運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-11 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     上野 公成君      松山 政司君     木村  仁君      池田 幹幸君     市田 忠義君  四月二十八日     辞任         補欠選任      上野 公成君     加治屋義人君      木村  仁君     松山 政司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 羽田雄一郎君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 市田 忠義君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        農林水産省総合        食料局長     須賀田菊仁君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君        農林水産技術会        議事務局長    石原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業委員会等に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農業改良助長法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○青年等就農促進のための資金の貸付け等に関  する特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る四月二十七日、池田幹幸君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事加治屋義人君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案農業改良助長法の一部を改正する法律案青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会警察庁刑事局長栗本英雄君、農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君農林水産省消費安全局長中川坦君、農林水産省生産局長白須敏朗君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産省農村振興局長太田信介君及び農林水産技術会議事務局長石原一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案農業改良助長法の一部を改正する法律案青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 段本幸男

    段本幸男君 自民党の段本でございます。トップバッターとして質問させていただきたいと思います。  まず、経営支援三法に入る前に一問だけ大臣に、大阪肉連牛肉偽装事件についてお伺いしたいというふうに思っております。  BSEの牛肉買取り制度については、もう既に二年前、十四年一月に雪印食品で発覚しました。その後も日本食品とか日本ハムとかいろいろ発覚して、そのたびに農林省もいろんな調査をし、いろんな形で対応されてきた、こんなふうに思うわけです。  しかし、またしても今回、大阪食肉事業協同組合連合会、そしてさらに全国同和食肉事業協同組合連合会ですか、この二つの不正事件大阪府警によって摘発された、こんなふうな状況にあるというふうに思うわけですが、国民から見れば、もう既に二年前にそんなことが発覚し、その後も検査し、調査し、いろいろやってきたにもかかわらず、またぞろこんな事件が出てくる、もううんざりだ、こんな気持ちではないかというふうに思っているんですね。せっかく今まで農林水産省始め政府の方も、食のやはり安全、安心についてはきちんとやらなきゃいけないということで、食品安全委員会であるとか農林省内部組織改正であるとかいろんな形で信頼を積み上げてきた、その信頼の積み上げがまた根底から崩れかねないような状況にあるんではないか、そんなことを心配しております。  そこでお伺いしたいんですが、BSE対策の牛肉買取り制度というのはそもそも制度そのものにどこかに欠陥があった、これだけ事件が続発するというのはどこか欠陥があったんではないか。あるいは、今回逮捕されたハンナンの浅田会長は、昨日のたしか日経新聞だったと思いますけれども、日経新聞によると畜産業界のドンだと、こんなふうな用語で書いてありましたけれども、運用面においてややもすると農水省そのものが身内に対して若干甘いんじゃないか、そういう見方もされかねないような状況ではないか、こんなふうなことを危惧しております。  今、鳥インフルエンザ問題が起こって、若干状況は違うかもしれませんが、例えば移動制限区域内の卵の買取り制度とか、似たようなことがこれから対策として打たれようとしておりますけれども、やっぱりこういうことがまた起こるんではないかという国民は非常に不信感を持っていると思うんですけれども、こういうことが再発しないように、農水省としては、農林大臣としてどのようなことをお考えなのか、その辺の対策をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘のとおり、今回の事件、これもこれまでの偽装事件と同様、当初の保管事業、この申請段階での偽装が行われていた疑いが強い、このように考えておるわけでありまして、そういう面で、当時、BSE頭検査体制確立前の多量の在庫牛肉を極めて短期間のうちに市場から隔離をし、そして消費者の不安を払拭すると、こういう措置として行われてきたわけでありまして、本当に、あらかじめ防止できなかった点、このことにつきましては大変誠に遺憾に思っておるところでもございます。  その後、食肉流通問題調査検討委員会、ここにおきまして報告書ちょうだいをいたしておりまして、事業仕組みやあるいはまた実施手法に不十分、不徹底な点があったこと、補助要件に適合しない事例や偽装を誘発したと、このような批判を受け、この検討委員会での報告を受けたわけでありまして、御協力ちょうだいいたしまして、牛肉トレーサビリティーシステム確立あるいは普及、あるいはまた食品関連法規の遵守の徹底、取締りの強化、コンプライアンスの推進等、こういうようなことで全力を挙げておるところでもございます。  当面、今回の事件につきましては、捜査当局の事実究明に全面的に協力をするとともに、今後こうした批判を招かないよう、補助事業創設、また執行に当たっては適切に対処してまいりたいと。  特に、この報告書ちょうだいをいたしまして、新しい組織、さらには省内の職員意識改革、このことを私は強く指示をして、二度とこのようなことの起きないように今努力をさせておるところでもございますし、今回このような事態が、またこうして捜査当局捜査を受けている、このことにつきましても、更に私どもはその徹底ということを十二分に職員意識を持ってしっかり対応するように頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  10. 段本幸男

    段本幸男君 大臣おっしゃるように、やはり国民農水省取組姿勢が非常に安全、安心につながるようなことを見ているんではないかというふうに思います。職員意識改革をなさるというお話でした。是非その点をいち早く取り組んでいただいて、国民信頼を取り戻していただきたい、このことをお願い申し上げておきたいと思います。  それでは、農業委員会法についてまず御質問させていただきたいと思います。  農業委員会法というのは昭和二十六年に制定されたというふうに伺っておりますけれども、当然、昭和二十六年のときの日本の農業とか農村を取り巻く状況と現在の状況とはもう根本的に恐らく違っているだろうというふうに思うわけですね。一体、その昭和二十六年にできた法律が、なお今日的に改正して持っていこうとする今日的な役割、その辺についてお伺いしたいと思います。  特に、今回、必置規制について今回の改正で外しましたけれども、農業委員会そのものをあえて残すようにされた、その辺についての根拠をお伺いしたい。特に、農業委員会そのもの行政やJAでできない、その辺の理由をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  11. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農業委員会、今、委員からも御指摘のとおり、昭和二十六年に創設をされまして、いわゆる農地施策執行あるいは推進機関として発足をし、創設当初は農地改革成果維持権利移動統制等役割等を担ってきたわけでありますが、今日では国際化が進みまして、また、食料安定供給に向かって優良農地の確保や耕作放棄地の解消、担い手への農地利用集積農業経営法人化など構造政策を進める上での役割が高まっておるわけであります。  農地に係る構造政策推進に当たりましては、農家の農地へのこだわりや農村社会の特質を踏まえる必要がありますが、農地権利調整や、また効率的利用推進を図る、市町村が直接担うことは人員の面やあるいは実態の面で困難が伴いまして、また効果的でないと、こういう点。このため、農業者主体合議体として農業者の信任の下で組織され、公平、客観的に農地政策を遂行できる仕組みとなっております農業委員会は、今日もその設置につきましては重要な意義を有しておると、このように思っております。  そういう中で、地方分権推進観点から、市町村自主性拡大を内容とする法案提出したところでございまして、農業委員会設置につきましては、私、今いろいろ申し上げましたが、引き続き原則として市町村必置機関としての必要と、これからいろいろ、先ほども申し上げましたが、いわゆる権利関係の問題、基本計画の中に農地制度の見直しのことも今諮問をしてお願いをしておるところもございます。そういう中で、不耕作地域遊休農地問題等々いろいろあるわけでありますし、そういう面では農業者自体、そういう中でいろいろお仕事をしていただくという役目は十分あると、このように認識をしております。
  12. 段本幸男

    段本幸男君 私も、農業委員会、今日的意義は、今、大臣もおっしゃったように、農業者合議体として、やっぱり今々の観点に立って物を見れるような組織になって、脱皮していって役割を果たしていく、それは非常に重要なことではないかと思っているんですね。  その視点から見れば、一つとして、私は女性問題は非常に重要ではないかというふうな感じがしておるんです。現場で見れば、大体就農者の半分以上は女性現場出るともう大変女性が多い。しかも、現地いろいろ見せてもらうと、大体女性の元気なところほど地域も元気、青空市場があったり、いろんな形で活躍されているのは事実だというふうに私は見てきました。かてて加えて、今、食の安全、安心問題が問題になっているように、やっぱり女性の感性みたいなものが非常に大事になっているんじゃないか、こんなふうに思うんです。  しかし、そういう現場状況と、例えば農業委員会人たちのいろんな役員就任されている状況なんかを見ていると、おおよそ実態とは懸け離れた状態にあるんではないか、こんなふうな感じもするんです。  実は、先ごろ、ここ、隣におられる太田議員の、農業会議会長の御推薦も受けて、福島県の飯舘村というところに行ってまいりました。衆議院でもたしか参考人でお話しされたようですけれども、佐野ハツノさんという方とお会いしてきました。この方が飯舘村の農業委員会会長をなさっているそうです。その佐野さんが言っておられるのに、私が会長になったことによって、村の女性が、飛び回っていろいろやっていると、いや、我々もやらなと言ってあっちの主婦もこっちの主婦も動き出して、いろんないい形が大変出てきた、やっぱりこういう結果をうまく生かしていきながら元気ある村づくりを進めたい、こんなふうなことをおっしゃっていました。やっぱり農業委員会辺りに是非とも役員の中にどんどんそういう意見が酌み取れるようにしてほしい、こんな要望がありました。私も全く同感でした。  こういうものに対して、農林水産省としてはどのように指導されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  13. 市川一朗

    ○副大臣市川一朗君) 全く同感でお聞きいたしました。実は農林水産省男女共同参画推進本部というのを作っておりまして、たまたま私本部長でございますが、考え方、今、段本先生言ったようなことを盛んに申し上げながら、今一生懸命そういった方向で取り組んでいるところでございます。  農業委員会に関しましては、十三年度以降だと思いますが、全国農業会議所中心といたしまして農業委員会系統組織改革プログラムというのがあるわけでございますが、その中で、「組織体制適正化」の中で、「地域農業農村を担う多様な人材の農業委員への登用」の中で、女性農業委員を積極的に登用すべきであるというようなことで、今、太田先生会長でございますが、一生懸命取り組まれておりまして、その成果それなりに具体的に現れてきているんじゃないかなと思っております。平成十一年、九百七十七人でございましたが、平成十四年現在で二千二百六十一名と倍増以上しておりますので、それなり成果は出てきていると。  ただし、全体の構成員で見ますと、二千二百六十一人に増えましたが、なお三・九%でございますので、道まだ遠しというつもりで頑張りたいと思います。
  14. 段本幸男

    段本幸男君 是非行政が後押しすることによって加速的に推進していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  次に、公選制度のことについてお伺いしたいというふうに思います。  農業委員、今、公選制度になっているわけですけれども、これは恐らく、農地の転用なんかを審査するに当たっていろんな意味でやはり公平な立場で物を判断できる人、こういう観点からなされているんじゃないかと思うんですが、かつて農地価格が相対的な意味合いで非常に高くて財産的な意味合いが非常に強い、そういう時代ならまだしも、今は非常に農地価格が下がってきて、そんな農地の財産的な価値というのは必ずしも高くなくなってきている、そういう折に、公選するために大変大きな労力、悪く言えば無駄な投資がなされている、こんなふうに見受けられないこともない。  なお今日時点において公選制維持しなきゃいけない、今回の改正でもそうなっているんですけれども、その理由はどんなところにあるんでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  15. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えをいたします。  農業委員会の主たる任務が農地利用集積等権利調整業務にあるわけでございます。農地というのは、これは改めて申すまでもございませんけれども、農業者の財産でありまして、基礎的な生産手段となっております。こういったものにつきまして、地域農業者意向等を十分に反映しつつ、委員も御指摘ございましたように、客観的に、また公平性を確保しながら実施していくということになりますとそういう仕組みが必要でございます。そういう仕組みとして独立の行政委員会として市町村設置されるわけでございますが、この組織運営自体、やはり民主的に選ばれた農業者代表によってなされるということが今日においても適切であろうということで、農業委員会の基本的な性格を踏まえまして、農業委員会選挙によります委員根幹として構成されるべきというふうに考えているところでございます。  そういうことで、この今回の法案を出すに当たりまして、懇談会といいますか、研究会で御議論いただいたわけでございますが、その中でもこの公選制については議論がございましたが、現時点においてはまだやはりこれを維持しつつ今後とも検証をするということで結論をいただいております。そういうことで、引き続き公選制維持していきたいというふうに考えておるところでございます。
  16. 段本幸男

    段本幸男君 若干私自身は、特に市町村合併が行われたりすると大変大きな区域内で選挙をやらなきゃいけないとかいろいろ煩雑も出てくる、いろんな社会の変化はあるんじゃないかと思いますけれども、引き続き我々もウオッチングしていきたい。農水省是非ウオッチングしながら機動性のある行政を目指していただきたい、こんなことをお願いしておきたいと思います。  次に、農業会議というか、農業委員会の全体の規模についてお伺いしたいんですけれども、規制改革会議始め内外からとにかく農業委員を減らせ、全体数を減らせと、もうただそれだけを言われているんですけれども、本当は必要なのは、単に見掛けのそんな、多いから減らせ、農業者に比べてどうだからこうだというだけではなくて、実態の論議で、農業委員会がどういう役割を果たしていって、それのためにはどういう規模がやっぱりふさわしいんだ、こういう辺がやはり行政さる側ビジョンとしてあってしかるべきじゃないかと思うんですが。  今回の中でも、全体はいろいろ、行政改革会議とかいろんなところの兼ね合いで裏ではいろいろ取引なさっているんでしょうから表には出せない部分もいろいろあるんだろうと思いますけれども、それにしても、おおよそ農林省としてどういうビジョンを持ちながら農業委員会を引き続き維持しようとされているのか、その辺について、差し障りない範囲でお聞かせ願いたいというふうに思います。
  17. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) スリム化の問題でございますが、現在の選挙委員定数は十人から四十人の間で条例で決めるということになっておりまして、今回、この下限の十人、これにつきまして実態を見ますと、約三分の一の農業委員会におきましてこの十人に張り付いているというのが実態でございます。また、アンケートの結果から見ましても、この十人について、認められれば引き下げたいという意向も約半数以上の、六割近い農業委員会が持っていらっしゃるということが、市町村が持っていらっしゃるということがございます。そういう意味もございまして、今回、この下限の十人という定数は撤廃をして、市町村自由性拡大自主性拡大という意味条例市町村が定めるということにしてございます。  しからば、その下限を取っ払った、廃止した場合に、全体、どういった規模が必要かということでございます。  これにつきましては、現在の規定の中で区域内の農地面積あるいは農業者数に応じて定数の上限を決めてございます。具体的に申し上げますと、区域内の農地面積が千三百ヘクタール以下、また基準農業者数が千百人以下であれば二十人以下というふうに決めておりますし、千三百ヘクタールから五千ヘクタール、それから基準農業者数が千百名を超えて六千名以下であれば三十名以下、五千ヘクタールあるいは農業者数が六千人を超えれば四十人以下というふうに決めておりまして、これについては維持をしたいというふうに考えておりまして、その中で市町村の判断で適正に決めていただきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  18. 段本幸男

    段本幸男君 余り合理化とかそんなんだけにとらわれずに、実態的にやっぱり地域が活力を失わないように是非いろんな形で行政指導をお願いしたいと思います。  次に、農業委員会について私が見させていただいた限りでは、ややもすると今までの農業委員会は、地域に対する土地利用の、適正利用の本来そういうビジョンを持つべきところが、ややもするとそういう地域適正土地利用に関するビジョンを持つようなことが薄かったんではないか、こんなふうなことを感じるわけですね。このことがあったがために、あるいは政治的な横やりもいろいろあって、あの農転を何とかせいなんというような話があったもんだから、そういうこともあって土地が非常に現在の状況ではスプロール化してしまって、地域がうまくまとめてやるのに使いにくいような形になっていって不都合を生じている、こんな地域がもう全国至るところで見られるんではないかというふうに思います。  もう一度、本来、農業委員会が、いや、この地域はこういう土地利用でこういうふうにやるんだという業務をしっかりやるべきと考えるんですが、今回の改正ではむしろこの部分農業委員会業務からは外されたというか、まあやってもいいんでしょうけれども、法律からは、やらなくてもいい業務、必ずしもやらなきゃいけない業務にはなくなってしまった。こんなことで本当に農業委員会役割が果たせるのかどうか、今回の改正目的はこれでいいのかどうか。根幹にかかわるところですが、お教え願いたいと思います。
  19. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 適正な土地利用を確保していくという意味では、農業委員の方々の知識、経験、それから資質の向上、農地法その他の関係法令、また地域農業ビジョン、そういうものをしっかり踏まえて対応していただくことが重要だと思っております。  ただ、御指摘の、現行規定の中に置かれております農業農村振興計画樹立という業務を今回削除したわけでございますが、これは、農業委員会中心となってこういうものを作っている例というのは極めて少ないわけでございまして、むしろ市町村とかそういう行政主体計画を作成する場合に、農業者代表として計画樹立協力をする、あるいは意見の公表をする、あるいは建議を行うと、こういったケースが圧倒的に多いわけでございます。そういう実態を踏まえまして、またかつ、今回、活動を重点化するという中ではやはり一番重要なのは本来のその農地に関する業務ということでございますので、そこに特化をするということでの重点化を図ったわけでございます。  ただ、御指摘のように、地域農業ビジョンへの参画というのは非常に重要でございますので、引き続き、意見公表でありますとか建議でありますとか、そういう中でしっかり対応していただきたいというふうに思っているところでございます。
  20. 段本幸男

    段本幸男君 今の局長の御意見を聞いていると、何となく中途半端なような気がすごくするんですね。今、農水省は、新たな米改革が進められようとしていますし、また食料農業農村基本計画も見直しが正に進められている。そしてさらに、大臣の下に品目横断別の政策を進めるんだと。もう大きな大きな大転換期にある、こんなふうな感じを受けるわけなんです。そういう折にどうも小手先の改正だけでいいのか。もっと抜本的に、もうやめるならやめるでいいし、もうきちっとやるならやるという、基本的なものが必要なんではないか。  そういうものとの整合性、要するに、抜本改革をしようとしている割には今回の改正がどうも小手先のようで整合取れていないんではないかという印象を受けるんですが、その辺についての農水省のお考えをお聞かせ願います。
  21. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の農業委員会法の見直しにつきましては、かなり長いこと検討してまいりました。直接的にはいろんな地方分権の指摘等もあったわけでございますけれども、研究会を作りまして、この中にいろんな関係者の方、またいろんな、マスコミ含めていろんな方に御参加をいただきまして、徹底的に議論をしていただきました。十四年の十月二十八日に第一回の懇談会を開いて、そして約半年以上掛けまして報告をまとめたということで、現時点で非常に考えられることは徹底して議論していただきまして、その内容を今回の法案として盛り込ませていただいたということでございます。  もちろん、今、食料農業農村基本計画の見直しをまた行っているわけでございますが、今後、担い手なり農地制度がかなり大きく変わる中で農業委員会との関係が再度見直されるということはあると思いますけれども、現時点で我々としては最大限考えることを盛り込んでおるというふうに思っております。
  22. 段本幸男

    段本幸男君 もう一つ、個別問題でちょっとお伺いしたいんですけれども、以前私が、自分の住んでいる千葉県の四街道というところで、産廃の小規模の不法投棄地を見せてもらいに行ったときのことなんですけれども、そこに行ったら環境担当の人間が、いや、こういう産廃の不法投棄を取り締まるのはなかなか環境担当の我々だけでは難しいんだ、関係各省のいろんなもう規制法の、もうあらゆるものを駆使してやっていきたいと思っている、しかし県庁レベルでいって、例えば農地に捨てられているからどうしても農地法の関係とかそういう規制をうまくやってほしいんだけれども、なかなか農業委員会も動いてくれないし、県の農政担当も動かない、是非この辺を、もう少し農業委員会なんなりが動くようなシステムを作ってほしい、こんな要請がありました。  やはりそういう、社会的にいろいろ困って何かやってほしいというところ、きちっと役割果たすところにむしろ農業委員会がこれからもなお設置している意味があるんであって、国民に対してですね。そういう役割担うんじゃないかと思うんですが、その辺についての農林省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、産業廃棄物の不法投棄の問題、御指摘ございました。御指摘の中で千葉県の例に触れられましたけれども、正に千葉県は件数なり投棄量で全国ワースト一ということを聞いております。こういった不法投棄は非常に全国に広がっておりまして、非常に我々としても、優良農地の確保の問題、あるいは食の安全、安心の問題からも極めて重要な、またかつ重大な問題だというふうに認識をしております。  各地の委員会、これは全国いろいろ取組がなされております。非常に差がありまして、本当に熱心にやっていただいているところと、まあそれほどでもないところがあるわけでございますが、非常に熱心にやっていただいているところは、農地のパトロールでありますとか、それから農地の所有者に対する農地管理の指導、それから不法投棄防止のための啓発、また関係機関へそういう状況を迅速に通報して対策を協議するといったようなことでの対応をいただいているところもあるわけでございます。  今回、こういうことで改正をお願いをしておりますが、そういう意味で、優良農地の確保、あるいは耕作放棄地の解消、そういったものに業務重点化するということにさせていただきたいと思っておるところでございますので、今後、正に御指摘のような点を含めまして優良農地の確保に向けて非常に努力をしていく、また、そういうことで我々も支援といいますか、後押しをしていくということを考えたいと思っております。
  24. 段本幸男

