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2004-03-18 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十八日(木曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  三月十六日     辞任         補欠選任      井上 美代君     市田 忠義君  三月十七日     辞任         補欠選任      羽田雄一郎君     福山 哲郎君      千葉 国男君     荒木 清寛君  三月十八日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     羽田雄一郎君      荒木 清寛君     千葉 国男君      市田 忠義君     吉岡 吉典君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 吉岡 吉典君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産大臣官        房総括審議官   村上 秀徳君        農林水産省総合        食料局長     須賀田菊仁君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局畜産部長    井出 道雄君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る十六日、井上美代君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任をされました。  また、本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会農林水産大臣官房総括審議官村上秀徳君、農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君農林水産省消費安全局長中川坦君、農林水産省生産局畜産部長井出道雄君及び農林水産省経営局長川村秀三郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 常田享詳

    常田享詳君 自民党の常田でございます。  本日、亀井農林水産大臣は、食料農業農村政策審議会畜産物価格部会に二〇〇四年度の畜産物価格諮問されるということで、その集中質疑でありますけれども、そのことに入ります前に、私はBSEの問題、特にアメリカとの問題、私は亀井大臣取組、大変高く評価しております。本当にあの一連のお取組、そして一貫したぶれないその姿勢敬意を表したいと思います。そういった敬意を表しながら、くどいと思われるかもしれませんけれども、一点だけこのことで重ねてお聞きをしておきたいと思います。  昨日朝、NHKテレビのニュースを聞いておりましたら、アメリカ農務長官が、BSE検討対象牛を四十五万頭に増頭すると、米国検査方法科学的根拠に基づき、かつ国際的にも認められている手法であるという談話を改めて発表したということが報じられておりました。私は、前にもこの委員会大臣にもお聞きしましたが、今も一貫して米国牛肉の輸入解消問題については日本科学的根拠に基づかないような安易な妥協はすべきではないという、私は大臣と全く同じ考え方を持っております。  このことについては、御案内のとおり、BSE等病原体、いわゆる異常プリオン発見者である、ノーベル賞受賞者であるスタンリー・プルシナー米カリフォルニア大学教授が、もう御存じのとおりでありますけれども、日本が行っているような牛の全頭検査のみが牛肉安全性を確保し、消費者信頼を回復することができる唯一の方法だと、自分の母国である米国がなぜ全頭検査の採用に消極的なのか理解できないと。こういった方でさえ、はっきりとその米国の今の姿勢を非難しているわけでありまして、一方で非常に日本の取り組んだ全頭検査、高く評価しておられるわけでありますから、どうか大臣におかれましては、今の姿勢最後まで貫いていただいて、科学的根拠に基づかない妥協だけはしないでください。  これ、もしされるようなことになりますと、日本のここ一、二年取り組んできた食の安全、安心、消費者信頼を本当に失うことになると私は思いますので、重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
  7. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国にとりましては、BSEの問題、これは我が国で一頭発生し、大変苦労したわけでありまして、そのことが私、あくまでも基本的なことではなかろうかと。そういう視点に立ちまして、我が国は、屠畜場におきます全頭BSE検査、また特定危険部位の除去と、このことをずっとやってきておるわけでありますから、これを基本にしていかなければならないと、こう思います。  先般来、ベネマン農務長官と電話で、あるいはゼーリック通商代表と、そのほかお見えになったりしてもおります。しかし、そのときにも私は、この安全、安心と併せて、今委員指摘いただきましたが、プルシナー教授の見解と。  特にゼーリック通商代表には、ちょうどそのころ、三月ですか、二月の時点ですね、ちょうど文芸春秋が出まして、このところを見せて、アメリカノーベル賞受賞教授がこういうことをおっしゃっていると、是非、そういうことはアメリカでもいろいろ科学者がおっしゃっているところがあるはずだと、そういう面で、日本国民はこういう雑誌も、特に文芸春秋と、これは月刊誌でありますし有識者が購読をしている、そういう実績のある雑誌であると。こういうようなことも説明をして、いろいろ我が国で取っておりますことを繰り返し、また科学的な知見と、こういうこともおっしゃいますけれども、しかし、これはまだBSE発生して二十年に満たないわけでありますので、特定危険部位問題等々まだ科学的にこれ解明されていないところがあるわけでありますし、さらには、日本におきましては全頭検査と、そういう面で二十三か月、二十一か月の牛が発見できたと、こういう例も再三引きまして我が国の立場を主張しております。  なお、十五日にベネマン農務長官がこのBSEのサーベランスプログラムの強化策を発表したと、このことは承知をいたしておりますが、やはり我が国考え方とは大分違うわけでありますし、このサーベランスのプログラムの強化策ということでありますし、細かいことは承知をしておりませんけれども、到底我が国としてはこれで輸入再開の話もできないことでありますので、私は、我が国考え方を貫くために更なる努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  8. 常田享詳

    常田享詳君 大変力強い大臣の御答弁いただき、ありがとうございます。このことは、酪農畜産そのものにもかかわってくる極めて重要な問題でありますので、是非とも貫いていただきたい、頑張っていただきたい。心から御期待を申し上げたいと思います。  次に、私自身、前にも申し上げたように薬剤師なものですから、ちょっと心配のし過ぎかなというふうに思われるかもしれませんが、人獣共通感染症、いわゆる人畜共通感染症というのは家畜と人ですけれども、もっと幅広い人獣共通感染症という言い方世界的な言い方に今なっているようでありますが、いわゆるSARSとかエイズとかBSEとかエボラ出血熱とかニパウイルスとか、そして今問題になっている鳥インフルエンザ、こういったものすべてこの人獣共通感染症になるわけであります。  今、私たちの身近なところでこの人獣共通感染症が頻発しているわけであります、これは世界で、日本だけではなく世界で。そして、WHOの報告によれば、この人獣共通感染症に分類される病気は約二百種類に上るということであります。そして、今大変問題になっている新興感染症、新しく興る、新興感染症の多くがこの人獣共通感染症であると言われております。  鳥インフルエンザも、鳥の世界にとどまらず、万一豚の体内で遺伝子交雑で生まれたウイルス人間感染するようなことがあれば、これは正に未知の異物でありますから、人間の持つ生体免疫力も機能いたしませんのでワクチンも全く効かないと、治療法がないというような事態に陥るわけであります。また、BSEにしましても、思い起こしていただきますと、これは羊から牛に、そして牛から人に、二つの種の壁を乗り越えて人間社会に出現した感染症でありまして、こういったことが今大変世界各国で日常的に起こってきているということであります。  その上に、日本世界の一〇%以上を占める最大の肉類輸入国であるということであります。ということは、いわゆる新興感染症危険度が極めて高い国であるということを改めて認識する必要があるんではないかというふうに思います。  質問をさせていただきます。  そこで、いろいろありますけれども、私はまず一点目として、海外からの感染症侵入防止を徹底するためには国際間の協力連携が大切であると思っております。例えば、各感染症ごと国際防疫体制整備強化、それから各国間の制度の統一化、そして共同研究体制構築等が求められるというふうに思います。  そこで、現状はこういうことに対してどうなっているのか、また今後どのような連携強化していくのか、そしてその中で我が国はどのような国際貢献を果たしていくのか、お伺いをしたいと思います。
  9. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員指摘人畜共通感染症を含む家畜伝染病伝染性疾病につきましては、輸入検疫措置の問題、このことにつきましては、やはり家畜衛生国際機関でありますOIE国際獣疫事務局等国際機関在外公館、さらには関係政府機関からの情報収集、このことを活用すると、こういうことでありますし、さらに人畜共通感染症にかかわる研究の推進につきましては、鳥インフルエンザ、またBSEなどが世界的な問題となっておるわけでありまして、現在我が国において発生がないものにつきましても侵入時に備えた研究が必要であるわけであります。この面での国際的な連携、また研究をより効率的に進めていくということが大変重要なことと、このように思います。  我が国でこの高病原性鳥インフルエンザ発生が見られた際にも、分離ウイルス株に関する情報の交換、あるいはFAO及びOIEによる鳥インフルエンザにかかわる技術的協議への参加の問題、あるいはまた鳥インフルエンザ診断技術にかかわります技術協力、これらを積極的に今海外との連携を図っているところでありまして、今後とも、この海外情報収集、あるいはまた国際共同研究、これらに努めて家畜伝染病侵入防止に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  10. 常田享詳

    常田享詳君 次に、有事を想定した食の危機管理のできる国内体制ということについてお尋ねをしたいと思います。  今回の我が国鳥インフルエンザの事例においては、自治体レベルで大変な混乱を来しました。また、国レベルでは政府緊急総合対策がまとめられたところでありますけれども、関係省庁は十に及ぶということであります。今後、感染症が広範囲に流行し、かつ人への感染が相次いだ場合、現在のような既存行政機関連携が果たしてできるのだろうかと。  一方で、国民保護法なんか、これは災害とか武力攻撃を受けたときとか、そういうことのための国民保護法国民の人権、生命を守る法案の整備が今国会で併せて進むわけですが、私は、こういった感染症もそれに勝るとも劣らない脅威だと思っておるんです。そういうことで、こういった今の既存行政機関連携が果たしてできるのか、そういう危機的な状況の中でできるのか、お伺いしたいと思います。
  11. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 京都府のケースにつきましても、防疫マニュアルに沿って、京都府と農林水産省とが密接な連絡を取りながら蔓延防止措置を講じているところであります。私も現地に参りまして、現場で知事さんやあるいは地元の町長からもいろいろなお話を承って、またこの対応をしておるわけであります。  そういう面で、京都府からの要請を受けまして農水省担当官京都府に派遣をいたしました。そして、京都府と農水省との連絡調整を行う。また、防疫業務、いわゆる消毒作業の応援のために地方農政局職員動物検疫所あるいは家畜改良センター、周辺府県獣医師等派遣をしておるところでもございます。  そして、我が農水省におきましても、やはり関係者リストアップ獣医師等リストアップをいたしまして、そしてさらに関係府県におきましてもそのようなリストアップをいたしまして、発生をしたと、こういう事態になりましたときに迅速に対応ができることが一番必要なことでありますし、今回の問題につきましても、やはり情報の一元化、こういう問題も大変重要なことであるわけでありまして、そういう面で、今後の発生問題等を踏まえ、あわせて今回の問題につきまして関係府省との連絡会議を開催をして、そしてさらに十六日には鳥インフルエンザ緊急総合対策関係閣僚におきまして決めたわけであります。  日ごろから地方自治団体、あるいはまた地方自治団体と国と地方の、あるいは関係府省との関係連携協調体制、そして常日ごろからやはり発生した場合の想定をしていろいろな対応をしていくことが必要なことではなかろうかと、このように思っております。  今後とも、今回の京都で通報が遅れたと、こういう問題があるわけでありまして、このような事態になっておりますことを十分反省をして、しっかりした体制を作ってまいりたいと、こう思っております。
  12. 常田享詳

    常田享詳君 もう一点だけ、ちょっと視点を変えてお尋ねをしておきたいと思います。  新興感染症抗生物質耐性菌の問題であります。抗生物質はいわゆる細菌感染症治療には不可欠であると、これはだれでも分かっているわけでありますが、この耐性菌がもう非常に増えてきて、抗生物質が効かなくなってきている。効かなくなってきているんですね。それは、一つ医療現場で新しい抗生物質から、第四世代と言われるそういうものからドクターが使っていくものですから、最後に取っておかなきゃならない抗生物質が、使ったときには切り札にならない。これが一つであります。  もう一点、大変深刻な問題は、家畜抗生物質が大量に使われているということであります。人間に使われている、医薬品として使われている抗生物質の倍の、二〇〇二年のデータでは千六十トンの抗生物質家畜に使われているということであります。これは動物用医薬品として、また成長促進のため飼料添加物として使われているわけでありますが、この多量の抗生物質耐性菌を生み出している。そして、その耐性遺伝子が人に広がっている。そして、先ほど申し上げたように効かなくなっている。自分生命が危ないような状況になったときに肝心の抗生物質が、切り札切り札でないというような大変な問題を引き起こしているわけであります。  したがって、これら抗生物質が大量に家畜使用されているという状況についてどのようにお考えになっているのか、また対策もお聞かせいただきたい。
  13. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員、御専門家であるわけでありますけれども、抗生物質等使用によります薬剤耐性菌選択をされ、それが食物を介して人の医療に悪影響を及ぼす可能性指摘されておりますのは事実であります。農水省といたしましても、適切な使用を通じて薬剤耐性菌選択に可能な限り抑制していく必要があると、このように考えております。  まずその面で、動物用医薬品として使用される抗生物質等につきましては、薬事法獣医師の処方せん又は指示書がないと販売してはいけないと、また畜水産物への残留防止観点から、使用量使用後出荷できない期間を定めた罰則付き使用基準が設定されておるわけでもあります。  さらに、現在、畜産現場におきます薬剤耐性菌モニタリング調査実施をし、科学的知見の蓄積を継続するとともに、抗生物質等が適切に使用されるよう都道府県の家畜保健衛生所職員を通じまして、監視、指導に努めておるところでもございます。  現在の薬剤耐性菌観点から、飼料添加物としての抗生物質等の指定の見直しにつきましては昨年十二月に食品安全委員会リスク評価を求めておりまして、これと併せて、同一又は類似の動物用医薬品につきましてもリスク評価を求めているところでもございます。今後、食品安全委員会リスク評価の結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと、このように考えております。
  14. 常田享詳

    常田享詳君 ありがとうございました。  それでは、畜産物価格質問に入らせていただきたいと思います。  今日諮問される内容を見させていただきまして、大変前向きな取組をしていただいているというふうに評価しているわけでありますが、その中で何点か質問させていただきます。いわゆる畜産環境対策であります。  これについては、現行予算の四割増というようなことで、前向きに取り組むんだ、そして本年十一月からの家畜排せつ物処理法完全実施に向けてしっかりやるんだということであります。これは大変評価したいと思いますけれども、畜産農家によっては、諸般の事情によって本年十月末までに施設整備ができない方もあるわけであります。こうした生産者に当たっては家畜排せつ物処理法を遵守する義務があり、そのためには、当面、防水シート等を用いた簡易施設整備等により対応せざるを得ないということになるわけであります。  じゃ、こういう畜産農家の中で、十七年以降、今のあれは十六年ですけれども、十七年以降本格的な施設整備を計画している農家がどれくらいあるかと聞いてみましたら、三千戸あるというんですね。逆に言えば、三千戸積み残しになるということであります。  これまでの施設整備に当たっては、この十六年もそうですけれども、一般会計公共、非公共事業や特に補助付きリース事業で重点的に支援をしてきた。今回も四割増でやるということでありますけれども、今申し上げた、簡易対応をせざるを得ない、そして平成十七年以降に本格的な施設整備を行う農家、この三千戸に対して引き続き積極的な支援策を講じるべきだ、それで初めて完結する問題だというふうに考えるわけでありますが、そこのところの取組を。
  15. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 十六年度の予算におきましても最大限の確保をし、さらに補助付きリース事業につきましても大幅な増額を行ったわけでありまして、本年十月末までに施設整備が大幅に進捗すると、このように考えております。今委員からも御指摘がございましたが、何とかこの期限というものは十分考慮して対応していただきたいと、このように考えております。  なお、十七年度以降の支援措置必要性、このことは今後の情勢などを踏まえまして検討してまいりたいと、このように考えております。
  16. 常田享詳

