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2004-03-12 第159回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十二日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第八号   平成十六年三月十二日    午前十時開議  第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指   名     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、平成十六年度における財政運営のための公   債の発行特例等に関する法律案及び所得税   法等の一部を改正する法律案趣旨説明)  一、国務大臣の報告に関する件(平成十六年度   地方財政計画について)  一、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金   及び納付金に関する法律の一部を改正する法   律案所得譲与税法案及び地方交付税法等の   一部を改正する法律案趣旨説明)      ─────・─────
  2. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより会議を開きます。  日程第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名  内閣から、中央選挙管理会委員五名の任命について、本院の議決による指名を求めてまいりました。  本委員指名するときは、併せて同予備委員指名することとなっております。  よって、これより中央選挙管理会委員及び同予備委員各五名の指名を行いたいと存じます。  つきましては、中央選挙管理会委員及び同予備委員指名は、いずれも議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、  中央選挙管理会委員坂田桂三君、浅野大三郎君、足立良平君、後藤茂君及び猪熊重二君を、  また、同予備委員元宿仁君今井正彦君、西川洋君、尾崎智子君及び鳥居一雄君を、 それぞれ指名いたします。      ─────・─────
  4. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。谷垣財務大臣。    〔国務大臣谷垣禎一登壇拍手
  6. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま議題となりました平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  まず、平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成十六年度予算については、引き続き歳出改革路線を堅持し、一般会計歳出及び一般歳出について実質的に前年度の水準以下に抑制いたしました。一方、予算内容については、「経済財政運営構造改革に関する基本方針二〇〇三」等を踏まえ、例えば科学技術治安対策など活力ある社会経済の実現や国民の安心の確保に資する分野に重点的に配分したほか、各分野においても真に必要な施策への絞り込みを行い、めり張りのある予算の配分を実現しました。  しかしながら、我が国財政収支は引き続き厳しい状況となっており、特例公債発行等措置を講じることが必要であります。  本法律案は、厳しい財政事情の下、平成十六年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債発行特例に関する措置及び年金事業等事務費に係る国の負担特例に関する措置を定めるものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、平成十六年度の一般会計歳出財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債発行することができること等としております。  第二に、平成十六年度において、国民年金事業厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合事務の執行に要する費用に係る国の負担を抑制するため、国民年金法国民年金特別会計法厚生保険特別会計法及び国家公務員共済組合法特例を設けることとしております。  次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、現下経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会活性化を実現するためのあるべき税制構築に向け、住宅土地税制中小企業関連税制金融証券税制年金税制法人税制国際課税等につき所要措置を講ずるものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、住宅土地税制について、景気情勢を踏まえ、計画的な持家取得を支援する観点から、住宅借入金等に係る所得税額控除制度見直しの上、延長するとともに、住宅の住み替え等を支援する観点から、居住用財産譲渡損失繰越控除制度拡充、創設するほか、土地取引活性化を後押しする観点から、土地建物等長期譲渡所得税率引下げ等を行うこととしております。  第二に、中小企業関連税制について、ベンチャー企業中小企業の支援や事業承継円滑化観点から、非上場株式譲渡益に対する税率引下げ、いわゆるエンジェル税制拡充中小同族株に係る相続税課税価格軽減特例拡充等を行うこととしております。  第三に、金融証券税制について、貯蓄から投資へという政策要請を踏まえ、公募株式投資信託譲渡益に対する税率引下げ等を行うこととしております。  第四に、年金税制について、世代間及び高齢者間の負担の公平を確保するため、公的年金等控除上乗せ措置及び老年者控除廃止を行うとともに、標準的以下の年金だけで暮らしている高齢者の方々に十分に配慮する観点から、六十五歳以上の者については、公的年金等控除最低保障額を通常の額に五十万円加算して百二十万円とする特例措置を講じることとしております。  第五に、法人税制について、金融、産業の構造改革促進し、企業競争力強化を図る観点から、欠損金繰越期間を延長するとともに、連結付加税廃止等を行うこととしております。  第六に、国際課税について、租税条約相手国との間で課税取扱いが異なる事業体に係る課税特例創設等を行うこととしております。  その他、特定余暇利用施設特別償却制度廃止等既存特別措置整理合理化を図るとともに、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度等期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなど所要措置を講ずることとしております。  以上、平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     ─────────────
  7. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。山根隆治君。    〔山根隆治登壇拍手
  8. 山根隆治

    山根隆治君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。  国債発行三十兆円枠を掲げて登場した小泉総理の三回目の本予算編成は、昨年度に引き続き、当初予算としては過去最悪の国債依存度を更新し、またもや看板倒れに終わったものであります。  今年度は、赤字国債のみで三十兆円を超えております。国民への明確な約束でもあった三十兆枠は一体何だったのでありましょうか。さきに成立した歳入歳出剰余金処理特例に関する法律に見られたような、隠れ借金をしてさえなお達成できなかった公約を、あなたは国民にどう答えられるのでしょうか。財務大臣お尋ねをいたします。  今回の予算について、谷垣財務大臣は二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復する手掛かりを得たとし、竹中大臣基礎的収支改善してきたと胸を張っていますが、これも見せ掛けであり、財政の真の姿を表すものではありません。本来なら、来年度予算自賠責特会に約六千億円、地方交付税特別会計に一兆一千億円の返済義務があったにもかかわらず、これをすべて先送りいたしました。果たして二〇一〇年の約束を、その時点で確実に政権を担っていない小泉内閣約束すること自体、おかしな話ではありませんか。両大臣の御説明を願います。  また、先ごろ閣議決定した改革展望—〇三年度改定では、あたかも二〇一三年度のプライマリーバランス黒字を達成するかのようなイメージを与えていますが、よく見れば、一三年度までの一方的な右肩上がり経済成長を予定し、かつ名目金利名目成長率よりも低いという、我が国経済状況を全く無視した安易な前提によって成り立っている、正に机上の空論のプライマリーバランス見込みであります。  