    段本幸男君 是非社会全体が困っているということに対して狭い視点で見るのではなくて、やっぱり大きな社会問題に役割を果たすというところを目を付けながら御指導願いたいというふうに思います。  次に、農業改良助長法についてお伺いしたいと思います。  普及事業というのは、私が少し勉強させてもらったところでは、昭和二十三年にできて、それで当時は全国まだまだ技術がないところをできるだけ全国平準化していろんな技術が浸透していくように、こんなこともあって普及員が設けられ、普及事業が行われたと、こんなふうに伺っておりますけれども、今、状況はむしろ現代農業ではそれとは逆で、各経営体が専業化して一つの専門のことを深く掘り下げて、だれにも負けないナスビを作ると、こんなふうな全く縦の方向で技術を求められている、こんなふうな状況になっているのではないかと思うんですね。  全く視点が変わってしまっているような状況なんですけれども、今回の改正でこういうことが十分に酌み取られるのか、普及事業というのは一体今日的にはどういう役目を持たそうとされているのか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  25. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘の、昭和二十三年にこの協同農業普及事業、これが発足をし、いわゆる試験研究機関と直接農業者への橋渡しと申しますか、いろいろ試験研究機関で開発された技術を現場に合った形で農業者に普及をすると。そういう面では、かつては昭和二十年代の食料増産と、その後は園芸、畜産の産地形成や水田農業確立、そういうその時代ごとにいろいろの役割を果たしてまいりました。  最近でも、つい最近、私、宮崎県に参りまして、宮崎県で農家の方々が亜熱帯性のマンゴーの生産をされていると。大変気候が違うわけでありますが、その温室の中で本当に完熟マンゴーを生産されております現場に参りまして、大変感心をし、またその技術指導、それはやはり普及員の皆さん方の技術をいろいろ導入をして今日やっていると、こういうお話を伺ったわけでありまして、そういう面で、またあるいはいろいろスピード感を持った農政改革、この推進が求められる中、またさらに食の安全、安心、こういうことの確保や競争力のある担い手の育成等、農業構造の更なる改革、こういうことが必要なわけでありまして、そういう面で高度かつ多様な技術、知識、こういうものを的確に農業現場に伝えていくと。これは協同農業普及事業、こういうことであるわけでありまして、新たな農政の展開とその取組につきましては大変重要な役割を担うわけであるわけでありまして、今後ともこの新技術の導入や、あるいはまた経営改善の支援、そういう面で農政を推進する上におきまして大変重要な役割を果たすわけでありますので、これからも是非この協同普及事業が十二分に発揮できるような支援というものをしていく必要があると、このように思っております。
  26. 段本幸男

    段本幸男君 今おっしゃっているような、専門的なものに対しても対応できる、こんなふうなことになってくると、なかなか普及事業、いろんな、ずっと見ていると、もうそれはそう言ったって全部対応していくというのは非常に難しい状況にあるのではないか、こんなふうな感じがしています。  ところで、一方では学校が独立法人化、国立大学が独立法人化されたり、あるいは民間でもいろんな試験研究が進むとか、いろんなところで随分民間も農業に参入したいという思いを持って研究しているようなところはたくさんあるんですね。むしろ農水省は、そういういろんなところの力をかりて普及全体を見るようなシステムを作るべきではないか、こんなふうなことを感じるんですね。  例えば水耕栽培なんか見たら、既に水耕栽培では民間のいろんなノウハウをだあっと農家に指導してうまくいっているケースがある。そういった形を作ることこそがむしろ小泉総理のおっしゃっている民でできるところは民でという改革に沿うんではないかと思うんですが、農水省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  27. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 普及事業に当たりまして民間の力を活用していくべきではないかというお尋ねでございます。これはもう本当に御指摘のとおりだと思っております。確かに今回の改正の中で、一つの柱としまして高度化する技術に対応していくということでございますが、正に民間の世界で、御指摘にありましたような水耕栽培を始めとしていろんな、花卉栽培等では先端的な技術もございます。そういうものを民間でやっていただく分については積極的に活用していくということも非常に大事だと思います。  それからまた、今後、非常に企業的な経営をしていく、あるいはその販路を拡大していくという意味で、税務でありますとかマーケティング、こういったものにつきましては非常にその各世界での専門家という方がおられるわけでございまして、そういう方をアドバイザーとして活用していく、あるいはもう本当にその方々に本当にはまってやっていただくといったようなことが本当に大事だと思っておりまして、そういうことも今回の改正の全体の中では位置付けをしていきたいと思っております。  ただ、いろんな各分野の専門家がおられますけれども、必ずしも農業に明るくないといいますか、農業との接点といいますか、橋渡しの役を普及の方々が果たしていく、あるいはオーガナイズしていくという点も普及には求められているのではないかと思いまして、そういう民間活用が円滑にいくという意味での普及事業というものも必要かと思っております。
  28. 段本幸男

    段本幸男君 是非、弾力的な普及事業を目指して頑張っていただきたいと思うんですが、そういう視点でもう一つお伺いしたいんですけれども、先ごろ広島で普及関係の方とお話ししたときに、行政スリム化が求められて普及事業もどんどん細くなっている、そういう折に、各県の試験研究機関が全部いろんなメニューをそろえて事業をやっているけれども、なかなかそれでは対応できない。むしろ、例えば広島であれば中国全体を、各県がそれぞれテーマ決めて、おれのところは畜産、おれのところは果樹とか、いろんな形で分業システムにしながら、かつそれぞれの県がどこの試験場にでもいろんな形でネットできるようなシステムを作れば、今こういうIT時代だから十分できるんじゃないかと、こんなふうなことをおっしゃっていました。  やはり広域連携の形をうまく取って行政スリム化にやっていくべきだと、こんなことに対して農水省はどのようなお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  29. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) 地域の試験研究機関を効率的、効果的に推進するということでございます。  都道府県の試験研究機関、四十七都道府県各々持っております。また、国の独立行政法人あるいは大学、それから先ほどお話がありました民間等がそれぞれの研究なりをやっております。委員指摘のとおり、適切な役割分担の下、相互に連携を取りながら研究開発を進めるのが重要であるというふうに考えております。  都道府県の試験研究機関におきましては、各都道府県の農業の実情に合わせまして、例えば和歌山県ですと人員のもう半分近くは園芸関係ですとか、あるいは静岡県ですとお茶等に傾斜したような研究がなされております。  また、国の独立行政法人との関係で申しますと、各地域農業研究センターが北海道、東北、近畿と、こういうような形であるわけですが、そこにおきまして都道府県の試験研究機関を毎年度招集しまして、その地域における研究の方向、例えばお話がございました米の政策改革大綱に対応した研究を近畿、中国、四国でどうするかというような議論をしていただくような会議地域農業試験研究推進会議ということを毎年度開催しております。そういうことを通じ、また、これは研究資金制度におきまして、研究課題を公募して行う競争的研究資金制度ですとか、地域農業を総合的に確立するというような研究制度がございます。こういう中におきまして、複数の県の試験研究機関あるいは国の独立行政法人が各々分担しつつ研究開発を進めるということをやっておるところでございます。  いずれにしましても、今後とも、地域におきまして各研究主体なりが適切な役割分担の下、効率的な試験研究が推進が図られますよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  30. 段本幸男

    段本幸男君 是非お願いしたいと思います。  それと、感じることは、普及事業、私は全国見てきて、地域作りで一番大事なのはやっぱり人ではないかというのをつくづく感じております。やはり人がいなければ地域は元気を出さない、幾ら個人にいい技術があったって、やっぱりその人がうまく地域全体に技術を伝播するとか、そういうものでないといけない。技術だけを育てたって駄目で、人をやっぱり育てていくべき、こんなことを強く感じているんですけれども、普及のいろんな事業組織の在り方なんかを見ていると、必ずしもその点、まだ十分ではないんじゃないかな、こんな感じがしておるんですけれども、農水省はどのような指導方針でやっておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  31. 市川一朗

    ○副大臣市川一朗君) 普及事業の基本は、普及職員が直接農業者に接しまして農業技術や経営に関する実地の指導を行うということが基本だと思います。先ほど大臣も御答弁の中で、高度かつ多様な技術、知識を的確に農業現場に伝えていくというお話がございましたが、そういったところが一番基本だと思いますが、先生御指摘のとおり、これから農業を進める上において、やはり地域作りが大事であり、そのためには人づくりが大事で、それが、普及事業として考えますと、技術と経営という面も含めましてやっていかなきゃいけないということと連携してくるんじゃないかと思いますが、これからいろんな問題が出てくると思いますけれども、例えば、担い手を中心とした産地育成の問題とか、あるいは多様な農業者から成る地域営農集団等の組織化とか、あるいはこれから、私、集落営農の問題等が非常に大きくなってくると思いますので、そういった問題についていわゆるコーディネート化するといいますか、コーディネーターを育てていくという意味での普及事業がますます重要になってくるという認識を持って進めてまいりたいと思っております。
  32. 段本幸男

    段本幸男君 全く同感で、是非コーディネーター化されたような普及員が活躍してほしい、こんなふうに思っております。  ところで、普及事業についていろいろ見てきましたけれども、様々現地歩いていても意見あります。しかし、今回、センターの必置規制が外されることになりました。でも、私が全国でずっと見てきた感じから見ると、普及員の人たち、各地でもう一杯汗をかいて、そしてそういう人たちがやっぱり地域のエネルギーの原動力になっている、こんなふうなことを各地で見てきました。  ただ、もちろん、必ずしもすべての普及員がそうではなくて、要するに人によって随分変わってくる、こんなところもありますけれども、今、市川大臣もおっしゃいましたけれども、やっぱり普及員のコーディネーター的な役割みたいなものを更に一層増して、これからむしろ普及事業をうまく生かしていく、むしろ職員はもうこれからも農林省としては必ずずっと置いて、それを生かす方向での取組をむしろ助長すべき、この際、センターは外したけれども、やっぱりそういう形の意思だけは持っているんだというふうな指導方針が強く望まれるんではないか、私は全国回ってそんな感じをするんですけれども、大臣のひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘のとおり、私も地方に参りましても、あるいは私の周辺の若い農業後継者が大変進んだ農業、特に私の周辺は都市近郊でありますが、そういう中でいろいろの分野で農業後継者が進んだ農業をしておりますのも、いろいろ彼らと話をする中で、やはりこの普及員の皆さんとの関係、これを欠かすことのできないことを承知をしておるわけであります。  農業の生産性の向上、あるいはまた経営発展のためにはやはり不断の技術力、技術革新、これが必要なわけでありまして、そういう面で、やはり試験研究機関での実績、そしてそれを農業者のところに移転をすると、そういうやはり技術革新的なことをしなければ前進はないわけであります。  そういう面で、先ほど来お話しのとおり、正に普及職員というのは人によって成り立っていると、こういうところ非常に多いわけでありまして、是非今後のこれからの問題と。普及職員設置につきまして都道府県に義務付けをして、そして現行の制度におきましてこれをしっかり維持していくことが私は大変重要なことと、このように認識をしておりまして、先般来、私ども攻めの農業、守りの農業から攻めの農業、こういう点、輸出促進室を設置するなどいろいろの施策を進める、そういう面でもやはりすばらしい農産物を生産すると。その陰にやはり普及職員の皆さん方のやはり技術的な面での関与というものが大変大きいわけでありますので、この維持のために努力をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
  34. 段本幸男

    段本幸男君 是非お願いしたいと思います。  やはり意識が、そういう、行政もあるいは普及員の方もそういう意識を持って取り組むことが農家に対して移ってくる、そして自分たちも安全、安心なものを本気でやっぱり一番いいものをおれが作ってやるんだと、こういう意識を持たすことが地域を元気出すもとだと、こんなふうに思っていますので、是非、期待をしておりますので、お願いしたいと思います。  次に、青年就農促進法についてお伺いしたいと思います。  まず、就農者の定着率について、もちろん一〇〇%あることが好ましいに決まっているんですけれども、必ずしも、そのために厳格に審査してもう一〇〇%残るようにするということを余りやり過ぎると、結果的に、例えば資金の利用率、お伺いしたらたしか四割程度しかないというふうなお話もお伺いしました。むしろ、そんな百人いて百人ともそれは適性かどうか最初の段階で分からないわけですから、できるだけ多くの人たち農業に参入してもらって、その中から多少落ちこぼれてもそれは別の対策でやることにして、人がたくさん残るような、もう来たいという人間が非常に増えているわけですから、そういう弾力運用が求められているんではないかと思うんですが、今回の法改正に当たって農水省はどういうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今後の農業発展を支えるのはやはり人でございまして、その人を、いかに人材を確保していくかということが非常に大事でございます。  これまで、どちらかというと、農業は親子の世襲的に引き継がれていくという観点が強かったわけでございますけれども、正に農業内外からチャレンジ精神のある多様な人材を確保するということが必要だと思っております。そういう意味でも、厚生労働省さんとも連携をいたしまして、「農林業をやってみよう」プログラムというものを共同で作成、実施をしております。例えば、ハローワークと新規就農相談センターが連携をする、あるいは大学生に対しまして農業法人等でのインターンシップ、こういうものをやる、それからまた指導農業士あるいは農業法人を活用いたしました職務を通じた研修、いわゆるOJT研修、それからまた既に働いてほかの業務に就いておられる方が土日を利用して就農の準備をされる就農準備校といった等、できるだけ幅広く人材が集まるような工夫というものをしております。  その際、いろんな新規に参入するについては農地の問題、資金の問題、技術の問題、いろいろあるわけでございますが、それぞれそういう問題を踏まえまして、できるだけそのハードルを低くするということが大事だと思っております。  それで、特に今回の就農法の改正農業法人を通じて農業に入ってくる若い人たちというものをできるだけ増やしていこうということでもございます。いきなり自営で農村地域に入ってくるというのはなかなか難しい面もございますが、雇用の形で入ってくるということによって非常に円滑に、また短期間にそういう技術なり環境になじむといったようなことができるんだというふうに思っておりますので、是非こういった今回の改正をお認めいただきたいなと思っているところでございます。
  36. 段本幸男

    段本幸男君 時間がありませんから最後に要望を一つだけしておきたいんですけれども、今、大臣おっしゃったように、農業を取り巻く環境は非常に変わってきて、そしてその風のとらえようによっては、追い風になるのか向かい風になるのか非常に大事なところにあるんではないかと思います。冒頭言ったように、BSEの牛肉買取りの向かい風もあるし、あるいは就農支援のように、どんどん農村に入っていきたいという追い風もある。大事なことはやっぱり、この日本の農業を新しい形でとらえてやっていくんだという行政意識を持ち、そしてそれが農家に伝わっていくことが大事だというふうに思っております。  今回の経営支援三法を機に、是非、官民一体となってそういう方向に行っていただくことを是非ともお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  37. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  いわゆる経営三法について質問する前に、段本委員も質問をされましたけれども、牛肉偽装事件について逮捕者が出ていることに関しましてお聞きをさせていただきたいと思います。  二〇〇一年九月十日に日本で初めてのBSE感染牛が発表されてから、食の安全、安心が叫ばれ、食への危機感、そして予防への日ごろからの意識を問われてまいりました。しかし、二〇〇四年になっても牛肉偽装事件で逮捕者が出て、そして事もあろうか農水省の役人もこれに絡んでいるんではないかと、そしてそこには政治家や秘書もという、いわゆる政官業の癒着が連日報道されているというのが今の現状であります。  もちろん捜査中でございます。答えられない部分が大方であろうと思いますが、それぞれお答えできるところをお答えをいただきたいと思っております。  本日はまず、警察庁にもわざわざお越しをいただいております。現在までの事実確認をさせていただきたいと思います。今現在まで分かっていること、新聞等で書かれていることしか我々には分からないわけですけれども、お答えいただけるところだけをお答えいただきたいと思います。
  38. 栗本英雄

