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2004-05-25 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      山根 隆治君     信田 邦雄君  五月十九日     辞任         補欠選任      紙  智子君     西山登紀子君  五月二十日     辞任         補欠選任      西山登紀子君     紙  智子君  五月二十四日     辞任         補欠選任      信田 邦雄君     高橋 千秋君  五月二十五日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     藁科 滿治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 服部三男雄君                 三浦 一水君                 高橋 千秋君                 羽田雄一郎君                 簗瀬  進君                 藁科 滿治君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る十八日、山根隆治君が委員辞任され、その補欠として信田邦雄君が選任をされました。  また、昨二十四日、信田邦雄君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事紙智子君を指名をいたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会農林水産省消費安全局長中川坦君、農林水産省生産局長白須敏朗君及び農林水産省農村振興局長太田信介君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 おはようございます。自民党の小斉平でございます。  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案質問に入る前に少し申し上げたいと思います。  今日の農林水産業を取り巻く環境というものは非常に厳しいものがございます。私がここで申し上げたいのは、地球温暖化を始めとして、人間が介在することによってもたらされた環境悪化のことであります。農林水産業は、自然の恵み、大地の恩恵によってもたらされるものでありますけれども環境悪化によって大きく狂ってしまっていると思わざるを得ません。  例えば、水産庁が研究に取り組み始めましたいそ焼けの問題にいたしましても、川上の環境悪化による水質汚濁、あるいは地球温暖化による海水温の上昇も大きな要因であると言われております。また、コイヘルペスの問題にいたしましても、本年だけで琵琶湖を始めとして既に十数県で発生をいたしておりまして、今後水温の上昇とともに更に拡大が予想をされておるところであります。もしこの琵琶湖から全国出荷をされておるアユの稚魚、これにウイルスが付着するようなことがあれば全国の河川にコイヘルペスが蔓延する可能性もあるわけであります。各省庁で行う対症療法的な対策では手の打ちようのない事例も出ておりまして、国全体が一つになって取り組む必要が生じてきております。  今私どもに求められておりますのは、将来の国民にどのような国土、自然環境を残すか、五十年、百年先の将来を見据えて農林水産業の今を考えることであろうと、このように思う次第であります。  山も農地も海も相互に生かし合っておって、どれか一つでも衰退をしたら我が国農林水産業全体の衰退につながると思います。山と平地をつなぐ中山間地域もそのとおりであります。林業にかかわりながら条件の悪い傾斜地で細々と農業を営み、棚田などの自然景観伝承文化を守ってきておるわけであります。この中山間地域の荒廃を防ごうと始められた農業生産者への直接支払制度廃止を含めた見直しが進められようとしておるところであります。木を見て森を見ない、その場しのぎ財源対策我が国農林水産業衰退させることは絶対あってはならないことであります。  そこで、まず、この直接支払制度についてお伺いをいたしますけれども財政等審議会建議廃止を含めた制度見直しが行われて、財務省当局も単純な継続はあり得ないと、このように言っておるようであります。また、財務大臣もこのことを経済財政諮問会議報告をされるということであります。  この中山間地域活性化に大きな役割を果たしてきた農業生産者への直接支払制度廃止あるいは縮減という事態になれば、二年後に期限を迎える森林整備地域活動支援交付金、これにも大変大きな影響を与えることは必至であります。  さらに、今、水産業においても、国境監視あるいは不審船への対応、プレジャーボートを含む海難事故等で果たす漁船の役割等々、その多面的機能に対して中山間地域などと同様の支援を求める動きも今出てきておるところであります。  このように、中山間地域への直接支払制度の問題というものは、農業のみならず、林業水産業に及ぶ農林水産業全体の問題であります。大臣には頑張ってもらいたいと、このように思う次第でありますけれども大臣の決意と今後の方針をお聞かせを賜りたいと思います。
  9. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まず、御指摘の中山間地域の直接支払制度、もうこれは多面的機能の低下、これが特に懸念をされております中山間地域等におきます農業生産活動等継続されるよう、いわゆる農業生産条件の不利を補正する、こういう形でのことであるわけでありまして、大変もう我が国状況と、この山岳地帯、もう七割山岳地帯、そういう中で平地との関係、これは大変重要なことであるわけであります。  このように、中山間地域の直接支払制度につきましては、六十六万ヘクタールの農用地において耕作放棄が防止され、多面的機能が確保されておるわけでありますし、協定の締結を契機といたしまして、集落における話合い、あるいは農業機械共同利用、多様な農業、いわゆる集落活動の取組が活発に行われておるわけであります。  こういう中で、財政制度審議会におきます建議、様々な分野におきます見直しの時期の到来、こういうことにつきまして財政運営観点から考えが示されたと、このように承知をしておるわけであります。  現実にこの制度地方公共団体からも多くの継続の要望が寄せられておるわけでありますし、また私ども農水省、各都道府県主務部長会議を開催いたしまして、そのときにも、各都道府県からこの役割、このことは強く指摘を受けておるわけでありまして、私どもは、十七年度以降につきましても、こうしたことを十分踏まえまして、そして広く国民的な理解が得られるよう、中立的な学識経験者、こういう方々検討会も開催をいたしておりましてその検証も行っておるわけでありまして、引き続き、来年度の予算の概算要求までにそのことも十分踏まえまして取り組み、継続のために努力をしてまいりたいと、このよう考えておりますし、さらに、森林の問題、森林整備活動交付金が二年後に期限を迎えるわけであります。これにつきましても、適切な森林の施業の実施に不可欠な森林現況調査等地域活動を確保するための支援措置といたしまして、平成十四年から十八年度までの五年間実施をすることとしておるわけでありまして、平成十九年度以降につきましても、これまでの事業の実施状況等を十分踏まえまして検討してまいりたいと。  また、水産の件につきましても、水産業や漁村、国民の生命、財産保全や、また環境保全、豊かで安全な国民生活を実現する上で重要な多面的機能を有しておるわけでありまして、この発揮をすると、こういう面でいろいろ具体的な施策検討に当たっては多面的機能についての国民理解と支持が必要なわけでありまして、この夏にも出される日本学術会議の答申を踏まえまして、国民理解を得つつ、具体的な施策在り方について十分積極的に検討してまいりたいと、このよう考えております。
  10. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 大臣のお話を、答弁聞きまして少し安心したんですけれども、もう頼るところは亀井大臣しかいないわけでありますから是非とも頑張っていただきたいと思いますし、財政的な見直しという話でありますけれども、例えばスイス辺りは、結局、国境近辺農業に対していわゆる国防費からいわゆる補助が出ておるというような例もあるわけなんです、国境を守っておるというよう観点から。そういう観点からいくと、財政的な観点からの見直しだけでは済まない問題が出てくると私は思うんです。そういう意味合いからも、大臣、ひとつしっかり頑張っていただきたいと、このように思う次第であります。  では、本来の家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。  本改正案では、鳥インフルエンザで起きた問題等に対して届出義務違反、これへのペナルティーや罰則の強化、あるいは移動制限命令に協力をした畜産農家への助成制度化都道府県衛生資材購入費への国の負担の追加など、いずれも妥当に対応されておるものと高く評価をしておりまして、よくやっていただいておると心から敬意を表するものであります。  しかし、この家畜伝染病改正案を読んでみまして若干疑問に思う点がございます。これまでBSE発生に際して、屠場で屠殺をされた後にBSE感染牛と判明した牛に対しては手当金は出されておりませんけれども疑似患畜の場合は殺処分に対して手当が出ておる。今回の改正案ではこの点について触れられていない。殺処分ではないので理解できないこともありませんけれども飼養農家個人責任が問われる問題ではないのに、どうも不自然さを感じてならないところであります。また、BSEに限らず、生体検査では感染がされずに、屠殺して初めて感染が確認できるような新たな感染症が出た場合どうされるのか、こうしたことへの対応を今後検討してもいいのではないかと思いますが、御見解を賜りたいと思います。
  11. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 家畜伝染病予防法におきまして、都道府県知事家畜伝染病蔓延防止のために、飼養されている農家の人に対して殺処分命令、これは患畜あるいは疑似患畜の場合はそういう殺処分命令をすることができますし、その場合には、今、先生おっしゃったように、手当金が出るわけでございます。  この場合のこの手当金性格でありますけれども、これは個々の農家の方、所有者の方の財産権の侵害に対する補償という意味合いではなくて、むしろ家畜伝染病蔓延防止のための措置、そういったものが円滑に行われるように、それに協力していただくために出す政策的な措置というふうに理解をしております。  そこで、屠畜場に搬入された後で、BSE検査の結果、BSE感染しているということが分かった場合には、確かにこの手当金は交付されませんけれども、これは今申し上げましたよう蔓延防止のためということであります。屠畜場に出す場合は、家畜飼養者の方がこれを出荷をするということで、言わばもう殺される、商品として出荷をするということで出した。その結果、後でBSEにかかっていたということが分かるわけでありまして、これは家畜伝染病予防法の世界で手当てをするということではなくて、実態的にはどうなっているかといいますと、家畜共済の方に、これは牛の場合は大半の方が入っておられますけれども、そちらの方で、農家における飼養段階で既にBSEにかかっていたものとして、廃用事故に遭ったと同じようにしてその共済金が支払われると、そういう整理にしているわけでございます。
  12. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 次に、助成金バランスについてお尋ねをいたしたいと思います。  改正案では、移動制限命令に協力した畜産農家都道府県売上額減少やほかの損失額助成する場合には、その半額を国が負担することとしております。山口、大分、京都の例では、法以外の対応として国が損失額半額助成しており、当該県も上乗せ的な支援活動を、支援処置を行ってきました。発生農家への助成額は、患畜処分評価額の三分の一、疑似患畜五分の四、焼却等経費二分の一、汚染物品五分の四を国が支給するという従来のままになっておるところであります。  しかし、今回の改正で、家畜伝染病発生あるいは蔓延防止に関する飼養者のリスクについて考え方が変わったと見ていいのでしょうか。また、発生農家移動制限区域農家への手当金バランス、これは取れておるのでしょうか。従来は一定飼養農家責任部分としてとらえられたものが、今回の改正では手当てがされるということになります。この辺りはどのよう整理をされてこのような法案になったのか、お聞かせを賜りたいと思います。
  13. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、発生農家の場合に対します手当でありますけれども、これは先生おっしゃいましたように、残存価格というものに着目をいたしまして三分の一だとか五分の四だとかという形で手当てをされております。ここは言わば当該農家発生をしたわけでありますので、一〇〇%ではなくて一部補てんされない部分があるというのは、ある意味で、ふだんから注意をしてできるだけ病気が発生しないようにしていただくと、モラルハザードという言葉を使っていいかどうかあれですけれども、そういったものの観点から一定の、何といいましょうか、五分の四だとかと、一〇〇%でないというふうな形になっているわけでございます。  他方、移動制限を受けた、発生農家ではないけれどもいろんな経済的な影響を被った方に対する手当でありますが、従来は、こういった移動制限というのは比較的短期間で終わるというふうなことから、移動制限が解除されれば大きな経済的損失もなくまた出荷が再開されるということを想定して家畜伝染病予防法では手当てをしておりませんでした。ところが、今回の高病原性鳥インフルエンザ実態を見ますと、そこの移動制限を受けた人たちの経済的な影響は非常に大きいということで、今回、全体として販売額減少額ですとか移動制限を受けた期間の掛かった費用について、そこに着目をして、県が全体の補てんをする場合に国がその二分の一、もっと言葉を換えれば県と国が二分の一ずつこの補てんをするという形で手当てをしたところでありまして、発生農家とそれから移動制限を受けている農家との性格というのはやはりそこが違うということで、今申し上げたよう手当ての仕方に差が出てきているということでございます。
  14. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 私は、ちょうど三月の委員会だったと思うんですけれども生体輸入魚類感染症対策について質問をいたしました。そのときに農水省は、我が国水産関係国境処置についてチェックする必要があると、既に水産防疫体制について勉強会を開いておって、夏ごろまでには一定方向性を出したいと、このように答弁をされました。  どのような問題や対応方法議論されておるのか、あるいはどのよう方向でまとまりそうなのか、お伺いしたいと思います。
  15. 中川坦

