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2004-04-22 第159回国会 参議院 文教科学委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      柏村 武昭君     中曽根弘文君      野上浩太郎君     小斉平敏文君      平野 達男君     佐藤 泰介君      松 あきら君     草川 昭三君  四月二十二日     辞任         補欠選任      谷  博之君     内藤 正光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北岡 秀二君     理 事                 亀井 郁夫君                 後藤 博子君                 鈴木  寛君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 阿南 一成君                 扇  千景君                 小斉平敏文君                 橋本 聖子君                 伊藤 基隆君                 谷  博之君                 中島 章夫君                 西岡 武夫君                 草川 昭三君                 畑野 君枝君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   河村 建夫君    副大臣        文部科学大臣  原田 義昭君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        文部科学大臣官        房総括審議官   玉井日出夫君        文部科学省生涯        学習政策局長   銭谷 眞美君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省高等        教育局私学部長  加茂川幸夫君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○私立学校法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○教育文化スポーツ学術及び科学技術に関  する調査  (私立学校外部評価に関する件)  (性教育現状に関する件)  (高校新卒者就職状況に関する件)  (専修学校運営適正化に関する件)  (男女共同参画を目指す教育充実に関する件  )  (私立大学経営状況に関する件)     ─────────────
  2. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十一日、野上浩太郎君、柏村武昭君、平野達男君及び松あきら君が委員辞任され、その補欠として小斉平敏文君、中曽根弘文君、佐藤泰介君及び草川昭三君が選任されました。     ─────────────
  3. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 私立学校法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。河村文部科学大臣
  4. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) おはようございます。  このたび、政府から提出いたしました私立学校法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  学校法人が、少子化等社会経済情勢の変化を始め、法人制度改革規制緩和の進展など学校法人をめぐる近年の状況等に適切に対応し、様々な課題に対して主体的かつ機動的に対処できるようにすることが重要になっております。このため、私立学校自主性を最大限尊重する現行制度基本に立ちつつ、各学校法人における管理運営制度改善を図るとともに、財務情報等の公開を一層推進する必要があります。また、各都道府県における私学行政の一層適切な執行に資するため、その実情に即して私立学校審議会を構成することができるようにする必要があります。  今回御審議をお願いする私立学校法の一部を改正する法律案は、以上の観点から、学校法人制度及び私学行政改善を図るものであります。  次に、この法律案内容概要について御説明を申し上げます。  第一に、学校法人理事会制度に関する規定を整備するなど、理事、監事及び評議員会制度について、それぞれの権限や役割分担を明確にして、学校法人管理運営改善を図るものであります。  第二に、学校法人自らが財務情報等を公開し、説明責任を果たすため、財産目録貸借対照表等財務書類事業報告書及び監査報告書利害関係人からの請求に応じて閲覧に供することを義務付けるものであります。  第三に、各都道府県に置かれている私立学校審議会委員について、その構成、推薦手続等に関する規定を削除し、教育に関し学識経験を有する者のうちから都道府県知事が任命することとして各都道府県の判断にゆだねるものであります。  このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。  以上であります。
  5. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  6. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  私立学校法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十七日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 北岡秀二

  10. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  11. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 後藤博子

    後藤博子君 おはようございます。自民党の後藤博子でございます。今日も質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  それにしても、大臣、お疲れでございます。もう私も三年近くなりまして、この前も言ったんですけれども、本当に国会議員というものは忙しいというのが、本当に一国民の間は分からなかったことがもう最近はいろんなことが見えてきまして、また大臣の大変さ、いろいろな面で、あらゆる面で大変さがあるということをお察し申し上げて、ねぎらいをどこまでできるか分かりませんけれども、本当にお疲れでございます。今日はよろしくお願いいたします。本当は三十分ぐらいもう休んでくださいと言いたいんですけれども、今日は一般質疑ということなので、私も二、三質問させていただきたいと思っております。  今、私学法趣旨説明もいただきました。今、あらゆる面で、もうあらゆるという言葉で集約させていただきますけれども、あらゆる面で教育の大事さが問われております。公立でも、私学でも私立でも、教え育つというその教育の目的は同じではないかと思います。今日、私学趣旨説明ありましたので若干ちょっと触れてみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  私学自主性自律性を保ちながら更に発展していってもらいたいというのはもう私たちの願いでございます。さらに、私も一国民だったんですけれども教育現場PTA活動を通しながら、公立の大事さ、私学の大事さも若干ですけれども分かっているつもりでございます。そういう意味においても、国民からの理解を私学にしてもらうという観点からは外部評価も重要であると考えます。  今回の法改正によりまして外部評価認証評価制度充実が図られるとのことでございますが、その趣旨内容が今の段階で検討されておりましたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  13. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) ねぎらい言葉をいただきましてありがとうございます。御苦労さまでございます。  今、大学、特に私立大学のことについて、外部評価等の問題、非常に重要な視点だと思います。特に、御案内のように、日本私立大学全国大学生の八割近い者を受け持っておりますから、その役割、非常に大きいものがございます。したがいまして、私立大学はきちっと評価を受けて、そしてそこできちっとした人材を出す、そういうことがこれからますます重要になってくると思います。  特に、そういう意味で、国民への説明責任を果たす、あるいは教育水準を向上させる、こういう点を第三者からきちっとした評価を受けるということでございます。そして、それを世に問うということが大事だろうと思います。このために、この四月から、国公私立のすべての大学が定期的に、少なくとも七年に一回はと、こう言っておりますが、文部科学大臣認証を受けた評価機関による評価を受ける認証評価制度、これは義務付けになってきたわけでございます。だから、大学は受けなきゃいかぬ。  この制度には、まず認証機関認証評価機関、これを決めなきゃならぬわけでございまして、この申請をいただいて、中教審における諮問、答申の手続を経て、一定の基準を満たす場合に大臣の方で評価機関認証することになっています。実は若干遅れておりまして、まだこの認証機関がきちっと決まっていない状況がございます。財団法人大学基準協会がその認証、今手続を取らんとしておるところでございますが、更に複数の団体が認証を受ける、このように準備をしていると承知をいたしております。  この制度によって評価結果が社会に公表される。そして、これを受けて大学自身が主体的な取組を、改善をやる。また、受験生もこれを見ることができる、自分大学を選ぶ、こういう一つの資料にもなると、こう思っておりまして、全体的な意味でこの評価によって大学改革が進むと、このように考えているところであります。
  14. 後藤博子

    後藤博子君 ありがとうございます。  やはり生徒も親も、保護者も、その内容が分かることによって大学をどう選んでいくかということになりますので、この第三者評価、あらゆる面で私は大事なことだと思います。引き続き御検討をお願いしたいと思っております。  今大臣大学っておっしゃいました。今、私立高校ですか、私立であれば高校、中学、小学校幼稚園という私立があるんですけれども自己点検評価以外に外部評価高校以下についても必要であると考えます。今後検討すべき課題と私も考えておりますけれども高校以下に対する外部評価はいかがでしょうか。
  15. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生指摘のように、開かれた学校作りを推進し、学校保護者等に対しまして説明責任を果たすためには、学校評価を推進をしていくということは大変重要なことであると考えております。  この問題につきましては、平成十四年に幼稚園小学校、中学校高等学校設置基準におきまして、学校は自らの教育活動について自己点検を行うとともに、その結果を公表するよう努める努力義務規定をしたところでございまして、現在、この規定に基づきまして、国立公立私立を通じ各学校学校評価に取り組んでいるわけでございますが、中には、この自己評価のみならず、学校評議員でありますとか、保護者地域住民によります外部評価に取り組んでおる学校もあるわけでございますが、やはり先生おっしゃったように、この第三者評価の問題、これは大変重要な問題でございまして、私ども中央教育審議会におきまして、教育委員会制度に関する審議の一環として、これは主として公立学校でございますが、検討を行っていただきたいと思っておりますし、学校評価システムの確立に関する調査研究を各都道府県教育委員会等に委嘱をいたしまして実践的な研究を進めておるわけでございますけれども、御指摘を含めました第三者評価、これは国立公立私立を通じてでございますが、今後の大事な検討課題として研究をさせていただこう、こういうふうに考えております。
  16. 後藤博子

    後藤博子君 ありがとうございます。  第三者評価という非常に言葉は難しいんですけれども、その中に保護者等、やっぱり親たちも含まれて、親の意見、親の気持ち、そういうものをまた吸い上げていただけるような評価在り方を更に検討していただくと有り難いと思います。  公立私学にかかわらず、文部科学省というのは、私は国の教育根幹だと考えております。これから、大臣、また教育基本法改正いたしますし、もちろん憲法も改正があるかと思いますし、そういう点ではこれから私立学校に、私学に対してもこの教育基本法がどう生かされていくのか、あるいは指導要領や教科書などの使い方、それはまた文部科学省としてどう指導されていくのか。私学に選択を任せる、あるいは私学に裁量を任せる、そういうこともあるかと思いますけれども、大きく今国の教育という根幹が揺らいでいる最近におきまして、私は、この文部科学省という、国の教育というものをどこまで浸透させていくかという、それが今大事な時期に来ているのではないかと思っております。  もちろん、特区もできましたし、NPOで学校もできます。また、国民の多くが公立よりも私学を選ぶという、授業料が多少高くても私学を選んでいくというそういう傾向も今起こっているところでございます。そういう点では、国の教育公立私学、今ちょっと私学のことをお話ししておりますから、私学に大半がシフトしていくのは、私学にゆだねざるを得ないという現実があると思っております。  日本教育責任というものを考えたときに、日本教育責任はどこまで持つのだろうかとか、私も平成十三年度に国会議員になりまして、ずっとこの文部科学に身を置き、委員の一人としてずっと子供たちのことを、将来のことを考えてまいりました。その中で、幼児教育の大切さとか、これからの総合施設在り方も質問させていただきましたし、青少年の問題もいろんな委員会場面、部会の場面でも質問させていただいたり、意見を述べさせていただいたりいたしました。食育の大事さの中では、食を通じた、何といいましょう、日本人の礼儀作法も大事じゃないか、そういうことも言わせていただいております。  そういう点で、何といいましょう、今文部科学省から教育委員会に行き、教育委員会が各学校の方に行くんですけれども、その流れが非常に、浸透どこまでしているのかなという、そういうちょっとまだ見えない部分がありまして、ちょっと漠然としていて申し訳ないんですけれども、これからのこの二十一世紀、日本が抱える今のいろんな問題はもう教育にあると言っても過言ではないと思っております。  そういう点では、是非大臣もお体に注意をされながら、私どもも一生懸命取り組んでまいりますので、その点はよろしくお願いをしたいと思っております。  さて、話は少し変えてみたいと思います。  そういう、関連してくるかと思いますけれども、四月二十一日に、私は青少年特別委員会にちょっと出させていただきました。そのときに、子供を取り巻く有害環境調査についてということから、日本PTA全国協議会の青木副会長、あるいは性教育実態とその問題点ということで明星大学高橋史朗先生がお見えになりまして、子供たちの、若者の性行動に対する委員会がありました。  そのときの、今の性教育が物すごい性教育が行われているということを、元々前から、二〇〇三年、去年からもうそういう場に立ち、あるいは新聞等々で性教育在り方問題点を見ましたけれども、また新たに二十一日に先生方から教えていただいたときのその現状たるや、もうすごいものでして、そのときに配られた資料等は、もう途中で気分が悪くなるような資料がたくさんありました。  一部紹介をさせていただきたいと思います。それは、今日はお手元に配っておりませんので、ちょっと見えるかどうかは分かりませんけれども、「いのちの学習」ということで横浜市立のある小学校生徒三年生の学習資料として配っているものがあります。これは児童各自一冊ずつ配付し、ただし家に持って帰ることは禁止ということで、親御さんにも知られていないような三年生の教育場面性教育が行われているということでございました。  ちょっと読ませていただきますけれども、朝から大変、ちょっと申し訳ない言葉を、これに書いておりますので読ませていただきますが、その実態を見ていただきたいと思います。  「人間もほかの動物とおなじように、受精のためには、男性ペニス女性の膣にいれて、女性からだに精子をおくりこみます。ただし、人間の場合は、これを交尾とはいわず、性交といいます。人間性交するときは、おたがいが心のふれあいをもっていて、いっしょに心地よい肌のふれあいをしたいと思うあいてをえらんでします。 人間性交は、男女からだをよせて、おたがいの心とからだを興奮させあうところからはじまります。興奮が高まってくると、男性ペニスは勃起します。それを女性の膣にいれ、なおもおたがいの気持ちを高めあいます。」  もうこれ以上読みたくありません。皆様方も聞いていて胸が詰まってくるのではないかと思いますが、そういう現状が図式で書かれております。見ていただきたいと思いますけれども。(資料提示)  そして、もうたくさん資料がありますが、ちょっと見にくいので。こういうカラー刷りのものもございまして、これは人形を使って男性性器女性性器を表わして、女性男性がどのように性交するかということをこの人形で実体験、実際に子供たちに見せて、それを今言ったような言葉のとおりにやるんです。  これはもうほんの一部なんですけれども、これを子供たち授業を受けまして持って帰りましたら、親御さんにいろいろと子供たちが質問をしたりしております。グループワークにおいて、これは子供たちの声、親の声ということで、保護者の方があんまりだということで取材をしたものなんですけれども、「子供の声・親の声」ということで、「「僕の赤ちゃんは、僕のおちんちんの中にいるんだよ」と言って、ゲラゲラ笑い出した。」、これは一年生の男子です。「グループワークにおいて、事前学習と言っていた子供たちが、「うちは週何回しているの?」と聞いてきた。いったい学校では何を教えているのかと、ビックリした。」、これは六年の女子のお母さん。「グループワークにおいて、コンドーム班は劇をすることとなったが、コンドーム役を皆嫌がり、誰もが劇をやりたくないと言った。」。コンドームを使うからお母さん貸して、今度の授業に持っていかなけりゃならないからと言って、親にコンドームの、迫ってですね、学校に、現場に持っていったという、そういうことがもう一杯書かれています。  文部科学省の皆さん、この実態をどこまで御存じだったでしょうか。よろしくお願いいたします。
  17. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 委員指摘のとおり、近年、不適切な性教育が行われている学校があるといった旨、国会報道機関から御指摘を受けておるところでございまして、これを踏まえまして、文部科学省におきましては各々の都道府県市町村教育委員会を通じましてその実態の把握に努めますとともに、適切な性教育が実施されるように指導を行ってきておるところでございます。
  18. 後藤博子

