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2004-03-11 第159回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      高嶋 良充君     峰崎 直樹君      森 ゆうこ君     大江 康弘君      遠山 清彦君     森本 晃司君      小泉 親司君     宮本 岳志君      福島 瑞穂君     又市 征治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 扇  千景君                 岸  宏一君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 仲道 俊哉君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大江 康弘君                 大塚 耕平君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 中島 章夫君                 樋口 俊一君                 平野 達男君                 峰崎 直樹君                 高野 博師君                 森本 晃司君                 山本 香苗君                 紙  智子君                 林  紀子君                 宮本 岳志君                 又市 征治君                 島袋 宗康君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    副大臣        法務副大臣    実川 幸夫君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        文部科学大臣  原田 義昭君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        農林水産大臣  市川 一朗君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西川 公也君        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        財務大臣政務官  山下 英利君        国土交通大臣政        務官       佐藤 茂樹君        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼内閣官房構造        改革特区推進室        長        滑川 雅士君        司法制度改革推        進本部事務局長  山崎  潮君        内閣府政策統括        官        中城 吉郎君        内閣府政策統括        官        小平 信因君        内閣府政策統括        官        山本信一郎君        警察庁長官官房        国際部長     三谷 秀史君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        金融庁総務企画        局長       増井喜一郎君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        法務大臣官房司        法法制部長    寺田 逸郎君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        海上保安庁長官  深谷 憲一君        環境省総合環境        政策局長     松本 省藏君        環境省地球環境        局長       小島 敏郎君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑は百三十八分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党四十八分、民主党・新緑風会五十分、公明党十五分、日本共産党十五分、社会民主党・護憲連合五分、無所属の会五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。段本幸男君。
  4. 段本幸男

    段本幸男君 自由民主党段本幸男でございます。  今日は、これまで割と議論されてこなかった教育問題とかあるいは環境問題について、主として内政問題を中心にしながら各大臣に御質問させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。  まず最初に、教育問題から入らせていただきたいと思いますが、現在の教育の状況については、学級崩壊であるとか、あるいは青少年による犯罪が増えるとか、いろいろな問題が出てきております。  これは、戦後一貫して義務教育に対していろんな形で取り組んできて、時々手直しされてきましたけれども、基本は、やはりここいらで、小泉総理がおっしゃっているように、日本社会システムそのもの自身が変えなきゃいけないということで構造改革進められておりますけれども、教育そのものも大きく見直すべきようなときに来ているのではないか、こんなふうに私は感じているんですけれども、その辺の現状認識について河村大臣にお尋ねしたいと思います。
  5. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 教育問題を真正面からとらえていただいて御指摘をいただきました。  私も、今日の教育が様々な、構造的な欠陥とは言わないまでも、見直さなきゃいけない地点に来ておるのではないかという認識を抱いております。  日本教育というものが、資源のない国が今日の日本の繁栄を築いた、これは世界的にも認知はされていることでございます。しかし、現実に、青少年犯罪の増加等々を見ますと、これは教育だけじゃなくて社会的な背景、特に家庭の教育力低下あるいは地域教育力低下、こういう大きな問題もありますから、ここでやっぱり教育を根本的に見直していく必要があるんではないかと、こう感じておりまして、今与党間でも協議されておりますが、教育基本法から見直していこうという大きな流れになっていることは御存じのとおりでございます。  ただ、私、九月、昨年九月二十二日に小泉総理から文部科学大臣に任命を受けましたときに、これまでの知育徳育、体育に加えて、食育という新しい問題もございます。これも重視しながら人間力向上教育改革に努めるべしと、こうあったわけでございまして、正に今の教育はその点が問われておるんではないかと、こう感じております。  そういう意味で、これまで培ってきた義務教育というものも大事にしながら、更に幼児教育、そして高等教育、あらゆる面において改革をしていく、その必要があると私もそういう認識でおるところでございます。
  6. 段本幸男

    段本幸男君 ありがとうございました。  私も全く同感で、恐らく文部科学省自身知育教育に多少行き過ぎて、例えば塾通いとかいろんな問題を呈した、そういうことを受けて、既に十三年度から総合学習の時間というのを設けて、やはり人間育成に努める、こういうことをやっておられるんだというふうに思うんですね。  私自身、実は地元の千葉の四街道というところで田んぼ学校をやらせていただいていて、学校支援するために、農家の方とか一般市民一緒になって、ボランティアで田んぼのいろんな世話を子供たち一緒にすることによって、大変いい形の成果が出ている。私自身は、そんなふうに総合学習の時間を評価させていただいています。  しかし、見るところでは、その総合学習を実施することによって、どうしても授業時間が限られてくる。あるいは、学力は、日本学力は最近低下したんではないか、こんなことを言われると、やっぱりPTAとかいろんな各部門から心配の声が上がって、それがひいては文部科学省まで最近またぐらぐらし出した。もう、すぐこう揺れるんじゃないか。もちろん、文部科学省の中にもいろんな方おられますから、そういうことではないかと思うんですが。  ここはひとつ、二十一世紀という世紀に変わって、今までの知育だけではいかぬ、大臣おっしゃったように食育とかいろんなものを入れて子供の健全な心身を作る、こういうふうな気持ちでやっておられる、ここを我慢してやっていくべきだと思うんですが、大臣の決心をいま一度お聞かせ願いたいと思います。
  7. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 段本先生の御指摘、私もそういう思いでおります。もちろん、学校現場においても学力低下ということはあってはならぬと、私そう思っております。  学習指導要領は、これはやっぱりそのときそのときに応じたようにつとにやっぱり見直す必要はあると思うんですね。こう決めたらもうこのとおりしかないんだということではない。あれ、指摘されたように、学力低下という話がぱっと出ました。それは、土曜日を休みにした。これは世界の大きな流れにもありましたし、もっと人間力を付ける教育をやるにはそうした時間をもっと取るべきだという声もあった。それを受けてそういう土曜日を休みにしていきました。そうすると、当然、土曜日の時間が、学習時間が減るわけでありますから、その分学習しなくなるんではないかと、こういう問われ方をいたしました。  そこで、前遠山大臣のときに「学びのすすめ」ということがあって、いや、その学びをやめろという意味ではありませんと、学び学びでしっかりやっていただく、しかしもっと、もっと大事なことを学ぶ時間も作ろうということで総合学習の時間もありますから、そうした今、段本先生も御指摘のような、正に人間をつくる、徳育と、そういうようなものもしっかりここでやろうという形で来たわけでございます。  私も、そういう面では、まず学校において基礎的なことはきちっとやる、そういう意味での学習指導要領、だからこれは最低基準だと。あの見直しでいろいろ指摘をされましたが、ややもすると、あの学習指導要領を見直さなきゃいけなかったのは、その中にいろいろ、これ以上もうやる必要はないんだという歯止めまで付けておったと、これはやっぱり問題だと。伸びる人はどんどん伸ばしていかなきゃいかぬ。基礎力を十分付ける、これは当然のことですけれども、更に学びたい人には学べる仕組みも当然要るわけですから、その見直しを一部やりました。そうすると、また学力偏重かと、こう言われましたが、そうじゃなくて、やっぱりその人間の能力、また教科によっては得意、不得意皆ありますから、それもしっかり伸ばしていこうという意味歯止めを取ったということであります。  そういう意味で、知力、当然これも必要でありますから、しっかり学んでいただきながら、同時に人間力を付ける。そうした意味で、総合学習の時間を活用して、そしてそういうもので体験学習をしていただくとか、なかなか学校の机上だけでは学べないようなものも、その時間を自由に使ってやろうという方向でこれ進めてきたわけでございまして、そういう意味で、私の思いと、今、段本先生が御指摘なさった面は同じ思いだなと、こう思っておりまして、心強く感じると同時に、やっぱり国民の皆さん方教育に対する大きな期待がございます。やっぱり教育センターとしての文部科学省もそのことをしっかり受け止めてこれにこたえていかなきゃならぬと、こう思っております。  ややもすると、今の経済情勢からして教育の話が財政論に押されるような雰囲気もありまして、それではやっぱりならぬ、やっぱり教育論というものを大事にしながら、やっぱり教育はこうあるべきだという方向付けを今のときにしていかなきゃいかぬと思っております。経済財政諮問会議に私も出席をしていろんな議論を闘わす中で、しからば文部科学大臣教育改革を進めたら塾は要らないんですかという、要らないんですねと、こういう指摘もあったんです。やっぱりそれは、やっぱり先生方もそういうことを言われるということは、これは受けて立たにゃいかぬ問題だなと思っておりまして、しっかり学びながら、そして幅広い人間として生きる力を付けていく、そういう教育であるべきだと、このように考えておるところであります。
  8. 段本幸男

    段本幸男君 バランスが難しいと思いますが、是非お願いしたいと思います。  そこで、一つ提案があるんですけれども、私の聞いている中で、武蔵野市というところが小学五年生の子供全員、不登校率があるから学校には九五%しか来ないんだそうですが、そういうことをやれば九九・七%参加するといいますが、全員五泊から八泊ぐらいで農家に宿泊させて農家体験をやらすと。山形、新潟、長野辺りに出しているそうです。  そうしますと、土屋市長の言葉をかりれば、帰ってくると子供たちの目の色が変わっているといいます。やはり一週間ちょっといれば、その間に米も育ちますから、生き物に触れると感動する。あるいは、最近は子供たち核家族ですから、ほとんど一人で遊ぶ訓練が付いているんですが、何人か、五人で一緒に泊まれば、どれがボスで、こいつは弱いから助けてやらなきゃいかぬとか、いろんな痛みを分かって帰ってくる。あるいは、今核家族の中で親にしかられることはほとんどないんですけれども、田舎に行くと、じじ、ばばがおって、こらっとしかられる。そういうことで、子供たちがいろいろな、非常に感情豊かになって帰ってくるというふうに聞いております。  こういういい効果のあるものを是非、土屋市長に言わせれば、私のところは少しまだ財政的に裕福だからこういうことができるけれども、全国にできたらやってほしいんだ、こんな声が聞こえてきました。財務大臣もおられます。あるいは、先ほどおっしゃったように、厳しい財政の中でどれを優先的に選択していくか、文科省としても大変難しいと思いますが、こういうことをやはり文科省として率先してやっていくべきだと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  9. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 私も、土屋市長大臣室にお見えになりまして、今のようなお話を含めて熱っぽく語っていただきまして、私も農家の出身でもございますが、やはりそういう体験をするということがその子供たちにとって大きな影響を与える。  これまでの統計といいますかアンケート調査なんか子供たちにやったのをずっと見てみますと、やっぱりそういう体験をした子供は、やっぱり道徳観といいますか、あるいは集団意識というのがあって、例えば道を歩いたときにごみがあったら拾いますかとか、友達が困っていると助けますかというようなことを聞きますと、その結果を見ると、やっぱりそういう経験を持った子供ほどそういうことに前向きであるということが分かっておりますから、非常に効果があると、私もそう思っております。  土屋市長さん、武蔵野市ではこれに一億以上の予算を掛けてやっておられる。私は大変立派なことだと、こう思っておりまして、これを全、今から合併になったとしても千七、八百の市町村にという、それだけの予算組みができるかどうか、これは大変なことだと、こう思いますけれども、しかし、こういう立派な取組があるということをやっぱり全国にも周知をする必要がありますし、また、文部科学省全国にやっぱりそういう取組をしていただこうということでモデル校的なものを作りまして、四十七都道府県二校ずつぐらい、やっぱり長期宿泊体験施設体験をやっていただこうと。  これは、しかしそんな大きな予算は取れませんので、五、六十万ぐらいしか、取って、そして講師を呼ぶとか、少しその補助をするとかいうようなことは考えたりして、それを取っ掛かりにして各県でお進めをいただくのはどうであろうかとか、あるいは都市と農村交流地域間交流、そういうこともやっていただこうとか。特に、農家皆さんは身近に農業を見ていますが、都会の子供たちがそういうものに触れ合う機会を多く作ってやる必要があろうと、こういうこともやっておりますし、また全体的な体験、例えば兵庫県のトライやる・ウイークというのもお聞きになったと思います。これなんかは商店街とかいろいろなところへ出ていくんですね。これもやっぱり中学、高校、小学校五年生が一週間ぐらいやるんです。そうすると、今まで不登校状態だった子供もそこへ出てくると、それで今度現場に帰ってくれる、学校教育に戻ってくれるというような体験も聞いておりまして、これはいろんな取組があろうと思います。これは正に現場がいろいろなお取り組みをしていただく、各県がいろいろ教育委員会等々と協議をして、校長の、先生リーダーシップでやっていただくことであろうと、こう思っておりますので、我々としてはその条件整備はしなきゃいかぬと思います。  それから、全国には少年自然の家、県立で持ったり国立の部分もございますが、そういうのをしっかり活用していただくとか、いろんな方法があると思いますので、土屋市長さんのあの熱意、その効果、そういうものを我々も十分多としながら、これを全国的に広めていく、その推進役は果たしていきたい。できるだけ予算確保、これは財務当局との御相談もございますが、こういうものをしっかり取り入れていくことによって、正に、子供たちが生きる力といいますか、人間力を向上する上に非常に意義があると、このような認識でございまして、今、段本先生指摘ありました点については前向きに考えながら、全国的にこういうことを取り入れていただく、そういう情報を発信をしなきゃいかぬと、このように思っております。
  10. 段本幸男

    段本幸男君 是非お願いしたいと思います。  大事なことは、今大臣もおっしゃいましたが、土屋市長、あの熱意で恐らくああいうことができているんだと思うんですね。文科省も、やっぱり全国の、いろんないい形に持っていくためにリーダーシップを発揮するんだ、こういうことが大事じゃないかと思います。是非お願いしたいと思います。  さらに、加えて言うならば、今企業もどうも自然体験塾とかそういうものを非常に設けて頑張ってやっておられるところが出てきています。恐らくもう企業も、今の子供見ていたら、どうもおれの会社、もう今の子供たちに任すわけにいかぬで、何かやっぱりもうちょっと自分らで作らな、こんな思いじゃないかと思うんですね。リコーが神奈川県の足柄町に、トヨタはたしか岐阜県の白川郷に、東京電力は柏崎にそういう自然体験塾を作って、会社と、自分の経費の中でいろんな形でやっておられるというふうなことを伺っております。  原田大臣は確かにこれ、こういうことにお詳しいと伺っておりますけれども、そういうものに対してやっぱり文科省が上手にアプローチしていく、共同戦線を組んでいくとか、あるいはそういうものに対してでももう更に、文科省といえども、いや経済産業省いいからもう、文科省支援を与えていく、こういう発想の転換が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
  11. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 段本議員の力強いお励まし、更にはアドバイスを謙虚に受け止めなきゃいけないと、こういうふうに思っているところであります。  ただいま大臣からお話しいたしましたように、何としても総合的な人間力を付けると、これが教育の一番大事なところだろうと思います。その中で、御指摘がありましたように、自然体験学習といいますか、こういうことについても私ども積極的に取り組んでいるところでございます。自然体験活動、こういうものは子供たち社会性自主性、豊かな人間性育成、これに極めて有意義であると、こういうふうに私どもも考えております。  さらに、それに対して、お話のように民間企業、これもいろいろな活動をやっておられるようでありますけれども、それを政策的にもバックアップすると、これはもうどうしても大切なことだと思っております。  このため、平成十三年度からでありますけれども、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター、これに子どもゆめ基金というものを設置をいたしまして、民間団体が実践する特色ある子供自然活動体験活動に対して支援をすると、こういうプロジェクトを今推進しておるところでございます。しかも、このプロジェクトは主として民法法人NPO法人でありますけれども、民間企業にもその枠、対象を広げております。これによって、平成十三年度からトータルでは大体十億前後の事業予算が使われておりますし、その中で企業も既に十件前後もう既にこれを活用しておると、こういう状況でございます。  ただ、例えば平成十五年でいきますと、全部の予算が十二億七千万、使われた件数が千七百二十三件のうち企業が使ったのは十五件ということであります。非常にまあ我々としては少ないようでありますが、私はこれはむしろ非常に、そのことが世の中にまだ普及していないと、知られていないと、こういうことではないかと思いますので、先生、是非、そういう意味では、そういう関係の企業には積極的にPRもしていただきたいと思います。  文科省としては、今後とも関係機関、民間団体などと連携しながら、子供のこの体験学習活動に積極的に取り組んでいきたいと、こう思っております。
  12. 段本幸男

    段本幸男君 是非そういう企業の力をかりながら一緒にやっていくことが、小泉総理のおっしゃっている民に任すところは民でということにかなうんだと思います。是非お願いしたいと思います。  もう一つお聞きしたいんですが、今回、食育基本法というのが議員立法で正に出されようというふうにしております。この法律で大事なところは、文科省で、例えば教育で、今まで学校が非常に薄かったのが、なかなか家庭に入っていきたいけれども入っていけない、こういう部分が多かったんですが、食というものを通して家庭と学校が非常にタイアップしやすいような状況が出てくるんじゃないかと思うんですね。十七年からたしか文科省は、今度は栄養教員も制度化されようというふうな状況になっていると思いますけれども、そういうものも生かしながら、積極的に家庭と学校がうまくリンクするようなそういうシステムを作るべきだと思うんですが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  13. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 食につきまして、もう家庭の大事さというのは、これはもう言うまでもございません。  ちょっと計算しますと、今公立学校の給食の平均時間が大体百八十日から二百日と、こう言われております。人一人、三百六十五日、一年間に三回食事しますからトータルで千百回の食事があるわけですね。そのうちの百八十回は学校で食べるということですから、二割弱が学校の給食と。残りは、基本的に八割以上は家庭でやるということですから、これはもう家庭の大事さはもう本当に言うまでもないわけであります。  御指摘のように、さはさりながら、最近のいろんな傾向を見ていますと、家庭でのそういう食事が健全に行われているか、子供たちにですね。そういったいろいろデータによりますと大変心配なところもございます。そういう意味では、家族そろって食事をすると、こういうことは当然のことながら、学校としてもそれを家庭に対して働き掛けると、こういうことも大事なわけでございます。  そのために、学校においては、例えば給食便り、こういうようなことを定期的に家庭に配りまして、例えば給食の内容とかその栄養価はどうかとか、さらには、それぞれ家庭として気を付けなきゃならないこと、それを事細かに知識として提供しまして、親子給食、親子調理などを学校で実施する、こういうことによって保護者への情報提供や啓発活動を行っているところであります。  また、先生今御指摘いただきましたように、今度の国会で栄養教諭の問題を法案で審議していただくようになりました。しかも、この栄養教諭、今までもそうでありますけれども、これからはいよいよ、学校における食育ばかりでなくて、家庭に対する食の教育といいますか、こういうことについても積極的に取り組んでいただくと、こういうことになろうかと思っております。  いずれにしましても、文科省として今後とも、食育における学校と家庭の連携の強化、これに努めてまいりたいと、こう思っております。
  14. 段本幸男

    段本幸男君 是非いろんな活動を通して、それでその中は、子供教育だけではなくて、いろいろ意見はありますけれども、ジャージーでスリッパで学校の中をうろうろ歩き回るような教員が非常に多いとも聞きます。やっぱり教員の質も含めて、みんなで国民の間で議論して、教育の在り方を是非見直していただきたいというふうに思います。  続きまして、官房長官、お忙しいところありがとうございました。一つだけ是非とも、この国の形というんですかね、在り方をお聞きしたくて、一問だけにわざわざ御足労願いました。ありがとうございました。  それは、今、構造改革が進んできた、そして景気も回復してきた、これはやっぱり改革が着実に進んでいるから、昨日の総理の答弁でもおっしゃいました。しかし、考えてみれば、構造改革というのは当然、古い社会システムを壊しながら新しい二十一世紀日本社会を作るためのプロセスとしてやっておられることで、それが緒に就いたということは正に入口にやっと来たということであって、むしろこの国の形を作るのはこれからが非常に大事な時期に差し掛かってくるんではないか、こんなふうに思うわけですね。  そのときに、ややもすると、今まで日本は欧米のグローバルスタンダードというのに合わして社会システムをどういい形を作るか、こういうことに腐心されてきたというふうに思うんですけれども、しかし、欧米のグローバルスタンダードというのは、私個人の考えでいけば、欧米は比較的、狩猟民族ですから、昨日、舛添議員の質問では、石の文明に対して、東洋、日本が木の文明だとおっしゃっていましたけれども、私は、狩猟民族で、取ってきた獲物をいかに公平に分けるかということがあらゆる規範のベースになっているような気がするんですが、アジア、日本を含むアジア農耕民族というのは、狭い土地でどれだけたくさんの人が暮らしていけるのか、もやいとか結いとか言われるようないわゆる助け合いの一つの社会を作ってきたと思うんですね。アジアには世界人口の半分がおります。農耕民族でみんな暮らしています。  是非この際、二十一世紀日本を作っていくに当たっては、やはりアジア農耕民族のそういう今まで捨ててきたものの中でいい持っているもの、例えば、江戸時代の文化は完全な循環型社会を作り、そして市民コミュニティーによる助け合いの組織ができていて、そのことを「逝きし世の面影」とかいろんな格好で本を書いている人もいますし、今現在はアメリカが一生懸命それを勉強して自分らの社会に取り入れていけないか、むしろアメリカの方が非常に熱心な研究が進んでいると聞きます。  是非そういうアジアの文化に根差した、日本がリーダーになるための国づくりをやるべきではないかというふうに考えるのですが、その辺についての官房長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 非常に大きなテーマだと思います。我が国がこれからどうやって進んでいくのかという方向性、その場合にどういう体質の国家でなければいけないかということ、一言でなかなか言いにくいことでございますけれどもね。  まあ、日本は過去非常にうまくやってきた国、うまいですよ、他の国のいいところを取り入れていくというところなんですけれどもね、そういうようなことで近代社会を築いてきた、それも急速に築いてきたという、そのことで成功した国だと、こういうふうに思います。  また、生産、国家が生きていくために生産手段というものも必要なんですけれども、これも工業国家としてのその道を歩んできた。しかし、その反面、農業の方はこれは停滞した、若しくは、停滞ということは適当でないかもしれぬけれども、農業生産についてはこれは比重がだんだん下がってきたと、こういうふうな現実もあります。これはある意味においてはやむを得ない。近代国家になるためには経済力も必要である、そのために工業の方を優先したという、そういうふうにせざるを得ないという部分もあるんだろうと思います。  しかし、農業が今カロリーベースで四〇%を切ってしまうというようなそういう状況の中で、農業をこれを捨てていいのか、これ以上減らしていいのかという議論は今真剣になされているということであります。これはほっておくわけにはいかないと、こういう部分もあります。やはり日本は、農業もそうですけれども、基本的な問題についてはこれは捨てることなく今後も大事にしていかなければいけない。文化、伝統、歴史もそうですけれども、いろいろ良いところはあるわけでございますから、これは大事に育てていく。しかし、良いところは積極的に取り入れていくと、こういうことじゃないかと思います。  そういう面におきましては、例えば、私の担当しております男女共同参画、これなんか正に先進国から比べれば相当後れているという部分でありますので、今後、人口が余り増えない、若しくは減少するというような状況の中で、やっぱり女性の活力というものはどうしても社会のために必要だろうというように思いますので、そういう面における先進国の知恵も取り入れていかなければいけないという問題もあろうかと思います。  良いところは積極的に取り入れ、そしてまた、我が国の持てる良いところはこれは残していく、そのために全力を挙げるということも併せ必要だということで、より良い日本、文明国家日本を築いていくために努力すべきだと思います。  また、どういう方向かということについては、これは先生委員始め皆様方の御議論も大変大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  16. 段本幸男

    段本幸男君 ありがとうございました。  我々もしっかりサポートしていきます。是非、官房長官おっしゃったように、大いに議論だけさせていただいて、これからの国の形を作っていっていただきたいというふうに思います。  一問だけで大変申し訳ありませんでした。出ていただいて結構でございますので。  それでは次に、環境問題について少しお伺いしたいと思います。  今国会、環境問題については大変質問が少ない。小池大臣はうずうずしておられるんじゃないかというふうに思うんですね。いや、私も実は、今冬の気候状況を見れば、道東、北海道の東の方では気象台開設以来の雪が降ったというし、東京は二月に二十度の温度が出るし、この間、北陸行ってきたら、いや雪は降るんですけど、二月に、もうすぐ解けてなくなって田んぼの色が見える、こんなことは初めてですねと言っていた。着実に地球温暖化というか、環境の変化が見られるんじゃないか。そんなときに、やはり環境対策の取組というのはもう是が非も大事だ。あるいは、そうすることが日本の産業を非常に強くする。例えば自動車産業はいち早く排ガス規制の取組をやった。それが今、世界を席巻するような格好で日本の自動車産業のベースを支えていると思うんですね。  そういう環境に対する取組思いを、まず小池大臣に、これ実は質問通告していないんですが、お伺いしたいと思います。
  17. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 先生おっしゃいますように、今地球環境問題というのは大変大きな問題であり、なおかつ国を越えての問題になりつつあろうと思います。さらには、今日本の経済を取ってみますと、これまで環境というと、一種の選択科目だったのではないかと思いますけれども、もはや民間事業においても、また政府、国、地方すべてにとっても必須科目になってきているのではないかというように感じております。  その意味で、環境に配慮した行動、事業活動であったり、消費者一人一人であったり、環境に対しての意識というか、その高まりに合わせた経済活動が、むしろ今、何と言うんでしょうかね、閉塞感のある経済を大きく変えていくための起爆剤にもなり得るんじゃないかということで、環境と経済の統合ということ、これを目指して様々な施策を講じていきたいと思っております。  先生の御支援、どうぞよろしくお願いいたします。
  18. 段本幸男

    段本幸男君 しかし、大臣、今選択科目から必須科目に変わったとおっしゃるにしては、今回、法律出そうとされている環境報告書に関する法律がありますですね。これ、企業に対しては、義務付けではなくて、一応自由にできるようになっているし、せっかくやっている企業も、まあ適当にやっている企業と一生懸命環境に取り組んで報告書を出している企業と何ら変わらない、インセンティブも何も働かない状況になっている。ここは、もちろん企業サイドから、経団連とかいろんな企業サイドからいろんな意見あると思うんですよ。しかし、それを、あえて大臣そこまでおっしゃるのなら、がんがん突っ込んでいって、インセンティブの出るような格好にすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  19. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいまお話のありました環境報告書でございますけれども、かなりの企業が、六百社を超えると思いますけれども、それぞれの企業環境に配慮したどういう活動をやっているのかということを情報公開するための報告書でございますが、大変すばらしい報告書を作っておられるところが今どんどん増えてきております。  また、そういったすばらしい環境報告書に対しては、環境大臣賞ということで賞をお渡しすることによって、更には頑張っていただくと同時に、そのすそ野を広げていこうというような、そのような活動もやっているところでございます。  この事業者とそれから利害関係者、ステークホルダーとの重要なコミュニケーション手段でありますその環境報告書に対しては、ガイドラインの策定、そしてデータベースの運営、今申し上げました環境大臣賞を差し上げるなどの表彰のような形で後押しをさせていただいております。  そしてまた、今国会で、先生御承知のように、環境情報の提供の促進などによります特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案、長ったらしいんですけれども、この法案を出させていただくことによりまして、事業者そして国民が投資するときなどに当たってこの環境情報を勘案するということで、努めていただくようになっております。この法案を通じて、国としても、環境報告書に関する情報の提供など、環境報告書の利用の促進に必要な措置をしっかりと講じてまいりたいと思っておりますので、環境報告書への大きな流れを私どもとしても後押しをさせていただいてまいるつもりでございます。
  20. 段本幸男

    段本幸男君 是非、強く頑張っていただきたいと思います。  それからもう一つ、地球温暖化防止京都議定書、日本が積極的役割を果たしてやったにしては、その後なかなか、アメリカもやらない、ロシアも批准しない、なかなか発効しないような状況だし、日本自身もどんな動きをしようとしているのか、どれだけ努力しているのか全く見えてこないような気がするんですが、一体環境省はどんな取組をされているのか、お伺いしたいと思います。
  21. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) 段本委員が先ほど道東の豪雪の話をしておりましたけれども、北見が随分とテレビで放映されておりました。その北見の出身が私、加藤でございますけれども。  二〇〇一年の年度の温暖化効果ガス、この排出量はいわゆる議定書の基準年に比べまして五・二%上回っていると。議定書の六%削減約束達成のためにはやはり、それを考えてまいりますと約一一%になるわけでありまして、これをどう削減するかというのは極めて重要な問題だと思ってございます。  これは決して容易なことではないわけでありますけれども、地球温暖化対策大綱、これに基づきまして、温暖化効果ガスの排出抑制あるいは吸収源の森林の整備、さらに途上国とのクリーン開発メカニズム、CDMでございますけれども、こういった事業など各種対策を政府あるいは地方公共団体、事業者、国民の総力を挙げて強化、強力に今推し進めている段階でございます。  具体的に申し上げますと、環境省といたしましては、地域に根付いた温暖化方策を強化していくための関係から、例えば断熱効果の非常に高い複層ガラス、こういったものを用いるとか、あるいは家庭におけるCO2を約一〇%削減できる省エネ製品ですね、そういったものや、あるいは小型風力発電システム、あるいは最近話題になっておりますけれども家庭用の小型燃料電池、そういったものを新たな温暖化対策機器の導入支援ということを考えてございますし、また民生部門におけます省エネ対策、新エネルギー対策によりましてCO2を削減すると、地球温暖化を防止するいわゆる町づくり事業ですね、「平成まほろば」まちづくり事業と言っておりますけれども、こういったことについて取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。  また、委員御承知の点でございますけれども、本年二〇〇四年は、いわゆる地球温暖化対策大綱の見直しということで、ステップ・バイ・ステップのアプローチを使っているわけなんですけれども、その大綱の対策とか施策の評価、見直し、それを行う年でございますので、我々政府といたしましては、やはり大綱の対策、施策について実効性、これを確保する観点から評価、見直しを行っている最中でございますので、必要な追加的な対策を講じることによりまして京都議定書におけます六%の削減、この約束を確実に達成してまいりたいと、このように考えて鋭意努力している最中でございます。
  22. 段本幸男

    段本幸男君 そこで、もう一つ提案したいんですが、今いろんな対策打っておられます。更に積極的に進めるためには、この前、CO2の排出権を国内で各県間で排出権の取引を認めたらどうか、そして昨日舛添議員の言っておられたように、森が山が荒れているわけですから、そこに大いに使えばいいんじゃないか、こんなことを言っていた人がいましたが、そういうアイデアはいかがでしょうか。
  23. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) 今森林の話が出ましたけれども、これは吸収源対策としては極めて重要であるというふうに認識しておりまして、こういった観点から、その関係におきます三・九%の吸収源、この目標達成のために森林・林業基本計画に基づきまして総合的な施策を確実に実施することが非常に不可欠ではないかなと思ってございます。林野庁におきましても、こういった関係省庁含めまして連携し、持続可能な森林経営、これを含めた上での森林の保全管理に努めているところでございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、評価、見直しを行っているところではございますし、吸収源対策につきましても進捗状況の評価、それから対策、施策の在り方について検討をしてまいりたいと、このように考えてございます。  この三・九%について、民間でいわゆるやり取りができる制度を導入する考え方、これはこれで一つの考え方であると私は思いますけれども、例えばその吸収源の率を企業がその一部を買い取りましてやっていく場合は、自らの排出削減努力をなくすという話になりますので、結局我が国の当初の目的でございます議定書におきます削減目標が達成することがなかなか難しくなってくると。ただし、企業の、企業を対象にいたしまして排出権取引制度、そういったものを導入することにつきましては、京都議定書の目標を確実に進めていく、あるいは費用対効果という観点からも極めて大事な視点がございますので、そういった面も含めまして最大限活用していくと。それも大綱の見直し、評価の中で積極的に検討していかなければいけないなと、このように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  24. 段本幸男

