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2004-04-13 第159回国会 参議院 文教科学委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月十三日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     風間  昶君  四月九日     辞任         補欠選任      風間  昶君     山本 香苗君  四月十三日     辞任         補欠選任      大仁田 厚君     松山 政司君      草川 昭三君     日笠 勝之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北岡 秀二君     理 事                 後藤 博子君                 鈴木  寛君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 大野つや子君                 扇  千景君                 中曽根弘文君                 橋本 聖子君                 松山 政司君                 伊藤 基隆君                 佐藤 泰介君                 谷  博之君                 中島 章夫君                 西岡 武夫君                 日笠 勝之君                 畑野 君枝君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   河村 建夫君    副大臣        文部科学大臣  稲葉 大和君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       田村 憲久君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        原子力安全委員        会事務局長    広瀬 研吉君        文部科学省原子        力安全監     小田 公彦君        文部科学省科学        技術学術政策        局長       有本 建男君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        文部科学省研究        開発局長     坂田 東一君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        農林水産大臣官        房審議官     染  英昭君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   片山正一郎君        環境大臣官房審        議官       小沢 典夫君        環境大臣官房審        議官       桜井 康好君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○放射性同位元素等による放射線障害防止に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山本香苗君を指名いたします。     ─────────────
  4. 北岡秀二

  5. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 有馬朗人

    有馬朗人君 おはようございます。自民党の有馬朗人でございます。よろしくお願いいたします。  放射線に関しての法律でございますので、少し放射線歴史を振り返ってみたいと思います。ただし、それだけやりますと五時間ぐらい掛かりますので、かいつまんで十分程度、そこの話をした上で質問に入らせていただきたいと思いますが。  レントゲンによるエックス線発見ということが人類の上で極めて重大なことでありました。一八九五年のことであります。このレントゲン発見によって人間病気治療診断等に画期的な変化が起こったわけであります。  その翌年、ベックレルというフランス物理学者放射能発見いたします。それは偶然のことでありまして、感光板、光を感ずる感光板の上にウラン化合物を置いておいたと。偶然置いておいた、文鎮ぐらいのつもりで置いておいたんでしょう。そして、少したってその感光板を露出してみますと不思議な影が映っていたということによりまして、ウラン化合物より何らかの不思議な光線が出てくるということを発見するわけです。それが放射能発見であります。  その翌年、ピエール・キューリーとマリア・キューリーという夫婦が、これもやはりフランス大学者でありますが、ウラン鉱石を煮詰めてまいります。煮詰めるという言い方は日常の言葉でありますが、ウラン鉱をどんどん濃くしてまいりまして、鉱石の中の液を濃くしてまいりまして、最終的にラジウム発見いたします。と同時に、ポロニウムというのを発見しておりまして、ポロニウムというのは、マリア・キューリーポーランド人でありましたので、ポーランドを記念いたしましてポロニウムという名前を付けたわけであります。  驚くべき時代でありまして、その三年後の一九〇〇年にはプランクという、これはドイツの大大物理学者でありますが、これが溶鉱炉から出てくる光を見て、そして溶鉱炉温度を定めようといたします。すなわち、鉱業の方の要請から物理学的に溶鉱炉の中の温度を決めようとするわけですが、それ以前のすべての物理学は役に立ちませんでした。新しくプランクが、極めて奇想天外な、エネルギーというのは粒々であるということを言い出し、現在、プランク量子仮説として知られている大業績を発表するわけであります。そのことによってにわかに量子世界が解明されるようになります。  一九〇四年に、これもまた驚くべきことでありますが、日本の、日本長岡半太郎先生が、当時の大問題であった原子構造は一体どうなっているんだろうということを考え土星型原子模型という考えに到着いたします。驚くべきだと申しました理由は、当時、大学日本に一つしかなくて、もっとも京都大学は同じころでき上がりますが、東大と少したったときの京都大学しかなく、東大が開設されるのが一八七七年でありますから、三十年もたたないうちに世界的な物理学者日本に生まれたわけであります。この土星模型というのは、原子というものは、中心に、原子核という名前は付けておりませんでしたけれども、球があって、正に、プラス電荷を持っている、正に帯電している、そういう球があって、その周り電子が回っているという考えでありました。  当時、電子発見した人はJ・J・トムソンというイギリスのこれもまた大物理学者でありましたが、その人はスイカのようなもんだと原子のことを思ったわけであります。スイカが、赤いところがプラスに帯電している電荷、中に入っている粒々の種がこれが陰電子陽電子陰電子とよく言いますが、その陰電子。普通にある電子はみんな陰電子です。その陰電子粒々であると、こういう模型を提案いたしましたが、どっちが正しかったでしょうか。  それは、一九〇九年にラザフォードイギリス物理学者がマダム・キューリーよりポロニウムをもらってまいります。そのポロニウムからアルファ線というものが出てまいりますので、そのアルファ線をぶつけて金の原子構造を調べたわけです。もし、J・J・トムソンのようなものであれば、飛び込んだアルファ線はほとんど曲がらずに前の方へ進んでくるのに、もし長岡半太郎のような考えが正しければ中に非常に大きく曲がってくるアルファ線があるはずでありまして、ラザフォードは正に大きく曲がってくるアルファ線があるということを発見するわけです。  残念ながら、ラザフォードはそのとき長岡半太郎先生仕事を知りませんでした。長岡先生日本人離れしていると言ったらそれまででありますが、ラザフォードに抗議の手紙を書き、一九一一年にラザフォード長岡仕事を注目すべき論文であるということを認めて引用しております。  それよりも少しさかのぼって、一九〇五年にはアインシュタインの有名な特殊相対性原理発見され、来年はアインシュタイン・イヤーということになると思います。世界じゅうアインシュタイン研究を顕彰するという百年祭を行う予定であります。そして、有名な、エネルギー質量等価性エネルギー質量である、E=mc2という公式をお聞きになった方大勢おられると思いますが、そういうものを提案し、大変な大革命を起こしたわけであります。  また、ラザフォードは、先ほどの原子構造というものを発見する前に、アルファ線ベータ線ガンマ線というものが、厳密に申しますとアルファ線ベータ線発見するわけであります。そして、現在、放射能というのはアルファ線ベータ線ガンマ線ガンマ線の種類であるエックス線というふうなものがあるということになったわけであります。  ここまで申し上げたことから一つ注意してみたいことは、現在、ナノテクノロジーの何のかんのとか、原子力であるとか、医療であるとか、エックス線である放射線を使った医療である、様々なことが言われておりますが、これは全部この当時、すなわちちょうど百年前ぐらいに発見されたことによって起こったわけであります。ですから、お願いは、基礎科学というものを絶対軽視をなさらないでいただきたい。今ここで我々が議論しているような現代の最前線の科学というのは、五十年、百年の先においては極めて重要な技術になるだろうということを申し上げたかったわけであります。  さて、一九三八年にはハーンと女性の大科学者であったシュトラスマンという二人がウランというものは分裂するのであるという大発見をいたします。これは、アインシュタインの予言に従って、原子核質量を丁寧に量っていますと原子核は二つに割れる可能性があるということが言われておりましたので、そのことを実験的に実証したわけであります。  そこからの発展が極めて人類にとって不幸なことでありました。それはナチス・ドイツというのがこの核分裂を使って兵器を作ろうとしているというふうなことがありましたので、アメリカもまたいわゆる原爆を作ろうという努力をするに至るわけです。  一九四一年にマンハッタン計画が立てられ、それに従って多くの優れた科学者技術者原子爆弾の作製に従事するようになります。一九四二年、すなわちマンハッタン計画が始まった翌年にはフェルミという物理学者原子炉を発明しております。フェルミはそれ以前の仕事ノーベル賞をもらっているのですが、シカゴの大学の前の運動場原子炉を初めて造ります。ですから、原子炉を平和利用するということによって原子力が進んでいけば我々にとって非常に良かったのですが、残念ながら一九四五年に広島の原爆になったわけであります。  ここに、科学発展技術発展というものをうまく使わなければ人類にとって大変な損害を引き起こすということを強調いたしたかったわけであります。今後、科学技術発展する際には、やはり科学者技術者は、人類に対して福祉に貢献するけれども、絶対人類に対して害を与えるような研究をしないようにしていくべきだと私はこういう経験から思う次第であります。  そこで、質問に入らせていただきます。  こうやって発見されてまいりましたエックス線ラジウムアルファ線ベータ線ガンマ線、そしてまたアイソトープというふうなものは様々なところで利用されていると思いますが、どういう利用例があるでしょうか、お聞きいたします。
  8. 有本建男

    政府参考人有本建男君) お答え申し上げます。  放射性同位元素及び放射線発生装置から発生いたします放射線につきましては、医療工業農業環境生活等分野で非常に幅広く現在利用されております。例えば、医療分野ではがん等治療診断、あるいは工業では半導体の微細加工、あるいはタイヤの耐久性を強めるといったこと、あるいは農業分野ではジャガイモの発芽抑制、あるいは害虫の駆除といったようなことが行われております。  先生指摘の、その百年前のレントゲンキュリー夫妻あるいはラザフォードがそれぞれ発見をいたしました例えばエックス線につきましては、先ほど申し上げましたように、医療現場でのレントゲン、あるいは最近ではエックス線CTというもの、あるいはラジウムではがん放射線治療、あるいはアルファ線では煙感知器、こういった非常に幅広の国民の生活に直結したところで利用されているわけでございます。
  9. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  先ほど言い忘れたことですけれども、歴史の中で注目すべきことは、先ほど原子核物理の始めのところを申し上げました。ラザフォードによって原子というものは原子核とその周り電子が回っているということを申しましたけれども、それ以後の原子核物理学発展においては、湯川、朝永、坂田、西島、そしてまた現在では益川、小林というふうな優れた研究者が大勢出てきて世界原子核物理学をリードし、そしてまた小柴さんのように、ニュートリノを測定して天体で超新星からどういう情報が与えられるか、こういうふうなことを研究する上で極めて世界で一流の人々が出ているということを言うべきでありましたが、付け加えさせていただきます。  さて、放射能には天然のもの、人工のもの、両方があると思いますが、どうでしょうか。
  10. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先生指摘のとおり、天然のものと人工のものがございます。  天然のもの、すなわち自然放射性物質につきましては、地球から始めにあった天然放射性物質とそれから宇宙線起源といたします放射性物質に大別できると考えてございます。特に、地殻内に地球の誕生時にできましたウラントリウム、あるいは人体内にもカリウムを中心といたします放射性同位元素が現在存在をいたしてございます。それから、宇宙から降り注いで、地球に降り注いでまいります宇宙線起源といたしますものが地上にはあるわけでございまして、例えば炭素14というものがあろうかと思います。  それから、人工的に原子炉あるいは放射線発生装置というもので製造されますコバルト60あるいはラジウム226、こういったものは、先ほど申しましたように、医療等で広く現在使われているわけでございます。
  11. 有馬朗人

    有馬朗人君 宇宙線というものがあって、その中にあるニュートリノを見ることによって超新星の爆発ということの研究に入っていったのが小柴さんでありますが、我々の体を、今、何十兆というふうな数のニュートリノ皆さんの体を通り抜けています。これは安心なんです。全くほとんど人間と反応しませんから、御心配なく。しかし、たくさんそれ以外に、陽電子であるとかミューオンというふうなものは皆さんの体の中で時々エネルギーを与えますので危ないといえば危ないんですが、まあ宇宙線は問題ありません。  しかしながら、花崗岩などはラジウムをたくさん含んでいますね。ラジウムを含んでいますと、ラドンそしてアルファ線を出します。日本の各地方アルファ線の強さ、ラジウム温泉放射能放射線の強度、そういうものと、それからさらに世界じゅうで非常に自然放射能が強い地方があると思いますので、そのことにつきお聞かせいただき、人間一体害はないのかということについてお聞きいたします。
  12. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) お答え申し上げます。  今、先生指摘花崗岩などにラジウムを含んでいるということでございますが、このラジウムにつきましては、が崩壊して生成する核種で、自然界、至る所に存在しておるわけでありますが、そこから、ラドンから出る放射線による被曝線量我が国全国平均年間、ちょっと専門的でございますが、約〇・四ミリシーベルトございます。文献値によりますと、我が国では、ラドン濃度の比較的高い温泉におきまして、毎日一時間浴室の中にいて三十分間入浴するといった仮定しても、一年間、ちょっとあり得ないわけでございますが、一年間ラドンによる被曝線量は約〇・五ミリシーベルトと試算がございます。  人間に害はないかどうかの観点からは、これらの値は、世界におけるラドンによる被曝線量平均値でございます年間約一・三ミリシーベルトと比較しましても、高い値ではございません。世界におきまして、先ほど高い、自然放射線が最も強い地方でございますが、ブラジルのガラバリなどがございまして、大地などからの自然放射線年間約十ミリシーベルトであると言われております。  以上でございます。
  13. 有馬朗人

    有馬朗人君 天然にある放射能はそれほど危なくないということでありますが、そこで続けてお聞きいたします。  かつて、人形峠ウラン鉱源を掘り出していたことがありましたね。その残土は一体どうなっているんでしょうか。その放射能の強さはどんなものでしょうか。そしてまた、典型的なラジウム鉱泉沈殿物沈殿物と比べ、あるいは湯の花というふうなものに比べてその強さはどんなものでしょうか。
  14. 坂田東一