    後藤博子君 指導を行ってきているということの、その結果はまだ、じゃ出ていないんですか、いろいろ調べたりして今いただいていると思いますけれども。何かその結果は今現在ありますか。
  19. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 東京都あるいは神奈川県におきましては、それぞれの区教委なり市町村教育委員会を通じましてそれぞれの学校でどのような性教育が行われているか実態調査をされまして、それに基づいて適切な指導がなされておるというふうに考えておりますし、また、個々に新聞等で報道されましたものにつきましては、私どもといたしましても関係市町村あるいは都道府県教育委員会からそれぞれ実態報告していただきまして、それに対して各県あるいは市町村教育委員会でこういうふうに是正するようにしておるというような報告も逐次受けておるところでございます。
  20. 後藤博子

    後藤博子君 受けた後の処理といいますか、受けた後にまたどうするかと、更に推し進めていきませんと、今も、こういうこの時間の間だけでもどんな学校でどのような性教育が行われているかということが現状ありますから、危機感を持って当たっていただきたいと思うんですね。  これは日本だけに限らず、日本アメリカ、中国、韓国、いろんな場面高校生調査をいたしております。これで、日米中韓調査実態で分かったことは、婚前前は純潔を守るべきであると、これは高校生女性に聞いたんですが、日本は、婚前前は純潔を守るべきであると答えたのは二九%です。これに比べまして、あのフリーセックスと言われている欧米、アメリカの方は、純潔を守るべきであると答えたのは五六%なんですね。日本よりもはるかに純潔を守るべきだと、あの米国でさえ高校生は今言っております。そして、女性女性らしくすべきだということを問いましたら、日本は二三%が女性らしくすべきだと答えて、アメリカは五六%が女性らしくやはりすべきだという。  だから、従来といいますか、私たちの時代は逆転していたんですね。どちらかというと日本の方がパーセントが多くてアメリカの方が逆だったんですが、今逆転してしまったこの現状文部科学省は何していたんでしょうかと言わざるを得ないんです。大変私の、親も責任がありますけれども、やはり国の根幹教育を担う文部科学省がそこを、自分子供さんのこと、あるいは孫のことを考えながら各省の方々がどこまで取り組んでいるのかという、人ごとではないという、そういう思いをしっかりと刻んで取り組んでいただけたらと思うんです。  更にアンケートをちょっと紹介させていただきますけれども、この十年でアメリカ純潔教育をやっぱりやってきているわけです。日本は、各指導要領とか見ますと、純潔は大事だとかいうこと、ちゃんと指導要領にあるんですよ。教育のこの、お借りしましたけれども、この本等々を見ますと、学校における性教育の、こういうのを見ますと、ちゃんと大事だということが載っているにもかかわらず、現場では過激な性教育が行われてしまっているというこの現状。  文部科学省といたしましては、今もう聞いたんですけれども、更にどのようにこれから対応していくかという強い決意表明をお願いできればと思います。
  21. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校におきます性教育は、委員も御指摘いただきましたように、学習指導要領にのっとりまして、児童生徒の発育あるいは発達段階や受容能力を適切に考慮しながら、また同時に保護者の理解を十分に得ながら進めていくことが大切なわけでございまして、特に私どもといたしましては、いろんな会議を通じまして、これは各都道府県、それからすべての市町村教育長さん方に、各教育委員会が設置しますそれぞれの学校で現にどのような性教育が行われているのか、それをきちんと把握していただきたいと、各設置者である教育委員会が、教育長自らもその学校に行って、そういう実際にどういう教育が行われているのか見ていただく、そういうことも含めて各市町村教育委員会都道府県教育委員会が設置する学校でどのような性教育を行われているのか十分把握して、その上で適切な指導をしていただくように私どもとしては一生懸命お願いをしておるところでございます。
  22. 後藤博子

    後藤博子君 ありがとうございます。  お願いをしているだけじゃもう駄目なんです。(発言する者あり)今、本当、委員からも声が出ておりますけれども、それはもうきれい事なんですよね。親ももうあんまりだと言って学校に駆け付けております。いや、そういうことはやっていないと、まずそういうふうに言うんです。じゃ授業参観させてくれと言っても、なかなかさせてくれない。あるいは実態を認めても、いやこれは、お母さん、あなたたちの代わりにやっているんだというふうに、何か正しいんだということを言い含められて、親は、ああどうも済みません、ありがとうございますなんと、最後はそういうふうな言葉を出さざるを得ないような状況。  日本PTAの副会長さん、お見えだったので、是非保護者が運動を起こしてくれというふうにお願いをいたしました。だから、もう教育委員会に言っていても、教育委員会そのものがおかしいんですよ。教育委員会そのものが本当に実態を把握して、それを文部科学省に、上に吸い上げているかというと、その実態は本当に現場に行って見ていただきたいんです。教育委員会にお願いする、任せるではなくて、文部科学省として本当に実態を把握するために現場に足を下ろし、教育委員会と話をし、学校に行き、実態をこの目で見、しっかりとやっていただきたいんです。  今、世界の性教育の中心テーマは御存じですか。ラブケアフリー、愛するならば慎重にというのが合い言葉だそうです。日本は愛するならば慎重にどころか、ちょっと付き合えばもう体の関係ができてしまう。それが男女の付き合いだというふうに子供たちは思ってしまっている。メディアからも飛び込み、テレビからも飛び込み、雑誌からも飛び込み、あるいはインターネットからも飛び込むんです。見たことありますか、インターネットで卑わいな映像が入ってきているのを。それも止めなきゃならない、どこから手を着けていかなければならないこの現状において、一番やらなきゃならないのが私たちであり、文部科学省を中心とした私たちなんですよ。それはほかの委員国会議員の皆様も心を痛めている方がたくさんおられますけれども、まずこの文部科学委員が、委員会がそこはしっかりとやっていかなければならないと思います。  思いますみたいな、もう簡単な言葉では言いたくないんですけれども、それは戦後教育の男らしく女らしく教育であったり、ジェンダーフリーの教育であったり、いろんなことが影響を及ぼして今日に至っております。だから、子供たちは、性というものを学校が教えるのはもしかして純粋に性教育だということで教えているかもしれないけれども、受け止める子供たちは違うんですよね。お母さんとお父さんはエッチだと、嫌らしいと。だから、お父さんとお母さんが二人でテレビを並んで見ていると、その間に割り込んで邪魔をしていくという、引き離してしまうという、そういういびつな性教育が行われております。  発達段階に応じた性教育在り方、頭から入るんではなくて自然に体が発達していくわけです、子供たちは。皆さんも覚えがあると思います。小さいときからだんだんだんだん自分自身が体が変化していくこと。男性男性なりの変化を覚え、女性女性なりの体の変化を覚え、そこで、お母さん、私はどうしたんだろう、なぜこういうことがあるのと母に聞いたりします。父親が、おっ、何かおっぱいが大きくなったななんて言われたことに対して赤面をしたり、そういう発達段階に応じたときにその教育性教育が正しく行われることが大事だと思います。高橋史朗先生もおっしゃいました。いろんなことをとにかく情報公開すべきだと。情報公開した上で本当に性教育の正しい在り方をもっともっと議論すべきだと。そこら辺が抜け落ちているのではないかと思っております。  そういう点では、ちょっと私もまだまだ足りないと思いますが、今日は時間を三十分をいただきましたのでこの問題に集約をさせていただきました。教育にかかわる現場の中で親も子供たちも苦悩しておりますし、親は子供たちにどう向き合っていいか分からないようなこの少子化時代、核家族の中で、教育というものを担う。この十年間を失われた十年にするのではなくて本当に実のある、先般も私も質問しました、本当にこの十年間どうやっていくのか、性教育を含め教育在り方、この十年間どう取り組んでいくのかという、本当に大分弁でしらしんけんにやらなきゃいけないと思っております。  最後に大臣のコメントをお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  23. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 後藤先生から切実なお話、また実際の現場のお話も交えていただきましたし、また子育てを体験された中でのお話でございますし、極めて説得力のあるお話だったと思います。私自身も子供四人おります。男の、男性の親としても感ずるところがございます。  やっぱりこれは教育現場が、正しいといいますか、発達段階に応じた、先生指摘のような形でのきちっとした性教育が行われるということは非常に私は大事だと、このことを私もずっと思い続けてきたことでございますが、現実に看過できない状況があるということ、これは一度もうちょっと真剣に取り上げていく必要があるんではないでしょうか。  一応、段階に応じたものはこういうものであるというモデル的な教科書もあるし、学習指導要領もあるわけです。これにのっとってちゃんとやられているかどうか、行き過ぎはないのか、やっぱりこのことはこの際一度調査するなり何らかの報告をいただきながら、正に情報公開をいただきながらこれはやっぱり国民課題として考えていきませんと、先ほどの統計を見ても分かるように、一時欧米諸国が言われた、しかしこれではいかぬということで欧米諸国もこの問題について真剣に今取り組んでおります。正に日本の失われた十年というのはそういうことも非常に野方図になってきたんではないかという懸念がございますので、この問題は正に、丸投げじゃなくて、やっぱり教育のセンターとしても十分注意をしながら、地方の教育委員会と一体となって真剣に取り組むということが大事だと思いますから、改めて文部科学省内部でもこうした事実が現れたということに対してどう取り組むか、真剣に取組をさせていただきたい、こういうふうに思います。  ありがとうございました。
  24. 後藤博子

