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2004-03-30 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      西山登紀子君     市田 忠義君  三月三十日     辞任         補欠選任      服部三男雄君     小泉 顕雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小泉 顕雄君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 市田 忠義君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      関   一君        林野庁長官    前田 直登君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○森林法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○植物防疫法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る二十六日、西山登紀子君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  森林法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会警察庁長官官房審議官関一君及び林野庁長官前田直登君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋義人でございます。  昨年、経済同友会が取りまとめた森林再生バイオマスエネルギー利用促進のための二十一世紀グリーンプランという提言をされておられます。このことについて政府見解と、そしてまた森林林業重要性についてお伺いをしていきたいと思っています。  経済同友会提言は、六ページにまとめられた非常にコンパクトな、誠に時宜を得た濃厚なもので、農林水産省に対する応援歌とも言うべきものではないのかと、そういうふうに読ませていただいております。  まず、提言最初に、危機的状況にある人工林について述べております。いわゆる、いわく、一千万ヘクタールの人工林の荒廃は深刻である、人工林相当部分間伐が不十分だ、また下草が生えない状況で、中にはもやしのような杉、ヒノキが放置をされている、そして戦後一貫して行われてきた森林経営基本方式、すなわち三十五年から五十年で皆伐と造林を繰り返す方式生物多様性保全に適さない、木を植えて育てるまで最低でもヘクタール当たり二百万円も掛かることから、林業採算性を飛躍的に向上させることは不可能である、また伐採や木材の搬出は、路網整備機械化推進コスト削減の余地はあるけれどもコストの八割を占める植林下刈りコスト削減は困難だと、こういうふうに提言をいたしております。  そこで、同一林齢林木で構成される単層林から、年齢や樹種の異なった林木で構成される複層林にすべきである、こういうことも言っております。非皆伐・循環型の森林整備を目指すべきであるとしております。オーストリアやスイスなどの林業先進国はこのような事例を多く取り入れているんだそうであります。また、現在の森林複層林にするためには相当長期間を要するわけで、綿密な移行計画を作るとともに、これを着実に実施する体制確立する必要がある、このことも指摘をしております。このような認識の下に必要な改革を行えば、森林林業再生は今からでも間に合うとして、経済同友会として、森林整備林業の在り方を抜本的に改革すべきであり、二十一世紀グリーンプランとして三十年計画提言したものであることは林野庁も御承知のとおりであります。  具体的には、最初の十年で皆伐を止めた上で公的資金人工林間伐を行う、林道などの整備も行う、森林機能を最大限に引き出しつつ、効率的な林業生産を実現するための近代的林業サポート体制を構築する、また間伐材バイオマスエネルギー利用に振り向けるよう助成措置を導入をする、そして第二段階、第三段階と、単層林から複層林への移行を進め、林業経営自立を図るとしています。また、提言ではこのような改革に第一段階で二兆五千億から三兆円の公的資金が必要であると、金額まで明らかにしているのであります。  森林組合の位置付けにつきましては私と少し意見を異にするのでありますが、基本的には極めて意欲的な内容であり、また財界からの意見でありますので、正に農林水産省が我が意を得たと、こういう気持ちであるのではないかと、そう思っております。  そこで大臣お尋ねをいたしますが、この経済同友会提言について大臣としてどのように評価をされておられますか。また、極めて具体的な提言内容となっていますが、森林整備林業振興など、今後の森林林業政策をどのように推進されていこうとしておられるのか、方針あるいは今後の対応について、お聞かせいただきたいと思います。
  7. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員から御指摘ございました昨年二月の十七日に経済同友会から森林再生バイオマスエネルギー利用促進のための二十一世紀グリーンプラン、こういう形でその発表が、公表がなされたわけでありまして、正に地球温暖化防止に向けた取組急務と、このような中に経済界からこのような提言をいただいた、これは正に時宜を得たものと、このように認識をいたしております。  今、委員からもいろいろその概要をお話しいただきましたが、正にこれらの問題、間伐推進やあるいはまた複層林等の多様な森林整備促進など、この傾聴すべき点たくさんあるわけでありまして、誠に意義深いものと、このように認識をいたしております。  そういう中で、我が省といたしましては平成十三年に制定されました森林林業基本法に基づきまして、森林の有する多面的な機能の持続的な発揮と、あるいは林業の持続的かつ健全な発展と林産物の供給及び利用確保、こういう基本理念の下に森林林業政策を総合的に展開してまいりたいと、このように考えております。  具体的には、平成十四年に制定した地球温暖化防止森林吸収源十か年対策、この着実な実施でありまして、公的機能を重視した多様な森林整備促進、あるいは緑の雇用等を通じた担い手育成施業集約化バイオマスエネルギーとしての利用も含めた地域材利用推進など、林業木材産業構造改革推進、更には国民参加森林づくり、都市と山村の共生・対流等の活力ある山村づくりと、これらの施策を積極的に進めてまいりたいと、このように考えております。  この経済同友会提言、こういうものが国民皆さん方にも十分理解をしていただきまして、また経済界としても提言だけでなしに、いろいろの角度からこの推進のために御努力をいただくことができればと、このように願っておる次第であります。
  8. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  この提言には明記されていないのでありますが、林業経営が採算割れして厳しい状況に置かれているのは、ほとんど無制限に木材輸入されているからだと言われております。  林野庁長官、伺いたいと思いますが、国内産業を健全に育成するためにも節度ある木材輸入がなされなければならない、こう考えているんですが、政府として今日までどのような対応を取ってこられたのか、伺いたいと思います。
  9. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 木材輸入につきましては、需要に見合いました適切な輸入が行われると、そういった方向で木材需要者ですとか供給者、あるいは有識者、こういった方々をメンバーにいたしまして木材需給対策中央協議会、こういったものを設けておりまして、そういった中で木材需給の見通しの作成、あるいは情報の提供、こういったものを行っているところでございます。  なお、木材輸入そのものを規制するということにつきましては困難と考えているわけでありますが、国内林業の健全な発展を図っていくために、経営規模拡大あるいは路網整備機械化等、こういったことを推進いたしまして安定的な林業経営確立に努めますとともに、国産材需要拡大に積極的に取り組んでいくということが重要というふうに考えている次第でございます。
  10. 加治屋義人

    加治屋義人君 このことについては過去、私どもこの委員会で三年間いて、この委員会でも多々議論されておりまして、全く答弁は一緒のように思うんです。できれば来年の今ごろの委員会では実績、数字の上をもって是非答弁していただきますように御努力をいただきたいと、そういうふうに思っています。  政府においては、間伐対策複層林造成推進されているところでありますが、提言にもありますように、長期的なビジョンの下に更に徹底した取組が必要なのではないかと、そう思っています。緊急間伐五か年対策や緑の雇用対策などに取り組んでおられますが、しかし間伐がまだまだ不十分だと、林業後継者も不足をしていると。このままでは国土の七割を占める森林整備やそれを支える林業木材産業が本当に大丈夫なのか不安だと、こういう地方の現場の声は依然として大変大きいのであります。経済界からこれほどのエールを送られたわけですから、国民に対して十分な説明をして、公的な資金できちんと森林整備し、林業産業として成り立つようにすべきではないのか。地球温暖化防止対策推進のためにも是非必要なことだと考えています。  そこで、農林大臣に伺いますが、今後の森林整備保全にかかわる新たな財源確保についてどのように考えておられますか。今後の森林整備林業振興への取組方針についてもお伺いしたいと思います。
  11. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども御答弁申し上げましたが、森林整備林業振興、このことにつきましては、平成十四年の地球温暖化防止森林吸収源十か年対策を策定し健全な森林育成と、これに森林整備等々、これに積極的に取り組むと、こういうことが基本であります。あわせて、このためにはやはり何といっても財源が必要なことでもございます。この吸収源三・九%を実施する大変厳しい状況にあるわけであります。そういう面では、一般財源はもとより新たな税財源確保、このことに取り組んでいかなければならないと、このように考えております。  私ども農林水産省といたしましても、昨年来この議論をいろいろ省内で地球温暖化対策税、こういうものが導入される、こういう場合には積極的にこの問題にかかわっていかなければならない、そして森林整備あるいは吸収源対策、こういう面での努力をする必要があると。もう一方、昨年末の与党の税制調査会におきましても、このことにつきましてもお触れをいただいておるわけであります。そのような努力をしてその財源確保し、森林整備、また林業振興、これに取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  12. 加治屋義人

    加治屋義人君 温暖化対策税の問題は、今おっしゃるとおり、本当に極めて重要な問題だと思っています。地域森林林業関係者大変期待をしておりますので、農林水産省としても努力をしていただきたいと思います。  ところで、森林整備のための財源確保観点から、地方においても高知県や岡山県など、この法定外目的税、いわゆる水源税的なものを創設する動きがあるとお聞きしておりますが、私の鹿児島県でもそのことが今検討中だと言われております。  このことについて、地方動きについてどのような見解あるいは感想をお持ちなのか、長官にお伺いしたいと思います。
  13. 前田直登

    政府参考人前田直登君) ただいま御指摘のように、高知県などにおきましては県民税に上乗せする税制度が今年度から、また岡山県とかほかの県におきましても近々実施するというようなことになっているところでございます。  そういった中で、近年、多数の都道府県におきまして森林整備のための財源確保する言わば森林環境税のような独自課税、これにつきまして内外の識者を集めて検討するといったような取組が見られるところでございます。  このような地方動きにつきましては、これらの取組を通じまして森林整備ですとかあるいは吸収源対策推進、こういったものに対します国民的な支援意識の醸成につながるというように評価しているところでございます。  林野庁といたしましては、先ほど大臣お話し申し上げておりますが、地球温暖化防止を始めとします森林の有する多面的な機能発揮を図るための安定的な財源確保重要な課題であるというように考えておりまして、一般財源はもとより、温暖化対策税が導入された場合の税収の活用についても積極的に取り組んでいくということが必要ではないかというように考えている次第でございます。
  14. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  続いて、地域森林整備などに大きな役割を果たしている森林組合についてお尋ねをしたいと思います。  森林組合森林所有者に最も身近で森林経営を請け負わせることができる組織であります。森林施業計画作成造林間伐などの実際の施業でも例えば新植では民有林全体の九割を担うという森林整備の中核的な担い手としてその役割が大きく期待をされているところであります。  実は、先ほど経済同友会提言においては、森林組合地域森林管理担い手として森林所有者に対する専門的アドバイス業務等コンサルタントビジネスに特化することが挙げられているんでありますが、私はこのことについては少しこの意見、間違いなのではないかと、そういうふうに思ったりしているんですけれども、しかし現在、森林組合が果たしている機能、この地域実情を考えた場合には、森林組合をどう育成していくのか、そのことが今必要なのではないか、そういうふうに思っています。  もちろん、森林組合改革は必要であります。私の鹿児島県の森林組合改革プランを作って自ら地域森林整備林業を今後とも担っていくための努力をいたしております。自らの森林整備林業を今後とも担っていくための努力が必要だ、そういうふうに思っています。全国的にも森林組合経営基盤はまだ脆弱なところが多いわけでありますが、もっと効率的にやっていく努力をお互いしなければいけないのではないか、そういうふうに思います。  そこで長官にお伺いしますが、地域森林整備林業振興に中核的な役割を果たしている森林組合について、その現状どうなのか、あるいは国としてどのような支援策を講じていくのか、そしてどのように育成をされていこうとされているのか、そのことについて長官にお伺いしたいと思います。
  15. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 森林組合でございますが、平成十四年度末現在九百九十組合が設立されておりまして、我が国森林整備活動のうちの新植面積で見ますと八割、除間伐面積で見ますと六割を実施するといったようなことで、その中心的な担い手となっているわけでございます。  一方、常勤役職員がいない組合が約一割、払込済出資金が一千万円を下回る組合が三割あるというようなことで、経営基盤ですとか業務執行体制、脆弱でございます。厳しい経営環境の中で地域森林整備の中心的な担い手として役割を果たしていくためには、健全な自立的経営確立急務というようになっているわけでございます。  このようなことから、森林組合系統におきましては、平成十四年十一月に策定されました森林組合改革プラン、これに基づきまして、組織事業改革に取り組んでいるところでございます。国といたしましても、都道府県連携しながら、こうした自主的な取組に対し指導助言等を行いながら、これを側面から支援していくこととしているところでございます。  このために、森林組合役職員資質向上ですとか情報機器整備など、業務執行体制強化等を図るための経費につきまして助成いたしますとともに、森林整備事業ですとか、あるいは林業木材産業構造改革事業等の各般の事業を通じまして、その安定的な経営に寄与しているところでございます。
  16. 加治屋義人

