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2004-06-01 第159回国会 参議院 文教科学委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月一日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      畑野 君枝君     小池  晃君  五月三十一日     辞任         補欠選任      谷  博之君     北澤 俊美君      小池  晃君     畑野 君枝君  六月一日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     谷  博之君      佐藤 泰介君     小林  元君      草川 昭三君     山口那津男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北岡 秀二君     理 事                 亀井 郁夫君                 後藤 博子君                 鈴木  寛君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 扇  千景君                 橋本 聖子君                 伊藤 基隆君                 小林  元君                 谷  博之君                 中島 章夫君                 西岡 武夫君                 山口那津男君                 畑野 君枝君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   河村 建夫君    副大臣        文部科学大臣  小野 晋也君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       馳   浩君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        文部科学省生涯        学習政策局長   銭谷 眞美君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君    参考人        慶應義塾大学大        学院教授     金子 郁容君        東京大学大学院        助教授      勝野 正章君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方教育行政組織及び運営に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨五月三十一日、谷博之君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。     ─────────────
  3. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として慶應義塾大学大学院教授金子郁容君及び東京大学大学院助教授勝野正章君の二名の方に御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず金子参考人勝野参考人の順でそれぞれ二十分程度の御意見をお述べいただいた後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。  それでは、まず金子参考人から御意見をお述べいただきます。金子参考人
  4. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 皆さん、おはようございます。御紹介にあずかりました慶應義塾大学金子でございます。本日はよろしくお願いいたします。  まず初めに、私の自己紹介も兼ねまして、これまでの私のコミュニティスクールとのかかわりについて簡単に御説明させていただきたいと思います。  今回の法改正の契機になった、まず教育改革国民会議でございます。私は、教育改革国民会議第二分科会の主査としてコミュニティスクール提案をした提案者でございます。最終的には、教育改革国民会議最終報告書の十七の提案一つとして、新しいタイプの公立学校コミュニティスクールなどを検討するということが盛り込まれたということになりました。その後、コミュニティスクールについては総合規制改革会議などを中心にして推進されてきたものでございますが、私は三年間にわたりまして総合規制改革会議教育分野専門委員として審議、提案参加をしてまいりました。  その間、慶應大学プロジェクトとして、研究プロジェクトといたしまして、ホームページにてコミュニティスクールの、私の考えるコミュニティスクール提案をしたり、オープンな会議室を開いて一般の方といろいろディスカッションしたり、それからコミュニティスクールを作るとしたらこんな法案が必要ではないかという、これは私案、私の案でございますけれども、それを提示したり、最新情報を提供したりしてまいりました。  一方で、二年前から始まりましたコミュニティスクールモデル校、これ全国で七か所ございますけれども、その方々とも交流を深めてまいりました。ほとんどすべてのモデル校に私自身が複数回訪問しております。また、校長先生もほとんどの方お集まりいただきまして、何回か意見交流会のようなこともやっておりまして、現場で何が起こっているかということに関しても密接に連絡を取り合っているという状態でこれまで来ました。  一方で、私は、数年前、二年前まで慶應義塾幼稚舎、これは小学校でございますけれども、この校長をやり、初等教育現場に携わりました。また、昨年の夏からは長野県の教育委員として行政側からも現場に携わるという経験をしながら、やはり日本の教育システム、かなり問題あるなと。それを、そこに新しい選択肢を与えるものとしてコミュニティスクール大変期待をしている者の一人でございます。  学校教育システム問題点、これは挙げ出すと切りがないので、今日は私の経験に基づいて二点だけ、私がコミュニティスクールを推進するに至った直接のきっかけになった二点だけお話をしてみたいというふうに思います。  まず、先ほど申し上げたとおり、私は私立の小学校校長を数年間やったわけでございますが、校長をしてみて、やはり子供を毎日預かるということは大変な仕事だなと思う一方で、これも非常にやりがいのある大変すばらしい仕事だなということを実感した次第でございます。  ただ、そのとき私、大変教育システムについては無知でございまして、大変びっくりしたことがございます。校長として私、一番大事なことは、学校のビジョンを作ってそれに基づいていい教員をリクルートして、教育は人でございますから、それで誘っていい人を採用するということが校長の最大の任務の一つかなと思っていたんですが、公立学校先生お話しすると、公立学校校長というのは教員は選べないということを聞いて大変びっくりしたことがございます。責任のある教育、特に小中学校子供たちを扱う、をするのに校長教員を採用することに直接かかわれないということは、何が責任のある教育かなということを大変疑問に思ったことがございます。これが一つきっかけでございます。  もう一つは、長野県の県の教育委員をしてみて、これは教育委員になって初めて分かったというよりも、元からそう思っていたことを実感したことでございますが、特に小中に関しては、文部科学省県教育委員会市町村教育委員会の中で大変大きなずれというか、ねじれがあるのではないかなと。これは大変大きな問題ではないかなというふうに感じております。  例えばでございますけれども、つい先日、長野県の教育委員会教員の配属というか配置がございました。四千人を超える教員配置を、一遍に出てきまして、これを報告を受けて承認をするわけでございますけれども、多少不謹慎かもしれませんが、四千何人に至る教員一人一人が本当にベストなのかということを、県の教育委員がそれを見てベスト判断できるかどうかというのは大変疑問に思ったわけでございます。  このようなことがございますので、学校自分でもってやれることが少ない。市の教育委員会人事権都道府県教育委員会に持たれているということで、だれが一体小中学校責任を持って運営をしているのかということに関してかなり疑問に思うことが多いわけでございます。このねじれ現象というのが私がコミュニティスクール提案した一つの、このねじれ現象を解消するということがコミュニティスクール提案した一つの大きなねらいでございます。  今回のコミュニティスクールを可能にする法改正は、私が今まで提案してきたコミュニティスクールのあるべき姿とはかなり遠いものでございます。しかし、ある幾つかの点が明確にされれば大きな一歩になる可能性はあるというふうに期待をしています。本日はそのポイントを四つに絞りまして、一つずつ御説明させていただきたいというふうに思います。  まず第一点でございます。二ページ目に参ります。  これは、教員人事に関して学校運営協議会の役割でございますが、法案の中にはこのように書いてあります。学校運営協議会意見を述べる、教職員の採用について意見を述べる、任命権者都道府県教育委員会はそれを尊重するとありますが、尊重するとは何かということが大変問題だなというふうに感じました。  先日の衆議院文部科学委員会で、公明党の斉藤委員からの質問に対して近藤初中局長がこのように答えております。学校運営協議会が出してきた意見に対して、合理的な理由がない限り学校運営協議会意見に沿うと。それを異なる判断をする場合には説明責任が発生するというふうに書いておりますが、これは法律案文面からは読み取れないことでございます。少なくとも、このぐらいのことはきっちりと周知徹底させる必要があるというふうに思います。  いろいろな教育委員の方と話してみますと、行政の方と話してみますと、これは今までのいわゆる内申とどこが違うのという意見がよく聞かれます。内申制度ともし同じないしは同じようなものであるとしたら、今回の法改正はほとんど意味がないものになってしまうというふうに思います。この答弁にあるように、違うものであるというふうに理解しておりますが、そのことを周知徹底させることが必要だと思います。  内申に関してはいろいろな問題がございます。内申をするといっても、それが実際に満たされるかどうかは分からないし、何の説明もないということもありますし、例えばこれは東京都の品川区教育長の若月さんがある学会のシンポジウムで述べたことでございますが、東京都からは区の内申の内容にまで指示があるんだということを述べております。真偽のほどは私は知りません。しかし、地方教育委員会がこのようなことを思うないしは感じるということは、内申制度に関して大変大きな問題があるんではないかというふうに思います。  教員の選択について地域意向が確実に反映されるということをしっかりと周知徹底させる必要というのが第一点としてあるというふうに思っております。  第二点は、学校指定に関してでございますけれども、これも法案には、市町村教育委員会は、小中の場合ですけれども、学校指定するとき、あらかじめ都道府県教育委員会協議をしなければならないという文章がありますが、私の見るところ、地域自主性を重んじるということがコミュニティスクール趣旨でございますので、あらかじめ都道府県教育委員会協議をしなきゃいけないというのは、これはなかなかおかしなものだなというふうに思います。  ただ、これも斉藤委員質問に対して近藤初中局長がこのように答えております。同意を得るということは求められていないと。それで、事前協議が調わない場合も設置ができるというふうに書いてありますが、もう法案からはこういうことは必ずしも読み取れないというふうに思います。このこともこのような趣旨法案ができているということを周知徹底しないと、市町村教育委員会指定をしたくても、都道府県教育委員会の方に顔を向いて御意見を伺うなんということがゆめゆめあってはいけないというふうに思います。この答弁趣旨周知徹底する必要があるというふうに感じております。  次のページへ行きまして、これは今の二点に関係あることですが、ある区市町村教育委員会の方とお話をしたら、是非うちの地域でもコミュニティスクール、来年四月から立ち上げたいと。しかし、都道府県の、管轄先教育委員会から加配を少なくされたりすることがあると困るなということで、ちょっと今消極的なんだというお話がありました。これはもちろんとんでもないことでございますが、加配の一部に関しては都道府県教育委員会の裁量、判断の余地がかなりあることは事実でございます。もちろん、公正に行われている場合が多いと思いますが、しかし学校市町村教育委員会に関しては、何か都道府県教育委員会意向に沿わないことがあると加配を減らされるんではないかというおそれがあるということは多分事実ではないかと思います。  実際にそういうことが行われているかどうかに関しては私は事実としては知りませんが、しかし教育行政というのはどうしても、規則はきちっと分権制になっているのに自己規制が働くという場合が多いということでございますので、ゆめゆめ市町村教育委員会コミュニティスクール指定したら加配などでもって不公平にならないようにということは、もうこれは当然のことだと思いますけれども、そのことは都道府県市町村教育委員会学校周知徹底をしないと、せっかくの機会というのが、法案が生かされないという可能性があるんではないかなというふうに思っております。  第四点、私の主張の四点、最後のものでございますが、これ、実は大変大事なものでございます。それは学校市民の発意を尊重するというポイントでございます。  コミュニティスクールは、元々、教育改革国民会議提案があったころから、学校地域コミュニティーの主体性や自主性を重んじる選択肢を作るということが基本的な趣旨でございますが、今回の法案をそのまま読みますと、残念ながらすべて教育委員会教育委員会がということで、すべてがあたかも教育委員会主導で行われているような印象を与えるような書きぶりになっております。もちろん、責任体制をしっかりしなきゃいけないのでこれらのことはやむを得ない部分もあると思いますが、しかし、一般住民市民地域コミュニティー方々、それから学校意欲のある先生たち自分たちでいい学校を作れるんだと、そういう道がないということをもし感じるとしたら、せっかくの新しい制度がうまく運ばないんじゃないかというふうに思います。  例えば、学校長教員人たちが是非こんな学校を作ってみたいと、地域人たちコミュニティスクールにしようと望んでいるのに、その当該の市町村教育委員会が何らかの理由で消極的だった場合は現在の法律文面からすると指定がされないという可能性があるわけでございますが、これはおかしな話でございます。  実際、コミュニティスクールモデル校一つである新宮市の光洋中学校では、公募で選ばれた民間人校長、塩見さん、大変すばらしい方でございますけれども、教員意欲のある教員、それから地元の方々が大変盛り上がっていて、来年の三月にモデル校指定が切れたら本格的なコミュニティスクールとしてスタートしたいということで今話を精力的にしておりますが、漏れ聞くところによりますと、新宮市の教育委員会は、コミュニティスクール指定に対して今のところ消極的だという話を聞いております。このような場合に住民意思学校意思がしっかりと反映されるということが大変大事なことではないかなというふうに思っております。  これに関しても、先日の衆議院委員会笠委員質問がありました。学校が希望した場合は問題がなければ認められると考えていいのかという質問に対して、河村文部科学大臣がそうあるべきものだと考えて法案を作っているという答弁がございます。ただ、残念ながら、法案を見る限りこの趣旨は表れていない、普通に読めば表れていないのではないかと思いますので、この文部科学大臣が述べているようなコミュニティスクール、いわゆるコミュニティスクールの原則、趣旨をこれも周知徹底していただくことが肝心じゃないかなというふうに思います。  最後ページに入ります。  先ほど申し上げたとおり、コミュニティスクールモデル校では様々な活動が行われております。いろいろな地域で本当にいろいろな取組が行われておりますが、幾つか少し注目すべき動きについて御紹介してみたいというふうに思います。  まず、幾つかの学校モデル校校長公募し、しかもその人選地域住民がかかわるということがあり、大変うまくいっているケースが多いというふうに思います。特に津市の南が丘小学校では、初めからこの小学校校長を募集するということで公募をし、六十数名の候補の中から今、遠藤校長が選ばれたわけでございますけれども、選ばれたときの人選は、協議会住民代表が数名、市の教育委員が数名、そして有識者が数名ということで人選をいたしました。  遠藤校長お話を聞きますと、私はこの南が丘小学校校長をするということで応募したんだ、どこの学校でするか分かっているから応募したんだというふうに言っておりました。また、人選の過程で実際に地域の人が人選に加わっていたということで、赴任したときにもう既に地域コミュニティーの支持を一部得られているという自信があったので、大変スムースに学校校長をすることができたという大変ポジティブな結果になっております。  また、教員に関しても、教員が手を挙げて、その教員校長が選ぶとか、それから教員の中で、京都FA制度でございますけれども、こんなことをしてみたいということで校長がそれをリクルートをするといったようなこと、校長が面接をして教員を具申をするといったことが例えば御所南小学校京都でございますけれども、行われて、これもかなりいい成果が上がっているというふうに聞いております。  学校運営協議会に似た組織はすべてのモデル校で立ち上がっていて、かなり積極的に住民参加が進んでおります。特に協議会学校運営に深くかかわっている、積極的にかかわっているところの代表として東京の足立区五反野小学校、それから先ほどの津の南が丘小学校などがございます。それぞれ、皆さん方住民が、最初は戸惑いがあったようでございますけれども、今では大変活発に協議をしながら学校づくりを進めているという状態ではないかと思います。  モデル校以外にもたくさんの自治体や学校コミュニティスクールには関心を持っていて、私のところにはいろいろと相談というか、意見交換などをさせていただいているところでございます。  最後にちょっと一、二分いただきまして、コミュニティスクールができたらどんな学校ができるかということを少しだけお話しして、私の意見とさせていただきます。  もちろん、どんな学校ができるか、これは地域が決めることでございますから私がとやかく言うことでございませんが、例えば、あるこれは地方の町でございますが、大変すばらしい自然の中で民家がたくさん余っていると。こういう民家を利用して全寮制小中一貫校を作りたいといったような提案などを考えている、これは大変すばらしいアイデアじゃないかと思います。逆に、市町村責任を持っている小中一貫校を作るときに、小中が同じ一貫したカリキュラムで小学校、中学校分け隔てなく教える、協力をするといったそういう教員を初めから採用するということで、小中一貫がスムースに行われるということもあるかと思います。そういうことで、小中一貫コミュニティスクールというのもいいかなというふうに思います。  また、これは全国的には少ないんですが、例えば、数日前、浦安市の教育委員会の方と話しましたが、大変人口が増えていると。これから小学校作らなきゃいけないというときに、新設校一つコミュニティスクールという形でもって特色を出すというアイデアもあるんではないかと思います。逆に、空き校舎がある学校地域、たくさんございますが、例えば不登校の子供たちとかLDの子供たちなんかを集めた、アメリカのチャータースクール風に父母が参加したり専門家を雇用したりして空き校舎を利用するといったような学校コミュニティスクールとして作るということもあるかと思います。  簡単に言うと、コミュニティスクールは余りお金が掛からない改革案ではないかなというふうに思います。  最後になりますが、今回の法律案が、今日私が述べたような点がはっきり明らかにされれば、今後新しい選択肢として、住民とか地域の方が活発に参加する枠組みになり得る大きな今後の学校改革の第一歩になるんではないかなというふうに思っております。  ありがとうございました。
  5. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ありがとうございました。  次に、勝野参考人にお願いします。勝野参考人
  6. 勝野正章