    段本幸男君 是非、大胆な発想で取り組んでいただきたいと思います。  次に、産廃の焼却施設についてお尋ねしたいんですけれども、いつだったかダイオキシンで有名な所沢のくぬぎ山というところで施設を見せてもらったら、処理しなければいけない施設一杯あるんですが、しかし、なかなかコストの関係で所沢市に財源がなくて放置されたままになっている。もう何とかしたいんだけれどもなかなかできない、こんなふうなことがありました。  あそこに焼却施設を造ったのは首都圏のごみを、一杯産廃施設を持っていって燃やすため、あそこの、所沢のためだけではなかったはずなんですね。すると、やはりこういう広域の問題に対しては環境省辺りが、国が積極的にかかわって支援していくべきだというふうなことを感じたんですが、大臣としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  25. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) あのくぬぎ山地区でございますけれども、その地域の方に私もこのところ何度か参ったことがございます。そのダイオキシンの問題と同時にトトロの山があったり、非常にある意味では環境問題が凝縮されている地域なのかなと思っている次第でございます。  そこで、現在の状況を御報告いたしておきますと、かつては九業者そして、九つですね、の業者と十四の施設の産廃焼却炉が稼働していたんですが、現在はすべて廃止されて、解体撤去されていないのは現時点で二つの業者とその二つの施設となっておるところでございます。  また、産廃の処理については、もう御案内のとおり、排出事業者責任ということが何よりも基本であるわけでございまして、民間の事業者が産廃処理施設を設置、解体撤去という場合には、従来から補助制度ではなくて融資の制度を対応、融資の制度で対応させていただいております。  今の御質問なんですけれども、そういった基本的な方針から申し上げまして、産廃の施設の解体撤去、そして新規の施設に建て替える場合については日本政策投資銀行の融資制度の対象となっておりますので、そちらで事業全体の採算性などの審査の上、クリアしていただいて融資で進めていただく、これを後押ししていきたいと思っております。
  26. 段本幸男

    段本幸男君 是非、住民に不安の残らないような形で支援していただきたいと思います。  もう一つ環境問題。最近、硫酸ピッチがあちこちで不法投棄が増えていると聞いております。私も静岡県の富士宮市に、環境委員会の現地視察で見せていただきました。その不法投棄は亜硫酸ガスが出てくるものですから、もう直ちに周辺住民が大変不安に思う、こんな状況らしいです。  今全国に広がってきたんですが、産廃の豊島とか青森、岩手の県境のああいうような二の舞をやってはならないというふうな思いがあるんですが、この現状と取組についてお伺いしたいと思います。
  27. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まず、現状から御報告をいたしておきます。  環境省の調査では、硫酸ピッチの不法投棄事案、昨年の十月現在で全国ベース、ドラム缶約三万五千本、この不適正処分事案が発生しております。そのうち約六割、約二万三千本が未処理であるということが明らかになっております。  この硫酸ピッチ問題、環境省は非常に深刻に考えておりまして、しっかり対応していかなければならないということで、関係省庁いろいろまたがっておりますので、そのそれぞれのところにお呼び掛けをした上で、硫酸ピッチ不適正処分事案関係省庁連絡会議、こちらを開催してお互いの連携を強化していこうということで進めております。  じゃ、今後どうするかでございますけれども、昨年の秋から中央環境審議会で硫酸ピッチの不適正処理対策について審議を行っていただいて、それの結果を踏まえまして、今月の二日、三月の二日に、この今申し上げた硫酸ピッチの不適正保管に罰則を科すということを含めた廃棄物処理法の一部を改正する法律案、閣議決定をして今国会に提出をしております。  ということで、しっかり委員会の方でも御審議をお願いをしたいと思っておりますが、この硫酸ピッチ問題に対しましては、環境省としてしっかりと、また適切に講じていきたいと思っております。
  28. 段本幸男

    段本幸男君 是非よろしくお願いします。  それでは、次の問題に移りまして、構造改革特区、地域再生についてお伺いしたいと思います。  構造改革特区が始まってそろそろ一年、第一号認定からなる段階。昨日の総理答弁でも、どぶろく特区、うまいこといってんやとおっしゃっていましたが、現地で聞くと、なかなか規制緩和といいながら条件があって思うとおりにはいかないんじゃ、こんな声も聞こえるのが現状です。  構造改革特区、今どんな評価をして、これから本当に地域再生の切り札になるためにはどうしていけばいいのか、どのように押さえられているのかお伺いしたいと思います。
  29. 滑川雅士

    政府参考人(滑川雅士君) 構造改革特区につきまして御説明申し上げます。  構造改革特区におきましては、農業などの分野に株式会社が参入するなど、従来難しいとされておりました分野を含めまして規制改革が進んでおるというふうに考えておりまして、構造改革の突破口としての役割を果たしてまいったというふうに理解をしております。また、現在まで各地で二百三十六件の特色ある特区が誕生しておりまして、地域の活性化やビジネスチャンスの拡大が期待されておるというところでございます。  特区制度は、今まで規制改革について陳情という形でしか要望を出せなかった民間の事業者あるいは地方公共団体、NPOなどの方々が規制改革の要望を内閣官房に一元的に提出いたしまして、内閣官房がこれを各省庁と調整する、またそのプロセスをホームページで確認できるといった画期的なものであるというふうに考えております。  今後、この特区制度を更に有効なものにするために、これまで地方公共団体に比べまして提案の少なかった民間事業者などに対しまして特区制度を更に周知していただくということが大事だと思っておりますし、また規制の特例措置の活用を別の制度が阻害していないかということについても調査をし、必要な対応をしていきたいと思っております。また、評価委員会の意見を踏まえまして、規制の特例措置の全国展開を図っていくと、こうした課題に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  30. 段本幸男

    段本幸男君 是非、期待されているのは本音ベースが入るように、従来の縦割りではなかなかできないところを酌み取っていっていただきたいというふうに思います。  次に、地域再生についてお伺いしたいんですが、地方を回っていると地域再生に期待する向きが非常に大きい。是非ともこれを地域活性化の起爆剤にしていくべきだというふうに思うんですが、今回、一次案出たのを見ると、廃校の利用とか河川敷の多目的利用とか、どうもまだまだ従来の行政の域を出ていないような気がするんですね。  先ごろ予算委員会の現地視察で東大阪市の中小企業を見せていただきました。あそこでは親企業が出ていって残った家内工業だけで空洞化が生じて、どうすっぺという話になったときに、我々だけで異業種が寄り合ってできることをやろうじゃないかと。できることで一番最先端の、じゃ人工衛星打ち上げるか、まいど一号という名前まで付いていました。間もなく打ち上がるんだそうです。  そういうやっぱり民の中にあるいい知恵を上手に引き出してくることが地域再生において大変いい結果になる、それが小泉総理のおっしゃっている民であるところは民でやってもらう、こういうことになるんではないかというふうに思うんですが、その辺の取組についてお伺いしたいと思います。
  31. 滑川雅士

    政府参考人(滑川雅士君) お答えします。  地域再生について御説明申し上げます。  今回の地域再生の取組につきましては、地域の視点で国の施策を改革、改善するということによりまして、地域の持つ資源を有効に活用できるようにして、中長期的に人、物、金、ノウハウなどの好循環を作っていくということをねらいとしておりますし、また、地域間で知恵と工夫の競争が活発になることによりまして、各自治体がそれぞれ主体的に地域再生に取り組むようになることを期待しているということでございます。  ただいま御指摘をいただきましたとおり、持続的な地域再生のためには民間の知恵と工夫というものを最大限に活用することが必要不可欠だと認識をしております。  今回、地域再生につきまして、提案を広く募集いたしましたが、三百九十二の提案主体のうち、九十三が民間からの提案だったということでございますが、これはまだまだ私ども十分な数とは考えておりません。今後、民間からのいろいろな提案、あるいは地域再生への御参画が一層増えることが求められているというふうに考えておりますので、今後とも様々なメディアを通じまして広報活動を展開するとともに、地域民間団体などとの意見交換も積極的に行って、その周知徹底、さらには連携を深めてまいりたいと思っておるところでございます。
  32. 段本幸男

    段本幸男君 是非、言葉だけではなくて実行でやっていただきたいというふうに思います。  それでは次に、三位一体改革、それから市町村合併についてお伺いしたいというふうに思います。  三位一体改革については、民でできることは民で、地方でできることは地方でというふうなことで、小泉改革の一環で進められているというふうに思っておりますが、今は、ややもすると、昨日の議論なんかを見ていても、金の流れを物すごく言うけれども、実際仕事の流れについてなかなか議論が出てないような気がするんですよ。実際は仕事の流れまで行って非常にそれがうまくいく。国でやっていることを県に、県でやっていることを市町村に。しかし、そこでストップしていたら、市町村はふん詰まりになってしまって、どんどん仕事は抱えるけれどもお金は来ないという、もう昨日の言うていたような議論になると思うんですね。今、市町村にある仕事を、民でできることは民でやって初めてスリム化ができて、いろんな三位一体のスムーズにいくようなシステムになるんだと思うんですね。  私の今まで見てきた中で、例えば広島県の高宮町というところは、市町村の下に自治区というのを作って、その自治区が、自分らでできることは自分らでやろうやと。まあNPOを利用しても何でもいいですけれども、そういうことをやっている。たしか、長野県の飯山行ったときもやっぱりそんなことを言っておられて、道路の清掃でも何でもできることは、お花生けて、自分らのふるさとなんだからつくっていく。  こういうシステムができ上がって初めて生きてくるんじゃないかと思うんですが、その辺の指導をやっぱり一緒にやっていかないと、お金ばっかり先行してやると具合悪いんじゃないかと思いますが、総務大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 誠にそのとおりだと思っておりますし、その方向で事は進んでいると思っております。始まったばっかりなんで、いろんなまだ目に見えてくるところまで行っておりませんけれども、御存じのように、昨年の六月に地方自治法を改正をいたしておりまして、それに伴いましていわゆる市で持っている、例えば学校なら学校の施設を何かにするときには必ず市の職員でなければならないとか、県も同じように県の職員でなければならないというところを、民間業者に委託できるようにということにいたしております。  したがいまして、いろんな形でできるようになりましたが、例えば学校のプールを夏の間、休みになっております間、施設、以外に、だれか貸すということになりますと、それは監督責任者は必ず学校の職員でなければならないといったところを民間でもできるようにということになりましたし、また、具体的なところで言えば、北九州市が例だと思いますが、ここは小倉城というお城やら何やら、庭園やら何やらを第三セクターで管理している会社をやめております。それをそっくりその前の、デパートがあそこにありますので、そのデパートに隣接していることもありましたものですから、そのデパートがすべてその公園の管理運営を全部移管をしているという案で市議会に正式に提案をするところまで来ておりますので、いろんな形で、制度の改正とか条例改正等々、民間に委託する例というのはおかげさまでここのところ出てきたところだと思いますので、今後ともこの方向で、いい例はなるべく多くの他の市町村に分からしめるというのも大事だと思いますので、そういった広報を含めて努めてまいりたいと思っております。
  34. 段本幸男

    段本幸男君 是非頑張ってやっていただきたいと思います。  もう一つ、町村合併についてですね。地方を回っていると町村合併、一生懸命やっておられるんだけれども、どうも、町村合併やらにゃいかぬから、十七年までにインセンティブが働くからとただ合併ありきで首長さんも議会も動いておられるだけで、なかなか自分たちのふるさとをどういう、こう集まってつくるんだ、こういうところはいまだ見えていないところなんかも随分あって、それが今ごろになってからブレーキになってきて、例えばJAの合併なんかのときにもよく出ていたんですけれども、それぞれ地域がアイデンティティーを持っていたのが、一緒になってしまうと薄まって、自分の町のカラーを出しにくい。そういうところは、いろんな町民から異論出てくると、現在になってブレーキになっているんじゃないかというふうに思うんですね。  是非そういう、何かおれようの地域のやっぱりつくり方というのを、その辺に対する指導を強化する必要があると考えるんですが、総務大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  35. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いろいろこれは地域によって、同じ福岡県の中でも、明治四年、廃藩置県で合併いたしておりますので、筑前、筑後、豊前と三つ一緒になって福岡県にしておりますので、小さな小山一個越えたら、ああ、もうあれは豊前と言った途端に、同じ地域であってももう全然、いかにも人種が違う、もう海外のように遠く言う雰囲気のところを、ちょうどサイズが同じだから合併しろと言ったって、それはもうとてもじゃない雰囲気というのは、これは多分いろんなところ、全国あるんだと思いますが、そういった地域でありますと、やっぱりその地域の特色というのはもうこれ絶対大事にせにゃいかぬところで、地域住民の意向は無視はできないと思っております。効率、金だけの話でとても事が進むはずはありませんと、まずこれが第一点。  二つ目は、ある程度きちんとしたサイズを持たないと、これから行政手続オンライン化法を始めいろんな手続がすべてオンラインで下りてくるような形になって、その対応も全然、できるいわゆる行政官がいないというようなところでは、それはとてもではないけれども住民に対する最低のサービスが維持できないことになりかねませんので、そういった意味ではある程度のサイズも要るというところで、そこのところはどの地域をどの程度というのは、これはなかなか、この辺の東京にいて多いなんて言ったって、それはとてもじゃないけれどもその地域では分からぬところで、これはやっぱり地方の、その地域においてきちんとしてやっていくというところが一番、やっぱり地方の意識が一番大事だと思いますので、ただたらたら大きくすればいいというもんじゃないことだけははっきりしておりますので、そういった意味ではその地域の実情は重々踏まえた上でやらにゃいかぬところだと思いますので、地域自主性を生かすというのはとても大事だと思っております。  ただ、それをやるに当たりまして、やっぱりその地域でだれがリーダーシップ取るかというのが一番難しいかなと思って、今いろいろのところで、うまくいっているところは総じてしかるべき方の、リーダーシップのある方がどなたかひとついらっしゃるところがすんなりうまくいっておるというような感じが率直な実感です。
  36. 段本幸男

    段本幸男君 是非、大臣おっしゃったように、地域の自覚を促すことが一番大事だと思うんで、そういう面での御指導をお願いしたいと思います。  麻生大臣は、あと関連質問者にも質問がないようですから、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。  その他の問題について少しお伺いしたいというふうに思います。  医療費の問題なんですけれども、医療費削減について、これから財政の重要な課題だというふうに思うんですけれども、この医療費はただ自己負担をどうするとかなんとか、もちろんお金の表向きのあれも大事なんですけれども、一番大事なことは医者に掛からぬでも済むようなやっぱり社会を作ることが非常に大事だと思うんですね。  私は、以前見していただいた徳島の上勝というところで、六十五歳以上の人で彩りという事業をやっておられて、そして山へ行って木の葉っぱ拾ってきて、何に使うんやと言ったら、この辺の高級料亭へ行くと、焼き魚に、添え物に花、葉っぱが付いている、そういうものに使う三億の事業をやっておられる。その町長がいわく、おれとこはこういう事業をやっているから隣町に比べて一人当たりの医療費は半分で済んでいるんじゃ。八十のおばあちゃんまで一生懸命それに頑張ってやっていました。やっぱりそういうこと。  あるいは、最近私のところに豊田の市会議員の人が来られて、豊田は高齢者六十五歳まで延ばすようにしないかぬけれども、なかなか高齢で、わしらもうできれば田舎暮らしでもやりたいという人がおれば、そういうなのを企業は積極的に支援して、もう出ていっていただいてそこでやるんだというふうなことも検討されているやに伺っております。  やっぱり農村の共生、対流をただ単に農林省に任しておくんじゃなくて、雇用とか医療とか、そういう面から見ても厚生労働省として積極的な形で対応していく必要があるんじゃないかと思いますが、厚生労働大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  37. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 大変すばらしい御意見だというふうに思ってお聞きをさせていただきました。確かに高齢者の就業率の高いところほど医療費が少ない、これは都道府県別に見ますともう明確にここは出ているわけでございまして、そこはもう御指摘をいただくとおりだというふうに思っているわけでございます。  若干話ずれますけれども、介護の必要な人に対しまして、介護を受け始めた人に対していろいろのことを今介護のことをやっておるわけですけれども、その介護をやればやるほどその人が良くなっていくかというと必ずしもそうではなくて、だんだんと悪くなっていくといったこともございまして、それは手の差し伸べ方にやはり問題あるんだろうというふうに思っているわけでございます。したがいまして、健康というのはその心身を使うことによって磨かれる、これはもう御指摘のとおりだというふうに思っています。  確かに、六十歳なり六十一歳なりで定年を迎えられました皆さん方に対して、それをひとしく第二次産業の場だけでその人たちをまた今後もやってくださいというのにはやはり無理もあると、率直に私もそう思います。ですから、これなかなか一次産業も、若いときに何もやっていないのに、それじゃ二次産業をやっていた皆さん方が全部それできるかといえば、そうもなかなかそこはいかないとは思いますけれども、しかしお体に合った範囲の中で徐々にそうした自然の中に溶け込んでいただいて様々なことをおやりをいただくということは、これは本当に真剣に考えなきゃならない側面に来ているというふうに思っております。  厚生労働省の範囲を若干超えますけれども、しかし、これは農林水産省ともよく御相談をさせていただきながら、私は、もう農家もたくさん家の空いているところもありますし、それから田畑も荒れ放題になっているところもたくさん出てきているわけでありますから、その辺のところをどう整理をして、そこで働く人たちをどうつくるかということ、これはやはり一人一人にお任せするということもそれは大事ですけれども、一人一人にお任せするだけではなくて、一つの国策としてそれも推進していくということもやはり考えないといけないというふうに思います。我々も、今そうしたことも考えているところでございますが、なお一層、御指摘をいただきましたので、ひとつ考えてみたいというふうに思います。
  38. 段本幸男

    段本幸男君 是非頑張って、我々も応援していきたいというふうに思っています。  それから、フリーター対策について少し質問をしたいんですが、この委員会でもいろいろと問題に出されました。しかし、その問題の出され方は、主として企業の雇用形態みたいな格好で出されておりますが、しかし私が接した限りでは、今の若い者も、例えば大学四年生の今の二月ごろになっても、いやもう働かぬでもええんだからまあ何とかしてとか、そういうふうな状況に若者のやっぱりそういう意識を持たす、そういうところに至らしめているやっぱり根本があるんじゃないかと、こんなふうなことが感じるんですね。やはりそこを一緒にやっていかないとなかなかできないので、その辺についての対策、お考えなりをお聞かせ願いたいと思います。
  39. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 今、段本先生の若年労働者の問題について指摘をしていただいたわけですけれども、若年労働者の問題というのは我が国にとりましても非常に大事な社会問題だと思っています。本会議におきましても小泉総理がこのことについて言及をされたということから見ても大事だと、こういうふうに思っています。  若年労働者の問題ということの中で、私自身、二つの問題があるんじゃないかというふうに思っているわけですけれども、一つは、七五三と言われるように、就職をしても、いわゆる中学生では三年間で七割、高校生では五割、そして大学生では三割と辞めていくわけですね。そこで辛抱し切れないこともあるし、ミスマッチということもありますし、そういう問題が一つあります。  二つ目は、現在、ようやく失業率も四・九、あるいは五%ということで少し好転をしておりますけれども、この若年労働者のところだけは一〇%ということで非常に高い失業率だと思います。その中で、今先生指摘しましたように、フリーターということで二百九万人ということで、十年前から見たら二倍に膨れ上がっていると、このように思っています。  その中で、いろいろと資料というか調査している中で、いわゆる二百社の企業でそのことについて調査をしますと、一番高いのは学生の職業意識の低下、やる気のなさ、学力低下、危機感がないと、こういうのが五十七社でもうトップになっておると、こういうようなことであります。  また、若年者の側から見たら、自分の合った仕事が分からない、何をしていいか分からない、こういうような状況でありますので、先生指摘しましたように、もちろん企業におけるミスマッチの問題もありますけれども、働く人の側から見てもやる気がないというのか、何をしたらいいかということが分からないということでありますから、非常に大きな、私は難しい、特効薬のない難しい問題だなと、こういうふうに実は思っているわけであります。  そういう状況の中で、昨年六月に関係四大臣で策定をいたしまして、若者自立・挑戦プランということをしております。このときに、先生の今お話で、武蔵野の農業体験という話、非常に興味深く私も聞いておったわけですけれども、やはりもう小学校から含めてそれを教育の中に、働くことの意味というものを、喜びというものを、そういうものをしっかりとやっぱり位置付けさせていくことが非常に大事ではないかと、こういうふうに実は思います。  そういうことの中でいろいろと取組をやっていくわけですけれども、平成十六年度からいわゆる日本版デュアルシステムということで、これも働きながら、そして教育をしながらということでできる限り企業側も採用しやすいようなそういう条件を、新規の事業として取り組んでいこうとか、あるいはインターンシップ制度をもっと開拓していこうとか、あるいは地域におきましてもワンストップサービスということで若者たちの悩みがすぐに雇用に結び付いていくようなそういうシステム作りをしていこうと、こういうことに実は取り組んでおります。  いずれにしましても、厚生労働省だけの問題ではなくて、やっぱり教育文部科学省一緒になってやっていかなきゃならぬじゃないかと、こういうふうに思っています。  最後に、やっぱりこの問題はしっかりしないと社会保障の問題にもかかわります。日本の将来の活力にもかかわります。しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  40. 段本幸男

    段本幸男君 是非その熱意でお願いしたいと思います。  それから、消費税の総額表示について財務大臣の方にお伺いしたいと思うんですが、これは、今までややもすると商取引でトラブルの多かったものを円滑化する、そういうメリットの面も当然あると思うんですが、しかし、この前、築地市場に見学行って聞かせてもらったら、どうも大手スーパーなんかはそこで出てくる切捨てのようなものはもう全部生産者とか卸とか、そういうところ、弱者にしわ寄せが行っている、何とかしてほしいんだ、こんなふうな声も悲鳴のように聞こえました。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  是非、そんなことがあってはならないんで、その部分に対する取組財務省としていかようにやっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  41. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、段本委員おっしゃいましたように、この総額表示制というのは、スーパーなんか行って買うとき、レジ行かなきゃ結局幾ら払えばいいか分からないとか、あるいは税込み表示のところと税抜き表示のところがあって同じ物でも店によって値段がどうなのかという比較ができないと、こういう消費者の、何というんでしょうか、理解しやすさ、扱いやすさということを考えてこういうものを導入したわけでありますけれども、今、段本委員が築地の市場で聞いてこられたような、そういう苦情といいますかね、悩みというものが現にあるということは私たちも承知しております。  そこで、財務省としても、公正取引委員会を始めとする関係の機関と連絡を取りながら今取り組んでいるところなんですが、これ機会あるごとに事業者団体に対する説明会などをして、本来の趣旨を周知徹底していただくようにしなきゃいけないと思います。  それから、特にこの問題は事業者間の取引条件に関するものが多いわけですので、公取で去年の十二月ですが、「改正消費税法に基づく「総額表示方式」の実施に当たっての独占禁止法及び関係法令に関するQ&Aについて」というのを公表していただいたわけですが、優越的な地位の濫用として独禁法に違反するおそれがある場合には厳正に対処すると、こういう方針を出していただいていると聞いております。  いずれにせよ、我々としても、こういったところと連携しながら本来の趣旨がスムーズに実施できるように努力していきたいと思っております。
  42. 段本幸男

    段本幸男君 是非、弱者にしわ寄せのないように対策をお願いしたいと思います。  残り時間少なくなりましたが、農政問題について相当やる予定だったですが、残った時間内の範囲で御質問さしていただきたいと思います。  まず最初は、鳥インフルエンザについてなんですけれども、丹波町で発生して、しかしその後の通報の遅れなんかでいろいろ問題を惹起しているところは御承知のとおりなんですけれども、これなんかの経過を見ていると、一昨年だったですかね、雪印の問題が起こって、そしてそれを取り繕っていい形に、もう自分らの思いだけで勝手にやろうとすれば会社までつぶれてしまうんです。こういう問題があったその教訓が全く生かされていないような気がするんですね。  食の安全問題というのはもう危機管理の問題であって、いかに早く、そして正しい情報を消費者に伝えるかと、このことが、もう口酸っぱく農林省も言ってこられた、大臣、前大臣も現大臣も口酸っぱく言ってこられたと思うんですが、依然企業に全く理解されていないような状況。一体どんなふうな指導をされてきたのか、またこれを改善するためにどうしていけばいいのか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  43. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) BSEの発生、これまあ、これに関連いたしまして委員指摘の雪印等、食肉の偽装問題があったわけであります。農水省といたしましても、危機意識の欠如と、また危機管理体制の欠落といった厳しい御指摘をいただいたわけであります。  そういうことを踏まえまして、農水省といたしましては昨年七月に食品のリスク管理と、リスク管理を担当する消費・安全局を設置をいたしまして今いろいろなことをいたしておるわけでもございます。  近年、特に香港等で、その周辺諸国で鳥インフルエンザの発生、こういう中で我が国への侵入防止と、そして国内防疫措置につきまして万全を期すために、まず専門家の意見を踏まえまして、昨年九月には鳥インフルエンザの防疫マニュアルを策定し都道府県に周知をしたところでもあります。さらには、十二月に韓国で本病が発生をいたしました。これを踏まえまして、再度、養鶏業者等に対しまして防疫対応の徹底を呼び掛けてきたわけであります。  しかし、今回、我が国で発生をし、特に山口県と大分県のケースにつきましては、この防疫マニュアルに即しまして、この防疫措置の迅速かつ適切に的確に実施をしたと、こういうことで、通報が早かったと、こういうことでその対応が行われたわけでありますが、これに対しまして京都府におきましては、発生に際しまして発生農家、農場からの通報が遅れたと、こういうことによりまして影響が拡大をして本当に遺憾に思っておるわけであります。  今回の京都府の事例をも踏まえまして、早期発見早期通報の義務の明確化等の必要な措置を強化いたしまして、今後ともその対策に万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  44. 段本幸男

    段本幸男君 食の安全に関しては一番大切なところだと思うんですね。おさおさ怠りなくやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、この食の安全の一連の状況を見ると、どうも我が国が効率経営とか規模拡大とか、そういう効率化に目指してやってきたそういう農業に対する警鐘なんではないか、こんなことを感じるんですね。  養鶏農家を見ても、五万羽では駄目、二十五万羽でないといかぬ、いや五十万羽でないと、多頭飼育をどんどんして効率化を進めてきた。その結果、やっぱりこういうことを引き起こしやすいような状態、混乱を非常に招きやすい状態になっているんではないかと思うんですね。  ある農家はこんなことを言っていました。これまでは規模拡大したりあるいは近代化する、これには補助金が出た。しかし、これから今大事なことは、そういうことではなくて、むしろ粗放経営して単位収量を少なくする、もう多くの作目が、自給率こそ四〇%ですが、米始め多くの作目が日本国内では過飽和状態ですから、むしろそういう粗放経営して単位収量を少なくするような、いわゆる環境に配慮したような農業に対してもっともっと支援をしていく、あるいは軸足を完全にそれに移すような根本的な農業の方針転換が必要なんではないか。私もそんなふうなことをすごく感じるんですね。  大臣がどういう御認識をお持ちなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  45. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 食料の安定供給や農業の持続的な発展を図るためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成する、これは必要なことでありまして、これらの経営が農業生産の相当部分を担う、こういう農業構造の確立をすることは重要なことでありまして、生産基盤整備や農業経営基盤の規模拡大等の政策を推進しておるところでもあります。  他方、近年の環境保全や食の安全に対する国民の関心は、委員指摘のとおり、大変多様化また高度化するわけでありまして、国民のニーズ、このことを踏まえまして、やはり環境保全を重視した農業や、あるいはまた、安全で高品質な農産物を供給する地産地消の取組を推進するなど、あるいはトレーサビリティーシステムを導入すると、こういうことで食の安全、安心に向けた対策の充実を図ってきたところでもございまして、これら農政改革におきましても我が国の農業構造改革が引き続き農政の重要な課題でありまして、その加速化に向けまして、施策を担い手に集中をしていくことを基本として、生産性の向上と競争力強化のための農政の展開もやはり検討していかなければならないわけでありまして、そういう面でBSEや鳥インフルエンザの問題、食の表示の問題など、食と農に関する様々な問題が生じていることは十分認識をいたしておりまして、消費者と生産者の視点に立った施策の強化を通じまして、生産者、消費者の双方が共存共栄できるような政策体系を構築を目標にしていかなければならないと、このように考えております。
  46. 段本幸男

    段本幸男君 是非、単にいろんな気持ちだけではなくて、そういうことが農家に伝わるような思い、やはり大臣としてのこう政治的なやっぱりリーダーが非常に求められているような時期ではないかと思います。是非、期待したいと思います。よろしくお願いします。  私の質問としては最後の質問。今朝の朝刊にはメキシコとのFTA合意に達したというふうな話が載っておりましたけれども、このFTAの話、これからアジアもたくさん出てきます。また、新たな米対策が行われて、生産調整に奨励金が徐々に落とされようとしているそういう中で、やはり一刻も早く、直接支払なのか所得補償なのか分かりませんが、農家に対してやっぱりいろんな手だてを考えていく。もちろんその中でさっきも言った農家自身環境にどう取り組んでいくとか、そういうことをやっていかなきゃいけないと思うんですが、その辺の取組について。  特に大事なことは、私は単に国会と行政がやるだけではなくて、国民を巻き込んで、本当のところで農家にそういうことが必要なんだということを認識してもらうような国民議論を含めてやるべきだと思いますが、農林省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  47. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今、私ども食料・農業・農村基本計画の見直しに取り組んでおります。その中の大きな重点課題といたしまして、今御指摘ございました個別品目ごとの価格支持的な政策から担い手に対する品目横断的な政策へ移行するということを含めて進めておりますが、この背景としましては、今御指摘ございましたように、農政の状況を見たときに、国内的には構造改革の強力な推進とか需要に応じた生産が求められております。このために、施策を担い手に集中しながら経営全体に着目した経営の安定を図る、こういった施策を作っていきたいということでございます。  また、対外的にも、国際規律の強化に対応し得る政策体系という観点がございます。こうした点を踏まえたときに、諸外国の直接支払、こういった制度も視野に入れながら競争力の強化に向けた農政の展開方向を見定めていきたいと考えております。  なお、この展開に当たりましては、拙速を避けながらも極力早期に政策転換が図られるよう、スピード感を持った改革を進めて農業の構造改革を加速化していきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 段本幸男

    段本幸男君 あと幾つか、農政問題についてたくさん質問通告したのに今回できませんでした。これはまた農水委員会でもさせていただくことにして、残余の時間は関連で同僚の愛知議員に譲ります。
  49. 尾辻秀久

    ○理事(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。愛知治郎君。
  50. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 段本委員に関連しまして質問をさせていただきます。  まず冒頭、私自身の持論の一つでありますけれども、休むのも仕事というのがありまして、是非、委員長に提案なんですけれども、私の質問、河村大臣には質問の予定ございませんので、どうぞ退席いただきたいと思うんですが、その分仕事をしていただいて。
  51. 尾辻秀久

