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参考人(
種本博君) ただいま御紹介をいただきました
全国改良普及職員協議会の
種本でございます。
全国一万人の
普及職員の仲間を
代表し、
農林水産委員会で
意見を述べる
機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
私は、県へ入って三十四年になります。そのうち
普及員、それから
専門技術員として二十七年間
普及事業に携わってまいりました。今回は、
経営支援三法のうち
農業改良助長法改正案に限定し、
意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元のA3資料をごらんください。
まず最初に、
協同農業普及事業の意義と理念ということで、私
どもの考える協同
普及事業とは何なのか、
普及事業とはどういうものなのかということにつきまして、冒頭に簡単にその見解を明らかにしたいというふうに思います。
まず、意義でございますけれ
ども、
食料自給率が低下している
状況の中で自給率を
確保する、あるいは国土の
保全、
環境の
保全等につきましては
我が国農政の重要
課題でありまして、
全国で実施しないと効果が低い
業務だと言うことができると思います。そういう面で、国と県で実施することによって効果が上がる、そういう事業であるというふうに私
どもは考えております。そういう意味で、今後とも協同としての
普及事業は是非とも必要というふうに考えております。
また、
普及員とは何なんだというようなことがよく聞かれるわけでございますけれ
ども、一言で言えば、
普及事業とは人づくりということが言えるかと思います。
現場主義に徹して直接
農業者に接した
地域密着型が基本となっております。その性格は、
技術実証等の科学的組立てという研究者的な側面と、それから
農業者の
自主性に働き掛ける、いわゆる考える
農業者を育てるという教育的側面を併せ持っております。そういった面では、補助事業等を行います一般行政とは性格が異なるものでございます。
そういった私
どもの
普及事業ではございますが、
平成十四年、
地方分権改革推進会議等からいろいろな
指摘がなされているわけでございます。国から
地方へといういわゆる
地方分権の流れの中で、私
どもの改良
普及事業につきましては、特に弾力的な事業
運営という
観点から、
普及員の
必置規制あるいは
普及員手当に関する規定の
在り方、交付金の
在り方、これらについて検討すべしというような
指摘でございます。
私たち改良
普及職員協議会といたしましては、新たな時代に即応した
普及事業を明らかにするということで、ここの下のところに出ておりますが、
調査研究委員会というのを、
平成十四年六月から十月の間に四回に分けまして学識経験者等を交えながら検討してまいりました。その内容がここに書いてあるようなものでございますが、特に
地方分権で
指摘がございました交付金については今後とも
堅持すべしとの見解であります。
普及指導水準の維持のために、必要
経費として国は交付金というものを払うべきだというような考え方でございます。
本県の実態によりますと、交付金の九二%までが私
ども改良普及員の人件費等に充てられております。
全国的にも九割以上が給料等になっているという
状況から考えていきますと、交付金が削減されるということになってきますと、今、
地方財政非常に厳しいという
状況の中では
普及員数そのものが削減されると、そういうおそれがございます。是非とも交付金制度の
堅持について御配慮のほど
お願いしたいと思います。
そういった中で、今回の助長法の
改正案が出されたわけでございます。大きくポイント的には三点に整理できるかと思います。一点目については、これからの
普及事業の
在り方を示したものだというふうに思いますし、また二点目、三点目については、
地方分権の流れの中に
対応したと、そういうようなことだというふうに理解しております。
私
ども、時間の関係もありますので、助長法の中身については割愛させていただきますが、右の方に
改正案に対する
意見ということでそれぞれのポイントごとに
意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
今、
普及現場で問題になっていることですが、本県の例を基に考えてみたいと思います。
石川県には、天皇杯を取ったとかあるいは農林水産大臣賞を授与されたというような、例えばぶった農産とかあるいは六星
生産組合など、
全国に誇れる
経営体が育ってきておりますが、このような
経営体が今
普及に求めているものは何だということで見たときに、一つは迅速な問題解決が求められているということでございます。また、高度で多様なニーズが非常に多くなってきているということでございます。
先般、こちらの方にも行きまして、今、
