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2004-03-16 第159回国会 参議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十六日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本  保君     理 事                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 千葉 景子君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 岩井 國臣君                 鴻池 祥肇君                 陣内 孝雄君                 野間  赳君                 今泉  昭君                 江田 五月君                 角田 義一君                 樋口 俊一君                 堀  利和君                 井上 哲士君    国務大臣        法務大臣     野沢 太三君    副大臣        法務大臣    実川 幸夫君    大臣政務官        法務大臣政務官  中野  清君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 一宇君    政府参考人        司法制度改革推        進本部事務局長  山崎  潮君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        法務大臣官房司        法法制部長    寺田 逸郎君        法務省民事局長  房村 精一君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省矯正局長  横田 尤孝君        法務省保護局長  津田 賛平君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        公安調査庁長官  大泉 隆史君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        経済産業大臣官        房審議官     桑田  始君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (法務行政基本方針に関する件) ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○裁判所法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○弁護士法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山本保

  3. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山本保

    委員長山本保君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政基本方針に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 吉田博美

    吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。  大臣所信に対しまして質問をいたします。  野沢大臣は長野県の辰野町の出身でございまして、俗に言う信州伊那谷の御出身でございますが、私も同じ伊那谷出身でございまして、大臣が参議院に挑戦されて以来、私は尊敬申し上げ、そしてふるさとにおきましては大きな誇りに思っておりました。時がたちまして、内閣改造により法務大臣に御就任をされました。私も時を同じくして法務委員を命ぜられ、こうして質問の機会を与えていただいたことは、くしくもいただいたことは誠に感慨深いものがございまして、そうした中での質問をさせていただきたいと思います。  二十世紀の後半に、非常にバブルが崩壊して景気が悪い中でありまして、混乱をした社会状況の中で、やがて二十一世紀を迎えたらということで、私たちは夢と希望を持って語り合ってまいりました。しかしながら、二十一世紀の扉が開かれましてもう既に四年目の正月を迎えました。何となく新世紀を迎えますと浮き浮きとして語り合うときなのに、国民皆さん方が自信をなくしておるような感じがします。目の前の老後の心配、多くの青少年は夢をなくし、経済は依然として厳しく、特に地方によっては厳しい状況でありますし、何よりも憂えることは、世界一安全な国としての日本が、まさしく治安悪化をしてきたというこの現状は憂える状況でございます。  しかし、私たちは、かつて物が豊かでなかった時代を振り返ってみて、家族はいたわり合い、地域は支え合い、志にあふれた時代がありました。そうした古き良き時代の気概というものをしっかりと踏まえた中で、我々はかつての世界一安全な日本という誇れる日本を取り戻さなきゃいけないんじゃないかと思います。  そこで、私たちは、治安というものが諸外国に比べていいということを非常に誇りに思っていましたし、そうした日本に住むということを大きな誇りと思ったわけでございますが、近年の治安悪化現状は誠に憂える状況ではないかと思っておるところでございます。  平成十四年には過去最多数犯罪が記録をといいますか、達しました。そして、平成十五年もほぼ同様な水準で推移をしているという現状の中で、また特に凶悪な犯罪が非常に増えておるわけでございまして、そのような状況の中で、小泉総理が今国会施政方針演説の中で、世界一安全な国日本に向けて復活することが緊急の課題であると、そして政府を挙げて一刻も早く国民皆さん方治安に対する信頼を回復することがしたいということを述べられておりますが、私もまさしくそのとおりではないかと思います。早く治安回復をすることが緊急の課題であろうと思います。そうした中で、今日は治安問題を特に中心といたしまして、また法務行政全般にわたって幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず、大臣にお伺いいたしますが、我が国治安現状とその悪化原因についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  6. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 委員指摘のとおり、日本治安状況については誠に憂慮すべき状況にあると認識しております。  我が国は、かつて世界有数の安全な国と考えられていたものの、御指摘のとおり、最近における刑法犯認知件数は急増いたしまして、過去最高水準にありまして、特に凶悪重大事犯多発しております。平成十四年に二百八十五万件ということで過去最高となりまして、十五年には少し減って二百七十九万件ということにはなりましたが、その内容ではむしろ凶悪化しているという点で良くないということでございますが、この治安悪化原因というものを一概にこうだと言うのはなかなか難しい問題でございますが、やはり、社会環境悪化あるいは経済情勢が厳しいということ、さらには国際化によりまして様々な人々日本へやってくる、こういったいろんな事情が複雑に絡み合いまして、あわせて、その犯罪を予防する地域社会連帯意識といいますか、これが低下しているのが大きな原因ではないかなと、こう危惧をしているわけでございます。  さらに、それに加えまして、刑法犯犯罪検挙率が二〇%前後ということで大変落ち込んでおります。ひところ安全な国日本と言われたころの検挙率は平均して約六〇%を維持していたにもかかわりませず、ここ数年の間にこれが二〇%近くまで低下したということは委員が御指摘のとおりでございまして、このような治安悪化に対しまして国民皆様多くが強い不安、そして心配を持っているわけでございますが、政府といたしまして、治安回復に向けまして、安全、安心の国を取り戻すということで強い決意で取り組んでいかなければならないと考えておる次第でございます。
  7. 吉田博美

    吉田博美君 強い決意で是非取り組んでいただきたいと思いますが、現在の治安状況回復する上で法務省が果たすべき責務は重大だと思います。  政府犯罪対策閣僚会議において、犯罪に強い社会実現のための行動計画決定をされたと聞いておりますが、この行動計画を踏まえ、法務省治安回復に向けて果たすべき責務について大臣はどのように認識されているのか、お伺いいたします。
  8. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 法務省治安維持回復について重要な責任を持っているということは言うまでもございません。今、省を挙げまして、御指摘犯罪対策閣僚会議決定に基づく行動計画を実行していこうということで、その先頭に立って責任を果たしていく所存でございます。  治安回復につきましては、しかし、我が法務省だけでは及びませんので、関係の各省あるいは国民全体の御協力をいただきながら、一層の努力を重ねる所存でございます。  何としても、やはり地域皆様連帯意識回復、さらには外国人犯罪対策、それから組織犯罪に対する取組、そして我が法務省としてやるべきことは、法的なインフラをしっかり整備すると。法令の見直しあるいは行刑の在り方含め、全体として取り組むべき大きな課題と心得ておるわけでございます。
  9. 吉田博美

    吉田博美君 大臣外国人犯罪等について今言及されたわけでございますが、近年、犯罪行為国境を越えて行われ、現に我が国でも外国人犯罪組織等による凶悪犯罪多発をしている現状であります。また、暴力団などの反社会的組織による犯罪多発する一方、ハイテク犯罪などの新しい犯罪も次々と発生をしているように思います。  これらに対処をすることが必要だと考えますが、そのためには時代に即した新しい刑事法整備することが必要だと考えますが、法務省のお考えをお伺いいたします。
  10. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 委員指摘のとおり、我が国治安対策を効果的に行うに当たりましては、犯罪情勢等対応した刑事法整備が重要であります。法務省では、行動計画にも掲げられておりますとおり、所要法整備の立案、また検討作業を進めております。  すなわち、犯罪国際化及び組織化並びに情報処理高度化状況に適切に対処するとともに、国際組織犯罪条約サイバー犯罪条約締結に伴う法整備を早急に行うべく、今国会犯罪国際化及び組織化並びに情報処理高度化対処するための刑法等の一部を改正する法律案を提出しております。その速やかな成立を図るべく努力してまいりたいというふうに思っております。  また、凶悪重大犯罪対処するために、凶悪犯罪法定刑引上げ、また現在二十年とされております有期刑の上限の引上げ等を含めた刑事法整備につきましても、本年二月の十日、法制審議会に諮問いたしたところであり、今後、法制審議会審議及び答申を踏まえて必要な法整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  11. 吉田博美

    吉田博美君 いずれにしても、本当に多岐にわたった、複雑多岐にわたった犯罪が増えているものですから、しっかりとした対応をしていただきたいと、そう思っておるところでございます。  諸外国との捜査協力については、捜査共助という手続によって他国から証拠等を収集する必要があると思いますが、この手続には時間がかなり掛かると聞いております。それでは実効性に欠けてしまうのではないかと思いますが、この点について法務省はどのようにお考えでおられるのでしょうか。
  12. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 御指摘のとおり、捜査共助手続には時間を要するという側面があることは否めないというふうに思います。これは、捜査共助が現在、外交ルートを経由して行われている点にもその一因があるように思われます。  これを克服するために、既に我が国が署名しております、今国会に提出されております刑事に関する共助に関する日本国とアメリカ合衆国との間の条約におきまして、外交ルートを経由しない中央当局制度が採用されております。現在、この制度は、ヨーロッパ等を始め各国の同種の条約において広く採用されておりまして、言わば世界標準として用いられるようになりつつあるように思われます。  法務省といたしましても、この中央当局制度を有用なものとして認識しており、本制度を採用するために国際捜査共助法改正した上で、既存の各種条約実施に当たってその制度を活用していくとともに、関係省庁と協調しながら、協議しながら捜査共助に関する二国間条約締結を積極的に検討したいというふうに考えております。
  13. 吉田博美

    吉田博美君 次に、先ほど来お話ございましたように、外国人犯罪多発をしておりまして、特に不法滞在外国人による犯罪多発しておりますが、国民にとって大きな脅威となっております。これを早く解決しないと、国民の間に外国人に対する不当な偏見や差別が蔓延してしまうおそれがあると思います。  このような不幸な結果を招かないためにも、凶悪犯、巧妙化して多発する来日外国人犯罪に対し、法務省はどのように対処するのでしょうか。
  14. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 来日外国人犯罪対策といたしましては、犯罪に強い社会実現のための行動計画におきましても、国境を越える脅威への対応重点課題の一つとして取り上げられております。  具体的には、不法滞在者を今後五年間で半減させる、国民が安心して暮らせるようにするために、不法入国また不法滞在対策推進するとともに、来日外国人犯罪に対します捜査強化することでございます。  また、法務省といたしましては、これまで数次にわたる入管法改正法に取り組みまして、今国会にも入管法改正案を提出しておりますが、入管当局取組を一層強化してまいりたいというふうに思っております。  また、検察当局におきましても、引き続き、来日外国人対策に対しまして、関係機関と連携しつつ、事案の真相また組織の全容を解明して、関与者を的確に処罰し、また犯罪収益の剥奪を徹底するなど厳正な対処に努めていくものと承知いたしております。
  15. 吉田博美

    吉田博美君 大臣は、所信表明において、治安維持観点から、矯正施設過剰収容の状態が深刻だと述べられましたが、この問題の解決にどのように取り組むのか、大臣の御所見をお伺いいたします。
  16. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 我が国治安回復するためには、刑務所等過剰収容解消が極めて重要であると認識しております。  私も、就任以来できるだけ時間を作りまして、これまで十数か所の行刑施設を視察してまいっておりますが、昨年の十二月に犯罪対策閣僚会議決定されましたいわゆる犯罪に強い社会実現のための行動計画においても、治安回復のための基盤整備といたしまして、刑務所等矯正施設過剰収容解消矯正処遇強化が挙げられているところでございます。  さきに成立しました平成十五年度補正予算及び平成十六年度予算においては、五千人を超える行刑施設収容能力拡充経費が盛り込まれておりまして、改めてまたPFI手法を活用した刑務所等の新設の調査費も盛られているわけでございます。また、職員増員及び被収容者生活関連経費等が盛り込まれておりまして、今後とも予想される矯正施設の被収容者の更なる増加に対応するために、関係方面の御理解をいただきながら、適正な収容並びに処遇、これに伴う矯正の効果の更なる徹底を図ってまいりたいと考えております。
  17. 吉田博美

    吉田博美君 犯罪が増えているわけでございますから、当然のごとく刑務所過剰収容というのが問題になるわけでございますが、いろいろな意味の中で、刑務所改革というものは必要だと思います。  刑務所改革については、国民理解をされ支えられる刑務所をつくるという観点から、様々な改革案提案をされていると聞いておりますが、中でも受刑者処遇改革が肝要だとも聞いております。だからといって、単に受刑者を甘やかし、楽をさせるだけのものではあってはならないと思います。長い歴史を持つ刑務所改革については、それ相応の覚悟を持って取り組まなければならないと思いますが、この点についての大臣のお考えをお伺いいたします。
  18. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 昨年の春、例の名古屋刑務所事件等をきっかけに、当時、森山大臣のところで行刑改革会議という、識者をお願いして対応委員会を立ち上げたわけでございますが、この御提言が昨年の暮れにちょうだいできたわけでございます。大変これ内容に富んだ大事な御提案でございまして、受刑者の方が真の意味改善更生を遂げて健全な社会の担い手となるという処遇実現するために、大変これ、役に立つ提言であるなと私ども認識しております。これは、最終的には国民全体の利益にもなることでございますので、この提言国民の求める行刑のあるべき姿を示したものとして今後実現を図ってまいりたいと考えております。  その内容としましては、監獄法改正ということも視野に置きながら、当面この受刑者処遇充実ですぐできることは直ちに実行するということを進めながら、逐次その内容実現に努めてまいりまして、受刑者人権尊重、そして刑務官負担軽減、そして国民のために開かれた刑務所の在り方について今後とも努力を進めてまいるつもりでございます。
  19. 吉田博美

    吉田博美君 刑務所改革大臣のお考えをお聞きしたわけでございますが、やはり犯罪を犯しても、その人たちがいかに社会復帰をするかということもこれは極めて大事な課題だと思います。  そうした中で、治安確保観点からも、犯罪を犯した人の再犯を防ぎ、健全な社会復帰を果たすことが私は最も重要ではないかと思います。そのためには、更生保護機能強化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  20. 中野清

    大臣政務官中野清君) 吉田委員さんの御質問、御指摘のとおり、治安確保のためには犯罪を犯した人の再犯防止と、それから社会協力理解の下に円滑な社会復帰を図ることが不可欠であるということは御承知のとおりでございます。そのためにも、更生保護機能強化が極めて重要であると私ども認識をいたしております。従来から、約年間十五万人に及ぶところの保護観察対象者、それぞれの問題点、例えば家庭環境とか精神的な問題とか薬物とかという、そういう問題点に応じた適切な分類処遇実施に努めておるわけでございますけれども、特に現在は、警視庁の調査によりますと、再犯率が五五%に及ぶところの非常に高い薬物事犯への対策というものが今緊急の課題でありますので、覚せい剤事犯に対する再犯防止対策の一層の強化を図ってまいりたいと考えておるのでございますので、よろしくお願いします。
  21. 吉田博美

    吉田博美君 まさしく、政務官のおっしゃったとおり、再犯というか犯罪を再び犯すことをいかに食い止めるかということが安全な国日本としての果たす役割ではないかなと思っております。  そこで、我が国では非行や犯罪を犯した人の社会復帰を助けるために、先ほど来お話ございました保護司更生保護施設を始めとする民間方々に多大な御協力をいただいており、大きな成果を上げていると聞いております。法務省は、これら民間方々活動をどのように考えておられるのでしょうか。
  22. 中野清

    大臣政務官中野清君) 委員指摘のとおり、我が国更生保護におきましては、約、現実に四万九千五百人の保護司皆さんや、全国百一の更生保護施設方々が日夜、延べ年間十五万人の人を相手に献身的な努力をされております。それによって多くの人々社会復帰が図られているものと私ども認識をいたしております。  近時の犯罪情勢等悪化の影響を受けまして、保護観察事件等は量的に増加いたしましたし、質的にも困難化が増えております。これらの問題につきまして、民間方々の御労苦や負担も当然それに従って大きくなっている、これはそういうことを私ども認識いたしておるわけでございます。  こうした状況を踏まえまして、保護司関係につきましては、最低年四回やっておりますが、保護司研修充実とか、それから、できる限り保護司実費弁償金充実、現在は年間一人当たり七万九千円と、大体一年間に、毎年二千円ぐらいしか増えていませんけれども、これの充実を図って、させていただきたい。またさらに、更生保護施設関係につきましても、更生保護施設整備推進施設職員に対する研修充実など、その活動支援を努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  どうか、再犯を防ぎ、社会復帰をしていただく支援体制充実をこれからも一層図ってまいりたいと思いますので、委員始めこの委員会先生方皆様の御指導と御支援を心からお願いをしたいと思います。
  23. 吉田博美

    吉田博美君 年々増えているとはいえど、七万九千円ではいかにも少ないじゃないかと思います。是非、かなりの増額を図っていただくことが必要ではないかと思いますので、鋭意取り組んでいただきたいと思うところでございます。  次に参りますが、先ほども触れましたが、不法滞在者の問題についてお伺いいたします。  最近、特に不法滞在者による凶悪な犯罪が後を絶たないわけでございますが、国民皆さんに大きな不安感を与えていますが、外国人犯罪の温床とも言われる不法滞在者を確実に減らすために最前線となる出入国管理をどのように行っていくのか、大臣決意のほどをお伺いいたします。
  24. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 今日、我が国社会治安維持に関しまして出入国管理行政が重要な役割を担っていることは強く認識をしておるわけでございます。そして、その充実強化のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。  具体的には、この問題に対処するために、より一層厳格な水際対策実施しまして、また正規の在留を偽装するような外国人実態把握に努めるとともに、警察等関係機関とのより緊密な連携による積極的かつ効果的な不法滞在者摘発実施しまして、総合的な不法滞在者対策の一層の推進に努めてまいりたいと思っております。  特に、この問題につきましては、関係機関連帯が非常に重要ということで、特に問題の顕在化しております東京都におきましては、関係機関共同宣言を出して一緒に取り組むという手配もいたしておるところでございます。
  25. 吉田博美

    吉田博美君 私たち外国に行きまして帰ってきますと、日本人あるいは外国人というと、かなり外国人のところが並んで、審査を厳しくされておるわけでございますが、私はある意味では当然のことだと思います。もしテロ等起きたときには大変なことになってしまうわけでございますから、そうしたことはきちっとやっていただきたいんですけれども、その反面、入国管理局のやっぱり体制強化というものも必要になってくるのではないかと思いますが、不法滞在者対策として入国審査厳格化摘発強化考えられますが、この問題に対し的確に対処をするためには入国管理局体制強化が肝要だと考えますが、今後どうするのか、その展望をお伺いいたします。
  26. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 外国人出入国在留管理につきましては、現在、入国審査官が約千三百人弱、不法滞在者摘発収容及び送還等に従事する入国警備官が約千百人でこれに取り組んでおるわけでございます。  かねてからこの出入国管理につきましては、体制整備を含め、その強化に取り組んできておるところでございますが、平成十六年度予算の案では、関係当局の御理解をいただきまして、百六十八人の増員及び所要経費が計上されているところでございます。特に、社会治安維持が緊急の課題となっている今日、今後とも安心して生活できる社会確保する重要な柱といたしまして、入国管理局の総合的な体制強化に一層努めてまいる所存でございます。
  27. 吉田博美

    吉田博美君 入国管理局の果たす役割は大変大きいと思います。水際できちっと止めるということが、我々の今一番大きな不安でありますテロ等の不安もかなりなくなってくるのではないかと思いますので、出入国管理局の入国管理体制をきちっとしていただきたいということをお願いしておくところでございます。  最近、我が国をめぐるテロの脅威が高まっておりますが、国際テロ組織の動向については今後一層の警戒が必要だと思います。国際テロに対しては、その未然防止が最良の対策だと思いますが、広くテロ関連情報の収集強化に努めることが肝要だと考えます。  この点について、公安調査庁のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  28. 大泉隆史