    政府参考人栗本英雄君) ただいま委員の御質問の件につきましては、国内でのBSE、いわゆる狂牛病発生に伴い実施されました牛肉在庫緊急保管対策事業を悪用し、売買代金を詐取したり、補助金を不正に受給したという事案でございます。  そのうちの売買代金の詐取事案につきましては、平成十三年十二月ころに、大阪食肉事業協同組合連合会幹部らが全国食肉事業協同組合連合会に対して、真実は輸入牛肉の加工品を含んでいたにもかかわらず、すべてが国産牛肉であるかのように装って五百数十トンの牛肉を買い上げさせ、代金として六億数千万円をだまし取ったという詐欺の容疑でございまして、本年四月二十一日までに、大阪府警察において関係被疑者十二名を逮捕したものでございます。  次に、補助金の不正受給事案につきましては、平成十三年十一月ころ、全国同和食肉事業協同組合連合会幹部らが農畜産業振興事業団に対しまして、真実は本件事業の対象外であります輸入牛肉の加工品などを含んでいたにもかかわらず、すべてが同事業の対象牛肉であるかのように装いまして七百数十トンの牛肉に係る補助金の交付申請を行い、補助金四億数千万円の交付を受けたという、いわゆる補助金適化法違反の容疑で、本年五月七日に、同様に大阪府警におきまして再逮捕者十名を含みます被疑者十六名を逮捕したものでございます。  現在、大阪府警において鋭意捜査を行い、この事案の全容解明に努めているものと承知しております。  以上です。
  39. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今分かっただけでも、その当時というのは抽出検査、農水省で行われておりました。そういう場面でのことでございます。また、今お聞きしただけでも十一億余りの補助金が出ているということでございます。  その当時のことを思い返してみますと、我々もBSE対策に関して農水省の初動の遅れ等々、農水省に対して質問を、そして誤りをしっかりと取り戻すようにということで質問をさせていただいていた時期でありまして、武部大臣は、二〇〇二年の牛肉偽装事件のとき、雪印等がございましたけれども、最初、国際規格の一番厳しい基準で検査を行うと言っていたのに対して、農水省大臣の言葉を無視してあいまいな基準、国際基準の二番目ですが、これはもうダンチの差があるわけですけれども、検査をしておりました。その上に、それが分かったときに、記者会見でも、見直す必要はないんだというようなことを農水省の担当者は言われていたということを思い出しました。大臣から私への答弁は、それを指摘したときに、農水省に対して、これはすべて検査するんだと、これ以上のものはないと言われて全箱検査が実施されたという経過がございます。  農水省は、今回の牛肉偽装事件について農水省の関与も取りざたされておりますし、その当時のあいまいなやり方、また大臣を無視するようなそういうような形での検査をしていたということもございます。独自の調査をするなり、何か対応を今されているのか、お答えをいただきたいと思っております。
  40. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) まず最初に、ただいま委員から御指摘ございました当時の検品体制という点についてでございます。  御指摘のとおり、BSE発生しましてから、平成十三年の十二月二十五日からいわゆる抽出検品を開始しておったわけでございますが、いろいろ御指摘ございまして、雪印食品の偽装事件の発覚等々ございまして、検品の在り方が大きな問題になりまして、平成十四年の二月八日からは全ロット検品に移行したと。さらに、念には念を入れた検査体制を行いまして、本事業に対する国民信頼を確保するというふうなことで、平成十四年四月二十五日からいわゆる全箱検品に移行をしたところでございます。それは、今、委員からも御指摘ございましたが、念には念を入れた検査体制というふうなことで、本事業に対する国民信頼確保ということで、当時の武部元大臣の御決断によりまして全箱検品に移行したということでございます。  そういうことで、ただ、今回こういう事件が発生をいたしたわけでございますが、私どもとしては、ただいま委員からも御指摘ございましたが、私どもも捜査には全面的に協力もちろんしているわけでございまして、当時の担当者にも確認をいたしているわけでございますが、当時の担当者が、そういった大変全体として混乱をしておった中で消費者信頼を回復させるというふうなことから、一刻も早く市場から牛肉を隔離する必要があったということでございます。そういう中で、国産牛肉を買い上げてもらうというふうなことで相談をしたというふうなことは、特に行政上の対応としては問題はなかったものというふうに考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、現在、捜査が進行中ということでございますので、私どもとしては、その捜査についてはもちろん全面的に協力するということでございますし、捜査状況を見極めたいというふうに考えている次第でございます。
  41. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今、農水省からのお答えは、念には念を入れるために全箱検査にしたというようなまたごまかしなんですね。  私がおかしいじゃないかと、国際基準の一番厳しい基準でやれと言ったにもかかわらず、農水省大臣をもごまかして二番目の検査でやったと。それを指摘して、それによって大臣農水省に対して怒って全箱検査が始まったんですよ。念には念を入れるために始まった検査ではないんです。そうやって、毎回毎回、農水省はごまかしてごまかしてやってきた。しっかりと、今回のことに関しては独自でも調査をしていただきたいと思いますし、また、この支払われた助成金について今もお答えまるっきりないですが、助成金に対してのことについてお答えをいただきたいと思います。どういうような形で返還を求めていくのか、そういうことまでしっかりとお答えいただきたいと思います。
  42. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員のお話でございます。  私どもとしては、検品についてはしっかりとする、国民信頼確保というふうなことから移行したというふうに理解をいたしているわけでございます。  それから、ただいまの補助金の関係につきましては、現在、捜査が進行しているところでございますが、捜査当局によります不正の事実関係の解明に併せまして、当時事業団でございましたが、現在は独立行政法人の農畜産業振興機構に移行しておりますが、これに対しまして、府肉連等に支払われました助成金相当額の返還請求措置につきましても求めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  43. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 大臣、今のをお聞きをいただいたり、今までの経過を私はお話をさせていただきましたけれども、これからどのようなお考えで臨んでいかれるか。これは、もしかすると大臣の責任にもかかわってくる問題でございますので、しっかりとお答えをいただきたいと思います。
  44. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回、BSE対策として実施したこの牛肉在庫の保管・処分事業を悪用して、この容疑で逮捕者が出ておりますことは本当に極めて残念なことであります。  現在、私どもとしては、この捜査に全面的に協力をすると。そして、捜査当局によりまして徹底した捜査により一刻も早く全容解明がなされることが必要でありますし、あわせて、この捜査当局によります不正の事実関係の解明に併せまして、今、局長からも答弁いたしましたとおり、農畜産振興機構に対しまして、府肉連等に支払われた助成金相当額、この返還請求の措置を求めてまいりたい、このように考えております。
  45. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 しっかりと、農水省はすぐごまかそうとする体質ございますので、大臣がしっかりとチェックしていただきたいということと、我々もこれからも注視をしながら、チェックをしながら進んでいきたいなと。  牛肉偽装事件については、まだまだ捜査中であると考えますし、政官業の癒着がこれからますますはっきりとしてくる可能性もあるということでございます。段階を追って御質問をさせていただきたいと思いますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。どうぞ、警察の方、御退席をいただいて結構でございます。  それでは、本題であります経営三法について質問をさせていただきたいと思います。  まず、農業委員会等に関する法律の一部改正ということでございますけれども、設置基準でありますけれども、農業委員会必置規制の在り方について農水省としてどのような見解を持っているのか、お答えをいただきたいと思います。
  46. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会必置規制の考え方でございます。  農業委員会が発足をいたしましたのは昭和二十六年。設立当初は農地改革成果維持やそれから権利移動統制等役割を担っていたわけでございますが、今日では、国際化が進む中で食料安定供給を図っていくということが必要なわけでございますけれども、そのためには、優良農地の確保、また耕作放棄地の解消、それから担い手への農地利用集積農業経営法人化、そういった構造改革を強力に進めていくということでの役割が高まっておるわけでございます。  特に、この農地に係ります構造政策推進ということにつきましては、農家の農地へのこだわりもございますし、また農村社会の特質、こういったものを踏まえる必要がございます。そうなりますと、この農地権利調整あるいは効率的利用推進を国なりあるいは市町村がこれを直接行うということは人員の面また実態面でもなかなか困難がある、また効果的でもないということでございまして、農業者主体合議体として農業者の信任の下で組織をされますこの農業委員会、これが客観的、公平的に農地政策を遂行できるということで、農業委員会役割は非常に今日においても重要な意義を持っているということを考えておるところでございます。  そういう意味で、今回、地方分権の推進観点から市町村自主性拡大といった意味での法案を出しておりますが、この農業委員会設置自体につきましては、引き続き原則として市町村必置機関とする必要があるというふうに考えているところでございます。
  47. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 必置基準ですね、面積に満たない市町村でも農業委員会設置しているところが多くあるようでございます。そういう置かなくてもいいような小さな市町村というんですかね、に設置されている理由というんですかね、と、また小規模農業委員会の意義についてお答えをいただければと思います。
  48. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現在でも任意設置とされている市町村におきまして農業委員会が自主的に設置をされているという事例があるわけでございます。  この必置基準で一定の線を引いておりますのは、余りにも農地面積が小さいところにまで独立の行政委員会設置を義務付けるということが市町村にとりまして過大な負担になるのではないか、その行う業務に比べましてコスト等が非常に掛かるのではないかということが懸念されるために、その業務量等を勘案いたしましてこの必置基準を数量的に除外をしているというところがあるわけでございます。  御指摘のように、任意ではありますが、その市町村が判断で農業委員会が置かれているというところがあるわけです。これは、農業委員会を活用する方がやはり農地への先ほど来申し上げましたような農家のこだわり、あるいは農村社会の特質、そういうものを考えますと、やはりより効率的あるいは公平に市町村が直接行うようにもできるということで設置されているというふうに思っております。  そして、仮に設置された場合は、これはもう全く、ほかの農業委員会、必置とされている農業委員会と変わらないわけでございますので、当然交付金の対象にもしておりますし、業務の多寡はございますが、量的な問題はございますけれども、当然同じような役割を果たしていただいて、重要な役割を果たしていただいているというふうに思っております。
  49. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 よく分かりました。  それでは次に、任意業務のことについてお聞かせをいただきたいわけですけれども、現行制度にはあるんですが、改正案の方に農業農村振興計画樹立と実施推進というのが削除されているようですが、これはなぜなのでしょうか。
  50. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の農業委員会法改正案を作るに当たりまして、いろいろ懇談会等でも御議論をいただいたわけでございます。  その中でやはり御指摘がありましたのは、農業委員会はいろんな業務をやることになっておると。例えば農業の技術改良でありますとか病虫害の防除、こういったものも現在、今任務の中に入っております。そうしますと、どうしても総花的で農業委員会の活動が非常に分かりづらいと、また効果的に行われていないのではないかという御指摘もあったわけでございまして、この際、やはり農業委員会本来の農地にかかわります構造政策、こういうものに特化重点化するべきではないかということでございます。  そして、この御指摘農業農村振興計画樹立、実施推進と、これはもう非常に大事な業務ではあるわけでございますが、農業委員会自体が中心的にこういうものをやっているということは、基本的に全国の例を見てもないわけでございます。そういうことからしますと、これは業務としては削除をすると。ただ、非常に重要な観点でございますので、これは農業者代表としての位置付けもございますので、その振興計画等は市町村等、行政主体等が作られる例が多いわけでございますので、それに非常に協力をしていく、あるいは意見の公表なり建議、こういうものでそれを反映さしていくということで十分対応はできるのではないかということで本業務を廃止したということでございます。そういう意味で御理解いただきたいと思います。
  51. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、農業農村振興計画樹立という観点ではなくて、これを実行していく、推進していくということは確認できるということでよろしいでしょうか。
  52. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に農地も、そういった農村地域ビジョン、そういったものの一環として行われるものでございますので、こういったものに従ってそれを実行していくという役割だというふうに理解しております。
  53. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは次に、選任委員の資格、定数の見直しがされるようでありますが、先ほども段本委員から女性の活躍というようなことも言われております。これからの農業農村の活性化を引っ張っていくということから考えると青年農業者やまた女性の活躍というのが必要であると思っておりますけれども、現在の割合と、そしてこの改正によって逆行していかないのかということをお答えいただければと思っております。
  54. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お尋ねの青年農業者あるいは女性委員を増やして言わば活性化をしていくということは非常に大事だと思っております。  農業委員会系統組織自体も女性あるいは青年農業者選挙委員への立候補促進に向けました自主的な運動というものをやっておりまして、青年農業者自体、これは三十九歳以下ということでございますが、これはまだ絶対数としては非常に少のうございまして、〇・五%、それから、ただ女性の場合は絶対数としては四%弱でございますが、ただ非常に近年増えております。近年非常にそういう取組が効果を持っているというふうに理解をしておりますので、我々としても、是非こういった農業委員会をより地域意見を反映し活性化するという意味でもそういった農業委員の割合を増やしていくことが非常に重要だということで、我々としてもこれを、この運動を積極的に支援していきたいというふうに思っております。
  55. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非そのことについては農水省挙げてしっかりと推進をしていただきたいと考えております。  それでは次に、農業改良助長法の一部を改正する法律案、これについてお聞かせをいただきたいと思います。  協同農業普及事業ということで、農業改良助長法昭和二十三年ですかに制定されて以来、農業技術経営の専門家集団である農業改良普及組織が直接農業者に接し、幅広く、先ほども段本委員言われておりましたけれども、全国、平均的に津々浦々に技術を伸ばしていくと。農家の農業技術の向上、経営安定に一定の役割を果たしてきたわけでございます。  また、現在では、地域のニーズなどにもしっかりと対応しながら、変化しながら、都道府県と国が協同して行う農業に関する普及事業という形であって、これから、今ちょうど食料の自給率の向上とか、食の安全、安心ということが叫ばれ、また国土の保全や自然環境の保全を考える中での大変大きな役割が新たにできてきているなということを感じるわけですけれども、国と都道府県がしっかりとこの責任を果たしていくことが大切であると考えておりますが、今回の改正で国はちょっと何か手を引いていこうというようなニュアンスを読んでいて感じるわけですけれども、農水省としてどういうお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  56. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国の協同農業普及事業、国として国民の生活に不可欠な食料安定供給、これを、大きな農政の課題であるわけでありまして、その対応の観点から、都道府県として地域の実情に応じた農業の振興、国は今、先ほど申し上げましたとおり、食料安定供給、このこと、そして地域におきましては地域の実情に応じた農業の振興、こういう面で国と都道府県が協同の事業として実施をしているわけでありまして、そういう面で今日まで我が国の協同農業普及事業、その成果を収めてきたわけでありまして、具体的には、国におきましては、この協同農業普及事業の運営に関する指針、運営指針を策定をしまして、事業の基本的方向に向けていろいろなものをお示しするわけでありまして、都道府県の職員である普及職員設置費や活動費等に対する助成を行うと、こういうことでありまして、一方、都道府県におきましては、運営指針を基本に、都道府県におきます事業の実施方針等を示すわけでありまして、協同農業普及事業の実施に関する方針を策定をし、これに沿って普及職員設置や普及職員による普及活動を行うと、こういう役割分担の下に実施しているところであります。  そのようなことで、この協同農業普及事業につきましては、都道府県が地域の実情に精通した普及職員を配置をし、そして活動させ、国はこれに対しまして必要な助成と支援を行うということによりまして、都道府県の主体性を最大限に尊重しつつ、国と都道府県とが適切な役割分担を行うと、こういうことになっておるわけでありまして、今回の改正におきましても、引き続き、この普及職員必置規制を交付金制度、こういう中で堅持をしていく必要があるわけでありまして、先ほど段本委員の御質問にもありますとおり、今正にこれからの我が国の農政を展開する上におきましても、やはり技術面の導入、そして農業者が本当にしっかり意欲を持ってやっていただく、そういうものをやはり裏付けるためにも技術指導の面は大変重要な役割を果たすわけでありまして、私は大変重要な役割を持つ事業と、このように考えておりまして、引き続き国と都道府県が緊密な連携を持ち、また国の役割を十二分に果たしていかなければならない事業であると、このように考えております。
  57. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 本当は、ちょっと引きぎみではないかということを農水省の方に聞いて、その後、役割分担について大臣に聞く予定でしたが、大臣がすべてお答えをいただいたので、それを飛ばしまして、次の質問に移らせていただきたいと思っております。  この法案改正によって、今まで地域農業改良センターを設けることとするという表現であったわけですけれども、改正によって普及指導センターを設けることができるというような形に変わっております。これはどういうことなのか、お答えをいただきたいと思います。
  58. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現在の規定におきまして、組織につきましても必置の規制を持っております。これは地域農業改良普及センターというものを置くということを義務付けているわけでございます。これは、都道府県の中を管轄区域として分けまして、そしてそれぞれの管轄区域ごとに地域農業改良普及センターを設置するということでございます。そういう意味では、非常に硬直的といいますか、がんじがらめにしている面があるわけでございます。地域農業改良普及センターで改良普及員が勤務をし、そしてその管轄区域で普及活動をするということになるわけでございます。  ただ、現実を見ますと、そういった地区割りが必ずしも適当ではないということ、特に昨今は非常に広域的に産地形成をしなくちゃいけないこともございますし、また試験研究機関との連携ももうちょっと機動的にすべきではないかと。そういう意味では、例えば試験研究機関にいわゆる活動拠点をもう一緒に置いてしまうといったようなこともした方がいいわけですが、今の規定ではできない、こういうことになるわけでございまして、そういう意味で、今後は、その組織の在り方につきましては都道府県が自主性を発揮いたしまして、自分の県の農業振興に最も適当な組織体制を弾力的、機動的に取ることができるようにという趣旨で必置規制を廃止したものでございまして、このセンターを置く以上は交付金のちゃんと算定の対象にしていく、こういう考え方でございますので、より効果的にその県、都道府県の状況に応じて事業展開をしていただくための改正ということで御理解いただきたいと思います。
  59. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 とにかくこれはこれからも必要なことだと思いますので、しっかりと財源の確保も含めて国の責任というものを全うしていただくということを御要望させていただきたいと思います。  それでは、青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案についてお聞きをさせていただきたいと思います。  今後の担い手政策の中における法人就農者の位置付けをどう考えていくのか、将来的に法人就農者地域農業の中核的な担い手に育成していくためにどのような手だてを立てていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  60. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいまのお尋ねでございますが、新しい基本法の下でも法人化推進ということが大きな政策課題になっております。そして、現実にも法人、農業法人は非常に増えておりまして、今後も増加してくるというふうに思っております。そして、この農業経営法人化の進展によりまして、その法人におきます人材需要、こういうものが非常に増大をしております。  そして例えば、例でいいますと、数字的に申し上げますと、平成七年には約九万一千人の常雇用、これがございましたが、平成十二年には約二万以上増えまして十一万四千人、こういうふうに増加もしております。そしてまた、非常に特徴的なのは、新規就農者農業法人に雇われて就農するという形態が非常に増えておりまして、現在、これは推定でございますが、約一〇%程度はこういう法人を通じて参入されておるということだと思います。  そういうことで、今後、人材確保という意味からしますと、農業法人を経由して入ってこられる方、そういう方、そういう方が、もちろん将来とも農業法人の中の構成員といいますか、雇われた形、雇用の形態で担っていくということもありますが、そこでいろんな技術の研さん、ノウハウ、それからまた地域に溶け込むというようなことで、農地の取得等も含めて円滑にできるといったようなことで、自ら経営者として発展をしていくということも現に行われているわけでございます。そういう意味で、多様な人材を確保していくという意味では、農業法人への就農を容易にしていくということが非常に政策的にも意味があるというふうに考えております。  今回、この改正をお願いしておりますのは、そういう実態を踏まえまして、また今後の方向を踏まえまして、農業法人が作成する就農計画の認定制度、これを新たに作りまして、その認定を受けた計画に従ったものについては就農支援資金の貸付けでありますとかあるいは農業改良資金の償還期間の特例、また昨今は非常に、この中心となっております青年農業者等育成センター、ここを介しまして就職先、雇用先まで探してほしいという依頼も非常に増えております。ただ、現状では職業紹介というのはできないわけでございますので、事実上のあっせんはしておりますけれども、これをもっと効率的にするためにはやはり無料の職業紹介を正式にできるようにする必要があるだろうということで、そのための規定も今回置かせていただいております。  そういう意味で、今回改正をお願いをして、法人等の就農、こういうこと、それを通じて、また独立していくについてのまた施策を充実することによって全体としての有能な人材の確保に努めていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  61. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これからの担い手をどうやって確保していくのかということでは、いろいろな形で農業に興味を持ってもらい、そして農業に参加してもらって、最終的には地域農業の担い手になっていただけるような形をあらゆる角度から模索をしていかなければならないと考えております。その一つがこの法律であろうと思っておりますので、是非もっともっと門戸が開けていくような形で進めていただきたいと考えております。  あさってはこの経営支援三法に対して参考人の皆さんにも来ていただくという予定もございます。意見を、現場意見をお聞かせをいただきながら質問をさせていただけるようでありますし、しっかりと現場意見を聞いた上での議論を深めて、より良い経営支援三法にしていかなければならない、実効性のあるものにしていかなければならないということを考えております。  あと、残りの時間は和田理事にお任せをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  62. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 お二人の質問に何かかぶさっちゃっているんですが、いかに農業委員会が必要だかということで、農業委員会の存在意義についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどは局長大臣もお答えをいただいておりましたけれども、農業委員会というのは昭和二十六年に発足して以来、その時代時代で農地上の課題なんかに取り組んでこられておられます。また、近年においては、農地の利用権の設定などの推進、認定農業者農地利用集積等の支援、遊休農地に関する指導などの業務を行っておられます。  農地をめぐる今日の状況を見てみますと、これまで農地面積は一貫して減少をしております。現在の農地面積は四百七十六万ヘクタールというふうに言われておりますが、食料農業農村基本計画の中では、自給率を守るためには四百七十万ヘクタールは絶対切っちゃ駄目だというふうに言われておりますことから考えてみますと、年々三万ヘクタールくらいずつ減っているところを見ますと、本当に残り二、三年で四百七十万ヘクタールは切ってしまうんじゃないかという懸念がされているわけですよね。  そういうことで、農林水産省は自給率を、農林水産省はというよりは日本の国は自給率を、今四五%なんて言っているんだけれども、本当は、ほかの国は一二〇%なんという国もあるわけでありますから、もう最低限を守っていかなくちゃいけない。そして、そのための優良農地をきちんと守っていかなければいけないとすれば、農業委員会の役目というか、農地法等の厳正的確な業務執行による優良農地の確保とその有効利用の促進を図ることが求められているのでありますから、農業委員会というのは事ほどさように大切な機関であるというふうに思います。  局長も客観的に公平的に農地政策の仕事をしてもらっているというふうに言われておられますが、農業委員会はこれからも絶対に必要である、必置規制維持していく必要があるということを再度局長大臣もお答えをいただきたいというふうに思います。
  63. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 委員が御指摘ございましたとおり、農業委員会の発足は昭和二十六年にさかのぼりまして、非常に歴史のある組織でございます。当時は非常に、農地改革が行われた後でございまして、その成果をいかに維持していくかということ等が非常に重要な意味を持っていたわけでございます。  ただ、今日、その役割を考えました場合、今、委員が御指摘ございましたとおり、正に国民の最大の関心といいますか、生存にかかわります食料安定供給を図っていくという上で、農地の確保、これが非常に基盤となりますので、この優良農地をいかに確保していくか、それからまた、耕作放棄地が増えておるのが非常に憂慮されるわけでございますが、その解消をどう図っていくかということ、それからまた、農業構造をできるだけ力強いものにしていくという意味では担い手への農地の集積を図っていくということもこれは非常に喫緊の重要な課題でございます。等々、現在では構造政策推進機関として農業委員会は極めて重要な役割を担っているというふうに認識をしております。  そしてまた、その性格も、正に農家の代表から構成されるということで、その客観性、公平性を確保していただきます。それからまた、農村特有のいろんな感情といいますか、そういう習慣、慣習を含めましてありますし、また農地に対する非常に農家のこだわりといったものもございますので、今申し上げましたような構造政策、これを推進する上ではやはり行政当局とは独立の形での行政委員会のこの農業委員会役割というのはまた非常に重要な機能を持っているというふうに思っております。  今回、地方分権の観点等から自主性拡大等を内容とするという、あるいは重点化を図るということもしてございますけれども、農業委員会設置自体は非常に、今後とも非常に重要な正に必置義務を課して存続させるような組織であるというふうに考えておるところでございます。
  64. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど委員からも御指摘のとおり、自給率の問題等々、我が国農業を取り巻く国際化、そういう中でのまた今日の課題というのは大変大きな問題を抱えているわけであります。  そういう中で、やはり食料安定供給、これを図る上におきまして、優良農地の確保、あるいはまた耕作放棄地の問題、あるいは担い手の問題等々課題があるわけであります。そういう中で、やはり今後の農地権利調整の問題であるとか効率的な活用、こういう問題と。そういう中で、やはり農業者が主体になった合議体、こういう中でいろいろ進めていく必要があるわけでありまして、農業委員会役割というものは大変、今日までもいろいろございましたが、大きな課題があるわけであります。  時代の流れと申しますか、地方分権の推進、こういう面で、やはり時にはスリム化の問題も、当然時代の要請に、変革に合わせていかなければならない問題もあるわけでありますが、それらを併せてやはり我が国の農業をしっかり守っていくと。また、いろいろの農業の展開を進める上におきまして、農業者主体合議体の中でいろいろなことを進めていくことは大変重要な役割を担っておるわけでありますので、これからも引き続いて農業委員会の活動を十二分に発揮できるような体制というものをしっかり持ってまいりたい、このように考えております。
  65. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 局長大臣にお答えをいただきました。私は副大臣にも政務官にもお尋ねをしたいというふうに思っておりますぐらいの気持ちなんですけれども、お答えの中には必ず、これは必要だ、必要だからもうというきちんとしたお答えと同時に、地方分権推進会議や何かでいろいろ議論をされていることも事実だというふうにおっしゃっておられます。そういうことは必要だけれども、だんだん減らして町村長の裁量になってくるというようなことをお答えになっていると同じなんですね。  だから、本当に必要であれば、農林省の皆さんは、例えば地方分権推進会議とか、そういうところに出向かれてというか、そういうところで、やっぱり農業委員会ってこれほど、事ほどさように必要なんですよって大きく言われているんですか。審議会なんかでとか、何研究会なんかでそういう話が出ている、しかし私たち農林省は絶対にこの農業委員会が必要なんだから、この優良農地を守っていくためには自給率目標をきちんと上に上げていかなければいけない。これを維持するんじゃないんですよね。本当は一〇〇%にして国民食料は守らなくちゃいけないというのは大きな命題であるにもかかわらず、審議会の御意見とか、研究会の何とかとか、マスコミの皆さんからとかって、そんなことはお答えには私は入れてほしくないんです。農業委員会が事ほどさように必要なんですというお答えだけいただきたかったというふうに思います。
  66. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今御指摘地方分権推進会議あるいはまた普及事業につきましては経済財政諮問会議、こういうところに私参りまして十分私の考え方を申し上げ、先ほど来、改良助長法のことにつきましてもお話し申し上げたようなこと、それからさらには、農業委員会の問題につきましても、その役割、十二分に発揮をしてきたことを申し上げておるわけでありまして、これは、私は農水省、私は責任者でありますので、十二分にそのことを、意見を申し上げておるところであります。
  67. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 例えば、御提言の中で、私はこういうことも思うんですが、必置基準として農地面積というふうになっていますけれども、農業委員会役割構造政策役割が重視されているということから、認定農業者の数とか農地流動化面積の数なども基準の中に含めてお考えになってはいかがかというふうに思いますが、いかがですか。
  68. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現在、必置基準につきましては、農地面積を基準として定めております。今回、市町村合併等が考えられますし、また、今回の法案の中での委員定数の見直し等もございます。そういったことを踏まえまして、今後、農業委員会業務がどういう状況になるのかということを十分踏まえてこの必置基準の面積を引き上げるということを、政令段階になりますけれども、考えております。  その場合に、今、委員が御指摘のように、農地面積だけではなくて認定農業者数等を入れたらどうかという御指摘であるわけでございますが、必置基準の考え方自体は正に、本来、農業委員会は各市町村に必ず置くべきであるという原則なわけでございますけれども、もちろん農地がないところは当然でございますけれども、農地の面積が非常に小さいところまでこの必置を義務付けることがちょっと過大の負担を強いることになるのではないかと、そういう業務量との関係で線を引いているところでございます。そういう意味からいたしますと、その業務量、農業委員会業務量を測る観点からいたしますと、やはり農地面積というのがやはり一番物差しとしてはいいのではないかという考え方でございます。やはりそれ以外のいろんな要素を入れますとかなり複雑になりますし、現場市町村におかれましても、そういうかなり努力次第で変動するようなそういった水準というのはなかなか基準としては安定しないのではないかということもございますので、先ほど言いましたように、業務量という観点からは、現在の農地面積を基準とする考え方の方がより合理的ではないかというふうに考えているところでございます。
  69. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 先ほどは優良農地の確保ということを私は言いましたけれども、これは、優良農地の確保というのは全国的なベースで四百七十万とかって言うんですよね。市町村でこの町村はどのくらいとかということは考えていないんですか。全国的な大ざっぱなことばっかりいつも言っているんですけれども。
  70. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 委員指摘のとおり、現在の食料農業農村基本計画、これにおきまして、平成二十二年の農地面積四百七十万ヘクタールという見込みをいたしております。また、農業生産の大宗を担います農振農用地区域内の農地面積、いわゆる優良農地につきましては、国が定める農用地等の確保等に関する基本指針というのがございまして、この中で四百十七万ヘクタールの確保を見込んでおります。  それが、それじゃ都道府県あるいは市町村でどうなっておるのかというところでございますけれども、まず、都道府県は国の基本指針に基づきまして定める基本方針というのがございまして、この中で都道府県の優良農地の確保、確保というよりもむしろ今の農地をどう守っていくかという観点だと思います、今、農地を増やすということは基本的にかなり困難な状況でございますので。そういった意味で、できるだけ減らさないその見込み面積を定めるということをまずいたします。その上で、市町村はこの都道府県の基本方針に適合して市町村の農振整備計画を策定すると。ここでは正にその線引きをして、ここの農地を残していくんだということをきちっとやるわけでございまして、現実的に市町村ごとにその確保すべき農地が整理をされておるという状況だというふうに認識しております。  こうした国、県、市町村仕組みによりまして、優良農地の確保、それと有効利用を図るということで現在政策を進めておる状況にございます。
  71. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 もう一度必置規制についてお伺いしますけれども、今回の改正案に更に追い打ちを掛けるように、政府地方分権推進会議は五月にも報告をまとめて農業委員会スリム化を提言するというふうに出ていますね。交付金の削減だけではなくて、必置規制そのものの廃止も提言するのではないかというふうにちょっとみんな懸念をしておりますが、そんなことはないですか。
  72. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 地方分権推進会議の動きでございますが、現在、意見の最終取りまとめ段階ということで聞いております。そして、農業委員会の取扱いにつきましては、今回、こういった形で改正法案提出など、農林水産省の取組に対して一定の評価をしていただいてはおりますが、制度根幹である必置規制、これについてはやはり厳しい内容を報告されるのではないかと予想しているところでございます。  ただ、我々は、この農業委員会につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、非常に重要であるということ、それから今後ともその必置規制は置くべきであるという考え方でございますし、今回の内容につきましても、懇談会等で有識者を含めまして、あるいは関係者を含めまして十分御議論をいただいて、最大限の内容にしておりますので、この法案を一日も早く成立をさせていただいて、その内容を着実に実行していくということが重要だというふうに考えているところでございます。
  73. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 だからさっき大臣にお尋ねしたんですけれども、「農業委員会制度や普及事業の一定の意義は認めつつも、農業委員会設置するか、その事務を市町村長が行うかについて、市町村が自主的に選択できる制度へ移行することを含め、農業委員会、普及職員必置規制の在り方、交付金の一般財源化等について一層の改革を検討すべきである。」というふうに書かれておりますよね。だから大臣に頑張ってほしいというふうに私は言ったんですから、どうぞ、皆さんの御意見をきちんと、聞くばっかりじゃなくて、申し上げていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  選任委員の資格と定数の見直しについてお伺いをします。  ちょっとこれは私の被害妄想じゃないかというふうにみんなに言われるんですけれども、絶対に被害妄想ではないというふうに思いますのでお尋ねをいたします。  まず、今回、推薦母体に土地改良区を加えた理由でございますけれども、現在各地で農地価格が下落をして、また、取引も低迷をしております。その原因の一つには生産価格の低迷が指摘されていますけれども、もう一つの原因としては、農地権利関係が錯綜して集積が進まない結果、農地の生産性が上がらない一方で、この農地維持管理費用は引き続き所有者が負担することになっているというのも挙げられています。この点で、土地改良事業に伴う交換分合や農地の集団化、維持管理に大きな役割を果たすと言われております土地改良区が委員会のメンバーの推薦母体として追加されることは、今後の農地の流動化や円滑化に資する可能性も生ずるというふうに私も思います。  でも、逆に、土地改良区の意向を強く反映したメンバーを加えることで、農業委員会の先ほども言っておられます中立性、公平性に悪影響はないのか、かえって利権関係の調整や集団化を妨げるのではないかという懸念も生じております。  私が思いますに、土地改良区というのは、こんなことを入れなくても、今までの農業委員会農業委員のメンバーというのは全部土地改良に所属をしておられる皆さんだというふうに思います。この土地改良区を入れるということは、例えば充て職の理事とか理事長が入っておいでになるということは絶対公平性に欠けてくるというふうに思いますが、従来の推薦母体が農協と農業共済組合だけだとされてきた経緯、また、そうした二十六年からやられてきていて、何でこれ今になって土地改良区という思いがするんですけれども、そうした限定のために農地の流動化が進まなかったことがあるんですか。そういう点を教えていただきたいし、今回土地改良区を加えた理由、それによって期待される効果とか、中立を保たなければいけない農業委員会への信頼性を欠くんではないかという、そういう懸念はないんですか。
  74. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現在、選任委員の推薦母体は農協と農業共済組合ということでございます。  この両団体が推薦母体とされてきた理由でございますけれども、各々その地域農業状況でありますとか、あるいは共済を通じた農業者の経営状況、そういうものを熟知されているということで、その農業委員会との関係を密にすることで構造政策のより一層の推進が図られるということで、これまで母体として認められていたわけでございます。推薦母体として認められたわけでございます。  今回、この土地改良区の代表を推薦委員として加えるということでございますが、これは、従来はそれほど地域農政とのかかわりが濃密ではなかったわけでございますけれども、近年の事業実施の状況を見ますと、一つは、農地の整備事業、こういうものと流動化、農地の流動化、これがセットになっているということで、正に担い手にいかに農地を集積するかということが事業の要件になる等、非常に濃密なリンクが出てきたということがございます。  それからまた、担い手への農地の集積に当たりまして、非常に規模拡大する者にとってはその日常の用排水管理、こういうものが非常に負担になるケースもありますが、それを代わって土地改良区が実行するといった意味で、非常に規模拡大との関係でも一定の役割を果たされているといった等、構造改革構造政策へのかかわりが近年非常に深まっているというふうに認識をしております。そういうこともありまして、今回、農地にかかわります業務特化をする。そうなりますと、農地関係で非常にその地域の実情に詳しい、そういった利用関係ですね、あるいは用排水関係、そういうものに詳しい母体というものとしての土地改良区、こういうものを加えることがより今回意図しております農地の流動化等の推進に当たってその体制強化が図られるのではないかということで加えようとしているところでございます。  また、公正性が逆に損なわれるのではないかという委員の御懸念ではございますけれども、土地改良区も地域農業者の集まりでございますので、特に農地関係と非常に利害関係がある方が入っているということではないので、そういう意味では公正性等の信頼を損ねる、言わば農業者代表ということの一つの変形ではないかというふうに思っておりますので、そういう形で入っていただくことが、先ほど言ったような土地改良事業意味合いが非常に土地の流動化等との関係で最近変わってきておりますので、その点を十分配慮して今回の改正案を御提案しているということでございます。
  75. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は土地改良区の皆さんをどうのこうの言うわけじゃないんですけれども、土地改良区というお仕事はもう本当に大変今地方では進んで、圃場整備事業なんていうのはもう終わりに近づいていますよね。一度目の圃場整備、三反のあれを今度は一町にするとか、そういうことは今やられているというふうに思いますけれども。  今、局長もくしくもおっしゃいました、土地改良区というのは農業者の皆さんの集まりですよね。農業委員というのは農業者の皆さんの集まりなんですよね。だから今、今までに土地改良区の皆さんが入っていただくという理由は分かりますけれども、何で今こんなときに土地改良区が入るのか。入って悪いというんではないんだけれども、どうしてこんな時期に土地改良区を入れるという、そういう要望があったのか、土地改良区が入らないとできなかったことがあったのか。だって、入っておられる皆さんは全部土地改良区に入っていらっしゃいますよ、農業委員の皆さんは。それを改めて土地改良区ということは、理事長に入ってもらいたいとかそういうことなのかな。充て職ですよね、大抵こういうときは。だから、それは入ってもらってもいいんだけれども、今までなかったのに何で急にこんなふうに言うのかなという懸念があるので、もう一度お答えください。
  76. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回、土地改良区を入れる理由というのは、ちょっと繰り返しになりますけれども、事業の中身が土地の流動化あるいは構造政策と非常にかかわるようになっているということ、それから土地権利移動関係、これを考えます場合に、用排水の問題、これは非常に重要な問題であるということで、これをより円滑に、最近は非常に混住化等も進んで非常に難しい問題が出てきておりますので、これを円滑にやっぱりチェックをしていくという意味では、やっぱりその土地改良区の代表の方に入っていただくということが今、今回目指す構造政策土地の流動化を中心とします構造政策、これに非常に有効であるということの考え方の下に。  そしてまた、じゃ、これはどういうきっかけでというのは、今回の改正に当たりましていろんな関係の方あるいは消費者の方も含めて広く参加をしていただいた懇談会をやったわけでございます。その中で、やはり昨今の状況を見ますと土地改良区のメンバーも推薦母体として入れるべきではないかという御意見があったので、それを踏まえて今回改正案を提案しているということでございます。
  77. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 だから、質問と答えが全然かみ合っていないんで、私はもうあれなんですけれども、今まで昭和二十六年以降、そういう問題がなかったわけではないというふうに思います。もっともっと早く出てきてもよかったのに、今何でという思いがするのでお尋ねをしたんですから、まあ懸念は懸念として残しながら、次の質問に入りたいと思います。お答えは何かいただかなかったというふうに思います。  今まで入らなかった結果、こんなことが困った、こんなことが困った、こんなことが困っていたから、だから下から要望があるんですよじゃなくて、懇談会の皆さんがそういうふうにおっしゃいましたなんというのは私はちょっと分からないんですけれども。  女性委員の登用というか、農業委員に対して女性の皆さんを登用していただきたいということでお尋ねをしたいというふうに思います。  今回の改正で団体推薦委員として一般の組合員も推薦されることが可能になりますけれども、農業委員会が本来の農地業務だけでなくて担い手への農地利用集積などを通じて地域農業の発展に役立つためには、一方では中立性、公正性が求められると同時に、一方では地域実態を踏まえた多様な人材をとさっきおっしゃいました。選任する必要性も指摘されています。  今後、農業委員の構成の在り方として、地域農業の発展に向けて、認定農業者女性、さらに農外者を含める多様な人材も委員として確保するための制度の改善が求められていくのではないかというふうに思います。先ほど副大臣も、男女共同参画の中で多様な人材の採用というふうにおっしゃいました。そして、平成十一年には九百七十七名であり、十四年には二千二百六十一名、わずか三・八六%ですよね。特に六割を占めると言われている女性農業従事者をもっと農業委員にするべきだというふうに思います。とりわけ、選任委員や関係者の判断で選任できるのでありますから、女性委員を増やすべきではないかというふうに思います。  私の側からとても言いにくいんですけれども、なかなか女性選挙には出にくいんですよね。そういう意味で、女性を、クオータみたいな形で女性委員を必ず何割入れるぐらいの、六割の人が、農業は六割以上が女性が占めているわけですから、そんな制度もあってしかるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  78. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員指摘のとおり、六割を占めて女性の方々がおられるわけであります。そういう面で、いろいろ系統組織におきましても、女性や青年農業者選挙委員への立候補の促進や、あるいはまた選任委員への登用、これにつきまして実質的にいろいろ御努力をちょうだいしております。そういうことが、まだ非常に人数は少ないわけでありますが、九百七十七人が二千二百六十一人、こういうところにも到達しておるわけでありまして、それぞれの地域で本当に女性の方々が農業にまた大変起業的な感覚をお持ちになっていろいろ御努力をちょうだいしております。  是非組織としてまた農業委員会に複数人入っていただくような、そういうことが目標として努力をしていただけるように、また私どもも助言をするなどしてその活動に支援をしてまいりたいと、このように考えております。
  79. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 是非お考えいただきたいと思います。  これは、九百七十七名から二千二百六十一名になったというのは、何かあったからではなくて、今の時代がそういうふうになっているんですよね。女性も少しは元気にそういうところにも出れるような時代になっているんですけれども、三・八%、四%に満たないんですから、複数入れるといっても、二人以上は複数、最低は複数といったら二人ですからね。それだけではなくて、もっと女性を登用する何か仕組みを作ってほしいなというふうに思いますので、お願いをしておきたいと思います。  そしてまた、正式な委員でなくて協力員という制度があるそうですね。それは、協力員というのは、地域が置くか置かないかは別として、ボランティア的な役割だったりするわけです。先ほども言われましたけれども、農業委員会がやらなくていい事務の中に入るそうですけれども、農地の見回りして産廃のところを見て歩くなんて。  例えば、うちの町村は五つの町村が一つの町になるような、今、町村合併の模索をしています、決まると思いますが。その中で、農業委員の数は完全に減ってくるというふうに思います。協力員なんという皆さんのお仕事がすごく大事になってくるというふうに思います。個別の農家にいろいろお茶飲みに行っていろんな話を聞いたり、そういうボランティアを女性も担ったらいいんじゃないか、そういうふうな思いがいたしますが、協力員に対してどんな農水省の支援の措置がありますか。
  80. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 委員のお尋ねのように、今後、市町村合併が進展をするということで、そういう意味ではかなり広域化がされる。その意味で、きめ細かい現地のパトロール等の対応が、限られた委員の対応ではなかなか難しいことも出てくることが想定されております。そういうことで、既に各系統組織農業委員会ではこの協力員というものの活用も図られております。  そういう実態を受けまして、国といたしましてもそういった取組を支援していきたいということで、本年度の十六年度におきまして、市町村等の農業委員会に置かれている協力員、そういう方々の資質の向上といいますか、研修とかそういったものに対する費用、そういうものを補助事業の中で対応しているということで、今、委員の御指摘ございましたように、地域密着型の活動、こういうものが非常に大事だと思いますので、そういう支援を今後とも適切に行ってまいりたいと思っております。
  81. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 何か研修の制度があるというふうにお聞きをしましたが、それはどんなことですか。
  82. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) こういった協力員になられる方について、農地関係の知識、そういうもの、それからまたどういうことが関係機関としてあるのかとか、そういったものを十分に承知していただくことがそういう活動を適切に行っていただく上での非常に不可欠なことでございますので、そういうもののPRといいますか、そういうものを行っているということでございます。
  83. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 研修はないんですか。
  84. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 研修会の開催も対象経費として入っております。
  85. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 研修会の制度があるというふうにお聞きしましたので、どうぞよろしくお願いします。  財政基盤の在り方についてお伺いをしたいと思います。  農業委員会の活動や運営に要する経費については国と地方公共団体の財政措置によって充当されております。このうちに、法令業務に係る農業委員及び職員に要する経費、農地等の利用関係に関する調査や資料の整備に要する経費については政令で定める配分基準に則して市町村に対して交付金が支給されております。  懇談会報告書の中では、交付金制度は、農業委員会が国の農業政策の遂行機関たる独立の行政委員会として、時々の市町村財政に左右されず、適正な法令事務を遂行するとともに、農地法等に基づく行政処分、是正指導の実効性を確保するために使途が特定された財政上の基盤を確保する政策的必要性に基づいて措置されているものであり、農業委員役割、全国的な必置規制と表裏一体の措置と位置付けられております。これ、懇談会報告書の中からです。  でも、また一方では、地方分権論や行政改革推進観点から、交付金の在り方について、先ほど局長も言っておられましたが、一定の見直しが必要との指摘がされています。交付金をめぐる以上のような動向を受けて、農林水産省では平成十六年度予算において交付金を前年度比六・九%、約八億円削減するとともに、同年度から三か年のうちに二割程度縮減することとしております。  そこで、経費の縮減措置市町村の行財政改革を怠らせるとかやらせないための隠れみのに利用されたりしないのか、あるいは専ら農業委員会を自治体の行財政改革のスケープゴートになっていったりはしないのか、大変そういう契機とならないのか疑問なんですが、お答えいただきたいと思います。
  86. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会の交付金の問題についてのお尋ねでございます。  今、委員が御質問の中で御指摘されましたとおり、今後三年間でこのスリム化、効率化に見合った分として全体で約二割程度の縮減、そして本年度の十六年度は六・九%のカットということになるわけでございます。  これはどういう考え方かと申しますと、正に今申し上げましたように、スリム化、効率化に見合った分ということで、今後、市町村合併等が進むことによって農業委員会数も減ってまいります。また、今回の定数見直し等によりまして農業委員の数も減ってくる、また業務重点化等によりましてもそういうスリム化する部分がある、それから農地面積の動向等もあるわけでございます。  そういうことを考慮して、そういうスリム化なり効率化が進むということを踏まえてやっているものでございまして、それと無関係にやっているということではないということで、正にそれはこういったスリム化、効率化、これとの関連においてやっているものでございますので、他の分野の行財政改革、そういったものの正にスケープゴート的なものになることはまずないとは思っております。  仮に任意設置のところで農業委員会設置されます場合には、きちんとこの交付金の対象にするという措置もしておりますし、スリム化、効率化、これを前提として、それに沿った形でしか縮減はしないと、こういう考え方でございますので、他の行財政改革との関連はないわけでございますので、それをまた口実にするということもあり得ないというふうに考えております。
  87. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 最初の質問で必置規制をお伺いしましたよね。必ず置くんだというふうなお気持ちがあられるので安心はしているんですけれども、その中でまたスリム化、高度化とか、いろんなことを言いながら、この農業委員会の仕事を市町村にゆだねてしまうようなことは絶対ないというふうに言っていただいたんですから、この措置市町村がどんなふうに受け止めているか、国としても十分に監視していく必要があるというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  88. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の交付金の縮減、今後三年間の縮減も、今私から申し上げたとおりの考え方に基づくものでございますので、正に個々の農業委員会の実情に応じてこのスリム化、効率化が無理なく進捗していくということが大切だと思っておりますので、それは十分我々としても監視をし、適切な指導をしてまいりたいと思っております。
  89. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 助長法と青年就農法は次の質問にしますので、終わります。
  90. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  91. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案農業改良助長法の一部を改正する法律案青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  92. 千葉国男