    加治屋義人君 最近、森林ボランティア活動が活発になっています。このことは森林林業関係者へ大きな励みともなっております。このような中で、森林法改正案において、森林ボランティア団体森林所有者の間の施業実施協定市町村長が認可する制度を創設するとともに、この協定に基づき森林ボランティア団体が行う森林間伐等森林整備活動森林整備事業補助対象となることが予定をされているとお聞きしています。  森林ボランティア団体の中には、それなりの経験を積み、継続的に森林整備を担い得る団体もあるようでありますけれども、特に私の鹿児島県における例を見てみても、多くは普通の住民が余暇を利用して集まって、森林組合等指導助言を受けながら体験的に汗を流しているにすぎない、そういうふうに実態があると思っています。国民参加森林づくりを助長するという法改正助成措置趣旨には賛同するものでありますけれども、その運用に当たっては、作業の適切かつ効率的な実施安全確保の面などから、ボランティア団体等実情や能力に応じて地域森林状況を熟知した森林組合等連携を深めるべきだと、そういうふうに思っております。  長官にお伺いしますけれども国民参加森林づくりを更に推進支援する観点から、ボランティア団体等が行う森林整備の場合、体験的な活動の場合はもちろんのこと、事業的に行う場合であっても団体実情に応じて地域森林組合等々との連携を深めるよう促す必要があると、そういうふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。
  17. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 近年、一般の市民の方々下刈りですとか間伐等森林整備に参加する森林ボランティア活動が活発化しているわけでございますが、このような活動につきましては、森林林業を社会全体で支えようという国民意識を醸成し、また森林多面的機能持続的発揮、これを実現する観点からも大変重要意義を有しているのではないかというように考えております。  また、これらの中には、体験的な活動にとどまらず、継続的に活動箇所確保して取り組むものも見られるところでございまして、今般の森林法の一部を改正する法律案におきましては、ボランティア団体森林所有者等が締結します施業実施協定について市町村長が認可する制度の創設を盛り込んでいるところでございます。  他方、森林組合は、地方におきます森林整備担い手として重要役割を果たしているとともに、ボランティア団体などとの関係におきましても、専門的な知識に基づいて的確な施業確保やあるいは安全な作業実施が図られるよう指導助言を行っている例も見られるところでございます。  今後のボランティア団体によります森林整備推進に当たりましては、新たな協定制度運用を含めまして、団体実情等に応じ、地域森林状況等を熟知した森林組合等連携して実施していくこととなるよう、都道府県を通じて指導を行うなど適切に対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  18. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  また、今回の改正案においては、間伐等施業が適正に行われていない要間伐森林における施業確保措置として、協議勧告対象施業の委託を追加する措置が取られております。植林間伐など、民有林における施業の多くが森林組合等との受委託により進められていることを考えると、この改正は、要間伐森林整備はより的確に機能することになる、そういう評価をさせていただいています。  しかしながら、それ以前の問題として、森林林業を取り巻く情勢が厳しく、森林所有者経営意欲が低下している中で、今制度の適正かつ強力な運用を図るためには市町村における体制整備が極めて重要だと思っていますが、現実には、各市町村における森林林業行政にかかわる職員数は限られている上に、兼務という多くの市町村実態で、結果として市町村森林組合連携森林組合推進に当たっているのが現状であるということは長官承知のとおりだと思っています。  長官にお伺いしますが、要間伐森林制度の適正な運用を図るためには、市町村体制整備が必要と考えます。体制整備に向けた林野庁の考え方をお聞かせいただきますとともに、地域森林実情を熟知している森林組合活用を、先ほど答弁にもありましたとおり、もっともっと活用すべきではないかと、そう思っておりますが、伺いたいと思います。
  19. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 要間伐森林制度を適切に運用しまして森林の有する多面的な機能を持続的に発揮させていくためには、地域に密着した行政機関でございます市町村役割が非常に重要であるというふうに考えている次第でございます。このため、国におきましても、一つには、要間伐森林整備も含みます市町村森林整備計画の達成を目指して森林整備事業を始めとする支援措置を講じますとともに、地方財政措置においても、森林整備促進のための経費、これは特別交付税でありますが、こういったものに加えまして、今般の森林法改正に併せまして市町村が行う要間伐森林施業促進等のための事務費、これにつきましても措置、こちらの方は普通交付税ということでございますが、することとしておるところでございます。  また、市町村におきます要間伐森林の指定及び勧告等に関します事務手続ですとか、技術的知見等についての具体的な解説あるいは研修、指導、こういったものの充実等に努めまして、各市町村において制度の適切な運用が図られるように努めてまいりたいというふうに考えている次第です。  また、お話ございました森林組合地域森林現況ですとか森林所有者を熟知しているわけでございまして、従来から地域森林整備の中核的な役割を担っております。このような森林組合市町村連携し、要間伐森林間伐推進を始めといたしまして、地域森林整備に積極的な役割を担っていただけるよう、今後とも指導支援を行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  20. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  次の質問にさせていただきますが、今回の森林法改正による間伐推進保安林における森林施業確保重要であります。これと同様に、治山対策にもきちんと取り組んでいく必要があると思っています。特に私の鹿児島県では、火山灰が県道を覆っておりまして、一雨降れば土砂が多くの人命を奪いかねない、そういう状況にありまして、森林を守り育てる治山事業は私どもにとって住民の生活そのものだというふうに思っています。また昨年は、熊本県水俣、鹿児島県菱刈など、大きな災害が発生しております。安全な暮らしを実現をしていくためにも、これらの山地災害の未然防止に取り組んでいくことは極めて重要だと思っています。  そこで、最近の山地災害の発生状況と今後の治山事業の展開等について長官にお伺いしたいと思います。  次に、続けて質問させていただきます。  経済同友会提言でも、森林バイオマスエネルギー利用について本腰を入れるべきだと提言をされておられます。その特性についてはもうここでは省略をいたしますが、このような優れた素材である木材について、本来の役割を終えたものや未利用で放置又は廃棄されるものを石油などの代替エネルギーとして利用することにより、化石燃料の消費を減らし二酸化炭素の発生を抑えることが可能と言われております。こうした意味で木材バイオマスエネルギー利用推進は喫緊の課題だと考えますが、その利用現状とこれからの推進方策についてお聞かせいただきたいと思います。
  21. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 前段の方の治山の関係の話でございますが、最近の山地災害、流域全体にわたります大規模な災害の発生は減少しつつあるわけでありますけれども、異常気象に伴います局地的な集中豪雨、これが多発する傾向にございまして、毎年、山地の崩壊、土石流あるいは地すべり、あるいはこれらに伴います流れ木等が発生しておりまして、過去五年間の山地災害によります被害額は平均値で約一千二百億円に及んでおります。特に、今お話にございましたが、平成十五年には九州地方における梅雨前線豪雨災害によりまして二十二名の方が亡くなられるなど、九州から北海道までの広範な地域におきまして人命、財産等に甚大な被害を伴う山地災害が発生しております。  治山事業は、このような山地災害から国民の生命、財産を保全し、また水源涵養、あるいは生活環境の保全、形成といったものを図ります重要な国土保全施策であるとともに、その計画的な実施によります森林の荒廃の防止は地球温暖化防止観点からも重要となっているわけでございます。  このため、平成十六年度予算におきましては、治山事業として千三百四十七億円、これを計上いたしまして、事業の効率化を図りつつ、激甚な山地災害の多発、あるいは防災等の機能が低下した保安林の増大に対応するために、荒廃地の復旧整備等を図るための治山施設の整備、災害に強い森林づくり等から成る総合的な防災対策等を重点的に実施していくということにしているところでございます。  今後とも、山地災害の防止、水源涵養等、森林の有する公益的機能の継続的な発揮が図られるよう、治山事業の積極的かつ効果的な推進に努めてまいりたいというふうに考える次第でございます。  また、後段お話のございましたバイオマスエネルギー関係でございます。  木質バイオマスエネルギー利用につきましては、地球温暖化の防止、廃棄物の減量化等によります循環型社会の形成、地域の未利用資源を活用しました産業育成等による新たなる可能性の創出と、こういったことを図るものとして極めて重要というように考えている次第でございます。  木質バイオマスでございますが、林地残材、製材残材等としまして年間約三千七百万立方の発生が見込まれるわけでありますが、このうち約半数、一千八百万立方ぐらいでありますが、パルプ、燃料、ボード原料という形で活用されておりまして、このうちエネルギー利用につきましては七百万立方メートルというように推計されます。  林野庁といたしましては、木質バイオマスエネルギーとしての有効利用を進める観点から、林地残材等の収集、運搬を効率化するための、効率化に資するための機材等の整備、ペレット製造施設の整備ですとか、公共施設へのペレットストーブ、ペレットボイラーの導入、あるいは製材残材等を利用しました木質バイオマス発電施設、熱供給施設の整備、こういったことにつきまして支援を行っているところでございます。  今後とも、地球温暖化防止森林吸収源十か年対策あるいはバイオマス・ニッポン総合戦略、こういったものを踏まえながら、関係府省と連絡を密にして木質バイオマスエネルギー利用を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  災い転じて福となすという言葉が、格言が今永田町を走り回っておりますが、これはやはり、苦しいこの現状を脱却したい、そういう気持ちの表れの言葉なんだろうと思っています。食の安心、安全について、亀井大臣、本当にこの福を実現をされつつある、そのことに大変高く評価をさせていただいております。しかしながら、この森林林業木材、住宅、このことについての安心、安全、大変気にさせていただいております。  どうか、この日本の森林を救ったという歴史に残る名大臣に大きな期待を寄せさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
  23. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党・新緑風会の和田ひろ子でございます。  まず、今回の改正案についての質問に入ります前に、前回の改正案の際にこの委員会で付けた附帯決議について政府はどのような対策を取られましたか、お伺いをいたします。平成十五年五月二十二日の附帯決議についてお伺いをいたします。
  24. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 昨年の森林法改正に当たりまして四項目から成ります附帯決議をいただいたところでございます。  まず、森林計画の見直しに係ります事項への対応状況につきましては、事前に計画策定の基礎資料とするための森林資源現況調査を行うとともに、林政審議会での審議や都道府県知事からの意見聴取に加えまして、パブリックコメント等によりまして広く国民一般意見を踏まえ、昨年十月に全国森林計画を策定したところでございます。  次に、森林保全に関する事項につきましては、全国森林計画におきまして森林の区分ごとに保安林や治山事業等の森林保全に係る施策の基本方針を明記すると、そういったことで施策の指標としての役割発揮されるよう措置したところでございます。また、森林整備保全事業計画については、関係する公共事業計画と十分な調整を行いつつ、事業の目標等を国民に分かりやすく示すことができるよう検討しているところでございます。  複層林等に関します事項につきましては、複層林施業の着実な推進に向けまして、複層林施業等を効果的に実施し得る高性能林業機械の開発・改良や林道、作業道を効果的に組み合わせた効率的な路網整備推進しているところでございます。また、基幹的な林業就労者の確保育成に向けまして緑の雇用事業平成十六年度におきましても実施することとしているほか、森林組合体制整備にも引き続き取り組んでいるところでございます。さらに、NPO等の多様な主体の参加によります森林整備については、正に本法案に盛り込んでいるというところでございます。  最後に一項でありますが、国有林野事業に関する事項につきましては、森林管理署等が地方公共団体等との間で協定を締結して民有林と協調した森林整備等を推進しているほか、財政の健全化に向けた収支両面にわたります死力、努力を尽くしまして、集中改革期間後の平成十六年度におきましては新規借入金からの脱却を図ることとして十六年度予算が決定されたところでございます。  このように、いずれの事項につきましてもその趣旨を尊重し、着実に対応しているところというような状況でございます。
  25. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 このときには、同じ委員会林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法案という、附帯決議も出ております。どうぞ、検討中というところもあるようでございますけれども、是非附帯決議をきちんととらえられてやっていただきたいなというふうに思います。  次に、大臣、よろしくお願いします。  私は、もっと山を大切にしてほしい、施策をしっかりしてほしい、元気を出してみんなで日本の山を守っていこう、そういう思いで質問をさせていただきます。  平成十三年に林業基本法を抜本的に改正して、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を第一の基本理念とする森林林業基本法が制定をされました。この新たな基本法の下に、日本の山を守っていこう、そういう機運が高まり、私も大いに期待をしております。先ほど大臣長官も質問に答えて、国民の機運が高まった、環境税とか水源税とか考えていかなければいけないというふうな答弁をされました。  森林林業基本法が制定されて三年たちました。でも、何が変わったんだろうというふうに大変疑問を持っています。平成十四年には、新たな地球温暖化対策推進大綱で我が国の温室効果ガスの六%削減目標を達成するために森林が三・九を担うということになりました。農林水産省地球温暖化防止森林吸収源十か年対策を策定して、その推進を図っています。しかし、森林予算は本当に、微増しているといいながら、本当に森林整備を重視したものであるだろうか、本当に森林整備に資するものであるだろうか、大変疑問に思い、疑問ばっかり思っているんですが。三・九の約束があるから森林整備をしなくてはいけないということは国民の間でも認識をされているようですが、これはこれで大変結構なんですけれども、三・九があるから森林整備をするのではなくて、国土の保全や水源の涵養とか心のふるさとである山を守る、これに森林整備を進めていくのが私は本来の日本を守る、山を守る意味だというふうに思っています。ここを逆転の発想をしていただきたくないんです。是非日本の山、守っていただきたい。  基本法は森林多面的機能発揮重要役割を果たす森林林業の持続的かつ健全な発展を図ることとしています。また、森林の適正な整備保全を図るためには山村での持続的な林業の生産活動重要でありますから、定住の促進などの山の振興が図られるように配慮することとしています。さらに、森林林業施策を実施するために必要な財政上の措置も講ずるということになっています。この三年間、このような施策がどんなところで実施されたのか、私には見えてきません。  大臣、去年も森林法改正が出されました。先ほど附帯決議に対する対応をお答えをいただきましたが、そのときの提案理由で、木材価格の低迷等により林業生産活動が停滞している、管理が適正に行われていない森林が増加していると説明されました。森林整備保全の一体的な推進を図る措置や、人工保安林複層林化を推進するための択伐の手続を簡素化するなどの改正が行われました。また、今回、採算性の悪い等に伴い、必ずしも適正な森林施業が行われているとは言い難い状況にあるというふうに説明されています。要間伐森林制度などの施業の勧告が発動されやすいようにするなどの改正案が出されてきました。  先ほども、来年は是非数字を、数値を明示してなんという質問もありますが、同じことをまた来年もされるんですか。今年出したらこれをきちんとやっていく、それが大臣のお役目だというふうに思います。そもそも先が見えないから施業がなされない、勧告しても意味がないということなんではないんですか。  御承知のとおり、林業採算性の向上、あるいは少しでも向上の兆しが見えれば、所有者は自分の山は自分で守るんです、本当は。ただ、山になりわいがないからもうほっておかなければいけない状況になっているんです。杉とかヒノキが一人前というか成木になるには四十年も五十年も掛かります。林業は世代を超えて営んでいるんです。すぐに簡単に好転はしないというのは分かります。せめて政府が本腰を入れているぞ、将来にわたって日本の山を守ろうとする気持ちがあるぞというメッセージがあれば森林所有者に伝わってくるような、そういう思いがあると思います。そういう施策が実施されなければ一向に改善をされることはないのではないでしょうか。山は大事だ、そういうことを口で言うのは簡単です。山を守って生活している人のことを本当に見ていただきたいんです。  まず大臣、もう私も熱い心で質問をしておりますので、どうぞ大臣のお気持ちをお答えいただきたい。
  26. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国の国土は七割山と。私も、家に、外に出ますと、丹沢山塊からずっと山がこうすぐ目に見えるわけであります。また、時には、夏になりますと、集中豪雨で山が崩壊をして、あの本当に悲惨な姿を私たちはテレビやいろんなことで見るわけでありまして、そういう面で、国土の保全、水源の涵養、また地球温暖化、この防止、多面的な機能先ほどもいろいろお話しいただきましたとおり、いろいろな問題があるわけであります。  そういう中で、この地球温暖化防止十か年計画と、それにつきましてもステップ・バイ・ステップと、いろいろ政策を常にその進捗状況を把握をし、見直しをして、そしてそれが実現できるような努力をしなければならないわけであります。そういう面でのことは厳しくいろいろな対応を今、私、事務当局にも言っておるわけであります。しかし、なかなか厳しい財源、またなかなか厳しい今の状況下と。  実は、昨日、森の名人・名手と、これ百人、昨年から林野庁、いろいろその人たちを選びまして、そしてその人たちに、高校生に一人そこに行っていただいて、その名人・名手の人たちに山を守る、あるいは特産品ですとか、いろいろ林野の関係の百人の方々にいろいろな話を聞き、それを甲子園、作文甲子園というような形でそれを書いていただいて、それを表彰するようなことをしております。  そして、昨日、私、その人たちにお目に掛かって、その名人・名手の方と高校生とお話をし、いろいろその経験、どういうことでこういうことをしておられるかと。今、熊本の方ですけれども、船大工をして、漁船をずっと木造で造ってきた、しかし今日なかなか厳しい、そしてプラスチック等々で造らなければいけない状況に来ていると。そこに高校生が行きましてお話を聞きまして、大変感心をして、自分もこういうことを、日本はなかなか厳しくなったら、これアジアの地域に行ってそういう技術を教えることができればと、こういう話ですとか、あるいは木を育てる、間伐の仕事をされている方のお話を伺って、いかに木を育てることが重要なことかと。そして、是非自分もこういうような仕事を将来やってみたいと、こういうような話が出てきたり、いろいろ意見、考え方を伺ったわけでありまして、幅広く、そのようなやはり山に対する、森林に対する、森に対する意識というものを国民が持っていただくことが大変重要なことだと、このように思っております。  そういう面で、十三年に制定されました、先ほど委員からも御指摘いただきました森林林業基本法に基づきますいろいろの施策を進めております。大変施策として体系的に基本理念あるいは主要施策と、このようにいろいろの体系が作られておりまして、またそれが地方にも、都道府県におきましても構造改革のプログラム等々、事例が出てきております。これらを何とか、厳しいいろいろの外的要因もありますけれども、私どもとしてはこうして法律の、法案の改正等々をしていただくと、そういうものが着実に林業関係者に、また林業に、森林整備に着実に反映できるように努力をすると。  これはなかなか厳しい問題がありますけれども、しかしこれは精一杯やらなければならないことでありますので、そういうことをやることによって着実にこの問題、地球温暖化防止十か年計画と、この達成も、先ほど指摘の三・九%、なかなか厳しい状況にあるわけでありまして、これをやはり着実に今実現するような、先ほど来お話しの一般財源が限界があるということであれば、地球温暖化税と、こういうものも是非御理解をいただく中で、そしてそれを森林整備活用すると。今森林関係者もこのことにつきましては御理解をいただき、大変関心をお持ちいただいておるわけでありますから、そういうことはやはり行政におきまして私が先頭に立ってやらなければならないことであるわけでありますので、是非御理解を得、そしてこれらの対応をしっかりやってまいりたいと、こう思っております。
  27. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 先日の質問で小斉平さんが宮崎県の現状とか、今、加治屋さんが鹿児島県の状況なんかを御説明いただいたんですけれども、私は福島県の実情をちょっと申し上げたいと思います。  造林関係の費用として、杉の人工林を一ヘクタール造林して育てる各作業に必要な経費は三百万円掛かります。例えば、杉、五十年生の杉を伐採した場合、販売価格は四百八十万です。四百八十万で売れた杉を今度は搬出してくるのに三百二十万掛かります。差引き百六十万円しか手元には戻りません。三百万円掛かる育林、造林事業がこの中でできるでしょうか。再び造林する経費は出てこないというふうに言っています。  また、杉の立木の価格は、昭和三十六年の杉の立木の価格は伐採作業者賃金の約十二倍あったそうです、九千八十一円でした。作業者の賃金の十二倍なんですね。これに対して、平成十年、十二年は七千七百九十四円です。賃金の約〇・六倍です。これほど山というのは大変な状況に、五十年たった杉が賃金の〇・六倍にしかならない状況にあります。そういうことを是非踏まえていただいて、これからの質問にお答えをいただきたいと思います。  では、具体的にどんなふうに今の山の状況を見ていらっしゃるのか、お伺いをします。  民有林、国有林、それぞれ間伐が必要な森林面積はどの程度ありますか、そのうち適切な間伐がなされていない森林面積はどのくらいでありますか、間伐が必要な面積は年間にどのくらいになりますか、お伺いをいたします。
  28. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 御存じのように、戦後、造林されました森林の多くが実は間伐等森林整備を必要とする時期に当たっております。そういった中で、通常、間伐対象となります三齢級から九齢級、林齢にいたしますと十一年生から四十五年生でございますけれども、この人工林面積は、民有林におきましてはその人工林面積の約七割、これに当たります五百八十五万ヘクタールとなっているところでございます。  このような森林資源の状況の下で、確かに御指摘のように林業採算性の悪化によりまして間伐が適切に進み難くなっているというような状況にはございますけれども民有林につきまして平成十一年に、緊急に間伐が必要な森林面積、これを都道府県に照会いたしまして把握したわけでございますが、平成十二年度以降五年間に緊急に必要な間伐量、これが約百五十万ヘクタールでございました。これに基づきまして、年間三十万ヘクタールの間伐、これを計画的に推進しているということでございまして、地勢とかあるいは立地条件によりまして、多少進んでいるところ、あるいはなかなか奥地等で進みにくいところ、そういったものはあろうかと思いますが、総量といたしましてはおおむね計画に近い形で間伐民有林の場合は進んでいるというような状況でございます。  また、国有林におきましても同様に、人工林面積の約八割に当たります百九十一万ヘクタール、これが間伐対象となる林齢になっておりまして、五年ごとに策定されます国有林野施業実施計画、これは地域別の森林計画に基づきまして属地的に場所を指定して決めていっているわけでございますが、それで基づきまして間伐推進を図っているわけでございますが、平成十二年度から平成十四年度、最近時点までの最近三か年のデータでございますが、年平均で面積にいたしまして約六万ヘクタール、材積にいたしまして約二百九十万立方というふうになっておりまして、おおむね計画どおりに実施というような状況にはなっているところでございます。
  29. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 おおむねというお答えがありますけれども、ちょっと後でまたこのことは言っていきたいというふうに思います。  採算性の悪化等に伴い、必ずしも適正な森林施業が行われているとは言い難い状況という、悪化等に伴いと言うんですから、採算性の悪化以外にどんな原因があるんですか。評価、どういうふうに評価されていますか。
  30. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 先ほど申し上げましたように、間伐、毎年三十万ヘクタール目標に進めてきているわけでございますが、一方では、間伐等の必要な箇所におきまして森林施業が十分に進まないという面も見られます。その原因といたしましては、今お話ございましたように、木材価格の低迷等によります林業採算性の悪化、これの以外にも、例えば森林所有者の世代交代ですとかあるいは不在村化等、こういったものを背景としまして施業意欲が減退している、あるいは適切な間伐等森林整備、これに必要な林道、作業道等の整備が不十分であるといったようなことも影響しているというように考えている次第でございます。
  31. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 年間二十万ヘクタールまでに落ち込んだ間伐面積を増やすために、平成十二年度から緊急間伐五か年対策に取り組まれました。民有林、民有人工林、年間三十万ヘクタール間伐するということを今お答えをいただきましたが、十年度以降は三十万ヘクタールを達成しており、御自身、農林水産省御自身の評価でAというふうに評価されておられるそうでありますが、ところが今回改正法の内容でもある要間伐森林間伐状況を見てみますと、平成十四年度では七千ヘクタールとなっており、間伐材面積の九%、約一割弱しか間伐されておりません。これは五か年対策が導入される直前の平成十一年度以下の水準に下がっているのではないでしょうか。  そこで、緊急間伐五か年対策は要間伐森林解消にどの程度効果があったと分析されておられるか、分析と評価、お聞きいたします。  また、昨年の総務省行政勧告で要間伐森林間伐推進を図ることと勧告されたことを受けて、十六年度の実施についてどのような改善を図られますか。さらに、事業が終了する十七年度以降、民有人工林間伐促進はどういうふうに考えておられますか、お伺いします。
  32. 前田直登

