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2004-04-08 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任      松山 政司君     森下 博之君      小川 勝也君     北澤 俊美君      羽田雄一郎君     浅尾慶一郎君      千葉 国男君     風間  昶君  四月六日     辞任         補欠選任      森下 博之君     松山 政司君      浅尾慶一郎君     羽田雄一郎君      北澤 俊美君     福山 哲郎君      風間  昶君     千葉 国男君  四月七日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     小川 勝也君      市田 忠義君     池田 幹幸君  四月八日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     伊達 忠一君      信田 邦雄君     高橋 千秋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 伊達 忠一君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 高橋 千秋君                 羽田雄一郎君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 池田 幹幸君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産省総合        食料局長     須賀田菊仁君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○卸売市場法の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨七日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  卸売市場法の一部を改正する法律案及び特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君及び農林水産省消費安全局長中川坦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 卸売市場法の一部を改正する法律案特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取をいたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 三浦一水

    三浦一水君 自民党三浦でございます。連日、質問の機会をいただいてありがとうございます。  先に農産加工法の方からちょっと質問したいというふうに思いますが、今回、期限延長をするということでありまして、諸般の事情からそれはもう私も当然のことだろうというふうに思っております。一方で、WTO、FTAの協議の推移等々を見ておりますと、今後も農産加工業者に対しましては決して見通しの付く時代ではないなという感じもしております。  そういう中では、これは恒久的なものにすべきという議論もあるわけでございまして、単なる期限延長じゃなくして、その辺、農水省はしっかりしたお考えの中に取組をされているだろうと思いますが、その点まずお考えを聞かせていただきたいと思います。
  7. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 特定農産加工法先生がおっしゃいましたように、これ昭和六十三年に牛肉・かんきつ、農産物十二品目自由化問題がございまして、そういう厳しい国際環境の中でも国産農産物を原材料として使って頑張っている農産加工業者皆様方融資を付けるということでございまして、その後、平成七年にはウルグアイ・ラウンド農業合意という問題もございまして、引き続き輸入環境が厳しいということで延長をし、また今般、農産物輸入、引き続き厳しい状況でございますので、延長をお願いした次第でございます。  恒久法の問題につきましては、やはりこれ、農林漁業金融公庫から農産加工業者、これ大企業も含んでおるわけでございますけれども、への融資ということで、一定期間内に経営体質を強化をしてほしい、地域農業との結び付きをきちんとしてほしいということがございますので、期限を決めて時限立法でということで今回もお願いしたわけでございます。  私ども、こういう制度趣旨趣旨として、今後も国際環境状況でございますとか農産加工業実態でございますとかを勘案しながら、今後の扱いは検討していきたいと考えている次第でございます。
  8. 三浦一水

    三浦一水君 ちょうど昭和六十三年、この牛肉・かんきつ類の自由化、それから十二品目に対するガットの裁定がなされたころでありますが、私も果樹農家として、当時、今度は減反の政策も、それを契機に配転の政策も取られていったと、そういう記憶があるわけでございます。特に、その牛肉についてでありますが、当時の自民党畜産振興議連会長山中貞則先生でありました。私は、貞則先生、先般お亡くなりになりましたが、本当に、言われておりますように、税制あるいは通産政策あるいは我々の農政、そしてまた沖縄返還には大変大きな御功績があり、私としても本当にその御長逝というものを心から悼むものであります。  自民党総務会で長年活動されましたが、私も今年になって席が隣でございました。そうしたら、総務会のメンバーを君付けでされるのはまだいい方でありまして、呼び捨てが大半でありました。私も、おい三浦総務会は軽薄な発言をするとすぐ見抜かれるぞ、注意しろと、九州の同郷人としてそんなことを言っていただいたことを思い出します。  本当に、このオレンジ・牛肉自由化のときも、きちっと関税、高関税は設定すべきだということの主張があったように記憶があります。そしてまた、肉用子牛対策については、それを財源としながら、本当に今日まで畜産農家に生きる政策を確立していただいたのではないかという感謝の思いがあります。同時に、乳製品とでん粉の自由化を阻むという点でも大きな役割を果たされたというふうに聞いておるわけでございます。  この特定農産加工法、そもそもの、その影響緩和するという法律趣旨からすると山中先生一つの遺産ではないか、そんなふうにも思える法律でもあるわけでございます。  そこで、大臣に、ちょっと法案趣旨から外れるかもしれませんが、いわゆる我々の先人、偉大な先人でありますけれども農林水産大臣として、あるいは政治家個人としてどのような御感想、印象をお持ちになるか、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
  9. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員指摘の故山中先生の御功績、これはもう既に人口に膾炙をされているところでありまして、私から申し上げるのもはばかられる思いであります。特に、山中先生、戦後復興いまだし、そういうことで、昭和二十八年に国政の場に登場されまして、あの歯にきぬ着せぬ一言居士ぶり、これは私もいろいろな面で承知をいたしております。  ちょうど思い起こしますと、私は昭和五十四年に初めて当選をしたわけであります。そして、当時、税調会長であられまして、そして党の部会でいろいろ税制の問題を議論をし、税調会長に向かって発言をいたしたわけであります。そのときに、最初の発言で、こうして山中会長からそのことにつきまして返答があると同時に、もう一回発言しないと、一回目でこう戻りますと、あの税調の大勢おられる場で、おい亀井、もう一度勉強してこい、出直してこいと、こういうようなことをおっしゃったこともあるわけでありまして、そういう場で、やはりあの党の税調の場というのは非常に私ども一年生、二年生のころ勉強する場、やはり国政の中でいかに予算編成をするかと、そういう中で税収、税の問題というのは大変重要なことであるわけでありますから、そういう面で大変な御指導をちょうだいしたことを思い出すわけでもございますし、さらには、委員からも御指摘畜産の問題、畜産振興議連会長であるとか、あるいは私もサラリーマンのころ砂糖の、製糖会社に勤めておった経験もあります。そういう中で、甘蔗糖問題等々、いろいろ御活躍をいただき、御指導をいただいたと。こういうことをそれ以前から、国会議員になる前から私承知をしております。  そんな関係でいろいろのことが思い出されるわけでありますし、さらに委員からも御指摘がありました税制、それに通産政策、特に独占禁止法の問題につきまして、さらに農政のエキスパートと、こういう面では本当にいろいろの御活躍、これを申し上げることもできないくらいたくさんのことをおやりになっていることは承知をいたしております。  さらには、佐藤内閣総務長官として沖縄返還に当たられて、そしてもう幾多の困難、また桎梏に悩みながら沖縄県民のことを思い、ひるむことなく真っすぐに困難にぶち当たって、そして見事に沖縄復帰の交渉をまとめ上げられたと。もうこれは私が申し上げるまでもなく、日本国民ひとしく承知をしておるところでもございます。  今後、私は今この立場におりまして、農林水産行政におきまして山中先生からもう本当にいろいろの薫陶を、個人的に申し上げれば私は親子二代にわたります付き合いをいたしておるわけでありまして、たびたびあの事務所に参りまして、一時間くらいいろいろのお話を承り、また御指導を得たことは、私は生涯忘れることのできないことでございまして、このようなことをしっかり受け止めて今この立場におります。畜産あるいは水産等々の問題等につきましても、農政全般にわたりましても努力をしていかなければならないと、このように思っておるわけでありまして、先生のこの御遺徳をしのび、また御遺志を受け継ぎまして実践をしてまいりたいと、心からまた御冥福をお祈りを申し上げたいと、このように考えております。
  10. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。  次に、卸売市場法についてお尋ねをしたいと思うんですが、なかんずく量販店のいわゆる巨大な購買力といいますか、それから市場影響力というもの、これは我々としても看過できないというか、非常に問題点も含んでいるというふうな認識を持っております。  そういう中で、最近は仲卸業者もやっぱりその購買力が巨大だということから、無理ぐらいならいいけれども、本当に傷を負ってでもそれにこたえないとこたえられないという状況が多々あるようでございまして、その悲痛な声を私たちもよく耳にするわけであります。もう本当に、この時期にこの価格でこの量でと、もう指定をされるとそれから逃げられないという現状の中での取引が続いている。これは本来市場が持ちます機能というものに大きく私はマイナス面での影響があるんではないかというふうに思っております。甚だしいのは、その仲卸業者に対して手伝いの人材派遣を要請するとか、あるいは納入業者への支払サイトが非常に長いものになっていると、こういうものが仲卸業者等々の経営にも非常にマイナス影響してくる要素にもなっているんではないかというふうに考えております。  今回、そもそもですけれども卸売市場というものは生産者とそして消費者と、その中でその需給をきちっと調整をしていく、適切な役目をしていくという機能があるんではないかと思っておりますし、量販店のこういう行為が今後更に続いていくあるいは悪化していくとするなら、生産者そして消費者両面にこれは不利益も引き起こすことではないかと懸念をいたしております。  量販店のそういう優越的とでもいうべき地位の濫用については当然公正取引委員会もそれなりの注意を払いながら対応をされるところでありましょうが、私は、農林水産省としてこの点どう認識をして、そして独自にどう取組をされるのか、この点を聞いておきたいというふうに思います。
  11. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員から御指摘のございましたとおり、近年、量販店取引が拡大する中で量販店等がそのバイイングパワー、これを利用いたしまして市場における価格形成がゆがめられていると、こういう御指摘というのは私も十分そのことは承知をいたしておるわけでもございます。  そういう面で私ども農林水産省といたしましても、食品流通関係団体に対しまして、食品流通にかかわる取引適正化の推進を指導しておるところでもございます。今回、この問題、この法改正をという中で、私は、公正取引視月間、これを設けまして、仲卸業者量販店との取引における納入条件を中心とした実態調査を実施するとともに、国あるいは開設者の各段階におきまして売買取引ごと卸市場の主要な品目についての取引結果について点検をすると、このようにいたしたい。また、本省あるいは地方農政局あるいは都道府県に量販店との不適切な取引通報、相談の窓口として市場取引一一〇番、こういうものを設置するとともに、独占禁止法に違反するものと考えられる事例につきましては直ちに公正取引委員会通報連携をして対処するといったような仕組みを設けるように指示したところでございます。
  12. 三浦一水

    三浦一水君 非常に積極的かつ前向きな取組を検討されているようでございます。その点は御期待を申し上げたいというふうに思います。  それから、卸売手数料の問題でありますが、これまでいわゆる開設者によります一定のパーセンテージが決められて市場手数料徴収をされているわけでございますが、相対取引等を大量にやっておりますと、やっぱりそれは、今度は商物一致の原則というものの一定緩和がされると聞いておりますが、やっぱり出す方からすりゃ輸送料が安くなるんだからその辺は引けということも実態論としてあります。そういうことを考えますと、今回のこの手数料緩和というのは私はそれ自体は妥当なものであろうと。むしろ黙認状態で、いったん手数料市場法に基づいて徴収をするけれども、後からいろんな形で還付をし、それが今度は逆に卸、仲卸経営状況マイナス面影響していたという状況もあるようでございます。その辺を考えますと、私は妥当なことだというふうに思います。ただ、一方で考えなきゃいけないのは、卸売手数料弾力化を図ることでいわゆる流通全体に大きな混乱があっては私はいけないんではないかというふうに思います。  そういうことで、今回の法改正に当たりましては、市場関係者とは十分にいろいろ議論もなさってきたというふうに思っておりますし、市場取引そのもの支障があってはいけないというふうに思うわけでございますが、その辺どのように協議をなさってきたか、あるいはどう対応されていくかについて最後にお尋ねして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  13. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘がございましたこの問題は大変重要なことでございまして、生産者消費者あるいは学識経験者等から参画いたしました食品流通効率化等に関する研究会、これが平成十五年四月に委託手数料を始めとした取引規制弾力化等を内容とする報告書を取りまとめましたことを受けまして、昨年九月に卸売市場制度等に関する検討事項、これを市場関係者に示し、またこれに関する意見要望等を集約するとともに、ホームページにも掲載をいたしまして国民に対しまして意見を求めるなど積極的に調整に努めてきたところでもございます。  先ほどのお話のとおり、卸売手数料につきましては、全国一律に業務規程手数料を定める仕組みの廃止については理解されたものの、関係者によっては、開設者に関与してほしいとする意見や、手数料弾力化の時期につきましては、段階的に実施するものでなく、一時に実施すべき等の意見が示されたところでもあります。  こうした意見やその後の関係者との調整を経まして、手数料につきましては、全国一律に業務規程で定める仕組みは廃止するものの、開設者地域実情を踏まえて手数料率を定めることは可能であるとの整理を行うとともに、手数料弾力化の時期につきましては、関係業者経営実態を踏まえまして、五年後の平成二十一年四月一日から一時に実施すると、こういうことにしたところでありまして、なお手数料弾力化に当たりましては、取引市場取引支障を来さないよう現行制度に定める出荷者に対する差別的取扱い禁止受託拒否禁止は引き続き維持をすることとしておるわけであります。
  14. 三浦一水

    三浦一水君 ありがとうございました。
  15. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  卸売市場法質疑に入ります前に、アメリカにおきましてクロイツフェルト・ヤコブ病大量発生報道がありました。まだ情報は整っていないというふうに認識をするわけでありますけれども、現在把握されている情報と、それに伴いまして米国産の牛肉輸入再開を求める声も多々あるわけでありますけれども、その再開見通しについてどのように変化を及ぼす状況にあるのか、お答えをいただければと思います。
  16. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  アメリカ・ニュージャージー州でクロイツフェルト・ヤコブ病によりまして十三人が相次いで死亡した疑いがあるという報道がございました。同州選出上院議員米国疾病対策センターに対して原因究明を求める書簡を送付したというふうな報道もあることは承知をいたしております。この問題につきましては、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病であるか孤発性のものかどうかといった、そういった詳しいところはまだ分かっておりません。  いずれにいたしましても、厚生労働省連携をしながら、BSEとの関連を含めまして、今後の情報収集あるいは動向については十分と注意をしていきたいというふうに思っております。  それから、アメリカからの牛肉輸入再開との関連でありますけれども、これまでも日本からはアメリカに対しまして数次の協議の中で、消費者の方々の安全、安心に対する強い意向、それから我が国が国内の牛肉につきまして講じている措置について十分丁寧に説明をしてきてございます。そういう我が国としての食の安全、安心を確保するために国産牛肉につきまして現在取っている全頭検査あるいは特定危険部位の除去といった、それと同じような措置が講じられることが基本でありまして、引き続きこのことを前提にアメリカ側十分協議をしていきたいというふうに思っております。
  17. 小川勝也

    小川勝也君 しっかりと情報を把握していただくのと、今まで以上にしっかりとした対応をしていただく、そのことを要望しておきたいというふうに思います。  続いて、この法案質問に入るわけでありますけれども、この一部改正案に接することになりましてまず私が思ったのは、時代の流れというのがあるわけでありまして、市場、これは重要な役割を果たしてきたわけでありますけれども生産者があるいは消費者が最も望む方向性市場も変わっていかなければならない、そこに関係する諸団体や諸業者、業界、いろんな人たち工夫をしていかなければならない時代なんだな、こんなことを認識をいたしました。しっかりとしたルールの中でそれが行われていかなければならない、そのことをしっかり審議の中で担保した上で賛成の方向性対応するのが妥当ではないか、このように考えている次第であります。  まず、総論的なことをお伺いをしたいと思いますけれども日本的な市場システムというのは世界の中でも特異な、あるいはしっかり完成度の高いものができ上がっているという評価があるというふうに認識をいたしますし、いわゆる物のない時代から現在に至るまでに大変多大な役割を果たしてまいりました。その評価、変遷と、この一部改正においてこれから先市場に求められていくものはどういうものなのか、総論をお伺いをしたいと思います。
  18. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生おっしゃいましたように、我が国卸売市場制度大正七年の米騒動経験から、ちゃんとした取引と秩序を守っていこうということで大正十二年に原型ができ上がっております。その後、物価の高騰あるいはその他の状況変化を踏まえて、るる改正を繰り返してきたわけでございます。  基本は、生産者意向を反映する卸業者とそれから小売業者意向を反映する仲卸業者売買というものを、きちっと秩序あり、かつ効率的なものにしていくということが基本でございまして、世界の中でも日本のような卸売市場システムというのはございません。今後、やはり市場原理の導入と公正競争の確保、それによって自主的な責任で創意工夫を凝らしていただいて活性化すると、これをやはり基本にして今回も改正をしたわけでございます。  それに伴いまして、余り行き過ぎた規制緩和が経済全体の効率化を低下させることのないような必要最小限度規制は残すということにしておりますけれども消費者が求める安心、安全、それから生産者の方が求めますコストの低減、そういうものにこたえるべく改正をするということとしたところでございます。
  19. 小川勝也