    政府参考人中川坦君) この問題は、昨年のコイヘルペスウイルス病発生契機としまして、水産防疫体制についてこれを奇貨としてやっぱりきちっと見直さなけりゃいけない、そういう問題意識でこの二月から専門家方々会議を発足させたところでございまして、これまで四回会議を開催いたしておりますが、まずは第一回目としまして、我が国水産防疫体制全体のレビュー、見直しをいたしました。それから、やはりこれは実態をよく話をお聞きしなきゃいけませんので、関係業界方々からのヒアリングも行いました。その後、三回目、四回目には、内水面養殖を中心とした防疫体制、それから海面養殖の方の防疫体制というような形でこれまで議論をいただいておりまして、あと国境措置輸入防疫体制在り方についてもまだ議論が残っておるわけでございまして、そういったところの議論をいただいた上で、七月中ぐらいをめどに、現行の制度でどこが足りないのかといった、そういう点も踏まえてこれからの方向について御示唆をいただきたいというふうに思っております。
  16. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 大変難しいことだと思うんですけれどもBSE鳥インフルエンザコイヘルペス、いずれもまだ感染経路というものが究明されていないんですね。これではやっぱり防疫体制対策立てようがないと私は思うんです。ウインドーレス鶏舎への助成ということに関しましても、感染経路が人やえさであったら何の役にも立たぬわけですね、はっきり言って。BSEにしても、感染経路究明できれば、できたとすれば、不要な対策検査、このようなものが大幅にカットすることができるわけであります。とにかく感染経路究明ということに、これを最優先で努力をしていただきたいと、このように思う次第であります。  ところで、私はアメリカ牛肉輸入再開問題では、感染経路の原因の究明、これが不明である、非清浄国からの輸入はしないという我が国方針は守るべきであるという主張をしてまいりましたけれども、今もその考えに変わりはありませんけれども。  しかし、先日、日米専門家による作業部会が設けられて、国内BSE対策についても食品安全委員会プリオン専門調査会検証を始めておると聞き及んでおります。そこでは全頭検査妥当性科学的根拠に基づいたBSE検査在り方議論をされておるわけでありますけれどもアメリカや一部団体からの圧力を受けて、米国産牛肉早期輸入再開するための全頭検査をやめる口実探しの議論ではないかという声も聞こえてくるんです。アメリカからの輸入再開の時期が七月の参議院選挙の後から次の今度はアメリカ大統領選挙の間、これの間に決着するのではないかという声を実は先日、先週田舎に帰りまして、畜産農家が言うんですよ。もう七月か八月にはアメリカ牛肉輸入再開が始まるそうだと、このような非常に懸念を持っておる。私はもってのほかだと、このように思うんです。  そもそも、このBSEについてどのような仕組みで感染するかというのは、国内においてはようやく研究が始まったばっかしであります。この四月、つくば動物衛生研究所内に人工的にBSE感染させた牛を試験するための施設ができました。これから様々な試験を重ねていくことでBSEに対する知見が見付かっていくと、このように思うんです。この試験進行状況、こういうものを見守り、今後やっぱり得られた知見に基づいてその対策在り方議論すべきであると私は思います。全頭検査有効性などをやっぱり試験が始まったばっかしの今の時期に公然と議論しておること自体私はおかしいと、このように思います。  また、政府も、消費者に対して専門家の意見を聴いて科学的根拠に基づいてBSE対策在り方を見直すというだけではなくして、やっぱりつくば施設において人工感染試験などを重ねて、結果を提示した上で議論を進めるようにしなければやっぱり消費者理解得られないと、このように私は思うんですけれども大臣のお考えをお聞かせ願いたいとともに、またこの全頭検査必要性についてのお考えもお伺いをしたいと、このように思います。
  17. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) これまでも米国と数次にわたりまして協議をしておるわけであります。また、先般も専門家協議もいたしたところでございます。また、これはこれからも回を重ねて専門的、技術的にいろいろ議論を深めていくということであるわけであります。  しかし、そういう中で、やはり私は、今も委員からも御指摘のとおり、消費者の食の安全、安心、この確保を第一に考えなければならない、もうこれはかねがね申し上げておるところでもございます。そしてさらに、日本向けに輸出される牛肉につきましても国産牛肉同等措置を講ずるということが基本であるわけでありまして、もうこのことも前からもずっと申し上げておるところでもございます。これもやはり消費者からの要請でもあるわけでありまして、このことをアメリカにも再三丁寧に説明もしておるところでもございます。  この間、十八日から十九日にかけまして、日米の、先ほど申し上げましたとおり、専門家実務担当者のワーキンググループ、これをやり、いろいろ議論をしたわけでありますが、こういうこと等々を十分し、国民の、消費者の納得の得られるようなことが必要でありますし、また、今、OIEでもいろいろ議論をされておりますし、科学的な知見、これまたいろいろこうあるわけでありますから、十分それらを踏まえまして、そして国民の食の安全、安心、そして消費者理解が得られるようなこと、そして先ほども申し上げましたとおり我が国同等のことでなければならないわけでありますので、これらを大前提として、今後とも輸入再開、このことにつきまして早期にこれらが協議ができるようにやっていかなければならないと。  しかし、私は何といっても、先ほども、繰り返して申し上げますが、食の安全、安心国民理解ということがやはり基本でありますし、我が国で取っております同等のこと、これはあくまでも基本考えていかなければならないと、このよう考えております。
  18. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 アメリカBSE発生をしたときに、やっぱりすそ物がかなり上がるだろうと、こういうよう畜産農家の話だったんですね。それで、当然私はぬれ子の価格等々上がっていくだろうと思ったらなかなか上がらなかった。最近になってようやくかなり上がり始めた。これはやっぱり、いずれ政府アメリカ牛肉輸入再開をやるんだという農家の不安というものがあるんですね。そして、今現在はぬれ子の価格が上がってきたというのは、一つは、今、大臣が明確に答弁をされたように、やっぱり日本並みのことをちゃんとやらせるんだと、何といってもそれが条件だということが、そのことによって飼養農家畜産農家がやっぱりすそ物もやろうという考えになってきておるんですね。そういうこともありますので、是非ともその姿勢を貫いていただきたいと、このように思う次第であります。  いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたように、対症療法的な対策では当面は乗り越えても長期的には解決しないと、このことも必ず出てくると思うんです。環境問題あるいは輸入農産物の防疫問題含めて、我が国農林水産業を守っていくと。守っていくことは農水省だけにとどまらない、国を挙げて取り組むべき問題であると。先ほど申し上げましたように、スイスの例みたいに、いわゆる農水省だけではなくして、農水の予算だけではなくして、やっぱり国を挙げて、環境問題とかあるいは国防の問題とかいろいろ考えると、国土保全という観点からも考えるとやっぱり長期的な課題であると、このように思います。  地域農業あるいは林業水産業、これを再生して活性化するための対策我が国の食料安全保障に直結する問題であります。将来にわたって国民の命を維持するための食料、これを安全、安心な状態にするためには、当然、先ほど申し上げましたように、財源の問題も出てくるんです。さらに、農林水産業が国土や環境保全、これに果たす多面的機能、これはやっぱり政策評価とか投資効果、これでは計れない次元の問題であると私は思います。財源の面でも粘り強く国民理解をいただきながら、無駄を省きながら積極的に対応していく必要があると思っております。  今後の農林水産業の発展にどのように取り組まれるのか、冒頭申し上げましたような視点を踏まえて、大臣の御見解をお聞きして質問を終わります。
  19. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国農林水産業、これは食料の供給を始め、国土あるいは環境保全等多面的な役割を果たしておるわけでありまして、このために農林水産業を健全な姿で維持発展させていくということが私は豊かで安定した国民生活を実現する基本であると、このように認識をいたしております。  こういう中で、米政策の改革など積極的に農政改革に今取り組んでおるところでございますが、特に、来年三月の新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けまして、審議会での今議論を重ねておるわけでありますし、我が国農政全般の見直しを進めておりますところであります。  こうした中で、今回の農政のポイント、将来にわたってひとつ国民の期待にこたえる攻めの農政を確立をすることを考えておりまして、こうした方向での議論活性化する視点で今回一つ考え方、農政改革の基本構想、こういうものを取りまとめまして、実は昨日開催されました総理を本部長とする食料・農業・農村政策推進本部におきましてお示しをしたところでございまして、総理を始め各閣僚から積極的な改革を進めるよう激励をちょうだいしたところでもございます。今後とも、政府を挙げて取り組んでいく所存であります。  また、林業水産の分野につきましても、先ほどもいろいろの御心配をちょうだいしたわけでありますが、森林の有する多面的な機能の持続的発揮をしなければならないわけでありまして、地球温暖化防止森林吸収源十か年対策に基づきまして多様で健全な森林の整備、保全を推進すること、また水産の分野におきましても科学的な知見に基づく水産資源の管理の徹底や、作り育てる漁業の推進、このことに努めていかなければならないわけであります。  今後とも、農林水産行政全般の改革に積極的に取り組みまして、農林水産業の持続的発展、このことを努めてまいりたいと、このよう考えております。
  20. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 終わります。
  21. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  本日は、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案ということで質問をさせていただきたいと思います。  この法律の趣旨ということでは、的確な蔓延防止措置が講じられるようにということ、また届出義務違反に関するペナルティーの強化、そして、移動制限命令に協力した畜産農家に対する助成措置制度化していくというようなことが趣旨に盛り込まれているわけですけれども、こういう中で、二〇〇一年九月十日に日本で初めて狂牛病、BSE発生されてから昨年の鳥インフルエンザ問題が起こってくるまでに、いわゆる家畜伝染病が時間的な流れから見ても非常に短期間に発生した、発生してきているというようなことをどのよう考えているか、御見解をお願いしたいと思います。
  22. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 最近、我が国におきます重大な家畜伝染病発生をしております。平成十二年三月に口蹄疫、また平成十三年九月にいわゆるBSE、牛海綿状脳症、また本年一月には高病原性鳥インフルエンザ発生をしておるわけであります。  農水省といたしましては、その都度、家畜伝染病予防法に基づきまして蔓延防止措置の徹底を図っておるわけであります。想定をされます海外からの感染経路を遮断する、そのために、稲わら、口蹄疫、あるいは肉骨粉、これはBSEの、使用禁止、検疫強化などを図っております。鳥インフルエンザにつきましても、蔓延防止措置の徹底によりまして、現在我が国での発生は見られなくなっているところでありますが、さらに感染経路究明チームを設置して感染経路検討を進めているところでありまして、この結果を踏まえて本病の侵入防止の徹底を図る、こういうことにしておるわけであります。  近年、家畜伝染病発生、この背景には国際的な人の交流や物流の活発化、こういうことが考えられるところもあるわけでありまして、今後とも、このような事情や国内の畜産経営の大規模化を踏まえまして、海外における疾病の発生状況に関する情報の収集、これを努めなければなりませんし、さらに我が国への侵入防止の徹底、万一、発生をした場合、この防疫体制の強化に最大限努めなければならないと、このよう考えております。
  23. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、お尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、二〇〇一年に国内の狂牛病発生以後、国民の不安を取り除くために、狂牛病、BSE発生の原因究明、防疫等の対策に取り組んできたことは当然のことだと思っておりますけれども、この食肉の非常事態に対し、牛肉以外の食肉、豚とか、鶏も起こってしまったわけですけれども、にどのような予防防疫措置を行ってきたのか、お答えいただきたいと思います。
  24. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 牛の病気でありますBSE、牛海綿状脳症と、それからそれ以外の豚だとか鶏だとかといったものにつきまして、多少その疾病の性格が違います。牛の場合、特にBSEの場合には異常プリオンというものが原因だというふうに言われておりますので、それが飼料、えさを介して感染をしていくというふうなこと、それから、この異常プリオンが熱にも非常に強い抵抗性を持つというふうなこと、それから、感染をしてから発症するまでの期間が非常に長いといった、こういった他の病気には見られない特色がございます。そういう特色を踏まえて、えさにこういった異常プリオンが使われないような体制をきちっと確立をする、また、ふだんから監視をするというふうなところが一つ対策としてなるわけでありますし、それから、屠畜場におきますBSE検査あるいは死亡牛の検査といったものを通じまして発生状況の、あるいは浸潤状況の把握をするというようなことがこのBSE対策のポイントかというふうに思います。  これに対しまして、BSE以外の伝染病の場合ですけれども、もちろん水際での監視をきちっとすることも大事でありますが、それと併せまして、発生した場合に、発生農場から病原体を広げないようにするということが何よりも大事だというふうに思っております。そのために、発生農場におきます感染をした家畜をできるだけ早く見付けて迅速に処分をする、早期発見、早期淘汰というのが第一かというふうに思いますし、また、当然のことながら、そういった家畜がほかのところに移動するのをきちっと制限をしていくというふうなことがポイントになるかというふうに思います。  いずれも、この家畜伝染病、いったん発生をしますと大変畜産業にも大きな影響を与えるものでございますので、その防疫対応には万全を期していく必要がございます。そのために、牛や豚の共通の病気であります口蹄疫、それから豚だけにかかります豚コレラ、それから鶏の場合の高病原性鳥インフルエンザ、それぞれ重要な疾病についてはそれぞれの防疫マニュアルを作成をいたしまして、迅速な対応ができるよう、そういった防疫体制の強化にこれまで努めてきたところでございます。  また、これからも海外でどういうことが起こるか分かりません。海外での発生状況について、その情報を十分把握をいたしますとともに、動物検疫におきます伝染病、家畜伝染病の侵入防止、それから個々の疾病に対応した発生予防なりあるいは防疫体制の強化というふうなところに全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  25. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 狂牛病が起きた、その後も鳥インフルエンザ、また豚のコレラというようなことも起きてきている中で、その予防防疫措置を講じてきているはずなんですね。そういう中でなぜ鳥インフルエンザが起きたのかなということを率直に疑問に思っております。予防防疫措置に何らかの不備があったのか、それとも今回の鳥インフルエンザというのは予想しなくて起こったことなのかということを、御見解をお聞かせいただければと思いますが。
  26. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生の御質問に直截的にお答えするのがなかなか難しいわけでございます。  これまで、あるいは先生御案内のことかと思いますけれども、海外で鳥インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザ発生をしているという状況を踏まえまして、昨年の九月には、日本での対応のための防疫マニュアルというものを作成をいたしまして、それの周知を図りました。また、お隣の韓国で十二月に高病原性鳥インフルエンザ発生をしたという、これはもう疑いの段階からでありますけれども国境措置も取りましたし、また改めて関係都道府県に対しまして注意喚起をしたわけでございます。  そういう中で、こういうことをいたしてきたわけでありますが、一月に山口で最初の事例が発生をしたということでありまして、我々としては、でき得る限りの対応をしてきた中での発生ということでは、大変残念なというふうに思っておるわけでございます。  いずれにしても、どういう経路で入ってきたかということはやはりきちっとつかみませんと、それへの対応というのも十分ではございません。そこで、感染経路究明チームというものを立ち上げまして、これは六月の末には何らかの方向を出していただきたいということをお願いをし、今、作業をしていただいておりますけれども、この感染経路究明チームの研究によりましてこの経路を究明し、それがある程度明らかになれば、また新たな対応も、不足があればそこでチェックをして、手を打ってくるということができるわけでありまして、まずはこの感染経路究明チームの検討結果というものを待ちたいというふうに思っております。
  27. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の中身を少し質問させていただきたいと思いますけれども改正案の第五十八条第一項関係に、「家畜の伝染性疾病の発生を予防し、又はまん延を防止するために必要な措置を講じなかつた者」ということで、手当金を交付しないものとするとありますけれども、ここでお聞きいたしますけれども、ここで言っている伝染病とは、法律案参照条文ですね、第二条になるんですか、ここに書いてあるものを指していると思います。起きないようにと願うわけですけれども、新たな伝染病が発生した場合にはどのように適用されているか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 中川坦

    政府参考人中川坦君) この手当金の交付、不交付という、そういう対象になります疾病は家畜伝染病、いわゆる法定伝染病でございます。  こういった法定伝染病は、いったん発生をすると大変影響力が大きいということで、迅速な手だてが必要だということでこういう規定になっているわけでありますけれども、今、先生がおっしゃいました、従来知られていない伝染性の疾病、これは新疾病ということかと思いますが、あるいは全くそこにも載っていないようなものということもあるかもしれません。こういったものにつきましては、現実にそういったものが発生をし、あるいは蔓延の兆しがあるということで、そのことによりまして、家畜の生産ですとかあるいは健康の維持に重大な影響を及ぼすおそれがあるというときには、これは法律の六十二条でありますけれども、政令で指定をすれば手当金の交付等の規定を準用することができるというふうになっております。  このために、今まで知られていなかった新たな重大な伝染病が発生をしたり、そのことによりまして殺処分等の強力な防疫措置を講ずる必要があるというときには、政令でまず指定をして、そして今申し上げたよう手当金の交付、あるいはそういった適切な措置が取られなかった場合には交付をしないというふうな措置を講じていきたいというふうに思っております。
  29. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは次に、この第五十八条第一項で、手当金を交付しないものとするとありますけれども、これの適用期間をお聞かせください。
  30. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 適用期間といいますか、これはその疾病の発生の事例、事例ごとに考えるのが適当かというふうに思います。期間というよりは、むしろある疾病について発生をしたと、その一連の中でこの適用あるいは不適用というものを考えるというのが妥当だというふうに思っております。
  31. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、家畜の伝染病、伝染性疾病の発生を予防し、又、蔓延を防止するために必要な措置を講じなかった者、この講じなかった者が必要な措置を講じるようになったという場合はどうするのか。また、必要な措置を講じるようになったとする判断はどこがしていくのか。また、適切な表現ではないと思いますけれども、必要な措置を講じるようになった場合、ある程度の観察期間とか、そういうものをもって必要な措置を講じるようになったというふうにするのかという、見解などをお聞かせいただければと思います。
  32. 中川坦

    政府参考人中川坦君) この手当金の不交付の対象者、今、先生おっしゃいましたように、家畜の伝染性疾病の発生を予防し、又は蔓延を防止するために必要な措置を講じず、あるいは当該手当金の交付の原因となった疾病の発生、又は蔓延を招いたと認められる者ということで、これはやはり一つ一つの事例ごとに判断をしていく必要があるかというふうに思います。  そこで、一連の発生の事例について、当該生産者は適切な措置を取らなかったということで不交付の対象になったとしましても、それとは別の事例が発生をしたときについてどうかということでありますが、まず最初の事例について不交付等の対象となるかどうかという点につきましては、国、具体的には農林水産大臣が判断をする、行政として判断をするというふうに適用をしていきたいというふうに思っております。  それから、別の事例でもってかつて不交付の対象となった人が次の事例のときにはきちっとした対応をしたと、その場合には、私どもは、改めたわけでありますので、そのときは手当金が交付されてしかるべきだというふうに考えておりますけれども、こういったところの判断もやはり行政のサイドとしてきちっと客観的な事実関係を精査をして、そしてその適用を考えたいというふうに思います。
  33. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 この改正案とは直接関係ないかもしれませんけれども、三月三日に発表されました高病原性鳥インフルエンザ蔓延防止強化策の中で、立入検査の積極的活用とありますけれども、これは、やはり鳥インフルエンザに限らず、家畜伝染病を防止するには恒常的な立入検査の徹底というものが必要だと、そして大切だと考えておりますけれども、御見解をお聞かせいただければと思います。
  34. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、家畜伝染病発生予防あるいは蔓延防止に当たってまず一番大事なことは、やはり家畜を飼っておられる飼養者の方、この方が家畜の、自分の飼っておられる家畜についての健康状態といったものをふだんからやっぱり注意して見ていただく、そして異常が認められた場合には速やかに獣医師あるいは家畜防疫員に届出をしていただくということがまずもって大事なことだというふうに思います。  そういったことが行われているというその上に、更に今回の高病原性鳥インフルエンザ発生対応に見られますように、家畜保健衛生所の家畜防疫員などが家畜の伝染性疾病を予防する、あるいは適切な対応をするために、法律の五十一条に基づきまして畜舎等に立入りをする、そして動物等の検査を行っている、そういうことも併せてきちっとやっていくということが伝染病の発生予防あるいは蔓延防止のために大変大事なことかというふうに思うわけでありまして、そういうことからいたしますと、先生今おっしゃいましたように、飼養者のふだんからの注意の義務と併せまして、家畜防疫員等による検査の徹底が必要ということは私どももそのよう考えておりますし、今後とも、家畜防疫員によります家畜伝染病発生状況等の把握をきちっとしていく、立入検査も含めてきちっとしていくということが、そういった努力はこれからも続けていかなければならないというふうに思います。
  35. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 そのためにも、立入検査要員の専門性等をかんがみて、この人たちの育成確保ということが極めて重要であると考えております。  ところが、現実には立入検査要員は地方自治体に任されているという中で、今、地方自治体は大変赤字財政で厳しい状況が起こっておりますし、行政改革という名の下に人員の削減が行われているのが現実であると考えております。  食の安全は専門的知識と経験を持った人に頼らざるを得ない現実があると考えております。皮肉な表現でありますけれども、立入検査要員が必要だが、そのための財源がないのが今の状況であると考えます。この矛盾をどう解決するのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  36. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 家畜保健衛生所の最近の業務の増大等に対応しますために、各都道府県におきましては、家畜保健衛生所の職員の増員もごく最近では図ってきていると。これは、確かにおっしゃいますように、平成十三年ごろまでは職員の減少というのが見られましたけれども、その後ここ近年は、平成十三年の三月と例えば今年の三月を比べますと、全国で百人程度の増員が図られてきているわけでございまして、そういう意味では、各県におきまして、そこでの畜産振興等のいろんな状況を踏まえて必要な人員の確保にも努めていただいているものというふうに承知をいたしております。  私ども農林水産省といたしましては、こういった人員の確保は都道府県で御努力をいただきたいわけでありますけれども、それと併せまして、こういった家畜保健衛生所の職員が実際の立入検査等に入ります際の防疫費用の一部を国が負担をするということは措置されておりますし、また職員の人たちのレベルを上げるために講習会をする、それから、人手よりもむしろ機材でもって迅速な対応をするという意味での機材の整備、こういったものについての支援を国がやっておるということでありまして、こういう、言わば人員確保を直接支援する措置ではありませんけれども、それ以外の側面措置によりまして、全体として効率的な家畜保健衛生所の業務が行われるよう支援をいたしております。
  37. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 日本の二十一世紀の農業というものは、やはり食の安全、安心に尽きると考えております。そういう意味では、しっかりと地域の農業というものを育てていかなければならないわけですし、やはり食に関してしっかりとした危機管理を持っていくと。食の安全保障の観点というものをしっかりと入れていかなければならないんじゃないかなということを感じております。それを守るためにもしっかりと、財源の確保というものも必要なわけでありますので、そのお取組をしていただきたいと思っております。  今までの流れの中で農林水産大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  38. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員からもいろいろ御指摘をいただきました。  昨年、私ども、組織改正をし、消費・安全局を設置するなど、食の安全、安心、このためにいろいろ努力をしておるところでもございます。また、先ほど局長から答弁いたしましたとおり、この家畜保健所の衛生職員の増員の問題、百七名になりますか、増員が行われておるわけでありまして、各都道府県におきましても、厳しい財政状況でありますが、その人員の確保のためにいろいろと御努力をちょうだいしておるところでもあります。  私ども農水省といたしましても、家畜伝染病予防法に基づきまして、必要な場合は立入検査等の防疫費用の一部を負担する、また、先ほど局長から答弁いたしましたが、職員の質の向上、技術的な問題、講習会を開催をするとか、あるいは家畜保健衛生所の職員の資質の向上、機器の問題等の整備に支援を行っておるところでもございます。  これら家畜伝染病発生予防、蔓延防止のために、家畜所有者等からの患畜の迅速な届出が必要なことでありますし、これと併せて、立入検査、これを的確に実施をするということが必要なことでありまして、国といたしましても、家畜防疫の徹底を指導する、そして体制の強化に努めてまいりたいと、このよう考えております。
  39. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。羽田雄一郎委員に引き続いて質問させていただきます。  本年の一月から二月にかけまして、山口県、大分県、京都府で鳥インフルエンザ発生がありました。山口県でいうと、一番最初でありますので、七十九年ぶりということであります。東南アジア各地で発生というニュースもありましたけれども、大変慌てただろうというふうに思いますし、発生農家もてんやわんやでありますし、その発生農家を抱える市町村や県も大変な思いをされたんだろうというふうに思います。  そんな中で、様々な御努力をされまして今に至っているわけでありますけれども、今後の様々な教訓とするべく、例えば発生農家からこの事後に当たって政府農水省がどういう評価を受けたのか、あるいは、自治体からも様々な要望や要求が農水省に届けられたと思いますけれども、それを迅速に処理できたかできないか、様々な反省と教訓を含めてどういう評価が得られたと考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  40. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の高病原性鳥インフルエンザへの国の対応、このことにつきましては、発生農家を始めとする生産者からは、移動制限に伴う経済的損失への支援あるいは風評被害対策の要望、こういう面、また、都道府県、市町村からは、これを代弁する意見に加えまして、早期届出の徹底、防疫費用の国庫負担、的確な情報の提供、このような要望をちょうだいしたところでもございます。  国といたしましては、このような意見を踏まえまして、三月十六日に鳥インフルエンザ緊急総合対策、これで各種の対策を、これを取りまとめたところでもございます。  現在、我が国におきましては、鳥インフルエンザ発生が見られない状態に至っておるわけでありまして、関係農家、地方自治団体からは一定評価はちょうだいできたんではなかろうかと、このよう考えておりまして、今回の改正案につきましてもこうした経験を踏まえまして所要の措置を講じたところでございます。  農水省といたしましては、引き続き、感染経路究明、さらにはより的確かつ効果的な防疫措置の推進、また消費者、生産者あるいは関係団体へのやはり分かりやすい情報の提供、これらに努めていかなければならない、関係者の御意見、御要望にこたえるように更に努力をしてまいりたいと、このよう考えております。
  41. 小川勝也