    ○理事(尾辻秀久君) 河村大臣、御退席いただいて結構であります。
  52. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  時間の関係で、なかなか、ちょっと急いで質問をしたいんですが、ただ、私自身、この予算委員会での質問というのは二度目になりまして、まだ本当に二度目なんですけれども、ちょうど一年前、ここで質問をさせていただきました。そのときに、ちょうど竹中大臣は向こうの方にお座りになっていて、今こちらに座っているということなんですが、その一年の経過というのも踏まえた上で大臣に質問をしたいんですが、まず冒頭、現状、何度もいろんな委員の方、先生方が御質問なされていると思うんですが、改めて、現在の景気の状況、大臣認識をお伺いしたいと思います。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) バブルがいわゆる崩壊、いわゆるバブルが崩壊してから日本の経済、非常に長期の停滞を続けてきました。もちろん、今、日本の経済は依然としてそれを引きずっていると思います。しかし、そうした中にあって、ようやくここのところ経済全体が上向いてきている。景気は、企業の部門の好調を反映して回復の基調にあるというふうな認識を持っております。  しかし、同時に、この間の構造変化もあり、地域にそれが十分及んでいない、中小企業にそれが十分及んでいない。マクロとしての景気は着実に回復している中で、地域に、中小企業にそうした芽を浸透させていくということが大変重要な局面である、そうすることによって十年超の長期の本当の意味での停滞から持続的な成長軌道に乗せられるかどうか、大変重要な局面に入りつつあるというふうに思っております。
  54. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 大事な視点が、あのときにも質問させていただいたんですけれども、いわゆるデフレですね、構造的な要因に起因するデフレ、このデフレは止まっているのかどうか、大臣認識を聞かせてください。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) デフレを何で測るかという問題がありますが、実はGDPデフレーターで見ますと日本はもう八年ぐらい前からデフレーターがマイナスになります。消費税が上がった年だけ例外がありますけれども、かなりもう中期的なデフレの環境の中にある。日本は、現状は引き続き緩やかなデフレの中にあるというふうに考えております。  企業物価等々、消費者物価等々で若干の動きは出ておりますが、基調としてはまだデフレの中にあって、この点についてはしっかりと対応しなければいけないと思っております。
  56. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 そのデフレを解消することこそが構造改革の主要な政策だとは思うんですが、改めて、その一般的なデフレの要因ですね、私、そのときの質問でも指摘をさせていただいたんですが、大臣認識をお聞かせください。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) インフレの要因も多様であったように、デフレの要因も多様であると思います。大きく分けるとやはり三つに考えなければいけない。一つは、需要側の要因。需要がなかなか伸びない、それによって、需要が弱いものですから、物価が弱含む傾向がある、これが一つの要因。二つ目は、物を作る供給側の要因としては、これは例えば中国から安いものが入ってくる、グローバル化の影響、さらには、部分的にはIT革命のような技術進歩が非常に速いという要因もございましょう、この供給側の要因。そして三番目には、やはり貨幣の要因があると思います。マネーサプライが結果として、日銀は努力はしておられるわけですけれども、結果としてマネーサプライは昨年一%台の伸び率であると。  こうした三つの要因を、それぞれにどれを一つやればうまくいくということではなくて、三つをしっかりと見ていかなければいけないというふうに思います。
  58. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 景気が上向いた部分の一つの要因として、製造業なりなんなりが多分あると思うんですが、その点、今のすごく調子のいいというか、牽引役となっているその原因というか中身についてお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、需要面から見る限り、今景気を牽引しているのは企業部門でございます。とりわけ、設備投資が良くなった。設備投資、これは企業に関しましてはしっかりと財務面での強化を行った、リストラも行った、そうすることによって損益分岐点を下げて、更に資源を集中的に配分することによって、その過程ではMアンドAも十年間で五倍に増えたというような事実もございます。そうすることによって競争力が付いてくることによってキャッシュフローが増えて、それが設備投資に結び付くようになってきたというところであろうかと思います。  さらに、その背景として言えば、いわゆる金融危機と言われるようなそういう状況が不良債権全体が減る中でなくなって、人々の信任、コンフィデンスにも非常に大きな変化が生じている。背景としてはそういう問題が非常に大きいというふうに思っております。
  60. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 先ほどのデフレの三要素の一つに内外価格差の問題、中国の問題とかあるんですが、これについての対応、日本企業がすごくうまくいっているんじゃないかと私の認識はあるんですけれども。といいますのも、例えば工場ですね、物を作るときに高付加価値の商品を国内で効率よく生産する体系ができてきているんじゃないか、そのような認識をしているんですけれども、大臣の見解はいかがですか。
  61. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 総じてマクロ的なことになりますが、全体として見れば、特に製造業に関しては、やはりグローバルな視点からの立地を考えて、その中で厳しい環境下で生き残るためのやはりしたたかな改革というのをしっかりと進めてきた、その結果の一つが今委員指摘のような形になっているというふうに思います。
  62. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ちょっと時間の関係で、ここを深く質問したかったんですけれども、飛ばしまして、内外価格差であるとか需要の変化に関してはしっかりとした取組があると、それを着実に実行していくというのが必要だと思いますんで、この路線でしっかりと構造改革を進めていくのが大事なことだと思います。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  しかしながら、大臣一番御承知のとおりだとは思うんですけれども、金融問題、金融問題に関して言えば、まだまだ未解決だと思いますが、この点の大臣認識を聞かせてください。
  63. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 日本金融部門は、不良債権という言わば負の遺産を背負ってしまった。負の遺産を背負っている間に世界が物すごい競争的な環境になってしまった。そうした中で今、当面やはりここ二、三年特に力を入れてきたのはこの負の遺産を何とか片を付けようという意味での不良債権の問題でございます。  これに関しては、主要行を中心に着実に成果が上がっているというふうに思いますが、しかし、世界の金融は更にその前を行っておりますから、より競争的な金融機能をどのように強化していくのか、まだ残されているバランスシートの調整をどのように行うのか。残された課題は依然として大きいと思っております。
  64. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 例えば、前向きな話なんですけれども、不良債権問題をクリアするというのはどうしても必要だと思いますけれども、前向きな話をしなくちゃいけない。それから、金融の構造を変えていかなくてはいけない。その一環として、大臣もおっしゃられたと思うんですけれども、間接金融から直接金融へという流れを作らなくてはいけないという話もされていたと思うんですが、その点について現状はどうなっておるか、所見をお伺いしたいと思うんですが。
  65. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 正に貯蓄から投資へという流れを加速する。高齢者の方々も含め幅広い投資家の証券市場への参加を促進するということが大変やはり経済の活性化のためには重要な要件になっております。  この点に関しては既に平成十四年の八月に証券市場の改革促進プログラムを取りまとめておりまして、実はかなりいろいろな細かいことはやっております。  大きく言いますと、証券市場に対するアクセスを容易にする、そのための仲介業の仕組みを作るということ。ないしは、国民にもっと安心してもらえるように、公認会計士法の改正ないしはディスクロージャーの改善を進める。さらには、税制等々でもいろいろなインセンティブを与えてもっと親しみを持ってもらおうと。さらには、投資家の教育も重要であると。そうした幅広いことを現実に行う必要があると思っておりまして、そのプログラムに基づきまして、今、これもなかなか打ち出の小づちのような政策はないわけでございますけれども、一生懸命進めているところでございます。
  66. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 前に大臣おっしゃられていましたけれども、提案があれば幾らでも言ってくれという話があったので今日はちょっと提案をしようと思っていたんですが、その前に改めてまた、これも改めてなんですけれども、国民の金融資産、国民の皆さんが持っている金融資産の総額ですね、前に千四百兆とか言われていたんですけれども、今どういう状況になっておるか、教えてください。
  67. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 家計の金融資産につきましては、日本銀行の資金循環表がございます。それによりますと、平成十五年九月末現在で千三百九十六兆円、まあよく千四百兆円と言われます。千三百九十六兆円と承知をしております。
  68. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 その内訳というか、どのような方がどれだけ持っているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  69. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 内訳、とりわけ年齢層での御質問だと存じますけれども、高齢者、六十歳以上の割合につきましては、これはいわゆる世論調査になりますけれども、金融広報中央委員会の世論調査によりますと、おおよそ半分程度、五二・六%が六十歳以上の高齢者によって保有されているというふうになっております。
  70. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 その方々のいわゆるたんす預金ですよね、手に持ってというか、放さない、その資産を市場に出さなくてはいけない、そういう課題があったと思うんですが、この点について何か政策を取られているのかどうか、どのような考えをお持ちなのか、聞かせてください。
  71. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどの御答弁と少しダブるかもしれませんが、正にそういった預金等々がリスクマネーとして経済を活性化するために市場に入ってくるという状況を作ることが、委員正に御指摘のとおり、大変重要でございます。しかし、考えてみたら、これもう二十年ぐらい前からずっと言われていることで、なかなか実現できていない。  何を行っているかということでございますけれども、例えば昨年十二月に銀行等による株式等の売買の証券会社への取次ぎ、証券仲介業務の解禁というようなことを金融審議会において御審議をいただいて、制度の実現に向けて努力をしてきたところでございます。  また、証券市場の監視機能の体制の強化、ディスクロージャーの合理化、それと、これは組合型の例えばファンドへの投資家保護の範囲を拡大する、さらには、証券会社による顧客の注文の執行に当たって最良執行義務の制度を導入する。今国会に証券取引法等の一部を改正する法案を提出したところでございます。  いずれにしても、そのことは幅広く多様に努めていかなければいけないと思っております。
  72. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 おっしゃることは分かりますけれども、なかなか財布のひもが緩まないというのが現状だと思うんですが、ここで一点、私自身も関心を最近持ち始めたというか、面白い話、いい話だなと思った施策というか、投資方法の一つにSRI、SRIというものがございますが、これについての大臣認識をお聞かせください。
  73. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 愛知委員がこのSRIについて大変深く勉強されておるということにかねがね敬意を払っております。  このSRIというのは、正にソーシャリー・レスポンシブル・インベストメント、社会的責任投資というふうに訳してよいものだと思いますけれども、例えば、近年の環境問題に対する消費者や投資家の関心の高まりを受けて、積極的にそうした問題を配慮してしっかりやっていこうと、そうした、日本で言うとエコファンド等々が有名でありますけれども、それが拡大しつつあるというふうに思います。  いずれにしても、多様なニーズを反映していると。金融市場、証券市場を厚みのあるものにしていくということでありますので、こうした事業者や投資家における自主的、積極的な環境配慮への取組等には私自身も非常に期待をしております。
  74. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 これの参考までになんですけれども、アメリカ市場、アメリカ市場総額どれぐらいあるのか、そして、このSRIというのがどれだけアメリカ市場においてそのウエートを占めているのか、お聞かせください。
  75. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これ御承知のように、実はSRIとどう定義するかというのは必ずしも明確ではございません。  いろんな推計等もあるようでございますが、比較を行い得る投資信託に限って比較を行った場合、これはある民間の非営利団体の調査でございますけれども、アメリカにおけるSRI型の投資信託、ミューチュアルファンドの残高でありますけれども、二〇〇三年十二月で円に直しまして約十六・六兆円になります。これアメリカ全体の投資信託の二%になります。  イギリスについて、これはSRI型の投資信託、いわゆるユニットトラストの残高でありますけれども、これについては円に直すと八千億円、全体の一・九%となります。  日本についても申し上げれば、これは二〇〇四年二月末で九百八億円となっておりまして、先ほどアメリカで二%のウエートと言いましたが、日本は〇・二%の割合になっております。
  76. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 これ、算定方法というのは大変難しいと思うんですけれども、どのような基準を設けていくのか、どのようなものがSRIなのかというのは難しいんですが、私自身が聞いた話では、部分部分をどのような判定をするか分からないんですけれども、最大で約二百四十兆円がこのSRIにかかわりがあるんじゃないかというふうな話を聞いております。それはアメリカの金融市場総枠の約一一%、これはかなり巨大なマーケットになっていると思うんですが、先ほど、大臣認識、私の認識、ちょっと違うかもしれないんですけれども、これは精査をしてしっかりと研究する価値があるのだとは思いますけれども、その点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  77. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように非常に重要な分野だと思います。  マーケットでは評価、マーケットでは経済的な価値が評価されますけれども、そのマーケットでは評価されない価値というのは間違いなくある。それが社会的価値であって、であるがゆえに社会的価値は極めて多様である。委員指摘のような研究の資料も御指導いただいて存じ上げております。  いずれにしてもまた新しい分野でありますので、これはしっかりと勉強していかなければいけない分野だと思います。
  78. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 大変、もっともっと質問をしたかったんですけれども、竹中大臣、ちょっと残余の質問をできない事情がございますので、委員長に提案でございますけれども、退席なされて結構なんですが。
  79. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 質疑者が退席だとかなんとかと言うのは間違いなんですよ、段本委員もそうだけれども。それは委員長が決めるんだよ。その前に理事と協議するんですよ。だから、質問者が勝手にそういうことを言うのはやめてくださいよ。私が決める。
  80. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 いや、今、御提案を申し上げたんですが。
  81. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) どういう御提案だ。
  82. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 退席されても結構なんですけれども、委員長、どうでしょうかという御提案だったんですが。
  83. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) それは考えます。  はい、質問続行。
  84. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 はい、分かりました。  では、大変有り難い話でもございますので、今の点、先ほどの段本委員の質問にも私、関連しておりますので、環境大臣に質問させていただきたいんですが、このSRIですね、SRIについて、環境に配慮した企業に積極的に投資をしていこうというシステムというか、考え方なんですが、環境に配慮した活動をしている企業に対して積極的にバックアップをしていきましょうという大臣の考え方もございますので、このSRIについて大臣の所見を伺いたいというふうに考えております。
  85. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今御指摘ありましたように、環境に対して積極的に取り組んでいる企業に対して、そちらへの投資を促していくということは、その投資が促されることによって更にまた環境産業が育つ、そしてうまく回っていくという好循環が期待できるという意味では、環境と経済の統合を目指すその流れに正に合致するものであろうと思います。  最近は、そのSRIとともにCSRというような言い方で、企業社会的責任ということがいろんな面から、雇用の面そして環境の面、もちろん法律をちゃんと守っているか、正にグッドカンパニーであるということが投資の更なる投資を呼び込むという一つの大きなスタンダードが世界じゅうでできつつあるというふうに認識しております。  先ほども、段本委員の御質問のところでもお答えしたんですけれども、今国会で環境に配慮した事業活動の促進をするためのその法律案を出させていただいておりますが、そういう法律、この法律の中で、事業者そして国民が投資する際に当たって、企業企業環境配慮への取組を明らかにした環境報告書などの環境情報を勘案して行うようにまず努めていただく。それから、国とすれば、事業者又は国民が投資などに当たって、この環境報告書に関する環境情報を利用することを促進していただくためのいろいろな措置を講じていくということで、機関投資家、金融機関を含めました事業者や国民に対しての、環境に対してどういうことをやっているのかというその情報を提供すること、それから投資家の皆様方にも知っていただかなければなりませんので、その普及啓発しっかり努めていきたいと、このように考えております。
  86. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  多分、私も環境委員ですので、環境委員会でこれは詳しく質問をさせていただくというふうに思うんですが、ただし、投資家側が、やはりSRIのような、CSRのようなものでせっかく社会的責任を果たしている、環境に配慮している事業者に対してどんどん積極的に投資をしていこうというふうな思いがあったところで、その判断要素が少ないとなかなか投資しづらいだろうと。私自身は、SRI、どんどん積極的にやるべきだと思うんですが、この国の経済にとってもプラスになると思いますので、どうか積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  ちょっとその法律というか、指定の中で一点だけ、環境省が施策として、また法案として、法案は我々が通すんですが、施策として進めようとしている中に一般の企業というのは入っているのかどうか、ちょっと聞かせてください。
  87. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今回の法律の中には特定事業者等という形で盛らせていただいております。今回、第一ステップとしてしっかりまずそういう流れを決めていくという点では、大きな前進になろうかと思っております。
  88. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 では、まだまだ第一歩ということだと思います。これからどんどん積極的にその施策を進めていっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  もう一つなんですけれども、先ほどのSRIですね、いろんな要素がございまして、基本的には、そもそもなぜこれが始まったかといいますと、企業が長期的な利益拡大を続けるには社会との融和を避けては通れないと、だから、社会的貢献をしながらでないと企業は成長しないだろう、長期的に見て。それをしっかりと基準を設けて投資の判断にしていこうというそもそもの考え方があるんですが、竹中大臣いなくなっちゃったんで、是非……
  89. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残らしゃいいんだよ、あなたが。
  90. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 いやいや、谷垣大臣にお願いしたいんですけれども、このSRIに対する認識というか見解をちょっと伺いたいというふうに思うんですが、これから検討するのか、それとも積極的にやっていくのか。まだ質問通告もしていないんで、今の意識というか、話を聞いた上での御感想でも結構ですので、よろしくお願いします。
  91. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員が一生懸命勉強しておられるSRI、私もなかなか興味深い手法だなと思っております。ただ、率直に言って、財務省でのSRIの検討というのはまだ余り進んでいないのが実情でございます。  財務省の施策という観点からいきますと、税の関係というのが一番縁が深いのかなと思うんですが、例えば環境であるとかそういう問題であれば、租税特別措置のようなもので、直接そういう環境の目的を税の上で推進していくという手法もあるわけですね。  それから、現在、個人の株式投資を促進しなきゃならないという観点から、上場株式とかあるいは公募株式投資信託の配当とか収益分配金とかあるいは譲渡益に対する課税というのを下げようと、こういうことでやっておりますが、そういうのも投資家がこういうSRIみたいなものを、何というんでしょうか、やっていくときの敷居を低くしている面があるわけですね。  さらに、それを超えて、SRIと税という、直接、じゃSRIのようなものに税の言わばインセンティブみたいのをどうやって設けるかという話になりますと、もう少しSRIというものを研究してみなきゃいけないと思うんです。つまり、投資家の価値判断に従って、こういう企業はいい企業だ、こういう企業取組姿勢は評価できる、だからここに投資していこうということになると思うんですが、むしろ国家の方は、投資家の価値判断を通じて何か大きな目的を、企業社会的責任を追求していこうという手法の中で、やっぱり国が入りますと、国なりの政策判断、価値判断が入るわけですから、どういうものをSRIの対象として税のインセンティブを持っていくかということになりますと、そこに国の一定の政策の価値判断がありますから、それと投資家が企業の経営姿勢を評価するというところに意味を求めるという考え方と、どう整合性を求めていくかというような問題をもう少し議論してみなきゃいけないのかなと、こう思っております。まだ勉強が余り進んでおりませんので、現段階での考え方でございます。
  92. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。積極的に研究をしていただける、前向きに考えていただけるということで今の段階では十分であります。  ただ、端的に、先ほど高齢者の方々が金融資産をという話をしましたけれども、私自身も、株式ですね、株式、端的に言えば、株式は買ったことはあるんですけれども、お小遣い程度で、ちょっと勉強のためだと思って買って、結局プラスにはなっていないんですが。そのときの何を買うかと、何を買うかという判断基準が、単にもうかりますよ、この企業は業績良さそうだから買っておいたらどうですかと証券会社の方に勧められて買ったぐらいなんですよね。その企業を知る上で判断基準が全くないんですね。もうけるしかない。業績で、これ株上がるから買ったらと。  基本的にはそれでいいと思うんですけれども、ただ、せっかくなんで、ただお金もうけとか投資の対象ではなくて、この企業社会的に非常な貢献度がある、貢献度合いが高いと、頑張っている企業だし、単なる利潤だけではない要素があるんだということになれば、ああ、なるほど、同じような企業だったらそちらに投資してみようという気にもなるでしょうし、一般の方が特に思っているのが、バブルという反省もありますけれども、単に投機的な目的でそういった金融市場に投資をするというのはやはり気が引ける。だからこそ、それ以外の要素があることによって、社会的責任という要素があることによってインセンティブが働くんじゃないかと私自身は考えておるんですが、この点についてもう一度財務大臣の所見を聞かせてください。
  93. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かにそういう面があるんだろうと思いますね。今まで株に投資する人の関心と違う関心を、株式市場といいますか、投資の場に呼び込めるかもしれないなと、今、愛知さんのお話を聞いてそのように感じていることは事実でございます。  それと、あと、じゃ政策的にそこにどうインセンティブを加えていくかというのについては、まだちょっと先ほど程度しか検討が進んでおりませんので、もう少し勉強させていただきたいと思います。
  94. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 分かりました。積極的にやってください。  それで、この点、一つなんですけれども、ブレア政権なんかがこの政策的に、これは政治決断でSRI促進していこうという政策を取ってきたらしいんですが、その大きな目玉なんですけれども、これ年金の運用資金をSRIに投資しましょうという政策を取っているんですね、取っているらしいんですけれども、この点について、ちょっと事前通告はしていなかったんですけれども、坂口大臣、これから年金の議論もまた多様に膨らんでいくとは思うんですけれども、それを、年金は参考までにということで結構ですんで、このSRIに対しての御所見を伺いたいと思います。
  95. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほど小池大臣からも御発言あったわけでありますけれども、CSRという言葉、考え方ございまして、企業に対して社会的責任を取っていただく、社会的責任というものを考えていただこうということでございますが、やはり今のこのお考えは企業にだけ言っていてはいけないので、社会全体がやはりそういう企業育成をしていくという、やはり全体でそこを考えなきゃいけないというお考えではないかというふうに聞かせていただきまして、大変それはすばらしいお考えだというふうに思っております。お考え、大変すばらしいお考えだと思いますが、我々もそうしたことをまだ実現をしていくというようなところまではなかなか至っておりません。  ただ、我々の方は、少子化対策でありますとか、あるいは母子家庭、あるいはまた障害者の雇用等を、そうしたものも一生懸命やっておるわけでございますから、例えば障害者の雇用をしっかりやっているところ、あるいは母子家庭のお母さんをしっかり雇ってくれているようなところに対して、我々が何か投資をするときには配慮をしてしかるべきではないかという意見がやはり省内にも出ておりまして、そうしたことにつきましては今、一生懸命議論をさせていただいているところでございます。  年金資金のところまだ至っておりませんで、今後よく意見を拝聴しながら考えさせていただきたいと思います。
  96. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  今、雇用の問題ということもおっしゃられましたけれども、是非それが市場に評価されると。障害者の方々とかいろんな雇用、一生懸命確保しながら一緒に頑張っておられる企業、表には業績としてなかなか出てこない話なんですけれども、それが投資判断の基準になれば株価が上がったり資金の資金繰りですね、に関してすごく優遇措置を受けられたりメリット効果が、メリットがあるということであるとまた企業のそういった取組にも弾みが付くと思いますんで、是非促進していただけるよう、まず御検討いただけますようにお願いを申し上げます。  同じような点で、ちょっとすぐにつなげるのは難しいかもしれないんですが、農水大臣にお伺いをしたいんですけれども、農水省として株式会社の参入ということもございましたけれども、やはり農業は単なる営利企業的なものだけでなく、社会的な貢献、環境であるとか、あとは人の生命に関する尊い仕事ということもあるんで、その点の評価もあってしかるべきじゃないかというふうに思うんですが、所見を伺いたいと思います。
  97. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 株式会社の農業の参入と、この面につきましてはいろいろ今形態、特区等におきましてそのリース方式と、こういう形でいろいろ農業に参画をしていただいておるわけでもございますし、いろいろな角度から時代の要請と、そういう面で環境の問題等、あるいは先ほどもお話がありましたが、有機野菜ですとか消費者のニーズに合うそういう農業生産が行われると、こういう面ではそれなりの存在価値があるわけでありまして、ただ、当面、特区におきますリース方式の状況を十分今後とも検証してまいりたいと、このように考えております。
  98. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  99. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。愛知治郎君。
  100. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 午前に引き続き、午後になりましたので、ちょっとテーマを変えて質問をさせていただきたいと存じます。  まずですが、鳥インフルエンザ、またSARS等、未知の奇病が発生し、蔓延するおそれが出てきております。国民の皆さんも大変そのことについて危惧をしておるんですが、私自身も少し不安に感じているところがございまして、といいますのも、これが地球温暖化等、環境の変化によって影響を受けているんじゃないかという危惧をしておるのですが、まず一点、環境大臣、この点どのような御所見を持っておられるか、伺いたいと思います。
  101. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 鳥インフルエンザ、SARS、正に奇病と言えるかと思いますけれども、それと、その発生と地球温暖化の影響の関係については現在のところまだ明確には分かっておりません。  ただ、世界の科学者によって取りまとめられましたIPCC第三次評価報告書によりますと、地球温暖化が熱帯地域でよく発生する感染病のマラリアとかデング熱などの発生の地域を拡大してしまうと。つまり、これまで熱帯地域でなかったところでもそういった病気が広がってしまうということ。それから、食料の生産、生態系、さらには海面上昇など、様々な分野においてこの地球温暖化の影響が及ぼすということをちゃんとした、ちゃんとしたというのはおかしいですけれども、科学者の方々の様々な分析によって予測がされているということでございます。  ですから、環境省とすれば、どういう影響があってどうなったのかというような研究を進めるということと同時に、鳥インフルエンザ、SARSと地球温暖化の関係と同時に、やはり地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減対策、これを早急に進めていかなければならないというふうに考えておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
  102. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  確かに、因果関係はなかなかはっきりしないことはしないと、まだ研究、進められておりませんので難しいとは思うんですが、例えば、私ある一説を聞きまして、地球温暖化の影響によって、先ほどの熱帯にしか生息しない疫病というか、病原体がだんだん北上してくるということもあり得るし、また、温暖化によって解けた氷ですね、南極、北極、それから永久凍土の氷が解けて、昔々封じ込められていたウイルスなりばい菌なり細菌なりがまた再び地表に出てきて、それを渡り鳥が運んでいろんな病気が出てくるんじゃないかという話を聞いておるので、まあ可能性ゼロではないなと思いますし、未知の危険性というのはこれからもまだまだ出てくる可能性がありますけれども、もう一度、その点の危機感というか、考え方をお聞かせください。
  103. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいま、科学者の方々の考え方、そしてこれまで分かっていることなどについてお伝えをしたわけでありますが、私は逆に、そういう科学的なこともさることながら、最近の様々な出来事でちょっとおかしいぞというごくごく当たり前の直観を持って、環境省内でそれぞれの専門家の担当官などにどうなのということでむしろ素朴な疑問を投げ掛けることが国民の皆様が抱いておられる危機感と、それから研究というのは実は大変緻密で、かつ時間もお金も掛かることで、なかなかその辺のタイムラグも生じてくるのは否めないんですけれども、皆さんが普通に、またある意味で将来にわたっての漠然とした不安感、危機感、こういったものにおこたえできるように、いろんな面で省内も急ぐ、やるべきことを急ぐようにとか、そういったところはしっかり私の立場で指揮をしてまいりたいと考えております。  危機感は皆さんと共有しているつもりであります。
  104. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 この点、ここ予算委員会でございますので、谷垣大臣にお願いなんですけれども、そういった研究に対する予算というものをしっかりと配分していただきたいというふうに思います。温暖化は特にそうなんですけれども、分からないんですね、一般の方々は。実感がなかなかできない。何が因果関係があるかも分からない。それを一つ一つ証明していくというのも大切な作業でありますので、是非御配慮いただきますように、ちょっと一言御所見を伺いたいと思います。
  105. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 研究開発は予算の配分の中でもめり張りの張りの方の部分でございまして、総合科学技術会議等の評価付けに従って、めり張りのある予算配分をしておりますけれども、今後とも、そういう地球の環境変動というのも相当力を入れて評価をしていただいている分野ではないかと思っております。
  106. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 小池大臣、もう一つ。  また、京都議定書の話がありますけれども、なかなか表に出てこない話だからこそ、これは政府、各国が積極的に取り組んでいかなければならない、まあ皆さん指摘されていると思うんですが。果たしていつごろまでにあれは発効するのかと。今年じゅうにできるかなんという話もありましたけれども、その点に対する、京都議定書に対する大臣のお考え、もう一度お伺いしたいと思います。
  107. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 環境委員会の重要なメンバーであります愛知議員は既に御承知のことだと思いますけれども、この京都議定書のかぎを、が発効するか否かのかぎを握っているのは現在ではロシアと見込まれます。また、ロシアはこの三月、大統領選挙を控えているということで、また新しい閣僚の布陣なども発表されたところであります。どのような形でどのような判断基準でいつロシアがそういった京都議定書に対しての国内でのまとめをしていくのか、大変重要でございますので、これからも注視をしていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、我が国に課せられている約束というものは、これはいずれにせよ進めていかなければなりませんので、京都議定書の発効に向けて各国に呼び掛けを続けると同時に、国内でなすべきことはなしていくと、そういう心持ちで今後とも取り組んでいきたいと考えております。
  108. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  やはり、先ほど申し上げましたとおりに、世界に対しても、どのような影響があるのか、しっかりと証明をしていかなければならない、そしてその警鐘を鳴らしていかなければならないというふうに考えております。  先ほどの疫病の蔓延ということに関して、これは厚生労働大臣にお伺いをしたいんですが、こういった地球温暖化等の環境の変化というのが影響を及ぼしているということがあるのかどうか、現在のお考えで結構ですので、御所見を賜りたいと思います。
  109. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 小池大臣からも御答弁のあったとおりでございまして、科学的に証明されているわけではないというふうに私たちも思っております。  しかし、マラリア等を見ましても、今まで日本では見られなかったわけでございますが、最近、沖縄の南側の島等のところではマラリアが見られるようになってきたというお話もございますしいたしますと、これ、温暖化とこれは関係ないとは言えない、むしろ関係あるのではないかというふうに思っているわけでございます。  そうしたこともございますので、これはもう予測の範囲を現在のところは超えておりませんけれども、考えられる可能性としては非常に今高いというふうに私個人は思っております。  そうしたこともございますし、それから人の行き来が世界的規模で大きくなっている、自然破壊が進んでいるといったようなことも影響はしているというふうに思われますし、また、ペットを飼う皆さん方が多くなったりいたしますので、人と動物との間の共有のウイルス等が多くなってきているということもあり得る。他の分野のことも考えられますけれども、決して温暖化ということをネグレクトするというか、排除をするということはできないというふうに思っている次第でございます。
  110. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  もっと稚拙な話というか単純な話なんですが、私の地元が宮城県で、住んでいるのが仙台市なんですけれども、小さいころに私自身はゴキブリとか見たことなかったんですよ。余りすんでないんだと思うんですけれども、最近は結構出るんですね。それから、北海道の方もよくそういう話をされている。  これは温暖化とは違うと思うんですが、例えば人間。温暖化の影響がどうこうというよりかは、人間の移動とか、あと暖房とか、人間の生活、文明がその環境に影響を与えて、そのほかの生物のその生息環境というのを変えて、全体の生態系とか環境自体を変えてしまっているんじゃないかというふうに思います。  一番怖いのが、こうやって疫病が蔓延することもそうですし、BSEのような問題、あれも未知の病気でありますけれども、ああいった問題とか、世界的に気候変動によって作物が、食料などが不作になって、それからまた水産資源もそうですけれども、世界的な食料危機が起こる可能性は、これはなきにしもあらずだろうと。それが一点と。  また、外国でそういった疫病が発生したときに、今回アメリカのBSEもそうですけれども、輸入がストップしてしまう、できないような状況というのも十分想定されることだと思います。だからこそ、今、日本の食料安全保障というのを根本的に見直して、これから五十年、百年先のその安全保障体系というのを構築しなくちゃいけない時期だとは思うんですけれども、この点について、食料安全保障の必要性について農水大臣の見解を伺いたいと思います。
  111. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) いろいろ委員指摘のとおり、非常に農業と農産物、これは非常に気候上、気象条件とかいわゆる自然に左右されるわけでありまして、そういう面でいろいろなことを十分考えてまいらなければならないわけであります。食料は国民生活にとりまして最も基礎的な物資であるわけでありまして、そして安定的な供給の確保を図るということはこれ必要なことでありまして、そういう面で国内生産の増大を図ると、このことが必要でありまして、消費、生産両面にわたりましていろいろ努力をしていかなければならないわけであります。そういう点で、今、食料自給率の目標を四五%にいたしまして、その食料自給率の向上のためにいろいろ取り組んでおるわけであります。  しかし、御承知のとおり、大変我が国は国土資源に制約のあるところに一億二千七百万の人口を抱えておるわけでありまして、非常に厳しい条件下にあるわけでありまして、国内生産だけでは国民のすべての食料を供給するということは困難であるわけであります。そういう面で、国内生産の増大を図りつつ、これに輸入とそして備蓄と、これを組み合わせていくことを基本とすると、このように考えるわけでありまして、今後とも、その国民の理解を得ながら、食料自給率の向上を図っていくことを基本といたしまして、安定的な輸入の確保や適切かつ効率的な備蓄の運営等に当たって、そして食料の安定供給を図ってまいりたいと。  特に、この輸入の面、農産物の貿易というのはいろいろあるわけでありまして、そういう面では、国内外の需給動向に関する情報の収集とかあるいは分析とか、あるいは主要輸出国との安定的な貿易関係の形成と、こういう点での緊密な連携と情報の交換と、こういうことを通じまして、国民の食料の安定供給、この使命を果たしてまいりたいと、このように考えております。
  112. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 安定供給もちろんなんですけれども、いざというときのための概念というのが食料安全保障だと思うんですけれども、この点の認識ですね、正確にしておかないと議論が錯綜するだけで、明確なビジョン、戦略、打っていくことができないと思うんですが、この食料安全保障という考え方の認識を改めて伺いたいと思います。
  113. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 食料安全保障の正確な認識ということでございますが、これは私、個人的な、基本的な考え方としては、国家というのは国民の生命、財産を守るということは基本的責務だと思っておりますが、その一環として、極めて重要な問題として、いついかなるときにおいてもその国民に対して食料を安定的に供給するということが国の責務であると。そういう意味での安全、食料の安全保障という概念は極めて大事な概念であり、それを我々が認識しておく必要があるというふうに思っておるわけでございます。  そのことにつきましては、御案内と思いますが、現在あります食料・農業・農村基本法にも実は定義的に書いてあるわけでございまして、第二条に項目が設けられております。その中で、特にその第二条四項のところが具体の施策につながるような表現でございますのでちょっと読み上げてみたいと思いますが、「凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が相当の期間著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。」ということで、我が国の場合は法律でもそのことがしっかりと義務付けられて規定されているということでございます。  短期的な場合とそれから長期的な場合とで、いろいろと食料の不測の事態が生ずるということは想定されるわけでございますけれども、そういったものに備えて国として基本として確保しておかなければならないのは、平素から食料供給力を維持すると、いわゆる食料の自給力をしっかり保持しておくということが大事だと思っておりまして、農業関係でいきますと、農地と担い手の確保あるいは農業技術水準の向上、それから水産関係でいきますと、水産資源の適切な保存、管理、あるいは漁業の担い手の確保、こういったようなことに平素から取り組んでいることによりましてその食料安全保障の概念にきちっと堪えられるような政策展開になるというふうに考えております。
  114. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  大変丁寧に御説明をいただきまして、私の認識もそのとおりであるんですけれども、大事なのが、輸入が止まったという状況で国内で確保ができるかどうか。だから自給力の問題なんですけれども、亀井大臣、先ほどいろんな国との連携の上で食料の安定供給という話をされたんですが、この点について、安全保障というのはそれとは別、全くストップしてしまったときのことを想定しなくちゃいけない、それでも国民が飢えないようにしなくちゃいけないという観点が食料安全保障だと思うんですけれども、その点の認識をもう一度お伺いしたいと思います。
  115. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 正に今副大臣からも御説明申し上げましたとおり、いついかなるときにも国民に対しまして食料を安定的に供給すると、こういうことが一番の基本的なことであるわけでありまして、そういう面で、不測の事態におきます最低限の食料を供給するために、やはり今私ども食料・農業・農村基本法と、これに基づきますいろいろの施策、また自給率の問題、これは消費、またあるいは消費者サイド、あるいはまた生産者サイドからそれぞれその数値というものをこう持って、そしていついかなるときにも国民に対しましての食料の安定供給ができるような体制を常に作っていくことが必要なことと、こう思っております。
  116. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  私自身はここを明確にしなくてはいけないと思うんですが、自給力の問題と自給率の問題ですね。自給力の部分は国の義務だと思うんですね、責務だと思います。それは最低限守らなくちゃいけない国の責務。自給率の方に関して言えば、目標であり戦略であると私自身は考えております。  といいますのも、自給率、一応目標として四五%というのはあるかもしれないですけれども、それを七〇%、八〇%にしますとか七五%にするとかいうのはあくまでも目標でありますし、その点は区別をしなくてはいけないのが一点と、また、全体の自給率を論じても余り意味がないんじゃないかと私自身は思うんです。  この点でちょっと具体例なんですけれども、お伺いしたいと思うんですが、コーヒー、コーヒー豆の自給率というのは何%ございますでしょうか。
  117. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) コーヒーは、沖縄県等の一部地域で栽培はされておりますけれども、商業的なコーヒー栽培はないと聞いておるところでございまして、ほぼ一〇〇%海外から輸入しておりますので、自給率はゼロということになると思います。
  118. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 コーヒーの自給率を上げようって、全体の、とにかく何でも上げようというのはナンセンスだと思うんですが、では、小麦についてもお伺いしたいと思います。
  119. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 小麦は平成十四年度自給率一三%でございまして、小麦の場合は、ちょっと申し上げますと、日本めんの原料として使われる部分が五九%でございますが、パン用の方が一%といったようなことで、品種によるばらつきも含めまして、現在では一三%でございます。
  120. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ついでに、ついでにと言ったら申し訳ないんですけれども、ちょっと違うものでマグロ、マグロはどれぐらい国内産というか、自給率があるのかなということをお伺いしたいと思うんですが。
  121. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) マグロ、マグロ・カジキ類という分類になっておるんでございますが、平成十年四七%が平成十四年三九%ということになっております。
  122. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  マグロの場合は難しいと思うんですけれども、特に国民にはすごく親しまれている食材でもありますので、それで例示をしていただきたかったということだったんですけれども。  今御答弁いただいた数値で、コーヒーはゼロ、小麦が一三%。小麦に関しては戦略的にもっともっと、需要もありますし、日本めんだけではなくてパンであるとかいろんな供給に資する面がありますので、これは戦略的に増やすことは構わないだろうと思いますが、コーヒーに関しては全く意味がないだろうというふうに思います。  この点が一番重要で、全体の自給率云々ということでは余り意味がなくて、やはり個別具体的にきめ細かな分類をした上で、戦略的にどの作物をどのように増やしていこう、どの食材をどれだけ増やしていこう、これの結果として全体の自給率が出てくると思うんですが、この点、そういう考え方について大臣の所見を伺いたいと思います。
  123. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 食料の自給率の目標につきましては、消費者や生産者等の関係者の取組の指針と、こういう面では必要があります。食料・農業・農村基本計画におきましても、何の前提もなしに何%と、こういう目標を掲げるだけではなくて、やはり消費及び生産における取り組むべき課題を明示する必要があるわけであります。  そういう点から、これらの問題につきまして、栄養バランスの改善と食生活の見直しを前提とした消費量の目標値であります望ましい食料の、食料消費の姿、望ましい食料消費の姿と、また一方、米、麦、大豆等、品目ごとに生産性や品質の向上等の課題の解決を前提といたしました生産量の目標値であります生産努力目標と、こういうことを掲げたところでありまして、そういうような面で、その実現可能な水準として品目ごとの自給率目標を設定すると。そういうこととともに、それらを積み上げたカロリーベースの食料自給率を四五%と、こう設定してあるわけでありまして、こうした考え方から品目ごとにその課題を解決に向けた取組を進めているところであります。  今後とも、関係者が一体となった取組、そういう中で、品目ごとの自給率の向上と、それを積み上げたカロリーベースの食料自給率の向上を図っていく必要があるわけでありまして、委員今御指摘のとおり、品目、個別品目ごとの事情が異なることから、やはり生産から消費にわたる施策につきましても個別に対応をしていくこと、これは大変重要なことだと、このような認識を持っております。
  124. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  ちょっと戻りますけれども、食料自給力の話で、食料安全保障の話なんですが、これは大体農地でいいますと、農地の確保というのは絶対必要だと思うんですけれども、農地でどれくらいの農地を確保しなければならないのか、伺いたいと思います。
  125. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 平成二十二年度の目標として四百七十万ヘクタール、これを目標値としております。
  126. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  私も四百七十万ヘクタールという認識をしておるんですが、でも実際には耕作放棄地というのは物すごくあるんじゃないかと。  先ほど御答弁いただいた、副大臣なんですけれども、私と地元が一緒で、宮城県なんですけれども、宮城県でも耕作の放棄地というのはすごく増えているんじゃないかと。正確な数字は分からないですけれども、その点について、これは何とかしなくちゃいけないと私自身は思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
  127. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 宮城県でも四割以上の生産調整がされているわけでございますが、それらがすべて耕作放棄地になっているわけではございませんで、最近では転作作物の代表として大豆転作等が進んでおりまして、米どころとして有名な大崎地方の古川辺りでは、逆に最近では大豆の生産地として脚光を浴びてきているようでございまして、業界に聞きますと、豆腐業界、納豆業界では輸入した中国米よりもいいというようなことでございますので、米との関係で生産調整された農地が、いわゆる先生おっしゃるような意味での耕作放棄地という形になるのではなくて、他の作物に転用される等の有効活用も図りながら、全体として、愛知先生一番大事にしておられる、私も全く同感でございますが、食料のいわゆる安定供給といいますか安全保障、それにはやはり自給率を上げていかなきゃいけないという意味で、そういう方向に頑張っていっているという実態はあるわけでございますが、しかし耕作放棄地問題が全くないわけではないわけでございますから、その辺若干ややこしい問題も一杯含んではおりますけれども、現在の宮城県における取組を一つの例として考えまするならば、かなり新しい方向での転作作物への転換ということで努力が実ってきているという実態ではないかなと、私としては思っているところでございます。
  128. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  私も頑張ってまいりたいと考えておりますが、この点について、四百七十万ヘクタールを保持してその農地を有効に利用しなければならない、適地適作という話もございますけれども、その点についての大臣の御所見、お伺いをしたいと思います。
  129. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 四百七十万ヘクタールと、それは先ほど来も申し上げておりますとおり、今、食料・農業・農村政策審議会と、このところに諮問をいたしまして、そしてやはり高齢化と、更には遊休農地と、耕作放棄地と、こういう問題があるわけであります。そういう面での基本計画の見直しを諮問をしたわけであります。  そういう面で、担い手、やる気と本当に意欲のある農業者を支援をする、後押しをする、そういう点と、あるいはまたもう一つは農地制度の問題、こういう面でも、やはりこの耕作放棄地につきまして、今、集落経営体等いろいろ、水田農業ビジョン作り等々、いろいろそれぞれの地域で進めていただいておるわけであります。そういう中で、やはりこの耕作放棄地を、そういう基本計画の見直し、そしてあるいは農地制度の見直し、そういうことと併せて、先ほど副大臣からも答弁をいたしました、いわゆるほかの作物、今度、経営安定対策という中で品目横断的な対応と、このことも諮問をしておるわけでありまして、そういう面でこの耕作放棄地の対応につきましてその努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  130. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  時間となりましたので最後なんですけれども、やはり、明確な論理というか哲学の上に、先ほどの食料安全保障、自給力の話とか、戦略性を持ってWTOの交渉であるとかFTAを締結していかなければならないというふうに考えておるんですが、その点、今後の取組大臣の姿勢、御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  131. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) WTO農業交渉に関しましては、我が国の多様な農業の共存、このことを基本理念といたしまして、柔軟で継続性のありバランスの取れた貿易ルールの確立、この努力を今しておるわけでありまして、このことを主張いたしております。そういう中で、やはりFTAにつきましてもWTOを補完をする、こういう面での交渉を行っているものでありまして、我が国の農業の構造改革に悪影響を及ぼさないような交渉、これを今進めておるわけでもございます。  こうした中で、WTOやFTAの交渉におきましても、先ほど来御指摘のとおり、我が国の食料自給率、これが四〇%と大変低い水準にあるわけでありまして、食料の安全保障、そして国土の保全と、こういった農業の多面的な機能の重要性、このことは強く主張していかなければならないわけでありまして、これら、今後とも農政改革を進める必要と食料・農業・農村基本計画の見直しに向けて検討を行っておるところでありますが、いずれにいたしましても、我が国の実情を反映し、足腰の強い農業を確立する上で支障が生じることのないように、我が国の主張を十分反映された結果が得られるように更に交渉に全力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
  132. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。
  133. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で段本幸男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  134. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、大塚耕平君の質疑を行います。大塚耕平君。
  135. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。  片山委員長におしかりを受けないようにしっかりとやらさせていただきたいと思います。  今、委員の皆様方のお手元には日本の経済の先行きについての推計をした資料などをお配りをさせていただきました。竹中大臣衆議院において、我が党の小泉議員に対して、野党も経済見通しを出してくれたらちゃんと審議をするというふうに言っておられましたので、数字を出させていただきました。  まず、お手元の一枚目の資料には、私どもの推計、それから内閣府の推計、それから財務省の試算、この三つの概要を比較をさせていただいております。  冒頭お断りを申し上げますが、私どもが行いました推計は、民主党の様々な財政・経済政策についての考え方を反映はいたしましたが、二〇一五年にプライマリーバランスを均衡させるためにもろもろの前提を置いております。現時点においては、この前提は私の私見でございますので、民主党のコンセンサスではないということは御理解をいただきたいと思います。  そこで冒頭、まず内閣府そして財務省がいろいろ推計や試算を出しておられるわけですが、それについてお話を伺いたいと思います。内閣府の経済財政モデルにおける推計というのは、これはどういう位置付けのものでありましょうか、予算を編成する上でどういう位置付けのものか、まずその点をお伺いしたいと思います。  御答弁は、特に大臣を御指名した場合以外は政府参考人で結構でございます。
  136. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 内閣府のモデルは、「改革と展望」というものを今年の一月に閣議決定をいたしておりますけれども、その内容につきまして整合性等をチェックするという観点からモデルで試算をいたしました。参考資料という位置付けでございます。
  137. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私どものモデルは方程式二百一本を使いまして、もちろん外部の専門家の御協力も得て試算をしたわけですが、内閣府のモデルは方程式が何本で運営をしておられますか。
  138. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 方程式の数につきましては、かなり膨大な数でございますけれども、ただいまちょっと資料を持っておりませんので、全体として数百本程度の方程式であったというふうに記憶をしております。
  139. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日は経済財政モデルや内閣府の「改革と展望」等のプライマリーバランスについての審議を深めさせていただきたいというふうに通告してありますので、そういった基礎的な数字を持っていないというのは準備不足ですね。そんな、責任者が何本方程式使っているか分からないようで、どういう数字ですか、これは。(発言する者あり)
  140. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) あおっちゃ駄目だよ。
