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2004-06-05 第159回国会 参議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月五日(土曜日)    午前零時十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十八号   平成十六年六月五日    午前零時十分開議  第一 厚生労働委員長国井正幸解任決議案(   藁科滿治君外十名発議)(前会の続)  第二 国民年金法等の一部を改正する法律案(   内閣提出衆議院送付)(前会の続)  第三 年金積立金管理運用独立行政法人法案(   内閣提出衆議院送付)(前会の続)  第四 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律   の一部を改正する法律案内閣提出衆議院   送付)(前会の続)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、仮議長選挙  一、議長不信任決議案藁科滿治君外十二名発   議)(委員会審査省略要求事件)  一、本決議案議事における趣旨説明討論そ   の他の発言時間は一人十分に制限することの   動議金田勝年君外一名提出)  一、事務総長川村良典不信任決議案藁科滿   治君外十名発議)(委員会審査省略要求事件   )  一、厚生労働大臣坂口力問責決議案藁科滿   治君外十三名発議)(委員会審査省略要求事   件)  一、本決議案議事における趣旨説明討論そ   の他の発言時間は一人十分に制限することの   動議金田勝年君外一名提出)  一、日程第二より第四まで  一、三案の議事における討論その他の発言時間   は一人十分に制限することの動議金田勝年   君外一名提出)      ─────・─────
  2. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより会議を開きます。  日程第一 厚生労働委員長国井正幸解任決議案藁科滿治君外十名発議)を前会に引き続き議題といたします。  これより本決議案採決をいたします。  浅尾慶一郎君外九十三名より、表決記名投票をもって行われたいとの要求提出されております。  現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。  よって、表決記名投票をもって行います。本決議案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  3. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。──速やかに御投票願います。  投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  4. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票計算
  5. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十二票     白色票            百一票     青色票          百三十一票    よって、本決議案は否決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  6. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて休憩いたします。    午前一時四十四分休憩      ─────・─────    午前四時二十一分開議
  7. 本岡昭次

    ○副議長本岡昭次君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  これにて本日は散会いたします。    〔副議長退席〕      ─────・─────    〔議長着席
  8. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 先ほど副議長が散会を宣告いたしましたが、これは本院規則第八十二条の規定に反し、無効でありますので、会議を続けます。  藁科滿治君外十二名から、議長不信任決議案提出されております。  本決議案は、直ちに審議を要するものでありますが、私の身上に関するものであり、また、本岡議長にも事故があるものと認めざるを得ないので、議事を進めるためには、まず仮議長選挙することになります。  その準備のため、これにて休憩いたします。    午前四時三十三分休憩      ─────・─────    午前七時三十九分開議    〔事務総長川村良典議長席に着く〕
  9. 川村良典

    事務総長川村良典君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国会法第二十二条第二項の規定により、私が議長の職務を行います。  これより仮議長選挙を行います。  投票無名投票でございます。議席に配付してございます無名投票用紙に被選挙人の氏名を記入して、白色の木札の名刺とともに、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  10. 川村良典

    事務総長川村良典君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  11. 川村良典

    事務総長川村良典君) これより開票いたします。投票参事に点検させます。    〔参事投票及び名刺計算投票を点検〕
  12. 川村良典

    事務総長川村良典君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十九票    名刺の数もこれと符合いたしております。  本投票過半数は七十五票でございます。   竹山裕君         百二十九票     吉岡吉典君          二十票    よって、竹山裕君が仮議長に当選せられました。    〔拍手〕     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────    〔参事 仮議長竹山裕君を演壇に導く〕
  13. 川村良典

    事務総長川村良典君) ただいま仮議長に当選せられました竹山裕君を御紹介申し上げます。    〔拍手
  14. 竹山裕

    竹山裕君 ただいま仮議長の指名を受けました竹山裕でございます。よろしく。(拍手)    〔仮議長竹山裕議長席に着く〕      ─────・─────
  15. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) この際、お諮りいたします。  藁科滿治君外十二名発議に係る議長不信任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案議題といたします。  金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  発言時間一人十分に制限することの動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 過半数と認めます。  よって、本動議は可決されました。(拍手)  まず、発議者趣旨説明を求めますが、在席しておりませんので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 御異議ないと認めます。     ─────────────    〔議案本号末尾掲載〕     ─────────────
  19. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 本決議案に対し、討論通告がございます。順次発言を許します。久世公堯君。    〔久世公堯君登壇拍手
  20. 久世公堯