    政府参考人坂田東一君) 今、先生お尋ねの岡山県人形峠周辺で、核燃料サイクル開発機構がまだ原子燃料公社当時、これは昭和三十年代でございますけれども、そのころに行いましたウラン探査活動に伴いまして残土が発生しております。  この残土につきましては、現在、サイクル機構鉱山保安法に基づきまして周辺をロープで囲うなどの措置を取り、第三者の無断立入りの制限、こういったことを実施しておりまして、安全に管理されている状態でございます。  このウラン残土は、元々はこの周辺の土地の中、地中に存在していたものでございますけれども、周辺環境影響につきましてはサイクル機構が定期的に放射能レベル調査を行っております。例えばでございますけれども、幾つかこの残土の場所がございますが、鳥取県側にあります七つのウラン残土堆積場調査、これによりますと、いずれの結果も自然放射能レベル変動範囲内にございまして、何ら影響は認められておりません。この点につきましては鳥取県御当局においても独自に調査をなされておりまして、同様の結果であるということが公表されております。  この鳥取県側の七か所におきますウラン残土平均ウラン濃度でございますけれども、一グラム当たり〇・〇九から〇・四二ベクレル程度でございます。ラジウム温泉湯の花あるいは温泉中の沈殿物などの中には、実測あるいは私どもが承知している論文中におきまして、例えば一グラム当たり十五ベクレル、これは鹿児島県の垂水温泉でございますけれども、そういう非常に高い値も報告されているということでございますので、ウラン残土平均ウラン濃度、先ほど申し上げましたが、そういうものに比べますと、かなり低い値であるということが言えようかと思います。
  15. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  このウラン残土は、近辺の人々の不安を解消する上でも早く処理していただきたいと思います。お願いをいたします。  さて、最近、モナザイト、私は知りませんでしたけれども、モナザイト自動車排気系に使われているということを聞きました。これは放射能を持っていると思うんですね。劣化ウランというふうなものも、放射性を帯びて、放射能を持っておりますので、注意して使わなきゃいけない。そういうことについて、一体どういう御注意をなさっているのでしょうか。
  16. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) お答え申し上げます。  御質問モナザイトなどにつきましては、核原料物質として、また先ほど御指摘劣化ウランなどにつきましては核燃料物質として、それを取り扱うに当たりましては安全に留意するということが必要でございまして、放射能濃度が高くて量が多いものにつきましては、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律、いわゆる原子炉等規制法に基づきまして国の規制が行われております。  具体的には、モナザイトなどの核燃料物質につきましては、一定以上の濃度、固体の場合は一グラム当たり三百七十ベクレル、それから量につきましては、ウランの場合は三百グラム、トリウムの場合は九百グラムといったものを使用する者は、原子炉等規制法に基づきましてその使用届出が義務付けられております。それから、劣化ウランにつきましても、三百グラム以上の劣化ウラン使用する場合には、原子炉等規制法に基づきまして使用の許可を得ることが必要でございまして、管理区域を設定するなどの技術上の基準を満たすことが必要となります。  それから、先ほど御指摘の報道されました自動車用排ガス低減装置モナザイトが使われている件でございますが、これにつきましては、内蔵するモナザイト放射能濃度届出を必要とするレベルでは以下でございますので、原子炉等規制法対象外でございます。  ただ、この装置通常使用状況では安全上問題ないと考えるものでございまして、廃棄を行う場合にあっても、適切な管理の下で通常廃棄物と同様の適切な処理、処分を行うことができると考えてございます。
  17. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  さて、このごろちょっと気になることが医学で起こっておりますのでお聞きいたしたいと思います。  まず、エックス線を余りにも多く使っているんじゃないかと。しかも、ある病院エックス線を浴びた少したった後で、違う病院で違う病気でまた掛かりますと、そこでもエックス線を浴びることがあります。こういうエックス線使用の仕方に関して、どういうふうにお医者さんたち注意を喚起しているのか。  それからまた、弘前国立病院でありますが、国立病院機構弘前病院で行われました放射線過剰照射が原因で一人亡くなりました。六十人にも副作用が出ている可能性について朝日新聞が報じていたところでありますが、この事故は一体どんなものであるのか。それ以前にも多くの患者過剰照射を受けたといいますけれども、一体全体お医者さんたちの教育はどうやっているのか、このような事故の予防はどうしているのか等について、ごく短くお答えいただきたいと思います。
  18. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) まず、医療現場でのエックス線被曝といいますか、患者に対してでございますが、通常医療では医師が患者との間に十分なコミュニケーションがなされて、それに基づいて、診断あるいは治療医者の専門的な判断の中でCTあるいはエックス線などを診療に用いているということでございますので、患者被曝量について直接規制するということは医療法では行っておりません。  ただ、CTなどによる放射線診断の際に発生する医療被曝は、IAEAなどが放射線防護安全指針を取りまとめるところでございます。診断治療の際のCTなどエックス線治療当たりまして指針が出ておりますので、これを踏まえて、私ども、現在、厚生労働科学研究におきまして医療放射線の利用の在り方に関する研究を実施しております。本年度中に患者被曝防止に関する具体的なガイドラインを作りたいというふうに考えております。  それから、国立弘前病院のケースでございますが、本年二月にこの過剰照射の事例があったということでございますので、私ども、放射線を取り扱う医師、技師の放射線防護に関する研修を実施しております。現在、今回の事件の原因究明、それから再発防止策を検討する委員会中心に、事故防止マニュアルを作成しているところでございます。  先週、四月九日でございますが、過剰照射防止の徹底を図るために、都道府県、関係団体に対して通知を発出させていただきました。また、使用者に対する教育研修につきましても、今回の放射線障害防止法改正案におきまして、放射線取扱主任者に関する定期講習の義務化が盛り込まれているということでございますので、私どもとしても関係団体、都道府県を通じて働き掛けてまいりたいと考えております。
  19. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  やっぱりお医者さんたち及び技師の方たちに是非とも十分な教育をしていただきたいと思います。患者さんたちは余り知らないわけでありますから、そういうことを御注意いただきたいと思います。  そこで、エックス線についても放射線についても、国民が十分教育を受けていないと私は思っております。一方で、エックス線についてお医者さんの言うとおり幾らでも浴びますけれども、一方ではベータ線でジャガイモの芽を殺すとか殺虫するというようなことを非常に恐れて、いつまでもベータ線がジャガイモにくっ付いてくると思っている人たちが大勢いるわけですね。日常生活で極めて多くの場所で放射線が使われ、大きな役割を果たしておりますので、そしてまた、時には危険性を帯びております。ここでもっときちっと、放射線がどのように利用されているか、その効果や危険性について教育をすべきであると思いますが、いかがお考えでしょうか。
  20. 田村憲久

    大臣政務官(田村憲久君) 先生おっしゃられますとおり、大変今、我々の身の回りで放射線利用というものは進んでおるわけでありまして、我々の生活に切っても切れない、そういう存在になっておると思います。  ちょうど昨日、私、日本アイソトープ協会の滝沢研究所に行ってまいりまして、いろいろと視察をさせていただきました。  例えば、農業用の肥料等々とあそこの医療用の廃棄物、RIの廃棄物、これを比べますと、放射線濃度といいますか、レベル廃棄物の方が低かったりするわけでありまして、半減期が短いものでありますからそうなるんでありましょうけれども、そう思いますと、やはりその点を十分に国民の皆様方にも御理解をいただきながら、またそれが危ないものに対しての自らのある意味での防御にもなるわけでありますから、教育、啓蒙というものも大変重要だと思います。ちょうど人間が火を扱い始めたころに似ておるのかななんて気がいたしておりまして、もろ刃の剣といいますか、そういう中において、焼けば保存はできるんですけれども、しかしながら自らも焼いてしまう可能性がある、今ちょうど放射線に対してはそういう我々は認識なのかな。  そうなりますと、教育ということなんですけれども、実は今、例えば日本原子力文化振興財団におきましてはホームページでいろんな啓蒙をされておられます。それだけではございませんでして、例えば、小中高等学校の教員の方々を対象に原子力体験セミナーというものを放射線利用振興協会がやられておりまして、実績で、十五年度、四十四回、一千三百四十二人の先生方がこれをお受けになられておられます。また、中学校や高等学校等への講師の派遣ということでございまして、これは先ほどの日本原子力文化振興財団がやられておられるんですが、昨年度ベースで四百二十三回、二万六千六百二十八人の学生の方々がこういうものをお受けになられておられます。  それでも一部だというお話もあるんだと思うんですが、今、学校教育におきましても、指導要領等に基づきまして、理科等においてこの放射線の利用や性質、こういうものに対しての授業を行っていただいておるわけでありますが、何分、私も今、先生から御講義をいただきまして何となく分かったかなという気はするわけでありますが、難しいものでありますから、どうやれば子供たちにこれが理解していただけるか、これからもいろいろと模索をさせていただきながら、是非とも教育の方、啓蒙の方は進めてまいりたい、このように思っております。
  21. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございます。  私も時々カウンターなどを持って子供たちのところへ教育に行くんでありますが、やっぱりきちっと教えておかなきゃいけないと思っています。  そこで、安全性、廃棄物の処分等々に関しまして、今回の法律について少し質問させていただきたいと思います。  まず、私の感じでありますが、今回の改正は国際標準値を導入しようとする点で極めて適切であると考えております。そこで、具体的な国際標準値導入というのは一体どういう改正点を持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  22. 有本建男

    政府参考人有本建男君) お答えいたします。  今回の改正でございます。これは、今御指摘のように、国際原子力機関、世界保健機関あるいは国際労働機関、こういった国際機関が協力をいたしまして、科学的見地から提唱いたしました放射性同位元素規制の下限値の国際標準というものを我が国に導入しようというものでございます。  既にヨーロッパの主要国、あるいは中国、韓国等々も導入を済ませているところでございますけれども、主な改正点といたしましては三つほどあろうかと思います。  第一番目は、国際標準値の導入に伴います規制の対象となります放射性同位元素の範囲の拡大がございますので、これの規制につきましての制度作り、あるいは販売業、賃貸業の規制の合理化というところが第一点でございます。第二点としましては、作業現場の安全性の一層の向上ということでございまして、先ほど少しお触れになりましたけれども、従来の施設の定期検査に加えまして、作業現場のフィルムバッジを装着する等々、あるいはそういったデータを記帳するといったことを定期的に私どもで確認させていただくということ、それから放射線取扱主任者の定期講習の義務付けということでございます。最後の第三点としましては、放射性廃棄物の埋設による最終的な処分に関する安全の規定を整備するということでございます。  こういうものによりまして、我が国放射線利用というものに対しまして、安全規制を国際的に整合性が取れたもの、それから最新の科学的な知見というものを反映した合理的なものになるものというふうに考えてございます。
  23. 有馬朗人

    有馬朗人君 幾ら法律を作っても、手抜きをする人が一杯いますので、是非とも御注意いただきたいと思います。  今から少しそういう例について議論をさせていただきたいと思います。少し違った観点の原子力の安全管理について、別の法律だと思いますが、そのことについてちょっと触れさせていただきます。  今申しましたように、幾ら立入検査をきちっとやっても、現場は意識的に手抜き作業をするということがあるわけであります。このことを申し上げた理由は、ジェー・シー・オー事件というのがございまして、私も責任者といたしまして大変残念だったことがございます。  そのとき、稲葉副大臣には、当時の科学技術庁政務次官でいらっしゃいましたが、現地へ早速行っていただきまして、責任者として実に不眠不休の努力をされた、そして事故発生箇所に水を注入するということを決定されたということで、このジェー・シー・オー事件を、不幸中の、不幸ではあります、不幸中、不幸なことではありますけれども、早く止めることができたということに関しまして、稲葉副大臣の御努力に心から感謝を申し上げたいと思います。  さて、そのジェー・シー・オー事件に関連することでありますが、ジェー・シー・オーの担当部長に聞いた話では、裏マニュアルがあるということでありました。そのような不正な手法、極めて危険な工程でウラン溶液を処理していました。このような不正はなぜ見過ごされていたのでしょうか。
  24. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) お答え申し上げます。  このジェー・シー・オーの事故につきまして、原子力安全委員会の方でウラン加工工場臨界事故調査委員会がございまして、その報告書によりますと、事故当時、ジェー・シー・オーが許可を受けていた加工事業につきましては、原子炉等規制法上、定期的な検査が義務付けられておりませんでした。  一方、施設の運転管理の状況調査につきましては、当時の行政庁である科学技術庁は、行政指導による任意の保安規定遵守状況調査や運転管理専門官による巡視を行っておりました。しかしながら、行政庁における業務の急増によりまして、法令上必須の審査や検査が優先され、任意事項である保安規定遵守状況調査は人員的に実施しにくくなっていたというふうに言われております。  また、運転管理専門官による巡視につきましては、ジェー・シー・オーについて毎月一回程度の巡視が実施されていたわけでございますが、事故を起こした転換試験棟につきましては、運転が不定期でかつ巡視の機会が少なかったことから、これらの巡視の際には施設が運転されていなかったことがございます。  以上の理由によりまして不正な工程が見過ごされたものでありますが、この反省を踏まえまして、年四回の保安規定遵守状況検査を原子炉等規制法で保安検査として位置付けるなどの改善が行われたところでございます。  以上でございます。
  25. 有馬朗人

    有馬朗人君 原子力の安全について、今のような法律の改正等があり、御努力をいただいていると思いますが、それをしっかり守るように産業界並びに当事者に御教育をお願いいたしたいと思います。  裏マニュアルはよもや作るような状況ではないでしょうね。その点はどう管理しておられますか。
  26. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先ほど申しましたように、今回の改正の大きな柱といたしまして、いろいろ工場等の作業現場のそのソフト的な安全管理というところをまずきちっとしていただくということで、これを、国としてそういった記帳のデータあるいは教育訓練のデータというものを確認をするという制度を新しく創設をいたしたいというふうに思ってございます。  それから、放射線取扱主任者につきましても、従来は、免状を交付されますと、もう途中で講習を受けなくても基本的にはいいということでございましたけれども、これも定期的に受けていただくということを義務付けると。これは、どういう事故があったのか、どういう科学的な知見がどんどん今発展しているのかということを定期的に自ら勉学していただくということでございます。  こういった制度を新しく設けまして、さらに私どもとしましては、既にやってございますけれども、繰り返しいろんな場でメーカーの方々あるいは消費者団体の方々も含めましてシンポジウム等をやりまして、とにかく現場の安全の文化というものを徹底するということを努力をしているところでございまして、それからもう一つ、年間、現在三百回程度立入検査をやってございますけれども、これにつきましても抜き打ち的な検査をたくさんやるということで常に緊張関係を保持するということが大事かなというふうに思ってございます。
  27. 有馬朗人

    有馬朗人君 そのときに不幸にも亡くなられましたお二人の御冥福を祈り続けておりますが、その中のお一人は農業高校出の人であったと私は記憶しております。専門でない人が原子力に関すること、特に放射能に関することをやっていたわけでありまして、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを工場がしっかりやるべきだったと思いますが、その点に関してどうお考えでしょうか。
  28. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) お答え申し上げます。  ジェー・シー・オー事故で亡くなられた方の卒業した高校の専門につきましては、必ずしも国の事故調査では明らかにされていなかったわけでございますが、報道によりますと、一名は普通高校出身であり、もう一名は工業校出身であると承知してございます。また、ジェー・シー・オーでは作業者に関する教育訓練はOJTに、オン・ザ・ジョブ・トレーニングに重点を置いていたということでございますが、実際には教育の体系化が図られておらないで臨界安全管理に関する知識が従業員の間に十分に浸透していなかったものと考えられております。  ジェー・シー・オー事故を踏まえまして、現在では原子炉等規制法に基づきまして保安規定において保安教育を事業者に義務付けておりますので、施設の安全な操業のために必要な教育が実施されるということになってございます。  以上であります。
  29. 有馬朗人

    有馬朗人君 私はこの事故の直後に、亡くなった方、当時はまだ亡くなっておられませんでしたが、被曝した方々の胸に付けるバッジを持ってきてほしいということを申しました。ついに持ってきてもらえませんでした。後で聞いたところによりますと、管理区域の中に三十人ぐらいの人が入っていましたけれども、相当数の人がバッジを付けていなかった。特に亡くなられた方及びもう一人、近くで被曝された方はバッジを付けていなかった。幾ら法律を作っておいても、そういう管理区域の中に技術職員、研究者がバッジを付ける等々、規則どおりのことをしていなければ、法律は役に立たないと思うのです。  そこで、今回の改正で、放射線同位元素等々で事故が起こらないように、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを含め、放射線取扱主任者以外にも十分教育を行ってほしいと思いますが、行えるのでしょうか。
  30. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先ほども一部お答えをいたしましたけれども、今回の改正で現場におきます教育訓練というものがどういうことがやられているかということを必ず記載するという、これを、記帳ということを義務付け、それを私どもの方で確認するという制度になってございます。  そういう意味で、私どもがその確認をするということは現場にとっても非常に重たい義務感なりあるいはモラルというものを向上するというふうに考えてございまして、この制度導入というのは非常に大事なものというふうに理解しております。
  31. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  ここで、大臣に一つお願いがございます。こういうふうに科学技術が極めて一般の国民の中でいろいろ便利に使われているのでありますが、まず一つお願いいたしたいことは、こういう便利に使われている科学技術の基には基礎科学発展ということがございます。そこで、基礎科学を極めて重要視していただきたいと思いますが、その点についてのお考えと、もう一つは、これを国民にきちっと教育をしていかなきゃならない、この点につきまして御意見を賜れれば幸いでございます。
  32. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 有馬先生、かねてからそのことを特に強調されております。私も全く同感でございまして、まず基礎科学をきちっと学ぶ、そこからスタートしなければいけないと思いまして、その点、十分これからも配慮してまいりたいと思いますし、併せて教育訓練的なもの、安全管理、それにもっと心していかなきゃいかぬと、このように考えております。
  33. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。私の質問をこれで終わらせていただきます。
  34. 谷博之

