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2004-03-09 第159回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月九日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  二月九日     辞任         補欠選任      藤野 公孝君     有馬 朗人君  二月十日     辞任         補欠選任      柏村 武昭君     大島 慶久君  二月二十六日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     遠山 清彦君  二月二十七日     辞任         補欠選任      遠山 清彦君     山本 香苗君  三月四日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     月原 茂皓君  三月八日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     矢野 哲朗君      月原 茂皓君     中川 義雄君      小川 敏夫君     福山 哲郎君      内藤 正光君     郡司  彰君      峰崎 直樹君     山本 孝史君      高野 博師君     木庭健太郎君      森本 晃司君     荒木 清寛君      小泉 親司君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山虎之助君     理 事                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 朝日 俊弘君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 渡辺 孝男君                 大門実紀史君     委 員                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 扇  千景君                 木村  仁君                 岸  宏一君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 田中 直紀君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 仲道 俊哉君                 保坂 三蔵君                 舛添 要一君                 森田 次夫君                 矢野 哲朗君                 山崎  力君                 小川 勝也君                 大塚 耕平君                 郡司  彰君                 榛葉賀津也君                 辻  泰弘君                 中島 章夫君                 樋口 俊一君                 平野 達男君                 福山 哲郎君                 山本 孝史君                 荒木 清寛君                 木庭健太郎君                 山本 香苗君                 紙  智子君                 小池  晃君                 林  紀子君                 福島 瑞穂君                 島袋 宗康君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、個        人情報保護、科        学技術政策))  茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      金子 一義君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君        農林水産大臣  市川 一朗君        経済産業大臣  坂本 剛二君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        森元 恒雄君        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        法務大臣政務官  中野  清君        外務大臣政務官  荒井 正吾君        財務大臣政務官  山下 英利君        文部科学大臣政        務官       馳   浩君        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        国家公務員倫理        審査会会長    花尻  尚君        国家公務員倫理        審査会事務局長  平野由美子君        内閣食品安全        委員会事務局長  梅津 準士君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁交通局長  人見 信男君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁管理局長  大古 和雄君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君        法務省民事局長  房村 精一君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       遠藤  明君        厚生労働省労働        基準局勤労者生        活部長      松井 一實君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        農林水産大臣官        房統計部長    山本  領君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省海事        局長       鷲頭  誠君        国土交通省政策        統括官      矢部  哲君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十六年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度総予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日及び明日は基本的質疑総括質疑方式により行うこととし、質疑割当て時間は二百九十八分とすること、各会派への割当て時間は、自由民主党百十七分、民主党新緑風会百五分、公明党二十九分、日本共産党二十九分、社会民主党護憲連合九分、無所属の会九分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 平成十六年度一般会計予算平成十六年度特別会計予算平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。山本孝史君。
  6. 山本孝史

    山本孝史君 おはようございます。民主党新緑風会山本孝史でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  冒頭、緊急に対応を要する二つの問題について、政府対応についてお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、児童虐待の問題でございます。  毎日のように新聞にそういうニュースが出てくるわけでございますけれども、第一発見者となる学校対応が鈍い、また児童相談所の職員が、ケースワーカーが一人当たり百五十件ぐらい案件を抱えておりますので、十分な対応ができないという状況があるんだというふうに思います。  こんな状況では子供の命や人権を守ることができないと私は考えておりまして、厚生労働大臣並びに文部科学大臣のこの御所見、そしてどういう対応を取ろうとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  7. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おはようございます。  児童虐待でございますけれども、確かに御指摘をいただきますように、毎年倍々ゲーム増加をしてきております。一つは、法律を作っていただきましたので、それが徹底をしてきたということもあるだろうというふうに思っておりますが、それにしても大変な増え方であります。  問題は、これをどう防止をしていくかということが大事でございますけれども、しかし、起こってまいりましたその事態対応する人の人数も増やしていかなければならないことは御指摘のとおりでございます。百七十万人当たりの、都道府県でございますが、平成十一年には十六名でございましたけれども、現在のところ、今年を含めまして二十五名まで増やしたところではございますが。しかし、起こってまいります件数の方が多い、伸び率の方が多いものですから、これではなかなか対応できないということで、今年法律を出させていただいておりますけれども、これは市町村でもこの問題にお取り組みをいただけるようにしよう、そして、より身近なところでできるだけ予防にも力を入れていただき、そして、起こりました軽い、軽いと申しますか、余り、十分なケアの必要なところは県の方にお任せをして、市町村にもやっていただこうということで考えておりますが、いずれにいたしましても、対応を強化していかなければなりませんし、連携をこれは密にしていかなければいけない。関係いたします皆さん方連携度を高めていくということによって対応していきたいというふうに思っている次第でございます。
  8. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) お答えいたします。  児童虐待増加ぶりというのは本当にゆゆしいといいますか、本当に心配なことでございまして、この児童虐待を一番最初に発見しやすい立場に学校があるわけでございます。毎日子供たち先生方は触れ合っておるわけでありますから、そこでまず先生方が絶えずそういうことを注意して子供たちを見守っていくということが大事だろうと思います。特に、それによって早期発見ができるということもございますし、このことを徹底しなきゃいかぬと、まず第一点に思っております。  そして、先般、岸和田で大変悲惨な虐待が起きました。これについて専門家を派遣いたしまして、これがどうして早期発見できなかったかというようなことも調査をいたしたのでありますが、これについては実は、学校担任先生子供が不登校状態だということで訪問する、うまく会えないという状況がありました。しかし、学校がそのことを組織ぐるみ支援をしておったかというと、それができなかったという点がありまして、これは大きな反省点でありますから、そして、その不登校の裏に虐待があるということの相関点、これも高い認識がなかったということ、これも大きな反省点でございます。  こういう点に問題があるんだということが分かりましたので、そのことをもっと全国的にも周知徹底する必要があるということで通知も発しまして、ここの反省に立って学校として取り組んでまいりたいということを行いました。  日ごろから児童生徒、これは幼稚園もそうでありますね。幼稚園の段階、これは厚生省側保育所もそうだと思いますが、そこで児童生徒全般について状況を把握すること。それから、問題が起きたときには即、児童相談所との密接な連絡を取る。これも一度はやりましたけれども、その後の状況についての連絡が悪かったという指摘もございました。それから、学校が組織的に取り組む、校長以下がそういう問題に十分認識をして取り組む、こういうことが必要だろうと、こう思っております。同時に、子供たちが何かあったときに気軽に相談ができるような体制作り、よく保健所がその役割を、保健室養護教諭とともにやるといいますが、それに更にスクールカウンセラーを配置するとかいうことでこの問題に対して対応していきたいと、こう思っております。  学級担任生徒児童相談員担当教員、それから養護教諭スクールカウンセラー、この体制をもっと強化していかなきゃいかぬと、こう思っておりまして、学校といたしましても、こういう事態に対して早期発見できるように最大の注意を払って取り組んでまいりたいと。そして、厚生省側児童相談所との連携も絶えず密にする、あるいは警察との関係関係先との連携、これを十分組織化したいと、このように思っております。
  9. 山本孝史

    山本孝史君 やっぱり人手が足りないというのは事実だと思うんですね。ケースワーカーも足りないし、学校先生もちゃんと訪問していただけるような時間を取ってほしいと思いますが。  総理にお伺いをしたいんですけれども、実は、議員立法で作られました児童虐待防止法という法律厚生労働省が所管します児童福祉法という二つ法律が今併存している形になっていまして、ここはやっぱり調整するということが大変重要だと思いますし、そのことと併せて、この児童虐待政府として一生懸命取り組むんだという御決意をお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 坂口河村大臣から答弁ありましたように、今までの対応で不十分な点、そういう点も反省いたしまして、これからこの防止にどういう対策を講ずるか。極めて大事な問題であり、最も愛情を受けなきゃならない時期に逆のことをされる、これは将来の健全性を考えますと極めてゆゆしき事態でありますので、御指摘のとおり、児童福祉に関する問題につきましては改正も含めて関係機関ともよく連携を取って、防止に党派を超えた取組が必要ではないかと思いまして、そのような対応をしていきたいと思います。
  11. 山本孝史

    山本孝史君 もう一点お伺いをしておきたいのは、これも新聞毎日のように報道されております警察署における裏金作りという問題でございます。  報道されている事案は最近の事例ではないと承知をしておりますけれども、今もやっぱり続いているのではないかと考えるのが普通だというのが国民の感覚だと思います。したがって、例えば第三者機関設置をして全部洗い直しをするとかという必要性があるのじゃないか。また、警察に関する情報の公開の基準というものも見直す必要性があるのではないかというふうに思いますが、国家公安委員長の御所見をお伺いします。
  12. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お答えをさせていただきます。  このたびの静岡警察におきましては旅費をめぐる不適正な事案が判明いたしまして、誠に遺憾でございます。  静岡警察におきましては、静岡公安委員会指示を受けまして、引き続き全容解明に向けて調査を実施しているところでございますし、また、北海道あるいは福岡県警に関しましても、会計経理をめぐる問題、いわゆる疑惑については、同様に公安委員会指示を受けながら、事実の解明、所要の調査を進めているものと承知をいたしております。  先生の方から第三者機関による調査をという今お話がございましたけれども、現在、国家公安委員会指示を受けまして警察庁におきましては予算執行検討委員会なるものが設置をされまして、そこを中心にいたしまして各都道府県警察連携を取りつつ事実の解明に向けて厳正な調査を実施しているところでもございます。  各都道府県警察自浄能力をまずは発揮することが重要であると、そのように感じておりますので、現時点におきましてそこを十分に私どもも見守り、その結果をもって更に必要があれば国家公安委員会の方からも指示をすることを考えておりますが、現在のところはそれぞれの道府県が公安委員会との指示を受けながら自浄能力を発揮するということを重要であると考え、そのようにさせていただいているところでございます。
  13. 山本孝史

    山本孝史君 調査結果を国会の方に御報告をいただきたいと思うんですが、いつごろまでに調査は終わるんでしょうか。
  14. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 可能な限り速やかに、そして公表したいと、そのように考えております。
  15. 山本孝史

    山本孝史君 可能な限り速やかじゃなくて、いつまでにやりますというのが大臣のやっぱり私は御所見だと思いますが。
  16. 小野清子

    国務大臣小野清子君) それぞれの事案が違いますので、何日までということがここで申し上げることはできませんけれども、できるだけ早急にということで対応させていただきたいと思います。
  17. 山本孝史

    山本孝史君 不十分だと思いますけれども衆議院側でも関係者参考人としてお呼びをして国会でも取組をするということを言っていますので、この参議院の側でもそのような形を是非取っていただきたいというふうに思います。  イラクへの人道復興支援の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  現地での自衛隊への期待が大き過ぎて、行った方々も困惑しておられるという今報道がございます。私は、それは当然で、自衛隊が得意としておりますのは阪神大震災の後に見られましたような災害復興支援活動であって、サマワの人たちが求めているような経済復興支援活動自衛隊が十分に対応できると私には思えないんですが、この点について御所見をお伺いしたいと思います。
  18. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生の御指摘は事実だと思います。  ただ、私どもが、地元の今の喫緊ニーズでありますところの、きれいな水が飲みたい、あるいはきちんとした医療を受けたい、あるいは学校を修復してもらいたい、そういう現場の切実な喫緊ニーズには十分対応できるものと思っております。そのようなものにこたえるべく一生懸命やっております。  ただ、御指摘のように、私どもはゼネコンでも何でもございませんので、病院を全部建て直せとか学校をみんな建て直せとか、そのようなことを言われてもそれはできない。元々そういうような能力を付与されておりません。同時に、先生おっしゃいますように、たくさん人を雇ってちょうだいと、何万人も雇ってちょうだいと、これもできません。  自衛隊自己完結性を持っておりますから、したがっていろいろなもので現地に御迷惑を掛けない。さればこそ自衛隊であるということもございます。ですから、そういうようなニーズにこたえる、大きなニーズにこたえるためには、これはやはりODA等々を活用しました、政府全体として、車の両輪としてやっていかねばならない。  しかしながら、繰り返しになりますが、自衛隊が今活動しておりますことは、現地皆様方の切実な喫緊ニーズにおこたえする、そのことに十分資するものと考えております。
  19. 山本孝史

    山本孝史君 先週土曜日にNHKで、亡くなられた奥大使活動を紹介する「奥克彦大使 イラクでの足跡」、日本は何ができるかという番組がございました。これはごらんになりましたですか、防衛庁長官
  20. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 拝見をいたしております。
  21. 山本孝史

    山本孝史君 では、私と同じものを見ておられるので同じ思いだと思いますけれども、その中で奥大使が、そのクウェートからバグダッドに入られて復興支援活動をしているところに行ったときにすぐ分かったことは、実はこの戦争というのは石油を始めとする利権の確保であってということはもうすぐにその場で分かってしまったと、こうおっしゃっておられる。あわせて、国連が関与しないと人道復興支援なんかできないとも、こう語っておられました。  そういう意味でお聞きしますと、今回、国連が今バグダッドを離れております。そういう意味では、国連が関与しないうちに、その前に総理自衛隊を単独で派遣をされるということになったわけです。  そうすると、おっしゃっているように活動が十分にはできないという中で、私は極めて限定的な活動でしかないということを考えると、やっぱり国連が関与する中で我々が何ができるのかというトータルな話をすべきであったのであって、自衛隊皆さんが行かれるということはそれはそれでいいのかもしれないけれども、しかし、むしろ見ていると、自衛隊を派遣することが目的であって、何をするかというのはどうも二の次になっているのではないかという気がして私はならないんですけれども総理、そういうことではないんでしょうか。
  22. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、自衛隊復興支援活動日本イラクに対する支援活動の一部であります。自衛隊活動がすべてではありません。現在のイラク状況におきましても、できるだけ国連も関与し、国際社会が協調する体制を構築していくことが大事でありまして、その中で自衛隊の諸君は、限定的ではありますが、極めてよく任務を遂行されていると思っておりますし、今後、自衛隊諸君のみならず、民間人も民間企業もイラクの復興支援に協力できるような体制日本政府としても国際社会に働き掛けていきたいと思っております。
  23. 山本孝史

    山本孝史君 外務大臣、質問通告がないので恐縮でございますけれども現地に入られた奥大使あるいは井ノ上さんからいろいろなレポート、現地のレポートが外務省の方に届いているというふうに思うんですけれども、そういったレポート、こういう状況だったんだという御報告がされているそのレポートを是非公開をしていただけないだろうか。我々がそういうレポートを共有する中で、奥さんなり井ノ上さんが行われようとしておられたその遺志をしっかり引き継いだ活動をしていくことができるんじゃないかと思うんですが、そういうふうにしていただけないでしょうか。
  24. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 一般に出先の公館と、奥大使の場合は出張者ということでございますけれども連絡は大使館を通じて来るということでございますから、公館とそれから外務省あるいは日本政府との間のそれぞれのやり取り、個別のやり取りについては、これは平でない限りは公開をしないということでやらせていただいております。  それで、奥大使のなさった仕事につきましては、これは外務省のホームページ、この間本になりましたけれども、そういった形で思っていらっしゃることはお書きでいらっしゃいますので、よくお分かりいただいているかというふうに思います。  それから、国連の関与でございますけれども、私もそのテレビ番組拝見をしました。先生も同じのをごらんになったわけでよくお分かりだと思いますけれども奥大使が強調なさっていたことというのはスピードであるわけです。一刻も早くイラクの人に復興支援をすることが大事であるということで、我々は五十億ドル、最大限六十億ドルの支援ということで、自衛隊そのほか、できる支援を今急いで進めているということでございます。これは正に奥大使が描いたシナリオ、それを我々がその足跡をたどってやっているということであると思います。  また、国連も全然活動していないわけではございません。我々がやっている支援の多くは国連の機関経由ということで既にやっているわけです。ハビタットの経由でサマワに支援をしたというのもその一環でございます。
  25. 山本孝史

    山本孝史君 奥さんの思いをどう受け止めるかは、あの流れを見ている立場によって私は少し違うのかなというふうに思いますけれども、いずれ議論をまたさせていただきたいと思います。  総理にお伺いしたいんですけれども、この間、総理はアメリカの行動をいち早く支持をしてこられました。しかしながら、戦争終結後においても連合国軍への攻撃というものが続いておりますし、イラク市民にも多数の死傷者が出るという状況が続いております。私の御質問は、アメリカの占領統治というものは成功しているというふうにお考えになるのかどうかということです。
  26. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 占領統治が極めてうまくいっているかというと、なかなか難しい状況にあると認識しております。しかし、イラクの復興を失敗させるわけにいかぬと。そこで、どのような支援ができるかということで、これを成功させるためにも国際社会が協力する体制を作ることが極めて重要だと認識しております。
  27. 山本孝史

    山本孝史君 うまくいっていないという御認識ですけれども、国際社会がどうかかわるかという点ですが、この三月二日にバグダッドあるいはカルバラでシーア派の祭礼を標的とした連続テロが起きて、百四十人以上の方が亡くなるということがございました。  シーア派間のあつれきが大変高まっている。暫定憲法となる基本法の署名が延期されて、ようやく昨日ですか、署名をされたわけですけれども、暫定政府への移行ということについては先送りということになっているわけですね。隣の国、イランの総選挙を見ておりましても、このイスラム地域の統治というのは一筋縄ではいかない、そういう地域なんだという印象を大変に強く持ちました。  そういう中で、私は、アメリカは独裁者であるフセインを倒せばアメリカの望む国家がイラクの地にできると、こんなふうに思っていたのではないかというふうに受け止めております。  戦争後のイラクというものについてどうなるというふうに総理はブッシュ政権から説明を受けておられたのか、また御自身は、戦争後のイラクはどうなるというふうに御想定されておられたのか、また今イラクで起きている状況はその想定の範囲内なのか、この点について御認識をお伺いしたいと思います。
  28. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラクに安定した民主的な政権を作る、これが大事だというような認識は共有していたと思います。そして、これは開戦前から、もし戦争が行われれば泥沼に陥るぞという見方と、いや数か月で戦闘、主要な戦闘は終わるのではないかという見方、いろいろありました。  結果的には、一番早い形で主要な戦闘が終わったわけでありますが、以後、テロ活動等、御承知のとおり、かなり困難な情勢にもありますが、私どもとしては、できるだけ早くイラク人のイラク人による政府を立ち上げることが必要であるし、イラクの復興にイラク人が自らの意欲を持って立ち上がる、そのための協力をする、この体制を作ることが極めて重要だと。そういう意味においては、六月末に、までに、六月末までにイラクの人々にいわゆる自らの建国への一つの基盤を作ってもらおうと。そういう中で、できるだけ早い機会に民主的な形でその体制ができ上がるというために、今全力を尽くすべきときではないかなと思っております。
  29. 山本孝史

    山本孝史君 今の現状というのは、総理が想定されておられた範囲内でしょうか。
  30. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私は、想定、どういう状況になるかということははっきり想定していたかといえば、それはできません。しかし、フセインの独裁政権、これは脅威だという認識は持っておりました。開戦後はできるだけ早く安定した民主的政権を作る、そのために日本は何ができるか、それが必要だと、現在でもそう思っております。
  31. 山本孝史

    山本孝史君 イラク人によるという表現は確かにそうなんですが、この暫定政府の代表者を選出するというのが先送りされてしまっているということを見ていても、大変に、部族間ですとかあるいは多民族の中でのあつれきというか争いが非常に厳しいんだと思うんですね。結局、隣のイランを見ていても、イスラムという教えの中でないとまとまらないという中で、アメリカは自分の考え方が、自分たちが考えているその民主主義というものがあの地にも存在するかと言われると、私は簡単にはいかない話だったんじゃないかと思うんです。その意味で、アメリカが日本を占領するときの日本研究というものは物すごく進んでいた。それに比べると、このイスラムの世界にどうかかわっていくかということについてのアメリカの研究というのは非常に乏しかったんではないだろうか。  そんな中で、武力に訴えをするという中で、私は、政権を倒すということは簡単なことだけれども、その後のスケジュールがどうも想定されていなかったというふうに思えてならないわけです。その地に日本から自衛隊を派遣をする、それもシーア派のところに派遣をするということにおいて、私は内戦が起きる、あるいは分裂国家になってしまう、様々な波乱要因を感じているので、その意味では、やはりちゃんとした情報を手元に持ちながら、これから自衛隊皆さん方に危害が及ばないような形を取っていかなければいけないというふうに思っています。  ブッシュさんはその意味で大変に力ずく外交だったというふうに思うんですが、今、アメリカの大統領予備選挙が行われていて、民主党のケリー候補は大変高い支持を受けておられるわけです。ブッシュさんを超える支持を受けておられるようでございますが、総理は、このケリー候補がこれほどの人気があるということについてどんなふうに受け止めておられますか。
  32. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だれが民主党の候補になるかというのは私は想像できませんし、仮にケリー候補が候補になったとしても、まだ、十一月ですから、選挙、どういう結果になるか分かりませんが、ケリー候補がなったとしても、ケリー候補は戦争を支持しておりますし、こういう点については、アメリカ外交、安全については、民主、共和両党共通の土俵があるのではないかと思っております。
  33. 山本孝史

    山本孝史君 我が参議院の選挙の後にアメリカの大統領選挙ですから、時間的にはそうだと思いますが。  私は、せんだって日経新聞に後藤田先生のインタビュー記事が載っておりまして、そこにこういう発言がございました。国内の人権問題を解決するのに外国の軍隊が解放するというのは形を変えた国家主義、植民地主義だ、自分の価値観を押し付けるのは新しい帝国主義、国連を使わずして一国を解放するなどということがあるのかと言いたいと、こう後藤田先生おっしゃっておられて、こういう見識のあるお言葉が自民党の中から聞こえてこなくなっているのは私は大変残念だというふうに思っております。  目をアジアに転じさせていただきたいというふうに思います。  中国国内での対日感情は、残念ですけれども極めて悪いものがございます。今後、中国が更に経済発展を遂げて、FTAを通じて東南アジア諸国への経済的な影響力も強化するという中で、私は、そのとき、日本国内で中国への反感あるいは中国人べっ視の風潮が強まるのではないかという心配をしております。お隣の韓国では、植民地時代の親日派を認定し調査するという法律が圧倒的多数で可決をされた、あるいは竹島を絵柄にした切手の発行が企画をされる。  私は、こうした民族主義、ナショナリズムの台頭と言うべき現象について総理はどのようにお受け止めになっておられるのか、御認識をお伺いをしたいと思います。
  34. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国々との交流、付き合いというのは、お互いの立場を尊重し、違いを認め合っていく、そういう中で友好関係を築いていくことが必要であります。それぞれの国には愛国心、自尊心ありますから、そういう点についても十分配慮しながら、自制心を持って交流関係を深めていくことが大事だと思っております。
  35. 山本孝史

    山本孝史君 残念ながら、人間はその自制心を時々失うというふうに思うんです。それを失わせないようにリードしていくのが政治家の私は役割だというふうに思います。そのとき、中国市場が日本企業にとっても大変有望ですし、また、北朝鮮問題でも中国が決定的な影響力を持っております。ところが、総理の靖国参拝が障害となって、おととしの秋からでしょうか、日中間の首脳外交が中断をしております。  せんだって中国を訪問された神崎公明党代表にも中国側は、日独仏で争う北京—上海の新幹線も、日仏で争う国際熱核融合実験炉も靖国がなければ日本と、こう伝えました。高村日中友好議員連盟会長も、A級戦犯の合祀に抵抗感はないと総理が言ったのは言わずもがなだったと批判をしておられます。中曽根元総理はA級戦犯合祀を見直してはという提言をされておると聞いております。こうした意見を傾聴なさってはいかがかというふうに思います。  総理は、衆議院予算委員会で我が党の岡田幹事長の質問に、よその国からああしなさいと言われて気持ちを変える意思は全くないというふうにおっしゃいましたけれども、私には、総理が国益よりも私情を優先されておられるように感じております。そうではないのでしょうか。
  36. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そうは私は思っておりません。  私が靖国に参拝する、多くの戦没者に哀悼の誠をささげると。今日の日本の平和というのは現在の人だけで形作られているのではない、尊い犠牲の上に成り立っているんだ、こういうことを忘れてはいかぬ、二度と戦争を起こしてはいけないという気持ちで参拝しているのであって、そういうことについて、私は、これは日本国民の一人としても自然な感情ではないかと。決して、外国との付き合いを悪くするためにとか、そういう気持ちは全くありません。
  37. 山本孝史

    山本孝史君 国同士のお付き合いですから、相手方にも相手方の悪いところはあるというふうに思いますが、しかし、現状をちゃんと認識した上で、私は、総理大臣という立場は、自分の思いではなくてやはり国益というものを最優先に考える、それが私は総理大臣の大変厳しい立場なんだというふうに思います。  今も、その亡くなられた方へのと、こうおっしゃいましたけれども、戦没学徒に大変熱い思いを総理が寄せておられる、そういう場面を幾つか耳にしておりますけれども、大変失礼な質問で恐縮でございますけれども、そういう思いを抱かれることになった何か体験なり経験というものがおありになるんでしょうか。
  38. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は戦争を経験しておりませんから体験というのはありませんが、学生時代に最も感動した本が「ああ同期の桜」、戦没学徒の遺稿集です。これを読んで、同じ学生の身として、もし自分があのとき生まれていたら、同世代だったら自分もこういう境遇に陥っていたのかと。こういう時代を作ってはいけないし、また、こういう時代にあえて戦場に赴かなければならなかった我々の同世代の若い学徒兵。私の読んだ中で最も感動した本と言っても過言ではございません。
  39. 山本孝史

    山本孝史君 ありがとうございます。  もう一問お聞かせいただきたいと思うのですが、総理は太平洋戦争はどのような戦争であったというふうに御認識をしておられますか。
  40. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦争すべきではない戦争だったと思っております。
  41. 山本孝史

    山本孝史君 なぜ戦争に至ったという御認識でいらっしゃいますか。
  42. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いろいろ原因があると思いますが、国際社会から孤立したことだと思います。
  43. 山本孝史

    山本孝史君 質問を続けていきたいんですけれども、ほかの質問もありますので。ですが、私は、一国の総理大臣、大変個人的なことをお聞きして恐縮でございますが、やはりこの国をどう導いていこうかとするときに、その方の思いがどこにあるのかということは大変重要なポイントだと思っておりまして、あえてお聞かせをさせていただきました。  明日、三月十日は東京大空襲でございます。東京の下町を大変に大きな空襲が襲って、十万人以上が亡くなられたという日でございます。そんな中で、あの戦争は何であったか、もう一度我々今を生きている者が反省をするというか、認識をし直す時期だろうというふうに思います。  年金改革のことについてお話を移させていただきたいと思います。  ただいま提出されております政府の年金改革法案は、これは抜本改革案なのかということについて、恐れ入ります、総理、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 抜本改革の見方、いろいろあると思いますが、これは、今まで五年ごとに見直すということでなく、給付と負担をどうすべきか。そういう中にあって、基礎年金を三分の一から二分の一に引き上げるという、こういう点について道筋を付けたということにおいて抜本的改革であると私は認識しております。
  45. 山本孝史

    山本孝史君 厚生労働大臣の御所見をお伺いします。
  46. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総理から御答弁のあったとおりでございますけれども、今まで五年ごとに見直しをしてきた。そうではなくて、もう少し遠い将来を見てどうなるかということをお若い皆さん方にも御認識をいただかなければなりませんし、また、今後御負担をいただかなければならないわけでございますから、そこをお示しを申し上げた。そして、御負担をしていただく皆さん方に上限はここまででございますということをお示しを申し上げる。また、現在の高齢者、それから、これから間もなく高齢者になって年金をお受けになる皆さん方に対しましての年金額というのは大体これぐらいでございますよという年金の額をお示しを申し上げた。負担と給付、両側からお示しを申し上げて、そしてこの年金の、これからの年金の在り方というものをお示しをしたというところに今回の最大の意義があるというふうに思っております。
  47. 山本孝史

    山本孝史君 先日都内で開かれました会合で塩川前財務大臣が、坂口厚生労働大臣と年金制度の抜本改革に取り組む約束を交わしていたが、坂口大臣が来年度予算に合わせて当面の措置を認めてほしいと主張して、取りあえず今の制度体系を大きく変えない改革法案をまとめたという、こういう報道がございました。  塩川氏は、根本を直す必要があるのに、そこは今回逃げてしまったとおっしゃっておられますが、そうなんでしょうか。
  48. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 塩川前財務大臣とお話をさせていただきましたのは、いずれにいたしましても基礎年金の二分の一をこれは負担をしなきゃいけないわけで、二兆七千億の負担をどう実現をするかということであったというふうに思っております。それについて、是非ひとつ御理解をいただきたい、そしてそれが実現をできるような御努力をいただきたいというお話を申し上げたわけでございまして、今回その道筋を付けていただいたというふうに思っております。  塩川大臣と、前大臣とお話を申し上げましたのは基礎年金のその話でございまして、年金全体のお話をそこで申し上げたわけではございません。
  49. 山本孝史

    山本孝史君 新聞報道と違うように思いますが。  厚生労働大臣、雑誌のインタビューで、年金を個人単位化するか、あるいは所得の再分配機能をどうするかということを考えていかなければいけない、これを一年かけて議論をしたいと、こうおっしゃったんです。今回の提出法案の中にはこの二点は含まれていないんですね、私なりに理解すると。ということは、この法案は抜本改革案ではないんじゃないかと言わざるを得ないんですが、そうじゃないんですか。
  50. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 年金の今後の在り方につきまして、まず負担と給付のところを押さえておいて、この次に議論をしなければならない問題は何か。  それは一つは、やはり現在厚生年金が行っております世帯単位になっておりますところを、これをこのままの世帯単位でいくのか、それともここを個人単位にするのかということは一つの私は大きな次のテーマであるというふうに思っております。個人単位にもしすると仮定をいたしますと、そうすると、そのいわゆる保険料はだれが負担をするのかという問題がございますし、個人単位にいたしますと、女性の賃金、男女格差というものをどう直していくかというようなことにも議論をしなければなりません。それらの問題を含めて行うことによって、そうしたことは可能になってくるというふうに思っております。  それから、もう一つの方の所得再配分の問題でございますが、現在の制度は所得再配分機能が行われているというふうに思っております。所得の少ない人には、例えばモデルケースで五〇%というふうに言っておりますけれども、所得の少ない人には七〇%、例えば生涯二十万しかなかったというような人には七〇%ぐらいになりますし、生涯五〇%もの高給取りであったと言われるような人には四〇%ぐらいしかないというようなことで、そこでの所得再配分が行われているというふうに思っております。  最初の世帯単位か個人単位かのところは、今国民年金の方は個人単位になっているわけであります。しかし、厚生年金のところは世帯単位になっている。ここをどうしていくかという問題が次の大きな課題であり、ここを越えないことには次の制度というものにはなかなか結び付いていかないというのが私の考え方でございます。
  51. 山本孝史

    山本孝史君 負担と給付を決めたら九割方決まったようなものだと、こうもおっしゃったんですが、私は、財政が決まって体系を考えるという話じゃなくて、どういう体系があってどういう財政になるのかという、私は発想が逆転していると思います。それから、今のような、財政が先に来るから給付を下げて負担を上げるという話になる、それが結局年金不信を招いてしまう。だから、財政危機は何とか回避できるのかもしれないが、実際には年金危機は回避できないと思いまして、私は大臣の発想は逆転しているというふうに思います。  提出法案では、物価や賃金が上がっても年金額の伸びを抑えて、高額の年金者も低額の年金者も一律に一五%の給付カットをするという内容になっております。基礎年金の満額にも満たない低年金者の年金、特に単身の年金者などは大打撃を受けるわけですね。六万六千円の年金額は変わらないけれども、そこから一五%、一万円近く下げて、実質価値は五万六千円ぐらいまで下げてしまう。こういう年金額にかかわらない一律一五%の年金カットという措置は妥当な措置なんでしょうか。大臣、お伺いをします。
  52. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これからの年金制度を作っていきますときに、負担をある程度抑えて若い皆さん方の負担は余り重くならないようにしなければならない。そして、これから受けていただきます年金の額につきましては、これは余り減り過ぎてもいけない、やはりある程度のところで維持をしていかなけりゃならない。しかし、現在ほど皆さん方にそれをお渡しすることはでき得ない。ただ、基礎年金につきましては、現在の額とそれから二〇二五年なら二〇二五年の額を比較いたしました場合に、物価上昇はございますから、物価上昇を割り引いて考えますとそれほど変わらない額になっている、そういうふうに理解をいたしております。  したがいまして、今後これらの問題を、基礎年金だけではなくてその二階の部分も含めてでございますけれども、どのようにしていくかということは大きな課題でありますことはもう委員の御指摘のとおりでございますが、全体として抑制はいたしておりますけれども、しかし抑制し過ぎないように我々も配慮をしているということでございます。
  53. 山本孝史

    山本孝史君 抑制の必要性は否定しませんけれども、基礎年金の部分を二〇二五年同じだというのはどういう御趣旨ですか。
  54. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 二〇二五年、現在夫婦お二人で十三万、物価スライドの方になりますと十三・〇でございます。二〇二五年になりましても十三万三千円ぐらいになる予定でございまして、それほど抑えているわけではありません。
  55. 山本孝史

    山本孝史君 それは、名目の年金額は変わらないけれども実質の価値は下がっているということをちゃんと説明しなきゃいけないじゃないですか。
  56. 坂口力

    国務大臣坂口力君) だから、物価でこれは割り引いてあるわけでありまして、割戻しをしてあるわけでありまして、だから大体そのぐらいはいけるというふうに思っております。
  57. 山本孝史

    山本孝史君 一五%カットするんでしょう。だから、実質価値は下がるじゃないですか。ちゃんと国民に説明しないと、ミスリードしていると私は申し上げているんです。
  58. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは、厚生年金の方もそれから国民年金の方も一五%それはカットするわけでございますけれども、しかし、これから先の、今度は半分、二分の一に国庫負担を増やしていくわけでございますので、その点も加味をして申し上げているわけでありまして、その時々の物価によってそれは違いはありますけれども、そんなに大きく減少させることはないというふうに思っております。
  59. 山本孝史

    山本孝史君 これは、委員会は本当、止まりますよ、だって。  それは、だから、年金の名目額は下がらない、しかしながら実質価値は下がるということをちゃんと言わないと、同じ六万六千円を持っていたって六万六千円で買えるものは二〇二五年のときには違うんだから、価値は下がっているということを言わないとおかしいじゃないですか。失礼でしょう、そういう話は。
  60. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いやいや、確かに名目でそういうことでございますから……
  61. 山本孝史

    山本孝史君 名目はそうです。実質の方は……
  62. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そう、それで、だから、名目ではそういうことになるということを申し上げているわけで……
  63. 山本孝史

    山本孝史君 実質は違います。実質価値が下がるでしょうと申し上げました。
  64. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 実質下がるか下がらないかはこれからの経済動向によるということを言っているわけ……
  65. 山本孝史

    山本孝史君 成り立たないじゃないですか。答弁、そんなの認められない、あんな答弁。何言っているんですか。  一五%カットするという前提で財政再建しているんじゃ、財政再計算しているんじゃないですか。ちゃんとした答弁しなさいよ。うそついちゃ駄目だって。
  66. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いやいや、うそついているわけでも何でもありませんで、それは、一五%はその二階の部分も、それから……
  67. 山本孝史

    山本孝史君 一階の部分。
  68. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一階の部分もそれはそうなんですけれども、その額につきましては今申し上げたような額になるということを名目の話ですけれども申し上げている。
  69. 山本孝史

    山本孝史君 実質が下がるということを言わなきゃいけない。だから、実質が下がるということをちゃんと言わないと国民の側が準備できないんですから、これ、うそをついちゃいけないというか、ミスリードしちゃいけないんですよ。  で、今は給付の問題ですが、今度は保険料の負担の話をさせてください。  皆さんのところには資料を配ってございますけれども、(資料提示)この年金保険料の負担が、これは二〇〇二年度の決算ベースの資料ですけれども、大変に高いものになっている。年金で二十八・五兆円、医療保険で十七・五兆円です。これ二〇〇二年の決算ですから、二〇〇四年の予算ベースですと、この所得税とかあるいは住民税はもっと減収をされています。  これが今後どうなるかというと、二〇一七年度までの十三年間に毎年厚生年金の保険料が〇・三五四%、一兆円ずつ引上がりをしていきます。現在よりも三五%保険料がアップされる。それで、どうなるかといいますと、この形がこうなるわけですね。  二〇一七年度時点に四十二兆円規模に年金の保険料は上がります。厚生年金、国民年金、共済年金、それから企業年金、いろいろありますけれども、医療保険の方は毎年一兆円ずつ医療費が上がっていますので、当然のごとく十七・五兆円は三十兆円程度まで上がるだろうと思います。ということは、年金と医療保険の負担が非常に重たいものになってくる。  ところが、残念ながら、税の方の収入は増えないんじゃないかと思うんですね。この社会保険料の負担が増えることで、企業の側がその負担増を非常に嫌っているわけで、当然のごとく、企業経営や雇用というものに大変大きな影響が、この社会保険料の引上げがあるだろうと思っています。  その点について、経済産業大臣、それから竹中大臣厚生労働大臣に御所見をお伺いをしたいと思います。
  70. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 政府部内で随分議論をやってまいりまして、私といたしましては、経済、産業、雇用を見る立場からいろいろと議論をしてきたところでございますけれども、いろんな議論があったわけでありますけれども、給付と負担、それから中長期的なこの体制が維持できるという大前提の中で最終的にこの案を政府として決定をさせていただいたということでございますから、もちろん私の立場からは、雇用あるいはまた企業というものに十分配慮をしながら、今後ともこの問題に注意深く見守っていかなければならないというふうに思っております。
  71. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 経済財政諮問会議におきましては、主としてマクロ的な観点からそういう議論を行いました。今、中川大臣、御答弁ありましたように、やはり負担は極力抑えなければいけない、それはもうそのとおり、そういう方向になっているというふうに認識をしております。  かつ、しかし同時に、重要なのはやはり制度が持続可能であるということでありますから、その意味では給付と負担を明確にそう均衡させるということがやはり何より重要であるというふうに考えるわけでございます。加えて、マクロのインパクトというのは、これは当然試算を我々もしているわけでございますが、「改革と展望」におきましてそういうことを盛り込んで、我々もしっかりと見ているというのが現状でございます。
  72. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 社会保障の中で年金と医療が大きな値になっていくということは、それはもう御指摘のとおりだというふうに思います。  しかも、年金のように社会保障の中でいわゆる長期にわたる社会保障、この場合には少子高齢社会でございますのでどうしても負担が大きくなってくる。医療の方も大きいんですけれども、医療の方は短な期間での相互扶助と申しますか助け合いでございますのでそれほど大きくは出ないですけれども、年金の方により多く出る。全体としまして、年金、医療で大きくなる。  このほかに、今日はございませんでしたけれども、介護の問題もあるわけでありまして、それら三つの問題をどのように、あるいは障害者の問題も含まれるかもしれませんが、どういうこれからの負担の在り方にしていくかということを総体でも見ていかなければいけないわけでございます。  その負担の仕方につきましては、一つは保険料、一つは税、どちらにどういう配分でするかという問題に多分、多分と申しますか、そうならざるを得ないというふうに思っております。
  73. 山本孝史

    山本孝史君 中川大臣、多分、厚生労働大臣が決めたことだから余り口出しするのはやめとこうとおっしゃったのかもしれないと私は思いますが、しかし、経団連であれあるいは企業であれ、この社会保険料の半分は企業負担だとなると、それがどんどん増えていくとすれば、厚生年金だとかあるいは社会保険を払わなければいけない社員を雇うのではなくてパートに置き換えたいと思うのは当然であって、今みんなそういう動きになっているわけですね。結局のところ、厚生年金が空洞化してしまうのではないかと思うわけです。当然のごとく雇用の姿に影響があるはずだと。それをどう考えておられるかという質問なんです。
  74. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、現下の経済状況は大変厳しいという前提で、少し明るさが見えてきておりますけれども、業種あるいはまた特に中小企業、地域が依然として厳しいという中でこの企業と勤労者が負担を増やすということは、かなり私の立場からは重たいものがあると言わざるを得ません。  他方、今御指摘のように、例えばパートの問題でありますとか派遣の問題でありますとかというものが、現実にこれ非常にウエートが高くなっているということも事実でございますし、またそのほか、一号、二号、三号の問題もございますし、そういう中でやっぱりこのシステムをきちっと持続をしていくためには、そこそこの負担、そこそこの給付というところで実は政府部内で随分議論をしたところでございますけれども、私の立場からは、経済的な勤労意欲といいましょうか、企業経営の意欲というものを損なわないような形での制度設計が是非とも必要であるという認識が前提になっております。
  75. 山本孝史

    山本孝史君 その認識を反映させるような案を政府内で議論して作っていただかなければいけない。私、どう考えても今のこのパートに置き換える、正社員じゃなくて社会保険料負担の掛からない人に働いてもらおうという方向性はどんどん行くだろうと。その結果として、実はこの法人税の方の払いがなくなってくるんじゃないだろうかという思いがしています。  もう一つの問題は、この社会保険料の引上げが、社会保険料の控除という形になりますので、当然のごとくにこの所得税のところに跳ね返りをしてくる、それが住民税に跳ね返ってくるわけですね。控除額が増えれば増えるほど、すなわちこの増える分だけ所得税の課税対象が減るわけですから、当然のごとくに税収入が減ってくるんじゃないだろうか、あるいは可処分所得が減っていく中で消費が落ちてくるんじゃないだろうか。ということは、保険料は取れるけれども、実は税がどんどん落ちていくんじゃないだろうか。そういう思いがしておりまして、実際のところ、この財政再建というものの足を引っ張るのではないかという思いもいたします。  その点について、財務大臣と竹中大臣厚生労働大臣、御所見をお伺いします。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 年金保険料が、今雇用、いろんな面を挙げて論じられたわけですが、どういう形で税収、財政再建に影響してくるかというのは、これは一概に申し上げることは大変難しいわけでございます。  今雇用形態の変化までお触れになりまして、そうなりますと、中長期的に見て税制度をどう、あるべき税制をどう考えていくかという問題も同時に考えていかなければならないのかもしれません。しかし、限定的に社会保険料の値上げの影響だけ見ますと、委員がおっしゃいましたように、控除の在り方等を通じまして、それだけを取り上げますと税収にマイナスの影響が与えるということはあり得るだろうというふうに思います。  ただ、もっと大きな目で見ますと、先ほどから御議論のように、年金の持続可能性に対する信頼が揺らいでおりますので、やはり負担と給付の関係をはっきり見直していくことによって将来に対する、何というんでしょうか、透明性、明確性を持っていく、このことが中長期的に見ますと経済の活力に与える好影響というのは、私はそれは当然我々は重視しなきゃならないんで、それをあきらめますともっと大きな悪い影響が出てくる。  ですから、我々は、中長期的にそういう方向を目指さなければならないのではないかと思います。
  77. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員がお示しになった幾つかの懸念というのは、当然のことながら我々もそういった意識を持ちながら制度設計を考えているわけでございます。給付と負担はどこかで均衡させなければいけない。  その意味では、例えば給付を上げるということは、これは需要面で経済に対してはいい影響はありますでしょう。しかし、そうすると、しかし負担が重くなって、まさしく産業の競争力、ひいては法人税等、税収等々に影響を与える。だから、これはやっぱり高過ぎるのは、なかなか難しい。しかし、今度そのために負担を思い切り下げて、そうすると給付が今度下がり過ぎると、これは国民生活にも影響があると。そうした中で、ある意味でぎりぎりの狭い道を選んだのが今回の給付については五〇%、そして負担については一八%強と、そのような水準であったというふうに認識をしております。  そういうことを踏まえまして、繰り返しになりますけれども、「改革と展望」において、こういうそのルートであるならば経済に大きなショックを与えることなく、経済をうまく運営させながらこの給付と負担のバランスを取れるというふうに判断して今回のような提案になっているわけであります。
  78. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 山本議員も、年金の額をもっと下げろということを言っておみえになるわけではないんだろうと思うんですね。そういたしますと、この社会保障の、特に年金のこの財源を何に求めるかということになってくるわけでありまして、一つは現在の保険料、もしも、さもなくば税、恐らく消費税ということになってくるんだろうというふうに思いますが、それぞれ一長一短はあるというふうに私も思っております。  企業の皆さん方の御負担もだんだん増えてくることも、これも我々も配慮しなきゃならない、考えなきゃいけない。現在、社会保障を全体で見ましたときに、企業、それからそこに働く人たちに御負担をいただく社会保障と、もっともう少し幅広く国民全体が担わなければならない社会保障と私はあるんだろうと思っております。いわゆる職域連帯というものと国民連帯というもののやはり区分というものが必要になる。その辺のところを今後どうしていくかということが大事でありまして、一つ一つの、年金だけとかあるいは医療だけというふうに見るのではなくて、そうした振り分けをよく考えながら今後御負担を、企業に御負担をいただくところはしていただくというふうにしていく必要があるというふうに思っております。  確かに、様々な分野に影響を与えるところでございますけれども、しかし年金の額が少なくなりますと、またこれはいわゆる消費に影響を与えてくることも事実でございますしいたしますから、そうした両面を見ながらこの問題は考えていく必要があると思っているところでございます。
  79. 山本孝史