    小川勝也君 市場がどのぐらい役割を果たしているのかということを数字で表す指標として市場経由率というのが挙げられると思います。近年、どんどん低下しているのが実情であるというふうに認識をしていますけれども、目標を設定するということになじむイシューではないと思いますけれども、この下がり続けてきた市場経由率、どのようになればいいな、どのようになってほしい、どのようになるのが正しい方向性だと、その思いがあればお聞かせ願いたいと思います。
  20. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 市場経由率平成三年と平成十三年、比べますと、確かに青果で八割ぐらいあったものが今七割、水産で、これも約八割あったのが今六五%ぐらいということでございまして、経由率が下がってございます。  私どもとしては、一つは、やはり輸入品輸入品でも市場を通るものもございますけれども卸売市場を経由することのない輸入が増えているということのほかに、やはり生産者消費者両サイドからのニーズに適切に対応するようなものになっていない部分もあったんではないか。ちゃんとした競争を確保して、双方のニーズ対応できるように規制緩和等を図っていこうというふうなねらいで今回の改正を行ったわけでございます。  特に、やはり最近、外食とか中食とか増えてございます。加工度の高いあるいは新しい製品の需要がございます。そういう需要対応するために、生産者と外食・加工業者、卸、仲卸業者との連携生産者と卸だけじゃなくて、外食と卸、それから生産者仲卸、こういうものの連携を強めることによりましてそういうニーズ対応していきたいというような内容、それから、先ほど出ましたけれども卸売手数料弾力化によりまして、機能だとかサービスに応じた対応ということをすることによって、全体の活性化を図っていきたい。それで皆さんが市場に参加したいというふうになれば市場経由率もまた上がっていくんではないかというふうに期待しておりますけれども、定量的に幾らという目標を持っているわけではなくて、やはりできる限り市場を利用していただけるように機能、サービスを強化するということを関係者とともに努力したいというふうに考えております。
  21. 小川勝也

    小川勝也君 局長がにこにこしていましたので更にお伺いしたいと思いますけれども市場経由率が下がっていく中で、この法改正でむしろ、失地回復じゃないけれども、上げていくんだという思いがあるのか、それとも下げ幅が小さくなればいいなと消極的な思いなのか、どちらかお伺いをしたいと思います。
  22. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸売市場機能でございます。やはり、農業の産地とその食料品の消費地が離れていると。今後コストダウン等を農業に対しては求められると思います。遠隔地の産地化というものが生産の方で進むと思われます。また、進めていかないといけないと。そうしますと、消費者、大都市の消費者に対する品ぞろえだとか供給の機能をどんどん増していかないといけないということになりますと、私としては、流通の中核的な機構でございます卸売市場機能は今後ますます高めていかないといけないんではないか、そういう意味では市場経由率というものを上げていきたいというふうに思っている次第でございます。
  23. 小川勝也

    小川勝也君 個人的にでありますけれども、結構、市場関係者に知り合いがおりまして、特に築地の魚市場仲卸の方々からはいろんなお話を伺う機会がありました。  当然、先ほどお話にありましたように、歴史のある取引システムでありますので、基本的に物流、物の流れる量が多ければそれなりに収入もあり、経営も安定してきた、そんな業界、業種であったろうというふうに思うわけであります。しかし、今、委託手数料弾力化を始めとして規制緩和をするということで、それはいろいろな取引形態と競合、競争する中で、やはり市場を経由する取引はいいんだ、こういう点がメリットなんだということがあって競争が成立するんだろうというふうに思います。ただ単に競争をしなさいということではなくて、やはり今までの歴史と伝統とずっと培ってきた決まり切った商慣習の中で商売をしてこられた皆さんでありますので、例えばこういう工夫をしたらどうだ、こういう形もあるじゃないかというような若干のモデルがあってしかるべきだと私は思います。  農水省として、今回の法改正の中で、規制緩和に相まって、それぞれの卸業者仲卸業者がいわゆる消費者生産者の心をつかむためには、こんな工夫もできるじゃないか、こんな努力もしたらいいじゃないかというようなモデルになるような事例があったらお教え願いたいと思います。
  24. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 基本的に、卸売市場は生産と消費、言わば農と食をつなぐパイプの役でございます。生産者サイドのニーズ消費者サイドのニーズ変化、双方に対応をしていかないといけないということでございます。  特に、今後、現在の日本の食生活というものが栄養バランスが崩れていると、これを健康的な食生活に変えていくんだということが大きな課題に、これは自給率向上のためにも必要なことでございまして、私ども、食料供給の大きな一翼を担っておられます流通関係者の方々にもこのことを思いを致していただいて、健全な食生活の創造といったものに今後貢献をしていただきたいというふうに考えている、基本的にはそういうふうに考えている次第でございます。  これまでの取組といたしまして、いわゆる地産地消的なことを進めていくべきではないかという御指摘がございまして、地産地消といいますと市場を通さない、直売所でその地域のものをその地域で消費するということもあるわけでございますけれども、もう少し範囲が広がりますと、卸売市場の品ぞろえあるいは決済あるいは消費者への提供といったような機能を利用いたしまして、朝取り野菜を提供している例、あるいは消費者が求めるような新しい新製品に向けた原材料を供給する例等ございまして、今後、法律改正後、そういうような例をまとめまして、いろいろな形で関係者に示していきたいということも考えているところでございます。
  25. 小川勝也

    小川勝也君 この法律に限らず、昨今の懸念の中に余りにも競争社会が強くなり過ぎている、たまさか市場法の審議でありますけれども市場原理を飽くなきまでに追求していくことで本当にいいんだろうかということが様々な政治シーンの中で私は懸念をしているところであります。特に、この市場法の中においても、例えば規制緩和というのは競争社会、競争が強くなるということであります。  そんな中で、一つの会社も土俵から出してはいけないということを思っているわけではありませんが、やはり適正な競争というのが必要だろうというふうに思います。規制緩和の流れでやはり強い者が生き残るということになりますと、コストメリットのない小規模な業者が大変苦しい立場に立たされるのは言うまでもないことであります。  やはり、一〇〇%市場原理でもない、そして規制の中で護送船団のそういう仕組みでもない、きちっとしたルールの中で正しい競争が行われる中で、その公正性を保ちながら、若干は弱い立場の人あるいは今回の法改正で厳しい荒波にさらされる人を何らかの形で守っていくという方向性がなければ法改正がうまくいかないんだろうというふうに思うわけであります。  規制緩和の中で競争がより激しくなるという中で、小規模あるいは零細業者あるいは弱い立場取引業者に対してどんな思いを持ってこの法律を作られたのか、御発言をいただきたいと思います。
  26. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 一般的に申し上げまして、先生おっしゃるように、規制緩和ということは市場原理と民間活動にゆだねるということでございます。経済活動全体を効率化するための優れた仕組みというふうに考えております。  ただ、規制緩和、行き過ぎますと、やはり資源の効率配分だとか所得の適正な分配でございますとかができなくなる、強者のみが残ると。そうなりますと、例えば寡占状態になって、安全性だとかそういう面にひずみが出てくるようなデメリットも考えられるということで、そこのところはそういう資源の、社会全体の資源の効率配分というものにも注意して最低限の関与はしていくというふうなことで今回の改正考えたわけでございます。  その上で、いろいろ手数料弾力化を始めといたしまして規制緩和をしておりますけれども、各市場ごとに関係者が集まります市場取引委員会というのが置かれてございまして、そこが自主的に取引ルールを設定できるという仕組みになっております。先生、今例示をされました小さな仲卸業者あるいはそれに系列化されている小売の皆様方が困らないように、例えば売買取引方法ごとの取引数量の在り方だとかそういうものを自主的に決めていかれまして、段階的に規制緩和していくというようなことを考えておりまして、行き過ぎた規制緩和というのはそういう形で緩和をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  27. 小川勝也

    小川勝也君 規制緩和の中で様々な競争が起こってくると思うわけでありますけれども卸売市場間の競争というのも、これ出てくるわけであります。  そんな中で、今の局長の答弁にもありましたように、国民ニーズというのは強まってまいりまして、それは安心、安全ということであります。そして、BSE発生以来、多くの人たちが使える用語になりましたトレーサビリティー、その食べ物がどこで取れて、どういうルートでその市場に並んで、あるいは小売店やスーパーに来ているのか、こういったことも国民ニーズに合った流れだろうというふうに思いますし、コールドチェーンはもとより、市場に求められている点には衛生面というのも非常に大きな点があろうかと思います。  そういった意味で、安全、安心を売り物にする卸売市場にするために、これは市場競争があったり、設備投資をしなければならないケースが出てくるかと思います。そういった競争の中で、例えば国として安心・安全度、あるいは消費者ニーズにこたえるべくトレーサビリティーシステムを確立するための設備投資、こういったことに対して国が支援とか補助とかできる、そういった道はあるのでしょうか。
  28. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生今言われましたように、食に対する安心と安全を確保するという意味で、トレーサビリティーの導入でございますとか衛生管理の徹底、非常に重要な課題というふうに思っております。  卸売市場流通部門でございますけれども、そこへのトレーサビリティーの導入に向けて現在実証実験を行っております。生産履歴、栽培履歴に加えまして、流通段階で、どういう仕組みで、何の情報を入れて、どのように次に送っていくかということでございます。  それから、安全の観点からの品質管理ということで、今回の改正の中で、卸売市場整備基本方針の中に品質管理の高度化に関する基本的な事項をちゃんと書きなさいと、整備計画の中にもちゃんと品質管理の方法を設けなさいと、こういう改正をしてございます。今後、消費者ニーズに適切に対応していくという観点から必要不可欠な事項というふうに思っております。  基本的にはそういうコストはその関係の方々が負担すべきであろうというふうに思っております。ただ、私ども、こういうことに対する支援のために卸売市場施設整備事業という予算を毎年取っておりますけれども平成十六年の新規の採択事業から、食肉、水産物に係る大規模な施設整備におきましてはHACCP的な管理を原則的に義務付けたいと、支援するにはそういう品質管理をちゃんとしていないと駄目だというふうにしたいという方針で支援していきたいというふうに考えております。
  29. 小川勝也

    小川勝也君 次に、電子商取引についてお伺いをしたいと思います。  昨今のこの進歩というのはもう大変目まぐるしいものがありまして、正にこれからどんどん増えていくんではないかという予想を私は持っています。  現在のところの電子商取引の比率、そしてこれからどうなるであろうかという見通しについてお伺いをしたいと思います。
  30. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私ども、統計的に取っていないわけでございますけれども、例えば大田市場の花卉、ここにはちゃんと電子商取引が導入をされております。恐らく、過去の経緯、現状から見て、そういう花卉の取引等から入っていくんではないかというふうに思っております。電子商取引をやる場合は商物一致の例外になるわけでございますから、規格性が高い、それから適正な価格形成情報が確実に公表されているといったようなことが条件になろうかと思いますので、そういう花卉等の方から入っていくんではないかというふうに考えております。
  31. 小川勝也

    小川勝也君 商物一致の原則が形骸化するおそれがあると思うんですけれども、その辺についてはどうでしょう。
  32. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私ども商物一致の原則の例外の電子商取引、この方法で取引される数量の上限というものを定めた上で取引形態を是認していこうというふうに考えております。例えば、軟弱野菜だとか鮮魚だとか、傷みやすいのはやはりそこで見て評価しないとなかなか評価が難しいものが一つにはある。さらには、マツタケとかメロンとか、こういう手触りだとかにおいをかいで取引しないといけない物品もまたあると。それから、和牛などは個体によって全然違いますので、これも専門家が見て、そこで規格化をして取引しないといけないものがあろうと。こういうものについてはなかなか電子商取引、そういう商物一致の例外にはなじまないんじゃないかというふうに思っておりまして、先ほど申し上げましたように、規格で均一な質のものからこの電子商取引は導入をしていきたいというふうに考えております。
  33. 小川勝也

    小川勝也君 あと、現行法にある三十五条の廃止でいろんな商売の道が広がっていくということは一概に駄目なことだとは言えないわけでありますけれども、例えばこれは、何というんですか、ノスタルジーと言っていいのかどうか分かりませんけれども、最近は小売店というのが物すごく少なくなってきているわけであります。魚屋さんとか八百屋さんというのが物すごい勢いで減少をして、売っている場所がスーパーだけになってまいりました。  そんな中で、例えば卸売業者の活動の範囲が広がることによって、正にこの小売店というのがまだまだ少なくなっていくんではないか、立ち行かなくなってしまうんではないかという懸念があるわけであります。どういった商体系がいいかどうかというのが農水省で決められることではないというふうに思いますけれども、過度な規制緩和がいわゆる商体系全体に大きな影響を及ぼす懸念があると感じるわけであります。その辺のことにつきまして、思いがあればお答えをいただければと思います。
  34. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生おっしゃいました、開設区域内で卸業者の方々に販売行為というのを禁止している理由は、そこで市場への入荷量を調整をして価格を操作する、こういうことのないようにしようということで禁止をしておりました。ただ、現在の情報化の進展具合、あるいは監視体制がもう厳しゅうございますので、そういう懸念自体が小さくなっているということで、今回市場外での販売活動の禁止規定というのを廃止するということにしたわけでございます。  ただ、そうなりますと、確かに専門小売業の方々への影響ということが懸念をされるわけでございまして、私ども今回緩和をいたしました販売活動の在り方に関しましては、そういう小売業界を含む関係者十分協議をされて、市場取引秩序に混乱が生ずることのないように各市場業務規程でそのやり方を作るべきではないかというふうに考えておりまして、例えば販売行為の実施に当たりましては開設者の承認だとか届出を必要とするとか、そういう仕組みを設けていくことについて、今後適切な運用ということに配意したいというふうに考えております。
  35. 小川勝也

    小川勝也君 今、監視という言葉が出てきたと思います。規制緩和に伴いまして様々な行為の変化が起きてくるわけであります。トラブルが増える可能性もあるわけでありまして、それをだれが適正にジャッジをするかといいますと、その法律の中にもあります市場取引委員会というものに期待をせざるを得ないんだろうというふうに思うわけであります。公正なルールがあって、フェアな競争をして、そのトラブルを第三者が解決をする、これが規制緩和競争社会の必須のシステムだろうというふうに思います。  今まで市場取引委員会がどのように役割を果たしてきたのか、そして、ちょっと機能が弱かったのではないかという声にどうこたえるのか。そして、正に今私が申し上げましたように、規制緩和がより進むことによって、こういった第三者機関の、あるいはジャッジメントをする機関の重要性が高まっていきます。この市場取引委員会について今後どのようにその機能を強化していくあるいはつもりがあるのかないのか、その辺のことを御答弁いただきたいと思います。
  36. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 市場取引委員会、これ平成十一年の卸売市場改正措置されたものでございます。卸の代表、仲卸の代表、小売の代表、開設者はもちろんございますけれども、こういう方々で構成をいたしまして、市場取引のルール、日常的な取引、あるいは業者に関する事項、こういうようなことを審議する委員会でございまして、実態は、先生おっしゃるように、活発なところもございますけれども、余り機能していないところも正直言ってございました。ただ、今回、卸売市場法改正によりまして、先ほど来るる御指摘を受けております市場外での販売行為の問題、あるいは電子商取引取引方法の問題等々、非常に市場取引のルール上機微に触れる問題がるる措置されております。  こういうことで、私ども、この市場取引委員会機能、実質的な役割というものを従来にも増して格段に重視をしていきたいというふうに考えておりまして、法律改正が成りましたら、この市場取引委員会の活性化につきまして各市場皆様方に特別の協力をお願いをしていきたいというふうに考えております。
  37. 小川勝也

    小川勝也君 個々の市場について、今おっしゃられましたように、市場取引委員会の活動が活発に行われるような体制になっているのかどうか、監督をしたりあるいは助言したりするというおつもりもおありでしょうか。
  38. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 市場取引委員会が何か運営審議会と同じメンバーだったとか、そういうようなこともございますので、実態的に機能するように個々の市場ごとにチェックをしていきたいというふうに考えております。
  39. 小川勝也