    ○谷博之君 おはようございます。私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。  先ほど有馬委員から専門的ないろんな質問がございまして、その質問とも若干重複する部分もありますけれども、この法案の改正内容の問題点について順次質問をさせていただきたいと思っております。  まず、質問に入る前に、私の基本的な考え方を冒頭申し上げさせていただきたいと思いますが、我が国原子力安全の規制をする法体系というのは原子力基本法というものが根幹にあって、そして原子炉等規制法、いわゆる略称の原子炉等規制法、さらにまた本法の放射能被害防止法、これは昭和三十二年に制定されておりますけれども、こういう法律が一つの柱になって現在の原子力の安全性といいますか、対応というものが制度化されているというふうに思っております。そして、今回はそのうちの放射能被害防止法に関する法改正ということであります。  文部科学省の原子力安全課の説明資料を見ておりますと、今回のこの法改正の趣旨、目的についてはこのように書いてあります。  国際原子力機関、IAEA、世界保健機関、WHO等の定めた国際標準値、これは括弧して規制対象下限値というふうに言っておりますが、この導入に伴って数量及び濃度の小さい放射性同位元素、RI、ラジオアイソトープの規制を合理化する等所要の改正を行うことを目的としていると、こういうふうに指摘しております。  この目的、趣旨というものを見ておりますと、これまで日本日本独自の基準で行ってきた放射性物質のこうした規制というものを国際基準に合わせるということですから、これは極めて当たり前のもっともな改正だというふうに普通は思われます。ただしかし、もう少し考えてみますと、今回の法改正は、いわゆる次のステップとして放射性物質廃棄基準であるクリアランスレベルの導入、あるいはまた原子炉等規制法の改正に向けて、どうもそこにリンクしたそういうふうな露払い的な法改正ではないかというふうに我々は見ざるを得ない。  そういう意味で、今日は文部科学大臣並びに関係各省庁の皆さん質問をさせていただく機会が与えられましたので、私は次の二つの視点を前提にしてお伺いをしてまいりたいというふうに思っております。  そのまず第一点は、世界唯一の我が国は被爆国でありまして、そして半世紀以上の独自のいろんな取組をしてきた、そういうふうな思いがあるわけでありますから、これらを踏まえた慎重な議論、検討というものがなされるべきであるということが一つ。  それからもう一つは、いかなる法制度も、少なくともその法律を広く国民が理解をしないとその法律はいわゆるざる法になってしまいます。ましてや、とりわけ高度な科学技術を求められるようなこのRI法の改正、こういうふうな問題については、特に具体的な平易な分かりやすい説明、広報というものが必要であるということを考えておりまして、これらの前提を是非踏まえながらいろいろ質問をしてまいりたいと思いますので、お答えをいただきたいというふうに思っているところでございます。  そのまず第一点は、先ほど有馬委員からも御指摘がございましたけれども、規制免除レベルの国際標準値の問題であります。  これは、国際原子力機関、IAEA並びに世界保健機構、WHO等が定めているこの国際標準値というこの言葉なんですけれども、この言葉については国際免除レベルとかあるいは規制免除レベルという、こういうふうな言葉も使われているわけでありますけれども、今回、文部科学省はこの法改正に当たってこの言葉を国際標準値ということで統一をされました。この問題についての矛盾は若干後で私は指摘をしたいと思いますけれども、そういうふうなことの中で、一方、これとは別に、先ほど申し上げましたクリアランス、このクリアランスレベルというものがあって、当然、規制の範囲内にある放射性物質やあるいはその放射性物質を装備した機器などの本格的な導入に対しても、現在、原子力安全委員会で導入が検討されていると、こういうふうなことがあるようであります。  そういうふうな中で、現在、このクリアランスレベル規制免除レベルのこの整合性について検討がされていると、随分いろんなところで議論がされているというふうに言われておりますけれども、特にそのIAEAではクリアランスの対象物質の種類や大きさによってそのクリアランスレベル規制免除レベルより高くならないように規定をしているというふうに聞いておりますが、もしそうだとすれば、例えば医療や産業研究の現場から生じてくる廃棄物、あるいは原子炉のいわゆる施設の解体廃棄物、こういったつまり規制や物量の異なるクリアランスについてもIAEAの定める規制免除レベルよりも高くならない値に設定されているんでしょうか、まずお答えいただきたいと思います。
  35. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 今、先生、免除レベルとクリアランスレベルの整合性について御指摘がございました。  免除レベルは、人の健康への影響のリスクが無視できるほど小さいので放射線防護の規制の対象に入れないものを言います。一方、クリアランスレベルでございますが、いったん放射線防護の規制の体系に入っておりましたものを、人の健康への影響のリスクが無視できるほど低いので放射線防護の規制の体系から外していいというものをクリアランスレベルと言っております。  先生指摘のように、国際的な安全規制考え方によれば、クリアランスレベルは免除レベルと同等又は下回るものというふうにされております。
  36. 谷博之

    ○谷博之君 そうしますと、この規制免除レベルを単に国際標準値と呼んでしまうといわゆるクリアランスレベルの国際標準値と区別が付かなくなってしまうというふうに思うんですが、その点はどうでしょうか。
  37. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 私どもの今御提案を申し上げております法律、法案の提案理由説明の中で書き込んでおりますように、放射性同位元素の核種ごとの規制下限値の国際標準というものを、どういうんでしょうか、全体として書き込んでございまして、国際標準値という言葉を説明では時々使っておりますけれども、詳細に申し上げますと今申し上げたような言葉を使っておるわけでございます。  いずれにしましても、クリアランスレベルというものにつきましては、現在、IAEAあるいは原子力安全委員会におきまして、この国際標準どうあるべきかということが検討されておるわけでございまして、今回の法律改正とは直接的な関係はないわけでございます。
  38. 谷博之

    ○谷博之君 それはおっしゃるとおりだと思いますけれども、そういう中で、今回のこの法案の中身を見ておりますと、この法案の中にどこにも規制免除レベルの国際標準化という言葉が書かれておりません。規制内容だけを改正することになっているわけでありますけれども、私たちは、この内容を見ておりまして、この施行時に大臣告示の数値表を単に差し替えると、こういうことになっているように考えているわけですけれども、それではこうしたいわゆる将来の規制免除レベルが国会でこういう議論をしなくても更にこの数値が変えられていくという、いわゆる数値を緩和されてしまう、そういうふうな懸念が非常に起きるわけでありますけれども、そこで、こういう国際標準化すること自体を法案に明記すべきではないかというふうに思うんですが、その点はどうでしょうか。
  39. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 今回導入いたしますいわゆる国際標準値でございますけれども、これは七百六十五種類の放射性同位元素の核種につきまして、その規制が必要となります放射能濃度あるいは数量と、こういったものを取りまとめたものでございます。これは非常に莫大で技術的な内容になっておりますので、従来からこういったその規制の数値というものは文部科学省の告示という形で定めてございます。  このため、今回の法律改正におきましても、具体的な数値自体は文部科学省告示ということで定めることといたしてございます。が、専門家の委員等では国際標準値等を導入することを前提に検討を行っておりまして、導入に伴う規制の合理化等の法律として規定すべき点について法律の改正を行ったものでございます。  なお、こういったその七百数十種類の核種につきまして、今後、この法律を御了解いただきますと、放射線審議会で公開の場でこの核種はこういう濃度上限値を取ろうということを御議論をいただきまして、告示として最終的に決定、公表するということになってございます。
  40. 谷博之

    ○谷博之君 ここでちょっと原点に返ってお聞きしたいんですけれども、いわゆるこの国際標準値という、このいわゆる基準値ですけれども、これは、IAEAで設定しているこの基準値というのは、英国の、イギリスのいわゆる数値を基に定められて欧州を中心に普及しつつあるというふうに聞いておりますけれども、一方では米国の、経済的な力のある貿易大国の独自の基準というものもあるわけでありまして、こういうふうなこの基準値の取り入れに当たっては、どこの国もそれぞれ自分たちの特有の事情や体質というものを持って検討され、決めてきているというふうに考えられます。  そこで、先ほども何回も申し上げましたけれども、世界で唯一の被爆国としての日本が、今急いでこのいわゆるIAEAの国際標準値というものを取り入れる、そして、しかも濃度で百六十五核種、放射能で二百八十二核種もの規制緩和をするという、こういうところの理由は一体どこにあるんだろうかということを私たちは若干疑問に思うわけでありますが、これは大臣、どういうようにお考えですか。
  41. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 谷委員も御指摘のように、今回の法律改正がIAEAあるいはWHOやILO、国際機関が科学的な見地から提唱をしております放射性同位元素規制下限値、これの国際基準、国際標準、これを我が国に導入するために今回の放射性同位元素規制を見直すと、こういうことにしておるわけでございます。これを導入する、国際標準値を取り入れる、これについては、原子力安全委員会あるいは放射線審議会等の専門委員会、これは幅広く協議を、御議論をいただいて検討をいただいたわけですね。  それの報告書によりましても、原子力安全委員会あるいは放射線審議会においても、これを安全基準免除レベル、国際標準を国内法令に取り入れることは適切であると、適切な措置であると、こういう報告をいただいて、その妥当性が示されておるところでありまして、その点を踏まえて、アメリカではまだ取り入れていないんでありますが、欧州、それからイギリスドイツフランス等の主要国、アジアの中国、韓国、既に取り入れておりまして、国際貿易における整合性あるいは科学的な、合理的な規制を構築する観点、こういう点から考えますと、今回の国際標準値の導入は妥当なものであると、このように考えてこの法案に提出させていただいておるわけであります。
  42. 谷博之

    ○谷博之君 ちょっと質問通告には若干出していないんですけれども、大臣にちょっと重ねてお考えあれば聞かせていただきたいわけでありますけれども、こういうふうに国際標準化がされることについては非常に広範なものが対象となるということで、これいいことだというふうに基本的には思うわけですけれども、ただ、国際免除レベルの導入によって規制が緩和される核種、こういうものについては、当面、現行の基準を維持していってほしいという声があるわけでありますが、この点についてどのように考えておられますか。
  43. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 国民の皆さんにとってはこれが健康上どういう影響があるかということについては非常にセンシティブになっておられるわけでありますから、この点についてはどういう観点からこれが免除されたのか、その安全基準がどうであるかということをやっぱり国民の間に徹底をする必要があると思いますね。その上に立って、こういう形で免除していくんだということを周知徹底した上で導入する、法律通りましたらそのことをやっぱりしっかり徹底しなきゃいかぬだろうと、こういうことで国民の皆さんの安心感といいますか、そういうものをきちっと醸成していく、これはやっぱり我々の責任の観点からも必要であろうと、こうも思っておりますし、特に国際標準値の導入については、我が国放射線審議会においても、地下水の飲用とか、小児、子供たちの評価、こういうことも独自のやっぱり調査、審議をやるべきだと、こういう指摘もありまして、この結論も得てこの免除規定を導入していくと、こういう考え方に立って進めてまいりたいと、このように思っております。
  44. 谷博之

    ○谷博之君 最後の点については私の方からも強く要望という形で意見を申し上げておきたいと思います。  それから、続きまして、いわゆるRI、ラジオアイソトープを利用した様々な機器の問題について幾つか具体的にお伺いをいたしたいと思いますが、そのうちの一つは、いわゆるオフィスの天井などに使われている煙感知器の問題をまず一つ取り上げてみたいと思います。  これは、この煙感知器の今実態がどのようになっているか、つまり国内でいつごろからこれが販売をされ、現在何台ぐらい利用され、そしてその廃棄はどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。
  45. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先生指摘放射性同位元素使用いたしました煙感知器でございます。これは現在は規制対象外の機器でございます。そういった意味で正確な数字は把握はいたしてございませんけれども、関係の企業等のいろんな情報というものを合わせますと、昭和四十年に日本で最初に開発をされまして、消防法、火災を消すという消防法の認定を受けまして、国産品としてこのころから販売が始まったものというふうに承知をいたしてございます。  この業界につきましては、社団法人の日本火災報知機工業会という工業会がございまして、そこの調べによりますと、昭和四十四年から平成十年までに九百五十万台程度が生産をされまして、三百二十万台が回収をされており、およそ現在六百万台程度が使用されているのではないかというふうに理解をいたしてございます。  最近では、放射性同位元素使用しない、光電式と言っております、光の電気と言っておりますけれども、光電式の煙感知器というものが日本国内では主流になっておりまして、昭和五十九年度以降はこの放射性同位元素を使いました煙感知器というものは減少傾向を示してございます。  それから、先生質問のこの煙感知器廃棄でございますけれども、先ほど申しました工業会、ここが自主規制の形で、建物等が解体される場合には不要な機器の回収あるいは放射性物質の標識の表示、返却方法の周知、こういったものを行いまして、一般ごみの廃棄防止ということに努めてございます。そういった意味で、ほとんどの使用済みの煙感知器が適切に回収処理されているというふうに理解をいたしてございます。
  46. 谷博之

    ○谷博之君 いろんな細かい点で重ねて質問もしたいわけでありますが、そういう実態の中で、相当数このRI利用の煙感知器から光電式の煙感知器の方に移ってきていると、こういうことであります。そういう中で、放射能の程度は小さいけれども、そういう機器についても新たに規制対象とするということでありますよね。  そういうことになってきますと、これは一つの技術の進歩の問題だと思うんですけれども、そういう意味では、RI使用の、あるいは使われていないそういうふうな煙感知器にどんどん生産が増えている。しかし、そういう中で、こちらの基準が、規制があるにしても、非常に低レベルでの規制ということで対象となってくるということになってくると、むしろそれは流れが進んでいったものが逆に行く可能性はないのかということを我々は心配をいたしておりまして、つまり、少なくとも、国民からすると、微弱でも放射能を浴びないいわゆるそういうふうな機種の方が安心して使えるという、一般的なそういう潜在的な意識があります。それに対して、いや、しかし、これぐらいの基準だったら大丈夫なんですよということで安全が確保され保証されますと、もう一回そういうもののところにそういう機種を作り替えていこうというふうな逆の作用が起きてくるような気もしないでもないわけでありますけれども、これらについては大臣はどのように考えておられますか。
  47. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 今回の法律改正でこれは国際標準値を導入いたします。そうすると、従来規制対象外だった放射性同位元素の数量あるいは濃度の小さい機器、こういうものも新たに規制対象となっていくわけで、このため煙感知器についても新たに規制対象になってくるものがございます。そうすると、この規制に基づいて業界はきちっと廃棄についてこの規制に応じて対応をやると、こういうことになっていくわけでございます。  現在、先ほど説明ありましたように、煙感知器についてはどのような方式をやるか、いわゆる光電式のやつ、これがあるわけでございますが、これは業界側がやっぱり経済的な利点というものを考えて、様々な条件がありますから、これにのっとって作っていくわけでございまして、この法律改正によって、この点、これまでの光電式、そしてRIを使ったもの、この普及の問題について特に大きなこれによって影響が出るとは私は考えにくいと思うわけでございます。これは、あとは業界側とそれから国民側の利用の利点、こういうものから今回の規制がどういうふうに影響していくかということ、これ、もう消費者側とそれから業界といいますか、そういうものの判断、これにのっとってやっていただければいいと思っております。  ただ、規制規制としてきちっと、今回法律によって廃棄等々についてもそれにのっとってちゃんとやっていただくことが国民から見ても安心であろうと、このように考えておるわけであります。
  48. 谷博之

    ○谷博之君 私がちょっとくどく申し上げましたのは、時計の振り子ではないんですけれども、要するに全体として業界が光電式のそういういわゆる煙感知器の方に生産が移っていたと。しかし、それが緩やかな規制でいいよということになると、その振り子がまた戻ってくる可能性があるわけでありまして、ここら辺の問題を実は指摘をしたかったわけでありますが、今後のそういうふうな推移については、大臣の答弁を受けながら注意深く見ていきたいというふうに思っております。  次に、ガスクロマトグラフ用のECDの問題、これは大気や水中の中に微量にある有害物質を検出するための機器でありますけれども、これは研究現場やあるいは行政の現場で随分この機器は使われております。この機器の中には、ニッケル63というRIの一つがこれに使用されております。  具体的に質問を申し上げたいわけでありますけれども、このECDの製造業者は、これまで一つ一つ生産した製品については、全量設計図どおりその製品ができているかどうかということを指定機関に全部確認をしてもらう必要があったわけなんですね。この具体的な指定機関というのは一体どこで、この指定機関、この法人は理事長以下文部科学省から何人の天下り職員が派遣をされているか、そして一回の手数料は幾ら取られているか、お伺いしたいと思います。
  49. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先生指摘の機構確認業務でございます。  これは現在、財団法人の原子力安全技術センターが指定機関ということで業務を行ってございます。この財団法人は、この機構確認業務のほかに試験、講習、検査業務等の放射線障害防止法に基づく指定業務、あるいは原子力の防災、あるいは原子力安全の確保に関しますいろんな試験研究、講習等を行っている団体でございます。  同センターの文部科学省OBの人数は、現在、平成十六年の四月現在で七名でございます。全体の職員数が百二十一名というふうに理解をいたしてございます。  それから、先生質問の機構確認の手数料でございますけれども、これは現在、一台につきまして四万一千円を原則としております。  以上でございます。
  50. 谷博之