    政府参考人大泉隆史君) 先日のスペインにおけるテロに見られますように、昨今の国際テロ組織の動向に照らしますと、御指摘のように、我が国においてもテロが行われる可能性があることを前提に、これに備えてまいることが極めて重要であると考えております。そして、国際テロ組織によるテロ防止のためには、国内において国際テロ組織との関連が疑われる者の存在や、国際テロ組織関係者の我が国に対する働き掛けや出入国の動向などを適時にかつ的確に把握して対応することが肝要であると考えております。  公安調査庁におきましては、このような観点から、外国機関との連携を緊密にするなどして国際テロ組織の動向把握に努めますとともに、国内におきましても、国際テロとのかかわりが疑われます人物や組織の有無とその動向、資金及び物資の流れなどに関する情報の収集、調査活動強化しているところでございますが、今後とも我が国におけるテロの未然防止に全力を傾注してまいりたいと考えております。
  29. 吉田博美

    吉田博美君 スペインでのあのような悲惨なテロというものは想像を絶するものがございました。やはり、こうしたことをきちっと対応していかなきゃいけない。しかし、テロというのはいつどこで起きるかも分からないと思います。そうした中で、やはりきちっとした対応というものを未然に公安調査庁の方できちっとしていただくということが大事ではないかなと思っておりますので、是非これからも御精進、御尽力、御努力をいただきたいと思います。  さて、オウム真理教についてでございますが、オウム真理教については、報道されるところによりますと、一部ではいまだ狂信的な信徒が存在すると報じております。教団の現状についての公安調査庁の見解をお伺いいたします。
  30. 大泉隆史

    政府参考人大泉隆史君) お答え申し上げます。  オウム真理教は、現在、日本国内に出家信徒約六百五十人、在家信徒約一千人、ロシア連邦内に約三百人、また日本国内の十七都道府県下に二十六か所、ロシア連邦のモスクワ市内に五か所の拠点施設を擁しております。  教団は、依然として、無差別大量殺人行為でございます松本サリン事件及び地下鉄サリン事件の首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫の強い影響下にあり、同人の説く危険な教義を堅持するとともに、今なお欺瞞的体質を維持するなど、その危険性に変化は認められません。とりわけ、上祐史浩中心の体制から複数の幹部信徒による集団指導体制に移行してからは、信徒に対して一段と麻原回帰の指導を強めている状況が認められます。  こうした状況を踏まえ、当庁におきましては、国民生活の平穏を含む公共の安全の確保のため、引き続き同教団に対する観察処分を厳正に実施し、教団内における不穏動向の早期把握に努めるべき状況にあると認識しております。
  31. 吉田博美

    吉田博美君 次に、司法制度改革に入らせていただきますが、司法制度改革の問題でございますが、今般の司法制度改革は、司法制度改革審議会の意見書に基づき、歴史的な大改革が行われるものと認識しております。これまでに、裁判迅速化法や法科大学院関連法などの成立により、改革は着実に成果を上げてきていると思います。さらに、今国会においては司法制度改革に関連する十本の法案が提出されると聞いております。  司法制度改革は正に正念場を迎えつつあると思いますが、そこで大臣に幾つかの質問をさせていただきます。  まず最初に、司法制度改革の意義について、大臣の御所見をお伺いいたします。
  32. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 社会の複雑化、多様化、さらには国際化が一層進む中で、行政改革を始めとする社会経済の構造改革を全体として進めているわけでございますが、司法制度の中では、明確なルールと自己責任原則に貫かれたいわゆる事後チェック・救済型社会への転換を図る、そして自由かつ公正な社会実現していくために、その基礎となる司法制度を新しい時代にふさわしく、国民にとって身近なものとなるよう改革していくことが不可欠であります。  このような国民の視点に立ちました改革という意味で、今般の司法制度改革は歴史的にも極めて重要な意義を有する改革であると認識をいたしておりまして、十本の法案に集約して御提言を申し上げているわけでございます。
  33. 吉田博美

    吉田博美君 次に、総合法律支援、いわゆる司法ネットについてでございますが、私ども自由民主党は、全国どこでも法的紛争解決の情報が得られるような司法ネットを三年以内に整備することを政権公約に掲げているところでございますが、司法ネットの整備国民の身近な司法を実現する上で不可欠なものだと考えます。  大臣は、この司法ネット構想の意義をどのように感じておられるのか、また実現に向けての決意のほどをお伺いいたします。
  34. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 御指摘のように、我が国におきましては、内外の社会経済情勢の変化に伴いまして、法による紛争の解決が一層重要となっております。一方、我が国現状を見ると、弁護士さんがいない、司法制度の恩恵を受けられないような地域がまだまだ相当残っているという状況にございます。  そこで、今回、総合法律支援ということで、いわゆる司法ネット構想を打ち出したわけでございますが、このような背景の下に、司法を国民により身近なものとする、民事、刑事を問わず、あまねく全国において法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられるような支援体制整備しようとするものでございます。  いつでもどこでも御相談に乗れる、こういうことで考えておるわけでございまして、今回の司法制度改革において極めて重要なこれは柱の一つと考えております。
  35. 吉田博美

    吉田博美君 司法をいつでもどこでも相談できるということでございますが、そうした中で国民皆様の大きな関心は、司法ネット構想の実現により具体的にどのようなサービスを受けることができるのかだと思います。  司法ネットの概要についてお伺いいたします。
  36. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) この司法ネット構想の概要でございますけれども、まず中核となる運営主体といたしまして日本司法支援センター、これを設けることにしております。このセンターが既存の各種窓口あるいは弁護士会等、そういうところと連携、協力して業務を行っていく、こういうものでございます。  この業務の内容でございますけれども、まず相談窓口等のネットワーク化をいたしまして、多様な情報をお伝えできるということにする仕事が一つでございます。それから、民事法律扶助事業をここで行うということ、それから被疑者の弁護それから被告人の弁護を含めました国選弁護人の選任に関する業務ということ、さらに、先ほど大臣からお話がございましたけれども、司法過疎地域、弁護士がゼロか一かというゼロワン地域に対する法律業務の支援ということでございます。それから最後に、犯罪被害者の支援に関する業務、こういうものを一体として行うということでございます。
  37. 吉田博美

    吉田博美君 最後に触れられましたが、犯罪被害者の支援という、本当に被害者の問題というものも大きな問題だと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思うところでございます。  次に、裁判員制度についてでございますが、世論調査の結果などから推測しますと、制度について本当に国民皆さん方が十分な理解をされているのかどうか、疑問視もする声もあるようでございます。  制度の円滑な実施には国民皆さん理解協力が不可欠だと思いますが、そこで大臣にお伺いしますが、裁判員制度の導入の意義と、どのようなメリットがあるのか、お伺いをいたします。
  38. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 今回の司法制度改革の一つの目玉でもあり柱でもあると私は認識しておりますが、国民が裁判官とともに刑事裁判に関与することが司法に対する国民理解の増進と信頼の向上に大変これは資するものではないかと考えておるわけでございます。  この裁判員制度の意義は、広く国民が裁判の過程に参加いたしまして、その常識、庶民感覚によりまして裁判の内容にこれが反映されるということで、司法に対する国民理解や支持が深まる、司法がより強固な国民的な基盤を得ることができるということを考えております。G8諸国におきましても、日本以外の国はすべて陪審制若しくは参審制という形で国民参加の制度を採用しておることも一つの参考になろうかと思います。  加えまして、この裁判員制度が導入されますと、職業や家庭を持つ国民方々に裁判に参加していただくことができるようになりますが、これが、裁判が迅速に行われるということが一つ言えようかと思います。おおむね一年前後で今まで掛かっていた裁判が四か月程度で収まるんじゃないかという予測もあるわけでございます。  それから、裁判の手続や判決の内容を裁判員の方々にとって分かりやすいものにするということが必要になりますので、国民にとって分かりやすい裁判が実現をすると、これも一つの大きなメリットであろうと考えております。
  39. 吉田博美

    吉田博美君 G8の国、既にもう裁判員制度をかなり歴史の中で採用されているということをお聞きしました。  何よりも、裁判ということになりますと、日本は弁護士の数も少ない、いろいろなことの中で、何となくよそのものというイメージがありますが、そうした中で、国民に分かりやすい裁判という、推進するということは極めて大事なことだと思いますので、そうしたことをよく踏まえた中でこれから進めていかなきゃいけないなと思っておるところでございます。  裁判員は選挙人名簿から無作為抽出をされるとのことでございますが、それまで裁判には全くといって無縁であった人が選ばれることもあると思います。そのために、選ばれた人は、素人の自分が果たして務まるだろうかと不安になると思います。  そこでお伺いいたしますが、法律の専門家でない方に裁判のことを知っていただくためにどのような啓発手段を考えておられるんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) この法案の中でも幾つかその点で手当てをしております。  まず一つ目は、その評議の場でございます。これ、事実認定と量刑を決めるわけでございますけれども、そこの評議の場で、裁判官は裁判員に対して丁寧で分かりやすい説明をしなければならないということを手当てしております。  それからまた、法廷のやり取り等につきましても、裁判官、検察官、弁護人は審理を迅速で分かりやすいものとするということに努めなければならないという規定を置いているわけでございます。  これ以外に、個別の制度といたしまして、公判前の整理手続というものを創設しておりまして、ここでその主張、証拠を十分に出し合って、その上で争点を確認をいたしまして、そこにその証拠調べを集中するというやり方で、なるべく絞って分かりやすいものにするという手続を用意させていただいております。  さらに、法廷はできる限り連日開廷をして、記憶のあるうちに判断を下すと、こういうようなシステムを取っているということでございます。  それ以外に、運用で、分かりにくい法律用語等を、これをどうやってかみ砕いて御説明をするか、そういう点もこれから努力をしていかなければならないと、プロの意識も全部変えなければならないということになろうかと思います。
  41. 吉田博美

    吉田博美君 私が法務委員を命ぜられてこの法務委にいましても、この用語というものは非常に分かりにくいわけでございまして、本当に分かりやすい言葉で分かりやすくその説明をしてもらうと、これは極めて大事だと思いますが、そうしないと、本当に国民皆さん方が、自分がいつ当たってくるんじゃないかと思って不安で、行ってどうすればいいのかと。しかも、重大な犯罪に対する裁判員制度の導入ということでございますので、自分の判断一つによって人の命がどう転ぶかというぐらいの大変な判断を強いられるわけでございますので、本当に皆さん方の、関係皆さん方が本当に分かりやすく国民皆さん方にきちっと説明をしていただいて、本当にこれはこういう判断が下せるというきちっとした形を取らないといけないんじゃないかと思っておるところでございます。  そうした中で、十分に、この裁判員制度は我々もし付託されたら委員会で十分に審議をしなきゃいけないなと、最重要課題ではないかなと思っておるところでございます。  さて、今般、知的財産高等裁判所の設置を計画しているとのことでございますが、我が国が目指す知的財産立国の実現のためにはこの裁判所を有効に機能させることが極めて重要だと考えますが、設置に向けての大臣決意のほどをお伺いいたします。
  42. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 委員指摘のとおり、我が国の国際競争力を高めまして、社会経済全体を活性化するためには、知的財産の役割が非常に重要であると認識をいたしております。  政府といたしましては、知的財産立国の実現を内閣の重要施策の一つとして位置付けまして、知的財産訴訟の一層の充実、迅速化を図るために、知的財産高等裁判所設置法案と裁判所法等の一部を改正する法律案を提出させていただいております。知的財産高等裁判所の設置を始めとする所要取組を何としても実現をいたしたいわけでございます。  なお、知的財産高等裁判所が設置されることになりますと、その後の運用は裁判所が担当されることになりますが、司法制度を所管いたします法務省といたしましても、知的財産高等裁判所がその機能を十分に発揮できまするよう最大限協力をしてまいるつもりでございます。
  43. 吉田博美

    吉田博美君 大臣よりその知的財産高等裁判所の概要についての決意のほどをお伺いしたわけでございますが、やはりこれは、これから国際化の中でいろいろの意味の中で重要になってくると思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思っているところでございます。  私は今日、治安関係を中心として、また司法制度改革についてのいろいろな十本の法案等についてお聞きをしたわけでございますが、今から何年前、七年ぐらい前だと思いますが、当時の総理府が国民皆さん方に、今国政に対する最も大きな課題は何かということを問い掛けたときに、やはり一つは食料の安定的供給と、もう一つは安心して住める国土づくりでございました。これはもちろん、安心して住める国土づくりというのは、災害に対する安全性だとかいろいろな意味もありますが、やはり治安の安定というものも極めて大事ではないかなと思います。  私ども外国に行きますと、必ず旅行社あるいはそこにお住まいの日本人の方から、ここはもう夜は一人では歩いてはいけませんよと、特に女性は駄目ですよということを言われるわけでありますが、そうした中で私どもは、六本木等行きますと、若い女性が一人で夜中でも歩いておれるような現状が今はあるわけでございますが、それはなぜかということは、日本は最も安全な国だということで、誇りに思い、そうしたことで今まで来たわけでございますが、これからのいろいろな現状の中で、そうしたことが、日本に来ましたら、この地区はもう夜は歩いてはいけませんよと、非常に治安が悪いですからというようなことになりますと、せっかく外国から、総理までコマーシャルに出て観光客を誘致しようというときに、やはり日本の大きな売り物というものは、世界一安全な国ということが一番大きな売り物だと思っておるところでございます。  そうした中で、総理も施政方針演説の中で、世界一安全な国を、復活を目指して政府を挙げて取り組むということでございますが、政府を挙げて取り組む中で法務省の果たす役割は最も大きいと思いますので、そうした中で治安対策をきちっとしていただき、また、昭和の大改革という司法制度改革についても、これをきちっと上げていただいて、我々が、本当に国民が司法というものを身近に感じるような司法制度というものを作っていかなきゃいけないなと思っているところでございます。  私は、法務省の、これから、野沢大臣、私のふるさとの大先輩として大きな期待をしておりますので、そうしたことをしっかりと取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  44. 角田義一

    ○角田義一君 民主党・新緑の角田でございます。  千葉理事もおりますけれども、年長のゆえをもって一番最初に質問をさせていただきます。  野沢法務大臣が御就任になられて、日々法務行政に精励をされておられることに対して、心から敬意を表します。  所信表明を拝見をいたしまして、拝聴いたしまして、冒頭に「国民の期待と信頼にこたえ得る法務行政実現に向けて、全力を傾注する決意でございます。」と、こういう一節がございました。国民の期待、信頼にこたえ得ると。どういう基本的な理念で法務行政を行うことによって国民の理念、期待にこたえ得るというふうに大臣は日々お考えになっておられるのか、その辺の存念を私はお聞きしたいと思っております。
  45. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 大変大事なところを聞いていただきまして、ありがとうございます。  法務行政の基本的な役割は、法秩序の維持と国民の権利の保全を通して国民生活の安定と向上を図ることと、こういうことに集約されようかと思っております。現在、イラクにおける無法状態を見るにつけましても、すべて治安確保されなければ、その他一切の社会生活が期待できないという状況を見るにつけましても、この点につきましては、国の基本をつかさどる一番大事な課題考えておるわけでございます。  ところが、現在、この犯罪発生件数が戦後最多という状況になっておりますし、内容もまた凶悪化していると。日本が政治ではG8で世界に号令を掛けられる立場になり、経済では言わば経済大国として、アメリカに次ぐ大きな生産規模と一人当たりの所得レベルも世界的な水準にあるのは委員御承知のとおりであります。しかもまた、国民一人一人の生活、あるいは幸せに直結するいわゆる福祉の面でも世界一の長寿国というような立派な実績も持っている。にもかかわらず、委員も御承知のとおり、日本治安状況というのは大変これ厳しい状況にありまして、このままでは犯罪大国、犯罪天国になってしまうんじゃないかと、こういう心配を持って法務大臣に私は就任をさせていただいたわけでございます。  就任に当たりまして、小泉総理から特命がございました。日本を、かつてそうであったように、世界一安全な国、安心の国に取り戻してほしいんだと。これが第一の特命でありまして、これをまた実現するためにも、司法制度改革をしっかりやってくれと。また、更生行政の徹底、いわゆる行刑改革を進めることによって、立ち直りの可能な再挑戦の利く社会を作ってほしいと。この三つが総理からの特命でございます。  私も、既に三期十八年に及ぶ政治生活をしてまいりましたが、もう当初から国の運営のために何が必要かと、兵が必要か食が必要か、そして国民の信が大事かと、こういう昔の政権の教えにございますように、兵がなくても食がなくても、国民の信用、信頼があれば政治はできる、国は保たれるんだと。こういう中で、信なくば立たずということを今までも私の政治信条として実行してまいったわけでございます。  今回のこの司法制度改革は、正にその一番大事な仕事の一環といたしまして、しっかりやり遂げるつもりでございますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  46. 角田義一

    ○角田義一君 御趣旨、決意のほどはよく分かりましたが、一つだけどうしてもお聞きしておきたい問題がございます。  釈迦に説法でございますけれども、やはり私は憲法九十九条というものを非常に重く見ておりまして、これは国務大臣日本国憲法を遵守し擁護する責務があると書いてあるんですね。守るだけじゃないんですね。擁護するということは、これは私は大きな使命だと思っておるんです、国務大臣の。しかも、法務大臣は、やはり憲法と一番近いところにある大臣ではないかというふうに私は思っておるわけであります。  こう言ってはちょっと御無礼かもしれませんけれども小泉総理のやっておられることは、ややもすると、ちょっと憲法をないがしろに、なきがごとき立ち居振る舞いもあるように私には見える。まあ、それは憲法に逸脱すりゃえらいことですからそうは言わないでしょうけれども、どうもそういう雰囲気なり立ち居振る舞いが感じられて仕方ない。  となりますと、閣内におって、やっぱり九十九条、この憲法を遵守、擁護義務ということをやっぱり貫いていただくということの期待が私は大変法務大臣、大きいと思いますが、その辺の御所信をいただきたい。
  47. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 私も、参議院におきまして、法務大臣就任前は憲法調査会の会長を仰せ付かっておりまして、委員始め各先生方の御所見を十二分に承る立場にございました。九十九条の規定はよくわきまえておりますし、あわせて、九十六条におきましても、やはりまた改正にかかわる手続についての取決めもございます。  現在の憲法の在り方につきましては、どうかひとつ各党各会派、各先生方の御所見を十二分にひとつ闘わしていただきまして、あるべき姿についての憲法の姿についておまとめいただきますれば、これに沿って私どももまた行動していかなければならないと。法務大臣としての立場を十二分にわきまえながら、かつ将来の日本のために何が必要かということについても併せ考えてまいりたいと思っております。
  48. 角田義一

    ○角田義一君 私は、併せ考えることを否定もしませんし、併せて考えるなんということ、併せて考えるななんという御無礼なことを大臣に申し上げるつもりは全くありませんが、しかし現行憲法というものがあって、その下で我々は生きておりますし、その下で行政もすべてのことがやられているわけですから、やはりそれは法務大臣は基本的にはやはり現行憲法をまず正に遵守し擁護すると、これが基本でなければおかしいんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。  あえて、蛇足だと思うけれども、お聞きしたいんですが。
  49. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 現在の憲法の持っております基本的人権の尊重あるいは国民主権、平和主義、これいずれも極めて貴重な原則であり、資産であると考えております。閣僚の一員として、現行憲法を十二分に尊重しながら進めていくつもりでございます。
  50. 角田義一