    小川勝也君 当然のことながら、余りあってはいけないわけでありますけれども、トラブルとか苦情というのが法改正後あるいは施行後頻発するのではないかなというふうに思っています。それは、できればその市場ごとにしっかりと解決ができる、あるいは解決の道筋があるということが望ましいわけでありますので、その辺しっかりと監視をしていただければというふうに思いますし、市場取引委員会からも、例えば法改正の中で不透明な部分があったりして、農林水産省側にこれはどうしたらいいんだという問い合わせ等も来るかと思います。その辺の体制もしっかり整えていただければ有り難いというふうに思います。  そんな中で、規制緩和の中でもいろいろあるわけでありますけれども、例えば卸売業者小売業者が直接取引をする第三者販売、あるいは仲卸業者が産地と直接取引をする直荷引き、これを弾力化するというふうになっております。その規制緩和が限定的なものになるというふうに聞いているわけでありますけれども、現在のところ、今回の規制緩和の範囲をどのように考えているのかお示しをいただきたいと思います。
  40. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸売業者小売業者が直接取引をいたします第三者販売、それから仲卸業者と産地が直接取引をする直荷引きでございます。  原則的に今卸売市場での取引卸業者仲卸業者でございますので、第三者販売、直荷引きの禁止原則、これは守りたいというふうに思っておりますが、新製品の開発だとか新規需要の開拓であるとか、こういうものがなければパイ全体が広がりませんので、そういうことを念頭に置きながら、複数の、例えば複数の市場卸売業者連携をして卸売の業務に関する契約を締結をして卸売をする、市場間の連携でございます、こういうケースでございますとか、卸売業者生産者と食品製造業者とあらかじめ商品開発に関する契約を締結をして、その契約に基づいて卸売が行われること、この原材料をこういう新しい製品に結び付けたいと、こういうような場合のケースに弾力化を図っていきたいというふうに考えております。  ただ、これ、あくまでも市場取引量を大きくしたいというねらいでございます。新規開発、新製品の開発が成りました暁には、それは市場取引にもう一回乗せていくということを考えておりますので、そういう、例えば今言いましたような契約を結ぶ場合でも、その契約の品目、数量の上限、実施期間、こういったものは開設者のところで定めていくようなことを考えているわけでございまして、当然、先ほど出ました市場取引委員会意見も聴くというふうになろうかと思っております。
  41. 小川勝也

    小川勝也君 規制緩和方向性は否定しないわけでありますけれども、こういう限定的ななんということになりますと、非常に解釈によって分かりづらく、トラブルのもとになることを大変懸念をいたします。これはある程度ルールが決まっていないと適正な競争というのができないわけでありまして、例えば相撲に例えると土俵の大きさはどのぐらいなのか、これが決まっていないと戦いにならないわけでありますので、その辺はある程度明確化したルールと土俵作り、これをしっかり果たしていただきたいと思いますし、各開設者におきましてもしっかりとそのような指導をしていただければというふうに思います。  それと、話前後するわけでありますけれども、先ほどトレーサビリティーシステムや衛生面を重視するために様々な卸売市場施設整備事業、この御答弁もいただきました。残念ながら、このことに関して言うと、会計検査院から、適切にそのお金、税金が使われているかどうかという指摘を数度にわたって受けていると認識をしています。改善意見を受けて、今後その市場の施設整備事業、特段どんな思いで当たろうとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  42. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 会計検査院から、私ども卸売市場施設整備事業に関しまして、一つは、卸売市場整備基本方針に基づいて算定された目標取扱量というのがあるわけでございますけれども、その目標取扱量に比べて実績の取扱量が下回っている市場がたくさんある、結果として必要規模以上の施設整備をしたんじゃないかと。あるいは、基準になる取扱量、その基本方針の中で基準になる取扱量が決まっておるわけでございますけれども、例えば中央卸売市場を新たに開設する場合には、水産なら三・五万トンとか決まっておるわけでございますけれども、それを下回る市場が存在すると、今度は市場自体が適切な配置になっていないんじゃないかと、こういう指摘を受けたわけでございます。  私ども、これ調べてみましたが、やはり目標取扱量の算定に対しまして、人口だとか一人当たりどのぐらいお食べになるかという需要量、こういうものを過大に見積もっていたというようなこと、あるいは、市場をどこにどういうふうに配置したらいいのかということについて検討が十分でなかったというようなことがこの原因になっておりまして、今回の市場制度の改革というものに併せまして、この整備事業、施設整備事業の在り方も再検証をしたいというふうに思っております。  次の卸売市場の整備基本方針の策定、平成十七年に向けまして、施設規模の算定基準あるいは交付要綱の見直しということで、今申し上げました適正配置の問題と取扱量の問題等、効果的な実施に向けて真剣に見直し、検討をしたいというふうに考えております。
  43. 小川勝也

    小川勝也君 あと、競争が促進していく中で、企業の体力アップということで、合併などという選択肢も出てくるわけであります。東京築地のように大きな市場であればさして問題はないと思うわけでありますけれども卸売業者がそう多数存在しないところで合併をするということによって、強大な力を持ったりあるいは寡占状態になったりという懸念が今後出てくるのではないかというふうに思っているわけであります。これは公正取引委員会の仕事といえばそうなんでありますけれども、そういった強い卸売業者だけが残ったり、合併したり、寡占状態になったりすることに対してどういった対策があるのか、あるいは防止策はあるのか、お答えをいただければと思います。
  44. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在、卸売業者が合併をするといったような場合には、公正取引の確保という観点から、合併する会社の取引先の仲卸さんですね、仲卸業者、それから公正取引委員会が合併の審査というのをしているわけでございます。要は、先生がおっしゃられました寡占状態、競争を実質的に制限するというようなことがあってはならないということでございまして、その合併が競争を実質的に制限することになるかならないかの審査をしているということでございます。  通常、仲卸業者さんあるいは売買参加人の方々がその合併当事者の会社以外からも仕入れが行えるという状況になる、ほかの市場でもいいんですけれども、行えるということになっておれば、それは競争を実質的に制限したことにはならないということで、その合併についてはオーケーを出しているということでございます。  そういう要件に該当しない場合には、更に代替的であるような仕入先があるかどうかというようなことを審査をして判断をしているということでございまして、近年、公正取引委員会の審査で特に問題になったケースはないというふうに聞いておりますけれども、問題はこれからでございますので、我々としても慎重な上にも慎重を期していきたいというふうに考えております。
  45. 小川勝也

    小川勝也君 しっかりと監視をしていただければと思います。  さらに、市場間の競争も拍車が掛かるかと思います。  先ほど申し上げましたように、消費者安心、安全を願う、あるいは望む、それから、いわゆるところの飲食店やあるいは小売業者が買いやすい市場というのが活況を呈していくという形になろうかと思います。  そういったことを考え合わせますと、その卸売市場間で、いわゆる荷物、お客さんを奪い合うということが想定されるわけであります。そうしますと、いわゆる荷物の少ないところはそこの全体の収入が減っていくわけでありますので、その中に入っている仲卸業者卸業者も含めて経営が悪くなっていくわけであります。  今回のいわゆる規制緩和がどのような競争社会をもたらすのか、どの程度の競争を誘発するのかちょっと思い浮かばないわけでありますけれども、このままでいくと調子の悪い市場も出てくるかな、そんな思いがあるわけでありますけれども、現在のところの御認識はいかがでしょうか。
  46. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 規制緩和、例えば委託手数料弾力化、こういったもののねらいといいますのは、多様なサービスを提供することによってできるだけ市場外で取引されているものを市場に戻したいというねらいが大きくあるわけでございます。  一方でやはり、先生がおっしゃいますように、生産者にとりましては、自分がねらっております高付加価値化とか低コスト化、これをちゃんと反映してくれるような卸業者を選びたい、消費者にとりましても様々なサービスが施された生鮮食料品を購入したいというふうになるわけでございまして、こういう面からいたしますと、当然、市場競争強まるというふうに思っております。  私どもは、市場競争の強まりに応じて各市場が努力をされて、今でもネットワーク化、共同で集荷をして集荷力を強めようとか、そういうサービスをもっと特徴のある市場にしてアピールしようと、こういうことを行っている市場がございますので、この今般の規制緩和を契機といたしまして、自らの創意工夫競争力というものを強める方向でいろんな工夫を凝らしていただきたいというふうに考えております。
  47. 小川勝也

    小川勝也君 次に、手数料弾力化についてお伺いをしたいと思います。  これは市場開設者が決めることができるようになるというふうに認識しておりますけれども委託手数料をどのように決めるシステムなのか、改めて御説明をいただきたいと思います。
  48. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸売手数料、今までは全国一律のものでございました。これは市場の活性化あるいは機能だとかサービスに応じた手数料による効率化、こういうことをねらいとして廃止をするということにしているわけでございます。  そうすることによって、余り行き過ぎて競争だらけということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、逆に経済活動の効率化が低下する懸念がございますので、市場実態市場によりましていろいろ状況が異なるというふうに思っております。扱うものも異なりますし、卸、仲卸さんの体力も違いますし、そういうことで、私どもとしては、各々の市場がその市場の置かれている実態に即しましてどういうふうな、例えば上限と下限を設けるだとか、そういうようなことを市場ごとに決定をされるというようなこと、工夫を凝らしていただきたいというふうに思っております。  私ども、この手数料弾力化、五年間の移行期間を取っておりますので、十分関係者と御議論をして、あるべき手数料の在り方ということを議論をしていただきたいと思っております。ただ、今回制度改正規制緩和による活性化ということでございますので、そこのところはお忘れないようにお願いをしたいというふうに思っている次第でございます。
  49. 小川勝也

    小川勝也君 私がそう思っているわけではありませんけれども、今回のこの規制緩和あるいは競争を促進するという改正では、例えばその手数料の部分を市場開設者が一律決めるのではなくて、卸売業者間が自由に設定をして競わせる規制緩和も選択肢の一つだったのではないかという声もあるやに聞いています。そこに踏み込まなかった理由等について御答弁をお願いしたいと思います。
  50. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 実はこれ、この手数料弾力化に関しまして関係者意見をずっと聴いてまいりました。それぞれの市場によりまして意見が異なっておりまして、完全競争ということに賛同するところもございました。  ただ、体力が弱いので、そういう競争をすれば、優勝劣敗じゃございませんけれども、強者のみが残っていく。すぐ、直ちに強者のみになっちゃうということがございまして、そうなるとやはり市場全体の活性化にもマイナスであろうと、こういうことがございますので、いろいろ議論を重ねた挙げ句、市場ごとにその実態を踏まえて手数料の問題を決められるようにしたわけでございます。  私ども、その五年間、努力しなくていい移行期間ではなくて、その間にやはり顧客を引き付けるようなサービスだとか取引方法というのを工夫をしていただきたいし、体力の弱いところは、弱い業者さんは業務の多角化とか集荷能力の強化だとか、そういう体質強化にも努力をしてほしいというふうに思っております。  私どもも、そういう激変緩和、経済活動全体の非効率化のための緩和措置でございますので、よくその辺のところは注視をしていきたいというふうに考えております。
  51. 小川勝也

    小川勝也君 簡潔にお答えをいただきたいんですが、今はその五年後に手数料市場開設者が決めるということで弾力化するわけであります。その後、今御答弁をいただいたように、完全自由化に将来的になる見込みはあるのかないのか、お答えをいただきたいと思います。
  52. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 正直言いまして、今、卸さんの三割、仲卸さんの五割ぐらい赤字経営でございまして、これで五年あるいは十年で手数料の問題に関しまして完全競争ということが全国的にできるかと申し上げますと、正直言ってそこは難しいんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、やはり、今回仲卸さんの体質強化策も用意をさせていただいておりますので、その体質強化の状況を見ながら、手数料弾力化から自由化に向けた取組というものを考えていかないといけないのかなというふうに考えております。
  53. 小川勝也

    小川勝也君 私としては、取りあえず、五年後の改正も大変なことでありますので、しばらくは様子を見てということにするのが妥当ではないかと考えています。  そんな中で、五年後に向けて市場開設者も様々な準備をしなければならないかと思います。それを農水省として、こういったことをその市場開設者はやるべきだというメッセージがあればお答えをいただければと思います。
  54. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の規制緩和を中心とする法改正で、先ほど来先生に御指摘いただいておりますように、市場競争強まろうかと思っております。市場内でも業者間の競争強まる方向になろうかと思っております。  ただ、卸売市場役割基本的任務を考えますと、生産者と小売、消費をつなぐパイプでございますので、このパイプが小さくなるようなことがあっては私どもならないというふうに思っておりまして、そういう意味でそれぞれ体質を強化をしていただきたい。一つは、あの市場に出したい、あの市場に行けばいい物が買えるというふうな、そういうサービス、品ぞろえ、取引方法、こういうものに開設者は努力していただきたいし、業者の皆様は、体力強化というんでしょうか、十分な競争に耐えられるように業務の改善でございますとか多角化を含めた体質改善に努めていただきたいというふうに思っております。
  55. 小川勝也

    小川勝也君 今回の改正の中で出荷奨励金と完納奨励金制度が存続されました。これは、いわゆる自由化規制緩和論者からすると腑に落ちない点に当たるかもしれません。しかしながら、この法案審議を前に市場関係者お話をお伺いすると、これは大変重要な制度であるという認識の方が大変多いと認識をしています。今までこの市場の活性化あるいは安定ということにこの二つの奨励金がどのような役割を果たしてきたのか、そして今後、法改正後どういう姿であるべきなのか、御答弁をいただきたいと思います。
  56. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 出荷奨励金、完納奨励金でございます。出荷奨励金の方は生産者に出荷意欲を高進させる、完納奨励金の方はこれ、やはりこういう取引でございますので、もう日銭、いわゆる日銭の確保が大事でございます。そういう意味で、仲卸さんの取引意欲を増進させる、こういう意味で実態的には大きな役割を果たしてきたのではないかというふうに思っております。  実は、この出荷奨励金、完納奨励金、法律上の規定はないわけでございまして、運用として上限の設定だとか開設者の承認制を取ったらどうかという指導をしてきたわけでございますけれども実態は当事者間の協議に基づく営業慣行でございました。今般、卸売業者卸売手数料弾力化というものを図っていくわけでございまして、私ども、その際にこの出荷奨励金も完納奨励金も完全に指導上の関与を廃止をいたしまして、これは当事者間の問題として考えていただきたいというふうに思っております。
  57. 小川勝也

    小川勝也君 法改正後どんな姿になるのかちょっと見えない部分もあるわけでありますけれども、冒頭申し上げましたとおり、歴史と伝統に基づいて商取引が行われてきた市場でありまして、そして世界の中のすばらしい日本の財産でもある制度だと認識をしています。しかし、時代とともにそのニーズが多様化していく中で大きく変わっていかなければならないのも事実だろうというふうに思いますし、冒頭申し上げましたとおり、しっかりとしたルールの中でフェアな取引競争をしていただくということだと思いますけれども、そういった観点から、二十一世紀のキーワードでありますけれども情報公開と透明性の確保、市場での取引がどのように行われているのかきっちりくっきり公表できるという姿も二十一世紀求められているんではないかなというふうに思っています。  情報公開あるいは透明性の確保について市場はどうあるべきか、御答弁をいただきたいと思います。
  58. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸売市場基本機能、指標性のある価格形成でございまして、当然のことながらその情報はきちんと関係者皆様方に与えられなければならないと、その価格情報に基づいていろんな経営判断が行われるわけでございます。  これまでは当日の取引区分ごとの取扱量ということは公表しておりませんでした。競りだとか相対取引ごとの取引情報は公表をしておりませんでした。今後はいろいろな改正規制緩和が行われるわけでございまして、まず私ども卸売開始前に競り、相対別、それから先ほど言いました商物分離取引別、それから第三者販売、こういうものを区分して卸売の予定数量だとか産地情報、こういうものを公表したい。卸売終了後もその数量、価格の公表を行うわけでございますけれども、これも、先ほど言いました競り、相対、商物分離取引、第三者販売、そういう別にちゃんと公表をするということで法令上の規定の整備をしたわけでございます。
  59. 小川勝也

