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2004-05-11 第159回国会 参議院 文教科学委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      大門実紀史君     畑野 君枝君  四月二十八日     辞任         補欠選任      小林  元君     佐藤 泰介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北岡 秀二君     理 事                 亀井 郁夫君                 後藤 博子君                 鈴木  寛君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 扇  千景君                 中曽根弘文君                 橋本 聖子君                 伊藤 基隆君                 谷  博之君                 中島 章夫君                 西岡 武夫君                 草川 昭三君                 畑野 君枝君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   河村 建夫君    副大臣        文部科学大臣  原田 義昭君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       馳   浩君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君        厚生労働大臣官        房審議官     鶴田 康則君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       伍藤 忠春君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十七日、大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。  また、去る四月二十八日、小林元君が委員辞任され、その補欠として佐藤泰介君が選任されました。     ─────────────
  3. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  学校教育法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会文部科学省初等中等教育局長近藤信司君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、文部科学省研究振興局長石川明君、文部科学省スポーツ青少年局長田中壮一郎君、厚生労働大臣官房審議官鶴田康則君及び厚生労働省雇用均等児童家庭局長伍藤忠春君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  学校教育法等の一部を改正する法律案審査のため、五月十三日、参考人として日本薬剤師会副会長児玉孝君、管理栄養士・大阪府高槻市議会議員橋本紀子君及びいのちをはぐくむ学校給食全国研究会代表雨宮正子君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 大野つや子

    大野つや子君 おはようございます。自由民主党の大野つや子でございます。  まず初めに、栄養教諭制度創設について何点かお伺いしたいと思います。  近年、社会環境変化に伴い、大人だけでなく子供食生活が大きく乱れているという指摘を耳にいたしております。また最近では、食の乱れから、肥満だけではなく、行き過ぎたダイエットなどによる不健康なやせ過ぎなどの問題も増えていると聞いております。  この法案を提出するに当たり、子供たちの食の現状について文部科学省はどのように認識しているのか、まず初めにお伺いしたいと思います。
  9. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) ただいま大野先生指摘のように、これはもう全国民大人子供もその御指摘当たるんではないかなと。とりわけ、子供たちの食の現状について私たちは懸念をきちっと持たなければいけないなと。食生活というのはもう何といっても子供のうちにその習慣が付くわけでありまして、大人になってからの生活習慣病というのも、そういう意味ではしっかり子供のうちに直しておかなきゃいけない、このような感じがするわけであります。  御質問ありましたように、現状どうなっているかと。私も、調べれば調べるほどこれは大変だなと、こんな感じがいたします。幾つか数字を挙げて申し上げますと、朝食をほとんど食べない、これを私ども朝食欠食というふうに呼んでおりますけれども、また、週に二、三回以上食べない、こういうような子供生徒は、平成十二年の調査では、小学校では男女とも一六%、中学校では男子一九%、女子二〇%と、非常に高い数字になっております。またそれから、孤食と言われるように、子供たちだけで食事を取る、これも近年とみに増加しておりまして、数字としては少し古いんですけれども昭和五十七年には二二・七%の子供孤食だったのが、平成五年には三一・四%というふうに大幅に増加をしております。恐らく近時ではもっとこれが増えているんではないかと心配しておるわけであります。  先生指摘いただきましたように、肥満児傾向、これも大幅に増加をしておりまして、小学校六年生では、昭和五十七年に七・一%が肥満傾向でありましたのが、平成十四年には一〇・九%と、その率が一・五倍にも増加しておる。  さらに、食物アレルギーのある児童生徒、これが、平成十四年度の調査でありますけれども学校給食を実施している学校において全生徒のうちの一・四%、これは小学校でありますし、一・三%、これは中学校であります。およそ二人弱、百人のうち二人弱が食物アレルギーの心配がある、こういうことであります。  さらに、最近の傾向で、動物性食品植物性食品摂取バランスに偏りがある。どちらかというと動物性食品にそれがウエートが置いてきておる。これは健康、栄養過多につながっておるようでありますし、また、子供のおやつについてはスナック菓子やチョコレートの摂取量が多い、夜食においても菓子類やラーメンなどを取ることによって塩分、糖分、脂肪分の取り過ぎというのが心配されておるようであります。  もろもろのこういうデータを踏まえまして、私たち文部科学省としても、教育の分野で望ましい食生活を、食習慣を付けるという観点から私どももこの問題に取り組んでいるわけでございます。
  10. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  私は、子供たちの食の現状を踏まえれば、食に関する指導充実は大変重要なことだと思っております。今回の栄養教諭制度創設は、子供たちが望ましい食習慣を身に付けることができるようにするため、学校における食に関する指導充実していくことを目的とするものであると承知していますが、栄養教諭に期待される役割は具体的にはどのようなものなのか、どのような位置付けで考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  11. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 栄養教諭に期待される役割でございますけれども委員指摘のように、栄養教諭制度創設は、児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができますように、栄養に関する高度の専門性教育に関する資質を併せ有する教育職員として新たに栄養教諭制度を設けて、学校における食に関する指導充実を図ろうとするものでございます。  栄養教諭は、学校給食管理児童生徒に対する食に関する指導一体的に行うことをその職務といたしておりますけれども、具体的には、給食の時間を中心として、関連教科特別活動の時間などに学校給食を生きた教材として有効に活用しながら、より効果的な食に関する指導を展開していただくことを期待しております。  また、肥満傾向あるいは食物アレルギーといった課題を持ちます児童生徒への個別の相談指導、さらには、食に関する指導に係る学校全体の指導計画作成などに企画立案段階から積極的に携わりまして、教職員間の連携、調整を図りますとともに、家庭地域社会への啓発活動推進するなど、学校内外を通じた食に関する指導のコーディネーターとしての役割を果たしてくれることも期待しているところでございます。
  12. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  今通常国会施政方針演説の中で、心身の健康に重要な食生活の大切さを考え食育推進し、子供体力向上に努めますと述べているように、小泉総理食育推進を重視しています。幼児期から食に関する指導習慣は重要であると考えますが、今回は特に義務教育段階を対象とするものでありますので、学校における食育を担当する大臣としての食育推進に向けた御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 私も、この食育という言葉を直接聞く前から、この食べることの重要性というのは特に認識をいたしておりまして、私自身も子供四人のうち二人がアトピー性皮膚炎にかかっておりまして、そういうことからやっぱりこの食事をいかにきちっと取るか、また栄養バランスとか安全性とかそういうことをしっかり考えなきゃいかぬと、こう思っておりました。と同時に、食を通じての今、一家団らんあるいは社会性を養うとかいろんな効果がございますし、またある意味では日本食生活文化の継承と、こういう意味もございます。そういう意味も含めて教育的にもこれは学校で進めていかなきゃならぬ課題だと、こう思っておったわけでございます。  特に、昨年の九月二十二日に小泉総理から文部科学大臣を拝命いたしましたときに指示をいただいた事柄の中に、これまでの教育知育徳育体育に加えて食育というものを重視した人間力向上教育改革にという指示があったわけでございまして、こういうことを考えますと、この食育というものは、これまでの日本伝統的教育と言われた知育徳育体育、これの基礎になるものでございまして、これを重視するということは非常に大事なことですし、これを学校教育の中できちっと位置付けていくという意味において栄養教諭制度というものをきちっと制度化していくということが大事になってきたと、こう思っておりまして、今回のこの法案の提出に至ったわけでございまして、この法案を御承認をいただいて、そして更に食育充実に努めていきたいと、このように思っておるわけであります。
  14. 大野つや子

    大野つや子君 大臣、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  先ほども触れましたように、食の問題は本来は家庭責任を負うべきものと存じます。しかし、核家族化の進展や共働きの増加など、時代、社会環境変化を踏まえれば、家庭の問題であると突き放していても子供食生活改善は難しいと考えます。  栄養教諭制度は、このような問題意識の下、学校も食の問題について一定役割を果たしていくために設けられるものと認識しておりますが、学校の中だけで食生活改善を図ることは、これも極めて難しいと考えます。食に関する指導を進めていくためには、やはり食の問題について第一義的な責任を負う家庭といかに連携していくかがかぎになるのではないでしょうか。そのためにも栄養教諭家庭への働き掛けも積極的に行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  15. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 大野先生もう御自らその結論を出されているような気がいたします。正にこの栄養教諭学校の中のみならず地域社会、とりわけ家庭に対してもしっかり働き掛けをしなければいけない、こういうことでございます。  ちなみに、私たち一年間に三百六十五日掛ける三回食事しますと、ちょうど一千百食食べるんですね。今、学校完全給食をやっているところ、もう目一杯いっても二百食、二百日であります。ということは、千百食のうち九百食は家庭で食べるということでありますから、これはもういかに家庭での食事食生活が大事かと。それだけに家庭がしっかりしなきゃいけないわけでありますが、御指摘のように、いろいろ家庭の側にも例えば核家族化とかいろいろな問題がありまして、十分それにこたえていないのも私は事実だろうと思います。それゆえに、この栄養教諭等がこれから、今までもそうでありましたけれども、これから一層その役割を認識して頑張っていただかなきゃいけないわけであります。  具体的には、例えば給食便り等中心に日々の給食内容、その栄養価など、また季節の食材の紹介とか食品安全の知識、こういうものを提供する、家庭お母さん方に啓発するということ、さらには食物アレルギーに対応した献立作成などについての助言を行う、特に個別指導といいますか、そういうこともしっかり行わなければいけないと思っています。さらに、親子料理教室ということを地域でも行われておりますけれども、お父さん、お母さん子供たちと一緒になってその食に対する関心を高め合うと、こういうこと、そのやっぱり中心としてこれから栄養教諭がその役割を果たすと、こういうことが期待されているんじゃないかと思っております。
  16. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  ただいまの御答弁にもありましたように、食に関する指導において栄養教諭に期待される学校家庭地域とのかかわりや役割を踏まえれば、一人でも多くの栄養教諭学校に置かれることが子供たちにとって望ましいと考えますが、栄養教諭配置はどのようにお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  17. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 栄養教諭配置についてのお尋ねでございますけれども、本年一月に出されました中央教育審議会の答申においても指摘されているところでございますけれども地方自主性を尊重するという地方分権趣旨、また学校給食実施そのもの義務とはされていないことなどの状況等を踏まえまして、地方公共団体地域実情等に応じて判断することといたしておるところでございますけれども文部科学省といたしましては、本制度意義や食に関する指導重要性にかんがみまして、学校栄養職員栄養教諭への円滑な移行が図られ、食に関する指導充実されるよう地方公共団体理解取組を促してまいりたいと考えております。
  18. 大野つや子

    大野つや子君 今御答弁をちょうだいいたしましたが、栄養教諭配置については、現場である地方公共団体の判断にゆだねるという考え方自体地方分権の流れに沿うものですので、理解できます。  他方、今回の法案では定数そのものは増えないこととなっていますが、栄養教諭制度創設趣旨からすれば、より多くの栄養教諭子供たちのためにそれぞれの学校配置されることが望ましいと考えます。将来的には栄養教諭定数改善をどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  19. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 大野先生指摘のように、この制度を導入することによって栄養教諭をできるだけ各学校配置していくという方向が、私はその方向付けの第一歩であるというふうにとらえております。  現状では、今、局長からも答弁申し上げましたように、現実に学校給食制度そのもの義務化義務的なものでないわけでありまして、学校栄養職員も現時点でも三万校余りの学校の中でも一万人しかいないという現状でございますから、単純計算しても三校に一人というような状況下にございます。そこで、一遍に三倍に増やせば各学校に行くわけでございますが、財政的な問題、いろんな懸案事項もあってそうもいきません。しかし、まずはその学校栄養職員の皆さんに教諭に移っていただいて、昇格をしていただいて現場で活躍していただくことがまず第一でございます。その上で、定数改善を図りながら学校栄養教諭を増やしていく方向、これは取っていかなきゃならぬと思っております。  今回の法案によって、即、それが財政的裏付けが付いていて定数増にはなっていないことは私も残念に思っておりますが、これはこれとして、学校栄養教諭定数標準改善定数を毎年その改善計画にのっとってやっているわけでございまして、第七次の公立学校教育学校教職員定数改善計画においては九百六十二人がこの学校栄養職員定数改善に要する定数でございまして、これをまず着実に進めていかなきゃならぬと。これは十七年度まででございます。  これを次の第八次でどのように考えていくか。私は、今回のこの栄養教諭制度の成立によって更に弾みを付けて思い切った定数改善を要求していきたいと、このように考えておりまして、各学校において栄養教諭が更に活躍できる環境作りに、この制度が導入されれば文部科学省としても全力を挙げていかなきゃいけない、このように思っているわけであります。
  20. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  今までの御答弁にもありましたように、学校給食管理と食に関する指導一体のものとして担うという栄養教諭役割考えますと、学校における校長、教職員との一体的取組学校中心とした家庭地域社会との総合的取組など、求められる資質能力は非常に高いものと考えられます。  栄養教諭養成資質の確保はどのように行われることになるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  21. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  栄養教諭職務内容は食に関する指導管理でありまして、栄養教諭には、栄養に関する専門的知識能力に加えまして、児童生徒の心理あるいは発達段階に配慮した指導ができるように教育専門家としての資質も求められているわけでございます。  そこで、これらの専門性養成するために、大学における教員養成基本原則を踏まえまして、各大学大学院におきまして、管理栄養士免許の取得でありますとか管理栄養士養成課程の修了などの基礎資格を得るとともに、栄養教諭としての使命職務内容等について学ぶ栄養に係る教育に関する科目でありますとか、教職意義教育基礎理論教育課程生徒指導あるいは教育相談等について学ぶ教職に関する科目につきまして一定単位修得することとしております。  こういったことにより、栄養教諭としての高い資質能力を確保してまいりたいと、かように考えているところでございます。
  22. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、この問題が大変重要であると思いますが、現在でも積極的に食に関する指導に携わっている学校栄養職員が数多くいらっしゃいます。職員の立場で学校連携子供たちとの触れ合いがある方々です。このような方々については指導面でも一定経験を積んでいると考えることができます。  そこで、これらの学校栄養職員栄養教諭免許状を取得するに当たっては、これまでの指導経験は考慮されるのでしょうか、お教え願いたいと思います。
  23. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 御指摘の点、大変大事なことだろうと思っております。  学校栄養職員につきましては、これまで学校等において給食管理等職務を行ってきたことや、あるいは特別非常勤講師として食に関する指導にかかわってきた実績を評価するとともに、円滑に栄養教諭免許状が授与されるように、通常免許状授与要件と異なる措置を講ずることといたしておりまして、具体的には、学校栄養職員として三年以上の在職年数がある場合には、管理栄養士免許を有する場合は十単位栄養士免許を有する場合は八単位修得でそれぞれ一種免許状や二種免許状を取得することができることといたしておるわけでございます。  この単位数の内訳につきましては、少し細かくなって恐縮でございますが、管理栄養士栄養士として既に栄養に関する専門性を有していることを考慮いたしまして、今後文部科学省令によりまして、栄養に係る教育に関する科目単位として栄養教諭としての使命職務内容について学ぶとともに、教職に関する科目として一種免許状につきましては八単位を、二種免許状につきましては六単位修得することを予定をいたしておるわけでございますが、なお、その際、委員指摘のように、学校栄養職員特別非常勤講師として食に関する指導一定程度行った経験がある場合には、これを考慮いたしまして栄養教育実習を他の教職に関する科目単位修得で代替できると、こんなことも考えておるところでございます。
  24. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次に、食に関する全般的なことを二点お伺いいたします。  栄養教諭役割にも関係することと考えますが、食に関する指導において、栄養バランスや規則正しい食事など、栄養面の正しい知識を身に付けさせることは重要なことでございます。同様に、食事の前に手を洗う、そのためのハンカチを持つなど、トータルとしての食事マナーや、いただきます、ごちそうさまでしたなど感謝気持ちを身に付けさせるなど、文化、しつけとしての側面も重視する必要があると考えますが、いかがでございましょうか、お伺いいたします。
  25. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 食に関する指導内容についてのお尋ねでございますけれども、食に関する指導におきましては、望ましい食習慣の形成のみならず、社会性涵養食文化といった幅広い内容に関連するものと考えておりまして、委員指摘食事マナーを身に付けさせること、あるいは感謝気持ちをはぐくんでいくといったことも食に関する指導を行っていく上で大切なことであると考えているところでございまして、例えば給食指導におきましては、会食を通じて食事マナーを身に付けますとともに、食料生産、流通、消費等について理解をさせまして、自然の恵みや勤労への感謝気持ち涵養を図っているところでございます。  また、社会科におきましては、様々な食料生産国民食生活を支えていること、また食料生産に従事している人々の工夫や努力などにつきまして調べ学習をする、あるいは道徳におきまして、健康や安全に気を付けて規則正しい生活をすること、生活を振り返り節度を守り節制を心掛けることといった内容指導することとしておるところでございまして、文部科学省といたしましては、今後とも、食事マナー勤労への感謝気持ち等を含めまして、幅広い観点から学校における食に関する指導推進に努めてまいりたいと考えております。
  26. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。  次に、栄養教諭には学校給食を生きた教材として活用することが期待されるとのことですが、お米をより身近に感じる体験や、学校給食地域の産物を利用したり地域伝統食を提供することにより、地域社会地域文化に対する関心を高めるなど、この町に育って良かったと思えるような将来への投資、そんな教育効果も見込めるのではないかと考えますが、学校給食における地産地消の取組状況はいかがでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校給食の食材として地域の産物を活用いたしますことは、御指摘のように、食事内容の多様化や児童生徒地域の産業や文化関心を持たせる上で大変良い教材になること、また二つ目には、地域の農業等に従事している方々に対する感謝気持ち、あるいは地域との触れ合いを実感することができる、またさらには顔の見える生産者により供給される食材は安全性が高いといったような大変意義深いものと考えておるところでございまして、文部科学省におきましては、学校給食指導の手引や通知、さらには児童生徒用の食生活学習教材の中におきましても地場産物を取り上げ、地域の特産物の活用やあるいは郷土料理の導入など、地域の特性を生かした学校給食の実施についてその推進を図っているところでございまして、また本年度は、地場産物活用事例集を作成し各学校に配付したいと考えておるところでございまして、これらの事例も参考にしながら、各学校において更に地場産物の活用が推進されるよう努力してまいりたいと考えております。
  28. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次の世代を担う大切な子供たちでございます。栄養教諭制度創設、しっかり取り組んでいっていただきたいと思っています。  続きまして、薬学教育について何点かお伺いいたします。  国民の医療に対する関心が高まっている中で、今後、薬剤師は、国民に接する機会が多い身近な立場から、医療に対して積極的な役割を担っていくべきであると考えています。現在の医療の現場では薬剤師に対してどのような働きが求められているのでしょうか。ニーズも変化していると思いますので、どのような御認識をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  29. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 薬剤師の仕事、業務、元々これはいわゆる医療と一体となって人の命に懸かってくる大事な仕事になるわけでございます。特に近年の医療技術の高度化、さらに医薬分業ということが進んでまいりまして、そういう意味では、医療人としての薬剤師の資質の向上といいますか、高い資質を備えている薬剤師、この養成が強く求められてきておるわけでございます。  こういう観点から見てまいりますと、例えば平成八年には薬剤師法が改正をされまして、処方せん調剤時における患者等に対する情報提供の義務というものが義務付けられましたし、平成九年の医療法の改正によりましても更にインフォームド・コンセントに関する努力義務が入ってきております。さらに、平成十四年の薬事法の改正によりまして、医薬品との関連が疑われる副作用情報の報告義務と、こういうのも入ってきております。さらに、医薬分業率も、平成八年が当時二〇%でございましたが、現在、平成十四年においては既にもう五割、今日五〇%を超えております。こういう状況下において、医療現場においても薬剤師の皆さんが積極的な役割を果たしていただく、そのことが制度的にも社会的にも求められる、こういう状況下にあるわけでございます。  そういう意味で、薬剤師の皆さんがこれからの役割を適切に果たしていくためにも、医薬品の効能、効果あるいは副作用等の、医薬品を人体に適正に使用するための知識とか患者とのコミュニケーション、その能力、あるいは医療人としての高い倫理観、そういうものを持った薬剤師の育成、これが必要になってきておりまして、そういう観点から薬剤師に対する働きの大きさというもの、これが社会的にも求められておる、こういう観点に立って、今回のこの薬剤師の養成の在り方、これを抜本的にといいますか、変えていこうというのが今回の法案の提出になっておるわけでございます。
  30. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、修業年限延長の趣旨についてお尋ねしたいと思います。このたび修業年限を延長する目的についてまずお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほど御答弁を申し上げましたように、医療人として薬剤師の資質向上、また高い知見というものが必要になってきている、そしてまた患者とのコミュニケーション能力を更に高めていかなきゃならぬ、そういうこと等々を考えますと、今日の四年の修業年限で十分であろうかという観点から、あらゆる角度からこの問題について検討が進められてきたところでございますが、特にそうなりますと、医薬、医療薬学系の科目充実させていく必要もございます。あるいは、病院、薬局における実習というものも長期間にわたる、これが必要になってくる。こういう意味教育内容改善も図っていこうと、こういう方向付けがされたわけでございます。  また、特に諸外国におきましても薬剤師養成のための薬学教育というのは既にもう五年あるいは六年になっておるわけでございまして、日本のように四年間で薬剤師を養成している国はもう先進国ではないという現状でございます。  そういうことも考えておりますと、この薬剤師の養成期間が四年間では十分な期間であるとは言えないというのが結論でございまして、これをあらゆる角度から考えて六年間に延長することが適当であるという結論に至ったわけで、本法案が出させていただき、また中教審においてもこの問題について御検討いただいて提言もいただいたところでございます。  この修業年限を延長することによって我が国の医療を担う高い資質の薬剤師を養成してまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  32. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  この修業年限については、何か聞きますと、大変長い間、大学や薬剤師会など関係者間で議論が、論議が実現してこなかったというようなことも聞いております。このたび関係者の間でどのような共通理解が図られたのでしょうか、お教え願いたいと思います。
  33. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 薬学教育の修業年限の問題につきましては、御指摘のように、これまで長い議論があったわけでございます。文部科学省におきましても、平成五年の時点で大学の関係者、薬剤師会の代表者等から成ります調査研究協力者会議を設けましてこの問題の検討を行ったわけでございます。  その際には、大学の関係者からは、病院等での実務実習の充実に当たって実習施設の確保や指導体制等の構築にその時点ではまだ困難が多いと、こういう御意見、さらには修業年限が延長された場合の薬学部入学希望者への影響を十分見極める必要があると、こういう慎重な対応を求める意見が示されたわけでございまして、この際、この時点では、平成八年の三月にこの協力者会議の最終まとめが出されたわけでございますが、そのまとめにおきましては、修業年限を延長するのではなくて現行制度の枠内で薬学教育改善する方策がその時点では現実的であると、こういう結論が示されたわけでございます。また同時に、この最終まとめにおきまして、医療薬学教育充実を図るため、関係行政機関、関係団体等を構成者とします協議の場の設置が提言をされまして、これを受けまして関係者間で引き続き議論を行うことになったわけでございます。  平成八年から薬剤師養成問題懇談会、このメンバーは、文部科学省、厚生労働省、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本私立薬科大学協会、国公立大学の薬学部長会議のメンバー、六者懇と言っておりますけれども、そういう人たちで構成をされまして検討が行われたわけでございます。  この検討が行われている間に、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、法律改正によりまして、薬剤師の役割につきまして、処方せん調剤時における患者等に対する情報提供の義務、あるいはインフォームド・コンセントに関する努力義務等々が法律改正により定められたわけでございます。また、医薬分業率も大幅に増加をしたということで、薬剤師が医療現場におきましてこれまで以上に積極的な役割を果たすことが求められるようになったわけでございます。  こういったような情勢等も受けまして、懇談会におきまして、平成十四年一月に、社会的ニーズに適切に対応すると、そういう観点から、薬剤師養成のための教育期間を六年とするという方向につきましておおむね関係者間の合意を得たわけでございまして、その具体化に向けまして、引き続き大学教育につきましては文部科学省で、国家試験の受験資格につきましては厚生労働省で具体的に検討をするということが申し合わせられたわけでございます。  これを受けまして、文部科学省におきまして平成十四年の十月から調査研究協力者会議において調査研究を行うとともに、中央教育審議会におきましても御議論をいただきまして、今回の薬学教育改善充実方向が取りまとめられ、このような形で法案を出させていただいたという経緯があるわけでございます。
  34. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、薬学教育充実のための条件整備、実務実習の体制整備についてお尋ねいたします。  今回の修業年限延長の最大の理由となっておりますのが、病院や薬局における長期の実務実習の実施であると考えます。実務実習を六か月程度実施するということになりますと、受入れ側などの条件整備を行っていくことが必要だと存じます。このことについてはどのようにお考えでしょうか。特に六か月という期間について何か根拠があるのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 先ほどこの実現に向けまして調査研究協力者会議で種々御検討をいただいたということを申し上げましたけれども、その中で、実務実習モデル・コアカリキュラム、こういうものが協力者会議で策定されたわけでございます。その中で、実務実習については六か月という期間が必要だと、こうされたわけでございますが、それは今後、やはり実務実習において修得すべき内容は何か、それを十分に学生に履修させるために必要となる時間数はどの程度か、こういう観点から専門的に検討し整理を行い、そういうモデル・コアカリキュラム、こうなったわけでございます。  この六か月でございますけれども、三つに分かれてございまして、一つには、学内におきましてまずは実務実習の事前の学習を一か月程度やる必要があるであろう、そして十分な予備知識、学習をした上で薬局の実習、そして病院実習、それぞれ二、三か月程度をやる必要があるだろう、したがってこれが六か月と、こういうことになるわけでございます。したがいまして、この六か月という期間は実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った実習を行うために必要な期間でございまして、今後、薬剤師が医薬品を適正に使用したり服薬指導を行ったり、あるいはチーム医療の一員として積極的な役割を果たしていくことができるようにするために必要な期間であると私ども認識をしておるわけでございます。  こういう長期にわたる実務実習を行っていくためには、御指摘のように受入れ側の条件整備が大きな課題になってくるわけでございまして、現状では約八割の薬学系の大学薬学部におきまして一か月程度の実習が行われている。それでもやはりなかなか大変でございまして、その受入れ体制作りにつきましては、例えば全国八ブロックに地区調整機構というものを置きまして、これは大学と病院の薬剤師あるいは薬剤師会から構成されているものでございますけれども、そういうブロックごとの地区調整機構におきまして受入れの調整の実施をされていることもございます。また、各都道府県単位でも大学と関係団体との協議会等が設けられまして、実務実習の受入れに際しまして、地域の薬剤師会、病院薬剤師会等との情報交換、意見交換が行われておるということもございます。  この、今一か月が六か月という長期の実務実習が実際に実施されるのは平成二十二年度以降ということに予定をしておるわけでございますけれども文部科学省といたしましては、厚生労働省とも連携をいたしまして、大学日本薬剤師会、日本病院薬剤師会など関係者との協議の場を設けまして、実習生の受入れ可能な施設を更に増やすための方策など、実務実習の実施体制について検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  36. 大野つや子

    大野つや子君 よろしくお願いをいたします。  長期の実務実習を行っていくことは今後の薬剤師の資質向上のためにも必要なことであると考えます。しかしながら、他方で、薬剤師免許を有していない学生の段階で、今御答弁にもちょっとあったんですが、実際に調剤業務や服薬指導などに当たることは、国民から見ますと危険ではないでしょうか。国民の認知、広報の仕方など、このような懸念に対する方策についてはどのようにお考えでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  37. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、薬剤師法におきましては、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」、こう規定をされてございます。ただ、一方、実習ということになりますと調剤をしないと意味はございません。  そういうことで、この点につきましても厚生労働省の検討会で御検討をいただいたわけでございまして、この薬学部学生の実務実習における医薬品の調剤行為、これにつきまして厚生労働省の検討会ではこう言っています。一つは、一定の要件を満たす指導薬剤師による指導監督が行われること、そして学生が事前に十分な知識、技能、態度を習得していること、そういうことを条件として指導薬剤師がきちんと学生の調剤を確認するということであれば違法性はないんではないか、こういうことでまとめられておるわけでございますが。  したがいまして、実習におきましては指導薬剤師の適正な指導監督の下に実施されるということがまずは大事なことでございますし、さらには、実習の前に学生が事前に十分な知識、技能、態度を習得しているかどうかということを確認するために、今、大学関係者の間で議論が進み、そうしようということになっておりますが、実習に出る前に大学間の共用試験、すべての薬科大学学部の共通でそういう共用試験を実施をしまして、十分学生がそういう知識、技能、態度を習得しているかどうかというのを試験をして、合格した者について実習に出す、こういうことを今検討されているわけでございますけれども、そういったようなかなり慎重なことをしながら、学生が調剤に当たるんだということにつきまして、やはりこれも国民の皆さん方の不安を解消するということが大事でございますので、厚生労働省とも連携をしながら、そういった国民方々理解を得るための広報等の方策について今後しっかりと検討していきたい、こう思っております。
  38. 大野つや子