    ○角田義一君 それからもう一つですね、法務省というのは、お役所の中でも、大臣はお感じになっていると思いますけれども、特異な一つの集団ですな、こんなことを言っちゃ申し訳ないが。  司法試験を受かった判事さん、検事さん、こういう人たちがみんな偉くなって大臣の周りにおられる。しかし、大臣と彼らとの基本的な違いは、ここにも副大臣もおりますし、政務官もおられますけれども、どこが違うか。私は、基本的に違うのは、お三人は選挙の試練を経ているということですよ。選挙の試練を経ている。法務官僚は、幾ら司法試験で優秀な成績を取って、お役人として上り詰めているかもしれぬけれども、選挙の試練は経ていない。  このお三人が選挙の試練を経ていることを自覚をされて大所高所に立って指導されるということが、私は法務行政を間違いないものにするために一番大事だというふうに思っておるんですけれども大臣の御所信を承りたい。
  51. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 私も、法務行政初めてでございますので、それぞれの道の専門家としてのスタッフに大変助けられておるわけでございますが、委員指摘のとおり、私どもここにおります三人は、御指摘のとおり、選挙によりまして国民皆様から信任を受け、国民の代表として法務省で仕事をさせていただいている。  その感覚で、これからも国民の代表として、我々が理解し、我々が納得することでなければこれは通用しないんだということも、もうしょっちゅう実は言っておるわけでございまして、国民代表として仕事をしているという自覚は毎日、日々新たに取り組んでまいるつもりでございます。
  52. 角田義一

    ○角田義一君 よく分かりました。是非そのお覚悟でお進めいただきたいということをお願いを申し上げておきます。  じゃ、ちょっと具体的な問題に入らせていただきますが、神戸連続児童殺傷事件の加害男性の仮退院のことについて若干お尋ねをいたします。  私自身、この問題について果たして国会で御質問するのがいいのか悪いのか、そのこと自体もう率直に言って悩みましたけれども、しかしその発表について、法務省のしかるべき立場の人たちも記者会見に同席をされておるわけでありますから、法務行政の一環としてやられたということになりますと、やはり若干の問題についてお尋ねをしておかなきゃならぬと思っております。  ただ、私は仮退院がいいとか悪いとか、本当に加害男性がもう再犯のおそれがあるのかないのかということをお尋ねする気持ちはありません。それは個々の事件の内容でございますから、そこまで立ち入るのはいかがかというふうに思っております。  一つどうしてもお聞きしたいのは、この加害男性の仮退院について公表されたということでございますね。公表するのがいいのか悪いのかということについては当然省内で大きな議論が私はあったろうというふうに推察をいたします。したがいまして、やっぱりなぜ発表したのか、あるいは発表するに至った経緯については私は国民皆さんに明らかにする責任法務省にはあるのではないかというふうに思いますので、まずその点をお聞きしたい。まず、ちょっと、大臣から。まず、粗っぽい話は大臣から。
  53. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) では、また詳細は事務局からお願いするとしまして、一番大事なことは、今回仮退院した男性が円満、円滑に社会復帰ができるかどうかというこれが一つございます。そのためには、やはり本人のプライバシーにかかわること、そういった問題については十分これは配慮しなければならない。同時にまた、社会に出ていくためには、社会のまた理解協力の方も必要であると。いたずらにこれを伏せておくことによりまして、要らぬせんさくやら何やらで本人並びにその周辺の皆様が大変傷付くようなことがあってはいけない。したがって、節度のある報道、節度ある、発表することによって、逆に本人の周辺の皆様も仕事が、生活がしやすいんじゃないかと。そして、立ち直りのための一つの段取りができるのかなと。  大変二律背反の面がございますけれども、今回ぎりぎりの判断で、本人のプライバシーと社会復帰による社会協力という面を併せ考えた結果がこの今回の公表という形になったということでございます。
  54. 津田賛平

    政府参考人(津田賛平君) この、ただいまお尋ねの件は、仮発表に至る省内の手続ということでございますので、お答え申し上げます。  この関係につきましては、省内の関係部局におきまして検討した結果に基づきまして、大臣の御判断により決定いたした次第でございます。
  55. 角田義一

    ○角田義一君 法務大臣の最終的な決断、決裁によってなされたというふうに理解をいたしますが、これは今日の段階では、大臣、別によるべき法律というか、そういうものは存在しないんだと思うんですけれども、そういうものがなくても、あえていろいろな総合的な御判断で踏ん切ったというか決断されたというふうに理解してよろしいですか。
  56. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 正に御指摘のとおりでございます。
  57. 角田義一

    ○角田義一君 二つ今後の疑問というのがあると思うんですが、あえて公開をしたんですけれども、遺族だけにそのことを知らせるので十分ではないのかと、それ以上のことは必要ではないのではないかという御指摘も片一方ではあります。もう一つは、公表によって果たして、先ほどちょっと大臣は一番大事なのは本人の更生だと、これからも保護観察やられるようでありますけれども、それは本当に十分できるのかなと、かえって阻害をされるんじゃないのかなと。先ほど、二律背反というか、相反する面があって非常に悩まれたということでございますが、その辺はどういうふうに、もう一度、御理解をされてやられたんでしょうか。
  58. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 一番大事なことはと申し上げましたが、やはりこの男性が今後社会に復帰していくためにはある程度社会的環境が整えられる、職業のまた環境も整えられる、そして周辺の温かい理解も必要であるという状況の中から、あらぬ報道、せんさくその他が過熱するというようなことがあっては具合が悪い。既にこの発表に先立ちまして幾つか報道もございましたが、必ずしも事実に立脚していないような報道も見受けられるわけでございますので、これはやはり必要な情報と必要な段取りをいたしまして、社会的環境を整えていくという意味で、発表に踏み切った方がいいじゃないかなと、こういうことでございます。  そして、今後とも節度のある報道に徹していただきまして、こういったこの問題を抱えた方が順調に社会に復帰し、更生ができる状況を整えていくことが大事ではないかなと思っておるわけでございます。
  59. 角田義一

    ○角田義一君 いろいろな関係、特にマスコミ関係とかそういう人たち協力を得なきゃならぬという問題もあると思います。  それで、この公表をきっかけにいたしまして、公表についてのルール化というようなことが言われておりますし、そういうことを提起する方もおりますが、私も保護行政についてはど素人でございますけれども、果たしてそのルール化という問題がそんな簡単にいくのかなという率直な気持ちもあります。むしろ、御批判は覚悟の上で、ケース・バイ・ケースということで慎重にやらざるを得ないのかなという、そういう気持ちもあって、私自身もこれがいいんだということは断言できないんですが、そのルール化の問題については今現在では法務省としてはどういうふうに考えておられるのか、そのことだけ今日は伺っておきたいと思っております。
  60. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 正に委員指摘の問題は私自身の問題でもあるわけでございまして、今回の少年事件のような事柄については、一概に一つの物差しやルールで押し切れるというものではないと思いまして、やっぱりその事件の重大性あるいはそのときの社会情勢、さらには家族を始めとする周辺の皆様状況等、個別に勘案し、慎重に判断をしなければならないことでございまして、ルール化につきましては今後の課題として検討すべきことと考えております。
  61. 角田義一

    ○角田義一君 では、この問題はこの程度で打ち切らせていただきます。  次に、先ほど吉田議員からも御指摘がございました治安の維持ということについて、法務大臣としてはこれは最大の関心事でもありますし、頑張っていただくわけでありますが、その治安の維持に当たるべき警察がまたぞろ、事もあろうに、懲りない面々というふうに私、申し上げたいと思うが、北海道、静岡、福岡ということで続々と不正事実というものが、住民の証拠開示というか、情報公開をきっかけに次から出て、大変なていたらくを今やっておる。これで本当に、こんなことで本当に国民から信頼される警察と言えるのか。これは法務大臣としても私は大変憂うべきことだと思うんですよ。  こういう一連のこの事態に対して、法務大臣として、まずどういう御感想を持っておられるか。それから、自分の管轄じゃないにしても、これは一番関心のあるところでありますし、警察もしっかりしてもらわにゃならぬわけですから、どういうことを望むのか。その二つについて、まず大臣からの所信を私は聞いておきたいと思います。
  62. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 私が直接お答えすることが適切であるかどうかは一つございますが、また、具体的な内容につきましてはまだ十分私も承知しているわけではございませんが、報道されている状況のとおりであるとすれば、大変これは憂うべき事態であると考えております。  これにつきましては、やはり委員指摘のとおり、公平公正な取締りを進める、さらにはそれによって日本治安回復していく、そういう立場にある者としては、今後ともやはり厳正に対処し、二度とこのようなことが起こらないようにすることが大事ではないかと考えるわけでございます。
  63. 角田義一

    ○角田義一君 警察庁官房長、今の私の質問に対して答えてください。
  64. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) お答え申し上げます。  まず北海道の事案でございますが、北海道の旭川中央警察署における平成七年五月、それと平成九年九月分の道の捜査用報償費約五十万円に関しまして不適正な予算執行が見られました。また、静岡県警察におきましては、総務課の平成七年度の県費旅費のいわゆる空出張九百四十万円等が判明をいたしました。誠に遺憾でございます。  また、元福岡県警の銃器対策課員が、匿名でございますが、本人が在職をしておりました平成七年から十一年までの間、裏金を作っていたとする内容の記者会見を行ったところでございます。現在、関係の道県警察におきましてそれぞれの道県公安委員会の指示を受けて全容解明に向けて鋭意調査実施しているところでございます。  警察庁におきましては、国家公安委員会から、事案を早期に解明して国民の信頼を回復するようにと指示を受けたところでございまして、警察庁内に官房長を長とする予算執行検討委員会を二月十三日に設置をいたしました。  この委員会では、まず関係道県警察と連携をして事案の解明に努めているところでございまして、事案の全容が明らかになった段階で厳正に対処をいたしたいと考えております。  それから二つ目に、この委員会におきましては会計経理における透明性の確保方策についても現在検討しておりまして、既に県費の捜査費執行に対する監査委員への対応の在り方につきまして、監査委員等から捜査員に対する聞き取り調査の要求が行われたときは、特段の業務上の支障がない限りこれに応じるよう配意するとともに、二つ目は捜査協力者から領収書を徴取する場合に、本人以外の名義による領収書についてはこれを徴取しないこととする旨、都道府県警察に対し指示をしているところでありまして、今後とも予算執行の一層の適正化に努めてまいりたいと考えております。
  65. 角田義一

    ○角田義一君 まず申し上げたいのは、例えば北海道の道警が、一連の対応の姿勢というものは、私は非常にまずいんじゃないかと思いますね。  例えば、幾つか申し上げると、最初コピーというか文書、これを受け取れと言ったら、北海道の道警はこれを受け取らないと、受け取りをすら拒否した。それで、今度はいろいろ調べたいから会わせてくれと言ったら、それも会わせない、拒否をする。余り世論の批判が激しいので次から次へとそれらについては対応をしていったわけなんでしょうけれども、何かあれじゃないんですか、官房長、国民からそういうことを言われるのを、おまえら黙っていろと、おれたちは警察で一生懸命やっているんだからそんなことを言うんじゃないよと、こういうおごりの高ぶりというのがあなた方に、根底にあるんじゃないんですか。だから対応が非常にまずいし、人をばかにしたような対応を取ってきたから余計事態がこじれるのと違うんですか。警察庁は、警察庁はどういう監督をしているんだね、指示しているんだね。
  66. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 委員既に御承知のとおり、現行の警察制度は警察事務の執行を原則として都道府県警察にゆだねておるところでございまして、都道府県警察における予算執行に関する問題については、まず第一次的にはそれぞれの都道府県警察において公安委員会の管理の下、対応をすべきものと考えておるところでございます。  ただ、御指摘のように、この北海道の問題につきましては昨年の十一月に一部で報道がなされたわけでありますが、当初、その後の十二月の道議会におきまして、北海道警察として、当初は出所が明らかでない資料を受け取る必要はないということで議会答弁をしておるのは事実でございます。しかしながら、今年の二月九日でございますが、住民監査請求の監査結果におきまして非常に疑問があるという指摘を受けたこと、あるいは翌日、二月十日でございますが、元北海道警の釧路方面本部長が記者会見をしていろいろと発言をされたというその発言を重く受け止めまして、北海道警察におきましても事案の概要、事案の詳細について調査実施をしますということを発表いたしました。加えて、三月二日に北海道議会におきまして北海道警本部長が、更に調査を行う必要があることを見通せず、道民の皆様の疑惑を増幅させ、警察に対する信頼を低下させたとして謝罪をしております。  また、三月十二日には、先ほど御説明いたしました北海道の旭川中央署の捜査用報償費に関する調査状況について報告をしたわけでありますが、不適正な予算執行が認められたということで、それを明らかにして謝罪をしたということでございますので、私どももちろん、警察庁の立場ではもちろんでございますが、北海道警察と十分連携をして事案の全貌をこれからも早急に解明をして、しかるべき措置を取っていきたいというふうに考えております。
  67. 角田義一

    ○角田義一君 ここは所管の委員会じゃないから余り細かいことは私は答弁求めないんだけれども、先ほどの予算執行検討委員会というのを作るということ、それは私は結構だと思いますけれども、ただ、よろしいか、官房長、その問題になっている三つの県警についていろいろ調査を徹底的に究明したいと、こう言っているんだけれども国民は、いいですか、ここが大事よ、国民はこれらの手口はその三つの、北海道、福岡、静岡、これだけじゃないんじゃないかと、みんなそう思っているんですよ。現に、ほとんどの警察の関係者はみんなそう言っている。いろんなことで発覚したのは三つだけだと。これ、全国的にやられていると。しかも、北海道の例を取れば、あるいは、ばれないように予行演習までやって、そして監査の予行演習やって、余りよくできないともうちょっと勉強しなさいと、こういうことを言って隠ぺいするようなことを警察庁はやってきたじゃないか。  この予算執行委員会というのは、三つのことだけやればいいんですか。それとも、この際、本当に腹をぶっちゃけて国民の前にうみ全部出して、本当の信頼得るならそれは痛みはあるかもしれないけれどもやるかと、徹底的に全部調査してみるかと、こういうことにはならないのか、なるのかということを聞きたいんだよ。
  68. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 私どもは、ちょうど平成十一年と十二年にいろいろと警察不祥事が続発をいたしまして、平成十二年に警察刷新会議を国家公安委員会の求めで発足をし、その夏には提言をいただきまして、警察改革要綱というものを警察庁と国家公安委員会でこしらえまして、今その改革推進に当たっているところでございます。  また、非常に治安情勢が厳しいということでもございますので、きちんとした仕事を、信頼に、国民から信頼を得られるような形で組織を組み立て、そして仕事をしていかなければならないというふうに思っているところでございます。  それで、そのときの警察刷新会議から提言を受けたわけでありますが、このとき既に、例えば警察の閉鎖性の問題でありますとか、国民の批判あるいは意見を受けにくい体質があるということの指摘をなされました。そこで、最大限私どもとしては、ただいま申し上げましたような改革要綱を取りまとめて、警察行政の透明性の確保と自浄機能の強化ということについて根本的な対策推進をすることとし、またしているつもりでございます。  御指摘予算執行検討委員会でございますが、これは先ほども御説明いたしましたように、個別の不正経理があるのではないかという個別の事案が発生したときに、まずは第一次的には当該都道府県警察が当該公安委員会の管理の下に事案を明らかにすべきではありますけれども、そこと、その県と十分連携をしてまず事実関係を解明をしていこうということでありますから、その事務に当たっておりますのが一つと、二つ目は、今後、現在から今後にかけて透明性を高める警察経理の、会計経理の在り方について方策を具体的に検討していこうということで検討をし、先ほども申し上げましたような施策を打ち出しているところでございます。  委員がおっしゃいます不正の有無について全国調査ということではございますが、その点につきましては、具体的な不適正事案あるいは疑惑が出た場合は、これは既に、これまで関係道府県警察において公安委員会の指示を受けて、現在、鋭意調査を進めているところでございます。  警察におきましては、先ほど御紹介しましたような警察改革の一環として、言わば情報公開を最大限に進めると。この際にも捜査の秘密という問題がありますので、そことのバランスを取りながら折り合いを付けて進めていく必要があるわけでありますが、それでも最大限情報公開をしていこうということ。  あるいはまた、従前、捜査費がなかなか現場の捜査員が使いやすいものになっていないのではないかという指摘がありました。これは、具体的には、実は捜査に当たってタクシーに急に乗ったということで立替払をしたというときに、幾ら幾ら使いましたということを事後報告をしてそのお金をもらうということにそれまではなっておりましたが、これでは自腹を切る人も出てくるかもしれないということで、平成十三年度から、十三年度から捜査諸雑費制度というものを導入をして、例えば警察署の刑事課の刑事一人一人に五千円なら五千円、一万円なら一万円をそれぞれ渡して、多頻度にわたる少額のその種の出費については月初めに一定額を渡して、足りない場合は追加配賦もあり得るわけですが、一月たった時点で精算をきちんとして、残りがあれば返してもらう、精算をするということで、少しでも使い勝手のいい捜査費の執行にしていこうというようなことも実は今やっておるわけでございます。  そういうこともございますので、現在、テロ対策あるいは犯罪の抑止等に全力を挙げなきゃいかぬということでもございますから、全国的にこれを一斉にやるということになると相当の精力をそちらに注がなきゃいかぬということもございますので、現時点におきましては、私どもとして全国的な点検、調査については、これは考えていないというのが結論でございます。
  69. 角田義一

    ○角田義一君 恐らくあなた方の方はそういう気持ちでいても、これだけ問題になってくると、各県の知事さんは、自分が査定をして出した例えば報償費というものが本当に合理的に使われているのかどうか、みんな疑問に思ってきているんですよ、と思っています、僕は。そうすると、各々の議会において、議会対応の中で当然この監査請求というものを恐らくどんどんやってくるだろうと、要求してくるだろうと思う。住民も要求するだろうと思いますよ。そのときに一つだけ、私、念を押しておきたいけれども、きちっと、今までのようなことじゃなくて、それは真摯にきちっと対応するかどうかということが一つ。  時間がないから、もう端的にいきます。  先ほど偽の領収書の発行をやめさせると言ったわけだね。ところが、今までの会計検査院は偽名の領収書を作ってもいいと言っているんですよ。問題は、偽名の領収書を作るか作らぬかということじゃないんだ。報償費がちゃんと相手に渡っているか渡っていないかが問題なんだ。渡っていないで、偽名の領収書を使ってプールして、それを私的に流用するということが問題なんだ。  だから、もっと端的に言えば、どういう制度、もちろんそれはできないようにするのもいいかもしれないけれども、一番大事なことは、そういう不正、空出張とか、そういうものは絶対やらせないんだ、これからあっちゃならないんだという意識改革なりをどう進めるかというのが官房長、警察庁の最大の任務じゃないのかね。そこを私は聞きたいんだよ。それはどういう政策でそれをきちっとやるのかということですよ。
  70. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 最初のお尋ねの一点目の監査の問題でございますが、これは北海道におきましても道知事から監査の要求が既になされたというようなこともございます。  これに対しましては、先ほども御説明いたしましたように、あくまでそれぞれの府県の問題であろうかと思いますが、警察庁から通達を出しまして、監査委員ですとか監査委員の事務局職員が、なかなか書面による監査、あるいは捜査幹部の説明をもってしても心証を得られないということで捜査員に会わせてもらいたいというふうな御要望があった場合には、これは特段の業務上の支障というのは、具体的には当該捜査員が今捜査活動で外に行っていないとか、あるいは取調べ中だというようなときはなかなか即会わせるということは難しゅうございますから、そういう場合は除いてこれに応じるように配慮すべきだということを出しておりますので、そのように府県警の方では対応すると思います。  それから、二番目の偽名の領収書の問題でございますが、これは本人名義で領収書が取れる場合は問題ないわけでありますけれども、なかなか実態としては書いていただけない、あるいは他人名義のものしかもらえないということがありますが、これが、もらった当座は組織捜査をやっていますからよろしいんですが、もし何年かたって、ある名義の領収書があって、これが本名なのかそうでないのかということが一〇〇%完全に分かるのかという議論もあります。  したがって、議論の整理としまして、領収書を徴取する場合には本人名義のものしか取らないと、それはもう一切これからは取らないと、来年度から。その代わりといいますか、その領収書を、確かにお金を払ったということが証明できなければなりませんので、それは別途の方法で、今時間もあれですので詳しくは申し上げませんけれども、具体的な担保手段を講じて、これを県警に周知徹底をせしめて、妙なことにならないようにそれはやってまいりたいというふうに思っております。
  71. 角田義一