    小川勝也君 規制緩和の流れは避けて通ることができないというふうに冒頭から申し上げておりますけれども、まだまだ心配な点が多々あります。  最後に、大臣にお伺いをいたしますけれども、何度も申し上げておりますとおり、今回農水省から提出されました規制緩和の流れという卸売市場法には賛成をさせていただきたいと思いますけれども、弱肉強食がいいわけではありません。適正な競争が必要だということは言うまでもありませんけれども、強い者がより強くなって、弱い人たちがどんどん淘汰されていくというような規制緩和であってはならない。そして、きちっとしたルールの中でフェアな取引が行われるような卸売市場であっていただきたいと。  そのことについて大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  60. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員からも御指摘がございましたが、正に日本的な卸売市場、このシステムはしっかり維持をしていく必要があるわけであります。そういう中で、やはり時代の流れ、推移、そういう中での規制緩和、これはそれぞれ、消費者からも、また生産者からも求められることでありまして、そういう中でいろいろなことを進めていかなければならないと思いますし、また、先ほども、私、三浦委員にも答弁申し上げましたが、特に量販店のバイイングパワー、これを利用して市場における価格形成、これがゆがめられている一面があるわけであります。  この辺につきましては、先ほど申し上げましたとおり、公正取引視月間、こういうものを設けて、あるいはまた実態調査をすると。あるいは、私どもの組織を通じまして、市場取引一一〇番、こういうものを設置をいたしまして、公共性の確保、こういうものが確保できるようなことが必要なことと思いまして、今回の法改正、またいろいろ手数料問題等々、五年と、こういうものもあるわけでありまして、しっかりその対応をしてまいりたいと、このように思っております。
  61. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 まず、特定農産加工業改正案についてお伺いします。  提案理由は、農産加工品の輸入増加による影響が続いている、その一方で農産加工業の持続的な発展が地域農業の発展に必要である、だから引き続き特定農産加工業者経営改善に取り組んでいくためこの法律の有効期間を五年間延長するということなんですね。  まず、この法律が最初にできた理由、目的、お知らせください。
  62. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 昭和六十三年にいわゆる農産物十二品目問題というのがございまして、これは、米国から十二品目についての日本輸入制限が国際ルールに反するということでパネルの設置を要求されて、パネルで争われた事案でございます。その直後に、牛肉・オレンジの自由化問題が同じく昭和六十三年にございまして、結局牛肉とオレンジの自由化に、移行期間を取りまして自由化に踏み切ったわけでございます。  こういう牛肉・オレンジの自由化農産物の十二品目問題、これ大宗の自由化が行われたわけでございまして、こういう国際環境が非常に厳しくなったということで、国内農業にも、あるいは国内農産物を原材料として使っている農産加工業者皆様方にも非常に大きな影響を受けることが懸念をされたところでございまして、新しいそういう環境の下でも国産の農産物を原材料として使い、国内農業の健全な発展に頑張っておられる農産加工業者の皆さんに対しまして税制上、金融上の支援措置を講じようということで、平成元年に特定農産加工法が五年間の時限立法ということで制定されたわけでございます。
  63. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 大臣にお伺いしますけれども、提案理由の説明の中で、特定農産加工業者経営改善に一定の成果を上げたというふうにおっしゃっておられます。この法律平成元年に制定されてからどの程度の成果があったか、お伺いします。
  64. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、局長から制定の理由、これいろいろ申し上げ、その中でも、いわゆる多くの特定農産加工業者が本法に基づく経営改善計画の承認を受け、金融・税制上の支援措置を講ずると、こういうことを申し上げましたが、これらの活用が行われ、経営改善がいろいろ進められてまいりました。  具体的には、平成元年度から十四年までの間に、都道府県知事によります九百三十二件の経営改善計画が承認をされております。農林漁業金融公庫等からの融資総額は約四千三百七十四億円、融資件数が千百一件と、こういうことに上っております。  また、税制特例の利用実績につきましては、機械あるいは装置の特別償却又は税額控除、これが二百九件、減税額が約二十億円、また事業所税の課税標準の特例が九十四件、減税額が約三億円と、このようになっておるわけでありまして、これらの支援措置を利用した特定農産加工業者経営状況を見ますと、競合する製品の輸入の増加に伴う国内生産が減少する中で、新商品開発等による経営改善が進められるとともに地域農産物取引量の増加や新たな雇用の創出、これが行われて一定の効果は上げてきておると、このように思っております。
  65. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 これちょっと政府からいただいた資料なんですけれども、この資料を見てみますと、特定業種別の国内生産量はほとんど減少しています。これでこの制度が十分な成果を果たしてきたのかなというふうに思います。この制度が本当に必要だったんでしょうか。五年間の、逆に言えば、これからの五年間の単純延長でいいというふうに思っておられるんでしょうか。  この法律は、あえて冒頭お尋ねをしました、目的と意味をお尋ねをしましたけれども自由化などにより農産加工品の輸入増加によって地域の経済や雇用の面で大きなウエートを占めているというふうに今おっしゃいました。特定農産加工業が縮小や撤退すれば、地域への影響はもとより、原料農産物を供給する農家の皆さん、国内農業の縮小にもつながるために、市場開放の影響を受ける特定農産加工業者に対して経営改善に必要な金融や税制上の理由、今言っていただいたんですけれども、その措置をすることだというふうなんですが、指定業者の国内生産量がこんなに減少しているんですよね。追い付かないということなんですか。その原因は何だと思われますか。
  66. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生指摘のように、これ国内生産を見ますと、二業種が若干国内生産が増えている、一業種が横ばいのほかは国内生産が九業種におきまして減少しているということでございます。  この特定農産加工法、先ほども申し上げました牛肉・かんきつ、農産物十二品目の際に、輸入量の増加に対して国内農産物の原材料で頑張っている農産加工業者に対して金融・税制上の措置を付けるということでございまして、その後もウルグアイ・ラウンド農業合意等がございまして、残念ながらその輸入量が増加をして、これに歯止めが掛けられない実態になっているということと、それからやっぱり国民の消費ニーズ変化によりまして国内需要量も減少しているものもあると、こういう要因が重なりまして国内生産量が減っているというふうに考えております。  私ども、この融資の内容をつぶさに見ておりますと、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、融資先の企業というのは大変頑張っておられますので、この法律が意味がなかったというようなことはないと思っております。残念ながら全体的には国内生産減っておりますけれども工夫を凝らしながら国内農業の発展ということに努力していきたいというふうに思っております。
  67. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私も意味がないというふうには言っていないんですね。是非やってもらいたいということはもうもちろんなんですけれども、単なる五年間の単純延長でいいのかということが一番私の言いたいところなんです。農産加工品の輸入増加によって影響が続いているどころか、特定農産加工業者経営改善に本当に役立っているのか、また地域の農業の発展に本当に資しているのかということを言いたいんです。  あえて、とってもこんなことお答えになれることではないんですけれども、こんなことをやらなかったとしたら中小企業とか農産物影響というのはどんなことだったのか、ただ数字とかというんじゃなくて、やったからこれまでだというふうにもう胸を張って言っていただきたい。お尋ねします。
  68. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この法律仕組みは、都道府県知事が特定農産加工業者がその地域の農業の発展のために役立っているというふうな場合にその経営改善計画を承認をして融資を付けると、こういう仕組みになっておりまして、この対象となっております企業への融資によりまして地域の農業の維持発展が図られているというふうに考えております。  私ども、この法律がなければ、十四年度までに九百三十二件、四千億円を超える融資措置でございますけれども、その派生効果と併せて相当国内生産量は落ちていたんではないかというふうに思っておりまして、この法律の効果、特に地方では相当利いているんではないかというふうに考えております。
  69. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 元年から使われたお金は四千三百七十四億円なんですね。それであるにもかかわらずこんなに減少している国内の生産量ということで、本当に本当にこれ効果があるのかなというふうに思います。  では、法の有効期間を五年間延長するという今回の改正で、指定業種別の国内生産量がどの程度増えて、どの程度の国内産原料の需要が拡大すると思われますか、お尋ねします。
  70. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ちょっと定量的にどのぐらいというのはなかなかお答えするのが難しゅうございますが、農林漁業金融公庫融資先からの聞き取りによりますと、例えば平成十四年度に融資した企業九十六社ございますけれども、この経営改善計画では、平成十九年度までに地域農産物取引量を五十三万トンから六十一万トン、七万六千トン余り増加させると、そういう計画で融資を受けているわけでございまして、そういう努力の積み重ねによりまして、業種ごとの国内生産量の振興というか増加というものを期待をしているわけでございます。これはほかの食生活をどうしていくか、あるいは地産地消のような取組をどう振興させていくか、そういうこととも関連がございますけれども、その中の一つの歯車としてこの特定農産加工法に基づく制度を活用できたらということで、国産生産が増加するということを期待をしているということでございます。
  71. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 単なる中小企業対策というのではなくて、そして、このお金は単なる融資、借金なんですよね。だから、本当に機能するように使っていただきたいなというふうに思います。  大臣も、そして総理も攻めの農業ということを最近よく使われます。輸出も視野に入れた付加価値の高い農業経営を目指すのであれば、加工品の素材や輸入増加によって影響を受ける農業者が自ら加工分野に進んで打って出るというようなことも必要ではないかというふうに思います。  私の地元なんかでも、そばは元々は原料だけ売っていたんですが、自分のおうちでひいて打っておそばを食べていただくなんという付加価値を高くすることによって本当に農家の皆さんの収入が増えているのが現状です。こんな場合の支援措置を求められるというふうに思いますが、これをこの法の対象にするというような改正考えられなかったのですか。自由化による影響緩和するために、守りの制度から自由化に対抗するための攻めの制度として、農家の多角的な運営にも役立つような制度として継続できるような考え方を是非持っていただきたいというふうに思いますが、お尋ねをします。
  72. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この特定農産加工法、金融・税制上の支援措置の対象を法律上特定農産加工業に属する事業を行う者、特定農産加工業に属する事業を行う者というふうに規定をしておりまして、法律上は農業者であっても加工を事業として行っておれば本法の支援の対象になるということになっております。実際に農業生産法人だとか農協に融資した事例もございます。  ただ、今、先生言われましたように、攻めの農政ということで今後農業者あるいは農家の御婦人方が組織をして加工分野に進出をしたいということであれば、この融資制度以外にも、認定農業者ならスーパーL資金、これよりはるかに有利でございますけれども、スーパーL資金ございますし、共同利用施設資金、使い勝手のいいものが、恒久措置でございますが、ございます。さらに、山村振興事業等におきまして、一定の要件を満たせば女性の組織に対しまして加工施設の補助事業、補助の方も行われておるということでございます。  私、今の先生の御質問の内容からするとこういう方を利用された方がいいんじゃないかというふうに思っておりまして、一応融資上もそういう仕分けをしながら運用をしておりまして、攻めの農政で農家の皆様方が加工分野に進出するときには、この融資よりもはるかに手厚い制度があるということでございます。
  73. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 この融資よりはるかにいいというふうにおっしゃったんですけれども、この中のメニューに入れてもいいというふうに私は思うんですね。中小企業の方だったら経済産業省とかそういうところからも出ているはずですし、そのことを農水省がやるのであれば、いろんなところでどんな資金でも使えるというような、そういう攻めの、漬物をやる主婦の皆さんとか、私はこの問題に対して、何というか、そのL資金の使われた状況とかどのくらい事業量が増えているとか余っているとか、よく調べなかったんで分からないんですけれども、是非この資金の中にもそういう攻めの農業のためにやる人たちの枠も広げておくべきだというふうに思いますので、大臣、いかがですか。
  74. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほどのこの対象業種の問題につきましては、ウルグアイ・ラウンド農業交渉、こういう中での経緯でこう制定されたこともあるわけでありまして、今回この対象業種の見直しはいたしてないわけでありますが、先ほどいわゆるそばの問題、それといろいろの業種につきまして、私ども融資の問題につきましては別の角度からスーパーL資金の問題等々、いろいろの制度融資もあるわけでありまして、そういうものを活用する中で取り組んでまいりたいと、こう思っております。今回の業種はそういう経緯で、対象業種の見直しをしないと、こういう考え方でお願いをしているようなことであります。
  75. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今後は是非検討の中に入れていただきたいというふうに思います。  では、ちょっと卸売市場法改正案のところをお伺いします。  今回の改正は、大きく言って卸売市場における適正な品質の管理の推進、卸売市場の再編円滑化、また卸売市場における取引規制緩和というふうな三つの柱があるんだというふうに思いますが、卸売市場における適正な品質管理についてまずお伺いしますが、今回の改正卸売市場整備基本方針に品質管理の高度化のための措置を定めることや、中央卸売市場開設者が定める業務規程の記載事項に品質管理の方法を追加することとされておりますよね。  平成十三年三月に定められ、平成二十二年度を目標年度とする現在の卸売市場整備基本計画の中を見てみますと、施設の配備及び運営に関する事項の中で、生鮮食品等の品質・安全性に対する消費者の関心にこたえるために、衛生管理施設や低温卸売場、低温帯別冷蔵庫等の保冷施設の整備を留意することで言っています。生産者は製品管理をすごくよくします。消費者はそんなものじゃないと買わないと言っているんですけれども卸売市場の中って結構ランダムに、乱雑になんということがあるためにこういうふうになったというふうに思いますが、平成十一年度の改正の際の附帯決議の中でも、「卸売市場における保冷施設等の整備に努めること。」というふうに言っているんですよね。  そこで、平成十一年度以降、卸売市場の保冷施設整備等がどんなふうに進んできたのか、そしてこの法律は何で出されたのか、どの程度整備が進んでそういうふうな見通しになったのか、お伺いをしたいと思います。
  76. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 平成十一年の法律改正のときの附帯決議に保冷施設の整備を進めるというのがございました。  現在の整備状況でございます。平成九年の三月と平成十四年の三月を比べてみますと、低温卸売場の整備、青果で平成九年に三・一%だった、平成十四年に六・四%、水産平成九年に二・三%だったのが四・七%と、平成十四年。若干は進んでおりますけれども、品質管理面では立ち後れという状況でございまして、私ども、この品質管理、安心、安全を求められている時代にこういうことでは消費者ニーズにこたえられない、生産者ニーズにもこたえられないというふうに思っておりまして、今後、この品質管理に重点化をして施設整備をしたいということで改正案を出させていただきました。  先ほど来申し上げておりますように、十六年度の予算の事業の採択に当たりましては、この品質管理施設のないものは採択しないというふうな原則で臨みたいと、このための十六年度予算の増額というものを行っておりまして、できるだけ早く全部の市場でこの設備を整えるようにしたいというふうに思っております。
  77. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今回の改正取引規制緩和措置の中で電子商取引による卸売が可能になりますけれども、これに関しても前回の改正時の附帯決議で、「流通情報システム化に対応できない産地や零細業者に十分配慮すること。」としました。この点について、どのような配慮がされて、流通情報システム化がどんなふうに進んできたのか、お伺いしたいと思います。  そして、まず、私たち、附帯決議というのを付けますけれども、附帯決議付けた結果、まだできていないからまたこの法律を作るという、そういうのは附帯決議にもう何ら皆さんの御関心がないのかというふうな思いがいたしますけれども、単に附帯決議というのではなくて、きっちりしてほしいための附帯決議でありますから、それを踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  78. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生の今御指摘になられました前回の電子商取引推進のための附帯決議、平成十一年の改正でございます。  私どもこれを受けまして、取引の電子化の基盤となります標準コード、標準メッセージ、これを十三年度に開発をいたしまして、これを活用した食品流通ビジネスモデルというものを普及を行っております。同時に、先ほど来申し上げております卸売市場の施設整備事業におきまして取引の電子化に要するサーバー等の基盤の整備、こういうものを推進をしてまいりました。  この結果、出荷者卸売業者出荷者卸売業者の間における取引の電子化につきましては、十五年度に全農が約五十の県連・県本部と約三百の青果卸売業者を結ぶベジフルネットというものを本格稼働をさせておるが、これは出荷者卸売業者関係でございます。また、生鮮食料品を取り扱う企業間の取引の電子化を実施している流通業者は、青果の場合で全体の約六割程度、中央卸売市場卸売業者では約八五%というふうになってございますが、その利用の目途は仲卸業者量販店等の受発注情報の交換というふうに限られておりまして、このとき附帯決議のねらいでございました卸と仲卸の間の取引に関しては依然として電話、ファクスの取引が大勢を占めております。  今、卸と仲卸の間の取引の電子化というものを進めるべく研修活動を行っておるわけでございまして、その肝心のところの電子化というものを今後は最大の課題として普及していきたいというふうに考えております。
  79. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 附帯決議を付ける際は必ず大臣がそのような方向で必ずやりますというふうにお答えをいただくわけですから、是非附帯決議も重く受け止めていただきたいというふうに思っています。  最後に、この三つの柱とする改正全体を通じて、中小企業の方への影響とか公正な市場取引への影響をどう考えているか。すなわち、今回の改正が、価格競争力の弱い出荷者流通情報システム化に対応できない産地、あるいは零細な仲卸業者売買参加者、小売店などの取引影響を与えないのかということをお伺いして、最後の質問にいたしたいと思います。
  80. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の、特に卸売手数料弾力化等規制緩和措置、先ほど来お答え申し上げておりますけれども市場全体を活性化するための措置でございます。運用いかんによりましては、先生今言われました中小零細な小売業者あるいは仲卸業者さんがこの取引の中からはじき出される懸念もあるわけでございまして、その実施に当たりましては関係者協議の中から段階的に規制緩和に向かって進めていくというふうにしたいというふうに思っております。  特に、その場合、先ほど来話出ておりますけれども、卸、仲卸、小売、この代表の皆さんが参加する市場取引委員会役割が非常に大事になってこようかと思われます。この活動を活性化して、売買取引の方法等が不断に見直されていくというふうなことで、中小零細な業者の方々が不当に除外されないような措置を講じていきたいというふうに思っております。  同時に、公正な取引ということも、同じように市場取引委員会の場で取引方法等についての措置というものを機能強化に向けて図っていきたいというふうに考えております。
  81. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ありがとうございます。
  82. 千葉国男

