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2004-05-18 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     堀  利和君  五月十四日     辞任         補欠選任      和田ひろ子君     簗瀬  進君      池田 幹幸君     市田 忠義君  五月十七日     辞任         補欠選任      信田 邦雄君     山根 隆治君      堀  利和君     小川 勝也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 羽田雄一郎君                 簗瀬  進君                 山根 隆治君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 市田 忠義君                 岩本 荘太君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業委員会等に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○青年等就農促進のための資金の貸付け等に関  する特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る十三日、福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として堀利和君が選任をされました。  また、去る十四日、池田幹幸君及び和田ひろ子君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君及び簗瀬進君が選任をされました。  また、昨十七日、信田邦雄君及び堀利和君が委員辞任され、その補欠として山根隆治君及び小川勝也君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小川勝也君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案農業改良助長法の一部を改正する法律案青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会農林水産大臣官房長小林芳雄君、農林水産省生産局長白須敏朗君、農林水産省経営局長川村秀三郎君及び農林水産省農村振興局長太田信介君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案農業改良助長法の一部を改正する法律案青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小川勝也

    小川勝也君 新たに当委員会理事に就任をさせていただきました民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  この三法の審議も三日目ということでございまして、会派としての考え方からいたしますと、法律は一本一本丁寧に審議をするという建前でございますが、今回は同じ農林水産省経営局から提出されてくるものということで三法まとめて審議をする中で、しっかりと参考人意見も聴取する中で議論を深めていくということで合意をさせていただきました。三日目になりますので、若干重なる質問等も出てくるかもしれませんけれども、お許しを願いたいというふうに思っています。  まず、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案に関しまして御質問をさせていただきたいと思います。  農業委員会役割は大変大きなそして多岐にわたるものがありました。そして、この法律改正された後も、農業委員会が果たすべき役割は依然として大きなもの確かなものがあるので、その役割についてはしっかりと政府としても認識をしてもらいたい、これが当委員会議論流れだというふうに思っています。  そんな中で、いろいろな業務あるいは役割がある中で、最近の事例を見てみますと特に気になる点があります。それは農地転用の問題であります。  この法律提出されるきっかけの一部にもなっているだろうというふうに思うわけでありますが、最近いわゆる中心市街地から郊外にその拠点を移す、これは様々な経済環境の変遷、変化がその原因となっておられるんだろうというふうに思いますけれども、中心市街地商店街が、郊外型、モータリゼーションの発達によって、郊外型で駐車場がたっぷりある、そして家族で車で買物に行く、あるいはレジャー、飲食様々形態が変わってまいりました。全国幹線道路、どこも同じような町並みになっています。それは郊外ショッピングセンターありパチンコ屋さんあり飲食店が並ぶ、これは数年前まで農地だった場所だろうという例が大変多いわけであります。  農地がいわゆるほかの用途に使われるということになりますと、様々な農地法等の網が掛けられていたわけでありますし、当該農業委員会が厳しくチェックをしてきているわけであります。その農地が様々な用途に使われてきたということ、そしてそのことに対するそれぞれの農業委員会が果たしてきた役割、そして様々な事例があろうかと思います。農業委員会あるいは農業委員さんということで黒いうわさが流れたり、犯罪の要件を満たしたということで報告が上がったりしていた例もあろうかと思います。その辺のことを総括して御答弁をいただければと思います。
  9. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 農地転用許可制度でございますけれども、優良農地確保と計画的な土地利用推進目的といたしております。非農業的な土地利用農業上の利用支障が少ない農地に誘導するとともに、具体的な転用目的を有しない投機を目的とした農地の取得を認めないようにいたしております。  具体的な転用許可に当たりましては、平成十年に法定化されました許可方針に基づいて、農地が四ヘクタール以下の場合は農業委員会意見を聴いた上で都道府県知事が、農地が四ヘクタールを超える場合は都道府県知事意見を聴いた上で農林水産大臣許可可否を判断いたしております。また、転用確実性が認められない場合や周辺農地への土砂の流出防止など、こういった被害防除措置が適切でない場合には転用許可は認めないことといたしております。  このような基本的な方針の下で、規模の大小にかかわらず、適切な運用が行われているものというふうに考えております。
  10. 小川勝也

    小川勝也君 重ねて局長にお伺いをしたいと思いますが、この経済あるいは流通変化というふうに考えますと、これは自由主義経済の中で競争するわけであります。もう既にショッピングセンター飲食店等があっても、更に競争が促進されている現在にあります。さらに、その新規出店ニーズというのが出てくるわけであります。そうしますと、適正に許可を得ればまたその農地ショッピングセンター等、別の用途転用するということが大いにこれからもあり得るのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  11. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 正に委員指摘のとおり、経済は生き物でございますので、その状況に応じて先ほど申しました一定の基準、方針に基づきまして、私どもとしてはほかへの利用ということについても配慮をしていく点はあろうかとは思っております。
  12. 小川勝也

    小川勝也君 農地法考え方というのは、その趣旨は一〇〇%私は理解できると思います。農地はだれのものかという議論も後でさせていただきたいと思うわけでありますけれども、国民が飢えないために、しっかりと食料を供給されるために、これが国家がその農地をしっかりと守っていかなければならないという、これは崇高な理念に基づいた法律だろうというふうに思います。そのこととこの経済発展、そしてグローバル化、そして自給率が下がっていくということも相まって、耕作放棄地も出てきている、そして後ほど議論をしますけれども、農地はあるけれども後継者が足りない、様々な議論がこれからまた引き続き起こってくるだろうというふうに思います。  しかるに、農地とは何か、国と農地との関係はどうなのか、経済農地、いわゆるグローバル化国際化社会の中で私たちの国は農地をどう考えていくのかということを改めて様々な観点から議論をしていかなければならないんだろうというふうに思っているところであります。  ここで、まあ需要があるから農地が少しずつまた転用されていく、これはしっかりとその哲学やあるいは考え方に基づいて行われているのかどうかというふうに考えますと、私はちょっと怪しいところがあろうかと思います。農地を何万ヘクタールにするのか、そしてどのような条件のときに農地を他に転用していいのか、そして農地法農地を取り巻く環境農地に対する考え方国民の理解を本当に得られているのかどうか、これは大きな課題だろうというふうに思います。大臣の御感想をお伺いをしたいと思います。
  13. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 何といっても我が国国民に対する食料安定供給、これを確保するために優良農地を良好な状態で確保するということは極めて私は重要なことと、このように考えております。しかし、御承知のとおり、我が国はこのような面積の少ない、またあるいは山岳地帯を持ったいわゆる国土の資源が限られておるわけであります。そういう中でやはり非農業的土地につきましても適切に対応すると、こういう必要はあるわけでありまして、まず優良農地確保を基本とし、そして農業生産支障が生じない、こういうようなことを留意しつつ農地転用、これを考えていかなければならないんではなかろうかと。  また、先ほども局長から答弁いたしましたが、この四ヘクタールを超える大規模農地転用につきましては国が責任を持って転用可否を判断しておるところでもございますが、今後とも、農地制度の適切な運用、そして農業生産基盤の整備の推進、こういう施策を通じまして優良農地確保に努めてまいりたいと、このように考えております。
  14. 小川勝也

    小川勝也君 次に、改良助長法に関して質問をさせていただきたいと思います。  私は北海道の出身なわけでありまして、実家は人口が四千数百人の小さな町にございます。私も子供のころからその町で暮らしておりまして、この普及所あるいは普及員という言葉をよく耳にしていました。子供ながらにしてよく分からなかったわけでありますけれども、例えば普及所土地改良区、森林組合、何をするところなのかよく分からなかったわけでありますけれども、この委員会に入りましてよく分かるようになりました。  その普及所も、当然のことながら小さな拠点はどんどん統合されていきまして、今、私の実家のある町にはございません。しかし、様々なこの果たしてきた役割というふうに考えますと、これ大変大きなものがあったろうというふうに想像できるわけであります。それぞれの地域にそれぞれの歴史があって、それぞれの特色があります。特に北海道でいいますと、歴史的に稲作北限に挑戦をしてきた。そして、府県では考えられないような冷害、寒さ、あるいは早霜、遅霜、様々な闘いがあったわけであります。  北海道は、普及員制度も、北海道庁との連携もあって特殊な立場を取っているやに報告を受けています。このいわゆる改良助長法普及員さんや専技さんが果たしてきた役割、特に北海道ということに関していうと、どんな思いがあられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  15. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘のとおり、北海道農業におきます普及事業のこれまでの私は発展に大きく貢献をされていると。御承知のとおり、北海道全国の二割強の耕地面積、さらにはその中で酪農あるいは畑作あるいは稲作等につきましては大規模経営を展開されておるわけでありまして、そういう面で農業の粗生産額全国の約一割を占めておられる、さらには国産の供給熱量の約二割を占めておられる、こういう面で我が国最大食料供給基地であると、こういうことは私が申し上げるまでもないことでもございます。  そういう中で、委員からも御指摘がありましたとおり、今日まで北海道農業におきます普及事業、本当に稲作北限である、そういう面での耐冷性の品種導入、そして稲作栽培面積拡大生産性向上、そしてきらら二四六ですか等々の米の品種につきましても大変評価を受けるような成績を収めておられると。あるいはまた、大規模畑作、豆類であるとかバレイショであるとかてん菜、こういう面での、小麦、合理的な転作体系導入、さらには大規模畜産の展開、こういう面での経営の安定と、こういう大きな役割を果たしておられるわけであります。  また、近年におきましては、北海道地域特性、こういうものを十二分に生かしていただいて、多様な生産性の高い農業が営まれておるわけでありまして、そういう面で普及事業として輸入野菜に対抗できる野菜産地技術支援であるとか、あるいは適正な輪作体系栽培法改善であるとか稲作品質向上とか、あるいは大規模稲作地帯におきます農業生産法人育成事業であるとか、あるいは食品安全性に対する消費者ニーズに対応した畜産物品質改善、こういう面で大変課題はたくさんございますけれども、これらの事業普及事業というものが大きく貢献をしておると思います。  今後とも、技術的な専門家集団、こういうような意味合いにおきまして北海道農業の御発展のために一層積極的な役割を果たしていただきたいと、このように考えております。
  16. 小川勝也

    小川勝也君 大臣の御認識もいただきました。  北海道は、北海道民はよく言うわけでありますけれども、日本食料基地である、こんな言い方もさせていただくぐらい、やはり食料生産根幹である、根幹の位置を占めているという、そういう自負があります。  それと同じように、今回のこの法律改正というのが、おぼろげながら一つ考え方を整理したのではないかなというふうに私は解釈をしているところであります。それは先ほどの議論もさせていただきましたけれども、いわゆる我が国として食料をどう国民に供給するのかというこの農業政策、そしてもう一方は、先ほど申し上げましたように、グローバル化を含めて、多様なる消費者ニーズにどうこたえていくのか、そのことを併せ持って農業ということだろうというふうに思うわけであります。  農業普及員の果たしてきた役割は、国民が飢えないように、日本国の中で取れる食料農産物の量をきちっと増やしていこうという国家政策がその趣旨の大部分を占めていたんだろうというふうに思います。しかしながら、消費者ニーズが多様化してまいりました。安心農産物、そして付加価値のある農産物、そして例えばその産地がブランド的な力を持つ、そして朝取り野菜、様々な工夫産地としてなされながら、消費者がそれを自分のニーズによって好きなものを買うことができるという形になってまいります。そう考えると、例えば国全体としてこの普及の在り方を考えるというよりも、地域によって、その地域が持つ特色を最大限に生かしていくという流れになっていくとすれば、今回の法律に盛り込まれている若干の都道府県を主体とした権限の移譲というのは大変事宜に合っているんだろうというふうに思うわけであります。  今のことを考えますと、農政の中のこの改良助長法が、国全体の食料増産目的としていたというところから、産地間競争都道府県間の工夫消費者ニーズにこたえるための農業にするためにどうしたらいいのか、そして農業経営者側からすると、消費者ニーズ流通ニーズを酌み取って、安定的な農政農業をしていくためにはどういう手伝いができるのかという一つの方向の転換が挙げられるんだろうというふうに思います。  私のこの今回の法改正解釈の中で、食料増産、安定的な供給一辺倒から、特色のある農地産地作りや、あるいは経営者を育てるということに意味合いが転換しているんだということに対しまして、感想があったらお伺いをしておきたいと思います。
  17. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の改良助長法改正の中で、都道府県自主性をできるだけ拡大をするということで盛り込まれております。一つは、端的には普及センター必置規制を廃止しておりまして、これは各都道府県がその地域の実情に応じまして最もその地域農業振興を図るにふさわしい体制柔軟性を持って、また機動的に対応できるようにという形で自主性拡大をしたものでございます。  今、委員が御質問の中で御指摘ございましたとおり、正に国民ニーズも多様化している、またグローバル化も進んで国際的な競争力も高めなくちゃいけないということもありますと、やはり各都道府県がそれぞれの地域特性を生かして、言わば切磋琢磨するということによりまして、日本農業の総体としての競争力を高めていくということが必要だろうということはもう御指摘のとおりだと思います。  そういう意味で、今申し上げました組織の柔軟性なり機動性というものをできるようにするということ、今までは非常に、各県の中を地区割りにいたしまして、そして普及員は基本的にセンターにいる、それでその担当地区を担当するんだということになっておりました。そういうことになりますと、どうしてもいろんな専門家をその各地域にそろえなくちゃいけないというようなことで、ある意味では非常に硬直的であったということでございます。  今後は、例えば産地ブランドということで、環境保全型農業に特化したようなセンターを作るとか、あるいは果樹、花卉などの特産物、こういったものを広域的に育てるセンターでありますとか、あるいは試験場と連携をして正に共同チームを作るようなセンターとか、いろんなことが今後はできると思います。それで、そういうものができれば我々の方としてもちゃんと交付金の算定にして支援をしていくという体制になりますので、そういう意味ではかなりの進歩になるんではないかと思っておるところでございます。
  18. 小川勝也