    後藤博子君 大臣の心強いコメントをいただきました。ありがとうございます。  大臣始め文部科学省の皆様、そして私たちも真剣に取り組んでいこうではありませんか。しっかりやります。よろしくお願いいたします。  本日はありがとうございました。
  25. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤基隆でございます。  私は、ずっと以前に一度文教委員会に所属したことがありますが、かねがね教育の問題に入りたいなと思いつつ、様々事が起こりましてなかなか来られませんが、今年は念願かないまして本委員会に参加させていただいております。  皆さんの議論をずっとお聞きしておりまして、特に教育費の国庫負担問題をめぐる委員会でのやり取り、質問、答弁合わせて非常にまじめなといいましょうか、教育根幹がいずこにあるやということを認識された議論が当然のことながらやられ続けまして、大変心強い感じがしております。国会の他の、私は財政金融、総務がずっと長いんですが、そういう委員会に行かれますとまた全く違う次元での国の問題を扱うという感じを持っております。私の質問がそういうことの延長線上になるかどうかは分かりませんが、今日は一般質問という形で様々な角度からやらせていただきます。  私は、最後の国民学校生です。昭和二十年の四月に入学しまして八月に終戦を迎えた。そういうことでありますから、戦前教育はわずか四か月でありますが、大変非常に強い影響を受けて、今でもそのことは頭の中に残っております。その後は、全くアメリカナイズされた文化状況の中で、学校教育アメリカナイズされたわけじゃありませんが、そういう日本文化状況の中で、多分にアメリカ的、いわゆるアングロサクソン的な発想で今日まで見る、見ると随分年を取ったように見えるかもしれませんが、そういう感じで過ごしてきました。  そういう意味からいうと、今日の教育問題というのは大変、教育の荒廃と言うけれども本当に教育の荒廃なのか突き詰めなきゃならない。いずれまた突き詰めなきゃならないと思っております。社会全体の問題として様々なことが教育現場で起こってきておるんではないか。それに対して教育現場、文部省も県の教育委員会も一生懸命取り組んでいるけれども、それ、取り組む後から新しい社会事象が押し寄せてくるような感じをずっと感じております。特に、中央教育審議会審議の経過、大臣からの諮問から答申までの経過をずっとこの委員会の所属になって読みました。読んで、その間の苦悩がよく分かるような気がします。しっかりした答申が出て、文部省がそれに取り組もうとする矢先にまた違うことが起こってくると改めてまた諮問するというようなことがかいま見られまして、そういうやや社会事象、社会の現象の大きな変化の中で教育が苦悩し続けているという感じを受けております。  さて、第一の質問ですが、高校新卒者の雇用問題、就職について伺います。  今月、内閣府が発表した月例経済報告によると、「総論」として、我が国経済の基調判断は、「景気は、企業部門の改善に広がりがみられ、着実な回復を続けている。」ということであります。さらに、輸出、生産はともに増加する、企業収益は改善の動きが広がり、設備投資は増加、個人消費は持ち直しと続き、改善の動きを伝えております。  しかし、まだまだ、特に地方については実感が伴わないという声をよく耳にするところですが、この月例経済報告の中でも、「雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。」と、雇用情勢の改善の遅れが日本経済回復に大きな影響を与えていることを認めております。このところ、全国平均の完全失業率が五%程度の高水準で高止まりしたままで、大きく改善されるという見通しは立っていない状況です。  言うまでもなく、雇用の安定は、個人生活の安定はもとより社会の安定や安全にも直結するものであります。たとえ経済指標が数字上好転しても、実際に個人の生活の安定が確保されるという実態がなくては意味がありません。  そこで、この春の高校新卒者就職状況についてお聞きします。全国の平均、地方での状況、特徴的なことを、概要を御説明いただきたいと思います。
  26. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  この春の新規高卒者の卒業時点での就職率につきましては現在集計中でございますが、直近の厚生労働省の調査結果によりますと、本年一月末現在の就職内定率が全体では七六・七%ということで、前年比と比べまして二・三ポイントのプラスであると。また、就職内定者数は約十四万五千人ということで、これも前年比プラス一・八%ということで、過去二か年と比べますと若干上回っているということは言えるかと思っておりますが、しかしながら、地域別の就職内定率を見ますと、厳しいのは北海道や東北あるいは九州でございますが、北海道が五七・一%、前年比プラス〇・八%でございますし、東北は六九・六%、これは前年比プラス四・〇%でございまして、南九州が六九・六%、前年比二・八%。ただ、沖縄県などは四六・四%ということで五〇%に行っていないと。前年比と比べますとプラス九・七ということではございますけれども、依然として厳しい状況にあることには変わりがないものと認識をいたしております。
  27. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 今答弁を聞きまして、地方に非常に悪い数字が出ているようであります。北海道や東北、沖縄の数字は正に衝撃的とも言えるものでございます。  沖縄の高校新卒者の就職内定率が半分以下というのは一月末現在の数字ということでございますが、今日時点では良くなっているのでしょうか。クラスの半分が四月一日からの就職先が決まっていない、そのまま卒業式を迎えたという事態はただ事では済まされないんじゃないかというふうに思います。  私が高校を卒業したのは昭和三十二年でありますけれども、大変な厳しい状況でありまして、私、国家公務員初級職試験を受けて郵便局へ入ろうとしました。就職差別が大変激しくて、私、父親が戦争で死んでいましたから母子家庭でありまして、特にそれが厳しいという現実が実際にありまして、私は公務員の試験を受けたわけです。四千何番という群馬県で受験番号ですが、郵政省の研修所に入れたのは十数人であります。四千何人受けてと、まあほかにも受けるんでしょうけれども、大変厳しい状況でありました。  さて、新卒者はかつて金の卵と言われ続けた期間が長くて、そんな感覚が強いだけに異常な状況という印象を持たずにはいられません。高校新卒者の半分に職がないような状況で今問題になっている年金制度が成り立つはずもありませんし、近い将来に好転する保証があるのでしょうか。  高校卒業後、アルバイト等で生活するフリーターの数は四百万人にも達するとされています。このままでは社会の不安定化は現実のものとなってしまうのではないかという危惧をせざるを得ません。単に学校の問題とか文部科学省教育行政のレベルで解決するはずはありませんが、政府として、日本経済社会の問題として取り組まなければならない重要なことだと思います。  就職指導を始めキャリア教育充実を図るなど、文部科学省としてもやるべきことに積極的に乗り出すべきだと思いますけれども、この点について大臣の所見をお伺いいたします。
  28. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 伊藤先生指摘のとおり、高卒者の就職難、非常に厳しいものがございます。  これは、御指摘のように経済情勢が大きく変わってきております。特に、産業構造、就業構造、パートタイムを増やす、正規採用は少なくするという企業の一つの大きな動きもございまして、さっき御指摘ありました四百万人というのは、パートタイムまで含めるとそういうことになるということでございます。  そういった中で、一方では、生徒の皆さんの勤労観、職業観、額に汗して働くことが貴いんだという考え方、そういうのが非常に希薄になりつつあって、ある程度家庭の方も何とかなると言うものですから何とかなるというような感じの方がいて、本当に必死になって就職口を探さないということも一方ではある。それがフリーター現象になって、ちょっとしたところがあれば当座そこでやっていこうというような、こういう安易な職業観といいますか、そういうものも根底にあるようでございますが、そういうことはやっぱり教育できちっとしていかなきゃいかぬ、これはやっぱり教育行政側の一つの大きな課題でもあるし、責任でもあろうと思っております。  そういう意味で、社会人、職業人としての基礎能力といいますか、そういうものはちゃんと植え付けてやらにゃいかぬ、資質も上げていかなきゃいかぬ、こう思っておりまして、こういう観点から、厚生労働省側とも大いに関係があるわけでございます。経済産業大臣等々の関係四大臣、若者自立・挑戦プランという名前で、将来を担う若者たち人間力を強化して、そして額に汗して働くことがいかに大事かということをはぐくむということで、勤労観、職業観のはぐくみと、こう言っておりますが、こういう目的意識をちゃんと持たしてやるようなキャリア教育をやりましょうということで、お互いに協力し合いましょうということでそういうプランを立てたわけでございます。  さらに、もう学生時代から働くことがどういうことなのかということを体験させにゃいかぬということで、企業側の御協力もいただいて、いわゆるインターンシップといいますか、企業に入っていって実際にその動きを見ていく。  さらに、地域においては、そうした採用の問題等々に詳しい、会社で人事課におったとか勤労課におったとか、そういう方々がたくさんいらっしゃる。そういう方々にも、産業界の動きとかなんとかを説明していただく、相談に乗っていただくキャリアアドバイザー、そういう方々にも学校に来ていただいて、就職指導先生と一体になって職業の実際について協議をいただいて、また子供たちにもそういう話をしていただく、そのようなこともやっておりまして、こういうものはキャリア教育推進地域指定事業といいますか、地域指定をしながらそういうことを広めると、こういうこともやっております。  就職指導が直接的な課題になってくるわけでございますが、平成十四年から、高等学校においての就職指導を専門に行う方々、高等学校就職支援教員と、こう言っておりますが、これを配置して、進路指導先生いらっしゃる、それから担任の教員もいらっしゃいますが、そういう方々と緊密な連携を取って、就職をしたいという生徒に対しては個別指導をちゃんとやる、企業の求人開拓にも力をかしていただく、それからハローワーク側とも絶えず連携を取ってその情報をしっかりもらう。また、送り込むときにハローワーク側との連携の中でやると。このきめ細かいそういうことをやる必要があるんではないかと、こう思っておりまして、沖縄の五割を切った、確かにもうゆゆしい問題で、ここ数年そういう状況が続いておるわけでございますが、どうやら経済も上向いてきたと言われてはおりますが、確かに、学校高等学校を出て就職口がないということは一体どういうことなのか、そのことを考えただけで大変な思いでございますし、青少年の健全育成とは言いながら、きちっとした職業がないというのもそういうことの根底にあると思いますので、更に厚生労働省側ともしっかり連携を取りながら、いわゆるキャリア教育を推進しながら、そして少しでも職場開拓といいますか、これは厚生労働大臣と一体となりまして、企業関係者、中央を管轄されております中小企業団体中央会であるとか経済団体連合会であるとかそういう方々にも、特にこういう時期であるから、一人でも二人でも企業が採用できるように努力をいただくようにお願いをしたいということもしてきたところでございますが、一層そうした問題に取り組んでまいりたいと、このように思っております。
  29. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 これは事前に質問通告していないんですけれども、初等中等教育局長にちょっとお尋ねしますが、就職できなかった生徒、もう卒業した卒業生が、学校とのつながりが切れるわけですよね。その後も指導するということが、指導すべきだという指導は文部省から行われているようですけれども、実際上はどうなっているんでしょうか。現役のころもかなり先生は、現場先生、難しいことをやられていると思うんですが、実際上、今現場ではどういうことになっているんでしょうか。
  30. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 大変重要な問題であるかと思っております。  例えば、兵庫県でありますとか幾つかの県では、おっしゃったように、高校の中退などをいたしますと切れてしまうものですから、その学校の中に特別なそういう委員会のようなものを設けまして、そこに子供たちに来ていただいたり、あるいはそこから情報を提供する。もちろん、ハローワーク等と連携を図りながら就職に関する情報を提供すると、こういったことを真剣に取り組んでいただいている教育委員会もあれば、まだまだ不十分なところがございます。私ども、いろんな会議等でもそういった先進的な事例なども紹介しながら、そういったことが全県で行われるように今後とも努めてまいりたいと思っております。重要なことだと認識をいたしております。
  31. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私もこの質問をするに当たって様々なことを勉強しましたが、例えば墨田工業高校が就職内定率一〇〇%という、この現場の努力が報道されています。私自身も体験をしておりますが、大変な努力を現場の就職担当の先生が特にやっておりますね、そういう人がめげないでずっとやってくれることを祈るばかりですが、指導と激励というのも必要だと思いますので、是非お願いしたいと思います。  さて、違う観点から教育課題について申し上げたいと思いますが、金融ビッグバンの話を少しします。金融ビッグバンという改革が行われてから久しく時間が経過しております。私は、この金融ビッグバンの時期に財政金融委員会で一通常国会で十何回と質問しました。大変危惧する問題でしたので、やった経験がございます。  これは、一九八〇年代ごろに英国のサッチャー政権の下で、金融資本市場の自由化政策の集大成として、ニューヨークに押されていたロンドン金融街、シティーを復活させて、活性化させて、一時期は国際金融センターとしての地位を回復させた特効薬として注目されました。ただ、グローバルスタンダードというのはアメリカンスタンダードであるということは周知の事実ですが、アメリカに占拠されたというような状況であります。同じアングロサクソンだからいいんではないかという説も当時ありました。  日本でも、橋本内閣のときにこの政策の導入を図りまして、フリー、フェア、グローバルを三原則として、市場原理が働く自由な市場、透明で信頼できる市場、国際的な先進的な市場を目指したものの、その後の金融経済危機を経験した今日では、一時の評価とは異なって、最近では金融ビッグバンという言葉さえ余り耳にしなくなったのではないかと私は思っております。当時、私は様々な角度からの心配、問題点を質問いたしたわけですが、問いただしたんですが、なかなかそういうことに明確な回答が得られないまま実施に入っていったということを今感じております、私の突っ込みも足らなかったんではないかと思っていますけれども。  ただ、この金融ビッグバンによって、我が国の金融は銀行中心に行われてきた、国民の資産もほとんど預金であったという時代から、貯蓄は大事だが、多少の投資、自己責任でリスクマネーにも手を出すという考え方の人たちが増えてきていることも事実だと思います。現に、金融商品の多様化、業種の垣根を越えた販売窓口の多重化が進んでおりますが、新しい金融商品の複雑な中身、仕組みを理解しないまま証券会社や銀行に勧められるままに購入して、株価の低迷などを契機とした金融トラブルに巻き込まれてしまったという、言わば善良な被害者の姿も数多く見られています。  かつては商品先物取引関連の不祥事が主流だったようですが、抵当証券、ゴルフ会員権購入に際しては融資を絡ませたもの、株価に連動する金融商品、最近では外為証拠金取引という外貨相場に関連するという新手のものも送り出されております。しかも、携帯電話のiモードを使って勧誘がなされるなど、これまでの君子危うきに近寄らずだけでの考えでは身が守れない時代にもなってきたように思います。今日のように生命保険への信頼性が低下し、ゼロ金利によって貯蓄への期待が薄弱となっている中で、特にこのような被害が発生しやすい事情も無視できないんではないでしょうか。政府も、当時の宮澤大蔵大臣が二宮尊徳的貯蓄精神では駄目なんだというようなことを言っておりまして、奨励をしていた状況が様々な問題を派生させる、我々が考える健全な投資という問題からは外れたような動きがたくさん出ているんじゃないかと思います。  そこで、当時も私は大蔵省に対して質問をしておりますけれども、金融に対する基礎的な知識を身に付ける、あるいは消費者教育というものに取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思っております。  これは文部科学省の問題ではないかもしれません。しかし、一般的な消費者教育と同時に、少なくとも高校を卒業するまでには、金融商品、また金融にかかわる問題等について基礎的な知識はきちんと植え付ける必要があるんじゃないか。そうでないと、様々、大学生がネズミ講まがいのマルチ商法に手を出して引っ掛かっているというような事実が盛んに問題になりまして、文部科学省が注意を呼び掛ける通知を各大学に出したというような新聞記事も目にしておりますけれども大学生でありながらそういうことになってしまうような、ある意味では社会的には幼い側面がかなり強くて心配されるところです。特にアメリカでは厳しい消費者教育というのが高卒段階までに行われているようでありまして、それらについてどのように考えているか、大臣の所見をお伺いします。
  32. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の点、これからの社会を生き抜く上で非常に大事な点の一つだと私も認識しております。  学校教育において、そうした変化に対応して、児童生徒、金融に対する知識をきちっと基礎的な知識を持っていく、そして消費者として主体的に判断ができるような、そういう責任を持つ行動ができるということが非常に大事になってきておるわけでございます。  学校においては、中学校社会とか高等学校の公民科、この中で証券を含めた金融の動きとか金融界の役割等を理解させるということになっておるわけでございますし、中学校の技術・家庭、あるいは高等学校の家庭においても、物資、サービスが適切な選択、購入、契約、消費者信用、そうしたものはやるわけでありますが、やっぱり具体的に体験をさせるといいますか、具体的なものを見せて教えるような、クーリングオフ制度なんかも消費者保護の観点から基礎知識はちゃんと持っていく、そういうことがきちっと指導されるように更にこの中身を高めていく必要があろうと。こう思っておりまして、今、伊藤先生が御指摘のような点、特にこれから自己責任、金融自由化とともに自己責任ということも問われるようになりましたし、ハイリスク・ハイリターンとかローリスク・ローリターンとか言っておりますが、手軽に金もうけができるということは現実にないわけでありまして、やっぱりそういうものに取り組むんなら基礎知識もきちっと持って勉強もしなきゃならぬわけでありますから、そうした基本的な知識を持つということがこれからの経済社会においてもたくましく生きていく上に非常に大事なことだと、こう思いますので、御指摘を踏まえて、これからも金融経済に関する学習あるいは消費者金融教育、そうした教育をきちっとやるように努力していきたいと、このように考えます。
  33. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 次の質問は、直接所管事項ではないんですけれども学校はどんな過疎地であろうと設置されなきゃならないし、義務教育は確実に全国津々浦々で実行されなきゃならない。これが近代日本の誕生間もなくの先人が取り組んだ教育への情熱が生んだ、今、日本の生きた文化財、文化遺産という非常に社会根幹を成す重要な位置付けだと思っています。  私は長年郵政事業に携わってまいりましたけれども、郵政事業の仕組みも、日本全国どこでもだれでもが利用できるという観点からは、学校制度との、意味は違いますが、共通の視点が指摘できるだろうというふうに思います。郵便局が行うネットワークサービスが、人間の体の隅々まで血液が流れるように、毎日欠かすことなく日本の末端まで物流や金融サービスが提供されておりまして、しかも全国で毎日確実に行われなきゃならないという性格上、この部分では採算の面で効率が悪いのは教育も郵政事業も同じでございます。  市場原理がとかく表面に出て先行しますけれども、郵便局の社会システムとしてのネットワークの崩壊は社会の崩壊と非常に直結する問題でありまして、社会の安定性、着実な日常の営為というものがあって、それが全国津々浦々にあって初めて社会は成り立つし、特に小学校教育などはそういう基盤の上に健全に成り立っているわけであります。  ここで、所管違うところでございますけれども、そういう立場でのユニバーサルサービスといいましょうか、そういうユニバーサル社会を形成するという観点からのつらさ、難しさというのはありますけれども、ここで大臣から、郵政事業というものについて、学校教育を所管する立場からの所見をお伺いしたいというふうに思います。
  34. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 確かに所管外のことではございますが、しかし、日本の郵便事業というものが正にユニバーサルサービス、全国津々浦々にきちっとしたサービスができておる、この歴史、これまでの積み上げ、そういうことをやっぱりきちっと子供たちといえども知っていく必要がある、このように思いますし、また私自身、小学校四年のときから切手に関心がございまして、切手収集をやっている関係で、この切手一枚張ることによって全国あるいは外国とでもこれができるということ、この不思議さといいますか、またすばらしさを感じてまいりました。  そういう意味で、今御案内のように民営化の話も出ておりまして、これは金融面から非常に大きな課題となって、広く薄くあれだけの信頼を得たものが、国民の預貯金、簡易保険、そういうものが膨大な額になってきて、これが金融との圧迫の問題、民間との兼ね合い、こういうところから発想が出てきたわけであります。  しかし、今一つの郵政業務そのものだけを考えてみても、このサービスが、今後の民営化のいろいろな動きがありますが、これ本当に低下させてはならぬと思いますね。これ一回壊しちゃうと、これだけのすばらしい大きな組織というもの、このネットワークというものは、これをどう担保するかというのが一方では非常に大事な課題であろうと、こう思っておりまして、そういう意味で、伊藤先生が実際に郵政事業に携わってこられていろいろお感じになっていること等がありますが、この国民全体に広くあるユニバーサルサービス、正に義務教育は、憲法の要請もございますが、日本にこれを誇ってきた、日本の誇るべき一つの大きな、これは教育文化といいますか、組織文化といいますか、そういうものを作ってきた。同時に、郵政事業も、前島密翁以来百三十年有余の長い歴史、伝統、文化というものを持ってきておりますから、これはやっぱり日本の国の一つの誇るべきものだと思います。これをどのような形で維持するか、民営化論がありますけれども、それを維持することも一緒に考えながらこの問題に私は取り組むべきであろうと、このように考えております。
  35. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 どうもありがとうございました。特に最後のところは無理を言いまして、ありがとうございました。  これで質問を終わります。
  36. 草川昭三

