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最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 委員も御承知のとおり、下級
裁判所の
裁判官の任命は
最高裁判所が指名した者の名簿によって内閣が行うということにされているわけでありますけれ
ども、これまで、その名簿
決定、名簿登載
決定のプロセスというものが
裁判所内部の手続で行われていたと、第三者が関与することがなかったために、ともすると国民の目から見てその登載あるいは
裁判官への任用というものが適正に行われているのかどうかというところがよく分からない、こういうところがあったわけでございます。
そういった声があることを承知しておりましたので、
平成十三年の二月十九日に、当時ございました
司法制度改革審議会において
最高裁の方から、下級裁の
裁判官については指名諮問
委員会というものを作るということも
検討したいと、こういうふうにプレゼンテーションを行い、これを受けて
審議会の方で最終的にいろいろ
議論された結果、その最終
意見で、
最高裁判所に、そのような諮問を受け、
裁判官として「指名されるべき適任者を選考し、その結果を
意見として述べる機関を設置すべきである。」と、こういうような御提言がありました。
この御提言を踏まえて、その後、
裁判所外の委員を多数含みます一般規則制定諮問
委員会で十分な御
議論をいただき、どういった仕組みにし、あるいは
裁判所からどういった独立した判断を担保するかというところも含めて御
議論いただいたわけでございます。
その結果、
委員会は十一人の委員によって構成されると。これは、法曹三者五名、それから一般有識者六名ということでありますが、これも
裁判所から見ますると、
裁判所内が二名、
裁判所外の委員が九名ということでかなり外の方に手厚くした組織というふうにしておりますし、また、
最高裁は、諮問をするに当たって、その適否について、候補者の適否について
意見は述べないということを規則上明記され、さらにまた、人事当局がそれに強く絡むということ自体がやはり疑問を持たれることにもなりますので、
最高裁の総務局がその庶務を行うという形で、峻別された
体制、言わばその
委員会が独立して判断できるというような担保措置も取られたわけであります。
その結果、昨年の五月にこれは動き始めたわけでございますけれ
ども、その結果は先ほど委員ちょっと御紹介ありましたけれ
ども、まず
平成十年の
段階で、失礼しました、昨年の十月の
段階で、判事補任官候補者、これは修習生からの判事補任官候補者でありますが、その諮問百九人行われまして八名が否とされました。またその後、先ほ
どもお話がありましたように、判事任命再任候補者百八十一人について諮問がなされ、それについては六人が否とされ、それからこの四月期の弁護士等からの任官候補者ということで十二人が諮問されましたけれ
ども、そのうち五人が否とされ、その後、出向からの復帰候補者等も含めますと、これまでに三百十八人中、三百十八人諮問されまして、そのうち十九人が否とされているという
状況でございます。
しかし、また、こういった
委員会における資料、あるいは判定
基準というものをどうするか、こういうことについても実は
委員会において一から
議論をしていただきまして、
最高裁にどういった資料があるのかと、そういったものをそれじゃ出してもらおうというようなことも全部その
委員会の主体性を持った判断で進められてきております。また、まだ始まって一年たっていないわけでございますが、レビューということも今後行っていかなければならないだろうと。もう少し
充実させるためにはどんなふうにもっとやっていったらいいだろうかと、こういったことの
議論もまた
お願いすることにしているところでございまして、そういう
意味で、私は庶務としてその
審議を拝見しておりますけれ
ども、非常に適正になされているんではないかなというふうに思っております。
これまで随分、否とされる者が元々少なかったではないかというところでございますが、これは、総務
局長でございますから、これまでの
状況を全部把握しているというわけではございませんけれ
ども、例えば司法研修所教官としての経験に基づきまして言いますと、司法修習生から判事補への任官の際には、やはりその修習生自体が二回試験等の成績を見て教官に相談をしてまいります。その上で、教官の方も平素の通常点、そういったことも勘案して、なかなか難しいかもしれないというような形でのアドバイスを行っていたのがこれまで通常でございました。
しかし、今回はその辺のところは新しい
制度ができましたところから、修習生の方もこれを様子見という
状況で、そういうことをしませんでしたし、また、教官の方もかえって誤解を招くことになりかねないということで、それをすべて
委員会の方にゆだねるというふうにしたというところもございます。
恐らく、判事の再任候補者につきましても、やはり
問題点があるということであれば、その点をこれまででありますと人事当局の方からその辺のところを示唆し、本人が最終的に考えてそれを、再任申立てを取り下げたと、こういった事例もあったんではないかなというふうに推察されるところでありますけれ
ども、そういったところが数字としてちょっと違ったものが出てきているということだろうかと思っております。