    常田享詳君 やれるところは本当はみんな今年やりたいんだと思うんですけれども、やはり零細なところもありますし、それぞれの事情で来年に回さざるを得ないというところもあるわけでありますので、是非しっかりとした対策を来年も打っていただきたいと思っております。  次に、脱脂粉乳過剰在庫問題についてであります。  現在、脱脂粉乳国内在庫が増加して、十五年度末に十万トンを超える見込みと聞いております。この過剰在庫解消を図るため、生産者団体自ら汗を流して脱脂粉乳過剰在庫解消に向けて取り組んでいるというふうに聞いております。  我が国酪農生産基盤を維持確保し、今後とも生産者が意欲を持って生産に取り組むためにも、脱脂粉乳消費拡大についての生産者団体取組等を踏まえ、加工原料乳限度数量について、これを堅持すべきだというふうに我々主張していたわけでありますが、今日の答申の内容を見ますと、そのとおり据え置かれるということであります。  据え置かれるということを、二百十万トンを堅持するということを踏まえて、それではこのことによって、この二百十万トンを堅持する、据え置いたことによって今後脱脂粉乳過剰在庫解消の見通しがどうなっていくのか、その辺りについてお尋ねをしておきます。
  17. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 十六年度の加工原料乳、この限度数量につきましては、本日の食料農業農村政策審議会に二百十万トン、前年と同じ数字を諮問し、御審議をいただいているところでもございます。  この二百十万トンにつきましては、十六年度に予定されております生産者団体と、また乳業による脱脂粉乳需要拡大に向けての取組を織り込んだ算定ということになるわけでありまして、この取組につきまして、確実に需要拡大がなされればこの脱脂粉乳過剰在庫の削減に向けて一定の道筋が付けられると、このように考えておるところでもございまして、関係の皆さんのこの努力是非お願いをしたいと、こう思っております。
  18. 常田享詳

    常田享詳君 次々申し訳ないんですが、実はこれ、先般来、地元を中心に生産者方々、そしてまた団体方々是非ともこの諮問に当たってきっちり大臣にお願いしておいてくれということだものですから、ちょっと次々で申し訳ございません。  次に、和牛の生産基盤維持強化策についてお尋ねをいたします。その前に、失礼しました、その前に肉用牛肥育経営安定対策、いわゆるマル緊の話をちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  肉用牛経営安定対策のうち肉用牛肥育経営安定対策事業については、国内におけるBSE発生により国内肉用牛生産危機的状況に陥った際、その経営安定のために非常に重要な役割を果たして、これは大変喜ばれました。本事業平成十三年度から三年間の事業として実施され、今年度で終期を迎えるわけであります。今回の諮問では来年度も継続される方向であるというふうに聞いております。  この事業については、肉用牛肥育経営が安定して、安心して生産を行うために不可欠の事業であるというふうに私は考えております。今後ともこの事業を柱として肉用牛経営の発展を図っていくべきだというふうに思っておりまして、単年度の延長ということではなく、これを柱にして今後ともBSEで大変不安定になったこの肉用牛肥育経営の立て直しを図っていただきたいと思うんでありますが、いかがでございましょうか。
  19. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 肉用牛肥育経営安定対策事業、いわゆるマル緊についてのお尋ねでございますが、委員指摘のとおり、我が国肉用牛生産を安定化させるために大変な力のあった事業でございます。BSE発生時においてもこの事業が基礎としてありまして、我が国肉用牛経営の基礎が守られてきたわけであります。このたび終期を迎えるところではございますが、関係者の意向も非常に強いということでございまして、継続して実施することといたしております。  今後とも、肥育経営安定対策の重要な柱として位置付けまして、我が国肉用牛経営の安定的発展を図ってまいりたい、このように考えております。
  20. 常田享詳

    常田享詳君 牛の脊柱の規制による食肉事業者の負担増への支援について。  牛脊柱の規制により新たに発生するコストを始めとして、安全、安心な畜産物を安定的に確保するために必要な経費について、本来でありますと生産者や加工流通業者がこれを負担するというのが本当の、本来の姿であろうと思いますが、しかしながら、実際問題として、この牛脊柱の規制等によって発生するコストを消費者に求めるということは難しいというのが実態であります。  そうなりますと、それがどこへ行くかということになりますと、産地食肉センターを始めとする食肉事業者等の方へ行くわけでありまして、特に地方の産地食肉センターを始めとする食肉事業者、その焼却コストの負担の増大、これは耐えられないと言っているわけであります。このため、これらの業者の支援策は、特に産地食肉センターを始めとするそういった焼却コスト、これをどう支援しようとしているのか、もうちょっとお尋ねをしてみたいと思います。
  21. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 牛の脊柱規制にかかわるコスト増大の問題でございますが、御承知のように、牛の脊柱につきましては、食品等への利用が既に本年二月十六日から、飼料・肥料原料としての利用が本年の五月一日からそれぞれ禁止されることとされております。このような規制によりまして、牛の脊柱そのものには用途がほぼなくなりまして、排出者である食肉処理業者の責任におきまして廃棄物として処理せざるを得なくなるということでございます。  このような廃棄物の処理経費について国が直接助成することは極めて困難でございますが、農林水産省といたしましては、こういった食肉センターや食肉事業協同組合による焼却施設や脊柱保管施設等の整備に、いわゆるハードへの助成措置を講ずると、あるいはコスト低減のための取組支援すると。  二番目には、消費団体等に対してコストへの理解を求める活動を推進するなど、いろいろの措置を講ずることとしておりますが、あわせて牛の脊柱以外の畜産残渣、残った骨とかそういう部分でありますが、これはちゃんと使っていいわけでありますので、これが有効に活用される体制を緊急に作らなければいけないということで、この脊柱を分別していただく契約を締結してくださった食肉処理業者に対して初度的な経費助成を今回新たに行うことといたしました。これによりまして、円滑にこの脊柱処理が進むということを期待いたしております。
  22. 常田享詳

    常田享詳君 納得いきませんけれども、また個別にあれしたいと思います。ここでやっておりますと、ほかのあれできませんので。  それで、今回の諮問内容を見ますと、土地利用型酪農推進事業の仕組みが見直されているわけですね。そういうことの中で、我々はやはりこれからの畜産の在り方を考えるときに、やっぱり自給飼料の基盤を強化していくということは非常に大切なことだというふうに思っているわけですが、一方でこのたびの諮問ではそういった財源が他のところへ、例えば環境等に使わなきゃいけないということもあるんでしょうけれども、組み替わっている。  そこで、我が国における食料自給率の向上と安全、安心な畜産物の安定的な供給のためには、自給飼料基盤に立脚した自然環境型の畜産生産を推進することが非常に重要だと私は思っております。このため、耕種農家畜産農家連携して粗飼料生産と堆肥還元を還元的に進めるとともに、自給飼料の生産利用の拡大が図られるよう、コントラクター組織の育成対策強化や稲発酵粗飼料や麦わらなどの生産利用拡大対策を継続強化する必要があると考えております。  したがいまして、冒頭に申し上げたように、今回の土地利用型酪農推進事業の仕組みが見直されたということがこういった目指すべき方向にさお差すようなことにならないのかどうなのか、そこのところをお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 土地利用型酪農推進事業につきましては、今委員指摘のとおり、平成十一年度に創設されました当時から、こういった自給飼料生産家畜ふん尿の処理による循環型の畜産体制を作ると、そういう趣旨をもって創設されたわけでございます。  しかしながら、その運用上、実際に自給飼料基盤を持たない農家にもわずかではありますが配付されておりましたり、実際に草地基盤をたくさん持っている方よりも牛の頭数を増やした方がたくさんもらえるとか、ちょっと趣旨に合わない運用になりつつあったということもございまして、今回そういった点を見直して本来の趣旨に沿った形に、平成十一年当時の原点に戻ろうということで組み直して継続をすることといたしたところでございまして、今委員指摘のとおり、耕畜連携等の推進を通じて自給飼料の生産利用の拡大をしていこうと、そういう方向に合致しているものと考えております。
  24. 常田享詳

    常田享詳君 牛のことを聞きましたので、ここらでちょっと豚のことを聞いてみたいと思います。  メキシコとのFTA交渉で差額関税制度の基本は堅持されたわけでありますけれども、養豚経営の安定のためには地域肉豚生産安定基金事業は今後とも必要不可欠だと思います。今年、最終年度である本事業について、十六年度以降も継続して実施する、そして養豚経営の安定を確保をするため、安定基金発動基準価格は現行の四百円、キロ当たりですけれども、堅持するというふうに聞いております。  実は私、今週大変、先週から今週にかけて幸運にも鹿児島の究極の黒豚、そしてそれだけじゃないんですよ、宮崎県のきな粉豚、それから私の地元鳥取県のマーブルポーク、こういうような極めてその付加価値を高めるために丁寧に育てている豚のしゃぶしゃぶを連続して食べさせていただき、大変そういう幸運に恵まれまして、今至福のときなんでありますけれども。私は、こういう国産豚肉のブランド化や高付加価値化というのは大変重要だと思うんです。そして、そういう取組をしている生産者の主体的な取組に対して、やはり国もバックアップしていくべきではないかなと思うんです。  特に、その中で大臣是非提案したいのは、安全な畜産物を提供するために今一生懸命、安全、安心、健康な家畜生産の振興ということをやっぱり農林水産業の柱の一本に私は立てるべきだと思う。その豚、健康な家畜生産することによって安全、安心なんですね。それも付加価値の高いものが提供されていくということでありますから、私はこのことを強く申し上げたいわけでありますが、今申し上げたように究極の、鹿児島の究極の黒豚、宮崎県のきな粉豚、鳥取県のマーブルポーク、こういったものをバックアップしていくことについていかがでしょうか、その健康な豚を作るということについて。
  25. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 実は私も養豚場に参りまして非常に、今のブランドと併せて今日、食の安全、安心、このことが求められておる中で養豚経営者が大変そういう面でも非常に意を注いで大変な努力をされておりますことを拝見をしてまいりました。  そういう中で、やはりこのFTA交渉だとか、あるいは国際化が進展する中におきまして輸入豚肉に対抗する、こういう面では消費者のニーズに合う、そして安全、安心な国産豚肉を供給していくことが大変重要であるわけであります。そういう面で、やはり養豚経営に当たりましても、地域や集団におきまして種豚や飼料、あるいは飼養管理等の統一によりますブランド化、これまた高付加価値化というのは、この取組ということが行われ、是非それを推進してまいりたいと、こう思っております。  そういう中で、やはり品質の向上、あるいは生産性の向上等のために優良種豚の導入、あるいは家畜人工授精の普及、あるいは衛生管理の向上等に対する助成、養豚の振興体制整備総合対策事業、あるいはまた地域養豚振興対策特別事業、養豚集団等が自ら行う生産コストの低減等の取組に対します基金の造成と、こういうことに助成をして、そしてこのような施策を実施することによりまして、地域におきまして国産豚肉のブランド化と高付加価値化へ取組支援してまいりたいと、このように思っております。
  26. 常田享詳

    常田享詳君 でき得れば私だけではなく大臣も、今の申し上げたようなすばらしい黒豚なりきな粉豚なりを食べ、(発言する者あり)委員全部ということでございますので、またそういう機会を提供させていただきたいと思います。分かりました。  それじゃ最後に、最後に和牛の生産基盤の維持強化対策について大臣の御決意を承っておきたいと思います。  なぜこのことを最後お尋ねするかというと、実は、恐縮なんでありますけれども、平成十九年に私の地元鳥取県において第九回全国和牛能力共進会が開催されることとなっております。地元では開催に向けて畜産農家が一丸となって、今、和牛改良と畜産振興に取り組んでいるというところでありますけれども、他方、先般の米国におけるBSE発生のような事態を踏まえると、改めて国内牛肉生産の重要性が認識されているというふうに私は思います。  そこで、鳥取県におけるこの全共を日本の肉牛生産の再出発を象徴するイベントとして成功をさせたいと。そして、そのことを通じ、我が国畜産農家が将来に向けて明るい展望を抱くことができるような環境を築き上げることが大変重要だというふうな気持ちでおります。そのためには、和牛の生産基盤の維持強化を通じ、我が国肉用牛生産の振興に向けた施策を更に充実強化する必要があるというふうに思っております。  大臣はそういうお気持ち一杯だと思いますけれども、最後に改めてこれらのことに対する取組の決意、お尋ねして、質問を終わります。
  27. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員指摘のとおり、和牛生産、これは地域経済を支える重要な産業の一部門と、このように認識をいたしております。  地域の発展や活性化にとりましては、和牛の生産基盤を維持強化していくことが極めて重要なことと、このように認識を持っております。そのような中で、これ和牛のみならず肉用牛の経営の安定、こういう面での繁殖経営を強化していくことが重要なことでありますし、さらに、この十六年度予算におきましても、国産牛肉の安定供給のかぎとなります和牛繁殖地域の活性化と育成を図るための取組を推進するなど、各般の施策を総合的に実施することといたしております。  十七年三月を目途に新たな基本計画を策定すべく見直し作業に着手したところでもありまして、あわせて、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本指針を作成することとしております。その中で、肉用牛生産の振興に向けて、この明確な位置付けをいたしてまいりたいと。  さらに、委員指摘平成十九年に鳥取県、お地元におきまして第九回の全国和牛能力共進会が開催されることとなっておりまして、我が国の和牛の生産振興の意欲を醸成するためにも誠に意義の深いものと、このように考えております。また、その成功に向けて関係者の御努力を期待を申し上げると同時に、私どもも今後とも肉用牛生産のための振興に努めてまいりたいと、このように考えております。
  28. 常田享詳