    ○小川勝也君 この反省というか、どう次に生かすかということは非常に大切だと思うわけでありますけれども、大変だったと思いますその担当局長から何か補足ありますでしょうか。
  42. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 率直な感想といたしまして、今回の高病原性鳥インフルエンザへの対応は、昨年の九月に防疫マニュアルを作っていたと、もちろんその後で実態を踏まえまして一部を手直しもいたしましたけれども、取りあえず最初の発生のときにどうすべきかという点についてそういったマニュアルがあったということが大きな混乱なく対応できた一つの要因だというふうに思っております。  そういうことからいたしますと、やはり何事もあらかじめ準備をしておくということが大事だというふうに実感をいたしております。
  43. 小川勝也

    ○小川勝也君 発生原因の中に渡り鳥説というのもありまして、食の安全というのがここ近年のこの委員会での大きなテーマにもなってまいりましたけれども、その安全を確保するためには、できるだけ自給率を高めて、国内安心、安全な作物や畜産物を我が国国内で供給してもらって、国民が安全な食生活が送れるようになりたい、こういう思いがあるわけでありますが、渡り鳥は一つの例外であります。  それと、自給率を高めるためにこの委員会でも様々な議論を進めておりますが、一番難しいのが家畜のえさの部分だろうというふうに思います。米はそこそこ、大豆や麦は少ないわけでありますけれども、一番おぼつかないのが家畜の飼料、えさだろうというふうに思います。口蹄疫が発生したときには、わらが原因だったのではないか、そういう説もありますし、国内で生産されるものであれば安全ということに非常に目を光らすことができるわけでありますけれども、膨大な量、輸入される牛、豚、鶏のえさ、これはどこまでチェックできるのかというと議論する我々も非常に大変だろうというふうに思いますが、しかし重要な分野だろうというふうに思います。  今回の高病原性鳥インフルエンザ発生とそのえさの何らかの感染とか汚染というのは関係ないというふうに思いますけれども、このえさの部分懸念というのは一瞬たりとも消えないというふうに思います。この近年のえさに対する、その安全確保に対する思いとか施策とか将来に向けての懸念など、お聞かせいただければと思います。
  44. 中川坦

    政府参考人中川坦君) えさの安全性という面からこれまで取ってきた措置等についてまずお答え申し上げたいというふうに思いますが、飼料につきましては、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律というのがございまして、有害な畜産物の生産を防止したり、あるいは家畜等への健康被害を防止するというようなことで、きちっとこの法律に基づいて施策が取られております。  具体的に申し上げますと、飼料の製造、使用あるいは保存あるいは表示といったその様々な面についての基準や成分規格というふうなものがございますし、これに適合しない飼料の輸入や製造や販売といったもの、あるいは使用といったものが禁止をされているわけでございます。これには罰則も付いた形できちっとした遵守を確保しているというわけでございます。  それから、こういった措置がきちっと守られているかどうかという点につきましては、独立行政法人の肥飼料検査所あるいは都道府県が実際に製造業者あるいは輸入業者の方々の事業所等に立入りをいたしまして実際守られているかどうかのチェックもしているということでございます。  また、これまで、先生おっしゃいました稲わらの場合ですと口蹄疫の原因として疑われるということで、これは今申し上げました法律とは根拠が違いますけれども、口蹄疫の非清浄国からの輸入を直ちに止めましたし、またBSEにつきましては、これは異常プリオンがえさに混じっているということが感染の原因というふうに推定をされますので、こういった肉骨粉等がえさに混じらないようにということで、これは国内生産だけではなくて輸入の場合につきましても規制をしているわけであります。こういった点につきましては、交差汚染の防止も含めまして、一つは水際では動物検疫所、また国内での流通に当たっては肥飼料検査所がそれぞれチェックをしているということでございます。
  45. 小川勝也

    ○小川勝也君 えさのことについては様々な観点からしっかりとウオッチをしていただくように要請を申し上げたいというふうに思います。  大臣とちょっと哲学的な論争を、あるいは考えをお聞かせ願いたいと思うわけでありますけれども、口蹄疫からBSE、そして今回の鳥インフルエンザ、つながりはないわけでありますけれども、何らかの脈絡というものがあるんではないかな。そして、ちょっと家畜からは離れますけれども、香港などで大流行いたしましたSARS。新しい病気が、新しい家畜の病気がどんどん我々の生活を脅かす。このことが本当に一つ一つの別々な事象に基づいて起こっているのか。  私は、口蹄疫が発生した後の議論にも参加をさせていただきました。口蹄疫が起こったので、次、口蹄疫が起こらないようにどうしたらいいかという議論をこの委員会でもしたわけでありますけれども、私ははっきりと覚えています。次はこの口蹄疫以外のもので我々の国がパニックになるんではないか。  これはたまたま読みました本から受け売りの警鐘だったかもしれませんし、えも言えぬ思いだったかもしれません。そして、予言者ではありませんけれども、その後、BSEが大変大きな事件となって、そして今回の鳥インフルエンザも大変大きな影響を及ぼす事件となりました。そのことが、この分野のいわゆる対策が不十分だったからこの病気が出た、この分野がちょっと足りなかったんでこういう状況になったということではなくて、一つ大きな流れというものがあるんではないか。  それはきっちりと科学的にその証拠を列挙して言及できるはずは毛頭ありませんけれども、それは、例えば科学技術が進歩をして、我々の発明や発見、そのことによって様々なことが可能になった。家畜の生命や家畜のありよう家畜の生産性、我々人間が生活しやすいように様々改良を加えてきた事実があります。そのことも踏まえて、人間がこれ以上おごってはいけないんじゃないか、そのことをだれかが我々に教えてくれるようなそんな気もしないわけではない。  そういった、迷信なのか非科学的なのかアミニズムなのか分かりませんけれども、我々が自然や家畜農業や様々なこと、地球を含めて我々が自由にできるんだという、この間違った考えをだれかが指摘をしているんではないか、そんなことを思うわけであります。もっと言うと、原始的な農業とは言いませんけれども、少し前のいわゆる循環型、自然を、地球を傷付けない、そんな農業が今求められているかな、そんな思いもいたすわけでありますけれども、そういった意味での大臣のお考え、感想などありましたらお伺いをしたいと思います。
  46. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国の畜産業、もう御承知のとおり、今の、土地の面で土地基盤の制約があるわけであります。そういう中で持続的な発展をする、そうなりますと、規模の拡大、また労働時間の短縮、あるいは効率的な畜産経営が必要になるわけでありますし、一方、消費者からは安全、安心なものを供給すると、極めて重要なことであるわけであります。  そういう面で、やはりリスク分析、この考え方が私は必要なことではなかろうかと。最新の科学的知見に基づく人の健康に及ぼすリスクを評価することは必要なことではなかろうか、またあるいは、家畜のいわゆる飼養衛生管理、生産から消費に至るまで、各種のこれ、リスク管理業務と申しますか、措置と申しますか、そういうものがやはり必要なことではなかろうかと。それと同時に、その過程におきまして、やはりリスクコミュニケーション、これを図る必要があるんではなかろうか。消費者、生産者、そして科学者によりまして、お互いに情報や意見の交換、そして様々な懸念やまた意見を施策に反映することが必要なことではなかろうかなと、こう思います。  こうした科学的なアプローチを通じまして、今後とも安全、安心な畜産物の供給が図られるように全力で尽くしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
  47. 小川勝也

    ○小川勝也君 その安全、安心は一番大切なわけでありますけれども、何が安全で何が安心なのか、例えば病気にかからなければ安全なのかという議論がもたげてくると思います。  例えば、これは家畜ではなく人間の医学というふうに考えますと、やはりいわゆる西洋医学、手術が進歩いたしました。それともう一つ、我々のこの医学を支えているのは薬だろうというふうに思います。現代の医療は、抗生物質、抗生剤、この菌に対してはこの抗生物質で退治をする、菌が増えないようにする、これが現代医学の最前線で行われていることだろうというふうに思います。  耐性菌という言葉があり、考え方があり、自然界というのはうまくできたもので、一つその薬によって発生があるいは蔓延ができなくなった菌は、今度は姿を、形を変えて登場してくると言われています。そのイタチごっこがどんどんどんどん繰り返し繰り返し行われてきて、例えば抵抗力のない、抵抗力の弱い患者さんがいる、いわゆる病棟でそれが集団的に発生したりするということが報道もされるわけであります。  実は、その医学界で人間と薬を取り巻く社会が、家畜と安全、安心を担保したいというその方向性の中で、鶏もそうでありましょう、そのほかの家畜もありましょう、どのぐらい薬を与えるのがいいのか、どのぐらいまでならいいのか、あるいは安心、安全のためにどこまでも与えていいのか。これも、大臣言葉で言うと、リスクコミュニケーションがあいまいな形のまま、今我々の生活は現在進行形で来ているんではないかなというふうに思います。  そういった意味でいうと、例えば合成抗菌剤などというのも使われていると思います。飼育形態によって使われる量も相当違ってくるんではないかなというふうに思っています。例えて言うと、農業でいうと、化学薬品、化学肥料、農薬を使うのが普通の農業で、それ以外の特殊な農業が減農薬とか有機農業とか、あるいは特殊な農業というふうに差別化されているわけであります。そういった形でたくさんのその形態があって、いわゆる、例えば鶏を例にすると、本当に平飼いをして本当に薬を与えない飼育もあるでしょうし、耐性菌あるいは合成抗菌剤、様々な病気からその鶏たちを守るために相当多くの大量の薬を使用しているという飼育方法もあるんではないかなというふうに思います。  その家畜と薬ということに関していうと今どのよう考え方で行政は進められているのか、お答えをお願いをしたいと思います。
  48. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 抗菌剤の使用によります薬剤耐性菌の問題、これ、今、先生おっしゃいましたように、大変大事な問題だというふうに思っておりますし、農林水産省としましても、当然のことながら、適切な使用を通じてこの薬剤耐性菌の発生を可能な限り抑制をしていくというのがやはり基本になるというふうに思っております。  動物用の医薬品として使用されます抗菌剤につきましては、まずは、その抗菌剤が新しく承認をいたします際に、薬剤耐性菌の出現防止にも配慮しながら、そういった観点から、使用の方法あるいは使用量といったものが設定をされております。  当然、これは薬剤耐性菌の観点からだけではなくて、いろんな面での安全性という面も配慮されてこういった使用量というものが設定をされているわけでありますし、また、現場でこういった薬が使われます際に、獣医師が診察をして、そして処方せんを書く、あるいは指示書を発出をするというふうなことでないと使えないというふうなことになっているわけであります。  現在、こういった薬剤耐性菌等が一体どういう状況にあるかということはモニタリング調査も行っておりますし、科学的な知見の蓄積を継続するということ、これは続けていかなきゃいけないというふうに思いますし、また、現場できちっとそのルールどおりにこういった抗菌剤が使われているかどうかということは、家畜保健衛生所の職員が現場を監視をし、必要があれば指導していくというふうな、そういう活動もしているところでございます。  ただ、原点に戻って言いますと、この安全な畜産物を安定的に生産するために、家畜が病気になってから薬を使うというのはやっぱり問題があるわけで、ふだんからそういうことが、使わなくても済むようにできるだけふだんからの衛生管理の徹底を図っていくと、それから家畜感染症の発症を抑制していくということがやはり基本になるべきではないかというふうに思っております。  これはまだ公表いたしておりませんけれども、飼養衛生管理基準、それぞれの畜産農家の方が家畜を飼養する、飼っていく上での守っていただくべき基準といったものもこれから策定をしていきたいというふうに思っております。  こういった現場での適切な飼養が行われますように、我々としても努力をしていきたいと思います。
  49. 小川勝也

    ○小川勝也君 続きまして、この鳥インフルエンザ発生した後、緊急の予算対策、様々話は伺いました。それから、次年度に向けての予算編成上の措置、様々あろうかと思いますけれども、その方向性についてお示しをいただけたらと思います。
  50. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回の今御審議いただいております家畜伝染病予防法の一部改正によりまして、一つは、移動制限を受けた農家に対します支援措置、それから都道府県等が防疫対応を行います際に掛かった費用についても新たに国からの支援の対象になるものが出てきたわけでございますが、こういったことに要します費用につきましては、家畜伝染病予防費というもので対応することにしておりまして、これは十六年度の予算の中にも盛り込まれているところでございます。  これからも必要な予算措置というものはきちっと手当てをしていきたいというふうに思っております。
  51. 小川勝也

    ○小川勝也君 渡り鳥が原因だったかどうかというのは分かりませんけれども、善意のいわゆる養鶏農家が、そこから発生をして大変な思いをするわけであります。精神的な苦痛はこれ、計り知れないわけでありますので、いわゆるところの経済的なその部分はしっかりと補償、補てんできる体制が望ましいというふうに当然思うわけであります。  それと同時に、ウインドーレス鶏舎に対する補助という制度があろうかと思いますけれども、概要を御説明いただきたいと思います。
  52. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ウインドーレス鶏舎につきましてのお尋ねでございます。  本年の三月の十六日に、国の鳥インフルエンザの緊急総合対策というものが策定をされまして、その中で、ウイルスを持っております可能性のある野鳥でございますとかあるいはネズミ、そういった侵入を防止できますこのいわゆるウインドーレス鶏舎、これに対します整備の支援ということが盛り込まれたわけでございます。  それを受けまして、私どもといたしましては、一つには、鶏舎を新設をいたします場合に、畜産の新しい生産システムの普及あるいは定着というふうなことで、それのための実証展示施設ということで共同利用のためのウインドーレス鶏舎の整備への助成を行うこととしたわけでございます。  また、併せまして、既存の開放型の鶏舎につきましても、制度資金でございますとか、あるいは畜産近代化リースを利用しまして、巻き上げカーテンを付けるというふうなことで、これは言わばセミウインドーレス化ということでございますが、これでも侵入の防止ということには十分役立ちます。そういった支援をすることにしたわけでございます。  ただ、こういった助成措置は、ただいま申し上げましたウインドーレスは、要すれば、このウインドーレス鶏舎を何が何でもやるということではございませんで、ウインドーレス鶏舎に窓がない、当然でございますけれども、そういうことを活用しまして防疫措置ということで利用をいたしたいというふうに考えておられる農業者の方々支援する、そういう政策手段ということで用意をさせていただいたものでございます。
  53. 小川勝也