今、財政健全化に向けて何より必要なのは、国民理解と協力であります。なぜ見せ掛け財政を繕うために小細工を重ねるのか、財務大臣お尋ねをいたします。  次に、公債発行特例等に関する法律案具体的内容について質問をさせていただきます。  国債に関しては、政府は、昨年より、国債保有すそ野を広げるためとの触れ込みで個人向け国債発行を始められました。今年度は昨年度より更に増額をして、一兆六千億円の個人向け国債発行を予定しているようであります。著名な歌舞伎役者話題人気女優イメージキャラクターに使い、テレビCMにポスターにと多額の宣伝費を掛けております。あたかも民間大手企業とも見間違うほどでありますが、一体、昨年の販売開始よりどのくらいの費用を掛けられてこられたのですか。具体的な金額をお聞かせください。  CM個人向け国債の利点ばかり羅列してあります。しかし、国債残高の累増などの問題点購入手段によっては五百万円以上の購入でないと手数料により元本割れする問題点などの説明が不十分であると思われるのであります。また、そのような商品で本当にすそ野が広がるのか、そもそも国債個人購入になじむものであるのかどうか、改めて御見解を求めます。  購入者は、債券への投資一般国民にとっては敷居が高いこともあり、元々の投資家であることが多く、あのような、言わば投資アマチュア向け宣伝は本当に必要なのでありましょうか。お答えを願います。  初めこそ華々しくデビューした個人向け国債ですが、今ほとんどその話題を聞くことはありません。現在どのような状況になっているのか、本当に一・六兆円もの発行額をさばけるだけの土壌があるのか、もくろみどおり国債保有すそ野は広がっているのか、財務大臣、お聞かせ願います。  先ほども触れましたように、この法案には年金事業等事務費に係る国の負担特例が含まれております。これは、本来国庫負担すべき年金関係事務費国民からの年金保険料で賄うこととするものであり、これによって国庫負担は約一千億円軽減されているものであります。しかし、年金保険料は、政府説明を信じれば、世代間の仕送りであり、年金給付に充てるものであります。決して社会保険庁への仕送りではありません。本来ならば今年度の期限切れとなるこの措置をなぜ継続するのか、その理由国民にどう説明されるのか、これによってだれがどんな利益を得るのか、財務大臣及び厚生労働大臣答弁を求めます。  次に、所得税法等改正案についてお伺いをいたします。  小泉政権成立以来、平成十四年度には老人マル優廃止平成十五年度には所得税、酒税、たばこ税増税、今回は年金課税強化住民税増税と、力のない個人、つまり取りやすいところから取るという姿勢が強く打ち出されております。仮に国民負担を求めるにしても、それは何のための増税なのか、どのような社会を作るために必要なコストなのかを全く示さないままでは、到底国民理解を得ることはできないのであります。  今求められているのは、長期的なビジョンに裏打ちされた抜本的な税制改革であります。しかし、族議員と官僚の跳梁ばっこで毎年の税制改正が行われているのが現政権の実態であります。  そこで、財務大臣に改めてお伺いをいたします。  大臣は、税制についてどのような将来展望をお持ちでありましょうか。小泉総理は、金融税制、規制、歳出改革を加速すると繰り返していますが、この総理方針を受けて、今後どのような税制改革を進めるおつもりなのか、また、その背景にはどのようなビジョンをお持ちなのか、お伺いをいたします。  また、今回の政府税制改正大綱には含まれておりませんが、与党の決定した税制大綱には、十七年度及び十八年度における恒久的減税の縮減、廃止平成十九年度をめどとする消費税を含む抜本的税制改革があります。この与党方針について所管大臣としてどのように対応されるおつもりなのか、大臣のお考えをお伺いをいたします。また、総理が繰り返し発言されている任期中に消費税引上げは行わないという言明と与党税制大綱との整合性についても御説明を求めます。  今年の四月から、法改正により消費税総額表示が始まります。しかしながら、一般国民にはいまだに認知されておらず、現場では様々な戸惑いの声が上がっております。  総額表示を前倒しした小売店では、消費者が表示されている税込み価格税抜き価格と思い込み、売上げが落ち込んだ事例があります。飲食店では、メニュー表税込み価格本体価格の両方を羅列すると分かりにくいなどと指摘されております。また、スーパーなどでは、時間によって生鮮食料品商品価格を下げるために、その処理が複雑で困惑しているようであります。導入に掛かる費用は、不況によりぎりぎりの体力で立っている脆弱な企業を更に弱らせ、企業人員削減、リストラに追い込まれます。そして、これ以上の不景気を呼び込むことにもなりかねないのであります。  消費税導入されて十五年、日本は商品価格消費税を別に表示する外税方式に慣れてきました。それを今更総額表示にするのには、消費者の痛税感をカムフラージュし、税率アップにつなげるものとしか言えません。諸外国を見ても、内税方式の国は税率が極めて高いものとなっております。  なぜ、今、この時点での総額表示が必要なのか、明確な御答弁を求めます。  次に、公共事業に関して、群馬県に建設されている八ツ場ダム事業費が、昨年末、今までの二千百十億円から一気に倍以上の四千六百億円に引き上げられ、ダム事業としては最大の事業になってまいりました。極めて厳しい財政状況の中で、国により納得できる説明もなく、コストを突然倍以上に引き上げられ、そのしわ寄せをこれまた財政の厳しい自治体に押し付けるという感覚には、開いた口がふさがりません。  私の地元、埼玉県でも、八ツ場ダム建設への支出が当初の約二百六十三億円から五百六十九億円に増額をされました。上田知事も、取りあえず承認したものの、国との減額交渉を行う方針を表明をいたしております。計画そのものへの様々な問題点、環境の問題、土壌の問題等々指摘されている中、科学的な論拠も希薄な、国が決めたコスト増をそのまま額まで決めて自治体に押し付けるなど、到底許されることではありません。  このダムが必要なものとしても、なぜそれを自治体に過大な負担を押し付けなければならないのか、国土交通大臣、明確な回答を求めます。  今回の所得税法改正には、土地などの譲渡損とほかの所得との損益通算廃止が含まれております。これまで土地税制については、土地という資産公共性から投機的な取引を制限するため、ほかの所得とは違った取扱いがなされてきたところであります。これを今回、株式などほかの資産性所得と同様に扱う方向改正を行うとしていますが、それはこれまでの土地税制の基本的な哲学を転換するということでありましょうか。仮に哲学の転換をするのであれば、公共性に着眼した短期保有譲渡に係る三九%という懲罰的課税を残すことをどう説明されるのでありましょうか。財務大臣にお伺いをいたします。  金融資産課税については、一般所得金融資産所得を分けて考え二元的所得税が近年広がりつつあります。これは、金融資産不動産から生じる所得を一まとめにして低税率を課すと同時に、損益通算を認めるというものであります。ところが、今回の改正では、土地建物長期譲渡益金融資産から生じる利益に対しては税率を二〇%にそろえるなど、二元的所得税的な改正が行われる一方で、家賃など不動産運用益不動産譲渡損損益通算ができなくなるといった反二元的所得税的な措置が講じられております。この方向性の異なるちぐはぐな改正にはいかなる理由があるのか、さらに長期的に金融資産不動産などの資産課税に係る税制をどのように考えていくのか、財務大臣見解を求めます。  さらに、本改正は、今年一月にさかのぼって適用され、税法で言うところの不利益不遡及の原則に反するおそれがあります。このような不利益導入については、国民への十分な通知を図るため、一定の周知期間を設けるなど、最低限の救済する措置を講じるおつもりがないのか、財務大臣に所見をお尋ねをいたします。  今回の年金課税見直しが実現すれば、年金受給者等課税最低限が引き下げられ、その結果、住民税を基準に保険料を定めている国民健康保険料介護保険料が引き上げられることになります。年金受給額三百五十万円の世帯では年額約二十五万円もの負担増になるとも考えられますが、この突然生じた国民負担増について、政府は何らかの措置を取る考えはあるのか、厚生労働大臣お尋ねをいたします。  政府予算案に多くの無駄、既得権益、不合理が含まれております。それを放置したまま現在の国民負担を押し付け、将来世代しわ寄せをすることは決して許されるものではありません。まずは政府国民財政の真実の状況を分かりやすく開示し、その上で将来のビジョンを示すことが不可欠であります。改革改革と叫ぶばかりではなく、総理始め政府全体が誠実で中身のある説明答弁を行うことを強く求めまして、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣谷垣禎一登壇拍手