    小川勝也君 時代時代ですので、消費者ニーズにこたえる農業というのが求められているわけでありますので、今後、この法改正を機に、そういった方面で大きな変化が起こるように期待をするところであります。  しかしながら、先ほど申し上げました農業の本体、本論の部分国民食料確保、そして食料自給率向上させるという課題とその消費者ニーズにこたえるという両面を満足させていかなければならないわけであります。この法改正という狭い考え方だけではなくて、我が国農業、これをつかさどる立場として、今の食料自給率とそして消費者ニーズと、二つの農業をどのようなバランスで考えていくというおつもりなのか、お答えをいただければと思います。
  19. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 食料自給率、もうこれは御承知のとおり四〇%と、もうこれは正に世界の先進国の中で最低の水準、こういうことであるわけでありまして、この自給率確保維持向上、このことは大変重要な課題であるわけであります。  一方、昨年、それ以前からBSEの問題であるとかあるいは食品の偽装の問題であるとか、そういう面で国民のまた消費者の関心というものは食の安全、安心、こういう面で非常に高品質農産物消費者ニーズというものは高まってきておるわけであります。そういう点から、やはり多様化する消費者ニーズに合う生産体制というものをしっかり確立していくということが大変重要なことであるわけであります。そういう面で、生産、こういう面での普及事業役割というのは大きなものがあるわけであります。また一方、やはりこれらの問題、それはやはり何といっても不断の技術革新、あるいは試験研究機関農業者との橋渡しの役をしていただくわけでありますので、ますます重要な任務、こういうことになるわけであります。  そういう視点で、今後ともやはりそれぞれの各地域におきます各品種の新技術導入であるとかあるいは経営につきましても、やはりいろいろの革新的なものを支援するというようなことを通じて食料自給率を上げていく。また一方、消費者視点、これを重視いたしまして、いわゆる安全で高品質農産物生産に取り組まなければならないわけであります。  いずれにいたしましても、いわゆる重点課題と位置付けて、私ども、今後この普及活動につきまして積極的に取り組んで、自給率の問題、また消費者ニーズに合う体制というものをしっかり確立してまいりたいと、このように考えております。
  20. 小川勝也

    小川勝也君 この若干の法改正によって普及センター必置規制が外れていくわけであります。そして、各県や各産地が様々な新たな試みや努力をしていくというふうになっていくんだろうというふうに思います。  この後、家畜伝染病予防法なんかもこの委員会審議することになっていますが、最近の採卵業者経営者、これは先日も農業団体の方とお話をしたんですが、農業からちょっと離れているんじゃないか、こんな話をさせていただきました。光の当たらないゲージの中でひよこから鶏になって卵を産ませる、これは本来農家の副業だった鶏卵採卵企業経営になっていくとそこまで行くのかということになるわけであります。規模が大変大きくなっていくわけであります。それと同じように、いわゆる農業野菜の分野でも、いわゆるところの露地栽培ハウス栽培とあるわけでありますけれども、水耕栽培や巨大な施設の中での野菜作りということも今研究されているわけであります。  私辺りはちょっと首をひねるような思いもあるわけでありますけれども、消費者が望めばそういった野菜も当然産品として生かされていくわけであります。新しい技術はどんどんどんどん出てくるわけでありますけれども、そういった研究もどんどんどんどんなされていいと思いますけれども、私はやはり、新たな試みをやっていこうとする矢先であっても、今までの農業の歴史とか農業普及の苦しみを知っている人に例えばその新しく誕生する指導員の責任者になってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。  新たなスタートになっても、しっかりとした知見と経験のある人がその責任ある立場に就いた方がいいのではないかと私は考えるわけでありますけれども、農林水産省の考え方をお伺いをしたいと思います。
  21. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 先ほども御答弁いたしましたが、これまで置かれておりました地域農業普及センターを必置を義務付けるということであったわけでございますけれども、今回はそれを任意の設置が可能になるということでございます。そういうことで都道府県の自由度を増しましたので、今はセンターの長を普及員ということで限っておりますが、その縛るということはこの趣旨から適当ではないと思っております。ということで、規定はしておりません。  ただ、今、委員が御指摘いただきました普及事業の基本的な使命といいますか、機能といいますか、そういうものは、正に現場で農業者に接して技術支援を行っていくという、これが本当の基本だというふうに思っております。そういう意味で、今回、それぞれの地域の実情なりに応じて設置される指導センター、これにつきましては、正にそういった趣旨から、そういうことが機動的に果たせるようなことでなければならないというふうに思います。そうなりますと、やはりそのセンターの長となられる方は、そういう普及事業の状況、それをよく知悉されておる、経験も持っておられるという方が基本的には就かれて、適正、効率的な運営をしていただくことが非常に重要ではないかと、こういうふうに思っております。  また、ちょっと付け加えて申し上げますと、今こういった新しい法制を御議論いただいておりまして、この法案を通させていただければ、我々としましてはこの新しい法制の下でのビジョン作りといいますか、そういうようなことをやっておりまして、各県非常にいろんな事情といいますか、それぞれの特色を生かした普及の取組がこれまでもなされております。そういうものを集大成といいますか、よく議論していただいて、新しいこの法体制の下でどうあるべきかという議論も今実は併せて議論いただいております。  その中でも、こういったセンター長の在り方とか、各センター、いろんな県によってパターンがございますけれども、そういうものを示すことによってより良いものを今後この新体制の下で作っていただきたいということで、それをまた各県にお示しをしていきたいというふうに思っております。
  22. 小川勝也

    小川勝也君 今、局長から御答弁をいただきました。普及、指導ということに関しまして申し上げますと、やはり生産者の方々とのコミュニケーション、この経験というのがやっぱり一番大事だろうというふうに思うわけであります。必置規制が外れましても、センター長にはできる限りその経験を持つ人になっていただきたいというふうに付け加えさせていただきます。  新たな再スタート、法改正の後の話でありますけれども、普及事業も新たな局面を迎えて、産地作りあるいは生産者の本当のためになる普及指導ということが求められていくというふうに思います。情報も大変多いわけでありますし、その地域に合った農業というものも引き続き模索をしていかなければならないわけであります。新しい法改正後の再スタートに当たって、今後求められるその指導、普及ニーズ、どんなものが考えられるのか、お尋ねしたいと思います。
  23. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、普及員の方は現実問題として非常に幅広い活動をされております。ただ、そういう今後非常に技術等も多様化をし高度化をしていくと、いろんな農業の状況も変わっていくという中で、本来の普及事業の在り方、そういうものをしっかりとらえてやっていく必要があると思います。そうなりますと、やっぱり普及の一番の特質は技術をベースにした専門家集団であるということ、そういうことを踏まえますと、これを生かす形ということになります。これまで非常に幅広い活動をすることによって、かえって普及員の活動が見えないといったようなこともございましたし、担い手が求める高度な技術指導に必ずしも十分に対応できていないんではないかという指摘もあったところでございます。  そういうことで、今回この新しい法制の下で、技術専門家集団である普及組織としてその強みを生かしていくということで、大きくは二つのニーズにこたえていく必要があるのだろうというふうに思っております。  一つは、先進的な経営体等への高度な技術革新支援でございます。それからもう一つは、今、委員も申されたように、産地作り等、非常に幅広い関係機関等の参画、そういったものも必要だというような分野もあります。また、土地利用型等におきましては非常にその関係者も多いわけですし、集団的な取組も特に必要であると、そういうところのものにおきましては、正に普及が中核となりまして、いろいろ求心力といいますか、そういうコーディネートをしていくという機能が必要だと思います。そういう意味で、専門家的な専門知識、そういうものを生かす機能としてですが、スペシャリストの機能と今申し上げましたようなコーディネート機能、この二つを重点化をして活動していくということが正に本来普及が求められる姿であろうということで、そういうことに重点化をしながら、よりそのニーズにこたえた対応をしていきたいというふうに思っております。
  24. 小川勝也

    小川勝也君 新しいニーズをしっかりと求めていくというのも大事だろうというふうに思います。私のこの旧来型の考えでいいますと、普及員さんの仕事というのは、いわゆる試験場との連携が密で、この方策で生産をすると収量が上がる、生産効率が上がるという歴史だったろうというふうに思います。このことが果たしてきた役割は本当に大きなものだったろうというふうに思います。例えば水田でいうと、五俵、六俵から九俵、十俵になるわけでありますし、例えば酪農でいいますと乳量の上昇なんというのはもう目を覆うような飛躍的な数字であります。  二十一世紀にもなって、我々の日本経済も高度成長から安定経済へというふうになったんで、収量アップや生産効率の上昇ということがもう余り期待できないだろうというふうに思うわけでありますけれども、最近のその傾向といいますか、その収量アップや生産性向上の現状と、これからどうなるだろうかという予測についてお伺いをしたいと思います。
  25. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 普及が果たしてきた役割、これは正に発足以来、いろんな、様々なその時代流れの中で最大限の力を発揮してきたというふうに思っておりますが、例えば稲作につきましては、戦後は正に食糧を増産しなくちゃいけないということで、基本技術向上させる、あるいは耐冷性品種導入する、その後はまた機械化なり共同化、そして最近では直播の技術等がございます。それからまた、野菜、花卉につきましては、ビニールハウスの導入によります促成・抑制栽培、あるいは周年栽培の技術、また果樹におきましては矮化技術や棚仕立ての技術等、非常にこの農産物生産性向上、それから低コスト化ということで、非常にそういうことに特に推進をしてきたと思っております。  ただ、昨今の状況でございますが、非常にこの国民の関心は量よりも質、特に食の安全、安心というところが非常に重要に特に近年はなってきております。そういうものにどうやって対応していくかということが、今後は、もちろん品質向上生産性向上も必要でございますが、そういった食の安全、安心に係る技術といったものが今後はより重点を置かなければならないというふうに思っておりますし、非常に改革のスピードがテンポアップしております農政改革、そういうものの推進を側面的にも支援していくような普及事業でなければならないというふうに思っております。
  26. 小川勝也

    小川勝也君 様々な観点から、改正後の再スタートがうまくいくように、様々な観点で応援をさせていただきたいと思います。  続きまして、青年就農促進法律に関して質問をしたいと思います。  様々な課題我が国農業にもあるわけでありますが、一つは、耕作放棄地が増えているのではないかということ、そしてもう一つは、後継者が不足しているのではないかという点であります。  これもいろいろケースを考えてみますと、特に北海道のような専業地帯と府県の兼業地帯とは状況が大きく違うんだろうなというふうに思うわけであります。ちょっと分けてお答えをいただければ有り難いというふうに思うわけでありますけれども、専業地帯での後継者不足、あるいは耕作放棄地の問題のありようはどういう具合なのか、そして、兼業地帯でいうと、農地の集積という問題も加わって、あるいは後継者がいない場合のその方策も、先祖伝来の土地ということからしますと大変難しい問題があろうというふうに思うわけでありますけれども、今私が申し上げました様々な課題について、専業地帯、兼業地帯というふうに分けて御答弁をいただければと思います。
  27. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) いろいろ今申されたように、北海道、九州のような農業地帯と都市周辺を中心とします兼業地帯、これではやはり課題もかなり違っております。データ的に見ますと、後継者の問題でございますが、むしろこの北海道とか九州、こういうところの方が農業後継者がいない比率が高くなっております。こういうことはありますが、一方で、農外からの新規参入者というのはこういうやっぱり農業地帯が多いという、こういう特色がございます。そういう特色を見ながらやっていかなくちゃいけないと思っておりまして、特に農外からの就農は、農地の問題、農地を取得する問題、それから技術の問題、それからやっぱり資金の問題、それからまた農村に溶け込むということで住居なり住まいの問題、こういうのがいわゆる四つのハードルと言われておりまして、そういうものをできるだけ少なくしていく。それから、今回農業法人を経由してといいますか、いったん就職と、これが非常にそのハードルを低くするというのに役立っておりますので、是非今回の法律改正を認めていただいて、これに基づいて強力にそういった形態でのやつもやっていきたいなと思っております。  それから、農地の集積もその担い手と正に直結する、リンクする問題でございます。やっぱり後継者とか担い手がいないと、そこに集めるということでのあれが進みません。特に都市周辺の兼業地帯でありますと、その中核となるような担い手がいないということでございますので、先回の基盤強化促進法で改正しました集落営農的なものもしっかり担い手として位置付けていこうという法改正もさせていただきましたので、今、水田農業ビジョン等各地で議論が行われておりますけれども、そういう集落営農の取組も含めてしっかり取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  28. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 耕作放棄地の解消の関係でございますけれども、平成十二年の農林業センサスによります耕作放棄地面積全国で二十一万ヘクタール、これが平成十五年では傾向としては若干減少傾向にあり、それでも一万四千ヘクタールということでございます。耕作放棄地率の割合につきましては、同じく平成十二年度農林業センサスで、全国で五・一%ということでございますが、やはり地帯別に若干の差がありまして、平地では三・二ですが、都市的地域では五・八、中山間では七・一というような、そういう状況にございます。  そうした中で、それぞれの特性に合った対応が必要だというふうに考えておりまして、特に北海道、九州等の専業農業地域におきましては、優良農地確保し、耕作放棄地の発生を抑制するという観点で、効率的かつ安定的な経営体への農地利用集積、基盤整備事業の実施、あるいは中山間地域におけます農業生産条件の不利を補正するための直接支払の実施等を進めておるわけでございますが、耕作放棄された農地につきましても、農業経営基盤強化促進法に基づきます遊休農地所有者などへの指導、あるいは中山間直払いの活用などを通じた再活用を進めております。  都市周辺におきます農業は、大消費地に近い有利性を生かしました野菜、花等の供給、緑地空間としての安らぎの場等の別の面の役割も果たしております。そういった意味で、耕作放棄地対策にも資しますように、都市農業支援総合対策事業というものを行いまして、これによります農業者と都市住民がともに入った都市農業振興ビジョンを作っていただく、そしてこのビジョンに即して、ボランティアなどによります農作業の応援などを支援するとともに、簡易な基盤の整備などを進めておりますが、最近では、構造改革特区制度の活用によりまして、農業者によります市民農園の開設等を進めておりますが、いずれにいたしましても、現在行っております食料農業・農村基本計画の見直しの中で、担い手・農地制度の改革の検討を進めております。耕作放棄地対策も当然その大きな視点一つであるというふうに認識して対応してまいりたいと考えております。
  29. 小川勝也