    久世公堯君 私は、自由民主党公明党を代表して、倉田議長不信任決議案に対し、断固反対討論を行います。  そもそも、この決議案は何を意味するものでありましょうか。  厚生労働委員会採決結果を受け、その後の野党各党諸君の意見も十分に聴取した上で、議院運営委員長との協議をされて本会議の開会を決定したものであります。この間の議長の手続には何の問題もありません。  ましてや、今回の厚生労働委員会における年金法案審議は、野党諸君質疑時間を十二分に取って、委員会審議時間も衆議院を上回っており、さらに衆議院では実施されなかった公聴会も横浜で開会するなど、委員会所属の各委員が真摯に年金改革に取り組まれ、その結果、採決されたものでございます。  これらを受けて本会議を開会することが、どうして議長不信任につながるものでありましょうか。正に、法案成立を阻止するための理不尽極まりない決議案であります。  委員会で十分な審議を経て可決した法律案が本会議に上程され、成立に至るのは議会運営の基本であり、この過程に異議を唱える行為は、議員自らをおとしめるものと断ぜざるを得ません。  二十代で千葉県議会に席を獲得し、全国最年少県会議長を経験され、国政に転じられてから二十有余年予算委員長を始めとして数々の重責を担ってこられました倉田議長は、その高潔なるお人柄、高い識見に異論を挟む余地もなく、平成十四年四月二十二日、与党だけではなく、野党第一党である民主党の推挙もあって参議院議長就任されたのであります。  就任後、井上議長が設置されました各会派で構成される参議院改革協議会を終始リードされ、全会派同意を得て、本院の長年の懸案であった決算審査の充実を図り、決算会期内処理を実現されました。  さらに、今年度、特にODAについて詳細な決算審査を実施するために、当院から調査団を派遣するための予算を獲得されました。  このように国権の最高機関たる参議院の向上のため御尽力されてこられましたことを、私は満場の議員すべてが認めておられると確信するものでございます。  党派、会派を超えて熱心に参議院改革に取り組んでこられた倉田議長に対する不信任決議案は、年金法案成立阻止のための一手段にすぎないのであります。  かような方便を弄する野党諸君猛省を求め、権威ある本院議長にこのような言い掛かり、無礼千万としか言いようのない決議案は、良識を持って即刻否決すべきものであると訴え、反対討論を終わります。(拍手
  21. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 大江康弘君は在席しておりませんので、棄権したものと認めます。  井上哲士君。    〔井上哲士登壇拍手
  22. 井上哲士

    井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました倉田寛之参議院議長不信任決議案に断固賛成討論を行います。  倉田議長は、一昨年の議長就任に際して、「公正無私を旨として、議院の正常かつ円満な運営を図り、もって本院の権威の高揚と使命達成のため、全力を尽くす」と言明されました。ところが、一昨日の厚生労働委員会での野党質疑権を一方的に打ち切っての年金法案強行という与党の重大な瑕疵を放置し、野党の繰り返しの申入れを無視し、年金法案採決のための本会議職権で公報掲載したことは、公正無私議院の正常かつ円満な運営という自らの言明に真っ向から反する議会運営であり、議長不信任は当然であります。  厚生労働委員会における事態は、三会派質問時間を残したまま、与党委員質問中に与党委員からの打切り動議が出され、採決なるものが強行されるという重大な暴挙であります。  強行の当日まで厚生労働委員会では与野党の真摯な委員会の議論が重ねられてきました。当日の朝の理事会でも、午前中の四人の一般質疑、午後の六人の総理に対する質疑、その後の二人の一般質疑を行うことを与野党で合意していたのであります。ところが、公明党議員質問が終わって我が党の小池議員質問が始まる直前に、自民党の議員が突然に質疑を打ち切って直ちに採決する動議なるものを読み上げ始め、国井厚生労働委員長がこれを理事会に諮ることなく唯々諾々と取り上げて強行したのであります。  その後に予定されていた我が党の小池議員社会民主党護憲連合福島瑞穂議員、無所属の西川きよし議員質問権を乱暴に剥奪したのであります。理事会与党提案によって与野党一致して確認した日程与党が一方的に問答無用委員会質疑の途中で打ち切り、国会議員に与えられた最も重要な権能である質問権を奪い去るというのは、議会制民主主義の乱暴な破壊行為であると言わざるを得ないのであります。このようなことを許すならば、少数党の声を切り捨てる言論封殺国会にならざるを得ないのであります。  倉田議長は、日本共産党民主党社会民主党護憲連合国対委員長が、採決は無効であり、委員会に差し戻すべきであり、本会議は開くべきでないとの申入れに対して、何ら瑕疵はないと報告を受けていると述べました。しかし、強行の現場に同席した小泉総理も、もっとお静かに淡々とやればよかったんですけどねと、極めて乱暴に行われたことを認めました。さらに、当の国井厚生労働委員長自身が、共産、社民の質問が終わってからの方がよかったかなという思いもあると、問題があったことを自ら認めているのであります。  さらに、与党から提案があり、野党も一致して要求していた中央公聴会はいまだ開催をされておりません。一日の理事会自由民主党理事も、中央公聴会開催重要性については野党と共通の認識だと述べられておりました。直前理事会でも野党一致して要求しており、引き続き理事会協議中でありました。これを乱暴に打ち切って、どうして瑕疵がなかったと言えるでありましょうか。  その上、強行後の議院運営委員会理事会において、野党厚生労働委員会での野党議員質問時間を剥奪したことの理由を求めたのに対して、自由民主党理事からは一般的には説明付かないと、説明不能となりました。にもかかわらず、年金改悪法案の本会議上程提案し、議長職権でその開催を公報掲載し、本会議のベルを押したのであります。こうした議長行為は、議員の最も重要な権能の一つである質問権を剥奪するという重大な民主主義破壊の最大の暴挙を、本来、議会制民主主義擁護者となるべき議長が追認するということにほかなりません。  倉田議長は、何よりこのような重大な民主主義破壊の行使を是正し、正常かつ円満な議院運営を行う責任を負っているのであります。先例を見ても、与党による採決強行のような不正常な議事運営が行われた際には、歴代議長は、正常化に向けて与野党の仲介やあっせん案の提示、議事委員会差戻しなどの努力を誠心誠意行ってきたのであります。一九九九年の前回の年金制度改悪の際にも、衆議院委員会強行が行われ議事が空転したときには、当時の伊藤衆議院議長議事委員会に差し戻し、さらに補充的質疑参考人質疑を行うなどの裁定案を提示し、正常化に道を開いたのであります。  歴代議長が行ったこのような不正常な事態を是正する努力を一切することなく、質問権を奪ったことについて、国井厚生労働委員長から一切の事情を聴くことをせず、強行を追認した倉田議長議長の資格は全くありません。議長不信任は全く当然であります。  このことを重ねて強調して、私の賛成討論を終わります。(拍手
  23. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  24. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) これより本決議案採決をいたします。  本決議案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  25. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  26. 竹山裕