    草川昭三君 草川でございます。  一番最初に、中教審の答申と諮問が過日行われたわけでございますけれども、その問題について本委員会でもいろいろと議論がされておりますし、また少し教育委員会在り方等についても先取りで議論があるわけでございますが、いわゆる答申の中にコミュニティースクール等の提言というのがございましたので、そこに絞って、まず最初にどのような経緯あるいはどのような問題点があるのか、お伺いをしたいと思います。
  37. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御案内のように、今日、地方分権という問題が大きな課題でございます。そして、地方公共団体の責任、権限、これが拡大する、そして市町村合併も行われている。一番身近な行政、国民に一番近いところにいる行政が一番そこに関係するわけでありますから、そこがしっかりやるということ、こういう意味で今、この動きが大きいわけでございます。  教育委員会教育行政の責任ある担い手として地域ニーズにきちっと応じた教育行政ができるように主体的にこれをやっていかなきゃいかぬ、こういう声も高まっておりますので、これに対応していこうという考え方に基づいて、中央教育審議会においても人間力向上のための教育改革を進めていく上で、各地方公共団体の教育行政体制というもの、これが今の時代にふさわしいものにしていくということが必要である、不可欠である、このような考え方に立って、今回、中教審に対しまして「地方分権時代における教育委員会在り方について」ということを諮問をさせていただきました。  その中で、中央教育審議会検討の中では、首長さん方と教育委員会との役割分担、連携の強化、それから小規模町村の教育委員会、三百万都市の教育委員会も千人も同じことでいいんだろうかというようなこと、そういう今合併が進んでおりますから、だんだんそういうことは解消していきますが、市町村都道府県との関係の在り方もどうあったらいいかと、こういうようなこと。それから、学校もやっぱり自主的に自立性を高める、また学校もオープンにしていかなきゃいかぬ、そうした中で学校教育委員会在り方、こういう問題を今議論をしていただこうと、こう思っておるわけでございます。  また、一方では、そうした中で地域の皆さんがいわゆる教育に直接携わりながら、地域の声を、ニーズを受け止めて地域で運営するような学校在り方もあっていいんじゃないかという声が出てまいりまして、これも一つの方向としてあり得べき姿だということで、こういうものが取り組めないか。また、これによって今の学校に対する信頼感、こういうものを高めていこうと。また同時に、こういうことが地域によってできてくるということは、今まである学校在り方に大きな刺激を与えて、学校が信頼できるように、あるいは学校が活性化する、あるいは学校が開かれたものになる、こういう一つの大きなインパクトになるのではないか。  こういうことで、コミュニティースクールというものが今その方向でこれが進められておる、また皆さん方への法案となって御審議をいただいていると、こういう状況下にあるわけでございます。
  38. 草川昭三

    草川昭三君 またその審議の機会にいろいろと問題提起をさせていただきたいと思います。  それで、これはフォローアップの意味でお伺いをするわけですが、国立大学法人化によって産学官の連携がますます進んできておると思うんですが、最近の共同研究の数等を文科省として把握をしておみえになるならお答え願いたいと思います。
  39. 石川明

    政府参考人石川明君) 大学と産業界との共同研究についてのお尋ねでございます。  この共同研究というもの、大学と産業界が良い信頼関係を構築して産学連携を推進していく上で大変重要なものでございまして、国としてもただいま積極的に支援をしているところでございます。  実際の数でございますけれども平成十四年度におきます国立大学と民間企業との共同研究の数は六千七百六十七件ということでございまして、十年前に比べまして約五・五倍に増加をしております。ただいま先生からお話ございましたように、この四月から国立大学法人化、なっているわけでございますけれども、会計制度の弾力化、あるいは各国立大学法人自主性、自立性の更なる発揮ということで、これら共同研究といったようなものがこれまで以上に活性化するものと私ども期待しているところでございます。
  40. 草川昭三

    草川昭三君 それで、大変伸びてきておるという報告がございまして、それは非常に我が国にとってもいいことだと思うんですが、大学発ベンチャー企業というんですか、そこの中から生まれた新しい俗に言う企業というのはどれくらいあるんでしょうか。
  41. 石川明

    政府参考人石川明君) 大学発ベンチャーでございますけれども、今現在、国を挙げて大学発ベンチャー一千社計画、これ平成十六年度までに一千社にしたいというようなことで頑張っておりますけれども平成十五年の八月現在で見ますと、それまでの累計といたしまして六百十四社が設立されていると、こういう現状でございます。
  42. 草川昭三

    草川昭三君 六百十四社というのはかなり新しいですね。期待をする数字だと思うんですが、これはもうどんどん進めなきゃいかぬと思うんですが、産学官の連携の中で俗に言う技術移転機関、産学連携のために大学が保有する発明の権利を民間企業に移転をするというんですか、そういうことをTLOと、こう言うんだそうですが、そのTLOはどのように増えているのか、例えば五年ぐらいのスパンで結構でございますが、お答えを願いたいと思います。
  43. 石川明

    政府参考人石川明君) TLOに関するお尋ねでございます。  大学等の研究成果の特許化、あるいは企業への実施許諾などを行う役目を持っておりますTLOにつきましては、研究成果を企業に移転をして社会で有効活用を図るということで、大変重要な役割を担っております。平成十年度ではこの承認TLOは四機関でございましたけれども平成十六年四月現在で見ますと、九倍の三十六機関になってございます。このうち二機関は認定TLOといって国有特許を扱うものでもございましたけれども平成十六年度からの国立大学法人化に伴いまして、国立大学の国有特許関係を対象としていた認定TLO制度といったようなものは今廃止をされているという状況でございます。
  44. 草川昭三

