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2004-06-03 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月三日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      段本 幸男君     松谷蒼一郎君      千葉 国男君     弘友 和夫君  六月二日     辞任         補欠選任      松谷蒼一郎君     段本 幸男君      弘友 和夫君     千葉 国男君      市田 忠義君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 簗瀬  進君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨二日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事段本幸男君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会法務省刑事局長樋渡利秋君、農林水産省生産局長白須敏朗君及び農林水産省経営局長川村秀三郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  本日は、小川理事と二人で、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対して質問をさせていただきます。  歴史を振り返ってみれば、昭和二十二年、農業協同組合制度を創設し、以来、農協は五十年以上にわたり組合員である農家相互扶助組織として、営農と生活にかかわる各種サービスを総合的に提供し、農業生産力の増進及び農業者の経済的、社会的地位の向上に大きな役割を果たしてきたと言えると思います。  昭和二十四年、ピーク時には一万三千、そして専門農協を含めると三万三千を超えていたようであります。  昭和二十九年、農業協同組合中央会制度を創設、組合による指導教育事業を整理し、組合指導中央会一元化ということでございます。国は中央会事業費の一部を補助できることとなったようであります。  近年、平成十三年には、中央会機能強化ということで、中央会による模範定款例の作成を可能にし、また監査対象拡大も行った、指導業務強化もそこで行ったようであります。  平成十五年三月には、農協のあり方についての研究会ということで研究会報告が出されております。それを受けて、同十五年の十月には、第二十三回のJA全国大会で、「「農」と「共生」の世紀づくりをめざして」、JA改革断行ということで決議をされております。自主改革をここで訴えているわけですね。毎年、JA全国大会自主改革を訴えられてきているわけですけれども、農協は、農業者自主的組織として位置付けられている以上、その組織事業改革は自主的に達成されることが本来望ましい姿であると考えます。  るる述べてきたわけですけれども、現行法下でも全中農協に対して多くの指導権限を持っていると考えます。今回の法改正はそもそも本当に必要なのか、亀井大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  9. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘がございましたが、歴史的にも農協が、それぞれ組合員あるいは農家の、農業者相互扶助、さらには経済活動等々のいろいろの面についてそれなりの活動をしてまいりましたが、一方、時代が大きく変わってきております。  そういう中で、現行の法の中でも、全国中央会あるいは都道府県中央会、これがそれぞれ組合員指導監査を行う、こういうことができるわけでありますが、近年やはり、生産資材コストの引下げなど購買事業のやはり適正化効率化、これが求められるわけでありますし、さらには経済事業につきましてのコンプライアンスの問題、あるいはまた販売事業につきましてもやはり直接販売拡大など、この経済事業改革に係る要請が高まってきておるわけでありまして、こうした要請にこたえていくために中央会指導全国歩調を合わせて効率的に行う必要があるんではなかろうかと。  またさらには、先ほども御指摘の昨年のJA全国大会、そういう中でも決議がされたわけでありまして、そういう面も支援をする、そういうような観点から、農協が、組合員はもとより消費者からも信頼され、選択してもらえるようなそういう組織へ脱皮するということが必要ではなかろうかと。そのためには、農協指導を担う全国中央会リーダーシップ発揮を促す、こういうことが最も効果的なことではなかろうかと、このように考え、今回の改正と。  それは、全国中央会リーダーシップ発揮を期待するとともに、指導事業基本方針策定やあるいは監査一元化、こういう制度面におきましての支援をしていこうと、こういうことでの法改正をお願いをしておるところであります。
  10. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 もう既に中央会一元化というのは二十九年に改正で行われているわけですし、近年ということであれば、十三年に改正されて、ますますそういうことが充実してきているのにもかかわらず今回の法改正ということになっているわけで、法律の問題ではなくて中央会自身の問題が大きいのではないかと、監査指導機能は既に法的には担保されているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  11. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 中央会機能は、ただいま大臣の方からも御答弁いたしましたとおり、現行法においても指導なり監査、こういうことの規定は置いてございます。ただ、いろんな情勢の変化の中でよりこれを効果的にやっていくという必要もありまして、今回、その指導事業に係ります基本方針、こういうものを全国中央会策定するということを明示したわけでございます。  これによりまして、中央会が、各県の中央会相互間の連携、こういったものも図れますし、今必要とされている改革も、その個々の各都道府県のみならずやはり系統全体として効果を上げていかなくちゃいけないような事柄というものも多くなっておりますので、そういうことをより明確に規定をしたということが今回の趣旨でございます。  そして、ただ、委員が御指摘のとおり、これは基本的にはやはり中央会自らが農協系統に寄せられております様々な指摘や意見、こういうものを真摯に受け止めまして、組合の健全な発展を図るという中央会の原点、そういうところに立ち返りまして指導機能を十分に果たすことが、そこが一番肝要であろうというふうに思っております。
  12. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、現在の中央会指導権限ではJA改革が進まないと考えているんですか。
  13. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 信用事業等につきましてはこれまで一定の成果を上げてきたと思っております。ただ、経済事業につきましては非常にまだ遅れがあるということで、やはりここの部分のてこ入れが必要であるということでございます。昨年十月の農協大会におきましてもこの経済改革重点を置いた決議がなされておりますので、それを支援するという意味合いがあるわけでございます。
  14. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、なぜ現在の中央会指導が貫徹しないのか、その要因はどこにあるのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  15. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) これまでの指導はその都度行われてきたわけでございますが、やはりこれを体系的に行うということ、それから財務の目標にしろ事業目標にしろ、例えば数値目標を定めるとか、あるいは進行管理をきちんとすると、そういったマネジメントのあるいはガバナンスの面で非常に足らないところがあったのではないかということでございまして、この基本方針を定めることによりましてそういう点をより明確にして、より強力に中央会指導を実行していただくと、こういう趣旨でございます。
  16. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 確かに機能発揮できずに経営破綻不祥事が続発していると、こういうのが現状であると私も感じている次第であります。  直近では、岡山県の大原町ですか、農協組合長による農協私物化とか、また群馬県のわたらせ農協合併時に旧農協不良債権を持ち込んだと、こういうようなこと、本来であれば指導監査が行われている中でも、そういう形で機能発揮できずにいるというのが現状であるということを感じている次第であります。中央会指導を行ってもまるっきり無視して、結局破綻していくケースもあるということを聞いております。  これまでの全中による改革は、農協合併連合会統合を柱とする組織改革だったと思います。しかし、農協合併が進み、現在ピーク時から比べれば大変少なくなって、九百四農協ですか、五月にはそういう形になっていると思いますけれども、それにもかかわらず、合併の進歩に反比例して経営が悪化しているということ、これはなぜかということをお聞かせ願えればと思います。お考えをお聞かせください。
  17. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協合併の進展は、今、委員の御質問の中で御指摘があったとおりでございまして、かなり進んでございます。そして、収支の方もちょっとここのところ悪化をしていたという状況がございます。  その原因でございますけれども、これは信用事業関係利益が減少したということ、それからまた経済事業につきましても赤字が増加したと、これはここ数年農産物価格等低迷等もございまして、そういうことが反映されているということと思います。  ただ、十四年度の実績で見ますと、前年度に比べますと事業利益なり経常利益ともに増加しているということで、赤字農協が減少するという好転の兆しも見えておりますので、今回、系統自らが経済事業改革を断行するということを言っておりますので、そういった改革を通じてより健全な経営が確立されるように我々としても強く期待をしているところでございます。
  18. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 総体事業取扱高は四兆七千億ということで、ピーク時の七〇%に落ち込んでいるというのが実情でありますし、全中でも数年で事業利益段階収支がマイナスになる公算が高くなっているということが大会発言がされていると、こういうようなこともあるということでございます。これまでの改革方針とその指導に関する総括が、まずやはり必要なんではないかと考えております。中央会指導に対する総括、分析、反省、あるいは中央会組織そのものの大胆な見直しがなければ、今回の法改正によって全中指導権限強化を図っても有名無実化してしまうと考えます。  今回の改革の主眼は経済事業改革とされておりますけれども、全中経済事業改革を推進する権限を付与するという理解でよろしいんでしょうか。
  19. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の改正によりまして、全国中央会指導事業に関します基本方針策定、公表するということにしております。これによりまして、これまで四十七都道府県中央会によってそれぞれ行われてきました農協指導業務が一層効率的に行われるということでございます。  これは、先ほども御答弁いたしましたとおり、組合員を始め各方面から高まっている経済事業適正化効率化要請、こういうものがございますので、四十七都道府県中央会が共通の課題認識の下に、地域実情をよく踏まえて効果的な組織指導が行われるようにしようというものでございます。そういう意味で、今回の措置は経済事業改革を始めとします農協指導事業につきまして、全国中央会がより効率的かつ効果的に実施できるように基本方針策定明定をいたしまして、制度面でも支援をしようというものでございます。  この中央会全国中央会リーダーシップの下に農協系統が一体となって取り組んでいただきたいと、こういうことで実効を上げていただきたいということを期待しているところでございます。
  20. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 集中していくという中で、自主的な協同組織である農協組織行政農水省がコントロール、規制するものになるのではないかという懸念もありますが、そんなことはないですね。
  21. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正にこの全国中央会が作ります基本方針は、自主的に作っていただくやつでございますし、また、作るに当たりましても、その組織内での討議、これを十分に積み上げていただいて決定をするものということでございますので、私ども行政が基本的には口を差し挟むような性格のものではないというふうに思っております。
  22. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、全中組合員とその家族に対して実施したJA在り方アンケート調査報告を少し紹介させていただくと、農協の運営に満足している人の割合は二三・一%であるのに対して、不満であるという方が四一・二%、何とも言えないという方は三五・七%となっており、特に不満理由、この大きなものとしては、商品サービス価格が高いと、あと組合員の意向が反映されていない、利益の上がる事業重点に置き過ぎるという、いずれもこれが四〇%以上も超えているというのが、そういう結果が出ております。  経済事業改革、中でも生産資材価格を抑えることが最も重要だと考えますけれども、まず、どのように認識しているか、お聞かせ願います。
  23. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今の御質問の中で御紹介のありましたアンケート、正にこういった組合員の方々の声、これが今回の経済事業改革の正に背景というふうに我々もとらえております。  特に、この経済事業改革に早急に取り組むと、中でもその生産資材価格、これの低減が、昨今農産物価格低迷をしておりますので、経営合理化、こういうものを、あるいは発展を図る上で非常に重要であるというふうに認識をしております。これまでももちろん、系統、取り組んできたわけでございますが、必ずしも農家組合員の要望に十分こたえてはいなかったということの反省の下に今回の改革に取り組むということでございます。
  24. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 農協系統生産資材が高い理由に、全農販売価格が高いんじゃないかと。中には、隣のホームセンター販売価格よりも高い卸価格があるというのが例としてございます。こういうことを認識をされておりますか。
  25. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ホームセンター等価格との比較においてかなり高いものがあるんではないかという御質問でございます。  この件につきましては、全農自身も、もちろん全数調査ではございませんで、サンプル的な調査をしておりますが、やはりその調査の中でもホームセンター定番商品の方が価格的にも競争力があるといったような事例が、その地域によって大分差があるようでございますが、出ております。正にこういうことをどう対応していくかということで今回の農協大会の中でもいろいろ柱が立てられておりまして、一つ競合店に対抗できる弾力的な価格の設定ということ。これが正に競合店、これはホームセンター等を念頭に置いての一つの柱でございますし、また大規模農家あるいは法人への大口割引価格を設定すると。あるいは、その地域実態に応じまして仕入れも弾力的に行う。また、農協の区域を越えまして、配送拠点なり、その拠点をより広域化することによりまして物流合理化を図ると、こういったものを今申し上げました四つの柱を立てまして取り組むということを決議されているところでございます。
  26. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 全農は自らの子会社を通して海外から資材輸入したり、また子会社で運送を独占したり、また子会社で加工していると、このようなことが高コスト体質をもたらす要因になっているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  27. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、全農販売ルートといいますか、仕入れも含めましての御指摘でございます。  正に子会社を通じての輸入あるいは輸送あるいは加工と、こういった実態がございます。農協子会社は、しかし本来は農協事業を補完する目的で設立されるものでございまして、その高度な専門知識を要する事業とか、あるいは勤務体系なり人事管理上、農協になじまないような事業を中心に設立されているのが本来の姿でございます。ただ、この実態を見ますと、経済連との統合によりましてかなり旧経済連子会社を引き継ぐということで、子会社の数が非常に多くなっております。それから、重複もかなり見られます。例えば、購買関係でございますと四十社、販売関係で九十七社、物流関係二十一社といったように同種の事業をやっているという子会社が多数存在をいたしますし、また赤字の会社も存在するということがやはり御指摘の高コスト体質要因になっているということも一因ではないかというのは当然考えられるところでございます。  ただ、全農におきましては、そういうことを十分踏まえた上で、この子会社につきましても十七年度末を目標半数程度整理再編をするといったこともしておりますし、また子会社事業目的にかんがみまして連結決算を導入する等、透明性にも努めると、こういうことで今取り組んでおるところでございますので、我々もその実効が上がるように十分指導、監督をしていきたいというふうに思っております。
  28. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、全農関係が近年起こしてきた事件について幾つかの例を挙げてお答えいただければと思います。
  29. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全農とその子会社が、御指摘のとおり、これまで度重なる不祥事を引き起こしておりまして、五度にわたりまして農協法に基づく業務改善命令を受けているという実態がございます。  その事件は、まずは一つは、子会社が独自に調達した千切り大根、これを宮崎県経済連の名称を表示した袋に詰めて販売した事案というのが一つございます。また、子会社が注文の激増に対しまして欠品を避けるためという目的輸入鶏肉国産と偽装した事案もございました。それから三番目には、産地を限定して表示した茶製品、お茶でございますが、これに他県産を混入していた事案、四点目といたしましては、表示と異なる産地のタマネギを販売、そしてまた子会社表示産地と異なる産地米を混入した事案、また最近では、子会社精米に異品種を混入し、更に精米日表示精米年月日が乖離した事案、この五件がございまして、これについて農林省としまして先ほど申し上げましたとおり業務改善命令を掛けたということでございます。
  30. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 この最近の、今出ているやつですかね、このアエラに載っている、鹿児島産の黒豚カナダ産であるというような題が付いて、二ページにわたって、三ページですか、にわたって全農子会社一つ株式会社組合貿易、これがカナダから輸入したものを鹿児島へ持っていってと、そして鹿児島産として高い値で売るというような話が出てまいりました。  このことについて、農水省としては今どのような形で調査をし検証しているのかお答えをいただければと思います。
  31. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいまの御質問のございました記事については承知をしてございます。  そして、この記事に出てまいります株式会社組合貿易、これは全農子会社でございますが、本件に関しまして全農はその会員に対しまして通知を、文書を出しております。その三点、要点がございます。  一つは、平成十五年七月にこの組合貿易から輸入豚肉に関し、国産への偽装が確認できないというような報告を受けているということが一点。それから組合貿易とともに週刊誌発行元である新聞社に対しまして抗議を申し入れたということ、それから三点目といたしまして、組合貿易の行っている輸入業務につきましては徹底した点検を行いまして今後の対応を検討するということを内容とする文書を発出したということを承知しております。  農林水産省としましては、今申し上げましたその全農が行います組合貿易業務に関する点検の結果、これを待っているところでございます。ただ、現時点で言えますのは、この組合貿易輸入した黒豚疑惑を招くということ自体が同社の食肉事業管理体制に何らかの不備があったんではないかというふうに思っているところでございます。  いずれにしましても、この全農に対します子会社コンプライアンス強化する旨の業務改善命令を発しておりますので、引き続き子会社を含めた全農コンプライアンスにつきましてこの業務改善状況、これを厳しく監視をしていきたいというふうに思っております。
  32. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 まあ近年起こした事件、そしてまた今回新たに疑惑がこういうような形で出てきているという中で、これは違うよといってもなかなか、はい、そうですかと言うわけにはいかないわけですし、しっかりと監視をし、そして調査をすることを望みますし、これからも注視をしていきたいと考えております。  とにかくこういう形で消費者をだまして、まじめに農業を行っている者に泥を塗っていると。隠ぺい体質がなかなか直ったとは言えないような、こんなような中で、数々の不祥事を起こしている全農全国本部が結局改革の主体となり得ると考えているのか、是非お答えをいただきたいと思います。
  33. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 先ほど来御説明をいたしましたとおり、全農に対しまして業務改善命令を出さざるを得ない事態、これが相次いでいるということは非常に遺憾でございます。ただ、この生産資材価格の、先ほど来重要と申し上げました生産資材価格の引下げ、あるいは全農農協の補完に徹するというこの全農改革が進まないと経済事業改革実効、効果が上がらないということが実態だと思っております。  この昨年の研究会、この農協のあり方についての研究会報告においても、全農改革が正にこの農協改革の試金石であるとの指摘も受けております。こういうことから、この相次ぐ不祥事全農におかれては重く受け止めまして、全国本部、県本部、それから子会社、正にこれが一丸となって全農改革に取り組むことが必要であると思っております。  農林水産省としましては、全農より、この改善が確認できるまで四半期ごとに報告を受ける、定期的に報告を受けるということになっておりまして、その取組については今後とも厳しく監視なり指導をしていきたいというふうに思っております。
  34. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今回の法改正というのは、全中権限を集中させて、そして指導強化をして、そして共通認識を持ってやっていくというのが主眼で、特に経済事業というものをどうやって推進していくかというのが中心になってくるわけですけれども、この全中内に設置されている経済事業改革中央本部、この中、スタッフが十五名いるようでありますけれども、そのうちの十名が全農全国本部からの出向者であるということなんですね。こういう形で、全農のいろんな不祥事が、起こしたり、隠ぺい体質があると。そういう中で、十五名のうち十名がその全農の全国本部から出向者であるという、このこと。  そして、結局、こういうことだと、つまり法改正全中経済事業改革を推進する権限を付与しても、その目標策定する改革中央本部が全農全国本部の隠れみのになってしまっている限り、全農全国本部改革は達成できずに、逆に自らの生き残り策となる心配が残ると私は指摘をさせていただきたいと思います。  全国一律的な指導は先進的な取組を行っている農協の足かせになるんではないかと、こういう心配もあるわけですけれども、御認識をお伺いをさせていただきたいと思います。
  35. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回、全国中央会基本方針を定めるということにいたしましたのは、正に系統挙げて取り組まないと実効が上がらないような項目という共通目標があるわけでございます。一つは、資材の問題、これもやはり全国的な取組、もちろん個々の中央会、あるいは地域での取組も不可欠でございますが、やはり全国的な展開がないと競争にも勝てませんし、実効が上がらないということでございます。  それからまた、昨今非常に課題となっております食の安全、安心、こういうものは、一つJAの言わば不祥事系統全体の不信感といいますか信頼を損なうことになってしまうといったようなこともございますので、やはり全国のJAが正に歩調をそろえてやるべき共通目標、こういうものも多々あるわけでございます。  そういう意味で、今回はそういった共通目標にかかわるもの、あるいは進行管理にかかわるものをこの全国中央会基本方針の中に盛り込んでもらって実効を上げていくということでございます。もちろん、各県の独自性なり創意工夫、そういうものは十分生かしてもらわなくちゃいけませんので、その全国中央会が作ります基本方針、これを基に、それぞれの地域の特色を生かした形で県の中央会がまた県版の基本方針策定するといったような形も十分あり得ると思っておりますし、そういう形でそれぞれの地域の独自性なり創意工夫、そういうものを反映したような取組がなされるように期待していますし、またそういう指導もしてまいりたいと思っています。
  36. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非、やはり地域の独自性や創意工夫というものを大切にしながら、より良いものは全国に広げていくというような形で行っていただきたいなと。  全中が共通の目標基本方針として策定することになるわけですけれども、これが最低水準の目標なのか、どのようなものを求めていくのか、お伺いをさせてください。
  37. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この基本方針は、先ほど申し上げましたとおり、共通の目標、あるいは進行管理というものでございます。この事業目標につきましても、例えばJAブランドの確立のために直販所の設置や生産履歴、つまりトレーサビリティーにしっかり取り組むとか、あるいはJAグループを通じた実需者への直接販売拡大する、それから、生産資材価格を引下げを行うと、こういった項目から事業目標が成っております。  また、財務目標にしても、例えば経済事業の部門損益を三年以内に収支均衡するんだと、こういった内容のものが想定をしておりますけれども、そういう意味で、全国共通の一応スタンダードとなるような目標というふうに思っております。
  38. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 共通の目標を達成するのに現行法規定されている全中権限機能で何が不十分なのか、議論してもよく分からないんですよね。  最初の質問に戻ってしまうような形になりますけれども、何が不十分なのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  39. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 法令上の規定としましては、もちろん指導権限、あるいは監査権限というものが中央会にございます。そういうことをより明確に、例えば基本方針策定するんだというようなことを法律上明確に規定をする、そういうことによって農協が全体として取り組んでいけるという形になるんだと思います。  正に、個別の農協の改善努力だけでは解決ができないような課題というものが先ほども申し上げましたように出てきておりますので、それに足並みをそろえて取り組むという意味では、やはり全国中央会指導方針というものを、基本方針というものを作るんだということを法律上明記しておく方が相互の連携等も明確に図れますし、より効果が上がるというふうに、そしてまた改革自体が促進されるというふうに考えているところでございます。
  40. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 そういうことは現行法上でも十分でき得ることだと思いますし、やはり中央会でしっかりと自己改革というものを進めていけば十分であるというふうに考えております。議論すればするほど今の現行法でもできないことないし、それはできないとすれば怠慢なのか、また、そういうことを規定しないと任せられないのか、すべて、はしの上げ下ろしまで行政法律でしなければならないのかなという疑問を抱かざるを得ないというのが私の感想であります。  大臣には通告していないわけですけれども、今までの質問を聞いて何か御感想等あれば、お聞かせいただければと思います。
  41. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の法改正、いわゆる組合員あるいは消費者のニーズに合う農協と、これを、現実に経済状況変わっておりますし、さらには農業者もそれぞれ、個々の組合員農業者も大型化し、また生産法人等々、もういわゆる農協に頼らなくてもいろいろのことができるという意識を一方ではお持ちになっているんではなかろうかと。  そういう面で、農協自身もやはりそういう人たちの、やはり農業者としてのお仕事をされているわけでありますから、やはりそういう人たちのニーズにこたえ得るような、信頼されるような農協にならなければならないわけでありまして、私は、やはりこうした法改正をすると同時に、もっと中央会あるいは都道府県中央会がやはり現実というものをしっかり見据えて、そして率先的に創意工夫をして、本当に真の、組合員の期待にこたえるような努力を是非やっていただきたい、このような気持ちを持ち、この法改正と同時に、やはり役職員意識改革をし、時代の要請にこたえる、こういうことを是非発揮していただきたいと、このように考えております。
  42. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非、ちょこちょこちょこちょこと法改正をするんではなくて、やはり中央会、また都道府県中央会がしっかりと指導力を発揮して、自己責任において改革を進めていくと、こういうことが大切であると考えております。  もう時間になってしまいました。監査とか共済事業について、このことも是非お伺いしたいなと思っておりますし、それを始めてしまうとまた四十分必要なものですから、次回にその質問を回させていただきながら、小川理事の方にバトンタッチをさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  43. 小川勝也