    千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。卸売市場の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正の主要部分は、旧態依然とした規制弾力化、安全、安心への対応市場機能の強化などを踏まえ、生産者サイド、実需者サイドも安心して利用できる市場に改革しようというものであります。  今回の改正に当たりまして、私たち公明党といたしましては、先日、農業活性化対策本部及び農水部会合同で東京都中央卸売市場の大田市場を視察させていただきました。私自身も二度にわたり仙台中央卸売市場を視察をいたしまして、関係業者の方々の御意見を伺ってきたところであります。  具体的な問題点については後ほどお伺いしますが、まず法律案の内容について、確認する意味でお伺いをしたいと思います。  まず、卸売市場の再編・整備方針についてですが、市場再編に当たりまして地域の特性、要望を十分に配慮し、市場ごとの自主性を基本とするとして、ネットワーク化による機能強化、統合によるスケールメリットの発揮、あるいは民営化を含むより自由度の高い地方卸売市場への転換を図ることを例として示されております。しかし、卸売業者の皆さんは、そんな難しい言葉よりも、自分の市場はこれから一体どうなるんだろうかと、そういう大変な不安な気持ちを持っているわけであります。  その意味で、農水省はどのような将来ビジョンを持って今回の制度改正に取り組むおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。またその際、市場の再編統合をどのように進めていくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
  83. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の法律改正によりまして、私どもとしては、今回のいろいろな規制緩和等によりまして生じる新たなビジネスチャンスといったものを市場関係者皆様方に最大限に活用をしていただいて、創意工夫を凝らしたサービスを提供するということによって生産者からも消費者からも選択される市場を構築していく、これを基本に据えて対応していただきたいというふうに考えております。その過程で、行き過ぎた規制緩和関係皆様方の経済活動に大きな激変を生ずることのないような措置も併せて講じていきたいというふうに考えております。  そして、市場の再編と統合の問題でございます。市場の再編につきましては、先生正に御指摘されましたけれども、十年後のビジョンを定める卸売市場整備基本方針に再編の基準を盛り込むということにしております。それによって取引が混乱するだとか、あるいは産地や地域流通に与える影響考えますと、やはり置かれている地域の特性ということに十分配慮をして、やはり自主性というもの、市場ごとの自主性というものを基本に行われる必要があるというふうに私どもも思っておりまして、市場関係者皆様方意見も十分聴いて、どういう方向で再編を進めていくかを決めていきたいというふうに思っております。
  84. 千葉国男

    千葉国男君 今日、我が国の中央卸売市場は、市場流通の急増により市場経由率の低下、それから取扱金額の減少、代金決済期間の長期化など、様々な問題を抱えていると言われております。これらの諸問題を今回の改革でどう克服しようとなされているのか、お伺いをしたいと思います。
  85. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の改正によります市場経由率あるいは取扱金額の減少問題への対応でございます。  私どもこの大きな要因として、輸入品が増加しているということもさることながら、やはり十分外食等へのニーズの高度化に対応し切れていなかったんではないか、あるいは規制というものの存在もあって十分な活性化が図られていなかったんじゃないかというふうに思っておりまして、今回の改正で、生産者、外食・加工業者と卸、仲卸との連携強化のための様々な措置、あるいは卸売手数料弾力化による機能サービスに応じた手数料の徴求を可能とする措置、こういう措置を講ずることによって市場外で取引されていた取引市場内に取り込むというふうにしていきたいというねらいで今回の改正をしたものでございます。  また、代金決済期間の長期化等の問題によりまして仲卸の約四割以上が赤字経営ということでございまして、仲卸さんが苦しくなりますと小売を通ずる消費者への安定供給に支障が生ずるわけでございまして、今回の改正では、仲卸さんの体質を強化していくということで財務基準、卸売業者さんには既に入っておりますけれども仲卸さんにも財務基準を定める、あるいは合併等による税制の軽減措置を新たに講ずる、あるいは、自主的な市場経営体質強化計画といったものを作っていただきまして、基金を造成する場合には税制上の損金算入等の措置を取る、こういうことを通じて仲卸さんの体質強化を図っていきたいというふうに考えております。
  86. 千葉国男

    千葉国男君 食品流通効率化等に関する研究会報告書によりますと、市場関係業者の体質強化につきましては、卸売業者は財務基盤に基づく自己責任により一層の経営改善を進め、仲卸業者経営の自己管理に改善を促す必要がある、このようになっております。  民間企業としての一層の自己責任に基づく対応はすべきであると思います。しかし、業績の良い業者はいざ知らず、現在、今お話ありましたように、卸売業者の三割、仲卸の四割、そういうのが赤字で、これらの業者が新たな経営改善に取り組むに当たりまして様々な実は困難が伴っております。  まず、そういう意味で、卸売業者経営基盤強化のためにいかなる支援策を考えているのか、お伺いをいたします。
  87. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸売業者さんの体質強化のために、まず合併の促進ということで、先ほど来申し上げております税制上の措置というものを現在講じてございますが、このほかに、卸売市場の集荷力の向上を促進させるということで、卸売業者が共同集荷を行う場合の規制弾力化と並びまして、十六年度から新たに共同集荷等の取引システム確立のための事業というものを実施するということとしているところでございまして、こういう予算、税制制度、三つ相まちまして卸売業者経営体質の強化を推進していきたいというふうに考えております。
  88. 千葉国男

    千葉国男君 町の八百屋さんや魚屋さん、今の言葉で言えば青果商あるいは鮮魚商になるんでしょうか、これらは大体御夫婦で経営されている場合がほとんどであります。といっても、自ら卸売市場に行って取引に参加する、欲しいものを自ら競り落とすなどということはなかなかできない状態になっています。やはりその意味で仲卸さんに頼むしかありません。町のお年寄りが欲しいもの、これをそろえる専門店、そして、向かい合いながらメニューとか食事の作り方まで教えるぬくもりのある商取引、これを支えているのがほかならぬ仲卸さんたちであります。  ところが、仲卸実情は、先ほど申し上げましたように、赤字経営が四割から五割というのが実態であります。仲卸経営が庶民生活に密着したシステムであることから、今後再生し確固たるものにする必要があります。そのために強靱な仲卸業界になってもらわなければなりません。  そこで、仲卸業界の体質強化と支援策について福本務官にお伺いをいたします。
  89. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) 卸売市場における取扱金額が減少しておる中で、卸、仲卸業者経営体質の強化、これは重要な課題だというふうに考えておりまして、このため今回の卸売市場法改正案におきましては、一つ目に、仲卸業者の業務の適正かつ健全な運営を確保するため開設者業務規程仲卸業者の財務基準を定める、これに基づいて経営の改善を図る、さらに合併等にかかわる登録免許税の軽減措置の対象に仲卸業者も追加するという措置を講じたところでございます。その上さらに、各市場におきまして仲卸業者経営体質の強化を推進いたしますため、平成十六年度予算におきまして市場経営体質強化計画、これを策定する、それに対しても支援措置を講じる、さらにこの計画に基づきまして仲卸業者等の市場関係者が転廃業のために基金を造成する場合には、国税庁と協議の上、税制上の損金算入の特例が認められるという措置をしておるところでございます。  こういう措置を通して経営体質の強化を図り、生産者消費者に信頼される卸売市場の確立に努めてまいりたいと思っております。
  90. 千葉国男

    千葉国男君 地域経済の活性化なくして日本経済の発展はありません。日本経済はやっと企業収益を改善し、設備投資が増加するなど着実に回復しておりますが、しかし、地方の状況はどうでしょうか。私の地元仙台でも、駅周辺でも商店街の専門小売店がシャッターを下ろす状況が散見されております。正に大手スーパーに押しやられた状態になっているわけです。小泉総理も言っておりますように、地域の再生は元気な日本経済を実現するかぎである。  商店街の保全に関して諸外国の例を見ますと、アメリカのような新大陸、ヨーロッパのような旧大陸に大きな違いがあると聞いております。米国の場合は、道路網が整備され大型車がどんどん発達するような状況下では、郊外に流通・卸小売センターのようなものが整備され、人々が小型トラックで大口の購入をする方が合理的な生活になるでしょう。しかし、旧大陸のドイツやフランスのような伝統国では、人々の消費生活とともに歩んできた専門の小売店を中心とした町並み自体に保全の意義を存在しております。  こう考えますと、卸売市場を活性化する方法として、一、単品量産型の小売、外食企業を卸売市場に引き付けること、二、より多様な食を提供できる中小の専門小売店、外食に積極的に対応することの二つの方法が挙げられております。卸売商が後者の方法により市場を活性化すれば、地域経済にも大きく貢献することができることになります。  私としては、何としても温かい触れ合い、文化と歴史あふれる商店の再生が地域おこしのために必要であると、こういうふうに考えております。これからますます高齢社会が進んでまいります。お年寄りにとりましては、郊外にある大型量販店に行くこともままならないような健康状態になり、高い棚のものも自分で取ることもできないと、こんな状態になります。そういう意味で、昔の近くにある商店街の再生が望まれるゆえんであります。  そこで、専門小売店の役割や位置付け、専門小売店と卸売市場連携、その他その振興方策について福本務官にお伺いいたします。
  91. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) ただいまおっしゃられました中小食品小売業者、これは現在、郊外の食品スーパーの増加、小売店の後継者不足等によりまして年々減少傾向で、商店街の空洞化の一つの原因にもなっておるところでございます。  この商店街、町の顔でございますし、振興のためには、一つは集客の中核となる食品小売業の活性化。二点目には、特に消費者の安全、安心、さらには健康志向の高まりを踏まえまして、食品小売業の魅力を高める、そのため地域農業卸売業、小売業、この密接な連携の下で効率的な流通システムの構築が必要であると。また、地産地消の推進、これが課題であるというふうに考えております。  農水省といたしましては、このため、一つ消費者に適切な情報やサービスを提供する利便性の高い食品小売業の育成を推進するための基盤となる人材の育成、さらには、生産者卸売業者と一体となった地元農産物の販売促進、仕入れ、配送の共同等を進めるためのビジネスモデルというものを開発しておるところでございます。こういうことの支援を通して活性化を図ってまいりたいというふうに思っております。
  92. 千葉国男

    千葉国男君 ちょっと話がそれますけれども、大口需要者の比重が高まることで生産者から大口需要者への直接取引が増加し、卸売市場流通が現実に減少しています。この状況が進みますと、買手側の大口需要者がバイイングパワーを利用して納入業者に厳しい取引条件を提示し、市場取引をゆがめているのではないかという指摘があります。その防止策について農水省はどのようなことを考えているのか、お伺いしたいと思います。
  93. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 卸売市場の重要な役割、これは公正な価格の形成、この実現をする観点から、食品流通に関しまして取引適正化につきましていろいろ指導を推進しておるところでもございます。  しかしながら、近年、量販店取引の拡大、そういう中で仲卸業者やあるいは小売業者、それから量販店のバイイングパワー、これを利用して仲卸業者に対しまして自ら特売等に合わせた取引価格を提示した取引を行うと、こういうことなど市場における取引がゆがめられているということがあるわけであります。  このため、私ども農水省といたしましても、先ほど来お答えを申し上げましたが、卸売市場をめぐる取引適正化を図る観点から、公正取引視月間、これを設けまして、仲卸業者量販店との取引における納入条件を中心とした実態調査を実施する、また、国、開設者の各段階におきまして、売買取引ごと卸売市場の主要な品目につきまして取引結果につきましての点検をする、こういうことと、そしてさらに、本省、地方農政局、あるいは都道府県に量販店との不適切な取引情報、あるいは相談窓口として市場取引一一〇番、こういうものを設置をいたしまして、そして独占禁止法上に違反する疑いがあると考えられた場合には、その事例につきまして直ちに公取に通報して連携して対応する、このようなことをしてまいりたいと、このように考えております。
  94. 千葉国男

    千葉国男君 今回の改正案が中央、地方の卸売業者仲卸業者等の経営改善につながることが重要なポイントになっております。そのためにはこの関係業者の皆さんに法改正趣旨と内容をきめ細かく周知徹底することが大事であると思います。業者の皆さん、二十二万六千九百二十三の業者がおられるわけでありますので、その周知徹底の研修につきましては丁寧に力を入れて推進をしていただきたいと、こう思っております。  今まで長年誠意一筋でやってこられた方々ばかりでありますので、今回の改正により卸売市場がどのように変わるのか、あるいは卸売市場関係者はどのようなことができるのか、関係者の明確なイメージを持ってもらうことが大事だと思っております。  そういう意味で、市場強化に向け積極的に取り組んでもらうためにもこの周知徹底が非常に大事だと思っております。体に、身に付くような研修を行っていくべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  95. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員からも御指摘のとおり、正にこの法改正、そういう中で、やはり何といっても関係者の皆さん方に御理解をいただかなければその実は上がらないわけでありまして、いわゆる卸売市場が、生産者あるいはまた消費者サイドと両面から期待する安全、安心、さらには効率的な流通システム、こういう面での、そしてさらには二十一世紀において我が国の主要な生鮮食料品等の流通において基幹的な役割を果たすわけでありますので、委員からの御指摘のとおり、この各中央卸売市場開設者を対象とする業務の研修会、あるいは卸売業者仲卸業者を対象といたしますブロック別の研修会、こういうものを開催をいたしまして、今回の卸売市場法改正の内容を周知を早期に図っていくことが必要と、このように考えております。  また、関係団体が主催する会合等の機会あるごとに出席をいたしまして、本省、地方農政局からも職員を派遣をいたしまして、改正内容を周知いたしたいと。さらには、今回の改正の中でのインターネット等を活用した商物分離取引に必要な電子商取引の普及、定着、このことが必要でありますし、この研修、あるいは仲卸業者経営効率化を図ると、こういう観点から、開設者仲卸業者に対しまして行う財務あるいは法務、IT、物流の研修、こういうようなことでの支援をいたしてまいりたいと。  さらには、複数市場連携して共同集荷等の取組を推進する、こういう自主的な事業、こういうものも新たに行うこととしておるわけでありまして、この新制度につきまして、先ほど来申し上げましたような体制の中で十分取組をし、周知を徹底し、その実を上げてまいりたいと、このように考えております。
  96. 千葉国男

    千葉国男君 特に、手数料弾力化の問題についてでありますが、業者の皆さんは大変戸惑っております。弾力化ということは今的には結果的に手数料の引下げを意味しております。結局、この改正で大半の卸売業者が減収、減益になると心配しているわけです。  手数料弾力化卸売業者の収益性については、卸売経営の安定を図る意味でも、上限とか下限というものを設定してこれを行うべきではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  97. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の改正につきましては、委託手数料、これを全国一律的な定率制を廃止をいたしまして、卸売業者機能、サービスや地域品目ごとの取引実態に応じて弾力的な委託手数料徴収できると、こういうことにするわけであります。  この措置を行うことによりまして、これは高付加価値性やあるいは低コスト化といった出荷者あるいは実需者のニーズに即した多様な取引内容やサービスの提供を行われている結果として市場外に流れている取引を再び市場内に取り込むと、それによりまして卸売業者取引額が増加することにつながることを期待をしておるわけでありまして、手数料弾力化に当たりましてはおおむね五年間の準備期間を設けることとしたところでありまして、その準備期間に、各市場における産地やあるいはまた実需者のニーズ対応したサービスの提供、その場合の手数料の在り方について議論をいただきまして市場の活性化につなげていただきたいと、このように考えております。  今回の改正に当たって、各市場における議論地域実態等を考慮して、開設者が自らの裁量によりまして手数料の上限や率などを業務規程で定めることも可能とすることとしたところでありまして、この間、その対応ができるようにやってまいりたいと、こう思っております。
  98. 千葉国男

    千葉国男君 国民生活の安全と安心を確保することは国家の基本的責務であります。とりわけ、農と食をつなぐパイプとして重要な役割を果たしている卸売市場における安全、安心の確保は国民生活にとっても重要な課題であると考えております。また、消費者生産者サイドにおいても、BSEや偽装表示問題の発生以降、食品の安全、安心に対する要請が高まっており、卸売市場を始めとする食品流通関係者はこうした要請に的確に対応することが重要であります。  こうした中で、卸売市場流通については、産地サイドから卸売市場においてコールドチェーンが切れていることが問題として取り上げられる一方、消費者からは、卸売市場における鮮度保持の徹底等とともに、法令等を遵守した品質管理や適正な表示の徹底が求められているところであります。  こうした状況対応して、今回の卸売市場改正では、市場における品質の高度化を図るための措置として具体的にどのような措置を講ずるお気持ちなのか、またそのための支援措置でどのようなことを考えているのか、福本務官お尋ねいたします。
  99. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) 卸売市場におきましては、低温で売却する整備が、現在、六・四%青果、水産では四・七%というふうに品質管理面で現実に対応の立ち後れが見られる状況にあるということでございます。  これに対応しまして、今回の法律改正卸売市場整備基本方針というものがありますが、それにおきまして品質管理の高度化に関する基本的な事項というものを位置付け、食の安全、安心に対する関心の高まりに対応した高度な品質管理が可能となる施設の在り方等を記載すると。また、中央卸売市場の各開設者が定める業務規程におきましても、温度管理の方法や品質管理責任者の設置等の品質管理の方法、これを定めることを通じまして卸売市場におきまして生鮮食料品の品質管理の徹底を図るということにしておるところでございます。  こういう措置と併せまして、卸売市場施設整備事業におきまして、平成十六年度新規採択事業では、水産物・食肉市場にかかわる大規模な施設整備において低温化、外気遮断等のHACCP的な管理を行う、これを原則として義務付けるとしております。このための予算も増額を図ったところでございます。
  100. 千葉国男