    ○谷博之君 この部分が実は今回の法改正で、これがいわゆる設計認証に変わってまいります。  これは具体的に、だから全量確認というこのシステムを取らなくなってきているわけですね。製造業者にとっては当然コストが掛からなくなる、安くなるというか費用がそれだけ掛からなくなるわけですから、そういうことになってくるわけですが、どの程度のコスト負担が楽になるというふうに考えておりますか。
  51. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 現在の先生指摘の機構確認の制度を廃止いたしますと、先ほど申しましたように、一台当たり四万一千円の手数料が負担軽減がなされるわけでございまして、平成十四年度の機構確認の台数の実績が六百六十四台でございますので、総額では約二千二百万程度になろうかと推定いたしてございます。
  52. 谷博之

    ○谷博之君 そうしますと、この財団法人の原子力安全技術センターというこのセンターで、いわゆる全量を確認する、昨年でいえば六百六十四台のこの業務が実はなくなってくるわけですね。そうすると、今後のそういうふうなこのセクションといいますか、その部分の人員の配置の問題とか、あるいはこれが廃止されることによってそういう人たちが今後どういうふうな形になるのか、そして新たな業務をどこかで担うという形ができてくるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  53. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 現実に、先生指摘のとおり、この業務が減るわけでございます。今回の法改正では、指定機関の制度というものから登録機関制度というものに改めまして、一法人を指定するというところから、学会、あるいは場合によりましては民間の一定基準での参入ということができるような制度になるわけでございまして、そういう意味で、この登録機関制度というものは、行政の裁量の余地のない形で、国により登録された機関が検査等の業務を行うという制度になるわけでございます。  今後のこの原子力安全技術センターの経営でございますけれども、この法改正によりまして、定められております登録機関の要件を踏まえて登録機関として申請を行っていただくかどうかということは、当然ながらこの法人の御判断ということになろうかと思いますけれども、もう一つは、この法人として経営がどうなるのかということにつきましては、それぞれの法人の御判断、それからこの法人が先ほど申しましたように非常に広く原子力防災等の業務もやっておりますので、そういった総合的な観点からお考えになるものというふうに理解してございます。
  54. 谷博之

    ○谷博之君 大臣にちょっと一つ要望しておきたいんですけれども、こういう一つの法改正によって、そしていわゆる業務が縮小なり廃止をされてくるということになりますと、当然そこに携わっていた人たちというのは他の業務にその機構の中で移っていくということになるわけですけれども、端的な形でいえば、この業務が縮小、廃止されたからといって、別の業務を新たに作って、いわゆる言葉悪く言えば火事場の焼け太りのような形になっちゃいけないと思うんですよね。これも是非、今後の推移は私見ていきたいと思いますが、こういった業務が今後どういう形で移行していくのかについては、是非いろんなそういう視点があるということを踏まえて対応をしてもらうような指導をしていただきたいというふうに思っております。  それから、同じくRIを利用した医療機器の問題について、これは先ほど有馬委員からもいろんなお話がございました。最近の具体的な事例というものもあったわけでありますが、いずれにしましても、このRIが医療分野で今後とも大きな需要が見込まれるということは、もうこれは火を見るより明らかなことでありますけれども、具体的には、エックス線のものだけではなくて、がん治療なんかにも使われておりますし、医療現場ではその利用と、あるいは廃棄における規制についてのいろんな不満もあるということも聞いております。その不満のうちの一つということで、いわゆる規制免除レベルが厳し過ぎるんではないかということが言われておりまして、その結果、今年の三月末に発したがん診断装置に関する政省令というものは一体どのようになってきているのか、お答えいただきたいと思います。
  55. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先生指摘がん診断等に用いられます陽電子断層撮影、いわゆる最近はPETと、PETでございます。こういう言葉がよく使われますけれども、PETで発生いたします廃棄物の取扱いにつきましては、御指摘のとおり、本年三月に放射線障害防止法の省令及び告示の改正を行いまして合理化を図ったところでございます。  具体的に申し上げますと、このPETの診断に伴いまして発生いたします放射性廃棄物、これは具体的には注射針でありますとか、それから手袋、ろ紙等でございますけれども、こういった廃棄物は、含まれております放射性同位元素、これは弗素とか窒素、炭素、こういったものでございますけれども、こういったものの放射性同位元素の半減期が極めて短いということがございます。最長でも四・三日という半減期でございますけれども、こういった形で急速に放射能がなくなるわけでございまして、従来ですとこういったものをこういう前提を経ずに放射性廃棄物ということで保管をするということを求められていたわけでございます。  これにつきましては、こういった科学的、現実的なところを踏まえまして、告示で指定をいたします種類、量を指定をいたしまして、これを限定した上で、放射能が余裕を持ってゼロになる一週間の保管をしたものにつきまして、放射性廃棄物としては取り扱わないという措置をいたしたところでございます。  ちょっと補足をいたします。先ほど、最長は四・三日と申し上げましたけれども、ほとんどのものは半減期が十分から二時間程度というふうに理解をいたしてございます。  以上でございます。
  56. 谷博之

    ○谷博之君 現場でいろんな不満があるということで申し上げましたけれども、もう一つの実は不満は、いわゆる現場の中で、医療法や薬事法上の規制と、それとこの本法が二重に規制がかぶっているという、そういうことを指摘をしております。当然、今回のこの法改正をするということになれば、医療法や薬事法上のその部分についても改正をする必要があるんじゃないかというような声が上がっているわけでありますが、しかし、医療法や薬事法上の対応は、法改正は不要で政省令マターで行うことができる、こういうふうに言われております。  しかし、このままでは規制免除レベルが二重規制のまま更にちぐはぐになってしまうこともあり得るというふうに思われるわけでありますけれども、なぜ医療法や薬事法上の政省令の改正をこのRI法改正と同時に行わないのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
  57. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 公共の安全の確保を目的とした放射線障害防止法と、医療の現場の特殊性を踏まえて、施設の構造管理者の責務に関する医療法の規制というものが二重にあることは事実でございます。しかし、従来より、両者の規制を調整する仕組みが設けられております。  放射線障害防止法施行令第一条三号の規定によりまして、厚生労働大臣と協議して文部科学大臣が指定するものについては、同法の適用が除外され、医療法により必要な規制がなされております。最近の例では、平成十五年七月、前立腺がん治療のため体に永久的に挿入された線源を文部科学大臣が指定し、その結果、放射線障害防止法の適用が除外されて、放射線区域外に退出、つまり病院からの退出が可能となり、その一方で医療法に基づく基準を定めております。  先生指摘のように、医療法では規制対象の具体的な範囲を省令で規定しております。今回の放射線障害防止法の改正による規制対象となる放射性物質の範囲が変動することに伴っては、私どもの医療法施行規則など厚生労働省所管の省令についても、今後、改正法の施行に向けて整合的に改正を行うことにしております。
  58. 谷博之

    ○谷博之君 今後改正するということでありますので、本来であればこれは同時に整合性を図るということが必要かというふうに思いますが、そのような現場の声をしっかり受け止めていただきたいというふうに思っております。  それから、先ほど有馬委員からも御指摘ございましたモナザイトの話でございます。これは最近、四月の六日の新聞にも報道されておりましたけれども、いわゆる自然放射性物質モナザイト使用した自動車の排ガス低減装置、これが現在全国でバスやいわゆる乗用車など約五千台ほどこの装置を付けた車が使用されているということでありまして、そのうちの特に熊本県の熊本市営バスは、この装置を使っている十八台のバスを、この装置を取り外した、そしてこれを廃棄処分にする、こういうふうな報道がされております。それ以外にも、全国の公営バスにもこのいわゆる装置が付けられたバスも走っている。  専門家の話を聞いておりますと、具体的には京都大学の丹羽太貫教授などの話もそうでありますが、いわゆる走行中にこの装置が摩耗したり破損すれば粉塵となって人体に被曝するおそれがある、あるいはまた、今回の放射能レベルならばこうした装置に近づかなければ心配はないだろうが、しかし、粉塵を大量に吸い込んだり至近距離に長時間いた場合、発がんのリスクはゼロとは言い切れない、適切な措置がなされるべきだ、こういうふうなことも指摘しています。つまり、一番この装置に近いところにいる運転手や助手席に座っている人たちというのは、かなりこの装置による排ガスの影響を受けるということも考えられます。  また、もう一方、モナザイトというのは、振り返っていただけばお分かりかと思いますが、平成十二年の五月にこのモナザイトの粉末が首相官邸に送り届けられまして騒ぎになったことがあります。このいわゆるモナザイトの大量放置が千葉県や埼玉県や長野県で見付かったというふうなことがあって、大変これは問題になりました。  当時の新聞記事、私もたくさん持っておりますが、こういうふうな自然放射性物質、これについて幾つかの御質問をさせていただきたいと思いますが、今回のこの排ガス低減装置から検出された放射能の程度はどのくらいで、そして国内における現在の規制免除レベル、そして国際基準値はそれぞれ幾らになっておりましょうか。
  59. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) お答え申し上げます。  今回の排ガス低減装置モナザイトに含まれるトリウム放射能濃度は、専門機関の分析によりますと、当方で確認したものによりますと一グラム当たり約三十ベクレルであると承知しております。また一方、このモナザイトなどにつきましては、ウラントリウム鉱石につきましては核原料物質ということで規制されておりますが、核原料物質につきましては、固体の放射能濃度が一グラム当たり三百七十ベクレルを超えて、かつその中に含まれるトリウム量が九百ベクレルを超えた核原料物質使用する者は、原子炉等規制法に基づきましてその使用届出が義務付けられ、さらに放射線の安全についての技術上の基準が課せられているところでございます。  今回の天然トリウムにつきましては──以上でございます。失礼しました。
  60. 谷博之

    ○谷博之君 今、数値を挙げていただきましたが、結局、現行法上、規制対象外の微弱なものであるということを言いたいのだろうと思いますけれども、熊本市は、先ほど申し上げましたように、バスからこの装置を取り外して、そしてそれをいわゆる普通の廃棄物として処理をしようとしております。しかし、もしもそういうことで取り外した装置廃棄物の現場に行って鉄材となってリサイクルされる可能性があると仮定しますと、そういうものが将来我々の台所のフライパンやあるいはこういう缶ジュースの缶になったり、化けていくというふうなことも考えられるわけですね。  ですから、こういうふうなことからすると、これは単に熊本市営バスだけの問題じゃなくて、全国のいろんなそういうところでこういうふうな疑問やあるいは心配が多分寄せられることもあるんだろうと、新聞に堂々と出ていますから。そういう場合に文科省としては、全国の自治体から現行規制上野放し状態にあるこうした装置の利用と廃棄についての助言を求められれば、どのような対応をいたしますか。
  61. 稲葉大和

    ○副大臣(稲葉大和君) 確かに今、谷先生指摘になられたような心配、不安というものはなかなか払拭しづらいものがあるかとは存じます。しかし、我々としましては、その基準値については、十分数値としてこれを下回っているものと、そう承知しておりますし、届出を必要とする限度以下のものである、こう申し上げて差し支えないかと思っております。したがって、今までの適正な管理下の下においてであれば、通常廃棄物の場合と同じような処理、処分が可能、こう考えております。  なお、自治体からの問い合わせ、あるいはこれからの更なる住民の皆さんに対しましての意識の確認あるいは知識の向上、こういうことについても適正な方法で各方面と検討をしながら更なる理解を深めてまいりたい、このように考えております。
  62. 谷博之

    ○谷博之君 答弁はそういうふうな形の答弁になるかと思いますが、しかし、ちょっと振り返っていただきたいんですが、先ほど私申し上げましたけれども、平成十二年の先ほど申し上げたモナザイトの事件に関して、当時の新聞記事などを拝見しておりますと、どうもその時点から文部科学省はこのモナザイトを利用した排ガス低減装置の車が走っていたということは何か知っていたような感じがいたします。  しかも、これは大量のモナザイト、先ほど不法に投棄されたという話しましたけれども、この平成十二年の事件で不法に投棄されたこの大量のモナザイトについては、原子炉等規制法上にこれは抵触する量なんですよね。こういうふうな量が実は一体どこに行っちゃったのかということだと思うんです。どうも半年間ぐらいは文部科学省がその不法投棄されたやつを集めてそしてこれを管理していたようでありますけれども、その後このモナザイトは一体どこへ行きましたですか。その後の話についてお答えいただきたい。
  63. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) お答え申します。  ちょっとその前に、先ほど私の答弁でトリウム規制値が九百ベクレルと、こう言ってございますが、ちょっと訂正させていただきまして、トリウム量が九百グラムを超えたということで訂正させていただきます。  ただいまの先生の御指摘でございますが、平成十二年にモナザイトの放置事件が起きたわけでございますが、その平成十二年の当時につきましては、文部科学省といたしましては今回問題になりました排ガス低減装置自体の存在は承知していないところでございます。  ただ、なお、同様の機能を有するものといたしまして、平成十二年の十月ごろに、核燃料物質使用届出の事業者、これは岐阜県の加藤顔料化学でございますが、これが自動車の燃費効率を高める触媒の生産を計画したということは承知してございます。これは使用届出におきましてありましたので、そういう計画があったということは承知してございます。  それから、先ほどの平成十二年に放置されたモナザイトはどこに持っていかれたのかという御指摘でございますが、当該モナザイトにつきましては、平成十四年七月七日に、文部科学省より原子炉等規制法に基づく核燃料物質届出事業者でございます愛知県瀬戸市の有限会社山口耐火に搬出されました。  なお、これらのモナザイトにつきましては、同社への搬入の前後に、現場が安全管理上問題ないことを当省職員が確認しているところでございます。  以上でございます。
  64. 谷博之

    ○谷博之君 いわゆるその業者にモナザイトが渡ったその先は分かりませんか。
  65. 小田公彦

    政府参考人小田公彦君) 以上、御説明ちょっと短絡でございましたが、ちょっと時系列に簡単に御説明させていただきますと、平成十三年の六月にモナザイトの所有者が原子炉等規制法に基づきまして山梨県塩山市で一括保管したわけでございますが、その年の七月十日に千葉県勝浦市に移動しようとしたところ、移転先で受入れを拒否され、搬入を断念し、緊急避難的な措置として、平成十三年の七月十一日に文部科学省における一時的な持込みを認めたわけでございます。さらにその後、平成十四年七月七日に、先ほど御説明しました文部科学省に一時保管されていましたこのモナザイト鉱石を瀬戸市の、愛知県瀬戸市の山口耐火に全量搬出したという次第でございます。
  66. 谷博之

    ○谷博之君 こういう事件は、大変その事件が起きたときには新聞報道されるわけですけれども、その先は、半年、一年たった先については、まあこれだけ目まぐるしい世の中ですから、報道機関も結局その後の追跡はなかなかすることが少ない。結果としてそういう、今の説明を聞いた範囲では問題がなかったというふうな答弁だと思いますけれども、我々としては、こういう事件やこういう記事を見るたびに、やっぱり速やかな対応というものが、やっぱりこれは国の機関がきっかりやらなきゃいけないというふうに思っておりまして、この点は、時間がありませんからこれ以上は突っ込みませんけれども、是非そういう視点からこういう事件を教訓にした対応をこれから進めていただきたいというふうに思っております。  それからもう一点、放射性廃棄物の埋設処分とリサイクルについての問題について若干聞いておきたいと思いますが、こういう放射性物質の、特に全国の産業廃棄物処分場に原子力発電所から出た放射性廃棄物、こういうふうなものが普通産業廃棄物として一緒に混入されるということについて、またそのものがリサイクルにされてしまうんじゃないか、これはもちろん一定基準以下のそういう廃棄物がですが、そういうことになったときに、それでもなおかつそこに働く、清掃業務に当たっている現場の行政職の職員の人たち、こういう方々は大変その業務そのものについて不安を感じておられます。これは自治労という組織がございますが、自治労のそういう現業職の職場の人たちもこの問題については非常に注目をされておられます。当然また一般の消費者についても同様だと思います。  したがって、こういうことについての、まあ来年か、いつになるか分かりませんけれども、次回の原子炉等の規制法の改正のときに、クリアランスレベルの導入のときに、こういう作業を行う労働者の皆さん方の意見とか、あるいはリサイクル製品を利用する消費者の皆さん方の意見をしっかり聞くということは大事なことだと思いますが、この点についてのお考えを聞きたいと思います。
  67. 片山正一郎