    ○仮議長竹山裕君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百四十八票     賛成             二十票     反対           百二十八票    よって、本決議案は否決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────    〔仮議長退席議長着席
  27. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 藁科滿治君外十名から、委員会審査省略要求書を付して、事務総長川村良典不信任決議案提出されました。  お諮りいたします。  事務総長川村良典不信任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めますが、在席しておりませんので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。     ─────────────    〔議案本号末尾掲載〕     ─────────────
  30. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより本決議案採決をいたします。  本決議案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  31. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  32. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。──しばらくお待ちください。──しばらくお待ちください。  機械の操作に故障がありましたので、これより本決議案採決をいたします。  本決議案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  33. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) しばらくお待ちください。──しばらくお待ちください。  先ほどの採決は無効といたします。  本決議案賛成諸君起立を求めます。──なしと認めます。  よって、本決議案は否決されました。(拍手)  しばらくお待ちください。──しばらくお待ちください。──しばらくお待ちください。      ─────・─────
  34. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 藁科滿治君外十三名から、委員会審査省略要求書を付して、厚生労働大臣坂口力問責決議案提出されました。  お諮りいたします。  厚生労働大臣坂口力問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案議題といたします。  金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  本決議案議事における趣旨説明討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 過半数と認めます。  よって、本動議は可決されました。  まず、発議者趣旨説明を求めます。富樫練三君。     ─────────────    〔議案本号末尾掲載〕     ─────────────    〔富樫練三君登壇拍手
  37. 富樫練三