    ○千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  今回提案されております経営支援法案につきましては、農業委員会法農地を守るための立場からの改正案であり、農業改良助長法農業技術面からの改正案であり、青年就農促進法は人的側面からの改正案であります。いわゆる農業の構造改革に欠かすことのできない農地、技術、人の三つの要素の改善に取り組む重要な改革法案であると思っております。  本日は、時間の関係もありまして、初めに自給率の問題について確認の質問をさせていただき、次に農業委員会法改正案についてお伺いをしてまいりたいと思っております。他の二法案につきましては、次回の委員会で伺わせていただきたいと思っております。  食料農業農村基本計画については、その見直しの中で本年夏ごろ中間論点整理を行うと聞いております。また、全国農業会議所からは、食料自給率四五%、農地面積四百七十万ヘクタールなど現行の目標を堅持するよう強く要望されているところでありますが、農水省の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  93. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現行食料農業農村基本計画におきましては、平成二十二年度に食料自給率を四五%にということで目標を掲げてその努力をしておるところでもございます。その達成の条件といたしましては、総供給熱量の四分の一を占める、自給率がほぼ一〇〇%であります米の消費の維持、そしてそれ以外の品目につきましては基本的に生産を拡大する、こういうことを前提としておるわけであります。  しかしながら、米につきましては消費量の減少、平成十四年度で六十二・七キロまで減少をしてきておるわけであります。それ以外の品目、麦ですとか大豆や砂糖、これを除きまして生産量が減少している、こういうことでありまして、こういうような趨勢が継続をすると、こういうことになりますれば、麦や大豆のように生産を拡大している品目があってもその効果は相殺されてしまうというようなことで、食料自給率の目標の達成は困難と言わざるを得ないわけでございます。  いずれにいたしましても、食料自給率の目標の四五%達成を前提といたしまして、食料農業農村基本計画に掲げられております消費、生産両面にわたりましての問題の解決に向かって更なる努力をする必要がある、このように考えておりまして、引き続き生産者、消費者、食品産業従業者が一体となった形で、関係者が一体となった形で努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  94. 千葉国男