課題は何かということでお聞きしてきたわけでございますが、消費者に合った有機農産物等をそれぞれ違った角度で栽培したいというのが今彼らの共通したような意識であったように思います。そのように、それぞれ違いますけれ
ども、かなりニーズとして高度なものを要求するようになってきているというのが実態でございます。
また、石川県能登半島等の中山間
地域等では、
地域の合意形成作りというのが非常に重要になってきている。また、
普及の内部におきましては、
普及員数が非常に
減少してきている。私
どもが入りました昭和四十五年当時から見ましても約三分の二ぐらいに
普及員の数が減っている。また、最近では、
普及業務に専念できないといいますか、非常に仕事が幅が広がっている、そういうような実態もございます。
そういった中におきまして、まず
普及員と
専門技術員の一元化の問題でございますが、
普及員の
必置規制はまず基本的には必要であるという前提の中で、今後
普及員と
専門技術員が一応一元化することによりまして、先ほど言っておりました迅速化、いわゆるスピードアップが必要である、そしてまたハイレベルな
普及員が必要になってくる、そういうふうに思っております。そして、そのことにより、高度
技術支援の強化ができるんではないかというふうに思っております。
先ほどの六星
生産組合の例でありますと、最近六十ヘクタールを超えた水田
農地を栽培どうするかということで、いかに稲作の低コスト化を図るかということが
課題になっておりますが、試験研究との
連携の中で現在直播栽培に二年前から取り組み、その結果、現在約三分の一で直播栽培が定着するようになってきた、そういうことを見ましても、これから高度
技術支援というのは非常に大きな柱になっていくというふうに思っております。
また、最近、御
承知のとおり、新たな米
政策等が大きな俎上にあるわけでございますが、これらをやるために、昨年来、私
ども改良普及員としましては、集落座談会ということで夜な夜な現地に出ましてその意義等について語り掛け、そして
地域に合った形の水田
農業の確立ということで
推進をしてまいりました。
その結果、
普及の結果もありまして、集落営農というのが非常に最近増えてきているわけですけれ
ども、更に今回の米
政策の中ではもう一歩ステップアップする、いわゆる集落型の
経営体へ持っていくということが必要になってくるわけでございますが、
市町村であるとか、あるいは
土地改良区の、
農業委員会の皆さん方、そして
JAの皆さん巻き込んだそういう中でそれらをやっていく必要があるわけでございますが、私
ども改良普及員としては、そのコーディネート役としてその
機能がますます重要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
また、
普及指導対象の
重点化の問題でございますが、仕事が非常に拡散しているというようなことでございます、効率的、効果的な
活動をするためにも今後とも必要であろうというふうに考えております。
それから、二番目の
普及センターの
必置規制の問題でございます。
この問題につきましては、
法律上
必置規制がなくなるというのは
地方分権の流れの中ではやむを得ないというふうに考えるわけでございますが、今後とも、この
趣旨に基づき、
活動の拠点が明確になるよう十分な御
指導を
お願いしたいというふうに思っておるところでございます。
そして、三点目の
農業改良
普及手当の上限規定の
廃止の問題でございます。
普及員と専技が一元化される過程で、
法律上、上限規定がなくなることはやむを得ないというふうに考えるわけでございますが、新しい
普及指導員は、高度
専門家集団としての資質の
確保、そしてまた、先ほど述べましたように、教育的、研究的側面を兼ね備えた性格から優秀な
人材が求められておりまして、意欲的な
人材を
確保するためにも一定の
普及手当の支給が不可欠と考えているところでございます。
私
ども、改良
普及職員協議会の調査結果によりますと、大学卒業で受験資格ができる五年目の給料、これを行政職と研究職、そして教育職と比較してみますと、一三%程度行政職が低いという差が生じてきております。したがいまして、
普及指導員の
確保の
必要性を踏まえて、
普及指導員手当の目安とすべきと考えております。
普及指導員手当の
確保の
必要性を踏まえて、国の適切な御
指導と御配慮を切に
お願いするところでございます。
今回の助長法
改正を契機といたしまして、
農業者の高度で多様なニーズ並びに
地域農業活性化への
対応にこたえるため、これまで以上に頼りにされ、そして意欲的な
農業者の周りには元気な
普及員がいる、このような
普及活動が
推進できるよう、今後とも
普及事業の根幹であります
普及員手当については維持していただきたいというふうに思っております。
普及事業に対する一層の御理解と御
支援を賜ることを
お願いしまして、終わりといたしたいと思います。どうもありがとうございました。