    政府参考人片山正一郎君) 御説明を申し上げます。  先生指摘のとおり、現在、クリアランス制度、これの規制の制度化、こういうものについて検討を進めているところでございます。クリアランスということにつきましては、既に御説明がありましたとおり、自然界放射線レベルと比較して十分に小さく、また人の健康に対するリスクが無視できるようなレベル、そういう場合に、こういう当該物質を放射性物質として扱う必要がないもの、こういうこととして放射線防護の体系から外すという概念であるわけであります。  原子力安全委員会において御検討をいただいたところでございますが、クリアランスレベルの算定に当たっては、自然界から年間被曝の線量の百分の一以下、こういうようなものを目安の線量として、原子炉施設から発生する金属やコンクリートなどの固体廃棄物、これを対象に再利用、そして廃棄物としての埋立て、こういうものに関する様々なシナリオについて放射性核種の濃度を計算をして、その結果のうち最小の濃度、こういうものをクリアランスレベルとしているところでございます。  このシナリオ、様々に検討したシナリオの中には、金属を処理して消費財として再利用する場合、あるいは埋立地で作業する作業員の方の被曝、こういうものについても十分考慮された上で評価をしているところでございます。この結果、健康への影響というものは十分低いというふうに評価をされているところでございます。  原子力安全・保安院といたしましては、今後、本格化する原子力施設の廃止に伴って発生する廃棄物の安全かつ合理的な処理、処分のために、現在、総合資源エネルギー調査原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会におきまして、原子力安全委員会の報告を十分踏まえ、技術的、制度的検討を行っているところでございます。  今後、この小委員会での審議を重ねた上で、パブリックコメントによってより広く様々な国民の皆様の御意見を聞きながら、これを踏まえて報告書を取りまとめていくと、そしてそれを基にクリアランスレベルの制度の法制化について検討をするということとしているところでございます。
  68. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 原子力安全委員会のクリアランスレベルの検討状況を御説明をさせていただきます。  近年、放射性廃棄物の埋設処分や原子炉廃止措置に関する計画実施が進んできておりまして、原子力安全委員会は、原子力利用に伴い発生する放射性廃棄物等の安全かつ合理的な処理、処分などの観点から、放射性物質として扱う必要がないレベル、いわゆるクリアランスレベルを制度化する際の基礎となる数値を示すことに取り組んできております。  具体的には、先ほど先生から御指摘もございましたが、国際原子力機関等が示すクリアランスレベルは、自然界放射線レベルと比較しても十分に小さく、また人の健康に対するリスクが無視できる水準のものとなることなどの考え方に基づきまして調査検討を行ってきております。また、施設によって廃棄物の量や放射性物質の種類が異なるという特徴を踏まえまして、発生源別に調査検討を進めておりまして、現在までに原子炉施設や一部の核燃料施設、使用施設から発生する廃棄物についてのクリアランスレベルの算出を行ってきております。  原子力安全委員会といたしましては、今後とも、RI施設など他の原子力施設のクリアランスレベルについて引き続き調査検討を進めてまいりたいと考えております。
  69. 谷博之

    ○谷博之君 重ねて、一点だけちょっとお伺いしたいと思いますが、膨大な量がこの廃棄物の処分場には入ってくるわけですけれども、そういう廃棄物放射線の測定を現場でするということになれば、これはもう大変な作業になると思います。もちろん、クリアランスレベルの話もありました。国際基準値の話もありました。いろんなそういう放射性物質についての、もちろん基準の問題も程度の問題もあると思いますが、こういうようなものをもしやるとすれば、膨大な時間とコストが掛かって余りにも、例えばそのものを再利用するにしても高価なリサイクル商品になってしまうということであります。  したがって、これは一つの考え方なんですけれども、単にそういう粗っぽい、現在、例えば抜取り検査をしようということで、そういう対応をするということではなくて、原子力発電所から出るあらゆる廃棄物は、一般の産業廃棄物に混ぜるのではなくて、特別の施設で埋設処理をするという、そのぐらいのことを考えてもいいんじゃないかと思うんですが、この点はどうお考えになっていますか。
  70. 片山正一郎

    政府参考人片山正一郎君) 御説明をいたします。  御指摘の点でございますが、まずクリアランスレベルでの、以下であるかどうかということについては原子力安全委員会で御議論をいただいたところでございますが、原子炉施設におけるクリアランスレベルの検認の在り方、こういう基本的な考え方が示されておるわけでございますが、これを踏まえてどのような形で原子力事業者がそれを計測するのか、そしてそれが関与していく、国がどう関与していくのか、このような技術的事項、そして規制等、国の関与の在り方、こういう方法について現在、先ほど申し上げました原子力安全・保安部会で審議をしているところでございます。  これによって、これらの結果を踏まえて、高い信頼性を有して、かつ合理的に運用できるクリアランスレベルの検認制度というものをまずきちっと構築をするということとしているところでございます。  また、クリアランスレベル、クリアランスそのものについてのお話は繰り返しませんが、先ほど申したとおり、再利用あるいは廃棄物としての埋立て、こういう様々なシナリオの中で最小の濃度をクリアランスレベルというふうにしているわけでございます。埋立地での作業員、あるいは埋立地での栽培された農作物の摂取、あるいは地下水に移行した井戸水の飲用、こういうものを十分考慮された上でクリアランスレベルが設定され、そして先ほど申したとおりきちっと検認がされていると、このような制度というものを考えているところでございます。  したがいまして、原子力施設からの廃棄物で、その放射性核種の濃度がクリアランスレベル以下であることが合理的そして信頼性のある検認制度によって確認されたものについては、一般の産業廃棄物と同様の扱いが可能であるということから、専用の廃棄物処分場を設ける必要はないというふうに考えているところでございます。  しかしながら、いずれにせよ、クリアランスの実施、こういうものに当たりましては、国民の理解、社会の十分な理解、こういうものが是非とも重要でございます。そのためにも、国としても、関係省庁連携を取って、正確な分かりやすい情報の提供等、こういうものに努めていくということとしたいというふうに考えておるところでございます。
  71. 谷博之

    ○谷博之君 だからこそ、やっぱりそのクリアランスレベルの基準値というものは大事だと思うんですよね。  要は、その基準値、数値を信じて一般廃棄物の処分場に廃棄物を処分をする、あるいはそれをまたリサイクルで再利用するということになってくるわけですから、我々は、そういう意味では、その一番前提となる基準というか柱、これがいかに大事かということを我々は非常に注目をしているわけで、その基準値というのは、単にIAEAの基準値ももちろんあるでしょう、WHOの基準値ももちろんあると思いますけれども、それらはやっぱり国内の、日本の国でその基準値というものを、国情に合った、国民の意見を聞いて作っていくというのが私は本来の姿であろうというふうに考えておりまして、この点は私の意見として申し上げておきたいと思います。  それから、時間があとわずかしかありません。簡単に残った質問をさせていただきますが、原子力の問題ということになれば当然、何度も申し上げますが、日本世界で唯一の被爆国でございまして、現在たくさんの原爆被爆者の方々が日本に、我々の周りにもたくさんおられます。これらの被爆者の人たちの声を若干お伝えをして、国の見解をお伺いをいたしたいと思いますが。  まず一つは原爆症の認定の問題ですけれども、申請については医師の意見書が必要というふうにされております。ところが、この医師の意見書といいましても、全国津々浦々の、地方にあっては専門のお医者さんというのは非常に少ないわけでありまして、ほとんどこの意見書を書いてもらうのに大変な御苦労をされているということであります。厚生労働省は、年に一回、広島に各県の代表の医師の方に集まっていただいて講習会を開いているということですけれども、私どもの地元の栃木県でもこの指定機関はたった三か所しかありません。そういう中で、高齢の被爆者にとっては最も身近な医療機関で意見書を書いてもらうということがなかなかできないということが意見として出されております。  したがって、これが十分でないというふうに、これが十分でないと原爆症の申請ができないというふうに認識をされておられるわけですけれども、この点について厚生労働省はどのように考えておられますか。
  72. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 被爆者への医療の給付、つまり治療でございますけれども、これは指定の医療機関に加えて一般の疾病医療機関でも実施しているところでございます。こうした医療機関の医師には、当然被爆と疾病に関します一定の知見はあるものと考えているところでございます。原爆症の認定申請時には、指定の医療機関に加えて、こうした一般の疾病医療機関を活用することによりまして被爆者の方々の利便に資することができるというふうに考えております。  しかし、確かにすべてのその一般の疾病医療機関のお医者様がある程度の専門的な知識が習得されているかどうかということについては多少の疑義があるところではございます。国としましては、先生今御指摘ございましたけれども、研究会を実施しておりまして、指定の医療機関以外の病院先生方にもこの参加を促す等によりまして、こういう取組への一層の推進に努めてまいりたいと思っております。
  73. 谷博之

    ○谷博之君 この認定申請の問題と、もう一つは、健康診断というものを行っておりますけれども、これは年一回、指定の医療機関で健康診断を受けるということですけれども、それ以外にも、年二回、保健所でもこの健康診断が実施されております。  ただ、この保健所の健康診断というのはほとんど血液検査程度の検査でございまして、一番被爆者の皆さん方はがんについてのやっぱり関心を持っておられますが、放射線障害を調べるための血液検査以外の検査方法、例えば、具体的には心電図とか前立腺肥大の検査、こういったものをもっと取り入れてほしいということが言われておりますが、この点についてもお伺いしたいと思います。
  74. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お答え申し上げます。  被爆者健診につきましては、原爆放射線による健康被害に係る健診ということでございますので、原爆放射線と疾病との間の因果関係の程度を考慮しまして、放射線を浴びることによりまして発生する蓋然性が高い疾病に係る検査項目をその対象項目としているところでございます。  これらの検査項目につきましては、こうした放射線と疾病との因果関係につきまして、新たな科学的な知見の蓄積あるいは研究成果等によりまして従来の考え方を変えるような状況が生じました場合には適宜見直しをしていくべきだというふうに考えておりまして、こうした観点から個々の検査項目の必要性を勘案し、今後とも適切に対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  75. 谷博之

    ○谷博之君 現場の声はいろいろ立場からお聞きしていると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、何とか医師の意見書を書いてもらっても、そして認定申請をしても、ほとんどがそれが却下されているという現状もございます。国は原因確率という考え方に基づいてそれを根拠にしているようですけれども、この半世紀を生き抜いてきたこういう原爆被爆者の皆さんが、特に最後にがんになった被爆者の方々からすれば、被爆時の爆心地からの距離とか残留放射線の問題など、原因確率に懸念を抱いておるわけでありまして、しかも多くの方々が高齢者となった今、是非原爆被爆者の生の声を、率直な声を十分に聞いて今後の国の施策に反映をし改善をしていただきたいと、このように強く要望しておきたいと思います。  それから、最後になりましたが、本法とは若干法案の中身は違いますけれども、廃棄物行政ということで一点だけ関連するという立場からお伺いさせていただきますが、学校で教育に利用されている生物の野外放逐の問題について若干お伺いしたいと思います。  廃棄物行政に関連して、学校教育の現場で活用した外来生物の処分方法ということでお伺いしたいと思いますが、現在、学校現場では、自然教育とか環境教育を目的に、飼育生物を用が済んだとして安易に野外に放逐をするということが起きております。例えば、九州のある小学校で、そこの学校のわきにホタルが生息していると。このホタルを姉妹校の関東の学校にこれを贈ってそちらでそのホタルを飼育する、こういうことはよくある話だと思うんですが、実際は現実に九州のホタルと関東のホタルは遺伝子が違うんです。これは川のアユなんかもそうですけれども、今、全国のアユのほとんど九割が琵琶湖のアユに統一されてきているという、こういうふうな実態もありますけれども、こういう安易に動物や昆虫の交流というものが果たしていわゆる交流教育、環境教育のすべてであるのかということの疑問点も今専門家の中で出ているわけです。  そういう中で、そのことと、あとはもう飼育しなくなったいわゆる動物を野外に放ってしまう、こういうことが非常に学校現場で起きているわけですけれども、私たちはこういうふうな野生生物を安易に野外に放逐する習慣をやっぱり正さなきゃいけないというふうに思うんですが、こういうことについての文科省の学校現場における指導はどうなっているか、どのようにしようとしているか、お答えいただきたいと思います。
  76. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 学校で動物を飼っております、確かに。自然あるいは生物を大事にする、命を大事にする、こういう観点からもこれは非常に意義のあるということだし、地域や学校の実情において動物を飼育する、あるいは植物栽培する、まあ学習指導にも役立たせているのが現状でございますが、今、谷先生指摘のような問題、これ安易にそういうことをやると地域の生態系を狂わせるとか、やっぱりそういうことを配慮をしなきゃいけない課題で、果たしてそこまで思いがいっているかということについては、今、先生指摘をいただきましたので、十分これ配慮しなきゃいけない問題だと思いますが、これまでは地域の獣医師の方の御協力をいただいて、そうした動物を飼う場合の教師用の手引も作っておりまして、去年四月に全国のすべての幼稚園、小学校それから盲・聾唖・養護学校ですか、そういったところにもこれを配布しておりまして、研究するようにいたしております。  さらに、環境省の告示の中にも家庭動物等の飼養それから保管に関する基準というのがございまして、動物が逃げ出すとか、あるいは放し飼いによって野生動物への圧迫の防止、これは飼う方の責任も学校で果たすようにしてもらいたいと、こういう説明をいただいておるところでございますが、今御指摘の点も踏まえながら、動物飼育が適切なものになるように更に注意をしてまいりたい、また教育委員会、学校を指導してまいりたい、このように思います。  ありがとうございました。
  77. 谷博之

    ○谷博之君 以上で終わります。
  78. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  79. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、草川昭三君が委員辞任され、その補欠として日笠勝之君が選任されました。     ─────────────
  80. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 休憩前に引き続き、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。  午前中も、有馬先生また谷先生、非常に有意義なもう質疑があったわけでございますが、改めまして今回の法律法律を改正するに至った理由、また現状につきまして、まず最初にお伺いしたいと思います。
  82. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 今回の法律改正の理由といいますか、これにつきましては、国際原子力機関、IAEA、それから世界保健機関、WHO、こういうところの国際機関が科学的見地に基づいて提唱してまいりました放射性同位元素規制下限値、この国際標準値を我が国においても導入しようということで、放射性同位元素規制を見直す、こういうことになったものでございます。そこで、また同時に、この際、放射性同位元素の利用の進展及び安全規制、これに関する実績等も踏まえながら安全規制をより合理化しようと、この目的のためでございます。  今回の改正におきましては、第一は国際標準値の導入、これに伴います規制対象となる放射性同位元素等の範囲の拡大があります。範囲の拡大を受けまして、数量及び濃度の小さい放射性同位元素を用いた機器に対する設計認証制度、あるいは販売業、賃貸業、そういうものの規制の合理化を行うと、これが第一点であります。  第二点は、安全性を更に向上させようということで、施設の定期検査に加えて、使用方法、安全管理等ございますが、そうした使用方法を定期的に確認をしていく、あるいは放射線取扱主任者、これに対する定期講習ですか、定期講習を義務化すると、こういう点がございます。  さらに、こうした二点に併せて、放射性廃棄物を埋設する場合の最終的な処分に関する規定も整備しようと、この改正を行おうとするものでございまして、これによって我が国放射線利用に対する安全規制も国際的な整合性が取れる、また最新の科学的知見によって合理的なものになっていく、このように考えておるところであります。
  83. 山本香苗

