○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま
議題となりました
地方税法等
改正案、
所得譲与税法案、
地方交付税法等改正案及び
地方財政計画につきまして、関係
大臣に
質問いたします。
まず、
平成五年六月、本院におきまして
地方分権の推進に関する決議が行われました。決議には、東京への一極集中を排除し、国土の均衡ある発展を図るとともに、
国民が等しく豊かさを実感できる
社会を実現していくという理念の下に、国と
地方の役割を
見直し、国から
地方への権限移譲、
地方税
財源の充実強化等
地方公共団体の自主性、自律性の強化を図り、二十一世紀にふさわしい
地方自治を確立することが
現下の急務であるとうたわれておりました。
この決議の後、
地方分権一括法の成立など、一定の成果はございましたが、決議からちょうど十年を経過し、果たして当時理念に掲げた一極集中排除や、等しく豊かさを実感できる
社会はどの程度実現されたのでしょうか。総務
大臣に
地方分権に関する現状認識を
お尋ねいたします。
小泉内閣は様々な
改革を声高に叫んでおられますが、
地方分権
改革につきましても、私にはいまだにその全体像が見えません。三位
一体改革を新たに付け加え、国と
地方の役割をどう具体的に見直そうとするのか、総務
大臣及び
経済財政担当
大臣から明確にお答えください。
以下、
法案等の
内容に即してお聞きいたします。
まず、今回の
法案等の提出に当たり注目を集めた三位
一体改革についてお
伺いいたします。
改めて確認しておきたいのは、何のための三位
一体なのかということであります。
地方自治体にとっては、三位
一体改革は
地方財源のカットが目的の
改革であったとは関係者は夢想だにいたしませんでした。補助の対象となる
事業そのものを見直すとか、補助金をやめてそれに相当する税源を
地方に振り替える、したがって、
地方の自由度が増す
改革であるとだれでもが思っておりました。しかし、その期待は見事に裏切られたのであります。
地方交付税が実質一・二兆円削減され、
国庫補助金が一兆円削減されたのに対し、
地方に振り替えられた税源はゼロでございます。
確かに、
所得譲与税の創設、
特例交付金の交付が行われることにはなりましたが、それとて六千六百億円にすぎません。これでは話が違います。そのため、
地方の
財政運営が極めて窮屈になっております。
地方への影響がいかに大きかったか、私がこの一月に所属する総務
委員会の派遣で視察した奈良県などからも
伺いました。
地方交付税に頼っている
財政力の弱い
自治体が、その
予算編成に相当苦労されているとのことでありました。
私は、ここで、三位
一体改革とは何であったのか、はっきりとお聞きしたいと思います。総務
大臣及び
経済財政担当
大臣の
答弁を求めます。
小泉総理によるこのような掛け声倒れの三位
一体改革には、十年前の
地方分権決議がどこにも生かされていず、私は失望を禁じ得ません。
これに対して民主党は、独自に
編成した
平成十六年度
予算案において、二十・四兆円のひも付き補助金等を抜本的に
見直し、五・五兆円の自主
財源と十三・二兆円の一括交付金に組み替えることを提案しております。これにより十九兆円が新たに
地方の裁量で自由に使えることになりますが、それぞれの地域のニーズにふさわしい使い道はそれぞれの地域で決めるべきであるという発想からきております。この民主党案と
小泉内閣の中途半端な
改革のいずれがさきの決議の意図した分権
改革にふさわしいかはだれの目にも明らかですが、総務
大臣の御
見解を求めます。
そこで、三位
一体の
内容についてもう少し具体的に
伺いたいと思います。
まず第一に、当初の片山前総務
大臣が
経済財政諮問
会議に出された案では、国から
地方への税源移譲は五・五兆円でしたが、昨年の夏には
総理が四兆円の補助金削減に見合う額を税源移譲すると指示し、若干小さくなりました。さらに、年末の
予算編成の段階では、今申し上げたように六千六百億円でした。三位
一体改革の期限は
平成十八年ですが、今後二年間で残りの
財源移譲は本当に行われるのでしょうか。それとも、昨年の
地方分権
改革推進
会議の答申のように、税源移譲については先送りをねらっているように見受けられますが、この後も本当に税源移譲を行う気があるのでしょうか。総務
大臣の御
見解をお
伺いいたします。
それにしても、今回の六千六百億円は、税源移譲ではなく、
地方譲与税と交付金による単なる税収の移転であります。これらは
一般財源であると
説明されるでしょうが、決して自主
財源ではありません。依存
財源である
地方交付税を削減しておいて、新たに増やしたのがまた依存
財源では全く筋が通りません。税源移譲の目的は、自主
財源を増やし、
地方自治体が住民個々に御
負担をお願いし、納税者の監視の下に
地方自治体の責任において
事務事業を行うということにあるのではないでしょうか。これでは正に
財政のつじつま合わせにほかなりません。併せて総務
大臣及び
財務大臣にお
伺いいたします。
第二に、税源移譲する税目について、当初基幹税目とされておりましたが、基幹税目とは何を指すのでしょうか。総務
大臣、
財務大臣の御
見解を
伺います。
また、この基幹税の中には当然
消費税が含まれると思いますが、
消費税の位置付けについてお
伺いいたします。
現在は、
消費税の一%は
地方消費税として、四%は国税とされております。そして、国税である
消費税の二九・五%は
地方交付税として
地方自治体に交付されているのであります。
消費税は
地方にとっては安定的で重要な