    政府参考人前田直登君) お話にございましたように、健全な森林育成するために、平成十二年度から緊急間伐五か年対策、これを推進しているところでございまして、特に間伐が遅れた森林の解消を図っていくという観点から、要間伐森林の指定状況も踏まえながら、実は緊急間伐団地、こういったものも設定して、森林の一体的な間伐実施、こういったものに取り組んできているところでございます。  平成十二年度末現在で、要間伐森林の指定面積約七万ヘクタールに対しまして、近年の要間伐森林におきます間伐実施面積は、お話もございましたけれども、毎年八千ヘクタール弱という状況になっておりまして、市町村森林整備計画の策定サイクルであります五年間で見ますと、指定面積の五割程度が実施されているというように考えております。  ただしかしながら、新たに要間伐森林に指定される箇所があるというようなことから、平成十四年度末の要間伐森林指定面積につきましては、先ほど七万、十二年度、七万というお話申し上げましたけれども、そういった関係もありまして約七万六千ヘクタールとなっておりまして、要間伐森林の解消は率直に申し上げまして十分には進んでいない状況にあると言わざるを得ないというふうに思います。  このような状況の下で、昨年五月、総務省から農林水産省に対しなされました森林保全・管理等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告、この中では、要間伐森林間伐の優先実施に努めるといったことなどにつきまして勧告が行われたところでございます。  このため、私どもといたしましても、総務省の勧告後、直ちに都道府県を通じまして要間伐森林の指定あるいはその間伐推進につきまして改めて市町村への文書を発出しますとともに、都道府県担当者会議におきましてその周知徹底を図っているところでございます。  さらに、本法案によります要間伐森林制度の改善、それとその的確な運用と相まって、要間伐森林を含めまして間伐が適切に実施され、森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう、国、地方一体となって取り組んでまいりたいというように考えている次第でございます。  なお、最後にございました緊急間伐五か年対策終了後の間伐促進対策はどうなんだというお話でございますが、御指摘のように、この緊急間伐五か年対策、十二年から始まりまして十六年までということで、毎年三十万ヘクタール実施してまいったわけでございます。  林野庁といたしましては、森林林業を取り巻きます状況、依然として厳しい中で、地球温暖化防止観点からも引き続き、間伐等森林施業の着実な実施、これを通じまして、多様な森林の、多様で健全な森林育成に努めていくということが重要というふうに考えております。  このため、現在、この五か年対策評価を行いつつ、平成十七年度以降の対策について幅広く検討していくという考えでございます。
  33. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 そもそもと言ってはあれなんですが、要間伐森林の指定というのも、指定されるべきものがきちんとされているのかという疑問もあります。指定の基準について、林野庁長官が通知出されているんだというふうに思いますが、その内容を教えてください。
  34. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 端的に申し上げますと、この要間伐森林につきましては、市町村森林整備計画に定めます間伐実施すべき標準的な林齢、これがそれぞれ地域ごとに決めております。それを相当期間経過している、具体的にはおおむね五年以上経過していると、にもかかわらず特段の理由もなく間伐実施されていない森林、これを指定するということにいたしているところでございます。  また、要間伐森林の指定状況につきましては、平成十五年三月三十一日現在で約七万六千ヘクタールの森林が指定されているところでございます。
  35. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 作業道がないと指定されないとか、何かあったんではないですか。
  36. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 今申し上げました特段の理由もなく間伐実施されていないという中には、例えば道とか作業道、そういったものがなくて物理的になかなか間伐ができないというようなものも含まれているというように考えている次第でございます。
  37. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 前に私、質問もいたしましたけれども、スーパー林道なんというのはもう時代がとっくに終わっているというふうに思いますが、作業をされる方たちの林道というのは大切だというふうに思います。年間五十人もお亡くなりになっているということを聞いても絶対に必要だというふうに思いますので、そのための支援というのも是非必要だということを更に言わせていただきたいと思います。  農林水産省に対する総務省の行政勧告で、要間伐森林の指定箇所の見直しをして、市町村森林整備計画において要間伐森林の指定を適切に行うこと、指定に係る手続を適正に行うよう市町村に対して助言することと勧告しています。市町村による指定の実態と、勧告を受けて農林水産省はどのように対応策を講じてきたのか、お伺いをしたいと思います。
  38. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 昨年五月に総務省から農林水産省に対し行われました先ほどの勧告でございますが、その中で、要間伐森林の指定につきまして、例えば森林所有者間伐実施の意向が確認できたものだけを指定するといったような例があったこと等も指摘されておりまして、要間伐森林の適切な指定とその指定に係る適正な手続を行うよう市町村に対して助言すること等の勧告が行われたところでございます。  このため、私どもといたしましては、直ちに都道府県を通じまして要間伐森林の指定等の在り方について改めて市町村へ文書を発出するとともに、都道府県担当者会議におきましてその周知徹底を図ったところでございます。  現在、各市町村におきましては、要間伐森林の指定について見直す作業が進められているところでございまして、平成十六年の四月一日、これを始期といたします市町村森林整備計画から順次適切かつ適正に指定が行われるものというように考えている次第でございます。
  39. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 所有者の方がそういう間伐をする意思がないというと本当に困るんだというふうに思います。そういうことと、あと、林道というか作業道の支援ということをきちんと考えていただきたいなという思いで質問をしました。  次に、要間伐森林制度は、まず森林所有者が自主的に間伐することを前提としております。これがなされない場合は施業の勧告が出されることになっていますが、その勧告が一度も出されないことがあるというふうに聞いていますが、その原因は何だったんでしょうか。
  40. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 要間伐森林施業実施につきまして市町村長に勧告を行っていないといいますのは、一つには、やはり勧告に至る前に指導等によりまして対応している、あるいはこれから対応しようということで考えている、そういったことからそのような状況になっているんではないかというように考えられるわけでありますけれども、一方では、勧告に連なる措置でございます協議勧告あるいは裁定制度、こういったところにも改善の余地があったんではないかというように考えているところでございます。  このため、今回の制度改正におきましては、施業の勧告によっても所有者等による施業が行われないという場合の措置であります協議勧告について、森林所有者等にとって所有権の移転ですとかあるいはその使用収益権の設定といったものに比べまして心理的な負担が小さく、また実際に施業をやっている場合に多く見られます施業委託、こういったものをその対象に追加いたしまして、より実効性のある制度として改善したいというように考えているところでございます。  御案内のように勧告は、これ自体、行うこと自体を目的とするものではございませんで、施業確保のための一つの手段でございますので、発動のしやすさ云々することは確かに適当ではないかもしれませんけれども、今回の改正によりその実効性が増し、施業確保のための有効な手法であります委託による施業の集約の一助になるものというふうに考えている次第でございます。
  41. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 施業の委託ということのお答え、それはその勧告が発動しやすいものということだけではないというふうにおっしゃいました。でも、よく考えてみて、採算が合わないから間伐をしない森林の所有者が委託費用を出すんでしょうかねということを、委託できないからやらなかっただけなのに、その勧告、施業の委託する人がいるんだろうかというふうなことがすごく疑問なんです。  施業の勧告が発動されやすくなるんでしょうか。また、施業委託がどの程度進むというふうに見込まれておられますか。ちょっと答えにくい。
  42. 前田直登

    政府参考人前田直登君) どのくらい進むかと言われますと、ちょっと見通すことはなかなか難しい面はあるわけでございますけれども、やはり今の制度でいきますと、施業を勧告する、それでもなかなか実施されない、そうしますと、その所有権の移転ですとか使用収益権、いわゆる権利移転、こういったところに直結していってしまうわけでございます。そうしますと、やっぱり森林所有者といたしましては、私も林家ですので気持ちはよく分かるんですけれども、やっぱり権利とかそういう権限とか、そういったものまで行ってしまうということになると、やっぱり相当心理的にも重い。そういう意味で、委託というような形を取るというのは一つの有効な措置ではないかなというように考えております。  そしてまた、ケースによりますけれども、その委託、あるいはその後でまた裁定とかいろいろ出てくるわけでありますけれども、例えばいわゆる林業公社、こういったところに森林整備を委託する、あるいはそういったところと分収契約を結んでいくということになりますと、実はそちらの方には相当高率な助成、ケースによりましては九割とか、そういったようなケースも助成措置として講じておりまして、そういう意味では比較的進みやすい、そういう面があるんではないかなというふうに考えている次第でございます。
  43. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 もう五十年後の山の状況がみんな見えないんですよね。そんな中で本当にそんな委託する人があるのか、委託のお金出す人がいるのか、それが大変疑問なのでこういう質問をしました。  また、この改正は、最終的な手段として都道府県知事が分収育林契約の裁定をする際の要件が緩和されることになっていますが、その趣旨と具体的発動基準についてお伺いをしたいと思います。  また、各々の森林によって異なりますけれども、所有者が施業しない、あるいは委託をしないような森林は採算が合わないという問題が、何回も言っているんですが、あるんです。そのような森林について、地方公共団体森林組合が育林者になろうと申請してくるのでしょうか。今も申し上げましたけれども、この裁定に本当に意味があるのかな、もう一度お答えいただきたい。
  44. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 要間伐森林制度のうち強制力を持つ裁定制度につきましては、私権制限を伴うというものでございますので、都道府県知事におきましては、間伐、保育が実施されておらず、かつ諸事情を考慮して引き続き間伐、保育が実施されないということが確実であると見込まれると、そしてまた引き続き間伐、保育が実施されないときは、当該森林及びその周辺地域におきます土砂の流出、崩壊その他の災害を発生させるおそれがあるという、そのすべての要件に該当する場合に限り裁定することができるものとされているところでございます。  しかしながら、間伐、保育が行われないということに起因する外部的な影響、これは周辺の災害発生にとどまらないで、水源涵養効果の低下ですとか、あるいはその他の森林の有します公益的機能全般にかかわるものでございまして、近年の情勢見ますと、それらの機能確保重要性、一層高まっているというようなことから、今般、水害、渇水、環境保全観点から支障が生じる場合まで含めて裁定ができるように、適切な施業確保しようということでやるものでございます。  この場合、蛇足かもしれませんけれども、この裁定につきましては、当該裁定に係ります要間伐森林の下層植生の状況ですとか、成長衰退木あるいは枯損木の発生状況あるいは表土の流出状況、こういったものを総合的に勘案して、災害、水害、渇水等の発生のおそれがあると認められる場合に行われることになっているところでございます。  そして、今お話ございましたように、採算性が悪化している中でございますけれども、分収育林契約に係ります裁定によりまして、公的機関でございます林業公社等が例えば分収育林の施業を行う場合には、高率の助成水準、これは国と県合わせまして実質九〇%の助成になるわけでありますが、これを適用できることにいたしておりまして、これらの措置等を通じて適正な施業確保されるように努めていきたいというように考えている次第でございます。
  45. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 緑のオーナー制度もちょっと聞きたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で、例えば特定保安林制度についても同様に施業の委託を都道府県知事の協議勧告対象に追加しようとしております。やはり委託費用の問題が残ると思います。要整備森林についても、森林所有者施業を行わない場合は、最終的には都道府県知事が保安施設事業間伐を行う際の手続が簡素化されるというふうになっています。  これまで、保安施設地区の指定手続を取るために施業の適期が遅れるという支障があったんですが、簡素化するという意味はどういう意味、支障があったからなんですか。手続を簡素化することで民有保安林が今後公共事業間伐していくということなんですか。そうしたら、例えばモラルハザードが起こらないという保証はあるんですか、お尋ねします。
  46. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 特定保安林関係でございますけれども、今回の法改正におきましては、要整備森林につきまして、権利移転等の協議勧告、これが調わないときは、従来の保安施設地区の指定があった場合と同様に、森林所有者等は保安施設事業実施を拒むことができないということにしているわけでございます。これは、森林所有者等によります森林施業実施されない、そういった場合に、もはや保安施設事業によるほかはないというものが出てくるというふうに考えられまして、このような場合に、通常の保安施設地区の指定、これの手続を経ていたのでは、ものによりますと半年から以上掛かってしまうというようなことで、実際に災害を発生させてしまうといったことにもなりかねないということで、手続の簡素化を図るということにしたわけでございます。  そういう意味では、このように要整備森林が速やかに整備されることによりまして、特定保安林全体につきましても指定目的に即した機能の回復、これが効果的に図られるのではないかというふうに考えている次第でございます。  そして、この特定保安林につきましては、基本的には、そういった場合、保安施設事業につきましては治山事業費でもってやるということになりますので、その経費負担につきましては国、都道府県、国、県で一〇〇%負担ということになるわけでございます。  その場合に、確かに御指摘のようにモラルハザードが起こるんではないかという懸念、分かるわけでございますけれども、これにつきましては、あくまで災害等が発生する、こういったものを防ぐために行うという措置でございまして、そういう意味では、物のケースによりましてはかえって森林所有者の人が損する場合も出てくるケースもあり得るわけでございますし、必ずしも森林所有者の意向に沿った森林整備というものが実施されるものでもないわけでございまして、今回の法改正によりまして手続が簡素化されたからといって、保安施設事業によります民有保安林整備、こういったものが野方図にいく、あるいはモラルハザードが進むといったことに必ずしも直結するものではないんではないかというふうに思っている次第でございます。
  47. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 採算が合わないから放置されている民有保安林が公益性が高いことを理由に公共事業間伐を行う、これで本当にいいのかというふうな思いがいたします。山に採算が取れれば自分でやれるような状況が作ることができるというのが私の思いなんですけれども、私は、地域材の需要拡大を図って材価を高めることで施業の放棄や間伐された木が放置されることを防ぐのが、これが本筋だというふうに思います。そこをおろそかにして、山に手入れがされないから国でするんだの勧告するんだのって、後手後手に回って貴重な予算を使っているんではないかというふうに思います。本当は所有者が自分でするのが本筋だって思いますから、保安林機能発揮重要ですけれども、再三申し上げていますように、林業山村の活性化にお金を使うべきだと私は思っています。  医学では予防医学というふうに言われていますが、災害が起きる前に森林を適切に管理することが大事であって、そのための緑の番人を大事にすることが一番大切なんです。例えば、営林署が統合されたり廃止されたりしているところがあるんですけれども、緑の番人を増やさなかったことが大きな原因だと思います。水源や里山で不法投棄問題がもう本当に日本全国で深刻化しています。これもやっぱり番人がいないからでないかというふうに思いますが、いかがですか。
  48. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 確かに先生のおっしゃっていることはごもっともだというふうに思います。おっしゃられますように、そもそもは、基本的にはその所有者が自発的な中で森林整備をやっていくということが国民経済的にも最も合理的だと思いますし、またそういった形の中で進んでいくことが理想だと思います。  そういう意味で私どもも、木材需要拡大ですとか、あるいは林業経営の活性化に向けての諸般の施策、こういったものを進めているわけでありますけれども、ただ、現下の目の前の問題として、現に保安林の中で荒れたところが出てきて、それを放置された場合に、そのことに長じて災害、生命、財産が失われていくというようなことにつながるとすれば、やはりそれは緊急避難的にもやっぱり対応せざるを得ない。そういう意味で、これが恒常的というよりは、そういった場合の特例的といいますか、限定的な形でそういった場合には対応していくというものとして措置されるべきものということに理解いたしております。  そういう意味では、基本的な木材需要拡大、あるいは林業経営の活性化、そういったものには引き続き努めてまいりたいというふうに考えておりますし、また、後段お話に出てまいりました、確かにその国有林抜本改革によりまして、かつての十四営林局、あしたで七つの森林管理局に半減いたしますし、また三百五十ございました営林署も百そこそこに減るということでは大変シビアな厳しい状況にはなっているわけでありますが、そういった中でも、実は一つ、一番現場の第一線でございます森林事務所、これにつきましては、これだけの大リストラの中でも、合理化の中でも一個も減らさないということで維持いたしたわけでございまして、そういう中で、森林の管理、国有林の管理、こういったものにつきましてはきちっとやっていくように私ども努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  49. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 国の方針というのがあって、もう小さな政府にしなくちゃいけないということで、もう何せ構わず何十年に何万人減らす、十年間で何万人減らすなんということがあるとすれば、でも、林業とか山を守るとか、農業なんかももちろんそうなんですけれども、そこはそうでないでしょう。そこで、財務省に行って、総務省に行って、きちんと農林省は言うべきだというふうに思います。環境が大事だの三・九がどうのこうの温暖化がどうのこうのなんという時代に、やっぱり同じくシーリングで減らされているなんということが絶対におかしいと私は思う。そういう中でも増やしていくところがあってもいいという、それが日本の政治、施策、また国の役目だというふうに思いますのでお尋ねをしました。大臣、何かありますか。  後で大臣にはもう熱く語っていただきますけれども、昭和二十九年に、土砂災害が、発生を防ぐために保安林を緊急かつ計画的に整備するということで、今まで五十年、臨時措置法というのが続いたんですね。臨時措置法が五十年も臨時だなんということも大体がおかしいんですけれども、改めて、保安林役割というのは何だったんでしょうか。また、保安林整備臨時措置法が果たしてきた役割と、今回延長しないというのが何なんだか。さらに、今後の保安林の指定はどういうふうにされていくか、お伺いをします。
  50. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 御案内のように、保安林制度でございますが、これは、水源の涵養ですとか土砂の流出防備、こういった公共目的を達成するために、特にこれらの機能発揮させる必要があるというような森林保安林として指定いたしまして、その森林の適正な保全施業確保しようとするものでございます。  この保安林整備臨時措置法、御指摘のように昭和二十九年、当時の大災害等々を受けまして制定されたわけでございまして、その後、確かに四回にわたって延長されてきたわけでございます。十か年の臨時措置法でございますので、そういう意味では御指摘のような形になったわけであります。  この結果、実は保安林につきまして急激に、計画的に拡大してまいったわけでございますが、平成十五年度末の保安林面積、これが全森林の約四割を占めるに至っておりまして、そういう意味では、無秩序な開発、こういったものがある程度規制されるとともに、治山事業と相まって、近年、全国的な規模での洪水等の大災害、こういったものが減少してきているということで、それなりに一定の成果を上げてきているというように考えている次第でございます。  この保安林整備臨時措置法におきましては、機能が低下した保安林機能回復を図ると、このために特定保安林制度も併せて措置されているわけでありますが、今後の木材需要の見通しあるいはその不在村者の所有の森林の増加傾向、こういったこともかんがみれば、時限を区切って対応すればいいというものとはなり難いような状況に至っているところでございまして、このため森林法の中で、森林の現況保全措置だけでなく、これと併せて適切な施業確保するための措置、これを講じていくこととしまして、保安林整備臨時措置法、これの延長はしないということにしたものでございます。  なお、今後の保安林の指定、整備に当たりましては、山地災害の発生状況、流域におきます自然的あるいは社会的要請、こういったものを踏まえながら、いわゆる通常の形、いわゆる森林法に基づきます全国森林計画、ここにおきまして将来の保安林の面積等を示し、その計画的な指定及びその適切な整備、こういったものを推進していくということで考えている次第でございます。
  51. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 これまでの質問は、そもそも民有人工林が大変な状況にあるからというような議論でした。それは、戦後の拡大造林による一千万ヘクタールに及ぶ人工林をどうするかというようなことが根本的な問題として残ると思います。  何か、私が小さいころ、あの安西愛子参議院議員が「うたのおばさん」のときに「お山の杉の子」というのがありましたけれども、そういうのが戦後の人工林という、あのころの歌なんだなと今思います。  そこで、この一千万ヘクタールの人工林政府はどういうふうにするつもりなのか。自給率の目標に合わせたような三割の資源の循環利用林の採算のことだけ考えればいいというものではないというふうに思います。しかも、資源の循環利用林ですらなかなかいい状況ではないとすれば、今日のような状況に至った政府の責任も含めてお答えを願いたいと思います。
  52. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 確かに、私ども、戦後積極的に拡大造林推進してまいりました。御案内のように、我が国の森林資源、戦後の水害発生等の防止、こういったものに資するために、伐採跡地への造林ですとか、経済発展、特に三次高度成長経済期におきます経済発展に伴います木材需要の増大、こういったものに対応するために、杉、ヒノキ等の針葉樹を中心に積極的な造林が進められてまいったわけでございまして、その結果、現在では約一千万ヘクタールの人工林、世界に冠たる人工林、これが造成されまして、実に森林面積の四割を占めるような状況に至っております。  これは、御指摘にありましたように、近年、森林に対します国民のニーズ、これが多様化、高度化してきておりまして、そういったものを踏まえながら、平成十三年に森林林業基本法が制定されまして、これまでの木材生産を主体としました政策から大きく軸足を変えまして、地球温暖化の防止を始めといたします森林の有する多面的な機能、これの持続的な発揮を図る政策へ林政の基本理念を転換したわけでございまして、そういった中で計画的かつ着実な森林整備推進していくということにいたしたわけでございます。  具体的には、先ほども出てまいりましたけれども平成十四年度に、人工林も含めまして個々の森林についての基本的な整備の方向を分かりやすく示すということで、地域の合意の下に、森林を重視すべき機能に応じまして、水土保全林、森林と人との共生林あるいは資源の循環利用林、この三つに区分しますとともに、これらの区分に応じた森林整備推進するために森林整備事業、これはかつての造林事業と林道事業でありますが、こういったものも再編しましてその促進を図っているということでございます。  また、先ほどから間伐の話も出ておりましたけれども、こういった人工林対象に健全な森林育成するために、平成十二年からは五か年で百五十万ヘクタールの森林を緊急かつ計画的に整備します緊急間伐五か年対策、これに取り組んでいるところでございまして、今後ともこれらの施策を通じまして、森林に対します国民の要請に的確にこたえながら、森林の有する多面的な機能の持続的な発揮、こういったものに資するための整備を着実に実施してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  53. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 申し上げるまでもなく、国民需要に即した林産物の供給が、利用確保山村振興に大きな役割がありますし、それをやらなければいけない責任があるというふうに思います。  もう最後になりましたので。  国産材の用途で一番多いのはやっぱり住宅だというふうに思うんです。国産材地域材の七割が製材用であり、そのほとんどが住宅用です。国産材需要拡大を考えるには、この住宅用の需要拡大することが一番大事なんですね。三・九のための削減の山づくりではなくて、山になりわいを持つことをすることが国の役目なんです。そして、所有者は自分で間伐をすることが大きな目標なんです。  今、大工さんとか工務店さんに調査の結果をしてみると、地域材が使われない理由として、均質性を求めると割高になる、規格以外のものは割高である、乾燥材が割高になるということが指摘をされています。今後の地域材利用方針では、全体的に変わらないというのはあるんですけれども、規模が小さな工務店とかそういうところでは、使っていきたい、そしてお客さんには使ってもらいたいという人が大変多いそうです。地域材を使うための条件として、地域材の低価というか、安い地域材を使いたいんですね。そして、次いで乾燥材、乾燥を普及してもらいたい、必要な品質の材料の調達がそれぞれ四分の一ずつの、何というか、要望なんです。  何しろ日本の国産材というのはメニューにないんですよね。だから使えないんです。外材はすぐに、何かプレカットのところに入るとか、簡単な使われ方をするんですけれども、日本の木にそういうことが求められないとすれば、やっぱり本当に昔からの大工さん、たくみを育てるとか、この間の質問でもしました、それは国土交通省に。だからこの委員会ではないとかって、そういうことではなくて、環境を守るんなら環境省と一緒になって、そして大工さんとかたくみを育てるなら国土交通省だろうと厚生労働省だろうと一緒になって日本のこの国産材を使うための努力、そして安い材木で地域の皆さんが本当に温かいそういうものを使われるような努力をしていただきたいというふうに思いますので、大臣、よろしくお願いします。
  54. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろ御意見等々承りました。  我が国の森林の健全な育成、これはやはり支える林業、また木材産業の健全な発展と、こういうものがなければならないわけでありまして、そういう面での木材利用、このことは大変重要意義があるわけであります。  そういう面で、先ほどからいろいろお話の中で、実は今年度の予算につきましても、林野庁の予算、これは公共、非公共あるいは森林整備と、特に予算折衝の中でも、森林整備の問題とあるいは非公共の分野につきましては、予算それぞれみんな減っておるわけでありますが、この森林整備並びに非公共の分野につきましては対前年比一〇〇を超える数字を確保したわけでもあります。  そういう面で、山村の活性化、もう御承知のとおり、緑の雇用の問題等々の問題につきましても補正でずっとやっておりましたが、今年度七十億を予算計上すると、こういうような山村の活性化と併せて森林整備、管理等々につきましてその対応努力をしておるところでもございます。  さらには、今御指摘のやはり国産材の用途、住宅への利用促進、このことは大変重要なことでございまして、この住宅分野への需要拡大を図ると。そういう面で、一つは十五年度から森林所有者から住宅産業、住宅生産者までの関係者が一体となった中で顔の見える木材での家造りの推進と、そういうこと。あるいはまた、一つは大手の住宅メーカー、これらとの関係で大規模需要者のニーズに対応する新流通・加工システム対策実施すること。これは十六年度からいたしております。それと併せて、地方財政措置といたしまして、地域材を利用した住宅建設の促進に対する特別交付税措置も講じられたところでもあります。  いわゆる木材需要拡大のために、木材の良さ等の普及啓発、また住宅や公共施設等への地域材の利用促進、また併せて、一つは木質バイオマスエネルギー等新たな需要の開拓と、このようなことに努めまして、地域材、国産材需要拡大に図ってまいりたいと。また併せて、私ども農水省といたしましても、率先して農水省木材利用拡大行動計画を昨年八月に策定をいたしまして、省を挙げて木材利用拡大に努めておりますと同時に、関係府省とも十分連携をして、木材国産材需要拡大が図られるように更なる努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  55. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 終わります。
  56. 千葉国男

