。  したがいまして、地元の皆様方にそういうような御懸念を抱かせるようなことがないように、今後とも誠心誠意私ども御説明をしてまいりたい。固定化や御負担の増大につながるものだということはございません。
  329. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いずれにいたしましても、県民としてはこういったミサイルの発射実験というものは容認できないということを申し上げまして、絶対に反対であるということを申し上げますので、是非中止をよろしくお願いします。  恩納村でのPCB処理施設の建設計画についてお尋ねいたします。  返還されたアメリカ海兵隊通信所跡地の浄化槽跡の汚泥から一九九六年三月にポリ塩化ビフェニルや水銀などの有害化学物質が検出され、現在、航空自衛隊恩納分屯地内で保管、仮保管中であります。PCB汚染の量は三百二十二トン、ドラム缶一千八百十本分であります。  そこで、この問題についてお伺いいたします。  まず、有害物質汚泥を発生させたと思われる米軍は、日米地位協定第四条によって、浄化義務や汚染物質の搬出、撤去の義務はない。しかも、施設の返還合意後、実際に施設が返還されるまでの間の施設内の環境調査も認められておりません。そのため、地権者や地元の自治体は多大な不利益を被っております。  外務省は、返還予定地施設に対する事前の環境調査権を認めさせる地位協定の改定をすべきであると思いますが、どうですか。
  330. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。  我が国の米軍の施設・区域への立入りにつきましては、一九九六年十二月に施設・区域の立入り許可手続に関する日米合同委員会合意がございまして、これに基づきまして所要の手続が定められております。  今御質問にありましたような立入りということであればこの手続に沿いまして米側と調整の上行われるということになりますが、その際、米軍は、地域社会との友好関係を維持する必要性を認識して、立入りが軍の運用や施設・区域の運営を妨げること等のない限りにおいて、立入り申請に対してすべての妥当な考慮を払うということになっております。実際、この手続に基づきまして環境に関する多くの立入りが行われてきております。  政府といたしましては、この枠組みの中で引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  331. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 那覇防衛施設局は、一九九七年、恩納村との間で処理までの一時保管の確認書を交わして、地元に汚泥の村外撤去の期待を抱かしております。  二〇〇三年十一月、現在保管中の航空基地内にPCB処理施設を設置する計画を同村に通知するとともに、村外への撤去について施設局は、PCB処理特措法によって村外に持ち出せないというようなことで、撤去を拒否しているというふうな実態がありますけれども、これは事実ですか。
  332. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、現在、航空自衛隊恩納分屯基地内にPCB等含有汚泥約三百トン、ドラム缶にいたしまして約千八百本の量のPCB汚泥を保管しているところでございます。  この御指摘いただきましたPCB含有汚泥の恩納村外への持ち出しでございますけれども、一般論としましては、当庁が保管しているPCB等含有汚泥を恩納村以外の地域に適切な方法により運搬し、既存の処理施設があればそこに運搬して処理をし、あるいは当庁で処理施設を設置して処理することは、法律上は可能であろうかと思っております。しかしながら、現時点ではPCBを含む汚泥の処理のできる既存の施設、これは国内どこにもございません。また、現実の問題としまして、当庁が新たに他の場所で処理施設を設置し、処理する場所も見当たらないため、早期に恩納村外に持ち出すことは困難であろうかと考えております。このため、当庁としましては、保管している汚泥の早期処理を図る観点から、空自恩納分屯基地内に自前の処理施設を設置して処理したいと考えておるところでございます。
  333. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 去る二月四日の毎日新聞、朝日新聞などは、北海道室蘭市が東北など十五県のPCB廃棄物処理を受け入れることを表明したと伝えています。このことからも、恩納村のPCB廃棄物を沖縄県外に持ち出せないという説明は理解し難いのでありますけれども、もう一度御見解をお願いします。
  334. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  現在、環境事業団の方におきまして、全国五か所におきましてPCBの処理施設を建設していることは承知しております。しかしながら、PCBの廃棄物でございますけれども、この形態は様々でございます。形態によりまして処理方法あるいは処理施設が異なってまいるわけでございます。現在、環境事業団におきまして建設予定をしております処理施設は、いずれも高圧トランス、高圧コンデンサー、あるいはPCBを含む廃油等の処理を対象としているわけでございまして、PCBを含む汚泥については処理の対象とはなってないものと承知しております。  このため、私ども、PCB特措法がPCB廃棄物を保管事業者自らが処理することを促進しているという法の考え方、また地元恩納村から早期処理を求められているということ、また先ほど申し上げました環境事業団において進めているPCB廃棄物の処理体制の進展状況、こういったものを考慮いたしまして、空自恩納分屯基地内において自前の処理をしたいと考えておるものでございます。
  335. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それで、今九州に、御説明のように環境事業団が九州にも設置しているいわゆる処理施設を、そこでは汚泥になっているPCBは処理できないというふうな判断ですか。
  336. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) お答え申し上げます。  現在、北九州で整備しております処理施設におきましては、沖縄県を含む九州、四国、中国の十七県分のPCB廃棄物処理を考えております。対象が高圧トランス、高圧コンデンサーなどでございまして、PCB汚泥については処理の対象にはなっておりません。これにつきましては、全国的に今後処理体制の確立を急ぎたいと考えております。
  337. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それじゃ、もう沖縄、恩納村でしかできないというふうな考え方ですか。
  338. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) もし現に保管している方が自分で好ましい方、望ましい方法で処理できればそれでよしというふうに考えておりますので、現在の防衛施設庁が的確な方法でやることについて特に問題はないと考えております。
  339. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 在日米軍が昨年十一月、沖縄県金武町の米海兵隊キャンプ・ハンセン内の演習場レンジ4、陸軍特殊部隊グリーンベレーが使用する都市型戦闘訓練施設を建設すると在日米国大使館を通じて日本政府に伝達したということであります。この演習場は、民間地域に極めて近接している上に、過去に跳弾事故等を引き起こしたとのことで、引き起こしております欠陥演習場であります。したがって、地元は危険と不安の発生源である同演習場での新たな訓練施設建設については猛反対をしております。在日米軍は日米地位協定第三条の施設管理権によって施設内ではどんなことでもできるというようなことによって、地元住民の危惧と不安を取り除くことができません。  外務省は、なぜ住民、県民の立場でその訓練建設、建設中止を申し入れないんですか。
  340. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 地元の方がこれについて危惧を抱かれ、反対をしていらっしゃるということについてはよく承知をいたしております。  それで、この訓練施設というのは、委員も御案内のように、アメリカが施設・区域の管理権の行使の一環として施設・区域内にアメリカの予算によって建設を予定しているものであります。日米地位協定上、米軍が施設・区域内における作業に際して公共の安全に妥当な考慮を払う義務、これを負っているわけです。いるわけですが、今回の建設計画については、安全、地元の方々の御懸念にも一定の配慮をしたものであるというふうに理解をいたしております。このような次第につきましては、外務省からも地元の方に説明をさせていただいているわけです。  地元の方の御懸念、反対ということは、先ほど申しましたように承知をしております。外務省としては、政府に、アメリカに対して引き続き安全の保持、安全を大事にするようにということについては配慮を求めていきたいというふうに考えています。
  341. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですので、終わります。
  342. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は来る十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会