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 山根議員にお答えいたします。  まず、国債発行額三十兆円の公約についてお尋ねがございました。  平成十四年度当初予算編成に当たりましては、財政規律節度を確保するため、国債発行額三十兆円を目標と位置付けまして、実際にこの目標を達成したところです。その後も、財政規律節度を確保するとの基本精神を受け継いで、歳出改革取組を進めてきたところでございまして、今後とも持続可能な財政構造構築に向けて歳出改革の一層の推進を図る考え方に変わりはございません。  次に、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化目標とそれに向けた取組についてのお尋ねですが、政府としては子や孫に負担を先送りしない持続可能な財政構築に向けて、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指しておりまして、十六年度予算においても各般の歳出改革努力などの結果、交付税特会等も含む国、地方基礎的財政収支改善が見込まれているところでありまして、内閣府の試算結果も一つの参考、手掛かりとしながら、今後とも財政構造改革に向けた取組を積極的に進めてまいります。  それから、個人向け国債についてお尋ねがございました。  個人向け国債は、国債保有者層を多様化する一環として、個人による国債保有促進を図るため平成十五年三月から導入しております。  この国債は、最低購入価格を一万円とし、中途換金を可能とするなど、個人にとって買いやすく魅力ある商品となっております。こうした商品性について正確に理解していただく等のために広告実施しておりまして、これに要した費用はこれまでに約十億九千万円となっております。  これまで発行した第五回債までの販売合計額は、約三兆三千五百六億円となっておりますが、今後とも、広告実施等により個人向け国債商品性などに対する理解が深まって、この国債がより一層国民各層に定着していくことで、国債個人保有促進が図られていくことが重要であるというふうに考えております。  次に、年金事業等事務費に係る国の負担特例についてのお尋ねがございました。  年金事業等事務費の一部について、財政構造改革法で、国の負担を抑制して保険料財源を充てるための措置が講じられてきたわけではございますが、十六年度の国の財政状況が引き続き厳しい状況にあることにかんがみまして、十六年度においても同様の措置を継続することとしたところでございます。  現下の厳しい財政事情の下、本措置は、増大が続く社会保障予算の伸びをできる限り抑制することによりまして公債発行を抑制し、財政規律を確保すること等にも資するものであると考えております。  いずれにしても、事務費については、今後とも節減合理化に努めてまいりたいと考えております。  それから、税制の将来展望与党税制改正大綱についてのお尋ねがございました。  税制につきましては、少子高齢化等の変化を踏まえまして、広く公平に負担を分かち合って、持続的な経済社会活性化を実現するための改革を進めていく必要がございます。このため、近年の税制改正におきましては、改正趣旨を明らかにしながら広範な改革を行ってまいりました。  今後とも、先般の与党税制改正大綱を踏まえまして、公正で活力ある経済社会を実現するため、社会保障制度見直し、あるいは三位一体改革と併せて、個人所得課税消費税中心税制抜本的改革に取り組んでまいります。改革具体的内容については、税制調査会等の御議論を踏まえて検討してまいりたいと考えております。  なお、総理は、従来から、在任中は消費税は引き上げないと、こう発言される一方、消費税議論は大いに結構と発言されてもおりまして、総理の御発言与党税制改正大綱との間に矛盾はないと考えております。  それから、消費税総額表示についてお尋ねがございました。  総額表示の義務付けは、値札などに消費税額を含む支払総額を表示するということで、幾ら払えばその商品購入できるのか、消費者購入の判断をする前に一目で分かるようにするというのがねらいでございまして、消費税率引上げにつなげるといった意図はございません。  それから、土地譲渡損失損益通算廃止についてのお尋ねをいただきました。  土地は、土地基本法にもございますとおり、公共性のある資産である、そのことを前提に、今回の改正は、譲渡損益経常所得性格の違いを踏まえながら、利益損失課税取扱いの均衡、それから土地市場活性化と、こういった観点から行うこととしているものでございまして、したがって、土地公共性を踏まえた短期譲渡所得長期譲渡所得税率の違いや、収用等の場合の政策的な特別控除は、これは存置するということにいたしております。  それから、二元的所得課税との関連につきましては、この二元的所得課税という考えを取り入れている北欧諸国におきましても、譲渡損失の特別な性格を踏まえて、土地譲渡損失とそれから家賃など不動産から生ずる所得との損益通算を認めない国もあるというふうに承知しております。  将来の資産性所得課税の在り方については、現在、金融資産性所得に対する課税一体化ということを中心に、政府税制調査会において御議論をいただいているところでございます。  今回の損益通算廃止につきましては、使用収益に応じた適切な価格形成を実現して、税率引下げとパッケージで土地市場活性化を図るため、早急な実施が必要と考えております。適用時期を遅らせることは損益通算目的の売却を招いて、土地市場に不測の影響を及ぼすおそれもあるため、適当でないと考えております。(拍手)    〔国務大臣竹中平蔵登壇拍手
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 山根議員から私に対しましては、基礎的財政収支改善のプロセスについてお尋ねをいただいております。  政府は、世代間の公平を確保し、持続的な財政構築するために、二〇一〇年代初頭の国と地方を合わせた基礎的財政収支黒字化を目指しているところでございます。十六年度の予算においても、歳出削減の努力を行いました結果、交付税特会等も含む国、地方の基礎的な財政収支は、GDP比で前年度比〇・八%ポイントの改善が見込まれるところでございます。こうした改善を続けることが二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの回復につながるというふうに考えております。  一方、経済展望については、二〇〇四年度の政府経済見通しにおいて実質一・八%の成長、二〇〇五年度以降につきましても、内閣府の試算では、こうした民需主導の、民需中心の好環境が続くことなどにより、実質二%程度の経済成長をたどる。加えて、実効性のある金融政策やその波及メカニズムの強化など金融面での対応が相まって、物価上昇率はプラスに転じて、名目成長率も徐々に上昇していくというふうに見込んでおります。この名目成長率の上昇に伴い、名目金利も当然緩やかに上昇していくわけでございますが、それを見込んでも、今申し上げたようなシナリオが想定されるということでございます。  今後とも、こうしたシナリオの実現に向けまして、適切な構造改革、着実な経済成長の実現を是非図っていきたいというふうに考えているところでございます。(拍手)    〔国務大臣坂口力君登壇拍手
  11. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 山根議員にお答えを申し上げたいと思います。  一つは、年金事務費特例措置についてでございますが、財務大臣からも御答弁のあったところでございますけれども、年金事業事務費につきましては、年金事業事務の執行に要する費用であり、国民年金法等において国庫負担することとされておりますが、財政構造改革法を受けまして、平成十年度以降、財政上の特例措置が講じられてきたところでございます。平成十六年におきましても、国の極めて厳しい財政状況を踏まえまして、財政上の特例措置を継続することとしたものでございます。  平成十七年度以降につきましては、国会におきます議論与党間の合意等も踏まえまして、財務大臣とお話合いをすることになっております。  また、もう一点、年金課税見直しについて御質問がございました。  社会保障制度におきます保険料などの水準について、納税額などを基準として定められている場合が少なくありません。国民健康保険料介護保険料につきましては、まず個々の保険者ごとに被保険者全体で御負担をいただく保険料の総額が先に決まりまして、それに基づきまして被保険者への賦課を行うこととなっており、今回の年金課税見直しによりまして、個々人の課税所得水準が変化しましても、保険料負担全体が拡大するわけではございません。  個々の被保険者につきましては、平成十八年度以降、今回の年金課税見直しによります負担額の変化があるものと考えております。市町村によって保険料の賦課方式や水準が異なりますことや、介護保険制度におきます制度全体の見直しの予定などによりまして、今後、その全体像がどうなるかによりまして変化を受けるものと考えております。  介護保険制度につきましては、平成十八年度までの間に制度全体の見直しを予定をいたしております。介護保険料につきましても、今回の年金課税見直しの影響を踏まえまして、公平な負担の在り方について検討をしていく必要があると考えております。  また、国民健康保険制度につきましては、緩和措置を講ずるべきかどうかにつきまして、負担能力に応じた適切な負担という観点から、今後検討をしていく必要があるというふうに思っております。負担が公平になるように検討したいというふうに思っている次第でございます。(拍手)    〔国務大臣石原伸晃君登壇拍手