    ○角田義一君 それから、一番大事なこと。
  72. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 先ほど申し上げましたように、十一年、十二年で私ども組織は痛い目に遭っておりまして、これを再スタートということで、現在、その透明性の確保、それから国民の信頼に足る警察活動をやっていかなきゃいかぬということで進めているところでございますので、その趣旨を更に第一線に徹底するとともに、その仕組みの話として、今申し上げました領収書の話でありますとか監査の受け方の問題でありますとか、そういうところもきちっと仕組みの問題として支えながら、そこへ魂を入れていくということを是非これから徹底をしていきたいと思っております。
  73. 角田義一

    ○角田義一君 最後に申し上げておくけれども国民は、治安を維持するためにお巡りさんが一生懸命やる、ほとんどのお巡りさんが一生懸命やっているということに対しては感謝もしていると思うんですよ。だから、必要な捜査とか費用とか夜食のあれだとか、必要なものだったら堂々と請求すればいいんですよ。こちょこちょこちょこちょやることないんだ。その代わり、悪いことはやらないと、正すものはちゃんと正すと、ただし、しっかりやるからこういうものは要るんだと、これが大事なんですよ、そういうけじめ、ぴしぴしっというのが。そう思わないか、あなた。
  74. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 厳しい予算のシーリングの中で予算確保をしていくということでありますから、いただいた予算を適正にめり張りが付くようにきちんとした形で執行するということは努めてまいりたいと思いますし、全体の警察活動を、繰り返しになりますが、国民の信頼に足るきちんとした活動が全体として全国行えるように更に私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  75. 角田義一

    ○角田義一君 官房長はもうよろしい。忙しかったらいいですよ、委員長の許可いただいて帰ってください。  次に、司法制度改革について若干お尋ねしますが、先ほど吉田委員からもお話がございましたが、まあ釈迦に説法ですけれども日本の司法制度、裁判制度というのは、いっとき陪審員制度がありましたけれども、ずっと一貫して戦前、戦後、特に戦後もそうですが、言わば裁判官、検察官、弁護士というプロというか玄人というか、そういう人たちがつかさどってきたわけでありまして、一般の国民から見れば一番遠い存在であります。  しかし、今度の裁判員制度というのは、これはもう私に言わせると、司法改革というよりは、革命なんという言葉は自民党さんがうんと嫌がるんだけれども、あえて申すると私は司法革命だというぐらいの認識を持っております。なぜかといいますと、当然国民主権なんですけれども、裁判だとかそういう問題については国民はどちらかといえば統治の対象にされていたわけだと思うんですね。しかし、これがまだ、参加して有罪、無罪を決めるとか量刑を決めるとかということになると、正に社会秩序、国家秩序を国民自らがその一翼を担うということになるわけで、これは統治の対象から統治の主体へという、コペルニクス的な転回になるんじゃないかと私は、自分ではそういう認識をしておるんです。  したがって、これは日本の民主主義の今後の発展にとっても、二十年、三十年という長いスパンで見た場合に、いろいろなこの制度の欠陥なりを正さなきゃならぬ問題は私はうんとあると思うけれども、基本的にはそういう私は認識に立って事を進めてもらわないと、この制度というものはいろいろな、抵抗と言うとちょっといろいろ語弊があるんだが、障害を乗り越えられないんじゃないかと思いますね。  現に、裁判官の中だって検察官の中だって、恐らく意識の底には、自分たちは一生懸命やってきたと。それなりにちゃんとやってきたし、ちゃんとやってきたと。別に間違いはなかったと思うが、何で今更そんな素人さんが入ってくるんだということについての違和感なり、そういうものは私はないと言えばうそになると思うんですよ。それとも闘わなきゃならぬわけだから、法務大臣、これは容易なことじゃないと思いますが、どうですか。
  76. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 正に委員指摘のとおり、司法制度の正に改革よりも革命に近いんじゃないかと、こういう御指摘がございましたが、私もその点については同感でございます。  民主主義の歴史を考えますと、この司法の世界でも、やはりみんなで集まってみんなで裁判をしたという、発生過程ではそういった歴史もあるわけでございますが、今日発達した三権分立の世界の中で、正に司法の世界というのは、私は最もある意味で信頼され、信用された世界ではなかったかと思います。それがゆえに逆に国民から遠くなったり、あるいは時代の流れから後れたりということが今日非常に問題として取り上げられているわけでございますので、これをやはり正常の姿に戻していくということが今回の改革の中で非常に重要なことであろうかと思います。  そして、素人の方に裁かれたくないとか、あるいは素人が何を言うかという御意見があることも承知しておりますが、しかし、私ども国会議員は少なくともその素人の皆さんを含めた国民皆様から選ばれてこうして仕事をしているわけでございますから、これはやはり全体として民主主義の基本の理念に触れる問題、触れる問題であり、これからもその常識というものを信頼して政治も行政も司法も進めることが大事と考えておるわけでございます。  その意味で、今回のこの裁判員制度は正にその象徴的な法案であると考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  77. 角田義一

    ○角田義一君 この法案はいずれ来るんでしょうから、そのときに徹底的にまた議論をさしていただきたいと思っておりますが。  裁判員になる方にいろいろな負担を強いるというか負担が課されるというのは、これは客観的事実だと思うんですね。だけど、その負担のことばっかり言いますと、みんなしり込みして後ろへ下がっちゃうんですよ。負担じゃなくて、むしろ、私がさっき言ったように、統治の対象から統治の主体に転換をするんだということになりますと、むしろ権利として、権利として参加してもらうんだという発想に立つと、また全然展望が違ってくるだろうというふうに思うんです。  そういうことになりますと、辞退をする中に、何だか知らない、だれか知恵付けたのがいて、思想、信条の何か理由をくっ付けりゃ辞退ができるようなことを政令でやりたいとかいうような、とんでもないことを考えている人がいるやに聞いておるんだけれども、私はこれはとても賛成できませんな。何の思想、信条であれなんですか、辞退できるんですか。どういう思想、信条で辞退できるんですか。もしそんなことを堂々と、何の制限もなく認めていったら、この制度は根底から崩れますぜ。  どう思います、大臣。あるいは、あれだ、省であずかっている者、だれか答弁してください。
  78. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) この裁判員の皆様のいわゆる御負担を過重なものにしないというためには、やはり一定のやむを得ない事由というものはある程度認めなければならない、これは御理解をいただけると思いますが、その内容は具体的に政令でやむを得ない事由として明確にすると。これもまあ、そのように今取り計らっておりますが、この思想、良心の自由というような言わば一番大事な部分、憲法上の権利にもなっているこの問題につきまして、これを政令で決めるということについてどうかと、お尋ねのポイントだろうと思います。  しかしながら、どうしても死刑を伴うような重大な判決については、その考えからしても賛成できないんだという方も中にはいらっしゃるだろうと思います。この点につきまして、これからの法律を実際施行する過程の中で、十分各方面の御理解をいただきながら、どのような形に具体化するか、今後の取組としてわきまえて進んでまいるつもりでございます。
  79. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 大臣からも御答弁ございましたけれども、思想、良心の自由、これは憲法上保障された権利でございます。これを侵していいということにはならないということは間違いないんだろうと思います。  これは、じゃ、どういう場面を言うかということでございますけれども、多分こういう典型例だと思いますが、そもそも人が人を裁くと、こういうような制度については、自分としては信条としては認めたくないと、認めないと、こういう考え方だろうと思います。ただ嫌だ嫌だと言っている方とは全く違います、そこは。それを言っているわけでございます。  その場合に、そういう申立て、申出があったときに、それをどういうふうに受け止めるかということでございますけれども、本当にそうだということになったときにそれを認めないということになったら、憲法上の権利との関係はどうなるかということがございます。  いずれにしましても、そういう事由に当たるのかそうでないのかということは裁判でチェックをするということになります。そういう考えでできているわけでございます。  それからもう一つ、政令との関係でございますけれども大臣からも御答弁ございましたけれども、私も、この法律十六条でございますけれども、やむを得ない事由として、典型例として四つの事由を掲げております。健康の問題、それから仕事上の問題ですね、そういう、それから社会生活上の必要の問題ですね、そういうこと。あるいは養育とかそういう関係があるということでございますが、これはもう典型的な例として法律で掲げさしていただいておりますけれども、それ以外に政令で定めるやむを得ない事由ということが、典型とは言えないかもしれないけれども、明らかにしておく必要があるものということでございます。  ただいま申し上げましたその思想、良心の自由に関して、これが典型的かと言われますと、片や憲法では裁判制度というのを設けているわけでございまして、人が人を裁く制度があるわけでございます。そうなりますと、その衝突になりますけれども、じゃ、そういう社会で暮らしている方で、本当に、その思想、良心に反するからこれは自分としてはやらないという方が本当に典型的かと言われると、そう典型的ではないだろうという判断でございます。  したがいまして、それは政令でその趣旨を定めるということで足りるだろうということでこのような考え方を取らしていただいたところでございます。
  80. 角田義一

    ○角田義一君 よく分からないところもあるんだけれども、今日はこういう問題提起だけしておきますよ。あとは、法案がいずれ来るでしょうから、そのときにまたぎっちり議論する。時間、私の持ち時間はあるから、今日はこれだけにしておきますが。  次に、行革会議ですな、行刑改革会議提言について二つだけ聞いておきたい。  これは先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、すばらしい私はこれは提言だと思いますよ。いろいろな方が本当に御苦労されて立派なものを作って、この文章生き生きしていますね。いい文章ですよ、久しぶりにお役人の作った、お役人と言っちゃいけないな、こういう提言とすれば、非常に感銘の受ける、私は本当に真摯に作られたいい提言だなと思っているんですね。高く評価したいと思うし、このメンバーの方々に私は心から敬意を表します。と同時に、この提言というものをどうやっぱりやるかというのは、正にこれからの、大臣、最大の任務だと思うんです。  二つだけ聞いておきます。  一つは、この中で、刑事施設視察委員会というのを作れと。これは国民が参加して、行刑を開かれたものにする等のいろいろ提言をしなきゃならぬということで、これは具体的にこの提言があるんですから、これはやらないわけにいかないでしょう。まず、やるかやらないかということですな、それが一つと。どういう目安で、あるいはどういう手順で今後、およそでいいです、そんなぴたっとした青写真を私は要求していない。しかし、こういう構想でいきたいとか、このくらいの時期には発足させたいとか、あらあらのものがあってもいいと思うんですよ。これをお話し願いたい。
  81. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) この委員会の設置、外部の有識者の方々刑務所を見ていただき、御提言をいただき、あるいは改善を進めていく、その一つの国民皆様の判断という、開かれた刑務所の言わばシンボル的なこれは委員会考えていただければよろしいかと思います。  そして、これは極めて重要でございますし、権限その他もございますために、法改正が必要ではないかと今考えられておりますので、監獄法改正見直しの中で議論していただくことが適切かと思っております。  そして、これは当然、各全国に及んでおります刑務所それぞれの地域性等も考えますので、地域を主体に考えまして、刑務所が開かれた存在として地域皆様との意見を疎通させるという意味でも大事な存在と考えておりまして、必ず実現をさせたいと私は考えております。
  82. 角田義一

    ○角田義一君 これはね、ああっと、時間がないな、監獄法との関係でこれをやっていくということになるとちょっと容易でないような気もしますが、これだけ名古屋の刑務所の問題が起きましたので、監獄法でどうしても手の付かない問題とかいろいろあると思いますけれども、それはそれとしておいても、やるべきことはやるということで何とか監獄法改正はこぎ着けなけりゃならぬと思うが、それは皆さん、幕下に知恵があるのが一杯いるんだから、監獄法改正までしなくてこれが何とかできるような法律がもし必要なら、そういうことも考えたらいいんじゃないかと思いますが、大臣、どうですか。
  83. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) もちろん、今委員おっしゃるように、法改正を要しなくてもできるならばそれにこしたことはございませんので、その要否も含めての検討と、このように理解していただければ結構でございます。
  84. 角田義一

    ○角田義一君 あともう一点は、先ほども吉田議員から指摘がありましたけれども刑務官が非常に足らないということでこの提言にもあるんですが、イギリスが何ぼとかフランスが、アメリカが何ぼと書いてありますけれども、最低でも六千人を超える人間が必要だと。今後、五年間でも五千二百人の人間が増えなけりゃ駄目だと、こういう提言があるんですね。これ大変なことだと思うんですよ。  今年は何人やるのかと言ったら、二百三十人ぐらい、これもう画期的だと、こう言うんだね。画期的だと、二百三十人も増員認めてもらうのは画期的だと。だけど、毎年二百三十人だと二十年掛かるわな、五千人やるには。どういうふうにやるんだと言ったら、それは単独、単体のこの単年度の予算でございますから説明できないと、こう来たもんで。だったら、その制度を変えればいいじゃないですか。二十年も掛けて五千人にするなんて、そんな悠長なこと言っていられないんじゃないんですか。大臣、どう思います。
  85. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 今年は正に画期的な形で、今までずっと減り続けておりましたこの刑務官増員させていただくと、こういうことになりました。しかし、必要あるいは望ましい数からしたら、委員指摘のとおり、まだまだはるか目標は先にあるわけでございます。  現在、私どもがこの、これまでの努力を更に、今後とももし受刑者収容人員が増えるということであるならば更なる取組をしなければならないという深刻な課題を抱えながらの今年のこの実績でございますが、これから一つの希望といたしましては、PFIによる刑務所の新設というものが調査を認められ、既に山口県美祢市において一つのモデル事業をやろうということで準備を進めておるわけでございます。  これは、民間の資金とそれから民間の能力とノウハウを活用してということで、いわゆる公権力の行使にかかわる部分については大変難しいかと思いますが、その他一般の刑務所運営につきましては大幅に民間の力をおかりできる、それを活用して進められるということで、これが成功いたしますれば、現在私どもが進めておりますこの全体の刑務所運営についてもその考え方等を適用した上で、要員の生み出しその他工夫が可能ではないかと。これは想定もできますので、今後とも一層努力し、工夫しながら、この充足に努めてまいりたいと思っております。
  86. 角田義一

    ○角田義一君 これもまた突っ込んだ話はまたいずれやらしていただきますが、最後になりますけれども、行革会議がやったアンケート、受刑者のアンケートの中に、日用品の物品の購入について受刑者が非常に高価なものを買わされておるという指摘と、それからその範囲も不満足だという指摘がアンケートの中に出ているんですよ。そして、そのメンバーの一人が、財団法人矯正協会と有限会社矯正弘済会との関係の中で受刑者が不当に高いものを買わされているんじゃないかと、あるいはまた、どうも法務一家というような形でその辺の商取引とはいえ極めてあいまいな形で事が進んでいるんじゃないかと、最終的にはやっぱり受刑者が高いものを買わされておるんじゃないかと、こういうことが一部の新聞でも報道され、問題視されているわけです。  これは、私は看過できないと思うんで、単なるこれはもう民間の取引ではありませんね。というのは、矯正協会の支部長というのは各刑務所長がやっていて、それとの取引ですから、これもう完全に私ども関心を持つべき対象であると思っておるんで、これについて、まず法務省としてこの事実関係なり今後の対応なりについてどういうふうに考えておるか、これは急所を端的に答弁してください。
  87. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のような新聞報道も最近なされたところでございます。  矯正協会は、矯正処遇充実に関する協力及び会員の福利厚生に関する助成などを行うことなどとして、矯正行政の運営に協力することを目的とする社団法人でございまして、同協会がどのような業者からいかなる価格で商品を仕入れるかにつきましては基本的には商取引の関係でございます。これは委員おっしゃったとおりでございます。  しかし、商品の購入者に受刑者が含まれていることを考えますと、その販売価格が適正でなければなりませんし、また、かりそめにも仕入れ業者との癒着により価格が不当に高いものであってはならないことはもちろんであります。また、販売による収益も財団法人としての公益性のある目的に従って適正に使用される必要がございます。  そこで、当局といたしましても、現在、これらの観点から問題がないかどうか全国的な調査実施したところでございます。その調査結果を踏まえまして、必要があれば適切に矯正協会を指導していくこととしていきたいと思っております。  以上です。
  88. 角田義一

    ○角田義一君 ここはやっぱり受刑者の信頼をちゃんと確立するためにも、しっかりまず調査すべきは調査をし、正すべきは正すという方針で臨んでもらわにゃならぬと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  89. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 受刑者の福利厚生並びに刑務所が今後とも公平公正に運営されると、いろんな角度から考えましてこの御趣旨に沿った運営をしていくべきだと考えております。
  90. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 一点ちょっと、私、言い間違えたようでございますので。  矯正協会、社団法人と申し上げたそうですが、財団法人でございますので、その点だけ訂正いたします。
  91. 山本保