財源でありますが、他方では、将来これを引き上げるとともに、福祉目的税として位置付けるという意見もございます。高齢化の進展などを背景として、今後多額の
財政需要が見込まれる中で、十分検討に値すると思われますが、
消費税の
性格について、総務
大臣及び
財務大臣の御
見解をお
伺いしたいと思います。
欧米では、米国のように消費
課税を
地方税と位置付け、
自治体独自で徴収している国がある一方、国が
社会保障税として消費
課税を行っている国もあります。総務
大臣及び
財務大臣、
経済財政担当
大臣は、どういう税目が国税として、また
地方税としてふさわしいとお
考えなのか、その在り方についても併せてお
伺いしたいと思います。
なお、税源移譲に
関連し、税収の偏在の問題についても
伺います。
将来、税源移譲が進むと、東京のような大都会と
地方では税収にどうしても隔たりが出てきます。働き手を都会に送り出して過疎の地域を守っている高齢の住民に対し、
住民税の
負担を求めても能力に限界があります。税源移譲に際しては、ある程度の格差を許容しつつも、税源の不均等の問題を解消することが求められます。この問題をどのように解消していくのか、総務
大臣及び
財務大臣の御
見解を求めます。
第三に、補助金
改革の中身が
地方の自主性、自立性の強化につながっていないことも大問題であります。
補助金
改革の対象になっているのは、
一般財源化しても
地方の裁量拡大にはつながらない項目ばかりであります。補助金
改革の
議論の間、権益温存に血眼となった中央省庁や
族議員の抵抗を放置し、補助金
改革が骨抜きになるのを座視した
小泉総理のリーダーシップの欠如を指摘せざるを得ません。補助金
改革が
地方の自主性の強化につながっていないことについて、総務
大臣、
財務大臣の御
見解をお
伺いいたします。
例えば、義務教育費
国庫負担金の退職手当が
廃止され、税源移譲予定交付金として
地方に交付されることになっていますが、教職員の退職者が今後急速に増え続けることは明らかでございます。この補助金が
一般財源化されますと
地方財政の圧迫は避けられず、必然的に税源移譲予定交付金が
地方税として譲与されるのは先の話となりかねません。他に数多くある補助金の中で、なぜこの義務教育
国庫負担金の退職手当が三位
一体改革の出だしから選ばれたのか、文部科学
大臣に
説明を求めます。
また、公立保育所運営費に関する補助金が
廃止され、
所得譲与税として税源が
地方へ移譲されることになっております。しかし、国が施設の設置基準や職員の配置基準といった基準作成の権限を握り続ける限り、
地方の自由度は高まりません。基準作りそのものを
地方へ任せずには、分権
改革は語ることができません。補助金
改革が行われる際には、権限の移譲が同時に行われなくては
地方の裁量は拡大しないと
考えます。今回の
措置で
地方の権限がどう増えるのか増えないのか、厚生
大臣に
伺います。
さらに、公立保育所だけが対象で、民間の保育所は対象外になっていることについても、その明確な
理由は今もって聞かれません。自民党議員の選挙対策だという声も聞かれております。なぜ民間保育所と公の施設とを区別する必要があるのでしょうか。民間保育所の補助金を
一般財源化することで生じる不都合があるならば、
厚生労働大臣、明確に御
答弁ください。
また、来年度の補助金
改革に際しても、民間保育所の補助金を対象とするか否かについても併せて
厚生労働大臣からお答えください。
第四に、地域再生
事業債について
質問いたします。
地方は、今、疲弊の極みにあります。それというのも、
地方自治体に権限、裁量を与えず、税源移譲は中途半端なまま、補助金削減を先行させ、交付税総額を抑制する
政府のやり方に最大の責任があります。
地方自治体から
予算が組めないとの悲鳴が上がったことで事の重大さにようやく気が付いたのか、総務省は地域再生
事業債の
発行条件を緩和し、増発する救済
措置を場当たり的に打ち出しました。
しかし、そもそも三位
一体改革を標榜し、交付税総額を削減する一方で
地方債を増発し、その元利償還金を後年度の交付税で
措置するというのは、
地方財政をますます複雑なものにするとともに、政策としては全く矛盾しています。今後、このような
地方債の仕組みをどのように
改革するのか、また維持し続けるのか、総務
大臣の御
見解を
伺います。
さて、私は、
地方分権
改革については多様性を認めることが大切ではないかと思っております。国の干渉を極力排除するということは、住民自治の尊重、つまり多様性を容認することになります。
私は、若いころ、学生として、主婦として、十余年をアメリカ東部で暮らしたことがあります。このころの記憶をたどりますと、アメリカの
地方自治体は誠に多様性に富んでいました。特に、市町村やカウンティーの行政はいろいろな特色を持っていたように思います。あるカウンティーでは、税金は重くても公立学校のレベルが高く、治安が行き届き、環境が整備されているなど、各
自治体が住民に対してその税金に見合った魅力を競い合っているようにさえ私の目には映ったのです。
私たちが目指しているのは、
地方がそれぞれの地域の特色を生かし、自分たちの裁量、決定権を持つ
社会、地域に住む住民こそが主役である
社会です。このような
地方分権
改革は、権限の集中と補助金のばらまきを
中心とした政治手法では実現不可能な
改革でございます。自民党政治の限界を示すものではないかと私は思います。民主党こそが地域を、日本全体を
活性化させる
地方分権
改革を担うべき存在であるということを最後に強く申し上げ、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣麻生太郎君
登壇、
拍手〕