    小川勝也君 この青年就農促進法律というのは、農外からの参入者をもってこの危機的な状況を何とかしようとする法律だろうというふうに思いますけれども、大変未来は厳しいというふうに私は見ているわけであります。農業人口の中で高齢者の占める割合が高くなってくる、そして耕作放棄地も増えていく、そして新しく参入する人が、今お話にもありましたように、野菜とか花卉とかたくさんの農地を必要としない農業に参入していく。そうしますと、計算がだんだん合わなくなっていくわけであります。そして、私は自分の思いの中で、できれば農業というのは家族農業を主体とした姿が理想的だと思っているわけでありますけれども、このままの数字の変遷をたどっていくと、法人とか企業がその農地に対する耕作をしていかないと計算が合わない時代が来るのかなというふうに考えているところであります。  そして、こうすればいいじゃないかとか、こうすればいいんだというふうに確固たる考え方を残念ながら今のところまだ持ち合わせていないわけでありますけれども、私のそういった危機感、今の農業人口あるいは高齢者、高齢化率、そして担い手、後継者、この問題はちょっと大変な問題だろうというふうに思いますけれども、局長お二人の認識はいかがでしょうか。
  30. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 非常に農政の一番の課題と言ってもいいと思います高齢化が非常に進んでおりまして、今後十年間で非常に、昭和一けた世代のリタイアも予測されるということで、この担い手をいかに確保していくかということは極めて重要な課題であろうと思っております。  現在、基本計画の見直しの中でも、この担い手問題しっかり取り組ませていただいておりますけれども、我々としてもこの新規就農、特に新しい方がどんどん入ってこられるという状況を作っていく、それから、今申し上げましたような、いろんな入る場合のハードルというのがありますので、それをできるだけ低減をしていくと、こういった取組をしていきたいというふうに思っております。
  31. 太田信介

    政府参考人太田信介君) そうした人の確保とともに、生産の一番基本となりますし、また多面的機能の発揮のベースともなります農地や水等の基本資源、これを本当にどのように確保していくか、この耕作放棄地の問題と併せまして十分検討していかなければならない問題だと認識しております。
  32. 小川勝也

    小川勝也君 今この法律改正の中で、できるだけ農外から意欲のある青年を農業にということだろうというふうに思いますが、私はまだまだ依然としてその間口は狭いというふうに認識をしています。そして、農地法の理念もよく理解しているつもりでありますので、あだやおろそかにいろんな人に農地を任せるわけにはいかないという考え方もよく理解できるわけであります。大変難しくて悩ましい問題であるというふうに認識をするわけでありますけれども、農地というこのものがどういうものなのかというふうに考えると夜も眠れなくなるわけであります。  例えば、先ほど申し上げましたように、国民を飢えから守るための農地でありますので、一〇〇%私有で、あるいはその考え方でいいのかどうかという悩みがあります。法律一つ一つ読みますと、農地解放を経由をいたしまして、自作農がその農地を所有するというふうに民法上なっているわけでありますけれども、だとすれば、なぜ例えば土地改良事業に多くの税金が投じられるのか、それはやはり国民の公共財としての農地という考え方があるからだろうというふうに考え付くわけであります。  そして、憲法の中で職業選択の自由というふうにうたわれているわけでありますけれども、例えば私の話で恐縮でありますが、私が卒業いたしました中学校、半分くらいは農家の子弟であります。それで、特に農家の長男坊に生まれたら、そのまま何のプロブレムもなく農業に就農できるわけであります。しかし、たまたま農業以外に生まれた子供農業をやるんだというふうに言っても、これは大変な騒ぎであります。農地を取得するためにどんな苦労があるのか、農業を研修するための道が今少しずつ用意をされてはいますけれども、大変な道のりだろうというふうに思います。  大変哲学的な問題であり、農地法というものが何なのかという問題もありますし、国として農業をどう考えるのかという根幹にもかかわる問題でもありますし、今問題提起をさせていただいたように、農業人口の高齢化率や耕作放棄地、様々な問題を併せて、農業と新規就農と農地、どのように考えたらいいのか、大臣のお考えを若干お伺いしてみたいと思います。
  33. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農地国民に対する、先ほど来鋭意申し上げておりますとおり、食料安定供給、そしてさらに国土や環境の保全、こういう面で不可欠な基盤であるわけであります。土地改良あるいはまた農地利用集積、農地の保全、有効利用を図るということは非常に重要なこと、このように認識をしております。  また、委員今も御指摘がありましたが、農地の取得の際の権利の移動の問題、農地法の枠組みの中で一定の要件が定めておるわけでありますが、これらの要件は、農家の子弟であるかあるいは農外からの新規参入者であるかに問わず、自ら農地の権利を取得する場合にあっては同様に適用するということとしておるわけであります。  しかし、農外からの新規参入につきましては、親が農地等を有している農家の子弟と異なりまして、農地の借受けやあるいは購入、こういう面では大きな労力また費用を要するわけでありまして、非常に問題があると。しかし、これらの問題につきましては、新規参入者に際しましては、取得希望者につきまして農地情報の提供や相談窓口を設けたり、あるいは農業委員会におきます権利調整の活動の実施等を行ったりしております。あるいは農地保有合理化法人によります農地の貸付けであるとか売渡し、あるいは農地等の取得に必要な資金の貸付け、こういう各般の施策を進めておりますけれども、なかなか難しいところであります。  今、この担い手あるいは農地制度の問題、食料農業・農村基本計画の企画部会におきましてこの農地制度の問題等につきましていろいろ御議論をちょうだいしておるところでもございます。そういう中で、いろいろ高齢化の問題あるいは耕作地の問題あるいは農業の内外からのいわゆる参入、意欲ある人たちがどう農業に参入できるかと、非常に難しい問題があるわけでありまして、現在そこでいろいろ御議論をいただき、何とか来年三月までに一つ考え方をおまとめいただきまして、基本計画を見直しをし、先ほど申し上げますとおり、農業農地、これは本当に国民食料安定供給の基でありますし、環境、あるいはまた水、土地等の問題、国土、こういう面での重要な役割を果たすわけでありますので、その対応を図ってまいりたいと、こんなように考えております。
  34. 小川勝也