    ○千葉国男君 公明党の千葉国男であります。  森林法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  森林の持つ多面的機能は、大気の浄化、洪水調節、水資源涵養、土砂崩壊防止、温暖化防止など挙げられておりますが、さらに森林により生まれる有機物質は農業、漁業に養分をもたらしておりまして、森は海の恋人と言われるゆえんであります。  特に、我が国はこの十年間で大気中の二酸化炭素等の削減目標六・〇%を達成する中で、森林による吸収により三・九%に相当する量を削減しようとしております。平成十六年度予算の中でも、公共事業が軒並み削減されている中で、この森林整備予算が対前年比一〇〇・五%と上回っております。このことは、何よりも森林整備が喫緊の課題である証左ではないかと、こう思っております。  しかしながら、現状程度の予算では森林吸収目標三・九%の確保は達成できないのではないかと、こう心配しております。大臣見解はいかがでしょうか。また、森林吸収目標の達成に向けて今後どのような対策を取り組んでいくのか、併せてお伺いをしたいと思います。
  57. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現状程度の森林整備と、現状程度の水準での森林整備でまいりますと、いわゆる三・九%、この目標を残念ながら達成することはできないと、大幅に下回る可能性と、一%というようなことも懸念をされるわけであります。そういう面で、地球温暖化防止森林吸収源十か年対策、この計画に基づきましてステップ・バイ・ステップと、極力このいわゆる政策評価等々をいたしまして、その対応をしっかりして、いろいろの対策を更に考えてまいらなければならないと。  それには、先ほども申し上げましたとおり、この今の財源、いわゆる非公共あるいは森林整備で一〇〇・幾つというような数字で予算措置はいたしたものの、これなかなか厳しい数字であるわけでありまして、そこでは是非何とか一般財源で新たな努力と同時に、ひとつ国民皆さん方の御理解、京都議定書と、この森林温暖化対策、これら十か年計画のためのいわゆる地球温暖化に対する新しい税というものが御理解をいただけるものであれば、また私ども省内でもいろいろの森林整備のためにはその地球温暖化税と、こういうものの導入ということにつきましても十分研究をし、さらには環境省とも連携を取ってその対応をして財源確保していくことができればと、このような思いを持ってこの目標の数字が達成できるように更なる努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  58. 千葉国男

    ○千葉国男君 ただいま大臣より答弁がありましたように、我が国が京都議定書に基づいて取り組むことは大変厳しい課題を抱えていると思います。  今日の温暖化の状況を見れば、基本姿勢として日本の取組が正しいと思います。この環境問題や地球温暖化問題のとらえ方は、特に先進国側にとっては次世代に対する責任ととらえ、取り組むべきであると思っております。大臣には是非頑張っていただきたいと、こう思います。  しかし一方では、森林問題について、林業関係者の収益性を向上させなければならないという深刻な問題があります。これは、森林の有するこれら多面的機能と車の両輪の関係でなければならないと思っています。そうでなければ持続的発展は望めないからであります。  森林所有者森林整備意欲と所有者自身に業として採算性確保されるようなシステムが形成されることが大事であります。言い換えれば、この法改正が両輪を回転させ、林業循環を推進することにつながることが重要である、このように思っておりまして、採算性を高め、林業者が自立するためどのように取り組まれるお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  59. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 林業につきましては、長期にわたります木材価格の低迷、あるいは人件費を始めといたします経営コストの増加によりましてその採算性が大幅に低下すると、それと同時に林業就業者の減少ですとか高齢化が進むと、そういった中で大変厳しい環境に置かれているというように認識しているわけでございますが、このような厳しい環境の中で将来にわたりまして林業の持続的かつ健全な発展を図っていくというためには、担い手確保育成いたしますとともに、経営規模拡大路網整備機械化等による採算性を向上させることが必要というように考えているところでございます。  このため、十三年に策定されました森林林業基本計画、こういったものに基づきまして、これらの施策を積極的に推進し、効率的、安定的な林業経営確立に努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  60. 千葉国男

    ○千葉国男君 木材の自由化によって木材価格は低迷している中で、林業者の採算性は大変厳しい課題であります。是非とも頑張っていただきたいと思います。  最近では、自治体レベルでの国産材振興への取組として輸出の動きがあると聞いております。例えば、宮崎県は建築ブームにある中国への杉輸出を開始しており、また秋田県など他県でも地域産の木材輸出が検討されていると聞いております。政府におかれましても、十六年度から輸出促進室を設置し、ブランド・ニッポン、農産物の輸出の支援を講じることとなっております。  このような各自治体の木材の輸出の取組状況意義について、またどのような支援策を講ずるおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
  61. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 近年、この木材輸出におきます木材関係団体、これが増加してきておりまして、平成十五年には青森県あるいは今お話ございましたように宮崎県、これが中国のアモイとか、それ以外のところにも始めているわけでございますし、また島根県、これは本年二月には島根県からまた中国の方に杉丸太が輸出されるというようなことで、前年を大幅に上回って五千八百立方の中国への木材輸出が行われたところでございます。  我が国の森林の有します多面的な機能発揮のためには、杉などの増大します人工林資源の有効利用、これが大変重要でありまして、特に我が国の木材需要量が減少する中で、活発な住宅建設等によりまして木材需要が急増しております中国等への木材輸出は国産材の新たな需要先と、そういったことで大変重要というように考えている次第でございます。  このため、林野庁といたしましても、木材輸出可能性調査事業、これによりまして、中国等におきます住宅建設ですとか木材需要動向の市場調査、あるいはそのニーズの把握、さらには中国での展示会への出展などによります日本産木材の普及宣伝、こういったことを実施いたしますとともに、農林省の官房の国際部の方での農林水産物貿易円滑化推進事業、あるいは日本産ブランド輸出促進事業、こういった事業とも連携を図りながら、国産材の円滑な輸出促進、これに努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  62. 千葉国男

    ○千葉国男君 昨年三月、国産材新流通・加工システム検討委員会が立ち上げられました。また、十二月十六日、この検討委員会から最終報告書が提出されております。この報告書の概要について御報告をいただきたいと思います。
  63. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 林野庁におきましては、住宅建設において地域材利用推進していくために、昨年の三月末に国産材新流通・加工システム検討委員会、これを立ち上げまして、大規模需要者の求める条件、例えば品質ですとか規格ですとか価格ですとか供給の安定性、こういったものに合致する供給体制の在り方、こういったものにつきまして御検討いただいて、昨年の十二月十六日に最終報告書が取りまとめられたところでございます。  この最終報告書におきましては、一つには、これまで利用されなかった低質材の利用を図ることを重視しつつ、原木の総合的かつ合理的な流通、加工体制を構築すること、また新しい流通、加工の方向といたしまして、集成材、合板、内装材等に国産材を使用していくことに焦点を当てること等を基本的な考え方として、大規模需要者のニーズに応じて品質、性能の確かな製品を安定的に供給できる、川上から川下に至る総合的なサプライチェーンの構築について提案をいただいているところでございます。
  64. 千葉国男

    ○千葉国男君 この報告書のサプライチェーンの総合モデルを拝見いたしますと、立ち木、素材生産、原木流通、木材加工、製品流通、住宅メーカー、消費者と多くの関係者の連携で目標を達成しようというシステムになっております。報告書の末尾にまとめの言葉として、近年の国産材供給量は減少傾向にあり、平成十四年では千七百万立方メートル弱にまで落ち込んでいると、目標の二千五百万立方メートルまで到達させるには現状の約五割増を実現しなければならない、この厳しい現実を直視しつつ一人でも多くの関係者が本報告書を参考にして新たなシステム作りに果敢にチャレンジしていくことを検討委員一同切に願うものである、このように強い決意を込めて締めくくられているわけであります。  国産材需要拡大には、木の家造りを目指す、いわゆる住宅メーカーの参加が大事なポイントだと思っておりますが、その点の感触をお願いをしたいと思います。
  65. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 林野庁におきましては、地域材の需要拡大を図るために、従来から木材利用に対します普及活動あるいは需要開発等を進めてきているところではありますけれども、特に平成十五年度からは、森林所有者から住宅生産者までの関係者が一体となって消費者の納得する家造りに取り組む、いわゆる顔の見える木材での家造り、この推進対策実施してきているところでございます。  こうした対策に加えまして、住宅建設への国産材需要拡大するためには、大規模需要者のニーズにも対応できる品質、性能の確かな製品、これを安定的に供給する体制作りが必要でありまして、供給側だけでなくて住宅メーカー等の需要側との連携も図りながら、川上から川下に至る総合的なサプライチェーンを構築することが重要であるというふうに考えているところでございます。  このため、平成十六年度から、国産材新流通・加工システム検討委員会の最終報告書を踏まえまして、新たに、利用が低位でありました曲がり材ですとか間伐材等の、いわゆるB材というふうに呼んでおりますが、こういったものを活用して、大手住宅メーカー等の大規模需要者のニーズに対応した集成材ですとかあるいは合板等を製材、製造、供給するためのシステム、こういったものを組み込んだ地域材の新しい大規模流通・加工システムを確立する対策、これ新規事業でございますが、これを実施することとしているところでございます。これらの施策を推進しつつ、今後とも住宅建設における地域材利用促進に努めてまいりたいと考えております。
  66. 千葉国男