    常田享詳君 終わります。
  29. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 民主党・新緑風会の信田邦雄でございます。  本日の委員会は、畜産物等価格安定等に関する件ということで集中審議ということになっていますんで、すべてを酪農・畜産に関する質問にいたしたいと思いますが、既に畜産審議会に諮問しておりますんで、おおむね確認のような形になるという、大変審議委員の皆さんやなんかに若干失礼かなと思いますし、やはり審議会が終了するまで、決定のような情報が現地にもう昨日のうちに流れるということについて私は若干懸念をしているところでございます。いかに審議会に対する失礼な態度かなと思っておりますし、さらに何とこの集中審議においてもどうしても質問に力が入らないと、こんなような気がいたしまして私は若干不満でございますけれども、長年の経過で今年もそういうふうになったのかなというふうに思っておりますけれども。  ともあれ、集中審議でございまして、酪農・畜産というものは非常に重要でありますが、本日は、いかに私も酪農・畜産に適しているかということを自己的な、皆さんに御紹介をいたしますが、私は実はうし年生まれでございまして、元々は酪農家でして、牛を飼育していまして、私の姉三人は牛乳で嫁入りできたと、こういうわけでございますし、さらに、私の名前はノブタといいまして、豚にも関連すると。  こんなことで、酪農・畜産には非常に私は造詣が深くて、四十年間農民運動をやっているうちのほとんどを酪農・畜産に懸けて、政策作りから様々な問題について取り組んで、今日の例えばヘルパー事業が一番最初始まったころ辺りから私はこの問題に取り組みまして、最初ヘルパー事業なんか決定して七十億以上の金が付いてもだれも使わんかったと。それで、使ってくれと言って地元を歩いたこともあるという。  そういった、正に酪農と一緒に生きてきましたし、今日常田先生からも御質問ありました土地利用型酪農推進事業というのは、正に私ども北海道の適した酪農を作ろうということで農水省の皆さんと二年も掛かってこれができたということもあり、私は非常にこの問題についても深くかかわってまいりましたし、特に北海道の酪農の皆さんは、牛乳を投げたり生産調整をしたり、莫大な借金で、そして働いて働いて泣き泣きやめていくという涙ながらの状態を見ながら、私も運動やら今日のものにかかわってきたという状況でございますが。  しかし、そういう悪いことだけ言う気で今日立っているわけじゃございませんで、現在の酪農・畜産は、農林省の職員の皆さんを始め、それから酪農家の血の出るような努力、さらに研究者や様々の皆さんの総合的な努力によりまして、今日は非常に良いとまで言われるような言葉も見られるように、酪農がようやくいい方向に来ているんではないかということで、私は本当に、自分もかかわってきた一人として大変喜んでいる一人でございますが。  しかも、酪農・畜産は、国民に安心、安全な牛乳を、あるいはまた肉を供給して、食料の自給にも大きな貢献をしてきているところでございますんで、大臣に、このような今国民にとっても地域にとっても酪農家自体にとっても大変重要なこの酪農・畜産業に成長した、このようなことについて、酪農・畜産業に対する理念について、まず大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  30. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 昨年私、就任して以来、委員からいろいろ、特に現場での経験、あるいはまた今も御指摘がございましたが、酪農の問題につきまして本当に深い見識をお持ちになり、いろいろの御発言をちょうだいしておりますことを非常に私印象的に思っておるわけであります。また、北海道の関係の皆さんからもお話を伺うと、そういう中でも委員のいろいろのお話も併せてお伺いをするようなこともあるわけであります。常々、農業、また特に酪農の問題につきまして御尽力をちょうだいしておりますことに敬意を表する次第でございます。  我が国酪農・畜産業、これ国民生活に欠かすことのできない安全な、そして食肉、牛乳、また乳製品の安定供給と、こういう面でもう本当に大きな使命を持っておるわけでもございます。さらに、農業総産出額、その約四分の一を占めておるわけでありまして、このことは地域の雇用や経済、これを支えておるわけでもございます。また、自給飼料の生産と、こういう面でも自然環境の保全等、重要な役割を果たしておるわけでもございます。  我が国酪農と畜産業が果たす役割は本当に大きなものでありまして、今後一層の重要なものとなっていくと、このように考えております。  そういう中で、今この我が国酪農・畜産業の安定的な発展をしていくためには、やはり一つはWTO交渉やFTAなど、国際化の進展の対応に呼応して、やはり生産性の向上、このことは考えていかなければならないことでありますし、あるいは担い手の確保、そしてゆとりのある経営、また非常に酪農、これ労働時間等々労働の負担が掛かるわけでありまして、これらの軽減の問題、さらにはやはり今鳥インフルエンザ問題等国内外での家畜伝染病、この発生を踏まえました安全な畜産物の安定供給、こういうことも重要なことでありますし、また、先ほども申し上げましたが、自給率の向上、このための自給飼料の基盤に立脚をいたしました酪農・畜産経営への転換、このことなどの課題に対応しなければならないと、このように考えております。  これらの課題を踏まえまして、今後とも我が国酪農・畜産業の一層の発展と充実のために施策を進めてまいりたいと、このように考えております。
  31. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大変酪農問題も大臣は詳しく身に付けておるようでございまして、正に言っているとおりでありますが、実際はやるかやらないかが勝負でありまして、考えていること、知っているだけでは酪農は実現しませんし、良くなりませんし、国民に安心、安全なものも届かないと思いますので、更なる努力を信念、理念で通していただきたいと思います。  さて、大臣にもう一つお伺いしますけれども、平成十六年度の酪農・畜産物の価格等が諮問されて今月中に決まるわけでありますけれども、今北海道では、約一兆円余の農業収入のうち酪農・畜産が約五〇%近い四千数百億を占めているという、酪農王国とよく言われていますけれども、大変重要な経済を担っているわけでございまして、今年はBSE対策やその他のことで財源がないというような中でこの酪農・畜産価格等、関連も含めて決定されようとしているわけですけれども、そういう財源だけで物を考えますと、せっかくこれまで作ってきて、成功して、更に発展させようとしているときの政策目標が後退してしまう。下手に後退して脱落しますと、これまで膨大な予算をつぎ込んできた国費が無駄になってしまうということ、これは必ずしも国民消費者が求めていることでないと思っていますが、どうやら今年のこの諮問案を見ますと、どうもそういうところがかなり見えると。  努力しているところは分かりますけれども、そういう意味で若干懸念をしているところでございまして、これはそういった関税収入などでやるところの財源よりも、やはり一般財源で使うというようなそういう形にしないと、制度が不安定になって、消費者も酪農家も安心して将来にかけて投資したり、経営を拡大したり、いろいろな安定化することができなくなると思うんですね。牛乳だけでも米に近い、八百万トン以上も消費される主要食糧になっているわけでありますから、そういう意味でも是非消費者に負担させるところの関税収入でやるよりも一般財源できちっと酪農・畜産業を確立させていくと、こういうふうに思うんですが、一般財源化などに向けての考えはいかがでしょうか。
  32. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 平成十六年度の酪農・畜産に関する価格につきましてはルールに従って算定と、こういうことで、食料農業農村政策審議会の畜産企画部会に意見を聞いておるところでもございます。これが適切に決定をされることと思います。また、そういう面で十六年度の問題、畜産環境の問題につきましてもいろいろの努力をいたしておるところでもございます。  もう一つは、今御指摘の畜産物関連対策につきまして、農畜産業振興機構の財源が厳しい状況にあるわけでありまして、この限られた中で財源がすべていろいろの分野で厳しいわけでありますが、その中でもこの農畜産業振興機構の財源、厳しい状況かと。また是非、限られた財源の中で最大限の効果が発揮できるように見直しあるいは重点化と、こういうことがどうしても必要ではなかろうかと。  これから、いわゆる中長期的に食料農業・農村基本計画の見直しが進められるわけでありまして、これらの検討を踏まえて対応してまいりたいと、このように考えております。
  33. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 一般財源化については余り積極的な発言がなかったんですが、もしBSEの、肉の輸入などが長期化したり、これからWTOやFTAの関係で関税が引き下がったりなんかしながらいった場合、どうしても関税収入に頼ると大変酪農・畜産業が国内で不安定化して自給率も下げてしまうことになりかねないということで、肉の生産が減れば飼料を輸入しないから自給率が上がるなんて、それは意味が違う自給率で、私どもの言う自給率は自給力でございますから、そういう意味でも是非、安定化した肉、そして牛乳関係の施策に大臣も就任期間中、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  あと、今年の関連対策も含めた乳価関係は実務マターでございますんで農林省の職員の方にお聞きをいたしますが、まず井出畜産部長にお聞きしたいと思いますが、加工原料乳生産者補給金についてでありますが、これは、私ども酪農地帯である北海道は、昔よく決定前後に政治加算をしたということで、けしからぬと、そんなことを言って、国民消費者にたたかれる前にきちっと算定ルールどおりやれと、こういうことを要求しまして、今日の畑作その他も含めて算定ルールができてこの補給金の金額が決まっていますので、この金額をどうのこうのと言うわけではございませんけれども、計算ルールどおり行われたと思いまして、今諮問された金額によりますと、二十何銭の引下げという内容になっていまして、現場では必ずしも分からぬわけでもないということもありますけれども、これからの飼料の値上がり等々、関連する周囲の状況から見まして二十何銭の引下げについてはかなり不満もあるというような状況なんですが、今日の諮問した内容についての金額とその内容についてお答えをいただきたいと思います。
  34. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 平成十六年度の加工原料乳生産者補給金単価でございますが、今委員からお話がございましたとおり、キログラム当たり十円五十二銭ということで、昨年に比べて二十二銭の引下げということで諮問をいたしております。  この諮問値につきましては、今は三年間のコストの移動平均を取ってやるというルールがはっきりしておりますので、この算定ルールに基づきまして、生産費の動向や最近における配合飼料価格の動向、あるいは廃用牛価格の動向、そういったものを適切に織り込んで算定したものでございます。  昔と違いまして変動率方式でやっておりますので、この試算値の結果を何が上がって何が下がったということを言うのは非常に難しゅうございますけれども、あえて申し上げますと、補給金単価の下げの要素としては、乳量増、労賃の低下、廃用牛価格の上昇というものがあるのではないか、補給金単価の上げの要素としては、飼料価格の上昇、初妊牛価格の上昇、子牛価格の低下というようなものがあるのではないかということでございまして、配合飼料価格については見掛けかなり上がっておりますが、基金の方で相当程度補てんをされておりますので農家負担が軽減されていると、そういうことも踏まえまして、若干の引下げという諮問をいたしております。
  35. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 おおむね私も承知はしておりますけれども、明らかにしていただいたところです、諮問会議の中でも説明していると思いますけれども。  そこで、この補給金に関しましてはそれで分かるわけですけれども、今日の国際情勢や自由化の方向の中で、さらに農林省が今新農業基本法の基本計画の中で農政改革に向けた提言をされて今議論をしているわけでありますが、私は、この生産者補給金についても、やはり今畑作を品目横断的な視点からということでやっているように、酪農経営全体をとらえた上で、直接支払の方向にこれを持っていった方が市場競争の中で知恵を、農家が知恵を出したり、様々な、業界が努力をしたりという方向に向けていいのではないかと、こんなふうに思って、農政改革に合わせて酪農もスピードアップしてこの検討に入って実施をすべきだと、こんなふうに思っておりますけれども、どのようにお考えですか。
  36. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 御指摘のように、今、畑作経営を始めといたしまして品目横断的な政策への移行ということが検討をされております。しかしながら、酪農経営につきましては、もう委員も十分御承知のとおり、もう専業単一経営が大宗を占めておりまして、酪農家の所得のほとんどはいわゆる生乳の代金でございます。そういった点では、品目横断的に施策を展開する意味が畑作経営等に比べると少ないと考えておりますし、その酪農経営の安定を図るためには、この生乳についての需給価格の安定を図ることが基本ではないかと考えております。  現行のこの補給金制度につきましては、飲用向け、加工向けの生乳の用途別の需給の安定を図るというような機能も持っておりまして、酪農経営の安定を図る制度としては今後とも根幹となるものと考えております。  いずれにしましても、現在、食料農業農村政策審議会において基本計画の見直しが行われておりますので、この検討と連携をしながら、現行の制度について所要の検証を行いまして、必要があれば見直しを行っていくこととしたいと考えております。
  37. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 なぜこんなことを早めに申し上げたかと申しますと、やはり一頭当たりの乳量を限りなく上げて、一万キロも搾る、あるいは一万一千なんぞという、百頭搾っていて一万一千キロなんという人まで出てきていると。一方、小規模経営で、家族経営で、三十頭ぐらいでちゃんと所得を八百万以上上げている人もいると。さらに、土地利用型の農林省が一生懸命頑張っていただいたああいったものを正にそのまま実行して、きちっとした安心、安全な牛乳を出し、償却年度を長目にしまして五トンも七トンもあるいは十トンも搾乳しているとか、様々な知恵を絞っている人たちに一律に乳量なり頭数なりでやったりしていくだけでは、これからの本当の意味の、地域に合った、自分の経営体に合った、そしてまた消費者に合わせた二十一世紀の国際化に向けた酪農経営に向けた取組としてはどうかなと、そんな思いで早めに提言をしているところです。  我々北海道農民でも中心の私の出身母体は、常に役所を責めるとかいじめるとか大臣をどうのこうのではなくて、提案型の運動を一貫して十何年やってきていますので、是非参考にしていただきたいと思います。  続けて、また井出部長にお伺いいたしますけれども、限度数量関係。  限度数量については二百十万トンで、これは審議会でも私は了承いただけると思っていますが、この諮問については私は賛成しますし、感謝を、感謝ほどもいきませんけれども了承いたしたいと。  なぜかといいますと、限度数量を削ったりしますと南北戦争が起きたり、いわゆる加工原料乳地帯で牛乳を加工原料乳として買ってもらえなければ、やっぱり飲用乳にしようとすると内地に売っていこうというのがありまして、私は昔から南北戦争はよくないと。やはり日本全国どの県にも牛乳が搾られていて、新鮮なものが消費者に届くというような均衡ある酪農の発展を日本じゅうでやるべきだということを一貫して言ってきた一人として、限度数量は非常に重要であるというような思いからこういうふうに言っているわけでありますが。  そういった意味で、生産者と、消費者とそれから酪農家と一体となっていけるために、そしてまた、本州と、都府県と北海道が一体となった南北戦争のない限度数量の重要性について是非、このように思っていますが、据置きの諮問もいただきましたので、ここは改めて二百十万トンの据置きについて井出部長に確認をする意味での質問にさせていただきたいと思います。
  38. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 加工原料乳限度数量につきましては、その限度数量の配分の九割近くが北海道に配分されているということもございまして、特に北海道のこの生産基盤を維持確保していく上では非常に大切なことと私たちも承知をいたしております。  生産を急にブレーキを掛けたりアクセルを吹かしたりということは、生き物が相手でありますので非常にしにくいことでありますし、経営の先行きの見通しも立たないということで、生産者生産者団体の皆さんからは安定的な限度数量の確保ということが言われてきたところでございます。  今回は、生産者団体と乳業メーカーの非常に緊密な協力による脱脂粉乳の新規用途への転換というようなことも加わりまして、そういうものがなされるということも念頭に置いて二百十万トンの据置きとさせていただいたところでございます。
  39. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 今限度数量ともかかわりますところで脱粉の話が出ましたけれども、脱脂粉乳が今日、常田先生からありましたような状況で、非常に在庫が増えてしまった、過剰在庫になってきたと。実は私は、これは最初からこういうことは予想されたことであります。  消費者はやはり本物の牛乳をきちっと選択をしてきているということに、当然業界も我々も、それから農林省も当然それはそういうことで注目して、それに対応した取組が早くから求められていたわけですが、やはり加工乳は伸びないで、減少で、今日のような十万トン、今年でそういうふうになるような状況になったことで、私、そのこと自体は大変深刻になりますけれども、本物の牛乳が飲まれるようになったことに対してこれを後退させるようなことはこれからはよくないと。  本当の酪農家が持続的に発展していくためには、やはりおいしい牛乳を、そのものの牛乳を消費者に消費してもらう、これが安全、安心の牛乳供給ということが重要であることにつながっていき、そういう牛乳を供給することによって消費者との信頼と理解が保たれると。  こんなふうに思って、そういう結果で過剰になったということは私は実は好ましいことだと思っていますので、そういう意味で、そこから、好ましいことから始まらないと、これをまた加工乳などを増やして減らそうなどという安易なことを思うと、また次にまた別なことが起きてしまうということで、これを是非、今私どものホクレンを中心としまして乳業メーカーも本腰を入れまして、生産者も負担しながら、国も支援いただきながら総合的な取組が行われているわけですが、それだけではやはり長期的なものには対応し切れないので、どうしても新規用途の開発についてはあらゆる方法を選んでいただきたいし、海外援助とか、私は一番力を入れたいのは、やはり輸出に対してメーカーにきちっとこれから取り組まさせると、そういう指導が農林省に極めて重要だと。EUはもう数年前から中国に向けて膨大な取組をして、毎年三〇%から四〇%以上の輸出増大を中国で行っていると、こういうことに後れを取ってしまっている。  メーカーは今何か制度やなんかで国におんぶしているんではないかと。もちろん、価格が高いわけですから、当然そんな輸出なんて考えても駄目ですけれども、EUなどはやはりクオータ制などを生産者に取らせて、安い牛乳も供給しながらともに生きていくということは長い歴史の中で積み上げているわけですから、そういうことも取り組まないで、目先に金を出して何とかすれば何とかなるというやり方だけ継続すると、繰り返してくると思います。特に、メーカーの努力が若干不足ではないかと、私は厳しくここで申し上げておきたいと思います。しかし、こういう現状ですから、総ぐるみで対策に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 現在の脱粉の過剰がいわゆる加工乳の消費減退を直接の原因としてもたらされているということは、これは明らかであろうと思います。ただ、種々の運動によりましてそれを牛乳の消費拡大につなげていくというはずであったのでありますが、残念ながら牛乳の消費そのものについては横ばいないしは微減ということでありまして、加工乳が減った分は、実は他の飲料にそのシェアを取られてしまったというのが実態でございます。  今後とも、牛乳の消費拡大については、更に我々も生産者団体、メーカーも知恵を絞っていかなければならないと思っておりますが、できてしまった脱脂粉乳につきましては、もう委員先刻御承知のとおり、国際価格と比較すると二・五倍以上という非常に高いものになっておりまして、海外援助とかそういうことに出すには余りにもお金が掛かり過ぎるというものでございます。  それから、メーカーもいろいろ努力をしておると思いますが、やはり脱脂粉乳というのはなかなか品質格差というものが見いだせない代物でもございまして、もうちょっとフレッシュな、生クリームとかそういう段階ですと品質格差がはっきりするんでありますが、いったん粉にしてしまいますとどこの国で作った粉も似たようなものだということでございまして、こういう点でも、やはり脱脂粉乳にしないで、我々も生産者団体努力してまいりましたように、生クリーム等の液状乳製品とかそういったところで消費拡大を図っていくということも大事だと思っております。