    大野つや子君 どうぞしっかりした指導をよろしくお願いしたいと思います。  次に、四年制学部を併存させる必要性についてお尋ねいたします。  現在、薬学部卒業生の進路状況はどのようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。
  39. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 平成十四年度の薬学部の卒業生の進路状況でございますけれども、病院、薬局に薬剤師として就職した者が四〇%程度でございます。それから、大学院に進学した者が三〇%程度、それから製薬企業や医薬品販売業等に就職した者が一五%程度、残り一五%でございますが、衛生行政あるいは教職、試験研究機関等に進んだ者でございます。これが一五%というような状況でございます。
  40. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  御答弁のように、四年制学部の卒業生の多くがまた大学院に進学したり製薬企業に勤めるなど、薬学教育には多様な役割があることは承知いたしておりますが、また、薬学の基礎知識を持って社会で活躍する人材、例えば製薬企業の営業担当などを育成することも重要であると思います。この件に関しての御見解はいかがでしょうか。
  41. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) ただいま局長から、薬学の教育を受けて実際の就職の状況がお話あったところでございます。要は、学卒で四割ぐらいがいわゆる薬剤師さん、病院やら薬局の薬剤師さんになる、進学して大学院を出てまた薬剤師さんになる方がおりますから、大ざっぱに見まして大体五割が薬剤師さんとして仕事をされますし、残りはまた違う分野、こういうふうに行かれるのが実態のようであります。これは医学とか歯学、看護師の皆さんの業界と大分様子が違うところであります。  それゆえに、今回の薬剤師養成の学部教育が四年から六年になったわけでありますけれども、あわせて四年間の学部を併存させながら、そこを出て、例えば大学院に行って基礎研究をする、またいきなり会社に入って製薬会社の営業になる、こういうことも、道もしっかり開けておくべきだと、こう考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、先生指摘のように、四年制学部から大学院に進んで製薬企業や大学で研究開発に携わる者を始めとして、企業の医薬情報担当者、MRとか営業担当、さらには医薬品販売に携わったり、化学、食品産業の技術者、食品開発などにも携わる、要するに幅広い人材を育てていくというのがこれからの薬学教育のあるべき姿ではないかと、こう思っているところであります。
  42. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、薬剤師国家試験受験資格についてお尋ねいたします。  今回の学校教育法の改正に合わせて改正される薬剤師法において、薬剤師国家試験受験資格は六年制学部卒業者に与えられることが基本とされていますが、移行期間における四年制学部卒業者の受験資格についてどのような経過措置があるのか、お教えいただきたいと思います。私はこの移行期間が大変重要であると考えます。六年制の明確化や幅広い認知の問題に関係することだと思っておりますので、御見解をお聞きいたします。
  43. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 現在、厚生労働省の方から御提出になっております改正薬剤師法におきましては、薬剤師養成としての薬学教育は六年間の学部教育が基本であると、こういう考え方で、四年制学部を卒業しただけでは薬剤師国家試験受験資格は付与されない、六年間の学部教育を出た人について原則的には付与すると、こういう内容になっておるわけでございます。  そして、四年制学部・学科を卒業した者が薬剤師を目指したいと、こういう、考えた場合に、じゃどういう道があるのかということでございますけれども、二通りございます。  一つには、卒業をしてから、四年制の学部を卒業してから六年制の学部の方に編入学をする、学士入学をすると。五年次に、多分五年次に入ると思いますけれども、そして六年制の学部を卒業することによって受験資格を得るというのが一つございます。  それからもう一つは、この薬剤師法で受験資格の経過措置ということで、今の先生指摘のような経過措置があるわけでございますけれども、その点が一つでございます。  その点といいますのは、四年制の学部を卒業をし、薬学に関する修士課程を修了して、そしてその実務実習を含む医療薬学に関する履修を行ったと。一定条件とこう言われていますけれども、そういう六年制の学部を履修した人と同じような、そういう意味での同じような教育を受けたと、履修をしたということで、厚生労働大臣の方から、六年制学部卒業者と同等以上の学力及び技能を有していると、こういうことで個別に認定を受けると。そうしますと、これが受験資格ということになるわけでございますが、これも、これ経過措置でございまして、この個別認定の方式につきましては法施行後十二年間に限り認められるというような内容になっておるわけでございます。  この措置は、新制度の施行、新制度が施行されました後、六年制学部、四年制学部双方で卒業生が出てそれぞれの道で活躍をするわけでございますけれども、その進路が明らかになってそれぞれの課程の評価が定まるというまでは、やはり高校生、どっちにしようかということでいろいろ悩むわけでございますので、そういう高校生の進路決定に混乱を生じるおそれがないようにと、そういうことでそれを見極める期間もあった方がいいだろうということで、こういうような十二年間というその経過措置を設けられたというふうに理解をしておるわけでございます。
  44. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、継続教育、生涯教育についてお尋ねいたします。  今回の学校教育法改正により医療薬学教育を身に付けた薬剤師が輩出されることになりますが、これまでの四年間の学校教育で現に薬剤師となっている方々に対するレベルアップが重要ではないかと考えます。同様に、二年間延長して六年間の薬学教育を行ったとしても、やはり六年間ですべてが終わるわけではなく、薬剤師国家資格取得後も人の命を預かる医療関係者としては常に研さんしていただかなければならないと思います。そのためには、それらの方々に対する継続教育や生涯教育などの支援が重要ではないでしょうか。現段階でどのようにお考えかお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  45. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、大学だけの学習ですべて終わりというわけにはいかないわけでございまして、医薬品や医療技術に関する情報が日々進化、増大する中で、薬剤師には常に学習を続ける努力が求められておるわけでございます。  そういう機会の提供ということで、大学の方でその大学を卒業した後も薬剤師に対してレベルアップの機会を提供するということが大学役割の一つであるということで、現在七割以上の薬系の大学におきまして卒業生や薬剤師を対象とした卒後研修の機会が設けられております。例えば、岐阜薬科大学でございますと、薬剤師生涯教育講座、これを年八回開講しているとか、あるいは、近くでいいますと千葉大学の薬学部のセミナーでは、年十二回開講して約二百人ぐらいを対象にやっているということもございます。それから、大学だけでございませんで、日本薬剤師会におきましても、卒後研修の推進を主要な事業の柱と位置付けまして、各都道府県の薬剤師会におきましても様々な研修の機会が提供をされていると、こう承知しております。  これも岐阜県の例で言いますと、岐阜県の薬剤師会では、卒後教育講座を毎月開催をしまして、リウマチの治療、糖尿病、アトピー性皮膚炎、漢方等に関する講習会を主催しているというふうに聞いています。これは恐らく全国の薬剤師会どこでも一緒だと思いますけれども、そういう形になっておるということでございます。  私ども文部科学省といたしましては、生涯学習継続機会の機会の提供につきまして、各大学に一層の取組を促すほか、日本薬剤師会等の関係団体に対しても働き掛けをしてまいりたいと、こう思っております。
  46. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。  終わります。
  47. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 おはようございます、どうも。おはようございます。  大野先生に引き続き、学校教育法等の一部改正する法律案について御質問させていただく前に、ちょっといろいろ考えることがありまして、もうこの夏でもうそろそろ参議院議員になって三年を経ようとしているんですけれども。僕は、それを正式に言うと五年前まで中学しか出ていない男でして、それで、よくよく考えると、いつの間にか明治大学大学の四年生になっていまして、自分で考えたとき、できがいいかできが悪いかといったら、どちらかというとできの悪い方なんですけれども、残すところ単位が四十四単位。それで百二十四単位取らなきゃいけないんですよ。それで四十四単位残ったんですよ。これがまた、大学の四年生では四十単位しか取れないんですよ。  運というのは、これ人間の人生の中で、運、あんたは運で生きているねとよく言われるんですけれども、これ、本当は四十単位しか取れないんですけれども、たまたま僕はゼミを取っていたために四単位残っているんですね、これね、四年生。それで、四十四単位ぎりぎりなんですね。いつもぎりぎりの人生を生きているんですね、僕は、多分。ちょっと、ちょっと踏み外せばがけっ縁に落ちるかもしれない。これ笑い事じゃなくて、皆さんそうなんですよ、皆さんそうなんです。人生、僕は、こういう、安全に生きているなと思っていても、どこに落とし穴があるか分からない。人生そういうものじゃないですか。  ある学生が僕に言ったんです。ある学生が僕に言いました、大仁田さんって。質問のときは、大仁田さん、ずるいですねと言うんですよ。学生が僕に言うんです、ずるいですねって。有名人なのに、参議院当選して当たり前じゃないですかと。(「こっち向かないと」と呼ぶ者あり)ああ、済みません、済みません。いや、こちらにも聴衆の方がおられるもので、一応、どうしても、エンターテインメントの世界なもので、どうしてもこっち向いてしまうんで。だれが引っ張るのかよく分からなかったんですけれども。  それで、その学生がおれに言うわけですよ。たまたまそのセミナーで、それで学生たちが政治家に質問するところだったんです。僕も参加しまして、学生がそう言うんです。有名人だから当選したんだと言うわけです。ちょっと待てと。僕は中学しか出てなかった、だけれども、高校に行き、日本一周をして、ジャイアント馬場さんの付き人をして、世界二十七か国を回り、プロレスを続け、そして人生の勉強をし、そして高校に行き、大学に行っているって。自分が培ったものを利用しなくて何の人生ですかと。自分が作り上げたものを世間に対してアピールして何が悪いんですかと。  そのとき、たまたま運の悪いことに、河野洋平さんの息子さんとか二世議員、三世議員がいたんです。では、この方たちはどうするんですか。地盤、看板、かばん、全部持っているじゃないですか。それで国会議員になったと。それも確かに一理はあります。僕は否定はしません、全部が全部。だけれども、自分の力を、自分が培ってきた力をじゃ利用してその地位をつかんだりそのポストをつかんだりすることがなぜ悪いんでしょう。僕そう思うんです。よく否定的な人がいます。ああ、あの人が参議院になってしようがないだろうと、何ができるんだと、教育法があの人に語られたくないと。  じゃ、僕は大臣に御質問したいんでございます。教育って何ですか。教育とは何ぞやと。いまだに分かりません。じゃ、プロレスとは何ぞやと。いまだに僕分からないんです。僕は答えのないものだと思っています。じゃ、だれが教えるのか。だれが教えたらこの子は伸びるのか。じゃ、生まじめな人が教えたとき伸びるのか。だけれども、人生経験豊かなその地域の、その地域の職人さんとして生きた人間が、たまたまその子供に教えたとき、その子供の才能は極端に伸びることだってあり得るわけです。世の中の尺度、定義というのは僕どこにあるのかということを常に日ごろから考えるんです。  たまたまこの間、大学の質問で、これ、済みません、聴衆の方々、これ、質問に全然、全く関係ないんです。いつも質問が決まっているんです。だけれども、これ僕、大臣にこれ直接聞きたいと思うんですけれども、僕は、はっきり言ってグローバリゼーションというものが問われています。日本はやっぱり国際社会人であるべきだということを問われています。大臣にこれは本当に質問なんですけれども、じゃ大臣考える真の国際人というのはどういうふうにお考えでしょうか。申し訳ございません、質問になかったです、申し訳ございません。大臣考える真の国際人とはどういうものでしょうか。済みません、よろしくお願いします。
  48. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 最初に、教育というのは一体何にあるのかと、こういう質問もございました。  日本教育の根本、教育基本法によれば、教育の目的といいますか、一番のねらいは、やっぱり人格の完成を目指していくんだと、こういうふうにうたってあるわけです。と同時に、今おっしゃったように、これからの教育考えたときに、今、国際人と、こうおっしゃいました。世界が狭くなって瞬時のうちに世界のニュースが我々の中に入ってくる、そのことをちゃんと理解をしていく、そういう教養も努めて取っていかなきゃなりません。  と同時に、そのためにはやっぱりまず自らの国のこと、自らのふるさとのこと、そういうこともきちっと理解をし、知識を持った上で、その基盤の上に立って世界を見る力といいますか、そういうものが必要ではないか、こう思っておりまして、国際人というのは、そういう両面からの知識を持ち、教養を持ち、広い知識を持っている、そういう人が国際人であろうと、このように思っております。
  49. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございます。  たまたまこれを教授が僕らに質問するわけです。それで、唯一、唯一面白い答えをしたのが中国人の留学生だったんです。ほとんどの大学生は訳の分からぬことを言っていました。いや、近いことは言っていますよ、近いことは言っていたんですけれども、僕、それが、その中国人が言うには、自分の国を愛し、そして相手の国の人に対して自己主張をちゃんとできる、そしてまたちゃんと相手の意見を受け入れられる、そういったものが真の国際人じゃないだろうかということを言われたときに、ああと。単純な答えなんですけれども、意外と、意外と人間が見逃しているところがたくさんあるんですよね。  僕は別に大学に文句を付けるわけじゃないですけれども大臣単位を取るだけが大学でしょうか、本当に。いや、僕も単位を追っている自分もいます、確かに、単位をもらわなければ卒業できませんから。だけれども、本当に学校へ行くのって何だろうかなと、僕、常日ごろ考えることなんです。  本当に、多分こちら側の聞いている方は大仁田は何を質問しているんだろうと、こう思われるかもしれないですけれども、僕は本当に自分の中でやっぱり悩み苦しむことがたくさんあるんです。だって、だって僕は人生ってそうだと思いますもの。悩む方が多いわけですから。うれしいときなんて一瞬ですから。だけれども、僕、悩めるのもこれ人間の才能だと思うんですよ。物事に悩める、いろんなことというのは才能だと思うんです、僕は。そこから答えを見いだしていって人生を構築するんだと思うんですけれども。  僕の話をちょっと、ちょっと三十分ぐらい聞いてもらいたいんですけれども、たまたま、たまたま高校の講演に行ったんですよ。ちょうど六年前です。六年前、高校の講演に行ったんです。もう中庭で講演するものですからね、うるさいんですよ。あのころガングロがはやっていまして、ガングロはいたし、いろんなやつがいた。ただ、五人ぐらいの生徒が黙っておれの話を聞いているんですよね。ああ、こいつらに話そうと。じゃ、その子たちに一生懸命こうやってこう語るわけですよ。僕はプロレスをやっていてね、どうたらこうたらと語るわけです。そうしたら、まじめにずっと聞いてくれているんです。それで、最後にその子たちが僕のところへやってきて、大仁田さんと言うんです。高校行ってないんですかと言うから、ああ、僕高校行ってないんだよと。そうしたら、その子たちに言われたことだけじゃなくて、自分の中でリピートする自分がいるんですね。過去にリピートする自分がいるんです。おれは十五歳のときに何をやったかと。  中学卒業したときに考えたんですよね。自分の人生を考えたんです。たまたまうちは親が離婚していたものですから、うちのおやじは人生の中でろくなもの、余りろくなものではないものですから、ろくなものというのはちょっと不適切だと思うんですけれども、人生の中ではちゃめちゃに生きた人なものですから、お母さんが三度目だったんですね。三度目のお母さんに僕は高校の授業料をくれとは言えなかったんですよね、自分の中で。そのちょうど中学生という、十五歳のころというのは、自分の中で人生との格闘の時期だったんですね。ちょうど多感な時期だったんです、自分の中で、人生の中で。  小学校二年のときにおふくろとおやじが離婚したときに初めて、初めて自分自身を考えるようになった、ああ、自分の人生は自分で考えていこうと。決してうちは、申し訳ないんですが、呉服屋の息子ですから、決して家庭が裕福じゃなかったわけじゃありません。お金をちょうだいと言えばもらえた状況だったんです。だけれども、そこに僕がおやじに対する反発心が目覚めたんです。ああ、自分の人生は自分で考えようと。自分で生きてみようと。で、中学一年のときから新聞配達をするわけですね。だから、それは親に対して、親に対しての反発心なのかな、反発心と言われたら反発心なんですけれども。  じゃ、子供たちを自分たちの中で確かに真っすぐな道に進めるのは必要ですよ。だけれども、自分が自分で生きようとする活力をみなぎらさせるのも、これも必要なことだと僕は思うんですよ。  それで、たまたま、たまたま、何を考えたのか、日本一周歩いてみようと考えた、旅したらだれかに出会うだろうと。長崎の県庁前からリュックサックと寝袋を担いだ十五歳の少年が歩き出しました。三十日間掛かって神戸の元町の駅にたどり着きました。その当時、車で行ったやつもいれば、バイクで行ったやつもいるでしょう。自転車で行ったやつもいたかもしれないですけれども、歩いたやつはいなかった。  十五歳の少年が二つのことを考えたんです。  一つは、一つは靴、靴がありますね、靴がね。昔のことって言われますけれども、扇先生なんかも御存じですけれども、僕の時代もぎりぎりそうだったんですけれども、親から、おい、靴は穴が空くまで履けと言われたはずです。物は大事にしろと言われた文化があったはずです。今のように、新しいものを消費しろ、安いものがあるからどんどんどんどん替えろという文化じゃなく、ちゃんと物は大切にしろという文化があったはずです。親からちゃんと教えられたはずです。  僕はそのまま、中学校で使っていたそのままのズックで歩いていましたから、一日六十キロから、五十キロから六十キロ歩きますとすぐ穴が空きます。そこで少年は考えました。靴買ったら金が減る。手持ち資金二万八千円。これ、新聞配達で稼いだ金ですから。靴買ったら金が減るじゃないですか。それで、パッケージに書いてあった、電話番号書いてあった、大阪〇六何たらかんたら。僕そこへ電話したんです。済みません、話の分かる人いますかと言ったら、営業部長さん出てきてくれた。それで、済みません、あの、僕、日本一周歩いている者なんですけれども、靴提供していただけませんかと言ったら、分かったと言うんですよ。またこの安易なおやじやなと思ったんですけれども、だけど、じゃその人がうそをついたかといったら、うそをつかないんです。ちゃんと大阪へ行ったら、フグをごちそうになって靴も三足くれたんですよ。  そこに何があるかというと、ちゃんと大人がうそをつかなかった、そしてちゃんと子供に対して向き合ってくれたという部分があるんです。大人大人であった時代、子供子供であった時代、ちゃんときちんと分別されて、大人大人の世界観を持った時代があったはずです。大臣、そうじゃありませんか。子供子供の世界、子供がちょっとジャンプして、跳ねようとしてちょっと大人びたことをやれば、大人社会がちゃんと抑え付けた。おい、そうじゃないだろうとちゃんと言えた時代があったはずです。僕らは子供のころそういうものを感じました。肌で感じ、感覚で感じました。  もう一つのことをやったんですけれども、たまたまこうやって日本一周歩いていたら、やっぱりほら、人に知らせたいじゃないですか。それで、県庁の所在地の判こもらいに行くわけですよ。あれ、県庁の所在地の判ことか市の判こというのはだれでも押せるんですね、あれね。ああ、これじゃしようがないだろうといったら、そうしたらたまたま、こうやって歩いていたら新聞紙が絡み付いてくるんですね。しようがないから、余り新聞なんて読まなかった男がこうやって暇だから読みながら歩いていたら、囲みの記事のところに、不思議なことですよ、その記事が、サウジアラビアの二人の兄弟がサハラ砂漠を徒歩で旅しているという記事が載っていたんです。あら、外国の人もこうやってやっぱり自分のやっていることをアピールするんだ、ああ、こうやってアピールすれば新聞に載れるんだと、人に知らせることができるんだと。これこそパブリシティー、宣伝ですね。それで、門司のスポーツニッポン新聞社にって書いてあったから、ああ、新聞社何でもいいやと思って新聞社に入っていったんです。守衛さんが、守衛さんが僕に言う、何だと言うから、ああ、済みませんと言って、こうやって日本一周やってる者なんですけれども取材していただけませんかと言ったら、その守衛さんが、おお、二階の編集部へ行けって入れてくれたんですよ。いや、本当。僕、記事あるんですけれども、今度見せますよ、本当に。自分で売り込み行ったんですよ。  いや、だから考えてください。中学卒業したばっかりの十五歳の子供ですよ。そうでしょう。それでたまたま取材してくれて、僕はアドベンチャー少年って載ったわけですよ。だからこそこうやって言えるわけですよ、やりましたよって。じゃ、裏付け出せと言われたら、年金未納の問題でもそうですけれども、裏付け出せと言ったら、こうやって新聞を出せばいいわけです。こうやって、やりました、大臣と、うそじゃありません、僕はと、こう示すことできるわけです。それが自信じゃないですか。  だって、自信って何だろうかなと、僕。ほら、自信を持てとか子供に言うじゃないですか。自信を持てとか言うじゃないですか。おまえ、親がですよ、おまえ、自信を持ってやれよと言う。自信になるんですか、あれ、やっぱり。自信って何だという。やっぱり親が何で子供に言えるかというと、裏付けがあるからですよ。自分がやってきた、たどった道が真実であったらちゃんと自信を持って子供に言えるわけじゃないですか。おれ、そうだと思うんです。  何で高校の話からこっちにずれちゃったのかな、よく分かんないんですけれども。薬学教育関係のことについてはちゃんと後でお話ししますから、まだまだ時間がありますんで。  その子たちが僕に問い掛けたことが、体の、心の中に響くわけですよ。高校へ行っていないんだ、高校へ行っていないんだ。そうしたら、自分の中にたまっていたコンプレックスがぽんと、がっとよみがえってきたんですよ。僕はそのままで、馳政務次官もそうですけれども、プロレスラーという職業に就き、自分の肉体を信じたり、全く、何というんですかね、学歴とは全く違った世界にいたわけです。だから自分を信じているんです。自分の肉体とか精神的なものとかを信じた世界にいたから、学歴というものに余りこだわらなかった。ただ、その少年の一言が僕の何か眠っていた学歴に対するコンプレックスに対して火を付けたんですね。そうしたら、自分の中でもう一回高校へ行ってみようかという気になったんです。四十一歳だった。正式に言うと四十歳ですけれども、まあ三十九歳と何ぼですけれども、余りその辺は定かではないんですけれども、三十九歳だったと思います。  教室の中へ入ったら、大臣、大変ですよ。ぱっと見たら、それ、ほら、ガラス。不思議ですね、高校。教室って絶対そうでしょう。皆さん見逃すかもしれませんけれども、ドアがあったら絶対ガラスで見えるじゃないですか、こうやって。あれ、やっぱり状況が見えるような作りになっているんですね。ぱっとのぞいたら、十七歳、十八歳ですよ。参った、おれは人生間違ったかなと思いましたよ。だって、十七歳、十八歳の中に四十近い男が飛び込んでいかなきゃいけない。そして、ぱっと座った瞬間ですよ、一時限目が数学の時間ですよ。二十六年ぶりに微分積分やられたって分からないですよ。分かんないですよ。おれ、何だろうかな、これはと思いましたもの、本当に、二十六年ぶりに。いや、本当に。現場から離れていると。  僕、なぜ教育を今ばっと語っているかというと、僕は身近にいるからですよ。学校という教育現場にいるからこういった話をしているんですけれども、たまたま。分からないんですよ。分からないときにだれが助けてくれたかと。  最近の若い者は、もう何千年前のエジプトのピラミッドの中に最近の若い者はなっとらぬという言葉があったそうです。歴史はずっと繰り返されているんですよ、意外と。最近の若い者はどうしようもないなとよくおじさんたちが言いますけれども、だけれども、そのおじさんたちだって若いときは言われたはずです、多分。  おれ思うんですけれども、だれが助けてくれたかというと、その若い人たちですよ。十七歳、十八歳の人たちが僕に友達になってくれて僕は多分高校を卒業できたんだと思います。その子たちがその微分積分を教えてくれなければ、僕は多分頭の中に入らなかったと思います。友達のすごさというのは僕はそのときかいま見ました。ああ、人間って独りじゃないなと。人間って、いかにも自分の人生を独りだけで生きているふうに思われますけれども、僕はやっぱり独りじゃないと思います。もうすごく感じます。  僕は、教育って何だろうかなと。何かといえば、何かといえば、教育が悪いと言われますよ。だけれども、やっぱり僕は、僕はすごく感じたんですけれども、ちょうどインドに、ちょうどほら、ゆとり教育だ、詰め込み教育だともめたときに、インドにたまたま僕はNHKの仕事で学校教育を見に行ったんですけれども子供たちが一日平均十四時間から十五時間勉強する。それも、カースト制度がありますけれども、あのインドもどんどん変わってきて、一番下層階級に教育を与えようということで、下層階級を全村や町から集めて寄宿舎に入れて、十四時間から十五時間、一日、勉強させるんです。その子たちは昼休みも使って本を読んでいます。僕ははっきり言ってそんな勤勉な方じゃないですから、その子たちに質問しました。何でそこまで勉強するんだと言ったら、その子たちの答えが国のためだと。おまえ、うそだろう、本当のこと言えよって、だれのためなんだよと言ったら、家族のためだって言う。  だけれども、僕はその子たちの目の中に、ちゃんと勉強して知識を身に付けて、ITT、工科大学などとちゃんと目標を持ち、ちゃんと身に付ければ何かができるんだということを、子供たちの中の認識の頭の中で、ああ、ある程度の地位に就けるんだと、これをやれば、これをやれば下層階級であっても、自分たちでこうやって勉強すればこの階級まで行けるんだ、収入を得られるんだということをその子供たちが実感の中で、何か体感の中でか、その感性の中でだと思います、感性の中で社会をちゃんと感じ取っているようなちょっと気がしたんです。  日本というのは、僕ははっきり言って、コンビニが二十四時間開き、そうじゃないですか、買いたいものがあれば買える、不景気だと言いながら、ねえ。  はい、そろそろ本題に入らせていただきます。いやいや、もうすぐ入りますから。いや、本当です。  僕は、教育というのは不思議なことに、豊かさの中から生まれるかといったら、そうではないと思います。僕みたいな男が言うわけじゃないですけれども、いろんな人がいると思います。確かに、エリート教育というのも僕は否定しません。否定はしません。ただ、ただ、ただ、僕は子供たちに願うのは、自分を信じること、そして人間一人のパワーが何かができるんだよということを反映させていこうかなと思っています。  それから、後で言いますけれども、是非僕は文科省にはお願いしたいのは、自分を好きになってもらいたいんです。子供たちに自分を好きになってもらいたい。そして、その好きな自分の人生を僕は有意義考えてもらいたい。そういった教育現場を作ることの方が僕は重要じゃないかなと思います。  そして、何が必要か。この国は、僕は今こそ人づくりだと思います。人づくりなくして国づくりなし。教育というものは、僕は答えは多分出ないと思いますけれども、やっぱり人をつくってこそ僕は教育だと思っております。それこそ僕は最大の国益になり、また今の新しい、新しい日本を作り上げる土台になると思うんですが。  それでは、そろそろ時間ですので本題に入らせていただきます。大野先生に引き続き、学校教育法等の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。  まずは、薬学教育関係について御質問させていただきます。  最近の医療技術の進歩には目をみはるものがあります。病気に苦しむ多くの方々がその恩恵を受けているわけですが、その分、医療の現場は高度化し複雑化していることも事実です。誤った薬の投与により、医療事故も多発しています。ここ数年の医療事故に関する新聞記事を調べてみただけでも、これだけの量の、これだけ検索されました。  薬剤師が薬の名前を間違えるケースだけではなく、医師や看護師の投薬ミスも数多くありますが、薬を管理する薬剤師の責任が重大であることは僕は間違いないと思います。このような現状から考えても、薬剤師の資質アップにより安全な医療を提供していくことが今後の課題だと思えるのです。  そこで、河村大臣にお伺いします。  このたびの薬学教育修業年限度延長によって具体的に何が変わるのか、そしてまた何を目指すのか、お聞かせください。よろしくお願いします。
  50. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほど来から大仁田先生の教訓的な教育論を聞きながら、私も考える、考えさせられながら、やっぱり自ら生き抜く力といいますか、自分を信じて、そして挑戦する気持ち、やっぱりこれからの日本子供たち、やっぱり大仁田先生見習う点はたくさんあるなと、こう思いながら、そして教育はあまねく、教育の機会均等といいますか、エリートも養成しなきゃいけないし、しかし一生懸命頑張っている人たちの努力が報いられるような教育もやっていかなきゃいかぬと。そういう意味で、非常に幅広いといいますか、大きな目的を持った教育、そして日本の国の将来もやっぱり教育に懸かっているんだと、こういう御指摘をいただいたような気持ちでございまして、貴重な時間をいただいたと、こう思っております。  さて、薬学教育をいよいよ高度化していこうということで今回この改正法案を出させていただいております。この薬学教育を二年間延長することによってどういうふうに変わっていくだろうか。一言で言えば、さっき御指摘のあったようなああした医療事故的なことも防げるような資質の高い薬剤師を養成していかなきゃならぬということ。それは、正に今の医療技術が非常に高度化してきた、そして医薬分業といいますか、いわゆる薬剤師の役割も非常に高まってきた、これにちゃんと応じられるような医療人としての薬剤師、また医療人としての高い倫理観を持った薬剤師、そういうものを養成していく、そういうものに変えていかなきゃいかぬというのが大きな目的でございます。  それによって、正に医薬品というのが体内でどういう作用をするかとか、これは口に入れることもございますし、直接体内に、体に塗る、そういうこともございまして、これが人体にどういう影響をするかというようなこともしっかり熟知していただく必要がある。そして、それを得るためにも、病院で長期間の研修もしていただく、薬局でもやっていただく、調剤実習もしていただく。そういうことで、二年間を延長することによって、この四年間では十分ではないということで、四年間、延長していただく。それは既に世界でもそういう潮流にあるということでございます。  今日、私、橋本聖子先生もお見えになりますが、この勉強するときに非常に私は教訓的といいますかそうかと思ったのは、あの橋本先生が世界をまたに掛けて活躍しておられるころ、ちょっとしたけがをしたり何かしたときに、お医者さんとともにそのそばに薬剤師がちゃんとおられると言われたんですね。これは私にとって目からうろこでありまして、そうかと、もう欧米では薬剤師の地位といいますか立場というもの、それはそこまで来ていると。まだ日本は、これはそういう意味では十分ではない。やっぱり薬剤師の地位向上ということだけじゃなし、視点だけじゃなくて、資質を高めることによってそういうことも可能になってくる、こういうふうに思いまして、この改正を急ぐべきだと、こうも思ったわけでございます。  そういう意味で、これから患者に対しても的確ないわゆる薬の情報を伝えることができる薬剤師、また看護師あるいは医師と一体となったチームを編成するような薬剤師、そういうものを養成していくために、今回六年制にして、そしてしっかり勉強していただいて、国民の期待にこたえるような薬剤師を養成する、これが今回の改正法案の大きなねらいであります。
  51. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  それでは次に、薬科大学の学生の進路状況についてお伺いします。  医学部や歯学部の卒業生や看護師養成学校の卒業生の多くが病院などの医療機関に就職するのに対し、薬科大学の学生部卒業生が薬局や病院に勤務する割合は四割程度と聞いております。今回の改正で薬科大学の卒業生の進路状況にどのような影響が出るのか、出るとお考えですか。そしてまた、六年制の学部・学科だけでなく、四年制の学部・学科を置くことができる制度にした理由を含めてお答えください。よろしくお願いします。
  52. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 大仁田委員からしばしば教育に掛ける情熱を聞かせていただいておるところであります。もう心からその姿勢に対して敬意を申し上げますとともに、本当に得るところがあると、こういうふうに思っております。  先ほどいろんなお話されましたけれども、とりわけ国際人とはどうあるべきかということもお話しになったところでありますが、先ほど大臣からもお話がありましたが、私はあえて付け加えるならば、私はやっぱり本当の日本人でなければいけないということなんですね。まず、自分の国をきっちり勉強して、そしてそれに、本当に日本の国を愛して、その率直な気持ちを外国に行ってもまた外国人とも堂々と伝え合いできると、このことを私は大事だろうと思っておりまして、私は大仁田委員をよく横から見ておりまして、正にある意味ではあるべき国際人の姿ではないかなと、こうも思うわけでありますけれども、本当に勉強させていただいておるところであります。  さて、今の薬科大学の関係でありますけれども、今回、四年制と六年制を併存させるということにもなったわけであります。六年制に延長したのは、ただいま大臣からもお話がありましたように、しっかりと現代的な意味で薬剤師の教育を向上させるということでございますが、同時に、薬剤師、薬科教育を受けた人間は、医師、歯科医師、看護師等の分野と比べまして、この三分野はほとんど九十数%、ほとんど全部が医師の学校に行き、国家試験を受ければほとんど全部がもう医師として働くわけでありますけれども、薬剤師の場合は、大体半分が狭義の薬剤師、病院やら薬局で仕事をされると、残りの半数は例えば基礎研究やら、さらには薬品会社の営業とか宣伝とか、そういうものに携わっていると。そういう背景をしまして、この四年制と六年制が併存すると、こういうことになったんだろうと思います。  私どもからすれば、もちろん薬剤師の資質をますます高めていかなきゃいけませんが、同時に、それ以外の分野もしっかりと進めることによってあらゆる分野で日本の人材が活躍できる、こういうことにしなければならないと、こう考えているところであります。
  53. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました、副大臣。  次に、学生の実務実習についてお伺いします。  現行法では長くても一か月程度の実務実習が大幅に延長され、二十四週間になると聞いております。人命に関与する薬剤師の実務実習がこれまで長くても一か月程度であったことに疑問を持っていますが、今回の改正により大幅に実務実習期間が延長されるということは、薬剤師を目指す学生や医療に携わる方々にとっては歓迎されるべきことだと思っております。何よりも患者さんたちが安心して治療や投薬を受け入れることにつながることが期待されますが、しかし、急激に実務実習期間が長期化することで実習生を受け入れる側への影響も心配されます。  教員免許を取得を目指す学生が二週間とか一か月間教育実習を行う場合、カリキュラムが遅れるなどの理由で現場先生方が不親切な対応であったということもよく聞いております。教育現場でこのような現状があるということに憤りを感じますが、人の生死と背中合わせである医療現場では教育現場以上に緊張感が漂っていると考えられますが、中身の濃い実務実習が行われるためには、現場の受入れ体制の充実こそが重大な課題と言えるのではないでしょうか。  ここでお伺いします。  実務実習期間の急激かつ大幅な延長に現場の受入れ体制は追い付いているとお考えでしょうか。
  54. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 今御指摘のように、薬剤師養成のための薬学部六年制ということになりまして、実務実習モデル・コアカリキュラム、これに基づくカリキュラムが実施されますと、現在大体二週間から四週間程度といった実務実習が六か月になるわけでございます。医学部を持っているところは附属病院なんかもございますけれども、大方については病院も薬局も附属としては持っていないと。しかし、約八千人強になりますけれども、その学生たちの実務実習、六か月やらなくちゃならないということでございます。  現在でも、一か月というのもつい最近でございまして、一か月になったのもなかなか大変なわけでございますけれども、現在の実務実習でいいますと、約八割の大学で一か月やっておりますが、受入れ体制作りということで全国八ブロックで地区調整機構、これは大学、病院薬剤師会、薬剤師会から構成をされておりますが、地区調整機構において病院あるいは薬局での受入れの調整が実施をされていると。あるいは、都道府県単位でも大学と関係団体との協議会が設けられまして、実務実習の受入れにつきまして地域の薬剤師会、病院薬剤師会等と情報交換、意見交換を行っておるということ。あるいは、大学もやはり人任せじゃなくて自分できちんとやらなくちゃならないということで、直接、大学同窓会等を通じまして病院や薬局に対して依頼を行って実施をしているということで、こういう取組を通じまして、現在、約千九百か所の病院で約九千人の学生が実習を受けている、あるいは二千か所の薬局で約三千人の学生が実習を行っているというような状況にあるわけでございます。  これは一か月でございますが、これが六か月ということになりますと更にその確保をしなくちゃいけないと、こういうことでございまして、長期の実務実習が実際にスタートをすることになります平成二十二年に向けまして、私ども文部科学省としましても、薬剤師会、病院薬剤師会等の団体等とも連携協力をしながら、関係者との協議の場を設けまして、そういう実務実習の実施体制についての検討、厚生労働省とも連携をして進めていきたいと、こう考えております。
  55. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 文科省としては決して僕の質問は耳の痛い質問だと思いますけれども、ゆとり教育の場合もそうですけれども現場の、教育現場が体制が整っていないのにいつも法案が通って、どういうときもそうですけれども、そういった現場の体制が、受入れ体制がきちんとなっていないのにその法案が通って実施される。僕らもそうですけれども、僕らもやっぱりその法案を通した以上は、やっぱり現場がちゃんと受入れ体制を取っているというシステムをちゃんと取っていかないと、いつも、じゃ法案が通ってから現場があたふたしながらやっていくのかというそういう体制じゃなく、やっぱり現場ありきで、現場がちゃんと体制が整ってのやっぱり法案だと思いますので、是非その体制作りはやってもらいたいと思っております。よろしくお願いします。  それで、次の質問なんですが、飽食の時代に生きる現代人は、生活習慣病や現代病に常に隣り合わせの毎日を送っています。加えて、物すごい勢いで進む高齢化の影響もあり、私たちの日常生活と医療はますます切っても切り離すことのできない関係になっております。朝昼晩と自分の体の中に入っていく薬というのは特に私たちにとって関係の深いものであり、薬剤師の資質向上、能力アップは不可欠なものになっております。今回の薬学教育改善が真の改善になることを心から期待しておりますが、それでは次に、栄養教諭に関連した質問に移りたいと思います。  まずは、最近のニュース、気になるニュースについてお伺いいたします。  先月末、宇都宮の小学校給食に異物が混入する事故が立て続けに起こっております。子供たちや父母の間に不安が広がりました。今回、たまたま一つの小学校で連続して事故が起こったため、マスコミにも大きく取り上げることはなかったんですが、同様の事故がほかの地域でも十分に起こり得ることだと思っております。  それでは、お伺いいたします。  宇都宮市教育委員会は異物混入の経緯について調べるということでしたが、文科省への報告はありましたか。
  56. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 宇都宮市の小学校におきます学校給食への異物混入の事件についてのお尋ねでございますけれども、本年四月二十三日に宇都宮市の小学校におきまして、六年生の児童の御飯の上に異物、縫い針が乗っているのが発見されたという事件が起こりました。また、同じ四月二十七日に、同じ小学校で五年生の児童のデザート、これゼリーだそうでございますが、その中に異物、画びょうの針のようなものが混入する事件があったということにつきましては、宇都宮市教育委員会から栃木県教育委員会を通じて文部科学省に対しましても報告がなされておるところでございます。  また、これらの異物の混入の原因に関しましては、当該学校及び宇都宮市教育委員会におきまして、事件後速やかに当該児童等から状況を確認いたしますとともに、納品から配ぜんまでの状況を調査する、さらには、その炊飯業者やデザート製造業者における製造の時点から納品までの状況等についても調査したところでございますけれども、現時点までにまだ原因の特定には至っておらないということで、引き続き、学校教育委員会、警察等関係機関で調査中であるとの報告を受けておるところでございます。
  57. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 文科省として徹底的に教育指導をしてもらって、事故の経過、経緯をやっぱり国民の皆さんに、そしてまた地域の皆さんに伝えることが文科省の務めであると思いますので、是非、宇都宮の教育委員会に徹底的に調べることを要求いたします。よろしくお願いします。  それで、先ほどの質問に関連してお伺いしたいと思います。  給食に関する事故について文科省としてどのようなチェック体制を取っていますか。また、宇都宮の事件後、各都道府県での指導働き掛けを行ったかどうかをお聞かせください。よろしくお願いします。
  58. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校給食におきます異物の混入の防止につきましては平成十一年に通知を発しておるところでございまして、調理過程におきます異物混入の防止、食材やパン、牛乳等の納入から配ぜんまでの管理の徹底、給食時間における児童生徒への指導や食材納入業者に対する注意喚起等について適切に対応するよう都道府県教育委員会を通じて指導しておるところでございます。  また、食中毒につきましては、特に平成八年にO157による食中毒の発生を受けまして、平成九年に学校給食衛生管理基準というものを策定いたしまして、食品の適切な温度の管理や二次汚染防止のための汚染作業区域と非汚染作業区域との明確化等について指導いたしますとともに、衛生管理の強化の観点から施設設備の改善充実にも努めるなど、学校給食における食中毒防止対策について取り組んでいるところでございます。  また、今回の異物混入事件の発生を踏まえまして、文部科学省におきましても、これ五月の十九日でございますけれども学校健康教育に関する行政担当者会議を開きまして、今回の事件についてお知らせするとともに、こういう事件が起きないよう、平成十一年三月の先ほど申し上げました通知の趣旨を再度周知いたしまして、引き続き安全な学校給食の実施について指導を徹底してまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  学校給食といえば、僕らの時代ですけれども、楽しみの一つであり、また、そして家庭からすると、学校給食というのは信頼関係に成り立っているものだと思うんです。やっぱりもう信頼して子供たちが食べれるような、そういったやっぱり家庭学校の信頼関係を、うちら、文科省が、文科行政に携わる人間として、是非、徹底的にやっぱり改善してもらいたいところは改善してもらいたいと思いますので、よろしくお願いします。  先ほども言いましたように、給食といえば思い出がたくさんあるんですね、やっぱり。カレーとか出ましたね。カレーのときはいいんですけれども、ぜんざいと昆布のときは大嫌いだったですね。昆布のときは、何でパンで昆布を食べなきゃいけないのか。もう、いや、多分、僕はどちらかというとぜんざい余り好きな方じゃなかったものですから、何で学校給食でこんなぜんざいを食べなきゃいけないんだと。カレーのときはもうすくって食べたものですからあれなもんですけれども。  僕はやっぱり三年目になりまして、先ほども言いましたように三年目になりまして、自分の中で、自分の中で、表現の世界において何をしたらいいかというのを常に悩んでいたんですけれども、やっと先が見えてきまして、やっと自分で学校をできるような土地が見付かりまして、もうそこに自然学校を作るんですけれども、やっぱり食の安全もそうですけれども、やっぱり子供たちが、子供たちがその場で大根を作り、キャベツを作り、自分たちで作った喜び、そしてまた、その作った喜びイコール食べた喜び、やっぱりそういったものを体験させるというものは必要なことだと思うんですよ、僕は。  そしてまた、僕自身、この六年間という任期を与えられた中で、あっ、これは作ったよということを最大に表現できる。やっぱり自分の中で、やっぱり自分で自信を持つ、仕事に責任を持つ、そしてまた子供たちがそこで喜んだ姿を見たときに、多分僕は、多分、おお、おれはやったんだという、やっぱりその自信や充実感をみなぎらせると思う。  大人子供も僕は全部一緒だと思うんです。何をやった、そこで体験する、種をまいた。最初は、出るとき、僕らもそうだった、大臣もそうだったと思うんですけれども、種をまいたときにちっちゃな芽が出ているんです。最初は出てこないんです、一週間ぐらい。こうやって、毎日そうやって見ているんです、スイカ作ったときに。スイカ作ったときに見ている。全然出てこないんですよ。一週間ぐらいしたら青い芽がちょっと出てきたんですよ。これを見たらかわいくなっちゃってですね、それで水やったり肥料やったりしながら、やっぱりそういった体験というのはあったと思うんです。ここで聞いている方々もそうですけれども、多分、臨海学校行って、芋掘りやって、芋をふかして食べたと思うんですけれども。  やっぱり、体験することの貴さというのはやっぱり必要だし、そして逆に、極端な話を言うと、極端な話を言うと、やっぱり物を見てそして食べる。ああ、これはこういうふうになっているんだよ、こういうふうに咲いているんだよ、こういうふうに取れるんだよ、こうやって漁師さんたちが取るんだよ、いろんな、こうやって飼育されるんだよ、やっぱり体験することによって、そして自分で見ることによって、それを食することによっていろんなやっぱり感謝気持ち、食に対する、食べれる感謝気持ち、自分が今存在できる感謝気持ちというのが芽生えるような気がするんですけれども。  是非、僕、そういう土地、候補地が見付かりましたので、来年には開校したいと思いますので、是非、文科省としても、是非僕にお力をおかしください。こんなところで頼んで申し訳ないんですけれども。僕はやりたいことは絶対やるタイプですから、済みませんが、駄目だと言われたら何度も通いますからね、僕は。しつこく通いますからね、僕。是非僕に土地をお貸しください。  質問なんですけれども、質問に戻らせていただきます。  生活習慣の乱れから、朝食を食べない子、朝御飯食べろってよく言われたんですよ。子供たちは、糖度の高いものや脂質の多いものへの偏食の傾向にある子供たちが増えていると聞きます。その結果、肥満子供たちが増え、生活習慣病の若年化も指摘されています。逆に、女子高生を中心に、間違った方法による極度のダイエットによって引き起こされる摂取障害がもう深刻化しています。食の乱れは子供たちの体力の低下をもたらしていると指摘も多く、小泉総理食育重要性に声高々に叫ばれております。  そこで、大臣に御質問です。  子供たちを取り巻く食の環境についての御認識をお聞かせください。また、体力低下と食育をどのように結び付けていくかお考えなのかを具体的にお聞かせください。よろしくお願いします。済みません、河村大臣。──あっ、ごめんなさい。どうも失礼いたしました。大臣に質問ではありませんでした。馳政務次官に御質問、よろしくお願いします。
  60. 馳浩