    ○千葉国男君 TLO法の導入を始めといたしまして、産学官が一体となって木材の多様な消費拡大を図り、消費者にも国産材への理解を深めていただくことが大事ではないか、こういうふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  67. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 農林水産省におきましては、大学、独立行政法人等の研究成果の産業界への移転促進を図りますTLO法に基づきまして、昨年六月に社団法人農林水産技術情報協会、これをTLO、いわゆる技術移転機関でありますが、として認定したところでございまして、同協会を活用しまして民間事業者に特許権の情報提供、こういったことを行っているところでございます。ちなみに木材産業につきましては、独立行政法人の森林総合研究所が有する特許権の情報提供が二十六件ございました。  このほかにも、消費者の国産材に対します理解を促進するために、産学官の関係者で連携しつつ、一つには民間企業等からの公募方式によります木材利用に関する革新的な新技術、新製品の開発、それから技術研究組合方式によります木質プラスチック、リサイクル可能な木質新素材、あるいは高能率、高効率な発電のための木材のガス化技術等の開発、さらにはマスメディアを活用いたしました木材利用意義についての普及啓発や森林・木質資源利用のための技術情報の収集提供、こういったことを実施いたしております。  今後とも、産学を始め、関係省庁、地方公共団体との一層の連携を図りながら、木材、とりわけ国産材需要拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 千葉国男

    ○千葉国男君 先日、岩手県住田町を訪ねまして、町長さんにお会いし、農林業について将来の展望等、貴重な提案や御意見を伺ってまいりました。御承知のように、岩手県は民有林では日本一森林資源が豊富な県であります。中でも住田町は、町の九〇%が森林の農林業中心の町として全国的にも有名であります。この豊富な森林資源が源流となっている気仙川を中心といたしまして、収益性の高い稲作、葉たばこ、キュウリ、イチゴを生産し、林業においては生産、流通、加工、販売の各部門を有機的に結んだ地域林業の総合的システム化を形成し、産地直送の住宅を提供しております。また、平成十五年度からは産学官の連携により積極的に町おこしとしてペレット工場を建設し発展をしております。  住田町がなぜ町おこしとして林業対策に積極的に取り組んだのか。それは、平成十年七月に町の長老も経験したことのないような集中豪雨に見舞われ、山林に放置された残材の一部が流出をいたしまして、これが洪水に拍車を掛け、大水害を起こしました。大きな被害をもたらしたわけであります。木材価格の低迷などにより森林荒廃が進み、災害発生の危険性を増大させたことを身をもって体験されたそうであります。その結果、教訓として森林荒廃を改めて大きな課題として認識したそうであります。また、そのことから林業作業道の管理の在り方、伐採現場の管理、林業の在り方等を検討することをきっかけになり、今日の町づくりの基礎を築いているわけであります。  林野庁として、今後、この森林施策を進める上で、このような全国的に先進的な林業循環のモデル地区を何か所か指定して、そこを一つの牽引力として推進していくことは意義のあることであると、こう思いますが、いかがでしょうか。
  69. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 川上から川下までの関係者が一体となって地域の特質に応じた森林整備あるいは林業木材産業振興を図っていくと、そういった取組を進めることは極めて重要というように考えております。このため従来から、森林を管理する上で合理的な地域の広がりでございます流域、これを基本単位といたしまして、流域内の幅広い関係者の協議、合意によりまして、林業木材産業振興を一体的に進めますいわゆる森林の流域管理システム、これを推進してきたところでございます。  このようなシステムといたしまして、全国の流域の中には、例えば今お話ございました岩手県の大槌・気仙川流域とか、あるいは宮崎県の耳川流域といったようなところのように、山元から木材加工施設までが結び付いて地域材の流れを構築して、トータルコスト削減によります収益性の高い流域林業確立を目指す取組を行います先進的な流域がございます。  このようなモデル的な流域、これが牽引役となりまして全国に意欲的な取組が進展し、森林の流域管理システム、これが効果的に運営されるようにその活性化に努めてまいりたいというふうに考えます。
  70. 千葉国男

    ○千葉国男君 是非しっかり御検討いただきたいと思います。  次に、特定保安林制度の恒久化についてお伺いをしたいと思います。  保安林の現況を見ますと、林業採算性の悪化に伴い、施業が十分実施されていないことから保安林機能の低下を招いてまいりました。その対策として今回この制度を恒久化しようということになったことは高く評価したいと思います。  この特定保安林は、指定の目的に即して機能していないと認められるものを大臣が指定することとなっておりますが、具体的な基準はどのような基準になっているのでしょうか。また、要整備森林の把握など、だれが行うことになっているんでしょうか。
  71. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 特定保安林につきましては、これまで、保安林整備臨時措置法に基づきまして一定の基準を定め、これに従い約七十万ヘクタールの指定を行いまして、このうち約二万ヘクタールが要整備森林に指定されて必要な施業実施されてきたところでございます。  特定保安林につきましては、下層植生が消滅しており森林土壌が流出し、又はそのおそれのある森林ですとか、つる類の繁茂等、林相が著しく悪化していまして、又はそのおそれがある森林など、下層植生や土壌の状況林木の生育状態等から見て、機能確保のため早急に施業実施する必要性が認められる森林、これが相当程度存在することなどを要件といたしまして指定していく考えでございます。  また、特定保安林がその指定の目的に即して機能することを確保するため、特に造林、保育、伐採等の施業を早急に実施する必要があると認められる森林を要整備森林といって都道府県知事が指定することにいたしております。  この要整備森林につきましては、都道府県知事がその指定及び必要な施業の方法及び実施の時期を明らかにすることとしておりまして、これらにより要整備森林の適切な指定及び施業確保推進し、特定保安林機能の回復を図ってまいりたいというふうに考えております。
  72. 千葉国男

    ○千葉国男君 関連ですが、特定保安林指定地におけるただいまお話のありました機能回復について、それが達成されるまでには十分な時間、期間が必要であると思います。林野庁として、この特定保安林の解除について、どのような段階まで機能を回復をしたことをめどにして解除を考えているのか、お願いします。
  73. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 特定保安林につきましては、機能の回復を図るために要整備森林におきます適切な施業促進することといたしております。この場合、造林間伐等施業によります効果、これはその後の樹木の成長ですとか下層植生の発達によって徐々に高まっていきまして、機能が着実に回復していくということが見込まれるところでございます。このために、特定保安林の指定の解除は、要整備森林について都道府県知事が定めます地域森林計画において明示されている施業実施された段階、この段階で行うという考えでございます。  なお、特定保安林につきましては、必要に応じて治山事業により荒廃地の復旧を図るほか、その指定が解除された場合でありましても、樹木の成長に合わせて間伐を適時適切に実施するといったことによりまして保安林機能の維持増進に努めていくことが重要であるというように考えている次第です。
  74. 千葉国男

    ○千葉国男君 この指定に当たりましては、それぞれの保安林としての機能を第一義とすべきでありますが、林分成長量あるいは樹種、自然環境、地形、林業作業道などの予備調査、現地調査等の精査を十分に行う必要があると思っております。またその際、指定に当たりましては、その現地調査に当たってその地区の状況をよく知っている現地の人の意見を十分聞いてほしい、こういう要望が出ておりますが、いかがでしょうか。
  75. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 特定保安林の指定に当たりましては、機能の低下した保安林の所在、これを効果的に把握するとともに、機能回復のために必要な森林施業内容、その実施の可否ですとか緊急性を適切に判断することが必要でございます。このために、平成十六年度予算におきまして、既往の資料を活用しました予定地の選定、あるいは樹木の生育状況、気象、傾斜、土壌等の自然条件の現地調査、こういったものなど、特定保安林の指定を適切に進めるために必要な調査に要する経費を計上しているところでございます。  また、調査の実施に当たりまして、現地の状況等を詳細に調査し、必要な森林施業内容、その実施の可否を適切に判断するということが必要でございますから、都道府県知事に委託して行うとともに、市町村長あるいはその地域方々保安林機能発揮に対します要請、こういったものも把握するよう努めていく考えでございます。  今後、現地の事情に応じて緊急に整備が必要な保安林から順次調査を進めることによりまして、特定保安林の適切な指定に努めてまいる考えでございます。
  76. 千葉国男

    ○千葉国男君 次に、施業実施協定制度の拡充についてお伺いをしたいと思います。  特にボランティアの方々活動については、どのような森林でどのような活動内容期待しているのか、また、制度の円滑な実施のため、市町村に対してどのような役割期待して指導助言を行うつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
  77. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 新たな施業実施協定は、水土保全林、森林と人との共生林を対象といたしておりまして、主として通常ボランティア活動が行われております水源地周辺等の森林ですとか里山の森林、こういったものが対象になるというように考えております。  活動内容といたしましては、植栽、枝打ち、間伐等森林施業としております。  この協定には、一つには、ボランティア活動を行う森林の区域を明らかにした上で、NPO等が行います森林施業の種類、実施方法、時期、それから作業路網等の必要な施設の設置ですとか維持運営に関する事項、それから協定の有効期間、協定に違反した場合の措置、こういったものを定めることにいたしております。  この協定制度によりまして、NPO等は長期間にわたって安定的に活動の場が確保されることになりますし、植栽、保育、間伐等の一連の森林施業の体験ですとか森林施業技術の向上、こういったものを図ることができると。これらの活動を通じまして、森林林業に対する国民理解の増進が一層図られていくんではないかということを期待しているところでございます。  なお、市町村長は、本協定の認可を行うことはもちろんでございますけれども森林所有者とNPO等のニーズの突き合わせを行い、円滑な協定締結に結び付けることですとか、あるいはその協定認可後に市町村森林整備計画に即した適正な施業が行われているかどうか、そういったものを確認を行うなど、そういった役割期待しておりまして、このため、当該事務に係ります地方財政措置も講じられているということでございます。
  78. 千葉国男

    ○千葉国男君 ボランティアの方々活動、様々な活動があると思いますが、所有者にとって大変有り難いと感謝されているわけであります。先日も、ある地域での話ですが、三十人のボランティアの方に手伝っていただいたと。通常であれば、林業専門の作業員が一人で枝打ちをすると日数も一か月も掛かる。ところが、皆さんの御協力で一日で済んでしまった、大変有り難い、こういうふうに喜ばれておりました。  これら森林ボランティアの方たちは善意の行動で行っているわけでありまして、所有者の方から見れば、心配な点は、どれだけ継続性があるのか不安な気持ちもあるんではないかと思います。ボランティアの継続性について、林野庁としてどう考えられているのか、またどのような支援をされようとしているのか、そのお考えをお示しいただきたいと思います。
  79. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 森林ボランティア団体が増加しましてその活動が活発化する中で、その活動を受け入れられます森林所有者の中には、受け入れた団体が途中放棄せずに継続的に活動実施していけるのかといったような点に不安があることはもう十分承知いたしております。このため、森林ボランティア団体等の支援に当たっては、団体の継続的な活動促進することも念頭に置きながら、これまでも指導者の育成あるいは森林づくり活動等を支援してきたところでございまして、今後も積極的に支援していくことにいたしております。  また、本法案にはNPO法人等と森林所有者が締結します森林施業実施に関する協定、これにつきまして市町村長が認可する制度、これの創設が盛り込まれているわけでありますが、森林所有者が安心して森林ボランティア団体森林整備の委託をできる環境整備の一助になるのではないかというふうに考えております。さらに、森林法の一部改正と併せまして森林法施行令の一部改正を行いまして、新たな施業実施協定の認定を受けたNPO法人等が植栽あるいは下刈り、こういったものの森林整備を行う場合、助成対象としていきたいということで考えております。  今後とも、これらの施策の推進等を通じまして、森林ボランティア活動促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  80. 千葉国男

    ○千葉国男君 森林施業は、足場の悪い場所で機械で行うものが多く、倒木の下敷きになる危険と隣り合わせの仕事が多いようです。私の友人にも、若いころ林業に従事し、事故に遭って右腕をなくした社長がおりますが、一度事故を起こしてしまうとせっかくの活動が、ボランティア側も、所有者側双方が後味の悪いものにならないように望みたいと思います。  そういう意味で、ボランティア活動の安全対策についてどう取り組まれているのでしょうか。
  81. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 現在、この森林ボランティア団体、一千団体を超えておりまして、森林ボランティア活動が活発化する中で、平成十二年のアンケート調査でございますが、におきまして、森林ボランティア団体の約三割が安全の確保指導者の養成を活動で苦労している点ということで挙げられておられます。  林野庁といたしましては、森林ボランティア活動におきます安全の確保や、そのために重要役割を果たします指導者の育成支援のために、これまで森林ボランティアの指導者養成研修の開催、そういった支援を行ってきたところでございます。これに加えまして、平成十六年度におきましては、森林ボランティア活動への参加者を対象にしてNPO等が実施いたします安全・技術研修、こういったものへの支援を行うことにいたしております。  今後とも、これらの安全確保のための施策を推進することによりまして、森林ボランティア活動促進に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  82. 千葉国男

    ○千葉国男君 林業普及指導職員の一元化についてお伺いをしたいと思います。  最近、林業関係者から、行政事務が多様化する中で本来の林業技術専門員並びに林業改良指導員の果たす指導役割が低下しているのではないかという意見があります。地域の要請に的確に対応し得る体制作りに向けた見直しが必要ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。  具体的には、これまで植林と管理が主な業務だったそうですが、これからは、木材の加工、流通、それから素材生産の効果的なシステムなど、収益に結び付ける指導も要請されているということであります。いわゆるこれからはマネジメント能力の発揮など、普及指導職員にそういうことを現場が求めるということになります。林野庁としてこのような要望にどのように対応するおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  83. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 確かに、御指摘のように、近年、普及指導事業に対しましては、従来のように植栽とか保育といった森林施業あるいは森林管理、こういったものから、木材の加工、流通、生産システムなどを含めた地域におきます効率的なシステムの構築、あるいはマネジメント、こういったものが求められるようになってきております。  このような地域の要請に的確に対応し得るように、一つには普及指導区を廃止いたしまして、地域の取り組むべき課題に弾力的に対応できるようにすると。それと同時に、取り組むべき課題の重点化を図りまして、木材産業や建築関係などを含めました地域における関係者との幅広い連携を取りつつ、関係者の合意形成や必要とされる技術知識の普及に取り組んでいく考えでございます。
  84. 千葉国男

    ○千葉国男君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  85. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  86. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、森林法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  それでまず、国有林の管理で、特に自然公園の樹木の管理をめぐってお聞きしたいと思います。  私、住んでいるところは札幌なんですけれども、札幌と江別の間に野幌というところがありまして、ここに野幌原始林という国有林を含む貴重な自然公園があります。それで、昔から、家族ぐるみでレクリエーションですとか、それから小学生の体験教育ですとかバードウオッチングですとか、広く市民にも親しまれ愛されているところです。  市民の中でも自然林を守っていこうということで自主的な活動がありますし、この自然公園の中の立ち木の管理をめぐって、毎年、安全性の視点に立って危険木について森林管理署が伐採計画を作って、危なくないようにということなんですけれども、そこで木を伐採するわけです。その際、市民のグループの中から切る必要のない木まで切っているんじゃないかというような意見が出て、本当にこの森林、昔から親しんできているところで、市民、道民にとっても森はやっぱりみんなのものなんだと、だから一度計画を作ったらもう全部伐採するんだということではなくて、我々の意見も聞いてほしいということで出されて、結局、何度かやり取りしたわけですけれども、結果的に、その出された意見を受け止めつつといいますか、生かされる中身で調整図られたというふうに聞いているんですけれども。  ちょっとこの対応をめぐって、対応についてどういう対応をされたのかということをお聞きしておきたいと思います。
  88. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 今お話ありましたのは、北海道立の自然公園の野幌森林公園内の危険木の伐採をめぐった話合いの話だと思います。  状況につきましては先生の方がお詳しいとは思いますけれども、どうしてもそういった中では、遊歩道とかあるいは人が入り込むところにおきまして危険木、そういったものがございまして、そういったものにつきましてはある程度最初に取り除いておかないと、そこに散策に来た方、そういった方々がそれで被害を受けたりしますと大変なことになるということで、毎年調査しまして、こういった中で危険なものについては伐採するということでやってきたわけでございます。  今、先生からもお話ございましたけれども、そういった中で、ちなみに例えば十五年度ですと、私どもの方が聞いておりますところでは、現地の方ではずっと見て回って百九十七本、これがこのままにしておくと危ないのではないかと、歩行者にまた危害を加えるんじゃないかというように予定したわけでありますけれども、いろんな様々なところからの御意見では、ちょっと多過ぎるというふうなことで何回か意見のやり取りがありまして、最終的には現地の方も見まして、そういった方々意見、こういったものも受けまして、百六十本、これにつきまして縮小しまして処置したというように承知しているところでございます。
  89. 紙智子