    小川勝也君 羽田委員に引き続きまして質問させていただきます。民主党・新緑風会の小川勝也でございますが。  実は今回、農協法改正の審議に際しまして、農協というのは余りにも身近で、私も農村部の出身でありますので、よくなじんでいるつもりであったのに、実は何も分かっていないということが新たに分かりました。  子供のころから、私の家はかじ屋でございますので、加治屋理事もおられますけれども、かじ屋でございますので、お客様は大体農家の方であります。農協に寄ってきたとか、組勘がどうだとか、子供のころから農協というのが家庭の生活の中に入っていまして、小学校に入ってからはいわゆる天引きというのか積立ての貯金というのが、これは農協に通帳を、生まれて初めて自分の名前の付いた通帳を持ったのが農協でありました。そんな地域の出身であって、おぼろげながら、友達も農協に勤めていたり、いろんな情報は普通の人よりあるんだろうなと思っていたのに、いろんなことが分かっていないということが改めて分かったわけであります。  大変、勉強していきますと、大きい、大きくて、そしてとてつもない構造を抱えているこの農協の問題であります。日本の農業とともに歩んできた農協もいわゆる来し方と行く末があるんではないかなというふうに思うわけでありますけれども、当然、日本の農業がどのようになっていくのかということが分からないと、農協もどう変わっていくべきかということが答えは出てこないわけでありますけれども、そんな中での今回の改正であります。  分からないとはいえ、ある程度予想しないと改正もできないわけでありますので、未来に向けて農業がこうあるべきで、農協がこうあるべき、系統がこうあるべきで、そして今回、二〇〇四年この改正だと、その辺のところをまず大臣にお伺いをしたいと思うわけであります。
  44. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農協、これはあくまでも農業者の協同の組織であるわけでありまして、そういう面で、まず農産物販売であるとか、あるいは農家の皆さん方がいろいろ使われる生産資材の問題、またやはり消費者に信頼される組織というようなことでなければならないわけであります。そういう面で、やはり時代とともにいろいろ農協自身も、その事業につきましてもまた意識につきましても対応してまいらなければならない、このように考えておるわけであります。今日では、特に食の安全、安心、そういう面でのやはりその確保が図られるようなそういう営農指導であるとか、あるいは信用事業であるとか共済事業であるとか経済事業であるとか、そういうものをしっかり農協がやっていただかなければならないわけであります。  そういう面で、やはり時代が変わり、今農政の改革と、私ども、基本計画の見直し、そしてこのこともいろいろ今諮問をし、協議をしていただいておるわけでありますが、そういうように、日本の農業、この置かれた状況下、そういう基本計画の見直し、基本法に基づき基本計画の見直しを今進めておるわけでありますが、基本計画等々に沿って農業が行われ、そして農協もそういうものと一体になった考え方の下に農協活動としての使命を果たしていただければと、またそのように使命を果たしていただくように私どももいろいろの面で支援をしてまいりたいと、このように考えております。
  45. 小川勝也

    小川勝也君 組合員数が五百二十万で、職員数が二十七万、貯金量が八十二兆円ということであります。規模がどういう数字なのかというのも、これ想像も付かないわけでありますけれども、例えば諸外国のこの農業協同組合組織あるいは系統組織等、我が国のこの特異な形態との比較、どういった第三者的な論評ができるんでしょうか。
  46. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 外国にも農協の制度というものがございますが、それぞれの歴史なり経済事情により、その形、姿はかなり変わっております。  大ぐくりで申し上げますと、ドイツとか韓国の例でございますが、経済事業と信用事業とを、あるいは作物別の協同組合、こういうものがあると。総合事業体である我が国の、農協が主体になっておりますけれども、比較的似た仕組みになっているんではないかというのがドイツなり韓国でございます。一方、フランスのように信用事業のみを行う組合あるいは作物別の組合とが併存をする国、それから、これはアメリカなどに見られるんですが、販売農協、購買農協サービス農協というふうに、かなり分化をして存在している国などがございます。そういう実態であるというふうに言われております。
  47. 小川勝也

    小川勝也君 これだけその規模が大きくて、いわゆるところの農業協同組合法に基づく、いわゆるところのこのJAを中心とした系統組織に匹敵する競合組合が大きなものはないわけでありますので、基本的に、独占禁止法的疑いというのが様々な事業やあるいは取引の関係で出てくるんだろうというふうに思います。特に今、流れは、例えば郵政事業も民営化すべきだとか、道路公団も分割したり民営化するべきだというふうな流れの御時世であります。農協一つ系統組織として様々な事業を展開をし、いわゆる組合員やそれ以外の人たちに様々な圧力を掛けていく慣習の中で、様々な疑義が出てくるんだろうというふうに思います。  資料を調べてみますと、当然、歴史的にも何件か独占禁止法違反的な疑いの掛けられた事例というのもございます。しかるに、公正取引委員会が捜査をする前段階といたしましても、いわゆる農林水産省としても、こういった流れの中でこの事業は独占禁止法に抵触するおそれがあるのではないか、あるいは系統組織が独占禁止法違反で摘発されないようにと、様々な御努力を、あるいは注意を払ってきたのではないかなというふうに思っています。  今までのそういった取組あるいは現在気にしている点、あったらお聞かせいただきたいと思います。
  48. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に経済弱者であります農家などの中小事業者であります協同組合、これは、市場におきます有効な競争単位となることによりまして市場の公正かつ自由な競争の促進ということができるという考え方から、農協につきましては独占禁止法の適用が除外をされております。ただ、この適用除外というものも、共同購入でありますとか共同販売でありますとか、そういう組合本来のことを想定しておりまして、農協が他業者の新規参入を阻害する、いわゆる不公正な取引方法等を取るということは、農協といえども、当然、独占禁止法が適用されるということでございます。  今、委員もお尋ねになりましたように、やはり合併等によりまして巨大化をしていって、他の事業体との正に公正な競争が阻害されるということがあってはやっぱりこれはならないわけでございます。そういう意味で、これはあり方研究会の中でも一つの議論がございました。そして、農林省といたしましては、農協指導等に係ります事務ガイドライン、これを改正をいたしまして、厳重なチェックをするということ、それから、必要に応じて公正取引委員会との連携も図るという旨を明記をいたしました。それが一点でございます。  それからもう一つは、農林水産省が行います検査、組合の検査がございます。これにつきましても、この十六年度は独占禁止法の違反がないかどうかということを重点的にその検証をするということで、統一検査事項に含めるということでチェックをするということに取り組んでおります。  今後とも、こういった取組等を通じまして、独占禁止法の違反の事案が生じることのないよう、できるだけ未然にも防止できるようにということでの取組をしていきたいというふうに思っております。
  49. 小川勝也