    山本孝史君 確かにそうなんですね。年金の給付を下げないという限りにおいては、その財源は保険料か税金かあるいは積立金運用収入しかないわけですから、保険料が少なくなれば、その分、税に置き換えなければいけないだろうと。  しかしながら、私が申し上げているのは、これほどまでに二〇一七年上がっていく、毎年一兆円ずつ上がっていく。ということは、二年に一回消費税を一%ずつ上げていくということを実はやっているのと同じ話になるわけですね。それぐらいにこの保険料の負担、社会保険料負担が国民全体として増えていく。  そのときに、現行体系だからこういう形にならざるを得ない、大変狭い隘路を探してみたらこうなったということですが、この結果として起きてくる雇用やあるいは経済環境への影響やあるいは財政再建というものに対する影響をどう織り込んでこれから先の財政見通しを立てているのかということが私にはよく見えてこないんです。余りにも楽観的に立てておられるのではないかというふうに思うわけです。  その意味で、竹中大臣に、二〇一〇年度初頭のプライマリーバランスのゼロというものが実現できるのか。また、もう一度谷垣大臣に、本当にこの形でやっていって日本の財政もつのだろうか。むしろこの形でいけば、これから日本は何をやるかというと、社会保険の給付をする、そして借金の返済をする、それだけでもう精一杯になってしまって、ほかの政策的経費が出てくる余地がなくなるような財政構造になってしまうのではないか。その点についてお二人の御意見をお伺いしたいと思います。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、財政が現状のような状況にある中で、やはり十年程度という我々として責任を持てる期限の中で基礎的財政収支を均衡させていくことというのは、これは絶対に必要な私たちは課題であるというふうに思っております。それが可能であるかどうかは、正に「改革と展望」の中で我々なりにいろんな条件を織り込んで見通しているわけであります。  年金につきましても、負担が重くなるというのと同時に、一方で給付が実は増えていくわけでありますので、国庫と民間経済という関係からしますと、むしろお金を払う側に当面は出てまいります。これはまあ、経済を大きく、経済に対してマイナスのショックを与えることなく、同時に財政の健全化も目指していけると。一方で、改革を加速することによって、技術力を高めて、競争力を高めて実質成長率を高めていく。その芽も出始めているわけでありますので、我々としては、その「改革と展望」のシナリオの中で今申し上げたようなシナリオは十分に可能であるというふうに考えております。もちろん、それとは別に制度体系の議論はそれはそれとしてしっかりやっていこうと、これは厚労大臣も言っておられることでありますので、それと矛盾するものではないというふうに思っております。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 財政再建を成し遂げていくためには今後とも歳出構造の見直しというのを厳密にやっていく必要があると思いますが、今の御議論との関係でいえば、やはり長期的に給付と負担のバランスを年金で取って、仕組みを作っていただいて、国民に将来に対する安心感を持っていただいて、そして経済の活力の基礎的な条件を作っていただくということは、これはもう避けて通れない課題でございます。  それから、先ほどからの委員の問題提起の関係でいえば、これからやはり大きく社会の構造も変わってきて、就業形態、いろんなものの変化もあるわけでございますから、そういうものに即したあるべき税制の検討というものも併せて行いませんと財政再建はできないんだろうと思います。
  82. 山本孝史

    山本孝史君 それはそうなんですが、私、委員長、申し訳ありませんが、この委員会室ですね、あそこに何か大きいスクリーンでもこう付けていただいて、プロジェクトでこうやれるような形にしていただけないですかね。そのたびにこうやって持たなきゃいけないのは大変だと思いますので、それ是非理事会の中で御検討いただければと思いますが。  私、国民の皆さんも一緒になってこの議論を考えなければいけないと思っています。どうするのか、この状態で本当にいいのか、負担がこれだけ皆さんで賄っていけるのかどうか、その結果として財政再建非常に厳しくなるんじゃないだろうかということの認識を持たなければいけない。だから、私、坂口大臣に大変失礼な物言いをしましたけれども、名目年金額が下がらないんだということで安心しろと言われても、実質は違うんですということをちゃんと説明しないとみんなは理解できないんですね。  総理はその消費税の話を、もう在任中は上げないと、こうおっしゃっておられるわけですが、私は、やはり消費税をどうするかという議論はやらなければいけない。ところが、上げないとおっしゃったことで消費税議論が止まってしまっているわけですね。御自身はそうじゃないとおっしゃっているんだけれども、私は、やはりここの社会保険料負担のこの上がる部分を消費税で若干置き直すのか、あるいはそこの消費税で半々ずつでも持つのか、いろんな考え方がやはりあると思います。そういうところも踏まえた上で議論をしていくことが必要なんだけれども、どうも私、総理がその消費税の議論に封印をしてしまわれているような気がしておりまして、それは決して日本の財政にとっていいことではないと思うんですが、違うんですか。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は封印しているわけじゃありません。消費税の議論、歓迎すると言っているんです。ただし、私の任期であります三年、まあ九月のときにって言いましたからあと二年半、消費税を上げる環境にないと私が判断しているわけです。その間は上げる必要ないし、上げるべきでもないと思っているから、私の在任中は上げないと。しかし、消費税の議論は大いに結構だと。  昨日も、スウェーデン首相が来日したんです。それで、会談したときにもこの消費税の話題出ましたよ。よく国会でもスウェーデンの福祉政策出ますと。必ずスウェーデン、デンマークに比べると日本の福祉政策はまだまだ不十分だと言われるけれども、消費税を比べてくださいと。日本の消費税は五%です。スウェーデンは二五%。こういうことをよくスウェーデンの国民は受け入れているなという議論をしたんです。しかし、やっぱり負担がなくては給付がないんだとスウェーデン首相もはっきり言っていましたよ。
  84. 山本孝史

    山本孝史君 いやいや、だから私、総理がいつお辞めになるか知りませんけれども、お辞めになってから消費税の議論をし始めたのでは、またそこで時間が掛かってしまうわけで、(発言する者あり)そうじゃないんですか、違うんですか。
  85. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は辞めるまで議論するなというのなんか一言も言っていませんよ。今から大いに議論してくださいと。しかし、そういう中で、議論をしていく中でいつ上げたらいいか、上げるべきでないかというのはまとまってくるでしょう。しかし、私の任期中、二年半の間に上げる状況にないから上げないと言っているんです。議論は大いに結構、今から。
  86. 山本孝史

    山本孝史君 議論はさせていただきたいと思いますが、総理がそういうふうにおっしゃっていることが私はやっぱり無責任だと思うんですね。財政再建にもつながってこない、私はそう思います。  時間がありますので、また年金の話はやらせていただく機会があると思いますからそのときにしますが、周辺の部分のお話を聞かせてください。  お配りをしました資料をごらんください。二枚目と三枚目でございますが、国家公務員共済と地方公務員共済、この国家公務員共済ですと、その他の国庫等負担金五千三百二十億円、地方公務員共済ですと、その他の地方公共団体負担一兆三千四百六十八億円という金額がございます。これは基礎年金の国庫負担ではありません。別途に国庫負担をしているものです。これがなぜこういう金額があるのか、財務大臣並びに総務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  87. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今委員がおっしゃいましたように、厚生年金と同様基礎年金拠出金の三分の一の負担がございますが、そのほかに共済年金制度が過去の恩給期間を引き継いだことに伴う国庫負担というのはございます。そのほかにも労使折半による保険料を負担する事業主としての国庫等の負担というのはございます。  それで、そのほかの年金、厚生年金なんかと一番違いますのは、今の過去の恩給期間を引き継いだということがあることでございますが、これは昭和三十四年に従来の恩給制度から社会保険方式による共済年金制度に切り替えられたわけですが、それまで退職した公務員に恩給が出ていた。その恩給は全額国庫等が負担するという形で制度が作られておりまして、それとの均衡から、それ以後に退職した者に支給することとされた共済年金のうち、その恩給、まだ恩給制度であった期間ですね、昭和三十四年までの期間です、それに対応する年金の追加費用については国庫等が負担していくこととされた。それが今こういう形になっているということであります。
  88. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 経緯につきましては今財務大臣が言われたとおりになっておりまして、これは恩給でありますので、基本的には昭和三十、施行は三十七年からかな、からの以降の分につきましては、その前の部分を引きずった部分につきましては、これは当然のこととして個人とかいうような話ではなくて恩給でありましたので、今財務大臣が言われた経緯でそのような形になっておると理解をしております。
  89. 山本孝史

    山本孝史君 恩給なんですけれども、共済年金という中で支給されるのであれば現役の共済年金加入者でその部分も負担をするという考え方は当然あるわけで、ここはやはり共済年金の在り方というものを三階の職域部分含めて検討していかなければいけない問題だということの提起をさせていただきます。  それから、厚生労働大臣にお伺いします。積立金を年金、あるいは保険料を年金給付以外に使わないと、こうおっしゃっておられるわけですが、これは事業費の全額を国庫負担とするというお考えなんでしょうか。
  90. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現在様々な事業が行われておりますことには、これはもうけじめを付けて使わないようにするということを申し上げたわけであります。  ただ、年金に、この年金にかかわりますところの例えば年金相談でありますとか、そうしたことにつきましては、これは年金に絡むことでありますから、私はその中で使わせていただいても国民の理解は得られるのではないかというふうに思っております。
  91. 山本孝史

    山本孝史君 透明性の確保の問題であろうというふうに思います。  それから、申し上げておりますように、年金制度体系は税方式ですとかスウェーデン方式ですとかいろんな形があるわけですけれども、私は国民に一つの選択肢を示すのではなくて、例えばこうしてみたらこうなりますといういろいろなシミュレーションをやってみる必要性があると思います。そのことを是非厚生労働省として、例えば野党の案であっても、じゃそれで一遍シミュレーションしてみようかということでやっていただきたいんですけれども、やっていただけますか。
  92. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 山本先生民主党の案をおまとめになっているというお話でございますので、早く出ることを期待をしているわけでございまして、出てまいりましたら、それを基にしたら一体どうなるかということにつきましては、これはまあ厚生労働省だけがコンピューターを持っているわけじゃありませんから、よそでもいいと思いますけれども、我々もそれを中心にしたらどうなるかということをきちんと出させていただきたいと思っております。
  93. 山本孝史

    山本孝史君 実は今回の改正が終わりますと財政再計算というシステムがなくなります。したがって、五年に一回国会で年金法を審議するというのは実はこれが最後なんですね。これ以降十七年まで保険料は引き上がりますので、自動調整ですからもう何もやることは、必要性はないというのが厚生労働省の考え方なんです。私は、そういう意味でいけば、国民が、あるいは団塊の世代が年金受給者に入ってしまう最後のチャンスの改革であって、今こそやらなければいけないときに、この案しかないんだということで国会に提出されている案を政府・与党側がごり押しをされると、実は政党のメンツはそれで保たれるかもしれないけれども、そのツケは全部国民の側に回ってくるという思いがいたします。強行採決という声が聞こえてきますけれども、ここはやはり慎重に最後までいろんな案を検討していくというこの姿勢が大事だというふうに思います。  院の方の問題だとおっしゃるかもしれませんが、大臣として、あるいは総理として、やはりここは最後の改革なんだという思いを共有していただけるかどうか、そこをお聞かせください。
  94. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 五年ごとの財政再計算ではなくて、今回の負担と給付の問題を見直し決めたわけでありますが、全くしない、これは少子化の、出生率とか経済の変化あります、こういうときには、こういうときには、これはやっぱり大きな変化が来た場合にはまたどう対応したらいいかという見直しはあり得ると、可能性はあると私は思っております。  そういう点において、今後民主党が案を出してくるでしょう。そのときには、今御指摘のようにその案に対しましてもいろんな議論が出てきますので、慎重に国会でも議論がなされて私はしかるべきだと思っております。
  95. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今御指摘の、もう総理からおっしゃったとおりでございますが、我々も今回出させていただきましたけれども、これは負担と給付という一番根っこのところのところを押さえて出したわけでありまして、いわゆる負担のこの保険料が、もしもこれは税に置き換わるとすればそれはどれだけかというようなことにも今後なってくるわけでございますから、もし仮にこれを保険料でこのまま納めるとすればこういう額になりますということを出したわけでありまして、我々も多くの皆さん方の御意見を十分にお聞かせをいただいて、そして徹底的な議論をして決めていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
  96. 山本孝史

    山本孝史君 厚生労働省としては一つの案をまとめて、政府としては一つの案として提起をしたことであって、ここは国民の議論を経て決めていけばいいという御意見だと思います。  最後にもう一つだけ、年金の話は外れますが、総理に、今、私、自殺の問題取り上げておりまして、総理にもお忙しいお時間の中で親を自殺で亡くした子供たちに会っていただきました。  「自殺って言えなかった。」という、こういう本も出ておりますけれども、今実は自殺者が三万人を超えております。私、総理の施政演説の中で交通事故死者を半減するというお言葉がございました。いっとき二万人を超えたのが今八千人を切るところまでなってきています。それと同じように、自殺をする方たち、その家族への影響は大変大きいものですから、その方たちが少なくなるように、国家的なプロジェクトとして政府全体でこの自殺者の防止プロジェクトといいましょうか、戦略というものを立てていただきたいというふうに思っているんですが、いかがでございましょうか。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自殺によって親御さんを亡くさられたお子さんたち、この方たちの精神的な衝撃も大変大きなものがあったとお話を伺って、これは深刻な事態だなと私も思いました。昨日も鳥インフルエンザに絡んで自殺したという報道に接しまして大変痛ましいことだと思っておりますし、いろいろ自殺の経緯を調べてみますと、全体のことでありますが、様々であります。経済的に苦しい方、あるいは病気で苦しい方、あるいは精神的に苦しい方、それも一様ではございません。  交通事故半減という目標を立てておりますが、自殺の問題につきましても交通事故以上に約三万人の方々が年間自殺されているということはゆゆしき事態でありますので、厚労省のみならず、それぞれの関係機関よく協力して、どうやったらこの問題減らすことができるか、防止することができるか、真剣に対応すべき問題だと認識しております。
  98. 山本孝史

    山本孝史君 政府全体としてお取り組みいただきますようにお願いを申し上げます。  質問を終わります。同僚議員に譲ります。ありがとうございました。
  99. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。郡司彰君。
  100. 郡司彰

    郡司彰君 関連質疑をさせていただきます。  民主党新緑風会郡司彰でございますが、予算委員会独特の片道方式でございますので、思いはあるんですが、余り述べずに質問を続けてさせていただきたいと思いますが。  まず、先ほど来議論になっておりましたイラク特措法に基づく自衛隊イラク派遣についてでありますけれども予算書の関係でお聞きをしたいと思います。  十五年度は予備費の閣議決定をなされていると思いますが、どのような額になっておりますでしょうか。
  101. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおり、予備費で充てております。派遣準備に掛かります経費は二百四十一億円、これを十五年十二月十九日、予備費におきまして措置をいたしております。また、そのほか、手当、通信、糧食、燃料等、派遣部隊がイラク活動するために要する経費のうち、十五年度中に必要な経費につきましては、防衛庁長官、私の派遣命令発出の都度、措置をすることにいたしておりまして、合計約二十七億円を措置をいたしておるところでございます。
  102. 郡司彰

    郡司彰君 合わせますと、現在まで二百六十八億円余が出ているかと思うんですが、この関係につきましては、今後、予算書の予備費の使用調書として国会の方に報告がなされると思いますが、いつごろ、そして名目はどのような名前になっていますか。
  103. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 御指摘のとおり、財政法三十六条によりまして、調書というものを、使用調書というものを作製をすることにいたしております。現在、国会への提出に向けまして必要な作業を実施しておるところでございますが、具体的な提出時期につきましては、関係各部局とよく協議の上、今後、政府として決定をすることになる、このように承知をいたしております。
  104. 郡司彰

    郡司彰君 だとすると、この国会の中で議論をする予算関係、額の問題についてはこの国会が具体的には初めてになるかと思うんですが、では、十六年度の予算書、どこにイラク派遣の費用というのが掲載をされているんでしょうか。
  105. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは先生御案内のことかと思いますが、イラクという項を特別に起こしておるということはございません。しかしながら、予算審議に資するために、一般会計歳出予算各目明細書というものを添付をいたしてございます。参考といたしまして、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動関連経費」を項及び目の単位で明示をいたしまして、国会に提出させていただいておるところでございます。
  106. 郡司彰

    郡司彰君 私も読ませていただきましたが、この予算の説明には今言ったように出ておりません。内閣府の一般会計歳出予算の各目明細書、私、目を通しましたが、ちょっとどこにあるのか分かりませんが、何ページにそういう記載が具体的にございますか。
  107. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 何ページと言われて適当にお答えできるか存じませんが、先生ごらんいただいたと思いますが、一般会計歳出予算各目明細書というものがございます。その末尾かと思いますが、内閣府所管、百六十二ページというふうに承知をいたしております。
  108. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 事務方、答えるか。いい。
  109. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) この明細書におきましては、各省庁ごとに整理してございまして、防衛庁の場合については内閣府所管ということで整理してございます。今大臣お答えしたとおり、その中の百六十二ページに参考資料として添付しているところでございます。
  110. 郡司彰

    郡司彰君 どういう意味での参考という分け方なんでしょうか。
  111. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 国会における予算審議の参考のために提出させていただいております。
  112. 郡司彰

    郡司彰君 これは、ほかのものを読みますと、例えばSACOの関係は二百六十何億とかというふうにちゃんと出ておりまして、参考という形で出されております。昨年来から大変重要な議題になっておってなされていると思うんですが、私どもは、参考というようなことでとらえるべき問題なのかどうか、総理も度々これは大義があるというような発言だというふうに思っておりますが、そういう関係からすると、私はしかるべく項に最初から載るべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 必ずしもそういうものだと私は思っておりません。  先ほど来お答えをしておりますように、百六十二ページ、ごらんをいただきますと、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動関連経費」ということで、内閣本府、防衛本庁に分けまして、それぞれ細かく記載をいたしておるところでございます。糧食費にいたしましても、医療費にいたしましても、あるいは武器修理費におきましても、通信維持費におきましても、細かく記載をさせていただいておりまして、これをもちましてきちんと何のために予算を計上しておるかということは国会において御理解をいただけるというふうに思っております。  それは項としてやらなければいけないというものではございませんで、これは整理の区分けということかと思いますけれども、決して国会審議の妨げになるようなことだとは思っておりません。私どもとして、必要な情報は必要な情報といたしまして規定にのっとりましてやらせていただいておるものと信じ、承知をいたしております。
  114. 郡司彰

    郡司彰君 今長官が、項として起こすということについての必要はないんではないかということがありましたが、私ども国会議員は、国会の中で予算書の賛否を議論をし、これは項について議論をして、項について議決をするということの原則じゃないんですか。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはあるいは財務大臣からお答えをいただいた方が適切なのかもしれませんが、それは項というものをどのように考えるかという問題でございます。これはむしろ技術的にどのように分けるかということでございまして、この資料を提出をすることによりまして、国会におきましてこのイラク派遣の予算がどのようになっておるかということは、納税者の代表たる国会議員各位にきちんと御審議がいただけるものと考えております。
  116. 郡司彰

    郡司彰君 それでは、この関連につきましては参考という形で毎年載るのかどうか分かりませんが、いろんな方とお聞きをすると、まあ十月に決めたODA関係の五十億ドル、この中で自衛隊派遣の方の費用も入っているんではないかというふうに勘違いをといいますか、そう思っている方も大変多いということをお聞きをして、もう少し分かりやすくしなければいけないんだろうと思ったわけでありますけれども、今後、防衛庁としてはこの派遣については何年ぐらい、全体の予算としてはどのぐらい掛かるというような見通しがございますでしょうか。
  117. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは基本計画におきまして一年ということになっておるわけでございます。自衛隊の派遣がいつまで掛かるかということは、それは現時点において確たることは申し上げることができません。それは法の目的がきちんと達成をされたかどうか、あるいは自衛隊でなければできないということで自衛隊が行っておるわけでございまして、自衛隊でなくてもできるという状況が現出をしたといたしますならば、この活動の趣旨からいたしましても、それはいつまでもいるものだとは思っておりません。あるいは、安全の状況、治安の状況、いろんなことはあろうかと思っております。したがいまして、これはいつまでということは申し上げられません。  しかし同時に、仮に基本計画を変更し、それを延長するということになりますれば、それは当然財政上の裏付けというものが必要であることは言うまでもございません。
  118. 郡司彰

    郡司彰君 私は、今回のイラクに対する派遣というのは、戦後の日本の歴史の中でも相当これまでと違った意味を持っているというふうに思っておりまして、私はこのきちんとした項の中に起こしてそれぞれ国民の中の議論に供するべきであろうというふうに思っておりまして、これは税金が、使い方が政治だというような言い方もあるわけでありますから、私は、その意味では今回のような形は総理がおっしゃっている説明責任ということに関しても少し配慮を欠くんではないか、しっかりと載せるようなことを総理として指導すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  119. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、これは先ほど防衛庁長官から御答弁があったとおりでございまして、それで全体としてはっきり分かっていただけますように参考資料としてイラク関係のものをまとめてお示しをしているわけでございます。
  120. 郡司彰

    郡司彰君 私は説明責任を果たしているということにはならないんではないかなというふうに思います。  次に、時間の関係もありますから移らさせていただきますが、昨年も、私、特別会計について質問をさせていただきました。前の大臣の塩川大臣は、これは、一般会計というのはトンネル会計ですよというようなことをおっしゃった。それからさらに、財政構造改革の推進法、平成九年に成立をしたけれども、諸般の事情で今凍結をされている。しかし、基本のところは、特別会計というのはなくす方向で議論をしていかなければいけないんだ、また私自身は、その予算の在り方も透明性、公平性が保たれるような形にならなければいけないと思っておりますが。  そのような意味で今年の特別会計予算を見ている中で、資金、積立金というのが見受けられるわけでありますけれども、この特別会計には資金、積立金、どんなものがあるのか、説明をいただけますか。
  121. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) お答えを申し上げます。  十六年度におきましては、十八の特別会計に三十三の資金、積立金等が設置をされております。これにつきましては、各特別会計の性格に応じまして様々なものがございますけれども、例えて申し上げますれば、各種の保険事業について申し上げますと、年度ごとに生じます保険料の収入と給付額、このミスマッチを年度を超えて調節するために設けられているもの、あるいは、国が一定の事業を行うに当たりましてその事業の円滑な執行のために資金を設置しているもの等がございます。
  122. 郡司彰

    郡司彰君 かなり多いんですね。私の方では、調べたんですけれども、全体像がよく分かりませんでした。  ちょっと資料をお配りしていただけますか。    〔資料配付〕
  123. 郡司彰

    郡司彰君 私の方では、実に資金、積立金、十一ずつ探すのがようやくでございました、非常に分かりづらいんでありますけれども。しかも、このうちに予算書に示されている、示されていないというのがばらばらでございますけれども、示されているのはどれとどれということになりましょうか。
  124. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) ただいまお配りいただきました資料で、委員の方でおまとめをいただきまして大変ありがとうございます。  十六年度の予算書におきましては、今委員の方でおまとめいただいた表にもございますように資金増減計画書等が添付をされておりまして、ここで特別会計の資金、積立金が示されているものにつきましては十ございます。そのほか、財務諸表といたしまして貸借対照表が添付されているものがございますけれども、そこに、資金、積立金という名称ではございませんけれども、その貸借対照表を読み込んでいただければ、そこに状況が分かるもの、これが合計九つございます。  今申し上げました二種類の重複を除きますと、三十三ございます資金、積立金のうち、十六が予算書において記載をされているということでございます。
  125. 郡司彰

    郡司彰君 私の方で調べたのがまだ不十分だということはよく分かりました。それほど分かりづらい形になっているんではないかなと思いますけれども、省別に言いますと、財務省それから厚生労働省、農水省というのがほとんどなんですね。それで、その中で見てまいりますと、厚生労働省の方では、これはあれですね、厚生保険特別勘定の関係で出てまいります。それから、農水の関係は、農業経営基盤強化特別措置会計に出てまいりますけれども、「積立金より受入」というような項がございますけれども、この積立金の中身を、私ども、これを予算書を見る限りはどうも出てまいらないんでありますけれども、これはどこを見ると出てくる数字なんでありましょうか。
  126. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 厚生保険の特別会計の児童手当の勘定といいましょうか、そこの積立金というのは、いわゆるこの厚生保険の特別会計の法律に規定をされておりまして、毎年の児童勘定の収支額、そういうことにかかわってそれを補てんをしたり、あるいは時にはそれをまた積立経費にまた入れたりと、そういう性格になっているわけであります。平成十四年度の年度末では積立金は約六百六十億円と、こういうことになっております。  以上です。
  127. 郡司彰

    郡司彰君 ちょっと農水も。
  128. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 農業経営基盤強化特別措置特別会計と、これはいわゆる平成十六年度の予算書の予定貸借対照表、この中の繰越利益金の中に区分をされております。
  129. 郡司彰

    郡司彰君 どこに出ているかというと、決算委員会に出される決算書の方に出ているんですよね。そういうことですね。もう一回ちょっと確認させてください。
  130. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘のとおり、決算書には出ております。
  131. 郡司彰

    郡司彰君 これ、予算審議をするときに決算書も持ってくれば一番いいんでしょうけれども、なかなかそうまいりません。しかし、会計、積立金、資金によっては二万円ぐらいの金額でもきちんと掲載をされているものもあるんですね。これ、どうしてこういう不統一なんでしょう。財務大臣
  132. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、郡司委員が御苦労されてお調べいただいたのを、私、大変御努力いただいたと心から敬意を表するものでございますが、この特別会計の全貌をとらえるというのは、もう正直申し上げてなかなか容易ではございません。  なぜ統一的でないかといいますと、それぞれの目的の違う特別会計が、いろいろな経緯でもっていろんなやはり制度、国会からここのところを開示せよと言われてやった場合もあるし、いろんな場合がありまして、実は歴史によってそうなってきているという面がございます。  そこで、先ほどおっしゃられました、私の前任者の塩川大臣が、やっぱり特別会計というものをきちっと見直さなきゃならぬということで、昨年、財政審議会で総ざらえ的に検討をいたしまして、十一月に一つの結論をいただきまして、その中で説明責任、これをきちっと果たしていくことが大事だということで、今年からその説明責任を果たしていくためにどうしたらいいかと取り掛かりを始めたところでございますが、正直申し上げて、まだ十分見ていただいて特別会計の全貌がすぐお分かりいただけるというところまで来ていないのは事実でございます。  それで、各特別会計の資金や積立金の決算額などにつきましては、すべての特別会計を対象として、企業会計の考え方などを活用して、新たな特別会計財務書類というので開示をしていこうということで今作業をしておりますが、公会計と企業会計の違い等がございまして、まだ十分考え方が完全にでき上がっているわけではないのが事実でございます。ただ、今年の一月三十日に一つの検討結果を財政制度等審議会の資料として、財政、この審議会にお出ししまして、これは開示を行っているわけでございます。  それから、説明責任を強化する観点から、十七年度予算に向けて各特別会計やそれぞれの資金等の性格の違いを踏まえまして、予算書への添付を含めた更なる開示をしていくためにはどういう形が適切であるのかということを各特会を所管している各省庁とも協議しながら今検討を進めているところでございまして、これは積極的にやっていきたいと思っております。
  133. 郡司彰

    郡司彰君 実は、今日この説明を、質問をしますということで、それぞれ答弁については副大臣の方でさせていただきたいということで、私の方は快く結構ですよということを申し上げました。ただ、私の方の思いは、全然、石井副大臣を始めそれぞれ優秀な方でありますので、それはそれで何の問題もないんですが、どうも対応を見ていると、技術的な問題じゃないかと、そういう問題だから大臣まで出さなくてもいいんじゃないかというようなところがよく感ぜられるんですね。  私はこの、今財務大臣がおっしゃっていただきましたけれども、特別会計、非常に分かりづらいんですよ。しかも、今おっしゃったように、企業会計の原則に基づいて公開性、透明性高めようということになっているけれども、全然進んでいない。まるで、局があって省なしという言葉がよく使われますけれども、そのまま。しかも私からすると、これは省があって国民がない。国民の財産の税によって賄われている、資金も積立金もそうなんだという自覚がどうも足りないんじゃないかと思うんですよ。本気にその改革をしようという気が、意図が見えない。  もう一度、大臣の方から強い決意をちょっと述べてもらいたい。
  134. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、今回のこの通常国会におきましても、今委員から御質問もいただいておりますが、衆議院におきましても参議院におきましても非常に関心を持っていただいております。  私は、これを国会からの援護射撃というふうに思っておりまして、こういう御関心も背景に、透明性を高めていくために、いろいろ技術的に難しい問題は確かにございますけれども、少しでも明らかになるように努力をしてまいりたいと思っております。
  135. 郡司彰

    郡司彰君 それではお願いをしたいと思いますが、それぞれの資金あるいは積立金の増減表、残高表、これ、審議中に一覧にしてお出しをいただけますでしょうか。
  136. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これはですね、十特別会計の十三の資金、積立金においては、既に十六年度予算書に、あるいは財務諸表の中で十六年度末見込額が示されているわけで、これはもうお出しできているわけですが、それ以外の特会の十六年末見込額につきましては、ある程度のお時間をいただく必要があると思いますけれども、これは努力をしてお示しできるように頑張りたいと思っております。
  137. 郡司彰

    郡司彰君 分かるんです、非常に複雑怪奇でございますから。  少なくても来年度予算の際には初めからきちんとそういうものが載せられるというような確約、いただけますか。
  138. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) そのため努力を最大限いたしたいと思っております。
  139. 郡司彰

    郡司彰君 総理に一言いただきたいと思いますが、構造改革ですね、財政の問題についても平成九年に成立をした、しかし今凍結という、この経済状況の中でなっているわけでありますが、私は、総理が進めているような形も一方でありながら、一方でこのような予算書という形式の部分もきちんと直すというようなことから始めなければいけないんではないかと思っていますけれども、改革の思いをちょっと。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 塩川前大臣のときからも、この特別会計の問題、提起されましたし、国会でも度々議論されております。  国民に分かりやすく予算書、決算書を示すと、また、特別会計含めて情報開示、これをしっかりと対応していきたい、また、できるだけ早く皆さん方の審議に供することができるように努力していきたいと思います。
  141. 郡司彰

    郡司彰君 次に、BSE、それから感染症の関連についてお聞きをしたいと思いますが、九月三十日だったと思いますけれども、BSEの感染ルートの解明についての報告書が出されたと思いますが、どのような内容だったでしょうか。
  142. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 昨年九月に公表されましたBSE疫学検討チームの報告書におきましては、三つの感染源、二つの感染経路の可能性について指摘をされたわけであります。  まず、感染源といたしましては、英国からの輸入生体牛、一九九〇年以前に輸入されたイタリア産肉骨粉、オランダ産動物性油脂が想定されると。また、感染経路といたしましては、肉骨粉につきましては、配合飼料工場における製造・配送段階における牛用の配合飼料に交差汚染した可能性があるとされた一方、動物性油脂につきましては、代用乳の原料として添加されているが、これを直接感染源として結び付けることは難しい面があるとされたわけであります。  また、昨年十月に八例目、二十三か月齢、十一月に九例目、二十一か月齢が確認されたことに伴いまして、当該患畜に給与された飼料等の疫学情報の収集を行い、報告書に提示された評価・分析手法を参考に感染原因の検証を鋭意進めているところであります。八例目、九例目は若齢牛の牛でありまして、肉骨粉の給与禁止後に生まれたものでありまして、現在までに判明している給与された飼料にはいずれも肉骨粉が用いられておらず、現在、飼料の製造、流通の各段階で交差汚染がなかったかを調査しているところでもございます。  また、二月二十二日に確認されました十例目及び本日プリオン病小委員会に諮られる予定の十一例目についても、現在、給与された飼料等の調査を実施しておりまして、これらのデータがある程度まとまった段階で、専門家の助言を求めまして、更に感染原因の究明に努めてまいりたいと、このように考えております。
  143. 郡司彰

    郡司彰君 説明をいただきました。簡単に言うと二次感染の可能性が非常に高いというようなことでよろしいですか。
  144. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほど申し上げましたとおり、感染源、感染経路と、これら専門家調査報告、そして更にその後例も出ておるわけでありまして、専門的ないろいろの議論を積み重ねてまいらないとその辺のことを確定して申し上げることはできないようなわけであります。
  145. 郡司彰

    郡司彰君 当時、新聞にもそれぞれ大きく出されました。ほとんどの新聞が、この報告書を読んで、じゃ二次感染の可能性が高いんだなというようなことの報道を一斉にして、それに対して農水省、特に反論をしたような記憶がございませんが、二次感染ではないというようなことですか。
  146. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) お答えいたしますが、昨年九月に公表されました検討チームの報告書は、それまでに発生した国内七例目までの調査内容を踏まえて議論したわけでございますが、その際、感染源としては、一つは八二年又は八七年に英国から輸入された生体牛がレンダリング処理されて肉骨粉にされまして、更にもう一巡いたしましてリサイクルされて製造された肉骨粉が感染源となった可能性があるということと、それから九〇年以前に輸入されたイタリア産肉骨粉に含まれた病原体に感染された国内牛が肉骨粉になり感染源となった可能性が否定できないというような、そういうことでございまして、その辺を踏まえた報告書になっておるところでございまして、今先生がおっしゃいました二次感染のおそれ云々等の問題につきまして、どういう報道内容だったかにつきましては今手元にございませんけれども、一応かなりきちっとフォローをして対応しているつもりでございます。
  147. 郡司彰

    郡司彰君 説明はよく分かったんですが、大臣、二次感染というような認識では間違いですか。
  148. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 二次感染の問題も含まれておると思います。  いずれにしても、このBSEの疫学検討チーム、この報告書と、そういう中でいろいろ御指摘もちょうだいしておるわけでありまして、今後、的確なリスク管理、これに努めてまいりたいと、このように思っております。
  149. 郡司彰

    郡司彰君 よく分かりません。一次感染なのか二次感染なのかでは全然違ってくるのでありますけれども、はっきりさせていただけませんか。
  150. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) お答えいたします。  しっかり受け止めておるかどうかちょっと自信ございません、郡司委員専門家でございますから。それで、一応私どもが把握しているいわゆる報告書による感染経路モデルを前提としてお話しいたしますと、先ほど申し上げたような事情でございますから、八〇年代半ばから九〇年代半ばにかけまして国内牛に最初の感染があったと。それが肉骨粉としてリサイクルされてきているという意味で、そのことを郡司委員が二次感染ではないかというふうにおっしゃっているのであるとすれば、それは二次感染ということになろうかと思います。
  151. 郡司彰

    郡司彰君 今、副大臣、大変重要なことをおっしゃっていただきました。八〇年代半ばに一次感染があったというような認識でよろしいですね。
  152. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) お答えします。  報告書の正式な言葉はですね、疫学上の言葉として暴露されたという言葉を使っておりまして、感染という言葉を使いましたのは、今日はテレビ入っておりますので分かりやすく私の言葉で申し上げたわけでございます。正確には暴露という言葉でございます。
  153. 郡司彰

    郡司彰君 ここだけで時間取っているわけにはいかないんですが、大臣、これですね、もし二次感染の可能性があるということになると、先ほど、去年、昨日の決算の中でも質問が出ておりましたけれども、九六年に止められなかったから二〇〇一年には重大な失政だという報告書が出たんです。ところが、八〇年代半ばにもう既に感染をしていたことを、暴露されたということになるとですね、それは、報告書の精神は私は大事に尊重したいと思いますよ。しかし、事実関係からするとちょっと陳腐なことになるんですよ。九六年に止められなかったから二〇〇一年に発生をした、これが重大な失政だと言ってきたんですよ。全然違うことになりますね。
  154. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 八〇年代の問題、これはその報告書、疫学検討チームの報告書によりまして八〇年代半ばから九〇年代半ばにかけて国内牛に最初の感染が起こった可能性があると推定されると、このような疫学専門家検討チームでのお話であるわけでありまして、そういう面でまだいろいろ検討が進行中であるわけでありますので、その後の例等も十分加味して、この専門家の疫学検討チームの結論、この感染原因の解明に更に努めてまいりたいと、このように思っております。
  155. 郡司彰

    郡司彰君 亀井大臣、それではこの九月三十日以降だとすると、これはちょっと今までと違うぞということになる。だとすると、十何年前から感染をしていた牛が日本にいたということにもなるわけでありまして、改めて国内の危機管理、安全体制が万全であったかどうかの指示などをなされましたか。
  156. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 昨年九月に公表されましたBSE疫学検討チームの報告書では、肉骨粉等の飼料への利用に係る規制を始め、新たな感染を遮断をするための各般の対策が取られており、想定された様々な感染源、感染経路は、これらの対策によりほぼ完全に遮断されているとみなされるとの評価をいただいたところでありまして、今後とも的確なリスク管理を行ってまいりたいと、このように思っております。  なお、いずれにいたしましても、その後判明いたしました八例目、十一例目につきましても給与された飼料等の調査を実施しておるところでありまして、これらのデータがある程度まとまった段階でまず専門家の助言を得まして更に感染原因の究明に努めてまいりたいと、このように考えております。
  157. 郡司彰

    郡司彰君 大臣、国内の安全な牛肉が出回っているということについては私も日本はすばらしい形を取っていると思います。この間、八十何年かにもし感染をした牛がいた、それが循環していたということになると、日本はアジアその他の国にBSEを輸出をしていたと、こういうことになりはしませんか。
  158. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 我が国の牛肉等の輸出につきましては、我が国におきましてBSEの発生以前、我が国の輸入条件に基づきまして、少量ではありますがアジア諸国に輸出がされておった、輸出されたところであります。  なお、平成十二年三月に我が国で口蹄疫が発生したことに伴いまして牛肉等の輸出が禁止されたわけでありまして、平成十三年九月の我が国のBSEの発生に伴いまして、改めて米国、韓国等、ほとんど貿易相手国は我が国からの牛肉等の輸入を禁止したところであります。しかし、BSEが発生する前に我が国から輸出された牛由来の畜産物の多くが肉あるいは皮等であったこと、また輸出量がわずかであることから、BSEの病原体に汚染されていたものを輸出した可能性は少ないと、このように考えております。  いずれにいたしましても、我が国といたしましても、アジア地域で唯一のBSEの経験国であることを踏まえまして、OIE等を通じましてこれらの経験や知見をアジア諸国に提供するなど、本病の知識の普及や技術の啓発に、また国際貢献を行っているところでありまして、今後とも積極的に貢献してまいりたいと、このように考えております。
  159. 郡司彰

    郡司彰君 アジアは検査体制がほとんど取られていないところが多いんですね。それは財政的な問題もあるかもしれませんし、そのようなところに対して日本から何か手当てといいますか、支援といいますか、そんなことは行っておりますか。
  160. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  我が国から国際獣疫事務局、OIEと言われておりますが、ここの国際機関に拠出金をいたしておりまして、その中でBSEの知識の普及あるいは技術者の育成ということで、このアジア地域の諸国に対しましてこのOIEの活動を通じて支援をしているところでございます。
  161. 郡司彰

    郡司彰君 亀井大臣、先ほど少ないと言いましたが、これは農水省の国会の中の答弁ですけれども、九〇年からだけで例えば血粉だけでも千四百六十七トンぐらいはアジアの方に出している。この額、数字が少ないか多いかということは別にして、そういう可能性がある。  日本はいろいろな意味での国際貢献もできるわけでありますから、このアジアのBSEの蔓延を防ぐということに対して、何か日本として積極的にやろうという考えを、お考えがありましたら。
  162. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほども御答弁申し上げましたが、OIEでの基準もありますし、さらには鳥インフルエンザの問題等々につきましても国際協力と、こういう面でいろいろその対応をしておるわけでありまして、これらの問題につきましても、どのような対応をするかと、これ国際的にいろいろ連携を取って対応してまいりたいと、このように思っております。
  163. 郡司彰

    郡司彰君 問題は、そのときの教訓が今後とも生かされているのかということが大事なんでありますけれども、コイヘルペスあるいは鳥インフルエンザ、その後続いております。現在は埋却という形を取っていると思うんですが、これはいつごろ、日本の中の危機管理、そういうことが起こったときには埋却をするんだよということが決められたんですか。
  164. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 鳥インフルエンザの場合のこの死体の、あるいは汚染物品の処理の仕方でございますけれども、これは家畜伝染病予防法、それから高病原性鳥インフルエンザの防疫マニュアルに従いまして焼却又は埋却をするということになっております。  したがいまして、病原、高病原性鳥インフルエンザのマニュアルにつきましては昨年の九月に制定をいたしております。それに沿って今やっているということでございます。
  165. 郡司彰

    郡司彰君 平成十二年の口蹄疫の教訓からそのようになっているということでいいんですか。
  166. 中川坦

    政府参考人中川坦君) きちっとしたそれまでの、今先生おっしゃいましたように、BSEの教訓も含めて、きちっとしたマニュアルをあらかじめ作っておいて、いざその病気が発生したときに適切な初動の態勢ができるようにということで、いろいろな疾病につきまして防疫マニュアルを作っているところでございます。
  167. 郡司彰

    郡司彰君 廃棄物処理法との関係もあろうかと思いますし、これ安全だというような評価、どのような形でなさっているんでしょうか、発表してください。
  168. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  処理の方法につきましては焼却又は埋却ということでありますけれども、そのどちらを選ぶかにつきましては、発生の状況、あるいは周辺の環境、それから焼却施設が近くにあるかどうかといったそういった事情を考慮しまして、できるだけ早く、しかもまた病原体の散逸を確実に防ぐという、そういう視点から具体的に選択をしているということであります。  御承知のように、京都では今埋却ということでやっておりますけれども、これは非常に量が多いということ、しかも近くには焼却の施設がないということでこの方法を取っているわけでございます。  それから、廃棄物処理及び清掃に関する法律との関係でございますけれども、これは家畜伝染病予防法に基づいて適切に処理するということが優先をするということになってございます。
  169. 郡司彰