    ○小川勝也君 ウインドーレス鶏舎に対する評価というのはいろいろあろうかと思います。今も局長から、何が何でもということではないという、そういう言い回しもありました。  実は、最近のこの養鶏の在り方については、非科学的なところで相当強い思いを持っている一人であります。  実は、この通常国会が始まりました折の参議院本会議における代表質問の中で、総理にこの問題をお尋ねをさせていただきました。私からの問いは、養鶏、昔は卵はまあお金持ちか病人しか食べられなかったという時代があったと。今は物価の優等生と呼ばれる。十個入りで通常で百円台ですね、百六十円とか二百円とか。特売では百円になることもあるということで、昔食べたいなと思っていたその卵も、十個で百五十円でも、毎日三個ずつ食べている人は余りいないわけであります。卵そのものが変質しているんではないかと。元々、卵を産むのはだれかというと、鶏であります。鶏というのは、読んで字のごとく、庭を駆け回っているのが鶏であります。最近の鶏はどういうところにいるか。狭いゲージ、できるだけ生産性が高くなるように、小さい体で大きな卵をたくさん産むように、そして、できればひよこから卵が産む成鶏になるまでの期間が短いように、どんどんどんどん改良されている。そのことについてどう思うか、そう申し上げましたら、総理は、自分も養鶏場に視察に行ったことがあると。生まれてから一度も太陽に接することなく、生まれてから一度も土を踏むことなく終わっていくその鶏が卵を産んでいるということに大きな疑問を感じる。例えば、そういう御答弁だったろうというふうに思います。多分、考えるに、その答弁は農林水産省でお書きになった答弁ではないような気がいたします。  私も、この産業とか、国民安心、安全を供給するとか、特に生活の中で大変大きな地位を占める卵であります。ですから、安定供給という面から、とても農業とは言えない現在の養鶏システムやウインドーレス鶏舎を全面的に否定するわけではありませんけれども、本当にその方向性でいいのか、疑問を持っています。  聞くところによりますと、欧州にもいろんな考え方があって、それはできるだけその鶏が外からの菌やウイルスに汚染されない方が安心なわけでありますし、当然、規模が大きいので、一つ病気が侵入をいたしますと全滅をするおそれがあります。そうなると、経済的な損害も大きいわけであります。そんなこともあって、そんな中で、ヨーロッパでも、ウインドーレス鶏舎からそれ以外の既存タイプにまた戻ってきているんでないかというお話も伺っているわけであります。  全体としての方向性をどのようにとらえたらいいのか、御答弁をお願いをしたいと思います。
  54. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員から御指摘のとおり、本当に卵は物価の優等生、消費者に安定的に安価でこれを供給する、こういう面で重要な役割を果たしてきておるわけでありまして、ウインドーレス鶏舎、そういう中で代表されますように、効率的な養鶏、また鶏の生産性を最大限に出す、あるいはまた飼養環境、これが衛生的にコントロールできる、こういう点、健康で安全な養鶏生産、これが行われていると、このようなことは認識をいたしております。  一方、割高でもより自然な環境で生産された卵や鶏肉を求める消費者のニーズ、これも高まってきておるわけでありまして、在来の鶏を活用して放牧に近い形で飼育をする地卵や地鶏、あるいは特別な特殊な卵、これを作る、生産するために特殊な飼料を給与する、こういう生産の取組も行われておるわけでありまして、いわゆるウインドーレス鶏舎に代表されますように、より生産効率を最優先する飼養管理方式、また一方、開放型の自然な環境の中で飼養管理をする、こういう両者の私はバランスというものが必要なこと、我が国の養鶏業の発展にまた必要なことではなかろうかなと、重要なことではなかろうかなと、このように認識をいたしておりまして、いずれにいたしましても、これ安全、安心、そういう畜産物の安定供給、これが図られるように、消費者のニーズに対応した養鶏生産、養鶏の生産ができるように努めてまいりたいと、このよう考えております。
  55. 小川勝也

    ○小川勝也君 大臣の御答弁の中のフレーズに、生産性だけを追求するということに若干の問題があるのではないか、そういった表現がありました。  私の持論でもあります。農業とその生産性だけを追い求めるということは相入れないんではないかと私は常々思うわけであります。どんどんどんどん効率や生産性だけを追求していきますと、いわゆる国際水平分業ということになって、日本で農業をする必要がなくなっていくという考え方もあるわけであります。私はその逆の考え方を持っているわけでありまして、特に生産性を追求するということになりますと、コストが下がるには規模が大きい方がいいということになります。そして、リスク管理の中で、やはり一羽が病気になったら全滅する可能性があるということになると、全くその菌が入らない無菌状態でたくさんの鶏を飼育するというのが生産性が上がる行為だろうというふうに思いますけれども、私は実はそういった養鶏はもう農業ではないと思います。卵工場だと。  だから、いわゆるところの家畜としての生命ある鶏に産んでもらう卵を国民に届ける商売は農業、いわゆる生産性だけを追求をして、でっかい鶏舎で本当に効率だけを追い求めて、安全かもしれない安い卵を供給することにきゅうきゅうとする産業は、これは工場で生産されるものでありますので経済産業省にその所管を移管すべきだと、まあこれはちょっとジョークでありますけれども。  そういった意味で局長にちょっとお伺いをしたいと思いますけれども鳥インフルエンザ我が国発生したときに、今、鶏は抵抗力がないんだと、昔ながらの養鶏、その昔というのがどの時点を指すのか分かりませんけれども、普通に生活をしている鶏であれば罹患しない、極限まで抵抗力をおとしめられている鶏だから鳥インフルエンザにかかってしまうんだと、こういう説がありました。このことに対する評価はいかがか。  それともう一つ。鶏というのも、これは生命であります。生きる力とかその生命力を我々がいただいて、摂取することによって我々の生きるエネルギーをもらうわけであります。本当に、無菌状態で抵抗力のないいわゆる食べ物、農作物、家畜由来の農作物、生産物、そういうことだけを我々が摂取していくような社会で本当にいいのかどうか。考え方がありましたら御答弁をいただきたいと思います。
  56. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず最初の御質問でございますけれどもウインドーレス鶏舎等で言わば、言葉として必ずしも適切かどうかあれですけれども、言わば人工的な環境の下で飼育をすることが今回の鳥インフルエンザ感染一つの要因ではないかと、いま一つのお考え方というふうに思いますけれども、世界各国いろんなところでの発生状況を見ますと、東南アジア等での発生というのはむしろ平飼いのところで起こっているわけでありまして、そのことが今回インフルエンザが起こったことの直接の原因かというふうになると、これは私も少し疑問を申し上げなければいけないかというふうに思います。できるだけ、生命産業である農業というのは、その持っている動物の言わば自然の姿で飼っていくべきだというのは、大変大事な御見識かというふうに思いますけれども、それ以上に今回の病気と関連を付けてやる点につきましては、私、ちょっとそうは一概には言えないんではないかというふうに思います。  ただ、いずれにしても、やはり命を育て、それを摂取して人間が生きていくという、こういった考え方というのは基本に置いて我々持っていかなければならないものだというふうに思っております。
  57. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど大臣からもバランスが大事だという、そういうお答えもいただきました。ある一方では安定供給ということも必要でありましょう。そして、その前提に安全、安心というワードが当然付随しています。それと同時に、やはり歴史的に我々人類が歩んできた農業とか生命を維持するということをおろそかにしない農業考え方というのも非常に重要だろうというふうに思います。  全部が全部、その一辺倒に偏る必要がないわけでありますので、そういった生命の倫理を大切にする農業や養鶏やいわゆる鶏卵産業の在り方について、最後、大臣のお考えを述べていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 非常に農業と幅広い、そしてさらにこの養鶏業につきましても、先ほども申し上げましたが、やはり自然な中でそしてそれが生育をされると、これが一番望ましいことであるわけでありますが、しかし消費者のニーズ、そしてまた安定供給、こういう使命を果たさなければならないわけでありまして、そういう面でやはり、先ほども答弁を申し上げましたが、バランスというものが必要なことではなかろうか、また、そういう面で国民消費者のニーズに合う努力を重ねてまいりたいと、このよう考えております。
  59. 千葉国男

    ○千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。  本年一月に我が国で七十九年ぶりに発生いたしました高病原性鳥インフルエンザに関して取られました蔓延防止措置についてお尋ねをしたいと思います。  現在、我が国では、牛約四百五十万頭、豚約九百七十万頭、鶏約二億八千万羽が飼養されているわけであります。畜産の大規模化が進み、鶏では百万羽単位の経営体が多くなっております。企業化された大規模生産では伝染性疾病の伝播が起こりやすく、一たび発生すると、個々の経営体のみならず、地域経済にも大きな影響を与えることになります。  平成十二年に我が国で九十二年ぶりに牛の口蹄疫が発生しましたが、このとき、家畜伝染病予防法上初めて蔓延防止策が取られまして、病原体の伝染力が弱いこともあった、また関係者による迅速かつ的確な蔓延防止実施によりまして、一部地域の発生にとどめることができました。  今般国内発生した鳥インフルエンザは七十九年ぶりということで、長期間発生していない疾病への対応には難しいものがあると思いますが、特に山口県、大分県では的確に実施ができたのではないかと思っております。  そこで、今回、蔓延防止措置はどのよう実施されたのか、その課題と教訓、また口蹄疫の事例の教訓がどのように生かされてきたのか、お伺いをしたいと思います。
  60. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生おっしゃいましたように、平成十二年の三月に牛の口蹄疫が我が国でも発生をしたということでございます。  このときの対応でございますが、一応、防疫マニュアルはあったわけでありますけれども、現にそういうものが起こってみると、やはり家畜の殺処分ですとか埋却等の措置に大分時間が掛かったというふうなことがございました。このために、十二年の十一月には家畜伝染病予防法改正をいたしまして、飼養者自らが行う処分のほかに、家畜防疫員がこういった処理を行うことができるよう措置をされたわけでございます。  それから、この口蹄疫の経験も踏まえまして、翌年の十三年の九月、BSE発生する直前でありますけれども家畜防疫を総合的に推進するための指針というものを大臣名で公表いたしました。その中に、伝染病が発生した際の自治体や関係団体等との役割分担ですとか、あるいはあらかじめその焼却、埋却等の用地を確保しておくようなこと、あるいは防疫要領をきちっと整備をするというふうなことがここの中にその方針として明らかにされておりました。  こういうものも踏まえまして、鳥インフルエンザにつきましては、昨年の九月に既にマニュアルを作成をしておったわけでありまして、実際に先生おっしゃいましたような山口ですとか大分の例ではこのマニュアルに従いましてきちっとした的確な対応が取られたというふうに私ども思っております。  ただその一方で、今回の発生におきましては、やはりきちっとした適切な初動対応を取る上で早期通報が何よりも重要であるというふうなことが明らかになりましたし、また、移動制限措置が長期かつ広範囲に及ぶ場合には周辺農家方々の経営にも大変な影響が及ぶということもはっきりいたしました。また、規模が大きくなると、その防疫措置について、大変、人員ですとかあるいは経費等も莫大なものが、多大なものが必要となるというふうなことも課題として明らかになったわけでございまして、こういった様々な課題を踏まえまして、今回、今御審議いただいております改正法案を出したところでございまして、届出義務違反に関しますペナルティーの強化、あるいは移動制限命令に協力した畜産農家に対します助成制度化、それから都道府県が行います防疫事務に伴います費用に対する国の負担の対象を拡大をした、こういったものを取ったわけでございまして、今後とも、伝染病発生時の防疫対応でこれまでの経験で認められた様々な課題を踏まえまして、適切な見直しを行いながら迅速で的確な対応が行われるよう努力をしていきたいというふうに思います。
  61. 千葉国男

    ○千葉国男君 平成十二年の家畜伝染病予防法改正に当たり、当農林水産委員会では、海外悪性伝染病の侵入の可能性蔓延防止必要性から防疫措置基本的な方向性、また国、地方公共団体関係団体畜産農家、民間獣医師等の役割分担等を示した指針、計画を策定・公表することを求める附帯決議を当農林水産委員会でやっております。  世界的に鳥インフルエンザが流行していることを踏まえ、農水省としては昨年九月に、今お話ありましたように、防疫手順を示しました高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルを作成したわけでありますが、これまでどのよう措置を取られたのか、現状をお伺いしたいと思います。
  62. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生おっしゃいましたように、この附帯決議に基づきまして、大臣名で家畜防疫を総合的に推進するための指針というものを公表いたしまして、さらにそれに基づいて、個別具体的な家畜疾病ごとに重要な家畜伝染病についてはマニュアルを策定するというふうなことをこれまで対応いたしました。  さらに、昨年の、家畜伝染病予防法改正が行われましたけれども、この改正に基づきまして、口蹄疫ですとか高病原性鳥インフルエンザ、それからBSE、一番重要な家畜伝染病につきましてはその総合的な防疫措置を講じますために特定家畜伝染病防疫指針というものを策定するということで、今準備を進めているところでございます。  これまでもそれぞれの疾病についてマニュアルという形ではございましたが、今回のこの特定家畜伝染病防疫指針は、食料・農業・農村政策審議会の中の分科会で御審議をいただいて、そこの審議会のその御意見もいただいて策定をするというふうな手続を踏まえて策定をするということになっております。そういったいったん疾病が発生をしました際の対応がきちっと取れるように、こういった指針作りも今やっておるところでございます。
  63. 千葉国男

    ○千葉国男君 家畜伝染病発生予防措置では疾病の早期発見、早期通知、それから早期診断が重要であります。今回の法改正案における疾病発生時の届出義務違反に関する罰則の強化は、早期通報を担保するための措置として理解しております。この改正の背景には、京都で発生した三例目では通報がなされず、伝染を拡大し、様々な混乱を来したことであります。ただ、大分県の二例目においては、自宅のチャボの変死を早期通報した人に対して、業界関係者と思われる方から早期通報に対する非難や一部嫌がらせを受けたということも報道されております。口蹄疫の場合では早期診断をして届けた獣医師に対して悪評が立ち、獣医師としての活動が困難になることがあったと、こういうこともありました。  早期通報を優先すれば診断違いの可能性が高くなるのは当然でありますが、早期通報により当該農家、その地域に対する風評被害の発生懸念すると、早期通報に慎重にならざるを得なくなります。早期通報者が非難を受けたということはまだ口蹄疫の教訓が生かされていないと、こういうことになるのではないかと思います。悪質な隠ぺいに対しては罰則の強化も必要かもしれませんが、当該農家所有者、獣医師が疑わしいと判断した場合にはちゅうちょなく早期届出ができる環境整備がまだ必要ではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  64. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) 家畜伝染病の蔓延を的確に防止するというためには早期に届出がなされることが必要でございますし、委員指摘のとおり、早期に届出が行われるようにするためには届出しやすい環境を作るということが重要と考えておるところでございます。  この点について、これまで移動制限の対象となった農家に対する助成措置がなかった。移動制限の対象となった農家の経営に大きな影響が生じることが早期の届出をちゅうちょさせる原因の一つであったと考えられることから、今御審議いただいている今回の改正案におきまして、移動制限命令に協力した農家に対する助成制度化すると、それで今回早期届出の環境整備に資することができるというふうに考えておるところでございます。
  65. 千葉国男

    ○千葉国男君 山口県における発生農場の鶏卵を扱っていたある農協系の会社がありました。同社は鶏卵についてもトレーサビリティーを完全実施をしていましたことから、今般の鳥インフルエンザ発生報告を受けまして、発生農場からの卵だけを素早く回収し、被害を最小限に抑えることができたという新聞報道がありました。同社が扱う鶏卵のうち発生農場は一割しか占めておらず、もしトレーサビリティーを実施していなければ、他の農場との区別ができず、出荷したすべての卵を回収しなければならず、被害額はもっと大きなものになったということであります。ただ、素早い回収によりまして、同社の被害を最小限に抑えるだけでなく、風評被害拡大防止にも大きく貢献したのではないかと、こういうふうに言われております。  今般の事例において、この会社が有していたトレーサビリティーがどのような効果を発揮したと分析をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  66. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 山口県で発生をしました鳥インフルエンザに関しまして、鶏卵の回収に当たりまして、全農の山口県支部が昨年の夏から卵パックに農場ごとにイニシアルを付していたと、そういう表示をしていたために、発生農場由来の卵の識別が非常に容易にできて、回収なり焼却処分が円滑に実施をされたというのは、先生おっしゃったとおりだというふうに思います。  このトレーサビリティーシステムといいますのは、今回の例のように、食品の生産、加工、流通、その全体のフードチェーンの各段階で食品とその情報を追跡することが可能になるというのが一つの機能でございます。こういった事例が、事故が起こりますと、その当該食品の追跡、回収が非常に容易になるという意味で、改めてトレーサビリティーの持っている一つの機能というものが明らかになったというふうに思っているわけでございまして、これからも食品に対します消費者方々の安全、安心を確保するために、それぞれの食品ごとに、これは特性がありますから手法も少しずつ異なるかというふうに思いますけれども、そういった食品ごとの特性を踏まえながら、このトレーサビリティーシステムの導入に向けていろいろと支援をしていきたいというふうに思っております。
  67. 千葉国男

    ○千葉国男君 今回の改正案では、移動制限命令に協力した畜産農家に対しまして、都道府県が売上げの減少額や飼料費などの、保管、輸送、処分費の増加額を助成する場合には、国がその助成額の二分の一を負担することとしております。発生農家以外の移動制限区域農家に対しても助成措置制度化されることは大きな前進だと思っております。これによりまして、養鶏農家を始め畜産農家移動制限、搬出制限措置安心して協力できるとともに、早期通報への環境整備の一助になると、こう思っております。  そこで、まず移動制限区域農家に対する助成措置の対象範囲、助成額の算定基準は、考え方はどのようなものになっているのか、お伺いをしたい。
  68. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 移動制限に協力をしていただいた農家に対します助成措置の具体的な内容でありますけれども、まず生産物でありますけれども、その売上げ、移動制限を受けることに伴って売上げが減少した場合、その減少額というものをまず着目をして、それを対象にしたいというふうに思っておりますし、それから移動制限期間中の飼料費、えさ代でございます。それから、一時どこかで保管をしたということであればその保管費、それから輸送費。それから、これはやむを得ない場合に対象にしたいと思っておりますけれども、本来は移動制限が解除されてからその製品を売っていただくということが本旨でありますけれども、どうしても売るということが、販路が見付からなかったような場合、やむを得ざる場合には焼却をするということも考えられます。その場合の焼却費といったものを対象にしたいというふうに思っております。  その中で、売上げの減少額につきましては、卵の場合ですと、客観的な卸売相場とそれから実際に個々の農家が販売をされた額との差額が価値の減少額ということになりますし、鶏肉の場合についても同様に、鶏肉市場の状況を調査をいたしまして、対象鶏肉の販売価格を確認をして、市場価格とそれから現実、実際の取引価格との差額を対象にして支援をしていきたいというふうに考えております。
  69. 千葉国男

    ○千葉国男君 蔓延防止措置実施によりまして、畜産農家には経営上様々な困難な状況発生します。移動制限措置に伴う出荷停止の間に取引先を他の業者に奪われたり、売上げ先の確保に困難を来している業者も実際にあるわけであります。  このような場合の畜産経営維持のために家畜疾病経営維持資金という融資制度があります。今般の鳥インフルエンザウイルス発生に伴い被害を受けた養鶏農家の実情に合わせて、移動制限区域外の農家も利用可能な経営維持資金という資金メニューを新設をしたり、経営継続資金の償還期間を一年以内から三年以内に延長するなど、養鶏農家が借りやすくするための措置を迅速に取られたことは評価をいたしたいと思います。  ただ、経営の停止という深刻な影響を受けた農家に適用される経営再開資金については現状のままであります。現場からは償還期限を五年から十年に延長をしてほしいとの要望があります。現場の養鶏農家は様々な困難を抱えていると思います。経営再開資金の拡充措置のほかに、現場の実情を踏まえ、経営支援施策を講じていく必要があると思いますが、農水大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  70. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う鶏の処分による経営の停止又はこれに準ずる深刻な影響を受けた発生農家の経営再開に対しましては、鶏の導入あるいは飼料、営農資材等の購入に必要な経費を低利で融資する家畜疾病経営維持資金のうち経営再開資金の利用が可能となっているところでありまして、この資金は貸付限度額、個人二千万、法人八千万、貸付利率が一・四七五%以内、こうなっておりまして、償還期限につきましては、移動制限区域内の農家を対象とした経営継続資金及び移動制限区域外の農家を対象とした経営維持資金における三年より長い五年を措置しているところでございまして、発生農家に対する支援として、家畜伝染病予防法に基づく患畜疑似患畜の殺処分汚染物品の焼却、埋却につきましては国は手当金を支払うことになっているわけでありまして、これらの措置によりまして、影響を受けた発生農家の円滑な経営再開が図られるよう万全を期してまいりたいと、このよう考えております。
  71. 千葉国男