    富樫練三君 厚生労働大臣坂口力問責決議案について、提案理由説明をさせていただきます。  第一に、坂口厚生労働大臣政府案説明において、給付水準モデル世帯現役世代の五〇%を確保する、国民年金保険料の上限は一万六千九百円で固定するとしてきました。しかし、法案審議の中で、この二つの看板は全くの偽りであることが明らかになりました。  給付水準五〇%の確保は受給開始時だけのことで、その後年々低くなり、五〇%を大幅に下回ることが明らかになりました。また、国民年金保険料も、名目額では二〇二七年度で二万五千六百八十円、二〇三七年で三万一千六百十円となることが明らかになりました。所管大臣法案内容説明責任を果たさず法案成立を図ることは前代未聞であり、断じて容認することはできません。  さらに、今回の年金改革による給付水準の引下げは、憲法二十五条が保障する生存権を侵害するものであります。現在、基礎年金は満額で月六万六千円、国民年金平均受給額で月四万六千円であります。政府案で新たに導入されるマクロ経済スライドにより、年々給付が削減され、基礎的消費支出も賄えない水準に引き下がることになります。現在でも低い年金受給額水準を一層引き下げ、国民老後生活を脅かすものとなる。そして、社会保障責任を負う厚生労働大臣生存権侵害を認めることはできません。  なおかつ、年金法案審議の中で、森、谷畑厚生労働副両大臣の、国会議員国民年金加入を義務付けられた以後の国会議員在職中の年金未納、未加入が明らかになりました。年金法案提出責任者として重大な責任が問われています。また、両副大臣未納、未加入の公表が衆議院強行採決後となったことは重大な問題であり、坂口大臣も副大臣未納、未加入を知りつつ、速やかに公表する責任を果たさなかったことは重大であります。  本来ならば、坂口厚生労働大臣自ら、自身責任を十分に自覚した上で自ら職を辞すべきでありますが、坂口大臣にはそのような真摯な姿勢はみじんもありません。  よって、ここに厚生労働大臣問責決議案提出するものであります。  以上であります。(拍手)     ─────────────
  38. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 本決議案に対し、討論通告がございます。順次発言を許します。渡辺孝男君。    〔渡辺孝男登壇拍手
  39. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました坂口厚生労働大臣に対する問責決議案に対し、断固反対の立場から討論を行うものであります。  急速な少子高齢化が進行している我が国にとって、国民老後生活設計の柱である公的年金制度を将来にわたって安定したものとすることは喫緊の課題であります。小泉内閣は、この課題に真正面から取り組み、本国会年金制度改革関連法案提出いたしました。  五月六日の自民民主公明の三党合意を踏まえ、五月十一日に衆議院会議にて修正が加えられ、五月十二日よりは参議院にて審議がなされ、これらは六月三日、厚生労働委員会にて賛成多数で採決されました。  この年金制度改革関連法案の策定を中心となって担ってきたのが坂口厚生労働大臣であります。  坂口厚生労働大臣は、平成十二年十二月の就任以来、難題であったハンセン病問題の早期全面解決クロイツフェルト・ヤコブ病訴訟和解への道を開くなど、生活者の視点に立ち、国民一人一人の大切な生命と生活と人権を守る姿勢を貫いてまいりました。  また、今回の年金制度改革関連法案審議に当たっても、現在の我が国国民のためばかりでなく、未来の我が国を支えていただく次世代の国民のために、共助を貴び、公正を重んじる姿勢を貫いてまいりました。また、自身年金制度加入情報開示にも真摯に対応しており、職責を十分に果たしております。  そのようなことから、問責決議案提出する野党諸君に対しては、全く理解に苦しむところです。  しかも、五月六日の自民民主公明の三党合意を踏まえての衆議院会議修正では、政府公的年金制度を含めた社会保障全般についての一体的な見直し等を求めており、今、厚生労働行政にたけた坂口厚生労働大臣を問責することは、国民にとって百害あって一利なしと断ぜざるを得ません。  国民のためを思わず、党利党略で安易に問責決議案提出した野党諸君猛省を促し、坂口厚生労働大臣問責決議案に対する反対討論を終わります。(拍手
  40. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 畑野君枝君。    〔畑野君枝登壇拍手
  41. 畑野君枝

    畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、坂口力厚生労働大臣問責決議案に対し、断固賛成討論を行います。  政府が百年安心のうたい文句で進めてきた年金法案は、審議を通じて、偽り看板が次々とはがれ落ち、国民を百年の不安に突き落とすものでしかないことが今やだれの目にも明らかになっております。  二〇〇三年の内閣国民生活に関する世論調査によれば、今六七・二%の人が日常生活悩みや不安を感じていると答えています。その悩みの中でも最も多いのが老後生活設計についてです。正に、年金への不安にほかなりません。  政府年金法案は、こうした不安にこたえる内容になっているのでしょうか。その内容は、一、厚生年金保険料を十四年間連続して毎年約一万円ずつ引き上げていく、二、国民年金保険料は十三年間連続して毎年三千三百六十円引き上げていく、三、こうした引上げを国会審議抜きで自動的に行う仕組みに変えるというものです。このような保険料の引上げは、国民の暮らしに大打撃を与え、年金保険料の支払を一層困難にさせるものです。  国民年金しか受給していない高齢者は九百万人に上り、その方々の年金受給額は平均月額四万六千円でしかありません。月額二万円から三万円しか受け取れない高齢者も数百万人に上ります。  国民年金保険料未納率は四割に達し、免除者、未加入者も含めると、保険料を払っていない人は一千万人を超えています。この事態を放置すれば、将来更に膨大な無年金者や低額年金者が生まれることは必至です。年金空洞化は厚生年金でも進み、厚生年金加入事業者数はこの五年間で約七万社も減少するなど、深刻な事態が生まれています。  政府年金法案は、こうした問題の解決策を何ら示さないばかりか、老後の最低生活を保障するという国が本来果たすべき責任を放棄するものだと言わなければなりません。  年金法案についての最近の世論調査では、今国会成立させることに反対が六割から七割を占めています。これだけ反対の声があるにもかかわらず、数の力であくまでも採決しようという自民党、公明党の態度は、国会国民の声を無視する暴挙であり、断じて許すことはできないことを表明し、以下、具体的に坂口厚生労働大臣問責決議案に対する賛成理由を述べます。  第一は、坂口厚生労働大臣が繰り返し答弁してきた、保険料の上限は一万六千九百円で固定します、給付水準現役世代の五〇%を確保しますという二枚看板が全くの偽りであったということです。  これまで大臣は、国民年金保険料は一万六千九百円で固定すると説明してきました。ところが、五月十二日の参議院会議坂口大臣は、実際に徴収する名目額は賃金上昇に応じて変化し、二〇一七年で二万八百六十円になり、二〇二七年で二万五千六百八十円になり、二〇三七年で三万一千六百十円になると答弁しました。一万六千九百円で固定しますと言っていたことが、実は三万円を超える負担になる大うそだったのであります。  五割保障の問題についていえば、そもそも五〇%の給付水準が保障されるのは、夫が四十年間厚生年金加入し、妻が二十歳から四十年間専業主婦というごく限られた厚生年金モデル世帯だけでした。ところがそのモデル世帯でも、現役世代の収入の五割の年金を受け取ることができるのは受給開始のときだけで、その後は四〇・二%まで下がることが明らかになりました。五割保障も全くのうそ偽りでありました。しかも、モデル世帯以外でいえば、共働き世帯は三一・七%まで、男子単身世帯は二九%まで下がり、三割をも割り込むというのです。  なお、五〇%を下回ることについて小泉総理は、五月三十一日の参議院決算委員会で、いろいろな場でこういう議論はしてきた、私は説明していないが坂口大臣説明していると答えました。総理説明していないというのは重大問題です。  それどころか、総理は、今法案の根幹を成すマクロ経済スライドについて理解していませんでした。一昨日の厚生労働委員会で、マクロ経済スライドについて、物価が上がっても年金は上がりません、総理御存じでしたかと問われたのに対し、年金には物価スライドがあるんですよと答弁し、物価スライドとマクロ経済スライドというのは同じですか、違いますかと質問されたことには、経済全体のマクロ的観点からいえば年金とは違いますと、全く的外れな答弁をしたのです。  法案提出者たる総理に、この重大な問題を説明し、理解をさせてこなかった坂口大臣は、担当大臣としての資格に欠けると言わざるを得ません。  賛成の第二は、今回の年金法案による給付水準の引下げが、憲法第二十五条が保障する生存権を侵害する内容となっており、坂口厚生労働大臣生存権侵害の推進役となっているからであります。  現在、国民年金基礎年金水準は、満額受給で月六万六千円、平均受給で月四万六千円です。マクロ経済スライドは、これらの国民年金基礎年金にも適用され、年金額は一五%も削減されることになります。二〇三一年度には、六万六千円が四万五千円に、四万六千円は三万二千円まで、三割も削減されてしまいます。大臣は、この金額で生活しろと言うのでしょうか。  「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定める憲法二十五条を守るべき厚生労働大臣が、生存権さえ侵害する給付削減をするなどということは断じて許すことはできません。  賛成の第三は、坂口大臣が森英介、谷畑孝両厚生労働副大臣年金保険料未納問題を長い間隠ぺいしてきたことです。  国会議員には国の法律を決める特別の責任があり、一九八六年四月の強制加入後の国会議員である者については、自ら公表する責任があると私たちは考えます。ところが、自民党、公明党は、国会議員、閣僚の未納問題でも偽りと隠ぺいを繰り返し、国民の不信を増大させました。とりわけ重大なのは、年金を担当する森副大臣国会議員在職中の一九九四年七月から十三か月間にわたり国民年金保険料を納めていなかったことです。  五月二十七日の参議院厚生労働委員会での森副大臣の答弁によると、保険料未納の事実を知ったのは四月十四日です。そのときは、自分は完納していると思い込んでいたので腑に落ちなかったと感じながら、坂口大臣に調査していると伝えました。そして、四月二十三日に、坂口大臣に自らの未納問題について報告したと説明しています。  森副大臣説明によると、坂口厚労相は衆議院審議中に森副大臣から二度報告を受けたことになります。ところが、坂口大臣は、年金法案衆議院を通過する五月十三日まで公表せずに隠していたのです。副大臣との意思疎通がうまくいっていなかったと言い訳をしていますが、本会議採決という重大な局面を迎え、国会議員年金保険料未納問題がこれほど大問題になっているときに、こんな説明国民が納得できるわけはありません。  また、谷畑副大臣は、自身未納の問題について五月十日に社会保険庁の報告で確認をしたと言っていますが、我が党が入手した資料によって、四月二十八日の衆議院厚生労働委員会での強行採決の日に、谷畑副大臣未納状況に関する厚生労働省文書があることが明らかになりました。  両副大臣未納事実について、坂口大臣は、知っていながら情報操作をしたのではないかとの疑惑はぬぐい切れません。そうでないというのならば、不誠実な副大臣坂口大臣が罷免を申し出るべきではありませんか。  以上の点を述べまして、坂口厚生労働大臣問責決議案賛成の立場を表明して、討論を終わります。(拍手
  42. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  43. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  44. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 少数と認めます。  よって、本決議案は否決されました。(拍手)  しばらくお待ちください。      ─────・─────
  45. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第二 国民年金法等の一部を改正する法律案  日程第三 年金積立金管理運用独立行政法人法案  日程第四 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を前会に引き続き一括して議題といたします。  金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  三案の議事における討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  46. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 過半数と認めます。  よって、本動議は可決されました。  まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長国井正幸君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号末尾掲載〕     ─────────────    〔国井正幸君登壇拍手
  47. 国井正幸