    参考人勝野正章君) おはようございます。東京大学勝野と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。  私は、一番最初に私自身の基本的な考え方というふうなことを少し述べさせていただきました上で、それで今回の法律案に関する意見というふうなことを続けてお話をさせていただきたいというふうに思っております。  昨今の開かれた学校づくりというふうなことの基本的な考え方につきましては、私は全くそれに賛成をする立場であります。  本日用意いたしましたメモにも、これは現在、帝京大学の教授をしていらっしゃいます、東京大学名誉教授になりますが、浦野東洋一先生が「開かれた学校づくり」という著作の中で書かれている一節を引用しております。そこには、お手元にございます、ありますと思いますが、生徒を真ん中に、家庭学校地域のコミュニケーションと協力関係がうまく働いたときに、子供はより良く育つんだ、そういうふうに書かれているわけであります。  今、これだけ子供をめぐる状況やその背景にあります社会的な変化というふうなことが非常に激しい時代におきまして、学校だけが子供教育あるいは成長、発達というふうなことに責任を負うというふうなことではもうやり切れないというふうなことはだれの目からも明らかになっている。そこで、ここで言われているような、子供中心にして、家庭学校地域の人々がそれぞれの教育に関する権利と、あるいは権限と責任ということを強く自覚をしながら、一緒に教育を作っていくというふうな意味での開かれた学校づくりというふうなことに関して、私は、これまでいろんな形で進められてきていると思いますが、それはますます進めるべきだというふうに考えております。  私は、今回のコミュニティスクールの、金子先生のようにコミュニティスクール研究実践校というふうなところをこれまで余り見る機会がございませんでした。間接的に雑誌ですとか新聞等で報道されているものを見る限りでした。しかし、その一方で、コミュニティスクールというふうなことではないんですが、私自身が今申し上げたような開かれた学校づくりというふうなことの考え方に沿ってといいますか、即してといいますか、それに近い形で様々な学校運営をしている現場というものを幾つか見てきたつもりでおります。  それは、四年前に制度化をされました学校評議員制度というふうなことも一つ利用しながら、しかし、学校評議員制度につきましては、これが非常に不十分な制度であるというふうなこともいろんなところから言われているかと思います。その不十分な点もかなり乗り越えようというふうな意思も持ちながら、例えば各学校学校協議会を置き、そこには教職員も保護者も子供たち参加をするというふうな形で一緒にいい学校を作っていこうというふうなことで頑張っているところ、これは、例えば埼玉県に鶴ヶ島市というところがございますけれども、鶴ヶ島市には小学校、中学校すべてにこの学校協議会というものを設置をしまして、学校評議員制度ではなく、評議会形式で、協議会形式で、そして中学校の場合にはすべて生徒もその協議会委員として参加をするというふうな形で、お互いに、例えば具体的に言いますと、例えば学校の非常に中心的な活動であるところの授業をより良くするというふうなことを考えたときに、もちろんそこで先生方が頑張るというふうなことは大事なことですけれども、それだけではなくて、子供たちがやっぱり自分たちの授業をより良くしていくんだというふうなことでかかわっていかなければ、なかなかうまくいかないというふうなことがあるわけですね。あるいは、保護者にしても、例えば家庭での勉強をどういうふうに見ていくのかというふうなことでも非常にかかわりがあることであります。  ですから、授業をより良くするというふうなことについても、教職員、そして保護者、そして学習の主体である子供たちもそこに加わって、じゃ、どうしたらいい授業や学校でいい学習というふうなことができるんだろうかというふうなことを考え合う、意見を交わし合う、そういう場が今各地に広がっているというふうなことがあります。  そういうところを見ておりますと、非常に気が付きますのは、その中で、もちろん子供の成長、発達というふうなことが一つの大きな軸になっているわけですけれども、そこに参加している保護者や地域住民もまた成長していくというふうな姿、それが非常に顕著に見られるというふうに思うんですね。  例えば、保護者に関していえば、保護者は往々にして最初のうちはエゴ的な、エゴイスティックな学校に対する要求というふうなことを持っている場合もありますけれども、そこで保護者同士が意見を交わすことによってもう少し公共的なといいますか、学校全体の教育をどうしたらいいものにしていけるんだろうかというふうなことの視点に立った議論や意見が出るようになるというふうなことがあります。  また、教職員というふうなことに関しても、実際問題として、今なかなか学校現場先生たち同士が授業のことや子供たちのことを考えるというふうな時間が失われているのが現状であります。しかし、授業のことについて子供たち自分たちの発言をする、自分たちの思っていることを述べる、それを教職員が受け止めることで教職員同士がどうしたらいい授業をしていけばいいのかというふうなことを真剣に考え合える機会にもなっていく。  つまり、学校づくりというのは、もちろん第一義的にはどうしたら子供のいい学習、成長、発達を保障できるのかというふうなことなんですが、と同時に、それがそこにかかわる保護者や教職員にとっても、あるいは地域住民にとっても学びであり成長の場になっているというふうなことがあるというふうに思うわけです。こういったものが今各地で実践的な取組として広がっているというふうに私は認識をしております。  そこで、そういったことを前提にして、今回の法律案に関して私が考えていること、意見ということを若干述べさせていただきたいというふうに思います。  まず第一点目ですが、今回の学校運営協議会を置くというふうな法律案につきましては、その目的が公立学校の管理運営の活性化あるいは改善というふうなことがうたわれているわけであります。非常にここで気になりますのは、管理運営の改善あるいは活性化というふうなことと、その後の学校づくり、実際に学校をより良くしていくというふうな実践的な活動というものがどういう関係になっているのかということが大変私には気になるわけです。  簡単に言ってしまえば、仮に地域住民や保護者の意向が管理運営というところに的確に反映をされたというふうにしまして、でも実際には、学校づくりを実際に中心的に担っていくのはこれは言うまでもなく教職員だというふうなことになるわけです。また、そこに当然子供というものもかかわってくるというふうなこともあります。そうであればこそ、教職員がきちっと学校運営の主体としても、学校づくりの主体であるはずの教職員が同時に学校運営の主体としても位置付けられなければならないのではないかというふうに私は思うわけですけれども、今回の法律案を見ますと、教職員の位置付けというのが非常にやはりあいまいであるというふうなことが一つ、一点指摘できるのではないかというふうに思っております。  必要的な委員としての規定がないというふうなことで恐らく御回答があるのではないかというふうに思いますけれども、やはりここは更に積極的に教職員の位置付けというふうなことを考えていただきたいというのが私の意見一つ目です。  また、もう一点、やはり今申し上げてきたようなことからすれば、学校運営協議会学校運営における子供の位置付けというふうなことも非常に今回の法律案の中ではあいまいといいますか、あえて議論されてきていないような印象すら受けます。  この中教審の答申から今回の法律案に至るまで、子供学校運営あるいは学校づくりというふうなことに関してどういうふうな役割を担うべきなのかというふうなことについての議論がほとんど見えないのは一体なぜなんだろうかというふうな思いを一番最初に持ちました。  衆議院での附帯決議の中では子供の声を聴くというふうなことがあったようですけれども、しかしこれまでの法律案、それから中教審答申などの議論の経緯を見ますと、非常にやはり子供の、学校を作っていくというときの子供の位置付けというのが極めて客体的なといいますか、受け身的な役割しか与えられていないだろう、つまり学校というのは、子供にとっては上の方で教職員なり上の方が作ってそれを与えられるだけというふうな位置付けになっているのではないかというふうな気がいたします。先生方、委員の、議員の方々御案内のように、子供の社会に対する参加、その中には学校への参加というふうなことが含まれるわけですけれども、こういったことは、もう既に国際的な動向ですとか、あるいはそれは実践だけではなく研究というふうなことでも非常に常識的なことになっているというふうなことがあります。にもかかわらず、そういった点への言及なり配慮というふうなものが今回見られなかったというふうなことは一体どういうことなのかというふうなことを率直に疑問に思っております。  二点目は、これは衆議院文教科学委員会一つの論点になっていたように私は承っておりますけれども、この学校運営協議会委員の動機付けあるいは所有者意識というふうな言葉が使われていたかというふうに思います。その委員が積極的に委員として活動をする、学校運営にかかわる、そのための動機付けあるいはその所有者意識というものをどうやったら保障していくのか、どうやって高めていくのかというふうな問題が衆議院文教科学委員会では議論になっていたかというふうに思うんですね。そこでは、議論の展開としては、学校運営協議会に実質的なといいますか、公式的な権限をそこに与えるというふうなことで動機付けが図られるんではないかというふうなことの意見が大勢を占めていたように私は思っております。  ですから、今回、予算や人事に関する権限をというふうなことになったんだろうというふうに思っておりますが、しかし私はここのところに関しましてもかなり疑問を実は持っております。単純に権限を学校運営協議会に与えれば、そこの委員が動機付けられる、積極的に学校運営参加をするのだろうかというふうな疑問であります。むしろ、本当にその学校について、学校にかかわる保護者、地域住民、教職員、子供たちが自由に意見を交わし合うというふうなことが大事だというふうにするのであれば、かえってこういう正式な権限というものがあることでもってその自由な対話あるいはコミュニケーションというふうなものを阻害するというふうなことも私はあり得るのではないかというふうに思うのです。  例えば、先ほど挙げました各地で行われている実践の一つに、長野県の辰野高等学校というところの三者協議会というものがございます。この辰野高等学校の三者協議会、ほかのところも大概そのようなものになっておりますけれども、あえて三者協議会というものが学校運営に関する意思決定機関ではない、決議機関ではないというふうなことを言っています。そのことによって、学校を取り巻く人々の自由な対話、意見の交換というふうなことを保障していこうというふうなことを図っている、そこにねらいがあるんだろうというふうに私は理解しており、それがまた実現しているというふうな認識を私は持っているわけです。  今回のこの法律案の作成段階、起草段階、これまでの過程の中でも、イギリスの学校理事会制度が大変参照されたというふうなことを私は伺っておりますけれども、イギリスのその学校理事会などを見ても一番やはり今問題になっているのが実はこの点でありまして、どれだけその学校理事会の理事をリクルートできるのかというふうなことが一番大きな問題、人材の確保というふうなところでほとんどの学校校長先生たちが頭を悩ましているというふうなことが事実としてございます。あれだけ学校理事会、イギリスの学校理事会には学校運営に関する予算、人事権に関する、人事に関する権限があるのですけれども、しかし本当にそれが、保護者や地域人たちにとって学校にかかわっていこうと、一緒に学校を作っていこうというふうなことの動機付けになっているのか、私はそのイギリスの一つ例を見ても大変疑問に思うところであります。  それから、そこにかかわって言いますと、その委員と、学校運営協議会では委員というふうなことになりますが、その方たちとそれ以外の保護者、一般のという言い方も少し失礼な言い方になりますけれども、保護者や地域住民とのコミュニケーションというふうなことがどれだけ図られていくのか、どういうふうな形で図られていくのかというふうなことが、今回の法律案を読んで、拝見をして、非常にやはり疑問に思う点の幾つか目の点というふうなことになります。  例えば、その三者協議会学校協議会というふうな場ではどんなふうに行われているかというふうにいいますと、例えば校則のことを変える、あるいは授業の改善について議論しようなどというふうなときには、生徒は生徒会、あるいは教職員は職員会、あるいは問題によってはPTAという形で、保護者会というふうな形で、まずきちっとやはり議論をしてきて、それを三者協議会の場で、あるいは学校協議会の場でお互いの意見を重ね合うといいますか、交わし合うというふうなことをするわけでありますね。また、そこで三者協議会学校協議会での議論をそれぞれの保護者なり生徒なりというふうな、教職員なりにまたフィードバックをして議論をするというふうなことをしている。やはりこういう丁寧なコミュニケーションの回路というふうなものがなければ、私は本当の意味での学校運営に対する問題、所有者意識といいますか動機付けというふうなことにはなっていかないのではないかというふうに思っているわけであります。  その点に関していいますと、今回特に教育委員会委員を任命するというふうな仕組みになっております。ここのところは衆議院の議論でもかなり問題として指摘をされていたところだろうというふうに思いますけれども、委員代表制というふうなこと、その選出の方法というふうなことも含めて、私は大きなそこに問題があるのではないかというふうに考えております。  それから三点目、大きな柱の三点目というふうなことになりますけれども、今回のこの学校運営協議会によって、新しい公立学校の管理運営の仕組みなり枠組みというふうなことが作られるというふうなことになるわけであります。このことに関しても何点か、私自身の考えといいますか疑問点がございます。  まず一つは、先ほど金子先生教育委員会主導の印象というふうな御発言をなさったというふうに思いますけれども、やはりこれは、法律の文言上は極めて教育委員会の強力な関与、統制の仕組みというふうなことが組み込まれている法律案というふうなことの問題があるかというふうに思うんですね。指定指定の取消し、委員の任命、運営に関し必要な事項について教育委員会規則による定めというふうなことを見ていきますと、これはどうも非常に学校自主性、自律性というふうなことがこれだけ高めるというふうなことが言われておきながら、かえってやっぱりそれを弱める、実際の運用というふうな場面でですね、そういう法律案なり制度の仕組みになっているのではないかというふうなことを一点考えます。  それからもう一点は、学校を実際に運営していく中といいますか、学校の中でのというふうなことなんですが、私、今回のこの法律案を読んでいて、その法律案の条文にあります、校長教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について基本的な方針を作成する、これを学校運営協議会が承認するというふうな基本的な枠組みになっておりますけれども、校長教育課程編成その他の事項についての基本的な方針を作成するというふうに、ここまで校長の権限を実は踏み込んで具体的に規定をしたというのはこれまで法律の文言上なかったというふうに私は思っているんですね。これがもし実際の学校で、多くの学校で今行われているのは、教育方針などを定めるときにはもちろん校長が指導、助言的な役割を十分に果たして中心になる、職員の、教職員の中心になるというふうなことはあるかというふうに思いますけれども、実際には先生方が本当にそこで自分たち子供の、目の前の子供の実態というふうなことを持ち寄って教育方針、基本方針というふうなことを考えているというのが実態だというふうに思うわけです。  ただ、この前の学校評議員制度学校の自主、自律性というふうなことで改革がこの数年間進んでおりましたけれども、それに対する批判の一つとして、結局学校自主性、自律性の尊重というふうなことを言いながら、それは校長権限の強化というふうなだけにつながっているんではないかというふうな批判が、これは研究者の間でもかなり一般的に共有されている批判点でございます。  今回、こういう形で校長教育課程の編成その他についての基本的な方針を策定するというふうなことで踏み込んだ規定をしたことによって、私はこのことが非常にますます促進されるといいますか、トップダウン型の学校運営なりというものが奨励される、法律によって、この制度によって奨励される、促進されてしまう可能性があるのではないかというふうなことを強く懸念をしております。  先ほどの最初の方でも申しましたように、実際に学校づくりをしていくのは、教職員がそこで非常に大きな役割を担っているわけですし、校長のリーダーシップは大事なわけですけれども、校長先生がリーダーシップを発揮するためには、教職員が本当に自主的な創意といいますか、創造的な教育活動ができるというふうなことが大前提になるものだろうというふうに思います。そういう観点から、この点に関して少しといいますか、かなり疑問を私は持っております。  最後にというふうなことで、今回の地域運営学校あるいはコミュニティスクールというふうなことで議論がなされてきたその一連の流れというふうなことですけれども、保護者、地域住民による学校運営参加というのは、私は幾つかの層といいますか意味合いが違うものが混在しているような気がしております。  一つは、最初に開かれた学校づくり一つの理念として御紹介をしたような、本当に参加協力型の学校運営をしていくんだというふうなモデルといいますか、そういう考え方や実践的な取組もあるんだろうと思います。  もう一つは、実は保護者、地域住民学校運営参加をしていくというふうなことが、教育制度を本当に市場原理的な学校間競争というふうなことでもって再編をしていくというふうなときの手段といいますか、てことして用いられるというふうなことが実はあるような気がしています。イギリスの学校理事会制度改革も実はセットになっていたのは非常に強力な学校選択の仕組みでありまして、そのことが帰結としてどういうことをもたらしたのかというふうなことをいいますと、やはり学校間格差、地域の様々な状況ですとか、保護者の経済的あるいは文化的な資源といいますか資本みたいなものに非常に大きく規定された形での学校間格差を生み出していった、あるいは地域間格差を生み出していったというふうなことが言われているわけです。ですから、そこに対する懸念といいますか心配というふうなことも必要なのではないかというふうに思います。  それから、最後の、教育委員会による間接統治型というふうなことを書きましたけれども、特に非常に日本に特殊的な私は形ではないかというふうに思いますけれども、今回の、先ほども申しましたように、法律の条文上、制度上は教育委員会の出先機関としてこの学校運営協議会が機能するという可能性も実は相当ぬぐえないのではないかというふうに思っております。  開かれた学校づくりに関しては、最初に私は基本的に賛成の立場でというふうなことを申しましたけれども、こういった理念なり、実際にそれが実践として取り組まれたときに現れ方の違いなりというふうなことをもう少し精査といいますか、基本的に根本的に検討しながら議論を進めるべきだというふうに私は考えております。  以上です。どうもありがとうございました。
  7. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、各参考人にお願い申し上げます。  答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。  また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔におまとめをいただきたいと思います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございますけれども、今日はお二人の参考人皆さん方、大変貴重なお話をちょうだいしまして、ありがとうございました。  何点かちょっとお尋ねしたいと思いますが、まず最初にお尋ねしたいのは、お二人の先生からお話ございましたけれども、この学校運営協議会制度というのは、開かれた学校制度を作っていこうという文科省の意気込みが感じられる制度改正ではあるんですけれども、やはり、私自身は賛成ですけれども、ただ、この中心は何といっても教育委員会なんですね。教育委員会にも様々ありまして、四十七都道府県の県の教育委員会もそうだし、またそれが市町村教育委員会になったらもう本当てんでばらばら、大きいところ小さいところ、非常に厳しい状況があるわけでございまして、もちろん町村合併がこれから進められてきますと教育委員会も少し変わってこようかと思いますけれども、今のような教育委員会を前提にしてこの制度をうまく機能させていかなきゃいけないと思いますけれども、今のままの教育委員会で、私は、うまくいくところもあるかもしれませんけれども、ほとんどうまくいかないんじゃないかなと思って、教育委員会改革をやっていかなきゃいけないと思っておるわけでありますが。  文科省も三月にはそういう問題認識に立って中央教育審議会に教育委員会の在り方についての諮問をされたということも一つの手掛かりでございますけれども、これから考えた場合に、教育委員会がこのままでいいのかということについて両先生どのようにお考えなのか、まず最初にその点についてお尋ねしたいと思います。
  9. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 済みません。ちょっと私の資料に幾つか誤字がありまして、済みません、ちょっと三十秒だけいただきまして、それで訂正させていただきたいと思います。  二ページ目の上の枠と下の枠で、文科省の近藤局長が、初中のはずが小中となって、初等中等の初でございます、小中ということでちょっと変換ミスがありました。上と下、両方ございます。近藤初中局長に直してください。それから、次の三ページの下で、これは大変申し訳ないんですけれども、民主党の笠委員のことを「かさ」と言ってしまいました。これは大変失礼しました。これは誤字ではございません。四ページの上の枠でございます。一番上の二番目の学校で、土堂の「堂」が「同」になっておりますが、これは堂々たる堂でございますので、訂正させていただきたいと思います。済みませんでした。  今の御質問で、私も教育委員長野県の教育委員やっておりまして、かなりいろいろな形でもって問題あるなというふうに実感をしております。教育委員会に関してはこれから制度改革していっていただきたいと思いますが、現状では、私はこのコミュニティスクールを作っていくという過程において教育委員会の力量が問われるというふうに思います。しっかりと地域住民と一緒になってきちっとした規則を作って、それをコミュニティスクール趣旨に基づいてそれをちゃんとマネージしていけるかということを皆ウオッチをしながら、ベストプラクティス、うまくいったところをまねしながら、こういう学校づくり地域と一緒にやることによって教育委員会自身の専門性を高め、地域とのつながりを高めるという一つきっかけにはなるんではないかなというふうに思っております。
  10. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 教育委員会、現行の教育委員会制度につきましては様々な問題が研究者の間でも指摘をされているところだというふうに思います。  一点私が今申し上げたいのは、やはり、非常に限定的な教育委員会制度の中でも部分的というふうなことになりますけれども、指導主事の制度がございます。指導主事は本来であれば、学校が自主的な学校づくりをしていく、参加協力型の学校運営をしていくときにそれを助けるといいますか、専門的な立場から援助をしていくというふうなことをしなければいけない。この点は今、金子先生おっしゃったこととかなり似ているんですけれども、やはり各学校でいいことをやっている場合には、それをほかの学校にそのまま当てはめるということでなくても、やはりそれを広めていくというふうなことを教育委員会が指導しなければいけないというふうに思うんですが、それが例えば実際の指導主事が学校に行ってどういうことをやっているかというふうなことを見た場合には、なかなかそういう形で指導主事が機能していない、教育委員会からの伝達というふうなことですね、そういったことに終始をしているというふうなことがあったりするかと思います。私は、そこの指導主事の役割というのは教育委員会学校をつなぐ役割として極めて重要な役割を担っているというふうに考えています。  以上です。
  11. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 次にお尋ねしたいことは、学校運営協議会が設けられるわけですけれども、これをどういう形で作っていくかというのが一番大きな課題になると思うんですね。しかし、これについては、例えば教育委員会委員のメンバーについてはこの前法律改正があって、ちょっと具体的に決めてきたわけでありますけれども、この学校運営協議会については全く白紙に近い状況ですから、だれをどういう形で選んでいくのかというのがこれからの大きな課題だと思いますけれども、これについてちゃんと決めていく必要があるんではないかと私は思うんですけれども、先生はこの学校運営協議会の在り方についてはどのようにお考えでしょう。お二人の先生から。
  12. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 正にそこがポイントだというふうに思います。イギリスの学校理事会とかいろいろなところの構成なども参考になると思いますが、今モデル校を見ますと、一定のラーニングというか、こんなのいいんじゃないかということも少しずつ浮かび上がってきております。  例えば、最初はやはり旧勢力というか、町内会とか老人会とか体育何とか会というところからそれぞれ代表を集めてくるというところから出発するのでございますけれども、そういうことも大事ですけれども、それだけでは必ずしも活気が付かないということで、例えば津の南が丘などでは公募委員を何人か入れると、大変やっぱり公募自分で手を挙げた人は発言も盛んだし活発です。例えばPTAの中からも、指名ではなくて、PTAの中から例えば三人自分で手を挙げてくる人を選んでくるというような形になっております。あと、まあ校長が入るかどうかということも今試行錯誤していて、南が丘では校長は入らないということになっております。入るのがいいかどうか、それから教員代表が入るか。先ほど勝野参考人も言ったように、子供が入るかどうかということも、これはこれから、新しい制度でございますので、趣旨に沿うようにいろいろと地域の主体的に実験というかやってみて、それでいい形というのを、日本型のものを作っていくということが大事ではないかと思いますので、そのようないろいろな試みが全国で起こることを期待したいと思います。
  13. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 私は、先ほど申しましたように、学校運営協議会というものがあるというふうなことを仮定したときには、子供が、児童生徒がそこの委員としてそこにかかわる、もちろん議題によっては子供がいないというふうなこともあり得るかというふうに思いますけれども、例えば学校の授業のことについて話し合うなんというのは、教育課程の一部というふうに言ってもいいかと思うんですけれども、非常にやはりそこでの重要な議題だというふうに思うんですね。そこで子供意見が反映されないで議論をしていくというふうなことは、非常に不毛な議論になるというふうに思っています。  また、実際に授業を担当している、教育課程を担っている教職員の委員というものがそこにいなければやはり私は不毛になるというふうに思っておりますので、その委員の選出方法というふうなことについても一つ考えなければならないというふうに思いますが、委員のカテゴリー、どういう方たちがそこに参加をするのかというふうな点に関していえば、教職員と子供参加というふうなことを欠かしてはならないというふうに私自身は考えております。  以上です。
  14. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  これを成功させるためには、今、勝野先生がおっしゃったように、子供先生方の意見が十分反映されなきゃいかぬことは分かるんだけれども、この協議会にメンバーに入れることについて決定権まで与えているわけですから、そこまで生徒を入れることがどうかと。意見を聴く場というのはやはり設けていかなきゃいかぬと思いますけれども、それをこういう形で入れてしまうのはどうかというのはちょっと問題だと思いますし、それからまた、今おっしゃったように、これから試行錯誤が繰り返されていく過程の中で最も望ましいものができてくるんだろうと思いますけれどもね。  そういうことで、学校をオープンにしようという考え方で前できましたのが学校の例の、学校の評議員制度ですね。これは作られて三年ばかりたちますけれども、今六二%ぐらいの実施だそうですけれども、なかなか私にはぴんときていないというか、良かったという声が余り聞けないんですけれどもね。  だから、そういうことでこれから運営について非常に考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、この学校の評議員制度とこれとの関係をどのように持っていったらいいと思われますか。それについて御意見をお聞きしたいと思います。
  15. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 東京都の足立区の教育委員会と一緒に、足立区は全小中、百十一校、開かれた学校協議会を設置しておりまして、何年間か実験をしております。そこと一緒になって、どのような形でもって住民参加があると学校とか子供にいい変化があるかということの調査を去年いたしました。  一つ非常にはっきり出たことは、授業などにボランティアで参加するだけではなくて、やっぱり学校運営にも積極的にかかわっていくという学校の方が、明らかに学校地域子供たち地域との関係が良いように変化しているということが出ております。  あと、コミュニティスクールは、だれでも参加して勝手に意見を言うという場ではなくて、やっぱりこれは責任を持って、自分たちも言ったからには責任を持つということが大事であるというふうに思います。例えば、津の南が丘では、協議会住民校長人選するときに、選ぶと最初大変緊張したと言っておりますが、しかし後から考えると、大変緊張したけれどもそれが大変良かったというふうに言っています。やっぱりこういう形の責任感を地域の人、教員などにも持っていただくという一つのこれは試みとして、大変うまくいけばいい機会を提供するんではないかなというふうに感じております。  そういう意味では、評議員制度よりもこちらの方が、一定の権限を持つということが法律に定められておりますので、効果が発揮できるのではないかというふうに思っています。
  16. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 学校評議員制度につきましては、統計を取る、学校評議員がどれだけ設置をしているかというふうなことの統計を取る場合にも、学校評議員制度、類似の制度というふうなことも含めて取っているかというふうに思います。  私が知る限りですと、かなり多くの学校学校評議員を、校長学校評議員の一対一の意見を求め、それに応じて意見を述べるというふうな関係にしているところというのは少ないというふうに私は思っているんですね。むしろ、学校評議会の、評議委員会のような形にして実質的な協議会形式にしているところがかなり見受けられるように思いますし、それから先ほど御紹介をいたしましたように、もう既にそこに子供たち参加をする、あるいはもちろん一定の責任というふうなことがあるかというふうに思いますけれども、例えばその評議会をオープンな形にして、委員はその中心の場でもっていろんな議論をするけれども、その周りに来たい人たちは来て、それで傍聴、場合によったら意見は自由に述べられるというふうな形で、本当にその学校を、できるだけたくさんの人が一緒に学校を作っていくというふうなことでやっているところがございます。  私は、そういうふうなことをやっていれば、既に今回の地域運営学校学校運営協議会に近い形の、趣旨といいますか、ここで私さっき言いましたところの参加協力型の学校運営に近い形でやっているところがあるかと思いますので、そこのところは、今回新しいこの法律案ができたとしても、今までどおりのことをやっていけばいいんだろうというふうに考えております。  以上です。
  17. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 どうも、両先生、ありがとうございました。いろいろ参考になるお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。この制度を基にして、もっと学校がオープンな格好でいい形で運営されるように努力していきたいと思いますので、これからも御指導いただきたいと思いまして、そういうことで質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  18. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  両参考人先生方、ありがとうございました。  勝野参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますが、恐らく勝野先生もあるいは金子先生も、いろんな学校現場をごらんになり、あるいはそこにかかわっておられて、あるべき、何といいますか、子供中心とした、そしてそれを取り囲む大人たちがどういう重層的な豊かなコミュニティー、学びのコミュニティーを作っていくか、そのイメージについてはそんなに違いがない、あるいは私もそのところについては、そういう手厚いといいますか、分厚い、かつ多様な学びのコミュニティーを作っていくんだというイメージについてはそんなに違いがないのかなというふうにお話を伺っておりました。  ただそこで、少し御質問させていただきたいわけでありますが、今回、我々は法律を作るあるいは改正をするということをやっているわけであります。それで、あるべき論の中で何を法定しなければいけない、あるいは制度化しなければいけないのか、何を現場あるいは当事者の裁量にゆだねなければいけないのかと。この辺りが正に制度設計に携わる我々としては非常に悩ましいわけであります。もちろん、制度というのは、必ず作用と副作用といいますか、ねらったものとそれに伴う副作用というのがある。それが制度論の常でありまして、そういう中で、そういう問題意識で御質問させていただきたいわけでありますが、教職員が学校運営の主体的な担い手であるというのは、これは常勤でありますから、教職員は、これはある意味で当然といいますか、そのことについては私は何ら反対をするわけではございません。  ただ、最近、少しガバナンスということについて議論の蓄積が深い企業経営論の世界の議論を参考にしますと、商法の大改正がありまして執行役員制度というのが入りました。これはどういうことで入ったかというと、従来は株主総会という正にステークホルダー、その会社組織のステークホルダーがすべて集まった総会があって、それによっていわゆる取締役会あるいは取締役あるいは代表取締役のビヘービアというのが制度上はきちっとチェックをされ、そしてその総意が反映されるという、フィクションといいますか、そういう下で会社組織というのは運営をなされてきました。  しかし、極めて複雑化、多様化する企業経営の中で、年一回の株主総会だけでは正にステークホルダーである株主の意向というものが十分に反映をされないと。そういう中で、取締役というものを執行取締役とそうでない社外取締役といいますか、株主総会の総意を日常にその代弁者として、正に執行部に対してチェックなり指導なりあるいは要望なり、そうしたステークホルダーの声を執行部に伝えていくと。そういう議論の中で、執行役員とそうでない取締役を分けて取締役会の位置付けというものを変えてくると。  そういう議論が十年ぐらいあって、その中で商法の改正が行われて、しかし、今なお従来型の会社制度に基づいて運営されている会社も非常に多いし、それから、新しい正に執行役員制度というものを取り入れて幾つかの新しい企業経営の取組がなされていると、こういうふうに私は理解しております。  学校運営といいますか、学校ガバナンスといいますか、ここについても正に今そういうステージに我々は立ちつつあるんだと思うんです。私も、開かれた学校づくり考え方、冒頭に勝野先生が大前提とおっしゃった話、全く一〇〇%共有いたします。  じゃ、その上で、そのことを本当に実現あらしめる、今までも確かにPTAというものがありましたと。そして、重要なステークホルダーの一部である保護者ないしは子供の代弁者としてのPTAというものがありつつも、しかしそれが、もちろん十分に機能した時期もありました、あるいは十分に機能している学校も引き続きあると思います。しかし、どちらかというと、いろいろな変遷によって、いわゆる教育委員会あるいは更にその上に乗っかっている都道府県教育委員会、昔はそこに多くの教育長を出していた文部科学省と、こういう管理系といいますか、いわゆる行政系も、もちろん税金を出している納税者の代弁者として、これはステークホルダーの一つだと私は思いますけれども、その意向がバランスとして非常に強く利き過ぎていると。そういう反省の下に新しい学校はそれを生かしていこうと、こういう話だと思います。  そこで、教職員が運営の担い手であるという、これは私は当然だと思いますし、そうせざるを得ないと思いますが、しかし、ある意味現場学校の主体性あるいは学校自主性というものがもう少し尊重された形での、学校運営ではなくて学校経営といいますか、学校づくりと言った方がいいと思いますが、経営という言葉にはいろんなものを含みますから。ですから、プロデュースとディレクションというのがあるわけですね。そういう意味での学校づくり学校プロデュースという観点に立ったときにどういう組織といいますか、ボードを編成するかというのが恐らく今回の重要な議論なんだというふうに思います。  そこについて少しお伺いしたいということと、そのときに、所有者意識という言葉は私は余り適切ではない、先生がお使いになっているわけではないということはよく存じています、ほかの議論の中で所有者意識という言葉が挙がっているわけでありますが、むしろ当事者意識というふうにそのところを言い直した上で今後の議論を進めていきたいと思いますが、正に当事者意識と動機付けというのは表裏一体の関係にあります。  私は、あるべき組織論の中で、五反野もそうでありましたが、開かれた学校づくり協議会という極めて自由濶達に意見をできるフレームワークがあって、その総意あるいはPTAの総意、それを集約した場として学校理事会というのは構成されている。恐らく、あるべき論はこういうふうに二重三重のすごく手厚い丁寧な、私は熟議、熟論の公共権というものが形成されるということは大事だと思っていますけれども、そのときに、ですから先生がおっしゃっていることは全然反対はないんです。自由に意見を言える場が必要だと。これはおっしゃるとおりです。  しかし、それだけでいいのかなと。PTAもそうだったじゃないですかと。それから、今多く行われている開かれた学校づくり協議会、いろんなところでできるようになりました。それもかなりそういう意味では進んでいます。そこで足るのか。しかしその先に、この前も五反野に行って、PTAで今までは議論していただけだったと。しかし、そこでかなりの総意として学校にきちっと直してもらいたいと思ったときに、学校理事会に出て、この前は宿題の出し方の話と生活指導の話をそろえてほしいと。今まではPTAの中で完結していたわけですね。しかし、それが言えるようになったのは大変大きいと。ここは何らかの決定権限といいますか、要するに決議の中にコミットできると。そのことが、逆に言うと、今まで、最近の私は問題だと思っているのはPTAの体質です。極めて言いっ放し、無責任学校押し付け型の議論というのが先行している。そこにある種PTA改革ということを行っていくのにも、自分たちの議論をした、その先には、まともな議論をしないと、逆に言うと、まともな議論をすれば学校は変わっていくんだと。先生いみじくもおっしゃったように、学校協議会とか三者協議会を作って地域が成長していくと同時に、保護者も成長していくという極めて重要な契機だと思うんです。  そういう意味で、私は、もう一歩、従来の自由濶達なPTAというフレームワークからもう一歩経営に近いところに私は踏み込むべきだというふうに思っているんですが、今の点についてコメントがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 一つは、やはり委員の動機付けというふうに書かれたところだというふうに思います。  私は、先ほど申しましたように、人事や予算に関する正式なフォーマルな権限というふうなものが委員の動機付けというふうなものをそれほど左右しないのではないかというふうな考えを持っておりますけれども、そのことはまたコミュニティスクールのこれまでの研究実践校等々での経過といいますか、までも踏まえて少しまた議論をしなければいけないところかなというふうな思いもあります。  もう一つは、やはり教職員を学校運営の主体に位置付ける、そのときに単に主体として位置付けるというふうなことではなくてというふうなお話であったというふうに思うんですが、今回のこの法律案で一番やはり私、問題だというふうに思っているのは、教職員とそれから保護者、あるいは地域住民が直接そこで意見を交わし合うというふうな場面がこの法律案を見る限りは出てこないことなんですね。本当はやはりそれがなければ、今、議員がおっしゃられたような熟議ということ、熟論というふうなこと、また公共性のある議論というふうなところに私は高まらないというふうに思っています。  これが、法律案を見る限りでは、結局そこでの経路、保護者や地域住民意見が反映される経路というのは校長を通じてというふうな形になっております。学校運営協議会校長に対して意見を述べる、あるいは人事に関しては教育委員会に対して意見を述べるというふうな形です。先ほど言いましたように、学校評議員制度についても申しましたように、場合によったら学校の中で校長という、いっても実際には背景といいますか、前提には市教職員会議での議論というふうなことがあってのことだと思いますので、その点は実際の運用というところも気を付けて見なければいけないかというふうに思いますけれども、やはり私、これ制度的に問題で、最初におっしゃられたように、どこを、何を制度として決めて何を学校の自由なり裁量に任せるかというふうな観点でいいますと、今回の法律案学校長学校運営協議会というふうな関係になっているというふうなこと、そのところには教職員が必要な委員としての規定がないというふうなこと、それが非常に大きな問題だというふうに思っています。
  20. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 もう一問、勝野参考人にお伺いをしますが、私はどちらかというと政策論の勉強をしてきた立場なんですけれども、今回の改正案を見ながら、また再びその悩みを、何といいますか、新たにしたということなんですが、三の(二)で校長が様々な基本方針を作成をする、こういう文言が問題だというふうなお話がありました。私も、実態論からすれば、これは「校長が」が主語ではなくて、「学校が」というふうにすべきだと私は思っています、恐らく金子先生もそういう御意見だと思いますが。  ただ、これが我が国の立法技術論上、いわゆるほとんどの権力行為というのはその組織の長を主語にするということになっていると思います。特に内閣法制局を通した法案というのは、恐らくそういう統一的な整理がされていて、これは文部省法令だけでの問題ではなくて、すべての霞が関から出てくる法令は、その組織がということを決めたいときに、しかし書き方としてはその組織の長がと、例えば文部科学省が何々をするという法律の書き方はないわけですね。すべて、当然、文部科学省方々がいろいろ手分けをしていろんなことをしているわけでありますが、法律上出てくるのはすべて文部科学大臣がとなっているわけですね。  これは、日本の正に行政法の在り方に根差す根深い問題でありまして、しかしすべての国民の皆様方は行政法、特に我が国における行政法体系の立法技術論のところについての理解がある方は極めて少ないわけで、そうすると文言だけ見ますと、これは要するに学校の長である校長が、正に教職員を含んだ、あるいはもっと言えば私は生徒、保護者、要するに学校のステークホルダーすべてを含んだその代表者としての校長が基本方針を作成すると、こういう意味であるべき。恐らく中教審あるいは教育改革国民会議、多くの方々の意図はそういうことであるんですが、しかし、いざ法律に書こうとなると、校長がと書かざるを得ない。  そうしたときに、個人の校長を指しているのか、しかも校長というのは教職員の代表者、同輩の首席の校長なのか、それとも教職員を管理する立場の正に教育委員会の代行者としての校長なのかと。これも非常に、読み方によって非常に不明瞭になってくるという中で、ここは何とか知恵がないかなと思って悩んでいるわけでありますが、これは正に運用及びその他の規則等で少し法律的な縛りの少ないものの中で工夫をしていくしかないなと思っていますが、その点について、もう時間が過ぎたようでありますが、何かコメントございましたらちょうだいできればと思います。勝野先生
  21. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 先ほど亀井議員さんの方から教育委員改革の話もありましたけれども、実際に今、教育委員会制度の運用の仕方を見てみますと、すべての教育委員会がというわけではないかと思いますけれども、この規定は教育委員会校長の非常に強いトップダウン式の教育課程編成、あるいは学校運営の方針の押し付けになる可能性が大いにある規定だというふうに私は思っております。  以上です。
  22. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。  本日は、大変貴重な御意見、どうもありがとうございました。何点かお伺いさせていただきたいんですけれども、既にされた質問と重なるところがあるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、お二人の参考人先生方にお伺いしたいわけなんですが、そもそもの話で大変申し訳ないんですけれども、今回このコミュニティスクールとかそういう、いろんな言葉が流れて出てくる中で、教育改革教育改革といろんなところで言われると、いろんなことが試されると。この文教科学委員会でもいろんな審議をさせていただきましたけれども、なかなかそれに対していい決め手がないという中で、今回この法案が出てまいりました。大きく期待をしているところなんですけれども、実際、今回この法律通すことによって大きな突破口になるというお考えをお持ちなのかどうかというところを、お二人の先生方にまず最初にお伺いさせていただきたいと思います。
  23. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 教育は人体実験であってはいけないと思いますが、しかし教育の本質は試行錯誤だというふうに思います。ですから、様々な地域学校がそれぞれいいと思ったことをある枠の内でやってみると。その結果をちゃんとフィードバックして改善につなげるということがやっぱりこれまでは大変できにくかったんではないかというふうに思います。  今日、私の意見の中で申し上げたとおり、この法律をそのまま読むと、勝野参考人のような形に見えてしまうような危険性もございますので、私が申し上げた点を含めて、この法案趣旨をしっかりと周知徹底、その周知徹底都道府県のレベルの教育委員会だけでなくて、学校現場それから住民の方、それから市町村教育委員会にも、こういう趣旨なんだからやってくれということが伝われば、そして今のモデル校なんかも含めて活気のある実際の実践が全国でもって始まれば、かなり大きな第一歩、風穴になるという期待を私は持っておりますが、しかし、これは私が期待しただけじゃしようがなくて、実際に学校がそういうことをやる気を持ってやるかどうか。私のところにいろいろと御意見いただいたり相談をいただいたりする限りでは、大変その活力というのは全国から感じられるというふうに思っております。
  24. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 全国といいますか、地方でのいろいろな活力ということに私も基本的には期待をしたい、それは非常に重要視したいというふうに考えております。  私の立場は、最初に申し上げました開かれた学校づくりのこういう理念というふうなことを考えたときに、あるいは既に各地で行われている、この理念に即したといいますか、その実践的な取組というふうなことを見たときに、今回のこの法律案というものが必ずしも追い風にはならないのではないかというふうにむしろ私は見ております。  それは、先ほど申しましたように、具体的に例えば権限をここで与えるというふうなことがかえって自由に学校づくりについてのいろんな議論ができにくくなる可能性なども私はあるというふうに考えておりますし、あるいは教育委員会との関係というふうなことについてもそうなんですが、必ずしも私は、今回の法律案、また学校運営協議会を設置をすることが、教育改革というのは非常に広い範囲のことを指しますけれども、開かれた学校づくりを進めるかどうなのかというふうな点に関しては懐疑的に見ております。
  25. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  そこで、今出てまいりました教育委員会、先ほど在り方についてどうのという話がございましたけれども、今回、衆議院の審議、また参議院でも前回行われましたけれども、その中で、繰り返し繰り返し述べられる言葉の中に地域のニーズ、地域のニーズという言葉が出てまいります。法案の中で、教育委員会がこの地域のニーズを的確に把握しているという前提に基づいて話が進められているわけなんですけれども、実態として現行の教育委員会がきちんとこういうことを的確に把握できる体制にあるのかどうか。その点についての御意見をお伺いしたいと思います。お二人にお伺いしたいと思います。
  26. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 大変重要なポイントだと思います。コミュニティスクールの前提は、やっぱり地域のニーズをしっかりと把握して、それを反映されるということで、勝手な学校をだれかが作るということじゃないと思います。  ただ、どうやって把握するかということに関しては、これも先ほどと同じですが、足立区の五反野小学校に全保護者、地域の方の一部、それから全児童、全教員を対象にしてグループディスカッションをしたり、それからアンケートをしたりして、今子供に何が一番問題かというようなことをかなりきちっととらえて分析をして、最終的には三十三の項目出てきました。それをだれが分担して、例えば子供が集団登下校をするときにほとんどお互いにあいさつをしないというのが保護者が大変心配をしていると。今、例えば三〇%ぐらいの子供しかしていないということになる。じゃ、これをもっと上げようということで、じゃ学校がやるの、子供たちがやるの、地域の人がやるの、親がやるのということで分担をするということをして、今その取組を、この間、もう五反野、皆さん方いらっしゃったと思いますけれども、始めようという、そういう地道な努力というようなことをやはりしていくということ。  教育委員会が何か教育委員会の定例会でもってこういうニーズがあるよということでなしに、やっぱりいつも聞いていると。先ほど鈴木委員も言っておりましたけれども、何かばあんと大きい調査をやるというんではなくて、常に聞いているという、そういう機関でなければ教育委員会ならないと思いますが、現在それができているかというと、必ずしもできていない場合も多いんではないかと思います。こういう取組をきっかけにして、いつも耳を傾けて、それで子供を含めて参加していって、どういう学校を作るかということの動きが始まれば、このコミュニティスクール法改正、大変いい動きのきっかけになるんではないかと思っています。
  27. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 教育委員会はやはり規模の問題がございますので、規模によってその地域との密着度といいますか、地域のニーズ、保護者のニーズというものをどれだけ吸い上げられるかというのは、それが非常に大きな要因になってくるかというふうに思います。  非常に地域に密着した小さな教育委員会においてはそれが可能なところも多いか、実際に行われているところも多いかと思いますけれども、実際に例えば東京都の教育委員会のように、非常に多くの学校を持っている、あるいは教職員もたくさん抱えている、そういうところでは地域教育ニーズというのも非常に多様でしょうし、基本的には、その教育委員会制度的にも実態的にもそこのところをきちっと把握するというふうなことは私はかなり難しいのではないかというふうに考えています。  そして、各学校ごとにこの地域ニーズなりというふうなものを議論し合って、最初から地域のニーズなりというものがはっきりしているのではなくて、こういう議論の場、学校子供や教職員ももちろんそこに入り、保護者、地域住民などと一緒にどういう学校を作っていくのかというふうなことで、ニーズというふうに言われるようなものを練り上げるといいますか、そこで発見していこうというふうなところが非常に大きな今回の学校運営協議会ですとか元々の開かれた学校づくりというふうなことの大きな意義だというふうに思っておりますけれども、御質問教育委員会が把握をされているのかというふうなことでしたので、私は少しそこは疑問に思っているところです。  以上です。
  28. 山本香苗