    ○千葉国男君 是非、解決を目指して努力を続けていただきたいと思っておりますが、世論調査を見ますと、食料自給率について国民の皆さんの関心というのはいま一つで、危機意識が余りない、このように思われます。その背景には、飽食の時代であり、食料が不足するなどということは到底考えられない。テレビ番組を見ましてもグルメ特集番組が盛んでありますし、無関心でいるのも無理からぬことかと思われております。しかし、この自給率の低下が即我が国の食料生産の源である農業農村の弱体につながるとなれば、これは極めて危険信号であると言わなければなりません。  最近、学者の方々もその自覚のなさこそが極めて危険である、このように訴えているわけであります。十年後、二十年後にも現在のように自由に食料を輸入できるという見通しが立っているのか。世界の人口は六十二億人から二〇三五年ごろには八十億人を超えると予想されているわけですが、この人口予測の中で、人口増に合わせて食料生産が増えればいいんですけれども、耕地面積や穀物耕作面積、単収の伸びが鈍化の傾向にあり、さらには世界全体の砂漠化は毎年日本の耕地面積を上回る勢いで進んでおります。森林の消失面積も拡大の一途をたどっております。  世界の人口と食料需給をどのように見ておられるのか、お伺いします。
  95. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 中長期的な世界の食料需給の見通しでございます。  まず、消費面は、先生今おっしゃられましたように、現時点で飢餓や栄養不足に直面している人口が世界で約八億人存在いたしますけれども、こういう中で、現在の六十二億人の人口が二〇三五年には八十四億人になるということでございまして、消費面、食料消費が著しく増加するということが見込まれているわけでございます。  一方で、供給の要素、生産の要素でございますが、耕地面積、穀物収穫面積は遺憾ながら横ばいということでございますし、単収の伸びも毎年一・五%程度、このところ伸びが鈍化をしているということでございます。  こういうことで、私ども、中長期的には世界の食料需給は逼迫すると、そういう可能性が強いというふうに認識をしておりまして、我が国といたしましても、自給力を維持をいたしまして、自給率向上のために努力することが必要というふうに認識をしているところでございます。
  96. 千葉国男

    ○千葉国男君 今お話のあったとおりでありますけれども、食料農業農村基本法の第十五条第三項の基本計画を定める中で、「食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨とし、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として、農業者その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。」と、こうなっております。いわゆる四年前に我が国として初めて、自給率四五%を二〇一〇年目標に達成するとして目標を明示したわけであります。これ自体が本来は大変な危機意識、危機感から目標設定が行われているわけでありますが、これまでは凶作による危機感のみであったことが大半でありまして、今日の危機感は、世界的な不測の要因を想定して自給率目標を高めていく必要があると考えております。  BSE問題、鳥インフルエンザ等は正に不測の事態でありまして、自給率目標の達成を急ぐべきではないかと、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
  97. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 昨年末に食料自給率目標に関する意識意向調査、こういうものが行われたわけであります。昨年十一月中旬から十二月の中旬に実施されたところでもございます。そういう中で、食料供給に対する不安と食料自給率向上の必要性に関する意識が高いと、こういう結果が得られたわけであります。  この調査は、昨年来、鳥インフルエンザあるいはBSEの問題があのような状況で報道される以前の調査であるわけでありますし、それはやはり国民の皆さん方が国土や自然環境の保全、あるいはまた世界的に、先ほど委員からも御指摘のとおり、食料供給の制約、こういう意識であるとか、あるいは報道、あるいはまた我が国の食料自給率が先進国中最低、こういう水準にあるという認識、こういうところであるわけでありまして、あのときの調査がそのBSE、鳥インフルエンザの発生以前でありますから、大変、現時点におきましては食料の供給に対する不安やあるいはまた自給率の向上、こういう面での要請は更に強まっていると、このように思っております。  そういう中で、食の安全の信頼を確保しつつ、食料農業農村基本法におきます国民に対する食料安定供給、こういう面での食料の自給率の向上に全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  98. 千葉国男

    ○千葉国男君 今回提案の経営支援三法を始め、米政策改革地域ビジョン作り、品目横断的改革、担い手育成等、様々な改革、規制緩和が進められておりますが、私は、これだけの改革を取り組まれている中で、当然自給率の目標も上方修正の見直しがなされなければならない、また必要があるのではないかと、こう思っております。  ところが、聞くところによりますと、どうも四五%目標率達成目標を二〇一〇年ではなくもっと先送りして後にずらすような話も出ているやに聞いております。この点はどうなっているんでしょうか。
  99. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 食料自給率の目標、食料農業農村基本法に基づきます基本計画の重要な構成事項でございます。そして、今この基本計画の見直しをやっておりまして、現行計画平成二十二年度を目標年次としております。その見直しの仕方、大ざっぱに言いますと、目標年次は一定にして期中改定する方法と、新たに目標年次を設定する方法と両方あるわけでございます。  私どもは、現在の基本計画の見直しが農政の抜本的な改革であるということを踏まえまして、期中の改定ではなくて今後十年程度を見通した新たな計画を策定する方がふさわしいのではないかということで、目標年度を二十七年度とする方向で検討してはいかがでしょうかという考え方を一月三十日に開催をいたしました食料農業農村政策審議会企画部会に議論の素材として提示を申し上げたところでございます。食料自給目標もこの二十七年度にするんだということを明確に申し上げておりませんけれども、基本計画の目標年度と軌を一にする方が適切ではないかというふうに考えております。  ただし、問題はその中身、先生も先ほど来おっしゃっておられますように、どういうふうに自給目標を設定するかということだろうというふうに思っておりまして、関係者の方々のいろんな御議論を聞いて達成可能な水準とその達成手法というのをお示しをしたいというふうに考えているところでございます。
  100. 千葉国男

    ○千葉国男君 非常に残念なことです。  今の話を聞いておりますと、自給率は向上するどころか、ますます低下するんではないかと、こういう危険性を感じます。自給率は、基本的には消費者が国内産を消費するか輸入品を消費するかのいずれかの問題であります。自給率向上には、消費者に国内産を消費することの意識拡大がなければ向上はいたしません。  先ほど来言われておりますように、食料農業農村基本計画の企画部会の部会長であります東大の生源寺眞一教授は、この基本計画が議論されたときに様々な議論がありましたが、長期的には供給熱量の五〇%を確保することが我が国にとっては望ましいというのが大勢を占めておりましたと述べられております。農業農村が健全な発展と食料自給率のバランスから見ての見解だったと思います。  したがいまして、国民参加の具体的な事業推進するとともに、不測の事態におきましても食料供給が可能となる、いわゆる望ましいと考えられている自給率五〇%を目標としていくべきではないかと、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  101. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来御指摘のとおり、世界の食料の需給、中長期的には逼迫する可能性、これは御指摘をされておるところでもございますし、先ほども申し上げましたが、意識調査、そういう中でも食料の、我が国の食料事情に不安を感じておられると、こういう数字が、意識調査があるわけであります。  そういう中で、食料農業農村基本計画におきましては、基本的には食料として国民に供給される熱量の五〇%以上を国内生産で賄う、これを目指すことは私は適当であると、このように考えておりますが、現実にこの平成二十二年度までの計画期間、これを今、関係者などの努力によりまして食料の自給率の低下傾向を歯止めを掛ける、こういう現実ということであるわけでありまして、やはり関係者が取り組むべき消費、生産における課題が解決された場合に実現可能な水準として食料の自給率四五%、これを設定したところでありまして、この食料農業農村基本計画の見直しに当たりましては、消費そして生産、両面にわたる動向に係る徹底的な検証とそして幅広い議論を行っていく考えでありますが、食料の自給率の問題はやはり農業政策の面でのどのように見直しを行うか、また食生活の見直しに関してどのように取り組むか、あるいはその成果をどのように見通すか、こういうことが密接に関係をするわけでありまして、これらを踏まえて具体的な目標等につきまして十分検討をされるべきと、このように考えております。
  102. 千葉国男

    ○千葉国男君 去る四月三十日、我が公明党の神崎代表農業政策提言を行わさせていただきました。食料自給率向上は、生産対策のほかに消費、需要面での取組がまた重要であります。農林水産省だけに任せているのではなく、国が総力を挙げて取り組むべき課題としております。このためには、内閣総理大臣を長とする食料農業農村政策推進本部を自給率向上の戦略本部と位置付け、内閣を挙げて総合的対策を講ずべきだと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  103. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生御指摘のように、食料自給率の向上のためには関係する政策を総合的に実施するということが必要でございまして、農林水産省だけではなくて、関係省庁においても必要な政策ということを講じていただく必要があるというふうに認識をしております。  例えばその消費面におきまして、国民の健康保持、増進という観点もございます。これは厚生労働省のお仕事でございますし、食育、学校給食といった教育面からのアプローチ、これ文部科学省。その他も財政の問題、地域協力の問題、いろいろあるわけでございまして、関係省の総合的な取組ということが不可欠というふうに認識をしております。  そういう意味で、食料農業農村政策推進本部、総理の御指示の下で関係閣僚が一丸となって基本計画の着実な推進に取り組むということで内閣に設けられているものでございまして、今後、この推進本部を中心といたしまして、内閣を挙げまして食料自給率の向上のために全力で取り組んでいく必要があるというふうに認識をしております。
  104. 千葉国男

    ○千葉国男君 自給率向上のためには、今申し上げましたように、消費、需要両面の対策として、例えば一つの例として、米粉の消費拡大を図る、こういうふうに提案をしたいと思います。米粉のパンや米粉のラーメンなど評価が高いと聞いております。政府として、全国的な推進協議体を作るほか、レシピの開発であるとかイベントの開催など、本格的に力を入れて取り組むべきだと思いますが、どうでしょうか。
  105. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) お米、非常に栄養的に優れてございまして、この消費拡大ということは、健康の維持増進という面からも、あるいは自給率の向上、水田の有効利用といった面からも極めて重要というふうに考えております。  特に米粉でございますけれども、その用途が、先生もおっしゃられましたパンとかめんとか、あるいはお菓子、それからタコ焼き等の軽食、それからあと料理の素材、カレーのルー等でございますが、そういうふうに幅広い利用が可能でございまして、私ども新たな需要の開発方途として大きな期待をしてございます。  その米粉食品の普及のために、現在、ブロックごとに普及推進協議会を設立をいたしまして、シンポジウム、あるいは、レシピと申されましたけれども、米粉パンの技術講習会、どのような料理をするか等々、官民を挙げて取り組んでいるところでございますし、また、学校給食におきましても、全国で約二千校が米粉のパンの導入に取り組んでいるところでございます。  私ども、これ、今後の自給率問題を始めとする農政の隘路を切り開く可能性があるものとして、この米粉の普及に努めていきたいというふうに考えております。
  106. 千葉国男

    ○千葉国男君 また、自給率には消費者のニーズにこたえるビジネスとしての農業が活性化したときに上がるという金額ベースの自給率もあります。基本計画では、この金額ベースの自給率は現在は参考として掲げておりますが、例えば品質の良いものが高い価格を形成する、それが国産食料の価値を高めることにもなります。その意味で、この金額ベースの自給率目標を、参考ではなくて、公式目標に掲げる方が農業の活性化の実態に合うのではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  107. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在、食料を総体として自給率を見たい場合に共通の物差しが要るわけでございますが、その物差しといたしまして、カロリー、エネルギーで見るか、あるいは金額で見るかというとらえ方があるわけでございます。現在までのところ、自給率でございますので、国民が最低限必要な食料、カロリーを確保するにはどうすべきかということを意識をいたしまして、カロリーベースの食料自給率を基本的に採用して表すということとしてきたわけでございます。  ただ、先生言われましたように、国内農業のコスト問題も課題となっておりまして、農産物の価格が高くなれば自給率が高くなるという金額ベースの食料自給率もこのカロリーベースの自給率を補完するものとして示しているわけでございます。  農家の方の生産意欲を誘導していく、促進していくという面では、この金額ベースの食料自給率、大変有用だというふうに思っておりますけれども、他方で、食料としての重要度を果たして正確に表しているかどうかとなりますと、疑問の点がないこともないわけでございまして、どのような表し方がいいのかということは、今後、基本計画の見直しの中でいろいろな方から幅広い角度で検討を加えていきたいというふうに考えておるところでございます。
  108. 千葉国男

    ○千葉国男君 次に、農業委員会に関してお伺いをしたいと思います。  農業委員は全国で五万八千人程度いると聞いておりますが、この委員の方々は経験豊富な地域の世話役として様々な活動をさせていただいているわけですが、この農業委員の方々の、現在、平均年齢はどのようになっているのか、お伺いします。
  109. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員の平均年齢でございます。  今、委員の御指摘のありましたとおり、経験豊富の地域の世話役的な方が選ばれておりますので比較的高齢の方が選ばれておりまして、平均年齢として六十一・四歳ということになっております。
  110. 千葉国男

    ○千葉国男君 経験豊富な農業委員の方々の活動には信頼もありますけれども、一方では、農業委員会の活性化を図るためには若い方々の登用も積極的に進めるべきだ、こういうふうに思います。若い人が魅力を感ずる委員会活動をする必要があると思います。  また、農業の六割以上が女性により担われているという現状にある中で、女性農業委員の登用も積極的に図るべきだと考えております。先ほど来、段本委員あるいは和田委員より御指摘がありましたけれども、女性農業委員の登用の促進について、我が公明党では女性議員が約全議員の二割以上になっておりますけれども、先ほど聞いたら二%とか三%という話でありますので、その辺についてもっと積極的にやるべきだと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  111. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に今申し上げましたとおり、平均年齢もかなり高うございます。そして、青年農業者が全農業委員に占める割合というのも極めて低うございまして、平成十四年七月時点で〇・五%。またさらに、お尋ねの女性につきましても、平成十一年、それから十四年を比べますと、倍増はしておりますが、絶対的なパーセンテージとしてはまだ低うございまして、四%弱ということでございます。  今後、我々も、地域女性農業者が占める割合、そういうこと等も考えますと、まだまだこの農業委員としての、女性農業委員の数が増えるべきというふうに考えております。系統組織でも立候補の促進やいろいろな自主的な運動を実施されているわけでございますが、我々行政としても積極的にこれを支援をしまして、女性また青年農業者委員の登用が更に一段と進むように努力をしてまいりたいと思っております。
  112. 千葉国男