  41. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 時間がなくなりますので大事なことを申し上げたいと思いますが、土地利用型、井出部長に聞きますけれども、土地利用型酪農推進事業、先ほど言いましたように、これは生産者の強い希望と皆さん方の将来の酪農の制度確立のために作っていただいたわけですが、これは私は国民のための牛作り、そしてまた土作り、そして草作り、そして人づくり、酪農家づくり、しかも環境作りに自給率作りと、しかも耕作放棄地の草地作りまで今解決していると。こういうすばらしい制度にもかかわらず、今回若干それぞれのランクの中で引下げの方向で、堆肥舎などの環境問題に予算を向けるということについて、私はこれは間違いではないかと。  やはりこれは、きちっとそのまま制度を守りながら別な方法でそちらの方はやるべきであって、土地利用型推進事業の見直しについて、後退については私は断じて容認できないわけでありまして、中では、先ほど言いました、お答えもありましたように、草地を持っていないということについては、これは国民の合意は要りませんから、当然それは見直すことはいいですけれども、それ以外については私は認めることはできないんですが、いかがでしょうか。
  42. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) この土地利用型酪農推進事業につきましては、平成十一年に畜産環境問題に適切に対応し得る飼料基盤に立脚した酪農経営を推進しようということで、そういった酪農経営をされている生産者支援するための措置として講じられております。ただ、この制度は飼料基盤の確保に一定の役割を果たしたわけでありますが、実際には、一頭当たりの飼料基盤を拡充しましょうということで始まりましたが、残念なことにそういう面での拡充の成果が上がっておりません。  それから、その事業創設以降の一律加算が二度行われまして、そのために、当初はA、B、C、Dランクということで草地基盤の充実している人にお金がたくさん行くというシステムでございましたが、その格差が縮小しまして、ランクアップへの誘導効果も低下をいたしておるわけでございます。そのほかに、ゼロ農家に出しているとか、ちょっと生乳生産量に直接リンクし過ぎてWTO上緑の政策と言いにくいとか、種々問題があるということでございまして、今年度が終期となっておりましたけれども、そういった点を見直した上で、関係者の継続要望も強いということで十六年度も継続するということにいたしたところでございます。  やはり、事業創設当初のしっかりした飼料基盤の確保ということが本当に実現するような運用に持っていきたいと、かように考えているところでございます。
  43. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 部長、若干私はそのお答えは承服できません。飼料基盤の増大といっても、競争の中でコストを下げれといったときに、やはり今の酪農全体の制度の中では限りなく飼料面積だけを増やしていくことは限界にぶつかるんですよね。経営全体でプラスにして所得を上げていかなきゃなりませんが、借金も払わなきゃならぬから、これはそういう意味合いで止まっているんであって、かなりの大きな私がさっき言ったような効果がありますので、継続していただいたことについては酪農実態に即した対応として評価をいたしたいと思います。  次に、これも井出部長にお伺いしますけれども、肉用子牛の生産安定のための補給金についてでございますけれども、これはアメリカとの牛肉の自由化のときに大いなる議論をされてできたものでありまして、どうも酪農家から買った牛が四万円近くで、売るときも四万円近くしかしないんじゃないかとか、三万何ぼで、四万何ぼしか売れていないのは何のために飼っているんだと。そういう意見を出されるというのは、私はこれはそれは間違いで、元々、そういうことになるからこそこの制度を作って守っていこうと、補給金を出そうと、こういう制度でありまして、国際市況が下がって、関税取ってさえまだ安いんですから、そういう中で国内の肉の生産をしようというところから発生したこの制度に対して、そういう面の一番の目的のところをおいておいて、売る努力をしていないとかという、そういう生産者に対するやり方ではなしに、きっちりこの制度が果たしている役割、そのことによって安い牛肉か何か食べている国民の皆さんのことも考えるならば、私はこの制度を非難するのではなし、制度をきっちりもう一度見直した上で今後の対応をする必要があると思いまして、私は大きく引き下がるのかなと思ったら、そこそこでしたから、大きく生産者が困るということはないとは思いますけれども、考え方はやっぱり変えてもらわなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
  44. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 私どもも肉用子牛の生産者補給金制度が果たしてきた役割についてはいささかも疑いは持っておりません。  しかしながら、自由化以後、特に乳用子牛の育成経営におきましては大変な規模拡大が図られまして、他の和牛経営のように飼養頭数がほとんど横ばいで増えないという中で、五百頭、千頭あるいは一万頭規模の経営が続出していると。そういうことで、いわゆる十三万一千円の保証基準価格と実際のコストとに大きな乖離が生じまして、そのことが原因で委員がお話しされたようなぬれ子と育成牛の逆転と、逆転しても腹は全然痛まないんだということが起こってしまったのではないかと。  そういうこともございまして、やはり制度の仕組み方、こういうもの、制度そのものは必要なんでありますが、制度の仕組み方とか、そういうことについてやはり時間を掛けて研究する必要があるのではないかということでございます。
  45. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 私が言おうとしていることを理解をしていますので、制度の仕組みについての検討は、時代やら国際市況や、様々な動きますから、その点についてはこれから御協議を賜りたいと思います。  次に、同じく井出部長に肉豚の安定価格帯についての関係で、私は今諮問した据置きについて賛成でありますけれども、FTA交渉でメキシコから豚肉を関税半分ぐらいにして今入るような合意にされ、今後実施されると思いますが、豚肉の輸入量が増大する可能性もありますし、今の制度で守ればいいんだといっても、やはり予算関係や様々なことがあると思いまして、養豚農家に対する不安は将来ともまだ付きまとう。仮に今諮問案のとおりの、例えばこの発動基準価格が四百円にしたからといって、必ずしも私はそういうことにはならぬ、年数がたてば量も増える、関税も下がるということでありまして、これについて今の制度だけでこれからも続けていけるのかどうかも含めて、いかがでしょうか。
  46. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) メキシコとのFTAにおきましては特に豚肉が争点となっておりましたけれども、これは差額関税制度というものの根幹は維持するということで、いわゆる高級豚肉の部分だけいわゆる税率を半分にするということで落着をしたところでございます。そのことによりまして我が国の国産豚肉に対する影響は回避されたと考えております。  豚肉の場合には、牛肉との代替性もございまして、現在のところは非常に好調でございますけれども、養豚についてもやはり生産基盤その他、この機会にしっかりと整えていくということは大切だと考えておりまして、生産対策その他についても万全を期してまいりたいと、かように思っております。
  47. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 答えなくてもいいですけれども、メキシコのFTA交渉で妥結して、一千品目以上のものが無関税若しくは関税を暫時下げていくということで農林水産品を含めたものが決まると思いますが、私は、農林水産物は直接我々のような生産されたそのもので、それが農林水産品に加工されたときのものが入ってくるものを割と無関税にして無関心であると。これが実は市場の一%とかほんの少しだといっても、実はこれがじわじわじわじわ原材料を日本で供給している場合から推し進められて重大問題になるということを農林省は強く認識をした上で今後の対応をしないと、台湾若しくはASEANから、僕は中国と韓国に非常に関心を寄せておりますので、その点について非常に、是非今後の交渉に当たっていただきたいと思います。  次に、畜産環境緊急特別対策事業についてでございますが、これは法律がありまして、罰則もあるために生産現場は非常に心配しております。今回百九十億ぐらいの予算を増大して積極的な取組をしたことについては当然だし、またそれは感謝をいたしたいと思いますけれども、この罰則適用の今年十月までに希望する農家がこれで一〇〇%完了するような予算と言えるのかどうかが一つ。  一面では、三千戸ぐらい余るともう既に言われていると。そういうふうに言われておりますが、簡易なものも含めて対応するとは言っているようでありますが、私は北海道じゅう回って、特に漁業組合などを回っていますと、この近年、川がきれいに、非常にきれいになったと喜んでくれているんですね。ですから、これはやはり国民のため、そして漁民のため、それから地下水などを利用する人たちのためにもより積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、先ほど言いました大幅増額で一〇〇%可能なのかどうか。
  48. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 家畜排せつ物の処理の計画を作りまして計画的にやってきたわけでありますが、十六年度は施設整備を七千八百戸分、前年の十五年度に比べますと二千戸を増やして実施しなければならないということでございまして、暮れの一般会計予算案の作成におきましても、農林予算厳しい中で、公共、非公共ともこの家畜環境対策については増額をお願いし、また今回二分の一補助付きリースについて二百十億から三百一億へ大幅増額をいたしましたので、少なくともこの計画に載っている使途については十分達成可能というふうに考えております。
  49. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 積極的な予算措置で、更にこの中にも、いわゆる簡易なものというふうに聞いておりますが、実は、生産現場に行くと、簡易なものをやっても、将来やっぱり完成したものをきちっと完備したいというニーズが高いので、是非一番これまでの役割を果たしてきた畜環リース事業などで継続して取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  50. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今申し上げたように、二分の一補助付きリース事業のこの十六年度の大幅増額によりまして、まずは法律違反者を出さないというところが一つのポイントであろうと思っております。それから、簡易対応をされて、数年後に自分の経営状況を見て本格的な施設整備ということをお考えになっていらっしゃる方がかなりいらっしゃるということも承知をいたしております。  ただ、この補助付きリース事業については、二分の一補助して残りをリースで回すという非常に個人補助でありまして、今までに例を見ない助成措置でございます。これは、こういう法律をもって、何しろ五年間でやらなきゃいかぬということで措置されたものでございますので、十七年度以降どういうふうに支援していくかということにつきましては、やはりまずはこの十月末に本当に達成されるかどうかということを見てから、そのときの情勢を踏まえた上で検討させていただきたいと。
  51. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 そのとおりだと思いますので、ここは深く追及しませんけれども、あうんの気持ちで是非生産者対応をしていただきたいと思います。  次に、時間がなくなりますので、大臣に先にお答えをいただきたいことがございます。  今回のメキシコの中でも品目から外した農産物、ありますよね。こういったものは日本農業にとっても重要だということで、砂糖とか乳製品の一部とか、そういうものがございますが、私は、このFTA交渉は、経産省が非常に経済財政諮問会議の強い要望で積極的なチームを作って、すばらしいチームを作って努力していることについて、若干本当にそれは世界の貿易の交渉の在り方としてどうなのかといって疑問を持っているんですよね。  やはり基本は、WTOできっちり世界の合意を得てやるのが基本だのに、FTAだFTAだと、何を言っているかと私は常に自分の部屋まで行って怒っている一人なんですけれども、いずれにしても、多国間で国際的にきちっと均衡ある貿易ルールに従って交渉した上で決着したものならば日本がどうやってでもこれはやっていかなきゃならぬけれども、二国間だけでやると、私は、強い国とか弱い国とか、様々な事情でその一定の国の経済状況まで乱してしまう。  特に、NAFTA辺りでは、アメリカはどんどん交渉して、何かもうかったと思ったら、中小零細企業を膨大な金で補償していると。一方、その相手国も壊されて補償せざるを得ないという。本当に貿易が良かったかどうかといったら、ほとんどその効果が見いだせないような結果がNAFTA辺りでも出ているという。そういうものを勉強をして今後のFTA交渉に当たっていただきたいが、やっぱりWTOを優先すべきで、経済産業省や外務省などに強く申し入れて、そっちを優先するぐらいの気持ちで大臣対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
  52. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WTO農業交渉、これは多国間におきます農業貿易ルールの形成と、こういうことになる交渉であるわけであります。  そういう面で、あくまでも、FTAと、これは重要な面もあるわけでありますが、WTOをあくまでも補完をすると、こういうことであるわけでありまして、そういう面ではともに重要なことであるわけであります。しかし、これはあくまでもWTOを補完すると、こういうことであるわけであります。  そういう面で、今後の交渉につきましても、今、もう御承知のとおり、カンクンでああいうことになっております。ようやく部門ごとの議長が決まり、これから交渉が進むというようなところに来ておりますが、我が国考え方が入れられるよう関係国とも連携を取ってしっかりやってまいりたいと、こう思っております。
  53. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 時間がほとんどありません。  最後に申し上げますけれども、是非農水省だけはWTOを優先するんだというぐらいの腹積もりを強めていただきたいと思う。  最後に、実はBSE鳥インフルエンザなどの関係であちこちの農業関係者のところを回った中で、特に検査機関の従業員たちの深刻な意見がありました。  これは、家畜保健衛生所などの獣医師など、それに類する人たち、国の機関で一生懸命検査やら報告やら調査やらしている人たちが非常に過重な労働を強いられて、強いられているという言い方はちょっと、使命感でやっていると、私は非常に好ましいことだと思ったんですが、これは獣医師も不足している。それから、時間も非常にまた働き過ぎだということやら、それぞれが獣医師の本当の価値に対する対応も欠如しているんじゃないかと、こんなことを見まして、現場では一生懸命、今国民の安心、安全のために取り組んでいる人たちが若干報いられていないんではないかと、こんな気がしますので、人員の増などや様々な問題も含めていかがか、中川消費・安全局長にお伺いいたしたい。
  54. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 家畜保健衛生所の例で申し上げますけれども、BSE対応の一環としまして家畜保健衛生所で死亡牛のBSE検査などが行われるようになりまして、確かに業務の増大に対応するために、平成十三年ごろまでは漸減傾向で来ておりました獣医師の方たちの定員も、そこのところをボトムにしまして、最近では少し増えてきております。データで申し上げますと、平成十四年の三月に比べまして、直近の十五年の十一月時点で調べますと、全国レベルで八十三人の獣医師の増加が見られるわけでございまして、これは十五年度だけではなくて、さらに十六年度におきましても定員の増を予定している県もございます。  こういった人員の拡大ということもそれぞれの県で実情に応じて努力していただいておるわけでありますが、更に加えまして、農林水産省といたしましては、それぞれの家畜保健衛生所でのいろんな検査の能力を高めるという意味で、人的な拡大だけではなくて検査機器等の整備、そういったものに対しまして私どもの方から支援をしていくと、財政的な支援もしていくというふうな道もあります。これも努力をいたしたいというふうに思っております。  それからもう一つ職員の人たちの能力アップでございますが、これも講習会などを開きまして、全国のそれぞれの家畜保健衛生所でのレベルを一定のところに上げていくという、そういうこともいたしております。  これからもいろいろと業務の実態に応じまして、できるだけのお手伝いをするように努力をいたしたいと思います。
  55. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 終わります。
  56. 千葉国男