    山本香苗君 地域のニーズというものも、何をもって言うのかというところもいろいろあるとは思うんですけれども、連携の中で練り上げていくという今のお話の中で何か一つポイントをつかんだような思いがいたしますが。  次に、先ほどちょっと出てまいりましたけれども、今回、教育委員会指定制を取るという形で、消極的なところはどうするんだというお話もあったわけなんですけれども、この点に関しまして、具体的にどういった手だてをお考えになっていらっしゃるのか、金子参考人の方にお伺いしたいと思います。
  29. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 私は法律専門家でないので、これぞという、これが一番いいという案はないんですが、例えば住民の、ないしは学区の例えば五十分の一の署名が集まったというようなときには必ずその市町村教育委員会がそれを取り上げなきゃならないといったようなことをして、もしそれを採用しない場合にはちゃんと説明をしろというようなことがあったり、アメリカのチャータースクールの場合には、学区が取り上げない場合には州の教育委員会の方にそれを持っていくとか、それから州立大学がスポンサーをするというような、幾つかのリコースというか、幾つかの選択があると思います。ですから、今回もやはりそういうものを何かしら組み込んだ方がいいと思います。  ただし、住民にとってみれば県の教育委員会とか文部科学省というのはもうすごく離れた存在ですね。規模にもよりますけれども、市町村教育委員会は比較的身近な存在ですから、そこに働き掛けをしていくということを是非、起こったときにそれをちゃんと受け止めるような体制がある教育委員会とない教育委員会が出てくると思います。それを我々見て、きちんとそれを対応するような教育委員会が増えていくということを見守っていきたいなというふうに思っております。
  30. 山本香苗

    山本香苗君 引き続き、金子参考人にお伺いしたいんですが、先ほど勝野先生の方から、学校選択制を前提としたコミュニティスクールの帰結においては危惧する点があるという、学校間格差を生むんじゃないかというお話がございましたけれども、実際こういった意見も多々私もお伺いしました。これにつきまして、どういった形で、こういう危惧に当たらないんだという、反論じゃないですが、御意見の方、お述べいただければと思います。
  31. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 学校選択制につきましては、かなりの数の自治体が実施をしているところでございます。そして、私は全部データを詳細には知りませんが、例えば足立区では全学区を一つにしたり、長野県も十二あったのを四つにして隣接のところに行けるとしたので、基本的にはもうどこでも行けるという形になったんですが、実際にやってみますと、子供たち、それから親はかなり常識的に行動をしていて、大抵の場合にはやっぱり一番近いところないし一番身近なところに行くと。いろいろな事情があった場合にはそうでないということが出ておりますので、それほど格差が物すごく出るということを心配することはないというのは今までの実施結果でございます。  ただ、学校はもちろんコーヒーを買ったり車を買ったりという市場ではございません。ただ、学校は、日本で一番いい学校なんということはないわけでございますから、それぞれその地域に一番ふさわしい教員とカリキュラムと、それから住民との関係があるというふうに思いますので、SMAPの歌じゃないですけれども、それぞれが一番良くなるということをどういうふうにすればできるかということを目指すということによって、それのきっかけとして学校選択制とコミュニティスクール一つの大きなドライブになるんではないかなというふうに思っています。
  32. 山本香苗

    山本香苗君 最後にお伺いします。  五反野小に私たちも行かせていただきまして、もういろんなお話をお伺いさせていただきまして、一生懸命頑張ってこられたんやなと、一生懸命頑張ってこられたからここまで来たんだなというのは感じたわけなんですけれども、やはり保護者の方々地域住民方々、ずっと頑張って持続的に楽しくやっていただくためには大変な努力が必要だったんだなということを感じました。  今回、こういう形で学校運営協議会というのを新しく作ってやっていこうということなんですけれども、ここのところのいわゆる負担を軽減していくような、そういう楽しく継続的にできるような工夫というものはどういった形で現場でなされているのか、具体的に何かいい例がございましたら教えていただきたいと思います。金子参考人の方に。
  33. 金子郁容

    参考人金子郁容君) これはコミュニティスクールモデル校だけでなくて、様々な形でもって住民参加の例というのは日本じゅうにあると思います。  ただ、私はいつも思いますのは、やはりいい学校を作りたいという地域の願いというのは、自分が、子供が学齢期であるかないかにもかかわらず、皆さんの願いだというふうに思います。ちょっと適切ではないですけれども、いいお祭りがあるとかいい伝統工芸があると同じように、うちの地域にはいい学校があるんだということに関して、様々な人がどんどん、自分の、卒業生であったり、毎年参加していくということは十分に可能で、それには例えば今の法案にあるようなコミュニティスクールのような枠組みを作って、参加したらそれだけのことはできるんだよということを作っていけば、毎年新しい力というのがわいてくるというようなことができてもおかしくないというふうに考えております。
  34. 山本香苗

    山本香苗君 本当に貴重な御意見、どうもありがとうございました。  勝野先生にもほかにもいろいろお伺いしたかったんですが、時間が参りましたので、大変申し訳ございません。  どうもありがとうございました。
  35. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  今日は、お二人の先生からお話を聞きまして、何となくぼやんとしていたことがかなりはっきりをしたという気がいたしますが。  まず、私も、保護者や地域に開かれた学校というのは大変必要なことだと思っております。これは私の知人の例なんですが、ジャーナリストをしていて大学の講師をなさって、ジャーナリストのときには演歌の歌詞なども書くなどという大変マルチ的な人間がおりましたが、その方が退職をして新しい地域に行ったんですけれども、そこでは、自分子供や孫には関係ないけれども、すぐ近くの小学校に毎朝、おはようおじさんということで校門に立って既に三年たつというんですね。この方が、学校評議、ここは会という形でなさっていたようなんですが、その学校学校評議会のメンバーになったんだけれども、自分がやはりその地域子供に本当にみんな育ってほしいというふうに、健やかに育ってほしいと思っている、その思いが評議会の中ではなかなか言うこともできなかったと。  今度は、ですから、学校運営協議会という形に発展をしていくんだという今まで文部科学省の方もお話がありましたけれども、じゃ、本当にこの学校運営協議会というのが開かれた学校、本当に子供たちが健やかに育っていく、それを地域や父母はもちろん、教職員も含めて、本当にそういうものにしていけるのかどうかという、そこなんですが、そこについては私もちょっと、なかなか確かにこれで大丈夫だというふうに思えない点があるわけなんですが。  それは、今までお話もありましたけれども、まず金子先生にお伺いしたいのは、教職員と生徒児童という位置付けがこの学校運営協議会というのでははっきりしておりませんね。先ほど来のお話ではいろいろなやり方があるということでありますけれども、私は、やっぱり学校というのはまず生徒がいて先生がいて、それが一番中心だと思いますので、そこを、その人たちが入って開かれた形で保護者や地域人たちともいろいろ話をしていくということが重要なんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺がどうか。そしてまた、外国の例などではその辺がいろいろなやり方をしているところがあると思いますが、どうなっているのか。その二点をまず金子先生に聞かせていただきたいと思います。
  36. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 私、小学校校長を何年間かやりましたので、そのことはよく身にしみております。校長が幾ら言っても、実際に毎日子供たちに接するのは教職員でございますので、教職員が大変重要だということはそのとおりでございます。  ですから、先ほどの鈴木議員と勝野さんとのやり取りもありましたけれども、実際に計画を立てたりするには当然教職員が参加をしていく、ただ、責任を取る主体というのが校長だということだと思います。  私、校長のときに、例えば人事採用をするときには教職、教員代表と一緒にやりました。そのときはその教員代表は、私は指名ではなくて教員の中で選挙をしていただいて、それでもって委員を選んでもらいました。あなた方はみんなから選ばれたんだからちゃんとやってよということで、ファイルを見てだれを面接に残すかというふうなことをやって、最初戸惑った教員の方もいらっしゃいましたけれども、大変時間を掛けて熱心にやっていただいていました。  そういうことで、最終的には校長が計画を作るんだけれども、その段階ではもちろん教職員を中心にしていろいろなアイデアを出すということがあってしかるべきで、それがなければ、これは、何というんですか、砂の上のお城になってしまうと思いますので、その辺は校長のある意味でのガバナンスをどういうふうにするかということの一部として十分にそういうことをやっていくということが重要かというふうに思っております。
  37. 林紀子

    ○林紀子君 それから外国の例が。
  38. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) もう一点。
  39. 金子郁容

    参考人金子郁容君) これは多分、私は専門家でないんですが、例えばイギリスの理事会、学校理事会では、たしか教職員が選挙によって何名、それから保護者の代表何名、地域代表何名、どのグループも過半数にならないようにという形でもって、微妙にちょっと学校のタイプが幾つかイギリスはありますので違うんですけれども、そういう形でもって数だけは規則で決めているようでございます。  今回はそれを法律では規定しておりませんので、今後そういう形でもっていろいろなところを参考にしてやっていくんじゃないかと思いますけれども、また、教職員は当然協議会には入る、ないしは意見を言うという場があってしかるべきだというふうに私は考えております。
  40. 林紀子

    ○林紀子君 あともう一つ金子参考人にお伺いしたいのは、最初に御説明くださいましたときに、校長先生をなさっていたときに教員を選べないということでびっくりしたというお話がありましたけれども、そういう意味では、校長先生教員を選ぶということで学校運営管理方針に従った先生たちを選んで集めるというようなことを想定をなさっているんだと思いますけれども、そういうことになりますと、今までもお話あったと思うんですが、そういう形で、ある学校には大変優れた先生たちがたくさん集まってしまう、ところがなかなかそういう人材もそろえられない学校も生まれてくる、そういう形では、校長先生が選ぶという形でやるとどうしても学校間の格差が生まれていってしまうのではないかというふうに思うわけですね。  一つ一つ学校を考えるとそれでいいようにも見えるんですが、やはり特に義務教育というような段階では、日本全国見渡して、あるところは非常に優れているけれどもあるところは困るというような格差があるということはかえってマイナスではないかという気もするわけなんですね。  そういう意味では、配属をされたといいますか、そういう先生たちがいかに先生たち同士、またそれこそ開かれた形で父母や地域の方たちともお互いに、成長し合うというお話が先ほどありましたが、そういう形で高まっていく、そういう方策を取るということが必要なのではないかなというふうに思ったんですが、その辺はいかがでしょうか。
  41. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 私は、責任ある教育をするには、教員を含めてやっぱり選び選ばれるということが大事だと思います。知らないうちにそこに配属されて、もう次に行きたいなという教員がいたら子供がたまったものじゃないと思います。やはり、先ほど申し上げたとおり、学校というのはここが一番いいという学校ではなくて、それぞれ良さがあると思いますが、例えば山間部の学校とか小さな学校とか離島なんかも、ここに行ってやりたいという若い人ないしベテランの教員が手を挙げて行くことじゃなければ、嫌々ながらそこに配属された人が指折り数えて次へ戻りたいということよりはずっといいと思いますし、日本の教職員、教員というのは、各国に比べて、これは科学的な根拠はないですけれども、会いますと大変優秀で熱心な方が大変大勢いると思います。  その中に、やっぱり自分はここでもって自分の考えをやっていきたいという教員はたくさんいると思いますし、そうでない教員教員を辞めてもらうしかないんじゃないかなというふうに思っていますので、分捕り合戦というよりは、やっぱりその学校その学校に、いろいろな地域にふさわしい先生たち自分でこうやりたいと、学校の方はじゃ是非これに来てもらいたいということでやると、全体的に計画をするよりはずっといい配分ができるんじゃないかと思います。  一つだけ、校長が選ぶというのはちょっと言葉があれでございまして、個人で選ぶというよりは、みんなで相談をしながら、協議会の人の承認を得ながらということでございますから、総意を代表して校長が選ぶというふうに申し上げたんでございますけれども、実際は学校全体として協議会も含めて選んでいくということ、選び選ばれるという関係が学校を活性化する私は基本だというふうに思っていまして、きっとうまくいくんじゃないかなというふうに思っています。
  42. 林紀子

    ○林紀子君 それでは次に、勝野参考人にお伺いしたいと思いますが、今のお話と裏腹な関係になるのかもしれませんが、今度の学校運営協議会というのはかなり大きな人事権といいますか、そういうものを持つことになるわけですね。そうしますと、そのことで人事に介入をするといいますか、そういう心配はないのかどうか。その辺をどうお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
  43. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 私は、先ほどの御質問とそれからお答えの流れで、もう少しそこで絡めて申し上げますと、やはり本当に自分がこの学校でやりたいというふうに教職員一人一人が思うというふうなことは本当に大事なことだというふうに思うんですね。じゃ、自分はここでやりたいというふうな思いを一人一人の先生が持てるような学校というのはどういうものなのかというふうなことをやはり考えなければいけないだろうというふうに思っています。それは本当に今先生たちが、多くの先生たちが持てないでいる状況、そういう思いを持てないでいる状況が現実にはあるんだろうというふうに思うんですね。  実際に先生たちの多忙化の問題というのは非常に深刻な問題がございますし、改革そのものを否定するわけではありませんけれども、教育改革の非常に大きな流れの中で、本当に今自分たちが、先生たちが、自分たち教育の目当てみたいなものをつかみあぐねているというふうな先生たちが大部分だろうというふうに思います。やっぱりその部分をきちっとした上でなければ、例えばこういうふうな仕組み、各学校現場に、あるいは学校運営協議会人事権を持たせるというふうなことでもって、そのことによって一人一人の先生がこの学校でやりたいんだという意思を持って学校に勤められる、教育活動に当たれるというのはかなり難しいことなのではないかというふうに私はまず思っております。  それから、人事権に関して学校運営協議会が介入をしてくるというふうなことで、今回具体的なかなり大きな権限を持たせたというふうなことになってくるわけですけれども、私は、やはりそれは非常に、どういう先生校長先生含めて各学校でどういう先生が欲しいのかというふうなことを保護者、地域住民、それから生徒たちも一緒に議論していくということ、そのこと自体は非常に私はいいことだというふうに思っています。こういう先生に来てもらいたいというふうなことを、こういう先生に教わりたいというふうなことを子供たちが言うというのは、私は大事なことだろうというふうに思っております。  ただ、やはりそれがきちっと保護者、地域住民子供たち、みんなの意見をきちっと踏まえた上でまとまっていくというのは非常に難しいことだというふうにまず思いますし、今回の制度というのは、法律案制度というのは、やはり学校運営協議会委員人たちはもしかするとそこで積極的に発言をされるかもしれませんけれども、もう少し広いすそ野でもってそういう議論ができるような制度設計にはなっていないというふうに思うんですね。  そうしますと、心配をされる一部の考え方といいますか、決して学校を取り巻く当事者、学校当事者たちの共通の意思として人事に関する意見が出てくるともなかなか言えないものがあるんじゃないか。そうなってくると、不当なというふうな言い方をしていいかどうか分かりませんけれども、やや介入的なといいますか、余り望ましくない形での人事権の行使というふうなことも可能性としてはあるのではないだろうかというふうに私は思います。
  44. 林紀子

    ○林紀子君 あと一つ子供の問題ですけれども、先ほど勝野参考人が挙げられた辰野高校の話も、私、「学校を変える生徒たち」というドキュメンタリータッチの本を読んで大変感激をしたんですが、そこで子供たちが、制服を変えるときだったかアルバイトのことだったかちょっと忘れちゃったんですが、自分たちが発言して、生徒会で発言して三者協議会で言ったことで、学校が変えられるんだ、変わるんだ、おれたちもすごい力を持っているんだというんで非常に感激したという、その一言が非常に私も心に響いたわけなんですね。  ですから、やはりこの学校運営協議会にも子供たち参加させていくということは、子供たちが自信を持つ、大きく成長する、非常に大きな一つきっかけになると思いますし、私は子どもの権利条約の政府の報告審査にも傍聴に行ってきたんですが、子どもの権利条約の十二条では、やっぱり意見表明権というのを大切にしなくちゃいけないということが言われておりますが、文部科学省の方だと、意見表明権というのは一般的なことを規定しているだけで、児童個人、個人に関することについては言えても大きなことにはかかわりないんだというような言い方をしているんですけれども、この学校運営協議会と子どもの権利条約という立場からの子供のかかわりということについて、どのように考えていらっしゃるか、勝野参考人、ちょっと時間が押してしまいましたが、お聞きして、終わりたいと思います。
  45. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 今お話にありました子どもの権利委員会の勧告、政府の報告書の審査、そしてそれに対する所見、勧告というふうなことですが、仮訳がまだ出ていないようですけれども、そこの中にはこのような勧告の条文が、項があったかというふうに思います。学校その他の施設において、方針、原語はポリシーズというふうになっていますが、を決定するための会議、ボーズ、ボードですね、それから委員会、コミッティー、その他の会合に子供が全面的に参加することを確保することというふうな勧告が出されているということがございます。  私は、やはり、今御紹介がありました辰野高校のように、参加というふうなこと、意見を表明するというふうなことで子供が成長していくというふうなことの価値を非常に重視したいというふうに思っています。参加をする、意見を表明する、それが大人に受け止められることでやはり子供たちというのは非常に大きく成長していく。  社会の中で、言ってみれば子供たちは中途半端な形で大人扱いをされている部分というのがあります。例えばアルバイトなどでは、子供たちは非常に部分的ではありますけれども大人として労働者として当てにされるというふうなことがあったりするわけですね。しかし、学校において子供たちが一人前の大人として認められるというふうな経験は非常に少なくなっている。それが、子供たち自分の自尊感情ですとかあるいはこれはひいては他者に対する思いやりの気持ちですとか、そういったものを育てていく上で非常に大きな障害といいますか、足りない部分になっているのではないだろうかというふうに私は思っています。  やはり、子供参加意見表明というふうなこと、それをきちっと受け止めていく学校運営というふうなことを私はしていかなければいけない。そういう、今子供の成長というふうなことから考えても、学校を良くしていくか、どういう学校運営をしていくかというふうなことももちろん大事で、そこで子供意見を言うということは大事ですし、しかし究極的にはそれが子供自身の成長に跳ね返ってくるんだというふうな視点でもって子供参加意見表明というふうなことを考えていくべきだというふうに考えます。  以上です。
  46. 林紀子

    ○林紀子君 どうもありがとうございました。     ─────────────
  47. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として谷博之君が選任されました。     ─────────────
  48. 山本正和

    山本正和君 大変今日は御苦労さまでございます。  ちょっと、私は七十七歳になるものだから、少しピント外れかもしれませんけれどもお話ししてみたいんで、私の言ったことについてひとつ感想を聞かせていただきたいんですけれどもね。コミュニティスクールという言葉が私は非常に気になるんですよ。なぜ日本語を使わぬのだろうかと。私たちの町の学校とか、私たちの村の学校でいいんですよね。何か片仮名使っているというのがどうも気になって仕方がない、これが一つね。  それから教育改革教育改革と言うけれども、私は、もう古い映画だけれども、「二十四の瞳」というのがあったですよね。瀬戸内海の離れ島で女の先生が十二人の子供たちを教えて一生懸命やっている姿。教育の根本は私は人だと思っている。先生が本気になってやるかやらぬかですよね。  ところが、親というのは自分子供はかわいいですから、どうしても身勝手になるんですよ。例えば先生がさっき言っておられた、金子先生校長先生しておられた慶應幼稚舎なんというのは日本じゅうの親のあこがれの的ですよ。それもお金があってもなかなか入れない、あそこね。そういう大変な学校校長先生しておられた。ところが、離れ小島の三重県に神島という島あるけれども、校長といったら大変なんです。ほとんど漁師ですよ。それから、子供がもうどんどん成長したら島からいなくなる。孫をおじいさん、おばあさんが一生懸命育てているんですね。  私は、いい学校へやりたいというのがおってもいいと思う。慶應幼稚舎はそれなりの役割していると思うんですよ。しかし、日本じゅうで貧しい人たちが、環境の悪い人たちが、何とかやっぱり子供に立派になってほしいと思うんですね。それを支えるのが公教育というもの、それを支えるのが公教育であり教育委員会であり文部省であると私は思っているんですね。  そうしたら、今度の、実はこれは、私は最終的には法案に賛成するけれども、腹が立って仕方ないんですよ。何か知らぬけれども、学校運営協議会と、こう言うと。私は、田舎流でいいますと、大体町のボスがなるもの。そのボスが学校へ来てわあわあ言うと、本当に一生懸命やろうとする先生たちが困るんですよね。PTAというのがあるんですよ。PTAだけでも相当苦労した、みんなね。PTAにいい人が役員になればいいけれども、ボスがなったら大変なんです。教育委員会も、亀井先生教育長しておられた、私が教えた子も県の教育長したのがおるし、校長もたくさんおるんですよ。その連中が一番苦しむのは、地域の人から学校の本当の実態を知らずにこうだああだと言ってくるのが一番悲しいんです。耳の聞こえない子もおる、目の遠い子もおる、足の動かない子もおる、それが公教育なんです。しかし、その子たちを何とか育てたいんですよね。  そうしたら、どうも学校運営協議会というのが、本当に良くなればいいですよ、本当に村の人や町の人の気持ちを代弁して、村の子供たちがみんな良くなれと、こういうんならいいけれども、何か知らぬけれども、近ごろはやりの改革改革と言えばいいという論議の中で日本の教育はどうなると、こう言って。しかし、私は思うんですよ、日本の義務教育は世界で絶対負けていないと思う、何ぼ言ってもね。すばらしいんですよ。もっと先生校長教育委員会をしっかり励ませばいいと私は思っているんですね。それをどうも、学校もどうもならぬ、教育委員会がどうもならぬ、文部省がどうもならぬ、だから変えてやれと、こういうふうな流れがあるように見えて仕方ないんです。  私は、金子先生のお書きになった本もちょっと読みましたよ。なるほどなと思った。しかし現実は、日本じゅうの大変苦しい中で一生懸命に頑張っている親もおれば、先生もおるんですよ。絶対外へ現れませんよ。新聞は何でも悪いことばかり書くんだ、どんどこどんどこ、テレビもね。学校は悪い、荒れておるとか。一生懸命に踏ん張っている学校もたくさんある。私はこの前、何ですか、足立区の五反野小学校も行ってきましたよ。しかし、あの程度の学校どこでもありますよ、あれに負けぬような学校が田舎にたくさん。それをわざわざはやしてやるというのはどうも何かマスコミ受けをするような、何でもいいから世間受けするようなことを何か考えているんじゃないかって気になって仕方ないんですよ。  両先生とも優れた学者でいらっしゃるし、この日本の国にとって大変重要な役割をお持ちになると思うんですよ。しかし、今のこの改革論議についてどういうふうなお考えになっているか、こんなことでいいんだろうかと。何かコミュニティスクールといったらすばらしいなと。私はよく言うんですよ、昔、東京大学というのはどんな貧乏人でも一生懸命勉強して頭良かったら入れた。今、入れないんですよ。年収一千万ぐらいの親がほとんどだという。その次、金持ちが慶應大学ですかね。  だから、私が言うのは、そういうことでないように教育をどうするかということが本当は必要なんじゃないかと。制度をいじればいいとか片仮名の言葉を使えばいいんじゃないと。これは年寄りのひがみかもしれない。私はもう七月で国会議員も辞めるものだから、今日はついそんなことを感想で述べたんですけれども、私の言ったことについて両先生、ひとつ感想があれば一言ずつお聞かせ願いたいと思います。
  49. 金子郁容

    参考人金子郁容君) 一つ、二つ実例でお話をしたいと思います。  大阪府が、一昨年からですけれども、全小中高で学校評価を全国に先駆けて実施しました、自己診断と呼んでおりますけれども。そこの調査も少しお手伝いしたんですけれども、ある中学校学校地域のニーズに、ちょっと済みません、言葉は正確じゃないかもしれませんけれども、に敏感に反応しているかという問いに、教員の九五%がイエスですが、保護者の方のイエスは五四%しかなかったとありました。これをどうとらえるかです。まず、先生が何か自己満足になっているということもあります。逆に、保護者が学校のことを知らないのかもしれません。保護者は自分子供を通じてしか知りません。校長先生は何と言ったかというと、これを機会にして保護者にも学校に来てもらうよと、教員と話してもらうよということが始まれば、この学校評価の結果は大変いい結果につながるんではないかというふうに思います。  山本さんも行きました五反野は、私も何回も行っておりますが、学校理事会、それから保護者との間で、学力とは何かという形でかなりいろんな議論がございます。保護者は、どうしても問題を速く解けるといったようなことを気にする方も多いし、校長先生の方は、やはり教育としていろんな学力というのはあるんだよと。だから、そういうことをきちっと議論することこそが大事なことであって、どちらがいいかということではないという、そういうことは、これは私立、公立関係なく、やっぱり日本のいろんな学校の力、地域の力は十分にあると思うので、そういう余地を広めていくのが学校評価であったり、コミュニティスクールであったり、様々な改革案だというふうに考えれば、これからの日本の地域の力をどんどん付けていきながらいい学校にするということは十分にできるんではないかなというふうに私は楽観的に考えております。
  50. 勝野正章

    参考人勝野正章君) 今の教育改革の中で、いろいろなやはり問題点なり矛盾なりというのは私はあるというふうに考えております。  その一つをやはり挙げれば、先ほど申し上げた中にもありましたけれども、やはり教職員の役割というのが、非常に教職員に対するメディア、新聞等でのバッシングといいますか、教職員たたきみたいなものもありますし、とても今ないがしろにされているといいますか、そういう状況があるというふうに思っています。  各国の教育改革の状況などを見ても、私は、今の日本の教育改革の中での教職員の位置付けというのは極めて特殊だというふうに思っています。  外国などで、例えばアメリカ、イギリスは、この間、随分学力向上というふうなことでもっていろいろな教育施策を実施をしてまいりましたけれども、結局それは、例えばある学校で非常にうまくいった授業方法ですとかというふうなことがあっても、それをやっぱりすべての学校の教職員に押し付けるとか、やれというふうにやったのではうまくいかないんだというふうなことがやっぱり明らかになってきているというふうに思うんですね。  これも、今回の学校運営協議会についても、先例として参照されていたイギリスの例などを見ても、やはり学校、教職員に対して処方せんを与えるというふうなことではなく、教職員の専門的な自律性ですとかというふうなことを本当に重視して学校づくりをしていかなければ、例えば非常にシンプルな、単純な読み書き算というところの能力は向上するかもしれないけれども、今回の日本の今の教育改革の目指されているようなもっと高度なといいましょうか、問題解決能力ですとか、そういったところまで含めた目標というふうなことはなかなかやっぱり達成できない。そういったものまで含めて子供たちを、成長、発達というふうなことを見据えるのであれば、教職員がもっと本当に生き生きとできるような学校環境というものを作っていかなきゃいけないんじゃないかというふうに一つは思っております。  それから、もう一点だけ申し上げますと、私、五反野は見ておりませんけれども、新聞等で、日本経済新聞でしょうか、何か月か前に出たものでは、今、金子先生が御紹介いただいたように、お話があったように、学校長側の学力重視というふうな考え方と、それから理事の一部の、ごめんなさい、校長側の意欲、関心ですね、失礼しました、関心、意欲というふうなことを重視するという側と、それから理事の中の学力重視、基礎学力重視というふうなことの考え方がかなり対立をしていてというふうなことの新聞報道があったかというふうに思います。  私は、やはりそこで、五反野を見ておりませんのではっきり申せませんけれども、そこできちっと子供の実態に即したそういう学力論みたいなことができていたかというふうなことをやはり問いたいというふうに思うんですね。やはり、子供の、目の前にいる子供たちの実態、学力の実態、成長の実態というふうなものを踏まえて、そしてやはり学力論なりというふうなことをやっていく必要がある。そのためには教職員がそこに参加をしているというふうなことは第一条件だというふうに思いますし、また子供自分たちのやはり声をそこでちゃんと出してもらいたいというふうに思います。それが一番最初に私申しました開かれた学校づくりというふうなことなのではないかというふうに思っております。  以上です。
  51. 山本正和

    山本正和君 ありがとうございました。  これで終わります。
  52. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人方々委員長から一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  本日は長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただきました。誠にありがとうございます。委員会代表いたしまして、心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  53. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会文部科学省生涯学習政策局長銭谷眞美君及び文部科学省初等中等教育局長近藤信司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  55. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 休憩前に引き続き、地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 大野つや子