  12. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 山根議員からは八ツ場ダムの必要性と事業費自治体負担についてお尋ねがございました。  八ツ場ダムは、利根川流域の埼玉県を含みます一都五県、およそ四百五十万人の生命、財産を守る治水上、また首都圏を始めとする利根川水系の利水上必要不可欠な事業考えるところでございます。  今回の事業費増加の内訳を見ますと、水没関係者の生活再建対策の見直しでおよそ一千百億円、物価上昇及び消費税導入等々でおよそ七百億円でございまして、これらで全体のおよそ四分の三を占めております。そのほか設計・施工計画を精査して見直すことなどで、事業費が合計でおよそ二千四百九十億円増加するものでございます。  この事業費を含めた計画変更について、治水・利水面の受益者として負担をお願いする関係都県及び利水者から意見を聴いているところでございます。東京都及び栃木県からは既に同意をいただき、その他の関係県においても議会議決等の手続を進めていただいているところでございます。(拍手
  13. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  14. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  平成十六年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。麻生総務大臣。    〔国務大臣麻生太郎君登壇拍手
  16. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 平成十六年度地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨について御説明を申し上げます。  まず、平成十六年度の地方財政計画の策定方針について御説明を申し上げます。  極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、「経済財政運営構造改革に関する基本方針二〇〇三」に沿って対応することとし、歳出面におきましては、その徹底した見直しを行うことにより歳出総額の抑制に努め、地方財政健全化を進めるとともに、人間力の向上・発揮を始めとする新重点四分野や市町村合併、治安維持対策等の当面の重要政策課題に適切に対処いたしたく存じます。一方、歳入面におきましては、地方負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本といたしております。  また、通常収支におけます地方財源不足見込額につきましては、地方交付税法第六条の三第二項の制度改正として、平成十六年度から平成十八年度までの間においては、国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分につきましては一般会計からの加算により、地方負担分につきましては特例地方債の発行により補てんすることとし、地方財政の運営上支障が生じないよう措置することといたします。このための法律改正を行うとともに、減税等に伴う影響額につきましても、所要財源を確保する措置を講ずることといたしております。  また、三位一体改革の一環として行われる国庫補助負担金の一般財源化に対応し、所得譲与税による税源移譲等の措置を講ずることといたしております。  以上の方針の下、平成十六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十四兆六千六百六十九億円、前年度に比べて一兆五千四百三十八億円、一・八%の減となっております。  次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  現下経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会活性化を実現するためのあるべき税制構築に向けた改革の一環として、市町村民税の均等割に係る人口段階別の税率区分の廃止等個人住民税均等割の見直し、商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の条例による減額を可能とする制度の創設を図ることといたします。また、固定資産税の制限税率廃止等課税自主権の拡大、軽油引取税に係る罰則の強化等の措置を講ずるとともに、非課税特別措置整理合理化等を行うことといたしております。  次に、所得譲与税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  個人所得課税に係る国から地方公共団体への本格的な税源の移譲を行うまでの間の措置として、毎年度の所得税の税収の一部を所得譲与税として都道府県及び市町村に対して譲与する制度を創設するものであります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  平成十六年度分の地方交付税の総額につきましては、一般会計から交付税特別会計への繰入れ等により、十六兆八千八百六十一億円といたしております。普通交付税の算定のための単位費用の改定等を行うほか、税源移譲予定特例交付金の創設、臨時財政対策債の発行期間の延長、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方団体の負担特例措置の延長を図るため関係法律改正を行うことといたしております。  以上が平成十六年度地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いを申し上げます。(拍手)     ─────────────
  17. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。広中和歌子君。    〔広中和歌子君登壇拍手
  18. 広中和歌子

    ○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました地方税法改正案、所得譲与税法案地方交付税法等改正案及び地方財政計画につきまして、関係大臣質問いたします。  まず、平成五年六月、本院におきまして地方分権の推進に関する決議が行われました。決議には、東京への一極集中を排除し、国土の均衡ある発展を図るとともに、国民が等しく豊かさを実感できる社会を実現していくという理念の下に、国と地方の役割を見直し、国から地方への権限移譲、地方財源の充実強化等地方公共団体の自主性、自律性の強化を図り、二十一世紀にふさわしい地方自治を確立することが現下の急務であるとうたわれておりました。  この決議の後、地方分権一括法の成立など、一定の成果はございましたが、決議からちょうど十年を経過し、果たして当時理念に掲げた一極集中排除や、等しく豊かさを実感できる社会はどの程度実現されたのでしょうか。総務大臣地方分権に関する現状認識をお尋ねいたします。  小泉内閣は様々な改革を声高に叫んでおられますが、地方分権改革につきましても、私にはいまだにその全体像が見えません。三位一体改革を新たに付け加え、国と地方の役割をどう具体的に見直そうとするのか、総務大臣及び経済財政担当大臣から明確にお答えください。  以下、法案等の内容に即してお聞きいたします。  まず、今回の法案等の提出に当たり注目を集めた三位一体改革についてお伺いいたします。  改めて確認しておきたいのは、何のための三位一体なのかということであります。地方自治体にとっては、三位一体改革地方財源のカットが目的の改革であったとは関係者は夢想だにいたしませんでした。補助の対象となる事業そのものを見直すとか、補助金をやめてそれに相当する税源を地方に振り替える、したがって、地方の自由度が増す改革であるとだれでもが思っておりました。しかし、その期待は見事に裏切られたのであります。地方交付税が実質一・二兆円削減され、国庫補助金が一兆円削減されたのに対し、地方に振り替えられた税源はゼロでございます。  確かに、所得譲与税の創設、特例交付金の交付が行われることにはなりましたが、それとて六千六百億円にすぎません。これでは話が違います。そのため、地方財政運営が極めて窮屈になっております。地方への影響がいかに大きかったか、私がこの一月に所属する総務委員会の派遣で視察した奈良県などからも伺いました。地方交付税に頼っている財政力の弱い自治体が、その予算編成に相当苦労されているとのことでありました。  私は、ここで、三位一体改革とは何であったのか、はっきりとお聞きしたいと思います。