    郡司彰君 処理法の方は行政の検査が義務付けられておりますが、家畜予防伝染病の方は、三年間掘るなということだけですか。
  170. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答えを申し上げます。  具体的な埋却の処理の方法につきましては、これはマニュアルにも書いてございますけれども、地質ですとか地下水あるいは水源等の関係などにつきまして公衆衛生当局と十分協議をすると。それから具体的なその溝の掘り方も、四メートルないし五メートル掘って、それから死体を埋めまして、その後に、失礼しました、その前に、まずビニールシートを敷いたりしてしみ出さないような処置もしますし、それから石灰をまくというふうな手だてもいたします。その上で死体を埋めまして、それからビニールシートでオーバーラップをして、その上に覆土として二メートル以上きちっとした土をかぶせると。そういった手だてをして安全性にも十分確保し、また環境汚染のことも十分考慮して適切に埋却をしているところであります。
  171. 郡司彰

    郡司彰君 総理にお尋ねをしたいと思いますが、武部大臣、私、個人的には大変好きな方でありますが、辞めさせろという話をした。武部大臣は、行政には構造的な問題があるという話をして、それを直すんだと、総理も、だから辞めさせないんだという話がありましたが、今回の鳥インフルエンザとかあるいはコイヘルペスのことをかんがみて、そのときに思いに至った行政の構造的な欠陥、正されていますか。
  172. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 武部大臣の在任中にBSEが発生し、多くの皆さんから辞めさせろ辞めさせろという声が起こりましたが、私は、武部大臣はしっかりした対応をしているから辞めさせる必要ないと、今後の対応をきちんとやるということで非常に努力され、懸命にやってきたことに対して私は評価しております。そういうことから、今やBSEに対しましては世界で最も厳しい検査体制を確立することができたと、こういうことに対しては、むしろ日本は厳し過ぎるじゃないかという声が出ているくらいであります。  今いろいろ、鳥のインフルエンザ問題出ておりますが、今後、こういう問題に対しましても、何が不十分なのか、どういう点が反省すべきか、よく御指摘等を踏まえまして、今後、食の安全に対してしっかりした対応をしていかなきゃならないと思っております。
  173. 郡司彰

    郡司彰君 総理、重ねてでありますけれども、食べ物の関係だけではなくて、感染症そのものが人類との闘いのような様相を世界じゅうで呈しておりますけれども、国の中に、政府の中に、一つ一つ個別の対策をするんではなくて、感染症に立ち向かうというような形のものを作る、それから国際的にもそういうものを作って有機的な連携を取りながらというようなこともできようかと思うんですが、そのようなことで日本はリーダーシップを取るような形を取れませんでしょうか。
  174. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 感染症につきましては、厚生労働省の方も昨年十月でございましたが見直しを行ったところでございますが、確かに御指摘をいただきますように、最近、この感染症、それは人間だけではなくて動物にいたしましても非常に多くなってまいりまして、そして人畜共通のものもこれ存在をするわけでございますから、現在の厚生労働省がやっておりますことと、それから農林水産省、これはよく連携を密にしてやっていかなければいけないというふうに思っております。  一つのものを作るかどうかということは、これはまあいろいろの各面から検討しなきゃなりませんけれども一つのものであるかのごとく機能的によく連携をしてやっていかなきゃならないということは御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、そのとおりにやりたいと思っております。
  175. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。福山哲郎君。
  176. 福山哲郎

    福山哲郎君 民主党新緑風会福山でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  私も片道方式ですので、余り私がお話しせずにお答えをいただきたいと思います。  地元京都で先月末に鳥インフルエンザの問題が発生をいたしました。わずか五キロしか離れていない高田農場というところで二次感染があり、またカラスにまで感染が広がっていると。さらには、残念なことに、浅田農産の会長が昨日自殺をするという大変不幸なこともございました。全国の国民や養鶏農家の皆さん、それから食鳥肉、外食産業、いろんな国民の皆さんが不安に思っていると思います。  そんなさなか、三月の三日に亀井農水大臣におかれましては早速現地にお入りをいただいて状況を見ていただきました。心から御礼を申し上げたいというふうに思います。また、石破防衛庁長官におかれましては、昨日、おとといと七百人にも上るような自衛隊皆さんの派遣をいただきまして、京都府並びに周辺市町村もみんな本当に喜んでおります。  今日は、大変重要な問題ですので、与野党関係なく建設的に議論をしていきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。  まず、現状見られている状況、それから現状の認識について亀井農水大臣、お答えいただけますか。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
  177. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) お答えいたします。  京都の発生につきまして、特に京都知事さんを始め、また丹波の町長さん始め、地元の皆さん方、大変な御努力をちょうだいしておりますことに心から感謝を申し上げる次第でございます。あわせて、自衛隊関係皆さんの強力な御支援をいただいておりますことを併せてお礼を申し上げる次第でございます。  あのところに参りまして、二十万と言われたのを、二十五万くらいの養鶏農場であるわけであります。そういう中で、非常に臭気とそして悲惨な状況の中で、今、特に防疫マニュアルを作りまして、山口県、大分県につきましてはあらかじめそのマニュアルに従いまして通報が適切に行われたと、こういう中で処理ができたわけでありますが、京都におきましてはその通報が遅れたと、こういうことで初動の防疫措置ができなかったわけでありまして、そういう面で、またさらには感染鶏が兵庫県に持ち込まれるなど影響が大きくなったり、極めて遺憾に思っておるわけであります。  そういう中で、あの措置につきましては、本当に完全に防止をする、消毒をして入るわけでありまして、関係皆さんの並々ならない御尽力にただただ私は本当に感謝を申し上げるような次第でございまして、一日も早くこれらの、大変な努力を必要とするわけでありますが、この防疫が完了し清浄になりますことを今願っておるような次第であります。
  178. 福山哲郎

    福山哲郎君 あえてこの家畜伝染病予防法に基づく防疫マニュアルの妥当性についてお伺いをしたいと思います。  これはまず、基本的に善意の養鶏場がすぐに通報してくれることを前提に作られたのではないかということ、それから二つ目には、これは防疫マニュアルを見ますと、いわゆる患畜若しくは疑似患畜については一義的には家畜防疫員が決定をするということになっております。法にはすぐ知らせろと書いてありますが、患畜、疑似患畜の決定をするのは実は家畜防疫員というふうにマニュアルには書いてありまして、一義的に実は浅田農産の会長に法的な責任が及ばない可能性があるのではないかというふうに私は思っています。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  さらには、出ていますように、(資料提示)いわゆる半径三十キロ圏内の移動制限区域の養鶏場には全く実は法的な対応、補償措置がありません。これがかえって報告を遅らせたのではないかというふうに思います。  それから、各都道府県に対する、山口、大分で出た後の通達を私何回も見ましたが、しっかりと立入りを、検査をしろとか、そういった強い通達という形ではない状況だったので、私はこの防疫マニュアルと家畜伝染予防法の不備というものがあったのではないかと思っておりまして、この点について、農水大臣、どう思われていますか。
  179. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現在、家畜伝染病予防法におきまして、早期の通報の促進、迅速な防疫対応策を図る観点から、まずいろいろの措置をいたしておるわけでありまして、特に昨年九月に防疫マニュアルを作りまして、さらには、これはアジアで発生したときでありまして、さらに韓国で発生をいたしまして、一月にまた山口県と、こういう例もありましたので、再三都道府県には通達を出しておるわけであります。  そういう面で、なかなかこの徹底ができなかったこと、これは大変残念でならないわけでありまして、大分県、そして山口県、大分県につきましては早期の通報と、こういうことで対応ができたわけでありまして、京都におきましては残念ながら通報が遅れたと、こういうことでこういう状況に至っておるわけでありまして、その後私も京都に参りまして、そしていろいろの、知事さん始め関係皆さんとお話もいたしまして、この今後の蔓延防止、先ほどのマニュアルの問題、こういう点の反省の中で、やはり早期発見、早期通報の、通報義務の明確化、あるいは立入検査の積極的な活用、行政の連携の緊密化を図るために一元的な情報連絡網の整備、地方農政局の活用、さらには移動制限命令に伴う問題への対処と、この本病の蔓延防止に全力を挙げる対応指示したところでありますし、さらには、三月四日には、違反に対し罰則が設けられている家畜伝染病予防法第五十二条に基づきます農場からの報告を毎週提出をしていただくと、こういう通報の義務を課すことにいたしたわけであります。さらに、各都道府県の主務部長を東京に招集をいたしまして、そしてこの徹底、そしてさらには、山口県、大分県での事例、こういうものも報告をしていただきまして、今、各県におきます養鶏業者との連携と、こういうものも努力をしておるところであります。
  180. 福山哲郎

    福山哲郎君 本当に何とぞよろしくお願いします。  浅田農産の会長が自殺をされました。事実が隠されることになりました。私は大変悪質だったとは思っておりますが、これはやっぱりすぐに動けない法の不備があったのではないかと思っています。こういった状況警察は想定できなかったのかどうか、お答えいただけますか。
  181. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) お答えいたします。  現在、京都府警察におきましては、本事案について法令に違反する事実があるかないか、事実関係について確認を行っているところでありますが、養鶏場関係者にありましてはまず蔓延防止のための防疫活動や、あるいは蔓延防止のための関係行政機関の事情聴取などを優先して行っているという状況がございましたので、会長夫妻からの事情聴取は行っておりませんでした。  一般的に、警察関係者から事情聴取を行う場合には、自殺のおそれ等の事情につきましても当然配意すべきものでありますけれども、本件にありましては、まだそうした事情も把握できない状況にあったものであります。  このたびの会長夫妻の自殺という事態は誠に痛ましいことではございますけれども、本件は国民に大きな不安を与えております事案でございますので、京都府警察におきまして、法令に違反する事実があれば、法と証拠に基づき厳正な対応がなされるものと信じております。
  182. 福山哲郎

    福山哲郎君 浅田会長が悪質で、通報が遅れたことに関しては私もそうだと思います。法的責任も問わなければいけないと思いますが、今全国の養鶏農家の方は何を思っているかというと、浅田農産の鶏が感染をしたことは過失があったわけではありません。つまり、全国どこの養鶏農場も自分のところがひょっとしたら感染するかもしれないという不安の中で今いるわけです。ですから、そういう状況の中で、先ほど言われた防疫マニュアルのもう一度見直しなり改正作業、法律の改正作業なりをとにかく急いでいただきたいと思います。  次に問題なのは、やっぱり消費者の不安でございます。これを取り除かなければいけませんが、例えば現状、農水大臣、鳥肉、卵等に対して消費者に不安が広がっていますが、テレビの前でこのことについての安全性について御答弁いただけますでしょうか。
  183. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) これまで海外におきましても鳥肉や卵を食べることによって人に感染をしたという事例はないよというわけであります。食肉処理場におきます検査等、厚生労働省と十分連携をして、安全性の問題に問題はないと、このことを国民の皆さん方に是非御理解をいただきたいと。  あわせて、地方農政局を通じまして、消費・安全部でいろいろなところに出向きまして、風評被害の問題、あるいはいろいろ鳥肉、そして卵につきましては今私申し上げたような安全性と、このことの周知のために努力をしておりますので、どうぞ国民の皆さん方もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  184. 福山哲郎

    福山哲郎君 食品安全委員会、もう少し詳しく御説明いただけますか。
  185. 梅津準士

    政府参考人(梅津準士君) 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、これまで海外においてまれに生きた鶏と密接に接触した人が呼吸器を通じて感染したと考えられる事例が報告されておりますけれども、鶏肉や鶏卵を介して人が経口感染することは考えにくいとされております。このことは世界的にも報告されておりません。  その理由につきましては、私ども、一月二十九日の食品安全委員会で、ウイルスの専門家である田代座長を招いてお話を伺ったわけでございますけれども、インフルエンザウイルスは酸に弱く胃酸で不活性化されるということと、万が一消化管に達したとしても、人の消化管の細胞にはウイルスを付着するためのレセプターが、人とは型が異なるということ、それから、ウイルスの増殖に関与する酵素が消化管に存在しないといったような幾つかの理由が挙げられております。御承知のように、WHOでも七十度で加熱すれば不活化するというふうにされております。  いずれにしましても、食品を食べることで人に感染した例は世界的にも報告されておりませんことから、鶏肉、鶏卵を介して人が経口感染することは考えにくいというのが専門家の知見でございます。
  186. 福山哲郎

    福山哲郎君 その割には、食品安全委員会のところで見ますと、加熱すれば大丈夫と言っている反面、自主回収の指示を出しています。大津では、学校給食や、卵、鶏肉を見合わせているようなところがあります。このことについては食品安全委員会としてはどのようにお考えでしょうか。
  187. 梅津準士

    政府参考人(梅津準士君) 現在、この鳥インフルエンザに関して、回収されておりますのは、公衆衛生あるいは食品安全上の措置としてではなく、いわゆる家畜伝染病予防法に基づく措置、すなわち家畜防疫の、蔓延を防止するという観点から、いわゆるウイルスを媒介する可能性のある汚染物品の拡大を防止するという観点から行われておるものと承知しておりまして、現在、政府対策本部においてもそのことを議論しておりますけれども、公衆衛生ないし食品衛生の観点から回収を必要とするものではないというのが科学的知見でございます。
  188. 福山哲郎

    福山哲郎君 例えば、卵の場合にはGPセンターで洗浄することによってウイルスが除去されると私は聞いているんですが、農水大臣若しくは食品安全委員会、事実をお答えいただけますか。
  189. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 中川消費・安全局長。おい、早く出ろ。
  190. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  基本的にGPセンターで処理をしますと卵の殻の表面に付いているものは清浄化されるというふうに理解をしておりますが、一部の科学的な研究者の知見でありますけれども、卵の中に入っている例もあるというふうに聞いております。ですから、完全かどうかという点につきましては少し精査をする必要があるかというふうに思います。
  191. 福山哲郎

    福山哲郎君 安心なのか不安なのか全然分からないんですけれども、そこはっきりしてもらわないと国民の不安は広がるだけで、でも、そこで、中に入っていても加熱をすれば大丈夫だとさっき言っていたわけですから、そこはっきりしていただけますか。
  192. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 私が申し上げたのは、家畜の防疫上の視点から申し上げたので、人が食べる場合の話ではございません。あの農水……
  193. 福山哲郎

    福山哲郎君 人が食べる場合の話を今していたんじゃないか。
  194. 中川坦

    政府参考人中川坦君) いえ、そこのところは言葉が足らなかった。それはおわびを申し上げます。
  195. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう一度答弁をしてもらいたい。
  196. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 局長、もう一度答弁。はっきり最初から。言い直さないで。
  197. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 食品としての卵の安全性という点につきましては、これは問題はございません。私どもがやっているのは家畜防疫上の措置ということでございます。
  198. 福山哲郎

    福山哲郎君 食品の安全性の議論を今しているんじゃないですか。農水大臣、どうですか、今の話は。
  199. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほど申し上げましたとおり、鶏肉並びに鶏卵、卵につきましては、これを消費者の皆さん方お食べいただくにつきましては、先ほど食品安全委員会からも答弁ありましたとおり、安全で、人に感染する例は世界的にないわけでありますので、是非御理解をいただきたいと思います。
  200. 福山哲郎

    福山哲郎君 少し具体的なお話にします。  今、浅田農場並びに高田農場、ともに防疫体制を作りつつあります。先ほど申し上げたように、不眠不休で京都府庁も頑張っておられますし、各市町村からも人を出していただいていますし、自衛隊の方も来ていただいています。そんな状況の中で、防疫体制は一体いつでき上がるという見込みでいるのか、お答えください。
  201. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  京都の事例につきましては、自衛隊、それから近隣の町や市の方からの支援を得ながら防疫措置が今進められております。鶏の淘汰につきましてはもう終了したところでありまして、現在はその殺処分された鶏の埋却作業が行われているというふうに承知をしております。  防疫対策としましては、この鶏を埋めるという作業と併せまして鶏ふんの処理がございます。こちらの方が大変苦慮しているところでありまして、具体的にどういう方法でやるのが一番早くできるかと、処理できるかというところにつきまして今京都府と細部の詰めをいたしております。ここのところがまだ少し細部の詰めが残っておりまして、今、いつ防疫対応が完了するかというめどを今ここで申し上げるまでには至っておりません。その点、御理解いただきたいと思います。
  202. 福山哲郎

    福山哲郎君 半径三十キロ以内の養鶏場は、突然自分のところが出荷できなくなっています。そして、鶏ふんもたまります。防疫体制ができてから二十一日後に三十キロ圏内が解除されるということで、一体いつ防疫体制ができるのかということのめどぐらいは分からないと、本当に悲鳴が上がっています。  どの程度で防疫体制ができるという、お持ちなのか、めどでもいいのでお答えいただけますか。
  203. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 最大限今努力をしておるところでありますが、めどということですのであえて申し上げますと、三月の半ば、十六日前後というふうに私ども承知をしております。それに向けて最大限今現場でも頑張っておりますし、私どももできるだけ支援については最大限の努力をさせていただきたいと思います。
  204. 福山哲郎

    福山哲郎君 具体的に日にちを言っていただいてありがとうございます。それが多少ずれるとはしても、それは防疫体制をしっかりしなければいけませんから仕方ないとしても、そこから二十一日後に解除になるという話になると約四十日になります。  実は私も養鶏場を幾つか歩いてまいりました。例えば、ある二万羽飼っている養鶏場は、売上げが六百万円、費用が六百万円。売上げがゼロになりました。人件費は多少減りますが、鳥に対するえさ代は月三百五十万円掛かり続けています。卵は一日一トン増え続けています。倉庫の保管は二週間分しかありません。こういったところがもう本当にみんな悲鳴を上げています。別のところも、平均売上げが四百四十万、売上げゼロ、えさ代が月百五十万掛かって、一日二百五十キロの卵が保管をしなければいけないけれどももう置く場所がないというような状況になっています。  そんな状況の中で、先ほど言われました、まず当該浅田農産の鶏ふんの処理については今どのようにお考えでしょうか。
  205. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 浅田農産につきましては、発生農場となりますので、ここの鶏ふんは汚染物品ということになります。したがいまして、この病原体が散逸しないように安全な方法で処理するということが必要であります。さっき申しましたように、ここのところの処理が一番難しくて今現地で苦慮しているわけですが、私ども今考えている方法は、これを発酵させまして、発酵しますとある程度の温度になります。そうしますとウイルスが死滅をするということで、この発酵によって安全に処理するのが一番いいのではないかということで検討しているところでございます。
  206. 福山哲郎

    福山哲郎君 それは、大体京都府ともある程度のすり合わせをした上で発酵作業でいこうということですか。
  207. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 京都府の方とも協議をしながら、今細部のところを詰めているところでございます。
  208. 福山哲郎

    福山哲郎君 そのときに、大体四十日間で解除されるとしたときに、京都府の三十キロ圏内の養鶏農家が売上げも減少することに対する価値の減少の評価額はどのぐらいに見積もっておられますでしょうか。
  209. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現時点で価値の減少額を、そのものを申し上げるのはなかなか難しいんでございますが、三十キロ圏内の養鶏農家のその飼養羽数、鳥の数、それから産卵の率等を基にしまして、この地域の卵の産出額、四十日間として仮に試算をいたしますと約四億円程度ではないかというふうに思っております。これが産出額ですから、これがどれぐらい価格等で影響出てくるかということでございます。そこのところについては私どもまだ具体的な数字を持ち合わせておりません。
  210. 福山哲郎

    福山哲郎君 ついでに、保管、廃棄の経費、それから防疫体制構築のための経費等も含めてお答えいただけますか。
  211. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  先ほどの数字を基礎にして輸送とか保管とかの経費について試算をいたしますと、約その部分が一千万程度ではないかというふうに思われます。  それから、防疫対応に要する経費でありますが、現地の実態といたしまして、現地対応として、現地におきましては取りあえず当初の防疫対応に言わば忙殺をされておりまして、具体的な薬品の費用ですとかあるいは埋却の費用そのものを積算する状況にまでまだ至っていないのが実態であります。これも、初動の防疫対応が終わりましたところで至急データの確認をしたいというふうに思います。
  212. 福山哲郎

    福山哲郎君 さっき一千万円と言われたのは、周辺の三十キロ圏内の農家にたまっている卵とか鶏ふんとかの処理も含めて一千万程度ですか。
  213. 中川坦

    政府参考人中川坦君) ここに、先ほど申し上げました数字は保管費と輸送費、これはどこまで運ぶかというような点になりますとまた一定の仮定を置かなければなりません。山口県の例など参考にしての概算ということで申し上げました。
  214. 福山哲郎

    福山哲郎君 実は、半径三十キロ内の養鶏場はもう今既にたまってきていまして、三月の十六日から二十一日後まで実は待てません。これ移動が停止になっていますが、これはもうどんどんあふれて、逆に言うと、川に鶏ふん流さなきゃしようがないような状況も出てきています。  この移動停止期間にたまっている卵や鶏ふんなりを何とかこの移動停止期間に処理をしたいという希望が非常に多いんですが、このことについてどのように考えておられますか。
  215. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 移動制限区域内の鶏ふんの処理でありますけれども一つは、先ほどちょっと申し上げましたが、発酵させることによって、発酵鶏ふんという形でありますとこれは安全だということが分かっております。家きん疾病小委員会の先生方の意見も聞いて、この発酵した形でやっていただければ移動制限区域内にも出す方向で今検討いたしております。
  216. 福山哲郎

    福山哲郎君 卵。
  217. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 失礼しました。  それから、卵につきましても、その保管場所をきちっと特定をして、しかも、ほかのものと混じらないように必ずシールをして、そういう一定の措置が確認できるのであれば、移動制限区域内、外について、移動することについても今至急検討したいというふうに思っております。
  218. 福山哲郎

    福山哲郎君 環境省にお伺いしたいんですが、これ、先ほどから七十度で燃やせば一番安全だという話がありまして、鶏ふんにしても卵の後の処理にしても、近くにある焼却場に、防疫体制をしっかりして、防疫員がしっかり出ないようにして運んで、そこで燃やすのが一番早いというふうに私は思っているんですが、環境省はどのような見解でしょうか。
  219. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) お答えいたします。  一般的に廃棄物焼却施設、およそ八百五十度以上で焼却をいたします。したがって、容量があれば技術的に燃やすことは特に問題ないと思います。
  220. 福山哲郎

    福山哲郎君 その移動制限圏内で防疫体制を確保しながら、その焼却場へ持っていくというのは技術的に可能ですか。
  221. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 基本的には、家畜伝染病予防法に基づいて移動などの対策を取っていただくわけでございます。ただ、実際に、その伝染性の様々なものについても運搬が行われております。それについてはしかるべき消毒などが行われれば可能だと考えます。
  222. 福山哲郎

    福山哲郎君 先ほど言われました、発酵させることも重要ですし、保管で取りあえず移動することも重要なんですが、たまる一方ですから、今、環境省さんが言われたように県内の焼却場へ何とか持っていって、防疫体制を持っていって、そこで焼却をするというのが多分一番安全で早くて養鶏農場の不安を取り除く方法だと思いますので、これは農水省と環境省で京都府も交えて御検討いただけませんでしょうか。
  223. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現実に今、殺処分等蔓延防止、このことに集中しておるわけでありまして、今委員指摘の卵並びに鶏ふん等々の問題は十分関係省庁とも連携をして、また京都府の御意見も十分伺って対応してまいりたいと、このように思っております。
  224. 福山哲郎

    福山哲郎君 よろしくお願いします。  それでは、補償等について検討されると亀井農水大臣、何回も委員会で前向きにお答えいただいているんですが、どんなスキームでやる、やられるおつもりで今いらっしゃるのか、お答えいただけますか。
  225. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 一つは、この家畜伝染病予防法におきましては、早期の通報の促進、こういう面で迅速な防疫対応等を図る観点から、発生農家に対しましてはもう国が手当金を支払うと。  しかし、移動制限に伴う経済的損失につきましては、一時的な制限と、こういうことで、先ほど来お話の移動制限内の関係者につきましては、現在補償の仕組みが設けられていないわけであります。しかし、これらの問題につきましては、先ほどのお話の鶏卵並びに輸送等々、これ山口県の例を基本として考えてまいりたいと、こう思っております。  そのほかのことにつきましては、今いろいろどう対応するかと。今日まで、移動制限命令の対象となる農家への助成の仕組みにつきましてはケース・バイ・ケースと、こういうことで来たわけでありますが、蔓延防止の徹底を図ると、こういう点から制度化と。こういう面で、今スピード感を持って対応するように今進めているところであります。
  226. 福山哲郎

    福山哲郎君 いつごろをめどでございますか。  つまり、全国の養鶏農場、農家が今不安に思っています。つまり、これをはっきりと政治的なメッセージとして出していただくことによって早期の通報も行われる可能性が高まりますし、ここは検討しますとかではなくて、いつぐらいまでにやられるおつもりなのか、是非明言をいただきたいと思います。
  227. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) いつということはなかなか難しい点がありまして、まず一つは、是非全国の皆さん方も、山口県、大分県の対応、これを基本に考えると。こういうことで、養鶏業界の皆さん方にもお話もしておるところでもございますし、いろいろ先ほど来御指摘のように、鶏ふんの問題、あるいは卵の、毎日これ産卵するわけでありますので、その対応等々、場所にもよりますし、複雑な問題もございますので、いつということは、申し上げればよろしいわけですが、十分そのことを踏まえて対応してまいりたいと、こう思っております。
  228. 福山哲郎

    福山哲郎君 実は、新たな制度を作ることは重要だと私は思います。しかし今、火事で言えば火が燃え上がっているときに、まずきっちりやることも重要で、その後、次の段階として新たな制度を作っていただくというのは重要なんですが、そこをごっちゃにして、検討している検討していると言うのは、ただ単に不安が広がるばかりだと思うんですが。  ちなみにお伺いをします。財務省、平成十五年度の予備費は幾ら残っていますか。
  229. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) まず財務大臣としてお答えする前に、私も福山さんと同じ京都府選出の者として、まず亀井農水大臣に早速入っていただきましたし、いろんな方が不眠不休で問題解決のために当たっていただいているのを大変有り難く思っております。特に、福山さんおっしゃいましたように、自衛隊が出ていただいて埋却処分を速やかにやっていただいた、私も心から、三十キロ以内に住む人間の一人としてお礼を申し上げたいと思っております。  その上で、今お問い合わせの答えでございますが、平成十五年度一般会計予算における予備費につきましては、予算額、補正後二千五百億円でございますが、現時点での使用額は千百九十八億円でございまして、残額は千三百二億円となっております。
  230. 福山哲郎

    福山哲郎君 先ほど農水大臣が山口、大分の例をと言いましたが、山口、大分は畜産事業振興の名目で出しているんですね。私はこの問題はもう危機管理の問題だというふうに思っておりまして、その山口、大分のスキームではないスキームを作らなければいけないと思っているのと、今、今年度の予備費が千三百二億円残っていると。これ、総理、政治決断なんですよ。さっき幾ら例えば掛かるかといったら、四億円なんですね、補償額は。いろんなことを考えたら多分十億かそこらでは終わるんですね。  これは、総理、政治決断でそれでまずは出すんだと、その後しっかりとした補償は、制度は作るんだということを総理が決めれば、これ予備費からすぐ出るんです。これ、総理、決断をいただけませんか。
  231. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 総理大臣として、どの額から出すということじゃなくて、やるべきことはやる、必要な額は出す、これが私は大事だと思っております。
  232. 福山哲郎

    福山哲郎君 じゃ、総理、いつまでにやっていただいて、出していただけるんでしょうか。
  233. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、各担当大臣が答弁していますように、できるだけ早く対応しなきゃならないと、そのために必要なことはやると、必要な額は出すと。
  234. 福山哲郎

    福山哲郎君 各担当大臣に聞いたらいま一つ具体的なことが出なかったから総理に私は聞いているんです。
  235. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 最も詳しい各担当大臣が具体的な日時が出ないということに対して総理大臣が出せるわけないでしょう。これは具体的な日時が出ないからできるだけ早く、これが大事だと私は思っています。
  236. 福山哲郎

    福山哲郎君 先ほど申し上げたように、実際にもう損失は出ているんです。そこは感染しているわけではないのに、政府の施策の中で出さざるを、出ない状況で、売上げも損失が出ているんです。  大臣、もう一度お答えいただけますか、今の、もう少し具体的に。
  237. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 具体的に数字の問題等々もあるわけでありますし、緊急の融資の問題もあるわけでありますし、今日も、いわゆる移動制限外におきましても卵価の問題あるいは経営の問題と、また飼料等々かさむわけであります。そういう面での融資の問題につきましても今日発表をいたしましたし、また、その償還も一年というようなことでありましたが、これを三年にするというようなことをもう今日から、今日発表したわけでありまして、技術的ないろいろの問題がありますので、もう早急にやるということはもうそのつもり、とおりでありますが、やはりいろいろの量の問題、ふんの問題等々、なかなか実際、現場と申しますか、事務的にその対応というのはあるわけでありまして、もうできる限り早く対応したいと、こう思っております。
  238. 福山哲郎

    福山哲郎君 財務大臣、地元ですよね。予備費も残っていますよね。僕は、状況によっては災害対策基本法の特別交付金でもいいと思っているぐらいなんですね。つまり、これは危機管理の問題なんです。財務大臣、お答えいただけますか。
  239. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは、私は選出だからといって前のめりで答弁するわけにはこれはまいりませんで、まず農林水産大臣にどういう対応を立てていただくか御検討をいただくべきものだと思います。  私どもとしては、更なる蔓延防止を果たしていくためにはどうしたらいいか、これは亀井農水大臣とよく御相談させていただきたいと思っております。
  240. 福山哲郎

    福山哲郎君 大臣、そうしたらもう一つだけお願いしたいです。解除までにめどを立てて発表していただくような段取りではやっていただけませんでしょうか。
  241. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 解除までの問題と、これ清浄、第一次清浄と、こういうようないろいろ日程もあるわけでありますので、これ何とか早く清浄化できるような努力を今当面しておるわけであります。あわせて、補償の問題等々につきましても鋭意、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、対応してまいりたいと、こう思っております。
  242. 福山哲郎

    福山哲郎君 先ほど大臣お答えいただきましたが、じゃ、小売業者、中小企業者、養鶏農場に対するセーフティーネットの保証制度の導入についてお答えいただけますか。
  243. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の件に関して中小企業者等々が大変な厳しい状況にあるということに対して農林水産省の方から三日付けでいわゆる相談窓口とそれからセーフティーネット貸付けの御要請がございまして、既に一件セーフティーネット貸付けが昨日の段階で実行されております。  御指摘のセーフティーネット保証につきましては多少調べるのに時間が掛かるというふうに聞いておりますけれども農林水産省の方からセーフティーネット保証についても御要請があれば迅速に対応していきたいというふうに考えております。
  244. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、まだ農水省からセーフティーネット保証についての申入れはないということですね。
  245. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) お答え申し上げます。  セーフティーネット保証につきましては、いずれにしてもこれは発動につきまして必要な影響調査ということが必要でございます。私ども、ただいま経産大臣からもお話ございましたように、セーフティーネット貸付けの方は措置をいただいたわけでございますが、このセーフティーネット保証の発動につきましてはただいま申し上げました影響調査が必要でございますので、この準備をただいま進めているところでございます。
  246. 福山哲郎

    福山哲郎君 調査も始めていなくて、まだ準備をしている段階なんですか。
  247. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) 準備をいたしまして調査をいたすわけでございます。
  248. 福山哲郎

    福山哲郎君 いつ、済みません、調査は終わるんでしょうか。
  249. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) これにつきましては、一定の期間におけますやはり売上げの減とか、そういった一定の、何といいましょうか、客観的なやはり数値的な条件が必要でございますので、そういう点について調査をする必要があるというふうに考えている次第でございます。
  250. 福山哲郎

    福山哲郎君 私は、これは危機管理の問題だと申し上げました。つまり、役所が役所の手順を踏むことも重要かもしれませんけれども、その場その場の状況判断することが私は政治判断だと思っているんですが、農水大臣、いかがですか。
  251. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) やはりその保証の問題あるいは融資の問題等につきましては、こういう突発的なことでありますけれども、最低限やはり法に基づきます調査等々がなければそれは可能でないわけであります。いろいろの問題にスピードを持って対応をしてまいりたいと、こう思います。
  252. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう一つ、カラスに感染をしました。  実は、三月から四月には、タイとかインドネシアとかベトナムから関西地方にはツバメが渡ってきます。そのタイとかベトナムは、もちろん御案内のように鳥インフルエンザが発症したところでございます。  このカラスの駆除についてなんですが、現実にカラスの駆除は今、有害鳥獣対象として府が権限として決めることになっているんですが、これ、府でやれと言っても今無理なんです、全国の問題ですから。  これ、国として、この渡り鳥、カラスの問題についてはある一定の方向を出していただきたいと思うんですが、これについてお答えいただけますでしょうか。
  253. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) カラスについて今分かっている事実は、四羽死んでいるのが発見されて、二羽からウイルスが出たということであります。  今現在、先週から環境省が調査に入りまして、カラスを含めた野鳥の捕獲とウイルス保有の調査をしているところであります。その上で、カラスを捕獲することとこの感染が広がることの関係をその結果を見た上で判断したいと思いますが、一般的な鳥獣保護法の考え方からいって、一定地域の中でカラスのような種類の野鳥であれば法律的に捕獲を認める可能性はあると思います。  それから、その効果と妥当性の問題ですね。つまり、カラスは今ウイルスが発見されたわけですけれども、その当該地域で我々が調べただけでも十キロ圏内に約四十羽程度の野鳥が生育していることが確認されております。それらも含めて、ウイルス保有の実態調査がいずれ分かってまいりますので、それらを含めて次のステップ、つまり捕獲をするのか、その主体がだれであるのかについては考えてまいりたいと思います。
  254. 福山哲郎

    福山哲郎君 今、四十羽と言われたんですけれども、四十羽ですか。
  255. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 失礼しました。四十羽ではなくて、四十種類の野鳥が確認されております。
  256. 福山哲郎

    福山哲郎君 この問題は結論が出ないと思いますが、国としての方向性を是非指し示していただきたいと思います。この鳥インフルエンザの問題、まだ多々問題がございます。是非これからも、委員会等で政府の積極的な対応を心から、スピード感を持って、お願いをしたいと思います。  残り時間、済みません。今、北朝鮮への経済制裁をめぐって入港禁止、船舶の入港禁止法案が議員立法で与野党ともに議論をされています。そんなさなか、実はこんな法案が政府から出てまいりました。油濁損害賠償保障法というもので、これは一般船舶に対して、油濁損害、要は座礁したときに、保険を加入をしてないと入港させないという法案が出てきたんですが、我が国が百トン以上、百トン未満を含めてですね、我が国に入港している船のパーセンテージをお答えいただけますか。
  257. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) お答えいたします。  平成十四年一年間に我が国へ外国船舶が入ってきた入港回数を国土交通省で調べましたところ、百トン未満の外国船舶は延べ入港回数で全体の一・七%となっております。
  258. 福山哲郎

    福山哲郎君 百トン以上は。
  259. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 百トン以上は九八・三%でございます。
  260. 福山哲郎

    福山哲郎君 そのうちの保険の未加入はどのぐらいですか。
  261. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 保険に入っていない率というのは二七%、約二七%でございます。
  262. 福山哲郎

    福山哲郎君 その保険に入っていない率の中で一番保険に入っていない国はどこですか。
  263. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 一番低いのは北朝鮮でございまして、保険加入率は二・八%でございます。
  264. 福山哲郎

    福山哲郎君 そうすると、北朝鮮の船は九七・二%がこの法案の対象になるということですね。
  265. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 保険に入らない今の状態であれば、そういうことでございます。
  266. 福山哲郎

    福山哲郎君 そうすると、自動的に入港できないということになりますね。
  267. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) はい、そのとおりでございます。保険に入ってない場合には入れないということになります。
  268. 福山哲郎

    福山哲郎君 私、不思議なんですが、今、経済制裁をするとかしないとか言っている中で、北朝鮮の約九七%に及ぶ船が入れない。保険が未加入で入れないという法案を実は国土交通省は作っています。これは、経済制裁ではないかもしれないけれども、実質的には入れなくなります。  これ、片方では入港禁止だ入港禁止だと言いながら、片方では国土交通省はこういう法案を出してこようとしていると。これは、外務大臣、御存じでしたか。
  269. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) そのような法律があることは存じております。
  270. 福山哲郎

    福山哲郎君 えっ。
  271. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) そのような法律があるということは存じております。
  272. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福山君、もう時間ですから、はい。
  273. 福山哲郎

    福山哲郎君 これは、はい、実質的に、けれども、これは北朝鮮の船舶を入港させない法律だと私は思っているんですが、要は、私は経済制裁の是非を問うているのではありません。実際に与野党間でこういう議論がされているときに、国土交通省から実態としてこういった入れなくなるような法案が出ていることに対して、総理はどのようにお考えですか。
  274. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 石原国土交通大臣、簡潔に。もう時間来ています。
  275. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 簡潔に答弁を申し上げます。  これは目的が全く違うものでございます。
  276. 福山哲郎