    千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  先般、日本とメキシコとの間でFTA交渉が大筋合意に達しまして、特に農業分野では厳しい交渉が行われたと承知しております。特に豚肉については、養豚の関係業界が豚肉を例外扱いとしたいと要請を行っております。今回の交渉合意では、豚肉の差額関税制度は維持することとし、基準輸入原価を超える部分については従価税半減の特恵輸入枠を設定し、初年度三万八千トンから五年目に八万トンに拡大する、このようになっております。  そこで、農産物五品目につきまして今回の交渉結果を実施した場合、今後どの程度の影響があると、このように予測されているのか、大臣からお伺いしたいと思います。
  57. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) メキシコとのFTAの交渉につきましては、農林水産業の多面的機能への配慮と、またさらには食料の安全保障の確保と、現在進めております構造改革の努力にも悪影響を与えないよう十分留意をして対応してまいりました。  その中でも、豚肉等いわゆる五品目につきましては交渉の困難なところがあったわけであります。豚肉につきましては、安価な豚肉の輸入が、抑制すると、そういう面で差額関税制度の根幹を維持したわけであります。そのほかの四品目につきましても、必要に応じ輸入枠を設定するなど、これら品目に対する影響も極力回避をすると、こういう考え方、この下に交渉を進めてきたわけであります。
  58. 千葉国男