    山本香苗君 今おっしゃっていただきましたように、今回の改正によりまして合理的な、国際基準値の導入に伴う規制の合理化がなされるということで、一つには放射性物質が国際的に移動するのが円滑になるということも含まれるんだと思いますが、これからそうした中で販売業者等々が登録認証を申請する窓口機関というものはどこになるんでしょうか。また、登録認証機関が行う今回新たに導入されます設計認証業務、これは一体どのようになるものか、概要の御説明お願いいたします。
  84. 有本建男

    政府参考人有本建男君) お答えいたします。  設計認証を効率的に行うために、放射能レベルの小さな機器につきましては登録認証機関、こういう新たな機関によりまして認証を行うこととしてございます。  現在の場合は指定機関という制度でございまして、この機関としまして財団法人の原子力安全技術センターというものがあるわけでございますけれども、この機関も登録認証機関になるであろうということを想定をいたしてございます。それ以外に、一定の要件を満たします、技術的な要件あるいは意欲、こういった機関あるいは学会等からも申請があった場合には登録機関となることができるということでございます。  具体的にその認証の業務というものでございますけれども、数十種類の機器、具体的にはRI、放射性同位元素を使いまして水分の密度を測る、あるいはいろんな計器の構成をやる線源でありますとか、あるいは煙感知器、あるいはレーダーの受信部、こういった非常に多様な機器が対象になるわけでございます。こういったものの設計認証の申請が出てきて、これを処理するということが想定されるわけでございます。  登録認証機関と申しますのは、今申しましたように、設計認証のための審査を法令に従ってやるわけでございますけれども、その前に、具体的なその実施の方法というものにつきまして各登録を想定される機関から業務規程というものを申請していただきまして、それを国が認可するということを今御提案をしているところでございます。その際には料金もこの業務規程に入るものということでございます。  そういったことを踏まえまして、設計認証制度というものが公正に行われるように万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  85. 山本香苗

    山本香苗君 是非ともきちっと適正な業務実施ができるような体制を取り組んでいただきたいと思っているわけなんです。  次に、ちょっとお伺いしたいんですが、この法改正を行うことによって、今、半導体市場、非常にいい状況なわけなんですけれども、半導体を製造するための装置であるステッパーというものが今回の改正によって規制対象になるんじゃないかということを中小加工業者の方々が心配していらっしゃるそうなんですが、これは規制対象になるのかならないのか、それについて明確にお答えいただきたいと思います。
  86. 有本建男

    政府参考人有本建男君) お答えいたします。  半導体の製造におきましては、電磁波の波長が短いほどより微細な効果的な半導体を加工することができるという原理でございます。そのために、半導体製造に用います露光装置があるわけでございますけれども、この露光装置としては紫外線やレーザーというものが多く使われているわけでございますけれども、場合によりまして、エックス線あるいは電子線という電離放射線を用いる場合がございます。ただし、現在、実際に生産ラインで用いられておりますこの露光装置というものでエックス線電子線を用いておりますものはエネルギーが非常に小そうございまして、放射線障害防止法の規制対象外でございます。今回の改正におきましても、これに変更はございませんので、規制対象外ということでございます。
  87. 山本香苗

    山本香苗君 規制対象外ということを確認させていただきました。  次に、放射性同位元素のリース業の現状についてお伺いしたいと思います。  現在、何社あるのか、またどのような施設で業務を行っているか、その業務の実態についてどのように把握されていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  88. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 現行法では、放射性同位元素の賃貸業は許可制になってございます。現在、二社がこの許可を受けておりまして、ガスクロマトグラフィー、これは環境の有害物質などを測定する装置でございますけれども、こういったものの賃貸を行っているわけでございます。現行法の下では、これらの賃貸業者に、返却時等の放射性同位元素の保管のためにこの同位元素の貯蔵施設というものを確保するように求めているわけでございます。  一方、実態といたしましては、賃貸する装備機器自体は、賃貸の開始時及び終了時にメーカーとユーザーとの間で直接送付をされ返却されるということで、賃貸の事業者は通常はこういった貯蔵施設というものを使用していないという実態があるわけでございます。  今回の改正におきましては、こういった実態を踏まえまして、賃貸業の規制の在り方というものを見直しをすることとした次第でございます。
  89. 山本香苗

    山本香苗君 正に今、このリース業につきましては前回の法改正でできるようになったわけでありますけれども、二社しかないという現状がございまして、今回その実態に合わせて見直しをしていただくというわけでございますが、法改正によって実際リース業界におきましてはどういう影響が及ぼされるのか、今後の見通しにつきましてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  90. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 今お答えしましたように、このRIの賃貸業では、実際に貯蔵施設を使用しない、又は放射性同位元素に限らず賃貸業一般におきましても賃貸の対象物を直接取り扱わない、いわゆるファイナンスリースという形態が非常に多くなっているわけでございます。このような業容の変化というものがございますので、賃貸業を許可制から届出制に改めることとした次第でございます。賃貸業者が放射性同位元素を直接扱わない場合は届出のみで可能ということにしてございます。  それから、実際に放射性同位元素を直接取り扱う場合ということがあるわけでございますけれども、この場合には、賃貸業の届出に加えまして、別途使用の許可又は届出を要するということ、こういう制度にいたしまして、安全確保の水準というものは損なわないように配慮いたしてございます。  それから、今後のこの業容の見通しでございますけれども、社団法人でリース事業協会というところがございまして、ここで調査をいたしてございます。そうした場合に、医療分野におきましては、主要な放射線放射性同位元素の装備機器というものについては、年間販売台数の三〇%から五〇%程度が今後はリースになっていくだろうということでございまして、こういった賃貸によるマーケットというものは非常に広がっていくんではないかというふうに想定をいたしてございます。  そういう意味でも、安全性を損なわず賃貸業者の参入を容易にするという、両様相まって今回の法律の案になっているわけでございます。
  91. 山本香苗

    山本香苗君 今おっしゃっていただきましたように、取扱いの実態に即した合理的な規制になっていくということだと思われるわけなんですが、今回、いろいろ放射線利用というものは、今日午前中に有馬先生のお話にもありましたけれども、本当にいろんなところで利用されているということを今回勉強させていただいたわけでございますが、そうした中で、例えば非破壊検査業というものがございます。これは放射線の特性を利用した極めて重要な技術ではないかと考えているわけでございますが、そこで、我が国におけますこの非破壊検査業の現状、これはどのように認識されていらっしゃるのか、お伺いさせていただきます。
  92. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 御説明いたします。  非破壊検査、これは、実際に測定しようとしているものを壊さずに、その内部に傷あるいは劣化があると、こういった状況を測定をする、検査をするというものでございまして、放射線の透過作用を利用した放射線透過試験というものは非常に各方面で使われてございます。  具体的には、例えば飛行機のエンジンのひび割れなどをこの非破壊検査でチェックをいたしておりますし、化学プラントのいろんなタンクあるいはチューブといったものもこういった測定方法で健全性というものをチェックをいたしているところでございます。  それから、非破壊検査を行われております事業者の方々でございますけれども、これはまず放射線障害防止法の使用の許可等を要するということでございます。一方では、非破壊検査の特有なものとしまして、その装置を測定する機器の方に持っていきましてそれで測定をするわけでございますので、使用の場所の変更については許可を要さずに届出で足りるというふうにいたしているところでございます。  それから、この法律の対象事業所の中で非破壊検査の使用の目的をしております事業所としましては、現在のところ四十五か所、従事者の方々で約二千人というふうに把握をいたしてございます。これ以外に、放射線障害防止法の規制の対象にはなりませんけれども、エネルギーの低い装置を使った検査という事業者あるいは従事者の方々もかなりおられるんではないかというふうに見てございます。  以上でございます。
  93. 山本香苗

    山本香苗君 今、一つの特徴として、各地のプラントに持って移動するというのがこの非破壊検査業の一つの特徴であるわけなんです。ということで、こういう非破壊検査技術というのは非常に重要で有効なものだとは思うんですけれども、実際、その移動の使用に対していろいろ手続が要るわけです。そういった手続上のいろんな過度な負担がないような形にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  94. 稲葉大和

    ○副大臣(稲葉大和君) 正に先生が御指摘になられましたような事案につきまして、文科省としましても様々な検討をこれから加えようとしているところであります。  おっしゃられるように、放射線障害防止法においては、今まで変更の許可を要するとしていたものを、要さず、届出で足りると、このように要件を緩和しているわけであります。さらに、今後の課題としましては、この届出も不要とすべきでないか、こういう検討も加えようとしているところでありますし、さらに、その過渡的な状況の中で、届出を要するとしましても、その届出の中身についてもっと簡素化すべきである、このように考えて検討を加えているところであります。
  95. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  この非破壊検査というのは、一番初めにおっしゃっていただきましたように、物を壊さないでその内部の傷だとか表面の劣化だとかそういうものを調べ出す技術で、非常に重要だと。前から、作る、物を製造するだとか建設時に製品や構造物の品質管理の有効な一手法として用いられてきましたし、今後は、既存の古い建物につきましても、メンテ、保守管理において廃棄物を少なくして検査ができるというもので、非常に自然にも優しいというところもありますので、どうか安全性を確保した上で、今言った方向で、過度な負担、手続上の負担をなくしていくような形を早急に取っていただければと思っております。  今日は農水省の方にも来ていただいているわけなんですけれども、農林水産分野におけますこのRIによる放射線の利用につきましてお伺いさせていただきたいと思います。  世界各国で今、食品の殺傷、殺虫、発芽防止とかの目的で食品に対して放射線を使っていると。放射線を利用することは、例えば薬品を使う場合に比べますと薬品の残留が少ない、加熱処理に比べると品質が変わらないといったメリットもあります。安全性を確保した上で利用するのであれば非常に有効な方法であるとは思われますが、そこで、現在の我が国の農林水産分野におけます放射線の利用状況、これについてお伺いさせていただきます。
  96. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 農林水産分野におきます放射線の利用につきましては、長期保管しておりますバレイショにつきまして、これが春先に発芽する、この発芽を防止するために一か所の施設で利用されているところでございます。
  97. 山本香苗

    山本香苗君 今回、この法案の中にも三つ柱がありまして、一つは安全性の管理ということが書かれているわけでございますけれども、今回、この安全管理の強化ということにつきましては、農水省としては今度どのような対応をされていくのか、これについてお伺いします。
  98. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 今回の法改正によりまして、放射線照射施設の安全管理面に関する検査の間隔が短縮されることや放射線照射施設における放射線取扱主任者の定期講習が義務化されたことから、農林水産分野におきましても、放射線利用施設の安全管理面の取組の強化が必要になると考えております。  このため、農林水産省といたしましても、今後とも文部科学省と連携し、該当施設におきます安全管理が適切に行えるよう指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  99. 山本香苗

    山本香苗君 次に、今回の放射線取扱主任者の定期講習、これは安全管理のうちの一つの柱の中の義務付けになるわけでございますけれども、定期講習、具体的にどのように実施されるのかについてお伺いいたします。
  100. 有本建男

    政府参考人有本建男君) お答えいたします。  我が国に約五千ほどの放射線障害防止法の対象の事業所がございます。近年のその事業所の法令に基づきます事故とかトラブルというものを分析をいたしてみますと、施設のハード面というよりも、むしろそのソフト面、午前中も御議論がありましたけれども、作業現場でのいろんな放射線管理等々、こういったところが非常にずさんな面があるという一つの分析結果を出してございます。  そういう意味で、一つの対策としまして放射線取扱主任者の定期講習という制度を今御提出をいたしているところでございます。これは、従来、この取扱主任者は、一度試験を受けまして免状を取得されますと、もう基本的にはいろいろ講習あるいは勉強しなくてもいいというような制度的な枠組みでございましたけれども、やはり午前中から御議論がありますように、これだけ放射線の利用が拡大をしている、あるいは技術も発達をしている、あるいは事故の形態も少し変わっておるという中で、そこを確実に押さえていただくという意味で、非常に定期的に講習を受けていただくということが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。  この講習につきましては、登録講習機関が実施をすることにいたしてございまして、大体それぞれの事業所のレベルに応じて行おうと思ってございますけれども、二年ないし三年ぐらいを考えておるところでございます。この制度の導入によりまして、事業者の作業現場が安全性が向上するというふうに更に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  101. 山本香苗

    山本香苗君 午前中の質疑の中にもございましたけれども、形だけにならないような、実質的にきちんとそういったソフト面での強化が図られるようにしていただきたいと思うわけでございます。  また、先ほどの質疑の中にもございましたが、今回、廃棄物埋設処分の規定の整備が改正案に盛り込まれております。この埋設の前の段階、放射性同位元素廃棄物、これは年々増加してきていると伺っているわけでございますが、この処理、処分は現在きちんと責任を持って行われているのかどうか、その実態また現状についてお伺いいたします。
  102. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 放射性同位元素使用いたします場合の廃棄物でございますけれども、形態といたしましては様々ございますけれども、衣類あるいは手袋あるいは注射器、ビーカー、プラスチックのその容器と、こういったものがございまして、これがその放射性同位元素がわずかに付着をして廃棄物となるということでございます。  この廃棄物につきましては、全国の使用者の方々から、社団法人で日本アイソトープ協会というところがございますけれども、ここが放射線障害防止法の廃棄の業という許可を受けまして、一括的に廃棄物を収集をしているところでございます。  それ以外に、日本原子力研究所等のところからは廃棄物が出ておりまして、これはこれでその研究所で処理をされておるわけでございますけれども、その処理の仕方といたしましては、不燃物の一部はできるだけその容量を小さくしようということで圧縮をいたしてございます。それから、可燃物につきましては焼却をするということで、できるだけ容量を小さくした上で、大体通常ベースですと二百リットルのドラム缶に詰め込みまして、それで保管廃棄施設というふうに法律では申しておりますけれども、こういう安全なところに現在保管をしているところでございます。
  103. 山本香苗

    山本香苗君 今回の法改正、直接は関係しないわけでございますが、関連した質問を何点かさせていただきたいと思っております。  一つに、重粒子線によるがん治療というものが非常に注目を浴びているわけでございますが、これは今現在どのような形になっているんでしょうか、また今後どういうふうな形で進めていかれようとされていらっしゃるのか、お伺いします。
  104. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 炭素線に代表されますいわゆる重粒子線、これは線量を集中的に当てることができる、線量集中性に優れている、それががん細胞に殺傷力が高いということ、それから治療の際にも患者負担、非常に少ないということ、こうした利点がございまして、新しいがん治療法として大いに期待をされて注目されているところであります。  このために、独立行政法人放射線医学総合研究所、放医研と言っておりますが、そこは平成六年に世界初の重粒子線がん治療装置を開発いたしました。十年間で千七百四十名に対して臨床試験をやってきたところでございますが、これらの臨床試験を通じまして重粒子線がん治療の有効性、これが実証されておるところでございます。平成十五年十月に厚生労働大臣から高度先進医療としての認証を受けておりまして、現在までに既に五十六名の患者治療が行われておるところでございます。  一方、放医研では、この重粒子線がん治療の普及に向けて、治療用の加速器の小型化、低コスト化、これは大変大きい装置でありますが、これを小さくする、それからコストも三百を超えておりますが、これをもう三分の一ぐらいにできないかということで、今集中的にプロジェクトを作って研究開発に努めておりまして、これがもう今年度から始まっております。これによって装置の建設費が三分の一に圧縮される、治療費も低減すると、こういう方向で今これを開発を進めておりまして、今後とも治療実績を蓄積をしながら治療対象部位、それを更に拡大していく、あるいは治療の高度化を図りながら重粒子がん治療の普及のために研究開発を更に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  105. 山本香苗