総務大臣及び経済財政担当大臣答弁を求めます。  小泉総理によるこのような掛け声倒れの三位一体改革には、十年前の地方分権決議がどこにも生かされていず、私は失望を禁じ得ません。  これに対して民主党は、独自に編成した平成十六年度予算案において、二十・四兆円のひも付き補助金等を抜本的に見直し、五・五兆円の自主財源と十三・二兆円の一括交付金に組み替えることを提案しております。これにより十九兆円が新たに地方の裁量で自由に使えることになりますが、それぞれの地域のニーズにふさわしい使い道はそれぞれの地域で決めるべきであるという発想からきております。この民主党案と小泉内閣の中途半端な改革のいずれがさきの決議の意図した分権改革にふさわしいかはだれの目にも明らかですが、総務大臣の御見解を求めます。  そこで、三位一体内容についてもう少し具体的に伺いたいと思います。  まず第一に、当初の片山前総務大臣経済財政諮問会議に出された案では、国から地方への税源移譲は五・五兆円でしたが、昨年の夏には総理が四兆円の補助金削減に見合う額を税源移譲すると指示し、若干小さくなりました。さらに、年末の予算編成の段階では、今申し上げたように六千六百億円でした。三位一体改革の期限は平成十八年ですが、今後二年間で残りの財源移譲は本当に行われるのでしょうか。それとも、昨年の地方分権改革推進会議の答申のように、税源移譲については先送りをねらっているように見受けられますが、この後も本当に税源移譲を行う気があるのでしょうか。総務大臣の御見解をお伺いいたします。  それにしても、今回の六千六百億円は、税源移譲ではなく、地方譲与税と交付金による単なる税収の移転であります。これらは一般財源であると説明されるでしょうが、決して自主財源ではありません。依存財源である地方交付税を削減しておいて、新たに増やしたのがまた依存財源では全く筋が通りません。税源移譲の目的は、自主財源を増やし、地方自治体が住民個々に御負担をお願いし、納税者の監視の下に地方自治体の責任において事務事業を行うということにあるのではないでしょうか。これでは正に財政のつじつま合わせにほかなりません。併せて総務大臣及び財務大臣にお伺いいたします。  第二に、税源移譲する税目について、当初基幹税目とされておりましたが、基幹税目とは何を指すのでしょうか。総務大臣財務大臣の御見解伺います。  また、この基幹税の中には当然消費税が含まれると思いますが、消費税の位置付けについてお伺いいたします。  現在は、消費税の一%は地方消費税として、四%は国税とされております。そして、国税である消費税の二九・五%は地方交付税として地方自治体に交付されているのであります。消費税地方にとっては安定的で重要な財源でありますが、他方では、将来これを引き上げるとともに、福祉目的税として位置付けるという意見もございます。高齢化の進展などを背景として、今後多額の財政需要が見込まれる中で、十分検討に値すると思われますが、消費税性格について、総務大臣及び財務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。  欧米では、米国のように消費課税地方税と位置付け、自治体独自で徴収している国がある一方、国が社会保障税として消費課税を行っている国もあります。総務大臣及び財務大臣経済財政担当大臣は、どういう税目が国税として、また地方税としてふさわしいとお考えなのか、その在り方についても併せてお伺いしたいと思います。  なお、税源移譲に関連し、税収の偏在の問題についても伺います。  将来、税源移譲が進むと、東京のような大都会と地方では税収にどうしても隔たりが出てきます。働き手を都会に送り出して過疎の地域を守っている高齢の住民に対し、住民税負担を求めても能力に限界があります。税源移譲に際しては、ある程度の格差を許容しつつも、税源の不均等の問題を解消することが求められます。この問題をどのように解消していくのか、総務大臣及び財務大臣の御見解を求めます。  第三に、補助金改革の中身が地方の自主性、自立性の強化につながっていないことも大問題であります。  補助金改革の対象になっているのは、一般財源化しても地方の裁量拡大にはつながらない項目ばかりであります。補助金改革議論の間、権益温存に血眼となった中央省庁や族議員の抵抗を放置し、補助金改革が骨抜きになるのを座視した小泉総理のリーダーシップの欠如を指摘せざるを得ません。補助金改革地方の自主性の強化につながっていないことについて、総務大臣財務大臣の御見解をお伺いいたします。  例えば、義務教育費国庫負担金の退職手当が廃止され、税源移譲予定交付金として地方に交付されることになっていますが、教職員の退職者が今後急速に増え続けることは明らかでございます。この補助金が一般財源化されますと地方財政の圧迫は避けられず、必然的に税源移譲予定交付金が地方税として譲与されるのは先の話となりかねません。他に数多くある補助金の中で、なぜこの義務教育国庫負担金の退職手当が三位一体改革の出だしから選ばれたのか、文部科学大臣説明を求めます。  また、公立保育所運営費に関する補助金が廃止され、所得譲与税として税源が地方へ移譲されることになっております。しかし、国が施設の設置基準や職員の配置基準といった基準作成の権限を握り続ける限り、地方の自由度は高まりません。基準作りそのものを地方へ任せずには、分権改革は語ることができません。補助金改革が行われる際には、権限の移譲が同時に行われなくては地方の裁量は拡大しないと考えます。今回の措置地方の権限がどう増えるのか増えないのか、厚生大臣伺います。  さらに、公立保育所だけが対象で、民間の保育所は対象外になっていることについても、その明確な理由は今もって聞かれません。自民党議員の選挙対策だという声も聞かれております。なぜ民間保育所と公の施設とを区別する必要があるのでしょうか。民間保育所の補助金を一般財源化することで生じる不都合があるならば、厚生労働大臣、明確に御答弁ください。  また、来年度の補助金改革に際しても、民間保育所の補助金を対象とするか否かについても併せて厚生労働大臣からお答えください。  第四に、地域再生事業債について質問いたします。  地方は、今、疲弊の極みにあります。それというのも、地方自治体に権限、裁量を与えず、税源移譲は中途半端なまま、補助金削減を先行させ、交付税総額を抑制する政府のやり方に最大の責任があります。地方自治体から予算が組めないとの悲鳴が上がったことで事の重大さにようやく気が付いたのか、総務省は地域再生事業債の発行条件を緩和し、増発する救済措置を場当たり的に打ち出しました。  しかし、そもそも三位一体改革を標榜し、交付税総額を削減する一方で地方債を増発し、その元利償還金を後年度の交付税で措置するというのは、地方財政をますます複雑なものにするとともに、政策としては全く矛盾しています。今後、このような地方債の仕組みをどのように改革するのか、また維持し続けるのか、総務大臣の御見解伺います。  さて、私は、地方分権改革については多様性を認めることが大切ではないかと思っております。国の干渉を極力排除するということは、住民自治の尊重、つまり多様性を容認することになります。  私は、若いころ、学生として、主婦として、十余年をアメリカ東部で暮らしたことがあります。このころの記憶をたどりますと、アメリカの地方自治体は誠に多様性に富んでいました。特に、市町村やカウンティーの行政はいろいろな特色を持っていたように思います。あるカウンティーでは、税金は重くても公立学校のレベルが高く、治安が行き届き、環境が整備されているなど、各自治体が住民に対してその税金に見合った魅力を競い合っているようにさえ私の目には映ったのです。  私たちが目指しているのは、地方がそれぞれの地域の特色を生かし、自分たちの裁量、決定権を持つ社会、地域に住む住民こそが主役である社会です。このような地方分権改革は、権限の集中と補助金のばらまきを中心とした政治手法では実現不可能な改革でございます。自民党政治の限界を示すものではないかと私は思います。民主党こそが地域を、日本全体を活性化させる地方分権改革を担うべき存在であるということを最後に強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎君登壇拍手