    千葉国男君 先日、私は仙台の中央卸売市場に視察に行ってまいりました。水産関係のマグロ低温売場が新しく完成し、この三月二十六日から本格稼働をしておりました。衛生管理もしっかりしておりまして、入場する前には帽子をかぶり、長靴を履き、入口で手を洗い、それから靴を消毒をし、そして中に入ると。中では、一日三回オゾンが流れて、清潔な空気が流れていると、こんな感じでございました。  そういうふうな立派なマグロの低温売場ができたわけですけれども、この工事のために開設者である仙台市が二億五千万でこの工事ができ上がったと。しかし、その二億五千万のうち国庫負担金を除いた金額がその使用料に跳ね返ってくる結果になり、施設の使用料即固定経費がこれまでに比べて増大したと業者が言っております。ほかの市場はどうなっているんだろうかと、こういうふうな話もございました。仙台市はそんなに高くはないと、こう言っているんですが、この際の施設使用料徴収に当たっての算定基準はどうなっているんでしょうか。
  101. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 中央卸売市場の施設の使用料、これは開設者業務規程におきまして施設の種類ごとに、種別ごとに定めるということになっております。  仙台市からは、平成十五年度の、今、先生指摘されました低温卸売場の使用料の額については、我が方で定めました算定の考え方に沿いまして、償却費、修繕費、管理事務費、損害保険料及び地代、こういうものから適正に算出したというふうに聞いております。  具体的に申し上げますと、仙台の中央卸売市場水産物の低温卸売場の面積割りの使用料は月額で平米当たり千八十四円と聞いておりますけれども、この水準、私どもが聞いておりますほかの市場と比べて低い方の水準ということと承知をしております。
  102. 千葉国男

    千葉国男君 食の安全、安心に直結するこのような施設整備は公共的性格を持ち、業界としても率先して行うべき事業であります。それが結果として使用料増大を招いていることも事実であります。  そこで、こうした施設の展開について市場の使用料をできるだけ軽減するような様々な手法や支援を考えていくべきではないかと、こう思います。改革に当たってどのような努力、工夫をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  103. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 使用料は、掛かります経費を均等に割って定めるということが基本でございます。私ども、今、先生指摘をされたように、この使用料が高くなるというのは決して好ましくないと思っておりまして、市場の整備の仕方とか運営の効率化をできるだけ図っていきたいというふうに思っております。  このために、今回の改正に併せまして、卸売市場施設整備事業につきましては、十七年度の新規採択から、効率化につながりますPFIを原則義務付けにしたいということ、それから、市場の運営面におきまして、施設管理を民間委託することによりましてできるだけ効率化を図るよう運営面での運用を図っていきたいというふうに考えております。
  104. 千葉国男

    千葉国男君 今回の改正で大きな影響を受けるのは仲卸業者と言われております。厳しい経営状況の中で仲卸業者同士の再編あるいは統合が進んでいくと考えられます。  あわせて、私の友人の仲卸業者のお店も訪ねました。今回、同じ仲卸業者の売場を吸収し、ここを改装してコールドチェーン化を図り、加工機能を充実をしたと。本来は売場としての補助対象であるため設備設計に様々な制約があったと聞いております。開設側の仙台は、そういうコールドチェーン化をして一生懸命やろうとしているんでモデルケースとして支援をしたと、こう言っているわけなんですが、食の安全、安心につながり、仲卸業者経営改善に結び付くような施設設備については、補助対象施設であっても規制緩和の流れの中でより柔軟な対応が取れるようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  105. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 個々具体に即して詳しくお聞きしていないわけでございますので一般論で申し上げますと、国庫補助の対象でありました仲卸さんの店舗で遊休化しているところへ低温施設を整備する、これは卸売市場機能強化に資するものでございますので補助目的に反するものじゃないというふうに思っております。一般的には補助金の返還というようなことには当たらないのではないかというふうに思っております。  ただ、これ、いろいろ現場で混乱がございますので、この遊休化した補助対象施設の活性化というんでしょうか、転用というんでしょうか、そういう問題につきまして、今回の制度改正に併せまして、そういう施設を転用した等の場合の補助金の取扱いを明確化するための通知というものを発出いたしたいというふうに考えているところでございます。
  106. 千葉国男

    千葉国男君 次に、ごみ問題についてお伺いをしたいと思います。  仙台の中央卸売市場では年間約一万トン強のごみが発生すると。それに対して市場内のごみ処理の取組は、開設者、業界が協力し、ごみの減量、リサイクルに取り組んでいるということであります。一方では大きな負担ともなっております。いずれにせよ、そういう意味で、市場内におけるごみ処理は大変な問題を含んでおります。加えて、パレットの処理にも頭を痛めていると。  そういう意味で、この市場内の清掃システムあるいはごみ処理問題、こういうしっかりしたシステムを構築する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  107. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸売市場のごみ処理でございます。事業系の一般廃棄物処理に該当いたしまして、廃棄物処理法に基づきまして、開設者卸売業者仲卸業者、こういう市場関係者実態に応じて費用を分担しているということでございます。  ただ、このごみの問題、今後大変な問題になってこようかと思っております。私ども、その卸売市場におきます効率的な清掃システムということで、例えば栃木県にある卸売市場では食品残渣を堆肥化いたしまして農家に無料配布しているということで、従来に比べて非常に処理費用が安くなっているとか、あるいは愛知県にございます卸売市場では、先生言われましたパレット、古くなったパレットをその辺に捨てるというようなことのないよう、出荷から販売まで一貫して商品を流通させることを目的とした通い容器というものをパレットに代えて用いているというような取組がございますので、こういうような取組を紹介をしていきたいというふうに思っております。  特にパレットに代わる通い容器の規格化とか効率的な管理システムの構築に向けた事業を私ども十六年度から新たに実施するということにしておりますので、こういうものの中からそういう問題に適切に対処をしていきたいというふうに思っております。
  108. 千葉国男

    千葉国男君 亀井大臣に最後にお願いをして質問を終わりにしたいと思います。  このたびの改革によって市場機能が低下することのないよう強くお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  109. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ─────・─────    午後二時三十四分開会
  110. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、信田邦雄君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任をされました。     ─────────────
  111. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 休憩前に引き続き、卸売市場法の一部を改正する法律案特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  息せき切って着いたばかりのところを申し訳ありませんけれども、早速大臣質問いたします。  まず、今回の改正一つであります卸売市場法のこの手数料自由化の問題についてお聞きしたいと思います。  委託手数料自由化については、多くの卸売業者が非常に脅威に感じています。私も北海道でその関係者の話を聞きました。手数料自由化が集荷力のある市場とない市場に格差を生み出すと、それから市場間の競争が激しくなる、それから大都会の間に挟まった市場は厳しくなると、それから大きな市場は残れるかもしれないが、地方の中小市場にとっては致命的な問題だという声もありました。  さらに、青果の卸の関係でいいますと、今でもぎりぎりの状態でやっている中で、わずかに下がっただけでもこれは赤字になるんだという声や、生鮮食料流通に大きな混乱をもたらすし、産地や小売、消費者にとっても大きな損失になると、こういう声が出されました。  それで、日経流通新聞のアンケートを見ましても、この卸会社の六百四十九社のうちで手数料自由化に賛成だというのが九十八社、一五%ですよね。それから、反対だというのが二百六十三社、四〇%と自由化への反発、依然として強いわけです。にもかかわらず、なぜ手数料自由化をこれ強行するのでしょうか。これについて、まず大臣、お願いします。
  113. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の改正におきまして委託手数料全国一律的な定率制を廃止をして、卸売業者機能あるいはサービスや地域品目ごとの取引実態、それに応じて弾力的に委託手数料徴収すると、こういうことであるわけであります。  もう一方、この措置を講ずることによりまして、現在、卸売市場外の流通におきまして高付加価値化やあるいはまた低コスト化といった出荷者あるいは実需者のニーズに即した多様な取引内容やサービスの提供が行われている結果として市場外に流れている取引を、卸売業者が多様な機能、サービス、こういうことを提供することによりまして再び市場内に取り込むと、こういうこと、そういう中で卸売業者取引額が増加することにつながる、このようなことを期待をしておるわけでありまして、手数料弾力化に当たりましては、おおむね五年の準備期間を設けると、こういうことにしたところでありまして、その準備期間内に各市場における産地やあるいは実需者のニーズ対応したサービスの提供とその場合の手数料の在り方につきまして議論をいただきまして、市場の活性化につなげることをしていただきたいと、このように考えておるところであります。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 依然としてやっぱり批判が強いということを申し上げたんですよね。  それで、関係者のその理解を得ているという話もされたんですけれども、しかしやっぱり業界のトップのところとは確かに意見交換されたんだと思うんですけれども、現場の市場関係者のところを歩きますと、やっぱり出てくる声というのは、手数料自由化先にありきだと、市場意見述べても変わらないと、しゃべらせるけれどもそれだけだと、賛成しているのは競争力のある市場だけなんじゃないかという声もあります。  実際に、その現場の人たちの声としては、この改正でどう変わって、どんな影響が出るのかということは分からないというふうに言っておられるんですね。だから、理解を得てというふうに言うんですけれども、実際にはとてもその理解を得ているという状況とはほど遠い状況だというふうに私は思うんです。  それで、業界トップと地方の市場関係者の間に乖離があると私は思うんですね。それはこの法律の中身から見ても当然だと思うんですけれども、農水省は今度のこの法改正市場の体質強化ということを言われます。しかし、この実際改正で体質が強化されるのは一部のやはり大手の卸売業者だけだというふうに思うんです。たとえ開設者手数料を決定したとしても、大規模産地は引下げの要請を強めるでしょうし、有力産地からのブランド力のある荷を集めようということにしようと思うと、やっぱり現行の料率を維持するということは困難になるだろうと。  そうすると、市場間の引下げ競争になる可能性も否定できないんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  115. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 手数料弾力化、懸念といたしましては、先生おっしゃいましたように、市場間の競争、卸間の競争、それから生産者との関係、いろいろ懸念があるわけでございます。ただ、基本は、もう全国一律の手数料を定めている制度というのはこれだけでございまして、規制緩和の政府全体の計画の中でも弾力化して競争を通ずる活性化を図れと、こういうことを言われておりまして、そういう方向での改正を今回することにしたわけでございます。  確かに、経営の問題、市場間の競争の問題で懸念する声が今なおございます。このために五年間という移行期間を取らしていただいて、その間で市場関係者でどうやったらそういう競争の中に飛び込んでいけるかということを十分議論をしていただきたいということ、そして、五年後も市場で話し合っていただいて、市場ごとにその手数料の上限の率を定めることは可能でございますので、力の弱い、まだ体質が強化されていないようなところについては、そういう前向きの努力と併せて、そういう市場ごとの手数料の率を定めるということも併せて措置していただいて、こういう環境に生き抜いていけるような努力をお願いをしたいというふうに思っております。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 弾力化という話しされて、その幅があるんだということなんですけれども、しかし、実際に自由化して手数料が上がるということはまずないと。結局、下がることになるだろうというのは関係者が一番心配していることなんですね。  それで、卸売業者の収入というのは委託手数料が大半を占めています。事業収益見ますと、青果でいいますと収入の八〇・四%ですし、食肉は七九・四%、花卉は八七・七%です。卸売業者経営というのはこの手数料の収入に依存しているわけですよね。この料率引下げというのはイコール委託手数料の収入が減少することになる、これは確実だと思うんですね。卸業者のうち三割近くが赤字に今なっていると。だからぎりぎりの経営をしているわけで、それがこの手数料の引下げということになりますと、これはやっぱり死活問題だというふうになると思うんです。大規模な拠点の市場に属する一部の力のある卸業者はより集荷力を強めていくというふうになると思うんですけれども経営体力のない中小の卸業者経営を脅かされることになると。  集荷競争や品ぞろえで不利になれば、これは買い出し業者が離反する、経営不振で廃業に追い込まれることになるんじゃないかと、こういうふうに思うわけですけれども、こういうやっぱり実態から見てどうなんでしょうか。
  117. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 卸業者委託手数料、これ、生産者から見ますとこれはコストに当たるわけでございます。生産者にとってはそういうコストはできるだけ効率化して低い方がいい。一方で、卸の方々の経営考えますと、先生言われましたように、安定するためには固定的な方が望ましいという問題があるわけですけれども、問題は、市場経由率が落ちて、その市場に魅力がなくなってきている、これをできるだけ活性化しないといけないという大きな目的があるわけですから、生産者の方々の意向、それから卸の人たち意向開設者意向市場競争、そういうものを十分勘案して、自らでやはりルールを作って、相反する、安定と効率化という相反する要請を調和の取れるような仕組みにしてほしいというふうに、そういうための改正をいたしましたので、その点よく趣旨を踏まえて対応していただきたいというふうに思うわけでございます。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 今の事態が大変だからそれを打開するためのものなんだということで、消費者の側から見ても安い方がいいんだという話なんですけれども、私はやっぱり、実際の今の現実のところをよく見たときに、果たしてそうなのかというふうにも思うんです。  実際、昨日、今日の新聞見ましても、赤字経営で改善命令が出されている卸売業者が増えているということですよね、今日の農業新聞にも出ていましたけれども。そういう中で競争が迫られるということになりますと、より一層弱体化することになると。各部門ごとに一社しか卸業者がいない中央卸売市場というのが、青果でいいますと三十三市場ですし、水産で十市場、食肉で十、花卉で十五市場です。だから、それがもしつぶれた場合には市場が存在できないところが地方にはたくさんあるわけですよね。だから、そこで仕入れをしてきた、そういう専門の小売店というのは続けられないことになってしまいますし、そうすると、今までお年寄りなんかが買いに行っていた、その買いに行った場所がなくなってしまうと、こういうことにもなっていくわけで、結局はそこにしわ寄せが行くんじゃないかということなんです。  それからもう一つ手数料自由化のことで問題だというふうに思うのは、開設者によって上限下限を設ける、そういう幅を持たせて、規制しないことも可能になるということなんですけれども、そうなりますと、結局、市場側が産地を選んで、集荷する産地によって手数料に差を付けることも可能になるということがあると思うんですね。  卸売市場法差別的取扱い禁止しているわけですけれども、例えば手数料で大規模産地と中小産地に対して差を付けるというような対応を取ることを禁ずることができるのかどうか、この点どうでしょうか。
  119. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 差別的取扱い禁止受託拒否禁止、これは今後とも継続していくことでございます。  元々卸売市場制度ができましたのは正にこのためでございまして、先生言われるように、産地によって選んで手数料に差を付けるというようなことではこの規定に抵触をいたしますので、そういう場合が仮に現れたという場合には、農林水産大臣又は開設者がその業者に対しまして改善措置命令の発出ということで是正をしていくということとなる運用をするつもりでございます。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 この間、農水省さんからもいろいろ説明聞いてやり取りしてきたわけですけれども、差別的な取扱いについては、結局、その場その場の判断、ケース・バイ・ケースの判断、これが可能になるということでもあると思うんです。  例えば選果とか箱詰めとか、出荷形態ですね、それから出荷側のサービスの度合い、これが同じだと、にもかかわらず手数料で差を付けた場合は、これは差別的な取扱いになるんだと、抵触するという話になると思うんですけれども、そうすると、例えば大きなロットの単位というか、全部品ぞろえをやって出してくる、あるいは均質な、均一な作物でもって出荷できる、大規模にそれをやれると、そういう産地と、なかなかそこまで行かない、そうでない中小の産地、こういうところの差別的取扱い規制するということは困難になるんじゃないかと。つまり、そういうふうに品ぞろえもあらかじめやって出してくるのは、当然それは差が付きますよということになりやしないかと。  そうすると、やっぱり非常にこの差別的取扱い禁止ということについて原則が形骸化することにもなるんじゃないかというふうに思うんですけれども、それはどうでしょうか。
  121. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ロットが大きくて質が高くて、しかもそれが均一であるといった農産物は、これは実需の方の需要も付きますし、そういうことで、そういうものをそろえて出してくる方に対してそうでない人と差を付ける、同じ市場でですね、差を付けるという、これは合理的な差ではないかというふうに思っております。  問題は、先生言われたように、A市場は大きくてそういう集荷力があるんでそういう大ロット、均質の農産物が集まる、そうでないB市場、小さいところでは集荷能力がないんで集まらないと、そうすると市場間で差ができるじゃないか、それどうしてくれるんだというお話でございます。  これは、市場間の競争になるわけでございますので、そういう市場は今後ほかの市場とネットワーク化するなりあるいは合併するなり、こういうような対応でできる限りの集荷能力を自ら付けていただきたいと、それが今後競争状態の中で生き抜けていける工夫じゃないかということでございまして、そのためにこの手数料弾力化には五年間の移行期間があるというふうにお考えをいただきたいというふうに思うわけでございます。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり差別的な取扱いがどういう場合そうなるのかということなんかが、結局はその場その場で判断されるということになるんじゃないかと思うんです。それで、そういう差別的な取扱いが起こった場合にどうやって是正するのか、そのための是正についてはどういうふうにやっていくというふうに考えておられるのか、この点はどうですか。
  123. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 一つ一つ具体的な状況によって違うと思われるわけでございますけれども開設者が作った手数料の規定におかしなところがあればそれを是正する、それに基づく卸売業者の運用に恣意的な運用があると判断されればそこを是正をしていく、取り過ぎた手数料ならお返しなさい、そういうふうなことを命令、指導をしていく、こういうことになろうかと思います。ただ、具体的なケースによってそれはもう違うと思いますので、この趣旨に即して具体的な措置命令を行っていくということになろうかと思います。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 そこは一体だれがやるんですか、どこがやるんですか、そういうことは。
  125. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農林水産大臣又は開設者が行います。
  126. 紙智子