    福山哲郎君 終わります。
  277. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で山本孝史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  278. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、矢野哲朗君の質疑を行います。矢野哲朗君。
  279. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 自由民主党矢野哲朗でございます。  総理を始め閣僚におかれましては、衆議院予算が終わる間もなく参議院の予算ということで大変御苦労かもしれませんけれども、参議院としては今日がスタートでありますので、ひとつ明快な御答弁を期待して質疑に入らせていただきたいと思います。  私、外務大臣の当時、担当したヨーロッパ、アジア、アフリカ、オセアニア、それらの諸国、特に発展途上国を中心として延べ四十一か国を回らせていただきました。それぞれの国々でやはり日本に対する経済協力の期待感、相当大きいものを感じました。加えまして、国際場裏における日本の指導力、そのことについても大変熱いものを感じたわけでもあります。先達の努力のかいありまして、今日、経済活動ばかりではなくて治安、安全保障においても一緒にやっていこうというふうな協力体制、なおかつ、社会、文化においても相当相互理解が深化した等々、私は幅広い分野で多くの国々と信頼関係が、力強い信頼関係が構築された今日だと、こう強く感じてまいりました。  地道な外交努力、そしてそういった背景を基に、「プロジェクトX」ですか、あれに見られるような大変、日本人固有な企業マインドが相手伝い、そして積極的な企業活動の結果、私は、日本日本で買う地図でありますから日本がど真ん中にありますけれども、欧米で買う地図は本当にファーイーストの、端っこにある小ちゃな日本であります。日本の国土三十八万平方キロメートル、世界の陸地から申し上げると〇・四%以下。人口も一億二千万、一・七%にすぎないその日本が、やはりやせても枯れても世界第二位の生産を確保する、世界第二位の大国だと、このことを改めて認識させていただいたわけであります。  でありますから、一方では、決して本音はそうではないと思うんでありますけれども、ややもすると自虐的な発想が、好む場合もあります。日本人としての誇りと自信を失い、そして閉塞感が漂う日々の暮らしが続いたこの何年かだったとも思います。確かに経済も厳しい、社会保障どうするんだ、そして治安の問題、教育の問題、我々を取り巻く現在の社会は大変大きな問題が山積していることも事実であります。  与党として真っ正面からそれらの問題に取り組んで、現下の状況下、できる限りの結果を出すべく最大限の努力をしなければいけない、これは使命だと思います。と同時に、私は、世界的な視野に立って、今、日本が世界の安定、平和のために何をなすべきか、何をすべきか、正にこのことを問われておりますし、このことに積極的に取り組んでいかなければ日本としての国際社会の責任が全うでき得ない、こういうことに相なろうと思います。  そこで、この一年、私は、小泉総理として、この巨大な日本丸をどのようにかじ取りをしていらっしゃるか、抱負を踏まえてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  280. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 矢野議員が外務大臣として各国を訪問し、日本との友好関係発展促進のために大変努力をいただいたということに対しましては、心から敬意を表しております。  日本として世界から高く評価されているというのは、単に私は、政府や今までの、敗戦後、廃墟の中から立ち上がった、そして見事に発展してきたということだけではなくて、その間、長年もう日本人の皆さんが世界各地に出ていって、現地の方々の高い評価を得ている。これが貴重な私は財産だと思っています。アフリカにおいても南米においても、今イラクにおいても、日本人が最も好感度が高い国の一つだと。それは、長年にわたる、日本人なら信用できる、日本企業ならいい製品を出している、使ってみたい、こういう日本人自身に対する信頼を得ているのは、一人一人の国民が多くの国々に出ていってその国のために自らの持てる能力を発揮しようと努力しているたまものだと思います。この日本人なら信頼できるということが、日本国だったらば何かやってくれるんではないかという期待につながっているんだと思います。  そういう意味において、これまで培ってきたこの貴重な、日本人は信用できる、日本の国は戦争を起こさない、軍事大国にならない、平和愛好国である、そして持てる力を世界の平和と安定のために発揮してくれるだろうというこの評価というものを日本政府として大事にしていかなきゃならないと思っています。  そういう中で、日本もようやく、敗戦後、援助を受ける立場から援助できるような立場に発展することができました。これからも世界の平和と安定の中に日本の安全と繁栄があるということを考えるならば、その世界の平和と安定のために日本が何ができるか、日本としてどのような責任を果たすかということを考えていくのが政府としても、政治としても極めて重要なことだと認識しております。
  281. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 総理のそういった意味での力強いリーダーシップを期待したいと思っています。  ところで、小泉総理、中小企業を活性化させるための施策の推進等、経済の再構築、金融破綻に対して国による資本注入等の金融構造改革、年金、医療、介護の社会保障改革、地域で責任を持つ三位一体の改革等々、改革なくして成長なしのスローガンを掲げて、固い信念を持ってこの改革に取り組んでおられます。具体的には、特殊法人の改革で一・四兆円の予算削減、また主要行の不良債権残高では、この半年でもって一五・五%の削減をした、また昨年の十月—十二月の景気動向では年間三・七%の経済成長を確保した等々、私は改革の成果が着実に上がっているものと考えております。  そこで、小泉総理から、この改革の成果、評価をひとつお聞きしたいと存じます。
  282. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 最近、経済指標を見ますと、予想を上回るいい成果が出ております。言わば明るい兆しが出てきたなと。まだまだ厳しい状況が続いておりますが、これも、改革なくして成長なしという改革路線を進めてきた効果がそろそろ出てきたのかなと。昨年の状況から考えましても、今ごろから昨年は補正予算の話が出てきたわけであります。国債発行、もっと出せ、十兆円じゃ足りない、二十兆、三十兆。専門家までが、百兆出せと言う人もいましたよ。今そういう声はぴたりとやんでおります。国債を発行すれば、増発すれば、また逆の副作用が出るという議論の方が最近出てきているぐらいであります。  そういうことから私は、この小泉内閣の改革路線は正しい選択だったなと、厳しい状況を乗り越えてくることができたと、この改革路線、金融、規制、税制、歳出、この改革路線を進めていくということが、これからの経済に明るい兆しを更に強く本物にしていくことだと思いまして、この方針を堅持して行財政改革始め各種の改革を進めていきたいと、そして成長を達成して日本の経済を力強いものにしていきたいと思っております。
  283. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  284. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。矢野哲朗君。
  285. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 午前中に引き続き、質疑を継続させていただきます。  午前中は、小泉総理の改革の成果が現れてきた、こういうふうな質問をさせていただきましたけれども、反面、地方にはまだまだ痛みを感じている方がたくさんいらっしゃいます。中小企業、そして年金改革における、若い人もそうなんでありますけれども、お年寄り、そして三位一体の改革における地方切捨ての心配のある自治体等々、それらの皆さんに、小泉総理、是非とも一緒に行こう、そんな勢いを是非、息吹を感じさせていただきたい。  総理の思いをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  286. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今のところ大企業を中心に業績が改善してまいりましたけれども、これがいずれ中小企業に、また地域に、地方に拡大していくと景気も本物になったということになってくると思います。そのような経済活性化に向けて、政府としては、今後より一層気を引き締めて地域再生あるいは中小企業支援、さらに特区構想、いろいろ連携しながら改革を進めていかなきゃならないと思います。  また、地域におきましては、この特区構想というのは、財政的支援を求めないで規制を改革することによってどのように国民の利便に供することができるか、地域の活性化に資するかという点から考えられたものであって、何でも中央政府から補助金をもらえばいいという時代じゃないということをよく認識した各市町村が手を挙げてきている。それを政府は順次認めてきておりますので、現に港の規制あるいは地域の公設の中学校なり幼稚園なり保育園なりを民間とともにやっていくというような点において順次いい影響が出ております。  さらに、観光振興の観点から、自分たちが、それぞれの商店街なり地域なりが、今の時代に合わせて、このままじゃ駄目だ、新しい挑戦意欲を持って取り組んでいこうと、観光の問題におきましても、日本人に来てもらうと同時に外国人にも来てもらうような方法を自らが考えようという意欲が出ている。人も大事であります。中央政府取組も大事であります。あわせて、中央政府がそういう意欲のある地域なり中小企業にどう支援体制を取っていくか、総合的に考えていく必要がある。  また、三位一体改革につきましても、やはり百年以上続いてきた制度を変えるわけですから、補助金にしても交付税にしても、今のままがいいという市町村が、三千三百近くあれば当然そういうところも出てきます。自分でやらせろと言いながら小さい規模じゃできない、かといって合併も嫌だ、どうしたらいいんだという、迷っているところもある。そういう点についていえば、今、麻生総務大臣が、この市町村の合併にしても三位一体の交付税の交付にしても、あるいは補助金についても、それぞれの地方によって違うからきめ細かい対応が必要だ、地域一律にやらない、取組方が違うんだから、そういう点は十分考えてやろうと細心の注意を払って地域との意見交換もしております。  こういう中で、不良債権処理に絡んで、矢野議員の地元の足利銀行、これが地域の経済に与える影響も大きい、そういう点で金融措置。あるいは、鬼怒川温泉も地域全体がこれは振興しなきゃならないんだけれども、どうも停滞ぎみだと。一泊一万円掛かっていたのを、九千円、八千円にしようと、そういう努力をすると、ほかの地域が同じことをやるとまた元のもくあみになっちゃうと。安ければいいってもんじゃないと。そういう難しい面があります。  そういう対応も地域によって違うから、こういう取組をやっぱりしっかり目配りしながらやっていかなきゃならないと。そして、日本全体が活気の出てくるような対策をこれからも気を引き締めてやっていきたいと思っております。
  287. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 小泉総理の総裁遊説等々のあの場面を思い出すと、本当に熱狂的な国民が総理に直接そういうふうな話を聞きたいと集まっていただきます。改革の機が熟した今日、今のお話等々、本当に国民の中に飛び込んで、総理自ら、自らの言葉で語り掛ける、多くの国民に理解を得られる一つの有効な手段だと思いますけれども、いかがですか。
  288. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 個別の企業を視察したり、あるいはこのような厳しい状況にもめげず頑張って努力している企業もあるし、あるいは時代の変化に付いていけない企業も多々あります。そういう中で、やっぱり現場を見るということは大事だなと思いまして、私も時間を見ては地域を回ることも大事かなと。  一月には、豊島の、廃棄物で非常に公害をもたらした豊島がこれからよみがえろうという現場を見たり、あるいは四国の讃岐うどんを、町内会の手尽くしの、心尽くしの讃岐うどんに舌鼓を打ちながら地域の取組方を拝見したり、これからも折を見て日本の各地域の頑張っているところを激励したり、あるいは私が行くことによって少しでも皆さんが意欲を持って立ち上がろうという気になってくれればいいなと思いますので、時間を見て各地域を回って地域再生に生かしていきたいと。また、観光振興、外国人旅行者倍増という、そういうことにもつなげていけるのではないかと思いまして、今後とも日本の地方の視察につきましては十分意を用いていきたいと思います。
  289. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 大変そういった意味では、小泉総理、支持率も上がってきたという昨今の情報もあります。それを十分活用していただきたい。  先般の総選挙でありますけれども、マニフェスト選挙、何で政権公約ではいけないのかなと私つくづく思ったんでありますけれども、振り返りますと、好調な財政の下に総花的な一つの公約をして、選挙後にややもすると一つ一つのチェックが見落としがあったかなと、こんなことを考えますと、謙虚に見直さなければいけない。  しかし、反面、今でこそ政権公約というふうな思いで実効性を担保しなければいけないと思うんです。小泉総理の七つの宣言、おおむね私は実行可能だと思うんでありますけれども、反面、憲法改正、教育基本法等、国家の基軸になるべく一つの政策がまだこれからだということであります。その決意のほどをお伺いしたいと存じます。
  290. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法改正につきましては、これは来年の秋、自由民主党結党五十周年を迎えます。その五十周年を節目として、今自由民主党内で、この来年秋を目指して党としての草案、改正案をまとめていこうという作業が既に始まっております。民主党も、二〇〇六年には民主党としての改正案をまとめるというような意向と聞いております。現に、憲法調査会、国会内におきましての憲法調査会におきましても、もう五年期間たちますから、論点取りまとめの作業に入ろうということも承知しております。各党各会派の方々が積極的に国会に創設されました憲法調査会で議論を述べて、真剣に議論をしておりますので、そういう機運というものが、やはりこれからの新しい時代にふさわしい憲法改正というものも必要かなという認識もだんだん深まってきたと思います。  しかし、憲法というものは非常に長年の経緯もあります。日本国民の最も基本的な問題でありますので、今後の国の在り方に関するものですから、多くの方々の意見を聞きながら党として案を出し、そして国民のいろんな議論を聞き、できれば与党のみならず野党第一党の賛成ぐらいは得て改正した方がいいんじゃないかと。しかも、三分の二の国会の議員の発議が必要ですから、与党だけでできるものじゃありません。そういう面で、幅広く各党の意見を聞くということも大事じゃないかと。  自民党だけでやれるものではないし、また私は自民党単独でやってもいいとは思いません。各党各派への協力を得て、国民のできるだけの共感を呼ぶような形で憲法改正できたらいいなと。その一つの大きな準備作業として来年の秋には自民党としての案を出す、それからで、私は本格的な憲法改正の動きが出てくるのではないかと、そう認識しております。  また、教育基本法につきましても、これは自由民主党、公明党、連立を組んでおりますから、与党との協議もしながら、国会の意見を踏まえて進めていきたいと思っております。
  291. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 外交についてお伺いをいたします。  中曽根総理、レーガン大統領、ロン・ヤスというような人間関係を構築されました。それ以来、本当に強いきずなを結ばれた私は小泉総理とブッシュ大統領の人間関係だと思います。  正に、外交、人間関係一つの基本だという思いでありますけれども、先般のイラク人道復興支援の積極的な取組、これを対米追従などというような批判をする方々もいるようでありますけれども、我が国の国益を勘案すると、安全保障、経済面において多くの利益を分かち合っている日米両国であります。様々な分野で協力することはむしろ当然だという思いでありました。  その人間関係を踏まえながら、日米関係の有様、総理の思いをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  292. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 批判する人はどのようにも言いますよ。各国とも協力が大事だと、協力がうまくいくと追随と言う。改革というと改革の名に値しないと言う。批判はどうでもできます。  最近、いろんな経済の問題におきましても、与党、野党の意見も、小泉内閣予算、経済対策、このままじゃますます悪くなっていくということを盛んに言われましたけれども、今年の予算審議じゃ全然そういう声を聞きませんね。批判される方は何でも言いますが、やっぱり結果的には今までの改革路線を堅持してきたのが良かったんじゃないか。  そのためにも、私は、外交を考えても、アメリカとの協力関係日本の外交の基軸です。アメリカとの協力関係がうまくなくて、よその国との関係うまくいこうとしても、私は無理があると思います。アメリカとの関係が良ければ良いほど他の国とも良くなる、これが私の基本的な考えです。アメリカとの関係を、悪くなった分を他の国で補おうということは現実的にできないと思います。日米関係がしっかりしていればしているほど他国との関係は良くなる、そういう視点が大事じゃないかと。  そういう観点から、各国、アメリカだけじゃなくて、アジアもASEANもEUもアフリカも南米も、全世界的な国際協調体制を築くのが大事じゃないかと思っております。
  293. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 確かに言われるとおりでありますけれども、日米関係が基軸だと。そのときに、ASEANの十か国、この方たちが日本と合い、利害を共有するというふうな体制を強固にするならば、より日米関係の重みというのは出てくると思うんですね。  常に総理は、ともに歩み、ともに進むという基本理念を発せられ、そして積極的、創造的なイニシアチブをASEANでも担っておられる総理であります。その辺での多面的な展開、正に、片や日米、そしてASEAN、我々が位置するアジアに多くの我々の味方が、我々の同志が存在するんだというふうな一つの構築が非常に重要だと思います。その点でのお考えをお聞きしたいと思います。
  294. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ASEAN諸国とは今まで良好な関係を保ってまいりましたし、これからも日本のASEAN重視政策は変わりません。  特に、昨年十二月には初めてASEAN諸国の全首脳が東京に集まって日本とASEAN特別首脳会議が開かれて、さらに毎月、一月から十二月までASEANと日本、それぞれの国が交流事業をお互いしてきた。関係者の努力によってこれは大成功に終わって、それぞれの交流も広がっている。  今後とも、今まで培ってきたASEANとの友好関係を大事にして、ともに歩む、ともに進むと。これから、ASEANも日本に期待していると。また、日本もASEAN諸国との交流、友好を大事にしている。さらには、中国、韓国と日本と、ASEANと日中韓、これは毎年定期的に行われております。さらに、FTAの問題もあります。  こういう点を考えますと、ASEAN重視政策、これについてはしっかりとこれからもその重視の基本姿勢を変えないで推進していくと。そういうことによって、日本としてはASEAN諸国との交流というのがますます深まって拡大していくのではないかと期待しております。
  295. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 川口外務大臣、二年間、就任されて二年間が経過するわけであります。私も仕えまして、大変御苦労が多々あった、ようやく外交に専念できるような体制が確立してきたかな、こんな思いをいたします。今日も赤いスーツを着ていらっしゃいますけれども、折々ファイティングスピリットを真っ正面に出されて努力されているお姿、多々あったように私は記憶に残っております。  二年間を振り返られて、なおかつその点を生かし、今後、外交展開にどういうふうに生かしていくか、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  296. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今日は予算委員会の初日でございますので、非常に重要な日でございます。それで、気合を自分自身に入れたいと思いまして赤い洋服を着てまいりました。  振り返ってみまして、私が外務大臣総理から任命をいただきましたときに、第一の課題は、外交の、外務省の改革であるというふうに総理が言われました。それで、霞が関を先駆ける、霞が関をリードする改革ということで、今外務省の職員の公募制にせよ、それから外部の、幹部の局長人事を含む幹部の外部からの登用にせよ、かなりの進展があったというふうに思っております。進展があっただけでは十分ではなく、継続は力なりということでございますので、今後、引き続き外務省の中で心を一つにして改革の姿勢を持ち続けていきたいというふうに思っております。  矢野先生とはずっと一緒に外交の仕事をやらせていただいたわけでございまして、その中で、矢野先生がASEAN、アフリカといったところを非常に大事になさって、日本に対するそういった国々の信頼を強固なものにするために大変な御努力をいただいたということから、私はかなりのことを教えていただきました。ありがとうございました。
  297. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 私は質問者ですから。
  298. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) はい。  それで、そういった幾つかのことにつきまして、改革をベースにいたしまして引き続きやっていかなければいけないと思っております。  人、金、知恵、そして情報、これが改革を今後進め、いい外交をやっていくための大事なツールといいますか、切り口であるというふうに思っております。  人という意味では、これは日本が国際に貢献をできる場を作り、このイラクにおける自衛隊もそうでございますし、それから、例えばいろいろな自衛隊がやっている平和維持活動、あるいは日本がもっと発言できるための場、国連改革とかそういうところもそうでございます。そういった人が活躍できる場を作っていく、そして発信をしていくということが大事だと思っています。  それから、金という意味では、これはODAを拡充する、そしてODAの改革を進めて透明性を高め、日本の国民に信頼されるODAにしていくということがもう一つあると思います。  それから、知恵という意味では、これは例えば軍縮ですとか、新たな分野について日本はかなり国際的な枠組みを作るための知恵を出してきております。これをやっていくということが大事であると思います。  情報、これについては特に申し上げることもありませんけれども、申し上げる必要もないと思いますが、情報を自ら作り、情報を国民に広く知らせ、そして世界に対して情報を発信していく、こういうことが外務省の改革の結果として、さらに外交の足腰を強くするという観点から必要なことでありまして、そういうことを引き続きやっていきたいと思っております。  外交の課題という意味では、これはもう矢野先生にいろいろやっていただいた、近隣の諸国、アジア外交、それから安全保障、我が国の平和と安全を守っていくための様々な枠組み作り、今の国際的な課題であるテロですとか大量破壊兵器ですとか、そういうことに対しての取組、これもいろいろな場でいろいろなことをやっているわけですけれども、そしてその一番今重要なことは、その最たる形として我が国の身近にある北朝鮮の問題にどのように対応していくか、そういったことを引き続き課題としながら、先ほど申し上げたような情報、人、金、そして知恵、これによって外交の足腰を強くしながら、我が国の国益になる、そして世界の平和と発展に貢献ができる、そういう外交をやっていきたいと、外務省職員一同そう思っております。
  299. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 金の使い方なんでありますけれども、あの不祥事から何か硬直してしまいましてね、非常にそういった意味では生かされた金が使われていないような感じが一部いたしております。もっと機動性ある一つの有効な資金の活用も十分検討いただきたいと思います。  先般、アナン事務総長が来日されました。私も感銘を受けました。小泉総理イラクへの人道復興支援に対する高い評価をいただいた。加えて、国連改革に言及されて、そして負担金の問題やら常任理事国の改革やら、それから職員の定数の、日本人の少ないことやら等々、自ら、敵国条項もありましたね、問題点を言及されて、改革しなければいけない、正にその機が到来したかのごとくの、私、演説を聞かせていただきました。  この点での今後の努力をお伺いしたいと思います。
  300. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) アナン事務総長は、日本の国際社会、特に国連との関連における今までの様々な活動を高く評価をしていただいて、たしか、世界の市民として非常にいい活動をしている日本というふうにおっしゃられたという記憶がございますけれども、そういった、基本的には日本が今までやってきたことを引き続ききちんとやっていくということが、矢野先生もおっしゃっていらっしゃる日本の信頼を国際社会において獲得をしていくということのために非常に重要であると思います。  より具体的に幾つかの動きが今国連をめぐってあるわけでして、一つ国連の改革でして、これは、アナン事務総長がハイレベル・パネルというのを作っていらっしゃいます。緒方貞子さんがそのメンバーになっていらっしゃいますけれども、私としても、このハイレベルのパネルにおいて国連の改革についていい知恵が出てくるということのために日本として貢献をすることが必要でございますので、外務大臣の懇談会という形で有識者の懇談会を作っておりまして、今いろいろな知恵を出してもらっております。そういったことをそのハイレベル・パネルに情報として伝えたいというふうに思っております。  それから、国際社会においての首脳レベルの国連改革についてのサミットということで、二〇〇五年にこれをやりましょうということでプロポーズを、提案をいたしております。日本として、常任理事国としてしかるべき立場にあって、更に活動をしていきたい、更に国際社会にかつ貢献をしていきたいと思っております。  敵国条項についても、全くこれは時代錯誤も甚だしいということでございます。国連が今の社会の在り方を反映をして、そして実効的に活動ができるように、そういった観点から国連改革にも貢献をしていきたいと思いますし、様々な形で国際活動に、国際協調に正当性を与えるのは国連ですから、そういう意味国連の諸活動に貢献をしていきたいというふうに思っております。
  301. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 是非、その赤い服を着て国連に乗り込んでいただきたいと思います。  北朝鮮に関連する質問をさせていただきます。  先般、中国の政府の努力の結果、第二回目の六か国協議が北京で開催されました。六月までに次回を開催する、そのために作業部会を設置しますということでありますけれども、核問題解決のために日本の立場として今後どのように取り組まれていくのか、御意見をお伺いしたいと存じます。
  302. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先日の六者会談においては一歩前進という評価をしております。ほかの国もおおむね同じような、ニュアンスの差はありますけれども、評価をしていると思います。今後、六月末までに次の六者会談を開くことと作業部会を作りましょうということで合意がございました。  それで今、その作業部会においてどのような内容のことを議論をしていくかということについて、その六者の間で合意を作っていくことが重要でございますので、我が国としてもその方向に向けての貢献をしていきたいというふうに考えております。先般、韓国の外務通商部長官日本においでになられたときにも、そういったことについてのお話もさせていただきました。そういったそれぞれの場での話合いをしながら、また、その日米韓の連携を強化しながら、中ロとも相談をしながら、作業部会をいい形でスタートをさせたい、できるだけ早くスタートをさせたいというふうに考えております。  それと、北朝鮮、核の問題についてはそういうことでございますし、それから日朝という二国間の枠組みではこの拉致の問題も進展をさせることが重要でございます。これについても、北朝鮮に対して日程を早く決めるようにという働き掛けをいろいろな場で、六者を中心に行いまして、そして、しかるべきルートで返事をするということを向こう側が言っておりますので、早く責任のある立場で返事を日本に送ってくるということが重要なことだろうと私は考えております。  すべての問題、包括的な解決ということで言っておりますので、連携を取りながら、そういった包括的な解決を目指して、それがこの地域の安全、平和につながっていくことでございますので、引き続き最大限の努力を重ねていきたいと考えております。
  303. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 包括的解決ということで、水面下でよっぽど我が国としては日朝と相対でもって拉致の問題についての解決を努力しなければいけない、こう考えております。  昨年の五月、国民大集会が開催されましたけれども、その翌日、私、拉致被害者の方々と初めてお会いすることができました。約一時間にわたっての意見交換でありますけれども、淡々とした意見のやり取りに、かえって私は胸を熱くした思いをいたしました。このことでもって、私は、外務省が今までのいろんな経過があったかもしれないけれども、やはりこの問題は外務省も真っ正面から取り組まなければいけないという一つの自覚を改めてさせていただきました。  なおかつ、私は、省を挙げてこの広く国際舞台に、この問題は世界が一つになって解決するんだと、国際世論を喚起すべき一つの事柄ではないのかなと。なおかつ、今いろんな、この間は外為法の一部改正の法案が成立をいたしました。と同時に、特定船舶の入港禁止についての議論もなされているところでありますけれども、当面、私は一日も早い八人の家族の帰還、そして十名の行方不明者の調査委員会の立ち上げ、この二点に絞って早急に答えを出さなければいけないなと、このことを強く今問題意識を持っております。  その点で具体的にどう取り組まれるか、お考えをお聞きしたいと思います。
  304. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 拉致の問題につきましては、矢野先生が副大臣のときに、先ほどおっしゃった様々な家族の方との交流あるいはお話合いに非常な力を注いでくださったその道を維持し、そして強化をしていくということでやっていきたいというふうに思っています。  それで、日朝の二国間の場では、これはおっしゃったように、今北朝鮮にいる家族の人たちの無条件の帰国ということが重要であります。重要というよりも必須でございます。  そして、その十名の方について、安否の分からない十名の方についての真相究明、これも申し入れているわけです。  それから、十名にとどまらず、今後拉致ということでその認定が警察庁の方で行われることがあれば、その方についても、もちろんそれを対象に加えていくということでございます。  これらについて、今おっしゃられたその合同委員会の設置ですとか、あるいはその調査項目、これは申し入れた調査、真相究明のための調査、これについての回答等を今求めているわけでございまして、先ほど申しましたように、北朝鮮がこれにこたえて責任のある態度を取ってくれるということが必要であるというふうに考えておりますし、また、おっしゃられたように、国際社会がこれについて日本の行動を理解し、支持をしということで、今やって、同じように考えてくれているわけでして、この国際社会の理解、支持、これをますます強いものにするために引き続き努力をしていきたいと考えております。
  305. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 今回のイラクへの自衛隊の派遣等々で国民は改めて自衛隊の評価を高めたことだと思います。つきましては、国の防衛という崇高な任務に就く自衛隊皆さんの心中を思いやると、当然省昇格の問題が出てくるわけであります。  石破防衛庁長官、防衛庁の省昇格でありますけれども、国家安全保障上どのような意義を持つから必要なんだろうと、また、これは今、閣法ではなくて議員提案というような展開でというような、手続でというような、考えていられるようでありますけれども、閣法で提出するお考えはないのかどうなのか、その辺も踏まえてお聞きしたいと存じます。
  306. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 防衛庁の省移行につきましてお尋ねがございました。  先生よく御案内のとおり、平成九年の十二月に行革会議最終報告がなされておりまして、これはそのときに政治の場において議論をするんだと、こういうような整理がなされております。私どもといたしましては、それに従うべきかというふうに考えておりますが、これ、旧来、旧保守党さんから法案が出ておりました。先般、自由民主党におきましてもこの防衛庁の省移行への法案というものを決定をしていただいたというふうに承っております。  おかげさまで、イラクへの自衛隊派遣も多くの国民の方が賛成をしていただけるようになりました。各地におきまして自衛隊員たちが命に従いまして黙々と働いておる。そして、これはもう委員にもよく御指摘をいただくことでありますが、事に臨んでは身の危険を顧みず身を挺して国民の負託にこたえる、その誓いを実際に黙々とやっておる、そういうような若者たちが日本にいる。そういうことに対する共感が広がってきたのはとても有り難いことだというふうに思っております。  で、防衛庁をなぜ省にしなければいけないか、私も大臣になります前、党の中でいろんな議論をさせていただきました。別に、防衛庁が防衛省ではなくて庁であるならば士気が低いのかと、そのような問題ではございません。防衛庁が庁のままであったとしても隊員たちは黙々と一生懸命努力をいたしております。士気が高いとか低いとか、そういう問題ではございません。  しかしながら、これ、防衛庁は内閣府というお役所がありまして、それの外局として位置付けられております。農林水産省というお役所があって水産庁や林野庁が外局であるように、財務省というお役所があって国税庁が外局であるように、内閣総理大臣を長といたします内閣府というお役所があって、その外局として防衛庁がある。防衛庁設置法において、その長は国務大臣をもってそれを充てるということになっておるわけでございます。  これは党内でも議論があったことでございますが、それでは国防という、委員指摘のように、そういうような任務を、これを外局にやらせてよいのだろうかという御議論がその本質であったように、私、記憶をいたしております。  同時に、これ、庁というのは訳しますとエージェンシーということになりますわけで、ディフェンスエージェンシーといいますと、厚い辞書を引きますとエージェンシーというのは代理店とこう出てまいりまして、その次には公社、公団とこう出てまいりまして、ジャパン・ディフェンスエージェンシーというと日本防衛公団かよと、こういう話になりまして、それはいかがなものかというような御指摘もありました。  私たちは、耳障りがどうとか士気がどうのとか、そういうことを申し上げておるわけではございません。国防というものを国家の中においてどう位置付けるのかということが党内における委員に御指導いただいた議論の中心ではなかったかというふうに考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、これは平成九年において政治の場で議論すべきことというふうに位置付けられました。  私どもとしては、それに従いまして、どのような名前でありましょうとも、私ども、きちんと任務を国民のために、世界のためにやってまいりますけれども、政治の場においてどうか御議論をいただきまして、防衛庁、省に相なるべくは移行させていただければこんなに有り難いことはないと、このように考えておる次第でございます。
  307. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 是非、推進していきたいと思いますので、一緒にやってまいりましょう。  足利銀行の破綻の問題について入らせていただきたいと思います。  先ほど総理からも言及をいただきました。大変地元にとっては深刻な問題であります。地元の財界のトップからの指摘でありますけれども、怒りと不安を覚え、そして我が県民から自信と誇りを奪い取っていったこの破綻処理だと、こう指摘をいただいています。  私も、十二月、一月、二度にわたって質疑に立たせていただきましたけれども、本来、質疑が深まれば事実関係が明確になってくるわけでありますけれども、この件は、やればやるほど何か恣意的なものを感じざるを得ない。という中で、今日、私は改めて事実関係解明、そして責任の、明確な責任の、しからば責任を取るべくというふうな責任追及の場に充てさせていただきたいと存じます。ひとつよろしくお願いを申し上げます。  破綻処理に至るまでの全般的な経緯、そして、特に足利銀行と監査法人との折衝の経過について金融庁はどのような問題があったと認識されているか、説明を願います。
  308. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 御説明申し上げます。  監査法人の監査は独立に行われるものですので、私ども金融庁がこれに関与する立場にございません。したがって、足利銀行と監査法人の間でのやり取りの具体的な内容までは承知をしておりませんが、ただ、この件につきましては、衆参両院の参考人質疑あるいは銀行におきます中間決算の記者発表などにおきましてこのやり取りの経過が述べられている部分がございます。こういった点を整理をしてみますと、以下のようなことであったと思います。  まず、足利銀行におきましては、繰延税金資産、十五年九月期決算におきます、中間決算におきます繰延税金資産、これを千二百億円程度にするという意向で監査法人と協議をしていたということでございます。そして、十一月の二十六日に足利銀行が監査法人に中間決算案を提出をいたしました。その後、当日中に、監査法人は法人における審議会、その中間決算案の当否を検討いたします審議会を開催をしたということでございます。その翌日、十一月二十七日、銀行によりますと午前十時ということでございますが、この監査法人の代表社員が、九月中間期においては繰延税金資産の計上は認めないという旨を足利銀行に通告をしたということでございました。  この計上を認めない理由というものにつきましては、この監査法人の理事長、上野理事長が衆議院参考人質疑で述べておられますが、三点理由があるということでございました。  十五年三月期に比べて自己資本比率が著しく低下をして、継続企業の前提に重要な疑義が存在する状況に至っている。第二点は、自己資本の水準が繰延税金資産を算定する上でわずかな見積りの変更によって債務超過に陥るほど脆弱な状態になっている。第三点は、償却、引き当ての見積りを含みます将来の利益計画の実現可能性について重要な疑義が生じていると。こういった点が理由である旨の御説明をなさっておられます。  この点についての受け止めとしましては、銀行の当時の日向野頭取は、これはそれまでの協議の経緯からして突然の宣告であるという受け止め方だというように述べておられます。他方で、この点について上野理事長はやはり同じ参考人質疑におきまして、繰延税金資産の計上が非常に厳しい状況にあるということについては前もって御説明を申し上げていたというふうに述べておられます。  その後も監査法人と銀行は協議を続けられたと存じますが、十一月の二十七日の夕方に金融庁から検査結果の通知が足利銀行に対して行われまして、この検査は十五年三月期を基準日とする検査結果でございますが、その通知が行われ、同時に、この結果についての認識、そして対応策についての報告を銀行法二十四条に基づきまして求めております。この報告を求めました結果、二十九日土曜日、十一月二十九日土曜日に二十四条報告が提出をされ、債務超過であるということ、また破綻の申出が預金保険法に基づいて足利銀行からなされまして、そうした状況を受けて、同日中に金融危機対応会議が開かれ、預金保険法百二条三号措置を講ずることになったと、こういう経緯でございます。
  309. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 二十六日の朝取りあえず取りまとめられたという一つの今話がありましたけれども、その段階ではどんな取りまとめだったか、御説明願います。
  310. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 足利銀行が監査法人に提出したものでございますので、そのものは持っておりませんけれども、千二百億円程度、千二百八億円というふうに頭取は、当時の頭取はおっしゃっておりましたが、この繰延税金資産を計上した上で決算を組むということで、資産超過の状態の決算案であったというふうに承知しております。
  311. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 二十六日の朝までそういうふうなことで話をされ、翌二十七日に計上は難しいというふうな一つの転回があったわけであります。そして、二十七日の夕刻五時に金融庁の監査結果が足銀に報告されるわけでありますけれども、正にこの同じ日、午前十時、午後五時の一つの転回であります。これは偶然であったかもしれないけれども、まあ一般の方々は当然仕組まれたのではないかなというふうな見方も半分はするでしょう。金融庁から監査法人に対して繰延税金資産の計上に対して何らかの一つ圧力を掛けたのではないか、その辺での説明を願いたいと思います。
  312. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 矢野委員は正に栃木で、この問題に関して大変心を砕いておられると、大変県民の方々も御心配、御懸念が多いことだというふうに思っております。  金融庁のその検査、それと監査の立場について一般にもかなり誤解があるように思われますので是非御認識を賜りたいんでありますけれども、我々の検査というのは事後的に行います。具体的に言いますと、十五年三月期について、十五年三月期について、ここは引き当て不足があるのではないだろうかと、ここはこういうふうな計上をすべきではないだろうか、正に事後的な検査を行います。これは事後的な検査でありますから、それは次の決算、具体的には十五年の九月期に反映させてくださいねということでお願いをするわけでございます。それに関して、当然のことながらそういうことを織り込みながら、銀行は監査法人とも議論をしながらこの決算に至ったものだというふうに思っております。  この十五年九月期の決算に関しましては、これは我々は事前の介入は一体、一切いたしません。これ、事前に何かを申し上げる立場にはない。今の金融の行政は努めて事後的なチェックを行うわけでございますから、その意味では、この十五年九月期の決算はあくまで銀行が独自にやる、それを独立した、政府からも独立した監査法人が監査をして提出するということになります。  委員お尋ねの、この十五年九月期の決算の段階で政府が、金融庁が何か介入したり指示したりしたことはあったのかというお尋ねでございますが、これはもう事後チェック型でございますから、そういうことは一切ございません。
  313. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 今、二十七日の出来事、そして二日後、二十九日に九月期の監査報告を受けて、これまた突然の三号破綻処理に至ったわけであります。正にこれは国民の目では、金融庁と監査法人の間でまず三号ありき、このシナリオが描かれていたんではないかというふうに映るんですね。  私としては、このような国民の疑念を払拭するために、今回の破綻処理手続の適正がいかに図られていたのか、金融庁の積極的な説明を求めます。
  314. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 申し上げましたように、我々は事後的にそのチェックをする立場にございます。今回の足利銀行をめぐる経緯につきましては、その手続は適正だったのかということでございますが、我々は九月の二日に立入検査を行いました。これは、繰り返しますが、十五年三月期のことを検査をするわけであります。十一月の十一日に立入検査を終了いたしました。十一月の二十七日にこの検査結果を通知して、それに対してどのように対応するのかという二十四条の報告を徴求したわけでございます。その上で、十一月二十九日の、二日後の十五時三十分に銀行から二十四条報告の提出がございまして、それによって債務超過になると、いわゆる破綻の申出があった。我々は財産保全の命令を行って、二十一日に金融危機対応会議を開いたということでございます。  これらはまさしく預金保険法百二条のルールにのっとって、それ以前の事後的なチェックの検査のルールに基づいてそれぞれにのっとるべきルールに沿って、各々の判断に基づいて対応を行った結果であるということを御認識いただきたいと思います。
  315. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 監査法人の独立性を担保しているというふうなお話でありますけれども金融庁と監査法人の間で検査が、結果が出る以前から数回にわたってミーティングを開いていたということが前日向野頭取の参考人の答弁として出ております。  どのような内容のミーティングであったのか、説明を願いたいと思います。
  316. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 私どもの検査班と監査法人とのやり取りでございますけれども、個別金融機関の検査の中での個別のやり取りでございますので、その詳細については差し控えさせていただきたいと存じますけれども、私ども立入検査を行います場合には、その立入検査期間中に、通常、検査班が監査法人との意見交換という場を持ちます。その中で、債務者区分であるとか、償却・引き当てであるとか、繰延税金資産であるとかといったテーマについて言わば監査法人の認識を確認すると、こういうプロセスがございます。  足利銀行に対する検査におきましても同様でございまして、検査の対象となりました平成十五年三月期の決算の自己査定に係る債務者区分、償却・引き当てあるいは繰延税金資産等について意見交換を行ったと承知いたしております。
  317. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 なかなか十分な答えになっていないんでありますけれども、改めて、ミーティングにおいて三月の繰延税金資産について検討した中で、九月期の繰延税金資産についてはどのような方針で算定すべきか、そういう点についての監査法人、何らかの指導はされましたか。
  318. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 私ども、今回の検査は平成十五年三月期の決算を対象といたしておりますので、三月期における繰延税金資産の計上について議論をしたというふうに承知いたしております。
  319. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 あくまでも監査法人は独自の判断で九月期の繰延税金資産の計上はできないという判断をされたと、そういうことの確認でよろしいですか。
  320. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 銀行は、三月期の検査結果も踏まえまして監査法人と九月期決算について議論をしたと承知をしておりますが、その中で、監査法人の意見、そして銀行の意見というものを闘わせた結果として、最終的に中間決算では繰延税金資産の計上はしないという結論になったというふうに承知しております。
  321. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 三月期に監査法人は、一千四百億弱の繰延税金資産が回収が可能である、すなわち企業の継続性には問題ないというふうに判断をしていると理解します。これを受けた金融庁の検査結果でも、繰延税金資産については、監査結果から、一千三百七十八億だったですかね、正確には、二十八億の減額修正しかされていない。つまり、金融庁は、この判断は、やはり三月期においては、一千三百五十億円程度の繰延税金資産については将来的に回収可能だというふうな判断を示されたと、そういう理解でよろしいですか。
  322. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 足利銀行の十五年三月期の検査において、繰延税金資産というのは検査上も認めているわけでございます。  これは、検査の基準日であります十五年三月期においてはこの、委員承知のように、日本公認会計士協会監査委員会の報告第六十五条等の会計ルールがあります。その会計ルールに沿って検証を行って、この中で、やや技術的で恐縮でございますけれども、繰延税金資産の回収可能性の判断指針の四号ただし書を適用することに合理性はあるというふうに当時は考えられた。将来、課税所得の見積りに、しかしながら、課税所得の見積りが過大であったために、検査結果通知において繰延税金資産の計上額については二十八億円を減額したということでございます。  委員は継続性を認めたということかというお尋ねもあったかと思いますけれども、この金融機関に関する検査は、あくまでもこの基準日ですね、この場合ですと十五年三月期末でありますけれども、その時点における財務内容等の条項を事後的にチェックするものであると。今回の検査におきましても、十五年三月期におけるその繰延税金資産の計上の妥当性を検討したわけでありまして、その将来に向けた事業の継続性云々ということではない、これは十五年三月期におけるその資産性をあくまでも認定したんだということでございます。
  323. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 大臣、もう一度、繰延税金資産の計上、今後何年かで回収でき得るという一つの見込みの中で計上可能になってくると。先ほどの九月期中間決算では、監査法人は企業の継続性を判断でき得ないという中で繰延税金資産のゼロ評価をしたと。から考えると、事前にさかのぼっての検査かもしれないけれども、少なくとも二十八億だけのこの下方修正、全体が一千三百五十億の繰延税金資産を認めたということは企業の継続性を認めたということにイコールなるんじゃないですか。
  324. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これまたやや技術的でありますけれども、その検査マニュアルの項目の中で銀行の事業の継続性に関するその検証項目というのはございません。あくまでもこれは、先ほど申し上げましたような公認会計士協会のそのルールに基づいてこれを見ていくと。それに関しては当時も、十五年三月期も厳しい状況であったわけでありますけれども、これについては、四号ただし書を適用することに合理性があるというふうに考えて、十五年三月期の繰延税金資産に関しては減額ということで通知をしたということでございます。
  325. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 四号ただし書というのを朗読してください。
  326. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 公認会計士協会の繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い、いわゆる実務指針の六十六号というやつでございますけれども、その四号でございますが、前段に言わば本文の部分がありまして、期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する……
  327. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 聞こえない。
  328. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等々の例示がございまして、ちょっと正確を期するため全文読み上げさせていただいてよろしゅうございますか。  税務上の繰越欠損金が存在する会社、過去(おおむね三年以内)に重要な税務上の欠損金の繰越期限切れとなった事実があった会社、又は当期末において重要な税務上の欠損金の繰越期限切れが見込まれる会社の場合には、通常、将来の課税所得の発生を合理的に見積もることは困難と判断される。したがって、そのような会社については、原則として翌期に課税所得の発生が確実に見込まれる場合で、かつその範囲内で翌期の一時差異等のスケジューリングの結果に基づき、これに係る繰延税金資産を計上している場合には、当該繰延税金資産は回収可能性があると判断できるものとする。  中略、途中をちょっと省略させていただきましてただし書に入らせていただきますが……
  329. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ただし書が肝要なんでしょう。
  330. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) はい。ただしでございます。要するに、本文におきましては翌期の課税所得に見合う繰延税金資産の課税、計上が可能である。要するに、一年分のみ認めると、こういう考え方でございますが、これに対するただし書ということでございますけれども、ただし、前述の場合においても重要な税務上の繰越欠損金や過去の経常的な利益水準を大きく上回る将来減算一時差異が、例えば事業のリストラクチャリングや法令等の改正による非経常的な特別の原因により発生したものであり、それを除けば課税所得を毎期計上している会社の場合には、将来の合理的な見積可能期間(おおむね五年)内の課税所得の見積額を限度として、当該期間内の一時差異等のスケジューリングの結果に基づき、それに係る繰延税金資産を計上している場合には当該繰延税金資産は回収可能性があると判断できるものとするというのが四号でございます。
  331. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 つまり足利銀行に当てはめるとどういう解釈をされたか、説明願います。
  332. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 足利銀行の場合には、ただいま本文のところにございましたように、重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社であると。ただし、その税務上の繰越欠損金が発生した原因について見ますと、それが非経常的な要因によるものであったということでございますので、ただし書を適用いたしまして、おおむね今後五年間の課税所得に見合う繰延税金資産を計上することが可能であろうと、こういう判断をいたしました。
  333. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ついては企業の継続性を認めたということじゃないですか。
  334. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、企業の継続性云々については、繰り返し申し上げますが、我々の検査のマニュアル、検査マニュアルで継続性を検討するというような項目はございません。しかし、この文脈においてそこの要因が一時的なものであって回収が不可能だとは判断されないということで計上を認めたということになると思います。
  335. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 禅問答じゃないんですよ。  だから、回収可能だということは、今後企業も継続されるということで一千三百五十億の繰延税金資産を認めたと、こういうことになるんじゃないですか。
  336. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 十五年三月期においては、この四号のただし書に適用が可能であるというふうに判断したということであります。
  337. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 しからば、その後、四月—九月の足銀の経営でありますけれども、これは、業績は順調に推移したという一つの四月—九月の一連の経緯がありましたね。その結果、監査法人が一転して、回収不可能は全くないというふうな九月期の中間決算の判断、このことは非常におかしいと思うんですよ。それをちょっと、妥当性をひとつお聞かせ願います。
  338. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 冒頭申し上げましたように、十五年九月期の決算は、これは銀行自らが行って、独立した監査法人が監査を行うと。それは正に企業の、銀行の判断と監査法人の監査、判断になるということであろうと思います。  その際に、監査法人がどのような判断をしたかということについては、先ほど局長から御答弁をさせていただいたような判断をしたというふうに我々は聞いております。
  339. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 監督官庁としての客観的な見解をお伺いします。
  340. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 我々の監督権限は銀行に対して及びます。監査法人に対しましては、監査法人の具体的な監査の内容に関してそれをどうこうする権限を我々は持っておりません。監査法人が不正な行為をしたりとか、そうした法律違反があった場合には、これは我々が、金融庁も監査法人に対する一つの監督権限を持っておるわけでございますけれども、繰り返し申し上げますが、我々は銀行に対する監督の、検査・監督の責務がございます。これに基づいて預金保険法百二条を適用させていただきました。監査法人に関しては、正に監査は独立した、政府からも民間からも独立した監査法人がそれを行うのであって、監査の個々の内容について監督する権限を我々は有しておりません。
  341. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 しかしながら、金融庁は監督権限を持っているんでしょう。ですから、虚偽の事実を報告する、何する、そのことはやっちゃいけませんよというような監督権限は持っているんじゃないですか。
  342. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 重大な虚偽や不正、例えば、これは例はあれですけれども、だれかに買収されてそういううその報告書を書いたとか、そういうような場合は、当然のことながら我々はそれをしっかり監督しなければいけないというふうに思っております。  しかしながら、今回の場合において、その監査法人においてそのような不正があったというふうには認識をしておりません。
  343. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 大臣、これは大変な、今の指摘は間違っていますよ。  三月期、監査法人における決算、検査、監査法人が適正であると言ったのは四・何%、四・五%弱の自己資本がありますよ。九月期にはマイナス〇・七%という金融庁の検査結果がありますね。それでもって五%以上のずれができちゃうんですよ。絶対値四%ですよ。九月期の決算を是とするならば、三月期はこれは虚偽の報告ということになるんじゃないですか。  その辺を、本当に今の話はおかしい。
  344. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、しかし、委員、我々の決算の仕組みというのは、会社が行って、それを独立した監査法人が行うということになっているわけです。その監査法人の監査に関して正に行政が介入して、それはおかしいと、そういうことを言う立場に我々はないんです。これは今の我々の決算の仕組みが商法、証取法等々含めてそのような仕組みになっている。これは決して日本だけではなくて、世界的に先進五か国はこのような仕組みになっていると思います。  これは、繰り返し言いますけれども、会社が、この場合でありますと銀行が行うわけです。銀行が行って、それで監査法人がそれを監査する。監査法人は政府を含め、あらゆるものから独立でなければいけない。その間に不正があるような場合には、これは我々は監督しなければいけません。しかし、個々の検査の、失礼、個々の監査の内容について、これは行政が口を挟んでそれに対して何らかの変更させるというような仕組みには我々の社会はなっていないわけであります。ここは是非、この点はしっかりと御認識をいただきたいと思います。  銀行は、そうしたことも踏まえて自らで決算を行って、自らで債務超過になって、これを回復する、させることはできないと、残念だけれども破綻の申入れを行うということで、破綻の申入れをその二十七日に行ったわけでございます。
  345. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 一連、これだけの大きな問題になっております。金融庁として、一連の監査結果について、監査調書等で十分この一連の経過をチェックできますよね。このことはやられたかどうか、確認します。
  346. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御趣旨は、金融庁はこの足利銀行の監査法人を処分するための調査をしているのかしていないのか、処分するのかどうかと、そのような御指摘だと思います。調査をしているのかと思います。
  347. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 いや、その前の話、その前の話、もう少し前の話。事実関係調査したんですかということですよ。
  348. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 調査をしているのかしていないのかという御質問だと思います。  現時点で、足利銀行の監査法人に対して公認会計士上の懲戒事由に該当する事実があるというふうには認識をしておりませんので、調査を行っておりません。
  349. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 これだけ問題になっているのに金融庁は調査をする気がないんですか。それは問題ですよ。こんな何回も、この閉会中審査やら参考人を呼んで調査をする。にもかかわらず、その問題意識はないんですか、大臣
  350. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、個々の監査の内容そのものについては、監査はこれは独立性が保たれていなければいけないということで、監査の内容について我々はどうこうする権限は実は有しておりません。
  351. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 事後調査でいい、事後調査
  352. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、監査の内容については権限を有しておりません。  例えば、監査法人が以下に該当するようなときは、これは我々は処分をすることができます。例えばですけれども、社員が故意に、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務諸表を虚偽、錯誤のないものとして証明したとき、社員が相当の注意を怠って重大な誤りを犯したようなとき、法律若しくはこの法律に基づく命令に違反して著しく不当と認められる行為をしたとき、そのような場合には我々はこれを、権限を発揮することができますが、監査の中身について、これは監査法人の独立性が保たれているというような法律の枠組みになっております。
  353. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 そのような疑いがあるから調査をすべきなんじゃないですかと言っているんですよ。調査しなきゃ分からないじゃない、そんなことは。重大な過失があったかどうかなんて分からないよ、そんなの。
  354. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 例えば、社員が故意に虚偽等々をやったというような疑いが生じた場合には、これは当然我々はそのようにいたします。現時点でそのような疑いがあるというふうには認識をしていないということでございます。
  355. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 これだけ問題になって、調査をする気に至りませんか。
  356. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、そのためにも参考人国会にお呼びをいただいて、虚偽があったかどうかといったことも含めていろいろと御審査をいただいたんだというふうに思っております。  そういうことも含めて、ないしはこれは虚偽ですから、そういったうそがあったのかどうかと、これは少なくとも今の時点でそのような調査を開始するような証左がないというふうに申し上げているわけでございますが、そういう証左が、ないしはそれを疑わしき状況が出てきたら、これは我々としても法にのっとって厳正に対処をいたします。
  357. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 先ほど聞きました九月期の一千二百八億の繰延税金資産の計上が無理だという理由でありますけれども、自己資本比率が一%を割り込む結果、企業の継続性に疑義がある、この主張をするんだったら、自分の三月期の決算を間違っているとまず認めるべきだと私は理解しますね。  それから、イ、ウについては、当然のこと、こういう変化はあり得る。特に、この段でこの抽出してこの原因をもってしてできないというような理由にはなり得ないと、私はそう判断します。
  358. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、十五年三月期に比べて自己資本が著しく低下し、継続企業の前提に重要な疑義が、判断する状況に至った、こういう判断を監査法人が独立して行ったと。これは正に監査法人の判断でございます。
  359. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 その判断がおかしいと言っているんだよ。
  360. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 自己資本の水準が、繰延税金資産を算定上で、わずかな見積りの変更によって債務超過に陥るほど脆弱であると、この判断そのものについては、これは正に独立して行うということが、これはその法律の枠組みでも保障されているわけでありますので、我々としては、あくまでも不正があった場合は厳正に対処いたします。
  361. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 自己資本比率五%のぶれというのはどういう解釈ですか。絶対値四%に対する五%の誤差ですよ。これは間違いという以外何物も言えないじゃないですか。見解を求めますよ。
  362. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、半期の間にいろんな状況の変化が起こり得ます。特に、御承知のように……
  363. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 違う違う。同じ九月期の話だよ。
  364. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 足利銀行の場合は、その自己資本の非常に大きな部分を、ティア1の一四六%を実はこの繰延税金資産に頼っていました。全体の状況が悪くなりますとこの繰延税金資産そのものが否認され得るということはあるわけで、それがまあ結果的に見ると非常にその大きな振れにつながったということになるのだというふうに思っております。
  365. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 違うんですよ。大臣ね、三月期の決算で監査法人の検査をした結果と金融庁の検査結果が五%も違うんですよ、五・三%。同じことを検査した結果ですよ。絶対値四%のうち、五%も違うというこのぶれは一体何なんですか。(発言する者あり)そうだよ、言ってちょうだいよ。
  366. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私たちは銀行に対する監督権限を持っています。これは銀行が決算したわけですね、三月期も。銀行が決算して、もちろん監査法人が監査しているわけですけれども、その銀行のぶれに対しては、これは自己査定と金融庁の検査の結果が違うということに対しては、これは我々はちゃんとそれを公表して、場合によっては一定以上のぶれがある場合にはこれは我々が監督権限を持って監督をしているわけです。  繰り返し言いますが、我々のその中身の権限というのは銀行には及びます、銀行に対してはそのような必要があれば指導をする体制、ガイドラインを持っております。しかし、これは中身に、監査の中身についてはこれは独立した監査法人が行うという以外で我々にはそれの中身について監督する権限を持っておりません。
  367. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 先ほどから言っているじゃないですか。調査をする手続があるんですよ。こんな問題にもなっているんだから調査したらいかがですか、事実関係が分かるじゃないですかと言っているじゃないですか。何で調査しないんですか、それ。
  368. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、虚偽がある、ないしはその可能性があると認識した場合にはそのような対応を行います。  今のまあ問題意識としては、これはどうしてこんなようになってしまったんだということは、これはもう当然みんなこの疑念を持っているわけです。それに関する対応といたしましては、これは預金保険法百十六条の中に、どうしてこういうことになったのか、経営者等の責任についてそれをしっかり追及しなきゃいけないということは、これは預金保険法の中でも定められている。これについては、二月の中ごろだったと思いますけれども、既に足利銀行が内部調査委員会を作っておりまして、そこで調査を行います。
  369. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 結構。そんなことは聞いていません。ちょっといいです。聞いていない。聞いていない。
  370. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) その調査の中で必要な判断が出てきたら我々は判断をいたします。
  371. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 あのね、大臣ね、僕の言うことを真摯に聞いてくださいよ。私は、県民二百万の代表で僕は質問している。僕の個人的な見解じゃないんだよ。  それで、ここまで問題視されているんだから、同じ三月期の決算を金融庁と監査法人、これは適正であるという判こを押してもらったの、格差が五%もあるんでしょう。これをおかしいと称しないで何がおかしいんですか。
  372. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 繰り返し申し上げますが……
  373. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 繰り返さなくていいよ、分からないから。
  374. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 五%でおかしいというのは、それは判断の問題です。監査のクオリティーについて我々は、繰り返し言いますけれども、監査の中身について我々は監督なりそれを主張する権限を持っていないんです。  例えば、不正があった場合、不正の証左があるような場合は我々は厳正に対処をいたします。しかし、現状において何らか不正があったと、どこかの公認会計士が、例えばですけれども、どこからかお金をもらって何かやったと……
  375. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。
  376. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そんな状況ではないというふうに認識をしていると。  これは今の法律の枠組みであるということを是非御理解いただきたいと思います。
  377. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 総理がインベスト・ジャパン等々、投資をどんどんやってくれと。海外の投資家等々でもって何を頼りにするか。監査法人のこれは適正であるというふうな決算結果をもってして適正だと、こう判断するんでしょう。  今の状況だと、間違いかどうか分からないし、聖域だ、監査の検査はと、だから金融庁としては入れない。しからば、監査法人が一方的に間違いをやったという一つのことに相なるんですよ。そうでしょう、今、今のあなたの発言だと。答弁願いますよ。
  378. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いや、これはもう我々としてはそういうような権限を持っていないんです。この中で不正があるとそれは責任問題が当然として出てまいります。そういった問題が何かあったのかと。それこそ、今、先ほど委員が言われましたように、まあ銀行の方は突然その千二百億円駄目だというふうに言われたと言っている。で、理事長の方は、この参考人質疑なんかでも、いやいや、そんなことはないんだと、我々は言っていたんだという答弁を、これ、その衆議院で船田委員に対してしていると。  その辺については、これは銀行と監査法人と、それぞれに責任ある立場の人ですから、言った言わないじゃ困るわけで、これはそれぞれに責任、説明責任を果たしてしっかりとやっていただくしかないと思います。また、その経営者の責任等々、これは特別危機管理銀行になったわけでありますから、それの内部調査はしっかりとやっていただきます。その過程で、我々が厳正に対処できる、我々の権限において厳正に対処すべき問題があれば、これは厳正にやります。  しかし、繰り返し言いますけれども、その公認会計士の監査の内容について、今例えばこの法律の条文等々に基づいて我々は監査のしようがありません。もちろん、これ御承知のように、公認会計士法がこの年度が変わると変わります。それで、そのクオリティーチェックのようなものができますので、若干範囲はこれは広がるわけでありますけれども、少なくとも、今のこの公認会計士の監査ないしは金融庁の枠組みの中で我々はできることを精一杯やっておりますけれども、これは法律の今の枠組みが現状のようになっているという点は、これは是非御理解をいただきたいと思います。
  379. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 改めて、疑義を晴らすために私は大臣にお願いします。これだけの、これだけ大きな問題になっているわけでありますから、是非この監査調書等でこの経過というものを私は検証いただきたいと、このことをお願いをいたします。いかがですか。  与党の質問だからね。
  380. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そのとおりだと思っております。  我々も確かに公的資金を入れました。公的資金を入れて、それを生かして再生したところが幾つか出てまいりました。しかし、公的資金を入れて、再び公的資金を入れるなり、ないしは一時国営化をせざるを得ないようなところも出てきました。その過程でどのようなことがあったのか、これはやはりしっかりと、これは時間が掛かるかもしれませんが、やっぱりこれは何らかの検証はしていかなければいけないというふうに思っております。  そこで、当面はこの内部調査委員会の中でいろいろ事実解明をしていただきたい。これは我々もその池田新頭取にお願いして、池田新頭取は、委員承知だと思いますけれども、弁護士二人、公認会計士一人の調査チームを既に作ってその内部調査を始めております。そういうような動向も踏まえながら、我々としては、どうしてこういうことになったのかということに関しては強い問題意識を持って必要なことはやっていかなければいけないと、これは強く私自身思っております。
  381. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 いや、あと一度確認します。これだけの問題提起をさせていただいているんですから、金融庁として、この問題の推移について、監査経過について、この事実関係調査する意思ありかないかと、それだけお答えしてください。
  382. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは、公認会計士法の第三十二条一項は、何人も、監査法人等に懲戒処分に該当する事実があると思料するときは、内閣総理大臣に対して、その事実を報告し、適当な措置を取るべきことを求めることができるというふうに規定をしております。懲戒請求の受理及びそれに基づく調査権限は、内閣総理大臣から現実には金融長官に委任をされております。金融長官に対してこのような請求をされるのであれば、これは金融庁として、法令にのっとり適切に調査をしてまいりたいというふうに思います。
  383. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 是非、厳正な調査を願いたいと思います。  ところで、国土省に確認するんでありますけれども、一連、この中央青山監査法人が国土省の入札に際してやられた展開があったと思うんですけれども、詳細の説明を願います。
  384. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お尋ねの件は、道路関係四公団の民営化に伴う資産評価及び会計基準作成に関する検討業務のことだと思います。  本年の一月十六日に一般競争入札の入札公告を行いまして、一月三十日に入札を行いました。で、中央青山監査法人が二万六千円で落札したと、こういうことであります。
  385. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 詳細、詳細、詳細。
  386. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 詳細という意味では、この一般競争入札、四つの監査法人が参加いたしました。一月の十六日に入札公告でございますから、二週間後四つの監査法人がそれぞれいろいろ見積もって入札した、応札した、こういうことであります。そこで……
  387. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 金額。詳細を教えてくれと言っているんだ。
  388. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) あずさ監査法人、この場合四つですから、この中央青山以外の監査法人、あずさ監査法人が四十五万円、応札価格ですね、それから監査法人トーマツが七十七万円、最後、新日本監査法人が五百万円、こういう状況でありました。    〔矢野哲朗君「ですから、当法人は幾らで入札したんですか」と述ぶ〕
  389. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 矢野哲朗君、まだ言っていない。矢野哲朗君、言われてから立て。
  390. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 詳細、幾らで入札したかを教えてください。
  391. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そこで、四つの監査法人ですから、それぞれが応札されて、応札ですね、札を入れられて、中央青山監査法人が二万六千円で落札された、こういうことであります。
  392. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 片や五百万、片や二万六千円ですか。
  393. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ただいま申し上げたとおり、そういうことであります。
  394. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ですから、青山、中央青山監査法人もこれも一つの営業をやっているし、ごく自然なやっぱり一つの会社なんですよね。そこに絶対的に、監査の内容が調査できないやら何やら、それで社会的な私は公正は担保できない。  これをあと一度僕は御意見聞きたいんだな。こういうことをやっている会社なんですよ。それで、そのことで絶対中立だ、監査法人は一切手を入れられない、それで済むんですか。
  395. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私、一法人の弁護をする立場にはもちろんございません。これはしかし、これを申し上げるとまたどういうことだというふうな御指摘もあるかもしれませんが、先ほど我々は監査法人に対する一つの不正の場合の監督権限を持っているというふうに申し上げました。実はそれは、監査業務に対して不正がある場合は我々は権限を持っております。今の、実は入札は実は非監査業務ということになります。これは我々にとっては実はますますといいますか、これは権限の及ばない形になっている。これがいいか悪いかということについては、これは立法の場でこれはいろんな観点から御審議をいただきたいというふうに思います。  現在どうなっているかというと、公認会計士協会が、協会の倫理規程、これは協会の倫理規程があるようでございますから、それに照らして問題があるかどうかを調査されていると承知しております。我々としてはこれを見守っていくということになります。  もう一点、監査、公認会計士法が四月から改正になりまして、その監査のクオリティーチェック、それについては我々は従来よりは少し権限を持つようになります。それともう一つは、監査業務と非監査業務の安易な兼任についてはこれを認めないという方向、そういう方向に法律を改正はしていただいていますので、その範囲で我々としてはしっかりと執行していくつもりでございます。
  396. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 私の持ち時間がもう既に来てしまいました。  この件でありますけれども金融長官ね、深刻なんですよ。だから、今回の質問で、金融庁に関して今後監査法人に対する十分な監督が必要だ、そしてその点では四月から施行される、今話された法律に期待する、我々は期待をいたします。  また、今回の突然の破綻が来て翻弄されてしまった国民に対する事後的救済の道がないのか、検討すべきなのは、私は必要だと思いますよ。そして、監査法人に関しては、三月期にはなすべき指導、助言を怠っている、九月期には不意打ち的に判断を変更する、法的にも私は、委任業務、依頼人委任業務、委任を受けた監査法人として法的にも私は許されない一つの今回の決定だというふうに考えています。ですから、私は、一つはこの問題に対して金融庁として憲法三十一条の精神に照らして透明性のある公正、公平な手続をもってすべての国民が納得いくよう決着を付けてもらいたい。  そして、最後になりますけれども総理、今るる話させていただきました。まだ不完全燃焼なんです。しかし、先ほどは総理言及なさったような状況は現実のものとして大変厳しいものがあるんです。片や政治的に判断された、片や何にも知らない善意の出資協力者がいた。その善意の出資協力者が、本当に善意が紙くずになってしまった。こういうふうなことで私は社会的な正義、公平というのは私は担保でき得ない、こう思わざるを得ないんですよ。ですから、私は、総理の僕は一つの政治的判断を求めたいんです。  最後に、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  397. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今るる質疑応答を聞いておりまして、その足利銀行に対する思い入れ、そして監査に対するいろいろ言いたいこと、矢野議員のお気持ちも分かりますが、これは竹中金融担当大臣、そういう点も踏まえてしっかりと対応していることでありますので、今後とも、今日の御議論も踏まえて、足利銀行を始め多くの皆さんがこの地域の再生に力を尽くしていただきたいと思っております。
  398. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 最後に一言。  その辺がしっかりやっているかどうかというのはまだ不明なんですよ。ですから、総理から、先ほど私が要請した、調査をしなさい、そのことを総理から命じていただきたい。お願いします。
  399. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはもう竹中金融担当大臣が今日の議論を踏まえてしっかり対応すると思います。
  400. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 以上で質問を終わります。(発言する者あり)
  401. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、お静かに。  関連質疑を許します。木村仁君。
  402. 木村仁