    大野つや子君 自由民主党の大野つや子でございます。質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  まず、今回の法案における学校運営協議会制度の導入に当たって、基本的な考え方についてお伺いいたします。  現在、我が国は大きな転換期に直面しております。少子化社会に突入し、これまでの経済成長を維持することは非常に困難です。今、日本を立て直していかなければ、私たちの子供や孫の時代に安心して暮らせる日本を引き継いでいくことはできません。そのためにも教育が何よりも重要であると思います。実際、地域住民や保護者のニーズが多様化する中で学校教育への期待はますます高まっており、とりわけ多くの子供が学ぶ公立学校の果たすべき役割の重要性が大変大きくなってきていると思います。今、正に学校教育の充実が求められているわけですが、そのためには、学校家庭地域社会の連携協力が不可欠であり、学校、保護者、地域住民が力を合わせて学校運営に取り組んでいけるような仕組みを作っていく必要があると考えます。  そこでお伺いいたしますが、今回の学校運営協議会制度の導入は何を目的とし、学校運営の改善についてどのような効果があるとお考えでしょうか。お聞かせください。
  57. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 大野委員からは大変基本的な部分の御質問をいただきました。私の私見も少し交えることになるかもしれませんが、この重要性についての思いを語らせていただきたいと思います。  先生から御指摘ございましたとおり、今、日本の国において、これから人を育成するという問題は、この時代が極めて変化の激しい激動の時代、混迷する社会でありますだけに、ますますその重要性を増し加えてきていると思いますし、御主張しておられましたとおり、公教育の担うべき役割もそれに比して非常に大きくなってきているというふうに認識をさせていただいております。  しかしながら、一方において、この教育というものは、生きている子供たちをはぐくんでいくということでございますだけに、ただひとえに学校だけがその教育の任に当たればそれで子供を健全に育成することができるという問題ではございませんで、その子供が生活をしているところの地域社会、またその愛情を受けながらはぐくまれるべき場であります家庭、こういったところが一体になりながら、子供たちを健やかに育成していくというその環境をきちんと整えていくということが非常に大事な問題であろうと考えております。  そしてまた、一方に、学校教育の面に目を巡らせてまいりますと、学校というものがこの変化の時代に果たしてどこまで対応しているんだろうかというような疑問も提起されているわけでありますし、また、大変閉鎖性が強いというようなことも言われている中にあって、学校地域社会にもっともっと開かれてくるというふうな要素も非常に大事な課題として挙げられる問題だと思っているわけでございます。  ですから、これらの諸般の状況を考え合わせていく中におきまして、学校運営そのものに対して保護者ですとか、また地域住民皆さん方が一緒にその中に参加をしていく中に今の時代に求められる教育の姿というものをきちんと反映をさせていただくと同時に、それぞれの地域において、それぞれの学校において、より創意工夫を込めた特色ある学校を作っていくという取組も求められているということだろうと思います。  そんな観点に立って、今回、文部科学省として地教行法の改正を行おうということをしているものでございます。  今回の制度導入を通して、保護者や地域住民学校とが学校教育目標の設定や達成ということに関してともに考え合い、ともにまた努力し合うという形を取りながら、ともに子供を育てるということについての責任を果たし合うような仕組みを作っていこうということを考えております。  それらを通して、地域の中で信頼される、そしてまた開かれた形でともに子供を育てる気風のあふれる、そういう学校を実現してまいりたいと、こう考えてこの法案を提出したという次第でございます。
  58. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  ただいま、これからの学校には保護者や地域住民のニーズをよく酌み取って、一体になって学校運営を進めていくことが必要であるとのお話がただいまございました。  今回の学校運営協議会制度等を通じて、保護者や地域住民のニーズに対応した特色ある学校づくりを進めていくとのことですが、そもそも今、地域住民や保護者にはどのようなニーズがあるとお考えでしょうか。具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  59. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  近年の社会の急速かつ大きな変化でありますとか国民の意識や価値観の多様化等に伴いまして、学校教育、とりわけ公立学校教育に対するニーズはこれまでになく複雑で高度なものになってきていると考えているわけでございます。  例えば、個々の学校には基礎、基本の徹底を重視した指導でありますとか少人数教育など、児童生徒一人一人の個性や能力をより良く伸長させるための指導、自らの住む地域に関する理解や愛着を深めるための地域の歴史や伝統に根差した教育でありますとか、あるいは不登校状態にある児童生徒など特別な配慮を必要とする児童生徒に対するきめ細かな指導をしてほしいと、こういったいろんな要請が寄せられるようになってきているわけでございます。  こういったニーズを的確に反映をし、充実した学校教育を実現をするためには、学校家庭地域の連携協力が不可欠でありまして、地域に開かれ、信頼される学校づくりを推進する観点から、今回、この法律改正を行おうとするものでございます。
  60. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  今回の学校運営協議会制度化に当たっては、これまでの実践研究を踏まえたものであると聞いております。このように実際に研究を行った上で制度化するというのはとても重要なことであると思います。  先日、私も、足立区立五反野小学校に視察に行ってまいりました。校長先生、保護者、地域住民代表方々が大変努力していらっしゃるお話も伺ったわけでございます。大臣におかれましても、実際に学校をごらんになられた御様子が正面校門の横の掲示板で拝見をさせていただきました。  そこでお伺いいたしますが、これまでの実践研究の成果はどのようなものであり、それをどのように評価しているのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  61. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  文部科学省におきましては、平成十四年度より、公募により全国七地域九校を指定をいたしまして、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究を実施をしているところでございます。  各実践研究校では、例えば学校校長の裁量権の拡大、協議会などの推進体制の整備、地域学校の連携の推進でありますとか教育課程の弾力化などの研究テーマの下に保護者や地域住民が参画をする協議会組織を設置をし、それぞれの特色を生かした様々な取組を行っていただいているわけでありまして、今先生御指摘の実践研究における成果でございますが、一例を申し上げますと、校長公募など地域住民の要望を踏まえた人事が行われ、学校運営地域の支援が従来よりも得やすくなったこと、あるいは、地域住民協力によりまして学校における外部人材の活用が進んだとか、学校を拠点とした地域活動が活発化したと、こんなようなことも挙げられているわけでございます。  また、一方、課題といたしましては、効果的な取組の実践のための校内体制の充実でありますとか、協議会委員、いろんな方々がいらっしゃいますから、この方々に対する研修をどうやって実施をしていくのかとか、学校運営に関します校長とこの学校運営協議会組織の役割と責任をどう整理をし、分担をしていくのか、あるいは評価の方法をどうやって確立化していくのか、こういったことが課題であると、このように指摘をいただいているところでございます。
  62. 大野つや子

    大野つや子君 次に、この制度の基本的な仕組みについてお伺いいたします。  現在の公立学校では、学校を設置、管理する教育委員会運営責任者である学校長とが役割分担をして、その管理運営が行われるわけですが、今回の学校運営協議会はどのような権限を持ち、教育委員会学校長との関係はどのようなものとなるのか、御説明いただきたいと思います。
  63. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 学校運営協議会は、校長が作成をする教育課程の編成などの学校運営の基本的な方針について承認を行ったり、学校教育活動の基盤となります教職員の任用に関して任命権者である教育委員会意見を述べると、こういった権限が法律上明示をされておるわけでございます。  今回の学校運営協議会は、学校管理規則に基づきまして学校を設置する教育委員会の権限と責任の下に校長が日常の管理運営を行う権限を有する現行の制度を前提とした上で、公立学校の管理運営の在り方の多様化を図ろうとするものでございます。  このように、学校運営協議会は、現在、教育委員会が有している権限を委譲するというものではなく、学校が有している権限の範囲内でその権限の行使に一定の関与をしていくと、こういう位置付けになっておるものでございます。
  64. 大野つや子

    大野つや子君 従来、公立学校は公費で設置され、公的な組織が管理するものでしたが、世界各国でも公立学校運営に保護者、地域住民、民間などがかかわる制度があるようでございます。  イギリスには学校理事会制度があり、長い年月を掛けて整備されてきたようですが、今回の学校運営協議会はイギリスの学校理事会を参考にしたものとお聞きしております。  ただ、イギリスの学校理事会制度の特色としては、教育課程の編成権、教員人事権学校予算の決定権などを学校内部以外の人にゆだねるという考え方と聞いております。学校長も理事になるかならないか、選択できたように思います。  そこで、イギリスの学校理事会制度のどのような点を参考にしたのか、また相違点についても簡単にお話しいただきたいと思います。
  65. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 私ども、今回のこの学校運営協議会制度の検討に当たりましては、今先生が御指摘になりましたように、地域や保護者が学校運営に参画をし、共同して学校運営に当たることを通じて教育の質的な向上を図るというイギリスの学校理事会制度趣旨参考にさせていただいたわけでございます。  もちろん、イギリスの制度、その歴史と伝統を踏まえた制度でございます。すべて日本に持ってきてうまくいくというものでもございませんが、私ども、これを参考にしながら、具体的な制度設計におきましても、学校理事会が持つ教職員の人事でありますとか教育課程の編成、予算使途の決定等に関する権限、学校理事会の構成、学校理事会と校長の役割分担と連携の在り方などについて幅広く参考にさせていただいたわけでございます。  両制度の共通点なり違いでございますが、今回の学校運営協議会とイギリスの学校理事会は、ともに保護者や地域住民代表等によって構成をされ、権限を持って学校運営に参画することが制度的に担保されていると、こういった共通点があるわけでございますが、一方、イギリスの学校理事会はすべての公立学校に設置をされる、しかも学校の管理運営に関する意思決定機関であると、こういう性格があるわけでございますが、学校運営協議会教育委員会判断により設置をされる、今回は任意設置という形で制度設計をさせていただいておりますし、学校が行う意思決定に参画するための機関として、学校運営協議会を設置する学校でありましても、学校運営に関する最終的な責任学校長が有していると、こういったような制度の違いがあると、こういうふうに承知をいたしております。
  66. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  関連してお伺いいたしますが、アメリカにはチャータースクールという制度があると聞いております。今回の制度コミュニティスクールとも呼ばれていますが、チャータースクールと混同されることもあると存じます。  アメリカのチャータースクール制度は創設されてから十年余りとお聞きしますが、様々な課題も出てきているころのように思います。この制度はどのようなものなのでしょうか、その概要をお伺いしたいと思います。また、そのアメリカのチャータースクール制度と今回の学校運営協議会制度との相違はどのようなものなのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 中央教育審議会で学校の管理運営の在り方に関する御審議をいただく際に、これは昨年の七月でございますけれども、中央教育審議会の委員の関係者に実際アメリカにおけるチャータースクール等の現状あるいはその課題について調査もいただいたわけでございますが、私どもが承知をいたしております限りにおきましては、アメリカにおけるチャータースクールは、一般的には保護者や教員有志などが認可、チャーターを受けて設立をし、公立学校と位置付けられ、基本的に公費によって運営される学校であるというふうに承知をいたしております。言わば、この学校を我が国の学校教育制度に対応をさせますならば、公費によって運営される私立学校、私立の学校でございますが、ととらえることができるんではないかと考えております。  チャータースクールは、カリキュラムや人事等におきまして学校が大きな裁量を持つ一方、学校の安定性でありますとか、継続性や教育の公共性、公平性等についていろいろな課題が指摘をされていることもまた事実でございます。  今回の学校運営協議会制度は、地域や保護者のニーズを学校運営に的確に反映させるため、地域住民や保護者等が公立学校学校運営に参画することを制度化するものでありまして、より透明で開かれた学校運営を実現し、地域に信頼される学校づくりに資するものであると考えております。  この学校運営協議会制度は、公立学校として必要な安定性、継続性、中立性を確保しながら、アメリカのチャータースクールの特徴であります保護者や地域住民意向をできる限り反映した学校づくりの実現を可能としようと、こういうものでは共通点があるんではないんだろうかと、このように認識をいたしております。
  68. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  これまでに我が国にはPTAという保護者と学校を結ぶ組織があると存じます。PTAが組織されていない地域や、組織されていてもPTAとしての役割がほとんど機能していない地域もあると伺います。PTAの活動というものは、地域により、また学校により様々かと思います。  保護者や地域住民参加する今回の学校運営協議会とPTAとの関係はどのようになるのでしょうか、お伺いいたします。
  69. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) PTAの問題を御指摘をいただきました。  我が国におきますPTAは、先生御案内のとおり、第二次世界大戦後、その勧奨がなされ、昭和二十二年から二十五年にかけてほとんど全国の小中高等学校において結成をされたものでございまして、父母と先生の会、PTA、児童生徒の健全な成長を図ることを目的とし、親と教師が協力をして、学校及び家庭における教育に関し理解を深め、その教育の振興に努め、さらに児童生徒の校外における生活の指導でありますとか地域における教育環境の改善充実を図るため会員相互の学習その他必要な活動を行う団体であると、このようにされておるわけでございまして、今回、学校運営協議会という制度を設けたわけでございますが、これは法律上も学校運営に関しまして一定の権限を有するものでございますが、他方、PTAにつきましては、そういった学校運営協議会とは異なり、先ほども申し上げましたように、学校行事や学校外の生徒指導などを通じまして、学校家庭地域をつなぎ、教育活動に協力を行う役割を果たすものでありますけれども、学校運営に関与する法律上の権限は有していないわけでございます。  こういったように、学校運営協議会とPTAとはその役割、機能が異なるわけではありますけれども、今回の学校運営協議会制度を通じまして、例えばPTAの役員がこの学校運営協議会委員として加わっていただく、こういったことによりましてそのPTAの意見学校運営に一層反映させていただくと、あるいは運営の基本的な方針に沿った協力学校側がPTAに求めると、そういったことを通じてお互いに補完をしながら、学校家庭地域の連携がより一層密接になることを今回の制度改正で更に期待をしているものでございます。
  70. 大野つや子

    大野つや子君 次に、今回の学校運営協議会制度の具体的な内容について幾つかお伺いしたいと思います。  まず、学校運営協議会を設置する際の仕組みについてですが、今回の法律の条文を見ますと、学校運営協議会の設置の根拠や基本的な権限については規定されていますが、指定の手続や委員の構成等、制度の実際の運用に関する事項についてはすべて教育委員会規則で定めることとされています。このように今回の制度は、具体的運用にかかわる部分を教育委員会規則にゆだねており、地方の裁量により幅広い柔軟な運用が行われるような仕組みとしているものと考えますが、このような制度設計とした理由をお聞かせいただきたいと思います。
  71. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) この学校運営協議会制度考え方についてはもう既にいろいろと御答弁させていただいているわけでありますが、その基本的な考え方が、地域に開かれた、そして地域皆さん方や親の皆さんに信頼される学校を作るということでございまして、そのためには、地域というものもいろいろな特徴を持っているということもございますので、その中で創意工夫を行い魅力のある学校を作るためには、できる限り自主的であり、また自発的な取組ができるようにすべきであろうということでございまして、公立学校運営の中に地域住民、保護者が参画しつつ意見を反映できる仕掛けにしようということでございます。  ですから、具体的にどういう形でこの学校運営協議会を運用していくかという問題につきましては、地域の実態、また学校の実情もいろいろとございますから、そういうものを踏まえつつ、域内の公立学校教育責任を有する教育委員会がその責任の下で判断をし、住民に対して説明責任を果たしていきながらこれを進めていくべき問題であると、こういうふうに考えさせていただいている次第でございます。  このような観点から、学校運営協議会運営に関する事項につきましては、各教育委員会教育委員会規則において責任を持って定め、住民に対してその内容が明らかにされつつ、柔軟にその運用が行うことができるというふうな仕組みを取り入れさせていただいたということになるわけでございます。
  72. 大野つや子

    大野つや子君 次に、学校運営協議会の設置についてお伺いいたします。  学校運営協議会については、すべての学校について一律に設置するのではなく、教育委員会判断により設置することとされています。この制度については、先ほどニーズをお伺いいたしましたが、今まで、公立学校の新しい形をどのようにすべきなのか、教育委員会学校長学校現場における学校運営責任の所在が保護者や地域住民に分かりづらいなどの御指摘や批判にこたえるものであり、今後は、保護者や地域住民の力も加え、より良い地域学校を作ることが期待されるものと考えます。  このように、公立学校教育の改善のため効果がある、良い制度であるのであれば、むしろすべての学校で設置を義務付けた方が良いとの考えもあると思いますが、このように一律ではなく任意設置とした理由について、改めてお伺いしたいと思います。
  73. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  学校運営協議会は、地域に信頼される学校づくりの実現に向けて学校運営の在り方の選択肢を拡大するための手段の一つとして新たに制度化をするものでございまして、私ども、その導入は、すべての公立学校に一律に求められるものではなく、地域の特色や学校の実態、保護者や地域住民意向などを十分に踏まえて教育委員会の適切な判断により行われる必要があると考えているものでございます。  こういった学校運営の改善がうまくいくと申しましょうか、やはりそのためには、地域住民や保護者自身に積極的に学校運営にかかわっていこうとするそういう姿勢があり、広く委員に適任者を得られるということが必要であろうかと思っておるわけでございまして、地域住民意向にかかわりなく一律に設置を義務付けるということは、むしろ形式的な設置に陥り、学校運営協議会が形骸化するおそれはないんであろうか、あるいは一部住民や保護者の意見のみが反映されることになることによって学校運営に弊害が生ずるおそれもあるんではないかとか、いろんな実は議論があったわけでございまして、私どもといたしましては、各教育委員会においてこの学校運営協議会を設置することで広く地域住民や保護者の参加協力が得られ、学校運営の改善に実効的な効果が見込まれる学校からまずは取り組んでいただくことになるんだろうと考えておるわけでございます。  ただ、やはり私どもは、せっかくこういう制度法律を改正して導入しようとしているわけでございますから、文部科学省といたしましても、学校運営協議会制度の意義や趣旨につきまして教育委員会に対して十分に周知徹底を図るとともに、地域の実情を踏まえた制度の円滑な導入や普及、定着が図られるよう各地域における取組を支援をしてまいりたいと考えております。
  74. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、学校運営協議会委員についてお伺いをいたします。  今回の法律案では、地域住民や保護者が学校運営協議会委員となってその意向学校運営に反映させるものとなっております。すなわち、今回の制度においては委員にどのような方が選ばれるのかが重要になってくるのであって、委員の構成や選任方法は慎重でなくてはいけないと思います。例えば、保護者の代表でいいますと、PTAの会長が、今日はPTA、あしたは評議員、明後日は学校運営協議会といったようなことが起こり得るとも思いますが、これはPTA、評議員、学校運営協議会という基本的仕組みにも関係することと思います。  そこでお伺いいたします。学校運営協議会委員はどのように選ばれるのでしょうか。また、人数はどのくらいになるのでしょうか。具体的にはどのような人が委員になるのか、お教えいただきたいと思います。
  75. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先生御指摘になりましたように、この制度がうまく機能するかどうか、まさしく委員にどういった方々が選ばれるかということが大変重要なことになってくると考えておるわけであります。  学校運営協議会委員の人数、構成等につきましては、学校の実態等に応じて教育委員会判断することが望ましいと考えられることから、特に法律においては定めていないわけでありまして、教育委員会の規則で定めることにいたしておるわけであります。  ただ、一般的には、委員の人数につきましては学校の規模等を考慮し、当該地域住民や保護者等の意向を十分反映できると考えられる人数であること、協議ごとにきちんと委員参加を得られる程度の人数であること、実質的で活発な討議を行うことができ、それを通じて学校運営協議会としての一定の方向性を決定できる程度の人数であることなどを考慮して具体的な人数を決定することが望ましいと考えているわけでございます。  これも、それが良かったかどうかいろいろあるかと思いますが、ちなみに実践研究校におきますこの学校協議会のメンバー、数は大体十数名、例えば五反野小学校でありますと十一名でございますし、千葉県の秋津小学校では十四名と、このような数でありました。ここはまた当然学校の規模等によって違うかと思っておりますけれども、これは一つ参考の事例でございます。  また、委員の構成でございますが、法律におきましては、地域住民、保護者についてはこれは必ず委員として含んでいただくということで法律上も明記をしたわけでございますが、それ以外には校長教員、大学教授教育行政学校教育に識見を有する有識者あるいは社会教育関係者などが委員として考えられるところでございます。  こういった学校運営協議会委員の人数や構成、どうするかと。国としてこれはまた何人がいいとか必ずこういう方々でなければならぬという具体の基準を示すということは、かえってそういった地方の裁量と申しましょうか、それに何と申しましょうか口を挟むということにもなるわけでございます。私どもとしてはそういった具体の基準を示すということまでは考えてはいないんでありますが、学校運営協議会制度の円滑な導入のための留意事項ですとか配慮事項、これはまたこの法律をお認めいただきましたならば施行通知を各県の教育委員会に出すことを予定をしておりますけれども、そういった中であるいはいろんな会議等でもこういった留意事項、配慮事項等必要な助言についてはお示しをし、各県でこれが円滑に導入されるように努力してまいりたいと考えております。
  76. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次に、学校運営協議会の具体的な権限についてお伺いいたします。  学校運営協議会は、学校長が作成する教育課程等の学校運営に関する基本的な事項及び方針についての案を承認することとされていますが、このような権限を認めるのはどのような趣旨なのでしょうか。また、基本的な方針を学校長提案して学校運営協議会から承認を受けるということですが、実際にはどのような手順で基本的な方針の承認が行われることになるのでしょうか、お伺いいたします。
  77. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の改正案では、学校運営協議会を置く学校において、校長は、学校運営に関する基本的な方針についての案を作成をし、学校運営協議会の承認を得なければならないと、こういうふうにさせていただいているわけでございますが、学校運営協議会は、校長が作成をする学校運営の基本的な方針について承認を行うことにより、例えば、これはもう学校のあれでございますけれども、習熟度別指導の積極的な導入でありますとか、体験学習の充実などの教育活動の基本的な方向性に地域住民や保護者の意見を直接反映させることができるようになるわけでございまして、保護者の要望や地域の特性を踏まえた特色ある教育活動をより一層実施をすることが可能になっていくと、こういうふうに考えているわけでございます。  また、基本的な方針を承認する手順についてのお尋ねでございますが、これは教育委員会規則等で具体的には定めることになるわけでありますが、校長が示した基本的な方針の原案を基にいたしまして協議会において活発な議論をしていただき、成案を得て承認を行い、学校運営の基本的な方針が策定をされると、手順としてはこのようになっていくんだろうと考えているところでございます。
  78. 大野つや子

    大野つや子君 次に、学校運営協議会は、教職員の採用その他の任用に関する事項について任命権者である教育委員会意見を述べることができ、さらに、意見を受けた教育委員会はその意見を尊重するものとされています。現在の日本の教育行政制度としても正に新しい取組と考えます。公務員の人事に関して保護者や地域住民意見を反映させる仕組みを設けるというのはかなり思い切った試みではないかと思いますが、文部科学省としてここまで踏み込んでこのような権限を規定したねらいをお聞かせいただきたいと思います。
  79. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生御指摘のあった点は、今回の法律改正の中でも大変大きなポイント一つであるわけでございます。地域に開かれた信頼される学校づくりの観点から、地域住民や保護者等の学校運営に関する要望についてより一層の反映が図られるよう学校運営協議会教育委員会校長にいろんな意見を述べることができると、こういうふうにしたわけでございますが、とりわけ、特色ある学校づくりなど、学校が実現しようとする教育活動、やはりこれを担っていくのは人間、教員でございますから、そういった教育活動にかなった人材が得られるように、教職員の人事については学校運営協議会が直接任命権者に、市町村小中学校の場合にはこれはまた都道府県教育委員会になるわけでございますが、直接任命権者意見を述べることとし、また、その意見ができる限り実現されるように任命権者がこれを尊重すると、こういうふうに規定を置いたわけでございます。  なお、これは、任命権者である教育委員会学校運営協議会意見を尊重し、できる限りその実現に努める必要があるわけでございますが、最終的には任命権者としての権限と責任において人事を行うということで、現行公務員制度の枠組みそのものを変えるものではないと、そういった中でのできる限りこういった地域住民、保護者の声を人事の中に反映をさせていこうと、こういう仕組みでございます。
  80. 大野つや子

    大野つや子君 次に、この制度に関連して教育地方分権についてお伺いしたいと思います。  今回の制度学校運営協議会は各教育委員会判断により設置されることとされていますが、委員の任命の方法などの具体的な運用に関しては学校を設置する教育委員会が定めることとされています。このように、今回の学校運営協議会制度地域自主性、裁量性にゆだねられる部分が大きく、地方分権時代にふさわしいものであると考えます。  これからは現場から発想こそが重要であり、今後も教育地方分権を積極的に進めるべきであると考えますが、この点について、大臣、どのように教育地方分権を進めていくおつもりでしょうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  81. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 大野先生御指摘のように、正にこれから地方分権時代にふさわしい教育展開、これが求められておるというふうに思っておりまして、これをいかにこれから進めていくか。これは文部科学省の持つ役割、それから地方教育委員会地方が持っている役割、この分担の下で、やっぱり地域に根差した、正に学校現場子供たちのいる地域で展開をされている、そのことに思いを致しながら、地域に根差した主体的で積極的な教育行政が行われることが大切だと、このように思っておりまして、これまでも学級編制の弾力化、あるいは教育課程の基準の大綱化とか弾力化、図ってきたところでございますが、さらに平成十六年度から義務教育費国庫負担制度、この教育の根幹を守りながらも、しかし地方の自由度を高める、裁量度を高めるということで、地方教育現場においても総額裁量制を導入するという形をこれから取る、取ってまいっておるわけでございまして、教育地方分権が大いに進んできつつあると、このように考えております。  これからも教育分野における地方分権の推進を図りながら、各学校においても地域住民や保護者の期待にこたえる、学校が開かれて、そして信頼の置ける学校であるようにということで、地域の創意工夫を生かしながら、特色ある学校づくり、これができるようにという意味で、そういうような、正に地方分権にふさわしい学校づくり、今回の学校運営協議会制度の導入が正にその一つでございますが、そういう意味で、これからも地方分権の取組、学校教育における、教育における地方分権の取組を進めてまいりたいと、このように考えております。
  82. 大野つや子

    大野つや子君 大臣、ありがとうございます。どうぞ教育地方分権を是非とも進めていっていただきたいと思います。  次に、地方の裁量に任されているこの制度においては、地方教育責任者である教育委員会の役割が重要なものとなると考えます。しかし、各県、各市町村教育委員会そのものにも、それぞれの地域住民が満足してきたか、きちんと機能してきたか、公開性が十分であったかなど様々な問題があるように思います。  法案を見ますと、この制度が導入されるか、どのように運用されるかなど、要は教育委員会次第ということになり、意欲的な教育委員会とそうでない教育委員会とで取組に大きな差が生ずることも予想されます。教育委員会の力を高め、改めるものは改め、その機能の強化を図るためどのように取り組んでいくおつもりか、お伺いをしたいと思います。
  83. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  教育委員会の機能の強化あるいはその在り方につきましては、これは大変重要な課題であると考えております。先般、当委員会におきましても、この法案の審議に絡みまして、教育委員会の問題につきましては、制度発足以来の歴史と沿革も含めて、様々な御指摘、御意見もいただいたわけでございます。  近年、地方分権が進展する中で、教育委員会には、教育行政責任ある担い手として、地域のニーズに応じた教育行政を主体的に企画をし、実行していくことが一層強く期待をされていると考えております。こういった学校運営協議会を始めとして、開かれた学校づくりの推進に教育委員会が主体的な役割を果たすことができるよう、その機能の強化でありますとか体制の充実が一層重要になってくると認識をいたしておるわけでございます。  そういうことで、先般も御答弁をさせていただいたわけでございますが、これまでもこの教育委員会制度につきましてはいろいろな改正、法改正も含めてさせていただいたわけでございますが、直近では平成十三年に教育委員会委員の構成を見直しをすると。年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、教育委員のうちに保護者が含まれるように努めることを規定をするといったような改正でありますとか、教育委員会会議を原則として公開をする、あるいは教育行政に関する相談体制を整備をすると、そういったような制度改正を行うことによりましてその機能の強化に努めてきているわけではございますが、やはりこの教育委員会につきましては、まだまだいろんな議論があることは承知をいたしておるわけでございまして、現在の教育委員会が必ずしも十分に機能していないのではないか、首長と教育委員会との連携が不十分ではないのか、あるいは特に小規模市町村教育委員会は体制が弱いのではないかとか、様々な指摘がなされているわけでございまして、こういったことも踏まえまして、教育委員会の在り方につきましては、この三月に大臣から中央教育審議会へ「地方分権時代における教育委員会の在り方について」ということで諮問をさせていただいたわけでございます。  主な審議事項として四点ございますが、教育委員会制度の意義と役割、社会状況の変化等を踏まえながら、教育委員会制度について、教育行政の中立性等の重要性を踏まえながら、今日における意義と役割を再検討し、その見直しを図っていただくということ、こういった観点の審議事項が一点ございます。  二点目は、首長と教育委員会との関係でございまして、首長と教育委員会との連携を強化する観点から、役割分担も含めた、生涯学習、文化、スポーツ、幼児教育等の教育事務の在り方や、教育行政における首長と教育委員会との連携の在り方について御検討をお願いをしたいと。  それから三番目は、市町村都道府県の関係及び市町村教育委員会の在り方でございます。基礎的な自治体であります市町村教育委員会が、その機能を十分に発揮をし、充実した教育行政を行うことができるように、広域化の推進のための方策でありますとか、教育行政における市町村都道府県との関係をどう考えていくかということでございます。  そして第四点目は、学校教育委員会との関係、それから学校自主性、自律性の確立でございます。学校自主性、自律性を高める観点から、学校教育委員会の関係や学校評価の在り方について検討していただきたいと。また、管理職への一層の適材確保とそれを支える校内体制の整備、特に校長の裁量権を拡大をしていくということになりますと、その校長先生をサポートしていく校内体制をもっと確立していくことが大事であろうと、こういった学校組織運営の在り方についても御検討をいただきたいと。  そのほかにも、いろんなことがまた委員の方からあればいろんな観点から御議論をいただきたいと思っておりますが、主としてこういった四点について審議をお願いをし、今御審議をいただいているわけでございまして、私ども、そういったまたおまとめをいただけますならば、制度改正に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  84. 大野つや子