    委員長山本保君) よろしいですか。
  92. 角田義一

    ○角田義一君 終わります。
  93. 千葉景子

    ○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。  同僚の角田委員に引き続きまして、何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、私もちょっと改めてびっくりをいたしたんですけれども法務省もそれぞれ情報の提供にいろいろと努められておりまして、入管、入国管理局もいろいろホームページを持っておられます。ちょっと出しますと、こんなきれいなカラー刷りで出てくるんですけれども、実はこのホームページ上に、本年二月十六日にメールによる不法滞在者の情報受付システムというのが開設をされております。  大臣所信等でもお伺いをいたしましたけれども、従来から入管でも、不法滞在者についての様々な情報を市民から電話とかあるいは手紙などで募ってきたという経過はございます。そしてそういう中で、多分こういうことだと思うんですけれども、昨年十二月十八日、犯罪に強い社会実現のための行動計画、これは犯罪対策閣僚会議決定されたものですが、そういうものが発表されまして、犯罪の温床となる不法滞在の外国人約二十五万人を今後五年間で半減させようと、こういうことが方針として打ち出されました。こういうことが背景になって、この情報を取得をする、電話とか手紙などではなくしてメールによっても情報を集めようと、こういうことになったのではないかというふうに私も推測をいたします。  このメールによる情報受付システムというのは、寄せられた情報が、それぞれ関係する、働いておれば働き先、あるいは居住地を管轄する地方入国管理局とかその支局に送られ、届けられて、その情報が活用されると、こういうような仕組みになっているようですが、このホームページ上での情報取得のシステムというのはおおよそこういうことでよろしいんでしょうか。
  94. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) ただいまお尋ねをいただきましたとおり、この情報提供受付は、入管法の第六十二条第一項で、何人も第二十四条各号、これは退去強制事由ですが、退去強制事由に該当すると思料する外国人を知ったときにはその旨を通報することができるという規定がございまして、従来も入管局では、国民皆様方から電話とかあるいは手紙などでこの退去強制事由、例えば不法入国であるとか不法残留の疑いがあるような外国人の情報をいただいてまいりました。  その過程で、国民方々から、二十四時間いつでも発信できる電子メールでも情報提供したいと、こういう声がございまして、昨今のインターネットを利用した電子メール、これが広く普及している事情にもかんがみまして、電子メールも利用して情報提供をしていただこうと、こういうことで、今般、入管局のホームページに情報受付の項目を設けたものでございます。  そして、お寄せいただいた情報につきましては、先ほど委員から御指摘がございましたとおり、それぞれその情報を所管する地方入管においてこれを受けた後、内容を精査、分析して、優先度なども勘案しながら不法滞在などの外国人摘発の端緒として活用していくということを考えているものでございます。
  95. 千葉景子

    ○千葉景子君 これまでも先ほど言ったように電話とかあるいは手紙などでの情報が寄せられていたということですけれども、聞く範囲で、私が知り得た範囲ではございますけれども、そういう中でも、実際に寄せられる情報というのは、必ずしも根拠のないものも含まれているようでもございますし、あるいはいたずらのようなもの、あるいは勘違いであったというようなものもあるということも言われております。  そういう状況の中で今回のまたメールということになるんですけれども、これを見ますと、別に自分の出所、出所というか名前を明かしたりそういうことをしなくても、匿名を希望すればそれでも構わないということになってもおります。  こうなるといろんなケースが出てくるんだろうというふうに思いますが、これ、どうなんでしょうか、報道などによりますと、開設後五日間で二百件の情報が寄せられたと、開設が二月十六日ですから。それから更に日数がたっておりますけれども、どうなんでしょうか、これまでどのくらいの情報が寄せられていて、そして具体的には、内容としてはどういうものが寄せられてきているのでしょうか、御説明いただきたいと思います。
  96. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) 先週の三月十一日まで、二月十六日からの間ですけれども、寄せられた情報は約七百八十件に上っております。  内容についてのお尋ねでございますけれども、これは、今、それぞれの地方入管においてこの内容を分析している段階でございますので、まだ具体的にここでお答えできる段階にはございません。
  97. 千葉景子

    ○千葉景子君 かなりの数が寄せられているんですけれども、ただ、この情報のホームページ、メールでの情報なんですが、大変やりやすいというか、先ほど言ったように匿名でもできるということでもございます。  それから、情報画面を見ますと、外国人の名前、国籍、見掛けた場所などを記入できるようになっているんですけれども、ただ、問題はその通報の動機ですね。本来、通報というのは、不法滞在であるということが推測される理由をやっぱり記載をするとか、あるいはそういうことを挙げて通報するということが本来通報ということの趣旨だろうというふうに思うんですが、このホームページでは、こういうときも通報して結構ですよ、どんどんやりなさいとなっているんですが、その動機を選択する項目としては、不安とか近所迷惑とか、違反者のために解雇されたとか、違反者のために求職ができないとか、こういう項目が挙げられているんです。  これは、考えてみますと、こういうことで通報を認める、あるいは寄せてもらうということになると、何でもいいんだと。ちょっと何となく気味が悪いなといっても通報する、あるいはいろんな、外国の方ですと、地域の中でも、やっぱりそれぞれの文化の違いとかそういうことなどもあって多少摩擦が起こることもある、そういうことになると、近所迷惑、これで通報すると。こういうようなことが言わば助長されるというんでしょうか、そういうことにつながるのではないかというふうに思います。  しかも、匿名性という、これまでのやっぱり手紙とか電話とかいうことになりますと、それなりに意を決して、やっぱりこれは問題がありそうだから通報しようということになるわけですけれども、匿名で、しかも、今、若い皆さんなんかでもどんどんやりますけれども、メールでぷっとクリックすれば通報できるということになるわけで、非常に私は、何か安易にこの外国人に対するというか、いろんな不安を助長するむしろ契機になってしまうのではないかというふうに思っております。  これにはいろんな問題点指摘がありまして、先ほど申し上げましたように、これが本当に通報ということに適切に対応するような措置なのだろうかということもありますし、それから、日本もこれから国際的な社会の中で共生の社会外国人皆さんも今たくさん日本に居住をし、そしていろいろな活動を展開をし、そしてともに社会の支え役となっているというような時代でもございます。  そういう中で、日本も国際条約をきちっと遵守をしながら、多文化共生の社会を目指そうと、こういう時代でございまして、むしろそういうために法務省は人権を、外国人皆さんの人権もきちっと保障し、そしてともに支え合っていくことのできるような、そういうむしろ積極的な対応を取っていかなければいけないと、こういうことではないかというふうに思います。  ところが、こういう、何か外国人の方を見たら通報していいんですよ、不安とか近所迷惑と。こんなことは別にちょっとしたことでも感じたりすることがあるわけでして、いずれにしても、こういうことをこのホームページで挙げるということは、誤ったやはり外国の人に対する偏見を助長したり、それから外国人皆さんに対する排外的な意識をむしろ強化をしていくということにつながっていくのではないかというふうに思いますが、こういう点について、大臣、こういうホームページを開設をし、通報を受けるというようなことに当たって大臣は何かお考えになりませんでしたでしょうか。
  98. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 今先生御指摘がありましたけれども我が国に入国し、また在留しておられる外国人のほとんどの方がルールを守っておることは言うまでもございません。また一方、残念ながら、我が国には約二十五万人にも及ぶ不法滞在の外国人が存在していると思われます。  社会の安全と秩序を維持するために、不法滞在者に対して厳格に対応することもまた法務省に対する国民社会の要請であると考えております。そのためには積極的な摘発活動を行う必要がありますし、これまでも電話、またお手紙で国民方々からお寄せいただく様々な情報は摘発の貴重な端緒となっております。そのような情報をお寄せくださる方から電子メールで情報を提供していただきたいという声があり、情報提供を受け付ける手段を新たに加えたのが今回の取組でございます。  法務省といたしましても、今回のメールによります不法滞在者等の情報提供等が人権条約違反などの問題を生じさせないように十分配慮した、徹底した上で活用をしていくこととしております。
  99. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、人権条約等に違反しないように活用していくというお話でしたけれども、どうでしょうか、逆に言えば、人権条約、人種差別撤廃条約にむしろ既に抵触をすることになるのではないかというふうに思います。  人種差別撤廃条約の例えば第二条第一項というところには、細かくは読み上げませんけれども、締約国が人種間の分断を強化するようなことをしてはならないと、それからいかなる人種差別につながるようなことをしてはならないということが明確にされているわけでもございますし、今回のこのような、ただ不安だとかあるいは近所迷惑だとか、そういうようなことを理由にして外国人に対する不当な通報行為を助長するというようなことは、私はやはりこの人種差別撤廃条約などにも抵触するし、冒頭申し上げましたけれども、いわゆる通報という問題にもやっぱりある意味では逸脱をしているのではないかと、こういう気がいたします。  いかがですか、やっぱりこれは法的にも、それから条約上でも非常に問題が多いというふうに思いますが、その点についてどうお考えでしょうか。
  100. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) まず、人種差別撤廃条約を取り上げられましたけれども、この条約の第一条第二項で、この締約国は市民と市民でない者との間に設ける区別あるいは優先については適用しないとなっておりますので、直接にはこの条約に抵触することはないと考えております。  よしんば、今回の通報メールが外国人に限って情報提供を求めていることが問題だといたしましても、元々退去強制というのは外国人が対象となっているものでありますから、私どもは、その退去強制の職務を遂行する上で外国人に限って情報提供を求めるというのは、これは合理的な取扱いであると考えておりますので、その点においても条約に抵触する問題はないと考えております。  それから、委員の御質問は、特に強く御指摘になられる点は、匿名の通報を許していること、それから通報動機の中に近所迷惑とか不安などということでの通報を許していること、これが問題ではないかという御指摘をいただいているのですが、もちろん、すべて実名の通報で真実の情報提供がいつも必ず行われるならいいのですが、中には、やはり自分の名前は明かしたくないと、だけどこういうことでここに退去強制の外国人がいると思うから入管の方で調べてもらいたいと、ということをお考え国民もおられるわけで、それは従来からも、匿名での電話、匿名での手紙などの情報提供はあるわけですから、そういったことから、私どもとしては、真実の情報をいただく上で、その提供をなさる方が、自分の身元を明かしたくないという方について、そういう方のためにやはり情報提供の道は残した方がいいだろうという考え方であります。  それから、通報動機にいたしましても、何も通報動機だけではありませんが、その方が自分の身元を明かしているとか、あるいは通報内容が具体的であるとか、そういったことなどと相まって、その通報内容が速やかに摘発の端緒として着手を検討すべき案件なのかどうか、そういう優先度を判断する上でもやはり通報動機は必要であろうと考えたわけです。  ちなみに、委員は、安易な通報動機で通報を求めると、いい加減な情報、あるいは外国人を軽視するような雰囲気を助長するのではないかという御懸念をおっしゃっているわけですけれども、この入力画面というのは、まず通報者、通報しようという通報者がこの画面を開いて自分の氏名を入力する、あるいは氏名を入力しないなら匿名ということで次の、つまり、もう情報提供を決めた後に次の画面をクリックし、そこで初めて通報がどんな内容であるのかが出てくるものですから、その通報動機を見ていい加減な通報をしようと思うようなシステムにはなっていないと考えております。
  101. 千葉景子

    ○千葉景子君 いや、今そういう御説明ですけれども、今、逆に言えば、このホームページあるいはそれに伴うメールでのいろいろな交流手段あるいは、何というんでしょうね、情報発信、それから情報の取得、これは非常に当たり前に、そしてまた容易な手段としてむしろこの社会の中に今定着をし始めているというわけですから、そういう非常に手軽、それから割と気軽にというやっぱりページとして活用されるんだろうというふうに思うんです。  そういう中で、やはり単に、理由としても、やっぱりその動機付けとして不安とかそういうのが載っていれば、不安ということを理由にして、やっぱり何らかの情報をそこから発信をしていくということにも私はつながっていくだろうというふうに思います。  本来、本当に通報なりあるいは情報をきちっと伝達をしようということであれば、それなりの理由を付して、あるいは匿名というのは確かにあろうかというふうに思いますけれども、やっぱりそういうことを通じて、やっぱりお互いに慎重な対応を取っていくということが必要なんだろうというふうに思います。  むしろ、冒頭申し上げましたように、法務省はむしろそういう安易な、そして外国人に対する差別的なやっぱり社会のありよう、こういうものをむしろ是正をし、そしてまたそれを正していく、そういうためにこそ率先をして取り組んでいかなければいけないという立場にあるにもかかわらず、それを本当に無にするようなこういうホームページの作り方、私はやっぱりこれをこのまま放置をしておくと、何かお互いに監視をし合い、そして何かあれば匿名でちょっと通報をするという密告制みたいなそういう社会を作り上げていく、特に外国人皆さんに対してそういう対応を取っていく社会、こういうことに法務省がむしろ加担をするということになるのではないかというふうに思います。  私は、こういう今ホームページのやり方であれば、即刻一回これを閉じて、そして改めてどういう形で本当に適正な管理をしていくかということを検討すべきであるというふうに思いますが、法務大臣、どうでしょう、一回このホームページ考え直す、まずは、こういうのではちょっと問題がある、一回閉じて、そして改めて何か検討していくということにすべきではないかと思いますが、その点、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  102. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 委員も御承知のとおり、日本では今、外国からのお客様を倍増させようというような、いわゆるビジット・ジャパン、ウエルカム・ジャパンということでの施策を進めているところでございます。  委員指摘のとおり、このインターネットの活用による情報提供ということが仮に人権を侵したり、あるいはその今言った外国からの立派なお客様の来日にブレーキになるということでは困るわけでございまして、あくまでこれはルールを守って日本に滞在をしていただくための一つの手段、手法でありますので、今のような御指摘がございましたら、そういった点も十分加味しながら、運用の面その他で更なるまた工夫を凝らしてまいりたいと思っております。  どうぞひとつ、忌憚ない御意見を委員からもひとつお寄せいただければ幸いでありますが、どうぞよろしく。
  103. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、忌憚のない意見を申し上げました。一回何しろ閉じなさい。そして、本当に必要な手だてを講ずるのであれば、本当に慎重に、そしてやっぱりむしろ外国皆さんとともにこうやって一緒に生きていこうよ、そして多くの皆さん日本社会にも来ていただきたいと、こういう発信とつながるような、そういう情報提供をやっぱりむしろしていただきたい。  是非、私は、率直な意見として、一回このホームページはやっぱり閉じる、そして改めていろんな情報提供をしていくということを強く求めておきますので、是非、その結果がどうなるかまた拝見をして、必要であればまた意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  大臣、どうぞ一度自らホームページ見ていただきまして、そして大臣としての、大変、良識を是非発揮いただきたいと思いますが、よろしいですか。
  104. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 逐次、今情報をいただいておりますので、それらの実績を見ながら、より良い姿にはこれは工夫していかなきゃいかぬかと思っております。
  105. 千葉景子

    ○千葉景子君 さて次に、先ほど角田委員の方からも若干触れられました出院の情報の問題もございましたけれども、少し犯罪の被害を受けられた皆さんに関する問題についてお尋ねをしたいというふうに思っております。  我が国犯罪被害者の方に対する対策というのは、平成十二年に犯罪被害者保護関連二法が制定されました。そしてまた、翌年、犯給制度ですね、が拡充をされ、一定の前進は図られてきております。しかし、なかなか総合的な被害者の皆さんに対するサポート体制というのは貧弱なものであることは変わっていないのではないかというふうに思っております。  犯罪被害者保護関連二法というのは、公判手続の傍聴とか、それから記録の閲覧、謄写、証人の負担軽減、意見陳述など公判段階における対策、それから先ほどの犯給法の方は給付金制度、大変貧弱なまだものであると言わざるを得ないというふうに思っております。  そういう中で、やはり今、一方で刑事手続、それの適正をきちっと目指していくということがある、他方でやっぱりこの犯罪被害者の皆さんに対して社会がやっぱりサポートをしていく、そういう体制の必要性というのが大変強調をされているというふうに思っております。  その中で、欧米諸国などを見ますと、犯罪の被害者は事件直後からいろいろな心理的なサポート、あるいは医療とか病院、あるいは警察とか裁判所等へのいろんな意味での付添いを受けることができたり、あるいは、警察ばかりではなくて、いろんな団体等が支援サービスを行っているという状況がございます。そういう意味では、現在、日本でも民間のNGOの皆さんとか、あるいは弁護士の皆さんなどがやっぱりボランタリーな形で犯罪被害者の皆さんのいろいろな手続、それから心のケア、そういうものなども含めて何とか支え合っているというのが実情ではないかというふうに思っております。  そういうまだ状況ですので、やはりこの問題を一度総合的に考える、そして体制を整えるためのやっぱり制度、法律が必要なのではないかというふうに思っております。  私どもも、この間、犯罪被害者対策を総合的に進めていくための基本理念、あるいはそれぞれ国や地方公共団体の責務等を明記をし、そしてそれに基づいて総合的な施策を施していこうと、こういう内容犯罪被害者基本法案というものを私ども作らせていただきまして、数次にわたって国会にも提案をさせていただいてまいりました。なかなか具体的なこれを議論の土台にしていただくというところまでには至っておりませんけれども、是非、こういう犯罪被害者の皆さんを総合的にやっぱり対策を進めていくような制度、そしてその、それを、内容等を盛り込んだ法律の必要性ということを大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  106. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 犯罪被害者の皆様の保護、支援につきましては、委員からも御指摘のとおり、様々な分野における施策が必要であるという点では正に認識を同じくしているものでございますが、まずもって、どのような具体的な対策があるかと。これをやはりできるところから進めていくというところが今の最も大事な段階ではないかと思います。  いわゆる犯罪被害者保護二法に基づく施策はこれまでも既に逐次実施をしてきたわけでありますが、これではなかなか十分ではないということも御意見がある中で、今御党の方から提案がございました法案が一つ百五十六国会にも提案をされておるということがありまして、私ども法務省といたしましても、部内に研究会を設けまして、今後どのような対応をしたらいいかということについて鋭意検討を進めておるところでございます。  各方面の御意見を聞きながら、今後、何をどのような形で具体化し、進め、また法案化の要否につきましても、その中でしっかりと対応考えてまいりたいと思っております。
  107. 千葉景子

    ○千葉景子君 是非、そういう総合的な対応対策、そしてそれを基礎付ける法律の制定というものを是非検討していきたいものだというふうに思っておりますが、それまでにまず至らずとしても、今本当に被害者の皆さんのサポートをしているのは民間のNGOなどの皆さん等々でございます。  それから、先ほど言ったように、弁護士がやはり関与をしませんと、例えば警察へのいろいろな手続、そして先ほど公判調書が、閲覧が可能であるとかあるいは謄写が可能であるとか、いろんなことがございますけれども、やはり個人が一人でそういう手続などをすべて行うことはなかなか困難だということで、弁護士などがそのサポートをしているという状況がございます。  やはり、できるだけ、まずはこの民間支援組織などの皆さんに対する財政上の支援措置、こういうものも早急に急がれるのではないかというふうに思いますけれども、その辺り、どうでしょうか、御検討の余地はございませんでしょうか。
  108. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 犯罪被害者に対します支援につきましては、所管官庁におきまして適時適切に行われていることと承知しております。  法務省の所管事項に関連しまして申し上げますと、被害者等への対応等の業務を行うために地方検察庁に被害者支援員を配置しておりまして、被害者等からの照会等を受け付けるいわゆる被害者ホットラインを設置するなどの被害者対策を行っておるところでございます。  被害者支援の問題は多岐にわたっております。そういう関係で、関係機関の緊密な連携が必要不可欠であります。そういうことから、内閣に設けられましたいわゆる犯罪被害者対策関係省庁連絡会議などにおきまして、今後十分に検討していくべきものと考えておるところでございます。
  109. 千葉景子

    ○千葉景子君 それから、今、先ほど言った支援をしているような弁護活動などについて、現在は、これは法律扶助協会などが一定の扶助制度、弁護士費用の立替え制度などによってそれを支えているというようなこともございます。  この問題は、いずれ、今回、総合法律支援センター法ですか、そういうものも出てくる予定を聞いておりますので、そういう問題とも絡んでくるんだろうというふうに思いますけれども、やはりこれらにも一定の公的な援助、そういうものが必要となってくるのではないかというふうに思います。  今、関係省庁での連絡会議とか、そういうことを考えても、やっぱり、まずはそれを全体に包括をし、そしてどの役所がどういう役割を果たすべきか、あるいは自治体はどういう役割を果たすべきか、そして民間皆さんのきめ細やかなそういうサポートに対してどういう支えをしていくのかとか、やっぱりそういう総合的なまず基盤が作られないと、なかなか、それぞれがばらばらに行われているということになってしまうのではないかというふうに思います。  そういう意味で、改めまして犯罪被害者に対する基本法、基本的な施策をまとめた法の制定、こういうものを私どももまた御提起をさせていただいてまいりますが、大臣におかれましても、そういう視点を是非改めてお持ちいただきまして、積極的に対応方をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。大臣、お考えを。
  110. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 犯罪被害者の取組につきましては、当然これは国といたしましても真摯に取り組みまして、特に、法務省はそのまた中心におきまして積極的な役割を果たすべき立場と十分心得まして取り組んでまいるつもりでございます。
  111. 千葉景子