    山本香苗君 従来の放射線がん治療よりも非常に優れている点があるわけでございまして、是非ともしっかり進めていただきたいと思うわけでございます。  最後にお伺いしたいんですが、現在、原子力界に起因する社会情勢変化及びいろんな大学教育の方向転換の影響を受けまして、原子力に関する教育研究を行っている多くの大学で、名前原子力科とか原子力工学科とかいう名前のところがほとんどないと、ないというふうに聞いているわけなんですけれども、国立大学法人において原子力を冠した学科を復活させることを含めまして、原子力人材の養成、これをどういうふうに国として考えていくのか、最後にお伺いいたします。
  106. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 日本におきまして、原子力研究開発、その利用を安全かつ的確に進めていく、これは正に優秀な人材が必要でございます。この優秀な人材を育成確保する、これは最も重要な課題であると考えておりまして、特に大学における研究教育、教育研究、これが中核になって進めていかなきゃならぬと、このように私、認識をしておるところでございます。  ただ、御指摘のように、原子力の名を冠した学科の数、あるいは卒業生が減少している、そして大学における研究炉が廃止される、こういうことが大学原子力に関する教育研究の基盤に関して懸念があるという指摘をいただいておるところでございまして、これをどういうふうにこれから払拭していくかという問題、あるわけでございます。  大学においても、この四月から原子力関係の専攻が設置されると、新たな取組が生まれてまいりました。これらの取組に対しまして、日本原子力研究所あるいは核燃料サイクル開発機構、これが教官を派遣すると、によって協力をするということを今進めておるところでございます。文部科学省といたしましても、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を統合して設置する今新法人が生まれようとしておりますが、ここに人材養成機能を充実させると、これによって大学への支援、協力を努めてまいりたいと思っておるところでございます。  確かにそういうふうになって名前が変わったりしておりますが、大学レベルではかなり進んだ今取組が行われておりまして、東京大学において原子力専門技術者の専門職大学院を作る、こういう動きも出てまいりましたし、また茨城大学あるいは福井大学等においても修士課程、博士課程、そういうところで正に原子力専門の専攻をやると。  今具体的に申し上げましたこういう動きも出ておりますので、これからも原子力人材の養成、更に力を入れてまいりたいと、このように考えているところであります。
  107. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  まず、この放射線障害防止法というのは、放射性同位元素等使用や汚染されたものの廃棄などを規制して放射線障害防止するための法律、こういうふうに考えていいと思います。この放射線防止法、放射線障害防止法の精神というのは、たとえ低レベル放射線であってもその被害に遭ってはならない、それを防止しなければいけないということだと思うわけですね。  午前中のお話にもありましたが、この日本は核兵器の最初の犠牲となった国であり、被爆者の方たち、三十数万人がいまだに苦しんでいらっしゃるわけです。被爆者の声を聞くべきではないかという質問も午前中ありました。私もそのとおりだと思いますが、しかし、なかなか被爆者の声は聞いてもらえない。自分の病気原爆と関係ある、被爆と関係あるのだということを認定してほしいというその訴えがなかなか届かないわけですね。  認定被爆者というのは今、全被爆者のうちの〇・七%にしかならないわけです。そういうことであれば是非裁判に訴えて自分たちの主張をきちんとさせたいということで今裁判に訴えている方がたくさんいるわけですが、その中で、三月の三十一日には、東京にお住まいの、長崎で被爆をした東数男さんという方が、東京地裁で、C型肝炎で原爆症だということを認定してほしいという訴えに対して、そのとおりだと、国がこれを却下したのは間違いだったという判決が下されたわけです。原爆放射線被曝がC型慢性肝炎の発症や進行を促進させた可能性を否定できない、はっきりうたったわけですね。  ところが、昨日十二日、国は高裁に控訴をいたしました。東数男さんは既に七十五歳です。ですから、これから高裁で争うということになりましたら、自分の命が尽きるか、それとも判決の方が早く出るか、正にそういう競争になってしまう、そういうような状況ではないかと思います。私は、ですから、こういう状況を考えましたら控訴を取り下げるべきですし、放射線の被害に遭ってはならない、障害をもたらしてはならないという今論議をしておりますこの法律の精神からいっても、被爆者には当然まず救助の手を差し伸べるべきだと思います。  厚生労働省は今日お呼びしておりませんのでこのことを直接申し上げることはできませんが、この放射線障害防止法という、そもそも被害に遭ってはならないというその法律を所管している文部科学大臣といたしましても是非そのことをはっきり御認識いただいて、閣議の中などでも是非御意見を言っていただきたいということを初めに要望しておきたいと思います。  そこで、この法律についての質問に入らせていただきます。  私は、今回の改正案には基本的には賛成ですが、しかし危惧される点がありますので、その点を質問いたします。  今回の改正案の一つの柱は、放射性廃棄物の埋設処分を実施できるようにしたことだと思います。現在、ドラム缶で二十二万本以上の廃棄物があるということですから、これは処分を進める方向で考えなければいけないだろうと思います。  しかし、それには国が厳格に審査をすることが必要だと思います。この法案にも技術上の基準に適合するようにということが何度も言われている、出てきているわけですが、この基準というのはどういうものか、まずお聞きしたいと思います。
  108. 有本建男

    政府参考人有本建男君) お答えいたします。  まず、放射性廃棄物の埋設処分というものは既に内外でも実績がございまして、技術的に安全に実施できるものというふうに認識をいたしてございます。これは原子力安全委員会でも意見を取りまとめておいでになりまして、今回の放射性同位元素の埋設処分というものについて技術的に処分が可能というふうに結論を付けておいでになるところでございます。  それで、御質問の件でございますけれども、まず、御提案、御提出いたしております法律第七条の廃棄物の埋設の許可の基準、この点でございます。  ここにつきましては、埋設地の自然条件、例えば地質あるいは降水量あるいは地下水と、こういった自然の環境が安全確保上支障がないということを確認するということが一つございます。  それから、施設、ハードの性能ということでいたしますと、透水性の大きくない土砂であること、あるいは地盤が安定していること、あるいは飛散防止の措置が講じられるような設計であることと、こういった放射性物質が漏出が問題がないということが非常に重要になるわけでございます。  それから、この放射性同位元素廃棄物は、一般的には三十年から五十年埋設をしその管理をするということを想定をされるわけでございますけれども、この管理期間の間、常に地下水でありますとか空間の放射線線量というものを確認をするということ、それから終了後に埋設地を管理せずとも埋設された廃棄物に起因する一般公衆の被曝線量というものが十分安全にあるという、こういったところを技術上の基準ということで整備をいたしたいというふうに思ってございます。  それから、お尋ねの第十九条の廃棄の基準でございます。ここにつきましては、埋設後に事業者が行う地下水の監視あるいは立入り制限、こういったものについてきちっと安全を担保するような技術上の基準を設けたいというふうに思ってございます。  いずれにしましても、その具体的な技術基準と申しますものは、省令の制定時に放射線審議会、ここでの御審議、これは公開の場で御審議いただくことになろうかと思っておりますけれども、それからパブリックコメント、こういったものをきっちり受け止めた上で詰めて検討したいというふうに思ってございます。
  109. 林紀子

    ○林紀子君 分かりました。また省令の段階で見せていただきたいと思います。  次に、処分の段階で埋設確認を受けなければならないというふうにありますが、この埋設確認というのはどういうことでしょうか。
  110. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 御質問の件は法案では十九条の二に当たるものというふうに考えてございます。  この確認でございます。この確認の基準ということで今考えてございますのは、埋設の都度に廃棄体の健全性、この健全性と申しますのは、放射能濃度がどれぐらいであるか、あるいは容器が、きっちり、さびが付いていないか、破損をしていないか、あるいは健全性が維持されているかどうか、こういったところを確認をする。さらに、埋設する廃棄物の総量というものが許可されたものになっているかどうかということ、こういった埋設を実際に行う場合にチェックをする要件として今考えているところでございます。  これも、先ほど申しましたように、放射線審議会等での御議論を踏まえて私ども省令を検討していきたいというふうに思ってございます。
  111. 林紀子

    ○林紀子君 省令が大変重要だというのが改めて分かりました。  今、全国各地で産業廃棄物の処分をめぐっていろいろな問題が起こっております。埋設処分を行うには今のような省令をきちんと決めて、それの基準、それから確認をするということは分かりましたけれども、しかし、処分場となる地元の自治体とか住民、その理解と合意というのはどうしても欠かせないと思います。  これは大臣にお伺いしたいんですけれども、地元の自治体とか住民に合意のないままこれを進めてしまうというようなことはありませんね。
  112. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 原子力施設の立地に当たりましては、地元立地地域の住民の皆さん方の理解、協力を得て進めていく、このことは非常に大事だと考えております。このことにつきましては、平成十二年の十一月に原子力委員会原子力研究、開発及び利用に関する長期計画、これにおいても示されておるところでございます。  こうした原子力施設、さらに放射線廃棄物の埋設処分施設の立地、こういう問題につきましては、埋設する廃棄物や埋設する処分施設に関する適切な情報公開にも努めたい、そして立地地域の住民と対話等を通じて、そして地元自治体や住民の御理解をいただいて進めてまいりたい、このように考えております。
  113. 林紀子

    ○林紀子君 住民それから地方自治体ときちんと合意、理解がなくて推し進めるなどということになりましたら、ますます混乱は後々ひどくなるといいますか、なかなかその理解が得られなくなるということがあると思いますので、その辺はきちんと、今、大臣がおっしゃったようなことで進めていただきたいと思います。  次に、これは副大臣にお聞きしたいと思いますが、埋設処分をしても一定期間の監視というのはどうしても必要だというふうに思うわけですね。そして、午前中のお話では半減期というのが二、三時間というような物質もあるということでしたが、三百年以上も掛かるというような核種もたくさん存在するということです。放射性物質の無力化とか除去、こういうことができるものなのかどうか、そういう研究が進んでいるのかどうか、こういうことができましたら随分この処分場の問題というのもひとつ解決をしていくことがあると思いますので、お聞きしたいと思います。
  114. 稲葉大和

    ○副大臣(稲葉大和君) まさしく林先生指摘のような案件について私たち研究を重ねているところであります。特に、高レベル放射性廃棄物に含まれる半減期の長い放射性物質を分離する、そしてこれを原子炉や加速器を用いて半減期を短くする、あるいは放射性でない安定的な物質に変換する技術、この研究をすることは大変大事なことだと思っております。  特に、放射性廃棄物の処理、処分の負担の軽減、あるいは含まれている物質を更に有効活用するようなそういった技術研究は我々が今後も続けていかなければならない大きな課題だと思っております。具体的には、今、日本原研、核燃料サイクル開発機構あるいは財団法人電力中央研究所、この三機関を中心としまして分離プロセスの研究あるいは核変換サイクルの研究等を進めているのが現状であります。  しかしながら、まだ、我が国の現在の既存の技術ではまだまだ解決できない困難な問題も存在しますし、今後とも、先生指摘のような案件の基礎的な研究開発を進めていくことが肝要だと考えておりますので、これからも先生の御支持を、御支援をよろしくお願いしとう存じます。
  115. 林紀子

    ○林紀子君 それから、私はここに今「放射能事件ファイル」という本を持っておりまして、野口邦和さんという先生が書かれていらっしゃるんですが、昔は、十数年前まで、ウラン入りの陶歯と言うんだと思うんですが、歯ですね、きれいに見せるためのそういう歯が作られていたり、それからニコチン・アルカロイド・コントロール・プレートという名前で、これをたばこのケースに入れておいたらニコチンが半減するよというような放射性物質を使ったものがあったり、それから冷蔵庫の解臭体であるとか、先ほど煙探知機のお話もありましたが、そういうところでこの放射性同位元素を使っているというところがあると思うんですが、なるべくならこういうものを使わなくても、ほかのものに代えて使うことができる場合はそういう代替物というのを利用していく方がいいのではないかというふうに思いますが、これも、副大臣、お答えいただきたいと思います。
  116. 稲葉大和

    ○副大臣(稲葉大和君) お考えとしては私もうなずけるところがあるんですが、ただ、現在のいろいろな技術を総合的に駆使するその場面において、特に放射線は微量なものを計測するのに適している、そういう特性もあるわけでありますし、同時に、我々は放射線障害防止法によって使われる放射線の線量あるいは数量等において厳格な安全規制を施しているわけであります。結局は、使う事業者がどのように考えておられるか、あるいはコストの問題、そういったことも含めまして我々としては最大限安全基準を遵守するような規制を掛けているわけであって、この使用につきましては事業者の判断あるいは考え方に依存すると申すしか今現在ないわけであります。
  117. 林紀子

    ○林紀子君 私が挙げましたのは、どうでもいいようなと言ったら申し訳ないんですけれども、どうしてもこの放射性同位元素などを使わなくてもいいようなところにまで使われているというようなものを挙げたわけで、どうしてもこれが必要だというところは仕方がないのかなというふうにも思っているわけです。  次に、この法律で対象となっている事業所というのは四千七百四十ある。これらの事業所に対して立入検査を行っていると思いますが、多くの国立大学もその対象となっていますね。国立大学の立入検査の結果はどうなっているか、お示しいただきたいと思います。
  118. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 国立大学法人でございますが、三百五十を超える事業所がこの法律の対象となってございます。国立大学法人は八十九でございますけれども、それぞれの事業所あるいは研究所も数えますので、かなりの数になってございます、三百五十でございますけれども、これらの大学におきまして、平成十年から十四年度までの間で法令によります事故として報告がなされておりますのは三件でございます。全体としては民間企業も含めまして二十三件でございますけれども、国立大学法人の場合には三件ということになってございます。  それから、私ども、国が直接立入検査をいたしている、年間トータルで三百数十件ぐらいやってございますけれども、その中で国立大学につきましても実施をいたしてございますけれども、その現場で、午前中から御議論がありますけれども、研究の現場でその従事者の方々の放射線の測定はやっているけれどもきちっと記帳をしていないとか、そういう軽微な不備はございます。それぞれにこちらの方からはしっかり対応するようにお願いをしているところでございますけれども、いずれにしましても、今のところ国立大学法人における同位元素の使用状況については特に大きな問題があるということではないというふうに考えてございますけれども、これは午前中からも御議論がありましたけれども、常にこういうものを扱う現場におけるモラルの維持というものが非常に大事だと思っております。  そういう意味では、私どもの今度の新しい法律にも、午前中から繰り返しておりますように、いろんな制度をもちまして実際に検査をかなりの頻度でやる、あるいは常に現場と緊張関係を維持するという仕組みを導入をいたしてございますので、国立大学におきましても、そういったところを適用し、安全確保ということを今後もしっかり対応してまいりたいというふうに考えてございます。
  119. 林紀子

    ○林紀子君 モラルはもちろん大事ですけれども、それと同時に、それにかかわるお金というのも大事なのではないかというふうに思います。  日本学術会議の、前回これはいろいろ論議をいたしましたが、大変有用な研究連絡委員会の報告があるというのをお示ししましたが、今回も三つの研究連絡委員会が昨年の三月に、「国立大学法人における放射性同位元素放射線発生装置核燃料物質などの管理について」と題する報告をまとめております。この中で、「法人化後には学内で予算配分を行うことになり、管理に必要な経費に関して、研究成果に直結しないという理由で、経費確保が困難になる可能性がある。」と言っているわけですね。  そうなると、管理が難しいということで廃止を含めた見直しをしていると、そんな国立大学があるのではないかということも心配になるわけですが、これはどんな状況でしょうか。
  120. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 先ほど来申しておりますように、放射性同位元素による障害の防止と安全確保ということは、研究の現場の教官の方々、あるいは学生、大学院生の方々にとってもなくてはならないことだというふうに考えております。  そういう意味で、国立大学法人、今後は予算としましては運営費交付金というものになるわけでございますけれども、その中から安全確保のための、細こうございますけれども、そのフィルムバッジでありますとか、それを記帳する経費、測定をする経費、こういったものは必ずや確保していただくということが私どもの希望でありますし、これは各大学の経営にとっても非常に重要になるのではないかというふうに思っております。  そういう意味で、それから、大事なのは、こういう放射性同位元素を用います研究というのは、最近では非常に、バイオの研究とか非常に最先端のフロンティアを切り開くものでありますので、こういった研究もやりながら安全は必ず確保するというところが大事なんではないかというふうに思ってございます。
  121. 林紀子