    草川昭三君 産学連携の中で、今もTLOの説明があったわけでございますが、知財ですね、いわゆる財産としてこれがどのような成果があったのかということを、ほとんど同じような質問になりますけれども、お答え願いたいと思うんです。  ちなみに、私も素人で分かりませんけれども、トウモロコシがありますね、お百姓さんが。トウモロコシを集めてきて、加工することによって今自動車のバンパーになっているんだそうですね、自動車のバンパーに。いや、私、自動車のバンパーというのはスチールだと思っていたら、そうじゃないというんです。だから、今日の環境問題等々を考えれば、そのままバンパーを土の中に埋めても、元の土というんですか、トウモロコシ、農作物と同じようになるという、そういう新しい発想というのは、これはやはりこのような産学連携ということから始まるんじゃないかと思うんですが、そのようなことを含めて、少しお答え願いたいと思います。
  45. 石川明

    政府参考人石川明君) 産学連携の成果についてのお尋ねでございます。  大学と産業界との共同研究の推進など、私ども、積極的に今産学連携施策進めてきております。この成果につきましては、例えば承認TLOからの特許の出願数という点から見てみますと、例えば平成十年度では三十三件でございましたものが、平成十五年度では千四百六十六件、ここ五年間で四十倍以上にも増加をしております。そういった意味で、かなり積極的に知的財産の創出といったようなものが図られているものというふうに私ども理解をいたしております。  そして、今先生から、例えばトウモロコシから自動車の部品が作られるような成果といいますか、研究のお話もございました。実際、私どもも聞いてみましたけれども、そういった研究が積極的に今行われているそうでございます。  そのほかの例えば例で申し上げますと、東京大学の光触媒現象に関する発見といったようなものを基に、大学と民間企業が応用・開発研究を実施いたしまして、これを基に、光を例えば当てるだけで表面をきれいにすることができるようなセルフクリーニング効果、あるいはばい菌を寄せ付けない抗菌効果、こういったようなものを、性格を持つ材料の開発に成功いたしておりまして、これが今盛んに市場に出回りつつある、大変大きな市場を形成しつつあるということでございます。  あるいは、金沢大学がある企業との共同研究によりまして、C型肝炎に最も有効な治療法でありますインターフェロン療法というのがありますけれども、これがどの程度個人に効くのかということが瞬時に判断できるようないわゆるDNAのチップ、こういったものを開発をいたしまして、これも製品化に成功しているというように、様々な例ですばらしい成果が上がっているというような状況でございます。
  46. 草川昭三

    草川昭三君 そこで、トップの新しい知恵、技術ということから、少し現場のいわゆる担い手というところに問題点落としましてお話を聞きたいと思うんですが、俗に言う専修学校、これは正確に言うと、専修学校のうちの専門課程を置くというのが何か位置付けになるらしいんですが、俗に言う専門学校と思うんですが、非常に実践的な人材の育成が行われていて、ニーズが非常に多いんですね。だから、ミスマッチの問題等々が雇用の面でありますけれども、旧労働省の方としても、専門学校、専修学校にいろいろと派遣をするというようなことも考えているようでございますが、文科省として社会人のキャリアアップをどのように指導しておみえになるのか、お伺いしたいと思うんです。
  47. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 専修学校を中心とした社会人のキャリアアップについてのお尋ねでございますけれども、ただいまお話がございましたように、昨今、産業構造が変化をしたり、技術革新が大変な勢いで進展をしたり、就業形態の多様化などに伴いまして、働く人にとりましても個人の自発的な能力開発ということを推進をしていくことが必要になっているわけでございます。  私どもといたしましても、こういう社会人の再教育や能力開発を行うことを支援するシステム、これを構築することが大変重要な課題であると思っております。  このため、文部科学省といたしましては、キャリアアップを目指す社会人の受入れ体制を緊急に整備をし、社会、雇用の変化に対応できる人材の育成を図るため、社会人キャリアアップ推進プランというものを立てまして、大学や、お話のございました専修学校などの高等教育機関において、産学官の連携によるキャリアアップのための先導的なプログラム開発や講座の提供等を推進をしているところでございます。  専修学校を例に申し上げますと、専修学校におきましては、個々の職種に応じた専門的能力の総合的な育成を図り、雇用のミスマッチを解消するために、地域の社会人や企業のニーズを踏まえたキャリアアップのための先導的な教育プログラム、この開発を複数の分野の専修学校が協力をして推進をするといったような事業を行っております。  このほか、大学等におけるキャリアアップのためのプログラム開発、それから身近な公民館、生涯学習センターを活用した離職者などを対象としたキャリアアップのための出前講座の提供事業といったようなことを行っているところでございます。  今後とも、社会人のキャリアアップのための施策に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  48. 草川昭三

    草川昭三君 そこで、専修学校というんですか、専門課程というんですか、いろんな基本調査がございますが、昭和五十八年度とつい最近のデータを比べてみますと、医療分野あるいは教育社会福祉関係の専門学校というのですか、これは増えているんですが、かなり、戦前からございました服飾とか家政とか商業、商業というのは多分簿記なんかを含んでおると思うんでございますが、そういう分野は減少している。これは一つ時代に反映しているものだと思うんですが、そういうような受け止め方でいいのかどうか、お伺いします。    〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕
  49. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生からお話がございましたように、専門学校につきまして昭和五十八年と平成十五年で比較をいたしますと、医療分野は学校数で約一・五倍、それから教育社会福祉分野は五・四倍という増加でございます。これに対しまして、服飾・家政分野は〇・五倍、半分の学校数になったということでございます。  なお、商業実務分野は、これは二十年間で実は学校数では一・六倍になっております。これは、タイピストなどの学科は減少しているわけでございますが、一方でホテルとか観光、情報ビジネス、医療ビジネス等の学科が増加をしているといったことによるものと思っております。  お話ございましたように、専修学校社会の要請にこたえて実際的な知識、技術を習得するための実践的、専門的な教育機関としての性格を持っております。この特色を生かすために専修学校は柔軟で弾力的な制度となっているわけでございまして、昨今の医療系や社会福祉系の学科が多くなっているのも、先生お話しのように、社会のニーズを反映しているというふうに私どもも考えております。
  50. 草川昭三

    草川昭三君 今答弁があったとおりだと思うんです。  そこで、非常に人気のある専門学校もあるわけですよ。それで、これはもう具体的な例なんで、これは文科省が監督するのか県が監督するのか分かりませんけれども、ちょっと問題提起をしていきたいと思うんですが、専門学校の中には入学前に説明のない学費を入学後に請求するケースが非常に多いんです。学校の案内書には、入学後、授業料のほかに教材費や実習費などが必要になると書かれている学校もあるんですけれども、具体的な金額は明示をされていません。  そこで、一つ具体的な、最近私のところへ寄せられた例なんですが、ある国家試験の取得を目的とする専門学校の場合ですが、実習費が一回につき二万円、教科書一冊八千円、学校内の事故対策の損害保険料三万円などが、入学以前には説明がないんですけれども、請求をされちゃうわけです。非常に苦労して専門学校に入って、話が違うじゃないのと、こういうことになるわけですね。  さらに、定期試験があるわけですが、その試験に合格をしなかった科目には追試制度があるんですけれども、一科目について四千円の試験料が徴収をされ、ほとんどの学生に追試が課せられているわけですよ。これも本当に成績が悪かったのかどうかということですが、学校の一方的に追試だと言われりゃもうやむを得ないわけですし、さらに、入学時に自由意思に任されると言っていた寄附金も再三督促をされているという専修学校があるわけです。    〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕  私は、このようなことは決して善くないと考えるわけですが、こういうような専門学校があるかどうかということを恐らく文部省は調べていないと思うんですが、その点どうでしょう。
  51. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま御指摘のような、入学後に多額の経費を徴収したり、あるいは、定期試験がほとんど合格できずに追試でまた経費を取られるといったような具体的な例について、私ども必ずしも承知をしているわけではございません。  ただ、私どもの方といたしましても、専門学校において入学者又はその父母から寄附金等を募集する場合は、募集時期が入学後であることはもとよりでございますけれども、その額の抑制に努めるとともに、応募が任意であること及びその使途、募集目標額その他必要事項を関係書類に明記すべきと考えておりまして、そのような指導は今後とも各県を通じまして徹底をしてまいりたいと。また、各専修学校におきましてただいまお話しのような事例が生じないように、これも専修学校の取組を促してまいりたいと思っております。
  52. 草川昭三

    草川昭三君 それで、これはついでと言っては悪いんですけれども、要望になりますが、私は、入学希望者に配付をする学校の案内書には、入学後必要となる教材費や実習費も大体この程度は徴収しますよというようなことを書かせるべきだと思うんです。これは要望だと思いますので、是非今後の取扱いをしていただきたいと思うんです。  それから、専門学校の運営の透明性ですが、これはまた今度の私学の場合でも同じだと思うんですけれども、特に専門学校の場合は、ある国家試験の取得を目指すわけですから、特定の教官が担当をされるわけです、いろいろな教官というものがいるわけですから。  それで、これはちょっと信じられないんですが、その特定の教官が担当する一科目だけを落としてしまうという場合があるんだそうです。すると、その留年する学生が、例えば定員が五十人あるとしますと、二割近い十名程度いるというんですよ。これは請負になっているのかどうか分かりませんけれども学校と教官との関係が、意識的にその教官が十名落としてしまいますと、当然、学生本人の努力が不足だと言えばもうそれで終わりなんですが、問題は、試験の採点結果というのが本人に一切知らされていないというんですよ。どうして落ちたか分からない。それで、五十人のうち十名程度がまとめてやられるわけですから、私はさっき言いましたように、教官というのはどこか請負で何かやっているのかなという。それで、留年一年間なるわけですが、更に留年をするわけですが、今度はその留年をする一年間は、他の既に学んだ、合格をしたところはもちろん対象じゃないわけですが、落としたその一科目しか単位を取れる授業しか与えられていないと。  そうすると、こういうようなことになりますと、一年分の正規の授業料は払わなきゃいかぬのですね、留年をするわけですから。そうすると、まるっきり一年分の全体の授業料を払いながら、更にその一年分の当該の単位を取るために泣く泣く払わなきゃいけないということになりますと、大体、これはもう夜学なんかの例が多いわけですが、もう学業というのを断念するケースがあると。こういう非常に弱い立場の学生ということをもう少し考えなきゃいかぬと思うんですね。  この件とは全然別ですけれども、例えば学生の立場というのは非常に弱いと思うんです。我々も一生懸命努力をいたしまして、奨学金のことにつきましては随分政府の方でも認めていただいておりますが、いろんな日本育英会の指定校にもなっておるわけですけれども、学生が希望してもそういうところはなかなか手続をしてくれない。困った学生が日本育英会に相談をしても、学校にお願いをしておるんだから育英会からは直接何もサジェスチョンはできませんよというような返事になっておると。これは育英会の在り方にも問題があると思うんですが、学校の姿勢が一番悪いと思うんですね。  結局、弱い立場の学生の泣き寝入りという例が非常に多いので私は今日この問題を取り上げたわけですが、例えば公立学校であれば教育委員会にいろいろと問題提起をすればいいわけですし、あるいはいろいろと通信講座がありますが、例えば通信講座等によっても非常に消費者の立場から違うものが講座として配付をされる、送られるというようなことになりましたら、これは消費者センターという行政の窓口があるわけですから、そこへ行くことができる。だから、この専門学校についても都道府県学校の何か学生の相談窓口というのを作ってあげた方がいいような気がするんです。非常に私、細かいことを申し上げるわけにはいきませんけれども、そういう例がたくさんありますので、ひとつ是非文科省としてもそういう配慮をしていただきたいと、こう思うんですが、どうでしょう。
  53. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生から、非常に弱い立場にある学生について、授業の取り方、あるいは奨学金の問題、あるいは学生生活を送る上での相談窓口の問題等々、大変重要な御指摘をいただいたと思っております。  ただ、私の方から申し上げたいのは、専修学校制度発足して三十年近くたつわけでございますけれども、この間、専修学校全体としては大変な量、質の充実が図られてきて、多くの専修学校は実践的な教育の実現に向けて大変御努力をいただいていると私は思っております。一部の学校の中でそういうトラブルがあるというのも、これもまあ、どういう世界でもある意味ではあることかもしれませんけれども、やはり学生を受け入れて教育をするという教育機関としての性格上、そのようなことはやはりいかがなものかと思うわけでございます。  全体、大変専修学校の関係者の皆様方、御努力をいただいているということを是としつつ、そういう問題が起きないように私ども専修学校の関係者の方々とよく相談をしていきたいと思いますし、また専修学校関係の団体としてもいろいろな学生の御相談なりに応ずるような、そういう体制作りにも努めていただいているところでございます。具体的に各県がどのように相談窓口等を設置するかは今後よく研究をさせていただきたいと思っております。
  54. 草川昭三