  141. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  マクロ経済モデルでございますけれども、経済財政モデル四部門から構成をされておりまして、それぞれにつきまして方程式がございます。これは、平成十三年の二月に策定をいたしましたモデルでございます。それぞれにつきまして、先ほど申し上げましたように方程式がございますけれども、全部で、合わせまして方程式の数、それぞれの部門ごとにかなりの数に上っておりますので、トータルをいたしますと今何本であるかということは、ただいま直ちに合計の数を持っておりません。
  142. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今お答えいただいたのは、この平成十三年十一月二日の「経済財政モデル(第一次)について」というペーパーをごらんになりながらお答えになったと思うんですが、何かすごくもっともらしい説明をしてあるようなんですが、大ざっぱなことしか書いてなくて、方程式が何本使ってあるとか、どういうシナリオで計算しているとか一切書いてないんですよ。もうちょっと詳しく御説明いただけませんか。
  143. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) モデルの構造につきましては既に公表をいたしておりますので、それにつきまして簡単に御説明を申し上げます。  これは平成十三年に作りましたモデルでございまして、四つのブロックから成っております。一つがマクロ経済ブロック、それからもう一つが社会保障ブロック、あと地方財政、それから国の財政ブロックという四つのブロックから成っておりまして、これは、過去のデータに基づきましてそれぞれの部門におきまして推計式を作って、全体の経済を推計をできるようにしたモデルということでございます。  試算につきましては、これからの「改革と展望」の期間中の五年間におきまして外生変数等を与えまして試算をしているということでございます。
  144. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 方程式の数だけ内生変数があると思いますが、外生変数は幾つ入れているんですか。
  145. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 大変恐れ入りますけれども、現状、外生変数トータルで幾つかということにつきましては、ただいま持っておりません。
  146. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 事ほどさように、これ、実は内閣府の推計、大変な作業で、多分実際に現場でやっておられる方は随分御努力をしておられると思うんですよ。  しかし、この数字は拘束力がないと言いながら、この数字を基に様々な予算審議が行われているわけですから、方程式の数、外生変数の数、外生変数が何かということ、シナリオ等々についてきっちり公開していただきたいと思いますが、委員長内閣府から資料の請求をお願いさしていただきたいと思います。
  147. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまの大塚君の要求につきましては、その取扱いを後刻理事会において協議することといたします。
  148. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 次に、財務省にお伺いをいたしますが、財務省のこの試算については、試算というのは、あれですね、「平成十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」、これはどういう位置付けのものでありましょうか。
  149. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 後年度影響試算でございますけれども、これは中期的視点に立った財政運営を進めていくと、その上での検討の手掛かりを示すことを目的にいたしまして、本予算の提案理由説明と同時に予算委員会に提出をしてきたところでございます。予算審議の御参考資料として提出をしております。
  150. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 二枚目をごらんいただきたいんですが、資料2というやつですが、財務省と内閣府が公表しておられる数字はここに全部書いております。  例えば、名目成長率について内閣府が「改革と展望」の参考資料として推計した数字が二〇〇八年度まで公開されているにもかかわらず、財務省が二〇〇五年、二〇〇六年、わざわざ違う数字を置いている理由は何でしょうか。
  151. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 内閣府の方の数字はまた内閣府の方で御答弁があるかと存じますけれども、この後年度試算につきましてのこの前提でございますけれども、これにつきましては……
  152. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、石井さん、それは聞いていない。どうして、どうして違う数字を置いているのかという。
  153. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) それは、それぞれがそれぞれの前提に応じて作ったということでございまして、この数字自体が二〇〇五年度から二〇〇七年度、数字自体が明確に政府として決めている目標の数字というのはないと。  決めておりますのは、「改革と展望」の二〇〇三年度で、集中調整期間後については、実質成長率は一・五%程度あるいはそれ以上と、名目成長率についても徐々に上昇し、二〇〇六年度以降はおおむね二%程度あるいはそれ以上の成長経路をたどると見込まれていると、こういう記述になっておりまして、これに基づいて財務省と内閣府でそれぞれ前提の数字を出しているということかと存じます。
  154. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 予算を組む上で、内閣府が経済財政諮問会議を統括をし全体をしっかり鳥瞰をしながら財務省が具体的な予算を組むという、同じ政府内組織ですよね。  内閣府は内閣府の数字をお答えになるというのは、これは閣内不一致でしょう、この数字の置き方は。大臣、いかがですか。
  155. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これ、二つの数字は、副大臣が御答弁しましたように、前提が違いまして、内閣府のは、先ほどのように、一定のモデルを持ってその上で算定しておられる。その中には、内閣府全体といいますか、経済財政諮問会議で考えた政策の努力目標というようなものが入ってモデルが作られていると。  それで、私どもの出しております数字は、平成十六年度の施策を前提として、これを前提としてこのまま推移すればどうなるのかという、もちろんそれ、いろいろ考えますときに、経済財政諮問会議内閣府で作っていた数字を利用している面はございますけれども、基本的に平成十六年度の施策を今後継続していけばどういう姿になっていくかという形の推計を示しているものでございます。
  156. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の大臣の御説明である程度は理解できるんですが、私は、財務省のいろいろ最近述べておられる見解の方が正直だと思うんですね。  内閣府にお伺いしたいんですけれども、私どもは、相当楽観的なシナリオを組み込んだ上でようやく二〇一五年にプライマリーバランスが〇・〇一三まで行くという、黒字にすると余りにもでき過ぎなのでちょっとマイナスになるようにしたわけでありますが、内閣府は二〇一三年にプライマリーバランスは黒字化すると言っておりますが、この二〇〇九年、二〇一一年、二〇一二年の数字も明らかにしていただけませんか、プライマリーバランスについて。この表の空欄を埋めてください。今日は皆さんにも数字を埋めていただくためにわざわざ白表を持ってきましたので。
  157. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  ただいま数字につきましては申し上げますけれども、私ども、この「改革と展望」の参考資料でもお断りをしておりますように、二〇〇八年度までが「改革と展望」の期間中ということでございまして、その先の試算につきまして、あくまでも更に試算の試算というような形でお示しをさせていただいているということでございます。  したがいまして、二〇一三年度にプライマリーバランスが黒字化するということでございますが、これはモデル計算でございますので、おおむね同じようなペースで一三年度に向かって減っていくというような考え方で作っていると、こういうことでございます。
  158. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、プライマリーバランスが黒字になるかどうかというのは日本財政が発散して蒸発してしまうかどうかということを占う上でやっぱり非常に重要な数字でありますので、今の御答弁はこういう数値を預かる役所としては余りにも大ざっぱ過ぎる答弁だと私は思います。  ちなみに、私どもは、私どもといいますより、私と私に協力していただいた外部の専門家の置きでは、仮定では、二〇〇七年と二〇一一年に消費税を二度上げてようやくこういう数字になっているんです。しかも、相当楽観的なシナリオを入れて。  皆さんのモデルでは消費税は途中で上げていますか。
  159. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  まず、先ほど先生から御質問のございました二〇〇八年度以降のプライマリーバランスの数字につきまして先にお答えを申し上げます。  これは、GDPに対する比率でございますので、パーセンテージで申し上げます。二〇〇九年が二%、二〇一〇年度が一、マイナス一、赤字幅が一・四%、二〇一一年度が〇・九%、二〇一二年度が〇・四%、二〇一三年度がプラスの〇・一%ということでございます。  それから、この試算につきましては、ただいま御質問がございましたけれども、政策的には、「改革と展望」に示してございますように、二〇〇六年度までの間は政府の大きさは二〇〇二年度の水準を上回らない程度とすることを目指すということでございまして、二〇〇六年度までの間につきましては昨年以降の税制改正の内容をそのまま入れております。「二〇〇六年度までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況および財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断」し、「二〇〇七年度以降も、それ以前と同程度の財政収支改善努力を行うと同時に民間需要主導の持続的成長を実現する」と、こういうふうに「改革と展望」で、閣議決定をされておりまして、したがいまして、二〇〇七年度以降につきましては、試算の便宜上、それまでと同じような形で財政収支改善努力を行う、その場合に歳出の面でその改善努力を行うという前提で試算をしておりまして、今先生御質問がございましたような消費税の引上げということにつきましては、試算においては前提にしておりません。
  160. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、それはちょっとにわかには信じ難いですね。似たようなものを使っているわけですから。モデルは御承知のとおり市販で売られているわけですよ。どの研究者も同じようなモデル使ってやっているわけですから。これ、消費税を上げていないということについて、このモデルの試算上ですよ、何かエビデンスを見せていただかないと分からないんですけれども。あるいは、きちっと言葉で分かるような説明をしていただかないと。  いや、私は、最初にわざわざ閣議決定対象じゃないということを言っていただいたわけですよ、あくまで推計ですから。推計ですから、そういう、どういう前提を置いているかというのは正直に言われるべきだと思いますよ。国民の皆さんは、なぜ二〇一三年にプライマリーバランスが黒字化するかということについて、その消費税のところをどういう想定を置いているのかというのは物すごく関心があるところなんですから、そこは、別に拘束力はないというふうに最初におっしゃったわけですから、正直に開示をしていただきたいと思います。
  161. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  ただいま申し上げましたように、二〇〇六年度までの間につきましては、まず第一には、昨年度それから本年度の税制改正を前提にいたしまして歳入面は計算をしております。それから、社会保障関係でございますけれども、国民年金の国庫負担につきましては決定が、二分の一に引き上げるということで決定をされておりますので、それにつきまして、それに対応する税につきましては前提として取り入れております。  先ほど申し上げましたとおり、二〇〇七年度以降につきましては、二〇〇六年度までに判断をするということになっておりますので、試算の上では便宜歳出削減のみで対応すると、それまでと同程度の歳出削減が続くという前提で試算をさせていただいております。
  162. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 財務省は相当内閣府のこの推計に対して厳しい見方をしておられて、これは、一月二十四日付けの毎日新聞に財務省が次のように説明したというふうに出ております。  例えば、二〇〇七年度の赤字額は財務省試算との差は四・二兆円に及んで、内閣府の推計については、財政収支が比較的良い地方財政を含めたプライマリーバランスを言わば相当加味していると。高い成長率を前提として置いていると。また、ここは今おっしゃった部分です、まだ決まっていない歳出削減を織り込んでいると。したがって、かなりバイアスの掛かった、国民に対して楽観的な予測を与え過ぎるものであると。  これは毎日新聞の報道です。だから、財務省のどなたが言ったか知りませんよ。ただ、まあ新聞社もうそを書くとは思えませんから、財務大臣、これいかが思われますか。
  163. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、財務省のだれがそのような発言したのか私は存じませんが、確かに今、委員おっしゃいますように、財務省試算は国の一般会計だけですけれども、内閣府の方は国と地方、両方を対象にしておられますし、それから、経済成長率の前提は二〇〇八年度以降、内閣府試算ではその七年度までよりも更に成長率が高くなるという前提で組んでおられるのは事実でございます。それから、財務省試算では十六年度予算を前提として推計しておりますが、内閣府試算では公共投資関係費、関係費は毎年度三%削減といったような努力を積み重ねると、こういう前提で作っておられる、そういう違いは確かにあると思います。
  164. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 先々についてはまあそういう御説明もなるほどという部分もございますが、ちなみに、二〇〇六年度もう目の前でございますが、二〇〇六年度の一般会計税収を財務省の試算の予測ではプラス一・四兆円と、前年度比でですね、置いているんですが、内閣府は二・九兆円も置いているんですよ。倍以上なんですよ。これは、いかに内閣府の方は努力目標だと言っても、同じ政府内で、まあ年度で言えば二年先ですけれども、もう事実上一年ぐらい先の話ですよね。プラス、前年度比プラス一・四兆円とプラス二・九兆円というのを、財務省と内閣府がこれほど違う数字を置いているというのはいかがなものでしょうか。  内閣府にお伺いしたいと思います。財務省がプラス一・四兆円と言っているのに対して倍以上の数値を置いている根拠は何でしょうか。
  165. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。  ただいまの違いは、私どもの試算では、先ほど申し上げました国民年金の国庫負担、基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げるということで機械的に、最終的な、失礼いたしました、二分の一に向かって毎年均等に国庫負担を引き上げていくという前提で税収を組み込んでおりますので、その点が財務省の税収見通しと異なっていると、こういうことだというふうに思います。
  166. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それぞれはお立場があるでしょうからそれぞれの説明をされるのは分かるんですが、予算審議をやらせていただく我々からすると、やはりもう少し財務省、内閣府がきちっと数字のすり合わせを行っていただきたいというふうに思います。  坂口大臣にもおいでいただいていますので、ちょっと年金制度改革の話も絡めてお伺いをしたいんですが、実はなぜこんな細かい話を伺うかというと、今、今国会の最大の争点である年金制度改革における積立金の運用利回りがどうなるかというのは、この内閣府の推計や財務省の見通しと非常に重要な関係にあるわけであります。  例えば、今厚労省がお示しになっておられる実質運用利回りの二〇〇八年以降というのは、いただいた資料によると、一・九%から二・七%と書いてあるんですね。これはどうですか、この実質成長率と見比べてくださいよ。内閣府が出している、二%台前半としか書いてないですから分からないですよ、二〇〇八年以降は。それよりも高い運用、実質運用利回りを確保できるというこの年金制度改革案というのはどこからこういう数字が出てきたんでありましょうか。
  167. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 専門家の先生に一番苦手とする私が十分な答弁をできるかどうかは自信がありませんけれども、今のお話をずっと聞いておりましたが、私どもの方も二〇〇八年まではこの「改革と展望」二〇〇三、この改定版、これを参考試算に使っているわけでございます。二〇〇九年以降の長期の運用利回りにつきましては、その前提といたしまして、名目で三・二%、物価を上回ります実質運用利回りで二・二というふうに設定しているわけでございますが、その根拠は、一つは長期的な物価上昇率、これは過去二十年の平均の消費者物価上昇率が一・〇であるということ、それからまた、この「改革と展望」におきます平成十六年から二十年の平均の消費者物価上昇率が一・〇であると、この両方を参考にいたしまして年率一・〇%というふうに設定をしているわけでございます。  今度は長期的な実質運用利回りについてでございますが、これは過去の実績、例えば十年国債の応募者利回りの過去二十年の平均、これが実質年率で三・四%になっております。これを基準にいたしまして、しかし、日本経済全体の利潤率が今後低下していくということも若干考慮に入れながら、しかし、分散投資によって少し追加的に得られる期待値というものも含めて、年率大体一・八から二・六%の範囲というふうに今踏んでいるわけでございます。この一・八から二・六の範囲の中の中央値と申しますか、それが二・二になるものですから、二・二という数字を出しているということでございます。
  168. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 坂口大臣に訥々と語られてしまうと何かそんなような気がしますけれども、しかし、冷静に考えてみたら、これは坂口大臣御所管の厚労省年金資金運用分科会、審議会の分科会ですね、出しておられる資料によると、推計の方法は内閣府の推計値における実質経済成長率や長期金利の見通し等々を前提にしていると書いてあるわけですね。  内閣府にお伺いしたいんですけれども、国全体の実質成長率を上回る、上回る実質運用利回りが出るというのは、これは現実的な想定ですか。これは、経済見通しを担当する官庁として客観的な見解を伺いたいんですが。
  169. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  運用利回りにつきましては、単に債券に対する投資ということではなく、いろいろな形で分散投資をされた上での運用利回りを計算しておられるというふうに伺っておりますので、その限りでは、経済モデル等で推計をいたします長期金利との関係あるいは成長率との関係で今お話のございましたような利回りが実現されるということも可能ではないかというふうに考えております。
  170. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 定性的な言葉で議論をすると、いかような議論も成り立ちますので、非常に歯がゆい気持ちがするんですが、もうすぐ竹中大臣いらっしゃると思いますが、竹中大臣衆議院において、我が党の岡田幹事長や池田元久議員と、名目成長率と名目利子率の関係について、竹中さんは、通常、成長率の方が利子率より高いと御主張されて、まあこれはまた後でいらっしゃったら聞きますけれども。よろしいでしょうか、利子率、成長率、こういう関係だと言い張っておられるわけですよ。すると、運用利回りはそれを行く、その更に上を行くわけですね。長期金利より相当高い運用利回りを実現するということは、これは、ということは、債券をかなりはめ込んだパッシブ運用ということでは実現できないと思うんですが、ちょっと支離滅裂のような感じがいたしますが。  それぞれ、内閣府からも今の私の指摘に対する御見解をお伺いしたいですし、坂口大臣からも御見解をお伺いしたいと思います。
  171. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 「改革と展望」等で示しております長期金利、あるいは大臣が御答弁を申し上げております長期金利は、基本的には十年物国債の長期金利ということでございますので、実際に年金等が運用されるものは、これから分散投資でいろいろな形で投資をされるというふうに思いますので、大臣が御答弁を申し上げております名目成長率、それから長期金利との関係においても、先ほどのお話でございましたような運用利回りが実現されるということは整合的ではないかというふうに考えております。
  172. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 先ほど大臣から申し上げましたけれども、この運用利回りの基本となります過去の長期金利の上昇率につきましては、これは過去十五年、二十年、二十四年という、こういうものを取ってございます。  もちろん、利潤率が下がっていくだろうというふうに想定をいたしておりますので、これに対しまして、利潤率の低下傾向を考えまして大体〇・六ぐらいになるだろうということで、今申し上げましたような大体一・九ぐらいから二・一ぐらいだろうということで推計をいたしております。  これは結局、年金の場合に二十年、三十年ということになりますので、まあ三十年後ぐらいも想定をいたしまして推計をいたしておりまして、これに先ほど申し上げました分散投資による収益率の向上を加味をいたしまして、その平均値という形で、先ほど申し上げましたが、二・二%という数値で推計をいたしております。
  173. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 余り細かい話をするつもりはありませんが、まあ今までの議論を聞いていただいて、内閣府、財務省、厚労省の間できちっと先行きの見通しに対して調整が付いているというふうに感じた方は非常に少ないんではないかなと私は思うわけであります。同じ政府、同じ政権が運営しておられるわけですから、きちっと数字のすり合わせをしていただきたいということがまずはお願いでございますが。  内閣府にもう一つ、少しマニアックな話を聞きますけれども、モデルの中で社会保障基金の最終消費支出というのは外生値として置いていますか。これ大事なところなんですよ。
  174. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 先ほどモデルについての質問がございましたけれども、その後、確認をいたしましたところ、全部で方程式の数は七百四十本ということでございます。  それで、ただいま御質問のありました社会保障の関係につきましては、モデルの中で計算をいたしまして、内生変数として算出をされているということでございます。
  175. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 七百四十本ですと、うちが二百本ぐらいですから、三倍ぐらいなんで、負けているなという感じがいたしますが。  なぜこの社会保障基金最終支出というものを聞いたかというと、これは我々は外生変数で置いているんです。今日の新聞にたまたま出ていますが、これ日経新聞ですね、社会保険庁の徴収事務費等を年金の保険料、社会保障の財源から使うのはやめると、今まで相当無駄遣いしていたからということで、衆議院で長妻さんが取り上げた話でありますが、それに対応して年金保険料の給付に限定するということは、今申し上げた、この社会、モデル上ですよ、これはモデルを使っている人だったらみんな分かりますから、社会保障基金の最終消費支出というものを低く抑えるということを言っているわけです。政府は衆議院指摘を受けたからそういう方向でやるということを今日の新聞にこうやって出ているわけですね。で、そうであるとすると、そこは内生変数では困るんですよ。  我々の方は、この社会保障基金の最終消費支出というのは、一九八〇年には三千三百九十億であったのが、実績で言うと、二〇〇〇年に入ってから一兆五千億前後まで膨らんでいるんですね。これを過去の平均値で、こちらの推計上は六千九百三十億に意図的に落としているわけですよ。  これは、皆さん方の推計だと一番、これから年金制度改革で幾つも論点はあると思いますが、重要なところである社会保険庁の無駄遣いをなくす上でのこの社会保障基金の最終消費支出というのは内生値になっていて、ぐっと抑えることができないという、そういうモデルになっているという理解でよろしいですか。
  176. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) ただいまお答え申し上げましたように、内生変数でございますので、基本的には外生変数を与えた上で出てまいります結果でございますので、ただいま先生が御指摘のような形での試算というのはこのモデルではできないということでございます。
  177. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 坂口大臣にお伺いをしたいんですが、先ほど来この辺からも、いや、新聞もうそは書くというふうに声が出ていますので、すべてが真実だとは思いませんが、しかしあれだけいろいろ議論をされて、こうやって日経新聞が書いているわけですから、この事務費についてはどういう方針で臨まれるお考えでしょうか。
  178. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御承知のとおり、十年以前には一般財源から出していたわけでございますが、十年から五年間の間という一定の期限を切りまして、そして人件費以外のところにつきまして保険料からの、いただきました中からの支払を、支払と申しますか、それを使用させていただいてきたと。平成十六年度はそれ一年間を延期をさせていただいた。十七年からにつきましては、もう一度財務大臣と御相談を申し上げて決定をさせていただくということに今のところなっているわけでございます。  しかし、その中で、例えば、衆議院の方でも御議論ございましたけれども、公務員の皆さんの建物等をこれに充てるというようなことはいささかこれは筋違いではないかと、こういう御指摘をいただいたわけでございまして、これは財務省の方と御相談を申し上げて決めなきゃならない話でございますので、今私がにわかにここでどうするということは言えませんけれども、私の気持ちといたしましては、そうしたことは改善を改善として元に戻させていただければ有り難いと、そういうふうに思っております。
  179. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは参考人の方で結構ですけれども、日本の年金の積立金は給付額対比で何年分でありますか。そして、日本の次にこの給付額対比の年数の多い国はどこで、何年分でありましょうか。
  180. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 厚生年金で申し上げますと、四・七倍でございます。  それで、大まかに申し上げますとスウェーデン、スウェーデンの年金が今のところ多分二倍ぐらいだろうというふうに思います。スウェーデンは、先生御案内のとおり、自動調整装置でありますとかみなし確定拠出という形で制度を変えまして、それから一部につきましてはいわゆる四〇一kに移行しておりますが、私どもがスウェーデンの政府の方から聞いておりますのは、やはり安定のために将来的には四年分ぐらいに持っていきたいというのがスウェーデンでございます。それから、アメリカが今二年分ぐらいでございます。  それから、例えばドイツの状態を申し上げますと、本当に支払準備金しかございませんで、もちろん一円も持っておりません。ドイツも高齢化の問題がございまして、あるいは少子化の問題がありまして、年金制度非常に不安定になっておりまして、ドイツの今の状態を申し上げますと、年金制度改革の案がなかなか固まらない状態になっておりますので、取りあえずスライドを停止をするあるいは縮小をすると、その間に制度改革を考えようというような運営状態になっているという状態でございます。
  181. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 付加的なことまで御説明いただきましたが、要は、日本が四年分以上で、その次が二年ちょっとぐらいということで、非常に日本は多いわけですね。スウェーデンは四年を想定しておられるとおっしゃいましたけれども、先般、あれですね、私どもの案で、年金の財源に税金を充てるということに関してはスウェーデンの首相からも御評価をいただいているわけでありまして、彼らが四年まで給付額対比を増やすということについて、そういうふうに言っているというのは余り聞いたことがないんですが。  いずれにいたしましても、なぜそれを承ったかといいますと、さっき申し上げました社会保険庁の事務費、何千億という金額です。直近でいうと一兆という数字がこのモデル上は出ているんですけれども、これが段階的に減らしていくということになると、これは積立金の給付額対比何年分必要かという改革案の基本的な骨格の部分にも影響するわけですね、恐らく。そこについては目標の年限数を少し落としていかれるお考えはありますか、大臣
  182. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ここは多分、今年、平成十六年までということになっておりますから、もう一遍後で違ったら局長から答弁させますが、平成十七年度以降については一部保険料を使用しているという部分は元に戻してもらえるという上で計算をしていると思うんですが。
  183. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 御説明申し上げます。  実際の事務費の国庫負担もございますし、そのほかにも実はこれからも基本的には行わないというふうに、方向で進んでおるわけですけれども、例えば福祉施設については、これはもう廃止をしていくという状態でございますので、それでトータルで申し上げますと、福祉施設費等につきましては基本的にはこれまでにも減らしてきております。減らしてきておりまして、そういうものが減りながら事務費という状態でございまして、今後の方向についてはなかなか今の状態で見定めることができないものですから、事務費における保険料部分についての直近の状態を将来に投影しているという形で計算をいたしております。
  184. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いずれにいたしましても、今日は冒頭から、つまり非常に重要な、財政予算の重要な部分にかかわる役所の皆さんの推計なり前提のすり合わせが行われていないということについて問題提起をさせていただいているわけでありますが、せっかく手を挙げていただいています、ちょっと待ってください。  資料三をごらんいただきますと、これは今度一般政府支出の対名目GDP比のグラフを付けました。これをごらんいただいて分かりますように、先進各国の中で日本だけであります、ずっと右上がりで来ているのは。私どもの推計では、これも徐々に落としていくというそういうシナリオになっているわけでありますが、内閣府の推計では、この一般政府支出対名目GDP比というのはどんなトレンドになっておりますでしょうか。
  185. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 御説明申し上げます。  基本的には横ばい、おおむね横ばいという前提で試算をいたしております。
  186. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 おおむね横ばいではまずいと思うんですね。  資料四をごらんいただきたいと思うんですが。今日は日銀総裁にもおいでいただいているんですが、日本財政が悪化しているというのは皆さん御承知のとおりでございまして、このグラフの形状を見て、多分戦前を御経験になっておられる方はぞっとされるんではないかなというふうに思いますが、一般名目支出の、一般政府支出の対名目GDP比を落としていくような、そういうモデル上の推計をされて、その推計が実現するような努力をされませんと、これ結構大変なことだと私は思うんですね。  ちなみに、これは通告していないんで恐縮ですが、財務省は今日、大臣しかおられなければ恐縮なんですが、もし分かれば。この資料四のグラフは日銀の国債保有残高とか国債発行残高からFBとかTBを除いていますけれども、これFBとかTBというのは残高どのくらいございますでしょうか。
  187. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 分かりますか。
  188. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと私、今すぐ分かりかねますので、調べさせて御報告いたします。
  189. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、それじゃ続けてください。
  190. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 谷垣大臣にお願いをしますが、このFB、TBは、これずっと日銀に借換え借換えで事実上根雪のようになっていますので、FB、TBの残高を含めたこのグラフを作ってみてください、一回。発散しますよ。このグラフ、事務方の方にお手数掛けて恐縮ですが、作っていただけるとお約束いただけますか、FB、TBを含めて。
  191. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 我々も勉強する必要がありますので、努力してみたいと思います。
  192. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこで、日銀総裁にお伺いをしたいんですが、様々な理由があって今の金融政策運営をしておられると思うわけでありますが、昨今は量的緩和であるとか介入政策についてもいろいろ巷間言われておりますが、そういう問題も含めて、そして今お手元でごらんになっておられる資料四のような状況を踏まえて、日銀総裁として、現在のマクロ経済政策の運営状況についての御所感なり御評価をお伺いしたいんですが。
  193. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。  現在の日本経済の状況、そしてマクロ経済政策運営の状況は、一言で申し上げれば、過去十年間の大変低迷した経済、そして物価の面から申し上げますとデフレ色の濃い経済、とにかくここから脱却してより正常なリズムが働く国民経済へ早く到達すると、こういう過程だというふうに思っています。  経済が低迷し、そして民間部門の金融活動がそれに伴って低迷いたします場合には、どうしてもファイナンスの面では財政を通ずる形でお金が流れて経済を支えながら次の局面に移るという段階にございます。したがいまして、結果として出てきた統計的な姿を見ますと、委員指摘のとおり、政府の債務証書に対するファイナンスが、民間においても、そして最終的には中央銀行においてもウエートが高まっていく。決して正常な姿でないというふうに思います。  これはやはり早く脱却し、民間経済そのものの自律的な成長力が高まって、民間の金融債務を中心に金融も回転するという姿に早くいかなければならない。先ほどお示しになられましたようなグラフの右端の急激な上昇カーブというのは、早くやはり終止符が打てるようなところを目指さなければいけないし、その後は、一挙に修正ができないまでも、今のプライマリーバランス回復の議論に示されておりますとおり、ある期間を取れば、その期間の中に正常化の姿が刻々と実現していけるという、そこに国民的な信任が得られると。時間の経過とともにその信任の度合いが強まるというふうな方向の経済運営を政府も日銀もきちんとコミットメントをしていかなければならないと思っています。
  194. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどの数字ですけれども、私の手元にありましたのは平成十五年九月末の数字ですが、政府短期証券が六十七兆二千二十七億となっております。
  195. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総裁にもう一度お伺いしたいんですが、日本経済を早く正常な状態にしなくてはならないというふうに今御発言になられましたけれども、今は正常ではないという理解でよろしいでしょうか。
  196. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) 最近少しいい方向への動きが出てきております。民間部門をとりましても、製造業を出発点として自律的な経済の回復のメカニズムが働き始めていると。これはもっと広がりを持っていく必要があると思っています。つまり、製造業という範囲にとどまらず、非製造業あるいは中堅中小企業の段階においても、やはり生産、所得、支出、この循環、好循環がしっかり根付いていくことが第一でございます。  もう一つは、そうした企業部門の中だけの好循環でなくて、企業所得がやはり個人の所得につながっていく、増加につながっていくという形で個人部門の所得増、そして個人部門の支出増という形での好循環が並行的に起こってくる、これで本当に自律的な回復のメカニズムが整うし、デフレから脱却し、再びデフレに戻る心配もなくなってくる。これは、経済政策運営の面だけでなくて、私ども金融政策運営の面でも、何と申しますか、民間部門の金融のダイナミックスを生かせる形で運営していくことができる段階に入るというふうに思っています。
  197. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 竹中大臣、御着席早々恐縮ですが、一般論としてお伺いしたいんですが、金融・証券市場でポートフォリオを運用するときに、国の経済成長率より高い運用利回りを実現するというのは可能でしょうか。
  198. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 恐らく名目成長率と名目金利、名目でのお話であろうかと思いますが、これは正にポートフォリオの組み方次第ということなのだと思います。当然のことながら、非常に、国債等々の長期金利で見ると同じぐらいと、ないしは私は名目金利の方が少し高くなる可能性、失礼、成長率の方が高いと思っておりますが、ここはしかし、投資ファンド等見ておりますと相当高い利回りで運用しているところもあると。正にそこはポートフォリオの組み方次第だと思います。
  199. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと済みません、ごあいさつ代わりに質問さしていただきました。  福井総裁にもう一度お伺いしたいんですが、私はこの資料四のような状況を考えると一刻も早く、少し、せっかく経済もいい方向が出てきたということであれば、かじ取りをより繊細に気配りしていただきたいなと思うわけでありますが、日銀は今の量的緩和なりもろもろの政策の方向性を消費者物価が安定してゼロ以上になるまで続けるというふうに従来から言っておられるわけですが、最近、一部の幹部の方からは、消費者物価上昇率が一%くらいでなければ安定的とは言えないんではないかと、安定的にゼロ以上になったとは言えないんではないかという御発言もちらちら聞かれるんですが、これはその判断基準の水準を少し変えられたという理解でよろしいでしょうか。
  200. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) お答えいたします。  日本銀行の当面の金融政策の運営基準は、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまで今の量的緩和のフレームワークを続けると、この方針はいささかの揺るぎもございません、これを続けたいと。  経済は、非常に好ましいことですけれども、少しずついい方向に動いていると。しかし、私どもは物価の状況を注視しておりまして、物価の状況の改善度合いは実体経済の改善度合いに比べますとかなり遅れているというふうに判断しています。これは、やはり日本経済が過去に過剰投資をした後遺症が他の先進国よりも大きい、残念ながら大きいということが一つありますし、もう一つは、国際的に見ましても、今これだけ商品市況が上がり、原油が高止まり、海上運賃が上がっていても、最終物価への波及度合いというものが過去の世界経済と比べるとうんと遅れる状況になっている、日本経済も例外ではないと、この二つの要因がございますので、デフレ脱却までの距離は数字的には短いように見えても実は私どもとしてはまだ相当険しい道のりを残していると、こういう判断でございます。したがって、メルクマールは一切変えておりませんし、当面変えるつもりはございません。
  201. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今いみじくも御指摘になられましたが、素材市場の価格が上がり始めていて、(資料提示)このグラフのような状況をまだしばらく続けなければならないということは、総裁がおっしゃるように、あとゴールまでの距離は短く見えるようで先は長いとも言えますが、先が長いとこれはいつ何どき素材市場だけのインフレ傾向ではなくなる可能性もあるわけでありまして、慎重な政策運営をしていただきたいというふうに思いますが、もしコメントがあればよろしくお願いします。
  202. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) つい先日の国際決済銀行におきます各国中央銀行総裁会議でもその点が大変な議論になりました。  これだけ国際商品市況が上がり、ある意味でインフレの先兵が走り始めているにもかかわらず、どこの国を取っても最終価格に上昇の気配がない。今までにない経験をしつつございます。しかも、先進主要国挙げて金融緩和を続けていると、こういう状況の下でマーケットにおける流動性は増える一方ということで、将来、これは大きな矛盾として爆発するリスクはないかということは、もう共通の関心事項になっております。  日本銀行は世界の中央銀行の中では一番アグレッシブに緩和しておりますので、十分注意してまいりたいというふうに思っています。
  203. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、少し話題が変わりますが、最終的にはここまでるる議論させていただいた話と関係がありますので、そういう耳で聞いていただければと思いますが。  金融庁にお伺いしたいと思いますが、減損会計がこの三月から先行適用になりますが、減損会計、減損処理はどういうときに行われなければならないでしょうか。ちょっと説明をしていただきたいんですが。
  204. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 我が国の減損会計の基準でございますけれども、そこでは、事業用資産につきましては、減損損失というのが帳簿価額と回収可能額の差額として算出をされます。  この場合の回収可能額というのは、企業が資産を売却又は使用することにより得られる金額でございまして、資産の売却時価と使用により回収される金額であります使用価値の高い方の金額をいいます。  この使用価値というものでございますが、これは企業の将来のキャッシュフローを見積もりまして、更に割引率を用いまして現在価値として計算されると。この割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュフローの見積りリスクを反映しているということでございまして、しかもこれは企業に固有の事情を反映した割引率が用いられるというやり方をしております。
  205. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 将来収益があれば減損処理をしなくていいということですね。将来収益が上がれば減損処理をしなくてもいいということですね。
  206. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) そのとおりでございます。
  207. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 将来収益が上がれば減損処理をしなくていいということは、将来収益に経済的価値を認めるということですね。
  208. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 会計基準として、今申し上げましたように、将来の収益についてと、あと売却時価等を比較をするということでございます。したがいまして、そういう意味での価値があるということだと思います。
  209. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、実はすごく重要なことで、将来収益に経済価値を認めるということは、これは例えば金融検査マニュアルで企業の将来性を見たり、あるいは経営計画のフィージビリティーをチェックするときに、減損処理上の将来収益、経済価値を認めるということは、減損処理をしなくていい企業というのは、その対象の固定資産にかかわっている経営計画に関しては経済的価値があるということですから、これは金融検査マニュアルにこの点は反映されるんですか、大臣
  210. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 検査マニュアルでの位置付けでございますけれども、不動産担保の評価に関しましては、御案内のとおり、担保というのは借り手企業の経常収益とか本来のキャッシュフローであるとかといった、本来予定されていた返済財源による返済が困難になった場合の備えとして設定されておるものでございます。したがいまして、検査におきましては貸出し債権の回収可能性の観点ということで、金融機関の自己査定における担保による回収見込額、あるいは処分可能額というふうに言ってもいいかと思いますが、これが客観的、合理的なものであるかということを検証すると、こういう位置付けになっておりまして、この点は検査マニュアルにおきましても基本的な検証項目となっているということでございます。
  211. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 繰り返しお伺いしますが、三月から減損処理が先行スタートするわけですよ。固定資産を持っている企業が、その固定資産の回収可能性の、購入コストの回収可能性、これまで上げた収益と、今後その固定資産を使って上げられる収益全体で、回収可能だと思えば減損処理しなくていいわけですから、その場合の将来収益というのは、それにかかわる将来収益というのは担保価値があるわけですよ。つまり、減損処理をしなくていいと公認会計士に認定された企業は、その資産にかかわる部分は金融検査マニュアルの査定上、担保価値があるというふうに理解していいわけですね。
  212. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 基本的には、減損に係るか係らないかという話と、金融機関の債権に係る不動産担保の評価の話とは別物であるというふうに思っております。  御案内のとおり、担保は、先ほど申し上げましたように、本来の返済財源で返済が困難になった場合に、担保権を行使してその担保を処分することによって何がしか回収を図るという位置付けのものでございますので、そこでの重要なポイントはそれが幾らで売却できるか、幾らで処分できるかということになるわけでございます。  これに対しまして、固定資産の減損会計の方は、企業の保有している固定資産全般について、収益性の低下によって投資額の回収が見込めなくなった状態、こういう状態にある場合に、収益性の低下による減損損失を認識するというものでございますので、つまり投資額の回収可能性を評価して一定の条件の下で回収可能性を反映させるように過大に計上されている帳簿価格を減額すると、こういうものでございます。  したがいまして、担保評価の方は、金融機関の貸出し債権について、繰り返しになりますけれども、担保処分による回収見込み、処分可能見込額というのを評価するために行うものでありまして、他方で、固定資産の減損処理は、企業一般の固定資産全般に関して、必ずしも処分を前提とせずに、収益性の低下による減損を認識すると、こういうものでありまして、双方その目的を異にするものというふうに思っております。
  213. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、地味な話題ですけれども、これ、中小企業皆さんにとっては物すごい問題なんですよ。公認会計士に減損処理が必要かと問いただした、聞いた経営者が、いや、この固定資産は将来収益があるから減損処理しなくていいと。ああ、なるほど、うちの収益計画には経済的価値があるんだなと認めてくれたにもかかわらず、銀行融資の査定のときには、いや、売却したときに幾らかという話がポイントだから将来収益は関係ありませんよという、そういう矛盾が生じちゃうんですよ。  これ、実はすごく重要な問題で、金融庁がお出しになっておられる二月二十六日の金融検査マニュアルの中小企業融資編で、これはまあ前から入っていたところかもしれませんが、業況の改善等の可能性を検討できる計画や資料があれば、それに基づいて債務者区分の判断を行うことができる。公認会計士が、おたくの固定資産は先々収益を生む計画があるから減損処理をしなくていい。ほっとして銀行融資を査定してもらったら、いやいや、その土地は今売ったら二束三文だから、債務者区分は引き下げだと、こういう矛盾が生じるんですよ。  ここは少し検討していただかないと。
  214. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 今お示しいただいたようなケースでございますけれども、当該対象になりました物件が銀行からの借入れの担保になっているのか、あるいは当該資産を活用して当該中小企業が事業の用に供して、それによって収益を上げているかということによってとらえ方が違ってくるんだと思います。先ほど来、私申し上げましたのは、担保となっている不動産の評価ということでございます。  それで、それが担保に入っているわけではなくて、当該中小企業の言わば実態的な経営内容あるいは実態的な財務内容というものをその検査でチェックすることがございます。これは、銀行自身がまず自己査定をするわけですけれども、その合理性をチェックするということでございます。  そのときに、当該固定資産を活用することによって将来にわたって収益が出てくるということであれば、そのことは当然当該企業の実態的な経営内容を判断する際にベースになるということでございまして、そのことは当該資産が減損の対象になるかならないかということとは直接かかわりない。極端に申し上げれば、仮に減損の対象となったとしても、当該固定資産が収益をもたらしているということであれば、当該債務者の実態バランスを考える際にはそこはカウントするということかと思います。
  215. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、論理的に矛盾しています。一〇〇%一致するとは言いませんよ。一〇〇%減損処理が行われなければ、それはすべて査定上も評価されるとは言いませんが、おおむね一致すると言っていただかないと、減損処理三月からスタートされたら困りますね、これ。  もう一回答弁してください。
  216. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 減損処理が必要になりますのは、当該固定資産について、取得したときの投資額と、それから過去及び将来にわたる収益によって回収可能な額の合計額を比べたときに、明らかにその過去及び将来にわたる収益の流れではその投資額に満たないという場合にその差額を減損処理するということかと思います。  私どもが、中小企業、あるいはまあ大企業の場合もそうでございますけれども、企業財務内容の実態を見るときには、それではなくて、正に中小企業の、特に中小企業の場合はキャッシュフロー等も含めて経営の実態を細かく見る。正式の財務諸表では、その減損処理が必要な場合にはそれが反映されるかと思いますけれども、それとは別に、実態バランスを見るということでそういう固定資産からどれくらいの収益が出ているかという点をきめ細かく見ると、こういう役割分担だと思います。
  217. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 減損処理をする、しないと、それが査定上の担保価値があるのかないのかということの相関関係はあるんですか、ないんですか。全部一致するとは言いませんよ、私も。相関関係はあるんですか、ないんですか。
  218. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 仮にある固定資産から生まれる収益の見通しが極端に大幅に低下したということであれば、そのことは恐らく、その同じ原因が片や当該企業の収益力の低下となって表れて、企業の実態バランスに影響があるということかと思いますが、同時に、その同じ原因が大幅な価値の低下、収益性の低下ということであれば、その結果として減損にかかわるということもあり得ると思います。したがって、その結果として、結果として減損の対象となり、結果として例えば債務者の実態が大幅に悪化しているという認識につながるということはあり得ると思います。
  219. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣はどういう御印象を持たれますか。
  220. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 技術的ではあるけれども、重要な問題であるという御指摘はそのとおりだと思います。  減損、要するに資産の評価でありますから、その資産というのは正にマーケットでどのように評価されるかと。それは取りも直さず、そこでの資産が生み出すキャッシュフローを現在の価値に割り引いて勘案するものであると。一方、担保は、いざ処分しなければいけないというときの資産でございますから、もしもマーケットが常に完璧に機能しているのであるならば、そこは担保の価格も同じような形でその割引率を用いて算定されるようなものになるんだと思います。  しかし現状は、不動産の価格、資産の価格というのは常に必ずそうなっているわけではございませんし、担保ということになるといろんな問題もございますでしょうから、そこは一対一の対応ではない。相関はあるかと聞かれれば、マーケットを通じた動きとして相関はあろうかと思いますが、個別の事情も働くということではないかと思います。
  221. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう一回参考人にお伺いしますが、割引率という言葉がさっきから出てきていますが、割引率は何によって規定されますか。
  222. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、割引率としては、貨幣の時間価値と将来のキャッシュフローの見積りリスクを反映をして、企業に固有の事情を反映をした割引率が用いられるということでございます。
  223. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 参考人で結構ですが、先ほど日銀総裁がインフレ傾向を重々注意して金融政策を運営したいとおっしゃられましたけれども、インフレ傾向が強くなると、この貨幣の時間的価値はどうなって、割引率はどうなりますか。
  224. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 貨幣の時間的価値と申しますのは、基本的には、その不動産といいますか、対象の事業用資産の耐用年数あるいは使用可能年数に対応する利子率ということでございましょうと思われます。したがいまして、利子率がどういうふうになるかということではないかというふうに思います。
  225. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、インフレになれば、貨幣の時間的価値は下がって割引率は高くなるんですよ。  私は何を申し上げたいかというと、よろしいですか、これ、日本経済を立て直すために与党の皆さんもやっておられるし、我々も気持ちは一緒ですよ。今度、減損会計がスタートすると。減損処理は、アメリカなんかでは割引率の設定なんかもちゃんとされていなくていい加減なんですけれども、日本の会計ルールでは非常に緻密なものが今組み立てられ始めている。そういう中で、したがって、持っている固定資産の将来価値を認められれば減損処理をしなくていいということは、企業皆さんは、その固定資産を使った収益を上げられることをきちっと計画で示せれば、これは査定対象にならないんだという期待を抱かれると思うんですが、検査マニュアルでは、いや、それは必ずしもそうとは言えないという、言わば、ひょっとしたらこの先、生き残るかもしれない企業の芽を早く刈り取ることをやることになりはしないかと。  さらに、これは後で谷垣大臣にも竹中さんにもお伺いしますが、この間の財政金融委員会でも、今は財政赤字の貨幣化政策、マネタイゼーションをやっていませんかと、結果としてインフレ政策をやっていませんかということをお伺いしました。これは、インフレにして日本の経済を立て直すのも一つのやり方ですが、片や、今のこの貨幣の時間的価値のところにこれを当てはめると、片方ではインフレにして持っている固定資産の経済的価値を下げ、片方では、その固定資産を使った将来収益があるにも、予測されるにもかかわらず減損会計と金融検査マニュアル上の査定は別だと言って厳しい査定をする。  金融政策、トータルのマクロ経済政策の方では、インフレにすることによって、本当は、本当は市場で淘汰されなければいけない企業が、企業や、まあ国もそうかもしれませんが、生き残ってしまうかもしれない。片や、金融検査マニュアルで減損会計の考え方をきちっと反映しないということは、本当は成長余力があるかもしれない企業を、早く芽を摘むかもしれない。ちぐはぐなことをやっているように私には見えるんですが、両大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  226. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、ちょっと今のお話は納得できないところが多々ございます。  まず、金融検査マニュアルにおいては、減損会計云々ありましたけれども、キャッシュフローを重視しろということを言っているわけですから、金利が上がるような状況ではまずキャッシュフローそのものが増えるわけですね。キャッシュフローが増える、将来のキャッシュフローが増えるわけです。それを割り引くときの割引率も高まりますけれども、割引率はまあ平易に言えば金利プラスリスクプレミアムですから、経済が良くなるぞということになればリスクプレミアムはむしろ下がるわけで、割引率は相対的にはそんなに上がらない、そういう中でむしろ資産の価値が高まっていく、これがまさしく景気が良くなるという姿なんだと思います。そうなってもらわなければ実際には困るわけでございます。  重要なのは、恐らく委員指摘なのは、そこで財政赤字等々、いろんな非常に安易な国債引受け等々をさせるとリスクプレミアムが高まると、正にこれは悪い金利上昇の典型なわけですが、そのときは経済は危ないことになると。それは我々は重々承知しているわけで、であるからこそプライマリーバランスもきっちりと回復させて、それでそこのリスクプレミアムが高まらないようにする。同時に、名目成長率と名目金利がしっかりと良いペースでそれなりに健全化に向かう姿を想定しているわけでございます。
  227. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、今までの議論を伺っておりまして、私は金融検査のマニュアルがどうだというのを判定する能力は正直言ってありません。ありませんが、委員のおっしゃっている、後でマネタイゼーションのことをおっしゃる、先取りしてしまうかもしれませんが、個々のいろいろな政策は小さなところでやはり矛盾をすることはよくあると思います。実際によくあると思います。それは縦割りだと言われている弊害である場合もありますけれども、やはり今私どもがやっておりますのは、大きなところでできるだけ一致してやっていこうということでございまして、経済財政諮問会議で竹中さんが中心になってやられ、それから日銀はもちろん独立制でございますけれども、原則として私どもは石井副大臣を政策決定会合に出し、そういう形で大きな方向を一致させてやっていくように努力をしているつもりでございます。  検査マニュアルがどうかは、ちょっとお答えは差し控えます。
  228. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この発言で私の質問は終わりますが、私が今日は三十分時間をいただいて申し上げたかったことは、財務省、内閣府、厚生労働省、それぞれが非常に重要な政策を担っているにもかかわらず、政策検討、立案の前提である経済の推計値やシナリオについてきちっと整合性が付いていない、それから内閣府におかれては資料の公開がしっかり行われていないと、こんなことで大丈夫かなという点が一点と、それから、今申し上げましたように、同じ大臣が御所管されておられる中でも、見解がちょっと違うと言っておられましたけれども、減損会計をサンプルにして見ると、片方の手でやっておられることと、片方の手でやっておられるマクロ経済政策と金融検査におけるところの整合性も付いていない可能性がある、可能性があると、そういうところについてよく調整をして整合性の取れた政策運営をしていただきたいということを申し上げて、関連質問に移らさせていただきます。
  229. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。大江康弘君。
  230. 大江康弘