    ○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。矢野委員の質問に関連する問題、しない問題、質問をさせていただきます。  現下の景気対策について簡単に御質問をしておきたいと思います。  昨年の十月—十二月期、日本経済は対前期比一・七%、年率七%の高い成長率を示しました。政府は、月例経済報告、二月において明確に、景気は設備投資と輸出に支えられ着実に回復していると述べております。確かに、そのようないろんな数字が景気の持ち直しを示しておりますし、また、中国方面の万博、オリンピック、大きな需要が控えていて、力強いものがあります。  しかしながら、地元、私は熊本でございますが、帰ってみますと、今、景気がいいと言っている経営者始め、お百姓さんでも一人もおりません。皆まだまだ景気低迷に、閉塞感に悩んでいるというのが実情でございます。  よくよく考えてみると、これはどうも東京独り勝ち景気回復あるいは大企業のリストラ勝ち景気回復ではないか、そういう感じがいたしますし、まあ勝ち組二〇%、その程度のものかなという感じがするわけでございます。  先ほど総理は、私の認識に近い御発言をされましたので、同じ思いかもしれませんが、一度この現下の景気動向について御認識を伺っておきたいと思います。
  403. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 景気の状況もようやく明るい兆しも見えてまいりましたし、地方におきましてはまだ及んでいないという指摘もよく理解できます。この大企業におきました業績の改善あるいは東京を中心にした大都市の活況が今後地方にも、また中小企業にも及ぶように改革を進めていかなきゃならないと。しかしながら、明るい兆しも見えてきたのは事実だと思いますので、この兆しをより強く本物にしていかなきゃならないと思っております。
  404. 木村仁

    ○木村仁君 私もそのように期待いたしますし、今日の株価が一万一千四百九十八円、私が質問に立つときは何だか株が上がっているように思いますが、そういう調子でございます。  ただ、心配する向きもあるんですね。景気の回復は徐々に徐々にもう二十六か月にわたって続いている。大体、経験によれば三十三か月ぐらいを平均としてまた景気後退局面に入っていく。ところが今、デフレが克服されているかというと、絶対そういうことではない。デフレはやはり深刻な状態にあって、今のまま放置しておくならば、あるいは二年後の名目二・五%成長という総理のマニフェストに約束された事柄が果たして実現できるだろうかという心配をする向きもあります。そんな事柄に対して、竹中金融・経済財政大臣はどのような認識を現在お持ちで、どのような方針をお持ちでいらっしゃいましょうか。
  405. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) マクロ経済が総じて良い方向に向かっている中で、これを地域と中小企業に浸透させなければいけない、総理がおっしゃったとおりでございます。  その一方で、デフレ問題、物価問題に関しては、引き続き相対的な問題が残されているというふうに認識をしております。緩やかなデフレが続いている。このデフレも消費者物価、企業物価、いろんなところで見なければいけないわけでありますけれども、実質経済が比較的高く伸びている中でもデフレが続いているということは、一つの解釈はやはり金融的な要因が依然として非常に大きいということではないかと思います。  マネーサプライが十分に伸びていない。これを実現させるためには、やはり今こそ政府、日銀が更に一体となってこのマネーサプライが増えるような状況を作っていくと、そういう努力、正にお金が行き渡るような努力をしていくことが重要であると認識をしております。
  406. 木村仁

    ○木村仁君 よく言われるんですが、もう日銀の量的緩和の政策がほぼ限界に達して、もう効果が出てこないんじゃないかと言われているんです。今、竹中大臣が言われるのは、その金融問題だとこうおっしゃいますけれども、デフレの基本はやっぱり需給ギャップではないですか。  今、民間が一生懸命、設備投資頑張っています。しかし、なお需給ギャップが大きいから、やはりある程度、巨大な金額とは私は言いませんけれども、昨年の冬三兆円をおやりになった、ああいう感じでもいいから、ここで少し景気刺激策の事業を政府が起こさなきゃいかぬということではございませんでしょうか。その点はいかがですか。
  407. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 現実に政策を運営している立場からは需要の側、需給ギャップと言われましたが、需要の側も重要だし、貨幣の側、マネーサプライも重要だと、これが両方やはり整わなければいけないというふうに思います。  ただ、一つ申し上げれば、昨年のその第四・四半期は年率で七%、これは瞬間風速でありますけれども、相当伸びていると。その下でも、ないしは年度で二%を上回るような経済成長の、実質成長の下でも実はデフレは続いていると。その意味では需要の側の要因は少し克服されつつあるんだけれども、やはり金融の要因、これはまだ残っているなと、私自身はそのように認識をしております。これは両方必要でありまして、経済活性化の努力はやはり続けなければいけないと思います。
  408. 木村仁

    ○木村仁君 そのような状態の中で、実は新年度予算は緊縮予算であります。小泉内閣になって三年引き続きの緊縮予算が組まれました。森総理の最後の予算が緊縮予算でありましたから、四年連続の緊縮予算です。こういうことは日本の明治以後の財政史上はないと、私は浅学非才でありますから分かりませんが、そういうことを言う方もいらっしゃいます。  しかしながら、我々は今構造改革の中でこの緊縮予算でいかなければいけないわけでありますから、この中で何か知恵を出していかなければいけないと思いますが、その知恵を私がここで出してみたところで、私はいぬ年ですけれども、猿知恵と言われますから、あえて申しません。しかし、何か考えてほしいということを申し上げたいのでございます。  で、財務大臣にお尋ねいたしますが、財政演説の、財政演説の終わりに、今の日本経済を言うならば民間が一生懸命頑張って卵の殻を中からつっついている、これを外から今度は政府がつっついてやって、そしてそれを大きなうねりにしていかなければいけないということをおっしゃいました。そっ啄の機ということだろうと思います。  私は景気のことが頭にありましたので、ぴんと、これはこの景気に対して何か自分は対策をやりたいとお考えなんだろうと思って、もう一度速記録をよく読んでみましたら、そうではございませんですね。もっと大きな構造改革の中でそういうことが起こっていると、こういう意味でした。よく考えてみれば、緊縮予算ですから、中から一生懸命、設備投資と輸出で努力してつっついているのに、上から政府はセメントで塗っているような感じではなかろうかなと、そういう気がしないでもないこともないのでございます。  だから、どうでしょうか、本当に緊縮予算でよかったんでしょうか。それとも、大臣が言われるように、その緊縮予算の中に何らかその対策を秘めておられるんでしょうか。そこのところをお聞きしたいと思います。
  409. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 私の財政演説よく読んでいただきまして感謝に堪えないわけでございますけれども、上からセメントを塗ったとおっしゃられると、ちょっと、もう少しよく読んでいただきたいという気がするわけでございます。  それで、結局、今までいろんな民間の努力があった中でもその努力が実らなかったのは、やはりこれは過去の成功体験というものが余りにも目覚ましかったわけで、どうしてもそれにとらわれてしまうような現象が長い間続いてきたと。それを、やっぱり民間の努力とそれからやはり政府の構造改革というものが相まって、その厚い壁をようやく破りつつあるんじゃないかと私は感じております。  そこで、緊縮財政とおっしゃいましたけれども、これも総理のお言葉をかりれば、これだけ国債を発行していて緊縮ということは成り立たないということでありますが、大盤振る舞いみたいなことはしたくてもできない。したがって、結局、今の財政の中で、財政構造改革をしながらめり張りを付けていくと。科学技術とかあるいは中小企業対策とか、伸びるところに、伸びて、付けていくという、そのめり張り付けが一つ。  それからもう一つ、税制。これも、苦しい中ではありますけれども、昨年、今年と先行、減税を先行させるという形で、昨年度一・八兆、昨年度というか十五年度一・八兆、今年は一・五兆という中で、いろいろ工夫したつもりでございます。  なかなか、ナローパスを一生懸命私も通ろうとしているわけでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  410. 木村仁

    ○木村仁君 よく理解をいたしたいと思います。  私は、もうできるだけ早くこの予算を成立させて、そしてその内容をしっかり実施していくということが当面の課題かなと考えておりますが、総理、今のやり取りの中で、この景気回復の基調を完全に軌道に乗せるために何か総理としてもやってみたいなということはございませんでしょうか。
  411. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は就任以来、改革なくして成長なし、言われて、それは違うと批判する方がたくさんいました。与野党の中にも、経済の専門家の中にも、このような厳しい経済状況の下では成長なくして改革なしだとさんざん批判されました。しかも、専門家の中にも、学識経験者の中にも、実際の学者の中にも、この私の内閣の進める予算を見て緊縮予算だって批判している方が過去にもあったし、現在ようやく少なくなりましたけれども、いまだに一部そういう方もおられます。  しかし、どこの国に、税収が四十二兆円程度で国債発行三十六兆円を続けている国があるでしょうか。私は、緊縮予算というのは全く当たらないと思っております。そういう批判に耐えて、狭い改革路線を推進してきた。先ほども申し上げましたけれども、去年は今ごろ、補正予算を組まないと景気は底割れする、デフレは加速する、正に不良債権は、過去の不良債権は処理できても新規の不良債権がどんどん積み上がる、小泉は逆のことをやっていると、さんざん批判されました。  今年どうでしょうか。今、補正予算を組めという声は与野党に一言もない。去年と様変わりです。なおかつ、この時期に国債を増発せよという声もなくなった。民主党は国債発行を今よりも削減しろと言っていますよ。これほど状況が変わってきたなと、やはり改革なくして成長なしだったなと。今までの行財政改革、民間でできることは民間に、地方にできることは地方に、特殊法人の最も税金を使っていた部分の道路公団の民営化も、これ法案を提出する運びになった。そして、これからいわゆる官の分野の構造改革の特殊法人、財投、そして郵政民営化、これが今年の秋には民営化案がまとまって、来年には国会に提案できる運びになる。言わば着々と改革が進んでいるし、今後、金融改革、税制改革、財政改革、そして規制改革、これを着実に進めていくのが日本経済全体の活性化につながると。  いずれ熊本にもこの明るい兆しが及んでいくということを私は期待しますし、そういう方向に持っていくのが今の改革の趣旨であるということを是非とも御理解いただきたいと思います。
  412. 木村仁

    ○木村仁君 よく分かりました。ただ、このまま景気が良くなっていきますと、あるいは改革がなくとも成長ができたなというようなコメントをする人があるかもしれません。  今、地方で一番苦しんでいるのは中小企業、その苦しみ方というのはやっぱり金融問題だと思います。  そこで、経済産業大臣一つだけお願いを含めてお尋ねしておきたいと思いますが、平成十年の秋から特別保証、緊急経済対策として特別信用保証というのを三十兆円ほど二年半ぐらい掛けておやりになりました。そのとき、事故率を一〇%覚悟をして、そして簡単な審査で保証をされたと思います。今聞くと、途中で条件緩和をして、なおかつ六%の事故が出ている。普通の場合だと三%で最終的には八%ぐらいになるだろうと思いますから、かなり思い切った措置だと思います。  今それを、そういう措置までやれという時期ではないと思いますけれども、昨年、売掛金の、担保として保証を認めましたが、例えば今度は商品在庫、例えば中古自動車販売店の中古自動車、そういうものを担保として、しかも第三者保証なしで融資する、保証するというふうな制度をお作りになるというようなことは非常に助かると思うんですが、それを含めて、そういうことでなくともよろしいんですけれども金融、中小企業金融の一段の充実をお願いしたいと思いますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  413. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、委員指摘のとおり、平成十年から約三十兆円の特別保証、今のところ借換えの事故率、保証の事故率は六・七一%でございますが、中小企業対策は今非常に重要でございますので、いろんな対策を取っているところでございます。  今、委員指摘のとおり、従来ですと有担保主義、土地中心の有担保主義、あるいはまた個人保証、第三者保証ということでございましたけれども、今委員指摘のように、在庫を担保にするとか、あるいは金融機関が無担保でお貸しをするお金の債権を流動化するとか、そういったもので幅広のいろいろな融資対策を考えているところでございます。  例えば、商工中金、中小公庫においては無担保貸付け、あるいは担保徴求免除特例を行っておりますし、また無担保貸付けを促進するための中小公庫の改正案、公庫法の改正案を御審議いただきたいというふうに考えております。また、第三者保証の個人保証についても、信用保証協会といたしましては、五千万円までは原則保証を徴求しない、あるいはまた新事業向け融資制度については財務制限条項を締結することによりこれを不要とする制度、あるいはまた、従来、第三者保証人を徴求していた国民公庫においてはこれを不要とする制度の枠の拡大を進めてきておるところでございます。  その他いろいろございますけれども、きめ細かい中小金融対策をこれからも充実していきたいというふうに考えております。
  414. 木村仁

    ○木村仁君 ありがとうございました。  次に、三位一体の改革について若干の質問をいたしたいと思います。  新年度予算編成の過程、そしてその後においていわゆる三位一体の改革が実現、一部実現したわけでありますが、結果的に見れば一兆三百億の補助金をカットして、そして実質四千五百億の税源移譲予備軍を作ったと、そういうことでありました。同時にまた、交付税を整理し、そして一二%、二兆九千億の切り込みを行っております。  この結果、非常な厳しい状況が地方自治体に生じているというふうに理解しますが、総理、この三位一体の改革、現時点でどのようにお考えに、認識しておられますか。総理です。
  415. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この三位一体、補助金、交付税、税財源、これを三つ一緒にやろうということで、確かに地方には戸惑っている部分もかなりあります。しかし、百年以上続いた制度を変えるということでありますので、当初、補助金を一兆円削減しようという目標を立てたときでさえもできるわけないじゃないかという批判を浴びました。せいぜいやっても五千億程度だと。ところが、現実に一兆円削減できたわけです。三年間で四兆円を目指しております。このあと二年間であと三兆円やらなきゃいけないんですが、これは各省庁全部補助金の権限持っています。しかし、そういう中で、今回大きな一歩を踏み出した。  また、交付税も、三千三百ある、約三千三百近い地方公共団体の中で交付税をもらっていない団体なんていうのは百ぐらい。三千以上の団体が交付税もらっていて、財政調整機能とかと言えるかと。やっぱりこれはもっと改革していこうと。だから、交付税もらった方がいいという地方がたくさんありますよ。改革しない方が、現状維持の方がいいと。中央から補助金ももらって交付税もらった方が一番いい。それは分かります。しかし、それでは地方の自主性が生かされないだろうということで、この交付税もやっぱり効率化、合理化を図らなきゃならないと。  地方の自主性を生かすというためには財源がなきゃできないということで、当初はまあたばこぐらいしかないんじゃないかというのを、所得譲与税という形で税源として初年度に与えるという。まだまだこれからでありますけれども、大きな一歩を踏み出したのは事実であります。  しかし、この改革に付き物の、現状維持したいと。改革をすればいいところとそうでないところと必ず出てきます。そういう面において、急変ということに対して戸惑っている面がありますから、今、麻生大臣がそういう急激に変わる、あるいは戸惑っているところに対して、各地方自治団体が対応が違いますから、きめ細かく配慮してこの改革に結び付けていこうということでありますので、その辺、今後、麻生大臣から答弁があると思います。
  416. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) よくお詳しいところですから、お詳しい方に更に言うのもいかがなものかと思わないわけではありませんけれども、基本的には今言われたように、市町村によってかなり格差がございます。  今回、共同通信なんかの資料を見ましても、今回の改革が良かった、悪かったというのを市町村長の数でいけば、それは小さな市町村長の方が多いわけですから、それは当然よろしくないという意見の数の方が増えるのはそれは当然の数字だと思います。  ただ、人口二十万以上の市町村とかいうところでは、今回の改革が良かった方が実に六〇%を超えておりますし、また、五万以上のところでも今回の改革が良かったというのが半分を超えておるという実態でありますけれども、数からいきますと三千とか百とかいろいろ数がございますんで、そこらによって、市町村長の数によって、その首長さんの数で比較するとそれはいかがなものかという意見が出てくるのは当然のことだと思います。  小さなところにつきましては、今総理の方から御答弁があっておりましたように、その小さな方につきましてはいろいろな形で、これ地域によって一律というわけにはいきませんし、大きさによって一律というわけにもいきませんので、いわゆる御存じのように地域再生債とかいわゆる財政再建債等々をいろんな形で枠の拡大をさせていただきましたり、また弾力的な処置をやらせていただいたり、いろんな形で今後ともきめ細かく対応させていただきたいと存じます。
  417. 木村仁

    ○木村仁君 三位一体改革の過程をたどってみますと、まず補助金カットありきという感じが私はいたします。四兆円という数字があって、そして総理が絶大なリーダーシップでもって一兆三百億を切り込まれたと。それはもう私は見事なリーダーシップであったということを考えます。  その前に、委員長を持ち上げるわけではありませんが、前総務大臣が税金カット、税金、税源移譲ということを最初に言い出しました。当時の決算で八十六兆の税金、国が五十兆、地方が三十六兆何がし、それを五・五兆円、所得税で三兆円、消費税で二・五兆円、一%分を地方に譲渡してくれ、移譲してくれないか、それを基本にして補助金をカットし交付税を処理していこうではないかという提案をされたはずです。全く逆転なんですね。補助金の方を先にカットして、そして三位一体を実現していった。その過程が私は違っていたんじゃないかと。  谷垣財務大臣にお伺いいたしますが、やはり国の財政を軽くしたいという気持ちの方がお先におありになったんじゃないですか。
  418. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、決して国の財政だけを軽くすれば済むと思っているわけではございません。委員のような地方財政にお詳しい方に私申し上げるのは本当に内心じくじたるものがあるんですが、仮に補助金をカットしたままで財源、税源をお譲りするということになっても、国の財政自体が半分は公債で賄われているわけでありますから、これはやはりスリム化をしないとどうしようもないという現実がございます。そこで、一つ一つのやはり補助金をきちっと精査して、もう無駄なものはもうやめてしまう、これからも地方で続けていただくものは地方にお譲りする、そういう中で、やはりスリム化が必要でありますから、八割ぐらいをめどに税源をお譲りしよう、持っていこうと。それから義務的経費については、これもスリム化しなきゃいかぬが、これについては十割持っていこうと。  そういう全体の姿が明らかになってきたときにきちっと基幹税で、ということは所得税を中心として地方住民税に持っていくと。まだ過程でございますから、その全体ができていないので先ほどのような今の姿を、暫定的な姿を考えていただいて今年はしのいだわけですが、補助金改革の姿が明らかになってきたときは今のような形で基幹税できちっとやらなきゃいかぬと、こう思っております。
  419. 木村仁

    ○木村仁君 よく分かりました。私がよく分かるというのは、おっしゃることがよく分かるという意味でございまして。  その一兆三百億を処理していく過程で、たばこ消費税でいこうというのが出てまいりました。これは地方公共団体からすれば非常に自分たちを軽く扱う、ばかにされたという気があるわけですよ。やはり最初から基幹税できちっとやりますと、経過措置はあるにしてもきちっとやりますという形でないと地方自治体は国を信頼しないと、そういうふうに私は思いました。  そして、そのたばこ消費税を一生懸命はねのけて基幹税でセットさせようとするところに非常なエネルギーを使って、そして使い果たしたところに地方交付税の切り込みが入ってきて、ぼやっとしているうちにやられてしまったというのが地方自治体の感じですよ。やみ討ち、だまし討ち、不意打ちと、そういう言葉を使っております。いかがでしょうか。
  420. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、委員のようなお詳しい方にそう言われますと、いささか私もつらいんですが、要するにこういうことじゃないでしょうか。お互い、地方も国も、財布の中身が乏しいことが、お互い手のうちが分かっておりますから、言ってみれば、早く取るものは取っておかないと後でばばをつかむぞというような気持ちがお互いにございまして、こう言うと表現が悪うございますが、やや朝三暮四みたいな議論もあったんだろうと思います。  私どもは、決して先ほどのような基幹税を中心とした税源移譲を避けて通ろうと考えていたわけではありません。ただ、過渡期の措置をどうしようかと。その出し方に、いろいろ考えて、これが必ずしも地方自治体からすると評価をして、その私たちが考えた過渡期の姿が評価をしていただく形ではなかったんですが、やはり数年後、補助金改革がまとまったときにきちっと基幹税で税源移譲しようというのは、私ども初めから変わっておりません。今後ともそれはきちっと踏まえてやるつもりでございます。
  421. 木村仁

    ○木村仁君 そのような基本的な方針を是非再確認されて今後の処置に当たっていただきたいと思いますが、地方自治体は、来年はもう少し早めにしっかり情報を渡していただいて、そして互いに議論していこうではないかということを要望しておりますので、これをお伝えしておきたいと思います。  ともかく、結果的には地方交付税が六・五%、そしてそれから持ち出してセットした財源対策債が十何%かあれして、結局地方交付税として期待し、等として期待していたものが一二%落っこちてしまったと。九千億ぐらいの財政規模の県で三百億とか、あるいは数十億の財政規模の市で六億、七億とかいう穴が空いてしまったので、大変地方団体は苦しんでおります。もう小さな団体ですと、これ以上自分たちを苦しめるんだったらおれはもう知らぬぞと、知らぬぞと言うからどうするか分かりませんが、そういう気持ちのようであります。  総務大臣は、何とかかんとかその財政の対策債の弾力運用あるいは地域再生事業債の八千億の枠拡大、そういうもので形は扱って、あるいは基金を取り崩して対応したところもありますけれども、平良市のようにあえて赤字予算を組んでしかられて元に戻したというところもあります。  そういう実態、どのように理解をしていらっしゃいますか。
  422. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先ほども申し上げましたように、これは小さいところの方がやっぱり影響は大きいというのは、もう間違い、木村先生よく御存じのとおりで、人口総数の少ないほど、ところほど交付税の影響が大きいというのはもう御存じのとおりでございますので、いろいろ、平良に限らずいろいろありますし、ほかのところ見ましても地方税収の見積りが少し多過ぎるんじゃないかとか、いろいろ洗っていきゃ幾らでも出てくるかとは思いますけれども。  先ほど、やみ討ちじゃないかというお話があっておりましたけれども、一応八月概算のときぐらいからこの話は出ていた話ではありましたけれども、何となく従来と違って明らかに一歩踏み出す形になりましたので、結果として何となくショックは大きかったということだろうと思いますが、来年につきましては、来年度につきましては、これは基本方針二〇〇三等々を早めに出していただくことも必要でしょうし、私どもといたしましても、流れとしてはこういう方法とかいろんなことをもっときめ細かく早い段階で出していくという努力は、地方中小零細じゃないな、地方の小規模の自治体にとりましては非常に大きなところだと思いますので、その点もきめ細かく配慮していきたいと思っております。
  423. 木村仁

    ○木村仁君 実際に今年は何とかかんとか予算を組みましたというところが私は多いと思います。しかし、もうこのペースでいかれたら十七年は絶対駄目だよと、その前に合併してしまえと追い込むのかというせっぱ詰まった気持ちが地方の小さな市町村にはあるわけです。そんなら小さな市町村もう合併してしまえと、もういいじゃないかと言うのかというと、そうではありません。これは合併が進んでも必ず小さな団体というのは残るわけです。そこの住民はそれなりに生きていかなきゃいかぬわけですから、非常にせっぱ詰まった事情、状態が生じているということを御理解をいただきたいと私は思います。  そのために、地方交付税の財源保障機能というのをやめてしまえという意見がありますけれども、やっぱりそれは地方、税源を移したときには財源調整機能が大きくなっていくことは当然ですけれども、保障機能をしっかりと一部残しておかなければいけないと思いますが、これは財務大臣総務大臣とお答えいただきたいと思います。
  424. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員指摘のように、財源調整機能、財源保障機能、両方ございますが、やはり調整する機能は、それぞれの団体によって財政力が違いますから、これはあくまで私は必要なものだと思います。保障機能につきましては、私、これ全部なくしてしまえなんて乱暴なことを申し上げているつもりはございませんが、交付税特会の借入金残高が十六年度末に五十・二兆あると、それから地方の借入金残高が十六年度末で二百四兆に達するというふうに見込まれている現状の中でやはりスリム化をしなければならないとなると、この調整機能、保障機能というものは、現在よりもやはり相当圧縮していかないと私はなかなかもたないのではないかというふうに思っておりまして、全部なくせなんという乱暴なことは申し上げるつもりは毛頭ございませんけれども、このスリム化が私は極めて必要であると、こういうふうに考えております。
  425. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) よく御存じのように、幾ら税源を移譲されましても、税源を取る対象人口のないところ、対象企業のない市町村というのは必ず今後とも残りますので、そこらに対しましても行政サービス、最低限の保障等々には、これは交付税によります調整機能は必ず必要でありますので、この持っております機能は避けて通れない、堅持されてしかるべきだと思っておりますので、その内容の、額の、等々はいろいろ検討の余地があるところだとは思いますけれども、この財源調整機能は今後とも必要なものだと思っております。
  426. 木村仁

    ○木村仁君 総務大臣、財政調整機能が必要なことは当然です。保障機能の方なんです。  それで、これは最終的には地方自治体の税源が十分になっていけば保障機能は要らなくなるのかもしれません。相当の期間、私はその機能は保有していかなければいけないと考えている次第でございます。  時間がありませんので、次に進ませていただきます。  年金問題ですけれども、年金問題についてはもうともかく不満が多いということでありますが、この現在の年金、提案されている年金制度、もう途中でいろいろ変わりましたから、難しい問題があったかと思いますけれども、どのように国民にPRし理解を求めてこられたか、お伺いしておきたいと思います。
  427. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現在の政府が出しております年金制度につきましていろいろの御批判があることは、私も当事者でございますので十分に存じているつもりでございます。  私自身、この案を作っております過程の中で、少子高齢社会というのはかくも厳しいものかと自分でも思いながら作ったわけでございます。お若い皆さん方からは負担を下げろという御不満がある、現在の高齢者並びに間もなく高齢者に、いわゆる年金受給者になられる皆さん方からはもっと増やせという御不満がある、双方あるわけでございまして、しかしこの双方をかなえることはでき得ない。今から二十年、三十年先の状況を見ながら、現在を客観視して、そして、こうならざるを得ないということを国民の皆さん方に御理解を求める以外に道はないんだろう。それが現在この役職に就かせてもらった者の務めであると考えている次第でございます。
  428. 木村仁

    ○木村仁君 ひとつ十分な調査をしていただきまして、どの世代がどのような不満を持っているのかというようなことを確認していただいて、万全の説明責任を果たしていただきたいと存じます。  少し明るい話題に転じます。  新幹線鹿児島ルートが三月十三日開業いたします、新八代から鹿児島中央まで。総理、この新幹線は、河川改修と一緒で川下の方からだんだん整備されてまいりまして、今、新八代まで達しました。開業に際して一言コメントをお願いしたいと思います。
  429. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 鹿児島は私の第二のふるさと、おやじの故郷であります。できるだけ早い機会に私も鹿児島まで新幹線で行ってみたいという気持ちはあるんですが、なかなか国会の日程でも行けませんが、この十三日に開通の運びになったということを喜んでおります。  木村議員は熊本出身で、熊本、早くしろということだと思いますが、この新幹線につきましては国土交通省、新幹線の問題、空港の問題、そして高速道路の問題、総合的に今後も考える必要があるのではないかと思っておりますし、地域の方々の要望、熱いことをよく伺っております。そういう点も踏まえまして、どのように対応できるか、今後も真剣に検討していきたいと思います。
  430. 木村仁