    草川昭三君 文科省としても少し熱心な取組を要望しておきたいんです。なぜそういうことを言うかといいますと、今、文科省の所管ではないんですが、塾というのがあるでしょう。名前を挙げて悪いんですが、河合塾でも代々木ゼミでもそうですが、もう巨大な教育産業になっていますが、あれは文科省じゃないんですよね。あれは通産省、今は経済産業省ですが、彼らの方の所管になっているんですよ、聞いてみると。私は、中身は全く補習という意味からいえば文科省がもう少しタッチをしてもいいと思うんですが、もうあれは産業だから所管は旧通産が預かりますよと言う。だから、これ専修学校も、ほっておきますと今経済産業省余り仕事がありませんから手伸ばしてきますから、これはもうはっきり、こういう言い方は非常に問題がありますが、しっかりとしておいていただきたいと思うんです。  もう最後に一問だけですが、専修学校で特に外国人の方々が非常に多いんですよ。それで、法務省の方は在留資格、留学及び就学にかかわって審査を非常に厳格化しようということで通達を出していますが、これがオール日本大学その他短大等々にも影響しておりまして、学校当局者が非常に、確かに問題はあるんだ、問題はあるんだけれども厳し過ぎると、この法務省の資格要件というのが。例えば、預金通帳も持っていらっしゃいよとか保証人の預金通帳も持っていらっしゃいよというようなことになると大変問題があるので、もう少しこの辺りは実態に即したことが必要ではないだろうかという要望が非常に多いんでございますが、その点の答弁をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 法務省におきまして、最近留学生の不法残留者が増加している、あるいは犯罪といったようなことを受けまして、今、先生指摘のように、入国・在留資格の審査を厳格化し、特に学生が勉学に必要な学費や生活費をきちんと持っているかどうかというのをチェックすると。こういうことで、預金残高証明書あるいは預金通帳の写し等の提出を求めたということで、かなり入国の審査が厳しくなって、実際入国できない人が増えてきていると、こういうことがあるわけでございます。  確かに、留学生が所期の目的のとおりに勉学を継続するためには留学生活を維持するだけの一定の経済力が必要であるということは間違いございませんで、そのための経費支弁能力の審査を行うということは必要だとは思いますけれども、ただ本当に勉学を目的として日本で勉強したいと、こういうことで熱心に来られる学生さんも、まじめに来られる学生さんも多いわけでございますので、そういう学生が排除されることのないよう、個々の学生の状況に応じた適切かつ慎重な審査が行われるようにということで、私ども法務省の方に申入れをしているところでございます。
  56. 草川昭三

    草川昭三君 以上です。
  57. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  まず、私は、男女共同参画を目指す教育について質問をしたいと思います。  先進国の中でも日本男女共同参画の取組の後れた国であり、とりわけ女性の地位向上の後れは際立ったものがあります。国際社会からも強い是正の要請がされているところですし、国内でも男女平等を目指す運動がいろいろ取り組まれているということは大臣も御承知のことだと思います。こうした流れを受けて、九九年には男女共同参画社会基本法が制定されました。今年で五年になろうとしております。この間、各自治体でも男女共同参画基本条例が実施の段階に入るなどの努力がされてきました。  こうした取組を踏まえた上で、昨年、女性差別撤廃条約の実施状況を監視する国連女性差別撤廃委員会、CEDAWと略しておりますが、ここから勧告が出され、教育についても言及されました。その内容はどういうものか、そして大臣、どういうふうにこれを受け取っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  58. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の女子差別撤廃条約でありますが、昭和五十四年に第三十四回国連総会において採択をされておりまして、日本は昭和六十年に批准をいたしたものでございます。以後、日本側は五回にわたって条約の実施状況を国連女子差別撤廃委員会報告をいたしておりまして、提出した四回及び五回の報告書に関して同委員会平成十五年七月に審議の上勧告を行ったものだと、このように承知をいたしておるところであります。  男女共同参画社会の形成のために、幼少期から男女平等の理念に基づく教育が家庭、学校、地域などの社会のあらゆる分野において行われることが重要であると、これが基本的な認識でございます。男女共同参画基本法に基づいて策定をされました男女共同参画基本計画、先ほど御指摘のように平成十二年、二〇〇〇年十二月に閣議決定をいたしたわけでありますが、この男女共同参画を推進をしながら多様な選択を可能にする教育学習充実、これが重点目標の一つになっておるところでございます。  そこで、文部科学省は、この基本計画に基づきましてその理念に基づく男女共同参画社会の実現を作るということで、性別に基づく固定的な役割分担意識を是正をし、人権尊重を基盤にした男女平等観の形成を促進するために、学校、家庭、地域など社会のあらゆる分野において男女平等を推進する教育学習、この推進を今図っておると、こういうことでございます。
  59. 林紀子

    ○林紀子君 今大臣がお答えくださいましたように、教育のことを勧告をして、その前段のパラグラフでは、日本が長年の固定的役割分担意識が男女間の平等を達成するための大きな障害だと認識をした。そのことは評価をするということになったわけですね。しかし、家庭や社会における男女役割責任に関し、根深く、硬直的な固定観念が日本では持続し、労働市場における女性状況教育の選択、政治・公的分野への参画の低さに反映されている、このことは懸念をする問題だというふうに言われて、教育への勧告ということになったわけです。ですから、まだ取組は緒に就いたばかりだというふうに言われている現状だと思います。  しかし、今大臣がお答えになったように、前進をしていく、進めていくということだといいわけですけれども、この間、あたかも男女共同参画教育は家庭を壊す過激思想だなどと言わんばかりの一方的な攻撃や批判が各地で行われ、自治体やNGOなどの取組をつぶしたり、条例や施策を後退させるなどの見過ごすことのできないような動きが全国至るところで行われております。そして、国会の場でも、また本委員会でも、あたかも男女共同参画教育はすべて悪のような議論が行われているのではないかということを私は危惧をしているわけですね。  そこで、大臣に確認したいのは、男女共同参画社会基本法、基本計画の精神である、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができるようにするためのそういう教育を後退させてはならないというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  60. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 私も、先ほど御答弁申し上げましたように、基本的に性別にかかわりなく男女の能力が発揮されるように、女性でできることでありながら女性だからできないというようなことはあってはならぬわけでございまして、それぞれの私は本来、性が持つ特質というのはありますけれども、しかし正にそれによって個性、能力が違うと見てはならぬわけでございまして、そういうものが発揮できるように、その上に立って男女共同参画の、男女一体となって社会が形成されている、この事実をきちっと受け止めて、先ほどお答え申し上げましたような、人権重視といいますか、そういう観点に立った男女共同参画作り、これは更に教育の面においても進めていかなきゃならぬと、このように思っております。
  61. 林紀子

    ○林紀子君 心強いお答えなんですが、実は、三月十八日のこの委員会河村大臣の御答弁を聞いておりましたら、こういう部分があったんですね。やっぱりそれは、男には男、女には女の役割分担というものはちゃんとありますと。  ここを聞きますと、今おっしゃったこととちょっと違って、男女の固定的な役割分担というのを大臣がお認めになっているんじゃないかと、こういうふうに思ってしまったわけなんですが、これは今お答えになったこととも国連の勧告とも違うし、文部科学省が取り組んできたこととも違うんじゃないかと思いますが、この発言を覚えていらっしゃいますでしょうか。これについてはどういう真意だったのかというのをお聞かせください。
  62. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今御指摘のいただいた点、私も改めて今思い出しておるわけでありますが、これは、先に亀井郁夫先生から、ジェンダーフリーの話からお話があったと思います。  行き過ぎた、行き過ぎた教育、先ほど後藤先生からも御指摘がございました性教育の問題も含めて、これはやっぱり今回いろいろ問題になっておりますのは、確かに男女共同参画社会を作っていく、男女が全く能力において同じものを持っている、それが男だから女だからということで発揮できないということはおかしい。しかし、特にジェンダーフリー、性教育観点からいうと、これは例えば子供を産むということの役割というのはこれはもう女性でなきゃできない。幾ら男性が頑張ってもできません。そういう特性がある。これを逸脱するようなことがあってはいけないという意味で私は、表現力がちょっと、そういう意味では誤解を招く表現力だったかもしれませんが、そういうのをやっぱり、そういうことを踏まえながら、それを基本に置きながら、男女でやれること、お互いに役割分担をしていこう。  だから、家庭によって、今まではこれは女性がやるものだと思っていたものを男性もやれることはやるんだという家庭も幾らでもございます。それはもうあとは、その地域、その家庭が男女ともに話し合って、お互いの人権を認め合って、能力を認め合ってやっていく、そういう社会作りでなければいけないと思います。  ただ、性差を超えてとは言いますけれども、性差というのはやっぱりあるんで、それを余りにも外しますと行き過ぎたことが起きる。例えば、男と女は全く同じなんだから同じようにし、もう小学校五年生ぐらいになったら更衣室も一緒にしろとか、旅行に行ったらもう旅館も一緒だというような、部屋も一緒で構わないじゃないかというようなところまでいくと行き過ぎるんで、これは困るという意味が根底にあったものでありますから、そういう意味で言ったわけでありまして、正に男女の能力というものが平等にあって、そしてお互いに能力を発揮できるような社会を作っていこう、お互いに助け合っていこう、お互いに尊重し合っていこうと、こういう意味においては、私もそういう基本的な認識を外して申し上げたつもりではないと思っておるわけであります。
  63. 林紀子

    ○林紀子君 分かりました。  ですから、私たちも、男女の生物的な差というのはあるわけですし、これはだれも否定することはできないと思うわけですね。  このごろジェンダーという言葉が使われておりますけれども、そのジェンダーというのは、生物学的な差ではなくて、いわゆる社会的な文化的な、また歴史的なものも背負ったそういう男女の差だと。そこのところを、差があるんだというふうに固定的に見てしまってはいけないんだというのが根本だと思うわけなんですが、しかし、今私が申し上げました、いろいろな攻撃が行われているのは、男女の生物学的な差というのとそれから社会的な差というのを、わざとかどうか分かりませんがごちゃごちゃに言って、男女の差があるのは当たり前だと、そういう方向に持っていこうとしているんじゃないかということを非常に心配をしているわけなんですね。  私も、今まで文部科学省、それぞれの大臣がどういうことをおっしゃったかということを今回質問するのでずっと振り返ってみたんですけれども、この男女共同参画基本法が参議院の本会議で質疑をされたときに、当時の小渕総理大臣は、男であるとか女であるとかという性別にかかわらず、男女がお互いの個性や長所を認めつつ、掛け替えのないパートナーとして喜びも責任も分かち合っていく社会の形成に向けて努力をしていくとおっしゃっておりますし、今日はお見えになっておりませんが、当時の有馬文部大臣も、ジェンダー研究の強化についてということのお尋ねがありましたけれども学校教育社会教育を通じ、男女共同参画を推進し、多様な選択を可能にする教育学習機会の充実を進めてきております、既にやっておりますという御返事でした。そして、一年後の二〇〇〇年の三月六日の本委員会では、当時の中曽根文部大臣が、新たに実施する予定のゼロ歳からのジェンダー教育推進事業におきましては、幼児期から個性を大切にし、理由のない男女の固定的役割分担意識にとらわれない男女共同参画の拠点に立った教育を家庭及び地域で推進することといたしておりますと。  一貫して、この男女共同参画教育、ジェンダーの教育というのはしていきますというふうにお述べになっておりまして、その先というか、今の時点で河村大臣の今の御答弁にあったようなことになっていくというふうに思うわけです。  そういう方向で、これからももっと男女共同参画教育、予算も含めまして、増やして頑張っていくという、そういう御決意があるかということも併せてお聞きしたいと思います。
  64. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の点、男女共同参画基本法の前文に書いてある、先ほどお触れになりましたが、性別にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮できる社会を目指していくんだと、こういう観点に立って、そしてお互いに人権を尊重するという男女共同観、男女平等観といいますか、それを形成していく、そして、そうしたものが、そうした理念に基づいて教育が家庭、学校、地域、あらゆる社会の分野に行われていくようにと、特に教育面においては財政的なことも含めて教育を推進していく、これは文部科学省基本方針でございます。
  65. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど、生物学的な性差というのを社会的、文化的な性差というのとごちゃ混ぜにしているというお話申し上げましたけれども日本青少年研究所というところが高校生の生活と意識に関する調査というのをアメリカ、中国、韓国、日本高校生に対して行ったというのを私も見たんですけれども、女は女らしく男は男らしくということを盛んに言うわけですけれども、じゃ、その男らしく女らしくというのは時代によって随分違うものだなというのを非常に感じたわけなんですね。  このアンケートによりますと、わがままとかおしゃべりというのが女らしいと今の高校生は見ているわけです。そして、乱暴、不良っぽいというのが男らしい特徴だと言っているんですね。そして、その後なんですが、責任感やはっきり主張するというのは女らしいことだと高校生は見ているということなんですね。  ですから、今まで、男らしい女らしいと、私たちの世代も含めまして昔ながらの固定的なイメージというのを持ってそうしろということを押し付けているんだと思うんですけれども、もう今の若者、高校生はそんな固定したイメージというのを飛び越えて進んでいるんじゃないかというふうに思ったわけでして、そして、だから、今までのイメージで男らしくあれ、女らしくあれなんということを押し付けること、それはイコール固定的役割分担というのを押し付けることに通じるんじゃないかと。  生物学的な性差というのは確かにあるということは万人が認めることですけれども、こういうことも申し上げたいと思いますし、先日、福田官房長官が、そのジェンダーという言葉について触れて発言をなさいましたけれども、これで、マスコミや地方では男女共同参画の取組が抑えられているという状況があるし、国が男女共同参画の取組というのをゆがめたり弱めたりすることがあってはならないということを強く申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。  次は就学援助のことでお聞きしたいのですが、就学援助の対象となる児童生徒、例えば、中高一貫校である県立の中学校に入学した生徒で、居住している市町村とは違う学校に通う場合でも、これは就学援助の対象となりますね。
  66. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  学校教育法で、経済的な理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒保護者に対しましては市町村は必要な援助を与えなければならない、こうなっているわけでございまして、そういった就学援助を行う市町村に対しまして、いわゆる就学援助法等に基づきまして国が予算の範囲内で補助を行っている、こういうことでございます。  お尋ねの中等教育学校でございますが、中学校段階の前期課程、高等学校段階の後期課程があるわけでございますが、就学援助法におきましては、中等教育学校の前期課程の生徒につきまして、小学校、中学校生徒と同様に国の補助の対象とされているところでございます。  また、お尋ねの市町村の、当該市町村の区域外の公立の中等教育学校生徒についても就学援助の対象となるかということでございますが、文部科学省といたしましては、就学援助法に基づきまして、当該市町村の区域外の公立の中等教育学校に在籍する生徒でありましても、その生徒保護者が居住する市町村が就学援助を行った場合には補助の対象とする、こういうことでございます。
  67. 林紀子