    ○千葉景子君 そこで、ちょっと先ほど角田委員からも質問がありまして、関連をするというか、それにちょっと付け加えさせていただきたいというふうに思いますのは、少年の出院の情報ですね。それの公表ということがございました。  これはなかなか、先ほどの質疑でも大変難しい問題であるということを私も承知をいたしております。むしろ大変悩ましい、難しい問題であればあるだけに、これからの方向性、そして今回の御決断といいましょうか、そういうものをきちっとやっぱりお互い検証し、受け止めていかなければいけないだろうというふうに思います。  これまでは出院情報、出所情報といいましょうか、こういうものは成人の事件には導入を行われてまいりました。被害者に対して情報を提供するということで行われてきたわけですけれども、今回は、そういうこれまでの例とは一歩踏み出したというのか例外になったというのか分かりませんけれども、少年であるということ、それから、被害者に対してのみならず、社会にある意味では公表するというような形になったということで、ある意味ではこれまでの扱いから大きくやっぱり踏み出した部分があるんだというふうに思います。  この是非は、今申し上げましたように、今後本当にお互いに慎重に議論を真摯にしていく必要が本当にあるだろうというふうに思いますが、これはどうなんでしょうか。こういうこれまでとは違った方向へ今回のことから踏み出したと、そっちの方向へ歩み出したんだというふうに受け止めたらいいのでしょうか。それとも、そうではなくして、改めて今回のことも含めて検討をするという方向なのでしょうか。その辺をちょっと確認をさせていただきながら、私どもも一生懸命、本当に慎重に、真摯にまた考えていきたいというふうに思いますが、その点は方向性としてはどういうふうに大臣は受け止めておられますですか。
  112. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 少年の社会復帰の言わば地ならしをするために、また環境を整えるために、今回の節度ある公表という形に踏み切らしていただいたわけでございます。  当然、これは少年のプライバシーを尊重しながらも、やはり再起可能な世の中を作りたいという私どもの一つのぎりぎりの判断として、今回、慎重な審議の上、このような公表に踏み切らせていただきましたが、お尋ねのように、少年の出院情報について今後どう取り組むかということについては、個別具体的に取り組むというだけではなく、更なる一つのルールを作っていくべきかどうか、これについても現在法務省の中では検討しておりまして、その成果を待ちまして具体化してまいりたいと思っております。
  113. 千葉景子

    ○千葉景子君 となりますと、今回の公開というのは、この方向に、これから出院の情報というのを公開をしていくんだという方向に踏み出したというよりは、今回は非常に異例の措置ということになるんでしょうか。今後、どちらの方向に向いていくのかどうかも含めて検討するというふうに受け止めてよろしゅうございますか。
  114. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 具体的な人物あるいは事件につきましてはあくまでやはり個別慎重な対応が必要であることには変わりないと思いますが、被害者に対する通報なりあるいは御支援なりという先ほどからの御議論については、できるだけ制度化して、これが前進するように図りたいと、こう思っておるわけです。
  115. 千葉景子

    ○千葉景子君 今後、ちょっとこれはまた、これまで成人にはそういう方向がございましたけれども、少年の問題については被害者に対しても一定の公開はしないような形で運用されてまいりましたので、一つの大きな変化なのかなというふうに受け止めさせていただきます。いずれにしても、一体どういう形で対応を取っていくのかと、これから私もまた節目節目で議論をさせていただければというふうに思っております。  さて、犯罪被害ということと関係をするわけですけれども、今、いわゆる強姦罪等々、いわゆる性犯罪に対する処罰について、やはりもう少し処罰を強化をすべきではないかという指摘がなされております。今回、法制審議会に諮問をされた刑罰の強化という一環として、強姦罪についての法定刑を上げようという内容の諮問がなされたと承知をさせていただいております。  今回、この強姦罪について法定刑を上げようということを検討された趣旨はどういうところにございますでしょうか。
  116. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 近年、この強姦罪を含め、凶悪犯罪その他の重大事犯が増えておることは委員認識のとおりでございますが、この種の犯罪について、刑法等の現在の規定が国民の規範意識や近年の犯罪をめぐる様々な情勢に合致しているかどうかとの指摘もございます。その意味で、早急にこの事件、刑事の実体法及び手続法の見直しをする必要があると考えまして、本年二月十日、法制審議会に対して凶悪・重大犯罪対処するための刑事法整備に関する諮問を行った次第でございます。  御指摘の強姦を含め、強制わいせつ及び強姦致死傷の各罪はいずれも性的自由に対する暴力犯罪でございますが、これらの法定刑等につきましても現在の国民の規範意識と合致していないのではないかと。あるいは、強姦のうち、いわゆる集団的形態のものについて親告罪の例外とされているにもかかわりませず、一般の強姦と同じ法定刑である点が相当ではないのかという指摘があるところでございます。そして、物よりも人の方を軽く見るというようなことではいかがなものかというような御指摘もちょうだいしているわけでありますが、そこで、強制わいせつ罪、強姦罪及び強姦致死傷罪の法定刑の下限を引き上げるとともに、新たな集団的形態による強姦及び強姦致死傷の加重処罰類型を設けるべきではないかと諮問を行った次第でございます。  今後は、法制審の審議及び答申を踏まえまして、必要な法整備を図ってまいりたいと考えております。
  117. 千葉景子

    ○千葉景子君 今回、この強姦罪等につきまして法定刑を見直していこうということ自体、私も率直にそのとおりだろうというふうに思います。  ただ、どうも今回のこの改正といいましょうか、それへ向けた動きは、全体として法定刑、重大な事件についての、犯罪についての法定刑がどうも軽いのではないかと。やはり、それを全体として見直していこうという中の一環としてどうも位置付けられている、そういうところもあり、本当の意味で強姦罪とか、やっぱり性的自由に対する侵害、それを犯罪化し、そしてそれに対して厳しく処罰をしていくというようなことがちょっと全体の中で位置付けられていて、何か本当にその本来の趣旨がきちっと受け止められているんだろうか、その目的に沿って強姦罪等の重罰化といいますか強化が本当に図られているものなんだろうかと、若干その辺あいまいな感じがするわけですけれども、少なくともこれまでのような軽いものから強化をされるということは評価ができるだろうというふうに思います。  ただ、やっぱり改めて申し上げたいのが、全体の刑罰を上げるから、そのときについでに強姦罪の方もきちっと見直そうということではなくして、やっぱり性的自由に対する侵害ということがこれまで余りにも軽んじられてきたと、こういう問題をやっぱり見直していただきたいというふうに率直に思います。  今回は厳罰化の方向ですけれども、それだけで本当に問題が解決をするのか、強姦罪という構成要件の仕方だけで本当にいいのか。あるいは、強姦罪という構成要件のために、よく言われますようにセカンドレイプのような形になってしまったり、あるいは本当に親密な関係の中でもいわゆるデートレイプと言われるような、そういう性的自由に対する侵害が存在をするということも含めまして、やっぱり性的な自由ということに対するやっぱり改めてのきちっとした位置付けと、そしてそれに対する処罰の在り方、そしてまた、今度は処罰のみならず、その処罰に当たっての処遇の在り方、社会の教育の在り方含めて再検討の時期に来ているのではないかというふうに思います。  今回の一定の法定刑を上げるということ自体、私も否定するものではありませんし、一定の評価をさせていただきますが、根本的に自由の保障の在り方、それに対する刑罰の在り方、そろそろ抜本的に考えていく時期ではないかと思いますが、その辺りについて大臣としての御認識がございますれば、それから当局の方で何かお考え方がございますれば、お答えいただきたいと思います。
  118. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 問題山積の中での強姦罪に関する諮問ということでありますが、決して全体の一部であるということではなく、この問題に関してははっきりと問題を明確にした上で取り組んでいくことが必要であると。  御指摘のように、強姦罪は性的自由を侵害する行為、そして犯罪であるということから、自由な意思決定を著しく困難にするものと認められるような暴行、脅迫があったときにそのような侵害行為を処罰すると、こういうことが要件となっておるわけでございます。  御指摘のように、強姦罪等の構成要件を構成することについては、どのような行為をもって被害者の意思決定の自由を侵害するものとして規定するのが相当か、これは大変この立証の困難な問題もございますが、いずれにいたしましても、このような性的行為に関する意思決定の自由に対する過剰な干渉になることはないかということも含めまして、種々の観点から慎重に検討し対応していくべきものと考えております。
  119. 山本保

    委員長山本保君) 聞きますか。  刑事局長、よろしいですか。
  120. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 今大臣がお答えになりましたとおりでございまして、今回の法制審議会に対する諮問の内容は、近時の凶悪犯罪等の犯罪情勢や国民の規範意識の動向等を踏まえた上で、強姦罪等の凶悪犯罪を中心とする重大犯罪の事案の実態に即した対処が可能になるよう整備するものでございまして、法定刑等の見直しをその内容の中心としたものであります。  委員のお考えになります性的自由に対する侵害としての強姦罪等の見直しにつきましては、大臣が今、ただいま御説明しましたように、種々の観点から検討すべきことがたくさんあることでございまして、そのような、もしそのような検討というものがありますれば、大臣の指示を得ながら、指示を受けながら慎重に検討してもらいたいと思っております。
  121. 千葉景子

    ○千葉景子君 是非、確かにどういう形で適正にその侵害行為に対して制裁を科していくのか、そして、それを防止をしていくためにはどうすればいいのかということは本当に難しい問題ではあろうかというふうに思いますが、言っているうちにどんどんどんどんやはりその被害に遭う人、そしてその加害側になってしまう人、こういうことが多発をしていくわけですので、是非、一刻も早く問題の整理あるいは検討に着手をするというようなことも含めて取り組んでいただきたいというふうに思っております。  もう時間があれでございますので、最後に一点お聞きいたします。  先般、大変私もうれしく思いましたが、いわゆる婚外子差別の戸籍法の、戸籍法の施行規則を改正をしていこうという方向が出されまして、これも前進であろうというふうに思っております。  実は、この戸籍法の施行規則、どういう内容改正されるのかなというふうに思っておりまして、表記の仕方を変更するということでございます。これまでのような、婚外子についてはそれが分かるような表記の仕方ではなくして、差別をなくすということで、私もそれは当然だというふうに思っておりますが、この際、その表記について、これまで長男とか長女、二男、二女、こういうような表記になっております。で、婚外子についてはそういうものが付かなくて、女、男とかなっていたわけですけれども、逆に言えば、今度は長男、長女、二男、二女の方に合わせるということではなくて、この際表記は子、子、みんな同じ子ですから、子、そして性別を付けるというような格好にもうそろそろ整理をされたらいかがかというふうに思います。  長男とか長女とか、こういうのは、ある意味では旧来の家的な考え方の名残ということも言えないわけではないわけで、そういう意味では、子供はみんな対等、平等であるよと、みんな同じよと、そういうことも含めて、やっぱりこの表記というのは、そういうものは、身は体を表すじゃありませんけれども大変重要なわけで、この際、そういう意味では本当にみんなが平等な扱い、そしてそういう表示がされるような表記になさったらどうかというふうに思います。  そういう意味で、この表記についてどんな改正されるんでしょうか。できれば、今申し上げましたように子というような形で統一するような表記を御検討いただいたらどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  122. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 先生、今御指摘ありました三月二日の東京地裁判決におきましての非嫡出子の戸籍の続柄欄の記載の在り方について問題を指摘されていることから、それを踏まえて非嫡出子の記載を改善するものでありまして、嫡出子の記載まで改める理由はなく、また現実の戸籍実務に与える影響も勘案すれば、あえて続柄欄の記載を子に統一する必要はないと考えております。
  123. 千葉景子

    ○千葉景子君 ちょっと御認識があれだと思うんです。  あえてやる必要はないと。あえて逆に言えばやる必要があるわけでして、今るる申し上げましたように、やっぱり子供の平等であること、対等であるようなことをやっぱり表示上もきちっとしていくことが大事なんで、ただ、なかなかそうは言っても手続上とか、あるいはその制度を精査を、精査というかな、それを全面的に変えるにはいろんな手続上の煩瑣なところがあるとかいう意味は、意味ならば多少分からないではないんですけれども、全くそういう転換の必要はないと言っていただきますと、ちょっとそれは認識において私は欠けるところがあるのではないかというふうに思いますが、大臣、どうでしょうか。そういうやっぱり前向きな、いろいろ事務的に難しい面があるようなことは私も承知をいたしますが、やっぱり方向としてはそういうことも念頭に置かれたらどうかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  124. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 長い議論を経まして今日まで来まして、とにかく一歩前進ということで、今回、非嫡出子の扱いについての改善を図りたいと、こう考えております。基本から直すことにつきましては、改めてそれぞれ各党、あるいは国会での十分な議論、国民各層の御意見等を踏まえながら検討していきたいと考えております。
  125. 千葉景子

    ○千葉景子君 じゃ、またお聞きすることにして、終わります。
  126. 山本保

    委員長山本保君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ─────・─────    午後二時三十二分開会
  127. 山本保