    ○木村仁君 間の博多—新八代間が抜けております。これを完成させると実に短い時間で、ちょっとここに紙を、どこか行ったか分からなくなってしまいましたが、誠に短い時間で旅行をすることができるようになります。みんなが期待しておりますので、もうこれ聞いて慎重な意見が出ると困りますから聞きませんけれども、是非お願いしたいと思います。  十二年から十二年といったら二十四年です。今十六年ですから、あと八年です。残事業が約六千億。今年、皆様のおかげで八百億組まれておりますので、一年ぐらい短縮して実施することができるのではないかと期待をしている次第でございます。  こういう完成ができてまいりますと、地域の実情が全く変わってまいります。そこで、我々熊本県でもその地域を今後どう作っていくかということは非常に大きな問題だと思います。  私はここで二つだけ申し上げたいと思うんですが、一つは観光開発。阿蘇、天草という世界級の観光地があるんですよ。ところが、非常にくたびれて、阿蘇は人間と牛が作った草原だったわけです。冬は金色、夏はもえぎのすばらしい草原だったんですが、二十年代に杉を植えました。もうけているところはいいんですけれども、もうけていないところは放置されています。そういうところをやはり国としても、ビジット・ジャパンの中にも景観の保持というようなことがありますけれども、国としても力を入れて観光地のリニューアルというのを進めていただいてはどうかと思いますが、総理、いかがでございますか。
  431. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 観光立国、一地域一観光と。観光について地域がそれぞれ知恵を出して国全体の活性化につなげていこうという方針を小泉内閣は打ち出しております。  阿蘇といえば、麻生さんのアソじゃないんですが、たしか坂本龍馬が新婚旅行に行った地域だったじゃないですかね。
  432. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) あれは霧島だ。
  433. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それぞれの地域が歴史的な物語や遺産を大事にして観光を振興しようと。四国においては、「坂の上の雲」の司馬遼太郎氏の小説を舞台に愛媛県では町づくりが進んでいる。国の支援というだけでなくて、地域が、これだけの観光資源があるんだと、皆で取り組もうというその意欲が私は大事だと思います。  現に政府としては、観光カリスマ、今百人以上出ましたね、大体百人、もう近くなるでしょう。人、大事だ。地域も大事だけれども、その地域をいかに振興させていこうかという人の意欲と知恵が大事だと。人によって、寂れたところが非常に発展している地域もあります。そういう点におきまして、地域だけでなく、この観光に熱心な人、こういう方々の意欲をどのように守り立てていくかということも大事でありますので、二〇一〇年に、今五百万人しか外国人が日本を訪れていないのを一千万人にしようということと相まって、日本にはもう一杯観光資源が眠っているという、各国大使を招いたときの各国駐日大使の言葉でもあります。そのような提言、意見を参考にしながら、各地域の観光振興にも政府としては力を入れていきたいと思います。  今、国交大臣が今熱心に取り組んでおりますので、良かったら国交大臣の話も聞いていただきたいと思います。
  434. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま総理が御答弁された観光カリスマの、先生のお地元にもいらっしゃって、後藤哲也さん、あの黒川温泉。今、由布院、今までブームだったんですけれども、通はもう一歩、熊本のここの温泉を目指すと。こういう方がその地域の自然をうまく活用されて町おこしをされている。また、委員指摘になりましたように、阿蘇と地域の十二市町村が一緒になって鉄道の駅と道路とを一緒にしたコミュニケーションを作ってみたり、パーク・アンド・ライドをやってみたり、そういう先鋭的な取組をされているということを知っておりますので、できる限りのバックアップをしてまいりたいと考えております。
  435. 木村仁

    ○木村仁君 関連しますが、その阿蘇で阿蘇カルデラツーリズム推進特区という特区を作っております。担当大臣の金子大臣、どのようなことが行われようとしているのか。私も十分存じませんので、そこはひとつ御紹介をいただきたいと思います。
  436. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 正に今先生がおっしゃられた阿蘇山周辺の広大な草原、田園、これをやっぱりカヤぶきの民家造って民宿を造ろうと、特例措置で民宿を造ろうと。そして、今正にお話ありました未耕地というか、耕作放棄をされたような農地もあるようでございます。こういうところも第三セクターが一括して借りて、そして市民農園造って、スローな、スローな阿蘇というものを作り上げようという計画で今着々と準備をされておられるようでありまして、そういう特区を使ってやっておられますけれども、私たちもその準備をされているのを今支援をさせていただいております。  話変わりますけれども、岩手県の遠野市というのが、どぶろく、初めて特区というのが申請が上がりまして、先週、私あるいは農林大臣とともに行ってきたんでありますけれども、ここも柳田国男の「遠野物語」という民話のふるさとであります。こういうカヤぶきの民家、そして、いろり、そこで聞く古い民話。ところが、どぶろく特区という、どぶろく、手挙げただけで全国に注目を集めまして、お客様が既に去年の五〇%増し。ちょっとしたきっかけでもってもうそれだけお客が来る。人が来てくれると、もう地元の人たちは、じゃ次は何やろうかと、次はこういうものをやりたいというアイデアを私も行ったときにはもう既にお持ちになっておられました。  そういう意味で、今先生が御指摘をされました阿蘇地区、まあいろいろなプランがあるようでございますけれども一つのきっかけによってまた新しいことが進んでいくという、そのきっかけに是非スローカルデラがなってくれるということを期待しております。
  437. 木村仁

    ○木村仁君 そのような観光地のリニューアルと申しますか、条件が整えられた上で更に必要なのは、新幹線とか飛行機に対応して、車を持ってこない人々のための大量交通機関の整備であろうと思います。バスもそうでありますが、今の例でいきますと、阿蘇から天草まで行くのに三時間半ぐらいは掛かる。それが一時間ぐらいで行けるようなトランシットがあったら、これはもう観光の様相が全く変わっていくと思うんです。  私が聞き及びますところでは、デュアルモードバスというバス、汽車と同じように隊列走行してくるものが開発されていて、愛知万博で実用に供される、まあ園の中ですけれども、そうであります。万博で使われた交通システムは必ずどこかで使われます。そういうことについて国土交通大臣、御紹介をいただけますでしょうか。
  438. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) ただいま木村委員が御指摘されましたデュアルモードバス、これは機械でつながっているんじゃないんだそうですね。何かエレクトリックで複数のバスが伝わって大量輸送をやるというシステムでありまして、これと若干違うんですけれども、オーストラリアのアデレードにやはり、バスなんですけれども、市街地は運転手さんが運転しているんですけれども、郊外に入りますと、もう手放して線路の上を走っていくような新しい交通システムもありますし、こういうものを、それこそ先ほど委員指摘されましたような、観光地と観光地が点で存在していますことをその新しい交通機関でつなぐことによって更なる地域としての魅力を高めるというものに活用できるようにこれからも御支援させていただきたいと思っております。
  439. 木村仁

    ○木村仁君 私どもが知る限りでは、地下鉄ならば一キロ二百億、新交通システムだと一キロ百億、道路であれば一キロ五、六十億、そのデュアルモードバスであれば一キロ約二十億ぐらいでできるという、そういうシステムで、例えばJRの単線を利用すると、その単線の幅員で往復線ができると。そして、目的地へ着いたら、例えば阿蘇へ着いたら、それはばらばらに別れて普通のバスになって至る所に行けるというシステムであります。  今後、観光交通だけでなくて地方都市の、地方中核都市で力がまだ足りないところの交通システムとして大変有力ではないかと私は思いますので、大臣、省として研究なさるおつもりはございますでしょうか。
  440. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 観光振興のための地域交通システムということで、デュアルモードバス、多分第一号は二〇〇五年の愛知万博で利用されることになると思いますけれども、先ほどもう既にそれに近いようなシステムで海外で運行されている例もございますので、十分研究をさせていただきたいと思っております。
  441. 木村仁

    ○木村仁君 原始的なものは、もう既に愛知、名古屋で原始的な、機械的なものは使われているんですね。ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  新幹線に関連して、一つ小さなことを農水大臣にお聞きしておきたいんですけれども、新幹線の、もちろん鹿児島ルートの新幹線の洗面所にイグサ、八代の名産であるイグサで作られたのれんが掛かっているんです。イグサというのは局地名産品でありまして、日本のイグサ、畳表の九〇%をそこで生産しております。ところが、心ない商社がそれを使用もしない中国に持っていって、そしてそこで生産して安いものを持ってくるから危機に陥りました。そして、セーフガードの実施ということまでいきそうになった、予備的なものをやっていきそうになった、そういうものです。そこで、熊本県は差別化をするために「ひのみどり」という新しい品種を作って、種苗法で守られて、そしていいものを作り始めたら、これもまたいつの間にか中国に行って、そして違法な状態で入ってくる。今それを税関で調べて止めるか止めないかやっているそうでございます。  この局地名産品というのは、なかなかみんなの光に当たらないものでございますから、特に御注意いただきたいと思うんですけれども、今かなり施策は進んでいると思います。今後どのようにやっていかれるか、よろしくお願いします。
  442. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) お答えいたします。  先生、かねがね、この地域特産品であります熊本のイグサ「ひのみどり」のことにつきましては大変御関心をいただき、またいろいろとお話をちょうだいしておるわけでもございますが、まずこれは、一つは育成権者の保護強化と、こういう面で昨年種苗法を改正いたしまして、国内での育成者権の侵害に対しまして罰則を強化したところでもございます。  この「ひのみどり」のように我が国で育成される品種の種苗、先ほどもお話しいただきましたが、違法に海外に持ち出されて生産されて、そして我が国に逆輸入されるような事態が生ずると。これは大変特色ある品種、産地づくりに取り組む我が国の農業者にとりましては非常に深刻な影響を与えることでございまして、これは昨年十二月、イグサ品種「ひのみどり」に対しまして、育成者権者である熊本県が輸入差止めの申立てをしたところでもございます。  農林水産省といたしましても、税関で効果的な取締りが行われるよう品種識別技術の提供などを行っているところでありまして、熊本県、財務省並びに税関等関係機関連携いたしまして、このイグサ品種「ひのみどり」の育成権者の保護に万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  443. 木村仁

    ○木村仁君 イギリスにハリスツイードという生地があります。これはスコットランドの離島で細々と作っていた生地でございますが、それをイギリスはほぼ一世紀掛かって地域ブランドに育て上げ、そしてそこで作られたハリスツイードでなければハリスツイードという名前を付けてはいけないというような法律を一九九三年にハリスツイード・アクトというのを作っております。そのように局地名産品というのは無視されがちでありますから、どうか光を当てて、しっかり日本の伝統である畳の唯一の主産地を守っていただきたいと心からお願いを申し上げます。  最後に、一つ御希望だけ申し上げておきます。  それは、消防団の強化ということであります。今度、国民保護法ができますと、消防団がいざというときには避難誘導等の中心的な役割を果たすことになります。しかし、なかなか地域のボランティア組織、ボランティア組織の精髄でありますが、だんだん数が少なくなってきております。その分だけ実は女性の消防団が増えておりまして、昼は女性消防団員が活躍するという時代が必ず参ります。今は一万人、二万人ぐらいしかいないんですけれども、十万、十五万人まで増やそうという意気込みのようでございます。これをひとつその処遇でありますとか体制、装備、そういうものについて是非しっかりした施策を樹立していただきたいと思いますが、総務大臣、お答えをいただきたいと思います。
  444. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 木村先生よく御存じのように、今、全国消防団員九十三万人、そのうち女性、今一万九千と、一万二千人ということでございますけれども、少なくともこの十年間の間に約八千人ぐらい増えております。あちらこちらの消防の出初め等々に伺いましても、女性の消防団というのは結構増えておりますし、テレビでも、め組というのを御存じかどうか、この種の若者向きの漫画を、アニメーションを見られたかどうか存じませんが、め組というのが出てきておりますんで、少年マガジンから始まったあれが女性の応募者をえらく増やしたというのも間違いない事実だと思いますんで、こういったものは非常に大事なことでもありますし、今後、いわゆる国民保護法制が始まりましたときに、少なくとも日本語堪能な外国人かもしれないと思う人に誘導されるのと、顔見知りの消防団員に避難誘導されるのでは天と地ほどの信用の差がありますんで、そういった意味では、消防団に対する別の期待というのは有事に当たりましては非常に大きなものにもなろうと思いますんで、この消防団につきましては団員の資質、また装備等々含めて向上に努めてまいりたいと存じます。
  445. 木村仁

    ○木村仁君 終わります。
  446. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。伊達忠一君。
  447. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 関連質問、立たせていただいております自由民主党の伊達忠一でございます。  まずもって、今回、この機会を与えていただきました委員長始め皆さん方に感謝を申し上げたいと存じます。  早いものでございまして、私も国政に参加させていただいて二年半が過ぎました。この二年半、有事法の成立であるとか、自衛隊が海外に派遣をするとか、大変歴史の節目と申しますか、この一ページに議員の一人として私も参画できたこと、大変感激をいたしております。私も、かつて道議会時代に、実は防衛議員連盟というのがございまして、随分お世話をさせていただきまして、自衛隊皆さん方と接触する機会が非常に多かったんでございますが、そんなようなことから、今の状態を考えますときに、大変な変わりようだなということを感じます。今、むしろもう選ばれたい、選ばれたことが名誉だ、誇りだというようなこと、大半の方が言っておられますし、特に東ティモールから帰ってきた方と懇談をさせていただきましたら、もう一度行きたいと、こう言います。それは、とにかく自衛隊に入って初めてあんなに地域の皆さん方に喜ばれて、要するに感謝をされたということは初めてだと、だからもう一回行って地域の皆さん方のお世話をしたい、こういう方が大半でございました。  それがいわゆる高い世論の支持率につながっているんでしょうし、そして私どもも、先般、超党派で議員連盟を作らさせていただきました。海外に自衛隊を、行っておられる方の支援をする会なんですが、この会に民主党からも三十七名の入会をされると、こういうことでございますから、まさしくもう政治といい世論といい、そしてまた自衛隊の隊員の皆さん方に対しても、いわゆる任務に対する私は強い使命感を持つなど、いわゆる国際貢献に対する意識が明らかに高まっているんじゃないかと、こう思うんですが、総理の見解をお聞きしたいと思います。    〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
  448. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊諸君の国内での活躍のみならず、海外での活躍に対しましては、外国の方々からも高い評価を得ております。特に先般、東ティモールのグスマン大統領は、国連の場で自衛隊諸君の東ティモールにおけるいわゆるPKO活動、これに対して高い評価を公の場で表明されました。また、カンボジアにおきましてもそうでありますが、現在、イラクにおきましても毎日、テレビ等で拝見しておりますと、地域の住民の方々から歓迎を受け、そして地域の住民と良好な関係を維持して自らの任務を遂行しようとしている自衛隊諸君の大変目覚ましい活躍ぶりを見るにつけ、心強く思っております。  一部の報道におきましては、強制されてイラクに派遣されているんじゃないかという見方もされましたが、現実は、自衛隊の諸君は自ら志願して自衛隊に入隊しているわけであります。そういう中でイラクに派遣される場合も危険を伴うかもしれない、決して安全とは言えないと、そういう中で、希望されてイラクに行っておられる。御家族の心配も分かります。しかし、今イラクに赴いている自衛隊諸君一人一人が誇りを持っている。日本国民の自分たちは善意を代表しているんだという意欲を持って、イラク国民との良好な関係を持って復興支援、人道支援に当たっている、心から敬意を表したいと思います。    〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕  この自衛隊諸君の任務が無事遂行され、日本も国際社会の責任ある一員としてイラクの復興に力を尽くしたということは必ず将来評価されるものであると。その際に、自衛隊諸君の活躍は、多くの国民の記憶に、また外国の、イラク国民の記憶に残るものと私は確信しております。
  449. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 私もそうだと思います。  今やもう進んで参加して、そして世界平和というのは自分たちの手で作り上げるんだと、そういうもう高い意識に私はとらわれていると、こう思うのでございます。  そこで、直接指揮に当たっておられる石破防衛庁長官にお聞きいたしますが、その意識の問題と併せて実はもう一つ伺いをしたいわけでございますが、冬の北海道のイベントといえば大きなもので雪祭りがございます。これはもう自衛隊さんの協力なくしてもう成功はあり得ないわけでございますが、実は平成十一年に第七師団が改編されたと。で、定数が削減をされたということもございますし、年々やはり国際貢献的なそういう業務が大変多岐にわたってきたというようなこともございまして、実は平成十二年まで二万四千延べ四百人お手伝いで手伝っていただいたんですが、平成十三年から二万二千四百人ということで、二千人実は縮小されました。  若干、札幌の政治風土も変わったということもございますが、ごく一部の人ですけれどもイラクに行く人がいるんであれば自衛隊の雪祭りのあれはへずらないでほしいと、こういうことを言っておられる方がおるのでございますが、しかし、自衛隊皆さん方には本来の任務が実はあるわけでございまして、そんな中で実は地域にも溶け込もうということで地域のイベントを一生懸命お手伝いして努力をされたということでございますので、その辺を、いわゆる自衛隊皆さん方の果たす役割と、この任務と役割を是非、石破長官にテレビを通じてしっかりとお示しをいただきたいと、こう思うのでございます。
  450. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員にはいつも私どもいろいろな御理解、御支援をいただいております。また、北海道におきましても大変なお支えをいただきまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  今御指摘の雪祭りでございますが、これは何に基づいてやっているかと申しますと、防衛庁設置法第五条の第十七項「防衛に関する知識の普及及び宣伝を行うこと。」と、これに基づいてやっておるわけでございます。  私は、副長官のときに雪祭りをまだ造営しておる現場というのに行ってまいりました。大変な大きな雪像ができます。あれはもう長ければ半年、短くても数か月、精密に設計をしてきちんとした設計の下に組み立てられ、そして札幌市内の雪は残念ながら余りきれいじゃありませんから、山の奥まで行ってきれいな白い雪を取ってきて、何日も何日も掛かって隊員たちが作るものであります。それは自衛隊員が作りましたよというのはほとんどテレビには出ません。新聞も報じてはくださいません。それでいいんです、何も褒めてもらおうと思ってやっているわけではありませんから。ただ、私は視察したときに、「菊作り菊見るときは陰の人」という話があります。そういうものなんだと思っています。  ただ、先生指摘のように、あれやっている間も夜は隊員たちはほとんど寝ていない。それはなぜかといえば、雪が降ったといえばその重さで雪像は壊れるかもしれない、温度が上がったといえば解けるかもしれない。あの雪祭りの期間中、隊員たちはほとんど寝ずに、あの雪祭りちゃんと行われるだろうか、それを見ておるわけであります。そういうような隊員たちの努力があって、もちろん市民の皆様方の御協力もあってのことですが、北海道札幌市の大きなイベントが行われ、お客様が来てくださるということなのだと思っています。  私は、自衛隊というのがそんなに称賛される世の中がどういう世の中か、それは私に答える力はありません。ただ、見えないところで一生懸命努力をしている、そういう隊員たちに対してありがとうと言ってくださる、それはやはりあるべき姿ではないかと思っています。隊員たちが今一番誇りにしているのは、国民の皆さん方が自分たちの活動を支持してくださっているということであります。  この間の週末に、たしかNHKと毎日新聞だったと思いますが世論調査がございました。これは自衛隊イラク派遣を支持するとおっしゃってくださる方がどちらも過半数を超えました。それは、隊員たちが本当に真摯に私心なくやっているということ、そして心ある札幌市民の皆様方、北海道民の方々始め、それを見て分かってくださっている方がいる、それが全国に広がっている。私はそれが今日の姿なのだろうと思っております。  雪祭りにつきましては、今後も、委員始め心ある札幌の皆様方のお声にきちんとこたえていかねばならないと思っております。ただ、私ども余裕があってやっておるわけではありません。これはもうすべてぎりぎり一杯の中でやらせていただいております。インド洋もそうです、PKOもそうです、今回のイラクもそうです。本当にぎりぎり一杯、国のために、そしてまた国際社会のために責任を果たすべく今後ともやらせていただきたいと考えております。
  451. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 それと、先ほど長官にちょっと冒頭お願いしたんですが、世界、国際貢献に対する自衛隊皆さんの意識というのが高まってきたということに対する直属のこの評価をひとつ。
  452. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 失礼いたしました。  実は、先ほど休憩時間に、ゴラン高原から帰ってきたPKOの隊員たちの報告を受けました。これはもう早いもので、もう九年目になろうとしております。今回は二回目という隊員は一人しかおりませんで、あとは初めての隊員ばかりでございましたが、どうだったと聞きましたところが、本当に貴重な体験をしたということでありました。  それは、あのゴラン高原において諸外国とともにPKOの任務をするということ、そして平和を維持するということ、外国の人たちと一緒にやる、その中において日本の存在感が示されるということ、そしてイスラエルであり、そしてまたシリアであり、そういう人たちの考え方、国際環境、そういうものがよく分かるということ。もちろん、半年行くわけです。自分たちの家族、遠く離れて半年間。それはヨーロッパ辺りの国ですと、休暇でちょっと帰ったりとか、近くで家族と会ったりとかいうことができますが、日本みたいに遠いところですとそういうこともできません。派遣中に子供生まれたとか、こんなに子供大きくなったとか、そういうこともたくさんあります。家族と離れて寂しいけれども、本当に得難い体験であったというふうに言っております。  あるいは、先ほど総理からもお話がございましたが、東ティモールのグスマン大統領、先般来日の折に防衛庁にお越しになりました。私どもできて五十年になりますが、防衛庁・自衛隊は、外国元首というのをお迎えしたのはこれが初めてのことでございます。本当に自衛隊のおかげでティモールは復興しつつある。何が自衛隊が有り難いかといえば、それは国民の目線で一緒にやろうよということ、それをやってくれるんだ、これが有り難いんだというお話でした。  隊員たちが帰ってきて申しますのはそれと全く一緒のことで、東ティモールの人たちと一緒に国づくりができる。この国が独立をして、その一番ベーシックな部分を東ティモール国民とともに自分たちができる、そしてそれを何のいろんな思惑もなくありがとうと言ってくれる、こんなにすばらしいことってあるだろうかと、それが帰ってきた隊員たちの多くの声だと思っております。すべてがすべてそんな美談だとは思いません。もちろん改善しなければいけないこともたくさんあります。しかし、自衛隊がこれから先どのような活動をしていくか、これはこれから先議論されることだと思っています。しかし、そこにおいて大事なことは、その国の人たちの目線と一緒に、同じ目線で活動するということではないでしょうか。  今回イラクに行っております、委員にもお出ましをいただきましたが、隊旗授与式に、番匠幸一郎群長がおります。彼が心掛けていることはまさしくそういうことなのであって、例えばイラクに行く、できるだけアラビア語であいさつしよう、英語じゃなくてアラビア語であいさつしよう、そして向こうの人たちにこちらから手を振ろう、あるいは道路を走りますときに、水たまりがありますよね、決して水を掛けちゃいけないんだ、注意して走ろう、それは武士道精神にも通じるんだということを番匠群長が申しておりました。  日本人がこれから先世界の中でどうやって生きていくべきか、そのことにおいて自衛隊が何をすべきか、よく国会の御議論もいただきながら私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  453. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 私ども一緒の覚悟、お考えでございますし、先ほどのイベントにつきましても、ぎりぎりの中で大変お手伝いをいただいているんだということでよくそういう方々にも御理解をいただけたと、こう私は思っております。  それでは次に、地方自治の財政問題について財務大臣にお聞きしたいと、こう思うんですが、もう先ほど来、木村先生やまた矢野先生からもいろいろとお話がございまして、私もくどくどとは申しませんが、GDPが七%の伸びであるとか経済の明るさが感じてきたというようなことが報道されておりますけれども、正直言って地方にはまだまだこの恩恵は全くないわけでございまして、むしろ悪くなるような状況さえ実はあるわけでございます。特に北海道、最近は三十年四十年という創業のしにせがとにかく倒産をしているというようなことでございまして、失業率も、若年の十五歳から十九歳、この年齢では十五年度平均、平成十五年度で完全失業率一六・二でございますから、もう大変な状況だということは御理解をいただけると、こう思うんです。  よく言われることに、北海道の経済というのは飛行機の後輪と一緒だということをよく言われます。景気が良くなるのはもう一番最後だと、そして悪くなるのが一番先だと、こういうことで、飛行機の後輪というのは飛び上がっても最後まで滑走路に付いていて、降りるときは一番先に後輪が付くと、こういうことでございますが、そんな状況の中で首長さん方、大変な来年度の予算の編成に何かと御努力をいただいているわけでございますが、そこで一点、実はもうお願いというよりも是非やっていただきたい、こういうことをお話をさせていただきたいと思っております。  いわゆる地方債のことなんですが、御存じのように、今百九十二兆貸し出されておられますが、そのうちの七%以上の金利というのが八兆ございます。そして、中には八%、八・五%という金利があるわけでございますから、今の現状から見れば消費者金融に、金利に近いような金利でございまして、もう地方自治は大変な苦労をしているんですが、これ、書き換えるのはいいんですが、実は書き換えて、そして安い金利を活用させていただいてそれをひとつこの財源に使っていきたいという地方自治の皆さん方なんですが、書き換えても、いわゆる二十年で借りたものを十年で全部繰上償還して返しても、もう元金はないんですけれども、あとの十年間に対する利息といいますか、いわゆる補償金というようなものを払っていかなきゃならないというようなことになっているわけですから何も意味がないわけでございまして、是非ひとつ、この苦しんでいる地方自治の皆さん方のためにも是非ひとつこの制度を改正していただきたい、強くお願いしたいと思うんですが、大臣の決断をひとつお願いします。
  454. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、伊達委員おっしゃいましたように、北海道、私どもも先日、それぞれの財務局長を東京に呼び集めまして、いろいろそれぞれの管内の話を聞きました。ほかのところは大体みんな少し明るい希望を持っているんですが、北海道、四国、低迷しているという報告で、委員が御心配されるのは私、本当にもっともだなと思うんです。  ただ、今のお話はなかなか、委員の御提言ですが、難しいお話でございまして、要するに財投資金をお貸しして、それで昔のものだから当時八%の金利をいただいているということだろうと思いますが、これは長期固定金利で貸し付けて、財投でございますから預託していただいているところに返していかなきゃいけないと、そういう設計になっているわけでございますので、これ、もし委員の御提言をそのまま入れますと、要するに一般会計からそれを補てんして財投特会に入れるということをいたしませんと長期固定で地方に貸し付けていくという財投自体のスキームがもたなくなってしまうということがあるわけでございます。  他方、じゃ一般会計から入れるということになりますと、これはまたなかなか財投も大きな仕組みでございますから簡単にできる仕組みでもないということでございますので、委員がおっしゃるように、繰上償還も補償金をいただいているという仕組みになっているわけでございまして、これはもう大変申し訳ございませんが、このような形で維持させていただかないと制度はもたないんではないかと、このように考えております。
  455. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 その財投の仕組みもお聞きしてよく分かっているんでございますが、何とかいい方法にひとつこれ改正をしていただければということを強く要望して、時間がないもんですから次の質問に移させていただきたいと、こう思っております。  次に、中川経済産業大臣にお聞きをしたいと思うんですが、御存じのように、昨年の十勝沖地震で、北海道の苫小牧石油タンクに引火して、一基が鎮火するのに四十時間も掛かって地域の住民が夜も眠れなかったというような災害があったわけでございますが、その後、調べてみますと、夏以来、大きな産業事故だけで、いわゆる災害だけで五件ございまして、八人の方が亡くなっているわけでございますが、それはいわゆるブリヂストンの工場の火災であるとか、新日鉄のガスタンクの爆発であるとか、出光の石油タンクの引火であるとかということで、日本を代表する企業なんかが非常に多いんですね。  これは、私は、やっぱり今企業がどんどんどんどん合理化やリストラに走り過ぎちゃって安全管理が私は怠ったことが原因じゃないかというふうに思うわけでございますが、そこに増して、先月、また苫小牧で、配管にひびが入って油が十キロリットル漏れたと。これはたまたま火が引火しなかったから災害にならなかったんですが、これが引火しちゃったらもう大変な私は大惨事になったろうと、こう思っているんです。  そんなことから、こういう業界や団体に対する大臣の方でどのような指導をされているのかお伺いしたいと、こう思っております。
  456. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、伊達委員指摘のとおり、大規模産業事故が多発といいましょうか、相次いでおりまして、経済産業省といたしましても製造業を中心に百件の事故について産業事故の再発防止に必要な中間取りまとめを作ったところでございます。  やっぱり経営トップの役割が非常に重要である、それからマニュアルの改善ややっぱり従業員の教育の充実が必要である、あるいはまた委員も今御指摘になりましたように、設備、部品等の劣化状況の把握と設備年齢に応じた検査、そしてまた業界内、それから産業界全体での事故事例の共有と危機管理の共有というものが大事だということでございまして、もう一企業、一地域、一産業を超えた総合的な危機管理が必要だということで、平成十六年度の政府予算におきましても、プラント等の保守点検のシステムでありますとか、あるいはまた高度のメンテナンス技術開発等々につきましても重点的に取り組みまして、産業事故をできるだけ防止をしていかなければいけないということで、最重要課題として取り組んでいるところでございます。
  457. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非厳しくひとつ指導していただきたいと、こう思っております。  次に、道州制、北海道の道州制特区についてお伺いしたいと思うんですが、小泉総理も道州制、そして北海道の道州制特区についてしばしば触れておられますが、先般の総理大臣大臣施政方針演説の中にも、北海道が地方の自立、再生の先行事例となるように支援してまいりたいということを言っておられますが、今市町村合併がどんどんどんどんこう進められているんですが、なかなか思うようにいっていないというのが実態だと、こう思っております。そんな中で、この四十七都道府県というのは明治二十一年からでございますから、もう百二十年来どこも続いてきて、もうしっかり国民の中にはもう定着していることはもう確かなんですが、実はこれからの時代というのは、やはりもう少しこの都道府県、大きな単位でやっぱり地域の活力、自立に向けてやっぱり見いだしていかなきゃならぬ、こう思っているところでございます。  そのいわゆる道筋の一つが私は道州制だろうと、こう思っているんですが、これは古くから議論されておりますけれども、まだまだその方向性というものが見いだしておらないというのが実態でございますが、昨年の総選挙で我が党がマニフェストの中に取り入れて、実現に向けての本格的な検討を始めてきたところでございまして、また、政府においても、三月一日だったですかね、あれ、第二十八次の地方制度調査会も発足させて、総理から諮問されて、その重要事項がいわゆる道州制だったというふうにお聞きをいたしておるわけでございますが、道州制というのは、その国の姿と申しますか、形を決めるということで大変重要なことだと、こう思うわけでございますが、総理が道州制に関してのいわゆる地方制度調査会に対する議論をどういうように期待しておるのか、そしてまたどのように進めようとしているのか、総理の見解をお聞きをしたいと思っております。
  458. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 道州制という言葉はいろいろ聞かれますが、果たしてどういうものかということに対しては、まだ実際に行われていないわけですから、なかなかつかみ切れない、実感がわかないというのが現状だと思います。  そういう中で、地方制度調査会におきましては、北海道だけでなくて、本州、四国、九州、あります。今の県単位の行政を、じゃ、ブロックでどういう県が一緒になって地域広げていくか、あるいは自主性を発揮するためには今の県じゃ狭いということで、県に替えてもっと広い単位で考えるならば州になるだろうと。まあ道州制と、北海道はそのまま、範囲も面積も広いですからね。  あと、州。州の場合は、今それぞれ議論があります。九州を全部一つの単位にするか、ブロック単位にするか。あるいは、四国は四県ありますけれども、四国だけを州にするのか、あるいは四国と九州を付けるのか、四国と中国地方を付けるのかと、それはいろいろ考えあります。  そういう、まず、今の県単位をどの程度集めて州にするかという問題もありますが、そういう中の行政範囲を広くした場合に、国の役割とその州の役割、どうあるべきかという点もやっぱり議論しないといけない。そして、国の仕事とその地方、州、道州制になった場合の州の役割と、じゃ市町村単位の今の役割がどうなるのかと、では県の役割はどうなるのかという問題もあります。  極めて難しい問題であり、専門家の中でもいろいろな議論があるところでありますから、そういう道州制になった場合、あるいは道州制という問題についてどういう点を考えなきゃならなきゃいけないのか、またどういう道州制が望ましいのかという点も含めて率直に議論して、答申をしてくださいということであります。  わけても、北海道は、将来仮に道州制が実現した場合にも、北海道は道として一つの私は行政単位になると思います。どの県を北海道に付けるものでもない、北海道の地域を削ってよそのところに付けるものでもない。北海道は今のまんまの北海道で道州制たり得る地域だと思いますから、北海道は今、道州制が実現されていなくても、一つの先行モデル地区として自らの自由裁量権をどのように確保したいかということは提言してもいいのじゃないかというのが私の考えでありますので、その提言があれば尊重して、今後の地方分権なり地方の自主性、裁量権拡大することについて生かしていきたいというのが私の趣旨であります。
  459. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 次に、内閣にお聞きしたいと、こう思うんでございますが、今総理も言っておられましたように、道州制ということになりますと大変大きなテーマでございまして、これは大所高所からひとつ検討されなきゃならぬと、こう思うんでございますが、特定の地域においては道州制特区というようなこともございまして、これについては北海道、まさしくその検討にふさわしい私は条件が整っているだろうと、こう思っております。総理もたまに言っておられます、いわゆる北海道をモデルにということを言っておられますので、是非ひとつそれに向けて取り組んでいただきたいと思うんですが。  内閣においても、いわゆる担当の者を決めるとか、また調査予算も計上したとかということを聞いておりますが、しかし、これは数多い、法律だといろんな規制が絡み合ってくるものですから、各省庁が連携を取りながらやっぱりしっかりと取り組んでいかなかったら実現に向けて私は難しいだろうと、こう思っております。  そんな点から、特にこの北海道の道州制、北海道の発展にだけつながるんではなくて、いわゆるよその地区においても、よしと、うらやましいと、そういうものを是非ひとつ進めていきたいというようなモデルとしてするように、どのような、そういうことになるにはどのような方法で取り組んでいかれるのか、大臣の見解をお聞きしたいと思っています。竹中大臣に。
  460. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、今総理の方から御答弁があっておりましたが、確かに地域的には、北海道というのは既に昔は函館県等々分かれておりまして、百二十年前までは県があそこに四つありましたから。そういったところだったものが道になりまして、かれこれ百二十年であれはありますけれども、さあ、今抱えております問題は、総理から高橋知事の方に対していろいろ提言があっておった話も内容を知っておりますが、いざ実行される側になりますと、これは出先機関と一緒にするという話がどのような形になるかと。  これはちょっと、私はもうこうしようとかああしようとか言える立場にはないんですが、少なくとも、そこらのところがうまく融合いたしますと、少なくともいわゆる県と直接、道と直接つながる形になろうと思いますので、そういった意味ではモデル地区として北海道というのは既に四県、四県分ぐらいありましたものがなくなって道になっておるという点から、明らかに東北三県で一緒になろうといっても、御存じのようにちょっとこれは、言葉もかなりいろいろ違いますし、南部と津軽で、我々が聞いていては全然どこがどう違うのかさっぱり分かりませんけれども、お互いは絶対違うそうですから、あれは南部のもんとか津軽のもんとかいうことも北海道じゃないそうですから、そういった意味では、同じ広い話では結構話は早かろうなという感じはするんですけれども、いざ、なかなか、じゃ、具体的にどうかと言われると、ちょっとそこまではまだなかなか、具体像がまだ浮かんではきてはおりませんけれども、流れとしては、権限が移譲されていくということは地方の方に地域主権がどんどん強くなるわけですから、方向としては、方向としては正しいという感じはいたしております。
  461. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 内閣府の対応ということでお答えをさせていただきます。  大きな制度そのものについては、地方制度調査会に関して総理が既に御答弁されたとおりでございますけれども、要は広域自治体だと。広域自治体にはいろんな姿があるであろうけれども、北海道というのはそういったことを独自に先行させる幾つかの独特の条件を持っているということなのだと思います。  そうした観点からも、昨年の十二月に北海道知事に経済財政諮問会議にもおいでをいただきまして、その道州制特区のアイデアを御紹介をいただきました。それが一月の総理の施政方針にも反映されているということでございます。  委員指摘のように、内閣府では北海道との連絡を、連絡に当たる担当の審議官を既に指定をしておりまして、いろいろ議論をしていただいております。是非ともこれは野心的なアイデアを北海道から出していただきたい、また機会がありましたら委員からも是非そういった御指導をいただきたいと思います。そういうようなアイデアを受けて、我々としては前向きに是非対応していきたいと思っております。
  462. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非ひとつ取り組んで、前向きに取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、今、特に北海道の経済、大変な状況でございまして、国の出先ですとか道庁の組織、市町村の組織が垣根を越えていわゆる重要な課題に今取り組まなきゃならぬと、そういう時期だろうと思っております。その大きな柱が私は観光産業だろうと思っております。北海道におきましても、大きな産業の政策の柱として取り組んでいるわけでございますが。  いわゆる今、地方と国が一体になって進めている中で、いかなきゃならぬ中で、一点だけ財務大臣にお聞きしたいと思うんですが、いわゆる観光に力を入れている沖縄につきましても、沖縄特別措置法というのに基づいて沖縄特定免税店という制度がございまして、沖縄への国内の旅行者であっても、いわゆる関税免除で輸入品が買えるということでございますが、今、北海道の観光の位置付けを考えれば、是非北海道にも北海道特定免税店というような制度が考えられると、こう思うんでございますが、地方自治が広く活用しておられる構造改革特区でやるべきなんだろうと思いますけれども、税財政に関するものについてはこの構造改革では受け付けないというようなことを聞いておりますので、是非道州制特区として実現を図っていきたい、こう思うんですが、いかがでございましょうか。
  463. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今日ばかりは、懇意にしていただいている先生の御提言に何かつれない返事ばかりしなきゃいけなくて、我が役目が恨めしく思えるんですが。  確かに委員がおっしゃるように、沖縄では、特定免税店制度というものを法律で作りまして、特別法で作りましてやっております。ただこれは、なかなか一般に広げていくことは極めて慎重に考えなきゃならないといいますのは、つまり、これは関税を免除するという制度でございますから、要するに関税というのは、国内産業を、ある国内産業を保護する必要があるから関税を掛けているわけですが、これを広げてまいりますと、国内産業保護というのは空洞化してしまうと。もうその関税の役割は果たしたから、役割、歴史的使命は終わったからというのなら、それはできるんですが、そうでないと、これはなかなか前向きの御返事がしにくいことでございまして、誠に申し訳ございませんが、極めてこれは慎重に考えなきゃいけないことであるというふうに思っております。
  464. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非、この道州制特区、先ほど申し上げたようにいろんな法律が絡んでくるものですから、できないできないということになると、これは絶対不可能だと、こう思うんです。ですから、できる方向に何とかひとつ改正をしていっていただきたいと、こうお願いをさせていただきたいと思っております。  それでは、このことについて総務大臣にお聞きしたいんでございますが、道州制特区については先ほど来、総論でございますけれども、議論をしてきているところでございますが、お聞きのとおりでございます。何といっても、いい形で私どもは実現に向けてとにかく取り組んでいきたいと、こう思うわけでございますが、今、北海道においても、この道州制特区の具体的な提案について取りまとめ作業をやっているんですが、何せ御存じのように、もう北海道、大変な財政状況でございまして、とにかく立て直しにむしろ奔走していると言っても過言でないぐらいなんです。  これは私も、大臣、スポーツなんかもこれ一緒だと思うんですが、体調の悪いときに競技に出場してもいい成績は上げられないと、こう思うんです。ですから、こんなひとつ厳しい財政をどうしようかというようなときに、やっているときに、実はいい提案をといったって、なかなかいい知恵が浮かびませんし、また腰を据えてやっぱりやるようなことにならぬと思うんです。  それで、是非、北海道の基盤のない財政事情に対してのひとつ指導をして、きちっと指導していただきたいし、そしてまた三位一体についても、これから展望をきちっとやっぱり示していただきたいと、こう思っております。高橋知事は療養中でございまして、ですから、大臣の答弁を聞いたら元気になったと、あしたからもう公務に復帰しようと……
  465. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) もう時間がそろそろ来ていますから。
  466. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 はい。  というようなことで、是非力強いひとつ答弁をお願いしたいと、こう思っております。
  467. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御許可をいただいておりますと思いますので。
  468. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) はい、どうぞどうぞ。
  469. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 一番北海道の方からよく聞く質問なものですから、度々紙で書いているのが大変になりましたものですから。(資料提示)今よく言われる財政の部分のあれを民主党山本さんのまねしてパネルにさせていただいたということなんですが。  基本的には、今、交付税を切って今地方財源に移す。おれたち北海道の小さなところでは地方財源なんかもらったって、取るべきいわゆる住んでいる道民もいなけりゃ、いわゆる何でしょうね、ほかに企業もないと。そういうところでは、おれたち、切られ、こんなもの、財源なんて渡されたってどうしようもないじゃないかというお話はよく出るところなんです。  その場合には、今、今回の場合はこの国庫助成が、切りました分で地方に対しての地方税が出ましても北海道の足寄町じゃこれしか出ぬと。足寄町なんて言っちゃいかぬですけれども、一番大きな町ですから、日本で。これしか来ませんと。こういうところは、おまえ、じゃ、この差額はどうするんだと。その場合は、先ほど総理から御答弁がありましたように、地方税よりは今までどおり交付税もらっておいた方がええというところについては、その分については交付税は足します。したがって、この種の、この点については心配ないと。これを言っていただくと大体町の方、おお、そうかと言っていただけるんですけれども、ここが全然理解されていないところ。  そうすると、今度は大きな都市の方から、じゃ、おまえ、おれのところは、おまえ、交付税の方の戻りの方より地方税の方が、今までもらっていた交付税より地方税がもらった分だけ増えるというところもあります、大きなところは。そういうところは交付税を減らしますから、基本的にはここのところは同じになるようにという形にしようと思っております。  これは一つの例としてお示し申し上げましたけれども、こういった形で交付税というのは、先ほどお話ありましたように、木村先生とかからも御質問があっておりましたけれども、バッファー、調整機能としてのものがありますので、そういった形で、小さなところ、財政基盤の弱いところにつきましてはしかるべくいろいろ指導もさせていただきますし、こういった、きちんとさせていただきますし、さらに、権限が移譲されておりますところに関しましてはもらった権限をどう活用すればいいかがよう分からぬというところも正直あります。そういうところには、こういう具合にされたらどうですか、公設民営もできますよとか、いろいろさせていただいておりますので、御心配の点、北海道に限らず、いろいろ同じ県内でも小さなところには別にいろいろ御相談に応じさせていただいておるというようなことで、それなりに結構、これ一律というわけになかなかいきませんのでそういった形にさせていただいております。
  470. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で矢野哲朗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  471. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、木庭健太郎君の質疑を行います。木庭健太郎君。
  472. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。  イラクへの自衛隊派遣でございますが、世論の推移を見ておりましたら、ようやくというか、国民の理解が出始めているなということを感じますし、これは実際に人道復興支援のために自衛隊現地サマーワに着いたということが一つの大きな要素にはなっておると思うんですけれども、私はやっぱり、この自衛隊派遣の問題、国民の理解を更に深めさせるためには繰り返し総理御自身が、何で危険なところなのに人を出さなくちゃいけないのか、なぜ自衛隊じゃなければならないのか、また日本の国際貢献の在り方はどうなんだということを何度でもお話しなさることが一番大事だと私は感じております。  是非、参議院の予算委員会の審議の初めてでございますので、サマーワに自衛隊が今行っている今、総理として国民に向かってこの意義を御説明をいただきたいと思います。
  473. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラク自衛隊諸君が派遣され、今現在、地域の住民の皆さんとともに良好な関係を築きながら復興支援、人道支援に当たって活躍してくれている。この点については、日本として、イラク人のイラク人による政府をできるだけ早く構築したいという、そしてイラク人が希望を持って自らの国づくりに立ち上がることができるように何ができるかということを考えて自衛隊を派遣したわけであります。  もとより、これは国連決議に基づくものであります。国連は、全加盟国に対してイラクの復興に対して協力するよう要請してきております。日本は、この国連の要請にどう立ち向かうかという中で、できるだけの国際社会の一員として責任を果たしたい。資金的な支援あるいは物的な支援、人的な支援日本にできるだけのことをしようという中で考えられたのが自衛隊の派遣であり、これはあくまでも一部であります。  今人的支援を考える場合に、外交官、貴重な二人の方が生命を落とされた。こういう中で、それでは民間人に行っていただこう、なかなか無理であります。民間企業、自衛隊のみならず、民間企業は専門の分野で今までもイラクの国内で活躍してきた企業もあります。そういう企業にも行っていただきたいんですが、今のようなイラクの情勢では自ら安全を確保するすべを持たない、これまた無理だという中で、それでは地域を選んで、一〇〇%安全とは言えないけれども、危険を伴うかもしれないけれども、安全面にはできるだけの配慮をして人的支援の中で活躍できる日本国民はだれかということになると、自衛隊しかないではないかと。  そういう中で、自衛隊の諸君に、非常に厳しい条件、環境の中で、しかも危険を伴うかもしれない任務を遂行していただく。これは、ひいてはイラク人の復興のために大いに役立つし、日本としても国際社会の中で責任ある一員としての評価を得ることができるであろうし、また将来イラクが安定した国に再興できれば、これは日本国全体の利益にもつながるし、日本イラクの安定した民主的な政権に、困難な事態に手を差し伸べたということになれば、これは世界の平和と安定のために日本も国際社会の一員として責任を果たしたと言うことができる。総合的な観点から、私はこの際、困難な任務でありますが、自衛隊の諸君を派遣することが、世界のためにもイラクのためにも、そして日本のためにも必要なことではないかということで派遣したわけであります。  自衛隊の諸君がイラクの復興支援、人道支援に立派に任務を果たされるよう、これからも政府は全力を挙げて努力していきたいと思います。
  474. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、何ですかね、話せば分かるなんて大うそみたいな話をされたことがありますよね。そんなに思い込まずに、今のように説明を続けることが、困難な地域に行っている自衛隊の諸君にとっても一番の私は励ましだと思っています。  先日、参議院の本会議場でしたか、国連のアナン事務総長が話をされた。国連と国際社会のかかわりの問題、イラク支援の重要さ、自衛隊に対する謝意、本当に私は感銘を受けました。総理はアナン事務総長とも直接会われたと聞いていますが、御感想を伺っておきたいと思うんです。
  475. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アナン事務総長が日本を訪問され、私も会談を行い、そしてアナン事務総長は国会で演説されました。日本の国際社会における活躍に対して、アナン事務総長も大変高い評価を与えていただいております。これは、長年にわたる日本国民の世界での活躍ぶり、そして日本政府国連の中での責任を果たしてきたということに対する評価だと受け止めております。  特に、このイラクの復興支援というのは世界の平和と安定のために必要だと。そして、このイラクの復興を失敗させてはならないという共通の認識をアナン事務総長と私との間でも持つことができたと思います。  また、国会の演説でアナン事務総長はこういうことを言われました。正確を期しますが、一部を紹介いたしますが、アナン事務総長いわく、国際社会が一致してイラク人を支持すれば乗り越えられないものではありません。日本はこの挑戦に率先して向かい合ってきた国の一つです。日本は、安保理決議の要請にこたえ、窮状に立ち向かうイラクに対して賞賛されるべき連帯姿勢を示されましたと。  それで、最後にこう言って締めくくりました。一九五六年、日本国旗が国連に掲げられ、日本外務大臣が、いずれの国家も自国のことのみに専念してはならないという貴国に深く根差した信念を表明したその日から五十年近くもの間、日本国連に刻み付けたものは、強固でかつ特色のあるものでした。この不変の精神の下で、私たちは一致協力し、将来偉大な成果を生み出していくことを確信しますと、こう言ってアナン事務総長は国会演説を締めくくりました。この言葉を真剣に受け止めたいと思います。
  476. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 国連事務総長の演説、いろんなことを言う人がいましたよ。でも、本当に私はすばらしい演説を日本でやっていただいたと本当に思いました。総理もおっしゃるように、これからは自衛隊だけではなくて、その後にはいろんな様々な復興人道支援日本としてもかかわっていかなければならないと私どもも思っております。  私たち公明党は、その中で環境、雇用の面から、是非メソポタミア湿原、この復元事業ということを提唱し、先日、私たちの代表代行であります浜四津敏子がお隣のイランのこの現場、ここを見て帰ってまいりまして、総理にも報告をしたと思います。この報告も踏まえ、この湿原の復元という問題、どう受け止められるかを聞きたいと思います。
  477. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) メソポタミア湿原の問題につきましては、先日、浜四津議員から、イランを訪問して、メソポタミア湿原の復元に対する必要性、重要性をじかにお話を伺いました。環境問題、国際社会もこれについては大きな関心を持ってやっていると。同時に、浜四津議員はイランを訪問されましたが、これはもうイラクとイラン両方接する広大な湿原であります。フセイン政権時代に大分破壊されたと、イラクの湿原につきましては。それを復元するということは、イラク国民が最も歓迎する事業の一つではないかということであります。  この点については、私は浜四津議員と会う前に、イラクの民主主義運動に挺身しておられますリカービ氏が日本を訪問されたときに初めてその話を伺いました。そして、イラクの市議会の代表の方々が日本を訪問したときにも話が出ましたが、私は、これは日本が復元するんじゃない、イラク人が復元するんですと。イラク人がこのメソポタミア湿原を是非とも回復しなきゃならない、どうしてもしたいんだと言うならば日本は協力します。あくまでも、これは日本が協力する場合も、イラク人が是非ともこれをしたいんだという意欲なしに日本支援活動するというのは無理ですと、その辺をしっかり確かめなきゃならないということも申し上げました。あくまでも日本は、イラク人が歓迎し、評価し、必要だという事業に日本としては支援の手を差し伸べていきたい、それはメソポタミア湿原の復元についても同じ考えでございます。
  478. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、その実現へ向かっては幾つかのハードル、イラク人がイラク人でやりたいというその総意が取れるか、いろんな問題がまだあると思います。ただ、この問題、私はそのイラク皆さんの希望もあるけれども、国際社会が総意で一つは取り組んでいける問題の一つだと思うんです。そういう意味では、我が国が提唱して例えば国際会議を開くということも、この準備、検討、こういうことには入っていいんではないかと思いますが、総理の見解を伺いたい。
  479. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、国際社会が、仮にイラクがその支援を要請する、歓迎するということになれば、国際社会も私は必ず支援の手を差し伸べると思います。そういう状況ができれば、日本も積極的にこの復興支援活動に取り組んでいきたいと思っております。
  480. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つの重要な外交課題は、それは言うまでもなく北朝鮮問題であります。  まず、総理に伺っておきたいんですけれども、先回というか、この前の六か国協議、この成果を総理自身はどう受け止められ、この六か国協議が今後どんなふうに推移していくと予想され、これにどう臨んでいこうと総理はされているのか、これをまず伺っておきたい。
  481. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先般、二月、行われました六か国協議、六者協議におきましては日本が期待していたとおりの成果は得られませんでしたが、今後、拉致の問題、さらには核廃棄の問題等、平和的に解決する一つの枠組みとして大事にしていきたい。そして、六月にもう一度会合をしよう、そのための作業部会もこれから作っていこうということで、一定の成果は得られたと思います。  今後、北朝鮮に対しましては、日朝平壌宣言の精神にのっとって、拉致問題の、核の問題も、総合的、包括的に解決するべくあらゆるルートを通じて交渉し、所期の目的を達成するよう全力を挙げていきたいと思います。
  482. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私、あえて推移と申し上げたのは、何か北朝鮮が今、つまり今からアメリカは大統領選挙が始まる、政治の季節に入る、これに便乗して問題を何か先送りしようしようみたいな雰囲気がどうしても見えるんですけれども総理はそんなこと感じませんか、この問題で。
  483. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この六者協議においては、平和的解決をしようということでは一致しておりますが、各国それぞれ立場も事情も違います。思惑ということに対してはいろんな人がいます。これについて政府としてはああだこうだというよりも、日本政府としては、北朝鮮と国交正常化し、拉致の問題を解決する、核の問題を国際社会と一緒に解決していくというためにはいろんな努力をしなきゃならぬし、話合いのパイプというものを維持していかなきゃならない、六者会議はその一つであります。  でありますから、思惑以前に、思惑に対してあれこれ言うよりも、冷静に、日本との国交正常化というものは北朝鮮にとって最も利益になるんだ、国際社会から孤立していいことは何一つない、国際社会の責任ある一員になることが北朝鮮にとって最大の安全保障であり、経済発展への道であるということを理解し、こういう姿勢に転換してくれることをこれからも働き掛けていく必要がある、そう思っております。
  484. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理のおっしゃるとおりなんですけれども一つはやっぱり、何かこの六か国協議の推移を見ていると、それはそれで大事だけれども、やっぱり今の時期というのはもう少し日朝間の交渉の問題を強めなければならないような気がする。特に、拉致問題はもう待ったなしのような私は気がしているんですよ。  したがって、一つ、例えばですよ、今は例えば北朝鮮から会談の日程どう来るかと待っているわけですよね。こういうやり方もあるでしょう。でも、例えば逆に北朝鮮に対して期限を切って、ここまでに会談をやるならやるのか、そういう、突き付けて、しかも、それまでにやらないならこちらも決意がありますよというぐらい強い姿勢で臨むことも一つの方法ではないか、こう思うんですけれども総理、どう臨んでいかれますか。
  485. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いろいろ方法はあると思います。圧力あり対話あり、いかに効果的だということを考えながらやる必要があると思います。
  486. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 話を変えまして、今国会の最重要課題の一つは年金改革法案であります。午前中から議論ありましたけれども、私は、この法案は年金改革の大きな第一歩を踏み出したと認識をしております。  改めて厚生労働大臣に、この法案の意義を話してもらいたいし、特に五年ごとの改定とか、いつものとどう違うのかという点を国民に分かりやすく説明をいただきたいと思います。
  487. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今更私が申し上げるまでもないことでございますけれども、年金というのは、子が親への仕送りをする、いわゆる仕送り社会を社会化した、制度化したものだというふうに思っております。  したがいまして、これからの遠い将来を見て、この年金制度をどうしていくか。これが、これからが、これからの社会が少子高齢化といったようなそうした社会でなければそんなに心配は要らないわけでございまして、しかし、片や高齢化が進み、これは非常に結構なことでございますが、片やそこに少子化が一緒に付いている、この社会の中で今後の年金をどうしていくか。現在、生まれたお子さんの数等を見ますと、今から二〇五〇年までは若干減りますけれども、それ以後の二〇五〇年から二一〇〇年までのこの間の減り方が大変大きい、このことも、こうしたことも念頭に置きながら、今後の問題を考えていかなければならないというふうに思います。  今まで、五年ごとに再計算をして、そして皆さん方にお示しをしてまいりました。しかし、そうしたことよりはもう少し中長期的な展望の中でこの年金というものを考えて、そしてお若い皆さん方に大体どれぐらいの御負担をいただいて、そしてそれを受ける高齢者の皆さん方の年金の額は大体どれぐらいになって、そういうこの数字を示しながら、そしてそこでは今までの高齢者の皆さん方がこの蓄積をしていただきました積立金、申し訳ないけれども、特にこの二〇五〇年から二一〇〇年という、その大きく人口が減りますところの、そのときにより中心にしながら使わせていただくということはできないだろうかと。そして、二分の一のこの国庫負担というもの、今までから言われてまいりましたけれども、これを、本当にこれを軌道に乗せるために、いつまでにそれをちゃんと乗せるのかという道筋を明らかにしていく。  そういう大枠のことをお示しをいただいて、これに対して様々な御意見もあることも存じておりますし、今後の年金のその制度体系によりましてはバリエーションもたくさんあるだろうと、変化も、これに対していろいろの変化もあるだろうと私も率直にそう思っておりますけれども、しかし根幹になるべきところを決めなければ、そこから先が進まないというふうに思っている次第でございます。
  488. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 坂口厚生労働大臣、数字を明確にしたことが一つは大事だと。つまり、給付五〇という数字が一番今回のポイントだとおっしゃるんですかね。
  489. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これも数字の問題を言いますと、どういう前提のときの数字だということがいつも言われまして、なかなかややこしくなるわけでございますが、負担の方は、これは今のままで、いわゆる基礎年金の国庫負担を三分の一のままで、このままずっと行きますと二六%ぐらいまで進んでしまう。いわゆるそれ労使折半でございますから、一三%ぐらい、現在の倍ぐらい負担をしていただかなければならなくなってしまう。二分の一にしましても、二三%ぐらいまで進んでしまう。それは大変大きく進み過ぎではないですかと。とにかくこれから人口が減っていくんですから、そのお若い皆さん方の上限というものをまずやはり決めておかなければならないというので、一八・三〇という数字をお決めをいただいたわけでありますし、この一八%台の負担の下に今後そこまで、今すぐではなくて、十四年ほど掛けてやっていくということでございます。  で、一方におきましては、御主人がお勤めになっていて、奥さんの方がおうちにおみえになる御家庭、そういう御家庭の平均的なもので五〇・二%、こういうふうにお示しをしたわけでありまして、両方とも働いている御家庭もあるではないか、あるいは独身で働いておる人たちもあるではないか、その人たちは五〇%行かないではないか、こういうお話あるんですけれども、確かにそれはそのとおりですが、五〇%というのはお二人で五〇%でありますから、一人割にすれば二五%でございます。これは、年金の中で少なくともそこが一番低いところを示しているわけでありまして、お一人ずつであればそこは高くなるわけでありますから、私は意味のある数字だというふうに思っている次第でございます。
  490. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いずれにしても、総理、この法案というのは結局、制度を守り抜くために国民に負担をお願いするという、そういう改正であることは間違いないんですよ。でも、医療費三割負担というのもありましたよね。こういう話になると、選挙が近づくと、何かどこからか分かりませんけれども、先送りするような話がどこからともなくぼこぼこ出てくるようなことが実際ありますよ。私は、でも、この問題は国会で議論を尽くして、今国会できちんと仕上げることが一番大事な点だと思っておりますが、この法案にかける総理の決意を伺っておきたいと思います。
  491. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 参議院選挙を七月に控えていて、逃げるんだったら数字をはっきり示しませんよ。だれもが数字を示すことができなかった、嫌がった。というのは、給付だけじゃないからです。負担の数字も示さなきゃならない。税金も、基礎年金、三分の一から二分の一、これもはっきりと二一年に引き上げるという数字を示したわけですから、これは負担と給付を考えないと公的年金は持続できない、破綻してしまう。若い世代、負担は軽く、年金を受給する世代、給付は厚く、こういう時代じゃないと。両方考えてもらわなきゃ困るということで数字を出した。これは是非とも多くの国民の理解、各政党の理解を得ながら成立させたいという思いから、今提案しているわけでございます。
  492. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 話をがらりと変えまして、障害者問題をちょっとお尋ねしたいんです。  重度障害者の雇用に取り組んでいらっしゃる竹中ナミさんという方が先日、衆議院の公聴会に出席されました。障害者というと弱者とか保護とか、すぐそう連想してしまう。だから、障害を持つ人は自立に挑戦するチャレンジドだというようなことを話をされたと聞いております。私は、このチャレンジドという発想、とっても大事なものだと思っているんですけれども総理、どうお考えですか、こういうチャレンジドという考え方。
  493. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) チャレンジドというのは、アメリカ、英語の言葉で分かりにくいんですが、むしろこれは天から与えられた挑戦の機会であるという、前向きに受け止めているんだと私は理解していますね。  普通、障害を持つと、これは何もできないんじゃないか、あるいは挑戦する意欲がなくなるんじゃないかということとは全く逆の発想をして、障害を持っているということは天から与えられた使命なんだと。この障害という使命をどうやって生かすかという、実に前向きな、敬服に値する私は考え方だと思っております。  現に、障害者の方々の活動を見ますと、私も非常に感心すると同時に、ああ自分も頑張らなきゃいかぬなという勇気を与えられますよ。それは障害者の方は気付かないかもしれない。障害を持っていながらよくあれだけの活躍ができるな、活動ができるなと。自分は障害がないにもかかわらず、あのような活動はできないなと思うことしばしばであります。ああいう障害者が頑張っている、めげない、これに対して自分も頑張らなきゃいけないということを障害を持っていない方にも与えるということを障害者は私は分かっていただきたい。  そういう面において、どちらかといえば健常者が気付かない、やる気と挑戦意欲と勇気を持っている。さらに、天から与えられたこの障害は自分の使命だと。普通の人が考えられないような使命を持って、考え方を持っていろんな活動に取り組んでいる方に対しましては本当に敬服しております。
  494. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、私は、日本の厚生行政、もう総理も携わってきたわけですけれども、やはり障害者という位置付けが、やっぱり日本の行政の場合は弱者ですよ、保護するものですよ。それを基にして政策を作ってきたし、今もやっぱりそれから抜け出してないような気がするんですよね、日本の行政そのものが。  やっぱり今、だから、行政で、私は、この障害者というかチャレンジドという発想を踏まえるならば、これからの日本のいわゆる障害者、チャレンジドに対する政策というのは正に自立支援型福祉と、こういう方向に抜本的に転換する、この発想、これが一番まず根本だと思いますが、総理いかがですか。
  495. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 竹中ナミさんがおっしゃったチャレンジドを納税者にというこの発想は大変立派な発想であり、お考えだというふうに思っております。自らナミねえと称されまして、時々メールをいただいたりすることもございますが、非常に立派なお考えだというふうに思っております。  御指摘のように、やはり今、そして御発言になりましたように、障害者の皆さん方に対してやはり支援をするんだということよりも、支援をするには違いないんですけれども、この人たちを自立をさせるためにどうするか、自立をしようとする皆さんをどう助けるかと、そういう立場からの支援ということが一番大事になるわけでございます。  それをしようと思いますと、それぞれの方の障害というものは違うわけでありますから、それぞれにやはり見合った支援というものをしなければならない。そういう大変さもそこには含まれておりますけれども、是非ここはそういう立場から今後障害者支援に取り組んでいくべきだというふうに思っております。
  496. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう自立するための一番大事な働く場という問題なんですけれども、その重要な役割を果たしている一つの施設で小規模作業所というのがありますね。この現状と行政の支援への取組がどうなっているか、厚生省に伺いたい。
  497. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 小規模作業所は障害者の方々が身近な地域で働く場を確保するため親の会などが立ち上げたものでございまして、現在全国で約六千か所に上っております。障害者の自立あるいは社会参加を促進する上で非常に重要な役割を果たしていると考えております。  このように小規模作業所は障害者の方々が地域生活を送る上で非常に重要な役割を担っていることから、小規模作業所に対する支援といたしまして、地方交付税による地方自治体からの補助のほか、さらに国としては、民間団体を通じた補助金によりおおむね全体の三分の一に相当する作業所に対しまして一か所当たり百十万円の運営費の補助を行ってきているところでございます。  平成十六年度予算案におきましては、民間団体への補助金を一律に一割削減するという政府全体の予算編成方針に沿いまして、やむを得ず補助対象箇所数を一割縮減したところでございます。  しかしながら、一方でこの小規模作業所につきましては、より安定した運営を可能とするため、社会福祉法人格を持ったいわゆる小規模通所授産施設への移行を進めているところでございますし、平成十六年度予算案におきましては、小規模通所授産施設の新規増分につきましては、小規模作業所の一割縮減数と同数であります二百五十二か所を確保したところでございます。  いずれにしましても、障害者の方々が地域での生活を送っていく上で働くということは非常に重要なことでありますので、今後とも小規模作業所を含めました障害者の方々の働く場の確保について様々な角度から検討してまいりたいと考えております。
  498. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 長々としゃべってもらったけれども、小規模作業所はどんどん増えているわけでしょう。増えているのに、今度は支援はどんどん減らしていくわけ。確認したい。
  499. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 小規模作業所に対する国の助成については、今年度、来年度につきましては国の民間団体への補助金は一割削減という趣旨で箇所数の一割減となりましたけれども、先ほど御説明申し上げましたように、小規模作業所からより経営の安定する小規模通所授産施設への移行ということで、小規模作業所の縮減数に見合った数を確保したということでありますが、小規模作業所がこれから非常に重要な役割を果たしますので、これから小規模作業所の運営に対する補助の在り方については抜本的な見直しを進めていきたいと考えております。
  500. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 分かりますけれどもね、分かりますけれども、たった一か所百十万ですよ、これやっているの。移行させたって、小規模作業所増えているわけ。それは民間と合わせて、そういう一律の政策とこれが同じようにしなくちゃいけないのかどうか、理由として分からないね。なぜ減らさなくちゃいけないの、これ、そういうの。作業所増えているんだから、それに見合って増やしていくのが当たり前じゃないの。
  501. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、確かに小規模施設というのは減らしているわけでありますが、今話をしましたように、授産施設の方はその代わりに増やしている。ところが、授産施設にしようと思いますと、これは福祉法人で、そして一千万ぐらいなお金を用意しなきゃいけないとか、いろいろ高いハードルがあって、本当はしたいんだけれどもできないというのが実は現状なんですよ。  ここは、経済産業省でも一円株式会社というのをおやりになっておるぐらいでありますから、厚生労働省もこの基準をそんな高いままにせずに、もっとここは下ろして、そして非常にできやすいものにするということが大事でありまして、多くの皆さん方が、小規模の作業所をやっていたけれども、それじゃ、そこまでそれ下りてくるのならば、うちももう少し大きくして、そして授産施設にしようかというふうに思っていただけるように、やはりそこをしやすいようにしなきゃいけないというふうに思っております。  したがいまして、そんな一千万なきゃならぬとか言わずに、それは百万でも五十万でもいいじゃないかと、もっとそれはできるように、その程度のところまで条件を下ろして、そして皆さん方に御活躍をしていただけるようにすべきではないかと今言っているところでございます。まだ決まったわけじゃございませんけれども、そう言っているわけです。
  502. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣から丁寧に答弁していただいたんで、せっかく今厚生省と労働省一緒になってやっているわけであって、やっぱり働く場をどう確保するかというのがこの問題の自立支援の一番の根本になると思いますし、今大臣おっしゃったような方向で様々な面で検討していただいて、どうこの雇用の場というか働く場を確保するかと、そういう取組をしていただきたいと、これは御要望して──答弁ありますか。いいですか。
  503. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほど申しましたようなことを是非実現をするように努力をしたいというふうに思います。
  504. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ところで、石原観光担当大臣でございますね、観光担当大臣。先日、在日大使館の方々と観光立国日本について意見を交換されたと聞いています。なぜ外国人観光客が日本に増えにくいのかというようなことについても様々な意見があったとお伺いしていますが、是非どんな御意見があったか、聞かせてください。
  505. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 先月の十八日でございますけれども総理も御出席をいただきまして、観光先進国と言われる中国、韓国あるいはアメリカ、フランス、スペイン、イタリアといったような各国の大使のお話を聞かせていただきました。そこでの主なやり取りを御紹介させていただきたいと思います。  フランスのモンフェラン大使から、目的地に行こうとしてもどうやっていいか分からない、言葉が通じない。アメリカのべーカー大使からは、鉄道に乗って、どの路線に乗っていいのか、いつ降りていいのか分からない。フィリピンのシアゾン大使からは、昭和館という神田にある博物館に行かれたそうなんですけれども、英語の案内がそのとき全くなかったと。あと、カナダのライト大使からは、トラブル、ちょっと困ったことがあったときに無料で英語で話せるようなものがない。こんな意見が出ました。  そこで、やはり鉄道あるいは地下鉄というのは、東京で見ましても大変公共交通機関として発達していますが、考えてみると、大江戸線等々ができて、私どももどこに行くか分からない。四月の一日からではございますけれども、ナンバリングをさせていただきまして、Aの一ラインとか二ラインとか、そして駅にもナンバリングをさせて、何番で降りろと、簡単な英語でも分かるようなこと、またこれも中国語、韓国語等々でもやっていく必要があると考えております。
  506. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その一つのやつが、今どこを世界じゅう回っても英会話ぐらい子供だってできるわけですよ。ただ、日本へ行くと何かなかなか通じないという現象が起きる。そこはネックになっているのは間違いないんですよね。  観光だけじゃなくて、国際性というときに、やっぱり英会話の重要性というのがあると思いますし、私ども公明党は、小学校で是非これ英語を必修すべきだということで具体的な提言も行っております。  河村文部大臣も小学校の英語必修ということについては推進派だと伺っておりますが、いつ、どうこれを具体化させるのか、具体的にお答えください。
  507. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) この本会議の、今回の、今国会の冒頭の本会議で、神崎代表からも御指摘をいただきました。私も、もう小学校に英語を導入する時期が来ていると、こう思っております。  実は、平成十四年から総合学習の時間が始まりますと、もう小学校の半分ぐらいは何らかの形でもう行っております。私学はもう全部やっておられるものでありますからね。  そこで、文部科学省も指定した研究開発校を六十七校持っております。また、特区でやりたいと言われるところはもう出ておりまして、そこで、中教審の教育課程部会に対しても、これは全体、そういう学習指導要領を絶えず見直す中に、国語も、英語、理数離れのこともありますから、一体とではありますが、英語教育も見直してもらいたいということにしておりまして、特に小学校の英語をどういうふうにするかということについて、これ、どういう問題点があるのかというようなこと、特に教員をどう確保するかという問題があると思います。  それから、小学校から本格的にすれば、今やっている中学校、高校の英語も変わっていかなきゃいかぬ、こういうような問題がありますので、これはしっかりひとつ議論をしていただいて、できるだけ早めにと、こう思っております。  そういうことで、今いつからというわけになかなか申し上げられませんが、これはもうできるだけ早くやれるように早急に対策を立てる、それで、どういう問題点があるかしっかり出してもらう、そういうことで取り組んでまいりたいと、このように思っています。
  508. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理ね、文部省というのは結構頭固いところで、ただいま河村大臣苦労しているようなところあるんですよ。例えば、そういう英語みたいな新たなものを入れようしたら、いや、全体の時間数がどうだとか、要員はどうなるんだと、すぐ反論されるわけですよ。  私は、この英語の必修化の問題というのは、ちょっと大臣苦労されているから、これはいろんな意味で重要な意味もあることでして、総理からもこれちょっと応援のエールを送ってやってくれませんか。
  509. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) エールも英語ですけれども、応援しなきゃいかぬと思っていますが、やはり国語力とこの英語、どううまく教育していくか、これ両方大事ですね。小中高が英語一貫教育でかなり応募者来ていると、今度特区構想で、聞いておりますし、外国に比べて日本語の、日本における英語教育、後れているのは事実でありますから、今後これを促進していくような努力をしていきたいと思います。
  510. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、労働金庫問題、ちょっと聞いておきたいんです。  本年一月九日、七つの労働金庫に業務改善命令が出されています。何の問題で何の改善を求めたのか、金融庁から説明いただきたい。
  511. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 一月九日に金融庁と厚生労働省から七つの労働金庫に対しまして銀行法、失礼しました、労働金庫法九十四条において準用されます銀行法二十六条に基づいて業務改善命令を発しました。  七つの労働金庫と申しますのは、北海道労金、長野県労金、新潟県労金、静岡県労金、東海労金、九州労金及び沖縄県労金でございます。この各金庫につきましては、労働金庫法九十四条で準用されております銀行法二十四条で、労金、いわゆる労金運動強化基金、この取扱いに係ります報告を求めてまいりました。  この結果、各金庫においては、この基金の経理処理につきまして、本来金庫の資金として処理すべきものを長年にわたって簿外資金として役員が直接管理をしてきておりました。また、その資金使途は一様ではございませんが、例えば政治関連支出などの処理に利用されてきたことなどが認められております。  したがいまして、責任ある経営体制の整備が図られず、内部監査態勢による相互牽制も十分に機能していないといったような内部管理態勢に重大な問題が認められました。  業務改善命令の内容でございますが、責任の所在の明確化を図ること、法令遵守にかかわる経営姿勢の明確化、責任ある経営体制の整備、監査機能の強化等による全金庫的な法令遵守態勢の確立、理事、監事及び従業員の法令等遵守意識の醸成の観点から内部管理態勢を充実強化すること、そしてこれらに関する改善計画を提出することなどを命じたものでございます。
  512. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 何か長く話したけれども、これも、結局、労働者の貴重なお金で成り立ったのは労働金庫だと。その労働金庫がいつの間にか裏金で、報道によると二十億円ぐらいプールして、それを飲食費だ、不祥事の穴埋めだ、政治のパーティー券購入だと。おかしいじゃない、こんなの。  この改善命令を出して、どうその後を点検しているのか、また実態解明どうしているのか、共管の厚生労働省に聞いておく。
  513. 松井一實