    ○林紀子君 しかし、実際にはこれを対象としていない自治体もあるということなんですね。ですから、中高一貫教育でもその前半部分は対象になるんだということを是非広く周知をしていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  68. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 中等教育学校制度ができてからまだ日が浅いということもあろうかと思っておりますし、もう一つは、準要保護の認定そのものは市町村の事務ということでもございます。個々の児童生徒について援助対象とするかどうかというところは、これは市町村基準に基づく判断であろうかと思っておりますが、中等教育学校についての取扱いにつきまして若干そういう課題があるということでありますならば、この就学援助法の趣旨等につきまして、いろいろな会議等で都道府県教育委員会に正しくこの就学援助法の趣旨を御説明申し上げたいと思っております。
  69. 林紀子

    ○林紀子君 今、不況の下で就学援助を必要とする家庭というのがだんだん増えていると思うんですね。ところが、国の予算の方は減っていると。今年も一億四千万円も減らされて、市町村が実際に援助している児童生徒数の半数も補助できないような状況になっているということなんですね。  ですから、市町村が決めるものではあるけれども、払うべきものがなかったらこれは採択できないということもあると思いますので、是非国の方としては、こういう実情の中で予算の増額をするということも含めて対応を是非お考えいただきたいと思います。  次に、国立大学法人化、この四月からされたわけですけれども法人化されましたら労働基準法の適用を受けるということになりますね。残業代の支払われないサービス残業というのは、当然、労働基準法の違反であるし、許されないことだと思います。これ、大臣、そのとおりですね。
  70. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の点でございます国立大学法人の職員は労働基準法の規定が適用されるわけでありますから、使用者は労働者に対して時間外労働を命じるためには、労働基準法の第三十六条第一項、いわゆる三六協定と言っておりますが、これを締結していく必要があるわけでございます。さらに、第三十七条一項においては、使用者が労働者に時間外労働をさせた場合には、その時間の労働について割増賃金を払わなきゃならない、こうなっておるわけでございますから、御指摘のとおり、国立大学法人においては、これらの規定にのっとって職員の時間外労働時間管理というものは適切に行われて、労働基準法を遵守すべきと、このように考えるわけであります。
  71. 林紀子

    ○林紀子君 ところが、現場ではサービス残業と言われる実態が横行しているということです。  多くのところで残業代の支給は一律十時間までというように決められ、それ以上は全く働いても支給されない。例えば、九州大学の附属病院では、昨年は、予算が不足しているからと、残業を幾らしても二月は七時間で打切り、三月は十八時間までしか払わないと、一律に上限を決めてしまっているんです。現場では、超勤を好きでしているわけじゃないんだ、仕事がどうしても必要だからということで超勤をしているわけですから、カットするということは納得できないという声が大きく上がっております。当然のことだと思います。  四月になりましたので、こういう状況はそれではすべて解決しているのでしょうか。
  72. 玉井日出夫

    政府参考人玉井日出夫君) お答えを申し上げます。  国立大学附属病院の勤務の状況でございますけれども、それぞれのこれまでは国立大学そのものでございますので、それぞれの大学において適切に管理体制が整えられているわけでございまして、そういう努力をされてきたと、こういうふうに思っております。それで、ただ従来から、これも御案内のことだと思いますけれども、私どもとしては超過勤務の縮減というものも指導してきたことも御案内のとおりでございます。  そこで、今度法人化されたわけでございますから、正に今、もう四月から始まっているところではございますけれども、各大学の自主的な判断で柔軟かつ機動的な組織及び人員を編成することが可能になっているわけでございますし、各大学においては教育研究、管理、運営などの業務運営について適切な体制を整えることができるわけでございますから、そういう努力をしていただいて、適切な運営に努めていただきたいと、かように思っているわけでございます。
  73. 林紀子

    ○林紀子君 ところが、大学当局が自主的に的確にと言うんですけれども、四月までに労働条件を整えるのは無理だ、十六年度は今年と同じだと考えてほしい、こんなことを言っているというんですね。これでいいんでしょうか。現場からは、このままでは厚生労働省が定めている指導基準である年間三百六十時間超えてしまう、こういう声が出ているわけですね。  ですから、国立大学法人になったわけですけれども、今までのずっと続きからこうなっているわけですし、早急に実態つかむべきじゃないですか。
  74. 玉井日出夫

    政府参考人玉井日出夫君) 結局、各大学のそれぞれの勤務の状況というものは、それぞれのやはり大学において適切に把握されて努力をされるものでございまして、ましてまた法人化されたわけでございますから、各大学においてそれぞれの、何といいますか、適切な運営に努力をいただくことではないかと、こう思っております。  そして、各大学は、いずれにせよ、この四月から法人化されたわけでございまして、これまでのところなんかも踏まえながら、更に努力が多分なされる、またそういう時期であろうと、かように思っておりますので、各大学において努力していただきたい、かように思っております。
  75. 林紀子

    ○林紀子君 ちょっと時間がなくなりましたので、私の方は、じゃ、附属病院の看護師の夜勤体制、何度になっているのか、平均、国立附属病院の最新の状況、ちょっと明らかにしてください。数字だけで結構です。
  76. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 国立大学病院につきましては、昭和四十年の人事院のいわゆる二八の判定に基づいて、従来から一人夜勤の廃止と夜勤回数を月八回以内とするということで必要な人員の確保に努めてまいりました。  今、一人夜勤体制については平成十四年度においてすべて解消されたと。平均の夜勤回数につきましては、昭和四十年のこの判定の時点では月十・七回でございましたが、十四年度の実績では八・二回と、こう改善が図られたと承知しております。
  77. 林紀子

    ○林紀子君 大分減ってきたというお話ありましたが、それでもまだ八回超えているわけですね、八・二ですものね、全国の平均で。ですから、それぞれの大学の附属病院見ると九回だ十回だというところもあるんじゃないかと思うんですね。  この超過勤務を解消するためにも、夜勤体制の確立のためにも、人員増というのがどうしても欠かせないと思うんです。運営費交付金には、この人員増のための予算が組まれているんでしょうか。  先ほどそれぞれの大学が自主的にというふうに言いましたけれども、しかし国の方から運営費交付金というのが来るわけですね。そして、新たに策定された運営費交付金の算定ルールでは、附属病院には二%の経営改善係数、これ掛けられるんですね。そして、増収、コストのカットが押し付けられている。幾ら自主的にやれやれといっても、二%減っちゃうわけですよね。そういう中でどうやって自主的にやれるんでしょうか。役割果たせないんじゃないですか。
  78. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 国立大学病院の運営費交付金でございますけれども、この算定に当たりましては、大学病院における教育研究と一般的な診療に係る経費を区分してございまして、教育研究費につきましては運営費交付金による積極的な財政措置を行うと、病院収入の増減に影響されることのないような仕組みとしたところでございます。  一般的な診療に係る経費につきましては、その性格上、原則として病院収入で対応するということとしてございますけれども、病院収入で対応できない場合、これにつきましては運営費交付金、すなわち国費を投入して診療に支障を来さないようにということで配慮をしたところでございます。  そのため、一般診療に国費を投入する、こういう大学病院に対しましては、国民の理解を得ながら、目に見える形でのやはり経営の改善努力をしてもらう必要がある、こういうことで、経営改善係数二%、この二%は収入を伸ばすという方法もございますし経費を節減するという方法もございますけれども、経営改善係数二%というものを設定をしまして経営努力目標を明確にして、運営の効率性、透明性を求めるということにしたわけでございます。  国立大学病院につきましては、法人化後も引き続き適切な病院運営を行う必要があるということで、文部科学省としても、病院経営の改善に向けた取組例の紹介、あるいは財務分析に関する情報を提供するなど、健全な大学病院運営のために最大限支援を行ってまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  79. 林紀子

    ○林紀子君 結局、この効率化係数というのを掛ければ予算は減っていくという、今いろいろ御説明ありましたけれども、こういう状況になっていくわけですから、こんな運営費交付金の算定ルールというのは実態に見合ったものに見直すべきだと思います。  そして、これは委員長にもお願いしたいんですけれども、昨年の国立大学法人化のときに、法律が決まったときに附帯決議いたしました、文部科学省から移行状況について報告も受け、本委員会でも質疑を行うと。是非このことを、今の問題もまだ途中でおしまいみたいなことになってしまいましたので、是非お願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。
  80. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 今の林紀子君からの御提案の取扱いについては、後刻また理事会で協議いたします。     ─────────────
  81. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、谷博之君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。     ─────────────
  82. 山本正和