    ○千葉国男君 ワクチンの問題について触れたいと思います。  鳥インフルエンザ不活化ワクチンの使用につきましては、食品安全委員会において、ワクチン接種をした鶏による食品についての食品健康影響評価の際に、「鳥インフルエンザの防疫措置早期の摘発及び淘汰を行うことが基本であり、ワクチンの使用は、早期摘発及び淘汰により根絶を図ることが困難となった場合に限定する」との指摘がなされております。  農水省は、これを踏まえ、慎重な対応、すなわち、まず摘発、淘汰を行う方針を示されているわけでありますが、他方、養鶏団体、養鶏関係者はワクチンの使用を認めてほしいとの要請をしております。  ワクチンの不使用の必要性とそのメリット、鳥インフルエンザがどの程度まで蔓延した場合にワクチン使用を認めるのか、それまでの間の支援措置をどうするかなど、方針を明確に示さないと現場の生産者の不安はなかなか消えないのではないでしょうか。  現在のワクチン開発への取組状況とともに、農水省のワクチン使用に関する見解をお伺いしたいと思います。
  72. 中川坦

    政府参考人中川坦君) このワクチンの問題というのは大変難しい問題だというふうに私どもは率直に感じております。  現在、世界じゅうで利用可能なワクチンというものは、私どもいろいろ専門家の御意見を聴きましても、なかなか完全なものではないと。端的に申し上げますと、このワクチンは鶏がウイルスに感染すること自体は防げないと、発症することは防げるけれども感染自体は防げないということでありますので、ワクチンを打った鶏であっても、感染をしてしまいますと、打たない場合に比べて量は減りますけれども、やはり体外にそのウイルスを放出をするという点がございます。そうすると新たな発生源にもなりかねないということでありまして、食品安全委員会の健康影響評価の際に附帯的な意見で示されておりますように、やはりこの鳥インフルエンザに対します防疫対応基本は、まずは早く見付けて早く淘汰をすると、そして、その地域、日本であれば日本の国内からウイルスの存在を根絶をするということが第一だというふうに思っております。  これが、ですから防疫対応基本でありまして、この早期発見、早期摘発、淘汰ができる限りにおいては、やはりワクチンを使わないでこのよう対応を取っていきたいというふうに思います。  そこで、さはさりながら、こういう対応ではできない場合、つまり、発生が一か所ではなくてどんどん広がっていると、そして、摘発、淘汰では対応できない場合の最後の手段としてワクチンを使うということも想定しなきゃいけないわけでございます。その際に、どういう基準でどのように使うのかという点、確かに一定の、何といいましょうか、ガイドラインというんでしょうか、そういうものを作っておくべきだというふうに私ども思っております。  家きん疾病小委員会委員方々にも御相談しながら、これはできるだけ早くそういった点も詰めたいというふうに思っておりますし、またもう一方で、ワクチン自体が持っております冒頭申し上げたような問題点、これにつきましても、できればそういうマイナス面を少なくしたワクチンの開発というのができれば問題も少なくなるわけでありまして、この点につきましては、ワクチンの接種によって抗体がどのように作られているのかという接種試験ですとか、あるいは実際にワクチンを打った鶏に対してウイルスにさらす、暴露させて、きちっとそういったワクチンの効果があるかどうかといったもの、これはきちっとした閉鎖系の、ウイルスが外に拡散をしないような厳密な施設の中で実験をする必要がありますけれども、そういった試験を国の方で、動物衛生研究所の方でやることによって、ワクチン開発、民間などが行いますそういったワクチン開発の支援もしていきたいと。  この両面でこのワクチンの問題については対応したいというふうに思っております。
  73. 千葉国男

    ○千葉国男君 現行法では、伝染病が発生した農家に対しましては、屠殺、それから殺処分された家畜につきましては、その患畜疑似患畜となる前における評価額一定割合の手当金が国より交付されることになっております。また、所有者が、患畜疑似患畜の死体を焼却、埋却した費用の二分の一について、国より所有者に対して交付されることになっております。  今回の改正案では、この手当金や交付金に関する見直しが行われておりません。畜産経営が大規模化している中で、大量の家畜の殺処分が行われた場合は、畜産農家の負担額が大きくなるため、畜産経営の継続が困難となるおそれがあります。そういうことが指摘されているわけであります。  現行法における手当金や交付金の割合はどのよう考え方に基づいて決められているのか、お伺いをいたします。
  74. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 患畜あるいは疑似患畜を殺処分した場合には、患畜の場合は評価額の三分の一、それから疑似患畜の場合は五分の四というふうに、今、先生おっしゃいましたそういう具体的な比率でもって手当金が交付をされるわけでございます。  これは家畜を、なぜ一つは一〇〇%ではないのかと、一定の比率が掛かるのかという点でありますけれども、これは家畜を飼っておられる以上は当然、生き物を飼っておられると、そういう場合に、伝染病等にかかるというふうなリスクについても、そこはやはり経営者として予見をし、そのことが起こらないように十分な注意をするということが片一方で求められるんではないかというふうに思います。もしこれが一〇〇%ということであれば、注意をしようがしまいが、その価値は全部国が見てくれるというふうなことにもなるわけでありまして、先ほどもちょっとモラルハザードということを申し上げましたが、そういう一定飼養者としての注意義務を払っていただくと、そのためにもこういった比率が掛かっていると。  これは実際に患畜というふうに、病気になってしまいますと、現実、経済的な価値というものはほとんどないわけであります。疑似患畜の場合は、かかっているかどうか分からない部分もありますし、例えば乳牛の場合ですと、搾乳はしばらくできるというふうな点もありまして、患畜疑似患畜によって多少経済的な視点から見ても差があるということでこういった比率の上での差を、補てん率においての差を設けておりますけれども、元々なぜ全部を見ないかという点については、今申し上げたような、やはり経営者としてきちっと自らの家畜について注意を払っていただくということも、そういった思想も併せてこの比率の中には含まれているというふうに私は思っております。
  75. 千葉国男

    ○千葉国男君 先ほども出ましたけれども鳥インフルエンザ感染経路に関しましては、研究可能な大学、研究機関、人材は限られており、現在手一杯の状況にあると聞いております。今後、様々な海外悪性伝染病が我が国に侵入してくる可能性があります。このため、平成十二年の家畜伝染病予防法改正に際して、当委員会で、最近における家畜の伝染性疾病の発生状況の変化等に対応するため、海外悪性伝染病の専門家の養成・確保、研修等を通じた家畜防疫員及び獣医師等の一層の資質の向上、家畜衛生試験場及び動物検疫所並びに家畜保健衛生所の診断技術、それから検査手法の開発等機能の充実に取り組むこととする附帯決議を行っているわけであります。  今後、この専門家の育成や組織整備に関する対策の現状と今後の方針をお伺いをしたいと思います。  また、現在、鳥インフルエンザウイルスの確定診断を行う機関は、茨城県のつくば市にある動物衛生研究所のみですが、例えば西日本で発生、流行した場合には、迅速に確定診断を行うことができるように新たな確定診断機関を設置しておく必要はないのでしょうか。太田大阪府知事が、本年三月十七日に、亀井農林水産大臣に、大阪に新たな確定診断機関を設置してほしいと申入れをされたということでありますが、見解をお願いしたいと思います。
  76. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 海外悪性伝染病の対応としての診断等につきましては、今は原則としまして動物衛生研究所実施をいたしております。近年で申し上げますと、BSEが大変な課題になりました際にはプリオン研究センターをこの動物衛生研究所の中に設置をしたというふうなことで、疾病の状況等そういった研究ニーズなどを踏まえながらこの動物衛生研究所の体制整備も行ってきているところでございます。  こういった人的な面での充実ということのほかに、やはり現場で防疫対応を行っておられます家畜保健衛生所の方々の資質の向上といいますか技術の向上、知見の充実といったものも大変大事でございまして、これは毎年講習会を開催をいたしまして重要な疾病の診断技術ですとか知見をいろいろ深めていくと、そういった知識の普及にも努めているところでございます。  今、先生がおっしゃいました動物衛生研究所だけではなくて、もう少し確定診断等を行う施設を日本の各地、特に西日本の方にも設置すべきではないかと、これは大阪府の知事さんからの要請も、確かにそういった御要望もいただいております。  ただ、これまでの実際の対応を見てみますと、家畜保健衛生所でまずはウイルス分離をし、そこでそのウイルスが分離されたものを動物衛生研究所の方に送付をしてそこで確定診断をするということでもって、何かこの一か所で確定診断をすることによって診断の事務が滞ると、今オーバーフローするというふうにはまだなっていないところでございまして、それぞれの都道府県家畜保健衛生所でA型インフルエンザウイルスということが分かった時点でもってもう既に防疫対応に着手をできますので、確かにN何型というふうなところの確定をするまでには多少時間が掛かりますけれども、それが防疫対応の言わばネックになっているというふうには私どもは今は考えておらないところでございます。  もちろん、今後のことを予断するわけにはいきませんので、実際にそういったものがないと対応できないような、そういうことが予見される場合にはいろいろと検討していかなければいけないというふうにも思いますが、現段階では先生がおっしゃったような新たな施設、機関を別途設置をするというところまでは、その必要性はないものというふうに思っているところでございます。
  77. 千葉国男

    ○千葉国男君 農林水産省は、本年三月四日から、家畜伝染病予防法第五十二条に基づきまして、高病原性鳥インフルエンザに関して各県の畜産農家から報告徴収を、徴求を行っております。これは京都府の三例目の事例において、鶏の大量死について所有者から通報がなされず、結果として鳥インフルエンザ感染被害を拡大させたことを受けて行われているものであります。都道府県を通じて、飼養羽数が千羽以上の農家、農場に対して死亡羽数等を一週間に一度報告するように命じております。  この点に関しては、アジアでは昨年十二月の韓国での発生以来、鳥インフルエンザが猛威を振るっていることから、より早い段階でこの措置を講ずる必要はなかったのか、認識をお伺いしたいと思いますし、また、この報告徴求はいつまで継続されるおつもりなのか、その見通しを併せてお伺いをしたいと思います。
  78. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、海外で鳥インフルエンザ発生が伝えられると、そういう状況の下で私どもは昨年の九月に防疫マニュアルを策定をしたと。それから、先ほども申し上げましたが、韓国、お隣の韓国で発生したということを受けて、更に改めて関係都道府県及び関係者に対して注意喚起あるいは取るべき措置について通知もいたしました。  こういうことで、山口なり大分の例におきましては、今申し上げましたよう措置によって防疫対応も特段の問題がなく行われていたというふうに私どもは認識をいたしております。ところが、先生おっしゃいましたように、京都の例で通報がなされなかったということによって更に被害、いろんな影響が拡大をしたということでありまして、これを受けて五十二条に基づきます報告徴求を行ったわけでございます。  そういう意味からしますと、防疫対応をどこまでやるかということは、それぞれの発生状況なり、それから防疫対応実態を見ながら対応していかざるを得ない面があるわけでございます。なぜ最初からやらなかったのかというふうにおっしゃられますと、なかなか難しいわけでありますが、こういった報告徴求というのも、やはり個々の飼養農家方々一定の負担をお掛けすることでもあります。今のよう状況といいますか、この京都のような事例を踏まえますと、やはりそこまできちっとしていただくということが大事だということで、今はそういう一週間に一回の報告をお願いしているところでございます。  この辺の事情につきましては、一例目、二例目とそれから三例目の間でのこの経緯というものを踏まえて取っているということについて御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、これいつまでやるかと、大変難しい問題でありますが、それぞれの事例については、鳥インフルエンザ対応というのは一応適切に行われて、それぞれ発生が収まっているという状況ではありますけれども、この先いつ起こるかという点については、やはりここは十分な上にも十分注意をして対応していく必要があると思います。  そういう意味では、やはり農家方々への負担はお掛けするわけでありますけれども、一週間に一度のこの報告というのは当分の間きちっと続けていただく必要があるんではないかというふうに思っておりますし、その必要性についてもよく御理解をいただきたい。私どももきちっと説明していかなくてはいけないというふうに思っております。
  79. 千葉国男

    ○千葉国男君 現在、牛肉や鶏肉、それから鶏卵が安全だとしても、国民に食べることを強制することはできません。一方、米国でのBSE発生に伴い、米国産牛肉安心、安全の考え方から輸入禁止をされたときは、既に日本国内輸入された米国産牛肉のうち危険部位は回収されましたが、その他の部分は回収要請が起きるどころか、既に消費尽くされていました。  米国BSE鳥インフルエンザにおける行動の差を見ますと、日本人の食の安全に対する考え方、対応はちょっと情緒的な部分があるのではないかと思われます。こうしたことを考えると、国民に、また消費者に対する説明の仕方、食育について今後農水省としてどのように取り組まれようとしているのか、最後に農水大臣の御見解をお伺いして、終わりにしたいと思います。
  80. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 食の安全、安心を確保していく上には、やはり科学的な知見に基づくリスク管理施策を講じていくことが必要であるわけであります。これに併せて、ふだんから食品の安全性などにつきましての迅速かつ正確な情報を提供するということは必要なことでありますし、消費者関係者の意見をリスク管理施策に反映するリスクコミュニケーションを実施することが不可欠であります。  このために、農水省といたしましては、消費者方々との意見交換の実施ですとか、あるいはホームページ等を活用いたしまして迅速かつ分かりやすく情報の提供、あるいは消費者相談窓口の設置ですとか、食の安全、安心の確保に取り組んでいくということが必要であるわけであります。  農水省といたしましては、関係府省と連携をいたしまして、国民一人一人が自らの食について考え判断をする、こういう能力を養成する、委員からも御指摘の食育を推進していくところでありまして、この中で食の安全、安心に対する啓発活動等を行っているところでありまして、今後とも、消費者等に対するこのような情報提供、また啓発活動を通じまして、食の安全、安心の確保に向けて努力をしてまいりたいと、このよう考えております。
  81. 千葉国男

    ○千葉国男君 終わります。
  82. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時十分休憩      ─────・─────    午後一時五分開会
  83. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を再開をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、郡司彰君が委員辞任され、その補欠として藁科滿治君が選任をされました。     ─────────────
  84. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 休憩前に引き続き、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 紙智子

    紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  家畜伝染病予防法質問に先立って、諫早干拓の中・長期開門調査、この見送りについて最初にお聞きしたいと思います。  それで、大臣は中・長期開門調査について、コンピューターによる再現を含めて検討した結果、漁業環境影響を及ぼす、漁業被害が出るので実施できないということにしています。  この検討についてお聞きしたいと思うんですが、まずこの補足説明の四項に、排水門の常時開放により潟土が有明海に広がる様子が示されているわけです。それで、前提条件として排水門は常時開放だと。で、それ以外の方法を検討したのかということなんです。というのは、研究者や漁民、市民団体が提案しているように、徐々に海水を入れて排水をするならば、凝集効果ということで濁りや洗掘が抑えられるというふうにしているわけです。大臣検討というのは、一気に全開し、そして常時開放という、言わば最も極端な場合であるわけです。  それ以外のケースについては検討したのかどうか、まずお答え願います。
  86. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 私どもは、中・長期開門調査の検討会議も含めて、この中・長期開門調査の取扱いについての論点の整理をいただき、その後、様々な検討を進めてまいっておりますけれども、今御質問の点につきましては、いわゆる開門によって分かること、分からないこと、様々議論がある中で、やはり大きく開けることが、大きく開けることによって何らかのことが分かるんではないかという、その前提に立ちまして、常時開門をするという前提での検討を行ったものであります。  ちなみに、少し開けてという議論検討会議の中の専門委員会等でも御議論されておりますけれども、そうした場合には、短期開門調査と比較して新たに分かることは極めて限られておるという結果となっております。
  87. 紙智子

    紙智子君 ということは、やっぱり常時開放ということでもって検討した以外は特には検討していないということだと思うんです。  それで、いろんな研究者が被害のできるだけ出ない方法でできないかということで工夫、研究をしているわけです。  五月十三日に日本造船学会で九州大学の経塚教授が発表した論文がありますけれども、これは大臣、御存じですか。
  88. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 内容を詳しくは承知しておりませんけれども、そのような論文が出されたということは目にしております。
  89. 紙智子

    紙智子君 大臣は御存じですか。
  90. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 発表されたことは、こういう新聞の報道で承知をしている限りであります。
  91. 紙智子