    小川勝也君 質問をさせていただきましたけれども、大変これは難しい課題だろうというふうに思っているところであります。できれば、意欲があってやる気があって能力がある人はできる限り就農の道を広げていただきたいなというふうに思うわけであります。私も、残念ながらもう青年ではありませんけれども、農業に深い思いを持って、いつか参入したいと思っている一人としてもお願いをしたいわけであります。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、農地法考え方もこれ大事でありますので、あだやおろそかに適当に農地を任せるというわけにいかないということも重々承知をしているところであります。今、特に北海道なんかは大いなる不景気でありますので、特に、戻るところがあるというのは大変大事なことであります。農地解放以前の農業者はこれまた大変だったろうというふうに思います。無産党なんという党もあって、今サラリーマンの子弟はみんな無産党に近いわけでありますけれども、農地があるというだけでもこれは大変なスタート地点が違うわけでありますので、そのことも踏まえまして、ちょっと最後の質問に入りたいわけでありますけれども。  この意欲あるいわゆる青年にあるいは農外から就農していただきたい。さもないと、先ほど申し上げましたように、農業人口のバランスも崩れ、耕作放棄地もちらほら増えてくる。そうなるとどうなるかといいますと、今もうスタートいたしましたけれども、農業生産法人とか株式会社の資本参入などという形になってまいります。そうしますと、家族経営でいいますと、リスクの分散とか、あるいはいわゆる農業機械とか資材の購入等で、様々、法人経営に比べてコストパフォーマンスが悪いわけであります。  例えば、農地を集積して百ヘクタール、トマトのハウスを作る、そういうふうなことがもし実現したとするならば、相当コストを下げることができるかと思います。アメリカの中にはそういう農業も出現しているというふうに思います。そうしましたら、これは最後は資本力であります。きちっとした施設を造る、それからいわゆる減価償却費をうまく使って、必要な機械、資材を整える、有効に利用する。そうしますと、市場価格を押し下げるという、こんなメリットが出てきます。これは必ずしも消費者にとっては悪いことではありません。  今、いわゆる流通とか量販店とかスーパーマーケットをめぐる、野菜を始めとする農業生産は確実にその方向に向かっています。産地化、ブランド化、そして集積によるコスト削減、そしてそこに海外の生産拠点というもう一つの変数も加わってくるわけであります。  そうしますと、例えば、私はスーパー小川チェーンから頼まれてトマトだけを作る。万が一、病気とか様々なアクシデントのときには補償契約も結ばれている。そうすると、トマトに使わない機械や薬は、肥料は一切買わなくていい、連作障害の話は別にして。これをやるわけであります。そうすると、トマト一個当たりの値段がどんどんどんどん下がってくる、これが今行われていることだろうというふうに思います。そうしますと、いわゆる資本のあるグループとグループが戦う、生産地と生産地が戦う、生産者と生産者が価格競争をする、生産法人と生産法人が価格競争をするというあおりの中で、いわゆるところの伝統的家族経営がどんどんどんどん苦しくなっていくわけであります。  後継者不足というのは一言で片付けられると言う人がいました。これは農業も漁業も同じであります。なぜ後継者がいないのか、それは収入が安定的に得られないからであります。例えば、羽田委員の地元のある村ではしっかりと後継者が育っています。それはお金が得られるかどうかなんです。  そういうことを考え合わせますと、せっかくいろんな工夫をしてきたけれども、やっぱり大手資本やでかい生産法人にはかなわないということになっていくとするとすれば、いや、こんなつらい仕事は息子に任せられない、これじゃ帰れないという、いわゆるところの悪循環になっていくんじゃないかと思う。農業生産法人の参入も株式会社の資本参入も必要なことだとは思うけれども、大変難しい課題の中に我々はいるんだろうというふうに思います。最終的にこれを決めるのは消費者でありますけれども、本当に農業がその姿に向かっていくということだけでいいのかどうか、これは少し大きな問題として大臣に提起をさせていただきたいというふうに思います。  新たな思いを持って農外から青年が参入するというのは大変美しい話でありますけれども、そういった難しい状況にあるということも御認識をいただきながら、大臣に一言御感想をお伺いをしたいと思います。
  35. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろ新規農業者、あるいはまた株式会社の農業への参入と農地の取得、こういう問題、これはやはり農業、農村の現場でいろいろ懸念をされることもいろいろ承知をしております。やはり家族経営、今、委員からも御指摘のとおり、家族農業経営、こういうものを中心に地域ぐるみで農業が行われている、こういうわけでありますので、そういう面で、やはり農業、これは何といっても、土地、水利用の問題、集落でのいろいろの協力関係、こういうものがあるわけでありますから、そういう面での混乱、こういうものが引き起こされるんじゃなかろうかと。  もう一つは、株式会社等々の農業の問題も、あるいは若干投機目的土地を、あるいはまた、もう一つは産業廃棄物等々、そこに土地を取得をして不法投棄をするというようなこと、適切に土地利用が行われるかどうか、こういう問題。あるいは、いつ耕作から撤退をする、そういうことで採算が合わない、こういうことになりますと、その辺、撤退、そうなりますと遊休の農地になってしまうと、こういう心配があるわけであります。  それらを含めて、先ほど来いろいろ委員からも御指摘のとおり、非常に難しい問題、農地制度の問題、また新規の問題等々含めて、非常に難しい問題と。これ、やはり何といっても、私は、担い手、本当にやる気と能力のある農業者、これを後押しをすることを進めなければならないと。そういう面で、担い手、あるいは新規参入の問題、さらには農地制度の問題、これは先ほども答弁を申し上げましたが、食料農業・農村基本審議会の今企画部会でいろいろ御提供も、資料を提供し、ちょうど今議論を進めていただいておるところでもございます。その御議論を十分参考にして対応を、非常に難しい課題でありますけれども努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  36. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。小川理事の後を引き継ぎまして、質問をさせていただきたいと思います。  経営支援三法については、質疑参考人質疑ということで三回目のバッターであり、昨日は決算委員会の場でも、農林水産予算の在り方また二十一世紀の農業の在り方について、大臣また農水省とも議論をさせていただきました。国民の税金で事業を行うとき、それが将来、国民のためになるんだという、そして農業者のためになるんだという確信を持って行っているのか、あいまいな考えの下、ある一部の利権につながるような方向を打ち出しているのではないか、自問自答しながら事に当たっていただきたいということをつくづく感じた次第であります。  それでは経営支援三法について、先日の参考人の皆さんの話を聞かせていただいたところで、私の場合は細かく改めて確認をさせていただくような質問をさせていただきたいと思います。  先日、鹿児島県からは中釜農業委員会会長に参考人として来ていただき、女性の農業委員会会長としての取組等、農業委員会の活動が地域で見えにくいと言われている中で大きな役割を果たしていただいているということを感じました。私が国政に出させていただいて一貫して言ってきた幼稚園、保育園、小中学生時代農業体験の必要性、中釜参考人も、各学校区ごとに遊休農地や荒れ地などを活用して食農教育と高齢者の生きがいづくりを推進して、農業を引退した高齢者に指南役を務めてもらい、子供たちに農業体験をしてもらう、また、加工グループで働く女性たちが安定収入を図れるよう地場産品を使った加工品の販売、消費者との交流によって農業への理解を深めていきたいというような決意も述べられましたし、取組をされているという話でございました。  しかし、今、活動の重点化ということがこの法案には盛り込まれている。地域ニーズに応じた活動の広がりがこのことによって阻害されないか、中釜参考人も私と議論する中で心配をされていたようなので、確認をさせていただきたいと思います。
  37. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会の関係でございます。  今回の改正におきまして、農業委員会が中心的な役割を果たす必要のない業務、例えば病虫害の防除の業務なども今明記をされておりますけれども、こういったものを廃止をいたしまして、今後の農業委員会の活動を担い手に対します農地利用集積、それから耕作放棄地の解消、法人化の推進、こういった農地それから経営対策に重点化を図るということにしております。  今御質問でございました地域ニーズに対応した活動、特に農業体験学習でありますとか消費者とのつながりに関する業務についてでございます。これは、農業委員会の業務として、従来の規定から、法文上からいきますと、「農業及び農民に関する」「けいもう及び宣伝」業務ということで、改正前の六条第二項第六号の一環で行ってきたところでございます。今回の改正におきまして、このちょっと文言の修正といいますか、「けいもう及び宣伝」ということが現代風でないので、「情報提供」という形で用語が改められております。これは改正後の第六条第二項第五号でございます。  この情報提供の一環として、正に農業委員会としての農地に関する、あるいは遊休農地情報、そういったものがございますし、これまでのつながりもございますので、この規定を根拠に引き続き体験学習でありますとか消費者とのつながりに関する業務ということを実施していただくことを期待をしているところでございます。
  38. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 もちろん、本来の業務、大変重要であると思いますし、今も確認をさせていただきました。農業委員会役割は大変大きな重要なものでありますし、大切であるというふうに考えております。  そこで、業務、活動を客観的に評価する制度等が必要になってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の農業委員会法の改正を検討に着手しました際、いろいろ御意見もお聞きをしたところでございます。そうしますと、今現時点で三千程度あるわけでございますけれども、農業委員会、これが必ずしもすべてが非常に活発に活動していないんではないかという御指摘がありました。もちろん、非常に優秀で、その地域に溶け込んで、正に尊敬を集めるような、敬意を集めるような活動をされているところもあるわけですが、必ずしもそういうところばかりではないんではないかという御指摘があったことは事実でございます。  そういうことで、余りにも業務が広がり過ぎているといったようなこともありましたので重点化も図ったということでございますが、今後やはり本来果たすべき役割を十分に効果的に発揮していただくということでは、一つの問題としまして、問題といいますか課題としましては、都道府県段階の農業会議というのがございます。ここが従来、いろんな先進事例等を紹介しながら農業委員に対していろいろ指導もしてきたところでございます。  今回の改正で、特にこの協力の中身に都道府県農業会議の農業委員会に対する助言ということも盛り込ましていただきました。こういった、規定がすべてということではございませんが、これに表れるような形で、今後県の農業会議も十分この評価については力を発揮していただきたいなと思っております。  私たちとしては、行政といたしましても、この農業委員会に対します活動評価手法、こういうものをどうやっていくかということで、実は今年度、二億八千四百万ほどの予算の中でこの評価についても措置をするということでございまして、今後こういった評価も活用しながら農業委員会の業務の活動が活性化するということを期待していきたいと思っております。
  40. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 中釜参考人は、我が長野県に次いで女性農業委員の数は全国二位となったということ、しかしまだまだ女性自身の理解も乏しいようだということも話されておりました。  女性の割合は全国でいえば三・九%にすぎず、女性農業委員について理解を深め、全国に輪を広げていくためにはどうしたらいいかと、どうしたらいいと考えるか、お答えいただければと思います。
  41. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会系統組織では、これまでも、女性でありますとか青年農業者、こういった方々の選挙委員への立候補を促進すると、あるいは選任委員という制度もございますので、これにつきましても議会の推薦をできるだけこういう方々にお願いをするといったようなことでの自主的な取組をされております。  この結果、平成十一年と十四年を比較いたしますと、正に女性が倍増するといったような状況でございますけれども、今、委員が御指摘されたように、絶対量としてはまだまだ四%未満ということで非常に低いわけでございます。今後、格段の努力が必要だということだと思います。  そして、今後の取組でございますが、今、系統組織は改革プログラムということで自主的な取組をされておりますが、その中で、農業委員会当たり複数人の女性委員を目指すということで目標を掲げておられます。我々としてもこれを全面的に応援をしてまいりたいと思っておりまして、そういう正に自主的取組、また女性の意識改革ということも必要でございます。現に委員になられた方々が本当によく今活動されておりましてPRもされておりますので、そういう方々が集まる機会とか、そういうものをよくオーガナイズしてまいりまして、強力にまたこれを進めていきたいというふうに思っております。
  42. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 女性の中には農業委員になるためには議員にならなくちゃいけないんじゃないかというように思っている人もまだまだいるというようなことも参考人は話されておりましたので、是非理解を女性自身が深められるようにしていただきたいなと思っております。鹿児島のように、県女性農業委員の会というものを作り、情報やアイデアの交流やシンポジウムの開催により、知識や資質の向上、さらには全国ネットに発展していくことが大切であるというふうに考えております。  そんな中で、正式な委員ではなくてボランティア的な役割を果たす協力員についても、身分や処遇の改善、女性の活用、もっともっと入りやすいんではないかという話も参考人からもございました。  もっと女性の活用に努めていくべきだと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  43. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今後、市町村合併等が大幅に行われるということで、農業委員会の区域が大幅に拡大するということが考えられます。その一方で、農業委員会組織のスリム化、これが求められております。  こういった状況を踏まえますと、農業委員会委員数の減少等に対応して、市町村等が農業委員会の活動に協力する者を独自に設置して、今申された協力員という形でされております。  今後、正にきめ細かい、地域に密着したといいますか、そういった活動をしていく上では、こういった協力員というのは非常に有効な一つの方策ではないかというふうに思っておりまして、私どもも、今回の予算におきまして、こういった協力員の方々の研修でありますとか農業団体との意見交換会、こういったものに対します予算を措置をしておりまして、これまで以上に地域の声を反映した活動が行われるようにというふうにしていきたいと思います。  そして、特にこの協力員に、今御指摘ございましたように、女性がまず登用されまして、そしてまた本委員にも行く行くはなっていただくということも非常に有効なルートではないかというふうに思いますので、そういう観点も踏まえながら今後更に取組を強化していきたいと思っております。
  44. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、次に行かせていただきたいと思います。  農業改良助長法の一部を改正する法律案の中で質問をさせていただきますが、高度で多様なニーズ並びに地域農業活性化への対応をしっかり行うためにも、この普及センターというのが中心的な役割を担う本部となっていくような必要があると思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  45. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) これまで、地域農業改良普及センターということで、都道府県を管轄区域で細断をしまして、それごとに管轄地域を訪ねましてやるという体制で来たわけでございます。  しかし、これでは余りにも非常に固定的で柔軟性に欠ける、それからまた機動的にも対応できないということで、今回、そういう義務付けは行いませんが、その活動の拠点として普及指導センター、こういうものが置けるという形にしております。そして、この普及センターは必ずしもオールラウンドにやるということではなくて、その課題に応じて、産地作りでありますとかあるいは特定の目的を持ってやるとか、あるいは試験場との連携をやるとか、そういう対応は今後可能になると思います。  正にそういう、普及事業は人で成り立っておりますけれども、そういう人が活動の拠点となるそういうセンターというものがやはり現場で必要だというふうに思っております。
  46. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、今までお答えをいただいておりました二法案について、共通する質問をさせていただきます。  地方分権の掛け声の下、交付金の削減や一般財源化が言われております。今後ともしっかりと堅持すべきとの声が、中釜、種本両参考人からもございました。そしてまた陳情の中でも大きいわけでありますが、どう考えているか、大臣からお答えをいただければと思います。
  47. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まず、農業委員会交付金、これは、市町村から独立をした独自の財政基盤を確保して、農業委員会の業務、これは全国的な公平性あるいはまた統一性、客観性、こういうことを確保するわけでありますから、国からの財政的措置として重要なことであります。  また、協同農業普及事業交付金、これにつきましても国と都道府県が協同して行うと。そしてさらには、普及事業の必要性、これは、先般来答弁をしておりますとおり、必要最低限の水準を確保し、さらには国内全域にわたりましての食料生産に関する国の責務でもあるわけであります。そういう面で、国からの財政的な措置、これはもう大変重要なことでありますし、この堅持のために努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  48. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、中園参考人からも言われておりましたけれども、担い手政策の観点からも農業委員普及指導員に大きな期待を寄せていると、こういうふうに中園参考人も言われておりました。新たなニーズに対応するために充実を求められていると考えますが、いかがでしょうか。
  49. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) まず、農業委員会につきましては、正に担い手の育成、特に担い手への農地利用集積、それから法人化など、正に構造政策の推進という本来担うべき業務、こういうもので実力を発揮していただくということの期待が非常に高いというふうに思っております。  系統自身もこの系統の改革プログラムということを見直すということを想定されておりますので、今申し上げましたような期待される機能、こういうものが十分に発揮されるような取組をしていただきたいというふうに思っているところでございます。  それからまた、普及事業、これにつきましても、いろんな食料農業、農村をめぐる課題、これは多様でございますが、非常にその普及がその存在意義を十分に示し、そして効果を上げていくということが必要だろうということでございますが、その中ではやはり二つの重点、一つは、担い手に対します高度な技術革新へ対応し得るような体制になるということ、それからもう一つは、土地利用型を中心としますような、特に地域農業のコーディネート役としての役割、この二つが非常に期待をされているということだと思いますので、この重点化したものに即してしっかりした対応が今後図っていかれる必要があると思っております。
  50. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 最後の質問にさせていただきたいと思いますが、農業のイメージの変化や就職するという感覚に変わってきているという話の中から、情報を全国で共有しアクセスしやすくするネットワークの必要性についてどう考えるか。ハローワークとか教育機関との連携が重要であると考えますが、いかがでしょうか。
  51. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 昨今、非常に農業に対しまして、やりがいを実感し得る魅力のある職業としての農業という認識が非常に多くなっているというふうに思っております。こういう方々、チャレンジ精神に富んだこういった新規就農者を内外から集めていく、農業の内外から集めていくということでは、正に今申されたように、就農に関する情報、いろんな情報が非常に迅速に、かつ適切に取得できるということからいたしますと、この情報のネットワーク化というのは正に不可欠のことだろうと思っております。  特に、雇用全般を担当されておりますハローワーク、こういった組織との連携ということで、既に、私どもの新規就農相談センターとハローワークのホームページを相互にリンクをすると、それからハローワーク内にも就農等の支援コーナーというものを各県に設置をしていただいていると、それからハローワークの出先機関である学生の職業センターにおきましても大学への農業法人の求人情報等を提供していくということも必要だろうということで、既にスタートをしてございます。  今後とも、こういった取組を充実させていくということが必要だろうと思っておりますので、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  52. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 以上です。
  53. 千葉国男

    ○千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  去る十一日の前回の委員会では、自給率の問題、農業委員会改正法案についてお伺いをいたしました。本日は、農業の構造改革に関連する直接支払の問題、また、十三日の参考人質疑を踏まえまして、農業改良助長法、青年就農促進法についてお伺いしてまいりたいと思います。  現在、日本では、グローバリゼーションと世界的な自由貿易の推進の中で我が国農業の構造改革が急がれております。特に直接支払の導入につきましては急がれるべき問題だと思っております。既にEUでは大幅に直接支払政策にシフトをしておりますし、また、今後、FTA、WTO農業交渉の状況いかんでは我が国農業の状況はかなり厳しくなると思われます。  こうした状況を踏まえまして、食料農業・農村基本計画の見直しの中で、特に担い手に対する直接支払についてどのような検討がなされているのか、お伺いをしたいと思います。
  54. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) ただいま、私ども、来年三月に向けまして、新しい食料農業・農村基本計画の策定の検討を進めております。これにつきましては、WTO、FTA、こういったいろいろな国際交渉がございますが、そのいかんにかかわらず、まず、国内農業における構造改革の立ち後れ、あるいは農村の高齢化の進行等のこういった情勢を踏まえまして農業の構造改革の加速化を図る、これが急務だろうということで取り組んでいるところでございます。  その中で、諸外国の直接支払制度も視野に入れながら、一つは、諸外国との生産性格差が大きい畑作あるいは水田作を対象といたしまして、従来の個別品目ごとの価格支持的な政策から担い手に対する品目横断的な政策へ移行するということを含めまして、施策を担い手へ集中することを基本といたしまして、競争力の強化に向けた農政の展開方向を見定めたいということで検討を急いでいるところでございます。
  55. 千葉国男

    ○千葉国男君 今お話のありました現行の品目別政策は、毎年の生産に関連した支払ということで、いわゆる黄色の政策となっております。WTO交渉の結果次第では大幅に削減していかなければなりません。品目横断的政策を導入するに当たっては、黄色の政策、緑の政策のメリット、デメリットを十分に検証をした上で、極力緑の政策に転換していく必要があると考えます。どのように検討されているんでしょうか。
  56. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 品目横断的政策でございますが、今申しましたように、担い手に支援を集中化するということと併せまして、国際規律の強化の流れ、これを踏まえまして、政策の安定度を確保して担い手の経営安定に対する安心感を付与したいという、こういう観点もございます。  御指摘のように、極力WTO農業協定上の緑の政策として検討することが望ましいと考えておりますが、一方では、この緑の政策とした場合に、例えばアメリカとかEUにおきます直接支払制度を見たときに、過去の作付面積のみを基準とする直接支払、これを我が国導入するとした場合にはその年々の生産量でありますとか品質などの生産実績が反映されにくい、こういった課題もあるわけでございます。  したがいまして、今後、品目横断的政策の検討に当たりましては、この緑の政策を目指すことに加えまして、一つは、耕作放棄とか捨て作りの発生を防止して国内生産確保していくということ、また二つ目は、担い手への農地利用集積に対するインセンティブを付与する、こういった構造改革の加速化に資するような観点、こういったところも十分視点として考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  57. 千葉国男