    大臣政務官(馳浩君) 国民栄養調査の結果からも明確に出ております。  平成九年のこの調査によりますと、二十歳代でほぼ毎日朝御飯食べない、四人に一人、週二、三回食べないとなると四五%がもう食べないという状況でありました。また、子供に関して言いますと、これは平成五年の国民栄養調査ですけれども、朝御飯一人だけで食べる、三一・四%、つまり三人に一人が、子供たちは朝一人で御飯を食べている状況であると。  肥満傾向は、これは学校保健統計調査によりますけれども昭和五十七年と平成十四年とを比べてみますと三割近く肥満傾向が増えている。つまり、十分な食の管理がなされていないと食習慣に大きな影響を与えて、それが結果的には、先ほど大仁田委員おっしゃったように、極度のダイエットであったり肥満増加生活習慣病増加、そして子供たちに限って言えば体力の低下が言われていると。  体力の低下ということで、文部科学省としての資料を見ましたら、十一歳の男子で三十年前と比べてみましたら、体格は男子で、これは女子もほぼ四センチ体格良くなっているんですね。体重でいうと、これも平均して四キロ上回っているんですよ。体格は良くなっている。しかしながら、五十メートル走でいうと、三十年前と比べるとマイナス〇・一六秒、ソフトボール投げだとマイナス四メートル、これ男女ともです。  これ何なのかということを考えたときに、これは食習慣だけではないとは思いますが、朝からしっかり御飯を食べて、それも栄養のあるものを食べて、その朝からの食習慣の活力が学校へ行って汗を流す、頑張ろうという意欲をみなぎらせる、こういったことにつながってくると思いますので、今回のこの栄養職員栄養教諭になって、ある意味で言えば、子供たちばかりではなく家庭の保護者に対しても食生活充実の必要性というものを訴えていかなければいけないということはよく理解しております。
  61. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  僕もダイエットをしたときにやっぱり体力低下を感じまして、体脂肪が一〇になったときには本当に自分で疲れる自分を感じたものですから、やっぱりそうですね、食べて運動する、体力を付けるということがやっぱり基本ですから、是非そういう指導を的確にやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。  今回の栄養教諭創設しようという趣旨は、現行のままでは食育充実を図ることが難しいという判断をされているからだと思います。しかし、そういう文科省の判断に反して全国の三分の一に当たる十六都県の教育委員会が、現状で十分に対応しているとか予算がないとかといった理由で栄養教諭創設に難色を示しているという読売新聞の調査結果が今年の一月に発表されました。  現行では、学校栄養職員が学級担任と連携して、連携を取ってチームティーチングによる栄養教育が行われていることや、保健体育や技術・家庭科での栄養教育も十分になされているという向きもありますが、そこで御質問です。全国の三分の一もの自治体が栄養教諭創設に消極的であるという現状についてどのように思われますか。
  62. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほど来から御意見いただき、また答弁しておりますように、栄養教諭制度の期待感、効果、これが大きいというのが皆さんのお考えで、そして中央教育審議会においてもあらゆる角度からこの問題を取り上げ、研究して、そして昨年一月に答申をされた。その結果が新聞にも出たわけでありますが、それに呼応するように読売新聞が調査をされたということでございました。  この問題については、中央教育審議会においても、あらゆる教職団体、いろんなところから全部意見を聞いて、これはやるべきだと、こういう結論があったわけでございまして、各県のいろいろな方々の意見も聞いた上でございますが、残念ながらそういう報道があったというものでありますから、私どもちょっと心配をいたしまして、これがどういうところからどういうふうに生まれたんだろうかということも内々聞いてみました。  ただ、もう出た記事でありますから、これをもうどうということはありませんけれども、これを調べてみますと、実際に名前が挙がった県なんかに様子を聞いてみると、そのマスコミの取材の仕方にも若干問題があったのではないか。というのは、直接担当しておられるところじゃなくて関係のないところへ聞かれたりとか、あるいは財政当局に直接聞かれたりとか、まだ答申がこれは今出たばかりのところであって、まだ具体的にどういうふうになるということは下りてない段階でありますから、これは、これをすぐ入れるとなると地方財政は大変だというような思いがある方々の意見とか、そういうものが大きく出たようでございます。  その後、こういう形になって法案も出している状況でございますから、今この制度の本来のねらいというものも説明をいたしながら、また理解を得ながら、これから、いろいろ問題点を抱えておられる都道府県、確かに財政的な問題も抱えておられるところもありますから、そういうところにも遺漏なきを期すように我々の方も努力をしてまいりたいと思いますし、またその趣旨も徹底してまいりたいと、こう思っておるところでございまして、それでなくてもまだ全部行き届かない状況下にございまして、是非この制度を導入することによって学校現場において栄養教諭の皆さんが頑張っていただいて、そして食の重要性、それによって子供たちの健全な育成、これが進むようにということで努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  63. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。是非自治体が積極的に取り組んでいただくように、大臣の方から説得力のある言葉で自治体を説得していただきたいと思っております。  それでは、最後なんですが、栄養教諭の今後の配置の見込みについてお聞かせください。そしてまた、計画的な配置について、財源確保などの不安を解消し、各都道府県の理解を得ることが必要ですが、文科省としてどのように取り組んでいかれるか、お聞かせください。よろしくお願いします。
  64. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) この点、非常に大事なことだと思います。これからいよいよこの法案を通していただきまして栄養教諭制度が確立される、そういたしますと、各学校においてこの栄養教諭の皆さんが教壇において具体的に食の指導をしていただくことになる、学校給食管理しながら正に生きた教材としてこの問題に取り組んでいただけるわけでございます。そのためには、栄養教諭の皆さん方ができるだけ学校現場において活躍できる場が広がっていかなきゃなりません。  そういう意味で、栄養教諭定数を確保していかなきゃならぬわけでございますが、これまでの学校給食の生い立ちが義務化でなかったという点もございまして、学校栄養職員においても全学校にいるわけではございません。掛け持ちで頑張っておる状況がございます。まずは、今回のこの制度を導入することによって、三万校あります学校のうち一万人余りの学校栄養職員の皆さんができるだけ多く学校栄養教諭の免許を取っていただいて、まず現場に入っていただくこと。そして、更にこの栄養教諭を増やしていくために、これから正に定数改善計画にのっとってやっていかなきゃなりません。  配置計画につきましては、平成十三年から十七年度までのことが今一応決まっておりまして、これが第七次公立義務教育学校職員定数改善計画というのでありますが、これによっては九百六十二人の栄養職員の皆さんを学校配置することになっております。まず十七年度までこれをきちっと仕上げて、更にこれからまた新しい年次計画を立てていきますが、今回のこの栄養教諭制度の樹立によって、これを弾みとして、更に着実に各学校配置できるように検討をしながら定数改善に努めてまいりたいと、このように考えております。
  65. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。  もう質問はないんですが、大臣もそうですけれども、僕らもそうですけれども、やっぱり学校給食で育った年代なわけです。学校給食重要性というのはやっぱり僕らは体感していますので、おいしかったですし、やっぱりその時間が僕は楽しくてしようがなかったんですけれども、早くその時間が来ないかなと思って授業を受けていた方ですから。  僕は、それをよく言われるんですけれども、うち、巾江さんというんですけれどもね、母ちゃんは、もう七十一歳なんですけれども、あんたね、体力なきゃ、そして体が健康じゃなきゃ夢も可能性も追えないんだからってよく言われるんですけれども、人間やっぱり体あっての物種、子供たちもそうですけれども、やっぱり体力があって、体があってこそ僕は夢や可能性が追えると思います。是非、そういった学校給食に対して真剣な取組を文科省に期待しております。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  66. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  67. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。  学校教育法等の一部を改正する法律案について質問いたします。  今回の改正案の趣旨は、第一に、子供たちの望ましい食習慣の形成のため、新たに栄養教諭制度創設し、栄養に関する専門性教育に関する資質を併せ有する栄養教諭が食に関する指導に当たることができるようにすること、第二に、医療技術の高度化や医薬分業の進展を背景に、薬剤師育成を目的とする大学学部段階の修業年限を四年から六年に延長することとされています。  第一の栄養教諭関係については私が、第二の薬学教育関係については同僚の谷議員が質疑を行います。分業して行うわけでございます。  栄養教諭の問題については、今回の改正案では、一つに、学校教育法を改正して新たに栄養教諭を位置付ける、二つに、教育職員免許法を改正して栄養教諭の免許を創設し、現職の学校栄養職員栄養教諭への移行も行う、三つに、身分関係規定の整備により、新たな身分、待遇で、当面、全国で約一万人が栄養教諭に任用されることが見込まれる、おおむね以上がその中身であると理解しております。  近年の食生活をめぐる社会環境変化、食行動の多様化により、食に起因する健康問題が増加しております。成長期にある子供たちにおいても、朝食欠食栄養バランスの偏り、肥満傾向や過度な痩身、生活習慣病増加と低年齢化が指摘されております。子供たちの望ましい食習慣の形成のためにも食に関する指導充実が求められているという現実については各方面で認識をされ、危機感さえ持たれている関係者も多いのではないかと考えております。  これらの問題の対策に当たるため、新たに栄養教諭創設し、栄養教育専門家として児童生徒指導ができるようにしよう、この方向性については大方の賛成を得られるものと思いますが、果たして今回の改正案が実施されれば指摘されている諸問題が解決するのかと問われれば、とても解決できるはずがないと断言できるところに食と子供たちをめぐる問題の難しさと複雑さがあるのではないでしょうか。  私は、本改正案を前向きに評価しながらも、栄養教諭制度創設という新たな制度導入の効果について、その問題点を明らかにするという立場で質問をさせていただきます。  食と子供たちをめぐる問題は、バックグラウンド、背景やすそ野が非常に広い問題であるとの認識をしております。今回の改正案と直結する学校給食栄養といった範囲だけでなく、新しいテーマである食育との関連で大所高所からの議論もお願いしたいと考えております。  まず、栄養教諭関係の学校教育法等改正案の提出に至った経緯、問題意識と新制度の導入による効果をどのように期待しているかについて、基本的な大臣のお考えをお伺いいたします。  また、この間、知育徳育体育に続いて食育教育の四つ目の柱に据えるという考え方が表明されていますが、目指す食育の在り方と本改正案との関係について、総括的な大臣の所信をお伺いいたします。
  69. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 伊藤先生今いみじくも御指摘になりました近年の食生活をめぐる社会環境変化、食行動の多様化等々、特に成長期にある子供たちにおきましても、朝食欠食あるいは栄養バランスを欠いた生活習慣病増加等々が指摘をされております。  こういう乱れの背景といたしまして、児童生徒が望ましい食習慣を付けることが非常に大事だ。これは、もちろん一義的には家庭がやるべきこと、大きな家庭にその責任があると私は思うんでありますが、同時に、学校においても食に関する指導充実を図っていくことが重要である、このように考えておるわけでございます。特にそれは、学校給食というものを持っておる学校としても、学校給食を生きた教材にしながら正に食育を図っていこうということでございます。  そういう一つの大きな要請の中にあって、栄養教諭制度創設、これをどのようにこたえていくかということで、中央教育審議会におきましていろんな角度から議論をいただきまして、平成十六年一月二十日に答申をいただきました。そして、その答申によって、栄養に関する高度の専門性教育に関する資質を併せ有する教育職員として新たに栄養教諭制度を設ける、学校における食に関する指導の一層の充実を図ろうとする、このことを踏まえて今正に対応していかんと、こうしておるわけでございます。  栄養教諭は、学校給食管理と食に関する指導一体的に行うことがその職務になるわけでございます。栄養教諭配置されることによって、高い専門性に基づく関連教科あるいは特別活動等の指導や個別的な相談指導がいただける、これが充実することができるということ、そして、学校給食を生きた教材として活用しながら児童生徒に望ましい食習慣を身に付けさせることができる、そのことが期待をされるわけでございます。また、栄養教諭中心となって食に関する指導の年間計画を立てていただく、あるいは各教職員、各学校教職員連携をいただきながら、学校教育全体において計画的また継続的に食に関する指導が行われることが期待をされるわけでございます。  さらに、学校栄養教諭の皆さんには、この実績を積み上げながら家庭への普及啓発の役割も担っていただきたいと、こう思っておりますし、同時に、地域社会との連携調整役、そういうことの役割も期待をされておるところでございます。  食育という言葉が今正に使われ始めたわけでございますが、子供たちの健康の保持増進において非常に重要である、大きな国民的なコンセンサスが生まれてきつつあると思います。社会性食育を通じて、食育を通じて社会性涵養あるいは文化の継承、こういうものにつながっていくわけでございます。知育徳育体育と言われる日本教育、さらに加えて食育、こう言われるわけでございますが、これは正に知育徳育体育と密接にかかわりながら、そしてその正に支えになるものでありまして、人間力向上ということを私特に最近強調しているわけでございますが、この人間力向上にとって、この食育知育徳育体育と相まって不可欠のものになって大事な要素である、このように考えております。  そして、栄養教諭がその専門性を生かしていただいて、学校における食育推進におけるかなめとして役割を果たしていただきたいと思っておりまして、栄養教諭制度の実現によって食育が一層進むもの、その充実が図られると、このように考えておるところでございます。
  70. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 我が国の財政の現状は戦後最悪、先進国中でも最悪という極めて憂うべき状況にあります。本年度における新規国債発行額は三十六・六兆円で、当初予算ベースでは過去最悪であります。国、地方を合わせた長期債務残高は七百十九兆円に達するという未曾有の事態に陥っております。景気はようやく明るい兆しが見えるかというような状況ですが、財政については全く改善の見通しが立っておりません。政府は、二〇一〇年代の初頭にはプライマリーバランス基礎的財政収支の黒字化という目標を掲げておりますが、その道筋は定かではなく、国民にとって将来の不安、政治不信の源の一つに、一つはここにあると言っても過言ではありません。仮に、本格的な経済の回復過程に入れば、逆に、国の財政はプライマリーバランス改善のために支出の大幅な見直しに直面せざるを得なくなります。ここ何年かの間には避けて通れない道ですが、このような極端に厳しい財政事情の中で、新たな栄養教諭制度の成果が問われることになります。  全国で約一万人の栄養教諭が誕生する、新たな食の教育を実施して実のあるものとするにはその財政的裏付けが当然必要となるのですが、当面、栄養教諭制度創設し運用するに当たってどのくらいの費用を見積もっているのでしょうか。  また、その後、栄養教諭制度を有効に活用し食の教育現場で効果を上げるためには更なる努力と労力が必要になりますが、食の教育を担う新たな栄養教諭と従来からの学校栄養職員定数をどうするお考えでしょうか。食の教育充実を図れば当然に増員という問題が出てまいりますが、これについてはどのような展望をお持ちか、伺いたいと思います。
  71. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  栄養教諭の処遇の程度につきましては、栄養教諭の給与が各都道府県の条例により定められることとなるため、これを一概に言うことはなかなか難しいんでありますが、これに係る具体的な国庫負担額につきましては、この栄養教諭の実際の任用が平成十七年度以降であるということから、平成十七年度の予算編成過程におきます財政当局との協議を経て適切に措置をしてまいりたいと現時点では考えているわけでございます。  また、栄養教諭定数の問題でございますが、栄養教諭学校栄養職員のうちから移行するということを基本とする特殊な事情を考慮いたしまして、栄養教諭及び学校栄養職員としてその標準定数を算定することにいたしているわけでございまして、この定数につきましては、現在、第七次の公立義務教育学校教職員定数改善計画、これは平成十三年度から平成十七年度までの五か年計画でございますが、これによりまして九百六十二人の改善増を図ると、こういうことでございまして、まずは私どもはこの計画の着実な推進に努めてまいりたいと。その後の定数改善計画につきましては、この栄養教諭制度に対します社会的な評価でありますとか栄養教諭への移行状況、あるいは義務教育学校教職員定数全体の在り方など、様々な観点を踏まえて将来的な検討課題として対応してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  72. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 この食の教育というのは学校教育の範囲だけの話ではないという大きな問題でありまして、大臣のお考えの中にもそのことをきちんと触れられております。文部科学省教育の行政を行うという立場からこれに取り組むということは、大変大きなものにぶつかっていく勇気というものを実は感じております。よくこれだけの領域に入らんとするなという感じが実は私はこの検討をしていてずっとしておりました。  ですから、今の答弁は非常に慎重な答弁をされておりますけれども、財政的にどのくらい掛かるというのはおおよその見当は私も付けております。なるがゆえに、その成果、初段階における成果というのは非常に重要視されるんであろうというふうに考えて、あえてお伺いしているわけであります。財政的な裏付けについてのことは、先の話ということもありますが、おおよそのことは文部科学省でもお分かりと思っておりますけれども、現段階ではこれ以上深く聞くつもりはございません。  さて、学校給食の実態に関して、具体的な問題についてお伺いいたします。  今回の改正案では、栄養教諭制度創設されるに当たり最大の問題点は、果たして全国に適正に栄養教諭配置され、充実した食に関する指導が図れるのだろうかということだと思います。  まず、配置の問題について伺ってまいります。  すべての義務教育学校において給食を実施しているわけではないこと、又は地方分権趣旨等から本改正案では栄養教諭配置義務ではなく任意としたとされていますが、このままでは栄養教諭の未配置校が出ることが予想されます。  給食の実施状況全般ですが、関東以北は実施率が高く、関西や四国では低い傾向にあるようです。大阪府が中学校給食実施率が一番低く、和歌山県辺りでは家にいったん帰って食べる土地柄という、地域習慣によるという要素もあるようです。東京都武蔵野市では、市長が、弁当を作ることで母親と子供との関係の希薄化を防ぐことができるとの考えから、中学校給食導入を見送っていると伝えられております。  このように、給食に関する考え方、実施状況は必ずしも全国で一致するものではありません。ただ、給食を実施していないところには現在も栄養職員はいないわけです。このままでは、栄養教諭配置が困難と思われる地域が出てくることも予想されます。  したがって、これらでは、食に関する専門的な指導を取り入れ学校における健康教育充実を図るという目的の達成ができないのではないか、栄養教諭配置義務化が必要ではないか、こういう意見が説得力を持ってくるようですが、どのようにお考えでありましょうか。
  73. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、栄養教諭制度創設に当たりましては、地方自主性を尊重するという地方分権趣旨あるいは学校給食実施そのもの義務とはされていないというようなことを踏まえて、地方公共団体地域の実情に応じてその配置について判断するということとさせていただいておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、この栄養教諭制度創設意義というものを各地方公共団体に十分認識をしていただきまして、学校栄養職員栄養教諭への円滑な移行が図られますよう、そして食に関する充実が図られますよう努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  74. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 実効ある栄養教諭制度を確立するためには、栄養教諭配置は任意ではなく必置義務を課すという方針を持たなければ、結局は財政力の弱い地方自治体では学校設置者の判断として栄養教諭配置しないことになるのではないかと思います。ナショナルミニマムの観点からも、子供たちへの教育の機会均等を保障する観点からも、今回の法案では不十分であると考えるところです。  全国の給食の実施状況、給食実施率の低いところに対する栄養教諭配置をどうするのか、栄養教諭配置を任意とした理由、将来の義務化の必要性についてきちんとしたお答えをいただきたい。また、当面、給食未実施校と栄養教諭の未配置校では食に関する指導均等に行うための措置が必要になると思いますが、今考えている方法と別の方法もあり得るのか、併せて所見をお聞きいたしたい。
  75. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 委員指摘のように、学校給食の実施状況につきましては、小学校では児童数で申し上げますと九八・九%の学校給食は実施されておるところでございますけれども中学校では生徒数で申し上げまして六八・八%となっておるところでございます。  また、現在の状況におきまして学校栄養職員配置状況を申し上げますと、それぞれの学校給食を実施しております単独給食実施校、この場合には二校に一人の割合で学校栄養職員配置されておるところでございますが、共同調理場方式でやっております場合には四・五校に一人の学校栄養職員配置されておるというような状況にあるわけでございます。  しかしながら、食に関する指導に関しましては、学校栄養職員配置されていない学校においても、また学校給食を実施しない学校におきましても、積極的に取り組んでいただく必要があるというふうに考えておるところでございます。  このため、文部科学省といたしましては、児童生徒用の食生活学習教材でございますとか、指導者用の資料の作成、配付などを通じまして、各学校における食に関する指導取組を促進しているところでございますけれども、今後、学校給食未実施校や栄養教諭配置校におきましても、近隣の学校栄養教諭が出向いて、恐縮ですが掛け持ちというような形で指導していただく、あるいは地域の人材の活用を図っていただく、また、学級担任や家庭科の先生方により食に関する理解を向上していただいて、この食に関する指導に関しても熱心に取り組んでいただくと。いろんな工夫を講ずることによりまして、それぞれの学校に食に関する指導充実を図っていただけるように私どもとしても努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  76. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 今のお答えを聞くと大変不安になる。食の教育を行うということは、例えば偏食の問題について栄養指導教諭が面接して指導を行う、又は朝食欠食の児童について事情を聞くということが起こり得ますわね。今の教材を配付して近隣協力してということでは到底対応できないんじゃないかと。  なぜかというと、偏食は子供自身の、子供自身の意思によって又は習慣によって偏食になっているんではありません。家庭の問題です。朝食欠食も、食いたくないから食わないんじゃないんです。食えない事情があるから食えない。孤食もそうです。そうすると、栄養教育指導ということは家庭とぶつかるわけですよ、学校が。即座に問題になります。常にそういう問題をはらみながらやっていくわけです。  だから、私は、栄養指導をする立場の人の厳しさというのはこれから待ち受けているんだろうと。あるいは、学校を挙げてやらなきゃならない。子供と親が対立する場合だって想定されます。おまえがそんなことを学校へ行って言うからそういうことになるんだということが起こる。もうだれでも考えられますわね。そういうことからすると、今の答弁では到底対応できないんじゃないかと。むしろ、それよりは、指導を行う教諭がいるところだけでやった方がいいぐらいではないかと。ほかのところはちょっと手が付けられないんじゃないか、手を付けたらえらい教育問題になってしまうと。  文部科学省又は中央教育審議会等が検討するときに、家庭に口を出すことについてかなり逡巡しながら、この問題等で、家庭内の問題についても入り込みました。それは私も必要なことだったと思いますが、これはもっと具体的な、現場での具体的な事象で直面するわけですよ。  まあ後でまた聞きたいと思いますが、そういう構えでいかないととてももたない、やれる人がいないというふうに認識しておいていただきたいと思います。法案説明のときに私はこれを、説明に来た方、そこにおられますが、に聞きました。そういうことが内在しているんじゃないかと。また後でチャンスがあるようですから聞きますから、そのときにどういうふうにするか答えていただきたいと思います。今日いきなり聞いても失礼かと思う。  栄養教諭配置の問題について具体的な事例といいますか、現状から聞いていきたいと思いますが、給食センター等の名前で呼ばれている一つの施設で複数の学校給食調理を行う共同調理場方式と言われるシステムがかなり普及しておりまして、私が住んでいる町でもそういう状況になっております。私はその方が合理的でいいんじゃないかと思ったら、かなり問題があるようです。  まず、この共同調理場方式と個別の学校で調理を行う単独調理場方式の実施状況はどうなっているんでしょうか。最大の単独調理場方式では何人分の給食を調理しているのでしょうか。また、この共同調理場方式の長所、短所はどのように文部科学省は認識しておられましょうか。この辺についてちょっとお伺いします。
  77. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) この給食の提供につきまして、先生指摘なられたように、大きくは二つの方式、共同調理場方式、単独調理場方式、これがあるわけでございます。  状況だけをまず申し上げますと、小学校ではこの共同方式、単独方式、ちょうど半分ずつというふうに報告を受けております。一万一千四百校が共同方式、一万一千二百校が単独方式ということであります。また、中学校におきましては、その割合が少し違いまして、共同方式がちょうど三分の二、単独方式が三分の一と、こういうような割合になっておるところでございます。  なお、御質問ございました単独調理方式における最大規模の学校いかがかということでありますが、報告受けておるのでは、千五百食の小学校が今のところ最大といいますか、一番大きなこの調理の方式であると、こういうふうに報告を受けておるところであります。  それで、この両方の方式、それぞれの長所、短所はいかがかと。これはそれ自体述べるのは割かし容易なことでございまして、それぞれ学校ごとに調理場を設けるというのと集合して合理的にやると、こういうことでございます。  当然のことながら、共同方式は、長所としては、調理経費の節減や事務、労務など管理部門の合理化が図られるということが一番大きい長所かと思いますが、逆に短所としては、センターからそれぞれの学校への配送する時間が長くなる、さらに温度管理とか、これも非常に大事なことなんですけれども、調理従事者の姿が子供たちに見えないと、こういうようなことがございます。  一方、単独調理方式の長所、短所はちょうど今の逆でございまして、今度、単独方式の長所というのは、逆に非常にきめ細かい、その場所でやりますから調理から食事までの時間が比較的短く管理できる、またそのお手伝いしている方の姿が子供たちにもう目の前で見える、さらには学校行事と関連したそういう献立の工夫ができると、こういうのが長所でありますし、短所としては、先ほどの裏返しで、いろいろ施設整備等の、人件費等の財政負担が大きくなる、さらには調理、洗浄等、作業の合理化が図りにくい、当然、集合してやった方が大数処理ができるわけですから当然合理化が図れるわけでありますけれども。  今申し上げましたように、長所、短所それぞれあるわけであります。最終的にはそのどれを選択するかはそれぞれの自治体の選択によるわけでございますけれども先生の御質問に以上のとおり答えさせていただきます。
  78. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 副大臣答弁のように、私も共同調理方式採用しているのは経費面の理由ということが各市町村で多いんじゃないかというふうには想像しておりまして、当然、栄養職員や調理員の人数もぎりぎりに絞っていることが容易に予想されます。こういうところに配置された栄養教諭子供たちに食に関する指導を行うのは、現実的には相当困難が伴うというふうに思われます。栄養教諭の人数は少ない、対象の学校は多い、子供たちと接する機会も薄いということになると、果たして共同調理場方式の中で健康教育、食の教育充実が図られることには限界が出るだろう、こういう疑問を強くするところであります。  そこで、共同調理場方式の学校充実した食の指導を図るには何らかの対策、措置が取られるべきで、今は新制度のスタートだけで手一杯というのが実情でしょうが、将来は栄養教諭配置についての共同調理場方式への対策を重点的に考えていく必要があると思います。そこで、この件については大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  79. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) また大臣からもあるいは補足があろうかと思いますが、ただいま私が申し上げましたように、それぞれ長所、短所あるわけでございます。どっちがいい、どっちが悪いというわけじゃございませんで、それぞれの学校配置、また財政的なものも含めまして、その中で今度は新しく栄養教諭が誕生するわけでございまして、そういう意味では、先ほどの長所、短所を踏まえながら、この学校栄養教諭がいかにその欠点を補いながら更に逆に長所を伸ばしていくということが必要ではないかと、こう思うわけでございます。  確かにセンター方式でいきますと、栄養教諭がそこには配置されるけれども、それぞれの個々の学校にはあるいは存在感が疎くなるということもあるいはあろうかと思いますが、そういう状況でこそ、それぞれ配置された栄養教諭が意識的に弱い部分にどんどん出掛けていって、そして栄養教諭としての仕事、すなわち教壇にも立つし、またそれぞれの食教育に対しても積極的に働き掛ける。午前中からも議論がありましたけれども家庭への働き掛け、さらには地域への働き掛け、こういう役割を担っていただく必要があろうかと思いますし、いずれにいたしましても、その方式はそれぞれの自治体の選択に負う部分が多いわけでありますが、今後とも児童生徒にとって安全でおいしく楽しい学校給食が実施できるよう、私どもも都道府県の教育委員会等にしっかりと指導をしてまいりたいと、こう思っております。
  80. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 今の御答弁は、私はそれは善意から答えているというのはよく分かるんですが、問題にしているのは、文部科学省が理想を高く持って始めようとしているわけですよね。しかし、現実は、私は、財政面が地方財政の中にあって、共同調理場方式にはいろんな欠点があるけれども、やらざるを得ない、これはやはりのみ込まなくちゃならない、そうなったときに、結局は今高く掲げた理想が挫折をするわけですよ、うっかりすると。だから、今すぐでなくても、何年か後に想定されることをきちんととらえて、共同調理場方式への対策を今からしっかりとやらなくちゃ、やっておかなくちゃならない。国会議員とのやり取りの中で答えて、そうですかというような話じゃない問題ですから。  この点についてはどなたか、スポーツ・青少年局長でしょうか、対策はどのようにやろうとしているのか、今から検討する考えがあるのか、又はどこかの審議会に頼むのか。私は、これは文部科学省が自分でやるべきだと思っていますがね。人に頼んだってできません。文部科学省自体が発案してきたわけですから、そのことは自分たち考えて、こういう対策を講じていくということをシミュレーション今から作っておく必要があると思うんです。そうでないと大変なことになる。子供たちによって扱いが変わってしまうわけです。先ほど申し上げたような個別問題に必ずぶち当たるわけです。  そのことについて、もしそういう対策を講じようとする意思があるんならそのことを、なければこれからどうするかをお聞かせいただきたいと思います。
  81. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) ただいま原田大臣の方からお答えを申し上げましたように、共同調理場方式を採用するか、あるいは単独調理場方式で単独校方式でやるのか、これは各市町村教育委員会が適切に考えていただくことであろうというふうに私ども考えておるところでございますけれども、いずれの方法を取るにいたしましても、やはり安全な学校給食を行い、そして食に関する充実を図っていくということは、これ非常に重要なことだと考えておるところでございます。  委員指摘のように、共同調理場方式の場合には、なかなか栄養教諭配置も、これから学校栄養職員が全部その栄養教諭になったとしても、なかなか、先ほど申し上げましたように、四・五校に一人の全国的に見れば配置になるわけでございますので、これらの人をどうやって活用してその食に関する充実を図っていくのか、私どもとしても今後更に一層検討し、より一層その食に関する指導充実が図られるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  82. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 そういう、何というか、気分的な答弁では困る。私はこの試みが非常にいいものだと思って評価して、是非成功しなきゃならない、しかし物すごく大変と。だとしたら、どういう役割指導教諭が持つかということを限定的にしなくちゃならない場合だって出てくると思うんですよ。役割の限定をしなかったら、人数が足らないんですから、いいところは全部やっちゃったけれども、全く手の付かないところが一杯出てきちゃったという、私学もありますかな、ということになると、これは大問題ですがね。その教育を受けているところで問題が発生しても、受けている子供たちは幸せです、受けていないところは放置されるわけですから、だから、人数で四・五校に一人とかということになるとしたら、役割限定をせざるを得ない。  だから、私は文部科学省の官僚が検討すべきだと言っているんですよ、実際問題ですから。人に議論してもらう問題じゃないんですから。それでは目標にならないじゃないかということをだれに言われても、いや、現実的にこれをしなきゃならないという確固たるものを文部省、文部科学省は出してこなかったら、たかが栄養指導を行うという問題じゃございませんので、手を付けたからにはそういうこと、というふうに思いますので、是非、共同調理場方式、人数が少ない中でこのことをやらなくちゃならないということに対する対策を省内に作ってやっていっていただきたいと。対策は、検討すれば検討するほどいろんな壁にぶち当たると思うんですが、そのことをやっておく必要があるんじゃないかと。そうすれば、非常にいい結果が出てくるということは私も思っています。是非よろしくお願いしたい。  現状をいろいろ調べますと、共同調理場方式が過半数を上回っているということでございますが、国民からは圧倒的な支持を受けていると言っても過言ではない日本学校給食、非常に優れたものだと。これは一八八九年、明治二十二年に貧困児童の救済、就学激励を目的に山形県鶴岡市で始まったそうであります。  私は、前にも申し上げたとおり、最後の国民学校生、四月から八月まで国民学校だったんですが、実は給食がありました。その代わり、神様に感謝する祝詞のようなものをみんなで言って、トヨウケノオオカミということから始まる祝詞を校内放送されて、それを一緒に言って何かみそ汁のようなものを食べたと。それは大変うれしいものでしたよ。戦後は、GHQ、アメリカ軍の放出物資で粉ミルク。あれは粉ばっかり下に沈んでまずいようなんですが、いや、まずかったですけれども、まずかったけれども、少しの甘みがあって、当時は甘みは全然ないですからね。栄養的には大変優れたものだそうですね。要するに、残らず全部食べろと言われて食べて、これは結果的に非常に良かったんじゃないか、私たちにとっては、というのがずっと続きました。その後は、自分たちのおふくろ、お母さんが来て、おふくろさんが共同で作業に当たる学校給食が始まって、そういう時代まで私は小学校にいたわけですけれども。それが明治二十二年に始まったというのは大変驚きました。  貧困児童の救済、私の世代は学校に弁当持っていけない者が毎日何人か出まして、私も何度かそういうことに、自分でもそうだったです、弁当持っていけない日があったと。弁当持っていけない日があっても、そのときはみんな外へ出て井戸端で水を飲んで我慢しているんですよね、飯の時間は。  毎日同じメンバーがいるわけじゃなくて、入れ替わり立ち替わり、要するにやみ米買えなかったら弁当持っていけないんです。雑炊持っていくわけにいきませんからね。煮込みうどん持っていくわけにもいかないから。サツマイモは持っていけないと。だから、そういうことだったんですが、別に貧乏だからとかなんとかじゃなくて、恥ずかしいということもなくて、しようがねえなあと思っているわけですよ、みんな。  そういう時代の粉ミルクですから、大変これは貴重なものだったですね。そういうものがあるんだということを私も学校給食に対して思っているし、皆さんも是非そのことを強く感じていただきたい。学校給食国民から圧倒的な支持を受けているということを念頭に置いていただきたいと思います。  さて、この学校給食の歴史の中でもう痛恨の出来事は、一九九六年、平成八年に大腸菌O157による集団食中毒が各地で発生しまして、大阪府堺市では給食を食べた小学校児童が死亡したという事件があったことだと思います。当時、カイワレダイコンが問題となった記憶をお持ちの方も多いと思いますが、この民事裁判では、食中毒は学校給食に起因し給食提供者の過失にありとして、国家賠償請求の一部が認められております。  この場合は食材の大量購入による統一献立にも原因があったと言えるのですが、大量の給食を一か所で調理する、あるいは大量の食材を一か所から調達するとなると、食中毒等の事故が発生した場合に被害が大きくなる、こういうリスクを背負うことになります。  食中毒の集団発生という危惧を抱えながらも、一方では、財政的な理由から学校給食センター化を始め外部委託や調理員のパート化等の学校給食業務の合理化が進められておりますし、また一方では、O157問題以降、単独調理場方式への移行について検討していくことが望ましい、統一献立については縮小の方向で検討すべきという保健体育審議会の答申が出された経過もあるようです。現場では何言っているのかという話だったと思います。  共同調理場方式から単独調理場方式への移行について、理想と現実の問題でもありますが、衛生や安全面だけでなく食に関する指導食育取組を強化していこうとする今日の段階で、しかしこれは必須の重要課題、共同から単独への移行は必須の重要課題というふうに私は考えざるを得ません。大臣はどのようにお考えでありましょうか。
  83. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 先ほどの回答とも多少ダブるかもしれませんけれども、共同方式と単独方式を比較しましてそれぞれ問題点あるわけでありまして、先生指摘いただくように、共同方式から単独方式に移行すべきではないかと。それ自体私はいろいろ現場を踏まえて議論があろうかと思いますが、しかし、共同方式にも指摘されましたようにいろいろな問題点があるのも事実でございますから、そこを何とか実際の運用の中でそれをいかに補っていくかということがこれから必要になるのではないかと、こう思うところであります。  単独方式の学校の方が学校行事との関係で、関連で献立に工夫ができるなどきめ細かい対応が可能であるわけでございまして、ですから、一般的には食に関する指導は単独の方が有効であると、こういうことも言われておるところであります。  学校給食の実施方法については、域内の学校の立地状況、児童生徒の状況、各自治体の行財政状況、こういうことを配慮しながら、各学校地域の実情に応じて各学校の設置者が適切に判断すべきものと、こう考えているところでございます。  なお、文科省におきましては、この単独、共同、いずれの方式であっても合理化の推進に努めるとともに、学校給食学校教育活動の一環として実施されているということにかんがみまして、食に関する指導充実や衛生管理の徹底を図るということに力点を置いてやろうと考えているところでございます。
  84. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私はこの学校教育法の質疑をさせてもらおうと思って取り掛かったときに、問題は簡単だからまあ素人の私でもできるなと思ったら、大変重要な問題で、聞くこともはばかられるほど難しい。こんなことをうっかり聞けば文部科学省どう答えるんだろうかと、それは思わざるを得ません。そういうことだと思うんですよ。だから私は大臣に聞いているんです。大臣がどれだけの決意を持っているかと。そこまではできないというんなら、そこまではできないということを選択しなくちゃならないというふうに思っているんです。  私は、そういう現実主義的なところが強いんですけれども、理想と現実のギャップというのはいつどこでも何にもあるんですが、相手が子供に対する教育ですからね、食の。ですから、できないものはできない、役割限定は役割限定、試みにどこかやってみてと。だから、対策を講じていただきたい、今から検討していくと、シミュレーション、机上の議論をきちんと皆さん、文部科学省のここにおられる皆さんが中心になってやっていく、やっていただきたいと思います。  さて、具体例で、理想は高くても現実は厳しいという話を少しします。  新潟県新津市では、来年度より、これまで市が直接運営してきた五つの給食施設のうち、二つの小学校の単独調理場と二つの共同調理場の合計四つを廃止し、PFI方式で民間委託による学校給食に切り替えようとしております。施設の解体、設計、建設、保守あるいは輸送や調理場の洗浄というものであればまだ理解されやすいのですが、給食調理を始め献立作成、食材購入までのすべてを委託業者に任せ、市は給食を購入するだけという、言わば完全に民間丸投げ給食という計画であります。  民間の方がいいという話がいつの間にか日本の中に浸透しちゃって、民間信仰が多いので、私は大変これは危惧する問題だと思っておりますけれども、ジョイントベンチャーを組んで共同調理場を建設し、人件費を含む運営も設立された特別目的会社が当たると、二十年間で八十二億円の債務負担で行う計画を進めようとしましたが、この条件では運営は非常に厳しいものとなるため落札する業者が現れず、新設された施設のみが残っている現状と聞いております。  学校給食をPFI方式で民間委託しようとする理由は、市の放漫財政のツケであって、二十九人のパートによって十五か所の幼稚園、小中学校の四千二百食を供給できるという人件費の削減の効果が大きな魅力となっているようであります。しかし、基本的に給食に直接かかわることをやめてしまおうという発想ですから、教育的配慮は二の次で、統一献立、食品の購入、献立の作成など、安全面、運営面でも多くの問題があることは明らかです。  現在、新津市では、米は全校で、野菜は金津給食センターで地元産の食材を給食で使う、地産地消が行われています。地元の新鮮な農産物を食材に使うことで、農業に対する興味や親しみを子供たちが持つことができる、いわゆる食農教育が実践されております。さらに、学校栄養職員はチームティーチング、家庭科の実習指導給食便りの作成、昼休みの放送での指導、試食会での親に対する指導などに携わってきており、食に関する指導については積極的に取り組んできた実績がありますが、来年度からはこれが困難となる状況となりかねません。  これから食育に本格的に取り組もうとする政府の政策と余りにも逆行する動きであります。これが財政難に苦しむ地方の現実の姿の一つでもあります。こういうところで新たに食の指導に当たることになる栄養教諭は大いに悩むことになるのではないかと心配します。  大臣は、今回の法改正による食育推進観点から、新津市教育委員会考え方にどのような見解をお持ちでしょうか。
  85. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、伊藤先生今御指摘ありましたが、最近財政論が優先をして、特に教育の問題については教育論が隅の方に行っちゃっている傾向を私は非常に危機感を抱いております。  今回のこの新津市のケースも、正に財政難から考え出したことでありましょうが、これは今我々が考えているいわゆる食教育食育、その観点からして、これは御指摘の点の問題というのは指摘せざるを得ない点ではないかと思います。その点について市の教育担当者等々はどこまでお考えの上でこういうことに踏み切っておられるか、私は非常にちょっと、私自身考えてみても問題点を指摘せざるを得ない点があるんじゃないかと思います。  恐らく、御指摘のように、今後、学校現場においては、学校栄養教諭の皆さんが現場にお立ちになったときにこのギャップをどういうふうに埋めるか、これは大変だろうというふうに思うわけでございます。この点について、どうこれをきちっと食育を進められるかということを、改めて新津市の教育委員会はどう考えておられるのか。私も、今、全国的に正に展開しようとしている食育の方針と余りにも懸け離れた問題であるとするならば、これはやはり、いわゆる教育行政、食育考え観点から、十分意見をお聞きした上で指導すべきところは私は指導する必要があるんではないかと、こういうふうに率直に感じております。  もちろん、安全面であるとかそういうことがきちっと担保された上でのことなのかということでありまして、この受皿になろうとするところが、いわゆる、こういう表現は良くないんですが、弁当屋さんといいますか、いわゆる総菜屋さん的なものでやろうとするならば、これは私は大変な失敗になるんではないかと、こういうふうに思っておりまして、この辺がいかにきちっと担保されているかどうか、このことは私の方も十分その方針は伺いたいものだと、こう思っております。  率直に言うとそういう感じでございまして、今後こういう方式が広がっていくのかどうか私も心配いたしておりますし、それから、先ほど来、共同調理方式から単独調理方式の話、数字の統計を見ましても、徐々にではありますが共同にいく、数字的にそういう数字も出ております。しかし、一方では、やっぱり学校給食重要性というのは認めておるところもありまして、中学校辺りで学校給食を進めるところも出てまいりましたし、そういうことでありますから、私は、今回、この学校栄養教諭制度を導入するということが改めて食育重要性国民に投げ掛けることになってまいりますし、現場において学校教諭先生方が大いに頑張ることによってそういうことの認識が改まってくるのではないか、そういうことも期待しながら、これからの食育充実にやっぱり文部科学省もそれなりの覚悟を決めて取り組まなきゃいけないのではないかと、このように思っております。
  86. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私の時間来ているんですが、谷さんに御了解いただいておりますので、あと一問だけさせてください。  今の大臣の御答弁を聞いておりまして、大変な悩みといいましょうか、どうしようかとか、果たしてというようなものが感じられまして、私はそういうところから始めてもらいたいと実は思ったわけであります。そういうところから始めざるを得ないほどこれは大変重要な問題で、子供は日常的に悲鳴を上げているわけですよね。声には出さないけれども、助けてくれですよね。給食が完全に栄養価の調った唯一の食事という子供だっているようですから。その子供たちが親になったらどうなるかということはもう想像しなくも分かりますね。今、まないたも包丁もない家庭が幾つもあるそうですから。要するに調理しないんです。  さて、学校栄養職員栄養教諭への移行について具体的な問題をお聞きします。  現在、学校栄養職員は採用の仕方から二つに分類されておりまして、学校栄養士の人件費を二分の一ずつ国と都道府県が負担するか、全額市町村が負担するかで、前者を通称県費の栄養職員、後者は市町村費あるいは単費の栄養職員と呼ばれております。給食や食の指導に熱心に取り組んでいる市町村ほど独自に単費の学校栄養職員を置いているという傾向もあるようですが、県費の職員と単費の職員が同じ職場で同じ内容の業務を行っている例は幾らでもあるという実態です。全国の小学校中学校、共同調理場で約九千人の県費の職員と千五百人の単費の職員、合計一万五百人の学校栄養職員学校給食を支えているということですが、当然、県費も単費もすべての栄養職員が差別なく栄養教諭になる道が開かれていなくてはならないと思います。  ところが、今回の改正では県費の職員のみを栄養教諭として任用する方針で、単費の職員の任用は想定していないということが衆議院の委員会審議の中で明らかになりました。県費の職員も単費の職員栄養教諭免許状を取るところまでは同じだが、現在の定数が存在している中では単費の職員栄養教諭に任用されるという道は実質的に閉ざされているということです。  大臣は、この栄養教諭への移行に関しての単費の職員の矛盾とその解決方法についてどのようにお考えでしょうか。問題点が定数だけということであるならば、これをどのように解決されるのか。これまで同じ職場、同じ仕事をしている身分、待遇が差別が出るということは職員資質にもかかわります。こんな混乱を起こさないようにするのは当然のことでありませんか。大臣の強い決意をお伺いします。  一方、様々な事情から栄養教諭への道を選択しない学校栄養職員の方も出てくると思われます。これらについてはこれまでどおり国と地方による負担が継続されるべきものと考えますが、これについても見解をお願いしたいと思います。  単費の職員栄養教諭任用の問題が解決されるまでの間にも、現場で働いている学校栄養職員栄養教諭免許状を取得するための諸準備が始まることになろうと思います。ここでは実質的に、県費の職員も単費の職員も同様に、研修の受講など、資格認定に向けた差別のない取扱いが行われなくてはならないと思いますが、これについての見解も併せてお願いいたします。
  87. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今回のこの学校栄養教諭制度導入に当たって、この問題が一つの問題としてあることは私も承知をいたしております。  公立学校の校長、教頭、教諭、養護教諭学校栄養職員、事務職員、これは都道府県が負担する。しかし、そのうちの教職員の給与費は義務的経費で非常に多額になります。必要な教職員を確保しなきゃいかぬということで、教育水準の維持向上を図るということで、この目的としてこの義務教育費の国庫負担制度も置いておるわけでございますし、また県費負担教職員の任命権を、都道府県の教育委員会、政令都市も含めますが、ここに属すると、こういうことになっておるわけでございます。  この中で、学校栄養職員がそれまで市町村の負担の職員であったわけでございますが、昭和四十九年に県費負担職員に加えた際に、これもその加えたことをいろいろ聞いてみますと、市町村負担であった給食管理に携わる栄養士資質能力にもばらつきがあったので、これは統一しようということになったと聞いておりますが、経過措置として県費負担とする学校栄養職員を都道府県が指定することとしたために市町村負担の学校栄養職員が存続すると、こういう状況になったわけでございます。  そこで、学校栄養教諭について、今後いわゆる教育職員として位置付けていくわけでございまして、教育職員免許に新たに栄養教諭免許状が出てくると、こういうことであります。そうすると、教諭や養護教諭と同様に、栄養教諭というのはすべて県費負担教職員として位置付けていくことになるわけでございます。なお、今、市町村費の負担となっております学校栄養職員につきましては、栄養教諭免許状を取得して、そして各都道府県委員会栄養教諭として任用することによって栄養教諭になれると、こういう仕組みになっていくわけでございます。ただ、私は、現実問題として、栄養教諭はまだ三万校の学校に対して一万という、現実に足らないという現状があるわけでありますから、私はこの任用については積極的にやるべき課題だろうと、こういうふうに思います。  それから、栄養教諭の道を選択しない栄養職員のことも考えていかなきゃならぬわけでございますが、そういう意味では、学校栄養教諭制度創設された後においても、これは栄養教諭配置は任命権者である都道府県がやるわけでありますが、学校栄養職員制度上存続しなきゃならないと、こう思っております。もちろん、栄養教諭にならない学校栄養職員の皆さんも学校給食管理という重要な職務がございますから、これは基幹的職員として働いていただかなきゃなりません。給与についても、県費負担教職員と同様に、引き続いて市町村立学校給与負担法によって都道府県の負担とした上で、義務教育費国庫負担法によって原則としてその二分の一国庫負担とする仕組み、これを持っておるわけでございます。  それからさらに、認定講習を実施していかなきゃなりません。そういう意味では、これは栄養教諭に移っていくためには単位取得が必要でございますから、このことについては、必要な財政措置、これは確保していかなきゃいかぬ、これは国が努力しなきゃいかぬ課題だと、こう思っております。また、都道府県が開催をする認定講習でありましても、該当する都道府県の教育委員会の判断によって市町村費負担の学校栄養職員を対象とすることはできるわけでございます。文部科学省、私どもといたしましても、市町村費負担学校栄養職員栄養教諭免許状の取得に支障がないように都道府県の教育委員会理解を求めてまいりたいと、促してまいりたいと、このように考えております。
  88. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 ありがとうございました。
  89. 谷博之

    ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。  若干時間が少なくなりましたものですから、大臣始め答弁者の皆さん、簡潔に答えてください。答弁ですから慎重に、言葉が長くなるんでしょうけれども、短くて結構ですから。私の方も、用意しました質問を若干、ちょっと聞き足りない部分もあるかもしれませんので、それは御了解いただきたいと思います。  端的に申し上げます。栄養教諭配置についていろいろ質問がございましたけれども平成十三年から十七年まで第七次教職員配置改善計画というのがあって、これで、先ほどの午前中の答弁にも九百六十二人増員するということで計画がされているというふうに承っておりますけれども、現在約一万二千人全国にいると。共同調理方式の学校では四・五校に一人、それからいわゆる自校調理方式のところでは二校に一人というふうなことで配置がされているというふうに言われておりますけれども、どうもその増員がなかなか目に見えてこないというふうなところもございます。  したがって、このいわゆる計画、改善計画に従って、今後残された期間も含めてどのような取組をしようとしているか、簡潔にお答えください。
  90. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えいたします。  この栄養教諭学校栄養職員定数でございますが、数字は今、先生がおっしゃったとおりでございます。大変厳しい財政状況の中ではございますけれども栄養教諭並びに学校栄養職員役割重要性にかんがみまして、私どもはこの改善計画の着実な推進に全力を挙げて取り組みたいと思っております。
  91. 谷博之