    ○千葉国男君 農業委員会農地の流動化等に果たす役割は大変大きいものがあります。今回の改正の中でも、農業委員会業務農地・経営対策重点化するとされているのもうなずけるところであります。このため、担い手に効率的に農地を集積するために、農地情報のデータベース化をやる必要があるのではないかと考えますが、現在のこのデータベース化の進捗状況はどうなっているのか。また、あわせて、マップ化を推進して利便性を図り、その上で出し手と受け手の交流の相談会が適宜に行われるように設定すべきであると、こう思いますが、いかがでしょうか。
  113. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 私ども農林水産省としましても、この優良農地の保全あるいは担い手への農地利用集積、こういうことを図るために、農地なりあるいは農家等の情報を管理いたします農地基本台帳、これを電子化する作業、それからまた、電子入力したデータを地図上で表示することのできます地図情報システム、こういう両建てで事業推進を図ってきたところでございます。  こういう取組の結果、平成十五年度末でございますけれども、まず最初の点の農地の基本台帳の電子化、これについては約八割まで進捗をしてございます。それから、農地地図情報システムでございますが、これはまだ余り進んでおりませんが、今のところ二割まで来ました。ということで、整備がされております。  委員指摘のとおり、こういった電子化された情報というのは今後の農地の流動化なりいろんな地域の振興策を作るに当たりましても極めて有効な効率的なシステムだというふうに考えております。そういう意味で、今後、農業委員会スリム化される中でも、こういう効率化を図る上で非常に有力な手段だということで、引き続きその整備の水準を高めてまいりたいということを考えております。
  114. 千葉国男

    ○千葉国男君 データベースあるいはマップ化については是非推進をよろしくお願いしたいと思います。  私の地元の宮城県の大和町では、農地流動化の促進のため町として補助金を出しております。特に受け手と出し手の両方の利用権の設定であるとか所有者移転とか農作業委託、それぞれに十アール当たり、出し手に五千円から三万円、受け手に三千円から六千円等の助成をしておりますが、国としてこの流動化対策としてどのような対策を講じているのでしょうか。
  115. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農地の流動化対策でございます。  これは平成十二年三月に策定をいたしました食料農業農村基本計画、こういうことの計画に基づきまして、従来から効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対しまして農地の利用の集積を図るということで、基本的な大きな中心となります事業農地保有合理化事業、こういうものがございます。こういうものを中心に施策の推進を図っているところでございます。  特に、ただいまお尋ねがございました担い手なりあるいはまた出し手の方に対する直接的な補助、こういうものがないかということでございますが、私ども、最近流動化がやや足踏み状態でございますので、是非これを加速化したいということで、平成十五年度からでございますけれども、認定農業者規模拡大を行う場合に出し手の方にも促進費という形で補助を出すという仕組みをスタートさせたところでございまして、こういうものを活用していただいて是非流動化を促進していただきたいなと考えております。  さらに、現在、基本計画の見直しの一環としまして担い手・農地制度の本格的な検討もしております。その中で、やはり農地の流動化は非常に重要でございますので、これまでの施策の検証等を行った上で更なる対策等を考えていきたい、こういうふうに思っております。
  116. 千葉国男

    ○千葉国男君 今お話のありました認定農業者の件でありますけれども、国としてその育成に力を入れているということは分かります。  認定農業者の資格の在り方、それから育成の状況、それについて御報告をいただきたいと思いますが、地元からは、認定農業者の地位とか存在感を高める必要があるとか、あるいは認定農業者に対してもっと支援措置があっていいのではないかと、こういうふうに言われておりますが、いかがでしょうか。
  117. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 認定農業者についてのお尋ねでございます。  この認定農業者制度でございますが、これは市町村地域の実情に即しまして育成すべき農業経営の目標というものを明らかにいたします。例えば経営類型ごとの経営規模でありますとか所得目標などでございますが、まずこういうものを明らかにする。そして、その市町村におきまして、今申し上げました市町村が定めた目標、こういうものを目指しまして経営の改善を計画的に進めようという農業者、意欲と能力のある農業者を認定していくというのが基本的な仕組みでございます。  この認定農業者仕組みは、単に規模が大きいというだけではなくて、低コスト化あるいは高付加価値化等によって単に大規模化するだけではないわけでございますけれども、そういう地域農業の実情に応じた認定、こういうものが行われるようにということで指導をしておりまして、平成十五年九月末の時点で約十八万経営体、こういうものが認定をされております。  そして、認定農業者に対するメリット、措置でございます。これは幾つかの面がございまして、一つは、農地の利用の面では、こういった認定農業者利用集積を促進していくということで、まず第一に認定農業者に対して集積するということを考えていくというのが一つございます。それからまた、金融の面では、スーパーL資金でありますとか非常に低利の政策資金を融通していくということもございますし、また経営改善支援センター等で経営の相談、指導、こういうものを濃密にしていくといったようなことも対象にしておりますし、さらに、近年では農業者年金、これの保険料の助成をやっておりますし、また本年度からスタートいたしました米政策、この中で担い手経営安定対策、こういうものは基本的には認定農業者をベースに考えていくといったような仕組みになっております。  今後も、こういった各種事業の対象者の要件ということにつきましては認定農業者を基本として考えていきまして、施策の集中化、重点化ということを図ろうと思っております。  ただ、これまで認定農業者制度ができまして十年ほどたちましたが、いろいろ反省点といいますか、問題点等も指摘をされております。そういう意味で、今後、認定手続でありますとか、更に検討していく必要もあろうかと思います。昨年、既に一定の改善ということでガイドラインを出したところでございますけれども、今、基本計画の見直しもしておりますので、その中でも更に改善すべき点がないかどうか検討してまいりたいというふうに考えております。
  118. 千葉国男

    ○千葉国男君 最後に、株式会社の参入についてお伺いをしたいと思います。  昨年三月施行の改正農地法により、株式会社形態を追加した新たな農業生産法人制度をスタートさせたところでありますが、残念ながら本来の目的から外れた構想を抱いているケースが散見されております。  全国農業会議所が、千葉県の平成十四年度、十五年度における農地取得相談概要等をまとめて発表しておりますが、その実態は驚くべきものがありまして、その辺を農水省として掌握をされているのか。また、こうした農地の無法地帯は断じて排除していくべきであると、こう思いますが、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  119. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 企業の農業参入と、これに際しまして、今、委員からも御指摘の千葉県におきましては、産廃業者や、あるいはまた関連コンサルタントからの相談が少なくないと、こういうことは承知をしております。  これら堆肥作りというようなことで産廃の処分場に利用されるというようなケースもあるようにも伺っておるわけでありまして、やはり農業を経営する、こういう視点に立ってのことであるわけでありまして、株式会社の問題というのは、やはり今特区等ではリース方式等々活用しておるわけでありますので、やはりその辺、農地の取得につきましては慎重に対応しなければならないことと、このように思っておりまして、非常にこう相談、後がどうなるのか、産廃ですとか、やはり地域を守ってもいかなければならないわけでありますし、そういう面で農業委員会役割、パトロール等々を通じて、農業委員会役割というのは大変重要なことになるわけでありますので、やはり株式会社、農地の取得につきましては、私は慎重に対応しなければならないと、こう思っております。
  120. 千葉国男