    ○千葉国男君 いずれにいたしましても、緑の政策の中で我が国として農業生産をより効率的に進め、担い手の経営支援するために全力で取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っております。  しかしながら、担い手に支援する、集中する一方で、多面的機能や農業環境の保全、増進を図ることが極めて重要であると思われます。食料農業・農村基本計画の見直しの中で、環境農地、水等の資源保全に対する直接支払についてはどのように検討されているんでしょうか。
  58. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) いわゆる食料農業・農村基本計画の見直しの中の一環といたしまして、これからの農村構造の変化とか、あるいは構造政策の進展に対応いたしました新たな農地農業用水等の保全施策、この確立などに向けた検討も進めているところでございます。  この考え方といたしまして、具体的には、食料供給基盤の維持とそれから多面的機能の発揮を確保する必要があるということでございまして、そのときの観点として、一つは、これまでの整備を主体とするものから保全管理に重点を置いた施策体系への移行、それから二点目としまして、環境保全を重視した政策体系への移行、また三点目としましては、地域の取組を基本として多様な主体が参画し得る柔軟な仕組み、こういったようなことを基本的な考え方として検討を進めることとしております。また、これと併せまして、農業生産活動におけます環境負荷の低減につきましても推進施策を検討していく方針であります。  こういった施策の確立、推進に当たりましては、環境、資源の保全状況とか、あるいは条件が地域によって多様でありますので、こういったことを十分踏まえまして、様々な施策手段の選択とか組合せの方法、それからさらには国、地方公共団体、あるいは農家等との役割分担、こういったことについて基本的な考え方を整理する必要があると考えておるところでございます。  いずれにしましても、これから十分な国民的理解を得ながら、構造改革との連携、整合性を持った施策体系となるように検討してまいりたいと考えております。
  59. 千葉国男

    ○千葉国男君 この直接支払の導入につきましてはその財源が大変問題と言われ、その必要財源は場合によっては一兆円とも二兆円とも言われているわけであります。  担い手、環境、資源政策のそれぞれの対応する直接支払の導入に向けまして、この大事な財源はどのように確保していくつもりなんでしょうか。
  60. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今般の農政改革におきます施策の具体的な内容は正にこれから検討するところでございまして、現段階で所要額でありますとか財源についてなかなか申し上げにくい段階ではございます。  ただ、私ども、一般的に従来からも様々、その政策展開に当たりましては、まず農業関係予算の徹底した歳出の見直しを進めるということで、言わば無駄なものは廃止し、必要なものに重点化していく、こういった基本的な考え方に沿って対応していくことが必要と考えております。
  61. 千葉国男

    ○千葉国男君 大臣にお伺いいたします。  今問題になっておりますこの直接支払制度につきまして、是非、導入を、強化を図っていくべきだと思っておりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  62. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現在、食料農業・農村基本計画の見直し、その中で品目別の価格あるいは経営安定対策、こういう中で、意欲と能力のある担い手の経営支援する品目横断的な政策への移行、このことを中心に我が国農政全般につきましての改革方向について検討を進めておるところでもございます。  そういう中で、やはり国内的には構造改革の強力な推進、需要に応じた生産、このことが強く求められておるわけでありますし、さらには、対外的には国際規律の強化にも対応し得るような政策体系の構築が求められておるわけでありまして、諸外国の直接支払の制度も視野に入れて、競争力の強化に向けた農政の展開方向を見定めていきたい、このように考えております。  また、担い手の経営に対する支援策の検討と併せまして、やはり食料供給の基盤の確保と多面的な機能の発揮の観点から、環境農地やあるいはまた水等の資源の保全、あるいはまた増進する政策体系の整備を検討していくところでありまして、これらを一体的に取り組んでいき、そして食料安定供給や多面的機能の発揮といった基本法の理念の実現を図ってまいらなければならないわけであります。  この政策の展開につきましては、拙速を避けつつ、極力早期に政策転換が図られるようにスピード感を持って改革を進めてまいりたいと、このように考えております。
  63. 千葉国男

    ○千葉国男君 今、大臣の決意を聞かせていただいたんですが、全く逆方向にあります話が飛び出してまいりました。十三日のマスコミ報道によりますと、突然、財務省方針として、生産条件が不利な傾斜地など中山間地の農業生産者に支給するこの直接支払について、二〇〇五年度予算で廃止や大幅縮小を検討しているとの報道がなされました。この件についてどう思っておられるのか。  また、農水省では、中山間地の直接支払について、五年目を迎え、効果の検証がなされているわけですが、その実施状況及び効果と十七年度以降の対応方針についてお伺いをしたいと思います。
  64. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 委員指摘のマスコミ報道につきましては、財政制度等審議会から財務大臣あてに行われた建議に関するものであるというふうに承知をいたしております。  この中山間地域等直接支払制度につきましては、平成十二年度に発足し十六年度までの五年間ということになっておりますが、発足時から五年後に制度の検証及び課題の整理を行うこととされておりまして、中立的な第三者機関であります中山間地域等総合対策検討会におきまして、三月から現行制度の検証を開始し、四月には第二回目の会合も持ったところでございます。  本制度は、食料農業・農村基本法に国が行う基本的施策というふうに位置付けられておりまして、耕作放棄等により多面的機能の低下が特に懸念されております中山間地域等におきまして農業生産活動等が継続されるよう、農業生産条件の不利を補正するための支援を行うことなどによりまして、多面的機能を確保する観点から実施しているものでございます。  また、これまで地方公共団体等から十七年度以降も本制度を継続するよう多数の要望が寄せられております。先般の農林水産大臣主催によります都道府県農林水産主務部長政策提案会におきましてもそうした提案が多数出されたところでございます。  この財政制度等審議会におけます建議は、中山間地域等直接支払制度のみならず、様々な分野におきまして見直し時期の到来しているものなどにつきまして財政運営の観点から考えが示されたものというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、本件につきましては、先ほども申しました地方公共団体等からの制度継続の提案に限らず、中立的第三者機関であります本検討会における検証などを踏まえまして、広く国民的理解を得ながら来年度予算の概算要求時までに省としての考えを取りまとめていきたいというふうに考えておりますが、現在段階でのその実施状況等の御質問もございましたので、それについても御説明をさせていただきたいと思います。  平成十五年度までの見込みによりますと、この制度で千九百六十市町村におきまして三万四千の協定が締結され、対象農用地の八五%に当たります六十六万ヘクタールの農用地におきまして農業生産活動等の継続により耕作放棄が防止され、多面的機能が確保されている状況にございます。  各地域におきましては、集落協定の締結を契機として様々な取組が活発に行われておりますが、その二、三、例を申し上げますと、集落におけます話合いの活発化、あるいは農業機械や施設の共同利用、共同作業の増加など、将来にわたります農業生産活動等の継続に向けた動き、あるいは集落の共同活動等によりまして耕作放棄地を積極的に復旧するような動き等が見られる状況となっております。  この制度は、広く国民的理解を得ていくということが最も重要であるという観点から、明確かつ客観的な基準の下で透明性を確保しながら実施しているところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在、中山間地域等総合対策検討会、中立的第三者機関での検証を行っておりますので、これを踏まえて十七年度以降の対応をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。
  65. 千葉国男

    ○千葉国男君 ともかくしっかりやっていただきたいと、こういうふうに要望を言っておきたいと思います。  先日の参考人委員会がありましたが、その中でも質問させていただきましたが、これからの農地のことを考えますと、この農地のデータベース化と農地の活用状況マップ作りについて非常に大事だと思います。中釜参考人のお話にもありましたように、農地のパトロールを行って様々な農地再生対策を講じている旨の報告もありました。今後のことを考えますと、農業委員の方々が活動を効率的に進めるためにも、どうしてもこの農地の活用状況マップ作りを急ぐべきだと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  66. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会の関係でございますが、正に農業委員会が保有をいたします農地等の情報、こういうものを効率的に利用を図っていくと、そして優良農地の保全、担い手への農地利用集積を図るという上では、この農地の地図情報システムというのが極めて有効であるというふうに考えております。農業委員会の総会あるいは集落座談会、こういうところで十分に活用がいただけるというふうに考えております。  これまで農地の地図情報につきましては、各農業委員会で白地図の上に色塗りをして、言わばペーパーの物理的な情報ということで対応してきたというところもあったわけでございますけれども、この農地地図情報システムを整備をいたしまして、かつまたこの情報を電子化するということで、農地利用状況あるいは年齢別の構成等の情報が瞬時に分かるといったようなことが可能になってきておりまして、現在、いろんな形で集落座談会等行われておりますけれども、非常に効率的な活動が行うことができるようになったという評価をいただいております。  そして、私どもといたしましても、これは非常に有効であるということで進めてまいりまして、実績を申し上げますと、平成十五年度末までに約二割の農業委員会において整備が進んできたということでございます。十六年度におきましても引き続き事業をやっていきたいということで、この水準を更に引き上げていきたいということで努力をしたいと思っております。
  67. 千葉国男

    ○千葉国男君 効果があると分かっていながらまだ二割程度であるということですから、もう少し推進できるように頑張っていただきたいと思います。  それから、現場の話ですが、農地の集積に当たりまして農業者年金との関係がいろいろあるんだと、こういう話が入ってきました。その点について確認をしたいと思います。  担い手への農地の流動化がなかなか進まない要因として農業者年金の受給者の問題があるのではないかと。具体的に言いますと、親子で貸借関係を結んでいる、そういうことがあって第三者への貸借の壁になっていると、こういう声がありますが、いかがでしょうか。
  68. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 担い手への農地の流動化の問題でございますが、そもそもなかなか昨今土地の流動化が進まないという、テンポが非常に落ちているということがございます。これは、近年の経済状況の中で担い手の規模拡大意欲がちょっと落ち込んでいるといったようなこと、それから、なかなか担い手から見て望ましい農地が少ないといったようなこともございます。それから、機械化等があるいは技術が進歩いたしまして、高齢者あるいは兼業農家でも稲作に特化した経営は持続はできるということが背景にあろうかと思っておりまして、こういった要因がいろいろ関係しているんではないかというふうに思っておるところでございます。認識しているところでございます。  今御指摘がございました農業者年金制度との関係でございますが、平成十三年度にはこの農業者年金制度を抜本的に改正をいたしましてこの仕組みがかなり変わっておりますが、それ以前の農業者年金、これは、農業経営の若返り、それから農地規模拡大、細分化防止ということを目的といたしておりまして、これまで経営に供してきた農地を他の農業者に譲渡するということを要件として経営移譲年金というものを支給してきたわけでございます。ただ、農業経営を再開した場合、あるいは移譲した農地が返還された場合にはこの経営移譲年金の部分は支給停止になる、こういった仕組みであったわけでございます。  こういった仕組みが確かに農地の流動化の妨げになるんではないかという御意見があったものですから、逐次改正を行いまして、現時点では、いったん後継者等に経営移譲した農地が返還された場合でありましても、新しい専業的農業者に再度権利設定をするといったような場合には支給停止が行われないということで、現時点ではその問題は解消されたというふうに認識しております。
  69. 千葉国男

    ○千葉国男君 その問題点は解消されたということですから、もう少しその辺を、指示をしっかり出して、現場で理解されるようにしていただきたいと、こう思います。  次に、農業改良助長法関係についてお伺いをしたいと思います。  まず、現行の専門技術員についてでありますが、毎年、専門技術員の資格試験が行われていると聞きました。その場合、その受験者総数であるとか合格者数とか、都道府県における専門技術員の採用というか、任用状況についてお伺いをいたします。
  70. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 専門技術員の関係でございます。  平成十五年度の専門技術員の資格試験は、受験者数が千九十三名、うち合格者数は二百十二名でございました。合格率が一九%ということで、二〇%弱となっております。  そして、任用者の数でございますが、これは平成十五年度ということで、全国で六百二十名ということでございます。毎年、二百名程度の方が合格をされているということでございます。この総数、既に何人ぐらいの方がこの技術、専技の技術を、資格を持っておられるかということの明確なデータはないんですけれども、今申し上げましたとおり、毎年二百名程度の方が合格をされております。そして、実務経験が必要でございますので、三十数年間県庁に勤められた方からしますと、おおむね、専技の資格を得てから二十年程度は勤務ができるということでございますので、おおむね四千名程度の方が資格としては持っておられるということだろうと思います。そして、そのうちの、今申し上げましたように、六百二十名が任用されている、こういう実態でございます。
  71. 千葉国男

    ○千葉国男君 この専門技術員の資格試験に合格した方々は高度な技術あるいは知識と現場経験を有する方々であります。毎年の合格者数から見ると、現に専門技術員に任用されているのは、今御報告がありましたように、六百二十人ということですから、その一部であると考えられます。  都道府県においてこうした有資格の人材の方々がいるわけですが、有効活用をどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  72. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今もデータで申し上げましたとおり、試験に合格された方と直接専門技術員として任用されている方という対比からいたしますと、非常に比率としては少ないわけでございます。  では、その資格を得られた方がどういう形で勤務をされておりますかといいますと、一つ試験研究機関、そういうところでそういう技術、専門的な知識、経験を生かされているというのが一つございます。それから、改良普及員の方々も、専技の資格を持った状況で現場の方へ出られまして、直接現場での普及指導に当たられているということでございます。  こういうことで資格試験に合格された方のすべてが専門技術員として任用されてはおりませんけれども、そういう高度な能力、十分な経験を有するということでございますので、今申し上げましたような形で、そのほかにも行政機関で行政職としても活用されているということもあろうかと思います。
  73. 千葉国男

    ○千葉国男君 それでは、今回の改正によりまして、現行の専門技術員の試験を合格された方々はどのような取扱いになるのか。また、一方では、改良普及員の中でも、今お話の出てきました、行政にある、いわゆるデスクワーク中心とか、そういうことがあって普及指導員の試験を受けないという人も出てくると聞きました。  こういう体制でいきますと、今回の改正で必要な人材の確保ができるのかどうか、お伺いします。
  74. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の改正で従来の専門技術員と普及員を資格を一元化するということでございまして、新たな普及指導員という仕組みになるわけでございます。普及員の、普及指導員の、新たな普及指導員の資格試験につきましては国の試験として一本化をするということでございます。  そして、その新しい制度に移行する、その円滑な移行を図るためにどういうことになっているかというお尋ねでございますが、まず、専門技術員の方につきましては、今回の法律によりまして新たな、もう既にレベルが相当高いということでございますので普及指導員にみなすということでございまして、この方々は試験を再度受けることなく、新たな普及指導員として資格があるということになります。  一方、専技の資格を持たれない普及指導員の方は三年間は新たな普及指導員としてみなすという規定を置かさせていただいております。その間に試験を再度受けていただきまして新たな普及指導員に任用をさせていただくということでございます。ただ、これまでに実務とか、あるいはこなされていた、こなしていただいておりますので、基本的に試験の中身はそういった、これまで普及員をやってこられた方はこれまでの知識なり経験は十分考慮した形での試験制度とするつもりでございまして、極力円滑な移行ができるようにということでの配慮をしているところでございます。
  75. 千葉国男