    ○谷博之君 栄養教諭ということになりますと、教諭ということですから今まで以上にその業務の量が増えてくるということになります。これ、衆議院の答弁でもそのことについて触れられておりまして、給食メニューのデータベース化ということが答弁されております。つまり、そういうところで合理化をするんだということでありますけれども、例えばデータベース化をしますと、例えばメニューの画一化とかあるいは栄養価を重視するということによって大変珍妙な組合せの献立というのができるような、そういうふうなことが心配されております。  現に、私ちょっと調べてきたんですが、大変珍しい献立表ということの例で、豚汁と牛乳、コッペパンとシューマイ、チョコパンとカレーコロッケとかき玉スープ、パンとワンタンスープ、うどんと牛乳、これ全部組み合わせたこういうメニューがもう既に出ているんですね。これは、衆議院の議論というのは牛乳を中心にした議論なんですけれども、私はこういうふうなことが余りにもデータベース化によって起こってくるとすれば非常に心配だと思いますが、どうお考えですか。
  92. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、栄養教諭が食に関する指導の時間を拡充していくためにデータベース化等コンピューターによる物質管理などの情報化の推進を図ることが大切だと考えておりますけれども、同時に、学校給食は食に関する指導を効果的に進めるための生きた教材であるわけでございまして、献立の作成に当たりましては、栄養バランスが取れているということだけではなくて、児童生徒が楽しくかつ満足して食べることができるように食事内容を多様化し、食事に関する関心を高める工夫をすること、さらには地域に根差した献立等の工夫をすること、そういうことの中で食文化への配慮や給食教材としての機能を十分に果たせるような取組が私どもとして期待しておるところでございまして、コンピューターを活用するに当たりましても、そういうことにならないように私どもとしては指導してまいりたいと思っております。
  93. 谷博之

    ○谷博之君 今の御答弁を更にちょっと突っ込んでお聞きしますけれども、コンピューター、パソコンの話が出ましたけれども、現実にそういうふうなパソコンの供与とかで、あるいはソフトの開発とか、あるいはまたそれを具体的に使うための研修とか、こういうものは当然前提として必要ですね。既に現実にパソコンをかなり使いこなしている栄養士さんの方々は、そういう意味ではもう既にそれを使っている。  ただ問題は、今までは手書き等でやっていたそういうふうな方々が新たにそれを使いこなさなきゃいけない、こういうことになってきます。その対応、どうされますか。
  94. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、栄養教諭制度が発足してこの栄養教諭が食の指導に当たるためには、御指摘のようなコンピューターあるいはソフトといったものを使いこなすことが非常に重要なわけでございまして、そのコンピューター活用能力を高めるためには、各種研修におきましてコンピューターの活用能力の研修を行うことが必要であろうというふうに考えておるところでございます。  私どもといたしましては、現時点におきましても、学校栄養職員の初任者研修あるいは十年経験者研修といった研修に必要な経費の助成を行っておるところでございますけれども、そういう研修においてコンピューターの活用を取り入れる、あるいは各学校でもコンピューターに関してはいろいろ校内研修として実施されておる場合もございますので、そういう中で、現在の栄養職員の方にも、そして将来の栄養教諭方々にも、そういう教員全体のコンピューターの研修の中でコンピューターの活用能力を高めていっていただくというようなことが大切であろうと考えておるところでございます。
  95. 谷博之

    ○谷博之君 これは強く要望するということになると思いますけれども、それと、午前中やはり質問出ていましたけれども、いわゆる学校給食というのは、学校の中の給食だけではなくて、いわゆるいろんな、例えば家庭における食事、それから例えば夏休みなどの林間・臨海学校なんかのそういう行事、それから修学旅行、こういうものを全部含めて学校外のやっぱり食事給食ということになります。  この問題については私も実は具体的に自分の地元で経験をしたことなんですが、栃木県というのは海のない県です。臨海学校というのがありまして、茨城県に県立の海浜自然の家という施設を持っている。毎年、小学校五年生の子供たちが、全県の子供たちが割り振ってそこに参加をする。先ほども、午前中、副大臣答弁でしたでしょうかね、アトピー性の、アレルギー症の子供たちが全体の、百人のうち二人近くいるという、こういう状況の中で、そういう子供たちも参加します。結果として、そういうところはすべて委託業者によってバイキング方式で食事が出ておりますから、どうしても使われる油とか食材によって大変、アレルギー性の子供たち、その親御さんは心配をする。大体三泊四日ですから、弁当を持っていかせて対応するというわけにいかないんですね。そういうことで、非常に親御さんたちが、かなり距離がありますけれども毎食毎食食事を運ぶとか、こういうふうなことで大変御苦労されていた。  私も県議の時代にそのことを強く要求しまして、県としては、特別なそういうメニュー、調理方法というものをやっぱり考えていくということになったわけですが、こういうふうな具体的な例を考えますと、どうしてもこれから新設される栄養教諭がそういうコーディネーターになってそういう具体的な学校外の問題についてもしっかり個別な対応をしていくということも必要だと思います。  こういうことについてのお考えを聞かせてください。
  96. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 今、先生は、地元の事情も含めまして、例えば林間学校、臨海学校、こういう場においても決して気を許してはいけないという、こういうことをお話しになったところでございます。アトピーや食物アレルギーを持つ児童生徒に対しては、こういう校外活動においても常に適切な配慮をしておかなければいけない。  栄養教諭は、一般的な給食管理個別指導等を通じまして、日ごろから食物アレルギーなどの児童生徒についての情報を把握できる立場にあるわけであります。このため、校外活動の際にも、これらの情報を基にして、例えば引率の教職員に必要な注意事項を伝達する、さらには宿泊施設等とも連絡を取りながら食事については特別な対応をお願いすると、こういうようなことも大事であります。  いずれにしましても、栄養教諭が関係者と緊密に連絡しつつ、先生今コーディネーターという言葉を使われましたけれども、正にこれからはそういうような食のコーディネーターとしての重い役がこれから出てくるのではないかと、こう思っております。
  97. 谷博之

    ○谷博之君 午前中、大野先生の質問でいわゆる一般の家庭孤食の問題が触れられておりますから、これは要望だけにしておきたいと思いますが、ふだんの子供たちが朝、夕方、朝晩の食事については、大体どこの学校でもどういう子供たち食事をしているか、あるいは朝食を取ってこないか、こういうふうな調査を大体していると思うんです。それ、内容の御答弁がありました。  問題は、夏休み、冬休みといった長期の休暇のときのお昼ですね。これは意外と調査されていないんですよ。恐らく、共働きの家庭子供さんたちが一人でうちにいるとき、お母さんが朝食事を作ってお昼子供たちに食べさせるというやり方もあるでしょうし、あるいは何にも食べないという子供もいるかもしれない。そういう意味での、是非文科省の方でそういうふうな家庭における孤食の問題ということまでやっぱり調査をして、そこに栄養教諭役割の光を当てようとすれば、そういう部分を是非調査してほしい。  そして、そういうことによって、子供が三百六十五日を通じてどういうふうな食事を、学校給食だけじゃなくて家庭も含めて、さっき言ったような学校外の施設の段階も含めて、やっぱりそれはトータル的に具体的なやっぱりその全体の状況というものを把握してもらいたい。そして、それに対する、栄養教諭というのは大変忙しい立場でどこまでそれができるか分かりませんけれども、いわゆる家庭における食の指導等を含めて保護者に対応していくような形を是非取ってもらいたいと、このように考えております。  それから次に、ちょっと話題が変わりますけれども、米飯給食のことなんですけれども、九九年に農水省が奨励補助金の米飯給食の事業を廃止をしました。結果として、いわゆる米飯給食の実施率が伸び悩んでいるというふうに今言われています。  大臣は衆議院の答弁で、米飯週三回という、こういう答弁をしておりますけれども、現実には、私が調べたところでは平均では二・九回ですか、その程度だというふうに言われておりますので、これをどうやって高めるか、そこら辺のお考えを聞かせてください。
  98. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘のように、今、農水省は米飯給食推進といいますか、米の消費拡大という観点から補助金を出しておりましたが、それを切ってしまったと。極めて遺憾にあのとき思ったわけであります。そして、それに対する財政措置を交付税でやるんだという話も現実にきちっとなっていない現状であります。  しかし、子供たちは、聞いてみるとやっぱり米の御飯を好んでおりますから、この点を工夫をしていくべきではないかと思います。ただ、そういうこともあって、少しずつでありますけれども、週五日当たりの米飯給食、少しずつ伸びておりまして、十四年五月現在でも〇・一で増えて二・九回ということでございます、平均が。谷先生のところの栃木県は三・〇回という報告を受けておりますが、一番多いところは山形県、福井県、高知県が三・四回という現状でございます。  そういう状況下にあるわけでございますが、まあ米飯給食というのが我が国の伝統的ないわゆる和食の中の中心な根幹、やっぱりこれを正しい食生活の中で米飯を中心にするということ、それから稲作というのが日本文化と大きな関係がある、こういうことを、やっぱり教育意義がありますから、そういうことをやっぱりきちっと教育の中で位置付ける、そういうことでこれまでも努力をしてきておるつもりでありますが、更にこの点を進めていかなきゃならぬと、こう思っておりますし、また炊飯給食施設の整備に関する経費の一部を補助するということ、それから児童生徒用に配付しております食生活学習教材に米を取り上げる、普及啓発活動もやっているわけでございます。学校給食の手引等々においても、地域地域によって違いますが、郷土食、地場産業の導入、この和食というものを重点に置いたそういうものもやっております。  これから栄養教諭制度導入に伴いまして、地域のその伝統的な行事食とか地場産業の活用、その栄養教諭が献立を工夫していただく、そうした中で米飯給食推進図られるんではないかということも期待をいたしておるところでございます。やはり日本の和食が今日の日本の長寿社会を作り上げてきたことは私は紛れもない事実だと、こう思っておりますが、米飯給食中心としたこれからの食事、その推進学校栄養教諭の皆さんにも一役買っていただきたいと、こう思っております。
  99. 谷博之

    ○谷博之君 いわゆるこの学校給食小学校に入っての子供たち、その前の幼稚園、保育園に通っている子供たちも当然その園で給食が出ます。これは、ところが残念ながらこの保育園とか幼稚園には保育士の必置義務がないわけですね。保育園は文科省等所管外ですけれども、こういうふうな幼稚園のそういうふうな状況も含めて大臣はどうお考えになっておられますか。
  100. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、学校給食法においては、残念ながら義務教育学校の設置者に学校給食の実施の努力義務ということがあって、幼稚園ないわけですね。私は、しかし、やっぱり食習慣というのはそこからもうスタートしておりますから、幼稚園もちゃんとした栄養士を含めて栄養価のあるバランスのある食事をすることが大事だと思います。    〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕  ただ、幼稚園においては低年齢の幼児を対象として四時間の教育時間というのが標準になっております。そういうことで、給食を実施している場合でもその実態、実施形態がいろいろ様々でございますので、この点についてはやっぱり地方の幼稚園の設置者のお考えといいますか、を重視しなければならない問題ではないかと、このように現時点で思っておるわけでございますが、今後の課題としては、やはりその全体を、食育を全体を進める場合にはこれをどういうふうに位置付けるかということもこれは検討しなきゃいけない課題だと、私はそう思います。
  101. 谷博之

    ○谷博之君 この問題については全国市長会も国に対して強く要望を出しています。これは保育所の方ですけれどもね。一園に必ず保育士、失礼しました、栄養士を設置してほしい、あるいはまた看護師もそうなんですけれども、これを是非設置してほしいと、こういう要望が出ているわけですが、これは厚生労働省の方ですけれども。  もしもそういう保育所の方の、保育園の方の関係がそういう動きが出てきたときに、私は当然やっぱり幼稚園の方も同じような私は取組というものがやっぱり必要な気がするんですけれども、ここら辺はどういうふうに横並びで考えておられますか。
  102. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 基本的には小学校からということにこれまで進めてきておるわけでございます。この財政的な裏付けをどうするかという問題を含めてございますが、やはり食育全体を進める観点からすれば、これは検討しなきゃいけない課題であると、このように思います。
  103. 谷博之

    ○谷博之君 栄養教諭の関係はそのぐらいにさせていただきまして、今度は薬学部の六年制化に伴う問題について、大きく二つのことをお伺いしたいと思います。  まず一つは、薬剤師の疑義照会という問題なんですね。これ、いわゆる私たちが病院に行って治療を受ける、そしてお医者さんが、診断をしてもらって薬をいただく、当然それは処方せんとして、その処方せんが薬局に行って、そこで調剤してその薬をもらう。そのときに、いわゆる薬剤師の人がその処方せんの中身で疑問を感ずるときが出てまいります。そのいわゆる配分の量とか、あるいはその薬の出し方とか、こういうものを薬剤師の側が医師に対し、あるいは歯医者さん、歯科医師に対して問い合わせをするという、こういう制度がこの疑義照会ということなんですけれども、このことについてですが、これ実は日本薬剤師会が最近統計を取っておりまして、全部の処方せんのこの疑義照会があったのは約二%と、こういうふうに言われています。私はもう少し多いのかなと思ったんですが、実はその程度の数字でした。  ここに新聞のちょっとコピーあるんですが、最近、この四月に川崎の聖マリアンナ医科大学東横病院で一つのこれ死亡した事例があるんですが、抗がん剤、二つの抗がん剤を併用しまして、結局それ、言うならば併用が禁止された二種類の抗がん剤を同時に処方して、これを飲んで六十代の男性が亡くなったということなんですが、こういうものも含めて、これはかなり薬剤師の人たちがこの問題については実は気が付いていたにもかかわらず、結果的にこういうことになった、処方せんのとおりの要するに調剤をしたということですね。当然それはそれを犯した医師にも責任がありますけれども、薬剤師にもそれは当然その責任があるわけです。こういうふうな事例が実は調べてみますと随分あります。  薬剤師法の第二十四条にはこういう条文があるんです。薬剤師は、処方中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければこれを調剤してはならない、こういう条文です。これは正に有名な条文でして、いわゆるどんな試験でもこれは必ず出題されるというふうに言われているんですが、しかし実際には、我々が調べた範囲ではですよ、実際では大学の薬学部の授業等では、こういう条文はあったとしても、じゃ具体的にどういうやり方でこの疑義照会をするとか、そういうことについては教えていないというふうに言われているんです。  ここら辺の具体的な現状はどうなっているか、まずお聞きしたいと思うんですが。
  104. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 谷先生指摘の点はこれから非常に大事な役割でございまして、非常にこの薬剤師による疑義照会、これはきちっとやることがこれから非常にそうした医療事故を防ぐ上でも大事なことでございます。  さっき御紹介ありました聖マリアンナ大学の問題、それから北里大学でも同じようなケースが起きておりますが、いずれも、その報告を見ても、やっぱり処方に当たって薬剤師が確認する体制を整備すべきであると、こうなっているわけですね。この点がやっぱり現実問題として欠けておる点でありますから、ちゃんとこういうふうになっておるわけでありますから、これから教育においてこの点をきちっとしていかなきゃなりません。  各大学、関係大学においては、シラバスの中に疑義照会ということをちゃんと入れておるのでありますが、これは実は、この今改正案を出すに当たって文部科学省調査研究協力者会議においても、この薬学教育の必須の内容として実務学習モデル・コアカリキュラム、この中で、実務実習、事前学習、病院実習、薬局実習、それぞれの場面で疑義照会について、その意義を踏まえて実務を体験させると、そして基本的知識、技能、態度を習得させるようにするということがうたわれておるわけでございますので、今後、六年制になっていくわけでありますから、この点をきちっと的確に指摘できる、処方せん上の疑義について的確に指摘できる薬剤師養成が行われるように、特に各大学に対しては強く求めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  105. 谷博之

    ○谷博之君 実は、このわずか二%というか、この低い数字である理由は、いわゆる薬剤師の関係するいろんな書物を見ておりますと、薬剤師の方々が処方せんを見てこれはおかしいというふうに気が付いても、なかなかそれがいわゆる照会できにくい状況があるんですよね。これは御案内のとおりだと思うんですが、薬剤師の方々がその処方せんを書いたお医者さんに問い合わせをする、そうすると、たまたまそのお医者さんが診察中であればなかなかすぐ対応できない。それから、それを受け付けている窓口の事務職の方が、まあそれは前と同じことだからといってそこで切られちゃう場合がある。で、何度も何度もやると、その薬剤師が、またかということで、非常に言うならば煙たく見られちゃうという、こんな現場の状況があるんですよ。    〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕  私は、今の大臣答弁は非常に有り難い答弁なんですが、それはいわゆる薬剤師の立場だけで議論をしていてもそれはなかなか私は解決しにくい大きな問題があるということを是非ひとつ、これは答弁していただこうと思ったんですが、よくそれを認識して、そういう全体の話として厚生労働省とも調整をしながら取り組んでいただきたいと思うんです。  それで、もう一点だけちょっとお伺いしたいんですが、薬害から患者を守るのは薬剤師の使命です。したがって、病院の医師や事務員から嫌がらせを受けて不快な思いをしても、患者の安全確保のためには毅然として疑義照会を行うべきなんです。つまり、二%じゃなくて、これを五%、一〇%に、何も数字を上げていく、その数字の言葉ではないですけれども、ちょっとでも疑わしいと思えばそれは照会をするという、そういう仕組みを作っていけば、安全であればそれでいいわけですから、そういう意味での私はこの二%という数字はいかにも低いというような気もします。  そういう意味では、この数字を高めていくこと、そして今言ったように六年制化に進んでいく中で、その具体的な政策評価の一つの指標として、指標としてこの疑義照会の確率の増加というものを是非私はこれ入れてほしいと考えているんですが、いかがでしょう。
  106. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 薬学教育修業年限延長ということに伴いまして、これについて検討しました中央教育審議会の答申におきましても、やはりこういう質の高い教育が行われるかどうかということについて十分な検証と適正な評価のための第三者評価、これを実施すべきであると、こういう御提言もいただいております。  その際の評価の観点の一つといたしまして、実務実習につきまして実務実習モデル・コアカリキュラム、ここで疑義照会きちんとということが内容にあるわけでございますけれども、こういった内容が実質的に実現されているかどうかということが重要でございますので、この疑義照会につきましても適切な教育が行われているかどうかについてこの第三者評価におきまして検証され評価されるということになるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  107. 谷博之

    ○谷博之君 もう一つの大きな問題は、これまた具体的な質問で恐縮なんですが、東京理科大学のいわゆる実験動物の取扱いの問題についてお伺いしたいと思います。  薬学、医学の分野で、いわゆる非臨床試験の一環として動物実験を行うということは、これ必要不可欠なことだと思います。そしてまた、実験動物の適正な管理というのがより正確なデータを得ることができると、大きくそれが影響するというふうに思っております。  そういう中で、この千葉県野田市に移った東京理科大学、ここで実は今年の二月に、この施設の管理委託を受けていた業者の方から内部告発がございました。これは文部科学省にもその内容は伝わっていることと思います。そのことを実は踏まえてちょっと質問をしたいんですが、じゃ具体的にどういうふうな事柄が行われているかということをちょっと幾つか私調べてまいりました。  ちょっと簡単に御紹介しますと、東京理科大学生命科学研究所では五年も前から、そして同大学の薬学部では昨年の野田移転当時から、それぞれの内規に反して遺伝子改変動物を施設外の研究室などで飼育したり、容易に逃げやすいビニール袋に入れて運んだり、あるいはまた繁殖記録も行われていなかったと。  そして、そのうち特に悪質な研究室、これはあえて名前出ておりますから、安部教授という教授の研究室ですが、この方は、元帝京大学副学長の、例の薬害エイズ裁判で有名になった安部副学長の息子さんということでありますけれども、これはちょっと余談の話になります。このことは別にどうということはありませんけれども、この方がこの動物実験施設の管理責任者なんですね、この人が。  これ一つの例ですが、五匹しか、五匹のマウスしか入らないそういうケージに三十七匹ものマウスを入れて、もう一杯になっちゃっているわけです。尾っぽは切れるし、頭は飛んじゃうし、最後に、えさを与えないものだから共食いをしちゃうという、こういうふうな要するに実験動物の管理の仕方をしている。なおかつ、そのほかにも生命科学研究所のこの安部研究室では、九七年ごろに内規で禁止しているマラリア原虫の投与実験を強行しているということもございます。  それから、生命科学研究所のすぐ横のごみ置場から、遺伝子改変あるいは感染症罹患の可能性のある実験用マウスが二度も目撃をされている。さらにまた、同大学の薬学部で実験用マウスと思われる白いネズミが逃げ出しているのを守衛とか関係者が目撃し、それを知った市民が千葉県の野田保健所に通報して、その野田保健所はそれを受けて昨年十月に立入検査を行っている、こういうこともあります。そして、この通報を受けて野田保健所は、動物愛護管理法、いわゆる動愛法ですね、動愛法に基づいて立入調査をした。しかし、残念ながら建物の外観を見ただけで中身には入って検査をしなかった、こういうふうなことも言われております。  いろんなそういう事実の積み重ねの結果、この施設管理の委託をしている業者は、最終的にそれらを、私、手元にありますけれども、相当な厚い、問題点ということでレポートにしまして、これを文部科学省に届けているはずなんです。そして、そのときに生命科学研究所は、その実態を明らかにしないでくれと口封じをした上で、結局それはできないということで、今年の三月でこの委託の契約は切れちゃったんです。一方的に打ち切られてしまったという、こういうふうなことがあります。  いろいろ申し上げましたけれども、こういうことについて大臣は御存じですか、この事実を。
  108. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今の御指摘の点、私のところへもアニマルサポート株式会社からこの点についての要望をいただいております。事実関係確認をしておるわけでございますが、理科大学側からは、現在は適切な管理を行っておるが、過去において必要以上に動物を繁殖させていた、あるいは飼育管理を請け負った会社から指摘されたような事実があった、一部あったという報告がございました。  谷先生も御指摘のように、ライフサイエンス研究にとっては動物実験は不可欠になっておるわけでございますが、この点については、動物愛護法の精神、また動物福祉の観点、こういうこともやっぱり十分配慮して、関係法令等は遵守してもらわなきゃならぬわけでございます。そういう点も踏まえて、文部科学省といたしましても各大学等に対しまして、今後とも動物実験あるいは動物の飼育管理、適切に行われるように、様々な機会を通じて注意を促してまいりたいと、このように考えております。
  109. 谷博之