    大江康弘君 民主党の大江康弘でございます。  大塚議員の質問に関する関連の質問といいましてもこんな難しい質問はできませんで、今、大塚議員の質疑を聞いておりまして、我が党にもこんな立派な本当に若い政治家がいるんだなと思って、本当に頼もしく聞いておりました。横で首を私も縦に振っておりましたけれども、全く中身は分かりませんでしたけれども、与えていただいた時間、先ほど愛知先生が気を遣って委員長におしかりを受けて、気を遣って怒られていたら世話ないなということを午前中言ったんですけれども、私の質問の答弁に関係のない大臣あるいは政府参考人皆さんには、どうか委員長、結構でございますので、おしかりを受ける前に委員長の方でお取り計らいをいただきたいというふうに思います。  そこで、もう私は、ごくごく今日は与えていただいた時間、今日は本当に民主党の、我が党の先輩の先生方にいろいろと御配慮をいただいてこうした場を与えていただきました。今日、私が御質問を申し上げる幾つかのことは、もう既に衆議院予算委員会でも、私どもの同僚であります中津川先生、そして長島先生が川口大臣にいろいろ、また外務省にお尋ねをさしていただいておると思うんですけれども、私は、やはり今台湾で三回目の総統選挙が行われております。極めて民主的な方法でトップリーダーが選ばれる選挙をやっておるわけであります。そういう中で、私はやはり二十八年間自分も台湾との信頼を築き上げてきた一人として、この参議院議員の、このどっかの場面でやはりこのことは議事録に残しておかなければ、私はやはり台湾に対して今まで積み重ねてきた信頼や信義というものにこたえることができない、実はそんな思いで今日質問に立たせていただいたわけであります。  川口大臣のこの衆議院での答弁を見ておったら、少し木で鼻をくくったような答弁もあります。私は、川口大臣の実はファンであるんです。いや、実は川口大臣のファンであったんですね。実は、私、今日は大臣に質問すると言ったら、ある先生に余り無理なことを聞くなと言われまして、川口大臣に質問する前には私に了解を取れと、実は我が党の広野ただし先生であります。通産省のときの同僚ということでありました。いろいろ大臣のことをお聞きをして、それから実はファンになったんですけれども、しかしいささか最近はどうも片仮名のファンから漢字の不安になってきまして、どうもこれで大臣がいいのかなと。日本の外交というのはこれでいいのかなという、本当に今実は不安に駆られておる一人でありますけれども。余計なことはさておきまして、少し、そうであります。  これは私、片道の質問というのは初めてでありまして、自分ばっかりしゃべっておったら答弁が聞けません。  実は、台湾のことに関して幾つか質問させていただきたいと思いますけれども、その前にちょっと事実確認をさせていただきたいと思います。  台湾とは、御存じのように一九七二年の日中共同声明以来、我が国は基本的には国交が断絶をしてまいりました。その間、台湾と日本との窓口をしてきたのが日本側では交流協会。この交流協会というのは、まず、そもそもどういうことを目的に設立をされたのか。まず一つこれを確認しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  231. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  交流協会についての御質問でございますが、一九七二年の日中国交正常化以降、我が国と台湾との間の関係は非政府間の実務関係として維持されてきております。この財団法人交流協会は、かかる日台間の交流を円滑に維持するために設立された財団法人でございます。  この交流協会は、日台間の交流を円滑に維持するために、例えば台湾在留邦人への各種便宜供与であるとか、あるいは海外子女教育、文化交流、貿易・経済関係等の様々な事業を行ってきている協会でございます。
  232. 大江康弘