    小川勝也君 この辺はまた次の機会も時間を割いて質問をしてみたいと思います。  その次に、いわゆる信用事業、お金のことについてちょっとお伺いをしたいと思います。  まず最初に、大手行、大銀行、メガバンクでさえも大変厳しい御時世で今を迎えているわけであります。農協の信用事業系統の信用事業あるいは農林中金全体をとらえまして、今現在の経営の健全性についてどのような評価を持っておるのか、そして貯金量等の規模についてはどのような評価を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  50. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協が行っております信用事業、これはその規模におきましても非常に膨大なものになっております。最近時点、先ほど委員は八十数兆とおっしゃいましたが、今の現時点では七十六兆円の規模になってございます。そういう巨大な資金量ということでございます。  これをやはり健全に、これはやはり日本の金融システムの一環として重要な機能を果たしておりますので、やはりその健全性の確保、これは非常に重要な課題だというふうに思っております。これは、いわゆる農林中金を頂点といたしますJAバンクシステムというものができ上がりまして、そしてその中で自主ルールというものを定めまして、できるだけ早期に発見をし早期に是正をしていくというシステムになりまして、自己資本比率の比率に応じてそれぞれの制約なりを掛けることによりまして未然に防止していくというシステムを取ったところでございます。その結果、ペイオフの部分解禁もございましたので、とにかく一番最低ラインであります四%自己資本割れ、これは解消するということで取り組んでおりまして、現時点では割っているものはございません。  それから、リスク管理債権の状況も他の業態に比べましても遜色のない水準だというふうに思っております。  ただ、金融機関として今後とも健全にしていくということは常にこれは注意をし、努力をしていかなくちゃいけないということでございますので、我々も定期的にヒアリングをする等、あるいはいろんな問題等があれば個別にまた重点的にヒアリングをする等々を行いまして、指導を我々としても強化をしているという実態にございます。
  51. 小川勝也

    小川勝也君 今、答弁の中にありましたJAバンクシステム、これがしっかりとその機能を果たしていると言えるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  52. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) JAバンクシステムにつきましては、先ほど言いましたように、自主ルールということを作っております。最低限のラインは四%のラインでございますが、自己資本比率で四%のラインでございますが、まず八%のところから二%刻みをいたしまして、その八%を割った段階からできるだけ早め早めの措置を取っていくということでやっておりまして、その早期是正を取っているということでございます。そういう意味で、現時点でその四%割れ等がないということもございます。  それからまた、実績を見ても農協への預け入れというものもわずかではありますが増加を続けているということもございますし、早期是正の中でも全国の支援協会というものを作りましたし、また貯保の対応ということもセーフティーネットとして準備をしてございます。そういう二重のセーフティーネットもございますし、十分効果を上げているというふうに思っております。
  53. 小川勝也

    小川勝也君 せっかくペイオフも延期されたわけでありますので、しっかりとこの対策を取ってもらうというのは当たり前のことだろうというふうに思います。  それで、通告をしてあるんですけれども、多分お答えをいただけないんじゃないかという難しい質問を用意させていただきました。さっき七十六兆円というふうに御訂正をいただきました系統系が持っております貯金資産であります。  これは、一義的にとらえますと、農家の方々の貯金というふうにとらえているわけでありますけれども、大きく分けて、一つ農業生産物を販売して得た、いわゆる生業で得たお金と、もう一つは都市近郊に多分多く見られるであろう農地を宅地等に売却をして得た資金。お金に色目は付いていないので多分境目がどういうふうに付くのか分からないだろうと思いますけれども、実際、その資産の中で土地売却資産というのはどのぐらいあるんだろうか。これ、私が興味を非常に持つところでありますので、お答えをいただければと思います。
  54. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協の貯金につきまして、JAバンクシステムの確立等によりまして安定的に推移をしているということでございます。ただ、今お尋ねの貯金残高の原資がどういう内容になっているのかということについては、申し訳ございませんが、把握はしておりません。  ただ、農協系統がサンプル調査をしているのがございますので、これはある程度反映をしているかと思います。ただ、これも平成十三年度末から十四年度末の貯金の増加額、その増加額の内訳がどういうことかという調査でございまして、これによりますと、農外の収入というのが四三%、それから他金融機関からの預け替え、これが四二%ということ、それからお尋ねのございました土地代金につきましては一〇%ということでございます。また、農業収入、農業から得られた収入で預けられたというものは三%と、こういう状況になっている。これはもちろん、全国平均でございますので、地域差はあると思います。
  55. 小川勝也

    小川勝也君 農家の方々が経営を工夫されて、生業でしっかりもうけてJAバンクにたっぷり貯金をしていただくのは、これうれしいことなんでありますけれども、ちょっとやっぱり不動産経営に軸足を置いている組合員、あるいは土地売却によってもういわゆる億万長者になられた組合員、当然中に入っていると思います。私は北海道の選挙区でありますけれども、北海道にも当然金持ちの組合員はいるわけでありますけれども、概して大変苦しい経営をされておられる農家の方もおるわけでありまして、そういう方々が優遇される社会というのは、ちょっとひがみ根性も含めて、気分が良くないところもあります。  うわさ話で聞いた言葉がありまして、日本の金融資産のいわゆる八〇%を上位五%の人が持っている、多くは都市近郊でかつて農地を持っておられた方であろうと、こんな話もあるわけであります。金融資産を適正にこれは管理していただいているわけでありますので何も問題点はないわけでありますけれども、本来の目的ということから考えますと、いわゆる土地を売却した資産を運営するのがこの系統金融の大きな仕事となっていくということにも若干の矛盾を感じる次第であります。  それで、今日質問を用意しましたのは、もう一つ、少し時間がたちましたのでしっかりと総括がしていただけるのではないかなというふうに思った点であります。それは、住専をめぐる問題点のときに、いわゆる六千八百五十億円の公的資金が投入されたという問題であります。あのときの野党はピケを張ってそれを阻止し、そしてそのときの与党は、これは、これが最後だと、公的資金が投入されるということは今後一切あり得ないと言ったわけであります。  しかしながら、六千八百五十億円というのは、そのとき巨額でありましたけれども、今から考えると、たったそれだけみたいな、もうモラルハザードが起きている金額であります。そして、大手行を中心に公的資金が投入されたのも御承知おきのとおりであります。  農林水産省として総括をして、あのときはこうだったというお話をお伺いできればと思います。
  56. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) あの当時のことをいろいろ思い出すわけであります。正に、今、委員からの御指摘の六千八百五十億、今の金額から申し上げると大変、当時は大変な額であり、また予算委員会でも連日このことが審議をされたわけであります。  農協系統にとりましては、やはりあの問題を契機に、やはりこのリストラを大胆に行うと。それとあわせて、あのときの住専問題の与党協議の問題、そういうものを踏まえて、農協系統、いろいろ努力をいたしてきております。  内部の再編の問題あるいは制度の問題、さらには、いろいろあの当時、平成七年の与党合意、その中で、日本の金融システムの一員としての自覚を持ち、リストラを行うべきであり、内部の再編や制度の在り方を含めた検討が必要と、このことを農協系金融機関につきましても求められたわけでありますし、その後、法改正をし、平成八年十二月の臨時国会で住専問題与党合意を踏まえた農協改革二法案の成立がなされたわけであります。  そこで、改正によりまして、銀行と同様の健全性の確保を導入する、こういうことになり、まず、農協合併等の組織再編の推進と。平成八年末二千二百八十四の農協が、先ほどもお話しのとおり、九百四農協と。あるいは、県連と全国連の統合による組織の二段の推進、これらの問題。あるいは人員削減、施設の統廃合の効率化合理化、あるいは業務執行体制と監査体制の強化等の健全化と取り組んできたところでありますし、さらに、私も我が省の検査部に度々、部長以下にもこの使命を果たすように、そして監査委員、公認会計士の方も出向で来ていただきまして、この農協の検査の問題につきましては、更にこの反省の上に十分しっかりした職務の遂行をするように指示をしておるところでもございます。  あわせて、十三年の農協改革二法に基づきますJAバンク基本方針、これを策定し、農林中金が中心になって問題農協の早期発見、早期是正などを行うJAバンクシステムを確立したところでもございます。  農協系統におきましても、住専問題以降において、経営管理体制の強化組織の再編あるいは統合等の経営の健全化に取り組んでおるところでもございます。  今後とも、系統金融機関の一層の健全性の確保、あの住専の問題を肝に銘じて努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  57. 小川勝也

    小川勝也君 圧倒的な大きな影響を及ぼした事柄だったというのは間違いないことだろうというふうに思います。  そんな中で、当然、健全という言葉がこれ重要なわけでありまして、それとやはりディスクローズ、このことも非常に重要になってくるんだろうというふうに思います。健全な、そして開かれた正しい情報公開に基づいて系統組織が、組合員はもとより多くの消費者に信用されていくというのが大事だろうというふうに思います。  そんな中で、大臣からのお答えにもありました組合数の変遷であります。合併が繰り広げられておりまして、現在九百四というふうに伺っているところであります。今後、いわゆる農協数がどのぐらいが適正だと考えているのか、あわせて、農協で働く職員数、どのぐらいが適正だと考えているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  58. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統組織農協数なり職員数の問題でございます。  現在、合併が進みまして、九百四まで減少しておるということでございます。それから、農協職員につきましても組織再編と併せまして削減に取り組んできたということで、十四年度末の農協職員の数は二十五万八千人と、こういうところまで来ております。農協系統組織では、引き続き農協合併の促進、それから農協職員の削減に取り組むということにしております。  ただ、その適正な農協数あるいは農協職員数につきまして、これは正に系統内、組織内において十分話合いをされ、協議をされ、判断をされるべきものというふうに考えております。  ちなみに、昨年の十月の農協大会におきましては、この農協職員数につきましては更に三年間で一〇%の削減をすると、また全農につきましても三千人を削減するということを決定をされております。
  59. 小川勝也

    小川勝也君 今、職員数のところでお答えをいただいたわけでありますけれども、いわゆる農協段階や県段階での職員数は減っているにもかかわらず、全国段階のところが若干増えているというデータを持っております。これは、データ上のことなのか、何か理由があってのことなのか、分かったらお答えをいただければと思います。
  60. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ちょっと今手元に正確な数字はございませんが、今、系統では、組織二段階ということで県本部を統合したり、そういうことが進んでおりますので、形式的には増加している数字があると思いますが、正にスリム化は全国段階でもやらなくちゃいけないことでございますので、今後、そのスリム化に向けた取組がなされるものというふうに思っております。
  61. 小川勝也

    小川勝也君 次に、農業協同組合法に基づいたJA系統以外の農業協同組合について、歴史的、現在までに至る間にどのような動きや設立、そして活動が行われてきて、今後どのようなことを期待をされておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  62. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) JAというのは基本的には相互事業をやるという形でやっております。今お尋ねのありましたいわゆる非JA型の農協、これは中心を成しますのは専門農協という形だと思います。これにつきましては、十五年三月末で数といたしましては二千九百十ということで、これ自体も合併により減少しているという実態にございます。  それからまた、農協組合員へのサービスの向上ということからいたしますと、当該組合が改善の努力をするということが基本でありますけれども、さらに、それぞれの農協サービス面で競争を行うということは利用する側にとっては好ましいということで、地区の農協の振興を図る上で、その当該地区の振興を図る上で支障がある場合などを除きまして多様な組合の設立を可能としているところでございます。  ただ、それまでは、平成十三年の改正まではなかなかそういうことが行われないということがございましたので、平成十三年の法律改正の際、今申しました非JA農協の設立の手続につきまして規制の緩和を行ったところでございます。  実際の、その後の、平成十三年が、まだ時間が余りございませんのでデータ的には余りまだございませんけれども、新規に設立されたのが二農協ございます。それからまた、定款変更等によりまして地区を拡大したものも六件ございますし、また、合併等に伴いまして、結果として地区が重複する、ゾーニング、その活動範囲が重複するというものが六件あるという状況でございます。
  63. 小川勝也

    小川勝也君 対消費者、対農業経営者という両方の局面に際しても、結局、サービスの向上というのはどういう観点から起こるかといいますと、これは競争から起こるわけでありまして、いわゆるライバルがいるということが一番大事だというふうにいわゆる自由主義社会の中では言われているところであります。店が一軒しかなければ言い値で販売するわけでありまして、二軒同じようなお店があるから、少しでも安く提供するということで競争が行われて、いわゆる消費者が得をする、利便を享受するということであります。  様々な議論があるにもかかわらず、例えば郵政事業にこだわる小泉総理は、そういうところにも着目をして郵政事業改革をしようとしているわけでありますし、例えばメール便とか、いわゆる郵便をほかの会社にも参入させることによって消費者利益を得ようとする考え方が正にそこにあるわけであります。  先ほど、羽田委員質問にもありました。組合員の中にも様々な不満があります。それは高い資材を買わされている、高いサービスを受けているということなどなどであります。そういうことからいうと、可能なところから、できればライバルが出現した方がいわゆる農業経営者に対するサービスがどんどん強くなっていくであろうし、最終的に必要なのは消費者に対するサービスであります。消費者に対して第二農協、第三農協が、あるいはこれは様々な組織で構わないと思いますけれども、JA系統だけではないサービス主体が消費者にどんどん利便をもたらす、これは正に二十一世紀考え方だろうというふうに思います。  今、局長の御答弁の中にも、十三年からの法改正でやっと端緒が出てきたというふうにお話がございましたけれども、今後、今のような考え方に基づいてそういった新しいパワーを育てていかなきゃならないんだという意識についてはいかがでしょうか。
  64. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に農協経済事業体ということでございます。そういう意味では、正に競争によって合理化を進め、そして組合員の方に最大限のメリットを確保していくということが使命であるというふうに思いますので、そういう意味では、そういう競争環境といいますか、適正な環境を整備していくということが非常に大事だと思っております。  先ほどもございましたように、この生産資材、これにつきましては、正に各地にホームセンターといったような競争相手が出てきております。さすがにここに至りまして、農協系統もそれを競争相手として意識をいたしまして、価格調査をしたり、得意な分野とそうでない分野を、正に選択と集中という形で得意分野を伸ばしていくという形の取組もしておりますし、正にそういういい効果が現れていると思いますので、我々としましても、そういういい競争をされることによって、組合員なり、あるいはまた究極は農産物価格とかそういうのに反映されて消費者、また安全ということも確保して消費者に供給されていくということが非常に大事なポイントであろうと思っております。
  65. 小川勝也