    ○国井正幸君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、国民年金法等の一部を改正する法律案は、国民年金及び厚生年金について、社会経済情勢の変化に対応した持続可能な制度を構築するとともに、多様な生き方・働き方への対応を図るため、基礎年金に対する国庫負担割合の引上げ、保険料水準の上限の設定及び給付水準の自動調整制度の導入、在職老齢年金制度の見直し、離婚時の厚生年金の分割制度の創設その他の措置を講ずるほか、企業年金制度について、厚生年金基金制度の改善や企業年金の通算措置の拡充等を図ろうとするものであります。  なお、衆議院におきまして、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとするとともに、公的年金制度についての見直しを行うに当たっては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方について検討を行う旨の規定を附則に追加する修正が行われております。  次に、年金積立金管理運用独立行政法人法案は、年金資金運用基金が行ってきた厚生年金保険及び国民年金の積立金の管理並びに運用について、専門性の徹底及び責任体制の明確化を一層図るため、新たに年金積立金管理運用独立行政法人を設立することとし、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めようとするものであります。  次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案は、急速な高齢化の進展に対応し、高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため、事業主に定年の引上げ、継続雇用制度の導入等を義務付けることとするほか、高年齢者等の再就職の促進等に関し所要の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、三法律案の審査を一括して行い、年金制度における負担と給付の調整の在り方、公的年金制度の一元化に向けた今後の方向性、国民年金未納及び厚生年金の空洞化への対応策、被保険者に対する適切な情報提供の必要性、年金積立金の現状と今後の運用方針、高年齢者の再就職支援の重要性等について、小泉内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行うとともに、横浜市に委員を派遣して地方公聴会開催するなど、慎重に審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  次いで、三法律案に対する質疑を終局し、討論を省略の上、直ちに採決に入ることの動議提出され、採決の結果、本動議は多数をもって可決されました。  続いて、三法律案を順次採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  48. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 三案に対し、討論通告がございます。小池晃君。    〔小池晃君登壇拍手
  49. 小池晃