    紙智子君 その論文の中では、干潟再生の面積を広くする必要があると。それで、調整池内の水位を海抜ゼロメートルからマイナス一・二メートルの範囲で保ちながら、水門は底から九十センチのところまで開いて水面下で海水を出し入れするという、潜り開門ということですよね。  潜り開門の場合に、この流速というのは秒速で一・四メートルということで、水底の泥を巻き上げるという、農水省が言っているわけですけれども、一・六メートル、秒速一・六メートルというふうに流れが、速い流れだと巻き上がると言うんですけれども、それを下回ることになるわけです。これだったら被害は出ないと。しかも、かなりの水位差で海水を入れて被害を抑えられる方法だということなんですけれども、こういう方法も検討すべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  92. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 先生御指摘のとおり、開門の方法、もちろん様々ございますけれども、いわゆる短期のときに行いましたマイナス一メーターから一・二メーター、これは背後地の安全を考えた場合に現在の調整池の水位がマイナス一メーターであると、そこから下げることは可能だけれども、上げることについて、しかもそれを人為的なコントロールによって行うことに対する予測し得ない様々な影響ということが懸念されるわけであります。  いわゆる全面開放ということになりますと、それを開けることによって、それをすべて開けるわけですので、これにおいても、本来は高潮であるとか本当の大きな洪水のときにどうゲートを操作するかということについては、技術的なことも含めて同等の安全性を確保することがかなり困難な面はあるわけでありますけれども、特にその中間開度で、しかも調整池の水位をマイナス一メーターよりも上げた状態ということは、いわゆる背後地の安全等を考えた場合に、排水門操作自体が本来持っておる安全性を確保しながら行い得るのかということがございまして、私どもとしては、検討会議における開けた場合に何が分かるのかという議論を踏まえて、全面開門といいましょうか、常時開放ということをベースに検討したわけでございます。
  93. 紙智子

    紙智子君 ちょっとなかなか分かりづらい、聞いていてよく分からないわけですけれども。  常時全面開放となると被害が大きい、水量が大きいと、だからできるだけそういう被害が出ないような形でやり方がないかということで今研究のことが言われているわけですけれども、そういう形で方法があるのだとすれば、それに対して、マイナス一メートルですか、上げたらその後どういうのが出るか、安全に対してもよく分からないということなんですけれども、結局分からないわけですよね。根拠がないわけですよね。だとするならば、やっぱりきちっとそのやり方については検討の中に入れてその選択肢の一つにするべきじゃないんですか。
  94. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 安全が分からないという観点が違っておりまして、いわゆる全面開放した場合は、背後地の防災上の安全の問題ももちろんございますけれども基本的には諫早湾内、ひいては有明海に対する予期し得ない漁業被害の可能性があるということでございます。  今申し上げました中間開度で行います場合には、それ自体を、ゲート自体を常に操作するわけであります。しかも、短期開門調査のときはマイナス一メーターということを守っておりましたので、その安全性に対して、もちろん塩分の問題があるにしても、いわゆる浸水とかそういったことに対する被害の可能性ということは避け得るわけでございます。ところが、いわゆる中間開度で行い、しかも調整池の水位を一メーター、二メーターと、まあその高さにもよりますけれども、そういう操作を行うこと自体は、例えばこれを地元住民の皆さん方、特に背後地の皆さん方に説明した場合に、前と同等の安全が確保できるのか、そのような操作ができるのかということを問い掛けられた場合に、私どもとしてはそれに答え得る方法を持ち得ていないという観点検討案としてはそれを入れなかったということでございます。
  95. 紙智子

    紙智子君 そこのところがよくはっきりと結果がどうなるかということがつかめない中でそれを排除したという話なんですけれども、やっぱり様々なそういうやり方をめぐっては提案がされているわけですから、初めからそれを外すということではなしに、考える必要があるんじゃないかと思うんです。常に全面開放にしたときのというふうに想定した話になっていて、だけれども、第三者委員会がそもそも提案した中身というのは、開門はできるだけ長く大きいことが望ましいんだ、できるだけ毎日の水位を大きくし、できる干潟を増やすことが望ましいんだと、こういうふうに言っているわけですよね。つまり、常時全開ということも含まれるわけだけれども、それだけじゃなくて非常に幅のある提案をその中でされていると思うんです。  それなのに、農水省の方は、一番極端なケースでしか検討しないということが、この今の話の中でもそういう話になっているわけですから、これはやっぱり納得できないというふうに思うんです。この点、どうですか。
  96. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 私どもは、検討会議、特に専門委員会、これは四県の水産試験場長等も入っていただいた、そういう中で議論した中で、実は全面開放だけを論じたわけじゃなくて、短期開門と同じような方法でやる方法、これについても検討をいたしております。そうした中で、小さく水位を変動させる方法については、短期開門調査等、新たに分かる知見は本当にあるのかどうかという疑問が呈されておることもございます。  それから、いわゆる中間開度的なことにつきましても、総論といたしましては、干潟の問題につきましても、以前のそれじゃ干潟と同じ状況が再現されるのかという議論をした場合に、そこでは当然、例えば洪水が起きれば一気にそこが真水になります、塩水を入れておっても。そうした中で、非常に不安定な生態系といいましょうか生物環境が創出される中で、そういった従前あった諫早湾における干潟の浄化機能なり、そういったものを抽出できるのかという議論の結果、それについてはなかなか難しいということを踏まえて、私どもとしては、それであればやはり大きく開門し、その中でということを、その方法を特に深く検討したという結果でございます。
  97. 紙智子

    紙智子君 常時開放だけを検討したわけじゃないというふうに今いろいろおっしゃったわけですけれども、それであれば、その中身もちゃんと資料を示すべきじゃありませんか。それ全然示さないで、結論として結局はそれは無理だろうからということで示さないでやっぱり提起するんじゃなくて、やってあるんであればそれも含めて全部資料も出してやるべきだと思いますよ。そういう意味では、示し方自身も私は非常に欠陥があるというふうに思うんです。  しかも、その被害が出るという最悪のケースを見てもいろいろ問題あるというふうに思うんですね。シミュレーションでは、ずっと開けた場合に泥というか広がっていって、それで三十日後には熊本の沖に達するというふうに言っていて、資料をいろいろいただいていますけれども、このいただいた資料で見ても、色でもって茶色い色がだんだん広がっていくというふうに示してあるわけですけれども、この先端部分というのは資料を見ると濁っているわけですけれども、単位でSSという形で濁りの単位を言っていますけれども、SSで大体五から十ですよね。そうすると、この先端部分というのは通常の濁りと同じじゃないかと思うんです。変わらないと思うんです。  農水省平成十二年度の海域SSの測定結果というのをまたもう一つ出されていますけれども、これを見ても、結局、福岡の漁場のSSというのは平均で見ると八・三から二十四・八、佐賀でいうと三・三から四十四・五ですよ。だから、本当に、水色の海に茶色の汚泥が広がっていくというふうな形で、図を見るといかにも何か広がっていくというふうになっているんですけれども、これで、数値見ますと、どうして有明海全体に漁業被害が出るのかということなんです。これを明らかにしていただきたいと思うんです。
  98. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 私どもは、有明海全体に漁業被害が出るという説明の仕方はしておりません。  排水門の常時開放によりまして潟土が有明海に広がる様子につきましては、海域それから調整池の濁りの拡散シミュレーションの結果を、御指摘の水中の浮遊物質、つまりSSの濃度で表したものであります。具体的には、浮遊物質の濃度を五ミリグラム・パー・リッターから千ミリグラムまでの八段階に分けてグラデーションを付けて説明しておりますけれども、排水門を常時開放したシミュレーションの結果では、常時開放をスタートしてから三十日後には諫早湾内のまず広い範囲、要するに色の濃い部分ですけれども、ここでは一リットル当たり数百ミリグラムと、これまで環境モニタリング等でも行っておる観測結果には得られておらないような、そういう高濃度になります。  諫早湾外の佐賀沖あるいは島原沖におきましても一リットル当たり三十から五十ミリグラムになると予測されたところでありまして、先生御指摘の佐賀沖であるとか福岡の地先であるとかいう議論はありますけれども、いわゆる常時、本来はかなり澄んでおる、透明度のいいようなところに一か月以上にわたってそういう濁度を持った水が停滞するということがまずは諫早湾内の漁業への影響、そしてそれが有明海に及ぼす影響可能性、そういったいわゆる連鎖的な影響もあるという観点からの判断を行ったものであります。  ちなみに、先ほど指摘がありました、私どもは、被害があるからこの開門調査を難しいんだということだけを申し上げているわけじゃなくて、様々なことを含めて総合的に検討した結果であることを申し添えさせていただきたいと思います。
  99. 紙智子

    紙智子君 被害が出るからというのは大臣の漁民の皆さんへの中にも言っているわけで、一体、じゃ、どういう被害が出るのかということは地元の皆さんも疑問を呈しているわけですよ。  それで結局、方法の上でも、やっぱりいろいろな選択肢じゃなくて、最初から極端なケースに限ったもので、開けてもいいけれども、開けた場合はこんなに大きな被害が出るよというような形でやると。そして、その予測でも、その先端の濁りというのは非常に大きく濁りが広がるような印象を与えるような中身になっているわけですけれども、実際には通常を超えるものではないと、先端のところは。  今のお話でも、有明海全体に被害が広がるということではないという話をされたわけですけれども、やっぱり非常にその辺はあいまいもことしているわけで、私は、やっぱりそういう中で今度の出している中身というのは、いろいろ反対の異論もある中では撤退をすべきだと思いますね、撤回をすべきだと思います。少なくとも、更に漁民の皆さんとも話し合って、検討で、やっぱりその結果いろいろ方法としていいのが出てくるのであれば、一回出したとしてもそれに固執しないというような柔軟な対応で臨むべきだと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  100. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この中・長期開門調査の取扱いにつきましては、中・長期開門調査検討会議と、そして様々な立場の関係者から広く意見を聴取すると。それから、先ほども御質問ございましたが、関係四県の水産試験場長を始め関連する専門家、こういう方々の意見もいろいろ伺って、専門委員による技術的、専門的な助言を得て、いろいろ論点の整理もしてきたところでもございます。  そういう中で、やはり私は、漁業者の皆さんが期待されております有明の再生、このことを明らかにすると。そういう面で、この調査の取扱いにつきましては、どのような成果が期待でき、そしてどのよう影響が生じ、そしてそれに対してどのよう対策が必要となるかと。そのことを、いろいろこの報告書も読み、またあるいは私ども関係者から話を聴き、総合的に判断をしたところであるわけでありまして、この中・長期開門調査による濁りの拡散を検討した中でも、排水門を常時開門をした場合には、潮汐により排水門の周辺を中心に広い範囲の潟土を侵食する速い流れが毎日二回生ずるとか、あるいはまた、一日に排水門から排水される水量は、潮受け堤防完成後に発生した最大の洪水排水量の約二倍にも及ぶと、こういう結果もあるわけでありまして、このように潟土が混ざった大量の水が諫早湾に排水され、それが諫早湾外にまで広がることによりまして漁業環境影響を及ぼす可能性もあると考えたところでございまして、この調査、実地の調査あるいはその対策対応すると。そういう中で、一日も早く私は有明海の再生とその道筋を示したいと、確立したいと。そして、それには是非漁業者の皆さん方にもいろいろお話も伺って、そしてそのような中でその対応をしてまいりたいと、このような判断をしたところであります。
  101. 紙智子

    紙智子君 有明海の再生のためにも中・長期調査をやってほしいというのはこれまで地元からも強く上がっていたわけですから、そこはやっぱり、これでもって、一度出したからこれでもって押し切るということを決してやってほしくないと。やっぱりちゃんと柔軟な対応でこの後も引き続き地元の皆さんとも話をしてやっていただきたいということを更に付け加えて言わせていただきたいと思います。  そして、続いて家畜伝染病予防法質問ですけれども、一月十二日に山口県で、そしてその後、大分、京都ということで拡大していった鳥インフルエンザ、一応終息を見たわけですけれども、未解決の問題、まだまだ残されています。それで、京都の丹波町の養鶏業者も移動制限が解除された後、取引の再開を求めて駆け回ったわけだけれども、もうスーパーなんかでは既に出荷ストップした段階でほかの業者に、ほかの人に切り替えて元に戻らない、こういう状況になっていますし、価格も下がったままで売上げも回復しないと。発生前の状況と比べるならば、やっぱり相当まだ取り戻すにはほど遠い状況にあるわけです。  それから、アジア諸国での新規発生報告というのはまだ今されていないわけですけれども専門家は、大流行の再発する可能性というのはまだ残っているんだというふうに指摘していますし、そのためにも、今回の事態を教訓にしてやはり万全の恒久対策というのを取っていく必要があるというふうに思います。  その点で、まず第一に、家畜所有者自身に対して届出通報義務を強化するということが非常に大事だというふうに思います。今回の事態で、家畜所有者が届出を怠った場合にいかに深刻な事態を招くかと。これは本当に今大型化して、畜産経営が実際には法律にかみ合ったものになっていないということが明らかになったわけで、この見直しが必要になると思います。  今、現行法では届出義務は基本的に獣医師に課せられていると。唯一、法定伝染病に限って獣医師に診せずに家畜所有者自身が判断した場合にのみ所有者に届出義務を課しているわけです。それから、新疾病、届出伝染病の場合は、家畜所有者には届出通報の義務は課されていないわけですね。今回の政府案では、家畜所有者について、現在、通報の罰則の強化のみで、家畜所有者自身の届出通報義務が生じる範囲を拡大強化していないんですけれども、これはなぜでしょうか。
  102. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、いわゆる法定伝染病、家畜伝染病というのは、症状も非常にはっきりしておりますし、また多数の家畜が続けて死亡するというふうなことで、獣医師でなくてもそういうことが起これば十分察知することができるものであります。それに対しまして、届出伝染病ですとかあるいは新疾病、こういったものにつきましては、感染しても顕著な症状が出ることが余り多くないということがございます。ですから、所有者、いわゆる獣医師のような専門的知見を持っていない場合にはなかなか見付けにくいということ。それからもう一つは、感染力も弱く、また死亡の比率も低いということで、殺処分などの蔓延防止措置を至急取らなければいけないというものでもないわけでございます。こういうふうに、家畜伝染病とそれから届出伝染病ではかなりはっきりとした違いがございます。  こういう中で、獣医師ではなくて、家畜所有者に対してそういった届出伝染病なり新疾病といったものについて届出義務を課すということについては、やはりそこは過重なものではないかというふうに判断をしているところでございます。
  103. 紙智子

    紙智子君 実際にはそうじゃないんじゃないかと思っていたけれどもそうであったりということもあるわけですから、そこはやっぱり十分慎重にやるということが必要だし、その意味では私は、診せても診せなくてもきちっと届けるというふうにするのが今後にとっても必要だというふうに思います。  それで、この法律を制定した当時というのは、結局規模も小規模だったわけですよね。家畜の疾病に関する知識も不十分だったと思うわけですけれども、今はもうその当時と比べると比べものにならないぐらい非常に規模が拡大して、そして企業経営になってきていると。それで当然、感染症に対する知識や管理能力も求められているし、報告や通報の義務が課せられる必要があるわけです。  今回、浅田農産の場合も、結局内部通報で初めて事態が明るみに出たわけですよね。家畜保健衛生所の立入りがそれでもってされたわけですけれども、やっぱり大経営の内部というのは通常分からないわけですよ、外からだけでは。  それで、我が党の修正案で、家畜所有者患畜又は疑似患畜となったことを発見したときには獣医師による診断又は検案を受けたかどうかにかかわらず都道府県知事に届けなければならないと。そして、これまで家畜所有者に義務のなかった家畜伝染病以外の伝染性疾病と、今までなかったような新しい疾病についても、その疑いがある場合も含めて発生を確認した場合に、獣医師に診せていないときは届出をしなきゃならないと。そして、さらに、既に知られている伝染性の疾病にかかっている可能性を示す異変を発見したときには通報しなければならないというふうにしているわけなんですけれども、その点でやっぱり家畜所有者の義務の拡充強化というのを求めておきたいというふうに思います。  それから次なんですけれども移動制限によって影響を受けた家畜等の所有者への助成措置、これを法制化するということで、これは我が党としても、二〇〇〇年の口蹄疫のときに既に大きな問題になっていて、それで、そのときからずっと要求してきたことで、その意味では一歩前進ということで評価できるというふうに思います。  しかし、国は県が助成金を交付した場合にその二分の一のみ負担するという改正案になっているわけです。これでは私は国の責任が不明確だというふうに思うんですね。山口県を始めとして、今回、高病原性インフルエンザが発生した自治体からも批判の声も上がっているわけです。家伝法では手当金の規定で、発生農家疑似患畜を殺処分した場合に、国が疑似患畜評価額の五分の四を支払うことになっています。それと比べてもやっぱり国の責任、あいまいになるんじゃないかと。なぜ県が助成した場合にその額の二分の一を交付するという規定にしたんでしょうか。
  104. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 移動制限を受けた農家に対する助成につきましては、その移動制限に伴う影響が広範囲に及ぶと、広範囲の地域の農家経営の安定にも大変な影響が及ぶということで、地域の畜産振興を図っていく観点からも大変重要なことだというのが一つの理由でございます。  これが、都道府県から見ても一定助成をする一つの根拠といいますか、そういう理由だというふうに私ども考えておりますし、もう一つの理由は、移動制限家畜伝染病蔓延防止を図る際に中心的な役割を果たします都道府県が国と協力しながらやるという、そういった性格もあるわけでありまして、こういった二つのことから、都道府県助成をする際に国がその二分の一を負担するというふうにしたわけでありますけれども、この都道府県助成をする際に国が二分の一というこの書きぶりでありますが、これは何も都道府県がその助成をしないことをあらかじめ想定しているということではなくて、むしろ国は国、都道府県都道府県というそれぞれの役割を果たしながらやっていくというときに、それぞれの役割分担の下で一定の負担をするということで二分の一としたことでございます。  この辺の規定ぶりは、例えば似たような例としまして、感染症の場合、感染症や結核の予防等、伝染病の予防といった類似のケースでも、やはり国と県はそれぞれ二分の一、その差というふうになっておりますし、また農業者の責めによらない事態への対応である天災時の農業者への融資、その場合の国の負担割合も二分の一となっていると、こういったものを勘案いたしまして、二分の一というふうにしたわけでございます。
  105. 紙智子