    大江康弘君 もう一点聞きます。ここの交流協会のいわゆる運営資金というのはどうなっておりますか。
  233. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 交流協会の予算財源の相当部分は、外務省、経済産業省及び文部科学省等の政府補助金等によって賄われておりますが、その一部は一般企業からの維持会費収入にも依存しております。
  234. 大江康弘

    大江康弘君 外務省の負担分ではどれぐらいになっておりますか。
  235. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 十五年度の予算額でございますけれども、外務省からは十九億三千七百四十二万三千円というふうになっております。
  236. 大江康弘

    大江康弘君 これ、平成十五年度の収支予算というのは約三十億なんですね。今答弁がありましたように、十九億、外務省から行っておる。そして、あと文科省から約六億五千万。これはほとんどこれ政府の出資の、財団法人といっても、政府出資のいわゆる団体であると思うんですけれども、そこで、昨年の十二月の二十九日に、この交流協会の台湾の所長、これは今どなたですか。
  237. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 内田所長でございます。
  238. 大江康弘

    大江康弘君 この内田所長が十二月の二十九日にいわゆる台湾の総統府、日本でいう総理官邸ですね、ここへ行ったということは事実ですか。
  239. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 事実でございます。
  240. 大江康弘

    大江康弘君 何をしに行かれたんですか。
  241. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 昨年の十二月二十九日の交流協会内田所長、これが台湾総統府に参りましたのは、我が国として、現在の台湾をめぐる問題、これについて、当然のことながら、我々は当事者間の話合いを通じて平和的に解決されることを希望しておりますけれども、現在の状況ということで、この地域の平和と安定の観点から日本政府としての考え方を伝達したわけでございます。
  242. 大江康弘

    大江康弘君 だれに会われました。
  243. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 邱義仁総統府の秘書長でございます。
  244. 大江康弘

    大江康弘君 私も二週間にお会いをしました。そして呂副総統にもお会いをいたしました。李登輝前総統にも二週間前にお会いをしてまいりました。この内田さんが、というよりも今まで交流協会がこの総統府に直接出向くということはあったんですか。
  245. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 総統府に参りますのは、いろいろの連絡事項でございます。
  246. 大江康弘

    大江康弘君 いろんな連絡事項というのは、そうしたら今回もそのいろんな連絡事項の一環として行かれたわけですね。
  247. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今回はその一環として我が方の立場を述べに行ったわけでございます。
  248. 大江康弘

    大江康弘君 我が方の立場を述べに行ったということは、この邱秘書長、いわゆる日本でいう官房長官が受け取ったという日本からの手渡された申入れ書ということであろうかと思うんですけれども、その申入れ書の内容をちょっと教えていただけませんか。
  249. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 申入れの内容でございますが、台湾に関する我が国政府の立場は日中共同声明にあるとおりであると。そこで、我が国としては台湾をめぐる問題が当事者間の話合いを通じて平和的に解決されること、そのための対話が早期に再開されることを強く期待している。しかし、最近の陳総統による公民投票の実施や新憲法制定等の発言は、中台関係をいたずらに緊張させる結果となっており、我が国としては台湾海峡及びこの地域の平和と安定の観点から憂慮している。我が国としては、現在の状況が今後更に悪化することは回避する必要があると考えており、陳総統が就任演説で行った四つのノー、一つのないを遵守し、この地域の平和と安定のため慎重に対処していただくことを希望する、この趣旨を申し入れたわけでございます。
  250. 大江康弘

    大江康弘君 私がいただいた申入れ書と同じでありましたことは確認しました。これが一体交流協会が目的としておる文化、経済、技術交流のどこに当たるんですか。
  251. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) この今の申入れは、我が国政府の考え方を台湾の各方面に伝達するということで、そういう意味での行動を行ったわけでございます。
  252. 大江康弘

    大江康弘君 そうしたら、局長、あなた方がこの一九七二年の九月の二十九日に、当時の田中角栄首相が中国と取り交わした日中共同声明、それから六年後に、園田大臣でしたかね、締結をされた平和友好条約、これは今も有効ですか。
  253. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 有効でございます。
  254. 大江康弘

    大江康弘君 その中に、いわゆる日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に関する相互不干渉、こんなことはしないということを両方にお互い取決めしているんですね。  いわゆる交流協会の内田さんがされたことというのは、このことの項目の違反に当たらないんですか。
  255. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今回の申入れは正にこの地域の平和と安定についての日本側の考え方を伝えるということでございまして、そういう意味で違反には当たらないというふうに考えております。
  256. 大江康弘

    大江康弘君 違反に当たらないって、それだけ政治的な関与をしておって、しかもこれはもう正に内政干渉であります。  しかも、この内田さんというのは、申し訳ないですけれども、いわゆる財団法人の一所長です。普通は、邱さんも、私、秘書長にもお会いしましたけれども、本当に苦渋に満ちた顔をしておった。だけれども、日本との信頼関係を損ねたらいかぬからということで、内田さんが来たからわざわざ総統府でお会いをした。これ、一民間の財団法人の例えば大阪の支店長が官房長官に会ってくれといって官邸に行ったら会いますか。絶対会わないですよ。そういうようなことを、あなた方は大変失礼なことをしている。  だから、あなた方は一つの中国の立場に立っている。私も、何も、中国というのはけしからぬと思う一人ですよ。だけれども、今国際情勢がそういう国連も認めている中で、しかし台湾ももうこれ三回も、これ今回総統選挙をするんです。一九九六年、二〇〇〇年、そして今年の二〇〇四年。今全人代が開催されておられますけれども、いわゆるあなた方が非常に誇りに思うのか、大切にしておるあの大陸中国、これ、数千年の歴史の中で人民の中からリーダーが選ばれたというような、そんな歴史の事実はないんですよ。  ちょっと質問を変えますけれども、川口大臣、いわゆる民主主義の一番の原点、分かりやすいということはこれ何ですか。ちょっと大臣、聞かせてください。
  257. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 民主主義というのが何かということで、これは非常にお答え一度に申し上げるのは難しいんですが、私の頭の中の整理では、民主主義というのは人々の意見が反映される民主的な統治を持っているそういう国、あるいはそういう一つの考え方、システムということであるというふうに考えております。  それから、先ほど一言先生が冒頭におっしゃられましたので私の方からも申し上げたいと思いますけれども、私も先生のファンでございまして、なぜかといいますと、私、小学校時代、和歌山県におりまして、という意味で非常に懐かしく思っていることでございますが、考え方の違い、これは考え方の違いとして申し上げさせていただきたい、そういうふうに思っております。
  258. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、そういうのを日本では出ばなをくじくと言うわけであります。  それはそれとして、私も別な部分に置いておきまして、いわゆる、何を言おうか忘れたじゃないですか、大臣、本当に。どこまで行っていたか、本当、忘れましたけれども、(「民主主義」と呼ぶ者あり)そうですね、いわゆる民主主義の一番分かりやすいということは、これはいわゆる国民や住民にいわゆる政治家、為政者が選ばれるということではないんですか。僕は、これは一番民主主義の分かりやすい姿だと思うんです。  最近、薮中局長も御苦労であります、拉致問題でいろいろ。しかし、どうも最近、北朝鮮の方に行かれて、あそこは正式名が朝鮮民主主義人民と、何か民主主義という名前が付いているから、どうもあの国も民主主義の国かなと勘違いされておるかも分かりませんけれども、そうではなくて、私はやっぱりこの台湾というのはそれはいろんな、過去五十年日本も統治をしてきました。だけれども、あれだけ親日的な国はこのアジアにないですよ。そういうことをお互いが、悲しいけれども、一九七二年にいわゆる大陸中国が唯一の認められる政府だということになって以来我々も、さきに大変残念ですけれども亡くなられた山中貞則先生が、いわゆる先輩の先生方もいろいろと信頼関係、お互い信義をずっとこれ今日まで守ってきたわけですね。  そんな中で、ずっと民主主義の深化のいわゆる階梯として、段階として、やっぱり今台湾というのはどんどんどんどんお互いが世界に何とか認めてもらおうと思って苦労をしておる。そんな中で日本が中国へこんなような内政干渉するなということをあなた方言いますか。よう言わぬでしょう。何か小さい国、弱い国に対してそんなきついことをという、これは本当に私は日本というのは嫌な国になったな。こういうことを、本当に間違ったことをしたというふうに思いませんか。
  259. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私も、台湾は今まで民主的な方法で二度選挙をやっている、そういう制度が定着をしている国であるというふうに思います。それから、経済的な関係、これを見ましても、我が国との間では、貿易量にしてもあるいは人の往来にしても大変に密接な相互依存的な関係ができ上がっている、我が国にとっても重要な国であるというふうに思っております。  そして、そのことと我が国としてこの地域の平和と安全、台湾海峡及びこの地域の平和と安全が我が国にとっても非常に重要な意味合いを持っているということとは、これは独立をして考える話であるというふうに思っています。あるいは、我が国と台湾との間の関係が切っても切れない関係になっているからこそ、なおのことそういったことに我が国としては注意を払わざるを得ないというふうに申し上げてもいいかもしれません。  それで、台湾に対して先ほど薮中局長からお話をしたようなことをお話をしているわけですけれども、我が方は中国に対しても同じような申入れをいたしております。それで、中国に対しましては、これは何回か言っておりますけれども、一つ例を挙げれば、昨年の十二月の二十二日に日中外交当局間の協議において田中外務議官から王毅外交部副部長に対しまして、台湾に対する我が国の立場は、日中共同声明にあるとおり、二つの中国、あるいは一つの中国、一つの台湾との立場は取らない、台湾独立も支持しないということであるけれども、これについて中国と台湾との間の問題が平和的に解決されること、そのための対話が早期に再開されることを希望していて、中国の武力行使には反対であるということをはっきり言っているわけです。同じようなことを二月十日に行われた日中安保対話においても申し入れています。  したがいまして、台湾海峡地域の平和と安全という観点から、これは台湾に対しても、全く同様に中国に対しても同じことを伝えているということでありまして、これが中国に対しては武力行使をするということはしてはならないことであるというところまではっきり言っているわけでございます。
  260. 大江康弘

    大江康弘君 同じようなことを言っていると言いますけれども、私は決してそうではないと思います。それだけに、今回の申入れ書というのは、どうも書いたのが、書いたことを指示したのが堀之内さんって、これ外務省にいてるんですか、堀之内さん。
  261. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 堀之内というのは中国課長でございます。
  262. 大江康弘

    大江康弘君 この堀之内さんというのは、あの瀋陽事件のときに、北朝鮮から亡命を求めてきた、この家族があの映像に出ましたけれども、その家族が持っていて、助けてくれという、英語で書いているかどうか、その文書を握りつぶして、そして後で官邸に呼ばれて、何か訓告か何かを受けたというこの堀之内さんですか。
  263. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) その当時の課長で、現在も課長でございます。
  264. 大江康弘

    大江康弘君 名前は一緒であり、同じ人物であるということですけれども、私が今指摘をしたようなことを過去にされた方ですね。
  265. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 当時のことについての私の記憶では、これは、おっしゃった、正門わきの詰所に連れ込まれた、武装警察によって連れ込まれた脱北者が手紙を渡した。その手紙を見て、これは英語で書いてあってよく分からなかったので返したということがありましたけれども、それは担当の、警備担当の瀋陽総領事館の担当の者でございまして、その場でその者の判断で行ったということで、本省の指示によってやったということではございません。
  266. 大江康弘

    大江康弘君 私はなぜこういうことを聞くかといいますと、ああ、さもあらんと思うのは、いわゆるこの問題が、日本がここまで中国の意を受けて申入れ書をわざわざその一、その駐在の所長が官邸まで乗り込んでいって渡すというやっぱり一連の経過があるわけですね。  二〇〇三年の十二月の九日に中国の温家宝首相がアメリカのブッシュ大統領と会った。そのときにアメリカは、大統領はやはりこの国民投票、日本の新聞はどうも住民投票、住民投票としかよう書かぬのですが、あれは国民投票であります。その国民投票に非常に懸念をした。そして、現状を変えるということは我々も支持しないということをブッシュ大統領が言われた。しかし、台湾は何も現状を変えるというようなことを、これは決してしていないわけですね。  そういう中で、アメリカはこうも言っておるんです。もし中国が台湾に侵攻して武力行使をするようなことがあるならば、大臣のお得意である英語、ウィー・ウィル・ビ・ゼア、ちょっと発音は悪いですけれども、おれたちはそこへ行って守る、そこへ行って戦うんだという意思表示も同時にブッシュさんはされておる。それだけにバランス感覚の取れたアメリカは、やはり国内法の台湾関係法というのがありますから、中国、中国といったって、やっぱりバランスの取れた民主主義国家台湾を非常に今まで大事にしてきた。今も大事にしておる。  そういう中で、十二月の二十三日にあの、あえてあのと付けます、あの田中さんが中国へ行って、いわゆる李さんという中国部長、向こうの大臣ですね、会って、いわゆる日本は一つの中国を堅持しますよ、今台湾がやっておることはけしからぬことですよということをわざわざ中国に言いに行っている。その中で、いわゆる十二月の二十九日に、私が今申し上げた内田さんがのこのこと出掛けていって失礼なことをするような経過になっている。その一連のいろんな申入れ書の文章も含めて書かれたというのがあの堀之内さんであるということを、我々がいろいろと調べた結果、そういう事実を確認しておるんですけれども。  ただ、交流協会も非常にバランスが取れておるなと思いましたのは、一月の五日にいわゆる台湾の実質の大使館である台北の文化経済弁事処で新年会があったときに、高橋さんという理事長が、国民投票は台湾国民の決定事項であり、日本は介入するつもりはない、これは言い訳かどうか分かりませんけれども、こういうことを申し上げておる。だから、同じ交流協会の中でもこうも意見が違うような対応がなされておるということをどう思います。
  267. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 交流協会に意見の相違があったかどうかについては、今、薮中局長の方から答えてもらいますが、その前に一言だけ。  先ほど先生がおっしゃった事実関係、調べられた結果というのは、私どもの承知している、あるいは行ったこととは若干違うようなふうに思っておりますということをちょっと一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。
  268. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 本年一月の五日に行われました駐日台北経済文化代表事務所における新年会、この際の交流協会の理事長の発言でございますけれども、高橋理事長は、台湾記者の質問に答えて、我々は地域の平和と安定の観点から台湾の目下の状況を心配しており、先般の申入れはそれを伝えた次第であるというふうに述べたというふうに承知しております。  そういう意味で、基本的に意見の乖離というのはないというふうに考えております。
  269. 大江康弘

    大江康弘君 こういうことになるから、私は今日は高橋さんを呼んでくれと言ったんですけれども、ちょっと今日はそういうようなことにはならなかった。だから、また事実確認はいたしますけれども、もう時間がありません。  大臣、これ本当に今後こういうようなことが起こっても、またこんなことを繰り返すんですか。局長は決して政治介入ではないと言いますけれども、私は、正に内政干渉であり、政治干渉であり、しかも、今選挙をやっている。これは選挙妨害ですよ、これ。こういうことを、中国は中国でいいんです。だけれども、やっぱり日本としてこういうような、本当にどこから見てもどうもルールを逸脱をしておる、そういうようなことを、日本がいつからこんなことをするようになったのか、もう本当に残念なんです。  今回のことに関して、いわゆる台湾の総統府に対して申し訳なかったと言う気はありませんか。
  270. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員のこの問題についてのお立場が私どものと異なるということについてはよく理解をいたしておりますけれども、これは、先般来、先ほど来申し上げていますように、正に平和と安全、この地域及び台湾海峡の平和と安全が我が国にとって非常に重要であるという観点からこういうことを言っているということで、台湾だけに言ったわけではなく、台湾及び中国にも言っているということでございます。  今後、我が国としては、台湾については引き続き我が国にとっては重要な地域であるというふうに考えておりますし、それから、台湾とそれから中国との関係については早く対話を再開をして平和的に物事の解決をしていってほしいという立場は変わらないわけでございまして、そういったその立場、そして、台湾と我が国との関係というのは、日中共同宣言、声明ですね、声明にのっとって、非政府間の実務的な関係であるということについても、これはそういう立場を維持しているわけでございまして、そういった基本的な考え方にのっとって適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  271. 大江康弘

    大江康弘君 どうも日本は、日本政府は自らが犯したこの大きな非というものをどうも認めてくれないようでありまして、大変残念であります。  これはもう時間がありませんから次の機会に譲りますけれども、もう一度ひとつよく、こんなことでいいのかということを、一度、川口大臣、和歌山へいらっしゃって、静かな場所を私提供しますから、一度よく考えていただきたいなと。私は、決して大臣は御自身の本意でやられておるんじゃないんじゃないかということをあえて申し上げておきます。  そこで、最近また、その中国に関係するんですけれども、排他的経済水域、EEZ、このことに関してちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、このことの意味というのはどういう意味でしょうか。
  272. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に、海洋法条約の下での排他的経済水域ということで各国に認められている経済水域の規定でございます。
  273. 大江康弘

    大江康弘君 それは局長分かるんですけれども、じゃそこで、そのいわゆる国際海洋法条約ですか、それを締結をしている国というのは、このEEZに関してはやっぱりどういうことを遵守しなければいけないんですか。
  274. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 国際海洋法条約の下での排他的経済水域として認められているわけでございますので、その各々排他的経済水域を有する国、それは排他的、正にここの法で、条約で定める排他的な権限を持っているということでございます。
  275. 大江康弘

    大江康弘君 そうしたら、そこに勝手に入ったらいかぬのですよね。
  276. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) もちろん、排他的経済水域という、経済という名前が付いております。自由航行はございますけれども、そういう経済活動における権限ということで定められているものでございます。
  277. 大江康弘

    大江康弘君 今年になって、この日本のEEZが侵された件数というのはどのぐらいありますか。
  278. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 経済水域が侵されたと申しますか、より正確に申しますと、中国との間に事前通報制度がございますので、その通報のない場合若しくはその通報の内容外の活動をしたといたしまして防衛庁として確認をし、公表した件数ですが、暦年でございますが、今年については現在まで十一件でございます。
  279. 大江康弘

    大江康弘君 昨年は。
  280. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 昨年の同様の調査船、中国の海洋調査船の行動としては、これも暦年でございますが、六件でございます。
  281. 大江康弘

    大江康弘君 一番多かったのが何か一九九九年に三十三件という。だから、今年はもう既にこれ八件ということは、それを上回るペースで中国がいわゆる日本の排他的経済水域に来て、いろんな調査、何を調査しておるのか分かりませんけれども、防衛庁はこの中国の今回の行動というのはどんなふうに認識をされておりますか。
  282. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 私どもとしては、中国側の意図につきまして正確に認識できる立場にはございませんが、当然のことながら、海上保安庁なり外務省なりと連携を密にいたしまして注視をしているということでございます。
  283. 大江康弘

    大江康弘君 私ちょっと詳しいこと分からぬのですけれども、いわゆるソナーを使って、電波を出してというんですかね、それをするという目的というのは、この音波を発信してというのは、これは通常どんな意味があるんですか。
  284. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 中国調査船の行動でございますが、正に御指摘のとおり、船尾等からクレーンでワイヤをつるしましていろいろな活動をしているということでございますが、これの調査が何の目的であるのかということについて、防衛庁側として、哨戒機等から見た視認情報等から明確な確たることを申し上げるのは極めて困難であるということについて御理解賜りたいと存じます。
  285. 大江康弘

    大江康弘君 あのね、ちょっともう一回聞きます。それじゃ、例えば防衛庁がそういうことをするときはどんなことをするときなんですか。
  286. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 当然、防衛庁の場合は目的が当然防衛でございますので、基本的には防衛の目的のためということでございますが、この中国側の場合、今申し上げましたのは中国のいわゆる海軍に属していない、その他に属している海洋調査船の行動でございますので、一概に私ども見た目でこうだということを申し上げられないということを申し上げております。
  287. 大江康弘

    大江康弘君 中国の立場を気遣うのも分かりますけれども、やっぱりここはもう国権の最高機関の場所で、やっぱり日本がどうかという、やっぱりそういうことの中のやはり議論をする場所ですから、余り覆い隠してやっぱり言うということは、これはちょっと私は納得いきません。  潜水艦が、一個聞きます、潜水艦がこれ発見されない深度というのはどのぐらいですか。
  288. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 済みません、現在手元に資料がございませんので。
  289. 大江康弘

    大江康弘君 ちょっと、日本の国防を預かる最前線の人が、潜水艦がどのぐらいで──あっ、長官、それじゃお願いします。
  290. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは先生、船によります、船に。相手の船によりますよ、それは。それがキロ級であるのか、あるいはハン級であるのか、タイフーン級であるのか、それによって違いますし、そしてまた、それがよしんば仮に、分かることが仮にあったとしても、それは国会の場で申し上げることではございません。
  291. 大江康弘

    大江康弘君 それは、防衛庁長官のようにずっと専門にされてこられた方は分かりますけれども、私は、やっぱりある程度の平均の潜水艦がどのぐらいの深さまで行けばこれはもう探知ができないんかというぐらいの数字ぐらい出せるでしょう、これ。そこまでこれ、国防秘密ですか。いわゆるこれ、今回は、違いますか、ちょっと大臣、答えてください、これ。
  292. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生それは、例えば別の、くだくだと申し上げるつもりはありませんが、例えばミゼット級の潜水艇のようなものもある、あるいはタイフーン級のようなものもある、原子力推進艦もあればディーゼル艦もある。それは音によって、あるいはソナーによってどういう場合にとらえられるか、それはもう千差万別であります。そしてまた、その場合の海流あるいは海底の地形、そのようなものによってすべて違いますので、お答えをすることは困難だと申し上げておるのでございます。
  293. 大江康弘

    大江康弘君 中国がわざわざこれ、魚を探しにこんなところまでこれ来ます、これ。そうじゃないんです。これはやっぱり、中国というのはやはり太平洋に向かっていきたいんですね、これ、潜水艦で。あの台湾海峡というのは、もう偵察衛星で分かるぐらいの浅さですから、すぐ分かる。だからやっぱり、もうこれ言ったら長くなるからやめます。やめますけれども、もう本当にそういうことは正直に答えてください。何にも隠すようなことじゃないじゃないですか。  それで、次に行きます。もうこれはいいです。  要するに、私はEEZのことを何で聞いたかといいますと、一昨年、今日は扇元大臣もおられますけれども、あのときに北朝鮮の工作船が沈んで、いわゆる中国のEEZの中に入っていった。あのときの経過というのをちょっと教えていただけませんか。
  294. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 一昨年の、平成十三年十二月二十二日でございましたけれども、私どもは、防衛庁さんの方から情報をいただきまして、直ちに不審な船がいそうだということで発動をいたしました。これが、先生指摘のEEZ内で確認をいたしまして、停船命令を掛けたという経緯でございます。
  295. 大江康弘

    大江康弘君 あのときに、引き揚げるのに中国からこの補償費を言われましたね。その経過を教えてください。
  296. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 今申し上げましたように、平成十三年の十二月二十二日の事件発生の直後から、私どもといたしましては、この全容の徹底解明のためには船体を引き揚げた上で詳細に調査を実施することはこれが不可欠であろうということで、そうした一貫した認識を持ちまして、当時引揚げに向けて取り組んだわけでございます。  しかしながら一方で、今お話ししましたように、現場海域、最終的に当該該船が沈んだ場所につきましては、我が国が事実上中国のいわゆる排他的経済水域として、こうして扱っている海域でございました。このために、中国とも調整しつつ引揚げを適切に処理する必要があるだろうというふうに考えたわけでございます。  このため、事件発生後、船体の引揚げなどにつきまして、外交ルートを通じまして中国側と協議を重ねました。その結果、平成十四年の六月の十八日に船体引揚げについて中国側との調整が相調ったわけでございました。  私どもといたしましては、六月の直後、二十五日から引揚げ作業に着手しまして、同年の、当時予定より若干遅れましたが、台風が予期せずたくさん来ましたものですから予定より若干遅れましたが、九月十一日に現場海域において船体を無事引き揚げたと、こういう経緯でございます。  中国側との協議におきましては、中国側から、事件発生以来、日本の巡視船が当該船が沈んだ現場海域に展開を当然しているわけでありますけれども、そのために中国漁民の操業が影響を受けると、受けたということで、中国漁民から大変強い不満が提起されているというふうな指摘もございました。  我が国としましては、引揚げについての今申し上げた調整が調った六月の十八日の協議におきまして、中国側の要求を引き続き真剣に検討して、できるだけ速やかに誠意を持って対応したいという旨を表明しておったところでございます。  その後、引き続き外交ルートを通じまして中国側と協議を重ねました結果、同年、平成十四年でございますが、十二月の二十八日、海上保安庁によるこの事件に係る捜査活動、この遂行に関連して当該海域で操業を行う中国漁民が自主的な協力を行ったということにつきまして、中国政府に対しまして協力金といたしまして総額一億五千万を支払うということで最終的に日中で一致したという経緯でございます。
  297. 大江康弘

    大江康弘君 その出どころはどこですか。補償金の出どころ。
  298. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 協力金につきましては、海上保安庁の予算の中から支出をいたしました。
  299. 大江康弘

    大江康弘君 これ、海上保安庁の報償費というのは、当時、当年度は一千八百万しか計上されていなかったのに、何で一億五千万もこれ集められたんですか。
  300. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 海上保安庁の報償費につきましては先生指摘のオーダーの当初予算ではございますけれども、実際の執行に当たりましては、手続を踏みまして保安庁予算の全体の中から捻出をいたしました。
  301. 大江康弘

    大江康弘君 石原大臣、これ、私、海上保安庁を責めているんじゃないんです。こういうEEZ内でああいうことが起きた中で、海上保安庁が報償費をかき集めて一億五千万も中国に払わないかぬという、こんなおかしな話がどこにあるんだということなんです。  これ、外交関係で普通処理するということになれば、例えば外務省か、あるいは憲法七十三条でいわゆる内閣の責務の中に「外交関係を処理する」とあるのであれば、これ、それじゃ海上保安庁がこういう、大臣、そういうことが起こるたびにそれじゃ全部海上保安庁が報償費払うんですか、持つんですか。いやいや、大臣、それはもう政治家として答えてよ。
  302. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 平成十三年の十二月の工作船の御指摘の事案につきましては今御説明しましたような対応をさせていただいたわけでございますけれども、今後同種のケースが発生した場合についてというお尋ねの御趣旨だと思いますけれども、今後、仮にそういった同種の事案が発生した場合につきましては、個別の事案ごとに事情も当然異なるとは思います。そういった個別の事案の状況に応じまして、関係方面といろいろ十分協議の上、適切に対応してまいりたいと、かように考えます。
  303. 大江康弘

    大江康弘君 私は、気の毒というか、ちょっとおかしいから言っているだけのことで、もう少しやっぱりそこの辺りはやはりきちっと私は、政府の方でしっかりとこれ僕は責任分担をすべきだというふうに思います。  もう本当に時間ありません。最後にちょっとビザの件で、石原大臣、観光客、外国から来い来いといいますけれども、いわゆる入口の部分で大変な規制がある、いわゆる日本に入ってくるのにビザ申請しなきゃいかぬと。このことに関してちょっと大臣の所感を聞かせていただきたいと思います。
  304. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) その前に、先ほどの海上保安庁の協力金の話なんですけれども、これはやっぱりケース・バイ・ケースで、向こうがこちらに協力をしてくれたという形ですので協力金という支払をさせていただいたんですけれども、委員の御指摘もありますので、ケース・バイ・ケースでこれからは慎重に考えていく必要がある問題だと思っております。  それと、今のビザのお話でございますけれども、今委員の御指摘のとおり、日本のビザは一応相互主義になっておりますのでいろいろ面倒だという御批判の声を、先日、各国の大使がお集まりになった席でもお話を伺いました。今はビジット・ジャパン・キャンペーンで、十年後に一千万人の観光客を日本に来ていただくという観点からは、やはりこのビザの問題も簡略化できるものは簡略化していく。  先日、香港の行政府の副長官おいでになって、四月一日から外務省の方の御努力でビザが九十日間免除されるということで大変喜ばれましたし、三月からは、韓国の修学旅行の学生さんのビザですけれども、これも免除させていただきました。これからは、最大の観光マーケットと言える中国、多くの地域からのビザ申請の省略について御要望が出ておりますので、治安の問題と絡み合わせながらも前向きに、このビザの取得、そういうものの煩わしさがなくなって旅行ができる環境を政府としても取っていくことが大事であると考えております。
  305. 大江康弘

    大江康弘君 それじゃ、台湾もその中に含めていただけますね。
  306. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) これは、大江議員、分かっていて御質問されていると思いますので、ビザの所管は外務省でございまして、台湾からの観光客の方も実はベストファイブに入る中でございますので、ビザの問題とは別に、観光、台湾からの観光のお客様が来やすい環境を努めるよう、国土交通省としては整備をしていきたいと考えております。
  307. 大江康弘

    大江康弘君 何で大臣にお聞きしたかというと、やはりその意思というものを私はやっぱり川口大臣にしっかりと外務省に伝えてもらって協議をしてほしいという意味を言いたかったんです。  もう時間がありません。大臣、ちょっとこの台湾のことを考えてくれますか。
  308. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今は、期間五年で滞在期間九十日の数次査証、これが発行できると、発給できるという措置が取られているわけでございます。  おっしゃるように、台湾からの観光客は日本で二番目、非常に有望なマーケットでございます。査証免除というお話でございましたら、これにつきましては、これは出入国管理上の問題点ということをやっぱりきちんと踏まえなければいけないと思いますが、そういうことを踏まえ、適切に対応したいと思っております。
  309. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございました。
  310. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で大塚耕平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  311. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、高野博師君の質疑を行います。高野博師君。
  312. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、まず司法制度改革についてお伺いいたします。  今、ロースクールを設置したり、あるいは裁判官の数を増やしたり弁護士の数を増やす、あるいは裁判員制度ということについても法案が出されておりますが、なぜ今司法制度の改革が必要なのか、そしてその司法制度の改革によってどんな社会を目指すのかということについて、法務大臣の見解を伺いたいと思います。
  313. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 社会の複雑多様化あるいは国際化が一層進む中で、行政改革を始めとする社会経済の構造改革が目下盛んに進められているわけでございますが、その中で、司法制度改革は構造改革を進め、明確なルールと自己責任原則に貫かれたいわゆる事後チェック・救済型社会への転換を図る、事前規制というような形でなくて、要するに自由濶達な、しかも公正な、国民各層が安心して暮らせる社会を実現するためにこの司法制度改革は必要なものと考えております。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕  このような社会を実現するためには、その基礎となり基盤となる司法の基本的制度が新しい時代にふさわしく、国民にとって身近なものとなるよう司法の機能を充実強化していく必要があると考えております。  私は、日本の近代化の歴史の中で、明治の開国、そしてまた太平洋戦争後の昭和の開国、それに加えて現在、今や正に真の意味の国際化を図る第三の開国の時代を迎えていると考えております。
  314. 高野博師