    大野つや子君 よろしくお願いをいたします。  また、あわせて、このように保護者、地域住民参加する学校運営協議会が設けられた場合、学校としてこの活用の仕方が重要になると思います。その意味で、校長の力量が今後一層問われることになりますが、各教育委員会では文科省において指定されたモデル校学校長を短期間で数多く経験させるなど、工夫をされているとは思いますが、学校長の資質を高めるため文科省はどのように取り組んでいらっしゃるのか、また今後の取組をも聞かせていただきたいと思います。
  85. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 大野委員からは、大変今回の法改正に伴う本質的な部分の問題指摘をいただいたと思います。  よく事業は人なりということが言われますけれども、教育という問題も、これは次世代の人を育てる、たった一度しかない人生の中で、その教師と学校との巡り合いの中にその生きる力を獲得する大変尊い大切な事業、これこそが私は教育と考えているわけでありまして、その教育現場責任者たる校長がいかなる力量を持つ人物であるか、いかなる考え方を持つ人物であるかということは教育の本質的な部分の課題であると、こういうふうに認識をさせていただいているところでございます。  ですから、まず第一に、このような制度を導入して自由度が高まってきた中において、より大きな権限を校長というのは振るうことができる状況が生まれてくるわけでございますから、それに見合う能力又は責任感のある人をうまくその場に就けるということが必要になってくるだろうと思います。  あわせて、この制度の導入に伴いまして、地域住民皆さんやPTAの方々もその運営に加わってくる形になってくるわけでありますから、こういう制度そのものに対して深い理解を持ち、その理解の下にそういういろいろな御意見をうまく生かして教育を行える人をこの校長というポストに選任するということの必要性を感じております。  さらに、今御質問にありました、その校長の資質をいかにこれから磨き上げていくかという点でございますが、この点につきましても、各教育委員会におきまして研修等によってその向上に努めているというところでございます。例えば、組織マネジメント等の研修でございますけれども、これを実施する都道府県等の教育委員会は、昨年度は四八%でありましたが本年度は六七%に増えるという予定になっております。  このような様々な取組が今進められているところでございまして、今後は、この法律、改正案が成立いたしましたら、学校運営協議会制度趣旨、内容、運用等についてもきちんとした研修を行って的確な理解を現場責任者に持っていただくということに努めたいと考えている次第でございます。  文部科学省としては、これら校長の資質、能力の向上に向けた各教育委員会の取組を更に促していくという努力をしてまいりたいと考えている次第であります。
  86. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  最後に、この学校運営協議会制度を推進する大臣の御決意をお伺いしたいと思います。  学校運営協議会が成功するかどうかは、その役割を十分に理解して、その活動に積極的に参加する人材を委員として得られるかにかかわっている部分が大きいと思いますが、果たして我が国に学校運営協議会委員として時間と労力を提供して学校を支えていこうとする風土がどの程度育っているのでしょうか。そのような意味で、この制度が根付くかどうかは学校を支える地方教育力次第であるとも言えます。  これまでは公立学校の言わば外側にいた地域住民や保護者を、学校の中に入っていただき、学校運営に直接かかわっていく全く初めての試みであるだけに、この制度学校運営地域に開いていく上で着実に成果を上げていくためにも、この制度趣旨を幅広く周知するとともに、各教育委員会学校における取組を支えていくことも必要だと思いますが、この点について大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  87. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 今回のこの学校運営協議会、この法案を通していただいて実際に取り組んでいく、その上において、このことがまず周知徹底していただくということ、これが非常に大事なことだと、こう思っております。  元来、我々日本の学校は、やっぱり地域が支えてきた、地域の地縁といいますか、そういうものの中にあると、こうずっと思っておったわけでありますが、最近の都市化の状況とか、またああいう人間関係の希薄さとか、そういうものの中で、ややもすると学校地域から離れてしまって遠いところにある、なかなか信頼できない、学校は何をやっているか分からないじゃないかというような、こういう感じが非常に強くなってきた。  それは正に地域教育力の低下であり、一方では家庭教育力の低下、こういうものがあるという指摘を受けまして、これをもう一度地域に取り戻すといいますか、先生はどのぐらいこういうものが、その風土がどのぐらい残っているだろうか、育っているだろうかと、こうおっしゃいましたが、これがどのぐらい今までの育っているといいますか、それが残っておるか、これをもう一度取り返すと、こういうような思いがむしろ私にはあるわけでございまして、今回、この社会の大きな変化の中で、本来学校があるべき姿というものを求めて一つのこういう形を取っていこう。また、これは欧米先進国でも取り上げて、イギリスなんかも大いに成果を上げている制度でもございます。  そのようなことを考えながら、今の時代に迅速かつ的確に対応できるような公立学校教育、これが国民の信頼にこたえることになるんだという思いでございます。この地域の創意工夫が学校運営にいかに生かさせるか、またそれぞれの地域が特色を持って教育がやっていただけるか、そのことが今回のこの学校運営協議会による学校の取組の成否を担っていると思います。  文部科学省としても、その各教育委員会に大きなこれは一つ責任もあるわけでございまして、まず教育委員会そのものがこの制度趣旨をしっかりつかまえていただく、そしてこの制度を活用していく、この姿勢が必要だろうと思います。そして、地域意欲とか保護者、地域住民がこれに、ある意味では試行錯誤の面もありますけれども、これにしっかり取り組んでいただいて、経験を積みながらこの問題に取り組んでいただく。  そのためにはまず、先生御指摘のように、この法改正のねらうところ、これをきちっと広報を始めとする関連施策をもって周知徹底していく、そのことによって初めてこの学校運営協議会というものが軌道に乗っていくだろうと、こう思っておりまして、文部科学省としては、この法案成立後の本制度の普及、定着、これこそまず取り組まなきゃいけない重要な課題であると、このように認識して努力してまいりたいと、このように思っております。
  88. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。  しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。  これで終わります。     ─────────────
  89. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、草川昭三君が委員辞任され、その補欠として山口那津男君が選任されました。     ─────────────
  90. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  今回の地方教育行政法の改正案でございますが、俗にコミュニティスクール法案というふうに言われております。  御承知の方も多いかと思いますが、実は私はこのコミュニティスクール構想の提唱者の一人でございますが、提唱者から申し上げますと、この法案コミュニティスクール法案という言われ方をするのは少し違和感がございます。もちろん、私たちが元々提唱いたしましたコミュニティスクール構想を実現するために、その障害になっている地方教育行政制度の一部手直しをする、そのことが構想の半歩前に出るということに、プラスになるということまでも否定するつもりはありませんが、これイコール、コミュニティスクール法であるというのは、少し私としては違和感があるということを冒頭に申し上げたいというふうに思います。  それで、今やインターネットで検索をいたしますと、コミュニティスクールという言葉が五万件から七万件検索をされますから、使う人によってもうまちまちの文脈でまちまちに使われるわけですね。もちろん、いろんな方がいろんな文脈でお使いになったらいいと思います。そのことによって、この国の教育の在り方ということについての議論が深まるわけでありますから、そのことは大いに私は歓迎をしたいことだと思いますが。  そもそも私たちがどういう理念、考え方、あるいは試行錯誤、あるいは思考のいろいろな、いろいろ考え、現場を見、また現場を見て考え方をもう少し直し、そういうことをいまだに不断に続けているわけでありますが、そのことについて少し冒頭お話をさせていただいて、是非文部省には、あるいは委員の皆様方も含めてでありますけれども、もちろんこの法律改正の制度について関係者に周知徹底をしていただくというのは、これは当然でありますけれども、やっぱりそこに、裏側にある、あるいはその下敷きになった議論とか理念とか、ある意味教育に正解はございません。みんな悩みながら、しかし一生懸命みんなやりながら考えているわけでありまして、そこの部分をやはり丁寧に現場にお伝えをいただいて、そしてまた現場にやっぱりいろんな知恵があって、我々も、机の上で考えていたというよりも、本当にいろんな現場へ行って、むしろ教えていただいたと。そのことをただ単に考え方にまとめたということでございますので、少しお話をさせていただきたいと思います。  コミュニティスクール構想という言葉自体は、これもまた歴史的に見ますと何十年かに一回リフレインされる概念であります。しかし、今回のコミュニティスクールという概念、構想は、私たちが二〇〇〇年の十二月に「コミュニティスクール構想」という本も出版をさせていただきましたし、教育改革国民会議の席でそういう文言が出てきたかと思います。  しかし、その下敷きは、大臣、「ボランタリー経済の誕生」という本をお読みになったことおありでしょうか。実は、コミュニティスクール構想の根っこはこの本が必読書でございまして、是非お読みいただきたいと思うのでありますが、元々一九九二年の七月に、午前中の参考人でありました金子郁容先生が「ボランティア」という岩波新書を書かれました。そこで、これからはボランティアという概念が社会問題を解決していく、あるいは社会を作っていくソーシャルプロデュースの極めて重要な要素であるということを指摘をされて、九二年当時はまあそうかいなという感じであったわけでありますが、九五年の阪神・淡路大震災で金子先生自身も、阪神、神戸、被災地に向かわれまして、正にそのボランティアということを学生とともに実践をされた。そこでボランティアという概念が一挙に広がったわけでありますが。  その一年前に、一九九四年の三月に、実はボランタリー・エコノミー研究会という研究会が、金子先生それから下河辺淳先生、それから編集工学研究所の松岡正剛先生、その一年後に私もそこに参画をさせていただくわけでありますが、そういう研究会ができました。その一つの研究成果が九八年の一月に、この本の中にも盛り込んであるわけでありますが。  まず私、冒頭申し上げたいことは、この「ボランタリー経済の誕生」の中でコミュニティーソリューションという概念をそこで打ち立てております。コミュニティスクールというのは正にコミュニティーソリューションという考え方教育学校現場に当てはめていったときに、コミュニティーソリューションが学校版になるとコミュニティスクールと、こういうことになるわけでありまして、これを介護の現場に当てはめるとコミュニティーケアと、こういうことになるわけであります。  それで、そのときの一番の問題意識は、この中にも書いてありますが、政府の失敗といいますか、政府の限界、と同時に市場の限界あるいは市場の失敗、この二つの今まで近代国民国家を動かしてきた社会システムというものが、もちろん引き続き重要な要素を担っておりますが、しかし、それだけでは社会の問題は解決できないと。そして、昨今、その限界といいますか、矛盾といいますか、ほころびというものが、恐らく全世界を通じたこうした社会問題に取り組む、あるいは政策、政治に取り組む人たちの問題なんだろう、課題なんだろうと。そこで出てきたのがこのコミュニティーソリューションと、こういうことでございます。  したがって、私たちは、いわゆる文部省がはしの上げ下ろしまで世の中三万校を超える学校現場に一々細々言うということ、正に官立学校と、こう称していたわけでありますが、これももう限界に来ているだろうと。文部省さんも正に九八年、九九年辺りから教育地方分権、そのスピードについては議論はありますけれども、方向としては現場に、教育現場に、またどの現場に渡していくのかと、権限を委譲していくのかというところについてはいろんな議論はありますけれども、少なくともディセントラライゼーション、脱中央集権化ということの方向には行っているわけでありますね。  それと同時に、いわゆるレーガン・サッチャーリズム、何でもかんでも市場原理に任せればいいと。ともすると、コミュニティスクールがレーガン・サッチャーリズムの文脈で議論されることがあります。これは提唱者としては極めて不本意でありまして、我々は、政府の限界とともに市場の限界というのを同時に結び付けてこの考え方を出しているわけでありますから、これも多くの先生方、釈迦に説法でありますが、市場原理というのは情報の非対称性がなくて、不確実性がなくて、不確定性がないときに神の見えざる手によって適正な資源の配分と社会サービスの効用の最大化というのが図られる。しかし、教育については必ず非対称性がありますし、必ず不確実性がありますし、という中でそもそも市場原理というのはこれはワークをしないと。  しかし、じゃ、政府の今までの官立中央集権型でも駄目だと。それでどうしようかといって多くの方々が悩んでいるわけでありまして、その中で、正に強制力を持った国のような強制機関でヒエラルキー的に何かを決めていくということではなくて、正に当事者が、ステークホルダーが子供中心としてコミュニティーを作って、人的ネットワークを深めて、そして子供たちの学びの支援のためのコミュニティーを作り、そしてその人たちが試行錯誤、悩みながら熟議、熟論、ドイツにハバーマスというこれ学者がいますけれども、この人たちが熟議の民主主義ということを言っています。正にフォーラムを作って、コミュニティーを作って、いろんな人がいろんな立場から知恵を持ち寄って、そして新しい知恵を見いだして、そして現場に問うて、そして現場からのフィードバックをこれを不断に繰り返すという中で何らかの、オールマイティーな解はありません、しかし、三万校についての絶対の解はないけれども、その学校についての正解、その子供についての正解、その学級についての正解というものは見いだせるのではないかということがこのコミュニティスクールの根っこにあるコミュニティーソリューションの考え方であります。  そして我々は同時に、教育というのはこれは正に社会サービスでありますから、サービスの質というものは何に依存するかということについてもいろんな議論をいたしました。サービスの質というのは、正にカスタマイズとタイミングであります。正にそれぞれの子供の状況、事情、TPOとオーダーメードというふうに言い換えてもいいかもしれませんが、それぞれのTPO、正にタイム、プレイス、オケージョンですね、そうしたものに対してきちっとオーダーメードをしていくんだと。ですから、詰め込みとか画一教育の反意語はゆとり教育ではなくて、私たちは、オーダーメードしていくんだ、TPOに応じて子供たちにそれぞれオーダーメードするんだということが、サービス、とりわけ社会サービスの極めて重要な一つであります教育サービスの質を上げることになるんだろうと。  昨今、学校選択制の議論も、私たちはそのオーダーメード化の途上にあるものにすぎない。もちろん重要な半歩でありますけれども、今までは、どんな子供でも同じデザインの同じサイズの制服を着せられていたと。そうすると、ある子にとってはだぶだぶだし、ある子にとってはつんつるてんだし、それからみんな真っ黒の制服だった。それが複数の既製服になって、それが選択できますよと。しかし、これは全くオン・ザ・ウエーでしかなくて、次にはイージーオーダーがあって、最後には生地も、そしてデザインもサイズもその子供、その子に合ったぴたっとしたオーダーメードのものができていく、ここまで早くどうやって行き着くかと。その行き着くプロセスがいろんな、それぞれの事情とそれぞれの議論によって今繰り広げられているんだと思います。  それで、オーダーメードの特徴というのは、正に作り手と使い手が常にコミュニケーションしているんだ、フィードバックされているんだと。仮縫いがあって、どうですかと、仮縫いが合わないところがあればそれをまた戻すと。そういう仮縫いを何回も何回もしながら、その子供にとってベスト教育というものは何かというのを判断をし実行をしフィードバックをしという、この学校ガバナンスを確立をしようというのがコミュニティスクール構想の我々の考えました基本的な理念であります。  そうした中で、正に東京大学の前教育学部長の佐伯先生なんかも学びの共同体ということを言っておりますが、子供たちを、午前中の勝野先生なんかもおっしゃっておられましたが、学びの共同体というものをどうやって作っていくのか、こういう話であったわけであります。  そういう意味で、是非大臣、今回の法案を、もちろんきちっと制度を御説明をしていただく、徹底をしていただくということについては重要でありますが、そういうやり取り、もちろん私たちの考え方が完璧だとは思いません、いろんな考え方はあろうかと思いますが、そういう根っこの中でコミュニティスクール構想というのが今回こうした形で、法律の手直しといいますか整備という形でなったんだということについては、私たちの主張を現場に下ろしてくれと言うつもりはありませんが、教育改革国民会議でも中央教育審議会でもいろんな、本当に深遠な、深い議論がありました。そういうことも含めて、是非この法律運営といいますか実行に当たっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  91. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 鈴木先生金子郁容先生とともにあのコミュニティスクールの本をお出しになったことは私も承知をいたしておりますし、また、金子郁容先生、今日は残念ながら私は御意見を直接聞く機会に恵まれませんでしたが、お目に掛かって、これからのコミュニティスクールの話も若干でありますがお聞かせをいただいて、今また鈴木先生お話を聞きながら、これに肉付けをしていただきまして、私も大いに得るところがあったと、こう感じておるわけでございます。  正に今の現社会、日本に不足しているもの、いわゆる官の持つ、政府の持つ限界、それから市場の持つ限界、その中に何を入れていくかということ。一つはNPOが今入ってきつつある。これもまだ正に発展途上でありますが、これをしっかりやっていくことが、まあアメリカなんかも確かに市場経済は強いんだけれども、NPOも非常に強い力を持って発展してきている、これが補っているという点がございます。    〔委員長退席、理事後藤博子君着席〕  そういうことから考えますと、教育もやっぱりそういう視点で見ていくという考え方というのはこれから私も非常に大事だ、習熟度別教育なんというのも正にそのオーダーメード教育一つのやり方だと思いますね。そういう個性教育といいますか、正にそれがそうだろうなと思いながら今お話を聞いておったわけでございます。  今回のこのコミュニティスクール構想、正に地域運営学校というもの、これはその担い手になる一つの手段だと、こう思っておりますが、先生がおっしゃるように、これがすべてでございませんし、正にそういうものにしていく第一段階。  その前段階として、実は学校評議員制度もあったわけですね。これはこれでそれなりの役割を果たしてきておると思いますが、これも県によっては、まるで全然ゼロという県がある、一〇〇%という県もある。しかし、これを一歩進めていけばこのコミュニティスクール構想に当たっていくんではないかと、こう思っておりまして、今回、この法案を通していただいて、そのことを、正にこのコミュニティスクールが持つ意味といいますか、それを今、鈴木先生からお話しいただきましたような観点に立って、十分な理解の上に立って、それぞれの地域でそれぞれの地域教育、それを生かした、それぞれやっぱり教育には地域の特性というものがございますから、そういうものをそこで発揮していただいて、これまでの学校の在り方をある意味では大きく変えていくといいますか、そのような役割を果たしてもらいたいと、こう思っておりまして、今回のコミュニティスクール構想の実現によって、正に教育改革の一環といいますか、学校が変わる、教育が変わると、こういう言い方を、表現をしてまいりましたが、その一助になるのではないかと、こう思っておりまして、五反野小学校の例を見るまでもなく、この実験校を一つ作るだけでも周囲の、これは選択制の意義もあるわけでありますが、に大きな影響も与えているという情報をいただきながら、これからこの法案を通していただいて、それぞれの地域がこれに取り組んでいただければこの制度の推進が進んでいく。  その中で、各地域は恐らくかなり試行錯誤されるし、場合によっては失敗という例も出てくるかもしれません。そういうものを通してより良きコミュニティスクールができ上がっていくだろうと、このように期待をいたしておりまして、その辺について文部科学省は、おっしゃるように、一々はしの上げ下ろしを云々じゃなくて、地域の取組をしっかり支えると、こういう視点で研修等々を通じながらこのコミュニティスクールの持つ考え方、これの周知徹底を図ることがやっぱり我々の仕事だろうと、こう思いながらこのコミュニティスクールの構想を推進してまいりたいと、このように考えております。
  92. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございます。是非そういう方向で御努力をいただきたいと思います。  もう少しコミュニティーソリューションの話をさせていただきたいんですが、我々、この本の中でも言いましたことは、いわゆるコミュニティーソリューションというものが正に機能する前提というのがあります。それは何かといいますと、ソーシャルキャピタルと言っていますけれども、ソーシャルキャピタルの存在というものがないところに形ばかりのコミュニティーソリューションを入れてもこれは破綻をする、失敗をする。ですから、きちっとソーシャルキャピタルというものがあって初めてコミュニティーソリューションを導入するんだと、これはセットできちっと我々議論をいたしております。  ソーシャルキャピタルというのは正に、もちろん学校評議員制度いいんでありますが、我々も、学校評議員制度、一生懸命調べました。ソーシャルキャピタルというのは、要するに、正に人的ネットワークというものがやっぱりなきゃいかぬ。その人的ネットワークが、いろんな人脈とかいろんな知恵とかノウハウとかを活用して社会にある何かの問題をきちっと解決をしていくというソフトウエアが、多様なソフトウエアがその人的ネットワークに蓄積をされていると、これをソーシャルキャピタルと、こう言っているわけで、要するに、地域に何か問題があったときに信頼のきずなで結ばれたそういう人的つながりがあるかないかと。  大臣おっしゃるように、あるいは山本正和先生も時々おっしゃっていますけれども、いわゆる、例えば山口県なんかでも村とか町に行けば、別にわざわざあえて指定なんかしなくてもソーシャルキャピタルはありますし、そしてその上に基づいてコミュニティーソリューションによって運営されたコミュニティスクールになっているわけです。しかし、御存じのように、例えば山口県なんかでも山口市とか徳山市というのはニュータウンができていまして、今や地方の県であっても新興住宅地になってきている。それから、大都市圏周辺部というのは昔からそうしたニュータウンがある。あるいは更に言うと、五反野なんかでもそうですけれども、既存の勢力が三分の一で新興勢力が入ってきてというような、旧住民と新住民の融和がうまくいっていないと。  そういう意味で、ごく一部の地方を除いて、いろんな意味でソーシャルキャピタルが下がっているというのが今の日本の現状だというふうに思います。それから、地方においても高齢化とか少子化という観点で下がっている。  それで、凶悪犯罪というのは、少年の凶悪犯罪というのは、実は残念ながら山口県とか佐賀県とかでいろいろな問題がありましたから、別に大都市の問題ではないというのは、むしろコミュニティーの崩壊とかソーシャルキャピタルの喪失という問題が全国津々浦々で起こっていると、こういうことだと思います。  それで、正にそういうソーシャルキャピタルを、これは鶏と卵なんですよね。先ほど勝野先生もおっしゃっていましたが、何か地域でやろうと、昔はお祭りとかなんとかと、そういうものがあればソーシャルキャピタルはある。じゃ、ソーシャルキャピタルがないところにどうやって作るかといったときに、コミュニティスクールのようなものを作ろうという運動がソーシャルキャピタルを増やすことになり、またそういう運動を続けることによってコミュニティスクール運営できると、こういうある意味での相乗効果と鶏と卵の構造にあって、その部分をこれからどのようにうまく草の根から起こしていくのかと、こういうことだと思います。  それで、そのソーシャルキャピタルができていく上で極めて重要なことは、自発的参加なんですよね、一番最初は。その次は、情報供出で関係変化で編集共有で意味創発と、こういうことを我々、論理的に段階論をいう。このことはどうでもいいんですけれども。  要するに、今回のいわゆる地方教育行政法の改正において、文言上、決定的に抜けている概念がやっぱりこの自発的参加ということだと思います。  法律の作り方は、私も多少政策の勉強をしておりますから、どうしても元の地方教育行政法自体が極めて権力行政的な、一九五六年に作ったフレームワークを微修正をしながら今までやってきたということもあって、その中での書きぶりというものに限定があるということは十分承知しております。  したがって、私は地教行法の改正ではなくて、やはりコミュニティスクール法という形でやるんだったらやるべきではないか、あるいは今後そういうことをまた模索していけばいい。その中で、部分的に地教行法との整合性というのを取るという立法論はあったかなという、そこはやっぱり反省をすべきではなかったかなというふうに思っておりますが、申し上げたいことは、正にこれからこのコミュニティスクール構想というものをきちっと実のある、実体のある、本当に、そして子供たちが抱えている、あるいは学校が抱えている問題を解決していくための制度といいますか、試みにしていかなきゃいけないと。その上で、このソーシャルキャピタルというものをどういうふうに作っていくかというのは極めて重要なことだというふうに思っております。  私は、コミュニティスクールを作っていくという上で、これはいきなりできません。もちろん、もうその既に段階、過去から一生懸命頑張っておられてそういうレディーの、準備万端の地域幾つかあるかというふうに思っておりますけれども、この法律ができまして仮に通りましたならば来年から施行と、こういうことになるわけでありますが、まずどれぐらいの案件がいわゆるこの地教行法、新改正地教行法の指定を受けるというふうに考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  93. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 今、鈴木先生の御指摘のあったこの運営の在り方が正にボランタリーといいますか、自発的であるべきだということ、私もそう思います。  五反野に行ったときも、正にこれはあれがうまくいっているというのは、あそこにおられる代表者の皆さんの気持ちというのは非常にボランタリーな考え方であるなというふうに思いました。むしろ、ああいう方々に謝礼が出ている、これはボランタリーも、ボランティアも全部無料とは限りません。有料でやらなきゃいけないケースも今はありますから、むしろ不思議に思ったぐらいでありますけれども、そういう視点に立たなきゃなりませんので、今回この法律を通していただいて来年四月から施行することになっていくわけでありますが、これをどの程度、数値目標が必要かどうかという問題ですね。  私は、これ省内いろいろ協議もしておるんでありますが、現時点で幾つ作ろうというようなこういう数値目標を持たないで、前回の、例の実験校を作るときに全国にどうだろうと、こう投げ掛けたときに三十ほど手が挙がってきたというんですね。そのうちの九校を今回選んで三年間やって、一応それが三年間が来るわけでありますが、そういうことを考えますと、できれば私は、まずは声が上がってくるのを待たなきゃならぬ、こういう方向でやりますと。そのときに、地域的な偏在もないようにということも考えながら、まず各県には少なくとも一つずつぐらいは必要ではないかと、こう私は思っておりまして、まだこの目標をきちっと決定しておるわけではございませんが、そういうことで正に声が上がってくるのを受けてやっていく。  前回、三十、手が挙がってきて、二十一は一応外れたことになりますから、そういうところがもう一回挙がってくれば、これはそういう非常に意識の高いところだとみなしたりしながら、おっしゃったような自発的な参加というのを重視しながらこの指定校を作っていったらどうだろうかと。私は現時点でそのように思っておりまして、具体的な数値目標は持っておりません。
  94. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私も、文部省が数値目標を持っていただきたくないと思いますので、私の質問は、どれぐらいありそうかなと、何といいますか、認識されておられますかという質問でございました。それから、文部省はこれからは余り、口はつぐんで目はかっと見開いて地域の動向をよく見ていただくという行政姿勢が望まれますので、目標は持っていただかなくて結構なんですが、どれぐらい可能性があるかなということを御質問させていただきました。  それで、少し具体的な運用の話をお伺いしたいと思いますが、この前も五反野小学校に参りました。まあ五反野は指定を受けたいと、こういう理事会の理事長さん、副理事長さんのお声でございましたが、そのときに心配をされているお話がありまして、教員加配の問題であります。今は研究開発学校指定されておりますから、そういう意味で三百万プラス加配が来ているわけで、教員加配が来ているわけでありますけれども、これが引き続き大丈夫かどうかと。  それから、ある意味コミュニティスクール構想をやろうと。これ、日本というのはそういうところあるんですけれども、何でもいいことに一生懸命頑張ってやろうと思うと、そのことをちょっと面白くなく思ったり、足引っ張ってやろうと思ったり、あるいはちょっと頑張り過ぎているところをぽこっとこう、出過ぎたくいは打たれると、こういうところもあって、ぶっちゃけた言葉で言いますと意地悪されるんじゃないかと。  こういう、しかし、まじめな心配がございまして、こうした正に教員加配の問題について、せっかくこういう試みであります。引き続き、もちろん地教行法に基づく指定とはいえ、ある意味で日本の教育改革に果敢に取り組んでいただいて、いろんな試行錯誤をしていただいて、そして地域方々も関係者の方々も大変な御努力をいただくわけですから、しばらくの間、やっぱりこうした支援というのは必要ではないかと思いますが、この点について答弁をいただきたいと思います。
  95. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 教職員定数につきましては、いわゆる義務標準法によって学級数を基礎として算定するもののほかに、今、先生御指摘になりましたように、例えば個に応じた指導を行う場合ですとか、教育上特別の配慮を必要とする場合などについて予算の範囲内で特例的に加算をする、いわゆる加配制度があるわけでございまして、御指摘の五反野小学校につきましては、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究校として、いわゆる教育指導の改善に関する特別な研究を行うための研修等定数の一環として国としても加配措置を講じておるわけでございます。  この実践研究は十四年度から三か年計画ということでございますから、平成十六年度、本年度が最終年度ということになるわけでございまして、普通でありますならば十七年度以降は国の加配というものがなくなるわけでございますけれども、これまでの実践研究における成果、課題、そしてそういった五反野小学校を始め、そういった幾つかの実践研究校で大変今回のこの新しい、学校運営協議会制度を始めとする新しい公立学校の管理運営の在り方について成果を上げていただいたわけでございます。    〔理事後藤博子君退席、委員長着席〕  来年の四月から学校運営協議会制度がスタートをすると。まだ私どもも中で検討しているわけでございますけれども、そういった学校運営協議会制度をどうやって推進をしていくのかと。その推進方策について、さらに、例えばこういった、もし五反野小学校が、あるいはほかの実践研究校でもよろしいわけですが、その地域の、その教育委員会指定を受けてこの学校運営協議会制度を導入をするといったような場合に、これらの学校はもう既にいろんな成果もあるわけでありますから、そういう学校運営協議会制度の推進役といったようなことで何がしかの役割を果たしていただくと。そういったときに、加配というようなことも頭に入れながら、何ができるのか、またこれは少し研究をさせていただこうかと思っております。
  96. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 是非前向きに検討していただきたいと思います。  五反野はこの前も理事会の方々がやりたいといって、その隣に足立区の教育長さんが座っておられて、にこにこしておられましたから、恐らく問題なく指定をされるんだというふうに思っておりますけれども、一方で現在文部省のコミュニティスクール指定校として三年間頑張ってこられた、まだ二年半でありますが、新宮市の光洋中学校とか、ほかにもいろいろなこのコミュニティスクールというものをできればやってみたいと地域住民方々、保護者の方々は思っておられるという地域幾つかございます。もちろん法律ができてきちっと教育委員会が検討してからと、こういう話になろうかと思いますが、仮にこの学校運営協議会の設置の学校指定、その教育委員会規則によって行われると、こういうことでございますけれども、仮に教育委員会がその指定に消極的な場合に、しかし住民地域住民、保護者というのは是非これやってみたいという声が非常に強くなってくる。  例えば、地方自治法の精神にかんがみる。もちろん私は地教行法と地方自治法がきちっとしたすみ分けをしているということは制度論上、立法論上は私も知っておりますけれども、しかし考え方としては、我が国は住民の例えば五十分の一が発議した場合にはそれは相当重いものとして地方行政の中で反映をさせなければいけないという少なくとも精神に基づいて地方自治というのは行われているわけであります。そういうことも踏まえながら、実態としてはやはり地域住民の強い声があった場合には、少なくともこれはきちっと検討をすると、俎上にのせると、そしてその是非についてはやはりきちっと検討し、議論をし、行うべきだと、こういうふうに考えておりますが、この点はいかがでございましょうか。
  97. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) おっしゃるように、学校運営協議会公立学校の管理運営に関する機関でありますから、例えば首長が学校指定するとか、そういうことはできない法律上の仕組みになっているわけでございますが、先生おっしゃいますように、確かに学校運営協議会を設置するかどうかは教育委員会判断でありますけれども、やはり今回のこの制度を設ける趣旨等からかんがみまして、やはり教育委員会地域住民や保護者のニーズを十分に把握をし、的確に反映をして指定を行う必要があるんだと思っております。そういったニーズがあるにもかかわらず、やはりそういった指定をしていかないと、やはりそれには合理的な説明責任というものが教育委員会に求められていくんだろうと思っております。私どもはそういったことから施行通知あるいは教育委員会を対象とするいろんな会議等でも是非そういったことでの周知徹底に努めてまいりたいと思っております。
  98. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 是非地域のそうした方々の声というのは尊重し、そしてただ尊重するというだけではなくて、聴いて終わりということではなくて、きちっと地方行政現場で、教育委員会教育政策の現場でその指定の是非についてきちっと考えて重く受け止めるということはいろんな機会をとらまえて周知をいただきたいというふうに思っております。  このコミュニティスクール構想でございますが、私たちいろんな人たち、思想家の考え方ということも参考にしてまいって、こういう考え方を作り上げたわけでありますが、その中にイリイチという人がいまして、この人はコンビビアル・ラーニング・コミュニティーという概念を言っております。このこともコミュニティスクール構想の極めて重要な思想的な下敷きにあります。コンビビアルというのは、これはともに楽しむという意味になりますが、共愉的学習共同体というのが日本語の訳でありますが、正にコミュニティスクールの背景といいますか、根っこにはこのコンビビアルなラーニングコミュニティーが形成されるということがこれからのかぎになるというふうに思っております。  例えば百升計算で有名な、私の友人でもありますけれども、土堂小学校の陰山先生、この方は兵庫県の山奥のと言うと怒られてしまいますが、朝来町というところで大変に頑張っておられました。私も現地にも伺って、いろんなことがやっぱり現地に行ってみると分かります。もちろん陰山先生、立派でありますけれども、朝来町の教育長というのは本当に立派な人なんですね。もう感動するぐらい立派な人で、なるほどと。やはりあの教育長がいたから山口小学校でああいうことができて、そして陰山先生が頑張った。別に、これは陰山先生も言っておられますが、別に陰山先生だけが頑張ったわけじゃないと。あの山口小学校全部の先生が頑張ったと。そして、それを本当に支える懐の広い教育長さんがいらっしゃって、教育長さんは地域との問題も全部この教育長さんの人柄と人徳と、そして汗をかいて走り回って、そして昔は青年団にも入っておられたということでありますから、正にそういう意味ではこれコンビビアル・ラーニング・コミュニティーであり、正にソーシャルキャピタルがきちっとできているなと。その上に、百升計算だけが注目される、これ本当にマスコミいけないことだと思いますが、陰山先生が一番言っているのは、朝御飯を食べさせてくれということと、睡眠時間を増やしてくれということが彼の一番の主張でありまして、百升計算はその彼の体系のごく一部なわけでありますが。  それはさておきまして、私は、私なりのコミュニティスクールの作り方といいますか、コミュニティスクール構想の、要するに本来のといいますか、本旨に基づいた段階論としてこんなイメージを持っております。  すなわち、まず土曜日に、充実した土曜日を正に地域が一体となって、保護者も一緒になって、それから教員方々自分の勤めている学校ではなくて自分の住んでいる学校に行って、そして地域の公共の施設、もちろん学校も含みますけれども、そうしたやっぱり土曜日を体験学習とかあるいはスポーツとか、例えば静岡県、これは清水市から始まりましたけれども、静岡県においては土曜日はスポーツ少年団でサッカーって物すごい盛んですよね。ワールドカップの選手の、例えばフランス・ワールドカップの二十二名のうち十一人が静岡県出身であります。そういうことから分かるように、正に静岡県というのは土曜日、日曜日はサッカーを通じて正に子供中心に、そこに保護者あるいはOB、OG、地域方々が本当にコンビビアルなラーニングコミュニティー、共愉的な学習共同体を作っているわけであります。こうしたことが、例えば非行の防止とか青少年の健全育成に極めて有効な、働いています。別にこれはサッカー以外、でなくても、いろんな要素はあろうかと思います。最近はキャンプ一緒にやるとか、いろんなことがあろうかと思いますが、正にこういった土曜日、私も土曜学校運動ということを今推進していろんなところに働き掛けをさせていただいているわけでありますが、この土曜日を充実をさせて将来コミュニティスクールの受皿になるような地域を作っていくということに対して、これ文部省がまた、指導することではないんでありますけれども、支援すべきことだと思いますので、この点はどういうことになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  99. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 先ほどから先生の方からソーシャルキャピタルのお話が随分出ておりますけれども、私どももやはりその地域において地縁的な人間関係あるいはボランタリーな人間関係を中心として地域づくりを進めていくということは教育において大変大事なことだと思っているわけでございます。  特に、学校週五日制が実施をされるに伴いまして、土曜日、さらには日曜日の子供たちの過ごし方ということについて、これまで以上にいろいろな体験活動、スポーツ活動の機会を醸成をしていくということが今求められているというふうに思っているわけでございます。もちろん全国、地域地域でいろんな事情ございますし、地域の成り立ち、あるいは現状も違うわけでございますので、一概には言えないわけでございますけれども、私ども、今いろいろな自主的な取組が各地で行われているというふうに思っております。文部科学省はそういう活動を支援をしたり、あるいはこれはなかなかいいケースじゃないかということでモデル的な事例を特に応援をしたり、いろいろな観点から土曜日のスポーツや体験活動の推進を図っているところでございます。  具体的には、全国子どもプランというものと、平成十四年度からそれを新子どもプランというふうに名称を変えまして、関係省庁や地域の関係機関、ボランティアの方々協力の下に様々な事業を実施をし、応援をしているところでございます。  具体的にちょっと申し上げますと、一つ地域教育力・体験活動推進協議会というものを全国各地に設置をしていただく、そういうことの応援をいたしておりまして、そこが地域の土曜日を中心とした様々な体験活動の推進役になると。それからまた、そういう活動の情報提供をする体験活動ボランティア活動支援センターというもの、これはそれぞれ地域によって名称は御自由でございますけれども、そういう趣旨のセンターの設置の応援をいたしております。現在、それぞれ千か所を超えるこういう協議会、センターができております。  また、具体的な活動の場の整備ということで、子供から高齢者までのだれもがスポーツを楽しむことができる総合型の地域スポーツクラブ、この計画的な全国展開を図っております。現在、総合型の地域スポーツクラブは八百クラブを超えている状況にございます。このほか、土曜日に学校で行われるスポーツ文化活動等の指導員を配置する経費の地方交付税の措置も講じているところでございます。さらに、十六年度からは、スポーツや文化活動など多彩な活動を地域で大人の方々協力を得て実施をする、子どもの居場所づくりプランというものに基づく地域子ども教室推進事業を実施をいたしておりまして、これも土曜日の活動ということが出てくるだろうと思っております。  こういったようなことで、私ども、地域方々協力を得て土曜日のこれらの事業を推進をし、地域の活動の充実に努めていきたいと、こう思っております。
  100. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 ありがとうございます。私も、様々な活動に着手をしていただいているということについては敬意を表したいと思いますが、そのときに、こうした土曜日の充実というのは何のためにやっているのかということをやっぱりきちっと確認をしながらやっていただきたいなと思います。  私は、もう何度も申し上げていますが、やっぱりこういう地域コミュニティー、さらに今のコミュニティーという考え方には、そういうローカルな地域コミュニティーと、いわゆるテーマコミュニティーと我々言っていますが、例えばサッカーでありますとか、スポーツでありますとか、正にそういうテーマ性を持ったものとローカル性を持ったものが合体をいたしますと非常にいろんな意味でいい活動になります。  それで、実は今スポーツクラブのお話がありましたが、私は、ラグビー前監督の平尾誠二さんが理事長で私が副理事長で、スポーツ・コミュニティー・インテリジェンス機構というNPOを、これ、議員になる前からずっとやっております。これは正に兵庫県神戸市で行政とうまく連携しながら、正にワールドクラスの人たちがインストラクター養成もやりながら、特に最近中学校におけるクラブ活動というのはなかなか学校教育だけでは難しいと、そういうコンセプトでやっておりますが、やはり施設とかそういうものというのは行政でやっていただきたいというふうに思いますけれども、それからクラブハウスの設置とか、そういうところでは大変感謝をしていますが、何にお金を付けて何はボランティアとかNPOとかに任せるのかと、この方針を、先ほども体験センターのお話がありましたが、またこれせっかくやっても箱ばっかりで、もちろん必要な箱もあります。しかし、箱を作ってそれでやりましたと、こういうことにならないように是非お願いをしたいと思いますが、そこに必ずコミュニティーと行政が、正にプライベート、パブリック、パートナーシップでコラボレーションするんだということについてよく認識をしてやっていただければ有り難いなというふうに思います。  そこで、そうやって土曜日で地域にある程度のネットワークができた、学校を支えてくれる受皿ができた、私はその次の段階は総合学習だと思うんですね。今までは土曜日でそれなりのいろんなネットワークができて、いよいよ月曜日から金曜に行われている総合学習、ここに地域の力を活用すると非常にいい充実した授業ができるということで、地域方々を、御協力を仰いでいるというケースが大分増えてきているかというふうに思います。これは大変にすばらしいことだと私は思っております。  余談ですが、よく学校地域、社会ということが教育の非常に重要な主体だと言われておりますけれども、私はもう一つやっぱり世の中というのは重要だと思うんですね。  と申しますのも、よく言われておりますけれども、小学生が学校に通っている時間は年間七百時間、テレビを見ている時間はもっとであります。もちろん学力については教員というものが一番そのプロフェッショナルであるわけでありますが、子供の起きている時間の学校に行っている時間というのは一割強なわけですよね。それ以外はテレビを見たり、いろんな世の中とのかかわり、しかもそういう意味地域のかかわりが重要だということは、正に子供たちの生活の大半は家庭地域で行われているわけでありますから、家庭代表地域代表、あるいは地域での子供の様子というものを、生活面の指導からはやはりそうした方々教育現場に携わってくるということは重要だと思いますが、もう一つ、やはり今の子供たちの人格形成に明らかにメディアというものは大きな影響を与えていることは間違いありません。  そういう意味で、メディアリテラシーといいますか、情報の接し方といいますか、扱い方といいますか、テレビで新聞で報ぜられていることをうのみにするのではなくて、それをどういうふうに精査し、そして自分たちの生活、自分たちのリアリティーある生活の中に落とし込んでいくのか、解釈をしていくのか。こういういろんな課題、そういう観点の中で、総合学習の中では情報とか環境とか福祉とか、そういうことが学習指導要領の中で位置付けられている。そういうことで、今のことはメディアを例を取りましたが、環境についても福祉についても恐らく同じことがずうっと言えるんだと思います。  そこで、是非地域方々、あるいはそうしたテーマコミュニティーの方も含めて、そうした充実した総合学習というものを実現していく上で、今の考え方というものを更に推し進めてコミュニティスクールの受皿作りを目指していただきたいと思いますが、この点についての文部省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  101. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 総合的な学習の時間を今回の指導要領で新たに設けたのは、今、先生が御指摘のあったような点も含めて考えたわけでございます。  特に、総合的な学習の時間で国際理解、情報、環境、福祉、健康と、そういったものを各学校のまさしく裁量でいろんな形でやっていただこうと。総合的な学習の時間についても、これを制度として導入するときに、もっと国が明確に例えば活動の例、はっきりさせるべきではないかとか、いろんな議論もあったわけでございますけれども、私ども、これは地域学校子供たちの実態を踏まえて創意工夫を生かした学習活動を実施をしてほしいと。特に、今、先ほども申し上げました社会体験あるいは自然体験、ボランティア体験、いろんな体験、あるいは問題解決的な学習を積極的にこの時間の中で取り入れていただきたいと。そのためにはやっぱり地域の人々の協力地域の教材、学習環境を積極的に活用していくと、これが総合的な学習の時間の一つの大きなねらいであったわけでございます。  この時間が本当にうまくいくかどうかと。もちろん教員の指導計画、指導力にも掛かっているわけでありますけれども、やはりこの時間の性格からいたしますと、地域の人々の協力地域の人材をどうやって学校が活用していくかと、これが大変重要なことであろうと考えておるわけでございますし、そういったことはこれまでもお願いをしてきたわけでございますし、また私どもは、この総合的な学習の時間だけではなくて、やはり学校教育活動に幅広く地域の人々の参加をいただくと、こういうことが大事だろうと思っておりまして、特別非常勤講師制度というような制度も設けて、例えばこれは平成十四年度には合計一万七千六百五十件、そのうち総合的な学習の時間で約二千八百件の特別非常勤講師の活用が図られていると、このように承知もいたしておりますし、また今私どもは、学校いきいきプランというようなネーミングで外部の人材を学校に導入をしていこうと。その中には、今申し上げました特別非常勤講師制度というものもあるわけでございますし、あるいは緊急地域雇用創出特別交付金、こういったものを活用して、外部の方々教員の補助者としていろんな教科、総合的な学習の時間あるいは読書活動におけるそういう活用を図っていくと、いろんな事例もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった外部の方々の人材の活用と、これはこの今回の法案のねらいにも合致もするものでございますから、更に私ども、教育委員会等を通じてこういった外部人材の活用には努力をしてまいりたいと考えております。
  102. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私も、特別非常勤講師制度、いろんな現場で頑張っておられる方々お話を聞いたり、実際に授業を見に行ったりしたことが何度もございます。  これもさっきの学校評議員制度と同じなんですが、文部省さんは、何というんですか、一本釣りでやるところまでは来たんですね。次は、是非御提案を申し上げたい、あるいは御検討をいただきたいのは、あるやっぱりグループあるいはコミュニティーと学校協力をする、あるいは教育委員会協力すると、こういう段階を模索するべきではないか、あるいはそこに挑戦をすべきでないかというのが私の主張でございます。  それで、と申しますのも、やっぱり一本釣りした場合は、当たり外れと言ったらおかしいんですけれども、いろいろあります。うまくいく場合も極めて多いと思いますが、そうでない場合もある。あるいは、逆に言うと、そのことにリスクを感じてなかなかそこに踏み込めないと、こういうことがあるわけでありますが。  私は、いろいろな教育の、学校現場を見ていますと、相対的に問題を抱えているのはやっぱり私はPTAだと思うんですね、相対的には。しかし、そのPTAをより、何といいますか、カルティベートといいますか、健全にしていくためには、やっぱりまず現場を一杯見せるということですよね。それから、それでもって、じゃ、この子たちのこの学級の、この学校の問題をどういうふうにしますかということについてやっぱり真剣に時間を掛けて議論していただくということだと思うんです。  それがないと、結局、メディア過多でありますから、保護者の方々もいわゆる新聞、テレビ、雑誌などからの情報で頭でっかちになっていると。そして、すべての学校はああいうもんだと思い、自分子供が通っている学校もああだと思ってしまうわけですね。そして、先生の顔を見たら条件反射的に何か文句を言ってしまうと。こういう事態をどうやって乗り越えていくかといったときに、私は、やはり例えばそういう方々に一回でも学校の教壇に立っていただいたら、そのお父さん、お母さんは二度と学校先生の文句を言いません。いかに教壇に立つ、そして三十人から四十人の子供たちの視線を浴びて、しかも、特に小学生のあの混乱の中で、四十分間、五十分間授業を終えるということがいかに大変でいかにエネルギーが掛かることかということを肌身で実感するからです。そこから初めて、本当に学校教員というのは大変だなと、毎日いろんなことがあるなということを分かって、今までが批判者だったのが正に協力者に変わっていくということ。  それから、もちろんすべての人たちにそういう経験はできませんけれども、正にグループとして関与をしていけば、正に同じ立場にある保護者同士あるいは同じ立場にある地域の人同士の、正に熟議が繰り広げられる中で、先生の批判を受け売り的におっしゃっている方がいたときに、いやそうは言ってもねと、この前僕は教壇に立ってきたけれども、やっぱり大変だったと、準備するのに二時間も三時間も掛かったと、こういう話がなって、なるほどなと目を開いて、そしていろんなことを積み重ねていくということを各学校現場でやっぱり私は不断にやっていくんだというふうに思います。  そういう意味で、何でもかんでも学校が抱えよう、何でもかんでも教育委員会が抱えようということではなくて、市民相互の、あるいは保護者相互の、何といいますか、自浄作用といいますか、それが正にコミュニティーの持っている力だと思うんです。ですから、是非、次の施策というのはそうしたコミュニティーを育てるんだと、正に学校の最大の応援団ですから。それが敵対的関係、最近余り敵対的関係はなくなっていると思いますけれども、それを更に最大の強固な応援団にしていくために、是非今の制度を活用していただきたいなと、更に深化させていただきたいなということをお願いを申し上げたいと思います。  それで、やっぱり今回の地方教育行政法の改正案をいろんな方々と一緒に、衆参も含めて議論をしてまいりました。私、改めて思いますのは、やはり地方教育行政法というものの部分的な手直しということではもういかんともし難い状況に来ているのではないかなという感じを率直に持ちました。  例えば、今これはどうしても、日本の教育というのは、教育というのはこれ、権力行為という法的構成になっているわけですね。そうしますと、行政行為でありますから、例えば、その処分権限者の教育長とか首長とか、あるいは学校の話でも、学校がと書かなきゃいけないところを校長がと書かざるを得ないのは、これは要するに権力行為、処分行為であるからこう書かざるを得ないわけです。しかし、学校の実態は、教育をそうした権力行為ととらえている以上、私は進展はないと思います。  更に申し上げると、今回もこれ、今までのフレームワークの中で考えればこういう条文にならざるを得ないのは百も承知ですが、いまだに学校管理規則の改定と、学校管理規則で規定するとし、しかし、教育委員会仕事は管理ではもうないはずなんですね。教育委員会仕事は支援だと思うんです、学校に対する。したがって、学校支援計画とかというふうに私はやっぱり改めるべきだ、例えば、言葉一つ取ってみても。しかし、言葉というのは大事でありまして、しかし、今までは学校管理、要するに管理の体系として地方教育行政法というのは全部できている。人事もそういうことです。  だから、やっぱり、この三月からそうしたことも含めて、河村文部大臣の御達見で、教育委員会制度あるいは地方教育行政法全体の体系を見直そうと、こういうお話なんだということで大変期待をいたしておりますけれども、正に、その地教行法、一九五六年以来の抜本改正というものが私は必要だというふうに考えておりますが、まず、中教審、今どういう議論が行われているのか、御紹介いただきたいと思います。
  103. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 教育委員会の問題につきましては、鈴木委員が御指摘になられましたとおり、「地方分権時代における教育委員会の在り方について」というタイトルで本年三月四日、中教審総会においての諮問を出したところでございます。現在、教育制度分科会の下に新たに地方教育行政部会が設置をされて、その場で審議がなされております。  そのテーマとして御検討いただくことにしております点は、例えば主に、一つ教育委員会制度の意義と役割、今先ほど御指摘いただいた様々な問題があろうかと思います。  そして二点目に、首長と教育委員会との役割分担や連携の強化、これをいかになすかという問題であります。  それから三点目に、小規模市町村教育委員会を広域化するというような問題の検討、さらに、市町村都道府県との教育委員会相互の関係の在り方がいかにあるべきかという問題もございます。  四点目には、学校自主性、自律性を高めるための学校教育委員会との関係の在り方、これは先ほど御指摘いただいた点に関連する問題だろうと思いますが。  このような基本的な問題についてただいま御検討をいただいているところでございまして、各事項ごとに、関係者のヒアリングや委員からの意見発表を交えながら、教育委員会制度の現状と課題について論点整理に向けての御議論が進んでいると、こういう状況でございます。  見通しでございますが、この中教審に対しましては、一年を目途に結論を出すようにお願いをしているところでありまして、来年の早々には何らかの取りまとめをいただけるものと考えている状況でございます。
  104. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私はやはり、文部科学省があって、都道府県教育委員会があって、市町村教育委員会がある、この三層構造ということをやはりもう一回きちっと抜本的に見直すべき時期にあると思います。文部省は、確かに地方分権をいたしました。しかし、その分権の先がどこであるべきなのかということをやっぱりもう一回きちっと議論しなきゃいかぬ。  私は、学校及びその学校を支援する地元の教育委員会に財源と権限と人間というものを手厚く充当すると、そして財源の部分については国がきちっと責任を持つと、あるいは人間確保の部分についてはですね。  しかし、そこで起こる問題については、きちっとその学校で学ぶそれぞれの子供たちの顔が見えていて、この子が鈴木だと、この子が河村君だということが分かっている大人がその日の顔色を見て、声を掛け、励ましたりしかったり、そういうふうにしながら正にオーダーメード、カスタマイズということを申し上げましたが、それをやっていくと。で、学校が多くのことを決められるんだけれども、しかし学校だけでは無理なこともありますから、それを現場市町村教育委員会が支援をすると、こういうことが私は望ましいんだろうというふうに思っております。そういう中で、都道府県教育委員会というのはこれからどうしたらいいのかということについては、特に真剣に御議論をいただきたいというふうに思います。  それと、そもそもこの三層構造を見直すべきだと申し上げていますのは、私は先ほど山口小学校のことを申し上げましたけれども、朝来町というのはこれ小学校二校しかないんですよね。だから、教育長が二つの小学校のすべての先生の顔まで分かっています。下手したら学校の生徒の顔まで教育長が分かっているんですよ。そうすると、何か問題が起こったときに、だれそれ先生のだれそれ教室でこういうことが起こりましたと。そうすると、担任が直接教育長に話す、場合によればですね、こともできるし、あるいは当然学校長教育長なんていうのはもう毎日のように会っている。しかし、一方で横浜市、これは三百を超える学校があります。教育長とあるいは教育委員会の担当主事、担当者と学校長が年に一回会えればいいと。これでどうやって各現場でいろいろ毎日起こっている大変な問題を臨機応変にかつ即断即決で対応できるかと。  今、私立と公立が、なぜ私立に行ってしまうのかという原因はそこにあるわけですね。少なくとも、保護者、子供からすれば、私立の場合は校長先生に言えばそこで何か物が決まるんです。そして次の日から何か実行されるんです。もちろんすべて正解はありませんが、文句があれば次の日また文句を言って次の日直ると、こういうことが毎日のように行われることが予想されるわけですね、私立の場合。しかし公立の場合は、例えば横浜市に行ってしまったら、別に横浜市が悪いと言っているわけじゃないんですが、果たしてこの問題が、学校長に権限はない、学校で決められない、教育委員会に相談しなきゃいけませんと。しかし、教育委員会に相談できるのが三か月待たなきゃいけないと。そうこうするうちに、うちの子供は卒業してしまいましたと。こういうことにやはり私は問題があるんであって、いわゆる教育委員会学校の適正サイズ、その権限の配分ということについてはこれは早急に議論を私はすべきだと思います。  例えば、私は選挙区は東京でございますが、東京都の教育委員会は、小学生だけ見ましても五十三万六千二百五十四人の小学生を、要するに面倒を見、そして先生の数だけでですよ、小学校の、二万七千九百五十九人なんですよ。一方、鳥取県は、東京都は先生の数は二万七千九百五十九人です。一方、鳥取県は生徒の数が三万五千五百四十人なんです。さらに申し上げますと、江戸川区というところがあります。江戸川区教育委員会が面倒を見ている小学生の数が三万五千五百二十九人です。鳥取県の県教委と江戸川区の区教委が面倒を見ている小学生の数がほとんど同じだと。にもかかわらず、法律は、鳥取県は県教委、江戸川区は区教委、市教委以下の権限しか持たされていないということが現状でありまして、これはどう考えても破綻をしているんではないか。  そうすると、ただ一方で、二千人とか三千人の村や町の教育委員会が人事の、要するに教員の採用の問題、あるいはローテーション、人事異動の問題で余りにも少な過ぎるサイズでありまして、人材の確保と適正な、正に教員としてのキャリアというものの積み方がうまくいかない、ということができない。あるいは学校の方からいいますと、やっぱり老若男女、それから科目別にもバランスの取れたベストチームを組むという上で、やっぱり二千人、三千人でやれないということもよく分かります。  そういう中で、そういった教育行政あるいはより質の高い教育サービスを行う学校現場というものを支えていく教育委員会、あるいはそのユニットサイズというものについて早急に人事権の取扱いも含めて検討をすべきだというふうに思います。そして、そのやっぱり調査もやっぱりやっていただいて、どういうところにボトルネックがあるのか、どういうところがうまくいっているのかいっていないのかといったことについては是非この中教審の議論で御議論を深めていただいて、私たちにも早く教えていただきたいというふうに思います。  我々民主党は、別途、地方教育行政法の抜本見直しについての検討も始めておりますけれども、是非その点について早急に御検討を、御調査をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  105. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 御指摘のように、市町村、これは住民に最も身近な基礎的な自治体として小学校、中学校の設置運営を行う一方、都道府県が広域自治体として義務教育学校の教職員の任命や給与負担などの事務を掌理をしているわけでございまして、なかなか適正規模と申しましょうか、なかなか難しい問題があろうかと思っております。我が国の地方自治制度全般における都道府県市町村地方公共団体としての位置付けに基づいていると。したがいまして、一概に人口規模だけで権限関係を論じるということは、これは教育行政のみならずあるわけでございますから、難しい課題だろうと思っております。  いずれにいたしましても、教職員の人事における都道府県市町村との関係でありますとか、小規模市町村教育委員会の課題等も指摘をされているわけでございますので、中央教育審議会でも都道府県市町村との関係、役割分担、あるいは市町村教育委員会の在り方、これは人事も含めてでございますけれども、今回の大きな議論の一つのテーマだと思っておりますので、私どもももちろん参画しながらしっかりとこの問題は今後議論してまいりたいと思っております。
  106. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 今回の改正案で大きな一石がいずれにしても投ぜられたんだと思います。恐らく多くの波紋も混乱もあるんだと思いますが、しかし、その混乱に対してやっぱり関係者すべてがいろいろの立場で知恵を絞り、汗をかき、頑張っていく。そして、今回は極めて多くの重要な事柄が学校管理規則にゆだねられていると。これいろんな意味で注目をしていかなければいけないです。何を法律で決めなければいけないのか、何を地域に、現場に任せなければいけないのか、そのあんばいといいますか、考え方もこれが本当にいいのかどうか心配をすれば切りがありません。  しかし、今回は地域現場を信用して、任せてみようと。そういうある意味で文部省に珍しく清水の舞台から飛び降りたというところもあって、そして恐らくいろんな形で、教育というのは法律だけでできるわけでありませんから、むしろそうした正に現場の力といいますか、そこにいろんな学校管理、運営、経営、正にスクールプロデュースの様々なノウハウ、あるいは人的な支援、相談の体制、いろんなことが、官も頑張っていただかなきゃいけないけれども、学界それから教員の仲間たちからの支援ということもこれいろんな人たちがこれを、取りあえずどういうことになるのか、子供たちのために頑張ってみようと、その一石が投じられたんだと思います。  で、ここから、本当に戦後の義務教育体制というものを抜本的にここから見直して、そして何を国でやり、何を現場に任せ、そしてその財源はどうするのか、その権限はどうするのか、人事はどうするのかといった本当に本格的な義務教育改革がこの法案の議論から正に始まっていくんだなということを痛感をしております。是非、極めて重要な時期に河村文部科学大臣始め当たっておりますので、私たちも一生懸命頑張っていきたいと思いますが、御奮闘を祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  107. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。  持ち時間が三十分でございますので、早速質問に入らせていただきたいわけでございますけれども、今、鈴木理事の方からもお話ありました大きな第一歩ということでございますので、今回こうした決断をなされた、法文の中に書かれている決断がなされたその意味について一つ一つちょっとお伺いをさせていただきたいわけでございますけれども。  まず最初に、四十七条の一項につきまして、教育委員会指定をゆだねた理由をお伺いいたします。また、この指定の手続についてはどうなることを想定されていらっしゃるのか、この二点についてまずお伺いいたします。
  108. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) この学校運営協議会は、地域に信頼される学校づくりの実現に向けて、学校運営の在り方の選択肢を拡大するための手段の一つとして制度化をするものでございまして、私どもは、すべての学校に一律に導入をするということではなく、地域の特色や学校の実態、保護者や地域住民意向などを十分に踏まえて、教育委員会の適切な判断により行われる必要があると。そして、この学校運営協議会は、公立学校運営等に関与する一定の法的な権限を有するものであるわけでありますから、どの学校指定するかについては、学校の管理運営の最終的な責任を有する教育委員会責任において判断をする必要があるだろうと、こう考えたわけでございます。  その指定の手続につきましては、これは各教育委員会地域の実情に応じて適切に判断すべきものではありますけれども、やはり地域の声をよく聴くということからいたしますならば、例えば管下の学校のPTAや校長等から事前のヒアリングを行うなど、前もって幅広く意見を聴取をする。いろんなアンケート調査をやるとか、いろんなとにかく学校地域の声を聴く、そういった結果を踏まえて指定を行うと。こういったことがむしろこの制度をうまく導入するためには大事なことではないんだろうかと、こう考えております。
  109. 山本香苗