    小川勝也君 今の答弁で思い出した言葉があります。ネギのセーフガード発動のときに、例えば海外から安い野菜が入ってくる、でも、我々生産者は中国で作ったら安いだろう安い生産資材を使えない、この辺不公平じゃないか、どうなっているんだということを伺ったのを今思い出したところであります。  それと同じように、これも多分お答えいただけないと思いますけれども、全国の農協系統の関係関連会社数というのは今どのぐらいになっているんでしょうか。
  66. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 申し訳ありません。ちょっと今手元に資料ないので、もしこの範囲で分かればすぐまた御連絡いたします。
  67. 小川勝也

    小川勝也君 これは多分とても把握できない数字だというふうに伺っています。  先ほどの続きで言いますと、結局、系統グループ全体で、まあ決算は連結していないと思いますけれども、すべての従業員を養っていく。そして、系統の中にも、今はどうか分かりませんけれども、若干の天下りなんということもあります。人事の流れもあります。不採算部門、非採算部門も全部まとめて頑張っていこうとするから、そこのしわ寄せがいわゆる農家消費者にもたらされるわけであります。それは、ほかの分野に、例えば発注するのが少し安くてもやっぱり身内から買った方が、身内に頼んだ方がいわゆる系統全体の利益につながるということを知っているから、そういうしがらみの中にあるというわけであります。  もっと言うと、例えば農業予算、これは国の税金が使われているわけであります。それから補助金に様々なシステムがあって、それも農業全体に注ぎ込まれているということを考えますと、最も合理的で最も安いシステム以外でその調達とか運用がなされているということは、非常に、いわゆる国家や税金に対する反逆というか損害を与えるということにもつながっていくわけであります。  ですから、その部署部署において正しい競争が行われるということが非常に大事だということであって、そのことも様々なこれからの監査の中でも生かしていただきたいというふうに思います。例えば、農協系統の運送会社とそれ以外の運送会社が価格が同じであれば、系統の運送会社にそれは頼んでいいわけでありますけれども、そうじゃないときには様々な問題が生じてくるということも御理解をいただかなければならないというふうに思います。  そういった意味での厳しい監査ということについて、次週にも羽田委員からも質問があろうかと思いますけれども、その点だけ一点確認をさせていただきたいと思います。
  68. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 監査の問題につきましては、正に独立性なり客観性、そういうものを高めまして、また、かつ専門性も高めて取り組むということで、正に全中に集約をするということで今回の法律改正を提案させていただいているわけでございます。  正に、健全な運営といいますか事業を達成していくということでは、監査の持つ意味というのは非常に大きな意味合いを持つと思います。そういう意味では、そういった体制なり独立性なり、そういうものを高めていくということは非常に重要ということで、今後とも、我々も系統十分指導してまいりたいと思っております。
  69. 小川勝也

    小川勝也君 時間もなくなってまいりましたので本日のまとめに入りたいと思いますけれども、農林水産省農協系統、今後どういうお付き合いをされていくお考えでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  70. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協と我々行政との関係、これにつきましても昨年のあり方研の報告の中でも触れられております。  それは、一言で言いますと、これまで安易に相互依存ということがあって、農協系統の自主的な取組なり努力というものが妨げられてきた面があったんではないかということで、今後は、安易な依存関係ということではなくて、農協自身も他の事業体とのイコールフッティング、これが必要でございますが、我々ともそういう安易な依存関係にならないように注意をしていくということの方向で取り組んでまいりたいと思っております。
  71. 小川勝也

    小川勝也君 再確認をさせていただきますが、かなり信用、金融の部分で問題を抱えていた単協が幾つか存在しておりました。そして、今、九百四になって相当自信を持っているというふうな雰囲気の答弁をいただいたわけであります。現在の単協、農協の中でいわゆる金融的に不安を持っているところはないということで確認の答弁をいただきたいと思います。
  72. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 数字の世界と申しますと、自己資本比率四%未満のJAとか信連はないということでございます。
  73. 小川勝也

    小川勝也君 最後、大臣お答えをいただきたいわけでありますけれども、様々な時代と歴史をくぐり抜けてこの農協、そして系統システムが今に至っています。そして、今局長からも答弁がありましたように、農林水産省との関係も若干変化を遂げていくんだろうというふうに思っています。  これは大変申し上げにくいことでありますけれども、農協系統組織と政権与党、いわゆる、すなわち農協系統組織と自民党というこの大きな歴史がありました。これからどうあるべきだと考えておられ、そしてどうなっていくというふうに考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  74. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まず、先ほど農水省との関係、JA、相互依存と。今日までもやはり農協がそういう農水省に非常に依存をする、こういう体質は、現実の問題としてこれは反省をしていかなければならないことであります。  また、さらに、組合員は、それぞれ組合員の皆さん方、政党の問題等々、政治活動等々につきましては、正に中立的なこれらのことであるわけでありまして、JAがその組合員の、まず諸組合員の意向というものを尊重された中で農協がその使命を果たされることが必要なことであるわけでありますので、それはあくまでも農協の中立的な立場というものを堅持をされまして、農政の活動等々につきましてのその使命を果たされることを期待をいたしております。
  75. 小川勝也

    小川勝也君 終わります。
  76. 千葉国男

    千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  農協法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。  昨年十月、第二十三回JA全国大会が開かれ、「「農」と「共生」の世紀づくりをめざして JA改革の断行」が決議されました。要するに、余りにも巨大化したJAグループがここで食料・農業・農村の原点に戻って農協を再生していこうというのがその本質だと思っております。指導事業では、全国段階で全中都道府県段階での県中、信用事業では農林中央金庫、信連、経済事業では全農経済連、共済事業では全共済、厚生事業では全厚連、厚生連となっている中で、この農協系統の職員数は合わせまして約三十万人前後という巨大な組織となっております。  農協農業者の自主組織と位置付けられているとおり、当然、自らの力で改革をしていかなければなりません。しかし、今日までは経済事業などの改革が遅れ、今回の制度的対応、法律改正を担保しなければ農協改革目的を達し得ない状況にあるということだろうと思っております。その意味で、こうした状況に追い込まれた農協の問題に対してどのように反省総括をされているのか、お伺いをしたいと思います。  また、その意味で、今回の改革は基本計画の見直しなど農業改革の抜本改革を目指す一環として講じられた措置であると理解してよいのでしょうか。大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  77. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農協改革につきましては、平成十三年に行った農協法等の一部改正によりまして、信用事業の分野につきましては一定の成果を上げているところであります。しかし、経済事業分野につきましては改革が遅れている、農協を利用するメリット、こういうものが乏しい、こういうような指摘もあるわけでありまして、こういう指摘を踏まえまして、農協系統におきましては、昨年十月の第二十三回JA全国大会、ここにおきまして四点決議をされたわけであります。  それは、安全、安心な農産物の提供と地域農業の振興、組合員の負託にこたえる経済事業改革経営の健全性と高度化への取組の強化、協同活動強化による組織基盤の拡充と地域の活性化、このことを挙げられたわけでありまして、この農協改革組織を挙げて取り組んでいくというこの姿勢、この決議を、私どもは今回の改正案で農協系統の自主的取組を支援すべく、農協が行う経済事業、信用事業、共済事業等における機能が十全に発揮されるよう、中央会指導、また監査機能強化を図るとともに、農協経営の健全性の確保を図る、こういう措置を講ずるところであります。  また、現在、食料・農業・農村基本計画の見直しの作業を進めておるわけでありまして、あるいは地域における農業の担い手を明確にいたしまして、集落営農の在り方を含めて地域農業の再構築、このことを考えておるわけであります。その際、地域農業の振興に重要な役割を担う農協改革なくしてはその実現は困難、このような考え方を持っておりまして、その意味におきましても、農政改革を進める上におきましても、農協改革、このことは大変重要な課題と、このように考えております。
  78. 千葉国男

    千葉国男君 私は先日、福島県の福島市にあります農協に伺いまして、農協改革現状はどうなっているのか、またこの改革断行という意識がどれほど職員や組合員に浸透しているのか、意見交換をしてまいりました。  ちょうど十年前、農協合併が推進されたそのときにこの同じ農協を訪ね、合併のメリット、デメリットを調査した経緯があります。十年間で農協はどう変わったのか、改革がどれだけ進んだのか、大変興味がありました。現場の農協は確かに改革の息吹にあふれ、段階的に農協改革が前進していることを強く実感して、その意味で安心して帰ってまいりました。  これまで農協に対する批判の代表的なものといたしまして、平成十一年度の正組合員のものとして全国の調査結果が出ております。先ほど羽田委員からもお話がございましたが、不満理由といたしまして、一、組合員の意見が反映されていない、二、組合員の求める事業に取り組む姿勢が消極的である、三、商品サービス価格が高く、質が悪い、四、利益の上がる信用・共済事業重点を置き過ぎる等々の意見が出ておりました。  この指摘は、やはり農協の現場では営農指導が軽視されてきたということだと思っております。要するに、農協全農あるいは経済連農産物の経済の動向について組合員に対してきちっと伝えていなかったと。例えば、組合員農家から集荷されたお米がどれだけ生産され、売上げされたのか、これを正しく農家に周知徹底するという情報サービスが行われていないと。そのため、生産調整の話が出てきますと、よくその辺が理解されておらず、減反反対の声が現場からすぐ出てきてしまうと。その一方で、信用・共済事業に偏り過ぎてきたのではないかと、そういう批判もあります。  これからは、そういう意味で、現場で農協組合員が一体となって情報を交換し、新たな協同組合像を確立していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協活動の中で、正に農産物の生産、販売、これは非常に今後やはり一番力を入れていただきたい点でございます。  これまでの多くの農協は、どちらかといいますと全農経済連、こういったところに任せるという、まあ言わば出荷中心の方式だったと思います。近年いろんな消費者のニーズ、あるいは量販店、外食産業、こういった動きに対応ができていないというのが現状だろうと思います。  この点につきましては、昨年のJAの全国大会の中でもマーケティングを志向した販売戦略ということで決議がされております。  具体的には、農協自身が消費者なり実需者ニーズを十分に把握をいたしまして、顧客ごとのニーズ、需要予測に基づく販売戦略を連合会、全農と構築をすること。また、販売先や消費者を明確に意識した営農指導を展開するということで、販売企画担当者と営農指導員が連携をいたしまして、実需者や市場の要望、あるいはクレーム等の情報を生産現場にフィードバックをすると。また、全農、連合会はその契約なり相対取引への対応を進めますし、直販、こういったものも産地へフィードバックをしていくことによりまして、農協の生産・販売機能、こういうものを支援していくといったことが具体的な内容として盛り込まれております。  これらはいずれも私どもは非常に重要なことだろうと思います。農協経済連全農が一体となって、そういった、特にこれからは情報の大切さということがございますので、そういった販売情報をフィードバックしていくということが極めて重要というふうに認識しております。
  80. 千葉国男

    千葉国男君 先ほども申し上げましたが、第二十三回全国大会で、その取組の基本姿勢として強調されましたことは、一、信頼、二、改革、三、貢献と。その信頼は、消費者に信頼される農産物の提供に努めると。改革については、組合員の負託にこたえる経営改革を実践する。三の貢献につきましては、地域社会で貢献する協同活動を展開すると。このようになっておりますが、私はこの三点の意識改革組合員全員又は職員に徹底することが新しい農協自主改革の入口ではないかと強く感じておりますが、いかがでしょうか。
  81. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協の基本的な存在意義といたしまして、農産物販売拡大あるいは生産資材コストの引下げ、そういうことを通じまして組合員にメリットを提供していくということがまず一つ大きな柱としてあると思います。また、昨今は、消費者に信頼される安全、安心な農産物を提供していくということ、これも大きな柱であろうというふうに思っております。  その際、今、委員から御指摘をされました消費者への信頼、組合員の負託にこたえる改革地域への貢献、この三つ、これは正にこの点での意識改革を進めていくということが、徹底していくということが農協自主改革を進めていく上で重要なポイントというふうに言えるものと思っております。
  82. 千葉国男

    千葉国男君 今申し上げました信頼、改革、貢献、この三つの合い言葉に農協改革目的が集約されていると私は思っております。方針を徹底するためには、この方針が単純明快である、分かりやすい、こういうことが大事であります。その上で、具体的にどう政策にこれを結び付けていくのか、あるいはその上でどう成果を上げていくのかということになるだろうと思います。単なるスローガンではなく、この基本姿勢を徹底すること、組合員に様々な創造的発想が芽生え、組合員あるいは農協職員の改革への意欲が結び付いていくのではないかと思っております。  話は少し変わりますが、我が国経済を襲ったバブル現象、またその後襲ってきたデフレ現象、いわゆるデフレスパイラル現象で、この大波に、今まで倒産するとはとても考えられなかった大きな企業や銀行が一のみにされました。あれだけ大きな事件を起こした雪印乳業さえも消費者を欺いたことで一瞬にして崩壊してしまいましたし、今、自動車業界では三菱自動車が風前のともしびの状態であります。これらは消費者優先という鉄則を絶対に甘く見てはいけないという教訓を我々に残しているんだと思います。  昨今、全農を始めといたしまして、少なからぬ農協絡みの食品偽装表示あるいは事件が発覚しておりますが、そうした中で、農協改革を目指す農協は、消費者優先の考え方についてどう農水省として指導を徹底していくのか、その取組についてお伺いをしたいと思います。
  83. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、御指摘のございましたとおり、農協系統の食品不正表示等、この不正、不祥事の発生は、これは正に農協系統全体の信用失墜となるだけでなくて、正に消費者の食に対する信頼、これをも失墜させるということだと思います。正にその根絶を図っていくことが極めて重要だというふうに認識をしております。  そして、この点につきまして、正に消費者の視点あるいはニーズを踏まえた生産販売システムが確立していないのではないかと、こういう意見や批判が寄せられているというのも事実でございます。  農協系統自身も、昨年のこの全国大会決議でございますが、安全、安心な農産物の提供、これを最重点事項の一つということで掲げておりまして、具体的には、生産履歴の記帳運動の実践、あるいは法令遵守、これらを徹底する、それから、食のリスク管理に組織を挙げて取り組むということを決議をしております。  正に、農林省といたしましても、消費者の支持があってこそ我が国の農業なりあるいは食品産業の持続的な発展が可能になるということが根本だというふうに考えておりますので、こういった観点から、農協系統の今申し上げましたような改革が着実に実践されるように指導してまいりたいというふうに思っております。
  84. 千葉国男