    ○谷博之君 いわゆる今申し上げたことは、大臣そういう御答弁ですけれども、完全に私は改善されたというふうにはまだ見ておりません。  一つは、法の不備もあったんだと思うんですけれども、今年の二月に遺伝子組換え生物規制法という法律が施行されました。この三十一条には強制立入りができるというふうな条文が入っておりまして、立入検査をできるということですね。そういう意味からすると、私、今まで以上に法の整備というものもできてきていると思うんですけれども、そういう点からすると、先ほど申し上げてお答えいただいた、そういうふうな大学側の内容を裏付けるという意味からも、私は直ちに立入検査をする必要があるというふうに思っているんですが、いかがでしょう。
  110. 石川明

    政府参考人石川明君) 遺伝子組み換え生物等に関する立入検査についてのお尋ねでございますけれども、遺伝子組み換え動物の拡散防止のための措置が適切に講じられていることが必要でございまして、この点につきましては、私どもとしても、東京理科大学に対しまして説明を求めまして、法令に基づいて適切な措置が取られているというような報告を受けているところでございます。  また、現在、同大学において法令違反のおそれがあると判断されるような事実は今現在は認められておらないところでございまして、文部科学省としては、その法律に基づく立入検査を現在実施するというまでの必要性があるとは考えておらないところでございます。
  111. 谷博之

    ○谷博之君 実際にそういう立入りをしても、その場でそういう状況が、違反の事実が見付かるかどうかはこれは分からないわけですけれども、少なくとも、こういう内部からのいろんなこういう指摘があるということになれば、どの程度の私は調査をするかは別にしても、その指摘された事実はやっぱり確認しなきゃいけないですよね。例えば、いわゆる施設外で飼っていたり、あるいは安易に持ち運んだり、あるいは繁殖記録を全くしていないとか、こういうようなことについての一つ一つのやっぱりそれは事実は確認をしなきゃいけないと思うんですが、それはやられたんですか。
  112. 石川明

    政府参考人石川明君) 先ほど先生から御紹介といいますかお話がございました様々な業者からの指摘の点につきましては、東京理科大学の方から詳しい説明といいますか状況を聴取しております。その概要につきましては先ほど大臣の方からも御答弁申し上げたとおりでございますけれども、現在、これらの事実関係につきまして改めて大学の方で調査をするということで、学外の有識者を含めました特別調査委員会を設置をして調査を行っているというふうに承知をいたしております。  私どもとしては、こういった先ほど御指摘をいただきましたことにつきましてはそういった調査の中でも一層明らかにされるものと考えておりますし、また、そういった事柄等も踏まえまして適切な対応をまた取っていきたいと、こんなふうに考えております。
  113. 谷博之

    ○谷博之君 どうも私は国立大学の場合はこういうことはないと思うんですよね。やっぱり国の大学ですからね。どうも私立大学ということになると、大学の自治とかそういうことでかなり及び腰になるような気がしているんですが、私はそうではないと思うんですよね。やっぱりきちっとそれはただすところはやっぱりたださないと問題は起きてくるわけですから、是非これはそういうことで今後の動きを注目したいと思っています。  東京理科大学のこの問題をちょっと具体的に取り上げたわけですけれども、こういうふうな大学以外にも、どうも私立大学の薬学部のそういうふうな関係の中には、具体的にその大学の中でどういう実験動物が飼われていて、そしてそれがどこにあって、そういうふうなことがよく周り、近隣住民には分からない。そして、むしろそういう施設があることすら周りの住民は分からないという、こんなような事実も私は随分あるんだろうと思うんですね。  したがって、私は、ここでそういう意味でのいわゆる近隣住民が定期的に立入りが、あるいは保健所が一年に一回とか二回とか立入りできるようなそういう制度、あるいはまた少なくとも公開をする、そういうふうなことをやっぱり、義務付けるとはいきませんけれども、そういう、進めていくとか、こういうふうなことがやっぱり指導されてしかるべきだというふうに思っておりますが、新しい法律を作ってまで、そこまでやるということはかなり難しいかもしれませんが、やっぱりそういうふうな取組が必要だと思いますが、この辺はどういうふうに考えておられますかね。
  114. 石川明

    政府参考人石川明君) 先生今お話ありましたように、各大学におきましては、動物愛護及び管理に関する法律、あるいはそれに基づく基準、それから学術審議会の報告等に基づきまして、それを踏まえた指針、あるいは指針の適切な運用を図るための実験委員会等を設けまして、各大学においてそれぞれ自主的な管理を行っているところでございます。  このような大学における動物実験につきましては、そういった学術研究あるいは学問の自由等のその性格等にもかんがみまして、大学自主性やあるいはその自律性を尊重しながら実施をしていくということが適当ではないかと考えられているところでございまして、先生今お話のありました法律に基づく立入検査の導入等につきましては、関係者の意見なども踏まえながら慎重に対応する必要があるのではないか、このように考えております。  また、動物の飼育管理状況の公開、情報提供というようなことにつきましても、大学において本来自主的にこれを行っていくことが望ましいものと考えておりまして、文部科学省としましては、これらの情報提供につきましては積極的な対応に努めるよう様々な機会を通じて大学に求めていきたい、このように考えております。
  115. 谷博之

    ○谷博之君 大学の自主的な管理ということ、それはそれで結構なんですが、具体的にはこの東京理科大学の話をしましたけれども、ほとんどの大学は多分、こういう管理委託は多分業者がやっていると思います。大学の研究室でもちろん直接やっているところもありますけれども、生物、生き物ですから、当然それは責任ある管理者がいて管理をしなければいけないわけですね。  そうしますと、その管理をしている委託業者というのは、これまたいろいろ調べてみましたら、全国に五社ほどあります、専門で管理している業者が。ところが、その業者の数だけでは足りませんので、結局、ビルメンテナンスの会社辺りが副業としてこういうことを、管理をしているんですね。そうすると、動物の専門家ばかりがやっているわけじゃありませんから、当然、適切な管理ができているかどうかは疑わしい例も出てくるわけですね。  したがって、我々は、こういうふうないわゆる実験動物を管理を委託されるそういう業者については、それなりの一定のやっぱり資格あるいは水準を持ったそういう業者が当たるべきだというふうに思っていますが、そういう点では、最低でも届出制のような形で、あるいはできれば許可制のような形でその業者をやっぱり決めるという、こういうふうな形に持っていくのが最善の方策ではないかと思いますけれども、これについてはどうでしょうか。
  116. 石川明

    政府参考人石川明君) ただいま先生の方からお話ございましたように、一部の研究機関におきましては、実験動物の飼養等に関する作業を外部の業者の方に委託をして実施しているというふうに承知しております。このような場合におきましても、まずは十分な業務能力を有する業者の方に委託を行うということが基本であり、大切な事柄だというふうに思っております。その上で、大学等の研究機関における自主的な管理の下で適切な飼養管理といったようなことが行われるべきものだというふうに認識をしております。  委託を受けてこれらの業務を実施する者の資質の向上を図るという観点から、業者の例えば届出制あるいは許可制というような制度の必要性を考えるということでございますと、実験動物の飼育等が大学だけでなくて民間企業の研究所等を含めましてかなり幅広く実施をされているということもございますので、関係省庁を含め関係者による慎重かつ幅広い議論が必要ではないかなと、こんなふうに考えているところでございます。
  117. 谷博之

    ○谷博之君 最後に、この薬学部の六年制の問題についての関係でお伺いしたいと思うんですけれども、施設外飼育とか過密飼育、それから繁殖記録のずさんな管理、これでまともな研究の成果が上がるとはなかなか思えない。そして、国際的評価がこれで果たしてなされるんだろうかというふうな、そういうふうな大きく言えば心配もいたします。私は環境委員会でこの問題についても時間掛けて質問させていただいたことがあるんですが、今日は時間がないのでこのぐらいにしておきますけれども。  要は、今回の六年制になれば時間的に余裕も出てくるわけですね。そうすると、普通、福祉というと人間の福祉というふうな言葉が使われますけれども、動物にも福祉があるんですよ。生き物なんですよ。そういうふうな実験動物をどうやって数を減らしていって、なおかつその動物に苦痛を与えないで、そして貴重な命をその臨床のために使うかという、こういうところがやっぱり基本なんですね。  したがって、そういう意味の動物実験代替法とか、あるいは生命倫理に関するようなそういうふうな教科といいますか、そういう授業といいますか、そういうようなものをやっぱり力を入れて、やっぱりせっかくの六年制になるわけですから、そのいわゆる薬学の分野でしっかり教えをしていただくという、こういうことを私たちは強く感じておりますが、副大臣のお考え、お聞かせください。
  118. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 動物も、この世に生をうけた限り、やっぱりその生を全うするという、それが権利云々という形になるかどうか分かりませんけれども、それは当然なことだろうと思っております。また、先生が非常に大事なところを御指摘をいただいたところであります。  今日のこの薬剤師教育の六年制導入、こういう過程にありまして、私どもはやっぱりこういう本当に隠れた、しかし大事なことについても思いを致さなければならない、こう思っております。  薬学教育におきましては、平成十四年の八月に日本薬学会におきまして、薬学教育モデル・コアカリキュラムと、こういうものを作り上げたところでありまして、その中にもすべての薬学生が卒業までに身に付けるべきことと、こういうタイトルで、一つは動物実験における倫理について配慮をすることと、もう一つは代表的な実験動物を丁寧に適切に取り扱うこと、こういうことをわざわざ書き上げているところでございます。文科省としては、医療人にとって確かな倫理観を身に付けているということは、これはもう当然基本的な事項と考えておりまして、モデル・コアカリキュラムを踏まえて、この問題に関する教育充実されるよう各大学指導していきたいと、こう思っております。
  119. 谷博之

    ○谷博之君 時間がありませんので次の質問、一点だけお伺いしたいと思いますが、大きな柱でお伺いします。  それは、栄養教諭との関係で、学校司書のことをちょっとお伺いしたいと思います。  学校司書の問題については、前段いろいろお話ししようと思ったんですが、時間がありませんので具体的な質問から入りたいと思っていますけれども平成五年から十二年にかけて第六次の教職員配置改善計画というものが取り組まれまして、そして、その当時から学校図書館の重要性と事務量の増大にかんがみて、専従の司書が置けるように事務職員の複数配置ができるようになりました。これは河村大臣が大変専門でやられていたことだと思いますので、中身は私の方からは触れませんけれども、そういう中で、現実にこういう中でこの学校図書館における事務量の増大に対応して学校司書の増員が実現できているんだろうかというふうなことが実はあります。  ここに実は具体的な数値がございまして、この第六次の改善計画の特にこの学校事務職の人数がここに出ておりまして、平成これは五年から十二年までですか、この間に千三百八十九人が事務職員の増員ということで数字が出ていますけれども、このうちに恐らくその数が入っているんだろうというふうに思うんですね。  そういう中で、いわゆるこの栄養教諭あるいは栄養職員は増員されているけれども学校司書を含むいわゆる事務職員というのはどうも増員されていないような気がいたします。特にこれは衆議院でも問題になりましたけれども、東京の高校の場合、いわゆる去年から司書教諭というのができまして、これが必置義務になりました。一般の先生で、一定の研修を受けて司書教諭というそういうふうな資格を取って、これは各学校配置されているんです。司書教諭ができたからいわゆる学校司書はむしろ減らされているという、こういうふうな現象も出てきておりまして、したがって、このいわゆる増員の問題についてまず一つ最初にお伺いしたいと思います。
  120. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生指摘のとおり、平成五年度から十二年度まで第六次の定数改善計画を実施をしたわけでございまして、事務職員が図書館事務を分担できるように、小学校につきましては三十学級以上だったものを二十七学級以上に、中学校におきましては二十四学級以上だったものを二十一学級以上に、それぞれ複数配置の基準を引き下げるように措置をしたわけでございまして、学校図書館を担当する事務職員の数を平成四年度と平成十三年度で比較をいたしますと、市町村の単独配置も含めまして、小学校におきましては平成四年度の千百二十四名から平成十三年度の千五百四十一名に、中学校におきましては平成四年度の六百四十八人から八百十九人と、それぞれ増員をされてきていると。  私ども、これは各地方公共団体におきまして学校図書館担当事務職員の積極的な配置がなされるように引き続き促してまいりたいと考えております。
  121. 谷博之

    ○谷博之君 数字上はそういうことで一応増員になっているということですが、現実に、私先ほど高校の例をちょっと出しましたけれども、高校の場合は多分減ってきているか、あるいは栃木県の例なんかの場合は、県立高校と養護学校で六十九校あるんですが、そのうち、いわゆるしっかりとしたといいますか、正規職員配置されているのが二十九人、期限付職員が三十三人、嘱託が七人ということで、図書館司書などの資格を持ち経験豊富な正規職員が退職した後には期限付や経験のない新規職員が補充されている傾向にあると、こういうことで、流れを見ますと、必ずしも高校の場合なんかはいろいろ問題があるんじゃないかというふうに思っております。  そういう中で、これは結論ですけれども、司書有資格者のやっぱり必置、必ず置くということがやっぱり将来私は原則として必要ではないかというふうに思っています。  今回のいわゆる栄養教諭制度創設が、学校教育職員職務を定めた学校教育法の第二十八条、これが実は三十年ぶりの改正なんですね。つまり、栄養教諭にということでいろんな立場から活動されて、結果として今度の法改正に結び付いてきたわけですけれども、こういう長い歴史がある。  これとすぐには比較はできませんけれども、この学校司書も、やっぱり事務職員とは別に、しっかりとした図書館の司書資格を持った、そういう職員として専門に位置付けて、そして必ず配置をする、そしてさらにその学校司書の教員にしていくという、こういう道筋をやっぱり将来はこの栄養教諭と同じように考えていく必要があるのではないかというふうに思っておりますが、特に大臣は、五月八日の読売新聞のこの特集の中で、二〇〇一年にできた子どもの読書推進、読書の推進法ですか、これの自治体アンケートの中で、「学校図書館 進まぬ整備」、それは交付税減額が理由にならないよと、こういうことでこの記事出ていますけれども、こういう意味ではもうこの問題の専門家でもございますので、是非今言ったようなことについてのお考えをお聞かせをいただきたいと思っております。
  122. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 最近の子供たちの活字離れということも心配なことでもございまして、子どもの読書活動推進法案も作って皆さんに御協力いただいて進めております。おかげさまで、かなり読み聞かせ運動等盛んになってまいりまして、読書に皆さんの目が向いてきた。  そうなると、あとは環境整備は我々の責任でありますから、各学校において図書館をきちっと整備していただこうということで、子どもの未来を考える議員連盟というのがございまして、扇先生が今会長で超党派でやっております。そこでも、自分たちの選挙区等の市町村長さん方に対してもちゃんと交付税がうまく使われているかどうか、督励をしたり調査をしたりしてこれがきちっとやれるようにいたしております。  表向きは何か使われているような感じでありますが、現実に図書というのはある年次が来たら償却していきますから、なかなか図書が増えないという現状がございます。  今、私の方、心配しておりますのは、いわゆる図書はこのぐらい必要だという目標を持っておりますが、それがまだ半分も達成されていない現況がございまして、この点を特に今強めておりまして、この点をもっと徹底していかなきゃいかぬと、こうも思っております。  各教育委員会あるいは学校図書館関係の関係者の皆さんお集まりをいただいて、そしてこの基本計画、こうしたものをきちっと徹底していただくように、また学校図書館担当事務職員配置した活用事例がございますから、そういうのも紹介をさせていただいております。  司書教諭につきましても十二学級以上ということで、これも今のところ専任でもございません。これも強い要請をいただいておるところでございますが、これも専任にできればいいなと、こうも思っておるわけでございますが、まだそれよりも、十二学級以下のところについても司書教諭配置できるようなことに次は取り組んでいかなきゃいけないんではないかと、こうも思っておりまして、いずれにいたしましても、学校図書館の整備は校長のリーダーシップというのも非常に必要でございまして、司書教諭一体となって、教員、事務職員、こういう方々にボランティアの連携協力、そういうことも必要でございます。こういう問題については保護者の皆さんも関心をお持ちでございまして、各学校にはそういうことについて協力をいただける方が相当出てきておるというふうに聞いております。  そういうことでございまして、学校図書館の担当事務職員、こういうものを本当は教員にしてまででももっとやるべきではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、そこまで今考えてはおりませんけれども学校全体が学校図書館の整備に取り組めるような体制作りをやる、そしてその環境整備に文部科学省としても更に努力をしていきたいと、このように考えております。
  123. 谷博之

    ○谷博之君 最後に、最後の問題というか、質問させていただきますけれども、ADHDという多動性障害の子供さんが私たちの周りにも随分いるわけですが、あるいはLD児ですね、この子供さんたちを持つ保護者の方々は当然子育てでいろいろと御苦労されているわけですが、私ども宇都宮では、留守家庭児童会、学校にありまして、放課後、そういう子供さんも当然その留守家庭児童会に通われています。  いろいろ経過はありますが、国の制度として、こういうADHDの子供さんたちが二人以上そういう教室に入ったときには、いわゆる補助教員の、補助指導員の加配というのが認められてきたということですが、ADHDの子供さんというのはやっぱりその状態にいろいろ差がありまして、必ずしも二人で一人の補助指導員ということではなくて、どうしてもそれは一人でも大変だと、もうその子供に掛かり切りにならなきゃいけないと、こんなようなケースもあるようでございまして、こういうことについて、具体的にもう少し対応を幅を広げていただくというようなことが考えられないかということと、それからもう一つは、栃木県の場合は学校先生方に現任研修ということで、こういうふうなADHDのお子さんに対する指導の在り方ということを勉強しているわけですけれども、是非、一般の全体の先生の中に、そういう教職課程の中でもこういう方々に対する対応の仕方、教育の具体的な対応の内容について必須科目に入れるなどして是非指導をしていくような、そういうシステムを作っていただけないか、このことをお伺いしたいと思います。
  124. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) いわゆる多動性障害、発達障害の問題、これ最近そういうことがだんだん明らかになってまいりまして、こういう障害を持った子供たちへの教育的な対応が非常に重要になってきたということでございます。  そのため、やっぱりまずは現場の小中学校先生方、教員の方々がこの知識を、あるいは体験、経験を持っていただく、これを身に付けていただくことが大事であろうと思います。  小中学校教員養成課程においても、教育基礎理論に関する科目という中で、障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程を含めて扱う、こうなっておりまして、各大学においてもADHD等に関する内容は扱っておるわけでございますが、これがまだ十分ではないんではないかという心配がございます。  そういう意味で、文部科学省におきましても、平成十六年一月に、小中学校におけるLD、学習障害、あるいはADHD、注意欠陥多動性障害ですか、あるいは高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン、これを作成をいたしまして、各都道府県の教育委員会等の教育支援体制の整備を促していると、こういう状況下にございます。  今後、これを小中学校教員養成を行う大学にも送付をいたしまして、各大学における教員養成についても大いに活用していただきたいと、こう思っておるわけでございます。  教室に一人でもあれば、さらにということでございますが、これ、今二人ということで今進められておるわけでございまして、当面この状況を見守りながら、さらにこれからどうあったらいいかということは、今後の状況を見極めながら対応していかなきゃいけない課題であろうと、このように聞いております。
  125. 谷博之

    ○谷博之君 時間が来ましたので以上で終わりますが、せっかく出席いただいた参考人の方で質問できなかった点もございまして、その点はおわびいたしたいと思います。  以上で終わります。
  126. 草川昭三

    ○草川昭三君 公明党の草川でございます。  まず最初に、栄養教諭制度の基本的な創設意義について改めてお伺いをしたいと思います。  今回、栄養に関する高度の専門性教育に関する資質を備えた栄養教諭を小学校等配置できるようにするのは、午前中あるいは午後の議論もあったわけでございますが、今日の児童生徒食生活の乱れを正し、望ましい食習慣を身に付けることができるように、家庭だけではなくて学校においても食に関する指導充実を図るというような説明をずっとされておみえになるわけであります。  そこで、中教審の答申の中にもこの問題が触れられておりまして、児童生徒の朝飯ですね、朝食の欠食や偏食、そして肥満等の問題が出ておるのは、一つは、生活習慣というんですか、地域の流通機構も変わってまいりまして、コンビニ等で簡単にあらゆる食べ物が手に入る。また、栄養バランスなどよりもそれぞれの子供さん等が食べたいものを食べるというような、そういう、これは本人だけではなくて今日の家庭状況もそのようなものになってきておるわけですが、意識の変化というんですか、あるいは、これはもう非常に誤解をされては困るんでございますが、両親がどうしても共働きの家庭になってまいりますとより手軽なものに頼らざるを得ないということも出てくるわけでありまして、また、不規則な時間に食事をするというような様々な状況が影響をしているのではないかと思うんです。  そこで、改めて確認をしたいと思うんですが、具体的に児童生徒食生活の乱れということはどのようなことを言うのか、あるいはまた、食生活の乱れから学校現場において実際に児童生徒にどのような影響があるのか、どう認識をされておられるのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  127. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、草川先生も一部御指摘をいただきましたが、近年の社会を取り巻く環境、食生活を取り巻く社会的な環境の大きな変化、正にファストフードといいますか、そういうものがどんどん出てきた。それから、子供たちも偏った栄養摂取をしている、そうした乱れがある。肥満傾向、過度にやせておるというようなこともある。そうしたことを考えますと、やっぱり生活習慣病が既にもう若年化している、こういう傾向が見られる、こういう指摘もあるわけでございまして、この点を非常に懸念をしているわけでございます。  今、具体的にはということでありますが、例えば朝欠、朝御飯を食べない、これが週に二、三回ということを含めますと、もう平成十二年の今これは調査でありますが、小学校においてはもう男子女子とも一六%、中学校では更に増えて男子一九、女子二〇という現状がございます。これは、私はもっと進んでおるのではないか。  事実、私の選挙区で随分田舎の方があるんでありますが、そういうところにおいてすらもうこのぐらいの数字になっておりまして、これはもっと具体的に調査すればこんなことでいいだろうかということになってくる懸念がございます。もうアメリカでは、州によっては朝の学校給食をやらなきゃいけなくなっている、こういう現況も報告を受けているところでございます。  また、孤食の問題も先ほど来言われておりますが、確かに子供だけで食べるというのがどんどん増えておりまして、昭和五十七年が二二・七%であったものが平成五年には三一・四ということでありますから、これも今増加しておると思います。それから、肥満傾向児、非常に増えておるわけでございまして、昭和五十七年が七・一%だったのが十四年には一〇・九、一・五倍に増えたということでありますから、更にこれも増加傾向にある。  こういうことにいかに対応するかということになると、これはやっぱり子供のころから正しい食事の取り方あるいは望ましい食習慣食事を通じて健康管理ができる、このことは一義的には家庭にしっかりやっていただきたいんでありますが、学校においてもこれを指導していく、充実。  その意味において、今回の栄養教諭制度創設、これを社会的な要請にこたえることができる第一歩だと思っておりまして、栄養に関する高度の専門性教育に対する資質を併せ有する教育職員として新たに栄養教諭制度を設置をして、学校における食に関する指導の一層の充実を図っていこうと、こういうことであります。  特に栄養教諭は、学校給食現場を持っていただいて、それを管理すると同時に、児童生徒に食に関する指導一体的にやっていただこうと、こういうことでございまして、給食の時間を中心にしながら、関連教科特別活動時間、そういうものを利用して指導していただく、あるいは肥満傾向児童生徒食物アレルギーを持つ児童生徒への個別の相談をしていただく等々、食の専門家として、地域社会も含めて食に関するコーディネーターの役割を果たしていただきながら、今回、懸念されるような食生活の乱れをこの時点でストップを掛けて改善をしていく、こういう期待感を込めながら、今日、学校栄養制度創設を図ろうと、こうしているわけでございます。
  128. 草川昭三

    ○草川昭三君 今のお話によりますと、ますますこの栄養教諭制度創設というものが今日的には非常に重要なものだという意義理解するわけでございますが、今回のこの改正案で、現場栄養教諭が行う食に関する、食の専門家という今の大臣答弁でございますが、指導教育は現在の学習指導要領上どのように位置付けをされていくのか、あるいは具体的にどのような教科の中でどの程度の時間数を念頭に置かれてこういうものができたのかということをお伺いをしたいと思うんです。  例えば、栄養教諭が単独で教壇に立って一定の教科あるいは時間の中で食に関する指導を行うわけでありますが、その成績評価なども関与することになるのか、また、年間の指導計画作成する場合に担当教諭との関係でどのような関与をすることになっていくのか、ちょっと私ども分かりませんけれども。また、特に共同調理場勤務となる、こういう場合があるかどうかということですけれども、例えば共同調理場に勤務をされることも栄養教諭があるのかないのか、あった場合に各学校の担当教諭等と密接に連携あるいは協力をするということはなかなかこれは難しいことになると思うんですが、そういう場合もどのような方法で食に関する指導等に関与するのか。分かりやすく言うならば、現場には出ませんよということになるのか。  そこらも含めて、またこれまでも家庭科やあるいは保健体育科、総合的な学習の時間等で担当教諭学校栄養職員が食に関する指導を行ってきておると思いますけれども栄養教諭によるところの指導は現在行われている指導内容と比べてグレードが上がってくるのか、濃厚になるのか、そういうことも含めて総括的に、これは常識的な答弁で結構でございますが、お伺いをしたいと思います。
  129. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 食に関する指導は、学校給食教材として活用しながら、各教科、特別活動、道徳、学校行事等、学校教育全体の活動を通じて取り組むべきものでございます。  学習指導要領におきましては、例えば家庭科の中では調和の取れた食事の取り方や調理、あるいは保健体育では調和の取れた生活の必要性、特別活動の学級活動においては学校給食と望ましい食生活習慣といった内容が取り上げられておるところでございます。  そういう中で、栄養教諭は、学級担任や各教科担任などと連携しながら児童生徒の直接指導に当たることになるわけでございます。その際、今お尋ねのございましたけれども栄養教諭が単独でと申しますか、栄養教諭家庭科の中の一定の時間教えるということはあるわけでございますけれども家庭科の時間は家庭科の教員が責任を持って担当するわけでございますし、保健体育の時間は保健体育の教科担任の先生がきちんと責任を持ってやっていただくと。栄養教諭は、栄養に関する専門性を生かして、それぞれの家庭科や保健体育の中で、栄養に関する専門性を生かせる内容に関してチームティーチング等を行いながら、あるいは単独で児童に対して指導するということがなされるわけでございます。  したがいまして、学校栄養職員につきましても、それぞれの持つ能力を生かしていただいて、特別非常勤講師でありますとかチームティーチングという形で教育に携わっていただいておるわけでございますけれども栄養教諭制度を作っていただくということは、従来の栄養に関する専門性に加えまして教育に関する資質を併せ有していただくということで、教職科目等の必要な単位修得していただいて栄養教諭の免許を持っていただくわけでございますので、そういう免許を取っていただくことによって栄養教諭先生方の質的な担保が図られて、それぞれの個別の能力に応じるのではなくて、栄養教諭として、職務としてそういう食に関する指導に当たっていただくということになるんだろうと思っておるところでございます。  と同時に、評価についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、それぞれの教科の評価はそれぞれの教科担任の先生方が最終的には評価するわけでございますけれども、一緒にチームティーチングを組む、あるいは一定の事項について栄養教諭指導したときに子供の対応がどうであったのか、そういうような意見も聞きながら、それぞれの担当の先生が評価をすることになろうというふうに考えておるところでございます。  また、共同調理場におきましては、栄養教諭学校給食管理とそれから食に関する指導、これを一体的に行うものでございますので、栄養教諭に関して申し上げれば、共同調理場において学校給食管理を行うと同時に、その学校給食を受配しておられる学校に出向きましてそこで食に関する指導を行っていただく。  これをトータルして栄養教諭職務になるんだろうというふうに考えておるところでございます。
  130. 草川昭三