    ○紙智子君 私、この対応というか、聞きまして、やっぱり国民参加森林づくり推進しようという視点で見ても、市民が参加をして、やっぱりみんなで一緒に森林を大事に育てていこうということでは積極的な経験だというふうに思うんですね。  それで、たまたまこういう言う人がいて、意見を言う人がいて、それで明らかになったわけですけれども、こうした自然公園の場合、市民に計画を示して意見を聞く場を設定するとか、こういう一方通行でなく、国民、市民も双方向で参加できるような森林づくりのシステムというのはやはり整備して確立するというのも大事なんじゃないかというふうに思うんです。  森林と人の共生林に指定されてもいると思うんですけれども林野庁努力と併せて環境省とも連携をしてやっていくことが大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  90. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 確かに、御案内のように、私どももこの国有林、国民共通の財産であると。そういった中で、特にこの抜本改革、こういったものを通じまして正に国民森林として位置付けまして、森林との触れ合いですとか国民参加、こういったものに努めているところであるわけでございます。  そういった中で、特に、とりわけ今もお話もございましたけれども、私どもの方も、そういった中で自然景観に優れたようなところ、そういったところにつきまして例えば自然休養林というような形で指定いたしまして、そういったところにつきましては、実は多くのところで地元自治体で構成されております保護管理協議会、こういったものを多く設けておりまして、そういった下で利用者の利便を図るための歩道整備ですとかあるいは休憩施設、そういったものの設置に加えまして、利用者の安全確保を図るための危険木の伐採、除去、こういったものにも努めているところでございまして、そういった中で危険木の伐採等につきましては、今後とも自然休養林の管理を行う側としての利用者の安全を確保するということも念頭に置きながら、地域住民等から出されました意見、要望も踏まえながら、立木の、立ち木といいますか、立ち木の状態、こういったものを勘案して行ってまいりたいというように考えている次第でございます。
  91. 紙智子

    ○紙智子君 よろしくお願いしたいと思います。  それじゃ、森林ボランティアの問題で、次、質問さしていただきます。  NPO法人などの活動支援することは、国民森林林業重要性を知ってもらうということでその機会を広げるということや、それから、将来そういう森林の、林業担い手を生み出すということでは、そういう可能性も含んでいて、意義のあることだというふうに思います。  今回の改正で、森林ボランティア活動を行っているNPO法人等と森林所有者等が締結する森林施業実施に関する協定ということでは、市町村長が認可する制度を創設することになるわけですけれども、全国で初年度にこの施業実施協定を結んで活動する団体というのはどのくらいできるでしょうか。
  92. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 若干少しこの背景等も御説明させていただきたいと思うんですが、市町村長が行います森林所有者森林ボランティア団体との協定の認可に当たりましては、当然のことながら、施業実施時期ですとか方法あるいは内容、こういったものを勘案いたしまして、協定を遵守いたしまして適正な森林施業、こういったものを実施し得る能力を有するNPO等、ここが森林所有者等協定を締結するものというふうに考えられているわけでございます。  こういったNPO等の中には、確かに一時的な植林等の施業に限定した活動を行っているものも多く、十分な施業技術を有していない団体といったものも多く見られます。しかしながら、一方では、森林所有者等との一定の取決めに基づきまして継続的に間伐等森林施業実施している団体が増えておりまして、実はこのような団体、昨年十月の調査におきまして全国で約七十団体把握しているところでございますが、今後このような森林施業の経験を積んだ団体、これが協定にまずは参加していくというように考えられるところでございます。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 森林所有者にとってもこの協定のメリットを期待することにもなると思うんですけれども森林区域・面積だけでなく、NPO法人等の行う森林施業の種類やそれから実施方法、時期なども細かく協定を結ぶことになるわけですよね。で、NPO法人等の側の責任も出てくるということでは、今までとちょっと状況も変わってくるというふうに思うんです。  それで、先ほどもちょっと出ていましたけれども、安全対策という問題も、これは非常に大事な問題だというふうに思います。最近も、二月の末に、兵庫でですかね、痛ましい事故が起きています。死亡事故ですね。ベテランの森林ボランティアが間伐作業中にチルホール、ねらった方向に倒すものだと思いますけれども、そのチルホールを扱っていて、倒した木の下敷きになってしまったと、そういう事故だったわけですけれども。日ごろからやっぱり事故が起きないようにということは十分注意を払って作業に当たっているというように思うんですけれども、それでも起こってしまうと。やっぱり、なぜそうなるのかという原因の解明ですとか、安全対策にこれ生かしていかなきゃいけないということでもあると思うんです。  NPO団体が加わる新しい試みでもあるということでは、様々な事故の原因の解明とこの安全システムの確立ということについては、やっぱり林野庁も責任を持って講ずる必要があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  94. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 確かに、実は先ほどもちょっとお話し申し上げたかと思うんですが、森林ボランティア活動におきまして、安全対策につきましては、十二年のときのアンケート調査におきまして、ボランティア団体の約三割、これが安全の確保あるいは指導者の養成を、その活動で苦労している点というふうに挙げておられます。  そういったことも踏まえまして、私どもといたしましても、森林ボランティア活動におきます安全確保等のためボランティアの指導者の養成研修に対します支援を行ってきたところでございますし、さらに十六年度におきましても、森林ボランティア活動への参加者を対象といたしまして、NPO等が実施いたします安全技術研修、こういったところへも支援を行うことにしているところでございます。  当然、そういった中で不幸にもいろんな災害、そういったものが出た場合には、当然私どももその内容を把握して、関係のところにそういったものの情報を流すと同時に注意喚起をしていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 安全対策については、今までも多くの関係者が指摘してきている問題だと思うんです。現場の人も承知して、なお起こる可能性もあると。それで、十五年度の保険の申請だけでも全国三十六件あったというふうに聞いています。二重三重の安全対策を取って、やっぱり責任体制もはっきりしておくというのは必要なことだと思うんですね。  既存の森林組合作業班や雇用関係のある事業体とはまた違った性格なわけです。NPO団体、自主的にやるということでもあるわけですけれども、NPO団体の性格や特徴に即した安全マニュアルが必要だというふうに思うんですけれども、この問題では、法律改正して位置付けるというふうになっているわけですから、団体と行政の協力や連携、このルールも作っておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。
  96. 前田直登

    政府参考人前田直登君) ボランティア団体活動ですので、そういったものにいろいろ条件的な枠をはめるというのはいかがかとは思いますけれども、確かにボランティア団体活動、そういった中での安全確保、こういったものは大事だと思いますし、また、私どもも、今申し上げましたように、安全対策のためにいろいろな支援を行っているところでございます。  また、今ちょっとお話にありましたけれども、事故に備えまして、民間におきまして森林ボランティア活動対応いたしました保険といったものも複数ございまして、これらに加入することもある意味では望ましいというふうに思います。林野庁といたしましても、様々な機会を通じましてこのような民間ボランティアの保険につきまして紹介あるいは情報提供、こういったことも行っていきたいというように考えている次第でございます。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 それからもう一つ、国有林で今度新たに森林環境保全ふれあいセンターが新設されることになります。センターとして行うことでいえば、国有林での技術支援などの活動が中心になるというふうに聞いているわけですけれども、このボランティア団体の安全対策にかかわってどういうことができるだろうかというふうに思うんですけれどもボランティア団体から見ますと、この対象は同じなんですね。民有林、国有林、施業というか、やるわけですけれども、やっぱり民有林、国有林で情報を共有して相談の窓口を充実していくということができればなおいいかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  98. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 今度、四月一日から確かに御指摘のようなふれあいセンター、こういった、国有林といたしましても各地にそういった組織を作りまして、いろんな地域国民参加森林づくり、そういったものに資していこうということで取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、そのボランティアの関係につきましては、実は昨年の夏には林野庁の本庁の方にもボランティアの窓口を作りまして、いろいろな相談に応じていると。さらには各森林管理局、さらには各森林管理署、こちらの方にもそれぞれボランティアの相談窓口、こういったものを設けまして、いろいろ相談に乗っていきたいというようなことで今取り組んでいるところでございます。  私どもも、こういった民有林と国有林、いろんな形で連携取りながらやっていくことが大事だと思いますので、今後とも民有林サイドの方とも連携を取りながら対応していきたいというように考えている次第でございます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 あと、二〇〇一年以降の林野、土地の売払いの実績を見てみますと、五十ヘクタール以下の林野それから土地の売払いは千四百二十三件なんですね、二〇〇一年以降ということで見ますと。林野に限りますと千十六件と。大半が道路用地なんですけれども、そのほかに公共施設用地や公園やゴルフ場用地もあると。自治体に貸し出してもいいわけで、とにかく売ればいいということではなくして、国民共有の財産としてこれを維持して、例えばフィールドとして提供するとか、あるいはボランティア団体などに広く提供するとか、こういうことも大事ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  100. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 私どもも国有林につきまして、いたずらにとにかく金を稼ぐためにばんばんどこでもかしこでも土地を売っているわけでは決してなくて、それなりに原則堅持森林、こういったものを想定し、例えば保安林とか大事なものにつきましては国として今後とも引き続き守っていく。あるいは一部豆粒みたいなところで飛び地みたいなところがありますれば、そういったところでは、要望等があった場合にはそれぞれの要件、そういったものを審査した上で売払いあるいは貸付け、そういったことを行っているところでございまして、今後とも国有林野の管理、特に利活用、そういったものにつきましては適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。  なお、今お話ございましたボランティアのフィールドというお話でございますが、実は、私どもも先般の国有林の抜本改革、そういった中で、国民に開かれた森林にしていきたいという観点から、実は各森林管理署、全国の各森林管理署に少なくとも一か所ずつぐらいはふれあいの森というふうな形でエリアを設定いたしまして、そういったところで森林ボランティアの方々あるいは地元の有志の方々、そういった方々がいろんな森林体験できる、あるいは森林作業に携わることができる、そういった形のものに心掛けてといいますか、努めているところでございますし、さらには、最近ですと遊々の森とか森林教育の森、そういったものも作ったり、あるいは古事の森、いわゆるいろんなボランティアの力をかりながら森林を育てていくといったようなエリアも設定して取り組んでいるところでございまして、今後とも積極的に取り組んでいきたいというように考えている次第でございます。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 森林所有者等協定を結んだこのNPO法人等の森林整備活動というものは、民有林整備補助の対象になると思いますけれども、この補助単価の基準についてはどういう検討をされているんでしょうか。既存の団体と差を付けるのかということなんかもあるのかどうか、その辺のところをお聞きします。
  102. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 今回の森林法改正と併せまして、実は施行令の一部改正を行いまして、今お話に出てきました森林ボランティア、これが所有者の方と協定を結んで、それを市町村長が認定すると。そういった場所において森林ボランティアが森林の保育ですとかそういったものに携わった場合につきましては森林整備事業の助成対象に入れるということで、施行令の一部を改正いたしまして対応していきたいというように考えているところでございます。  そして、ただ、こういったボランティアの活動につきましては、専業として行っております森林組合あるいは林業事業体、そういったいわゆる通常の森林整備事業実施主体とは、その性格あるいはその必要とする経費、そういったものの内容が異なりますことから、森林組合等の通常の事業実施主体とは異なる補助単価を設定していくという考え方を持っておるところでございます。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 将来、NPO法人がだんだん発展というか育っていった場合に、地域によっては、森林組合や伐採の仕事をしている林業事業者との競合ということもあるかもしれないと、その場合のすみ分けなんかも検討しておく必要性なんかはどのように考えておられるでしょうか。
  104. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 確かに、森林整備保全活動を行っておられます森林ボランティアの団体の数は増加傾向にあるわけでございますけれども、やはり何といいましても、一般市民の参加による活動が主でありまして、高い技術力あるいはその運営体制、こういったものを備えている場合は少ないわけでございます。そういう意味では、直ちに森林整備担い手や労働力というものにはなかなかなりにくいという面を有しておりますし、また森林ボランティア団体活動につきましては、森林所有者等の理解と協力の下で、ある意味では限られた区域、こういったところで実施されているというようなことから、森林ボランティア団体取組、これが既存の森林組合等と競合するというような状況にはないというように考えているところでございます。  一方で、森林ボランティアにつきましては、森林整備保全に対します理解の促進、あるいは潜在的な林業への就業希望者の掘り起こし、都市と山村との交流等といった面でいろいろな活動期待されるわけでございまして、そういったものも頭に置きながら、林野庁としても積極的に取り組んでいきたいというように考えている次第でございます。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、次、林業普及体制の見直しの問題でお聞きしたいと思うんですが、法案では林業専門技術員と林業改良指導員の資格を一元化するということになるわけですけれども、この林業改良指導員の質的な向上の要望というものもあると。これは確かに大事なことだというふうに思うんですけれども、この新たな林業普及指導員に具体的にはどのような役割や能力や資質を求めるということなんでしょうか。
  106. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 端的に言いますと、今般の林業普及指導職員の関係につきましては、いわゆる従来のSP、いわゆる専門技術員でございますが、この方々は言わば試験研究とか高度の林業知識、こういったものを習得しまして普及員にいろいろレクチャーする、教えると。一方で、AGと呼ばれます林業改良指導員、この方々はそういったものを受けて地域の林家あるいは森林組合等々に対して技術の普及を図っていくという役割分担をやってきたわけでありますけれども、これを言わば一元化しようと、一体化しようということで、そういう意味では一人の普及職員がそういった林業関係につきます専門的な知識、こういったものを併せ持って普及活動に携わっていくということを私どもとしては期待しているということでございます。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 普及指導職員のこの一元化の実施というのは一年間延ばしたわけですけれども、本来であれば、やっぱりよくその関係者の要望も聞いて、よく検討した上で法案として出すと。これ自体を単独で審議してもいいぐらいのことだというふうに思うんですけれども。  それによって、三年間の期間を設けて、その間に資格試験を受けて合格した者でなければ任務に就けないということですよね。どういう試験制度にするのか。現在の林業改良指導員は既に実績、経験を踏んでいる、積んでいるわけですけれども、そういうことも勘案されるのか、それについてお答えください。
  108. 前田直登