    政府参考人(松井一實君) お答えいたします。  業務改善命令の発出後につきましては、各労働金庫から命令の期限内に業務改善計画の提出を受けまして、その内容につきまして、まず責任の所在が明確化されているか、あるいは内部管理態勢の充実強化が図られているか、そして最終的には法令等の遵守態勢が確立されているかといった点を審査いたしまして、適当であるというふうに判断いたしました上で、当省と金融庁におきまして受理いたしたところであります。  今後、この業務改善計画の言わば進捗状況といいますか、どんなふうに推進されるかということにつきまして、実は三か月ごとに各金庫から報告を受けるという段取りを考えておるところでありまして、引き続き厳正かつ的確な対応をしていきたいと考えております。  以上でございます。
  514. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、こんな話、どんなふうに思われますか。何か一言あれば伺って、私、終わりまして、関連質疑に移りたいと思います。
  515. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今初めて聞いた話ですが、長年、労働金庫において簿外で資金が管理されて、これが不適切な支出が行われたということでありますので、事実であれば大変遺憾であると思っています。政府としても厳正に対応していきたいと思っております。
  516. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 関連質疑を許します。荒木清寛君。
  517. 荒木清寛

    荒木清寛君 荒木清寛です。  まず、私は公設秘書への親族採用禁止問題をお尋ねします。  民主党佐藤観樹前衆議院議員が秘書給与詐取容疑で逮捕されましたことは言語道断でありまして、公認をした民主党の責任も重大でございます。また、今回の事件の背景には妻が公設秘書であったということがあったとも言われております。  ところで、有識者で構成されます衆議院議長の諮問機関は昨年九月に答申をいたしました。その一つが、政治腐敗の要因の中に議員自身の近親者による不正行為が極めて目立つとしまして、議員自身の配偶者及び三親等以内の親族の公設秘書の採用禁止を提言をしております。実はこれは十二年前にも同じ諮問機関が提言をして見送りをされておりますが、今度こそ先送りをしないで実現をしないと政治の信頼にかかわってまいります。  今、各党の間で議論がされておりますが、総理も自民党総裁としてリーダーシップを発揮をして、この改革に実現させていただきたい。いかがですか。
  518. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の佐藤前議員の問題につきましては、名義借りを行っていた秘書は親族じゃないでしょう。ですから、これは私は制度以前の問題だと思います。  多くの国会議員はこのような詐欺行為をしていないと思いますよ。また、親族を秘書に採用していたとしても、同じような不正行為、詐欺行為をしていないと思います。こういう点も踏まえて、制度を改正しなくても守らなきゃならないことなんですよ、今の公設秘書制度というのは。詐欺をしてはいけないんです。だから、こういう点はやはり国会議員よく考えてもらわなきゃいかぬと。何回も不祥事出て、似たようなことで逮捕されるということは本当に政治の信頼を傷付けます。  ですから、こういう制度以前の問題と同時に、じゃ制度をどうやって改革すればいいかというのは、各党、それぞれ秘書、国会議員、みんなそれぞれ苦慮をしているところだと思いますので、よく協議していただきたいと思います。
  519. 荒木清寛

    荒木清寛君 我が国の犯罪件数は増加を続けております。公明党も今年、東海、北陸の各地域でお子さんをお持ちの方を対象に治安に関するアンケートを行いましたが、おおむね七割の皆さんが治安が悪くなった、こう言っておられます。私は、こうした犯罪増加の最も大きな原因というのは、社会や地域や家庭のいわゆるこの教育力あるいは規範というのが崩壊をしたという点にあると思います。  したがいまして、これは特効薬はないわけでございますけれども、私は総理に、そうした意味で社会における規範の再構築、あるいは犯罪抑止力の回復、これを実現をするためにどう取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
  520. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは一口で言うというのは非常に難しいんですが、私はやっぱり人間本来の倫理観といいますか道徳観念、これが社会全体にしっかり根付くということが一番大事なことだと思っています。法律で縛るということも有効でしょうが、それ以前に法律以前の問題で、人間というのはどういうことをしなきゃならないかというごく普通の観念ですね。  日本は宗教心に乏しいから宗教教育がないと一部で言われていますけれども、その前に道徳の問題とか倫理観とか、昔でいえば武士道とか、いろいろあったわけですね、朱子学とか。そういう、何というんでしょうか、道徳に対する問題、倫理に対する問題、これを社会がどう培っていくか。これは学校も大事であります。それよりまず第一なのは家庭ですね。最初に子供が接するのは親です。家庭教育、学校教育、そして社会の安全というのは警察に任せておけばいいという問題じゃない。地域は自分たちで守ろうという地域の協力、町内会、自治会、こういう協力をしているところでは急激に犯罪が少なくなっている現状もあります。  そういう点を含めますと、まず学校教育、家庭教育、そして地域全体の取組、安全、治安というものは警察官だけに任しておけばいいというものじゃない、自分たちでやっぱり安全な社会を作ろうとするそういう意識、そういう全般的な取組が必要であろうと思っております。
  521. 荒木清寛

    荒木清寛君 私も総理に同感でございます。  一方で、犯罪の増加傾向に歯止めを掛けるためには、あくまでも他の社会政策的諸施策と併せてでございますけれども、凶悪重大犯罪等に関する罰則の整備も必要であります。そうした意味では、与党の要請にもこたえまして、この二月に法務大臣が性犯罪などの罰則引上げについて法制審議会に諮問を行ったことを評価をいたします。  私は、日本の刑法は被害者の心と体の痛みにこたえていない、こういう強い思いを持っております。どうぞ法務大臣、今回の諮問にとどまることなく、凶悪重大犯罪の罰則の見直しに取り組んでいただきたいわけですが、いかがでしょうか。
  522. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 日ごろから荒木議員の治安対策にかかわる取組について敬意を表しておるものでございますが、今回の諮問は、近年の人の生命や身体等に重大な危害を及ぼす凶悪犯罪その他の重大犯罪の増加傾向が続いておる中で、この種犯罪についての刑法等の規定が近年の犯罪動向や国民の規範意識に合致しているのかどうかという指摘がありますことを踏まえまして、犯罪に強い社会の実現のための行動計画に掲げられました他の諸施策と一体のものとして、我が国の治安回復に資するべく、法制審議会に御検討をお願いしたものであります。  もとより、この諮問にかかわる犯罪のみならず、各種犯罪における刑罰の在り方は、その犯罪によって起こる被害の内容や程度等を含め、種々の観点から総合的に考慮して決められるものでありまして、事案の内容に応じて適切な刑罰を科し得るものでなければならないと考えております。  その観点から、現在、法務省におきましては、この諮問にかかわる犯罪以外のものにつきましても調査研究を行っているところであり、今後とも刑罰体系の全般にわたり所要の検討を進めていく所存でございます。
  523. 荒木清寛

    荒木清寛君 是非よろしくお願いいたします。  小野国家公安委員長にお尋ねをいたします。  現在、架空メール請求に、架空請求メールに伴うトラブルが急増しております。私にも来ておりますし、身近にも来ております。これは犯罪行為でございます。したがいまして、警察庁が関連する省庁と連携を取りまして集中的な取締りをやって、こうした消費者への不安を一掃してもらいたい、このように強く要望いたしますが、いかがですか。
  524. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お答え申し上げたいと思います。  今御質問がございましたように、いわゆる架空請求事犯、これは大変急増しておりまして大きな社会問題になっているところでございます。警察といたしましても、被害を認知した場合には捜査を徹底しているところでございまして、具体的には、昨年は詐欺罪で六事件検挙いたしまして、今年はまだ二か月と十日くらいでございますけれども、五件を検挙いたしました。これらの十一事件に関しまして架空請求を受けた人の人数は七百三十万人でございます。  お尋ねの関係機関連携協力ということにつきましては、この種事犯は早期の、拡大、被害拡大防止が重要であるという観点に立ちまして、総務省等と連携を強化いたしまして、さらには広報啓発活動や国民センター、それから消費生活センター、それからさらには情報交換を進めながら、金融庁と連携をいたしながら、金融庁、金融関係に関しましては口座の凍結を要請するなど、所要の連携を強化しているものと承知をいたしております。  今後とも、関係機関との連携を配慮しながら、連携に配慮しながら、この問題点に積極的に取り組んでいくように警察を督励してまいりたいと思っております。
  525. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、私も観光政策につきまして総理にお尋ねをいたします。  平成十四年六月に、経済産業省、国土交通省等を中心とした調査研究委員会の報告書、「休暇改革は「コロンブスの卵」」がもう発表されております。二年前です。その中では、休暇を「大規模な公共投資等を伴わずに、経済・社会の活性化効果が期待できる政策」、このように位置付けております。国際水準と比較をしまして約五割という年次休暇取得率は低水準である、このように分析をしまして、もし諸外国並みに有給休暇を完全に取得をしますと、経済波及効果として十二兆円と百五十万人の雇用創出効果が見込まれるというふうに言っているわけであります。  私は、そうした意味で有給休暇の完全取得あるいは連続取得、これを国民生活の向上と経済活性化の一つの切り札として、正にこのコロンブスの卵という発想で、必要であれば基本法も制定をして、総理として取り組んでいただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  526. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 観光振興というのは日本経済全体にとっても大変有力な手段ですし、この経済活性化する意味において、そしてどの地域も喜びますね。そういう意味において、私は、有給休暇の取り方が日本は外国に比べて非常に少ない、それだけ働き者が多いのかなという面もあると思いますが。休日を月曜日に替えましたね、祝日を、三連休、土日。これで随分観光振興にも役立っているということを聞いております。  そういう点から、できるだけ有給休暇取って観光に、旅行に出掛けるというのを今回の観光振興策の一環として、意識の問題として取り組んでいきたいと思っております。
  527. 荒木清寛

    荒木清寛君 こうした経済情勢の厳しいときに休暇もないだろうというふうに言われるかもしれません。しかし、今この報告書によりましても、バカンス大国のフランスは、大恐慌後の一九三六年、大変な不況と高失業率に苦しんでいるときに、突如、二週間の有給休暇の制度、バカンス法を制定をしました。ねらいは需要の増大による経済再生と雇用の創出であったわけでありまして、正にこの経済活性化策としてフランスでも行ってきた。  そういう意味では、法律の制定も含めて是非取り組んでいただくことを要請して、終わります。
  528. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  529. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  530. 小池晃

    小池晃君 先日、社会保険庁に勤める男性が逮捕、起訴されました。職場から離れた居住地で、土日や祝日にビラを配布した。これが国家公務員法で禁止した政治活動に当たると、そういう理由であります。これが男性の配布したしんぶん赤旗の号外であります。(資料提示)「憲法九条は日本国民の宝です」、このビラを郵便受けに入れただけで逮捕されたわけであります。  私、総理にお聞きしたい。日本国憲法も世界人権宣言も、言論、表現、思想、良心の自由を保障している。これは民主主義の基本だからであります。それなのに、このビラをまいただけで逮捕される。こんなことが民主主義社会で行われていいのか。総理
  531. 小泉純一郎

  532. 小池晃

    小池晃君 駄目ですよ。専門家じゃないですよ、これ。総理、答えてください、これ。重大な問題ですよ。
  533. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私に、逮捕された理由を私に言わせるんですか。
  534. 小池晃

    小池晃君 理由じゃないですよ。こんなことがあっていいのかと。
  535. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、だから、どういう事実、事実を確認しなきゃ。なぜ逮捕されたのか、これをよく伺わないと。私は、しかも今、逮捕された、どうかと言われても、事実をやっぱり確認しない限りははっきりしたことは言えないです。
  536. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お答えをさせていただきます。  本件は、目黒社会保険事務所に勤務いたします厚生労働省務官が、衆議院議員総選挙の際に、日本共産党を支持する目的で、政党の機関紙たるしんぶん赤旗号外及び政治的目的を有する無署名の文書たる東京民報号外を各戸に配布したものでございます。  このため、警視庁におきましては、組織的、計画的、継続的な疑いのある国家公務員法違反容疑事件として、裁判官の発出をいたしました令状に基づきまして所要の捜査を行い、現在、公訴が提起されているものと承知をいたしております。  国家公務員法によります政治的行為の制限は、最高裁判決におきましても、公務員の政治的中立性を確保という国民全体の重要な利益にかかわるものであるとされていると承知をいたしております。  警察といたしましては、このような違法行為に対しまして、不偏不党、そして厳正公平な立場でその取締りに当たり、法と証拠に基づきまして捜査を進めたところでございます。不当な捜査であるという御指摘は当たらないものと考えております。
  537. 小池晃

    小池晃君 公務員の政治活動を広く禁止する点で、そもそも憲法違反の法律です。しかし、勤務時間外に一市民としてビラを配るようなことは、今までのこの法律の運用の中でも違反ではないとしてきたんですよ。  公務員の立場を利用した政治活動という点では、これ、自民党、どうですか。今年の参議院比例代表選挙で自民党から立候補を予定している官僚OBは、防衛庁三名、農水省三名、国土交通省三名、総務省は二名、財務省、厚労省が一名ずつ、合計十三名に上るわけですよ。そして、昨年十二月に麻生総務大臣は総務省OBの立候補のパーティーでどういうあいさつしたか。総務省を挙げて、選挙で当選させるべく全力を挙げて頑張りますとあいさつをしたんです。  国家公安委員長ね、国家公安委員長、聞きますけれども法律法律と言いますが、担当大臣がこのように選挙活動を奨励する発言している。もちろん調査していますね。答えてください。
  538. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 個別の案件に関しましては発言を失礼いたします。
  539. 小池晃

    小池晃君 大臣が公の場で自民党の候補者を省を挙げて当選させると。公務員の政治活動を省として支持しながら全く調査もしていないわけでしょう。野放しじゃありませんか。  東京の立川市でもイラク派兵反対のビラをまいた市民が逮捕されている。私、こうした弾圧というのは、民主主義のない暗闇の日本への暴走だというふうに思います。日本共産党は、民主主義への挑戦であるこうした暴挙に厳しく抗議をします。そして、起訴の取下げと無罪を求めます。民主主義守るために断固として闘うことを表明をいたします。  さて、年金問題についてお聞きをします。  今回の改革案では、保険料を引き上げる一方で給付はマクロ経済スライドによって削減をすると。これは国民年金含むすべての年金に適用されるわけです。しかも、これは既に年金もらい始めた人の例外じゃないんですね。こうした人の年金も実質価値が下がっていく。これはもう史上初めてのことであります。その結果どうなるか。(資料提示)これ、政府によれば、二〇二三年までに一五%の実質引下げになる。国民年金で見ると、今平均四万六千円の年金が三万九千円まで価値が下がっていく。今の年金ですら生活に必要な水準ではない、更にこんな引下げを行ったら生きていけないじゃないかと。総理、この声に一体どう答えるんですか。総理、答えてくださいよ。
  540. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 国民年金の実質的な年々ダウンというのは、その初め四万六千円というのはなぜ四万六千円なのか、よく分からないですけれども……
  541. 小池晃