    ○高野博師君 よく分かりました。  構造改革の私は一つの柱ではないかと、この司法改革は。すなわち、政治改革、行政改革、そして司法改革を進めるということによって構造改革は進められると思うんですが、今大臣お話しになったように、事前規制型の社会、すなわち官僚主導の社会から事後チェック型社会、あるいは自己責任型の自由で公正な社会と、こう言うんですが、これは自動的にそうなるわけではなくて、やっぱり事前規制型の社会というのは規制緩和がなければこれは変わらないと思いますが、もう一つ、自己責任型の社会というのは、あるいは自由競争型の社会というのは弱者にとっては大変つらい社会だということも認識しておく必要があろうと思います。  それで、もう一つ大臣にお伺いしたいのは、民主主義は制度的に三権分立になっているわけでありますが、立法、司法と比較して、立法、行政と比較して司法というのは国民からかなり遠い存在になっていないかという私は感じを持っているんですが、大臣はどういう認識をされておられますか。
  315. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 私もその点、誠に同感でございます。  日本のお役所は非常にしっかりやってきた。特に私は司法にかかわるこの制度については、ある意味で大変国民の皆様から信任され、信頼されて今日があると思います。それだけに、逆に言うと国際的な流れとか、あるいは国民の世論の動向とか、それからやや後れを取っているんじゃないかと。今こそ、その意味で直していかなければならないときが今は来ていると考えておりまして、一連の司法制度改革はそれにこたえるために進めるべきものと考えております。
  316. 高野博師

    ○高野博師君 法治国家は法の支配ということが確固たるものでなければならないと思うんでありますが、法が守られなくなれば、これは国を治めるということは難しくなるわけであります。塩野七生さんの言葉によれば、古代ギリシャは哲学によって国を治めようとした、古代ユダヤは宗教によって治めようとした、しかし古代ローマは法律によって、法によって国を治めようとした。このローマが一番、ローマ法も作りましたが、国として長く存在したということであります。  それで、私の若干の経験を踏まえてのエピソードでありますが、ある国にいたときに、その国では裁判官というのはみんな覆面をしておりまして、これはなぜかといいますと、刑事裁判、重大な犯罪の場合には殺される危険があると。しかも、自分で証拠も探してこなくちゃいかぬ。この麻薬犯罪人とかゲリラ犯罪、ゲリラ組織の人間等は司法というのが一番怖い。裁判が最も怖い。政治家も行政も若干賄賂を使えば何とかなると。しかし、裁判の決定を下されたらもう駄目だということがあって、例えば都市ゲリラが最高裁判所を襲撃した、占拠した、数百人亡くなったというような事件もありました。これは、司法を混乱させる、あるいは崩せば社会、国家はこれは崩壊する、あるいは混乱させることができるということであろうと思いますが、この司法が崩れれば社会正義というのは通らなくなる。司法とそれから正義という言葉も英語で言うとジャスティスということでありまして、語源的には同じであります。そういう意味では、この正義、社会正義を貫くためにも司法というのはこれはきちんと確立しておく必要があろうと思います。  そこで、これ、今のは極端な例でありますが、一般的に司法に対する国民の信頼性、これが失われれば社会は不安定になると思います。司法の役割については、私は法律の専門ではありませんが、立法とか行政というのは法律を作り、あるいは予算を付けることによって国の方向性を作ることができる。しかし、司法もある意味では一つの判決等によって国の方向性を作ることができると思います。例えば、在外被爆者の救済の件についての判決、あるいはハンセン病、こういう判決によって国が動き出す、政府が動き出すということは、そういう意味では、この方向性を作ることができる。  そういう意味では、もっと日本の場合、司法という役割が積極的な役割を果たしてもいいんではないかと私は思っておりますが、司法、行政の機関でありますが、例えば警察の裏金作りとか警察官の不祥事とか、いろんなことが明らかになっている。これは行政権に属するけれども、司法の重要な部分を担っている、こういう問題があると国民はだれを信頼したらいいのかということになるわけでありますが、司法に対する国民の信頼性を高めるという意味では民主主義を、これを強固にすると思います。そのための司法制度改革であると思いますが、再度、大臣認識を伺いたいと思います。
  317. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 現在、私、イラクの社会が非常に混乱しているのを見ても、やはり治安あるいはそれを律する司法の制度、これが確立されていないということの結果がいかに重大であるかということを毎日のように痛感しているわけでございます。  私の部屋に、高さ五十センチほどでございますが、小さなブロンズの像がございまして、これは目隠しをした女神さんでございますが、右手に高くはかりを掲げて左手に剣を持っているギリシャ神話のテーミスという神様の像でございますが、これが法務大臣の代々の引継ぎのシンボルになっております。法と証拠、正義、罪と罰、これを目隠しをしてはかりに掛けて、邪悪、正義か、罪か罰か、これを判断すると。これが非常に重要な引継ぎと心得て、心して取り組んでいるわけでございます。  そこで、お尋ねの今度の司法制度改革でございますが、司法に対する国民の信頼を確立するという意味で非常に重要な今回は改革を成し遂げていかなきゃいかぬと、こういうことでございまして、司法制度を所管する法務省といたしましても、とにかく毎日、いかにして司法が国民の皆様から信頼され頼りにされる存在であるかと、信なくば立たずという古人の教えに従ってこれからも取り組んでいかなければならないと考えております。
  318. 高野博師

    ○高野博師君 大変いいお話を伺いました。  そこで、裁判員制度の導入に関してでありますが、国民の側から裁判について信頼と理解を得るということは、これも先ほど言いましたように、司法の国民的な基盤をこれをしっかりしたものにする、あるいは司法の透明化とか、あるいは迅速化というのが図られるという意味では大変大きな意味を持っていると思います。  その裁判員制度によって、国民の健全な常識と市民感覚がこれが裁判に反映されるということによって、より豊かな、常識的な、あるいは公正な裁判が期待できるんではないかと思いますし、国民の側にもその自律性とか責任感というのが生まれるんではないかと思っております。  裁判員制度の法案の中身についてはいろいろ問題点があると思います。裁判員と裁判官の数の問題、あるいは一生負わなくてはならない守秘義務、あるいは罰則、忌避等の問題点についてもいろんな議論がありますが、ちなみに、先般、私は埼玉弁護士会主催の裁判員制度に関する市民の集いに参加しました。その中で、市民の側からたくさんいろんな意見が出されましたけれども、大変素朴でありますが鋭い質問が、あるいは意見がたくさんありました。これがやっぱり大事だなということを感じました。  今回、国会に出されております法案は、そういう意味では大変重要な法案でありますので、是非これを十分な議論の上に成立させていただきたいと思います。我が党もこれをマニフェストの中に掲げておりますが、大臣の決意を伺いたいと思います。
  319. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 一連の司法制度改革の法案の中でも、委員指摘のとおり、裁判員制度の導入というのは一つの大きな目玉ではないかと思っております。  この制度の意義は、広く国民が裁判の過程に参画をする、そしてその感覚が、常識が裁判の内容に反映されるということになりまして、司法に対する国民の理解や支持が深まりまして、司法はより強固な国民的基盤を得ることができるようになることにそのねらいがあると思っております。  加えまして、結果として、裁判が迅速に行われるということ、さらに、手続や判決、それから言葉自身が国民の皆様に分かりやすい言葉で開示されるであろうと、こういうことも期待されるところでございます。  ちなみに、日本以外のG8の各国は、既に陪審制とか参審制という形ですべて国民参加の裁判制度を実現しているところでございます。
  320. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、次に在日外国人の問題について何点かお伺いしたいと思います。  自由貿易協定、FTAがメキシコとの間でほぼ合意に達したという報道がされておりまして、これは今後、マレーシアとか韓国とか、あるいはチリ等々の交渉にいい影響を与えるんではないかと期待をしております。私は、ほかの委員会の中でも、日本が国際社会の中で生き残るためにはFTAの推進しかないということを一貫して主張してまいりました。  そこで、FTAがこれから各国と結ばれるようになると物と金と人の動きが自由になるわけで、外国人も相当入ってくる、あるいは受け入れざるを得ないと思うんですが、労働市場の開放等も必要になってくると思います。フィリピン等、あるいはタイなどは、看護師とかあるいは介護士とか、そうした人材を国内で訓練をした上で日本に是非送り込んで、送り込みたいという強い要望を持っておりますし、中南米の日系人等も相当今、日本に入ってきております。  日本が、不況が長引いているけれどもこの外国人労働者の数が増え続けているということは、日本経済が彼らに依存しているというその証拠だと思うんですが、日本の場合、一方で高齢化が進むという中で、二〇二五年には、寝たきり老人百人に対してこの介護者はたった五人という状況になるという統計も出ております。  さらに、これはある新聞の世論調査でありますが、年老いた親の世話をするというのは善い慣習だと、それから当然の義務だと考えている人が、七七年のときは七五%いた、しかし二〇〇〇年のときはもう四五%に減っているという厳しい現実があるわけであります。そしてまた、年金制度等を支える人口も減少傾向にある。こういう客観的な情勢を見れば、外国人労働者を受け入れるという必要性はもう明らかではないかと思います。  国連の報告によれば、今後五十年間、日本が今の経済規模を維持し、あるいは生活水準を維持し、社会制度を守っていくためには、年間六十一万人の外国人労働者の受入れが必要だろうということも提言をしております。しかし一方で、外国人に対する犯罪も、外国人による犯罪も増加する傾向にあります。  そこでまず、在日外国人の数は今どのぐらいいるのか、そのうち日系人の数はどのぐらいいるのか、そして不法滞在者の数はどうなっているのか、まずお伺いいたします。
  321. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 昨年の段階で年間五百万ちょっとの方が来日していただいている。出掛ける人が千六百万ということですから、大体三分の一くらいしか入ってきていない。世界レベルで見ると、これは三十五番目くらいの位置付けということでございます。政府はこのままではいけないということで、何とかこれを倍増したい、ビジット・ジャパンというキャンペーンを一方では繰り広げているわけでございます。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  そこで、その中で外国人と、いわゆる新たに入ってくる方が、大体そのうち百八十五万人くらいが日本に現在居留しておるということでございますけれども、そのうち約二十五万人が不法滞在という形で潜ってしまっているんだと。この辺がこれからどうしていいか取り組むところでございますが、内閣の方針としては、この不法滞在二十五万の半減という方針を打ち出してこれから各省庁協力して取り組んでいくと、こういう状況にございます。
  322. 高野博師

    ○高野博師君 在日外国人が百八十五万人、日系人は三十三万人いるそうであります。不法滞在者二十五万人でありますが。  そこで、外国人による犯罪の件数、あるいは日本全体の犯罪の中に占める外国人の割合というのはどのぐらいあるんでしょうか。
  323. 三谷秀史

    政府参考人(三谷秀史君) お答えいたします。  平成十五年中の来日外国人に係る刑法犯の検挙件数・人員は、件数が二万七千二百五十八件、人員が八千七百二十五人でございます。これはともに過去最多となっております。  一方、これを我が国の刑法犯の全検挙に占める割合を出してみますと、各々件数で四・二%、人員で二・三%を占めております。  以上でございます。
  324. 高野博師

    ○高野博師君 人員で約二・三%ということでありますが、その外国人の犯罪は増加傾向にあるんでしょうか。その増加傾向にあるとすれば、その原因は何だというふうに分析しているんでしょうか。
  325. 三谷秀史

    政府参考人(三谷秀史君) お答えいたします。  まず、増加傾向にございます。  その原因でございますが、これはなかなか一言で御説明するのは難しいとは存じますが、一つには、やはり不況が続くと言われる中でも我が国の経済状態というのは、外国の方、とりわけ不法就労その他によって金を稼ごうという方からすれば大変魅力的なものであるというのが一点ございます。  もう一つは、我が国の伝統的に平和であった状態、治安が大変良好であった状態が逆に外国人犯罪者の付け入るすきを作ってしまっているのではないかというような分析もしておるところでございますが、いずれにしましても、一概にこれが原因と言うのは難しいかと存じます。  以上でございます。
  326. 高野博師

    ○高野博師君 どうも外国人とこの犯罪というのを結び付ける傾向が強過ぎるんではないかというふうに思っておるんですが、昨日の法務大臣の答弁の中にも、不法滞在者と犯罪との関係について危機感を持っているような発言がございました。そこで、水際作戦とか、あるいは入国審査、不法滞在、不法入国者の取締りとか、あるいは警察官の増員とかということが強調されておりました。  私は、なぜ外国人の犯罪が起こるのかということについては、今お話があったように難しい問題ではありますが、一つは、この外国人受入れの体制、制度というのが日本にはできていないと。国内的な需要があるにもかかわらず、入口というか門戸が、法的規制がきつ過ぎる、狭過ぎる。したがって、法の網の目を抜けて入ってくる人あるいは滞在する人、この外国人が多いと。そういう方は犯罪に走りやすいんではないか。  もっと門戸を開放して受入れの体制を整えれば、優秀な外国人、まじめな外国人を入れれば、これは犯罪というのは減少させることができるんではないかと思っているんですが、この辺についてはどういう認識でしょうか。
  327. 三谷秀史

    政府参考人(三谷秀史君) 一介の警察庁国際部長がお答えするにはちょっと大きな問題かとも存じますが、やはり犯罪の根底には、やはり社会教育社会保障、社会全般のいろいろな要素が重なってくると存じます。先生指摘のとおり、現在発生しておる犯罪をつぶさに見てまいりますと、本当の要因はこの辺にあるのではないかなと警察側からは思うことも時にございます。
  328. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、法務大臣にお伺いしたいんですが、先ほどのFTAの問題等も含めて、日本のこれからの高齢化社会の中で外国人をもっと受け入れる必要があると私は思うんですが、あるいはそう思っているかどうか分かりませんが、外国人を受け入れるのか受け入れないのか、将来的にも。その場合は、どういう基本的な考え方に基づくのか。受け入れる場合には、その考え方あるいは哲学というのを教えてもらいたいと思います。
  329. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 法務省といたしましては、我が国社会の安全と秩序を維持しながらも外国人の円滑な受入れを図ることは、国の内外から要請され、また必要なことと認識をいたしております。  中でも、外国人労働者の受入れにつきましては、我が国の経済社会の活性化、一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進してまいりたいと考えておりまして、これに関しては各省庁御協力をいただく必要がありますが、しっかり取り組みたいと考えておりますが、当面、進めておりますFTAの協議においても、人の移動にかかわる要望については、この基本方針に沿いまして相手国との協議を図ってまいりたいと思います。  それから、長期的に見て、少子高齢化を迎えた我が国におきましては、今後、外国人の皆様の受入れの在り方についての議論は避けられないものと認識しておりまして、我が国の国民の意識あるいは制度、それから刑罰その他の法的なインフラの整備含めまして、関係省庁あるいは国民の皆様との意見交流を図りながら進めてまいるべき課題と考えております。  それで、私は、この今後の日本の在り方としては、アジア諸国を中心にしながら、ともに歩み、ともに生きるという共生の理念に立った力の、協力の在り方がこれから日本の進むべき大事な道と考えております。
  330. 高野博師

    ○高野博師君 正にそのとおりだと思うんですが、共生、外国人と共生できる社会を作っていく必要があると思いますし、それは法務省だけの話ではないと思います。  ヨーロッパでは、例えばオランダなんかは外国人が全人口に占める割合が一〇%であります。そこでオランダが取っている政策は、同化主義ではなくて多文化主義と、固有の文化を守るということを法的に保護する、あるいは国民と同等な権利をこれも法的に保障するということをやっておりまして、ヨーロッパは恐らくそういう国がほとんどであって、外国人を受け入れていると思います。もちろん犯罪等の問題もあるのでありますが、しかし基本的には受け入れていると。同化主義というのは摩擦を起こしやすいということもありまして、こういう政策は取るべきじゃないと思うんですが、基本的な考えは、いろんな人を受け入れて、そして共生していくと。  その受入れの体制の中で、やっぱり教育の問題、社会保障の問題、様々な問題がありますが、ちょっと例えとして、ブラジルの日系人が今、日本に二十七万人、これはブラジル人も含めての、日系人含めて約二十七万人おります。これはもう群馬の太田市とかあるいは東京の、大泉とか、いろんなところで住んでおりますが、いろんな問題があります。  最大の問題というのは教育の問題でありまして、子供を連れて一緒日本に働きに来た日系人、これは国籍は日本ですから何の問題もなく入ってこれるんですが、実際は、ポルトガルあるいはブラジル語で教える教育機関は全くない、わずかのボランティアがその教えるような活動をしているということであります。  文部省も加配教員というよく分からない制度で対応しているようでありますが、この子供たち日本に、日本学校で対応できていないと、ほとんど。横須賀の少年院にいる、入っている子供の九割はブラジル人の子供だということであります。これはみんな日本教育制度の中に溶け込めない。で、不登校になり、そしていろんな人的関係の中から犯罪に巻き込まれていくという状況があります。  そういう意味では、もっと教育で外国人を受け入れる体制を作る必要があると思いますが、文部大臣はどういう認識をされているでしょうか。
  331. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 高野委員指摘のように、今、ブラジルからの日系人、子供たち、たくさん日本にもおりまして、この子供たちにきちっとした日本義務教育を受けさせてやる、これはもう当然のことだと私も考えておるわけでありまして、国連の、国連といいますか、人権、子供たちの人権問題等々含めても、これはきちっと受け入れなきゃいかぬことになっているわけでございます。国際人権規約あるいは児童の権利条約を踏まえてもそういうことになるわけでございまして、公立の義務教育学校子供たちが就学を希望すれば、これはきちっと受け入れる、しかも日本人と同じように無償で受け入れるという方向で、教科書の無償配付あるいは就学援助、そうした機会を保障はしておるわけでございます。  そして、その子供たち日本学校に適応するのを支援していかなきゃいかぬということで、日本語指導に対応する教員の配置、ここに加配の、今御指摘ありました加配ということが入ってくるわけでありますが。それから、ブラジルの場合はポルトガル語でございますので、日本にそんなたくさんそういう先生がいないということもあるんでありますが、そのポルトガル語の分かる教育相談員を派遣しなきゃいかぬという問題がございます。  それから、日本語が、第二言語としての日本語、これをきちっと指導、開発すると、こういうことも一体としてやっていかなきゃなりません。それから、日本語指導者に対する講習会、併せてこういうことをやると、こういう対応を今いたしておるところでございまして、ブラジルの子供たちを受け入れたときに、日本子供たちとの相互理解を図る、そうした日本語の一緒に指導をするチームティーチングでそれをやる、こういうことで今進めておるわけでございますが、残念ながらその点の受入れが十分でなくて、どこの学校にも行っていない子供が現実にあるという事実もございますものですから、これを踏まえて、これは地域ぐるみでやっぱり外国人を受け入れる体制も作っていかなきゃならぬし、またその子供学校へ行っていないと、そういう子供たちはどういうふうにしてこれに対応するんだということで、今その就学の問題について、これらの地域とともに今調査研究をいたしておりまして、この状態も見て対応をしていかなきゃいかぬと、こう思っておるところでございます。  いずれにしても、日本に、義務教育段階の子供たち日本人と同じような教育を受けさす、また受けてもらう、当然の、日本人、日本側の受入れのこれは義務でありますから、そういう思いでこれらの問題について対応をしていきたいと、このように考えておるところであります。
  332. 高野博師

    ○高野博師君 昨日はドミニカに日本人の移住の問題もここで議論されましたが、ブラジルに日本人が移住して、これは日系人社会、今百五十万人ぐらいいるんですが、ほとんど成功したというか、定着をして高い評価を得ている。それはなぜかといいますと、ブラジルの教育制度の公的機関はただなんですね。したがって、移住した日本人は子供教育だけには物すごい力を入れた。したがって、それで弁護士になり、あるいは公認会計士になり、お医者さんになりという人が出、大臣も出ているんですが。  そのブラジルで恩恵を受けた日系人が、今度はブラジル人が日本に今来ているときに日本側はそれに十分な対応をしてあげていないということについて、これは私はもっと国としても考える必要があるんではないかと思っております。  時間ですので、この続きはまたやりたいと思っております。ありがとうございました。
  333. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で高野博師君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  334. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、宮本岳志君の質疑を行います。宮本岳志君。
  335. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党宮本岳志です。  いわゆる三位一体改革については、今全国からこれでは予算が組めないという悲鳴が上がっております。全国知事会も、「地方公共団体の財政運営に致命的な打撃を与えるものであり、極めて遺憾」とコメントを発表いたしました。  そこで、私は、三位一体と、この問題について議論をしたいと思います。  麻生大臣は、昨年十一月二十八日の経済財政諮問会議に、「「三位一体の改革」について」というこの文書を出しました。(資料提示)冒頭に、「「三位一体の改革」の基本方向」というものが三点書かれてありますけれども、それはどういうものでございましたか。
  336. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 三位一体の地方分権、まあ、地域主権というのが正しいんだと思いますが、いうことに関しましては、基本的には目的は何かといえば、今の状態で地方が元気になるというところが一点。その次には、そのためには自由度を拡大せにゃいかぬ、地方の、それが二点目。そして、そのためにはある程度の財源をというところの三つをまとめてそういうような表現をしたと思います。
  337. 宮本岳志

    宮本岳志君 お付けしましたけれども、地方が元気になる、自主財源を拡充する、自由度を拡大。このとおりであれば知事会が反発したりするわけはないんです。そうでないから大騒ぎになっているわけですね。  私は、ここに、大阪自治労連が行った府下各自治体への三位一体改革の影響についての試算というものを資料をお持ちしましたけれども、これで大阪市を見ますと、国からの国庫補助負担金は六十二億円の減、交付税と臨時財政対策債、つまり交付税見合いの赤字地方債の合計額で三百八十六億円の減、総合計で四百四十八億円の収入減。一方で、国から新たに入る所得譲与税は四十三億円。結局、四百五億円もの歳入減となります。同じようにして、堺市は六十七億円の減収、私の住む岸和田市は二十億円の歳入減と見積もられているわけですね。府下全市町村を合わせれば九百二十七億円もの減収になります。  そこで、まず聞くんですが、今回の三位一体改革なるもので地方財政にどれだけの影響が出るか、国庫補助負担金の見直し、地方交付税総額の対前年度比の減額分、交付税見合いの臨時財政対策債の減額分、それぞれについてお答えいただけますか。
  338. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今ちょうだいをしたこの資料というのは、臨時財政対策債の削減、その紙に書いてある分だと思いますが、これをよく読んでいただきますと、いわゆる地方財政収支の見通しという紙があると思いますが、これを見ますと、最終的にはこれはバランスしておるということになっておりまして、これで今個別にと言われると、いろいろあろうと思いますが、臨時財政対策債の削減、これ一兆七千億というような数字がこれに出ておりますけれども、これは、地域再生債なんか〇・八兆、〇・八兆、いわゆる八千億やら何やらをやっておりますので、そういったのを全部やっていくと、少し、これだけ見るとえらい丸々赤みたいな感じがいたしますけれども、それは結構いろいろな形で補てんをしておるという感じになっておると思いますが。
  339. 宮本岳志

    宮本岳志君 いや、きちっと額を、先ほど申し上げたものを挙げてください。
  340. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 平成十六年度三位一体の改革としては、一兆三千億円の国庫負担金の廃止、削減ということになっておりますけれども、税源移譲で約四千二百四十九億円ということだと思いますが。それで、その分につきましては、いわゆる本格的な、いわゆる何、たばこ税というようなものではなくて基幹税、基幹税で税源移譲をやったというところだと思っております。  次に、財源、税源の移譲の予定の特例交付金というのは、二千三百九億円としてこれは財源処置をさせていただいておりますが、これの一番肝心のところは生活保護費等々を止めたというところなんだと思っておりますので、基本的には、総額抑制ということをしたことによっていろいろな問題が出ておることはこれは確かですし、交付税が対前年度比で約一二%ということになっておりますので、そこらのところがいろんな大きな問題を今起こしておることはよく存じておりますけれども、その分はいろんな形で、財政再建債等々で補っているところだと思います。
  341. 宮本岳志

    宮本岳志君 この表は、あなた方の出したこの自治財政局のこの表に、この資料に基づいて作ったんですから間違いないんですよね。それで、補助金の削減は一兆三百億ですからね。先ほどお間違いになりましたね。(発言する者あり)  それで、合計、つまりこれ、表を見ていただきたいんですが、補助金の削減一兆円と、約一兆円と地方交付税の削減、総額で一・二兆円と、それから臨時財政対策債で一兆七千億、合計三・九兆円というのが現に地方の収入では減っているわけですよね。で、その一方で、税源移譲、一般財源化、たったの四千五百億円と、これは削減額のわずか一二%ということになると思うんです。  大臣は自主財源を拡充すると言うんだけれども、それどころか、ただ国から地方に支出するその金を削った、それだけじゃないですか。
  342. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今お示しをいただきましたこの数字だけを言うとそういうことになりますが、そもそも歳出の削減が一・五兆円行われているという点を引いていただかぬと、一番最初に歳出削減というのをやっておりますので、それで約一・五兆円ということになろうと思います。また、地域の再生債というので〇・八兆円というのもありますし、それから地方税というのは、今回の場合は、昨年は前年度に比べて約二兆円の減ということでしたけれども、今年度は微増するであろうと思っております。まあ予想の範囲を超えませんけれども、〇・二兆円とかいうことになろうと思いますし、また、その他、生活保護だ、医療だ、介護だ、幾つかのものをさせていただいておりますので、その意味では、これほどむちゃくちゃな感じでというような感じに見られるかと思いますけれども、その他のところはそこそこ手当てができておると私ども思っておって、今地域によって、市町村によってすごい差がありますので、これ。個別にこれをというのはなかなか申し上げにくいところですけれども、何というの、小さなところほど大きかったというのは事実だと思っておりますので、その辺に対してはきめ細かく対応したいと思っております。
  343. 宮本岳志

    宮本岳志君 いや、むちゃなんですよ。これを受けて、全国知事会長の梶原岐阜県知事は、これでは三位ばらばら改悪だと、こう述べました。橋本の、橋本高知県知事は財源の調整機能や保障を否定するような危険を感じると、こうコメントしております。これは小さいところだけじゃないんですよ、怒っているのは。  なぜみんな怒っているのかと。我が党はもちろんこの三位一体、最初から反対してきましたけれども、今やあなた方の地方への説明とも全く食い違ってきているからなんですね。つまり、そもそも三位一体改革というのは国庫補助負担金の廃止、縮減ですね、縮小と地方交付税の見直しと地方への税源移譲、この三つを一体に改革すると、こういうことだったんでしょう。違いますか。
  344. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、基本的にはそうおっしゃるとおりです。
  345. 宮本岳志

    宮本岳志君 ところが、あなた方のやってきたことを見れば、国庫補助金の負担金の削減は一兆円と、これに対して税源移譲というのはこの予定交付金を含めてざっと四千五百億ですよね。あなた方が事前に言った八割どころか半分以下ということになっております。  ところが、更に重大なのは、地方交付税は臨時財政対策債含めて二・九兆も削減しておきながら全く何の手当てもないと。これは正に、岐阜県知事が言うとおり、一体どころか三位ばらばらの改悪そのものじゃないですか。
  346. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 二・九兆円という数字につきましては今言われた数字の分だと思いますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、そもそもこれは二百四兆円に上りますいわゆる借入金、累積総額をいかに減らすかというところから始まって、そういった意味からいきますと、補助金の削減というところでまず一・五兆円のいわゆる歳出というのは減になっておりますので、その分は、基本的には交付税はその分だけ要らないということになります、一・五兆円ですから、その分は。その分はある程度引いていたけれども、要らないものに補助金は、交付税は付きませんから、そういった意味ではそこのところから引いていただかぬと、丸々二・五兆円というわけでもありませんし、地域地域財政再生債の〇・九兆円という分を入れておりますので、丸々全部二・九兆円ということではないという具合に御理解いただければと存じます。
  347. 宮本岳志

    宮本岳志君 いや、大臣ね、ここには借金を減らすための改革なんて書いてないじゃないですか。自主財源を拡充する改革と書いているじゃないですか。そうでしょう。自主財源を拡充する改革と、こう言われれば、自治体に、自治体が自由に使える金は増えるんだろうなとだれも思うはずなんですよ。そうでしょう。ところが、逆に減ると。こんなばかなことないでしょう。違いますか。
  348. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 自主財源に関しましては、少なくともいわゆる交付金やら何やらいろんな形で、補助金という形で出てましておりました分を基幹税と言われる住民税に、いわゆる所得税を住民税に切り替えることによって、間違いなく自由度が増えるというものが移ったということも間違いありませんし、義務教育等々の分につきましてもその金は回っておりますので、その点につきましては、自由度が増えないではないかと言われますけれども、少なくとも保育園の、公立保育園の方につきましての約二千億につきましては、それは明らかに自由度が増えたということで、それは一挙に全部行っていないということもありますけれども、間違いなく今まで触れなかった基幹税に手が付いたというのは、従来に比べれば間違いなく前に一歩出たと思っております。
  349. 宮本岳志

    宮本岳志君 端的に聞きますけれども、来年度の地方財政計画で一般財源は今年に比べて増えるんですか。
  350. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今の段階で幾ら増えるとも幾ら減るともちょっと申し上げるような段階にはまだないと思っておりますが、極端な形で減らすつもりはありません。
  351. 宮本岳志

    宮本岳志君 地財計画で増えることになっておりますかと聞いているんです。減るんです、減るんです。
  352. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これ、二・二兆円でしょう、これね。平成十六年の地方一般財源総額五十五兆六千億ですから、前年度に比べて二・二兆円減るということになろうと思います。
  353. 宮本岳志

    宮本岳志君 一般財源、減るじゃないですか。何が自主財源の拡充なんですか。全く看板と違う。だから、地方が怒るのは当然なんですよ。要するに、税源移譲といっても、これは全く自主財源を増やすことになっていない。  じゃ、大臣大臣、税源移譲とあなた言うから、私聞かせていただくけれども、これは財務大臣でもいいですし総務大臣でもいいですけれどもね、今度あなた方が移譲する税源、これで地方が、自治体自身が税として直接徴収するというものがございますか。
  354. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは今、麻生大臣が言われましたように、平成十八年度までに所得税を地方住民税に移管していく、基幹税でやるということ、それまではつなぎの方法で、方向で、所得譲与税でいくという形でやっておりますから、国で集めて配分をする、こういう形になります。
  355. 宮本岳志

    宮本岳志君 要するに、税源移譲といっても地方自身の努力で増えたりするようなものは一つもないんです。そうですよね。所得譲与税も税源移譲予定特例交付金も、結局は人口を基準に国によって地方に配分される交付金なんです。このようなものの比率が幾ら増えても、地方の自由度が拡大するなんということはどこにもないじゃありませんか。  大体、この三位一体改革というものには元々高尚な理念てなものはないのです。大体、一兆円の国庫補助負担金の削減を省庁別の削減枠の枠で割り当てるというやり方、この進め方自体にそれがはっきり表れていると私は申し上げたい。  例えば、厚生労働省の割当ては一兆円のうち二千五百億円ということでしたけれども、この割り振りはだれが行ったんですか、財務大臣
  356. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、具体的にどういうふうにやっていくかは、総理指示で一兆円というのが十一月出たわけですが、総理指示の趣旨を踏まえまして、全国知事会など地方の各種提言において見直し対象として個別の補助金が指摘されているところを参考にしながら各府省に目標額が設定されたと、こういうことであります。
  357. 宮本岳志

    宮本岳志君 どこで設定したんですか。
  358. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは財務省と総務省が御相談して決めたわけであります。
  359. 宮本岳志

    宮本岳志君 割り当てられたその厚生労働省は、当初、生活保護費の国庫負担率の引下げによってそれをやろうとしたと。で、全国からごうごうたる批判が寄せられると、今度は公立保育所の運営費負担金の一般財源化を盛り込んだと、こういうことだと思うんですね。  国庫補助負担金と、こういっても、地方財政法十条が定める負担金もあれば同法十六条に規定する補助金もあるんです。国庫補助負担金の削減をやろうと思えば、こうした負担金の性格、それを財源として実施される事務事業が国と地方のどちらの責任に属するかの真剣な検討が必要なわけです。  では、財務大臣に聞くけれども、厚生労働省に国の責任ではなく地方で行うべきだと判断される事務事業がちょうど二千五百億円分あると考えた根拠はどこですか。
  360. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと先ほど答弁しましたことを訂正させていただきます。  それは、だれが決めたのか、配分枠を決めたのかというところで、総理指示を踏まえて内閣官房から提示をいたしましたけれども、その際、財務省、総務省において協議しつつ作業を行ったというのが正確なことでございます。  それから、今の厚生労働省になぜ、二千五百億だったと思いますが、割り当てたかということでございますか。これは先ほど申しましたように、いろいろな知事会や市町村長会からそれぞれ、こういう補助金が無駄なものである、あるいは地方に移譲してもらいたいものであると、いろいろな要望が出ておりましたから、そういうものを総合勘案して決めたということであります。
  361. 宮本岳志