  19. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 広中和歌子先生から八問ちょうだいをいたしました。  地方分権に関する現状認識と国と地方の役割の見直しについてのお尋ねであります。  地方分権の基本は、国がやるべきことには国が専心して、地方にできることは地方にということであります。平成十二年度の地方分権一括法というのが施行されましてから、地方分権改革は確かな一歩を踏み出したと思っております。  引き続き残された課題もあります。財政の分権、また権限の分権という点であろうと思いますが、これらにつきましては、ただいま国の規制やら関与の縮小等々が今進んでいるところであります。  次に、三位一体改革の目的についてのお尋ねがありました。  三位一体改革は、地方分権の理念に沿って、財政面において地方の自由度を増し、住民に必要な行政サービスを地方自らの責任で行えるようにしようとするものであります。  平成十六年度におきましては、まず、一兆円の国庫補助負担金の廃止、削減を行うとともに、所得譲与税を創設し、税源移譲も行うこととしたところであります。  地方交付税等につきましては、非常事態とも言えます現下地方財政状況を勘案し、財政健全化を進めるため、歳出を大幅に見直し、その総額を抑制したものでありまして、是非御理解いただければと存じます。  三位一体改革に関する民主党案についてのお尋ねがございました。  民主党もまた、地方分権、地方財源の充実に積極的でおられることは、誠に心強いことであります。しかしながら、民主党の予算案は、それに対応する地方歳入歳出の見込みが作成、公表されておりませんので、地方財源が十分に確保されていないではないかという疑問があります。また、補助金の大半を短期間に、しかもあのように大くくりで一括に交付金化するということが適当かどうかという点、税源移譲の具体的な制度設計が示されていないことや、さらに地方交付税の減額が政府案より更に大きいなどの問題点もあると考えております。  次に、税源移譲について幾つかのお尋ねがあっております。  まず、今回、平成十八年度までに所得税から個人住民税へ本格的な税源移譲を実施することを決定をいたしました。十六年度は、ひとまず所得譲与税と税源移譲予定特例交付金を創設いたしますが、これらは使途の自由な地方財源を充実させるものであります。  また、税源移譲は基幹税目で行うこともいたしております。基幹税目とは、税源が普遍的に存在し、そして税収においても中核的な役割を果たしている税と思っております。  税源移譲対象の基幹税目としては、個人所得税、法人所得課税、そして消費課税が挙げられるものと考えております。特に、地方消費税は、今後、福祉、教育等幅広い行政需要を担う税として、ますます重要な役割を果たしていくものと考えております。  次に、国税と地方税のふさわしい税目の在り方についてであります。  租税の基本的な機能は、公的サービスの財源を調達することであります。国税におきましては、これに加えて、所得配分機能、経済安定化機能を有する税目がふさわしいものと考えております。一方、地方税は、地域の事情が様々に異なります中で、基礎的な行政サービスを支える必要があることから、税源の偏在が少なく、税収の安定的な税目がふさわしいものと考えております。  さらに、税源移譲が進めば税収格差が拡大するとの御指摘がありました。  税源移譲を進めるに当たりましては、地方団体間の税収の格差に問題があると、十分な配慮が必要であるということは御指摘のとおりであります。そのために、例えば個人住民税を一律一〇%にする等比例税率化する方式など、偏在性の少ない地方税体系となるよう、具体的に検討してまいらねばならぬと思っております。  それでもなお、地域間の財政力格差が拡大する場合には、地方交付税制度によりまして財源調整を行い、地方団体が十分な行政を行えるようにしてまいりたいと存じます。  補助金改革地方の自主性の強化につながっていないとの御指摘がございました。  今回の国庫補助負担金の一般財源化により、財源面におきましては地方の自由度が拡大したところであります。しかしながら、地方団体が真に自主的な行政サービスを行いますためには、もろもろの国の義務付けや縛り等々の見直しは必要であります。  今後とも、地方団体の声を踏まえて、所管省庁に対し制度の見直しを働き掛けてまいりたいと思っております。  最後に、地域再生事業債についてのお尋ねがありました。  地域再生事業債は、地域の活性化を支援するために創設したものでありまして、また予算編成が困難であるとの地方団体の声に配慮をし、その元利償還金に対し交付税措置を行うこととしたものであります。  今後とも、地方の実情に応じ、地方債や交付税により支援を行うことは必要であると考えております。(拍手)    〔国務大臣竹中平蔵登壇拍手
  20. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 広中議員から三問いただいております。重複を避けて答弁をさせていただきます。  三位一体改革の目的についてのお尋ねでございます。  政府は、三位一体改革を通じて、地方の権限と責任を大幅に拡大し、もって真に住民に必要な行政サービスを地方が自らの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図るというふうにしております。  このため、基本方針二〇〇三において十八年度までの具体的な改革工程をお示ししているところでございます。地方が決定すべきことは地方が自ら決定するという本来の姿の実現に向けて改革を推進してまいります。  三位一体改革地方財源のカットが目的なのではないかというお尋ねがございました。  三位一体改革は、地方の権限と責任を大幅に拡大するということを目的としております。同時に、国、地方を通じた行政のスリム化を進めることは極めて重要であるというふうに考えております。  平成十六年度においても、こうした考え方に沿いまして、国庫補助負担金の廃止、縮減等、引き続き地方が主体となって事業実施できる必要のあるものについて税源移譲を具体化していく、交付税の改革にも取り組むというふうにしたところでございます。  今後とも、地方自治体を始め関係者の意見も十分踏まえながら、三位一体改革を加速、強化してまいる所存でございます。  最後に、税体系についてのお尋ねがございました。  基本方針二〇〇三では、三位一体改革の中で、応益性や負担分任性という地方税の性格も踏まえ、また自主的な課税が行いやすいという点も考慮して、基幹税の充実を基本に、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとの方針を明確に示しております。  こうした考え方に沿って、十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現することとしたところでございます。  三位一体への対応を行う中で、引き続きあるべき税制構築に向けて検討を進めることが重要であると考えております。(拍手)    〔国務大臣谷垣禎一登壇拍手
  21. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 広中議員にお答えをいたします。  私に対するお尋ねは、総務大臣だけでなく、私にも答えよというものでございますので、できるだけ重複を省いて答弁をさせていただきたいと存じます。  まず、十六年度の税源移譲についてのお尋ねがございました。  国と地方改革を進めるに当たって大事なことは、地域における受益と負担の関係を明確化して、そして地方の行政が住民と向かい合いながら行政を進めていけるような姿を作っていくことではないかと思います。  こうした観点を踏まえて、今後行われる補助金改革と併せて、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行っていこうと考えております。  十六年度は、御指摘のように、所得譲与税と税源移譲予定特例交付金によりましてこれは暫定的に税源を手当てしているわけでありますけれども、今後、本格的な税源移譲につながることを明確にした上で、使途を特定しない一般財源として地方に配分されるものでありますので、地方が自らの責任で事務事業の在り方について自主的に判断することにつながるのではないかと考えております。  それから、基幹税及び消費税についてのお尋ねがございました。  基幹税の定義はもう総務大臣から御答弁がございましたので、私からは、それに当たるものは、一般的には個人所得課税、それから法人所得課税、消費課税などが挙げられるというふうに考えております。  それから、消費税の福祉目的税化につきましては、これは幅広い観点から慎重に検討していくことが必要と考えておりますが、消費税は、少子高齢化が進展する中で、世代間の公平を確保しながら、増大する社会保障給付を安定的に支えていく上で極めて重要な税であるというふうに考えております。  それから、国税、地方税の在り方についてのお尋ねがございまして、国税はどういうものかと。これはもう麻生大臣からも御答弁があったところでございますが、今後、少子高齢化の進展等によって増大する社会保障給付、これに要する費用を始めとした国の公的サービスの財源調達を安定的に行うという機能のほかに、所得の再分配を図る機能が重要であろうと思います。  一方、地方税につきましては、地域住民がその能力と受益に応じて、薄く広く負担を分かち合っていくということが基本ではないか。それで、さらに、地域的な偏在が少なくて、税収が安定的で、自主的な課税を行いやすいという税体系であることが重要ではないかなというふうに考えているところでございます。  それから、税源の不均等の解消についても、既に麻生大臣から御答弁がございまして、これはまず総務大臣においてお考えいただくべきことでございますが、私どもとしても、今後地方における税収偏在等の実態を踏まえて、地方の自由度と裁量性の余地を拡大するという観点から、いかなる改革が望ましいか、検討してまいりたいということでございます。  それから、補助金改革については、平成十六年度、一兆円程度の廃止、縮減等を行ったところでございますが、その際、事務事業の徹底的な見直しを行いましたが、義務教育費国庫負担制度については、教職員の給与水準等を地方が自ら自主的に決定できる総額裁量制を導入いたしましたし、国の関与を縮減する観点から、農業委員会の設置に係る市町村の裁量を拡大したと、これは必置基準面積の引上げ等を行いました。それから、地方の自主性、裁量性が最大限発揮できるようにまちづくり交付金というようなものを創設したといったことをやりまして、地方の裁量拡大にはつながらない項目ばかりという御批判は当たらないものと考えております。(拍手)    〔国務大臣河村建夫君登壇拍手