    ○紙智子君 市場取引委員会なんかは、ここはやらないわけですか。
  127. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 市場取引委員会取引議論を、適正取引議論をするところでございまして、その根っこのルールを作成するときに議論を、意見をいただくと。で、ルールができました以上、それの運営、運用の問題でございますので、その是正措置開設者又は大臣というふうになろうかと思います。
  128. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしても、そういう問題が起こり得るわけですよね。ですから、本当にそこに対する体制というのは強化していただきたいというふうに思います。  それから次に、市場再編の問題なんですけれども、今度の改正案では、広域化が必要な中央卸売市場を指定し、中央卸売市場整備計画に名称を記載することになるわけですけれども、農水省として、この広域化、広域化というのはどのような範囲を想定しているのか、それから、広域化した市場への施設整備の優先順位や予算などを重点化するなどの、その他の市場と比べて特別措置を取るようなことを考えておられるのか、これはどうでしょうか。
  129. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 広域化が必要とされる中央卸売市場基本的にはその取扱量、現在道路網の発達とかそういうのが見られて流通自身が広域化しておりますので、取扱量を基準に考えたいと思っておりますが、その立地によっては取扱量が少なくても必要だというところがございます、利用する方々の便益を考えますと。そういうところでは再編の仕方をネットワーク化にするだとかいろんな工夫のしようがあろうかと思っております。  そして、再編統合を行う場合の支援措置でございます。予算面では、卸売市場の再編統合を伴う場合には補助率について十分の四という最高補助率を適用いたしますし、税制面では、卸の合併に関しましては登録免許税の軽減措置、中央卸売市場が地方卸売市場化されてその市場が他の市場と合併するといったような場合には固定資産税の軽減措置、こういう支援措置を用意しているところでございます。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 今度の法改正では、理論的には東京や神奈川で広域連合を作って開設者となるような市場が可能になるわけですけれども、大型量販店による大規模な流通に言わば合わせるような形で市場流通を作るべきではないというふうに思いますし、そういうところだけに重点化するようなことはすべきではないというふうに思うんですね。もちろん、東京とか大阪とか、人口が集中したような地域の拠点市場とその他の市場一定機能分担ということの必要性については否定するつもりはないですけれども、しかし、大都市の拠点市場とそれ以外の市場の格差は拡大したままで、多くの中央市場とその関係者は取扱量の減少ということで非常に苦しい経営を迫られているわけです。こういうところに本来支援が必要だというふうに思います。  拠点の大型市場に出荷できない中小の零細産地の出荷先の確保の問題や、それから中小小売店の仕入れの確保の問題や地域の地場流通を支える市場の公的な機能、これはやっぱり維持拡充されるべきだというふうに思いますし、そこにこそ国の施策を重点化すべきだというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  131. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生おっしゃいますように、実需者あるいは産地が大型化をしておる、そしてモータリゼーション、道路網が整備をされているということで流通圏が広がっておりまして、一大消費地を抱えて大量の取引が可能な大都市の卸売市場に出荷が集中をしている実態がございます。そのとばっちりといいますか、地方の卸売市場、集荷力は低下をして大都市の卸売市場から転送をされているというようなことで、コストの面でも取扱高の面でも大変経営が悪化しているということでございます。  ただ、おっしゃいますように、その地方に卸売市場がなければ生産者出荷者困るわけでございます。私ども、ですから合併だとかそういうものを進めるときに、単にその取扱量だけではなくて、そういう立地といったようなものも勘案しながら進めていきたいというふうに思っておりまして、現在、瀬戸内のネットワークだとか、瀬戸内海を挟みました複数県がネットワーク化しているだとか、奥州アライアンスということで奥州の市場がネットワーク化して、共同して集荷・販売力を強化しようとするような動きがございます。  私どもは、こういう手法を含む市場の再編ということを進めていきたいというふうに思っておりまして、いろいろな予算を活用しながら、決して地方の卸売市場が衰退しないように、その集荷・販売力の強化ということを進めていきたいというふうに思っております。
  132. 紙智子