    ○草川昭三君 分かりました。何となく、何となく分かってきたわけでございますけれども。  ちょっとダブるかも分かりませんけれども、今度は管理業務についてもう少しお伺いしたいんですが、多くの児童生徒学校給食というのは楽しみにしているわけでありますし、関心も強いと思うんですが、いわゆる学校給食の献立なんですが、その献立について、当然栄養バランスの良い食事内容を出されるわけでございますが、必ずしも子供たちの立場からいえば自分の好きなメニューでないこともあるわけですよね、これは当たり前の話ですけれども。それで、児童生徒から不満の声が出る場合も多いし、それが父兄にも反映をすることもあると思うんですが、児童生徒に対して、今度の栄養教諭というものは、自分の資質を生かして、自ら栄養バランス重要性説明をし、そして偏食をなくするための指導をしてもらわなきゃいかぬわけですね。  ところが、私は、先ほど触れましたように、必ずしも子供の方からの反応は違う、あるいは、保護者から何かいわれなき、保護者から間違った情報で注文が付く場合も私はあると思うんです。  でございますから、質問としては、献立作成などについて、今回の新しく創設をされました教諭というのは、給食管理業務にどの程度の反映ができるのか、どの程度の。あるいは、全くそれは違うんですよと、あなたは新しい指導要領に基づいて教えれば結構なんですよということになるのか。現場におると随分そういう苦しみというのは出てくると思うんですが、そこはどういうようになるんでしょうかね。
  131. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 栄養教諭職務につきましては、従来、学校栄養職員の方が担当しておられました学校給食管理に加えて、食に関する指導もその職務としておるところでございますので、従来行っておりました学校給食にかかわります献立の作成でございますとかそれから衛生管理、これらにつきましては従来に引き続いて栄養教諭が担当していただくということでございます。  先生今おっしゃってくださいましたように、やはりこれまでややもすれば、私どものところにも、学校栄養職員の方は一生懸命やっていただいているんだけれども栄養バランスに重点が置き過ぎて、やっぱりこれだけのものは栄養で必要なんだからこれをちゃんと食べなさいという指導に偏ることもあったんではないかと。それを、子供の発達の程度とか心理とかそういうものを勉強していただいて、栄養教諭として位置付けることによってそういう、子供栄養バランスにも当然留意しながら、かつ子供が喜んで、また子供の何か、何というか、積極的なそういう、自分で自分の健康を守りながらきちんと栄養バランスの取れた食事をしようと、そういう意欲を起こさせるような指導方法を今後取っていただけるのではないかということで期待しておるところでございます。
  132. 草川昭三

    ○草川昭三君 では、続いて衛生管理のことについて、現在の学校栄養職員と今回の栄養教諭とのちょっと関係がまだ私分かりませんのでお伺いをしたいと思うんですが。  学校給食の日常の衛生管理や食中毒等による衛生上の問題が発生した場合には、栄養教諭給食の調理員等に対してどのような管理指導ができるのか。特に食中毒等が発生した場合には責任の所在が明確にならなきゃいかぬわけですが、最終的な責任学校長や学校設置者が負うことになるということは分かり切っているんですが、現場責任者として栄養教諭責任はどの程度問われることになるのか、あるいは現在の学校栄養職員がそれを受けるのか、そこら辺りの線引きというのはなかなか明確じゃないと思うんですが、個別の例で明確じゃないと思うんだけれども、概念的にその所在を明らかにしていただきたいと思います。
  133. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、学校栄養職員栄養教諭に移行した後も、学校給食管理に関しましても引き続きその職務であるわけでございますので、栄養教諭は、当該学校の衛生管理業務、学校給食の衛生管理業務に関しても責任者として、そういう施設の衛生でございますとか作業工程表の作成、あるいは調理過程における衛生管理、さらには調理員への指導等といった業務に引き続き従事することになるというふうに考えておるところでございます。
  134. 草川昭三

    ○草川昭三君 かなり重要な責任を今度持たれるわけですね、今の答弁によりますと。それで、それはそれでまた今後の問題としてどのような待遇をするかということ、あるいはまた研修会等の問題も出てくることだと思いますが、余り時間がございませんのでちょっと進めますが。  先ほどの議論の中にも出ておるわけですが、学校給食の外部委託の現状について今後の文科省の考え方をお伺いをしておきたいんですが、学校給食の合理化については、過去、臨教審ですか、臨時行政調査会の答申、それから総務庁の行政監察等でたびたび指摘をされてきておるわけですね。古くは十九年前ですか、昭和六十年の一月に文科省としてもそれを受けて学校給食業務の運営の合理化についてという通知を行っておるわけですし、これは地域実情等に応じて、パートタイム職員の活用、あるいは共同調理場方式、民間委託等の方法により人件費の経常経費の適正化を図りたいと、こう言っておみえになり、それは一定方向で我々も支持をしてきておるところです。  現在、学校給食のすべての業務若しくは調理などの主要な業務についてどの程度民間委託をされるのか。先ほども若干小学校についての答弁があったわけでございますが、この民間委託を実施している場合、食事内容や衛生面について学校若しくは栄養教諭あるいは学校栄養職員が委託業者、従業員に対してどの程度の立ち入っての管理指導を行っているのか、もう丸ごと委託のしっ放しなのかという問題を是非議論をちょっとしてみたいと思うんですよ。  学校給食は私は教育の一環であるということはもう間違いないことでありますし、食に関する指導の生きた教材であるとするならば、給食センターから配送や民間業者による給食などよりも、本来は自校、自分の学校現場で調理方式である方が、個々の児童生徒の関係では私はそっちの方がよっぽどいいんじゃないかと思うんですが、実はなかなかそうはいかぬわけですよね。  それで、たまたまこれ、私のこれ手元は、皆さんもこれホームページを見ていただければ引き出すことができるんですが、財務省の調査票というのがあるわけです。これは平成十五年の六月、この「調査の視点」というのは財務省的でございますが、とにかく給食の総事業費は一兆二千億になると。大変なこれは産業なんですね、一兆二千億といえば。しかも、児童は千百三十万人を対象に給食をやっておるんで、少し財務省としても、一食当たりのコストはどうなのか、一食当たりの人件費はどうなのか、あるいは食材費はどうなのかというようなことを調べまして、今後の検討の方向性ということを打ち出しているわけです。  これを見ますと、給食施設整備補助金の交付選定等にもこの資料は使うということを財務省は言っておるわけでございますが、長い文章でございますからごくポイントだけ言いますと、例えば一食当たりの高いところと低いところを直営と委託を比べますと、直営は一食当たり、これは総額でございますけれども千百六十二円、最低のところだと四百十六円というところ、数字が出ております。これを民間委託で比べますと、一食当たり一番高い民間委託で七百一円、そして最低のところは一食当たり三百五十六円で委託をしております。平均的には直営が四百七十三円であり、民間委託が四百三十六円。同じようなので、食材費はどうだとか、人件費がどうだとかというような形に数字が出ておるわけであります。  こういう数字でいろいろと、まあ当然のことながら、文科省の方もこれが基礎になって予算要求をされてきておるわけでございますから、相当御苦労をなすっておみえになると思うんですよね。苦労はされてみえますけれども、根本的にはやはりこういう財政の関係ですから、外食というんですか、外部委託をおやりなさいと。人件費が一食当たり相当高いんだから、民間委託の方が安いんだからというようなことを言ってきておるんじゃないかと思うんですね。  しかし、私は、先ほどの議論も聞いておりまして、学校現場給食を作っていただく場合に、必ずしもコストだけではなくて、これは私の意見なんですが、においというものが計算されておるのか。食堂というのは、学校現場で、昼でもいいですよ、夜ということはありませんけれども、やっぱり昼近くになって腹が減ってくる、そのときに調理場からにおいというのが出てくる、そこで期待をする。そこで先生が、今日の御飯はこうですよと、皆さん、ニンジンは嫌いかも分からないけれども、これは非常に中身は価値があるんですよと言いながら、そういうところに心の通った学校というのが、現場というのが出てくるのではないだろうかということを実は私は主計局の連中に話をしているんです、主計局の連中に。  だから、あなたたちは一食当たり人件費がこんなに高いじゃないかというのは、確かにそうだろうと思うと、それはよく分かるが、子どもの立場に立ってみると、忘れられた教育ということを、主計局の連中さんよ、もう少し、あなたたち若いんだから考えたらどうだと、においの評価をやりなさいと言ったら、そういう視点は我が方はありませんと、こう言うから、それはもう生きた財政というんですか、それはもう生きるんだから、そういうことも考えながらやらないと、集団給食がいいかといえば、コストが安いに決まっているわけです。  だから、我々も民間の出身ですから、工場給食は今産業給食になってきておるわけですが、確かに産業給食の方が安い。そして、しかし、そこで働いている方々は本当に過酷な労働条件で働いてみえるわけですよ。  話はちょっと飛びますけれども、今回の年金法改正のときにも、短時間労働者の年金適用について給食方々は何千人と集まって、短時間労働の方々の厚生年金適用は勘弁してくれよと、使用者側の負担も増えるし、働く勤労者の保険料も上がるから勘弁してくれよということで、あれはたしか三年間の見直しを、我々も中に入って見直しをするということになったんですが、そのときにそういう方々にも、給食センターの方々にも、いずれはあなたたち、こういうパートで仕事をやっていただくことには限界が来ますよと、いずれはということを考えながら、これでジャンプ、三年間ジャンプしたからといって安心をしていただいては困りますよというようなことを申し上げたことがあるわけですよ。  だから、もう本当に合理的であり、最近では非常においしいものを食べさせていただくように給食センターも随分努力をされていますが、心の通うものはどちらかねという話になると、やっぱりその近くにこういう、言葉が悪いんですが、おばさんがいて、一生懸命汗をふいて昼の食事をやっていただいて、おいしいにおいがすると。におい料というのが私はあってもいいじゃないか。そういう評価を私は是非これから、このコスト計算ばかりやりますと安い方がいいに決まっているわけですから、そこをちょっとどのような見解か、お伺いをしたいと思います。
  135. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、学校給食業務の運営の合理化につきましては、昭和六十一年に通知を出して以来御指導を申し上げてきたところでございまして、平成十四年五月現在におきましては、調理業務の一三・四%、それから運搬業務につきましては三四・四%が外部委託されておるところでございます。  しかし、御指摘のように、学校給食学校教育活動の一環として実施をされておるものでございますので、学校給食献立作成あるいは衛生管理業務につきましてはそういう学校給食活動の根幹となるものでございますから、これらに関しましては学校の設置者において直接実施する必要があるということで私どもとしては指導をさせていただいておるところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、共同調理場方式を取るのか単独校調理場、単独校方式でいくのか、これに関しましてはそれぞれの設置者におきまして適切に判断していただく必要があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、その合理化につきましてはできるだけ合理化を図りながら、それと同時に、安全、安心で、そして子供たちの喜ぶ学校給食を実施し、食に関する指導充実していくことが大切であろうと考えておるところでございます。
  136. 草川昭三

    ○草川昭三君 あと十分でございますので、薬業教育関係の方に移ります。  今回、六年の教育にするということでございますけれども、近年の薬学部の卒業生の就職状況を見ますと、平成十五年の三月で、先ほども答弁があったようでございますが、薬局や病院の勤務が約四割。薬学部の修業年限を延長し臨床経験を積んだとしても、実はそれだけの投資をしてそれにこたえることができない就職状況というんですか、学生が出てくることが予想されます。  現在は薬剤師は不足しています。それはもう我々もよく調査というんですか、お願いをされていますから。それは、一つは、郊外にできました大型店舗等々でどうしても面接販売をしなければいけませんので、薬剤師が非常に不足をしているということが分かりますし、それから、今病院のそばに第二薬局というのがどんどんできておりますが、この第二薬局に当然のことながら薬剤師は配置をしなきゃいけませんので、今は、私は、薬剤師は不足をしておりますけれども、最近の大学等々の動きを見ておりますと、女子大学なんかでも新設で、薬学部の新設が非常に増えております。これが将来本当に、卒業をされていくようになりますと、本当にその六年制で大変な勉強をしていただいて国家試験を通った方々に適切な仕事が準備されているかについて、私非常に疑問に思うんですよ。  確かに、我が国の新薬の開発のためには優秀な研究員というのは非常に必要だと思うんです、新薬の開発が非常に日本は後れていますから。そういう意味では必要だけれども、一面、ドラッグストア等で配置をされるということならば、大変御無礼ですけれども、調剤はしないんですから、調剤は。それで雑貨品を売っているわけですから、主たる売上げは。それは私はもったいないんじゃないですかということを私は常日ごろから、この説明があったときから私はこの話をしておるわけです。  だから、そこはひとつ将来展望を含められまして、薬学教育の修業年限の延長ということについての基本的な考え方、今のままでは修業年限の延長の効果は余り期待できないという私の立場でございますが、そういう点について文科省の御意見を賜りたいと思います。
  137. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 草川先生のような御意見もあることも承知をいたしておりますが、薬剤師を考えたときに、この薬剤師の果たす役割をトータルでやっぱり考えていかなきゃいけないだろうと。  ここまでに至るにはいろんな議論があったわけでございまして、全然調剤をしない薬剤師ということになると、そこまでやる必要があるかということが、そういう御指摘も分からないことはないんでありますが、やはり薬剤師が処方せん調剤時、そのときの情報提供の義務とか、インフォームド・コンセント努力義務、こういうことが課せられた時代、それから医薬分業率の問題、それから薬剤師が医療現場において積極的な役割を果たしていかなきゃならぬ時代が来ておるということ、そしてまた世界の情勢、そうした中で六年制、いわゆる医師、看護師等に医療チームの担い手としての役割が期待されると、こうなってきたわけでございまして、そういう意味でその修業年限を六年間に延長する、こういうことになったわけでございます。  しかし一方、医師のように、あるいは歯科医師もそうでありますが、この道に入るともう全部そうした直接診療に携われる人たちが八割、九割、そういう世界と、薬学を修めた方々は創薬に行ったりとか、そういう面がある。それは先ほど草川先生も御指摘のとおりでありまして、薬剤師として行く方々は四割だけれども、あとは医薬販売業に行くとか製薬業に行くとか、そういう方々もおる、それで四年制という道を残しながら今回の本法案作成に至ったと、こういうことでございまして、薬剤師については六年制という形でいくことによって正に今日の高度医療に対応していく必要があると、トータルとしてしていく必要があるということになったわけでございます。  栄養士の中にも管理栄養士栄養士と二段階ありますから、A薬剤師、B薬剤師という考え方もそれは取れないことはないわけでありますけれども、しかし、やっぱり医療現場のことを考えますと、後でやっぱりそれと同じでなきゃいかぬかったと、更にということに、そういうことをもう防いでいこうと、この際。やっぱり今の医療の一員としてきちっと位置付けるということが薬剤師に求められているという高い見地から今回六年制に踏み切ったと、こういうことであります。
  138. 草川昭三

    ○草川昭三君 非常にちょっと乱暴な意見なんですが、ドラッグストア業界で薬剤師が今三千人不足をしていると言われているんです、非常に大型店が出ておりますから。それで一方、国家試験を受けた薬剤師の免状を持って現実に薬剤師の業務に携わっていない方が一万二千人みえるんです。これは特に女性だと思うんですね。女性で国家試験を取っていただいて結婚されてもう引退という方も含めますから、一万二千人。  これは、私は非常に将来展望を考えますと、何となく、何となく先が見えるような気がするんですよ。今、歯科医師がそうでしょう、歯科医師が非常に不足してわっと育てたわけですけれども、もうやがて歯医者さんはオーバーになるともう今言われておるわけですから。そういうことを含めまして、薬剤師の需給バランスがどのように考えてみえるか、お伺いをしたいと思います。
  139. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) その薬剤師の需給に関しまして、厚生労働省で平成十四年九月、薬剤師問題検討会と、こういうところで試算をしまして、平成十八年度以降に薬剤師の供給過剰問題が発生するのではないかと、こういう報告が出されているということでございます。また、一方では、先ほどから御議論になってございますように、薬剤師の免許を持っていても薬剤師としての業務に就いているのは六七%という状況、いろんな方面に進んでいると、こういう状況もあるわけでございます。  私ども、薬剤師の需給問題につきましては、単に大学の定員、学生定員云々という視点にとどまらず、やはりもう少し幅広い観点から厚生労働行政の中で検討される問題ではないかとも考えておりまして、そういう点でこの問題についての厚生労働省における検討状況等を注視してまいりたいと、こう思っております。
  140. 草川昭三

    ○草川昭三君 最後に一分間ありますので、この質問で終わります。  六年間の教育を受けた薬剤師に対してそれに見合った処遇が行われるということは絶対必要だと思うんです。ところが、今は、私が先ほど来から言っていますように、六年間の教育を受けても果たしてそれに見合う処遇が将来行われるかどうかについて、これは産業の問題になってまいりますし、医療の問題になってきますから、簡単には言えませんけれども、どういう見通しを持っておみえになるのかということをお伺いをして、時間になりますので終わりたいと思います。  以上です。
  141. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 大変難しい問題であるわけでございますけれども、社会的な今日の要請から薬剤師養成六年ということでお願いをしておるわけでございますけれども、このことによりまして、我が国におきまして質の高い医療が提供され、一層質の高い薬剤師が医療現場において活躍し、そのことが評価をされまして、そしてそれにふさわしい処遇が将来行われるということを期待しておるということでございます。
  142. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  まず、私は薬学教育の中で後発医薬品の取扱いについてお伺いしたいと思います。  健康保険財政を圧迫して医療費を高額にしている大きな理由の一つに、欧米諸国に比べまして医薬品が高い価格で設定されている、そういうことがあると思います。先発医薬品に対して効果は変わらないのに安く販売されている後発医薬品、いわゆるジェネリック薬品、この部分の使用を高めていくことは、国民の医療負担を確実に軽減させ、そして健康保険財政にもプラスになることは明白です。薬剤師が国民の医療費負担、健康保険にも目を向けて、後発医薬品の使用を促進していくことが必要だと考えます。  そこで、今回の法改正で薬学教育を臨床中心に強化していくことがうたわれておりますが、学問の自由というのは十分考慮しなければなりませんが、この後発医薬品の使用について薬学教育の中できちんと位置付けられるべきだと考えます。  文部科学省としてこれまでどういう取組をしてきたのか、この法改正を機会にどういう取組をしていくのか、お聞きしたいと思います。
  143. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 医療人の養成におきまして、患者の立場に立った最良の医療の提供について教育を行うとともに、国民医療費が増大する中で、後発医薬品の使用を含め、効率的、効果的な医療について教育するということもやはり重要なことだと、こう考えてございます。  薬学教育におきましては、これまでも医薬品経済学、例えば医薬品経済学というような科目の中で医薬品の経済的特性や合理的使用に関する教育が行われているという大学もあるというふうに承知をしておるわけでございますけれども、さらに、今後のことで言いますと、平成十四年の八月に日本薬学会において取りまとめました薬学教育モデル・コアカリキュラム、ここにおきまして、すべての薬学生が卒業までに身に付けるべき到達目標の一つといたしまして、後発医薬品の役割についてきちんと概説できる、薬物使用を経済的な視点から解析できる、こういうことを挙げておるわけでございまして、こういったモデル・コアカリキュラムを踏まえた教育充実するよう各大学を促していきたいと、こう考えておる次第でございます。
  144. 林紀子

    ○林紀子君 そこで、臨床面での教育を受けることになる大学附属病院の現場でこの後発医薬品がどう活用されるかが重要だと思います。国立大学医学部の附属病院で後発医薬品の採用状況、現在どこまで行っているのでしょうか、そして、さらに今後採用を強化していくためにどのような取組をしていくのでしょうか、それもお聞きしておきたいと思います。
  145. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 国立大学の附属病院における医薬品の採用状況でございますけれども平成十五年の十二月一日現在での調査でございますが、採用しておるのは約七万三千品目ございます。このうち後発医薬品は約三千三百品目でございまして、その割合は四・六%となってございます。四・五五%となってございます。これは平成十五年でございますが、平成十四年度の決算ベースでは三・八九%であったということでございますから、その割合が〇・六六ポイント増えていると、こういう状況にあるわけでございます。  総医療費抑制という観点から後発医薬品の利用を積極的に推進することが必要でございまして、既に文部科学省といたしまして、平成十三年の十一月に各国立大学附属病院長に対しまして、後発医薬品の適正な利用についてと、こういう文書を出しておりますし、また国立大学医学部附属病院長の会議などにおきましても、安全性を第一に考慮した上で、経済性及び利便性を総合的に判断し、適切かつ積極的に検討するよう依頼をしておるところでございます。この四月から国立大学法人と、こういうことになりまして、より一層経営の効率化を図る必要がございます。  そういう意味でも、安価な後発医薬品の利用促進はコスト削減につながるということでございますから、より一層適切かつ積極的に大学でこの使用について検討するよう促してまいりたいと、こう考えております。
  146. 林紀子

    ○林紀子君 医療の経済的側面ということを薬剤師にきちんと教育をしていくということと同時に、今お話のありました大学病院での後発医薬品の使用というのを更に推し進めていっていただきたいと思います。  次に、私も栄養教諭の問題についてお伺いをいたします。  栄養教諭創設は、子供たちへの食生活指導充実学校栄養職員の身分の確立など大きな期待が持たれているわけですが、その一方に不安もあるわけです。今まで論議の中でもいろいろありましたので重なる部分もあると思いますが、私の方からも、栄養教諭職務内容というのはどういうものか、これをお聞きしたいと思います。  今までも、食に関する教育といいますのは、家庭科であるとか、また保健体育の授業であるとか、そういうところでも行われていたと思いますので、今回、栄養教諭という形ではっきり定めるそのメリットというのはどういうところかをお聞きしたいと思います。
  147. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 確かに、従来から家庭科の教科、さらには保健体育の時間でもそれぞれの立場からこの栄養の問題、食の問題をしっかり教育をしてきたところでございますが、このたび栄養教諭制度創設するに当たりまして、それぞれの学校の教科をまず一つは取りまとめて、全体の食、栄養教育を高度化すると、こういうことが必要だろうと思っております。  食に関する指導といたしましては、一つは児童生徒への教科、特別活動等における教育指導、さらに二番目に児童生徒への個別的な相談指導、そして三番目に、先ほど私が申し上げましたけれども、コーディネーターとしての役割、こういうふうに整理をできるのではないかと思っております。  第一番目の教科指導におきましては、まず何といっても食に関する専門的な知識を生かして、学級担任や教科担任と連携しつつ、それぞれの特別の食に関する指導を行うことが期待されておるわけであります。さらには、児童生徒への個別的な相談指導ということで、児童生徒それぞれ個別の問題があります。偏食傾向肥満傾向食物アレルギー等のそれぞれ個別の事案に即した指導、助言を行ういわゆるカウンセラーとしての役割もここで期待されておるわけでありますし、またその際、保護者への助言、連絡、支援、こういうこともこれから必要になろうかと思っております。  いずれにしましても、栄養教諭が高い立場から、また専門的な立場からこの問題にしっかり取り組んでいくことを期待したいと思っております。
  148. 林紀子

    ○林紀子君 私もこの連休はふるさとに帰ってまいりましたが、そこで給食の問題を、住んでおります広島県の府中町というところですが、教育委員会学校でいろいろ聞いてきました。この府中町というところは、小学校中学校で七校ある町なんですが、全部自校方式、単独方式というのでしょうか、それで栄養職員も今全部の学校配置されております。  給食でまず大切にしていることは何かということを伺いましたら、日本型の食生活に小さなころから慣れるようにしていくんだと、こういうお話だったわけですね。日本食というのは健康食だということで今欧米でも見直されているということですが、この食生活食文化の継承をしていく。ですから、食材は、国産のものを重視して冷凍食品には頼らないようにしている、しゅんのものを使っていく、遺伝子組み換え食品は使わない。ちょっとこれは私も耳が痛かったんですが、だしを取るのも、いりこやかつぶしや昆布など自然のものを使っていくんだと。そしてまた、添加物を使ったものは避けて、ハムやソーセージ、色のどぎついようなものもありますけれども、そんなものは使わないようにする。  そういうことを特注、特別に注文すると食材費というのが大分上がってしまうんじゃないかということで心配してお聞きしましたら、確かに高くはなるけれども、しかし、冷凍食品などをぽんと持ってきて使うのよりも、調理員の皆さんが手作りをしているので、そこで費用、食材費が高くなった分は補うことができるというお話もしていました。そして、アレルギーにも一人一人に目配りして対応している。  学校内の体制としては、月一回は、校長先生、教頭先生給食主任の先生、それに栄養職員と調理員が給食委員会というものを開いて、献立を作ったり検討をしたり子供の様子の意見交換をして給食指導に生かしているということでした。  ちょっと長くなりますが、もうちょっと御紹介したいと思うんですが、教科指導との連携ということでは、一年生から六年生まで学年別にいろいろ計画を立てているんですが、例えば、小学校の一年生は「サラダでげんき」という国語の授業があるんだそうです。それじゃサラダを自分で作ってみようということで実際に作らせてミニバイキングを給食のときにしたら、今まで野菜が嫌いだといってなかなか食べなかった子供もすっかりきれいに食べたと。  五年生は、一クラスずつ順番に和室を使って、グループに分かれてなべの給食、なべ給食というのをするんだそうですが、初めてなべ料理を食べたという子供がいて大喜びをしていた。五年生になるまでうちで一度もなべ料理というのを食べたことがないのかなと私も不思議に思ったんですけれども、しかし、先ほどから孤食のお話などもありましたが、家族そろって食卓を囲むことができないという、お父さんは残業だとか夜勤だとか忙しい、お母さんも忙しいということで、そういう子供の置かれた状況というのもよく分かってきて、学校のそれぞれの先生ともこういう状況も伝え合ったということを話してくれました。  そして、一か月ごとにお誕生給食というのがあると。これはいろいろなところでやっているのかもしれませんが、かわいらしいバースデーカードまで作るんですね。余りかわいいので私ももらってきましたけれども、こんなカードなんですね。二年五組の○○ちゃん、平成六年四月二十九日生まれなんて、こう書いてあって、子供たちはこういうカードをもらうのをとってもまた楽しみにしているんですが、このカードを作るのは調理員の方なんですね。調理員さんがこういう子供たちの顔を思い浮かべながら一つ一つ作るということで、本当に心がこもっているなということで感心をいたしました。  保護者に対しましては、給食の試食会、親子の夏休み料理教室、これもいろいろ実行されているところも多いと思いますが、核家族化がこの地域でも進んでおりますので大変好評で、五年前に始めたときは、親子で希望者を募集すると夏休み一日でそれは希望者全員料理教室へ参加することができたんだけれども、今ではその希望者が多くなって、三日掛かってようやく希望者全員にこたえられるようになったと。  こういうお話こもごも聞いてまいりまして、まだいろいろたくさんあるんですが、今、栄養教諭になってどういうことをするのかということを副大臣の方からお話がありましたが、この栄養教諭に期待されているようなことがここでは既に行われているんじゃないかという気もいたしました。  そこで大臣に、今こういうことをしているという実例を申し上げましたが、これを聞いてどのようにお感じになるか、御感想を聞かせていただけたらと思います。
  149. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、林先生から広島県の府中町のお話を聞きまして、非常に栄養職員の皆さんがそこまで考えておやりになっている、これには恐らく学校全体の取組があるんだろうと、こう思います。そういう意味では、子供さんたちにとって正に正しい食事の取り方、あるいは望ましい食習慣を付ける、そして食事を通じて自らの健康管理ができる、こういうことからしても私は非常にすばらしい取組がされておるというふうに感じました。こういうところで実際にやっておられる学校栄養職員の皆さんはもう幾つか単位を取られたと同じだと、こう思いまして、そういう方々には、もうこの制度ができましたら早く栄養教諭という形で更に具体的にもっと進めていただけるんではないかと大いに期待をいたしております。  こうした先駆的な取組も今後しっかり紹介をしながらこうした動きが全国的に広まっていくことが望ましいんではないかと、こう思いまして、是非、今御指摘を、御紹介いただきました府中の例、こういうのも一つの先駆的な取組の中に加えさせていただいたらどうであろうかと、こう思っておりまして、いい御指摘、いい例を御紹介をいただいたと思いまして、感謝を申し上げます。
  150. 林紀子