    千葉国男君 過去に地方自治体は、地域の活性化ということで中核工業団地を全国的に造成し、企業誘致に取り組んでまいりました。確かに、誘致に成功した、地域経済の大きな発展につながったところもあります。しかし、一方では、地域によっては、造成したものの企業を誘致できず、その造成費用が地方自治体の財政負担の拡大につながったと、こういう例も数多くありました。  これからは地域の活性化の柱として、私は、農業に光を当てるべきである、こう思っております。その意味で、地域農業地域の基幹産業として再度見直しをし育てていくという、いわゆる単に農業再生というばかりではなくて、地域の産業として農業従事者の経営安定と同時に、経済効果をはぐくむ総合的な農業政策という視点がなければならないのではないかと思っておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  85. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員からも今御指摘のとおり、正に農業、これ、地域社会との関係とかと非常に密接な関係があるわけでありまして、そういう面で地域の基幹産業としての重要性というものは委員指摘のとおりであります。  そういう中で、食品加工ですとか流通ですとか、あるいは食品産業も十分考えられるわけでありますし、さらには緑豊かな農村の景観、また農業体験ですとか、あるいは農家民宿などグリーンツーリズム、観光を提供するところもあるわけでありますし、さらにはバイオマス、あるいはまた機械、運輸、あるいは金融など、多くの関連産業を有する地域の基幹産業であるわけでありまして、こういう面で、この問題については私ども十分考えを持って、そして生産者と食品産業との連携の問題ですとか、あるいは先ほども申し上げましたグリーンツーリズムなど、都市と農山漁村との共生・対流の問題、あるいはこれからバイオマスの利活用の問題等々、総合的な取組を推進してまいりたいと、このように考えております。  地域再生、あるいはまた先般発表いたしました、私が発表しました農政の改革の基本構想、こういう中でも攻めの農政を確立する、こういう視点で政策の改革一つの方向と、このような考え方を持っておるわけでありますし、そのような取組を強化するために積極的に活動してまいりたいと、このように考えております。
  86. 千葉国男

    千葉国男君 よろしくお願いしたいと思います。  平成十四年度白書に、農協改革の取組の成功した事例として静岡県浜松市の農協の取組が紹介されております。浜松は平成七年に合併し、組合員数六万二千人、職員数千五百人が、改革の計画を立て、七段階に分けて取組をしてきたと。その改革の第一段階は、まず職員の意識改革に取り組み、一人一人が能力向上に挑戦をしたと。第二段階では、赤字のAコープ、ガソリンスタンド、自動車整備工場を独立採算制として子会社化を図ったと。そのうち、Aコープは七店舗のうち二店舗を閉鎖し、かつて三億円の赤字があったものを一億円に、黒字に転換をしたと。第三段階では、採算の合わない家電事業から思い切って完全撤退した。第四段階では、肥料、資材等の配送事業を取りやめ、民間企業への委託をしたと。第五段階では、農機具センター、ライスセンターの統廃合に取り組んだ。第六段階として、全体的な人件費を含めたコスト削減に取り組んだ。第七段階として、土地の成分あるいは残留農薬の分析のための最新式の機械の導入に取り組んだ。こういう、いろいろ計画、具体的な課題を定めて、克服のためのスケジュール闘争を明確にしてこの改革に取り組んできております。  農協改革を達成するための一つとして、統合により拡大した全農事業組織効率化、スリム化、子会社の整理統合等、事業組織の再構築に向けた指導徹底を挙げておりますが、そういう意味で、この浜松の農協の事例は改革の基本のモデル型として認識してもよいのではないかと思っております。  私も、今回、福島に行ったときに、この第七段階までのモデルに合わせて、こちらのガソリンスタンドはどうなっていますかとか、一つ一つ、この浜松をモデルにしてチェックをさせていただきました。その結果、福島の農協も、こうした参考例を基本にして自分の農協をしっかりと分析をし企業努力を続けているなと、こういうふうな実感できる成果を上げておりまして、そういう意味で、全体的な大きな改革をしろ改革しろと言うんじゃなくて、逆に、こういうところはどうなっているんだという具体的な事例を通して改革のモデルケースにしていった方が、そういう意味では浜松の例がいいんではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  87. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいま委員の方からJAとぴあ浜松の事例の御紹介がございました。正にこのJAとぴあ浜松は、七段階とおっしゃいましたが、正に生活購買店舗の問題、あるいは資材の配送業務の民間委託の問題、また関連施設の統廃合の問題等々、各JAに参考になりそうな項目について非常に成果を上げていらっしゃる先進事例だと思います。  この浜松の事例もそうでございますが、そのほかにもやはり全国には先進事例がございまして、やっぱり外食産業であるとか、量販店のニーズに合った販売戦略、あるいはトレーサビリティー、あるいは生産システムで、安全、安心ブランドを確立することによって優位販売を達成されている、あるいは資材につきまして、入札などを導入されまして大幅なコストダウンを図っておられる事例、こういう優良事例がございます。  農林省といたしましても、今、委員から御指摘がございましたように、各地で行われている先進事例、こういうものをよく普及をするということがやはり近道といいますか、かなり効率的に改革が進む道ではないかというふうに思っております。そういう意味で、私どものホームページにも、こうした先進事例を全国的に調査をいたしまして、それをホームページに掲載をするということにしております。そういうことで、委員の御指摘のあったような手法も十分踏まえながら対応してまいりたいと思います。
  88. 千葉国男

    千葉国男君 これからの全国の農協指導していくJA全中、あるいは県レベルの県中、それがリーダーシップを取っていくわけですが、単協がそれぞれの課題を明確にして取り組む以外に成功の道はないと、こう思います。合併そのものの一つ一つを取ってみても、大変な事業であり、今申し上げました改革、一から七段階までの一つ一つを成功させていかなければならないわけでありまして、その間一つでも行き詰まりがありますと改革が止まってしまう。そういう意味で、今お話をしたように、JA指導体制、リーダーシップ、そういうことが非常に大事だと思いますね。  そういう中で、今のお話のありました先進事例をしっかりと皆さんに啓蒙させながら、そういう中でしっかりと改革が進んでいくようにJAリーダーシップをしっかりと取っていただきたいと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  89. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 各地での先進事例を見ますと、そこでは、これはもう必ずと言っていいほどリーダーの方が、しっかりしたリーダーの方がおられまして、その方のリーダーシップの下に改革が進んでいるというのは、これはもう事実でございます。そういう意味でも、やはりしっかりリーダーシップを取られる方を確保していくということが正に不可欠の項目だろうと思っております。正に、計画倒れではなくて、実効を上げていくということが必要でございます。  全国中央会も、昨年七月には、全国中央会の会長をトップといたします経済事業改革中央本部を設置するというのがまず第一段階、それから十二月には、農産物販売戦略の見直しとか、あるいは生産資材価格引下げを内容とする経済事業改革指針を作成される。また、今後、二か月に一回のペースでこの進捗状況を管理していくといったような取組をされております。  こういうふうにしっかりとした工程表なりスケジュール管理もしながら取り組まれる、その中でまたリーダーシップ発揮ということが非常に肝要だというふうに思っております。
  90. 千葉国男

    千葉国男君 今、報告、先進例で出てきましたけれども、これから非常に大事なことは、食料の安心、安全の立場からトレーサビリティーの確保など、農産物、それから消費者ニーズに即応した農協のマーケティングの機能強化が非常に大事だと思っております。  そういう意味で、先進例となっている農協としてのトレーサビリティーシステムの具体的な進め方あるいは表示はどうなっているのか、残留農薬の検査体制はどうなっているか、国としてどういうふうに取り組んでいくか、またそのための支援体制をお伺いをしたいと思います。
  91. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に生産から流通までのトレーサビリティー、こういうものをちゃんと確保していくということでのお尋ねでございますが、具体的な取組といたしまして、一つは、生産履歴の記帳を確実なものとしていくということで、その記帳運動を確実に実践する、これが一つございます。それから、生産者、農協におきます法令遵守、これも徹底するというのが二番目でございます。また、残留農薬の検査体制を整備していく、あるいは流通・加工段階での品質管理を徹底していく、こういうことに着実に取り組むことが必要なわけでございます。  農林水産省としましても、こういった各JAの取組、これを支援するということで、一つは、牛肉につきましては、生産から流通、消費の各段階で個体情報を正確に伝達するためのシステムの構築に関する助成、また米や野菜などにつきましても、ITを活用したモデル的な取組を支援するための情報関連機器の整備等に関する助成等を行っているところでございまして、今後ともこういった取組を続けてまいりたいというふうに思っております。
  92. 千葉国男

    千葉国男君 安心、安全、消費者の立場からいっても非常に大事な問題なので、更に力を入れてしっかりと取り組んでいただきたいと、こう思っております。  また、先ほど出てまいりました消費者のニーズに即応した農協のマーケティング機能強化に具体的にどのように進められているのか。今まで農協全農経済連が、連携が余りよく取れていない、もっと積極的にそういう意味でマーケティング戦略プログラムを更に進化させなければならないと、こういうふうに思っておりますが、どう改革に取り組まれようとしているのか、よろしくお願いします。
  93. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統におきましてはこれまで、出荷した農産物に対します消費者の評価でありますとか、農家の知りたい情報、これが十分手に入れられないという批判があったところでございます。系統はこの販売戦略、正にマーケティングを志向した販売戦略を取っていくということでの昨年の決議がございます。  その具体的な中身といたしましては、消費者なり実需者のニーズ等を十分に把握をいたしまして、JA農産物の特色、こういうものをまず明確にするんだというのが一つございます。  それから、単に市場出荷ではなくて、量販店、生協、それからJA間、あるいは中食でありますとか外食、加工業者との相対取引、そういったものでの多様な販売チャンネルを確保していくということをまず二点目の柱としております。  そしてまた、全農との連携でございますが、顧客ごとのニーズなり需要予測に基づく販売戦略をJAと一緒になってこれを構築するというのが一点ございます。  それから、米穀、青果、この大消費地の販売拠点を設置拡充をいたしまして、JAと連携して、特に大消費地でのJAグループの直接販売強化すると、こういう取組を今後続けていくということになっております。
  94. 千葉国男

    千葉国男君 事業の環境分析を踏まえた系統経済事業の課題と改革の方向、こういう中のイメージ図を見ますとその方向性がほぼ理解できるわけですが、これがこの流れで改革が本当に進めばいいのですが、そのためには改革の継続ということが極めて重要であると思っております。  改革というのは、途中でその意欲も薄れ、その効果が十分発揮されないことが多々あります。言うところの、全農農協の補完に徹すると、こう言っているわけですが、果たしてどこまで徹することができるのか、具体的に全農農協改革をどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
  95. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の一つ全農改革の柱といいますか、それは正に各JAが主役であって、全農は各JAの補完に徹するんだというのが一つの項目でございます。それで、全農自体もそういった観点から全事業システムを抜本的に見直すということにしております。  その具体的な取組の内容でございますが、これは消費者と生産者、農協を結び付けるために、大消費地におきます量販店等の総合販売強化なり、それからまた最近は電子商取引ということでございまして、JAタウン、こういうものも作られておりますが、こういう多様なチャンネルを構築をしていくというのが一点でございます。  それから、農協が外部委託を進め、アウトソーシングをしております物流、こういうものにつきましても、より効率的な受託システム、こういうものを提供をして、農協と一体となって改革をすると。  それから、肥料、農薬、これにつきましても、オールラウンドにやるということではなくて、全国団体としての強み、そういうものが発揮できるようなものに絞り込みを行うといったようなことでの取組を行うということをしております。  こういうことで、正に単位農協が主役で全農が補完すると、こういう関係を構築していけるように農水省としても見守っていきたいというふうに思っております。
  96. 千葉国男

    千葉国男君 改革には人材の育成が急務であります。現場では担い手、認定農業者の育成が必要であります。やる気と意欲に満ちあふれた若手の農業者をいかに育てていくか、これが今後の農協改革に力を発揮すると思っております。  農協の役員の登用等についての話でありますが、農協には青年部がある、あるいは女性部があると、そういうことで、どうしても何か中心の役員体制の中には青年部とか女性が入らないで、何か脇役で、じゃ、こっちは青年部でお願いしますみたいな話になっておりまして、なかなかそういう中心の中で活躍することが難しいような状況になっておりますが、今後、そういう育成された認定農業者等を含め、青年部あるいは女性の代表を積極的に農協の役員に登用すべきであると、こう思いますが、いかがでしょうか。
  97. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) JA自身も、組織強化、活性を図る観点から、女性なり担い手のJA参画を、JAの運営への参画を促進するということで、青年部なり女性部をJA運営の中核的組織として位置付けまして、理事への登用に取り組むというふうにしております。  我々といたしましても、こうした農協系統自身の取組の着実な実践、こういうことを指導してまいりたいと思っております。
  98. 千葉国男

    千葉国男君 農協それ自体の問題からちょっと離れますが、今地方で問題になっている、例えば福島県に飯舘村というのがありますが、畑に猿が百頭以上も出没して、野菜や米等を食べ放題、農家経営が大変に困っていると、こういう報告を受けております。  動物愛護の板挟みになって手の施しようもない、こういうことになっているわけなんですが、被害の補償とか、あるいは実効性のある食害防止対策を講ずるべきだと思いますが、現状ではどのようになっているのでしょうか。  時間もありませんので続けて関連の話をさせていただきますが、先日、島根県にお邪魔した際に、向こうの鳥獣被害はイノシシが中心になっておりまして、これも相当被害を受けていると、こういうふうに言われておりました。そういう意味で、全国の有害鳥獣の被害状況はどうなっているのでしょうか。  有害鳥獣の対策については国が積極的に取組の方針を打ち出して対応しなければ解決できない、こういうふうに思いますし、今後のことも考えて、全国的にこの有害鳥獣の総点検で、ここの地域は猿、この地域はイノシシ、ここはどうと、こういうふうなものをちゃんと情報交換をしていったらどうかと、こういうふうに思いますが、併せてお願いをいたします。
  99. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの野生鳥獣によります農作物被害とその対策というお話でございます。  委員の御指摘のとおり、イノシシ、猿等の野生鳥獣によります農作物被害、中山間地域を中心に発生をいたしておりまして、全国的な農作物の被害状況を見ますと、平成十四年度で被害面積約十四万ヘクタール、被害金額約二百十三億円というふうになっているわけでございます。  こういった農作物被害を防止をいたしますために、私ども農林水産省といたしましては、まずは被害発生原因の究明と対策技術の開発、そういった試験研究も実施しておるわけでございますが、さらに、地方におけます侵入を防止いたしますさくでございますとか、そういった被害防止施設の整備、あるいはまた住民の方々に対しまして、鳥獣の生態あるいは被害防止に必要な知識、そういった普及啓発活動も行っております。またさらに、生産者の方々によります追い払いといった防除活動を行っておられるわけでございますが、そういう自衛体制の整備、こういった具体的な被害防止への取組に対しましても国として支援を実施しているところでございます。  またさらに、委員の方からも御指摘ございましたように、そういった鳥獣によります被害の防止を効果的に行いますためには、やはり鳥獣の捕獲等によります個体数管理、そういったことも必要でございますので、環境省、そういった他省庁がやっております施策との連携もこれ大変重要であるというふうに考えておりまして、私ども農林水産省といたしましても、環境省との連携を密にしまして、鳥獣による被害防止対策の円滑な推進に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  100. 千葉国男