    ○紙智子君 具体的なやっている策というのはあるんですか。
  133. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ネットワークに関しましては、その推進、実証を進めていくということ、それから、先ほど申し上げましたように、合併をするといった場合には卸売施設の整備事業で支援をするということ、こういう用意はございますけれども基本はやはり自主的市場間の話合いを通じてあるべき方向を模索をしていただきたいというふうに思っております。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 今ネットワークの話がされているわけですけれども、まあ地方でいろいろ努力もされているわけです。  例えば、札幌市でいいますと、地産地消の取組として、市内の農家が定められた生産の基準に従って収穫した野菜を札幌中央卸売市場を通じてその日のうちに小売店に届ける「朝どりとれたて便」というのがあるんですけれども、そういう形で実施しています。それから、ほかのところでいっても、小規模農家が生産した朝取りの野菜を市場から車を出して集荷して回ると。午後の競りに掛けて地元の小売店で販売する仕組みを取っているわけです。有機栽培や地域特有の伝統野菜の産地づくりと結び付けてやっていると。  取扱量を増やしている市場もあるというふうに聞いているわけですけれども、やっぱり地産地消ということが、重視しようということを言われている中で、そこをやっぱり本当に重視するのであれば、こういう地方の市場に対して、こうした地場流通を支えて、特色あるやはり市場づくりの取組を大いに支援することが必要だというふうに思うんですね。  やっぱり地域の地場流通を確保するために、卸売市場が取り組む零細生産者に対する庭先の集荷とか、あるいは午後の競りの導入とか、短時間の流通などの取組に対する助成、これについては思い切ってやっていく必要があるというふうに思うんですけれども、これ、何かやっておられるんでしょうか。
  135. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 最近、市場機能を活用した地産地消、先生言われましたけれども、あと兵庫だとかあるいは広島の竹原だとか、先ほど私申し上げましたが、瀬戸内だとかで取組で成功して取扱量を増やしている例もございます。  私ども、こういう活動を支援をするために、地方卸売市場連携物流最適化推進事業というのを用意をいたしまして、地方卸売市場の集荷力の向上等を図るための最適物流システム確立の実証というものにつきまして予算措置、総額で七千五百万ほどでございますけれども、用意をさせていただいているわけでございます。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 今七千五百万円付けてやっているという話ですけれども、せいぜい数か所ですね、場所でいえば。やっぱりこういうのをもっともっと拡大していく必要あるというふうに申し上げておきたいと思います。  それから次に、仲卸経営健全化についてなんですけれども開設者はこの仲卸の健全な経営を確保するために業務規程で財務基準を定めるというふうにしていますけれども、前回の改正卸売に導入したような一律の基準でやれば多くの仲卸が早期是正措置で統合や廃業が迫られることになると、そういうふうに心配するわけですけれども、これはどうでしょうか。
  137. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生のおっしゃるとおり、仲卸業者の数は卸に比べますと相当多い、そして市場によりまして経営形態、経営内容も著しく違っているということでございまして、全国一律にやったんでは確かに先生おっしゃるように不平等のようなものが生じてくるというふうに我々も思っておりまして、こういう各市場ごとの実情を踏まえて、開設者業務規程で基準の内容や水準ということを決定するというふうにしております。  私どもも、単に任せるぞというだけではなくて、ガイドラインができるならば作りまして、そういう財務基準の設定が円滑に進むようにしたいというふうに思っている次第でございます。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 仲卸は個人経営が多いですよね。零細な業者がほとんどなわけですけれども、東京の中央卸売市場では、今日、新聞に出ていましたけれども、五割が赤字という状況ですよね。  健全化のための対策が必要なことは言うまでもないんですけれども仲卸経営悪化の要因というのは、やはり今の不況の影響というのがまず第一にあると思うんですけれども農産物価格の下落、それから大手スーパーなどの取引が増えてその支払が遅れたりする、延びたりする、それから低価格の納入や不当返品などの優越的な地位の濫用ということも影響していると思うんです。バイイングパワーによる不公正な取引の押し付けもあると。その中で早期是正だけが実行されるようなことになれば、これは廃業につながっていくというふうに思うんです。  午前中の大臣の答弁の中で、公正取引月間を設けるというお話があったかと思うんですけれども、現在仲卸業者が懸念しているのは、やっぱり消費税の総額表示、これに伴う問題が一番やっぱり大きな今問題になっているわけですね。四月から消費税の総額表示が実施されることに伴って、量販店などからの値引き要求とか納入伝票などの変更の負担がすべて納入業者に掛かると。納入業者に対する量販店の横暴な要求がされているということが公取の調べでも明らかになっているわけです。  仲卸組合の人の話聞いたんですけれども、総額表示をめぐっては業者の取扱いというのは一様じゃないと言うんですね。例えば、今まで百円のものなんだけれども、総額表示で百五円だというふうにやった場合に、上がったように見られないために百円で表示して、その分、じゃ五円はどうするかというと、まあ自助努力でそれだったらいいけれども、問屋さんの方に仕入れ値を九十五円にしてくれという形で言われると、我々卸売仲卸業者というのは利益率でせいぜい七%、八%の世界だと、そこに五%持ってくれと言われるのは本当にきつい話なんだということを言われているわけです。  しかし、こういうことが実際には広くやられていることも予想できるということなんですね。だから、実際スーパーで引下げ競争も始まっているということで、報道もあるわけですけれども、農水省としてやはりこの仲卸実態を調査すべきでないかと。  これ、大臣、いかがでしょうか。
  139. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 昨年十二月に食品流通分野において、いわゆる納入業者へのしわ寄せが行わない等の適正な総額表示が行われるよう関係団体指導文書を発出しております。  また、公正取引委員会は、優越的地位の利用、濫用、不当表示等の行為が行われないよう監視し、違反する行為につきましては厳正に対処するとの考え方でおるわけでありまして、この違反行為が行われていないかどうかを把握するために調査を行い、問題のある大規模小売業者につきましては指導を行うとともに、その改善内容につきましての監視をすることとしております。  これまで量販店等のバイイングパワーに起因する不適切な取引報告されてはいないわけでありますが、農水省といたしましては、今後、仲卸業者量販店取引における納入条件を中心とした実態調査の中で、総額表示の導入に伴う取引実態について把握をしてまいりたいと、このように考えております。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 その把握というか、調査の中身についてなんですけれども、私、やっぱり公取がやっているように、固有名詞でつかんで具体的に是正できると、そういうふうにしなきゃいけないと思うんですよ。一般的に聞くだけだったら是正掛けることできないと思うんですね。仲卸は今後の引取りを考えるとやっぱり強く言えないわけですね。この後また差し替えが出てきて、もうおたくとはやらなくていいですなんて言われたら困るわけですから、なかなかやっぱり弱い立場で、言えないという現状にある中で、これは農水省としてはやっぱり実際是正につながるような、そういう形でやっていただきたいというふうに思います。  それと、これはまた別なんですけれども、札幌市の水産市場で、天然ガス使用の構内運搬車を全国に先駆けて導入しているんですね。これが助成が今年で切れるということで、市場関係者は来年以降の助成を継続を求めているわけですけれども、環境にも優しい、クリーンエネルギーとしてこれからの市場でも普及を進めていきたいということでもあって、東京は電気ですかね、電気でやっていますけれども、農水省としても、この電気や天然ガス使用の舎内運搬車に対する助成を是非要望したいということなんですけれども、いかがでしょうか。
  141. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生おっしゃられました札幌市の中央卸売市場、これどうも札幌市の市単の予算で天然ガスを燃料とする場内運搬車を導入したと聞いております。  私どもも、こういう動きは品質管理の高度化だとか環境に配慮した市場運営に資するということでございますので、事業協同組合、市場内の業者が構成している、事業協同組合がそういう運搬車の整備を行って、貸し付ける場合に、その整備について一定の助成をしたいという事業を発足させております。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 済みません。それじゃ、急いであと二つやりたいんで。  特定農産加工法なんですけれども、この加工法は農産物輸入自由化影響を受ける加工業者に対して経営安定のための支援を行うということなんですけれども、この支援措置ですね、対象加工業での国産原料の利用率の引上げにつながっているかどうかと。つなげるべきだというように思うんですけれども、これ、いかがでしょう。
  143. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この特定農産加工業は、知事が地域農業等に資するような取引の仕方をしている場合に認定して融資するということになっております。  具体的な要件を、利用率を課しているわけじゃないわけですけれども融資されたところの業界の利用率はずっと上がっておりますので、やっぱり地域によって実情が違いますので、この仕組み中で利用率の向上につながるように期待をしております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 認定計画書というのを書いてもらってやると思うんですけれども、この計画書見ますと、国産原料は書くことになっているんですけれども輸入原料は書くことになっていないんですね。だから、実際には国からお金が出ても、国産原料が増えるのは分かるにしても、増えている率は分からないんですよ。だから、そこは今後の中で、やっぱり利用率を引き上げられるような指針を農水省として示すべきだということをちょっと申し上げておきたいと思います。  それで、あともう一つ最後に、質問なんですけれども、小麦の問題なんです。ちょっとこれ法案とは少し違うんですけれども。  それで、具体的に言いますと、今、北海道の春まき小麦、ハルユタカという小麦なんですけれども、パン用の小麦として人気が上がっているんですね。しかし、この春まきの小麦というのは雨に弱いと。すぐ穂発芽になっちゃうんですね。それで、リスクが大きい割に実入りがないということで生産が増えないと。ところが、現在、技術的な努力がされていて、今徐々に生産が増えて、何というんですか、雪が降る前にまいておいて、雪が解けるとどんどん成長してきて、雨が降る前に刈取りできるんですね。それで被害に当たらないということで徐々に今上がってきているんです。  それで、製粉会社では地産地消にこだわって、道産小麦ということでこだわって商品開発をやってきているんですけれども、やっぱり一番大きい問題は、一般的なめん用、めん用というか、めんのための小麦、それからパン用といったことでは単収にも格差があると。それで、まだ現在の農産物検査の規格も問題があるということなんです。  つまり、今の規格でいいますと、めん用に重きが置かれているものですから、そのパン用の春まき小麦については、消費者から幾ら人気があって、もう本当に引く手あまたというか、うちにも欲しいという話があるんですけれども、あっても、色あせがあるということで、等級検査では一等麦というのはほとんど皆無なんです。大体二等か規格外に全部なっちゃうんですね。だけど、パンを作る人は、見掛けというのは関係ないんだと、中身の問題なんで、やっぱり味がいいわけだから、そういう意味では規格についても見直しできないものなんだろうかと。やっぱり実需者の求める春まき小麦の品種を作付けする生産者をもっと支援してほしいという声が出ていて、経営安定金、等級の見直しを要求してきているわけです。  それで、パン用小麦が普及するように、その実態に合わせて麦の格付の見直しをすべきではないかと。独自の、パン用で言えば独自の規格を設けるなど改善できないかということなんですけれども、これについてお願いします。
  145. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 時間が来ています。簡潔に御答弁ください。
  146. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 確かに、先生言われたように、現在の検査規格はめん用の小麦とパン用の小麦、一緒です。パン用の春まき小麦は、検査所において、やっぱり雨に当たる等で色あせで一・二%しか一等がありません。これまでもいろいろ検査規格工夫してきましたので、生産、流通関係者意見を踏まえて、必要があれば春まき小麦の特性に即した検査規格の見直しということを検討していきたいと思っています。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  148. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。最後でございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  卸売市場法の一部を改正する法律関連して、勉強も含めましていろいろ教えていただきたいというつもりで御質問をさしていただきます。  先日、この法律改正というのはどういう内容かということでいろいろ担当者の方々からお話を伺ったわけですが、そのときに何か大変参考になる「食の生産から消費まで」という表ですか、これ、産業連関表とでも言うんですかね、大変おもしろい表を持ってきていただきまして、本来、これ、皆さんもう農林省から行っているかと思いますのであえてお配りはいたしませんけれども、それを見ていますと、いかにいろんな経路を通って食品というのは生産者から消費者にといいますか、末端まで行っているというのはよく分かるわけですが、これは後の方の質問で。  これだけ経路のあるもの、いわゆる農林水産省が今トレーサビリティーということでいろいろ、食の安全の観点から、あるいは特産品をうまくPRしてそれを伸ばすというような観点からいろいろと手掛けておられるとは思うんですが、この表を見て市場法説明をお受けしたときに、これはどうも平成七年から平成十二年の対比表なんですが、この中で、食用農水産物の輸入というのが平成七年で四・五兆円、平成十二年で四・六兆円、〇・一兆円ですけれども増えているんですね。一方、これ、全体の流れを見ますと、消費というのは、飲食料最終消費額というのは平成七年で八十三兆円、平成十二年で八十兆円、三兆円下がっている。こんな中で、要するに消費が下がっているにもかかわらず輸入が増えていると。これは、こういうことを簡単に見逃されては困るといいますか、いわゆるこれは明らかに自給率が下がる要素の数字が出ているわけですね。  だから、改正するに当たっても、農林水産省というのは要するに自給率向上というのを大目標にしているんであるとすれば、こういう市場法改正一つにしてもやはりそういうことを念頭に置いた、自給率向上ということを念頭に置いた、あるいはそうでないデータなりそういう事実が分かったら、それはいろんなほかのところと連携を取っても努力をしなきゃいけない、大目標なわけですからね。  そういうつもりでいろいろ反論を申し上げましたら、いや、実は市場法というのは、これ、大きな目標の一つに、自給率を上げるためにあるんだと。私に説明していただいた関係者の方々は、今、局長を助ける立場でおいでになっておりますから、言ったのは分かると思うんですけれども、その辺の、この市場法改正と自給率の向上というのはどういう関係があるのか、その辺をちょっと明確にお話をいただけたらと思っております。
  149. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この表でも図示してございますが、自給率の向上ということを考えます場合に二つ考えないといけないことがございます。一つは食生活、消費の方を国内で生産可能なものに、中心なものにしていく。これは健康のためにも栄養バランスの取れた食生活のためにもいいということでございますので、この食生活、消費をまず変えていくという課題と、それに応じて生産を増大していくという両方の対応が必要でございます。  で、その食、生産と消費を太くつないでおりますのが市場でございます。卸売市場においては、消費者からのニーズも受け、生産者の動向も両方察知できるわけでございまして、そういう意味で、より良い食生活の方を目指しながらそれに応じた生産の増嵩というためのパイプ役、つなぎ役、これを果たしていただきたい、そういう意味で自給率の向上と密接な関係があろうかというふうに思っておりまして、今回の改正はこのパイプを小さくしない、むしろ太くする、食と農の関係を、距離を縮める、こういうことをねらいにしているわけでございます。
  150. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 お話はごもっともだろうと思いますけれども、この表を見ましても、市場の取扱いというのは必ずしもどこかで集約されているわけでないわけですよね。これ要するに、生産があり、それから出荷があり、その一部が市場に行っている、そしてその市場の取扱い、それが外食産業にも行き、消費者にも行っているという非常に極めて限られたところでありますから、今、局長の言われるのは、その流れを全部通してそういうことがなされれば確かにお話のとおりになると思うんですけれども、その中で、もっと具体的に、今回の改正でこの部分が自給率向上のために資する面であるということがもし御説明いただけるんであれば、そのことをお聞きしたいと思っております。
  151. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この今回の改正の中で、先ほどから問題としても指摘をしていただいておりますが、一つは第三者販売と申しまして、卸が仲卸を飛ばして小売と例外的に取引をすると。これは、例えば新製品、新製品を開発をする、そして消費者に消費をしてもらう、こういう場合のパイの拡大のための装置を設けました。  それからもう一つ、逆に生産者仲卸が卸を飛ばしまして直荷引きといって取引をする。これは、例えば生産者が新しいこんな品種作った、新しいこういうものを作ったといったときに、卸が扱うには自信がないときに仲卸さんが外食なり小売なりと連携をしてこういうものが売れるかどうか見てみるというような、そういう装置を作ったわけでございます。  そういうことによって、新しい商品のニーズが増える、あるいは新しい品種の農産物の消費が進む、こういう改革の装置を作ってございますので、そういうところから穴を空けて振興につながらないか、それが一般的に広がり出したら市場取引をし出すと、こういうようなことを考えておるわけでございます。
  152. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 素人なりに解釈いたしますと、要は消費者生産者の顔を近づけるために流通の段階を抜くという、そういう試みをすると、そういうふうに理解していいわけですね。そういうことによって、それではこれから、いわゆる農業関係業界といいますかね、そういうところに農林省はそういうつもりだぞということで進めていいと、こういうふうに解釈してよろしいわけですね。いいんですか。
  153. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私どものねらいはおっしゃるとおりでございます。
  154. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  それでは、先ほど申しましたトレーサビリティー、これ前に大臣の所信のときにこれ通告はしておったかと思うんですが時間がなくてできなかったんですが。  要するに、これはいろんな面から大事だと思うんですが、先ほど申し上げましたように、トレーサビリティーの目的といいますかね、いろんな面があると思うんですけれども、一番何というかな、大きくは、考えているのは、考えているというか、やはりいいものをしっかりと、いいそのアイデンティティーを備えてという、添えてというか、いいものはいいものだよということをPRすることによって消費者に喚起するという面があるというようなふうに私は農林省の方々からの御説明聞いて分かるんですが、確かにそれはそうなんですけれども、やっぱり安全、安心という面からいきますと、いわゆる地産地消ということを考えましても、消費者が地産地消を志向できる選択をするためのトレーサビリティーといいますか、そういうものも一つ必要なんじゃないかと。  いいものだから宣伝するというんじゃなくて、悪いかどうか分かりませんけれども、この中には外国産品も入っているよと、どこかからのものも入っているよと言うことによって消費者のそういう意識が、地産地消の意識が高揚していくんじゃないかなというような感じがするんですが、そういう、私はトレーサビリティーというのはその両面があるんじゃないかという気がいたしておりまして、質問の中であるいは食い違うかもしれませんけれども。  いわゆるこのトレーサビリティーですね、私、今現実にどうなっているか正直言って知らないんです。だからそういうことも教えてもらいたいと思うんですが、いわゆる卸売市場を通しての産品ですね、これのトレーサビリティーの手法というのは我々素人が考えましても、まあ分かりやすいかな、やりやすいかなというような感じもするんですが、食料品の流れというのはそればっかりじゃない。いわゆる卸売市場から食品産業に行ったり、外食産業に行ったり、あるいは食品産業に卸売市場以外から行ったり、いろんな流れがあるわけでして、そういう中でトレーサビリティーを適用するというのは非常にいろんな面の問題があり、それぞれ分けて考えなきゃいけないんじゃないかなというような感じがするんですが。  したがって、その三つを分けて私は教えてもらいたいと思うんですが、まず最初に、市場を通るものについてのトレーサビリティーの考え方というのは今どういうふうに進んでどんな状況かということを、それと併せて将来これをどう持っていくのかですね、教えていただけたらと思います。
  155. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在、卸売市場のところでのトレーサビリティーシステムの今実証実験をしてございます。卸売市場先生も想像されていると思いますけれども、そこへ生産履歴なり栽培履歴なりを持った農産物が来まして、卸売市場でいつ入っていつ出ていったかの新しい情報を追加しまして次へ送る、これが卸売市場でのトレーサビリティーの通過の仕方でございます。  どこが難しいかというと、ニーズ消費者が何を求めるかのニーズがちょっと今のところばらばらですので、その提供する情報の様式化をどうするか、それから情報媒体、ICカードとかバーコードとかICタグとかいろいろございます。物によってどれを選択していくか、それからコストをどう下げていくか、こういうところを現在検討をしているところでございます。  問題は、私、この卸売市場の段階でのトレーサビリティーではなくて、外食とか、ここへ行ったときに、外食では多種多様な原材料から多くの食品が生産されております。それから、加工の過程でいろんな原材料が混じってしまいます。ですから、そこにちょっと外食を含む食品産業の段階で非常に難しさがございまして、現在、そういう加工食品についてのトレーサビリティーの実証実験をして、これも実証実験しておりますけれども、むしろ卸売市場よりそちらの方の仕組み方の方が難しいのではないかというふうに感じております。
  156. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 難しいと感じておられるのは私十分分かるんですけれども、難しいだけにまた、本当は僕も前から申し上げているつもりなんですけれども、いわゆる地産地消とか自給率の向上という面から考えたら、そちらのトレーサビリティーができるかできないかの方が、それが大きなかぎを握っていると私はかねがね指摘させていただいたんですが。  ということは、単純に考えましても、レストランへ行ったらどうしても安いところ食べますよね、その材料がどこから来ているかということに余り関係なくて。それが実際にスーパーなんかへ行って名札が付いていればそれはいろいろ見るかもしれませんけれども、そういうスーパーとか行って買う場合にはそのものを買いますからね、その品物に対して非常にどこかという関心があるでしょうけれども。しかし、レストラン辺りに行くともう食べることに関心がある、それと財布のひもとに関係がしてくるでしょうから、なかなかそこで利益を云々ということがない。ただ、そういうことに対して云々するような消費者パワーといいますか、そういうのはずっと出てきていると思うんですね。  したがって、今三つに分けまして、まず市場から聞いて、まあこれは一番易しいかなと思うのでまず最初に取り上げたんですが、いわゆる外食産業あるいは食品産業ですね、そういうものについて難しいのは分かりますけれども、今どういう、実証をやっておられるというんですけれども、どういう取組をやられて、将来に向かって大体、必要とすればの条件が付くでしょうけれども、必要なものはすべてそういうものの対象にしていくというようなお考えがあるのかどうか、その辺をちょっと御答弁願います。
  157. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在の実証試験の状況でございます。平成十五年度において、青果物、鮮魚、鶏卵に加えて加工食品、これは鶏肉の加工品、飲用牛乳、ポテトチップス、こういうものについてのトレーサビリティーシステムの実証実験、情報の機器どうするか、情報の伝え方どうするかという、それをしております。基本的には、私ども、安全、安心につながる、あるいは先生言われましたように地産地消にも役に立つというものでございますので進めたいというふうに思っておりますが、コストの面、それからこういう技術的な困難性がございます。  この青果物等のトレーサビリティーはやりたい人がまとまってやるというシステムでございますので、まず現在のところは外食の方の団体の方は積極的な意向を見せておりますので、何とか生産、卸売、外食というルートができないかなというふうに期待をしております。確定的に何年にやれるというところまではいっておりませんけれども、そういうふうに期待をしております。
  158. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 禅問答みたいにしていてもちょっとよく分からないんですけれども、具体的にどうなんですか。外食産業で、私は余り例知らないんですけれども、実際に自分のところの材料がいわゆる国内産だけだよというような、あるいはおいしいどこどこの原料を使っているよというようなことでPRして消費者に好評を得ているというか、そういうような事例というのはあるんですか。食品産業については、何か厚生省といろいろとある、協議して、原料の表示というのをいろいろ研究されているのは伺っておりますけれども、その点についてお分かりでしたらお答え願います。
  159. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 明確にトレーサビリティーというわけじゃないんですが、どこで取れた、原料原産地等の表示になりますけれども、どこで取れたかということをメニューに記載するということが一部の事業者取組がなされております。  一方で、日本フードサービス協会、業界団体でございますけれども、これが、業者が自主的に原料原産地、それからアレルギー、アレルゲンですね、かどうか、それからカロリー、こういうものを栄養メニューに記載する場合のガイドライン、こういうものの作成について検討を進めております。  先ほど言いましたように、反応は私ども聞いておることはまちまちでして、やっぱり頻繁にメニューが変わったり使用される材料の種類が多い、それから、もう料理はその場で調理されますので、後で本当かどうかのチェックも難しいとか、いろいろまだ技術的課題は残ってございますけれども、全体の意向はやや前向きに進んでおるというふうに感じております。
  160. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私も実例知らないでこんな質問して大変失礼だと思っておりますけれども、これから私なりにもいろいろ勉強いたしたいと思いますので、農林水産省としてもこのトレーサビリティーというのは大きな一つの流れとして取り上げておられると思いますので、しっかりと取組方お願いいたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。
  161. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  162. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、三浦一水君が委員辞任され、その補欠として伊達忠一君が選任されました。     ─────────────
  163. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党を代表して、卸売市場法を一部改正する法律案に反対の立場で討論を行います。  反対の第一の理由は、本法が委託手数料自由化することです。手数料自由化されれば、有力産地から集荷を確保するため卸売市場間、卸売業者間の手数料率の引下げ競争を招くことは避けられません。卸売業者の収入は、その大半を委託手数料が占めており、その減少は死活問題となるものです。また、中小卸は一層集荷競争で不利になり、経営を脅かされることになります。現場の多くの卸売業者が依然として委託手数料自由化に反対しているにもかかわらず、手数料自由化を強行することは許されません。  第二に、買い付け集荷を自由化する問題です。品ぞろえ確保のために買い付け集荷が必要であることは否定できません。しかしながら、利益率が低く卸売業者がリスクを負う買い付け集荷が完全自由化されれば、少数の大手卸への集荷集中が一層強まり、中小卸売業者の弱体化を促進することになります。また、買い付け集荷が際限なく拡大すれば、市場価格形成機能が弱まること、卸売業者と特定産地とのつながりが強まり、他の産地に対する差別的取扱い禁止が形骸化する可能性があるなど、我が国市場制度の根幹にかかわる問題を含むものであり、買い付け集荷は限定的なものとすべきです。  手数料や買い付け集荷の自由化により、卸売業者間の競争が激化すれば、ただでさえ経営悪化に苦しむ中小卸会社の淘汰を進める危険性が否定できません。卸売業者の廃業は、地方では市場廃止につながりかねません。それは専門小売店は仕入先を、中小産地は出荷先を失い、衰退を加速することにつながります。結果として地域商店街の衰退を招き、消費者への影響も免れません。  第三に、中央卸売市場の再編問題促進は、国が中央卸売市場を選別し、大型量販店、大産地による大型流通に適合する広域市場を作り、機能強化を行う一方、その他の市場については取扱量が減少し、経営が厳しくなれば、その地域で果たす役割にかかわらず、民営化や再編統合の対象となりかねないものです。また、仲卸業者の財務基準を定め、早期是正措置を行うことは、多くの仲卸業者に統合や廃業を強力に迫るものです。  以上、反対理由を述べて討論とします。
  165. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決に入ります。  まず、卸売市場法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  166. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田ひろ子君。
  167. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は、ただいま可決されました卸売市場法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、無所属の会及びみどりの会議の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   卸売市場は基幹的な流通拠点として、近年の食品流通を取り巻く情勢の変化に的確に対応するため、生鮮食料品等の安定的な供給という本来の役割に加え、安全・安心な食品の供給及び効率的な食品流通機能を一層高めることが求められている。   よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 卸売市場の再編に当たっては、価格形成流通拠点となる公共施設としての役割を踏まえたうえ、地域の特性や要望に十分配慮した配置が行われるよう努めること。  二 卸売市場における品質管理の高度化については、低温管理施設等の高機能施設の整備、品質管理に対する意識啓発や研修などにつき、各卸売市場実情に応じた支援措置を講ずること。    また、卸売市場流通実情に応じたトレーサビリティシステムの開発・導入などの取組を進めるほか、食品の安全性に関する不測の事態に的確に対処できる態勢の整備を図ること。  三 取引規制緩和等に当たっては、市場取引の秩序が確保されるよう適切な運用方針を策定するとともに、差別的取扱い受託拒否などの事態が生ずることのないよう監視を行い、公正かつ効率的な取引の確保に努めること。  四 卸売市場関係者に対し改正趣旨を周知徹底するとともに、卸売業者及び仲卸業者経営については、経営健全化措置等を通じ、体質強化に資するよう適切な指導を行うこと。    また、委託手数料弾力化や各種奨励金の取扱いについては、市場関係者意向を十分踏まえつつ、円滑な移行が図られるよう留意すること。  五 卸売市場関係者連携・協調して、電子商取引の導入や効率的な物流管理システムの構築を行うとともに、これを通じ、規格を簡素化した青果物や付加価値の高い地域水産物の取扱いなど特色ある卸売市場の形成に積極的に取り組める環境の整備に努めること。  六 公設の卸売市場における施設の整備及び維持管理については低コスト化を図るとともに、施設の供用に当たっては、市場関係者の便宜や経営効率化に資するよう、指導すること。  七 卸売市場制度については、今後とも、卸売市場がその公共性を維持しつつ効率的な運営が確保されるよう、適宜適切な評価・検討を行っていくこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ各委員の御賛同をお願い申し上げます。
  168. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、亀井農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀井農林水産大臣
  170. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
  171. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 次に、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会