    委員長山本保君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政基本方針に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 午前中も少し論議があっておりましたが、まず司法ネットについてお伺いをいたしたいと、こう思っております。  先日、公明党としても野沢大臣にこの司法ネットの実現の申入れをさせていただいたばかりでございますが、司法ネットというのは、いつも野沢大臣おっしゃるように、身近で頼りがいがある司法制度構築という意味では、何よりもこの改革というのは国民に実感していただける課題だと、私どももこう考えております。  私ども公明党、無料法律相談というのを党でずっとやっておりまして、これで大体年間百万件を超える市民相談にこれがつながっているというような実情もございます。近年、特にこの市民相談見ておりますと、法律上、行政上のトラブルに関するものが増加しているということを私ども自身が実感をしておりまして、こういった現状の中で、この司法ネットという制度国民にどのようなサービスを受けることができるようになるのか、まず概要について事務当局から御説明をいただいておきたいと思います。
  129. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) まず、背景事情でございますけれども、現在、内外の社会経済情勢、これが変化してまいりまして、事後チェック型の社会ということになるわけでございまして、最終的には透明なルールによって解決をしていこうと、こういう時代になるわけでございます。  この時代背景を踏まえまして、やはり司法を国民により身近なものとするために、民事、刑事を問わず、あまねく全国において法による解決の、紛争の解決に必要な情報やサービス、これを提供すると、こういうことが受けられるような総合的な支援実施体制整備をしたいと、こういうことが背景でございます。  具体的には、その中核の運営主体として日本司法支援センター、これを新たに設けまして、ここを中心に総合的な業務を行っていくということでございます。これは、ここ単独でやるわけではございませんで、各種相談窓口あるいは弁護士会等、様々なところと連携協力をしながらやっていくということになるわけでございます。  一つは、情報の提供でございます。現在でも、その情報、どこへ行ってどのような手続でやればいろいろ相談が受けられるのか、必ずしも明らかではない、ばらばらに行っている、これを統合して総合的な窓口にしたいということでございます。それから二番目が、いわゆる貧困な方、経済的に困っている方に対する民事法律扶助の事業でございます。それから、国選弁護、これは被告人、被疑者、両方のものでございますけれども、これに関します業務を行うということ。それから、いわゆる司法過疎地域、これの対策の問題でございまして、これもこの中で有効に行っていこうということでございます。それと、犯罪被害者に対する支援、この業務を行っていきたいという、こういう内容でございます。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 特に、今回のこの司法ネット作りの中で、私どもが是非お取組をいただきたいと考えている問題がゼロワン、つまりその地域に弁護士が全くいないか若しくは一人しかいないというこの地域に対してどう取組をするかという問題でございます。特に、私は今、福岡に住んでおりますが、このゼロワンマップというのを日本弁護士連合会は作っておりますけれども、私の住む地域含めて九州というのは軒並みゼロワンが山のようにございまして、特に問題のやっぱり、九州の場合もそうなんですけれども、この前、大臣のところには、佐渡のお話をたしか申入れのときにさせていただいたんですけれども、離島においては特にこの問題は厳しい問題だと思っております。  こういった離島地域も含めて、このゼロワン解消へ向けてどういう取組をなさろうとしているのか、このネット作りの中で、これを事務局からまた伺っておきたいと思います。
  131. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいまのゼロワン地域の問題でございますが、現在、地裁の支部単位で考えまして、支部単位が二百三ございます。その中で、ゼロワン地域は五十八ということでございます。委員の御出身の福岡高等裁判所管内のゼロワン地区は十九か所ということになっております。その中で、かなり離島を含んでいるということは間違いないことだろうと思います。  この点につきましては、司法は全国であまねくやられるわけでございますので、行われるわけでございますので、全国に必ず都道府県には一つの拠点を置くということが中心でございます。その上で、そのいわゆるゼロワン地域に対してどのような手当てをするかということは、弁護士会の方でもひまわり基金としておやりになっているところもございます。それから、それが全然できない、実現されていないところもございます。  私どもといたしましては、そこの法的需要がどのぐらいのものであるか、あるいは地理的条件、こういうものを総合勘案して、本当に必要なところは場合によってはもっと先の支部的なものを置かざるを得ないかもしれぬ。場合によっては、それほどのニーズがないと、だけれども必要だという場合には巡回をするとか様々な形で、何らかの形でその法的需要に対応できるような、こういうシステムを構築したいというふうに思っております。また、法案の御承認をいただいて、その先の実務運営で決めていきたいというふうに思っております。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういった細かい、いろんな地域によって違いますんで、見ていただいてやっていただきたいとも思っておりますが、ともかくこの実現へ向けて今歩み始めたばかりでございますし、是非ともこの完全な構築へ向けての、司法ネット構築へ向けての大臣決意、これをここで伺っておきたいと思います。
  133. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 私も、過去に裁判を利用、活用しようと思っていろいろ知人を頼って弁護士さんを探したことがございまして、そのとき、東京に住んでていてもなかなかどの弁護士に相談したらいいか、あるいはどのくらいお金が掛かるか、あるいは時間が掛かるか、なかなか実は予測が付かないということで困ったことがございます。  今回のこの法律、総合法律支援、いわゆる司法ネットの構想というのは、正に司法を国民により身近なものにするために、民事、刑事を問わずに、あまねく全国で法による紛争の解決に必要な情報サービスの提供が受けられるような総合的な支援実施体制整備を行おうと、こういうものでありますので、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度の構築を目指す今回の制度改革の中でも極めて重要な意義があると考えております。そのため、私ども法務省は全力を挙げてこの問題に取り組む決意でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  134. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、今国会、法案関係見させていただきましたが、いわゆる高度情報化社会の進展、これに対応した法改正というのが何本かこの法務委員会に提出をされております。  一つは、電子公告制度の導入のための商法等の改正案であり、また登記のオンライン申請を可能とする不動産登記法案、こういった一連の法案が提出されておりまして、いずれもインターネットを利用した制度を構築するというようなものでございます。  ただ、私が感じますのは、このインターネットシステムそのものが、これが今完全なものかというとなかなか難しい面も現実にございまして、特にセキュリティーの面で難があるという指摘がかなりございます。ハッカーとかウイルスによるデータ破壊などの被害はもう本当に懸念される大きな要素だと思っております。  既に先進国というか、こういう問題では、アメリカでは現実のものとなってこういった被害のことが報告もされておりますし、もちろん我が国も国を挙げて取り組むという問題になってくるんでしょうが、まず国際社会において、これらハッカーやウイルスによるデータ破壊、こんな問題に対してどんな安全対策を国際社会が取ろうとしているのか、これについて警察庁からお伺いをしておきたいと思います。
  135. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) お答えします。  インターネットを利用しましたサイバー犯罪は、匿名性が高いこと、また痕跡が残りにくいこと、さらには不特定多数の者に被害が及びやすいこと、また地理的、時間的制約が少ないことなどが特性を持っているというふうに言えると思います。  こうした高度情報通信ネットワーク社会の安全の確保のための対策につきましては、国際社会におきましても重要視されておりまして、我が国もその一員でありますG8諸国におきましては、サミットや閣僚会議の場を通じて協力体制を確立するなどサイバー犯罪対策の検討を進めているところであります。  また、欧州評議会におきましては、サイバー犯罪に関する刑事実体法、刑事手続法及び国際捜査協力に関する規定を含んだ世界で初めての包括的な国際条約といたしまして、サイバー犯罪に関する条約が二〇〇一年に制定されておりまして、我が国も同条約に署名しまして、本国会に同条約と関連法案が提出されているところであります。  この条約では、匿名性が高く、痕跡が残りにくいサイバー犯罪対処するために、電気通信に係る記録、いわゆるログをプロバイダーに対して保全要請できること、またコンピューターウイルスの作成行為を罰することを求めておりまして、我が国としましても所要法整備を行おうとしているところであります。  また、他人のコンピューターに対する不正アクセスにつきましても、各国におきましてはおおむねこれを禁止する措置が取られているところでありまして、我が国におきましても不正アクセス禁止法が平成十二年に施行されたところであります。
  136. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 おっしゃるように、国際社会でいろんな取組がなされていると、それに合わせるように我が国としても様々な法改正にこれは取り組んでいると。ただ、法改正に取り組み、それだけで済むかといえばそういう問題でもないと。現実的にこういった犯罪に対してどう取り組むのかという問題が起きてくると。これはもう未来社会を描いた漫画の世界では、警察の中には必ずサイバー対策のそういう特捜部隊があってというのが、これは漫画の世界では常識であって、そういうのが今非常に何か日本で受けているらしいですけれども。  言わばそういう意味では、そういった専門の対策というのを我が国としても、国際社会と協調する部分と我が国独自で取り組まなければならない部分というのが私はあると思います。それを第一義的にやる警察そして検察として、どうこういう問題に我が国として取り組もうとしているのかという点についてもお教え願えれば有り難いと思います。
  137. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) お答えいたします。  平成十五年中のサイバー犯罪の警察におきます検挙件数は千八百四十九件で、前年と比べましても約一五%増加しております。警察への相談受理件数も約四万二千件でございまして、前年に比べまして二・二倍に増加しておりまして、警察といたしましてもサイバー犯罪対策を重要課題の一つとして各種施策を推進しているところであります。  具体的に申しますと、まず捜査面につきましては、各都道府県警察におきましてプロジェクトチームを設置しましてサイバー犯罪捜査等行っておりますほか、捜査員の能力向上、装備資機材の充実など捜査体制強化を図っております。また、警察庁及び管区警察局には専門の技術者の部隊による都道府県警察に対する技術的な捜査支援を行っているところであります。  次に、予防面に関しましては、インターネット上の犯罪やコンピューターウイルス・ワーム等に対する定期的及び随時の広報啓発活動、さらに専門の職員である情報セキュリティーアドバイザーによる各種相談への対応、また重要インフラ事業者などとの密接な連携等を図っているところであります。また、本年の四月からサイバー犯罪に専門的に対処するための情報技術犯罪対策課を警察庁の生活安全局に設けるための準備を現在進めているところであります。  警察といたしましても、今後ともサイバー犯罪対策を積極的に推進して、この種犯罪に取り組んでまいりたいと考えております。
  138. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 近年、世界的な規模のコンピューターネットワークが形成されまして社会的基盤となっており、我が国治安社会経済秩序を維持するためには、委員指摘のとおり、コンピューターネットワークを利用する犯罪等のいわゆるハイテク犯罪に的確に対処することが必要でございまして、その一環としてハイテク犯罪に的確に対処するための法整備を行うことが不可欠でございます。  そこで、法務省におきましては、コンピューターウイルスを作成、供与する、供用する罪の新設や電磁的記録に係る記録媒体に関する証拠収集手続整備等を内容とする犯罪国際化及び組織化並びに情報処理高度化対処するための刑法等の一部を改正する法律案を提出しているところでございます。ハイテク犯罪に的確に対処するための法整備は極めて重要でございまして、一日も早い成立を図るべく努力してまいりたいと思っております。  また、実際の事案が発生しました場合におきます検察といたしましては、警察等の関係機関と緊密な連携協調を取りながら厳正に対処をしていくものと承知しております。
  139. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど申し上げた漫画というのは、今何か「攻殻機動隊」という、世界的にヒットしているそうでございます、サイバー犯罪に対するそういう描いたアニメでございます。お暇ないでしょうけれども、もしあればごらんになると、どんなことが犯罪として発生し得るのかと、面白い参考になると思いますので、御紹介だけさせていただいて。  もちろんそういったハッカーとかそういう問題もそうなんですけれども、ともかくもう一点、例えばインターネット利用が確かに普及しているというのはそのとおりなんですけれども、もう一方で、インターネットを使うという問題には、そういう犯罪の問題とともに、やっぱり世代間また各人によって情報の格差という問題がどうしてもまだ今も残っていると。こういう情報格差という問題もやはりこのインターネットの法律をいろいろ作っていくときに大事な視点の一つになるんだろうと思います。  そういった意味では、制度を導入するときに本当に、一律に何でもかんでもインターネットに合わせて作るということが本当にいいのかというと、それは慎重に構えていただきたい点もあるなと、こんなことも感じているし、とにかく国民が不利益が被ることがないように配慮していくことが必要だと、こう私は考えておりますが、この点に関して大臣から所信を伺っておきたいと思います。
  140. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) コンピューター、誠に便利でございますが、これを十分使いこなせないまた世代や、古いグループはそういうことになるんですが、いることもまた間違いございません。  我が国はいわゆるe—Japanということで世界一進んだ電子政府を作ろうということで今日まで来ておりますが、これを実現するためにも今委員指摘のような問題は克服が極めて重要であると考えております。  今、インターネットを利用する電子公告制度やオンラインの登記申請制度につきましては、会社の公告の閲覧、登記申請手続などは従来に比べて大変身近で手軽な制度ということになっておりますが、御指摘のとおり、まだこれを十分なじめない国民のいることも事実でございます。  ただ、幸いなことに、我が国におけるインターネットの普及率が極めて高いものとなっておりまして、今、三百人以上の会社ではもう九八%を超えておるということ。あるいは三百人未満の、失礼しました、三百人以上の企業で九八、五人以上の事業所で七九%、そして世帯の普及率でも八一%という状況に来ておりますので、職場や家庭におきましてはインターネットへアクセスを手助けしてくれる人が必ずどこかにいるんじゃないかということで、この皆様の御支援を得て利用、活用を進めるということも考えられるわけでございます。  また、電子公告制度もオンライン登記申請制度も、従来の公告方法や登記申請方法を一律にインターネットに切り替えるわけではなくて、それはそのまま残しましてインターネット利用の方法を付加する、付け加えるという形で両者併せて事務を進めると、こういうものでございますので、当面御不自由はないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、このインターネットの利用を思うようにやれない、使いこなせない国民皆様にも必ずしも不利益にならないようにこれからの進め方を考えまして、世帯間の情報格差あるいは地域間の情報格差にも十分配慮して推進してまいるつもりでございます。
  141. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ別の観点で問題を聞いておきたいのは、会社法制の抜本見直しというのが、現在、法制審議会で会社法制のこの抜本見直しの検討が行われておりまして、昨年十月は、これ、会社法制の現代化に関する要綱試案というのも発表されております。  もう、ちょっとこれ先の話ですけれども、来年だろうと思いますが、通常国会には関連法案というようなことになっていくんだろうと思いますが、まずこの抜本、背景を、改正をしようということにした経緯と背景、今後の見通し等について、また、改正するならばどんな改正をするのかと、基本的考え方含めて、併せて御答弁を事務局の方からいただければと思います。
  142. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、会社法制について全面的な見直しを行っているところでございます。  その経緯でございますが、会社法制は企業活動の基盤を成す重要な基本法制ということで、近時、我が国経済情勢の急激な変化に対応すべく度重なる改正が行われております。しかしながら、その元になっております商法そのものが明治三十二年、有限会社法でも昭和十三年と非常に古い法律でございます。したがいまして、条文もいまだに片仮名文語体ということで非常に分かりにくいという指摘がございます。そういうことから、これを平仮名口語体の現代文に直す必要があるということがまず第一でございます。  また、会社に関する規制といたしましては、商法本体、それから有限会社法、それから、いわゆる商法特例法、この三本の法律に規制が分かれておりますので、やはり利用する国民の立場から非常に分かりにくいと、こういう御指摘を受けているところでございます。また、先ほど申し上げましたように、近年、非常に度重なる改正が行われておりますので、改めてその全体的な整合性を図る必要があると、こういう指摘もございます。  そういうことから会社法制を全面的に見直しまして、改めて体系的にその整備を行う必要があると、そういうことから法制審議会審議を現在進めているところでございます。  委員指摘のように、昨年十月に要綱試案を公表いたしております。これについての意見をまとめまして、今後更に審議を続行いたしまして、できれば来年の通常国会所要の法案を提出したいと考えているところでございます。  改正内容でございますが、まずその基本的な考え方といたしまして、会社に係る法制が合理的であり、かつ国際的に見ても遜色のない制度と、こういう制度整備することによって、我が国経済の活性化、競争力の強化に資することとしたいと、こういう立場でございます。  具体的な内容といたしまして、まずは利用者の視点に立った規律の見直しということを考えております。具体的には、例えば会社法制のユーザーの大半を占めるのが中小企業でございますので、現在、株式会社と有限会社に分かれております規制を一本化いたしまして、中小企業にとって使いやすい会社法制にしたい。あるいは、新たに会社を設立しやすくするように、株式会社、有限会社の最低資本金制度について、その額の引下げ又は撤廃を含めて見直しを行うというようなことを考えております。  また、会社経営の機動性、柔軟性を向上させると、こういう観点から、例えば合併対価の柔軟化と、こういうようなことによって組織再編をより容易に行えるようにするということ。また、株主に対する利益の還元方法の合理化、あるいは取締役が積極果敢な経営を行うことができるよう取締役等の責任に関する規律の合理化と、こういったようなことが検討課題となっております。  さらに、創業の活発化、共同事業の実施の円滑化と、こういうことを考えまして、出資者の有限責任確保され、会社の内部関係については組合的規律が適用されるという、いわゆる有限責任法人、こういう新しい会社類型を考えると、以上のようなものが主な検討内容となっております。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最低資本の問題、どんなふうにお考えになっているか、簡潔に御説明ください。
  144. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) 現在は有限会社が三百万円、それから株式会社が一千万円と、こうなっておりますが、この額を引き下げる、例えば三百万円に統一する、あるいは更に引き下げる、更に進んでもう一切撤廃してしまうと、こういった複数の案が現在検討の対象となっております。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この最低資本金の問題というのは、前、一千万まで上げたばっかりはばっかりなんですけれども、ただ、新しく創業する、そういう人たちにとってみると、なかなかこれ高いネックになっているとこも事実であって、その意味では、今この日本経済の再生の観点から、どんなふうになるのかというのは、皆さん、この問題注目をしておりますし、昨年、これ、経済産業省でございますが、一円でも起業できるようにする中小企業挑戦支援法、成立をしておりますが、施行後、現在まで、どんな状況になっていますか。
  146. 桑田始

    政府参考人桑田始君) お答えさしていただきます。  今先生から御指摘いただきましたように、我が国経済の活性化のためには、やっぱり新事業をいかに生み出していくか、また、新たな雇用をいかに創出していくかというのが重要な課題でございまして、私どもとしては最大の政策課題として取り組んでおります。  そういう中にありまして、今までサラリーマンの方とか主婦の方とか、創業の担い手として期待されているんですけれども、会社設立にかかわる資金調達が困難だというような指摘を受けておりました。そういう観点から、私ども、この商法の最低資本金規制の適用の特例を設けて、手ごろな資金で会社設立を可能とする中小企業挑戦支援法を昨年二月に施行いたしました。  おかげさまで、制度施行開始以来、利用者は着実に増加をしてきておりまして、その勢いは一年を経た現在でも全く衰えを見せておりません。これまで、先週末の三月十二日時点でございますけれども、私どもの方に創業者であるということの確認を求める申請が全国で一万二千九百六十一件、これは、今先生から御指摘がありましたように、資本金一円でもという会社で、例えば五百六十六件その中に含まれておりますけれども、申請があり、既に会社を法務局の方で登記をされて設立に至ったものが九千九百二十三件ということでございます。一円の起業も四百二十五件ということになっております。さらに、創業が行われた後に、増資によりまして商法で定めております最低資本金額を満たすまでに成長された企業がこの中から、本制度の言わば卒業グループでございますけれども、これが三百四十八社に現時点で上っております。  私ども、このように非常に手ごろな資金でタイムリーに開業していくという意味で、開業の手段として定着をしてきているのではないかというふうに自負しております。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 よく、アメリカと日本で起業率の差みたいなことも言われます。そのときにいつも言われる一つの問題がこの最低資本金の問題なんですよね。そういう意味では、せっかく特例で今回はやっている、一円の問題というのは、ということですよね。  ただ、そういう人たちに聞いてみても、この最低資本金の問題をどう考えているかというような問題の調査もなさっているだろうと思いますが、そういった点も御紹介もいただき、私は、できればこの問題というのはそういう現場の実情に即しながら検討をしていただきたいし、日本で新しい企業を起こして経済活性化のためにやっていけると、こういう体制を作ること、是非大事だと思っているんですけれども、ともかく何かその調査の結果なり御報告があれば伺っておきたいと思います。
  148. 桑田始

    政府参考人桑田始君) お答え申し上げます。  今御指摘がいただきましたように、日本と米国とを比較しますと、開業率、相当差がございます。これは、アメリカは多産多死で、日本は少産少死とも言われております。最近時点で両国を比較できるのが九七年とちょっと古くなってしまいますけれども、アメリカの開業率が一四・三、我が国はそれに対しまして三・六ということでございますので、一〇%程度低いということでございます。  米国に比べて開業が低い理由としては、社会的な風土等々いろんな要因がかかわってまいりますけれども、最低資本金の問題につきまして、私ども、現在、三月に入りましてから電話でこれまで特例を受けられた方々にアンケート調査をしております。これまで二千件以上の方々からの回答をいただいておりますけれども、それを見ますと、最低資本金の特例制度が創設されたことを知って起業したと答えた方が全体の五割に達してございます。したがいまして、本特例制度の創設が、ある意味で創業の増加でございますとか、新たなチャレンジを促すという意味では非常に効果があったんではないかというふうに私ども認識しております。  それから、併せまして御報告させていただきたいと思いますけれども、最低資本金特例制度を利用した女性起業家の方々の割合が、約二千人ぐらいの方から御回答いただいていますけれども、二二%に上っておりまして、御承知のように、全国の企業の、会社の女性の社長の方が五%という実情に比べますと、これによりまして女性の方々も創業をしやすくなったというふうに私どもとしては考えております。  いずれにいたしましても、この最低資本金制度の特例制度を使いながら、タイムリーに、手ごろな資金で創業できるように私どもとしては積極的に支援をしていきたいと思っております。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、大臣聞いていただいたとおりのことなんです。やっぱり、こういったものが一つ。  もちろん、最低資本金というのは会社債権者の保護という問題で、これは大事な問題なんですよ。でも、現在の状況を踏まえるならば、どうあるべきかというのは、正に今の日本経済状況、いろんなことも判断していただきながら、日本ではやはり起業をでき、いろんなことに展開できるという方向へ私は進めていくべきだし、そこに正に今度の改正、来年出されるやつが大きくかかわっているということもございますので、これへ向けての決意というか、それを大臣から伺って、質問を終わりたいと思います。
  150. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 経済の活性化、特にベンチャー企業の育成等に関しては、今の最低資本金の見直しも含めた会社法の見直し、緊急の課題考えております。私ども、これは法制審の審議状況等も見守りながら、何としてもこの前進のためにこれからも努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  152. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  大臣所信の大きな柱である司法制度改革の中で、まず裁判員制度の問題について質問をいたします。  私たちは、この制度は、長く職業裁判官が独占してきた日本の裁判に一般国民が参加をするという点で大変重要な制度だと評価をしております。そして、本当に国民の参加というものを実のあるものにするには、審議会の意見書が述べましたように、「裁判内容決定に主体的、実質的に関与することができる」、こういう制度にする必要があります。そのために、私たちは、合議体でいいますと、裁判官一に対して裁判員は九人以上、少なくとも裁判官の数の三倍以上の裁判員が必要だということを考えております。  大臣も、就任直後の記者会見で、裁判員の実質参加のためには数が多いことが必要だということを述べられております。ところが、今日、衆議院でも行われましたこの政府案につきまして言いますと、裁判官三、裁判員六という数となりました。これでは、市民が添え物になって、主体的、実質的な関与というのができないんではないか、こう思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  153. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 委員指摘のこの数の問題は、与党の中の調整におきましても最後まで議論のあったところでございます。  合議体の構成の在り方については、まず評議の実効性確保や、個々の裁判員が責任感と集中力を持って裁判に主体的に、実質的に関与するということを確保することが大事でございますが、合議体全体の規模にも一定の限度があるということで、議論の推移といたしましては、まず十人に至らない程度の全体の数を決めることが適当であると考えてきたわけでございます。  次いで、この裁判員制度の対象の事件というのが法定合議事件の中でも特に重大と認められる一定の事件であることから、現行の法定合議事件と同様に、原則として裁判官三人による慎重な審判を行うということが必要であるということでその数をまず決め、そして合議体全体の規模が十人以内ということであると、残りのところで裁判員を六人ということが合理的ではないか。これで一対二ということになりますから、裁判官よりも裁判員が二倍ということに相なるわけでございまして、御提案の御趣旨等にもある程度はこれは沿っているものではないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、裁判官三、裁判員六という合議の構成は、裁判員の主体的、実質的な関与の確保と同時に、国民の感覚を最大限反映させる構成であるのではないかと考えておるわけでございます。
  154. 井上哲士