    千葉国男君 以上、終わります。
  101. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  102. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  同僚議員の時間をいただいて、BSE対策の買上げをめぐる牛肉偽装事件について質問いたします。  五月十九日の決算委員会で、我が党の小林議員の質問に、白須生産局長は当時の農水省畜産部長が浅田容疑者らと会食していた事実を認めました。  この会食に参加した畜産部長や他の官僚の飲食費は一体だれが負担したんですか。
  104. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 当時の担当部長、それから担当者に確認をいたしましたところ、いずれも飲食代を支払った覚えはないということでございました。
  105. 宮本岳志

    宮本岳志君 高級すき焼きはただではないんですね。本人が払っていないならば、浅田容疑者ら、つまり業者が払ったことは間違いない。浅田容疑者から酒食のもてなしを受けて、このBSEの牛肉買上げ事業について談合して、その結果、浅田容疑者は自分が国に買わせたい偽国産牛について見通しを付けたということになります。  これは、大臣、明白な贈収賄ということになるんじゃないですか。なぜ告発しないんですか。
  106. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、検察でいろいろ調査が行われておるところでございまして、私どもはそれに協力をすると。  ただ、今、会食に、飲食店での会合に参加したと。こういうことは国家公務員倫理規程に抵触する、こういうことであるわけでありますが、その内容等につきましては、現在捜査中でありますので、私どもが申し上げることはできないところであります。
  107. 宮本岳志

    宮本岳志君 会食が行われたのは最高級の霜降り肉が味わえることで知られる都内の高級割烹と、こう報道されております。  これはどこの何という店か、御答弁を。
  108. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 場所につきましては、今、大臣からも申し上げましたとおり、国家公務員倫理審査会の方に、全体として倫理法、倫理規程に抵触しておるおそれがあるということで、その疑いがあるという報告とそれから調査開始の通知を行ったところでございます。  そういうことでございますので、その店なり場所等につきましてはまだ調査が十分行われておりませんので、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
  109. 宮本岳志

    宮本岳志君 受託収賄の可能性が極めて強い、極めて重大な接待にかかわる問題なんです。どれほど高級な店なのか、そこで食事すればどれほどの金額になるのか、これは決定的な問題なんです。こんなものは一般論ではなくって、明らかにするのは当然なんです。結果として五十億円という国民の血税が不正に詐取されたという重大問題です。  大体、これまでも旧大蔵省の問題など、口に出すのもはばかられるような、まあ何とかしゃぶしゃぶというような接待事件、数知れない霞が関の汚職腐敗事件が起こってまいりました。  そこで、今日は法務省に来ていただいているのでお聞きしたい。  九八年三月に逮捕された大蔵省のキャリア官僚、榊原隆らを被告とする大蔵省汚職事件では、遊興飲食などの供与も賄賂に当たると判断され、有罪が確定しておりますね。
  110. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) お尋ねの事件につきまして、東京地方裁判所において有罪判決が言い渡され確定しているものと承知しております。
  111. 宮本岳志

    宮本岳志君 こんなものは収賄以外の何物でもないと私は思います。  大体、本人がそう自覚していたんですよ。五月二十一日付け産経によると、この部長とその部下は国家公務員倫理法で義務付けられている届出をしていなかったと報じられました。これは事実ですか。
  112. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) この当時の担当部長に当時の事情につきまして確認をいたしましたところ、浅田容疑者と部長室で打合せをいたしまして、その後にその関係団体間の飲食店での会合に職務として参加をしておったということでございます。
  113. 宮本岳志

    宮本岳志君 届出、届出。
  114. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) この利害関係者との飲食につきましては、国家公務員倫理規程で一般的にはもちろん禁止をされておるわけでございますが、ただ、夜間におきます飲食でございましても、自己の費用を負担し、また倫理監督官の許可を受けたものにつきましては禁止行為の例外ということもあるわけでございます。  したがいまして、もちろん委員指摘のとおり、国家公務員倫理規程に基づく必要な手続がなされておらなくて、同規程に抵触するおそれがあるということは考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在、倫理審査会に対しまして調査の端緒の報告を行いますとともに、調査開始の通知を行っておるということでございますので、まだ調査も始まったばかりでございますので、ひとつ御理解をいただきたいということでございます。
  115. 宮本岳志

    宮本岳志君 そんなもの、届出なんかできるわけないじゃないですか。やましいことがないなら、それは届出できますよ。しかし、こんな高級すき焼き店で高級すき焼きの牛肉のお呼ばれにあずかるというようなことが届出できるような中身じゃないことは明らかですよ。  つまり、当時の畜産部長自身がこの会合はとても届出できる会合などではないと自覚していたということじゃないですか。いかがですか。
  116. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、倫理審査会に対しまして調査開始の通知を行ったばかりでございます。ただいま御指摘のある点も踏まえまして、そういうことも含めまして、調査の中で事実確認をする必要があるというふうに考えている次第でございます。
  117. 宮本岳志

    宮本岳志君 だから、そんなことを言っているから、農水省は、この問題でいうと、自ら不正を明らかにするのではなくって、かばっているんじゃないかと言われるんですよ。  じゃ、聞きますけれども、そういう飲み食いの接待を受けるようなことが日常的にやられているんですか。じゃ、そんな届出をして高級すき焼きを、例えば生産局長、あなたは届出をして業者と夜間に飲み食いしたことおありですか。あるいは、下から高級すき焼きなどを食べに行くという届出を許可したことが一度でもありますか。
  118. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 肉の行政を担当する職員も含めまして、国家公務員が利害関係者からの供応接待を受けることは倫理規程上禁止されているところでございまして、こういった接待を日常的に受けているということはないというふうに考えている次第でございます。
  119. 宮本岳志

    宮本岳志君 そうでしょう。だから、届出できないんですよ。  つまり、この当事者はこれは大っぴらに出席できるような会合でないと分かって出席したわけですから、正にこれは私は受託収賄そのものだと言わざるを得ないと思いますね。  それで、この会合、二〇〇一年十月中下旬の会合、昼間には畜産部長室、夜にはこの高級すき焼き店と二回持たれているわけですが、非常に不思議な点があるんです。この全国食肉事業協同組合連合会、全肉連の幹部をこの夜の高級すき焼き店に呼んだのは一体だれですか。
  120. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) その点につきましては、当時の担当部長、それから担当者にも確認をしたわけでございますが、団体間の話でもございまして、承知していないということでございました。
  121. 宮本岳志

    宮本岳志君 承知していない。決定的な話なんですけれどもね。その当事者がそのことを承知していないと答えたと。それで納得したんですか、あなた方は。
  122. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) いずれにしても、確認いたしましたところ、承知しておらないということでございました。
  123. 宮本岳志

    宮本岳志君 おかしいじゃないですか。ここに先日理事会で農水省報告した当時の担当部長・担当者から聴取した結果概要という文書を私は持っております。この文書によると、この十月中下旬、昼の畜産部長室には浅田被告ほか数名が来訪としている一方で、飲食店、つまり高級すき焼き店での会合は全国食肉事業協同組合連合会、全肉連と浅田被告ら全同連との会合と、こう記述されているわけですね。  ですから、この昼の畜産部長室は浅田容疑者ら正に全同連の関係者だけであり、夜の高級すき焼き店に初めて全肉連幹部が参加した、これが事実じゃありませんか。
  124. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) そこの出席者につきましては、そういうことも含めまして、現在調査を始めたところでございますので、そこの出席者については私どもとしてはまだ確認ができておりません。
  125. 宮本岳志

    宮本岳志君 到底まじめに調査をしているとは思えないですよ。担当者にまで聞いているわけでしょう。それで、そんなことも分からない。そして、覚えていない、分からないと言われて、はあ、そうですかと。それは、本当にまともにあなた方が調査しようとしているとは言えないと私は言わざるを得ないと思っています。  それで、実に不自然な話なんですよ。この浅田容疑者は、全同連、全国同和食肉事業協同組合連合会の食肉業者が持っている国産牛肉を買い上げてほしいということを、この全同連自体が事業主体になれるように農水省に繰り返し要求したわけです。それに対して農水省は、業界六団体の一つである全肉連の事業委託でならば事実上の事業主体になれるだろうということで浅田容疑者を納得させたと。  それで、この五月の二十七日付け毎日によりますと、これは、全肉連の福岡伊三夫会長は全肉連の総会で、五月の二十六日、全肉連の買上げ枠は二千トンだったが、農水省から全同食の肉も受け付けるよう依頼されたと、そうなると枠が膨らむがいいかと尋ねると、農水省は了承したんだと、こう説明しているんですよ。  つまり、あなた方の側から引き受けてやってくれと、枠も増やすからということを言い、そしてこの夜の高級すき焼き店でその言わば手打ち式というか割り振り式をやったんじゃないですか。違いますか。
  126. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 当時、保管事業、この保管事業でございますが、この検討に当たりましては、営業倉庫を中心に聞き取り調査を行ったわけでございます。そこで国産牛肉の在庫数量一万三千トンというふうに推計をいたしたわけでございますが、この事業の実施に当たりましては、可能な限り多くの事業の対象牛肉を市場から隔離する必要があったというわけでございます。つまり、消費者を始めといたしまして、与野党挙げて皆さん方から、とにかく可能な限りそういう全頭検査前の牛肉を集めて隔離しろと、こういうふうな要請が全国からあったわけでございます。  したがいまして、そういうことで、私ども、その申請量というものにつきましては上限ということじゃございませんで、その申請量の総計がこの数量を超えた場合には、予算の、当然のことながら予算の増額要求するということにしておったということでございます。  したがいまして、ただいま委員からお話ございましたような、そういう、何といいましょうか、団体内で割当てをするとか、そういうふうなもちろん事実もございませんが、そういう必要性について、あるいはそういうことにつきまして何らかの利益供与を行うといったような関与を行う余地はなかったというふうに考えている次第でございます。
  127. 宮本岳志

    宮本岳志君 そんな説明通らないんですよ。大体、可能な限り多くの牛肉を隔離する必要があったと言うけれども、輸入牛肉や全頭検査が始まった後の肉もどんどん隔離しようとしたわけじゃないでしょう。全頭検査が始まる前の国産牛だけを隔離するんでしょう。上限なんてあるに決まっているじゃないですか。それをひとまずあなた方は倉庫関連団体からつかんで、一万三千トンと推計したわけですよ。こんなもの幾らでも多けりゃ多いほどいいと、そんな了見で事業やったわけじゃないでしょう。そうでしょう。そして、その目安に基づいて買取り事業というのを進めたわけですから、そんな、枠はなかったんだと、多ければ多いほど良かったんだと、そんなばかな話はないんです。  それで、そんな、じゃ一体、夜の高級すき焼き店に、そうしたら何をあなた方の担当、畜産部長は説明に行ったんですか。
  128. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 現時点で、当時の担当者からの聞き取りによりますと、畜産部長室では、牛肉在庫の保管事業につきましての趣旨なり内容なり、あるいは事業対象となる牛肉、そういった全般的な説明を行いまして、種々質問に対して回答したということでございます。  その後、全肉連と全同連の幹部数名が都内の飲食店におきまして保管事業の取り進め方についての打合せの会合を持つということで畜産部長が同席を求められ、できる限り多くの対象牛肉を市場から早急に隔離すると、そういう事業目的を達成いたします上で、全同連が全肉連の事業委託を受けて取り進めていくことにつきまして十分な理解と協力が必要であったということでございます。さらに、事業全般につきまして詳細な説明が求められるのではないかということで、そういうふうに判断をいたしまして会合に出席したとのことでございます。会合では両者に対しまして事業への協力を再度求めたというふうに承知をいたしております。
  129. 宮本岳志

    宮本岳志君 事業全般にわたる詳細な説明をして、そしてこの二つの業界団体と議論したと。正に、一万三千トンというあなた方の推計もここでは出されたでしょう。それをどんなふうに進めるかという相談、やったんでしょう。  そんなもの、この昼間やったのと同じ一般論の説明を晩も繰り返しに行ったと言うんだったら、それこそ、高級すき焼きを食べに行ったということじゃないですか。昼間できなかった更に突っ込んだ相談するから夜も行ったんでしょう。つまり、夜にはそういったことを具体的に更に詳しくやったということは明瞭です。だから、そんな言い逃れのようなことを言ったって国民はだれも納得しないということははっきり申し上げておきたいと思います。  五月の二十八日付けの毎日新聞にこういう報道がありました。雪印食品の偽装事件は二〇〇二年一月二十三日に発覚したと。国会で取り上げられ、問題になった。関係者によると、浅田容疑者は府肉連などの偽装が発覚すれば大騒ぎになると考え農水省幹部に、申請した肉を戻そうかと取下げを相談。幹部は、絶対にそんなことはするな、そのままにしておくようにと反対したということだと。  これについて農水省は、先ほどのこの文章で、雪印食品事件が発覚した平成十四年一月当時の幹部から事実関係を聞き取ったところ、そのようなやり取りを行った事実はないとのことであったと書いてあります。  問題のすき焼き屋へ行った畜産部長は平成十四年一月八日付けで退職をしております。この平成十四年一月当時の幹部というのは後任の梅津準士畜産部長のことですね。
  130. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまお話しのとおり、雪印事件発覚しましたのは十四年の一月二十三日でございますが、その後、ただいまお話しの浅田被告が農水省幹部に申請取下げの相談を行ったとされる件につきまして、そういう相談があったかどうか、畜産部長を始めとする当時の幹部に聞き取りを行ったわけでございます。その結果、そのようなやり取りを行った事実はないというふうなことでございました。
  131. 宮本岳志