    山本香苗君 そうした場合はいいんですけれども、学校地域でこの学校運営協議会を設置してもらいたいという形で機運が高まっているにもかかわらず、教育委員会学校運営協議会の設置に消極的である場合はどうなのでしょうか。
  110. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 大変、的を射たと言ったら失礼なあれになるんでありますけれども、おっしゃるように、これ教育委員会指定をするわけでありますから、教育委員会指定をしないとこれは学校運営協議会が設置をされないということになってしまうわけでありますけれども、やはり教育委員会におきましては、地域住民や保護者のニーズをやっぱり従前から十分に把握をしていただく、そして学校運営協議会を置く学校指定を行う必要があると、こういうことでございますから、私どもは、まずは都道府県教育委員会を通じてこの学校運営協議会制度、今回の法改正趣旨を十分に施行通知等で周知徹底をしてまいりたいと思っておりますし、そういったことを通じて、その管内の学校の管理運営が一層改善されていくんだ、活性化していくんだと、これを一つ一つ教育委員会にしっかりと御理解をしていただく、これがやっぱりこの制度を導入する際の基本なんではないんだろうかと。  こういうことで、この法案をお認めいただきましたならば、施行通知を発しまして十分な周知徹底に努めていきたい。やっぱり、学校地域の要望を教育委員会がやっぱり十分に酌んでいくんだ、こういう姿勢が大事なんだろうと、こういうふうに考えております。
  111. 山本香苗