    ○千葉国男君 今は人の問題でしたが、次に技術の問題についてお伺いをしたいと思います。  これからの農業発展のためには三つの分野で農業技術向上が必要である、こういうふうに言われております。一つは、第一は担い手の産地間競争の強化につながるような特定の作物に関する技術指導、それから第二には集落営業における明確な地域の目標設定等、これに伴った技術導入、それから第三には兼業農家及び条件不利地域の営業に対する環境保全型農業やスローフード、地産地消といった付加価値型の農業支援等の多様な技術支援が必要であると言われております。このためには、新たに設置される普及指導員の資質向上が非常に大事であると。ところが、現実的には現場でのデスクワークが多くなっておりまして、なかなかその技術を持って現場に入ることができない、そういうふうに指導員の方々が話しておりました。  そういう意味で、今後の人材の有効活用の観点から、専門性の高い試験研究機関等、地域の実情を知り得る普及指導の現場との間で密接な人事交流や連携を図ることが重要であると考えられますが、農水省としてどういうふうな対応を考えているんでしょうか。
  76. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 試験研究機関普及指導の現場との連携の強化の問題でございます。  これは非常に、今御指摘いただきましたように、普及職員の技術の高度化によりまして、普及員の資質を向上するという意味でも非常に意味がございます。逆に、今度は専門知識と現場経験を有する普及職員が現場での課題を研究機関につなげていって、フィードバックしていくと、こういった両面がございまして、非常に双方にとって有効であると、こういうふうに考えております。現状におきましても、この試験研究機関普及との人事交流でありますとか、その試験場とかにおきます研修、こういうことの実施をしてきております。  ただ、今回の改正で、正に今幾つかのポイントを申されましたけれども、正に高度化するような技術、それから地域をコーディネートしていくような技術、こういった課題があるわけでございます。そのためには、正に人的な資質向上というものが必要だということで、その計画的な、あるいは体系的な職員研修が必要でございますし、その中で、今申されましたこの連携ということが非常に大きな柱になっていくものというふうに思っております。
  77. 千葉国男

    ○千葉国男君 次に、青年就農促進法についてお伺いをしたいと思います。  先週の参考人質疑の中で、全国新規就農相談センターの中園所長さんよりの御報告がありました。若い就農希望者は、農業に対して本格的な取り組みたいとか、あるいは環境を守る有機農業に使命感を持って進出をしたい、こうしたきちんとした目的を持って相談に見える方が多くなったとお伺いをいたしました。  しかし、実際に民間企業に対する就職と比較いたしまして、農業はその準備期間が長過ぎるという苦情もあります。特に、就農時の四つの問題と言われているのが、資金の問題、農地技術、あるいは住宅の確保等であり、また就職後に、就農後に厳しい現実も待っている。就農後三年、五年が正に正念場だと言われているわけであります。  そういう意味で、新規就農を一層促進するために、就農資金の一部は貸付金ではなく渡し切りの奨学金とするなど、幅広い柔軟な支援策が必要であると、こう思いますが、いかがでしょうか。
  78. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 就農資金を無利子として貸付けをしているということでございます。  この資金制度があるわけでございますが、国の施策として、農業という職業に就くことに着目した個人に対する直接補助金ということで償還免除等を行うということは、他の奨学金制度等とのバランス、例えば現在償還免除が認められておりますのは教師でありますとか看護師等の公共的なサービスの担い手に限られておりますし、農業というのは営利を目的とする他の産業とも同じといったようなことを考えますと、ちょっとこのバランスからなかなか難しいのではないかというふうに考えております。ただ、非常に条件不利地域とかそういうところでは、やはりかなりこの償還に困難が伴うこともございますので、できるだけ償還期間を延長するとか、運用の弾力化を図っているところでございます。  また、雇用政策という面でそういった給付金制度というものが厚労省さんの方にはあるわけでございますので、「農林業をやってみよう」というプログラムの中で、公共の職業訓練制度あるいは教育訓練給付制度、こういったものが活用できるように今連携もしているところでございます。
  79. 千葉国男

    ○千葉国男君 青年就農者のもう一つの大きな悩みは、やはり嫁不足の問題であると思います。  この件につきましては、先日の参考人の中釜参考人さんの御意見が大変参考になったわけでありますが、二つの要素が大事であると感じました。一つは、この嫁さんの問題につきましては、同じ農業委員でもやっぱり男性の農業委員では頼りに余りならない、やっぱり女性委員の方が立場になって親身になって相談できると、こういうことを感じました。それからもう一つは、結婚前に女性農業委員が間に入って家族経営協定を結ぶことがお話に出ておりまして、これは非常に大事な話だなと、こう思いました。  そういう意味で、農業委員会に女性委員の登用の推進を前回もお願いをいたしましたけれども、この家族経営協定の推進について是非農水省の政策として取り組む必要があるのではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  80. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 家族経営協定、これは農業経営方針経営上の役割分担、収益の分配方法や就業条件などにつきまして家族間での話合いを通じまして取り決めるルールであるわけであります、もうこれも委員承知のことでありまして。  我が国農業経営、これは主体を成す家族経営、そういう面で新規就農を促進するためにも、男女やあるいは世代間を問わず意欲と能力を十分に発揮して経営に参画できるような環境作り、これは重要なことでありますし、家族経営協定、これは経営資産を円滑に後継者に継承する、こういうことを含めまして大変有効な手段の一つであるわけでありまして、平成七年から、国、地方公共団体、あるいは農業委員会地域農業改良普及センター等、関係機関が連携をいたしまして普及を図ってきておるわけでありますが、現在、この締結農家数、毎年堅調に増加しているわけでありますが、主業農家に占める比率は六%程度と、こういうことで必ずしも十分と言えないわけでありますが、大変、認定農業者制度、こういう面で、家族経営協定等につきまして共同経営者であることが明確である場合には、女性や後継者につきましても認定農業者としてこうした位置付けをする道を開いたところでありまして、今後ともこれらの問題に更に努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  81. 千葉国男

    ○千葉国男君 最後に、この農業経営支援三法につきましては、土地技術、人の立場から農業の三要素であると、こう言われているわけでありますが、この三要素がばらばらでは機能しないわけであります。そういう意味におきまして、農水省がきちんとしたリーダーシップを取っていただいて、農業改革の推進を図っていただきたい。  大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  82. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今御指摘のいわゆる農地、担い手、そして技術、これは農業構造を形作る基本要素であるわけでありまして、この組合せ、これが農業経営発展の観点からより望ましいものに改善していくこと、構造改革にとっても重要なことであるわけであります。これらの課題に際しまして、農業委員会あるいは普及センターあるいは農協、農業公社等の機関がそれぞれ役割に応じた支援を行っているところでもございます。  今後、経営に必要とされる技術経営ノウハウが更に高度化していくということが見込まれるわけでもあります。それぞれの機関が担う役割を重点化をいたしまして提携を図っていくことが必要と、こう思っております。さらに、現在各都道府県段階におきまして、農業会議あるいは農業開発公社、青年農業者育成センターの事務局、この一元化という問題も十七年度末までをめどに推進をしているところでもありますし、さらに地域段階におきましても、担い手が技術やあるいはまた経営面での支援を一元化、一か所で相談できるワンストップの窓口の設置、こういうことを検討しているところでもございまして、各種支援機関の役割を重点化していく、そして相互の連携を強化をしてまいりたいと、このように考えております。
  83. 千葉国男

    ○千葉国男君 ありがとうございました。
  84. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  農業の三法案の質問の前に、最初にハンナン牛肉偽装問題について質問いたします。  市場隔離牛肉緊急処分事業というのは、これはその実施要領また実施要項に基づいて行われることになっているわけですけれども、全国同和食肉事業協同組合連合会、ちょっと長いのでこの後全同食というふうに言わせていただきますが、この焼却計画の申請書が上がったのはいつで、農水省がこの文書を受け取った、いわゆる接受したのがいつで、そしてまたこの事業団から承認通知文書が下りたのはいつなのか、まず最初にそれをお聞きしたいと思います。
  85. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘全国同和食肉事業協同組合連合会から承認申請が上がりましたのが平成十四年の一月八日でございます。それを農林水産省として接受いたしましたのは一月十五日でございます。それで、事業団から全同食の方にその承認申請が下りましたのは平成十四年の二月二十六日というふうに承知をいたしております。
  86. 紙智子

    ○紙智子君 上がったのが一月八日で、農水省が受けたのが十五日と、それで承認が下りたのが二月二十六日ということですけれども、ところが肉の焼却は一月十一日から始まっているわけですよね。  それで、大臣、この時点で結局承認通知が出ていないんじゃないかと。そもそも申請書が農水省に届いていない段階ですよね。当時の事情はいろいろあったとはいえ、この要項に基づく正式な手続を欠いた焼却だったんじゃないかと。これは否定できないと思うんですが、この手続上問題があったことについてお認めになりますか。──今、大臣に聞きました。
  87. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 事務的なことでございますので、私の方から。  ただいま申し上げましたとおり、一月八日に申請書が提出をされたわけでございます。それで、申し上げましたように、事業団からは二十六日に承認通知が出ておるわけでございますが、ただ、今、委員からも御指摘のとおり、一月十一日から焼却が開始をされておると、お話のとおりでございます。これにつきましては、当時、早期に焼却すべきという社会的な要請もございまして、焼却計画のただいま私申し上げました申請から承認に至ります決裁手続、これはやはり時間が掛かるわけでございますが、その期間中に事業実施が滞ると、こういう事態も想定されたわけでございますので、事業団といたしましては各事業実施主体に対しまして、全同連も含めてでございますが、それぞれの事業実施主体に対しまして焼却計画の申請と同時に計画承認前着工届と、こういうものを提出をするように指導をいたしまして、この計画承認前の着工届というものを一月八日に提出をいたしております。  したがいまして、そういう全同連も他の団体と同様にこの計画承認前の着工届を提出をした上で焼却を開始しているというところでございます。
  88. 紙智子

    ○紙智子君 私は大臣にお聞きしたんですよね。  それで、今の答えから聞いても、結局要項に基づくんじゃなくて、そのほかの運用部分でそういう形でやったということが今のお話聞いても明らかになったわけで、やっぱり正式な、要項に基づく正式な手続に乗ったものじゃないということが明らかになったと思うんです。  それで、しかも一月十一日に柏羽藤クリーンセンターの試験焼き、ここには農水省の鶏卵課から一名、事業団から二名立ち会っているわけですね。  この柏羽藤環境事業組合、総会をやっていまして第二回定例会という議事録があるんですけれども、これ読みますと、その中で管理者の方が、農水省の方が試験焼きさせてほしい、協力してほしいと言われた、国の方からの要請なので一生懸命焼いたんだというふうに説明しているわけです。  ちなみに、農水省の資料で、一月中全国で焼いたのが一千四百六十六トンですね、そのうちの九二%の千三百五十四トンがこの大阪の同和、愛知の同和、それから大阪府肉連の浅田氏の関連部分なんですね。なぜこのように早く焼却できるように協力したんでしょうか。局長
  89. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員のお話でございますが、この牛肉在庫の処分事業平成十四年の一月時点におきましては事業実施期間が平成十三年度内というふうにされておったわけでございまして、期間が非常に限られてほとんど時間がなかったというのがまず第一点あるわけでございます。  それから、消費者の不安を払拭するために早急に焼却すべきであると、こういうふうな形で当時与野党挙げての大変強い御要請もあったということを踏まえまして、私ども検品をそれぞれきちっと行いまして、それから焼却施設の確保ができたものから順次焼却を進めるということで、正にこの同年の三月の年度末までに全量の焼却ができるように関係者に協力を求めておったと、そういう状況があるわけでございます。  そこで、ただいまの職員の立会いという観点でございますが、実は当時、要すれば牛肉は冷凍されておったわけでございまして、これを大量にとにかく焼くということでございまして、この冷凍しておるものを大量に焼くということはなかなか難しいということでいろいろ焼却場で試行錯誤をやっておったわけでございますが、非常にこれが難しいというふうなことでございまして、ただいま委員からのお話ございました柏羽藤の焼却場におきまして比較的早く、いろんな試行錯誤の末に焼却を始めることができたというふうなことで、そういう点について、私どもとにかく早急にやらにゃいかぬという要請を受けまして、それではその焼却場についてどういうふうなやり方で、例えば事前にその牛肉、冷凍になっております塊を少しずつ裁断をするでありますとか、どういうやり方であればきちんと焼けるのかというふうな点について、職務参考上非常に参考になる、他の焼却場でもそういう同じような方法を取れば早急に、早く焼けるのではないかと、こういうふうなこともございまして、職員が出張いたしまして、それでそこを見せてもらったというふうに聞いているわけでございます。
  90. 紙智子