    宮本岳志君 梅津さんのことですかと聞いているんですよ。
  132. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 畜産部長は梅津でございますが、その他にも審議官なり食肉鶏卵課長等々、そういった幹部全員について聞き取りを行ったわけでございます。
  133. 宮本岳志

    宮本岳志君 あの雪印食品の事件のさなかに申請取下げの申出があったということは、言わば、申請した牛肉が偽物だと言っているようなものなんですね。しかし農水省は、すぐに事実を明らかにするのではなく、隠しておくという方を選んだと報じられているわけです。そうしている間に、問題の牛肉そのものは、決算委員会で我が党小林議員が明らかにしたように、浅田被告の息の掛かった焼却場で極めて不自然な形ですべて灰にされてしまいました。  少なくとも、薄々はですよ、農水省、浅田容疑者が買取り申請した牛肉の一部分は偽物であるとあなた方は早い段階から気付いていたんじゃないですか、いかがですか。
  134. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま私申し上げましたとおり、いずれにしても、幹部からの聞き取りによりますと、ただいま委員の御指摘のような取下げの相談自体がなく、これにそういうふうに答えた記憶もないということでございました。
  135. 宮本岳志

    宮本岳志君 とにかく、先ほどからお伺いしていて、そんな、あなた方に聞き取ってもらったものをここで言っているようでは、もうこの問題は解明できないと。ここに元畜産部長始め関係者を参考人として出てもらって、直接お伺いする以外ないというふうに思います。  この問題は霞が関だけの問題ではありません。浅田容疑者と政治家の癒着も背景にある。例えば、中川経済産業大臣もハンナングループの三つの企業に合計三百万円のパーティー券を買ってもらっていたことが明らかになりました。また、浅田容疑者が民主党の衆議院議員のパーティー券八十万円購入した際に、この議員を浅田容疑者に紹介したのは問題の元畜産部長だったということも明らかになっています。  石原事務次官は記者会見で、公務員は政治的中立が求められる、そのようなことがあったとすれば問題だと答えておりますけれども、正にこういう政官業の癒着が貴重な国民の税金を五十億円も食い物にするような不祥事の土壌を作ってきたんです。改めて元畜産部長の参考人招致と全容の徹底解明を求めて、私の質問を終わります。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 では、続きまして、今の宮本議員の後を続きまして、農協法の問題について質問させていただきます。  農協改革については、広く国民の声を反映することが重要だというふうにされています。政府の経済財政諮問会議などでも議論がされてきたわけです。この中で、経団連の奥田会長ら財界の委員は、農協が独占的な地位にあることで新規参入が抑制されているとし、独占禁止法の適用除外になっていることを問題にしています。そして、他の業者との同等の条件での競争や経済事業の抜本的な見直し等をいち早く要求してきたわけです。財界も農協改革について主張しているわけですけれども、大臣は、この財界のねらいについて、それがどこにあるかというふうにお感じでしょうか。
  137. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 経済財政諮問会議、民間議員が御発言と、今御指摘もありましたとおり、独占禁止法の適用除外制度についての問題提起、これがされたところでありまして、農協等が行う共同購入あるいは共同販売等の活動はその本来の事業であることから、同制度の意義は今日でも依然私は高いものと、こう思っております。  しかし、そのような御指摘を受ける、いろいろ不公正な取引と、こういうことにつきましては独占禁止法が適用されているところでありまして、その独占禁止法違反、こういうことが生ずることのないよう公正取引委員会に対しましても連携して厳正にチェックをしてまいりたいと、このように考えております。  さらには、農協が、それだけでなしに、やはり生産者あるいは消費者のニーズに沿うような、また時代に沿うような農協の使命を果たされるようにいろいろの考え方が披瀝をされたんではなかろうかと、こう思います。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと今質問した中身に対してなかなかお答えになっていないようなんですけれども、経済財政諮問会議で、この議事録あるわけですけれども、この中で例えばウシオの会長さんが言っておられるのは、農協は米以外でいろんなことをやっている、しかし、日本の商社はほとんど入れず、利益農協の独り勝ちになり、農民は保護に頼っている、この意味で農協が独占禁止法の適用除外になっているのも問題だと。これは平成十四年の二十五回経済財政諮問会議、ここでウシオ電機会長がこういう発言をされているわけです。  そのねらいが、結局、農協事業に大企業が割り込んでいって利益を上げていくということにあるというのが明らかに示されているというふうに思うんですけれども、そういうねらいがあるというふうに思いませんか。財界の側のねらいということを聞いたんです。
  139. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 必ずしもそういうことではないんではなかろうかと。農協農協として農協組合員のためにいろいろな仕事をするということが使命でありますので、農協もやはり組合員の生産活動等々にどう対応することがよろしいのかと。  それは、経済界なり一般の方がそういう御発言をされる、それはその御発言かと思いますけれども、私は、農協農協の役職員一体となって農業者のニーズに合う、そのようなことをするわけでありますから、私はそれは発言発言として、ただねらいは、必ずしもそういうこと、それ以上に私は農業者がしっかり、農業者のためにやることが私は必要なことじゃなかろうかと、こう思います。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 農協がその農協の元々の役割に基づいてやる、そのことを否定しているわけじゃなくて、財界のねらいがどういうふうにあるかということをどう大臣が感じられているかということを私聞いたんです。それはそれとしてという話なんです。
  141. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 財界の人がそういうことをどういうねらいでおっしゃっているかというのは、これは私も分からない話であります。それぞれの立場でおっしゃるわけですから、必ずしも大企業はそれをやろうと、こういう意識をお持ちになっているのか。現実に農家の皆さん方とのお仕事をする関係でそんな簡単なものでは私はないんではなかろうかと、こう思います。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 農協が米以外にもいろいろやっている事業に言わば大企業も参入していきたいと、それをやろうとすればいろいろ邪魔になるというようなことが露骨にやっぱりこういう発言の中に現れているというように私は思うんですよ。  問題は、やはりそういうことを発言されていることなんかもきちっと直視して、やっぱり本来の、農協組合員に奉仕する農協組織の協同運動ですね、そこを高めてやはり発展させていく、協同組合としての事業を守り発展させていく、そういう立場での支援が重要だというふうに思うんですよ。  ところが、昨年三月の農協のあり方についての研究会、この報告書出ていますね。この報告書の中でも、資料の中にありますけれども、選択と集中、そして一般企業と競争して勝ち抜くようにということが書いてあったり、競争力のないものは撤退するんだという形で競争をあおっているわけです。営利本位に農協事業を変えていこうとする方向がこれ強められているんじゃないかというように思うわけですけれども、農水省としてもこの報告書にあるような方向で進めるということなんでしょうか。
  143. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今後の農協運営を考えました場合に、農協、いろんな総合事業体として存在しておりますけれども、やはり利益を上げるのを目的とする団体ではございませんけれども、赤字であっていいということではございません。そうしますと、健全な経営を図っていくという上からは、経済事業につきましてやはり全般的な見直しを行い、組合として今後ともしっかりやるべき話、あるいは組合以外のところにゆだねるべき事業、そういうものをもう一回抜本的に見直しをするということでございます。そしてまた、信用事業なり共済事業、こういったものに今依存している体質でございますけれども、そこでの収益がなくても成り立つ経済事業、こういうものを今後確立することが必要であろうと思っております。  現在、この利用状況を見ますと、先ほど言いましたように、健全化の観点から、やはりその選択と集中という考え方は、基本的にはこれをベースに考えていくべきものと思っておりますし、そういった運営の見直しの中でいかに組合員へのメリットを最大限確保していくかと、こういう観点で今後しっかり健全化を図っていただきたいと思っております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 大臣もこの経済財政諮問会議に出席をされていると思うんですけれども、その中で、大臣の側から出している資料の中にも農協改革についてということで出しているものがあるわけですけれども、その資料の中身を見ましても、例えば全農生産資材事業競争力のあるものに特化というようなことが書いてあったり、あるいは農協経済事業で黒字化できない事業から基本的に撤退ということがこの中に書いてあるわけです。  これでいきますと、やはり農協法の第八条、ここには、組合はその行う事業によってその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的として、営利を目的にその事業を行ってはならないというのが第八条、農協法の第八条にあるわけですけれども、これとも反していく方向になるんじゃないかと思うんですね。  もちろん競争はあってもいいと思いますし、赤字を克服するということ、これは当然必要なことだというふうに思います。しかし、今、信用事業や共済に頼ってという話があったんですけれども、信用事業や共済の利益を回して赤字の部門に補てんして、全体としてやっぱり組合員の営農や生活を守るということのためにそれを回していくということも、農協の在り方、形としてはそれは当然あり得ることだというふうに思うんですよ。一般企業と競争して利益が上がらないところは撤退なんだと、そういうことを言うことによってやっぱり協同組合としての本来の農協の性格からそれていくんじゃないか、そして組合員のニーズにこたえられないということになるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。
  145. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) それぞれの農協、全体としての組合員のニーズにこたえる対応、それは信用事業あるいは共済事業経済事業とそれぞれあるわけでありまして、今、委員からのお話のとおり、すべてそれが赤字になってしまうからそれから撤退するんだと、これでは農協の使命というのは果たすことはできないわけでありまして、それはやはり営農の問題も、信用、共済、経済事業、パッケージでいろいろやらなければならないと思います。  ただしかし、やはり赤字になる、それはそういうことが解消できるようないろいろの経営努力をやはり一方ではやらなければならないわけでありまして、そういう面で組合員の負託にこたえる経済事業経済事業につきましてはそういう不断のやはり努力が必要ではなかろうかと、このように思います。一概にそれが赤だからといってそれから撤退というのは、これはやはり組合全体、組合員のこと、また十分考えて対応しなければならないことじゃなかろうかと思います。
  146. 紙智子

    ○紙智子君 今、大臣が答えられたことというのは、私は当然のことだというふうに思うんですね。  それで、さらになんですけれども、今度の法案でいいますと、全国農協中央会組織事業経営指導に関しての基本方針を定める、これを都道府県中央会が各農協に守らせていくということになるわけですけれども、この中には全中が定めた経済事業改善指針も入るというふうにされているわけです。それで、大臣も最近発表した農政改革基本構想でその指針の法的位置付けについて明確にするというふうにしているわけなんですが、自主的な組織がそういう指針を作って実行するのはいいんですけれども、これを法的に明確にするというのは、今までとどういうふうに違ってくるのかといいますか、どういう効果をねらっているのか、これについて局長お答え願います。
  147. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全国中央会なり都道府県中央会というのは、その傘下の組合員、会員を指導するあるいは監査を行っていくという権能は現在もあるわけでございます。ただ、昨今の農協を取り巻く状況、経済社会状況をとらえますと、正に系統全体として歩調を合わせて取り組んでいかなければ実効が上がらない。例えば、トレーサビリティー等安全、安心の問題にしましても、どこか一つ農協が問題を起こしますと、これが系統全体の評価につながって不信感につながっていくと、こういったことも多々あるわけでございます。  そういうふうになりますと、やはり全国の系統組織が足並みをそろえて改革に取り組んでいくという共通な事項もあるわけでございます。そういったものについて全国中央会が基本的な方針を定め、そしてまたスケジュール管理もしっかりしていくという意味では、一般的な指導権限があるとはいっても、やはり法文上、そういった共通事項、各中央会が連携をするために必要な基本的な指針、そういったものについてはきちんと全国中央会が定めて、そしてまたそれを基に各県の中央会事業を実施していきますよと、そういうことをより明確に農協法上位置付けた方が効果が上がる、またそれを支援する、そういった自主的な活動支援することにつながるということで、今回の農協法改正を提案させていただいているところでございます。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 今いろいろ言われたんですけれども、結局そういう方向で指導が厳しくなるということですかね。
  149. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全中なりの指導が厳しくなるというよりも、むしろそういう整合性が取れた形、それから全国と歩調を合わせてやっていくということがより明確になるということだと思っております。
  150. 紙智子