    宮本岳志君 知事会や市長会からこういう補助金はもう無駄なので削ってほしいという要望があって、それがちょうど二千五百億円あったと、こうおっしゃるんですか。
  362. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いやいや、一兆円というこの補助金改革を成し遂げるに当たりまして、それぞれやっぱり各省庁がいろんな補助金を持っておりますし、それから、何というんでしょうか、それぞれの都道府県や何かがいろいろな要望がございます。結局、余り少ないところにたくさんやってくれといってもこれは無理でございますから、そういったものを総合勘案しながら考えたと、こういうことであります。
  363. 宮本岳志

    宮本岳志君 全然答弁になってないじゃないですか。つまりは総理指示が一兆円だったのでその四分の一を厚生労働省に割り当てたと、ただそれだけのことでしょう。だから、最初は生活保護の国庫負担の引下げでやろうとしたり、あるいは保育所に行ったりと、そういうことになるんであって、何も下から積み上げた話じゃないんでしょう、元から。そうじゃないですか。
  364. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) それはその枠内でどういう形でやっていただくかは各省庁において考えていただいたと、こういうことであります。
  365. 宮本岳志

    宮本岳志君 全く答弁になってないですよ。  では、厚生労働省にひとつお聞きしましょう。厚生労働省は二千五百億の補助負担金の一般財源化を検討した際、先ほど言ったように、生活保護費の国庫負担率をまず引き下げようという案を出されました。この制度は日本国憲法第二十五条の生存権保障に基づく国の責任であるにもかかわらず、なぜこの負担率の引下げが国と地方の役割分担の上で見直すべきものだと厚生労働省は当初考えたのか、その根拠を厚生労働大臣、お答えいただけますか。
  366. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) この補助金といいましたときに、厚生労働省が半分あります。二十兆ありましたけれども、十兆、十一兆ぐらい近いわけで、もう半分以上厚生労働省の分。それは国民年金、介護、生活保護そして保育所、障害者施設、これで大体もう九五、六%も行くだろうというふうに。  そうした中で、地方で何を持ってもらうかという話になるわけでありまして、二つ挙がったわけでありまして、一つは生活保護で、地方で自由度を高めていただくというのはどうだろうかという案、もう一つは公的な保育所をお持ちいただくというのはどうだろうかと。知事会や、それから政令指定都市の市長さんの会、それから市長会、この、もう三者ともに一致しましたのがこの公立の保育所であったわけでございます。  初め、厚生労働省の方は保育所と、この生活保護の方をお願いをしてはどうか、ただしこのときに、先ほどおっしゃいますように、この財源がこう減っては具合が悪いわけでありますから、財源の確保をしっかりこれでできるということを前提にしてでありますけれども、このことを考えた。  で、生活保護は、地域によりまして十倍の格差ありまして、多いところ少ないところ様々でございまして、こうした問題もありますけれども、これを一つのそれぞれの地域で、例えばその生活保護を受けておみえになる皆さんの中には体の悪い方もあるし、それからなかなか働く場所がないという方もありますから、そういう皆さん方には働く場所もひとつ積極的にやっていただくというようなことで、その自由度が増さないかといったことも考えたわけでありますが、初年度につきましては公的な保育所だけにとどめた、こういうことでございまして、もう少し、だから半分ですから、厚生労働省の持っておりますところ、ですから本当はもっと多い額だったんだろうというふうに思いますけれども、公的保育所だけということになりますと二千五百億程度になったと、結果としてということでございます。
  367. 宮本岳志

    宮本岳志君 今の答弁ですね、厚生労働省は大変たくさんのことをしなきゃならないと。年金も介護も生保も保育所もあると。これ、大変たくさんの大きな額なので、何とかしてもらいたいというところから話をお始めになったわけですね。  それで、大臣は、地域によって十倍の差がある、つまり生活保護を受けているところと受けて、受ける人の数が多いところと少ないところで十倍の差があると、だから地方の自由度を高めてこれをやってもらおうと、こうおっしゃいましたけれども、これはつまりその生活保護の支給率のアンバランスを、国が憲法二十五条に照らせばそう簡単に切るわけにいかないけれども、これを自分たちの手は汚さずに地方自治体の自主性の名の下に減らさせようと、こういうことでございますか。
  368. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) そうそう決め付けてもらってはいけないわけで、これはそれだけの差があるということは、基準を決めておりますけれども、かなりその基準で自由度もあるわけなんですよ。だけれども、そこはそれぞれの都道府県によって、今、先ほど申しましたように、この生活保護をお受けになっている皆さん方に対する雇用の支援等を積極的におやりになっているところもあるし、そうでないところもあると。そうしたところでかなり自由度が出るのではないかというふうに思う。そのほかの自由度も私はあると思う。  中には、生活保護の基準そのものを都道府県にお渡しして、そこで決めてもらってはどうだという御意見もあるわけですけれども、まあそこは、私は、都道府県もその生活保護のこの基準をもらっても、それはなかなか大変だろうと。それはやはり国の方で決めておいた方がいいのではないかというふうに私は思っております。
  369. 宮本岳志

    宮本岳志君 大臣ね、基準は憲法二十五条なんですよ。憲法で、健康で文化的な最低限度の生活営む権利有すると。この憲法二十五条を基準にして正に考えたときに、今の生活保護の水準というのは、低いことは山のようにありますけれども、高過ぎるなんということないんですよ。そうでしょう。それを全く、高過ぎるからそこを減らさせるんだという考えは全くの間違いであって、そして、そんなものができなかったことはもう当然なんです。できなくなったことは当然なんです。  そこで聞くんですけれども、やっぱり、じゃ生活保護費はまずいということになったと。その上で、今度は公立保育所の運営費の負担金も国が責任持たなくていいと、こうした理由、その根拠は一体どこにあるんですか。
  370. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) いや、それは持たなくてもいいということを思ったわけではありませんで、それは、公的保育所につきましては、これは各都道府県の知事さん方も私の方に渡していただいてもいいという御意見であった。しかし、それに対する財源についてはそれはお願いしますよということでもって、所得譲与税等でこれは負担をしていただいているところでございます。
  371. 宮本岳志

    宮本岳志君 では、聞きましょう。  公立保育所は自治体の責任でやっているからという理由で運営費負担金を切ることができるならば、民間保育園は民間がやっているからという理由で遠からず民間の負担金も切ることができるのではないかと、こういう声がありますが、これはしないという理由や根拠が、大臣、示せますか。
  372. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 公的な保育所は、これはそれぞれの公的な機関がそれぞれの意思によってお決めになった問題であります。しかし、私立の保育所というのはそうとは言えません。これは民間の皆さん方の御意思によって作られた場合もあるわけでありまして、そこは違うというふうに思っております。したがいまして、今回も同じにしなかったということでございまして、これからも私的な、私的と言ったらしかられますね、私立の保育所につきましては、その対象にしないということにいたしております。
  373. 宮本岳志

    宮本岳志君 じゃ、そういうことは一体どこで決められたわけですか。
  374. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) いや、それはいろいろお話をしましたけれども、厚生労働省でそう決めたということであります。
  375. 宮本岳志

    宮本岳志君 結局、私は理念がないと。それが国がすべきか地方ですべきかということを考えてやったなんという話じゃなくて、まず一兆円という総理の号令があり、そして二千五百億と四分の一を省庁に割り振って、省庁はその二千五百億をどんなふうにするかとつじつま合わせをやっただけなんですよ。結局、あなた方の言う三位一体改革なるものは、何の理念もなければ真剣な検討もないと。結局、適当なつじつま合わせと談合でしかなくて、結果は地方自治体の実情を無視した借金の、国の借金のツケを地方に押し付けると、そういうものにほかならないと思うんですね。こんなもの、どこが改革と言えるのかと。  大臣、これで地方が元気になるとか、自主財源が拡充するとか、地方の自由度が拡大するとか、あなた本気でそう思っているんですか。
  376. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 見解の相違だと思います。
  377. 宮本岳志

    宮本岳志君 そう思っているのはあなただけなんですね。知事会も市長会も町村長会も、相次いで政府に対し地方交付税の大幅削減への遺憾と懸念を表明しておるわけですし、また地方議会でも今意見書が次々上げられてきているんですよ。  本当に地方に信頼され、地方が元気になる改革というならば、我が党が主張するように、まず第一に、住民に新たな負担増なしの国から地方への税源移譲を行うこと。第二に、歳入中立の立場に立って、税源移譲相当額に見合う国庫補助負担金、交付税総額の減額を行うこと。その際、福祉や教育などの補助負担金制度は守るとともに、地方自治体への総合補助金制度を導入して、自治体が自らの基準と裁量で計画的かつ効率的に事業が進められるようにすること。地方交付税制度についても、税源移譲に伴って自治体間の格差が拡大することになりますから、その是正のための財源保障と財政調整機能を両方ともきちっと拡充すること。この方向にこそ確かな改革の道があるということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  昨年、私、個人情報保護関連法案の審議の際に私がやった、警察と武富士との癒着の暴露と追及、これはその後、七月の警察職員の処分、十一月には武富士本社への捜索、十二月の武富士会長逮捕へとつながりました。  そこで、金融担当大臣に、残された時間、幾つかお伺いしたいと思います。  一点は、新聞報道によりますと、武井会長が逮捕直後に会長職を辞任したのは貸金業規制法上の行政処分を逃れるためだと伝えられております。そこで聞きますけれども、一般論として、仮に貸金業者の役員であった者が禁錮以上の刑に処せられた場合、刑の確定前に既に役員を辞任していれば貸金業規制法上、行政処分の対象にならないのか、その人物が大株主であった場合はどうなるのか、お答えいただけますか。
  378. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 一般論としてというお尋ねでございますので、法律の枠組みについて申し上げますけれども、貸金業規制法の上では、法人の役員若しくは重要な使用人、役員若しくは重要な使用人が、まず、禁錮以上の刑に処せられ刑が確定したような場合、貸金業規制法若しくは出資法等に違反し、又は貸付けの契約の締結若しくは当該規約に基づく債権の取立てに当たり刑法等の罪を犯して罰金の刑に処せられ刑が確定した場合、確定した場合であります、その場合に貸金業の登録を取り消さなければならないということが同法の三十七条に規定されております。しかし、刑が確定する前に当該役員を辞職していれば登録取消しの事由には該当しないというのが法の枠組みでございます。  もう一つ役員のお話、役員、失礼、株主のお話がございましたけれども、これも貸金業規制法上、取締役と同等以上の支配力を有すると認められる者に対して内閣府令で定める者、これもまた役員に含まれるということになります。府令で定める者とは何かということになりますが、貸金業者の二五%を超える議決権に係る株式を自己又は他人の名義をもって所有している個人等が規定をされております。したがって、これに該当する個人が禁錮以上の刑に処せられた場合とか、貸金業規制法等に違反して罰金の刑に処せられた場合についても、当該貸金業者は登録取消しの対象となります。
  379. 宮本岳志

    宮本岳志君 もう一つは、政治家との癒着という問題なんです。この間、全国貸金業政治連盟なる団体から、自民、公明、民主などの八十四人の政治家にパーティー券などの形で政治資金が流れていたということが明らかになりました。この団体は、武富士の武井前会長が音頭を取って立ち上げたものでありまして、設立された初年度に当たる二〇〇〇年の収入の七割は武井会長自身とその長男及び次男からの寄附となっております。  この連盟は、出資法の上限金利引下げに反対する運動をうんとこの間やってまいりまして、その結果、昨年、上限金利の再引下げは見送られるという結果になりました。これは、そういった政治家への働き掛けの功を奏したということを意味しているんじゃないでしょうか、大臣
  380. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 出資法の上限金利につきましては、与野党における様々な議論が行われた結果、昨年七月に成立しました貸金業規制法及び出資法の一部改正法案において現行の上限金利を据え置くということになったものと承知をしております。正に与野党における様々な御議論の結果と承知をしております。
  381. 宮本岳志

    宮本岳志君 今、この間、最高裁は二月の二十日にいわゆるみなし弁済制度の適用は厳格にすべきだという画期的な判決を下しました。つまり、出資法の二九%の上限金利ではなくて、利息制限法の一五ないし二〇%の上限を適用することを基本にせよという判決が出たと思うんですね。  私、この際、この上限金利を利息制限法の上限一五%ないし二〇%に引き下げると、こういうことを検討すべきだと思いますし、それを待たずに、直ちに行政としても事務ガイドラインを見直して、この最高裁判決に沿った措置に切り替えるべきだと思いますが、最後に金融担当大臣の答弁を伺って、質問を終わります。
  382. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 上限金利の問題でございますけれども、先ほどのいわゆるやみ金対策法の附則におきまして、出資法の上限金利につきましては、施行後三年を目途に資金需給の状況その他の状況、経済・金融情勢、資金需給者の資力又は信用に応じた貸付けの利率の設定の状況等々を勘案、必要な見直しを行うというふうにされていると承知をしております。  したがって、まずは本法律の適切な執行に努めつつ、貸金業の状況等に注視してまいる所存でございます。
  383. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で宮本岳志君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  384. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、又市征治君の質疑を行います。又市征治君。
  385. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  我が党は、かねてから北東アジア総合安全保障機構の創設並びに北東アジアの非核地帯化という問題について提唱して、特に非核地帯化の問題につきましては、中国や韓国あるいはモンゴル、こうした国々の首脳とも独自に協議もし、ほぼ共通認識にしてまいりました。  そこで、さきの六か国協議の直前の二月の末に、中国がこの協議を今後の、今後包括的な北東アジアの安保機構、協議の場へ拡大することを検討している、こういうことが報道をされまして、また、日本政府も今回の協議終了後、六か国協議を全般的な安全保障協議の場へ格上げをする方針であると、こういう報道がなされております。  我が党はこうした方向については歓迎をしたいと思いますが、外務大臣、このような方針は確かなのかどうか、御説明いただきたいと思います。
  386. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず、中国がその報道にあるようなことを言っているかどうかということでございますけれども、私どもとして、その六者会合の将来について中国が、中国政府がそういうことを考えているというふうな認識は持っていないわけでございます。  それから、我が国としてどうかということでございます。これは六者、これは今、北朝鮮問題に関して六者会合を今やっておりまして、平和的な解決ということで努力をやっているというふうに考え、やっているわけでございます。  それから、抽象的にといいますか一般的に、北東アジアにおける安全保障の枠組み、これについて六者による対話の場、これを設定していくということについては、地域全体の平和と安定のために有益であるというふうに考えております。  ただ、いずれにしても、今六者の場というのは北朝鮮の核問題をやっているという場でございまして、これをやっていくということでございます。その場が更に広いものを含む場になっていくというふうには今の時点で我が国はそのように考えていない。これは核についてきちんとやっていくということでありますし、それから、その六者、先ほどより一般的にと、抽象的にと申し上げましたけれども、その六者によってその地域の安全保障に関して対話をやっていくということを実現させるためには、例えばARFですとか、ASEAN地域フォーラムですけれども、それから民間レベルで対話の場、NEACDというのが行われていますけれども、そういった場で、まずその関係国間で対話を積み重ねていくということが重要であるというふうに考えております。
  387. 又市征治

    ○又市征治君 是非、これは成功させて発展をさせていただきたいと、こう思っております。  六月末にも六者協議、更に開かれていくということなんですが、特に、この六か国の仲介者である中国の提案にも耳を傾けるべきだろうと、こんなふうに思います。  今朝、私、来日中の中国の要人とも会談をいたしましたけれども、その人は、アジアの国々が最近の日本の動き、特に一国単独主義の米国への追随の姿がどうも強くにじむ、平和憲法の改悪の向きをやっぱり憂慮をする、アジアの人々はそう見ている、こういう実は御発言がございました。  今後の六者協議、あるいは今大臣おっしゃっているように拡大六者協議ということになっていくかどうか分かりませんが、これに臨んでいく外務大臣としての見解をお伺いをしたいと思います。
  388. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 我が国として近隣の諸国に対して我が国の基本的なこの地域の安全、平和についての考え方、これをきちんと説明をしていくということは重要であるというふうに思っております。そのための努力はしていくということでございます。現在はその六者で北朝鮮の核の問題、これをきちんと話をするということで、その問題の平和的な解決に我が国として貢献をしていきたいということであり、対話をこの地域の国々の間で積み重ねていくことが重要だと考えております。
  389. 又市征治

    ○又市征治君 今度の国会に有事法制の第二弾、七法案と三条約が出されてまいりました。私は膨大な戦時立法の体系が浮かび上がってきたなと、こんな感じを受けています。国民保護法案の問題も今後御議論させていただきますが、ねらいはそれよりも米軍の軍事行動との一体化という問題だとか、あるいは公海上での臨検、発砲、物資の徴発など国全体のやっぱり戦時体制作りというふうに見ざるを得ないと、こんなふうに思います。  具体的に井上大臣にお伺いをしてまいりますが、ACSA、つまり日米物品役務相互提供協定、これの改定がかかっているわけですが、これを今国会で成立をさせるというのは、イラクやアフガニスタンの米軍に軍事物資や役務の提供を拡大させるということなのかどうか、この点、お伺いいたします。
  390. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 委員御案内のように、昨年の通常国会におきまして、いわゆるこの武力事態対処法等三法律が成立をいたしましたけれども、さらにもう一つの側面の国民保護その他の法律につきましては未整備のままでございましたけれども、この武力事態攻撃法の中での二十二条でありますけれども、どういう法律を整備すべきかということが規定されておりまして、それから二十三条で、できるだけ早く計画的、総合的に法律の整備を進めなさいという、こういう規定があるのは御存じのとおりだとも思うのでありますが、その中で、今お触れになりましたようなこと、この法律の目的にはちょっと別のところがあるんじゃないかというようなことでありますけれども、これは正に武力攻撃事態法にのっとりまして私どもが検討し、その上で国会に提出をさせていただいたものでございまして、こういう法律の整備によりまして国民の権利の保護その他が図れるわけでございます。  これ一括して出しておりますので、何かこう、体系的なものだと、何かおかしな感じもするというような御意見でありますけれども、これはやはり全体を出すことによりまして正にこの全体の像が分かるわけでございまして、これは審議にも資すると、こんなふうに考えております。  これは、イラクでありますとかその他のことのために出すことではなしに、正に有事、武力攻撃事態あるいはその予測事態に対して米軍との物品等の供与をするということのほかに、これまでずっとこれ懸案になってきておりましたことにつきましても、ACSAの改定がございますけれども、これも別にそういう御意見のようなことではなしに、我が国の平和を守る、安全を守っていく、あるいは国際社会に貢献をしていくというようなこと、あるいは日本の災害に対する、出動していくような、に関連したものでございまして、御指摘のようなそういう意図を持ちましてACSAの改定をしたり、あるいは関連の法律を提出したということではございません。
  391. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ、具体的に聞いてまいりますが、まず初めに外務大臣にお伺いしますけれども、三月四日の日経新聞に、クウェートにいる航空自衛隊がイラクへ運ぶものがなくて困っていると、次は軍事物資の輸送にも手を付けざるを得ないと、こういうふうに出ているわけですね。今回ACSAを改正をしますと、輸送の役務提供という形で米国の軍事物資をイラクで運ぶことが法的にできるようになるんじゃありませんか。
  392. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず、お答えは、そういうふうにならないということが結論でございますけれども、どうしてそうなるかということを申し上げますけれども、ACSAが改正される、そしてそれに基づいて物品役務の提供というのが行われるわけですが、これは現に有効な我が国の国内法に基づいて行われるということでございます。  ACSAは条約でございます。それが現に有効な、ACSAは手続を定める条約ということでございまして、役務物品の提供は我が国のその国内法、有効な国内法によって行われる。そして、そのイラクの人道復興支援特措法でございますけれども、したがってその範囲内で物品役務の提供を行うということですが、そのイラク人道復興支援特措法の八条六項、これは自衛隊が対応措置として実施する業務には武器、これは弾薬を含みますが、武器の提供を含まないというふうに明確に書いてあるわけです。  したがって、さっき申し上げたように、やらないという結論になるわけですが、それからそのイラクの場合、このイラクにおける自衛隊の活動は、人道復興支援活動を中心にするという方針に基づきまして、実施要項において武器の輸送は行わないというふうにしているわけです。これは弾薬を含みますが。したがいまして、改正されたACSAに従って武器弾薬の提供、輸送が行われるということは想定をされないということでございます。
  393. 又市征治

    ○又市征治君 私も武器弾薬とは言ってない、軍事物資と、こう申し上げたんですが。  そこで、次に防衛庁長官にお伺いしますが、しかし米国は、米軍は、協定を改定して、イラクもアフガンも含めたんだからこれもやってくれ、武器弾薬だって国内法を変えろと、こう言い出すに私は決まっていると思うんですね。これまでもラムズフェルド国防長官、そういう方向で物を言っているわけですから。  もう一つ重大なのは、ACSAだと有償で返してもらうけれども、無償供与ならACSAに触れずに、どこにでも幾らでもオーケーということになりますね。一例として、インド洋での米軍への石油提供はこれまでどのぐらいになっておりますか。
  394. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) テロ特措法に基づく活動でございますが、お尋ねの米軍の艦艇に対しましては、平成十三年十二月二日以降本年三月九日まで、速報値でございますが、三十一万三千キロリッター、金額にいたしますと百十八億円相当を提供したということでございます。ちなみに、これは同法第十条に基づいて無償で行っておるものでございます。
  395. 又市征治

    ○又市征治君 今出されたこうした無償提供なら今は記録出していただきましたけれども、実際は、役務などについては全く記録に残っていかない、こういうことになると思うんですね。また、ACSA扱いであっても、渡した物資は米軍のものと識別はできないと、こういうことになるわけで、ましてやサービスは、今申し上げたとおり全く無形と。  で、提供の後、世界じゅうのどこ、世界じゅうでどう米軍が使うか、日本がこれはフォローできるわけじゃないわけですね。例えば、日本がイラクのつもりで提供した軍事物資やサービスを米軍が他の国で流用したり、目的外の行動、軍事行動に使ったら、日本は知らぬ間に敵を増やして国際的な非難を受けるということになるわけですが、この場合、アメリカに抗議をして、提供を中止することになるんですか、外務大臣
  396. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 基本的に我が国が行うことというのは、我が国の法令の範囲内で行うということであります。したがって、いかなるものを提供するかということは、すべてその法令で認められている範囲でしか出さないということであります。  それから、それがどのような目的でアメリカに提供されるかということについては、例えばあるものがイラク特措法あるいはテロ特措法あるいは有事法制に基づいて行われるという、それぞれ法律の目的があるわけでございまして、そういったことに基づいてきちんとお互いに話をして提供するわけでございますから、その目的の外のことに使われるということはないわけでございまして、それはその相互の信頼関係に基づいて法律の範囲内で調整をしていく、したがって御心配のようなことは起こらないということでございます。
  397. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 又市征治君、もう時間来ていますから。
  398. 又市征治

    ○又市征治君 はい。米国が言うからということでそれを信じますということですが、米国がイラクに大量破壊兵器があると言うからそれを信じてやったけれどもなかったと、こういうことになるわけですから、そこらのところは本当にきちっとこれから論議をし、問題点明らかにしていきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  399. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で又市征治君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  400. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  401. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 普天間の、米軍普天間飛行場の返還問題についてお尋ねしたいと思います。  私は、政府が進めている名護市辺野古海域への代替施設建設に、計画には断固反対するものであります。この移設計画に対してはSACO最終合意から八年近く経過していることであります。最近アメリカでは、いわゆる八か年もたったというような状況で非常に不満を表明し、返還方式の見直し日本側に打診したと各報道機関は報じております。政府は異口同音にそれを否定しておりますけれども、しかし米軍のトランスフォーメーションは在日米軍にも及ぶというふうなことで、一昨日の当委員会での川口大臣もそのことを認めております。  しからば、少なくともこの米軍の再編の状況が判明するまで、いわゆるトランスフォーメーションが判明するまではやはり普天間の飛行場は代替施設としては見直すべきではないかと、いわゆる促進作業は中止すべきじゃないかと考えておりますけれども、外務大臣、いかがですか。
  402. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これにつきまして先般申し上げましたように、在日米軍もこのトランスフォーメーションの見直しの中に、例外ではない、含まれるということであるわけです。  それから、普天間飛行場の移設・返還につきましては、これはSACOの最終報告ですとか代替施設協議会ですとか、そういったところの議論、あるいはその基本計画を踏まえまして、これまで米側と緊密に協議をしてきた経緯がございます。  したがいまして、政府の方針としては、これをきちんと閣議決定に従いまして、平成十一年の閣議決定に従いまして、地元の地方公共団体と十分に協議を行いながら、これに全力で取り組んでいくということでございます。
  403. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まず、代替施設本体をあの場所に建設すること自体が大問題だと考えております。これまで再三にわたって私はそのことを申し上げましたけれども、この本体工事計画に付随する作業ヤード建設案にも大きな問題点があります。  その規模は、陸上三十一ヘクタール、海上三ヘクタールが必要とされております。そして、その陸上ヤードは、大浦湾海域を埋め立てるという案が報告されております。この場所も、ユビエダハマサンゴが群生する海域であると同時に、お配りしたように、この国の天然記念物であるジュゴンが生息する場所でもあるわけであります。(資料提示)  そこで、国の天然記念物である貴重な海生ジュゴンの、海生哺乳動物ジュゴンが回遊するこの海域に、いわゆるここにヤードを建設するというふうなことについても、私は環境破壊を、著しく破壊するものであり、またジュゴンの生息にも大きく影響するものと考えておりますけれども、防衛庁長官、いかがですか。
  404. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 防衛庁長官ですか。環境問題。いいですか。
  405. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 詳細につきましてはまた事務方からお答えを申し上げますが、これは環境にも十分配慮をしながら、環境省の御指導もいただき、私どもとしては自然環境にも十分配意をして作業を進めてまいるべきものと、このように考えております。
  406. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この現地の技術調査のうちに、地形調査は昨年七月で完了し、気象調査は昨年十二月十九日の時点で引き続き観測中、地質及び海象調査については環境省などから助言を受けて作業計画を作成したと報告されております。これらの調査について、現時点での進捗状況について御説明いただきたいと思います。
  407. 河野孝義

    政府参考人(河野孝義君) お答え申し上げます。  普天間飛行場代替施設に係る現地技術調査は、地形、気象、地質及び海象を調査項目としているところであります。このうち、地形調査につきましては、昨年四月より現地での作業を開始し、七月に完了したところであり、また、昨年六月に開始した気象調査につきましては、現在も引き続き取り組んでおります。地質及び海象調査につきましては、現在、沖縄県との海底の使用に係る公共用財産使用協議を実施しているところであり、県の同意が得られ、所要の準備が整い次第、現地における調査を開始したいと考えております。  当庁としましては、現地技術調査につきましては、昨年十二月に開催された第二回代替施設建設協議会においても地域の住民の生活や自然環境に最大限配慮することとされているところでありまして、引き続き地元地方公共団体と緊密に連携を取りつつ取り組んでまいりたいと考えております。
  408. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 地質調査及び海象調査について環境省はどのように助言をしたのでありますか。  同時に、地質調査としてのボーリング調査をこれから行うわけでありますけれども、その環境省の立場からこのボーリング調査についてどういうふうな御意見を持っておられるか。
  409. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ボーリング調査についてお答え申し上げますが、このボーリング調査の方は代替施設の護岸の構造を検討するために行われるものでございます。  そして、先生指摘のように、この地域は、ジュゴンが生息するなど自然環境に大変恵まれた地域であること、豊かな海域であるということ、承知をいたしております。ということで、このボーリング調査に当たっても、そのボーリングの足場の設置をどうするのか、キンコンカンコン作業の音をどうするのか、それから夜の、夜間の照明がどういうふうにジュゴンの移動に影響を与えるのか、それからえさ場でありますその藻場が守れるのかどうか、またサンゴに与える影響について十分配慮することが必要だというふうに考えております。  このため、環境省といたしましても、防衛施設庁に対して、ボーリング調査を含みます現地技術調査の実施については可能な限り環境への影響が少ない方法とするように助言を行ったところでございます。  なお、地質・海象調査についての助言については、担当局長の方からお答えさせていただきたいと思います。
  410. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) 環境省が行いました現地の技術調査についてどのような助言を行ったかと、こういうことでございますが、現地技術調査の作業計画につきまして防衛施設庁からの相談を受けまして、その調査の実施に当たっては、今大臣申し上げましたとおり、可能な限り環境への影響が少ない調査の方法を選定すべきであるという助言を行ったわけでございます。  もう少し具体的に申しますと、調査の実施に当たりましては、事前に専門家の意見を聴取しながら作業計画を作成し、そして公表をすること、それから地質調査や海象調査にかかわります調査地点の選定、あるいはボーリング作業につきまして、ジュゴンあるいはそのえさ場でございます藻場、あるいはサンゴへの環境影響にできるだけ配慮をすることなどについて助言をさせていただきました。  例えば、今もお話ありましたが、ボーリング調査地点に関しましては、ジュゴンが通る可能性があるわけでございますので、リーフの切れ目を避けること、藻場、サンゴ等にそのボーリングのやぐらの足場ができる限り掛からないように努力をすること、あるいはボーリング作業につきましては早朝とか深夜には実施をしない、こういうようなことを内容とした助言をさせていただいたところでございます。
  411. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境影響評価の項目については、事業の特性を踏まえ、地域住民の生活環境やジュゴン、海草藻場、サンゴを含む自然環境に十分に配慮して、環境影響評価法に基づく関係規則を基本に沖縄県条例も踏まえて選定したいと説明しております。沖縄県条例との間ではどのような問題点があるのか、お尋ねいたします。
  412. 河野孝義

    政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。  普天間飛行場代替施設に係る環境影響評価につきましては、環境影響評価に、影響評価法に基づき現在方法書の作成に取り組んでいるところでありますが、環境影響評価の具体的な項目については、昨年十二月に開催された第二回代替施設協議会においても説明したように、この事業の特性を踏まえ、地域住民の生活環境やジュゴン、海草藻場、サンゴを含む自然環境に十分配慮して、同法に基づく関係法令、これは主務省令でありますが、これを基本に沖縄県条例も踏まえて選定したいと考えております。  このような沖縄県条例を踏まえた環境影響評価の項目の選定につきましては、主務省令に基づく措置でありますけれども、主務省令に定める標準的な項目に加え、沖縄県条例に定められている項目についても併せ選定することにより、沖縄県の地域特性に十分配慮したものとするよう考えております。
  413. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 陸上ヤードについて、防衛施設庁は既存陸域の中で中城港湾の利用も検討をしているというふうな報道がなされておりますけれども、これは事実ですか。
  414. 河野孝義

    政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。  陸上ヤードの具体的な設置場所等につきましては、ケーソン等を効率的に海上輸送することができるかなどの技術的な観点や環境保全の観点等を踏まえ、地元地方公共団体とも相談しつつ広く検討を行う必要があると考えております。  現在、既存の港湾施設等、陸域において陸上ヤードとしての適地が存在するか否かについてなどの検討を進めているところであります。中城湾につきましても、中城港につきましてもその一環として情報収集等は行っておりますが、いずれにしても、陸上ヤードの具体的設置場所等につきましては、先ほど申しました技術的な観点や環境保全の観点等を踏まえ、地元地方公共団体とも相談しつつ広く検討を進めていきたいと考えているところであります。
  415. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後に、この本体と、本体工事と、それからこのヤードを造る今のジュゴンがすんでいるところの地域、これは一体ですから、その問題については是非、代替施設等をそこでは造らないというような方向で政府で検討をしていただきたいということを要望して、終わります。  ありがとうございました。
  416. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会