    山本香苗君 今御質問したようなケースというのは、ある可能性もあるわけでございまして、説明したら何でも聞いてくれるということではないと思うんですよね。  教育委員会は、この指定をすると同時に、協議会のメンバー、委員の方も任命することになっておりますけれども、協議会委員方々教育委員会が任命することにした理由は何でしょうか。また、その手続についてはどのように想定していらっしゃるのでしょうか。
  112. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の学校運営協議会は、学校運営、それから任命権者の任命権の行使の手続に関与する一定の法的権限が付与されているわけでございます。そのため、その委員につきましては、設置者である教育委員会責任において人選が行われ、その身分上の取扱い等についてもやはり明確にした形で任命するということが必要だろうと思っております。そういったことから、運営協議会委員につきましては教育委員会が任命するということにしたわけでございます。  また、後段の任命の手続についてのお尋ねでございますが、これは各教育委員会において地域の実情に応じて判断すべき事柄ではありますけれども、地域住民、保護者はもとより、その他適切な人材を幅広く求めて任命するということが重要でございまして、やはり教育委員会におきましては、委員の任命に当たって事前に関係者にヒアリングを行うことなどのほか、PTAからの推薦ですとか、あるいは委員公募制などの多様な方法によって委員の任命を行う、そういった工夫をいろいろと凝らしていただけたらと、こういうふうに考えております。
  113. 山本香苗

    山本香苗君 今御答弁していただいた中に、ずっと耳につくというか、耳に残るというか、地域の声をきちんと聴きます、教育委員会の方が。また、この地域のニーズを踏まえてという前提として、教育委員会が的確に、いわゆる地域のニーズというものを踏まえてきちんと的確に把握できるものなんだという前提に立ってお話をされていると思うんですけれども、現行の教育委員会はそういった体制にあるのかどうか、またそうした場合、地域コミュニティーのニーズというものは何をもっていうのか、この二点についてお伺いいたします。
  114. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 教育委員会ということについて御質問でございますけれども、私は教育委員会と申しますのは、航海に例えるならば羅針盤であり、また船長の役割を果たすものだろうという気持ちでとらえております。ですから、地域教育においてその方針をきちんと示すと同時に、現実にその教育行政を推進していく重要な立場にある。それは先生がおっしゃられますように、地域のいろいろな声を聴くということもあるでありましょうし、また同時に子供たちをはぐくむという意味において何が本質的に大事かということもきちんとつかんでおかねばならないし、いろんなことを総合的に考え合わせていきながらその針路をきちんと示す仕事であると、こんな思いを持っているものでございます。  先ほどの御質問におきましては、地域の実態、ニーズをいかに的確につかむ方法を教育委員会として持っているのか、又は模索をしているのかということでございますが、私どもは平成十三年に、教育委員会に民意を反映するように、教育委員を構成する上において年齢や性別、職業等に著しい偏りがないように配慮するということを項目の中に入れて、さらに委員の中に保護者が含まれるよう努力するというようなこともその要件として入れさせていただいたものでございます。  またさらに、教育委員会において、教育行政に関して地域住民等からいろいろな御相談事があろうかと思いますが、その相談窓口の整備についてもお願いを申し上げておりまして、これらの制度改正を行い、各地方公共団体においてもその趣旨にのっとった取組が進められているというふうに考えておる次第でございます。  その一方で、こういう改革も進めているわけでございますが、必ずしも教育委員会が十分に機能していないのではないかという御指摘があるのも事実でございまして、先ほども御答弁の中で申し上げましたように、中央教育審議会に三月の四日、この教育委員会の在り方についての諮問を出させていただいて、この必要な改革方向についてただいま検討をいただいているということでございます。  また、具体的に保護者や地域等からどういうふうな点について教育委員会に要望が出されているかということにつきましては、例えば基礎、基本を徹底した教育を行ってほしい、こういう要望が随分あるようでございます。また、少人数教育など、児童生徒の一人一人の個性や能力をより良く伸長させるための指導をしてほしい、またグローバル化や情報化などの社会の変化に対応するための英会話、またIT教育を促進してほしい、自らの住む地域に関する理解、愛着を深めるための地域の歴史や伝統に根差した教育を行ってほしい、また不登校状態にある児童生徒など特別な配慮を必要とする児童生徒に対するきめ細やかな指導をしてほしい等々、こういうような御要望、意見が出されているというふうに理解をしておりまして、各教育委員会がいろいろな検討を行い、また体制を強化し、これらの地域の要望にこたえられるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  115. 山本香苗

    山本香苗君 この制度をうまく機能させるためにも教育委員会の活性化は不可欠でありまして、今御答弁いただきました形での御検討というものをしっかりやっていただきたいと思っているわけでございますが、今回の法案の基となりました「今後の学校の管理運営の在り方について」の答申、中間報告の方を受けまして、全国市町村教育委員会連合の方からは、いわゆる地域運営学校の導入は従来の学校運営の在り方に新たな選択肢を開くものとしてその制度は検討に値するものと思料する、前向きな意見が寄せられているわけだとお伺いしております。  他方、全国都道府県教育長協議会の方からは、保護者や地域住民に一定の権限と責任を持って主体的に参加する新しい仕組みを制度的に確立させる必要があるかについての説明が不明確だとか、また、地域運営学校公立学校教育が抱える課題を全面的に解決するための方策となり得るのか疑問であると、その効果を疑問視するような意見が寄せられていたそうでございますけれども、このように市町村都道府県のこの受け止め方のずれというか、温度差というか、これをどのように文部科学省としては認識されていらっしゃるのか。また、なぜこういった温度差が生じているのか。どういうふうに分析されていらっしゃるでしょうか。
  116. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) おっしゃるように、この中央教育審議会の中間報告に対して、全国市町村教育委員会連合会の御意見とそれから全国都道府県教育長協議会の御意見、やっぱり若干温度差があると。むしろ、都道府県教育委員会の方がより慎重であると。  これは、一つには、学校からの距離の差と申しましょうか、特に小中学校からの距離の違い、それと、小中学校の教職員の任命権は都道府県教育委員会にあるわけでございますし、特に今回この法改正の中で、学校運営協議会任命権者に対して直接教職員の人事についても意見を述べることができる、それをまた尊重すると、こういった新しい制度設計に対する若干の懸念と申しましょうか、そういったようなことがこういった背景にあるのではないのかなと、そんな感じでおるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、私どもは、こういういろんな意見を踏まえて中教審では御議論をいただき、答申をいただき、制度設計に至ったわけでございまして、都道府県教育長協議会に対しましても更に説明を尽くしてまいりたいと考えております。
  117. 山本香苗

    山本香苗君 今の御答弁におきましては、いろいろ説明してきたよと、最終的な答申を出す段階においては市町村都道府県においてはもう温度差がほとんどないような状況になるよう努めてきて、これからも努めるというお話だと思うわけなんですけれども、この法律が施行された後に施行通知とか、いろんな通知というのは都道府県を通じてから市町村の方に流れていくというか、伝わっていくわけなんですが、そうした際にきちんと正確に制度趣旨等々が市町村に徹底されるのかなというところにちょっと危惧しているんです。  今回の学校運営協議会設置というのは小中学校中心でございますので、都道府県教育委員会を通じてということもあるんだと思うんですけれども、都道府県教育委員会を通じてではなくて、直接、市町村教育委員会、また市町村の関係者等々に説明する機会があってもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  118. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 施行通知などは、これは都道府県教育委員会を通じて各市町村教育委員会に発出をするということになるかと思っておりますが、おっしゃったことは大変大事なことであろうかと思っております。  市町村教育委員会を対象とする、例えば会議でございますとか、あるいは施行通知とか、そういった会議だけでいいのであろうかと。もう少し、例えば分かりやすい資料とか、そういったものを通じて全部の市町村に情報提供していくとか、いろんな、少し広報の仕方等は考えなきゃいけない課題、大きな課題だろうと思っております。  制度の導入までしっかりとそこの広報の仕方等、研究させていただきたいと思っております。
  119. 山本香苗

    山本香苗君 午前中の参考人質疑金子参考人の方からも、あいまいさを明確にすれば今回の法案は大きな一歩になるという形で、この制度趣旨を徹底する、現場まで徹底するということが大事だと、市町村の方にもしっかり伝えてくれと、そういうお話がございました。  また、いろんな改革というか、次から次へといろんな改革が来ると。もうそれが混乱してしまうことがたくさんありますので、現場の方まできちんと直接伝えるような形、分かりやすい広報というものもしっかりやっていただければと思っております。  時間が大分迫ってまいりましたので、次に移らせていただきますが、校長の、校長先生の裁量権についてお伺いさせていただきたいと思います。  中教審の答申におきましては、「学校の創意工夫を生かした様々な取組が可能となるよう、学校運営責任者である校長の裁量権を拡大することが重要である。」とされておりますけれども、現在、そもそも校長先生の裁量権はどれぐらい認められているのか。また、今回の法改正後、学校運営協議会が設置される学校におきまして、どこまで校長先生の裁量権というのは拡大するんでしょうか。
  120. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 私どもこれまでも、校長の裁量権の拡大ということについてはそういう方向で努力をしてきたつもりでございます。  教育課程の基準の大綱化、弾力化、これも学校が創意工夫を凝らした教育課程が編成できるようにしようということでございますし、平成十三年度に法律改正を行いまして、市町村小中学校の教職員の人事について校長意見を反映できるように、市町村教育委員会から都道府県教育委員会への内申校長意見を付すると、こういった改正もしたわけでございます。  そのほか、いろいろな学校管理規則、なるべく承認とかそういった許可とか、そういうものを見直しをしまして、報告、届出に改める、あるいは校長が自由にその使途を決められる校長裁量経費の措置、そういった面での裁量権の拡大と、こういった努力を促してきているわけでございます。  今回の法案につきましても、学校運営協議会制度を通じましてこれは学校の裁量を高めていく、これもまた改正の一つのねらいでございまして、学校運営協議会について、人事に関する意見の申出を制度化をしたと。これは当然、学校運営協議会、人事に関するときにはやっぱり校長先生とも十分に話し合っていただきたいと、こういうねらいもあるわけでございますし、また学校運営協議会を設置する場合には、学校予算についての学校裁量経費を導入をする、あるいは拡充に積極的に取り組んでいただきたいと。そういったことを通じて学校の裁量、それは校長の裁量を拡大をしていく、こういったことが望ましい方向だろうと思っておるわけでございます。そういった取組を私どもは促してまいりたいと考えております。
  121. 山本香苗

    山本香苗君 四月の二十六日、大臣のところに今回のいわゆるコミュニティスクールモデル校校長先生方九人が来られたそうなんですけれども、そのときに、この間私たちも行かせていただきました足立区立五反野小学校校長先生、三原校長先生が、校長の裁量権が拡大し、即断即決が可能になったというようなことをおっしゃって、御報告されていたと思うわけなんですけれども、実際、校長先生の裁量権が拡大していく、そういう形になればなるほど、今まで上からの指示を待っていたようなこともその場で校長先生が大事な決断をしなくちゃいけない場面も増えてくると。そういうことになれば、校長先生のいわゆる、先ほど大野先生の御質問の中にもありましたけれども、資質だとかマネジメント力だとか、そういうものの向上というものがより一層求められていくんじゃないかと思いますけれども、先ほどの大野先生の御質問に対する御答弁の中では、今都道府県の研修が行われておりますと。四八%が六七%に上がってまいりましたと、そういうお話でございましたけれども、もっときちんと研修を実施率を向上させて、校長先生のマネジメント力というのか、管理運営力というのか、資質というのか、その向上を図る取組を一層進めていただきたいと思いますが、今後の取組につきましてお伺いさせていただきます。
  122. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 校長の資質ということでいえば、やはり組織運営に関する能力、こういったことが大事でございますし、とりわけ学校運営協議会制度が導入されるような学校におきましてはそういった資質、能力というものが一層重要になってくるんだろうと思っております。  私どもは、こういった校長のマネジメント能力を向上させる観点から、マネジメント研修のモデルとなるカリキュラムを作成をいたしまして、各都道府県教育委員会に配付をし、こういったものを参考にしながら各県でも研修に十分に取り組んでいただきたいと思っておりますし、つくばにございます独立行政法人教員研修センター、ここは各地域の指導的な立場にある校長教員の資質、能力を向上すると、そういう立場から研修を行っておるセンターでございますが、平成十四年度からマネジメント研修というものをこの中央研修講座で導入をしたわけでございます。  そういった独立行政法人での研修、そういった研修を受けた方々が各県に戻っていただいてその成果を普及をしていただく、そしてまた、先ほど申し上げましたようなカリキュラムを参考にしていただきながら各県でも研修に取り組んでいただくと、そういったことを通じまして、校長のこういったマネジメント能力の向上に向けて、国、県併せて努力をしてまいりたいと考えております。
  123. 山本香苗

    山本香苗君 更にその取組を是非促していっていただきたいわけでございますが、教職員の人事につきましては既にもういろんな質問ありましたので二点だけお伺いしたいと思うんですが、まず一点目は、教育委員会は、各学校の実情やその域内全体のバランス等を総合的に判断しながら、学校運営協議会意見と異なる人事を行う合理的な理由がなければ基本的にその意見に従った人事を行うと御答弁されておりますけれども、ここに言う合理的な理由とは何でしょうか。また、その合理的であるかないかを判断するのはだれが決めるんでしょうか。また、必ずしもその判断学校運営協議会が納得しない場合はどうなるんでしょうか。
  124. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の改正案で任命権者学校運営協議会の任用に係る意見を尊重するということになっているわけでございますが、先生御指摘の合理的な理由と。  例えば、学校運営協議会意見どおり指定学校の人事を行った場合、ほかの学校教育活動上支障が生じるとか、あるいは域内全体のバランスを著しく欠くことになるような場合には、協議会意見どおりにならないことに合理的な理由が存在するんだろうと考えておりますし、例えば、やはり財政的にどうしても困難な、増員を伴うような場合、こういった場合は必ずしもやはり協議会意見どおりにはならない、それがまた必ずしも合理的でないということにはならないんだろうと思っております。  さらに、こんなことは余りないかと思いますけれども、指定学校学校運営と関係のない恣意的な意見が出される場合、これはもう任命権者判断によってその意見には必ずしも従わないということはあり得ることだろうかと思っております。  いずれにいたしましても、そこの判断任命権者である都道府県教育委員会判断をしていくと、こういうことになるわけでございます。  ただ、できるだけ協議会意見に沿うように努力するということは当然大事な事柄でありますし、地域や各学校の実情、財政状況等いろんな事情を総合的に考慮した上で任命権者が適切に判断をしていただく、権限と責任の下に判断をしていただくと、こういうことになるわけでございます。
  125. 山本香苗

    山本香苗君 十分説明をしていただく、説明責任を果たしていただくということだと思うわけなんですが、済みません、通告していたものが消化し切れないことがあるので最後の方に行かせていただきますが、ちょっと予算のことにつきまして、有馬先生からも前回御質問ございましたけれども、この指定校の予算、学校の裁量が拡大されることが望ましいというふうに御答弁されておりましたけれども、実際どういう形で学校予算の拡大していくことを想定されていらっしゃるんでしょうか。
  126. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 特色ある学校づくりを進めるために、学校予算について校長裁量経費の措置をやっていこう、この校長判断で自由に執行できる範囲を拡大することによって特色ある判断をし、そしてそういう学校を作っていけるようにしようと、こういうことが各教育委員会で行われていると、こういうふうに私どもは考えております。  なお、学校運営協議会を設置する学校においては、学校運営の基本的な方針に沿って特色ある学校づくりを進めていくため、その予算についても学校の裁量が拡大されることが望ましいと考えられるところであって、その設置を行う場合には、裁量経費の導入、拡充など、学校の裁量の拡大に積極的に取り組むよう各教育委員会に促してまいりたいと、こう考えている次第であります。
  127. 山本香苗

    山本香苗君 最後に、大臣にお伺いさせていただきたいんですけれども、この制度がうまくいくか否かということは、地域や保護者、その方々が今回一定の責任と権限を持つということになるわけですけれども、それをきちんと持続して担っていくことが必要なんだと思っております。  先日、先ほど申し上げましたとおり、視察させていただきました五反野小学校では、地域や保護者の代表方々も教職員の方々も本当に一言ではもう言い表せないほど頑張ってこられたんだなということがお話の中で非常によく分かったわけなんですけれども、是非このような努力を無駄にしないためにも今後もこの取組を進めていっていただきたいと思うわけなんですが、他方、こんなに負担が大き過ぎると、本当に一部の人しかこういうことはできないんじゃないかなというふうに危惧してしまうんです。  物理的に、お仕事があって、これと重ねて一緒にやるというのも大変難しいんじゃないかなと考えてしまったわけなんですけれども、保護者や地域住民方々が無理なく楽しく持続しながら参加できるような体制を作っていくために、どういった工夫をしていくことが必要だとお考えでしょうか。
  128. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 今回のこの学校運営協議会による学校の取組、これの成否は、正に今、山本委員御指摘のような、それに取り組まれる皆さん方の姿勢といいますか、積極性というか、そういうものがうまくかみ合うかどうかだろうと思います。  さっき、鈴木先生はボランタリーと、こうおっしゃいましたが、正にそういう自発的な地域といいますか、そういうものをどういうふうに指定していくか、これは恐らく今回法案通していただきますとこの周知徹底のために情報を出します。それを受けて、各教育委員会、こういう形で取り組めるかどうか検討される、いろいろ悩まれる部分もあろうと思いますが、正に地域住民や保護者の皆さん方がこれに参画しやすい環境をどういうふうに整えるかということが非常に大事になってくる。したがって、運営に当たっては、その会議の取り方、そういうきめの細かい配慮というのも必要になってくるんじゃないでしょうか。  どの程度の会議を開催をするのかとか、それから時間帯をどうするのかとか、いわゆるPTAにちょっと集まってくださいというようなものとちょっと違います。これはある意味では権限も持つ形になってまいりますから、そういう意味で、指定して、まず運営協議会を作っていかなきゃなりませんが、その段階でその辺をよく検討しながらやっていかなきゃいけませんし、またこの学校運営協議会コミュニティスクール趣旨というもの、これを十分理解をいただく、そのための研修といいますか、まず理事会なり委員会を作る方々がしっかりこのことを理解をいただく、そのことも当然必要になってくると、こういうふうに思いますので、これから地域学校運営協議会参加できやすい、参加することの意義とかそれから重要性、これは社会に広く啓発をしていく必要があろうと、こう思っておりまして、この取組については、文部科学省も、教育委員会に対しても、まずはこの教育委員会に対して、この改正の意義というものを、この趣旨、そういうものを十分説明をしながら、教育委員会は、申し上げましたように、それに合わせて地域を、どの地域のどの学校がいいだろうということも考えていただく、そういう地域で正にやる、やろうとされる空気があるかどうかというのを酌んでもらわなきゃいけません。  今回、モデル校を作るときにそういう公募をいたしましたら三十の地域が手を挙げたということも聞いておりますから、かなりそういう機運というのは各地域にもあるんだろうと、こう思いますけれども、いざやるとしても、委員皆さんがそれに正に参加しやすい空気をどういうふうに作るかということをこれから十分検討をしながら、そのための努力を更にしていきませんとうまくいかないだろうと、こう思っておりまして、御指摘の点を踏まえて、我々としても、しっかり地域を支えるという意味においてこのムード作りといいますか、それに最大これから努力していかなきゃいかぬと、このように思っております。
  129. 山本香苗

    山本香苗君 実際作る前はいろいろ危惧されるところがあると思うんですけれども、実際動いていって、子供たちが輝いていく姿を見ればどんどん波及効果も広がっていくんではないかと思っております。  どうもありがとうございました。
  130. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  まず、人事問題についてお伺いいたします。  学校運営協議会では人事問題を論議するというお答えが度々局長からもありました。学校運営協議会は職員の採用、任用に関して、任命権者意見を述べることができ、その意見は尊重されるというふうになっているわけですが、どのような意見が出されると想定をしていらっしゃるのでしょうか。
  131. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  今回の改正案では、開かれた信頼される学校づくりの観点から、地域住民や保護者等の学校運営に関する意見、要望をより一層の反映が図られるように学校運営協議会意見を述べられると、こういうふうにしたわけでございまして、とりわけ教職員人事につきましては、その学校が実現しようとする教育活動にかなった人材が得られるように学校運営協議会が直接任命権者に対し意見を述べると、こういうふうにしたわけでございまして、具体的には例えば教員の年齢構想、うちの学校には若い先生を欲しいとか、あるいは特定の教科、部活動の指導に優れた教員配置をしてほしいと、こういった一般的、抽象的な意見を言う場合もあろうかと思いますし、また特定の教員の名前を挙げまして、当該学校教育活動に資する観点から、その教員配置をしてほしいと、こういった個別具体の人事に関する意見を言うこともできると、こういうふうに理解をいたしております。
  132. 林紀子

    ○林紀子君 人事については、人事権については、大変大きな権限を持っているというふうに思うわけです。そして、校長や教頭だけではなくて、教職員すべてにわたると。今の御答弁の中でも大きな方向性、それについて意見を言うこともあるし、また個人に対してあの先生は是非この学校に来てもらいたいと、そういう話もあると。来てもらいたいときはいいんですが、この先生はどうも大きな方向性から考えてもこの学校には合わないんじゃないかと、そういうような個々人の非常に具体的な問題にも及ぶのでしょうか。
  133. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先ほど申し上げましたように、この学校運営協議会の教職員人事に関する意見というのは、一般的、抽象的な意見にとどまらず、特定の教員を名指しをした個々の教員についての具体的な意見を述べることもできるわけでございまして、この第四十七条の五、第五項の、法律のこの四十七条の五、第五項の任用には転任を含むものでありまして、特定の教員についてその学校の目指す学校づくりに合わないといったような理由からほかの学校に転任させてほしいと、こういう意見を述べるということもあり得るものでございます。
  134. 林紀子

    ○林紀子君 そうなりますと、恣意的な判断に及ぶのではないかというのが心配されるわけですね。例えば、思想、信条、宗教、そんなものも判断理由とされることがあるのか。また、委員の評価がその先生に対して、いや、あの先生はよくやっているし、この学校にぴったりだという場合と、いやいや、生徒から人気がないから出ていってもらった方がいいんじゃないかとか、そんなふうに評価が分かれた場合、どうするんでしょう。多数決なんということにはならないと思いますが、その辺はどうですか。
  135. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先ほどから申し上げていますように、この学校運営協議会が教職員人事について意見が述べられるというふうにしたのは、あくまで特色ある学校づくりなど、その学校の実現しようとする教育活動にかなった人材を得られるように地域住民や保護者の意見の反映を図ろうとしたものでございますし、学校運営協議会は特にこの人事に関する意見を言うと、こういう場合にやっぱり必要に応じて校長の助言も得ながら、学校の方針等に照らしてどういった人事が望ましいかを、これ、学校運営協議会はこれ合議制の機関でございますから十分に協議をしていただき、合議体として責任ある意見を述べると、こういう必要があるわけでございますし、一部の恣意的な意見に左右されるということがあってはならないものでもあると考えておりますし、さらに、教育委員会におきましても適宜必要な指導、助言、情報提供等を行い、適切な意思形成が学校運営協議会においてなされるよう促していくということも大事でございますし、そして、何よりもこれは現行の地方公務員制度を前提としているわけでございまして、任命権者である教育委員会はその意見を尊重しながらも、最終的には任命権者としての権限と責任において恣意的な運用とならないよう適切と判断した人事を行うと、こういったことでございますので、私どもはこういった制度趣旨、内容の周知に努めて、各教育委員会が適切な運用をして、指導してまいりたいと、かように考えております。
  136. 林紀子

    ○林紀子君 恣意的な判断に陥らないようにというお話は分かりました。私たちも、情報開示が行われて校長始め教職員が父母や地域住民からいつも見られていると、そういうことについては否定するものではないわけです。  しかし、今お話にもありましたように、一定の人事権を持つ学校運営協議会の評価が、これは教職員の待遇につながっていく、これは否定できないところだと思うんですね、今のこの法案によりますと。そうなりますと、やはり先生たちは萎縮をしてしまうのではないか。本当に自分の専門性を生かしてプロとしての信念で教育を伸び伸びとやっていこうと、そういう邪魔になると、そういうことは考えられませんか。
  137. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 繰り返しになって恐縮でございますが、教育委員会学校運営協議会意見を尊重しながらも最終的には自らの判断で人事を行うと、そういう公務員制度の基本的な枠組みを変えるものではないわけでございますし、それから、学校運営協議会意見の有無にかかわらず、これは任命権者判断で人事異動方針等にのっとり本人の希望と異なる人事が行われる可能性というのは、これは運営協議会があるなしにかかわらずそういったことはあり得るわけでございまして、学校運営協議会意見が言えることをもって公正な人事が害されるとは言えないんではないかと考えております。  また、学校運営協議会学校運営の基本方針を踏まえてその実現に向けて必要な意見を述べるということが基本的な考え方でありますから、教員におきましてもその基本方針に基づいて教育活動等の職務を遂行すると、学校運営協議会意見自体が必ずしも教員を萎縮させるものではないと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今回の制度地域に開かれたより公正で透明な学校運営を実現し、これによって地域住民や保護者の理解と協力を得ながら学校地域協力をしてそういった一つ一つ学校をより良くしていくんだと、これがねらいでもあるわけでございます。こういった観点から、本制度の活用が図られるように各都道府県を通じて趣旨周知徹底していきたいと考えております。
  138. 林紀子

    ○林紀子君 開かれた信頼される透明性のある学校ということですけれども、私は、前回の本委員会で全国で始まっている三者協議会についてちょっと長々過ぎるぐらいに詳しく御紹介をいたしました。教師、父母、生徒、そして地域住民も含めました協議会では、子供たちの利益を第一に考えながら、ともに成長し合い、発展し合う姿というのが見られました。  で、教職員の問題につきましても、この評価、特に授業のやり方などについてはこの三者協議会というのはこんなふうにやっている、これは前回ちょっと時間切れでお話ができなかったんですけれども、例えば、生徒会でアンケートを取って、どの教科では満足どれだけできるかできないか、そういう話を取ったわけですね。そうしましたら、何と社会科では七六%の生徒たちがその授業に満足できないという答えを出したということなんですね。    〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕  社会科の先生は一生懸命やっているつもりだったので、そんなに多くの生徒からノーという声があるというのでびっくりして、早速社会科の先生たちが集まって、じゃこれにどう対処をしようかという話合いを行った。そして、生徒たちがアンケートの中で書いている、説明が分かりづらい、先生しか話をしていない、字が分かりづらい、どんどん進んでしまう、黒板の内容をノートに書く時間がない、声が小さくて聞き取りにくい、重要なことが何だか分からないというような、こういうアンケートを全部集めて、これをどうして改善をしていくかということで、それを実践に移したと。翌年には、またアンケートを取ったところ、その満足しないという度合いが半分に減ったということなんですね。  ですから、ここでは教師の集団、生徒たちからそれを先生の方が学ぶというか、そういう態度というのがあったわけですし、そのやり取りを聞いていた父母は、お互いに切磋琢磨して授業改善に取り組むことは父母としても本当にうれしいということを言っていたということなんです。  今回の提案されているこの学校運営協議会制度というのは、今人事について御説明を聞きましたけれども、教職員に関しても、成長し合うということではなくて、あの人はどうもこの方針に合わないと排除をしていく、そういうことさえもあるマイナスの姿というのがどうも私は焼き付いてしまうわけですね。本当に学校の活性化や教育活動の充実を図るということであれば、人事問題についても、今このように正に自発的に生まれている新しい意欲的な芽、こういうものを学校運営協議会にも是非生かしていくべきではないか。大臣にこの辺をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  139. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 前回も御指摘をいただいたところでございます。  生徒会活動とかPTA活動、学校、教師、児童生徒、保護者、これお互いに連携し合ってより良き学校づくりに努力していただく、これに取り組んでいただく、これは私は非常に大事なことだし、結構なことだと思っております。  先般お話をいただきました件も含めてでありますが、これはいろいろ例もお聞きいたしましたけれども、こういうケース、御指摘のあった、御披瀝いただいたようなケースは、生徒、父母、教職員、それぞれの代表皆さんが定期的にお集まりをいただいて話し合うことが目的で、任意にお集まりになっている、協議会を設置したりしながら。ただ、これも学期に一回とか年二回開催とか、そういう懇談会的なものが非常に多いということでありますから、これは教育委員会規則等の法令に根拠を置くものでもなくて、教職員人事を含めた学校運営に関して権限を有するとか、こういうようなものでないので、今回の学校運営協議会とは異なるものであろうと、私はそう理解しておりますが。  ただ、おっしゃるように、学校の授業が分かりにくい、今、林先生お話聞いていきながら、どこか、大阪だったですかね、算数、数学の授業が分かりにくいという声が生徒から上がって、保護者からもそういう指摘があって、その先生の数学力を見たら高校の入試問題が解けなかったという不適格教師が現れたということが新聞で私は見ましたが、そういう排除の論理ではいけませんけれども、本当にこれ適切でないと。その先生は恐らく研修してみて、それでも不適格であれば、これはもう教師としてふさわしくないということになっていくでしょうが、そういう声があればそれを吸収する機能を運営協議会が何らかの形で持つという、そのことは私は学校をより良くするために必要なことだと、それは運営協議会がどうお考えになるかということでございます。  児童生徒の意見の表明権、正に児童生徒個人にかかわる問題、もちろん学校の授業がどうしても分からないということであれば、まあ心配になることでありましょうから、そういうこともあるかも分かりませんが、その辺については学校運営協議会の中でいろいろお取り組みいただいたらどうでしょうか。    〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕  この前、五反野では、私聞いたのは、運営協議会がずっと研究に研究を重ねて、朝の授業が始まる前と終わる前にきちっと生徒が立ってあいさつをするということは二年掛かりでやりましたということでございました。  こういうようなこともありますから、それぞれの声をお聴きになるということは私は結構なことでありますが、これがその人事権に及ぶとかそういうことになってくるとちょっと別、児童生徒の声がその人事権に及ぶということになると、ちょっとこれ、この制度にはなじまないものではないかと、こういうふうに私は思います。
  140. 林紀子