    小池晃君 平均値ですよ。国民年金の平均値、それも知らないんですか。
  542. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今回の年金制度につきましては、今日、午前中からもお話がありますように、将来の少子高齢社会に対応できる年金制度をどう構築していくかということによって作り上げているわけでありますから、支える側の人が減っていく中で、そこをお互いがどう支え合っていくかということでありますから、それはある程度やむを得ない、難しい。出す方は増える、そしてもらう側は減るではないかと共産党さんは言われるんだろうと思うんですけれども、それはしかし、その言いにくいところを言ったところに今回の意味があるというふうに思っております。
  543. 小池晃

    小池晃君 そもそも基礎年金の給付水準が低過ぎるということは問題になっていたんです。  九九年の十二月一日の衆議院の厚生委員会で、こういう質問をしている人がいるんです。国民年金、基礎年金の水準の見直し、水準への配慮というものも大事で、現在のように生活保護者にも及ばないような基礎年金は少し問題がある、ここは努力をしなければならないんじゃないか。これ、だれの質問だか分かりますか。坂口力氏です。坂口大臣、覚えていますか。
  544. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこまでは覚えておりませんけれども。  しかし、時代も変わってきている、時代も変化してきている。だから、そこはこれからの少子高齢社会の中でやっていけるようにこれは年金制度というのは組む以外に方法がないわけであります。かつてはそれほど少子化が進んでいなかった。これほども進むとは思わなかった。そうしたときの話と今後の問題とは、それはかなり違ってきている。その状況の中でこれからの年金制度をどう構築していくか。今、国民の皆さん方に本当のことを申し上げて御理解をいただくときを迎えていると思っております。
  545. 小池晃

    小池晃君 あのね、そんな二十年も三十年も昔の話じゃないんです、五年前なんです、これ。五年前の段階で既に少子化進行していたじゃありませんか。  当時の公明新聞、ここで大臣こう言っているんです。来年四月から介護保険制度が導入されます、この保険料は年金から強制的に調整されるわけで、これは年金を削減するのと同じ影響を与えることになります、国庫負担率の引上げと基礎年金の給付水準の引上げを同時に実現すべきであるというのが公明党の主張ですと、こうおっしゃっているんですよ。  それなのに、今回、基礎年金水準の引上げどころか、一五%の引下げを盛り込んだ。当時の主張は一体どこへ行ったんですか。五年前ですから、時代が変わったとは言わせませんよ。
  546. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一息は十年一昔と言いましたけれども、最近はもう五年たてばかなり状況は変わっているんです、それは。だから、五年前のその状況と今とはかなり変わってきているわけで、現在は将来が見通せるようになったこの時点の中でどう考えるか。それは特別な方法はないんですね。  だから、将来の年金を増やそうと思えば、負担をそれじゃ増やさなければならない。あるいは、負担を余り増やさないでおこうとすれば、年金はある程度のところで抑えなければならない。これは当然のことでありますから、我々は今、その将来を見据えて当然のことを申し上げているということでございます。(発言する者あり)決して、そうではなくて、そうではなくて、この保険料は下げて年金を上げることができる方法があるのならば、それは共産党からお示しをいただきたいと私は思っております。
  547. 小池晃

    小池晃君 財源の話は後でしますが、これ、五年前は与党だったんですよ。与党のときに、わずか五年前にそういう主張をしていた。本当に信用ならない。  で、九九年の年金改定後、これ、その後二〇〇〇年四月から介護保険が始まりました。保険料が天引きされるようになった。それから、二回にわたって老人医療費の引上げが行われたと。それなのに、年金額は物価スライドで減額をしてきたわけですよ。これじゃ、本当に暮らしていけないというのは当然です。  総理、私、社会保障の負担がこう次々と高齢者の場合増えてきている中で、老後の生活の基礎的な部分を担う基礎年金水準まで引き下げる。許されるのかと。低過ぎる基礎年金の水準を引き上げて安心して暮らせる水準にする、これが私、改革というなら第一歩になるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  548. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、年金は破綻させてはいけない、やはり将来永続的に持続させていかなくてはならないと。そういうことから、高齢者の数も増えてまいります、保険料を負担する世代も減ってまいります。そういう中での改革でありますし、物価が下がったと。物価スライドなんですから、物価が上がったときは上がるんですよ。しかし、物価が下がった場合は下がるんだけれども、下がるのを止めてきた。これはやっぱり配慮なんです。本来、物価スライドですから、物価が上がったときは上がるんだから、下がったときは下げれば当然ですけれども、それは政治的配慮で下がるのを止めてきた。これもやっぱり一つの政治的な配慮のあることでありますが、今後、基礎年金にしましても給付の立場と負担する立場、両方考えていかなきゃならない問題だと。  なおかつ、保険だけではこの年金財政賄えませんから、税金が入っています。税金の投入をどの程度するかということで、今まで基礎年金には三分の一しか国庫負担、税金が入っていなかったけれども、これを二分の一まで税金を投入しないと給付と負担が重く、負担は重くなる、給付は薄くなるから、両方調整しようということで税金を入れるわけでしょう。しかし、税金も国民全体の負担です。給付を受ける方が多くなれば国民の負担が減るかといったら、そうじゃない。保険料増やさなきゃならないから。どれが立ったって、だれかがどっかで負担している。これはもう年金だけじゃありません。医療も介護も同じです。  そういう点をやっぱり総合的に考えなきゃいけない問題だと思っています。
  549. 小池晃

    小池晃君 総理の議論はいつも、もう負担を国民にどうやって押し付けるかという議論しかないんですよ。そうじゃなくて、財源があるでしょうと、国庫負担の引上げをやるべきですと言っているわけです。  で、基礎年金国庫負担引上げの財源ね、与党は増税で賄うと言っていますが、これはとんでもないと。当面の国庫負担二分の一の引上げはやはり税金の使い方の見直しでやるべきだと。私どもの提案は道路特定財源の一般財源化なんです。  そもそも、小泉総理は道路特定財源の一般財源化を主張されていましたよね。そして、〇二年度予算では、その一部を一般財源化したと、だれにもできなかったことを実現したと豪語した。ところが、その翌年から全くやっていないじゃありませんか。なぜこの主張を捨て去ったのか。
  550. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全然捨て去っていませんよ。
  551. 小池晃

    小池晃君 捨て去っているでしょう。
  552. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 道路財源は、一般財源化も含めて道路だけに使うということはいかがなものかと。
  553. 小池晃

    小池晃君 そんなこと言っていないですよ。
  554. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、見直すのはいいと。しかし、この道路財源は、期限が来た段階において、もし道路財源を一般財源化するんだったらばガソリン税というのを廃止しなきゃいけない、自動車税どうするかという問題もあるからよく検討しましょうということを言っているんです。  道路財源を一般にしたらどうするんですか、一般財源。今、道路、ガソリン税払っている人、全部これを年金にやれと言うんですか。これは怒りますよ、自動車使っている人、ガソリン使っている人。だから特定財源なんですよ。そういう難しい問題があるんです。もし道路財源が一般財源化するというんだったら、直ちに、ガソリン税なくした場合には、じゃもっと自動車税を軽くしてくれという声が出ますよ、共産党がそういう主張をするのは勝手ですけれども。国庫負担をしろと。どうやってこの、税金でやれ税金でやれと言うけれども、国債増発も反対、どこの税金増税させるんですか。
  555. 小池晃

    小池晃君 ごまかしていますよ。
  556. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、そういうことも言ってもらわないと、片っ方だけ給付給付と言ったって、これは通じませんよ。
  557. 小池晃

    小池晃君 総理は一般財源化を明らかに主張していたんですよ。  それから、言っておきますけれども、我々、年金目的税にしろと言っているんじゃないんです、一般財源にしろと言っているんです。そして、税率を変えたからといって、これは一般財源にしたら税率下げよって法律には書いていないんですよ、これ別の法律ですから。石油連盟のアンケートでも、五割の人が特定財源の見直しを言っていて、税率の引下げを言っている人より多いんです。これが世論なんですよ。総理は明らかにこれ、一般財源化ということを主張されていますよ。  そもそも、これ、昭和二十八年に田中角栄氏が作ったと、議員立法で。そのときは道路舗装率三〇%だった。今九六%ですよ、簡易舗装を含めて。道路密度は、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの二倍から三倍だと。国土が二十五倍あるアメリカと日本の道路予算は同じだと。こんな特定財源要らないじゃありませんか。  こういう例は世界だってないわけですから、この道路特定財源、国の分だけで三兆四千億ある。これを暮らしを支えるために使ったって別にいいじゃないかと、そういうことを総理もかつては主張していた。一般財源化とはっきり言っていた。なぜその主張を捨て去ったのか、お答えいただきたい。
  558. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほども言ったでしょう、一般財源化、見直すのはいいと。  しかし、今廃止した場合に、それじゃガソリン税どうなるのかという問題が直ちに出てくる。これは、ガソリン税払っている人は一般財源に繰り入れられたら怒りますよ。
  559. 小池晃

    小池晃君 そんなことは、アンケートでそうは言っていないって。
  560. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう点も含めて……
  561. 小池晃

    小池晃君 今答えたでしょう。
  562. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一般財源化できる方法があれば、それは協議するのはやぶさかじゃない。見直し大いに結構。だから、今回も使い道を道路だけじゃなく広げたでしょう。こういう点も今後よく議論してもらいたい。私は、こういう点において、一般財源化ということについて大いにこれからも見直ししていくことに対しては賛成ですから、議論をする中で、十分審議の中で進めていきたいと。  ただし、今の特定財源というものに対しては、特定のために取られているから払っている人がいるということも考えなきゃいけない。これ一般財源化したら、直ちに減税してくれという要求が出ます。ほかの財源に使うなという要求が出てきます。そういう点も考慮しなきゃ駄目だと。だから、私は一般財源化するという議論については大いに結構です。
  563. 小池晃

    小池晃君 結局、改革改革なんと言っているけれども、道路特定財源の一般財源化と言いながら口先だけですよ。そして、一方で年金改革は国民への痛みを押し付けるだけじゃありませんか。一体どこが改革なのかと。  しかも、メスを入れるべきところ、ほかにもあるでしょう。グリーンピアの問題この間やってきましたけれども、これ四千億円掛金投じて処分を決めたようだが、それで済むのか。(資料提示)  これ、グリーンピア計画が打ち出されてから、この期間の歴代の厚生大臣、その地元に建設されたグリーンピアの一覧であります。十三か所のグリーンピアのうち七か所がこの期間の厚生大臣の地元で作られている。このほかにも、厚生省年金局長衆議院選挙に立候補した宮城県の岩沼市にも作った。偶然にしてはでき過ぎているんですよ。  小泉総理、こうした実態どう見るのか。私は、これは処分したからといって済む話じゃない、自民党の政治家の責任も含めて徹底究明する必要があると思いますが、いかがですか。
  564. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、このグリーンピア問題も厚生年金福祉事業団の問題も、厚生大臣在任中に、必要ないから廃止しろと率先して言った議員の一人であります。問題点は認識しております。だからこそ構造改革が必要だということでやっております。
  565. 小池晃

    小池晃君 そんな四千億円もの掛金作って、箱物造って、批判を浴びると慌てて二束三文で売り渡すと、売り払うと。これで責任取ったことになるんですかと私は言っているんですよ。こういう事実があるわけですよ。厚生大臣の地元になぜか多数、半分ぐらいは造られていると。  総理は、口を開けば民間民間とおっしゃいますよ。もしこれが民間だったらどういうことになるか。これだけの焦げ付き、損失を作ったらば、これは株主代表訴訟で訴えられますよ。ところが、年金では官僚も政治家もだれも責任取っていない。謝罪した者すらいないんだ。  総理ね、これ造るのやめたと、売り払うと、そんなことで国民が納得すると思いますか。それで責任取ったことになるんですか。私は全然それでは駄目だと思いますが、いかがですか。
  566. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは国民一般から見れば釈然としない問題だと思います。しかし、国会決議されているんですね。
  567. 小池晃

    小池晃君 そんなのいいよ。
  568. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 地元は、こういう施設を造ってくれるということに対しては地方の自治体も住民も歓迎するんです。だから、国会の中では委員会で各党が附帯決議でこういうの造れ造れと、国会でも決議してきたんです。ここが政治の難しいところなんです、政治の追求というのは。  しかし、こういう時代じゃないということで、私がこれ廃止を言明したときにみんな反対しましたよ。しかし、ようやくだんだんみんな分かってきてくれた。これどこの負担があるんだ、これは進めていけばますます負担が増える、撤退すれば損する、非常に難しい問題なんです。しかし、これもまた負担が増えるよりも、安く売っても早く廃止しちゃう。民間、だから、任せることは民間に任せて、地方自治体でできることは地方にやらせて、さもなければ売り払った方がいい。撤退というのは難しいんです、損が出るから。損が出ないためにこのまま続けていったらもっと負担が増えます。そういう問題なんです。
  569. 小池晃

    小池晃君 答えてないんです。私は、この問題でだれも謝罪すらしていない、責任をだれも取っていない、これでいいのかと。国民、納得するのか。売り払ったらそれで済むのかと言っているんです。答えていただきたい。
  570. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) しかし、このままで済むより売り払うべきものは売り払った方が将来の負担は少なくなる。そして、廃止、合理化に進んで、今特殊法人改革もしているし、これからの財投の改革も、民間でできることは民間ということで郵政の民営化も始まる。道路公団も、民営化できるわけないというのが、実は法案になって進んできた。こういう民にできることは民に。  そして、共産党はこれとは全く逆ですから、できるだけ役所がやれという立場ということは分かっておりますけれども……
  571. 小池晃

    小池晃君 そんなこと言っていないですよ。
  572. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう点については共産党と立場は違いますけれども、私はこのグリーンピア等の改革は必要だと思います。たとえ安く売り払っても、このまま突っ込んでいけばもっと負担が増えますから、早いところで撤退すべきだと思っております。
  573. 小池晃

    小池晃君 共産党はこんなもの造れなんて一言も言ったことない。とんでもないこと言わないでほしい。年金マネーを食い物にしてきた官僚と政治家の責任、重大ですよ。徹底解明必要だと。  委員長、歴代厚生大臣、中でもこの疑惑ある田中正巳氏、それから増岡博之氏については参考人招致を求めます。
  574. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 理事会でよく協議いたします。
  575. 小池晃

    小池晃君 雇用問題についてお聞きをしたいと思うんです。(資料提示)  これ、最近の求人の実態ですけれども、これを見ますと、昨年十二月の厚労省の調査では、求人全体のうち派遣が五%、請負が二八%もあると。これ、各地の職安の実態なんですけれども、大阪梅田の安定所では五割超えているわけです。それから、横浜職安の調査では、製造業の求人の六割以上が請負であります。  請負というのはどういうものかというと、メーカーなどの製造ラインや営業を一括して労働者を送り込むわけですね。ある雑誌によれば、リコーの御殿場事業所では製造部門七百名のうち四百名が請負だと。富士ゼロックスの海老名事業所は生産ラインはすべて請負だと。NEC米沢工場では、生産要員百四十人のうち半数が請負だと。ソニーの生産子会社、ソニーイーエムシーエス、社員一万三千人とほぼ同数の請負社員が働いている。このように、日本の大手の電機や自動車などの工場は今や多くが業務請負。請負業界は急成長していて、規模は一万社、百万人と言われている。  総理は、昨年十一月二十六日の経済財政諮問会議でこう言っているんですね。若者の雇用は足りなくなるはず、それなのになぜ失業率が高いのか、やる気がないのか、能力がないのか、両方あるかもしれないけれどもと、こう言っている。しかし、求人の実態というのは今正に三割、四割は非正規雇用なんですよ。こういう実態があるわけです。条件が合わずに仕事に就けないという若者が出るのも、私、不思議はない。それでも総理は、これは若者のやる気や能力の問題だというふうにおっしゃるんですか。総理
  576. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) やる気のない面も能力のない面もあるでしょう。だからこそミスマッチ。この求人があるんだけれどもその就職の糸口が見付からない人に研修なり訓練が必要だと言っているわけであります。まずやる気を起こしてもらわなきゃいかぬと。そして、新しい求人に自分の能力が合わないんだったら、その能力を身に付けるために研修なり訓練が大事だと、そういう点を今、厚労省も真剣に考えて、若者の雇用、自立に対して積極的な今対策を練っているところであります。
  577. 小池晃

    小池晃君 全く実態御存じない。本当にとんでもない今の発言だと思いますよ。派遣や請負の労働者の実態どうなっているか。どこで働かされるのかも、どんな働き方するのも分からない。  私が聞いた話では、若者は、四年間で八か所の職場転々したという若者に話聞きました。青森で働いていたのを、明日から佐賀へ行ってくれと言われたという話も聞きました。労働条件も劣悪であります。あるチラシでは、稼げます、月収二十万円以上となっているんですが、これ、小さい字で稼働二十一日、残業六十時間、休日出勤と。そして、社会保障の加入はこれ一割以下なんです、こういう請負、派遣。若い労働者を過酷な条件で働かせて、言わばピンはねをするようなやり方が日本じゅうでこれまかり通っている。そして、日本の名立たる大企業がこういう労働者を今製造業では多数使っているわけですよ。総務省の就業構造基本調査では、この五年間に正規雇用は約四百万人減っている。その一方で、派遣、契約、嘱託、パート、アルバイトが約三百七十万人増えていると。正に四百万人ぐらいの雇用が正規雇用から非正規雇用に置き換わっていると。  総理、今こういう請負や派遣というのが日本の製造業の主流になってきている、求人の大半を占めている、これを異常なことだというふうに総理は思われませんか。私は、二十一世紀を担う日本の若者をこういう細切れのピンはねのようなやり方で働かせることが今や求人の主流になっている、私はこんなことを許してはいけないと、こんな労働の切り売りを絶対許してはいけない、そう考えますが、総理、いかがですか。
  578. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ピンはねとかそういうのはちょっと言い過ぎだと思いますけれども、労働条件の改善は今後よく心しなきゃいけないと思っております。また、正規社員が減って派遣社員が増えているというのも、これは一つの時代の変化の現われだと思います。一概に悪いとは言えませんが、労働条件の改善については今後十分配慮しなければならないと私は思っております。  詳しいことは厚労大臣
  579. 坂口力

    国務大臣坂口力君) その中で派遣と請負とはかなり違いますね。派遣は派遣業法としてきちっと位置付けたわけでありますから、派遣で、これはもう上限三年になっているわけでありますので、その三年を経過するような人たちは、それはもうそこで本採用にしてくださいよということになっているわけでありますから、一つのそれは道筋の人もあるわけなんです。  で、請負の方は、これは一つの企業としてそこで、そこに働いているわけでありますから、その現場でその人たちが本当にその企業の社長なり上司から命令を受けて仕事をするということでなければならない。もしも仮にそこ、その人たちが派遣業のようにその行き先の工場のそこの工場長だとかそういう人たちの命令を受けてやっているということになれば、これは疑似派遣でありまして、本当の請負ではないということでありますから、そこは明確に区別をしていかなければいけないと。私たちもそこは取り締まっていかなければならないと思っております。
  580. 小池晃

    小池晃君 自然に増えてきたんじゃないんです。この間、法改正を繰り返して規制緩和をどんどんどんどん進めてきて、そしてこういう非正規雇用を大きな流れに政府が作ってきたんですよ。それがこういう結果になっている。そして、契約が終われば正規に雇用されるなんてとんでもない話だ。そんなの本当にごく一握りの人で、ほとんどの人は使い捨てになっているんですよ。それが実態なんです。  こういう労働を日本の若者の中にはびこらせていいのかと。私、これ、二十一世紀の日本の根本問題だと。しかも、今いろいろおっしゃいましたけれども、今主流になりつつある業務請負について監督責任持っている大臣いますか。いたら手を挙げてください。これ、いないんですよ。これね、この業務請負というのは、どこも監督官庁ないんです、法律もないんです。間違いないですね。こういう実態なんですよ。これが今の実態なんです。日本の若者がこれだけ主流になっている働き場所をだれも大臣が監督責任持っていないという実態あるわけです。こんなに激増している中で監督官庁もない、規制する法律もない、労働条件の過酷さから過労死事件まで起きている、職業能力を高めることもできない。私は、こんなことしていたら本当に日本の経済にとってだってこれはマイナスになると、日本の社会の基盤を本当に揺るがすことだと。  総理、お聞きします。監督大臣いませんから総理に答えていただくしかないんです。こういう問題について、全く野放しになっている、監督官庁もない、規制する法律もない、こんなことで総理、いいと思いますか。いかがですか。総理に答えていただきたい。総理。監督大臣じゃないんだから、総理に答えていただきたい。
  581. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 請負というのは一つの企業でありますから、企業であります限りそこで人を雇っておれば、それは労働基準法の適用になりますし、それは法律もすべてかかってきますよ。だから、そういう法律を守っていただくということでありまして、そういう意味では厚生労働省関係するわけですね。ですから、その皆さん方が企業の、他の企業の中で働いているときに、そこの企業のいわゆる工場長なりなんなりの指揮命令下に入っているということになれば、それは問題だということを申し上げているわけでありまして、自主的におやりをいただいている以上、それは一つの労働形態でありますから、私はそれはいいんではないかと思います。
  582. 小池晃

    小池晃君 ちょっと大臣総理、答えてくださいよ。監督官庁じゃない。総理総理、答えてくださいよ。  私言ったように、今答えたけれども、監督官庁じゃないんですよ。これは、請負業というのは業として規制する法律もないんです。こういう実態でいいんですかと。一般的な労働者というのじゃなくて、これだけ百万人の労働者が働いている業界が全く何の規制もない、野放しになっている、これが実態なんです。そのことについてどうなのかと一点お聞きしているんです。
  583. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは監督官庁とかどうかということについては今答弁は差し控えますが、この派遣社員の問題についてはもっと規制を緩和してくれという声も強いんです。共産党は規制緩和、これに対して非常に抵抗が強いようですが、一年ではなくて今回三年に延ばしたでしょう。あるいは、派遣社員の規制を改革することによって更に雇用が増えるということもあります。だから、今後、今言った問題についてはそれぞれ厚労省あるいは他の官庁等、今の意見を踏まえてどういう対応が必要かということについては検討していくべきじゃないかなと思っております。
  584. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 小池君、ちょっと、時間来ているから簡単に。
  585. 小池晃

    小池晃君 EUではその派遣に対する指令案が提案されています。派遣先労働者との均等待遇原則が明記されている。一方では、日本ではこういう労働者に対する規制は本当にルールがないんです。これは日本社会の二十一世紀にとって非常に重大な問題だということを申し上げて、私、質問を終わります。
  586. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  587. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  588. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。まず、年金についてお聞きをいたします。  年金積立金百四十七兆円、これが今どうなっているのか。百四十七兆円は国民の貴重な年金の保険料を積み立てたものです。今、一体この年金積立金は幾らあるのでしょうか。
  589. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは昨日も聞かれたところでございますが、百四十、正式には百四十七兆円ということになっておりますが、それはこの年金資金運用部として運用している分と、それから昔でいえば財投、財政投融資の方にお預けをした分と両方あるということでございます。
  590. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 百四十一兆円になっているのではないですか。
  591. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 百四十一兆円台、その百四十七兆円と私は記憶をいたしておりますが、計算の仕方はいろいろあるかもしれません。私は百四十七兆と思っております。
  592. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 株の運用をして、今百四十一兆円になっています。株の運用はリスクが非常に強く、これはやめるべきではないかと。これは、平成二十年度には二倍になる、国内株式が一二%、外国株式八%になると。今まで六兆円損をしているわけで、平成二十年にこのように二〇%株式の運用をする、これは非常にリスクを、高いんではないでしょうか。
  593. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほど来、平成十四年度で百四十七・六兆円でございます。  それから、その運用の問題でございますが、それは確かに株というのは上がり下がりがするわけでありまして、ここでどう運用をするかということについては賛否両論あることは事実だというふうに思います。ただし、皆国債に預けておけば安全かといえば、決してそうではない。大変大きな損失を出すこともあり得る。  したがいまして、この積立金は、そうした意味でいろいろの部類に分けて、そして増える、減るをなくしていくということが大事だという専門家の御意見が多いわけでございます。そうしたことを私たちも参考にしていかなければならないというふうに思っております。
  594. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 国債にすると危険だという発言は大変びっくりいたしました。  平成二十年、じゃ、その点について財務大臣
  595. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 国債で持っていれば危険なことがあるというのは私は正確ではないと思いますが、厚労大臣の、厚生労働大臣のおっしゃったことを私なりに理解いたしますと、危険は分散させておく方が良いとおっしゃったんだと思います。
  596. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ただ、株式では危険であると。二〇%株式になる。これはポートフォリオですから、万が一株が暴落を始めたときには株を売却し撤退する必要がある。こういうふうに割合を決めてしまうと実際の株式運用では間違ってしまう、そんなことが起きるのではないですか。
  597. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 株式の運用につきましては、今後、独立行政法人を作りまして、その中でいわゆるポートフォリオ、言葉は難しいですが、今後の、どこにどういうふうにして使うかといったようなことにつきましてもその中で決定をしていただきたいというふうに思っております。  今までは厚生労働省の中で決めていたわけでございますけれども、そうではなくて、その独立行政法人の中で専門の民間の理事長を選びまして、そしてその理事の皆さん方との間でどういうふうにしていくかということを今後決めていただきたいというふうに思っているところでございます。
  598. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、平成二十年にはこのように割合を決める、そうしますと非常に硬直的な場合が出てきて危険ではないか、国民には安心を提供すべきなのにこれはどうかと。  それから、次の問題。  平成二十年には預託金が戻ってくると言われています。この財政融資資金、預託金百十二・三兆円が戻ってくると。これは必ず戻ってくるのでしょうか。
  599. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは昨日も決算委員会で又市委員からも御質問がありまして、私は安心していただいて結構だと答弁させていただいたわけでございます。  余り短い答弁しますと、本当はもっと時間をいただいて細かに御答弁申し上げたいんですが、福島委員の質問時間が短いので、余り取って……
  600. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 片道なのでどうぞ。
  601. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) あっ、片道。  これは従来から滞りなく返済をしておりまして、平成二十年までに年金は、年金については全部お返しをすることになっておりまして、利息を付けてきちっとお返しをしております。  そこで、福島委員の御質問は、それはみんな財投、財投機関に貸し付けているわけだろう、特殊法人その他の財投機関に貸し付けているけれども、財投自体、財投資金自体全体のその健全性は大丈夫なのかということをお聞きになっているんだろうと思うんですね。  それは、貸付けは従来から滞りなく返済されておりまして、したがって財投から特殊法人等への貸付けが不良債権となっているという事実はありません。  ただ、いろんな議論があることは事実でございます。そして、その事実の中には、これも不良債権化している、あれも不良債権化しているという議論がございますけれども、それはかなり認識が、誤った認識に立った御議論が多いんです。  つまり、財投機関等に一般会計から補てんをしているような場合に、それは全部不良債権化しているというような認識に立った御議論が多いんで、それは、私は政策的な意図に基づいて一般会計から入れているので、それは御懸念に値しないと思います。  ただ、私は財投改革自体が必要であるということも事実だと思います。したがいまして、財投は全額預託義務というようなものはなくしたことは御承知のとおりでございますけれども、現在も無駄な財投の見直しには徹底して努めておりまして、最盛期の、今、財投の全体の枠組みは半分になっているということも申し上げておきたいと思います。
  602. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 日医総研によれば、九九年段階で二十七法人のうち二十五の特殊法人が利息さえ自力で返せないと。今、大臣は返してもらっているとおっしゃいましたが、無理やり返してもらっていて、じゃ財投に穴が空けば、結局それは税金で補てんする、そういうことになってしまうんではないですか。最後は税金頼みということになりませんか。
  603. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今のお引きになった論文は、昨日も又市委員にお答えしたところでございますけれども、相当誤った前提の上に立った議論でございます。  例えば、先ほど申し上げたことの繰り返しでありますけれども、その特殊法人に一般会計から補てんしているような場合があるわけですね。それはなぜかといえば、その利息を安くしたり、利息の分を上乗せしたり、あるいは使用料を安くするという政策的な目的のために一般会計から入れていることがございます。  しかし、そのお引きになった論文は、そういうような一般会計から補てんされているものは、その機関自身として自立ができない、つまりその機関自身として実質的な債務超過になっていると、したがってそれは全部不良債権であるという、やや極端な前提の上に議論をお立てになっておりまして、現実的なものでない、ではないと私は思っております。
  604. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 なぜこの年金積立金の質問をするかと申しますと、これはいわゆるバーチャルなもので運用されている、つまり金庫に眠っているわけではありませんから、実際幾らあるのかというのがよく分からない。グリーンピアもあった、そして代行返上の問題もある、そして株で損失が六兆円、最近ちょっと黒字が、で少し減りましたけれども、また目的外使用も五・五兆円、このような使い道をして本当に百四十七兆円、これは簿価の部分が非常に多いわけですから、現実に現金化したときに、あるいは債権回収をしたときに本当にこのお金があるのかと。  ちょっと比喩的に分かりやすく言うと、子供の大学に行くのに百四十七万円あると思っていた。夫に出してと言ったら、いやちょっと宝くじ買って、株の運用をちょっとやったら、ちょっと損しちゃって、友達にお金を貸していると。あの無駄遣いする人にお金貸していて大丈夫って、いざきちっと耳をそろえてお金をそろえたら七十万しかない、そんなふうなことが起こり得るのではないか。  ですから、私はこの百四十七兆円と言われている多額のお金に関しては、きちっと年金資金調査委員会を国会に立ち上げて、中をきちっとメスを入れる、国民のために透明化をしていく、このことこそ必要だと考えますが、いかがですか。
  605. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 財投の方で運用していただいておる方につきましては、今着々と毎年お返しをいただいておりますし、これからもきちっとお返しをいただけるものというふうに思っております。それはきちんと契約もちゃんと結んでやらせていただいているところでございます。  また、厚生労働省が自主運用をさせていただいております方につきましては、毎年監査の、外部の監査の方にお入りをいただいて、そこを確認をしていただいて正確を期しているところでございますので、先ほどお挙げになりましたような、そんなどこかに貸した御主人のような例のようなことにはなりません。
  606. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、年金資金運用基金の中でグリーンピアみたいなことが実際起きているわけですね。この透明度を高めるために、国会の中にきちっと年金資金調査委員会を立ち上げてメスを入れていく、透明化していくということを求めていきたいと考えています。  次に、非正規雇用、雇用の問題について質問します。  去年、女性の非正規雇用、派遣、パート、契約社員が正規雇用を上回りました。非常に数が多く、年収二百万円台、そんな人たちも大変増えています。  ILO百七十五号条約、ILO百十一号条約、これを批准し、均等待遇を目指すべきではないですか。
  607. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ILOの百七十五号条約、それから百十一号条約、確かにあるわけでございますが、これ、百七十五号条約につきましてもいろいろ我々も検討しておりますが、現在の状況の中でこれを批准するということ、なかなか難しいわけでございます。  もう一方の方の百十一号条約につきましては、これは我々もかなり検討して、これ何とか実現できないかというふうでかなり進んだ時点もありました。これは、御承知のように、人種でありますとかあるいは肌の色等によって差別をしてはいけないというようなことになっておりまして、ただし、日本法律の中にそうした文言の入った法律、我々の関係のところにはないわけでありまして、多分ほかの分野にもないんだろうというふうに思っております。  ここは、全体としてそこは進めなければいけないというので、いわゆる人権委員会というのができ掛けたときがございまして、あれがもしもできましたら、これはいけるんじゃないかというふうに思っていたわけでございますが、残念ながら人権委員会の方が少しつぶれてしまっております。  全体としてどうするかということでございますので、今後またそうした全体の中で考えていきたいというふうに思っております。
  608. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 均等待遇の法律を作る、それはいかがでしょうか。
  609. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 均等待遇といいました場合に、そのILOが言っておりますのは、一つの企業の中で同じような仕事をした場合、そのときに均等待遇をしろというのですと、これはまだ分かりやすいわけでありますけれども、そうではなくて、この場合には他の企業、同じようなことをやっている他の企業であっても同じにしろというふうになっているものですから、それはなかなか日本の企業の形態からいきまして難しいわけでございます。一つの企業の中で同じ仕事をしていたら同じ賃金にしろというのは、これは分かりやすいわけでございますが、そこがILOの方のそのお話は他の企業のところまで及んでいるものですから、そこがなかなか難しいということでございます。
  610. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ILOまでいかなくても、同じ企業の中で正社員と非正規の間の差別撤廃、これについては法律はいかがですか。
  611. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ILOを別の話にいたしまして、日本の国だけの、中のお話でございましたら、それは当然考え得る話でございまして、我々もできるだけそれに近づけたいというふうに思っているところでございます。
  612. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 是非立法化をよろしくお願いします。  次に、婚外子差別についてお聞きをします。  両親が結婚届を出していない子供の差別の問題で三つ。相続分の差別の撤廃と、二つ目は、先日、三月二日、東京地裁で出ました戸籍の続き柄欄の差別の問題、三つ目が、胎児の間に認知をすればお父さんが日本人であれば日本国籍がもらえるけれども子供が生まれた後に認知をしても日本国籍は取得できません。  この三つの点については、子どもの権利に関する条約の委員会や女性差別撤廃委員会から勧告を受けております。判決も出ました。いかがでしょうか。
  613. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) まず、このプライバシーに関する東京地裁の判決からお答え申し上げますが、お尋ねの戸籍の続き柄欄における現行の取扱いは、嫡出児においては、その出生の順に例えば長男、次男あるいは長女、次女と記載し、非嫡出児については男又は女と記載することとしております。  三月二日の東京地裁判決において、非嫡出児であることが強調されることがないようにすべきである旨の判示がされたことを真摯に受け止めまして、これを非嫡出児についても嫡出児と同様、長男、次男、長女、次女と記載するよう、その記載の方法を改善する方向で現在戸籍法施行規則等の改正を検討中でございます。  それから、胎児認知の問題なんですが、これは非常に難しい問題なんですが、現在、出生における日本国籍の取得につきましては、我が国の国籍法は、第二条一号において、出生時のときに父又は母が日本国民であるときは子は日本国民と、こういう旨規定して、父母両系の血統主義を採用しているわけでございますが、そして出生における国籍の取得は、できる限り子の出生時に確定的に決定されることが望ましいものですから、出生後に認知されるか否かは出生の時点では未確定であるということで、国籍法の第二条第一号では、出生後の認知による、出生にさかのぼって法律上の父子関係が存在するものとは認めずに、出生後の認知のみによっては子は日本国籍を取得することはないとしていることには合理的な根拠があると、こう考えておるわけでございます。  それから、嫡出児でない子の相続差別の問題が引き続きあると思いますが、これにつきましては、婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題でありますので、国民各層、各方面の意見を十分伺いまして、今後、国会における議論、関係する裁判における判決その他、あるいは児童の権利委員会からの勧告その他、国際的な動向等も考慮をいたしまして、今後検討をしてまいりたいと思っております。
  614. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 福島瑞穂君、もう時間来ていますからね。
  615. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 五回結婚して五回男の子が生まれると五人長男が出てくると。長男という概念がどうもやっぱり混乱が、難しいので、続き柄欄、是非、男、女ということでしていただくよう、あと二つの点についても是非前向きに取り組んでくださるようお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  616. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で福島瑞穂君の本日の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  617. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  618. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 無所属の会の島袋宗康でございます。  アメリカのブッシュ政権は、海外に展開している米軍の変革、再編、いわゆるトランスフォーメーションを進めていることでありますけれども外務大臣はそのことを承知しておりますか、トランスフォーメーションについて。
  619. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 聞こえなかったんですが、トランスフォーメーションを知っているかと。
  620. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 御承知しておられるか。
  621. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) もちろん承知をいたしております。これについてはいろいろな情報交換も行っております。
  622. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ブッシュ大統領が進めているトランスフォーメーションは、今年十一月の米国大統領選挙前に大枠が示されるだろうというふうに言われております。総理はその点についてどのような認識をお持ちですか。
  623. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 見直しを検討しているということは伺っていますが、いつまでにということは私は承知しておりません。
  624. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、アメリカのトランスフォーメーションは在日米軍の兵力構成の見直しにもつながる可能性があると思いますけれども総理はその点についてどのような見通しを持っておられますか。
  625. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) トランスフォーメーションは、もちろん日本におけるいわゆる在日米軍も含み得るものでございます。お聞きなのは方針ですね。
  626. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そう、日本政府の。
  627. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) そうですね。これについての日本政府の考え方、これは二つございます。一つは抑止力、これを維持できること。それからもう一つは、沖縄を含みます地域、この基地のある地方公共団体、これの負担が軽減をするものであるという、その二つでございます。
  628. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 周知のように、沖縄には在日米軍専用施設の七五%が集中し、米軍の存在によって引き起こされる様々な犯罪や事故が頻発していることが御承知のとおりであります。沖縄県民は、保守、革新を問わず、米軍基地の縮小、そして海兵隊の削減を望まない者はいません。  歴代の総理を始め、小泉総理や各大臣皆さんも、沖縄県民には多大な負担を掛けているのでその軽減に努めてまいりたいということを繰り返し述べております。しかしながら、その中で、SACOの最終報告の着実な実施によって在沖米軍基地を削減していくというものであります。残念ながら、SACOの最終報告なるものは様々な欠陥を伴っており、その着実な実施などで沖縄の米軍基地の根本的な解決に資するものではないということは御承知かと思います。  政府皆さんが口にされる沖縄県民の基地過重負担に対する同情の言葉が真心から出ているとするならば、ブッシュ政権が現在進めているトランスフォーメーションをよい機会として、在沖米軍兵力と米軍基地の大胆な削減、見直しを米軍に、米側に求めるべきであると私は考えますけれども総理、いかがですか。
  629. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 在日米軍基地、米軍の編成の問題とそれから日本の防衛の問題、抑止力、安全の問題、密接にかかわっております。同時に、沖縄の基地の負担軽減、整理統合、これも日本政府にとっては大きな課題でありますし、この米軍の再編成につきましては日本としても米政府とよく協議していかなきゃならないと思っております。
  630. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 再度お聞きしますけれども、沖縄の基地問題を削減する方向で折衝なさるのかどうか、その辺について具体的に説明してください。
  631. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、SACOに基づいて普天間の返還等を進めておりますが、まだ米軍がどのような沖縄の基地の編成について考えているか、日本は打診を受けておりません。
  632. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 我が国は、農水分野で感染症による三重のショックを受けております。すなわち、BSE、鳥インフルエンザ、そしてコイヘルペスウイルスの問題であります。  特に、鳥インフルエンザは、過去に例を見ない世界の広範囲で同時期に多発しておりますけれども総理はこのような状況が起きていることについてどうお考えですか。
  633. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 鳥のインフルエンザ、あるいはコイのヘルペス、BSE、食の安全についてこれは大変多くの国民が心配していることですし、食の安全ということから考えても、政府としても関係省庁挙げて、安心、安全の確保あるいは感染の防止、再発の防止、こういう問題に対して真剣に取り組んでいかなきゃならないものと認識しております。
  634. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 海外から感染症の侵入を防ぎ、国内での蔓延を防止するには、国際的ないわゆる水際での防疫体制と国内での防疫体制をしっかりしていかなければならないことは当然であります。しかし、国などの対応は後手に回っているのではないかというふうに思います。せっかく食品安全基本法が制定され、食品安全委員会ができ、農水省、厚労省の連携も強化され、農水省の組織も改編され、地方との連携も強化されているはずでありますけれども、やっぱりそれが予想していなかったというような言葉が余りにも多過ぎると、総理の言う輸出に、輸出に打って出るような高付加価値の農業は望むべきもないではありませんか。その辺についていかがですか。
  635. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) この鳥の問題あるいはコイヘルペスの問題、これは昨年、食品安全委員会がスタートいたしまして、食品基本法の下に、いよいよ私ども両者に、コイ並びに鳥につきましても防疫マニュアルを作成をいたしまして、その対応に努力をしてきたところであります。  京都の問題につきましては、やはり通報が遅れた、こういうことであのような状況になっておりますが、さらにこれを契機に、いろいろの防疫マニュアルの徹底、さらには都道府県体制、あるいは情報の一元化等更に努めてまいりたいと、このように考えております。
  636. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先月末に、沖縄の米軍基地で販売された冷凍ハンバーグが、ハンバーグを友人からもらって基地外の自宅で食べた五人のうち二人の子弟が病原性大腸菌O157に感染したということが判明いたしました。  通常のこのような場合、場合は、県は食品衛生法に基づいて、原因として特定された食品の回収やあるいは施設の営業停止といった処分を行うことになりますけれども、やっぱり米軍の基地内であるためにそれができないというふうなことで、アメリカも鳥インフルエンザの発生が確認され、現在、アメリカの食肉輸入は、鳥肉輸入は停止されておりますけれども、沖縄に限らず、米軍基地の鳥肉、特に生肉や冷凍品の輸入はどのようになっているのか。その実態は把握しているのかどうか。また、搬入されているとすれば、ウイルス汚染の実態や汚染を含めた残渣、廃棄物の処理の実態などを検査しているのか。また、ウイルス汚染物資の、物質の搬入が否定できない場合の基地周辺養鶏農家などへの検査体制についてはどのようになっているか、お伺いいたします。
  637. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) もうオーバーですよ。
  638. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 日米地位協定に基づきまして、人、動物及び植物の検疫に関する合同委員会合意に基づきまして、合衆国軍隊の動物検疫官は四半期ごとの輸入実績を動物検疫所長に報告することになっております。この報告は卵を含むすべての家禽肉等となっておりまして、生肉あるいは冷凍肉別の数値を区別して承知をしていないところでございます。  なお、この動物検疫官によりましていろいろの検疫がなされておるわけでありますし、さらに鳥インフルエンザの問題につきましても、その合同委員会合意に基づきまして動物検疫官による検査を受けた畜産物のみが輸入を認められておるわけであります。この在日米軍からのウイルスに汚染された物質が漏れてくるという可能性はないものと、このように考えられるわけでありまして、鳥インフルエンザにつきましても、全国的に今このような警戒態勢を取っているところでありますので、その辺の防疫体制というものは確立できていると、このように思っております。
  639. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 何も言っていない。──環境省は。
  640. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) それじゃ、川口外務大臣、簡潔に。
  641. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、農水大臣から御答弁があったとおりでございます。この合同委員会の合意に従いまして輸入の手続が終わって、行われているということでございます。  いずれにしても、疾病の日本への進出を止めるという意味では日米意識を共通にいたしておりますので、緊密に日米で協力をしていきたいと考えております。
  642. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 小池環境大臣、簡潔に。
  643. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 私の方から生ごみの処理について御報告させていただきます。  まず、基地の外の二か所の民間施設で焼却された上で、また二か所の民間最終処分場で埋立て処分、つまり普通の生ごみとして扱われているということでございます。
  644. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 坂口厚生労働大臣、最後ですから簡潔に。
  645. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 駐留を認められた外国の軍隊につきましては、特別の取決めがない限りその法令は適用されませんので、我が国に駐留する米国についても同様、それは取扱いの対象になっておりません。
  646. 片山虎之助

    委員長片山虎之助君) 以上で島袋宗康君の本日の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会