    千葉国男君 さらに、この農産物五品目につきましては、協定発効後五年目に再協議することになっております。他方、WTO協定上、FTAでは原則十年以内に関税撤廃されることになっておりますが、これら五品目につきましては、五年後の再協議の際には、十年後に関税を撤廃することを前提とすると認識しておくべきなのか、お伺いしたいと思います。
  59. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) 五品目の再協議の件でございます。  この農産物五品目につきましては、非常に重要な品目であるということで、今先生おっしゃいましたようにFTAでは、WTOの下で実質上すべての貿易に掛かる関税を十年以内に撤廃するということが原則になっているわけでございますけれども、この五品目につきましては、その重要性にかんがみまして、現在進行中のWTO農業交渉の帰趨、あるいは今後輸入されることとなるメキシコ産農産物と他国の農産物との代替関係などを見極める必要があるということで、この関税撤廃という原則を適用いたしません。しないで、取りあえず五年間の低関税枠を設定するということでメキシコ側と合意したわけでございます。五年後の再協議に当たりましても、現時点で十年後の関税撤廃を想定しているわけではございません。
  60. 千葉国男

    千葉国男君 また、今回の日本とメキシコとのFTA合意は、今後行われる韓国、ASEANとの農業分野交渉でどのような影響を与えると思われているのか、その見通しについてお願いします。
  61. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) FTA交渉でございますけれども、これはWTOと違いまして、それぞれの相手の国との間に個別に関税撤廃などの条件を交渉するということでございます。そういう意味で、ある国との交渉結果がそのまま他の国に適用されるというわけではございません。ASEAN諸国、韓国とそれからメキシコではその農業生産構造が異なっておりますので、当然相手国の輸出関心品目、輸出競争力も異なるわけでございます。メキシコとの交渉結果がそのまま前例ということになるわけではないというふうに考えております。  いずれにしましても、今後本格化する韓国やASEAN諸国とのFTA交渉に当たりましては、今回のメキシコとの交渉の経験を生かしまして、農林水産業の多面的機能に配慮するということ、それから食料安全保障の確保、農林水産業において進めております構造改革の進展度合いに十分留意するというこの基本的な考え方に基づいて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  62. 千葉国男

    千葉国男君 本日、二〇〇四年度畜産価格、酪農価格関連対策、それらが決定されるわけですけれども、畜産・酪農におきましては、十一月一日から完全施行される家畜排せつ物法に伴うふん尿処理施設整備脱脂粉乳過剰在庫問題に伴う需給安定対策など課題が山積をしているわけであります。  JA全中では、今年度で終了する肉用牛肥育経営安定対策、いわゆるマル緊事業の継続、また、来年度で終了する地域肉豚生産安定基金造成事業事業継続等、現行価格を基準にした安定基金発動基準価格の決定等を求めております。しかしながら現在、国内BSE対策のための支出の増大、輸入牛肉関税の半分を占める米国牛肉の輸入禁止、更に自由化前の輸入牛肉売買差益でためていた畜産事業振興資金残高が大幅に減少する等、その財源は非常に現実は厳しくなっているわけであります。  そこで、今後も畜産・酪農対策を安定的に推進していくための財源確保の在り方についてでありますが、その見通しについてお伺いをしたいと思います。
  63. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 委員指摘のとおり、畜産・酪農対策につきましては、農畜産業振興機構の畜産業振興事業によって実施されておりますが、一つ牛肉等の関税収入を財源にして管理をする調整資金というものがございまして、こちらの方は、この牛関財源からの交付金収入と資金残高によって食肉関係事業に充当されております。こちらの方は、昨年十月現在で資金残高八百十七億円でございますが、今委員指摘のとおり米国牛肉の輸入停止が続いておりますので、関税収入の先行きは不透明でございます。で、アメリカ以外、オーストラリア等からの輸入が続いておりますので、今なお一定額の収入は見込まれております。  一方、畜産業振興資金につきましては、これは自由化前の輸入牛肉の売買差益由来の財源を主体的に管理しておりまして、主として酪農関係に使われてきました。これは昨年の十月現在で資金残高六百四十八億円でありますが、こちらの方は、元々入ってくるお金が非常に少なくて、たまり水をかい出しているような感じで使っておりますので、資金を取り崩して使用するという形で細々とやっております。  こういうことで、機構の財源は非常に厳しくなっておりますが、やはり限られた財源、大事な財源でありますので、最大の効果が発揮できるように重点化、見直しを図って、しっかり使い方を考えていきたいと思っております。
  64. 千葉国男

    千葉国男君 よろしくお願いしたいと思います。  米国牛肉の輸入が停止になりました。国産牛肉や豪州産牛肉の需給増や、価格が高騰するのではないかと、こう思っておりましたけれども、それほど輸入停止前とは状況が変わっていないように聞いております。輸入停止直後は、外食チェーンがメニューを牛肉から豚肉へシフトする動きも目立ちました。豚肉につきましては需要、価格が伸びているようですが、牛肉需要全体が落ち込みつつあるのではないか、生産者もこの点、不安に思っていると思っております。また、加えて、鳥インフルエンザ発生などもありまして、鳥肉も需要、価格が落ちているようです。  そこで、米国からの牛肉輸入停止後、鳥インフルエンザ発生などの影響を受けて、食肉全体、つまり牛肉、豚肉、鳥肉など、価格面においてどのような状況で推移しているのか、また今後の見通しにつきましてお伺いをしたいと思います。
  65. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 米国でのBSE発生以降の、まず牛肉の価格でございますが、輸入牛肉については、国内卸売価格は一月上旬に六割という暴騰をいたしましたが、直近の調査結果では輸入停止前を下回る水準まで落ち込んでおります。一方、国産牛肉の枝肉卸売価格は乳用種を中心に堅調に推移しておりまして、小売価格の方は、一月中旬以降、一割程度上昇したまま横ばいで推移しております。  豚肉につきましては、代替需要ということもございまして、輸入豚肉、国産豚肉とも価格は堅調でございます。小売価格は輸入停止前とほぼ同水準でございます。  鳥肉の方は、輸入鳥肉については、タイ等の輸入停止によりまして一割から四割ぐらい上昇しております。一方、国産の方は、中食、外食の加工仕向けに使われます胸肉については非常に需給がタイトだということでかなり上昇しておりますが、逆にもも肉については、鳥インフルエンザの影響もありまして三割程度低下しているという状況でございます。小売価格については目立った変動は見られません。  いずれにいたしましても、この牛肉、鶏肉の輸入停止がどの程度継続するかということがいまだ不透明な状況にありますので、今後とも十分分析して、需給については気を配ってまいりたいと考えております。
  66. 千葉国男

    千葉国男君 米国牛肉については部分肉流通であり、枝肉流通中心の国産牛肉や一頭買いが基本のオーストラリア産牛肉では需要にこたえにくいという指摘もあります。例えば牛丼屋、あるいは私の住んできた仙台名物の牛タン店などこの部分肉流通の恩恵を受けてきたわけであります。  そこで、枝肉流通から部分肉流通への促進を図ることで国産牛肉に流通拡大を図ることができるのではないかという期待もあります。農水省としてはどのような具体的な対策を考えられているのでしょうか。
  67. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 部分肉で流通するということにつきましては、生体や枝肉流通に比べて大幅な輸送コストの低減が図れます。また、食肉の品質の保持の点からも利点があると言われております。このため、安全な国産牛肉を適正な価格で安定供給していくためには、やはりこの部分肉流通というものを推進していく必要があるわけでございます。  具体的には、産地で屠畜解体から部分肉処理まで一括して一貫処理する産地食肉センター等を整備する、あるいは需要者のニーズに対応しました部分肉を仕分けをします部分肉流通センターを整備する、そして部分肉の流通実態に即した規格を作る、それからその部分肉センターにおける取引情報をしっかり公表していく、そういったことを実施しているところでございます。  やはり今後とも、この流通コストの低減、品質の向上のために部分肉流通を推進していきたいと、このように思っているところでございます。
  68. 千葉国男

    千葉国男君 次に、牛の脊柱を食品等や飼料あるいは肥料に対して使用禁止や排除のリスク管理措置がなされているようであります。農林水産省として、コスト負担について、今後食肉関係事業者が脊柱の分別体制の準備を進めていく過程で、具体的なコストの発生実態を踏まえつつ、関係事業者、関係団体及び行政が一体となってコスト低減方策を検討、実施することとしております。  そこでお願いなんですが、くれぐれも肥育農家にコストの負担が掛かることのないように是非していただきたいと。脊柱処理の費用負担についてどうお考えになっているのか、お願いします。
  69. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 牛の脊柱の処理につきましては、生産者から食肉処理業者に枝肉そのものの所有権が移転された後の流通段階で行われるものでございまして、したがいまして、その処理コストも所有者である食肉流通業者等が負担するものになるものでございます。生産者に負担を求める性格のものでもなく、かつ生産者の手元を離れた後の事象であると理解しております。  このため、我が省といたしまして、食肉センター等のコスト低減のための取組ということで、焼却施設や保管施設等の整備へ助成する、あるいは脊柱以外の畜産残渣が有効に活用される体制整備するということで、食肉処理業者と化製業者、レンダリング業者ですが、そのレンダリング業者にちゃんと使える部分が的確に渡るようにということで、契約を締結していただければその初年度の経費を助成するということをやりまして、その脊柱の処理が円滑に進むようにということを配慮しているつもりでございます。
  70. 千葉国男

    千葉国男君 家畜排せつ物処理法につきましては今年十一月の施行になっておりますが、これにつきましては、酪農環境の整備ということでさきの農水委員会で私も伺わせていただいた次第です。畜産農家にとりましては、ふん尿処理施設の整備は大変な負担になっております。ある畜産農家のお話ですけれども、国内BSE発生のときは国からのマル緊等の支援で何とか一時をしのぐことができた、それでも現在まで資金繰りに悪戦苦闘していると、これが実態でございます。  具体的に申し上げますと、この農家では、百五十頭の肉用牛肥育農家で、当時一頭当たり十万円、計一千五百万円のつなぎ資金の融資を受けたところです。返済時期がこの十六年十二月までの三年間となっております。金利を含めまして年間五百万円強の返済が必要であります。現実に収益がなければ返済も大変であります。  そこで、BSE発生直後から現在に至るまでの肥育農家の収益性がどのように推移してきたのか、そこをお伺いしたいと思います。
  71. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 肉専用種の肥育経営の収益性につきましては、十三年九月のBSE発生以降、枝肉価格が急落いたしまして所得が大幅に減少したわけでございます。このため、この推定所得が家族労働費を下回る部分につきましては、肉用牛肥育経営安定対策事業、いわゆるマル緊でございますが、これにより措置をする、また更に物財費までも下回ってしまう部分については、BSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業、いわゆるBSEマル緊という制度でございますが、これを新たに創設しまして、それぞれ毎月ごとに補てん金が交付されまして肥育経営の収益性が確保されてまいりました。その後、平成十四年の三月以降、枝肉価格は回復傾向となりまして、十四年の十月以降はBSE発生前を上回る水準まで回復いたしました。十五年の第三・四半期に至るまで所得も高い水準を維持してきております。  また、こうした中で、この肉専の肥育経営に対しましては、BSEマル緊平成十四年の七月以降、マル緊平成十四年の十月以降交付されていない。交付されなくてもちゃんと所得が確保される状態に復元したということでございます。さらに、十五年の十二月末の米国BSE発生によりまして牛肉の輸入停止がなされました後、肉専用種の枝肉価格は極めて高水準で推移しておりまして、ここのところ肥育経営の所得も高水準で推移しております。
  72. 千葉国男