    ○林紀子君 生徒児童の人事権との関係はまたお伺いしたいと思うんですが、今、大臣お話しになりました子どもの権利条約との関係、これももっと前回御質問したかったところなんですが、今日はまず馳政務官にお聞きしたいと思うんです。  子どもの権利条約につきましては、三月の十八日の本委員会でも私質問をさせていただきました。そして、子どもの権利条約については国連の子どもの権利委員会、二回にわたって日本に勧告を行っておりますが、特に子供意見表明権については、二十八というパラグラフでdという項目ですが、教育、余暇及びその他の活動を子供に提供している学校その他の施設において方針を決定するための会議委員会その他の会合に子供が全面的に参加することを確保することということを今回また一月の末に新たに出されたわけですね。  これはまだ、政府の方に早くこの訳をちゃんと出してくださいというのを私随分何回もお願いしているんですが、出てきていないので、これはNGOの訳によるものですが、こういうふうに勧告うたわれているわけですから、文部科学省としてもこれは本当に学校ということをちゃんと名指しで言われているわけですので、真摯に受け止めるべきだというふうに思うわけです。  そして、三月の十八日には、十年前に文部省が出した事務次官通知、これは私などが見ると、どうも子どもの権利条約と反対の方向で出しているんじゃないかという御指摘もさせていただきましたけれども、二回にわたった勧告が出されましたので、是非これをもう一度見直していただきたいということを重ねてお願いしたいのですが、今まで子どもの権利条約、一生懸命やっていらした馳政務官の方からそのお答えをいただきたいと思います。
  141. 馳浩

    大臣政務官(馳浩君) 文部科学省といたしましては、この一九九四年に出しました事務次官通知を廃止したり見直したりするということは考えてございません。  私も、先般、林先生から御指摘いただきました点について確認いたしましたけれども、そもそもこの第十二条の一項に申します子供意見表明権というものは子供の個人に関する事柄ということでございますから、まさしくそれぞれの学校において学校活動の中で、責任者である校長等が、子供たち意見がその学校の活動において十分に反映されるように努力するということは、そもそも我が国においてもこの子どもの権利条約の締約国となる以前から学校活動の中においてそれぞれの学校において取り組まれてきたものでございます。  ただ、この子どもの権利条約にそもそも言う部分は、私もちょっと調べてみて、英文を調べてみたんですけれども、一九八一年のポーランド草案というものが基になっておりまして、ここには英文で、「イン パティキュラー マリッジ チョイス オブ オキュペーション メディカル トリートメント エデュケーション アンド レクリエーション」というふうに例示として挙げられておりますけれども、まさしく、とりわけ結婚であるとか、職業の選択であるとか、医療的な取扱いであるとか、教育とか、レクリエーションとか、そういう、そもそも児童個人に関する問題に関してまさしく意見表明権が認められるのであるということを言っているのでありまして、林先生が主張してずっとこられております、校則の問題であるとか教育課程に対する意見表明とか、そういったものを指して言っておるわけではないというふうに、正直、次元のちょっと違う話であるというふうに判断をしておるところでありまして、ですから、何度も申し上げますが、そもそも、それぞれの学校において子供たちがクラスルームの活動とか生徒会活動などを通じて教育活動に対してそれぞれが意見を出し合うと、あるいは集団、組織の中において意見をお互いに持ち寄って、そしてそれを学校側も考慮に入れるということの取組をするということはそもそも必要であるというふうに思っております。
  142. 林紀子

    ○林紀子君 それでは、馳政務官に続けてお聞きしたら、私は近藤局長にもお聞きをしたかったわけですけれども、今、馳政務官は一番大本に返ったわけですけれども、それがずっと引き継がれて発展して、そして今回の一月末の、私が読み上げたこういう勧告、特に日本に対する勧告になっているわけですね。この十二条の意見表明権というのは、今、馳政務官がおっしゃったのとはやっぱり違っております。解釈が違っていると思うんです。  もう一度、この十二条を読ませていただきます。「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」、これは、子供の年齢によって相応に考えろということは付け加わっておりますけれども、児童の個人なんてどこにも書いていないですよ。自己の意見を表明する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明するんですよ。これが十二条でしょう。どうですか。
  143. 馳浩

    大臣政務官(馳浩君) 政府としての解釈としては、ちょっと国語の時間になるかもしれませんが、「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に」というふうに、まさしく児童個人に関する事項すべてについてと、こういうふうに解釈をしておるのでございまして、それと、学校として児童生徒を管理していく上で、学校生活を運営していく上でのカリキュラムの編成であるとか、また校則の問題であるとか、そういったことを対象にしているものではないというふうに判断しておるものでございます。
  144. 林紀子

    ○林紀子君 その解釈は間違っていると思うんですね。  というのは、前回もここで御紹介をいたしましたが、フランスでは、日本の中教審に当たるようなところに高校生、今まで大学生も参加していたけれども、今度は高校生まで参加をさせたということなんですよね。高校生を参加させたのはどうしてかといったら、高校生の中でいろいろそういう要望があったのはもちろんだけれども、一つの大きな理由というのは、この子どもの権利条約をフランスが批准をした、だから高校生の意見というのも正当に、中教審、国の、学校教育の方向を大きく決めるようなそういうところにも参加をさせるべきだ、そういう解釈の下に高校生を参加させたんですよ。  この子どもの権利条約というのは、フランスが批准したものも日本が批准したものも同じなんです。だから、そういうことでは、やっぱりフランスの解釈、日本の解釈、大変違っておりますけれども、同じ子どもの権利条約から見たら、そして今私が読み上げた十二条から見たら、そしてまた、特に日本にということで日本を対象に、子供意見の尊重ということで今回、学校その他の施設において方針を決定するための会議委員会、その他の会合に子供が全面的に参加することを確保しなさい、こういうふうに具体的に日本に対して言われているんですよ。  だから、そういうことでは、今おっしゃったような、政府の子どもの権利条約に対しての解釈というのが全く間違っている、根本が違っている、子供に対してどういう見方をするかということが根本的に違っているんだというふうに思っています。  ですから、私は、今回のこの学校運営協議会につきましても、フランスのように中教審にまで参加させろと今はまだ言いませんけれども、せめて学校運営協議会には子供を入れるべきだというふうに思います。  そして、これは大臣の方にお伺いをしたいわけですが、前回の私のこういう質問に対しまして、この学校運営協議会というのは、地方公務員に任命される、教育委員会がこれを任命する、特別職に任命するんだということだから子供は駄目だと、こういう御答弁だったわけですけれども、しかしこの法文に学校運営協議会には児童生徒も加えるという文言を書き加えて、しかもこれを地方公務員に特にここの部分だけでも任命しないという、そういう制度の設計もあるはずですね。ですから、そういう制度の設計も含めて、やはり子供参加させることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  145. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 前回の私の答弁を引用されたということだろうかと思いますので私からも説明をさせていただきたいと思いますが、私は、子供をこの学校運営協議会委員に想定していないんだと、そのときにいろんな理由を挙げて、その後段で、確かに、この委員は非常勤だけれども、地方公務員として任命をしていくと、そういったいろんなことから委員としての参画を想定していないと御答弁を申し上げたわけでございまして、今申し上げた理由だけで駄目であると、こういうことを申し上げたわけではないわけでございます。  繰り返しになって恐縮でございますが、学校運営協議会学校運営及び任命権者の任命権の行使の手続に関与する一定の法的な権限が付与される機関であります。大変重要な役割も担うわけでありますから、委員につきましては設置者である教育委員会責任において人選が行われ、またその身分上の取扱い等についても明確にした形で任命されることが必要であると。そして、学校運営協議会意見については、こういった権限を果たすということからいたしますならば、地方公務員法に定める特別職の地方公務員として位置付けられるものであると、こういう御答弁をさせていただいたわけでありまして、いずれにいたしましても、児童生徒を委員とすることについては、今回の学校運営協議会が、何も人事のことだけを申し上げるつもりはございませんが、教職員の人事も含めて、学校の管理運営に一定の大変また重要な権限を持って関与する機関であるわけでありますから、その委員として当該学校の児童生徒を参画させるということは想定をしていないと、こういう趣旨答弁をさせていただいたところでございます。
  146. 林紀子

    ○林紀子君 ですから、人事の問題も、運営上の工夫を行えば子供たち参加させることができるし、やはり学校の主人公である子供たちをどう位置付けるか、それが今回のこの学校運営協議会の問題でも政府に問われているんじゃないかというふうに思うわけです。  子どもの権利条約をそんなふうにしか解釈していない文部科学省だからこそ、子供は絶対入れないと言っているんだということも思いますし、私は、三者協議会をずっと研究をしてきた浦野東洋一、元東大の先生ですけれども、何よりも三者協議会で注目すべきことは、学校の当事者の間に、教職員、子供、保護者、住民は、それぞれの立場からの教育についての権利と責任の主体であり、人間として原理的には対等、平等である、こういう感覚というのが生まれているというのが非常にすばらしいことだというふうに言っているわけですね。  子どもの権利条約について是非、そういうことでは、きちんともう一度見直して、今の解釈、これは余りに国際的な流れからもひど過ぎると思うんですね。見直していただきたいし、ここで言っている子供、原理的には人間として対等、平等である子供も含めて、そういう感覚というのを文部科学省が持たない限り、日本の教育というのは再生をしていかないんじゃないか、そういう危惧も申し上げまして、私の質問を終わります。     ─────────────
  147. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤泰介君が委員辞任され、その補欠として小林元君が選任されました。     ─────────────
  148. 山本正和

    山本正和君 ずっともう質問の中で、私がいろいろとただしたいと思っていることも大分明らかになったと思います。  とにかく、この学校運営協議会というのを置いて、そしてさらに、地域住民等の意見を十分学校に反映さしていく、こういう趣旨だと。また、仮にその人事に関して学校運営協議会がいろいろと言ってきても、最終的には教育委員会責任であると、任命権者の、こういうことについての答弁をいただいたんですけれども、私が今言ったようなことで受け止めてよろしいですか。
  149. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の仕組みにつきましては、できるだけそういった地域住民等の学校運営協議会委員意見を酌んでいくと、そういったことから尊重するということにしておるわけでございます。  できる限り教育委員会意見の内容を実現するように努めていく必要があるわけでありますが、当然、最終的には任命権者としての権限と責任において適切と判断した人事を行うと、こういうことでございます。
  150. 山本正和

    山本正和君 私は随分いろんな校長を知っておるんですけれども、やってきた人たちを、立派な人も。大体、そうするといい校長というのは、地域住民や保護者と十分話し合いながら、そういう意見を聴いて学校運営をやるんですよね。また、地域の実情に合わせて学校づくりを一生懸命やっているんですよね、いい校長は。そしてまた、教育委員会もそういうことをやるようにと、一生懸命に教育委員会も頑張っておるんですよね、現実問題は。  私は、ですからこれ、この法律、最終的には賛成しますけれども、非常に奇異に感じて仕方がないんですね、なぜこうしなくちゃいけないんですかと。今おる校長教育委員会にもっと頑張れと、教育委員会制度は元々こうしてできたんだからということをもっとしっかり言ってやっていけばいいことだと私は思う。何もドイツやイギリスやなんかのまねせぬでもいいと思う。韓国の例もこれ出ていましたけれども、韓国は韓国でなかなかきちっとやっていますよね。  だから、どうしてこうやっていじらぬといかぬのだろうかと。教育委員会よ頑張れ、校長頑張れとなぜ言えないんだろうかと。校長さんが地域と実態と合わないようなことをしておったらおかしいと言ってしかったらいいんで、それをなぜこうしなきゃいけないのか。  私は、そして、この前、あそこの足立区の指定学校へ行ってきましたよね。あの程度のことなら、私あえて言いますよ、三重県にたくさんありますよ、あれよりもっといい学校が、別に運営協議会作らぬでもね。  私はそういうことがもう心配でならないんですよ。何か知らぬけれども、やれ学校が悪い、教育が悪い、教育委員会が悪い、文部省は何してるんだと、こういうことを言われて、何でもいいから改革ということをすりゃいいと思っている、文字だけね。そんなことで本当にこの国の教育行政はいけるんだろうかというのが心配で仕方ないんですよ。  私はもうこれで国会議員も終わりますから、ひとつ遺言と思って聞いてほしいんだけれども、文部省がもっと自信を持ってほしいんですよ、日本の教育に。そして、みんな教育にかかわる者に対して励ましてやってほしいんですよ、頑張れよと言ってね。そのことが、もうどうしてもこれ、この法律について気になって仕方がないんです。ただ、こういうことをやった方が効果のあるところもあるかもしれぬと。あるかもしれぬという意味で賛成するのでね、全般的にはこんなもの作る必要ないんです、本当からいえば。そう思うんです。  だから、その辺のことを含めて私はひとつ、大臣が本当に教育について一生懸命にお考えになり取り組んでおられる姿、いつも見て尊敬しているんだけれども、やっぱり、何か言われたらせなきゃいけないというふうな形に見えるんです。本当はそうじゃないかもしれぬけれどもね。  それから、中教審というものをもっと活用すればいいし、私はこの前、実は県のPTAの会長とも一度、三重県の、とも話した、校長会長とも話したんですけれども、何で全国のPTAにいろんな意見をもっと聴かないんだろうか、文部省はと。親が抱えている心配とか不安とかいうのがあったら、PTAを通じて親の気持ちを文部省は聴いてほしいと。校長会もそうですよ。校長は本当に今苦しみながら学校運営をやっている。校長に、本当に今の教育問題点について率直に文部省に言ってくれと、こういう調査が来ない。やっているのかもしれませんけれどもね。都道府県の段階の話ですからね。しかし、本当は文部省に直接伝えたいことがたくさんあると思うんですね。  だから、そういうふうなことを含めて、私はだからこの法案について、何か知らぬけれども、私、一番心配するのは、学校は極めて独善的で地域から切り離して勝手に教育やっている、それはもうみんな文部省の統制の下に、教育委員会の統制の下に、学校は全く世の中と切り離して勝手なことやっていると、だから直せというふうにひょっとしたら錯覚を起こしたのかというぐらい心配するんです。実際はそうじゃないですよ、どんな学校校長も一生懸命取り組んでいるんですよ。上手にやれる者とやれない者いるけれどもね。  そんなことをいろいろ思うんですが、大臣、どうでしょうか、その私が申し上げたことについて。
  151. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 大変激励をいただきまして、私も正に山本先生がおっしゃるように、やっぱりこれまで培ってきた日本の教育、この義務教育をきちっとやってきたこと、これが日本の今日を築いている、そのことはやっぱり世界の教育大臣会議等へ出てみれば分かるわけで、私もそのことは思っております。しかし、教育の現状を見たときにやっぱり心配なことも現実にあるわけでありまして。  そして、地域によっていろんな取組をしていただく。先ほど来からお話しのように、文部科学省ははしの上げ下ろしまで言わずにもっと地域の取組を逆に尊重してやって、地域で頑張っている皆さんも自信を持てるようにしてやれと、こういうことでありますから、そんないろんな取組に挑戦をしていただく。そのことによって結果的に子供たちが生き生きとしてくる、教育が良くなる、学校が変わるということがあり得るということも考えて今回この法案を出さしていただいておるわけで、これをもって全部一律に、何かやっていることはみんな失敗なんでもう全部これに方針を変えてやるんだという、これは決してそういうことではございません。これが適当であるということであれば大いにこれに対して取り組んでいただく。  いろんな形のものがこれから出てくるであろう、恐らく、やってみたけれども失敗だったというのはあるかもしれない、しかし、そういう取組をやっぱり尊重をしてみたい、こういう思いでございまして、正に地域学校とそれから保護者の皆さんが一体感を持っていただくことが大事でございます。  PTAの皆さん方にも、最近は子供たちが非常にマスコミ等の影響を受けやすい、特にテレビでは影響を受けるんだと、こうおっしゃいますから、是非、文部科学省はあのテレビが悪い、この番組が悪いと言うとまた報道の自由がどうとか言われるから、保護者の皆さん、PTAの皆さんから見てこれはということであればどんどん指摘をしていただく。むしろ、民間から声を出していただければマスコミも、だって、これはお上が言うことになってくるとこれはもう本当に、報道の自由ということになると大変なことになりますから、そうじゃなくて、そういうことについてお互いに話し合いましょう、それからそういう取組には文部科学省も側面的に支援をしましょうと、こういう話合いもしておりまして、是非、全国のPTAは各協議会がありまして、その頂点の方々が直接私のところへ見える。しかし、一般地方の会長さんまでなかなか機会がございませんが、その会長さん方は、当然県のPTA連合会を作ると県の委員会とかそれぞれの地域教育委員会なり、あるいは議会なり、発言権があるわけでありますから、大いにひとつ教育について語り、注文を付けていただくことは結構だと、こう思っておりますので、その点はよろしくお願いをしたいと思っておりますが。  いずれにせよ、いろんなことがどんどん変わって何か、何かあるとすぐ変わって、方針が、文部科学省は絶えず揺れているというふうに言われることは私も決して好ましいことではないと思っております。やっぱりきちっとした方針の下に政策を打ち出して、そしてやっぱり子供の方を向いていくという姿勢、そしてやっぱり地域で頑張っている皆さんの取組をしっかり支援していくと、この姿勢をこれからも貫いて、やっぱり改革すべきことはしっかり改革していく、その姿勢が大事であろうと、こう思っておるところでございます。
  152. 山本正和

    山本正和君 それで、もう一つちょっと気になったのは、学校運営協議会というものを設けたのであそこの足立区の小学校は大変に良くなったと、こう言っておられたんですね。そしてもう一つ、ほかのいわゆる従来の通学区域じゃないところからもどんどん子供が来るようになってきたと、こういうお話があった。そうすると、学校選択制というものをもうやっているところもありますよね。義務教育において学校選択制が自由になったらどうなるだろうかという懸念を私は持つんですよね。  私はこう思うんですよ。生まれてくる子供は親が選べないんですよ。生まれてくる土地も選べないんですよね。そこで昔は生き抜いて、最後はそこで死んでお墓に埋められると。いやでも応でもその土地を愛したんですよね。しかし、今はもう大変な時代になって、どんどん動いてしまいますよ。動いてしまうけれども、少なくとも義務教育の間は自分の住んでおる土地の学校へ行って土地に対する愛着を持たなければ、私は郷土愛も、それこそ国を愛する心も生まれぬと思うんですよ。それが、学校選択制を公立にまで及ぶ。私は、私学へ行く人は別です、これは思想信条の問題ですからね、私学へ行く人は別だけれども、そうじゃなしに、公立ならば、やっぱり自分の住んでおる土地の学校へ行くというのが私、本当だと思うんですよ。  そうすると、この前の話聞いておったら、よその区域からも子供が来るようになったと大変誇らしげに言っておられた。どうもその辺がぴんとこないんですがね。この学校運営協議会というものができたから学校が良くなったと、その証拠にこうやってよそからも来るようになったと、こういうふうに聞こえたものでね。  私は、この学校運営協議会というもの、実はそんな目的じゃないと思うんですよ。その地域に住んでおる子供たちがその地域の中で教育を受けるためにどうより良くするかというのが、これ学校運営協議会なんですね。それが何か、この学校が良くなったからよそからも来たというのでは目的が外れていると思う。  その辺のことを、学校選択制の問題と絡んで、この学校運営協議会、例えばある一つの市で、一つだけ指定したとしますね、指定された学校は定員も加配されますから、教員も、それからまたそれで一つ意識持って何か変わるかもしれぬですよ。そこへみんながどんどん希望して行ったらどうなりますか、正直言って。  加配も何もせずに同じ条件で競争させるのはいいですよ。加配したら学校良くなるに決まっておるんですわ、正直言って。人ですからね、教育というのは。それを、学校運営協議会ができたから良くなったと、こう思ってしまう危険性もある。もしそこへほかの地区に住んでいる親が入れてくれと言ったらどうするんです。非常に教育の、義務教育における機会均等の原則というか、国民がひとしく教育を受ける権利というか、そういうものからいって心配で仕方ないんですけれどもね。  その辺についてはどうお考えですか。
  153. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) 地域性の問題が、私は確かにそういう指摘というのはあると思います。  今回のこの導入、私が五反野で聞いたのは、どんどん来るようになったというよりも、ほかの学校がこれは大変だと、もし比較されてうちの方が駄目だと言われると困るので我々も努力しなきゃいかぬという、正に切磋琢磨の関係が生まれてきつつあるという説明を聞いて、こういう学校をひとつモデル的に作ることによって、ほかの学校もやっぱりそれを見習っていい点は取り入れようという動きが出てきたということはいい取組ではないかと、こう思ったわけでありまして、これは余りにも極端にそこの学校にともかく優秀な先生だけそろえたということになってしまってそこへ集中するということになると、おっしゃるような、本来の目的はそこかということになってまいりますので、その辺はやっぱり教育委員会もいろいろ全体を見ながらお考えをいただかなきゃならぬと思います。  しかし、現実に、先生をたくさん増やしたい、少しでもそういうことが必要だという皆さんの要望があるということは、そういうことによって学校が良くなるということは、やっぱり全体として先生をどういうふうに確保するか、優秀な先生をたくさんどういうふうに確保するかということの一つの示唆であろうと、こう受け止めなきゃいかぬと私も思っておりまして、そういうことで、これから学校を良くする、教育を良くするという視点も、そういうことをすれば実際に良くなるんだということであればやっぱりもっともっと、財務省が言うように、子供の数が減れば先生の数減るんだと、それだけでは教育現場は納得しませんということにもなっていくんではないかと、こう思っておりまして、そういう意味で、学校運営協議会を作るということは、いろんなそこから生まれる示唆というものを我々もしっかり見詰めて、学校が良くなる、教育が良くなるという方向へこの学校運営協議会が役割を果たしてもらいたいと、そう思っているわけであります。
  154. 山本正和

    山本正和君 五反野小学校で授業を見ておったら、二人の先生一つの授業をやっておったんですよね。これは非常に効率的ですよ。できない子を支えますからね。  だから、教員加配ということは非常に重要なことだし、定数増について文部省としても取り組んでもらっていますからそこはしっかりやってほしいけれども、この学校運営協議会を置いたところには加配しますよと、こうやられると全国でやっぱり相当問題が起こりはせぬかと思うんです。そこはどうなんでしょうか、その辺は。学校運営協議会を置いたところには加配すると、こうなるんですか、今度は。その辺の考え方は、局長さん、どうですか。
  155. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今、五反野小学校とか、これはあくまで研究指定校でございますから国として加配措置を行っているわけでございますが、今後、市町村教育委員会学校指定をし、そこに学校運営協議会が置かれると。そこに加配をするかどうかというのは、これはまた教育委員会判断であろうかと思っておりますけれども、本来、この制度を全国的に導入していこうということであれば、それは特別な加配とかということではなくて、既存の先生方が地域方々協力をしながら特色ある学校づくりを行っていくと、それが本来の考え方だろうと思っております。
  156. 山本正和

    山本正和君 ひとつ是非、そこは今の局長の御答弁のように指導していただきたいと思います。そうせぬとつまらぬ競争が起こって、かえって弊害を私は生むと思うものですからね。  それで、もう最後にこれは要望だけして終わりたいと思うんですけれども、一番大切なことは何かと。  教員というのは、私はやっぱり専門性を持った仕事だと思うんです。子供の発達の段階に応じて、心理も、子供たちの心理も、あるいは教育とは何かという教育原理の問題も、教員というのは一生懸命勉強しながらやっていかぬといけないんですよね。  しかし、そのやっていることに対して批判が生まれるのは当然です。しかし、教育は専門職なんです。専門性を持った非常に厳しい職業なんです、教育というのはね。それはしかし、よそから見ておったら、教え方が上手だとか下手だとか、やれ声が低いとか高いとかいろんな話になるけれども、一人一人の教師は一生懸命頑張るんですよ。それを指導するのが校長であり、教育委員会である。そこのところを間違えて、世間の人が見て、あるいは評判がいいとか悪いとかなんといったら、みんな人相が違うように、やっぱり子供に対する教え方も先生違うんですよね。  しかし、私は自分小学校時代を振り返って言いますけれども、何にもしからずに知らぬ顔して本を読んでいた先生がおったんですよ。その先生が今でも印象に非常に強く残るんですよ。よく本読んでおるな、あの先生はと、おれも本読まにゃいかぬと、こうなる。だから、教育というのは何がいいとか悪いとかというのはなかなか評価できるものじゃないんです。本当に何十年もたって初めてその先生の姿というのは思うものですね。  だから、私は何とか、こういう法律を作ってこれを出すについても、学校教員校長が自信を喪失するようなことのないように、この法律の施行に当たって、皆さん方が最後は力なんですよと、それを助ける一つのものとしてこれ出したんですよということをやっていただかないと、心配するのは、今の学校が悪いからこれ作ったんだというふうに、これは困ると思うんですよ。今の学校でいろいろやっているけれども、状況はいろいろあるからこういうものを作りましたと、しかし、皆さんの本当は力ですよ、皆さんがやるのが本来なんですよということをきちっとした格好で指導、通達をしていただきたい。  これだけ要望いたしまして、質問を終わります。
  157. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  158. 畑野君枝

    畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  この法律によって、学校に設置される学校運営協議会を通じて地域の実情に応じた特色ある学校づくりを実現するとされています。しかし、その内容は、保護者、教職員、子供たちの願いである開かれた学校づくりに到底こたえるものとなっていません。  第一に、委員の任命は代表制によらず、教育委員会が直接任命する仕組みになっていることです。  教育委員会による恣意的な任命で、教育委員会の推進役、監視役となる危険性を持っています。また、教職員の人事に関して一定の権限を持つことで、人事に介入する危険性も否定できません。教育委員会指定する一部の学校のみにこのような学校運営協議会が置かれることは、学校間格差を助長することになります。  第二に、学校運営責任を持つ校長や教職員の参加が法文上明記されていない上、子供たち参加については全く考慮されておらず、子どもの権利条約の精神を真っ向から踏みにじるものとなっています。  諸外国のこうした制度では必ず校長や教職員を加え、子供たち参加を進めています。学校運営協議会制度は、世界の流れにも逆行するものです。  今日の学校に求められていることは、教職員、保護者、地域住民とともに子供参加して一体となって進める学校づくりです。  この間、紹介されたように、全国各地で生徒代表、保護者代表、教職員代表による三者協議会など、学校づくり地域づくりで大きな成果を上げているところが多くあります。今こそ、全国各地で行われている三者協議会経験と子どもの権利条約を生かし、子供たちをも加えた開かれた学校づくりを大きく前進させるべきです。  このことを主張し、私の反対討論とします。
  159. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、鈴木寛君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木寛君。
  161. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私は、ただいま可決されました地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、学校運営協議会が円滑に導入されるよう、制度の意義について、全国的な周知徹底に努めること。その際には、保護者や地域住民等に対し、PTA、学校評議員制度との相違点やそれぞれの役割等について十分な説明を行い、理解を得るよう努めること。  二、学校運営協議会を置く学校指定するに当たっては、学校地域の実情を踏まえ、公平・適切に行うこと。特に、学校地域コミュニティの拠点であることに配意し、保護者や地域住民の主体的な意欲と要望を尊重し、指定の是非について検討すること。    なお、市町村教育委員会都道府県教育委員会事前協議が必要な場合、市町村教育委員会判断を尊重すること。また、事前協議には必ずしも都道府県教育委員会の同意を得ることまでは必要としていないことについて周知すること。  三、保護者や地域住民等が一定の権限と責任を持って、より主体的に学校運営に参画することを可能とするという目的を踏まえ、教育委員会は、地域の実情に応じた個性や特色ある教育活動を展開するため、学校運営協議会委員について、委員構成の適切な均衡にも配慮し、公募制、推薦制などの手続により、幅広い分野から任命すること。    なお、委員の確保・任命が円滑に行われるよう、委員の都合・事情等を配慮した学校運営協議会の開催、委員の事務的負担の軽減などにも十分留意すること。  四、指定学校指定及び取消しの要件、委員の任免手続など、教育委員会規則で定める学校運営協議会に関する事項については、各地方公共団体間で大幅な相違が生じないよう通知等による適切な指導、助言を行うこと。  五、指定学校運営に当たっては、教育委員会校長及び学校運営協議会学校運営に関する責任の所在をあらかじめ明確にするとともに、関係者間の意思疎通が十分に図られるよう配慮すること。    また、学校運営協議会が十分に機能し、指定学校運営が適正・活性化されるよう、学校運営協議会に対する情報提供には十全を期するとともに、委員の要望等に沿った研修の機会の確保等の支援を促すほか、学校運営協議会の特色ある取組や活動については、広報・紹介に努めること。  六、指定学校における校長の裁量の充実と必要な予算の確保等が図られるよう、適切な指導、助言を行うとともに、基本的な教育水準の面では、指定学校とそれ以外の学校とで格差が生ずることのないよう、教育機会均等の確保に配慮すること。  七、学校運営協議会任命権者に対して指定学校の職員の採用その他の任用に関する事項について意見を述べるに当たっては、学校運営協議会において適正な判断がなされるよう、教育委員会学校等は必要な情報の提供に努めること。    また、教育委員会は、引き続き教職員の人事制度及びその運用の公正・公平性の維持に努めること。    なお、任命権者学校運営協議会意見と異なる判断をせざるを得ない場合には、その合理的な理由について学校運営協議会に対して説明責任を有することについて周知すること。  八、学校運営協議会制度の実施状況について、継続的な評価を行い、その成果と問題点を明確にすることにより、この制度の在り方も含め、学校運営の更なる改善に努めること。  九、学校運営協議会制度の実施状況等を見極めつつ、教育委員会学校との関係など教育委員会制度の在り方について真剣に検討を進めること。  十、指定学校とそれ以外の学校運営に当たっては、地域社会や家庭との連携と協力を一層進め、地域家庭教育力を高めるよう努めるとともに、必要に応じて、児童生徒の発達段階に配慮しつつ、児童生徒が意見を述べる機会を得られるよう適切な配慮に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  162. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 多数と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、河村文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河村文部科学大臣
  164. 河村建夫

    ○国務大臣河村建夫君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいります。  ありがとうございました。
  165. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会