    政府参考人前田直登君) これまで、林業専門技術員、SPでございますが、これの資格試験につきましては農林水産大臣が、林業改良指導員、AGでございますが、の資格試験に関しましては都道府県知事が行ってきたということでございます。これにつきましては、今お話ございましたけれども平成十七年度から一元化を行いまして、新たな資格試験につきましては農林水産大臣実施するということにいたしているところでございます。  この受験資格、それから試験項目等、試験の具体的内容につきましては、昨年十一月に設置されました林業普及指導事業の資格試験制度等に関する検討会、ここにおきまして現在論議を進めているところでございまして、今後、本検討会の論議の内容も踏まえ、柔軟かつ効率的な事業実施ですとか新制度への円滑な移行、こういったことが図られますよう検討してまいるという考えでございます。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 それから、地方分権改革推進会議や経済財政諮問会議で決めました交付金の縮減、これが十分な国会の審議もされずに、先行して、今年度の予算でも六・九%縮減されたと。平成十六年から三年間で二割削減が既定方針になっているわけですね。普及事業の重点化、効率化、資質向上とこの人員の削減というのは結び付けるべきではないというふうに思うんですけれども、結果として、これ、人員削減ということになるんじゃないでしょうか。
  110. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 直ちにそのことが人員削減になるかどうかにつきましては、ちょっと今断定的にはなかなか申し上げにくいところでございますけれども、ただ、予算の方につきましては、今、先生御指摘にありましたように、実は林業普及指導事業の交付金、平成十六年度予算案におきまして三十三億八千万円となっているわけでございます。これが十六年度から十八年度までの三年間で約二割縮減することとされているところでございまして、林業普及指導事業都道府県におきまして、これまでも効率的あるいは効果的な取組、こういったものを推進してきたところでございますけれども、今後、その取組課題の重点化によります普及活動の効果的な実施ですとか、あるいは一元化によります普及活動の効率的な実施、あるいは、民間で可能なものは民間で行うということで民間との役割分担の明確化、こういったものを進めることにいたしておりまして、これらの取組を通じながら普及指導事業の柔軟かつ効率的な実施に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 二〇〇六年までの交付金の一般財源化については方向も決まっているわけですけれども、そういう中で、研究普及課が都道府県に行ったアンケート、この中で、一般財源化すれば林業事業の普及費が大きく減少するおそれが大きい、それから、交付金の廃止が普及制度の終末を意味し、地域と密着した行政が成り立たなくなるというように、十一件、こうした維持、存続を求める回答が寄せられているんですけれども、これ、当然だと思うんですね。このような出されている意見に耳を傾けて対応すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  112. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 私どもも、この普及事業の在り方等々につきましてはいろいろ検討会等も含めまして検討してまいってきているところでございまして、そういった中で、各地の方からいろんな御意見出てきているのは十分承知いたしております。  私どもといたしましては、そういった御意見等々も含めながら、きちっと普及事業が今後とも進められていくように、きちっとした形で普及事業が担保されていくように、そういった方向で努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 その直接減ることにはつながらないという話なんかもされているんですけれども、実際には財源的には非常に厳しくなってきているということでは、私はやっぱりこの点の懸念というのは否定できないというふうに思うんです。  今回の改正の中で、林業普及体制の見直しについては、やはり一元化によって林業改良指導員の縮減や交付金の削減が加速されるというふうに思いますので、この点では私は賛成しかねるというふうに申し上げたいと思うんですね。  それから次に、保安林対策の問題ですけれども、全国各地でこの保安林整備は水源の涵養や山地の災害防止にとっても必要なことです。  森林への産業廃棄物の不当投棄が今問題になっているんですけれども地域の住民の運動が起きたり、県ではこの条例を作って対応するところもあるわけです。森林法では、この林地開発許可制度は、第十条の二で、地域森林計画対象となっている保安林など以外の民有林において、一ヘクタールを超える規模の開発行為をしようとする者は都道府県知事の許可を受けなければならないというふうにしているわけですけれども、この条項は森林の公益的な機能を守る上でも役に立っているというふうに思うんですね。  ところが最近、この一ヘクタールにならないように、小分けしてというか、三か所ぐらいに例えば分けて規制を逃れるという事例も出ていて、広島県なんかでもありましたけれども、こういうところにも厳しい指導、更にこの法的規制も必要だというふうに思うわけです。  このような一ヘクタールの規制を逃れるようなやり方に対して、農水省として都道府県にどういう助言や援助をしているんでしょうか。
  114. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 御案内のように、森林法におきましては、林地開発許可制度によりまして一ヘクタールを超える森林の土地の形質の変更をする行為、これにつきましては知事の許可制にいたしまして、当該行為に伴って災害等の発生が起こらないようにということで措置しているわけでございます。  この一ヘクタール以下の林地における開発行為につきましても、実は森林法を前に改正いたしまして、伐採あるいはその伐採後の造林、こういったものを市町村長に届出を行うということにいたしております。  そういったことで、その状況の把握に努めますとともに、特に一ヘクタール未満であっても一体性を有する、今お話にございましたけれども、一体性を有する複数の小規模の林地開発行為の合計面積、これが一ヘクタールを超える場合には、通常連檐というふうに私ども呼んでおりますが、そういったものにつきましては林地開発許可制度により対応しているということでございます。  さらに、都道府県あるいは市町村におきましては、森林法に基づきます林地開発許可制度対象にならない小規模な開発行為につきましても、地域実情に応じて必要な場合は条例を定めて対応というふうなことも行っているところでございます。  なお、森林法におきましては、先ほどお話に出ましたけれども、林地開発許可制度のほかに保安林制度、特に重要なところにつきましては保安林に指定いたしまして、規模の大小を問わず開発行為を規制しているところでございまして、これらの制度の適切な運用、こういったものを通じまして、森林の有する公益的機能確保、これに努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 環境破壊を許さないということでいいますと、森林を守るために更に必要な政令などの改正を求めていきたいというふうに思います。  あと、もう少し時間がありますので、違法伐採問題についてお聞きしたいと思います。  地球温暖化対策の上でこの違法伐採問題の解決というのは非常に重要だというふうに思います。日本が大量に木材輸入する国でもこの違法伐採による森林破壊というのは深刻になっているということですね。二〇〇三年、去年、千葉県で開かれた国際森林専門家会議が、ここで議論もされているわけですけれども、日本に対しても、日本はこの熱帯木材の消費大国だと、そういう中でリーダーシップを期待するという声も出されているんです。  それで、大臣、国内の森林法規の実行やこの林産物の違法な国際貿易や持続可能でない伐採について早急な行動を起こそうということで合意されているわけですけれども、この違法伐採問題についてどう日本として取り組んでいるのかということについて、お話をいただきたいと思います。
  116. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 違法伐採問題につきましては、我が国は二〇〇〇年の九州・沖縄サミットにおきまして、沖縄サミット以来、様々な国際会議におきまして、この問題に取り組むことの重要性を強調しておるわけでありまして、実は昨年六月、私も、我が国とインドネシアの間での合法に伐採された木材の確認・追跡システムの確立と違法に伐採された木材を貿易から排除する仕組みの検討等を内容とするアクションプランを策定をし、両国担当大臣間で署名をしたわけでありまして、これを、その後、この取組、二国間のあるいは多国間での協力と、二〇〇二年のヨハネスブルクのサミットで発足いたしたアジア森林パートナーシップの活動などの連携を通じまして、地球規模での持続可能な森林経営と環境保全への取組推進しておるところでもございまして、これは、違法伐採の問題につきましては、重要な問題として今後とも努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり、今、政府の早急な取組というのが求められているというふうに思うんです。  二〇〇三年二月十一日に、日刊木材新聞というのがありますけれども、この新聞によりますと、全国木材組合連合会がまとめた森林違法伐採問題に関するアンケートと。その結果で、違法伐採された木材が日本に輸入されているかどうかということで、そう思っているという人が六九%、思わないという人が三%と。ですから、アンケートの対象となっているのは、製材業や流通業の木材を扱っている実際の現場によく精通している業者の方たちだと思うんですけれども、多数のやっぱり認識になってきているということでは、そういうやっぱり実態といいますか、掌握をできるということでもあるというふうに思うんです。  政府としてやっぱり、違法伐採に取り組むということは、国内の法規制もきちっと進めるということだというふうに思いますし、やっぱり、一方では国内の今森林林業国民合意で進めていくんだというふうに言いながら、その一方で違法伐採の木材が大量に入ってきているということになると、これ矛盾するわけで、こういう点、本当に矛盾した構図を断ち切るというところで力を尽くすべきだというふうに思うんですけれども、もう一度この点でお答えを求めまして、質問にさせていただきたいと思います。
  118. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど申し上げましたような国際的な問題としての対応と、さらには輸入木材輸入先国における森林の現況把握調査等々もいたしまして、その対応をしっかりやってまいりたいと、こう思っております。
  119. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  法律はさておきまして、どうも今日いろいろ議論して感じたことといいますか、前々から感じていたことでもあるんですけれども、どうも森林林業、これを守るのは農林水産省林野庁だと思うんですけれども、事実そうだろう、そのはずなんですが、その日本の森林をどうとらえて、どういうふうに積極的にやっていこうかという感じが、私が浅学のせいか非常に見えてこないのが実情でありまして、その辺、今回もしはっきりできればなというふうな感じでちょっと質問させてもらおうと思っているんですけれども。  今日の議論を聞いていましても、皆さんそれぞれの思いがあると思うんです。ところが、対森林といいますと、これは相当広い。単純に分けましても、いわゆる林業をやっているところですね、それから、森林といいますか、森林を保護しなきゃいけないところと、大きく分けてその二つになろうと思うんですけれども林業というのは、これは産業なわけで、その産業の面では今の時代、必ずしも恵まれていない、むしろ逆境にあるというわけですが、この産業のとらえ方にしましても、今までは、昭和三十年代ぐらいは、いわゆる継続的な産業といいますか、もうずっと材木景気があったと思いますので、もう毎日毎日の、いわゆるほかの産業と同じようにずっと継続してできた。だけれども、長い歴史を見た場合、林業というのは必ずしもそうでない。  これは、私が聞くところによりますと、昔からのものの林業に対する考え方というのは、時間とお金があるときに投資をすると、そのときに植林をすると。そしてある特定な時期に、例えば何か家を造るとか何か特別の出資が要るときにそれを処分してするというような、森林所有者の側からすればそういうようなのが林業の形態であった。だけれども、それだけじゃ済まないですから、その間に林業労働者たる者がおって枝打ちとか何かこうしてきたというような、そういう状況が一つの森林の中の林業の姿でありますし、逆に言うと、森林保護というのは、これは言うなれば国土保全ですね。これから金が、これによってお金をもうける産業としての要素というのはほとんどないんだと思うんですね。  そこで今、当然林業を守るということは、日本の、林業としての夢を託すということは、これだけの財があるんですからそれは当然かもしれませんけれども、私はやはり世の中、森林保護という面で森林を考えている人の方がはるかに多いんじゃないかと。そういう意味で、林野庁の仕事というのは今の世の中の風に乗っているんじゃないかと思うんですが、その辺でそういうものに対してどういうふうに取り組むかということが今一番重要であると。  同時に、産業としての林業であればこれは必ずしも過保護でなくて産業として成り立つようにやればいいんでしょうけれども森林保護としての施策というのは、これはもうかりませんから、その分の予算、公共事業とは言わないですけれども、何らかのそういう公的な財源が必要だと。その公的な財源をどうやって支出させるか、納得してもらうかというためにこれを、森林保護という面をどう強調するかということが僕は今の林業で一番大事なことじゃないかなとかねがね思っていたんです。  そして、実際、私こんなこと言うと自慢話的になりますかもしれませんが、十年以上前に県でこういう仕事をやっていたときに、要するに林業であれば余り予算的に期待できないけれども、自然保護、国土、森林保護であればこれは予算的に、公的に出してもいいんじゃないかということで、そのためにはまず森林を分類しようということを始めまして、それで今の林野庁のあれとは必ずしも合ってはおりませんけれども、そういう、そういうところから森林というのをしっかりつかもうという、それによって日本の森林は、私どもは県の森林ですけれども、そういうものをどうしようかというようなことで考えた記憶があるんですが。どうもその上には、必要なのは日本の国の森林をどうするかという、どうとらえてどうするかという大きな問題があると思うんですが、どうもその辺が、昨日も担当の方、私のところへお見えになっていろいろお聞きしたんですけれども、もう一つその辺がすっきりしないんですよ。  今日は大臣長官もおられますのでその辺をもうちょっとお聞きしたいと思うんですが、昨日出した質問とはぴったり同じじゃないですけれども、まず三つに分類されましたよね。その三つに分類されたというその分類の仕方の理念といいますかね、これはどういうふうに考えたらいいんですか。
  120. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 私も先生の前の御主張、それなりに存じ上げておりますけれども、確かに林野庁、かつていわゆる予定調和論の下で、経済的に一番メリットのあるときに切っていくのが一番公益点も一番高くなる、そしてかつ森林というのは分類すべきじゃないということで一本であると。一つの森林というのは、公益機能発揮するし、経済的機能発揮するし、国土保全もやっていくんだという理念の下でやってきたわけでありますけれども、そういった中で、お話もございましたけれども、やっぱりそういった中でなかなか、国民方々にもなかなか理解してもらいにくい。あるいは、そういった中で森林のお手入れ、かつてのようにほっておいても内的駆動力が働いてどんどんどんどん活発に森林整備がなされていくという時代であればいいんですが、林業が低迷する中で施業なりそういったものはなかなか行われ難くなってきていると。  そういったことを踏まえまして、例の十三年のときに森林林業基本法、これ三十七年ぶりに改定いたしまして、それで、やはりその森林というものを、又は一本の森林ではなくて、やはりそれを一つの要素によって機能分類をやるべきじゃないかということで、例えば国土保全ですとか水源涵養、こういったものを第一義にとらえて施業していく森林、こういったものを水土保全林に、そしてまた、人と森林とが触れ合う、いわゆるレクリエーションあるいは自然維持、そういったことをやっていく森林、こういったものを人と森林との共生林、そして、木材生産、こういったものを効率的にやっていこうとするもの、そういったものを資源循環利用林という形で分類いたしまして、そういったものを地域の意向等々も踏まえて全国の森林を張り付けたと。その結果が、申し上げますように、六〇%以上が水土保全林、それから二十数%が森林と人との共生林と、残りの一五、六%ぐらいだったと思いますけれども、一三%でございますけれども、失礼、共生林が一三%、それで資源循環利用林が二一%というような状況になっておりまして、それぞれの目的あるいはその機能、これに応じた施業をやっていこうということで今取り組んでおるというような状況でございます。
  121. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そこで、大まかに分ければ三つの、そうすると、その三つに対しての施策の違いというのが打ち出されなきゃいかぬし、そうあるべき、当然あってしかるべきだと思うんですけれども、その辺の三つの分類に対しての政策的な違いというのはどんなふうにお考えになっておりますでしょうか。
  122. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 今申し上げましたように、私ども、全国の森林を三つのタイプに分けたわけでございますけれども、具体的に申し上げますと、水土保全林、こちらの方におきましては、いわゆる森林の取扱いといいますか施業、そういった面からは、まず基本的には伐期の、水土保全という観点から伐期の長期化ですとか伐採面積の縮小、そういった形で水源の涵養ですとか土砂流出防備、こういったものに資する森林施業、こういったものを実施していこう。わけても、そういった中で国土保全上極めて重要なところ、そういったところにつきましては択伐にするというような形でそれぞれの立地条件等も踏まえながら森林整備保全実施していこうと。  また、森林と人との共生林におきましては、里山林ですとかレクリエーション利用、そういったものを行う森林におきましては、広葉樹林の整備ですとかあるいは針広混交林、こういったものを推進しますと同時に、そういった中でも特に原生的な森林で自然環境保全上特に重要なもの、そういったものにつきましては自然の推移にゆだねるというようなことで、原則的には林業生産活動を行わないというような形で対応しているわけでございます。  また、資源の循環利用林におきましては、木材等の生産目標に応じました施業実施いたしますと同時に、効率的な木材生産に向けました路網等の整備、こういったものを進めていこう。そういった形で進めると同時に、予算の方につきましても、例えば森林整備事業、公共予算でありますが、これをそれぞれの水土保全、あるいは森林と人との共生、そういったもののタイプに応じた形で事業分類をやりまして、それに応じた形で支出していくという形に変えたい、来ているというような状況にございます。
  123. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そうしますと、施策の違いといいますか、一つの例としてとらえさせていただきますと、例えば林道密度なんというのはこれは三つによって随分変わると、そういうふうに考えてよろしいですか。
  124. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 基本的には変わってくるはずだと思いますが、今それぞれのところに具体的な数字として目標をきちっとコンクリートというような形ではやっておりません。  ただ、傾向的に言いますれば、当然その資源の循環利用林、こういったところは林道密度を非常に高くしていく、そして効率的な生産を努めていくということになりますし、森林と人との共生林なんかで特に原生的なものを保全していくというようなタイプにおきましては、原則的には道をほとんど入れていかないと、そういった形で対応していこうということになるというふうに考えております。
  125. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 すると、長官と私とどうもイメージが違うんじゃないかなと思いますのが、水土保全林ですか。私は、水土保全林というのはどちらかというと、もう林業としては全然、林業としての投資は難しい、しかし山を守らなきゃいかぬ、したがってそういう、どちらかというといわゆる一般の雑木といいますか、落葉樹といいますか、材として余り使われないようなものを僕は念頭に置いているんですけれども長官のお話は何か林業がそれほど大規模間伐、伐採しないとか植林しないとか、そういうようなことでまだ林業としての残っている部分がかなり大きいような感じで受け止めているんですけれども、これは面積からいっても大半を占めますよね、日本の国土の中の森林の中の。それはどっち、どういうふうにとらえたらいいんですか。私の理解は間違いなんですかね。
  126. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 必ずしも森林といいますのは一切伐採をしないということが健全な森林を維持し、またその水源涵養機能上高度な機能発揮していくということにつながるものではないというふうに理解しております。それで、この水土保全林につきましては我が国国土の六十何%を占めるわけでございますので、ほとんどの森林がこの水土保全というところに区分しているわけでございまして、そういったところでやはり水源涵養機能を高めていく、例えば水源涵養機能を高めていくということになりますれば、当然のことながら、専門的になりますが、例えば土壌の粗孔隙量を大きくしていく、あるいは浸透能を高めていくということになるわけでございまして、そういう場合にはどうしても活発な活性活力のある森林を造成していく、そういうことによってそういった水源涵養機能というのは高まってくるわけでございますので、やっぱり必要な適度の施業はやっていくことが必要であろう。  ただ、その場合に、その施業のやり方として第一義的に考えるのが水源涵養とかそういったものの機能がきちっと果たされるようにそういったものを第一義に置きまして、結果としてやはりそういった中で木材も一定程度産出されてくるということになるというふうに理解いたしております。
  127. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 もう過去に決まった分類ですから、今更どうこう申しませんけれども。  今、長官言われたことの言葉じりをとらえますと、水源涵養というのは別にどの森林も全部あるわけですよね、水土保全林だけじゃないわけですよね、循環型森林でもあるわけ。だから、それはそれとは別に置いておいて、私はその、こんなおせっかいかもしれませんけれども産業として投資するという予算を組むのか、そうでない国土資源として、自然保護といいますか、いろんな面、言っておられる、そういうものがあるんだけれども、そこにはなかなか投資しづらい、国民の納得が得られないとなかなか投資しづらいというような、そういう二つの分類の方が分かりやすいんじゃないかなという頭があったから、こういう質問になったことを今私も反省でもないんですけれども、ちょっと分かった気がするんですが。  そういう意味からいうと、蛇足ですけれども、水土保全林で森林をやるというところは、どちらかというと循環型森林の分類の中の一形態と考えた方が分かりやすいような気がするんですよね、その林業というものでとらえるわけですから。それはそれで結構ですけれども、そこで今こういう分類されて現状認識されました。その上で、その認識された今の現状をどうとらえて、その現状をですね、分類された、それぞれのあるんでしょう、それをどうとらえて、量的にもどうとらえて、現状をどう認識されて、それよりも森林を増やすのか減らしてもいいのか、それぞれの分類の機能を高め、どういうふうに高めていくのか。  例えば、今間伐していないところが幾らあるんだったらそれを何年間でどうするのか。細かいところまではいいと思うんですけれども、そういうような前向きの、日本の森林を守るという意味の前向きの姿勢というのが私は本当は林野庁の方から出していただきたいなと思うんですけれども、その今後の、これは大臣ひとつお願いしたい、今後の森林に対して前向きにやっていかれるおつもりといいますか、今はお聞きになってお分かりになると思うんですけれども、確かに現状あるのをどうしていこうかというのは随分検討されていると思いますけれども。  もう一つ私が感じるのは、前向きに、今の現状はここが足りないからこれだけのものは我々の守備範囲だと。その中で今はこれだけ足りないからこれをどうやっていく、どれを、これを対象にしてやっていくんだというようなことが林野庁に私は課せられた一つの森林施策じゃないかと思うんですけれども大臣の御所見がもしございましたら。
  128. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 森林林業基本法に基づきまして、これまでの木材生産、こういうことを主体とするところから森林の有する多面的機能持続的発揮、このことを考え、そういう中で先ほど長官からも申しておりますとおり、三つの区分に分けましていろいろの施策を進めておるわけでもございます。  そういう中で、やはり私はその、非常に難しい課題の今御質問でもございますけれども、やはりそういう面では災害の防止やあるいは水源涵養、こういう面での著しい支障を生じないようなことに致さなければならないわけでありまして、そういう面でやはりこの森林整備保全を着実に進めて、そしてその多様な健全な森林育成、そういう面で先ほど来申しました多面的機能を、森林多面的機能発揮するような形でしっかり、何といっても国土の七割を占めるわけでありますし、そういう中でこの水源涵養と、また今日的な課題としての地球温暖化の問題等、いろいろの要請も強いわけでありまして、そういう面でこの多面的な機能の持続的な発揮ができるような森林の施策を進めていかなければならないんではなかろうかと思っております。
  129. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 あと一分半ございますので、長官の、もし具体的に数字的な何か補足することがあればお願いします。
  130. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 今、三機能区分の関係でございますが、実はこれスタートしたときは私の記憶ではたしか水土保全林が約五割、それから森林と人との共生林が約二割、それで資源の循環利用林が三割であったはずであります。  それで、今日のいろんな情勢を踏まえながら公益の方にシフトしていったといいますか、そういった形の充実強化に努めてきておりまして、今日この割合につきましては相当公益の方にシフトしてきておりまして、水土保全林につきましては六六%に、五〇%から六六%に、それから森林と人との共生林につきましては一三%、それで資源の循環利用林につきましては前、三割ぐらいあったんですが今二割ぐらいに低くなってきているということで、全体としましては今約八割が公益林の方に位置付けて森林整備に取り組んでおると。  そして、その内容といたしましても、先ほど伐期の延長等々申し上げましたが、さらに、水土保全林等でございますれば複層林ですとか混交林を積極的に入れていく、あるいはその長伐期施業をやっていく、更に森林と人との共生林、こういったところにつきましてもその広葉樹施業を入れていく、あるいは混交林を取り組んでいく、そういった形で取り組んできているところでございまして、今後ともそういった適切な森林整備、こういったものに努めていかなきゃいけないというように考えている次第でございます。
  131. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。時間が来ましたので、終わります。
  132. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ブナ林の保全について質問したいと思います。  一昨年、関東森林管理局会津森林管理署南会津支署管内で国有保安林の違法伐採事件が明るみに出ました。これは林野庁による違法伐採ですからただ事ではないんですね。  そこで、警察庁の方にお伺いしたいと思いますが、事件の概要と現在までの捜査状況を簡潔に御説明いただきたいんです。
  133. 関一