    ○千葉国男君 終わります。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。ちょっと声が出にくいので聞きづらいかと思いますけれども、御了承いただきたいと思います。  私は、今日は農業委員会改正法案についてお聞きします。  これは全国農業会議所が出しているパンフレットで、「農業委員会組織はこんな活動をしています」と、五つの内容が紹介してあって、中を見ますと四つの重点事業ということで、一つは「「農地を守り、活かす」ための取り組み」、二つ目は「担い手・経営 認定農業者など担い手への支援の取り組み」、それから三つ目に「農業者地域の声を代弁し、実現する取り組み」、四つ目に「地域」ということを書いていて、「「農」と「住」の調和のとれた農村地域づくりと「食」と「農」への国民理解に向けた取り組み」ということで紹介しているパンフ、去年もらったんですけれども。  この農業委員会制度の在り方といいますか役割というのは、今回の改正で今まで担ってきた農業委員会役割というのは変わるんでしょうか。
  122. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会改正につきまして今回御提案を申し上げておりますが、これにつきましては、昨今の農業を取り巻く状況、これを考えますと、非常に、優良農地の確保の問題、それから耕作放棄地の解消の問題、それから担い手への農地利用集積、また農業の経営の法人化、非常に構造政策をめぐる課題、こういうものが非常に重要になってきております。  こういう構造政策を進めるに当たりましては、やはり農業委員会、これは農業者主体合議体として成り立っておりますが、農地権利調整あるいは効率的な利用をやるということにつきましては、非常に公平、客観的にもできますし、またその農地についてのこだわりあるいは農村社会の特質、こういうものを踏まえますと非常にスムーズにできるのではないかということでございまして、そういった農業土地の、特に土地に関します基本的な性格、役割というものは変更するものではないということで、むしろそういった農地に係ります業務、そういうものを重点化をしまして、その役割を一層発揮してもらうというのが今回の考え方でございます。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 変わるものではないという話がされているわけですけれども、今回の改正で法令以外の任意業務について重点化するというふうに言っているわけですけれども、これは本来の役割をむしろ狭め弱めることになるんじゃないかというふうに思うんです。  改正案では、農業、農林に関する振興計画を作り、実施の推進農業技術の改良、それから農作物の病害虫の防除、その他農業生産の増進、農民生活の改善に関する事項、これは任意業務から削除するわけですね。逆に、任意業務となっていなかった農地利用の集積、その他効率的な利用、法人化という、政府農業構造改革推進役を農業委員会の任意業務として押し付けることになると。  これは農業委員会農水省の下請機関にするものになるんじゃないか、農業委員会の性格を大きく変えることになるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  124. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今般の法律改正に当たりましては、事前にいろんな関係の方々、また国民意見代表する方々等に集まっていただきまして、十分な検討を行いました。その結果、非常に農業委員会の活動が総花的であって非常に分かりづらいという御指摘も強かったわけでございます。今後、市町村合併等も行われますし、一定のスリム化等も進行するという中で、農業委員会の基本的な役割、そういうものをより発揮させていくということから考えますと、農業委員会が主体として必ずしもやっていないような業務というものはこれは整理をすべきであるということでございます。  例えば病虫害の防除等につきましては、基本的には普及なりが担うべきでございますし、また農業農村地域振興計画といったものも、基本的には地元の市町村あるいは都道府県、こういう行政主体が作成をするというのが実態であります。  そういうことも踏まえますと、もちろん農業者代表としてそういった計画なりいろんな事業の実施に適切に意見を反映するということは非常に重要でございますので、意見表明でありますとか建議、そういったものについては引き続き任務として残すわけでございますが、農業委員会が主体として行っていく業務というものは農地に係る業務重点化をしたというのが今回の考え方でございます。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 そもそも一九五一年度に発足した当時の国会では、農業委員会の提案の理由として、従来の農業施策の実施において最も欠如していたのは、制度上の農民の自主性が重視されていなかった点だと、どうしても農民の声をして直接都道府県なり市町村の行う農業政策の上に反映させるための民主的な組織が必要だと、これ五一年の二月の衆議院の農水委員会で議論されています。議事録にありますけれども。こういうふうに農業委員会制度の必要性が強調されているわけですね。また、この法律を解説して、農林法規の解説全集、ここでは農業委員会の在り方を、農業全般にわたる問題を農業者の創意と自主的努力によって総合的に解決していくというふうにしているわけです。  この基本というのは、この間、情勢の変化があったにせよ、今も非常に大事な中心点だというふうに思うんですね。やっぱり変えてはならない点だというふうに思うんです。結局はそれを、農業委員会を結局は目標どおりに進まない農地利用集積推進役に専念させるということになるもので、農水省の下請機関となることを求めるものだというふうに言わざるを得ないんですね。農家のやはり代表しての性格を、元々の性格を変質させるものだということを私は指摘せざるを得ないというふうに思うんです。  それで、大臣、今回の法改正農業委員会の必置基準面積から生産緑地以外の市街化区域農地面積を除外すると、加えて農水省は政令改正によってこの必置基準面積の大幅引上げを行おうとしているわけです。  三月十七日に開かれている地方分権改革推進会議委員会農水省に対するヒアリングが行われているんですけれども、そこに出席して説明されている川村経営局長は、農業委員会必置規制廃止を委員会側から求められて何と言ったかというと、今回は全廃というわけにはいかないんですが、かなり自由度を高めるという方向でかなり大きな一歩を踏み出したと思っておりますと、まず第一歩を踏み出させていただいたと思っていますのでよろしくお願いしたいと思いますというふうに述べているわけです。  この局長の答えからしますと、今回の改正は、農業委員会必置規制廃止に向けた第一歩であって、この必置規制を廃止するということが既成事実ということになるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  126. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の改正はこの地方分権の議論が契機になったことは事実でございます。そういった御指摘を踏まえ、かつ、ただ昨今の農業情勢、これが大きく変化をしておりますので、農業委員会としてどうあるべきかということはこれはむしろ農林水産省としても主体的に検討すべきであると、こういうことで懇談会を開催をいたしまして、現時点でどうあるべきかということを非常に幅広くいろんな見地からまた熱心に御議論をいただいて、その結論を踏まえて今回やっているということでございます。  農業委員会の在り方について未来永劫現在の案でということではないと思いますが、現時点で考えますと、先ほど来私お答えをしておりますが、最大限のものを御提案させていただいているということでございまして、今後どうするといったことを予断を持って考えているわけではございませんので、その点御理解いただきたいと思います。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 局長の答え方によると、この必置規制を廃止するということは既成の事実のように聞こえるわけですけれども、いや、そうじゃないというんだったら、大臣、これに対して明確に否定する答弁をいただきたいと思います。
  128. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども私答弁しておりますけれども、農業委員会、その担い手への農地利用集積と、こういうこと等、構造政策推進する上で農業委員会の果たす役割というのは高まっておるわけであります。  そういう面で、農業者合議体、こういうことでいろいろ今日までもその実績も踏んでおるわけでありまして、私は、引き続き市町村必置機関としての重要性、これは持っておるわけでありますので、私もこの地方分権の会議あるいは経済財政諮問会議、こういうところに参りましても、改良助長法と併せてこの農業委員会役割、そして今日まで非常にその実績を残しておられることはかねがね申しておるところでもございます。  しかし、若干、時代の趨勢、そういう面でスリム化ということは、これ何の、どの機関、どの仕事につきましてもそれは時代の要請にこたえなければならないわけでありますが、しかしその農業委員会役割というのは、これ農業者にとっては大変重要な機関であるわけでありますので、これは十分守っていかなければならないと、こう思っております。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 スリム化ということなんかも一方で言いつつ、しかし守らなきゃいけないという話もされたわけですけれども、今回の改正というのは農業委員会の解体に向けた大きな一歩になりかねない問題があるというふうに思うんです。  必置基準面積から生産緑地以外の市街化区域内の農地面積を除外した場合、新たに二十三市町村が必置基準面積の九十ヘクタールを割ることになります。さらに、政令改正によって必置基準面積を大幅引き上げるというふうにしていますね。大幅というのは、これ、市町村合併推進に併せて現行の二倍から三倍というふうにも言われているんですけれども、そのような引上げ幅になるというふうに考えていいんでしょうか。
  130. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業委員会の必置基準の面積につきましては、昨年六月の基本方針二〇〇三、この中で既に方向としては出ておりまして、大幅な引上げを行うということが結論付けてあるわけでございます。  今後、この方針と、それから今回の改正を踏まえまして、政令の段階でこの具体的な数字を決めることになるわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、今後の市町村合併に伴います農業委員会区域がどの程度拡大し、その中の農地の面積がどうなるのかといった見通し、それから、これはあくまで業務量と負担との関係でございますので、その農地規模別の業務量、こういうものがどういうふうに推移するのかという、どういうものになるのかと、こういうものを勘案をいたしまして、よく精査をした上で客観的数字に基づいて決定をしたいと、こういうふうに思っているところであります。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 今回の改正では見送られたんですけれども、農業委員会のこの必置規制自体が攻撃の中心になっていて、その点については農業関係者からは強い反発があったと思うんです。必置基準は農業委員会の存廃にかかわる重要な問題です。全国農業会議所からも政令に委任される必置基準面積について、農地総量の確保や農地利用の管理、それから農地法等の法令業務の適正執行等に支障のない範囲での水準とするように強く要請するというふうに要望が出されているんですよね。  それで、引上げ幅がどうなるかというのは重大な問題で、本来これは法案審議の場に示されていなければいけないというふうに思うんです。必置基準面積から生産緑地以外の市街化区域内の農地面積を除外し、かつ必置基準面積を二倍にした場合、それから三倍にした場合に必置規制から外れる自治体数はどうなりますか。
  132. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 仮定の問題としてお尋ねでございます。  今後の市町村合併、これがどういうふうに推移するか、またその農地がどの程度推移するか、どういう状況になるのかというようなことも踏まえなくちゃいけませんので、なかなかこれはお答えしづらいところでございますが、仮に平成十六年一月一日現在におきます市町村数、あるいは農地面積、そういうものをベース、そしてかつ現行の基準面積を二倍に引き上げた場合で言いますと、そういう仮定の下でございますので御理解いただきたいと思いますが、二倍の場合は四百四市区町村、三倍の場合は五百九十七市町村ということに計算上はなります。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 新たに増える市町村数と累計で幾つかということで言ってください。
  134. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現在、任意必置とされているのが二百四でございますが、それが二倍にした場合は四百四でございますので、その差が二百ですか、それから三倍にした場合五百九十七で、二百四を引きますから三百九十三ですか、そういうことになります。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 三倍の場合ですよ。
  136. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 二百四を引きますから、五百九十七から二百四を引きますので四百……
  137. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 正式に答弁してください。
  138. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 三百九十三ですね、はい、済みません。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 二倍にした場合、大体一三%くらいですよね。それから、三倍にした場合、大体二割ぐらいの自治体が結局必置基準以下になるということだと思うんです。  ここで私、問題にしたいのは、都市農業に対する影響の問題なんですね。  今回の改正による影響を都市部で見ますと、必置基準面積が二倍になった場合に、例えば東京ですとほとんどの市区町村で農業委員会が廃止される可能性が出てきて、残るのは、二十三区では練馬に、それから三多摩では八王子、町田、青梅、あきる野、立川、小平、東久留米、清瀬の端、あと瑞穂、大島、八丈の三町のみということになりかねないわけです。大阪で見ますと、四十四市町村中四三%の十九市町が下回ることになるんですね。三倍の二百七十ヘクタールになりますと、これ二十八市町村、三分の二が必置規制が外れることになるわけです。これは農地面積では大阪府の農地面積の三割を占めるんですね。  三大都市圏で農業委員会の機能というのが大幅に後退するということは、これ否定できないと思うんですよ。都市農業における農業委員会役割を否定することになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  140. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の必置基準面積の引上げは、農業、都市農業と、重要性、そういうものとリンクしているものではございません。あくまでそういう農業委員会を置くことのコスト、言わば費用対効果といいますか、事務量とコストの関係、そういうことで市町村を義務付けることが過度の負担を与えることになってしまうという懸念から、その業務量に着目をいたしまして一定の線引きを行うということでございまして、都市農業を軽視するとかそういうものではございませんし、かつその基準、これはあくまで市町村の自主的な判断で農業委員会を置くかどうかという線でございまして、下回る場合でも当然置くことは可能でございますし、置くことに対する交付金の算定というのは従来どおり行うということでございますので、都市農業に対して直接的な影響を与えるというものではないというふうに考えております。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 今、最初の方のお答えですと、業務量に着目してというような話がありましたけれども、農業委員会は転用許可だけで農地を守っているわけじゃないと思うんですね。都市部の農業委員は、生産緑地の管理や、それから市民農園などの取組、相続への関与や相談など、重要な役割を果たしていると思うんです。それからまた、農民の代表として地域農業や農民にかかわる問題で意見を公表し、建議をし、国や自治体にそれを反映することができると。これらの活動で農地を守って地域農業を振興しているわけですよね。  東京都の農業会議が「都市農業軽視の農業委員会法改正を糾弾する」という声明を四月六日にしているんですけれども、これは私、当然だと思うんです。基本法では都市農業について、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図るために必要な施策を講ずるというようにしているわけです。東京都が実施したアンケートでも、九四%が東京に農業農地を残したいというふうに言っているわけですね。  だから、今回の改正は都市農業の振興に大きな支障を来し、都市住民の意向にも反するものだというふうに思うんですけれども、その辺の御認識いかがでしょうか。
  142. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 答弁として繰り返しになるかもしれませんが、今回の必置基準の引上げは、都市農業を軽視するとかそういう意味では全くございません。全く業務の量から判断をするという観点でございます。  そういう意味で、今、委員が御指摘の中で生産緑地の問題を触れられましたが、生産緑地については確かにいろいろな業務が、それ以外の市街化区域農地と比べまして業務がいろいろ想定をされております。したがいまして、その市街化区域農地を一律に除くということではなくて、生産緑地についてはやはりこれは必置基準面積の算定にカウントをするということで、生産緑地以外の市街化区域農地をカウントからは除外をするということでございます。したがいまして、算定上そういう引上げが行われましても、農業委員会が必要であるというふうに判断をされれば、それは置くことができるということでございます。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 もう一つ、先ほど交付金は変わらないということを言っていましたけれども、基準以下の自治体も任意設置されるという見通しをおっしゃるわけですよね。それはどういう根拠でそういうふうにおっしゃっているのか。  必置規制以下の自治体の任意設置について、懇談会報告の中では、農業委員会設置の必要性の検証等の観点から廃止も含めた設置の見直しの取組が進められているが、これらの取組を行政、系統組織として更に促進することが重要だと指摘しているわけです。これは、任意設置農業委員会は廃止を促進すべきということなんじゃないですか。
  144. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に、この引上げによりまして、地元の市町村等の判断におきまして置くか置かないか、それは自由度が広がっていくということでございます。業務的な観点からいたしますと、農業委員会業務が少ないところは正に無理をして設置をする必要はないというのが我々の考え方でございます。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 全国農業会議所組織検討結果で、現行の必置基準面積以下の農業委員会の回答は、市町村合併に伴って廃止の方向で検討する予定というのが三七%、それから廃止は困難だというのが三五%あると。  地方分権改革推進会議の小委員会、これ三月七日にやられているものですけれども、多分川村経営局長も参加されていると思うんですけれども、このとき西室議長が、必置規制を外すということがすぐに廃止につながらないどころか、ずっと慣習的にそれを続けているところがあるように伺ったと、やはり規制が外れたら、それをちゃんと行政の方ではもう一回見直すということがなければいけないと思いますというふうに批判の発言しているんですよね。これは、廃止に向けて見直せという趣旨の発言なんじゃないんですか。
  146. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 議長の真意を確認したわけではございませんが、分権推進会議の立場からすれば、そういう線を引いた以上、減少していくというのを想定はされていると思いますが、我々としては今申し上げたような考え方で、あくまで市町村の判断によって設置するのかしないのかを決めていただきたいと、こういうふうに考えています。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 市町村の判断というふうに、市町村にもうげたを預ける形での答弁になるわけですけれども、実際には市町村自身も財政的には厳しくなっている中で、やっぱり任意設置ということでそれで大丈夫というふうな根拠というのは示せないと思うんですね。先にやっぱりスリム化ありきで、都市部、それから小規模農業委員会というのが廃止の流れが強まることというのは避けられないと思うんですよ。私は、非常にこれは現場の声からいっても問題だというふうに思います。  続きまして、農業生産法人の農業委員会への報告義務について質問します。  耕地面積の減少は歯止めが掛からないという中で、基本計画の策定について九八年以後だけを見ても、四百九十一万ヘクタールから四百七十四万ヘクタールに減少しているわけですね。このままでは、基本計画の二〇一〇年において四百七十万ヘクタールと、この維持そのものが困難になっていると思うんです。大体四百五十万ヘクタールか四百六十五万というふうに推定されているわけですけれども、農地を守ることは農業委員会の重要な役割なわけですけれども、その業務にかかわる問題でお聞きしたいと思います。  それで、二〇〇〇年の農地法改正で、株式会社形態の農業生産法人による農地取得を認めた際に、年一回農業生産法人の農業委員会への報告を義務付けたと思います。これは農業生産法人の要件適合性を担保するための措置だったと思いますけれども、確認したいと思います。
  148. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お尋ねの株式会社形態の生産法人、これの導入に当たりまして農業生産法人の要件、これを厳格にチェックしていくということで農地法改正いたしまして、農業生産法人に対しまして毎年事業状況等を農業委員会報告するように義務付けたところでございます。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 この農地法改正の国会の審議の中でも、農外資本に対する支配と転用目的による農地取得を排除するためにと説明ありましたけれども、農業生産法人をチェックする二重三重の手だてを取るんだということが強調されたというふうに思います。その一つが報告義務付けの徹底で、それに基づく国の土地買収の仕組みだったと思うんですが、農水省は、農業生産法人が農業委員会に対する報告義務を果たしているのか、その状況については掌握していますでしょうか。
  150. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいま申し上げたような報告義務というものを農業委員会、それぞれの地域農業委員会に対しまして報告するように農業生産法人に義務付けをしたところは今申し上げたとおりでございます。農業委員会は正にその地域農業事情に精通をして責任を持っておられるということでございますので、当該報告状況を逐一すべて農林水産省報告する仕組みにはなっておりません。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 私も実際に幾つかの農業生産法人が区域内にある農業委員さんの方に聞いてみました。それで伺いますと、初めに法人を立ち上げるときには出されているんだけれども、それ以降は一回もないと。それから、今までにただの一回も見たことがないというようなことが話をされていまして、あれだけ繰り返し議論をされていながらこういう状況になっていていいのかということを思うわけです。  それで、法を施行してからは三年既に経過しているわけですけれども、それにもかかわらず地域に任せているという、こういうことでいいのかと。農水省がやっぱり農業生産法人の報告実施状況について把握するということが本来やられるべきであって、そうでなければ農外資本による農地や、農地の転用目的の排除の担保措置というのにならないと思うんですね。その辺のところはいかがですか。
  152. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農地法仕組みを考えます場合に、基本的にその地域農業事情に精通をした農業委員会に任せるということで、制度としてその当該報告農水省に自動的に上がってくるという仕組みには取っておりません。これは地方分権その他もありますし、そういう逐一縛るということは法制的に無理でございます。ただ、問題となるような事例につきましては実情を連絡するように指導しております。その結果、まだ十五年度の状況は出ておりませんが、十四年度には現場において三件ほど勧告を行った例は承知をしております。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 農地法改正のときにやっぱり慎重に審議をして、そしてやっぱり規制緩和する場合に繰り返しそこはちゃんと二重三重のチェックなんだという議論を踏まえてきているわけですよね。それが、実際に聞いてみたら農業委員会の場では全然見ていないと、そういう議論になっていないというところがどれだけあるかということすら分からない状況なわけですよ。  であれば、農水省としては把握しないということじゃなくて、やっぱりきちっとこれは把握もするとか、そういう指導を強めるという必要はあるんじゃないですか。やっぱり都合のいいときだけ地方分権という言い方じゃなくて、そこはやっぱり責任持ってやらなければ少しも担保の措置というのにならないと思うんですけれども、もう一度いかがですか。
  154. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今申し上げましたとおり、問題のない状況では構わないと思いますが、いろいろそれぞれの地域において問題となったような状況がありました場合には、農林省の方にきちんと連絡をするということでの指導を更に徹底してまいりたいと思っております。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっとそれじゃ納得しないんですよね。  大臣、そういうやっぱり現に聞き取りもしていないと、言いっ放しなわけですよ。問題のあるところだけというんですけれども、実際には、なぜこういうふうに繰り返し言うかといいますと、例えば千葉県の農業会議所、千葉県農業会議は、農地法改正そして農業経営基盤強化促進法の改正後、相談面でどういう変化が起きているかチェックしているわけですね。農業生産法人に関する相談の中で二〇〇二年度は九十三件中三十四件、二〇〇三年度は百十三件中二十四件が生産法人設立を装った産廃関連事業についての相談がされていたと。NPO法人を介在させるなど手口も巧妙になってきているということなんですね。規制緩和に伴ってこの農地の権利を取得しようとする不当な動きというのが活発になっていると。  だから、入口のところでの規制を厳格にすると同時にやっぱり農業生産法人に対するチェックというのはこれは不可欠だと。農水省としてやっぱり農業生産法人の報告が実施されるように調査、指導すべきだという趣旨でもって今繰り返して言っているんですけれども、いかがでしょうか。
  156. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 地域の事情、農業事情に精通をし、責任を持って農地行政に当たっております農業委員会報告をさせ、また農業委員会農業生産法人の要件チェックを行わせるのが最も適当と、このように私も考えるわけでありまして、そういう面で農林水産省といたしましても農業生産法人からの報告農業委員会による要件チェックと、こういうものが円滑にまた適切に行われるように事務処理の指導と、こういうことをしておると、このように思っております。また、そのようにさせてまいりたいと、こう思っております。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 これからも更に強化するということで受け止めてよろしいんでしょうか。
  158. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 十分指導してまいりたいと、こう思っております。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 やはり今度の問題通じて、農業委員会にやっぱり土地の流動化含めて責任を転嫁するのではなくて、やっぱり農水省が、本当に担保措置をめぐって、これがあるから農外資本の支配の農地荒廃を防ぐことができるというふうに今まで繰り返し言ってきたわけですから、本当にそういう点では本気になって優良農地を守る立場でやっていただきたいというふうに最後に申し上げまして、このあとの法案の中身についてはまた次の機会にやらせていただきたいということで、これで質問を終わりたいと思います。
  160. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  いつもになく静かな委員会でございまして、ただ議論だけはしっかりとやらせていただきたいと思っております。  私は、いわゆるこの三法の中に新規就農者等の青年等就農促進等の法律がございますので、次代の農業を担うということになると思いますし、新規就農者、これについてちょっと質問をさせていただきたいと思っております。  これ一時新規就農者というのは非常に減って、この先農業どうなるかというような心配があったと思います。皆さんも同じ認識だと思うんですが。たしか二千人とか三千人とかという数字になったと思いますが、最近は何か聞くところによりますと大分増えてきたと、明るい見通しが出てきたというように承っておるんですが、まずその辺の実態ですね。  私は実は表をもらったんですけれども、これ皆さんに配るまでに至りませんでしたので、その辺の新規就農者の増加の実態ですね。それと、それからどういうような背景からこういう新規就農者が増えるような状況になったのか、その辺、まず局長の方から御説明願います。
  161. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 新規就農者状況でございます。  今、委員が御指摘、御質問ありました新規就農者状況は近年増加傾向ということでございます。平成二年がいわゆる底でございまして、四千三百人ほどしか新規就農者、これは三十九歳以下の新規就農者でございますが、しかございませんでした。これが平成十四年には一万二千人となっておりまして、三倍近いものになっております。  また、基本計画の構造展望の中でも、望ましい新規就農者の数というのが大体一万三千人から一万五千人ということを想定いたしておりますので、まあまあ、まだ足りませんけれども、それに近いところまで回復をしたということで、この状況は我々としても非常に望ましいと思っておるところでございます。  その理由でございますが、これもいろいろアンケートとか就農相談等に見えた方々の聞き取りによるものでございますが、もちろん農地を継承したとか家庭の事情、そういうものも就農の動機としてございますが、自分で創意工夫ができる農業に、農業自体に魅力を感じたということ、あるいは農業はやり方次第でもうかるといったような非常に積極的な動機付けというものが特徴として出てきております。  やはり、農業を見直しまして、やりがいを実感できるような職業としての再認識ということで農業を選択する人も増えているんではないかというふうにとらえております。
  162. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 これ、二日後に参考人質疑があって、そのときに聞けばいいのかもしれませんが、普及職員の功績といいますか、その辺もかなりあるんじゃないかなというような感じを私は持つんですが、その辺は、僕ちょっと通告していませんでしたけれども、局長の感覚的なお話で御答弁願えたらと思います。
  163. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 普及員の役割の一つといたしまして、やはり人材確保という意味で新規就農者、これについても力を入れていただいております。今般、改正をいたします就農資金、これにつきましても、普及活動の一環として、青年農業者を指導し、また育てるツールとして活用していると、こういう実態がございます。そういう意味で、普及員は正に非常に大きな力となっている、またその定着に向けてもかなり努力していただいているというふうに思っております。