    ○紙智子君 聞いていることが違うんですよね。  その急いでやらなきゃいけないというのは当時の事情から見てそういう議論があったことは知っていますけれども、問題は、実際に焼かれたのはほとんどこの全同食の肉ですよね。今言ったように、全体の九二%、その部分が大阪の同和、愛知の同和、大阪府肉連と、この関連の肉が、それだけが何でこんなに急いで焼かれているのかということを聞いたわけですよ。
  91. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 私、申し上げましたとおり、要すれば他の焼却場におきましてはなかなか、どういう形でやれば焼けるかということがなかなかうまくいかなかったわけでございまして、とにかく私どもとしては早急に焼却をすると、こういうことでございますので、焼却施設の確保ができたものから順次焼却を進める、しかも、それはもちろん当然のことでございますが、検品を受けまして、検品を受けて適というふうに、適というふうに判断を受けたものから、かつ焼却施設の確保ができたものから順次焼却を進めるということでございまして、そういった意味で、ただいまの府同食の焼却場におきましては、いろんな他の焼却場でも試行錯誤しておりましたが、なかなかうまくいかない、そういう中でこの焼却場が比較的早く焼却を始めることができた、こういうことでそこの焼却場におきまして焼却が行われたというふうに理解をいたしております。
  92. 紙智子

    ○紙智子君 今の答えを聞いてもよく分からないですよね。  それで、やっぱり浅田・ハンナングループを特別に重く見る、こういう関係があったと見ざるを得ないんです。大臣、この全同食は全肉連から業務委託を受けている事実上の実施団体ですよね。委託は事業団の理事長が適当と認める団体とするとなっているわけです。しかし、買上げ事業での対象外の肉を扱ったとして逮捕された。こういう不正事件を起こした団体を事業団が適当だというふうに認めた、これ国の責任、これをどういうふうに受け止めているでしょうか。──大臣に聞いているんです。
  93. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この事業、極めて短期間のうちに約一万三千トンですか、この多量の牛肉を隔離する、こういう必要があったわけであります。そういうことで、事業の執行上、こういう面から、全同食ですか、これを委託団体としたことにつきましては、私は問題がなかったんではなかろうか。ただ、今日、結果としてこの事業が悪用され、そして全肉連の委託事業の受けた全同食の幹部が対象外の牛肉の偽装による助成金を搾取しているという、そして逮捕されていると、こういうことは極めて残念なことであります。  いずれにいたしましても、現在捜査当局によりまして捜査が行われておるわけでありまして、当局によります捜査に私ども全面的に協力をいたしまして、徹底した捜査によりまして一刻も早く全容の解明が図られることを期待をしておるところであります。
  94. 紙智子

    ○紙智子君 最初の時点では問題なかったというお話と、残念であったと。私はやっぱりその程度では駄目だと思うんですね。やっぱりその判断も含めてもっと慎重にやるべきだったと思うし、やっぱり農水省としての責任という問題をはっきり感じていただかなければならないというふうに思うんです。  それから、国が十月の十八日に保管管理の方針を出しましたが、要項ができたのが十月の二十九日です。ところが、その二十九日のうちに全同食と全肉連との間での委託契約が結ばれているんですね。もうできてすぐ結ばれているわけです。ほかの二団体の契約がどうなっているかというと、もっとずっと後になってからですよ。余りにもこれ、手回しが良過ぎないかと。これは国がむしろ積極的に全同食に働き掛けて委託団体にしたんじゃないですか、局長
  95. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) この事業実施、ただいまの委員の御指摘でございますが、事業実施主体の選定に当たりましては、まず一つ全国的な食肉の生産者の団体、それから加工業者の団体、流通業者の団体でございまして、それで国産牛肉の流通の大宗を担うということで、全肉連を含むまずその六団体が事業実施主体にされたわけでございます。ただ、そういうことでございますと、これら団体に所属をしない事業者が事業に参加できないということになりかねないわけでございまして、そういうことになりますと、できる限り多くの牛肉を市場から隔離する、こういう事業目的が達成できなくなるということもございまして、したがいまして、こういった団体の会員以外からも効率的に対象牛肉を買い上げる、こういう必要があったわけでございます。  したがいまして、全肉連から、ただいま委員からもお話ございました、いわゆる全同連、全同食を含みます三団体、全同食だけではございませんで、ほかに東京食肉市場卸商協同組合でございますとか、あるいは日本食肉流通センター卸売事業協同組合、そういった三団体に委託をする、委託をして団体の会員以外の牛肉を買い上げてもらうというふうなことで委託をしたわけでございまして、この全同食だけを優遇とかいうことではないということはひとつ御理解を賜りたいと考えております。
  96. 紙智子

    ○紙智子君 新聞報道を見ましても、全同食の会長の山口氏が記者会見、記者取材で語っているのを見ますと、事業団から三人が来て説明していったということも出されているわけですよね。  それからもう一つ、この浅田氏が逮捕された府肉連のルートの偽装問題で、広島の業者との関係についてなんですが、この広島の輸入業者の偽装牛肉を補助申請した件が上げられているわけです。それで、実はこの広島の業者も実は浅田氏に紹介したのも農水省だということが分かっているわけですけれども、なぜほかにも数多くある業者の中で農水省はこの業者を浅田氏にあっせんしたのか。広島ですから、普通だったら広島に、食肉組合にというふうにも思うんですけれども、なぜわざわざ大阪の浅田氏に紹介したんでしょうか。
  97. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) この点でございます。当時の食肉流通、もう委員も御案内のとおりだと思いますが、BSEの発生後ということで大変に混乱をいたしておったわけでございまして、BSEの全頭検査前の国産牛肉を対象といたしますいわゆる保管事業につきまして、組織に入っておらない事業者から事業に参画できないかといったそういう問い合わせが殺到いたしておったわけでございまして、事業担当課としては、それぞれの大変多くの問い合わせに対して忙殺をされておったという状況がまずあるわけでございます。  そこで、ただいま委員のお話ございました今回の事件に関与したとされる業者は、お話のとおり、広島県に所在をしておったわけでございますので、私どもとしては、そういった方からのお問い合わせに対して近畿圏を中心とする組織でございます全国同和食肉事業協同組合連合会の方に相談したということでございます。
  98. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱりこれも回答を、聞いたことに答えていないと思うんですよね。  そういうたくさんの殺到されている中でなぜ大阪の浅田氏に紹介したのかというふうに聞いたわけで、そういう意味でもこれも答えになっていないと思うんです。  浅田氏は、結局、農水省の中で特別に重い位置にあった表れだというふうに思うんです。あっせんの問題といい、委託団体にする問題といい、そして正式な焼却手続を踏まずこの焼却について促進をお願いしていると。浅田・ハンナングループとの関係で農水省のこの反省というのは必要だというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  99. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の事件の対象になった牛肉の在庫の保管あるいは処分事業につきましては、平成十五年の六月十八日に提出されました食肉流通問題調査検討委員会報告書、これに、BSEに関する一種のパニックというべき事態の中で極めて短期間に事業が創設、執行されたため、事業の仕組みや実施手法に不十分、不徹底な点があったことが補助要件に適合しない事例や偽装を誘発し、結果論であるが、事業創設の段階で偽装防止措置についての検討が不十分であったと、このような指摘を受けたわけであります。  このような反省を踏まえまして、私どもといたしましては、食肉行政の運営に当たりまして、消費者重視の政策決定のシステムの構築、また危機管理体制の強化、リスクコミュニケーションの推進、また食肉関係企業のコンプライアンスの推進、トレーサビリティーシステムの導入普及、これに全力を挙げて取り組んでおるところでもありますし、さらに、農水省といたしましては、昨年七月に消費・安全局の創設を始めとする大幅な組織改正を行い、また、それと同時に、私はそのときに、この報告書を踏まえまして職員の意識改革の徹底をすることを訓示をいたしたところでもございます。これらの取組によりまして適正な食肉行政の推進に全力を挙げて努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  100. 紙智子