    千葉国男君 それでも前の借金があって、また借りなければならない、こういうことで大変な状況なんですね。具体的には、ふん尿処理施設の整備の行程表を農水省とも今作りまして、未整備農家につきまして今年度中に五千八百戸、今年十月中までに七千八百戸の施設整備目標を掲げて、JAグループとの共同プロジェクトを立ち上げて取り組まれておるところであります。  この目標達成のまず見通しをお伺いしたいと思います。また、二分の一の補助付きリース事業によるものとの割合はどのくらいになっているのでしょうか、併せてお願いいたします。
  73. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 本年十一月、全面適用時における整備計画の達成状況というお話でございますが、今お話ございましたように、十六年度は七千八百戸ということで、今年度よりも二千戸多く整備しなければなりません。補助付きリース事業の大幅な増額等によりまして猶予期限内にはこの整備計画に載っているものはほぼ達成できる見込みと考えております。  また、二分の一補助付きリース事業については、個人で施設整備ができるわけでございますので非常に希望が多いということでございますが、これまで約、整備をされた方の三割強が本事業整備をされております。十六年度についてもほぼ同様、三割前後というふうに考えております。
  74. 千葉国男

    千葉国男君 今お話がありましたけれども、補助事業でないシートなどの簡易対応の予定農家が今年度及び来年度で九千七百戸あります。農水省としても、環境問題を十分に認識されているからこそシートなどの簡易対応も併せて期限までの実施に向けて努力されていると思っております。  しかし、家畜排せつ物処理につきましては、この簡易対応のシートは言わば緊急的措置で、その使用できる期間は短いのではないかと思われます。したがいまして、本年十一月以降も施設整備につきましては農水省としても継続して取り組んでいく必要が現実的にはあるのではないかと、こういうふうに思っております。その辺はいかがでしょうか。
  75. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 簡易シート方式の耐用年数は五年から十年と言われております。私どもも昨年、二万部ほど実際に簡易対応された事例集といいますかカラー刷りのすごく分かりやすいものを作りまして、それぞれの地域に配付をし、それを農家方々に実際に見せていただいて、納得をしていただいてやっていただくということを心掛けてまいりました。  十七年度以降でございますが、先ほどから申し上げておりますが、まずはこの十月末までに本当に計画どおりできるかということに大車輪で頑張りまして、それ以降のことについてはその時点でまた検討させていただきたいと思っております。
  76. 千葉国男

    千葉国男君 家畜排せつ物処理法に基づいて酪農環境の整備が進んだといたしましても、やはり堆肥の利用と飼料作物の生産の一体となった畜産、耕種の連携が重要であり、そのためのシステム作り、支援策をどうするか、早急に推進する必要があると思います。  今日までの堆肥の有効利用についての取組状況についてお伺いをしたいと思います。
  77. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 御指摘のとおりでございまして、堆肥の有効利用を進めていく上には、畜産農家だけでなくて周辺の耕種農家との連携ということも非常に重要でございます。  現在まで、この堆肥の生産利用の情報を耕種農家に伝えていくとか、畜産農家と耕種農家の間で情報交換を行う場を設けるとか、あるいは耕種農家側に堆肥の散布に必要な機械や労働力を確保することが大事だということで種々行っておりますが、具体的には、なかなか耕種農家の方が作業をするというのは難しゅうございますので、作業受託組織であるコントラクターを活用しまして、コントラクターによる堆肥の運搬作業や散布作業をやってもらうということで、今年度はこういうコントラクターに対する助成を充実するという中で耕畜連携を推進していきたいと考えております。
  78. 千葉国男

    千葉国男君 最後になりますが、我が国農林水産物の輸出促進につきましては、国際競争力を付けることからも私も大いに賛成であります。  米国のような大規模農家経営と対比したときに、我が国のように小規模農家が多い現状ではコスト面ではなかなか太刀打ちできるものではありません。やはり、質的な面から国際競争力に打ち勝つ農業を確立することが大事であろう、こういうふうに思っております。  米国では米国産のコーベビーフという、こういうのが大変人気があると聞いております。ところが、我が国の畜産物はなかなかブランド力があるとは、あるとは思うんですけれども、それが一向に表になかなか出にくい状況にあります。一方、農産物の方のリンゴとかナシとか米などは他の農林水産物が先行する中においていろいろ輸出ができる状況が生まれているわけでありますけれども、畜産物については余り話題になっておりません。  畜産物及びその加工品輸出の少ない要因と今後の可能性について、どう頑張っていくのか、お伺いしたいと思います。
  79. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 畜産物につきましては、基本的にはやはり海外との生産コストがかなり違うということもございまして、価格競争力の点からこれまで輸出量は極めて少量にとどまっております。  ただ、牛肉等は、先ほどコーベビーフのお話もございましたが、ブランド力があるわけでありますが、こちらは残念なことに家畜疾病の発生等によりまして輸出ができない地域がたくさんございますので、そういうことにより伸び悩んでいるのが現状でございます。  しかし近年、中国を始めアジア諸国の経済発展は目覚ましいものがございまして、その所得向上によりまして高品質な農林水産物の輸出機会が拡大してきていると。米でも、コシヒカリでも食べてみたいという人が台湾とか香港にもいらっしゃるということでありますから、今後、農林水産省としましても、地方やジェトロ、民間団体連携しまして、この国産農林水産物の輸出機会を拡大していきたいと。  このために、輸出促進事業としまして、今諸外国の貿易制度等の調査や国産農林水産物のPRをしっかり強化していこうと。あるいは国内では、そういった海外にも進出できるような生産体制を構築しようということで、高品質化の取組も推進しているところでございます。
  80. 千葉国男

    千葉国男君 終わります。
  81. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初にちょっとお願いしておきたいんですけれども、三十分の中なので答弁はできるだけ端的にお願いいたします。  それで、最初に鳥インフルエンザの問題についてなんですけれども、京都での封じ込めの失敗は、大規模経営で感染発生した場合に、その防疫体制に対する国の責任の在り方が問われているというふうに思います。  そこでお聞きしますけれども、家畜伝染病予防法の三十二条の二項、ここで、農水大臣は、家畜伝染病の蔓延を防止するため必要があるときは、農林水産省省令の定めるところにより、区域を指定し、一定の種類の家畜、その死体又は家畜伝染病病原体を広げるおそれのある物品の当該区域外への移動を禁止し、又は制限することができるとしています。これまで農水大臣がこの規定を発動したことがあるのか、また、省令はあるのかどうか、そのことについてまずお答えください。
  82. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今日までその発令をしたことはございません。
  83. 紙智子

    ○紙智子君 そういうふうな事態に遭遇しなかったということなんでしょうか。  それで、あわせて、省令はないですか、ありますか。
  84. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、省令はございません。  それから、これまでどうしてきたかということでありますけれども、御承知のように、重要な家畜伝染病につきましては既にマニュアルがございます。これを適切に運用することによりまして、移動制限の区域の設定等についてもこのマニュアルには設定をされておりますので、これによって実質的には問題がなかったということでございます。
  85. 紙智子

    ○紙智子君 今まではその必要がなかったということでは、やっぱり本当の意味で危機管理にならないというふうに思うんです。  今回、やっぱり初動の対応が大事だったというのが改めて示されたわけですけれども、必ずしも今回発生して連絡がぱっとできて対応できたというわけじゃないわけです。  それで、いざというときに備えて、やっぱり知事がやれない場合にはカバーできるようにしておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。移動搬出制限というのは、この高病原性鳥インフルエンザに限らず、感染症発生した場合に感染拡大を防止するためには不可欠の措置だと思うんです。  それで、今回のような大規模経営の場合に、ウイルスの量も膨大というか、本当にわっと爆発的に増えていくということですから、感染拡大可能性も大きいですし、それから出荷量も増えて、そしてその流通のスピードもすごく速いと。今回も、発生して瞬く間に二十三県に流通していたわけですからね。そういうことを考えますと、全国そして県域を越えて迅速な対応をするということが必要なわけで、国がその点では直接責任を負うべきじゃないかと。  それで、規模も十万羽以上の採卵鶏農家が三百六十戸で、シェアでいうと五四%になっている。それから、ブロイラーは年間出荷羽数が十万羽以上が千八百八十戸ということで、この分野のシェアが八八%ということですから、やっぱり大きな規模のところが大部分を占めて動いているということになりますから、本当にそういう意味では大事な問題だというふうにこの間感じていることなんです。  それで、改定された防疫マニュアルを見ますと、都道府県が実施主体となるということしか書かれてないんですよね。やっぱり大規模経営でその及ぼす影響が広範になる場合に、事は感染症をいかに早く封じ込めるかということが時間を争って急がれるということですから、そういう場合に国が責任を持って移動制限を掛けるべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  86. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 家畜伝染病予防法、これに基づきまして知事並びに農水大臣の命令が可能になっておるわけでありますが、現在、受託事務と、こういう形で、家畜都道府県防疫マニュアル農水省で作り、そして家畜保健所等々でいろいろ対応しておるわけでありまして、我が省といたしましても、やはりこの専門家等の問題があるわけでありまして、いろいろリストアップをし、さらにまた都道府県におきましてもリストアップをそれぞれしていただいて、そしてそういう事態になったときにそれらの関係者がすぐ派遣できるようなそういう体制、こういうものを今作っておるわけでありまして、そういう中でどのような事態対応できるかと。それは農水省、都道府県と緊密な連携を取ってしっかりした対応をしてまいりたいと、こう思っております。
  87. 紙智子

    ○紙智子君 その今緊急の体制を作っているということは私も知っていますけれども、問題は、実際に周りから見ていても、その報道をテレビ通じてわっと流れているときに、早く封じ込めなきゃいけないということなんだけれども、実際にその権限というのは都道府県にあるというときに、早く何とかしなきゃいけないけれども手を出せないという状況が出てくるんじゃないかと。今回限りじゃなくて、今回だけじゃなくてですね。  そういうときのことも考えて、私が言いたいことは、そういう省令がないのであれば作るということも含めて、そういう法自身の在り方も含めて考えておく必要があるんじゃないかということなんですけれども、いかがでしょう。
  88. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回の家伝法の見直しに関連いたしまして、省令につきましても整備する方向で検討してまいりたいと、このように考えております。
  89. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、次に畜産の問題に入ります。  それで、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の見直しということで、我が国でのBSE発生が、これ牛への肉骨粉の給与が直接的な原因だというふうに言われているわけですけれども、飼料基盤の確立とは切り離して、輸入飼料に依存して規模を拡大すると、効率化一辺倒ということで推進されてきた我が国酪農・畜産政策の転換の必要性を提起したことでもあったというふうに思います。  それで、来年度をめどに新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針が策定されることになるわけですけれども、この基本方針、新たな基本方針の策定に当たっては、地域の条件を生かしてやはり飼料自給を拡大をすると、適正規模の飼養頭数で牛の生理や健康を大切にする経営に転換していくということを強く打ち出すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  90. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 我が国の畜産は、既に農業総産出額の四分の一を占めて、地域の雇用、経済を支え、また自給飼料生産を通じて自然環境の保全等の重要な役割を果たしております。  その中で、担い手の問題あるいはゆとりある経営の実現のための労働負担の軽減の問題、更には自給率の向上のために輸入飼料依存から自給飼料基盤に立脚した経営への転換と、こういった課題を抱えております。さらに、BSE発生鳥インフルエンザの流行によりまして、安全な国産畜産物の供給の重要性も増してきております。  こういった課題に対処するということで、今審議会において新しい基本方針の策定作業に入っておりますが、今申し上げたような、ゆとりある生産性の高い酪農・畜産経営を実現したい、あるいは日本型放牧の普及等を通じて自給飼料基盤に立脚した資源循環型の大家畜畜産を実現したい、安全、安心で良質な畜産物の安定供給を図りたいと、こういったことを主要課題として検討を進めております。  そういった方向で御論議を重ねていただき、新たな基本方針を策定していきたいと考えております。
  91. 紙智子