    ○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、国民年金法等の一部改正案に対し、反対討論を行います。  反対理由の第一は、年金保険料を上限なく引き上げることで年金制度の空洞化を更にひどくすることであります。  政府与党が本法案を百年安心だと宣伝した根拠の一つが、保険料の上限を決めた、それ以上引き上げないから安心だというものでした。ところが、この説明偽りのものでありました。  政府は、衆議院審議では、国民年金保険料は二〇一七年以降、一万六千九百円で固定する、こう説明していましたが、参議院会議質疑坂口厚生労働大臣は、初めて、実際の金額は、賃金上昇に応じて二〇一七年度、二万八百六十円、二七年度、二万五千六百八十円、三七年度、三万一千六百十円と保険料を際限なく引き上げることを明らかにいたしました。また、厚生年金保険料率の上限についても、政府の試算の前提が崩れれば一八・三%以上に引き上げる可能性があることも認めました。  保険料の際限のない引上げは年金の空洞化を一層加速します。そして、それが国民の暮らしと日本の経済に深刻な打撃を与え、結局、年金財政の破綻をもたらす悪循環となることは余りにも明白ではありませんか。  反対理由の第二は、年金給付を削減し、高齢者の生存権を乱暴に破壊することであります。  政府与党が百年安心と宣伝したもう一つの根拠は、給付現役世代の収入の五割を保障するというものでした。しかし、これもまた偽りのものでありました。サラリーマンと専業主婦のモデル世帯でも五割保障されるのは年金を受け取り始めるときだけで、受給開始後には、今後年金を受給するすべての世代で五割を下回ることが参議院審議においてこれまた初めて明らかになりました。共働き世帯では、受給開始二十年後に三一・七%、男性単身世帯では二九%にまで下がります。  このように、百年安心のたった二つのうたい文句であった保険料の上限固定も五割保障も崩れた以上、廃案にして出直すことは余りにも当然ではありませんか。  重大なのは、今でも低い国民年金、障害年金なども一律に引き下げることです。現在、国民年金の満額受給は月額六万六千円、これが十五年後には現在価格で五万八千円にまで引き下げられます。基礎的消費支出すら賄えない水準でどうやって暮らしていけるでしょうか。なぜこれが百年安心などと言えるのでしょうか。  小泉首相は、我が党の質問に、公的年金だけでは生活できる人は一部だけ、年金以外に蓄えもあると開き直りました。しかし、総務省の家計調査では、高齢者無職世帯の預貯金は、二〇〇一年には毎月三万三千円、二〇〇二年には毎月四万一千円も減り続けています。そして、そもそも取り崩す貯蓄のない世帯が二割を超えている。首相の答弁は、高齢者の置かれた深刻な実態を無視し、憲法二十五条にある国民生存権を保障する政府責任を放棄した暴論であり、断じて許すわけにはまいりません。  第三は、政府の財政計算の前提に全く根拠がなく、実施前から破綻が明らかであることであります。  年金財政の基本である加入者の数の根拠についてすら説明がされておりません。例えば、厚生年金加入者数は二〇〇〇年から二年間で百万人以上も減っているにもかかわらず、本法案計算では、突然上昇し始め、二〇〇五年に三千百八十万人と、直近の二〇〇二年の実績を十万人上回る見通しであります。厚生年金加入者数が増加に転じる根拠を示せという委員会での質問に対して、政府からの説明は最後までありませんでした。  また、保険料引上げを見込んだ企業のリストラ、派遣、請負への置き換えが早くも行われようとしているにもかかわらず、政府は、今回の保険料の引上げは雇用に対して一切影響を与えないとしていますが、全く説得力を欠くものであります。  さらに、国民年金の納付率が急速な低下を続けているにもかかわらず、今回の法案では、現在六割の納付率が二〇〇七年には八割に上がることを前提としています。今回の改悪により、年金への不信が一層広がることは明らかであるにもかかわらず、このような根拠のない数字を前提としているのですから、成立前から既に破綻は必至と言わざるを得ないのであります。  反対理由の第四は、基礎年金への国庫負担の引上げを先送りしたことであります。  公明党は、法案が廃案になると四兆七千億円の穴が空くとしきりに宣伝していますが、この法案成立しても三兆八千億円の赤字であります。結局、廃案の影響は九千億円。廃案になった場合、年金財政に四兆七千億の穴が空くというのは真っ赤なうそで、国民を脅しております。これはうそにうそを重ねるもので、断じて許されません。  年金財政に穴が空くことを本当に心配するなら、ほかにやることがあるはずです。本法案基礎年金への国庫負担の二分の一への引上げを六年後まで先送りしており、これを先送りしなければ、廃案にした場合の九千億円の財政悪化分など直ちに解消できます。国民年金法の附則に明記された国庫負担引上げをやらずに、年金財政が悪化するから法案強行などと国民に負担を押し付けることはもってのほかであります。  反対理由の第五は、巨額の積立金運用による無駄遣いをこれまでどおり続けることであります。  厚生年金の積立金は、二〇〇五年で百六十四兆円に達します。年金給付費など支出総額の五・二年分に上り、諸外国に比べて異常に高い水準であります。  巨額の積立金がこれまで全国十三か所のグリーンピアなどの無駄遣いに使われ、政治家の利権や高級官僚の天下り先を生み出してまいりました。国民保険料四千億円を投じたグリーンピア事業が破綻し、二束三文で施設売却されようとしていますが、官僚も政治家も、だれ一人この責任を取っておりません。  グリーンピアを始め、年金給付以外に流用された保険料は総額で五兆六千億円に及びます。しかし、九八年からは、財政構造改革特別措置法に基づき、それまで国の一般会計から支出されていた事務費まで年金保険料から支払う仕組みが作られました。  そして、九七年、この法律成立させたときの厚生大臣がほかならぬ小泉純一郎現総理大臣であります。ところが、その責任についていまだに口をぬぐったままであります。  事務費への流用は昨年まで六年間の時限措置でしたが、今年度も特例法により延長し、社会保険庁長官の交際費や職員宿舎の建設、公用車の購入などに七年間で六千億円以上の保険料が使われました。坂口大臣年金資金の無駄遣いについて、第三者機関で過去の問題を検証すると答弁しましたが、いまだにその具体的内容は明らかになっておりません。  その上、積立金の株式運用によって二〇〇二年度には三兆六百八億円もの赤字が生まれています。しかも、二〇〇八年には年金積立金の全額が自主運用となり、国民の貴重な財産が一層の危険にさらされます。株式などリスクマネーに年金積立金を運用することや目的外使用はやめ、巨額の積立金を計画的に取り崩して給付の維持に充てるべきであります。  以上述べてきたように、本法案は、年金制度、老後生活の土台を壊すものであり、また、百年安心どころか数年もたたないうちに破綻することは余りにも明らかではありませんか。  日本共産党は、先日、最低保障年金制度を実現し、今も将来も安心できる年金制度を作るという改革案を発表しました。その中心点は、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があるとした憲法二十五条の生存権を保障する見地に立って、老後生活を支えるために全額国の負担で賄う最低保障年金制度を実現させることであります。第一歩として、最低保障額を月額五万円とし、その上に、支払った保険料に応じて一定額を上乗せし、低額年金を底上げする制度をスタートさせます。これにより、低額年金や無年金の問題、年金制度全体の空洞化、サラリーマン世帯の専業主婦の第三号被保険者問題など、今日の年金問題が抱える様々な矛盾を根本的に解決する道が開けます。  改革というのであれば、国の責任で無年金者や低額年金者の底上げを図ることこそ本当の改革です。およそ改革の名に値しない年金大改悪法案はきっぱり廃案にすべきであります。  さて、今、世論調査でも、法案への賛否の違いを超えて、国民の六割、七割が今国会での成立を見送るべきだと答えています。この理由は、何よりも、これまでの政府の二枚看板偽りがあったことが参議院段階で明らかになってきたことであります。当初の説明が違っていた以上、初めから出直してやり直せというこの声、当たり前の声ではありませんか。  そして、国民の怒りの火に油を注いだのが、公的年金を決める責任がある国会議員の中に年金加入未納問題があったことです。しかも、自民党はいまだに党として調査、発表していません。こうした中で、保険料の引上げ、給付のカットを押し付けることなど許されるはずがありません。  そもそも公的年金は、老後生活を保障するため、長期にわたって国と国民が結ぶ約束にほかなりません。だからこそ、道理を尽くした国会での審議政府への国民の信頼が必要なのです。ところが、中央公聴会も行わず、衆参両委員会強行採決を繰り返し、あまつさえ私も含めて議員質問権を剥奪した今回の国会審議の経過と政府与党姿勢は、こうした土台を粉々に打ち壊すものでした。たとえ今回の年金法案賛成であろうと、およそ民主主義というものを理解しているのであれば、こんな暴挙を断じて許してはいけないはずであります。そして、このようなやり方では、どんな中身であっても国民の信頼する年金制度など絶対に作ることができないということを与党は知るべきであります。  本院が良識の府としてこうしたルール破りを改め、本法案をきっぱり廃案にすべきであることを申し述べ、私の反対討論を終わります。(拍手
  50. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 武見敬三君。    〔武見敬三君登壇拍手
  51. 武見敬三