    ○紙智子君 結果として見れば、この対応の中に不十分さがあったという点の反省を踏まえつつという話もされましたけれども、こういう問題が再び起こることのないようにやっていただきたいというふうに思います。  次の質問に移ります。  前回の続きですけれども、農業委員会法の問題です。現在十名と定められている選挙委員の定数の下限の条例への委任についてお聞きします。  大臣、選挙委員の位置付けというのは農業委員会制度の基幹を成すもので、公選制が基本ということだと思うんですけれども、その点、変わりないと思いますけれども、まず確認したいと思います。
  101. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農業者の財産であります、基礎的な生産手段であります農地利用集積等の権利調整の業務、地域農業者の意向というものを十分反映し、そして客観性と公平性を確保していくということが不可欠なことであるわけでありまして、そういう面でこの農業委員会、独立の行政委員会として市町村に設置されたものでありまして、その組織運営、民主的に選ばれた農業者の代表によってなされることが適切であるわけでありまして、農業委員会の基本的な性格、これを踏まえて農業委員会は選挙による委員を基幹として構成されるべきものと、このように考えております。  そういう面で、今後とも農業者の信任の下で組織をされ、公平、客観的に農地政策を遂行できる公選制を引き続き維持することが必要であると考えております。今回の改正によっても、選挙委員の位置付け、これは何ら変わることはないわけであります。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 今回の改正で十名だった選挙委員の定数の下限を条例委任するということは、農地や農家数がどのような規模農業委員会でも選挙委員定数の引下げができるということになるわけです。  農水省は政令で選任委員よりも選挙委員が多くならなければならないように定めるというふうにしているわけですけれども、選任委員は最低四人ですね。団体推薦三人、議会推薦一名から四人と。最低四人ということになると、選挙委員定数を五人まで下げることができることになるんじゃないか。十名だったのが、そういう意味では五人まで下げることが理論的に可能だということなんでしょうか。
  103. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 選挙委員の下限定数の条例への委任でございます。  今、十名というのが下限になっておりまして、全体の設定状況を見ますと、約三分の一の農業委員会におきましてこの下限の定数であります十人というところに張り付いておる実態でございます。そして、私どものいろんな調査によりますと、約六割の農業委員会が、この十人を設定しておるところの六割が定数の引下げの意向を示されているという実態にございます。  今回、この下限を撤廃するわけでございますが、これは市町村の自主的な判断を尊重するということでございまして、ただ、今、大臣が答弁いたしましたとおり、この農業委員会の基本的な性格、これは変わらないということで、やはり選挙による委員根幹と、根幹といいますか、基幹として構成されるべきものというふうに考えております。  そういうことでございますので、定数の基準におきまして、これは政令で定めることになっておりますが、選挙委員の定数は選任委員の定数を上回るように定めなければならないということを定める予定でございます。したがいまして、今具体的にお尋ねのあったような数字の事態も当然あり得るというふうに考えております。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 これまで一農業委員会当たりの選挙委員数は十三・七人、これが農地規模や農家の戸数に関係なく五人まで引下げ可能ということになるわけです。こうなりますと、幾ら選任委員より多いとはいっても、スリム化とか交付税の削減、交付金の削減という圧力の中では定数削減に向かわざるを得なくなるんじゃないかと思うんです。結果として、選挙委員役割役割低下をもたらすことになるんじゃないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  105. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に今回の改正は、先ほど言いましたように、市町村の自主的な判断を尊重したいということでございます。  先ほど申し上げました実態調査の中でも、他の組織等とのバランスも考えて引下げの意向を持っておられるところも当然あるわけでございますので、そういった市町村の自主的な御判断というものは当然この制度改正によって尊重されるべきものというふうに考えております。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 先日の参考人質疑の中でも鹿児島の農業委員会の会長をされている中釜参考人が発言していたわけですけれども、市町村合併によって区域内の農地面積が大幅に拡大する、にもかかわらず選挙委員の上限の見直しがされていなかったこともあって、農業委員数が大幅に削減されることになると。喜入町、中釜さんのところ、喜入町と言いましたっけね、その喜入町でいいますと、合併に伴って、十四人だったのが五人に減ってしまうことが決まっていると。これによって農業委員一人当たりの守備範囲が大幅に拡大して、農業委員農地確保などの活動の後退が懸念されるんだと。それから、せっかく女性の農業委員が増えてきているのに、また減ってしまうんじゃないか心配しているんだと、こういう話がされました。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  なぜ上限の見直しをしないのか。そして、選挙委員が減るということは、減って、この農業委員会全体の数が減るということになれば、やっぱり、幾ら基本は変わらない変わらないと言いながら、農業委員会の姿が見えなくなっていって、結局この農業委員会の存在、役割というのが否定されることにつながっていくんじゃないでしょうか。
  107. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、市町村合併に伴い農業委員会の区域の面積が全般的には拡大すると、こういうことは見込まれるわけであります。  昨年六月の閣議決定、基本方針二〇〇三、こういう中で農業委員会につきましての組織のスリム化が求められたところでもございます。  今回の法律改正におきまして、組織のスリム化と併せまして、農業委員会の業務につきましては、農地に関する業務及び農業経営の合理化に関する業務に重点化をすると、こういうことでありまして、農地法に基づく許可業務等を処理する農地部会につきまして、これ町村合併、こういうような問題、市町村の区域に分けて複数の部会を設置をすると、こういうようなことができるわけでありまして、機動的な対応が可能、こういうようなことから、選挙定数の上限の引上げ、これは行わないこととしたところであります。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 この前の参考人質疑の中でも話を聞いていて改めて思ったわけですけれども、農業委員のやっている仕事の中身というのは非常に多面的だと思うんですよね。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  確かに、農地の荒廃を防ぐ、耕作放棄地が出ないようにするということをめぐっても、本当に隣のところに行ってお願いをして、引受手になってもらうお願いをするだとか、それから、ただそれだけじゃなくて、やっぱり日ごろ様々な相談にもこたえながら、そういう信頼関係を培う中でそういうことの中身もできてくるという話もあって、改めて、やっぱり事務的に何か項目のことをやっていればそれで済むことではなくて、そういった多面的な、総合的な中でやっぱり本当の意味農地を守っていく仕事にもつながっていくんだということを思うわけです。  そういう意味では、実際に少なくなって、範囲が広くなって、幾ら効率的に重点化してやればといっても、そもそものそういう部分が失われていくというふうに言わざるを得ないと思うんです。そういう点では、私は、やっぱりこれ、何回聞いても、この方向というのは違うんじゃないかというふうに思うんですね。  それから、改良助長法質問に移りますけれども、法改正がされた場合に、昨年三月に出されました普及事業の在り方に関する検討会報告、これに沿って協同農業普及事業の運営に関する指針を大幅に改定することになると思うんですけれども、どうでしょうか。
  109. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 協同農業普及事業、これは国と都道府県が統一した方針の下に行える協同事業ということで位置付けておりまして、国が基本的な方針であります運営指針、これを定めまして、これに基づいて都道府県が実施方針、こういうものを作って協同事業としての真価を発揮していくと、こういう仕組みになっております。  今回、こういった形で法案の大幅な改革といいますか、内容の法案も提案をさせていただいておりますし、この普及の検討会の報告書もございます。そういう意味では、かなりこの普及の内容を変えていくということでございます。  端的に言いますと、一つは、その機能として、高度技術への支援、それからまたコーディネート、それから試験研究機関農業大学校との一体的な取組、また民間との連携、積極的活用、普及職員の資質向上等々の項目におきまして見直しが必要だというふうに考えております。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 検討会報告で示された内容が非常に問題だと思うんですけれども、その報告で、普及の基本的な性格を高度な技術支援というふうにしているために、多様な就農者等の技術レベルの底上げのための支援というふうに言っていますね。これは公的普及事業の対象とはしないという結論付けているわけです。局長は、衆議院の質疑の際に、コーディネーター機能があるので、先進的な経営以外の多くの農業者が協同農業普及事業から排除されるようなことはないんだという趣旨の答弁をされたと思うんです。  しかし、この検討会報告は、その部分は非常に分かりづらいわけですけれども、コーディネートというのはあくまで新技術を効果的に浸透させるんだと、担い手を中心とした産地育成を図るためなんだと、担い手に対する総合的な支援体制を構築する観点からのものだと。コーディネート機能も、一義的には先進的経営体であって、担い手を中心としたものになるということが示されているわけですけれども、そういうことなんじゃないんですかね。
  111. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 普及の今回の重点の中で一つの柱が、今も申し上げましたように、地域農業をコーディネートしていく業務と、こういうことで位置付けております。これは正に、担い手のみならず、地域全体に新技術を効果的に浸透させるということで図られる農業の振興、地域農業の振興というものがあるわけでございます。  例えば、端的な例で言いますと、水田農業、こういったものを考えますと、これは非常に多くの方々によって担われていると。もちろん、中核となる経営に集中をするという地域もあるわけですが、今回基盤強化法の中で位置付けをしました集落営農、そういった形で今後地域農業を再編成していくと。今、米対策の中で地域水田農業ビジョンというものを作って、こういった形での地域農業の振興、こういうものも図っていこうという大きなうねりがあるわけでございますが、その中で、正に普及も、技術的な面、また普及は県の職員という公的な側面がありますので、いろんな関係機関を結集していくという、そういう中心となって、そういう力を合わせていく核になれるということで、そういう面を含めてコーディネートという機能を想定をしております。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 そういうふうにおっしゃるわけですけれども、検討会の座長であった高橋正郎さん、雑誌、「DAIRYMAN」という雑誌の七月号でこういうふうに言っていますよね。農地の所有と利用を分離して先進的な経営体に集積させ、利用させることがコーディネーター機能なんだというふうに言っているわけです。つまり、先進的経営体のために農地集積するのがコーディネートだと。  これ、法改正の基になった報告をまとめた責任者の理解ということだと思うんですね。これは、その他多くの農業者は結局技術支援の対象ではなくて、普及事業の対象とみなさないという方向になっていくんじゃないかと。普及事業を大幅に縮小、後退させていく方向になるんじゃないかというふうに言わざるを得ないんですね。  報告の中で、新たに農業を開始する者、つまり新規就農者について、普及職員でなければ対応できないものではないという形で、農協と役割分担、連携を図るとしています。農協の営農指導が手薄で民間の活用が困難な段階でも、普及組織がかかわる場合も、新規就農青年に対してその発展段階に応じて指導農業士制度を積極的に活用するとなっています。この報告に基づいて運用指針の見直しを行えば、新規就農者への技術支援というのは公的普及事業の対象としないことになりかねないんですね。十三日の参考人質疑でも、この新規就農者に対する普及によって、技術支援の重要性という問題や、地域への定着のために普及が果たす役割ということが非常に語られました。新規就農者については国が責任を持つべきで、やっぱり従来以上にこの育成や定着のために責任を尽くすべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  113. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 協同農業普及事業につきまして、これまでも新規就農者につきましては、都道府県青年農業者等育成センター等とも連携して就農相談活動、あるいはまた就農に当たりまして栽培技術の習得や就農後の技術の定着向上、あるいは経営管理に関します濃密的な指導を行うなど積極的に支援を行ってきているところでもあります。  新規就農者にとりましては技術の習得が重要な課題であることから、今後も、普及事業重点課題として、将来の担い手となり得るような新規就農者や農業後継者の育成につきまして位置付けているところでもありますので、具体的には、技術専門家集団であります普及組織、農業大学校、あるいは青年農業者等育成センター等の関係機関とも連携をいたしまして、就農前、就農時、あるいはまた就農後にわたる継続した技術指導や経営改善支援、そして早期営農の定着化などに積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 最後に、青年就農促進法の問題について質問します。質問というか、この促進法の改正については我が党もこれは賛成であります。  一点要望しておきたいんですけれども、この新規就農者数についていえば増加傾向にあるわけですけれども、しかし、高齢化などによって、離農者をカバーするということになると、これは遠く及ばないというのが今の実態だというふうに思います。  新規就農者の確保が待ったなしだと、本当に重要課題だというふうに思うわけですけれども、最近では農家出身でない新規参入者が増える傾向にあるわけですね。意欲は非常に高いと。しかし、農家出身者が経営を継承する場合とは違って、資金もないし農地技術もないと。就農に必要な経営基盤や生活基盤、これも新たに確保しなきゃいけないわけです。そういう意味では、非常に経営維持のためのハンディキャップというのが大きいわけです。スタート時点のハードルをやっぱり少しでも低くするというのは、国や行政の責任でもあるというふうに思うんですね。  地方自治体でこの新規就農者を確保するために、やっぱり国の就農支援資金だけでは不十分だということで、非常に地方も厳しい財政状況の中ですけれども、そういう中でもこの支援資金の償還免除の制度や、それから独自に助成制度を設けているところ、これがたくさん今出てきているわけです。そういう自治体で就農者が実際増えているというのも事実だと思うんですね。やっぱり国としてこの新規就農者に対する助成制度を設けるべきだと。これは大臣の決意にも懸かっているというふうに思うんですけれども、最後に大臣、お願いいたします。
  115. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農業後継者以外、いわゆる農外からの新規就農者、農家の子弟の就農に比べまして、農地の取得やまた資本整備のみならず、農業技術経営ノウハウの習得や、あるいはまた農村社会への定着、そういう面でハードルが高いわけであります。このために、これらの課題に対応して就農後に早期に定着をしていけるような支援をしていくということは重要なことと、こう認識をいたしております。  農水省といたしましても、新規就農と就農キャリア形成プログラムの推進事業等によりまして、農業者大学校におきます就農後研修や農業改良普及事業による農業技術経営ノウハウの習得への支援、あるいはまた土地の習慣やあるいは社会全般にわたる相談、こういう面での先輩就農者や指導農業士等の就農サポーターによります経営定着までの支援体制の整備の問題、あるいは四Hクラブ等々の活動、新規就農青年相互の交流に対します支援、あるいは加工、流通、こういう面での消費者との交流活動の促進によります販路の確保支援、このように政策をいろいろ推進して、今後とも新規参入者が、新規就農者の就農の早期の経営定着が図れるように支援をしてまいりたいと、このように考えております。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  117. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、反対討論を行います。  反対の第一の理由は、農業委員会の必置基準面積の算定から生産緑地以外の市街化区域内農地面積を除外することは、三大都市圏の市街化区域を抱えている自治体から農業委員会を廃止することを促進することになり、その結果、都市農業の振興に障害をもたらすことになるという点であります。  反対の第二の理由は、農業委員会の法令業務以外の任意業務について、農地に関する業務及び農業経営の合理化に関する業務に重点化することは、農業委員会の本来の発展方向ではなく、政府・自民党の農業構造改革路線の実施部隊に農業委員会を据えることになり、認めることはできないという点です。  また、選挙委員の下限定数の条例への委任は、農業委員会における選挙委員役割を低下させ、今後の農業委員の公選制の廃止に道を開くものであり、賛成することはできません。  以上です。
  119. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより順次三案の採決に入ります。  まず、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  121. 小川勝也

    小川勝也君 私は、ただいま可決されました農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、農業の持続的発展及び食料の安定確保に向け、優良農地確保し、意欲ある担い手の育成を推進する農業委員会が、その機能を十分に発揮できるよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 農地制度に関する業務の全国的な統一性、公平性、客観性を確保し、力強い農業経営を確立するため、今後とも、独立した行政委員会としての農業委員会必置規制を堅持すること。  二 農業委員会の必置基準面積の見直しに当たっては、農業委員会優良農地確保と有効利用に果たす役割、法令業務の実態、市町村合併の進捗状況等に十分配慮し、適正に決定すること。  三 農業委員会農地や担い手をめぐる諸課題に的確に対応し、活力ある地域農業を実現するため、女性をはじめ、青年農業者、意欲ある担い手等多様な人材が農業委員に積極的に登用されるよう取り組むこと。  四 市町村合併の進展に伴う農業委員の活動の広域化等に対処し、農業委員役割が十分に発揮されるよう、その資質の向上と協力体制の整備に向け、必要な支援を行うこと。    また、市町村、農協、普及センター土地改良区等との役割分担の明確化と、連携の一層の強化に努めること。  五 農地に関する業務と農業経営の合理化に関する業務への重点化が図られる農業委員会の任意業務については、地域の多様な農政課題に十分対応できるよう、その制度運用に努めること。  六 食料安定供給に不可欠な優良農地確保、担い手の育成等、農業委員会の果たす役割の重要性にかんがみ、農業委員会交付金については、農地に関する業務の厳正かつ適切な執行に支障を来たすことのないよう、その在り方を検討すること。  七 食料農業・農村基本計画の見直しに伴う担い手・農地制度の検討に当たっては、農業委員会が果たす役割を踏まえ、望ましい農業構造・土地利用の実現、意欲ある担い手の確保を旨として、検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  122. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、小川提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、亀井農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀井農林水産大臣
  124. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
  125. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 次に、農業改良助長法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、羽田君から発言を求められておりますので、これを許します。羽田雄一郎君。
  127. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私は、ただいま可決されました農業改良助長法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、高度な農業技術普及農業経営改善地域農業の活性化など、我が国農業の持続的発展及び食料の安定確保に果たす協同農業普及事業役割の重要性にかんがみ、協同農業普及事業の積極的展開が図られるよう、次の事項の実現に努めるべきである。  一 協同農業普及事業は、農業の持続的発展に不可欠な農業技術普及する事業であることから、今後とも、普及職員の必置規制を堅持すること。    また、普及指導センターの設置に当たっては、普及指導員が農業者等にサービスを提供する活動拠点として十分機能するよう、都道府県に対して、組織体制の整備充実に必要な支援を行うとともに、協同農業普及事業に対し、高度な見識と経験を有する者が普及指導センター長として配置されるよう、十分配慮すること。  二 協同農業普及事業の運営に当たっては、農業者等の高度技術導入経営革新ニーズに対する的確な対応、市町村、農協等と連携した地域農業のコーディネーターとしての役割等を普及指導員が十分果たせるよう、普及指導員の資質の向上に努めること。    また、新規就農者に対する研修教育の一層の充実を図ること。  三 普及職員の一元化に当たっては、普及指導員に求められる役割及び能力の確保に配慮しつつ、資格試験制度を構築するとともに、普及指導を継続的かつ安定的に実施するため、現職の改良普及員普及指導員への移行については、これまで地域農業の振興等に寄与してきた実績を十分に勘案し、円滑に行われるよう配慮すること。  四 普及手当の上限規定の廃止に当たっては、今後、普及指導員に一層高度な役割が求められることから、意欲的かつ優秀な人材の維持・確保を図る観点に立ち、都道府県において普及手当の適正な支給が行われるよう努めること。  五 協同農業普及事業交付金については、農業の持続的な発展及び食料の安定確保普及事業が果たす役割、協同農業普及事業における国の責務、国と都道府県との役割分担の重要性を踏まえた上で、都道府県の協同農業普及事業への対応も考慮して、その在り方を検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  128. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいま羽田君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  129. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、羽田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、亀井農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀井農林水産大臣
  130. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
  131. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 次に、青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  134. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。亀井農林水産大臣
  135. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  畜産の振興を図るため、農林水産省といたしましては、従来から、家畜の伝染性疾病の発生の予防及び蔓延の防止に努めてきたところであります。  しかしながら、高病原性鳥インフルエンザの発生に関し、農家の届出が行われず、生きた鶏の出荷先で感染が拡大するといった事例が生じました。また、本病に関しては、広範囲かつ長期間の移動制限が必要となることから、移動制限の対象となった農家の経営に大きな影響が生じたところであります。このような状況を踏まえ、届出義務違反に関するペナルティーを強化するとともに、移動制限を受けた農家に対する助成措置を制度化するなど、より的確に蔓延防止が図られるようにするため、この法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、疾病発生時の届出義務違反に関するペナルティーの強化であります。家畜等の所有者に交付される手当金について、家畜伝染病の蔓延防止に必要な措置を講じなかった者に対しては、これを支払わないこととするとともに、家畜の所有者が届出義務に違反した場合の罰則を引き上げることとしております。  第二に、家畜等の移動制限を受けた畜産農家に対する助成の制度化であります。こうした畜産農家に対し、都道府県が売上げの減少額や飼料費、保管費、輸送費等を助成する場合には、国がその二分の一を負担することとしております。  第三に、都道府県の防疫事務の費用に対する国の負担であります。都道府県の防疫事務の円滑な実施を図るため、従来から国が負担しているものに加え、防護服等の衛生資材の購入費や賃借料、家畜防疫員が自ら患畜等の死体や汚染物品の焼却、埋却を行った場合の費用について、国がその二分の一を負担することとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  136. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会