    政府参考人(関一君) お尋ねの件は、昨年の十一月に福島県警察田島警察署におきまして森林法違反の告発を受理し、捜査を行っている事案であると存じます。  告発の内容は、平成十三年のころ、当時の林野庁関東森林管理局会津森林管理署南会津支署長が、森林法森林法の施行規則に定めます福島県知事との協議を怠り、国有保安林内の立木等を伐採などをしたというものでございました。  福島県警察におきましては、告発を受理した後、国有保安林内の数か所の検証や関係場所の捜索、更には被告発人等を含みます関係者からの事情聴取を行うなど所要の捜査を行っているところでございます。なお、昨年の十二月にも同種事案につきまして告発を受けておりますが、これにつきましても十一月の告発事案と併せて捜査を行っています。  今後、雪の影響等で検証ができなかった残りの箇所の検証を実施するなどによりまして、本件の全容解明に向けて鋭意捜査を推進していくものと承知しております。
  134. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ありがとうございました。警察庁への質問はこれだけなので、御退席ください。  林野庁長官お尋ねしますけれども、この事件について林野庁認識及びその後の対応説明してください。
  135. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 本事案につきましては、平成十四年六月、関東森林管理局、今お話にありましたけれども、南会津支署管内の国有保安林におきまして、森林法に定めます福島県知事との協議を経ないまま、平成九年度から十三年度までの五年間におきまして、間伐などで立木二万四千三百十五本、うちブナ等の広葉樹百七十六本、これが伐採されていた事実が判明したわけでございます。  これにつきましては、当時、担当者が間伐等については協議が必要ないというような誤った認識によって生じたものというふうに承知いたしておりますけれども、やはり国民森林を管理している者としてあってはならないことでありまして、誠に遺憾であるというふうに考えている次第でございます。  林野庁といたしましては、本事案を重く受け止めまして、関係した者を処分しますとともに、このような事案が再度発生しないよう、事案発生直後の平成十四年九月に開催されました森林管理局長等会議におきまして、保安林における伐採協議等の事務処理の徹底について指導いたしますと同時に、森林管理局及び森林管理署の担当者を対象とします研修及び会議等によりまして、関係法令、通達等の関係職員への周知徹底を図ったところでございます。  また、平成十五年十二月、長官通達によりまして、全森林管理局及び森林管理署等を対象に、すべての業務について適切な事務処理の徹底ですとか相互チェック体制、これの確立を図るよう指示したところでございまして、今後再発防止のため万全を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  136. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私が代表委員を務めます環境政党みどりの会議では、自然林の保護というのは最重要課題の一つとしていますので、大変この問題に関しては関心が深く、これまで林野庁とも何度も話し合ったりしてまいったわけですけれども、実はこの事件の舞台となった国有保安林というのは、生態学上、国際的にも非常に貴重なブナ林とみなされている場所なんですね。そこを長年にわたり林野庁自身が違法伐採していたという驚くべき事実なんです。ですから、林野庁のブナ林というものに対する認識には相当な問題があると言わざるを得ません。  現在、北半球においてブナ林というのは絶滅の危機にあるんですよ。例えば、かつてヨーロッパ、ヨーロッパブナの原生林が広大に広がっていたイギリスでは、開発のために伐採されて、ブナ林と呼べる規模の林はもう存在しないんですね。また、同じようにヨーロッパブナの原生林が広がっていたヨーロッパ全体でも、ヨーロッパブナの原生林の中核部分はほぼ完全に消滅しています。人の手が加わった二次林あるいは自然林のごく小規模な断片しか残っていないというのが実情です。同様に、広大なブナ林があったアメリカ東部、中国内陸部も、今ではごく断片的な林しか残されていないということですね。つまり、現在、北半球において手付かずの原生状態が保存されていて、比較的まとまった面積の残されているブナ林というのは日本だけなんです。  これまでの日本では、林野庁の進めてきた拡大造林政策のため、多くのブナ林が皆伐されました。そして、杉、ヒノキの林に変えられていったわけですよね。それでも日本列島は非常に地形的に険しくて降雪量が多いため、皆伐を免れてきたブナ林がまだ残っているという、本当に気候と地形に幸いされて温存されたというラッキーな部分があります。ブナ林というのは古くから生態系が維持されているわけですから、生物多様性を保護するためにも国際的な注目を浴びている場所なんですね。ですから、日本政府も新・生物多様性国家戦略というのを策定して、これを推進しているわけですから、林野庁がブナ林に対する正しい知識と認識を持っていないとすると、この新・生物多様性国家戦略というのは破綻してしまうんですね。  この事件を受けて、林野庁は会津のブナ林については保護策に転じました。これはまあ不幸中の幸いというか、大変いいことだと思います。しかし、ほかの地域のブナ林については今後も相変わらず伐採しようとしていると聞いておりますけれども、私は、林野庁はブナ林の伐採を全国的に止めて、会津と同様に全面保全策に転ずるべきではないかと思いますが、長官、いかがですか。
  137. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 国有林でございますけれども、脊梁山脈を中心に分布いたしておりまして、我が国の森林面積の約三割を占めているわけでございますが、そのうちのブナ林を含めまして天然林が約六割を占めております。そういったものが自然環境の保全形成、これに重要役割を果たしているということは御指摘のとおりだというふうに思っております。  私どもといたしましては、このため、このようなブナ天然林の取扱い、これにつきましてはかつてのような、確かにかつてはそういった皆伐をやっていたわけでありますが、皆伐をやめまして、天然力を活用しながらこういう後継樹を育成していきます択伐等の天然林施業によりまして、健全で活力ある森林育成を図っていくことにしているところでございますけれども、そういった中でも、原生的なブナ林で自然環境保全重要なものにつきましては、原則的に伐採を行わないという森林と人との共生林の自然維持タイプ、これに位置付けまして、その保全を図っていきたいというように考えている次第でございます。また、そういった中でも、特に原生の状態を維持すべき貴重な天然林等につきましては、森林生態系保護地域等の保護林に指定いたしまして、自然の推移にゆだねて人手を加えないというようなことで、厳正な管理を行うことにしているところでございます。  このような取扱いを通じまして、今後ともブナ林の適正な保全に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  138. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 会津のブナ林というのはもう世界でも類がないほどすばらしいブナ林なんですが、ほかにも幾つかそうした場所があるわけですよね。しかし、これも限られているわけですから、会津と同様にこちらの方も保全策に転じるように是非努力していただきたいと思います。  また、林野庁は会津のブナ林を森林と人との共生林に区分すると、そして未来永劫伐採しないと言明していますけれども、これ実際どのような手続でやっていくということなんでしょうか。
  139. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 先生御存じのように、実はこの南会津地域のブナ林、従前から地域住民の方々からの要請にこたえまして、従来からナメコ原木用に利用されてきたところでございます。一方では、この地域のブナ林、クマタカ等の貴重な野生生物の生息地となっておりまして、また日本有数の貴重な原生的なブナ林を形成しているということで、近年、その保存を図っていくべきとの要請が高まってきているところでございます。  国有林野事業におきましては、このような要請も踏まえまして、この地域のブナ林のうち原生的なものにつきましては、今後、自然環境の保全に係る機能を重点的に発揮させるべき森林としまして、原則的に伐採を行わない森林と人との共生林の中の自然維持タイプというものがあるわけでございますが、それに位置付けることといたしておりまして、現在、自然維持タイプとする原生的なブナ林の区域等につきまして検討しているところでございます。  具体的には、現在、関東森林管理局におきまして、学識経験者に委託いたしましてクマタカ等の生息地における森林施業の指針、これを検討中でございまして、その結果を踏まえて、次期森林計画の策定時、平成十八年でございますが、までには保全すべき具体的な区域等について決定したいというふうに考えている次第でございます。
  140. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それを決定して具体的に守られるという施策も是非とも考えていただきたいと思うんですね。  今回の森林法改正の目的は、適切な管理のされていない民有林などにおいて間伐植林などの適切な管理、保全を進めることにあります。しかし、生態系を無視してきたこれまでの林野庁の姿勢から考えますと、天然林と人工林の区別なく一律に施業がなされ、逆に天然林の生態系が破壊されるおそれがあるんじゃないかなというふうに危惧しているわけですね。  皆様にお渡ししたこの資料なんですけれども、この細かい字が書いている方をごらんいただきたいんです。これを書いたのは河野昭一京都大学名誉教授、国際的にも有名な生態系の学者さんで、私たちと一緒に行動しておりますし、南会津にも、ブナ林にも入って調査しています。  この方の書いた中で、この三段目のところがありますが、「林野庁の「天然林間伐で老齢木を伐採することは、森を若返らせるために必要とする」という主張ほど、生態学的にみてナンセンスな考えはない。結局、林野庁森林の成立にかかわる時間も仕組みもまったく理解していない。ブナ林の天然更新は、老齢木が枯死した後で出来るギャップと我々が呼ぶ小さな穴が、きわめて不規則に、しかも不確定的に、低頻度で形成されることが一つの要因となっている、というのが一般的な理解である。」ということがありまして、その間伐をするその対象を、先ほど他の委員の質問に対して、特段の理由なく五年以上間伐されていない場所という大ざっぱな時間だけの問題で規定しているわけですよね。この人工林と天然林の違いすらはっきり分かっていない、根本的なところが分かっていないんじゃないかと。要するに、天然林には間伐は要らないともう専門的な学者が国際的にも言っているわけですよね。ですから、それをあいまいにして、ただ間伐やってしまうと大変なことになると思うんですね。  そこで、要間伐森林制度などで間伐施業実施する際は、原則として人工林に限るべきだと、天然林は除くべきではないかというふうに思いますが、長官、いかがでしょうか。
  141. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 要間伐森林制度でございますけれども先ほど申し上げましたように、これにつきましては、市町村森林整備計画、こちらの方で間伐実施すべき標準的な林齢、こういったものを決めまして、ですからしたがって、その森林ごとにそれが間伐の、ここのところはどのくらいで必要だということが想定されることが前提になっているわけでありますけれども、そういったものが設定された場合に、それを特段の理由もなく相当期間経過して実施されないといったものにつきまして要間伐森林に指定していこうと、そして間伐を、適切な間伐を進めていこうということで考えているところでございまして、そういう意味では、実態的には人工林を主体に、対象に要間伐森林が指定されているような状況にあるわけでございます。  ただ、これから制度的に要間伐森林、これの対象から天然林を除くことにつきましては、例えばヒノキの天然更新行いましたような箇所で非常に生育密度が高い、そういったところもあるわけでございますし、また旧薪炭林なんかでクヌギなんかの萌芽更新、こういったものをやった場合には非常に密生したことになってくる。そういった形で、言わば天然林の中でもそういった間伐をしなければならない、そういった森林もやっぱり存在するわけでございまして、そういったことから、要間伐森林制度におきまして制度的に天然林を外してしまうと、対象外にするということは適当ではないんではないかというように考えている次第でございます。
  142. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それは、天然林のような状況のところに混じった形で人工林を植えた場合ということを言われているんですか。
  143. 前田直登

    政府参考人前田直登君) いいえ、違います。例えば尾鷲とかそういったところも出ますけれども、天然下種更新によりましてヒノキなんかがばあっと密生になりまして、そこからずっとヒノキが生えてきます。そうすると、非常に人工造林した以上に密生した言わば人工林的な林ができる。そういったところは当然間伐をしていきませんと、表土流出、エロージョン、そういったものも起こってまいりますし、また、クヌギなんかですと、伐採いたしますと、シイタケ原木なんかに使うんですが、そうすると萌芽更新でばあっと密生して生えてくると。そういったものにつきましてもやはり適宜に抜き切りをしてやらないと森林が駄目になってしまうというようなケースもございまして、主としてそういったものは適期にやっぱり間伐をどうしても技術的にもしなけりゃならないということで、制度的に天然林まですべて制度として抜いてしまうということにつきましては適当ではないではないかというふうに考えている次第でございます。
  144. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今のお答えに関してはもう一度私も調べ直して再質問したいと思いますが、基本的には、天然林というものに対して、ただ法律が決まったからといって間伐間伐だというような形で見境なくやっていくというようなこれまでのような感覚ではなくて、しっかりとそこの違い、人工林と天然林は基本的に違うんだというところを理解しながら進めていただきたいと思いますが、これは森林ボランティア団体施業実施協定を結ぶ際も、その辺のところをやっぱりはっきりと区別するということを認識していただきたいと思いますが、どうですか。
  145. 前田直登

    政府参考人前田直登君) この新たな森林施業実施協定、これの対象森林につきましては、法律上は、民有林のうちの公益的機能施業森林、言わば先ほど申し上げました水土保全林とそれから森林と人との共生林、こういったものということで規定しているのみでございまして、人工林か天然林かは特に定めはしておりません。  この施業実施協定対象とします森林につきましては、天然林でございましても保育・間伐等の適切な手入れが必要な森林もあること、それから里山林など、こういった天然林を対象にいたしましたボランティア活動が広範に行われております現実、そういったこともございまして、人工林、天然林の区分を問わないということにいたしているところでございます。特に里山林につきましては、NPOですとか地域住民等の多様な主体、これがその保全利用にかかわっておりまして、森林に対する国民意識の醸成を図っていく上でも協定対象にすべきものというように考えている次第でございます。  しかしながら、原生的な状態にございます天然林につきましては、その地理的条件等から見ましても、また施業技術という面から見ましても、ボランティア活動対象には通常ならないというように考えている次第でございます。
  146. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今日の私の質問の主題はブナ林だったわけですけれども、本当に日本にだけしか残っていないような貴重な状況なんですね。  そこで、大臣に是非ともこの日本のブナ林を保全するという強い決意をお聞かせいただきたいんです。
  147. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この資料も拝見いたしました。原生林、天然のブナ林の問題につきましては、大変重要な、今この資料を拝見しまして、私もこの日本にこういう、イギリスやほかの国の例がここにありますけれども、日本は大変貴重なもの持っておるわけでありますから、それはやはり十分それを維持する努力をしていかなければならない。  先ほど間伐の問題等につきましても、やはり成長する、日々成長するわけでありますから、そういう中でどのようなことが適当なのかと、これは十分考えていかなければならないんではなかろうかと思います。
  148. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  149. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  150. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、服部三男雄君が委員辞任され、その補欠として小泉顕雄君が選任されました。     ─────────────
  151. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  森林法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  152. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  154. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 植物防疫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局をいたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、植物防疫法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。  第一の反対理由は、都道府県の病害虫防除所の職員等の設置費を交付金の対象外にすることは、国の防除事業に対する責任の後退であるからです。  都道府県の植物防疫所の業務のうち、国の指定する発生予察事業は全国的、統一的な基準の下に行われ、食料の安定供給や農業振興の上で不可欠な部分であります。引き続き国の責任ある関与が必要です。そのためには、財政措置としても発生予察協力経費、防除所運営経費のみならず、これを行う職員等設置費についても現状どおり交付金として措置すべきであります。一般財源化することは適切ではありません。  反対の第二は、三位一体改革の中で、ますます植物防除事業の予算が厳しい条件に置かれるからであります。  削減する交付金は、当面、所得譲与税の一部として手当てされますが、従来どおりの水準の予算額が保障されるから安心とは決して言えません。この部分の譲与税手当て分も効率化、すなわち削減が前提であり、その上全体の所得譲与税規模が廃止される補助負担金に比べ大幅に削減されるので、そのしわ寄せを受けることが必至だからです。  また、所得譲与税は人口割で配分されるので、植物防除と関係の深い農村県ほど少なくなります。農水省はそれを地方交付税でカバーできるかに言いますが、地方交付税全体が大幅にカットされる下ではそんな甘い認識は通用しません。  今回の法改正は、植物防除事業の不安定化を招かざるを得ません。  以上申し上げまして、私の反対討論とします。
  156. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  植物防疫法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十五分散会