  164. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それと、今、新規就農者ということで御紹介いただきましたけれども、これ三十九歳以下ですわね。そのほかにも離職就農者というのがおるんですね、四十歳以上の。こういう人たちもかなりの数が増えているわけで、数字は私、手に持っておりますから、今のその新規就農者、これは平成十四年で一万二千ですか、それに比較にならないぐらい、中高年の人は六万八千ですよね。圧倒的に多いわけです。  私は、農業のこれからの姿といいますか、農業に対して、農業を経営する人としてこの離職就農者というのも決して無視はできないんじゃないかなというような気がいたします。かねてから私もそういう行政的な面に携わってきたときに、例えば六十歳で今までの職業を離れた人も、健康な人であれば十年以上できるんですね、そういう条件さえ整えば。そういう人たち農業に就いてもらえばかなりの面でやはり若い人と同じような力になると、こう思っておったんですが。  ここで一つ、高齢者、高齢者というか離職就農者に対する農林省の対応といいますか、それもしありましたら。
  165. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今御審議いただいている法律も、青年就農等の「等」という言葉が書いてございまして、これは必ずしも四十歳以下ではなくて、そこが中心になりますし、そこが一番金利等、あるいは資金面でも優遇されますが、六十四歳未満の方も一応対象になるということでのカバーはしております。  それから、今もいろいろ担い手論議の中で議論をしておりますが、高齢者というと画一的に六十五歳以上ということで線を切るというような取扱いをしておりましたけれども、私どもの現在の検討からいたしますと、余り年齢で画一的に切るのはおかしいんではないかと。今、委員が御指摘がございましたとおり、十年、二十年現役世代としてまだ働きができる方もいらっしゃいますし、他産業でそれなりの経験を積まれた方はその非常に他産業で得られたノウハウ、これがまた農業分野で非常に有効に活用されている例も非常に実例として挙がってきております。  そういうことも考えますと、今後、多様な人材が農村部に入ってこられて、そしていろんな新たな視点なり風を吹き込むことによって地域が活性化する、こういう事例もたくさん見受けられておりますので、そういう観点で、画一的な、年齢とか、そういうもので見るんではなくて、正にそういう機能といいますか働きで、役割、そういうもので担い手像もとらえていく必要があるんではないかというふうに考えております。
  166. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 まあ昔は三ちゃん農業といって、何かこうさげすんだような、見下したようなあれがありましたけれども、決してそういうことはない。それと、農業、営農にしても、機械化とかなんとか非常に進んでおりますけれども、私はあれはある意味じゃ高齢者ができるように、できるような農業に変えていっているんじゃないかなというような感じもいたしますので、その辺、幅広く御検討を願いたいと思います。  そこで、ちょっと変化球に入っていきますけれども、新規就農者ですね。これ一万二千人ですか。これ大体どういうような、営農といいますか、どういうような農業に取り組んでおられるか、その辺の営農類型的な面を御説明願いたいと思うんですけれども。
  167. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 営農的な、営農類型的な実態でございます。  新規就農者が主に従事している部門は、一番多いのが施設野菜、これが約二〇%でございます。続きまして、水稲が一四%、露地野菜が一四%、果樹が一三%、花卉・花木、これが一〇%、酪農が九%、こういう順番になっております。  こういった施設野菜、露地野菜というのは農地面積が比較的少なくて済むということで、農地を持たない新規就農者にとりまして比較的取り組みやすい経営部門ということだと思います。土地利用型はなかなか広い農地が必要ということで、農外から特に入ってこられる方については非常に難しい面があるんではないかというように考えております。そういうことの実態にございますので、こういう営農類型別の状況もよく踏まえて対応していきたいと思っております。
  168. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そこで、私もそれ、今、局長説明のあった資料を持っているんですけれども、三千八百人の、回答数三千八百人ですよね。これ、新規就農者の母数が一万二千人ですか。これならそれほど少ない数ではないと思うんですけれども、私、全体の約八万人、これから比べたら、これが本当に代表するかどうかということを非常に疑問に思ったんですが、これは、ちょっとレクのときにお聞きしなかったんですけれども、これは新規就農者だけですか。いわゆる離職就農者は入っていない、今率をお示しになられましたのは。
  169. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 離職就農者も入っておりますが、基本的には若い方が、それで新規就農された方です。
  170. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そうしますと、私はその八万人を三千八百人で代表してこれが傾向だと言うのはちょっと乱暴過ぎるんじゃないかというような気がするんですよ。そういう面で、これ統計の問題かもしれませんけれども、農林省としてはもう少し親切な、もっと実態に合った調査というものを心掛けていただきたいなと。これは先日お聞きしたときにそう感じましたんで、是非局長にもその辺の御指導をよろしくお願いしたいと、こう思っております。  それと、もう一つは、大変この新規就農者が増えて、将来の農業に対してまあ明るい見通しということは言えると思います。事実、こういうふうに増えてくることによって日本の農業生産額というのは当然上がるでしょうし、農地についても、農地はいわゆる多面的利用の、多面的効果があるということから、農地をしっかり農業で守るということはそういう意味からも大変いいことだとは思うんですけれども。  もう一つ、農林省、先ほどから出ております自給率というのが憲法のごとく今、農林省の責任といいますか、農林省の施策の中心になっていると思うんですけれども、そういうものと照らして、新規就農者は大体農林省が考えるそういう自給率向上というようなものに向かって就農しているのか、あるいはそれができないのか、できないとすればどうしようとしているのか、その辺について農林省の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  171. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 自給率の向上というところで考えますと、特に大豆、麦、それから飼料作物、そういった土地利用型の農業、営農類型、こういうものを参入を増やすというのが必要だと思っておりますが、現実問題としては、先ほど言いましたように、ややこれは一般的な水準よりも低い分野になっているわけでございます。やっぱり考えられますのは、土地利用型でありますと農地の権利を相当程度取得しないとなかなか生産が軌道に乗らないということもございまして、この農地の取得が非常な課題になっているというふうに考えます。  そういうことから、私ども、特に新規就農者に対します、農地をいかに円滑に取得して、権利を取得していただくかと。また、必ずしも所有権に限らないわけでございますけれども、そういう意味では、まず就農相談センターにおきましてもできるだけ的確な農地情報、こういうものを与える、それから、先ほど来議論になっております農業委員会、これにつきましても新規就農者にある程度重点をした指導をしてほしいというようなこともございます。  それからまた、中核的な推進機関であります農地保有合理化法人、こういうものの農地の貸付けなり売渡し、こういうものもそういう新規就農者を育てるという意味でよく対策を考える必要があると思いますし、また公庫資金、これは農地を取得する場合には唯一、公庫資金、これが手段でございますので、この公庫資金につきましても円滑な貸付け等が行われるような仕組み、そういうものをよく考えていく必要があるだろうというふうに思っております。
  172. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 局長はそういうふうにいろいろお考えになっているんでしょうけれども、例えばこれ、私、質問のレク等でお話ししておりますと、私は農林省の一番、一番といいますか、今大きな目標というのは自給率の向上だと、こう思っていますから、農水省のやられることはいつもそれを頭に入れて見ているわけですけれども、こういう問題についていろいろお話ししていますと、必ずしもそういう認識がないと受け取れる面もあるんですよ。だから、これは何もこの問題ばかりじゃなくて、かねてから私も何回も質問していますから、お呼びしていろいろ担当者とお話ししている段階でも、自給率がどこの部局かちょっと私分かりませんけれども、そこ以外のところの人は自分の仕事が必ずしもつながっているかどうかという認識が薄い感じがしてならない。この辺は別に御答弁要らないんですけれども、その辺のないように、やっぱり大きな問題ですから、そういう意識をしっかり持ってもらいたいなと、こう思う次第でございます。  それともう一つ、これはちょっと先ほど千葉委員大臣との質疑でお聞きしていてちょっと気になったんで、大臣、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、これ、かねてから言われていることだと思うんですけれども、いわゆる自給率四〇%、これは達成可能な数字だというような理解でいろいろ進んでおると思うんですね。これが、だから目標年度、十年先なら十年先、それ、ああ四五%、ごめんなさい、四五%ですね、それが達成可能なということで分からないわけではないんですけれども、自給率の論議というのは、やっぱり幾らでなけりゃいかぬか、どのぐらいでなきゃいかぬかというのが最初にあって、それがこの期間だったら達成可能のこのぐらいで納得、納得といいますか、国民全体がここに進もうと、そういう議論だと思うんですが、その辺の、自給率はどのぐらいだという、その基本的なところがなかなか見えないでそれで達成可能なというところに行くと、非常にこれ、やはり農業関係者ばかりじゃない、消費者全体も協力していこうかというときに力が弱くなると思うんですね。  事実、たしか自給率、カロリー自給率四〇%というのはここ数年、四、五年ですか、ずっと横ばいでしょう。本来なら、あれだけ大きな目標を立てたとすればもう四二か四三か行っていいような感じもするんですけれども、それが行っていないわけですよね。  だから、その辺がしっかりとした、ただ単にやれるからやるんだというような感じでない、そういう目標値といいますか、そういう説得力のある説明をしていただきたいと思うんですけれども、もし大臣、御見解ございましたら。
  173. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 四五%の問題、これは食料農業農村基本計画の中での数字、今、委員からも御指摘のとおり、正にここのところ数年四〇%、いわゆる低下傾向に歯止めを掛けているというところではなかろうかと。平成十五年度がどうだったかと、これなかなか、BSEの問題、鳥の問題等々、あるいは米の不作というようなことがありまして厳しいところに来ておるんではなかろうかと、こういう意識を持っております。  そこで、四五%の設定というのはそういう面で基本計画の中で出てきたと思います。これはこれからの問題として、また今回、鳥やBSE問題等との関連で国民意識も、先ほど来申し上げておりますとおり、大変自給率の問題につきましても関心が強くなってきておるわけであります。そういう点を考えますときに、やはりもう一度この基本計画の見直しの中でもこれは十分考えていかなければならないと、こう思っております。
  174. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 よろしくお願いします。  それと、最後に一つだけ、これ農業経営三法だというくくり方をされておりますので、最近いろいろと議論、最近ばかりでない、議論されております株式会社の農業への参入ですね。  これは何か企業がやれば非常に会社経営でうまくやれるとか、そういうような議論でどんどんどんどん進んで、そういう考え方が進んできているような感じがするんですけれども、私は実際に農業参入は実態はあると思うんですけれども、私はよくよく考えてみまして、今の農業で効率性の面から、例えば穀物なんかを外国の輸入を日本に切り替えるだけの効率性を持った農業というのは、これ株式会社であろうが無理だと思うんですね。それから、野菜とかなんか、中国とかいろいろ入ってきますよね。ああいうところの労賃から見て、たとえ株式会社が入ってきても、恐らく株式会社がやられても、会社経営やられても安くなるということは余り期待できないだろうと思うんですよね。その中でこういう株式会社議論が出るのは何か納得できない面がございまして、ひょっとしたら何か、例えば国内でなきゃできないもの、いろいろありますわね、花もそうかもしれませんけれども、そういうようなところのおいしいところだけ食べちゃうんじゃないかなというような危惧もあるんですけれども。  農林省も盛んに株式会社の参入についていろいろ、前向きだと僕は言っていいと思うんですけれども、前向きでないとすればそう言っていただきたいんですけれども、どういうような姿を想定されておられるのか、その辺をひとつ御説明願って、質問を終わります。
  175. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 法人化推進ということの柱の中での株式会社形態ということを考えております。  今、委員が御指摘ありましたように、国際競争力、そういうことがこれですべて解決するということでは私どもないと思います。むしろ、経営体として非常に安定した、また効率的な経営ができるようにするということでは法人形態というのがやはり究極の姿ではないかというふうに考えているわけでございまして、実際、株式会社形態、今現在七十社ほど出ておりますが、その実態を見ますと、地場の食品製造とか、そういう原料として使われるところ、そういうところが農作物の生産まで、川上の方まで手を広げられるということもありますし、また地場の建設とか、運輸・観光業者、こういうところがその一環としてやられるというようなこともありますし、非常に、ある意味では非常に多岐にわたっておりまして、地域の活性化につながっているということは一般的には言えると思います。  それからまた、法人化した個々の経営体につきましても、例えば金融面で非常に信用があるとか、人材確保に当たっても株式会社のときの方が非常に優良な人材が集まるとか、そういう個々のレベルでもございます。  そういうもろもろの意味を込めまして、私どもとしては法人化というものの推進を図っているということで御理解いただきたいと思います。
  176. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私の早とちりの解釈だったと安心いたしまして、そういうことであれば、しっかりと実態を、農業実態をつかんだいろんな面の許認可をお願いいたしておきたいと思います。  以上で終わります。
  177. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 牛肉の買上げ事業をめぐる事件について質問したいと思います。  先般、大阪府警が、大阪食肉事業協同組合連合会、略称府肉連、それと全国同和食肉事業協同組合連合会、略称全同連、この二つの団体をめぐる牛肉偽装詐欺事件捜査に着手しました。報道などによりますと、食肉業界のドンと呼ばれている食肉大手ハンナングループの元会長らが国のBSE対策を悪用し国費をだまし取ったということになっていますね。この元会長ら関係者は既に逮捕されています。  私は、この問題について、業者とお金の情報公開が重要だという観点から度々質疑してまいりました。二〇〇二年三月二十日の参議院農林水産委員会では、当時の武部農水大臣から、すべてオープンにするという答弁も得ました。しかし、実際のところ、農水省の情報公開への姿勢というのは、大臣答弁とは裏腹に、積極的と言うにはほど遠いものであったし、今もそれが変わらないという印象を持っております。  そこで、一層の情報公開を求める視点から、今回の事件について質問したいと思います。  まず、生産局長に対する質問ですけれども、二〇〇二年三月に公表された買上げ業者名リストについて、全国食肉事業協同組合連合会、全肉連ですね、これら二団体は末端業者名を示していなかったんですよ。そのため、私は、同年三月二十六日に、農水省国会連絡室を通して、全肉連などについても他団体と同様に末端業者名を示すように資料要求をしました。ところが、二か月たっても資料が提出されなかったんですね。そこで、二〇〇二年五月二十一日の参議院農林水産委員会では、どうなっているんだということを尋ねました。そうすると、農水省は、一社ごとに同意を得る必要があるため時間が掛かっているという、こういう趣旨の答弁をしました。結局、資料要求から半年後の同年十月になって全業者リストは公表されたわけですよ。  しかし、今回の事件をきっかけにして、勝手に名前を使われた業者の存在が明らかになったんですよね。これはどういうことなんでしょうか。農水省の同意取得方法が非常にずさんだったと言わざるを得ないんですが、この間の経緯はどうなっています。
  178. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員の御指摘でございます。  御案内のとおり、本事業、当初は、BSE検査前の牛肉が市場から隔離される、また再び市場に搬出されないということを確保いたします必要性から、保管事業というふうなことでその事業実施主体が会員からの申出に応じまして牛肉を買い上げると、そういうことで保管するそういう取組を支援する仕組みということでスタートしたわけでございます。したがいまして、事業実施主体がどのような者からその対象牛肉を買い上げたのかを個々に確認する仕組みとはなっていなかったという、御案内のとおりでございます。  その後、消費者の不安を完全に払拭するというふうなことで焼却処分をいたします処分事業措置したことに伴いまして、やはり、この事業実施主体でございますとかあるいは県組織、そこに助成金が滞留しているのではないかと、そういった論議がなされるということを踏まえまして、その事業実施主体に支払われる金額のうち、その実施主体が負担すべき保管料でございますとか、あるいはそういった経費を除きまして、牛肉の評価額について、牛肉の買上げ先、いわゆる末端業者に支払われるということを確認することとしたわけでございます。  正に、今、委員からの御指摘のとおり、十四年の三月十五日には直接の会員については明らかになったわけでございますが、さらに、今お話しのとおり、平成十四年十月には、全肉連でございますとか全農、そういった直接の会員が都道府県団体になっておるものにつきましては更なる調査をその事業実施主体に依頼をいたしまして、県組織を通じて申込みをいたした末端業者の名称、それから申請数量も明らかになったわけでございます。  そこのところが、そういうことで、十月に明らかになったというのがこれまでの経緯でございます。
  179. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 いや、私はその経緯のことは知っているんですよ。だけど、六か月間掛かって調査して、何の関係もないような業者の名前がその中にあったんでしょう。そんなことはちゃんと追及すれば分かったことなんですよね。そうすると、一体何が起きていたのかと。どうやら、団体側がこの虚偽申請の発覚を恐れて、末端業者の説得のために公表時期をどんどん延ばしていたんじゃないかというふうに思われますよね。  そうすると、農水省はそれを知っていたのかどうかと。つまり、団体に対して偽装工作の時間を与えていたんじゃないかという疑いが出てくるんですけれども、どう思いますか。
  180. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) そこのところは、要は、事業実施主体と、それから牛肉の買上げ先、いわゆる末端事業者というところの関係ということでございまして、やはり直接的に私どもも強制的になにするというわけにまいりませんので、その事業実施主体でございます全肉連を通じまして、そこから任意の情報提供ということでやっておった次第でございます。  そこで、委員の御指摘のとおり、六か月、三月から十月ということで、大変時間が掛かったということで誠に申し訳ないと思っておりますが、そこのところは、したがいまして、そういうことで、強制力を持ったあれということじゃございませんで、そういうふうな調査にやはり時間が要したというふうなことであろうというふうに考えている次第でございます。
  181. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 別に強制力じゃなくて、それは聞けばいいだけの話ですからね。逮捕しろとか、そういうことを要求しているわけじゃないんですよ。そんなことができなかったというのは、私は大変おかしいと思うんです。  今回の質疑を準備するために、農水省から、府肉連大阪府同和食肉事業協同組合連合会、府同食ですね、この末端業者への支払額リストを出してもらいました。そうしましたら、大変不思議な事実が明らかになったんですよ。  まず、羽曳野市食肉事業協同組合、それから大阪ミートパッカーというこの二業者が府肉連と府同食の両方に多量の食肉買上げ申請をしていたわけですね。過去に示された全業者リストを見ますと、一つの業者が同時に二つの団体を通じて買上げ申請するなんという事例はないんですね。なぜこの二業者が単に事務手続が煩雑になるだけだと思われるような不自然な方法で買上げ申請したのかどうか、農水省としてはどう解釈しているんですか。
  182. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) そこのところでございます。  今回のお示しをいたしました支払先の末端業者のリストにつきましては、事業終了後の最終的な精算に伴います整理ということで、平成十五年の十二月に確定したということでございます。そこで、結果として、平成十四年十月の末端事業者のリストと、今、委員から御指摘のとおり、一部そごがあるわけでございます。  ただ、そこにつきましては、考えますに、保管事業への申込みの前に、そこで十月のリストには上がっておりました事業者の牛肉が、今回の最終的な支払先となった末端業者にその持っておりました牛肉が売り払われておったのではないかということで、それが、売り払われた牛肉が末端業者の所有になりまして、その末端業者が、最終的な事業実施主体との間での契約によりまして、それが申込みを行ったということではないかというふうに考えている次第でございます。
  183. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それは単にそういう経過があったということだけで、不自然さそのものに対して農水省がおかしいと思わなかったことが私には大変驚きなんですね。  次に、さらに、羽曳野市食肉事業協同組合と大阪ミートパッカーの二業者は、保管事業での買上げを前提にして多くの食肉業者から食肉を買い集めた一方、二業者間でも相互に一部の食肉を買い上げているんですね。また、府同食を通じて直接に買上げ申請をしている十勝ハンナン、それから中部ハンナンというこの二業者も大阪ミートパッカーを通じて一部の食肉を買上げ申請しているということが分かりました。  なぜこれら四業者は直接に買上げ申請しているにもかかわらず、わざわざ一部の食肉を相互に買い上げて、そして買上げ申請したのか、この理由と、それぞれの相互買上げの日付、経緯というのを教えていただきたいんですが。
  184. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員から御指摘ございました羽曳野の協同組合あるいはまた大阪ミートパッカー、それぞれが府肉連あるいは府同食の両団体を通じて申請をしておりましたり、あるいはまた、ただいまのお話のように、いろんな事業者から相互に買い上げた上で買上げを申請をしておるのではないかというふうなことでございます。  誠に繰り返しで恐縮でございますが、本事業につきましては、やはり当初は保管対象牛肉そのものに着目をしまして牛肉を買い上げまして、それを倉庫で保管すると、そういう取組を支援する仕組みとしまして、事業実施主体がどのような者からその対象牛肉を買い上げたのかというのは事業団が個々に確認する仕組みとはなっておらなかったわけでございます。ただ、そこがいろいろな御論議をいただいたことも踏まえまして、最終的には、事業団が事業実施主体であります全肉連に支払証明書等の提出を求めることによりまして、最終的な支払先である末端事業者が確認されたということでございます。  ただ、そこのところ、理由を、いろいろただいま委員から御指摘のあったことについての理由を言えということでございますが、私ども率直に申し上げまして、そこのところの理由については不明でございます。  こういった点も含めまして、御指摘のいろいろこの末端業者等につきましては現在捜査当局による捜査が行われておるというふうに承知をいたしている次第でございまして、その中で明らかになるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  185. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私は農水省に探偵小説のような能力を持てと言っているわけじゃないんですよ。しかし、非常に簡単な話ですね。表があって、それを見たら、何でこんなふうになっているんだと。単純にできる事柄が、いろいろと複雑な操作というものが数字になって出てきたわけです。これをおかしいと感じなければ、農水省役割というのは果たせないんじゃないかなというふうに思うんですね。  しかも、今日皆さんにお渡しした資料の、両面ありますが、新聞の面でも明らかなように、もうこの事実は去年九月に農畜産業振興機構が分かって農水省報告しているわけですよね。そうすると、今まで発表したものとこれ明らかに違うわけですから、それをなぜ今まで伏せていたのかということではいかがですか。
  186. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員からのお話もございましたが、平成十五年の八月に府肉連あるいは全同連から、平成十四年十月に公表されました末端業者の報告につきまして訂正をしたいと、そういう旨の申出が事業団にございまして、平成十五年の九月から十月にかけまして、事業団を通じまして、訂正の理由でございますとか、あるいは府肉連大阪ミートパッカーの間、あるいは府同食と羽曳野市食肉事業協同組合間の契約関係を証する書類、さらに、念のために大阪ミートパッカーと羽曳野市食肉事業協同組合が他の業者から買い取ったことを証する書類、そういったものの提出を求めたところでございます。  その結果、末端業者の変更の理由としましては、羽曳野市食肉事業協同組合あるいは大阪ミートパッカーを末端業者として報告すべきところを、両者がそれぞれ買い受けた業者まで末端業者として報告をしてしまったと、十月でございます、十四年十月にそういう報告をしてしまったと。あるいはまた府肉連、府同食と大阪ミートパッカーあるいは羽曳野市食肉事業協同組合との間の売買関係を示します契約書そのものはございませんが、代金受取を証する書類の提出はなされたということ、また、大阪ミートパッカーあるいは羽曳野市食肉事業協同組合からそれぞれ申請をされました牛肉につきましては通常の売買取引で購入をいたしたものでございまして、その場合、売買契約書は一般には取り交わされておらないということで、伝票などの証拠となる書類は残っていない、そういった回答がなされたわけでございます。  そんなことで、この本事業の末端業者でございます羽曳野市食肉事業協同組合、それから大阪ミートパッカーにつきましては、府肉連あるいは府同食から助成金が支払われているということは受領証によりまして確認がされているわけでございますが、これらの二業者が他の業者から買い受けたということにつきましては証拠となる書類は提出されなかったというところが、ただいまのことにつきましての確認をしておるところでございます。
  187. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 いや、私はその経緯は分かっているし、農水省も分かっていたわけでしょう、九月に。なぜ今まで黙っていたのかと。これまで、とにかく発表したがらないんですよ。その隠ぺい体質というのが私には分からないんですけれども。これ何で、今もう五月でしょう、去年の九月に分かっていたことを訂正して発表しなかったんですか。その理由を聞いているんです。
  188. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) これが、そこの事業者のそごといいますか、あれが最終的に確定いたしましたのは昨年の、お話のとおり十二月ということでございます。ただ、それで、そこのところをなぜ隠していたのかというふうなこと、公表してないのかということでございます。  このただいま委員からもお示しをいただいた資料をごらんいただいてもお分かりいただけますとおり、府同食なり府肉連の申請数量に、数量自体には変更はないわけでございます。ここのところは一致しておるということと、今回の助成金の支払先の末端業者として出てくるものと十四年の十月の末端事業者で出てくるものを比べていただきますと、末端業者でなくなりました、今回の支払先の末端業者には十社となっておるところが、十四年十月ではそれぞれ個別の名前が出ております。これにつきまして、この末端業者でなくなった業者については、既に末端業者として記載をされております羽曳野市食肉事業協同組合あるいは大阪ミートパッカーが買い受けておりまして、それについては事務的なミスであったというふうな向こうからの申告もございまして、そういう判断で公表に至らなかったということでございます。
  189. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 しかし、今回の事件というのはそういう事実は公表されない、そうしたことでなかなか発覚も遅れたということなんですよね。ですから、すべてそういうものは情報公開すると武部大臣が言ったんですから、誤解がないように、即座にもし誤りがあったんであれば発表するのが役所の義務じゃないかと思います。  ここで、大臣にお伺いしたいんですけれども、こうやってずっと答弁聞いていましても、結局のところ、農水省と業者というものがもたれ合い体質があるということは否めないんですよね。何か業者の思惑の方を大事にして、情報公開をするという本来の仕事をどうしても遅らせてしまっていると。  それからまた、やっぱり事実を調査するという意欲、それからシステムですね。徹底的に調査できる能力というものを養う、そういう必要があると思うんですよ。そうしませんと、今までこの問題、何が起こったかというと、はっきりしているんですよ。警察が動いたら初めて農水省は全貌を明らかにすると。そうすると、確実にもう非常に不透明だし不祥事に近いだろう、あるいは犯罪があるかもしれないというようなことがたくさんあっても農水省は何もしない。警察が動いたら初めて後で事実を発表するという、こういうパターンになってしまうんですね。これは私は逆だと思うんですよ。農水省自らが自分の管轄の仕事をきっちり調査していくと。そうしたら、犯罪があったらば警察が入るというのが本来の順番じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  190. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この牛肉在庫保管あるいは処分事業につきましては、実は昨年六月十八日に食肉流通問題調査検討委員会報告書ちょうだいをいたしております。その中にも、食肉行政につきましては行政が業界と一体となって施策を進めてきたことが政策決定過程における消費者不在や不透明性を招くことにつながったこと、我が国の食肉関係業界では消費者利益や公益を考えることが会員企業の利益につながるという認識が不十分であったことなどの指摘を受けたわけであります。  この反省に立ちまして、まず私は、省内での意識改革とこの食肉の問題につきましての反省、こういうことから、組織改正、また職員意識改革を強く求めたわけであります。また、食肉行政の運営に当たりましても、消費者の視点を重視して、政策決定過程の透明化を図るために、事業創設時に消費者意見を聴くなど消費者重視の政策決定システム、この構築、あるいはまた、JAS法を始めとする食品関連法規の遵守の徹底、取締りの強化、食肉関係企業のコンプライアンスの推進、あるいは牛肉のトレーサビリティーシステムの確立、普及、こういうことに全力で取り組むと、こういうことを指示をしたわけでもございます。  今回、このような事件捜査の権限を有する捜査当局の事実の究明に全面的に協力をいたしまして真相解明につながる、こう認識をしておりますので捜査状況を見極めていきたい、このように考えておりますし、またさらに職員意識改革をもって臨んでまいりたいと、こう思っております。
  191. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  192. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後三時三分散会