    紙智子君 私は、本来、家畜伝染病予防と蔓延の防止というのは国が責任を持つべきだというふうに思うんです。だから、都道府県知事が命令する殺処分に対しての手当金疑似患畜なら家畜評価の五分の四を国が払うと、移動制限についてもやっぱり同様だというふうに、考え方はですね、同様だというふうに思います。だから、やっぱりその二分の一というのでは不十分だというふうに思います。  それで、都道府県は法律や既成の制度だけで救済できない問題あるわけですよね。例えば風評被害についても、独自に対策も取らなきゃいけないとか、そのほかもういろいろ、実態に見合った救済ということではいろいろやっぱりきめ細かくやらなきゃいけないというのがあるわけで、そういうことがやれるようにするためにも、基本のところはやっぱり国が責任をはっきりさせて、負担の割合を増やすべきじゃないかというふうに思うんです。  それから、もう一つ、特殊卵の問題、高付加価値卵というこの卵の損失補償の問題ですね。  大分県、それから京都では、国の損失補てんが標準卵を基準価格としているので、平飼いなどの高付加価値卵の生産者からは、単価が低過ぎると、損害の実態に合わないというふうに批判が、これ農水省にも上がってきていると思うんですけれども、出ています。それで、この高付加価値卵の生産というのは小規模の養鶏者が多いわけで、その影響も非常に深刻です。  我が党としても、繰り返し実態に見合っての損失補償ということで求めてきているわけですけれども農水省では、地鶏には規格があるんだけれども、高付加価値の卵については規格がなくて適正な評価ができないんだと、そういうことを理由にして、補償基準の価格というのは一律に約百四十円ということで、市場価格に抑えられているわけですね。これ再度、例えば鳥インフルエンザ発生するような事態が起こった場合に、またこれ重大な問題になっていくというふうに思うんですよ。飼料に添加して栄養成分を強くしたり、飼い方でもって、異なる飼養方法でもって特別の、特殊卵と言われるものが作られているわけですけれども、この実態ですね、生産者数、それから流通量、価格の状況というのはどうなっているんでしょうか。
  106. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの高付加価値卵、特殊卵についてのお尋ねでございます。  消費者の健康なり安全に対する意識の高まりというふうなことを背景といたしまして、鶏卵に対するニーズも多様化しているわけでございます。そこで、ただいま委員からも御指摘ありましたように、飼料でございますとかあるいは水、あるいは飼養環境と、そういった飼育方法に工夫を凝らしたこの鶏卵の生産努力というのが行われておりまして、いわゆる特殊卵でございますが、全国的に統一した定義もないわけでございまして、その正確な実態は把握しておりません。関係業界によりますと、約七百種類以上あるというふうに言われているわけでございます。  流通量につきましても正確に把握しておりませんが、聞き取りによりますれば、店舗による違いもあるけれども、量販店で特殊卵が売場面積の四割から七割を占めているというところもあるというふうに聞いているわけでございます。  また、価格もきちんとした把握はしておりませんが、聞き取ったところによりますと、量販店で特殊卵として販売しておるものの小売価格は、希望小売価格ベースで一個当たり二十円から五十円というふうな大変大きな幅がある。一般卵は小売価格で大体一個当たり約十八円、これ総務省の小売物価統計調査でございますが、そんなことで大きな幅があるというふうに承知をいたしているわけでございます。
  107. 紙智子

    紙智子君 既に家庭に出ていく消費量、四分の一とか相当な部分が占めているというふうに言われているわけですけれども、それについて全くやっぱり状況として把握きちっとされていないということでいえば、やっぱり農水省責任としては問題じゃないかと思うんですね。高品質の卵や付加価値を付けて販売するというのは、やっぱりこれ農水省自身が中小の生き残りのために推奨してきているわけですよね。予算もそれで付けてきているものだと思うんです。それなのに、そこをちゃんと把握をしていないということになれば、これは矛盾していると思うんですね。  今回の法改正に当たっても、農水省は高付加価値卵については対象にしないという立場を取っているわけですけれども、特殊卵については規格が、なかなか評価できないと、なくて評価できないということなんですけれども、二〇〇〇年の三月ですね、養鶏問題懇談会報告書というのが出されていて、そこで既に特殊卵について、やっぱりこの実態も調査するし、統一的な基準策定の必要性があるんだということを報告で述べているわけです、指摘しているわけですね。それからもう四年たっているわけですけれども、そういう統一的な規格や基準策定のための調査検討というのはやられたのかどうか。
  108. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの統一基準の策定という観点についてでございますが、業界の内部にこれにつきましては賛否両論がございます。一つには、競争が大変激しい鶏卵市場におきまして、消費者ニーズにこたえようと、そういうことで努力した結果として特殊卵が生産されて流通されておるといったことにかんがみますと、統一基準を作成するということは、販売上の特色でございますとか個性が出にくくなるということで、取り組むべきではないというふうな意見もあります。一方には、鶏卵に対する表示等の信頼の確保のために業界一丸となって取り組んでいくべきだという意見ももちろん見られるわけでございまして、そういうことで業界内において賛否両論がございまして、合意には至っていないということでございます。  そこで、調査もうやらないのかというお話でございますが、ただいま委員からも御指摘ございましたとおり、十六年度から、中小規模の鶏卵生産者の経営近代化を促進するという観点から、高品質な鶏卵生産の推進事業に取り組むというふうにいたしているわけでございまして、そういった中で特に高品質な鶏卵として評価を得ているものの生産に係る現状把握を通じまして、今回十六年度から仕組みました事業の中でそういった客観的な品質の基準でございますとか、あるいは衛生管理基準、そういった、あるいは生産、流通に関する基準等々、品質向上に資する基準につきまして策定ということについての調査を行うというふうなことでやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  109. 紙智子

    紙智子君 今それをやっているということなんですけれども、規格、基準ができるまでの期間についても、例えば兵庫県が、制限区域内の、移動制限ですね、区域内の農家三十六軒聞き取りをして、国の基準を超える価格で販売している区域内農家の加重平均で基準価格を三百五十六円に設定して差額の補てんを行っているとか、京都も同様に平飼いで三百六十円、ゲージ飼いでという二段階に分けて、区域内の農家の加重平均価格で、それぞれ三百六十円、二百円と、こういうふうに価格を決めているわけです。  それで、今度の法案で都道府県助成額の二分の一を国が負担するという仕組みを作ったわけですから、こういう京都の、いや兵庫のような、具体的に実態に合わせて価格設定を行った場合に、それに国が二分の一の助成を行えば、これ現行の法のままで対処、対応できるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  110. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 国が助成をします際には、やはりそれの積算の根拠になるデータというふうなのはきちっとしたものでないと、いろんな意味で後々問題が起こるというふうに思っております。  そういう意味で、今、京都あるいは兵庫の例が先生の方からありましたけれども、国が助成をいたします際の基準単価としましては、やはり何といいますか、全農などの卸売市場できちっと取れるそういった価格を基準にして助成の基準価格にしたいというふうに思っておりまして、そこから上のところを各県でどういうふうに御判断されるかというのはありますけれども、国が助成をする際、繰り返し申し上げますけれども、国が助成をする際の基準単価の考え方というのは、やはりだれが見ても同じ結果になる、そういったはっきりとしたデータに基づいてやるべきではないかというふうに思っているわけでございます。
  111. 紙智子

    紙智子君 ちょっとあとの、時間が迫ってきましたので、二つ、あとお聞きしたいと思うんです。  一つは、今度の法案で移動制限影響を受けた農家助成について、助成の対象となる「特定家畜等」というのがあって、「第三十二条の規定による移動又は移出の禁止又は制限がされることにより畜産経営に重大な影響が及ぶ家畜、その死体又は物品として政令で定めるものをいう。」というふうになっているんですけれども、特定家畜、必ずしもこの移動制限を掛けられた区域内にいる家畜に限定されないというふうにとらえていいのかと思うんです。  それで、例えば兵庫県で実際問題になったんですけれども、養鶏農家が制限区域外だったんですけれども出荷先である食肉処理場が区域内にあったわけです。それで出荷ができなくなって、育ち過ぎた鶏を処分しなきゃいけなくなったと。これは明らかに移動制限に起因しているということなんですけれども、こういう場合に、移動制限による損害という形で助成対象とすべきじゃないかと思うんですけれども、それについてどうかということが一つと。  もう一つは、これ京都の丹波町なんですけれども、殺処分しましたよね、二十数万羽の鶏の死骸が山林に埋め立てられて処分されたと。約一万立方メートルのふん尿、鶏のふんが発酵消毒されて鶏舎内に残っているわけです。これらについて住民からは撤去して最終処分をするように要望が出されているんです。丹波町と住民としては、埋却した鶏については家畜伝染病予防法に基づいて三年間経過した後に安全を確認して最終処分する、鶏ふんに関しても一定期間後に最終処分するということを約束して覚書を交わしているわけですけれども、この際、最終処分費用が京都で七億六千万円というふうに見積もっているわけですよね。それで、非常に巨額だということもあって、国に是非費用の負担も要望したいということを言っているわけですけれども、国として、これに対してどういう対応をするのかという、ちょっと二点、お答えお願いします。
  112. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 第一点の制限区域外の農家、これは、出荷は制限されておらないわけであります。影響の範囲、また大きさを客観的に判断できないことから、これは今度の法律の対象外と、このよう助成の対象外と、こうなっておるわけであります。しかし、移動制限区域外の農家に対しましては、低利の融資等によります経営支援と、この方は対象にしておるわけであります。  また、京都の問題。このことにつきましては、処分した鶏や鶏ふんにつきましては、一定期間経過すれば防疫上の問題は解消するという点はあるわけでありますが、その取扱いにつきましては今後慎重に検討してまいらなければならないと、こう思っております。  また、もう一点、京都府からいろいろお話もちょうだいしております。検討状況等を聴きつつ、最終処分に要する経費等につきましては、今後国としても十分その検討状況等を聴きつつ対応検討してまいりたいと、このよう考えております。
  113. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 時間が参りました。
  114. 紙智子

    紙智子君 是非善処していただくように最後に申し上げまして、質問を終わります。
  115. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  家畜伝染病予防法改正案、大分審議も尽くされたようでございまして、私もこういう改正というのはあってしかるべきであるということを思っておりますが、ただ、よくお聞きしていて、やはり早く病気を察知して届けてもらって、それで早く伝染病の広がりをできるだけ防ごうという趣旨でこういうことをやられたと思うんですけれども、特に鳥インフルエンザについては、成熟が早いから移動制限掛けると非常に営業に影響するというような御判断があったかと思うんですけれども、実際、移動制限というのは前からもう決まっている話ですよね。そうしますと、当然これは私はある意味じゃ行政の裁量で予想できたことではないかなというような感じがいたすわけですけれども。そういう意味で、この辺、行政の立場として、更にこういうことの早期発見、改正といいますか、そういうことに心掛けていただきたいと。これは要望ですけれども。そうしませんとこれ、事実これによってかなりの被害があり、気の毒な目に遭った方々がたくさんおるわけですから、その辺を、この法律を施行するに当たって、そういうような立場の行政的な配慮を是非お願いしたいと思っております。  この家畜伝染病、これはここのところ話題に事を欠かないぐらいいろいろあるわけでございまして、私も今のこの法律といいますか、これは対症療法といいますか、実際にこういう事態があったからこれは変えていかなきゃいかぬと、これまあ、これも一つ必要なことだと思いますけれども、もう一つは、これ、かねてから言っておりますけれどもBSEの問題にしましても、現在は消費者の方はある程度安心して牛肉を食べられるんでしょうけれども、生産者の人はまだ依然として前と同じ状態にあるわけですよね。それで、何か、したがって、こういう、ああいう事例についても早く解明してもらいたい、これは日本だけじゃない、世界にまたがる問題ですからそう簡単にはいかないんでしょうけれども、それを解明する姿勢というのは是非とも崩さないでいただきたいということは前々からお願いしていたわけでございまして。  そういう点からいきますと、本当に今年になってもう二例ですか。もう、まだ発病しているんですね、たしか。二例発表されているということですかね、そういうふうにお聞きしておりますけれども。まだまだ終わっておりませんので、生産者の立場からの気持ちといいますか、そういうものを十分酌んで、酪農なり畜産なりの生産者が、農業者がしっかりと昔と同じような営農ができるように是非心掛けていただきたい。  そういう対症療法といいますか、現在の事例に対する対応、あるいは事後について対応は今まである意味では御質問させていただいたんですけれども、今回は事前といいますか、これだけいろんな伝染病出てきますと、また何が出てくるか、こういう不安を皆さん持つと思うんですよね。そういうものに対してどういうような取組といいますか、対応といいますか、何といいますか、そういう組織的な仕組みを持っておられるか、その辺を今回ちょっとお聞きしたいと思うんですが、事前といいますと、予防、発生する前の予防とそれから実際発生したものを早く察知する予知というものがあるんだろうと思うんですけれども、まずその予防については農林省としてはどんな体制でどんな取組をされているか、具体的にちょっとお話し願いたいと思います。
  116. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、先生、今、予防としてどういう措置をやっているのか具体的にという御質問でございました。  家畜伝染病予防法の第五条には、検査、これは具体的にはサーベイランスの検査というふうに言ってもいいかというふうに思いますけれども、監視伝染病の発生状況等を把握するための検査ということでありまして、監視伝染病、これは家畜伝染病と届出伝染病を合わせたものでありますが、そういった監視伝染病のサーベイランス対策指針というものがございまして、各都道府県におきまして、その指針に基づきまして検査を行い、実施状況について逐次報告をいただくというふうなことが恒常的にございます。それから、五十一条の方の立入検査の御必要があればきちっとやっていくということで、できるだけ早く察知をするということをやっているわけでございます。  その中で、高病原性鳥インフルエンザように何よりも早く見付けることが大事なものというものにつきましては、一つは、五十二条で報告徴求というのをこの三月から行いました。千羽以上の農家の方に毎週毎週自分のところの鶏の死亡状況等を把握をして報告をいただくと、かなりきちっとした一種のサーベイランスをやっているわけでございます。  こういったことによりまして、できるだけ早く察知をして早く対応ができるように、飼養者の方、農家方々の意識改革も含めてお願いをしているというところでございます。
  117. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  ただ、今、局長が言われたのは予知ですよね。察知をどうするかで、予防という面では何かやっておられないですか。  昨日、いろいろお話伺ったのでは、私の方から言うのもおかしいんですけれども農家の健康管理とかそういうような面で予防対策を講じておられるというお話がございましたんですけれども、その辺をまた詳しくお話を願いたいと思います。
  118. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 何よりも各飼養農家において家畜が病気にならないように衛生的に管理をするということが基本だというのは先生今おっしゃったとおりでありまして、これ、昨年の家畜伝染病予防法改正によりまして飼養衛生管理基準というものを作ることになっております。  まだ作成、公表までは至っておりません。もう間もなく、審議会の審議も経た上で、夏までに、できれば六月中には公表したいと思っておりますけれども、各農家において最低限守るべきいろんな飼養の基準について設定をしておるというものでありまして、こういうものをベースにして、何よりも様々な家畜疾病が発生しないような衛生的な飼養に心掛けていただくということは基本中の基本だと思っております。
  119. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それで、予知といいますか、察知といいますか、そういう面でいろいろやられておると思うんですけれども、日本の国は外国と比べて優れているのかどうかは別といたしまして、今までそういう体制によってどのぐらいの事前察知といいますか、そういう実績を持っておられるか、その辺をひとつ御説明ください。
  120. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 予知というよりも、これは発生があった場合にそれを把握をするということでありますけれども平成十五年の一月から十二月まで、この一年間に五つの病気がございます。伝達性海綿状脳症、それから結核病、ヨーネ病、流行性脳炎、ミツバチの腐蛆病と、この五種類について発見といいますか摘発がございまして、これ全国で申し上げますと年間に五百件でございます。  こういった形で監視をし、実際に発生があればできるだけ早くそれを察知をするということでやっているわけでありまして、家畜の伝染性疾病の発生予防を図るためにはやっぱりこういった検査体制をきちっとしていくということが大事だというふうに思っております。こういった検査結果の十分な評価をすることによってまた新たな必要なところの対策も見えてくるということでありますので、引き続き十分注意しながらやっていきたいと思います。
  121. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 病気の認識が私と大分違うので、局長の方が専門的なものでしょうけれども、私なりに考えまして、よく世間のマスコミも騒がしている、いわゆるBSEとかコイヘルペスとか、今回の鳥インフルエンザとか、こういうものが私の頭の中にあるわけですが、家畜じゃないですけれども、SARSなんかも特殊な病気として出てきておるわけですけれども、何か幸いなことに、今のところ日本発の伝染病というのがまだ今のところ、ここのところないような感じがする。大変これ結構なことだと思うんですけれども、過去を見れば、例えば日本脳炎とか日本住血吸虫なんて、この日本という名前を頭に冠しているのは恐らく日本がその起源じゃないかなという気がするんですが、それは別としまして、このような実績を持ってやっておられるということは大変結構なんですが、こういう状況というのが、これ、まあ外国、それぞれ世界じゅういろんな動物検疫といいますか、いろんなやり方をやっていると思うんですけれども、日本というのはある程度特殊なといいますか、日本独自の手法といいますか、そういうものでやっているというような御認識を持っているのかどうか、その辺ちょっと、変な質問かもしれませんが、お答えを願いたいと思います。
  122. 中川坦