    ○林紀子君 大学の方にちゃんと運営費交付金の中でそれを確保しろという、希望ということをおっしゃったわけですが、それでは文部科学省の方がどうかということなんですが、大学における放射線管理核燃料物質管理、有害業務の安全管理に係る予算と人員や事故時の措置などを担当する文部科学省内の部署を充実させて、大学における学生の安全を確保する法令の整備を含めて、安全管理の面から研究環境の充実と職員及び学生の安全を図る必要がある、このために文部科学省における支援体制の充実が重要であるとこの研究連絡委員会の報告では書いているわけですが、文部科学省ではどのような支援体制を取っているのか、これは大臣に伺いたいと思います。
  122. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 御指摘のように、国立大学法人にこの施設内における放射線障害防止、責任を有しておるわけでございます。したがって、また大学院生、大学生、こういう学生さんは、法人化後においても放射線を扱う者については放射線業務従事者としての線量管理、教育訓練、健康診断、こういうものを適正にやらなきゃならぬと。こういうことで、その放射線障害防止法の規制を遵守しながら安全確保を図っていくことが求められておるわけでございますから、これの対応をきちっとやらなきゃいかぬ、こういうふうに考えておりまして、この安全、国立大学法人における放射性同位元素使用した研究にまず安全確保に万全を期していくと、これは当然のことでございます。  そのための必要性に応じた所要の経費、これを法人内できちっと確保していく、そして安全管理に万全を期していただく、これは各大学法人が対応してこれからいっていただけるものだと、こう期待をしておりまして、先ほど有本局長からも答弁申し上げたように、平成十六年度の国立大学法人等への運営交付金、この中に、放射性同位元素研究施設の安全管理に関する経費、それから放射線被曝量を測定するためのフィルムバッジに係る経費、これを適切に措置をいたしておるところでございまして、またこれからもそういうことでこれからの予算獲得についてはきちっと対応をしていくということでございますし、法人化、いよいよスタートしたわけでございますから、厳格な安全規制、これを行いながら、同時にその行うための予算措置を持っていくと、これがこれからの基本的な認識の上に立っておるところでございます。
  123. 林紀子

    ○林紀子君 今の大臣のお話の中で、そうしますと、運営費交付金の中にはこの安全管理というものも算定をして出しているんだよと。だけれども、これは地方に対する交付金と同じようなもので、使っても使わなくってもそれは大学の勝手といいますか、大学考え方に任されるということになってしまうんじゃないかと思うんですね。そこのところを文部科学省はどうするのか、それから、その支援体制ということを、文部科学省の支援体制ということを言っているわけですから、じゃ文部科学省として、運営費交付金だけをほいと上げるよというんじゃなくって、どういうような体制を文部科学省の中で充実をしていくのか、その二つの点をもう一度お聞きしたいと思います。
  124. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 私の方から事前に補足をいたしまして、後、お答えいただきたいと思いますけれども、まず、文部科学省、私どもの科学技術学術政策局、ここの安全規制を担当しておる部署がございます。ここは、このRI、原子力のいろんな研究炉、大学研究炉も含めて安全規制をやっておる部署でございまして、かなり大きな組織でそういう規制をやっておるわけでございます。  一方、今度の放射線障害防止法の改正につきましては、もう幾度となく企業の方々あるいは団体の方々あるいは市民の方々もお集まりいただいたシンポジウムを開きまして御説明をし、こういう規制になるということを何回もやっているわけでございまして、国立大学先生お尋ねの国立大学につきましても、法人化をしたということもございますので、こういった側面の重要性というのはますます今後重要になるわけでございますので、私どもといたしましては、そういった関係の方々にも十分、この制度改正のみならず、制度改正の背景にある考え方も含めて国立大学の方々にも周知をし、それからそれが研究の現場にも展開するような形で今後努力をしていきたいというふうに考えてございます。
  125. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 先ほど私もちょっと御答弁申し上げた中にございますが、この放射線の障害防止法、この規制はやっぱり遵守しなきゃいかぬ、これがあるわけでございます。  したがって、このためには安全確保ということが非常に重要になってまいりますから、確かに御指摘のように、運営交付金の中にやりますから、地方交付税のような、形の上ではそう取りますけれども、これはもう政策・規制官庁としての我々の責任がございますので、このことについては特に重視をしておりますし、今後の大学評価等々においてもこの点をきちっとされているかどうか、これは見ていかなきゃいけない課題であると、このように認識しております。
  126. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど大臣がおっしゃった、学生に対しても適切な法令をということをおっしゃっておりましたので、それも確認をいたしまして、私の質問を終わります。
  127. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 学生、大学院生、これもこの業務に、工学系の大学、そういうところ、部署については放射線業務従事者として指定を受けるわけでございますから、線量管理、教育訓練、健康診断、これを適正にやると、こういうことでございます。     ─────────────
  128. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大仁田厚君が委員辞任され、その補欠として松山政司君が選任されました。     ─────────────
  129. 山本正和

    山本正和君 この放射性障害防止法は、これは元々が昭和三十二年にできたというふうに聞いておりますが、実は、その一年前の昭和三十一年に、私は当時、高等学校の化学の教員をしていたものですから、放射性同位元素の扱いについてという文部省の講習を受けた。これが池袋にあった昔の東京高等師範、当時は教育大学だったですけれども、そこで約十日間の講習を受けまして、ところが、この法律ができる前ですから、扱い方についての法律がない段階ですから、処理についてはまちまちと言ったらおかしいですけれども、その場で指導教官の指導を受けながらやっておったんですね。何か知らぬけれども、鉛の容器に入れてみたり、まあちょっと扱い方に苦労をした覚えがあります。  そういう時代から今日までもう四十八年たったわけですから、いろんな変遷があっただろうと思います。しかし、今度はそれを、国際標準値を導入するという中でこの問題が検討されたと。したがって、大変いいことだというふうに私は思いますし、法案には賛成でございます。  ただ、心配なのは、我が国もこういう長い歴史の中でやってはきましたけれども、例えばアジア諸国は果たしてこの問題はどうなっているんだろうかと。また世界各国は、こういうふうな正に人類の未来にかかわるような問題についての共通認識といいましょうか、これはどうなっているのか。それから、世界各国はこの種の問題についてどういうふうな導入状況なのか。この辺についてまずお聞かせいただきたいと思います。
  130. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 今、山本先生質問の件でございますけれども、まず、各国における国際標準値の導入の状況でございます。これは、欧州におきましては、ほとんどの主要国、イギリスフランスドイツあるいはスウェーデン、スペイン等々、ほとんどの主要国が既に導入済みでございます。それから、アジアの諸国も、中国、韓国等で既に取り入れが済んでおるということでございます。  それから、先生の御質問のもう一つは、この放射性同位元素を用いました利用は、午前中、私、答弁申し上げましたけれども、非常に、医療のみならず農業等でも非常に広く利用されるものでございますので、開発途上国におきましても非常に関心が高いということでございまして、国際原子力機関、あるいは日本国内におきましても日本原子力研究所等で、開発途上国におけるそういう放射線の安全を確保しながらの利用というところでは、むしろまだ、実際の事業というよりも普及啓発といいましょうか、勉強という段階が多うございますけれども、そういう形で途上国にもこの分野の協力というものが広がりつつあるという状況でございます。
  131. 山本正和

    山本正和君 是非これは、我が国やあるいは先進国だけじゃなしに、正に全地球的な問題だと思いますから、これは日本国として国際社会でもいろいろな働き掛けをしていただきたいということをお願いしておきます。  そこで、法案をずっと読ませていただいたんですけれども、ちょっとだけ気に掛かるところがあったのでお尋ねをしたいんですが、いわゆる放射線取扱主任者の問題ですが、午前中に有馬先生から久しぶりに講義を聞かせていただきまして大変勉強になったんですけれども、有馬先生の御指摘のように、やっぱりサイエンス、科学の知識というものが、基礎知識というものが当然取扱主任者にも、基礎科学といいましょうか、それが必要なんだろうと思うんですけれども、ちょっと聞きますと、試験問題というのはいわゆる当面の扱いの部分が中心となって、それから受験資格についても特段の制限がないと。極端なことを言えば、物理や化学を勉強せぬ者でも受けられるというふうになっておるように思うんですがね。  そこで、特に私が心配するのは、医療世界ですね。お医者さんの世界にいきますと、これはずばり、扱い方を過ちますと人間の生命にかかわると、こういうようなことになりますから、だから、例えば医療機関における放射線取扱主任、これはどういう人がやっているのか、そしてまたどういうふうな基準でこれが定められているのか、この辺をちょっとお聞きしたいんですけれどもね。
  132. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 午前中から、先ほど来議論がありますように、放射線の利用の中では医療というものが非常に大事でございます。一方では、医療の現場における放射線被曝管理というところが非常に大事になるわけでございますけれども、御質問放射線取扱主任者、各々の病院や事業所においてこれを、失礼しました、放射線取扱主任者というものは、そういった病院、事業所において、同位元素の取扱いや管理の方法というものについて監督を行っていただくというために選任を各事業所、事業者にしていただくわけでございますので、非常に大事になるというふうに認識をいたしてございます。  医療機関における放射線取扱主任者は、診療の目的ということになりますと、取扱主任者の免状を持っていなくても医師の場合には選任ができるという特例がございます。これは昭和三十二年の制定以来ずっとこういう形で維持をしているわけでございます。  今、現状はこうなっているわけでございますけれども、これにつきまして、今度御提案、御提出をいたしております法案におきましては、医師を選任できるというところはそのままの規定でございますけれども、放射線取扱主任者につきましては、先ほども申しましたように、講習を必ず受けていただくということを義務化をしたわけでございまして、これは先生が御指摘の医師の方でも、やはり最新の放射線技術的な発展あるいは非常に利用が多様化しているというところは十分勉強されてないという場合があろうかと思いますので、これについてはきっちりそういう義務を課したということが一つございます。  それからもう一つは、これは先ほど来申し上げておりますけれども、放射線を扱います研究の現場あるいは医療の現場におきましても、安全管理面の強化というところで、放射線の測定をしたデータを必ず記帳する、あるいはどういう研究、教育訓練をやっているかということをきちっと記録に残していただく、それを我々が定期的に検査するという制度を導入したわけでございまして、そういう意味で、医療の現場における安全管理の充実というところは今回の制度改正というものでかなりの程度確保できているんではないかというふうに思ってございます。  それから、なお、ちょっと長くなりますけれども、お医者さんのこういった一種特例措置というものにつきましては、今度の改正というものをよく、この施策がどれぐらい効果があるかというのを見据えて、今後しっかり検討してまいりたいというふうに思ってございます。
  133. 山本正和

    山本正和君 例えば、それじゃほかの業種、例えば薬品会社ですね、これは薬剤師がやっておるわけですね。そうしたら、薬剤師もそうするとそういう主任の資格を取らなくてもいいわけですか。あるいは自動的になるのか。あるいは、もっと言えば、他の、大学で例えば取扱いをするという人は、これは専門の化学なら化学の先生がおるわけだから、そういう先生はそれでいいのか。だから、他の業種ではこの主任取扱者の扱いは、放射線同位元素を扱う職種でどうなっているんだろうか。医者だけがそういう特例なのか、他にあるのか、その辺をちょっと教えてください。
  134. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 現在、そういった特例になっておりますのは、医師とそれから医薬品等の製造をする場合の薬剤師という、この二つでございます。
  135. 山本正和

    山本正和君 そうすると、例えば大学研究所なんかにおいて取扱主任者はどうなるんですか。
  136. 有本建男

    政府参考人有本建男君) 大学研究所等におきましては、先ほど先生指摘ありましたけれども、放射線取扱主任者試験というものがございまして、これを受けていただき、それから所要の講習を受けていただいた上での免状交付ということになっておりまして、それから、ちょっと追加でございますけれども、この放射線取扱主任者の試験の科目でございますけれども、は、先生の御趣旨と少し外れるか分かりませんけれども、物理学あるいは化学、生物、これも基礎的な知識ということでかなり専門的な課題も出るということで、この主任者試験自身はかなり、どういうんでしょうか、難しい試験であるんではないかというふうに考えてございます。
  137. 山本正和

    山本正和君 これはこれからますます用途が大きくなってきて、産業全体に与える影響は非常に大きいと思うんですね。したがって、このものを扱う人は、例えば医者大学を出て更に合計六年ですか、ひっくくると。あるいは今度、薬剤師も六年制になるとか言っておりますよね。しかし、そうなったとしても、これ放射線を扱うについては、やっぱり主任の、取扱主任の資格を取るのは、平等にみんな試験受けて、平等にやっぱりそこはちゃんと取ってからやるべきだというふうな気は私はするんですがね、これは今から検討課題だと思うんだけれども。  しかし、本来、この放射性同位元素というものの扱い、これも私も実は化学を、授業を教えたときに、思い起こすんだけれども、同位元素というものをどうやって教えたらいいかというのを随分苦労したこともあるし、午前中の長岡先生原子模型の話でも、これ漫画みたいにかいて、どうやって教えていいか随分苦労してやった記憶があるんですけれどもね。そういう自然科学の基礎を持った者であっても、そういう例えば化学の専門家で教師であっても、やっぱり取扱主任者は堂々と試験を受けて資格を取る、それをするぐらい重要な問題だろうというふうに私は思うんですがね。  ですから、これは事務当局にお尋ねするよりも、政治的な課題ですから、ひとつ両大臣、どちらでも結構でございますが、将来課題としてどういうふうにお考えになっているか、この辺をひとつ承りたいと思います。
  138. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) 山本先生指摘のように、この特例を廃止すべきではないかと、そういう声のあることも承知をいたしております。  今回の改正においては、医療機関を含めて許可使用者、これは定期確認制度といいますか、これを設けることと、今回、定期的な講習を義務付けたということで、国民に対する安全感といいますか、そういうものを高めようということになって、放射線取扱主任者が資質が上がるようにという意図がここにありますが、今後の課題として、これら今回のこの改正によって一連の施策の効果というものを見ながら、将来の課題としてこれは研究しなきゃいけないものだと、このように認識をいたしております。
  139. 山本正和

    山本正和君 是非ひとつ、大変これは、こうなってはおかしいんですけれども、遺伝子に影響を与える、染色体に影響を与えるような大変な問題ですから、お医者さんの特権とか既得権とかいうふうなおかしな領域を外れてやっていただくように、今後文部省内でもお取り組み願いたい。  それから、あわせて、私思うのは、どうも自然科学分野が弱いような気がしてなりませんがね、今の教育全般の中でね。それが、自然科学の教育分野についてのこの問題もきっかけに、ひとつまた省内、文科省内で十分お取り組みをしていただきますよう要望いたしまして、私の質問、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  140. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、鈴木寛君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木寛君。
  142. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 私は、ただいま可決されました放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、放射性同位元素等は社会で幅広く使用されていることにかんがみ、放射線業務従事者及び一般公衆の放射線障害防止には万全を期すること。  二、医療分野における放射性同位元素等に係る二重規制については、関係府省は相互に連携を取りつつ、過剰照射対策など安全の確保を大前提に、その改善に取り組むこと。  三、放射性同位元素に係る国際標準値の導入に伴い、これまで規制対象外であった機器等が新たに規制対象となることにかんがみ、事業者等が本法の内容を適確に理解できるよう、分かりやすい形で広く周知すること。  四、放射性同位元素及び放射性同位元素装備機器等に係る事故、回収等に関する事業者の国への報告及び記録の作成・保存については、遺漏のないよう万全を期するとともに、報告された内容について、国は安全上の影響度等を公平・適切に評価し、安全確保の観点からその周知に努めること。  五、登録認証機関等に対しては、業務の実施状況及び財務の状況について定期的に総点検を行うなど、適正な業務実施が確保されるよう万全の措置をとること。  六、最終処分事業については、高い公益性を有しかつ埋設施設の管理等が長期的に実施されることにかんがみ、同事業が将来にわたり安全かつ確実に実施されるよう、事業の許可や事業開始後の安全確認には万全を期するとともに、情報提供を積極的に行うなど、立地地域との信頼関係の確立に努めること。  七、今後の廃棄物処理処分技術の更なる向上のために、処理処分方法に関する研究開発を積極的に進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  143. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 全会一致と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、河村文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河村文部科学大臣
  145. 河村建夫

    ○国務大臣(河村建夫君) ただいまの御決議につきましては、この御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと、このように考えます。
  146. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会