  22. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 広中和歌子議員にお答え申し上げます。  なぜ義務教育費国庫負担金の退職手当が三位一体改革の出だしで選ばれたのかと、こういうお尋ねであります。  今回の義務教育費国庫負担法等改正は、昨年六月の「経済財政運営構造改革に関する基本方針二〇〇三」等を踏まえ、義務教育費国庫負担金について、義務教育に関する国の責任を適切に果たしつつ、義務教育に関する国と地方の役割分担及び費用分担の在り方の見直しを図る観点から、国庫負担の対象経費を国が真に負担すべきものに限定するために、退職手当及び児童手当に要する経費を国庫負担の対象外とするものであります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣坂口力君登壇拍手
  23. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 広中議員から二問ちょうだいをいたしました。  公立保育所運営費と地方の自由度についてのお尋ねがございました。  公立保育所につきましては、自治体が自らその責任に基づきまして設置していることにかんがみまして、運営費を一般財源化することとしたものでございます。  保育所の基準につきましては、今後とも児童の健康を守り、心身の健全な育成を図るために必要な設備や職員配置を定めました最低基準を遵守しまして、保育を実施していただくことが重要と思っております。  今回の一般財源化に伴いまして、公立保育所と公立幼稚園の相互の連携が容易になること、今後、また総合的に保育所と幼稚園とを同じにした総合施設を造るというような動きもございまして、そうした新しい発想によりまして新しいものを造っていただくということも可能になるのではないかというふうに思っております。  それから、従来の運営費における使途、これも制限を今までしておりましたが、この制限をなくしますので自由度は高まるというふうに思っているところでございます。  もう一点、保育所運営費の一般財源化に関する公立保育所と民間保育所との取扱いについてのお尋ねがございました。  先ほども申しましたとおり、公立保育所につきましては、自治体の条例によりまして設置をした施設でありまして、その管理運営責任は地方自治体にありますこと、そしてその職員は基本的に地方自治体の職員でありますことから、運営費の一般財源化を行っても、必要な財源自治体によって確保されるものと考えているところでございます。  一方、民間の保育所につきましては、施設の管理運営責任でありますとか職員に関しまして、公立の施設とは異なっていることは今更申し上げるまでもないわけでございまして、政府与党合意にも基づきまして、民間保育所に関します国の負担につきましては、今後とも引き続き国が責任を持って行うものとしているところでございます。(拍手)     ─────────────
  24. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 宮本岳志君。    〔宮本岳志君登壇拍手
  25. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方財政計画外三法案について、総務大臣並びに関係大臣質問いたします。  今、各地の地方自治体の現場で、これでは予算編成ができないという悲鳴に近い声が上がっています。それは、政府が三位一体改革の名の下に、補助金一兆円の削減とともに、地方交付税を一・二兆円、臨時財政対策債を一・七兆円削減するなど、国から地方への財政支出を総計で四兆円近くも減らしたからであります。一方で、地方に移譲される財源はたったの四千五百億円、削減額のわずか一二%にしかなりません。  麻生総務大臣は、三位一体改革の基本方向として、第一に地方に信頼され、地方が元気になる改革、第二に自主財源拡充する改革、第三に地方の自由度を拡大する改革でなければならないとしましたが、自治体財源を三兆五千億円も減らしておいて、どうして地方が元気になるとか、地方の自由度を拡大する改革などと言えるのですか。総務大臣の明確な答弁を求めます。  政府は、交付税の財源保障機能が自治体のモラルハザードを招いたなどとまで言って、地方交付税の削減を進めています。しかし、無駄な公共事業の裏負担と単独事業の押し付けで自治体財政を破綻へと導いたのは、ほかならぬ政府自身ではありませんか。国の責任である財源保障に背を向けることこそ、モラルハザードそのものではありませんか。答弁を求めます。  そもそも小泉内閣の三位一体改革は、地方への補助金削減ができるならばその中身は何でもいいという、極めて無責任なものであります。例えば、一兆円の補助金削減の方法も、各省庁別の枠を決めて割り当てるというやり方です。その結果、厚生労働省は削減のノルマ消化のために、当初、生活保護費の国庫負担率の引下げを行おうとし、これには地方団体から、憲法二十五条の生存権保障を切り捨て、国の責任を放棄するものだとのごうごうたる批判が寄せられました。この批判の下で、今度はそのしわ寄せ先を保育分野に押し付けたのであります。この一つを見ただけでも、小泉内閣の三位一体論には何の理念もなく、補助金が削減できるならば中身は何でもいいということを示しているではありませんか。  政府は、このような三位一体改革地方の権限と責任が拡大すると言いますが、これでどうして地方の権限と責任が拡大するのか、国民が納得できる明確な答弁を求めます。  また、公立保育所運営費負担金の一般財源化も、極めて問題が大きいものです。  政府与党協議会の了解事項では、民間保育所に関する国の負担については今後とも引き続き国が責任を持って行うものとするとされています。民間保育にかかわる国庫負担を今後も国が責任を持って行うのは当然です。ところが、政府は、公立保育所の運営費負担金を一般財源化し、これを人口によって配分する所得譲与税に置き換えようとしています。結果として、多くの減額される市町村が生まれます。これでは国の責任を果たすことにはなりません。  公立の保育所については国が責任を持たなくてよいのですか。厚生労働大臣の明確な答弁を求めます。  私は、先日、地元大阪の公立保育所関係者からも意見を伺ってまいりました。今、保育の現場では、公立保育所運営費負担金の一般財源化が公立保育所の民営化や民間委託化に一層拍車を掛けるのではないかという不安の声が広がっています。また、民間保育所の経営者らで作る社団法人全国私立保育園連盟も、民間保育園にも大きな影響を及ぼすとの立場から、反対を明らかにしています。  公私の区別なく現場に広がるこうした反対の声に、厚生労働大臣はどう答えるのですか。答弁を求めます。  義務教育にかかわる補助金の削減も重大です。今年度の二千三百億円の一般財源化に続いて、来年度は退職手当と児童手当分の二千三百億円が交付金に切り替えられます。その結果、人口に応じた配分となり、過疎地を抱える地方では財源不足になることが指摘されています。都市と農村の格差が一層拡大するのです。このようななし崩しのやり方で義務教育にかかわる制度を掘り崩していくことは、断じて許されません。  義務教育を受ける権利をあまねくすべての児童に保障することへの国の責任を、文部科学省はどのように考えているのですか。このような義務教育費国庫負担金の部分的な一般財源化が続けば、やがては義務教育費に対する国の責任の放棄につながるのではありませんか。文部科学大臣答弁を求めます。  次に、公共事業関係費の補助金削減についてです。  無駄な大規模プロジェクトなどに思い切ったメスを入れるのは当然ですが、地方自治体が行う公共事業は、身近な生活道路や学校、病院、老人ホームなどの建設も含まれています。生活関連公共事業は地域経済や雇用にとっても重要な役割を果たしており、むしろ増やすべきものが多くあります。ところが、これらの公共事業関係の補助金は三千億円削減され、地方交付税の投資的経費も一兆四千億円減らされました。私が訪ねた大阪のある自治体では、学校の大規模改修の見送りや、人口増によって必要な小学校の建設計画まで見直さざるを得ない事態になりつつあります。  