    ○武見敬三君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、並びに年金積立金管理運用独立行政法人法案、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行うものであります。  今回の改正は、これまでのように年金計算に合わせた五年ごとの修正ではなく、急速に進展する高齢化、人口構造の変化や経済状況など、長期的な日本社会の在り方をにらんで年金制度の持続可能性を図る抜本的な改革であります。  給付の下限と負担の上限を定め、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる道筋を明確に示すものであります。また、将来の厚生年金給付水準モデル世帯において現役世代の平均的収入の五〇%以上が確保できることになり、生活が安定する数値水準を示した大きな意義を持つものであります。  今回の修正案の中で、これから公的年金の一元化を展望し、検討する旨が規定されました。一元化には、所得の把握問題や職種、就業形態の違いにいかに対応するのか、また国民の理解と納得が得られるのかといった課題があります。我々は、幅広い長期的な視点からの一元化の議論を進めていきたいと考えます。  また、国民年金未納問題については、立法に携わる国会議員の立場を踏まえ、自らの責任を自覚することは当然であり、襟を正し、深く反省すべきと考えます。  未納問題の背景には、年金制度の複雑さ、分かりにくさがあり、国民の信頼回復につながる制度の改善が求められます。さきの三党合意では、未納問題に対して法的措置を講じることが盛り込まれています。  次に、年金積立金管理運用独立行政法人法案については、年金改革の本質が給付と負担の関係を長期にわたり安定させるものであり、給付の原資となる年金積立金の運用組織については、本法案によりしっかりと確立されることになると考えます。  また、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案については、健康でかつ就業意欲の高い高齢者が増えており、六十五歳までの雇用の確保や再就職を促進するなど、生涯現役社会の実現につながる意義のある施策につながるものであります。  最後になりますが、我々は、反省すべきは反省し、検討すべき課題は真摯に検討すべきであることを強調し、二十一世紀の年金制度を支える抜本改革である本法案賛成であることを表明し、私の討論を終わります。(拍手
  52. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  53. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  まず、国民年金法等の一部を改正する法律案及び年金積立金管理運用独立行政法人法案を一括して採決いたします。  両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  54. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 過半数と認めます。  よって、両案は可決されました。(拍手)  次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案採決をいたします。  本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  55. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決することに決しました。(拍手)  これにて休憩いたします。    午前九時三十一分休憩    〔休憩開議に至らなかった〕