    山本正和君 ちょっと今日は、私立学校法の一部を改正する法律についての趣旨説明がございましたので、今後の審議のためにということで、私立大学を中心として、まあ私立学校ですけれども、どういう状況にあるかということについて文部省の方から御説明をいただきたい。  かなりの学校経営状況が苦しい、こういうふうなことを聞いておりますが、また定員割れの学校というのも随分出てきていると聞いておりますので、そういう状況が今どうなっているのか、どういうふうに把握しておられるか、まずお聞きしたいと思います。
  83. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 私立大学経営状況についてのお尋ねでございます。  近年の少子化等の影響もございまして、学校法人を取り巻く経営環境は全体として大変厳しい状況にございますし、このような状況は今後とも更に続くものと見込まれておるわけでございます。  そんな中で、委員指摘経営状況あるいは定員の充足状況について御説明を申し上げますと、まず定員の充足状況から申し上げますと、学生確保の状況につきましては日本私立学校振興・共済事業団が調査を行っております。  最新の調査によりますと、平成十五年度でございますが、入学定員を充足していない私立大学数が百四十七校、全体に対します割合が二八・二%、三割弱でございます。同じく短大について申し上げますと、平成十五年度、平成十五年度で百八十九校、四五・五%、全体に対する割合が五割弱でございます。繰り返しますと、入学定員を充足していない私立大学が約三割、私立短大が約五割弱、こういう状況でございます。  これを例えば平成五年度と比べてみますと、平成五年度の場合には、私立大学が全体に対する定員未充足が約五%、同じく私立短大の場合には約三%でございましたから、今の率と比べていただきますと、近年急激に学生確保の困難さが増加しているということが言えようと思います。  特に、学校法人におきます収入の大部分を占めておりますのは学生生徒の納付金でございます。このことから、学生数の減少というのは学校法人の収入減に直接結び付くこととなるわけでございまして、入学定員を充足できない、入学定員未充足の学校数の増加というのは、すなわち財政的にも苦しい学校法人の数が増えていくことを意味しておるわけでございます。  また、長くなって恐縮ですが、財政状況について申し上げますと、学校法人の財政状況を分析するためには幾つかの指標がございまして、各種の指標を総合して判断をしております。  代表的な指標で申し上げますと、例えば自己資金の充実度を判断するための総負債比率、これは総負債を総資産で割り戻したものでございまして、当然負債が少ない方がいいわけでございます。それから、流動比率、資金繰りの状況を見るための流動比率という指標もございます。また、学校法人の場合特に特徴的かと思いますが、前受金保有率、これは、前年度に収入、帰属収入として処理しております例えば授業料等、本当は翌年度に使うわけでございますから当該年度末に保有されていなければならないわけでございますけれども、経営が苦しいとこれを言わば先食いをしてしまう、それを見るための指標でございますが、こういった指標で私ども学校法人経営状況、財政状況を総合的に判断をしておるわけでございます。  また、指標としまして一般に使われますものは、このほかに支出超過の状況というのがございます。これは、帰属収入で消費支出を賄えない、もっと砕けた言い方をしますと、授業料等の収入で経常的な支出さえ賄えないという状況を見る指標でございまして、これをいわゆる支出超過と言っておりますけれども、この大学法人数が、数字を申し上げて恐縮ですが、最新の平成十四年度には百二十二法人、全体の割合で二六%、やはり三割弱ございます。同じ年度、短期大学私立短大法人について申し上げますと七十九法人、四四・四%になってございます。  これは、例えば平成十年度、五年前の平成十年度に比べますとそれぞれ大きく数が増えてきておりまして、この点からも私学の財政状況の悪化が進行していることがうかがえるところでございます。
  84. 山本正和

    山本正和君 大変な状況だというふうに思いますが、いろんな原因があろうと思うんですけれども、大体、文部科学省としては、なぜこうなっているんだろうかと、どういうふうな把握をしておられるのか、また、今後こういうふうなものを克服するための対策はいろいろと御検討になっているのか、その辺をお聞きしたいんですけれども
  85. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 経営困難の原因分析についてのお尋ねでございますが、いろいろ複雑な要因がございまして、分析も容易ではないわけでございます。個々の法人におきましてもその陥る原因もまた様々であろうかと思うわけでございますが、大ざっぱに申し上げて二つの要因があろうかと思います。  先ほど申し上げました、入学者数の数が減っていく。当然、収入の多くを学生等納付金に依存しておるわけでございますから、これに伴って収入が減っていくという要素。それから、私学はそれぞれ独自の経営理念で経営に携わっておるわけでございますけれども、その経営の見通しが間違っている。少し砕けた言い方をしますと、経営の見通しの甘さから経営困難に陥るといった場合もあるわけでございます。大きくそういった二つに整理ができるかと思います。  そして、最初に申し上げました入学者数の減少の背景としては、何より、いわゆる十八歳人口が減少しております。これにもかかわらず、私立大学入学定員は増加をしておるわけでございます。供給過剰という言い方もできようかと思います。学生数が減っておるのに定員は増えておるという状況がございます。  また、これも個々の大学によるわけでございますけれども、設置されます学部や学科、又は設置されております学部や学科が、利用者、学生等、若しくは社会のニーズに十分合致していない、適応していない、魅力を失ってきているということも要素としてあろうかと思います。また、決して数は多くないかもしれませんけれども、いわゆる不祥事によって私学に対するイメージダウンといったことも遠因になっている場合もあろうかと思います。  また、二つ目に整理させていただきました経営の見通しの困難さ、甘さの例といたしましては、私どもが分析しております例としては、例えば返済計画、資金等の返済計画について十分な長期的な見通しを立てずに施設設備の多額の借金を借り入れてしまう過大投資の例も少なくないわけでございます。また、資産運用について必ずしもいい結果が出なかった、失敗をするということもございます。それから、これは言わば経営の基本かもしれませんけれども、固定的な経費、人件費等がその代表でございますが、固定的な経費の比率を高いままに手を付けずに置いておく、放置しておくといったことが大変経営を苦しくすることが多いわけでございます。  そして、こういった先ほどの入学者数の減少でありますとか厳しい状況に置かれておりますにもかかわらず、経営判断を大胆に行うことができないというケースも少なくないわけです。厳しい状況を踏まえた上で、例えば大幅な事業の見直しでありますとか機動的な事業展開の迅速な意思決定でありますとか、そういったことにちゅうちょする、あるいは法人内、学内の事情で対応できないといったケースも見られるわけでございます。  更に付け加えますならば、私学関係者の間でよく意見がございますのは、近年の事前規制から事後チェックへという社会の流れを踏まえまして、設置認可の対象となる事項をより限定的にするなどの規制緩和を行ってまいりました。これによって、私学サイド、関係者から見ますと競争が厳しくなりまして、これも経営困難の遠因、一因になっているのだという意見も実際あるわけでございます。  以上でございます。
  86. 山本正和

    山本正和君 それで、先ほどの答弁の中にありましたね、私立学校振興・共済事業団というのがあったんですけれども、これは今どういうふうな形で業務を行っているのか、またそういう私立学校に対する例えば援助だとかそういうようなこともやっているのかどうか、この辺をちょっとお聞かせ願いたい。
  87. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 日本私立学校振興・共済事業団についてのお尋ねでございます。  当事業団は、私立学校教育充実、向上、その経営の安定、そして私立学校教職員の福利厚生を図るための組織、団体でございまして、旧日本私立学校振興財団に由来するいわゆる助成業務と私立学校教職員共済組合に由来する共済業務を行っておる、大きなそういう二つの業務を行っておる組織、法人でございます。この法人、いろいろ前身等、組織としての変転、変遷がございまして、歴史がございますけれども、昭和二十七年に私立学校振興会というのが設立をされております。  これは、少し話が長くなって恐縮ですが、戦後の経済的混乱によって極めてその経営が困難な状況にございました私立学校関係者が大同団結をいたしまして、私学金融機関の設立あるいは私学教職員共済組合制度の創設等の目標を掲げて運動を展開しておりましたけれども、そういう背景の下に、先ほど申しました昭和二十七年三月に私学の金融機関としてこの私立学校振興会が設立されたわけでございます。  これを前身といたしまして、その後、私立大学等の人件費を含むいわゆる経常費の補助事業を行うこと、更には私学経営についての調査、相談、助言業務を加えまして、これらの事業を総合的、効率的に実施する機関として、先ほど申し上げました日本私学振興財団が昭和四十五年にできるわけでございます。一方、共済業務につきましては、昭和二十九年から私立学校共済組合が設立しておりましたけれども、この二つの団体を、日本私立学校振興財団と私立学校教職員共済組合を平成十年に統合いたしましたのが冒頭お尋ねがございました日本私立学校振興・共済事業団でございます。  ですから、この事業団の業務は、先ほど申しました大きな二つの業務に分離されるわけでございますが、やや詳細に申し上げますと、助成業務として主なものは以下のものがございます。  何より、補助金の交付事業でございまして、私立大学等の教育条件の維持向上、あるいは在学生の修学上の経済的負担の軽減、さらに経営の健全化等に資するための私立大学等経常費補助金でございますが、これの交付事業体がこの事業団でございます。  それから、貸付業務も一つの柱でございまして、私立学校を設置する学校法人への施設設備整備等に係る資金の貸付事業をこの事業団が助成業務の一つの柱として行ってございます。  また、学校法人の収入源として寄附金の増加が大きな課題になってございます。寄附金につきましては、各法人努力をしておりますし、寄附金税制についても先生方の御努力によりまして改善を見ておるところでございますが、いわゆる受配者指定寄附金、これを通しますと非課税の扱いを受けて私立学校には大きな収入源になるわけでございますが、受配者指定寄附金の受入先、具体的な配付を行うのもこの事業団でございまして、助成業務の一つの柱になってございます。  それから、先ほど来申し上げております個々の学校に対します経営、教育条件の情報を支援したり相談にあずかる事業も助成業務の一つとして位置付けられるわけでございます。  それから一方、共済業務でございますが、短期給付事業、長期給付事業、福祉事業といった事柄がここに整理されるわけでございまして、短期給付は、御存じのように共済事業でございますので、加入者及びその被扶養者の病気、死亡等に係る医療費でございますとか手当金の給付を行うのが短期給付でございます。また、加入者の退職、障害等に関係します年金、一時金の支給を行うのが長期給付でございますが、そういった業務が共済業務の柱でございます。  そのほか、保健事業、あるいは一か所でございますが直営病院の経営も行っておりますし、八か所の会館を中心とする宿泊施設の運営等々、福祉事業を行っておるわけでございます。  とりわけ、この経営困難、経営支援について申し上げますと、平成十五年度からこの事業団内に私学経営相談センターを設けまして、センター職員、センター長以下二十名規模でこのセンターを組織しておりますけれども、センター職員、公認会計士等による私立学校の経営診断、あるいは教育条件及び経営に関する相談受付を行っておりまして、ここでいわゆる丁寧な指導、助言を行い、法人経営の支援を行っておるわけでございます。  少し長くなりましたけれども、事業団について御説明申し上げました。
  88. 山本正和

    山本正和君 まあそういうふうにいろいろと何とかしようという要件もないわけではないと思うんですけれども、結局、今の状況を若干、社会的な少子化の問題とかいろいろとあると思いますけれども、やっぱり一方で私立大学が特にこの十年来、二十年来に随分増えた。随分、また私どもの三重県でもそうですけれども、もう今、あれから二十年の間に四つぐらい増えたんですかね。どんどんどんどん文部省に陳情合戦をして認可を迫るということで増えた経緯を私も知っているんですけれども。そういう全体の、私立大学というものについては、それは建学は自由ですから、学校を作ることは。自由というか、要するに国立とは違うわけですから。だけれども、あわせて、本当にこれでいいかしらんというふうな経営等もたくさんあったようにも思うんですね。  そういう意味で、これは私立学校に対してもう少しきちっとしたものが必要なんじゃないかと、そういうような趣旨も含めて今度の法律が作られているのかどうか。要するに私学を、今のままじゃ大変な状況になる学校も幾つかあると、立派なところもたくさんありますけれども、そういう中でやっぱり一定のちゃんとするものを国としても考えなきゃいけないという、そういうことも背景に今度の法律が作られているのかどうか。また、この法律が仮に成立した場合、私立学校等の運営についてはどのような格好でこれは改善、プラスされるのか、その辺について大臣の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほど来、私学がなかなか大変な状況にあることを御説明申し上げたとおりでございます。これに対して国民の側からも私学経営が非常に不透明であるという視点もございます。この点を明らかにして、やっぱり公教育の一翼を大きく担っておりますから、説明責任もあると、私学の経営の在り方をもっとオープンにする必要があろうということで、今回の改正においてはその点を特に、学校法人管理運営体制を整備させよう、してもらおうということ、これが一つの大きなねらいでございます。  これによって学校側に一層の経営努力といいますか、経営改善努力をしてもらわなきゃならぬということを、これがこれからの一つの大きな課題になっていきましょうし、また、学生側もこういうことをオープンにされることによって学校を選ぶという問題が出てまいります。それから、経営努力の中には、私学は寄附集め等もおやりになる、またこれにも多く参加をしていただくためには、やはり中が明らかになっていく必要があろうというようなこともあって今回の法改正に臨んでおるわけでございます。ただ、これによって即それじゃ経営が楽になるかというと、そういうものじゃなくて、むしろ努力を促すという点に視点がございます。  しかし、これまで大学が、特にどんどん出てきた大学側の動きを見ておりますと、少子化時代ではあるけれども、どんどん大学進学増えていくだろうと、今五割に近づいた、これが六〇、七〇になっていけば学生も増えるであろうという思いもあったようでありますが、今五割まで来ましたが、これが飛躍的に伸びるという保証はないわけでありまして、この辺にかなり私学側の目測の違いもあったようで、そういう点、特に学習、学科内容等々魅力のない大学は学生が行きませんので、その辺でかなり苦労している大学が出てきたようでございます。  将来、こういう経営をオープンにしていく、あるいは厳しい大学同士話し合ってお互いに連携を取り合って統合の方向に行くとか、いろんな今、これから動きが出てくると思います。そういうものに対しても、やっぱり我々としても公教育の大きな担い手である私学が健全に経営ができて、そしてその役割を果たすようにという視点から、今回の改正を契機として、さらにそういう視点を持ってこれからの私学経営を見詰めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  90. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十四分散会