    ○紙智子君 現在の基本方針では、それまでになかった飼料基盤の拡充という問題や自給飼料生産の推進と、それから日本型放牧の促進と、こういう言葉が掲げられているんですよね。しかし、具体的な生乳の生産数量目標ということになりますと、一頭当たりの乳量の拡大などを通じた生産コストの低減と、それでもって国内生産拡大を図ることが課題だというふうになっているんですね。これは従来と変わらないと思うんですよ。それで、このことというのが政策の主流になっているというふうに思うんですね。  やはり放牧主体、そして粗放的な酪農、そして飼料稲等のこの地域資源を生かした適地適作的な飼養形態の普及、育成、そして自給飼料拡大のための具体的な施策ということで、ここをもっともっと示すことが大事じゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。
  92. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 現実に存在しております酪農経営におきましては、そういうふうに乳量増を図る、大規模経営化を図るという経営体の方々も数多く出てきておりますが、一方では、都府県ではもう三十頭以上は飼わないということで、草地基盤に立脚し、しかも労働もそこそこで家族楽しくと、そういうことで教育ファーム等も兼営をされているというような方も私の知っている限りで何人もおられます。酪農家の経営姿勢というものも、そういうふうに時代の背景を、時代背景を映しまして、様々になっているのではないかと思っております。  そういう経営実態も踏まえて、十分な議論をしてまいりたいと考えております。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 十分議論をしたいということなんですけれども、この基本方針の中に、具体的な目標のところを見ますと、実際にはやっぱりどれだけ搾るかという目標が定められていて、それでかなりやっぱりそれがなかなかきついものであるということなんかが現場の方からも出されてくるんです。ですから、是非そういう議論を進めていただきたいというふうに思います。  それから、当面の問題としてなんですけれども、先ほどもちょっと議論の中で出されていましたけれども、一つは、稲わら、稲わらじゃなくて、稲発酵粗飼料給与技術確立助成ですね。先ほどもちょっとあったんですけれども、ちょっとはっきりと確認をしたいのでもう一度言いますけれども、これは利用酪農家に対して十アール当たり二万円の助成を行うんですね。直接農家を応援するもので欠かせないものですけれども、一層拡大継続をしてほしいというのはやっぱり強いわけです。  これについては拡充継続するということでさっき御答弁があったというふうに確認をしてよろしいんでしょうか。
  94. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) その稲発酵粗飼料につきましては、稲作農家にとっては作りやすい転作作物であると、畜産農家にとっては家畜の嗜好性の高い飼料作物として評価をされているわけでありまして、十五年度は約五千ヘクタールまで作付面積が増えてまいりました。  この稲発酵粗飼料の作付け利用に当たりましては、当然、稲作農家畜産農家との連携が重要でございますので、十六年度からは、いわゆる米作りの方の水田農業構造改革対策の中でも、産地づくり対策と耕畜連携対策の助成対象としてこの稲発酵粗飼料がその作付けを推進されることになっております。  ただ、この稲発酵粗飼料の給与技術確立型という、この稲発酵粗飼料を給与する農家への助成につきましては、今までこういった稲発酵粗飼料を給与した経験のない畜産農家が非常に不安がるわけでございまして、そのための実証展示を目的として実施をしてまいりました。この稲発酵粗飼料の定着状況を踏まえますと、この実証という目的は既に達せられたと考えられます。  ただ、しかしながら、自給率の向上のために輸入粗飼料を稲発酵粗飼料に置き換えていくと、こういう視点からは、助成単価を見直した上で、畜産農家の負担軽減対策として十六年度についても継続することといたしております。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 自給率引き上げる上では、これは本当に大事な位置付けだというふうに思います。それで、是非長期的な展望を持てるような制度にするべきではないかというふうに思って指摘をしておきたいと思います。  それからもう一つ、現在実施されている直接支払の役割を果たしている土地利用型酪農推進事業についてですけれども、これもさっき継続されるというお話だったわけですけれども、しかし、何か報道などを見ますと、手取りになる部分というのが削られるのかというようなこともあるんですけれども、これはどうでしょうか。
  96. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 本事業は、平成十一年度に畜産環境問題に適切に対応し得る飼料基盤に立脚した酪農経営を実施している生産者支援するための施策として措置されております。  飼料基盤の確保には一定の役割を果たしてまいりましたけれども、一方で、飼料作付面積がゼロの農家に対しても補助金が交付されていたり、実際にはその飼料作付面積が思ったほど伸びないどころか、地域によっては減退したり、あるいはその後の奨励金の一律加算によりましてランク格差が縮小して、ランクアップへの誘導効果が低下している等々の指摘がなされております。  本事業については五年間ということで、本年度が終期となっておりましたけれども、関係者の強い継続要望にも配慮をいたしまして、畜産環境問題に対応した飼料基盤の確保対策として更により有効に機能するようにということで、事業創設時の趣旨も踏まえまして、事業内容の改善、見直しを行った上で継続するということにしたところでございます。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 やはり牧草地に立脚して酪農を営む人たちにとっては、これは不可欠の問題なんですね。それで、やっぱり精査するようなこともあるわけですけれども、この中身としては、やっぱり削らないでとか、手取りが減らないようにやっていただきたいというように思うんです。  それで、飼料基盤の拡充や自給飼料生産の推進を掲げて全体努力しようというわけですから、それに逆行することになってはいけないというふうに思うんですね。畜産農家にとっても重要な収入源をなくすことはすべきでないと。  それで今、国内の、国内産の飼料自給率というのは、この現在の基本方針がスタートをしたのが二〇〇〇年ですから、二〇〇〇年のときで自給率二六・二%だったのが下がってきているわけですよね。それから、粗飼料の自給率についても、当初七八%だったわけですけれども、これも下がってきているわけです。だから、飼料作物の作付面積そのものも減少に歯止めが掛かっていないという中では、やっぱりそういうときにこれらの施策を削るというのは、やっぱり自給率を上げようといっても下がっていくことにつながってしまうということでは、やっぱりそれでいいのかというふうに言いたいわけですよ。  それで、今日の議論の中でもありましたし、新聞報道にもされていたんですけれども、やっぱりふん尿処理などの財源が足りないと。そのために、この財源を確保するために一部を削って回そうというようなことなんかも言われているんですけれども、私はやっぱりこれとんでもないなと思うんですよ。  やはり財源が厳しくなったというのはBSE対策に関税収入を充てたということもあるわけで、元々この関税収入というのは、輸入自由化で影響を受けた、そういう畜産のために使うことになっていたと思うんです。それで、本来BSE対策は国がきちっと責任を持って、そこに予算も付けて対策を持つべきものであって、そこに関税収入を使ったというのは私は間違いだというふうに思うんですね。  今なくなったからといって、必要な施策を削るというのはこれは間違いだと。だから、関税収入だけではなくて、必要な予算は国がきちんと振り向けるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  98. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 先ほど酪農対策に使うお金と肉牛対策に使うお金は財布が違うのですというお話をいたしましたが、牛肉関税による財源は食肉対策に使うということが法定されておりまして、こういった酪農関係に使うお金は、別途、自由化以前に旧畜産振興事業団が一元輸入していたときのたまり金を使っておりますので、そこは御了解をいただきたいと思います。  土地利用型酪農推進事業については、先ほども申し上げましたように畜産環境問題と草地基盤の整備ということを掲げておりますが、委員も今御指摘がありましたように所得の一部化しているという点で、実際に草地基盤を整備したり、そういったことに行動が伴わなくてもお金がもらえるということになっておりまして、ちょっと趣旨と実際が違うのではないかということも指摘されております。  我々としては、草地基盤は非常に大切でございまして、今回の対策におきましても、いわゆる草地更新、草地は七年か八年かに天地返しして更新しませんといい草取れませんが、それが北海道でも非常に遅れているということでございまして、この予算は倍額にして、現実に体を動かして、地面を動かして草地更新をしていただくというようなことについてはちゃんと助成をしたというところでございます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしましても、やっぱり本当に自給率を上げていこうというためには欠かせない対策としてもこれは強化していただきたいというふうに思います。  それで、農林中金総研の蔦谷栄一さんという方が、北海道のマイペース酪農や集約放牧、それから山地畜産、飼料稲や食物残渣による地域条件を生かした飼料原料による自由化を図り、家畜の健康と経済性の確保をバランスさせていく経営が今後の我が国の畜産の柱だと、自然に立脚した本来の第一次産業として再編していくことをこれからの畜産経営の基本方向として設定すべきだというふうに指摘しています。そのような日本型畜産は、直接支払によって維持確保していくだけの十分な意味、価値を有していると、国民の理解も得ることができるというふうにしているわけです。やっぱりBSEなどのことから反省をするならば、このような基本方向への転換が必要だというふうに思います。  続いて、ふん尿処理の問題です。  家畜ふん尿処理の問題は、河川、地下水汚染などの問題だけではありません。本来は国産で、国内で作られた飼料を家畜に与えて、排出されるふん尿が国内の土に還元されていくと、こういう循環していく形、循環型というのが望ましいわけですけれども、現在、飼料が結局ほとんど海外から輸入に依存しているということで、家畜から排出されるふん尿というのは我が国に一方的に蓄積していくと、循環していないわけですよね。外国から来たものが日本の中で行くと。一方通行なわけです。そういう中で地質、窒素過剰というか、土の質が窒素過剰という問題も起こしていて、要するに循環型ではなくて非循環型というような問題が大きな問題になっているというように思うんですね。  これもやっぱり輸入飼料に依存してきた規模拡大の政策の帰結だと思うんですけれども、北海道の酪農家方々に話聞きますと、やっぱり三百頭も飼えばとても農地に還元できないのは当たり前だと、循環できる規模の飼養管理に変えていかなければやっぱり根本的な解決にならないんじゃないかという声が出されているんですけれども、これに対する御認識はいかがでしょう。大臣にお聞きしたいと思います。
  100. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 家畜排せつ物の処理につきましては、基本はやはり堆肥化を行った上で、可能な限り肥料や土壌改良資材として経営体内の農地や経営体外の農地に有効に利用していくことが重要ではないかと考えております。  ただ、堆肥を農地に還元利用できる量につきましては、周辺の農地の分布や耕種農家における作付け体系などによりまして、地域によって大きく異なっております。農地への適正な窒素投入量といった観点から見た場合、生産された堆肥が地域における農地の受入れ可能量に比べて過剰となる場合もあると見られております。全国の主要畜産県では数県でそういう悩みを抱えていると承知しております。しかしながら、一方で堆肥の供給が需要を下回っていたり、新たなエネルギー資源として地域活性化の観点から期待が大きい地域もございます。  今後とも、堆肥化によりまして経営体内あるいは地域内での農地利用を基本としながらも、広域的な堆肥利用やエネルギー利用の促進などを含めて家畜排せつ物の適正な処理を推進していきたいと考えております。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 今年十月で家畜ふん尿処理法の猶予期間が終わって完全実施となるわけです。しかし、四割近い農家でふん尿処理施設の設備が終わっていないと。で、違反すれば罰則が伴うということで、生産現場では非常に危機感を強めているわけです。  JA北海道中央会がこの間まとめました全道酪農経営意向調査によりますと、経営を中止したいという理由として、二割の農家家畜ふん尿処理施設の整備対応が困難だということを挙げているんです。畜産・酪農家は、畜産物の価格の低下に加えてBSE問題で大きな打撃を受けてきたわけです。堆肥舎の建設というのは大体数百万から一千万といいますね。一千万以上というふうに言われているわけですけれども、多額の負債を抱えた農家にとっては、これは死活問題なんですね。  この設備整備のために農家個人が使える助成というのは、二分の一の補助付きリース事業だけです。現場では、このリース事業は順番待ちの状況で、ずっと待たなきゃならないという状況になっていると。先ほど紹介しましたJA北海道の調査でも、ふん尿処理に係る要望については、施設設備に掛ける予算の増額が、増額してほしいというのが二三・九%で一番多くなっているんですね。  遅れている個人処理の施設を早期に整備するためには、この補助率を引き上げると、これがやっぱりどうしても必要だというふうに思うんですけれども、その予算の思い切った増額をすべきではないでしょうか。
  102. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 施設整備に当たりましては、十六年度予算案におきましても、公共事業、非公共事業とも前年を上回る額を確保したところでございますし、補助付きリース事業についても、先ほど来申し上げておりますように、三百一億円と大幅に増額をいたしました。  この補助付きリース事業というのは、二分の一を補助金で出まして、残りの二分の一を長期間掛けてリース料を払うということでございますんで、今考えられる中では、非常に農家にとってこれ以上有利な制度というのは考えにくいというくらい有利な制度でございまして、そういった面で助成率の引上げというのは困難ではないかと承知いたしております。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 四割近い農家ができないで来ているという事態なわけですから、そして心配しているわけですから、ちょっと余りにも今の答弁は簡単過ぎるというふうに思うんですよね。  それで、続けますけれども、リース事業に対するこの予算額は、この四年間、二百十億円に据え置かれたままです。そのために年間利用者は二〇〇二年で千五百二十一件しかないわけですし、三年、四年、個人施設で整備を要する農家は八千三百戸あるわけです。この枠では間に合うわけがないんですね。期限までに整備が進まないのは農家個人の責任ではないんですね、これ。やはり法律では、都道府県知事が指導、助言して、従わなければ勧告、命令を出すんだと。命令に反した者は五十万円以下の罰金が科せられるんだと。  罰金の適用、これについては、私は延期すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
  104. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 管理基準の適用猶予期限を延長をすることにつきましては、既に努力をされて整備を行った農家に対して不利益を与えるもので、不公平ではないかという意見もございます。  また、この法律が緊急に制定され、五年間でやろうということになった背景には、今委員も御指摘がありましたように、この家畜排せつ物の不適切な処理を野放しにいたしますと、深刻な水質汚濁の原因の一つにもなり、また人の健康にも影響を与える可能性があるということで、その是正を社会的に厳しく求められたからでございます。  そういう観点からしますと、この限られた国土で畜産業を営んでいく限り、社会に向けてその存在を主張するには、この猶予期限を延長すべきではない、しっかり守って環境対策をしっかりやったということにしていかなければならないのではないかと思っております。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 みんなやらなきゃいけないと思っているんですよ、それは、今のこういう状況の中なんですから。やらなきゃいけないと思っているけれども、できないで来たわけですよ。そこのところをちゃんと受け止めていただかなければ、やっぱりまず国が主導してやって、そしてどうするかと悩みながら、いろいろ工夫しながら努力してきているわけですから。前に向けて何とかしようと思っているわけですからね。  そういうときに、罰則も、もうすぐ、はい掛かりますよということでなくて、やっぱり一律に掛けるのは理不尽だと思うんです。そこのところをちょっと柔軟に対応するなり、やっていただけないでしょうか。いかがでしょう。
  106. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 家畜排せつ物法は、十一月になりまして、例えば素掘りの、余り好ましくないですが、素掘りの野積みが放置されていたといたしましても、即座に罰則が掛かるシステムにはなっておりません。まず、指導、助言、勧告、罰則という四段階になっておりまして、その点では逆に、逆の立場の方からは、非常に生ぬるいというおしかりも受けておりますが、ある日突然罰則を掛けるというような運用もするような法律ではございませんので、今の法律で十分対応できると考えております。  それから、私どもはそういう非常に難しい人たちには簡易対応をお勧めしてまいりました。簡易対応は、お金も、規模にもよりますが、百万程度でできます。一部には、その耐用年数に疑いがあるとか、作業の操作性が悪いとか、いろいろ酪農家から不安の声もございましたので、実証展示ということで、かなりな地区に実際にやっていただきまして、農家にも見ていただくと。あるいは、いろんなタイプがございますので、そういったものをパンフレットその他にして御紹介をし、あるいはメーカーも紹介するというような地道なこともやってきております。ですから、どうしても短期間に大きなお金を動かして施設整備ができないという方であっても、そういう対応は可能であると考えております。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ……
  108. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 紙智子君、時間が参りました。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 はい、分かりました。じゃ、最後です。  今日、畜産物の価格をめぐって、加工原料乳生産者補給金の単価、この引下げの諮問をやったと。私、これには断固として抗議をしておきたいと思うんです。  酪農家が現在のような効率を優先した大規模経営に向かざるを得なかったのはなぜかといえば、最大の要因は、この間政府のやってきた低価格政策があるわけです。加工原料乳の価格を毎年引き下げられて、生産者は、コストを減らして収入を確保するためには、やっぱり飼養頭数を増やさなければいけないと。牛の生理を無視して無理に搾乳を、搾乳量を増やすということに追われることになってきたわけです。そして、生産者が必死の努力でコストを下げるとまた価格が下がると。もう、下げるとまた、努力するとまた下がると。こういうことの悪循環の繰り返しだったわけで、やっぱりこの抜本的な転換が必要だというふうに思うんです。  そのためには、まずは再生産が保障される加工原料乳価への引上げが必要です。そして、加工原料乳限度数量は、過去三年間、連続引き下げられてきているわけですから、これ以上引下げがあってはならないということを最後に申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  110. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  最後質問でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  今日は畜産価格に関する委員会でございますけれども、私も畜産という意味から一つ、前回、一月二十八日に、ちょっと質問の途中で、質疑したやつが途中で切れちゃったような感じがございますので、その辺から始めさせていただきたいと思うんですけれども。  一月二十八日には、実は牛肉の場合、輸入するのと国産牛を食べるのとどちらがカロリー自給率が高いかということを質問させていただいたわけです。それは結局、輸入牛は、例えば百カロリーを得ようとすれば百カロリーそのものを輸入すればいいと。しかし、国産牛の場合は、国産牛百カロリー作るためのえさ、これが結局穀物飼料、外国からのカロリー輸入になるわけですけれども、結局一般に言われているのは、そのときの御答弁で、たしか百カロリー、国内産の牛肉を百カロリー得るには外国産の穀物一千カロリーと、大体十倍のカロリー輸入になるというような御答弁をいただきまして、そこで実は終わっているんですけれども。  そのときにも一つ申し上げたんですけれども、ですから国内自給を拡大するということは、一般的には国産品を食べろ食べろと言う、そういうことによって成り立つんじゃないかというのが一般常識だと思うんですけれども、事牛肉に関しては逆じゃないか。これで国産牛をどんどん食べろと言ったら、逆に言えば農林省の目指している国内自給率が、カロリー自給率が低下しちゃう、こういうようなことになるんで、その辺、カロリー自給率を上げようとする農林省のお考えと牛肉のそういった実態との整合性といいますか、その辺はどういうふうにお考えになっているのか、まずお知らせを願いたいと思います。
  111. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 国産牛肉、そういう面でやはり飼料の自給率の向上と、こういうことを図らないと真の自給率の、我が国食料の自給率の向上にはつながらないわけでありまして、国産の和牛、その飼料が海外から輸入をしている、こういう実態、これはもう事実でありまして、そういう面ではいろいろ自給飼料の生産の有利性あるいはまた重要性の啓発と、こういうことをいたしまして、関係者が一体となった形で飼料増産運動、こういうことを展開をしていかなければ真の自給率の向上、食料の自給率の向上ということにはつながらないんではなかろうかと、こういう認識を持っております。
  112. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 言葉でおっしゃればそういうことになるかもしれませんけれども、現実に、今申し上げましたとおり十倍の差があるんですね。穀物をそれだけ、穀物飼料、国内、これはもう全く競争力がないから日本のものを食べさせられない。また、生産に不向きかもしれません。そういう面からないわけでございまして、これを国産の飼料に変えるというのはとてもじゃないけれども夢みたいな話じゃないかなという気がするんですね。  だからといって、じゃ、外国からどんどん入れたらいいかということは国内自給の思想からも外れるという難しい問題があるかもしれませんけれども、その辺のきめ細かな自給率といいますか、きめ細かな農林省の求める国内自給率の姿というものをもう少し私はこれ検討してもらえないかなと、これかねがね申し上げているんですけれどもね。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  それはもう今ここであえて言いたくないんですが、要するに、自給率を上げるのに、これ生産者が幾ら頑張ったって駄目なんですよね。今の生産性から見たって、もう外国からの産品とそれぞれ競争してぎりぎりのところでやっている。そんな中で、じゃ、もっと自給率を食料安保の上からも上げようということは、これは本当に消費者がそう思ってもらわないと上がらないわけですよね。消費者がそう思ってもらうということは、消費者がそういうふうに納得しなきゃ絶対にそうならない。その辺が僕は一つの大きな問題で、農業問題というのは消費者に理解してもらうと割と簡単に解決というか、簡単じゃないかもしれませんけれども、そこにポイントがあるという問題が非常に多いんじゃないかという気がするんですよね。  それで、そんな面からいきますと、例えば国内自給率、私は四〇%が高いのか低いかも分かりません。農林省は低いと言っておられるのかもしれませんけれども、国内自給率というのはいろんな要素から決まるんだと思うんですね。だから、そういう、それを例えば四五、まあこれは心情的には四〇より高いから上がるのかなと思うけれども、四五がいいのかどうか。じゃ、どうすれば消費者が、消費者がどうすればそういうものになるのか、その辺の、何といいますか論理的なやつと、論理的な物の考え方、その辺をひとつもう少し私は、農林省いろんな協議会なりなんか持っておられますから、いろんな人の御意見を聞かれたらいいと思うんですけれどもね。  例えば、これはマスコミの記事ですけれども、要するに日本の今のカロリー自給率、これ四〇%ですけれども、四〇%で二千キロカロリー相当だというんですね。二千キロカロリーといったら大体もうそんなに遜色ないんですよね。恐らくそうだと思いますよ。母数は五千キロカロリーぐらいになっていると思いますよ。ただ、二千キロカロリーというのは、本来牛が食べて、その牛を人間が食べるやつを、それをそうじゃなくて、トウモロコシか小麦か知りませんが、そういうものを食べた上での計算ですけれども、実際そういう面でいったら、もう二千、四〇%でもうカロリー計算でいったら足りているんじゃないかと、こういう議論もあるわけですよね。そうすると、消費者の方からしてみれば、もうこれそんなに守らなきゃいけないのと。  それと、私はいわゆる自給率を下げている一番の根源というのは外食産業だと思うんですけれども、消費者方々が外食産業に行って、もう一つ一つこれ、国産か外国産か聞いて食べるわけないんですよね。あのときには安い方を食べますよ、大体。ぜいたくな人は、先ほどの豚肉は、常田委員の豚肉はそれは高い方かもしれませんけれども、大体安い方を食べるとすれば、もうそこで自給率とかなんとかの話じゃなくなってくるんですね。だから、その辺の論理性というのをもう少し検討していただけないかと。  これ、簡単ではないと思いますよ。簡単ではないですけれども、農林省がやる以外ないと思うんですね。今まで聞きましても、僕はこれ何やっているかともう問いません、何回言っても同じように返ってきますから。そういう認識をお持ちかどうか、きちっと、できれば論理性のある国内自給率を決めていきたいと、そういうような認識はお持ちかどうか、それだけをまず、それだけをお聞かせください。
  113. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 自給率の問題でございます。  効率だけから申し上げますと、先生おっしゃるように、畜産のように、まずえさを食べさせて大きくして、それをまた食べるものよりも、直接その穀物を食する、その方がカロリー効率からは十分効率的であるわけでございますけれども、一方において国民の食生活といいますのは自由な選択の領域でございますので、やっぱり牛肉が欲しい、豚肉が欲しいという方が一方ではおられまして、こういう方にそういう牛肉、豚肉を供給していくというのもまた我々の責務ではないかというふうに思っております。  そして、カロリー自給率の問題でございます。先生おっしゃるように、十分国民の皆様にも分かってほしいのは、例えばお米を一人当たりあと二・七キロ余計に食べていただくとカロリー自給率が一%上がります。(発言する者あり)いや、これ計算の上から申し上げますとそういう話でございます。それから、今、栄養バランス的にはたんぱく質あるいは油、油脂類ですね、これが摂取過多というふうになっておりまして、ここを減少することによってカロリー自給率の向上につながると。これ、健康面からも食生活の改善というのは望まれるところでございます。  そういうようなことがございますので、今後、自給率の問題を議論していく過程で、十分食生活と自給率の関係については国民の皆様方に理解をしていただくように説明をしていきたいというふうに思っております。
  114. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 何かちょっと論点が違うように皆さんお感じになったと思うんですけれどもね。  自給率を上げるとか下げるとか僕は言っているんじゃないんですよ。どうしたらいいのか、日本としては食料安全保障という面からどのぐらいに、どういう考えをしたらいいのかということを、そういうことを考えるお気持ちがあるかどうかを僕は聞いたんですよ。  大臣、もしあれば。
  115. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いわゆる今回のBSEあるいは鳥インフルエンザと、こういう面で大変国民の皆さん方も、いわゆる輸入の問題等、また食料の自給率のことにつきまして大変関心をお持ちいただく事態になったと、こう思います。  そういう面で、やはり食料全体、今委員から御指摘のとおり、和牛とこう言いましても、実際一般の国民方々は、これは正に自給率でいえば国産と、こういう考え方があるわけでありますが、いろいろ説明すれば飼料作物、トウモロコシ、大豆等々はこれだけ輸入していると、こういうことになりますと、ああそういうことになるのかと、こういう理解が得られるわけでありまして、そういう面で、この食育の問題ですとか教育の現場で、やはり日本食料全体というものをもう一度しっかり見直しをすると。そういう中で国民全体が食に対する理解を深めると、そういう面での対応をするということが私は必要なことではなかろうかと、こう思います。
  116. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私は、これは簡単なことじゃないと思いますけれども、こういう議論をのせないと、いわゆる消費者まで、何といいますか、事の重大性が伝わらないと思うんですよね。  それで、よく自給率云々と、食料安保というと、やれ交戦状態になったときとか、そんなことは今あり得ないじゃないかとかいろんなこと言われますけれども、何もそういう極端な考え方じゃなくても、今回端的に言えばアメリカBSEでぱっと止まるということだって一つ食料危機なわけですよね。それ以外に、凶作、自然現象というのは、これは避けられない。そういう紛争みたいなものは避けられるかもしらぬけれども自然現象というのは避けられない。そういうものを考えて、日本が凶作の場合、外国の輸入先、輸入元が凶作の場合とか、いろんなものを想定しておかなければいけないんじゃないかと思うんですよね。  そういうときに、そういうときの物の考え方をきちっとして、それでそれを国民の皆さん、消費者の皆さんに納得というか一応知らしめるということが大事だと思うんですけれども、今大臣の御覚悟、御決意をお聞きしましたので、どういうふうにやられるかは、もう大臣のお気持ちだと思うんですけれども、そういう方向に是非検討をしていただきたい。  それと同時に、時間ありませんので要望だけしておきますけれども、それと同時に、国民に知らしめるための手段ですね、アクションプランといいますかね、これは前からいろいろ、どういうふうにやるのかということをいろいろお聞きしてまいりましたけれども、なかなかそれも難しいとは思いますよ。思いますけれども、地道にそれをやっていかないと、結局は浮ついた議論になっちゃうんだと思うんですね。  極端に話飛びますけれども、例えばWTOの問題だって、僕はこれは本当に農業の問題というのは国民サイドの理解だと思うんですね。やっぱり国民が、食料を輸入しても自動車が売れればいいやということであれば、それは絶対農業交渉をやられますよ。国民全体が自動車よりも食料を、日本国内自給を守ろうと言えば、そういう雰囲気になれば守れる、守る力は随分大きいと思うんですよね。  だから、要はその辺にあると思いますので、時間がないので、これもし大臣、何かありましたら御決意を伺いたいんですけれども。もしなければ、私はこういうことを、その辺のアクションプランといいますかね、そういうものもしっかりやっていただくよう要望さしてもらいます。
  117. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田ひろ子君。
  118. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、無所属の会及びみどりの会議の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国の畜産・酪農経営においては、脱脂粉乳過剰在庫家畜排せつ物処理施設の整備の遅れなどが深刻な問題となっている。   また、昨年末以降、米国における牛海綿状脳症(BSE)の発生や、我が国を含めたアジア地域における高病原性鳥インフルエンザ発生など、我が国の食の安全・安心を脅かす事態が相次ぎ発生し、輸入停止措置発生地域における移動制限措置による損失、風評被害等は関係事業者等に深刻な影響を及ぼしている。   よって政府は、平成十六年度畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、生産者が意欲を持って取り組める畜産・酪農基本政策が確立されるよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 加工原料乳生産者補給金の単価は、生産者努力が報われ、意欲を持って営農に取り組めるよう、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定すること。    また、加工原料乳限度数量については、過剰な脱脂粉乳在庫の解消に向けた取組みに配慮しつつ、生乳の生産事情、牛乳・乳製品の需給動向を踏まえ、適正に決定すること。  二 牛肉・豚肉の安定価格及び保証基準価格については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給状況や価格の推移などに十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として、適正に決定するとともに、肉用子牛生産者補給金制度については、持続的かつ安定的な制度運用が確保されるよう、乳用種の保証基準価格の水準の在り方について十分な検討を行うこと。    また、肉用牛農家及び養豚農家経営安定対策を継続するとともに、地域における多様な取組み等を通じ生産コストの低減を図ること。  三 飼料の輸入依存体質を転換し、資源循環型農業を推進する観点から、自給飼料基盤の強化、飼料生産の組織化・外部化の推進等各般の施策を講ずるとともに、土地利用型酪農推進事業については、畜産環境問題に適切に対応し得る飼料基盤に立脚した酪農経営の確立に資するよう見直し、継続すること。    また、国産稲わら・稲発酵粗飼料について、その円滑な流通及び利用拡大のための対策を継続すること。  四 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の完全施行を控え、畜産環境リース事業等の支援対策を継続・拡充するなど、生産者の意向を踏まえつつ、処理施設の整備について、全力をあげて緊急かつ着実に推進するとともに、今後の整備計画策定に資するため、地域の整備実績等について速やかに調査を行うこと。    また、排せつ物については耕種農業との連携強化によるたい肥利用の促進やバイオマス資源等としての有効活用を図ること。  五 安全かつ良質な畜産物を供給するため、生産・加工・流通の各過程における衛生・品質管理対策を強力に推進すること。    また、牛せき柱の利用が規制されることに伴い、コスト低減のための取組みを含め、関係事業者等が一体となった適切な分別体制整備されるよう必要な支援を行うこと。特に産地食肉センターをはじめとする食肉事業者等の焼却費用が過重な負担とならないよう、配慮すること。    なお、本年十二月より牛肉の個体識別情報の店頭表示が義務づけられることから、関係事業者への指導と消費者への周知を徹底すること。  六 BSE及び鳥インフルエンザ発生に伴う消費者の畜産物に対する不安を払拭するため、感染源及び経路の早期究明に努めるとともに、国民に対し、安全性に関する情報の迅速な提供と正確な知識を普及し、風評被害の防止に努めること。    また、家畜伝染病発生に際しては、そのまん延を防止するため、迅速かつ確実な初動防疫体制を確立すること。    なお、輸入牛肉について、我が国と同等の安全対策を確保すること。  七 家畜伝染病のまん延防止に資するよう、家畜伝染病予防法の改正も含め、移動制限命令を受けた農家への助成措置の制度化を行うとともに、発生に伴う畜産・酪農経営及び関係事業者等への影響に配慮し、経営安定対策等の拡充を図ること。    また、家畜伝染病発生に備え、必要な知見の蓄積や防疫資材の備蓄に努めるとともに、BSE生前診断法の開発に努力するなど、家畜伝染病に関する技術の研究開発を積極的に推進すること。  八 国際化の進展に伴い、家畜伝染病我が国への侵入の危険性が高まっていることから、海外情報収集に努め、感染の恐れがある物品については、より迅速かつ確実な防疫措置を講ずること。    また、途上国等における家畜伝染病検査・防疫体制確立に向けた国際協力を積極的に推進するとともに、我が国において若齢牛のBSE感染が確認されたことにかんがみ、各国及び関係国際機関に対して検査対象牛の範囲拡大を働きかけるなど、国際的なBSE検査体制強化に努めること。  九 WTO農業交渉及びFTA交渉に当たっては、食料安全保障、農業の多面的機能を確保するよう、今後とも確固たる決意をもってのぞむとともに、国内農業への影響等を分析し適切な措置を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  119. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいま和田君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、亀井農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀井農林水産大臣
  121. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) ただいま御決議いただきました御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  122. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会