    ○林紀子君 どうもありがとうございました。  給食管理にとどまらずに、個別指導から学校運営への参画まで栄養教諭にはその職務が大変期待されているということだと思います。  しかし、先ほどその期待と同時に不安もあるということを申し上げたわけですけれども、その不安の大きなものというのは、制度創設に当たって多くの関係者が要望されている一校一名の栄養教諭配置、これが保障されていないということなんだと思います。  法案では栄養教諭を置くことができるというふうになっているんですね。どうして、置かなければならないというふうにしないで、置くことができる、全校必置義務にならなかったのか、しなかったのか、その辺を大臣に伺いたいと思います。
  151. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) これは中央教育審議会の答申にも指摘をされておるところでございます。本来、私も、どの学校にも栄養教諭がいるということが望ましいことは当然のことだと、こう思っておりますが、この学校給食のスタートそのものが義務的な存在でなかったところからスタートいたしたものでありますから、今日の現状が三万校に対して一万人余りの学校栄養職員の皆さんがいらっしゃるという現実があるわけでございます。これを今後どのように拡大していくかということがこれからの課題になってくるわけでございますが、しかし、その第一歩としても学校栄養教諭制度をきちっと位置付けて、そしてきちっと食育、そして、各学校において当面は兼務状態が続くわけでございますが、そういうものをこれから定数改善の中で移していかなきゃいかぬ、増やしていかなきゃいかぬと思っております。  地方の時代、地方取組、これを尊重しなきゃいけないということでございまして、地方には地方の財政事情もあると、こう言われております。そういうこともあって今回必置義務まで行かなかったわけでございまして、現実を直視しながら、今後さらに学校栄養職員栄養教諭へ円滑に移行していただきながら、そして定数改善、十七年度までにこれをきちっと実行に移しながら、これからいかに栄養教諭の、複数校兼務でなくて一人一校にできるようにということで、我々としてもこの問題について努力していかなきゃなりませんし、さらに、先ほど来御指摘もありましたように、学校給食を取っていない三割余りの中学校もあるわけでございます。こういう問題にもどう取り組んでいくかというようないろんな課題がこれから出てくると思いますが、いずれにしても、子供たちの未来にとってこの食教育重要性、いろんな効果があるこの食教育というものを進めていくという観点に立って努力をしていかなきゃいかぬと、このように考えております。
  152. 林紀子

    ○林紀子君 今お答えの中にありましたけれども給食そのものが全校で必ず行われているということではないわけですね。そこがそもそもボタンの掛け違いというか、スタートのところからそういうことがあったというので、今給食のあるところ、ないところということが生まれてしまったわけです。ですから、そういうことでは、今栄養教諭というこの新しい制度を設けるときに、やっぱりきちんと配置をしていくと、一校一人配置をしていくと、そこのところをきちんと押さえることが過去の例を見ても非常に重大かなと、重要かなというふうに思うわけですね。  先ほど大臣は、どうしても地方にはそれぞれ財政の事情があるというお話もありましたし、地方に任せますと、どうしてもその財政論というのが前面に出てきて教育論が後景に退いてしまうということがあるわけですね。ですから、そういうことでは、じゃ国がどうしたらいいのかということを基本に考えていただきたいなということを思うわけです。  現行の学校栄養職員配置基準が栄養教諭でもそのままになっているんですよね。定数標準法では、単独調理校で児童生徒数が五百五十人以上の学校に一名の今栄養職員になっているわけですね。五百五十人を下回ると一挙に四分の一の配置になってしまう。ですから、四校に一名の配置ということになってしまうんじゃないでしょうか。ところが、現在少子化が進み、五百五十人を下回る学校が出てきています。今まで学校栄養職員配置されてきた学校でも配置されなくなってしまうと、そういうケースも生まれると思うんです。  これは府中町の教育委員会の方で聞いてきたんですが、七校中今六校は国の五百五十人以上というところで配置基準に合っておりますので配置をされているんですが、一つの小学校が五百人以下なものですから、そこは町の負担で栄養職員配置をされていると。ところが、この五月一日の調査では、七校中三つの小学校が五百人以下になってしまうんですね。そうしますと、来年度からもうこれはどうなるのかと大変教育委員会は心配をしているわけです。  ですから、少子化が進む中で、この五百五十という学校定数標準法の基準そのものがもう現状に合わなくなってきている。そこを引き下げていく、もっと少ない人数で一人は配置することができると。この配置基準も更に充実をしていく必要があると思いますが、どうでしょうか。
  153. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) この学校栄養職員定数改善でございますけれども昭和四十九年度に県費負担教職員制度に切り替え国庫負担の対象にしたわけでございまして、当時を振り返ってみますと、単独実施校で児童生徒二千五百人に一人と、こういう時代から、その後第五次、第六次、第七次と定数改善計画を推進をしてきたわけでございまして、現在、平成十三年度から十七度までの五か年計画で第七次の定数改善計画九百六十二人の改善増を図ることにしておるわけでございます。  こういう厳しい財政状況の中であるわけでございますけれども、私どもはまずはこの計画の着実な推進に努めてまいりたいと思っておりますし、その後の定数改善計画につきましては、今回制度の導入をお願いいたしておりますこの栄養教諭制度に対する社会的な評価や、栄養教諭への移行状況でありますとか、それから義務教育学校教職員定数全体の在り方など、様々な観点を踏まえながら将来の検討課題にさせていただきたいと、そう考えております。
  154. 林紀子

    ○林紀子君 将来の検討課題ということですが、十八年度からは第八次ということになるわけですね。ですから、そのときには必ず見直していただかないと困るんじゃないかなと。本当にどんどん五百五十人を割っていく小中学校というのが増えると思います。是非そのことは、検討課題の検討の中は前向きに検討をしていくというその気持ちを込めて、もう一度御返事をいただきたいと思います。
  155. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 将来の検討課題として検討してまいります。
  156. 林紀子

    ○林紀子君 まあ前向きにということ、気持ちがあるということを思いつつ、今の御答弁を伺いました。  栄養教諭配置現状維持のため給食実施校であっても配置されていない学校、これも現在あるわけですよね。中教審答申では、近隣の学校栄養教諭が出向いて指導を行うなどの工夫をするといって、複数校を兼務することも想定されております。栄養教諭に求められる職務を果たすためには、基本は、今まで申し上げてきましたとおり、一校一名の配置でこそ実現できる。兼務ではせっかくの食に関する指導も不十分なものになってしまうのではないでしょうか。  全日本教職員組合が学校栄養職員を対象にしたアンケートでは、三五%の人が兼務をさせられるのではないかと不安を抱いております。これも府中町で聞いてきたところでは、やはり調理員さんもまた栄養職員さんも、子供たちの反応を見ながら給食というのをきちんとしていくし、また指導教育もしていくと、子供たちの一人一人の顔が見えることがとっても大事だということを言っていたわけですね。  複数校の兼務ということはそれに反することになってしまうと思いますので、栄養教諭創設に合わせて是非兼務はしないでやっていけるということも考えていただきたい、その配置考えていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  157. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘ではございますが、現在、学校給食を実施しております学校が三万校余ございまして、そこに学校栄養職員が一万人余配置されておるわけでございまして、これらのすべての学校栄養職員栄養教諭に移行したといたしましても三校に一人というような割合になるところでございますので、やはりそれぞれの学校の食に関する指導充実を図っていただきますためには、栄養教諭の方の複数校兼務ということも是非工夫していただきたいと考えておるところでございます。
  158. 林紀子

    ○林紀子君 ちょっと数に関することなのですぐお答えいただけるかどうか分かりませんが、そうしますと、現在、栄養職員さんは兼務をしているというところもあるわけでしょうか。それはその一万人のうちどのくらいの方が兼務という形になっているんでしょうか。
  159. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 現在、私どもといたしまして、それぞれの学校栄養職員方々が兼務発令を受けているかどうかという調査をしておらないんで、一人の学校栄養職員方々がどれだけの、どれだけの方が兼務されておられるかということを実態把握はしておらないところでございますが、現実問題といたしまして、小規模な自校方式でやっておられる場合でございますと四校に一人の割合で学校栄養士配置されておるわけでございまして、この学校栄養職員方々はその四校の学校給食の献立を作っていただいているような例もしばしば、当然のことでございますけれども、あるわけでございます。
  160. 林紀子

    ○林紀子君 ですから、現在栄養職員さんに求められている業務というのは、献立をきちんと作っていくということが第一だと思いますが、栄養教諭というのはそうではないんだという話が今まであったわけですね。ですから、その職責を本当に全うしようと思えば、今までと同じ四校に一人で、一人が四校を回るというのは不可能になってくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  161. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) したがいまして、どの栄養教諭がどこの学校を兼務するかということは、それは任命権者におかれまして適切に配置していただきたいというふうに考えておりますけれども現状下におきまして、やはり一人の栄養教諭方々が複数校を兼務することによってそれぞれの学校の食に関する指導充実を図っていくことが大切であろうというふうに考えております。
  162. 林紀子

    ○林紀子君 その食の充実指導というところとどうもぴったり私は理解ができないわけですが、そのことにつきましてはもう一度、後ほど単独調理校と共同調理場の話がありますので、そこにもかかわりますので、またそこでお伺いしたいと思いまして、次の質問をさせていただきます。  現職の学校栄養職員栄養教諭に移行するための方策、これはどういうふうになりますか。
  163. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校栄養職員方々栄養教諭に移行するためには、一定経験年数、これは三年でございますけれども、三年の経験年数に加えまして、一種免許状につきましては十単位、二種免許状につきましては八単位修得していただき、栄養教諭免許状を取得することによりまして栄養教諭としての資格を得るということになるところでございます。
  164. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、認定講習というようなものが実施されるのだと思いますが、その講習というのはいつから行うのか、またすべての都道府県で実施されるのか、そのための予算はどのようになっているのか、お聞かせください。
  165. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、学校栄養職員方々が所定の単位修得して免許状を取得し円滑に栄養教諭に移行していただきますためには、これらの単位を長期休業中等に集中的に修得していただく必要があるわけでございまして、私どもといたしましては、すべての都道府県教育委員会におきまして単位修得のための認定講習を実施していただきたいというふうに考えておるところでございます。  私どもといたしましては、平成十七年度に向けまして財政措置の確保に努力し、平成十七年度に各都道府県教育委員会において認定講習を実施していただきたいというふうに考えておるところでございます。
  166. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、今年この法案が通っても、今年の夏休みからやるということではなくて、来年、例えば長期の休暇というようなことだったら夏休みということが一番想定されるわけですが、それは来年の夏からということになるんでしょうか。
  167. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 私どもといたしましても、そういう認定講習に必要な財源措置を確保いたしまして、十七年の長期休業中には是非この認定講習をやっていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  168. 林紀子

    ○林紀子君 次に、現在栄養士管理栄養士養成を行っているのは、公立、私立の大学、専門学校がほとんどだと思います。管理栄養士養成施設を見ますと、国立では徳島大学しかないんじゃないかと思うんですね。徳島大学の場合も、これは医学部にあるんだというお話を聞きました。  今どれくらいの管理栄養士養成の施設というのがあるのか、この数はお分かりになりますでしょうか。
  169. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えいたします。  管理栄養士養成施設の設置状況でございますが、平成十五年四月現在で、国立は今、先生指摘になりました徳島大学の医学部でございますが、公立が十二、私立が七十五、合計八十八の状況でございます。
  170. 林紀子

    ○林紀子君 今八十八というふうにお聞きいたしましたが、地域別に見ますと、青森、岩手、秋田、山形、栃木、富山、石川、福井、山梨、長野、和歌山、鳥取、島根、香川、愛媛、沖縄、この十六県には私学も公立も、それから国立はないわけですから、そういうことでは管理栄養士養成施設はないということなんですね。  今の八十八というその施設、養成施設というのは、ほとんどが都会中心に設置をされているんじゃないかと思うんです。ですから、地方の方たちが自分の地元でこういう管理栄養士というのになりたいと思っても、行くところがなかなかない、やはり遠くに出掛けていかなければいけないと、そういう状況ではないかと思いますが、この栄養教諭制度創設する機会にそれぞれの都道府県で養成ができるように、そういうことはお考えにならないのでしょうか。特にそういう意味では、法人化をされているわけですけれども、国立大学での養成充実させる、その辺のことはどのようにお考えでしょうか。
  171. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先ほども申し上げましたが、管理栄養士養成施設でございますが、そのほかにも栄養士養成施設が、国立が一、公立が十五、私立が二百二十五、合計二百四十一施設あるわけでございます。ただ、国立大学は、これは琉球大学教育学部ということになるわけでございまして、おっしゃるように、栄養教諭免許状基礎資格としては管理栄養士免許の取得や管理栄養士養成課程の修了などを求めているために、その養成を行おうとする大学につきましては管理栄養士等の養成課程として指定を受けていると、こういう必要があるわけでございます。  国立大学につきましてはこの四月から大学法人になったわけでございまして、なかなか国の方で細かな注文を付けるというわけにはいかないわけでございますけれども、今申し上げましたような二大学での養成ということは当然見込まれるわけでありますし、今後、そのほかの国立大学や学部におきましても個々の大学の判断で栄養教諭養成課程を整備する意向を有する大学が現れてくると、こういったことが期待をされているわけでございます。
  172. 林紀子

    ○林紀子君 栄養士の場合は全国にかなりあるというお話ですが、管理栄養士ということを目指す方もいらっしゃるわけですから、どこでもこれが養成をされてそこに通うことができるということを是非目指していただきたいということを思います。  あと一問お聞きいたしますが、高等学校、幼稚園についてもこの栄養教諭配置することができるというふうになっているわけですが、配置する場合には、ほかの公立の教職員と同じように地方交付税の算定に反映され、国として予算措置はされるのでしょうか。
  173. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 栄養教諭につきましては、現に義務教育学校配置されております学校栄養職員方々栄養に関する専門性に加えまして教育に関する資質を身に付けていただきまして食に関する指導充実を図ろうとするものでございますので、基本的には学校給食を実施している義務教育学校配置されることを想定しておるところでございまして、これら義務教育学校配置された栄養教諭につきましては、基幹的職員として県費負担教職員とした上で国庫負担の対象とするところでございますけれども学校給食法の対象となっていない幼稚園や高等学校におきましては、あくまでも設置者の判断によりまして栄養教諭配置されることとなるわけでございまして、そのために必要な予算措置は設置者において措置していただくことになると考えております。
  174. 林紀子

    ○林紀子君 終わります。
  175. 山本正和

    山本正和君 長い間の、私自身からも政府に対してもお願いをし、また与野党を通じていろいろと取り組んでまいりました事柄が、まだ十分とは言いませんけれども、確実な一歩を踏み出したと、こういう意味で、大変この法案については私はうれしい思いで一杯でございます。  二つあるわけですが、栄養職員の問題は、栄養職員配置されたときに、これはやっぱり学校の根幹職員であると、義務教育の根幹であるという位置付けを文部省がいろんな議論の中でされて今日まで至ったと。それから、やっと今栄養教諭の問題まで来たと。  これは、実は、二年前だったですかね、大野つや子委員長のときに愛知県のある小学校へ行きまして、文教委員会で視察に行って、委員長の下に、我々も給食をいただいたんです。それで、六年生というか、上級生のお兄ちゃん、お姉ちゃんが下級生を指導しながら一緒に食事もする。そのときに私ども感心したのは、リサイクルの話までそのお兄ちゃん、お姉ちゃんが下級生に教えるんです。あの牛乳の小さな一合入りのあれを、紙のやつを、これリサイクルに使うんだと、畳み方から何から全部教える。  本当に、何というか、学校というのはいいところだなと。また、食事を通じてこういう交流をされるすばらしいのを見まして、大野委員長のおかげで大変勉強さしてもらいましてうれしい思いしたんですけれども、そのときも、学校給食ということの重要性と、それからまた当たっておられる方と、また先生方との一緒になって動く姿を見て、大変うれしい思いをいたしました。  そういう意味で、是非栄養教諭に今度はきちっと位置付けされるということを本格化していただきたいと。これは第一歩でございますから、まだ、今まで、今日のずっと質問がありましたように、更にこうしていただきたいと、こうやったらもっと良くなるんじゃないかといういろんな要請があったわけですから、これはひとつ、特に事務当局の局長は前向きに、全力を挙げてその実現のために事務当局は頑張っていただきたい。また、是非、今の河村大臣原田大臣、本当に政治家としても今からまだまだ、何と言ったらいいか、働き盛りと言ったらしかられますけれども、そういう時代でございますから、この問題の実現のためにひとつよろしくお願いしたいと思っております。  そこで、先ほどからありました栄養職員の方が栄養教諭になる道筋ですね、これも文部省の方としてもいろいろと、文科省か、いろいろと検討してもらっているようですけれども、私が実は思い出すのに、いわゆる戦後の六三制を作るときに、昔は小学校というのは六年制で、後は高等小学校二年制で、そして中等学校があったと。それを、全部教員に切り替えるときに、免許状を持っているのがいないと。当時のいわゆる国民学校ですね、これは代用教員が圧倒的に多かった。いわゆる旧制の中等学校に進学する率が日本の国全体では三割を切っておったわけです。大学に至っては一割、一割五分ぐらいだったですかね。そういう時代ですから、教員がおらぬのですよね。そのために教員養成に全力を挙げた。特に、六三三制の確立のために文部省は本当に大蔵省と取っ組み合いのけんかして、大変な勢いで六三三制の実現をやったと。また、そして各市町村も予算が、戦争に負けてもう何もないときですから、厳しい中で必死になって六三制の確立のためやったと。ところが、人がおらぬわけです、教員がおらぬ。  そこで、何としても教員の、しっかりしたものを身に付けなきゃいけないというので、一斉に教員免許の、全国一斉にこれを始めた。どこの県でもみんなやれるようにしたんですね、大変な予算も要りましたけれども。そして、毎年夏休みになると、そういう教員が夏に勉強して、本当に生まれて初めて教育心理学だとか教育原理だとか、そんなものまで勉強させられて、みんな教員の資格取っていた、そういう歴史があります。  今度の、だから、栄養教員を栄養教諭にされると、この道筋も、私は、大臣が冒頭に提案のときにおっしゃったように、いわゆる食教育と、新しい言葉を使って日本の国の教育に一本筋を入れると、こういう決意でお取り組みいただいたんだから、きちんとするために、何としても現在おる、大切なことは人ですから、栄養教諭の確保ということのために総力を挙げていただくということだろうと思うんですね。  そういう意味で、先ほどお話があったんですけれども、どうも聞いておりますと十七年度からですか、認定講習は。そうすると、十七年ということで、一年間で十単位は無理だろうと思うんですよね、夏休みでね。その辺を何とか考えていただいて、今の段階では十七年と考えておるんだろうけれども、更に検討をして、できるだけ希望があれば栄養教諭の免許を取れるための資格を与える、資格が取れるようなあらゆる配慮をすると、こういうことについて是非お答えをいただきたいと思いますが。
  176. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 先生指摘いただいておりますように、栄養教諭制度創設に当たりましては、現在の学校栄養職員方々が必要な単位修得し免許を取得して円滑に栄養教諭に移行していただくことが大変大事だろうと思っておるところでございまして、そのためには必要な単位を短期間で集中的に取る必要があるわけでございますので、私どもといたしましては、十七年度の夏休み、もしも足りなかったら冬休み等も活用いたしまして、必要な単位が取れるように、各都道府県に免許法認定講習を開催していただくための財政的な裏打ちにも努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。  また、一年だけで、この免許法認定講習が一年だけでいいかというと、そんなことは私どももないと思いまして、何年間か計画的に実施することが必要だろうというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、各都道府県教育委員会にこの免許法認定講習会をきちんと開いていただいて、それぞれの学校栄養職員方々が免許を取得し栄養教諭に円滑に移行していただくように一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
  177. 山本正和

    山本正和君 希望する方はすべてその道が開けていると、こういうことでよろしゅうございますね。──はい、じゃそういうことで確認いたしました。  次は、薬学教育の問題でお伺いしたいんですけれども、先ほど草川先生からの御質問がございまして、私もちょっと気になって聞いておったんですが、なぜ医学教育と薬学教育とにこんな差別があるんだろうと。そして、これはヨーロッパやアメリカでは、お医者さんは診療をもっともとする、診断をね。そして、診断をし手術をする、あるいは医者としてのそういうものについては大変な時間を掛けて勉強もされるんですよ。薬は、どの薬を処方したらいいかということは薬剤師と相談するんです、全部。圧倒的に多いんですよ、それがね。だから、病院に行くんだったら、医師一人に薬剤師一人というわけにはいきませんけれども、医師二人に薬剤師一人ぐらいの感覚でもって話しながら医療の安全の確保をするんですね。これはずっとアメリカやヨーロッパはほとんどそうなんですがね。  日本は、ところが明治以来、医者は薬師と言った。だから、医者は薬も全部、全部がやれると思い込んでおるんですね。それは昔の漢方ならそうですけれども、その辺の問題がずっと長い間あるものだから、いつまでたっても、実は私も第一回国家試験の薬剤師ですけれども、薬剤師をせずにこんなことをしておるんですよ。だから、それは、正直言って、医師というものが本当に今の新しい二十一世紀の中の医療はどうあるべきかということを考えたら、いやでも応でも薬剤師との相互の話合いというものがなければ本当の医療はできないんだ。そういう意味からいったら、私は薬学教育重要性というのは非常に大きいと。六年でも足りぬぐらいに思っているんですよ。  それで、まだまだ薬剤師の私数足りないと思う、日本の医療からいえばね。本当に医療がそういう人を使わないんですよね。それからまたもう一つ、お医者さんの方も、この薬の方がいいと思っても、病院の事務長からしかり飛ばされるんですよ、あんた、こっち使いなさいと言って、高い薬をね。経営という問題が出てくるんだよ。そういう医療のいろいろな問題、これは文科省関係ない話ですから、厚生省、私も厚生委員長しておったし、随分いろいろやり合いしたんですけれども、それは厚生省との話でやらなきゃいけない話ですけれども。  いずれにしても、そういう問題があったにしても、文教の府である文科省は理想を追うべきなんですよ。本来の医学教育とは何か、薬学教育とは何かというその教育論の立場からきちっとこの問題を私は対応していただきたいと、こういうふうに思うんですね。そういう意味では、何としても六年制は重要な位置付けをしてひとつ是非お取り組みをいただきたい。  そこで、それは、今度は事務当局に質問ですけれども、何か知らぬけれども、六年制を出ても、お医者さんは六年制の大学が終わって、四年が終わって二年が終わったときに医学士になるんですね、たしかね。医学士になると思う。学士ですよね。医修士とは言わないですね。これと同じで、今度はどうも薬学士になるらしいんだけれども、六年制が終わったら。ところが、学士(薬学)と書くらしいんだけれどもね。片っ方の四年制と二年制にせいという、これは全く理屈も何もなしにお互いの折衷の中ででき上がった四年制、二年制の方は修士(薬科学)と書くというんだ。薬科学というのは、昔、薬の下に化学の化を書いて薬化学、これはあったんですよ。薬の下にサイエンスを付けるような学問はないんじゃないか。どこにもないですよ。薬の下に書く、お医者さんの医の下に医科学というの、このサイエンスの科を書くのはないですよ。科学の中に薬学もあり医学もあるんだ。こんなものを付けてでも差を付けたいという非常に異常な意識を私は持って仕方ないんですよね。  これ、なぜ医科学という名前を付けたのか、いや、薬科学か、修士(薬科学)という名前を付けたのか。この辺の論議は是非聞かして、まあ今日は余り時間ありませんから、私はこれ余り言うつもりはないんですけれども、私はそういう問題提起をしたことを役所としても受け止めていただいて、やっぱりおかしいものはおかしいと言わにゃいかぬですよ。学問の府なんですよ、大学というところは。学問の府が何か力のあるもの同士のねじり合いみたいなところでそんならこういう名前にしましょうかというふうになったというふうに漏れ聞いたものだからね。非常に私は憤慨しておるんです、そこのところは。  なぜ医学部と同じように、六年制でいいですよ、六年たったら医学士になる。同じように六年たったら薬学士になると。そして、日本の医療のために医師も薬剤師も看護師もみんなで勉強一緒になってやってくださいということをやるのはこれは厚生省の仕事ですけれども、文部省は何も遠慮せずに、やっぱり大学はこうですからということを言わなければいけないと思うんですけれども、ただ、そこのところは、まだ文部省はどういうふうに考えているのかについては見解を聞いていないので、何かそういう話を私聞きたい。  どうも、六年制で終わったやつの方で薬剤師になる道を選んだ方は学士であると、四年たってもう二年行く方は修士であると、そして(薬科学)士と付けると、こういうふうなことが聞こえてくるんだけれども、それは本当にどうなっているのか、それは文部省もそういうことを認めているのかいないのか、各大学ではどんな議論をしているのか、ちょっとその辺をお聞かせ願いたいと思います。
  178. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 今回、薬剤師を養成する課程については四年の学部を六年にと、こういうことでございます。また一方、これまでも度々御議論になりましたけれども、多様な人材ということで四年制の学部もあってもいいじゃないかと、こういうことでございます。もちろん、四年制の学部の上に修士があり博士がある、それで六年制の学部の上に博士があると、こういうことになると思います。  それぞれ卒業した人については、学士、修士、博士という学位が出ることになるわけでございますけれども、この中教審の中でいろいろ議論がありまして、六年の卒業した人の学士、昔は法学士とか薬学士とかいってもうきちんと種類が二十九種類で決まっておったんですけれども平成三年のあの設置基準の大綱化でなくなりまして、学士と、あるいは修士といったところで、じゃ何の勉強をしたかということで括弧書きでそれについて書くということになっておりまして、今までは薬学についてはもう四年だけでございましたから学士(薬学)と、こうなっておったんですけれども、二つできたということで、やっぱり同じじゃまずいだろうと。その中身も違うはずだと、教育の中身が。  したがって、中で議論がありまして、やはり六年の方がやっぱりいろいろ中身を考えると薬学ということがふさわしいだろうと、(薬学)と。四年の方については、また別な名前にしてはどうかと。そこで決めたわけではございませんけれども、これから関係の学会なり大学方々で御議論になると思いますけれども、例えばということで、基礎科学、薬学に関する基礎科学が中心になるだろうと。したがって、薬科学という、学士の後に薬科学ということを入れるのも一つの方法ではないかと、こういう中教審の中での議論があったと。修士につきましても、同じように、薬科学の学部の上に積み上がる修士ですから、修士(薬科学)ではどうかと、こういうこともございました。  医学は六年で、その上に医学博士というのがありますけれども、最近そういう全く診療、診察だけじゃない医学、医科学という修士ができておりますけれども、それなんかでは修士(医科学)ということもございまして、恐らくそういうこともあったんじゃないかと思いますけれども、そういう議論でそういう名称にしてはどうかと。  これはあくまでも一つの提案でございまして、これからその教育内容等々、履修した内容等によりまして関係者の間で固まっていく話だろうと、こう私どもも思っております。
  179. 山本正和

    山本正和君 今のは、だから中教審の中でそういう議論があったと、こういうことですね。だから文部省として、大学がこういうことを言ってくることについて文部省もそれに同意するとかしないとかいう話じゃないわけですね。そこだけちょっと聞いておきたいんだけれども
  180. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 議論と言いましたけれども、要するに、答申の中で、六年の方については学士(薬学)とすることが適当であると、こうなりました。それから、四年の方についてはこれと異なる適切な名称、例えばということで、学士(薬科学)ということとする、違う名称にする必要があるのではないかと、こういう提言でございます。  したがいまして、これからこの法案が通りましてこの制度がスタートしますと、四年後、六年後にそれぞれ卒業生が出ますけれども、それまでの間にそういうことで、括弧の中に何を入れるかという共通理解が図られていくだろうと、こう思っております。
  181. 山本正和

    山本正和君 それじゃ、最後に大臣にお願いしておきますが、どうか、医学も薬学もやっぱりそこで妙な差を付けるというふうなことがあってはならないと私は思いますから、その扱いも、だから医学部は六年制で卒業する、後は博士課程だと、薬学部も同様に今度は六年制で卒業する、そして後は博士課程へ行かなければいけないと、こうなるわけですね、いわゆる薬剤、医療をやる方はね。  医療をやらない人がおるからということで四年制と二年制を作ったというんだけれども、医療をやらない方の人は、ところが修士出たら、その中で単位を取ればまた薬剤師になれるわけですね。こんな道を作っているのは医学部にはないわけですよ。医学部は、全部そのまま六年の修士を取ったら全部医師の免許状を受ける資格を得られる。ところが、薬剤師の方だけは何か二つに分けてしまった。  しかも、聞くところによると、これ私の方へ聞こえた、私も同僚がおるし同級生の医者もおるし、皆七十五、六から七、八のじじいばっかりですからね。そこから漏れ聞いた話ですよ。こう言うんですよ。君、そんなことを言うけれどもね、薬学部を出ても博士号は昔は医学博士だったんだ、薬学なんという言葉は余り良くないんだよと、こんなことを言っているやつがおるんだと。全然だから認識が、高木健太郎先生以来の認識しか残っていないんですよ、これ今の。東京帝国大学は特に。  だから、やっぱり本当に近代科学の恩恵を受ける医療をやるんならば、きちっと諸外国から見ても恥ずかしくないような格好に組織としてあるべきだということは、文部省として、これは文教の府の責任者としてきちっと示していただきたい。  こんなことを最後に要望しまして、もし感想があれば一言伺いたい。
  182. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 重要な御指摘をいただいたと思います。  ただ、薬剤師の道も、これは暫定措置でございまして、十二年経過後はもう六年制に統一してまいりますので、その点はきちっといたしております。ただ、四年制の部分も残しながら、創薬とか、そういう道も当面残しておくということで、今これは二本立てになっておりますけれども、おっしゃった点は十分留意しなきゃいけない課題だと、このように思っております。
  183. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回は来る十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会