    政府参考人中川坦君) なかなかお答えするのは難しいですが、私ども担当している者としては、諸外国でもどういうことをやっているかというのは日ごろから情報収集をいたしておりますし、国境措置におきましては、動物検疫所において水際の侵入防止に努めておりますし、また、国内におきましては、各都道府県に設置をされております家畜保健衛生所において対応していると。この水際、それから国内での様々な防疫措置というものは、世界的に見ても私は非常に高いレベルの措置が行われているというふうに認識をしております。
  123. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そこで、私お聞きしたかったのは、要するにこれから更にいろんな病気が出る可能性もあると、そういう中で今の体制で十分と思っておられるのか、いわゆる家畜伝染病に対する防波堤といいますか、その対応として、その辺の御認識はいかがなんでしょう。これだけたくさん出てくると、本当に足りるのかなという心配が出てくるものですから、ひとつお答えを願いたいと思います。
  124. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 確かに先生おっしゃいましたように、平成十二年には九十二年ぶりに口蹄疫が発生をし、また十三年にはBSE、それから今年に入りましてから鳥インフルエンザと、また昨年の秋にはコイヘルペスウイルス病という、このところ確かにいろんな病気が、それまでしばらくの間、長い間発生が見なかった病気がまた発生をするというふうなことが続いておりますけれども一つは、この背景としましてやはり国際化といいますか、人の動き、それから物の動きというものが非常に従来に比べて盛んになってきたと。そういった物流なりに伴って病原体が、あるいは付着をしてきたものが入ってくるというふうなことも容易になっているのではないかと、こういうふうに思っております。  そういう中で、私ども防疫対応を担当している部局としましては、やはりそのことをむしろ前提として、国内に様々な病原体の侵入が起こらないようにきちっと水際を固めていくというのがまず第一でありますし、また、いったん不幸にして発生した場合には迅速にそれに対応するということが二つ目の大事な点ではないかというふうに思っております。その辺は常日ごろから心得て、できるだけ先手を打つようにしたいと思っております。
  125. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣の率直な御意見ということで、通告はしていなかったんですけれども、もうふだんお考えになっていることのお考えをお聞かせ願いたいと思うんですが。  実は、最近出てきているいろんな伝染病、これは要するに地球温暖化影響でないかと、こういう議論出たと思いますけれども、そういう話も、説もありますし、そういう心配する人も一杯いるわけですよね。  これについて、実は先日、決算委員会環境庁に聞きましたら、必ずしも特定や関連はされないけれども一つの例としては西ナイル熱ウイルスとかという、これは明らかに関連した病気だったというよう状況で、いわゆる人為的な文明の進度に従っていろんな病気が出てくる。それと同じような面で、そのほかの新しい病気なんかも、いわゆる、これは人によっていろんなお考えあるんでしょうけれども、本来、人間は自然の中での一部であるにもかかわらず、人間が自然を征服しようとする、それが文明だったのかもしれませんが、そういうことをずっと続けたそのしっぺ返しじゃないかというようなことを言う人もあると思いますが、私もそうでないかというような感じがするわけですけれども。そういう意味で、今、伝染病がいろいろ伝わってくると。そういうものと、それからあるいは遺伝子組換えみたいな新しい技術によって、これもある意味では自然界に対する一つの挑戦だと思うんですけれども、そこには、それによって、いい面もあるのでしょうけれども、非常に危なっかしい面が含まれていると思うんですけれどもね。  そういう今の流れの中で、恐らく農水省としてもいろんな新しい面に直面してくると思うんですけれども、それに対しまして大臣の率直な、そういう新しい文明といいますか、新しい文明といいますか、人間が今まで過ごしてきたこういう文明に対する対応、自然に対する対応、そういうもののこれから、これからもそう続くだろうそういうものに対して、食料を預かる省として大臣はどんなふうなお考えを持っているか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  126. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、新たな伝染病と。今まで日本にないそういうもの、あるいは新しいもの、これらにつきましては、特に家畜の伝染病等々につきましてはやはり迅速な対応と、まず、そして効果的な、そして蔓延防止と、こういうための措置を講ずるということが大切なことと、このように思います。  また、特にこの家畜伝染病の関連につきましては、新たなものと。こういう面では、一つは口蹄疫の防疫要領、これを、この防疫マニュアル、こういう、これが一番厳しい状況下にあるわけでありますから、このことを念頭に置いていろいろのことを進めると。この伝染病の家畜関連につきましてはそのよう対応と。そういう面で、いろいろ日ごろから我が省、その水際での問題と、防疫マニュアル、防疫の講習とかそういう研修を積み重ねる、そして緊急時に備える対応と、こういうことが必要なことではなかろうかと、こう思います。  非常に時代が変わり、また自然条件先ほどもお話のとおり、地球温暖化問題等々、もう本当に予測できない、予測することのできないよう対応。それらには、やはり私ども関係者、意識改革をし、そして常に日ごろからその危機に対する対応というものを持って対応するということが必要なことじゃなかろうかなと、こう思います。
  127. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 お忙しい業務の中でしょうから大変でしょうけれども、出てきた事象に対しての対応と、これも大事ですけれども、やはりもっと先を見通した、何といいますか、想定の下に行政を進めて、是非進めていただきたい。  そのことをお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  128. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 最初に、諫早湾干拓事業の開門調査について取り上げたいと思います。  亀井農水大臣は、五月十一日、諫早湾干拓事業の中・長期開門調査について実施の見送りを正式に表明されました。開門調査による漁業被害が心配されるためだということで、開門調査を見送る代わりに、海流を海底から海面に向けて上昇させる設備の設置、海底に砂をまく覆砂事業、それから海底を耕す海底耕うん事業、これらの、漁場環境改善策として赤潮や潮流などの調査を実施する考えだということですね。  しかし、農水大臣の表明は、開門調査の成果を過小に評価しているのではないかと、そして開門調査による被害を過大に見積もったものではないかという声が非常に大きいんですね。被害を受ける可能性のある当事者の有明海漁民たちが最も強硬に開門調査を要求しているということからも、それは明らかです。農水省の示した代替案についても、多くの有明海漁民たちは、効果を期待していないばかりか、更なる環境悪化懸念しているというふうに聞いております。  つまり、この表明は、開門調査が必要だという有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会、いわゆるノリ第三者委員会の提言、それから開門調査実施を要請した多数の有明海沿岸自治体による決議、開門調査に向けた有明海漁民の強い期待を結果として裏切っているということになっております。  特にノリ第三者委員会については、当時の谷津農水大臣が最初に提言実行を委員会に確約したんですね。その審議の結果、中・長期開門調査が提言されたわけです。言わば中・長期開門調査の実施というのは農水省国民に対する確約でもあるというふうに考えます。ですから、亀井大臣は、諫早湾干拓事業の中・長期開門調査の見送りということを是非とも再考し、一日も早く中・長期開門調査を実施すべきだと私たちは考えております。  これは、私だけでなく、私が会長を務める公共事業チェック議員の会、超党派国会議員八十名が属する議員連盟でも再三このことは農水省に要求してきた事柄でございますので、強い要請として受け取っていただきたいんです。  必ずしもこれ、質問ではありませんが、もし何かコメントがあれば短くお願いしたいと思います。
  129. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この公共事業チェック議員の会、先生、会長としてお話も再三ちょうだいをしております。  私は、第三者検討委員会あるいは漁業専門家、技術者の皆さん方、いろいろ論点整理をおまとめいただきまして、そういう中でやはり私は有明海の再生の道筋を明らかにしたいと。それは漁業者の皆さん方も同じ考え方であるわけであります。そういう面で、先ほども御答弁を申し上げましたが、実施することによりましてどのような成果が期待でき、またどのよう影響、またどのよう対策と、そういうことを踏まえて結論を出したわけで、総合的に結論を出したわけでありまして、また、いろいろこの調査をすることによりまして相当長い年月と、またその被害と、こういう問題もあるわけでありますし、是非そういう面で、この代わる方策として調査、先ほども御指摘がありましたが、調査あるいは現地実証とかあるいは調整池の水質対策と、これを進めることにという考え方。そして、それには是非一刻も早い有明海の漁業の再生と、これに向けて漁業者の方々を中心とした新たな話合いの場を早急に設置をして、漁業者の実感や意見と、そういうものを受け止めて調査等を実施をして再生を図ってまいりたいと、このよう考えているわけであります。
  130. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 次に、牛肉買上げ事業をめぐる事件についてお尋ねします。  BSE対策国産牛肉買上げ事業において一部の団体が事業実施要綱に基づかずに助成金を配分したことが明らかになりました。全国同和食肉事業協同組合連合会、通称全同食ですね。これは、傘下団体から買上げ申請のあった牛肉を、和牛、和牛去勢、和牛雌、乳牛、乳牛去勢、乳牛雌の六種類に分類して助成金を受け取ったんですね。しかし、この畜種に関係なく、一律に一キログラム当たり千四百八十円で傘下の三団体で分配してしまったわけですよ。本来、和牛ならば一キログラム当たり千八百七十九円、乳牛去勢ならば一キログラム当たり千二百四円、これで配分しなきゃいけないわけですね。  この結果、大阪府同和食肉事業協同組合連合会、通称府同食が国の基準よりも一億円余分に多く助成金を受け取ったんですね。それから、愛知県同和食肉事業協同組合連合会、通称愛知同食は九千八百万円、兵庫県同和食肉事業協同組合連合会、兵庫同食ですね、これは九百万円、助成金を国の基準よりもそれぞれ少なく受け取ったということがあります。  そこで生産局長にお尋ねしたいんですけれども、牛の畜種別に申請して助成金を国から受け取ったにもかかわらず、全同食の中で畜種に関係なく一律に一キログラム当たり千四百八十円で助成金の配分がなされたということ、これはどういうことなんでしょうか。
  131. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員の御指摘でございます。  この処分事業につきましては、農畜産振興事業団から事業実施主体でございますまず全肉連、それから全肉連から事業委託を受けました全同連に対しまして、ただいまお話しのとおり、品種、性別ごとに定められた単価水準によりまして算出した助成金が交付されたわけでございます。他方、全同連、受けました全同連では、傘下のこの三つの県団体に対しまして、それぞれの申請数量に応じまして、この全同連の分の助成金額を全体の申請数量で除して得られました平均単価千四百八十円によりまして算出した額が一律に支払われたと、今、委員のお話しのとおりでございます。  その全同連におきましてそのような一律の平均単価による支払がなぜ行われたかという点につきましては、私どもはその理由については承知をしておらないわけでございますが、ただ、いずれにいたしましても、ただいま委員からもお話ございましたこの助成要綱に定める事業実施主体と会員等との間の契約に基づきます精算段階で会員等に助成金が確実に支払われておる、また、助成金に係る差益が全同連等に生じていないということは確認されておりますので、そういったことからしますと助成要綱上は特に問題はないというふうに考えている次第でございます。
  132. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 全く納得できない話ですね。団体があるんですから、それに応じた正しい金額を受け取らなければこれ不正談合と同じだというふうに私は思うんですよね。  大体、余分に多く助成金受け取った府同食は、これはいいかもしれませんよ。でも、助成金を少なく受け取った愛知同食とか兵庫同食がどうしてこういう配分方法で合意したんですか。
  133. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) この、まず保管事業によります会員等からの牛肉の買上げに際しましては、一定期間経過後、再度会員等までその同額で売り戻すということが、当初そういうことになったわけでございます。したがいまして、当初はこの品種等までを明らかにすることが求められておらなかったわけでございます。  そこで、全同連の申請分全体のうち、品種別、性別ごとの区分が不明な牛肉というのは実態は六割を占めておったわけでございまして、こうした中で、積算上の品種別構成比率をそのまま使用いたしまして県団体ごとに配分を行うということにつきましては会員等からの理解が得られないということで、事業団から交付されました全同連の助成金額を申請数量で割りまして、それによって算出された平均単価を用いまして三団体に配分したのではないかというふうに推察がされるわけでございます。
  134. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 要するに、これ相当でたらめですよね。そして、このでたらめということに関して農水省はきちっと指導しなきゃいけないと思うんですね。  私は、この保管事業から買上げ事業に変更されて買上げ価格が大幅に上昇したとき、おかしいと思ったんですね。再三、この委員会でも手続が不透明だということを指摘してまいりました。にもかかわらず、どうして農水省は業界団体助成金の配分基準を守るように徹底指導していなかったんですか。
  135. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員の御指摘のとおり、当初の保管事業におけます隔離牛肉の買上げ代金、それから処分事業におけます牛肉評価額との精算の必要性が、お話しのとおり本委員会指摘をされたということを踏まえまして、平成十四年の五月にこの処分事業の助成要綱を改正をいたしまして、事業実施主体に対しまして、末端事業者、末端業者との間で焼却処分をする牛肉評価額、それから売買代金の精算等につきまして定めた契約を締結するよう義務付けたわけでございます。  この場合に、この保管事業におきましては、事業実施主体が末端業者から買い上げた時点では品種等まで明らかにすることを求めておらなかったという事情があるわけでございますが、そういった中で、個々の売買代金の精算に当たりまして積算上の品種等の単価をそのまま適用させることは契約の相手方の了解が得られず実行困難な場合もあり得るということで、助成要綱上、積算単価に即して支払うことまでは義務付けなかったということでございます。  そこで、この助成金の積算上使用いたしました三つのこの県団体の品種別等によります評価額と、それから三つのこの県団体に支払われた実際の助成金額が異なっていたということになるわけでございますが、ただ、末端業者に対しましては牛肉評価額相当の助成金が適切に支払われておる、また、助成金に係る差益が全同連あるいは県段階の組織に生じておらないということは、これは支払証明書等の提出によりまして確認をされておりますので、この事業のそういった意味からいたしますと、この事業の仕組み上は問題にはならないということをひとつ御理解を賜りたいと考える次第でございます。
  136. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 全く御理解できないですね、これは。要するに談合ですよね。それで、税金が非常に無責任な形で分配されて、それを農水省は見逃しちゃったというのが事実なんですよ。そうなりますと、これ、指導が徹底できなかったのは、この浅田容疑者と農水省との間にある種の癒着があったからではないかというふうに思わざるを得ないんですね。  参考資料でお渡ししました新聞記事の中にもありますけれども、一部報道によりますと、二〇〇一年十月、牛肉偽装事件で大阪府警に逮捕されている浅田容疑者と農水省畜産部長が都内のすき焼き店で、浅田容疑者関連の業界団体から買い上げる牛肉の数量などを決めていたというふうになっていますよ。ほかの業界団体とはすべて農水省内で白昼に会合を持っているわけでしょう。この畜産部長のこうした行動というのは大変に不自然なんですね。ここには会談した、夜の会談をしたすき焼き屋さん、大変有名なところで高そうですけれども、ここでやっていたわけでしょう。  この件に関して農水省が内部調査をしているということも聞いておりますけれども、この当時の畜産部長というのは永村武美さんですよね。今、農水省所管の家畜改良事業団の参与をしているわけですよ。この疑惑について永村氏本人が当時の経緯を説明するべきだと私は思うんですね。ところが、現在は職場にも自宅にも現れずに雲隠れしているということなんですね。おかしいでしょう。ここ、家畜改良事業団の参与というのはこれ常勤なんですよ。これはどうしたことなんでしょうか。  私は、浅田容疑者と農水省の癒着という重大な疑惑というのがあるんですから、この件に関して農水省責任を持って説明するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  137. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 本件につきまして、現在の事業担当課長でございます食肉鶏卵課長の方から当時の、ただいまお話のございました当時の担当部長あるいは担当者に事実関係を聴取いたしましたところ、平成十三年十月の中下旬でございますが、当時の畜産部長室に浅田容疑者外数名が来訪をいたしまして、当時の畜産部長から牛肉保管事業につきましてるる説明をいたしまして、相手方からはいろんな質問がございまして、それに対して回答をしたということがあるわけでございます。  そこで、畜産部長室を訪れました当日の夕方、全国食肉事業協同組合連合会、いわゆる全肉連でございますが、それと全国同和食肉事業協同組合連合会、全同連の幹部数名で、都内の飲食店におきまして保管事業につきまして、主として全同連が全肉連の委託を受けてこの事業を取り進めていくということにつきまして、関係者間の打合せの会合を持たれたということでございます。そこで部長は事業への協力を求める必要があったということで参加したというふうに聞いているわけでございます。  いずれにいたしましても、この詳しい事実関係につきましては、現在捜査当局によります捜査が行われているところでございますので、私どもとしてはその進展を見守りたいというふうに考えている次第でございます。
  138. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これは委員長にお願いします。この牛肉偽装事件における農水省の関与ということが大変大きな疑惑になってきているわけで、ただ事ではないと思いますね。それで、そのかぎを握る人が行方不明だというのもこれはおかしな話であって、この委員会で、永村武美元農林水産省畜産部長の参考人招致を要請したいと思いますが、是非御検討ください。  これで質問を終わります。
  139. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 後ほど理事会で協議をさしていただきます。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について紙君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。紙智子君。
  140. 紙智子

    紙智子君 私は、日本共産党を代表して、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付した案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  修正の第一は、家畜の伝染性疾病に関する家畜所有者の届出義務の拡大と通報義務の新設です。  現行法では、届出義務は基本的に獣医師に課せられ、所有者については、法定伝染病に限って獣医師に診せずに自分で判断できた場合にのみ課せられているだけです。このような枠組みの下では、所有者はまず獣医師に診せてから対処するということになりがちです。しかし、今日の養鶏の飼養形態は大規模化が進行し、一たび発生すれば伝染の広がりや被害、影響の大きさは一昔前と比べようもありません。したがって、家畜所有者は、獣医師に診せるに要する時間も惜しんで、一刻も早く迅速な対処が求められます。しかも、とりわけ養鶏経営者は大規模な企業経営が主流になり、家畜の疾病に関しても高度な専門性を持つことが求められています。このよう家畜所有者の社会的な責任という意味でも、届出義務を拡充整備する必要があります。  この点で、まず家畜所有者患畜又は疑似患畜となったことを発見したときは、獣医師による診断又は検案を受けたか否かにかかわらず、都道府県知事に届け出なければならないものとするものにします。  また、これまで一切家畜所有者に義務のなかった家畜伝染病以外の伝染性疾病と、既知の病状と異なる新疾病について、その疑いがある場合も含めて発生を確認した場合、獣医師に診断又は検案を受けていないときは都道府県知事に届出をしなければならないとしています。  さらに、これらの場合以外でも、既に知られている伝染性疾病にかかっている可能性を示す異変を発見したときは、その旨を通報しなければならないとしています。  修正の第二は、損失の補償に伴う費用負担についてです。  政府案は、移動制限命令に協力した畜産農家に対する助成制度化都道府県の防疫事務の費用に対する国の負担を盛り込みました。これは日本共産党がいち早く政府に要求してきたものであり、前進面として評価できます。しかし、国の負担率が二分の一になっており、地方自治体関係者から国の負担率の拡大が求められています。また、本来、家畜伝染病の予防、蔓延防止は国の責任基本に対処すべきであります。これらの点から修正案は国及び都道府県知事移動制限に伴う損失の補償を義務付けていますが、都道府県が補償する場合の国の負担率を三分の二とするものです。  以上、修正案の趣旨を説明しました。  何とぞ委員各位の御賛同を得られますよう、よろしくお願いいたします。
  141. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまの紙君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。亀井農林水産大臣
  142. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) ただいまの日本共産党の御提案による修正案については、政府としては反対であります。
  143. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、紙君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 少数と認めます。よって、紙君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十六分散会