その一方で、関西空港二期事業を続けるばかりか、明らかに無駄が指摘されている四本目の本四架橋、紀淡海峡道路などは計画さえ見直そうとしないではありませんか。  正に増やすべきものは削り、逆に削るべきものには一切手を付けない、これでは明らかに本末転倒ではないのですか。財務大臣答弁を求めます。  政府は、三位一体改革なるものを、地方自治体からの税源移譲の要求を逆手に取って進めようとしています。しかし、来年度の予算案地方財政法案を見る限り、税源移譲は全く絵にかいたもちになっていると言わざるを得ません。所得譲与税や税源移譲予定特例交付金は臨時的な措置だとされていますが、一体国庫補助負担金、交付税の削減に見合う税源移譲が期待できるのですか。平成十八年度までに国庫補助負担金と交付税の削減に見合う税源移譲ができるのかどうか、財務大臣の責任ある答弁を求めます。  最後に、地方税の改正について質問します。  地方税の改正項目は今年も多岐にわたっていますが、老年者控除廃止による平年度の国民負担増一千億円、国税の公的年金等控除縮小の影響額は四百億円余りなど、その中心個人住民税増税にあります。これは、特に高齢者に大きな負担増をもたらす許し難いものです。さらに、個人住民税の均等割の引上げも、低所得者への配慮を欠いたものであり、弱い者いじめそのものだと言わなければなりません。  橋本内閣経済失政以来、個人の懐を痛め付け、消費の低迷を招いてきた自民党政府経済失政がこの深刻な不況を出口のないものにしてきました。今回の弱者ねらい撃ちともいうべき地方税の増税国民の消費を更に冷え込ませ、日本の経済に一層の打撃を与えるという認識が総務大臣にあるのかどうか、答弁を求めるものであります。  私は、自治体がその本来の責務を担うために必要な税財源の移譲を国の責任で行うこと、同時に、自治体財政再建により自治体としての自主性を文字どおり確立し、住民が主人公と言える地方政治をしっかり作ることこそ真の改革だということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎君登壇拍手
  26. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 宮本議員から四問ちょうだいをいたしました。  まず、三位一体改革基本方針についてのお尋ねがあっております。  平成十六年度は、国庫補助負担金につきましては一兆円の廃止、削減を行い、そのうち、引き続き実行する、実施する必要にあるものにつきましては所得譲与税等により財源措置をいたしております。これにより、地方の自由度が拡大する改革になったと考えております。  また、地方交付税等が減少したのは、非常事態ともいえる地方財政状況考え経済財政健全化を進めるためには歳出を厳しく見直したためであります。ただし、行政サービスに必要な財源は確保いたしております。  今後とも、地方の自由度を拡大し、地方が元気となるよう、三位一体改革は進めてまいりたいと思います。  次に、地方財源保障に関する国の責任についてのお尋ねがあっておりました。  国が地方団体に多くの事務を義務付けている我が国におきましては、地方が必要とする財源を保障するのは国の責務であります。今後とも、この基本方針は堅持いたします。  三番目に、公立保育所国庫負担金の一般財源化と地方の権限拡大についてのお尋ねがあっております。  今回、公立保育所運営費負担金を一般財源化をいたしております。このことによって、例えば地方団体は、これまで国庫負担の対象とならなかった駅前保育所等々施設も設置しやすくなっております。これにより、住民ニーズに応じた多様な保育行政が展開できるようになっております。  最後に、地方税制改正についてのお話がありました。  今回行います年金課税見直しは、世代間及び高齢者間の税負担の公平を確保するために行おうとするものであります。その際、標準的な年金以下で暮らしておられる高齢者世帯に新たな負担を求めることはありません。また、個人住民税の均等割につきましても、所得金額が一定金額以下の方々からは引き続き税負担を求めません。このように、高齢者、低所得者に対しては十分配慮いたしておると考えております。(拍手)    〔国務大臣坂口力君登壇拍手
  27. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 宮本議員にお答えを申し上げたいと思います。  保育所についてのお尋ねでございますが、先ほど広中議員にもお答えをしたとおりでございまして、公立保育所につきましては、自治体の条例によりまして設置をされた施設であり、その管理運営責任は地方自治体にあること、その職員は基本的に地方自治体の職員であること、これらのことから、運営費の一般財源化を行っても必要な財源自治体において確保されるものと考えております。  一方、民間保育所につきましては、施設の管理運営責任やその職員に対しまして、公立の施設とは異なっておりますことから、政府与党合意にも基づきまして、民間保育所に関します国の負担につきましては、今後とも引き続き国が責任を持って行うものとしているところでございます。(拍手)    〔国務大臣河村建夫君登壇拍手
  28. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 宮本岳志議員から二件質問をいただきました。  第一点は、義務教育を受ける権利をすべての児童生徒に保障する責任についてお尋ねでございました。  義務教育費国庫負担制度は、国の責任によって一定の教育条件を保障する制度であり、これによって地方公共団体の財政力の格差にかかわらず全国すべての地域において優秀な教職員を必要以上確保して、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られておるところであります。  今回の改正は、昨年六月の「経済財政運営構造改革に関する基本方針二〇〇三」等を踏まえて、義務教育費国庫負担金について、義務教育に関する国の責任を適切に果たしつつ、義務教育に関する国と地方の役割分担及び費用分担の在り方の見直しを図る観点から、国庫負担の対象経費を国が真に負担すべきものに限定するために、退職手当及び児童手当に要する経費を国庫負担の対象外とするものであります。  もう一点は、一般財源化が続けば義務教育に対する国の責任の放棄につながるのではないか、こういうお尋ねでありますが、義務教育費国庫負担制度については、地方の自由度を高めるという観点から、必要な見直しは行いながらも、義務教育について国の責任を果たすことが大事であると、このように考えております。  このために、義務教育の機会均等と、その水準を確保する国としての責任を果たすという制度の根幹を堅持するんだという観点に立って適切に対応してまいります。(拍手)    〔国務大臣谷垣禎一登壇拍手
  29. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 宮本議員にお答えいたします。  まず、公共事業の補助金についてのお尋ねですが、国庫補助負担金については、地方の権限と責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を行うという観点から、廃止、縮減等を行う補助金改革を進めておりますが、公共事業についてもこういった観点から、十六年度予算において約三千二百億円の補助金のスリム化を図っております。しかし、それと同時に、地方の自主的な取組による全国の都市再生を支援しようということで、まちづくり交付金を創設するといった地域経済活性化にも意を用いております。  それから、地方財政計画における投資単独事業につきましては、国の補助事業の削減状況や、それから投資単独事業の実際の執行額が計画額を大きく下回っているということを踏まえて削減したものであります。  関西空港につきましては、十六年度に第二期事業の用地造成を予定しておりますけれども、今後、供用開始に必要な施設の整備については、需要動向や会社の経営状況などを見つつ行うということにしております。  それから、紀淡海峡道路については、関係省庁と協議しながら、その必要性を十分慎重に判断して検討してまいりたいということでございます。  それから、税源移譲についてのお尋ねがございました。  基本方針二〇〇三で、税源移譲は、廃止する補助金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについて行うということにしておりますが、十六年度は、こういう原則の下で、補助金改革一兆円のうち、事業が引き続き地方に残るものについて所得譲与税と税源移譲予定特例交付金によって財源を手当てしておりますが、今後、十八年度までに、補助金改革と併せて、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を確実に実行してまいりたいと考えております。(拍手
  30. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十一分散会