    ○紙智子君 この経済事業改革指針、これを見ますと、部門別の収支の均衡、それから子会社物流、農機、それからガソリンスタンド、Aコープなどの拠点型事業収支改善について三年間、目標として課していると。それで、三年間の間にいろいろやって改善が図られない場合には廃止などの選択肢もこの中で示されているわけですよね。  それで、こういう指針が法的に位置付けられるということになりますと、強制力も働いてくると。無理にやっぱり収支を改善しようということで、結局、手数料の引上げをせざるを得ないとか、あるいは人員を削減しなきゃいけない、事業合理化をしなきゃいけない、廃止しなきゃいけない、こういって、本当はしたくないけれどもそういうふうに追い込まれていく、そういう懸念があるんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  151. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に協同組合目的を達成するということ、これは組合員へのメリットの最大限の発揮ということでございます。これは、先ほど大臣お答えをされましたけれども、すべて赤字を解消することが目的ではございませんで、やっぱり立地の観点等から見ましても、農協でなければその地域事業を実施できない、また組合員等がその事業のメリットを享受できないというケースもあります。そういうところは正に組合員に対しましてちゃんと情報を提供し、十分理解と納得を得た上でやっていく。また、できるだけそういった事業であっても効率化を進めていくという観点も必要だろうということで、一律的に現地のあるいは地域実情を無視して改革を進めるということではないということでございます。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 理解と納得を得てと、そして無視してやるというわけじゃないというふうに言うわけですけれども、しかし国が、選択と集中だ、黒字化できないのは撤退ということで旗振りをしているわけですよね。そういう中で、民間で決める経済事業改善指針を法的に位置付けるということになれば、幾ら納得と理解、状況とかみ合わないことじゃやらないんだといいながらも、実際にはそういうことに追い込まれていくんじゃないのかというふうに思うんですね。  それで、農協としては、やっぱり地域の特性とかあるいは自主性とか創意性ですね、これを最大限に生かしていかなければならないと思うわけですけれども、例えばそういう追い込まれる中で、画一的にもう収支改善第一主義みたいな形で、さきに言ったような手数料の引上げとか人員の削減とか事業の廃止とか、こういうようなことがやられて、組合員のニーズにこたえられないという事態になりかねないというふうに思うんですけれども、これを防ぐということではどのようにして防ぐおつもりでしょうか。
  153. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全国中央会がこういった実施方針を作りますし、またそれに応じて都道府県中央会がされる、そしてまた実行していくという過程があるかと思います。今、委員が御懸念のような事態、こういうことは、やっぱり協同組合の原理原則的な究極の目的組合員の最大限のメリット、そういったものが本当に阻害されているとか、そういうものがあればもちろん行政としても指導していくことになろうかと思います。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 今、損なわれる事態があればきちっと行政としても指導していくというふうにおっしゃいましたので、そこはしっかり留めておきたいというふうに思います。  それで、私、この間も農協の関係者の皆さんとも懇談をしてきたわけですけれども、やっぱり農協というのは何のためにあるのかと。やっぱりそもそものところに立って、農協というのは、やっぱり食料生産と供給に責任を持つ、そして組合員地域の生活環境を守る、そういう重要な役割を果たしているし、そうありたいということを言っているわけです。  その中には、市場原理になじまない営農あるいは生活相談、それから地域農業や環境を守る活動もあるわけです。決して農業者の責任でない今の困難といいますか、外圧やあるいは農政、日本の国の農政によってもたらされた困難な農業情勢があるわけですけれども、そういう中で縮小せざるを得なかったというか、そういう販売、購買の生活関連の事業もあるわけで、これらも多少赤字でも何とかやりくりしながら必死に守っていくということで頑張っていると。信用事業や共済の利益を回して、こういう分野に補てんして続けるというのも、言わば組合員の営農や生活を守るということで、そういう農協の当然の姿としてもあるんだろうというふうに思うんです。一定の線を、上から線を引いて、事実上その存続の可否を押し付けるというようなことは私はすべきではないと思いますし、そのことを強く述べておきたいし、一言、最後に大臣からもこのことについて一言いただきたいと思います。
  155. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) やはりこの基本的な指針、そういうものは、これ全国的な農協、そういう中での一つ目標なり、そういう中でいろいろ連携をしていくことは必要なことであるわけであります。  そしてさらに、やはり都道府県ごとに、あるいは地方によってはそれぞれ創意工夫と。また、いろいろ地域の環境も違うわけでありますから、それぞれのそういう中での対応というものはやはり基本指針、基本方針にのっとり、またそういう中で地域のそのような創意工夫、独自性というものが私は発揮をされることが必要ではなかろうかと。  そして同時に、一番基本的なことは、やはり事業を進めるにつきましても、組合員の皆さん方の理解がなければこれはできないわけでありまして、執行部の皆さん方もそれを独断でできるわけではないわけでありまして、やはり組合員の皆さん方の理解ですとか、また役職員、執行部、そのコミュニケーション、こういうものも必要なわけでありまして、そういうことが実現されなければ、私は農協の、JAの健全な組合運営というものはできないと、このように考えております。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  157. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 牛肉買上げ事業をめぐる事件について質問します。  先週、五月二十五日の農林水産委員会におきまして、牛肉偽装事件の浅田容疑者側と農林水産省の関係を明らかにするために永村武美元畜産部長の参考人要求をいたしました。しかし、理事会での農水省説明では、御本人が出てくるのは難しいということだったんですが、その難しい理由についてもちょっと納得いきません。しかし、今日は農林水産省にこの件について質問したいと思います。  永村氏は、一九七一年に東大大学院を獣医として卒業し、農林省に入省しました。畜産畑を歩き続け、畜産局畜産経営課長、畜産局畜政課長、畜産局担当の官房審議官を歴任し、二〇〇一年一月に初代の畜産部長に就任しました。ところが、永村部長が国内では絶対発生しないと公言していたBSE牛が公言直後に国内で発生したために、二〇〇二年一月に事実上の引責辞任をしました。  さて、永村氏が浅田容疑者と知り合ったのは一九八〇年ごろ、需給担当係長だったときだと言われています。永村氏は、友人の国会議員のパーティー券の販売先として浅田容疑者を紹介したところ、ハンナン系企業が八十万円ものパーティー券を購入したという話も報道されています。  これはどういうことかといいますと、永村氏と浅田容疑者は単に二十年来の付き合いということだけじゃなくて、大変に親しい仲だということが分かるわけですね。世の中ではこれを刎頸の友と言うんですね、こういう関係を。そのこと自体、大きな問題をはらんでいますけれども、ここで生産局長一つ質問します。  農林水産省から出していただいた永村氏の略歴を見ると、永村氏が農林水産省を退職したのは二〇〇二年一月です。そして、社団法人家畜改良事業団参与に天下り就職したのは同じ年の八月となっています。つまり、退職から天下りまで七か月間もの間が空いているわけですよね。こうしたケースというのは、大体退職後即天下りという一般例と比べるとちょっと異例に思えます。  永村氏は農水省を退職後、家畜改良事業団に天下るまで収入をどのようにして得ていたのか。常勤、非常勤を問わずお答えいただきたいんですが。
  158. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員のお話でございますが、一般的に退職をしましてからその次の再就職までの間はその人その人でまちまちでございまして、元畜産部長の例がどうであるかというのは、それは何といいましょうか、特段これが異例であるとかいうことではないと思っております。  そこで、ただいまお話しの十四年一月八日付けで退職をされ、八月十一日付けで常勤参与、家畜改良に再就職をしたわけでございますが、本人に確認はいたしましたところ、この間、他に就職したという事実は承知をいたしておりません。
  159. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 その間、ハンナン系の企業の顧問をしていたのではないかという疑いが出されていますけれども、そういうことはなかったんですか。
  160. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 私どもが本人に確認いたしましたところ、ただいまのような事実はないということでございました。
  161. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それでは、家畜改良事業団に天下りした後もほかに兼職していたということはあるんでしょうか。同じように常勤、非常勤を問わずにお答えいただきたい。
  162. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 家畜改良事業団へ就職をいたしました後、平成十五年五月三十一日付けで財団法人日本生物科学研究所の非常勤理事及び非常勤の主任研究員、それから同じく十五年六月十二日付けで社団法人畜産技術協会の非常勤の顧問、それから平成十六年の六月一日付けで社団法人ジャパンケンネルクラブの非常勤の理事に就任したということは承知をいたしております。
  163. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それ以外に何かありませんか。
  164. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) それ以外の点については承知をいたしておりません。
  165. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 五月十五日付けの読売新聞大阪本社記事によりますと、二〇〇一年十月に農水省内で浅田容疑者ら全国同和食肉事業協同組合の幹部と農水省に呼び出された全国食肉事業協同組合連合会の幹部で全同食の買上げ量を決めたということになっています。この日にちと、これは確認なんですけれども、元畜産部長、浅田容疑者ら全同食幹部、全肉連幹部が銀座のすき焼き屋で会合を持った日にちというのは同じでしょうか。それから、参加者も全く同じだったということでいいんでしょうか。
  166. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員のお話の五月一日付けの産経新聞で報道されております件につきましては、当時の担当部長、それから担当者に確認をいたしましたところ、十三年十月中下旬に部長室で来訪を、浅田被告ほか数名が来訪して種々質問をされ、回答したと。その後、都内の飲食店で打合せの会合を持つということで、事業説明と協力を求める必要があるということで会合に参加したということでございます。ただ、ただいまの会合での個々のメンバーにつきましては、三年近く前のことでもございまして、当時の担当部長、担当者とも記憶があいまいだということで、事実関係ができなかったところでございます。  それから、ただいまのお話の五月十五日付けの読売新聞で報道されております全同連幹部と全肉連幹部が農水省内の会議室で面談をしていたという報道につきましては、当時の担当部長、それから担当者にも確認をいたしましたところ、記憶にないということで事実関係ができなかったところでございます。
  167. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 日にちが同じだということは分かりました。しかし、記憶にないというのは、これはびっくりするような話なんですね。記憶にないほど年じゅうそれをやっているのかということですよね。  いずれにしても、同じ人たちがここに集まったことは間違いないわけですから、そうであれば、農水省内でしっかり話し合っているわけですよね、これ。業者としては、重大な話ですから、細部までとことん話し合わなければ帰れないわけですから。こういうことが起こった後、また夜の座敷まで行って、畜産部長が出向いて再度事業説明と協力を求めるというような必要というのはもうないわけでしょう、普通の場合。  そうなりますと、どう考えたって、昼の農水省内では、公的な場所ですから、公に話せないようなことを話し合ったというふうに考えるのは、これ当然じゃないですか。しかし、農水省理事会に提出した報告を見ると、その際、市場隔離数量について話し合った事実はないというふうにされているわけですよ。そうすると、これ、何を話し合ったんですかね。
  168. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 当時、この保管事業の検討に当たりまして営業倉庫を中心に在庫の聞き取り調査を行ったわけでございます。  そこで、一万三千トンというふうに推計をしたわけでございますが、全体として可能な限り多くの事業対象牛肉を市場から隔離する必要があったというふうなことでございまして、そういった意味で、一万三千トンというものは上限というふうなことで固定されるものじゃございませんで、そういった意味で、国が団体ごとに申請量の割当てを行ったり、あるいは団体間の調整を行ったり、あるいはまた何らかの利益供与を行うといったような、そういう事実はないというふうに考えているわけでございますが、また他方、実は、この事業につきましては、事業の実施主体が、牛肉の生産、流通、加工の三分野でございます全国六団体というものを事業実施主体にいたしたわけでございまして、そういった意味で、この組織に入っておらない事業者から、事業に参画できない、そういった大変な苦情、問い合わせがあったわけでございまして、そういったことで、全国団体に対して、会員外からの事業者からの買上げにも対応するように、そういうふうなことを要請をしておったわけでございます。  そういった意味で、今回のこの事業を、よりたくさんの牛肉を隔離するといった意味で、全同連に対して、全肉連の委託ということで、そういう形でこの事業を円滑に推進する、そういうことで全同連に協力を依頼する必要があったというふうに承知をいたしているわけでございまして、昼間にですからいろんな事業説明をいたしまして、引き続きましてその事業説明なりあるいはこの事業に対する協力ということを依頼する必要があったということで、その夜の会合に部長、元部長としては職務として参画をしたというふうに承知をいたしております。
  169. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それじゃ、やっぱり具体的な内容について話したということですよね、今の答えだと。本来、昼間やれば大体いろんな問題というのは出てきて、それを詰めないと、公的な場所で詰めないと駄目なわけでしょう。だから、夜、それでは足りなかったからほかに付随したことをいろいろ話し合ったということですね、今の答えだと。
  170. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 簡潔に御答弁ください。
  171. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 要すれば、事業についての協議が必要であったということで、協力を再度要請をいたしたということでございます。
  172. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 協力だけ再度要請するのに、わざわざまたその日の同じ夜に出掛けていって言う必要ないんじゃないですか。おかしいと思いますよ、それは。それはちょっと答弁としてはおかしいでしょう。全部詰めて、それで協力してくださいと言うわけでしょう。もう一度ただ協力してくださいと言いにわざわざすき焼き屋へ行くわけはないんですよね。ただ、これは接待だと言いたいわけですか。
  173. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) いずれにしても、昼間に部長室におきまして事業の内容なりにつきましての御質問あるいはその御説明を行ったわけでございます。  部長としては、この事業をとにかく円滑に推進するという必要、あるいは可能な限り多くの牛肉を隔離する、そういう必要があったわけでございますので、そういった意味で、全同連及び全肉連に対してこの事業に協力をしてほしいというふうな事情がございましたので、その夕方の会合につきましても、併せて事業説明と協力を求める必要があるというふうに判断をいたしまして会合に参加したということでございます。  ただ、その際、市場隔離の数量自体について話し合った事実はないというふうに承知をいたしております。
  174. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それだけ細々したことを覚えていて、そこに同席した人たちがだれだったか記憶にないというのは、これ通らないと思いますけれどもね。ここの会合に参加したのは、永村氏と浅田容疑者以外にだれかいたわけですよね。これは、やっぱり記憶にないという答えでいいんですか。
  175. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 御指摘のその会合への参加につきましては、所要の手続が取られておらないといったようなことで、国家公務員倫理法なり倫理規程に抵触するおそれがあるということで、私どもといたしまして、国家公務員の倫理審査会に対しまして、昨日付けでその調査の端緒の報告調査開始ということで通知を行ったわけでございます。  そういうことでございまして、したがいましてそこの会合の参加者につきましても今後の同法に基づきます調査の中でできる限り確認をしていくということでございまして、そこのところはしたがいまして今後の調査の中でしっかりと確認をいたしてまいりたいということでございます。
  176. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 倫理規程に違反するから記憶にないというふうに聞こえるんですよ。これはとんちんかんな答えだと思いますけれどもね。  当時の食肉鶏卵課の食肉調整官、この人は同席していたんでしょう。
  177. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 担当者が同席をしておったということは承知をいたしております。
  178. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 担当者というのは、今私が言った人ですね。
  179. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) その点につきましては、正に国家公務員倫理法に基づきます調査が今始まったばかりでございます。そういう点も含めまして、そういったことの確認というものもこの調査の中でやってまいりたいということでございます。
  180. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 別にこんなこと隠し立てするようなことじゃないじゃないですか。ちゃんとした公務として協力要請しに行った、だれとだれが行っているんだと。単純なことをなぜ隠し立てするんですか。それ自体が疑惑を呼ぶんだということに気が付かないですか。
  181. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) この国家公務員倫理法に基づきます調査と申しますのは、本人の申告だけでございませんで、やはり第三者による裏付けといいますか、そういった確認ということがやはりどうしても必要になってくるわけでございます。したがいまして、そういった本人のみならず関係者からのもろもろの確認といったようなことも含めまして調査をやるということでございます。
  182. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 犯罪じゃなかったら、裏付けも第三者もないですよね。当事者が公務で大事な仕事だから協力要請に行ったと言っているわけでしょう。ですから、何かやっぱりこれ隠しているわけですね、農水省は。だって、隠し立てする必要もないような事実だけ言ったって別に痛くもかゆくもないはずなのに、一生懸命隠し立てしている。一貫してそういう姿勢だということは、私はおかしいと思うんですよ。浅田容疑者と農水省の関係というのが要するにまずいというふうに考えているから隠し立てする、そういうふうにしか世間は取らないと思います。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、これ、農林水産省理事会に提出した資料によりますと、徹底した真相解明を図るため、警察・検察当局の捜査に最大協力していく所存であるということになっているんですよね。それは大変結構だと思いますけれども、永村氏はまだ容疑者でも何でもないです。しかも、民間人でない、その当時のこの問題の公務の担当者です。農水省と完全に切り離されているわけでもないわけですね。ですから、堂々と農林水産委員会における調査にも、ここにも同じように最大限協力するというのが筋ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 捜査当局によります捜査、これが行われ、それに私どもは本当に最大限の協力をしてまいりたいと。あわせて、本委員会につきましても、やはりその捜査状況の問題もどうあるか、それらのことも考えられるわけでありまして、捜査状況を踏まえて本委員会におきましても最大限の協力をしてまいりたいと、これはもう当然のことと、こう思っております。
  184. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 従来、こういう問題になると、捜査中だからという一般的な答えで、なかなかまともな議論を国会でできないようなそういう雰囲気があるんですけれども、このケースはそんなケースでは全くないと思いますので、是非とも参考人として出席するように農水省挙げて努力していただきたいと思います。  終わります。
  185. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時二十一分散会