    ○井上哲士君 その国民の感覚を最大限に反映させるというためには、一般国民である裁判員が職業、プロの裁判官の前で萎縮せずに発言をできる、そういう条件が必要だと思うんです。  そういう点でいいますと、人数とともに比率が私は大変大事だと思うんですね。九州大学が行った模擬裁判のことを去年の委員会でもちょっと紹介いたしましたけれども、裁判官と裁判員の割合が三対十という場合には、一人当たりの発言回数は、裁判官が二十回、裁判員が十三回ということでありますが、裁判官三、裁判員四、こういう数ですと、一人当たりの発言回数は、裁判官が三十七回、裁判員十七回と、ぐっと裁判員の数が減ります。ですから、裁判員の比率が少ないと、裁判官に対して、一人頭でいいますと半分以下の発言しかしなくなる、こういうことが出ているわけですね。  ですから、本当にやっぱり裁判員が萎縮せずに発言をできるためには、こういうしっかりやっぱり比率を確保するということが、私は三倍以上が必要だと思うんですが、こういう比率という問題はどう議論され反映をされているんでしょうか、事務局長
  155. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) そういう実験が行われたと、そのことは承知はしておりますけれども、ただこれは、問題はその人数いかんというよりも、裁判官がいかにその裁判員の方に意見を表明してもらえるか、そういうような指揮をするかというところにも絡んでくるわけでございまして、必ずしも人員が何倍かということが決め手になるわけではないというふうに理解をしております。  また、二倍で足りない、三倍でなければならないという、こういう公式はどこからも出てこないわけでございまして、私どもはその評議の実効性、こちらの方が重要だというふうに思いまして、余り多数ですと本当にしゃべらない方が出てくる、これでは何のための評議かということになりますので、そちらをまず重要視をする。それで、最大限、多数の考え方の意見が反映されるようにその六人ということを選んだ、こういうことでございますので、御理解賜りたいと思います。
  156. 井上哲士

    ○井上哲士君 評議の実効性のためには十人以内が必要なんだというのが先ほどの大臣の答弁にもありました。結局、十人という枠があって、裁判官は従来どおり三人だと。先ほど大臣は残りという言い方をされましたけれども、そういう結局枠があって裁判官は三だと、こういう議論が先行しているから私はこの三対六という数になってしまったと思うんですね。  結局、三人という従来の裁判の体制にどう国民を付け足すか、こういう発想がやはり大本にある。これでは本来の裁判員制度の在り方とは私は違うんではないか。そういう従来の裁判にどう付け足すかということではなくて、国民参加の新しい制度として制度設計を考えるべきだと思いますけれども、その点、もう一度大臣いかがでしょうか。
  157. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) この人数に関しては、私は分かりやすく今お話を申し上げたのでああいう表現になりましたが、法曹にかかわる例えば最高裁判所あるいは弁護士会の御意見、あるいは各党それぞれの御意見、これらをすべて集約した形で最も妥当な案として今回の案を決定させていただいておりますので、必ずしも付け足しでということではございません。あくまで国民皆様の常識が正しく反映されるということで決定されたと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  158. 井上哲士

    ○井上哲士君 野党も、そしてまたいろんな市民団体もこの数ではやはり不十分だということを言っているわけでありますから、この点は今後法案審議の中でも再度議論をしていきたいと思います。  この裁判員制度の導入に伴って刑事司法の手続を改善をしていくということが求められておりますけれども、結局、長らく批判のあった代用監獄の廃止、取調べの可視化、それから証拠の全面開示、これらは全部見送られました。  その一方で、刑事訴訟法の改正案が出されているわけですが、この中には被告人の防御活動や弁護活動に不当な制約をもたらす、こういう中身も含まれておることは大変重大だと思います。  今日は開示された証拠の目的外使用禁止の問題をお聞きしたいんですが、被告人及び弁護人は開示された証拠の複製その他、その内容の全部又は一部をそのまま記録したもの又は書面を当該被告事件の審理の準備以外の目的で使用してはならないと、こういう規定が入りまして、被告人については罰則まで付けております。  憲法は八十二条で裁判の公開主義を定めておりますが、その趣旨は、公判手続を公開をすることで国民の批判にこたえる裁判がなされる、これによって公平な裁判がなされると、こういうことだと思います。私は、この開示された証拠の目的外使用ということはこの憲法の公判の、裁判の公開主義に反すると思いますが、いかがでしょうか。
  159. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 今回、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案では、検察官が開示した証拠の複製等を被告人側が当該被告事件の審理の準備等の目的以外の目的で使用することを禁止することにしております。  しかしながら、刑事裁判の審理が公開の法廷で行われるということには変わりはございませんで、そのように開示証拠の複製等の目的外使用を禁止するものとしても裁判公開の原則に反するものではないと考えておるところでございます。
  160. 井上哲士

    ○井上哲士君 今回、それでは今回この開示された証拠の目的外使用を禁止する、その趣旨、目的は何なんでしょうか。
  161. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) この証拠の開示は何のために行われるかということでございますけれども、今回、かなり被告人の防御のために証拠が開示されるように、そういうような法律を用意しているわけでございますけれども、すなわちは、証拠調べの実施前に争点整理が十分に行われるようにと、こういうために証拠を開示するわけでございます。  こうなりますと、何のためということは、やっぱり被告事件の被告人の防御のためということになるわけでございまして、被告人の事件から離れてそれ以外の目的で使用がされるということになると、その中に関係者の名誉、プライバシー、こういうものもあるわけでございまして、こういうものの侵害になる、場合によってはその中から証人の威迫等が行われる可能性もあるということでございまして、そういう弊害が生ずるおそれがあるということから、それを防止するためにこの規定を設けたということでございます。
  162. 井上哲士

    ○井上哲士君 もちろん、被告人や関係者のプライバシーに配慮をしなくてはならないのは当然であります。  しかし、現行法でも訴訟記録等の閲覧を行った者はプライバシーなどへの配慮から様々な制限を課しておりますけれども刑事罰はありません。不当な利用については弁護士倫理であるとか民訴法で対応し、それから名誉毀損とか恐喝などは刑法で対応するなど、現行は極めて抑制的だと思うんですね。なぜ一律に、かつ刑事罰を科すほどの厳しい制限を新たに付けなくてはならないのか、この点いかがでしょうか。
  163. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) この点に関しましては、現在の刑事訴訟法の中でも、開示された証拠の扱いに関するルール、これが明確ではないわけでございます。  そういう中で、かなりいろんな問題が起こっておりまして、例えば暴力団関係者にそのコピーが出てしまうということもございましたし、場合によってはインターネットで公開される、あるいは雑誌に掲載される、こういうような乱用事例がかなり目に付くわけでございます。  このたび、今、国会に提出している刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、この中で、従来より開示される証拠がかなり広がる、範囲が広がっていくという手続を設けているわけでございます。そうなりますと、今まで以上にいろいろな証拠が開示されるということになりますと、やはりこの辺をきちっと押さえないと今まで以上に乱用の事例が出てくるおそれがございます。そこをやはりきちっと防止をしなければならないということから手当てをしていると、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。
  164. 井上哲士

    ○井上哲士君 乱用されたものについては別途手当てをすることはあると思うんですね。しかし、実際にはこれまで、共犯事件とか、それから例えば痴漢冤罪とか、関連するいろんな事件などの場合に、それぞれの弁護人、それから被告人も一緒になる場合もあります、開示された証拠をお互いに検討、協議をする、そういう弁護団会議であるとかそれから事例研究会、こういうことは広く行われてきましたし、松川事件のように、多くの国民が公開された訴訟記録などをよく検討して真実を訴えて、公正な裁判を求めることによって正しい裁判が実現をした、こういう歴史もあるわけです。こうした活動が目的外使用からはみ出すということで制限をされるということになるんじゃないですか。
  165. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 例えば、弁護団でいろいろ会議をするという場合は、その被告人の事件の関係であれば、その弁護団の中でそのコピーでその協議をするということは構わないわけでございます。また、共犯者との関係で行う場合は、共犯者は共犯者で、もしその証拠が必要であればその手続で自分の方でもらえるわけでございます。それが仮にもらえないとしても、その内容を伝えて、そこで協議を行うということはできるわけでございます。そういう意味でそこの支障はないであろうというふうに私どもは思っているわけでございます。  それから、一般的な検証の御質問でございますけれども、これは別途、例えば確定事件であれば確定記録法ですか、こういうことに基づいてその閲覧等、それをすることができるわけでございます。そういう手続で経たものを御利用いただきたいということでございますし、また、そういうものでその研究をする場合に、そのものを使うということではなくて、その趣旨を明らかにして協議をいただく、あるいは研究をいただくということで足りるというふうに私どもは思っております。
  166. 井上哲士

    ○井上哲士君 支障はないとおっしゃいましたけれども、やはり現に弁護士団体を始めとして、こういう規定が入りますと被告人の防御権や弁護人の弁護活動に重大な影響を与えると、こういういろんなやっぱり危惧の声が出ているわけです。  現在でも犯罪被害者等の保護を図る関連の法律で、不当に関係人の名誉や生活の平穏を害し、又は捜査や公判に支障を生じさせることのないように注意しなくてはならないということを閲覧等で規定をしているわけで、一律と禁止とせずにこういう不当な行為などを具体的に禁止すると、こういうことで事足りるんじゃないでしょうか。
  167. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 不当な行為、これ全部をどうやって拾い上げるかという問題でございまして、閲覧なら閲覧というところに限ってやるならいいんですけれども、これはいったんその証拠が渡りますと、後どういう対応でどのようになっていくかということを、これを全部克明に書き出すことは非常に難しいわけでございます。そういうことから包括的にその目的外使用について禁止し罰則を設けていると、こういうことでございます。
  168. 井上哲士

    ○井上哲士君 繰り返しますが、現在でも様々な形で不当なものについてはこういう禁止の規定があるわけですから、そういうことで対応すべきだと思いますが、これもまた法案の際にじっくりと議論をさせていただきたいと思います。  もう一つ、これ裁判員制度に戻るわけでありますが、守秘義務のことも大変議論になっております。  衆議院の議論を見ておりましても、この点については行き過ぎた守秘義務を課すことは裁判員に非常に負担になるし、国民から裁判員制度を遠ざけることになると、こういう批判が出ておりました。これに対して、評議の秘密にかかわらないもの、例えば感想とかこの程度なら許される、その区別を明らかにするための方策を考えると、こういうこともありました。  しかし、感想はいいけれども意見は駄目と、こういうことになるわけで、やはり当事者が、裁判が終わった後、それに関する自分の意見を表明するとか、この裁判員制度に在り方についての意見を表明するとか、ここまでも禁じる必要はないんじゃないでしょうか。
  169. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 確かに感想は述べていいということでございますが、この裁判員制度に対する将来の提言、これも言っていただいてもそれは構わないだろうと思います。問題は、それが評議の秘密とか個人のプライバシー、こういうものに触れる場合は禁止をするということを言っているわけでございますので、そこに触れない範囲で制度に対する提言等をいただいてもこれは問題はないというふうに考えております。
  170. 井上哲士

    ○井上哲士君 本人の、自分の評議に対する意見、これも含めて今禁止になっている。これは外す必要があるんじゃないかと、こういうことを言っているんです。
  171. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これは、私どもはそれは外すべきではないというふうに思っております。個人が、自分はこう考えた、ああ考えたということ、これを全部表明すれば各人が表明をしてもいいということになるわけでございまして、各人が全部そろえば評議の秘密は全部現れてしまうということにもなりかねないということでございます。  それからまた、意見を公表していない裁判員の意見も内容的には推測されるという状況にもなるわけでございますので、これは厳に慎んでいただきたいというふうに考えております。
  172. 井上哲士

    ○井上哲士君 もちろん、他人の意見等やまた秘密については、それは守秘義務を課すべきだと思いますが、私は、自分自身の意見について裁判が終了後まで課すのはこれはやはり行き過ぎだと思います。この点も今後法案の質疑の中で議論をしていきたいわけですけれども、やはり過度のこうした規制を置くことはこの裁判員制度国民から遠ざけることになってしまうと、このことだけ指摘をしておきます。  次に、戸籍の問題で幾つかお話質問をいたしますが、婚外子のプライバシーの侵害だという判決を受けまして戸籍の記載を変えるという方向を大臣が打ち出されました。これは大変歓迎をしております。時期と方法はどのようにされるのか。  それから、この問題の根本には、いわゆる相続における差別という問題があります。これは国際機関でもいろんな指摘がありまして、国連の社会権規約委員会でも、婚外子に対する法的、社会的及び制度的差別が存続していることについて、特に相続及び国籍に関する権利が制限されていることに関し懸念を有するということが日本に対して指摘されていますが、こうした国際的な指摘をどう受け止めて取り組もうとされているのか、大臣のお考えをお聞きします。
  173. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) お尋ねの戸籍の続柄欄における現行の取扱いでは、嫡出児についてはその出生の順に、例えば長男、次男あるいは長女、次女と記載して、非嫡出児については男又は女と記載することになっております。  三月二日の東京地裁判決においては、非嫡出児であることが強調されることがないようにすべきである旨の判示がされたことでありますが、これを真摯に受け止めまして、法務省としましては、非嫡出児についても嫡出児と同様に長男、次男あるいは長女、次女と記載するようにその記載の方法を改善する方向で戸籍法の施行規則、これは法務省令でございますが、その改正で処理をするべく検討中でございます。  この時期につきましては、なるべく早く所要の戸籍法改正、戸籍法の施行規則の改正が行えるように考えております。年を越さない程度ということで努力をしておりますが、もう一つの課題である相続の問題につきましては、なかなかこれは各方面の御意見もございまして、国民各層の御意見を伺い、また国会における議論等も私ども十分参酌しながら、国際的動向等も含め慎重に対応してまいりたいと考えております。
  174. 井上哲士

    ○井上哲士君 国際的動向と比較をして後れているということで指摘をされているわけでありますから、是非お願いをしたいと思います。  この戸籍をめぐっては、昨年の通常国会で性同一性障害者の特例法を本委員会委員長提案という形で全会一致で成立をさせました。七月から施行されるわけでありますが、今裁判所に性別変更の審判を求める際に提出をする必要がある医師の診断書の記載事項についての省令案が厚生労働省が作っておりまして、パブリックコメントを求めている最中ですが、この省令案と同時に通知が出される。記載に当たっての留意事項に関するものですが、その検討途上のものがいろいろ広がっておりまして、その内容をめぐっていろんな不安の声が出ております。  省令案では、現在の戸籍と違う性ですね、要するに他の性別としての身体的適合状況社会的適合状況について診断書に記載することになっていますが、その留意点として、この診断を行った医師が必ず診断を受けた者の友人、知人や同僚等の第三者から直接聞き取った供述を示すことと、こういうことがありまして、これでは強制的カミングアウトになるじゃないかと、こういう声が関係者、当事者から出ております。  こういう第三者の供述を必ず求めるということはやめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  175. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 性同一性障害特例法の施行準備を現在進めておりますが、家庭裁判所への性別変更の請求に際して必要となる医師の診断書の記載事項につきまして、厚生労働省で定めるべく、三月一日からパブリックコメントをしているところでございます。また、省令案と併せまして、記載事項の細目を定める記載要領についても現在検討を進めているところでございます。  ただいま委員の御指摘の点につきましては、御指摘も踏まえまして、記載要領におきまして第三者からの意見聴取を必須としない方向で検討していきたいと考えております。
  176. 井上哲士

    ○井上哲士君 さらに省令案では、医療機関における診断受診歴並びに治療の結果、経過及び結果という項目があります。その記載の留意点として、治療の妥当性、正当性というのがあります。これについても非常に不安の声がありまして、当事者の中には様々な事情で海外での性適合手術を受けられた方もいらっしゃるわけで、正当性が強調されますとそういう方々が排除されるんじゃないかと、こういう不安がありますが、そんなことはあってはならないと思うんですが、その点どうでしょうか。
  177. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 性同一性障害当事者の方々の中には、国内で治療が行われる前から、海外において性別適合手術を含む治療を受けた方々がたくさんおられるということは承知しているところでございます。  委員の御指摘にありましたように、海外でそういった手術を受けられた方が不利益がないよう、「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」というのがございますが、その第二版の内容を踏まえまして、今後検討してまいりたいと考えております。
  178. 井上哲士

    ○井上哲士君 この法律は、大変当事者の皆さんの熱い思いがあり、そして全会派の一致でできた法律でありますが、制定の過程でも、一人一人が自分らしく生きる、そのことを保障するためにできるだけ広く認定をしようということがありました。そのことを踏まえて、こうした省令やそして留意点にかかわる通知が、当事者の実態に合った内容にする必要があると思います。  いろんな今不安の声が上がっていることを紹介いたしましたけれども、やはり早く通知の案も公表をして、そして当事者の皆さんの意見を幅広く聞くと、こういう場を持つことが必要だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  179. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 御指摘がありましたように、できるだけ早い機会に当事者の御意見を聞く機会を設けたいと思います。
  180. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非、七月からの施行に向けて、幅広い皆さんが自分の心に合ったそういう戸籍を持てるように御努力をお願いをしたいと思います。  終わります。
  181. 山本保

    委員長山本保君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  182. 山本保

    委員長山本保君) 続いて、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案裁判所法の一部を改正する法律案及び弁護士法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  三案について政府から趣旨説明を聴取をいたします。野沢法務大臣
  183. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。  第一点は、裁判官につき、判事の員数を六十七人、判事補の員数を十六人及び簡易裁判所判事の員数を十二人増加しようとするものであります。これは、民事訴訟事件・知的財産関係事件、倒産事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官の員数を増加するほか、これまで沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律中の特例規定に基づいて最高裁判所規則で定められていた裁判官の員数を裁判所職員定員法中に組み入れ、これらを通じて裁判官の員数を九十五人増加しようとするものであります。  第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を四百人増加しようとするものであります。これは、民事訴訟事件・知的財産関係事件、倒産事件、刑事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所書記官等を二百七人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化し、効率化すること等に伴い、裁判所事務官等を百九十七人減員し、あわせて、これまで沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律中の特例規定に基づいて最高裁判所規則で定められていた裁判官以外の裁判所の職員の員数を裁判所職員定員法中に組み入れ、これらを通じて裁判官以外の裁判所の職員を四百人増加しようとするものであります。  次に、裁判所法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、裁判所書記官、家庭裁判所調査官その他の裁判官以外の裁判所の職員の研究及び修養について、その相互間の連携の強化により一層の充実を図るとともに、その体制整備等を図るため、裁判所書記官研修所及び家庭裁判所調査研修所を統合し、新たに裁判所職員総合研修所を設置するなど所要法整備を行うものであります。  最後に、弁護士法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  第百五十六回国会で成立いたしました司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律により、司法修習生となる資格を得た後に企業法務の担当者及び国会議員等の職に一定期間あった者等に対して、所定の研修を修了したことを要件として弁護士資格が付与されることとなりました。この法律案は、以上のような弁護士資格の特例制度の見直しを踏まえ、更にその一環として、法律学の教授又は助教授の職にあった者等に関する弁護士資格の特例制度について、所要改正を行うことを目的とするものであります。  以下、法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、一定範囲の大学の法律学の教授又は助教授の職に五年以上あった者に関する弁護士資格の特例を見直し、司法修習生となる資格を得た後にこれらの職にあった期間が五年以上となる者に対して、所定の研修を修了することを要件として弁護士資格を付与するものとしております。  第二に、司法修習生となる資格を得た後に衆議院又は参議院の法制局参事、内閣法制局参事官等の職にあった期間が五年以上となる者に関する弁護士資格の特例について、これらの者にも所定の研修を修了することを要件として付加するものとしております。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が各法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。  以上でございます。
  184. 山本保

    委員長山本保君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会